磯谷友紀による人気マンガ『ながたんと青と-いちかの料理帖-』が、2023年春にWOWOWで連続ドラマ化されることが決定した。全10話が放送・配信される。『ながたんと青と-いちかの料理帖-』は、『逃げるは恥だが役に立つ』、『東京タラレバ娘』、『やんごとなき一族』など、数々の大ヒット恋愛ドラマの原作を世に送り出してきた月刊『Kiss』で好評連載中。9巻の発売を目前に控え、既刊8巻すべてで重版のかかるほど人気作となっている。物語の舞台は、戦後間もない京都。戦争で亡くなった夫から「ながたん(包丁))」を託された桑乃木いち日は、ホテルの料理人として生きていくことを決めていた。そして彼女は、ひょんなことから経営不振の実家の料亭「桑乃木」を建て直すため、15歳年下の御曹司・山口周と政略結婚することに。しかし周は初対面のいち日に対しても遠慮せず「青と(唐辛子)」のように辛辣な言葉を放つ若者だった。女性料理人が珍しかった時代に「女が料亭の厨房に立つなんてもってのほか」と、料理長就任に消極的だったいち日と、いち日の料理の腕をいち早く認め、後押しする周。本作は年の差夫婦が、共に未来を切り開いていく姿を描いた物語となっている。また恋愛模様とともに見どころとなるのが、いち日が料亭の娘としてこだわる「出汁」と、ホテルの料理人として培った「洋食の技術」を融合した創作メニュー。そして人々の心を変えていく“おいしい”ドラマ展開も。ドラマの料理監修にはNHK 『きょうの料理』などで知られる料理研究家・大原千鶴が参加。現在最高峰の超高精細カメラと映画用機材で撮影された「見ているだけでお腹が減ってしまう」料理の数々は必見となるだろう。監督は『サマーフィルムにのって』で長編デビューを果たした松本壮史が務めている。<原作:磯谷友紀・コメント>ドラマ化のお話をいただいた時は、ひたすら嘘だよね?という気持ちでした。映像化に憧れはあったものの、遠い世界のように思っていました。その後決定した俳優さんのお名前を聞くたびに、好きな方ばかりでほんとに実現しちゃう……?!とワクワクしたことを覚えています。『ながたんと青と』の主軸は歳の差恋愛マンガですが、広く人間の物語を描けたら良いなと思いながら作っています。それをドラマでさらに素敵に料理していただいているので、一視聴者として観るのがとても楽しみです!<監督:松本壮史・コメント>原作のある物語をはじめて映像化します。「漫画原作の実写化は禁忌である」と自分に言い聞かせてきたのですが、この原作の魅力には抗えませんでした。『ながたんと青と』は、理不尽な時代の中で未来を切り開いていくふたりの物語です。ストーリーの面白さは勿論のこと、今描くべき物語だと強く感じました。撮影は夏の京都で約2ヶ月。70年前に思いを馳せながらみんなで丁寧に積み上げました。今は絶賛仕上げ中です!東映京都の素晴らしいスタッフたちと紡いだ世界を早くお見せしたいです。いち日と周の配役にも乞うご期待!です。『ながたんと青と-いちかの料理帖-』2023年春、WOWOWにて放送・配信スタート(全10話)
2022年10月05日ー 女性ならではの繊細な感性で、様々な美しいプロダクトを生み出す女性クリエイターたち。連載【Creation by Ladies】では、そんな彼女たちの作品...そしてその作品に込められた想いや背景を紹介していきます。 ——————————————— 第6回目は、柔らかく繊細な世界観にぎゅっと心を掴まれる。フェーヴ作家の misaki takeuchi さん。 " フェーヴ "をご存知だろうか。 フェーヴとは、フランスで1月に食べる伝統菓子「ガレット・デ・ロワ」に入れる、陶器製の小さなオブジェのこと。オブジェと言ってもただのオブジェではない、小さな幸運のモチーフなのだ。日本でも近年、じわじわと認知度が高まりつつある。 ガレット・デ・ロワは元々、キリストの誕生を知った東方の三博士がお祝いを持って訪れた日 “エピファニー” の前後に食べるお祝いのお菓子。 