パート主婦の方は、損しないように勤務時間や給料を調整したいと考えているかもしれません。本当に得する働き方とは、どのような働き方でしょうか?本記事では、扶養内で働くという意味を説明し、結婚後の女性の働き方について考えてみます。扶養内で働くとは?国税庁配偶者特別控除配偶者特別控除は、夫の所得が1,000万円(年収1,220万円)以下、妻の所得が38万円超123万円以下(年収103万円超188万円以下)の場合に適用されます。控除額は次のとおりです。国税庁妻が70歳未満の場合、夫が配偶者控除で受けられる控除額は38万円です。また、妻の年間所得が85万円(年収150万円)以下なら、夫は配偶者特別控除で38万円の控除を受けられます。パート主婦の場合、年収150万円までは、夫が配偶者控除または配偶者特別控除で最大の控除を受けられます。そのため、年収150万円以下なら税法上の扶養と言われます。令和2年から所得要件は変更になるが年収要件は変わらず令和2年以降、配偶者控除の妻の所得要件が10万円引き上げになり、48万円以下になります。また、配偶者特別控除については、妻の所得要件が次のとおり10万円ずつ引き上げになります。国税庁所得とは年収から給与所得控除を差し引きした金額ですが、令和2年以降は給与所得控除が10万円引き下げになります(最低額65万円→55万円)。そのため、夫が最大の控除を受けられる妻の年収が150万円以下なのは変わりません。自分で社会保険に入らなければならない年間収入は?自分で社会保険に入らなければならない場合、夫の被扶養者になれません。主婦の場合は年間収入がいくらから社会保険に入らなければならないのでしょうか?[adsense_middle]勤務先の社会保険に入らなければならない場合とは?パートでも次の条件をみたす場合には、勤務先の社会保険に入らなければなりません。1週間の勤務時間が20時間以上1年以上継続して雇用される予定勤務先の従業員数が501人以上1か月の給料が8万8,000円以上収入に関しては月8万8,000円以上が条件になりますが、これは年収で言うと約106万円です。パート主婦も年収106万円を超えると社会保険に入らなければならないケースが出てきます。扶養に入れないなら自分で社会保険に入らざるを得ないパートで働いている主婦の場合には、勤めている会社の社会保険に入る以外に、夫の社会保険の被扶養者になるという選択があります。夫の被扶養者になるためには、夫の年収の2分の1未満でかつ年収130万円未満でなければなりません。つまり、年間収入130万円を超えると夫の扶養を出なければならず、仮に500人以下の会社で働いているのだとしても、自分で社会保険に入る必要があります。社会保険には106万円と130万円の2つの壁がある社会保険の扶養を出る年収の壁は、106万円と130万円のどちらかになります。106万円を超えると扶養を出なければならないケースがあり、130万円を超えると必ず扶養を出なければならないということです。税法上は150万円まで扶養内ですが、106万円または130万円を超えると社会保険の扶養は出なければなりません。雇用保険に入らなければならない場合とは?雇用保険は労働保険と呼ばれるものの1つで、広義の社会保険に含まれます。パートでも次の条件をみたせば、必ず加入しなければなりません。労働時間が週20時間以上雇用の見込みが31日以上雇用保険の毎月の保険料は少ない雇用保険で労働者の負担する保険料は給料の0.3%程度です。たとえば、給料が10万円の場合300円ですから、負担にはなりません。雇用保険に入るかどうかで労働時間を調整する必要はないと言えるでしょう。勤務時間や給料は増えすぎない方がいい?パート主婦が夫の扶養を出ることになると、税金や社会保険の負担が発生し、給料の手取り額が減ることになります。特に社会保険料の負担は大きいので、106万円や130万円といった壁を少し超えただけの年収になってしまうと、働き損のような気がするものです。社会保険に入って得することもある今のことだけに目を向けると、社会保険料を払うことになって手取りが減ると損と感じるかもしれません。しかし、社会保険に加入して得することはたくさんあります。老後に受け取る年金が増える自分で厚生年金に入れば、国民年金だけでなく厚生年金からも老齢給付がもらえるので、年金受給額が増えます。国民年金や厚生年金は一生涯受け取れる終身年金です。増えた分の年金を生きている限りもらえるということですから、寿命の長い女性は得する可能性が高くなります。働く上での安心を得られる健康保険に入っていれば、病気やケガで会社を休んだときに傷病手当金がもらえます。また、出産で会社を休んだときには、出産手当金が支給されます。会社を休んで給料が入って来なくなっても、ある程度の補償が受けられるので安心感があります。扶養内にとらわれず収入を増やすことを考える結婚や出産を機にそれまで働いていた仕事をやめ、勤務時間の少ないパート勤務を選ぶ女性は今も少なくありません。しかし、できれば女性も自分の仕事を持ち、自立できるだけの収入を得ることを考えましょう。キャリアを中断するデメリットは大きい今はパートでも、将来はまた正社員で働きたいと思っている人もいるかもしれません。しかし、年齢を重ねるにつれ、選べる仕事はどうしても少なくなってしまいます。せっかく身につけたキャリアを中断させることにはリスクがあります。使っていないスキルが衰える一方で、時代は着実に進歩しています。数年間職場を離れるだけでもついていけなくなることはあります。リスク回避のためにも自立は必要夫に経済的に依存している状態にはリスクがあります。対等な夫婦関係のためにも、女性の自立は重要です。夫婦の信頼関係があるうちは収入の格差があっても対等に意見が言い合えるかもしれません。しかし、夫婦関係がぎくしゃくしてくると、夫が生活費を渡さない経済的DVや、夫が「言うことを聞かなかったら離婚する」と妻を脅すモラハラが起こることがあります。このような場合、収入の少ない妻は身動きができなくなってしまうことがあります。今は3組に1組が離婚すると言われている時代です。離婚となった場合には、働いて自立できるかどうかは大きな問題でしょう。生きていくために、お金は必要です。結婚すればそれで安心ということもありません。何があっても自分の身は自分で守れるように、稼ぐ力を持っておくことは非常に重要です。パート勤務と扶養の関係に関するまとめパート主婦が扶養内で働きたいなら、年収106万円または年収130万円までに抑える必要があります。社会保険の扶養を出なければ、手取りが大きく減ることはありません。ただし、女性も自立できるだけの収入を得ることには大きなメリットがあります。扶養内にとらわれず、自分の収入を増やすことも考えましょう。
2020年01月12日社保と国保、よく比較されるこれらの社会保障の違いは何でしょうか。医療保険の「社保と国保」の違いやそのメリットについて解説します。社保と国保の違い”国保”は、国民健康保険の略称です。これに対して”社保”という言葉は「健康保険」と「厚生年金保険」を指すことが多く、このうち国民健康保険と同じ役割なのは健康保険です。医療保険における「社保と国保」の違い、つまり健康保険と国民健康保険の違いを確認していきましょう。保険者保険者とは、保険事業を行っている者です。社保と国保それぞれに、大きく分けて2つの保険者がいます。社保健康保険は、①主に中小企業を対象とした「全国健康保険協会(以下、協会けんぽ)」と、②加入できる従業員が700人以上の大企業が認可を得て組織する「健康保険組合(以下、健保組合)」があります。同じ社保でも、②健保組合のほうが保険料が安く給付内容が充実している傾向があります。国保国民健康保険では、③都道府県と市町村がともに行う国民健康保険と(以下、市町村国保)、④同種の事業に就いている人を対象にする「国民健康保険組合(以下、国保組合)」があります。保険料社保協会けんぽ協会けんぽの保険料は毎年改定され、都道府県によって異なります。2019年度現在の保険料率は、収入に対して10%程度です。都道府県によって保険料が異なるのは、地域によって収入水準や年齢にばらつきがあるからです。収入が低い都道府県は保険料の確保のために、年齢が高い都道府県は負担する医療費の確保のために、保険料率が高く設定されています。健保組合健保組合では、協会けんぽより保険料が安いことが多いです。通常は保険料を企業と従業員で2分の1ずつ負担しますが、企業がより多くの割合を負担してくれる組合もあります。協会けんぽ・健保組合とも、法律上の保険料の上限は13%です。国保市町村国保市町村国保では、保険料は自治体によって違います。収入が上がるほど保険料は高くなり、2019年度の保険料上限は96万円(1カ月あたり8万円)です。所得に応じてかかる、所得割額世帯の加入者の人数に応じてかかる、均等割額1世帯ごとにかかる、平等割額加入者の固定資産に応じてかかる、資産割額これら4項目を組み合わせて計算します。算式や保険料率は市町村によって異なり、資産割や平等割を使っていない市町村もあります。国保組合国保組合では、保険料は組合によって違います。収入に応じた保険料がかかる組合があるほか、額に関係なく1人いくらと保険料が固定されている組合も多いです。扶養健康保険では「被扶養者」の制度があります。収入が少ない一定の親族も、一緒に医療保険を使えます。扶養している人が1人でも5人でも、かかる保険料は変わりません。いっぽうの国保には「被扶養者」の概念はありません。未成年の子どもや専業主婦の妻も含めて、1人1人が被保険者です。国保組合では、組合員と同じ世帯に属する者も被保険者となれます。傷病手当金・出産手当金ケガや病気で仕事を休んだ時、健康保険であれば「傷病手当金」が支給されます。出産のため休んだ期間には「出産手当金」が支給されます。市町村国保では、傷病手当金・出産手当金の制度を行っていません。一部の国保組合では、これらの手当金が支給されます。任意継続健康保険には、退職してしまった後も、2年間引き続き健康保険を利用できる「任意継続被保険者」の制度があります。また、一定の健保組合では、退職後2年を過ぎても利用できる「特例退職被保険者」の制度があります。10~20年以上勤務し、年金を受け取っているなど、条件を満たした高齢者が特例退職被保険者になれます。国保には任意継続の制度はありません。社保と国保の仕組み健康保険は、原則として事業所単位で加入します。法人(株式会社、合同会社…)個人事業のうち、5人以上が勤める一定の事業これらの事業主は、健康保険に加入しなければいけません。書類を届け出て全国健康保険協会の適用事業所になり、保険料を納めます。700人以上の従業員がいる場合は、認可を受けて健康保険組合を設立することもできます。健康保険(協会けんぽ・健保組合)、国保組合、どちらの医療保険も対象にもならない人は、市町村国保の対象になります。社保と国保の加入条件日本は”国民皆保険”になっており、すべての人が何かしらの医療保険に加入しなければいけません。[adsense_middle]勤務先は?勤務先が①②の健康保険の対象になっているのなら、フルタイムで勤務する場合は、健康保険の加入対象になります。おおむね週30時間以上働いている場合や、大企業・一部の中小企業で週20時間以上働いている場合は、短時間勤務でも健康保険の加入対象になります。会社員は必ず社保?株式会社などの法人に勤めている人は基本的に社保(健康保険)が適用されますが、例外もあります。法人であっても、国保組合が適用されている事業所もあります。公務員や独立行政法人の職員など、共済組合の被保険者になる場合もあります。国保でも、保険料を比較する市町村国保では収入が高くなると保険料が上がる一方で、国保組合では保険料を一律としているところも多いです。フリーランスで仕事をしている場合など、自分が入ることができる国保組合がないか調べて、市町村国保との保険料を比較してみましょう。無業なら市町村国保仕事がない人は、家族の健康保険の被扶養者になるか、家族の国民健康保険組合にともに加入するかを検討します。そうでなければ市町村国保に加入しましょう。75歳になったら後期高齢者どの医療保険に加入していても、あるいは被扶養者になっていても、75歳の誕生日を迎えると脱退します。脱退後は、市町村が行う「後期高齢者医療制度」に加入します。生活保護受給者は国保の対象外生活保護(医療扶助)を受ける場合は、国保や後期高齢者医療制度には加入しません。いっぽう、生活保護を受けていても、社保(健康保険)の被保険者・被扶養者になっている場合は、社保の資格は継続します。社保と国保のメリット社会保険のメリット・デメリット社会保険のメリットは保険料が安くなることが多いこと、給付が充実していることが挙げられます。国保よりお得な部分が多いです。保険料は安くなる…とは限らない会社が半分負担してくれる加入している年齢層被扶養者もしもの時の給付保険料は安くなる…とは限らない社保と国保でどのくらい保険料に差があるかは、個別に計算してみないと分かりません。一般的に社保のほうが保険料が安くなりやすいのには、次のような理由が挙げられます。会社が半分負担してくれる約10%の保険料がかかっても、2分の1は会社が負担してくれます。加入している年齢層社保の加入者は働き盛りの10~60歳代が多いのに対し、国保の加入者は、会社を退職した高齢者や無職の人が中心です。集める保険料が少ないなかで運営しなければいけないことが、市町村国保が割高な原因のひとつに挙げられます。被扶養者被扶養者の制度があるおかげで、家族が増えても負担する保険料が変わりません。もしもの時の給付ケガをした時の傷病手当金など、健康保険だから受けられる給付も多いです。健康保険と併せて加入する厚生年金のおかげで、老後の年金額も多くなります。国民健康保険のメリット・デメリット社保と比較すると、給付内容が薄いことが国保のデメリットです。ただし保険料負担のみを比較するのであれば、同じ収入で国保料のほうが安い人もいます。【比較】受給額vs保険料負担同じ収入で、国保と社保の場合を比較してみます。条件は次のとおりです。月収30万円、年収360万円(給料)家族3人(本人35歳、配偶者35歳、中学生1人)保険料筆者の住む愛媛県松山市の保険料です。(2019年度)まず、保険料で大きな差が付きました。市町村国保では、12カ月分を10回に分けて納付するため、1回に納付する額はこれより大きくなります。傷病手当金仮に骨折で1カ月休んだ場合、社保であれば傷病手当金として収入の一部が補填されます。各年金給付ここまで医療保険の違いについて触れてきましたが、医療保険で「社保と国保」の違いがあれば、年金保険でも「社保と国保」の違いがあります。健康保険に加入する場合は「厚生年金保険」に加入、国民健康保険に加入する場合は「国民年金保険」に加入することが多いでしょう。40年間同じ条件で加入した場合、もらえる年金額には大きな差が付きます。社会保険に加入すると老後の年金が増えるほか、障害状態になったとき、遺族を遺して亡くなったときに、年金が受け取れる可能性が広がります。受給できる年金額も、国保より社保のほうが多いです。社会保険と国民健康保険に関するまとめ医療保険での”社保と国保”、健康保険と国民健康保険の違いを確認してきました。給付や保険料を比較すると、社保には多くのメリットがあります。サラリーマンでいると、こうしたメリットを意識しないうちに享受しているのです。また国保に加入する場合、市町村国保か国保組合かで、保険料や給付内容が違ってくることも覚えておきましょう。社会保険が適用される人の範囲は年々広がっています。これまで対象でなかった業種や、アルバイト・パートタイマーなど「今は国保に入っている」という人も社保の対象になるかもしれません。保険料の負担額ばかり目につきがちな医療保険ですが、給付の内容もしっかり把握しておきたいですね。
2020年01月08日「今年度、6〜10%以上の大幅値上げがあった火災保険ですが、’20年度にも同程度の値上げが決まりました。火災保険を見直すとしたら、いまがラストチャンスです」こう話すのは、ファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん。長尾さんは『よい保険・悪い保険』(宝島社)の監修者でもある“保険のプロ”だ。昨年9〜10月に発生した台風15号、19号、21号によって、東日本各地に甚大な被害が出た。台風15号では、住宅がゴルフ練習場の鉄柱の下敷きになり、再建費用は原則、自前の火災保険で、と報じられたのも記憶に新しい。「一昨年には、台風21号によってタンカーが押し流されて関西空港の連絡橋に衝突するなど、関西を中心に大きな被害が出ました。被災された方の多くが『何十年も住んでいるけど、こんな被害ははじめて』と話されています。気候温暖化の影響もあり、毎年、襲来する台風被害が甚大化しているのは明らか。火災保険にはきちんと加入しておくのが鉄則です。『うちはもう建物が古いから』などと、火災保険に加入していない人は早急に加入を検討するべきでしょう」(長尾さん・以下同)一方、木造一軒家の場合だと、火災保険料(建物と家財を合計して)は年間6万〜12万円。10年一括だとかなりの負担になることも事実。そこで、長尾さんに「火災保険」選びの条件を教えてもらった。■加入するなら「10年契約」にせよ保険選びの基準にまず長尾さんが挙げるのは契約期間だ。「以前は数十年の長期契約も可能でしたが、低金利の影響や支払いリスクの増加などから、現在は最長でも10年。もともと長期のほうが割安に設定されているうえ、近年の自然災害の急増で今後も値上げは必至。今年入るなら、最長の10年契約を選ぶべきです」■古い住宅でも、補償額は「新築に建て替えられる額」にせよ建物の保険金額はどのくらいにすればいいのだろう?「自宅の建物を建て替えるために必要な金額を目安にするとよいでしょう。最近は、この金額を基準にしている保険会社が多いです。古い建物でも新規加入するときや中古物件を購入したときには、新築のときの金額で契約しておかないと、損害額どおりの補償が出ないケースや、ムダな保険料を支払うことにつながります。万が一、家が全焼した場合でも、新しい家を建てられる金額を想定して補償額を決めることをお勧めします」それでは、家財に設定する補償額は何が目安になるのか?「『家財にまで保険を掛ける必要があるのか』という人もいますが、火災や水災で家電や家具、洋服などをすべて買い換えなければならなくなったときには相当な費用が掛かります。これを補償してくれるのが家財保険。35歳前後で子どもが1人いる家庭を想定した場合で1,000万円が目安となるでしょう」■「免責額は1万円以下」に設定せよ次に免責について。火災保険には、自動車保険と同じような免責条項がある。これは支払い保険金の計算に当たって、損害額から差し引く自己負担金のこと。保険会社によって異なるが、1万円、3万円、5万円、10万円などがあり、免責金額が高くなるほど、支払う保険金は安くなる。だが、保険金が安くなるからと免責を10万円に設定するのはやや早計だという。「補償内容のうち、いちばん請求対象になりやすいのが『破損・汚損』です。建物でいえば、物をぶつけて窓ガラスが割れたり、家財でいえば、テレビを倒して壊してしまったといったケースで、修理費用は数万円のことが多い。免責10万円だと、全額自己負担になってしまいます。免責を最低額の1万円にすることで、こういうときでも差額の保険金をしっかり受け取ることが可能になります」経験したことのないような雨風が甚大な被害をもたらした昨年の台風。いつまた襲いかかってくるかわからない自然の猛威には、十分な保険でいまからきちんと備えておくことが大切だ。「女性自身」2020年1月21日号 掲載
2020年01月08日前回のあらすじ娘が18歳の時に学校主体で開催された、保護者向けの障害年金説明会をきっかけに、申請のための準備を少しずつ進めようと考えた私。役所の窓口の方にもまだ早いと驚かれましたが、少し早めに過去の記録を引っ張り出し、保護者が作成できる書類の記入に取り掛かることにしました。早めに準備ができる書類『病歴・就労状況等申立書』は障害年金を申請する際に必要な書類の一つです。医療機関に記載を依頼する診断書などには有効期限がありますが、これは請求者(本人や保護者)が作成する書類なので早めに準備しておくことができます。私は隙間時間に少しずつ作成していきました。Upload By 荒木まち子どこで区切るか『病歴・就労状況等申立書』の最初の欄は発病から初診までの間(先天性疾患は出生時から初診まで)の状況を、それ以降は期間を3〜5年に区切って書くので、私は娘の経過を、1.出生時~初診まで(娘の場合は0~2歳)2.未就園の期間3.幼稚園の期間4.小学校(低学年)5.小学校(高学年)6.中学校7.高校8.就職後に分けて書くことにしました。娘の場合、一枚では欄が足りなかったので『病歴・就労状況等申立書(続紙)』を使用しました。Upload By 荒木まち子状況記入欄に何を書くか状況記入欄には、(受診していた期間は)通院期間、受診回数、入院期間、治療経過、医師から指示された事項、転医・受診中止の理由、日常生活状況、就労状況などを書くのですが、私はそれらの他に・初診まで…親が感じていた困り事(視線が合わない。抱くとのけぞって嫌がる。手をつなぐのを嫌がる。発語が遅い。)など・就学まで…療育センタ―受診の経緯、療育内容、幼稚園での様子・学生時代…障害由来の学校での困り感、学校でのいじめの様子、感情コントロールの困難さ、支援機関との連携について・就職後…新たな環境に対する不安の強さ、精神的に不安定な様子、職場で行われている配慮などを記入しました。Upload By 荒木まち子当初「なんてサイズが大きいんだろう!」と思っていた『病歴・就労状況等申立書』用紙は、娘の20年間の困りごとで、みるみる埋まっていきました。それは「よくまあこれだけのことがあったものだ」と我ながら感心するほどで、最終的には枠内に書ききれず、割愛するエピソードがでるほどでした。手書きかPC作成か申請書類作成は手書きでも大丈夫ですが、『病歴・就労状況等申立書』と『病歴・就労状況等申立書(続紙)』は日本年金機構のHPからダウンロードすることができるので、私はエクセルで作成をしました。ここで注意しなければならないのは『病歴・就労状況等申立書』と『病歴・就労状況等申立書(続紙)』では裏面が違うということです。Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子『病歴・就労状況等申立書』と『病歴・就労状況等申立書(続紙)』は、A3サイズで両面印刷をした後に、裏面の請求者署名欄に本人署名(または捺印)をする必要があります。(見本の赤丸で囲った部分)「自発的」の意味合い『病歴・就労状況等申立書』裏面には『日常生活状況』を4段階(※)の中から選ぶ項目があります。(見本の黄色枠で囲った部分)※「1」→自発的にできた「2」→自発的にできたが援助が必要だった「3」→自発的にできないが援助があればできた「4」→できなかったこの“自発的”には“すべてを自分一人で”という意味合いがあるということを知り、<着替え>の項目では一人で着替えられたとしても“自分で季節にあった服を選ぶこと”ができていなければ「1」にはならない、<食事>の項目でも食卓に出されたものを自分で食べることはできても“一人で暮らした時に栄養のバランスを考えた食事を取ること”ができなければ「1」にはならないなどの点も気をつけなければならないと思いました。なので本人が「自分でできている!」と思っていても、申立書の記入時には注意が必要です。参考になった勉強会学校での障害年金申請説明会から1年ほど経ったころ、娘が余暇支援やショートステイで利用している地域活動ホームで、保護者向けの勉強会がありました。講師は「親なきあと」相談室を主宰する、行政書士、社会保険労務士、ご自身も障害児の親でもある渡部伸さんでした。障害のある人の「親なきあと」についてのお話は、・暮らし方やお金に関すること・医療費、信託制度、成年後見人制度について・相談先や実際の事例など多岐にわたる内容でした。なかでも障害年金についてのお話は、ちょうど『病歴・就労状況等申立書』を作成していた私にとって、とても参考になる内容でした。親なきあと相談室|渡部行政書士事務所親目線は一味違う!日本年金機構(年金事務所)の方の説明会も勉強になりましたが、やはり親目線ももちあわせた先生からのお話は格別で、・『病歴・就労状況等申立書』には具体的なエピソードを書くと良い(書ききれない場合は別紙添付も可)・障害年金申請が通らなかった場合には審査請求、再審査請求などができる・働いている場合は職場からの意見書も有効など、前回の説明会では知りえなかったことを学ぶことができました。(勉強会を企画してくれた地域活動ホームに感謝、感謝です!)続く...
