2024年3月で放送作家、脚本家を引退する鈴木おさむ氏が、コメンテーターの三鬼紘太郎氏と一緒に届けるニッポン放送の新番組『鈴木おさむ月曜日の社長』が4月1日にスタートする(毎週月曜後7:20)。同局は、鈴木氏が19歳の時に放送作家デビューし、22歳で『鶴光の噂のゴールデンアワー』のチーフ放送作家を務めた、非常に関わりの深い放送局。この番組の舞台は、客が“社長限定”で、“月曜日にしか営業しない”「喫茶・月曜日の社長」。そんな一風変わった喫茶店の経営者の社長(三鬼氏)と、その店の常連客の社長(鈴木氏)が、この時間にやってくるさまざまなジャンルの客との社長トークを楽しむ。とにかくいろいろなジャンルの社長が来店し、ビジネスの秘訣から、新サービスの話、はたまた社長のプライベートトークにまで話は及ぶ。■鈴木おさむコメント放送作家をやめた僕が、今後の未来のために毎週、さまざまな社長に会ってお話を伺える。これを仕事にしていいのか?一年後には僕も一人前の社長になります。■三鬼紘太郎コメントいち投資家の僕が、鈴木おさむ社長とご関係者皆様のご厚誼で僭越にもご一緒させて頂き恐縮です。投資の観点でも社長の方々のお話を伺うのが楽しみです。
2024年03月21日漫画家の芦原妃名子さん(享年50)が急逝した問題をめぐって、芦原さんが原作を手がけたドラマ『セクシー田中さん』(日本テレビ系)の脚本を担当した相沢友子氏が2月8日、自身のInstagramにコメントを発表した。芦原さんは1月26日、ドラマ化に際して脚本トラブルがあったことをXとブログで告白。原作漫画が未完だったため、「原作に忠実に」作ることを条件としていたが、大幅に改変された脚本があがってくるなどし、結果的に自らドラマの9話・10話の脚本を執筆したことなどを明かしていた。ドラマの1話~8話まで脚本を担当したのが相沢氏で、最終回が放映された昨年12月24日にInstagramで《最後は脚本も書きたいという原作者たっての要望があり、過去に経験したことのない事態で困惑しましたが、残念ながら急きょ協力という形で携わることとなりました》と投稿。4日後にも《今回の出来事はドラマ制作の在り方、脚本家の存在意義について深く考えさせられるものでした。この苦い経験を次へ生かし、これからもがんばっていかねばと自分に言い聞かせています。どうか、今後同じことが二度と繰り返されませんように》と投稿するなど、9、10話で脚本が芦原さんに変わったことに対して困惑した様子であることが伺えた。(現在、この投稿は削除済み)一連の投稿に批判が集まるなか、芦原さんの訃報が伝えられ、相沢氏は非公開アカウントにして沈黙を守っていたが、今回、アカウントをオープンにした上で、芦原さんについて言及した。まず冒頭、《大きな衝撃を受け、未だ深い悲しみに暮れています。心よりお悔やみ申し上げます》と芦原さんを追悼した上で、批判を浴びた投稿について《SNSで発信してしまったことについては、もっと慎重になるべきだったと深く後悔、反省しています》と謝罪。《もし私が本当のことを知っていたら、という思いがずっと頭から離れません。あまりにも悲しいです》と後悔の念を綴った。また、芦原さんが訴えていた脚本をめぐってやりとりについては《芦原先生がブログに書かれていた経緯は、私にとっては初めて聞くことばかりで、それを読んで言葉を失いました》と、脚本トラブルについては知らされていなかったと説明している。芦原さんはトラブルを明かした文書の中で、《毎回、漫画を大きく改編したプロットや脚本が提出されていました》と綴っており、脚本家や監督にドラマ化の条件が伝わっているのか疑問を抱いていることを明かしていた。いっぽう日本テレビは、1月29日に訃報に際して《日本テレビは映像化の提案に際し、原作代理人である小学館を通じて原作者である芦原さんのご意見をいただきながら脚本制作作業の話し合いを重ね、最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております」と説明している。しかし今回、脚本家の相沢氏が《初めて聞くことばかり》と綴っていることから、日本テレビが芦原さんの要望を相沢氏に伝えていなかった可能性が浮上してくる。そのため、ネット上では原作サイドと制作現場の橋渡しの役割を担っていた日本テレビ側に再度批判が集まることとなった。《まぁー素直な気持ちなんだろうね結局は日テレが何も伝えてなかったってことなのかな》《日テレも他人事じゃない。芦原さんはプロデューサーとしかやり取り出来ないって書いてたし。プロデューサーが双方に伝えてなかったら、責任の重みは大分変わって来ると思う。知らないとしてもあのインスタはかなり陰湿でした。原作者が勇気を出して声を上げる必要に迫られる程にキツイ言葉の数々》《相沢友子氏がようやくコメントを出したのか…彼女の一番重い罪は、SNSにあの記事を投稿したこと。ツッコミどころは大いにある。ただやっぱり、一番許せないのは日テレ。あの記事が出た段階で芦原先生を守っていれば…いや、初めから芦原先生の意向に沿ってドラマを作っていれば…未だ沈黙だし!!》
2024年02月09日漫画『セクシー田中さん』や『砂時計』などの人気作品で知られる、漫画家の芦原妃名子(あしはら・ひなこ)さんが亡くなったことが報じられた、2024年1月29日。芦原さんの突然の訃報は、多くの人に衝撃を与えました。芦原妃名子さんの訃報に、相沢友子がコメントを発表芦原さんの作品の1つである『セクシー田中さん』は、2023年10~12月にテレビドラマ化。実写化に携わった、脚本家の相沢友子さんは、2024年2月8日に自身のInstagramを更新。芦原さんの訃報について、次のようにコメントをつづりました。このたびは芦原妃名子先生の訃報を聞き、大きな衝撃を受け、未だ深い悲しみに暮れています。心よりお悔やみ申し上げます。芦原先生がブログに書かれていた経緯は、私にとっては初めて聞くことばかりで、それを読んで言葉を失いました。いったい何が事実なのか、何を信じればいいのか、どうしたらいいのか、動揺しているうちに数日が過ぎ、訃報を受けた時には頭が真っ白になりました。そして今もなお混乱の中にいます。SNSで発信してしまったことについては、もっと慎重になるべきだったと深く後悔、反省しています。もし私が本当のことを知っていたら、という思いがずっと頭から離れません。あまりにも悲しいです。事実が分からない中、今私が言えるのはこれだけですが、今後このようなことが繰り返されないよう、切に願います。今回もこの場への投稿となることを、どうかご容赦ください。お悔やみの言葉が遅くなってしまい、本当に申し訳ありません。芦原妃名子先生のご冥福をお祈りいたします。2024年2月8日相沢友子aizawa_tomokoーより引用芦原さんの訃報以降、Instagramを更新していなかった様子の、相沢さん。SNSでの自身の発言を振り返り、「訃報を受けた時には、頭が真っ白になりました」とつづっています。また、相沢さんのInstagramアカウントは、今回の投稿を最後に削除されるとのことです。[文・構成/grape編集部]
2024年02月08日「BEASTARS」の樋口七海脚本、小林親弘、豊永利行、富田翔など豪華キャスト出演の新作朗読劇が2月に上演決定!新谷真弓プロデュース、朗読劇『ロスト・バナナ・ナイツ』が2024年2月8日(木)~10日(土)に新宿歌舞伎町PetitMOA(プティモア)(東京都新宿区歌舞伎町2丁目19−10 ABCビル B1)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて発売中です。カンフェティにてチケット発売中 ラピラテ企画ホームページ ラピラテ企画公式X(旧:Twitter) 8日は唐橋充、富田翔、増田裕生という舞台俳優がメインのキャスト9日は豊永利行、東地宏樹、佐藤せつじ 10日は木島隆一、小林親弘、榎木淳弥 と、声優がメインのキャストが続きます。 いずれも人気実力を兼ね備えた豪華キャストばかり。前作「城崎プレリュード」と同様、男性のみのキャストで女性役も演じ分けます。 アニメやドラマなど様々な作品を手掛ける脚本家樋口七海とプロデューサー・演出の新谷真弓がタッグを組み、軽快な会話劇から濃密な関係性の描写、そして驚きの展開が待つ盛りだくさんの物語をお送りします。あらすじ 新宿歌舞伎町に店を構える小さなピアノバーの雇われ店長シノブは、ある日突然現れた謎の男ミハルの舞に心を奪われる。どこか浮世離れしたミハルが放っておけず世話を焼く内、共に暮らすようになる。ピアニスト兼バーテンの平田も交えたバーでの他愛なくも楽しい日常のなかで、次第に自身の苦い思い出をミハルに重ねていくシノブ。ミハルもまた、自分の運命を変えた女性アララギと同じ匂いをシノブから感じとる。そんな折、ミハルの兄弟だというユウヒが現れ、ミハルの思いがけない正体が明かされていく── ラピラテ企画とは声優、女優として活動する新谷真弓が立ち上げた朗読劇ユニット。 主に大人の女性のお客さまが作品に心置きなく耽溺できるようなトータルプロデュースと演者さまの魅力をより拡げていけるようなビジュアル創り、演じ甲斐のあるあて書き台本と演出をご提供することを心がけている。 ≪手が届くほどの距離で極上の体験を―—≫ ストレートプレイ簡易版としての朗読劇ではなく 『読む』力だけで演じるからこそ生まれる無限の世界。 場面転換、時系列、役柄数などを自由に描写し 視線の合わせ方まで繊細に抑制した演出によって お客さまの想像力と最大限刺激するような公演を目指しつつ 作品イメージと連動したビジュアルを事前に撮影し お客さまのお手元でも作品の想い出を大事にして頂けるようにしております。 