世界環境テクノロジー株式会社 取締役社長・横井 忠志氏のインタビュー記事を「人民日報海外版日本月刊」にて公開します。横井 忠志氏(1)2023年5月31日、ジュネーブのパレ・デ・ナシオン。国際平和維持兵士協会(AISP/SPIA)のローラン・アタベロ主席は、環境汚染と食糧危機問題解決に対する貢献を称え、横井 忠志氏に平和勲章を授与した。このニュースは日本にも伝わり、世間の耳目を集めた。本誌編集部で、横井 忠志氏は謙遜しながら率直に語った。「この度の私への平和勲章は、恐れ多いことです。千葉工場の先輩方こそが本当の陰の英雄なのです!」。記者は敬意と好奇心をもって、横井 忠志氏に、これまで受け継がれてきた環境保護と平和への取り組みについてお話をうかがった。■バイオテクノロジーの分野で画期的成果『韓非子』には端を見て末を知るという言葉がある。微生物は、人類が共生する地球上で最も広く分布し、最も歴史が長く、最も分類が複雑な生物体である。微生物の発見と利用は、人類文明における画期的な出来事である。現在、バイオマニュファクチャリング、汚水処理、環境に優しい農業が、バイオテクノロジーの三大成長分野とされている。今日、広大な太湖や鼋頭渚の美しい景色を眺める時、環境保護に携わってきた人びとに感謝の思いを抱くのである。そこには横井 忠志氏の両親も名を連ねる。1980年代、横井 忠志氏の両親は日本微生物生態研究所を設立すると、ほどなくして、中国政府の各部門から招待を受け、当時の先進的な汚水処理技術を携えて北京、無錫、河南省等を訪れ、微生物によって生活廃水と工業廃水の沈殿物質を分解し、脱水及び高温消毒を経て建築材料に加工した。こうして、工業・生活廃水汚染の問題を解決し、川砂などの天然資源を保護するとともに、「死んだ水」を甦らせたのである。一家は機械製造から着手し、環境保護の分野にも事業を拡大し、中日両国で一定の影響力をもつようになった。若かった横井 忠志氏は自身の力を試すため、アパレル業界に進んだが、将来を見据えてAIロボットの研究開発・製造の世界に身を投じた。コロナ禍によって国際交流は遮断されたが、横井 忠志氏にとっては、立ち止まってチャンスをうかがい、環境保護の重要性について再考する重要な機会となった。ある日、彼は、ファミリー企業の千葉工場のゴミ処理場を訪れた。数年前にも、このゴミ処理場が耐え難い悪臭を放っていたことを、彼ははっきりと記憶していた。ところが、目にしたすべてのものが、彼の「ゴミ」に対する認識を変えてしまった。当初、固形廃棄物処理には、堆肥化に1カ月、発酵に3カ月をかけることが課されていた。その間に、蚊や感染症菌が発生し、地域環境や住民の衛生にも弊害をもたらしていた。しかし今では、新たに開発・製造された微生物の媒介によって、廃棄物の半減期は大幅に短縮され、分解反応効率は2倍になり、発酵期間は2週間に短縮され、刺激性ガスも発生しなくなった。その後の3カ月の堆肥化段階においては、目には見えないが微生物がはたらき続け、最終的には、砂土に近い質感の有機堆肥ができあがる。横井 忠志氏(2)千葉工場でバイオテクノロジーの研究をリードしているのは、名の知れた日本企業で管理職を務めたベテランの専門家たちである。彼らは定年退職後、自発的に環境保護事業に身を投じ、20年近くをかけて、数万回の実験と改良を経て、今日の成果を勝ち取ったのである。「率直に言って、AIロボットを研究・開発していた方が収益は上がります。環境保護の仕事は労力に見合った利益は出ません」。両親は高齢になるまで環境保護事業に身を捧げ、千葉工場の先輩たちは待遇も見返りも求めず、ただグリーンの地球を後世に残したいと願っていた。彼らの思いに感銘を受けた横井 忠志氏は、アパレル、紡織、機械の分野で実績を残した後、家族が長年携わってきた環境保護事業に身を投じ、世界環境テクノロジー株式会社の社長として、社会的責任の一端を担っている。彼の歩調は緩やかにはなったが、決意はより強固である。平和勲章を受章(1)■汎用性が高いバイオテクノロジー都市の生活ゴミに加えて、家畜の糞、枯れた枝・葉、エビ・カニ・魚介類の殻など、固体廃棄物はすべて有機堆肥に適している。堆肥化の過程で大量の熱エネルギーが放出されるが、これらのエネルギーを地熱に変換して、野菜のハウス栽培に利用したり、苗を育てる花土にすることもできる。横井 忠志氏が特に強調したのは、花卉栽培農家や果物農家が苗を地中に移植する際、ポットが無造作に廃棄されていることである。回収して焼却しても有毒ガスが発生し、環境にダメージを与える。横井 忠志氏はそれを目にして胸が痛んだ。彼は、有機堆肥でポットをつくり、ポットごと苗を土に埋めれば、ポットは肥料となって苗に完全に吸収されて無くなるという大胆な提案を行った。プラスチック汚染を予防するだけでなく、果樹には有機栄養素を提供することができ、廃棄物を宝に変える一挙両得の方法である。世界環境テクノロジー株式会社は、栃木県で有機堆肥を使った米作りに挑戦し、害虫の発生をゼロにする目標を達成した。横井 忠志氏と彼のバイオテクノロジーは日本社会で広く認知されている。現在、日本国内では、20以上の農場が横井 忠志氏と契約し、有機堆肥によって花卉栽培、果実類、お茶、蕎麦、生姜などが栽培されている。千葉工場の、あるベテランの専門家は、バイオ処理技術を実験的にベトナムに導入している。横井 忠志氏は決してこれで満足はしていない。彼の最大の願いは、技術を一刻も早く第二の故郷である中国に導入することである。東北の黒土、山陝の黄土、南西部の赤土では、土壌の水分、微生物、ミネラル成分が大きく異なるため、微生物触媒の配合率も土壌に合わせて調整する必要がある。そのため、横井 忠志氏は中国各地を訪れて調査を行い、大量のデータを蓄積していった。同時に、石油由来の農薬が雨水とともに土壌に浸透し、土壌の硬化が深刻化していることにも深く心を痛めた。バイオテクノロジーによって生産された有機堆肥は、土壌を改良し、化学肥料の長期使用による土壌の硬化、塩害、保肥力の低下、貯水能力の低下などの問題を改善することができる。農村地域のゴミ問題を完全に解決し、新たな農村建設を支援することには、現実的意義と経済的価値がある。中国の国家第12次5か年計画の段階的実施に伴い、国は固形廃棄物の処理方法を厳格化している。バイオテクノロジーによって固形廃棄物の問題を解決することが、業界の新たなトレンドになることは間違いない。横井 忠志氏は、有識者と調査データを共有し、共に環境保護の問題に取り組むことを熱望している。北京市大興区がすでに、横井 忠志氏に、世界環境テクノロジー株式会社の中国初の生物分解研究所の誘致を申し出ており、横井 忠志氏は来月、現地視察に赴くことになっている。第21回世界平和記念大会においても、インドの政府関係者が横井 忠志氏のバイオテクノロジーに関心を示し、環境問題の解決に協力を要請した。平和勲章を受章(2)■中日友好を実践に移す文明の発展段階に関係なく、農業は国家の礎である。横井 忠志氏は、バイオテクノロジーの力で環境に優しい農業を実現するという理念の下、栽培と収穫の過程でAIロボットを導入し、「エコ+スマート」の新たなモデルをつくり、成功を収めた環境保護のための産業チェーンをスマート・エコ農業に推し広め、3K(危険、汚い、きつい)問題を解消したいと考えている。このモデルは、少子高齢化と労働者不足の問題を抱える中国と日本にとって、大きな社会的意義を有し、国際平和維持兵士協会のローラン・アタベロ主席も、その点を高く評価したのである。第21回世界平和記念大会では、合唱団が5つの常任理事国を代表する5曲の歌を披露した。中国の曲として選ばれたのは、有名な『世界を愛で満たそう』であった。