2020年01月07日パートで仕事をするとき、労働時間が増えると、夫の扶養に入れなくなったり社会保険の加入義務が生じたりします。今回は、パートの労働時間について説明します。働きたいけれど仕事をする時間をあまり増やしたくないという人は、損しないために何に注意したらよいのかを知っておきましょう。パート勤務とは?パートとはそもそもどのような働き方なのかを知っておきましょう。短時間勤務で働く人パートとはパートタイム労働者の略称で、短時間勤務の人を意味します。パートタイマーと呼ばれることもあります。会社で定められている勤務時間のうち一部の時間だけ働く働き方で、非正規雇用の1つです。フルタイムとは?正社員は1日7~8時間の就労時間が定められており、これをフルタイムと呼びます。パートの就労時間はフルタイムより短いのが普通ですが、正社員と同じフルタイムパートもあります。アルバイトとの違い正社員以外の働き方にはアルバイトもありますが、パートとの明確な区別はありません。採用する側が区別している?アルバイトとして募集するときには学生やフリーターをターゲットにしており、パートとして募集するときには主婦を想定していることが多くなっています。採用する企業側がどんな人材に来てほしいかを考えて言葉を使い分けているとも言えるでしょう。パートタイム労働法とは?パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)では、通常よりも労働時間が短く定められている労働者を「短時間労働者」として保護の対象にしています。たとえば、パートであることを理由に正社員よりも低い待遇にすることは、パートタイム労働法で禁止されています。フルタイムパートに適用される法律は?フルタイムパートには、パートタイム労働法は適用されません。しかし、厚生労働省は、フルタイムパートの労働者に対してもパートタイム労働法の趣旨をふまえた雇用管理を行うことが望まれるという指針を出しています。派遣は雇い主が違う非正規雇用の1つに、派遣があります。派遣とは、派遣会社に雇われ、派遣先で働くという形態です。実際に働く会社に直接雇用されるパートやアルバイトとは全く違う独特の形態になります。派遣に適用される法律は?派遣で働くときには、労働者派遣法が適用されます。また、派遣にはフルタイムもありますが、短い時間の場合にはパートタイム労働法が適用されることもあります。パートで働くメリットは?働く時間が少なくてすむので、家事や子育てと両立しやすいのがメリットです。長期間働くことを前提としていないケースも多いので、求人もたくさんあり、採用もされやすくなっています。「すぐに働いてお金を稼ぎたい!」という場合にはパートが手っ取り早いと言えます。労働日数の調整もしやすく、実際に働いてみて合うかどうか確かめてから、働く日数を増やしたり減らしたりできることもあります。パートで働く場合、収入によっては税金がかからないこともあります。社会保険に加入しなくてもよいケースもあるので、働いた分を丸々もらえることもあります。パートの労働時間に最低条件や上限はある?パートは勤務時間が短い従業員ですが、どのくらいの時間働くことになるのでしょうか?就労時間の規制について見てみましょう。労働時間は労働基準法で規制されている賃金や就労時間など、雇われて働く人の労働条件について定めた法律が労働基準法です。正社員、契約社員、アルバイト、パート、派遣などの雇用形態にかかわらず、雇われて働く人には労働基準法が適用されます。法律で定められている1日の労働時間はどれくらい?労働基準法で定められている労働時間の上限は、次のようになっています。パートであっても、上記の時間が上限になります。なお、働く時間の下限については特に規定はありません。所定労働時間を超えると残業手当が支払われる職場によっては、パートでも残業を頼まれることがあります。残業(時間外労働)をすれば、残業手当を払ってもらえます。時間外労働の賃金については、労働基準法により次のようなルールが定められており、原則としてこのルールに従った割増賃金が支払われることになります。1日8時間または週40時間を超えた場合には25%以上割増月60時間を超える時間外労働については50%以上割増午後10時から午前5時までの勤務は25%以上割増就労時間によって保育所に預けられないことも労働基準法上は労働時間の下限はありません。ただし、仕事をするときに子供を保育所に預けなければならない人は、就労時間の下限にも注意しておく必要があります。保育所を利用するための就労時間の下限については、月48~64時間の範囲で自治体が定めることになっています。就労時間が少なすぎると保育所を利用できないことがあるので、あらかじめ調べておきましょう。パートの労働時間は就業規則でも確認法律上の規制のほか、会社の就業規則でも就労時間のルールが設けられていることがあります。[adsense_middle]就業規則とは就業規則は、その会社の従業員が守らなければならないルールです。常時10人以上の従業員がいる事業所では、必ず就業規則を作成しなければなりません。就業規則がある会社では、労働時間や賃金などの労働条件は、就業規則に記載されています。なお、法律に違反する就業規則は作れないので、就業規則で労働基準法を超える就労時間を定めることはできません。就業規則は別になっていることも会社は、一般の従業員の就業規則とは別に、パート専用の就業規則を作成してもかまいません。労働基準法上は正社員もパートも労働時間の上限は同じですが、就業規則を見ると働く時間が違うケースはあります。会社は従業員に就業規則を周知させなければなりません。会社に就業規則があれば、労働時間などの労働条件を確認しておきましょう。扶養内で働きたいなら労働時間はどれくらい?扶養には税法上の扶養と社会保険の扶養があります。それぞれどれくらい働けば損しないのかを見てみましょう。税法上の扶養とは?税法上は従来、年間収入103万円以下なら損しないと言われてきました。妻が働いても、年収103万円以下であれば、妻には所得税がかかりません。また、妻の年収が103万円以下であれば、夫は配偶者控除により38万円の控除を受けることもできるので、夫の税金も安くなります。103万円の壁から150万円の壁へ税制改正により、平成30年以降は妻の年収が150万円以下なら、夫は配偶者特別控除により38万円の控除を受けられるようになりました。そのため、現在では150万円が壁になるといわれています。労働時間で言うとどれくらい?税法上の扶養は、時間ではなく収入が基準になります。年収103万円の場合、月収は8万5,000円くらいです。たとえば、時給1,000円の場合には月85時間(週21時間)程度、時給1,200円の場合には月70時間(週17時間)程度までに抑えれば、税金面では損しません。住民税は100万円以上でかかる所得税がかからない年間収入の上限は103万円ですが、住民税は100万円以上でかかるのが一般的です。たとえば、年収101万円になると約7000円の住民税がかかります。社会保険の扶養とは?夫の社会保険の被扶養者になれば、自分で保険料を払う必要がありません。被扶養者になるためには年収が130万円未満でなければならないので、130万円の壁と呼ばれます。年収130万円未満でも扶養に入れないことがある主婦がパートで働くとき、次の条件を満たしていれば、自分で社会保険に加入しなければなりません。年収が130万円より少なくても、夫の扶養に入れないことがあることに注意しましょう。労働時間週20時間以上勤務期間1年以上の見込み賃金月8万8,000円以上従業員501人以上の企業に勤務なお、3の月額賃金8万8,000円は年間の賃金で言えば約106万円になるので、106万円の壁と呼ばれることがあります。就労時間を減らせば扶養に入れることも社会保険に加入しなければならない要件には、賃金の額や会社の規模の条件のほかに、労働時間の条件もあります。たとえば、月収が9万円であっても、時給1,500円なら1か月あたりの労働時間は60時間です。この場合、1週間あたり15時間程度になるので、他の条件を満たしていても、社会保険に入らなくてもすみます。年収106万円を超えている場合でも、時給によっては働く時間を調整することで、夫の扶養に入れることがあります。労働時間と税金・社会保険のシミュレーション以下、主婦が従業員が501人以上いる会社で1年以上時給1,000円のパートをすると仮定し、仕事をする時間が増えるに従って税金等がどう変わるのかを見てみます。[adsense_middle]ケース①労働時間・週10時間(月40時間)子供が小さい間はあまり仕事の時間を増やしたくないという人も多いと思います。1日2~3時間程度の仕事なら、子供が幼稚園に行っている間にもできます。たとえば、1日3時間で週3~4日程度なら、労働時間は週10時間、月40時間程度です。この場合には、月収4万円、年収48万円くらいなので、所得税・住民税はかかりません。社会保険に入る必要もないので、夫の扶養内で働けます。ケース②労働時間・週20時間(月80時間)子供が小学校くらいになったら、働ける時間を増やしたいという人も多いでしょう。たとえば、1日4時間で週5日程度なら、週20時間、月80時間程度になります。この場合、月収8万円、年収96万円となり、所得税・住民税は課税されません。労働時間は週20時間以上ですが、月収8.8万円未満なので、社会保険の加入義務も生じません。ケース③労働時間・週30時間(月120時間)週5日でも9時~17時はきついという場合には、1日6時間程度の勤務に抑えることがあると思います。1日6時間で週5日程度働けば、週30時間、月120時間くらいになります。この場合、月収12万円、年収144万円となるため、所得税・住民税が課税されます。所得税・住民税の概算は次のようになります。所得税:(144万円-103万円)×5%(税率)=2万500円住民税:(144万円-98万円)×10%(税率)+5,000円(均等割)=5万1,000円なお、このケースでは年収130万円以上となっているため、夫の被扶養者になれません。自分で社会保険に加入しなければならず、給料の13~14%程度の保険料を払う必要があります。社会保険料:144万円×13%=18万7,200円税金等を合計すると2万500+5万1,000円+18万7,200円=25万8,700円となり、手取り年収は118万1,300円です。社会保険に入れば手取りが大きく減ってしまいますが、将来の年金が増える、病気やケガで休んでも傷病手当金がもらえるなどのメリットもあります。手取りが減っても一概に損するとは言えませんが、どうせ負担が生じるなら、もう少し働く時間を増やしてもいいでしょう。ケース④労働時間・週40時間(月160時間)フルタイムパートの場合には、1日8時間で週5日、週40時間というケースが多くなります。この場合には、月160時間となり、月収16万円、年収192万円です。所得税・住民税、社会保険料は次のようになります。所得税:(192万円-103万円)×5%(税率)=4万4,500円住民税:(192万円-98万円)×10%(税率)+5,000円(均等割)=9万9,000円社会保険料:192万円×13%=24万9,600円この場合、所得税・住民税・社会保険料の合計は39万3,100円、手取り年収は152万6,900円となります。税金や社会保険料はたくさん払わなければなりませんが、その分年収も増えているので、働き損とは感じにくいかもしれません。ですが、パートにはボーナスが出ないこともあるので、フルタイムで働くなら正社員を目指した方が良いでしょう。パートの労働時間に関するまとめ主婦が夫の扶養内で働きたいという場合には、103万円や150万円という年間の収入を基準に考えます。社会保険も106万円、130万円という年収が基準になりますが、同じ収入でも労働時間によって加入の必要性の有無が変わってくることがあります。パートで働くときには、あらかじめ時給と労働時間から年収がいくらになるかを計算し、税金等について考慮しておきましょう。
2019年12月30日「扶養から外れないよう、年収130万円以上は働きたくない!」と気にする方は多くいます。扶養に入れる基準は「年収130万円」だけではありません。また130万円を超えると本当に損なのか。生涯受け取れる年金額と併せて確認しましょう。扶養になれる人の範囲社会保険で扶養される人(被扶養者)になれる範囲は次のとおりです。被扶養者…扶養される人。”会社員の夫と専業主婦の妻”であれば妻のこと。厚生年金:夫・妻のみ厚生年金で扶養できるのは「配偶者」、つまり夫か妻です。親や子などは、健康保険で扶養になる場合でも、公的年金には自分で加入して保険料を払う必要があります。健康保険:わりと広い健康保険では、厚生年金と比べて広い範囲の人を扶養することができます。生計維持関係があればOKの人直系尊属(父母、祖父母、曾祖父母…)配偶者(事実婚も可)子(養子も可)孫兄弟姉妹生計維持関係とは、後に述べる「年収の基準」のことです。生計維持関係+同一世帯が条件の人そのほか3親等内の親族(叔父叔母、甥姪…)事実婚の配偶者の父母・子亡くなった事実婚の配偶者の、父母・子これらの人は、年収の条件をクリアすることに加えて「同一世帯」である必要があります。ここでいう「同一世帯」とは、被保険者と「家計も住居も」同じにしていることです。被保険者…社会保険に加入している本人。”会社員の夫と専業主婦の妻”であれば夫のこと。別居している場合や、同居していても家計が別の場合は、被扶養者になれません。扶養に入れる人の収入金額被扶養者になれる人の範囲は前述のとおりです。これらの人が被扶養者とされるには”生計維持関係”が認められなければいけません。簡単に言うと「被保険者に生計を支えてもらっています」ということです。その判断をする年収の基準に「130万円」が登場します。年収130万円未満であればOKではなく、次の2つの条件をいずれも満たす必要があります。①130万円or180万円の限度額あり年収が130万円以上あると、被扶養者になれません。60歳以上もしくは障害者の場合は、金額が180万円に緩和されています。②被保険者本人の年収とのバランス年収130万円未満であれば誰でも被扶養者になれるのでしょうか。たとえば、妻が収入120万円でも、夫の年収が110万円という場合。この時に、夫が妻の生計を維持している…とは言いづらいですよね。年収の上限に加えて、次の条件を満たす必要があります。同一世帯の場合:被保険者の年収の2分の1未満同一世帯でない場合:被保険者からの援助額(仕送り)よりも年収が少ない収入には何を含めるの?収入は、給料だけを指すものではありません。税金がかからない”非課税収入”も、扶養を判断するときには収入とみなされることがあります。また、手取り額ではなく、税引き前の総支給額でチェックすることにも気を付けましょう。年金生活者の場合年金収入も含めて収入とします。障害年金や遺族年金は、所得税がかからない収入です。しかし被扶養者になれるか判定する際には、障害年金や遺族年金も収入とみなされます。失業者雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)も、同様に収入に含めます。「給与収入=源泉徴収票の金額」でもない年末調整のあと会社からもらう「源泉徴収票」には、年間収入の額が書いてありますが、ここには非課税になる通勤手当は入っていません。被扶養者の判断をする時には、非課税通勤手当も収入とみなされます。退職金は除いてOK退職金などの”一時的な収入”は、収入に含めません。扶養を外れる3つのパターン収入が増えて社会保険の被扶養者でなくなるのには「年収106万円」から「年収130(180)万円」まで3つの段階があります。[adsense_middle]①106万円を超えて働いたこの基準は、特定の企業に勤めている場合のみあてはまります。従業員数が501人以上の企業か、501人未満であって「短時間労働者も社会保険に加入させる」と申し出ている企業が対象です。例えば、次のような場合を検討します。従業員600人の会社に勤務時給1,000円のパート週22時間勤務1カ月の収入は92,400円、年収は約110万円です。この場合、年収130万円未満ですが、勤務先で自分が「被保険者」になるため、被扶養者にはなれなくなります。年収だけではなくて、勤務時間など次の条件を全て満たす場合に被保険者になります。週の所定労働時間が20時間以上1年以上雇用が見込まれる月給8.8万円以上学生ではない正確には年収で判断するのではなく「月給8.8万円以上」の人を対象にしています。②正社員の4分の3以上働いた週30時間以上働く人が対象になることが多いです。収入の額は判断基準になっておらず、月に決まって働く日数が正社員の4分の3以上週に決まって働く時間が正社員の4分の3以上をどちらも満たすと、勤務先で社会保険に加入しなければならず、被扶養者にはなれません。週30時間働いた場合の年収はというと、時給800円であれば年収約120万円、時給1,000円であれば年収約150万円になります。③収入が130万円(180万円)以上になった年収が130万円以上(60歳以上・障害者の場合は180万円)になると、被扶養者にはなれません。給与以外の収入、失業手当や年金も含めて年収が130万円以上かどうか判断しましょう。改正で…130万円の壁より106万円の壁?現在は主に従業員501人以上の大企業に”106万円の壁”が存在していますが、この企業規模を改正して「全ての会社を対象に」「51人以上の会社を対象に」などの案が挙げられています。もし、すべての会社が対象になると、収入130万円未満かどうかではなく、給与収入106万円未満かどうかで扶養に入れるか判断するようになります。将来は年収130万円未満で働いても、扶養には入れない可能性があるのです。配偶者控除が受けられるかは別問題年末調整の時、税金が安くなる配偶者控除。年収130万円未満だと、配偶者控除が受けられるのでしょうか?いいえ、社会保険で扶養かどうかと、税金を計算するとき扶養であるかは別の話です。例えば、妻の年収が50万円しか無くても、夫の年収が1,000万円を超えていると、夫は配偶者控除を受けられません。また、妻の年収が130万円以上の場合であっても、150万円以下であれば、配偶者控除と同額の「配偶者特別控除」が使え、夫の所得税・住民税が安くなります。(夫の年収が900万円以下の場合)扶養を外れたときの対応は?では、社会保険の扶養の範囲を超えて働いたときには、収入はどう変わるのでしょうか。勤務先で社会保険に加入するため、扶養ではなくなった時給与から社会保険料を支払うようになります。厚生年金保険料は18.3%、健康保険料はおよそ10%で、会社と従業員が半分ずつ負担します。月収10万円であれば「標準報酬9.8万円」とグループ分けされ、年金・医療を合わせた保険料は月13,818円(R元年度/東京都/40歳未満の例)です。年収130万円未満を満たさず、扶養から外れる時市区町村役場の窓口に行き、国民年金・国民健康保険に加入する手続きをします。国民「年金」保険料は給与に関わらず一律です。令和元年度の保険料は月16,410円です。国民「健康」保険料がいくらになるかは、お住いの市区町村に確認してみましょう。扶養でいるメリット・デメリット[adsense_middle]扶養でいることのメリット被扶養者でいるメリットは、社会保険料が抑えられることです。1人の被保険者が、3人を扶養していても、5人を扶養していても、負担する健康保険料は1人分のままです。家族がいると、会社が「扶養手当」「配偶者手当」などを支給してくれることがありますが、家族の収入が増えると支給してもらえなくなる場合もあります。扶養でいることのデメリット手取り収入だけを見ると、扶養でいることはメリットのようにも思えますが、勤務先で自分が社会保険に加入することと比べてデメリットも沢山あります。ケガをしても傷病手当金がもらえない(健康保険)産休のとき出産手当金がもらえない(健康保険)いくら働いても老後の年金に反映されない(厚生保険)もし障害状態になっても、3級だと年金はもらえない(厚生年金)社会保険料の負担がかからないように収入を抑えて、いっぽうで毎月多額の生命保険料を支払っている…というのはもったいない話です。社会保険に加入するほうが、リスクに手広く備えられるかもしれません。扶養を外れると働き損なのか?手取り額を回復するためには160万円まで稼ぐ年収130万円の場合、負担する社会保険料はおよそ15%、年間約20万円です。ここから雇用保険・所得税・住民税がさらに引かれますが、年金・健康保険料ほどは高くありません。つまり、年収110万円で働く場合と、年収130万円で働く場合では、手取りがあまり変わりません。年収150~160万円まで働けば、手取り収入が130万円ほどの水準になります。手取りを回復しなくても、年金額とトータルで考えようしかし、130万円以上働き、年間の手取りが20万円減ったからといって、必ずしも損するわけではありません。先ほど述べた「社会保険に入っていると受けられる保障」が受けられるようになります。もちろん将来の年金額にも反映されます。年金はいくら増えるのか実際に老後の年金額を計算してみましょう。年収5万円、1カ月に4,000円分ほど多く働いて、扶養を超えた場合を考えます。(※金額は全て概算)毎月の収入だけ見ると「収入が減った…」と思っても、生涯で受け取れる額には変わりがないかもしれません。年金は終身受け取れますから、この例であれば90歳、95歳と生きると収支はプラスに転じます。(ただし、後述する「加給年金」が受け取れなくなるなど、一概に年金が増えるとは言えないので注意しましょう。)もちろん、ケガや病気、出産の際には、先ほど挙げた保障も受けられます。年金にも”扶養手当”があるんじゃないの?配偶者をずっと扶養していた場合は「配偶者加給年金」がプラスされます。これが”扶養手当””配偶者手当”などと呼ばれることもあります。年齢によって加算される額も含めると、年間約25~39万円です。昭和18年4月2日以降に生まれた人は、最高額の約39万円を受け取れます。しかし加給年金が受け取れるのは、被保険者が年上の場合のみ。5歳差であれば5年間、1歳差であれば1年間のみ受け取ることができ、被扶養者が年上の場合は受け取れません。加給年金の受け取りが終わると、今度は被扶養者だった人の年金に”振替加算”がプラスされますが、昭和41年4月1日以前生まれの人だけが対象です。つまり加給年金は、生年月日や夫婦の年齢差によって受け取る額が大きく違います。「扶養していると、年金にも扶養手当がつくからラッキーだよね」とも言えないのです。社会保険の扶養の範囲に関するまとめ扶養を超えると、どんな変化があるかイメージが湧いたでしょうか。扶養でいるために収入を調整する、という働き方は今後変わってくるかもしれません。自分は「何のために」扶養の範囲で働いているのか。保険料を抑えて手取りを増やしたい…というだけなら、実は損をしているかもしれません。目指すものは何なのか、キャリアアップなのか、家庭や趣味に時間を割くことなのか…その希望によって「扶養に入るかどうか」の方向性は変わります。今一度、自分の希望に合った働き方なのかを考えてみましょう。
2019年12月22日雇用保険とは、現に働いている人・働く意欲のある人が、何らかの理由で働けなくなった場合に生活をサポートするためのものです。この「働いている人」とは、一定の基準を満たした働き方をする人を指しており、平たく言うと「正規雇用」の方を指していることがほとんどでした。反対に、非正規雇用であるアルバイトやパートの場合は雇用保険未加入のことが多く、働けない状態になっても何ら保障の受けられない決まりでした。しかし昨今、このような働き方の場合でも雇用保険を受け取ることように拡大されてきました。今回はこのパート(非正規雇用)の雇用保険について解説していきます。雇用保険のしくみ雇用保険とは、働く意思があるのにもかかわらず何らかの理由により勤務が難しくなった場合や、会社の倒産などの理由で物理的に働くことができなくなった場合、各種手当を受け取ることができるものです。雇用保険料は、毎月の給与から社会保険料などと共に自動的に天引きされている場合がほとんどですので、特にパートやアルバイトの方では、ご自身が雇用保険に加入していることをご存じない方が中にはいらっしゃいます。主婦でも学生でも、条件を満たせば加入しなければならない決まりになっています。パートでも加入対象となる条件パートでも雇用保険加入対象となるには、以下の条件を満たす必要があります。加入要件を満たしているにもかかわらず「パートだから加入しない」という事はできません。雇用保険は加入義務がありますので、もし不正が発覚したら雇用保険法に基づき厳しく処罰されます。週に20時間以上働く予定勤務開始から31日以上継続して雇用する予定ただし学生は含まない給与明細をチェックパート・アルバイトの方で、ご自身が退職時に失業保険がもらえるかどうか知る為の第一段階として「給与明細をチェック」することが挙げられます。給与明細にて、雇用保険料として毎月給与天引きされているのであれば、雇用保険に加入しているということであり、失業保険を始めとした雇用保険制度全般の手当を受け取る権利があるということです。雇用保険料は労使折半です。折半の割合としては、勤務先の業種によって差がありますが、一般的に企業側の方が少し多く雇用保険料を負担している場合がほとんどです。失業手当とは失業保険、失業手当という名称は実は俗称であり、正式名称としては「雇用保険」「基本手当」です。一般的に失業保険、失業手当と呼んだ方が解りやすいので、この記事中でも俗称で記しています。失業手当は「仕事がない間の生活費を補うもの」とイメージしていただくと解りやすいでしょう。一日でも早く新たな仕事に就けば失業手当は終了します。これを逆手にとって不正受給をする人が少なからずいることも確かです。基本手当の概要失業手当(基本手当)とは、雇用保険のなかでも最も知られている手当です。その名称のとおり「失業した時にもらえるお金」のことですが、この「失業」という状態も、単に仕事がない状態というだけではありません。基本手当を受給するための失業状態とは、以下の状態を指します。本人に働く意思と働く能力が有る(病気や妊娠などですぐに働けない状態は該当せず)自主的に求職活動を行っている他にもらえる給付失業手当(基本手当)以外にも、雇用保険に加入しているパートの方でも条件を満たせば受給可能な給付があります。失業以外では「育児や介護が理由での収入減少や休業に備える手当」「スキルアップのための補助」などがあり、主なものは以下の通りです。育児休業給付金介護休業給付金高年齢雇用継続給付金就職促進給付(再就職手当など)教育訓練給付受給の条件パートでも失業保険を受け取るには、まず給与明細をチェックし雇用保険の加入状況を確認します。雇用保険に加入していることと同時に、失業保険を受け取る為の条件がありますので、まずこちらで確認しましょう。離職日前の2年間の内、12カ月以上の雇用保険加入期間があること働く意思があり求職活動を行いハローワークにて失業認定を受けること※会社都合による離職の場合は、離職前1年間のうち6カ月以上の加入期間が条件となります。雇用保険全般に関する窓口はハローワークです。実際の加入状況や「どのくらいもらえるのか」等、個人の詳細については、お近くのハローワークまでお尋ねください。給付金額と給付期間について失業手当は、ひとぞれぞれ受給期間や受け取る額が全く違います。例えば同じ時期に同じ会社を退職した人同士であっても、失業手当がまったく同じ金額で同じ期間受け取ることができるとは限りません。この給付期間や金額についての違いをそれぞれ確認していきましょう。[adsense_middle]手当金額の算定の仕組み失業手当の算定に当たっては、退職前半年間の給与や、退職時の年齢などから基本手当日額を割り出し、それに応じて所定の計算式に当てはめて手当の金額が決まります。最近では、必要な情報を入力すれば、簡易的に失業手当の概算を割り出してくれるWebサイトもあります。しかし、正式な額に関してはハローワークで手続きをしてから決定されますので、簡易的に算出された金額については、あくまで目安としてください。離職理由によって期間が違う勤めていた職場を辞める理由によって、受給できる金額や期間に差があります。会社の倒産や分裂による「会社都合」と、転職を希望する場合などの「自己都合」にわけて確認してみましょう。会社都合退職勤務先の倒産などにより、本人の意思とは関係なく雇用継続ができなくなった場合、7日間の待期期間ののちすぐに失業手当を受け取ることができます。失業手当は、働けない期間の生活費を補う目的があり、会社都合で失業してしまった方にはいち早く生活のサポートをする必要があることから、会社都合の場合は給付制限がないとされています。自己都合退職転職希望や結婚など、本人の都合により退職した場合は「自己都合退職」とよばれ、7日間の待期期間ののち3カ月間の給付制限を経て失業手当を受け取ることになります。その3ヶ月の間は求職活動を行いますが、その間に再就職することができ、さらに要件を満たせば再就職に関する手当を受け取ることができます。実際の手続きの流れパートでも条件を満たせば正規雇用の方と同じく失業手当を受け取ることができます。受給するための手続きも、パートの方が何か特別に行う必要はありません。一般的な雇用保険の受給に関する流れと同様です。ハローワークインターネットサービスの活用ハローワークの開所時間になかなか利用できない場合や、育児や介護の都合で長時間の外出が難しい場合は「ハローワークインターネットサービス」をご活用ください。雇用保険全般に関する流れや必要書類、Q&Aのページもあり解りやすく構成されています。是非ご活用ください。パートの方の失業保険に関するまとめいかがでしたか。パートの方でも雇用保険に加入していて、手当の給付要件を満たせば、失業手当等として給付を受け取ることが可能です。まずは勤務先から受け取る給与明細を確認し、自動的に天引きされているかどうかを確認しましょう。雇用保険に加入していて、失業手当を受け取る条件に該当すれば、パートでも正規雇用の方と同じように手当を受け取ることができます。失業の際の手当だけでなく、雇用保険におけるその他の給付や手当に関しても条件を満たせば受け取る権利が発生します。せっかく雇用保険料を払っているのですから、正しい知識をもって、万が一の際は生活のサポートになる手当があることを知っておくと安心ではないでしょうか。
