8月13日(金)~26日(木)まで新橋演舞場、9月1日(水)~15日(水)まで大阪松竹座にて上演される松竹の公演「喜劇 老後の資金がありません」に出演するキャスト全員のビジュアル写真が公開された。『喜劇 老後の資金がありません』の原作は、垣内美雨による小説。“老後の資金”をテーマに普通の主婦が四苦八苦する物語が大きな共感を呼び、26万部突破の大ベストセラーとなった。今回は、喜劇に定評のあるマギーの脚色・演出により、初めて舞台化する。老後2000万円問題が話題になり、先行きの見通せない将来に大きな関心が集まる現代。様々な壁にぶつかりながらも懸命に奮闘する主人公たちの姿に、泣き笑いしながらも大いに共感できるはず。主演は渡辺えりと高畑淳子。同い年の二人は意外にも舞台初共演となる。その他の出演に、羽場裕一、宇梶剛士、長谷川稀世、原嘉孝、松本幸大(ジャニーズJr.)、一色采子、明星真由美、多岐川華子と豪華キャストが集結。今夏、最も共感できる喜劇に注目してほしい。【公演概要】新橋演舞場8月、大阪松竹座9月公演 『喜劇 老後の資金がありません』原作:垣谷美雨(中央文庫刊) / 脚色・演出:マギー出演:渡辺えり、高畑淳子羽場裕一、長谷川稀世、原嘉孝、多岐川華子、一色采子、明星真由美、松本幸大(ジャニーズJr.)、宇梶剛士●2021年8月13日(金)~26日(木) 新橋演舞場(東京都中央区銀座6-18-2)ご観劇料(税込・予定):1等席 12,000円 / 2等席 8,500円 / 3階A席:4,500円 / 3階B席:3,000円 / 桟敷席13,000円●2021年9月1日(水)~15日(水) 大阪松竹座(大阪市中央区道頓堀1-9-19)ご観劇料(税込・予定):1等席 12,000円 /2 等席:7,000円 / 3等席:4,000円チケット一般発売日:7月4日(日)10:00より電話予約・WEB販売開始松竹ホームページ:
2021年04月30日夫が定年を迎えたら、そのときに入る退職金で海外旅行をしたい、ブランドもののバッグを買いたいなどと、使い道をあれこれ考えたことはないだろうか?「多くの人が、『退職金は長年働いた自分へのごほうび』と勘違いしていますが、あくまでも『給料の後払い』です。数千万円という単位で振り込まれた通帳を見ると、豪華な旅行に出かけてしまったり、投資をしてしまったりして、病気や介護が必要なときにお金がない、という話をよく聞きます。定年後にまつわる“勘違い”をなくして、“定年前”の今から夫婦で準備をすれば、安心した生活を送ることができますよ」そう語るのは経済コラムニストで、著書に『定年前、しなくていい5つのこと「定年の常識」にダマされるな!』(光文社)がある大江英樹さん。大江さんは、自身が大手証券会社に定年まで勤務した経験をもとに、資産運用やライフプランニングに関する講演や執筆活動を行っている。大江さんが挙げる“定年後の勘違い”が次の「定年後」のマネープランチェックリストだ。【「定年後」のマネープランチェックリスト】出典/『資産寿命 人生100年時代の「お金の長寿術」』(朝日新聞出版)□ 夫の定年後は、世界一周旅行にでも行きたい□ 毎月家計の赤字が出ても、退職金から補てんしよう□ 退職金を元手に投資デビューを考えている□ 退職金は、銀行の「退職金運用プラン」に預けよう□ 退職金を元手に夫婦で店を始めようと思っている□ ローンの残りはとりあえず退職金で完済しよう□ 孫のためには出し惜しみせずお金を使うつもりだ□ お金のかかる趣味も退職金を充てて楽しもう当てはまる項目が多い人は、いったん老後のプランを考え直したほうがいいという。大きな勘違いさえ避ければ、定年後は過度に悲観的になる必要はないと大江さんは話す。老後の不安をあおる話の誤解を解いていこう。’19年6月に「老後は2,000万円の預貯金が必要」という数字が話題になったのは記憶に新しい。「数字は総務省の家計調査がもとになっていて、『高齢夫婦無職世帯』の毎月の赤字額が約5万円、年金で生活する期間が30年だとすると約2,000万円が不足、という話が出ました。しかし、老後に不足する金額は受け取る年金額や生活する環境によって異なります。また、この試算は、貯蓄額が2,500万円ある、という前提。つまり2,000万円足りないのではなく、2,500万円も貯蓄を持っているからこういう生活をしているということなのです」(大江さん・以下同)その年金についても「年金は破綻する」といった話題が尽きない。「年金は現役世代がお金を出して一定の年齢以上の高齢者を支えるという仕組みで、“貯蓄”ではなく“保険”です。現役世代の人の年金保険料で、一定以上の人を養うようにします。極端にいうと、現役世代の人がひとりもいなくならない限り、年金が消滅することはありません。『少子高齢化が進むと保険料を支払う人が少なくなり、受け取る人が多くなるため破綻するのではないか?』と言う人もいますが、これも間違い。幅広い世代で年金を負担しようと、国民年金の半分は税金でまかなわれています。しかも、年金の財政が悪化するのを防ぐために制度改正を行い、苦しくなったときに備えて『年金積立金』が200兆円近くあるので、年金不安をあおる話に惑わされる必要はありません」老後の準備は、毎月誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」で、退職した後に1カ月どれだけの収入があるか、確認することが基本。「『人生100年というけれど自分はそんなに長生きしない』と思っている人も多いのですが、これも大きな勘違いです。50%の人が生存している年齢をいう『寿命中位数』というデータがあり、今の50歳の男女が現在平均年齢に到達するころ、50%の人が生存している年齢は、なんと男性は90.3歳、女性は97.3歳にもなります。想像以上の長生きに備えてライフプランを設計する必要があります」また「定年後は10万時間ある」と言われているが、それは現在の平均寿命から割り出した考えで、将来的にはその1.5倍もあるという。老後を快適に過ごすためにも、定年後のプランをしっかりとイメージしておこう。大江さんによれば、“定年前”の準備は定年のタイミングの5年前には着手しておくことが、快適な老後につながるという。「女性自身」2021年3月9日号 掲載
2021年03月03日老後資金の準備を行うための制度・iDeCoでの資産形成は、原則途中でやめることができません。これまで積み立てたお金を一時金として引き出したい場合、例外的に認められることもありますが、その条件は厳しいものとなっています。ただ、家計状況の変化に合わせて、毎月の掛金を減らしたり入金を停止したりすることは可能です。iDeCoの解約や掛金の見直しをする際のポイントについてご紹介します。iDeCo(イデコ)を解約するための条件は?iDeCoは60歳以降、受給年齢になるまではお金を引き出すことができません。老後資金を準備するために税制優遇措置が取られている制度であるため、自由に引き出しができない仕組みになっています。ただ、加入者に万が一のことがあった場合や一部条件に当てはまる場合のみ、一時金としてこれまで積み立ててきたお金を受け取ることができます。やむを得ない場合のみ解約できるiDeCoを解約し、積み立てていたお金を受け取るための条件は次の通りです。加入者の状態受給できるお金受給できる人亡くなった死亡一時金遺族高度障害者になった障害一時金または障害年金加入者一定条件を満たした(※条件は後述)脱退一時金加入者これまで積み立ててきたお金を受け取れるのは、加入者にやむを得ない事情が発生した場合のみとなっています。加入者が他界した場合は解約扱いとなり、死亡一時金が遺族に支払われます。一方、加入者本人が受け取れるお金には、障害給付金と脱退一時金の2種類があります。障害給付金とは、iDeCo加入者が病気や怪我などにより障害を負った場合に、障害給付金を一時金または年金として受け取ることができるものです。そして脱退一時金とは、次の項目でご紹介する条件すべてに当てはまる場合に受け取ることができます。脱退一時金を受け取れる条件とはiDeCo加入者が脱退一時金を受け取るための条件には、どのようなものがあるのでしょうか。個人型確定拠出年金iDeCoの公式ホームページには、次の5項目が挙げられています。これらすべての条件を満たすと、脱退一時金を受け取ることができます。1.国民年金の第1号被保険者のうち、国民年金保険料の全額免除又は一部免除、もしくは納付猶予を受けている方2.確定拠出年金の障害給付金の受給権者ではないこと3.通算拠出期間が3年以下、又は個人別管理資産が25万円以下であること4.最後に企業型確定拠出年金又は個人型拠出年金(iDeCo)の加入者の資格を喪失した日から2年以内であること5.企業型確定拠出年金の資格喪失時に脱退一時金を受給していないこと※1.の要件は、日本国の国民年金保険料の免除を受けていることが必要であり、外国籍の方が帰国後に国民年金の加入資格がなくなった場合は、これに該当しません。それぞれの項目について、もう少し噛み砕いて解説します。条件①国民年金の第1号被保険者で保険料免除・猶予を受けている方国民年金の第1号被保険者とは、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方のうち、自営業者、農業・漁業者、学生、無職の方、そしてこれらの方々の配偶者を指します。これらに該当し、国民年金保険料の支払いを免除または猶予されている方がこの条件に該当します。条件②障害給付金を受け取る権利を保有していない方受給権者とは、給付を受ける権利を保有している方のことを指します。確定拠出年金の障害給付金を受給できる権利を持っていない方がこの条件に該当します。条件③掛金の支払いが通算3年以下、またはiDeCoの資産合計が25万円以下の方iDeCoの掛金を支払っている期間が通算で3年以下の方、または加入者が積み立てた資産の合計金額が25万円以下の方がこの条件に該当します。条件④企業型または個人型確定拠出年金の加入者資格を喪失後2年以内の方勤務先で加入していた企業型確定拠出年金、または自分で加入した個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者資格を喪失した日から2年以内であれば、この条件に該当します。条件⑤退職・転職した際、企業型確定拠出年金から脱退一時金を受け取っていない方60歳になる前に企業を退職したり転職したりすると、企業型確定拠出年金の加入者資格を喪失します。その際、脱退一時金を受け取っていない方がこの条件に該当します。2022年5月以降は脱退一時金の受給条件が緩和される方針ご紹介した5つの条件すべてに当てはまらないといけない、というのは少し厳しく感じるかもしれません。ただ、iDeCoは加入者にとってより利用しやすいものとなるよう、条件の見直しが適宜行われています。たとえば2022年5月以降、脱退一時金の受給条件が新たに加わることが決まっています。国民年金の被保険者に該当しない方で掛金支払い期間が通算して短い方、iDeCoの積み立て資産額が少額の方など、要件が追加される予定です。iDeCo(イデコ)の掛金が支払えない場合の手続きは?将来に備えるべくiDeCoに加入したものの、時が経つにつれ家計状況が変わり、毎月の掛金を支払うことが難しくなってしまったという方もいらっしゃるかもしれません。掛金の捻出が厳しいからという理由でiDeCoの解約を検討している場合、解約以外の方法で運用を続けることが可能です。脱退一時金の受給条件に該当しない方も多くいらっしゃると思いますので、次にご紹介する2つの方法を検討してみましょう。[adsense_middle]方法①iDeCoの掛金支払いを減額する現在の掛金から1,000円単位で減額することが可能です。毎月の最低掛金額は5,000円となっています。月5,000円であれば続けられる、という方は減額の手続きをとりましょう。ただし、この手続きができるのは年1回だけですので注意が必要です。iDeCoに加入した金融機関に必要書類を提出することで、掛金の減額を指示することができます。その後、掛金を増額したい場合は加入した金融機関にて再度手続きを行います。方法②iDeCoの掛金支払いを停止して資産運用のみ続ける月々5,000円の積み立ても難しいという場合は、積み立てを停止するという方法もあります。毎月の積み立てはストップしますが、これまで積み立ててきた資産の運用は継続します。手続きは加入先の金融機関にて書類を提出します。掛金の引き落としが停止になった後は運用指示者となり、積み立て資産の運用を引き続き行うことができます。その手数料として毎月66円がかかります。停止後は所得税の税制優遇を受けることができません。また、積み立てを再開する場合にはもう一度加入手続きを行う必要があります。減額に比べてiDeCoの制度を利用するメリット自体が失われることにもなりますので、停止の手続きをする前によく検討してみましょう。家計を見直すことで掛金分を捻出できることもiDeCoの解約、減額や停止を考える際には、家計の見直しもセットで行うことをおすすめします。短期的にiDeCoの良さを感じられないとしても、数十年先を視野に入れたライフプランを立ててみると、老後資金をコツコツ準備していく必要性が実感できると思います。特にiDeCoは毎月自動でお金を積み立ててくれるのはもちろん、所得税や住民税の税制優遇を受けられたり、運用益が全額非課税になったりするという利点があります。そして何よりも、資産運用は時間をかけられた分だけ利益を得られる可能性も高まります。日々のお金の使い方を少し見直してみることで掛金分を捻出できるかもしれません。たとえば下記のポイントをチェックしてみましょう。あまり利用していないサブスクリプション(定期購読・年間利用)はありませんか?携帯電話の基本料金や格安スマホへの乗り換えを検討できませんか?光熱費を見直せませんか?(使い方、他のサービス提供者への乗り換えの検討など)なんとなく銀行の普通預金・定期預金に預けたままになっているお金はありませんか?iDeCo(イデコ)を解約したいと思ったらiDeCoを途中でやめたいと思ったときには、まず掛金の減額や停止を検討しましょう。原則としてiDeCoは解約できない制度となっており、たとえ掛金の支払いを停止しても積み立て資産の運用は続きます。加入者が死亡した場合や障害を負った場合、条件に該当する場合は脱退一時金もしくは年金として受け取れることもありますが、レアなケースと言えます。じっくり老後の資金準備をすることは、安心して年齢を重ねるためにはとても大切なことです。iDeCoをなんらかの形で継続・活用できないか、ということをまずは考えていただけたらと思います。
2021年01月18日これからの時代の資産形成のキーワード「WPP」を知っているだろうか?WPPとは、第一生命・谷内陽一さんや日本の社会保障政策の第一人者である慶應義塾大学の権丈善一教授が提唱する、老後資金をまかなうための考え方だ。「Wは、Working longerの頭文字で、できるだけ長く働くことです。一つ目のPはPublic pensionで公的年金のこと。二つ目のPはPrivate pensionで個人年金・自助努力を指し、iDecoや退職金、個人による預貯金や投資などが該当します」そう語るのは、FPで夫婦問題コンサルタントの寺門美和子さん。貯金や投資も大事だが、人生100年時代の老後資金を考える際に重要になる考え方が「WPP」だという。「『老後2,000万円不足する』という話がありますが、WPPの考え方では、できる限り長く働き、個人年金(貯金など)で中継ぎし、年金を繰り下げ受給(受給額を増加させ)します。それにより、自分で準備しなければならない“老後資金”の額をより現実的なものにするのです」そこで寺門さんに、令和流・老後資金の考え方を教えてもらった。【1】60歳で退職は古い令和はWorking longer:長く働く「投資もいいですが、働くことは最も単純にお金を増やす手段です。極端に言えば、死ぬまでずっとバリバリ働いていられるなら老後資金はいらないのです。そもそも60歳で退職したとして、残りの人生は何年あるでしょうか?厚生労働省発表の令和元年簡易生命表によると、男性が最も多く亡くなった年齢は88歳、女性は92歳。つまり定年後、男性の場合28年、女性の場合32年間生きることになります。60歳から88歳は一瞬だと感じるかもしれないですが、28年は28年。20歳から48歳までの人生を想像してみてください。その期間一切働かないのでは、お金に困りそう、というのはなんとなく思うところではないでしょうか?」事実、寿命の伸びと共に、定年退職の年齢は上昇している。「サザエさんの波平さんは、54歳の設定ですが、その当時(昭和40年代)の定年は55歳で男性の平均寿命は約65歳でした。つまり余命11年でも、まだ働いていたのです」現在の定年は雇用継続期間を含めても65歳だが、それが今後引き上げられるとしてもおかしくない。事実’21年4月からは、70歳までの就業機会確保を企業の努力義務とする「70歳就業確保法」が施行される。仮に働きたくなかったとしても、今後はできる限り長く働くことが社会のスタンダードになっていきそうだ。【2】公的な終身保険を増額して受け取る Public pension:公的年金長く働くことで、年金の受給開始を遅らせることもWPPの重要な考えだ。「公的年金には“繰下げ支給”制度があり、通常65歳の支給開始時期を先延ばすことで、受給金額を終身で増やすことができます」増加額は毎月0.7%。現在の繰り下げは70歳までで最大42%増だが、2022年4月からは、75歳まで繰下げ可能となり最大84%の増額となる。令和2年の国民年金(老齢基礎年金(満額))78万1,692円を基準とすると、70歳まで繰り下げれば受取額は年111万3円となり、75歳までくり下げれば143万8,313円となる。ただし、75歳まで繰下げをした場合、収入が増えることによる社会保険料の負担が増えることもあるため、その点には注意が必要だ。「早く死んでしまったら損をする、と感じた人は、困窮しながら長生きするのとどちらが良いかを考えてみてほしいです」また、少なくとも今の中高年は年金をもらえないということはないと寺門先生。ねんきん定期便は必ず開封し、見込額を確認したい。【3】お金に余裕を持ちたいなら必須 Private pension:個人での貯蓄・投資などの備え年金の受給を先延ばしにするために活用したり、年金では不足する額を埋めるのが個人年金・自助努力だ。寺門さんは、厚生年金のない個人事業主の方は特にしっかり考えて欲しいと語る。「貯蓄で足りない場合、節税メリットもあるiDeco(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAなどをぜひ活用してください」iDecoは掛け金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税、受け取り時も一定金額まで課税されない。つみたてNISAは運用益が非課税となる。「投資は怖い、というイメージを持つ方が多いですが、金融庁が作成した資料「つみたてNISAについて」によると《国民が安定的な資産形成を行うためには、長期の積立・分散投資が有効》であるとされており、つみたてNISAは国のお墨付き資産運用制度なんです」同資料によると、国内外の株式・債券に分散投資した場合の収益率について、保有期間5年の場合の投資収益率(年)はマイナス8%から12%の間でばらつくが、保有期間20年の場合は、投資収益率2~8%(年)に収斂されるという。また、分散投資を行うことである金融商品が値下がりした場合でも、他の金融商品の値上がりによりカバーされる可能性が上がりリスク減につながるのだ。「3つの柱で構成されるWPPですが、どれか1本あれば安泰というものではありません。一つ一つが細くても本数があることでカバーされるものと考えていただきたいです」令和の老後を不安なく過ごすには、貯蓄だけでなく、長く働ける体づくりや公私年金の受給や投資テクニックなども大切なのだ。
