老後の年金問題などが世間を騒がせていますが、本当に将来もらえるのか不安を感じていた私。そこで私は、自分で所有する土地に賃貸住宅を建てて、「自分年金」を作ることに決めました。ここではそれを達成するまでの過程をお話しします。構想20年のアパート経営私は、最寄り駅から徒歩4分のところに45坪程度の土地を所有しています。かつて昭和50年ころまで、そこで私の祖母がアパート経営をしていました。将来の年金受給の不安や、自分の職も不安定なこともあり、2003年ごろに再びアパートを建設することに決めました。ところが不動産投資のことを両親に話すと、案の定反対されました。かつてアパートだった土地であるにもかかわらずです。両親はどうやら、借入金を利用してアパートを建設することに反対しているようでした。両親の反対を受けて仕方がないので、まずはアパート投資の勉強を始めることにしました。簿記の勉強をして日商簿記2級まで取得しました。アパート経営には簿記は大変役に立つと書籍で知っていたからです。さらに、税理士のセミナーに出かけて知識を得たり、マンション・アパート経営の書籍をたくさん購入して読みあさりました。不動産投資には勉強はとても大切です。何も勉強をせずに、いきなり投資の世界に飛び込むことほどリスクの高いことはないと思っていました。ついにアパート建設決定!両親の反対はその後も長く続きました。どこかで折れてくれるのではないかと期待したものですが、両親の意志は固く断固反対だったのです。ところが2013年に父親が倒れ、その後10年間床に伏せていましたが、2023年に病気が悪化し、ホスピス(病気などによる苦痛を緩和し、最期のときを穏やかに過ごすことを目的とする施設)に入所することになったのです。すると、今までアパート建設に反対していた母親が折れ始め、アパート建設の復活が決定的になったのです。そのとき、すでに構想から20年が経過していました。夢は願い続ければかなうといわれますが、まったくその通りだと思いました。これから自分がやらなければならないことはたくさんあります。ですが、一つひとつ慎重にこなし、祖母が経営していたアパート以上に、大きなアパートを建設して不動産収入という「自分年金」を作ろうと考えています。賛成してくれた親には最終的には感謝をしています。まとめ収入の柱は1本だと不安定だと感じます。会社員としての収入だけではなく、複数の収入を持つことによって、将来の不安が払しょくされたのです。私のように自分年金を作ることは、これからの時代にはとても大切な行為だと思っています。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。監修/大久保美伽 先生元銀行員、大手外資系金融機関勤務歴15年。退職後、2021年マネレボ株式会社設立。真に中立な立場で資産運用と保険、家計の見直しをおこない、お金と時間から自由になり自分らしく生きる女性を増やすべくファイナンシャルプランナーとして独立。多くのお客様の資産運用やライフプランニングの悩みを解決すべく尽力している。老後に3000万円差がつく投資講座主宰。文/ヨシキウーマンカレンダー/シニアカレンダー編集室著者/ウーマンカレンダー編集室40歳を過ぎて心と体の変化に戸惑い、悩むオトナ女子を応援するメディア「ウーマンカレンダー」の編集室です。オトナ女子がおこなっているコスパ良し!時短!ズボラでもできる!リアルなアンチエイジング情報をお届け。医師解説の記事も満載!
2024年03月31日ミッドライフ(中年)とは40歳前後から50代前半までの時期を指し、多くの人が転換期を迎える時期で、ミッドライフクライシスとは中年の危機とも呼ばれ、中年の人が心の葛藤に悩まされることだそうです。人生を時間で例えるとすれば、大きく午前と午後に分けられ、45歳の私はまさに「人生の午後」を迎えようとしている私。最近、思い悩むことの種類が変わってきたような気がします。40代後半、変わりゆく自分45歳、体力の衰えや容姿の変化を顕著に感じるようになりました。朝は体がだるく、夕方も日中の疲労が蓄積されてより一層つらい。せめておいしいものを食べて元気を出したいと思っても、若いときのようにたくさん食べることができなくなりました。ただ、周りの若い同僚と一緒にいると、ついいつまでも自分も若いつもりになってしまいます。でも、よく考えれば私は同僚の母親世代に近い年齢であり、彼女たちとは聞いてきた歌も見てきたテレビ番組も違うのです。会社では自分も頼りたいのに頼られる立場になり、何とも言えない居心地の悪さと不安を抱え、その気持ちがどんどん大きくなったころ、私はさまざまな事情が重なったこともあって仕事を退職しました。退職により大きくなる不安と後悔仕事を辞めたばかりのころは解放感にあふれていたものの「このままでいいのか」「自分は間違っているのではないか」と漠然とした不安や恐怖を抱えるようになりました。その後別の会社に転職したのですが、前の仕事を辞めたという自分の選択が間違っていたのではないか、と少なくなった収入を見るたびに少しの後悔と、老後への不安が顔を出すように。更年期も重なる今、いつまで元気で家族と過ごせるか、といった健康面での不安もあります。言いようのない不安は家族とよくあるようなささいなことで喧嘩になったときなどに爆発します。前の仕事を退職したという自分の選択は間違っていたのではないか、取り返しのつかないことをしてしまったと退職を悔やむこともありました。このままではいけない、今を乗り越えないとこのモヤモヤを引きずったままおばあちゃんになってしまう。そう考え、私なりの対策を立てました。不安を減らすために私がおこなった対策は、持ち物の整理、人間関係の見直し、不安をノートに書き出すことの3つでした。持ち物を整理することで身辺整理にもなり、急に自分が動けなくなったときの身辺への心配を減らすことになりました。また、自分が本当に心を許せる友人だけと付き合っていこうと決め、ストレスになっていた人間関係をスリム化することにしました。最初は不安だった人間関係のスリム化は、いざおこなってみても寂しくなく、必要ない気づかいをする相手を減らすことができました。不安は具体的にノートに書き出し、言語化することで漠然とした不安感を減らしました。ただ、今の収入や老後についての不安は残ったままでノートに書き出すことですべてが解決したわけではありませんが、同じことをクヨクヨ考える時間は減った気がします。まとめ自分の年齢を3で割ると人生時間がわかる、と昔何かの本で読んだことがあります。私の年齢を3で割ると15時。ちょうど午後のお茶の時間です。走り続けてきた人生に立ち止まってひと息つきなさい、という時間なのでしょうか。今を悩むということは、将来のことを真剣に考えているから。無駄な時間ではなく、一生懸命生きている証拠だ、人生の午後を迎えた今、そう思うのです。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。著者/所 とうこ(45歳)高校卒業後、専門学校へ進学。看護師として20年以上のキャリアを持つ。趣味は映画鑑賞。
2024年03月28日主婦が老後の貧困に陥るかもしれない。武見厚労相は’23 年10月、専業主婦が多く該当する第3号被保険者制度の見直しに言及。老後も安定した生活を送るには、どうすればよいのだろう。「夫は税理士でした。私は毎月渡される家計費でやりくりし、あとは全部任せていました。夫の死後、こんなに落ちぶれるなんて……」そう嘆くのは春子さん(仮名・80歳)。夫の生前は都内の持ち家に住み裕福な暮らしだったという。「私は専業主婦。国民年金は少ないと聞いていましたが65歳の受給額は2万円でした」(春子さん)夫に聞くと、年金保険料に未納があったらしい。だが、当時夫はまだ働いて収入もあったので、春子さんは「年金は私のお小遣い」と思っていたという。「70代になって夫が亡くなり、資産などを調べて愕然としました。自宅のローンは終わっていましたが貯金はわずか数百万円で、生命保険にも入っていない。夫も国民年金ですから、遺族年金はありません。私は月2万円の年金でどう暮らせばいいのか。長生きせずに死にたいです」(春子さん)現在、専業主婦世帯は517万世帯ほど(総務省「’23年労働力調査」)。そんな主婦たちからの切実な相談が増えているというのは、ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんだ。結局、春子さんは持ち家を売却したが、手元には1千万円も残らなかったという。「一人娘が月3万円を援助しても収入は月5万円ほど。家賃3万円の団地で貯金を取り崩しながらの生活です」(高山さん、以下同)年金保険料を払わなかった春子さんの例は極端だが、総じて専業主婦の老後はきびしい。夫が会社員でも安心できないという。「夫の死後は遺族厚生年金をもらえますが、月10万円ほど。持ち家でもマンションなら修繕積立金などの負担が増え、苦労する方が多いです」熟年離婚はもっと悲惨だ。「年金分割はできますが、専業主婦だと月7千円ほど増えるだけです」パート主婦はどう?「パート勤めでも『106万円の壁』を超え、厚生年金に加入すれば自分の年金が増えますが、夫の扶養の範囲内だと、先の専業主婦とほぼ同じ。年金制度の中では『第3号被保険者』となります」第3号被保険者とは、厚生年金に加入する会社員などに扶養される配偶者。年金保険料の納付が免除されるのはメリットだが、老後の年金は国民年金加入者と同様だ。「そのうえ、国は第3号被保険者の縮小を検討しています」専業主婦の国民年金保険料は、夫が自営業なら必要だが、第3号被保険者は不要。これが不公平だとの指摘は以前からあったが、’23年9月の社会保障審議会年金部会で今後議論を進めることが明示されたのだ。「従業員などが101人以上の企業に勤めるパートなどは、106万円の壁を超えると社会保険の加入が義務になります。’24年10月には対象が従業員数51人以上の企業にも広がる、ここまでは決定です。今後はもっと拡大し、年収106万円以上なら全員加入を、国は目指しているのだと思います」厚生年金の加入者を増やし、第3号被保険者を縮小していく。ゆくゆくは第3号被保険者の制度自体を廃止して、年金保険料の納付を義務付けるのだろう。「仮に国民年金だと、保険料は’24年度が月1万6千980円。納付は60歳までですが、手痛い出費となるでしょう」専業主婦への逆風がすさまじいが、今50代の専業主婦たちはどうすればいいのだろう。「対策は3つ考えられます。1つ目は今から働いて、106万円の壁を超え厚生年金に加入し、自分の年金を増やすことです。ただ106万円を超えただけでは社会保険料の負担があるので“働き損”。一気に130万円を目指しましょう」厚生年金などは会社が保険料を半分負担してくれる。国民年金、国民健康保険より負担の軽いケースが多いそう。また、収入増は老後資金の貯蓄も後押しするだろう。「2つ目はiDeCoや新NISAで“自分年金”を作ることです」iDeCoは専業主婦だと月2万3千円が掛け金の上限だ。夫の給与から掛け金を拠出することは贈与にあたるが、年110万円までなら申告も贈与税も不要。「働き始めて厚生年金に加入すればiDeCoは65歳までかけられます。節税になるうえ、50代からだと10年以上ありますから、それなりの蓄えができるでしょう」新NISAだと掛け金の税金控除はないが、運用期間が無期限なのがメリット。老後も運用しながら少しずつ取り崩すといい。「3つ目は年金の繰下げです。夫の年金は65歳からもらい始め、妻の年金を繰り下げます」厚生年金の平均受給額は約14万5千円(’22年度、厚生労働省)。夫婦で月3万円ずつ働いて、20万5千円なら繰り下げ期間中も暮らせるだろう。「妻の年金が月6万なら、70歳まで5年間繰り下げると年金額は42%アップで約8万5千円。75歳まで10年間繰り下げると84%アップで11万円を超えます。一度、自分の年金受給額をねんきんネットで調べてください」冒頭の春子さんの娘は50代。自分の老後資金を母の援助にあてている。子どもにツケを回さないよう、今すぐ3つの対策を実行して、老後破綻を回避しよう。
2024年03月01日キャリアにプライベートに忙しいアラサー世代。新卒の頃に比べてお金に余裕が出てきたものの、友人の結婚式など急な出費も多く、思うように貯金ができていないという方も多いのではないでしょうか。「マネープランなんて独り身の私には関係ない」と後回しにしていると、将来「こんなはずじゃなかった!」ということにも……。今回は、同じアラサー世代の資産状況を見ていきながら、独身こそマネープランが必要な3つの理由をお伝えしていきます。■30代独身の約3割が資産ゼロ!?気になる平均値は?金融広報中央委員会が実施した調査によれば、30代独身世帯の32.4%が「金融資産ゼロ」という結果になりました。金融資産の保有額は以下の通りです。30代単身世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)平均: 494万円中央値:75万円中央値は、データを昇順に並べた際に真ん中に位置する値を指します。一部の大きな数字に影響を受ける平均よりも、中央値の方がより実態に近い数字と言えます。中央値が75万円ということは、30代の半数以上が金融資産が100万円に満たないということになります。「中央値より多い」と安心した方もいるかもしれませんが、「金融資産ゼロ」の世帯を除くとどうなるか見ていきましょう。30代単身世帯の金融資産保有額(金融資産保有世帯のみ)平均:741万円中央値:270万円「金融資産ゼロ」を除外すると、平均と中央値が急激に上昇します。中央値は75万円の4倍近い270万円に。同じ30代独身でも、将来のお金のために行動をしている人としていない人の間で大きな差が開いていることが分かりますね。これからは、あなたに必要なマネープランについて考えていきましょう。■いま、マネープランが必要な理由マネープランとは、あなたの金融状況や目標に合わせてお金の使い方を計画するプロセスです。これにより、将来の財政状況を改善し、お金の不安を減らすことができます。マネープランでは、収入、支出、貯蓄、投資、保険など、お金に関するすべての側面を総合的に考えていきます。30代でしっかりマネープランを立て、実践しておくことで、これからやってくるライフイベント、例えば住宅購入、結婚、老後資金などに備えることができます。◇マネープランが必要な理由1:支出の現状を把握して、将来にいくら回せるかイメージできるマネープラン作成の1歩目は、「現在の収支を見える化」することです。それによって、将来にいくら回せるのかイメージをすることができます。具体的なアクションを3つのSTEPに分けてお伝えします。STEP1:現在の収支を見える化してみる「毎月いくらお給料をもらっているか」という質問には簡単に答えられますが、「いくら使っているか」にはすぐに答えられないという人も多いと思います。銀行やクレジットカード、キャッシュレス決済の明細などから、自分がどのようなことに支出をしているか確認し、月の支出を確認しましょう。STEP2:家計の理想的なバランスと今の支出を比べてみる家計のバランスは手取り収入に対する予算の配分のことです。予算を以下の「50・30・20」の配分で割り振るだけのシンプルなルールです。