横井 忠志氏の妻は典型的な杭州美人である。歌声が流れ、妻の優しい横顔を涙が伝う光景は、氏の心に深く刻まれた。「これまで何度も聴いた歌ですが、あの場で聴いた歌は格別でした!」。ジュネーブから帰国した横井 忠志氏は、中国の「スマートビレッジ」建設に参画するという新たな目標を掲げた。中日両国の国民、そして、人類に有益な仕事をすることは、父の代から受け継がれてきた責任であり家風である。横井 忠志氏は成人したばかりの頃、両親から中国への留学を「急かされた」ことに納得がいかなかったと、ユーモアたっぷりに話した。しかし今、彼はその経験に感謝している。そのお陰で、両国に同じく思いを寄せ、理解を深めることができたのである。さらには、中日両国の科学技術界や経済界で活躍し、次々に成果を上げることができた大きな要因となっている。平和勲章を受章(3)■取材後記スマートマニュファクチャリングから環境保護事業に至るまで、横井 忠志氏の歩みのすべてが経済発展のテンポに呼応している。それは彼の幸運というよりも、平和を愛し、地球を慈しみ、人類愛の精神に立つ時代の要請に共鳴したと言うべきであろう。「10年間、『スマートビレッジ』建設に身を投じます」。横井 忠志氏は、次なる目標を力強く語った。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年07月28日「うちは小規模ながら地元のお年寄りたちがサロン的に集まる人気の施設でした。しかし、実情は運営資金の調達に奔走しながらの自転車操業。’15年以降、赤字が広がり、借金が数千万円まで膨らんで、最後は倒産の道を選びました」こう語るのは、東京都内で昨年春まで約7年間、デイサービスを運営していたAさん。高齢者人口が年々増加するなか、介護を必要とする人口も増える。厚生労働省は、’12年当時、約460万人だった認知症患者数が、’25年には約700万人(高齢者の5人に1人)になると予測している。一方で、近年、Aさんのように介護サービスを提供する老人ホームなどの倒産が急増している。企業信用調査会社の東京商工リサーチによると、’19年上半期(1〜6月)の「老人福祉・介護事業」の倒産は55件。介護保険法が施行された’00年以降では、年上半期で過去最多を記録した。そして倒産した事務所の約8割が、訪問介護事業、デイサービスなどの通所・短期入所介護事業。いわゆる小規模事業者だった。「7月の日本企業全体の倒産件数はかなり多く、景気は悪い方向に進んでいます。介護事業は下半期に倒産件数が多くなる傾向もあり、それらを鑑みると、’19年の年間倒産件数は過去最高の120件になっても不思議ではありません」そう東京商工リサーチ情報本部情報部の後藤賢治さんは言う。倒産件数は年々増加傾向で、その主な原因については、(1)介護報酬の改定による報酬額の減少、(2)介護業界に参入する新規事業者が増加し、競争が激化、(3)深刻なヘルパー不足、などを挙げている。介護報酬とは、事業者が利用者に各種介護サービスを提供した場合に、その対価として事業者に支払われる報酬のこと。原則、介護報酬の7〜9割は介護保険から支払われ、1〜3割は、利用者の自己負担となっている。3年に1度、国が介護報酬の改定を行う。冒頭のAさんが回想する。「倒産のいちばんのきっかけは、’15年の介護報酬の引き下げ。これによって、同じサービスを提供しても利益は1〜2割減りました。スタッフの給与を維持するために、配食や病院への付き添いなど介護保険外サービスで収入を増やそうとしましたが、スタッフの理解が得られず、人材不足などの問題にも直面して、経営はどんどん悪化。小さな事業者はもともと体力がないので、介護報酬の引き下げをきっかけに経営が苦しくなるパターンに陥りやすいのです」そして、小規模事業者が抱えるもう一つの大きな悩みは、人材が集まらないという問題だ。昨年12月、全国ホームヘルパー協議会が発表した資料によると、ヘルパーを募集しても「応募がない」と回答した訪問介護事業者は全体の約9割。ヘルパー不足が経営を厳しくしている現実がある。厚生労働省の試算でも、介護人材が’20年には約13万人、’25年に約34万人が不足するとしており、介護職員の処遇改善、外国人ヘルパーの受け入れなどの対策で介護の働き手を増やす必要があると指摘している。だが、大変な仕事のわりには、給与が安すぎるという現場の声は多い。パートのヘルパーの時給が1,000〜1,300円とも……。今後、さらに介護報酬が減るとも噂されるなかで、確実に人材を確保しながら、安定経営するのは容易ではないだろう。「小規模業者はこれからどんどん淘汰されて、大手が経営する介護施設が主流になっていく」こう予想するのは、介護アドバイザーで、年間220本以上のセミナーをこなすAll About「介護」ガイドの横井孝治さん。「自分の親が入所した施設とか、介護サービスの提供を受ける事業所が潰れてしまうということが普通に起こっています。たとえば、老人ホームを運営する会社が倒産してしまった場合、入居の際に払った一時金を失ってしまうリスクがある。利用者はそうなることを防ぐために、信用力のある大手の施設を選ぶという流れになっていくと思います」
2019年09月06日突然の倒産で、親が慣れ親しんだデイサービスからヘルパーさんが迎えに来なくなるーー。そんな憂き目に遭わないために、潰れない施設の見分け方を専門家に聞いた。高齢者人口が年々増加するなか、介護を必要とする人口も増えている。厚生労働省は、’12年当時、約460万人だった認知症患者数が、’25年には約700万人(高齢者の5人に1人)になると予測している。一方で、近年、介護サービスを提供する老人ホームなどの倒産が急増している。企業信用調査会社の東京商工リサーチによると、’19年上半期(1〜6月)の「老人福祉・介護事業」の倒産は55件。介護保険法が施行された’00年以降では、年上半期で過去最多を記録した。そして倒産した事務所の約8割が、訪問介護事業、デイサービスなどの通所・短期入所介護事業。いわゆる小規模事業者だった。「小規模業者はこれからどんどん淘汰されて、大手が経営する介護施設が主流になっていく」こう予想するのは、介護アドバイザーで、年間220本以上のセミナーをこなすAll About「介護」ガイドの横井孝治さん。「自分の親が入所した施設とか、介護サービスの提供を受ける事業所が潰れてしまうということが普通に起こっています。たとえば、老人ホームを運営する会社が倒産してしまった場合、入居の際に払った一時金を失ってしまうリスクがある。利用者はそうなることを防ぐために、信用力のある大手の施設を選ぶという流れになっていくと思います」利用者がいちばん困るのは、自分や親が慣れ親しんだ施設が突然倒産してしまうことだ。次の施設がすぐに見つかるかどうかもわからない。見つかるまでの生活をどうするか。新たな介護費用についても考えなくてはならない……。倒産しそうな介護施設かどうかを判断するためにはどうすればいいか。東京商工リサーチ情報本部情報部の後藤賢治さんに、チェックすべきポイントを教えてもらった。■まずはホームページで資本金額と設立年月日を確認しよう!「’19年度上半期に倒産した55の事業者のうち、48の事業者は資本金1,000万円未満でした。資本金の目安として1,000万円以上あるかどうかをチェックしてください。さらに設立5年未満で倒産した事業者は55件中17件。経営年数が5年以上かどうかも、倒産しそうかを判断する基準になります」■より正確な情報を得るためには、商業登記簿で確認を!「ホームページには必ずしも資本金や設立年月日が掲載されているわけではありません。さらに、他業種の経営が長く、最近介護事業に参入した会社の場合、ホームページに書かれている設立年月日は介護事業に参入した年ではない可能性もあります。その場合は会社の商業登記簿で確認してみてください。法務省のサイトや法務局で、数百円の手数料で取得できます。これなら資本金や設立年月日、いつ介護事業に参入したかなど、一目瞭然です」■事業者に直接聞く「契約する前に、施設内の様子、介護職員の数、仕事ぶりなどもしっかりチェックしましょう。直接事業者に経営方針や経営状態を聞いても構いません」すでに親が介護施設に入所している、あるいは、いま探しているという人もいるだろう。まずは倒産しない事業者かどうか。さっそく調べてみることだ。