また、出演者の個性に合わせ細やかに内容を調整しますので 同じ内容でも公演日ごとにまったく違った印象に仕上げます。新谷真弓コメント●新作公演「ロスト・バナナ・ナイツ」への想いをお聞かせください。演者側から創り手側に回りたいという思いが高じて作家の織田夜更さんにお声がけし 前作「城崎プレリュード」を上演したんですが、初演、再演と短いスパンで重ねて 再演では演出も担当することで 演者の視点から細かな感情の流れを導いていけそうだな、とか 舞台俳優と声優どちらのアプローチにも対応出来そうだな、とか自分のスタイルが解ってきて。 自分の趣味や得意なことを全開にした上でお客さまにもう少しポップに楽しんで頂ける作品を新たに創ってみよう、と企画しました。 ●「ロスト・バナナ・ナイツ」で特にこだわったところは?男性同士における、名前の付けられない濃密な関係性を描きたい、という根本は旗揚げからずっとあるんですが ロスト・バナナ・ナイツでは 序盤のコミカルな会話から徐々にシノブの過去と心情が明らかになり、ミハルとの関係が深まっていく様子や ユウヒの登場からガラッと世界観が変わって、まるで違うジャンルのようなお話が展開され、最後は『そういう価値観で〆るのね?』という、振り幅の大きい起承転結にハマって頂きたいです。あと平田のコメディリリーフっぷりと、アララギという不思議な女性をどう演じて下さるのか注目ですね。あらいふとしさんの音楽もお楽しみに!公演概要 『ロスト・バナナ・ナイツ』公演期間:2024年2月8日~10日会場:会場:新宿歌舞伎町Petit MOA(プティモア) (東京都新宿区歌舞伎町2-19-10 B1 大江戸線/副都心線の東新宿駅A1出口から徒歩3分)■出演者2月8日(木)16:00/19:30開演ミハル役:唐橋充シノブ/アララギ役:富田翔平田/ユウヒ役:増田裕生2月9日(金)16:00/19:30開演ミハル役:豊永利行シノブ/アララギ役:東地宏樹平田/ユウヒ役:佐藤せつじ2月10日(土)17:00/20:00開演ミハル役:木島隆一シノブ/アララギ役:小林親弘平田/ユウヒ役:榎木淳弥■スタッフプロデューサー・演出:新谷真弓作:樋口七海音楽:あらいふとし(one cake size feathers)ビジュアル撮影:保坂萌撮影ポージング指導:中林舞ヘアメイク:山本絵里子/上原ゆきこ/川端麻友(Hair&Make-up fringe)宣伝・グッズデザイン:雨千砂子演出部:加藤広祐(藤一番/こそ会)、高良紗那(teamキーチェーン)配信撮影:HATCH制作協力:及川晴日、吉乃ルナ制作:三國谷花●協力アトミックモンキー/円企画/大沢事務所/オフィス・モレ/ケンユウオフィス/スーパーエキセントリックシアター/バッテリー/ブリッジヘッド/マウスプロモーション/MASHIKAKU(五十音順)●Special thanksPetit MOA/大迫右典/ニュー・サンナイ/山内圭哉■公演スケジュール2月8日(木)16:00/19:302月9日(金)16:00/19:302月10日(土)17:00/20:00■チケット料金【劇場チケット】※税込/1ドリンク込み席種:S席(前2列):8700円+フォトブック付 A席:6500円立ち見:4000円 (全席指定席)【配信チケット】単体:3800円 通し:8800円<チケット取り扱い>カンフェティ ※WEB予約のみでの受付となります。<チケットについてのお問合せ先>カンフェティお問合せフォーム <購入・視聴方法>以下のURLをご覧ください。 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2024年01月05日●母に言われ続けた「人様のおかげ」「皆に感謝しなさい」2023年を代表するドラマとして国内外で注目を集めたNetflixの大ヒットドラマ『サンクチュアリ-聖域-』が、昨年12月、アジア圏最大級のコンペティション「Asian Academy Creative Awards」のBEST SCREENPLAY(脚本賞)にて最優秀賞を受賞するという快挙を成し遂げた。今回は授賞式登壇のためにシンガポールを訪れた脚本家の金沢知樹氏にインタビュー。配信から半年経ち、今の金沢氏が感じていること、そしてうれしかった反響とは。「“いい作品”とは何か」という定義にたどり着いたという金沢氏の脚本家としての転換期や、今後の展望についても話を聞いた。○お笑い芸人や漫画家にも愛された『サンクチュアリ』――『サンクチュアリ』には、芸人さんや漫画家さん、業界の方々からもたくさんの反響がありましたね。めちゃくちゃうれしかったです。芸人さんでは、ダウンタウンの松本(人志)さんや浜田(雅功)さん、東野(幸治)さんも見てくれたようで。何度か会ったことのある有吉(弘行)さんも、ラジオで「金沢くん、頑張ったなぁ」と話してくれていたと聞きました。ただ、僕が知る限り一番最初に「面白い」と反応してくれた芸人さんは、ライスの関町(知弘)さん。映画『サバカン』のときも早かったんですよね。お会いしたことはないのですが、僕も関町さんがすごく好きなのでうれしかったです。漫画家さんでは、弘兼(憲史)先生や奥浩哉先生にも見ていただけました。奥さんは『サバカン』がすごく好きで……ちょっと、自慢していいですか?――もちろん!僕は本当に奥さんの漫画が大好きで、めちゃくちゃ影響を受けたんです。市井の人々の台詞を描くのがすごくリアルでお上手。そんな奥さんとお会いできることになって。サインをもらいたいなと思いながらも、初対面なのに失礼かなと、コミックスを持っていかなかったんです。いざ会ってお話しすると、本当に楽しくて……そしたら帰り際に奥さんが「金沢さん、サインしてくれませんか?」ってサバカンのDVDを出してきてくれて! 一緒にいたNetflixの坂本さん(坂本和隆プロデューサー)も「えっ! 奥浩哉が金沢知樹に!」って驚いてました(笑)。震える手でサインしましたね。めちゃくちゃうれしかったです。○「本当に自分が書きたい作品」の執筆を中心に――素敵なエピソードですね! 『サンクチュアリ』が配信されて半年が経ちましたが、改めて今感じていることを教えてください。『サンクチュアリ』のおかげで、いろいろな状況が変わりました。今日シンガポールに来られていることもそうですし。ただ、1つの作品でこれだけ世界が変わるのは恐ろしいなと。それだけ人の気は移ろいやすいということなので。――手のひらを返されることもあるんじゃないか、という不安でしょうか。でも、僕は脚本家になりたくてなったわけじゃなく、芸人やってダメで、構成作家やってダメで、舞台作家やってダメで、風俗ライターやって……それはダメってことはなかったけど(笑)、流されてここにたどり着いたんです。だからいつやめてもいいという思いもあって。だからこそ大胆に、そのとき自分が面白いと思うこと、やりたいことに挑戦できたらいいなと思います。――その“やりたいこと”とは。働くうえでは、どうしても“しなくちゃいけない仕事”があるじゃないですか。でもそれとは別に“自分だからこそ、やるべき仕事”もある。しなくちゃいけない仕事がどうしても勝っちゃうんですけど、いずれは“自分だからこそ、やるべき仕事”が上回ってほしいなって。僕にとってそれは、本当に自分が書きたい作品を執筆すること。具体的に言うと、家族のことですね。母ちゃんやばあちゃんのこと、昨年亡くなった父ちゃんのこと、家族の形はそれぞれだから、僕が自分の経験から生み出す家族の物語なんて、絶対に自分にしか書けない。自分だからこそやるべき作品作りを中心に据えて、執筆活動ができればと。○母に言われ続けた「人様のおかげ」「皆に感謝しなさい」――お母さまは、『サンクチュアリ』の成功を褒めてくれていますか。母ちゃんはずっと「人様のおかげだから。あんたの力なんてまったくないんだよ」と言い続けている人で、全然褒めてくれないんです。外では褒めてくれているらしいんですけどね。「皆に感謝しなさい」といつも言われますし、僕もその通りだなと感じています。――お父さまは昨年亡くなったとのことですが、どんな方だったんでしょうか。本当にロクでもない親父だったんですよ。女作って逃げて。で、母ちゃんが探偵を2人雇って、2日で見つかるという。探偵ってすごいんだなと思いました(笑)。面白い人でしたね。――すさまじいエピソードです(笑)。そんな家庭で育った経験も、金沢さんの原点になっているんですね。なっていると思います。家は貧乏でしたが、家族の絆は深くて、振り返るとめちゃくちゃ幸せだったなって。以前、ドブのような人間たちの恋愛を描いた『ドブ恋』というコメディ舞台を上演したことがあるのですが、客席を見ていると、ある男のお客さんは爆笑しながら見ていて、ある女性のお客さんは泣きながら見ていたんです。その2人を見比べたときにハッとしました。誰かを笑わせようとせずに笑わせて、泣かせようとせずに泣かせたら、それこそがいい作品なんじゃないかって。――まったく同じ作品でも、人によって喜劇にも悲劇にもなることがある、と。作品をキャッチする側がどう感じるかは、その人がどう生きてきたかで変わりますよね。だからこそ、自分が楽しい、面白いという、自分の感覚だけで書いていこうと。“自分だからこそ、やるべき仕事”は何なのかと考え始める、自分の中での大きな転換期になりました。●「脚本家として成功しないと」という焦燥感はなくなった○毎日1億円もらえるとしても今の生活を送りたい――金沢さんにとっての脚本家としての成功は、自分だから書ける物語を執筆することなんですね。もし家や車、お金で買えるものが手に入った状態で、毎日1億円もらえて、経済的な不安から解放されるとしたら、自分はどんな生活を送るだろうと考えてみたんです。