私は若いころから40代になった今まで変わらず温泉が好きで、あちこちの温泉に足を運びました。温泉は泉質によってさまざまな効能がありますが、美肌効果があるとされる温泉へ入ったときのこと。入浴した翌日に肌トラブルが起きてしまったのです。私にとっては自分が年齢を重ねたことを実感する出来事でした。手足に発疹! 原因を知るべく皮膚科へ私が40歳ごろのこと。入浴の翌日に肌がすべすべになるので何度もリピートしていた温泉に行ったのですが、そのときは「えっ」と声が出てしまうくらい驚きました。入浴した翌日、すべすべどころか赤く小さな発疹が手足にたくさん出ていたのです。私には食べ物のアレルギーはなく、そのときは発疹の原因が何なのかまったく思いつきませんでした。私の場合、発疹は手足だけで痛みやかゆみはなかったものの、当時、幼い子どもの育児中。もし子どもに感染するものだったらと思うと原因がわからないことが不安で、すぐに皮膚科を受診しました。皮膚科医は発疹を診て最初はいぶかしんでいましたが、前日に発疹はなく温泉に入ったことを話すと大きくうなずいて「湯かぶれでしょう」とのこと。湯かぶれとは、皮膚が弱いと起こる入浴後の皮膚の炎症や発疹のことだそうで、私の場合は加齢や乾燥によって皮膚が弱くなっていたのだろうと言っていました。私は若いころから温泉巡りをしていますが、それまでこれといった肌トラブルはなく、自分の肌が弱いと感じたこともなかったため、湯かぶれという言葉は初耳。発疹が出た温泉にも過去に何度も入っていましたが、このときが初めての湯かぶれでした。保湿はなるべく早くいつもなら肌をすべすべにしてくれる温泉に入ったら発疹が出るなんて、それほど自分の肌が弱っていたとは思いも寄りませんでした。どんな泉質の温泉に入っても肌トラブルが何も起きなかった若いころの自分と比較して、40歳の私は年齢を重ねたことをまざまざと実感してショックでした。皮膚科医によると、加齢によって皮膚のバリアー機能が低下して乾燥が進むと肌が弱くなるそうで、入浴後や洗顔後はできるだけ早く保湿するようにと言っていました。今思えば、そのころの私は、子ども中心の生活で自分のことは何でも後回し。顔のスキンケアについても最低限のケアはしていたとは思いますが、それも子どものスキンケアや身支度などをすべて終えてから。また、体の保湿はしていないこともあったので、自分が思うよりも皮膚の乾燥が進んでいたのかもしれません。加齢で肌が衰えていた上にケアを怠ったことが重なって肌が弱くなり、湯かぶれにつながってしまったように思います。入浴の翌日発疹が出た温泉には子どもも一緒に入っていましたが、子どもにはしっかりあがり湯をかけて保湿もしていたこともあって子どもの肌トラブルは起きませんでした。湯かぶれの予防にあがり湯私が湯かぶれという皮膚科医からの指摘に納得した理由が2つあります。1つ目に、発疹は出てもかゆみや痛みはなく、皮膚科で処方された保湿剤を塗ったところ1週間もたたずに治り、再発もなかったこと。2つ目に、温泉の入り方や注意書きに、あがり湯をかけることで肌トラブルの予防ができると書いてあったのを思い出したからです。温泉の中には皮膚に刺激の強い泉質もあり、もしかしたら「湯かぶれ」と書いてあったのかもしれませんが、普段肌トラブルなくあまり気に留めていなかったため忘れていました。このことだったのか、あがり湯が不十分だったのかと納得したのです。実は、何も肌トラブルが起きなかった若いころは、なんだかもったいない気がしてあがり湯をかけないことがありました。泉質や注意書きによっては、あがり湯をかけなくても大丈夫な温泉もあったのでなおのこと気に留めていなかったのですが、発疹が出た以上、もう若いころと同じではないのだなと思いました。美肌の湯と言っても、温泉の泉質によって効果はさまざま。あがり湯が十分ではなく、肌の乾燥が進んでいた私の肌には、入ったことがある温泉でも泉質の刺激が強かったようでした。まとめ私にとっては癒やしになる温泉で加齢を感じるなんて悲しい出来事でしたが、原因がわかれば対策はできるので、現在の私には良い経験になりました。温泉に入るときは水分補給や適度な入浴時間で乾燥し過ぎないように気を付け、あがり湯を十分におこない丁寧に保湿をすることで今では肌トラブルなく温泉を楽しむことができています。これからも肌のケアには十分気を付けながら、いろいろな温泉を楽しみたいです。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/窪田徹矢先生(くぼたクリニック松戸五香院長)獨協医科大学医学部卒業。千葉医療センター、成田赤十字病院で研修を積み、国保松戸市立病院泌尿器科に勤務。その後千葉西総合病院泌尿器科にて医長、部長を歴任。2017年、くぼたクリニック松戸五香を開業。日本泌尿器科学会専門医・指導医。専門医である泌尿器科および皮膚のトラブル、生活習慣病を含めた内科まで幅広く診察。メディア出演も多数あり、医者YouTuberとしての情報発信もおこなっている。イラスト/もふたむ著者/岡野(42歳)介護福祉士。40代になって最初の変化は、涙もろくなったこと。夫と子どもと、3人暮らし。なんでもない平凡な1日が暮らせたら、それだけで感謝。
2024年03月17日もしも突然、我が子に原因不明の発疹が見られたら、親は不安と恐怖で取り乱してしまうことでしょう。しかし、思わぬ原因であることが発覚し、大爆笑してしまったのが、あんなのあんなっ(@hentai_an4)さん。Twitterに投稿したエピソードに、多くの人が笑ってしまったようです。我が子の足に謎の発疹原因は…ある日のこと、子供から「足が変」といわれたという投稿者さん。確認すると、足の甲に黒ずんだ斑点が見られたため、すぐに子供を連れて皮膚科へ向かいました。「今、同じ症状で来るお子さんが、かなり増えてます」と説明する医師に、感染症を疑った投稿者さんですが、告げられた斑点の原因は、予想だにしないものでした。医師が明かした、原因は…。「クロックスの日焼けです」足が変と言うから見たら謎の斑点に焦って皮膚科に連れて行くと「今同じ症状でくるお子さんがかなり増えてます。」と言われ「感染病なんですか!?」と聞くと「クロックスの日焼けです」と言われ大爆笑した pic.twitter.com/wDw98KVPoj — あんなのあんなっ ❤︎ (@hentai_an4) April 14, 2022 そっちか~…!クロックスのデザインである、穴の形通りに焼けた肌。黒ずんだ斑点は発疹ではなく、日焼けだったのです…!安心したと同時に、爆笑してしまったという投稿者さん。まさかのオチに、28万件もの『いいね』が寄せられるなど、投稿は大きな反響を呼びました。・シースルーの靴下も要注意です。足の甲に日焼け止め塗るのは大事です…。・自分の妹も、同じような日焼けをしていた。・爆笑しすぎてお腹が痛い…!気温が上がるにつれ、履いている人を見かける機会が増えるクロックス。長時間の外出でクロックスを履く時は、くれぐれも日焼け止めを忘れずに…![文・構成/grape編集部]
