小さい頃から、父の仕事の都合で数年に一度は転校していた私。「生活環境の変化には慣れている」と自負していたのですが、結婚後、わが子とともに新しい環境で暮らすというのは、自分が想像した以上に緊張感のある日々だったよう。子どもを最優先に考えるあまり、気がつけば普段の自分を見失っていて…。今回の記事では、夫の転勤で私の身に起こった変化と、その変化を自分らしく乗り切るために実践したことを紹介します。「引越しはお手の物!」だと思っていたのに私は、父の仕事の都合で、生まれてから成人するまで、8回の引越しを経験しました。およそ2~3年に一度のペースで転居したことになります。幼稚園2園、小学校3校、中学校2校に通ったため、「私は環境変化に強い」ほうだと自負していました。しかし、自分が「親」側になって初めて経験した「夫の転勤」で、その考えは一変しました。家族との引越しは、やることがたくさん結婚当初から、夫は転勤は避けられない職種だということは分かっていました。そして、「私には引越し経験が十分あるし、特に困ることもないだろう」と考えていました。そんなわが家に初めて転居を伴う転勤話が舞い込んできたのは、娘が3歳になる頃。当時は私も仕事をしており、娘は保育園に通っていました。そのため、まずは転居予定のエリアの保育園に空きがあるのか、私も転居後に仕事を継続できるのかを確認することから、準備を始めました。数週間かけて保育園をいくつか見学し、転園できる目途が立ちました。また、仕事も短時間勤務などを活用しながら継続できることになりました。この大きな山を越えた後は、転居に伴うやるべきこと(住居探し、電気・ガス・水道・電話などの手続き、引っ越し業者の手配、荷物の整理整頓など)をリスト化し、1つ1つこなしていきました。そして、いざ引越し。ここまでは自分の予想を裏切ることなく、やることが多いながらも順調に進んでいったのですが…。自分の性格が180度変わった?転居後の心配事の大部分は、「娘の生活環境が大きく変わること」でした。新しい住まい、新しい保育園。小さな娘には大きな変化です。どうにかスムーズに溶け込んでほしいという思いから、私はまわりの保護者とうまくやっていくことを最優先しました。少しの摩擦も起こさないようにと意識したのは、「余計なことはこちらから言わない」「聞かれたことにのみ答える」こと。保育園の送り迎えではとにかくニコニコして、すれ違う保護者とは笑顔で会釈。特に自分から話しかけることはしませんでした。新しい環境の中で新参者が園の雰囲気を壊してはいけないと思い、まずは「誰かから声をかけられるのを待ったほうがいい」と考えたからです。そんなある日、ある保護者から、自分が想像していなかったひとことを言われます。「〇〇さんって、人見知りなんだね!」私はその言葉にびっくり。なぜなら、私は小さい頃から、どちらかというと人と話すのは得意なほうだったからです。人生で初めて「人見知りだね」と言われたことで、「生活環境の変化は、自分の性格も変えてしまうくらい影響のあることだったんだ」と初めて実感。「引越しは問題なし!」と思っていた私ですが、どうやら、かなり緊張した日々を過ごしていたようです。自分がワクワクすることを探してみようと思い立って子どもの適応力はすばらしいもので、娘は、転園後数週間で、前の保育園時代と変わらないくらい毎日楽しく登園するようになりました。その姿に安心しながら、私自身は、通勤や新しい仕事環境に慣れるのが精いっぱい。数か月間は、あわただしい日々を過ごしていました。そんな中、子ども同士が仲良くなったママに声をかけてもらい、食事をすることに。そこで私は、自分がこういう交流の場を求めていたこと、そしてそれがとても楽しい!ということに気づいたのです。このことをきっかけに、「せっかく新しい土地に来たんだし、そろそろ私も自分が楽しめる場を見つけたい。自分がワクワクするのって、どんなところだろう?」と考え始めました。趣味の語学学習から広がる世界私は、語学学習が趣味なので、自分と同じ趣味を持っている人を探すべく、英語学習などを行っているママ向けのコミュニティがないか、検索エンジンやSNSを使って探すことにしました。すると、いくつかのコミュニティがヒットしました。運営者とやりとりする中で、自分がマッチしそうだと思うコミュニティに参加してみると、趣味の話はもちろん、そのエリアの生活情報や子どもの習い事情報なども教えてもらえるようになり、自分の世界が一気に広がりました。週末に家族で出かける行動範囲も広がり、転居から半年後には、その土地に馴染めてきたと感じることができ、私の気持ちもだいぶ落ち着いてきました。また、保育園行事への参加を通して園や保護者の雰囲気もわかってきて、保育園のママたちとも、送り迎えの際の会話を楽しめるようにもなりました。子ども同士が仲良くさせてもらっている親子とは、週末に遊ばせてもらう機会も増えました。家族はもちろん、自分“も“大切に転居に限らず、生活環境の変化は誰にでも起こる可能性があります。そんな時、母である私たちは、家族の生活を優先し、自分のことは後回しになりがち。でも、「どんなときでも自分が自分らしくある」ことは、自分が想像している以上に必要な時間ではないかと、初めての家族での転居を経験してみて強く思いました。・裁縫などDIYが好き・歌を歌うのが好き・スポーツが好きなど、趣味は人それぞれ違います。新しい環境がスタートした直後は難しいかもしれませんが、「最近あまり笑えてないかも」「私ってこんな性格だった?」と感じたら、「自分がワクワクすること」に目を向けてみる時間を作ってみることをおすすめします。<文・写真:ライターnanahi>
2020年05月28日