今は、毎朝7時に起きて、8時から1時間本を読んで、2時間書いて、1時間映像を見て、終わりという生活。毎日1億円もらえるとしても、僕はまた明日も明後日もこの生活を繰り返すな、と。つまり今の生活が自分にとってベストな状態。いま自分の理想の人生を送れてるんだと気づいてから、「脚本家として成功しないといけない」という焦燥感がなくなりました。○今、日本のエンタメ界が再スタートできるタイミング――すごい! 人生で大事なものに気づくことができるもしも話です。金沢さんは2023年に、カンテレを退社したプロデューサーの重松圭一さんたちと映像制作集団「株式会社g」を設立されましたが、gはどんな会社なのでしょうか。クリエイターファーストを掲げる脚本家マネジメント会社です。カンテレで草なぎ剛さん主演の『僕シリーズ』や『がんばっていきまっしょい』、『SMAP×SMAP』などのバラエティ番組を担当していた重松さんが立ち上げ、『全裸監督』の脚本を手掛けた山田(能龍)さんに所属していただいてます。脚本家って仕事を受ける側になりがちですが、逆にこちらで作った企画を売り込みにいって、原作権をちゃんと持って、脚本家主導で質の高い作品を世に届けていこうというのが目標ですね。――日本はクリエイティブの評価が低いからギャラが安いという話がありましたが、仕組みから変えてエンタメを作る人を守らないと、質の高い作品も生まれないということでしょうか。僕が代表を務める会社『にゃんにゃんカムカム』でも脚本家を5人抱えているのですが、作家として一人前になるには僕の経験則で10年、20年かかるし、業界を変えるにはもっと時間がかかる。でも、いつか僕がいなくなっても、僕が教えたことや人とのつながりがずっと継承されていくといいなと、「g」もはるか先を見据えて、未来の脚本家や日本のエンタメ業界のために始動しました。――クリエイティブやエンタメ業界のためにいろいろなことを考えているんですね。韓国の作品が世界的に評価されているおかげで、「日本のエンタメは大丈夫なのか」と皆気づくことができたと思うんです。今が再スタートできるいいタイミングだと思っています。○小説『ぼくの姉ちゃんとセックスしてください』に手応え――2024年は、1月5日スタートの『闇バイト家族』(テレビ東京系)、3月スタートの『からかい上手の高木さん』(TBS)と、地上波ドラマの脚本も手掛けられますが、ほかにもお仕事があれば教えてください。1月1日に『ぼくの姉ちゃんとセックスしてください』(主婦の友社)という小説を発売しました。主人公は高校生の男の子で、3つ上の姉ちゃんが病気になっちゃうんですけど、死ぬ前に何がしたいかと聞くと、処女だからセックスをしたいと。そこから主人公が姉ちゃんとセックスをしてくれるヤンキーを探しに行くというストーリーです。――面白い! 姉ちゃんはヤンキーが好きだったんですか?長崎の田舎が舞台なんですけど、主人公もバカだから「セックスといえばヤンキーだろ」と思い込んでいて。でも相手を探しているうちに、「姉ちゃんはセックスできれば誰でもいいのか?」「本当の目的は?」というところにたどり着くんです。これも結局、書きたいのは“家族”の物語なんですよね。あとがきにも注目してほしいです。ゴトウユキコさんのイラストも素敵なので、ぜひ!――では最後に、『サンクチュアリ』をまだ見ていない方へ、改めてアピールをお願いします。役者たちが1年半肉体改造して挑んだ作品で、そこはある意味ドキュメンタリーなんですよね。僕は体が細かったときから知っているので特に感動してしまうのですが。役者のドキュメンタリー性も含めて、『サンクチュアリ』という作品を楽しんでください。新人役者とも、ここまでのエンターテインメントが作れるんだと感じてもらえたらうれしいです。――ありがとうございました。改めて、Asian Academy Creative Awards脚本賞での最優秀賞、おめでとうございました!■金沢知樹1974年1月1日生まれ、長崎県出身、福岡県在住。お笑い芸人としてデビューし、『あいのり』(フジテレビ系)に出演した。その後構成作家に転身。『笑う犬』シリーズ(フジテレビ系)など、バラエティ番組を中心に活動を始め、舞台・ドラマ・映画など数々の脚本・演出などを手掛ける。代表作に映画『ガチ★星』、『サバカン SABAKAN』、『サンクチュアリ -聖域-』など。ドラマ『半沢直樹』(TBS系)、『新・信長公記〜クラスメイトは戦国武将〜』(読売テレビ・日本テレビ系)の脚本にも参加した。
2024年01月03日●『サンクチュアリ』で譲れなかった2つの“ツカミ”5月に配信されるとすぐに日本で連日1位を獲得し、世界50以上の国と地域でもTOP10入りするなど、正に“2023年を代表するドラマ”として国内外で注目を集めたNetflixの大ヒットドラマ『サンクチュアリ-聖域-』。12月にはアジア圏最大級のコンペティション「Asian Academy Creative Awards」のBEST SCREENPLAY(脚本賞)にて日本代表に選出され、アジアの作品と戦い、最優秀賞を受賞するという快挙を成し遂げた。そんなAACA授賞式登壇のためにシンガポールを訪れた脚本家の金沢氏にインタビュー。シンガポールの街並みを巡りながら、『サンクチュアリ』で大事にした2つのツカミや思い入れのあるキャラクター、そして実際に起きた出来事と重なる点や回収されていないストーリー、続編について話を聞いた。○実現するのか不安な中書き上げた『サンクチュアリ』――金沢さんが脚本を手掛けた『サンクチュアリ』が、アジア圏最大級のコンペティション、Asian Academy Creative AwardsのBEST SCREENPLAY(脚本賞)で日本代表に選出され、最優秀賞を受賞しました。率直な感想を教えてください。今回いただいたのは脚本賞なのですが、あくまで選ばれたのは作品全体だと思っています。キャストやスタッフに申し訳ないなという気持ちもあって。――X(Twitter)でも「選出はうれしいことですが、サンクチュアリは監督、出演者の皆さん、スタッフさんの力が重なってできた作品です」と投稿されていましたね。改めて作品への思いを教えてください。『サンクチュアリ』は、第一に役者の肉体ありきの作品です。構想を練っているときから、「この作品、本当に成立するの!?」と、力士のビジュアルが実現するのか不安に思っていました。ただ、作品というチームの先陣を切るのは脚本。脚本がないと何も始まらないから、まずは自分に「絶対にできる!」とマインドコントロールをかけて何とか書き上げました。その後コロナ禍に突入し、何度も撮影中止に見舞われたので、構想から3~4年経って「完成した」と聞いたときは本当にうれしかったです。――力士役の体作りには相当な準備期間が必要だったとか。その準備期間を確保するため、力士役は新人俳優さんたちを中心に起用したのでしょうか。そうですね、有名な俳優さんをキャスティングする方向性もあったようなのですが、スケジュールを押さえられないということで、新人俳優さんたちを起用することになりました。でもそもそも僕は、これから自分の人生を変えていきたい新人の方や無名の方とお仕事をしたいという思いを持っていて。僕は元芸人なのですが、芸能界を去ろうとしたときに、ネプチューンの堀内健さんから構成作家をやらないかと声をかけていただいてここまで来られた。自分も同じように、人生が変わるようなチャンスを誰かに与えることが使命だと思っているんです。○このままでは日本のクリエイティブが死んでしまう――自分の書いた脚本が日本代表になり、海外で評価されるというのはどんな気持ちですか。シンプルにうれしいですね。世界への挑戦は、ずっと目標の一つでした。日本はクリエイターのギャラが安いんです。問題は安いこと自体ではなく、安い=評価が低いということで、このままでは日本のクリエイティブが死んでしまう。でも海外にも作品を発信していくことで、作って終わりにならず、海外のエンタメ業界の方から連絡をいただいたり、今回のように海外の賞にノミネートされたりと、そのあとの展開が変わってきます。新たなマーケット拡大のチャンスにつながるなと感じました。――海外のエンタメ業界の方とのお話で、考えが変わったことはありますか。世界で評価を受けている制作チームは、構想段階から「この作品は世界的なヒットコンテンツになるかどうか」をものすごく精査しています。スタートから意識しているかどうかで、そのあとのすべてが変わるじゃないですか。ただ山登りがしたいなと思うことと、あの山に登りたいと具体的に目標を定めて行動するのとでは、リュックに入れるもの、装備や準備が全く違うものになる。僕もこれからは、最初から「これは世界に発信できる作品なのか」と自問自答しながら作品を作っていこうと思いました。――『サンクチュアリ』も世界を意識してはいたが、そこまでは精査していなかったと。相撲は世界的にもメジャーなスポーツなので、これでダメだったら何を作っても無理だろうと思ってはいましたが、世界である程度評価されたことで、もっと明確に「世界を狙うとはどういうことなのか」と考えさせられましたね。『サンクチュアリ』がNetflixの世界トレンドに入ったとき、そのあとの日本の作品もトレンド入りしていました。作品1つじゃ、日本のエンタメ業界を取り巻く環境や、世界から見たイメージは変わりません。韓国は、全体の水準が高いからNetflixから大きな投資が下りています。「『サンクチュアリ』すごいね」ではなく、「“日本の作品”すごいね」と思っていただかないと未来は拓けない。だから、日本のエンタメ界が一枚岩にならないと世界で勝てないと思うんです。○作品の選手宣誓にあたる2つの“ツカミ”――そんな中で、『サンクチュアリ』の脚本はどんなところを評価されたと思いますか。