2019年12月22日出産・育児に際して、どのような手当・給付金があるかを確認してみましょう。働き方や雇用形態ごとに受け取れるお金について詳しく紹介します。育休中の給料について安心して育休に入るためにも、『手当・給付金』について情報を集めておきましょう。育休はいつからいつまで?基本をおさらいそもそも『育休』とされる期間がいつからいつまでかを確認し、その間にどれほどのお金が必要かを把握することが大切です。育休の期間は『雇用形態』によって大きく変動するため、詳しくは会社に確認する必要がありますが、法廷制度としては『最長2年』と定められています。ただし、この育休制度は自営業者には適用されず、契約社員・パート社員によっても適用期間が異なるため、実際の期間については『勤め先(雇用先)』への確認が必要になります。基本的に給料はなしと考えよう育休期間の給料は基本的にはありません。一部の企業で減額されるものの給料が支払われるケースもありますが、一般的には育休期間の給料は基本的にはありません。最長2年の育休を全て使用する場合、手当や給付金をもらえるにしても、『給料』がないとなれば、余裕を持って過ごすにはある程度の『貯蓄』が必要となりそうですね。ケースによっては手当・給付金がもらえる会社員・パート勤めのように『給料』という形ではありませんが、育休中には『手当』『給付金』として、お金をもらえるケースがあります。育休期間と同様に、この手当・給付金も企業や雇用形態によって変動し、各市町村によっても助成金の額が異なります。また、ここでも注意すべきは『自営業』には適応されない手当がある点です。『出産育児一時金』『児童手当(子ども手当)』は支給されますが、支給先が各企業となる『出産手当金』『育児休業給付金』は支給されないことを覚えておきましょう。もらえる手当・給付金を確認大まかな育休期間・育休手当について理解した後は、『手当』『給付金』を受け取るまでの流れをチェックしていきましょう。職種別での給付額や申請方法について紹介します。正社員・公務員など職種別にもらえるお金育休中の手当・給付金は『雇用形態』によって、大きく異なります。職種ごとにもらえる手当・給付金をチェックしてみましょう。正社員:出産育児一時金・出産手当・育児休業給付金・児童手当公務員:出産育児一時金・育児休業給付金・児童手当派遣・パート社員:産育児一時金・出産手当・育児休業給付金(事業主に確認が必要)・児童手当自営業:出産育児一時金・児童手当雇用会社からのサポートが手厚い『正社員』の一方、『派遣・パート社員』『自営業』は経済面での負担が大きいでしょう。自分がどれくらいの手当を受けられるか事前に調べる必要がありそうですね。給付金をもらうための条件・申請方法育休中の手当・給付金として『出産育児一時金』『出産手当』『育児休業給付金』『児童手当』の4つが挙げられます。それぞれ適用されるには、支払先が定める『条件』を満たした上で、適切に申請する必要がありますよ。各手当・給付金の申請先をまずはチェックしましょう。出産育児一時金:医療機関出産手当:勤め先育児休業給付金:勤め先児童手当:各市町村支給されるための条件は各医療機関・企業、また雇用者の雇用形態・年数によっても異なります。妊娠・育児を考えるときには早めに各申請先に問い合わせましょう。税金や社会保険はどうなる?育休中には、手当・給付金のほかにも『税金』『社会保険』の免除・軽減が適用されます。税金ごとに、どのような制度が適用されるかを詳しくチェックしていきましょう。所得税・各種社会保険は免除される育休中は『所得税』『各種社会保険料』は全額免除されます。給与明細を見ると分かりやすいですが『所得税』『各種社会保険料』は決して安い金額ではありません。給付・手当金のように手元に入ってくるお金ではありませんが、経済的な負担は非常に軽くなるでしょう。住民税は免除されない『所得税』『各種社会保険』は免除される一方で、『住民税』だけは支払う必要があります。そもそも『住民税』は前年の給料をもとに支払いが発生する税金であるため、出産・育児期間であったとしても免除措置はありません。ただし、どうしても支払いができない場合には、条件によって『減額措置』『徴収猶予』を受けられる可能性があります。また、出産・育休に際してもらえる給付金は『非課税』であるため、翌年の住民税には影響しないこともまとめて覚えておきましょう。安心して初めての子育てを楽しむために出産・育児にはお金がかかります。妊娠、出産、育児をサポートしてくれる国や自治体によるサポート制度を有効活用して、経済面での負担と不安を減らしましょう。※2019年11月末時点での編集部調べとなります。
2019年12月21日パートで仕事をするとき、社会保険に加入すれば保険料で手取りが減るので、加入したくないという人も多いのではないでしょうか?雇用保険も広い意味での社会保険の一種ですが、健康保険や厚生年金とは入るための条件が違ってきます。本記事では、パートで働く人が雇用保険に入るための条件やメリットについて説明しますので、参考にしていただければ幸いです。雇用保険の仕組みと対象厚生労働省二事業の保険料率とは?雇用保険の二事業とは、雇用安定事業と能力開発事業のことです。雇用安定事業には、事業主に対する助成金、中高年齢者等への再就職支援、若者や子育て中の女性に対する就労支援が含まれます。能力開発事業には、在職者・離職者に対する訓練、事業主が行う教育訓練への支援などがあります。これらの二事業は、事業主の保険料のみを財源として行われています。条件を満たせば入る義務がある雇用保険に入りたい場合、加入条件を満たしている必要があります。また、加入条件を満たしていれば、入りたくなくても入らなければなりません。加入手続きはどうやってする?加入手続きは、事業主が行います。加入条件を満たしていても、事業主が手続きしてくれなければ入ることができません。会社が入らせてくれない場合には?雇用保険の手続きは、ハローワーク(公共職業安定所)で取り扱っています。加入条件を満たしているにもかかわらず入らせてもらえない場合には、ハローワークに行って相談しましょう。雇用保険加入に必要な労働時間や日数の条件は?ハローワークインターネットサービスもし被保険者証を受け取っていなくても、会社で保管しているケースがあります。手元になければ、会社に確認してみましょう。被保険者証を紛失した場合でも、ハローワークで再発行の手続きができます。退職するときには離職票が発行される会社は従業員が退職したら、ハローワークに離職証明書を提出し、ハローワークから離職票の発行を受けます。失業保険をもらうには、会社から受け取った離職票を提出しなければなりません。なお、再就職が決まったら、再就職先に被保険者証を提出して、雇用保険の引き継ぎを行います。最大のメリットは失業保険パートでも仕事を辞めて次の仕事が見つからなければ、収入が減って困ることには変わりありません。雇用保険に入っていれば、失業中にお金をもらうことができます。[adsense_middle]失業保険とは失業保険とは雇用保険の「基本手当」のことで、失業した人の生活を支えるものとなります。基本手当の金額は、在職していたときの賃金にもとづいて計算されます。失業保険がもらえる条件離職の日以前の2年間に、被保険者だった期間が通算して1年(12か月)以上という要件があります。なお、失業保険をもらうには、ハローワークで求職申し込みをし、失業認定を受けなければなりません。働く意思があっても、病気やケガ、妊娠・出産などの理由によりすぐに働けないときには、失業保険はもらえないことになっています。失業保険がもらえる期間基本手当がもらえるのは、離職後1年間です。ただし、誰もが1年間継続してもらえるわけではなく、加入期間や仕事を辞めた理由により90日から360日の間で給付日数が決まります。待期期間とは基本手当は求職の申込みをした後、7日間は受給できません。この期間を待期期間といいます。また、会社都合ではなく自己都合で仕事を辞めた場合には、その後さらに3か月の給付制限があります。受給期間の延長ができるケースとは?受給期間内に病気や出産などで引き続き30日以上働けない期間があった場合には、受給期間の延長ができます。延長できる期間は最長で3年間になります。失業保険でもらえる金額基本手当を計算する基準となる金額が、賃金日額です。賃金日額は、在職中の平均賃金で、次の計算式で出します。賃金日額=離職日直前の6か月に支払われた賃金の合計÷180(日)基本手当日額は賃金日額の50%~80%となり、これを給付日数分もらえます。基本手当以外の手当ももらえる失業したときには、基本手当以外に、就職促進給付ももらえます。就職促進給付には、次のようなものがあります。教育訓練給付や雇用継続給付ももらえる雇用保険に入るメリットは、失業保険だけではありません。失業していなくてももらえる給付金もあります。スクールや通信講座の費用を出してもらえる!雇用保険には「教育訓練給付」という制度があります。教育訓練給付とは、スクールや通信講座などを利用し、厚生労働大臣指定の教育訓練講座を受講し終了した場合に、費用の一部を支給してもらえるものです。教育訓練給付には、次の表のとおり、一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金の2種類があります。育休中や介護休暇中の賃金も保障される!雇用保険には、「雇用継続給付」という制度もあります。雇用継続給付とは、雇用の継続を促進・援助するための給付で、次のようなものがあります。パートの雇用保険に関するまとめパートの場合には、労働時間が基準を上回ると、雇用保険の加入義務が発生します。と言っても、給料が大きく減るわけではないので、あまり気にする必要はないでしょう。雇用保険に入っていれば、仕事を辞めたときに失業保険がもらえます。雇用保険にはスクールや通信講座の受講料金が安くなる教育訓練給付の制度もあるので、キャリアアップのための勉強や資格取得にも活用するのがおすすめです。
2019年12月21日毎月のお給料から「住民税」という項目で天引きされていたり、納付書で納めたりと意外に身近にある税金が「住民税」です。私のクライアントさんからは「市民税」と違うんですか?とか「市民税」って何ですか?など質問があります。今回は「住民税」と「市民税」の違いについて詳しく解説を行っていきます。市民税とは?始めに市民税について解説していきます。正式名称は「市町村民税」です。一般的に市民税と呼ばれ、お住いの地域によっては「町民税」と呼んだり「村民税」と呼ばれる事もありますが、全く同じ内容になります。また、例外として東京23区においては市町村では無いため「特別区民税」となり、一般的な呼び方は「区民税」と呼ばれ、市民税と同じ扱いになります。市民税は誰が納めているのか?市民税並びに区民税(以下市民税と呼ぶ)は誰が納税しているかと言いますと、その市区町村にお住いの方々が納税する事になっています。もう少し詳しく解説すると、1月1日時点の住民票が置いてある場所に納税する事になります。引越すと町民税だった方が市民税や区民税等に名称が変わるという事ですね。市民税はどうやって納税しているのか?納税の方法ですが2種類あります。サラリーマンやパート、アルバイトなど企業にお勤めの方は特別徴収という方法で納税します。これは毎月のお給料から税金を天引きされ、企業が代りに自治体に納税する方法です。一方、個人事業主や歩合制のお給料を貰っている確定申告を必要とする方々は普通徴収という方法で納税します。こちらは6月に納付書という払込用紙が送られてきます。4期(6月、8月、10月、1月)に分けて分割して納税するか、纏めて納税する等、自分自身で納める方法です。住民税との違いは何?ここからは市民税と住民税の違いについて解説しますが、先に結論から申し上げますと、住民税の一部を構成しているのが市民税となりますので、住民税と同じ事になります。住民税を詳しく解説します住民税は「都道府県民税」という、いわゆる「県税」と先程解説した「市民税」の2つを合わせたものになります。都道府県民税(以下県民税)はお住いの地域によって「都民税」「道民税」「府民税」「県民税」と呼称が変わりますが、内容は全く同じです。また県民税と市民税には所得に応じて納税金額を算出する「所得割」部分と、所得に左右されず一律で決まっている「均等割」部分の課税があり、これらを総称して住民税と呼びます。納税の方法は市民税と同じく2種類のみの方法から成り立っています。市民税と同様に1月1日時点での住民票をおいてある自治体に納税する事になります。住民税の税率は?住民税の所得割部分の税率に関しては全国で10%となっており、この10%は課税標準額となります。県民税が4%、市民税が6%となっているケースが殆どですが、例外として標準額を超える地域もあります。日本国内で最も高い地域は兵庫県豊岡市の10.1%となっており、県民税は4%、市民税が6.1%で構成されています。次に高い県は神奈川県の10.025%となっており、県民税が4.025%、市民税が6%となっています。逆に最も低い自治体は名古屋市の9.7%となっており、県民税4%、市民税5.7%です。その他の自治体は全て標準税率の10%で課税されるようになっており、税率も自治体によって変更は可能ですので、お住いの税率に関してはたまにチェックしておくのもいいでしょう。所得割合で計算される所得割の計算方法ここからは所得割の計算方法について解説しておきます。皆さんのお給料を元に毎年所得は計算されます。そもそも所得と年収は異なる事はご存知かと思いますので、ここからは計算までの流れを解説します。[adsense_middle]STEP①年収から社会保険料控除や基礎控除などを経て課税所得を出しますまず始めに行うのは様々な控除を行い課税所得を出さなければなりません。課税所得とは、所得税や住民税など計算する際に元となる所得の事を指します。源泉徴収などご確認頂くと記載がありますが、一般的な控除は社会保険料控除、基礎控除、配偶者控除、生命保険料控除等ですね。この様に該当する控除を使い課税所得を導き出します。参考までに控除は次の表になります。知っておきたい所得税計算との控除の違い上記の表は所得税と住民税に控除が分かれています。実は所得税を計算する場合と住民税の計算とでは控除の額が異なりますので注意しておきましょう。特にパート、アルバイトの方は税金がかかるか、かからないかという事を気にされる方もいらっしゃいます。所得税の基礎控除は38万円ですので、給与所得控除65万円と合わせると103万円になりますが、住民税の基礎控除は33万円ですので98万円以下の所得であれば住民税もかかりません。STEP②課税所得に対し税率をかける課税所得が判明したら、次に先程の税率をかけていきます。お住いの自治体によって若干異なりますが、おおよそ10%をイメージして頂ければ分かりやすいかと思います。STEP③最後に税額控除を行いますSTEP②で所得割額が判明したら、最後に税額控除と呼ばれる控除を行います。この税額控除の代表的なものとして住宅ローン控除が挙げられます。その他に寄付金控除、配当控除等があります。該当する場合は最終的に税額が安くなりますので、お心当たりのある方は必ず控除しておきましょう。以上が所得割を計算するまでの流れになります。所得割額を計算後、均等割額を足して住民税の納税額が決定先程の所得割額を計算した後に均等割額を合計して住民税の納税額が決定します。均等割額の標準額は5,000円が最低ラインとなっており、内訳として県民税が1,500円、市民税が3,500円となっており、この構成がスタンダードです。所得割同様に各自治体で均等割額も変更できます。均等割額の高い地域は?今回の市民税に関するテーマで気になるのは税金の高い地域ではないでしょうか?ここからは均等割の高い地域を挙げておきますので、参考にして下さいね。市民税均等割額の最も高い、低い自治体は?市民税の最も高い自治体は横浜市です。横浜市のみ市民税が4,400円と他を900円上回っており、日本で唯一市民税が高いのは横浜市だけなんです。最も低い自治体は名古屋市で3,300円となっています。その他地域は3,500円の水準で保たれています。参考:県民税はどこが高いのか?テーマから少し外れますが、県民税の均等割が高い自治体も合せてご紹介しておきます。県民税の標準税額は1,500円です。日本で一番高い県は宮城県の2,700円です。次に岩手県・山形県・福島県・茨城県・岐阜県・三重県の2,500円が該当します。次に高いのは秋田県・滋賀県・兵庫県の2,300円と続きます。名目として「森林環境税」とし環境保護に使用する為に徴収されているようです。税金の意味ここまで市民税に始まり、住民税に関する解説を行ってきました。また県民税、市民税共に各自治体で税率を変えられる事もお伝えしました。なぜウチだけ高いの?とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんので、改めて税金の意味について触れておきます。税金はそもそも納めなければならない義務です。理由は生活を便利にする為です。道路整備、ごみ回収、水源の保全、森林保護、医療、福祉と挙げればキリがありません。この税金を納めなくなった時、民間が事業を行ったとしても、結果納税よりも高い金額を支払わなければならなくなります。私たちの生活を支える上で非常に重要な役割を果たしています。しっかりと納税して後世に繋いでいきたいものですね。住民税と市民税の違いに関するまとめ今回は市民税と住民税の違いについて解説しましたが、違いはありません。呼び方の違いだけですね。またお住いの自治体によって税率が異なる事もお分かり頂けたかと思います。きちんと納税して自治体のサービスの一部を担っているんだなと思って頂ければと思います。
2019年12月16日万円主婦の方の中には、「夫の扶養内で働きたい」と考えている人も多いのではないでしょうか?パートで働く場合、いくつかの年収の壁があり、壁を超えてしまうと働き損になると言われます。本記事では、パート主婦の賢い働き方を説明しますので、損しないために知識を身につけておいてください。パートでも税金がかからない年収は?家事や育児と両立するために、短時間の勤務を選ぶ主婦の方も多いと思います。お金を稼ぐと、所得税や住民税といった税金がかかります。税金がかかると手取りが減ってしまうことを意識しておかなければなりません。所得税の壁は103万円働いてちょっとでもお金が入れば、必ず税金を払わなければならないわけではありません。収入が一定の金額に達するまでは、税金はかからないしくみになっています。所得税は、収入から差し引きされる金額を控除した課税所得に対してかかります。給料をもらっている人は、収入から少なくとも給与所得控除として65万円、基礎控除として38万円を差し引きできます。つまり、年間の収入が103万円に達するまでは、課税所得がゼロになるので、所得税はかかりません。住民税の壁は?住民税の計算方法は自治体によって変わります。住民税の場合には、給与所得控除の65万円と非課税限度額の35万円を合計した100万円までが非課税になるのが通常です。パートで働く場合、年間の収入を100万円以内におさえれば、所得税も住民税もかかりません。所得税は源泉徴収により納税給与所得者の場合、所得税は自分で税務署に納めるわけではなく、源泉徴収により毎月の給料から天引きされます。パートであっても、原則として給料から源泉徴収が行われます。非課税になるケースでは、年末調整があれば年末調整により、年末調整がなければ確定申告により税金が還付されます。なお、給料が月額8万8,000円未満の場合には、源泉所得税が0円となり、給料天引きはありません。年末調整や確定申告の手間もいらず、給料を丸々手にすることができます。壁を超えても急に税金が増えるわけではない手取り額を減らしたくないという理由で、税金がかからない範囲内で働きたいと考える人も多いでしょう。103万円の壁を超えない限り、所得税はかかりません。ただし、103万円を超えても急激に手取りが減るようなことはないので、あまり気にしすぎない方がよいでしょう。例)年収110万円の場合の所得税税率は5%なので、税額を計算すると{110万円-(65万円+38万円)}×0.05=3500となります。年間の収入が7万円増えても税金は3,500円かかるだけですから、働いた方が得とも考えられます。上記の計算は他の所得控除を考慮していない場合です。実際には社会保険料控除や生命保険料控除が受けられ、税額がゼロになることもあります。夫が配偶者控除を受けられる妻の年収は?妻が働くと、夫の税金にも影響します。家族の収入を増やすには、夫婦で負担を減らすことを考えなければなりません。夫が配偶者控除を受けられる要件を知っておきましょう。配偶者控除とは?配偶者控除とは、妻がいる夫が受けられる所得控除です。対象となる妻の要件は、次のようになっています。婚姻届を出している同一生計である年間の合計所得金額が38万円以下青色申告者の事業専従者として給与を得ていないまたは白色申告者の事業専従者でない上記1~4の要件をみたす妻がいる場合、夫の年収が900万円以下なら、38万円の控除が受けられます。夫の年収が900万円を超えると控除額は減り、1,000万円を超えると控除は受けられません。(※夫と妻が逆のケースもあります。)配偶者控除が受けられるのは年収103万円以下年間所得38万円は、給与所得控除の65万円を加えた103万円です。つまり、夫が配偶者控除が受けられる妻の年収は103万円以下になります。なお、令和2年分からは、妻の年間の合計所得金額の要件が48万円以下に引き上げになりますが、同時に給与所得控除が55万円に引き下げになるため、103万円が基準になることには変わりはありません。配偶者特別控除とは?配偶者特別控除は、配偶者控除が受けられない夫が、所得に応じて段階的に受けられる控除です。夫の年収が900万円以下の場合、控除額は次のとおりです(令和元年分まで)。夫の年収が900万円を超えても、1,000万円以下なら、段階的に控除が受けられます。配偶者控除の壁は150万円配偶者特別控除でも、妻の年間所得が85万円以下なら、最大である38万円の控除が受けられます。所得85万円は年収150万円なので、配偶者控除は150万円が壁になると考えられています。なお、令和2年以降は、妻の合計所得金額の要件が一律10万円ずつ引き上げになりますが、給与所得控除は10万円引き下げになるため、基準になる年収は変わりません。壁を超えても段階的に控除が受けられる上の表からもわかるように、150万円の壁を超えても控除額がゼロになるわけではありません。夫は段階的に控除が受けられるので、いきなり税金が上がるようなこともないということです。パート主婦には社会保険の壁もある!パート主婦の場合、年間の収入が一定金額を超えると、自分で社会保険に加入しなければならなくなります。[adsense_middle]健康保険や厚生年金の加入義務会社などに雇われて働くときに問題になるのが、社会保険(健康保険、厚生年金保険)です。社会保険に加入すれば、保険料を払わなければなりません。保険料の半分は会社が負担してくれますが、残りの半分は自己負担となり、給与から天引きされます。夫の扶養に入るとは?専業主婦のほか、パートでも比較的稼ぎが少ない妻は、会社員である夫の被扶養者となることができます。夫の被扶養者となれば、妻は自分で保険料を払わなくてもかまいません。社会保険の壁は2種類社会保険に入らなければならない年収については、106万円と130万円の2つの壁があります。106万円の壁とは?106万円が壁になるのは、次のような人です。勤務時間が週20時間以上1年以上勤務する見込み従業員501人以上の会社で働いている上記1~3のすべてに該当する場合、1か月の賃金が8万8,000円以上になれば、社会保険の加入義務が生じます。月8万8,000円は年間の収入にすると約106万円なので、106万円の壁と呼ばれます。130万円の壁妻が夫の被扶養者になれる年収には上限があります。被扶養者として認定されるには、次の1、2の要件の両方をみたさなければなりません。年収130万円未満被保険者本人の年収の2分の1未満つまり、パートの主婦の場合、年間の収入が130万円を超えると、夫の被扶養者になれないことになります。106万円の壁の要件をみたさない人でも、130万円を超えると自分の勤務先の社会保険に加入するか、国民健康保険・国民年金に入る必要があります。「夫の扶養内で働く」というときには、年間の収入を130万円以内に抑えることを意味することが多くなっています。保険料の負担が発生すると手取りが減る社会保険料は、健康保険の種類や地域によって異なりますが、給料に対し13~14%程度を自己負担しなければなりません。たとえば、年収が140万円の場合でも、保険料の自己負担額は18~19万円くらいになります。保険料が天引きされると手取りが大きく減るので、損していると感じることもあるでしょう。長い目で見て損得を考える手取りが減ると困る場合、勤務先の相談して給料の額を調整してもらうことを考える人もいるかもしれません。けれど、パートで働く場合、目先の損得にとらわれないようにしましょう。今働き損に感じても、今後は得することがあります。パート主婦の損益分岐点は?簡易な計算ですが、パート主婦の年収別の手取り額は次のようになります。この表からわかるように、年収130万円を超えると手取り額が大きく減ります。年収140万円になると、年収130万円と比べて手取りは10万円近く減っているので、働き損のように感じるでしょう。手取りを回復させるには、150万円以上は稼がないといけないことになります。社会保険に加入すればメリットも大きいパート主婦の方は、社会保険に加入して手取りが減るとデメリットしか感じないかもしれません。しかし、社会保険に加入することには次のようなメリットがあります。病気やケガで休んだときの保障がある健康保険には傷病手当金の制度があります。傷病手当金とは、病気やケガで3日以上会社を休んだとき、給料の3分の2の手当金を最長1年6か月の間もらえる制度です。パートを休んでも収入が途絶える心配がないというのは、大きなメリットでしょう。将来の年金が増える主婦も自分で厚生年金に加入すると、将来の年金受取額が増えます。厚生年金は生きている限り受け取れる終身年金なので、厚生年金に加入して年金額を増やしておけば、将来の不安を軽減することができます。主婦の賢い働き方住宅購入資金、子供の教育費、老後の生活費など、ライフプランを実現するためにはお金が必要です。妻もしっかり働いて世帯収入を増やすことは、ライフプランの実現のため有効な手段になります。長い人生の間には何が起こるかわかりません。想定外の離婚や死別という事態も起こり得ます。夫に依存するのではなく、女性も自らが働いて稼ぐ力を身につけておくことは、大きな安心感につながります。年収の壁や扶養の範囲内にこだわらず、女性も積極的に収入を増やして自らの資産形成を目指すことが、これからの女性の賢い働き方と言えるでしょう。パート主婦の働き方に関するまとめパート主婦の場合、社会保険加入義務が生じると、手取りが減ってしまいます。保険料を負担するのは損のように感じるかもしれませんが、長い目で見れば得する結果になります。働くことのメリットは、お金だけではありません。年収の壁を意識し過ぎることなく、生きがいになるような仕事を見つけましょう。好きなことをやって収入を増やせるのがいちばんです。
