自分の誕生日をどう過ごすかby Tim Mossholder夏がひと段落つき、秋に差し掛かるころ、私はいつも同じ悩みを抱えている。そう。来たる9/3、自分の誕生日をどのように過ごすべきなのか、いつも困ってしまう。悩みに悩んだ結果、今年はバンジージャンプをしに行くと決めていた。私は元々高所恐怖症で、高い所が苦手。何かに初挑戦したい気持ちと、年を重ねることをきっかけに何か苦手なものを克服しようという気持ちがあり、悩んだ結果として、1万6千円というぼったくりかと思うようなバンジージャンプをするために、4時間かけて茨城県のダムを選んだ。そのバンジージャンプは、地上から100mの高さにある橋から飛び降りることができ、日本一の高さを誇っているようだった。自分でも馬鹿らしい、何をしに行くんだろう、しかも誕生日に一人で……という様々な否定的な気持ちと葛藤しながら、朝5時前に起床し、何本かの電車を乗り継いで北上していく。最寄り駅に着くと、一本の電話が。出てみると、どうだろう。今朝、ダムから水死体が上がり、営業ができないという。「こんなことあんのかよ!」と思いながら、結局何もせず、東京へととんぼ帰りをするのだった。そこのバンジージャンプは、大雨だろうが濃霧だろうが決行されるため、中止になることなんて滅多にないそうだ。結局、特別なことは一切なく、何もしないでただ年を取っただけの日になってしまった。なんだか私らしいなあ、なんて思ったりもする。そう。おひとり様にとっては誕生日の過ごし方というのは、かなりの悩みどころだと思う。一緒に過ごしてくれる彼氏もいないし、友達に祝ってもらうのもなんだか違う気がする。気を遣ってもらいたくないし。家族も違う。誰かと一緒に過ごしていると、無理やり祝ってもらっているというか、一緒に過ごしてもらう感謝の気持ちよりも申し訳なさの方が勝ってしまう。人の時間を自分勝手に無駄にしてしまっているような、周囲の人の優しさを利用しているだけなような。「こんな気持ちになるなら、初めから一人で過ごした方がいいかなあ」と思って、もう何年も一人で好き勝手にしたいことをしている。でも、一人でやりたいことなんて、誕生日でなくてもできる。私で言えば、海外旅行に行くとか、映画を見に行くとか、好きなアーティストのライブに行くとか?特別だけど、わざわざ誕生日にしかできない特別なんかじゃない。何か特別な一日にしなければいけない気がするのに、自分の「特別」が何も思い付かない。毎年毎年、自分の想像力の乏しさにうんざりする。高いものを買ったり、少し贅沢な食事をしたりする? そんなのダメだ! 金で買えるもので、私の心は満たされないんだ!≫【番外編】あたそさんが外資系コンサルとランチデート!?特別な日だからこそ、自分が一番いいと思える体験を私の人生の中で、最もいい誕生日を過ごせたのは、モロッコのサハラ砂漠で星空を観に行った時だった。あれはよかった。日中50℃近くになる、砂以外は何もない砂漠をラクダに揺られながら進んでいく。それだけで異世界を歩いている気持ちだった。ラクダに乗り過ぎて、内股が筋肉痛になることなんて滅多にないと思う。暑さで殺されそうにはなったことも、オレンジっぽい砂と青い空というシンプルな構成でできた景色も、砂の上に布団を敷いて星を見ながら眠ったことも、恐らく絶対に忘れないし、何かあった時にふと思い出して「また頑張ろう」という気持ちになるんだろう。そうそう。そうだよ! そういうことだよ! 体も心もパーフェクトに満たされるような経験を、一年に一度の特別な日にしたい。誰かが一緒にいるから、なんとなく楽しかったとかじゃなくて。お祝いの日だから、ただケーキを食べてみるとかじゃなくて。自分が一番楽しかったと思えるような日を、ちゃんとコーディネートしたい。でも、社会人になってしまった今、時間にも制限があるからそう簡単に飛行機に乗る訳にはいかないし、自分に興味があることも限られている。他の人はどんな風に誕生日を過ごしているのだろうか? 誰かと一緒にいることも、一人でなんとなく過ごすことも憂鬱に思えてしまう、年に一度の特別な日を。来年の9/3は月曜日。有給を取って旅行に行くか、それとも日本でまたアホらしいことに挑戦するのか。多分、今年と同じように悩んで、なんだかんだ何もしない誕生日になってしまう気がする。ただ生まれた日ってだけなのに、これからもこの悩みや心が少し沈んでいくような気持ちを抱えていくのかと思うと、ちょっとだけ気が重い。Text/あたそ<日本ほど一人行動しやすい国はない。「さびしい」の思い込みを取り除こう>もチェック!女ひとりで行動しても浮かない日本がちょっと好きになるかもしれません。
2017年09月12日銀座老舗デパートの中のオアシス8月もいつの間にか終わり、本日から9月となりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?今年の夏は盆の頃に雨降りが続いたせいか、涼しい日も多く、不思議な毎日でしたね。さて、夏は食欲が出ないという声をよく聞きます。私はあまり気温に食欲を左右されることがないのですが、「食欲の秋」と呼ばれるこれからの季節におすすめのメニューがある店を紹介します。その店があるのは、銀座4丁目の老舗「西銀座デパート」の地下1階。洋服やアクセサリーなど女性向けの華やかなものたちが並ぶ館内を通り抜け、エスカレーターを下ると一番奥に「ブリッヂ」があります。難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年09月01日晩年をだれと過ごし、死にたいか?by Arieth「年をとったら、かわいいおばあちゃんになりたい」って、一時期みんな言ってた気がするけれど、あなたはどうですか?私はというと、「かわいいおばあちゃん」にはなれなくてもいいけど、頼むから料理ができない若者をバカにするテレビ番組を見て喜ぶ老人にだけはなりたくないと、強く思いながら日々を過ごしています。それはいいとして、20代や30代くらいだと、まだまだ自分の「死」や「最期」をリアルには想像できません。だけどぼんやりとなら、「晩年をだれとどんなふうに過ごして、そして死にたいか」なんて問題を、考えたことがある人も少なくないはずです。「孤独死」、むしろ理想の最期では?東京都写真美術館にて9月18日まで、『コミュニケーションと孤独』という展覧会がやっています。平成になってから普及したインターネット、SNS、そして孤独死の問題などを、現代の写真家たちがどのように捉えてきたかを知ることができる展示です。今回私が注目したのは、その中でも郡山総一郎氏の「Apartments in Tokyo」というシリーズ。これは、アパートで孤独死を遂げた人々の、生前に遺した部屋を撮影した作品群でした。「Apartments in Tokyo」に登場する部屋は、いかにも「孤独死を遂げた人の部屋」という感じで、見ていてあまり気持ちのいいものではありません。洗濯物が室内干しにしてあったり、炊飯器の中にごはんが残っていたり、醤油の瓶が机の上に置いたままになったりしています。布団にはシミがあって、干していないのかぺたんこに潰れていたりして。ですが、「気持ちのいいものではない」とはいえ、なぜか私は「Apartments in Tokyo」の部屋に、嫌な感じはあまり抱きませんでした。これを見て、「こんなふうに一人で晩年を過ごして、最期をむかえるなんて嫌だなあ」と思う人も中にはいるでしょう。だけど私はどちらかというと、「まあ人間だもの、しょうがないよね」という印象だけが残ったのです。「孤独死」というと、一般的には独身者の問題として連想されがちです。しかし、たとえ結婚していたとしても、妻や夫と同時に旅立つということは無理心中でもしない限りほとんどありえないわけで、つまりパートナーがいる人であっても、最期には必ずどちらかが一人で残る。子供がいる人であっても、昨今は老後に子供と同居するのはレアケースだといいます。本質的には、孤独死のリスクから逃れられる人はだれもいません。感想を強要はしないですが、「こんなふうになるなんて嫌だ」と思うより、「こうなったらまあこれはこれで」と思っておいたほうが、自分にも他人にも優しい気はします。そして今つい「リスク」という言葉を使ってしまいましたが、一人大好きの私は最近、「よく考えたらむしろ、孤独死って理想の最期では……?」と考えるようになってしまいました。以下はそんなわけで、私が考えた「ここが最高!」な孤独死のポイントです。ここが最高!孤独死のハッピーなポイントまず、孤独死の最大のハッピーポイントは、「慣れ親しんだ自宅で死ねる」ということではないでしょうか。病院でたくさんのチューブに繋がれ、家族や友人に手を握られて……なんて最期も悪くはないですが、たとえ一人であっても、思い出がたくさん詰まった自宅で最期の瞬間を迎えられるというのは、考えようによっては悪くない気がします。それから「死」を考えるときによく出てくる命題として、「あなたは愛する人よりも先に死にたいですか? 後に死にたいですか?」というものがあります。前者派の人にとってはやはり自分の最期として孤独死は望ましくないでしょうが、後者派の私にとっては、「孤独死=大切な人の最期を見届けることができた(後に大切な人を残さない)」ということで、こちらもやはり考えようによっては悪くない。もちろん、自宅で一人亡くなってから何日も見つからないままでいると、後に発見する人や清掃業者に面倒をかけるので、自分の身に異変があったらなるべく早くまわりに気付いてもらえるよう、日頃のコミュニケーションや手配は怠りたくないところですが。孤独死は現在、貧困など社会的弱者の問題と絡むので、なかなか諸手を上げて「理想の死に方だ」とは言えない部分もあります。でも、社会の高齢化が進むにつれて、孤独死が珍しい死に方ではなくなることはほぼ確実です。「死後に発見しやすいしくみ」さえ作れたら、一人で死ぬこと自体はそんなに怖くないと私は思うのですが、どうでしょうか。理想の晩年と死に方の話、ぜひ考えてみて下さい。Text/チェコ好き前回記事<「ひとり」も「ふたり」も、どの関係が尊いかなんて他人にはわからない>もチェック!二人でいるのに孤独を感じることのほうが寂しいかもしれない。
2017年08月29日夏休みも半ばに差しかかってくると、たまっている宿題が気にかかるもの。特に、自由研究や自由工作の大物がまだ片付いてないと焦りますよね。そこで、「子どもがまだ何をやるかも決めてない!」という方のために、このテーマの強~い味方である東急ハンズに、低学年におすすめの自由工作&自由研究を聞いてきました。世界にたったひとつ!自分だけのオリジナル作品を作ろう1. 時計の勉強を先取り! 時計工作文字盤にいろいろなカタチのパーツを自由に貼り付けたり、好きな絵を描いたりして、自分だけのオリジナルの時計が作れます。もちろん、作った後は部屋の壁にかけて楽しむことも。小学2年生くらいから学校で時計の読み方を習うので、ちょうどいい勉強にもなりますね! 2. 組み立て心をくすぐる、太陽電池搭載のプラモデル式ロボット工作プラモデルなのでモノ作りの過程も楽しめ、作った後は動くロボットとしても遊べます。モーターの力を伝えるギアの仕組みが丸見え構造なので、どうして動くのか? という子どもの疑問を解くヒントにもなりそう。 3. 今も昔も根強い人気! どろ団子作り「小学生になってまで、どろ団子?」と思うかもしれませんが、意外に子どもは大きくなってもどろ団子作りが大好き。いかに美しく作るか? に燃えていたりします。自然の砂と粘土を使った「コロピカどろだんご」は、転がすほどに輝くツルツルの団子に。乾燥したらシールを張ったり、油性ペンで絵を描くことも可能なので、世界にひとつだけのオリジナルどろ団子が作れます。 子どもの好奇心をかき立てる!自由研究で不思議実験にトライ 4. 「水がつかめる」って本当? 不思議体験ができる実験キット実際に触ってみると、「水がスライムみたいに固まるのかな?」というおおかたの予想をくつがえす感触にびっくり。オブラートのような薄い膜の下は、液体のまま。ぷにぷにの感触を楽しんだり、中にビー玉を入れたり、タピオカみたいな細かい水の粒々を作ったり、いろんなバージョンを作って楽しめます。 5. 昆虫の不思議に迫る! 飼育セットを利用した観察日記例えば、アリの巣を立体的に観察できる「アリ飼育観察セット」。最初に、アリの巣の材料となるアリゲルを作り、公園などで捕まえたアリをゲルの入ったケースの中に入れるだけ。普段、土の下で見ることのできないアリの巣の中を観察するできるなんてワクワクしますね! 6. サイエンスプロデューサーの米村でんじろう先生のサイエンスキットは不動の人気プリズムを使って7色の光を観察する「レインボープリズム」や、感光紙を使って太陽の光で写真を焼く「わくわく日光写真」など、子どもには目新しく、親世代にはちょっと懐かしい実験が楽しめそうです♪ 7. 身の回りのミクロ世界を携帯顕微鏡で観察しよう「ハンディ顕微鏡Petit」は倍率20倍もあるのに、キーホルダーサイズの小ささと軽さで、ポケットに入れても邪魔になりません。持ち歩いていつでもどこでも気軽に観察ができます。 さらに、スマートフォンで撮影もできるので、プリントアウトしてファイルにまとめれば、立派な自由研究に! プロのカメラマンが子どものために購入するほどのクオリティーです。いろいろなミクロの世界を撮って「これは何でしょう?」のクイズ形式で自由研究をまとめるのもおもしろいですね。子どものワクワクや好奇心をかき立てるような自由研究や自由工作を、ぜひ親子でトライしてみてください!