妥協しなかったことじゃないでしょうか。僕は作品の始まりの部分に“ツカミ”を2つほど用意するようにしています。『サンクチュアリ』では、先輩力士からのシゴキのシーンと、主人公たちがトイレに呼ばれて先輩力士のウンコを見せられるシーン。ツカミは「この作品はこういう世界観ですよ」と表明する選手宣誓でもある。特に2つ目は『サンクチュアリ』のツカミとしてすごく重要だと僕は考えていたのですが、カットしようという話も出たんです。でもNetflixの坂本プロデューサー(坂本和隆P:『全裸監督』『今際の国のアリス』『First Love初恋』などを担当)が「これは大事なシーンだから、絶対切っちゃダメだ」って戦ってくれて。熱い男なんです。信頼できる方と作品作りができてるんだなと感じましたね。うちの母ちゃんは、あのシーンで「気持ち悪い!」って離脱したんですけど(笑)。――(笑)。Netflixで作品を作るという経験はいかがでしたか。かなり多くの人が携わる作品になりましたが、僕は顔を合わせたスタッフが少なかったので、Netflixだからどうだったと実感が湧かなくて。脚本も、僕と、監督の(江口)カンさん、Netflixの坂本さん、その三人を繋いでくれたアルファエージェンシーの荻沼(統)さんの四人で脚本を練り上げていきました。たくさんの人が関わると、尖った企画も真ん中を取って円になっていきがち。四人だけで作らせてもらえたので、余計な意見が入らず、尖ったままの作品になったんじゃないかなと思います。●もしも続編をやるなら「大変なプロジェクトに」○史実との偶然の一致に「言われてみれば…」――制作過程で意見を挟まず、出来上がった脚本を受け入れるNetflixの体制に、金沢さんへの信頼を感じます。『サンクチュアリ』は、なかなかほかにない“相撲を題材にしたドラマ”という点も注目を集めた理由の一つだと思うのですが、金沢さんは敢えて相撲業界を詳細に取材しないことを大事にされていたとか。基本的な番付やお給料、「カレーライスのこともちゃんこと呼ぶ」といった雑学的なことだけ調べました。知りすぎると引っ張られて、ドキュメンタリーに近づいてしまうんですよね。ドラマはあくまで“作り物”なので。整合性はスタッフに取ってもらって、僕はとにかくフィクションの面白い脚本を書くことに集中させていただきました。――劇中には、八百長だったり怪しげなタニマチだったり、業界の闇を描くパートもありますが、それも取材で得たことなどではなく、あくまでフィクションとして描いたということでしょうか。僕の興味は、作品がエンタメとして面白くなるかどうかだけ。たとえば八百長問題は、過去にニュースになったので、皆知っていますよね。相撲を題材にするにあたり、周知の事実を盛り込まないほうが気持ち悪いと思ったんです。逆に、「あのキャラって、あの人がモデルだよね」と言われても、実は僕にはその感覚がなく、実在の人物や実際に起きたことと、キャラクターやストーリーが偶然似てしまったこともあって。「言われてみれば漢字が共通してる!」なんてあとから気付いたりして(笑)。○構想段階での主人公は静内だった――偶然の一致もあるんですね(笑)。思い入れのあるキャラクターはいますか。実は、構想段階ではライバル役の静内を主人公に設定していたんです。一言も話さない無口な役を主人公にすれば、言語関係なく楽しめる作品としてグローバルに打って出られるのではと。でもそれだと物語の中に熱量の高いブレイクポイントが作れないんじゃないかということで、猿桜というキャラクターを生み出しました。静内も愛されるキャラになりましたが、猿桜が主人公だったからたくさんの方に見ていただけたとも思うので、どちらが主人公のほうが良かったかは、“たられば”の世界だなと。――では、書いていて特に楽しかったところは。タニマチの笹野と、記者の安井との攻防戦はサスペンスフルに描けて楽しかったです。あのあと安井の復讐が始まっていくという構想もあって、尺があればもっと書きたかったですね。あとはやっぱり静内。同じく、尺の中ですべてを描ききれたわけではないけれど、悲しい過去は泣きながら書きました。――描ききれていないといえば、「静内の火傷の理由は?」、「アルバムを塗りつぶされていた七海の過去って?」とすべて明かされなかった部分もあります。もちろん僕の中にはしっかりと説明できるストーリーがありますが、作品の中で見せるのはあのくらいのバランスがいいなって。伏線をすべて回収すると、作為的に見えてしまうんです。だって生きている人間全員に何らかの過去があるけど、それがすべて周囲に説明されているわけではないじゃないですか。たとえば七海のスマホの画像の中に宇宙人との2ショットがあったら、説明しないと成立しないけど、男性との上半身裸の2ショットがちらっと映っても、視聴者が勝手にそのストーリーを想像できるというか。○もしも続編をやるなら大変なプロジェクトに――回収してないというよりは、「十分視聴者の想像で埋まるよね」というバランスを大事にしているんですね。作品が配信されて半年以上が経ちましたが、意外な反響や感想はありましたか。ラストは、勝敗がつかずに終わるじゃないですか。仲のいい芸人たちからは「週刊少年ジャンプの打ち切りじゃねーかよ」とツッコまれました(笑)。でも「あの終わり方がいい」という方もめちゃくちゃいたんです。意外でしたね。――個人的には、演出も含めてオシャレなラストで好きです!あの演出は、とんでもない数のCMを作って来ている巨匠・カンさんの技術力ですね。――でもあの終わり方がゆえ、続編があるのではと期待の声も多いと思うのですが。もしも続編をやるならば、脚本を書く時間はもちろん、また同じように1年半、役者さんの体作りや稽古の時間が必要になってくるので、スケジュール的にもめちゃくちゃ大変なプロジェクトになるだろうなとは思います。――いつか見られることを願っています!■金沢知樹1974年1月1日生まれ、長崎県出身、福岡県在住。お笑い芸人としてデビューし、『あいのり』(フジテレビ系)に出演した。その後構成作家に転身。『笑う犬』シリーズ(フジテレビ系)など、バラエティ番組を中心に活動を始め、舞台・ドラマ・映画など数々の脚本・演出などを手掛ける。代表作に映画『ガチ★星』、『サバカン SABAKAN』、『サンクチュアリ -聖域-』など。ドラマ『半沢直樹』(TBS系)、『新・信長公記〜クラスメイトは戦国武将〜』(読売テレビ・日本テレビ系)の脚本にも参加した。
2023年12月30日『バービー』の脚本を共同執筆したグレタ・ガーウィグとノア・バームバックが12年の交際を経て結婚したことが分かった。12月19日(現地時間)にニューヨーク市庁舎で挙式し、その後、同日に開催されたビリー・ジョエルのコンサートでお祝いをしたという。グレタの代理人が「People」誌に認めた。コンサートのバックステージでビリーと記念撮影をしたグレタは白のジャケットとスカート、ノアはスーツ姿といういで立ちだった模様。2人は2010年にノアが監督・脚本を担当し、グレタが俳優として出演した『ベン・スティラー 人生は最悪だ!』の撮影現場で出会い、翌年から交際を始めた。交際開始後は共同で作品を手掛けることが多くなった。最初のコラボ作品は『フランシス・ハ』。監督・製作を務めたノアはグレタと共に脚本執筆し、グレタは主演も務めた。そのほかにも『ミストレス・アメリカ』の脚本を共同執筆、『ホワイト・ノイズ』では監督と主演女優としてコラボしてきた。2人の間には2019年に第1子男児、今年第2子男児が誕生している。グレタは初婚で、ノアはジェニファー・ジェイソン・リーとの結婚歴があり2013年に離婚。ジェニファーとの間に息子が1人いる。(賀来比呂美)
2023年12月21日2023年12月1日、脚本家の山田太一さんが亡くなったことが分かりました。89歳でした。サンケイスポーツの報道によると、山田さんは同年11月29日に、老衰のため神奈川県川崎市の施設で息を引きとったといいます。テレビドラマの脚本家として活躍した、山田さん。1977年に放送された『岸辺のアルバム』(TBS系)や、1983~1997年にかけて放送された『ふぞろいの林檎たち』(TBS系)など、数々の話題作を生み出し、多くの賞を受賞しました。また、小説家としても活動し、著書の『異人たちとの夏』は、山本周五郎賞などを受賞し、映画化もされています。山田さんの訃報に際し、ネット上では「記憶に残る素晴らしい脚本ばかりでした。ゆっくり休んでください」「山田さんの才能が生み出した素晴らしいドラマを、これからも心に留めて楽しんでいきたい」など追悼の声が続々と寄せられていました。山田さんのご冥福をお祈りいたします。[文・構成/grape編集部]
2023年12月01日『アベンジャーズ:ザ・カーン・ダイナスティ(原題)』の脚本家にマイケル・ウォルドロンが決まった。ウォルドロンは『ロキ』の企画/製作総指揮、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の脚本を手がけた、近年のマーベルの常連。『アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ(原題)』の脚本家にも決まっている。『ザ・カーン・ダイナスティ』は2026年5月、『シークレット・ウォーズ』は2027年5月の公開予定。どちらの作品も、監督は未定。タイトルにあるカーンは、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』で初登場した。演じるのはジョナサン・メジャース。しかし、この映画の公開後、メジャースはDV容疑でニューヨーク警察に逮捕され、今月、裁判に出頭することになっている。今後の展開が注目される。文=猿渡由紀
