2020年10月28日、朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)で、お笑いコンビ『ハリセンボン』の近藤春菜さんと、エッセイストの内田也哉子さんが対談。その内容が反響を呼んでいます。内田也哉子「夫婦ケンカは隠さない」内田さんは俳優・樹木希林さんと、ロックシンガー・内田裕也さんのひとり娘。夫は俳優の本木雅弘さんで、夫婦の間には2男1女の3人の子供がいます。インタビューで家族や子育てについて語った内田さん。夫の本木さんについては「私よりもはるかに気が利く小姑です」と語っていました。私よりもはるかに本木のほうが気が付くし、お母さんのようなきめ細やかさがある。旦那さんというよりも、小姑。お姉さんがいるという感じがしてします。スッキリーより引用普段、本木さんと衝突することがあるかと尋ねられると「しょっちゅうですね」と回答。夫婦がもめていると、長男が「2人とも悪くないから!」と止めに来ることもあるそうです。しかし、子供の前で夫婦のケンカを隠すようなことはしていないといいます。その理由について内田さんは次のように話していました。子供たちの前ではぴしっとしてて、急に影でっていうのではなくて、常にそれはもうもれてしまっているだけなんですけど、そこの中からもう学んでもらうしかない。こうやって、他人の2人は一生懸命すり合わせながら、家庭を築いていくんだなと。スッキリーより引用「夫婦ゲンカを子供に見せてはいけない」とよくいわれますが、時に意見がぶつかったとしても、それを乗り越えようと試行錯誤する夫婦の姿を見て、子供たちも感じるものがあるのかもしれません。また、子育てでは、子供それぞれの個性を尊重するようにしているといいます。若い時の子育てからいろんな試行錯誤の末、今はやっぱり一人ひとりの『持って生まれたたち』っていうのはあるから、それを見極めて、親のやらせたい方向に閉じ込めるのでなく。世の中に迷惑をかけないというのは大前提ですけど。裕也みたいになったら困っちゃう。スッキリーより引用「結局、自分を育ててるということに返ってくる。この世を去る時に1ミリだけ大人になれたのかなって思う瞬間が来たらいいな」と考えを語っていました。ネット上では、インタビューを見た人からさまざまなコメントが寄せられています。・グッときた。『子育てが、自分育て』という言葉、すごく納得です。・内田也哉子さん、言葉選びがとても素敵。話し方とかすごく好きだ。・親の立場を経験してないけど、「1ミリだけでも成長したかな」と思える生き方をしたいと思いました。・夫婦ケンカは子供に見せちゃだめっていうけど、そういう親の姿から学ぶものもあるよね。2018年に亡くなった母・樹木さんの人柄について「母はどんな状況でも、おかしみを拾う人だった」と表現していた内田さん。物事の『面白い側面』を見て、前向きにとらえる樹木さん流のスピリットが、母から子へ脈々と受け継がれているのでしょう。夫婦関係や子育てにまつわる内田さんの考え方は、多くの人の心に響きました。[文・構成/grape編集部]
2020年10月28日『あん』『光』の河瀬直美監督が「特別養子縁組」について描いた辻村深月のヒューマンミステリーを実力派キャストを揃えて映画化し、カンヌ国際映画祭公式作品【CANNES 2020】に正式に選出された『朝が来る』。10月6日(火)、河瀬監督をはじめ、主演の永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子、朝斗役を演じた佐藤令旺登壇による公開に先駆けた完成報告会見が行われた。まず、『あん』に続いての原作小説の映画化という点に、河瀬監督は「感動しない小説は映画化しません。とても感動しました。その行間から溢れる新しい命の讃歌。その光に到達できるような映画にしたいと思って、辻村深月さんのもとに向かいました」と原作の惹かれた点について回顧。また、本作への手ごたえを聞かれた監督は「最近よく耳にするのは、“河瀬映画の中で、一番のエンターテイメント作品”という感想です。最後の最後まで、決して見飽きることがない映画だと思います」と自信を覗かせた。自身も養女であり、原作を読むまでは特別養子縁組という制度を知らなかったという河瀬監督は「戸籍上、実子として迎えられること。真実告知をすることを明らかにしているので、素晴らしい制度だと思うし、その制度によって、救われる命があるとも思った」と、その意義の大きさを語った。そんな本作で“大切にしたこと”について、永作さんは「佐都子が初めての人生の岐路に出くわして、どう乗り越えていこうと考えるか?というのをよく考えた。そういった、小さなことを逃さないようにすることを大切にしていました」と語る。続けて、井浦さんは「河瀬監督のもとでは、クランクインの数か月前から、特別養子縁組や無精子症についてなどを、しっかりと学んでいく“役積み”の時間をいただける」とコメント。さらに「河瀬組は完全なる順取りで、1シーンを積み重ねながら、目の前で起きていることに素直に心を動かしていくという事を大切にしていった」と永作さん同様に、河瀬組の“役積み”の経緯を大切にしたと明かす。役積みについて、蒔田さんは「劇中の家族と3週間ぐらい、実際に一緒に住んだ。一緒に洗濯したり、先にお風呂に入って怒られたり、そんな生活が映画の中で生きた」とふり返る。永作さんは「二人で温泉に行くシーンがあって、前のシーンが押して温泉につくのが遅くなった。ご飯やお風呂に入っている間、スタッフはどこにもいないし、撮影もしていない。これは泊まらせるための罠か?と、疑心暗鬼になるぐらい、どのシーンにも役積みがあった」と明かす。さらに、浅田さんの起用を“樹木希林さんからの啓示”と監督が話していることに対し、浅田さんは「希林さんが枕元で『美代ちゅわ~ん(モノマネしながら)』って河瀬さんに言ってくれたのかなというタイミングだった。だからこそ裏切っちゃいけないな、ちゃんとしないといけないなという思いが強かった」と回顧した。そして、特別養子縁組によって迎え入れられる男の子・朝斗役を演じた、令旺くんが花かごを持って登壇。『朝が来る』の英語タイトル『True Mothers』にちなみ、母の日にプレゼントするカーネーションを手渡していく。白いカーネーションの花言葉は「純粋な愛」、まさに朝斗に向けられる、佐都子や清和、ひかりに浅見の心情を語ったものでもある。さらに、令旺くんから「『朝が来る』、世界25ヵ国公開決定!」とフランス、スペイン、北欧、ブラジル、中国、韓国など、すでに25の国と地域での公開が決定していることも発表された。最後に、河瀬監督は「(長引くコロナ禍の今)映画によってネガティブな感情をポジティブに変えていけたら、本当に素晴らしいことだと思っています。最後に結んでくれるのは、観客の皆様です。早く劇場で、みなさんに会いたいです」と現在の想いを語っていた。『朝が来る』は10月23日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:朝が来る 2020年10月23日より全国にて公開©2020『朝が来る』Film Partners
2020年10月07日三回忌を迎えた今も日本中から愛され続けている樹木希林さん(享年75)。何事にも動じず、独自の道を歩み続けた希林さんが愛情を注いでいたのが孫の雅樂(22)だ。雅樂がUTAとしてモデルデビューした際、希林さんは本誌にこう語っていた。《おじいちゃん、つまり裕也さんの若いころにソックリですよ。いつも、ああいう不満そうな顔つきをしていましたから。でも性格は正反対。裕也さんと違って孫は温厚だから、人ともめるようなことはないわね》(本誌18年7月17日号)希林さんが最後に購入した愛車も受け継いだという雅樂が、三回忌数日前の9月上旬、本誌の取材に答えてくれた。特に記憶に残っている希林さんとの思い出について聞くと、微笑みながら振り返った。「自分が小さかったとき、2人でカナダのモントリオールに行ったんです。おばあちゃんの出ていた作品がモントリオール映画祭にノミネートされていて」──「あなたも来る?」という感じだったのでしょうか?「はい、変な話ですけど、通訳代わりみたいな。自分はそのときにはもう英語がしゃべれたので。ふたりでいろいろと観光スポットに行ったんですけど、ナイアガラの滝ってあるじゃないですか。その滝に近づく遊覧船があるんです。それに2人で乗って、もう思いっきりびしょびしょになりながら大笑いし合ったこと。それが何より楽しい、おばあちゃんとのいい思い出です」ユニークな秘話も明かしてくれた。「うちの家族は二世帯住宅。僕らが上で、おばあちゃんは1階に住んでいました。すると時々、『内田商会から派遣されてやってきました家政婦の内田と申します』と、言って2階へ上がってきては適当に掃除したり、洗い物をして帰っていくんです」一部報道で、雅樂はじめ本木一家が昨年の一周忌については行わなかったことが報じられていたが、三回忌について尋ねると――。「三回忌って言われて改めて振り返ってみると、本当にあっという間に時間はたっちゃってるんだなという気持ちですね。その日は何かをするわけではなく、もう家族のなかだけで、静かに祖母や祖父(内田裕也さん・享年79)をしのぼうと思っています」雅樂の母・内田也哉子(44)は、生前、希林さんの“遺言”についてこう語っていた。《母はね、「大きな葬儀はやらなくていいよ」と言っていたんです》(『この世を生き切る醍醐味』朝日新書)雅樂のモデルデビューに際して、本誌’18年7月17日号で訪ねたときには、「モデルデビュー決断の経緯?そのへんは全然わかりませんねぇ。いつごろ決めたのでしょう」と、けむに巻いていた希林さん。しかし、実際には希林さんの言葉がモデルを目指す後押しになったと雅樂は明かしてくれた。「亡くなる1年前くらいですね。自分がモデルを始めようか迷ってるとき、おばあちゃんが声をかけてくれたんです。『いいかい、モデルってのは自分を客観的に見る仕事でもあるからね。新しい視点で勉強にもなるし、面白いんじゃないかい?』って。また『人の作った洋服やモノを身につけ、それも輝かせなければならない。それを活かすも殺すもあなた次第』とも言ってくれました。そのおばあちゃんの一言が、心を決めた大きなアドバイスになりました」──素敵なおばあちゃんですね、本当に。「はい、大好きなおばあちゃんでした。晩年までいろんなことに興味を持っていて。よく言っていた『なんでも面白がりな』という言葉は今でも強く、僕の胸に残っています」雅樂の胸に刻まれた希林さんの“3年目の遺言”。最後に天国の希林さんへのメッセージを尋ねると、少しのを経て、雅樂はこう語った。「うーん、それは難しいなあ。もちろん感謝はあります。妹や弟、それに僕にとっては本当に普通の優しいおばあちゃんでしたから。おばあちゃんは家族の誰からも愛されていて……。だから、やっぱり『ありがとう』かなぁ」愛車だけでなく、遺志も受け継いだ孫の活躍を今日も希林さんは笑顔で眺めていることだろう。「女性自身」2020年9月29日・10月6日合併号 掲載
2020年09月15日「とにかくいろんな話を聞かせてくれたし、知識がものすごくあった人でした。10歳の子たちが聞けないような話をよくしてくれていましたね。それは、おばあちゃんが今やっている映画での出来事の話だとか、それこそ日常のちょっとしたことだとか……」目を細めながら樹木希林さん(享年75)との思い出を振り返るのは孫の雅樂(22)。’18年9月15日に希林さんがこの世を去ってから2年。死後に発売された希林さんの言葉をまとめた書籍が軒並みヒットを記録するなど、その深い人生観はいまも多くの人々に影響を与えている。ぜいたくを嫌い“モノを持たない生活”を貫いた希林さんだったが、数少ない趣味が車だった。長年の知人は言う。「希林さんの車好きは有名で、過去には愛車を紹介する番組に出演したことも。“車は顔”がモットーで、丸目が特徴のクラシックカーを10台以上乗り継いできました。なかでも’01年に購入した『トヨタオリジン』は新車価格で770万円と高い買い物でしたが、希林さんは“最後の愛車”と大切にしていたようです」そんな最愛の車をモデルとしても活躍する孫である雅樂が最近、受け継いだというのだ。「モデル名はUTAで、190cm以上ある身長を生かして’18年のパリコレでデビュー。パリのモデル事務所と契約し、世界中で活躍しています。バスケット選手としても優秀で、高校はアメリカのスポーツ名門校、大学はカリフォルニアのバスケ強豪校に進学しました。彼は12歳のときにスイスに留学したのですが、その際に現地まで希林さんが連れていったそうです」(ファッション関係者)希林さんの三回忌数日前の9月上旬、生前の希林さんも暮らし、今は父・本木雅弘(54)ら家族と住む二世帯住宅から件の愛車に乗って出てくる雅樂の姿が――。車を少し走らせ、トランクから荷物を取り出そうと停車した雅樂に本誌は話を聞いた。──希林さんの愛車を受け継いだとお聞きしまして。お話を伺ってもよろしいでしょうか?「ええ、確かにおばあちゃんが生前から乗っていた車ですが、正式に頂いたわけではないんです。新しい車は買わないので、父と母が『家にあるこの車を使ったら』と言ってくれて。おばあちゃんが亡くなった後に自分も日本で免許を取って、それで乗り始めました」突然の取材にも、希林さん譲りの堂々とした語り口で真摯に応じてくれた雅樂。受け継いだ車には希林さんとの代え難い思い出がたくさん詰まっているようだ。「僕らきょうだいの送り迎えや、一緒にご飯を食べに行くときはおばあちゃんがこの車でよく連れていってくれて。僕はずっと助手席に乗せられていました。(初めてハンドルを握ったときは)やっぱりおばあちゃんのぬくもりを感じましたし、とても懐かしい気持ちになりました」「女性自身」2020年9月29日・10月6日合併号 掲載
