「風疹や百日咳は子どもの病気だと思っていませんか。実は大人もかかるんです。原因は小さいころに打ったワクチンの効果が薄れることにあります」こう話すのは、医療ガバナンス研究所の理事長で内科医の上昌広さん。小学生のころ、はんこ注射などの予防接種を受けた覚えのある人は多いだろう。でも、大人になってもう一度接種した人は少ないのではないだろうか。「平均寿命がまだ短かった昭和の時代なら、子どものときだけでよかったかもしれませんが、長寿社会の現代では通用しません。年齢を重ねるごとに、帯状疱疹(水ぼうそう)や百日咳、破傷風の抗体は減少します。50代以降は感染症の種類によっては、予防接種を受けていない人もいて、より感染リスクは高い。だからこそ“大人の予防接種”が必要なのです」そこで上先生に、50代以上こそワクチンを接種して予防したい感染症を教えてもらった。■百日咳「読んで字のごとく、約3カ月間、咳が続きます。国立感染症研究所(感染研)によると、’16年に感染した2,835人のうち25%は20歳以上。3週間咳が続いている人の約2割は百日咳が関与しているという報告もあります」グローバル化した現代では海外からの持ち込みもあるという。「世界全体の患者数は年間1,600万人。感染力も強く、流行するリスクはつねにあります」ワクチンの効果は4〜12年で下がるといわれている。「米国では成人にも接種が推奨されています」■帯状疱疹原因となるウイルスに初感染すると、全身に発疹が出る水ぼうそうになります。成人は子どもよりも重症化しやすく、髄膜炎や肺炎などを引き起こすこともある」1度かかった大人は感染しないと思っている人は多いが……。「ウイルスはずっと神経に潜んでいて、体内の抗体が減ると、再び暴れだし、激しい痛みをともなう帯状疱疹を引き起こします。抗ウイルス薬で治療しますが、痛みを抑えるのは難しい」50代以上に多く、80歳までに3人に1人が経験するとされるが、ワクチンで予防できる。「米国では有効なワクチンが開発されて、接種希望者が急増。品薄状態にまでなっています」■ジフテリア「鼻や耳などから感染した細菌の毒素が全身に回ると、心筋炎を発症することがあります。毎年の罹患者数は多くないですが、死亡率は約10%と、感染すると命に関わります」年齢が上がると、ジフテリアに対する免疫力は下がりやすく、感染研の報告では40歳を境に、予防に十分な量の抗体を持つ人の割合を示す抗体保有率が低下する。「米国では破傷風と同様、10年に1度の予防接種を推奨しています。40〜50歳をめどに検討してみましょう」■風疹「大人が発症しても症状は軽いですが、妊婦が感染すると、胎児に障害を引き起こすことがある。空気感染で、保菌者が少し離れた部屋にいてもうつります」米国の研究では、定期接種を2回行った子どもでも、成人になる前にワクチンの効果が薄れることが報告されている。「日本では30〜40代を中心に予防接種を受けていない人や1回のみの人がいます。今からでも遅くはないので、まずは不足分の接種をしてはどうでしょうか」紹介した感染症の予防接種はすべて成人でも受けられる。しかし、費用は自己負担しなければならない。「米国では成人も保険適用でほとんどのワクチンを接種できますが、日本はまだ、そこまで制度が充実していません。ただ、たとえばインフルエンザと3種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風)ワクチンを同時に打っても負担額は1万円程度。これで重篤な感染症を予防できると考えれば、高すぎるものではありません」自分だけではなく、大切な家族への感染を防ぐためにも、予防接種を検討してみよう。「女性自身」2020年2月18日号 掲載