2023年11月28日『Supergirl: Woman of Tomorrow』の脚本家に、女優で劇作家のアナ・ノゲイラが決まった。劇場用映画の脚本を手がけるのは、これが初めて。監督、キャストは未定。スーパーマンの従姉妹を主人公にしたこの映画は、ジェームズ・ガンとピーター・サフランによって仕切り直されるDCユニバースの一環として製作される。ガンとサフランが新たなトップに決まる前にも、スーパーガールを『ザ・フラッシュ』のスピンオフとして製作する話はあり、この時もノゲイラに声がかかっていたが、新たなストーリーは『ザ・フラッシュ』と関係ないものになる。『ザ・フラッシュ』ではサーシャ・カジェがスーパーガールを演じた。文=猿渡由紀
2023年11月15日福士蒼汰が、ABCテレビの日10枠で2024年1月よりスタートする脚本・遊川和彦によるオリジナル作品「アイのない恋人たち」に主演する。本作は、「愛がない」「見る目(eye)がない」「自分(I)がない」…。それぞれにアイが欠けている者たちによるラブストーリー。2024年の東京に生きるアラサー男女7人が、それぞれにワケアリな恋愛観や家族の問題を抱えながらも出会い、触れ合い、愛し合おうとする物語。7人は恋愛にまるでいい思い出がなかったり、過去に大きな失恋を経験したりと、それぞれの理由により恋愛と距離を置き、恋人もいない状況。SNSやアプリで繋がりやすくなったこの時代だからこそ、孤独を感じ、不安や苦悩と向き合っている。そんな彼らが求めるのは「人とのつながり」、言い換えれば「愛」でしかない…。登場人物たちは人を愛することで生まれ変わり、新しいステージへ進んでいく。福士蒼汰は、初となる遊川作品で「愛のない男」を演じる。2011年に俳優デビューした福士さんは、数々の話題作に出演し、2023年には「THE HEAD」Season2(Huluオリジナル)で初の海外進出を果たし、シーズン1での好演が話題となったドラマ「大奥」Season2(NHK)にも出演。2024年初夏には大森立嗣監督によるW主演映画『湖の女たち』の公開が控えている。今作で演じるのは33歳の売れない脚本家、久米真和(くめまさかず)。アルバイトをしながらも、テレビの世界で成功することを信じている。独身で彼女もいないのは、真和が基本的に「3回会った女性とは連絡を絶つ」と決めているから。後腐れない関係でいられる相手をアプリで見つけては、出会いと別れを繰り返す日々。心から人を愛することからも、愛されることからも逃げているため、友人からは「愛がない男」と呼ばれている。これまで福士さんが演じてきた主人公とは一味違うキャラクターとなっている。そして脚本は、「魔女の条件」「GTO」「女王の教室」「家政婦のミタ」「同期のサクラ」など数多くのドラマで、その時代が直面する社会問題をテーマにおきながら、極上のエンタメやラブストーリーを描きヒットさせてきたヒットメーカー・遊川和彦。「人生の節目」で悩むアラサー世代の男女7人がどう関わりを持ち、それぞれの悩みや問題と向き合っていくのか。オリジナルストーリーによる、リアルな愛の物語が描かれる。福士さんは、「遊川和彦さんとご一緒できることを、大変光栄に感じています。一筋縄ではいかない作品になると思いますが、アラサーの男女7人が繰り広げる群像劇が楽しみでなりません」とコメント。「同世代だからこそ覚える共感と、真和の独特な人柄を表現できれば」と意気込みを明かす。一方、遊川さんも「『大奥』の福士蒼汰さんは、本当に素晴らしかった。この作品が負けないくらい、彼にとっての新境地になれば」と期待を込めている。「アイのない恋人たち」は2024年1月、毎週日曜22時~ABCテレビほか全国にて放送。(シネマカフェ編集部)
2023年11月03日5月2日に始まったハリウッドの脚本家のストライキが、正式に終了した。労働条件の交渉相手である全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)と得た合意について、役員が投票で承認して以来、仕事に戻っていいことになっていたが、最終段階である全組合員の投票でも99パーセントが承認し、決定となった。一方で、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のストライキはまだ続いている。AMPTPとの話し合いは再開しているが、SAGが挙げている要求項目は多数あり、合意までにはまだ時間がかかりそうだ。文=猿渡由紀
2023年10月10日5月2日に始まった全米脚本家組合(WGA)のストライキが、現地時間27日0時をもって、正式に終了した。24日にWGAの交渉リーダーと全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)の間でなされた合意について、26日にWGAの役員らが投票を行ったところ、全会一致で承認が出たことを受けてのもの。近々、全組合員による投票も行われるが、それを待たずして、脚本家は仕事に戻ることができる。ストライキが始まってすぐに製作が中止になった深夜のトーク番組などは、ただちに脚本家を呼び戻して再開準備に入る模様だ。ただし、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)とAMPTPの話し合いは断絶したまま。映画やドラマの撮影は、こちらのストライキが終わるまで始められない。文=猿渡由紀
2023年09月28日5月2日から続いている全米脚本家組合(WGA)のストライキが、終了間近となった。現地時間9月24日、メジャースタジオと配信会社を代表する全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)とWGAが、契約条件で合意したのだ。詳しい内容は、現地時間火曜日に組合の委員会と役員の投票が終わった後に組合員に知らされる。その後、全組合員の投票を得て、正式にストライキは終了となる。スタジオや配信会社のオフィスの前で行われてきたデモ行進は、ただちに中止となるが、まだストライキを続けている全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)を支援し、彼らのプラカードを持ってデモに参加することは奨励されている。全組合員による投票が終わるまでにも、WGAのトップは組合員に仕事再開を許可する見込みだが、その通知があるまでは仕事に戻ることはできない。次はSAG-AFTRAとAMPTPの話し合いの再開が待たれる。文=猿渡由紀
2023年09月26日ジェラルド・バトラー主演最新作『カンダハル 突破せよ』より場面写真が解禁。さらに、元アメリカ国防情報局の職員だった本作の脚本家ミッチェル・ラフォーチュンよりコメントが到着した。本作は、ジェラルド・バトラーが敵地のど真ん中に取り残されたCIA工作員を演じる、孤立無援の脱出アクション。この度解禁されたのは、本作でジェラルド・バトラー演じる、スパイとして敵地に潜入するCIA工作員のトムと、ナヴィド・ネガーバン演じるトムに帯同するアフガニスタン人通訳モーの場面写真。夜の砂漠で深く語り合う姿から、銃を手に血まみれで身を隠す姿、さらにひどく流血し朦朧状態のモーの肩を抱き脱出を試みる姿など、幾度とない危機の中、正反対ながらも、お互いの欠けている部分を補い合う最高のバディとなっていく様子が捉えらている。CIA工作員と現地通訳というスパイ・アクション映画ではあまり見慣れない組み合わせだが、実際に元アメリカ国防情報局の職員としてアフガニスタンに赴任していた経歴を持つ、脚本を手掛けたミッチェル・ラフォーチュンは「中東やアフガニスタンに派遣される工作員というのは、必ず地元の人間の助けが必要だ。まず我々は、現地の言語がまったく話せない。アラブ語、パシュトー語、ダリー語、ペルシア語などでコミュニケーションをとるには、地元の人間の力を借りるしかないんだ」と、異例の組み合わせながらリアルに基づいた設定であると語る。モーはラフォーチュンが実際に現地で密接に仕事をした通訳がモデルになっていると言う。ラフォーチュンはモーという人物について「トムとモーは、二人とも重みのある役だ。二つの異なる国や文化が対立し、助け合う様を見せたかった。僕も数年間、アフガニスタンで過ごしたことがあるんだけど、そこでモーという男と一緒に仕事をして、彼の文化に深く触れたんだ。だから、本作における僕の目的は、アフガニスタンという国と、その文化と人々を最大限に尊重したアクション映画を作ることだった。僕が現地で会った人たちは、現状を変えようと必死に生きていた人たちだったから」と、ラフォーチュンが実際に触れた文化や人々への思いがモーというキャラクターに込められており、本作におけるモーの重要性について説明している。さらに「冒頭では、トムは冷静な人物として描かれているが、最後には心を開くようになる。その変化のカギを握るのがモーだ。モーを通して、人間らしい生き方を思い出すんだ。モーは、トムよりも物腰が柔らかいし、愛嬌がある。しかし、紛争に対する恐怖や自身のトラウマを乗り越えなければならない。最初は正反対のふたりに見えるが、関わりを通して、最後には、いろんな意味で、欠けている部分を補い合う存在になるんだ」と、深みのある人間ドラマが生まれたのはこの正反対の2人の組み合わせだからと明かす。そして、「ナヴィドは最高だよ。素晴らしい役者なんだ。彼に出演してもらえたのは、本当に幸運だった。役としても、俳優としても、ジェラルドとナヴィドの相性はとても良かった。セリフのキャッチボールが見事で、おかしいんだ。彼らのおかげで、物語に命が吹き込まれた」と映画さながらのコンビネーションだからこそ成立した作品だと語っている。『カンダハル 突破せよ』は10月20日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)