2022年04月15日わが家の長男は皮膚があまり強くありません。夏休みに川遊びをした長男のおなかに、見たことのない赤いポツポツができました。何かに触れてかぶれただけだろうと安易に考えていたわが家。クリニック受診から大きな病院へ紹介され、聞いたことのない病名の診断を受けてから治療完了までの体験談をお話しします。 小児科を受診したら、紹介状を渡されて年中の夏休みに帰省先で川遊びした長男。川遊びから帰ってくるとおなかに赤いポツポツが……。2日後に帰京しても消えておらず、かかりつけの小児科を受診しました。ただのかぶれだと思っていたのですが、先生が赤いポツポツを定規で押して診察。 さらに下まぶたを下げて、「おなかは痛くないの?」とたずねると、長男は「痛くない、大丈夫」と答え、診察も終わりかなと思っていました。すると先生が、「このポツポツは紫斑で、血液の病気だと心配だから今から国立病院へ行ってね」と紹介状を書き始めていました。 国立病院で追加検査・大泣きの採血血液の病気ってどういうこと?と頭が混乱するなか、小児科から車で10分の国立病院へ。小児科には生後9カ月になる次男と3人で受診をしていたので、夫にも病院で待ち合わせをし付き添ってもらいました。 国立病院ではまず体温、血圧などを計ったあと、まずは診察。やさしそうな女医さんがおなかのポツポツを診察しました。かかりつけの先生と同じように、「このポツポツは紫斑で、血液に関する病気のときに出ることが多いです。まずは採血します」と言われ、診察室に長男だけを残して私は退室。廊下には長男が採血に抵抗し、大泣きしている声が響きました。20分後、診察室に戻ると泣きじゃくる長男の顔にもポツポツができていました。 アレルギー性紫斑病泣いただけで顔に紫斑ができた長男。女医さんは「力を入れるだけで紫斑ができたので、何かしらの血液凝固の異常があるかと思われます。採血の結果次第ではこのまま入院です。血液の凝固に関する血小板が少ない場合、出血のリスクがあります。」と淡々と説明しました。 「出血のリスクが高い? 脳出血とかもありうるの?」と、採血結果が出るまで最悪のことを想定しながらスマホで検索しまくる私。30分後に検査結果が出て、女医さんから「心配していた血小板減少紫斑病ではなく、典型的ではありませんがアレルギー性紫斑病だと思われます」と家族みんなで説明を受けました。 強い腹痛を伴うと入院になることが多いようですが、長男は紫斑だけだったため2日後の受診予約を済ませ、帰宅することに。「下血を伴う腹痛やぶつけた記憶がないのにあざができたら相談してください」と注意を受けました。 半年後の尿検査で問題なく、通院終了アレルギー性紫斑病は、原因不明のアレルギー反応によって全身の毛細血管で炎症が起こり、血管が弱くなってしまうことで紫斑が生じる病気だそうです。 長男の紫斑は1週間ほどでなくなりましたが、半数の人に腎炎がみられるとのことで、1カ月後、さらに2カ月後と尿検査を受けました。そして、発症から6カ月後の受診で異常は見られず、通院は終了となりました。 もし、ただの湿疹だと思い、そのままにしていたらと思うと怖いです。こどもの小さな変化に気づき、少しでも変だと思ったら受診するべきだと思いました。長男は別の用事で国立病院に行くと、「あそこで泣きながら注射をしたよね」と当時のことを話してくれます。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 ベビーカレンダーでは、赤ちゃん時代を卒業して自己主張を始めた2~5歳までの子どもの力を伸ばし、親子の生活がもっと楽しくなる【キッズライフ記事】を強化配信中。今よりもっと笑顔が増えてハッピーな毎日なりますように! 監修/助産師REIKO著者:渡辺かほ6歳2歳の男児2人のママ。保育士資格を持つ元保育園看護師。訪問看護で働きながら、ライターとして子育てや医療に関する情報を発信している。
2021年01月02日「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」とママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【専門家に相談】の掲示板。そのなかから特に注目をあつめた質問の内容を一部抜粋してご紹介します。今回は突発性発疹に関するご相談です。 Q.突発性発疹と診断されました。1歳3カ月の子どもが夜から発熱があり、翌日に医者に行ったら風邪と診断されました。3日後には熱は下がったのですが発疹が出始め、再び医者に行ったら突発性発疹と診断されました。自然に治るのを待つしかないと言われたのですが、もう発熱はしていないのにお風呂上がりのように汗をびっしょりとかいて寝ています。また、手足が冷えてとても不機嫌でぐずぐずしていて泣いてばかりいることも心配です。 高杉絵理助産師からの回答お子さんが突発性発疹だったのですね。高熱も出てご心配になられましたね。病み上がりでお子さん的にもきつさはあるかもしれませんが、こうやって免疫がついてきて体が強くなっていきます。とはいえ、母としては発熱や体調を崩しているわが子の様子は心配で不安になりますよね。 お子さんが少しでも気持ちよく過ごせるように寝起きにお着替えをさせてあげたり、体を拭いてあげるといいかもしれませんね。