俳優・伊藤沙莉が主演を務める、連続テレビ小説『虎に翼』(月~土前8:00NHK総合※土曜日は1週間の振り返り/月~金前 7:30NHKBS、BSプレミアム4K)が新たにスタート。今回は、主要キャストの一人で田中要次が演じる笹山を紹介する。第110作目の連続テレビ小説となる本作は、日本初の女性弁護士で後に裁判官となった女性を俳優・伊藤沙莉が演じ、彼女とその仲間たちが困難な時代に道なき道を切り開き、迷える子どもや追いつめられた女性たちを救っていく。日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ三淵嘉子さんの実話に基づく、リーガルエンターテインメントとなっている。田中要次が演じる笹山は、いわゆる「傍聴マニア」で寅子(伊藤沙莉)たちと法廷でたびたび顔を合わせる。「笹寿司」の主人で寿司職人。寅子を娘のように思い、応援している。
2024年04月02日正規と非正規の差別はやめて、同じ仕事をしている限り、同じ賃金を保障しよう。そんな理念から導入される制度が大量解雇を生む可能性が……。約8万4,000人ーー。2月2日、厚生労働省は、新型コロナウイルスの影響による解雇や雇い止めを受けた労働者の総数を発表した。とりわけ気がかりなのは女性が8割を占めているといわれる非正規労働者(パートや契約社員や派遣社員など)で、仕事を失った人が4万人を突破したこと。しかし、それさえも、氷山の一角だと語るのは、労働問題に詳しいNPO法人POSSE代表の今野晴貴さんだ。「厚生労働省が公表した人数は、全国のハローワークが把握しているものだけです。非正規労働者は派遣切りや一方的な解雇により泣き寝入りしているケースが多く、発表よりも2〜3倍の女性非正規労働者が職を失ったと考えています。野村総合研究所の推計では、パートやアルバイトの女性で、仕事が減らされたのに休業手当が一切支払われていない“隠れ失業者”を加えると、実質的な女性の失業者数は昨年12月時点で162万人に上ることが明らかになっています」女性の非正規労働者は、景気によって雇用者数が大きく増減させられる“雇用の調整弁”にされてきた。コロナ禍が本格的になりつつあった昨年4月は94万人も激減。その後、徐々に急拡大し、Go To キャンペーンの停止などもあった12月には、減少に転じている。今後さらに、パートや契約社員などの解雇や雇い止めが加速する懸念があるという。「今年4月から、中小企業で『同一労働同一賃金』が始まります。日本の企業の99.7%を占める中小企業は、このコロナ禍で厳しい経営状況にあり、新しい法律が適用される前に、解雇や雇い止めに走る経営者が出てくることが危惧されます」(今野さん)そもそも「同一労働同一賃金」とはなんなのか?「正規雇用労働者(正社員)と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差を禁じ、同一の待遇を求めるものです。パートタイム・有期雇用労働法で義務づけられていて、大企業では昨年4月から施行されています」そう解説してくれるのは、労働問題を専門に扱っている東京法律事務所の笹山尚人弁護士。資本金が一定以下か、常時使用する労働者数が「小売業」なら50人以下、「サービス・卸売業」なら100人以下、その他業種なら300人以下の企業が“中小企業”と定義されている。「4月からは、これらの中小企業でも不合理な待遇差などが禁止されるのです」(笹山さん)禁じられる不合理な待遇差とはどういうものか?「’20年10月に3件の最高裁判決があり、住居手当や扶養手当、皆勤手当などその趣旨が正規非正規関係ないことがハッキリしている手当などに格差を設けるのは違法と判断されました。一方で、基本給やボーナス、退職金は、正規と非正規で制度設計が異なるために職務や配置などに応じた格差は認められうる。非正規への不支給や格差が違法になる場合もあるとされましたが、それは職務などから不合理といえる場合という解釈です」新たに、コロナ禍で問題になっている待遇差は、テレワークに関するものだと、今野さんが話す。「契約や派遣社員の方から、“テレワークをさせてもらえない”という相談が増えています。同じ部屋の正社員がテレワークに移行しているのにもかかわらず、出勤を命じられ、正社員が在宅でできない仕事を代わることを提示されているというのです。4月からはこのような待遇差はより明白に違法となり、裁判になれば会社側が損害賠償を払うことになる可能性もあります」非正規労働者には、格差是正の第一歩になるはずの同一労働同一賃金だが、こんな懸念が……。「通勤手当や皆勤手当なども非正規労働者に支払うべきことが明白になるため、負担が大きく中小企業にのしかかります。そこで法律が適用される前に非正規労働者を切ってしまおうと考える中小企業の経営者がいてもおかしくありません」(今野さん)特に懸念されるのが、多くの非正規労働者の契約の更新月であり、“同一労働同一賃金”が中小企業に拡大する4月直前の解雇や雇い止めだ。