2023年09月25日今年5月に始まった全米脚本家組合(WGA)のストライキに、少し希望が見えた。労働条件の交渉相手である全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)とは、長い間話し合いすらしない状態が続いていたが、西海岸時間20日に行われたミーティングにはディズニー、ワーナー、ユニバーサル、Netflixのトップが自ら出席し、かなりの進展が見られたというのである。話し合いは明日も続けられる。明日のミーティングにも、これらスタジオのトップの何人かは出席する予定とのことだ。WGAと、7月に始まった全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のダブルストライキのせいで、ハリウッドでは映画やテレビの撮影が止まったまま。秋に始まるメジャーネットワークの新シーズンや、映画の公開スケジュールに影響が出ている。このストライキがロサンゼルスの経済に与える打撃は大きく、一刻も早く、フェアな条件で合意が成立することが待たれる。文=猿渡由紀
2023年09月21日現地時間5月2日からストライキをしている全米脚本家組合(WGA)が、先週金曜日から全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)と話し合いを始めている。ようやくまた交渉のテーブルについただけでも進歩ながら、両者の間にはまだ大きな開きがある。しかし、複数の項目のうちにはお互い妥協できそうなものもあり、そこを先に解決して弾みをつけたい様子だ。両者は現地時間明日金曜日にもまた話し合いを持つ。7月14日からストライキをしている全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)とAMPTPの話し合いはまだ止まったままだ。しかし、WGAとSAGが求めていることには共通する部分もあり、WGAが解決を見出せれば、SAGにも多少希望が見えてきそうだ。文=猿渡由紀
2023年08月18日5月2日からストライキをしている全米脚本家組合(WGA)が、金曜日に全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)と話し合いのテーブルに着くことがわかった。AMPTPから申し出があったもの。ストライキに入る前に交渉が膠着して以来、両者は一度も話し合いをしてこなかった。ストライキが3か月目に入った今、ようやく少し希望が見えてきた形だ。ただし、両者の間には、配信のレジデュアル(再使用料または印税)、AIの件などで大きな開きがある。また、脚本家は、ひとつの作品に最低何人の脚本家を最低どれだけの期間雇わねばならないというルールを確立したがっているが、AMPTPはこの件にまるで取り合っていない。建設的な話し合いがなされるか注目される。文=猿渡由紀
2023年08月03日全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)と全米脚本家組合(WGA)がストライキを実施していることを受け、9月18日に開催予定だった第75回エミー賞授賞式が延期となるようだ。関係者が「Variety」に明かした。新たな日程は未定だが、両組合と全米映画テレビ製作者協会(AMPTP)との交渉が合意に至るまでとのこと。主催のテレビ・アカデミーは今年11月、生中継を行うFOXは来年1月に希望している模様。テレビ・アカデミー会員による第2期投票は当初の予定通りに進められており、8月17日より候補者・候補作品への投票が行われる。今回のエミー賞のノミネーションは7月12日、SAG-AFTRAがストライキに入る直前に発表された。最多27ノミネートを獲得したのは「メディア王~華麗なる一族~(Succession)」。続いて「THE LAST OF US 」が24、「ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル」が23ノミネートと、HBOの作品がトップ3を独占。グラミー賞、オスカー、トニー賞の受賞歴があり、「バラエティ・スペシャル(ライブ)」部門の候補に挙がっているエルトン・ジョンにも注目が集まる。受賞すれば史上19人目のEGOTを達成する。エミー賞が延期されるのは、2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件以来。同年は開催日が9月16日から11月4日にされた。(賀来比呂美)
2023年07月31日「First Love 初恋」の俳優・須藤蓮が「エルピス-希望、あるいは災い-」の脚本家・渡辺あやと組んだ監督2作目『ABYSS アビス』から本予告映像が解禁。シンガーソングライター・marucoporoporo(マルコポロポロ)の「Little boy and girl」が公式イメージソングに決定した。解禁された本予告は、「夜に海を見ちゃだめだぞ。海の目と目があったら引きずり込まれて死ぬぞ」そう告げて海で死んだ兄の声から幕を開ける。そして彼女と出会ったケイ。惹かれ合う2人を包み込み、潜るような予告映像に流れる公式イメージソングは、歌詞とその声の透明感や浮遊感が作品のイメージにぴったりのmarucoporoporoが2018年にリリースした「Little boy and girl」。予告編ディレクターは「ぐるり。」豊下美穂が担当した。タイトルの『ABYSS アビス』は「深淵」という意味。渋谷のナイトクラブで働く現代の若者が死んだ兄の恋人と出会い、純粋な恋心に沈んでいく様を描いている。恋の痛みや胸の苦しみを思い出すような痛々しいほどの純愛物語、心の琴線に触れる繊細な作品となった本作は、デビュー作である『逆光』とは全く違った雰囲気の須藤監督ならではの描き方や映像の美しさ、音楽にも注目となっている。marucoporoporoは2015年より音楽活動を開始。作詞作曲、編曲、ミキシングまで自身で手掛けるシンガーソングライター。ライブでの独自の変則チューニングによって生み出されるアコースティックギターの朧げな音の響きは、重なり合う歌声と共に会場を包み込む。2018年1月に、「Little boy and girl」を含んだ1stEP「In her dream」をリリースした。marucoporoporoさんは、「予告編映像を拝見して本当にこだわって大切に制作された作品なんだろうなと、想いが伝わってきました。想いを込めて制作された映像に私の曲を選んでくださり、ありがとうございます。音楽も生き生きとしてる感じがします」とコメントを寄せている。『ABYSS アビス』は9月15日(金)より渋谷シネクイントほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:ABYSS アビス 2023年9月15日よりシネクイントほか全国にて公開(C)2023『ABYSS アビス』製作委員会
2023年06月30日Netflixは29日、脚本家・坂元裕二氏との5年契約の締結を発表。今後は坂元氏が手掛ける脚本の新作シリーズや映画を複数制作し、独占配信していく。世界各国でリメイクされ、世界的ヒットとなった『Mother』(10)、『最高の離婚』(13)、『カルテット』(17)、『大豆田とわ子と三人の元夫』(21)など、数々の名作を生み出してきた坂元氏。是枝裕和監督がメガホンを取った映画『怪物』の脚本を担当し、第76回カンヌ国際映画祭にて日本映画では史上2度目となる脚本賞を受賞したことも記憶に新しい。Netflixで、坂元裕二脚本の第1弾となる映画『クレイジークルーズ』の配信も控えている中での今回の発表。Netflixコンテンツ部門バイス・プレジデントの坂本和隆氏は、「私を含め多くの方が、坂元さんの描く物語に心を動かされ、登場人物とともにその世界に深く没入していったことと思います。何よりも坂元さんの作品を待つ人は、日本のみならずグローバルにも多く存在します。そして、未だ語られていないストーリーを見つけ、全世界に届けていくことはNetflixのミッションです。坂元さんが生み出すオリジナリティあふれるストーリーテリングを、最高の制作環境で具現化し、世界中の視聴者にお届けできることを楽しみにしております。Netflixは国内実写制作でのさらなる魅力的で充実したラインナップを目指してまいります」とコメントを寄せている。