2017年08月10日ひとり遊びに天才的だ私は、ひとりでいる時間が好きだ。誰にも左右されず、自分のためだけに時間を使えるだなんて、なんて贅沢なんだろう、と思う。友達と一緒に遊んだり、お酒を飲んだりする時間も大切だけれど、ひとりで趣味に没頭する時間や1週間くらい誰にも会わずになんとなく寂しさを感じる時間が、自分にとってはかけがえのないものだった。ひとりでいることを選んできた訳ではなく、気が付いたらこうなっていた。昔から、集団行動が苦手だったし、クラスや何か団体に馴染むフリはできても、心の中で常に焦っていた。なんでだろう。集団の中にいると落ち着けないのだ。大勢の中にいるのが怖いというか、よくも知らない人に囲まれる自分に違和感を覚えるというか。とにかく、苦手だった。私がひとりで行動してもさほど気にならない性格の基盤は、もうこの頃から出来上がっていたように思う。基本的に、「人の顔色を伺って、合わせたり気を遣ったりするくらいなら、一人で過ごしている方がいいかなあ」という考えを持っている。だって、学生時代の友達にどう思われようが、3年くらいで終わりだし。そもそも、性格が合うような人もなかなか見つけられなかったし。結構どうでもよかった。そりゃ、こんな性格にもなるよね……(笑)。だから、ひとりで多くの時間を過ごす方法は分かっても、お酒を飲む以外で人とどのように一緒に過ごせばいいのか、わからなくなる。誰かと一緒の時間を過ごすための趣味が、私にはひとつもないのだ。フットサルやテニスとか、相手がいないとできないスポーツ系も駄目。心から楽しいと思ったことがない。あまり興味がなく、一人では決して行かないようなカラオケやボウリングも駄目。途中で飽きてしまう。日頃からひとりでよく行く、映画や美術館などに友達に連れられても「ひとりで行った方が、絶対に楽しかったよなあ」という考えが、一瞬頭をかすめる。全然駄目だ。そして、そんなことを考えてしまう自分に冷める。全然、ひとりでも困らない。むしろ、楽しいくらいだ。自分が何に興味があって、どんな時間とお金の使い方をすれば満足するのか、きちんと知っている。ひとり遊びに関しては、天才的なんじゃないかと思う。その分、誰かと一緒に過ごす時間がどうしても苦手だった。男の人だと特に。何か目的を達成するために集まった団体なんて、最低だ。≫【番外編】あたそさんが外資系コンサルとランチデート!?どんな人とも、自分ひとりでも楽しく過ごせるのが理想だけど…集団で何かひとつの行動を取り、そして目標を達成することを心から楽しめる人を、羨ましく感じることがある。クラスや部活、サークル、なんだっていい。決められた集団にきちんと馴染んで楽しめる人が羨ましかった。今の時期だったら、ナイトプールとかバーベキューとか、夏フェスでお揃いの恰好をしてインスタグラム用に写真を撮ったりとか。ないものねだり? そうかもしれない。私には、誰かと思い出を作って共有するための体験が、ちっとも楽しいと思えない。もう、心の作りが根本から違うんだと思う。大して知りもしない人達と同じ時間を過ごすだけで、ほんの少しだけ寂しくなって、余計なことを考えてしまう。「私って、今本当に楽しいと思っているのかな?」という疑問も浮かぶ。集団で楽しめる人、誰かと一緒の時間を過ごすための体験が好きな人は、きっとそんな疑問すらも浮かばないのだろう。すごく、羨ましいと思う。「人は一人では生きていけない」と言うけれど、学校や仕事、どんなことをしていても人間関係は存在するし、コミュニケーションを取らなければならない場面にはぶち当たる。そこで、たまたま出会ってしまった人と、用意された場で心の底から楽しめる人はなんだかなんだ強いと思う。私には無理だ。本当は、どんな人とも楽しい時間を過ごせて、きちんと自分ひとりだけの時間の過ごし方も知っているのが理想だ。でも、そんな人いるのかな。寂しくなって誰かといることで不安を埋める人。誰かと一緒に過ごすことにどこかストレスを感じて、ひとりで過ごすことによってバランスを取る人。ひとりでなんでもできることだって大切なんだけど、どんな生活を送っていても、他人との付き合いは絶対に切り離して考えることができない。なんだかんだ、用意された人や場所で、満足に生きていける人の方が幸せな生き方ができたりするのかなあ~……なんて、考えちゃうんだよね。ま、私には無理なんだけど……!Text/あたそ前回記事<夏フェスに「誰と行くのか?」より、「私が何を聴きたいか」が重要だと思う>もチェック!誰かと一緒にいたいんじゃなくて私は音楽を楽しみたいだけ。そこに私以外の意志なんていらない。
2017年08月08日ずっと訪れたかった街へ梅雨が明けたのはつい先日だったように思いますが、いつの間にか8月を迎え、夏本番となりました。子供の頃であれば、永遠にも感じるような長い夏休みのある楽しい季節ですが、こちらをご覧下さっている多くの方は、つかの間の盆休みを心待ちに、今は通学や通勤のため暑い日々を乗り切っているのではないでしょうか?難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年08月04日こんにちは。コソダテフルな毎日のちゅいママです。長男(小3)・次男(年長)・三男(年少)の3兄弟の母です。大変なことこそ笑いに変えてをモットーに生きております。■ママたちが1日の中で死守したい時間とは?第一子時代の私が何をモチベーションにして頑張っていたかというと、それは、お昼寝時間!!!(なんじゃそりゃー!)いやいや、違うんですって奥さん。子どものお昼寝時間っていうのは母にとって貴っっ重~~な自由時間なんですって!これを得るために午前中アクティブに過ごしていたようなもんです(どんだけ)。実母の知り合いの話なのですが、とあるオバサマが小さい子がいるママのところへ約束していた時間より随分早く訪ねたら、そのママにものすご~くイヤそうな顔をされたという話を聞いたのです。どうやらその時間帯はお子さんのお昼寝時間だったそうで…この話を聞いた私は、ママの気持ちが分からなくもないなと思いました。思わずムッとした表情が顔に出てしまうほど、子どもが寝てる時間というのは死守したい時間なのです。しかし、このお昼寝の時間というのは、真夜中でも早朝でもなく、人々がアクティブに活動してる真っ昼間なわけです(そらな)。そして真っ昼間であるがゆえ、悪意のない敵がたくさん潜んでおるのです。■昼寝の敵その1. 「チャイム」子どもって、この「ぴんぽ~~ん」という音を聞いた瞬間、やたらしゃっきりと起きたりしません!?まるで自分がこの家の主かのように、シャキッと起きて玄関に向かって歩き始めるんです(いやいやいや、君に来たお客じゃないから~~!)しかも、それがたいてい、どーーーでもいい勧誘とかだったりするんですわ(白目)招かれざる客なんぞに、大事な息子の休息時間と私の自由時間を奪われた日にゃぁ…心の中で、シャウトしまくりですよ(遠い目)■昼寝の敵その2. 「タイミングの見誤り」遊びに行った帰り道の車の中や、自転車の座席で寝かせてしまうことが多かったのですが、この場合、いかにすんなりと部屋の中に運び入れ、スムーズにお布団に寝かせられるかが勝負なんですよね。ここをモタついてしまったり、寝入ってから時間がたちすぎて移動させようとしてしまったりすると、スッキリ爽やかに目覚めてしまうという悪夢。これから寝かせて私も休憩するぞ~と思っていたところでの、この短時間エナジーチャージバージョン。膝から崩れ落ちるほどがっくりするんですよ~。そして肩を落とす私の横で息子は元気いっぱいなのでした。■昼寝の敵その3. 「時期的な騒音」ベタですみませんけど、これ。選挙カー!!そろそろ起きるかな~…いや、まだ寝られるなぁ~…っていうまどろみの頃に、この選挙カーが爆音でやって来たら、「ナニナニ!?」って起きちゃうんですー!!!もうね、ベランダから叫びたくなります。叫びませんが。でも、きっと同じようなママ、多いはず。■昼寝の敵その4. 「寝る寝る詐欺」いつもならお昼寝してる時間なんだけれど、ちょっと予定があったりなんかしてタイミングがずれたときなど、手がつけられないほど取り乱すときってありますよね。眠いんです。眠いんだけど、上手に寝られなくてこんなことになってるんです(弁明)。周りにそれとなく、眠いけど寝られないんですアピールとかしたりして。でも案外こういうときに限って、家に帰ると、寝なかったりするんですよね!!さぞかし眠いだろう!さぁ~~~今日はどんだけ寝るかなぁ~しめしめと思って、万全な環境で寝かせにかかっても、寝なかったりするんです(爆)。子どもをスヤスヤ昼寝させるために、日々戦う母なのでした!!でも、これも一人目まで。二人目生まれると同時に寝てくれることなんてほぼ無くなります…。
2017年08月03日1ヶ月3万円。京都で短期移住してみた。(c)kentaro Ohno今年の1月、1ヶ月間だけ京都に住んでいました。新規のシェアハウスが格安の家賃で住人を募集していたので、「えいや!」と行ってみたんです。月額30,000円でした。シェアハウスのいいところは、家具がすべて揃っているので、すぐに生活ができることですね。格安だったとはいえ、東京の部屋は借りたまま。京都の部屋とダブルで借りた状態だったので、赤字にならないか心配でした。だけどかなり慎ましく生活をしていたので、むしろ普段よりもお金がかからなかったかも。なにしろ近所に友達がいないから、飲み会とかがないんですよ。ずっと自炊してたのでエンゲル係数低い上に、和食ばっかり作っていたので痩せました。予想外の効用です。新規のシェアハウスなどはオープニング価格で破格の値段で住めることが多いので、気軽にチャレンジできますよ。1度、京都には長期で滞在したいなと思っていたんです。普段の旅行だと、時間がないので観光地らしいところばかりに足を運んでしまいます。だけど1カ月もあると、気分的に余裕が生まれるので、普段しないことをいっぱいしてました。そのひとつが「大学の授業に参加する」です。京都造形芸術大学の本間正人先生に「先生の授業に参加したいなー」などと言って、大学生たちの授業風景を覗かせてもらいました。ディスカッションをたくさんやる授業だったんですが、その決まりが「人の意見を否定しない」なんです。それがどんなに大切なことか。たいていの人は、親や周囲からダメダメ言われて育つんです。若いうちはとにかく生きづらい。自分もこんな先生に教えてもらいたかったなあ、なんてウルウルしてしまった。