2019年12月12日「75歳以上の高齢者の医療費自己負担額(窓口負担額)は、現行1割。しかし、これを2割に引き上げる法案を、政府が国会に提出する準備を進めていることが11月ごろから報道されました。じつは高齢化が進む日本において、医療費が抱える財政問題は、年金と同じくらい“深刻”。75歳以上の後期高齢者だけでなく、すべての国民にとって自己負担額の引き上げは、避けて通れそうにないのです」そう指摘するのは、経済評論家の加谷珪一さん。冒頭の法案については、12月4日に、来年1月の通常国会に提出することが“見送りになった”と一部で報じられた。だが、負担額引き上げの見送りは“一時的”なものにすぎないと加谷さんは語る。「’17年度の国民の医療費は総額で43兆710億円。政府の年間の基本的な予算である『一般会計』の予算規模は100兆円ですから、“国家予算の約半分”と考えると、どれほど巨額かがわかります。このうち半分を国民からの保険料収入でカバーし、残りを窓口での自己負担と一般会計などからの税金で補填しているのですが、保険料を納める現役世代の人口減少が止まらない。しかし、医療費がかかる高齢者の数はどんどん増えていく……。もはや何かしらの施策をとらなければ、“いつでも、だれでも医療のサービスが受けられる”という医療制度は維持できない、と政府も認識しているはずです」※70歳以上が3割負担になるのは、「課税所得」が145万円を超えた場合来る負担増時代に備えて、「いまからでも見直せることがある」と話すのは、社会保険労務士の石田周平さんだ。「70歳以上の人について、現行制度で負担額を“過払い”しているケースがあります。現行では、課税所得(総所得から必要経費や各種所得控除を引いたもの)が145万円を超えると、70歳を超えても自己負担額は3割。しかしそのなかには、各種所得控除の申請がされていないことで課税所得が145万円を超えたままになってしまい、本来であれば2割、もしくは1割負担のはずなのに、3割負担に区分されてしまっている人がいるんです」リタイア後、パートや自営業などで定収入があるような高齢者はこのケースに当てはまりがち、と石田さんは注意を喚起する。「70歳以上でも給与所得がある人が世帯にいる場合は、送付される『住民税の納税通知書』を確認してみてください。表記されている課税所得が145万円以上だった場合、(1)扶養控除、(2)生命保険料控除、(3)医療費控除などが申請されているか見直してみる必要があります。控除されていなかった場合は、確定申告しましょう。また、収入が一定以下であれば、同じく自己負担割合を下げられる『基準収入額の適用申請』制度もありますので、申請できないか、各自治体の窓口で相談しましょう」
2019年12月12日今回は住民税が払えなくなった場合について解説していきたいと思います。これまでは住民税の仕組みや詳細等解説が主でしたが、実際に支払いに際した場合、うっかり忘れていたや、支払うお金が手元に無い等の諸事情もあるかと思います。そんな時どうすればいいのか?どんなリスクが発生するのかを解説しますので、参考になればと思います。住民税を未納!どうなるの?まずリスクについて解説します。住民税をもしも支払っていなかったらどうなるのでしょう?裁判になるのかな?凄い取り立てに遭うのかな?とネガティブなイメージが先行してしまいますよね。では具体的にどうなるかを解説します。住民税未払い発生!その後の流れでは具体的な流れについて解説します。まず前提として、住民税を支払っていなかったとします。すると、納付期限から10日以内に書面で未納の通知が自宅に届きます。一般的にはこの段階で納付を忘れていたと気づき納付すれば問題はありません。しかし、その通知すら無視したとします。次に届くのは「督促状」です。少し強めの言葉に変わって通知が届きます。また電話連絡も来ますので対応したいところですが・・・更に無視を貫いたとします。次に届くのは「催告書」と呼ばれる督促よりも強い言葉になります。内容は先程とは異なり「法的措置」の文言が記載される事になります。「法的措置」という言葉に免疫が無ければ誰でも驚きますよね。また最近の時流と言いますか、偽造された督促状などで詐欺を働く連中もいますので、身に覚えのない督促状は無視しましょう。ここで用語について解説をしておきたいと思います。督促とは返済や納付すべき金額が支払期限を超え確認できない場合に、返済、納付を促す場合に使われる。ニュアンスとしては請求書に近いですが未納である事には変わりはありません。催告とは督促と異なり、書面にする場合内容証明郵便にて送達される為、送付、受取の記録が郵便局に残ります。「書面を受け取っていません」といった嘘がばれる事は確実です。ニュアンスとして催促に近いです。さて催告書まで無視したとします。次に行われる事は差し押さえです。いきなり差し押さえという事ではなく、「このまま放置すると、あなたの財産を差し押さえなければならなくなります」という通知です。更に更に無視したとします。最終的には「差押え予告通知」が届きます。そこには納付期限が明記されていますが、これすらも無視してしまうと最終的に財産を差し押さえられる事になります。差し押さえまでの期間は最短で1ヶ月!最悪のケースで財産や給与等の差し押さえになりますが、差し押さえに至るまでは未納した日から最短で1ヶ月で実行に移すことが可能です。とは言え、さすがにそこまで短い期間で差し押さえられる事はあまり聞いた事はありませんが、猶予は無いという事だけ憶えておいて下さい。住民税は国民年金や社会保険料と同じ扱い先程は督促状に始まり、全て無視した場合について解説しましたが余程の事情や鋼のメンタルが無ければ起こり得ない事です。ここで少し余談を挟みますが、住民税は地方税に該当し行政が管理する事になっています。行政管理で言えば、国民年金や社会保険料も同じです。民間業者との取引ではありませんので、裁判などを経ることなく差し押さえに踏み切る事が出来る権限があります。私の体験談その①私が差し押さえられた訳ではありませんが、以前勤めていた会社が差し押さえをされた事がありました。法人であった会社は社会保険料や他税金を滞納し督促や催告を無視し続けました。そもそもですが、無視する理由が分かりませんでした。結果、会社の売り上げが入る口座が差し押さえられてしまいました。この時判明した事ですが、実は私の住民税も支払われていませんでした。通常サラリーマンであれば特別徴収といって給与から住民税が天引きされます。個人に代り会社が各自治体に納める事になりますが、約1年分近く滞納の事実が分かりました。退職までに清算してほしい旨伝えましたが、数カ月分の未納を残し退職日となりました。退職後も役場へ確認しましたが、依然支払われてはいませんでした。本来法人が納めるべき税金ですが、滞納の為恐らく差し押さえになっているのではないかと思います。中々出来ない経験でしたね。住民税支払いを無視するとどんなリスクがある?ここまでは住民税の支払いを未納のままにしたらどうなるかという流れについて解説してきましたが、問題はその後です。差し押さえられて「ハイ!お終い!」とはいきません。どんなリスクがあるのか解説します。[adsense_middle]自営業等は取引停止になる事も住民税は個人、法人と納めなければならない税金です。最悪のケースで差し押さえとなった場合ですが、差し押さえに至るまで、財産や預貯金などの調査が行われます。この時、HP等を開設していれば主要な取引先銀行や取引先等を記載している会社等少なくありません。これらを見た行政が銀行や取引先に押さえられる財産の照会を行う事になります。当然照会された会社は「あの会社大丈夫かな?」と思いますよね。銀行預金などに金額が無ければ、売上が発生する元から差し押さえられる事もあります。そうなれば仕事での信頼関係は無くなり、取引停止になるケースもあります。先程体験談で話した法人も、取引業者に照会が入り、結果全ての取引が出来なくなってしまいました。個人の場合勤務先等へ照会される事もケースとしては珍しいかもしれませんが、転職した最初の年は給与天引きにならない事もあります。結果自分で納税しなければなりませんが、その際にお勤めの会社へ給与額等の照会をされる事もあります。照会してはいけないルール等ありませんし、むしろ支払わない方が悪いので致し方ありません。この場合、会社の人事や総務に連絡が入る事になりますが、かなり心象は悪くなるのではないでしょうか。滞納すると延滞金が発生するお金を借りたり、CDやDVDレンタルした場合必ず返済や返却期限が決まっています。住民税も同じく納付の期限は決まっていますが、もし遅れた場合どうなるでしょう。お金やレンタル等は延滞料金が発生します。住民税も同じく延滞金が発生します。では具体的にどれくらいになるのか触れていきますね。延滞金の計算式延滞金の計算式は以下の通りになります。滞納税額×延滞金の割合(※)×納期限の翌日から納付の日までの日数÷365※延滞の割合とは納期限から2ヶ月を経過しているか、していないかで税率が変わります。【納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までの期間】特例基準割合+1%か7.3%のいずれか低い方【納期限の翌日から2か月を経過する日の翌日以降】特例基準割合+7.3%か14.6%のいずれか低い方上記の様に納付期限から2か月以内かそれ以上かで税率が変わります。ここで特例基準割合について少し解説しておきます。特例基準割合とは日本国内の銀行における貸出約定平均金利として財務大臣が告示する割合に1%を加算したものです。本年は0.6%と告示されているため特別基準割合として年率1.6%となります。毎年変動する数値でもあります。少しややこしいかもしれませんが、2か月以内の滞納であれば2.6%、2か月以上であれば8.9%という率が加わったものが延滞金として納税しなければならない金額となります。なるべく延滞はしない様にしておきましょう。住宅ローンなどの審査に影響が出る厳密に言えば住宅ローンを申し込む際の保証協会やフラット35を利用する場合に「納税証明」を取得しなければなりません。納税証明とはそのままの通り、納税を証明する公的書類です。日頃はあまりお目見えする事はありませんが、住宅購入の様に証明を求められた場合は引っかかる可能性もありますので注意が必要です。住宅ローン等はある程度話が煮詰まってきたら申込等に進みますが、納税証明で躓いては今までの話が台無しになります。購入をご検討の方は前もって役場で確認できますので、念の為取得してみてもいいかもしれませんね。私の体験談その②先程の体験談の続きですが、退職後も住民税に関して以前の会社は全く支払ってはくれませんでした。何かペナルティがあるのかと思い、役場へ確認しました。役場の方は、あくまでも法人が支払う義務を負いますので、私には何のペナルティもありませんと回答して下さいました。しかし、先々納税証明を必要とする時が来たらその時は引っかかる可能性もありますとの事でした。事実上倒産した会社に支払うだけの体力が無い事も分かっていましたので、数か月分は自分の身を助けると思い自身で納める事にしました。特別徴収と信じ切っていましたが、隠れてこんな事になっているとも思わなかったので、何とも税金の大切さや信じた会社への不信感など複雑な心境だった事を思い出しますね。どんな方が未納になりやすい?ここからは未納になり易い又は見落としがちな方を解説したいと思います。通常サラリーマンであれば、余程の会社でない限り特別徴収で給与天引きになっているはずです。ですので見落とす事はまずあり得ません。ではどんな方が未納に陥りやすいのでしょう?[adsense_middle]個人事業主などの自営業者これは徴収の方法が普通徴収と呼ばれる方は未納になり易いのではないかと思います。(かくいう私も今は普通徴収ですが1日遅れた事がありました・・・)個人事業主の方は確定申告と同時に住民税の計算まで完了します。その後忘れた頃に納付書が4枚送られてきます。納期は全てバラバラです。1期ずつ支払う場合、期間が開いてしまうと失念し易い場合もあります。結婚し専業主婦(夫)になった方、退職して一時働かない方例えば結婚前まではバリバリに働いていた方や一旦退職してリフレッシュの為、少し仕事から離れた方等は未納になり易いです。理由は住民税の計算の仕組みにあります。住民税は前年の所得に応じ計算され翌年納税する方法です。例えば平成30年12月31日を以て退職し、翌年からは仕事をしないとします。このケースで言えば、平成31年(令和元年)の6月に納付書が送られてくる事になりますが、退職してしまっているので収入が無いですよね。ある程度の貯蓄があれば問題はないでしょう。収入が無い中での支払いは痛い出費となります。この様に退職後の翌年は大きな出費が予想されますので、退職をお考えの方は住民税の事まで考えておいた方が良いでしょう。住民税の時効の期限実は住民税を支払わなかった場合、時効が存在する事はあまり知られてはいないかもしれませんので、ここで触れておきます。但し、現代のデータ管理において時効はまずあり得ませんので頭の片隅にでも憶えて頂ければと思います。例えば未納が発生し督促状が届くとします。そこから起算して3年間何の音沙汰も無い(この場合督促状や催告書などが全く来ない事を指します)場合時効となります。つまり行政からアクションが無ければという事です。しかし、現在はデータ管理され、自動発送等も完備されてあるでしょうし、アクションが無い事はまず皆無でしょう。また催告書等が次に送られてきますので、到着した日から新たに3年とリセットされますので、憶えておいて下さいね。未納が発生した時の対策は必ず理由を伝える事さて今回の記事の最後になりますが、未納が発生した場合の対策を解説していきます。基本は支払う事が対策になりますが、どうしても厳しい場合は誰しもあるはずです。その場合無視をする事ではなく、しっかりと役場に出向き理由を添え支払いの意思がある事をしっかりと伝える事が大事です。支払いの意思があるのか無いのかでは結果が全く異なります。どうしても一括または4期に跨って支払いが難しければ分割して納める事にしてくれます。督促状や催告書等を変に捉え無視し続ける方が首を絞めてしまいますので、絶対に無視せず相談する事をお勧めします。前述した私の以前の勤務先は、無視に無視を重ね1年後には差し押さえが実行されました。恐らくですが、悪質であると判断されたと推察します。意思も示さず、相談にも来なければ行政も然るべき措置を講じますので、何度も言いますが、絶対に相談に行きましょう。普通徴収の方は口座振替も可能特に失念し易いのが普通徴収の方です。自分で納付しなければなりません。この場合、指定の口座から引き落とす手続きも出来ますので、忘れてしまいがちな方は口座振替に変更する事で支払い漏れを回避できますので、対策としてお考え下さい。住民税の滞納・払えない場合に関するまとめ今回は住民税を滞納してしまった場合等について解説してきました。金額の大小はあるかもしれませんが、「税金」である事に変わりはありません。また相手が行政である以上、逃げ切れる事は無いです。国民の義務でもありますのでしっかり納税しましょう。どうしても困難だという事であれば、必ず相談しましょう。
2019年12月10日社会保険とは、個人ひとりでは対応できないリスクに備えて、対象になる国民全員から保険料を集めて、もしもの時にお金を給付するものです。民間の保険と比べて、次のような特徴がみられます。保険料だけでなく、国が負担するお金で運営本人の意思に関わりなく加入義務がある健康状況によって保険料が変わらない今回は自営業からアルバイトまで、どんな社会保険制度の対象になるか、タイプ別に確認します。社会保険には5つの分野がある日本の社会保険は、次の5分野があります。分野ごとにカバーしているリスクがあります。収入が減ってしまうことに対して「年金」「手当金」が支給されたり、治療や介護サービスを利用する時の本人負担が軽くなったりします。社会保険制度を一覧でおさらいどの制度の対象になるかは「雇われているかどうか」「職業は」「年齢は」「住んでいるところは」などで区分されています。雇われて働いている人が対象になる保険は被用者保険と呼ばれます。厚生年金保険や、船員保険などが被用者保険です。被用者保険の対象にならない、地域の住民を対象にした保険は地域保健と呼ばれます。国民健康保険、後期高齢者医療保険などが地域保健です。タイプ別:どの社会保険に加入するか社会保険には5つの分野がありますが、5つすべてに加入するわけではありません。次の働き方を例に挙げました。A~Eの例を見ながら、どんな場合に、どの社会保険制度に加入するのかチェックしましょう。会社員専業主婦学生バイト個人事業主法人の社長A.会社員Aさん(45歳)は、正社員として株式会社に勤めています。会社員として就職すると、社会保険の手続きはほとんど会社任せで完結します。そのため、自分がどんな保険の対象になっているか、把握していない人も多いでしょう。こうして見ると、社会保険で幅広いリスクをカバーされていることは会社勤めのメリットとも感じられます。B.専業主婦Aさんの妻、Bさん(45歳)は専業主婦です。Aさんの配偶者として、国民年金の「第3号被保険者」になります。第3号被保険者は、国民年金の保険料を納める必要はありません。第3号被保険者になるのは、20歳以上60歳未満の期間です。仕事に就いていないので、雇用保険や労災保険には加入していません。C.学生アルバイトAさんの子供、高校生のCさん(16歳)はアルバイトをしています。学生は、原則として雇用保険には加入しません。労災保険は当然に対象になります(一部の農林水産業を除く)。Cさんはまだ年金保険には加入していませんが、もしも高校卒業後18歳で会社員になれば、その時から厚生年金保険に加入します。いっぽう大学に進学する場合は、20歳になった時に国民年金保険に加入します。20歳前に厚生年金保険の適用がない事業所に就職した場合は、20歳になったら国民年金に加入する必要があります。D.個人事業主Dさん(50歳)は、個人事業を営んでいます。会社員のAさんと違い、加入の手続きはどれも自分でする必要があります。手続きを忘れていると、無保険や保険料滞納になってしまうかもしれません。国民健康保険は疾病の原因が業務災害かを問わないので、仕事で負ったケガでも、国民健康保険を使って治療を受けることができます。労災保険は、希望すれば特別に加入できる制度があります。E.法人の社長Eさん(30歳)は、株式会社を立ち上げて、代表取締役に就きました。同じように1人で事業をしていても、個人事業とするか法人とするかで、社会保険の中身は大きく違ってきます。会社の代表者・個人事業主はどちらも雇用保険に加入できません。役員の場合は、労働者性があれば、雇用保険に加入できることもあります。協会?組合?国保組合?違いを確認社会保険の5分野の中で、特にたくさんの制度に分かれているのが医療保険です。その医療保険を実施している組織には、とても名前の似通ったものがあります。全国健康保険協会健康保険組合国民健康保険(都道府県)国民健康保険組合「健康保険組合」と「国民健康保険組合」は名前はよく似ていますが、全く違う制度です。混同しがちな両者について、違いを押さえておきましょう。[adsense_middle]1.雇われている人の保険「協会けんぽ」「健保組合」会社員など雇われて働く人を対象にした健康保険。健康保険の事業を行っている組織は、大きく2つに分けられます。全国健康保険協会(協会けんぽ)健康保険組合全国で幅広く事業をする「協会けんぽ」全国健康保険協会は「協会けんぽ」とも呼ばれます。健康保険が適用になる会社のうち”健康保険組合がない会社”が対象です。中小企業など、社員が1人の会社でも加入することができます。厚生労働省の「平成29年度健康保険・船員保険事業状況報告」によると(以下同じ)、被扶養者も含めて、約3,800万人が加入しています。より会社に密着したサービス「健康保険組合」主に大企業では、企業ごとに組織される「健康保険組合」があります。約1,400の組合があります。解散や合併で、健康保険組合の数は減少傾向です。被扶養者も含めて、約2,900万人が加入しています。法律で決まっている最低限の給付のほか、組合が独自で給付を手厚くすることができます。従業員の健康意識は組合の財政に繋がるので、禁煙プログラム、メタボ解消キャンペーンなど、積極的に健康増進に取り組む組合も多くあります。2.健康保険の対象にならない人は「国保」「国保組合」健康保険・船員保険・共済保険などの対象にならない場合は、国民健康保険の対象になります。健康保険との違いは、家族を扶養にする制度が無いこと、退職後の任意継続が無いこと、傷病手当金が(基本的に)無いことなどが挙げられます。都道府県と市区町村が行う国民健康保険国民健康保険組合原則は”都道府県が行う国民健康保険(国保)”の対象に原則として、都道府県の区域内に住所があれば、都道府県が行う国民健康保険の対象になります。その都道府県の中にある市区町村は、都道府県と一緒に運営を行います。各々役割分担があり、加入している人の直接の窓口は市区町村です。国保組合もある特定の職業に就いている個人事業主や、個人事業の従業員を対象に、「国民健康保険組合」が組織されている場合もあります。全国に約160の組合があります。医師・歯科医師薬剤師建設・土木税理士美容師など全国どこでも加入できる組合と、職業も地域も限定されている組合があります。社会保険の種類に関するまとめ5分野の社会保険について、仕事のタイプ別に加入する制度をチェックしました。20歳になったとき、40歳になったとき、就職、退職…など、ライフステージによって加入する社会保険は変わります。せっかく持っている保障なので、イザという時に使えるように把握しておきましょう。
2019年12月04日失業保険とは、簡単にいうと「雇用保険に加入する働き方をしていた人が、離職した場合などに受給できる最低限の生活費」です。もちろん、基本的には受け取る権利のあるお金ですので、どなたでも平等にその権利はあります。しかし、該当事由を満たしていない場合や、違反行為に抵触しながら気づいていない場合もあり、その際は不正受給とみなされ罰則やペナルティを課されることになります。今回はこの「不正受給」について解説していきます。失業保険とは何らかの理由により(会社都合・自己都合)離職した場合に、受け取る権利の発生するお金のことを、一般的に「失業保険」や「失業手当」と呼びます。正式には、失業保険ではなく「雇用保険」と言い、失業手当ではなく「基本手当」という名称です。ここからは、雇用保険と基本手当について概要を解説します。管轄はハローワーク雇用保険の申請の手続きに関して管轄はハローワークです。ヤングハローワークや、マザーズハローワークなどの簡易的な機能のみの施設ではなく、お住まいの地域の要となっているハローワークにて手続きをしなければなりません。前の勤め先を退職された際に、雇用保険被保険者証などの書類を一式受け取ると思いますので、それらを持参して手続きを行うことになります。雇用保険について雇用保険で受給できるお金には、以下のものがあります。基本手当(いわゆる失業手当や失業保険と呼ばれるもの)就職促進給付(再就職手当など)教育訓練給付(一般教育訓練給付金など)雇用継続給付(高年齢雇用継続給付など)基本手当について雇用保険で受給できる権利のあるお金のうち、最も代表的なものは「基本手当」です。これは「失業保険」や「失業手当」と一般的に呼ばれているもので、離職後に次の仕事が決まるまでの間、所定の要件を満たすと「生活費」としてもらえる給付金です。ちなみに、雇用保険における基本手当は所得とはみなされず、非課税扱いとなります。基本手当給付の内容と流れ雇用保険における基本手当を受給するためには、一定の要件を満たし、所定の手続きを済ませる必要があります。ここからは、その一連の流れについてそれぞれ解説していきます。手続きの方法離職(退職)した場合、退職時にこれまで勤めていた会社から「雇用保険被保険者証」などの書類を受け取ります。これは、在職時に雇用保険に加入していた証明書となり、基本的には離職時に必ず受け取ることになります。これらの書類を持って管轄のハローワークへ行き、離職票に記入し基本手当を受給するための準備に入ります。受給開始までの流れ受給開始までには、一定の期間と手続きを踏む必要があります。一般的には以下の流れになります。離職受給資格決定受給説明会への参加(日程は予め決まっています)失業の認定を受けるまでの期間の求職活動失業の認定(4週に1度は活動状況をチェックされます)受給開始受給開始までの期間について雇用保険における基本手当の受給が実際に開始されるまでには、前職を離職した理由によって期間の差があります。離職理由は大きく二つで「会社都合」と「自己都合」に分けられます。会社都合とは、勤務先の倒産などによるやむを得ない離職の場合です。自己都合とは、転職を希望して退職した場合など働いている側の意志で退職した場合です。不正受給は詐欺とても残念なことに、本来であれば「働きたい人を応援するお金」である雇用保険に関して、不正受給をする(しようとする)人が少なからずいることも確かです。手当の不正受給は必ずばれます。不正受給は雇用保険法で厳しく罰せられます。これらの中でも特に悪質な場合は、詐欺罪として刑事告訴され処罰を受けることもあります。不正受給がばれた場合のペナルティについては以下の項目で詳しく紹介します。[adsense_middle]該当した場合のペナルティ不正受給が発覚した場合、その日以降の基本手当は打ち切りとなります。さらに、これまで受け取った給付金の全額返還を命じられます。この返還命令の金額とは別に、ペナルティとして「不正受給の額の約2倍の額以下の金額」を納めなければなりません。これを、いわゆる「3倍返し」と呼び、不正受給がいかに厳罰に処されるかおわかりいただけるかと思います。さらに、納付命令分の全額及び不正受給した金額の返還が全て終わるまでの間、年に5%の延滞金が発生します。また、命令に従わず放置していると財産の差し押さえもあります。これまでの受給分を全額返還+不正受給額の約2倍以下のペナルティ納付=3倍返し不正は必ず発覚するハローワークでは、このような不正が行われないように、様々な調べ方を用いて徹底して不正を取り締まっています。不正受給を見逃してしまうことは、正しく受給している方たちとの不均等を生むことにもなります。正しく受給している方たちへ迷惑をかけないためにも、ハローワークでは常に取り締まりを強化しています。具体的な調査方法不正を取り締まる為の具体的な調査方法には、一般的に以下のようなものがあります。ただし、これら一つだけの調査で発覚するのではなく、二重、三重での調査を行っているため、小さな不正でも見逃さないよう徹底されています。勤務先の帳簿や各種書類による記録照合直接、雇用保険被保険者を訪ね事情を訊く直接、会社などを訪問し会社側から事情を訊く一般の方からの通報(電話、メール、投書など)会社側への調査協力依頼雇用保険被保険者による不正だけではなく、その不正に協力した雇い主(会社側)も厳しく罰せられます。不正受給の主な動機と内容不正受給には、二つのパターンが考えられます。ひとつは「わかっていてバレないだろうと不正をする」場合、もうひとつは「勘違いから結果的に不正受給をしたことになる」場合です。前者の場合は本人の意思で不正をしているので罰せられるべきですが、少なくとも後者の「勘違い」や「認識不足」の結果として不正をしていた場合に関しては、正しい知識をもって未然に防ぐことが出来ます。また、判断に悩む場合は必ずハローワークに相談しましょう。不正受給の主な動機不正受給をしてしまった方の動機として、よくあるものは以下のものがあります。これらは全て不正受給に該当します。離職後に自営業を始めたが開業届も未提出だからバレないと思った超短期のアルバイトで給与手渡しの為バレないと思った知り合いの仕事を少し手伝った際の謝礼程度は不正にならないと思った知人を手伝っただけで交通費しか受け取っていないから良いと思った居住地ではない他県での短期アルバイトだからバレないと思った不正受給の事例具体的な不正受給の事例として、よくあるものを以下に紹介します。「こんなことも不正受給にあたるのか」と感じるような事例も中にはあるかもしれませんが、万が一不正受給をしてしまうと認識の甘さでは済まされませんのでお気を付けください。退職後に再就職するつもりがないにも関わらず、求職活動を行ったようにみせかけ基本手当を満額受給するアルバイト等賃金の発生する行為をしたにも関わらず、失業認定申告書に記載しなかった前職の離職後、自営業など会社員以外の働き方を始めたにもかかわらず偽りの申請をしたそもそも求職活動を行っていないのに「失業認定申告書」に偽りの内容を記載した「失業認定申告書」とは失業認定申告書とは、離職に伴う手続きをハローワークで行った後、受給説明会に参加することで発行されます。受給説明会は、簡単に言うと雇用保険制度についての講習会です。ここで正しい基本手当の受給について等を学びます。この失業認定申告書は、失業認定に必要な項目が記載されており、正しい求職活動をしているにもかかわらず、働く意欲があるのになかなか仕事が見つからない状態であることの証明になります。一カ月に一度程度、失業の認定のためにハローワークに出向く必要がありますが、その際にはこの申告書と「雇用保険受給資格者証」などを持参しなければなりません。意図しない不正受給を防ぐためにはここまでで、雇用保険についての基礎知識や手続きの流れ、どのようにして受給するか等についてお解りいただけたと思います。不正受給は厳しく罰せられますから絶対にしてはいけません。しかし、上にまとめた事例の中で、ひょっとしたら「これくらいでも不正に当たるのか」と思う項目があった方もいらっしゃるかもしれません。また、不正と気付かずに抵触する行為を行おうとしていた場合もあるかもしれません。不正受給を防ぐために大切なことは、良いか良くないかをご自身で判断するのではなく、実際の状況に関して正しい内容をハローワークへの提出書類に記しましょう。離職後の働き方に関することであったり、実際に受給するまでの間や、基本手当受給前後のアルバイトなどに関しても申告すべき内容になります。偽りなく申告することで、自分の身を自分で守ることにも繋がります。不正受給を防ぐためには、自己判断は絶対にせずハローワークに正しい内容を申告しましょう。失業保険・不正受給に関するまとめいかがでしたか。ご本人の意志で不正受給をすることはもちろん絶対にやってはいけない行為ですが、ご本人の知らない間に違反行為に抵触している場合も考えられます。失業保険を受給することになった際には最低限の知識をもって、普段から気を付けておくことをオススメします。不正受給の罰則は厳しく、その不正は必ず露呈します。最も重い罰として、詐欺罪でも刑事告訴もあり得ますので「ばれないだろう」という安易な気持ちで不正に手を染めることは絶対にやめましょう。不正受給に抵触してしまうのではないか?などの判断に悩む場合は、早めにハローワークに相談しましょう。