2020年09月15日多部未華子(31)主演のTBS火曜ドラマ『私の家政夫ナギサさん』が好調だ。各メディアによると、初回の世帯平均視聴率は14.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好発進。8月18日に放送された第7話は16.6%と、上昇傾向だ。これまで同枠で放送されたドラマのなかで、最高記録となったようだ。多部演じる相原メイは、製薬会社のMR(営業担当)として働くキャリアウーマン。仕事に打ち込む反面、家事は苦手で部屋も散らかり放題。そこへ大森南朋(48)演じる中年の家政夫が現われ、互いに心を通わせていくストーリーだ。19年7月放送の『これは経費で落ちません!』(NHK総合)では、等身大のアラサー女性をリアルに演じた多部。いっぽう最終回を終えたタイミングの10月1日に、写真家・熊田貴樹氏との結婚を発表した。「熊田さんは、広告や雑誌、著名アーティストのCDジャケットなど幅広く手掛ける写真家。16年に撮影現場で出会ったことを機に、交際に発展したそうです。多部さんは好きなタイプの男性を、『努力しようと思わせてくれる人』と語っていました。『生活=仕事』という考えの多部さんにとって、ご主人の存在はプラスになっているようです」(メディア関係者)そんな『わたナギ』は、多部が結婚して以来初の主演ドラマだ。新婚生活を送りながらも、女優業に邁進する多部。『生活=仕事』というポリシーを持つ彼女の姿勢は、“職人”のようだという。「多部さんは役に入り込む憑依型ではなく、監督や演出家からの要求を忠実に反映するタイプ。引っ込み思案な面もあり、撮影現場では自ら話かけることは少ないといいます。ですが、先輩の仕草や動作をしっかり観察して吸収しているそうです。仕事とプライベートもきっちり分ける方なので、人間関係のトラブルもありません。18年に共演した樹木希林さん(享年75)も、『女優として芯がある』と太鼓判を押していました。多部さんのフラットな姿勢は、制作サイドもオファーしやすいようです」(テレビ局関係者)折り返しとなった『わたナギ』。後半では、どんな演技を見せてくれるだろうか。
2020年08月19日俳優・三浦春馬さん(享年30)出演の新作ドラマ「おカネの切れ目が恋のはじまり」(TBS系)がお蔵入りの危機にあると7月19日に報じられた。松岡茉優(25)主演で、三浦さんは松岡演じる主人公と同居するおもちゃメーカーの御曹司を演じていた。今月14日には三浦さん自身もInstagramでクランクインを明かし、《キャスト、スタッフ一同、テレビの前の皆様に9月から、より笑って頂きたく撮影に励んでおります!》とつづっていた。しかし日刊スポーツでは「TBSはスポンサーも決まっているし代役を立ててもやりたい。ただ、現場は状況が状況なだけに、続けるのは難しいのではないか」との関係者コメントとともに、最悪の場合はドラマ自体がお蔵入りになることもありうると伝えていた。そのため、ドラマの公式Twitterアカウントには放送を願う悲痛な声が続々と集まっている。《このドラマは三浦春馬さんが出演すると知ってずっと楽しみにしていました。お願いです、途中まででいいので放送してください》《最後の最後まで撮影に挑んだ三浦春馬さんの勇姿をTVで見たいのでどうかお蔵入りだけにはしないでください!!》《撮影ができてるところまでは春馬くんのままで放送して欲しいです。もう1話の途中で慶太が変わってもいいから。春馬くんの最期のドラマがこれだから。お蔵入りにしないで…》局側の心配とは裏腹に、これまでも多くの芸能人の遺作は「最後の演技を見届けたい」というファンの熱い思いから注目を集めてきた。3月に亡くなった志村けんさん(享年70)は、朝の連続テレビ小説「エール」(NHK総合)に出演していた。5月に初めて登場したところ、平均視聴率は関東地区で21.2%を記録。これは初回放送と同じポイント数であり、注目度の高さがうかがえた。また樹木希林さん(享年75)が亡くなった直後の18年10月に公開された映画「日々是好日」は、公開1ヵ月ほどで興行収入10億円を突破した。当時の動員数は累計で88万人、公開館数も230館にまで拡大。同年11月に行われた「大ヒット御礼舞台挨拶」で大森立嗣監督(49)は、「こんなにお客さんが入った映画を作ったことがない」と漏らしていた。大杉漣さん(享年66)の最後の主演映画である「教誨師」も18年10月に公開されると、規模を拡大していった。大杉さんが亡くなってからちょうど1年目となる19年2月21日時点で、公開館数は82館。興行収入も6,000万円突破というロングランヒットを記録した。《いろいろ事情はあると思うけど、三浦春馬くんが最後までやっていた仕事はすべて見せてほしいなと思う。春馬くんは最後まで頑張っていたのだから。お蔵入りなんて悲しいよ》Twitterでは、こんな声も上がっていた。「おカネの切れ目が恋のはじまり」は、三浦さんの生きた証を視聴者に届けることができるのだろうか。
2020年07月22日コロナウイルスにより学校も幼稚園も保育園も休園する緊急事態に。ずーーっと子どもと一緒にいることで、いつもにも増してイライラが募ってしまいそう……。そんなママたちを応援する最新ドキュメンタリー映画『ママをやめてもいいですか!?』が絶賛オンライン上映中です。さらに90万人を動員した『うまれる』『ずっと、いっしょ。』も初オンライン上映がスタート! 傷つき悩みながらも、前向きに歩んでいく家族の絆に笑って泣いて、もう一度泣いて、感動をたっぷり共有してみませんか。 1500名の署名によりオンライン再上映が決定 新型コロナウイルスによる外出自粛で、24時間子どもと一緒。普段なら許せる子どものイヤイヤやいたずらにイライラ、子どもだって外で遊べなくてストレスMAX、在宅勤務だからこそ、ますますすれ違うパパに「コロナ離婚」の5文字がよぎったりして……。 笑ってばかりじゃいられないママ業のしんどさは、多くの人が感じていること。そんな家事や育児に奮闘するママたちの姿を追ったドキュメンタリー映画『ママをやめてもいいですか!?』が、5月31日(金)までオンライン上映されます。 本作品はコロナウイルス感染拡大を防止するため、2月29日の封切りと同時に、2週間の期間限定でオンライン上映することが決定。その後もオンラインでの再上映を望む声が多く寄せられ、あっという間に1500名を越える署名が集まりました。 また外出自粛が長引くことから、累計90万人を動員した感動のドキュメント映画シリーズ『うまれる』『ずっと、いっしょ』もオンラインによる上映がスタート。家族でいる意味とは? 幸せとは? 改めて「家族・命・絆」を感じることのできる作品になっています。 わが身を投影して観る『ママをやめてもいいですか!?』 <ストーリー>「子どもは可愛いんです。大事なんです。愛おしいんです。……でも離れたいんです」。人知れず子育てに悩み、つまずき、それでも子どもを愛して前を向くママとその家族の歩みを綴った物語。産後うつを乗り越えて新たな命の誕生を迎えるママ、産後うつによる母の自死とその傷に向き合うママ、わが子を抱きしめることができないママ。それぞれどんな答えを見つけていくのでしょうか?企画・撮影・監督:豪田トモ/ナレーション:大泉洋92分■ 配信期間:5月31日(金)24時まで(終了日は予定)■ 料金:1500円■ 上映先リンク: ※ ご購入から48時間、視聴することが可能です。■予告編:家族の絆に涙が止まらない『うまれる』『ずっと、いっしょ。』 <ストーリー>出産、死産、不妊、障害、胎内記憶などさまざまな経験をする夫婦や家族の姿から、家族の絆、命の大切さ、人との繋がり、そして「生きる」ことを考えるドキュメンタリー『うまれる』。第2作となる『ずっと、いっしょ。』は、血縁のない家族や愛する妻に先立たれた家族、死と向き合う毎日を生きる家族の姿を、笑いと感動の涙とともに綴っています。企画・撮影・監督:豪田トモ/『うまれる』ナレーション:つるの剛士104分『ずっと、いっしょ』ナレーション:樹木希林119分■ 配信期間:5月31日(金)24時まで(終了日は予定)■ 料金:各800円(特典映像付)■ 上映先リンク: ※ ご購入から48時間、視聴することが可能です。■『うまれる』予告編:■『ずっと、いっしょ』予告編:『ママをやめてもいいですか!?』を観た人からは、「ママだけに偏りがちな育児環境を変えるきっかけになる」との言葉も。感動だけで終わらない視野の広い作品です。当面、DVD化の予定はないそうなので、鑑賞するなら今がチャンス!
2020年05月01日90%以上を自然由来素材から製造株式会社資生堂は、樹木の力に着目した新スキンケアブランド「BAUM(バウム)」から全27品目45品種を2020年5月30日(土)に発売する。同ブランドは、「樹木との共生」をテーマに掲げ、樹木の「貯水」「成長」「環境防御」の3つのはたらきに着目。性別、年齢に関わらず、すこやかな肌に導くスキンケアを提案する。全化粧品は、90%以上を自然由来の素材から製造。シリコーン、パラペン、合成着色料は不使用だ。香りは、樹木由来の天然香料を調合し、森林浴のような心地よさをもたらす。木材を使用した商品パッケージ商品パッケージは、木製家具メーカーとコラボレーション。家具の製造工程で発生した不要な木材を再生利用している。良質なオークを無駄なく活かし、ひとつひとつ色味や木目が異なる味わい深さを楽しめる。また、ガラス容器にはリサイクルガラス、一部プラスチック容器には植物由来のPETを採用。ショッピングバッグの無償提供を行わず、オリジナルエコバッグを販売するなど環境への負荷軽減を目指す。さらに、同ブランド製品を販売する店舗は、樹木の恵みを感じられるように設計。実際に商品を手に取ったり香りに癒やされたり上質なくつろぎ時間を過ごせる。期間限定でポップアップストアも展開。東京都、神奈川県、愛知県などで購入できる。(画像はプレスリリースより)【参考】※資生堂ニュースリリース
2020年03月27日国民的女優として愛された故・樹木希林を、多くの映像や写真、愛用品を通して振り返る展覧会『樹木希林 遊びをせんとや生まれけむ展 特別編』が、そごう美術館にて1月26日(日)まで開催されている。2018年9月に他界した俳優の樹木希林。同展は、生前の貴重な愛用品、写真や映像など約300点の展示を通して、もう一度「希林さん」に会えるというもの。渋谷・池袋・広島で好評を博した完全版5章に、「きものの部屋」「京都の部屋」を加えた全7賞によるそごう美術館だけの特別編だ。完全版5章では、唯一無二であり続けた女優としての日々を振り返る「日本アカデミー賞の部屋」「映画女優の部屋」、デビュー前の写真から、こだわり抜いた服・着物などを紹介する「一個人の部屋」、愛用品を展示する「日常の部屋」、多くのメディアで語られた言葉を集めた「言葉の道」で構成される。加えて、きもの愛と創意工夫にスポットを当て、愛用した着物約30点を展示する「きものの部屋」、長きに渡り通い続けた京都での足跡を写真で辿る「京都の部屋」が、そごう美術館限定で登場する。会場では、Tシャツやトートバッグ、自筆イラストを施しただるまなど、限定グッズの販売も。展覧会のタイトルになっている「遊びをせんとや生まれけむ」は、平安時代の歌謡集『梁塵秘抄』からの引用。樹木希林が生前に愛したその言葉どおり、遊び心を忘れず、生きることを楽しんだ「希林さん」の生き様を身近に感じとることができる展覧会だ。【開催情報】『樹木希林遊びをせんとや生まれけむ展特別編』1月26日(日)までそごう美術館にて開催【関連リンク】 そごう美術館()
2020年01月09日【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。【今回の相談内容】ベストセラーになっている樹木希林さんの本を読んで感動しました。どうすれば、あんなに穏やかで、潔い死に方ができるのでしょうか?(68歳・主婦)【回答】私も樹木希林さんのご本を拝読いたしました。本当に素晴らしい方ですね。憧れます。あなたと同じように私も「こうありたい」と思いました。最近、「どうしたら穏やかに死ねるのか」、「どうやったら幸せに死ねるか」というようなご相談をしばしばいただきます。私なんぞは“ズバリ”の答えを持ち合わせておりませんので、一緒に考えさせていただいております。まず、「穏やか」とは、「幸せ」とは、具体的にどういうことなのかを明らかにしていきます。「穏やか」、「幸せ」と一言で言っても、みなさんいろいろですからね。「私にとっての穏やかな状態」、「私が考える幸せ」を確認します。そうしたら仮に「“気持ちよく眠るように”が私にとっての“穏やか”だわ!」となったとしましょう。さて、それを実現するためにはどうしたらいいのでしょうか。ポイントは、そのときがポンと突然やってくるわけではなく、毎日の延長線上にあるということです。つまり、日々気持ちよく眠れていない人が、“気持ちよく眠るように逝く”ことはできないということです。それがわかったら、あとは簡単。今夜からさっそく“気持ちよく眠る”方法を実践してみましょう。やさしい香りのアロマを使ってみるのはいかがですか。静かな音楽を聞いてからお布団に入るのもいいかもしれませんね。逝き方は「生き方」です。「幸せ」に逝きたいなら、今日一日の中で「幸せ」をしっかり感じること。「潔く」逝きたいなら、今日一日を「潔く」過ごしてください。思い立ったが吉日ですよ。さっそくはじめてみてはいかがですか。【プロフィール】玉置妙憂(たまおきみょうゆう)看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』火曜のコメンテーターを務める。