50%必要なもの:食費・家賃(住宅ローン)・水道光熱費・通信費・日用品など30%欲しいもの:外食費・趣味・レジャー費・習い事・お小遣い・美容院代など20%貯蓄:貯蓄・投資など大幅にオーバーしている項目はありませんか?節約するだけではなく、欲しいものにもあらかじめ予算を配分しておくことで、無理なく家計の管理を続けられそうですね。STEP3:支出の見直し今、生活費が高い人は、その暮らしを続けていくと老後にかかる生活費も自然と高くなります。30代から、生活費を下げていくことで、貯金も増え、さらに老後の必要資金も減少するメリットがあります。支出の見直しで効果が大きいアプローチには、以下の「固定費の見直し」が含まれます。保険の見直し:付き合いで入ったもの、入りっぱなしで保障内容が分からない保険はありませんか?格安スマホへの切り替え:最近は大手キャリアとあまり変わらないサービスを受けられるようになりました。使っていないサブスクリプションの解約:全然行っていないジムの会員はキャンセルし、階段を使ったり、1駅歩いて通勤したりするなど日常で工夫してみてもいいかもしれません。◇マネープランが必要な理由2:将来のライフイベントに向けて、先取り貯蓄ができる将来のために先取りで貯蓄をすることは、アラサー独身OLにとって非常に重要です。マネープランを立てることで、どの時期にどれくらいのお金が必要になるか、いくらを将来のために貯蓄すべきかが明確になります。具体的な目標を設定し、毎月の予算を立てて貯蓄に充てることで、将来の不測の事態に備えることができます。【目標】65歳までに2000万円を貯める積立期間:30年間利回り:0.001%(一般的な普通預金の金利)毎月積立額:55,547円30年間にわたって月に約5.5万円を積み立てることで、将来的に2000万円の貯金を達成できることが分かりました。もし月収が手取りで約27.5万円ある方で、手取りの20%を貯金に回すことができるなら、目標を達成するのは難しくありませんね。◇マネープランが必要な理由3:目標額とのギャップを埋めるための投資プランを考えることができるから先ほど、毎月5.5万円の積み立てで老後に向けた2000万円の貯金を実現できることをお伝えしましたが、この金額を毎月積み立てることが難しいと感じる方もいるでしょう。そんな時、効率よく目標を達成する方法として、投資を活用することを検討してみましょう。投資にはさまざまな方法がありますが、初心者にも取り組みやすいのが「投資信託」です。投資信託は、株式や債券などへの分散投資が可能で、複利の効果も期待できる特長があります。ただし、預金と異なり元本保証がないことに留意が必要です。リスクを抑えるためには、長期間にわたり積み立てていくことが大切です。同じ目標を、投資信託を活用して資産を形成する場合、毎月の積み立て額をシミュレーションしてみましょう。【目標】65歳までに2000万円を貯める積立期間:30年間想定利回り:5%毎月積立額:24,031円預貯金で積み立てた場合との差額は月「31,516円」になり、年間にすると約38万円です。旅行好きな方なら、この差額で年に1回海外旅行が実現できるほどの資金が生まれてきます。■マネープランにはアクションが必要、アラサーの今こそ始めどき40代で投資を始めると65歳までの期間は20年間になり、毎月積み立てる必要がある金額は約「48,658円」です。これは30代の方に比べると、ほぼ2倍になります。50代で始めると老後までの期間はさらに10年に縮まり、毎月の必要積み立て額は「128,798円」と大幅に増えます。また、運用期間が短くなることで、リスクも高まり、老後の資産が大幅に減少する可能性も考えられます。アラサーの皆さんにとって、今が投資を始める最適なタイミングです。また、新NISAが来年から始まるので、投資を始める際には非課税のメリットを活かしながら目標に向かうことができます。今回、30代のアラサー独身の皆さんに、マネープランの必要性と具体的なプランの立て方についてお伝えしました。マネープランの立て方について迷ったら、無料のファイナンシャルアドバイスなどを利用してみるのもいいかもしれません。(文:グイン安季子、イラスト:平松昭子)
2023年11月27日皆さんは、義両親と仲良くしていますか?今回は義両親の老後にまつわるエピソードとその感想を紹介します。イラスト:ふじさわのぞみ義両親と同居中主人公は結婚し、義両親と同居しています。義母に困らされる日々を送っていた主人公ですが…。義両親の勝手な老後の話に…出典:CoordiSnapある日、義母は介護が必要になって娘夫婦が帰ってくる人の話をしてきました。そして、義母は主人公を見て「私たちの老後は安泰」と言ったのです。主人公は、義両親の老後の話を勝手に進められ呆然とします。しかし夫が「老後の面倒の保障はできない」と一言。それを聞いた義母は、夫の前で大泣きするのでした。読者の感想結婚すると義両親の老後も大きな課題になるでしょう。しかし、義母のように勝手に話を進めたり、押しつけたりするのはよくないと思いました。(40代/女性)結婚を介護のためだと思っている義母に驚きました…。きちんと話し合って、冷静に考えることが必要だと感じさせられました。(20代/女性)※この記事はユーザーのエピソードをもとに作成しています。※実際に募集した感想をもとに記事化しています。(CoordiSnap編集部)
2023年11月03日若いころに比べて疲れやすくなった、なかなかやる気が出ない、肌の衰えが気になる……。『50歳の分岐点差がつく「思秋期」の過ごし方』が話題の精神科医の和田秀樹先生は、心身ともに揺らぎがちな更年期の時期を「思秋期」と呼んでいます。今回は、思秋期の人間関係とお金に関することについて解説をしていただきました。教えていただいたのは…和田秀樹先生(精神科医)1960年大阪市生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在は精神科医、ルネクリニック東京院院長、立命館大学生命科学特任教授、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師、和田秀樹心と体のクリニック院長などを務める。著書にベストセラーの『80歳の壁』(幻冬舎)など多数。高齢者専門の精神科医として30年以上にわたって現場に携わっている。思秋期からは気の合う人とだけ付き合っていく――『50歳の分岐点差がつく「思秋期」の過ごし方』では、思秋期の人間関係に関するアドバイスもなさっています。和田先生思秋期は人間関係が大きく変わる時期です。例えば、子どもが小さいうちはママ友、会社員の方は上司や部下、取引先など、どうしても義務的な付き合いの人間関係が生じます。しかし、思秋期になって子どもの手が離れたり仕事を辞めたりすると、それまでの義務的な人間関係から解放され、人間関係を楽しめるようになります。――人間関係を楽しむとは、具体的にはどのようなことなのでしょうか?和田先生嫌な人や苦手な人とは付き合わず、好きな人や気の合う人とだけ付き合うということです。年齢を重ねれば重ねるほど、ストレスというのは心身に悪影響を及ぼしますから、ストレスの少ない人間関係を楽しむことは大切です。――思秋期から新しい人間関係を築くのは大変なようにも思えるのですが……。和田先生女性は思秋期の時期から男性ホルモンの分泌量が増えるので、やる気や元気が出るようになり、人付き合いが億劫(おっくう)ではなくなっていくんですね。実際、私が診てきた患者さんの中には、思秋期以降にスポーツクラブに通って友だちができたり、趣味を通して仲良くなった人と一緒にバス旅行に出かけたりなど、新しい人間関係を楽しんでいる方がたくさんいらっしゃいます。金があるのなら将来ではなく、今の自分に使う――思秋期のころになると、老後のお金のことが気になってきます。和田先生子どもの教育にお金を使ったり、将来のことを考えてお金を貯めたりなど、自分のためにお金を使ってこなかった人は少なくないように思います。ただ、自分にかけられるお金があるのなら、思秋期の今こそがかけるべき時期です。――それはなぜなのでしょうか?和田先生例えば、「老後に旅行をしたりして人生を楽しもう」と思ってはいても、思秋期に我慢を重ねて脳も体も早く老いてしまったら、いざ高齢になったとき、お金はあるが体力も気力もない、となってしまうこともあります。また、若いころは健康や見た目に無頓着で、60代を過ぎてから高価なサプリメントや化粧品を使うようになる高齢者はたくさんいますが、正直なところ、高齢になって美容にお金をつぎ込んでも効果はそれほど期待できないものです。それよりも、思秋期のころから少しずつお金を使って小出しにメンテナンスをしていくほうが若さを長く保てますし、病気や老化も防げるんです。――老後のためのお金を今の自分に使ってしまってもいいのでしょうか?和田先生老後のお金の心配はしなくてもいいというのが、私自身の考えです。というのも、日本という国は老後にはほとんどお金がかからない仕組みになっているんです。例えば、介護保険を使って特別養護老人ホームに入居した場合、三食の費用込みで年金の範囲内で収まります。ですから、使えるお金があるのなら、意欲も元気もある間に自分のために使うことをおすすめしたいですね。思秋期の過ごし方が残りの人生を左右する――和田先生の思秋期の過ごし方を教えてください。和田先生2007年に47歳で初めて映画を撮りました。『受験のシンデレラ』という作品です。ずっと映画監督になりたいと思っていたのですが、それまでチャンスがなかったんです。――そのころの和田先生は、すでに精神科医や受験アドバイザーとして地位を築いてらっしゃいました。和田先生それなのになぜ、お金をつぎ込んで映画を撮ったりするのか、不思議に思われる方もいるでしょう。しかし私は、「今、行動しなければ、もう一生行動できない」と考えて『受験のシンデレラ』を撮りました。商業的には成功したとはいえませんが、第5回モナコ国際映画祭でグランプリを獲り、2作目の『「わたし」の人生(みち)・我が命のタンゴ』へとつながりました。思秋期は、これからの残りの人生をどう過ごすかを決める重要な時期です。思秋期を迎えている人たちには、自分の生きざまを振り返り、今後の人生の組み立てを改めて考えてみてもらえればと願っています。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。<著書>『差がつく「思秋期」の過ごし方50歳の分岐点』和田秀樹著大和書房/1300円+税※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。取材・文/熊谷あづさ(50歳)ライター。1971年宮城県生まれ。埼玉大学教育学部卒業後、会社員を経てライターに転身。週刊誌や月刊誌、健康誌を中心に医療・健康、食、本、人物インタビューなどの取材・執筆を手がける。著書に『ニャン生訓』(集英社インターナショナル)。著者/和田秀樹先生1960年大阪市生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在は精神科医、ルネクリニック東京院院長、立命館大学生命科学特任教授、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。著書にベストセラーの『80歳の壁』(幻冬舎)など多数。高齢者専門の精神科医として30年以上にわたって現場に携わっている。
2023年09月19日30代、40代は好き勝手な独身生活を謳歌(おうか)してきたけれど、アラフィフになってから将来の生活のこと、定年後の仕事のこと、老後のことがリアルな悩みとして感じられるようになりました。特に持ち家なしの独身の私にとって、このままひとりで生活していけるのか、大きな不安に襲われます。こんな私が、考え方を少し変えるだけでアラフィフクライシス(50代前後の危機)を乗り切った体験談をお話しします。★関連記事:子どもがいないまま45歳になり老後が不安に。「お墓と持ち家」は将来どうするべきなの?【体験談】将来の不安を「できること」に置き換え人生100年時代、54歳の私にとって50年先までの将来は未知な分、不安なことばかり。仮に60歳を過ぎて働けたとしても、老後は本当に2000万円の貯蓄が必要なのだろうか、公的年金は当てにできるのか、定年後は年金だけでどうやって暮らしていくのか……など、考えれば考えるほど不安は膨らむばかりでした。そんな私が考え方を変えたきっかけは、コロナ禍に「考える前に行動」を有言実行していた同じ年の友人の死。死んでしまったら何も始まらない、せっかく生きているのだから何かをすべきだと思い立ち、不安に対する問題を見つけて一つひとつできることから取り組んでみました。 おおもとの不安は老後の資金。組織に属していても安定しているとは言えない時代です。そうなると必然的に見えてくるのは、自分で稼ぐのが近道だということでした。コロナ禍で副業も良しとされている職場の風潮があったため、まったくの初心者でしたが副業でWebライターを始めてみたのです。正直、稼ぐレベルには到底いたっていないのですが、やり続ければ10年後にはなんとかなると信じて、日々コツコツと実践しています。自分ができることを少しずつ増やすことで、将来の不安を一つひとつ「できること」に置き換えることが今の私の目標です。過去の失敗は将来の参考資料に活用「どうしてあのときにあんな選択をしてしまったんだろう?」。アラフィフ人生を振り返ると仕事の失敗、恋愛の失敗、人間関係の失敗など、数え上げたらきりがないほどの後悔があります。だからといって、過去の自分にはどんなことをしても戻ることはできないため、「あのとき〇〇していたら?」と“たられば人生”を考えて悔やんでもしょうがないのが現実。すべては自分が選択してきた結果です。今ある自分を肯定するためにも、多くの失敗から得た経験は人生の土台づくりと捉えるようにしています。実際に、大きな挫折を乗り越えた周囲の友人や知人に共通して言えるのは、とてもたくましくてやさしいということ。人生の場数を踏んだことで磨かれた人間力なのだと痛感しています。 人生はまさに経験した者勝ち。今の自分にとって過去の失敗は、将来の不安要素を取り除くための貴重な参考資料。年齢を重ねて経験値や失敗の土台があるからこそ、より豊かな人生の選択ができることが、アラフィフの強みだと自負しています。脳に良いことだけをやってみるアラフィフ人生、今まで多くの人間関係のトラブルに巻き込まれ、ストレスを抱えてきました。特にキャリアにまっしぐらだった40代は、職場の人間関係に悩んだ人生最悪の時期。すべてをネガティブに捉えてしまい、「自分は悪くないのにどうして?」という考えに固執してしまい、周囲は敵だらけ。何事もうまくいかなくてもんもんとしていました。 そんなどん底のときに出合った本が『「脳にいいこと」だけをやりなさい!(マーシー・シャイモフ 著/茂木健一郎 訳)』。脳科学の視点から人生を好転できるコツを学んだ、私の人生の指南書です。特に読後の大きな学びは、脳は現実と想像の区別がつかないため、ポジティブな発想をするだけで脳が自動的に良い方向へと導いてくれるということ。言い換えれば、脳はネガティブな言葉や発想をそのままインプットしてしまうため、負のスパイラルは自分自身が原因だったということです。 今振り返ってみると、納得のいかない物事や人に無理やり正論を振りかざしてトラブルの火種を作っていたのは、私のほうだった気がします。今は、人生の折り返し地点を過ぎたアラフィフだからこそ、脳に良いことだけをする習慣を実践できていると思っています。まとめいくつになっても人生の悩みはつきないもの。しかし、すべての悩みに付き合っているほど、アラフィフ女子には時間があるわけでないのが現実。ないものを悩むよりも、今あるものを「いかに活用しまくる」ことに貪欲になったほうが、確実に人生は楽しくなると実感しています。人生の経験値が高いからこそ見えてくる景色があるため、悩む暇があるくらいならその時間を次への投資に使うことを心がけています。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。イラスト/村澤綾香著者/いずみ(53歳)独身。コロナ禍を機に、人生における健康の大事さを実感し、里山に移住し田舎暮らしを楽しんでいる。