フェーヴはフランス語で誕生の意味を持つ、「そら豆」の意。前述の通り、キリストの誕生を意味している。フェーヴが登場する前は、本物の豆を入れていたそうだ。豆といえば冬至のシンボルで、春に成長する最初の野菜。 冬至と言えば1年で一番日が短くなる日だが、別の言い方をすればそれ以降は日照時間がどんどん長くなるということでもあり、光が世界に戻ってくる象徴でもあった。きっといにしえの時代のフランス人たちは、長く厳しい冬を乗り越えてもうすぐ訪れる春への期待を、ちいさなフェーヴに託したことだろう。 ガレット・デ・ロワを家族や友人などと皆で切り分けて食べ、フェーヴが当たれば、その人が王様orお姫様! 紙の王冠を被って王様のように振る舞うことができ、その一年幸運が続くと言われている。 — 「お菓子を作ることが好きな母とカフェを営んでいました。当時陶芸を学んでいた私は、ケーキの中にフェーヴという可愛らしい陶器のアイテムを入れるフランスの伝統菓子「ガレット・デ・ロワ」の存在を知り、自分で作ったオリジナルのフェーヴを入れたガレット・デ・ロワをお店の商品として企画してみたのがきっかけです。その頃、日本でフェーヴの展示会などをやっていらっしゃるフェーヴ愛好家の磯谷佳江さんという方に出会い、展覧会にてフェーヴを販売し始めるようになりました。」 そう語るmisakiさん。現在はブーランジュリー向けのオリジナルフェーヴの受注製作や、日本やフランスの展示会でフェーヴの販売を行っているほか、自身の店「Oeuf」で毎年テーマを持たせたガレット・デ・ロワを企画し、販売しているのだそう。 ー 「フェーヴを作る時は大抵、石膏の型を作り、そこに粘土を挟んで形を抜きます。とても小さいものなので細部が型でもうまく出ないことがあり、型から外した後、乾燥する前に細かい修正をします。壊してしまわないよう一番集中力が必要な作業です。」 ー 「マーガレットに金色のてんとう虫をあしらったモチーフのフェーヴで、私のお店Oeufの2018年度のガレットデロワに入れて販売しました。てんとう虫はヨーロッパでは幸運のモチーフのひとつで、一見マーガレットに見えながら、よく見るとてんとう虫という遊びを入れた作品です。日本の見立て(※ある物を、他のものになぞらえて表現する技法)のような感覚が好きで、過去にも薔薇と白鳥の姿を重ねたようなイメージのフェーヴも作っています。」 ー 「生の白い粘土の状態です。型から外してどんどん並べていくと、サイズ感からチョコレートやクッキーのように見えてきます。小さいものがたくさん並んでいく様子を見るのが好きでどんどん製作のテンションが上がってきます。型が綺麗に出来ていると嬉しいのもこの時!」 ー 「出来上がりはこちら!ガレット・デ・ロワをモチーフにしたフェーヴで、磯谷佳江さんが開催しているフェーヴ展のオリジナルフェーヴとして、その年のテーマだった"リボン"をデザインに取り入れて作った受注品です。ガレット・デ・ロワにリボンをかけたデザイン。」 ー 「名古屋のブーランジュリー・パティスリー、Le Plaisir du painさんの2017年のガレット・デ・ロワ用に受注製作したフェーヴです。4種のパンを組み合わせたデザイン。並べてみるとテキスタイル模様のように。」 ー 「“小鳥の巣”。コトリ花店さんというお花屋さんの9周年の記念用に受注製作したフェーヴです。お店から注文を受けるときはそのお店の雰囲気や店主さんの好みをできるだけ汲み取り、そこに溶け込めるような作品をイメージして作ります。このときは鳥の巣というご希望でしたので、小さな卵を優しく包み込む巣に、お花屋さんにちなんで小さなお花とコトリの羽を一枚あしらったデザインにしました。繊細で可憐、色を使っていても透明感のある花束のアレンジがとても印象に残ったのでフェーヴも透明感を大事にして色はつけませんでした。誕生を予感させる縁起の良いモチーフだと思います。この作品は今まで製作した中で一番細かい細工を施しました。