季節的にも少し涼しくなってきましたし、汗もかくと冷えやすくなるのでお洋服やお部屋の環境で調整してあげてくださいね。そして、少しずつお食事の量も元通りになり、またいつも通り元気になればいいなと思います。 突発性発疹は解熱後、発疹が出始めているころのほうが機嫌が悪いことが多いようです。突発性発疹は重症化することは少ないですし、今のご様子でしたら2〜5日で湿疹が自然に消失して元気になっていくと思いますので、それまではお子さんをたっぷり甘えさせてあげてお子さん中心にしてあげてくださいね。 早く良くなるといいですね。ママも看病疲れしてしまわないようにパパやご家族のサポートを受けてくださいね。※参考:ベビーカレンダー「専門家に相談」コーナー※診断や具体的な治療については医師の指示にしたがってください 突発性発疹とは私たちの体は外敵から守るために免疫機能がはたらくと、その反応として発熱が起こります。新生児は母体から受け取った免疫を持っているため、生後6カ月ごろまでは細菌やウイルスに感染しにくいとされています。 しかし、生後6カ月ごろになると母体からもらった抗体が少なくなっていき、細菌やウイルスに感染しやすくなります。そのため、生後6カ月以降に初めての発熱を経験する赤ちゃんが多く見られるのです。そして、初めての発熱の原因として多いのが突発性発疹です。突発性発疹は38~39℃の比較的高い熱が突然出ます。しかし、体調が悪いときの不機嫌や哺乳不良などは少なく、比較的機嫌よく過ごすことが多いとされています。発熱は2~3日程度続き、熱が下がってから顔や胸、おなかなどに花びらを散らせたような形の赤い発疹が広がるのが特徴です。花びらの形は、隣り合った発疹が繋がることで形成されます。また、発疹が現れる直前に永山斑と呼ばれる赤い斑点が喉の奥にできることがありますが、判別が難しいため確定診断には至らないことが多いようです。ほとんどの突発性発疹は、熱が下がり、発疹が現れたことを確認して診断されます。発疹は2~3日程度で消えます。そのほかに下痢やリンパ節の腫れ、眉間から頭頂部の付近にかけてある大泉門の腫れなどの症状が現れることがあります。高熱が出るため、熱性けいれんを起こす可能性もあります。また、まれにではありますが次のような合併症を起こすことがあります。・脳炎・脳症(痙攣、意識の低下、脳の全体的な機能の低下)・劇症肝炎(炎症が非常に強いことで肝臓の機能が著しく低下する)・血小板減少性紫斑病(血小板が減少することで出血しやすくなる)20分以上のけいれんや、意識の混濁・喪失、白目が黄色くなる、内出血が多くみられるなどの症状が現れた場合は合併症が疑われるので、すぐに病院を受診しましょう。また、嘔吐をくり返したり呼吸が苦しそうであったりする場合も、すぐに受診したほうが良いでしょう。突発性発疹の治療方法と対処法突発性発疹に特効薬はありません。自然に治る病気ですから、症状の軽減を目的とした対症療法をおこないながら経過観察します。 感染しても発症しない乳幼児がいるため、突発性発疹を完全に予防する方法はありません。発症したときには一般的な発熱と同じ方法で対処しましょう。できるだけ安静にして、十分に睡眠をとれるよう環境を整えてください。睡眠不足などで体力が落ちると、免疫力が低下する恐れがあります。 また、こまめに水分補給をさせることも大切です。下痢をしている場合は水分と共に電解質も失われるので、医師に指示により経口補水液(脱水症状のある人のための飲料)を飲ませることがあります。 突発性発疹の発熱で体調が悪いように感じる場合は解熱剤を使っても良いとされていますが、時間が経つと再び発熱するため、解熱剤は熱によるつらさを軽減するのが主な目的です。体温の急激な上昇に伴って寒気に襲われ、手足が冷たくなったり唇の色が悪くなったりするなどの症状が現れることがあります。このような場合は、普段よりも一枚多く服を着せたり、布団をかけたりしましょう。 熱が上がりきって暑がるような素振りを見せた場合は、服や寝具を一枚減らして熱を放散させてください。元気であれば、ぬるめの湯に入浴してもOKです。湯冷めをしないように、入浴後はしっかりと体を拭いて服を着せてあげましょう。もし、2~3日経過しても熱が下がらず発疹も見られないような場合は、ほかの感染症の可能性もありますので、受診してください。※参考:基礎知識(ベビー)「突発性発疹の原因、症状、対処法について」【監修者:医師 松井 潔 先生小児科 | 神奈川県立こども医療センター総合診療科部長】
2020年10月19日皆様、新年あけましておめでとうございます!昨年は月3回の連載を読んでいただきありがとうございました。今年も我が家のほっこり日常や、クスッと笑えるエピソードなどお届けしてまいりますので、楽しんでいただけると嬉しいです!それでは今回の記事ですが、去年の秋ごろ、次女が突発性発疹になった時のお話です。(新年早々おめでたい話じゃなくてすみません…!笑)長女はこの突発性発疹にならなかったので、初めて「発疹」を見ました。「突発性発疹は熱の後に発疹が出る」ということを知らずに見たら驚いたことでしょう…。熱も落ち着き、これで次女も元気になるかな…とおもっていると…何ナニ!? めっちゃ機嫌悪いんですけど!?まだどこか具合でも悪いのかな…帰宅した夫に状況を見てもらうと…不機嫌病…!確かにとっても不機嫌。次女はきっと何か感じることがあり、こんなに荒れてしまっているのでしょう。突発性発疹の後によくこういった不機嫌な期間があると知って、冷静に対応することができました。(冷静に対処したところで次女の機嫌がなおるわけではないけどね…!)職業柄、子どもの看病をする親御さんと話をする機会の多い夫曰く、「子どもが睨むような目つきになったり無視するようになったりして、戸惑うお母さんも多いんだよ」。うんうん、確かに人が変わった様にムスッとした表情だったり、反応が無かったりするとビックリするし心配になる。それでも、今は次女なりにいろいろ消化している時期なんだと思って、ドンと構えて向き合うことができました。(ドンと構えたところで次女の機嫌がなおるわけではないけどね…!)