2019年09月06日「知られていないだけで、老後の生活で、いざというときに役立つ公的制度はいくつもあります。とくに、介護費や医療費の自己負担額を軽減できる制度は知っておいたほうがいいでしょうね」こう語るのは生活総合情報サイト「All About」ガイドの介護アドバイザー・横井孝治さん。“人生100年時代”といわれるなか、自分の老後に不安を抱えている現役世代も多いだろう。特に、長い老後に備えるためにいったいいくら貯めればいいのか、頭を悩ませている人も多いのでは?しかし、そんな不安を和らげる公的制度は、じつは多数存在する。これらを賢く使いこなせば、老後の支出を減らし、おトクな生活ができると、横井さんは解説する。「老後の介護費、医療費の自己負担額を軽減するステップは3段階に分けられます。まず、介護保険と医療保険を利用すると、利用者の所得に応じて、自己負担は1~3割で済む。これを建物にたとえると1階部分にあたります。ところが、多くの医療、介護サービスを受けると、それでも負担額はかなり大きくなります」(横井さん・以下同)そこで利用できるのが、一定の金額以上の自己負担額が払い戻される制度。「医療保険には『高額療養費』、介護保険には『高額介護(予防)サービス費』という制度があります。どちらも所得に応じて自己負担の上限額を定める制度で、もし上限額を超えてしまった場合、自治体に申請をすれば、超過した分が後で払い戻されるのです。これが建物でいう2階部分なのです」さらに、これらの支給を受けても、まだ自己負担が苦しいという場合、最後は3階部分にあたる「高額介護合算療養費」という制度が存在する。「これは、同一世帯で医療保険と介護保険の自己負担額を合算して計算し、限度額を超えた場合は、超えた分が支給されるもの。かなり助かる制度です」たとえば、住民税課税世帯の75歳以上の平均的な年金収入のある夫婦なら、夫が高額介護サービス費(自己負担の限度額が年間44万6,400円)、妻が高額療養費(入院を含む自己負担の限度額が、年間57万2,400円)をフルで利用した場合、1年間で合計101万8,800円の自己負担額に。しかし、高額介護合算療養費制度を利用すると、限度額56万円を超えた、45万8,800円が支給されるので、ほぼ半額の負担で済む。ただし、夫婦の年齢が離れていて、妻が国民健康保険で、夫が後期高齢者医療保険といった場合、単純に合算できず、複雑な計算が必要になるので注意が必要だ。ほかにも、介護状態になったときに利用を検討したい制度がある。「割と見逃されがちなのが、『障害者控除対象者認定』です。これは確定申告する際に、この認定を受けているかいないかで、税金の控除額が大きく変わってきます」ここで言う障害者とは、障害者手帳がなくても、“障害者に準じており、障害者控除が必要な人”のこと。ただし、自治体によって判断基準が異なり、要介護1から認定されるところもあれば、要介護4からというところもある。「家族の誰かが障害者控除の認定を受けたら、生計を一にするなかで最も多く稼いでいる人が、確定申告の際に控除を受けて節税できます。とてもお得な制度です」要介護に該当するような人ではなくても、65歳以上で生活機能の低下を感じた場合、ぜひ利用すべきだと、横井さんがすすめるのが「総合事業サービス」だ。「『要介護1、2』の人、または要介護認定を受けていない人で、25問のチェックリストを受けてサービス事業対象者と判断された人が対象です。対象となった人は、生活支援や介護予防のためのさまざまなサービスが受けられます」訪問サービスでの部屋の掃除やゴミ出し、通所リハビリテーション(デイケア)など、生活支援、介護予防の両面からサポートしてくれる。ただし、内容や利用料は、自治体によって異なる。「このサービスを利用しようと思ったら、必ず地域包括支援センターに行くことになります。そこで自分の介護についての不安を相談できるうえ、認知症の前段階から利用すれば、介護予防にもつながります」
2019年03月25日「知られていないだけで、老後の生活で、いざというときに役立つ公的制度はいくつもあります。とくに、介護費や医療費の自己負担額を軽減できる制度は知っておいたほうがいいでしょうね」こう語るのは生活総合情報サイト「All About」ガイドの介護アドバイザー・横井孝治さん。“人生100年時代”といわれるなか、自分の老後に不安を抱えている現役世代も多いだろう。特に、長い老後に備えるためにいったいいくら貯めればいいのか、頭を悩ませている人も多いのでは?しかし、そんな不安を和らげる公的制度は、じつは多数存在する。これらを賢く使いこなせば、老後の支出を減らし、おトクな生活ができると、横井さんは解説する。「老後の介護費、医療費の自己負担額を軽減するステップは3段階に分けられます。まず、介護保険と医療保険を利用すると、利用者の所得に応じて、自己負担は1~3割で済む。これを建物にたとえると1階部分にあたります。ところが、多くの医療、介護サービスを受けると、それでも負担額はかなり大きくなります」(横井さん・以下同)そこで利用できるのが、一定の金額以上の自己負担額が払い戻される制度。「医療保険には『高額療養費』、介護保険には『高額介護(予防)サービス費』という制度があります。どちらも所得に応じて自己負担の上限額を定める制度で、もし上限額を超えてしまった場合、自治体に申請をすれば、超過した分が後で払い戻されるのです。これが建物でいう2階部分なのです」さらに、これらの支給を受けても、まだ自己負担が苦しいという場合、最後は3階部分にあたる「高額介護合算療養費」という制度が存在する。「これは、同一世帯で医療保険と介護保険の自己負担額を合算して計算し、限度額を超えた場合は、超えた分が支給されるもの。かなり助かる制度です」たとえば、住民税課税世帯の75歳以上の平均的な年金収入のある夫婦なら、夫が高額介護サービス費(自己負担の限度額が年間44万6,400円)、妻が高額療養費(入院を含む自己負担の限度額が、年間57万2,400円)をフルで利用した場合、1年間で合計101万8,800円の自己負担額に。しかし、高額介護合算療養費制度を利用すると、限度額56万円を超えた、45万8,800円が支給されるので、ほぼ半額の負担で済む。ただし、夫婦の年齢が離れていて、妻が国民健康保険で、夫が後期高齢者医療保険といった場合、単純に合算できず、複雑な計算が必要になるので注意が必要だ。老後を助ける公的制度はまだまだある。将来への不安を抱えている人は、老後資金を助ける制度を覚えておいても損はない。■老後資金を助ける制度【生活福祉資金貸付制度】低所得者や障害者、65歳以上の高齢者世帯を対象に、全国の社会福祉協議会が実施する貸付制度。たとえば、介護サービスを受けるために必要な経費や生計を維持するための資金の貸し付けなどを行っている。保証人、用途や金額などによっては無利子になる場合も。【不動産担保型生活資金】「生活福祉資金貸付制度」のひとつで自宅を担保にお金を借りられる。貸付限度額は土地の評価額の70%程度で、月30万円以内。貸付期間は借受人の死亡時、あるいは貸したお金と利息が限度額に達するまで。