2020年12月31日子どもの教育費が終わりに差し掛かると、急に不安になる老後資金。「2,000万円不足」だとか「2,000万円では足りない」とか不安が募るばかりだが、いずれにしても、退職金が頼みの綱という人が多いだろう。「少しでも多く」と望んでも、コロナ禍のいま、日本は景気低迷のどん底だ。退職金が削られることはあっても、増えることなどないのでは……。「退職金はちょっとした工夫で、手取りを増やすことができます」と言うのは、シニアマネーコンサルタントとしても活躍する税理士の板倉京さん。「退職金を一括で受け取った場合には、『退職所得控除』という大きな非課税枠が設定されています。これを最大限活用することで、退職金の手取りが変わってくるのです」ちょっとした工夫とは、ズバリ受取り日だ。「大きな非課税枠である退職所得控除は、勤続年数によって決まります。勤続20年以下の方なら、退職所得控除は40万円×勤続年数。勤続20年超なら、40万円×20年+70万円×(勤続年数-20年)が非課税となるのです。退職金にかかる税金は、退職金から退職所得控除分を差し引き、さらに2分の1をかけた額に、税率をかけて算出します。つまり、退職所得控除を増やすことができれば、退職金から差し引くことのできる非課税枠が増えて、納税額が減るということです」退職所得控除を増やせばいい、と言うのは理解できたが、どうやって増やすのかが問題だ。「実はもうひとつ、ポイントがあるんです。それは勤続年数の数え方なのですが、『端数切り上げ』なんですよ。たとえば4月1日に入社した方が、翌年の3月31日に退職すると勤続年数は『1年』ですが、4月1日に退職すると『まる1年と1日』ですから、端数を切り上げて『2年』とカウントされるのです」20年以上勤めた方が、勤続年数を1年増やすと、非課税枠が70万円増える。これで納税額を計算すると、退職金の額に応じて変わる所得税率にもよるが、約5万~20万円納税額が減る。ということは、手取りが増えるというわけだ。「会社の規定で、退職日が決まっている場合は仕方ありませんが、自分の都合で退職日を選べる会社も少なくありません。特に、中途退職の方などには自由度が大きいと思います。入社日を確認して、勤続年数を増やすように退職日を設定するだけで、退職金の手取りが増えますから、ぜひ覚えていてください」板倉さんが上梓した「知らないと大損する!定年前後のお金の正解――会社も役所も教えてくれない手取りを増やす45のコツ」(ダイヤモンド社刊)には、ほかにも、目からウロコのお金を増やすコツが登場する。これらを実践して、豊かな老後のためにせっせと蓄えよう。
2020年12月24日「老後資金をどう作ろうか」とお悩みの人も多いだろう。会社員なら、公的年金と退職金が老後資金の中心になるだろう。そんな退職金は、会社を辞めるとドンと手に入る。人は大金を持つと、気が大きくなって使いたくなるものだが、定年後の人生はおおよそ30年。もらってすぐ派手に使うのはNGだ。「ムダ遣いしないように、小分けして支給して」と考え、年金型での受取りを選ぶ人もいるかもしれない。「退職金の受け取り方は、よく考えて!」と、税理士の板倉京さんは助言する。「退職金には『退職所得控除』という大きな非課税枠がありますから、これを最大限活用するのがお勧めです」退職所得控除は、勤続年数で決まる。勤続20年以下の方の退職所得控除は40万円×勤続年数。勤続20年超なら、40万円×20年+70万円×(勤続年数-20年)。「退職所得国所を最大限活用するなら、退職金は、年金型より一時金で受け取るほうがよいでしょう。そのほうがお得になる方が多いと思います」たとえば22歳で入社、38年勤めあげ、60歳で退職するAさんを例に考えよう。「Aさんは勤続38年ですから、退職所得控除として2,060万円もの非課税枠があります。これを活用するのです」非課税枠が2,060万円ということは、そもそも退職金が2,060万円以下なら、税金は不要だ。たとえ2,060万円を超えていても、退職金から非課税枠である2,060万円を差し引いた額の2分の1に税率をかけて納税額を算出するので、税額はかなり抑えられる。「逆に、年金型で受け取った場合は、退職所得控除は使えません。1年間の退職金の受取額と公的年金を合わせた額から『公的年金等控除』を差し引き、税額を計算することになります。公的年金等控除は、退職所得控除と比べると額が少なめなので、納税額が多くなってしまう傾向があるのです。さらに、年金型で受け取る退職金は、公的年金と合わせて『収入』とみなされ、この収入を元に、社会保険料が計算されます。退職金が上積みされている分、収入が増え、社会保険料も高くなりがち。さらに、収入が高いと、高齢の低所得世帯への優遇措置などを受けられないこともあります」会社に預けておくと、比較的高利回りで運用してくれるという好条件があっても、退職所得控除を最大限活用できる一時金で受け取ったほうが、メリットが大きいのだ。板倉さんは「知らないと大損する!定年前後のお金の正解――会社も役所も教えてくれない手取りを増やす45のコツ」(ダイヤモンド社刊)を上梓。お得ワザを知って、老後資金をがっちり貯めよう。
2020年12月24日「コロナ禍以降、経済の先行きが不透明になり、会社員でも雇用や収入に不安を抱く方が増えています。こうした状況では老後の資金確保にも焦りを感じやすいものですが、目先の利益に飛びつくと失敗を招いてしまいます」こう話すのは、お金にまつわるセミナー開催やコンサルティングを請け負う「ぜにわらい協会」会長の吹田朝子さん。吹田さん自身も、これまで3,300件以上の相談を受け、さまざまな家庭のお金の使い道を設計してきた。「お金に振り回されやすい人は、老後のお金でも失敗しがち。一度ご自身のお金にまつわる考え方をチェックしてみましょう」老後資金にまつわる代表的な不安といえばまっさきに浮かぶのが「老後2,000万円問題」。’19年、金融庁が公表した報告書の中で、夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯で、今後20〜30年生きるとした場合、年金を受給しても約1,300万〜2,000万円が不足すると報告され、議論を呼んだ。吹田さんは、こう指摘する。「誤解されている方が多いのですが、この数字はあくまで統計上の平均値であって、必ずしもすべての家庭に当てはまるわけではありません。家族構成や家庭の事情によって、必要な老後資金は変わってきます」特にリタイア後の生活資金は家庭によって大きな差が出る。都市部か地方なのか、旅行などのレジャーに積極的に出かけたいのか、家庭菜園を楽しみながら自宅中心の生活を送りたいのか、それだけでも違うのは明らかだ。「ですから、2,000万円と聞いて慌てて貯金に走る前に、老後にどんな生活を送りたいのか、そのためには毎月どれくらい生活費が必要なのかをあらかじめ夫婦で話し合い、具体的にイメージしておくことが大切です。金額だけを目標にしてしまうと、途中で挫折したり、節約のストレスから浪費がふくらみがち。『こんな生活を送りたい』という目的をはっきりさせましょう」必要な金額がイメージできれば、根拠のない不安から焦ることも少なくなる。老後資金についても、家計と同様に見える化して考えよう。特に資金を「守りのお金=年金・保険」と「攻めのお金=投資・運用」の2つに分けると、具体的に何をすべきか見えてくる。その結果、不安が減り、失敗が少なくなるのだ。「50歳以上なら、毎年誕生月に送られてくる『ねんきん定期便』で、将来受け取る年金の見込額を確認できます。その金額さえわかれば、夫婦でイメージしている老後の暮らしを送る場合、毎月の不足分がいくらになるのか、おおよそ予測できるでしょう。不足額がわかれば、投資計画が立てやすくなります。不足分を補うには、どんな金融商品が適しているか、毎月いくらを何年間ほど積み立てればいいのかといったことも見えてくるはずです。そうすれば、焦ってリスクの高い金融商品に投資したり、あやしい投資話に引っかかったりする可能性はぐっと低くなります」(吹田さん)投資と聞くと「難しそう」「損をするんじゃないか」と苦手意識を抱く人も多いが、失敗する理由がわかれば、怖がる必要はない。投資・運用のアナリスト、石川紀子さんと、多くの顧客の資産形成に携わる丸山哲也さんの2人が“攻めのお金” の攻略法を伝授。「投資の失敗でありがちなのは、資金が貯まってから一気に始めようというケース。実践経験がゼロの状態で大金をつぎ込むことになるので、大失敗につながります。投資を始める際は、目安として生活費の半年分程度の貯金があれば大丈夫。まずは少額の投資から始めて、少しずつ勉強していきましょう。毎日、株価をチェックするだけでも、どんなときに値動きがあるのか、徐々にわかるようになってきます」(石川さん)さらに丸山さんは、最初は少額でも長く続けることの重要性を力説する。「投資には、複利効果があります。たとえば投資信託で一定額を積み立てていくと、収益が発生します。この収益を元本に組み込み、同じことを繰り返していくと、その額は雪だるま式に大きくなっていく。これが複利効果です。最初は小さくても、長く続けるほど大きくなるので、早めに始めたほうが大きな成果が出やすいのです」老後資金対策として、初心者にも始めやすい投資の代表が「つみたてNISA」と「iDeCo(個人型確定拠出年金)」だ。つみたてNISAは、年間40万円の積立額を上限として、最長で20年間、得られた利益が非課税となる。そのメリットを最大限生かすため、20年間、換金しないことを前提に運用しよう。「商品は、信託報酬が低めのインデックスファンドがおすすめ。過去3年以上の運用実績があり、100億円以上の資産残高があるものを選びたいですね。信託報酬とは、管理・運用のために証券会社に継続して支払う手数料のこと。信託報酬が2%前後と高報酬の商品は、利益が出ても相殺され、元金が増えないケースもあるので注意して」(石川さん)iDeCoの場合は運用の利益が非課税になるだけでなく、掛け金の全額が所得控除の対象となり、所得税と住民税が軽減される。ただし60歳まで引き出せないので、無理のない金額で投資しよう。商品は、日本株、世界株、世界債券、REIT、ゴールドなど4〜8種類に分散させて。「積み立ては自動的に行われますが、定期的に途中経過をチェックするようにしましょう。一時的な増減で一喜一憂せず、なぜ上がったのか、下がったのかを運用報告書やネットの情報を調べるなどチェックして。将来性に疑問を感じたなら、ほかの商品への乗り換えも検討すべきです」(丸山さん)いざ老後生活に突入すれば、準備してきた資金を引き出すときがやってくる。間違っても、運用中の口座を一気に解約しないように気をつけたい。「所得控除が受けられるなど、税制上のメリットのある口座から解約を。投資の利益が元金に対して50%以上出ているときは、全体の3分の1程度の金額を取り崩し、その後も運用を続けましょう。たとえば、100万円を元金として50万円の利益が出ている場合は、利益分の50万円だけ取り崩します。利益がそこまで出ていない場合は、そのまま運用を続けたいので、銀行の預貯金口座から引き出していきます」(石川さん)複数の銀行口座、証券口座を持っている場合は、万が一のときに整理しやすいよう、使い勝手のいい口座5つ程度を目安に、徐々に絞っていこう。数字を見える化して分析できれば、投資・運用だって怖くない!「女性自身」2020年11月10日号 掲載
2020年11月19日年を取ってくると“いまさら人に聞けない”話が増えてくるものですが、ことお金にまつわる話題は特にそうなりがち。でも、老後のお金の話こそ“知ったかぶり”は厳禁ですーー!「コロナ禍以降、経済の先行きが不透明になり、会社員でも雇用や収入に不安を抱く方が増えています。こうした状況では老後の資金確保にも焦りを感じやすいものですが、目先の利益に飛びつくと失敗を招いてしまいます」こう話すのは、お金にまつわるセミナー開催やコンサルティングを請け負う「ぜにわらい協会」会長の吹田朝子さん。吹田さん自身も、これまで3,300件以上の相談を受け、さまざまな家庭のお金の使い道を設計してきた。「お金に振り回されやすい人は、老後のお金でも失敗しがち。一度ご自身のお金にまつわる考え方をチェックしてみましょう」次のチェックリストで、該当する項目が5個以上ある人は、「老後資金」を間違える可能性大!□ 安物買いを後悔することが多い□ 元が取れないと悔しく感じる□ あのとき、投資をしていれば……とよく思う□ 結婚相手に望むのは高年収と安定□ 家を買うならマンションより一軒家□ 他人の貯蓄額が気になる□ 子どもは私立に行ったら、その分一生懸命に勉強してほしい□ 週3日で月収20万円ならけっこういいと思う□ 働くなら福利厚生を重視する□ 老後は年金だけでは不安だ老後資金については、家計と同様に見える化して考えよう。特に資金を「守りのお金=年金・保険」と「攻めのお金=投資・運用」の2つに分けると、具体的に何をすべきか見えてくる。その結果、不安が減り、失敗が少なくなるのだ。「50歳以上なら、毎年誕生月に送られてくる『ねんきん定期便』で、将来受け取る年金の見込額を確認できます。その金額さえわかれば、夫婦でイメージしている老後の暮らしを送る場合、毎月の不足分がいくらになるのか、おおよそ予測できるでしょう。不足額がわかれば、投資計画が立てやすくなります。不足分を補うには、どんな金融商品が適しているか、毎月いくらを何年間ほど積み立てればいいのかといったことも見えてくるはずです。そうすれば、焦ってリスクの高い金融商品に投資したり、あやしい投資話に引っかかったりする可能性はぐっと低くなります」(吹田さん)吹田さんは、“攻めのお金”のオプションとして、“ライフワーク副業”を提案する。「ライフワーク副業とは、ご自身の趣味や得意分野を生かして、老後もライフワークとして続けられるような副業のこと。たとえば、長年ペットを飼育してきた方ならペットシッター、話を聞くのが得意な方ならカウンセラーなど。無理のない範囲で長く続けることが大事です。80歳程度まで、夫婦で月3万円でも稼げれば、老後の資金計画はかなり改善します」老後も年金に加えて月3万円の副業収入がある場合と、年金しか収入がない場合では、どの程度、収支に差が出るのか。吹田さんが次の条件で試算した。■65歳時の貯蓄額が1,800万円(住宅ローンなどはゼロ)■年金収入が夫婦で月額20万円(年間240万円)■年間生活費が65〜69歳まで300万円、70歳以降270万円(食費や医療費・健康管理費は年1%程度の上昇を見込む)「年金だけで生活する場合、100歳になる前に貯蓄残高が赤字に。病気や事故など不測の出費があれば、もっと早く貯金が尽きてしまいます。いっぽう、月3万円の副収入がある場合、80歳までは貯蓄残高をほぼ取り崩さずに生活でき、100歳まで生きたとしても約400万円貯蓄が残せる計算です」投資でお金を増やしつつ、早いうちに副業を始めて慣れていけば、メインの収入が年金に変わっても、大きく生活を変えずに100年人生を送れる。大病をすると大きな出費となるので、健康に気を使って生活していきたい。「これからの時代は常識が変わる可能性もあり、先入観にとらわれない柔軟な考え方が重要になります」「女性自身」2020年11月10日号 掲載