2020年01月01日「突発性発疹」という病名を聞いたことがあるでしょうか。これはほとんどの日本人が抗体をもっている(かかったことがあって、そのウイルスを認識して闘うことができる)「ヒトヘルペスウイルス6型」あるいは「7型」というウイルスに乳幼児が初めて感染したときに発症することが多い病気です。かかってしまったら、どんな症状があって、いつから登園できるのでしょうか。ママの疑問に一つずつ答えていきます。【監修】赤坂ファミリークリニック院長 伊藤明子 先生小児科医師、公衆衛生専門医、同時通訳者。東京外国語大学イタリア語学科卒業。帝京大学医学部卒業、東京大学医学部附属病院小児科入局。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。同大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室客員研究員。2017年より赤坂ファミリークリニック院長、NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。著書・共著に『小児科医がすすめる最高の子育て食』など。テレビ番組「林修の今でしょ!講座」などに出演中。二児の母。■突発性発疹とは▼突発性発疹の症状突発性発疹は生後4カ月から1歳の子どもがかかりやすい病気で、はじめての高熱が突発性発疹という赤ちゃんも多いでしょう。症状は、38度から40度の高熱が3〜4日ほど続きます。その後、熱が下がってきたころに発疹がでてきます。発疹はおなかや背中など胴体を中心に出て、その後、顔や手足に広がることもあります。発疹は小さな赤みがあって少しだけプツっと隆起した発疹で、2日から4日で自然に消えていきます。ほかの症状としては便が少しゆるくなることもあります。高熱が出ていても比較的元気で、機嫌よくミルクや母乳を飲めていれば慌てなくも大丈夫です。むしろ、解熱時の発疹が出てからが不機嫌になる場合が多いでしょう。▼突発性発疹の感染経路突発性発疹は「ヒトヘルペスウイルス6型」あるいは「7型」というウイルスによる感染症です。4歳以上の日本人ではそのウイルスへの免疫をほとんどの人がもっています。家庭内で感染することが多いと考えられています。感染経路は、はっきりわかってはいませんが、ママや大人の唾液が赤ちゃんの口に入る「経口感染」が一番多いと考えられています。せきやくしゃみによる「飛沫(ひまつ)感染」や、あるいは、ウイルスを含む唾液を赤ちゃんが触れたとときの「接触感染」もあります。突発性発疹をおこすウイルスは「6型」「7型」とあり、一般的には「6型」に先に感染します。突発性発疹を2回発症した子では、2回目は「7型」に感染していることが多いです。▼突発性発疹の治療法突発性発疹の治療法としては、ほとんどが自然に治るので、抗ウイルス薬などの治療法はありません。おうちでのケアとしては、1日に数回、熱を測って体温の変化を記録しておくとよいでしょう。急に熱が高くなることもあるでしょう。夜になると熱が上がりやすいのは自然な仕組みです。体は夜間に「治るモード」に入るため、ウイルスを攻撃する反応である発熱は、夕方から夜間に起こるのです。発熱のほか、観察のポイントは機嫌や顔色、食欲があるかどうか、おしっこの状態、便の状態などです。おしっこの色が濃く、量が少ない場合は水分補給をさせましょう。高熱のときは脱水症状になりやすいため、まめな水分補給が必要です。湯ざましや麦茶、幼児用イオン飲料、うすめた果汁、野菜スープ、経口補水液などがおすすめです。食欲がなさそうな時は、離乳食の段階を若干前にもどしてやや柔らかめなものを与えてもよいでしょう。感染症から治るには、たんぱく質と微量栄養素が治癒のポイントになるので、おかゆやうどんだけではなく、卵や魚などのたんぱく質と野菜も与えたほうがよいです。甘いものを与えるのはおすすめできません。室内では、安静が第一ですが、無理に寝かしつけなくても構いません。抱っこをしてあげたり、添い寝をしてあげたりし、子どもがゆっくり休めるようにしてあげましょう。また、熱が高いときは厚着や布団のかけすぎに注意します。室内で厚着にさせる必要はなく、機嫌よくすごしていれば、普段のような服装で十分です。発熱のし始めは寒気を伴うことが多いため、多めに着せてあげましょう。毛布やタオルケットも1枚増やしてあげ、熱が下がったら元の枚数に戻しておきます。高熱でつらそうな場合は少し体を冷やしてあげるのもいいでしょう。小さな保冷剤などをビニール袋に入れて、靴下などの布製の袋に詰めます。それを、わきの下や首筋、足のつけ根などにあててあげると気持ちよく寝られます。子どもを観察していて、全体状態が悪くなったり、呼吸が苦しそうだったり、呼びかけても反応が弱くひどくぼんやりとしているときは、すぐに病院で診てもらいましょう。首が硬直して曲げにくい、耳を痛がる、などのときも受診するといいでしょう。気をつけたいのは、高熱が出ることによる合併症です。突発性発疹の合併症については最後の章「突発性発疹になったら気をつけたいこと」で説明します。参照サイト:東京都福祉保健局 東京都こども医療ガイド 「突発性発疹(とっぱつせいほっしん)-解説-」 東京都感染症情報センター 「突発性発しん Exanthem subitum」 神戸大学大学院医学研究科・研究部 「よくわかる突発性発疹症、その症状と対応~発熱受診患者解析結果を交えて~」 ▼突発性発疹は大人にもうつる?突発性発疹の原因は「ヒトヘルペスウイルス6型」というウイルスですが、このウイルスは現在の日本人の成人ならほとんど感染しているものです。そのため、大人が突発性発疹を発症することはほぼないと考えていいでしょう。厚生労働省の突発性発疹の「臨床的特徴」にも「乳幼児期、特に6カ月から18カ月の間に罹患(りかん)することが多い。5歳以上はまれである」と記載されています。参照サイト:Medical Note 「写真でみる突発性発疹症の症状―原因や対処法は?」 厚生労働省 「突発性発しん」 ■突発性発疹になったらいつから保育園に行ける?▼解熱後1日以上経過で発疹があっても登園OK突発性発疹は自然治癒でき、病院の治療証明が必要な病気ではないため、家で様子を見ているママも多いことでしょう。そこで気になるのが、「子どもはいつ頃から登園できるのか」ということだと思います。