群馬県沼田市では、6月15日(木)から8月31日(木)まで、簡単に着られる袴や着物を着て、大正ロマンの雰囲気が残る沼田市中心市街地の街歩きを楽しんでいただく企画を実施しています。また、大正フォトコンテストも同時開催中です。入賞者には豪華景品をプレゼント!大正ロマンぬまた大正ロマンぬまた2023 | 沼田市観光協会 : 大正和服体験第1弾「大正和服体験第1弾」ご案内大正ロマンのまちづくりを進める沼田市では、大正和服を着て、特別な気分で街歩きを楽しむ企画を昨年に引き続き今年も開催しております。参加者には、市内をお得に巡れる「食べあるきチケット」や「大正ロマンぬまた限定ステッカー」をプレゼント。さらに、参加日当日に限り、旧土岐家住宅洋館の観覧料が無料になる特典もございます。沼田市観光協会公式WEBサイト内の特設ページより、詳細を確認いただき、事前申込のうえ、ご参加ください。(事前申込制)1実施期間令和5年6月15日(木)から令和5年8月31日(木)まで2応募期間令和5年6月12日(月)から令和5年8月28日(月)まで3開催時間10:00から16:00まで※袴等は16:00までの返却をお願いします。※受付時間は10:00から14:00までとなります。4参加費2,000円5その他※ご希望日の3日前までにお申し込みください。(事前予約制)体験予約の連絡先、体験内容の詳細など、詳しくは以下の沼田市観光協会のホームページをご確認ください。「大正和服」体験 | 大正ロマンぬまた | 沼田市観光協会 : 大正フォトコンテスト「大正フォトコンテスト」ご案内2023年6月15日(木)から2024年1月31日(水)まで、大正ロマンの雰囲気残る沼田市の魅力再発見・発信を目的に大正ロマンをテーマとしたフォトコンテストを開催します。募集作品は、沼田市内で撮影された「大正ロマン」が感じられる写真です。入賞者には、総額3万5,000円分の豪華賞品をプレゼント!人物・建物・風景・食べ物などなどご応募受付中!応募方法など詳しくは以下の沼田市観光協会ホームページをご確認ください。大正フォトコンテスト | 大正ロマンぬまた | 沼田市観光協会 : 街歩き&フォトイメージ街歩き&フォトイメージ①街歩き&フォトイメージ②街歩き&フォトイメージ③街歩き&フォトイメージ④街歩き&フォトイメージ⑤街歩き&フォトイメージ⑥お問い合わせ先【所属名】(一社)沼田市観光協会担当:立花【FAX】0278-25-8556【電話】0278-25-8555【所在地】群馬県沼田市西倉内町2889-3【E-mail】(代表)info@numata-kankou.jp(担当)y-tachibana@numata-kankou.jp【公式HP】 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年07月10日群馬県沼田市玉原高原の「たんばらラベンダーパーク」が、2022年7月9日(土)から8月21日(日)まで営業。約5万株のラベンダーが咲く期間限定フラワーパーク「たんばらラベンダーパーク」は、“関東最大級”約5万株のラベンダーが咲き誇る期間限定フラワーパーク。ラベンダー畑の他にも、色とりどりの花々が咲き乱れる「彩の丘」や「ひまわりガーデン」など、撮影スポットが満載です。群馬県有数の避暑スポットまた、標高1,300mの群馬県沼田市玉原高原に位置する「たんばらラベンダーパーク」は、県内有数の避暑地。7月から8月の平均気温は25℃と、首都圏より5℃以上も低く、涼しさを求めて多くの観光客で賑わいます。ラベンダーの摘み取り体験園内では、美しいラベンダーの花を眺めたり、香りを楽しんだりするだけでなく、「ラベンダーの摘み取り体験」も可能。摘み取ったラベンダーは持ち帰り、ドライフラワーやポプリにして楽しむことができます。ラベンダーソフトクリームや冷やしラーメンレストランでは、ラベンダーを使用したオリジナルメニューも提供。来場者の約2人に1人が食す「ラベンダーソフトクリーム」の他にも、麺にラベンダーエキスを練りこんだ「冷やしラベンダーラーメン」や、ドライラベンダーを混ぜ込んだ「ラベンダースコーン」などが揃います。ポプリやソープなどお土産グッズもお土産には、ドライラベンダーやラベンダーのポプリがおすすめ。園内のラベンダーから抽出したエッシェンシャルオイルを使用した「ナチュラルソープ」や「ラベンダー化粧水」、「ハンドスプレー」なども並びます。【詳細】「たんばらラベンダーパーク」営業期間:2022年7月9日(土)~8月21日(日)営業時間:8:30~17:00(最終入園15:45)所在地:群馬県沼田市玉原高原交通:関越自動車道/沼田ICより19km(約30分)入園料金:中学生以上1,000円 ※小学生以下入園無料見ごろ予想:早咲き品種7月中旬~7月下旬中咲き品種7月下旬~8月上旬遅咲き品種8月上旬~8月中旬■「ラベンダーの摘み取り体験会」開催日:7月16日(土)~8月15日(月)雨天中止 ※ラベンダーの開花状況により変更する場合あり開催時間:10:00~12:00、13:00~15:00体験料:ひとり1,000円募集人数:各回先着50名【問い合わせ先】たんばらラベンダーパークTEL:0278-23-9311
2022年07月12日「ウチの子には、どうも自主性が足りないみたいで……」という悩みをお持ちの方は多いかと思います。自主性とは、子どもが一人立ちし立派な大人になっていくため、なくてはならない要素です。できないことはすぐに親に頼ったり、なかなか自分から勉強を始めなかったりするわが子の姿を見ると、親としてはつい心配になってしまいますよね。本記事では、そもそも自主性とは何なのか、子どもの自主性を伸ばすためにはどうすればいいのか、詳しく解説していきます。自主性とは自主性とは、課題に対して自ら積極的に取り組む姿勢を指します。つまり「人から言われる前に、やるべきことをやる」力のことです。例えば「言われる前に宿題をやる」「ゲームがやりたいけれど、自分の意志で我慢する」というのが、自主性がある行動として挙げられます。自主性の獲得は、学習能力の向上や人格形成に欠かせません。教育方法などを専門に研究する井上史子教授(帝京大学高等教育開発センター)らが2004年に行った「自主性」に関する調査では、「自主性の下位尺度」として以下の10項目が挙げられました。ひとくちに「自主性」といっても、さまざまな要素で構成されていることがわかりますね。独立性:自習のときでもまじめに勉強する.主体性:やって良いことと悪いことをできるだけ自分の考えで決める.自律性:自分で発言しようと思ったら誰にいわれなくても進んで発表する.自発性:遊びやスポーツに自から友達を誘う.自己主張:自分が正しいと思えば仲良しの友達とでも口論する.判断力:自分がやろうとすることが人の迷惑になるかよく考えてからする.自己統制:おしゃべりをしてはいけない時にもついしゃべって注意される(※).責任性:皆で決めたことはどんなことがあっても守るよう努力する.役割認知:皆の役に立つことであれば進んでその仕事を引き受ける.独創性:新しいことを自分で考え出すことが不得意なので人のやったことをそのまま真似る(※).(※この行動をとる傾向が弱いほど、自主性が高いということになる)(引用元:J-STAGE|中学校における自主性尺度項目の開発)自主性と似た言葉に「主体性」があります。ほとんど同じ意味で用いられることも多いのですが、実は自主性と主体性の意味は微妙に異なります。例えば自主性が「言われなくても宿題をやる」状態を指すのに対し、主体性は「宿題がなくても自ら勉強する」状態です。つまり主体性は、自主性の次のステップであると言えます。主体性をもった子どもは、親や先生から課題を与えられなくても、自分でどんどん学びを深めていくことができるのです。とはいえ小学生以下の段階なら、ひとまず自主性を身につけられれば十分合格ラインでしょう。自主性がない子どもとは自主性がない子どもとは、どのような子どもを指すのでしょうか?具体的には以下の特徴が挙げられます。「嫌だ」と言わない「嫌だ」と言わない子は、親の目から見れば一見、いい子かもしれません。しかし「嫌だ」は大切な自己表現の一種。「嫌だ」を言えないということは、自分の意志が弱くなっているか、意志を押し込めてしまっているのかもしれません。嫌だと言えない傾向は「親からどう見られるか」を過剰に気にする優等生タイプの子どもによく見られます。親に自分の言葉を否定されたり、価値観を押し付けられたりした経験から、親が不機嫌になることを恐れるようになったのです。優等生タイプの子どもは、親の顔色をうかがっているうち、親が期待する答えを自分の本当の願望だと錯覚してしまっています。無意識に本当の思いを抑圧しているため、何かのきっかけで突然、感情を爆発させやすいという傾向もあります。言動が受け身例えば子どもに夕食に何を食べたいか聞くと「何でもいい」なんて答えが返ってくることはないでしょうか?子どもの「何でもいい」という言葉には、「(親が食べたいものなら)何でもいい」というニュアンスが含意されています。つまり、答えは人が与えてくれるものであり、自分はそれに合わせていればいい、という思考パターンが身についてしまっているのです。「良い子にしなさい!」「できるようになりなさい!」と高圧的な躾をしていると、子どもは自分の意見を発するのが怖くなり、「何でもいい」という受動性を身につけてしまいます。親の期待に応えられるよう、自己主張を抑えているのです。