昨年以上となれば、その数は100万人を超える恐れもある。あなたや夫が正社員だからといって、同一労働同一賃金の導入は無関係ではない。「正社員の待遇を下げることで、格差の是正をする企業も増えていくかもしれません。実際、日本郵政グループは、’18年に一部の正社員の住居手当を廃止するという“禁じ手”を行っています。これで5,000人の社員が、借家なら毎月最大2万7,000円出ていた住宅手当が消えたのです」(今野さん)もちろん、正規労働者と非正規労働者の格差是正は必要だ。だが、そのための法律をきっかけにした解雇や雇い止め、待遇の引き下げがあってはならないのだ。「女性自身」2021年2月23日号 掲載
2021年02月11日約8万4,000人ーー。2月2日、厚生労働省は、新型コロナウイルスの影響による解雇や雇い止めを受けた労働者の総数を発表した。とりわけ気がかりなのは女性が8割を占めているといわれる非正規労働者(パートや契約社員や派遣社員など)で、仕事を失った人が4万人を突破したこと。しかし、それさえも、氷山の一角だと語るのは、労働問題に詳しいNPO法人POSSE代表の今野晴貴さんだ。「厚生労働省が公表した人数は、全国のハローワークが把握しているものだけです。非正規労働者は派遣切りや一方的な解雇により泣き寝入りしているケースが多く、発表よりも2〜3倍の女性非正規労働者が職を失ったと考えています。野村総合研究所の推計では、パートやアルバイトの女性で、仕事が減らされたのに休業手当が一切支払われていない“隠れ失業者”を加えると、実質的な女性の失業者数は昨年12月時点で162万人に上ることが明らかになっています」女性の非正規労働者は、景気によって雇用者数が大きく増減させられる“雇用の調整弁”にされてきた。コロナ禍が本格的になりつつあった昨年4月は94万人も激減。その後、徐々に急拡大し、Go To キャンペーンの停止などもあった12月には、減少に転じている。今後さらに、パートや契約社員などの解雇や雇い止めが加速する懸念があるという。いきなり解雇を通知されたら、どう対処するべきなのだろう。労働問題を専門に扱っている東京法律事務所の笹山尚人弁護士が解説してくれた。「非正規労働者だとしても、解雇や雇い止めは簡単にさせられません。まずは解雇回避を試みることです。解雇には客観的で合理的な理由が必要。もし言い渡されたら、理由があるか尋ねることです。また、労働者側が書面による説明を求めた場合、会社側には書面交付を求めることで会社側が面倒くさくなって、解雇を思いとどまったというケースもあります」笹山弁護士は、退職届や退職趣意書などには、安易にサインしないようにすすめる。「労働者側が辞めたいと言いだしたという形にしたい会社も少なくありません。その場で書類にサインをしたことで、自己都合で退社したことになり、雇用保険で不利になるケースも多いのです。さらに新型コロナウイルスの影響により解雇された場合は、その理由も書面にしてもらうこと。雇用保険の優遇措置を利用しやすくなります」非正規労働者でも加入できる労働組合に加入するのも効果的だ。「中小企業では労働組合がない会社も多く、裁判になれば1人で闘うのも難しい。組合に加入するだけで、会社側が交渉のテーブルについてくれることも多いのです」(今野さん)「女性自身」2021年2月23日号 掲載
2021年02月11日もはや一般名詞となったパワーハラスメント(パワハラ)という言葉。パートだから、厳しい職場じゃないから、自分には無縁と思っているあなた。もしかしたら、被害者や加害者になっているかもーー。「何がパワハラに当たるのかは、これまでガイドラインしかありませんでしたが、今回の法律で、国がパワハラの具体例を示したことは、大きな一歩です」そう語るのは、労働問題に詳しい笹山尚人弁護士。6月1日から「パワハラ防止法」(改正労働施策総合推進法)が施行される。まず、大企業を対象にパワハラ防止措置が義務付けられ、’22年4月には義務化の対象が中小企業にも広がることになる。これで職場でのいじめや嫌がらせはなくなるのだろうか?「違反があれば、国が指導しますが、それでも従わない場合には企業名が公表されます。企業は“ブラック企業”というイメージがつくのを避けるための対策に本腰をいれるでしょう。また労働者も法律を把握して被害者にならないことも重要ですが、気づかないうちに加害者にならないように注意が必要です」そこで笹山先生が、ケースごとにパワハラの“境界線”を解説。【ケース1】“不妊治療中”とバラされる現在、不妊治療中です。病院に行くために、どうしても休みたい日ができたので、上司に打ち明けたところ、快く休みをもらえました。そこまではよかったのですが、翌日に出社したら、職場の人が、私が不妊治療中だということを知っていたのです。