2019年12月27日映画業界で働く人にとっても、実は知らないことだらけの映画業界のお仕事。そんな映画界の“中の人”の姿を紹介する「映画お仕事図鑑」。連載第2回にご登場いただくのは、映画館で、TVで、スマホで、交通広告で…いまや誰もが日常的に目にする映画の予告編を制作する会社「バカ・ザ・バッカ」でディレクターとして活躍する土子智美さんです。みなさん、普段、何気なく見ている予告編を「どうせ映画の本編映像をつなぎ合わせただけでしょ?」と思っていませんか? 予告編、そこには映画監督やスタッフ、宣伝チームの作品への熱い思いを背負い、それを数十秒の映像に凝縮するディレクターの職人技と映画への愛情が!専門学校時代のインターン体験で知った予告編の奥深さ!――そもそも土子さんが映画業界に足を踏み入れたきっかけから教えてください。地元の茨城大学の教育学部に通っていたんですが、一方でずっと映画の仕事をしたくて悩んでたんです。それでも教師になって地元で就職するんだろうなぁと思ってたんですが、どっちもやりたくなって悩んで…悩むくらいなら一度、やってみようと2年間、専門学校に行くことにしたんです。とはいえ、それをなかなか親に言えなかったんですが(苦笑)、運よく、おじの一家が東京に住んでいて「それならうちに住んで通えばいいよ」と言ってもらえて、学費は自分の貯金を崩して、大学卒業後に2年間の映画専門学校に通ったんです。――映画業界の中で特にどんな仕事に携わりたいと思っていたんですか?最初は「これ」というものもなく、本当に漠然と「映画がやりたい」って気持ちだけだったんですよね。専門学校で映画を撮ったり、いろんなことを楽しんでいて、もともと国語科だったこともあって、書いたりするのは得意で、なんとなく「作る側」になりたいなとは思っていたんですが…。実は、弊社の池ノ辺(直子/代表取締役社長)と地元が同じで、私が通っていた大学に、地元出身の人間の著書ということで、池ノ辺が書いた本が山積みになっていて、それを読んで「こんな仕事があるんだ!」と予告編制作の仕事を初めて知ったんですよね。専門学校に通い始めて1年半ぐらいした時に、ちょうどこの会社がインターンを募集していまして、それですぐに募集して、面接をしてもらい、半年ほどインターンとして採用してもらったんです。働いてみたら、この仕事が面白くてたまらなかったんですよね。自分に合っていたんでしょうね。予告編の制作って「作ること」+「宣伝」の要素が入っている特殊な業界なので、それが楽しくて。そのままこの会社に入社して、もう13年ほどになります。デザインからキャッチコピーの創作まで! 予告編づくりには映画制作と宣伝の全てが詰まっている――「バカ・ザ・バッカ」さんは基本的に映画の予告編制作会社ということですが、他にも映像に関わる仕事をされていると伺いました。私は会社の中でもわりと特殊な方で、もともと趣味が多くて、ミュージカルや音楽、ドラマも大好きなんですけど、それを口に出して言ってたら仕事をいただけるようになったんですよね。ミュージカルやドラマのプロモーション映像や制作会見の映像の編集、ミュージシャンの事務所さんやレコード会社さんから、ライブ映画の予告編のお話をいただいたりして、映画以外の仕事もさせていただいてます。そんなことまでこの会社でできるとは思ってもなかったのでありがたいですね。――具体的に入社されてからここまでのお仕事について教えてください。最初はアシスタントでした。基本、うちの会社はディレクターがそれぞれ作品を担当するのですが、そのディレクターの下にアシスタントがついて、仕事を学んでいくという体制で、1から仕事を覚えていくという感じでした。予告編の仕事って映像を編集してつなぎ合わせたものというイメージがあるかもしれませんが(笑)、もちろんそれだけじゃないんですよね。私自身、この会社に入ってから知って驚いたんですが、予告編のタイトルワークのデザインなどもこちらがやらないといけないんですよ。――ディレクターさんのクリエイティビティが求められるんですね。カット編集だけだと思ってたら、1本の作品を作るくらいの感覚で、PhotoshopからAfter Effectsまでできないといけないし、デザインもキレイにできないといけないし、音楽の構成もこちらで考えるので、もともとBGMがない映画の場合、こちらで合うものを考えて、つけていかないといけないんです。宣伝チーム、宣伝プロデューサーから「こういうふうに見せたい」といった方向性は伺うんですが、それを形にしないといけないわけです。最初はどうやって先輩たちがやっているのかもわからず、レイアウトで「文字間が悪い」と言われても「文字間って何?」という感じで(苦笑)。最初の2~3年は会社にいながら勉強の日々でした。デザインの部分は本当に苦労しましたね、それまで全くやったことがない分野でしたから。――そもそも映画の予告編を、本編の制作スタッフとは別の会社の方が作っているということも知らない人も多いと思います。言ってしまえばひとりで監督、脚本、プロデュースまでをやって、90秒の映像を作るという感じで、私も驚きました。でも、だからこそ自分の中にあった「作りたい」という欲求と、映画が大好きで「宣伝したい」という気持ちが重なる仕事だったんだなと思います。――アシスタントを卒業し、ディレクターとして中心的に進めるようになった時期は?入社して3年目くらいからですかね。アシスタントについていた先輩が忙しくなってきて、ちょうど私と仕事をしてみたいとおっしゃってくださるクライアントさんがいたこともあって、ある作品をひとりで担当することになったんです。そういう機会がだんだん増えていき、その間もアシスタント業務は並行して行なっていたんですけど、ある程度、仕事の量が増えていくと、アシスタントの仕事ができない状態になってきて、そうなったら独り立ちということになります。そうなると今度は、自分がディレクターとしてアシスタントを育てる側になるんです。――体制としては、何人ものスタッフでチームを組んで仕事をするのではなく、ひとりのディレクターがいて、その下にアシスタントがつくという形式なんですか?いまの弊社の体制はそうですね。基本的にはディレクターひとりにアシスタントひとりという体制で、ある作品の始まりから最終的な納品まで作品単位で担当するという形です。――ひとりのディレクターが同時並行で複数の作品を抱えるということも?それはごく普通にありますね。ジャンルの違ういろんな作品を同時に抱えて、切り替えが大変な時もあります(笑)。――ひとつの作品を請け負ってから終わりまでの流れをご説明していただけますか?作品の規模によっても違いますが、全国で公開されるような大きめの作品では、まず「特報」と呼ばれる30秒ほどの映像を作ります。最初に作品を見て、宣伝プロデューサーとの打ち合わせがあって「こういう感じにしたい」といった話し合いがあり、その意図をくみつつ2週間ほどの時間をいただいて形にします。そこから、いろんな修正のやりとりがあるんですけど、邦画の場合、宣伝チームだけでなく本編チームの確認であったり、俳優さんの所属事務所のチェックなどもあって、修正作業を含めてさらに1か月くらいはかかるかな…? 洋画の場合も海外のチームに確認をとりますので、平均して2か月くらいで特報映像が完成します。それが終わるとすぐに、今度は「予告編」の制作に取りかかります。特報の時と同じように制作と確認・修正などがあるんですが、その間にWEBやSNS関連のプロモーション映像の制作や試写会告知などの映像制作もあります。その作品が小説原作の場合、書店で流すための作品紹介の映像を作ることもあります。そこでまた2~3か月がかかるんですが、それが終わると今度は公開直前にCMとしてTVで流れる「TVスポット」の制作に移ります。他にもラジオCMもありますし、最近では初日舞台挨拶の映像を組み込んだ「大ヒット公開中」の映像を作ったりすることもあるので、映画公開のギリギリまで…なんだったら公開後も仕事をしています。昔よりも作るものの数は圧倒的に増えてますね。トータルで見ると、ひとつの作品に半年から1年弱くらいの時間、関わっていますね。親や友達は「たかが30秒くらいの映像を切ってくっつけて作るのに、なんでそんなに忙しいの?」と思ってると思うんですが(笑)。よい予告編とは――? 盛らず、ウソなく正攻法で観客の心に火をつけるべし!――担当する作品の本編は合計して何回くらい見るんですか?人それぞれだと思いますが、私はかなり見る方で、合計10回以上は見ると思います。作業のプロセスの中で「抜き」という作業があって、要は映画の全てのカットとセリフをひとつずつ取り出していくんです。「このカットは使えそう」「これは使わないな」という感じでひとつひとつ選り分けていく時間のかかる細かい作業なんですけど。その作業をやっているので、全てのシーンが手元にあり、本編全体を見直す必要はないんですけど、長くその作品に携わっていると、感覚が慣れちゃうんですよね。そういう時に「いや、もっと違う方向性、角度があるんじゃないか?」ともう一度、最初から作品を見直すんです。できる限り、一般のお客さんに自分の感覚を近づけて、初めてその映像を見ているかのような新鮮な気持ちで見るというのを心がけています。慣れちゃうと、こっちで勝手に思い込んで「これでわかるよね?」という心理でシーンを選んじゃったりするんですけど、何も知らずに初めて見る人にしてみたら「え?いまのカットって何の意味があるの?」と思ったりするものなんです。なるべくフラットな気持ちで見るようにしています。仕事してると「どうにかして記憶をリセットできないかな?」って思いますね(苦笑)。――予告編づくりの具体的な作業としては、先ほど「抜き」というプロセスが出てきましたが、他にどんな作業があり、どのようなプロセスで作っていくのでしょうか?これもディレクターごとに全く変わってくるとは思いますが、私はまず文字で予告編全体の「構成」を書きます。漠然と頭の中にある「こういう感じ」というのをきちんと整理して、枠を作るんです。――いわば「設計図」ですね?そうです。実際に予告編を作り始めてみると、なかなか設計図の通りにはいかないことも多いんですが、その“枠”を作っておくと、その後、修正が入った場合でも、何がダメだったのかが理解しやすくなるんです。――予告編の中だけで使われるようなキャッチコピーやナレーションのセリフなどもありますが、そうした文言もご自分で考えるんですか?宣伝プロデューサーさんからいただくこともありますが、必要に応じて自分で考えますね。「作ってください」と言われる場合もあるし、こちらから「試しに入れてみましたが、これでいかがですか?」と提案することもあります。だから、言葉を考える能力も必要なんです。同僚の中には「名コピーライター」と呼ばれている者もいますよ(笑)。――話を伺えば伺うほど、1から10まで自分でこなさなくてはいけない、ものすごく奥の深い仕事ですね。この会社に入って初めて知って、私も衝撃を受けました。やればやるほど終わりがないですね。私たちは決してアーティストではなく、あくまでも宣伝チームの意見を聞いて、それを具現化するという職人的な部分を求められる仕事でもあるので、それを度外視してはいけないんですけど、とはいえ、やはりクリエイティブな部分を磨いて、出していかないといけない要素もあるので、本当に不思議な職業だなと感じていますね。――土子さんは1年間で約何本の映画の予告編を担当されているんですか?1年だと40~50本くらいになりますかね…?――この仕事でいちばん難しいのはどういった部分ですか?「この映画はここがいい」「この映画のよさはここ!」と私が感じた部分を予告編で出せない場合も時にあるんですよね。それは宣伝プロデューサーの狙いや宣伝の方針、監督の意図などにもよります。そういう場合、当然ですがこちらが先方の要望に合わせていくことになるんですけど、私が感じているこの作品のよさや面白さと、宣伝チームの方針のズレ、ギャップを埋めていく、寄せていく作業というのがいちばん難しいところですね。もちろん、ウソをつくというわけではないんですが、時にあえてミスリードをしたり、作品本編とは異なるテイストの予告編にしなくてはならない場合もあります。ただ、それがあまりに度を超えてしまうと、こちらも苦戦しますね。過剰に盛ったり、ウソをついたら絶対にバレるし、ましてやいまの時代、悪い評判なんてあっという間に広まってしまいます。ウソをついたってしょうがないから、本編の中にきちんと描かれているものを見つけて、伝えていかないといけないんですけど、それが実は難しいことなんですよね。予告編で煽ったり、盛ったり、ウソついたりして、お客さんが本編を見たら「全然違うじゃねーか。金返せ!」なんて時代は終わったのかなと思います。お客さんはちゃんと見る目を持ってますから、しっかりと本編に描かれていること、本編の魅力を選び出して、そこに“売れる要素”というのをしっかりと絡めてやっていけばいいんですけど、その兼ね合いがなかなか難しいところですね。「ウソついちゃダメ」だけど「売れないといけない」。いつもこの瀬戸際でやっています(苦笑)。宣伝プロデューサーは、より多くの人に興味をもってもらうために宣伝の方向性を考えなくてはいけないですし、一方で、苦労して作品を作り上げた監督やスタッフの思いというのもあって、そのどちらの気持ちも痛いほどわかるんです…(苦笑)。それをまとめつつ、形にするのが私の仕事なので、いつもせめぎ合いながら作っています。――ディレクターごとに得意な分野の作品、苦手なジャンルの作品などはあるんですか?うちの会社に十数名のディレクターがいるんですが、コメディが得意な者もいれば、「恋愛ものはこの人!」というディレクターもいます。私はわりと好き嫌いなく何でもやりたいタイプですね。ただ、ヘビだけは苦手で(苦笑)、ネイチャー系のドキュメンタリー作品を担当したときに、他の動物は好きなんですけど、ヘビが出てきた時だけは……。ヘビって画的に強いので(予告編に)使わないといけないんですけど(笑)。ネタバレありの予告編が登場する日も近い? スマホ時代の予告編のあり方とは?