2019年12月04日仕事を退職したら、それまで使っていた健康保険証はどうなるのでしょうか。社会保険のうち「健康保険」には、退職後も加入し続けられる”任意継続”の制度があります。退職したあと高額になりがちな保険料を抑えられるメリットがあります。任意継続以外にどんな選択肢があるのかも知っておきましょう。基本:退職したら、翌日から健康保険は使えない勤務先を退職する場合、翌日から健康保険の給付を受ける資格は無くなります。健康保険証は会社の指示に従って、速やかに返却しましょう。退職日までに会社へ返却できるとよいでしょう。保険証を持っていても、使ったらダメ!医療機関で提示を求められなかったからといって、うっかり退職の翌日以降に、在職時の保険証の情報のまま治療を受けたらどうなるのでしょうか。もし自己負担3割で治療を受けた場合、後から治療費の7割を返還しなければいけません。返還の手続きには手間もかかります。被扶養者になっている家族の保険証も、退職日の翌日からは使用できません。家族が持っている保険証も含めて、返却漏れがないようにしましょう。例外:資格喪失後も受け取れる給付がある実は、退職して健康保険証を返却した後でも、一定の期間に限り受け取れる給付があります。いずれも、給付額は在職時と変わりません。傷病手当金・出産手当金の継続給付(収入の約3分の2)退職日に傷病手当金を受けていて、かつ退職日まで引き続き1年以上被保険者だった場合は、支給開始日から最大1年6カ月まで引き続き傷病手当金を受け取ることができます。出産手当金も同様です。退職日に出産手当金を受けていて、かつ退職日まで引き続き1年以上被保険者だった場合は、出産の日後56日まで出産手当金を受け取ることができます。埋葬費、埋葬料(最大5万円)退職した本人が、退職後3カ月以内に亡くなった場合、健康保険から「埋葬料」もしくは「埋葬費」が支給されます。金額は最大で5万円です。そのほかにも、退職した後の傷病手当金を受けている人や、傷病手当金の支給が終わってから3カ月以内に死亡した人も受給できます。退職後の出産育児一時金(1児につき42万円)退職した日の翌日から6カ月以内に、被保険者だった本人が出産した場合は、出産育児一時金が支給されます。一児につき原則42万円です。ただし、退職日まで引き続き1年以上被保険者であった場合に限ります。なお、退職したあと家族の健康保険の扶養になった場合は、家族の健康保険からの「家族出産育児一時金」を受給する資格も発生します。重ねて受給はできないため、どちらかを選んで受給します。退職後も医療保険に加入しなければいけない期間をあけずに再就職し、再就職先で健康保険に加入できる場合は、続けて健康保険の被保険者になるため、医療保険の心配はないでしょう。もし次のように健康保険に加入できない事情がある場合は、失業中にも何かしらの公的医療保険に入らなければいけません。再就職するまで期間がある再就職先が決まっていない再就職するが、就職先で健康保険に加入できないたとえ病院にかかる予定がなくても、公的医療保険には必ず加入しなければいけません。加入していなかったことが後から分かった場合は、保険料をさかのぼって請求されることもあります。健康保険が途切れる場合、3つの選択肢では退職後の公的医療保険には、どんな選択肢があるでしょうか。家族の健康保険の被扶養者になる前の会社で入っていた健康保険を任意継続する市区町村で国民健康保険(国保)に加入する続けて健康保険に加入できない場合は、この「1→2→3」の順に検討してみましょう。家族の被扶養者に健康保険の被扶養者が増えても、被保険者が負担する保険料は増えません。まずは被扶養者になれるかどうか検討してみましょう。国保・任意継続保険料などを比較保険料や給付など、両制度を比較してみましょう。国民健康保険の保険料は、市区町村のHPなどで試算もできます。個別に計算してみないと判断できませんが、退職直後は国民健康保険のほうが保険料が高くなるケースが多いようです。国民健康保険では、前年の所得額や、家族の人数に応じて保険料を計算します。国民健康保険(国保)と任意継続の保険料、家族の保険料も含めどちらが安くなるか計算してみましょう。倒産や解雇による離職は、国保料が安くなることも倒産・解雇・雇止めなどの理由で退職した場合には、国民健康保険料の軽減を受けられることがあります。お住いの市区町村に相談してみましょう。任意継続被保険者とはでは、3つの選択肢から「任意継続被保険者になる」ことを選んだ場合、受けられる給付や支払う保険料はどうなるでしょうか。任意継続とは文字通り、健康保険に加入する資格を”任意”に”継続”できる制度です。[adsense_middle]任意継続の給付内容傷病手当金と出産手当金を除いて、被保険者だった時と同じ給付が受けられます。負担割合や給付額も、被保険者であるときと変わりません。配偶者・子・親など、被扶養者の治療についても引き続き給付が受けられます。任意継続被保険者の保険料従業員として勤めている間は、健康保険料のうち2分の1が給与から天引きされ、残った2分の1は会社が負担していました。ところが任意継続被保険者になると、保険料の全額を負担しなければいけません。簡単に言えば、負担する保険料は退職前の2倍になります。任意継続の場合、標準報酬月額は退職時の金額を使用しますが、保険者ごとに上限があります。協会けんぽであれば、令和元年度は標準報酬月額(月収)30万円が上限です。任意継続できる条件・年数任意継続被保険者になるための条件離職する日まで継続して2カ月以上被保険者であった離職した翌日から20日以内に、保険者に申し出た任意継続被保険者になるためには、そう細かい要件はありません。退職後、健康保険・船員保険・後期高齢者医療などの医療保険制度で被保険者になる場合は、任意継続できません。加入できる期間退職した翌日から2年間限りです。延長はできません。手続きは、退職翌日から20日以内に任意継続を希望する場合は、退職日の翌日から20日以内に保険者に申し出なければいけません。保険者…保険事業を行うもの。全国健康保険協会もしくは各健康保険組合。手続きをする場所加入している健康保険が、全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合は、各都道府県にある支部で手続きができます。健康保険組合に加入している場合は、各健康保険組合に問い合わせるなどして、手続き方法を確認しておきましょう。保険料の支払い毎月の保険料は、その月の10日までに支払います。例えば4月分なら、4月10日までに支払います。初回の保険料は、保険者が指定する日に支払います。例えば3月31日から4月29日までの間に退職した場合、4月分から保険料を支払い始めます。保険料の未払いは、資格喪失に初回の保険料を期日までに支払わなかった場合には、始めから任意継続被保険者になれなかったことになります。2回目以降の保険料も、納付期日までに保険料を支払わなければ、翌日から資格を失ってしまいます。くれぐれも気を付けましょう。在職時の保険証は返却して、任意継続の保険証を受け取る任意継続被保険者としての保険証は、在職時の保険証とは別のものです。任意継続を申し出てから2~3週間ほどで、本人の手元に新しい保険証が届きます。保険証が届くまでに医療機関にかかる場合は、医療機関の窓口で、まだ保険証が届いていないことを伝えましょう。もし10割負担で治療を受けた場合、自己負担を超えた金額は、保険証が届いた後で保険者に請求できます。全国健康保険協会では、令和元年10月から、申出後1週間程度での保険証交付が可能になりました。早めの交付を希望する場合は、任意継続の申出をするときに、退職証明書等を添付する必要があります。[adsense_middle]任意継続をやめる時いったん任意継続被保険者になると、自分の希望で任意継続をやめることはできません。「やっぱり国民健康保険に変更したい」と思っても2年間は手続きできないのです。どんなときに任意継続が終わるかは、決められています。任意継続被保険者になってから2年が経った死亡した保険料を支払わなかった後期高齢者医療の対象になった再就職などで健康保険・船員保険に加入した再就職しなかったり、再就職先に健康保険がなかったりと、何もないまま2年が経つと、任意継続被保険者の資格を失います。この場合は、市区町村で国民健康保険に加入しましょう。退職時、健康保険以外の手続きは?被用者保険のなかで、任意継続の制度があるのは健康保険だけです。勤務先で他に加入していた社会保険はどうなるのでしょうか。年金保険制度…「免除」の手続きも20歳以上60歳未満の人が失業した場合は、退職日の翌日が属する月の分から、年金保険料を支払います。扶養していた配偶者がいる場合は、配偶者の年金保険料もかかります。保険料は月額16,410円(令和元年度)ですが、失業後は保険料を支払うことが負担になることもあるでしょう。国民健康保険は、失業を理由として保険料の免除申請ができます。保険料全額の免除や、一部金額の免除があります。4分の1免除半額免除4分の3免除全額免除再就職して経済的に余裕ができた場合に、後から保険料を納めることもできます。社会保険(健康保険)の任意継続に関するまとめ健康保険の任意継続ができる期間は、退職翌日から20日間と短いです。また任意継続をする以外にも、国民健康保険に加入したり被扶養者になるなど、他の選択肢もあります。退職してから慌てて考えるのではなく、事前に検討して手続きの方法を確認しておくことをおすすめします。
2019年11月29日「ムダ使いには気をつけているのにお金が全然貯まらない」「つい衝動買いをして、給料日の前はいつもカツカツ」など、お金にまつわる悩みは尽きない。しかし、お金を貯めたいからといって、いきなり詳細な家計簿をつけて、節約を始めようとするのはハードルが高すぎて逆効果だという。「近い将来のライフプランを立ててから貯金額を設定するほうが、貯めやすくなります。たとえば、子育てが一段落した2年後の自分をイメージしてみて、『夫婦で海外旅行に行きたい』などと、実現したいことやなりたい自分をノートに書き出してみましょう。次に、旅行に行くのであればいくら必要なのか計算して、仮に100万円必要だとすると、1年間で50万円、毎月約4万円というように具体的に貯める目標額が定まってきます。将来の“ミニライフプラン”を立ててから逆算すると、具体的な貯金額の目安がわかるので、行動しやすくなります」そうアドバイスするのは、ファイナンシャルプランナーの森朱美さん。2年ぐらいの期間が、貯蓄行動につながりやすく続けやすい期間だそう。「それから、意外と盲点になっているのが毎月の給与明細です。社会保険料や所得税、住民税がどれだけかかっているのかチェックしておきましょう。社会保険料や税金は毎年変動します。手取り収入から、いくら支出していくら貯蓄ができているのか、家計全体でお金の流れを把握することが大事です。また、社会保障制度を知っておくと、必要のない民間保険に入らないといった選択肢も出てきます」(森さん・以下同)次に、銀行口座から引き落とされる項目やクレジットカードの明細から、カットできそうな項目を見つけよう。光熱費、通信費、飽きてしまった趣味や習い事、活用できていないサービスなどは見直しの対象になる。「スマホや光熱費を安いプランに乗り換えるのは、そのときは手間がかかりますが、一度見直すと、効果が続くので節約ストレスはあまりかかりません。お子さんの独立後、生活費など支出を見直すのも一案です。住み替えなどを検討しているのであれば、コンパクトな間取りで駅近の住まいにすることで、家賃や光熱費を抑えたり、マイカーに頼らない生活ができれば維持費の負担もなくなります」また、極端な切り詰めとストレスにつながる変動費は、仕分けをしたレシートを見ながら満足度をチェック!「洋服代やランチ代など、支出の項目を振り返り、満足度や必要だったかどうかを3ツ星で評価してみましょう。評価が低い買い物に気づくことで次回からの支出が抑えられます。同時に、冷蔵庫や収納庫、クローゼットにモノがぎっしり詰まっているという方は整理して、自分が持っているものを把握しましょう。賞味期限切れの食品は処分し、今あるものは使い切るようにします。クローゼットの中もシーズンごとに出し入れして、1年以上着る機会のなかった服から整理していくと部屋も気持ちもスッキリします」自分が持っているものを把握しやすい環境にしておくと、買いすぎや衝動買いを防ぐことができる。固定費と変動費でカットできる金額がわかったら、それらを月々の貯金にまわそう。そのとき、給与などの収入の一部をあらかじめ定期預金などに「先取り」で自動的に貯めるようにすると、着実にお金が増えていく。成功体験が積み重なると、自信につながり、お金に対するマインドがどんどんポジティブになっていく。“貯めマインド”は、お金を貯めることだけがゴールではない。「お金に対する不安がなくなり、好きなときにお金が使える状態になることで、幸せと感じるようになります。その幸せは自分のためだけでなく、家族の幸せにもつながります」自分に合った“貯めマインド”で、トータルで豊かな暮らしをかなえていけるように、できることから実践していこう。
2019年11月27日社会人と学生の恋愛は難しいといわれがちです。しかし、決してうまくいかないわけではありません。社会人の男性を好きで射止めたいときに、役に立つテクニックを紹介します。まずは相手の生活を思いやろう社会人のカレを射止めるのにまず欠かせないのが、社会人の生活を思いやることです。仕事の種類によって働くリズムにも違いがあり、終業後の疲れ方なども異なっています。まずは相手の仕事と生活についてよく耳を傾け、負担をかけないようにするのが肝心です。無理に時間を作ってもらおうとアプローチすると、負担になってしまう可能性があるので、彼がリードしやすいように相手の生活にあわせてあげるようにしましょう。聞き上手になろう社会人には、会社でかなりのストレスを抱えている人もいれば、仕事がやりがいになっている人もいます。どちらにせよ、会社以外にも仕事の話をする相手を求めている男性が社会人には多いので、あなたが聞き役になってあげると彼に欠かせない人と思ってもらえるようになります。相槌を打ち、ちょっと疑問に思ったことを口にして、相手に説明してもらうというスタンスで付き合うと良いでしょう。聞き上手になると、彼の生活や仕事もよくわかるので一石二鳥です。相手の趣味に興味を持とう社会人になると仕事一辺倒になる人もいる一方、趣味の時間を確保したいと思う人もいます。彼が趣味の話をするときがあったら積極的に興味を持ってみるのも、社会人の彼と付き合うには効果的なテクニックです。まずはその趣味について話を聞くことから始め、できるなら彼のスケジュールに合わせて一緒に取り組んでいきましょう。男性向きのもので女性では参加しづらいものであれば、話を聞くだけでも構いません。彼の趣味を尊重することで、心を引きつけることができます。将来を語り合おう社会人になると人生計画をよく考えるようになります。結婚して子供を授かることや、老後のことまで考えるケースも少なくありません。学生の立場でも社会人と同じ視点に立って将来を語り合うように努力してみてください。彼に、自分とあなたの波長が合っていると思わせることができたら、これから先も一緒にいたいと自然と彼の中であなたとの将来を意識するようになっていくでしょう。
2019年11月25日この記事では、確定申告はいつまでにどこで行えばいいのか・どのようなものが必要なのかを詳しく解説します。初めての確定申告で失敗しないためにも、疑問を解消しておきましょう。確定申告とは国税庁確定申告書A(第二表)国税庁確定申告書B(第一表)国税庁確定申告書B(第二表)国税庁第三表【分離課税用】国税庁第四表(一)【損失申告用】国税庁第四表(二)【損失申告用】国税庁第5表【修正申告用】*修正前の内容を記入(修正後の内容は申告書B第一表に記入)国税庁本人確認書類・マイナンバー確認書類・印鑑本人による申告であることを確認するため、本人確認書類と番号(マイナンバー)確認書類、印鑑(印章)が必要となります。次の書類の【写し】を申告書に添付するか、窓口での申告の際に【原本】を提示します。本人(身元)確認書類…マイナンバーカード(表面)、運転免許証・健康保険証・パスポートなど(写真のない身元確認書類の場合は2種類以上の確認書類が必要)番号確認書類…マイナンバーカード(裏面)、個人番号(マイナンバー)通知カード、住民票(マイナンバー記載)などマイナンバーカードがあれば、写真付き身元確認書類と番号確認書類、両方の役割を果たすため1枚でOKです。印鑑は認印でも構いませんが、朱肉を使うものでなければならず、ゴム印やシヤチハタなどは認められません。預貯金口座から振替による納付を希望する場合には、金融機関の届出印と口座番号のわかるもの(キャッシュカードや通帳など)も必要です。収入金額を証明する書類申告書に記載した収入金額が正しいことを証明するため、申告する所得種類に応じて次のような書類が必要です。事業所得・不動産所得…(青色申告者)総収入金額および必要経費の内訳を記載した【青色申告決算書】…(白色申告者)総収入金額および必要経費の内訳を記載した【収支内訳書】配当所得…申告する配当等の種類に応じた【支払通知書】、特定口座年間取引報告書など給与所得…【給与所得の源泉徴収票】雑所得(公的年金等)…【公的年金等の源泉徴収票】源泉徴収票や特定口座年間取引報告書などの添付や保管は不要に2019年4月1日以後、源泉徴収票を含む次の書類の申告書への添付や提示、保管が不要となっています。源泉徴収票(給与所得・退職所得・公的年金等)オープン型投資信託収益分配金の支払通知書配当金等の支払通知書上場株式配当等の支払通知書特定口座年間取引報告書これらの書類の添付や保管不要ですが、申告書を作成するために重要な書類であることにかわりありません。少なくとも確定申告が終わるまでは大切に保管しておきましょう。税務署に出向いて申告書を作成する際は、これらの書類を持参する必要があります。控除額を証明する書類申告書に記載した控除額(所得から差し引かれる金額)が正しいことを証明するため、適用を受けようとする控除に応じて次のような書類が必要です。雑損控除…災害等に関連してやむを得ない支出をした金額についての【領収書】医療費控除…【医療費控除明細書】、【医療費通知】、【各種証明書(おむつ明細書など)】…(セルフメディケーション税制特例の適用を受ける場合)【セルフメディケーション税制の明細書】、【一定の取組を行ったことを明らかにする書類】社会保険料控除…(国民年金保険料および国民年金基金掛金)【社会保険料(国民年金保険料)控除証明書】小規模企業共済等掛金控除…【支払った掛金額等の証明書】生命保険料控除…【生命保険料控除証明書】地震保険料控除…【地震保険料控除証明書】寄附金控除…寄付先から交付された【寄附金受領証明書】など勤労学生控除…学校などから交付される【在学(在籍)証明書】障害者控除・配偶者(特別)控除…(国外居住の親族について控除を受ける場合)【親族関係書類】、【送金関係書類】住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)…【住宅借入金等特別控除額の計算明細書】【住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書】、(必要に応じて)要件を満たすことの証明書e−Taxを利用した申告では一定の書類の提出・提示を省略できるe-Taxを利用して申告を行う場合には、医療費控除のための医療費の領収書や生命保険料控除証明書など、一定の書類については申告書への添付や窓口での提示を省略できます。これらの書類は、原則法定申告期限から5年間保管しなければならず、後日税務署から提出・提示を求められた場合には応じる必要があります。求めに応じられなければ申告の際に提出・提示がなかったものとみなされ、遡って控除の適用を受けられなくなってしまうため注意しましょう。確定申告はツールや税務署の活用がポイント確定申告は所得額や控除額を確認するための書類を揃え、それをもとに確定申告書を作成して行うのが基本。確定申告書の作成に必要な情報は国税庁の【確定申告の特設サイト】でも公開されており、【確定申告書作成コーナー】から手順に沿って入力すれば作成できます。事業所得などがある場合には帳簿や決算書・収支内訳書の作成が必要ですが、それも会計ソフトを使えば簿記などの知識がなくても作成できます。このようなツールや税務署の相談窓口など活用して確定申告を楽に乗り切りましょう。確定申告はいつまで・場所・持ち物に関するまとめ今回は確定申告について解説してきました。主なポイントは以下です。確定申告の期限は原則3月15日まで。還付申告の申告期間は例外として5年間。申告は税務署窓口・郵送・インターネットから行える。申告には確定申告書・必要に応じた証明書類・本人確認書類・印鑑。申告書類の作成はツールの活用がポイント。確定申告の期限や手続き方法・必要な書類などを確認し、スムーズに申告できるよう備えておきましょう。
2019年11月22日勤め先で健康保険に加入していると、病気やケガのとき3割の自己負担で医療機関を受診することができます。この健康保険には、病院での自己負担額を抑える以外に、病気やケガで働けなくなった時の収入をカバーする保障もあります。それが「傷病手当金」です。身近な病気やケガでも使えますが、自分で申請しないと受け取れません。申請手続きも難しくないので、病気やケガに備えて知っておきましょう。傷病手当金の内容病気やケガが理由で仕事を休んだ場合、休んだ間は給料が貰えなかったり、給料が減ってしまったりすることがあります。この場合に、減った収入の一部を保障してくれるのが傷病手当金です。健康保険の被保険者である人が利用できます。対象になる健康保険の「被保険者」とは勤務先で、健康保険に加入している本人が対象です。市区町村で加入手続きをする「国民健康保険」に加入している場合は、傷病手当金制度はありません。全国健康保険協会(協会けんぽ)健康保険組合どちらが保険者になっている健康保険も対象になります。親や配偶者の「被扶養者」になっている場合は、傷病手当金を受け取ることはできません。手元の健康保険証をチェック医療機関を受診するときに使う「健康保険証」をご覧になってみてください。被保険者本人であれば、自分の勤め先が書いてあり、”本人(被保険者)”といった印字があります。この場合、傷病手当金を申請できる「被保険者」です。家族の扶養になっている場合は、家族の勤め先が書いてあり、”家族(被扶養者)”といった印字があります。傷病手当金が受給できる条件傷病手当金を受給するためには、次の1~4の要件をすべて満たす必要があります。1)療養のために休んでいること必要と認められれば、自宅で療養する場合や、自費診療を受けた場合も対象になります。一方で美容を目的とした整形手術は、対象になりません。通勤中のケガ、業務に関連するケガ・病気は対象外業務災害・通勤災害によって負ったケガや病気は、対象になりません。この場合は、健康保険ではなく労災保険から給付が行われるからです。給与明細には「労災保険料」と書かれていることはないので、「自分は労災保険の対象になるの?」と分からない人もいるでしょう。実は、ほとんどの労働者は労災保険の給付を受けることができます。労災保険の保険料は、事業主が全額を支払っています。労働者を1人でも雇ってる事業主は、当然に労災保険が適用されます(一部の農林水産業を除く)。アルバイトでも、勤務時間に関わらず対象になります。労働災害が起こった場合は、労災保険から給付を受けましょう。2)仕事をすることができないことここでいう仕事の内容は、傷病手当金を受ける本人の本来の業務に就けるかどうかで判断します。会社に出勤はできない状態だったが、自宅で副業はしていた→〇:本来の業務に就けないので、支給される医師が許可したので、半日だけ出勤した→✕:半日でも本来の業務に就けるので、支給されない3)連続する3日間の待機期間が完成していること3日間継続して、休業している必要があります。傷病手当金が受け取れるのは、早くても4日目以降の期間です。3日間の待期期間には、会社の定休日や、有給休暇も含めることができます。勤務時間中に病気が発生して途中から働けなくなった場合は、この1日目も待期期間に含めます。一方で、退勤後に働けなくなった場合は、翌日から待期期間を計算します。待機期間は、同じ傷病について1度だけ計算します。その後に出勤日を挟んで、再度休業が必要になったとしても、2回目以降は「連続して3日の待期期間」は必要はありません。4)報酬が支払われていない、または少ない傷病手当金を受け取る休業日に、事業主から給料が支払われているときは、原則として傷病手当金は支給されません。有給休暇を使っている日は、待期期間に数えることはできますが、”有給”の休暇なので傷病手当金は支給されません。なお、給与が支払われていても、その額が傷病手当金の額よりも少ないときは、その差額が支給されます。他の給付金と調整で受け取れないことも傷病手当金以外の給付金を受け取ることができる場合は、傷病手当金の金額が調整されたり、受給額がゼロになったりします。同じ疾病に限らず、別の疾病で給付金を受け取っている場合も調整の対象になります。健康保険の出産手当金障害厚生年金、障害手当金労災保険の休業補償給付(退職後に傷病手当金を受け取る場合は)老齢基礎年金、老齢厚生年金受け取れる日数は、最大1年6カ月傷病手当金は、同じ病気・ケガに対して支給開始日から1年6ヵ月を限度に支給されます。支給開始日とは、3日間の待期期間が終わったあと、初めて傷病手当金を受け取る日です。途中でケガ・病気が治って出勤していた期間も、この1年6カ月に含みます。そのため、1年6カ月中に出勤した期間がある場合、受け取ることができる日数は1年6カ月より短くなります。傷病手当金の金額傷病手当金は、休業1日ごとに支給されます。1日あたり支払われていた報酬の額を「標準報酬月額」をもとに算定し、その3分の2程度が傷病手当金の額になります。標準報酬月額とは、社会保険料を決める際に基準にするおおよその月給のことです。その人に支払われている4~6月の賃金をもとに年1回見直されるほか、昇給や減給があった際にも変更されます。[adsense_middle]実際に、傷病手当金を計算してみましょう次のような収入の場合、傷病手当金の額はいくらになるでしょうか。①直近12カ月間における標準報酬月額の平均を求める(30万円×9カ月+34万円×3カ月)÷12=31万円「継続する12カ月間」が対象になります。例えば入社してから5カ月しか経っていない場合は[5カ月間の標準報酬月額の合計額÷5]で計算します。このように支給開始日以前の期間が12カ月に満たない場合、30万円が上限になります(平成31年4月以降に支給開始の場合)。②30で割り、1日あたりの金額を求める31万円÷30=10,333.33…≒10,330円10円未満の端数は四捨五入します。③3分の2の金額を求める10,330円×2/3=6,886.66…≒6,887円1円未満の端数は四捨五入します。1日あたり6,887円、30日あたり206,610円の傷病手当金が受け取れます。組合によっては独自の”付加給付金”があるところも健康保険事業を行う「保険者」は、大きく2つに分けられます。全国健康保険協会(協会けんぽ)…主に中小企業健康保険組合…主に大企業健康保険の事業を行っているのが「健康保険組合」である場合、法律で決まった金額にプラスして独自の給付金を支給しているところもあります。例えば1日の給付額が本来は「3分の2(約67%)」のところ「80%、85%」などに増額されたり、給付期間が「最長1年6カ月」のところ「2年、3年」と長く受け取れたりする場合があります。詳しくは、加入している健康保険組合に確認しましょう。傷病手当金の受給手続き申請するタイミング傷病手当金は、実際に休業したあとに申請できます。休業”見込み”では申請できません。休業期間が4日~1カ月程度であれば、疾病が治り復職してから申請すればよいでしょう。休業の1日ごとに2年を経過すると、時効によって権利が消滅してしまい請求できなくなります。数カ月にわたって休む場合は、何日分をまとめて申請するかは法律で決まっていません。協会けんぽでは、給与の締め切り日ごと・1カ月単位の申請を勧めています。必要な書類申請書には、自分を含めて3者の記入欄があります。被保険者本人の記入欄事業主が証明する欄医師が意見を記入する欄申請書は、健康保険事業を行う保険者によって違います。協会けんぽであれば、ホームページから印刷して使用できます。申請先医師の記入をもらってから、会社を経由して申請するのがスムーズでしょう。協会けんぽの場合は、事業主経由ではなく、協会けんぽに直接郵送することもできます。退職した後の期間は受け取れるか?治療が長引いて仕事に就くことができず、やむなく会社を退職することもあるかもしれません。条件を満たせば、退職日のあとも引き続き傷病手当金が受け取れる場合があります。退職しても引き続き受給できるケース2つの条件をクリアする必要があります。まず、退職した時点で傷病手当金を受けることができる状態にあることです。退職日に出勤したときは、退職後の傷病手当金は受け取りできません。加えて、引き続き1年以上の被保険者期間があることです。「引き続き1年以上の被保険者期間」は、1日も空白期間のない被保険者期間です。空白がなければ、転職で勤務先が変わったり、組合から協会けんぽに保険者が変わったりしても、期間を通算することができます。任意継続被保険者であった期間は含めません。短い休み…有給休暇とどっちを使う?たとえばインフルエンザで1週間会社を休んだ場合も、傷病手当金は受け取ることができるのでしょうか?受給要件を満たせば、もちろん受け取ることができます。1週間の休みであれば、最大4日分の手当金です。(休業1週間ー待機期間3日間)ですが、休業が数日程度であれば傷病手当金を受け取らずに有給休暇を使うという選択肢もあるでしょう。休業開始から3日間は有給休暇を使い、4日目から傷病手当金を申請することもできます。傷病手当金の申請の際には、医療機関にも書類を記入してもらう必要があるので、手間はゼロではありません。状況によって、どちらの制度を使うか判断するとよいでしょう。社会保険の傷病手当金に関するまとめ傷病手当金は、申請しないと受け取れない給付金です。病気・ケガで4日以上休業する際は、勤務先にも相談して受給漏れのないようにしましょう。