自分の製作のレベルを一つ上に上げてくれた大切な作品となりました。フランスでもフェーヴが好きな方が記念日にフェーヴを作ってもらうという話をよく聞きます。」 ー 「“精霊”。このフェーヴは立たせるとスカートの後ろの裾がふわっと浮いているデザインになっています。空気の中を踊るように漂う儚い姿をイメージして作りました。」 ー 「“胡桃リス”。2015年自身のお店Oeufのガレット・デ・ロワに入れたフェーヴです。胡桃の殻の中に丸くうずくまっているリスの姿をイメージして作りました。裏にすると胡桃の殻になっています。リスといえばどんぐりや胡桃など木の実を食べている姿が浮かびますが、そもそも本物の胡桃自体がすでにフェーヴのようなサイズ。この小さな殻の中にすっぽりとリスが収まっていたらとてつもなく可愛いのではないか、とある時ひらめいたのがきっかけです。」 ー 「“花と遊ぶ”。アンティークのものからインスピレーションを受けて作った一点ものの作品シリーズの一つ。特定のものからインスピレーションを引き出して作ってみるという今までとは異なった発想方で取り組んでいます。お花模様のレースから、そのモチーフと花に戯れる虫たちを連想して作りました。元となったアンティークの品と一緒に箱にセットして販売しています。」 ー 「風船、ネズミ、四葉のクローバーのフェーヴ。この三つは落とし込みを結構考えた作品。飛んでいる風船を描くのは簡単だけど立体で表現したらどうなるか、四葉のクローバーはフェーヴのモチーフでは定番中の定番なので、すでにいろんなデザインのものが出ている中でどうオリジナリティを出していくか悩みました。和菓子のようにシンプルだけど可愛い形が私の目指す理想です。また、お菓子の中に入れるものなので極端に細くて折れそうなデザインや高さがあってお菓子からはみ出してしまうようなデザインは避けます。」 ー 「こちらは“浅草ライヲン百貨店”というイベント向けに、『フェーヴの製作技術を活かしながら枠を超えて作品を作ろう』と思い製作した、陶器製ビーズのネックレスです。小さな花や葉のビーズを陶器で製作し、糸に編み込んで一連のネックレスに仕立てました。道端に咲いているような野草の小花が好きなので、そんなさりげない感じの雰囲気でリネンのワンピースなどに似合いそうなものをイメージして作りました。」 ー 「こちらも番外編。花のビーズと帯留めの、焼成前の生の作品です。まだ釉薬を掛けていないので、形の輪郭がはっきりと浮かび上がるのでよく写真に撮って残しておくようにしています。」 ー 「完成した帯留めです。上から鶉鳥。棗袋。帆立貝。古典モチーフですが、陶器独特の柔らかい雰囲気とパステルカラーで少し軽いイメージになるように仕上げています。」 ー 「こちらはわずか高さ3センチほど(!)のガラスドームとセットになった陶器製ミニチュアのガレット・デ・ロワです。白いそら豆のフェーヴ、レーザーカットで加工したオリジナルの紙の王冠もこだわったポイント。」 柔らかな世界観を纏った、misakiさんの作品の数々。 その作品ひとつひとつに、あるいはそのひとつの中にも更に細かい部分まで、意味を持って考え抜かれてデザインされている。聞けば聞くほど、もっともっと作品たちが持つストーリーを聞いてみたい、そんな気持ちにさせられる。 彼女が生み出すパステルカラーのちいさなオブジェたちに、心を奪われっぱなしの日々になりそうだ。 Fèves en céramique (フェーヴ作家):misaki takeuchi 多摩美術大学でデザインを学んだのち、化粧品のパッケージデザイナーとしてデザイン事務所に所属。陶芸は大学卒業後に勉強し、その後フリーランスになったのをきっかけに独自でフェーヴの製作と販売を開始。2012〜2017年 My Charm 「フェーヴの世界展」2019Collectionneurs de feves des rois (パリ) HP::
2019年03月12日