幼稚園や小学校、大学など、同世代が集合するところに行くと、たいてい1人、キラリと光る子がいるんですよね、目の付け所が違ったり、努力の幅が周囲に比べて圧倒的に大きかったり。「これは将来楽しみだ!」っていうか。大学なんて東京にいっぱいあるから、わざわざ地方に行ってすることでもないような気もしてたけど、とても刺激になる数日間でした。新しいことのチャレンジや自分の生活を見直す機会に長期滞在だったので、移動にも時間がかけられました。青春18きっぷを買って、東京から京都まで9時間かけて移動してみたりもしました。いつ着くのかわからないほど遠かったけど、やってみると意外に発見がたくさんありました。新幹線ができる前は、みんなどうやって移動していたのかしら? なんて疑問に思って周りの大人に聞いてみたり。ミニマムな荷物しか持たずに移住してみたのだけど、意外と不便さも感じませんでした。暮らしているうちに荷物ってどんどん増えてしまうけれど、実は必要なモノってほとんどないんですよね。断捨離の準備にいいですよ。いるものといらないものが明確にわかります。下着類もほとんど持っていかなかったので、こまめに洗濯をしてローテーションをしていく規則正しい生活も楽しかったです。そうそう、家計簿もつけてみました。普段はすぐにやらなくなっちゃうんだけど、1カ月限定ならやり通せます。どんなことに自分がお金を使うのかがよくわかりました。「食費を2万円に抑えよう」なんて自炊をがんばったりして、すごく健康的な生活をしていたかも。それもこれも、短期間だからやる気になるわけで!基本的に窓から緑の見える風通しのいい部屋が好きなので、住む部屋は田舎が多いです。そのため都心部に住んだことはあまりないのですが、京都の部は市役所そばの、中心部でした。な、何でも買える……! なんて、今さらながら利便性の高い場所っていいななんて思ったり。田舎好きとか言ってるけど、実は超高級マンションなら都心に住んでもいいのかも……スノッブすぎか?なにも考えずにトライした短期移住だったけど、普段やらないことにチャレンジする機会にもなったし、自分の生活を見直す機会にもなりました。なのでこれ、めちゃくちゃオススメです。別に遠くの町に引っ越す必要はないと思うんです。住んでみたかった場所や、引っ越し予定の街、自宅よりちょっと田舎、会社のそば……1カ月なら何でもトライできちゃいます。やってみたら意外と平気だったとか、予想外に辛かった、なんてこともあるかも。知らない街で一人過ごしていたら、なんだかすごく淋しくなっちゃって出会い系アプリをはじめてしまいました。普段は知らない人に会う元気ってあまりないんだけど、何人かとやり取りして実際に会うことになりました。そのうちの何人かとは、未だにやり取りしています。彼らと知り合うきっかけを溯ると、京都への短期移住なんですよ。わらしべ長者みたいですね。おひとりさまだからこそできる短期移住。何か行き詰まってるとか、恋人と別れて淋しいなんて人には特に心機一転、自分を見つめ直すのにぴったりです。Text by 和久井香菜子前回記事<おひとり旅で体調不良に!?そんな私を助けてくれた壱岐島の人たち>もチェック!お一人旅中に、体調不良になってしまった和久井さん。突然のトラブルに島の人々は優しく対応してくれたそう。
2017年08月02日夏フェスに「誰と行くのか?」は重要なのかby Alex Wong最近は、夏になると毎週のように各地でフェスが行われている。花火大会とかビアガーデンとか、夏の風物詩のひとつに追加され、一昔前と比較すると普段音楽を聴かないような人たちも見かけるようになった。今巷で流行っていて話題にあがるような夏フェスでは、「どんなアーティストが出るのか?」よりも、「誰と行くのか?」ということに重きが置かれている気がしている。好きな音楽を聴けるというよりも、恋人とか友達とか、特定の人と思い出を作るためのイベントになっているように思う。音楽という分かりやすいカルチャーを通じて、他人と同じ体験をする。一種の帰属意識みたいなものが生まれると、TwitterとかInstagramとか、SNSで自分と同じような趣味や価値観を持つ人を見つけやすくなるし、「同じ場所にいた」というだけで距離がぐっと近くなる。人との関わり合いをうっとうしく思っている人間がインターネットを使っていたのに、今は自分と似たような人を見つけるためのツールになったと勝手に思っている。否定する気は全くなくて、時代の流れなんだろうなあ、と思う。多分。どれだけ便利になっても、必ず寂しさはまとわりついている。自分の似た価値観の人にそばにいて欲しい、人に認められたい、特別だと思っている人に特別だと思って欲しい、みたいな感情は絶対になくならないんだろう。その感情をうまいこと埋めていくために、フェスとかSNSが利用されている。気がする。きっと。自信ないけど。なんとなく。客観的に見ていて。もう、なんか、ひとりでもいいや!今年は、フジロックとホステスオールナイターというサマーソニック内の深夜イベントにも行くつもり。恐らく、ひとりで。ひとりでフェスというと、一人で海外旅行よりもハードルが高いと思う。しかも深夜のイベントに一人で参加するのはそれなりに辛い。眠いし。周囲が大勢でわいわい語り合いながらご飯を食べている中で、一人ボーッとビールを飲んでいると「何やってんだろうな」と一瞬思うことだってある。でも、自分と同じような音楽の趣味をしている人を見つけて誘うのも面倒くさいし、仮に誰かと一緒に行ったとしても会場で別々に行動する時間が長くなるだろうと思うと、もう、なんか、ひとりでもいいや! と思ってしまう。音楽を好きな友人ならたくさんいるし、誰かしらいるだろう、という思惑もある。毎年フェスでしか会わない人も何人かいるけど、大抵話が盛り上がらない。でも、そういう人に会うのも楽しかったりする。誰かと行動しているとまた別の友人にばったり出会うこともある。知らない人同士を紹介するのもまあ面倒臭い。人と一緒にいることと、人に気を遣わず好き勝手にふらふらすることを天秤にかけた時、結局、自分勝手に行動することが勝ってしまう。夏フェスだけじゃなくって、旅行でもなんでもそうなんだけど……。]≫【番外編】あたそさんが外資系コンサルとランチデート!?誰かと一緒にいたいわけじゃなくて、音楽を楽しみたいだけ私にとって夏フェスは、夏に開催されるイベントの延長に存在しているものではなく、ライブの延長にあるものだった。ライブも大抵は上記の理由につき一人で行く。だって、音楽は誰かと思い出を共有するためじゃなくて、一人でいるために聴くものだと思っているから。好きなバンドやアーティストを見ることが第一の目的なのだから、別に誰と一緒にいようが誰が会場にいようがあまり関係ない。自分の中の思い出として、「好きなアーティストが出ている夏フェスに行った」以外のものにはならない気がしている。自分の好きなことをしたい、好きなところに行きたい、そう思った時に誰かの力を借りなければならないのはやっぱり少し大変だ。社会人になって、周囲の人と生活環境も時間の使い方も変化してくから、なおさら。私は誰かと一緒にいたい訳じゃなくて、音楽を楽しみたいだけ。そこに私以外の人間の意志はいらないと思う。有給休暇3日間ぶっこんで、明後日からフジロックに行く。ぎりぎりまで動かないタイプだから準備も終わっていないし、何見るか決まってない。でもやっと夏休みが始まってくれたような気がして、すごく待ち遠しい。Text /あたそ前回記事<「寂しさ」を他人で紛らわしたくない。でも「甘え」られさえすれば器用に恋愛できるのか?>もチェック!なんでも一人でできちゃう私が唯一できないこと、それは恋愛だ。
2017年07月25日ひとりで愉快に生きているのに唯一できないことby dima_goroziyaこの記事が掲載されているSOLOという媒体のコンセプトは「おひとりさまの生活を楽しく」ということらしい。彼氏がいようがいまいが、友達が多かろうが少なかろうが、ひとりでなんでもできた方がいいし、その方が楽しく生活ができるに決まっていると勝手に思っている。そして、私は人の感情が関わらず、自分の意志で出来ることならなんだって叶えてきたし、今後もそうしていくつもりだった。アフリカにある「Wi-Fi」という言葉すら通じない少数民族の住む村にだってひとりで赴く。映画も水族館も美術館もひとりで行く。食べ物に関してこれと言ってこだわりはないけれど、イタリアンだろうが焼肉だろうがご飯だってひとりで食べる。そういう面で、SOLOのコンセプトと私の考え方・生き方みたいなものは上手く合致していると思う。しかし、ひとりで楽しく愉快に生きている中で、どうしようもなく困っていることがひとつある。恋愛ができないことだ。私は本当に恋愛ができない。こればっかりは、ひとりの意志ではどうしようもできないし、好意を寄せている男性に気に入られなければならないから、自分勝手・好き勝手できる訳でもない。男の人、というか他人に気に入られて特別に思ってもらうのって、想像以上に難しい。着飾ったりせず、自然体のままでいられればいいんだろうけど、現実はなかなか上手くいかなかったりする。さらに最悪なことに、私は全く女性らしくないし、男性に気にいられるために女性らしく振る舞うことを避けて生きてきた。女性としてではなく、ひとりの人間として気に入ってくれるならよかったし、私の女性としての一面は、私が好意を寄せているたった一人の人が知っていればいいと思っていた。「なんでも一人でできちゃう」私は恋愛対象にならないのか男性にも様々な考えを持っている人がいて、女性らしさなど関係なく好意を持ってくれる人がいるのも知っている。でも、私が好きになる男の人は、女性らしくて、自然とピンクを選んでしまうような人で、そして一人ではどこにも行けなくてか弱い……という女性がタイプの人ばかりだった。大抵が私とは真反対で、私の個性や特徴とはかすりもしない。だから、この性格・振る舞いがどんどん男の人を遠ざけている。そりゃモテないよね!昔、年上の男の人に「あなたは、なんでも一人でできちゃうんだね」と言われたことがある。私は、その言葉の中に「だから、自分は必要ないよね」「男の人がいなくても、大丈夫なんだよね」みたいな意味合いも含まれているように感じた。どうして一人でなんでもできてしまう女の人を敬遠するのだろう。それに、「寂しいから」とかなんとか理由を見つけて男性に頼れる女性の方がしぶとく生き残っていたりするのにね!ひとりでいることに慣れすぎると、どうも恋愛が遠のいてしまう気がしているし、現に私から恋愛は姿が見えないほどに遠ざかっている。