貸付利子は年利3%、または長期プライムレート(現在1%)のいずれか低い利率。【年金担保融資】年金受給者が対象。たとえば、年金収入が200万円であれば、160万円まで融資される(年金額の0.8倍以内)。急な入院などで、まとまったお金が必要になったときに借りられる。返済は2年6カ月以内で、年金支給額から差し引かれる。1回あたりの返済額は年金支給額の3分の1以下で1万円単位。【年金の繰上げ受給】老齢年金は原則として65歳からの受給だが、希望すれば60歳から繰り上げて年金を受けることができる。ただし、繰上げ支給の請求をした時点(月単位)に応じて年金が減額され、減額率は一生変わらない。1カ月繰り上げるごとに0.5%減。60歳まで繰り上げると30%減。また、高齢者になれば、公共交通機関の割引制度や、運転免許を返納した場合の特典なども受けることができる。これらを活用すれば、現役世代よりも生活費を減らすことができるのだ。■公共料金の割引など【シニア向け優待サービス】映画館や美術館のシニア割引が身近だが、公共交通機関にも、シルバー会員制度などがある。たとえばJR西日本の「ジパング倶楽部」は、女性は60歳から3,770円の年会費で加入ができて、年間20回まで全国JRのきっぷを最大30%引きで購入できる。【シルバーパス】各自治体が発行しているシルバーパス。バスを無料、あるいは少ない額で利用できる。取得できる年齢や負担金は自治体によって違う。【免許返納特典】運転免許証を自主返納すると、運転経歴証明書の交付を申請できる。これを所有している高齢者は、タクシー代の割引や、デパートの配送料が無料になったり、指定の商店などでの買い物が割引される。特典は、各自治体によって異なる。「元気なうちはいいですが、病気や介護が必要な状態になれば、想像以上にお金がかかります。有料老人ホームなどの施設に入る場合、入居一時金などを含めてトータルで1,000万円を超えることも多い。限られた老後資金を有効に活用するためには、公的制度を利用し、無駄な費用をどうやって抑えるかが大切になってきます」逆に、老後資金の計画を立てるときは、こういった制度の活用を前提にしよう。そうすれば、“人生100年時代”とはいえ、天文学的な金額にはならないはずだ。
2019年03月25日「仕事も親の介護も両方こなさなければならないという家族にとって、『混合介護』は非常に有意義なサービスです。介護保険を使ったサービスと保険外のものを両方うまく組み合わせることで、在宅介護の負担はかなり軽減できるからです」 こう語るのは、All About介護ガイドの介護アドバイザー・横井孝治さん。混合介護サービスとは「介護保険の範囲内(保険内)で受けられる、自己負担1〜2割のサービス」と「介護保険の範囲外(保険外)、全額自己負担のサービス」の、2つを併用して行う介護サービスのこと。 厚生労働省は、「混合介護」の拡大に向け、現在“新ルール”を作成中で、今夏をメドに明確な方針をまとめて全国の自治体に通知する予定だ。 これにより、訪問介護で身体介護(排せつ、食事、清拭・入浴の介助など)のサービスを受けた後に、保険外サービスで家事援助(同居する家族の分の調理、洗濯、掃除、買い物など)が、そのまま続けて受けられるようになる。介護生活になるまで、利用者が一家の家事を担っていた家庭にとっては、非常にありがたいサービスと言える。 そして新ルールの“目玉”は、通所介護における保険外サービスだ。主な内容は次のとおり。 □緊急時における医療機関への受診や巡回健診□理美容サービス□予防接種□物販□買い物の代行サービス□個別の同行支援(付き添い) 「これまでのデイサービスででは、事業所に滞在中は、個人的な用事で利用者が外出することはできませんでした。しかし新ルールでは、保険外サービスを利用し、スタッフが同行し“○○に行きたい”といった要望に応えられるようになる予定。こういった個別のサービスの提供で、さらに利便性をよくしようという考え方です」(厚生労働省老健局) 介護保険は、調理、洗濯といった家事などのサービスは利用者本人だけが対象だ。訪問介護でスタッフが掃除できるのは利用者本人の部屋のみ。「ついでに家族の部屋も掃除してもらいたい」と思っても、保険内ではできないことになっている。 ところが、新しい保険外サービスでは、追加料金で“家事代行”の願いに応えてくれるという。 「ほかの家事をついでにやることは、介護スタッフにそれほど大きな負荷をかけるものではありません。たとえ有料であっても、介護負担がさらに軽減できると、歓迎する家庭も多いと思います。事業者側も介護報酬とは別に収益が入るので、混合介護サービスの利用者が増えれば、スタッフの給与アップにもつながる」(横井さん) 事業者間でサービス内容の競争が始まれば、質の高いサービスを安い料金で受けられる可能性もある。混合介護サービスは、利用者とその家族、そして介護事業者、介護スタッフなど、どちらにもメリットがある制度といえる。 いっぽうでマイナス要素も指摘されている。保険外サービスは全額自己負担なので、どうしても経済的負担は増える。つまり、お金がある人は大いに利用できるが、余裕がない人はただただ我慢……。いわゆる“サービス格差”が広がるという懸念があるのだ。 また、要介護者本人が保険外サービスを過度に利用することで、自立支援の妨げになるかもしれないともーー。 「介護保険をたくさん使ってもらったほうが、事業所は儲かる」と話すのは、都内で介護事業所を経営する男性だ。 「1割負担の利用者さんが1万円分の介護サービスを受ける場合、利用者さんの負担は1,000円。残りの9割は国から入る。仮に、保険外サービスの料金が1,000円だとしたら、事業所にはそのお金しか入らない。ヘルパーさんの時間給は同じなので、その1,000円が時給より少なければ、事業所はまったく儲からないわけです」 介護保険の収入を維持しながら保険外の収入を増やす必要がある。そこで、料金設定をどうするか。ヘルパーに支払う保険外サービスの報酬をどうするか。そしてサービス内容をどのように拡充し、ほかの事業所と差別化するか。混合介護サービスを提供していく側にとって、今後の課題となりそうだ。 だが、別の介護事業所で働くケアマネジャーは、大きな期待を寄せている。 「ヘルパーさんを募集してもなかなか集まらない。定着しないのが実情です。でも、身体介護の資格を持ったヘルパーさんだけでなく、掃除やゴミ出し、ペットの散歩、買い物などを担当するスタッフが、どんどん保険外サービスをやるようになれば、そういった仕事が新たなパート先として注目されるかもしれません」 横井さんに、この混合介護サービスを上手に使うコツを聞いてみた。 「最初に、どこまでが保険内で、どこからが保険外のサービスになるのかを把握しましょう。そして実際に利用する場合は、できるだけ同じ介護事業者にやってもらうほうが効率的です。ただし、事前に周辺地域の事業所をリサーチし、パンフレットなどで、そこがどのような保険外サービスを提供しているかを確認してみてください。サービスによっては、シルバー人材センターにお願いしたほうが、安くなるかもしれませんから」 もし今後、家族のために“介護離職”をしなければならないという状況になった場合も、ぜひこの混合介護サービスの利用を、検討してみてほしい。
