暖冬とは言われていますが、寒くて家から出たくない日も多いこの季節。家のなかで「編みもの」なんて豊かな時間ですよね。そんな暮らしに憧れてはいるけれど、「難しそう、何を作ればいいかわからない」という方におすすめの、編みものの入門書になるような3冊を選びました。編みもの作家がニットの聖地で感じる、編むことと暮らし▼「アラン、ロンドン、フェアアイル 編みもの修学旅行」三國万里子(文化出版局)まず「編みものとは?」を感じることができる本。編みもの作家の三國万里子さんが、ニットの聖地を訪れて感じたこと、またそこからインスピレーション受けて編んだ、セーターやミトン、ティーコージーなどの作品と作り方がまとめられています。三國さんのデザインは、洗練されていてかわいらしく、“いつか編めたら……”と思うものの初心者にはハードルが高め。でも、セーターの名前にもなっているスコットランドのシェットランド諸島、アイルランドのアラン諸島、イギリスのガーンジー島、ロンドン、とそれぞれの地におけるニットの歴史や人々の暮らしは、読み物としてとても興味深く、「編みものっていいな」と思わせてくれます。 作り手で選ぶ、糸の楽しみ▼「こんな糸で編んでみたい」MOORIT(グラフィック社)編みもの初心者にとって難しいことのひとつが、糸選び。手芸店には豊富な種類の糸があり、見ていて楽しいけれど、どれを選んでいいのかわからないという経験はありませんか? そんな方におすすめなのは、東京・丸の内にある上質な毛糸が揃う店「MOORIT(ムーリット)」によるこの本。ウールやリネン、アルパカ、カシミア……、世界各地の生産者の糸づくりやその思いと、それぞれの糸を使って編んだ作品、編み方が載っています。発色が美しく、素材として素晴らしいだけでなく、環境に負荷をかけないことを心がけて作られている糸は、まさにタイトル通り、「こんな糸で編んでみたい」と思えるはず。また糸の太さについてや道具、英文パターンの見方など、編みものの基礎知識も収録。ありそうでなかった、糸を愛するお店ならではの一冊です。 初心者にも挑戦しやすい、バッグのレシピ本▼「手編みのちいさなバッグとポシェット」eccomin(誠文堂新光社)最後にご紹介するのは、編みもの初心者でも「これなら編めるかも!」と思わせてくれるこの本。オールカラーで、糸によって編み図が色分けされているので、見ているだけで頭が混乱しそうな編み図が、とてもわかりやすいのが嬉しいポイント。また、棒針編みとかぎ針編みの編み方、そしてその基本である表目、裏目の組み合わせだけででき、比較的短い時間で編めて、実用的なバッグというのも初心者が挑戦するにはぴったりです。著者である「eccomin(エッコミン)」の野口さんは、かわいらしい色使いが魅力のニット作家。編み地は単調でも、その色合わせだけで十分にかわいらしく、作りたくなるバッグやポーチ、ポシェットが満載です。編んだ分だけ形になる編みものは達成感があり、編むことでリラックスできる効果もあるのだそう。まずは小さなものからチャレンジして完成できたら、その魅力にどっぷりはまるかもしれません。参考書籍/・ 「アラン、ロンドン、フェアアイル 編みもの修学旅行」 三國万里子(文化出版局) ・ 「こんな糸で編んでみたい」 MOORIT(グラフィック社) ・ 「手編みのちいさなバッグとポシェット」 eccomin(誠文堂新光社)
2016年02月17日