2023年08月16日止まる気配のない物価高。老後資金はますます不可欠になっていくが、すでに還暦を迎えた私は手遅れなの?じつは60歳からでも努力次第でどうにかなるかもーー。■資産形成には新NISAを活用しよう「いまや投資はやらないとまずい時代です。金利0.002%の定期預金では、物価高に負けて資産はどんどん目減りしていきます」そう話すのは『定年後でも間に合うつみたて投資』(KADOKAWA)の著者でファイナンシャルプランナーの横山光昭さん。人生100年時代、自分の寿命より先に、資産が底をついたら……。老後破綻は恐怖だ。だからこそ、長生きする分、金融資産の寿命も自分で延ばす必要があるという。「今後もインフレは続くでしょう。60代を迎えた人も、インフレ率より高い3~5%の運用を目指しましょう」(横山さん、以下同)そんなに簡単じゃないのでは?「私がおすすめするのは新しいNISA制度を使ったつみたて投資です。毎月積み立てる仕組みを作ればほったらかしでOK。知識がなくてもやりながら学びましょう」2024年から始まる新NISAは、非課税での保有期間の無期限化や、非課税限度額の引き上げなど、かなり使い勝手のよい制度だそう。■貯金と投資で331万円の差が出るつみたて投資は、投資期間が長いほど投資で得た利益を次の原資に組み込んでさらに運用する「複利」がメリットだが、素人に3~5%での運用は可能なのか。「私は、日本ならTOPIX、米国ならS&P500指数などの代表的な指数と同じ値動きを目指すインデックスファンドでのつみたて投資をおすすめしています。これらの過去20年の実績を見ると、3~5%の運用は難しくありません。もちろん波はあるので、数年程度だとマイナスもあるでしょう。ただ10年を超えると負ける可能性はかなり低いです」長い投資期間が必要なら、中高年には不向きなのではないだろうか?「60歳から始めても80歳までで20年。その間2万円ずつの貯金では、ほぼゼロ金利で480万円ですが、投資して5%で運用できたら20年間で811万円を見込めます。その差は331万円です」仮に毎月5万円を積み立てられたら、貯金だと1千200万円だが、5%運用なら2千29万円になる可能性も。以前「老後2千万円不足」と言われたが、60歳から2千万円が作れるのは朗報だろう。はたして、どう始めればいいのだろうか。「まず、目標額を決めましょう」毎月の生活費30年分に、介護費用などの特別費を1千万円上乗せして、総支出額を計算する。いっぽう収入は、労働収入のほか公的年金や退職金、これまでの貯蓄などをすべて足し合わせる。収入合計から支出合計を差し引けば、老後資金の不足分がわかる。これを投資目標とするのだ。「手元には生活費1年分と、車の買い替えなど直近で使う予定のある費用を残し、それ以外はすべて投資に回しても構いません。基本的には毎月の収入の6分の1を投資に回すのがおすすめ。表の商品などを継続して買っていきましょう」たとえば夫の収入が月20万円、妻が月10万円なら世帯収入は30万円。6分の1にあたる5万円を投資に回す。年金を受給し始めてからもできる限り働き、投資額を捻出しよう。だが、高齢になって以前のように働けなくなったら……。「思っていた以上に生活が厳しいなら、家計を見直してムダを削りましょう。それでも厳しい場合は、退職金や貯蓄から捻出するか、投資額を減らしてもいいでしょう。ただし投資をやめてはだめ。少額でも続けることが大切です」退職金はどう投資する?「全額を一気に投資につぎ込んではいけません。いくら大金があっても、複利のメリットが生きるつみたて投資での運用が◎です」■利回り以内の取り崩しで老後資金は減らない20年投資を続けたあとの現金化のやり方は?「介護施設への入所などで資金が必要なときや、ムダ遣いを減らしても生活費が苦しくなったときなど、必要なタイミングがきたら少しずつ取り崩します。『積み立ては2万円、5万円といった定額で、取り崩しは4%、5%といった定率で』がセオリーです」5万円ずつ積み立て、約2千万円の資金がある人が、年4%取り崩すと、初年は80万円受け取れる。約800万円の老後資金なら4%だと32万円、5%だと40万円を手にすることに。取り崩した残りは、その後も運用を続けます。これまでどおり5%で運用できれば、5%以下の取り崩しなら資産は減らない計算です。5%より多く取り崩したとしても、運用でかなりカバーされ資産が長持ちするでしょう」絶対にやってはいけないのは、取り崩すタイミングですべて売却して預金に移してしまうこと。「ほぼゼロ金利の銀行預金がいかにもったいないかわかるでしょう。定年世代はまだ間に合います。新しいNISAを待たず、今からすぐに始めるといいでしょう」つみたて投資で、長生きに耐えうる「減らない資産」を作ろう。
2023年08月07日このお話は作者とりまる・ねこぽちゃさんに寄せられたエピソードです。身バレ防止のため、いくつかの話を加え漫画化しています。■前回のあらすじ義母が紹介した男性は、今住む家を探しているそう。そこで義母は「ここに住まわせる」と宣言。義母の家なので、好きにして良いと伝えたサキと夫ですが…。■なぜかあてにされている…?■夫の直感…あの二人の組み合わせは最悪!?先日絶縁宣言までしたはずでは…? なぜか老後の面倒を見てもらう気になっている義母と男性。ずうずうしいにも程がある…!次回に続く「義母と戦ってみた」(全80話)は21時更新!
2023年07月10日今回のお話「老後までに本当に必要なのはいくら?」年金に頼るのではなく、つみたてNISAやiDeCoなどで将来必要なお金を準備していくことが必要なご時世。毎月少しずつ積み立ててはいるのですが、やっぱり漠然とした将来への不安があります。老後資金2000万円問題なども叫ばれていますが、老後に必要なお金って本当はいくらなんでしょうか?独身で過ごすケース、DINKSのケース、結婚して子どもも育てるケースそれぞれで知りたいです。(30代/技術職)■「老後資金2,000万円問題」は本当?少し前に「老後資金2,000万円問題」が話題になりましたが、あれはあくまでもこれから老後を迎える夫が会社員で、妻が専業主婦である世帯のモデルケースから試算されただけの話。「2,000万円」という数字だけが一人歩きしたような結果です。結論としては、老後に必要なお金は、人それぞれで違います。生涯独身でも、結婚したとしても、毎月いくらで生活するかによって、自分にとって本当に必要な金額は変わってくるのです。もらえる年金以上に生活費が発生すると、老後資金が足りなくなる問題に直面します。そして、もうすぐ老後を迎える方と、数十年後に老後を迎える現在20〜30代の方では、必要な生活費は大きく変わってきます。今後の物価上昇率を考えると、20〜30代の方が単純に2,000万円貯めたとしても、老後おそらく足りなくなるでしょう。■本当に必要な老後資金って?相談者さんは「独身で過ごすケース、DINKSのケース、結婚して子どもを育てるケース、それぞれで知りたい」とのことなので、参考までに、高齢者の1世帯あたりの月平均支出額をお伝えします。・独身者:月16万円・結婚・子なし:月26万円・結婚・子あり:月26万円+子どもにかかる費用上記はあくまで平均額なので、ご自身と配偶者の現役時代の所得額や加入していた年金の種類によっても金額は変わります。また、子どもがいる場合は結婚資金や住宅資金を援助するなど、高齢であっても子どもにかかるまとまった費用が発生することもあるでしょう。それ以外にも、持ち家なのか賃貸なのか、車が必要なエリアに住んでいるかなどによって、必要なお金が変わってきます。独身のころから将来を見据えて行動することは大事ですが、人生は何が起こるかわかりません。このまま独身で生きていくかもしれないし、結婚するかもしれないし、子どもができるかもしれない。住む場所が変わる可能性もありますよね。いつ何があってもいいように、お金を備えておくことが必要です。■20〜30代こそがお金の貯め時!そのためにも、まずは日々の節約と、お金の積み立て・運用が大事になります。前にこの連載でもおすすめしたiDeCoは、将来のインフレリスクをかなり軽減できるかと思います。もし結婚を考えているパートナーがいるのであれば、今のうちにお金の価値観をすり合わせておきましょう。もし相談者さんのように老後資金に不安を覚えている方であれば、同じような価値観のパートナーを選び、二人で協力しながら将来のお金を貯めていくのがいいと思います。もちろん、今を楽しむのも大切なことです。だけど、20〜30代こそがお金の稼ぎ時であり、貯め時でもあります。ぜひ今から楽しみながらお金を貯め、運用してみてください。令和のマネーハック75老後に必要なお金は人によって異なります。今後、何が起きてもいいように、今から節約・積み立て・運用をしていきましょう!(監修:丸山晴美、取材・文:高橋千里、イラスト:itabamoe)
2023年05月29日「老後資金は、受け取り方によって、手取りに大きく差がつくことがあります」そう警鐘を鳴らすのは『親の終活 夫婦の老活』(朝日新聞出版)の著者でファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんだ。老後資金は銀行預金などに加え、個人型確定拠出年金(iDeCo)や少額投資非課税制度(NISA)などを利用する人が多い。また退職金は、自分で運用する企業型確定拠出年金(企業型DC)を導入する企業も増えている。「しかし、どのように受け取るかの出口戦略を考えていないと、制度利用にかかる手数料を無駄に払ったり、税金の控除枠を使えなかったりして、本来受け取れる金額よりも手取りが減ってしまう可能性があるんです」(井戸さん)そこで今回は、損をしない資産の取り崩し方を教えてもらった。老後資産を取り崩すうえで、まずポイントとなるのが「年金の受け取り開始時期」だ。「女性は夫に先立たれた後の生活を第一に考えなければなりません。夫が会社員で、妻は専業主婦かパート勤めという夫婦だと、妻自身の年金は基礎年金がほとんど。夫の死後は妻の基礎年金と遺族年金しか受け取れず、生活できなくなるケースがあります。妻の年金はできるだけ長く繰り下げて、受給額を増やしましょう。最長の10年繰り下げれば、受給額は84%もアップします。国民年金だと満額なら月額約12万円になるんです。今回は、その前提に立って、どう資産を取り崩していけばよいかを解説していきます」(井戸さん)■50代のうちに保有資産の見直しを取り崩しの順番のポイントは、手数料がかかるもの、利率の低いものから崩していくことだ。「60歳以降、夫の年金が支給されるまでや妻の年金を繰り下げている間など、生活費の不足分は老後資金を取り崩し補塡しますが、基本的な取り崩しの順番は、(1)超低金利なうえ、利息に税金がかかってしまう預金(2)運用中に口座管理手数料などが必要な企業型DCやiDeCo(3)’24年から運用益非課税の投資を無期限に行えるNISAの順に使うのがいいと思います」(井戸さん)ファイナンシャルプランナーの山口京子さんも、「NISAは最後」と口をそろえる。「必要なタイミングでいつでも売却できるのがNISAのメリット。ただし高齢になったら、債券中心などリスクの低い運用を心がけるといいでしょう」(山口さん)具体的に、各年代で行うべき資産管理を見ていこう。「50代のうちに、NISA枠以外の株式や投資信託などのある方は、少しずつ解約しNISAに移していきましょう」(井戸さん)資産の中身の見直しも必要だ。「退職が近づいたら、企業型DCやiDeCoの中身を債券などの安定資産多めにシフトを。株価が暴落しても安心です」(山口さん)また、生活自体も定年後を見据えて徐々にコストカットしたい。■iDeCoは年金型か一括受け取りか多くの会社員は60歳で定年を迎え退職金を受け取るが、企業型DCやiDeCoは掛金の拠出が終わっても運用を続けることができ、受け取るタイミングは75歳までの好きな時期を選べる。また、受け取り方も一括か年金型による分割かを選ぶことができるが、井戸さんのおすすめは、定年退職時に退職金とともに一括で受け取ることだという。「iDeCoや企業型DCは、一括で受け取ると控除枠が大きい退職所得控除を利用することができるため、納税額を抑えることができるのです」「退職所得控除」の計算式は以下のとおり。▼勤続20年未満の場合退職所得控除=勤続年数×40万円▼勤続20年以上の場合退職所得控除=800万円+(勤続年数―20年)×70万円▼納税額の計算式納税額=(退職金-退職所得控除)×1/2×所得税率企業型DCやiDeCoと退職金を同時に受け取る場合は、勤続年数と加入年数を比べ、長いほうの年数が採用される。「企業型DCやiDeCoは比較的新しい制度なので、今の50代だと多額になる方は少ないと思います。退職金と合算しても退職所得控除の額を大きく上回らないなら、退職金と企業型DC、iDeCoを60歳で一括受け取りにするのがお得になりやすいでしょう。年金型で受け取る場合は公的年金等控除を利用しますが、公的年金とiDeCoなどの合算額が多くなると税率が高くなるだけでなく、社会保険料も高くなってしまう場合があるのです。口座管理手数料もかかります」(井戸さん)ちなみに、退職金の受け取り時期を65歳まで伸ばせる人の場合、60歳でiDeCoを一括で受けとり、65歳で退職金を受け取ると退職所得控除を最大限活用することができる。崩した退職金などはハイリスクな投資には回さず、まずは預金にしよう。老後資産は減らさないことが大切だ。「今後使う予定の資金をシミュレーションしたのちに、すぐに使ない資金は個人向け国債(変動10年)を買うのも一案です。国債は1年たてば換金できますが、売却のハードルを高く感じて満期まで保有する方が多いので、老後資金を長持ちさせる効果もあります」(井戸さん)■不足分の取り崩しは預金を使用する山口さんによると住宅ローンは金利が低いため、退職金で完済する必要はないとのこと。「残ったローンは退職金の一部で繰り上げ返済することで毎月の返済額を減らして、60歳以降の再雇用による給与から払うのがよいでしょう」60歳以降雇用延長で働いても、給与はそれまでの半分程度という人も多い。また、65歳以降も、夫の年金だけでは生活費が不足することもある。その場合も、計画的に預金から補填しよう。「預金が少なくなってきたタイミングでは、債券やNISAなどの残りの資産を取り崩します。いざというときのために生活費1年分、約300万円の預金は残しておくのが◎です」(井戸さん)老後資金は賢く受け取り、最大限活用してバラ色の老後生活を!