これは、高熱が下がり、全身状態が良くなったら登園可能です。突発性発疹にかかった後について、厚生労働省からもガイドラインが出ていて、「解熱し機嫌が良く全身状態が良い」場合は登園が認められる、としています。全身の状態が良く、機嫌がいい場合は保育園に行って問題はないです。しかし、園によっては、発疹があると登園は難しいと判断される可能性もあります。もし心配な場合は、保育園の先生に相談してみるといいでしょう。参照サイト:厚生労働省 「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」 ▼登園許可証は必要? 不要?登園時に気になることとして、突発性発疹で登園許可証は必要かどうかがあります。ママもパパも働いていると長くは保育園を休ませられないという事情もあるでしょう。登園について、日本小児科学会では「症状が改善したら登園が可能」としています。基本的には登園許可証も不要です。しかし、保育園によってルールなどが異なる場合がありますので、担当の先生にお話を聞いてみるのが一番確実ですね。▼突発性発疹後保育園でプールに入れる?突発性発疹後の保育園でのプールは入って構いません。突発性発疹は熱が出ているとき以外は感染力が弱いので、例えば発疹が出ていてもプールは入ること自体は可能です。ただし、発熱中のプールは控えましょう。ちなみにお風呂は、お熱があっても様子をみて元気そうであれば、ぬるめのシャワーくらいなら問題ありません。疲れない程度の汗を流したり、体を拭いたりすることはいいでしょう。参照サイト:日本小児科学会 「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」(2019年7月改訂版) ■突発性発疹になったら気をつけたいこと▼突発性発疹の合併症突発性発疹の合併症として、知識として知っておいたほうがよいことに「急性脳症」と「熱性けいれん」があります。急性脳症とは、何らかの原因で脳がむくんでしまい脳機能が障害されて、けいれんや意識障害が起きる状態です。突発性発疹から脳症になることはまれで、年間に70人から100人ほどが報告されています。めったに起きませんが、その可能性もあることは情報として知っていてもよいでしょう。主な症状は意識障害(意識がもうろうとして、刺激をしても話しかけても反応がない状態)で、けいれん(手足がふるえて硬直し、白目をむいて、話にも反応しない状態)や麻痺(まひ)、発熱が現れることがあります。これらはもとの発症した病気によって出る症状が異なります。急性脳症はどの年齢でも発症する可能性がありますが、乳幼児期の頻度がもっとも高いです。乳幼児の脳症の原因病原体としては突発性発疹の原因ウイルスとインフルエンザウイルスが比較的多く、マイコプラズマなどが原因となることもあります。万が一、急性脳症になると、残念ながら、後遺症が残ることもあります。参照サイト:日本小児科学会 「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」(2019年7月改訂版) Medical Note 「急性脳症」 Medical Note 「急性脳症とは? 突発性発疹による急性脳症の症状、予後、治療」 ▼熱性けいれんに要注意突発性発疹の合併症として、急性脳症よりも多くみられるものに「熱性けいれん」があります。熱性けいれんは発熱によって起こる乳幼児のけいれんで、生後6カ月から6歳くらいまでにみられるものです。熱性けいれんは、38度以上の発熱から24時間以内に起きるけいれんです。症状としては、顔色が急に悪くなり、手足が震えたり、意識を失ったりします。その間、周りの人の呼びかけにはほとんど反応しませんが、多くの場合、2~3分ほどたつと自然に治まってきます。そのまましばらく寝てしまう子どもも多いです。日本人で、熱性けいれんは10人に1人が経験するといわれ、成長や発達に問題がなくても発症する可能性があります。1回だけ起こすケースもあれば、発熱ごとにみられるケースもあります。熱性けいれんにより脳にダメージが残ることはなく、神経系への後遺症を残すこともないと考えられています。ただ、発熱とけいれんを主症状とする病気はほかにも多数あるので注意しましょう。子どもが成長していくと熱性けいれんの起きる割合は減っていきます。年齢が上がってもけいれんが減らない、もしくは熱がなくてもけいれんが起こる場合は「てんかん」など、別の病気の可能性が考えられます。熱性けいれんの原因はまだはっきり解明はされていません。しかし、発熱に伴い、「神経ネットワークの制御がとれなくなることでけいれんが起こるのではないか」と考えられています。ママやパパに熱性けいれんの経験があると、子どもも熱性けいれんを起こす傾向があるため、遺伝の要素もありそうです。参照サイト:日本小児神経学会 「熱性けいれんはどのような病気ですか?」 Medical Note 「熱性けいれん」 日本小児神経学会 「熱性けいれん診療ガイドライン2015」 ■まとめ突発性発疹は突然の高熱が出る病気なので、最初はママも驚いてしまうかもしれません。とくに今まで大きな病気をしてこなかった子どもならなおさらです。しかし通常は安静にしていれば、数日で治り、発疹の跡も残らない病気です。ほぼ全員がかかる病気ですが、まれに起きる合併症がある、ということは知っておきましょう。熱性けいれんは「38度以上の発熱で24時間以内に引き起こるけいれん」で、「左右対称性」があり、「2〜3分ほどで自然に治まる」が特徴。ママはあわてず、こどもの状態をよく観察して、医療機関を受診の際には医師・医療従事者に状況を整理して伝えられるようにしましょう。参照資料:・ 厚生労働省 ・ 日本小児科学会 ・ 東京都福祉保健局 ・ 日本小児神経学会 ・ Medical Note ・ 日本小児神経学会 ・ 東京都感染症情報センター ・ 神戸大学大学院医学研究科・研究部