近づき方ももう忘れた。日常的に恋愛をしている人は、生活サイクルに恋愛が組み込まれているように感じる。でも、そうじゃない人にとっては、煩わしく感じてしまう人との関わりが余計に増えるだけ。だから、一人でいる時間が長ければ長いほど、恋愛は遠ざかってしまう、と思う。「寂しさ」と向き合い、適度に甘えて生きれたら恋愛感情と寂しさは、よく似ている。一方が満たされていると、もう一方は感じなくなる。対にあるようで、かなり近くにある感情な気がする。ひとりで行動できない人、ひとりの趣味がない人に話を聞いてみると、「怖いから」「寂しいから」という意見が一番多かった。寂しくてどうしようもない人には、必ず恋人がいる。自然と、途切れることなくいる。精神安定剤みたいだ、と思う。寂しさとの付き合い方を身につけてしまうと、周りに誰もいなくてもさほど気にならなくなる。この気持ちが恋愛を遠ざけている理由のひとつになっていることもよくわかっている。私も寂しさを感じることはあるけれど、誰かと一緒にいること、話をすることによって埋めようとは思わない。寂しさも私に宿る大切な感情だ。他人で紛らわすのも失礼だし、自分の力でなんとかしてあげたい。ひとりでなんでもできることは絶対的にいいことだ。でも、人は決してひとりで生きていけないことも知っている。結局はないものねだりみたいなもので、どちらかが極端に上手くてもバランスよく生活できないんだろうな、となんとなく思う。だから私は、ひとりでいることが絶対的にいいと考えたことはない。自分の寂しさとの付き合い方を知って、ある程度人に甘える技術を持っていて……みたいな、器用に生きていけたら一番いいんだろう。なかなか難しいけどね。あと、モテたい。Text /あたそ前回記事<誰の文句も気にしない。ひとりで好き勝手やることは、自分の人生を後悔しない。>もチェック!誰かと観るのもいいけど、ひとりだとひと味違う映画。感じたもの、考えたことを自分の中でかみ締めてみよう。
2017年07月11日誰かと「おいしい」と言いたい夜は…おひとりさまの食事は気楽でいい。好きなものを好きなだけ、好きなように食べられるから。でも、たまには、「誰かとこの美味しさを共有したい」「誰かの手料理を味わいたい」――そんな思いに駆られる夜もあるはず。以前、当サイトでインタビューした『キッチハイク! 突撃! 世界の晩ごはん』(集英社)の著者、山本雅也さんが共同代表を務める『KitchHike(キッチハイク)』は、料理を提供する「COOK(クック)」と、その料理が食べたい「HIKER(ハイカー)」が、食を通じてつかの間の交流を楽しむ“現代版スナック”とのこと。おひとりさまの参加率も高いらしい。ならば! 百聞は一見に如かず。どんな感じか体験してみようじゃないの!!!というわけで、さっそく『キッチハイク』に参加してきました!キッチハイクは“選ぶ楽しさ”から始まる大きな期待とちょっぴりの不安を胸に、『KitchHike』のサイトへアクセス。馴染みのあるメニューはもちろん、世界各国の料理にスイーツ、薬膳からスーパーフードまで、とにかく幅広いジャンルの「Pop-Up(ポップアップ)」(イベントのこと)がずらり。楽しい宴はあっというま参加前は、「日本酒やカレーに詳しくないと、ついていけないのでは……」と、内心気後れしていたのだけれど、ほかのHIKERさんも、カレーと日本酒、そしてその場を純粋に楽しんでいたのが印象的だった今回の『キッチハイク』。なんとなくひとりでいたくない夜、誰かと「おいしい」を共有したい週末、そして、純粋に料理を楽しみたい瞬間……。そんなときは、気になったPop-Upをクリックしてみては?Text/千葉こころ
2017年07月10日夏休みといえば、海にプール、花火、旅行に帰省、そして…子どもたちにとってはたっぷりの宿題。なかでも、つい後回しになりがちなのが、「自由研究」ではないでしょうか。わが家でも「今年は何しよう?」の初期段階でブレーキがかかり、夏休みも終盤になってあわてて着手する…という家族マンガあるあるのようなシーンを毎年くり広げていました。そんななかでもおぼろげながら見えてきた、わが家流「自由研究をやっつけっぽくみせない」ポイントをお伝えしたいと思います。■脱・「やっつけ自由研究」の2つのポイントわが家の自由研究との格闘(?)歴は、上の子のときから数えて今年で10年目に突入!ローテンション&スロースターターなふたりの子、そして年々尽きてくるネタ。夏が来るたび「今年の自由研究はどうするんだろう…」とやきもきが止まりませんでした。私の理想は、「子どもが自力で自由研究を仕上げる」こと。さらに欲をいえば、やっつけ感が透けて見えるよりは、「楽しく取り組みました!」が感じられるもの。こんな思いを抱えながら、子どもたちの自由研究につきあってきました。<わが家の自由研究おさえポイント>・その子らしいテーマ・まとめかたに工夫が感じられるこの2つをおさえれば、「宿題だからしぶしぶやりました…」的な印象が薄まり、それなりのでき栄えになるんじゃないか! と気づきました。実際、この2つをポイントをおいたら、子ども自身がわりと楽しみながら進められるようにもなり、親子そろって自由研究プレッシャーから解放! …は言い過ぎですが、それでもちょっぴりラクにはなりました。では、具体的にどうしているのかをお伝えしていきます。■「なんでだろうリスト」大活躍! わが家流テーマの探しかたわが家の場合、最初の高い壁が「テーマ決め」です。実験でも観察でも工作でも調べ学習でも、「自由にやってくださいね」とふわっとした課題なだけに、子どもが「なにしよっかな~」と迷っている間に時がたちます。そこで私は、日々の何気ない会話で子どもが口にした疑問や気づきを、スマホにメモするようにしました。たとえば、こんな具合です。<なんでだろうリスト>・ゾウをさいしょに「ゾウ」って呼び始めたひとはだれなのか・なんでも乾燥させればお茶になるの?・へびは寒いところにも住んでいる?・「無色透明」って、無色も透明も同じ意味なのになんで重ねるの?・こちょこちょされると、くすぐったいのはなぜ?・納豆ってもともと腐っているなら、賞味期限なくてもいいんじゃないの?・毒キノコはなんでカラフルなの? キノコ自身に意思があるの?このリストのなかから子どもがやりたいことを選ぶようにしはじめたら、最初の「テーマ決め」はクリアに。ある年は、リストから「なんでも乾燥させたらお茶になるの?」を取り上げ、家にあるいろんな食材でお茶をつくる実験をしました。衝撃的な味のお茶が量産されて「まずい!」連呼の実験でしたが、それでも楽しそうに取り組んでいました。■コレをするだけで、「ちょっと工夫した感」がプラスできる!実験などの中身さえできれば、あとはまとめて仕上げるだけなのですが、ここもいざとなると作業が進まない難所。これまでの子どもの様子を観察してくると「苦手なこと」が見えてきて、それを克服する方法を編み出していきました。<子どもの苦手を克服するまとめ方>x子どもの様子から、「文字をいっぱい書く」ことが苦手↓○イラストや写真、図解などをメインにして、文字は少なめでまとめることを提案○子どもが「読みやすい、面白い」と思えるページ構成を考える このとき参考にするのが、雑誌や図鑑の構成参考にする本のページ構成に自由研究の内容をあてはめる方式にしたら、スムーズに進められるように。これまでにやってみたまとめかたは、「解体新書風」「プロフィール帳風」など。これらは好きなマンガの作者のおまけページから着想を得ていました。先に例に挙げた「お茶の実験」は、まとめる用紙自体をお茶にちなんできゅうす型にカットしました。味、色、におい、飲んだ感想だけのごく簡潔な内容ですが、「紙をきゅうす型に切ったこと」で、本人の満足度は上がったようでした。まとめかたの工夫で視覚的にメリハリがつくと、それだけで「ちょっと工夫してみた感」と「子どもが楽しく取り組んだ感」がかもし出せる…ような気がしています。今回ご紹介したのはあくまでわが家のケースで、きっと親の手を借りず全部自分でできるお子さんもいらっしゃると思います(うらやましい!)。それでも、「今年の自由研究どうしよう?」と考えているみなさんにとって、少しでもヒントとなる部分があればうれしいです。■どうしてもテーマが決まらないときのお助けアイテムどうしてもテーマが決まらない、初めての自由研究でどうすればいいのかわからない。そんな子どもからテーマを引き出す時間がない場合には、WEBサイトが展開している子ども向けのコンテンツをのぞいてみると、ヒントが得られるかもしれません。<自由研究参考サイト>【イベント】・ 「夏休み2017 宿題★自由研究大作戦」 小学生と保護者のためのイベント東京会場 2017年7月21日(金)~23日(日)仙台会場 2017年7月28日(金)・29日(土)大阪会場 2017年8月3日(木)・4日(金)【自由研究特集サイト一覧】・キッザニア東京: 「わくわく自由研究」 ・ベネッセ 「夏休みの自由研究カンタン解決策特集」 ・学研キッズネット: 「夏休み自由研究プロジェクト2017」 ・パナソニック: 「パナソニックキッズスクール」 ・ヤマハ: 「楽器解体全書」 ・カシオ: 「電卓アドベンチャーアイランド」