2023年05月24日皆さんは、夫の発言に困ったことはありますか?今回は、計画性のない夫のエピソードを漫画で紹介します。老後の話をする夫夫の発言に絶句意見を伝えると…夫の計画は阻止したい夢が大きすぎるあまり手のかかる夫…。いざというときは、強気で夫と対抗した方がいいかもしれませんね。※こちらは実際に募集したエピソードをもとに記事化しています。
2023年05月20日45歳で独り身の私。毎日仕事に趣味に、と充実した日々を過ごしていましたが、将来のことを考えると急に不安に。「独り身の老後」に関する本をいろいろ読んだ結果、周りに迷惑をかけないよう早めの終活に取り掛かることを決意しました。これは私が始めた「終活」についての体験談です。★関連記事:ライフステージごとに不要な物を処分!家も心もスッキリ快適【体験談】毎日充実しているけれど45歳独身の私、職業は美容師です。35歳のときに独立して早10年、おかげさまで評判も上々で固定客も多く、少々ぜいたくできる程度には成功しています。休みの前には外でおいしい料理とお酒に舌鼓(したつづみ)を打ち、休日には趣味の日帰り旅行を楽しむ毎日です。海外に恋人はいるものの、お互いに干渉しない性格で、相手は結婚したくない主義、私も家庭には縛られたくない!と思っているので、お互い「気楽な関係」を続けていました。しかし、そんな私が「老後の不安」に襲われる出来事が起こったのです!その出来事とは、インフルエンザにかかったことでした。私は40度近く発熱し、倒れてしまいました。両親はすでに他界しており、私はひとりっ子なので兄弟もおらず親戚とも疎遠、恋人も海外在住……と誰にも頼れずにひとりでうなされていたのです。そのときばかりは「このまま死んでしまっても、誰にも気付かれず孤独死してしまうのかも」という恐怖が押し寄せ、心細くなってしまいました。その後、無事に体調が回復した私が真っ先に向かったのは本屋。そこで「独り身の老後」に関する本を数冊買って読破し、「いつ何があってもいいように終活をしよう」と思い立ったのです。「要らないものの処分」からスタートいよいよ終活スタート! 私が最初におこなったのは「実家の処分」でした。私の実家は両親が死んでから、誰も住む人がおらず、長い間空き家になっていたのです。家が傷んでしまわないように、たまに帰っては風を通したり掃除をしたりしていたのですが、正直管理が負担になっていました。そこでこれを機に、思い切って実家を売りに出すことに! 幸いなことに、買い手はすぐに見つかりました。実家がなくなったことで少し寂しさも覚えましたが、それよりも大きかったのが開放感! 「要らないものを手放すって、こんなにラクになれるんだ」と悟りました。それからは、「要らないものを徹底的に処分しよう」と決意。たんすの肥やしになっていた服や昔よく聞いていたCDなど、どんどん捨てたり売りに出したり…… いつの間にか、必要最小限のものしか持たない「ミニマリスト」になっていました。今まで以上に毎日が楽しい!もともと物欲がそんなになかったせいか、ミニマリストという生活がとてもしっくり来た私。今までいかに「無駄なものに囲まれていたのか」を実感しました。また、「必要最小限のものしかないので、もし私に何かあっても処分に手間がかからないはず」と周りに迷惑をかけることがなくなったと確信できたこともあり、終活にある程度の手応えを感じていました。それでも、人生何が起きるかわかりません。念のため、自分に万が一のことがあったときに身の回り品をどう処分するかをノートに書いておくことにしました。「いつ死んでも大丈夫。誰にも迷惑をかけずに済む」と思うと、なんだか気分がラクになり、今まで以上に毎日が楽しめるようになりました。終活を進めてみて感じたのは、「終活は今までの人生の締めくくり」なんだということ。実家を処分したり、思い出の品を手放したりすることは、正直胸が痛みました。でも、それ以上に「自分の人生を自分でちゃんと後始末している」という実感が湧いたので、途中で挫折することなくやり遂げることができたのだと思います。また、終活することで「残りの人生」を意識することができ、毎日を無駄にせず、充実して過ごさなければ、と思えるようにもなりました。まとめ周囲に終活をしたことを話すと、大抵の人には「え? その年で終活なんて早すぎるんじゃない?」と驚かれます。中には「そんなに早く終活しちゃうと縁起悪いんじゃない?」なんて言う人もいましたが、後悔はしていません。なんでも思い立ったが吉日! 年を取って、あちこちガタが来てからおこなうよりも、心も体も元気な内におこなっておくに越したことはない、と実感しています。結果として現時点で私の終活は大成功。今では恋人や同じく独り身の友人に「終活はいいよ」とおすすめしています。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。取材・文/もりはなこイラスト/おみき著者/もりはなこ(46歳)高齢出産した娘の育児に毎日奮闘しつつ、迫りくる更年期の陰に怯えるアラフィフです。
2023年02月15日先の見えない今の時代。老後のことを考えておいて損はないはず! 特にアラフィフ世代にとって“老後”はそう遠くない未来。子どもに苦労をかけないためにも、自分たちの分は自分たちでなんとかしたい。そう思っていた矢先、息子から「老後の面倒は見ないから自分で準備してね」と厳しいお言葉が……。はいはい。もちろん苦労をかける気はないですよ。こうして老後資金を貯めるべく、私の節約生活がスタートしました。その詳細をお伝えします。★関連記事:「夫が急死…」一夜にして大黒柱を失い生活が一変!節約と収入源、今後の人生を考えた【体験談】無理はしたくないし暮らしを変えたくないとはいえ、何から始めたら良いのやら。無理な節約をしたり、今の暮らしをガラッと変えたりすれば、あっさり挫折するのは目に見えている……。さんざん悩んだ私が出した答えは、「とりあえず健康でいるために努力しよう!」ということ。健康でいれば病院代に薬代、もろもろの医療費を抑えられます。それに今は、高齢者の就労が歓迎されてきている時代。健康でいれば定年を過ぎても働き続けられ、働けば働いた分だけお金がもらえます! なので、“健康でいること”は、やっぱり“節約”や“老後資金の貯蓄”につながるように思います。そこで私は散歩がてらにウォーキングしたり、ジムに通ったり……と適度な運動を心がけるようにしています。それと同時に、ゆっくりゆったりと過ごして、なるべくストレスをためないように心がけています。ジムでは運動だけでなく、スパでまったりするのが私のお気に入りです。買い物は娘と一緒に行って徳用パックをシェアそんなことを言いつつも、日々の出費を抑えていくことももちろん大事。生きていれば、どうしたって食料品や日用品は買わなければなりません。買えばお金がかかります。そんな当たり前の出費をどうやって抑えよう? 買い物に行く回数を減らすというのも一つの手段かもしれません。でも私の場合、ちょっと違う方法を選びました。私が選んだ節約方法は、すでに嫁いでいて近所に住む娘と一緒に買い物に行くこと。そうすることで肉や魚、野菜などを始め、トイレットペーパーなどの日用品も、たくさん入った徳用パックで購入できるんです。そして、それを2つの家庭でシェアすれば、通常サイズを買うよりだいぶお得! シェアってき! すごく良い節約になって本当に助かっています。でも、うれしいことはそれだけではありませんでした。娘との買い物には、さらなるメリットが。娘は、時々実家に来ては冷蔵庫の中や日用品のストックをチェックしてくれていたのですが、私が家にあるものをうっかり買ってしまいそうになると、「まだ買い置きがあったよ!」と注意してくれるんです。おかげで、だいぶ買い過ぎが減りました!いらないものを片付けていく生活もう一つ、節約のために私が実践しているのは、片付けです。これもまた、娘に「いらないものが転がっている家」と言われたのがきっかけでした。「家って、いらないものだらけ?」とちょっとショックでしたが、客観的なご指摘をありがたく受けとめ、家の中を見直してみました。すると、「なんて無駄な暮らしをしていたんだ!」と反省することばかり! 冷蔵庫には消費期限ぎりぎりの食材がぎっしり詰め込まれ、洋服も古くさくてもう着られないものがわんさか。他にも「何かに使えそうだな」と思って取っておいて、そのままお蔵入りしたものがいっぱいありました。なんとなく“もったいない”精神が染み付いていて、物を捨てられなかった私。けれど、使わないものを取っておくのはスペースの無駄。物にとってもほったらかしのままなんて、むしろかわいそう。そんなふうに考えを変えたら、使わないもの、いらないものは手放そうと思いました。使えそうなものはリサイクルへ。思い出の品物も、写真に収めてそれで良しとしました。家の中から無駄なものをなくしていったら、なんだか物を増やしたくなくなり、暮らしもシンプルになったような気がします。まとめ私は来るべき老後に備えて、少しずつ節約生活に入りました。人生100年時代に突入しつつある今。私たちを待っている老後の時間は、きっと昔よりだいぶ長い……。だからこそ、そのときになって焦ったり、子どもたちに苦労をかけたりすることのないように、自分のことは今のうちから自分でしっかり考えて備えていきたいです。大胆な節約は苦しくなってしまうからできないけれど、 ちょっとの努力とちょっとの工夫なら私にもできました。“無理なく、無駄なく”が私流。長い老後を楽しく心穏やかな日々にするために、そんな私流の節約生活をこれからも頑張っていきます。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。著者/栞 みさこ(54歳)50歳を過ぎてから、なんとなくぽっちゃりしてきた戸惑いレディ。
2023年02月13日このお話は作者人間まおさんに寄せられたエピソードです。一部脚色を加え漫画化しています。■前回のあらすじついにさとこのターンが!今まで溜めていた不満を思いのままに義母に伝えます。口を挟む余裕もない義母は顔を真っ青にして…。■義理の母はあくまで「他人」■私はあなたの下僕ではない!当たり前のように嫁が老後の面倒を見るものだと思っている義母にしっかりと自分の意見を伝えることができたさとこ。お互いをしっかり尊重すべきであるということを諭したつもりでしたが、果たしてさとこの想いは義母に伝わったのでしょうか…!?次回に続く「義母との戦いで得たもの」(全42話)は21時更新!