2019年10月31日赤ちゃんが高熱を出して受診すると、最初に疑われることが多いのが突発性発疹。突然の高熱にびっくりするママさんも多いと思いますが、本当に怖いのは熱が下がった後でした。娘も生後10カ月のときに発症したのですが、初めてのできごとに私のほうが参ってしまったほど。その後、突発性発疹は別名“不機嫌病”とも言われることを知り、納得しました。 初めての高熱にびっくり! 慌てて病院へ娘は生後10カ月になるまで病気知らずの健康児でした。この日もいつも通り遊んでいたのですが、少し熱っぽい気がして測ってみると38度。初めての風邪かな? と思っていたら、30分後には40度に!! 慌てて近くのかかりつけ医のところに駆け込みました。 不安な気持ちで診察を受けると、「まだ確定はできないけど、解熱と共に発疹が出てくるようなら突発性発疹でしょう」とのこと。つらそうなときに使うようにと解熱剤をもらって帰宅しました。 慌てる私とは対照的に冷静な娘初めて経験する娘の高熱に、私は大慌てでした。夫も仕事を早めに切り上げてゼリーなどを買って帰宅してくれました。 肝心の娘はというと、いつもよりお昼寝の時間が長かったこと以外は普段通り。あまりつらそうではありませんでしたが、38~39度の熱をキープしていたので、寝る前だけ解熱剤を使用。医師から「子どもは高熱でもいつも通り遊んじゃうから、無理は禁物」と言われていたので、解熱後も自宅でできるだけ安静に過ごしました。 解熱して一安心! しかし恐怖はここから…発熱してから3日後、ようやく37度まで熱が下がり、一安心しました。それと同時に娘の首辺りに発疹を見つけました。念のため受診すると、「突発性発疹で確定でしょう」とのこと。 病院から帰宅して一息ついたところで、娘の不機嫌が始まりました。とにかく、1日中泣く! 怒る! ぐずる! まるで人が変わってしまったかのようで、私も夫もお手上げ状態です。ちょっと早めのイヤイヤ期? とも思いましたが、嫌がっているというよりも本当にただの不機嫌でした。 知って納得、別名 不機嫌病!あまりにも機嫌が悪いので、どこか痛いんじゃないかと心配になり、病院に電話しました。すると先生が、「それも突発性発疹の特徴だ」と教えてくれました。別名“不機嫌病”とも言われていることも教わり、インターネットで体験談を調べてみると、娘の症状とまったく同じ!! 病気の症状にそんなものがあるなんて知らなかったので、びっくりしました。それと同時に気持ちがラクになり、娘の不機嫌にもやさしく応じる事ができました。 初めての育児は知らないことばかりです。私も、原因がわからない娘の不機嫌に、気がおかしくなってしまいそうでした。しかし理由がわかるだけで気がラクになり、娘と向き合うことができました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:及川 ひまり1歳半の娘の母。出産を機に仕事を退職し、現在は専業主婦。わんぱくな娘と4匹のわんちゃんに囲まれて賑やかに暮らしながら、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆中。
2019年10月21日前回の 「【医師監修】熱性けいれん「パニックになる前に」正しい対処法2つ」 では熱性けいれんについて説明しました。初めての発熱の場合、突発性発疹という病気がきっかけで熱性けいれんを起こすことはしばしばあります。突発性発疹とは、どのような病気なのでしょうか?■突発性発疹「発症時期、期間、症状」突発性発疹は生後6カ月〜2歳くらいの子に発症するもので、「初めての発熱」によくある病気です。一般的に、生後6カ月頃まではお母さんからもらった免疫で守られていますが、その時期をすぎると発熱を繰り返します。突発性発疹は、その中でも多くの子どもが通る道で、突然の発熱で発症します。まず39〜40℃くらいの高い熱で発症し、そのほかの症状は乏しいです。鼻水や下痢をともなうこともありますが、ほかの風邪症状はあまりひどくありません。数日〜5日くらい熱が続き、ストンと熱が下がって、その後、全身に斑点状の発疹が出現します。顔、首、おなか、背中に出ることが多いでしょう。発疹は広範囲に出現してとても目立ちますが、その見た目に比べ、かゆみはそれほどひどくはなりません。発疹が出てから再度発熱することはなく、発疹も数日間で自然に改善します。■突発性発疹の原因は? 2〜3割が「隠れ突発性発疹」突発性発疹は、ヒトヘルペスウイルス6型と7型が原因です。2種類のウイルスによるものなので、最大2回突発性発疹にかかる可能性があります。みんなが感染する病気ですが、感染しても全員に発熱や発疹が出るわけではありません。「うちの子、3歳になってもまだかかってないんですけど大丈夫ですか?」としばしば質問を受けますが、2〜3割の子は感染しても症状が出ないため、知らないうちにもうかかっているのでしょう。おおむね3歳までに全員が何らかの形で感染します。生後6カ月〜1歳くらいに発症する子が多いですが、ときに2歳でも感染はありえます。■突発性発疹、ほかの病気が疑われる症状は?前述した通り、生後6カ月〜1歳くらいの子で、鼻水や下痢を伴うもののそれほどひどくなく、発熱がメインの症状として数日間続き、熱が下がるとともに体幹部に斑点状の紅斑が出る、という典型的な経過をたどる子どもを、医師は突発性発疹と判断しています。厳密にはウイルスの検査をしないとわかりませんが、保険診療の範囲で検査はできませんし、特別な治療法がない病気なので細かくウイルスを特定する検査する意義もありません。経過から総合的に判断するしかなく、発疹が出ないと突発性発疹かどうかはわかりません。つまり、発熱した時点ではまだ何の病気かわからないので、まずは医師の診察を受けましょう。このまま様子を見ていいかどうか、医師の判断をあおいでください。特に、子どもが発熱して水分が取れない、顔色が悪い状態の時は、必ず受診が必要です。突発性発疹でも5日くらい熱が続くことがあり、その場合は、血液検査などでほかの重い病気の可能性を探る必要があるでしょう。ウイルスの感染ですから、発熱の割に血液の炎症反応の変化が少ないのが特徴です。血液検査の結果を参考に、突発性発疹疑いと推測することもあります。■突発性発疹「感染経路、合併症、治療法」感染している子どもや、過去にかかったことがある人の唾液から感染します。ほとんどの人が子どもの頃にかかる病気ですから、どこででも感染の機会があるため特別な予防法はありません。そのため、熱が下がり元気になれば登園も可能です。合併症としては、最初に触れたように、初めての発熱とともに、熱性けいれんを起こすことがあります。けいれん時の対策については前回の記事 「【医師監修】熱性けいれん「パニックになる前に」正しい対処法2つ」 を参考にしてください。