受け身の言動しかできない子どもに対しては、まず自分の気持ちを把握し、はっきりと主張できるよう促す必要があります。親は、子どもがストレスを感じる躾け方をしていないか、子どもの気持ちを無視してしまっていないか、見直してみましょう。感情表現が乏しい何かを嬉しいと感じたり、悔しいときに泣いたりするのは、立派な自己表現です。感情表現が乏しい子どもは、自分の好き嫌いがわからなかったり、周りの目を気にして自分の思いを抑圧したりといった可能性があります。感情は他者とのコミュニケーションを円滑にするだけでなく、やる気や好奇心の源でもあるため、自主性の発達と深く関係しています。例えば、トライ&エラーを繰り返した末に何かを成し遂げたとき、「やったー!」という強い喜びの感情を覚えますよね。自分で判断し、自分の手で何かをすることによって初めて、喜怒哀楽の感性は磨かれていくのです。もし親が、子どもに試行錯誤させることなく「もっとこうしたほうがいいんじゃない?」「そんなことしたらダメだよ」などと最初から手を貸してしまったら、せっかくの学びの機会が失われてしまいます。子どもの感情表現が乏しくなる原因のひとつは、親の過干渉にあるのです。「『嫌だ』と言わない」「言動が受け身」「感情表現が乏しい」という特徴が子どもに見られた場合は「自主性が弱いんじゃないか?」「自主性を妨げるような育て方をしていないか?」と少し疑ってみましょう。では、自主性のない子どもは将来どうなるのでしょうか?「指示待ち人間」になる自主性のない子どもは将来、自分から行動を起こせない「指示待ち人間」になってしまうかもしれません。判断力や実行力がない「指示待ち人間」は、世の中で活躍することが難しそうです。例えば、会社の上司や先輩は、学校のように「あれをやれ、これをやれ」といちいち指示をくれるわけではありません。一人前の大人として働くには、指示を待たずとも何をやるべきか判断できる能力が求められるのです。特に、人工知能(AI)が発達しつつある現代においてはなおさらです。「指示通りに動く」ことが求められる作業は、近い将来、ほとんどが人工知能に取って代わられてしまうでしょう。これからの時代には、自主的にやるべきことを考え、「自ら学ぶ」「自ら考える」姿勢を持つことがいっそう重要になってくるのです。自主性のない人間は、そのような時代を生き残っていけるのでしょうか。失敗を人のせいにする自主性のない子どもは、他人にばかり判断を委ねるので、すべての物事が「他人事」になっていきます。大事なことは人任せにし、言われたことしかやらないという姿勢は、学生時代にはまだ通用するかもしれませんが、社会に出るとそうはいきません。仕事においてもプライベートにおいても、自分から行動を起こし、行動の結果に責任を持つ必要があるのです。自主性がないままだと、責任感がなく、当事者意識の希薄な人になってしまう恐れがあります。失敗を他人のせいにし、チャレンジから逃げてばかりいる人にとって、社会の中で活躍することは困難です。子どもを社会で活躍させたいのなら、幼いうちから自分で選択・判断する経験を積ませて自主性を養うことが必須です。人に合わせてばかりになる社会生活を送るにあたって、自主性は欠かせません。会議で意見を述べたり、率先して仕事を進めたりなどはもちろんですし、自分から積極的にならない限り人間関係を築くこともできません。自己主張をして初めて、社会はその人の存在を認識し受け入れてくれるのです。そのため、自主性のない子どもは将来、社会から置いてけぼりにされたり、孤独感を感じたりすることになってしまいます。相手の期待に沿うコミュニケーションしかとれず、うまく自己表現ができなくなるかもしれません。自主性というものが、子どもの自立にとっていかに大切なステップか理解していただけたでしょうか。自主性を重んじる教育とは子どもの自主性を重んじた教育を施すには、なるべく子どもに対する束縛を少なくし、自分の力で物事に取り組ませましょう。かわいそう、まだ早いから、と何でもやってあげていると、いつまでも子どもの自立は促せません。あくまで、子供の意志や興味を最優先にし、親はそれを陰でサポートするだけ、という形がベストなのです。例えば、時間がかかっても服は自分の力で着てもらう、こぼしたり汚したりしてしまうとしても自分でご飯を食べさせるなど、やれることはできる限り任せるようにしましょう。子供の自主性を重んじた代表的な教育メソッドとしては、「モンテッソーリ教育」があります。モンテッソーリ教育は医師で教育者だったマリア・モンテッソーリが発案した方法論で、「子供には、自分自身を育てる力が備わっている」という教育方針のもと、子供の自発的な学びを尊重しています。モンテッソーリ教育に特徴的なのが、専用の「教具」(ブロックやタイルなど)です。教具で遊ぶことを通じて子どもの好奇心が育まれ、遊んだ後に自分で片づけさせることによって、自立心が高められます。ほかにもモンテッソーリ教育では、指導する際には決して命令口調を使わない、興味が向いたことを満足いくまでやらせてあげるなど、子どもの自主性を育てる保育を徹底しています。子どもの自主性を高める方法では、子どもの自主性を育む実践的な方法を見ていきましょう。口出しをせずに見守る自主性を育てるには、子どものやることになるべく口出ししないようにしましょう。親があれこれと先回りしてしまうと、子どものせっかくのやる気が奪われ、自主性が育ちにくくなってしまいます。わが子のためと思うとつい干渉したくなってしまいますが、ぐっとこらえてみてください。ただし、子どもに対し「無関心」になれ、というわけではありません。子どもから完全に目を離すのではなく、何か危険が迫ったときにすぐ飛び出せるよう、きちんと見ていてあげることが大切です。親の見守りがあってこそ、子どもは安心して自主性を伸ばすことができるのです。自分で考えさせ、選ばせる自主性を育む方法の2つめは、なるべく子どもに、自分で考えたり選んだりする機会を与えることです。例えばおやつの時間には、単にお菓子を渡すのではなく「どっちがいい?」とあえて複数から選ばせる。また、子どもが「わからない」「どうやればいいの?」などと頼ってきたときは、すぐ答えを教えずに「あなただったらどうする?」と思考を促す、といった小さなことを積み重ねましょう。『世界最高の子育て――「全米最優秀女子高生」を育てた教育法』の著者・ボーク重子氏によると、親は子どもに決して意見を押し付けることなく、あくまでも自由に考えさせることが、自主性を伸ばすためには何より大切なことなのだそうです。ニュースについて子どもの考えを聞く子どもが自主性を持って学ぶようになる方法としては、「毎朝、ニュースについて意見を交わす」というものがあります。小学生以下の子供にはまだ早い、と思われるかもしれませんが、考え、興味を持ってもらうことそのものが重要なのです。『家でできる「自信が持てる子」の育て方』の著者で教師の沼田晶弘氏は、自身が担当したクラスで毎朝、政治問題を取り上げています。「この問題はどうしたら解決できると思う?」などと問いかけると、子どもたちは知識がないなりに考え、自分なりの答えを出そうとするそうです。子どもを子どもと侮らず、対等に接することもまた、自主性を身に付けさせる秘けつなのですね。子どもの興味を肯定する自主性を育てる最後の方法は、子どもの興味を肯定してあげることです。興味を持つということは、何か特定のことをやりたい、特定の何かについて知りたいという欲求が芽生えているということ。その興味が親に肯定されると、子どもは自分自身の存在まで肯定されたような気になり、やる気はますます高まります。子どもの興味を肯定するだけでなく、「カマキリを捕まえられてすごいね。じゃあ図鑑で調べてみようよ」など、子どもの興味がさらに広がるような声掛けをしてみましょう。例えば、「図鑑に熱中するうちに漢字が覚えられた」というように、興味を追求することで、ほかの学習分野にも良い影響が及びます。自主性の向上を邪魔しないよう、子どもの興味は自由に伸ばしてあげましょう。***子どもの自主性を育む方法を解説しました。よかれと思ってやったことでも、過干渉は子どもの自主性や個性の発達を妨げてしまいます。子どもをコントロールしようとするのではなく、適切な距離感を保って接してみてくださいね。文/佐藤舜(参考)J-STAGE|中学校における自主性尺度項目の開発こどもまなび☆ラボ|心理学者が指摘する “いい子症候群” たちの未来――自主性のない子どもの特徴5つこどもまなび☆ラボ|「ママがやって」と言われたら黄色信号。子どもの考える力を奪う親のNGワードこどもまなび☆ラボ|“49” の失敗体験が子どもの挑戦力につながる!過干渉にならない会話のコツこどもまなび☆ラボ|子どもをぐんぐん伸ばす「早期教育」の意外なデメリット。危険なのは親同士の“ライバル心”!?こどもまなび☆ラボ|子どもの自主性を尊重し、集中力と柔軟な対応力を育む「モンテッソーリ教育」【愛珠幼稚園園長 天野珠子先生】こどもまなび☆ラボ|「モンテッソーリ」とは?子どもの才能を伸ばす教育メソッドを徹底解説こどもまなび☆ラボ|過干渉していませんか?子どもの「自主性」を伸ばすための4つの声かけこどもまなび☆ラボ|叱らなくても、子どもの「自主性」はどんどん育っていく――全米最優秀女子高生の母・ボーク重子さんインタビューpart1こどもまなび☆ラボ|「典型的ないい子」を育てるよりも大切な、伸ばしてやるべき子どもの「考える力」こどもまなび☆ラボ|子どもの「やる気」と「地頭」が育つ親の言葉とは?