2023年01月11日2019年に物議をかもした老後2千万円不足問題は、総務省の家計調査から、高齢夫婦の毎月の赤字を約5万5千円と算出。老後を30年として単純計算したものだった。ただ2020年にはコロナ禍の自粛生活で支出が減り、一律10万円給付などもあって、統計上の赤字はいったん解消。2021年も支出の少ない傾向が続いた。しかし、コロナ禍3年目の2022年は全国旅行支援が実施されるなど、“自粛明け”が浸透し、再び消費を楽しむ生活が戻りつつある。ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんはこう語る。「そのうえ、2022年は2万品目以上の食品が平均14%、電気・ガス代は20~30%上がりました。物価高は2023年以降も続きます。もともと年金は物価が上がると、支給額も上がることになっていましたが、今は『マクロ経済スライド』という仕組みで上昇が抑制される。物価が上がっても、年金額は増えないのです。必要な老後資金を見定め、生活コストを見直さないと、老後破綻の危険性もあるのです」そこで本誌は最近の家計調査(2022年1~10月)から高齢者の収支を算出。共に暮らす人数や地域、住居の種類などのライフスタイルに注目して、現時点で公的年金だけだと不足する老後資金の額を試算した。■夫婦2人も、おひとりさまも老後の不足金額に大きな差はない夫婦2人暮らしのケースでは、年金額(公的年金給付)は月22万1131円、支出額は月26万2695円(消費支出22万2695円、非消費支出3万2852円)で、月4万1564円の赤字。生涯(老後30年)で1496万3040円不足することになる。丸山さんによると、気になるのは、教養娯楽費に月2万1053円、交際費に月2万2145円かけていることだ。「このケースはまだまだ節約できると思います。たとえば、楽しむための『教養娯楽費』や『交際費』が合わせて4万円超は使いすぎです」(丸山さん・以下同)意外にも、夫婦2人も、おひとりさまも老後の不足額はさほど変わらない。単身世帯の場合、支出は月14万8982円(消費支出13万6690円、非消費支出1万2292円)に減るが、年金額の平均も11万1890円に下がってしまう。「年金収入は1人分になるのですが、住居費や光熱費など2人世帯の半額には収まらない支出は多いんです」その結果、月々の不足額は3万7092円、生涯で1千335万3120円と、夫婦2人の不足額に近い金額になる。1人だからどうにかなると思わず、資産形成を怠らないことだ。■預貯金だと価値が目減りしていってしまう丸山さんは、円安やインフレが今後も長く続けば必要な老後資金はさらに増えていく可能性が高いという。あくまでも今回試算した金額はひとつの目安にしてほしい。十分な老後資金を作るために、何をしていけばいいのか。「日本は30年ぶりのインフレで、超低金利の預貯金では価値が目減りします。働いて収入のある方は、運用益が非課税で、節税にもなるiDeCoで運用しましょう」40歳から20年間、月2万円をiDeCo口座で利回り3%で運用した場合、元本の480万円が約660万円になる。同時に、年収400万円の人なら、20年で約72万円の税制効果がある。「年金財政は厳しく、受給開始が70歳になるのも時間の問題かと思います」年金頼みでは老後破綻にまっしぐら。節約と運用の両輪で、老後資金を自分で作ろう。
2023年01月10日2023年1・2月に上演される『喜劇 老後の資金がありません』の取材会が行われ、キャストの渡辺えりと室井滋が登壇した。垣谷美雨が2015年に刊行した小説『老後の資金がありません』を、マギーの脚色・演出で舞台化した本作は、2021年に渡辺と高畑淳子のW主演で上演された。再演となる今回は渡辺が主人公の主婦・後藤篤子役を続投し、篤子の友人である神田サツキ役として室井が新たにキャスティング。老後の資金問題が次々と降りかかる平凡な主婦たちの生活を軸に、笑いと涙と希望の物語が歌や踊りを交えながらハートフルに描かれる。「コロナ禍の上演だったにもかかわらずカーテンコールが5、6回続き、お客さまに勇気を与える作品として印象が残ったのか、すぐ再演の声がかかりました」と初演を振り返った渡辺。初参加の室井は、舞台への出演が8年ぶり。音楽劇ということもあって故郷・富山のオペラ歌手に歌を習っていることを明かすも「まだ(歌唱力は)さっぱり。がんばります!」と意気込んだ。互いの印象を尋ねられると、渡辺は室井について「感受性が鋭くセンスを感じるような、おもしろい変化球を投げる方。私はストレートに演技するタイプだから、漫才コンビのように楽しくやれるのでは」と期待を込める。室井は「えりさんは『私に任せて!』という一面もありますが、実際はかわいらしい方。演出家でもいらっしゃるから修行のつもりでご一緒できれば」と渡辺に信頼を寄せた。自身の演じる主人公・後藤篤子について、渡辺は「日本に生きる主婦の最大公約数みたいな人物。管理していたお金が冠婚葬祭で300万円まで減ってしまい、実は見栄っ張りでおっちょこちょいな性格だったことに気づきます」と紹介する。その篤子に節約術を授けるパン屋の神田サツキを、室井は「商売あがったりで貧しくても義母に大変なことがあっても、旦那さん命。ささやかな幸せを守るためなら、意外と悪に手を染めちゃう人物にも思えて」と分析。これを聞いた渡辺は「家族を愛するがゆえに悪になっちゃうのは新しい解釈だね。おもしろい!」と室井に向き直り、「初演をご覧になったお客さんも『肩を寄せ合って仲睦まじく暮らしているサツキ一家の方が幸せそう』『篤子の家はちゃんとしているけど冷え切っている』とおっしゃるの。各家庭の対比が出たらおもしろそうだね!」と目を輝かせながらアイディアを口にした。キャストは他に羽場裕一、長谷川稀世、原嘉孝、多岐川華子、一色采子、明星真由美、松本幸大(ジャニーズJr.)、宇梶剛士らが名を連ねる。公演は2023年1月14日(土)~28日(土)に、京都・南座にて。その後、2月1日(水)~19日(日)に、東京・新橋演舞場と巡演する。取材・文:岡山朋代
2022年11月30日「50代は老後資金の貯めどきですが、実は、罠にはまりやすい“カモ期”でもあります」そう話すのはファイナンシャルプランナーで『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東洋経済新報社)の著者、山中伸枝さんだ。山中さんによると、50代以降は退職金を手にするなど、老後資金の形成に重要な時期。その一方、過ごし方を間違えると“老後破綻”が一気に近づくという。「『退職金でお金持ちになれるかも』『定年後、逃げ切れるかも』などと気持ちが“カモ化”しやすくなるのも問題です。気が大きくなって判断を誤り、よかれと思って始めたことから老後破綻に一直線という方もたくさんいます」(山中さん・以下同)実際、自己破産する人の4人に1人は60歳以上というデータもある(’21年・日本弁護士連合会)。だが「老後2千万円不足問題」が騒がれ、老後資金の大切さは身に染みている人が多いのでは?「だからこそ、もっとお金が必要と焦り、投資の超初心者が専門家の言いなりになってハイリスク商品に手を出して大損するのです」さらに、定年が近づくと、資格を取って独立開業や、自宅カフェを開くなど夢をかなえる人も多い。「それ、本当に大丈夫ですか?士業の事務所や自宅カフェを開いただけではお客さまは来ません。自分で宣伝して顧客をつかむ覚悟と、設立にかかる費用を回収するための事業計画がないと、夢を追いかけて老後破綻、という無残な結果に陥りかねません」足りない生活費を開業してなんとかする、などは問題外だ。■年金の繰り上げ受給は老後破綻へまっしぐら老後の収入といえば“年金”だが、ここにも落とし穴が存在する。よくみられるのは「早死にしたら損」と年金の受給開始を繰り上げ、60歳から受け取る人。65歳より早くもらい始める分、毎月の受給額が減額されるが、その年金だけで生活費をまかなえない場合、生きている限り、貯金を延々と取り崩すことに。貯金が尽きた先には、老後破綻が待ち受けている。「私は働けるうちは働いて、受給時期を65歳より遅らせる“繰り下げ受給”をして、できるだけ受給額を増やすことをおすすめしています。年金の受給開始を1カ月遅らせるごとに受給額は0.7%増。10年繰り下げれば1・84倍に。75歳以降、増えた受給額を死ぬまでもらい続けられるのが年金のメリットです。まずはねんきん定期便などで年金額を確認し、老後の収入がいくらになるのか確認を。老後に必要な資金はそれぞれ違いますが、毎月の収支が黒字なら老後破綻にはなりません」75歳以降の生活費は60歳時点より少なく済む。そう考えると、繰り下げ受給で増えた年金で75歳以降の生活費をまかなえれば、それ以降は安泰だ。その場合75歳までは年金に頼らず、働きながら暮らしたい。「ただし年金は、それぞれお得なもらい方が違います。ぜひ50代のうちに、お近くの年金事務所に相談してください」黒字化には支出を減らすことも不可欠。定年後を見越して、せっせと節約に励む人もいるが……。「風呂の残り湯を使うなどの細かい節約では、家計のダウンサイジングはできません。マイカーや保険などもっと大きな出費や、毎月かかってくるような固定費に注目して削減していきましょう」大切な孫のためなら、と支出を惜しまない人もいるが、それも“赤字にならない範囲”で行おう。わかったつもりで、せっかちに判断するのがもっとも危険だ。法律や制度をきちんと理解しないと、行きつく先は老後破綻かも。次ページからの図鑑では、老後破綻しやすい人の“生態”を紹介する。ドキッとした人は要注意。いまのうちに軌道修正して、お金に困らない老後を手に入れよう。■老後破綻招く“退職金で物件を購入し大家になる”選択肢【1】資産運用は専門家に任せる<生態>資産運用はしたいが、知識はないのでとりあえず金融機関に相談。商品の内容がわからなくても専門家のおすすめならOKと退職金を投入。大損する商品に手を出す危険性大<老後破綻の回避法>一度冷静になり、そのおすすめが誰の利益になるのか考えて。たとえ専門家の意見でも、自分の希望どおりの資産運用か判断するのは自分。知識をつけよう【2】老後は大家になる予定<生態>座右の銘は、不労所得で悠々自適ライフ。あこがれは、投資用マンションでもうける大家さん。退職金は、物件購入に全額投入。老後の生活費はもちろん家賃収入でまかなう予定<老後破綻の回避法>大家には、物件の管理や入居者のケアなど雑務が多い。また入居者がなければ収入はないが、物件の老朽化は日々進む。必ず稼げる確証はないと心得て【3】住宅ローンを完済する<生態>コツコツ返済より、退職金をつぎ込んで一気にどーんとローン完済を選ぶ一発逆転タイプ。一時的に爽快感を味わうが、長い老後はずっと懐ろが寒いという新たな難問を抱えてしまう<老後破綻の回避法>老後資金を確保するため、退職金は手をつけないのが◎。60代の働けるうちは働いて返済を。契約者が他界したら団体信用生命保険で住宅ローンは完済となる【4】資格取得に向けて猛勉強中<生態>第二の人生は“先生”になって独立開業。資格のための勉強は惜しまないが、頭を下げるのは大の苦手で、営業力は赤ちゃんレベル。開業したものの、無収入どころか借金まみれに!<老後破綻の回避法>独立開業は、事務所の備品調達もクライアント探しもすべて一からで出費も多い。資格取得はスタートラインに立っただけ。現実はそう甘くない【5】夫婦で自宅カフェを開業予定<生態>夢だった自宅カフェをオープンした店主の常とう句は「こんなに素敵なカフェなのに、どうして客が来ないのだろう」。がらんとした店内に、お金の不安だけが満ちていく<老後破綻の回避法>素敵なカフェを開いても、それだけで客が来る保証はない。開業するのにもお金がかかるが「生活費を稼ぐため」という理由で老後資金を使うのは絶対NG【6】孫を待ち望んでいる<生態>全財産をあげても惜しくない孫びいき派閥。洋服やゲームを買い与え、習い事の月謝なんて朝飯前。老後資金を削っても「個室が欲しい」孫のためなら住宅購入支援も喜んで!<老後破綻の回避法>孫のためとはいえ、働いている子ども世帯への援助は不要。きょうだいがいれば“争族”の火種になりかねない。子どもや孫のためにも老後資金の確保が最優先■「損は嫌い」な人がハマりやすい落とし穴【7】節税上手<生態>懸命に働く大海を知らず、節税できる年収103万円の井の中がサイコー!と疑わない。年齢を重ね状況が変わっても「節税第一」を貫くがんこさから、収入が増えず資金難に……<老後破綻の回避法>年収103万円と年収240万円を比べると、所得税や社会保険料を払っても100万円近く収入が増える。節税には限度があるので、収入を増やすことも大事【8】損は徹底的に避ける<生態>「うちは早死に家系」「年金制度は破綻する」と信じ、年金は60歳から繰り上げ受給。75歳を過ぎたころ、年金額と少なくなった貯金を見て、長生きにおびえる日々が始まる<老後破綻の回避法>年金は死ぬまでもらえる終身保険。受給総額の多寡より、75歳以降安心できる年金額を考えて。受給額を減らす繰り上げ受給より、増やす繰り下げがおすすめ【9】夫に保険をかけている<生態>「夫が先に逝ったら、保険金がっぽり」と笑い、「遺族年金で私の老後は安泰」と豪語する“夫死に待ち族”。ただ根拠とする皮算用に自信が持てず、不安を隠すための高笑いかも<老後破綻の回避法>死亡保障3000万円の保険が、定期保険特約2500万円+終身保険500万円としたら、定期期間満了後の死亡保障は500万円に。甘い見立ては禁物【10】こまめに節約する<生態>「節約第一」が合言葉。風呂の残り湯で洗濯、日用品は底値買いなど節約ルールには絶対服従!半面、高額の保険に加入したり、通信費には月数万円もかかっている<老後破綻の回避法>家計のダウンサイジングは小さな節約では間に合わない。ライフステージに応じた保険の見直しや格安スマホの検討など、固定費からテコ入れを