2020年11月18日「コロナ禍以降、経済の先行きが不透明になり、会社員でも雇用や収入に不安を抱く方が増えています。こうした状況では老後の資金確保にも焦りを感じやすいものですが、目先の利益に飛びつくと失敗を招いてしまいます」こう話すのは、お金にまつわるセミナー開催やコンサルティングを請け負う「ぜにわらい協会」会長の吹田朝子さん。吹田さん自身も、これまで3,300件以上の相談を受け、さまざまな家庭のお金の使い道を設計してきた。「お金に振り回されやすい人は、老後のお金でも失敗しがち。一度ご自身のお金にまつわる考え方をチェックしてみましょう」老後資金にまつわる代表的な不安といえばまっさきに浮かぶのが「老後2,000万円問題」。’19年、金融庁が公表した報告書の中で、夫65歳、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯で、今後20〜30年生きるとした場合、年金を受給しても約1,300万〜2,000万円が不足すると報告され、議論を呼んだ。吹田さんは、こう指摘する。「誤解されている方が多いのですが、この数字はあくまで統計上の平均値であって、必ずしもすべての家庭に当てはまるわけではありません。家族構成や家庭の事情によって、必要な老後資金は変わってきます」特にリタイア後の生活資金は家庭によって大きな差が出る。都市部か地方なのか、旅行などのレジャーに積極的に出かけたいのか、家庭菜園を楽しみながら自宅中心の生活を送りたいのか、それだけでも違うのは明らかだ。「ですから、2,000万円と聞いて慌てて貯金に走る前に、老後にどんな生活を送りたいのか、そのためには毎月どれくらい生活費が必要なのかをあらかじめ夫婦で話し合い、具体的にイメージしておくことが大切です。金額だけを目標にしてしまうと、途中で挫折したり、節約のストレスから浪費がふくらみがち。『こんな生活を送りたい』という目的をはっきりさせましょう」(吹田さん)必要な金額がイメージできれば、根拠のない不安から焦ることも少なくなる。逆に『足りないかも』と潜在的な焦りがあると“おいしい話”に引っかかりやすい。多くの顧客の資産形成に携わる丸山哲也さんは、こう警鐘を鳴らす。「老後資金の用意が間に合わないかもと、焦りから一気に投資に手を染める人が後を絶ちません。特に相続などでまとまったお金が手に入って、気が大きくなっているようなときは気をつけて。予備知識がないまま投資セミナーに参加し、営業マンにすすめられる商品にそのまま投資してしまうケースが少なくありません」特に不動産投資にはリスクがつきもの。賃貸物件として貸し出しても、空室が続いて賃料収入が途絶えたり、環境が変わって不動産価値が急落することもある。手放したくても売却先が見つからず、赤字に転落というシナリオも。「会社員の場合、ローンが組みやすく、契約のハードルが比較的低いことも引っかかりやすい理由の1つ。預貯金の半分ほどが一気に出ていく高額な金融商品は、失敗したときのリスクが大きいので慎重になるべきです」(丸山さん)ほかにも丸山さんは“あやしい投資話”にはいくつかの共通した傾向があると続ける。「仮想通貨や自然エネルギーなど話題のテーマを絡めた投資話や著名人とのつながりをアピールするもの、金融機関以外が元本保証や極端な高金利をうたったものなどは要注意。また、配当金にかかる所得税など、税制上の扱いについて質問をしても、すぐに返事がないものは疑うべき。20〜30代までと違って、50代以降の損失は取り返しがつかないと心得ましょう」投資初心者は、まずは少額から、信頼できる金融商品に長期的に投資するつもりで始めましょう。いっぽうで、毎月の家計からコツコツと老後資金を積み立てるのも忘れずに。投資ができるのも、地道な貯金があってこそだ。そこで吹田さんが提案するのが、「住まい費:生活費:将来準備費=3:4:3」の黄金比率。「貯金を増やそうと無理に生活費を切り詰めたり、コスパ重視の節約法に夢中になったりするとストレスがたまって挫折しがち。家計支出を住まい費、生活費、将来準備費の3つに分けたときに、その比率が3:4:3になるようバランスを調整すると、生活を楽しむ余裕が生まれ、安定して貯金を続けられます」住まい費とは、住居費、車費、水道光熱費。生活費は、食費などの日常生活費、通信費、レジャーや被服費、小遣いなど。最後の将来準備費に、貯蓄と投資、保険料、子どもや自分への教育費といったものが含まれる。「住まい費がふくらむとほかの2つにしわ寄せが行くので、バランスに注意しましょう。コロナ禍以降、リモートワークにより出勤の回数が減った家庭は、家賃の安い郊外への住み替えを検討してもいいかもしれません」(吹田さん)「女性自身」2020年11月10日号 掲載
2020年11月18日2,000万円必要といわれる“老後のお金”問題を解決するために、資産の切り札である「持ち家」を活用する手段を紹介。“老後の理想の暮らし”を思い描きながら、持ち家の活用術について考えてみようーー。「年をとったら家をバリアフリーにリフォームしたい」「将来は高齢者住宅に住み替えたい」などと、セカンドライフの希望はたくさんあるが、ネックとなるのが“お金”。特にコロナ禍の今、収入が減少して老後の資金計画が狂ったという人も少なくない。「定年後、主な収入源は公的年金のみとなってしまいます。手元資金を使ってリフォームや建て替え、住み替えをするとその後の生活に支障をきたしてしまうことがあります。また、保有している資産は主にマイホームだけ、という人は意外と多く、“持ち家”を活用してセカンドライフの希望をかなえる『リバースモーゲージ』という方法に注目が集まっています」そう語るのは、ファイナンシャルプランナーの菱田雅生さん。「リバースモーゲージ」とは、高齢者向けの貸付制度のひとつで、所有する自宅などを担保に金融機関などから融資を受けて、亡くなったときにその自宅を売却して一括返済する仕組み。【リバースモーゲージのしくみ】(1)金融機関・社会福祉協議会などに、利用者が自宅を担保として提供(2)金融機関・社会福祉協議会などから、利用者に融資(3)死亡後、担保を売却などで返済【リバースモーゲージが向いている人】・自宅をリフォームしたいが、資金がたりない・持ち家はあっても年金が少ない・高齢者住宅に引っ越したいが、資金が不足している・子どもがいない。または、家を継ぐ子どもがない【リバースモーゲージのメリット】・住宅や土地を担保にして、借り入れができる(ただし、資金用途は金融機関によって限定されていることが多い)・毎月の支払いは利息のみ。借入人が亡くなったら売却する・自宅を子どもに残す必要がない人は相続税対策になる【リバースモーゲージのデメリット】・相続人の同意が必要・建物、土地の価値が下落すると、融資限度額を見直されることがある・変動金利なので金利上昇リスクがある・長生きすると融資がたりなくなることがある持ち家を活用した、セカンドライフの夢のかなえ方を菱田さんに教えてもらった。【ケース】年金しか主な収入がないA子さん夫妻(60代後半)都内に住むA子さん夫妻(60代後半)は、子どもたちが巣立った後、夫と将来について考えていた。「収入は年金しかなく、貯金は介護が必要になったときのためにとっておきたい。問題なのは家で、子どもは独立したので継ぐ人がいない、バリアフリーにして住み続けるか、高齢者住宅に移り住むのかまだ決めていませんが、いずれにしても先立つもの“お金”が足りないので、どうしたらいいのか悩んでいます」(A子さん)リバースモーゲージはメガバンクなどの金融機関や社会福祉協議会といった公的機関でも融資を行っている。「金融機関のリバースモーゲージは銀行によって条件に差がありますが、年齢は主に55歳以上が融資の対象で、一括でまとまった金額を受け取れる一括融資方式、決められた金額内であればいつでも融資が受けられる随時融資方式などがあります。金利は変動金利で、毎月利息を返済する、融資する金額に利息を組み入れるコースがあります。また、お金の使い道は、趣味や旅行など自由に使えるものから、住み替えや家のバリアフリーの資金にも使えるものまで。一方、公的機関が扱うリバースモーゲージは65歳以上が対象で、毎月定額しか受け取ることができません。融資の対象となる不動産も一軒家に限定されることが多く、資金の使い道も生活費などに限られているので、セカンドライフを決めてから金融機関を比較することをおすすめします」(菱田さん)金融機関によっては、借入金の用途や担保となる不動産が、マンションは不可など、制限されていたり、保証人が必要となったりすることもある。さらに、いつまでも元気で長生きなのは喜ばしいが、借入額が融資限度額を上回ってしまい、追加融資を受けられないため、自宅を売却せざるをえないケースも出てくる。地価が下落して担保割れすると、途中で一括返済を求められるといったリスクもあるので、メリット・デメリットをよく確かめよう。「女性自身」2020年11月17日号 掲載
2020年11月11日「定年=老後」と考える時代はもう終わり。現代の60歳はまだ若く、少しだけ働きながら、好きなことに時間を費やせる最高の時期です。老後は80歳からでいい。月15万円で豊かに暮らす、60代夫婦のカタチを紹介ーー。■「5年前、養鶏場にカフェを併設。趣味だったコーヒーと、物々交換で手に入れた食材をメニューにして」齋藤博さん(66)、直子さん(65)養鶏業を営んでいる齋藤さん夫妻が、敷地内にカフェをオープンしたのは5年前。「これから先、だんだん体力が落ちていくことを考えると、養鶏だけじゃなく、ほかにも何かせなあかんな、と思ったのがきっかけでした」と、直子さん。カフェを併設するにあたり、養鶏業は縮小。現在は、150羽のニワトリを平飼い、ときどき放し飼いで育てている。飼料は健康を考えた自家配合で、卵は有精卵。直売所で販売するほか、近所にある牧場で物々交換したり、もちろんカフェでも使用している。そもそも、「安心して食べられるものをつくりたい」と、夫妻が大阪からここ、千葉いすみ市に移住したのは20代のころ。移住者の多いいすみ市でも先駆者的な存在で、今では土地の人と移住者をつなぐ存在だ。カフェは、そんな人々の憩いの場にもなっている。「以前からいろんな人が遊びに来ていたので、いっそカフェにしたらいいんじゃないか、と思ったのも理由のひとつでした。計画したのは15年前ですが、設計から施工まですべて自分でやったので、けっこう時間がかかってしまって。まだまだ“カフェごっこ”のような感じです」とは、博さん。じつはカフェだけでなく、自宅も鶏舎も「モノづくりが大好き」という博さんの自作なのだ。「素人ですから時間はかかりますが、着実に上達していて、次はこんなふうにしよう、と考えるのも楽しいですね。カフェも思い描いた感じの空間に仕上がりました。自作したり、もらったり、拾ったりといろいろですが、好きなものばかりが詰まっています」メニューも同様だ。コーヒー、ココア、チャイ、ハーブティー、ピザ、オムレツと、好きでこだわっているもの、得意なもの。そして、自宅でとれた卵や野菜、物々交換した乳製品をふんだんに使用し、安心して食べられるものを届けたい、という思いも生きている。気になる家計のことを博さんに尋ねてみた。「メインの収入は養鶏です。あとは、少しずつですがカフェの収入と年金。畑もやっていますし。トイレは循環させるなど工夫が必要ですが、そのぶん土地の賃料はリーズナブル。もともと生活費のためというより、やりたいことのために働いている感覚なので、月15万円もかからず楽しく暮らしています。そうそう、最近、楽しみがまたひとつ。日本みつばちが来てくれるようになったんです。来年あたり、ハチミツがとれるんじゃないかな、と期待しているんですよ」「女性自身」2020年11月10日号 掲載
2020年10月30日「定年=老後」と考える時代はもう終わり。現代の60歳はまだ若く、少しだけ働きながら、好きなことに時間を費やせる最高の時期です。老後は80歳からでいい。月15万円で豊かに暮らす、60代夫婦のカタチを紹介ーー。■「“週末のみの田舎暮らし”から始め、今は畑仕事をメインに生活。いずれは完全移住を予定しています」遠藤節夫さん(73)、みどりさん(69)「老後を漫然と暮らすのはイヤでしたし、いつかは農的な暮らしをしたい、というのが新婚当時からの夫婦共通の夢でした」そう話すのは、遠藤節夫さん。忙しい仕事の合間を縫って50代から土地探しをスタートし、“週末田舎暮らし”を始めたのが60代目前。10年前に自営業をたたんだのを機に、田舎での畑仕事がメインの暮らしにシフトした。「どんなに疲れていても土をいじるだけでリフレッシュできていましたから、今の暮らしが楽しみで仕方ありませんでした。とはいえ畑仕事は初めてで、最初はへっぴり腰を笑われましたが、失敗しては本や先達から学び、なんとか納得のいく作物ができるようになってきました。土も手をかければかけるほどよくなる。畑仕事の合間に果樹を育てたり、薪小屋をつくったり、とにかく毎日が発見です」畑を担当しているのが、節夫さん。その作物をどうおいしく調理し、ときに加工し、保存するかを考えるのが、妻のみどりさん。「育てた作物から、かんぴょうやこんにゃくづくりにも挑戦していますが、手前みそながら、これが本当においしくて。その手間をかけられるのも、この年代だからこそですよね。畑でとれる野菜も、土がよくなるにつれてどんどんおいしくなり、それをいただく私たちも元気になっていく。食の大切さを、今さらながら感じています。2人とも食いしん坊で、現役時代はストレスもあったのでしょう。節夫さんは体重が100キロもあったんです。病気にならないかとハラハラしていましたが、この暮らしを始めてから、ダイエットもしていないのに30キロ減って。これもいいごほうびですね」現在、生活費のメインは年金で、2人で15万円ほど。「畑からの収穫があるので、食費は最低限です。水は井戸水、暖房は太陽光を利用した床暖房と薪ストーブ。薪は近くの方からいただいた木材を利用しているので、光熱費もそれほどかかりません。限りある資源をどう有効活用するかを考えるのも楽しみのひとつですし、本当に必要なものしか買わなくなりました。」と、みどりさん。作物は少量多品目、コンポストで安全な肥料をつくり、果樹を植え、住まいは平屋の1LDK。「これが、必要十分。『ときを貯める』という言葉が好きで、土もそうですが、お金ではなく時間をかけることで豊かになることを実感しています」と、節夫さんは言う。朝の散歩と食事は夫婦一緒に、あとはお互いの自由時間。それぞれのときを、存分に楽しんでいる。「女性自身」2020年11月10日号 掲載
2020年10月30日お笑いコンビ・霜降り明星のせいやが16日、コンビの公式YouTubeチャンネル「しもふりチューブ」に公開された動画で、老後のビジョンについて語った。「老後のビジョンはある?子供は欲しい?60歳以降の夢が意外すぎる!!【霜降り明星】」と題して公開された動画で、せいやは「老後のビジョン」として、「芸人ももちろん頑張るっていうのは大前提。師匠になったり、劇場に出たりしたい」としたうえで、「大学の客員教授がしたい」と語った。せいやは「俺、大学めっちゃ好きやねん、大学に行ってたし。先生になろうと思ってん、もともと。教壇に立ってみたいねん。教壇に立って、今から何にでもなれる可能性のある人たちと歳とってから関わりたいのよ」と熱弁。「だから、どこかで本とか出したり、自分なりに論文を書いたり、客員教授になるためのステップを踏まなあかん」と、具体的なプランも明かした。そして、「おもろい大学の先生」になりたいと述べ、「おっさんになって大学の名物講師になるのが夢やな」と願望を口にした。
2020年10月17日住宅の購入の援助、孫の教育資金、孫一家を連れての旅行など思わぬ出費で老後資金が底を尽く。社会のひずみが生み出している側面もあるが「孫かわいさ」はほどほどにーー!「孫にお金を使っているうち、老後資金がいつの間にか消える『孫破産』という悲劇が増えていることをご存じでしょうか?」こう話すのは、老後資金の問題にくわしいファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん。孫で破産する?にわかに信じられないが、多くの祖父母世代に「孫破産」は忍び寄っていると、長尾さんは警告する。「第一生命経済研究所の『シニア夫婦世帯の別居家族との交流に関する調査』(’16年)によると、孫と一緒に旅行した場合、8割以上が祖父母が多く費用負担をしたという結果が出ています」この調査では、自分の老後資金について「家計にゆとりはなく、多少心配である」または「家計が苦しく、非常に心配である」と答えた人でも、75.8%の人が費用負担をしていると答えている。「6人分(祖父母、親夫婦、孫2人)の旅行費は、1回30万円以上。海外旅行だと100万円近くかかります。こんな使い方をしているうちに、老後資金と思って準備しておいたお金がドンドン減っていき『孫貧乏』になっているシニア世代が増えている。これがなにかのきっかけで『孫破産』へと転落してしまうのです」こうした「孫破産」を防ぐにはどうしたら、よいか?長尾さんは3つの提案をする。【1】見えを張らない「子ども夫婦の相手親と競うことはありません。自分の余裕資金の限度で付き合うべきです」【2】孫に使う限度額を設定「外食や旅行で年間30万円までなど、家計に『孫枠』を作っておけば使いすぎは防げます」【3】子どもや孫は介護してくれないと心得よ「老後、いま手元にある資金から、今後の生活費を除いた金額が余裕資金と考えがちですが、介護になったら、お金はいくらでも必要。そう考えると、孫に回せる資金はほとんどないと考えるべきです」孫と一緒にいるのは、生きがいにもつながる大切なこと。しかし生活が苦しくなるまで老後資金をつぎこむのは本末転倒。すべてはほどほどが無難のようだ。「女性自身」2020年10月27日号 掲載
2020年10月17日「孫にお金を使っているうち、老後資金がいつの間にか消える『孫破産』という悲劇が増えていることをご存じでしょうか?」こう話すのは、老後資金の問題にくわしいファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん。孫で破産する?にわかに信じられないが、具体的な例をもとに、長尾さんに解説してもらおう。■孫のために住宅支援贈与をしたばかりに、自宅売却!50代のAさん夫婦には2人の息子がいた。ともに独立、結婚し、孫も誕生。Aさん夫婦は毎月、どちらかの孫と週末を過ごす幸せな日々を送っていた。「先に長男が住宅の購入のため、お金の援助を求めてきました。いまは住宅取得資金贈与の特例で500万円までは非課税になります。長男の嫁の両親は、これを利用して500万円支援してくれるというのです。相手の親に対する見えもあり、Aさん夫婦も老後資金から500万円を長男夫婦に贈与せざるをえませんでした」すると、続けて次男から「実家の近所に住むから、これからは毎日、孫と会えるよ」と、住宅購入支援の話がくる。長男に500万円贈与したので、当然、次男からも同じ金額を期待され、老後を万全にと貯めていた虎の子の1,000万円が泡のように消えた。貯金が底をついたその矢先、新型コロナ不況が直撃。Aさんの仕事先が倒産。自宅のローンが払えなくなってしまったという。「長男、次男も自分たちの生活にきゅうきゅうとしていて、とても親を助けられる状況にはありません。やむなく、Aさんは自宅を手放すことになったのです」これが典型的な「孫破産」。新型コロナがなければこうした悲劇は起きなかったかもしれないが、そもそも孫かわいさから、老後資金を使ってしまわなければ、自宅を手放すこともなかったのだ。「アットホーム『住宅購入時の“親の資金贈与”実態調査』によると、親からの平均贈与額は平均564万円。親が同じ地域に住む場合は、さらに増えて平均642万円です。贈与額500〜600万円が全体の22.9%で、1,000〜1,500万円も13.0%にのぼります。近くに家を建てると、支援額が増えるのは、これは孫がそばに住んでくれるということや自分の介護を頼みやすいからということの表れでしょう。決して、Aさんの事例はひとごとではありません」孫と一緒にいるのは、生きがいにもつながる大切なこと。しかし生活が苦しくなるまで老後資金をつぎこむのは本末転倒。すべてはほどほどが無難のようだ。「女性自身」2020年10月27日号 掲載