2019年11月21日母子家庭では、病気やケガをしたときが不安だと思います。手術や入院をすれば、医療費の負担は大きくなってしまいます。経済的に厳しい母子家庭の医療費は免除してもらえるのでしょうか?今回は、母子家庭でかかる医療費を支援する制度や申請方法について解説しますので、これから離婚を考えている方は参考にしてください。母子家庭でかかる病院代や手術費用は免除になる?低収入で生活していくのが精一杯という母子家庭では、病気やケガの際にかかる医療費も心配です。健康保険では実際にかかる医療費の2~3割の負担ですみますが、長期間の通院や入院では負担が大きくならないかが心配でしょう。しかし、母子家庭には公的な援助の制度があります。母子家庭の数はどれくらい?まず、日本では現状どれくらいの母子家庭があるのかを見てみましょう。直近の国勢調査によると、母子世帯の数は約75万世帯です。ここでいう母子世帯には、離婚、死別、未婚のシングルマザーすべてが含まれます。また、母親と20歳未満の子供のみからなる世帯で、実家で親と同居しているケースは含まれていません。平成17年までは母子世帯の数は増加傾向でしたが、それ以降は横ばい状態になっています。一方、父子世帯の数の方は、ここ30年であまり変化がありません。母子家庭の収入は?次に、母子家庭の収入の状況を見てみましょう。厚生労働省が行った「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯の平均年間就労収入は200万円となっています。収入の分布は、次のような割合です。平均年収が200万円と言っても、一部の高収入世帯が平均収入を押し上げているだけで、母子世帯の過半数が年収200万円未満であることがグラフから読み取れます。母子家庭の現状はかなり厳しいのが現実です。母子家庭には公的な医療費の助成がある収入の少ない母子家庭でも医療費の心配をせずに病院にかかれるように「ひとり親家庭医療費助成制度」が設けられています。ひとり親家庭の医療費は、一部を自治体が助成してくれます。助成制度があるおかげで、生活に余裕がない母子家庭でも安心して病院にかかれる仕組みになっています。医療費の負担が軽くなる!ひとり親家庭医療費助成制度とは?シングルマザーはひとり親家庭医療費助成制度により、医療費の負担を軽減できます。離婚する際の不安を解消するために、助成制度について知っておきましょう。自己負担額を超えると無料で診察が受けられる医療費助成制度の内容は、自治体によって異なります。一般には、自己負担額が決まっていて、それを超える金額の医療費を市町村に負担してもらえる内容になっています。金額は市町村によって異なるひとり親家庭医療費助成制度は自治体ごとに定められている制度なので、医療費の自己負担額も市町村によって違います。【例:大阪市の場合】1医療機関ごとに、入院・通院それぞれ1日あたり500円が限度額です。同一医療機関では自己負担額を月2回まで支払えばよく、3回目の診察料は無料になります。また、病院で院外処方箋を交付されて薬局を利用した場合には、薬局での費用は無料になります。大阪市では1か月の医療費負担額の上限は2,500円となっており、超過分は払い戻しが可能です。入院費も助成してもらえるひとり親家庭医療費助成制度でお金を払ってもらえるのは、通院の際の診察料だけではありません。入院費も助成の対象になります。手術費用がかかっても、保険適用の治療なら、自己負担額を超えた分は払わなくてもかまいません。親の医療費も対象自治体によっては子供の医療費が無料だったり、子供の医療費の一部が助成される制度が設けられていたりすることがあります。離婚しなくても子供の医療費の心配はないという人も多いでしょう。ひとり親家庭医療費助成制度のメリットは、親の医療費も支援してもらえる点です。自分一人で子供を守らなければならないシングルマザーだからこそ、体調を崩したときには病院にかかって早く治すことを考えなければなりません。医療費の心配なく病院を受診できることは、大きな安心感につながるでしょう。医療費助成の申請方法と受け方ひとり親家庭医療費助成制度の適用を受けたいなら、自治体で申請手続きをする必要があります。離婚したときには忘れないように役所で申請手続きをしましょう。[adsense_middle]申請方法は各市町村で確認医療費助成制度は自治体ごとに定められているので、申請方法も市町村によって異なります。自分の住んでいる市町村の役所で、申請手続きについて確認しましょう。申請に必要な書類は?健康保険証のほか、戸籍謄本が必要になることがあります。必要書類についても、自分が住んでいるところの役所で確認しましょう。医療費助成の受け方医療費助成の方法も、各自治体によって違います。【例:大阪市の場合】ひとり親家庭医療費助成の対象者には、医療証が発行されます。大阪府内の病院を受診するときには、保険証と一緒に医療証を病院の窓口に提出すれば、自己負担額の500円までしか請求されません。一方、大阪府外の病院では医療証は使えないため、通常の健康保険適用の金額を病院で支払った後、大阪市医療助成費等償還事務センターで払い戻しを受けることになります。医療費助成が受けられない人はいる?母子家庭であれば、必ず医療費助成が受けられるわけではありません。支援が受けられないケースについても知っておきましょう。所得制限をオーバーすると受けられないひとり親家庭医療費助成にも、所得制限があります。シングルマザーでも高所得の人は医療費助成が受けられません。所得制限については、ひとり親家庭向けに支給される児童扶養手当と同じになっているところも多くなっています。つまり、高収入シングルマザーは、児童扶養手当やひとり親家庭医療費助成などの優遇制度は受けられないということです。ひとり親家庭向けの優遇制度は、生活に困っている母子家庭や父子家庭を支援するためのものです。単に母子家庭というだけで優遇されることはありません。収入には養育費も加算される医療費助成の所得制限限度額を判断するときには、児童扶養手当と同様、働いて得た収入だけでなく、元夫からもらっている養育費も加算した収入が基準になるのが一般的です。無職のシングルマザーでも、養育費をたくさんもらっていれば、優遇が受けられない可能性があります。生活保護を受けている人は対象外生活保護受給者は、ひとり親家庭医療費助成の対象にはなりません。生活保護では、医療扶助として医療費を全額支援する制度があります。生活保護を受けていれば、ひとり親家庭医療費助成を受けるまでもなく、医療費は無料ということです。医療費助成を受ける際の注意点母子家庭になって自治体から医療費助成を受けることになったとき、注意しておきたいのは次のような点です。公的医療保険の対象とならないものはカバーされない医療費助成制度で負担してもらえるのは、公的医療保険(健康保険、国民健康保険)が適用される医療費です。保険適用外の治療には助成が受けられません。たとえば、風邪やインフルエンザで病院にかかった際の治療費はカバーされますが、ホクロの除去などで美容外科にかかった際の費用や歯科インプラント、眼科のレーシック手術などの費用はカバーされません。医療費控除で税金を安くできることも母子家庭向けの優遇ではありませんが、医療費の負担を軽減する制度として、医療費控除があります。医療費控除は所得控除の1つで、年間で払った医療費の合計額が10万円(総所得金額200万円未満の人は総所得金額の5%)を超えた場合に控除が受けられるというものです。保険適用外の治療でも、医療費控除が受けられるものはあります。医療費の負担を軽減するためには、医療費控除も忘れずに活用しましょう。助成が受けられるのは子供の高校卒業まで母子家庭でかかる病院代を自治体に支援してもらえるのは、子供が18歳になった次の3月31日までです。子供が高校を卒業すると、親も子供も医療費の助成が受けられなくなってしまいます。継続的に病院に通っている場合、子供が高校を卒業した途端負担が増えることが考えられます。早めに病院に行って治療ができるものは、早めにすませておくのがおすすめです。シングルマザーも保険に入った方がいい?もしものときの不安を解消するためには、生命保険や医療保険に入っておくのが有効です。保険に入るとなると保険料の負担があるため、生活の厳しいシングルマザーは躊躇してしまうことも多いでしょう。保険に入らなくても、公的な支援が受けられることもあります。シングルマザーが保険に入る必要性について考えてみましょう。[adsense_middle]社会保険による補償も受けられるシングルマザーの場合、自分に万一のことがあったら、子供のことが心配です。リスクをカバーするために、公的な社会保険制度によっても補償が用意されています。保険に入る前に、社会保険制度からどのような補償が受けられるのかを知っておきましょう。遺族年金シングルマザーが亡くなったら、子供には遺族年金が支給されます。遺族年金には、国民年金から支給される遺族基礎年金と、厚生年金から支給される遺族厚生年金があります。遺族基礎年金は年額で約78万円です。これに、社会保険の加入状況により遺族厚生年金が加算されることになります。生命保険に入っていなくても、ある程度の補償は受けられます。遺族年金で足りない分をカバーしたいなら、無理のない範囲で生命保険に入ることを検討しましょう。傷病手当金病気やケガで会社を休まなければならなくなったとき、健康保険から給付が受けられるのが傷病手当金です。傷病手当金としては、給料の3分の2程度の金額が、最長1年6か月の間支給されます。病気等で働けなくなって給料が入ってこなくなっても、会社員なら傷病手当金があるので当面の不安は解消できます。なお、国民健康保険には傷病手当金の制度はないので、自営業やフリーランスの人は民間の所得補償保険や就業不能保険に入っておくと安心です。もしものときのリスクは収入保障保険でカバーシングルマザーが入っておくと安心できる保険として、収入保障保険があります。収入保障保険は、あらかじめ定められた保険期間中に亡くなった場合に、死亡保険金を年金形式で受け取れるものです。収入保障保険に入っておくと、死亡または高度障害になった場合に、残された子供の生活費を賄うことができます。収入保障保険は保険料も安いので、シングルマザーでも入りやすい保険です。遺族年金と組み合わせれば、もしもの場合の安心感が得られます。学資保険で教育費を確保子供が小さいうちに学資保険に加入している人は多いと思います。学資保険に入っていれば、親に万一のことがあっても予定している子供の教育費を用意できます。学資保険では、貯金と同様、毎月保険料を払って学資金を積み立てます。貯金と違うのは、保険期間中に親が亡くなったら、残りの保険料の支払いが免除されるという点です。たとえば、子供の大学進学前に200万円が支払われる学資保険に入っていれば、死亡により保険料を払いきれなくても、必ず200万円を受け取れることになります。シングルマザーの場合、自分が亡くなったせいで子供が進学できなくなってしまうことは避けたいでしょう。学資保険に入っていれば、もしものことがあっても教育費を確保できるというメリットがあります。シングルマザーが医療保険に入るならシングルマザーは医療費助成が受けられるので、治療費についてはあまり心配する必要はありません。しかし、母親の入院によって収入が途絶えてしまうと、子供の生活にも影響が出てしまいます。医療保険に入るなら、入院保障によって子供の生活費を賄うことをメインに考えるとよいでしょう。母子家庭の医療費に関するまとめ母子家庭には医療費助成制度があるので、通院や入院でかかる治療費については心配いりません。ただし、シングルマザーが働けなくなって収入が途絶えたら、子供が即困ってしまいますので、そのための準備はしておいた方がよいでしょう。社会保険でカバーできない部分については、民間の保険を活用し、リスクに備えておくのがおすすめです。
2019年11月21日こんにちは、婚活FP山本です。会社員なら源泉徴収や年末調整がありますから、基本的には確定申告は不要になります。一方で会社を辞めて無職になったら収入がありませんから、税金のことは関係ないように考える方も多いものです。でも、無職だからと確定申告を怠ると、無用な損をするかもしれませんよ。そこで今回は、無職状態における確定申告の関わりと、書き方の基本についてたっぷりとお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。そもそも確定申告とは何か?まずは、そもそもの税金の基本についてお伝えします。日本では、基本的に「全ての利益」に対して所得税が発生するルールです。そして、自分で自分の税金を計算・申告して納税することになっています。つまり、本来は誰もが確定申告しなければならない訳ですね。ただ、それではあまりに個人も税務署も大変ですから、会社員に限って年末調整という「簡易的な確定申告制度」が誕生しました。一方、人間は「サボる生き物」ですから、完全に個人任せにすると、税金の取りこぼしが発生しかねません。そこで源泉徴収という制度も誕生した訳です。つまり、ひとまず仮払いとして源泉徴収で税金を徴収し、ちゃんと年末調整や確定申告をした人に限り、取りすぎた税金を返す……そのような設計になっています。この基本的な理屈は、最初に理解しておきましょう。原則的に「やった方が得」と考えよう確定申告では、取りすぎた税金を返すだけでなく、(追加で)税金を納めなければならないケースもあります。そして、前者の場合は確定申告するかどうかは任意ですが、後者の場合は強制です。やらなければならない人がしなかったら、様々なペナルティが発生することもあります。このため、どちらのケースであっても原則的に確定申告は「やった方が得」です。特に無職なら年末調整してくれる会社がない訳ですから、自分で確定申告するのが基本と心得ましょう。無職でも収入ゼロとは限らない次に、「無職も様々ある」という点についてお伝えします。現在は無職であっても、その状況は個々人で様々です。例えば、以下のケースは全てが同じ扱いでしょうか?年の途中で退職したが再就職先が見つからなかった引きこもりや家事手伝いで、長年働いていない無職だが資産運用や家賃収入による利益がある当然、全て違いますね。ちなみに個人の税金というのは、1月1日~12月31日の期間で考えます。この間での収入の有無や源泉徴収の有無で考えれば、いかがでしょうか。つまり、無職であっても収入ゼロ・利益ゼロとは限らない訳です。あなたの場合はいかがですか?年末調整とは違って確定申告は前年分を今年申告しますが、去年一年間はどうだったかを思い返してみましょう。退職後で手元に源泉徴収票があるなら必ずしよう税金に不安を覚える無職の方というのは、やはり「年の途中で退職した方」が一番多いです。一方で勤め中に源泉徴収されてきた税金は、「年末まで勤める前提」で計算された金額になります。途中で退職した分だけ実際の年収は低くなっているはずですから、その分だけ実際の税金も安くなることが多いです。つまり、年の途中で退職した無職の方が確定申告すれば、高い確率で税金を返してもらえます。会社を退職後、まだ手元に源泉徴収票があるなら、ぜひとも確定申告して税金を取り返しましょう。無職でも確定申告をするメリットとは?今度は、無職でも確定申告をするメリットについてお伝えします。先ほどお伝えした通り、一番のメリットは「税金を返してもらえる可能性がある」というものです。特に年の途中で退職したような場合は、高い確率で返してもらえます。ぜひとも確定申告しましょう。また確定申告というのは、純粋な所得税の計算・納税だけでなく、住民税や国民健康保険料などの金額の根拠にもなります。確定申告をしなかったら、役所が当人の収入を把握できませんから、その分だけ割高なお金を取られてしまう可能性も出てくる訳です。一方で確定申告をするデメリットといえば、「手間がかかる」程度といえます。面倒なことを避けられる点をメリットと考える方もいますが……なるべく確定申告しましょう。住民税や国民健康保険料で不利益が発生?所得税と住民税(国民健康保険料も)は、いずれも「計算根拠となる情報」が同じです。このため確定申告をすると、その情報が役所に届くようになっています。逆に確定申告をしなかったら役所にも情報が届きませんから、これが理由で不利益になる可能性がある訳です。なお、確定申告とは別に「住民税の申告」というのもあります。確定申告していれば不要ですが、何らかの理由で確定申告できないのなら、こちらだけでも申告しましょう。確定申告が必要か分からない場合は?今度は、無職者の確定申告の必要性についてお伝えします。あくまで、確定申告は「原則的にしたほうが得」なのは変わりません。しかし確定申告という税金のことは、多くの方が苦手意識を持っています。ちょっとくらい損しても、できればしたくないという方もいるでしょう。やった方が得な状態なら、やるかどうかは個人の自由です。勝手に損する分には、国も関与しません。しかし、ただでさえ無職状態なら、普通はお金に困っていることが多いです。それに確定申告は毎年のことですから、小さな損が大きく膨らむ可能性も秘めています。そればかりか、「確定申告しなければならない状態」なら、しないことで相応のペナルティを負うかもしれません。最低限、税務署に相談・確認してから確定申告の必要性を判断しましょう。勝手な判断は無用な損を生み出すかも財政悪化の影響などを受け、最近では税金や保険料への監視・徴収が年々強化されています。「こんなちょっとで?」と思えるような少額でも、差し押さえの可能性も高まっている訳です。それに、今は老後資金として2000万円が必要とも言われていますよね。今は少しずつでも損を減らし、得を積み上げなければならない時代です。勝手な判断は、無用な損ばかりか、最終的に破滅へと繋がっているかもしれません。ただでさえ無職なら、これ以上の損は控えるよう努めましょう。[adsense_middle]無職の方の申告方法とは?ここからは、実際の確定申告の方法についてお伝えします。そもそもですが、確定申告は「自分で自分の税金額を計算」する訳です。その上で、税金を納税する、または還付してもらいます。そして税金というのは、以下の流れが計算式です。収入-経費=利益×税率=税額つまり、収入から経費を差し引いた利益に対して、一定の税率をかけて税額を計算し、過不足を精算します。そして利益以降は実質的に自動計算ですから、収入と経費の申告が重要です。元会社員の場合の具体的な申告内容と計算式は、基本的に以下のようになります。源泉徴収票などで、一年間の「給与収入」を確認する1から、「給与所得控除」という経費を差し引く2から、「14種類の所得控除」という経費を、差し引けるだけ差し引く3が当人の「税金計算上の利益」になるので、税率をかけて税額を算出する計算結果がゼロ(マイナス)なら税金が不要なので、すでに源泉徴収されているなら税金を返してもらえます。ぜひ一度、自分の場合はどうなるのか計算してみましょう。所得ゼロ以外、基本的なやり方は同じ無職というのも様々ですが、仮に「一年間、本当に収入ゼロ」であっても、所得ゼロという点以外、基本的な計算のやり方は変わりません。ちなみにそのような場合でも、先ほどお伝えした住民税などの関係もありますから、一度は確定申告しておいたほうが無難です。なお、無職の方の中には「失業給付」を受けている方もいるでしょうが、失業給付は課税対象になる収入ではないので、確定申告する必要はありません。ぜひ、早めに再就職を果たしましょう。無職の方の確定申告書類の書き方今度は、無職の方の確定申告書類の書き方についてお伝えします。まず、無職の方も様々ですが、ひとまず元会社員なら書類は「確定申告書A」を使うのが普通です。ちなみに書類は、国税庁サイトの「確定申告書等作成コーナー」を利用するのが簡単でしょうね。そして、画面の指示に沿って源泉徴収票に記載の通り、まずは給与収入を入力します。次に「〇〇控除」の欄にて、(申告できる分だけ)税金計算上の経費を申告する流れです。なお、代表的な控除には、以下のものがあります。基礎控除:38万円、誰でも差し引ける配偶者(特別)控除:1~38万円、既婚者かつ配偶者の年収次第扶養控除:38~63万円、子供などの年齢次第社会保険料控除:支払った金額全部、退職後の国民健康保険料など生命保険料控除:一つ4万円で最大12万円、支払い保険料による上記のコーナーを使えば、利益以降は自動計算です。ここまでを、しっかり入力しましょう。不要でもしっかり全てを書き込もう税金計算は、収入を上回る経費があったとしても、マイナスにはなりません。ゼロで計算は終わり、納税の必要があるかどうかを判断します。このため収入が少ないほどに、それ以上の経費申告は不要なのですが、それでも初めて確定申告するなら全てを埋めましょう。なぜなら、次に確定申告する時への練習になりますからね。特に経費は、どんなものがいくらくらいになるのかを知っておくことは重要です。ぜひ早めに、確定申告に慣れましょう。無職の場合でも添付する必要書類は?今度は、確定申告で添付する必要書類についてお伝えします。確定申告では、収入も経費も架空のものを申告させないために、基本的に一定の証明書が必要です。無職の方でも必要になりがちな代表的な書類としては、以下が挙げられます。源泉徴収票:給与収入保険料の領収書:社会保険料控除生命保険料控除証明書:生命保険料控除地震保険料控除証明書:地震保険料控除医療費の領収書など:医療費控除ちなみに家族については、原則的に証明書の類は不要です。代わりに確定申告する時には、本人のマイナンバーカードが必要となります。証明書の類が無いものについては認めてもらえない可能性がありますから、無くしてしまった場合は速やかに再発行をお願いしましょう。もっとも基本的なのは生命保険料控除証明書?初めて確定申告する方の中には、「自分はどの控除が申告できるのか分からない」という方もおられます。小難しい漢字が並んでいますからね……。一概には言えませんが、一番分かりやすいのは「生命保険料控除(証明書)」かもしれません。加入していれば、保険会社から証明書も自動的に届きますからね。届いたなら控除として使えると判断できます。先ほどお伝えした通り、初めてなら練習にはなりますが、収入を上回る経費は基本的に無意味です。そういう意味で、ある程度は柔軟に考えて確定申告に挑みましょう。[adsense_middle]どうしても書き方・やり方が分からない場合は?最後に、どうしても確定申告の書き方・やり方が分からない場合の対処法をお伝えします。初めて確定申告するのであれば、無職かどうかに関わらず、一つや二つ分からない部分も出てくるのが普通です。そんな場合は、以下のどちらかの方法で対処しましょう。近所の税理士に相談、または作成を依頼する(基本的に有料)税務署で相談しながら作成するなお、確定申告の期間は毎年「2月16日~3月15日」と定められています。この間の税理士は大忙しなのが普通であり、逆に税務署は確定申告のための専用コーナーを設けていることも多いです。税務署なら無料でもありますから、こちらを利用することをおすすめします。無視するとペナルティを負うこともある何度か触れましたが、確定申告しなければならない人が無視すると、以下のようなペナルティを負う可能性が出てきます。延滞税:確定申告が遅れた場合無申告加算税:確定申告しなかった場合重加算税:悪質な場合無職でお金が厳しい場合、つい納税の可能性を考えて無視する人もいますが、かえって危険です。ちゃんと話せば税務署は相談に乗ってくれますし、むしろお金が返ってくる可能性も高いのですから、確定申告だけはしっかりしましょう。無職でも確定申告で得する可能性アリ!無職の状態にもよりますが、元会社員なら確定申告で得をする可能性が高いです。住民税などが安くなる可能性も十分あります。デメリットは「手間がかかる」程度です。毎年、確定申告する可能性もある訳ですから、早めに慣れていきましょう。