2018年06月06日訪問介護で自宅に来てくれたヘルパーさんに“保険内ではできないこと”まで注文してしまう人がいるが、その願いは、やがてかなえられるようになるかもーー。 「仕事も親の介護も両方こなさなければならないという家族にとって、『混合介護』は非常に有意義なサービスです。介護保険を使ったサービスと保険外のものを両方うまく組み合わせることで、在宅介護の負担はかなり軽減できるからです」 こう語るのは、All About介護ガイドの介護アドバイザー・横井孝治さん。混合介護サービスとは「介護保険の範囲内(保険内)で受けられる、自己負担1〜2割のサービス」と「介護保険の範囲外(保険外)、全額自己負担のサービス」の、2つを併用して行う介護サービスのこと。 「『介護保険サービス』で受けられる身体介護と生活援助」と「全額自己負担『保険外サービス』」の主な内容(訪問介護)は次のとおり。 【「介護保険サービス」で受けられる身体介護と生活援助】〈身体介護〉□排せつ、食事、清拭・入浴の介助□就寝・起床、更衣の介助□身体整容、洗面□体位変換□通院、外出介助□自立支援のための見守り援助□専門的配慮をもって行う調理(流動食・糖尿食などの調理)〈生活援助〉□掃除、洗濯、ベッドメーク□衣類の整理・被服の補修□一般的な調理・配下膳□買い物・薬の受け取り ※訪問介護(保険内サービス)の特徴は、“要介護者本人だけを対象としたサービスである”ということ。そのため、同居家族の分の食事を作ったり、介護者以外の部屋の掃除をしたりすることは保険内ではできない 【全額自己負担「保険外サービス」】□同居する家族の分の調理、洗濯、買い物□利用者本人が使用する居室以外の掃除□庭の草むしりや花木の水やり□ペットの散歩や世話□家具の移動、電気器具の付け替え、修理□窓拭きや大掃除□配食サービスなど 厚生労働省は、「混合介護」の拡大に向け、現在“新ルール”を作成中で、今夏をメドに明確な方針をまとめて全国の自治体に通知する予定だ。 これにより、訪問介護で身体介護(排せつ、食事、清拭・入浴の介助など)のサービスを受けた後に、保険外サービスで家事援助(同居する家族の分の調理、洗濯、掃除、買い物など)が、そのまま続けて受けられるようになる。介護生活になるまで、利用者が一家の家事を担っていた家庭にとっては、非常にありがたいサービスと言える。 そして新ルールの“目玉”は、通所介護における保険外サービスだ。 「これまでのデイサービスででは、事業所に滞在中は、個人的な用事で利用者が外出することはできませんでした。しかし新ルールでは、保険外サービスを利用し、スタッフが同行し“○○に行きたい”といった要望に応えられるようになる予定。こういった個別のサービスの提供で、さらに利便性をよくしようという考え方です」(厚生労働省老健局) 通所介護で、すでに先行している例として“お泊まりデイサービス”がある。 「デイサービスまでは介護保険の範疇ですが、お泊まりになると、その分は自己負担になります。それでも施設には介護スタッフがいるので、家族も安心して休みを取れるわけです」(横井さん) これまでも、混合介護サービスは行われていたが、自治体によっては、運用について明確なルールがなく、「曖昧でわかりにくい」と現場を混乱させることが多かった。介護事業者もその煩雑さから、あまり積極的ではなかったという。 「保険外サービスにはさまざまな制限があるからです。たとえば、訪問介護で同じスタッフが同時に両サービスを提供できない。それぞれ時間を分けてスタッフは別にしなければならない。あるいは、保険内から保険外のサービスに移るときに、スタッフはエプロンや名札を付け替える必要があるなど、自治体によってルールもバラバラ。非効率的でもありました」(前出・老健局) 介護保険は、調理、洗濯といった家事などのサービスは利用者本人だけが対象だ。訪問介護でスタッフが掃除できるのは利用者本人の部屋のみ。「ついでに家族の部屋も掃除してもらいたい」と思っても、保険内ではできないことになっている。 ところが、新しい保険外サービスでは、追加料金で「同居する家族の分の調理、洗濯、買い物」から「ペットの散歩や世話」などの “家事代行”の願いに応えてくれるという。
2018年06月06日「こちらから携帯に電話をしても出ない、折り返しの電話もかけてくれない、というのが最初のケアマネジャー(以下・ケアマネ)だったので、本当に困りました。その揚げ句、利用説明もろくにしないで介護サービスの限度額まで、いろんなサービスを押し付けてくる。家族のイライラはたまるいっぽうだったので、別のケアマネに変更しました」 こう語るのは、要介護3の父親を介護する東京在住の50代女性。丁寧にサービスを説明してくれる今のケアマネになってからは、彼女の介護生活もずいぶんラクになったというーー。 「介護におけるケアマネジャー(以下・ケアマネ)の存在はとても重要です。実際、よいケアマネか悪いケアマネかで、要介護者とその家族の精神的、金銭的負担は大きく変わってくるんです」 そう語るのは、All Aboutガイドの介護アドバイザー・横井孝治さん。ケアマネ(介護支援専門員)の主な仕事は、介護保険制度において介護を必要とされる人のためにケアプラン(介護サービス計画書)の作成や介護サービスの調整・管理、訪問介護、通所介護、施設介護サービス……などなど、いまの介護は、ほぼ100%といっていいほどケアマネを通して行われている。 つまり、彼らは要介護者とその家族の介護生活をマネジメントする、大切なパートナー。これから親の介護を始める人にとって、よいケアマネを選ぶことが、介護において必要不可欠なのだ。 そこで、ケアマネの質を見抜く面談時のポイントを横井さんが教えてくれた。 【1】経験豊富?資格を保有している? ソーシャルワーカー、訪問介護員、保健師などの経験があるケアマネであれば、経験を通して得た知識を生かしたケアプラン作りが期待できる。面談の際には、本人の経歴や資格をきちんと聞こう。 【2】こちらの話をきちんと聞いてくれている? こちらの悩みや要望などに応えたケアプランを作るためには、まずは話をしっかりと聞いてくれる人かどうかが必須条件。質問や相談に対して反応が鈍かったり、納得できる説明をしてくれないケアマネでは困る。たとえば、相談の途中なのに「わかりました」「◯◯サービスを使いましょう」など、課題の把握や根本的解決ではなく、その場しのぎの対応や安易なサービス提供をすすめてくる場合は要注意。 【3】緊急時などの対応は早い? 親の心身の状況によって、さまざまな疑問や要望が出てくる。そのときに、どこまですばやく、フットワークよく対応してくれるか、電話にはきちんと出てくれるかも重要なポイント。実際に何かの資料の入手などを依頼してみて、対応してくれるまでの早さを確認するのが有効。これはケアマネの知識やネットワーク、そして誠実さを知る手段にもなる。 【4】所属する事業所以外の介護サービスも説明してくれる? ケアマネの中には、自分が所属する事業所のサービス内容だけをすすめてくる“営業マン”のような人もいる。事業者の立場ではなく、利用者の立場でさまざまなサービスについて説明してくれる人を選びたい。サービスの提案を受けたときに、「ほかの選択肢はありませんか?」と聞いて、その反応を見るのが効果的だ。 【5】介護保険以外のサービスへの知識は豊富? 配食や理髪、バリアフリー化にともなう住宅工事費の助成など、独自に高齢者福祉サービスなどを行う市区町村もある。その知識が豊富なケアマネかどうかも知っておくと、介護保険のサービスとうまく組み合わせたいときにも相談に乗ってもらうことができる。「うちの町では、どんな高齢者サービスがありますか?」と聞いてみよう。 電話に出ない、サービスの選択肢が少ない、その理由を説明してくれない……など今のケアマネに疑問を持っている人もいるかもしれない。そういう場合は、ケアマネの質を見抜く面談時のポイントを参考に、担当ケアマネを一度チェックしてみるのもありだ。 ケアマネの変更はいつでもできる。ただし、別の事業所に変更する場合、介護サービス内容が変わる可能性があるので確認しよう。 「フットワークがよく、利用者の話をちゃんと聞く。そして自分自身の経験や考え方をきちんと言えるケアマネがベストです。事業所目線ではなく、利用者が求めているものを理解したうえで、そのための道のりをしっかりと説明してくれる人であれば頼りになります」