――先ほど、WEBやSNS向けの映像を制作するという話も出ましたが、WEBが興隆してきたのは入社されてからですか入社した頃はまだ全然でしたね。当時はフィルムが最期のときを迎えている時期で、予告編もフィルムでした。私はできませんでしたけど、同期に入社した人間の中には、専門学校で学んでネガ編集をできる人もまだいましたね。「あと1~2年でそういうのもなくなるかもね」と言ってたら、本当になくなってしまって、私が入社して5年くらいでもう全てデジタルかDCP(デジタルシネマパッケージ)になってました。(移行が)早かったですね。それまでは大きなフィルムを抱えて運んでたんですけど、いまはほとんどデータでのやり取りです。――作業工程も大きく変わったんですね。昔はDVDもまだ普及してなくてVHSに映像を取り込んで、編集して、最終的にフィルムに焼いて映写機にかけていました。そういう意味で、ちょうどいい時代を過ごせたのかなとも思いますね。フィルムの最期の時期を見つつ、デジタルでの作業に初期から携わることもできました。いまは「現像って何ですか?」という人も多いかもしれませんね(笑)。――デジタルへ移行し、WEBの興隆によって、予告編やプロモーション映像を、人々が目にする回数も増えて、その存在価値も大きく変わったと思います。そうですね。何と言ってもスピード感が違いますね。フィルムの時代は現像にも時間がかかりましたけど、いまは作ってすぐ見れるようになりましたし、こちらが求められるスピードも変わりました。――以前は映画館かTVスポットくらいでしか目にしなかった予告編をいまではスマホや電車の広告などでいつでも見られるわけですしね。そういう意味で、レイアウトやデザインも大きく変わったと思います。以前は、劇場などの大きなスクリーンで見ることを前提で作られていて、そうすると文字などが大きすぎるとちょっとバカっぽく見えちゃったものなんですけど(笑)、それがスマホで見るとちょうどいいサイズだったりするんです。考えることが増えましたね。WEBやスマホサイズで見せる上で、どうするのが一番いいか? 特にWEBでしか使用しないプロモーション映像の場合、アップのカットを多めに入れるようになったり。今後、新しい世代の人たちがどんどん出てきたら、私たちの世代が想像もつかないようなカッティングや編集をするようになると思います。――スマホネイティブの世代が今後、増えていく中で「この映画、面白そうだな」と興味を持たせる予告編がさらに求められるようになりますね。普段から映画を見る人は、黙っていても映画館に足を運んでくれるけど、そうじゃない人たちをも巻き込んでいかないといまの時代、「大ヒット」とはならないですよね。より広い層に興味を持ってもらうためのプロモーションが大事になってくると思います。先ほどの予告編づくりの難しさの話と重なるんですが、予告編でターゲットの“間口”を狭めることはたやすいんですよ。「あの監督の作品です」とか「あの脚本家」「あのキャスト」と強く押し出していけばいいので。でも、そこだけに収まってたら、ヒットには繋がらないので、間口をより広げていくというのが宣伝プロデューサーさんの考えであり、それを私たちは予告編で形にしないといけないんです。――いずれ、認証付きで“ネタバレ”を含む予告編が登場する時代になるかもしれませんね?あり得ると思います。私が入社してからこの十数年だけでも「こんなにも予告編がわかりやすくなっていくのか!」と驚くくらい、予告編は大きく変化しました。以前はもうちょっと意味深で、想像を膨らませるようなものが多かったけど、ここ数年で、見て安心して映画館に行けるタイプの予告編が増えたと思います。肌で時代の変化を感じますし、そこは私も年齢を重ねながら仕事をしていく中で、意識して時代に付いていかないといけないなと思っています。うちの池ノ辺が以前から「常にアンテナを張ってなさい」ということを言っていて、昔はその意味がわかってなかったんですけど、今になって「そういうことか…」としみじみと感じます(笑)。若い子たちのことを「わかりません」なんて言ってられないですよ。音楽にせよ俳優にせよ「いま、若い子たちが好きなのは何か?」ということは、意識して追いかけるようにしています。もともと、多趣味なのでそれが苦ではないんですけど。結局、自分がろくに理解もせず、キライなままでは納得して仕事ができないですよね。自分が携わる映画だって、もちろん私自身の好みはありますけど、それをキライなままではいい仕事にならないので、まずはいいところを見つけるところから始めます。――これまで携わった作品の中で、印象深い経験、忘れられない思い出などがあれば教えてください。河瀨直美監督の『あん』で、ナレーション録りが必要で、主演の樹木希林さんとお会いすることができたんですね。撮影現場にお邪魔させていただいて、ナレーションのセリフで「どのシーンも『これが最後なのかな?』なんて思いながら頑張っています」という言葉もあったりしたんですけど、樹木さんは笑顔で「やるわよ」と引き受けてくださって。佇まいがすごくて…忘れられない経験ですね。専門学校時代に下宿させてもらってお世話になったおじとおばが住んでいたのが東村山だったんですけど、撮影現場もちょうど東村山だったんです。「東村山で撮影があって、樹木希林さんとお会いできたんだよ」という話をしたら、すごく喜んでくれたんです。チケットをあげて、映画も見てもらえて…。もう、おじとおばは亡くなってしまったんですけど、あの時は少しは恩返しができたかなということで、私情も交じりつつ忘れられない作品になりました。この仕事をやっていてよかったなと思いましたね。――仕事でやりがいを感じる瞬間について教えてください。自分が担当している作品について、周りに話せないことが多いんですが、何も知らない友人が、私の作った予告編を見て「あの映画、すごく面白そうだよね」と言うのを聞くと嬉しいですね。あとはやはり、宣伝プロデューサーが喜んでくれた時も本当に嬉しいですし、その作品がヒットにつながるともっと嬉しいです(笑)。――今後、お仕事でやってみたいこと、実現したいことなどはありますか?作品のヒットにつながる予告編を作っていくことが仕事ですが、いまやっていることの延長線上で、私に頼んでよかったと思ってもらえるディレクターになっていかないといけないなと思います。新しいことをやりたいというよりも、いまできることを着実にやっていくしかないのかなと。その上で先ほども言いましたが、常にアンテナを張り続けて、新しいものをどんどん吸収していかないといけないなと思います。ただ、基本的な人間の感動するポイントや「この映画、見たい」と思わせる要素というのは変わらないと思うんです。新しい時代に取り残されないようにしつつ(笑)、変わらずに地道にいい予告編を作っていけたらと思いますね。――最後に映画業界を志す人たちへメッセージをお願いします。この仕事、宣伝にも携わりつつ、作品づくりにも深く関係する総合的な仕事だなと思います。いろんなことができる仕事だと言えると思うので、狭い世界だと思わずに、興味を持ってもらえたらと思います。(text:Naoki Kurozu)
2019年12月18日阿川佐和子によるトーク番組「サワコの朝」の11月23日(土)放送回に、エッセイストの内田也哉子がゲスト出演。母・樹木希林との最期の日々や、父・内田裕也との思い出、家族の日常などを語る。両親は『海街diary』『万引き家族』『日日是好日』などで知られる女優の樹木さん、ミュージシャンとしてだけでなく監督、脚本、俳優と多彩な活躍をみせた内田裕也、夫は『おくりびと』『天空の蜂』などの本木雅弘。自身も女優として『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』などに出演、エッセイストとして活動する内田さん。昨年9月に他界した樹木さんについて「ナイフのような鋭い直感力で生きていた」と話す也哉子さんは、今回、いましかないというタイミングで病院から自宅に戻った母が、希望していた“自宅での死”を叶えた最期の日の話を披露。「声があんまり出なかったんですけど、最後の最後にあんなに疲れた状態でもなお“ありがとう”って3回言ったんです」とその日の様子を明かし、「初めて穏やかな家族としての一体感があった」“最期の瞬間”から、その数時間後にはマスコミが押し寄せたという当時をふり返る。その後を追うように今年3月、父の裕也さんも逝去。「父の出所時にはヘリコプターが飛んでました。喜劇と悲劇が常に混在していました」と自分が生まれる前にはすでに別居状態だった両親との日常を回顧。その日常は夫婦喧嘩が絶えず「包丁が何度も欠ける日々」だったが、母から父の悪口は一切聞いたことがなかったとか。そんな樹木さんと裕也さんの不思議な関係をはじめ、両親にジレンマを抱えていた思春期や、樹木さんが最後まで伝えたかったことを也哉子さんが語っていく。「サワコの朝」は11月23日(土)7時30分~MBS/TBS系で放送。(笠緒)
2019年11月22日女優の上白石萌歌が、映画『子供はわかってあげない』(2020年初夏公開)に主演することが11日、明らかになった。 細田佳央太が相手役を務める。同作は「マンガ大賞2015」で2位にランクインした田島列島による長編デビュー作の実写化作品。もうすぐ夏休みのある日、高校2年の美波(上白石)は水泳部の練習中に、ちょっと変わった書道部員のもじくん(細田)と学校の屋上で運命的に出会い、思いもよらない父親探しの旅が始まる。主人公の美波を演じるのは上白石は、第7回「東宝シンデレラ」オーディショングランプリに輝き、『義母と娘のブルース』で注目を集める。『未来のミライ』では主人公の男の子役で声優に初挑戦し、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(19)、『いだてん~東京オリムピック噺~』(19)など話題作に出演。引っぱりだこの上白石が、7月から8月にかけて約1カ月の撮影に挑み、特別な夏を過ごした。相手役の細田は、超新人ながら石井裕也監督作『町田くんの世界』主演に大抜擢され話題を呼んだ。本作では沖田修一監督とタッグを組み、日本映画を代表する監督たちの起用が続く。『南極料理人』『横道世之介』など、手がけた作品たちが愛され続ける沖田監督は、山崎努・樹木希林が演じる円熟の夫婦を描いた『モリのいる場所』から一転、以前から熱望していたテーマのひとつである“高校生の青春”に挑む。○上白石萌歌 コメントかねてから大好きだった沖田監督の作品に携われることが心から幸せでした。瑞々しい原作の空気感と沖田監督の映像美がどんな化学反応を起こすのか楽しみで仕方がありませんでした。ずっと沖田監督の世界で息をしていたくて、撮影が終わるのがとても寂しかったです。そして、共演の細田佳央太さんはお芝居をするうえで一番助けられた存在。門司くんは彼そのもので、細田さんがいなければ美波を演じきれなかったかもしれないと思うほどです。10代最後の夏はすべての想いをこの作品に込めました。きっと人生の宝になります。○細田佳央太 コメント沖田監督から『原作の門司くんっぽさは台詞で表しているから、細田くんは自由にお芝居して良いよ』と言って頂いて作品に入ったので、原作を意識しすぎず自分らしく門司くんと向き合うことが出来ました。沖田組の明るく、笑いが絶えない雰囲気が、自然と原作の世界観に寄っていったのだと思います。?上白石さんにもお芝居で引っ張って頂き、特にラストシーンの二人芝居では、目のお芝居に感化されました。?高校最後の夏に沖田組での撮影に参加させて頂けたこと、素敵な共演者・スタッフの方々・作品に巡り会えたこと、全てに感謝です。○沖田修一監督 コメント何気なく手にして読んだ、好きな原作でした。田島列島さんの描かれた、独特のユーモアのようなものを、映画にするのが、難しそうでしたが、それ以上に楽しそうで、挑戦してみることにしました。美波を探す中で、上白石さんに会いました。自分の映画の雰囲気に、とても似合いそうだと思いました。素朴な可愛らしさがあって、映画のために身体を張ってくれる強さもありました。あと、すごい泳げました。細田くんは、驚くほどに純粋な青年で、今時珍しいくらいでした。この二人と一緒に、映画を作れる喜びを感じながら、一夏の撮影をさせてもらいました?○田島列島 コメントこの度『子供はわかってあげない』が実写映画化という事で、漫画・映画好きの心の中に常にある漫画の実写映画化どないやねん問題ですが、あの沖田修一監督が撮ってくださるということで、私、イチ邦画ファンとしましても大変出来上がりが楽しみな作品です。私の漫画を大切に思ってくださる方にも楽しみにして頂けたら嬉しいです。