2019年11月20日今回のテーマは「失業保険の給付制限」についてです。失業保険とは一般的な名称であり、正式には「雇用保険のうちの失業手当の給付について」ということになります。この失業手当については、一度でも転職や退職を経験された方ならご存知ではないでしょうか。失業したらすぐに失業手当がもらえるのか?失業保険とはどのようなシステムになっているのか、等を項目別に詳しく説明していきます。また、この記事の内容はあくまでも一般的な解説です。ご自身の給付内容についての詳細はハローワークにてお尋ねください。管轄はハローワーク退職後はやらなければならないことが多く、会社勤めの社会保険から国民健康保険への切り替えや、厚生年金から国民年金への変更手続きも必要な為、一体どこに何をしに行って良いのか混乱する場合もあるかと思います。退職後の手続きについては、まず一番にハローワークへ行きましょう。離職票など、退職時に前の勤め先から渡される必要な書類を持参してハローワークを訪ね、「求職票」に所定の事項を記入し提出しなければいけません。曜日や時間帯によっては、かなり待たされてしまうこともありますので、時間には余裕を持って行動しましょう。退職後の手続きをする場所以前は公共職業安定所と呼ばれていましたが、現在ハローワークと呼ばれるようになりました。これに付随して、土日祝日も開所していて、遅い時間まで空いており利用しやすい出張所のような関係施設も増えてきました。そこでは主に、求人情報の閲覧や職業相談を行っています。たとえば若者支援コーナーやマザーハローワークコーナー等のような施設ですが、このような関係施設では退職後に行わなければならない求職票の記入、提出などを行うことができない場合がほとんどです。退職後まず最初の手続きについては、お住まいの地域の要となるハローワークで行う必要がありますので、退職時に受け取る書類などで事前に調べてから手続きに向かうようにしましょう。雇用保険とは雇用保険=失業保険と考えている方がほとんどだと思います。しかし、雇用保険はこれ以外にも大切な役割を担っています。メインは「失業手当」ですが、他にも、求職活動の促進・働く人の能力開発などの教育支援・働く人の働く環境を改善し、あらゆる年齢や性別の方でも平等に払炊くことが出来る機会を与えられるよう推進すること等を目的としています。ハローワークの掲示板には、公共職業訓練の資格取得講座や各種セミナー募集の張り紙を見かけることもありますが、このようなことも雇用保険の一環です。職業訓練には2種類あり、ひとつは失業手当を受け取ることが出来る人が対象の「公共職業訓練」もうひとつは、失業手当の給付対象ではない人向けの「求職者支援訓練」です。失業保険の対象で、失業給付の受給権を持っている方は「公共職業訓練」でスキルを身に付け、次のお仕事へのステップにすることができます。簿記などの資格取得を目指すコースや、パソコンスキルを身に付けるコースなど様々な講義があります。是非ハローワークにてお尋ねください。育児休業給付金雇用保険は、働く意思があるのに事情があって働けない方をサポートする目的があります。育児休業給付金という制度も、実は雇用保険の制度として利用できます。失業手当について失業手当とは、正式名称「基本手当」のことを指します。基本手当とは退職する前の2年間の中で、連続して12カ月以上雇用保険に加入している人が退職した場合に受け取る権利が発生します。この際の失業手当の額は、退職する6カ月前の「平均賃金日額」の5~8割部分を日額として計算し、退職した理由や雇用保険に加入していた期間などから「いくら(基本手当)」を「いつまで(受給期間)」もらえるか決まります。[adsense_middle]期間や受給額は人それぞれ基本手当を受給できる日数や受給金額などは、離職理由や年齢、これまでに何年間雇用保険に加入していたか等によって差があり、決して一律ではありません。基本手当を受けられる期間は離職日翌日から1年間という条件は統一されています。実際に受給できるまでの期間実際に失業手当(基本手当)をもらえるようになるまでには、どれくらい時間がかかるのでしょうか。退職した条件によって給付額や給付期間が変わります。以下「会社都合退職」と「自己都合退職」にわけて解説します。会社都合の場合リストラや勤務先の倒産など、本人の都合ではなく勤務先の都合で退職せざるを得ない場合を「会社都合」と呼びます。この場合は、最短で7日間の待期期間の後、受給開始となります。会社都合の場合、雇用保険に加入していた本人はまだ働く意思が有ったにも関わらず退職せざるを得ない状況であり、突然無職になるわけですから、当然給付制限なしですぐに失業手当をもらうことができます。自己都合の場合自己都合退職(離職)の場合、7日間の待期期間の後、さらに3ヶ月の待期期間(給付制限)があります。したがって、早くても3ヶ月と7日間経った後からの受給開始となります。いずれの場合も給付制限後すぐに失業手当をもらえるわけではありません。手当の所定の振込日が決まっていますので、最短の締め切り日後の振込日に受給できることになります。2週間~1か月後と思っておく方が確実です。給付制限の意味とは?雇用保険に加入していて離職した場合、すぐに失業手当などを受給できるわけではありません。なおかつ、離職後に働く意思がない場合などは「求職者」に認定されず、失業手当の受給条件に該当しない場合もあります。ここから給付制限の概要と、なぜ給付制限が設けられているのかについて解説します。給付制限は原則3ヶ月自己都合退職の場合、原則として3ヶ月の給付制限があります。そもそも自己都合退職で、失業保険をもらっているという状況は「働く意思があり、少なくとも認定日には必ずハローワークに行き就職活動をしているにも関わらず、なかなか仕事が見つからない」状態のことです。この給付制限の3ヶ月の間には、十分な就職活動をしたとみなされる必要があります。このことから、求職活動をするのに十分な期間ということで、自己都合退職の場合のみ給付制限が3ヶ月とされます。【補足】特定理由離職者自己都合の場合は必ず3ヶ月の給付制限があることは、すでに解説しました。一部、給付制限が免除になるケースがあり、これを「特定理由離職者」と呼びます。主に、急を要しやむを得ない離職理由である場合です。これらのいずれかに該当すれば特定理由離職者となり、給付制限なしで失業給付を受給することができる場合があります。ドクターストップの場合(医師から勤務継続が困難であると診断された場合)家庭環境の急変により勤務困難になった場合(家族の死亡など)結婚による転居や、勤め先が変わり長距離通勤の必要がある場合(往復4時間が目安)家族の長期看病(または看護)により勤務不可能(おおむね30日以上が目安)失業保険の給付制限に関するまとめいかがでしたか。一度も退職、転職をしたことがない方には未知の世界だったことと思います。失業保険は雇用保険のことですが、雇用保険の核は失業手当ですが、失業した時だけでなく、育児中の給付金やスキルアップのための教育訓練にも利用できます。給付制限は、離職理由によって差があることもお解りいただけたと思います。特定理由離職者の概念も覚えておかれると心強いでしょう。ご自身の意思での退職の場合はもちろん、意図しない離職に見舞われた際にもお役に立てるかと思います。是非ご参考になさってください。
2019年11月20日「年金を受け取れる年齢が迫ってきました。しかし、周囲からは“受給を繰り下げたほうが後々楽になる”と言われたり、“死んだら終わりだから、繰り上げて60歳からもらったら”と言われたり……。いったい何を信じていいのかわかりません」(59歳専業主婦)年金の受給開始は原則65歳からだが、最大5年、受給を繰り上げたり(早めたり)、繰り下げたり(遅らせたり)することができる。“年金博士”として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんは、こう解説する。「年金は65歳より1カ月受給を繰り上げるごとに、0.5%ずつ減額されます。5年早めて60歳からもらおうとすれば、30%も減額された年金が生涯続きます。反対に、1カ月受給を繰り下げるごとに、年金額は0.7%ずつ増額します(繰り下げ期間は最低1年以上)。最大70歳まで繰り下げれば、42%も増える計算に」(北村さん・以下同)次の「繰り上げ、繰り下げ受給をした場合」の「受給率」と「損益分岐点」を見てほしい。損益分岐点の年齢で、年金を繰り上げ/繰り下げ受給をした場合の受給総額と、65歳から年金を受給した場合の受給総額が並ぶことになる。以降、長生きすればするほど、65歳に受給開始した場合に比べて、繰り上げ受給した場合には“損”に、繰り下げ受給した場合は“得”になっていく。【繰り上げ受給】60歳=受給率:70%/損益分岐点:76歳8カ月61歳=受給率:76%/損益分岐点:77歳8カ月62歳=受給率:82%/損益分岐点:78歳8カ月63歳=受給率:88%/損益分岐点:79歳8カ月64歳=受給率:94%/損益分岐点:80歳8カ月65歳=受給率:100%【繰り下げ受給】66歳=受給率:108%/損益分岐点:77歳10カ月67歳=受給率:117%/損益分岐点:78歳10カ月68歳=受給率:125%/損益分岐点:79歳10カ月69歳=受給率:134%/損益分岐点:80歳10カ月70歳=受給率:142%/損益分岐点:81歳10カ月「長生きリスクを考えて、よっぽど生活に困窮しているなどではない限り、繰り上げはしないほうがいい」と語る北村さん。では、年金額を増やすために、必ず繰り下げをしたほうがいいのだろうか。「無理に年金の受給を繰り下げて、生活に困窮してしまっても、意味はありません。また、妻が年下の専業主婦などの場合、夫が20年以上厚生年金に加入しているなどの条件を満たせば、年間およそ39万円の加給年金 が、妻が65歳になるまでの間、夫の年金に加算されます。しかし、厚生年金を受給していることが条件なので、受給を繰り下げると、その間の加給年金はもらえません。人によって、寿命や加入している年金の種類、夫婦の年齢差も異なりますし、繰り下げることが、必ず得とは言い切れないのです」さらに、注意してほしいのが、5年年金を繰り下げたからといって、手取り額が42%増額するとは限らないという点だ。「平均的な収入で、40年勤め上げたサラリーマンの年金額は、厚生年金と基礎年金を合わせて、約188万円とされています。しかし、国民健康保険や介護保険などの社会保険料があるため手取りは約166万円になります。これを70歳まで繰り下げると、年金額は約267万円まで増えるが、社会保険料に加え、所得税と住民税もかかるようになり、手取り額は約225万円に。手取り額でみれば、35%の増額にしかなりません」
2019年11月15日「年金は繰り下げが正解!」「いや65歳からもらうべきだ」。さまざまな意見に、多くの人も迷っていることだろう。でも、正解は“夫婦によって違う”。あなたにとっての正解はーー。「年金を受け取れる年齢が迫ってきました。しかし、周囲からは“受給を繰り下げたほうが後々楽になる”と言われたり、“死んだら終わりだから、繰り上げて60歳からもらったら”と言われたり……。いったい何を信じていいのかわかりません」(59歳専業主婦)年金の受給開始は原則65歳からだが、最大5年、受給を繰り上げたり(早めたり)、繰り下げたり(遅らせたり)することができる。“年金博士”として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんは、こう解説する。「年金は65歳より1カ月受給を繰り上げるごとに、0.5%ずつ減額されます。5年早めて60歳からもらおうとすれば、30%も減額された年金が生涯続きます。反対に、1カ月受給を繰り下げるごとに、年金額は0.7%ずつ増額します(繰り下げ期間は最低1年以上)。最大70歳まで繰り下げれば、42%も増える計算に」(北村さん・以下同)次の「繰り上げ、繰り下げ受給をした場合」の「受給率」と「損益分岐点」を見てほしい。損益分岐点の年齢で、年金を繰り上げ/繰り下げ受給をした場合の受給総額と、65歳から年金を受給した場合の受給総額が並ぶことになる。以降、長生きすればするほど、65歳に受給開始した場合に比べて、繰り上げ受給した場合には“損”に、繰り下げ受給した場合は“得”になっていく。【繰り上げ受給】60歳=受給率:70%/損益分岐点:76歳8カ月61歳=受給率:76%/損益分岐点:77歳8カ月62歳=受給率:82%/損益分岐点:78歳8カ月63歳=受給率:88%/損益分岐点:79歳8カ月64歳=受給率:94%/損益分岐点:80歳8カ月65歳=受給率:100%【繰り下げ受給】66歳=受給率:108%/損益分岐点:77歳10カ月67歳=受給率:117%/損益分岐点:78歳10カ月68歳=受給率:125%/損益分岐点:79歳10カ月69歳=受給率:134%/損益分岐点:80歳10カ月70歳=受給率:142%/損益分岐点:81歳10カ月「長生きリスクを考えて、よっぽど生活に困窮しているなどではない限り、繰り上げはしないほうがいい」と語る北村さん。では、年金額を増やすために、必ず繰り下げをしたほうがいいのだろうか。「無理に年金の受給を繰り下げて、生活に困窮してしまっても、意味はありません。また、妻が年下の専業主婦などの場合、夫が20年以上厚生年金に加入しているなどの条件を満たせば、年間およそ39万円の加給年金 が、妻が65歳になるまでの間、夫の年金に加算されます。しかし、厚生年金を受給していることが条件なので、受給を繰り下げると、その間の加給年金はもらえません。人によって、寿命や加入している年金の種類、夫婦の年齢差も異なりますし、繰り下げることが、必ず得とは言い切れないのです」それでは、さまざまな夫婦のケースから、“賢いもらい方”を考えてみよう。【1】会社員の夫と同年齢妻サラリーマン家庭の場合、夫が完全リタイアする65歳から受給を開始するのが基本だ。「いまは企業に再雇用が義務付けられていますし、60歳からの5年間は働くことは大前提です。収入がある間は繰り上げる必要はないですよね」65歳以降も、家計に余裕がありそうなら、年金の繰り下げを検討してもいいかもしれない。「じつは、どの年金を繰り下げるかは選ぶことができる。夫の厚生年金のみを繰り下げたり、妻の基礎年金のみを繰り下げたり。さまざまな選択ができるのです」繰り下げる場合、女性の平均寿命のほうが長いので、妻の年金から検討するのが合理的だ。要件を満たしていれば、夫が亡くなると、妻は遺族厚生年金がもらえるようになるが。「妻が基礎年金のみ受給している場合、夫の厚生年金の約4分の3が、妻の年金に上乗せされます。しかし、仮に繰り下げによって、生前に夫が厚生年金額を増額していたとしても、遺族厚生年金の算出の基準となるのは、65歳時点でもらったときの受給額です」【2】会社員の夫と年下妻妻が年下の専業主婦などの場合は、加給年金をもらえるので、厚生年金は繰り下げないほうがいい。ただし、夫の基礎年金を繰り下げても、加給年金には影響はない。「夫の厚生年金は65歳から受給して、基礎年金のみを70歳まで繰り下げると、加給年金をもらったうえで、70歳からの年金額を約33万円も増やすことができます。仮に、夫が5歳年上の夫婦の場合、夫が81歳、妻が76歳の時点で、夫婦の受給総額は4,326万8,040円となり、繰り下げなかった場合の受給総額を超えることになります」夫が85歳、妻が80歳の時点では、134万円も“得”をする。ちなみに、加給年金をもらわずに夫の厚生年金と基礎年金の両方を70歳まで繰り下げた場合、受給総額が夫の基礎年金のみを繰り下げた場合を超えるのは、夫が86歳、妻が81歳の時点だ。だが、「平成30年簡易生命表」(厚生労働省)によると、65歳男性は平均84.7歳までしか生きられない。夫が65〜70歳の間は無年金になるうえ、夫は平均よりも長生きしなければならない。【3】会社員と姉さん女房妻が年上の場合は、妻が65歳を迎えた時点で、夫は現役世代か、再雇用で働いていることになる。「夫が働いている間は、妻は年金をもらわなくても生活が成り立つ可能性が高い。であれば、受給を繰り下げて、老後に備えるという選択をすることもできます」仮に妻が5年受給を繰り下げた場合、81歳時点で“得”することになる。【4】自営業の夫婦満額の基礎年金は、65歳受給開始で月額約6万5,000円。夫婦でも13万円ほどにすぎない。「定年のない自営業者の場合は、できる限り働き、可能な限り繰り下げることが大事です」70歳まで繰り下げれば、基礎年金額は月額9万2,300円に。夫婦ともに繰り下げれば、18万4,600円。だいぶ心強い金額になるのだ。必ずやってくる老後を豊かなものにするために、あなたも年金の繰り下げを検討してみてはどう?
2019年11月15日こんにちは、婚活FP山本です。会社員なら会社が年末調整してくれますが、独立して個人事業主となったからには自分で確定申告をする必要があります。とはいえ、必要性は分かっていても最低限の知識がないと、何をどうしていいか分からない……と悩む方も多いのではないでしょうか。ぜひこの機に、そんな最低限の知識を身につけましょう。今回は、個人事業主向けに確定申告の流れや基本をお伝えします。あなたの人生に、お役立て下さいませ。確定申告の流れは売上や経費の確認からまずは確定申告の流れに沿って、基本をお伝えします。確定申告で初心者が最初にやることは、イキナリ書類に何か記入するのではなく、まずは一年間の売上や経費の数字を確認しましょう。ちなみに個人事業主は、毎年1月1日から12月31日までの収支を申告します。そもそも個人事業主なら、事業における売上や経費について「一定の帳簿」を付けるのが基本です。特に経費については、レシートや領収書などの証拠を元に申告するものといえます。しかし……中には、そういったことをせず、または定期的に記帳・管理していない方も意外と多いのが現実です。初心者なら尚更かもしれません。自分の数字や事情を自分で把握していないなら、確定申告できません。売上はともかく、特に経費については内容別に一つずつ数字を自分で調べて、自分の状況を把握するよう努めましょう。売上金額がわからない……等は、とっても危険売上や経費について、現金主義で今となっては金額がわからない……等は、かなり危険です。多少の相違なら大目に見てもらえる可能性もありますが、金額によってはペナルティを負わされるかもしれません。そんな時は近くの税理士、または税務署に早めに相談しましょう。個人事業主にとって、最低限の簿記知識・作業は必須といえるものです。ちゃんとやっていた方はともかく、そうでない方は今後のためにも考えを改めて確定申告に取り組みましょう。次の手順は確定申告書類への記入!自分で自分の数字を把握したら、次の手順は確定申告書類への記入です。ちなみに記入は、最近では国税庁のHPにある「確定申告書等作成コーナー」を利用するのが一般的といえます。なお、ざっくりと確定申告書類を説明すると、以下の通りです。所得税青色申告決算書(青色申告の場合)、または収支内訳書(白色申告の場合)確定申告書Bそれぞれ複数枚ありますが、簡単にいえば所得税青色申告決算書(または収支内訳書)で「事業のこと」を申告し、確定申告書Bで「個人のこと」を申告します。また前者には「勘定科目などの簿記知識」、後者には「各控除などの税金知識」がそれぞれ最低限必要かもしれません。どちらか一方ではなく両方を提出してこそ確定申告ですから、なるべく漏れのないようがんばって書いてみましょう。青色申告承認申請書は出した?税務署に「青色申告承認申請書」を提出することで、あなたも青色申告することができます。提出していなければ白色申告です。簡単にいえば、青色申告のほうが少し細かい申告が必要になる代わりに一定の特典を受けられます。具体的には、以下の通りです。青色申告特別控除:65万円控除赤字の繰り越し:3年間、利益と相殺できる青色専従者給与:家族への給料も経費にできる(一定の届出書が必要)状況にもよりますが、基本的には青色申告のほうが得になります。上記の書類を提出していないのなら、ぜひ提出を検討しましょう。確定申告に必要なものを揃えよう!今度は、確定申告に必要なものをお伝えします。確定申告は先ほどの2種類の書類を提出するわけですが、その時に必要に応じて一定の書類添付が必要です。具体的には、以下のものを(あるのなら)添付して提出します。無ければ不要です。医療費の明細書や領収書(医療費控除)国民年金保険料の領収書(社会保険料控除)寄付金の受領書など(寄付金控除)生命保険料控除証明書(生命保険料控除)地震保険料控除証明書(地震保険料控除)この通り、基本的には「個人のこと」に関する書類です。他に、住宅ローン控除に関する書類や源泉徴収票を提出する場合もあります。なお、事業については源泉徴収された税金がある場合、取引先からもらえる「支払調書」の添付が必要です。ちなみに「事業のこと」に関する帳簿や領収書などは提出する必要はありません。ただし、5~7年の保存義務があります(税務調査のため)から、捨てずに取っておきましょう。書き方、作り方が分からないなら税務署へ相談を!初めて確定申告をする、または簿記や税金に関する知識が乏しい場合、どうしても書き方や作り方が分からないという場合もあるでしょう。そんな時は適当に書き上げるとかえって危険ですから、税務署へ行って、署員の方に相談しながら書類を作り上げることをおすすめします。近くの税理士に相談・依頼という手もありますが、その場合は無償ではありませんからね。自分で確定申告書類を書き上げるのに限界を感じたら、早めに税務署へ相談しましょう。[adsense_middle]確定申告書類の提出方法は3種類?添付書類とともに確定申告の準備が整ったら、あとは実際に提出するだけです。確定申告書類の提出方法には、以下の3種類の方法があります。税務署へ郵送する税務署へ持参するe-Tax(電子申告)を利用する(事前の一定の手続きや機器の準備が必要)ネット全盛期な現代ですが、まだ確定申告についてはネット完結が一般的とはいえない状況です。なお、2019年1月からスマホでの確定申告書の作成・提出も可能となりましたが、事前に一定の手続きが必要なのはe-Taxと変わりません。ちなみに提出後の確定申告書(税務署の印が押してある控え)は、銀行などで融資を受ける際に必要となります。他の書類とともに、大切に保管しておきましょう。初めてなら営業途中に行ってみる?ほとんどの方は、税務署へ行くことなど滅多にありません。一度は行っておくのもアリではないでしょうか。確定申告が初めてなのであれば、営業途中にでも立ち寄って書類を持参のうえで提出するのもアリといえます。将来的にお世話になるかもしれませんからね。ちなみに確定申告書類を持参すると、その場で署員が内容を簡単に確認してくれますから、ミスによる二度手間も回避できます。なお、基本的には住所を管轄する税務署に提出しますが、特例(一定の書類が必要)によって、事業所在地を管轄する税務署へ提出することも可能です。ぜひ覚えておきましょう。確定申告の期間には注意が必要!ここからは、個人事業主の確定申告について補足していきます。まず確定申告の期間は、毎年「2月16日~3月15日」です。この間に確定申告をして、納税も済ませます。遅れるほどに延滞税が発生する可能性がありますから、できる限り、この期間中に済ませましょう。一方、確定申告では納税ではなく税金を返してもらうケースもあります。これを還付申告といいますが、この場合は上記の期間とは関係なく、翌年1月1日から5年間することが可能です。もし過去分で還付申告できそうなものがあるなら、試してみるのもアリかもしれません。やり方の相談などは期間前がおすすめ?2月16日~3月15日の確定申告期間中やその前後は、税理士や税務署などの税金関係先は皆が大忙しです。ちょっと相談したいと思っても、手一杯で満足な相談ができない可能性が高いといえます。できれば、確定申告のやり方の相談などは期間前にすると良いでしょう。幸い、確定申告は1月1日~12月31日の分を申告するわけですから、1ヶ月半ほど猶予があります。年が明けたら、すぐに確定申告に取り掛かるような計画で挑みましょう。個人事業主の確定申告はメリット一杯!先ほども触れましたが、個人事業主は確定申告、特に青色申告をすることで、様々な恩恵をメリットとして得られます。少なくとも、何らかの源泉徴収された所得税があるのであれば、その所得税を返してもらえる可能性があるわけです。やらないという手はないでしょう。それに一般的な開業したての個人事業主は、十分な売上が立たずに経費ばかりかかっていることがほとんどです。そんな経費による赤字分について、確定申告をすれば将来的に売り上げが立った時には利益と相殺できることになります。将来を見越せば、確定申告したほうが圧倒的に得でしょうね。さらに65万円を経費に上乗せできますし、家族へ支払う給料さえ経費にできます。経費を増やせるほどに計算上の利益を減らせ、総じて支払う税金も減らせるわけですから、ぜひ確定申告しましょう。ペナルティを避けるためにも確定申告しよう確定申告しなければならない人が怠ると、一定のペナルティが発生する可能性があります。具体的には以下のようなペナルティです。延滞税:申告が遅れた場合、7.3%~14.6%無申告加算税:申告しなかった場合、15%~20%重加算税:悪質な場合、35%~40%ハッキリいって、どれを取っても極めて重いペナルティといえます。一番安いものでも、上回る金融サービスを探すのが大変といえるレベルです。ちなみに上記を上回ると、「脱税」として刑事罰になります。得をするためにも、ペナルティを避けるためにも、確定申告は「するのが基本」と心得ましょう。[adsense_middle]自分でやるのが大変なら税理士へ依頼を!ここまでお伝えしてきた通り、確定申告は「するのが基本」です。したほうが得なことも多いですし、余計なペナルティも負うことがありませんからね。しかし……全ての個人事業主が簿記や税金の知識を有してから開業しているわけではありません。作業や勉強に相応の時間も必要です。どうしても自分でやるのが大変なら、税理士に依頼するという手もありますから、これを検討したほうが無難かもしれません。代わりに相応の報酬を支払う必要がありますが、それだけで確定申告に関係する大部分の作業や勉強をしなくてもよくなります。また相応に売上が伸びてきた頃には税務調査が入る可能性がありますが、税理士が付いているか否かで大きく結果が変わることもあるのが実情です。税理士には経営上の相談もできますから、そういう意味でもおすすめといえます。会計ソフト等で自分でもがんばろう!確定申告は税理士に丸投げすることもできますが、その分だけ料金も割高になるのが基本です。それに丸投げでは、いつまでたってもあなた自身の簿記や税金の知識は増えません。事業に集中したい気持ちもあるかもですが、少しは自分でも覚えたほうが賢明です。幸いなことに、最近では優秀な会計ソフトも沢山登場しています。依頼した税理士が使えるソフトを教えてくれることもあるほどです。それらを使って、自分でも会計に挑むことも検討しましょう。税金は売上が伸びるほどに気になるもの最後に、簡単な税金の基本についてお伝えします。そもそも税金というのは、以下のように計算するのが基本です。これは会社員の給料であっても同じ理屈になります。売上-経費=利益×税率=税金簡単にいえば、利益が多くなるほどに税金額も多くなるわけです。だからこそ、売上が少ない開業初期は気にしない人もいる一方、相応に売上が伸びてきた頃には誰もが気にします。売上が伸びるほどに税務署から目を付けられやすくなりますから、尚更です。ただ、売上が伸びるほどに会計も税金も複雑化することも多いので、自己管理が難しくなってきます。まだ簡単な初期段階のうちから、売上とともに少しずつ慣れていきましょう。節税方法を知り、有利に確定申告しよう会社員とは違って個人事業主なら、いくらでも自分の決定で経費を増やすことができ、総じて節税もできます。しかし、ムダに経費を積み上げるのは「自分の個人家計」の観点では損です。だからこそ、個人事業主であっても相応の節税方法を知ったほうが有利になります。一般的な開業したての個人事業主なら、事業と家計のお金が一緒ということも多いので尚更ですね。ぜひこれから、少しずつでも勉強を重ねて、有利に確定申告していくことをおすすめします。個人事業主なら確定申告は必須!個人事業主なら、営業や事務作業だけでなく、会計や確定申告も自分でやるのが基本です。どうしても触れたくないなら、税理士への依頼が必須といえます。やった方が得、やらなかったらペナルティを食らうと考えて、これからしっかり対応していきましょう。