また、頻度は少ないですが脳炎や肝炎を起こすこともあります。突発性発疹は、ウイルスの感染で発症するので、抗生剤は効果がなく自然に治癒するものです。特別な治療法はないため、水分をとって睡眠をとるというような一般的な対策になります。高い熱で子どもがグズグズする場合は適宜、解熱剤を使用して構いません。突発性発疹であれば、発疹が出た後は再度発熱することはなく、発疹も自然に消えていきます。経験上、発疹が出た後、子どもがとても不機嫌になることがあり、お世話をする人を悩ませるかもしれません。これも自然に改善しますが、もし水分を取らず不機嫌でしんどそうな場合は受診を考慮してください。突発性発疹は40℃以上熱が出ることもあり、とても心配になると思います。しかし、みんなが通る道で、症状が改善すれば多くの場合は1度、もしくは2度の経験で終わります(一部の例外を除く)。突発性発疹では「こんなことが起きるかも」と事前に知っていただくことで、少しでも不安感を解消できたら幸いです。
2019年08月24日今年は「手足口病」が猛威をふるっているそうですね。わが家ではまだ娘も息子も手足口病は未経験。いつくるのかとひやひやと過ごしていた、ある日のこと…。■発熱から始まった!【手足口病はじめて物語<序章>】幼稚園バスから降りた息子の体がとても熱くフラフラしていました。いつも同じバスのお友だちと家の前や公園で遊ぶのが日課。息子もいつもとても楽しみにしているのですが、この日は「鍵ちょうだい。帰ろ…」と言葉少なくテンションも低め。そこで、すぐに家路についたのですが…。■痛々しい発疹がピークに!【手足口病はじめて物語<1章>】発疹により手全体が腫れているようで、間接を曲げるのが痛いよう。また、口の中や舌にも口内炎がたくさんできていて、物を食べるのにも苦労していました。熱が出た日に病院受診しましたが、「手足口病は夏風邪の一種」ということで、抗生剤といつも出していただいている風邪関連のお薬(風邪症状を抑える薬と、念のための解熱剤)を処方されただけ。発疹についてはノータッチ。「発疹は、時間がたてばおさまるものだから、とにかく今は待つしかないよ」と言われました。熱は完全に下がっていたのですが、痛みはなくならず…。痛み止めとして解熱剤を使っても、薬がきれてくるとまた痛みだして、しくしく泣きだす息子。■発疹がかさぶたに…【手足口病はじめて物語<2章>】そこからさらに2日ほど経ち、赤かった発疹が次第にかさぶたのようなカサカサした状態になってくると、痛みは治まったようでした。ただそのころは今度は指先にできた、ふやけた水疱のようなもの(なかには何も入っていない)がめくれてきて。それが息子も気になってしまい、自分でもめくってしまっては、「痛いー」と泣くことがありました…。そしてさらに2日ほど経って、ようやく発疹がすべてかさぶた状態になり、一週間ぶりに幼稚園に行けることになりました。発疹がでたとき、息子の通っている幼稚園に連絡したところ、「熱が無ければ発疹があっても来ていいよ」と言われたのですが、本人が痛がっていたため長めにお休みさせていただきました。■家族に感染!?【手足口病はじめて物語<3章>】ちなみに…息子が発熱した3日後に娘が、さらにその2日後には私が発熱でダウン。手、足、口には症状はなかったので、手足口病だったかは判断できていません。ただネットで調べた情報によると、「手足口病は4歳くらいまでの幼児に多く、免疫ができるとかかりにくくなる」とあったので、もしかしたら私と娘には免疫があったのかもしれません。もっとも私は痛がる息子とべったりくっついていたので、覚悟はしていたんですけどね…。■皮膚がめくれて歩けない!【手足口病はじめて物語<最終章>】そしてそろそろ幼稚園復帰…というころに、手足の皮がベロベロにめくれてきました。息子はついついめくりたくなる衝動を抑えられず、無理にめくってしまい、赤剥け(あかむけ)状態に。結局、足の親指もめくってしまい、しばらく痛がって歩けないというおまけつきでした…。最後の最後まで苦しめられた、息子の手足口病のはじめて物語でした。
2019年07月26日一般的に、カゼは数日間の発熱で改善しますが、それ以上続く場合はどうすればいいのでしょうか?小児で発熱が長く続く病気として、「川崎病」があります。あまり聞きなれない病名かと思いますが、高熱が出たりとカゼに似た症状をもつ病気です。川崎病とは一体どんな病気なのでしょうか。くわしく解説していきましょう。■川崎病とはどんな病気? 重い合併症も…まず、川崎病には以下の6つの診断基準があります。1. 5日以上続く発熱2. 両側の眼球結膜(白目の部分)の充血3. 唇が赤くなる、またはいちご舌(いちごのように赤くなりぶつぶつが出る)4. 発疹が出現5.四肢末端の変化(むくんではれたり、赤くなる6. 首のリンパ節のはれ[川崎病診断の手引き(厚生労働省川崎病研究班作成改訂5版)から一部抜粋、改変]発熱するだけではなく、目が赤くなったり、発疹がでてきたりと、だんだん症状が増えていき、6個の基準のうち5つ以上を満たせば川崎病という診断になります。上記の診断基準には含まれませんが、BCGを接種した部分が赤くはれることもあります。発症すると、熱が続いて体力を消耗しますし、首のリンパ節のはれが痛くて、首を横に向けることができなくなったり、赤くはれた唇が切れて痛み、食事がとりにくくもなります。ぐったり感が強く、だんだんとしんどさも増す病気です。この病気は約50年前に日本人の医師、川崎富作先生が発見したものですが、いまだに何が原因かははっきりしていません。ただ感染症とは異なるということはわかっていて、抗菌薬の効果はなく、体には「血管炎」とよばれる状態が起こっています。血管炎とは、全身の血管が炎症を起こしている状態。例えば、目の血管で炎症が起きると充血し、手の血管で炎症が起きると赤くなったりはれたりという具合です。この時、最も注意すべきことが心臓の血管です。心臓の血管で炎症が起きると、そこには冠動脈瘤(かんどうみゃくりゅう)というコブができてしまいます。すると、コブがあるところは血管がつまりやすく、子どもでも心筋梗塞が起こってしまうのです。そのため、昔は川崎病によって子どもが突然死することがしばしばありましたが、現在は治療法が確立し、そういうことはほとんどなくなりました。