2019年06月28日親であれば、自分の子どもには「いい子」に育ってほしいと考えています。でも、「いい子」とは果たしてどんな子どもでしょうか?一般的には「学校の先生の話をきちんと聞けて、勉強ができる子」といえるかもしれません。ただ、その典型的な「いい子像」に縛られる必要はないと、子どもの自主性・自立性を引き出す独自の授業で注目を集める東京学芸大学附属世田谷小学校教諭の沼田晶弘先生は語ります。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「いまやるべきこと」にしっかり取り組ませる勉強ができる「いい子」になってほしい――。親として当然の願いですよね。そのため、上の学年でやる予定の学習内容を事前に学ぶ「先取り学習」にこだわる親御さんも数多くいます。「学力を上げるには先取り学習が効果的だ」というような話はよく耳にしますし、学習塾や教材業者の多くもそううたっていますから、子どもに先取り学習をさせて「安心したい」という気持ちが親に生まれることも、先取り学習を助長させる一因となっていると思います。でも、だからといって、「いまやるべきこと」がしっかりできていないのに、親が焦って子どもに先取り学習をさせることにはなんの意味もありません。そもそも、学校のカリキュラムは、段階を踏んで子どもを成長できるようにつくられているものなのですから。もちろん、個の能力差はあるので、とても能力が高くて先取り学習をさせてあげたほうがいいなと思うような子どもも存在します。とはいえ、学力を上げるベストの選択肢のように先取り学習が取り上げられる風潮には疑問を持っています。まずは、「いまやるべきこと」にしっかり取り組ませること。それがなによりも大切ではないでしょうか。子どもが話を聞けないことの責任は教員にあるここで親御さんに問いたいのは、そもそも「いい子」とはどんな子どもなのか、ということです。それは、「勉強ができる子ども」ですか?あたりまえのことですが、勉強だけが子どもの評価基準ではないはずです。僕のクラスに、漢字がすごく苦手な子どもがいます。でも、その子には別の特徴もある。給食のおかずが残ってしまいそうでみんなが困っているとき、その子は3人前もおかわりして食缶をしっかりからにしてくれる(笑)。クラスのみんなにとってヒーローであり、僕にとっても紛れもなくいい子です。また、「先生の話をきちんと聞ける子ども」がいい子だともいわれます。でも、子どもが教員の話をきちんと聞けないことの責任の半分は教員にあると僕は思っています。僕の話を子どもたちが聞いてくれないとしたら、僕の話し方が下手だというだけのことなのです。ここで、子どもたちに対する話し方、授業の進め方についての僕の考え方をお伝えします。多くの教員は、いい教材をつくっていい授業にして、子どもに学習内容をしっかり理解させようとすごく努力をしています。でも、僕の場合は、そういうセンスがないし努力があまり得意ではありません……(苦笑)。だから、必然的に他の先生たちとはちがうやり方になる。たとえるなら、他の先生たちのやり方は、「カウンターのすし店」に子どもたちを連れて行くというもの。いわば、「いいもの」を提供する考え方です。一方、僕は子どもたちが「いまいちばん食べたいもの」を提供したいのです。高級すし店に連れて行かれた子どもが、本当は「フライドチキンが食べたい」と思っていたとしたらどうでしょうか?当然、フライドチキンを出してあげたほうが食いつきは格段にいいはずですよね。授業に対する興味を子どもに持たせるには、僕が、彼らが求めているものに気づき、面白く話をできればいいだけのことなのです。いまの子どもたちに求められる「自分で考える力」それこそ、これからは多様性が求められ、社会ではダイバーシティという考え方が重要になるといわれる時代なのに、画一的な「いい子」に育てることにこだわる必要はありません。とはいえ、あまり特殊な例に引っ張られ過ぎるのも危険かもしれない。たしかに、「いい大学に入っていい企業に就職すれば安泰」というような、これまでの人生のモデルケースが崩れたともいわれます。学歴は大学中退や高卒でも、個人の力でものすごく稼いでいる人がいるのは事実です。でも、それはあくまで「特殊な例」に過ぎないのです。そういう例に極端に感化され、「じゃ、僕も大学を中退しよう」「大学に行かなくてもいいや」と安易に考えると、人生で大きな失敗を犯すことにもなりかねません。そういう失敗を避け、また自分の個性をしっかり社会で生かして人生を歩んでいくためにも、いまの子どもたちに必要とされるのはやはり「自分で考える力」といえるでしょう。なにかを調べることなんて、『Google』に任せれば済むかもしれない。そんな便利な世の中になっているからこそ、自分がどう生きていくかをしっかり考えられなければなりません。そして、子どもの「自分で考える力」を育むには、それこそ実際にもっともっと考えさせるしかありません。僕が4年生のクラスの担任をしていたときには、朝の会で必ず政治問題を取り上げていました。「そんなの早過ぎるよ」と感じる人もいるかもしれませんが、そんなことはないのです。わたしたち大人の世界で見ても、50歳の人の意見が必ず正しくて、30歳の人の意見が必ず間違っているということはありませんよね?「まだ子どもだから」なんて考えず、子どもと一緒にテレビで観たニュースについて、「どうしてこんなことになっているんだろうね?」「どうしたらいいと思う?」といった質問を投げかけてみてください。子どもは子どもなりに考えて、子どもなりの答えを見つけるようになるはずですから。それこそまさに、「自分で考える」姿勢に他ならないと思うのです。『家でできる「自信が持てる子」の育て方』沼田晶弘 著/あさ出版(2018)■ 東京学芸大学附属世田谷小学校教諭・沼田晶弘先生 インタビュー一覧第1回:子どもの「内発的なやる気」を引き出す、たったひとつの方法。第2回:「早くしなさい!」と言わないためには?着替えの時間の『ドラえもん』が効果大な理由第3回:「褒める」にひそむ意外な盲点。本当に褒めるべきこととそうでないことの違い第4回:「典型的ないい子」を育てるよりも大切な、伸ばしてやるべき子どもの「考える力」【プロフィール】沼田晶弘(ぬまた・あきひろ)1975年9月19日生まれ、東京都出身。東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。学校図書生活科教科書著者。東京学芸大学教育学部卒業後、インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。スポーツ経営学の修士課程修了後、同大学職員などを経て、2006年から現職。児童の自主性・自立性を引き出す斬新でユニークな授業が読売新聞に取り上げられ話題となる。教育関係のイベント企画を多数実施する他、教育関係だけではなく企業向けの講演も精力的におこなっている。著書に『「変」なクラスが世界を変える! ぬまっち先生と6年1組の挑戦』(中央公論新社)、『子どもが伸びる「声かけ」の正体』(KADOKAWA/角川書店)、『ぬまっちのクラスが「世界一」の理由』(中央公論新社)、『「やる気」を引き出す黄金ルール 動く人を育てる35の戦略』(幻冬舎)など。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月24日子どもは褒めて伸ばす――。教育に関わる多くの人が口をそろえて唱える言葉です。ただ、「どんなことでもとにかく手放しで褒めればいいというわけではない」と語るのは、東京学芸大学附属世田谷小学校教諭の沼田晶弘先生。子どもの自主性・自立性を引き出す独自の授業で注目を集めています。沼田先生によれば、褒め方には5つのレベルがあるといいます。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「褒め方」には5つのレベルがある「褒めて伸ばす」という考え方には、僕も基本的には賛同します。でも、ただ褒めればいいというわけでもありません。僕は「褒め方には5つのレベルがある」と考えています。【褒め方の5つのレベル】レベル1:見るレベル2:気づくレベル3:認めるレベル4:褒めるレベル5:よろこぶレベル1は「見る」。子どもたちは、親や教員など周囲の信頼できる大人が「見てくれている」と思うだけで安心します。レベル2は「気づく」。子どもの存在自体、子どもがしていることに気づいてあげることも「褒める」につながる大切なステップです。レベル3は「認める」。これは、子どものすべてをただ肯定するという意味ではありません。なにかができたということはもちろん、できなかったことを認めることも大切です。そして、レベル4でようやく「褒める」。おそらく、多くの親御さんが経験していることかと思いますが、褒めるという行為はそう簡単なことではありません。労力も使いますし、意外にハードルが高いのです。そもそも、子どもが日常的にできるようなことを褒めるのは難しいですよね?子どもが洗濯機に自分の服を入れた。そこで、「すごいじゃない!今日も入れられたね」なんて褒められれば、子どももバカにされているのかと思ってしまうかもしれない(苦笑)。しかも、「褒めるのがいい」という情報をさまざまなメディアで得ているからと、半ば無理やり褒めようとすれば、そういう下手な演技は敏感な子どもにしっかり見破られます。そうなると、それまで積み上げてきた信頼関係も崩れかねません。親が本心から褒めたくなるようなことでなければ、レベル3の「認める」までで十分です。最後のレベル5が「よろこぶ」。つい最近、僕のクラスである問題が起こりました。子どもたちはどんな行動をするのかなと見ていたら、ひとりの女の子が見事にその問題を解決してくれた。その対応に対して、僕は当然褒めました。だけど、それ以上に僕はうれしかった。だからよろこんだわけです。そういう大人の姿を見れば、子どもたちのなかでも褒められる以上のよろこびが生まれ、自己肯定感が高まり、やる気が生まれるということになるのです。「教える」は減点法、「褒める」は加点法また、教育には、「褒める」やり方の他に、「教える」やり方があります。「教える」やり方は、「こうあってほしい」という100点満点の理想がある減点法です。一方、「褒める」やり方には100点満点はありません。前に進めば進んだ分、評価する加点法といえるでしょう。まったく別のスタイルですから、それぞれに特徴があります。たとえば、東京から大阪に行くという理想があるとしましょう。子どもたちが京都で立ち止まった場合、100点満点にはあと少し足りません。