2019年11月11日韓国映画として初めてカンヌ国際映画祭のパルムドールに輝いた『パラサイト半地下の家族』のポン・ジュノ監督が緊急来日。11月7日(木)に都内で行われた国内最速試写会に、サプライズ登壇し、日本のファンを驚かせた。「ただ純粋に面白い映画を撮りたかっただけ」セレブ一家の豪邸に、家庭教師として潜り込み“寄生(パラサイト)”を試みた貧しいキム一家が、そこで想像を絶する悲喜劇に巻き込まれてしまう。主演を務めるのは、ポン・ジュノ監督と4度目のタッグとなった名優のソン・ガンホ。来年2月に開催される第92回アカデミー賞の国際長編映画賞に韓国代表として出品されている。すでに各国では、エンターテインメント性と社会的なメッセージの共存した内容に絶賛の声が集まっているが、ポン・ジュノ監督自身は「ただ純粋に面白い映画を撮りたかっただけ」と断言。「登場人物たちは、政治に高い関心があるわけでもないし、富裕層に闘争を仕掛けようとも思っていません。彼らは皆、明確な善悪で判断できない、つまり私たちの周りにいるリアルな存在なのです。だからこそ、結果的に社会的なメッセージにつながったのかもしれませんが」と分析した。パルムドールからアカデミー賞へ「是枝監督と同じ道を歩めれば」アカデミー賞の国際長編映画賞に関しては、早くも“最有力”の呼び声も高い。その点については「オスカーの投票方法は複雑なので、期待をしていいものなのか」と苦笑いし、「ただ、昨年パルムドールを受賞した是枝(裕和)監督の『万引き家族』が、アカデミー賞で同じ部門にノミネートされましたから、韓国では同じ道を歩めれば…と期待されています。そちらのほうがプレッシャーです」と胸中を語った。実現間近?日本での映画製作にも意欲かつてオムニバス映画『TOKYO!』で、香川照之を主演に日本での撮影に挑んだ経験があるポン・ジュノ監督。実は「一昨年前から日本のプロデューサーと持続的にお会いし、また日本で映画を撮る構想を練っている」のだとか!また、関心がある日本の俳優を聞かれると浅野忠信、広瀬すずの名前が挙がった。「それに尊敬する樹木希林さんとは、お仕事をしたかった。『母なる証明』を日本でリメイクするなら、母親役は樹木希林さんではないでしょうか」と話していた。『パラサイト 半地下の家族』は2020年1月10日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2019年11月07日子役の寺田心が1日、都内で行われた「2019 59th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」贈賞式に出席。フィルム部門 演技賞に選出された喜びを語った。フィルム部門 演技賞は今年、寺田、草なぎ剛と香取慎吾、樹木希林さん、リリー・フランキーが受賞。寺田は、ブックオフコーポレーションのテレビCM「フィクションは本だけに店員篇他1篇」での演技を評価され選出された。贈賞式で寺田は「今この場に立って、周りは素晴らしい方ばかりで、僕がいただいてもいいのかなー? ってわからないくらいとっても大きな賞をいただき、いろんな方に感謝の気持ちでいっぱいです」と恐縮しながら感謝。「この喜びをスタッフさんたちに、そしていつも僕を応援してくださるみなさんに伝えたいです。本当にありがとうございました」と堂々とあいさつし、会場の大人たちを感心させた。その後、同CMでおなじみのエプロンをつけた店員姿も披露し、可愛らしい姿で注目を集めていた。
2019年11月02日元SMAPの草なぎ剛と香取慎吾が1日、都内で行われた「2019 59th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」贈賞式に出席。フィルム部門 演技賞を受賞した喜びを語った。草なぎと香取は、アンファーの発毛剤「スカルプDメディカルミノキ5」のCM「アンファー・ミノキ兄弟2018/出会い篇他3篇」での演技が評価され受賞。同CMで2人は、“ミノキ兄弟”として兄弟役を演じた。草なぎは「名誉ある賞をいただき心より感謝し、本当にうれしく思っています」と喜び、「このCMでは香取くんと兄弟。香取くんとは30年近く一緒にいるんですけど、僕のほうが背が低かったりして香取くんのほうがお兄ちゃんと思われている方もたくさんいるんです。でもこのCMでは僕が兄。僕のほうがえらくなっている気がして気分がいい撮影なんです」とうれしそうにコメント。「30年近く一緒にいて兄弟役をやったことがなかったので、とても好きなCMで、新しい環境になってからいただいたお仕事でこのような形で評価していただいてうれしく思っています」と感慨深げに語った。香取も「素敵な賞をいただきうれしく思っています。演技を小学生の頃から30年以上やらせていただいているですけど、賞というものをもらったことがなく、この演技賞のためにここまでやてきたんだなと。演技で賞をもらえたのがこのアンファーの“ミノキ兄弟”っていうのが、一生僕の中に残ります」とややオーバーに話し、会場から笑いが。そして、「この賞をいただいたのは、子供の頃から自分の本当の兄のように慕ってきた草なぎさんのおかげだ。1人では乗り越えることはできなかったと思います。草なぎさんは俳優としてもとっても憧れの人で…」と草なぎを立てるコメントを続け、草なぎが「もう別に僕のことは…」とツッコミ。「すごくうれしいよ、兄さん!」(香取)、「弟よ!」(草なぎ)と“兄弟”のやりとりも披露して会場を盛り上げた。「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」は、テレビ、ラジオCMの質的向上を目的に、1961年より開催されてきた広告賞「ACC CM FESTIVAL」を前身とし、2017年よりその枠を大きく拡げ、あらゆる領域におけるクリエイティブを対象としたアワードにリニューアルした。フィルム部門 演技賞は、草なぎと香取のほか、寺田心、樹木希林さん、リリー・フランキーも受賞。贈賞式には、寺田、リリー、そして、樹木さんの代理として娘でエッセイリストの内田也哉子が登壇した。
2019年11月01日笑福亭鶴瓶主演映画『閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー』が、中国版アカデミー賞と呼ばれる金鶏百花映画祭の外国語映画部門にノミネートされたことが分かった。本作は、帚木蓬生の山本周五郎賞受賞作「閉鎖病棟」を、『愛を乞うひと』の平山秀幸監督・脚本で映画化。主演の鶴瓶さんが、死刑囚でありながら刑の執行が失敗し精神科病棟にいる秀丸を演じ、綾野剛、小松菜奈らが出演。精神科病棟を舞台にしたヒューマンドラマが描かれる。そんな本作がノミネート決定した今年で28回目を数える金鶏百花映画祭(Golden Rooster & Hundred Flowers Film Festival)は、中国の映画業界関係者、製作者、そして一般の人々からの投票も含め大賞を決定する、参加者約4万人規模の映画祭。開催地は毎年変更され、今年は11月19日から23日まで、廈門(アモイ)で開催。東映配給作品としては、これまで『おしん』(冨樫森監督)が日本映画初として外国語映画部門最優秀作品賞を受賞したほか、『ツレがうつになりまして。』(佐々部清監督)も同賞を受賞。昨年は山崎努と樹木希林が共演した『モリのいる場所』(沖田修一監督)が外国語映画部門最優秀作品賞、最優秀監督賞を受賞した。なお、本作のノミネートが決定した外国語映画部門の授賞式は22日に行われ、平山監督が出席する予定。平山監督は「映画の現場も大きな祭りでした。映画祭への参加は、文字通りまだ祭りが続いている気分がします。しっかり楽しんできたいと思います」と意気込んでいる。また今回の発表と同時に映画の場面写真とメイキング写真も到着。メイキング写真には、監督が鶴瓶さんと小松さんに真剣な眼差しでアドバイスする場面が切り取られ、初解禁の場面写真では、秀丸に優しく微笑む綾野さん演じるチュウさんの姿が写し出されている。『閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー』は11月1日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:閉鎖病棟―それぞれの朝― 2019年11月1日より全国にて公開©2019「閉鎖病棟」製作委員会©H. Hahakigi / Sncs
2019年10月29日女優・樹木希林さん(享年75)が遺した愛用品に、じっと眼差しを注いでいたのは、安倍晋三首相夫人の安倍昭恵さん(57)。10月15日、昭恵さんが百貨店・西武池袋の別館をお忍びで訪問する姿を本誌はキャッチした。この日は、西武ギャラリーで開催されていた「樹木希林遊びをせんとや生まれけむ展・完全版」の最終日。「夕方で、かなり混みあっていたのですが、気が付いたら昭恵夫人が来場していて驚きました。展覧会の関係者らしき男性や女性も来ていて、その人たちから展示物の説明を熱心に聞いていましたね」(会場にいた女性)沖縄県の辺野古で米軍基地建設反対運動を激励するなど、反体制を貫いた名女優と首相夫人の取り合わせは意外に思えるが、ある映画関係者は言う。「2人を結び付けたのは、希林さんが主演した『あん』(’15年公開)です。希林さんは、元ハンセン病患者であんこ作りの名人という老女を演じました。いっぽう昭恵夫人は以前からハンセン病啓発活動に関心を示しており、’07年には香川県にあるハンセン病療養所を訪問しています。’15年5月に行われた『あん』のプレミアム試写会にも昭恵夫人は招待されており、映画観賞後に、出演者らと歓談したのです」昭恵さんは希林さんの演技に感動したばかりでなく、その人柄にも引かれたのだという。前出の映画関係者が続ける。「昭恵夫人は特に希林さんと長い時間をかけて話し合っていました。そして希林さんのことを“人の悲しみに深く寄り添うことができる女性”と、尊敬の念を覚えたそうです。お2人は、今後も偏見を受け続けてきたハンセン病の元患者さんのために尽くすことを約束し合ったのです」昭恵さんは映画『あん』を安倍首相にもすすめ、夫妻で観賞したという。しかし、その後は森友学園問題なども噴出、また希林さんが’18年9月に他界したこともあり、再会の機会はなかった。「台風19号の被害が明らかになっていくなか、展覧会を訪れるのは昭恵夫人にとっても、ためらいを覚えることだったに違いありません。それでもあえて来場したのは、希林さんへ追悼の思いをどうしても表したかったからなのでしょう」(前出・映画関係者)展覧会では、希林さん手作りのブランケットをそっと撫でていた昭恵さん。その胸に去来していたのは、希林さんと交わした約束だったのだろうか。
2019年10月23日元SMAPの草なぎ剛と香取慎吾が、「2019 59th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」フィルム部門 演技賞に選出されたことが16日、わかった。ユニークかつ秀逸な技術・技能を発揮した個人を対象としたクラフト賞の中で、最も優れた演技力を発揮した人に贈られる演技賞。草なぎと香取は、アンファーの発毛剤「スカルプDメディカルミノキ5」のCM「アンファー・ミノキ兄弟2018/出会い篇他3篇」での演技が評価された。草なぎと香取のほか、寺田心、樹木希林、リリー・フランキーも同賞に選出された。
2019年10月16日「娘のドラマは、いつも見ています。(主演した)『これは経費で落ちません!』(NHK)も話題になってうれしかったです」そう語るのは、女優・多部未華子(30)の母。10月1日、多部が写真家の熊田貴樹氏と結婚したことを公表した。熊田氏は40代というが、どんな男性なのだろうか。多部の母に聞くと――。「そうですね、もう何度かお会いしていますが、“いい方”というのが、いちばんの印象です。年齢差?そういった不安はないですね。家事については……、どうでしょう(笑)。私はそんなに(娘に)料理を作ってもらったことはありませんが、これから頑張ると思いますよ」多部にはこの数年、交際報道もなく、まさに“電撃婚”だった。芸能関係者は言う。「’13年に写真誌により熱愛が報じられた俳優・窪田正孝(31)とは、’16年ごろに破局したと言われています。多部はそれ以降“結婚願望”も薄れてしまったようで、’17年には月刊誌のインタビューで《今ではマネージャーさんにも『結婚がすべてじゃない!』とアツく語っています》(『MORE』’17年3月号)などと、明かしています」実はそんな彼女に影響を及ぼしたのが、樹木希林さん(享年76)だったという。希林さんが亡くなったのは’18年9月。がんに侵された彼女が命をかけて撮影に臨んだ映画が『日日是好日』(’18年10月公開)だった。晩年の希林さんと交流があり『日日是好日』でも着物や茶道のオフィシャル・アドバイザーを務めた観世あすかさんは言う。「樹木さんは映画で共演した黒木華さん(29)と多部さんを、『自分の跡を継いでくれる女優』と、おっしゃっていました。多部さんについては、『いまは若くてきれいなだけの女優が多いけど、あのコは顔が整っているだけでなく、女優として芯がある』とも言っていましたね」多部は舞台挨拶で「付き合っている人いるの?」「整形しているの?」など、希林さんから色々と質問されたことを明かしている。「多部さんを認めていたからこそ、ズバズバと質問されていたのでしょうね。撮影の合間に希林さんと黒木さんや多部さんは、いろいろなことを話していました。そのなかで希林さんがこんなことを言われたのです。『結婚にはいろいろな形があるけれども、私は(内田裕也さんとの)結婚を続けてよかった』。何げない一言でしたが、とても印象に残っています。多部さんが結婚されたと伺ったとき、希林さんの、あの言葉も後押しになったのかな、と思いました」(観世さん)多部が選択した結婚生活は、希林さんの“跡継ぎ”となるうえでも大きな糧となるだろう。