2020年10月17日「孫にお金を使っているうち、老後資金がいつの間にか消える『孫破産』という悲劇が増えていることをご存じでしょうか?」こう話すのは、老後資金の問題にくわしいファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん。孫で破産する?にわかに信じられないが、具体的な例をもとに、長尾さんに解説してもらおう。■孫の大学入学費用を肩代わりして生活保護に70代のBさんは、先日、夫を亡くし、月6万円の老齢基礎年金とわずかな貯金で、細々とアパートで一人暮らしをしていた。いちばんの楽しみは高校生になる孫の成長を見守ることだった。「ところが3年前、娘夫婦が離婚し、シングルマザーになったことから、歯車が狂いだしました。娘はパートで必死で働いていますが、生活は困窮。『孫の大学入学金が払えない』と、Bさんのもとに、娘がお金を無心にきました」孫の大学入学費用は初年度学費も合わせて、約100万円。「それさえ払えれば、あとは奨学金とアルバイトで卒業できる」と言われ、Bさんは、手元にあったなけなしの貯金を渡したという。いくら女性の一人暮らしとはいえ、月6万円の年金だけでは生活は立ち行かない。貯蓄が尽きた彼女は生活保護を申請し、年金と生活保護の受給で、なんとか生活を維持しているとか。「Bさんのように、子どもがシングルマザーになると、孫の進学もままならなくなる。祖母として、自分を犠牲にしても、孫の手助けをしたいという気持ちは痛いほどわかります。老齢基礎年金だけでは生活できないという社会保障の問題も含め、社会のひずみが『孫破産』を生み出しているという一面もあるといえそうです」孫と一緒にいるのは、生きがいにもつながる大切なこと。しかし生活が苦しくなるまで老後資金をつぎこむのは本末転倒。すべてはほどほどが無難のようだ。「女性自身」2020年10月27日号 掲載
2020年10月17日少子高齢化が進み、公的年金だけでは老後の生活が成り立たないと、ほとんどの人が不安を感じています。特に、国民年金だけで厚生年金のような上乗せがない自営業者は、より一層不安が大きいことでしょう。今回は、自営業者の人の老後の支えになる公的年金の基礎知識と、老後のための自助努力について解説します。自営業の公的年金制度についての基礎知識厚生労働省ホームページ国民年金の年金額はどのくらい?公的年金でもらえる金額は?では、国民年金の年金額は厚生年金に比べてどのくらい少ないのでしょうか。厚生労働省が公開している「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、会社員などの第1号厚生年金被保険者に対する厚生年金の平均支給額は、月に143,761円です。これに対し、国民年金の平均支給額は月に55,809円です。夫婦ともに国民年金の世帯では、月当たりの年金額が10万円強ということになります。これでは、住宅ローンなどもなく質素な暮らしをしたとしても、生活していくことは難しいでしょう。もちろん、健康であれば働けるだけ働くことも可能ですし、それが自営業のメリットでもあります。ただ、将来にわたって健康である保証はなく、若いうちから年金増額対策をコツコツ積み重ねることは必須といえます。自営業者が加入できる年金の上乗せ制度とは?それでは、具体的に自営業者が年金上乗せの自助努力として利用できる制度について見ていきましょう。自営業者が利用できる年金対策の制度は主に以下のようなものがあります。iDeCo(個人型確定拠出年金)小規模企業共済国民年金基金[adsense_middle]iDeCo(個人型確定拠出年金)iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、個人である加入者が掛け金を積み立て、自分で選んだ商品で運用を行い、60歳以降に年金または一時金として受け取ることができる私的年金制度です。運用の成果によって、将来受け取る年金額は変化します。iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入条件iDeCoは原則として日本在住で20歳以上60歳未満、国民年金や厚生年金などの公的年金に加入している人であれば加入できます。iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛け金iDeCo(個人型確定拠出年金)は月々5,000円以上1,000円単位の掛け金から始めることができます。掛け金には上限額があり、自営業者の場合は月額68,000円が上限となっています。iDeCo(個人型確定拠出年金)のメリット掛金が全額所得控除iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛け金は全額、所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となります。この節税メリットはiDeCo(個人型確定拠出年金)の最大の魅力といっても過言でありません。個人の税引き後の資金で運用するのに比べ、断然有利になります。運用益に対して非課税個人の資金を投資信託などで運用した場合、運用益に対して所得税が課税されますが、iDeCoでの運用益には課税されません。受取時にも税制優遇60歳以降にiDeCoの積立金を受け取る場合、分割して受け取る年金方式と一括で受け取る一時金方式、または両者の併用から選ぶことができます。年金の場合は公的年金等控除、一時金の場合は退職所得控除の対象になります。インフレ対策が可能iDeCoでは株式や不動産(リート)などに分散投資が可能となっており、老後までに徐々にインフレが起ったとしても対策することができます。iDeCo(個人型確定拠出年金)のデメリット60歳まで引き出しできないiDeCo(個人型確定拠出年金)の積立金は原則として60歳になるまで引き出しはできません。iDeCo(個人型確定拠出年金)は老後資金を自助努力で準備する制度であるため、税制が優遇されています。それゆえ、目的外の資金の利用は制限されるのです。また、一度加入すると、掛金の減額はできますが脱退はできません。元本保証ではないiDeCo(個人型確定拠出年金)の運用は加入者が自ら行います。運用商品の中には元本保証でない投資信託も含まれます。運用がうまくいけば高い収益を得ることができる半面、場合によっては元本割れを起こす可能性もあります。ただ、iDeCoの毎月定額での運用商品の買い付けは長期で続けるほど平均購入単価が下がり、リスクを抑えることにつながります。小規模企業共済小規模企業共済とは、個人事業主や会社役員などが事業を廃止・会社を退職する際に、それまで積み立てた掛金に応じて給付金を受け取る退職金制度のことです。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営しており、全国で約132万人の加入者がいます。小規模企業共済の加入資格常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主および会社の役員小規模企業者たる個人事業主に属する共同経営者(個人事業主1人につき2人)一定規模以下の企業組合・協業組合及び農業組合法人の役員常時使用する従業員が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員なお、加入年齢の制限はありません。小規模企業共済の掛金毎月1,000円以上で500円単位で自由に設定可能で、上限は月額70,000円です。増額、減額も可能です。小規模企業共済のメリット積み立てた以上の金額が受け取れる事業の廃業や退職時に、それまで積み立てた金額を「共済金」として受け取ることができます。20年(240ヶ月)以上積み立てていれば、掛金の支払額以上の給付が見込めます。掛金が全額所得控除小規模企業共済の掛け金は全額、所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となります。受取時にも税制優遇小規模企業共済の共済金を受け取る場合、分割して受け取る年金方式と一括で受け取る一時金方式、または両者の併用から選ぶことができます。年金の場合は公的年金等控除、一時金の場合は退職所得控除の対象になります。契約者貸付制度あり払い込んだ掛金の範囲内で、無担保・無保証人にて事業資金の貸付けが受けられます。小規模企業共済のデメリット掛け捨てと元本割れのリスクあり納付月数が12ヶ月(1年)未満で解約となった場合は掛け捨てになります。また、加入期間が20年未満の場合は、元本割れしてしまいます。国民年金基金国民年金基金とは、国民年金の第1号被保険者が任意に掛金を拠出することによって将来の年金受給額を増やす制度です。各都道府県ごとに設立された「地域型国民年金基金」と、同じ職種ごとに全国規模で設立された「職能型国民年金基金」があります。国民年金基金の加入資格20歳から60歳になるまでの間の人で、国民年金の保険料を納めている第1号被保険者日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の国民年金任意加入被保険者国民年金基金の掛金掛金月額は加入時に選択した給付の型、口数、年齢、性別に応じて変わりますが、将来も一定です。国民年金基金のメリット掛金が全額所得控除国民年金基金の掛け金は全額、所得控除(社会保険料控除)の対象となります。将来、受け取る年金額が確定している国民年金基金では加入時の予定利率が将来にわたって変わらないため、将来受け取る年金は運用状況などによって変動することはありません。終身年金を選択できる国民年金基金に加入する場合、少なくとも最初の1口目は、終身年金を選択することが必要です。終身年金は一生涯、年金を受け取ることができます。そのため、長生きのリスクに対応することが期待できます。国民年金基金のデメリット一度加入すると解約できない国民年金基金への加入後は原則として解約できません。掛金の支払いが困難な場合は、減額や支払い猶予を利用できます。インフレ対応ができない国民年金基金の予定利率は加入時から将来にわたって変わらないと述べました。これは、将来の年金額が確定しているということであり、インフレによる物価上昇には対応できません。国民年金基金は遠い将来のための制度ですが、将来のインフレリスクに対応できないことは大きなデメリットといえます。自営業者の年金に関するまとめ自営業者の老後の公的年金は国民年金しかないため、それだけで生活していくことはほぼ不可能です。対策としては働けるうちは働き、働いている間に国民年金だけでは足りない部分を自助努力で準備することが考えられます。自助努力のために活用できる主な制度は、iDeCo(個人型確定拠出年金)、小規模企業共済、国民年金基金があり、それぞれにメリット、デメリットがあります。加入を検討する際は、自分が重視する点は何かなどをよく考えましょう。
2020年09月02日歳を超えると人生後半戦だという人がいらっしゃいますが、人生100年時代の50代はまだまだエネルギッシュな年代です。しかし、老後資金を具体的に考えなければならない年代でもあるため、貯金額は気になるところです。この記事では50代の貯金事情と老後資金の貯め方について詳しく紹介します。50代の平均貯蓄額はいくら?サラリーマンにせよ自営業者にせよ、50代になるとライフプランが落ち着く年代です。結婚や子育て、マイホーム購入、子どもの教育などに一段落が付いており、残すライフプランは老後資金の捻出ぐらいです。しかし、50代で満足に貯金ができていないと、老後資金の捻出に後手を踏んでしまいます。まずは50代の貯金事情について以下内容を解説いたします。50代の平均的な貯蓄は約1,574万円中央値は約1,000万円50代の6世帯に1世帯が貯蓄ゼロ50代の平均的な貯蓄は約1,574万円金融広報中央委員会の「2人以上世帯の家計の金融行動に関する世論調査(2019年)」によると、50代の平均貯蓄額はおよそ1,574万円です。この額は現金による貯金だけでなく、株などの金融資産すべてを含んだ金額です。あなたの貯金額と見比べて平均値は多いでしょうか?それとも少ないでしょうか?ただし、万一あなたの貯金額より多くても過剰な心配は不要です。なぜなら、中央値のほうが平均値よりも実態に近い数値だからです。中央値は約1,000万円中央値とは、多い順もしくは少ない順に並べた中央の数値のことです。平均値は高額な貯蓄をしている人が平均値を上げてしまう傾向があるため、貯金額として50代のど真ん中にいる人の実態からかけ離れてしまいます。50代の貯金額の中央値は約1,000万円ですので、こちらを目安と考えましょう。50代の6世帯に1世帯が貯蓄ゼロ50代で貯金ゼロという世帯も結構たくさんいらっしゃいます。厚生労働省による「国民生活基本調査(2016年)」では、貯金ゼロの世帯は14.8%となっており、6世帯に1世帯は貯金ゼロという実態があります。万一貯金ゼロでも、同じ立場の人も多いため過剰に不安がる必要はありません。ただ、安心の老後のためにすぐにでも資産作りをスタートさせましょう。50代で考えるべき老後資金では、老後資金をどのように捉えればよいのでしょうか?50代で考えるべきこととして以下内容を紹介します。老後資金は約2,000万円必要一刻も早く借金を返済すべき男性女性それぞれのリスクに配慮老後資金は約2,000万円必要老後資金には2,000万円必要だと聞いたことがあるでしょうか?これは、金融庁が報告しているものです(2019年6月)。平均収支と年代別金融資産の推計により、年金だけの生活の場合は毎月5万円ほど赤字となるのです。つまり、年金受給から20年生きた場合は1,300万円、30年生きた場合は2,000万円不足する計算となります。そのため、老後資金は2,000万円貯めることを一応の目安にするとよいでしょう。一刻も早く借金を返済すべき50代で借金がある場合は、少しでも早く返済したほうがよいでしょう。借金を残したまま貯蓄しようとしても思うように貯まりません。特に借金は利息が付くため、余分な出費となります。繰り上げ返済できれば本来支払うはずだった利息分が浮きますので、資金にゆとりがあれば繰り上げ返済してしまいましょう。ただし、あえて借金を返済しないケースも考えられます。それは借金の金利よりも、投資しているものの金利が高い場合です。この場合は借金返済よりも投資に回したほうが差額金利がお得ですので、無理に返済する必要はありません。男性女性それぞれのリスクに配慮老後資金が潤沢に貯まったとしても、想定外のことが起こるケースがあります。たとえば私の知り合いの話では、男性の会社員が定年後、暇を持て余して浪費するケースが多いと聞きます。特に会社員時代に高給取りだった人が、生活水準を下げられずに老後資金を一気に減らす場合があります。女性の場合は離婚により生活が困窮するケースもあります。たとえば慰謝料不払いなどで厳しい老後になることもあり得るのです。老後のリスクは厳しめに見ておいたほうが無難ですので、2,000万円の資金は目安としつつ、できることなら多めに備えたほうがよいかも知れません。老後資金を貯める方法とコツ老後資金を貯めるには、どのような方法があるのでしょうか?数ある貯金のコツの中から、以下手順や内容をおすすめします。資産を洗い出して貯金額を決める家計簿をつけて管理する計画的に節約する定期預金をする副業やプチ稼ぎで収入を増やす[adsense_middle]資産を洗い出して貯金額を決める50代で貯金するには、資産の洗い出しからスタートしましょう。必要な老後資金に対して今どれくらいの資産を持っていて、不足するお金がいくらなのかで貯金する金額がはじかれます。現金、住宅の資産価値、金融商品、高級品、相続財産など、現段階での資産を把握しましょう。資産はそれぞれ業者に見積もったり、インターネットでおおよその目安を調べれば、カンタンに確認が可能です。ただし、資産は目減りする可能性がありますので、入手時から現在推移で老後時の予測を立てましょう。物価上昇率2%も加味した計算をするとより精度が高まります。家計簿をつけて管理する貯金すべき目標額が決まったら、そこから逆算して毎年いくら貯金が必要なのかを打ち出しましょう。そして、毎年必要な金額から逆算し、毎月必要な金額をチェックします。あとは家計簿をつけて収支の管理をし、着実に目標貯金額を達成していくだけです。貯金額は通常の貯金額と、臨時出費に備えた貯金額に分けると良いでしょう。臨時出費の予測は、家電製品の買い替え、冠婚葬祭などを想定しておきましょう。それ以外の臨時出費があったとしても、これらのお金で賄いやすくなります。計画的に節約する貯金を増やすためには節約が不可欠です。節約するためには、食費や日用品代など項目ごとに予算化をし、予算内で買い物するようにしましょう。また、固定費を見直すと今後毎月支出の削減になりますので、節約効果が高いです。ちなみに、節約は家族の意識改革も大切です。夫婦で節約しても子どもたちが浪費しては無意味ですから、家庭内で節約の共通認識が必要です。時折家族会議を開き、家計について話し合いましょう。定期預金をする毎月の余剰金を貯金に回すというスタイルは意志力が必要となります。「今月は黒字額が大きいから外食でも行こう!」となると、満足に貯金できない可能性があります。そのため、定期預金など、半強制的に貯められる仕組みが重要です。定期預金は銀行によっては1円から行えますので、意志力と関係なく無理のない範囲でお金を貯められます。副業やプチ稼ぎで収入を増やす近頃はインターネットの普及により、副業やプチ稼ぎがしやすい時代です。たとえば、クラウドソーシングではネット系の案件に対して誰でも取り組むことができます。また、ポイントサイトはお買い物やゲーム、アンケートを楽しみながら稼ぐことができます。ほかにもメルカリやヤフオクでの物販、ノウハウを販売するココナラ、広告収入を得るアフィリエイトなど、稼ぐ方法は無数にあります。50代の貯金額に関するまとめ50代の平均貯金額は約1,574万円ですが、平均値より実態をあらわす中央値では約1,000万円です。もしもこれらより貯金が少ないのであれば、少しでも早めに資産形成をスタートさせましょう。老後資金は約2,000万円必要といわれていますので、現在の保有資産との差額を考えながらしっかり備えておく必要があります。老後資金を貯めるには、計画的な節約や収入アップなどいくつかの方法がありますので、この記事を参考にぜひ実践してください。