2018年03月23日「介護におけるケアマネジャー(以下・ケアマネ)の存在はとても重要です。実際、よいケアマネか悪いケアマネかで、要介護者とその家族の精神的、金銭的負担は大きく変わってくるんです」 そう語るのは、All Aboutガイドの介護アドバイザー・横井孝治さん。ケアマネ(介護支援専門員)の主な仕事は、介護保険制度において介護を必要とされる人のためにケアプラン(介護サービス計画書)の作成や介護サービスの調整・管理、訪問介護、通所介護、施設介護サービス……などなど、いまの介護は、ほぼ100%といっていいほどケアマネを通して行われている。 つまり、彼らは要介護者とその家族の介護生活をマネジメントする、大切なパートナー。これから親の介護を始める人にとって、よいケアマネを選ぶことが、介護において必要不可欠なのだ。 そこで、ケアマネで失敗しないための3つのポイントを横井さんにアドバイスしてもらった。 【1】ケアマネの所属事業所リストを入手する 「ケアマネの多くは、居宅介護支援事業所や介護サービス提携事業者、特別養護老人ホーム、介護療養型医療施設などに所属している人がほとんどです。市区町村の介護保険課や地域包括支援センターに行けば、ケアマネが所属している事業所のリストをもらうことができますから、まずはそこから始めましょう」(横井さん・以下同) 【2】ケアマネの評判を聞いてまわる 「いちばんよいのは、知り合いから“口コミ”で紹介してもらうパターンです。たとえば、友人や知人にホームヘルパーをしている人がいれば、介護のプロから見てよいケアマネを教えてもらうことができます。また、実際に介護保険サービスを利用している人に話を聞いてみるのもいい。同じ地域でサービスを利用している人から得られる“生の声”は非常に参考になります」 そういう知り合いがいない場合、「かかりつけの病院」にたずねてみよう。 「大きな病院の場合、ソーシャルワーカー、小さなクリニックなどの場合は、主治医や看護師に評判のいいケアマネはいないかを相談してみること。多くの場合、医療との連携を得意とするケアマネや介護事業者を教えてもらうことができるはずです」 【3】電話でケアマネの事業所と話してみる ある程度ケアマネ候補を絞ったら、所属先の事業所に電話をかけてみよう。そのとき、“介護サービスのことは何もわからないので、一から教えてほしい”と伝えるのが重要だという。 「自分にとっていちばんわかりやすく、丁寧に対応してくれたケアマネであれば、実際に依頼することになってからも、介護の相談をする際の対応に期待が持てますから」 電話を通して候補3〜5人絞り込んだら、次は実際に面談を行う。 「面談の際、重要なのは『所属する事業所以外の介護サービスも説明してくれるか』です。面談前に、そこの事業所ではどんなサービスをやっているのか、あらかじめ下調べしておくといいですね。たとえば、ショートステイのサービスをやっていない場合、わざと“ショートステイも使ってみたいのですが?”と聞いてみるんです」 横井さんによると、事業所にないサービスを希望した場合、ケアマネの対応はだいたい2つに分かれるそうだ。 1つは、「よいショートステイを知っているので今度資料を持ってきます」と、希望を受け入れてくれるパターン。もう1つは、「うちの訪問介護だけで十分ですよ」と、理由を説明せずに利用者を納得させようとするパターン。 「後者は当然ダメですが、前者が必ずしもいいとは限りません。本当にショートステイが必要な場合、その説明をきちんとしてくれるケアマネが、本当に信頼できる人なんです」 たとえば、「お宅のお母さんは、会ってお話ししてみたところ、人見知りのような気がします。家族でない人たちと一緒に泊まって何日も暮らしたら、大変なストレスになります。まず住み慣れた家にヘルパーさんが来て帰っていくという訪問介護サービスに慣れてもらう。紹介はいつでもできるので、それから考えませんか」というように、経験に基づいたアドバイスをくれる人だと、信頼度もぐんと上がるという。
2018年03月23日相次ぐ高齢運転者の自動車事故。家族は「運転免許証」を返納させたいのだが、親から「自分はまだしっかりしている!」といった“ぐずり声”が聞こえてくることもしばしば。そんなとき、どう対処すればいいのか。そこで、生活総合情報サイト「All About」の介護アドバイザー・横井孝治さんにケース別の対処法を聞いた。 【ケース1】もう俺の運転が必要ないのか!? とくに男性の場合、買い物の際に運転することが、家族や社会のなかでの自分の役割だと考えている人が多い。 「役割がなくなると、自分の存在価値がなくなるような気になる。だから、別の役割を担ってもらうようにするのです。新聞の取り込みや庭の手入れ、ペットの散歩など、ごく簡単なことでもOK。日常的に『ありがとう』『助かる』と、家族から感謝の気持ちを伝える役割を担ってもらうことです」(横井さん・以下同) 【ケース2】クルマがないとなにかと不便だ! 「買い物代行サービスや訪問介護、ネット通販の活用、あるいは子どもが買い物を肩代わりしてあげるなど、親が買い物に行く回数をできる限り減らすことで対応します。どうしても必要な場合はタクシーなどを利用することで、不便な状況をクリアしていきましょう」 【ケース3】運転だけが楽しみなのに…… 「たとえば地域の老人会への参加、デイサービスの活用など、子どもから親を誘導して、別の趣味を見つけてあげましょう。いまの楽しみを取り上げるのではなく、何かを引き換えにしてあげるんです」 【ケース4】俺はまだ大丈夫、運転できる! 「高齢者の事故が増えており、万が一の際のリスクが高いこと、維持などにかかるコストが現状の生活に合わないことなどを、丁寧に説明してあげてください。『しっかりしているときにこそ、暮らし方を見直そう』と理屈で説明して返納に成功した例もあります」 その際、「言うことを聞け!」といった話し方はしないこと。あくまで“親のため”というスタンスは保っておこう。
2018年02月22日「親が施設入居を拒むケースで多いのは、A:環境の変化が怖い。B:高齢者介護施設に、“家族に見放された人が行く、陰気で寂しいところ”というネガティブなイメージがある。C:自分はまだしっかりとしており、自宅で暮らしていく能力があると思っている。といった3つなんです」 こう語るのは、生活総合情報サイト「All About」の介護アドバイザー・横井孝治さん。介護する側も高齢化していく時代ーー。老老介護で共倒れしないために、介護施設へ親を入居させることは、家族にとっても大事な決断だ。 だが、施設入居を拒否する親はたくさんいる。年を取れば取るほど、知らない場所に行くことや、知らない人に囲まれるのが不安で嫌になってしまう人が多いのだという。 「自宅が快適で過ごしやすいから出たくないというよりも、新たに違うことをやるのが嫌なのです。つまりいまの生活を変えたくないのです」 では、親はどうすれば納得して施設に入居してくれるのか。横井さんに、ぐずる親をうまく説得する『5つのステップ』を教えてもらった。 【ステップ1】まず、拒否する理由を探ることが大事 「施設入居を嫌がる原因がわからなくては、話を進めることは難しいです。それを知るには、まず親の話を聞くこと。家族が本人とじっくり話すことが肝心です。ですから、ふだんから親とコミュニケーションをとるようにしましょう」(横井さん・以下同) たとえ親と同居していない場合でも、親のホンネを探る方法はある。 