2017年07月07日本日は7月7日。七夕の日ですね。仲が良すぎるゆえ、仕事を忘れて遊んでばかりで天の神の怒りをかい、離れ離れになってしまった彦星と織姫が一年に一度だけ会えるという説話のあるロマンチックな日。デパートやショッピングモールなど多くの場所で、たくさんの人たちの願いがこめられた色とりどりの短冊をぶら下げた笹を眺めるのも風流ですよね。難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年07月07日おひとり旅がもたらすこと「百聞は一見にしかず」なんて言葉があります。旅に行くと、ほんとうにそうだなあといつも思います。ニュースになっていることって、その場に行って現地の意見を聞かずには、なにも判断できないと思うんです。テレビや新聞などで報道されている時点で、誰かの視点が入り込んでいるわけですし、文字数や時間の制限のために取材の10分の1しか公開されない、なんてことはざらですし。1997年に名護で市民投票がありました(もう20年も前なのか……)。米軍のヘリポート建設の是非を問うものでした。まだ美ら海水族館ができるだいぶ前のことで、名護は経済の基軸をどこに置くか揺れ動いていた時期なのだと思います。そこに全くのノンポリ和久井が出向いていって、「ヘリポート、はんたーい!」とか言って反対派のみなさんと街を練り歩きました。反対派事務所にみなさんと一緒に詰めて、開票を見守ったりして。なぜそんなことになったかというと、沖縄の知りあいが活動家のひとりだったんですね。その方に連れられていったのですが、大変貴重な体験でした。その方が、ひどく寂れた廃墟のような街に連れて行ってくれました。ドル円が360円固定だった頃、外貨で稼いでいた街だそうです。今では開店している店も少なく、人通りもなくて、忘れられた映画のセットのようなところでした。そこがどこだったのか、いろいろ調べたのですが発見できず、今どうなっているのかわからないのですが、忘れられない光景です。基地だけに頼る経済がどれほどもろいのかを教えられました。それまでももちろん、沖縄に基地問題があることは知っていました。でも現地に行ってそれを目の当たりにするまで、なにが問題なのかピンと来ていなかったと思います。その後、久米島に行ってクラブで飲む機会があったのですが、そこで知り合った人たちが、みんなでその市民投票の話をしていました。投票について、恐らく東京でこんなに盛り上がることはなかったでしょう。しかもみなさん米軍基地に対する思い出と意見を個々にお持ちなんです。細かいことは忘れちゃいましたが、現地だからこそ聞けた意見だったと思います。おひとり旅の現地取材は大人の課外授業数年前に、また1人で沖縄に行きました。名護に連れて行ってくれた方が亡くなっていたことを知り、ご実家にご挨拶に行ったんです。その帰りに、居酒屋に飲みに行きました。カウンターで飲んでいたら、お店の方に声をかけられ、常連さんをご紹介いただいておしゃべりしてたんです。ちょうどそのとき、尖閣諸島や竹島の問題が話題になっているときでした。私の周りには「あんな端っこの島、欲しいならあげればいいのに」と言っている人が何人もいました。その意見を聞いたとき、「領土ってのは国家の大前提でしょ。気軽に譲っていいものじゃない」とブリブリ怒っていたんです。だけど現地の人の話を聞いたら、そんな問題じゃないことがわかりました。彼らにとっては、尖閣諸島も竹島も、遠い離島の話じゃないんです。すぐ目の前の、隣の島の話なんです。なんなら、親戚が住んでたとか、知りあいが工場やってたとかいうレベルの話なんです。そこに外国の軍艦がぞろぞろやって来たら、そりゃ恐いですよ。本島に住んでいる私たちとは、臨場感が違うんです。「ああ、よそ者が軽々しく現地の人たちを批判する意見を言っちゃいけないな」と思いました。沖縄は一大観光地なので、南ののんびりした空気やダイビング、ショッピングを堪能して帰ることもできます。でも夜にちょっと足を伸ばして、現地の人と話をしてみると、これまで、わかっていた気になっていたことがぜんぜんわかってなかったなって感じるかもしれません。おひとりさまだと、普段は人見知りの和久井でも、気軽に知らない人と話すことができます。現地での話を聞いた後だと、新聞やニュースがとりわけ身近に感じられて、目を通すようになります。沖縄は特に歴史の陰の部分を多く持った場所なので、現地の方々のお話は衝撃的なことが多いです。おひとり旅の現地取材は、大人の課外授業って感じですね。Text/和久井香菜子前回記事<おひとり旅の夜はやることがない…では地方特有のアレを見に行こう>もチェック!旅先での夜の楽しみ方を和久井さんが伝授します。
2017年07月05日誰かと思い出を作るためじゃない私の趣味は、ほぼ100%と言っていいほど、ひとり遊びで形成されている。「ひとりでいることが好き」というと、「寂しくないの?」「誰かとやった方が楽しいんじゃないの?」と聞かれることがよくある。じゃあ、誰かと一緒にいることだけが正解で、他者と共通項を見つけることだけが趣味を見つける理由なんだとか、ひとりでいることに否定的な意見を言われる度に、ふと立ち止まって考え込んでしまう。小さい頃から、趣味と言えば、ひとりでできることばかりだった。読書とか、工作とか、ゲームとか。学校に通うようになって、友達がたくさんできるようになった。女子特有のグループでいるようになったとしても、同じような趣味を見つけることができても、同じ趣味をしている人を見つけられることはなかった。今でも変わらず、ひとりの趣味は続いている。予定のない日ができる度に、時間も気にせず朝から無計画にふらっと出かけ、まだ明るい時間のうちに帰ってくる。というのが私は今でも好きで、とても大切な時間だったりする。趣味の内容は変わってしまったとしても、相も変わらず大体ひとりで行動してしまうし、たぶんこれからも私の中でのひとりの趣味が、誰かと思い出を作るための趣味より重要になることはないんだと思う。「誰か」を待っていたら、一生の後悔になるかもしれない「ひとりで寂しくないの?」と聞かれることもあるし、「誰かと行った方が楽しいんじゃないの?」とも言われたこともある。たぶん寂しいし、きっと誰かと行った方が楽しいんだろうと思う。そんなこと、私はとうの昔から知っている。旅行だって、映画だって、ライブだって、観劇だって、美術館だって、なんだっていい。誰かと一緒に行って、意見を交換したり新しい共通の話題を見つけるのは、人と関係を築いていく上でとても重要なんだろう。誰か特定の人と思い出を作るために、どこかに出かけて同じものを見て、同じ経験を共有するのはいい。でも、目的が何か先にあって、「誰か」が現れるまで待っていたとしたら、たぶん私は何もできない人生だったんじゃないか? そう考えると、少しゾッとする。私にとって、他人の目を気にせず、ひとりでできることであればなんだって挑戦するのは、自分にとって大きな財産のひとつだと思っている。人生のうちで、自由に使える時間って本当に少ない。社会人になると特に。でも時間が少ない割に、若いうちにできることやしておいた方がいいことは多すぎる。学生時代ほど人間関係も形成しづらくなるから知り合いもそう簡単に増えないし、年齢を重ねていくごとに周囲の女友達はどんどん家庭を持つようになる。さらに、収入面もバラバラになってくるので、同じような金銭感覚を持ち、同じ趣味に同じくらいお金を使う人を見つけるのはなかなか不可能に近いでしょう。「あれがしたい」「これがしたい」なんて妄想を働かせることは簡単だけど、一緒に行動してくれる誰かが現れるまで待っていたら、時間なんてすぐ経過してしまう。最近は、一生の後悔に繋がってしまうんじゃないかなぁ、なんて思う。ほんのわずかなマイナスな記憶がこびり付いているだけ私はたまたま、幼い頃から自分ひとりでも大丈夫なことは知っていた。「ひとりでどこにでも行けるなんてすごいね」と言われることもあったけど、普段からあまり深く物事を考えない性格なのと、とりあえず何をしていてもなんとかなることを知っているってだけなんですよね。だって、危ない国への旅行も航空券取っちゃったなら行くしかないし。自分の好きなものが相手にとって面白いものかなんて分からないから、終わった後になって否定されても嫌だし。というか、何かやりたいことがあって、同じ趣味の人を見つけて、「断られないかなぁ」なんて思いながら誘って、いつがいいかやり取りをして、時間やスケジュールとか合わせて、色々準備して……みたいなやり取りが本当に面倒臭いし、人を遊びに誘うのが本当に苦手で。だったら私は大丈夫だから、ひとりでいいかな? って思っちゃうんだよね。他人からの目を気にせず好き勝手生きてきたから、文句を言う人や見下してくる人にはたくさん会ってきた。そんな人はどこにいたっているし、何をしたって文句を言ってくる。他人からどう思われるのか怖い人は、自分のマイナス要素を指摘した、ほんのわずかな人の意見が記憶に残り過ぎているだけの話だと思っている。ひとりでできることは、自分の度量を推し量れるひとりで好き勝手やっていると、自分に賛同してくれる人がどんどん増えてくるし、何かしていなくても私の趣味だけではなく、私自身に興味を持ってくれる人が現れる。ひとりで行動すること、ひとりの趣味を作ること。それは、自分を知るきっかけになり、自分の揺るがない軸を作るための材料にもなるんだと思う。できる範囲内で自分のやりたいことを全部試しながら年齢を重ねていくと、自分の度量みたいなものが見えてくるから。ひとりの趣味なんて限られているし、これからの人生で飽きずに続けられるなんて思ってない。だから、飽きるまではずっとひとりでふらふらと興味のあることに首を突っ込んでいきたいなあ、いつまで続くかわからないけれど。自分で好き勝手生きて、楽しみをどんどん増やして、生活をしていく上での活力にしていきたいなぁ。Text /あたそ前回記事<私だけが知っている。それだけで気持ちが高揚する「ひとり映画」という小旅行>もチェック!誰かと観るのもいいけど、ひとりだとひと味違う映画。感じたもの、考えたことを自分の中でかみ締めてみよう。