2020年08月31日医学の進歩などもあり、ひと昔前であれば80歳で長生きと感じましたが、最近では人生100年時代といわれるくらい、100歳まで生きることを想定した人生設計が必要になってきました。そこで本記事では、老後資金の賢い貯め方や老後準備のコツについて詳しく解説します。老後のための貯蓄の必要額はいくら?老後資金の計画を立てるにあたっては、必要となる金額の目安が重要になります。老後生活には一体どのくらいのお金がかかるのでしょうか。金融庁から発表されたワーキンググループの報告書によると、定年後65歳以上で必要になる老後資金はおよそ以下のとおりです。20年間:1,300万円30年間:2,000万円年金以外で上記金額が必要になるそうです。皆さんはこの金額をどう思いますか?意外と少ないと思った方、実は上記金額だけで充分足りるというわけではありません。40代以上は医療費がかかる厚生労働省の平成29年度の統計データによると、全世代合計を100%とした場合の年代別の医療費負担額の割合は、40歳以上から3%を超え、65歳以上から10%を超えます。つまり、若いころは健康でほとんど医療費がかからなかった人でも、年をとるにつれて医療費負担がどんどん増えていくのです。人口一人当たりの年間国民医療費は、40歳以上から100万円を上回り、65歳以上からは約358万円と一気に3倍以上にも膨れ上がります。これは成人の年収に匹敵する非常に高額な金額ですから、いかに老後生活を送るうえで医療費負担が大きなリスクになりえるかがわかります。では、ゆとりある老後生活を送るためにはどんな準備が必要になるのでしょうか。おすすめの貯蓄方法と計画の重要性老後生活を安心して送るためには、それなりの貯蓄が必要なことはお分かりいただけたかと思います。ここからは、おすすめの貯蓄法について詳しく解説します。貯め方その1:老後資金準備の基本は貯蓄突然ですが、皆さんは毎月いくら貯金していますでしょうか。貯金というと毎月余ったお金を貯蓄に回すというイメージがあるかもしれませんが、残念ながらこの方法では老後資金を貯めることは非常に厳しいです。余ったお金を貯蓄するという方法ですと、余らなければ貯蓄が増えないことになるため、一定期間に希望する金額を貯めることが難しくなります。確実に貯蓄額を増やしていくためには、余裕があれば貯蓄するのではなく、一定のルールを決めて確実に貯蓄額を増やしていくことが大切です。ランニングコストの精査が重要貯蓄計画を立てるにあたってまずやらなければならないのは、毎月の支出であるランニングコストの精査です。皆さんは毎月いくらのランニングコストがかかっているか把握していますか?ランニングコストとは、家賃、光熱費、インターネット料金、携帯電話料金など、常に毎月かかるコストのことで、貯蓄額を捻出するためにはランニングコストの見直しが重要になってきます。最近ではクレジットカードで引き落とししている人が多いので、見直しをすると今は使っていないサービスの月額料金や年会費が引き落とされていることも少なくありません。また、携帯電話料金も料金体系が頻繁に変わるので、現状のプランよりも割安なものが出ている可能性があります。このように細かく見ていくと、今と同じ生活のまま支出を減らすことができますので、まずはカードの利用明細をダウンロードして、不要な支出がないか細かくチェックしましょう。そして浮いた金額をすべて貯蓄に回しましょう。定期積立預金を利用する貯蓄をしようと思ってもなかなか金額が貯まっていかないという人は、定期積立預金を活用することをおすすめします。貯蓄ができない人の多くは、貯蓄口座と通常使う預金口座の使い分けができず、気が付いたらお金がなくなっているということが起こります。そこで、定期積立預金を利用すれば、毎月決まった日にあらかじめ決めた金額を定期預金に回すことができるので、何もしなくても生活費の口座と貯蓄口座を分けることが可能です。定期預金を使えば余裕があるときに随時定期預金にお金を移すこともできるので、無駄遣いを防止することにもなります。貯め方その2:生命保険を運用する生命保険というと死亡したときに保険金が支払われる保険というイメージが強いかもしれませんが、最近では貯蓄性の高いドル建ての保険などもあり、老後資金の準備としても利用できます。ドル建て保険とは、ドルで保険料を支払う保険のことで、解約返戻金や満期保険金などについてもドルで受け取ります。実務上は、自分の銀行口座から保険料が毎月引き落とされるだけなので、別途為替取引用の口座を開設する必要はありません。ドル建ての貯蓄性が高いわけ保険料をドルで支払って運用するということは、長期金利は日本ではなくアメリカが目安になります。日本の長期金利は0.0075%程度、アメリカは2.8%前後なので、圧倒的にドル建てのほうが貯蓄性が高いのです。市場金利が高いと保険会社の予定利率も高くなるので、老後資金を準備しながら死亡リスクのヘッジも可能になります。契約者貸付が使える定期預金などの貯蓄とは違い、保険料で支払うと満期になるまでお金が引き出せないことをデメリットに感じる人もいますが、生命保険には契約者貸付制度があり、支払った保険料に応じて一定の枠内で貸し付けを受けられます。例えば、何らかの事情でまとまったお金が必要になった際に、保険契約を解約せずに生かしたまま一定の金額の貸し付けが受けられるので、とても便利です。貯め方その3:30代~40代なら不動産投資も選択肢に老後に備える方法は、単にキャッシュを貯蓄するだけがベストではありません。できれば老後も一定の収入を生む仕組みを構築できれば、そもそも高額な貯蓄がなくてもゆとりある生活を送ることができます。中でもおすすめなのが不動産投資です。不動産投資とは、アパートなどの不動産を購入して賃貸することで毎月家賃収入を得るという投資法で、最近ではサラリーマンを中心に人気が出てきています。手元資金がなくても始められる投資というと元手となるお金が必要になりますが、不動産投資の場合は購入する不動産自体を担保にしてお金を借りられるので、まとまった貯金がない状態でも安定した収入がある人であればすぐに始められます。また、家賃をローン返済に充当できるので安心です。年収が400~500万円程度あれば問題なくローンが組めるので、投資のハードルとしても非常に低いといえます。若いうちにローンを返済しておけば、定年退職した後に受け取る家賃収入をそのまま老後の生活資金として利用できるので、貯蓄額が少なくても十分ゆとりのある老後を送ることができるでしょう。ただし、自営業者の場合は投資ローンの審査が通りにくい傾向があるので、不動産投資よりもドル建て保険や定期預金などの活用がおすすめです。自営業はできるだけ長く自営業であれば、老後も可能な限り仕事を続けることで収入を維持できる点がサラリーマンにはない強みです。自営業の場合はサラリーマンとは違い、会社が健康診断などを手配してくれないので、中には何年も病院に行っていないという人も少なくないのではないでしょうか。長く仕事を続けていくためには健康な体が大前提になりますので、日ごろから定期的に健康診断を受けるなどして健康管理に注意しましょう。老後資金準備の注意点老後生活をゆったりと過ごすためには、早いうちから上記のような方法で貯蓄をしたり、資産を形成したりして収入を生む仕組みを作っておくことが大切です。ただ、中には次のような理由で準備に失敗する人もいるため注意しなければなりません。[adsense_middle]退職金ありきの計画はNGサラリーマンの方の中には、退職時に支払われる退職金をあてにして老後資金を準備している方が時々おられます。退職金は一流企業であれば数千万円単位と非常に高額になるので、極端な話なんの準備をしなくても老後生活は安泰のような錯覚を覚えるかもしれません。ですが、昨今のコロナ禍のように人生何があるかわかりません。たとえ会社が大手で安泰だとしても、あなたが途中でリストラに合う可能性だってあります。何より、退職金がカットされて人生設計が狂ってしまうリスクがありますので、退職金については別枠で考えて、基本は退職金がないことを想定して貯蓄計画を立てるとよいでしょう。自信がなければ株式投資に手を出さない貯蓄するだけでなく投資をして老後の定収入を確保することはとても重要ですが、株式投資については自信がなければ手を出さないことをおすすめします。投資という意味では不動産投資も同じですが、株式投資は不動産とは違い価格変動が激しく、また景気の変動をもろに受けるので、貯蓄どころか損失を出してしまう可能性があるからです。資産を運用して老後の生活資金を形成したい方については、価格変動リスクが低い不動産投資か、大きな損失が出にくい投資信託などを検討したほうがよいでしょう。口座を分ける際の注意点老後資金を準備する際には、貯蓄する銀行口座にも注意が必要です。基本的には自分名義の口座に貯蓄していくと思いますが、中には配偶者など家族の口座に貯蓄する方がいるでしょう。その場合、年間110万円以上の金額を送金すると贈与扱いになってあとで贈与税が課税される可能性が出てきます。そのため、貯蓄する場合はできるだけ自分名義の銀行口座に貯蓄して、家族の口座とは明確に分けて管理することをおすすめします。老後資金の貯め方に関するまとめ老後資金の準備は直前になってからではできることが限られるので、できる限り若いうちから少しずつ準備していくことが大切です。医学が進歩して長生きできることは幸せなことですが、それも老後の生活資金があってこその話なので、まずは今から少しずつ準備していきましょう。
2020年08月10日2019年6月に金融庁の報告に端を発した「老後2000万円問題」ですが、老後資金について不安に思ったり、対策を考えたりする機会になった人もいる一方、よく分からないのでそのままという人もいらっしゃると思います。 今回は、「老後2000万円問題」と老後に必要な金額の考え方について、子育て世帯の皆さんが老後資金を考えるきっかけにしていただければと思います。 「老後2000万円問題」とは?「老後2000万円問題」とは、金融庁が2019年6月3日に提出した報告書の中で、95歳まで生きるには平均的な夫婦で約2000万円が必要になるとの試算を示したことに麻生太郎金融担当大臣が金融庁に対して撤回を求め、後に金融庁が撤回したことが話題になり、老後資金が年金だけでは不足することが問題とされた事柄です。 メディア等で「老後に2000万円足りない」のフレーズだけが繰り返し伝えられたため、老後は年金だけでは足りないとの印象が多くの人に残りました。実際には、老後に2000万円足りないかどうかは、ご家族の構成や退職時の年齢、退職金の有無や老後にかけたい費用など条件はそれぞれ異なりますので、2000万円で足りない人もいれば、半分の1000万円でも足りる人もいます。 老後に必要な金額の考え方は?子育て中のご家庭は、お子さんの教育や生活に費用がかかるため、老後まで目が向かないことも多いのですが、ライフプランにおける三大費用(準備資金)は、「教育費用」「住宅費用」「老後費用」の3つといわれています。お子さんが小さいころは「教育費用」「住宅費用」の割合が高いのは問題ありませんが、お子さんの成長とともに「教育費用」から「老後費用」に割合を変えていけるかどうかを早いうちから考えることができるとよいでしょう。老後に必要な資金の考え方は、月の老後の想定生活費(想定できない方は現在の生活費の60%~80%程度)×老後の年数×12カ月+老後の生活費以外のイベント費用(家のリフォーム・旅行費用など)となります。例えば、現在の月額生活費が25万円、老後の生活費を70%の17.5万円と仮定し、老後の年数を25年、老後のイベント費用を300万円とした場合、17.5万円×12カ月×25年+300万円=5,550万円となります。これをすべて用意する必要はなく、年金と退職金を差し引いて不足した金額が老後に必要な金額となります。例として、夫婦で受け取れる年金が年額180万円、退職金が500万円とした場合、180万円×25年+500万円=5,000万円となりますので、不足している金額は550万円となります。 これを一度に用意すると大変ですが、これを30年で用意できるとしたら、利息を0とした場合でも月15,300円の積立で可能です。 上記の計算はあくまでも一例ですので、実際の金額や年数はそれぞれ異なりますので、ご自身やご家族の状況を踏まえて判断しましょう。 現状と将来の予定を確認しましょう老後に必要な金額は人それぞれですが、これを把握するためのポイントは以下のとおりです。【1】現在の生活費を確認しましょう(老後の生活費を想定する場合は子どもの教育費・生活費は含まず計算しましょう) 【2】老後の年数を確認しましょう(年数を決められない場合は、退職から90歳までの年数を目安にしましょう) 【3】老後のイベントを確認しましょう(リフォーム、旅行、趣味、介護など費用から必要なものを設定しましょう) 【4】年金の金額を確認しましょう(ねんきん定期便やねんきんネットで確認・試算をしましょう)【5】退職金制度を確認しましょう(退職金は約8割の企業で実施しています。金額や制度を確認しましょう) 【6】老後までの年数を確認しましょう(不足している老後資金を積み立てできる年数となります) 【1】〜【6】のポイントを前項の計算例に置き換えると、ご自身の老後に必要な概ねの金額が計算できますので、ご参考になさってください。 子育て世代は目の前の教育費や住居費の割合が高いのは一般的ですが、老後はいずれやってきます。お子さんが独立してから準備しても間に合う人もいれば、同時進行で老後資金を準備する必要がある人もいます。この記事をきっかけに老後に必要な金額を確認いただければと思います。 監修者・著者:ファイナンシャルプランナー 大野高志1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®(日本FP協会認定)。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。予備校チューター、地方公務員、金融機関勤務を経て2011年に独立。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等 多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。
2020年08月07日老後2,000万円が不足するとの報道が出て以降、老後資金について心配する人が増えているようです。実際のところ、老後にはどのくらいの金額が必要になるのでしょうか。本記事では、老後のために備えておくべき金額の目安や考え方、具体的な貯蓄方法について、実際の事例を紹介しながら詳しく解説します。老後資金の蓄えはなぜ必要か老後の生活資金というと、真っ先に年金を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。「老後は年金をもらうから、老後資金の準備なんて必要ない」、なんて思っている人は少なからずいるのではないかと思います。そんな風に思っている人に質問です。みなさんは老後にいくら年金をもらえるかご存知でしょうか。年金事務所などから定期便で支払い状況が送られてきますが、見てもイマイチいくらもらえるのかわからない、と思っている人は多いのではないかと思います。ここからは平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況をもとに解説します。共働き世帯の夫婦が定年退職後もらえるお金夫婦が共働きの会社員だった場合、もらうことができる年金は次のようになります。ちなみに、20歳から60歳までもれなく保険料を納めた場合の金額です。男性:平均受給月額165,000円女性:平均受給月額103,000円会社員の場合は、国民年金のほかに厚生年金がもらえるので、自営業者に比べるともらえる年金額が多くなります。内訳としては、国民年金で約56,000円が支給され、残りの部分が厚生年金部分です。厚生年金部分は収入に応じて金額が変化するため、女性よりも男性の年収のほうが高い傾向になるので上記のように差が出ます。夫婦合わせればある程度の生活は可能かもしれませんが、仮に独身者だったとすると新卒の初任給にも満たないような金額ですから、現役時代を比べてかなり生活レベルは落ちてしまうことが予想されます。自営業者1人世帯の年金額とは年金額で注意が必要なのが自営業者の方です。自営業者は厚生年金に加入していないので、月額の受取額は約56,000円しかありません。正直なところ金額的にはバイト代のような水準なので、とても生活費が足りるとは思えませんよね。貯蓄などの蓄えが一切ない状態で老後を迎えてしまうと、事実上生活していくことができないと思う必要があります。資産形成か生涯現役かかつての老後生活というと、定年退職して悠々自適の生活を送るイメージがあったかもしれませんが、現在では退職金制度がない企業も増えてきたこともあり、定年退職せずに生涯現役で働くことが想定されてきています。そのため、定年退職後に楽しく気ままに余生を送りたいと考えているのであれば、若いうちからしっかりと資産形成しておくことが必須なのです。このように国民年金の水準が非常に低いのは、事前の資産形成か生涯現役のどちらかを国民に迫っているからといえるでしょう。定年後までに準備すべき金額の目安事前の準備なくして悠々自適な老後はないことがお分かりいただけたところで、次に具体的な金額について考えてみましょう。一体老後はいくらの収入があれば、問題なく暮らしていけるのでしょうか。老後必要になる金額についてはさまざまな推計がされていますが、大前提として考えなければならないのが今現在の消費支出額です。よく年収別に必要となる消費支出の目安について論じられることがありますが、実際のところ消費支出額を考える上で大切なことは、自分自身の生活水準を把握することにあります。夫婦共働きしていた世帯なのか、自営業者の1人世帯なのかによって受け取れる年金額に大きな差が生じることから、準備すべき目安となる金額は世帯によって変わってきます。夫婦2人暮らし世帯の必要額平成29年の総務省「家計調査報告(家計収支編)」によると、高齢者夫婦世帯が1ヶ月に消費する金額の平均は合計で263,717円だそうです。夫婦が現役時代に共働きだったとすると、年金月額は268,000円なのでギリギリ足りる可能性がありますが、医療費が変動する可能性も踏まえて考えると、予備費として毎月3万円程度は確保しておきたいところです。そうすると年間で36万円、老後生活20年と仮定して720万円程度が事前に準備すべき必要額といえます。自営業の単身世帯の必要額自営業で単身者となると、年金額は国民年金の約56,000円なので生活費としては全く足りなくなります。仮に年間200万円で生活すると仮定したとしても、年金で賄えるのは672,000円だけで、残りの1,328,000円は別で準備しなければならないのです。ここまでの金額になると、貯蓄を切り崩すだけでは非常に厳しいので、老後もある程度の収入が得られるような対策が必要になってきます。そうはいっても、現役世代の方からすると、老後資金の不足と聞いてもなかなか実感が湧かないのではないでしょうか。そこで次項では、老後生活を甘く見ていたせいで生活が破綻しかけてしまった事例についてご紹介したいと思います。