「毎週1回、1分でも定期的に電話することを習慣づけたいですね。『元気?』『うん』といった会話を何回も重ねていくと、だんだん話すネタがなくなってきます。そうすると『こっちでこういうことがあったけど、そっちはどう?』と、エピソードを交えた日常的な会話が自然と増えてくる。そこから徐々に施設入居をぐずる理由を探っていくのです。先に挙げたA、B、Cどれに当てはまるのか、それとも当てはまらない別の理由なのかーー。まずは親を理解することが第一段階です」 【ステップ2】家から通うデイサービスで外出に慣れさせる 「私も母を施設に入居させる前に、3年ぐらいデイサービス(通所介護)を利用しました。そこで他人とどう過ごせるのか、状況を見極めたのです。ずっと自宅にいると、親の腰は重くなるいっぽうなので、施設入居への道のりは遠ざかってしまう。まずはデイサービスを利用して、家の外に出るクセをつけさせましょう」デイサービスすら嫌がってしまう場合は、「親のことを思って勧めている」と、ストレートに伝えてみること。その際「たまには私を休ませてよ!」と、自分の都合を押し付けるのはNG。「自分がいない間だけでも行ってもらえるとお互い安心できる」と伝えるのが効果的だという。 【ステップ3】施設がつらい、寂しい場所でないことを伝える 「デイサービスやショートステイに行ってみればわかりますが、施設は陰気で寂しいところではありません。イベントやレクリエーション、サークル活動、リハビリなどに力を入れているところも多くあります。それらを楽しむことで、充実した日々が送れることを親に伝えるのです。また、地域包括支援センターなどに相談して、親の趣味や雰囲気に合う施設を紹介してもらうこともできます」 デイサービスに慣れてきたら、「旅行気分で一泊してみよう」と、次はショートステイへと誘導して、外泊にも慣れさせていく。 「そのなかで、何か不満があれば、しっかりと聞いてあげましょう。“自分は常に親の味方である”と振る舞うことも重要です」 【ステップ4】入居を考えている施設の体験入居を利用する 「デイサービスやショートステイで少しずつ施設への抵抗感が薄れてきたら、パンフレットやホームページを見せながら、『ここって、リハビリにも力を入れているので、今よりもっと元気になれるかも』『カラオケや手芸のサークルがあるらしいから、友達が増えるかも』と、興味を引きそうなことを伝えて、見学へと誘い出してみましょう」 一緒に見学に行って、ある程度本人が気に入っているようであれば、「体験入居してみない?」と話してみる。 「本人が、『ここなら安心して暮らしていけそうだ』という実感が持てるように誘導してあげましょう」 【ステップ5】主治医やケアマネジャーなど、第三者から説得をしてもらう その1〜4を実践して、それでも親が入居をぐずってしまうこともあるだろう。 「そんなときは、親が信頼している人から説得してもらうのも効果的。なかでもずっとお世話になっている主治医、またはケアマネジャーから、自宅で暮らし続けていくことの危険性や、施設のよさ、実際に入居した患者たちが楽しく暮らしていることなどを伝えてもらうようにすると、親も話を聞いてくれやすいです」 さらに、親の交友関係などを把握していれば、親を説得する際に力になってくれるケースもあると横井さんは語る。 よく知っているつもりでも、意外と知らないのが親というもの。まずはキチンと知ってあげることが、自分にとっても介護生活でもストレスを最小限に抑えるために重要なようだ。
2018年02月22日「昨年末、利用者さんが『要介護3』から『要介護1』に格下げされました。うちの施設では、この半年で3人目。“認定更新”の審査が、厳しくなっているんです!」 関東エリアの介護施設で働く女性ケアマネジャーはこう訴える。要介護状態の重篤度を表す「要介護度」の認定は、原則1年ごとに行われる。この認定更新で、格下げされるケースが続出しているという。 「ある80代の女性は、2年前に“脊柱管狭窄症”で手術を受け、入院中に『要介護3』の認定を受けました。退院後、毎日自宅に訪問介護のヘルパーが入り、週に2回デイサービスでリハビリを受けていた。会話はそこそこで、歩行はつえをついてゆっくり歩ける程度。ところが、1年後の認定更新で一気に『要支援2』まで格下げされ、生活が一変したんです」(前出・ケアマネジャー) 「要支援2」になったこの女性は、介護保険支給額が大幅に減ったために、訪問介護が週3に減り、リハビリのサービスは受けられなくなった。 「それからすぐ、女性は歩行中に転倒し頭を強打。MRI検査したところ、脳が萎縮していることがわかり、再度自治体に要介護認定を申請して『要介護2』と認定されました。すでに認知症も進んでいたんです。いったいあの格下げは何だったのかと……」(前出・女性ケアマネジャー) 介護保険からの給付総額は、年々増え続けるいっぽうである。団塊の世代が75歳以上となる’25年には、20兆円を超えるとも……。そのため、国は介護区分を格下げすることで、給付額の負担を抑えようとしている--。そういう声が、いま介護の現場で広がっている。 そんなさなか、さらに要介護度の格下げに拍車をかける「改正介護保険法」が、4月1日から施行される。国は介護保険利用者の“自立支援”“重度防止化”というフレーズを掲げて、利用者の要介護度を格下げした自治体に対し、インセンティブの付与、つまり報奨金を出す制度をスタートさせる。じつはかなり危険な制度だと警鐘を鳴らすのは、生活情報サイト「All About」ガイドの介護アドバイザー・横井孝治さんだ。 「このインセンティブ制度は、利用者の要介護度を格下げし、負担額を減らすことを目的にしていることは明白です。4月以降、格下げは全国でより拍車がかかるでしょう。実際、高齢の利用者の心身の状態をよくして、元気にするということは楽なことではありません。それよりも“この人は元気な人です”と、格下げ認定したほうが楽。それで国から報奨金がもらえるわけですからね」(横井さん) 介護認定が格下げされれば、巨額の介護費用を負担したり、介護のための離職を強いられて、家族全員が困窮することも。実態を無視した格下げは、“介護地獄”を生み出すのだ。また8月からは一定以上の収入のある利用者の自己負担率が3割に引き上げられる。親の介護をしている家族にとって、次の認定更新で格下げを防ぐための手段はないのだろうか。 認定更新は、主治医の意見書と、自治体の認定調査員による利用者の面談によって一次判定が行われる。調査員が作成する調査票には特記事項という項目があり、認定調査員がそのときに感じた印象を書き込むようになっている。つまりどう判断するか、認定調査員の主観で決められるのだ。その後、介護認定審査会の二次判定で「要介護度」が決定する。 「必ず調査員との面談に家族が立ち会うこと。そして、ふだんからできるだけ夜間の行動や、問題行動を起こしたときのことを写真に残し、メモを作って調査員に渡す。“面談のときは元気でもふだんはこういうこともある”と、しっかり伝えることが重要です。さらに特記事項に必ず記載してもらえるように言うこと。うるさい家族だと思われるほうがいいんです。これからは利用者本人、その家族も理論武装しておかないと負けてしまいます。自治体は基本前提として“格下げ認定をしに来ている”という姿勢で面談に臨むことですね」(横井さん) 仮に格下げとなった場合、自治体に対して“区分変更申請”をすれば再調査を受けられる。さらに、情報公開請求をすれば、格下げ時の認定調査票を入手できるので、調査員がどのようにチェックしたか確認して、戦術を練ったうえで、再調査に臨もう。 もはや介護認定は受け取る時代ではなく、勝ち取る時代になったようだ!