2017年06月27日新橋、と聞いて皆さんはどのようなイメージを浮かべるでしょうか? よくテレビのバラエティ番組などでサラリーマンたちがインタビューされている駅前という印象が強い方も多いかもしれません。あの場所は通称「SL広場」と呼ばれ、周囲には新橋で働く方たちを支えるべくたくさんの飲食店が軒を連ねていて昼も夜も大変賑わっています。SL広場と呼ばれている所以は、新橋が日本の鉄道発祥の地として知られ、1972年に鉄道開業100周年を記念してかつて中国地方で活躍していたといわれる蒸気機関車が展示されていることからです。今回は、駅を背後にして蒸気機関車を正面に見た時に左手側に建っている「ニュー新橋ビル」の中にある純喫茶についてお話したいと思います。壁一面に光り輝く富士山を楽しめる「フジ」難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年06月23日旅先で持て余してしまう夜の楽しい過ごし方(c)Pixabayおひとり旅の場合、旅先で意外と時間をもてあますのが、夜だったりします。特に京都なんか、お寺だの神社だのはだいたい5時とか5時半に閉まっちゃいますよね。そこから夜が長いこと長いこと!和久井はぜんぜんグルメじゃないので、おひとりで美味しいもの食べたいという意欲がありません。ビールさえあればよし。適当な定食屋さんに入って、定食とビールでおなかいっぱいにして、1時間もいたら出てきちゃいます。1日中歩き回ってるから、9時ごろ寝ちゃってもいいんですけどね。お泊まりする日もそうですが、帰る日の夜も手持ちぶさただったりします。深夜バスや復路ツアーの新幹線の時刻まで時間がある…でも、乗り遅れたら大変なのでベロンベロンにはなれない…なんてことがよくあります。だがしかし、見つけたのですよ、ちょっと楽しい夜の過ごし方。それは「映画館に映画を見に行く」です。「えーっ、映画なんて地元でも見られるじゃない!」と思いますでしょうか、思いますよね。思ってました。ところが、これがけっこう楽しかったです。最近はシネコンがあちこちにあるので、上映スケジュールをチェックしてみます。すると、自分の地元では終わってしまった映画とか、なんかすごーく古い映画のリバイバルとか、意外と「ナヌッ?」っていうのをやってたりします。もちろん、王道を観に行ってもよし。普段は映画を見に行く時間が取れなくても、旅先なら余裕がある…なんてこともありますよね。和久井は、京都で『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を、大阪で『沈黙-サイレンス-』を観ました。おひとり旅には文化活動がいい地方で観る映画のなにが面白いって、上映前のCMです。元気よく地元のボーリング場とか焼き肉店のCMをやってます。ぜんぜんわかりません。でも、地元の人ならみんな知ってるんだろうな~というノリの良さ。覚えておいて、翌日のネタにしてもよさそうです。『沈黙-サイレンス-』を観たあとは、そのストーリーの重厚さに脳みそがグルグルになってしまい、即座に電子書籍で原作を買って、バスの中で読みながら帰りました。そうそう、電子書籍って旅先でホント便利なんですよね。昔は、旅行に行ったら漫画は諦めてましたが、今は時と場所を選ばず、好きなだけ読めるんですよね。京都といえば、『GEAR』というショーがめちゃくちゃ面白かったです。三条のミニシアターでやっている舞台です。セリフのないノンバーバルのショー。<<人に忘れ去られた古いおもちゃ工場では、ロボット「ロボロイド」たちが働き続けています。ある日、かつてここで作られていたおもちゃの人形「ドール」が魂を持ち生きて現れます。ロボロイドたちはドールと触れ合ううちに、彼女の不思議な力によって少しずつ人間に近づいていく…>>というお話です。ロボロイドはパントマイム、ブレイクダンス、マジック、ジャグリングの達人たち。ストーリーの合間に惜しみなくその技を披露してくれます。それがめちゃくちゃレベル高いんです。ブレイクダンスなんて、クルクル回りながら天へ昇って行ってしまうかと思いました。キャラクターのしぐさはコミカルでたびたび小さな会場で笑いの渦が起こります。ごちゃごちゃした舞台美術もかわいらしくて、大興奮でした。あまりに面白かったので、友人と一緒にもう一度見に行きました。日によってキャストが少し変わるので、見られる技が違って面白いです。しかも舞台を見終えた友人がポツリと「キャストのひとりが、もしかして昔好きだった人かもしれない」とか言いだすんですよ。高校生の頃好きだった先輩がキャストの名前と同じで、おなじパフォーマンスの道に入ったのだとか。もう興奮しまくってあれこれ検索かけまくりました。まあ、別人だったんですけどね。というわけで、少し話がズレましたが、おひとり旅は文化的活動がとっても合うのです。おひとりの夜は、ぜひとも何かの鑑賞を。Text/和久井香菜子前回記事<ねらい目は今!新緑と残雪が見られる青森には「おひとりさま」の楽しみ処が満載>もチェック!今の季節は青森に行くといいことあるかも。
2017年06月07日衣替えにもコツがある!お手製防虫サシェで秋冬物にサヨナラを蒸し暑い季節になってきました。そろそろセーターなどの長袖は夜でも必要なくなり、本格的に衣替えをする時期ですね。理想的な衣替えの時期は、実はゴールデンウィーク前!本当は、衣替えは5月のゴールデンウィークまでにするのがよいと言われています。なぜなら、虫食いの原因となる虫が、卵を産みつける時期に入る前だからです。せっかく「しまい洗い」(※)をしても、干しているときに原因となる虫が卵を産みつけてしまうと、卵ごと収納してしまい、結果、虫食いの被害にあってしまいます。タイミングを逃してこれから衣替えをするという方は、ぜひしまう前に一度、アイロンの熱をあてることをおすすめします。熱で、虫も卵も死滅してしまうので、効果があります。かならず、「しまい洗い」を!冬物を収納するまえに、必ず一度でも腕を通したものは「しまい洗い」をしましょう。しまい洗い(※)とは、衣服をしまう前にもう一度洗うことです。皮脂のよごれや食べかす、シミなどを残さないことがポイントです。汚れが残っていると、虫の大好きな餌となって虫食いの原因や、黄ばみの原因にもなってしまいます。たたんで、立てて並べる!防虫剤を上に乗せる!しまう際には、たたんだあと、地層のように重ねるのではなく、縦に立てるようにして収納しましょう。そして、防虫剤は必ず上に乗せること。縦に立てることで、防虫剤の成分がまんべんなく上から下へ全体に行き渡り、どんな服があるのか上からすぐに把握することができます。防湿シートや除湿剤も入れるとさらに効果的です。(c)太田みお材料・ ハギレで作った袋・ ドライハーブ等 適量(防虫効果のあるハーブ:ラベンダー、ペパーミント、レモングラス、ティートリー、ゼラニウム、ユーカリ、シダーウッド、シナモン、ライムの皮、クローブ、ヒマラヤスギなど)・リボンハギレで小さな袋を縫い、その中にドライハーブを入れて、リボンで縛ります。まとめ・しまい洗いをする!・遅めの衣替えにはアイロンの熱をあてる!・縦並びにしまって防虫剤を上に置く!秋冬、お世話になった衣服たちに感謝して、気持ちよくこれからの暑い季節を迎えましょう~!Text/太田みお前回記事<夏までにやせたい!脂肪が落ちる食事法3つの鉄則を実践してみた>もチェック!いくら運動しても効果が出ない…という方は、食事法を見直してみましょう。
2017年05月31日決定的な理由はない。自分の生活に変革を起こしたものby Micah. H周囲の人と同じような生活をし、一段一段、階段を上るように人生のステージをクリアしてきたはずでした。しかし、ある日突然、何かに熱中しすぎてしまい、自分の生き方そのものをぶち壊してしまう人がいる。私もまさしく趣味によって人生を破壊してきたうちの一人で、自分の生活に少しずつ変革を与えてくれたのが、一人旅でした。当時、国外にすら出たことのなかった私。頭の中にあった「大学生になったら、なんとなく友達と海外旅行に行く」いう考えから、大学でできた友人と4人で向かった韓国。その後、「カレー好きだし楽しそうな国だから」とろくに調べもしないで初めて一人で訪れたインド。そして、「今行きたいと思ったから」と“新卒”の称号を蹴って、20か国ほどを周った約9ヶ月間。今思い返すと、これだけ旅行に人生を振り回されているのに、決定的な理由なんて一つもないんですよね。ただ「なんとなく行ってみたいから」という気持ちが強かったのと、後先考えない性格が上手く働いた結果なんじゃないかな、なんて思います。馬鹿なんですよ。今は会社員として働いていますけど、就職できていなかったらどうしていたんでしょうね。考えるだけで怖い……。先日もゴールデンウィークを使って1週間ほどキューバに行ってきたのですが、フライトチケットの確保、宿の予約、スケジューリングなど、全て自分で行い、キューバの公用語・スペイン語も話せぬまま、「なんとかなるだろう」と思いつつ向かいました。キューバに決めた理由も「なんとなく、行ってみたかったから」。現役で走っているクラシックカーが見たかったからとか、モヒート飲みたいとか、なんでもない動機ばかりが浮かんでいましたが、たまたまスケジュールにぴったりハマる航空券が手に入ったため、後先考えずに急いで購入してしまっただけでした。RPGの主人公みたいに無敵な私よく、「女の子一人で、危ないんじゃないの?」「一人で、寂しくないの?」と聞かれることがあります。でも私は、自分ひとりだけで旅をすることに意義があると思っています。私が一人暮らしをしたことがないからかもしれないけれど、今まで周囲に頼る人が誰もおらず、自分ひとりで決断をしなければならない機会に直面したことがありませんでした。でも、旅先では、私はただ一人の外国人。何を食べ、どこを歩き、誰に話しかけ、どんなことにお金と時間を費やすのか……生活における全ての決断と責任を自分で持つことができるようになります。例えば、道に迷った時に自分はどういう行動を取るのだろうとか、得体のしれない食事を出された時にどうするんだろうとか、そんな些細なことでも自分の性格や主体性の輪郭みたいなものが掴めるようになってくる気がして、何もかも自分でできるということが、時に強い自信に繋がったりもするのです。文化も肌の色も違う。食べ物も宗教も違う。言葉も通じない。日本よりもずっと犯罪や窃盗に巻き込まれる可能性が高いかもしれない。そういう異国の何も知らない路地をたった一人で歩いている私は、まるでRPGゲームの中の主人公みたいで、いつだって無敵でした。一人で決断をし、仕事も頑張ってお金も貯めて、その国の料理を口にして、たくさんのものを見て、色々な人と関わって、自分の知らないことを教えてもらって………そういう少しずつの経験の積み重ねで、私は今この道を歩いているんだと思うと、これからなんだって出来るような気すらしてくるのです。心細さや寂しさが勝ることはないキューバでの私も無敵でした。首都ハバナの旧市街という世界遺産の中を歩きながら、ここに辿り着くまでの決断や選択肢が少しでも異なっていたら、もしかして私は今この時間にこの道をあるいていないのかもしれない…なんて大袈裟ながら考えてみると、運命とか奇跡の中にいるような気がして、どんな風景を目にしてもドキドキしてしまうのです。もちろん、一人で心細いときもあるし、寂しいときもあります。「誰かと一緒に行けたら」と考えたことだってある。でも、この一人でなんでもできてしまう自由さと緊張感、そして自分で決めた道を歩いているという無敵感に、心細さや寂しさが勝ることがありません。私が無敵である限り、時間がある時はできるだけ色々なものを見ていたいなあ、なんて思います。とりあえず、次はオーストラリア! ベジマイト食べて、コアラを抱っこしてくる!!!Text/あたそ前回記事<自分から生まれるものは愛しい…?献血で知った、私の中の眠っている感情>もチェック!あたそさんがハマっているという「献血」は、おひとりさまの趣味に相応しい…?