減点法の「教える」やり方の場合、叱らなければならない。そのため、子どものモチベーションは上がりにくいというデメリットがある。だけど、目標を達成するための力のレベルはキープしやすいという一面もあります。一方、加点法の「褒める」やり方の場合、たとえば東京からほんの少しだけ進んで品川に着いただけでも褒めることになる。子どもたちも、「僕たち、なかなかできるじゃん」なんて思って、モチベーションを保つことができるでしょう。でも、結果はほんのわずかな距離を進んだだけに過ぎず、目標を達成するための力のレベルは上がりにくいのです。どちらのやり方にも、メリットもデメリットもある。だとしたら、バランスを考えてそれぞれを使いわけていくことが大切だと思います。そのためには、なによりも子ども本人の個性をしっかり見てあげることが重要でしょう。「親の気持ち」ではなく「子どもの気持ち」に注目親御さんにとって子どもへの対応が難しいのは、先の例なら目標の大阪にまであと少しの京都までたどり着いたという場合かもしれません。テストでいうなら90点というところでしょうか。普通に考えればしっかり褒めてあげていい点ですが、親御さんには「あと少しで100点だったのに」という気持ちもある。「もう少し頑張ったらよかったのに」なんていいたくもなるかもしれません。でも、それはあくまで親の視点からの気持ちです。注目すべきは、「子ども本人がどう思っているか」ということのはず。子どもが子どもなりに目標を掲げて、90点で「やった!」と思っているなら褒めてあげてください。「しまった!」と思っているなら「惜しかったね」と声をかけてあげればいいと思うのです。100点を取れる力があり、本人もそう思っていたなら、「駄目だなあ」なんて嘆いて、プライドをくすぐってあげてもいいかもしれませんね。いずれにせよ、「親の気持ち」ではなく「子どもの気持ち」に注目して対応することを意識してほしいと思います。『家でできる「自信が持てる子」の育て方』沼田晶弘 著/あさ出版(2018)■ 東京学芸大学附属世田谷小学校教諭・沼田晶弘先生 インタビュー一覧第1回:子どもの「内発的なやる気」を引き出す、たったひとつの方法。第2回:「早くしなさい!」と言わないためには?着替えの時間の『ドラえもん』が効果大な理由第3回:「褒める」にひそむ意外な盲点。本当に褒めるべきこととそうでないことの違い第4回:「典型的ないい子」を育てるよりも大切な、伸ばしてやるべき子どもの「考える力」(※近日公開)【プロフィール】沼田晶弘(ぬまた・あきひろ)1975年9月19日生まれ、東京都出身。東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。学校図書生活科教科書著者。東京学芸大学教育学部卒業後、インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。スポーツ経営学の修士課程修了後、同大学職員などを経て、2006年から現職。児童の自主性・自立性を引き出す斬新でユニークな授業が読売新聞に取り上げられ話題となる。教育関係のイベント企画を多数実施する他、教育関係だけではなく企業向けの講演も精力的におこなっている。著書に『「変」なクラスが世界を変える! ぬまっち先生と6年1組の挑戦』(中央公論新社)、『子どもが伸びる「声かけ」の正体』(KADOKAWA/角川書店)、『ぬまっちのクラスが「世界一」の理由』(中央公論新社)、『「やる気」を引き出す黄金ルール 動く人を育てる35の戦略』(幻冬舎)など。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月22日「早くしなさい!」。つい子どもに言ってしまう言葉のひとつです。強い口調で言ってしまい、自己嫌悪に陥る親御さんも少なくないはずです。では、子どもが自主的にやるべきことをやってくれるようにするには、一体どうすればいいのでしょうか。子どもの自主性・自立性を引き出す独自の授業で注目を集める、東京学芸大学附属世田谷小学校教諭・沼田晶弘先生にお話を聞きました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「音楽」を使い子どもの時間感覚を育てるまず、親がつい「早くしなさい!」と言ってしまう理由から説明します。すごく単純なことで、親の都合でスケジュールを考えているからです。たとえば、○時までに家を出なくちゃならない、だから子どもには○時までに着替えてほしい。それは親の勝手な都合に過ぎません。自分の子どもはなにをするのにどのくらいの時間がかかるのか、普段からきちんと子どもを見ていれば、それを踏まえたスケジュールを組むこともできるはずです。そもそも、幼い子どもにはしっかりとした時間感覚がまだ備わっていません。そこで、子どもが時間感覚を早くつかんでいくために周囲の大人ができることもあります。そのために僕が使っているのは「音楽」の力。僕の学級経営には、iPodとスピーカーが欠かせません。それを使ってどうするのか。たとえば、掃除の時間には決まった曲をかけます。毎日同じ曲を聞くことになるので、子どもたちはあとどれくらいで曲が終わる、つまりあとどれくらいで掃除を終わらせなければならないかがわかるのです。曲が終わりに近づけば、子どもたちは自然に急いで掃除をします。僕は「早くしなさい!」とあまり言わないほうの教員ですが、代わりにiPodの音楽に、「早くしなさい!」と言わせているわけです。もちろんこれは、家庭と連動してできることでもあります。僕が担任している1年生のクラスでは、体育着の着替えの時間にはいつも『ドラえもん』の曲をかけることにしています。その子どもたちの姿を授業参観で見せたところ、家庭でも『ドラえもん』の曲をかけたら、子どもたちは自然に早く着替えるようになったそうです。ただ、これはなにも珍しいことではありません。大人でも無意識のうちにやっていることでしょう。僕は学校のそばに住んでいて、いつも遅刻ギリギリに滑り込むのですが……その時間を教えてくれるのが、テレビ番組『ZIP!』の「MOCO’Sキッチン」。速水もこみちさんを見れば、「そろそろ家を出ないとやばいぞ」と思える(笑)。それと同じ状態を、音楽を使って子どもたちにもつくっているだけのことなのです。ただ、子どもの場合だと、テレビには見入ってしまうものですから、やはりラジオや音楽などが適しているかと思いますね。自主的にやれば「お得」だという経験を積ませるそういう時間感覚とはちがう、広い意味での自主性を伸ばす方法についてもお伝えしておきます。子どもがなかなか自分から宿題に取り組んでくれないといった悩みは多くの親御さんが抱えているものでしょう。とくに夏休みの宿題は、教員の僕から見ても量が多く感じますし、大変だろうと思います。でも、そんな夏休みの宿題にだって子どもたちが嬉々として取り組むようにもできるのです。過去にこんなことがありました。ある年の夏休み前に、本来は夏休みの宿題であるドリルを取り出して、僕は子どもたちに言いました。「来週から夏休みだけど、特別に1週間前にこのドリルを渡すね」と。すると、子どもたちは「うひょーっ!」とよろこんで、夏休みに入る前にそのドリルを終わらせてしまいました。なぜそんなことが起きたのかというと、それまでに「なんでも早くやればお得だ」という経験を子どもたちに積ませていたからです。いま、僕が担任をしている1年生のクラスは、給食を配るのがとにかく早い。ただ、食べるのは遅い。なぜかというと、残さず全部食べるように指導しているからです。でも、代わりに給食後の掃除が猛烈に早い。そうすることで、昼休みを長く取れて「お得」だと子どもたちが感じているからです。それは授業でも同じです。みんなが集中して早く授業が終わったら、早めに休み時間にするのです。「率先してやるべきことを早く終わらせたら、たくさん遊べるんだ」。子どもたちがそう理解できれば、自分たちから動きはじめるようになるのです。親御さんが子どもに自主性を持ってほしいと願うのは、自分の経験からのものでしょう。「子どもの頃にもっと自主的に勉強をしていたら……」といった多少の後悔の念から、「子どもには同じ失敗をしてほしくない」と願うのです。では、「子どもの頃にもっと自主的に勉強をしていたら」どうなったと考えますか?「もっと上位の学校に進学できたかもしれない」「もっといい人生を歩んでいたかもしれない」。それは「お得だった」ということですよね?だとすれば、早くからもっと身近な「お得」を感じさせてあげることが、子どもの自主性を伸ばすことにつながるのではないでしょうか。『家でできる「自信が持てる子」の育て方』沼田晶弘 著/あさ出版(2018)■ 東京学芸大学附属世田谷小学校教諭・沼田晶弘先生 インタビュー一覧第1回:子どもの「内発的なやる気」を引き出す、たったひとつの方法。第2回:「早くしなさい!」と言わないためには?着替えの時間の『ドラえもん』が効果大な理由第3回:「褒める」にひそむ意外な盲点。本当に褒めるべきこととそうでないことの違い(※近日公開)第4回:「典型的ないい子」を育てるよりも大切な、伸ばしてやるべき子どもの「考える力」(※近日公開)【プロフィール】沼田晶弘(ぬまた・あきひろ)1975年9月19日生まれ、東京都出身。東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。学校図書生活科教科書著者。東京学芸大学教育学部卒業後、インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。スポーツ経営学の修士課程修了後、同大学職員などを経て、2006年から現職。児童の自主性・自立性を引き出す斬新でユニークな授業が読売新聞に取り上げられ話題となる。教育関係のイベント企画を多数実施する他、教育関係だけではなく企業向けの講演も精力的におこなっている。著書に『「変」なクラスが世界を変える! ぬまっち先生と6年1組の挑戦』(中央公論新社)、『子どもが伸びる「声かけ」の正体』(KADOKAWA/角川書店)、『ぬまっちのクラスが「世界一」の理由』(中央公論新社)、『「やる気」を引き出す黄金ルール 動く人を育てる35の戦略』(幻冬舎)など。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月21日勉強であれスポーツであれ、意欲的に取り組める子どもになってほしい、子どもの「やる気」を引き出したいと願う親御さんは多いでしょう。でも、なかなか親の思い通りにはならないのが子どもであり、現実です。