2019年10月13日最新作『真実』が公開される是枝裕和監督がメガホンを取り、新火曜ドラマ「まだ結婚できない男」で主演を務める俳優の阿部寛が故・樹木希林と親子役を演じた『海よりもまだ深く』が、10月11日(金)今夜、フジテレビ系で地上波初放送される。『そして父になる』で第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞に、続く『海街diary』では第39回日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝き、2018年の『万引き家族』がカンヌの最高峰、パルム・ドールを獲得と、国内外で作品が高く評価される是枝監督が2016年に世に送り出した本作。主演には『テルマエ・ロマエ』で第36回日本アカデミー賞 最優秀主演男優賞に輝いたのをはじめ『ふしぎな岬の物語』『柘榴坂の仇討』といった作品で日本アカデミー賞を受賞、是枝監督の『奇跡』にも出演している阿部さん。そんな阿部さんと『奇跡』以来の親子役で共演するのが『そして父になる』『海街diary』『万引き家族』と是枝作品の常連となった樹木さん。そのほかリリー・フランキー、池松壮亮といった是枝作品で知られる面々に『モテキ』『焼肉ドラゴン』などの真木よう子、さらに小林聡美、吉沢太陽、橋爪功といった俳優陣が共演。ダメ人生を更新中の中年男、良多(阿部さん)は、15年前に文学賞を1度とったきりの自称作家。いまは探偵事務所に勤めているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳している。元妻の響子(真木さん)には愛想を尽かされ、息子・真悟の養育費も満足に払えないくせに、彼女に新恋人ができたことにショックを受けている。そんな良多の頼みの綱は、団地で気楽な独り暮らしを送る母・淑子(樹木さん)。ある日、たまたま淑子の家に集まった良多、響子、真悟は、台風のため翌朝まで帰れなくなり、“元家族”で一夜を共に過ごすことになるが…といったストーリー。カンヌグランプリに輝いた是枝監督がフランスを代表する名女優であるカトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュやイーサン・ホークらをキャストに、オールフランスロケ、スタッフもフランス人という初の国際共同製作に挑んだ最新作『真実』は10月11日(金)本日からTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。阿部さん主演の新火曜ドラマ「まだ結婚できない男」は毎週火曜21時~フジテレビ系で放送中。『海よりもまだ深く』は10月11日(金)今夜21時~フジテレビ系で地上波初放送。※「FIVBワールドカップバレーボール2019」延長の際、放送時間繰り下げの場合あり(笠緒)
2019年10月11日『万引き家族』『パラサイト 半地下の家族』にて、それぞれカンヌ国際映画祭の最高賞であるパルムドールを受賞し、東アジアに2年連続の栄冠をもたらした是枝裕和監督と、ポン・ジュノ監督。世界から高い注目を浴びるふたりの鬼才が対談し、互いの作品について鋭い考察や質問を投げ合うオリジナル番組「日韓から『家族』を描く是枝裕和×ポン・ジュノ」が、12日、日本映画専門チャンネルにて放送される。是枝監督作品の常連だった樹木希林や、これからを担う女優・広瀬すずについても語られた。テレビのドキュメンタリーの演出を経て映画監督デビューを果たし、『誰も知らない』『そして父になる』などを発表してきた是枝監督。この11日からはカトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュを迎えた日仏合作の『真実』が公開となった。『ほえる犬は噛まない』で劇場長編デビューしたポン監督は、『殺人の追憶』や『グエムル―漢江の怪物―』などで、日本でもファンを獲得。新作『パラサイト 半地下の家族』は2020年1月に日本公開される。ポン監督の『オクジャ/okja』のとき以来、2年ぶりの再会となったふたりだが、普段から交流はあり、ポン監督のパルムドール受賞の際には、是枝監督からすぐに祝辞のメールが入ったという。ふたりの対談では、矢継ぎ早にポン監督から是枝監督への質問が続いた。『万引き家族』の海辺のシーンに感極まったというポン監督。監督が作品を観たのは、樹木希林が亡くなった後のことであり、特別な思いを持って、そのシーンを観たと振り返る。是枝監督は、同シーンでの樹木のセリフにまつわる秘話を明かすとともに、樹木がポン監督の『母なる証明』をとても好きだったと伝えた。また同じく『万引き家族』より、終盤での安藤サクラの演技にまつわる話では、安藤の意外な演技アプローチにポン監督が唸る場面もあった。役者に関しては、ポン監督は「広瀬すずが好きだ」という話も。是枝監督からそのことを振られたポン監督は、『海街diary』での広瀬すずの、作品全体における存在感を絶賛。『三度目の殺人』での成長ぶりにも驚いたと明かすと、是枝監督も将来とても楽しみな女優と評し、「広瀬さんは耳がとてもいいので、きっと外国語もできる。ぜひポン監督の作品での彼女も見てみたい」と希望を口にした。ほかにも是枝監督の子役演出や、互いに脚本も手掛けるふたりの執筆スタイル、『パラサイト~』のセットについて、是枝監督の自伝から絵コンテにまつわる話、外国で映画を撮ることなど、多くを語ったふたり。特に終始、ポン監督からの是枝監督へのリスペクトが印象的で、ポン監督ならではの是枝作品への深い洞察を知ることができる。東アジアを引っ張るふたりの鬼才の濃い対談を聞けるまたとないチャンスだ。「特集・是枝裕和×ポン・ジュノ」と題し、オリジナル番組「日韓から『家族』を描く是枝裕和×ポン・ジュノ」、そして両監督の代表作『万引き家族』(監督:是枝裕和)、『母なる照明』(監督:ポン・ジュノ)を日本映画専門チャンネルにて、10月12日21時より3作品一挙放送される。
2019年10月11日「ぴあ」調査による2019年10月4日、5日公開のぴあ映画初日満足度ランキングは、人気シリーズ最新作『HiGH&LOW THE WORST』が第1位になった。劇場には「前売り券を買って公開を待ちわびていた」と話す作品ファンが集結し、「やっぱりこれがHiGH&LOWだよね!っていう要素がつまっていて大満足!」と熱い声があがった。本作は、高橋ヒロシの伝説的な不良コミックス『クローズ』と『WORST』とのクロスオーバー作品で、映画化にあたり高橋ヒロシが脚本を手がけ、HiGH&LOWシリーズの“鬼邪高校”と、『クローズ』『WORST』シリーズの“鳳仙学園”の頂上決戦の行方が描かれる。観客からは「コラボすると聞いて正直、どうなのかな?って思ったけど、やっぱりこれがHiGH&LOWだよね!っていう要素がつまっていて大満足!」「男の熱い友情を感じた!」「両校のぶつかり合いがいい。アクションシーンに迫力と派手さがあってとても満足」「セットがすごい! 絶望団地のおどろおどろしい雰囲気とか、鳳仙学園、鈴蘭高校の再現度が高い」など熱いコメントが続出。中には「映画の見どころは、カメラワークと音の使い方。カメラワークはどこから撮ってるんだというくらいすごい。音は主に登場曲がすごくて、キャラが登場するときや喧嘩が始まるときにイメージの曲が流れて非常に盛り上がるので、注目ポイント!」と話す人もいた。また、「今までのHiGH&LOWとは違って、新しい時代の幕開けのように感じた。これからがもっと楽しみになった」と次回作を熱望する声もあった。【ぴあ映画初日満足度ランキング】1位『HiGH&LOW THE WORST』93.4点2位『牙狼〈GARO〉-月虹ノ旅人-』92.8点3位『ジョーカー』90.7点4位『毒戦 BELIEVER』88.5点5位『ジョン・ウィック:パラベラム』88.2点6位『蜜蜂と遠雷』86.8点7位『“樹木希林”を生きる』86.3点7位『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』86.3点9位『BLACKFOX』84.9点10位『典座 -TENZO-』82.3点(本ランキングは、10/4(金)、5(土)に公開された新作映画12本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)※高橋ヒロシの「高」は、はしごだかが正式表記
2019年10月07日東京ミッドタウン日比谷にて開催される「HIBIYA CINEMA FESTIVAL(日比谷シネマフェスティバル)」。このイベント期間中に開催する「トロント日本映画祭 in 日比谷」での上映8作品が決定した。「HIBIYA CINEMA FESTIVAL」は、普段は静かな空間で観ることの多い映画を、屋外大型ビジョンを中心に“観る”だけでなく“参加する”ことにもこだわった“体験する映画祭”。今年は、大型ビジョンへデバイスをかざすと最新作『ルパン三世 THE FIRST』のキャラクターが街へ飛び出す…!?最新AR技術を活用し映画の世界が現実へ拡張する体験が味わえる「ルパン三世 THE FIRST インタラクティブシアター」と、今年6月の「トロント日本映画祭」で上映された最新作を上映する「トロント日本映画祭 in 日比谷」が、10月18日(金)~10月27日(日)の期間で開催。さらに、10月28日(月)~11月4日(月・祝)の期間でアジア最大級の国際映画祭「第32回東京国際映画祭」の日比谷会場が登場。「日比谷オープニングイベント」「東京国際映画祭屋外上映会」「ゴジラ・フェス 2019」の3つのプログラムを実施予定だ。そして今回発表されたのは、「トロント日本映画祭 in 日比谷」の全8作品。ここでは、外国人の方にも邦画を楽しんでもらえるように英語字幕付き邦画上映を実施。矢口史靖監督によるミュージカルコメディ『ダンスウィズミー』や、二階堂ふみが初の男役、GACKTが高校生役に扮し、魔夜峰央の漫画を実写化した『翔んで埼玉』、山崎努と樹木希林さんが初共演した『モリのいる場所』をはじめ、『恋のしずく』『ウスケボーイズ』『ねことじいちゃん』『かぞくいろ―RAILWAYS わたしたちの出発―』『ビブリア古書堂の事件手帖』を上映。また矢口監督、柿崎ゆうじ監督、吉田康弘監督、三島有紀子監督と上映作品の監督が挨拶&トークセッションも行う。さらに、今年は“リラックスエリア”も登場!都心の真ん中で上質な映画体験を楽しんでもらうための特別シートとして、デッキチェアとブランケットをセットで貸し出すという(40席※先着順、500円)。ほかにも、『ルパン三世 THE FIRST』コラボレーションメニューが登場。ハンバーガー/ホットドッグを提供する全5店舗で同作のキャラクター5種のオリジナルフラッグピックつきのメニューを提供。各店でルパン三世をイメージしたオリジナルスイーツ・ドリンクメニューも展開予定だ。「HIBIYA CINEMA FESTIVAL」は10月18日(金)~11月4日(月・祝)日比谷ステップ広場、日比谷アートゲートほかにて開催。(cinemacafe.net)
2019年10月06日故・樹木希林さんに長期密着取材したドキュメンタリー映画『“樹木希林”を生きる』。公開間近となった本作から、この度本編の冒頭映像が到着した。樹木さんに長期密着取材し、大反響を呼んだドキュメンタリー番組に、未公開映像を加えて再編集した今回の映画。到着した冒頭映像では、公開中の予告編よりもっと多くの樹木さんの姿を映し出す。自ら運転をするシーンから始まり、番組プロデューサーとのギャラ交渉する場面、撮影現場のまかないの時間や出番待ちの空き時間と、樹木さんの日常が映し出される。誰にでも自由にツッコミを入れ、思ったことを口にし、それでも気遣いを忘れない。そこには、類まれなユーモアが溢れている。また、撮影現場に向かう車中、運転しながら「日常生活と仕事がパキパキとなっていなくて、近所に買い物に行くのとかわらない」と笑顔で語るシーンも。映像では、樹木さんの素顔を覗くことができる。映画『“樹木希林”を生きる』は10月4日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2019年09月30日9月28日、29日の全国映画動員ランキングは、『記憶にございません!』(全国352館)が首位を守り、3週連続トップになった。続く、公開4週目の『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』(全国292館)も先週と変わらず。公開11週目の『天気の子』(全国366館)は先週4位から3位に順位を上げた。公開3週目の『人間失格 太宰治と3人の女たち』(全国320館)も先週5位から4位にランクアップ。公開2週目の『アド・アストラ』(全国354館)は先週3位から5位になった。公開2週目の『HELLO WORLD』(全国255館)と、公開6週目の『劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』(全国324館)は先週と変わらず。公開2週目の『アナベル 死霊博物館』(全国169館)は先週10位から8位に順位を上げた。また新作では、今野敏のシリーズ小説を西島秀俊の主演で映画化した『任侠学園』(全国186館)が初登場9位に入った。次週は『エンテベ空港の7日間』『牙狼〈GARO〉-月虹ノ旅人-』『“樹木希林”を生きる』『ジョーカー』『ジョン・ウィック:パラベラム』『HiGH&LOW THE WORST』『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』『蜜蜂と遠雷』などが封切られる。全国映画動員ランキングトップ10(興行通信社調べ)1位『記憶にございません!』2位『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~』3位『天気の子』4位『人間失格 太宰治と3人の女たち』5位『アド・アストラ』6位『HELLO WORLD』7位『劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』8位『アナベル 死霊博物館』9位『任侠学園』10位『ライオン・キング』