2022年11月22日こんにちは。8歳の双子と5歳の末っ子の三姉妹育児をしている田仲ぱんだです。先日、夫と老後のことについて話していました。■三女のすぅちゃんに会話を聞かれて!?三女のすぅちゃん、話の流れで初めて「未来に起こりうること」に気づいてしまいました。「今すぐではない」という話をしたのですが、とてもショックを受けるすぅちゃん。わんわん泣いてしまいました。 ■そのままの姿で生き続けるのは無理できることなら娘のために元気で生き続けたいですけどね…。さすがにそのままの姿は難しいなと思うのでした。
2022年11月21日「老後の生活を支える『年金』に関する手続きを怠ってしまったがためにライフプランが狂ってしまった、という人が続出しています」そう話すのは、ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の井戸美枝さんだ。大切な老後資金に異変が起きている背景には、“働き方の多様化”があるという。「新卒で入社した会社で定年を迎えるのではなく、転職を繰り返す人や、定年を待たずに退職してフリーランスになる人も増えてきました。会社を辞めた後、忙しさにかまけて年金の手続きを後回しにしてしまい、ほったらかしにした結果、60歳になって受け取れるはずの年金がもらえなくなってしまった、という事態が起きているのです」(井戸さん・以下同)日本の年金制度は1階部分を「国民年金」、2階を「厚生年金」、3階を「私的年金」とする“3階建て”で構成されている。このうち3階部分の私的年金には、国民年金基金、厚生年金基金、確定給付企業年金(DB)、確定拠出年金(DC)があり、加入者自身が資産を運用する確定拠出年金には、企業型と、最近注目の個人型(iDeCo)がある。なかでも注意が必要なのが、「企業型の確定拠出年金」だ。「給与明細を詳しく見たことがない、毎月の給料から何が天引きされているか知らない、という人が意外と多いのです。退職した後には厚生年金から国民年金に切り替えるために年金事務所で手続きをしますが、それで手続きが完了したと勘違いしている人もいます。しかし、企業型の確定拠出年金に加入していた人は、退職してから6カ月以内に、それまで積み立てたお金をiDeCoもしくは転職先の確定拠出年金などに移す必要があります。iDeCoの手続きは自分で行わなければなりません。手続きをせず6カ月が経過すると、その資産は自動的に『国民年金基金連合会』が現金で預かることになります。これを『自動移換』といい、100万人以上の人が該当する深刻な問題になっています」■該当する人は111万人、総額2千600億円にも…国民年金基金連合会によると、この「自動移換」に該当する人は今年7月末で約111万人。同会が現金で預かっている、いわば“置き去り年金”の総額は今年3月末で2千587億5千200万円。200万円を超える資産が自動移換された人は2万3千200人もいる。いったん自動移換されると、現金の状態で国民年金基金連合会に置き去りにされた状態になるので、運用はいっさいできなくなる。しかも自動移換の際に4千348円の手数料が引かれて、それ以降も毎月52円の手数料が発生する。年間で624円と少額だが、長期間運用しないで手数料が引かれるとなると、資産は目減りする一方だ。「最大の問題は、確定拠出年金の場合、原則として加入期間が10年以上ないと、60歳から受け取ることができない点です。10年を満たしていれば60歳から受け取れますが、この間手数料が引かれるため、当初受け取れるはずだった年金よりも総額は少なくなります。また、加入期間が10年未満の人は、自動移換されている間は加入期間とはみなされません。たとえば入社してから7年勤めている間、企業型の確定拠出年金に加入した人が会社を辞めてそのまま年金資産を放置してしまうと、60歳から受け取ることはできなくなります」実質“喪失”となってしまうことにもなりかねないというのだ。「資産が少額などの条件を満たしていれば、脱退一時金として受け取ることができます。ただし、受け取るためにはiDeCoに加入して、加入期間を10年にするしか方法はありません。そうなると年金をもらい始めることができる時期が先延ばしされてしまいます」年金資産が自動移換になると国民年金基金連合会から「確定拠出年金に関する重要なお知らせ(自動移換通知)」という書類が送られてくる。それでも手続きをしなければ、年に一度お知らせが来るので、きちんと確認しよう。また、自分の年金記録は企業年金連合会のホームページで、年金手帳に記載されている基礎年金番号を入力すれば確認が可能だ。安心した老後を過ごすためにも、受け取れる年金をもらいそびれることのないよう気をつけたい。
2022年10月11日止まらない物価の上昇。さらに老後の頼みの綱である年金は6月の支給分から減額になった。このことによって、すでに年金をもらっている人も、これからもらう人も大きく老後資金が“減った”のだーー。「6月支給分から、年金が前年より0.4%減となりました。夫が一般的な収入のサラリーマンとして40年働き、妻が専業主婦という“モデル世帯”が受給する年金は、月額22万496円から219593円へと、903円も引き下がりました。年間では10836円ものマイナスです。しかも、急激な物価上昇により、年金は額面以上に“減っている”状態です」こう語るのは、年金博士こと、社会保険労務士の北村庄吾さんだ。そもそも、物価が高騰するなか、なぜ年金が減額されたのだろうか。「少子高齢化で現役世代の人口は減っているのに、寿命が延びたことで年金受給者は増えていきます。現役世代の負担を軽減するため、2016年の年金改定で、現役世代の賃金が下がれば、その分、年金受給額も下げるというルールになったのです」コロナ禍による景気の落ち込みなどで、過去3年の賃金変動率などが0.4%減ってしまったことで、年金額も同じように減額されてしまったのだ。■1万品目超の値上げ…政府の対策は期待できず年金減額だけではなく、急激な物価の上昇も家計に大きな影響を与えている。生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんは言う。「2019年10月に消費税の増税、2020年の新型コロナによる景気の低迷で、企業の業績が悪化しました。一時期、コロナ禍で世界的に物流が滞りましたが、2021年に入り欧米諸国で輸出入が急激に再開されたことで、原油の需要と供給のバランスが崩れるなどして原油価格が高騰。大豆や小麦などの穀物の価格にも反映されました。昨年末からは、ロシアとウクライナの緊張が高まり、原油と小麦価格がさらに値上がっています。そして、この数カ月の急激な円安も家計に影響を与えています。麺類やパンなどの小麦粉商品をはじめ、輸入される牛肉や魚介類、さらにスーパーの総菜、ペットボトル飲料、お菓子など、1万品目以上が値上がりするのです」6月24日に発表された最新の「消費者物価指数(全国2022年5月分)」によると、総合的な物価は昨年と比べて2.5%上昇している。生魚や生野菜などの生鮮食品は12.3%、水道光熱費に至ってはなんと14.4%もの上昇だった。これを昨年5月の「家計調査」にあてはめてみると、この1年で月の支出額は214961円から220335円と、5374円も増えたことになる。年間だと64488円の上昇だ。「年金も減額されているので、年金世帯がこれまでと同じ生活をするだけで、年間75324円も負担が増えることになります。平均寿命の延びも加味し、老後を30年として計算したら2,259,720円の負担増になります。老後の計画が狂ってしまう人も多いはずです」(柏木さん)つまり、現在の状況は本来使えるはずだった老後資金が226万円も減ったのに等しい。政府はこの物価上昇をある程度容認すると、柏木さんはみている。「政府や日銀は長く続くデフレを脱却することを目標にしてきました。日本銀行のが『国民が値上げを受け入れている』と口走ったのも、そんな本音の表れでしょう。そもそも企業が、値上げした商品の価格を再び下げるとは、考えにくい。ウクライナ情勢も長引けば、さらなる値上げもありえます」岸田政権下で急激に目減りしていく老後資金。政治がそれに歯止めをかけない以上、生活を貧しくしていくしかないのかも……。【図解】昨年と今年の月の消費支出比較と物価上昇率
2022年06月30日何かと話題に上ることが多い年金や、何歳まで働くのかという問題など、高齢者にとって気になるテーマに関係する諸制度が、徐々に変わっていく。老後資金を守るため、今から知っておくべきことを経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。■参院選後は厳しい施策が続く新型コロナの感染拡大は少し落ち着いたものの、ロシアの軍事侵攻や宮城・福島の地震など憂慮すべきニュースが続き、気がつけばもう4月。’22年4月は高齢者に関わる制度改正が相次ぎます。どんなものか見ていきましょう。【在職老齢年金・停止基準額の引き上げ】在職老齢年金とは、厚生年金に加入して働きながら老齢厚生年金も受給する方が、毎月の給与と年金の合計が基準額を超えた場合、年金が減額される制度です。基準額は65歳未満が28万円で、65歳以上が47万円でした。たとえば63歳で毎月の給料が26万円、年金が10万円の場合、(合計36万円―基準額28万円)÷2=4万円の年金が減額されます。「年金を減らされたくない」と労働時間を減らす方もいました。ですが4月以降、この基準額が65歳未満も47万円に上がります。先の例の合計36万円は基準額47万円を超えないため、年金は減額されません。年金の減額を心配せず、働ける人が増えるでしょう。【厚生年金の在職定時改定制度】65歳以上でも厚生年金に加入して働き続けると、保険料を納めますから、厚生年金の受給額は増えていくはずです。年金を受給しながら厚生年金に加入して働く方も同様です。しかしこれまでは、65歳以上で働きながら年金を受給する方の年金額は、65歳時点で計算された額のまま。つまり、本来納めた保険料に応じて受給額は増えるはずが、厚生年金をやめるか70歳になるまで変わらない制度でした。4月以降は毎年、加入期間に応じて年金額を再計算し、年金額が改定されることになりました。長く働けば、在職中から毎年年金額がアップするので、生活費がうるおううえ、働くモチベーションも上がるでしょう。【年金の繰り下げ75歳まで可能に。繰り上げの減額率が0.4%に】年金は65歳からの受給が基本ですが、希望すれば60~70歳まで受給開始時期を選べます。ただし65歳より早く受け取る繰り上げは受給額がひと月ごとに0.5%減り、65歳より遅く受け取る繰り下げはひと月ごとに0.7%増えます。4月以降は年金の繰り下げが75歳まで選べるようになります。受給額がひと月ごとに0.7%増えるのは変わりませんから、75歳まで繰り下げた場合、0.7%×10年×12カ月=84%もアップします。ただ繰下げ期間は年金がありませんから、年金以外の収入や資産などで暮らさないといけません。また、繰り上げの減額率が0.5%から0.4%に緩和されます。早くもらい始める方には朗報でしょう。3つの制度改正は高齢者にプラスのものばかり。さらに先日、年金受給者に5,000円の臨時給付が、与党から提案されました。実現するかは不透明ですが……。こうした高齢者に手厚い対策がなぜいま集中するかというと、7月に参議院選挙が予定されているからです。選挙後には一転、厳しい施策が待ち受けています。そちらも要注意ですので、財布のひもは固く、ニュースには注目するようにしていきましょう。【PROFILE】荻原博子身近な視点からお金について解説してくれる経済ジャーナリスト。著書に『「コツコツ投資」が貯金を食いつぶす』(大和書房)、『50代で決める!最強の「お金」戦略』(NHK出版)などがある