そこで、子どもの自主性・自立性を引き出す独自の授業で注目を集める、東京学芸大学附属世田谷小学校教諭・沼田晶弘先生に、子どものやる気を引き出すためのアドバイスをしてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)誰でもやる気にさせる魔法の言葉は存在しないこう言ってしまうと元も子もないかもしれませんが……「この言葉をかけたら子どもがやる気になる」というような魔法の言葉は存在しません。「やる気スイッチ」という言葉が、それこそスイッチを入れるように簡単に子どものやる気を引き出す方法があると誤解を与えているのでしょうね。やる気というものは、コップに水が少しずつ溜まっていくように徐々に蓄積していくもの。その水を溜めるには、日頃から子どもと関わり、声かけをするなどまめにコミュニケーションを取るしかありません。そうして徐々に溜まった水がコップいっぱいになり溢れはじめると、ようやくやる気も溢れ出すという状態になるのです。しかし、具体的にどんな声かけをすればいいのかというとひとことで表現するのはとても難しい。というのも、子どもにはそれぞれに個性がありますし、万能に効く言葉はこの世に存在しないからです。僕の場合であれば、ときには褒めるし、ときには叱るというやり方をします。また、しっかり信頼関係が築けている子どもが相手の場合、「もっとできるだろう、そんなものか」と、発破をかけるようなこともあります。子どものプライドを刺激してやる気を引き出すというわけです。このような場合には、言葉のチョイスは慎重にしなくてはいけません。もちろん、信頼関係を構築するために、日頃から密なコミュニケーションを取っておく必要がある。多くの教員は教室にある自分の席で給食を食べますが、僕は子どもたちのなかで一緒に食べるようにしています。そういった場面では本当にくだらない話もしながら、子ども一人ひとりの性格やキャラクターを把握するのです。自分の子どものやる気を引き出すには、どんなコミュニケーションをするべきか――。親御さんがつねにその意識を持ってお子さんに接してください。そうすれば、自然とかけるべき言葉が見えてくるはずです。子どもが持つプライドが、内発的なやる気を生み出す親御さんにお伝えしておきたいことのひとつに、いわゆるご褒美を頭ごなしに否定しないでほしいということがあります。子どもに限らず、大人でもただ「やる気になりなさい!」と言われてそうなれるものじゃありませんよね(苦笑)?子どもがやる気になることが重要だと思うのなら、やる気を引き出すご褒美を否定するべきではないと思うのです。ご褒美を嫌う親御さんは、「ご褒美で起こしたやる気なんてすぐになくなる」と考えます。たしかにそれには一理あるかもしれない。でも、子ども自身の内側からやる気がみなぎるのをただ待っているだけではなにも変わりません。そうではなくて、ご褒美で出させたやる気が消える前に、内発的にやる気が生まれるように変える必要があるのです。いわばこれは、バーベキューのときの着火と同様の原理です。ご褒美は最初に火をつける新聞紙のようなものだと考えてください。そこに新聞紙をただどんどん足していくだけでは、肝心の炭には火がつきません。炭に火をつけるのが目的だとわかっていれば、新聞紙をどう使えばいいのかがわかるはずなのです。ご褒美否定派の人は、それこそ勝手に炭に火がつくのを待っているだけの状態……。それでは、なかなかやる気を引き出せるものではありません。では、ご褒美という新聞紙でどのように炭に火をつけるのか。それは、先に少しお伝えしましたが、「プライドを刺激する」ということに尽きます。内発的にやる気を生み出すものは、その子が持つプライドしかないといっていいかもしれません。家庭教育にもゲーム的要素を取り入れるこれらのことは、僕がクラスでやっている計算トレーニングに臨む子どもたちを見ていてもよくわかります。そのトレーニングでは、ある条件を満たせばシールをもらえるルールにしています。でも、トップクラスの子どもたちは、続けているうちにシールなんてほしがらなくなってしまいました。では、なにをほしがるのかといえば、「記録」(計算時間)なのです。そういう子どもたちは、すでに自分との戦いという領域に入っていて、内面からどんどんやる気が溢れているような状態にあります。なぜそうなったのかといえば、「もうこのレベルまで到達したら、シールなんかのためじゃないよな!」なんていって、僕がたきつけたからです。そういうことを繰り返してきたことで彼らのモチベーションは一気に上がり、いまや誰にいわれるでもなくとんでもない量の計算を毎日しています。「この子たちは遊びが嫌いなのかな?」なんて心配になるほどに(笑)。このようにして内発的なやる気が生まれるようになれば、当然、勉強の成果も飛躍的に上がります。計算トレーニングをはじめた当初、10分で問題の半分も終えられなかったある女の子は、いまは1分以内にすべての問題を終えるようになりました。家庭では、クラスのライバルのような競争相手がいないので、プライドを刺激するということはやりにくい部分もあるかもしれません。それでも、お父さんやお母さんが競争相手になるとか、ゲーム的な要素を取り入れてプライドを刺激する、やる気を引き出すということはできるのではないでしょうか。『家でできる「自信が持てる子」の育て方』沼田晶弘 著/あさ出版(2018)■ 東京学芸大学附属世田谷小学校教諭・沼田晶弘先生 インタビュー一覧第1回:子どもの「内発的なやる気」を引き出す、たったひとつの方法。第2回:「早くしなさい!」と言わないためには?着替えの時間の『ドラえもん』が効果大な理由(※近日公開)第3回:「褒める」にひそむ意外な盲点。本当に褒めるべきこととそうでないことの違い(※近日公開)第4回:「典型的ないい子」を育てるよりも大切な、伸ばしてやるべき子どもの「考える力」(※近日公開)【プロフィール】沼田晶弘(ぬまた・あきひろ)1975年9月19日生まれ、東京都出身。東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。学校図書生活科教科書著者。東京学芸大学教育学部卒業後、インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。スポーツ経営学の修士課程修了後、同大学職員などを経て、2006年から現職。児童の自主性・自立性を引き出す斬新でユニークな授業が読売新聞に取り上げられ話題となる。教育関係のイベント企画を多数実施する他、教育関係だけではなく企業向けの講演も精力的におこなっている。著書に『「変」なクラスが世界を変える! ぬまっち先生と6年1組の挑戦』(中央公論新社)、『子どもが伸びる「声かけ」の正体』(KADOKAWA/角川書店)、『ぬまっちのクラスが「世界一」の理由』(中央公論新社)、『「やる気」を引き出す黄金ルール 動く人を育てる35の戦略』(幻冬舎)など。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月20日「みなさんの時代の学校と今の学校は違う。自分たちの時代とはまったく違う国になっていると思ってください」と話すのは、「ダンシング掃除」「勝手に観光大使」などがメディアに取り上げられ、その斬新な授業法がアクティブラーニングの先駆けといわれ、AI時代に負けない教育法といわれている沼田晶弘先生。「子どもにやる気があれば、勝手にがんばって子どもは伸びていきます。それが子どもの自信につながります」と沼田先生は話します。しかしそれを阻害する「大人の都合で貼られてしまうレッテル」についてお話を伺います。【AI時代を生き抜く「自信が持てる子」の育て方】 第1回 子どものやる気を引き出す親、ブレーキをかける親 第2回 子どもの「考える力」を見逃さない方法 ■子どもの前にある「すべての石」を拾うことはできない沼田先生のお話をうかがっているうちに、小学生の娘がいる筆者が思ったことがあります。それは、親として子どもに対して説明し尽くさなければいけないことを曖昧に終わらせて、本来ならば見守らないといけないことを手とり、足とり教えてはいないかということ。沼田先生はこう言葉を寄せます。「僕からすると、今のお母さんとお父さんはがんばりすぎています。自分の子どもが進もうとする道があるとします。そこにいっぱいの石ころが落ちている。子どもがつまずいたり、転んだりすることを心配し、先回りして親御さんは石ころを拾い始める。しかも、そのすべてを。何もないまっさらな道にしようとしているように見えるときがあります」さらにこう続けます。「僕の意見ですけど、石ころを拾いきることは不可能です。それよりは転んだときの受け身の仕方や、起き上がり方を教えてあげたほうがいい。転んだら、こういうリスクがあることを伝えることの方が重要。そこにあるものをないものにしてしまっては、なんの対処もできない人間になってしまうのではないでしょうか」沼田先生は、昔に比べて、親の目が子どもに行き届いていないという指摘に対しても、「むしろ届きすぎている。しかも、そこは届かなくてもいいのではというところに届いている気がします」と話します。■子どもを成長させるのは「失敗」からたしかに思い当たるところがあります。筆者も「上着を1枚余分に着なさい」とか、「マフラーをしていきなさい」と、子どもに任せていいことも、ついつい先んじて注意をしてしまう。子どもの自主性に任せていいところまで口を出してしまっているのかもしれません。沼田先生はこう続けます。「目が届きすぎるということは、子どもの学ぶ機会を奪っていることになりかねないんです。学ぶ機会がなければ、そのことはいつまでたって上達しないし、子どもの成長を妨げることにもなってしまう」たとえば、箸が苦手な子どもにスプーンでばかり食べさせていたら、箸がうまくなるはずがないし、野菜が嫌いな子だからと、ずっと食卓にあげないでいたら、あたり前ですけど食べられなくなると沼田先生はいいます。「たとえば、子どもに洗い物を頼んで、水浸しにされて、怒ったなんて経験がある方もいるのではないでしょうか? でも、任せると自身が決めたなら、怒るのは子どもに理不尽。もし、水浸しにされたくなかったら、子どもに事前にしっかりと洗い方を教える。それができないなら、頼まない。その上で、頼んだなら、黙って途中で口を出したりしない。失敗したら怒るのではなく、何が原因だったか教えてあげればいい。そうでないと、子どもの成長はないと思います。」そんな沼田先生ですが、「日々失敗の連続」だといいます。ある日の給食がポトフだったとき、沼田先生は、忙しくて子どもに配膳を任せてしまったところ、ポトフの鍋がどうなってしまったか…!?