2019年09月30日昨年9月15日に逝去した樹木希林さん(享年75)。型破りに生きた名女優の存在は、いまも人々の心をとらえ続けている。10月4日からは、最後の日々に密着したドキュメンタリー映画『“樹木希林”を生きる』が公開予定。また10月2日からは東京・西武池袋店で展示会『樹木希林 遊びをせんとや生まれけむ展・ 完全版』も開催される。希林さんの1人娘で文筆家の内田也哉子(43)は、一周忌を前に週刊誌の対談で、母の最期についても語っている。《だいぶ意識が遠のいてしまっていて、とても遠い目をしているんです。(中略)そのとき長男の雅樂が母の手を握ってたんですけれど、(父の内田)裕也がそうやって電話で母に話しかけると、ギュッと手を握り返したというんですよ》(『週刊朝日』9月20日号)現在、希林さんの孫・雅樂(21)はUTAとしてモデル活動をしている。彼がモデルデビューを志したのは《服というのは内面を映す鏡。いろいろな服を着ることで、より自分を客観視することができる》という、希林さんの言葉に感銘を受けたからだという。本誌は逝去の2カ月前にインタビューしたのだが、最愛の孫の未来についても“希林節”を炸裂させてくれた。「孫は昔からやたらと背が高かったから。かもいに頭をぶつけるだけじゃなく、何か利用方法はないものかね、と前から私は言っていたんです。そういう意味では、モデルという仕事も“利用方法”の1つですよね」父の本木雅弘(53)も演技力が高い評価を受けている。記者がUTAの俳優デビューの可能性について聞くと……。「タレントとか俳優に全然向いていないね。だって、まったくしゃべらないもの。こんなにおしゃべりなおばあちゃんやおじいちゃんがいるのにね」本誌を通じて孫に“俳優には向いていない”という忠告を遺した希林さん。しかし、そのメッセージを受けた孫は、祖母との別れに際して自らの人生を真摯に見つめなおしていたようだ。また、ある芸能プロダクション関係者は言う。「UTAさんは現在、モデルとして活動しています。しかし今後はもっと活動の幅を広げていくと聞いています。具体的には、俳優デビューを検討しているそうです。彼は“祖母のように魂で表現できる俳優になりたい”と語っているそうで、まずは映画出演を目指すとか。高身長で、面差しも本木さんに似ていますから、まさに“逸材”ですね」“撮影現場に慣れるため”という目的もあったのだろうか。今年4月に放映された『サントリー天然水 GREEN TEA』のCMで、UTAは父との初共演を果たしている。CMの製作に携わったスタッフが、現場での彼の様子を語る。「最初は言葉数も少なかったのですが、私も樹木希林さんのファンでしたので、好きな作品などのことについて話しかけていたら、懐かしそうにお祖母さんのことを話してくれました。UTAさんも映画が好きで、日本に帰国したときや、飛行機の機内上映などで、希林さんや本木さんが出演している作品を見るようにしていたそうです。希林さんの演技に感動し、そのことを話したそうですが、『言葉が足りずに、うまく伝えられなくて、祖母に軽く怒られました』と笑っていました」また撮影現場では監督から演技経験などについて聞かれたとき、こんなことを静かに、だが、しっかりと語っていたという。「モデルとして表現力を高めるために、これまでも演技のレッスンは受けていました。将来は、俳優としても活動出来たら嬉しいです」一周忌の数日前、東京都内にある内田家には、数人の花束を持った来客があった。「命日も近いので、(希林さんの)ご友人たちが、お花を持ってきてくださっているのです。9月15日は家族のスケジュールもあわないので、一周忌法要は予定していません。ただ後日、家族や親戚が集まって(法要)を行う予定です」(内田家の関係者)UTAもその日に合わせて、日本に帰国するようだ。きっと墓前では“バーバの遺志を継ぐ俳優を目指します”と、決意を語りかけることだろう。
2019年09月20日「死なないで…」子どもの自殺がもっとも多いといわれる9月1日に、祈るようにこの言葉をつぶやいていた樹木希林さん。樹木さんの娘の内田也哉子さんが母の言葉を残そうと、 『9月1日 母からのバトン』 という書籍が生まれました。1回目では樹木さんの言葉の意味するところ、伝えたかったメッセージについて考えてきました。今回は、「学校に行くのってあたり前なの?」というテーマで、学校以外の選択肢や具体的に親子が救われる方法について、前回に引き続き不登校新聞の石井志昂(いしい しこう)編集長といっしょに考えていきたいと思います。 「『学校に行けない子どもたち』に最後まで想いを寄せ続けたワケ」 の続きです。 ■「学校に行くのがあたり前」の日本で苦しむ親子小学1年生になると、日本では義務教育が始まり、社会のあたり前のこととして、子どもたちは学校に通います。石井さんは、「不登校っていまの学歴社会のなかでは一大事なわけです。だから、将来を考えたときに、親は心配で学校に行かせたいと思うのは当然ですよね。ただ、『学校がすべて』だと親が思っていると、子どもは“学校に行ける子”だけが存在価値があると思って苦しんでしまいます」と話します。そんな「あたり前」という風潮がある学校との付き合い方において、樹木さんは彼女ならではの考え方を発揮し、まだ小学生だった頃の内田さんにこんな言葉をかけたといいます。東京の公立だったんですけど、そのときはすごく合わなかったですねえ。私という“異物”が突然入ってきたことで、そのクラスにあったコミュニティがざわざわしてしまって。今思えば“いじめ”だったと思うんですけど、お友達ができないまま数か月を過ごして、毎日泣いて家に帰っていました。(中略)ある日、私があんまりつらそうだったからか、「やめれば?」と言ってきたんですよね。「そんなにつらいのに、何をガマンしてるの。やめればいいじゃない」って。私まだ、「やめる」の「や」の字も言ってないのに(笑)。出典: 『9月1日 母からのバトン』 この樹木さんの言葉について石井さんは、「大事なのは、学校が主なのではなくて、『子どもが主』だという軸をしっかりとしておくことです。樹木さんのように、大事なのはあくまでも“あなた”なんだということを、子どもに伝えてあげることが大切です」と考察します。ただ、「やめればいいじゃない」と娘に伝えた母親としての樹木さんの対応は、常識にとらわれていては、なかなかできるものではありません。子どもが主であるという軸がしっかりあったからこそ、こうした発言ができたのだろうと思うと、「肝が据わっているな」と石井さんは感心していました。■不登校だからって将来は決まらないそれでは、「学校には行かない」と決めたとして、その後どうすればいいのか。樹木さんは書籍のなかで、このように語っています。不登校でも、ある日ふっと何かのきっかけで、学校はやめるかもしれないけど、もっと自分に合った、っていうと自分中心だけどそうじゃなくて、自分がいることによって、人が、世の中が、ちょっとウキウキするようなものに出会うということが、絶対にあると思うの。出典: 『9月1日 母からのバトン』 子どもたちにとって、自分がワクワクできるようなものを見つけるまでは、おそらく紆余曲折あることでしょう。不登校になった子どもたちは、どのように成長していくのでしょうか。文部科学省では、15歳で不登校だった子どもたちに、5年後「自分の不登校を振り返ってどう思うか」という調査を行っていて、「行けばよかった」が38.9%、「仕方がなかった」が31.7%、「何とも思わない」と「行かなくてよかった」が29.3%と、「否定」、「肯定」、「どちらとも言えない」という回答が、それぞれ大体3分の1ずつに分かれています(※)。この結果から、「不登校については、肯定と否定のどちらかはっきり答えられない実情が見えます。ただ、みんなそれなりに山あり谷ありの人生を送り、大人になっていく。不登校だから将来こうなるということは言えないのです」と石井さんは分析します。■子どもにとっての「居場所」は外にあるとは限らない書籍では、ロバート・キャンベルさんが「学校以外にも魅力的なハッチ(非常口)が必要だ」と語られています。子どもたちにとってどんな場所が非常口となるのでしょうか。義務教育期間の子どもたちにとって、学校以外の選択肢を石井さんに教えてもらいました。【学校以外の主な選択肢(小中学生)】●教育支援センター(適応指導教室)小中学校の不登校児童や生徒を指導、支援するため、全国の市町村の教育委員会が設置している。学校以外の場所や学校の余裕教室を使って開催されていて、無料で利用できる●フリースクール民間の教育機関で、利用料金の月額平均は33000円。全国に約500か所あり、その目的はそれぞれ異なっていて、内容もさまざま●ホームエデュケーション家庭をベースに学び育っていく教育方法のこと「魅力的なハッチ(非常口)」となる子どもたちに合った居場所の見つけ方については、石井さんは次のようにアドバイスします。「子どものために開かれている場所には必ず人が集まってきます。その場所の人の集まり具合を見ること、そしてその場にいる子どもたちの表情を確認してください。子どもって、心から楽しければ笑顔が出ますから」(石井さん)さらに石井さんは、「子どもにとって必ずしも居場所は外にあるわけではない」と言います。「子どもにとっての居場所が、“自分の部屋”ということも大いにありえます。本人が『いま、そこにいたい』と思える場所を尊重してあげてほしいですね」と話します。■子どもが心を閉ざす前に、親ができること書籍の中で、内田さんが母として不登校への向きあい方について、悩み、答えを探る様子がつづられています。不登校経験者との対談のなかで、内田さんは次のように問いかけます。私も、息子や娘が心を閉ざす瞬間に「もうちょっとヒントちょうだい!」って思っちゃう。「間違えたことを言っちゃってるんだったら、どの部分がダメだったのかを教えて」って。出典: 『9月1日 母からのバトン』 この内田さんの切実な想いの根底にあるのは、「親が子どもとどのように関わるのが正解なのかわからない」という想いなのかもしれません。この問いかけに対して不登校経験者は、「親との距離が近すぎたこと」と回答しています。石井さんも「私自身もそうだったのですが、親との距離が近すぎて、その期待に答えられず悩んでいる子どもは多くいます。毎日顔を突き合わせるなかで、煮詰まってきてお互いに苦しくなり、いがみあってしまう親子もこれまで目にしてきました」と語ります。お互いの幸せを願っているはずの親子間で、そうした悲しいすれ違いを起こさないためには、どのようにすればいいのでしょうか。石井さんは取材をするなかで、親子の分離がまったくできていない人と出会ったそうです。「幼児期は親のケアを必要としますが、子どもはどんどん自立しはじめますよね。親として戸惑いがあるのは当然だと思います。それでもやはり、親と子は別人で、親は他人として子どもを支えるんだという距離感は必要です」と石井さんはアドバイスします。親にとっては、失敗が許されないと思える子育ての現状。しかし石井さんによると、不登校をきっかけに、親子関係を再構築する人も多いといいます。親子の「距離感」はとても難しい問題で、簡単に正解は見つかりません。でも、親は子どもの意志を支えるということを意識しておくことが大切なのかもしれません。■「この子があぶない!」親だけができることとは?樹木さんが亡くなる直前に思いをはせていた9月1日、今年もまもなくその日が訪れます。実際に親たちは、夏休み中の子どもたちのどんな様子に気をつければいいのでしょうか。石井さんによると、注意するのは次の4つのポイントです。【夏休み中の子どもに注意すべきポイント4つ】・食欲がわかない・眠れない・イライラして情緒不安・勉強が手につかないもし子どもたちにこのような様子があれば、「すぐにでも学校から距離を取らせてあげた方がいい」と石井さんは言います。「親が『この子は危ない』と感じる勘を信じてください。それが一番間違いないからです。『学校に無理して行かなくてもいいんだよ』という最初の“ドクターストップ”をかけてあげられるのは、専門家ではなく一番身近な親だけなんです。その後、医師などの専門家に相談してください」と石井さんは語気を強めました。「死なないで、ね……どうか、生きてください……」という樹木さんから届けられたメッセージ。親自身が一人ひとりしっかりと受け止め、子どもたちの様子を見て、最初に対応してあげる必要性を強く感じます。■樹木希林流「親がつらいときの対処法」最後に、樹木希林流のしんどい時の対処法について、考えてみたいと思います。樹木さんは、「しんどいときにどうやり過ごすか」という質問に対して、「笑う」と答えています。私にもしんどいときはもちろんあります。(中略)しんどいんだけど、そのときにしんどいって顔をしないで、こうやって笑うの。笑うのよ。ね? あんた頑張ったわよって、頭をなでて、笑う。ほかの人がいるときにそうやってたら馬鹿みたいだけど(笑)、そうやって笑って、「いいなあ、いいなあ」って言ってるうちに忘れちゃうの。出典: 『9月1日 母からのバトン』 内田さんも樹木さんから生前にこのアドバイスを教わり、実際にやってみたそうです。「本当に無気力になって、もうこれは笑えないないと思った時にそれをやってみたら、心なしか気持ちが軽くなっていって、バカバカしいことをしている自分に対してクスッと笑えた」と書籍で打ち明けています。“しんどいときに笑う”。なかなか難しいとは思えますが、不登校の子どもに対しても、親はできれば笑顔でいてほしいと石井さんも話します。「子どもが不登校になると、どうしても思いつめてしまうとは思いますが、できれば悲しむ様子や涙は外で出して、子どもの前では見せないであげてほしい。親の楽しそうな様子や笑顔は、理屈ではなく子どもを勇気づけますよ」(石井さん)ここまで樹木さんの言葉をもとに、石井さんと学校に行きづらいと悩んでいる子ども、そして親との関わりについて考えてきました。いま学校に行くことがつらい人、「学校に行けない」ということを言えない人、“みんな”と同じようにできなくて苦しんでいる人がいるかもしれません。そして子どもの想いと将来を思いやって、どうすることが正解なのか苦悩している親御さんもいるでしょう。樹木さんの人生を通じて語られた言葉は、大きな学びとなったように思います。樹木さんと内田さん母娘の思いに触れて、あらためて自分自身は親として子どもに何ができるのか、考えるきっかけにしてはいかがでしょうか?樹木さんは、次のようなメッセージを贈っています。この子の苦しみに寄り添うしかないのよね。だから、ああしろ、こうしろとは、もちろん言わない。言って治るようならとっくに治ってるでしょう?出典: 『9月1日 母からのバトン』 「9月1日」子どもたちみんなに居場所がありますように。■樹木 希林さん、内田 也哉子さんの著書 『9月1日 母からのバトン』 (ポプラ社 ¥1,620(税込み))女優・樹木希林さんが生前、不登校の子どもたちへの思いを語った言葉などをもとに、娘の内田也哉子さんがさまざまな立場の人たちと対談しながら、その考えをたどる様子を記録した書籍。今回取材した不登校新聞の石井編集長が樹木さんを取材した記録や内田さんと対談した様子も収録されています。●不登校新聞とは1998年に創刊された不登校に関する専門誌。当事者の視点を大切に、不登校についての情報を発信し続けている。●石井志昂(いしい・しこう)さんプロフィール1982年東京都生まれ。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からは創刊号から関わってきた『不登校新聞』のスタッフ。2006年から『不登校新聞』編集長。これまで、不登校の子どもや若者、親など300名以上に取材を行ってきた。<参考サイト>※文部科学省: 「不登校に関する実態調査」