2018年01月19日「具体的な統計データはありませんが、格下げされた家族からの相談や悩みを聞くことが非常に増えました。実際、私の母親も『要介護3』から『要介護2』になりました」 そう語るのは、生活情報サイト「All About」ガイドの介護アドバイザー・横井孝治さん。要介護状態の重篤度を表す「要介護度」の認定は、原則1年ごとに行われる。この認定更新で、格下げされるケースが続出しているという。国や自治体は、要介護度を軽くすればするほど、負担する支給額を減らすことができるのだ。 「アルツハイマーと脳血管型認知症の2つの症状がある『要介護3』の80代の女性は見守りが必要でしたが、つえをついて歩ける状態でした。ところが、次の認定更新のときには車いすでの生活に。認知症の症状も悪くなっていたのですが、『要介護2』に格下げ認定されたんです。利用者の家族は納得がいきませんでしたが、認定が覆ることはなかった。このケースは意識的に下げたとしか思えなかった典型的な例です」(横井さん) 認定更新は、主治医の意見書と、自治体の認定調査員による利用者の面談によって一次判定が行われる。その後、介護認定審査会の二次判定で「要介護度」が決定するのだ。北陸エリアの介護関係者は、こう話す。 「『要介護2』のひとり暮らしの85歳の女性がいました。ふだんは、妄想や幻覚の症状があって、会話が飛んでしまうこともしばしば。しかし、調査員との面談のときは、たまたま状態がよく、そこそこ受け答えができた。その結果、『要支援2』に格下げされました。たった一度の面談で、決まってしまったのです」 調査員が作成する調査票には特記事項という項目がある。 「認定調査員がそのときに感じた印象を書きます。つまりどう判断するか、認定調査員の主観で決められるんです」(関東エリアの介護施設で働く女性ケアマネジャー) 要介護度に応じた支給限度基準額内で、利用者は1割~2割負担で介護サービスを受けられる。要介護度が格下げされると、その額も減らされてしまうのだ。 たとえば、前出の「要介護3」から「要支援2」に引き下げられた80代女性のケース。支給限度基準額は「要介護3」であれば月額26万9,310円(負担割合が1割の場合、自己負担額は2万6,931円)だが、「要支援2」に格下げされると月額10万4,730円(同1万473円)と半額以下になる。 もし、この女性が格下げ前と同じサービスを受けようとした場合、差額の約16万円を全額負担しなければならない。金銭的な余裕がない場合、これまで受けていた介護サービス(生活援助、身体介助など)が利用できなくなったり、回数を減らさざるをえない。利用者はもとより、家族にも負担がのしかかるのである。 東海エリアの介護事業所の責任者は次のように語る。 「格下げにより、施設を退所させられた男性は、自宅での介護を余儀なくされました。その結果、同居する娘さんが離職してお父さんの介護をすることに……。結局、格下げのシワ寄せは家族に降りかかるのです」
2018年01月19日「没後50年“日本のルソー”横井弘三の世界展」が、6月5日まで東京・中村橋の練馬区立美術館で開催されている。1889年に長野県飯田市に生まれ、独学で絵画を学んだ横井弘三は、1916年に東郷青児や石井鶴三らと共に第3回二科展で二科賞を受賞するなど、早くから作品が認められた画家。洋画家の有島生馬から「極上々機嫌」と評された人となりから生まれる横井の作品は、“日本のアンリ・ルソー”と称され、高い評価を受けた。しかし、横井は関東大震災で傷ついた子供たちを元気付けるために行っていた自作の絵画寄贈事業「復興児童に贈る絵」の出品見合わせを二科展に言い渡されたことから、二科会を離れ、「理想展」と呼ぶ無鑑査、自由出品のアンデパンダン展を自ら組織するなど、既成の画壇に抗する活動を展開し、古本屋や露店業を営みながら絵を描き続けた。中央画壇から離れた横井の名は次第に世間に忘れられてしまい、必ずしも恵まれた画業ではなかったが、長野市に移住した晩年の約20年間は地元の支援者に恵まれ、精力的に制作活動を展開したという。「没後50年“日本のルソー”横井弘三の世界展」では、多くの作品が愛好家による個人所蔵であるため、まとまって鑑賞する機会が少ない横井の作品が一堂に集結。油彩画、版画、漆絵、焼き絵など様々な技法を用いた作品や著作、装丁本、創作玩具など約200点が展示され、いまだ明らかでない横井の画業の全貌に迫る。なお、会期中は講演会やワークショップ、ギャラリートークなどのイベントも開催される。イベントのスケジュールや詳細は、練馬区立美術館のオフィシャルサイトで確認出来る。【イベント情報】没後50年“日本のルソー”横井弘三の世界展会場:練馬区立美術館住所:東京都練馬区貫井1-36-16会期:4月17日から6月5日時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)料金:一般800円、高・大学生および65~74歳600円、中学生以下および75歳以上無料(要年齢等確認証)休館日:月曜日
2016年05月01日2014年1月5日より放送されるTVアニメ『となりの関くん』にて、ヒロイン・横井るみを演じる花澤香菜がオープニング曲「迷惑スペクタクル」を、世界的ドラマーの神保彰がエンディング曲「Set Them Free」を担当することが明らかになった。この「迷惑スペクタクル」は、文化放送で花澤がパーソナリティを務めるラジオ番組『花澤香菜のひとりでできるかな?』(隔週水曜21:00~22:00)で、12月に初披露される予定。また、このオープニングとエンディング主題歌を収録したCD『となりの関くん うたのCD』が、2014年1月22日に発売される。オープニングとエンディングのTVサイズのほか、"アニソン界の帝王"水木一郎が歌う劇中歌「団欒(だんらん)!ロボット家族」も特別収録されるという。価格は1,890円で、キングレコードより発売される。先日「迷惑スペクタクル」のレコーディングも行われ、横井るみの声で主題歌を歌う花澤は「出だしから早口でビックリしました(笑)。その早口なところも横井さんの頭の中でぐるぐる想いが回っている感じだし、楽しげなメロディもハラハラしながらもどこかワクワクしている横井さんの気持ちのようでピッタリだなと思いました」と振り返りながら、「歌詞も横井さんの、関くんに対する想いそのもので、曲名通り、関くんに遊びは迷惑なんだけど、机上で行われる遊びは時に壮大だからつい気になっちゃう、みたいな」と、かなり作品にリンクした楽曲であることを説明。また、今回の収録は本編のアフレコ前に行われたようで「オーディションで結構、長い時間、横井さんをやらせていただいたので、その時のイメージを思い出しながら歌いました。ディレクターさんからの指示は"自分の信じた横井さんで歌ってください"と言われたくらいでした」と、初めてながらも横井るみとして順調な収録ができたという。楽曲の聴きどころについては「原作ファンの方が聴いたら"そうそう!"とうなづけるくらい横井さん感が出ているところです。作品の中での横井さんの表情を思い浮かべながら聴いて、笑ったり、ほっこりしてもらえたらいいなと思います」と話している。ちなみにお気に入りのフレーズは、横井るみの気持ちが端的に入れられている"やっぱりその先は…や・め・て!"という部分だという。『となりの関くん』は、森繁拓真が描く異色の「日本唯一の授業サボりマンガ」で、現在『月刊コミックフラッパー』(KADOKAWA メディアファクトリー刊)にて連載中。累計発行部数は160万部(2013年4月現在)を越える人気を誇っている。アニメ『となりの関くん』は、2014年1月5日よりテレビ東京で毎週日曜26:05から放送。ほかにもAT-Xや、ニコニコ動画やGyaO!といった動画サイトでも配信される。■『となりの関くん うたのCD』収録曲01.迷惑スペクタクル / 花澤香菜02.Set Them Free / 神保彰03.迷惑スペクタクル(TVサイズ) / 花澤香菜04.Set Them Free デスクトップドラムver.(TVサイズ) 神保彰05.迷惑スペクタクル アカペラver.(TVサイズ) / 花澤香菜+クラスメイト06.迷惑スペクタクル(カラオケ)07.Set Them Free(カラオケ)特別収録08.団欒(だんらん)!ロボット家族 / 水木一郎09.団欒(だんらん)!ロボット家族(カラオケ)(C)森繁拓真/KADOKAWA メディアファクトリー刊・アニメの関くん製作委員会
2013年11月20日