ここで大人は「汁だけが大量に残った」と思いがち。しかし実際には、具だけが残ってしまったそうです。「汁だけが大量に残っていたと考えるのは、大人の考え。逆なんです。なぜかというと、子どもたちにとって、ポトフはスープ。スープだと味噌汁ぐらいの具の量でいいと認識して、結果、具だけが残る。これは僕の失敗。説明すべきことを怠ってしまった。だから、子どもを責められないんです」■「トイレに行ってもいいですか?」と聞いてはいけないワケ「目が届きすぎるということは、子どもの学ぶ機会を奪っていることになりかねない」という考えは、授業においても常に頭に入れていることだと沼田先生は言います。「先生が教えすぎることって必ずしも正解ではない。もしかしたら、子どもの学ぶ機会を奪っている可能性がある。教えすぎると、本当はもっと伸ばせた子どもの能力を伸ばせないで終わってしまう可能性がある。だから、僕は常にそうならないように注意を払っています。ついつい口を出したくなる気持ちはわかるのですが、時には黙って見守ることも大切かなと」また沼田先生が重んじるのは自主性。沼田先生のクラスでは「やっていい」とか「やっていいですか?」という言葉が、学期が進むにつれどんどん減っていくそうです。なぜかというと、沼田先生から「自分で考えろ」と言われることが生徒たちはわかっているから。「授業中に『トイレに行ってもいいですか?』と聞かれたら、『尋ねるな、ダメといったらもれちゃうだろう』と。『トイレに行ってきます』でいいと言います。言い切れと教えています。まずは自分で判断させる。そこで間違ったことをしたら教えてあげればいい。先回りして、それはダメとしてしまうのも子どもの学ぶ機会を奪っていること。もっと子どもの自主性を大切にしていいと僕は思っています」■大人の一言が子どもを「いい子」にも「悪い子」にもするまた、子どもの能力を伸ばすために、“うちの子はこんな子”と決めつけるのも注意したいところと沼田先生。ついつい、「うちの子は得意なことがなくて」なんて人前で言ってしまったりすることないでしょうか?沼田先生は「この子はこんな子」と決めつけないでと訴えます。「ボクは教師として、いろんな子どもたちと出会ってきました。明るい子、おとなしい子、勉強が得意な子・苦手な子、スポーツが得な子・苦手な子。「いい子」といわれる子もいれば、「悪い子」といわれる子もいます。でも、本来子どもに良いも悪いもない。大人が大人の都合で、レッテルを貼っているにすぎません」出典: 『家でできる「自信が持てる子」の育て方』 (沼田晶弘(著)/あさ出版)「子どもたちはみんな、まだまだ伸びている最中です。いろんな一面があるのに、大人の都合や常識に照らし合わせ、一部を取り上げて、『この子はこんな子』とするのは、その子なりの事情がまったく考慮されていません。決めつけると、『自分はそうなんだ』と子どもは思ってしまう。そこで成長をやめてしまうかもしれません。」さらにこう続けます。「大人の何気ないひと言が、その子を『いい子』にすることもあれば、『悪い子』にすることもあります。そのことを忘れないでいてください」この言葉はちょっと子を持つ親としては胸にぐさりと刺さるのではないでしょうか。そして沼田先生は最後にこうメッセージを贈ります。「親が子どもに期待することは上限がない。少しでも上を目指してほしいと願う。そして、子どもをけっして見捨てることはありません。なので、悩みは尽きない。たぶん、親御さんたちは子どものことでずっと悩み続けるんです(苦笑)。ですから、力まず、ほどよく距離をとって、その大きな愛をもって、子どもと寄り添ってもらえればと思います。」日々、子どもたちと向き合うお父さん、お母さんにとって、沼田先生の言葉は、何かしらの気づきを与えてくれることでしょう。■今回のお話を伺った沼田晶弘さんのご著書 『家でできる「自信が持てる子」の育て方』 (沼田晶弘/あさ出版 ¥1,400(税込み))「ダンシング掃除」「勝手に観光大使」など、ユニークな授業で各種メディアの話題を集める東京学芸大学附属世田谷小学校教諭 沼田晶弘の最新刊。どうしたら子どもたちの中に自信が芽生えるのか? どうしたら何事にもやる気が起きるのか?そんな子どもの自主性や自立性、自己肯定感、やる気を引き出す方法のヒントになるメソッドが満載の一冊です。沼田晶弘さん国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。学校図書生活科教科書著者。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカへ。インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。スポーツ経営学の修士を修了後、同大学の教職員などを務める。その後、2006年から東京学芸大学附属世田谷小学校に赴任。児童の自主性や自立性を引き出す、ユニークな授業が新聞やテレビに取り上げられ、大きな話題に。その授業はアクティブラーニングの先駆けと言われる。
2019年02月19日子どもたちがやる気を引き出すためには、「仕掛けて、仕掛けて、さらに仕掛ける」と語るのは、現役の小学校の先生ながら、児童の自主性・自立性を引き出す斬新でユニークな授業が新聞やTVでも取り上げられて話題となっている沼田晶弘先生。沼田先生は、「これからの子どもたちに求められる能力は、『考えを言葉にする力』」といいます。ではどうやって子どもたちに考え、学び、自分の意見が言えるようなきっかけを作れるのでしょうか。【AI時代を生き抜く「自信が持てる子」の育て方】 第1回 子どものやる気を引き出す親、ブレーキをかける親 ■学ぶ楽しさを知るために必要な3つのこと沼田先生は、「子どもは勉強をしないといけないことはわかっている。いかに、楽しく学べるかが重要」と話します。そのための勉強を楽しくする方法とは? 親にもできるアプローチ法を教えてもらいました。まずは、第1回 「子どもの“やる気”を引き出す親、子どもの心を動かせない親」 について触れます。親としては、「やる気にさせることを見つけることこそ大変なんだ」と思うかもしれません。でも、意外と発想の転換をするだけで、変わることもあると沼田先生は言います。「本来学ぶことは楽しいはず。知識が増え、考えが深まって、できないことができることに変わっていく。でもそれを教えてくれる大人がいない。にも拘らず『これをやりなさい』『あれもやりなさい』と言われ、子どもたちにとって勉強は『やらされるもの』になりがちです」。そこで、沼田先生が学ぶ楽しさを知ってもらうために必要な3つのものを教えてもらいました。「一つめは、「課題」。「やってみよう」と提案するとき、必ず「これから何をやるのか」「どうやるのか」をわかりやすく説明します。二つめは、「制限」。「課題」を出すとき、同時に何らかの「制限」をつけるのです。できることが限られると、子どもたちは許された範囲でできる最大限のことは何か、どうすればそれをやれるのかと、ワクワクしながら考えはじめるからです。三つめは、「報酬」。「課題」を達成したあかつきに、子どもたちが手にすることのできる成果やご褒美について、最初にきちんと提示してあげます。出典: 『家でできる「自信が持てる子」の育て方』 (沼田晶弘(著)/あさ出版)沼田先生のクラスではこの「課題」「制限」「報酬」をうまく利用したテストがあります。先の回でも触れた「U2(ユーツー)」。これはUnder 2minutes、つまり制限時間が2分で行う「81ます計算」のことです。この計算テストを行う際に、沼田先生は音楽をかけます。沼田先生とっては、音も子どもたちをやる気にさせる小道具のひとつで、「音」を流すことで子どもたちの気持ちをワクワクさせます。「テスト開始のときも、まずファンファーレが鳴り響く。次にクイーンの『ウィ・ウィル・ロック・ユー』(We Will Rock You)がかかって、これが準備時間。そしてテストがはじまると、F1のテーマソングでおなじみのT-SQUAREの『TRUTH』がかかる。すると、みんなもう一生懸命、集中してテストに挑みます」2分という「制限」があるので、みんなそれを切りたくなる。すると自然と練習にも熱が入るそうです。さらにこのテストで2分を切った子にはシールという「報酬」が与えられます。「1日5枚練習してきたり、休み時間にU2をしたりする子もいる。あるお母さんから『家から帰ってきたら、一目散でU2をやっている』」と連絡が入ったことがありました(笑)。1枚に81問あるわけですから、5枚といえば400問を超える。それは早くなりますよね。記録があがれば誰もがうれしい。だから、みんな知らず知らずのうちに集中して打ち込む。そして、気づけば学力もあがっているというわけです」 ■子どもにも意見はある。その瞬間を見逃さないためにはやる気スイッチは、子どもの中にもあるといいます。沼田先生はこうヒントをくれます。「子どもはアイデアマン。僕がニュースを見て、北方領土のことをやっていたら、子どもたちに『ロシアは何で還してくれないのかな?』と聞いてみます。すると子どもたちも一生懸命考えて、そもそもロシアってどこにあるんだっけと、地図で探し始めたりして、自分なりの意見を言ってくれます。子どもは子どもなりにしか話せないけど、彼らにはちゃんと意見がある。それを僕は受け流さないし、耳をきちんと傾けます。すると子どもたちがどんなところに興味をもって、乗ってくるのかがわかるときがあって、それがアイデアのタネになったりするんです」沼田先生のメソッドとして「勝手に観光大使」というものがあります。これは、子どもたちが自分で担当する都道府県を決めて、その地域の魅力は特色をPRするというもの。沼田先生いわく「担当する地域を自身で決めたということは、この地域について自分は勉強するぞと宣言したことに等しい」とのこと。まず、その地域を知らなければPRのしようがないですから、子どもたちは一生懸命調べることになります。沼田先生はここで終わらせません。次にあらたな課題を与えます。それはパワーポイントでのプレゼン資料作り。すると生徒たちは、「誰よりもかっこいい資料を作りたい」と、みんな、自分で率先して学び、調べ、工夫をして資料作りに邁進(まいしん)していくそうです。最後には、その地域の自治体の関係者にお願いし、実際に子どもたちはみごとにプレゼンをやり遂げます。「調べる」という能力において、人はAIには太刀打ちできません。では、子どもたちにこれから求められる能力は何かと考えたときに、「考察する力」そして「考えを言葉にする力」ではないかと、ボクは思っているからです。