2020年02月06日年齢を重ねるごとに減る抗体。風疹は2年から12年で予防接種の効果が下がるそう。子どものころに受けたからといって油断してると、思わぬ感染症にかかるかもしれないーー。「風疹や百日咳は子どもの病気だと思っていませんか。実は大人もかかるんです。原因は小さいころに打ったワクチンの効果が薄れることにあります」こう話すのは、医療ガバナンス研究所の理事長で内科医の上昌広さん。小学生のころ、はんこ注射などの予防接種を受けた覚えのある人は多いだろう。でも、大人になってもう一度接種した人は少ないのではないだろうか。「平均寿命がまだ短かった昭和の時代なら、子どものときだけでよかったかもしれませんが、長寿社会の現代では通用しません。年齢を重ねるごとに、帯状疱疹(水ぼうそう)や百日咳、破傷風の抗体は減少します。50代以降は感染症の種類によっては、予防接種を受けていない人もいて、より感染リスクは高い。だからこそ“大人の予防接種”が必要なのです」そこで上先生に、50代以上こそワクチンを接種して予防したい感染症を教えてもらった。■破傷風細菌が体内に侵入して毒素をばらまくと、体がしびれたり、筋肉が硬直する破傷風。死亡率は30%で、重症化すると、背筋が極端にこわばり、背骨が折れることもある。「米国と比べると日本の感染症は約10倍で、患者の大部分は55歳以上です。ワクチンは30年程度で効果が薄れるといわれている。また、’67年以前に生まれた人は定期接種制度がなかったため、免疫そのものを持たない人もいます」破傷風菌は土の中にいる菌で、全国どこにでも存在する。「菌は手や足の傷口から侵入します。ガーデニングが趣味の人は要注意。50歳以降は米国と同様に、10年ごとに予防接種を受けることをおすすめします」■日本脳炎感染しても発症するのはわずかだが、死亡率は20〜40%と高く、有効な治療法がない。国立感染症研究所の報告では30代後半から抗体保有率が急激に下がる。「さらに注意したいのは、北海道出身者です。日本脳炎ウイルスは豚が持ち、蚊が媒介して人に感染しますが、その蚊が北海道には生息していないとの理由で、’15年度まで“予防接種の必要がない地域”とされ、子どもへの定期接種もありませんでした」■肺炎球菌「高齢者の場合、重症化すると死に至ります。とくに患者の70%以上を占める65歳以上の高齢者には、強く接種が求められています」65歳以上は、成人用肺炎球菌ワクチンの定期接種対象者だ(公費負担、一部自費負担のケースも)。「ところが’14年の調査で、65歳の接種率はわずか約40%です」紹介した感染症の予防接種はすべて成人でも受けられる。しかし、肺炎球菌を除いて、費用は自己負担しなければならない。「米国では成人も保険適用でほとんどのワクチンを接種できますが、日本はまだ、そこまで制度が充実していません。ただ、たとえばインフルエンザと3種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風)ワクチンを同時に打っても負担額は1万円程度。これで重篤な感染症を予防できると考えれば、高すぎるものではありません」自分だけではなく、大切な家族への感染を防ぐためにも、予防接種を検討してみよう。「女性自身」2020年2月18日号 掲載
2020年02月06日栄研化学は12月17日、「Loopamp 百日咳菌検出試薬キット D」を12月21日に発売すると発表した。同社は、研究用試薬としてLAMP法による「百日咳菌検出試薬キット」を平成23年3月に発売し、地方衛生研究所などで使用されてきたが、今回、百日咳菌遺伝子検出試薬としては日本で初めての体外診断用医薬品となる「Loopamp 百日咳菌検出試薬キット D」として発売することとなった。同製品は、研究用試薬である従来品をベースとしているが、試薬を乾燥化することにより試薬調製が不要となり、操作性が大幅に改善されているという。後鼻腔拭い液を検体とし、検体からDNAを抽出した後、LAMP反応時間40分で百日咳菌を高感度に検出することが可能となっている。希望納入価格は7万6800円(48テスト、税別)。