2022年04月01日~【高齢期のお金を考える会】メンバーによるリレーコラム~SBIいきいき少額短期保険株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:新村 光由、以下「当社」)は、老後や年金での暮らしを“いきいき”と豊かに、楽しく過ごしていくための様々な生活の知恵に関するコラム「いきいき生活の知恵」を当社ウェブサイトにて発信しています。本日、新コラムを公開しました。ぜひご覧ください。2022年2月1日公開!◆お役立ち情報『いきいき生活の知恵』第12回【高齢期のお金を考える会】ピンチになる前に!安心して老後を迎えるために押さえておきたい事例別ポイントファイナンシャル・プランナー(FP) 畠中雅子さんによる老後や年金生活に備えるアドバイスをご紹介している「いきいき生活の知恵」コラム。関心の高い高齢期のお金の使い方や考え方について、畠中FPが主宰する「高齢期のお金を考える会」メンバー5名のFPによるリレーコラムの第4回をお届けします。今回は、記事執筆や家計相談のほか、シニアや生活困窮者のライフプランにも力を入れて活動をされている小沢美奈子さんに「老後を迎えるために押さえておきたい事例別ポイント」について教えていただきました。コラム全編はこちら▶ : ※コラム内の記事、写真等の転載はご遠慮ください。ファイナンシャル・プランナー、マネーライター 小沢 美奈子氏【コラム執筆者】ファイナンシャル・プランナー、マネーライター 小沢 美奈子さん「高齢期のお金を考える会」メンバー。ウェブや雑誌などでのマネー記事執筆、セミナー講師、家計相談のほか、写真撮影も行う。シニアや生活困窮者のライフプランにも力を入れる。著著に『本物の節約 残念な節約』(河出書房新社)。 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年02月01日老後の暮らしを支えてくれるものといえば「年金」だが、その年金の仕組みが’22年春から大きく変わる。少しでも多くもらい、取りこぼしを極力なくすためにも、今からキッチリ予習しておこうーー!’22年4月に制度の一部が変わる年金。高齢化真っただ中での今回の“年金大改正”は、長生きを前提に、年金をできるだけたくさん増やせるようにするというもの。「人生100年時代を迎えて、夫の定年退職時が“人生の折返し地点”という人たちが多くなります。長い老後を安心して過ごすためにも、受け取れる年金収入がいくらなのかを、まずは『ねんきん定期便』で確認しましょう。長生きすることを想定して、年金をどれだけ増やすことができるのか。夫の定年前に把握することが大切です」そうアドバイスするのは、社会保険労務士でファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さん。今回の年金大改正で得するための条件として、井戸さんが教えてくれたのが次の3つ。【1】受給開始年齢を遅らせる受給開始を遅らせると最大84%もお得。【2】なるべく長く働き続ける健康なうちはリタイアなんかしない!【3】できるだけ収入を増やす納付金額が増えれば受給額もアップ。「誰でもできるのは『年金の繰り下げ』ですが、その前に必ず、夫婦で年金収入がいくらになるのかを調べておきたいですね。『まだ先のことだからいいや』といって放置している人も多いようですが、遅くとも50代のうちに、年金収入だけで生活が成り立つのか、家計の見直しをしておきましょう。老後のお金がどれくらい足りなくなるのかがわかれば、いつまで働けばいいのか、いつまで年金受給を繰り下げればいいのか、といった方向性も見えてきます」(井戸さん・以下同)「ねんきん定期便」は毎年、誕生日の月に届くが、夫と妻それぞれに届くので夫婦合わせていくらもらえるのか計算しよう。また、その際に覚えておきたいのが、加入実績に応じた年間額(年額)から、社会保険料、所得税、住民税などを支払わなくてはならないということ。実際には1割ぐらい差し引いた金額が手取りの額になるという。そこから、生活費を差し引いてみると、年金の範囲内で生活が成り立つかどうか判断できる。退職金や貯蓄を取り崩す生活を続けると、あっという間に資金が底をつく恐れがあるので、介護や医療費など“もしもの時”にも備えておきたい。「たとえば、夫の退職金が少なかった、住宅ローンの支払いが退職間際までかかってしまった、などの理由により、老後の貯蓄ができなかったという話もよく聞きます。老後の終身の収入は公的年金だけで、それだけでは生活費が足りない場合は『元気なうちはなるべく外に出て働く』という選択が現実的。その間、年金を繰り下げて受給額を増やすこともできます」年金の繰り下げは、今回の大改正で受給開始年齢が70歳から75歳まで広がる。受給額は最大で84%アップし、たとえば65歳で年間約78万円もらえる人は、70歳まで繰り下げると約110万円に増やすことができる。さらに75歳まで繰り下げれば約143万円にも!ただし、むやみに繰り下げると、受給額が目減りするケースもあるので注意しよう。■厚生年金に加入し、長く働けばメリットは大短時間のパートやアルバイトでも、厚生年金加入のチャンスが生まれたのも特筆すべき点だという。社会保険の加入要件のハードルが下がり、週20時間、月8.8万円の収入の人でも加入対象になったのだ。また、65歳以降も厚生年金に加入して働くと、毎年年金額が増える仕組みなのでやりがいもアップ。「改正前は、65歳以上で老齢厚生年金をもらいながら働いていた人の年金受給額は、退職してからか、70歳を迎えるまでは再計算されませんでした。それが、毎年再計算されることになり、厚生年金の保険料を納めた分、すぐに翌年から受給額がアップしていきますので、働く意欲につながるでしょう」いずれにしても「働き続ける」ことが大切なのだ。さらに、個人が任意加入する私的年金を使って年金を増やす、という方法にも変化がある。個人型確定拠出年金のiDeCo(イデコ)は、これまで加入できる年齢が60歳未満だったのが、65歳未満に引き上げられるのだ。「老後資金が足りない」という人は、仕事を続けながら、厚生年金に加入して、かつiDeCoにも加入すれば、もらえる年金の倍増も夢ではない。
2022年01月19日「老後2,000万円不足問題」「長生きリスク」など、老後資金への不安が一向に解消しない。50代は“老後資金の貯めどき”といわれるが、それどころではない日常に追われ、さらに不安が募る。「晩婚化の影響で結婚・出産が30代だと、住宅購入は40代になるでしょう。50代は役職定年などで収入が減るのに、子どもは大学生で住宅ローンはまだ半分。そんな状態で、老後資金まで手が回らない人が増えています」そう話すのはファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんだ。60歳の人に今の貯蓄額を聞くと、3人に1人が300万円未満というデータも(PGF生命「2021年の還暦人に関する調査」)。「貯蓄ゼロというのも珍しい話ではありません。でも『もう手遅れだ』と悲観しなくても大丈夫。老後資金づくりは60歳からでも間に合います」(長尾さん・以下同)心強い言葉だが、もしや運用を勧めるのでは?「初心者が運用に手を出し、大切な老後資金を減らしては元も子もありません。運用はいっさいせずに、老後資金を増やしましょう」どんな方法だろう。「実はとてもシンプルで、〈1〉長く働く、〈2〉公的年金の活用、〈3〉節約の3つを組み合わせるものです。『なんだ、年金か』と思うかもしれませんが、年金制度は複雑でうまく使いこなせない人が大半です。公的年金制度をフル活用して、年金額を最大化させましょう」年金額が多少増えても、老後の厳しさに変わりないのでは?「たとえば夫婦2人分の公的年金が月20万円で、2人の生活費が月25万円なら、毎月赤字で貯蓄を食いつぶすことになります」年金生活が65〜95歳の30年間続くとすると、月5万円の赤字×12カ月×30年分=1,800万円が老後資金として必要になる。「ですが、公的年金を月25万円に増やせれば生活費月25万円とトントン。貯蓄ゼロでも生活できます。また、生活費を1万円節約できれば、貯金もできますよ」公的年金の受給は65歳からが原則だが、今は60〜70歳までもらい始める時期を選べる。ただ、65歳より早くもらい始める「繰上げ」は受給額が減らされるが、遅くする「繰下げ」を選べば受給額が最大42%増えるのだ。「公的年金の受給は一生涯です。しかも使っても使ってもまた振り込まれる“減らない財布”です。これを生活費がまかなえるくらい大きくできれば、お金の心配がないバラ色の老後になりますよ」■長く働く、年金の繰下げ、節約で90歳で貯蓄1,000万円会社員のAさん(60)を例に年金の活用法を見ていこう。Aさんは同い年夫婦で、退職金で住宅ローンを完済し、貯蓄はゼロ。「貯蓄ゼロだと日々の生活に困りますから、まず働きましょう。また60歳以降も厚生年金に加入すれば、退職後の年金も増やせます」Aさんが70歳まで働く場合の貯蓄額の推移が、グラフ1(画像参照)だ。Aさんは年収360万円、妻は年収180万円で働き、支出が年400万円だと140万円の黒字だから、貯蓄が増えていく。65歳でAさんの勤務日が減り妻は退職するが、年金受給が始まり、さらに貯蓄は増える。だが、70歳でAさんが退職すると赤字生活に陥り、83歳で貯蓄が尽きてしまう。「長く働くだけでは無理があるので、年金を繰り下げましょう」年金の繰下げは先述のとおり年金受給を65歳より遅らせること。1カ月遅らせるごとに受給額が0.7%アップするので、最長70歳までの5年間で0.7%×12カ月×5年間=42%増額になる。「ただAさん夫婦は70歳まで繰り下げると貯蓄が底をつくので、夫婦とも69歳までにしました」こうした見直しで、貯蓄推移はグラフ2(画像参照)のように変わる。「年金は4年間の繰り下げで33.6%アップ。Aさんの年金は216万円→287万円に、妻は85万円→114万円に増えました。あわせて節約にも取り組みました。Aさんが70歳で退職したら、生活費を1割カット。年間支出を400万円→360万円にします」65〜69歳は収入も減り年金もないため赤字で貯蓄を減らすが、年金受給が始まる69歳以降は黒字が続く。70歳でAさんが退職しても、節約効果もあって年41万円の貯蓄ができるのだ。「この生活を続けると90歳で貯蓄が1,000万円を超えます。介護などがあっても心配ないでしょう」70歳以降も夫婦2人で月30万円なら、それほど厳しくないだろう。「少しずつでも貯蓄が増えていく暮らしは、とても安心ですよ」
2022年01月11日コロナ禍となり、離れて暮らす親となかなか会えない、孫に会わせたくても会わせられない…といった切ない日々がしばらく続きました。今年の年末年始は、電話やオンラインで互いに元気な様子を確認する予定という方もいれば、様子をみつつも「久しぶりに実家の親と直接会う予定」といったご家族もいることでしょう。そんな子育て真っ最中のパパママたちに知って欲しい数字があります。離れて暮らす母親と話せる「人生の残り時間」は約26日間「老後の不安をゼロに」を提唱する株式会社LIFULL senior(ライフル シニア)が今年9月に実施した調査によると、2020年4月以降「離れて暮らす親と会っていない」という方は67.8%という結果に。親と離れて暮らす約7割の人が対面で会えておらず、今年の年末年始が約2年ぶりの親と会うことのできる帰省シーズンになるのでは、と予想されています。もうひとつ気になる調査データがあります。「セイコー時間白書2019」によると、35~39歳の人が別居している自分の母親と生涯会って一緒に話せる時間は、626時間(26.1日)と、1か月を切る残りわずかな時間であるということが調査結果で判明しています。新たな変異ウイルス「オミクロン株」が世界的な拡大を見せ始めている現在、年末年始以降も親と会って話すことのできない日々がまだまだ続く可能性もあり、予断を許さない状況です。今後も親子で対面して話す貴重な時間が、さらに失なわれる可能性があるかも? しれません。今年の年末年始に帰省される方にとっては、約2年振りに親と直接会ってさまざまなことを話し合う「大切なタイミング」となるわけです。帰省時にこそ、介護や生前整理を話し合うキーワードは「親子でオープンな終活」!年々老いていく親のことは、頭の片隅で気になりつつも「元気だし、まだ大丈夫」と思っていませんか? 「親の介護」はいつ何時必要となるかわかりません。30代40代のうちから「知る」「備える」こと。そして、元気なうちに親としっかり話し合うことが何よりも大切です。今回の帰省タイミングだからこそ、思い切って親御さんと「介護や生前整理」について話し合いを始めてみてはいかがでしょうか。…とはいえ「かなりセンシティブなテーマだし、親もこの話は嫌がりそう…」となかなか踏み切れない方も多いはず。そこで、親子で終活をスタートするためのシンプルな【3つのポイント】をご紹介します。【親子で終活をスタートする 3つのポイント】・子から話を切り出す、肝心なスタートをポジティブなものにする・お金の話はプロにも相談・リサーチし、オープンに親子間で話し合う・介護保険サービスや介護施設を利用することに負い目を感じない親とのコミュニケーション問題はそもそも悩ましいテーマ。さまざまな専門サイトがあるので、まずはネット上で情報収集することから始めて、「わが家の場合」のイメージをしてみても。LIFULL介護の「tayorini~介護が不安な、あなたのたよりに~」()というサイトには、 #親とのコミュニケーション にまつわる記事も多いので、のぞいてみるのもおすすめです。介護費用は平均約500万円!親から発されるSOSはギリギリ株式会社LIFULL senior(ライフル シニア)の調査によると、平均的な介護期間は4年7カ月、総介護費用は約500万円と、子のリタイア後に多額のお金が必要になることが予測されています。さらに、子の約6割が「親の状況を本人以外から把握する方法」が特になく、また「自分の体調についてすべてを伝えた」と思っている親が31%もいる一方で、「すべて伝えてくれた」と思っている子は9.3%と、親の伝達と子の理解に乖離が発生しています。こういったコミュニケーション問題に加えて、多くの親は「子どもに迷惑をかけたくない」という思いから、ギリギリまでSOSを出さないのが現状のようです。久々に会って話すことができる今回の貴重な帰省タイミング。ぜひ、互いの体調を思いやり、楽しく語らう時間を過ごしつつ、現在の親御さん様子も把握した上で、「これからの親の暮らし方」についても話し合ってみましょう。久々の親子の対話の機会で確認すべき重要なテーマのひとつは、「介護」と「生前整理」の準備です。大切な家族だからこそ、明るく前向きに「親子で始めるポジティブな終活」をオープンに提案してみませんか?取材協力:LIFULL senior参考:LIFULL介護