下流老人が増えるわけ最近下流老人が増えているという報道を時々耳にします。下流老人とは生活水準が低い老人のことで、悠々自適とはほど遠い老後を送っている人たちのことをいいます。下流老人と聞くと、現役時代もあまり高給取りではなかったのではないか、と思うかもしれませんが、実は下流老人の多くは年収800万円以上稼いでいた一流サラリーマンだったケースも多いのです。では、なぜそんな人まで下流老人になってしまうのでしょうか。[adsense_middle]下流老人の実例私が実際に聞いた実例についてお話ししたいと思います。現役時代は年収1,000万円という高給取りだったXさんが定年退職された後の話です。結論からいうと、この方は最終的に自己破産のスレスレまで行ったのですが、その原因がなんだったのかについて探ってみましょう。高額の退職金が出たのに一流企業に勤務していたXさんは、定年退職する際に2,000万円ほどの退職金が支給されました。これだけでもかなり高額ですが、そのほかにも現役時代の預金として500万円を蓄えていたそうです。一見すると老後の好スタートを切っているように見えるかもしれませんが、Xさんは退職金と預金の一部を使い、老後の住まいとして都心部のタワーマンションを購入したのです。そして、これがのちに大きな痛手となります。引越した当初は、年金と貯蓄で十分生活ができていて何不自由ない生活を送っていたのですが、あることをきっかけに少しずつ歯車が狂い始めます。妻の認知症が発覚老後生活を始めた間もなく、奥さんが認知症になってしまい、自宅での介護が難しいと考えたXさんは奥さんを介護施設へ入所させることを選択したのです。介護施設は費用が安いところはなかなか入所ができない状況で、契約したところは月額10万円以上するような施設しか見つかりませんでした。それでもXさんは年金でまかなえるだろうと見込んで、奥さんの介護施設への入所を決断したのです。増える医療費で生活が維持できない奥さんの介護施設への費用を支払うと、生活に当てられる金額はわずか数万円だったそうです。それでもなんとか人並みの生活はできていたそうですが、Xさんを次なる不幸が襲います。持病の腰痛が悪化し、病院への定期的な通院が必要になり、月額の医療費がかさみ始めたのです。若いうちは医療費といっても、大きな手術をしなければそこまで多くの金額がかかることがないため、真剣に向き合う機会が少ないかもしれません。老後の医療費というのは若いころとは違い、治療して終わりというものではなく、数年や一生涯治療を継続していかなければならない持病にかかってしまうことがよくあるのです。今は医療が進歩しているので、かなり多くの病気は治療によって助かるようになりましたが、その一方で助かるが故の継続的な医療費負担という問題が出てきています。例えば、がんでも手術で除去して終わればよいのですが、継続的に薬などで治療が必要になるケースでは、医療費がランニングコストとして重くのしかかるのです。医療費は健康や命に関わる部分なので、支出の中でもどうしても削ることができません。Xさんの事例のように、自身や家族が病気になったことで生活が維持できなくなったという人は少なくないのではないでしょうか。消費者金融からの借り入れは危険結局Xさんは年金だけでは生活が維持できなくなったせいで、ついに消費者金融から借金をすることになってしまいました。最初は数万円程度で軽い気持ちだったようですが、毎月のキャッシュフローが赤字だと、借金も毎月積み重ねていくことになってしまうので、気がついたときには数百万円の借金ができてしまったのです。子供に相談すればよかったのではと思う人もいるかもしれませんが、現役時代にそれなりの収入があった人ほど子供に頼りたくないと強く思う傾向があります。この方も子供に迷惑をかけたくないという理由から、相談はしなかったそうです。自宅を売却して賃貸にXさんは最終的には老後の住まいとして購入したタワーマンションを売却し、それで得たお金を使って借金を完済し、自身は家賃6万円程度のアパートに引越したそうです。しかも、売却価格は購入時の7割くらいにまで落ちてしまったため、実質的には退職金をほぼ失ったような形になってしまいました。幸い自己破産を免れたそうですが、人によってはこのような状況で自己破産に追い込まれてしまう人は少なくないのではないでしょうか。老後生活の困窮を回避する3つのポイントXさんの実例をもとに、老後安定した生活を送るためのポイントについて考えてみたいと思います。ポイント1:退職金を一気に使い切らない退職金が出る人は非常にラッキーですが、今回の事例のように一括でマンションを買うなど一気に消費してしてしまうと、その時はよくてもXさんのように奥さんの認知症など後発的な状況に対応できなくなる可能性があります。そのため、退職金はできるだけ全額を使うことはせず、ある程度の金額を手元に残しておくことをおすすめします。また、どうしても新居の購入やリフォームなどでまとまったお金を支出する際には、事前に人間ドックを受けるなどして自分や家族の健康状態を把握してから判断するほうがよいでしょう。ポイント2:医療費を甘く見ない老後生活を脅かす1つの原因が医療費負担です。若いころはそこまでかからなくても、定年後の医療費は非常に大きな負担となります。特に注意が必要なのが薬です。がん治療などで使用する薬は高額なものも多く、1粒数万円というものもよくあるので、たとえ命が助かったとしても生活が助からないということも十分ありえます。ポイント3:家族に相談するさまざまな対策をとったとしても、何らかの事情で生活が回らなくなることも十分考えられます。このような場合、Xさんのように1人で抱え込んでしまうとさらに傷口が広がってしまうので、できるだけ家族に早い段階で相談して解決させることが大切です。老後生活資金を準備する方法老後生活を豊かに安定的に過ごすためには、やはり準備が必要なことは間違いないでしょう。ただ、準備といってもただ貯蓄しておけばいいという単純な問題でもありません。老後のためにできることには、大きく分けて次の3つがあります。[adsense_middle]年収の3倍程度の貯蓄人によって個人差はありますが、できれば最低でも年収の3年分程度の貯金があると非常に安心です。実際はもっと必要になることのほうが多いですが、あまり多くの金額を貯蓄に回そうとすると、現役世代のときの生活レベルが落ちてしまうので、無理をしすぎない範囲で3年分を目安にしましょう。なお、退職金制度がある会社であれば、その分貯蓄に回さなければならない金額は減ります。ただ、途中で転職する可能性も含めて考えると、あまり退職金ありきの資産形成はお勧めではありません。医療保険に加入する30代後半くらいからは、高額な医療費リスクをヘッジするために医療保険への加入も検討しましょう。若くして手術をしたり入院したりすると、医療費はもちろんですが収入が途絶えることになるので老後どころではありません。特に40歳を過ぎると持病なども発覚し始めるころなので、できれば保険料が安くて加入できるうちに加入しておくと、将来の医療費に対してリスクヘッジできるでしょう。収入源を作る今の日本で老後を迎える場合、最も重要といえるのがこれです。老後の収入源が年金しかないと、生活レベルはどうしても落ち込みますし、医療費が賄えなくなる危険性もあります。人生100年時代をいわれる昨今、65歳の定年退職後も何らかの収入源を確保しておくことが、老後資金対策としてとても大切です。例えば、現役時代の収入があるときに賃貸物件を購入しておき、老後はその家賃収入を生活費にあてるやり方がよく用いられます。そのほかにも株式投資による配当金や個人年金など、老後も定収入を生み出す方法がいくつかありますので、ぜひ早めから実践してみるとよいでしょう。専門家に相談することが大切これらの対策を講じる際には、必ずファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してから始めることが大切です。ベストな対策はご家庭によって変わってきますので、より効果的に老後資金対策をするには、まず専門家に自分自身の家計をベースに診断してもらうことから始めるとよいでしょう。対策のベースとなる情報が違っていたら的外れな対策になってしまうので、必ず何かを始める前に現状把握から始めることが大切です。老後資金にいくら必要かに関するまとめ今回は老後資金対策について解説してきました。年金だけで老後がやりくりできると考えていると、気がついたときには下流老人になっている可能性があります。早いうちから対策をとることで、老後も現役時代と同じくらいの水準で余生を送れる可能性がありますので、まずは早めに専門家に相談してみましょう。
2020年07月25日9月18日(金)の公開を予定していた天海祐希主演の『老後の資金がありません!』が、公開時期を来年に延期することが発表された。今回、昨今の新型コロナウイルスに関連する社会状況を鑑みて協議をした結果、公開時期を来年に延期することが決定。今後の公開予定については、決定次第、速やかに告知される。本作は、天海さんが老後資金問題をはじめ、あらゆる問題が立て続けに襲ってくる中、悩みもがき奮闘しながらも逆境に立ち向かう主婦を演じ、コメディエンヌぶりを発揮していることでも話題。浪費家の姑を名女優の草笛光子、定年間近で会社が倒産し失業に陥る夫役を名バイプレイヤー・松重豊が演じるほか、突然結婚相手を連れ、派手婚を報告する娘役を新川優愛、その結婚相手を加藤諒、大学生の息子役を瀬戸利樹が演じるなど、豪華キャストが集結している。『老後の資金がありません!』は2021年公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:老後の資金がありません! 2021年、全国にて公開©2020映画『老後の資金がありません!』製作委員会
2020年07月13日生活資金や子どもの教育資金、老後資金など、将来のことを考えるとお金関連の不安を抱えている方は多いのではないでしょうか?資金を確保する主な方法は「支出を減らすこと」と「収入を増やすこと」ですが、支出を減らす(=節約する)ことには限度があります。しかし、会社員が給与収入を劇的に増やすことはなかなか難しいかもしれません。「収入を増やす」選択肢の1つとして考えられるのが株式投資。株式投資を行うためには、まず証券会社の口座開設をすることが必須です。そこで今回は、株式の口座開設におすすめしたい会社をご紹介します。株式投資の口座選びに悩んでいる方の参考になれば幸いです。株式投資をしたければ口座開設をしよう!株式投資をしよう!と考えたときに、初心者の方は何から始めたらよいのかわからない…という方がいるかもしれません。「株」は会社が発行していますが、一般的には会社と購入希望者が直接取引しているわけではありません。株の売買は証券取引所を通じて行うことになります。しかし、証券取引所では特定の取引参加者しか参加できないことになっています。その特定の取引参加者というのが「証券会社」。したがって、私たちが株式投資を行うのであれば、証券会社を通じて売買を行うことになるのです。長々説明しましたが、要するに株式投資をしたければ証券会社の口座開設が必須だということです。今回は証券会社の口座開設に的を絞って解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。証券会社とは?先ほども解説したとおり、私たちが株の売買を行う際には、証券会社に窓口となってもらって取引を行うことになります。つまり、「株を売りたい方」と「株を買いたい方」それぞれの代わりに売買注文を受け付けて、証券取引所に伝えているのが証券会社です。取引が成立する際の手数料が証券会社の収入源になります。なお、証券会社が取り扱っている金融商品は株式だけではありません。たとえば、以下のような商品を取り扱っていることが多くあります。国内株式外国株式FX国内債券海外債券投資信託などもちろん、細かい商品内容は証券会社ごとに異なります。証券会社の口座開設にあたり、取り扱っている金融商品の内容から選ぶという方法も考えられるでしょう。初心者におすすめしたい選び方株式投資の口座開設にあたり、証券会社を選ぶ基準はさまざまです。その中でも、特に初心者におすすめしたい証券会社の選び方の1つが「手数料」。たとえば、取引1回あたりの手数料が500円と1,000円だとすると、同じ取引でも後者のほうが損をしてしまうということになるからです。手数料の決められ方は「1回あたり」のほか、「1日あたり」というプランを展開している会社があります。1日の取引回数なども考慮して、ご自身の投資・トレードスタイルに合った証券会社を選ぶことをおすすめします。証券会社の人気や評判は?上記で解説したとおり、株式投資の始め方の第一歩は「証券会社の口座開設」です。とはいえ、証券会社の数がたくさんあるため、どのように選択してよいのかわからない…という方がいるのではないでしょうか。そこでおすすめしたいのが、近年人気の高い「ネット証券」。ネット証券にはさまざまな魅力があり、初心者の方にもおすすめです。ここでは、ネット証券の持つ魅力や評判についてご紹介しましょう。ネット証券は手数料の安さが魅力ネット証券における魅力の1つが「手数料の安さ」です。ネット証券は実店舗がないため、店舗運営に関連する人件費などのコストがかかりません。そのため、安い手数料を実現できているのです。同じ取引をするのであれば、手数料が安いほうがメリットであるといえるでしょう。手軽に利用することができるネット証券ではインターネットを通じて手軽に利用できるという魅力があります。証券口座の開設もネットやアプリから行うことが可能。家にいながら24時間いつでも手続きができるので便利ですね。また、株の売買取引もネットやアプリから行うことができます。自宅や外出先などどこにいても、スマートフォンから売買注文ができるという手軽さが魅力です。ポイントで購入できるネット証券もネット証券の中には、現金ではなくポイントを購入代金に利用できるところがあります。たとえば楽天証券では、楽天スーパーポイントを国内株式(現物取引)の購入代金や手数料に充てることができます。買い物などで貯めたポイントで購入できるので、初心者の方も利用しやすいのではないでしょうか?余ったポイントがある!という方は、ぜひ「ポイントでの投資」も検討してみてください。1株単位で購入できるネット証券通常の株取引では、1銘柄あたり100株単位で購入することができます。つまり、売買取引できる最低単位が決まっているということです。しかし、ネット証券の中には1株単位で購入できるところがあります。たとえば、「SBIネオモバイル証券」は1株から購入することができるため、あまり資金を持たない方でも購入しやすいというメリットがあるのです。少額から始めたいという方は、このような1株単位で購入できるネット証券も選択肢の1つとなりうるでしょう。[adsense_middle]証券口座を比較!おすすめ口座ランキング株式投資を行う上で、できる限り自分に合った証券会社を利用したいですよね。ここでは、特に初心者の方におすすめしたい証券会社をランキング形式にしてご紹介します。みなさんが証券会社を選ぶ際の参考になれば幸いです。1位:SBI証券2位:楽天証券3位:松井証券4位:マネックス証券5位:auカブコム証券6位:岡三オンライン証券7位:GMOクリック証券8位:DMM株9位:SBIネオモバイル証券10位:LINE証券1位:SBI証券手数料が安いSBI証券は、ネット証券の最大手といっても過言ではないくらい代表的な証券会社です。SBI証券における魅力の1つが、手数料の安さ。SBI証券では、「スタンダードプラン」と「アクティブプラン」という2つの手数料プランを展開しています。スタンダードプランでは、1注文の約定代金に対して手数料を定めています。たとえば、5万円までの取引であれば、手数料は1注文50円+税です。対してアクティブプランでは、1日あたりの手数料を定めています。たとえば、1日の約定代金合計額が50万円までであれば、手数料はなんと無料。ご自身の投資スタイルに合わせて、プランを選択することができます。IPO取り扱い銘柄が豊富ほかにも、SBI証券にはIPO取り扱い銘柄が豊富という魅力もあります。証券口座選びに迷ったら、ひとまずSBI証券を開設しておいて損はないでしょう。2位:楽天証券ポイント投資が可能楽天関連サービスを利用している方には、特におすすめしたい「楽天証券」。上記でも解説したように、楽天証券では楽天スーパーポイントを利用して投資を行うことが可能です。楽天経済圏を活用してポイントを貯めている方であれば、楽天証券でのポイント投資が選択肢の1つとなるでしょう。楽天ユーザーであれば、ポイントを有効活用できるというメリットがあるのです。投資信託などの金融商品にも力を入れているまた、楽天証券では投資信託などほかの金融商品にも力を入れています。楽天ユーザーの方やほかの金融商品にも興味があるという方は、楽天証券を検討してみてください。3位:松井証券1日の約定代金が50万円までなら手数料無料!松井証券の魅力の1つが手数料の安さです。松井証券の現物取引では、1日の約定代金が50万円までであれば手数料が無料です!少額の取引を1日に何度も行う方にとってはメリットでしょう。充実したサポート体制また、2019年度問合せ窓口格付け(証券業界)において9年連続「三つ星」を獲得している実績があり、充実したサポート体制が整っていることも魅力的ですね。初心者の方にとって、手厚いサポートを受けられることは特にメリットとなるのではないでしょうか?対応の安心さを求めている方は、松井証券を検討してみてください。4位:マネックス証券初心者が取引頻度の高い金額帯の手数料が割安マネックス証券における魅力の1つは、1注文の約定金額が10~30万円の部分で手数料が割安だということでしょう。初心者の方であれば特に、まずは少額から始めてみたいと考える方が多いのではないでしょうか?上記でも解説したように、通常、株の売買は100株単位で行われています。そのため、約定金額が10~30万円という金額は、特に初心者における取引頻度が高いと考えられます。下記の表でマネックス証券の手数料をまとめましたので、ぜひ証券会社選びの参考にしてみてください。5位:auカブコム証券独自の手数料割引サービス「カブドットコム証券」から2019年12月1日に名称変更をした「auカブコム証券」。auカブコム証券では、独自の手数料割引サービスを行っています。たとえば上記のような割引サービスを展開しています。50歳以上のauユーザーなど、複数の割引に該当すればその分お得になる計算です。