2023年06月29日第76回カンヌ国際映画祭にて日本映画で史上2度目となる脚本賞を受賞した『怪物』の脚本家・坂元裕二とNetflixが5年間に渡り、新作シリーズ・映画を複数製作し、独占配信していくことが決定。その第1弾で、吉沢亮と宮崎あおいがダブル主演を務める『クレイジークルーズ』の場面写真が解禁された。本作は、エーゲ海に向かう巨大な豪華クルーズ船・MSCベリッシマを舞台に、客からの注文に無心で仕えるバトラー・冲方優(うぶかたすぐる/吉沢亮)と、ある目的のために客船に乗り込んできた謎の女性・盤若千弦(ばんじゃくちづる/宮崎あおい)が、船上で起きた殺人事件の謎に迫っていくミステリー&ロマンティックコメディ。自身が手がけた作品史上最大のスケール、と坂元は語っており、年内の配信が予定されている。今回の契約締結に際して、Netflixコンテンツ部門バイス・プレジデント坂本和隆は、「『Mother』『それでも、生きていく』『最高の離婚』『カルテット』『大豆田とわ子と三人の元夫』『花束みたいな恋をした』など、社会派作品から、軽快なコメディ、そしてラブストーリーと多種多様な傑作を、時代をこえて生み出し続けている坂元裕二さん。私を含め多くの方が、坂元さんの描く物語に心を動かされ、登場人物とともにその世界に深く没入していったことと思います。何よりも坂元さんの作品を待つ人は、日本のみならずグローバルにも多く存在します。そして、未だ語られていないストーリーを見つけ、全世界に届けていくことはNetflixのミッションです。 坂元さんが生み出すオリジナリティ溢れるストーリーテリングを、最高の制作環境で具現化し、世界中の視聴者にお届けできることを楽しみにしております。 Netflixは国内実写制作での更なる魅力的で充実したラインナップを目指してまいります」とコメントを寄せた。※宮崎あおいの崎は立つ崎(たつさき)が正式表記。Netflix映画『クレイジークルーズ』(クレイジークルーズ)2023年 Netflixにて世界独占配信制作プロダクション:日活/ジャンゴフィルム企画・製作Netflix脚本:坂元裕二監督:瀧悠輔音楽:村松崇継撮影:谷川創平美術:花谷秀文照明:李家俊理V F X:牧野由典スタイリスト:BabyMixヘアディレクター:松浦美穂助監督:李相國エグゼクティブプロデューサー:岡野真紀子プロデューサー:有重陽一/深津智男
2023年06月29日アメリカ時間先月2日に始まった全米脚本家組合(WGA)のストライキの影響を受け、『The Penguin』『Daredevil: Born Again』の撮影が中止された。コリン・ファレル主演の『The Penguin』は配信会社Max(旧HBO Max)、チャーリー・コックス主演の『Daredevil: Born Again』はディズニープラスのオリジナルシリーズだ。どちらも2024年の配信開始が予定されている。ストライキ開始後も撮影を続行させてきたが、ほかの多くの作品同様、ついに中止となった模様。スタジオや配信会社の代表AMPTPとWGAは話し合いのテーブルにもついていない状況で、ストライキの終わりは見えない。また、全米俳優組合(SAG-AFTRA)とAMPTPの現行の契約も今月末で切れる予定で、彼らの間でも交渉が難航した場合、7月1日からは俳優のストライキが始まる可能性もある。文=猿渡由紀
2023年06月15日ロバート・デ・ニーロが主演するNetflixのミニシリーズ『Zero Day』の撮影が中止になった。現地時間5月2日に始まった全米脚本家組合(WGA)のストライキの影響を受けてのもの。ストライキが開始してからも撮影を続けてきた作品はあるが、それらの現場にプラカードを持った組合員が押し寄せ、プレッシャーから中断に至るという例が増えている。この作品はデ・ニーロにとって初めてのテレビドラマ。共演はジェシー・プレモンス、コニー・ブリトン、ジョーン・アレン。6話構成で、『ラブ&デス』『HOMELAND』のレスリー・リンカ・グラッターが全話を監督する。文=猿渡由紀
2023年06月09日Netflixの人気シリーズ『エミリー、パリへ行く』の第4シーズン撮影が延期になった。アメリカ時間5月2日に始まった全米脚本家組合(WGA)のストライキが理由。このストライキのせいで製作が中断または延期された作品には、マーベルの『ブレイド』、Netflixの『ストレンジャー・シングス』、HBOの『The Last of Us』『Hacks』、Apple TV+の『セヴェランス』『マネー〜彼女が手に入れたもの〜』などがある。スタジオ、配信会社の代表AMPTPとWGAは、ストライキが始まって以来、話し合いのテーブルにも着いておらず、終わりが見えない。このままでは、影響を受ける作品がさらに増えていくことは確実だ。文=猿渡由紀
2023年06月07日是枝裕和監督×脚本・坂元裕二×音楽・坂本龍一による映画『怪物』。豪華タッグが実現し、第76回カンヌ国際映画祭では脚本賞、クィア・パルム賞を受賞した。大きな湖のある郊外の町に住む、息子を愛するシングルマザー・早織(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師・保利(永山瑛太)、そして早織の息子・湊(黒川想矢)と同級生・依里(柊木陽太)……よくある子供同士のケンカに見えた事件は次第に社会やメディアを巻き込んで大事になり、ある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。今回は是枝監督にインタビュー。脚本を担当した坂元氏とのタッグは前々から熱望していたというが、実際に組んでみてどうだったのか。また、同作に出演する実力派俳優、そしてオーディションで選ばれた子役のすごさについて、話を聞いた。○■カンヌ脚本賞受賞、坂元裕二には「いろいろ勉強になりました」――今回念願の坂元さんとのタッグとのことでしたが、改めてどのような印象でしたか?いろいろ勉強になりました。特に前半40分、描写自体は「何かが起きそうだ」という不穏な感じだけでずっと引っ張る力があるんです。僕は基本的には「スライス・オブ・ライフ」という、人生のある瞬間を切り取って描写していくタイプが好きで、ストーリーがない作品を作っているつもりはないけれども、今回はやっぱり坂元さんの物語の推進力が強い。そこが勉強になりました。――是枝監督でもまだ「勉強になる」ということがあるんですね。話し合いの中で変化していったことはありますか?僕がプロットをいただいた段階で構成自体はもうこの形でした。ただ、校長先生の存在はこんなに大きくなくて、田中裕子さんという名前が挙がった点で膨らんできたし、保利先生もやっぱり瑛太さんに決まってからディテールが書き込まれて、面白かったなあ。「どこまで見せるのか」みたいなことは意見を交換していきました。○■子役を探すのはとても大変――子役のお二人はオーディションとのことで、どのようにして選ばれているんですか?直感なんですよね、キャスティングって。2人はお芝居が抜群だったんです。いろんな組み合わせがあって、時々別の役をやってもらったり逆転させたりと試してみたら、あの2人の依里と湊の組み合わせが一番しっくりきました。柊木くんはほっとくとずっとひとりでお喋りしている子で、直感で役をつかんでしまうタイプ。黒川くんは非常にナイーブで、ひとつひとつ言葉を選んで話すタイプでした。役者としては全く真逆のタイプですけど、そこがまた良かったかもしれないです。――観ていても真逆の雰囲気は感じていました。黒川くんは感情で作っていき、柊木くんは理知的で「はいはいはい、そういうことですね。わかりました〜」って、人生4周目ぐらいかな?(笑) いろんな状況を俯瞰して見てますよね。自分が置かれてるつらい状況も含めて、俯瞰して見られるタイプ。今回の2人を見ると、本当に役とぴったりでした。自分が映画を撮り始めた時と比べて、あの年齢の子供たちの演技力というのは、相対的に上がっていると思います。ただ、男の子は小学校高学年から中学生の年齢層が薄いんですよ。部活が始まってサッカーとか野球がしたくなって一度辞めてしまう。女の子は4〜5歳で「女優さんになる」と言ったらそのまま維持されることが多いんですけど、男の子はいったん減って、高校生くらいで多分戻ってくると思うんです。ですから、探すのがとても大変なんです。――大人の方達もすごい方ばかりでした。監督から見て、安藤さんと永山さんはどのようなところがすごいと思いますか?サクラさんは役に入りながら完全に俯瞰でも作品を見ている、両方の目を持った役者です。コントロールの能力がすごく高い。あと、あんまりそう見えてないかもしれないけど、身体能力が高い方なんです。いろんな意味で筋肉が柔らかくて、軽やかで、女優さんとしての才能だと思います。瞬間瞬間のつかみが素晴らしい方です。それからお二人とも、いろんな意味で脚本の理解力が高いです。特に今回は瑛太さんの坂元脚本に対する理解力の高さを目の当たりにして、「瑛太さんじゃなかったらこのセリフは成立しないかもしれない」というギリギリのところを、坂元さんが攻めてたんじゃないかと思います。例えば母親との面談の途中で飴を食べ始めるようなシーンも「瑛太さんだったら、ここまで書いても成立させるだろう」という気持ちを感じて、おそらくお互いが攻めているんじゃないかと。こういう役者を持った脚本家と、ああいう脚本家持った役者、その中に僕も参加させていただきまして、幸せですよね。――やっぱり演技において、作品を俯瞰で見ることは重要でしょうか?必ずしも全員が俯瞰して見なくてもいいと思います。役者さんによって、設計図を持ってお芝居を組み立ててくる方もいますし、瞬発力がいい方もいますし、色々な方がいて面白いです。■是枝裕和監督1962年6月6日、東京都生まれ。早稲田大学卒業後、テレビマンユニオンに参加。2014年に独立し制作者集団「分福」を立ち上げる。1995年に『幻の光』で監督デビューし、その後も『誰も知らない』(04)、『そして父になる』(13)、『海街diary』(15)等、数々の作品を世に送り出す。2018年の『万引き家族』は、第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞し、第91回アカデミー賞外国語映画賞にノミネート、そのほか多くの映画賞を受賞した。2019年の『真実』は国際共同製作作品として海外の映画人とのセッションを本格化させ、2022年には初の韓国映画となる『ベイビー・ブローカー』で、第75回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品、エキュメニカル審査員賞を受賞。また主演のソン・ガンホが韓国人俳優初となる最優秀男優賞を受賞した。(C)2023「怪物」製作委員会