2019年11月14日今回は会社員向けの記事になります。テーマは住民税です。ご存知の通り日本には様々な税金があります。その中の一つである住民税について知っておくと便利な知識を今回は解説していきますので、特に新社会人になった方、転職をお考えの方は是非ご覧下さい。住民税とはどんな課税?始めに住民税についてお話しておきます。訳も分からず税金を納めるより、分かって納税しておきたいですよね。そもそもですが「税金」の役割は周知のとおり、私たちの生活に纏わる様々なサービスを負担してくれる財源を指します。例えばごみの回収や公共施設の維持管理等です。他には道路の整備、警察、消防、救急等の経費など多岐に渡るものです。その一部を負担しているのが住民税になります。もう少し具体的に解説していきますね。住民税の詳細について1月1日現在に住民票の置いてある自治体に対し納める税金で、「都道府県民税」と「市町村民税」の2つを合わせたものを住民税と言います。住民税は前年度の所得に応じて計算され翌年支払う事になります。計算される過程で「所得割」部分と「均等割」部分に分かれ、合算したものを徴収される事になりますが、徴収の方法としては給与天引きされる特別徴収か、確定申告が必要な方は自分で納める普通徴収となり、今回テーマのサラリーマンであれば殆どの方は特別徴収に該当します。住民税の請求、支払いまでを図解します住民税が計算され、支払いに至る過程を図解説明していきます。後程気を付けておきたい事も解説しますのでご一読下さい。住民税はいつから発生するの?初めて社会人になる方必見!住民税は一体いつから納めなくてはならないのでしょうか?特に新卒の方等は分からない事もあるかもしれませんね。ひょっとするとアルバイト等で住民税を引かれている方もいらっしゃるかもしれません。今一度計算される期間を図にしてみましたのでこちらをご覧下さい。これは今年を対象にした図ですが、2019年に受け取ったお給料をベースに計算される事になります。そして計算された金額は来年の6月からの支払いスタートとなりますので、計算が終わって新年度に入り半年後に支払いが発生するという事になる訳です。前年の年収?給料?所得って何?ここで一度所得について触れておきます。先程の図では前の年の所得を元に計算されるイメージを表しています。混同し易いのが年収という言葉です。ここで改めて用語について解説しておきます。年収はお給料、ボーナスの総額を指します。例えばボーナス無しで毎月総支給額25万円だったとします。年収は25万円×12カ月=300万円になるという事です。ここでは社会保険など引かれる前の金額で計算しますので注意しておきましょう。所得とは年収から所得控除を差し引いた残りの金額を指します。細かく言うとこれを課税所得と呼びます。住民税や所得税等は、この課税所得に対し決められた税率を掛ける事になります。住民税の計算はこんなイメージですこちらの図をご覧ください。先程の図と併せてご確認頂けると分かりやすいかもしれません。まず年収の総額があって、所得控除を差し引きます。主な控除は基礎控除や生命保険料控除、社会保険料控除等様々あり、個々によって利用できる控除は異なってきます。そして課税所得が計算されたら、そこに対し所得割の計算が先に発生します。この所得割に関しての税率はこちらの図をご覧ください。全国で殆ど一律での税率となっており、最も高い所で10.1%、低い所で9.7%となります。平均して10%で考えて頂ければ問題は無いでしょう。この所得割額が計算された後に更に税額控除と言って、身近なものでは住宅ローン減税があり、住宅ローン減税含め約19種類にも登る最終控除が発生し、その後に住民税の納税額が決まる流れとなっています。住民税の支払いは2種類冒頭で触れましたが、計算された住民税を納める方法は2種類ありましたね。もう少し詳しく解説しておきたいと思います。企業が代行して納税する特別徴収サラリーマンやパートさんの方が殆どです。お勤めの企業が従業員に代り、住民税を納める方法です。給料明細などに記載されてある事で納税額を確認する事ができ、給与天引きとなるため支払いの失念が無い事が特徴です。また12カ月に渡って支払う事ができますので、大きく引かれる事もなく支払いの負担は軽いでしょう。納付書を使用し直接納税する普通徴収サラリーマンの中には確定申告を必要とする方も中にはいらっしゃいます。生命保険募集人さんは正にそうでしょう。この場合、自分や税理士を通じ確定申告しますが、この際に計算された課税所得に対し毎年6月に納付書という書類が送られてきます。4期に渡り納付する書類が入っており、6月、8月、10月、1月の納付期限が決められています。この納期に従って住民税を納めますが、一括で4期分納める事も可能です。但し、自分で納めなければならない為、うっかり納期を忘れてしまう事もあります。支払える時に納めておきたいですね。住民税の計算は所得税の計算過程と同じこれまでは住民税の計算期間から計算方法、納税までを解説してきましたが、実は住民税は所得税の計算の流れと全く同じなんですね。違いは税率くらいです。基本的に納税額を計算する場合は先程の図に則り控除を差し引いて計算されます。年収が高い方、控除が少ない方は納税額も高くなりますし、同じ年収でも控除が多い方は納税の金額にも差が出てきます。この年収が高い事による事例を次に解説していきます。転職をお考えの方は是非ご覧ください。[adsense_middle]転職する際に気を付けておきたい事最近では仕事も多様化してきて、転職や自営業になったりと様々な仕事の選択肢があります。その際に気を付けておきたい事を解説します。転職を例に挙げてみると、以前までの勤務先での年収が高い場合、翌年支払う住民税が高いままであるという事です。具体的に言うと、年収800万円あった会社から年収500万円になるケースなどです。これは極端かもしれませんが、住民税は前年度の所得に応じて計算され翌年支払いを開始する仕組みです。前年まで800万円での年収に対する所得は高額な金額が想像できますね。そして年収がダウンして手取り額も下がったタイミングで、前年度の住民税がやってくる事になります。支払い終えるまでは家計にも響くケースだってあるかもしれません。また自営業に転身した場合、売上が少ないタイミングで前年の住民税が大きくのしかかるケースもあります。特に年収が高い方は、しっかりと納める金額を把握して翌年の納税に備えるのがベストだと思います。退職する際にも気を付けて実は退職も気を付けるべき点はあります。退職後、新たに就職先がある場合は大丈夫かもしれませんが、無職でいる場合でも容赦なく住民税の納付はやってきます。前年までは給与もあったけど、今年は仕事せずにゆっくりしたいと思っても、前年に計算された住民税は忘れた頃にやってきますので、納める金額の蓄えはしっかりと持っておきたい所ですね。住民税はいつから納税するかに関するまとめ今回はサラリーマン、新卒の方向けに住民税に関する解説を行ってきました。特に転職や退職時には気を付けておきたい所ではあります。また年収のアップダウンが大きい給与体系なども注意が必要です。税金とは言え、滞納しすぎると大切な財産さえ差し押さえられてしまいますので、退職、転職はしっかり準備して行って下さいね。
2019年11月14日毎年、年末調整と聞くと還付金がいくらなのかを楽しみにしている人が多いように、還付されることが当たり前のようなイメージがあるのではないでしょうか?しかし年末調整とは、1年を通して勤務先で差し引いた所得税額を正しい税額に精算する手続きのため、還付額が発生するだけではなく、過不足額といって逆に税金を追加で徴収される場合もあります。このため給料明細が還付金というプラスの項目でなく、過不足額というマイナスの金額で計算されても一概に間違いであるとは言い切れません。それではどのような場合に過不足額が生じるのでしょうか?この記事では詳細について紹介していきます。給与から所得税が差し引かれる理由一般的に給与が毎月支給される場合は、それに伴って源泉の控除額が発生しています。それではそもそも給与から所得税が差し引かれるのはなぜでしょうか?ここではその理由について解説していきます。なぜ源泉の控除額が発生するのか上記でも少し触れましたが、給与から所得税が控除されるのはなぜでしょうか?考えられる理由として、一般的に国としては税金をなるべく先に徴収したいという考え方であると言われています。そのため個人の方全員の所得税を確定申告で処理する形になってしまうと、少なくとも翌年になるまで所得税を徴収できない形となってしまうので、所得税を徴収する時期がだいぶ遅くなってしまいます。また個人の方全員が所得税を年末以降に確定申告によって納付する形では、個人の方々の手続きも煩雑になってしまいます。そこで法人や個人事業主などの事業所に勤務している人については、原則として会社で毎月源泉税として所得税を納付してもらう形をとることが国としては望ましい形となります。源泉税の納期の特例ただこの形でもやはり事務手続きが煩雑になってしまうため、特例として従業員の人数などの要件を満たすことによって、毎月の源泉税を毎月納付ではなく、半年に1回源泉税を納付すればよいという納期の特例が認められています。このように事前に給料から所得税が差し引かれることによって、毎月1回や半年に1回所得税を納めてもらうことができれば、国としては所得税の税収の確保が楽になります。一方個人の方々にとっても確定申告をするほどには手間はかかりません。こうして考えてみると給与からの所得税の控除は、国にとっても個人の方にとっても双方にメリットがある仕組みになっていると言えます。年末調整による所得税の精算額上記で法人や個人の事業所で所得税を差し引いて、毎月1回や半年に1回まとめて源泉税として国に納付するという話を解説しました。それでは、よく聞く年末調整とはどのような手続きなのでしょうか?年末調整のやり方としては、個人の1年間の1月から12月までの収入に対する本来の税額を計算し、同時にその人の1月から12月までに給与から差し引かれた税額を集計します。次に、本来の税額と差し引かれた税額の2つの税額を比較します。その際、本来の税額が差し引かれた税額よりも少なければ還付となり税金が戻ってきます。一方、本来の税額が差し引かれた税額よりも多ければ、税金に過不足が生じている形となり所得税が追加で徴収されます。年末調整のまとめこのように年末調整とは、個人の1年間の収入に対する本来の税額を計算し、最終的にその人の1年間の給与から差し引かれた税額を本来の税額に調整する手続きのことをいいます。所得税額に過不足金が生じる原因それでは年末調整の際、所得税額に過不足金が生じる原因とはなんでしょうか?ここでは考えられる原因について解説していきます。収入に対して源泉徴収された金額が少ない扶養親族の人数の変更社会保険料等の支払額が前年より少なくなっている保険などの支払額が前年より少なくなっている収入に対して源泉徴収された金額が少ない過不足金が生じる原因の1つとして、単純に収入に対して源泉徴収された金額が少ないことが考えられます。例えば法人や個人の事業所のその年の業績が良かった場合、賞与などの支給によって従業員に還元されることがあります。その場合、賞与が支給されたために1年の合計の収入が上がってしまい、支給時に源泉徴収された金額では少なくなってしまうことがあります。このような場合に年末調整の計算をすると、源泉徴収された金額が本来の税額より少なくなってしまうため過不足金が生じてしまうのです。扶養親族の人数の変更過不足金が生じる原因として、扶養親族の人数が変更になった場合を挙げることができます。よくあるパターンとしてはご主人と奥様が共働きの場合、収入によっては控除額が減ってしまう形になるため税額に影響してきます。一例として配偶者控除を例にすると、ご主人の年収が1,120万円で奥様の年収が103万円以内であれば、配偶者控除の範囲なので扶養の範囲という形となります。一方別の例として、子供がアルバイトなどで年収103万円を超えてしまった場合は、扶養から外れてしまう形になります。上記のように年収の要件によって、扶養親族の人数が変更になってしまう他、子供が一人暮らしをするために出て行ってしまったといった場合も扶養親族の人数が変更になってしまうこともあります。このように過不足金が生じる様々な原因があるため、上述した通りマイナスになっているからといって年末調整が間違っているわけではないのです。社会保険料等の支払額が前年より少なくなっている過不足金が生じる原因として考えられるものが、前年の条件と今年の条件が異なっている場合が挙げられます。この中で大きいのが社会保険料の支払額ではないでしょうか。社会保険料の控除額は支払金額がそのまま控除できるのですが、例えば前年には支払を忘れていた国民健康保険料や国民年金保険料などを余分に納めていたが、今年は就職も決まり、社会保険料は事業所で加入したという方がいたとします。この場合は前年の社会保険料の支払額が、今年の社会保険料の支払額を上回っている可能性があるため、結果として社会保険料の控除額が少なくなるということが考えられます。以上のような場合も年末調整で過不足額が生じることが考えられます。保険などの支払額が前年より少なくなっているまた民間の生命保険などの契約を変更した場合も、もちろん過不足額が生じる原因となります。保険料控除については計算の上、最大12万円を控除することができますが、何かの契約を見直してその保険を解約してしまったという場合は、最大で取れる控除額が少なくなってしまう可能性が当然あります。このように年末調整では還付が当たり前ではなく、いくつかの過不足が発生するケースも考えられるので、過不足になったからといってすぐにミスがあるとは考えないで原因を探ってみることをおすすめします。[adsense_middle]勘違いしやすい、年末調整で処理できない項目年末調整で処理できない項目は、ほとんどの場合、最終的には自分で確定申告をしなければいけません。例として初年度の住宅ローン控除が挙げられますが、年末調整で処理できると勘違いしやすいけれど、実は年末調整では処理できない項目には他に何があるでしょうか?ここでは年末調整で処理できない項目について簡単に紹介していきます。初年度の住宅ローン控除ふるさと納税の控除医療費控除の処理雑損控除の処理初年度の住宅ローン控除初年度の住宅ローン控除については、年末調整では処理できないため確定申告をしなければいけません。住宅ローン控除の確定申告については必要書類も多いため、できれば税理士などの専門家に依頼することをおすすめしますが、2年目からは年末調整で処理できるため、手続きとしては楽になります。ふるさと納税の控除ふるさと納税の控除についても、年末調整では処理することができません。主な理由として該当年の12月31日までに、ふるさと納税として寄附された1年間の総額が対象となるためです。そのためふるさと納税の控除を受けるためには、自分で確定申告をする方法や、ワンストップ特例制度を利用する方法などがあります。医療費控除の処理医療費控除の処理についても年末調整では処理することができません。こちらも主な理由として、該当年の12月31日までに医療機関などを利用した1年間の医療費の総額が対象となるためです。このため医療費控除についても、自分で確定申告をする方法や、医療費控除の特例にあたるセルフメディケーション税制を利用する方法などがあります。雑損控除の処理災害などで予期せぬ支出があった場合、内容によっては雑損控除という控除が認められる場合があります。こちらも年末調整では処理できないため、自分で確定申告をして処理する必要があります。年末調整で処理できない項目のまとめ以上のように年末調整は、言い換えれば簡易的な確定申告のようなものなので、処理できない項目も多くあります。年末調整で処理できない項目の多くは、自分で確定申告をするのも煩雑になってしまいがちです。もし自分で確定申告するのは難しいと思うようなら、多少の費用を覚悟しても専門家への依頼を検討することをおすすめします。確かに費用はかかってしまうかもしれませんが、本来確定申告を自分でした場合にかかる時間の節約ができると考えると費用以上のメリットがあるのではないでしょうか。年末調整にマイナスが出る理由に関するまとめ今回の記事では、年末調整で過不足額が生じてしまう理由について紹介しました。上述した通り、年末調整のイメージとして還付されることを考えてしまう人が多いかと思いますが、年末調整の条件によっては過不足額が生じてしまうこともあります。還付されるのを楽しみにしていたにもかかわらず、過不足額が生じて逆に徴収になってしまうと、何か年末調整にミスがあったのではないかと疑ってしまうこともあるかもしれません。しかし、意外にもちょっとしたことで過不足額が生じてしまう場合もあります。今回の記事を参考に、まずは過不足額が生じた原因を探っていただければと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。
2019年11月13日自分で事業を立ち上げる場合、健康保険、労災保険などの社会保険はどうなるのしょうか。事業の代表者として、社会保険にを放ったらかしにしておくと「知らないうちに法律違反をしていた」「思っていたよりたくさんの保険料がかかってしまった」ということになりかねません。今回は、個人事業主の社会保険について解説します。そもそも、個人事業主とは自分がリーダーになって事業を始めるには、大きく2つの選択肢があります。法人を立ち上げて、その代表者になる個人事業主になる法人…株式会社、合同会社など法人を立ち上げるには、必要な書類を揃え、法務局で申請をするなどの手順があります。社長1人しかいなくても会社は作れますし、合同会社の場合、5万円もあれば設立登記も可能です。株式会社の代表に就任すれば「代表取締役」、合同会社であれば「代表社員」を定めて経営者になります。個人事業主…個人名や、屋号で活動会社を立ち上げずに、個人で継続して事業を行う場合は「個人事業主」です。1人で事業を行う場合に限らず、従業員を雇って事業を行う場合もあります。”オフィス〇〇”、”〇〇商店”など屋号を付けることもできます。同じ”自営業”でも、個人にするか・法人にするかで社会保険の扱いは大きく違います。個人事業主になった場合、社会保険はどうなるのでしょうか?個人事業主でも、社会保険に加入?個人事業主である”代表者自身”は、社会保険の対象になりません。労災保険を除いて、任意に加入することもできません。ただし、経営する事業所には社会保険が適用されることがあります。つまり「事業主は」社会保険に加入できなくても、雇っている「従業員を」社会保険に加入させる必要があります。個人事業主でも、従業員数や業種によって、従業員を社会保険に加入させる手続きや、社会保険料の支払いをしなければいけないのです。各社会保険が適用される条件社会保険の種類ごとに詳しく確認しましょう。「厚生年金保険と健康保険」、また「雇用保険と労災保険」では、互いの取り扱いが似ているところがあります。[adsense_middle]1.厚生年金保険・健康保険老齢・死亡・障害状態のとき、年金が受け取れる厚生年金保険。また病気やケガのとき、治療にかかる負担額を抑えてくれる健康保険。行っている事業が「強制適用事業所」に該当する場合は、厚生年金保険・健康保険が適用されます。ただし、個人事業主自身は厚生年金保険・健康保険に加入できません。従業員数・業種によって、社会保険の加入義務個人事業の場合、次の2つをどちらも満たす場合に、強制適用事業所になります。常時5人以上の従業員がいること適用業種であること(例…製造業、金融業、保険業、医療業など16業種)なお、一定の船舶も強制適用事業所になります(厚生年金の場合)。強制適用事業所ではない場合は?従業員が5人未満の場合や、非適用業種の場合は、当然には厚生年金保険・健康保険が適用されません。「暫定任意適用事業」と呼ばれ、次のステップを踏んで、適用事業所となることができます。労働者の2分の1以上の同意を得る事業主が申請する厚生労働大臣が認可するなぜ、わざわざ申請して、社会保険の適用事業所になるの?求職者や従業員にとっては、自分で支払う「国民年金・国民健康保険の保険料」は大きな負担です。そのため”社会保険完備”の職場を選ぶ求職者も多いでしょう。求人の際にプラスに働く可能性があります。2.雇用保険失業、休職、職業訓練などの際に、給付を受けられる雇用保険。労働者を1人でも雇うと、雇用保険が強制的に適用される事業所となります。ただし、個人事業主自身は、雇用保険に加入できません。農林水産業では加入がゆるやか個人経営で、農林業・畜産業・養蚕業・水産業(船員を雇用する場合を除く)、かつ常時5人未満の労働者しかいない場合は、「暫定任意適用事業」となります。当然には雇用保険が適用されません。暫定任意適用事業の場合は、厚生年金保険・健康保険と同様に、適用事業となるよう認可の申請をすることができます。3.労災保険仕事中のケガなどに対し、治療費や収入を補填してくれる労災保険。労働者を1人でも雇うと、労災保険が強制的に適用される事業所となります。ただし、個人事業主自身は、この”労働者”にはあたりません。個人経営で、農林水産業、かつ雇用する従業員の数が一定数以下(危険作業のない農業の場合は5人未満、など)の場合は、「暫定任意適用事業」となります。当然には労災保険が適用されず、適用事業となるよう認可の申請をすることができます。事業主は、希望があれば労災保険に加入できる個人事業主自身は、通常は労災保険で保証されません。ただし、希望する事業主が”特別に加入”できる制度があります。中小事業主の特別加入従業員数の少ない中小事業の代表者は、労災保険の「特別加入」を申請できます。なお、特別加入するためには、労働保険の事務処理を「労働保険事務組合」に委託します。一人親方の特別加入人を雇わずに、次の個人事業をしている場合も、労災保険の特別加入を申請できます。個人タクシー、個人運送業大工の一人親方林業、漁業など一人親方で組織する組合などを通して、申請する必要があります。妻や子供が、雇用者の場合は?従業員が、同居している親族”のみ”の場合、これらの親族は「労働者」とはみなされません。同居の親族以外にも従業員がいる場合は「ほかの従業員と同じように、事業主の指揮命令に従っていることが明確である」などの条件を満たして、各社会保険に加入できる場合があります。個人事業主自身が、社会保険に加入する方法ここまで見てきたように、労災保険を除いて、個人事業主自身は社会保険に加入できません。事業主が社会保険に入りたい場合はどうすればよいでしょうか。社会保険に加入したいなら”会社をつくる”個人事業主と異なり、代表取締役などの「法人の代表者」は、加入できる社会保険が増えます。社会保険に加入すると、負担が増える?社会保険に加入すれば、もちろん保険料を支払わなくてはなりません。会社員として勤めていると、保険料の負担は2分の1です。しかし経営者としては、残った2分の1も会社負担分として納付しなければなりません。従業員に支払う給与や自分が受け取る報酬に、上乗せして負担がかかります。事業主+事業主の家族の保険料=安くなることもいっぽうで、社会保険に加入できない事業主は「国民年金保険料」や「国民健康保険料(国保)」など、別の保険料を納める必要があります。国民健康保険料は世帯人数に応じた保険料がかかるため、扶養する家族がいると特に割高になりがちです。家族がいる”ひとり社長”は、社会保険に加入することでかえって保険料が安くなる可能性もあります。国保だけでは保障が不安だから…と、さらに民間の保険に加入している場合もあるかもしれません。社会保険に加入することで、こうした保険は節約できます。個人事業主の社会保険に関するまとめ事業をスタートする時、個人で始めるか、法人を立ち上げるかは、大きな選択肢です。その判断材料には「税金がお得なのは」「事務作業の手間は」「取引先からの信用は」といったもののほか、「社会保険」も必須の事項として考える必要があります。個人事業にも社会保険料がかかる場合があることや、個人事業主自身は社会保険に加入できないことなど、ポイントを押さえておきましょう。
2019年11月13日今回は住民税が免除される要件等について解説していきます。基本的に住民税は所得に応じて計算される仕組みです。いくらの所得であれば課税非課税のラインなのか、そもそも所得をコントロールできるのか等様々な疑問について解説しますね。始めに年収と所得の違いをおさらいしますよく「年収」いくらだったらとか、計算では「所得」がいくらであれば非課税になります等、ネットで検索すると出てきますよね。ここでは年収と所得の違いについて先に解説していきます。年収とは1年間で得た収入の総額を指します。サラリーマンの場合総支給額で計算され、ボーナス等も含まれます。ここでは社会保険料など引かれる前の金額を意味しますので比較的計算しやすいでしょう。所得とは、年収から所得控除を引いたものを指します。所得控除には配偶者控除、社会保険料控除、基礎控除、生命保険料控除等様々あり、控除額が大きければその分納める税金も安くなる仕組みとなります。住民税は所得に応じて計算されます。また、各家庭によっては控除の適用も異なる為、一概に年収が同じでも異なる事になります。個人事業主の方は確定申告をしなければなりませんので、所得控除に加え、経費を差し引いて所得を計算します。この経費がいくらかかったかによって所得金額が変わります。コントロールできると言えばできるかもしれませんが、使っていない経費などを計上する事はできませんので、気を付けるべき点ではあります。住民税が非課税になる対象は?ここから本題に入っていきます。住民税が非課税になると言っても内訳は様々あります。こちらの図をご覧ください。ご覧の様に都道府県民税と市町村民税に分かれ、更に均等割、所得割と分類されます。何がどうなっているのか少し詳しくお話しておきます。均等割は一律で課税されるもので、一般的に都道府県民税が1,500円、市町村民税が3,500円となっており、自治体によって税率を変え上乗せで徴収する事もできます。所得割は全国で10%となっており、こちらも均等割同様自治体によって税率を変える事は可能です。一般的には都道府県民税が4%、市町村民税が6%の割合です。均等割、所得割いずれも前年度の所得に応じて計算されますので転職や退職時には気を付けておきましょう。さて、この住民税が非課税になる対象ですが、先に課税されない収入を解説し、後に収入の基準を解説していきますね。課税されない収入は何?課税される事のない収入ですが、失業保険の給付金や生活保護の給付金が挙げられます。国の補助である制度からは課税は免除されます。障害年金や遺族年金も非課税?皆さんは障害年金、遺族年金という言葉をご存知でしょうか?これは国が定める障害認定に該当した場合、国から年金が支給される事になります。また、遺族年金は配偶者のどちらかが亡くなった際に国から年金を受給する事ができる制度ですが、この年金に関して住民税が掛かる事はありません。課税されない世帯や所得基準は?ここからは非課税になる対象世帯や非課税になる対象所得について解説していきます。非課税になる対象世帯は?住民税が非課税になる対象世帯は次に該当する方になります。生活保護を受給している障がい者、未成年者、寡婦(夫)で且つ前年度の所得が125万円以下の場合※寡婦(夫)とは配偶者と死別若しくは離別した独身の方の事です。【前年度の所得が次の金額以下の場合】控除対象の配偶者や扶養親族がいる方35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計)+21万円控除対象の配偶者や扶養親族がいない方35万円上記に当てはまる方は住民税の均等割、所得割共に課税されません。尚、所得割のみ課税されないというケースもありますので以下にその要件を記載します。控除対象の配偶者や扶養親族がいる方35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計)+32万円控除対象の配偶者や扶養親族がいない方35万円尚、今回使用した計算式は東京23区の場合です。お住いの自治体によって若干計算式も異なる場合がございますので、ご確認下さい。非課税になる対象所得は?次に非課税になる対象所得について解説します。特にパート勤務等されている方は参考にして頂ければと思います。結論から言えば、前年度の総収入が100万円以下(細かく言うと98万円)であれば住民税は非課税となります。あれ?103万円じゃなかったっけ?とお考え違いの方もいらっしゃるかもしれませんので、補足しておきたいと思います。所得税の103万円の壁と住民税の100万円の壁タイトルの通りですが、103万円は所得税が非課税になる金額の事を指します。住民税は100万円となっており、混同しやすいですよね。何故この様に金額が異なるのかと言いますと控除される額が異なる為です。その計算に関して次で解説しますので、覚えておいて頂ければと思います。控除に関する計算式まず所得を計算するにあたり、基礎控除というものがあります。これは誰でも同じ金額で38万円となっていますが、住民税に関する基礎控除は実は33万円なんです。この差によって103万円と100万円の違いが発生する事になる訳ですね。事例で解説します。パート勤務Aさんの場合Aさんの前年度総収入が98万円でした。翌年の住民税を計算する場合次の計算式になります。年収98万円-所得控除65万円-基礎控除33万円=0この様に0円となりましたので非課税になります。所得税ですと、上記の所得控除と基礎控除の合計金額が103万円になりますので、103万円以下に抑えるという事になります。気を付けるべきは100万円以上103万円未満に年収が収まった場合は住民税が課税される事になりますので、出勤時間などの調整で収入を調整して頂く必要は出てくるかもしれません。所得税と住民税では控除額が異なる今回を機に一つ覚えておいて頂きたいのは所得税と住民税では控除額が異なるという事です。基礎控除もそうですが、身近なものとして生命保険料控除も異なります。少し計算間違いをしやすいですが、気になる方は是非チェックしておきましょう。また余談ですが、来年度から所得税、住民税の基礎控除額が変更となります。しかし103万円、100万円と明らかに変化するものではありませんのでご参考までに。住民税が非課税になるメリット・デメリットは?ここからはメリットとデメリットについて解説していきます。非課税なのは嬉しいけどどうなんだろうと思う方は是非ご一読下さい。[adsense_middle]非課税のメリット住民税が非課税になった場合の主なメリットは以下の通りです。高額療養費制度利用時の自己負担額が少額国民健康保険料の減免NHK受信料の免除保育料の減免上記が主なメリットですが、具体的には1の高額療養費自己負担額は35,400円となります。また国保ですが、これは自治体において申請が必要ですので、お住いの自治体に確認頂く必要があります。そしてNHKの受信料に関しては、世帯構成員のどなたかが、障がい者手帳を保有し、且つ世帯全体が住民税非課税の場合であれば免除されるそうです。お子様のいる世帯でしたら、所得に応じて保育料等も変わりますので役場などに確認されてみて下さい。一番心配な治療が出来るのかという点においては大きいと思いますし、70歳以上であれば24,600円と高額療養費自己負担額が更に減額となりますので、覚えておいて下さいね。非課税のデメリット非課税のデメリットについてはそんなにありませんが、気を付けて頂きたいのは、今流行りの「ふるさと納税」を行っている方は損をするという事です。理由は、そもそもふるさと納税はお住い以外の自治体に納税する事によって住民税の控除が受けられます。しかし、非課税ともなれば控除される事はありませんので、仮に1万円のふるさと納税を行っても、1万円の自己負担なだけになりますのでご注意下さいね。住民税非課税世帯に関するまとめ今回は住民税の非課税に関する解説でした。所得によって非課税になるラインなどがお分かり頂けたかと思います。特にパート収入の方等は金額をしっかりと押さえておいて下さいね。
2019年11月11日