1株単位で購入できる「プチ株」また、auカブコム証券の「プチ株」では、1株単位で購入することが可能です。さらに、プチ株を積立で買付する「プレミアム積立」というサービスも展開しています。少額から始めたいという方は、検討してみてはいかがでしょうか?[adsense_middle]6位:岡三オンライン証券IPO抽選参加で資金拘束がない岡三オンライン証券では、IPOの抽選参加にあたり資金拘束がありません。つまり、事前に口座へ入金しておく必要がないということです。IPOの申し込みが無料でできることは、岡三オンライン証券の魅力だといえます。取引ツールが充実しているまた、取引ツールが充実していることも特徴の1つであり、2019年「みんなの株式」ネット証券ランキング取引ツール1位を獲得しています。中でも評判がよいのが「岡三ネットトレーダープレミアム」。岡三オンライン証券の口座を開設している方であれば無料で利用できることも魅力的ですね。7位:GMOクリック証券取引コストが安いGMOクリック証券の大きな魅力は、取引コストが安いという点でしょう。現物取引では、1約定ごとのプランで10万円までの取引であれば95円+税となっており、大変お値打ちです。株式だけではなく、FX取引などの取引コストが安いことも魅力。株式以外にもさまざまな投資を行いたいという方は、GMOクリック証券も選択肢の1つとなるでしょう。取り扱い金融商品が他社と比較すると少ない投資信託の銘柄数など、ほかの証券会社と比較すると限定的であるというデメリットもあります。株式投資以外の投資も検討していて、すべてを1つの証券口座にまとめたい!という方には向いていないかもしれません。8位:DMM株初心者に優しい取引ツールDMM株ではWebツールやスマホアプリといった取引ツールが用意されていますが、使いやすいと評判が高いのが特徴です。特にスマホアプリでは、「かんたんモード」と「ノーマルモード」という2つの種類を選択できますので、初心者の方でも安心して利用することができます。独自のポイントサービス取引を行うとDMM株ポイントを獲得することが可能で、貯めたポイントを証券口座に入金することができます。獲得したポイントの分、お得な気分を味わえるという魅力があります。1取引ごとの手数料プランのみDMM株は取引手数料の安さも魅力の1つですが、1取引ごとの手数料プランしかありません。そのため、1日の取引回数が多い方にとっては、あまりメリットを感じないかもしれませんね。9位:SBIネオモバイル証券Tポイントを利用した株式投資が可能SBIネオモバイル証券では、Tポイントを利用した株式投資が可能です。日常生活での買い物などで貯めたTポイントを1ポイント=1円として利用できます。Tポイントの使い道に悩んでいる方がいたら、「投資」という新しい選択を取れるでしょう。1株単位での購入ができるまた、上記で解説したように1株単位でも購入することが可能です。銘柄の中には数百円から購入できるものがありますから、本当に少額から始めたい!という方にもおすすめです。NISA非対応SBIネオモバイル証券では、2020年5月現在NISA・つみたてNISA口座が非対応となっています。特定口座のみですので、非課税枠で株式投資を行いたいという方はほかの証券会社を検討することになるでしょう。10位:LINE証券LINEアプリから手軽に利用できるコミュニケーションアプリ「LINE」を日常的に利用している方は多いのではないでしょうか?LINE証券は、LINEアプリから手軽に利用できることが特徴の1つです。1株単位での購入が可能また、1株単位での購入もできますので、「株式投資を始めるにはハードルが高い」と感じる初心者の方も始めやすいといえるでしょう。ただし、1株から購入できる銘柄が限られていますのでご注意ください。銀行口座への出金は手数料がかかるLINE Payへの出金であれば手数料無料ですが、銀行口座へ出金する場合は220円(税込)の手数料がかかります。出金額が高額の場合、LINE Payでは使いきれないことが考えられます。銀行口座への出金に手数料がかかることは、デメリットだといえるでしょう。株の口座開設におすすめの証券会社に関するまとめ株式投資で証券口座を開設するのであれば、近年人気の高まっているネット証券がおすすめです!ネット証券には「手数料が安い、ポイントでの投資ができるなど」、さまざまな魅力があります。ネット証券の中でも証券会社ごとに特徴がありますので、ご自身の生活スタイルや投資方針などを考慮して、自分に合った証券会社を選択してみましょう。
2020年05月16日天海祐希が老後資金問題をはじめ、あらゆる問題が立て続けに襲ってくる中、悩みもがき奮闘しながらも逆境に立ち向かう主婦を演じる映画『老後の資金がありません!』。この度、本作初の映像となる特報、第2弾キャストとして草笛光子、松重豊、瀬戸利樹、加藤諒、高橋メアリージュン、三谷幸喜ら19名が発表された。今回新たに発表された19名が演じるのは、天海さん扮する主婦・後藤篤子を翻弄する(!?)個性的な登場人物たち。まず篤子の家族には、篤子たちと同居する浪費家の姑・芳乃役を、日本を代表する名女優の草笛光子。定年間近で会社が倒産し失業に陥る夫・章役を、現在放送中のミニドラマ「きょうの猫村さん」が話題の名バイプレイヤー・松重豊。突然結婚相手を連れ、派手婚を報告する娘・まゆみ役を新川優愛。家庭内のムードメーカーで大学生の息子・勇人役を瀬戸利樹が演じる。また、まゆみの結婚相手でヘビメタバンドマン・松平琢磨を加藤諒、篤子の主婦友達・神田サツキを柴田理恵、篤子と対立する章の妹・志津子を若村麻由美、志津子の夫・秀典を石井正則。そのほか、葬儀社の社員役で友近、ヨガ教室の講師役でクリス松村、シングルマザーのキャバ嬢役で高橋メアリージュン、琢磨の両親役で佐々木健介と北斗晶、篤子の両親役で竜雷太と藤田弓子、章の元同期役で哀川翔、本作のキーともなるサツキの父役で毒蝮三太夫、区役所委員役で三谷幸喜、本人役で荻原博子(経済ジャーナリスト)が出演する。篤子を振り回す最大の原因でありながらも、どこか憎みきれない姑を演じた草笛さんは「前田監督と最初にお会いした時に『草笛さんは役作りせずそのままで』と言われました。女優にとってこれほど難しい注文はありません。続けて『そのままで十分おかしいですから』と。劇中ではとんでもない姿をお見せするのですが『もうどうにでもなれっ』と飛び越えてしまった感じ。私の姿を見てみなさんはどう思われるでしょうか、私も早く見たいような怖いような」と話し、「色々な意味でこんな作品は初めて。私にとっては恐ろしい映画です」とコメント。前田哲監督は「80歳を過ぎても現役バリバリのザ・女優である草笛光子さんには、今までやられたことのない、ありえない!ことにトライしてもらいました。時に大胆に時に繊細に全身全霊で役に取り組み、いきいきと楽しんで演じるチャーミングな姿に、スタッフもキャストも、まるで『映画の女神』のようだと驚嘆でした」と草笛さんの出演について語っている。また同時に到着した特報映像では、頭を悩ます主婦・篤子をはじめ、その悩みの原因ともなる家族たちが登場。さらに篤子が、浪費家の姑の高額なカフェ代にストレス爆発!「お安くないんじゃ!」とブチ切れるシーンも映し出されている。『老後の資金がありません!』は9月18日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:老後の資金がありません! 2020年9月18日より全国にて公開©2020映画『老後の資金がありません!』製作委員会
2020年05月14日平均寿命は女性がおよそ87歳、男性がおよそ81歳。長い老後はそのまま介護の長さに直結する。“ホントのところ”いくらくらい費用がかかるのか。実例をもとに学ぼう!「老後の介護資金を考えるとき、施設のパンフレットに記載される入居一時金や月額利用料ばかりに目を奪われる人が多いです。しかし貯蓄、年金収入、自宅の売却、利用者の健康状態、家族のサポートなど、それぞれの家庭ごとに異なる事情も考慮して、計画を立てなければなりません」こう語るのは、介護施設コンサルタント業務を請け負うスターパートナーズ代表の齋藤直路さんだ。「長寿社会の現在、あなたの親やあなた自身の介護を考えるとき、90歳や100歳まで生きることを前提にした計画を立てることが必要になってきます。長生きすることはうれしいですが、結果、資金的に追い詰められるリスクも……。介護施設に入居した人が、資金が尽きて、ふたたび家庭に戻るという例も最近は聞くようになりました」人生には想定外のことが起こるもの。だからこそ、さまざまなケースを知る必要がある。そこで、介護経験のある家庭の聞き取り取材をもとに、具体例を作り、その総費用を算出した。介護費用はすべて自己負担が1割の場合の金額だ。「介護は本人ばかりでなく、家族全体の問題です。これを機に親子や夫婦で話し合ってほしいですね」【ケース1】母が「高級有料老人ホーム」に入居した場合東京都内に住むEさんの母親は、ローンを完済した一戸建て住まい。十分な貯蓄もあり、遺族厚生年金と基礎年金を月15万円受給していた。そのため、75歳の母が「一人暮らしが不安。建物がきれいで、食事もおいしい介護付き有料老人ホームを見つけたので入りたい」言いだしたときも、Eさんは特に心配しなかった。実家を売って作った3,000万円と2,000万円の貯蓄と合わせて5,000万円の資金とし、念願の高級有料老人ホームに入ったEさんの母。75歳から80歳までは要支援2をキープし、楽しい毎日を過ごしていたが、物忘れが目立ち始めた81歳で要介護1に。そのころからレクリエーションに参加する機会も少なくなった。その後、83歳で要介護2、85歳で要介護4と上がり、87歳で天寿をまっとう。資金残高がゼロになり、年金で足りない分はEさんが資金援助する結果になった。【介護でかかった費用】・入居金3,000万円■75~80歳(要支援2)・介護費用:1万2,000円・施設の月額利用料(管理費・食費込み):25万4,000円・レクリエーション費:3,000円・合計(月額):26万9,000円■81~82歳(要介護1)・介護費用:2万円・施設の月額利用料(管理費・食費込み):25万4,000円・合計(月額):27万4,000円■83~84歳(要介護2)・介護費用:2万2,500円・施設の月額利用料(管理費・食費込み):25万4,000円・合計(月額):27万6,500円■85~87歳(要介護4)・介護費用:2万7,500円・施設の月額利用料(管理費・食費込み):25万4,000円・合計(月額):28万1,500円・13年の総費用:7,271万4,000円(1年あたり559万3,385円)「余裕を持った資金でしたが、13年という長期間の入居になると、5,000万円の資金は87歳の途中で底を突き、Eさんはおよそ70万円の金銭的負担をしなければなりませんでした。88歳以降もお母さんが生きていた場合、この生活を続けるために、Eさんは毎月13万1,500円の負担を強いられることになります。長寿時代の長い老後には、豊富な資金があっても、注意しなければならないのです」(齋藤さん)具体例を紹介したが、齋藤さんはこう注意を促す。「あくまで概算なので、各ご家庭の事情に照らし合わせてください。さらにこのほかにも、予想外の医療費など“アクシデント”は起こるので、さらに余裕を持った資金計画が必要です」また“ついのすみか”を決める際、お金ばかりでなく“人”もしっかりと見極めなくてはならないという。「利用料が安くても、介護レベルが高い施設はあります。その逆の可能性もあります。入居候補先には事前に見学、施設長に面談をし、理念や施設内の日常の様子も見ておきましょう。さらに、スタッフの離職率なども参考にしてください。次々に人が入れ替わる施設は、介護レベルの低い人材も紛れ込むため、要注意です」絶対に後悔をしないために、ついのすみかは慎重に選びたい。「女性自身」2020年5月12・19日合併号 掲載
2020年05月13日老後の生活費に不安を感じている人は多いのではないでしょうか?老後資金を積み立てる方法として、個人年金保険とiDeCo(イデコ)があります。本記事では、個人年金保険とiDeCoの違いについてご説明しますので、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、自分に合った老後資金の準備方法を考えましょう。個人年金保険とiDeCoを比較してみよう個人年金保険やiDeCoという言葉を聞いたことがあっても、詳しくは知らないという人もいると思います。まずは、両方の概要を知っておきましょう。個人年金保険の概要個人年金保険は民間の保険会社が取り扱っている貯蓄型保険で、老後資金の積み立てに利用できるものです。契約で設定した年金受取開始年齢になれば、払ってきた保険料を原資として、年金や一時金で支払いを受けられます。iDeCoの概要iDeCo(イデコ)とは「個人型確定拠出年金」のことです。iDeCoは商品名ではなく、制度の名称です。確定拠出年金は法律にもとづき2001年に開始した制度で、個人型と企業型の2種類があります。企業型確定拠出年金は、勤務先で制度が導入されているサラリーマンのみが加入できるものです。一方、iDeCoは20歳以上60歳未満の人なら基本的に誰でも加入できます。iDeCoの申し込み方法は?iDeCoを利用するには、「運営管理機関」と呼ばれる金融機関(銀行、証券会社、保険会社)で申し込みが必要です。申し込みの際には、金融機関で用意されている商品(定期預金、投資信託、保険商品など)から自分で複数の商品を選びます。iDeCoの受取時期・受取金額は?iDeCoは老後資金を積み立てるための制度なので、60歳以降でなければ受け取れないという制限があります。受け取れる金額は、自分が選んだ商品の運用結果によって変わります。共通のメリットは所得控除が受けられることお金を貯めるだけなら、通常の預貯金でもいいはずです。しかし、個人年金保険とiDeCoには、通常の預貯金にはない節税効果があります。所得税・住民税は所得控除で安くなる所得税・住民税は所得を基準に計算するので、所得が多ければ税金が高くなります。ただし、所得からは各種の所得控除を差し引きできるので、所得控除が増えるほど税金を抑えられます。個人年金保険(税制適格特約付きのもの)またはiDeCoに加入していれば、いずれも所得控除が受けられます。老後資金を積み立てるなら、通常の預貯金よりも個人年金保険やiDeCoを利用した方がお得です。個人年金保険で受けられるのは「個人年金保険料控除」税制適格特約の付いた個人年金保険に加入している場合には、所得控除の中の「生命保険料控除」が受けられます。生命保険料控除は3種類に分かれていますが、通常はそのうちの「個人年金保険料控除」の対象となります。なお、個人年金保険料控除で受けられる控除金額の上限は4万円です。iDeCoで受けられるのは「小規模企業共済掛金控除」iDeCoの掛金を払っている場合には、所得控除のうちの「小規模企業共済掛金控除」が受けられます。年間に払った掛金の全額が控除の対象となります。個人年金保険とiDeCoの違い:個人年金保険のデメリット個人年金保険は保険会社と自由に契約できる商品なので、自分の希望に合わせて内容を決めやすくなっています。一方、iDeCoは国の制度として大きな優遇がありますが、その分制限も多くなります。両者をデメリットの面から比較してみます。[adsense_middle]個人年金保険のデメリット①控除額に上限がある個人年金保険で払った保険料は、所得控除できる金額に上限があります。年間保険料払込額が2万円以下であれば全額控除の対象になりますが、2万円を超えていれば一部しか控除の対象になりません。所得控除による節税効果はiDeCoの方が大きくなります。個人年金保険のデメリット②自分で年金受取額を増やせない個人年金保険ではお金の運用は保険会社に任せることになるため、自分で年金受取額を増やせません。将来の年金受取額が確定している確定型の商品は、低金利の現在はメリットが少なくなっています。iDeCoでは元本確保型の商品(定期預金、保険)以外に、投資信託も選べます。投資信託にはリスクもありますが、運用の成果によってはリターンが大きくなり、年金受取額を増やせる可能性があります。個人年金保険のデメリット③途中解約すれば元本割れしてしまう個人年金保険を途中解約した場合、元本割れしてしまうケースが多くなります。柔軟性がある反面、最後まで保険料を払い続けることができなければ結局は損してしまいかねないというデメリットがあります。個人年金保険とiDeCoの違い:iDeCoのデメリット続いて、iDeCoのデメリットを見ていきましょう。iDeCoのデメリット①原則として途中解約ができないiDeCoは原則として途中解約ができません。60歳を過ぎないと引き出せないので、急にお金が必要になったときに困ることがあります。iDeCoのデメリット②掛金に上限額があるiDeCoでは掛金が全額所得控除になるメリットがある代わりに、掛金の金額に上限が設けられています。iDeCoの毎月の掛金上限額は、職業などによって変わります。(1) 第1号被保険者(自営業者・個人事業主)月額6万8,000円が上限になります。ただし、国民年金基金または国民年金の付加年金にも加入している場合には、両方を合わせての上限額になります。(2) 第2号被保険者(会社員・公務員)第2号被保険者の掛金上限額は、勤務先での企業年金の加入状況等によって異なり、次の表のようになります。なお、企業年金にはDB(確定給付年金)とDC(確定拠出年金)があり、どちらに加入しているかで区別されます。(3) 第3号被保険者(専業主婦)月額2万3,000円が上限になります。iDeCoのデメリット③受取期間が決まっているiDeCoでは60歳になるまでは年金を受け取ることができません。また、受け取るときには、5年以上20年以下の有期年金として受け取るか、70歳までに一時金として受け取るかのどちらかになります。いつでも好きなときに受け取れるわけではありません。個人年金保険の場合には、保険会社との契約により受取期間も柔軟に選べます。終身タイプの商品もあるので、一生涯年金をもらうことも可能です。iDeCoのデメリット④手数料が発生するiDeCoに加入すると、次の表のようなさまざまな手数料が発生します。元本確保型の商品だけで運用していると損してしまうことがありますので気を付けましょう。個人年金保険とiDeCoのどちらを選んだらいい?個人年金保険とiDeCoにはそれぞれメリット、デメリットがあります。どちらを選んだらよいかは、資産運用に対する考え方や年齢などによって変わってきます。[adsense_middle]年金を積極的に増やしたいなら保険会社が着実に運用してくれる個人年金保険と違い、iDeCoは自己責任で運用するものです。運用に失敗すれば元本割れしてしまうリスクもありますが、逆にお金が増える可能性もあります。通常、預貯金の利息や投資信託などの運用益には20.315%の税金がかかります。しかし、iDeCoでは利益に対する税金も非課税となっており、効率よく資産運用ができます。iDeCoでは手数料も発生するので、預貯金だけで運用すると損してしまうこともあります。投資を行って積極的に年金を増やしたい人は、iDeCoの方がおすすめです。50代以上で加入を考えるならiDeCoでは通算加入期間によって、年金受取が可能になる年齢が次のように決まっています。iDeCoで60歳から年金を受け取るには、10年以上の積立期間が必要です。50代の人でも加入のメリットがないわけではありませんが、60歳から年金をもらうことはできません。個人年金保険の場合には、保険料の一時払いも可能になっており、年金の受け取り開始年齢も契約で自由に設定できます。60代や70代で加入できる商品もあるので、高齢になってからの資金準備に活用できます。個人年金保険とiDeCoは併用できる個人年金保険とiDeCoの両方に加入することも可能です。所得控除の枠もそれぞれ別になるので、両方を併用すれば節税効果も大きくなります。たとえば、iDeCoだけで積み立てると、急にまとまった資金が必要になったときに引き出せず困ってしまうことがあります。途中解約もできる個人年金保険でも積み立てをしておくと、資産運用に柔軟性を持たせることができます。個人年金保険とiDeCoに関するまとめ個人年金保険やiDeCoには節税効果があるので、老後資金の積み立てに活用するのがおすすめです。できるだけ若いうちから積み立てを開始した方が確実に老後資金の準備はできますが、長期間保険料や掛金を払い続けなければならないこともしっかり認識しておく必要があります。加入するときにはデメリットも把握しておき、後で慌てることのないようにしましょう。