出典: 『家でできる「自信が持てる子」の育て方』 (沼田晶弘(著)/あさ出版)みなさんも、子どもと話していて自分でも想像していなかったことに子どもが興味を示したり、くいついてきたりする瞬間があるのではないでしょうか? 沼田先生はそういった子どもの気持ちや興味を絶対に見逃さないとのこと。親もこの瞬間を見逃さずに仕掛けることで、子どものやる気スイッチを入れられるようになるのかもしれません。■親の時代の価値基準で子どもを判断してはいけない沼田先生と話していて、筆者が1番に痛感させられたのは、親の意識改革こそが必要ではないかということです。沼田先生は、親に向けて次のようにお話するそうです。「みなさんの時代の学校と今の学校は違う。教育法も違う。自分たちの時代とはまったく違う国になっていると思ってください」と。「あるお母さんが自分はバスケット部だったから、子どもにもバスケ部に入ってほしいと言ってきたら、『いいですよ』と言います。ただ、今の部活動の在り方は昔とはまったく違う。旧態依然としているところもあれば、すごく進歩的なところもある。一律ではない。学校や指導者によっても大きくかわる。昔のイメージではなく、現状をきちんとみてくださいね」とアドバイスを贈るそう。とかく年齢を重ねると「昔はよかった」と思いがちなところがあります。たとえば、ちまたでは、ゆとり世代は使えないとか、コミュニケーション能力が低いとか言われたりもしています。しかし沼田先生は、今の若い子にもすごいところがいっぱいあると話します。「今の学生に調べものを頼むと、ネットを駆使して必要な情報をパパっと調べてきます。若い企業家は、ものすごいスピードで仕事を処理していく。ただ、若者に苦手なのはアポイントをとること。なぜなら、彼らにはもともとメールやスマホがあって、都合が合えば即決があたり前。でも、上の世代は、アポは2週間前ぐらいから先方に伝えてないと失礼にあたると思っています。だから若者が直前にアポをとったりすると、『若い奴らはなってない』と判断してしまう。でも、それは若い世代は知らないだけで、教えてあげれば済むことなんです」沼田先生は、「自分たちの時代の価値基準で、子どもたちのことを判断しないで」と話します。「これからの子どもたちは、こういう価値観のある時代を生きていくんだということをお父さんもお母さんももっと意識したほうがいいと思います」たしかに世の中の環境は大きく変化しているのに、昔からの固定観念にしばられて、これは絶対にいいこと、これは絶対に悪いことと思い込んでいることってけっこうあるのではないでしょうか? でも、時代も変われば価値も変わる。こう考えることで、子どもを見る目が変わってくるかもしれません。■今回のお話を伺った沼田晶弘さんのご著書 『家でできる「自信が持てる子」の育て方』 (沼田晶弘/あさ出版 ¥1,400(税込み))「ダンシング掃除」「勝手に観光大使」など、ユニークな授業で各種メディアの話題を集める東京学芸大学附属世田谷小学校教諭 沼田晶弘の最新刊。どうしたら子どもたちの中に自信が芽生えるのか? どうしたら何事にもやる気が起きるのか?そんな子どもの自主性や自立性、自己肯定感、やる気を引き出す方法のヒントになるメソッドが満載の一冊です。沼田晶弘さん国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。学校図書生活科教科書著者。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカへ。インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。スポーツ経営学の修士を修了後、同大学の教職員などを務める。その後、2006年から東京学芸大学附属世田谷小学校に赴任。児童の自主性や自立性を引き出す、ユニークな授業が新聞やテレビに取り上げられ、大きな話題に。その授業はアクティブラーニングの先駆けと言われる。
2019年02月18日「AI時代が来て、仕事の半分以上はコンピューターに取って代わられる」などと言われても、親としては子どもにどういったスキルを身に着けさせればいいのかわかりません。そこで、ぬまっち先生の愛称で各メディアでも取り上げられ、話題を集める現役小学校教員の沼田晶弘さんに、現在の教育現場の現状、そしてこれから来るAI時代を踏まえて、親として何ができるのか、お話を聞きました。沼田晶弘(ぬまたあきひろ)さん国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。児童の自主性や自立性を引き出す、ユニークな授業が新聞やテレビに取り上げられ、大きな話題に。その授業はアクティブラーニングの先駆けと言われる。■大人の「注意」は、子どもに届いているのか?子どもがどういった将来を描くのかは未知数。でもまずは子どもに「やってみたい」という気持ちが起きないことには始まりません。しかし、「どうしたら子どもをやる気にさせられるのか?」は、親にとっての永遠の命題ともいえます。この問題に、沼田先生は、「子どもは楽しいことは自然とやりたくなる」といいます。沼田先生の著書 『家でできる「自信が持てる子」の育て方』 を読んで、筆者が思い出されたのは自分の子ども時代。漫画やおもちゃが部屋に散乱していると、当然のごとく、親から“片づけなさい”の声が飛んでくる。しぶしぶ片づけると、今度は“それで整理したことになるのか”となる。そんな大人の言い方が嫌だったのに、いざ自身が小学生となる子の親になってみると、意外と同じ轍を踏んでいたりする。沼田先生はこう言います。「たとえば、みなさん、子どもに“ちゃんと”とか“きちんと”って口癖のように使っていませんか? でも、単に“ちゃんと”と“きちんと”といっても子どもはわからない。それぞれ基準が違うんです」。沼田先生は、たとえば部屋の片づけならば、床に散らばっているものを片づけるのか、それとも棚を片づけるのか、具体的に基準を明確に伝えることを提案します。以前、沼田先生のクラスで、夏場に生徒が扉を開けっ放しにしてクーラーの効果がゼロになったことがあったそうです。「僕としては、なんで“開けたら閉める”の当たり前のことができないんだとなる。そこでまず扉を開けた子どもに聞くと、『後ろに来ていた子がいたから開けたままにした』と。その後ろにいた子に聞くと、『後ろにすぐ来る子がいると思った』という。みんな開けたら閉めないといけないことはわかっている。でも、次の人のためにという意識があったんですね。それで、クラスで合言葉を変えたんです。“開けたら閉める”ではなく、このクラスは“開けなくても閉める”と」これにより翌日から常にピシッと扉が閉まるようになったそうです。「開けたら閉める」では、他人に任せてしまうときがある。そこで、開けたら閉めるのはもちろん、扉が開いていたら気づいた人が閉める。「扉は必ず閉めた状態にする」というルールを徹底したことで子どもは理解したわけです。つまり沼田先生が伝えたいのは、「ルールの共有が大切」ということ。家庭でもそれぞれルールがある。でもそのルールさえ共有できれば、親がカリカリしなくても子どもがすんなり行動してくれることもたくさんあるといいます。「なんでこの子は何度言ってもしっかりできないんだろう?」とついつい考えてしまうけれど、その前に「曖昧な指示だから、子どもがわからないのかも」と考える必要がありそうです。明確な説明がなければ、それにむけてのやる気持ちも高まらない。むしろ、やる気を削ぐ可能性さえある。■子どものやる気は、どうやって引き出すのか?さて、本題の“子どもからどうやってやる気を引き出すのか?”沼田先生が実践しているさまざまなメソッドには、共通点があることに気づきます。それは、どれも子どもが学ぶ楽しみを見つけているものであること。沼田先生は、子どもが楽しく学ぶためならば労を惜しまないといいます。「『勉強は誰がするの?』というと、子どもなんです。だから、僕は『子どもがどうしたら楽しく学ぶことができるか?』にポイントを置いて、工夫をしているだけなんです。ただ、「勉強しなさい」といっても子どもの心は動きません」ささいなことかもしれませんが、ネーミングひとつで変わることもあります。沼田先生の現在のクラスには勉強のやり方にネーミングがついています。たとえば、「N1(エヌワン)」、「U2(ユーツー)」(※)。※●N1(エヌワン):「Notebook for the one」の略で、日記のこと。●U2(ユーツー):Under 2minitus(制限時間2分)で行う「81ます計算」のことそして、漢字テストでは子どもたちが「漢字なので『KG(ケージー)』、『N1』『U2』があるから『KG3』にしよう」と決定したそうです。沼田先生は心の中で、「漢字はKANJIだから“KJ”だと思うけど」と思ったそうですが…。しかし、それに止まらず、先生は「せっかくだから“3”にも意味を持たせよう。3回連続で満点をとったらライセンスをあげよう!」と提案。すると子どもたちはがぜんやる気になって、「KG3(ケージースリー)チャレンジ」が始まったそうです。こんなネーミングだけで、勉強がなんとなくゲームのような楽しいイメージに変わるような気がしないでしょうか?■与えっぱなしでは、子どもの心は動かない沼田先生はこう言います。「僕は小道具を大量に使います(笑)。地声でいえばいいのに、あえてちょっとしたマイクを使ったり。スタンプやシール、ライセンスなどいろいろと作って、子どもたちの目標にする。学ぶことをワクワクするものにしたいんです」「やる気を引き出せるまで、あの手、この手、あっちの手、そっちの手と、あらゆる手を尽くして子どもたちに仕掛けていきます。また、「これは楽しい!」とやる気になってくれたからといって、安心してはいられません。今度は、また違う手を使って、子どもたちのやる気が失われないように工夫します。ときには、他人の手でも、機会の手でも、猫の手でも、子どもたちを飽きさせないためなら、ありとあらゆる手を使います。彼らが夢中になってからも、“その手”も“どの手”も“誰の手”でも利用して、その興味が長続きするようにチャレンジします」出典: 『家でできる「自信が持てる子」の育て方』 (沼田晶弘(著)/あさ出版)そう、つまりは子どもたちに“とにかくやれ”の一点張りで、親は「やる気を引き出す創意工夫」をちゃんとしているのか? そこに「楽しい」を見い出させてあげることができているかということなのです。たとえば、ネットかなにかで評判のいいドリルがあったら、それをとりあえずやりなさいと渡しっぱなしにしてしまいがち。