2017年05月30日第15回:「買い物の葛藤」(c)誰に見せるでもない爪今回の読者投稿は「なかなかお金がたまりません。」という一文のみ。これのみ!切実なのに、どこか潔くて清々しい。こういう投稿も良いな、と感嘆してしてしまったがそんな場合ではない。「お金が貯まらない」というのは万人の悩み。それなりに稼ぎがある人は「お金はまあまあある」とは言えても、「貯金がしっかり出来ている」と自信を持って言える人は少ない。たくさん入ればそれだけ使い方も変わるし「お給料が上がっても生活水準はそのままに貯金する」ことは難しい。私が見てて良いなと思ったのは「欲しいと思ったものがあれば、それを人に相談する」ということだ。まず自分が「貯金をしたい」と相手に話した上で、その相手に「これ欲しいんだけどどう思う?」と聞く。相手には「似たやつ持ってる」「前にも買ってた」「もっと安いとこで同じようなのある」とビシバシ言ってもらう。その指摘に思わず納得してしまう人を相手に選ぶ必要があるとは思うが、私はこのやりとりを時々見かける。欲しいもの全部買わない! 毎日自炊! と完全節約を徹底することは、貯金には理想的だし、本当はそうすべきなんだろうけど、長く続けることを考えると、「たまにする買い物を罪悪感なく楽しむこと」が節約を続けられるコツなんじゃないだろうかと思う。ただし、小さい塵も積もれば山となる。安い買い物を続ければ、それは大きな買い物と大差ない。そのバランスがとても難しい。今回の「なかなかお金が貯まりません」にはいろんな思いが含まれていることだろう。今回はそんな葛藤について描いた。Design&Text/つめをぬるひとこの連載では、爪作家である私が、読者のみなさんが「どんなおひとりさまか?」をヒントに爪をつくります。あなたのエピソードを添えて、送ってください。前回記事<ひとりでいることはむしろ、誰とでも関われるチャンスがある>もチェック!「友人がいない」がテーマの爪です。
2017年05月29日寄り道したくなる荻窪「珈里亜(かりあ)」美しい紫陽花たちが彩る梅雨の季節までもう少し。だんだんと暑くはなってきましたが、夜になるまでの時間が長くなり、夕方を楽しめる5月です。18時を過ぎてもまだ外は明るく、会社や学校が終わった後、まっすぐ帰るのはもったいないような気がして、どこかへ寄り道したくなります。そんな時、私がたまに訪れるのは荻窪にある「珈里亜(かりあ)」です。難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年05月26日謎の罪悪感でモヤモヤしたときに『孤独な夜のココア』(新潮文庫)/田辺聖子 著/新潮社主人公の千田サンは、シナリオ学校で出会った裕二という男と5年前まで同棲をしていました。しかし裕二は、仕事はせず無職で、家事をやってくれるわけでもなく、小遣いをもらい、さらに実は浮気までしている。誰がどう見たってダメ男なので、千田サンの友達である多枝子・純子も、「いいかげんにしなさいよ」と主人公を諭します。ずるずると裕二にお金を渡していた千田サンもそこで目が覚め、最終的には怒鳴って裕二を家から追い出します。しばらくは恋人との別れを悲しむことになっても、厄介なダメ男がいなくなったわけなので、通常ならここで「悪い男から解放されてよかった!」と思うところでしょう。ですが、千田サンはそうは考えません。裕二に半分だまされるような形でお金を渡し続けていたときも、自分自身はまったく嫌ではなく、むしろ友達に諭されるまでは彼との生活を幸福だとすら思っていた。そして裕二と別れて5年経った今も、その幸福だったと思う気持ちは変わらず、ただそれは石のように固まってしまったというのです。友達の多枝子・純子が悪者というのではありません。むしろ彼女たちは本気で千田サンのことを心配して、裕二を追い払おうとしてくれました。普通に考えれば、家事もしないで浮気をしているヒモの裕二が悪いので、千田サンを説得した多枝子・純子のほうが圧倒的に正しい。そして、自分をぞんざいに扱う恋人より自分を心配してくれる友達の言葉を信じた千田サンもまた、圧倒的に正しい。「世俗の風が舞い込んだとき、その幸福は石になったのだ。五年たってやっとわかった」。小説はこんな一文で終わっています。白黒つけられない「グレー」な気持ちを保存しておくデートでお金を払わされるなんて不幸。浮気をされるなんて不幸。恋人と長続きしないなんて不幸。彼が無職なんて不幸。仕事が充実していないなんて不幸。友達がいないなんて不幸。介護などの事情があるわけでもないのに実家で暮らしている独身なんて不幸。世の中にはそんな「いわゆる不幸」のイメージが溢れかえっていて、しかもそれは多くの場合あからさまに否定できないというか、「まあ、そうかも」とこちらを思わせるある種の正しさを持っています。だけど、そんな正しさに押し殺されることなく、自分自身の意志を貫く──というのもまた普通の人間には難しいし、やっぱり小遣いをせびってパチンコに行くようなヒモに寄生されている生活が、そう長く続くとも思えません。したがって、このあたりはバランス感覚が要求されるでしょうが、「世俗の風」を無理して跳ね返すでもなく、しかし完全に飲まれて自らの向く方向を変えてしまうでもなく。小説の中の千田サンが考えたように、「間違いだらけだったかもしれないけど、あれはあれでけっこう幸せだったんだよな」という気持ちを、石みたいに固めて保存しておく。正しいとも間違っているとも言わずに、そこは苦笑いでノーコメントにしてしまって、そっと胸のうちにしまっておく。そんなことがもしできたら、自分自身が救われるのはもちろんだけど、他人に対しても少し寛容になれる気がします。また不毛な恋愛してるよとか、また上司の愚痴言ってるよとか、自分にも他人にもいろいろ思うことはあるけれど、人間そんなにはっきり白黒つけられません。自分の中のグレーな部分をこっそりしまっておいて、普段は流しておいて、いざというときだけパカっと蓋をあけてあげる。なんかババくさいし卑怯な気もしますが、強くなるってそういうことなのかもしれません。というわけで私も、家から一歩も出ずに朝から晩まで読書している自分を、あまり責めないであげようと思います。ああでも、あったかくなって来たし、たまには友達とランチにでも行こうかな。『孤独な夜のココア』は、そんなグレーな気持ちがたくさん詰まった短編集なので、気になる方はぜひ手にとってみてください。Text/ チェコ好き前回記事<独身女性の人生のロールモデル。誰にするのが適切だろう?>もチェック!憧れの年上女性はいるべきか、について
2017年05月25日ひとり焼肉にひとりラーメン…ひとりのご飯は気楽だ。好みも食べる順番も、誰の気兼ねなく、好きなように食べられる。だから、ご褒美にひとりで…という人もいるでしょう。ただ、それでも、「同じ釜の飯を食う」という言葉があるように、誰かと一緒にご飯を食べることに喜びを感じたり、一体感を求めてしまうのはなぜだろうか。この度、書籍『キッチハイク! 突撃! 世界の晩ごはん』を上梓され、“料理をつくる人と食べる人が集まる交流コミュニティサイト”「KitchHike(キッチハイク)」の共同代表である山本雅也さんと、同じく共同代表の藤崎祥見さんに「なぜ人はだれかと一緒に食べたいと思うのか」についてお話を伺いました。見知らぬ人同士でもごはんを通じてつながれる?藤崎祥見さん――では、なぜ誰かと一緒に食べたいと思うんでしょうか。藤崎:「食」はいろんなものが凝縮されたものだと思っていて、特に最近は3つのことを感じています。一つ目は「普遍性」。世界中のほとんどの人が今日も昨日もごはんを食べていますよね。しかもこれって国境を越えて通じるので、すごく特別なことだと思ってます。――映画や本だと、読んだ人、読んでない人とで別れちゃいますもんね。藤崎:二つ目は、「共感性」。“食の趣味が合う人とは気が合う”とよく言いますけど、「このお店の味付け、薄めだね」「スパイスの辛味がちょうどいいね」と共感できるのは、食に色んな情報が凝縮されているからだと思います。三つ目は「曖昧な再現性」です。食には、完璧にはコピーできない曖昧さがある。これは共感性とも密接につながっています。曖昧だからこそ、数字では表せない「いいね」という共感ポイント…もっと固い言葉で言えば、「特徴量」が食にはすごく多いんですよね。――「カレー」と一言でいっても、色んなカレーがありますもんね。藤崎:これらの普遍性、共感性、曖昧な再現性の三つを伴ったご飯は格好のコミュニケーションの材料になる気がしたんです。ご飯を食べることは生物的に欠かせませんが、そのご飯に集まること自体が人にとって大切なことなんじゃないかなと。――食って他のものより繋がりやすい気がします。「映画が好き」と言っても、なかなか話が膨まないので。藤崎:食の好みは自由だし素直になれるし、だから会話が弾むのかもしれませんね。――人間の本能という点でも、食以外にないですよね。藤崎:共感ポイントを持って、一緒にアクティビティができるのがポイントですね。一緒に食事をしたいというより、もともと一緒に何かしたいというところにちょうど食事があるみたいなイメージかな。山本:セッションですよね。藤崎:そうそう。結局人はセッションしたがりだと思うんですよ。人類が進歩して、栄養摂取の目的がなくなっても、食というセッションは残ると思います。仕組みさえあれば、人はもっと繋がれる山本:セッションといえば、「盃を交わす」と言いますが、盃は昔、動物の角とか牙の内側をくりぬいてコップとして使ってたんです。なぜテーブルに置くと倒れちゃう牙や角を使っていたかというと、テーブルに置けないからこそ無意識に、自分が飲み終わったら次の人に回して飲んでいたんです。これは優れたUIの仕組みですよね。――まさに仕組みが自然と根付いている理想形ですね!山本:高知に「可杯(べくはい)」という、「おかめ」と「天狗」と「ひょっとこ」の日本酒を呑む器があるんですが、おかめ以外、天狗は鼻の先が丸いから置けないし、ひょっとこは口に穴が開いてて塞がないといけないから置けない…そんなギミックで自然とみんなが飲み回しちゃうというセッションをしてるんですよ。藤崎:そういう自然な流れに乗っかれる仕組みがあれば、見知らぬ人たちとでも成り立ちますよね。山本:今こそ改めて言ってるんですけど、キッチハイクは仕組みを作ることが大事だと思っています。何かメッセージを人に訴えかけても、人はやりませんからね。―― 選挙に行こう!って言っても行かないのと同じですね。山本:だからキッチハイクは「食を通じて人は繋がる」って言うんじゃなくて、仕組みにして、自然に世の中に根付いていくようにやってます。