2020年05月11日健康寿命が延びるのと同時に私たちが直面するのが、老後に必要となる生活費のこと。まずは現状でもらえる額を把握して、不安があれば50代からでもできる受給額アップのための対策に着手しようーー。「昨年6月、金融庁から報告書が出てからは『老後はそんなにお金が必要なのか』『どうやってお金をためたらいいのか』と、戸惑った人も多いでしょう。そもそも報告書は、総務省の家計調査がもとになっています。『高齢夫婦無職世帯』の毎月の赤字額は約5万円なので、年金で暮らす期間を30年とすると、約2,000万円資産の取り崩しが必要、とされていました。『老後に不足する額はライフスタイルなどによって大きく異なる』ともあり、2,000万円もかからない人もいれば、もっとかかる人もいます。一喜一憂しないことです」そう解説するのは『受給額が増える!書き込み式得する年金ドリル』(宝島社)の著者で、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。総務省家計調査(’18年)を見ると、高齢夫婦無職世帯の年金を含めた実収入は月額22万2,834円で、支出は26万4,707円。4万1,873円の不足だ。「ここでよく見ておきたいのは、実収入の大半を占めるものは年金収入であるところです。公的年金は会社員か自営業か、夫婦共働きかなど現役世代の働き方によって受け取る年金額にかなりの差が出てきます。一方で、年を重ねると食事の量が減って食費がかからなくなったり、行動範囲も自宅の周囲に限られて交際費などの支出が減ってきたりすることも考えられます。家計調査の支出ほど使わないという人もいるでしょう。住宅ローンを完済していない人、賃貸住まいの人は居住費がかかるので、収入が減る分、支出の負担が大きく感じられるでしょう。老後の生活費を把握するためには、受け取れる年金額を知っておくことが大切です」(井戸さん・以下同)いまや人生100年時代。健康で長生きしたいと思うと同時に、老後も安心した生活が成り立つのか不安がどうしてもつきまとう。そこで井戸さんに「年金を増やすワザ」を教えてもらった。■「付加年金」で増やす!(※第1号被保険者のみ)自営業者やフリーランス、アルバイトなど、国民年金の加入者(第1号被保険者)は、毎月支払う国民年金の保険料に400円プラスして支払うと、将来、年額に「200円×納付月数」を上乗せした額を終身でもらえる制度が「付加年金」。「たとえば20歳から60歳まで40年間付加保険料を払い続けたとします。40年間で支払う付加年金の保険料は400円×12カ月×40年(480カ月)で19万2,000円。これに対して年金を受給開始後1年間に受け取る額は、200×12カ月×40年で9万6,000円。2年間受け取れば元が取れます」付加年金の保険料は、社会保険料控除の対象になるので、納めている期間は所得税と住民税が安くなる。申し込みは市区町村の窓口で手続きをする。ただし、申し出があった月からの加入となり、さかのぼって加入することは不可。また、第2被保険者の会社員と公務員、第3号の専業主婦は付加年金に加入することはできない。■「国民年金基金・小規模企業共済」で増やす!(※第1号被保険者のみ)第1号被保険者の人も年金を“2階建て”にすることは可能だ。「1つ目は、国民年金に上乗せする形の公的な年金制度の『国民年金基金』で、都道府県ごとに設置されている国民年金基金に加入します。65歳から一生受け取れる終身年金(2種)と、一定の期間支給される確定年金(5種)があり、選択した給付の型と加入口数、加入時の年齢、性別によって掛金が決まります。2つ目は中小企業基盤整備機構が運営する『小規模企業共済』です。毎月掛金を積み立て、将来事業をやめたときに一括か分割で受け取る仕組みです。個人事業主やフリーランスのための共済で、専業主婦やアルバイトの方は利用できません」掛金の上限は国民年金基金が月額6万8,000円(確定拠出年金に加入している人はその額の合計)、小規模企業共済は月額7万円。掛金全額が所得から控除され、所得税や住民税が安くなるメリットがあるので上手に活用したい。「女性自身」2020年4月14日号 掲載
2020年04月08日健康寿命が延びるのと同時に私たちが直面するのが、老後に必要となる生活費のこと。まずは現状でもらえる額を把握して、不安があれば50代からでもできる受給額アップのための対策に着手しようーー。「昨年6月、金融庁から報告書が出てからは『老後はそんなにお金が必要なのか』『どうやってお金をためたらいいのか』と、戸惑った人も多いでしょう。そもそも報告書は、総務省の家計調査がもとになっています。『高齢夫婦無職世帯』の毎月の赤字額は約5万円なので、年金で暮らす期間を30年とすると、約2,000万円資産の取り崩しが必要、とされていました。『老後に不足する額はライフスタイルなどによって大きく異なる』ともあり、2,000万円もかからない人もいれば、もっとかかる人もいます。一喜一憂しないことです」そう解説するのは『受給額が増える!書き込み式得する年金ドリル』(宝島社)の著者で、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。総務省家計調査(’18年)を見ると、高齢夫婦無職世帯の年金を含めた実収入は月額22万2,834円で、支出は26万4,707円。4万1,873円の不足だ。「ここでよく見ておきたいのは、実収入の大半を占めるものは年金収入であるところです。公的年金は会社員か自営業か、夫婦共働きかなど現役世代の働き方によって受け取る年金額にかなりの差が出てきます。一方で、年を重ねると食事の量が減って食費がかからなくなったり、行動範囲も自宅の周囲に限られて交際費などの支出が減ってきたりすることも考えられます。家計調査の支出ほど使わないという人もいるでしょう。住宅ローンを完済していない人、賃貸住まいの人は居住費がかかるので、収入が減る分、支出の負担が大きく感じられるでしょう。老後の生活費を把握するためには、受け取れる年金額を知っておくことが大切です」(井戸さん・以下同)いまや人生100年時代。健康で長生きしたいと思うと同時に、老後も安心した生活が成り立つのか不安がどうしてもつきまとう。そこで井戸さんに「年金を増やすワザ」を教えてもらった。■「定年後も働いて」増やす!60歳以降も会社勤めをする人は、70歳まで厚生年金に加入することができる。「継続雇用で同じ会社で働く人や、ほかの会社に転職して働く人も増えています。その分、将来受け取る年金額は増えるので確認しましょう。たとえば、定年後の年収が400万円だとすると、増える年金の額は年間約11万円に。ただし、給料と年金の合計額によっては年金が受け取ることができないケースがあるので注意しましょう」60歳から64歳までの人は、1カ月の収入が、年金月額と給料をあわせて28万円を超えると、一定額または年金の全額が支給停止となる。65歳以上は47万円を超えた分が調整される。退職後に自営業、アルバイトなどで働き、厚生年金に加入していない人は、年金はカットされない。カットされた年金は1円も戻ってこないため、1カ月の働く時間は慎重に決めよう。■「任意加入」で増やす!国民年金の加入期間のうち、保険料を納めなかった期間に応じて、その分年金額は少なくなる。60歳から65歳未満の5年の間に、納付月数480月に達するまで保険料を納める「任意加入制度」があり、65歳から受け取る老齢基礎年金を満額にすることができる。「1991年3月までは20歳以上の大学生は加入が任意でした。老齢基礎年金の額を満額にすることができますが、厚生年金の加入者はこの制度が使えないので、定年退職してから納付することになります」「女性自身」2020年4月14日号 掲載
2020年04月08日健康寿命が延びるのと同時に私たちが直面するのが、老後に必要となる生活費のこと。まずは現状でもらえる額を把握して、不安があれば50代からでもできる受給額アップのための対策に着手しようーー。「昨年6月、金融庁から報告書が出てからは『老後はそんなにお金が必要なのか』『どうやってお金をためたらいいのか』と、戸惑った人も多いでしょう。そもそも報告書は、総務省の家計調査がもとになっています。『高齢夫婦無職世帯』の毎月の赤字額は約5万円なので、年金で暮らす期間を30年とすると、約2,000万円資産の取り崩しが必要、とされていました。『老後に不足する額はライフスタイルなどによって大きく異なる』ともあり、2,000万円もかからない人もいれば、もっとかかる人もいます。一喜一憂しないことです」そう解説するのは『受給額が増える!書き込み式得する年金ドリル』(宝島社)の著者で、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。総務省家計調査(’18年)を見ると、高齢夫婦無職世帯の年金を含めた実収入は月額22万2,834円で、支出は26万4,707円。4万1,873円の不足だ。「ここでよく見ておきたいのは、実収入の大半を占めるものは年金収入であるところです。公的年金は会社員か自営業か、夫婦共働きかなど現役世代の働き方によって受け取る年金額にかなりの差が出てきます。一方で、年を重ねると食事の量が減って食費がかからなくなったり、行動範囲も自宅の周囲に限られて交際費などの支出が減ってきたりすることも考えられます。家計調査の支出ほど使わないという人もいるでしょう。住宅ローンを完済していない人、賃貸住まいの人は居住費がかかるので、収入が減る分、支出の負担が大きく感じられるでしょう。老後の生活費を把握するためには、受け取れる年金額を知っておくことが大切です」(井戸さん・以下同)いまや人生100年時代。健康で長生きしたいと思うと同時に、老後も安心した生活が成り立つのか不安がどうしてもつきまとう。そこで井戸さんに「年金を増やすワザ」を教えてもらった。■「iDeCo」で増やす!50歳前半であれば、60歳を迎えるまでの数年間で、自ら年金を増やす方法もある。「個人型確定拠出年金・iDeCo(イデコ)」は60歳まで毎月一定額を積み立てて、投資信託や預貯金など自分が選んだ金融商品で運用。60歳以降から70歳までに年金や一時金として受け取る。「個人型のメリットは大きく2つ。1つは積み立てた掛金が所得から全額控除されて、今年の所得税、翌年納める住民税が安くなります。さらに、運用で増えたお金は非課税に。そして年金で受け取るときには公的年金等控除が適用される点も魅力です」たとえば、月1万円の掛金を払うと、年間12万円の積み立てになる。所得税率が20%(課税所得330万円超695万円以下の場合)の人の場合は、住民税10%と合わせて税金が年間3万6,000円安くなる(復興特別所得税を除く)。年利換算で「年約30%」のリターンが得られる計算だ。自治体によっては均等割が加算されることがあるが、およその目安になる。「銀行の定期預金の利率と比較しても、税金の負担が少なくなるのは大きなメリットです。ただし、掛金の限度額は働き方によって異なり、いくら掛けてもいいというわけではありません。積み立てた金額は原則60歳になるまで引き出すことができないほか、専業主婦などそもそも所得税がない人はこの恩恵が得られないので、やみくもに加入するのはオススメできません」掛金の限度額は働き方によって異なる。フリーランス、自営業などの個人事業主は月額6万8,000円が上限。会社員は勤務先の企業年金制度によって1万2,000円〜2万3,000円。公務員は1万2,000円、専業主婦(夫)は、2万3,000円となっている。たとえば、48歳のときに加入し、60歳まで毎月2万円積み立てると288万円。額面どおり受け取るには運用次第となる。「iDeCoは銀行、保険会社、証券会社などの金融機関に専用口座を開くことから始めます。開設した口座には管理手数料など毎月コストが発生しますから、いくつかの金融機関を比較することをオススメします。金融機関を選ぶ際には口座管理料、商品の品ぞろえ、投資信託を保有するコストの3つからよく検討しましょう」「女性自身」2020年4月14日号 掲載
2020年04月08日いまや人生100年時代。健康で長生きしたいと思うと同時に、老後も安心した生活が成り立つのか不安がどうしてもつきまとう。「老後に2,000万円必要と言われても、退職金もアテにできそうもないので、将来が不安で……」そう語るのは専業主婦のA子さん(52・都内在住)もその1人だ。一人息子はすでに社会人になり独立。住宅ローンは完済のめどが立っているものの、夫(54)が管理職から外れる役職定年を目前にして、老後の生活が気になり始めた。「昨年6月、金融庁から報告書が出てからは『老後はそんなにお金が必要なのか』『どうやってお金をためたらいいのか』と、戸惑った人も多いでしょう。そもそも報告書は、総務省の家計調査がもとになっています。『高齢夫婦無職世帯』の毎月の赤字額は約5万円なので、年金で暮らす期間を30年とすると、約2,000万円資産の取り崩しが必要、とされていました。『老後に不足する額はライフスタイルなどによって大きく異なる』ともあり、2,000万円もかからない人もいれば、もっとかかる人もいます。一喜一憂しないことです」そう解説するのは『受給額が増える!書き込み式得する年金ドリル』(宝島社)の著者で、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。総務省家計調査(’18年)を見ると、高齢夫婦無職世帯の年金を含めた実収入は月額22万2,834円で、支出は26万4,707円。4万1,873円の不足だ。「ここでよく見ておきたいのは、実収入の大半を占めるものは年金収入であるところです。公的年金は会社員か自営業か、夫婦共働きかなど現役世代の働き方によって受け取る年金額にかなりの差が出てきます。一方で、年を重ねると食事の量が減って食費がかからなくなったり、行動範囲も自宅の周囲に限られて交際費などの支出が減ってきたりすることも考えられます。家計調査の支出ほど使わないという人もいるでしょう。住宅ローンを完済していない人、賃貸住まいの人は居住費がかかるので、収入が減る分、支出の負担が大きく感じられるでしょう。老後の生活費を把握するためには、受け取れる年金額を知っておくことが大切です」(井戸さん・以下同)まずは、年金に関して基礎からおさらいしよう。公的年金は職業などによって種類が異なり、自営業者やフリーランス、学生が加入する第1号、会社員や公務員は第2号、会社員や公務員の配偶者がいる妻(または夫)は第3号に分類される。20歳になると、全員が国民年金(老齢基礎年金)に加入する。会社員と公務員はさらに厚生年金(老齢厚生年金)にも加入するため、受け取る年金額は多くなる。国民年金は保険料が一律で、加入期間(保険料を納めている期間や保険料を免除されている期間)の長さに応じて支給額が決まるが、厚生年金は収入によって保険料が異なるため、支給額は加入期間と平均年収によって決まる。将来、年金がいくら受け取れるのかは日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」で確認できる。年に1度の誕生月にははがきで、35歳、45歳、59歳の年には封書で届く。「最初に加入期間を見てみましょう。特に女性の場合、20歳で国民年金に加入したら第1号、就職して厚生年金に入ると第2号、結婚退職して夫の扶養家族になったら第3号と、立場が変わるたびに、加入する年金の種類が変わってきます。過去に会社員や公務員だった期間が1カ月でもあれば、この期間に応じた額の厚生年金が支給されるので、加入歴がきちんと反映されているかどうかご自身の職歴とあわせて必ず確認しましょう。また、50歳以上の人に届く『ねんきん定期便』には、現在の収入のまま、60歳まで保険料を支払った場合の年金見込み額が記載されています。この金額が65歳以降に受け取ることのできる年金額の目安になります」Aさんの夫は、20歳から国民年金を納めて、22歳から60歳まで厚生年金に加入。平均年収は500万円。65歳から受け取れる老齢基礎年金は年額78万円(月額6万5,000円)、老齢厚生年金は年額105万円(月額約8万7,500円)だ。一方のAさんは国民年金に未納の期間はなく(受取額が月額6万5,000円)、7年間会社員だった期間がある。老齢厚生年金は年額13万4,750円で月額1万1,230円。1カ月の年金収入は夫婦合わせて約22万8,000円となった。「概算した金額に不安があるという人は、積み立てをしたり、受給開始を先延ばしすることで受け取る年金を増やすことが可能です」「女性自身」2020年4月14日号 掲載
2020年04月08日