2023年06月07日映画『怪物』(6月2日公開)の第76回 カンヌ国際映画祭凱旋記者会見が29日に都内で行われ、是枝裕和監督、脚本家の坂元裕二が登場した。同作は是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二によるオリジナル作で、この度、第76回 カンヌ国際映画祭で脚本賞、クィア・パルム賞を受賞した。大きな湖のある郊外の町に存在する、息子を愛するシングルマザー(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち(黒川想矢、柊木陽太)。そこで起こったのはよくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。親、教師、子供と3つの視点からなる構成となっている同作だが、この理由を聞かれた坂元は「私が以前経験したことなんですが、車を運転して赤信号で待っていた時、前にトラックが止まっていて。青になったんですが、そのトラックがなかなか動き出さない。しばらく待っても動かないものですから、前の車がちょっとお休みしてるのかなと思って、クラクションを鳴らしたんですね。それでもトラックが動かなかったので、何をしているんだろうと思っていると、ようやく動き出した後に、横断歩道に車椅子の方がいらっしゃるんです。そのトラックが車椅子の方々れるのを待っていたんですが、トラックの後ろにいた私はそれが見えなかったんです」と、自身の体験談を振り返り始める。坂元は「それ以来、自分がクラクションを鳴らしてしまったことを後悔し続けておりまして、このように世の中には普段生活していて見えないことがある。私自身、自分が被害者だと思うことにとても敏感ですが、自分が加害者だと気付くことはとても難しい。どうすれば、自分が被害者に対してしていることに気づくことができるだろうか。そのことを常にこの10年あまり考え続けてきて、その一つの描き方として、この方法を選びました」と説明した。そういった構成の関係上、宣伝時にはストーリーに踏み込まず、今回クィア・パルム賞を受賞したことで驚かれることともなった。是枝監督は「子供たちが抱えた葛藤を『ネタバレだから言わないでくれ』と言っていると囁かれたりしていると耳にしているんですけど、観た方の感想で『なるべく先入観なく観た方がいい』というのは間違いない。決して彼らが抱えた葛藤をネタとして扱ったつもりはありません」ときっぱり。「構成上、むしろ自分が当事者として子供達と向き合うためには、できるだけ脚本に振り回された方が、観終わった後にどこに着地するのかわからない方がいいのではないのかなと思っておりますので、そこは誤解のないようにと宣伝にも伝えております」と語る坂元は改めて「2010年に『Mother』、2011年に『それでも、生きてゆく』というドラマの脚本を書きました。その時からずっと抱えていた問題が自分の中にあって、加害者というものをどのように書けばいいのか、それが私にとってこの12年間の長い課題というか、考えていきたいテーマだったんです」と明かす。「加害者がどのようにすれば、被害者の存在に気付くことができるか? 被害に対して考えることはよくあるんですが、自分自身の加害という行為に関して考えること、気付くことは難しい。それをどうすればいいんだろうか、ということが長年のテーマだったんですが、加害者が被害者の存在に気づいていく道のりを、自分なりに現状書けるものがこれだったという。これで一つ、自分なりの道筋というものになってるといいなと思うんですが、答えが出るのかどうかわからないのですが、現状、これです」と表した。
2023年05月29日映画『怪物』(6月2日公開)の第76回 カンヌ国際映画祭凱旋記者会見が29日に都内で行われ、是枝裕和監督、脚本家の坂元裕二が登場した。同作は是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二によるオリジナル作で、この度、第76回 カンヌ国際映画祭で脚本賞、クィア・パルム賞を受賞した。大きな湖のある郊外の町に存在する、息子を愛するシングルマザー(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち(黒川想矢、柊木陽太)。そこで起こったのはよくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。最後まで映画祭に参加し、2時間前に帰国したという是枝監督が、一足先に戻っていた坂元にトロフィーを渡す。是枝監督は「本当に素晴らしい評価をいただいたなと思っております。無事に坂元さんにお渡しすることができてほっとしています」と心境を表した。坂元は「実感は正直あまりありません。受賞を初めて聞いた時に寝ていたものですから、第一報を聞いた瞬間、まだ夢を見ているのかなと思いました。その後続いているようで、今も夢の中にいるような思いと、重み自体をこの作品の責任感だと感じますので、私自身手にも背中にも乗っかった大きな責任だと感じております」と胸の内を明かす。「最近映画の脚本を書くようになりましてほぼ2本目のようなものなんですが、まだ監督の力、プロデューサーの力を借りながらゆっくりと進んでいるものですから、今回含めて周りの方のお力によるものだと考えています」と感謝した。受賞の知らせについては着信に気づかず、「ニュースをご覧になった別の方からショートメールが来て音が鳴って気づいて見たところ、プロデューサーや監督から『受賞しました』というお話を聞きまして、あまり感情の起伏がないものですから『嬉しい』とか『やったあ』という気持ちよりはズシンという思いが訪れて、水を1杯飲みました。それが最初の行動でしたね」と振り返る。感情の起伏が少ないとはいうものの「周りの方から『おめでとう』と言われた時に、初めてうれしくなります」と明かし、さらに「1番うれしかったのはジョン・キャメロン・ミッチェル監督から昨日メッセージが届きまして、タクシーの中にいたんですが、涙が出ました」と語る。カンヌで賞をもらうことは「考えたこともありませんでした。カンヌに呼んでいただけたことが幸せだった」という坂元だが、「チームの1人として好きになれた作品でしたので、これが評価を受けるとうれしいな、それくらいの気持ちでした。自分のことはまったく考えてませんでした」という。どこが評価されたのかという質問には「出来上がった作品から脚本を評価していただいたんだと思うので、それはもちろん作品の素晴らしさで、脚本に関しては自分ではなかなか評価しづらいんですが、ジョン・キャメロン・ミッチェル監督が『人の命を救う映画になっている』と言ってくださったので、もしそれが誰かの心にあるならうれしいことだなと思っています」と語った。
2023年05月29日ジェームズ・キャメロン監督が、『ターミネーター』の新作の脚本を執筆しているという。先日、「Dell Tech World Conference」に出席した際に明かした。脚本を執筆しているのは確かだが、プロジェクトをさらに進める前にAI(人工知能)の発展、方向性がより明確になるのを待っていると語ったという。この新作が、『ターミネーター』シリーズの続編になるのか、完全なリブート版になるのかは明言しなかった。キャメロン監督は2022年『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の公開時にも、AIという切り口を取り入れた『ターミネーター』シリーズを再びやりたい、そのための積極的な話し合いを行っていると話していた。1984年に『ターミネーター』、1991年に『ターミネーター2』の監督と共同脚本を務め、その後はシリーズから遠ざかっていたキャメロン監督。2019年、シリーズ6作目の『ターミネーター:ニュー・フェイト』で製作・製作総指揮として復帰した。同作には久々にシリーズ初期に活躍したキャメロン、アーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトンが顔をそろえた作品となったが、興行的には期待された結果を残すことができなかった。(賀来比呂美)
2023年05月26日『女王陛下のお気に入り』のヨルゴス・ランティモス監督最新作『Poor Things』(原題)のティザー動画が公開された。同作の脚本を手掛けたのはトニー・マクナマラ、主演はエマ・ストーンと『女王陛下のお気に入り』の面々が再タッグを組んだ作品となっている。原作はアラスター・グレイの小説「哀れなるものたち」。エマは、才能豊かで型破りな科学者(ウィレム・デフォー)の手によって生き返ったベラ・バクスターというキャラクターを演じており、共演はウィレムのほか、マーガレット・クアリー、マーク・ラファロ、キャサリン・ハンター、ラミー・ユセフらがいる。ティザー動画は摩訶不思議な雰囲気を放っている映像で、「いろんな面で混乱させられる。そしてそれがすごくイイ!」「この作品を好きになりそうということはわかっている。それに、トラウマになりそうだということも」「ティム・バートンとウェス・アンダーソンの世界観をミックスさせた感じ」といった感想が寄せられている。また、「ハルク(マーク)、グウェン・ステイシー(エマ)、グリーンゴブリン(ウィレム)が一つの作品で共演しているなんて!これは観るしかない!」とアメコミの代表作を持つ3人の共演を喜ぶ声も。『Poor Things』は2023年9月8日に全米公開予定。(賀来比呂美)
2023年05月12日