2015年12月18日咳を表す音って、「ゴホゴホ」「コンコン」「ゲボゲボ」など、色々ありますね。その中の「コンコン」程度ならいいのですが、一度出ると止まらなくなったり、長引いたりする咳は辛いもの。そこで、30代の男女100人に、咳が止まらなくて辛い思いをしたかどうか聞いてみました。その結果、64%もの人が咳で苦しんだ経験があることが判明。中には、喉から血が出たという衝撃の体験を語ってくれた人が3人もいました!ここまで来ると命がけです。しかも、苦しんだ回数の平均は、18回。回数が数え切れず、「たくさん」と回答した人はなんと7人も!誰の身にも起きる現象ですが、たかが咳と侮れません。悲惨な体験の数々を見ていきましょう。■咳があまりにひどくて疲労骨折や吐血を経験した人も!まずは、日常生活のなかでやりがちな、あるある体験から。「暖房をつけっぱなしで乾燥し、咳が1日中止まらず辛かった」「止めようと思うともっと咳が出てきます」さらには、食事中……。「急いでご飯を食べていたら、変なところに入ってしまい、咳き込みまくり」「粉ものや辛い粉末をかけて食べたとき、器官の変なところに入ったみたいで咳が止まらなかった」もう少し深刻になってくるのが、公衆の面前での咳。「電車内で止まらなくなり、涙までぽろぽろこぼしてしまうほど」「学校の朝礼やテストのときなど、静まり返っているときに限って止まらず、すごく恥ずかしいし、辛かった」「映画館で咳が止まらなくなり、我慢しようとすると余計に出てしまい、大変でした」仕事中に出る咳も、職種によっては、こんな苦労も……。「コールセンターで働いているのに、咳が止まらず困った」「レジのバイト中、咳で苦しくて、接客中だし、困った」そして、働き盛り、中堅サラリーマンの悲哀を感じる、こんなコメントも!「風邪が長引いて、仕事も休めず、無理やり職場に行ったけれど、同僚の視線が冷たくて辛かった」さらには、「1ヶ月も咳が止まらず、肋骨を疲労骨折してしまった」という、咳から骨折という被害届もじつに3人。中には、「風邪をこじらせて咽頭から血が出たときは辛かった」という吐血体験など、深刻な二次災害へとつながりかねない咳ですが、手軽にできる咳対策がホットドリンクを飲むこと。咳をすると喉は乾燥していきます。温かい飲み物で喉を潤すことで、咳がひどくなるのを防いでくれるのです!ただし、冷たい飲み物はかえって気道を刺激し、逆効果になるので控えましょう。■咳が長引いている時は風邪以外の病気の可能性大!辛い咳を体験する時間帯として、多かったのが深夜。「夜中の咳が止まらず、なかなか眠れず辛かった」「一晩中止まらず、朝まで眠れず」「夜、眠れない上に、あばらにヒビが入ったようで痛かった」じつは、これには理由がありました。夕方以降、人間がリラックスすると優位になるのが、副交感神経。その働きにより、気道が狭まり、咳が出やすくなるようなのです。左右の鎖骨の間にあるくぼみの“天突(てんとつ)”というツボも咳に効くと言われています。ここを押すと、咳が止まったり、喉の痛みも和らいだりするらしいので、一度試してみては?最後に、咳にまつわる病気を集めてみました。「咳から中耳炎になった」・・・乳幼児に多いようですが、風邪で喉や鼻に侵入した細菌が、耳に入って炎症を引き起こした結果、痛みや発熱を伴うようです。「気管支炎になった」「百日咳という咳が止まらない病気になって、何をしていても咳が出て、休職したことがある」「ぜんそくで夜、咳が止まらなくなることがあった」・・・とくに厄介なのが、百日咳。風邪の症状から始まるので、見分けがつくにくいのです。風邪薬を飲んでいても咳がひどくなり、4週間以上続くなら、呼吸器科や内科を受診しましょう。くしゃみなどの飛沫感染で起きるので、マスクは必ずしましょうね。ほかにも「痔で痛くて立てないとき」という回答も。咳をすると響くような痛みが出るようです。他人には笑える話でも、本人にとっては深刻な咳。いずれにしろ、咳は、気道に入った異物を追い出そうとする体の防御反応です。外出から戻ったら、うがいをする習慣をつけましょう。これが、もっとも手っ取り早い予防法と言えそうです。(文/山本裕美)【調査概要】調査方法:インターネットリサーチ『リサーチプラス』調査期間:2014年12月25日(木)調査対象:全国30代の男女100名
2015年04月08日