■川崎病の治療法「発熱から7日までに診断、治療開始」川崎病の治療には、どんな方法があるのでしょうか。治療の一番の目的は、心臓の合併症を起こさないことです。そのために、現在では免疫グロブリン大量療法という治療が行われています。これは、人の血液から取り出した免疫グロブリンというタンパク質を大量に点滴するというもので、うまくいけば投与から1日ほどで熱が下がります。すぐに下がらなくても、多くの場合は2回、3回と投与したり、ほかの治療を組み合わせることで解熱します。ここで一番重要なことは、熱が出てから7日までに治療を開始して、はやく熱を下げることです(※)。それ以上続くと、心臓の血管にコブができやすくなってしまうからです。川崎病は、5日以上続く発熱で診断されます。そのため、診断が出た時点ですでに約5日が経過しており、発熱してから5日~7日という短い期間に、免疫グロブリンを投与するかどうかを判断しなければいけません。子どもの場合、高熱がどれくらい続いているかはとても重要。長く続くようなら、こまめな受診で小児科医の判断を仰ぐ必要があります。受診の際、小児科医から「熱が続くようなら、再受診してくださいね」と言われたことはありませんか? 熱が下がらなければ病院に行くのは当たり前じゃないかと思われるかもしれません。実は「もし川崎病だったら…」を小児科医は想定して、受診の時期を逃さないように声がけをしているわけです(場合によっては熱が出て数日の段階で川崎病の説明をすることもあります)。最初は発熱のみでカゼと区別が難しい川崎病ですが、熱が続いて目が赤くなったり発疹が出てきたりして、症状がそろってくると区別できるようになってきます。■川崎病「診断がつきにくい“不全型”に要注意」注意すべきものとして、「不全型川崎病」について説明しましょう。本当は川崎病なのに、5日たってもいまいち症状がはっきりしないのが「不全型川崎病」です。例えば、熱が続いているのに、目と口が赤いだけで症状が5つ以上そろっていないなどのケースがあります。症状が5つ以上あれば誰がみても川崎病なので、これを見逃す小児科医はほとんどいません。しかし、症状がそろっていないとなると判断がつかず、診断がはっきりくだせないのです。前述のように、川崎病の治療は熱が出てから7日以内に治療を始める必要があるため、不全型の時は特に注意しなければなりません。症状がそろっていないために見過ごされ、治療が遅れて冠動脈瘤ができてしまうケースも。診断がはっきりせずに熱が続く場合は、繰り返しの受診が必要ですし、場合によってはクリニックをかえ、別の医師の診察を受けてもいいでしょう。一般的に、川崎病は4歳以下の小さい子どもに多い病気ということから、まれに小学校高学年や中学生で発症した場合、なかなか診断がつかないこともあります。小児科以外ではなじみが薄い病気ですので、診断がつかない時は一度、小児科に相談したほうがいいでしょう。■「熱が続いたら再受診を」小児科医の言葉に込められた意味川崎病には重い合併症も存在しますが、時期を逃さず診断して適切に治療すれば心配はありません。「熱が続いたら、もう一度受診を」子どもの発熱で受診した時、小児科医が毎回のように添える言葉の裏には、「川崎病による合併症を防ぎたい」といった強い思いも込められているのです。参考資料※: 『川崎病急性期治療のガイドライン平成24年改訂版』日本小児循環器学会 川崎病急性期治療のガイドライン作成委員会
2019年03月03日赤ちゃんの初めての発熱として、もっとも多いのがこの突発性発疹。はしかや水ぼうそうのウイルスほど感染力は強くないものの、季節を問わず発生し、ほとんどの子が1歳までに突発性湿疹にかかります。そうしたことがわかっていても、生後まもない赤ちゃんが「さっきまで普通だったのに突然40度近い高熱!」となると、心配になりますよね。そこで今回は、突発性発疹にかかった時のケアや回復までの経過をお伝えしたいと思います。■突発性発疹の原因と症状突発性発疹には2種類あり、ほとんどがヒトヘルペスウィルス6型(HHV-6)の初感染による症状ですが、一部ヒトヘルペスウィルス7型(HHV-7)も存在します。そのため「突発性発疹は一度かかると再びかかることはない」といわれていますが、まれにもう一度かかる場合があるようです。感染後の潜伏期間は10日から2週間。突然40度近い高熱を出すわりには元気で、発熱期間は3~4日。平熱に戻った翌日くらいからお腹や背中を中心に赤い発疹が出て全身に広がると、血中に中和抗体が現れるため完治と診断されます。数日間かけて発疹は消えますが、かゆがることは少ないです。また、発熱しても比較的機嫌が良く、元気もあるのが特徴ですが、数日間は夜寝付きが悪かったり、ぐずったりすることもあります。病院へ行くと薬が処方されますが、発熱で食欲も落ちやすいため、食べ物に混ぜて服用させようとすると全量飲めないことがあるので気をつけましょう。服用薬以外に解熱剤の座薬を入れても、数時間後に高熱に戻ってしまうこともよくあります。水分補給をこまめにし、脇の下などリンパがある場所をやさしく冷やして、「大丈夫だよ」と安心させてあげてくだ下さい。■こんな時は要注意一般的な突発性発疹とは症状が少し違ったり、生後4ヵ月以下で「突発性湿疹と診断されるには少し早いかも…」という場合、腎臓の病気の可能性も考えられます。その見極めには、採血やおしっこの検査が実施されます。わが家の次女も生後4ヵ月で突発性発疹を発症し、採尿や採血をしました。その際、一緒にアレルギー検査をしてもらうこともできたので、お子さんのアレルギーが心配な方はお医者さんに相談してみるのもよいかもしれません。突発性湿疹は発疹が現れた時点で完治となりますが、赤ちゃんは発熱で体力をかなり消耗しています。1ヵ月近くは抵抗力の低下からほかの感染症にかかりやすいため、できるだけ人混みを避け、無理がかからないよう気をつけてあげましょう。「突発性発疹はどの子も必ず経験する」と言われていても、わが家の長女は2歳半まで熱ひとつ出さず、「いつ来るの…?」と待っているうちに幼稚園生になってしまいました。このような場合もある一方で、次女は早く(生後4ヵ月)にかかったので「発熱した時はしっかり見守る」ということを、子どもから改めて教わった気がします。親も常に知識をブラッシュアップさせながら、子どもの様子を見守っていくことが大切なのですね。
2014年08月22日