私が休んだ理由を聞かれて、上司は普通に答えてしまったそう。これって、どうなの?(E美さん・38歳、家電メーカー・事務)「私的なことに過度に立ち入ることはパワハラに該当します。とくに不妊治療は今回の法律でも具体例としても取り上げられている“機微な個人情報”。交際相手や家族のこと、性的指向や性自認など、他人に明かしたくないことは存在します。そんな個人のプライバシーを本人の同意なく、公にするのは、人格権の侵害になります」(笹山先生・以下同)【ケース2】叱責の言葉が共有される上司のA部長は、部下を叱責するときは部署のメンバー全員が参加している社内のSNSを使います。「業務成績が悪いのはなにも考えていないからだ」「契約が解除されたのはお前の態度に問題がある」などと、SNS上では毎日のようにA部長が誰かを叱るコメントが飛び交います。部長は「みんなで問題点を共有するためだ」と主張していますが、これってパワハラじゃないでしょうか。(B子さん・35歳、金属加工メーカー・営業)「特定の部下を、多くの同僚が見ている前で激しく叱責することは、相手の人格を侵害するパワハラになる可能性が高い。これはメールやSNSのメッセージも例外ではありません。相手を罵倒するような内容のメールやメッセージを、その相手以外の複数の社員に宛てて送信することもパワハラに当たるのです。叱責の内容にも問題があります。「業務成績が悪い」「契約解除はお前の態度が悪いから」となっていますが、すべて社員に責任転嫁できるかどうか疑問です。反論できないような状態で、一方的に大勢の面前で叱りつけるのは、ただの見せしめ。このような行為は、社員の人格を否定するものです。このケースと同じように、多くの人に、特定の部下を叱るメールを送った上司がパワハラで訴えられた判例があります。加害者である上司は『会社を辞めろ』という退職勧告もあったことで、最終的に損害賠償責任が認められました。人の気持ちを逆なでする表現があることや職場の部員に送信することで、叱られた人の名誉や感情を毀損します。もし、このようなSNSのメッセージやメールでパワハラされたときは、証拠として残しておくことが重要です。SNSを通じたパワハラ行為が増えています。上司が部下のプライベートのSNSを監視して、内容を批判することなどもパワハラになる可能性があるので、注意が必要です」【ケース3】上司をみんなで無視曖昧で、チーム内を混乱させてばかり。チームのメンバーで課長を無視したり、聞こえるように悪口を言ったりするようになりました。A課長は困り果てているけど、パートより高い給料をもらっている上司だから、そのくらいは我慢してもらわないとね。(F絵さん・53歳、総菜製造業・パート)パワハラ防止法で定められた「優越的な関係を背景とした」パワハラは“上司から部下”だけではないと解されています。つまり“同僚から”“部下から”のパワハラもありえるのです。とくに集団の行為は違法性が強くなります。このケースのように、チーム全員で上司を無視したり、悪口を言ったりするのは、あきらかに一線を越えています。実際に、雇用関係では立場が弱いはずの非正規の人が、束になって、非正規出身の正社員をいじめてパワハラとみなされた例もありました。雇用の種類に関係なく、人格を否定するような行為をすれば、パワハラに該当します」しっかり学んでパワハラのない社会を作ろう。「女性自身」2020年6月9日号 掲載
2020年06月03日もはや一般名詞となったパワーハラスメント(パワハラ)という言葉。パートだから、厳しい職場じゃないから、自分には無縁と思っているあなた。もしかしたら、被害者や加害者になっているかもーー。「何がパワハラに当たるのかは、これまでガイドラインしかありませんでしたが、今回の法律で、国がパワハラの具体例を示したことは、大きな一歩です」そう語るのは、労働問題に詳しい笹山尚人弁護士。6月1日から「パワハラ防止法」(改正労働施策総合推進法)が施行される。まず、大企業を対象にパワハラ防止措置が義務付けられ、’22年4月には義務化の対象が中小企業にも広がることになる。これで職場でのいじめや嫌がらせはなくなるのだろうか?「違反があれば、国が指導しますが、それでも従わない場合には企業名が公表されます。企業は“ブラック企業”というイメージがつくのを避けるための対策に本腰をいれるでしょう。また労働者も法律を把握して被害者にならないことも重要ですが、気づかないうちに加害者にならないように注意が必要です」そこで笹山先生が、ケースごとにパワハラの“境界線”を解説。【ケース1】パートの同僚に嫌がらせをされるパート先には、勤続10年のお局さん的なパートの先輩がいます、仕事の後、彼女は自分を中心としたお茶会をよく開くのですが、公私の混同を嫌った私が誘いを断ったことをきっかけに、パート全員から無視されたり、陰口を言われたり、仕事のやり方を教えてもらえないなどの嫌がらせを受けるように。