2019年08月26日昨年亡くなった女優の樹木希林さん(享年75)の遺作にして海外デビュー作映画「命みじかし、恋せよ乙女」が、8月16日から公開になりました。長年に渡りテレビや映画に出演していた希林さん。その存在は晩年になるにつれ大きくなっていき、そして最後には女優としてだけでなく老若男女すべての人に愛される存在へとなっていったように思います。彼女が昨年末に出版した書籍「一切なりゆき 樹木希林のことば(文春新書)」は、120万部を突破。2019年上半期に最も売れた本となりました。また時を同じくして発売された「樹木希林 120の遺言 死ぬときぐらい好きにさせてよ(宝島社)」は32万部を突破。こちらもいまだ勢いが衰えません。死後、その人の存在が再評価されることは多々あります。ただ彼女の場合、その存在がより注目を集めるようになったのは全身ガンを告白した2013年ごろからかもしれません。女優としての功績は誰もが知るものですが、人としての魅力が多くの人に知られたからこそ今も本や映画が多くの人に愛されるのでしょう。ではこの変化の時代に、より愛されることとなった理由はどこにあったのか。探っていくと、文章からも画面からも感じられる“自由さ”と“大きさ”にあるのではないかと思います。■樹木希林という女性から取れる“自由さ”と“大きさ”彼女から感じる自由さと大きさ。それをもう少し具体的に言葉にするなら、「何物にも執着しない」ということなのだと思います。著書には晩年は多くのことを手放していく思想が生き生きと描かれており、老いも、仕事も、身なりも、そして死すらも執着しない姿勢が綴られています。「私のことを怖いという人もいるみたいだけど、それは私に欲というものがないからでしょう。欲や執着があると、それが弱みになって、人がつけこみやすくなる」(一切なりゆき 樹木希林のことば、文春新書)「年を取ったら、みんなもっと楽に生きたらいいんじゃないですか。求めすぎない。欲なんてきりなくあるんですから」(樹木希林 120の遺言 死ぬときぐらい好きにさせてよ、宝島社)このように晩年いろんな物から解き放たれる彼女の姿は、人の目や評価が行き届きすぎた今の世の中において羨ましいほどの自由を感じさせてくれます。■遺作「命みじかし、恋せよ乙女」で見た、彼女の最期の美しさまた、そんな彼女の自由さは目にするだけで暖かさにも似た安心感を感じさせてくれます。遺作「命みじかし、恋せよ乙女」でも“らしさ”は健在。彼女が画面に映るだけで、どこかホッとした気持ちになれるのが不思議です。本作はアルコール依存症に苦しむドイツ人男性カールが、不思議な日本人女性ユウと出会うことで過去と向き合いながら「そのままの自分で良い」という価値観を受け入れていくストーリーです。その中で摩訶不思議なできごとが起こる”独特のホラー感”のある映画なのですが、怖さや不思議さの中にも人と人との触れ合いや「受け入れる」といった人の変化がテーマとしてあります。それはまさに希林さんの生き方にも通ずるものがあり、優しさと合わせて考えさせられる作品になっています。遺作のため少々お痩せになった姿ですが、彼女の“死に支度”の1つである本作はきっと多くの人の心に届くのだろうなと思うのでした。超高齢化社会を向かえるにあたり、年齢が上がるほど人は「どう生きるか」について深く深く考えるようになります。長生きも、ただ富めることも、家族を持つことも正解ではないと知ってしまった。そんな今、価値観をどう持ち、どう生ききるかは重要です。だからこそ希林さんのような自分の道を見つけ、そして何事にも縛られずに最期を向かえる姿はキラキラと輝いて見えるのでしょう。私はまだまだ彼女の半分も生きてはいませんが、あんなふうに持たずとらわれず、幸せをただただ味わいながら逝きたい。彼女の残した作品に触れながら、そんなことを思ったりするのでした。(文・イラスト:おおしまりえ)
2019年08月25日「死なないで、ね……どうか、生きてください……」亡くなる2週間前にこんな言葉を残したのは、昨年2018年9月に亡くなった女優の樹木希林さん。樹木さんは、学校に行けなくてつらい思いをしている子どもたちにメッセージを贈っていました。樹木さんが不登校などについて生前語った言葉と、その娘である内田也哉子さんがその思いを受けて語った内容がつづられた書籍 『9月1日 母からのバトン』 が発売されました。樹木さんに取材経験があり、書籍内で内田さんとも対談されている不登校新聞の石井志昂(いしい しこう)編集長とともに、不登校で悩む親子に対する樹木さんからのメッセージを読み解きたいと思います。お話をうかがったのは…●石井志昂(いしい・しこう)さん1982年東京都生まれ。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、教員、校則、いじめなどにより、中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からは創刊号から関わってきた『不登校新聞』のスタッフ。2006年から『不登校新聞』編集長。これまで、不登校の子どもや若者、親など300名以上に取材を行ってきた。●不登校新聞とは1998年に創刊された不登校に関する専門誌。当事者の視点を大切に、不登校についての情報を発信し続けている。■樹木希林さんの言葉が持つ力「死なないで、ね……どうか、生きてください……」去年の9月1日、母は入院していた病室の窓の外に向かって、涙をこらえながら、繰り返し何かに語りかけていました。あまりの突然の出来事に、私は母の気が触れてしまったのかと動揺しました。それから、なぜそんなことをしているのか問いただすと、「今日は、学校に行けない子どもたちが大勢、自殺してしまう日なの」「もったいない、あまりに命がもったいない……」と、ひと言ひと言を絞り出すように教えてくれました。この2週間後に、母は75年の生涯に幕を閉じました。出典: 『9月1日 母からのバトン』 より夏休み明けの9月1日は、子どもの自殺が最も多くなる日。内閣府の調査でも明らかになったこの数字(※1)。書籍の冒頭で、亡くなる直前に病床で語られた樹木さんが語られた言葉は胸に迫るものがあります。書籍には、生前語られた樹木さんの言葉がつづられています。そして樹木さんのメッセージは、子どもたちからの切実なSOSの代弁にも感じられ、さらに親に対する思いも込められていました。■樹木希林さんは、なぜ不登校の子どもに思いをよせたのか?石井さんが初めて樹木さんと会ったのは、2014年7月。不登校新聞の取材に、樹木さんが答えたときのことでした。「こちらは不登校について話を聞く。樹木さんは自分が人生で得たものについて答える。お互いに生きざまのぶつけ合いのような取材でした。直接的な答えがなかったとしても、希林節の言葉が不思議と心に響く。信じられないくらいおもしろい取材ができました」と石井さんは振り返ります。その後、2015年に再び樹木さんに会った石井さんは、「毎年9月1日前後に、18歳までの若い人たちがたくさん自殺している現状」を伝えます。そのとき「自殺するよりはもうちょっと待って、世の中を見ててほしい」と語った樹木さんが、この日のことをその後もずっと覚えてくれていたのだと、娘の内田さんからの連絡で知ります。「樹木さんが、自分と同じ気持ちでいてくれたことを知り、感動で震えました。闘っているのは自分だけじゃないんだと思えましたね」(石井さん)■樹木希林さんの「親としての価値観」とは書籍では、樹木さんの娘である内田さんが、さまざまな立場の人たちと対談しながら、樹木さんの思いをたどっていきます。樹木さんは母親としてどのような考えだったのか、書籍からみえてきたことは、「親の価値観」の持ち方を重視していたということです。子どもには子どもの社会があるんですよね。大人から見て「そんなの!」って言ったってだめだから。そういうときはもう、寄り添ってやるしかないかなと思っています。(中略)不登校の子どもよりも、私は親の価値観(の問題)なんだと思うんです。もっと、何かと比べるとかはなしでいいじゃないですか。違っててもいい。出典: 『9月1日 母からのバトン』 より親にとっては、子どもが不登校になるのは人生の一大事で、どうしても学校に行けるほかの子どもと比べてしまいがちです。でも樹木さんの言葉からは、そういった状況のなかでも「親の価値観」をしっかりと持ち、子どもの個性を「違っていてもいい」と認めてあげることのほうが大切だという考えが伝わってきます。■苦しみは「わかってもらえなくてあたり前」という考え自身も不登校の経験があり、「不登校新聞」の取材で多くの不登校の子どもたち、親と話す機会がある石井さんによると、親とくに母親は、子どもが不登校になると、深く傷つくのだそうです。「『私がダメな母親だから、子どもが不登校になった』という加害意識と、『でもだれも助けてくれなかった』という被害意識が堂々巡りして、母親は、孤独な状態に追い込まれていきます」(石井さん)そんな母親たちにとって、同じ立場の人と出会い、自分が置かれている大変な状況を認識して、「自分自身も救われていいんだ」と思えることが、大切なのだそう。そうした傷つき、孤独な親の気持ちにも、樹木さんは思いを寄せていました。みんなそれぞれの苦しみを抱えてられていることがわかったんだけど、それを「わかってくれ」って、「わかってくれない」って、嘆いてもはじまらないの。わからないの、人の苦しみは。(中略)「わかってもらえなくて当たり前なんだ」と思ったときに、もっと楽になっていくんじゃないかな、というふうに思いました。出典: 『9月1日 母からのバトン』 より「自分の苦しみはわかってもらえなくて当然」という樹木さんの言葉は、一見突き放したようにも思えます。ただ、樹木さんは苦しみから救われるために、「自分でも不幸な思いをした人が、不幸な思いで苦しんでいる人に会ったときに、すごく気持ちをわかってあげられることがある。それが”寄り添う”こと」とも語り、同じ立場の者同士が寄り添い、理解し合うことをすすめています。「子どもの気持ちを理解したいのに、わからない」とか「だれもこの苦しみをわかってくれない」とつらい状況にいる親の気持ちに寄り添ったうえで、親をその苦しみから解放してあげる術を樹木さんは考えていたのかもしれません。また「同じ悩みを持つ人同士が話し合う」という方法については、石井さんも「不登校の子どもやその親にも当てはまる。私自身、不登校になって初めてフリースクールに行ったときは、”自分だけじゃないんだ”と体に入ってくる安心感がありました。親も同じで、同じ立場の人と出会うだけですごく安心できるんです」と、同調しました。■子どもの最後の命綱を握れたという信頼関係9月1日に寄せた樹木さんからのメッセージ。一体私たちはどのように受け止めればいいのでしょうか。石井さんは、不登校の子どもをもつ親に対して、「どうか自分を責めすぎないでほしい」とメッセージを送ります。不登校になったきっかけについて、文部科学省の調査によると、小学生では「家庭生活が起因する」とする答えた人が54.1%ともっとも多くなります。そして中学生では「学校生活に起因する」の割合がもっとも高くなります(※2)。石井さんは、こうした不登校理由の1位が「家庭」となることもあって、責任を感じすぎてしまう親が多いと言います。しかし、「『不登校になって、家で引きこもることで苦しさを出せた』ということは、それだけ親を信頼していることの表れ」だとも話します。「『あなたの子育ては間違いじゃなかった』ということをぜひ親御さんには伝えたいです。不登校になった子が命綱を親に差し出し、その命綱を親が握ることができたこと。そういう信頼関係を築けたことを親は誇りにしてもらいたいんです」(石井さん)さて、ここまで樹木さんの言葉を石井さんといっしょにひもとき、不登校への親の対応や意識の持ち方について考えてきました。樹木さんならではの言葉はどのように胸に響いたでしょうか。次回は、「学校に行くことって当たり前?」というテーマで、より具体的な対策について引き続き石井さんとともに考えていきたいと思います。■樹木 希林さん、内田 也哉子さんの著書 『9月1日 母からのバトン』 (ポプラ社 ¥1,620(税込み))女優・樹木希林さんが生前、不登校の子どもたちへの思いを語った言葉などをもとに、娘の内田也哉子さんがさまざまな立場の人たちと対談しながら、その考えをたどる様子を記録した書籍。今回取材した不登校新聞の石井編集長が樹木さんを取材した記録や内田さんと対談した様子も収録されています。<参考サイト>※1、内閣府: 「学生・生徒等の自殺をめぐる状況」 ※2、文部科学省: 「平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」 (PDF:3006KB)
2019年08月25日