2021年12月29日「老後をどうしたいのか方向性を決めていくと、蓄えておくべきお金がわかってきます」そう話すのは、『こんな時代でもラクラク貯金ができる!○×でわかるお金の正解』(KADOKAWA)の著者で、家計再生コンサルタントの横山光昭さん。人生100年時代、想像以上に長い老後が待っている。その長い老後を乗り切るには、まずは年金生活に入った後、年金収入だけで生活が成り立つのかをシミュレーションしてみよう。受け取れる年金の額は「ねんきん定期便」で確認できる。住宅ローンを払い終わっていれば住居費はなくなり、現役時代と違い毎日通勤しなくてもいいのであれば、夫のスーツ代やワイシャツのクリーニング代などは少なく見積もれるだろう。ただし、月々の生活費に不足分が出るようであれば、「不足分は仕事を続けて収入を得る」という選択肢を視野に入れなくてはならない。「仕事を続けて収入を得るということは、年金や貯蓄を使い尽くさないという生活防衛策でもあり、健康をキープすることにもつながります。とりわけ夫にいつまで働いてもらうのかは、老後資金をいくら貯めるかを考えるうえでも大切なポイントになってきます」(横山さん・以下同)いずれにせよ退職金は病気や介護が必要になったときのために備えておくのがベター。そのほかにどれだけのお金が必要となるのかの「ライフプランニング(人生設計)」を立てておくことが必要だという。年金生活に入ってからの「ライフイベント」には具体的にどんなものが想定されるのだろう。たとえば、子どもたちがすでに独立していれば、教育費などの大きな支出はなくなるが、まだまだ動けるうちは新車の購入費や、旅行、親が健在なら帰省などの費用も見積もっておく必要がある。それらはすべて貯蓄でまかなわなくてはならない費用だ。具体的なライフイベントには表れてこないが、病気になったり介護が必要になったときのお金も想定しておきたい。「若くて健康なうちは気付かないのですが、老後生活の最大のリスクは病気です。『高額療養費制度』を使えば医療費はかなり抑えられますし、介護にかかる費用も、一定金額を超えた場合には『高額介護サービス費』を利用することで、払い戻しを受けられます。ですが、医療や介護でお金が戻ってくるこうした制度については、誰も教えてくれませんので、知らないと損をしてしまいます。お住まいの自治体に問い合わせるなどして確認しておきましょう」さらに、医療保険と介護保険のサービス両方を利用している世帯であれば、1年間(8月から翌年の7月まで)の負担額が一定額を超えた場合に、申請すると超過分が戻ってくる「高額医療合算介護サービス費」も受けられる。また、女性の場合、気をつけたいのは、夫に先立たれた後の生活のこと。たとえば、夫と妻の分を合わせて毎月約23万円の年金を受け取っていたとしたら、夫の死後、妻がそのままの金額を受け取れるわけではなく、約14万円(妻の老齢基礎年金6万5,000円+遺族厚生年金7万5,000円)までダウンしてしまう。夫の死後、受け取れる年金額は把握しておこう。【想定しておきたい老後のライフイベント例】〈60歳・夫の定年退職〉定期的な収入が大きく減ってしまうポイント。これを機に身の丈に合った支出に見直そう。〈65歳・夫が脳卒中〉日本人の死因の約52%を占める三大成人病。リハビリが必要になることも想定しておこう。〈75歳・夫と死別〉葬儀にかかる費用以外に、今後もらえる遺族年金の額も把握しておく必要がある。〈85歳・要介護状態で施設に〉終(つい)のすみかを確保するにもやっぱりお金が必要。入居する施設は元気なうちに探しておきたい。 男性よりも平均寿命が長い女性にとって、「長生きリスク」への備えは、より切実なのだ。
2021年12月24日老後資金問題に、まさに青天のへきれきともいえたコロナ禍。いつの間にやら家計は火の車!そんな状況の人でも、焦って投資や保険に手を出すのは悪手かも。甘い言葉につられないよう、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれました――。■金利3%以上ならインチキを疑う目を持つ’19年に「老後2,000万円不足問題」が注目されました。これは総務省の家計調査(’17年)から、高齢世帯の平均収入と平均支出を抜き出し、その差額、月約5万5,000円×12カ月×30年を単純に計算し、「公的年金だけでは2,000万円不足する」と指摘するものでした。これらはあくまでも平均値で、しかも高齢になるほど支出が減ることなども考慮されていない、ひとつの目安にすぎません。当てはまらない方も多いのですが、数字だけが独り歩きし、投資の必要性をアピールするために利用されてきました。いまも「投資は必須」と語る専門家もいますが、だれがコロナショックを予測できたでしょう。それほど現代は、先行き不透明で予測不可能です。そんななか、リスクのある投資で虎の子の老後資金を失わないように『「コツコツ投資」が貯金を食いつぶす』(大和書房)を書きましたが、本誌では、特にだまされやすいセールストークの裏側を考えていきましょう。【分散投資で、リスクは回避できます】分散投資はよく卵にたとえられます。「ひとつのカゴに入れておくと落ちたら全部割れてしまうが、いくつかに分けておけば落ちるカゴも残るカゴもある」から安心だというのです。しかし、リーマンショック級のリスクが来たら、分けたカゴすべてが落ちてしまうことも。卵を守りたければ、落ちても割れないゆで卵にしておくことです。つまり、現金化して貯金すること。キャッシュがいちばん強いのです。【特別な高金利商品です】いまの時代、高金利には注意が必要です。1%以上の金利がつく商品には“カラクリ”があり、3%以上なら“インチキ”だと疑う目を持ちましょう。たとえば「定期預金金利が1%」という商品はほとんど、同時に投資信託を契約することが条件。つまり、投資信託と定期預金のセット商品です。しかも、1%の定期預金金利は1カ月だけということも。100万円預けて利率1%なら利息は1万円ですが、それは1年ものの場合。1カ月ものなら利息はわずか800円余りで、2カ月目からは通常の金利に戻る、これがカラクリです。■保険の契約にも罠が。堅実な貯金が安心【保険のご相談は無料です】ショッピングモールなどにある保険ショップは「相談無料」がウリですが、その実態は“相談”ではなく“セールス”です。そう考えると、無料は当然でしょう。保険ショップはボランティアではありません。無料相談の人件費や保険ショップの店舗費用、相談に行けばもらえるノベルティグッズなど、多くのコストを無料相談でまかなえるはずがありません。それらは保険ショップの売り上げ、つまり、契約した方の保険料から捻出されているのです。“無料”につられると、本当に必要な保険料にそうしたコストが上乗せされた“高い買い物”をさせられるかもしれませんよ。【貯金するより賢いですよ】大手銀行の普通預金は0.001%の超低金利。それに対して、貯蓄性保険なら運用利回りは0.3%。300倍ですから「お金を増やしたいなら、銀行預金より貯蓄性保険のほうが賢い選択」というのです。しかし保険の場合、契約者が支払う保険料から事務手数料など保険会社の経費を差し引いた残金が運用に回ります。保険料を資産づくりの元金と考えると、手数料が引かれたマイナスからのスタートになりますが“賢い”でしょうか。表面的な言葉だけで信用すると、痛い目にあうかもしれません。セールストークの裏側にあるカラクリを見逃さないでください。
2021年11月26日天海祐希主演のコメディ映画『老後の資金がありません!』より、豪華キャストが演じる曲者ぞろいのキャラターたちが大集合した特別映像がいち早くシネマカフェに到着した。映像では、公開記念ナビとして、個性豊かなキャラクターたちを紹介しながら、キャストたちのインタビューも映し出されている。本作の主人公を演じるのは、これまで刑事や医者、弁護士、一級建築士など様々なキャラクターに扮してきた天海さん。今作では、普通の主婦・篤子を親近感たっぷりに演じている。子育ての責任から開放され、夫婦で気ままな老後生活を楽しもうとしていた矢先、次々とお金の問題が襲いかかるという、どこにでもある家庭の切実な課題に頭を抱える役どころ。そんな篤子の周囲には、個性派キャラクターたちばかりが揃う。まず映像では、松重豊演じる夫・章が、会社の倒産を伝えながらも、アイスを頬張り、当たりくじに満面の笑みをみせるオトボケっぷりを披露。撮影をふり返り、天海さんは「一見、篤子さんが家の主導権を握っている。でも、中の部分ではすごく章さんを頼りにしているんだ、というのを忘れないように、自分の一番中心に置いて演じていました」と明かす様子も。また娘・まゆみ(新川優愛)も、真面目な優等生タイプでありながら、ド派手な一発をかます隠れ個性派キャラクター。ヘビメタバンドマン・琢磨(加藤諒)を自宅に招待し、結婚を電撃発表して篤子たちの度肝を抜く。さらに、姑の問題を騒ぎ立て、厳しい家計に頭を抱える篤子に、義理の妹・志津子(若村麻由美)が追い打ちをかける。映像ラストに登場するのは、草笛光子演じる浪費家な姑・芳乃。「天真爛漫にやらせていただいて…男までやらされました」と語るように、かつて見たことのない華麗な変身っぷりを見ることができる。そんな家族たちのほかにも、柴田理恵、石井正則、友近、クリス松村、高橋メアリージュン、佐々木健介、北斗晶、荻原博子(経済ジャーナリスト)、竜雷太、藤田弓子、哀川翔、毒蝮三太夫、三谷幸喜などバラエティに富んだキャストたちが集結している。『老後の資金がありません!』特別映像『老後の資金がありません!』は10月30日(土)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:老後の資金がありません! 2021年10月30日より全国にて公開©2020映画『老後の資金がありません!』製作委員会
2021年10月21日「老後資金は2,000万円必要」との趣旨の報告書が金融庁から提出されるなど、お金の不安が増すばかりの人生100年時代。楽しい老後を過ごすために必要なお金はいくらなのか。そこで、プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんが提案するのが自分の老後のお金回りを知るための4つのステップだ。【ステップ1】「老後に受け取れるお金」を計算する「老後の収入の柱は公的年金です。まずは自分たち夫婦が65歳以降、どれくらいの年金を受け取れるかを把握しましょう」(三原さん・以下同)これに退職金や個人年金保険などの私的年金を加えた金額が、老後を支える収入になる。【ステップ2】「老後の生活費」を見積もる「老後のお金の“入り”がわかったら、つぎは“出”のほうです。これは大きく、毎月の生活費とそれ以外に分けられます」老後の生活費の目安は現在、毎月どのくらいの出費をしているかを計算して判断する。「家族構成、マイホームの有無、子どもへの教育費のかけ方などによって生活費のかかり方はさまざまですが、老後は子どもの独立などから、現役世代のいまの生活費の7〜8割が目安になります」【ステップ3】「老後の特別費」を見積もる「老後、必要になるお金は生活費だけではありません。忘れてはならないのが、医療費や介護費用。また家の修繕費など、思いがけない出費を合計すると、数百万円単位のお金が必要。その予想額も見積もってみてください」【ステップ4】「あなたの老後資金」を計算する「最後に【ステップ1】の金額から【ステップ2】【ステップ3】のお金を引いてみると、あなたの老後資金の過不足金額がわかります」■あなたがすべき“老後資金対策”、教えます「正直なところ、多くの人が90歳になったときの老後資金の金額は残念ながらマイナスになったと思います。でも心配することはありません。どのくらい足りないかがわかれば、あとは対策を立てて、お金の“入り”を増やしたり“出”を減らしていけばいいんです」三原さんが老後資金の過不足金額に合わせ、あなたがすべき“老後資金対策”を教えてくれた。【ケース1】老後資金が「プラス」になった場合「すでに老後資金を十分に用意。素晴らしいです。この調子でさらにプラス額を増やしていきましょう。資産運用をする場合、必要以上のリスクをとってまで増やさなくてもOK。当面使う予定がなくて、絶対に減らしたくないお金は「個人向け国債 変動10年」で安全に運用しましょう。またリスクのある運用に回して増やしたいときは、毎月減っても大丈夫な額に平均余命年数を月数に直した数を掛けた金額までを運用に回すことをおすすめします」【ケース2】「0〜マイナス100万円」の場合「家計の見直しに取り組み、収支のプラスを大きくするように改善していきましょう。具体的には、生活費の中で毎月あるいは毎年決まって出ていくお金(固定費)の見直し。継続して支出を減らせるので効率的で、精神的にも楽です。まずは通信費。夫婦で毎月1万5,000円ほどのスマホ代を月5,000円に減額できれば、年間12万円、10年で120万円の削減に。また、つみたてNISAを活用し、いまある資産を長持ちさせる運用の検討もしてみてください」【ケース3】「マイナス100万〜1,000万円」の場合「家計、とくに固定費の見直しに取り組み、収支のプラスを大きくするように改善していくことが必要。生命保険は、子どもの独立後に大きな死亡保障は必要ありません。更新型の生命保険で毎月4万円以上の保険料を払っている人は10年間で500万円程度削減することも可能。固定費の削減だけで足りないときは、特別費の内容を削減することや、夫のリタイア年齢を延ばしたり、妻のパート収入を増やしてカバーしていくことを考えましょう」【ケース4】「マイナス1,000万〜2,000万円」の場合「家計の見直しにプラスして勤労収入を得ることを考えましょう。夫が会社員であれば、継続雇用の65歳まで勤め上げ、それ以降も働き方のペースを落としながらなるべく長く働いて収入を得ましょう。夫だけでなく妻もパート収入を得て協力態勢で臨めば1,000万円以上の不足額も埋められます。なお戸建てに住んでいる人は家の修繕費が100万円単位でかかることもあるので、現在の家が終のすみかになりえるかを含めての検討が必要です」【ケース5】「マイナス2,000万円以上」の場合「夫婦でなるべく長く働いて勤労収入を得るのがいちばんの得策です。また働いて収入を得ている間は公的年金を受け取らずに繰り下げしましょう。たとえば70歳まで5年間繰り下げをすると65歳時の受給額の1.42倍に増額。国民年金の満額受給が約78万円ですから約110万円に増えます。90歳まで生きれば総受給額は約265万円多くなります。夫婦の年金を繰り下げ、70歳まで働くことで2,000万円以上のマイナスをプラスにすることも可能に」老後資金の過不足金額に合わせた“老後資金対策”を参考に、豊かな老後のための万全の準備をしておこう!
2021年10月01日