でもドリルなら自分で一度目を通してみて何か子どもが興味をもちそうにアレンジしてみる、何分で解けるか競争してみるといった楽しくなるように提案することが大切です。沼田先生は、子どもに各教科の専用ノート以外に必ず1冊ノートを用意してもらい、必ず毎日提出してもらうそう。このノートに子どもたちが書くのは翌日の時間割から、連絡事項、自分だけの連絡事項(たとえば忘れ物をしたら、それを持ってくるといった伝言)、先生との日記など。そして、このノートはどんな勉強に使ってもいいことにしているそうです。その理由は、子どもが勉強しようと思ったとき、その教科のノートを探す時間の無駄を省けることと、せっかく芽生えた子どものやる気をしぼませないようにしたいという考えから。また、学校の授業以外、自宅でやった学習についてはこのノート1冊にまとめることで、自主勉強の成果をひとつにまとめることができる。こうすることで、子どものがんばった証の蓄積を可視化できるといいます。つまり、子どもも自分がどれだけがんばったかがわかるというわけです。与えっぱなしでは、子どもの心も動かない。そういう意味で、子どものやる気を引き出すか否かは、親の姿勢や工夫次第ということなのかもしれません。■今回のお話を伺った沼田晶弘さんのご著書 『家でできる「自信が持てる子」の育て方』 (沼田晶弘/あさ出版 ¥1,400(税込み))「ダンシング掃除」「勝手に観光大使」など、ユニークな授業で各種メディアの話題を集める東京学芸大学附属世田谷小学校教諭 沼田晶弘の最新刊。どうしたら子どもたちの中に自信が芽生えるのか? どうしたら何事にもやる気が起きるのか?そんな子どもの自主性や自立性、自己肯定感、やる気を引き出す方法のヒントになるメソッドが満載の一冊です。沼田晶弘さん国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。学校図書生活科教科書著者。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカへ。インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。スポーツ経営学の修士を修了後、同大学の教職員などを務める。その後、2006年から東京学芸大学附属世田谷小学校に赴任。児童の自主性や自立性を引き出す、ユニークな授業が新聞やテレビに取り上げられ、大きな話題に。その授業はアクティブラーニングの先駆けと言われる。
2019年02月17日芥川賞受賞作・沼田真佑の小説『影裏』が映画化。2020年2月14日(金)に全国公開される。大友啓史監督作品。芥川賞受賞作『影裏』実写化2017年文學界新人賞を受賞し、同年第157回芥川賞を受賞した沼田真佑の小説『影裏』は、岩手県を舞台にしたヒューマンミステリー。高い技巧と繊細で美しい文章の交差で文壇を驚愕させ、人間の心の裏側や、現代社会における繊細なテーマを描いた純文学作品だ。物語の主人公となるのは、赴任した慣れない土地での生活に戸惑うサラリーマン・今野。そんな彼は、ある日突然失踪した親友・日浅の足跡をたどるうちに、彼の“もう1つの”裏の顔を知っていく。共に日々を分かち合ったはずの日浅の“真実”はどこにあるのかー?綾野剛×松田龍平が親友役に物語のメインキャラクターを務めるのは、『パンク侍、斬られて候』『亜人』の綾野剛と、『泣き虫しょったんの奇跡』で主演を務めた松田龍平。主人公の会社員・今野を綾野剛、その親友役で突然失踪した謎の男・日浅を松田龍平がそれぞれ務める。2人は本作が初共演だ。メインキャラクターの脇を固めるのは、演技派ぞろいのキャストたち。物語に深みをもたらすキャラクターたちの特徴と共に紹介しよう。日浅征吾役(國村隼)日浅の父。日浅の行方を捜し訪ねてきた今野に、隠された真実を告げる物語のキーマン。西山役(筒井真理子)今野と日浅の同僚で、自らも必死で日浅を探し求めている謎めいた女性。副島和哉役(中村倫也)今野を深く理解する昔の友人。鈴村早苗役(永島暎子)今野と同じアパートに住み、些細なことで今野を悩ませる口うるさい隣人。日浅馨役(安田顕)疎遠になってしまった弟に複雑な感情を抱く、日浅の兄。清人役(平埜生成)今野の年下の友人。監督は『るろうに剣心』シリーズの大友啓史監督は、NHK時代に「ハゲタカ」、「白洲次郎」、NHK大河ドラマ「龍馬伝」と、数多くの人間ドラマを手掛け、フリー転身後は『るろうに剣心』シリーズ、『ミュージアム』、『3月のライオン』などのエンターテイメント作品で日本映画界を牽引する大友啓史。撮影は、原作の舞台でもある岩手県にてオールロケで行われた。ストーリー今野は、転勤で移り住んだ岩手で日浅に出会う。慣れない地でただ一人心を許せる存在。まるで遅れてやってきたような成熟した青春の日々に、今野は言いようのない心地よさを感じていた。しかしある日、日浅は突然姿を消してしまう。日浅を探し始めた今野は、日浅の父に捜索願を出すことを頼むが、何故か断られてしまう。そして、見えてきたのは、これまで自分が見てきた彼とは全く違う別の顔。陽の光の下、ともに時を過ごしたあの男の“本当”とは?【詳細】『影裏』映画化公開時期:2020年2月14日(金)出演:綾野剛、松田龍平、筒井真理子、中村倫也、平埜生成、 國村隼、永島暎子、安田顕監督:大友啓史原作:沼田真佑『影裏』(文藝春秋)脚本:澤井香織音楽:大友良英
2018年11月30日“イヤミス(読んでイヤな気持ちになるミステリー)”女王の一人、沼田まほかるの人気ミステリー小説「彼女がその名を知らない鳥たち」が、蒼井優と阿部サダヲをW主演に迎え実写映画化決定。『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌監督がメガホンを取り、今秋公開されることが分かった。8年前に別れた男・黒崎を忘れられない十和子は、いまは15歳上の男・陣治と暮らしている。下品で、貧相で、地位もお金もない陣治を激しく嫌悪しながらも、彼の稼ぎで働きもせず日々を過ごしていた。ある日、十和子は黒崎の面影を思い起こさせる妻子ある男・水島と関係を持ち、彼との情事に溺れていく。そんなとき、家に訪ねてきた刑事から「黒崎が行方不明だ」と知らされる。どんなに足蹴にされても文句を言わず、「十和子のためなら何でもできる」と言い続ける陣治が、執拗に自分をつけ回していることに気付いた十和子は、黒崎の失踪に陣治が関わっているのではないかと疑い、水島にも危険が及ぶのではないかと怯え始める――。原作は、吉高由里子主演で映画化が決定した『ユリゴコロ』の原作者・沼田氏の同名ミステリー小説。ラブストーリーに夢を見られなくなった大人の女性たちに、「究極の愛とは何か」と突きつけ、読者を虜にし20万部を突破するなど人気を博している。そして、メガホンを取るのは『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』の白石監督。ノンフィクションを原作に骨太な社会派エンターテイメントを作り出してきた白石監督が、本作で初めて本格的な大人のラブストーリーに挑む。本作の主演で北原十和子役を演じる蒼井さんは、今回の役どころについて「自分に対する諦めができない人。かといって何か行動を起こすわけでもない、甘ったれた女性。共感は全くできない役だったけれど、ご覧になる方に自ら嫌われる勇気をどこまで持てるのか、試したいと思いました」とコメント。佐野陣冶役の阿部さんは、「食べ方が汚いとか、たんが絡んだ咳をするとか、とにかく汚い男に見せるために、監督と色々相談しました」と“汚い男”を追及したそう。主演の2人はほぼ初共演だそうで「いま乗ってる女優さんと言ったらこの人!って必ず名前が上がる方だし、最近は迫力も出てますよね。実際すっごい迫力ありました(笑)一緒にお芝居していて楽しかったです」と共演を喜んだ。また、原作を読んで物語に心奪われたと話す白石監督は、「誰であれ到底たどり着くことが出来ない究極の愛を僕自身がスクリーンでどうしても見たくなり映画化を決意しました」と今回の映画化に至った経緯を語り、「登場人物のほとんどがクズばかりですが、見る人をとんでもないところへ連れていってくれる映画であると仕上げ作業の大詰めを迎えて確信しています。楽しみにお待ち下さい」と自信を見せた。原作者の沼田氏も「ラストあたりで思わず落涙。原作をよくここまで読み込んでいただいたものと感謝でいっぱいです。役者さんも演技力のある方ばかりなので、これはきっと素晴らしい映画ができることと信じております」と喜びの言葉を寄せた。撮影は2016年10月8日から約1か月間、原作の舞台である大阪を中心とした関西ですべて敢行されたという。『彼女がその名を知らない鳥たち』は2017年秋、全国にて公開予定。(cinemacafe.net)
2017年01月31日森ビルが運営する社会人向け教育機関「アカデミーヒルズ」は、QREATOR AGENTとタッグを組み、アートをテーマとしたセミナーシリーズ「六本木アートカレッジ2015」を2015年7月1日より開催する。「六本木アートカレッジ」は、社会人向けに年間200本以上のプログラムを提供する「アカデミーヒルズ」が開催するセミナーシリーズ。2011年のスタート以来、クリエイティブを目指すビジネスパーソンに向けて「自分にとっての"アート"とは何か?」を考える機会を提供し続けている。今回開催される「六本木アートカレッジ2015」では、時代を牽引するクリエイターたちのエージェント・QREATOR AGENTとタッグを組み、QAと契約中のトップクリエーターを招致。「クリエイティブな人の考えって?」と題し、さまざまなジャンルの"QREATOR"(クリエーター)から思考・習慣・秘訣を引き出し、誰しもがクリエーターになれる公式「自分らしいクリエイティビティ」を考えていくという。第1回目となる7月1日には、バーグハンバーグ バーグ代表で著書『日本一「ふざけた」会社のギリギリセーフな仕事術』(中央公論新社)も話題のシモダテツヤ氏をゲストに迎え、「クリエイティブが生まれる"仕組み"づくり」を聞く。モデレーターを務めるのは、"MC型教師"の異名を持つ東京学芸大学附属世田谷小学校教論の沼田晶弘氏。開催日時は7月1日19:30~21:00、会場は東京都・六本木のアカデミーヒルズ。受講料は4,000円。申込は「アカデミーヒルズ2015」Webページから。なお、今後の開催予定は、第2回が7月28日、第3回が8月31日、第4回が9月28日、第5回が11月4日(いずれも19:30~21:00)となっている。
2015年06月02日