社員に相談しても「パート同士のことだからね」とあしらわれて……。パート同士だとパワハラにはならないの?(C子さん・47歳、スーパー・パート)「パワハラ防止法は、正社員だけでなく、パートや契約社員、派遣社員にも適用されます。このケースは、パート同士であっても、人間関係の職場内の優位性を背景にしたパワハラ行為に当たります。お局さんという「力関係で優位性がある人」と上手に付き合えなかったからといって、無視されたり陰口をたたかれたりするのは不当なこと。非正規雇用であることに関係なくパワハラ行為です」(笹山先生・以下同)【ケース2】だらしない部下を説教したら……いつも遅刻を繰り返す部下のAくん。ある日、「なんでいつも遅れてくるの?社会人として自覚がないんじゃない?」と、誰もいない会議室でつい声をあらげて説教してしまいました。Aくんは「これってパワハラですよね?」と騒ぎ始めたんですが……。(A美さん・40歳、家電メーカー・総務)「加害者側に『被害者が傷ついても構わない』『害悪を与えてやろう』という意思があったかどうかは問題ではありません。ハラスメントの成否は、客観的な事実関係をもとに決まります。発言それ自体のほか、それ以前の人間関係や発言の反復性などの周辺的な事実関係も含めてです。『社会人としての自覚』といった言い方には問題があります。一方で、遅刻を改善させたいという業務に必要な指導なので、多少強く注意したとしても、パワハラにならないと考えるのが一般的でしょう。もちろん、部下に手を上げたり、モノを投げたりするような〈身体的な攻撃〉は完全にアウト。長時間にわたる説教、感情に任せて『人としてなっていない』『迷惑だから辞めろ』など人格を否定するような発言も〈精神的な攻撃〉となりパワハラになる可能性が高いのです。これまでのパワハラ裁判でも『口答えする人は会社にいらない』『一度でも楯突いたら懲戒免職にしてやる』『みんなおまえのことを必要ないと思っている』といった発言はパワハラと認定されています。指導するときは、相手の人間的な能力をよくみることが必要。どう言えば相手に伝わるかわからないときは丁寧に対応するべきです。愛情を持って具体的な内容で叱っているかで、パワハラかどうかわかれるのです」【ケース3】同僚のモーニングコールをやらされるわが社では月に2回、7時からの早朝会議があります。ずぼらなメンバーが多い部署にいる私は「しっかり者」と思われ、会議がある朝に、部員1人ひとりにモーニングコールをさせられています。「これも業務の一環だ」として譲らない上司ですが、こんなことは自分でやることじゃないの?(D乃さん・27歳、住宅メーカー・事務)「早朝という業務時間外に、業務に関する指示を出すことはできません。自ら進んでやっているのではなく、強制されてやっているのは、パワハラになる可能性が高い。また、上司の家の引越し作業の手伝いや車での送迎など、業務時間外に業務に関わらない命令をすることも、悪質なパワハラです。業務外で、上司の言うことを聞く必要はありません」しっかり学んでパワハラのない社会を作ろう。「女性自身」2020年6月9日号 掲載
2020年06月03日「何がパワハラに当たるのかは、これまでガイドラインしかありませんでしたが、今回の法律で、国がパワハラの具体例を示したことは、大きな一歩です」そう語るのは、労働問題に詳しい笹山尚人弁護士。6月1日から「パワハラ防止法」(改正労働施策総合推進法)が施行される。まず、大企業を対象にパワハラ防止措置が義務付けられ、’22年4月には義務化の対象が中小企業にも広がることになる。これで職場でのいじめや嫌がらせはなくなるのだろうか?「違反があれば、国が指導しますが、それでも従わない場合には企業名が公表されます。企業は“ブラック企業”というイメージがつくのを避けるための対策に本腰をいれるでしょう。また労働者も法律を把握して被害者にならないことも重要ですが、気づかないうちに加害者にならないように注意が必要です」では、パワハラ被害にあったときにはどうしたらよいのか。「パワハラ被害にあったときは、日付や時間、被害状況などをメモとして残しておくこと。ICレコーダーなどを使った音声記録、動画を残すのも有効です。裁判になった場合、事実確認が重要になるため信頼できる人に被害を伝えておくことも大事です。職場の同僚に相談してもいいですが、裁判など肝心なときに裏切られることもあるので要注意です」社内の相談窓口に駆け込んでも軽くあしらわれることも。その際には、弁護士事務所や労働基準監督署にある相談コーナーなどに訴えることも必要と語る笹山先生。「パワハラは我慢していても解決しません。それどころかエスカレートします。パワハラは精神疾患や自殺などにつながる例も多く、生命に関わる問題。1人で抱え込まないでください」「女性自身」2020年6月9日号 掲載
2020年06月03日