藤崎:キッチハイクでご飯を食べる=人と自然に出会う、交流できる仕組みができてると思います。キッチハイクは”現代版スナック”――キッチハイクには料理をつくる人「COOK(クック )」と食べにいく人「HIKER(ハイカー )」がいますが、どんな方が参加されてるんですか?山本:毎月600人のマッチングが起きてるんですが、ほとんどがおひとりさまでの参加です。女性の方が多いですし、クックも8割以上女性ですね。――サイトを拝見したんですが、グルメな人ばかり、といような偏っている雰囲気がなくて、普通な自分でも溶け込めそうな感じがしました。山本:キッチハイクの面白いところは、クックさんがプロじゃないこと。趣味だったり、友達のために作っていたらいつのまにか上達していたり、自分の好きな一つのメニューをとことん追求しているだけだったりな人が多いです。そんな“自分のちょっと延長線上にいそうな人”がもてなしてくれるので、距離も近いし、共感もしやすくなります。――食がいい媒介になっているんでしょうね。生身を求められてない気もします。山本:キッチハイクは”現代版スナック”じゃないかと最近感じています。常連さんとか一見さんが「初めてなんですか?」「よくいらっしゃるんですか?」と話すようなあの緩やかな横のつながりと、そこをうまくファシリテイトしてくれるマスターの存在。その構造がすごく似ているなと。――今後はどのようなことを仕掛けていくのですか?山本:今後の展望は3つあります。1つは、地域と連携していくことです。そのハブになるプロジェクトが「みんなのキッチン」 。地域ごとに、クックがポップアップ(料理イベント)を開催できる場所を提供していきます。自宅だけではなく、シェアハウスやシェアオフィス、キッチンスペース、コミュニティスペース、飲食店のアイドルタイムに利用するので、今、首都圏中心に10か所以上のキッチンスペースと提携させてもらっているんです。――そんなにあるんですね!山本:各地にクックと食べたい人が集まるハブができれば、地域の活性化や、ご近所さん同士がつながるきっかけになると思っています。藤崎:場所があったら料理を作りたいっていう人はたくさんいるんですよね。山本:2つ目は、食にかかわる地域行政や企業とコラボしたポップアップを開催すること。2月に徳島市役所さんとコラボイベントを実施したのですが、人気クックさんに徳島の食材を使った料理をしてもらうことで、徳島の空気や食事が素晴らしいところを宣伝できました。このときもおひとりさまの参加が多かったですが、「しいたけが大きい!」「これ、食べたことある!」などなど、徳島トークで盛り上がってましたよ。藤崎:食がうまく作用してる証ですよね。山本:そして、3つ目が、「オフィスKitchHike」 です。クックがオフィスやコミュニティスペースに、“食”と“交流”をテーマにしたPop-Up(料理イベント)を開催しにいく企画です。お昼ごはんをチームみんなで一緒に食べると楽しいよ、夜のまかないを食べながらおしゃべりしよう、という、KitchHikeの社風まるごと提案していきます。藤崎:カルチャーコンサルみたいな感じでしょうか、いわゆる普通のケータリングとは違いますね。――編集部もですが、みんなで一緒にごはん食べてるチームって仲いいですよね!山本:もう喫煙室とか、変な飲みニケーションとかいう時代でもないですからね。藤崎:現代人のコミュニケーションのきっかけをつくれたらなと思ってます。――あらためて、食でつながる可能性を感じました!藤崎:「SOLO」の読者って、一人をもっと楽しみたいって感じですよね。だから、キッチハイクで作るのも食べに行くのも、すごく楽しめると思います。食事自体が話題の塊ですから、話題に尽きることもないですし。山本:今度おひとりさま限定のイベントとかしたらいいかもですね!――ぜひお願いしたいです!今日はありがとうございました。Text/SOLO編集部特集「おひとりさまのあたらしい住処」もあわせてご覧ください!・これからの社会は「弱い繋がり」で生きやすくなる/ジャーナリスト・佐々木俊尚さん(前編)・理想は開放的だけど狭い空間!?自分のための居場所をつくる
2017年05月23日「わたしの塗り絵BOOK 憧れのお部屋」で話題のイラストレーター・井田千秋さんに、おひとりさまの理想の住処を描いていただきました。開放的なのに、巣のような狭い空間がいくつもある。好きなときに好きな場所で、ひとりでも、誰と一緒でも気ままに過ごせる…そんな大人の秘密基地のようなお部屋です。家に一番求めるのは「自分のための場所であること」部屋の絵を描くと、無意識に賑やかさや華やかさと真逆の絵が出来上がる。どちらかと言えば、ひっそり、引きこもりたくなる空間。複数住人がいても、どこかに一人になれる空間を描く。家に一番求めているものが「自分のための場所であること」なのだと思う。誰に気兼ねすることもなく気ままに過ごせる場所。好きな物に囲まれ、深呼吸のできる場所。(c)井田千秋開放的な狭い空間がとても好きだ。矛盾しているようだけど、そういう場所が心地良い。必要な物には数歩で手が届く。定位置は体をおさめるほどの空間。広すぎず狭すぎず、まるで巣のようなコンパクトさでありながら、換気と採光を十分に取ることで開放的な気分に浸れそう。「仕切りを外して広々ワンルーム」も良いけど、私は小空間をわざと作りたくなる。今回描いた部屋のような場合、階段は壁に沿わせて広い空間を作るのだろうけど、中心に据えてしまった。デスクの背面にも棚を置いて、さらに狭くする。居場所がそこかしこにある家の中を、窓から入る風がスーッと通り抜ける。帰宅したら、デスクにこもろうか、ソファに体をしずめようか、ベッドで寝てしまおうか…窓を開け放してボーっとするのもいいな。時には気の合う友達を招いても楽しそう。一人に優しい家は、きっと誰に対しても優しいと思う。ソファで団らんもよし、階段に腰掛けるもよし、ベランダで飲み始めるもよし。住んでる私も、訪ねて来る人も、気ままが一番。イラスト・文/井田千秋■プロフィール井田 千秋(いだ ちあき)神奈川県在住。作家・イラストレーター。2012年頃より不定期にコミティアやグループ展に参加。2015年に初個展開催。イラストレーターとして活動開始。生活空間や雑貨を好んでモチーフにしている。著書「わたしの塗り絵BOOK 憧れのお店屋さん」、同シリーズ「憧れのお部屋」発売中(共に日本ヴォーグ社)。特集「おひとりさまのあたらしい住処」もあわせてご覧ください!・なぜ“誰かがいる空間” で暮らしたいのか?/東京大学・松村秀一教授・「若者の仮住まい」から「終の棲家」まで。多様化するおひとりさまのシェアハウス
2017年05月18日エログロナンセンス好きな私がハマった献血(c)Chiara Cremaschiこんにちは。あたそです。皆さんは、エロ・グロ・ナンセンスというジャンルをご存じでしょうか? ざっくり説明をすると、腕がもげたり、血液がドバドバ出たり、まあまあ残酷な死に方をしたりする作品を称したジャンルのことです。私は中学・高校時代に、このエロくてグロいアニメや漫画にどハマりし、夜な夜な見漁る毎日を過ごしておりました。ところが、映画になるとどうも直視できないんですよね。任侠映画でヤクザが指を鉈で落とすシーンとかもダメ。よりリアルだからなんでしょうか? なんだか、自分の身に起こっていることのように感じられて、後頭部辺りがキンキンして来てしまうんですよね……。人が痛がっていたりや、血が大量に出ていたりするシーンはどうもダメなんですけど、数年前から献血は好きで、時間を見つけてはよく通っています。献血用の針を躊躇なく腕に刺し、スーッと自分の血が抜かれていくところを見ていると、不思議と落ち着くんです。しかも、この血液が誰かの命を助け、同じ血を分けた人間と街中で気付かぬうちにすれ違っているんだと思うと、キュンとときめいてしまいそうになってしまいます。「献血が好き」というと、気持ち悪がられる方が多いのですが、暇潰しや少し休憩するために立ち寄る際にはうってつけの場所だったりするんですよ。例えば、私用を済ませてから友達に会うときや、なんだか家にいるのが嫌になって少し早めに目的地に着いてしまったときなど、少しだけ時間はあるけど買い物の気分じゃないし、カフェに入るほどでもないし……というシチュエーションに出くわしませんか?私はそういう隙間時間に、献血ルームを利用するようにしています。献血ルームはすごい…献血にかかる所要時間は10分から90分ほど。都内であれば大きな駅には必ずあるので、すんなり通えたりします。土日だと混雑していることもあるので、少し待つこともあるんですけどね。献血ルーム、何がすごいって飲み物も飲めるし、お菓子も食べられるんですよ。場所によって多少の違いはありますけど、漫画や雑誌・新聞なども読めるし、テレビを見ることも、なんと占ってもらうこともできるので、暇を持て余すことはありません。また、室内はWi-Fiを利用することもできるので、動画もサクサク見ることができます。献血が終わった後は、ハーゲンダッツやお米、タオルなどをもらったり、10回・20回と通っていると記念の粗品などをいただけたりします。流石、日本赤十字。至れり尽くせりですよね。この液体、私の体の中にあったんだ…私はいつも小説を読みながら献血をしているのですが、テレビよりも何よりも、自分の血液がパックに溜まっていく様子を見ているのが好きです。献血には、全血献血(200mlまたは、400ml)と成分献血という、3種類があり、私はいつも成分献血を選択しています。この成分献血というのは、血液中の血小板と血漿といった特定の成分だけを採決し、回復に時間のかかる赤血球は再び体内に戻すというもの。血を赤くしている成分を抜いた採血なので、パックには黄色い液体がじゃんじゃん溜まって膨らんでいくんですよ。自分の体内から出てきたものなんだと思うと、興奮と愛おしさが止まらなくなります。献血終了後、看護師さんにお願いをして一度触らせてもらったことがあるんですけど、生ぬるくて、触感も妙にリアルで、「あ……この液体、本当に私の体の中にあったんだ……」なんて思ったりもします。パックに詰められた生ぬるい血液、抜いた親知らず、綺麗に分かれた枝毛など、自分の身体から生まれたものに母性を覚えて、なんだか愛おしく感じてしまいます。捨てているのがもったいなくて、しばらくの間は自室の机の上に飾り、ぼーっと眺めていたこともありました。傍から見たら、かなり気持ち悪いんですけど…。自分から生まれるものを愛でてしまう感情こんな感じで自分の身体から生まれたものをこんなに可愛らしく感じるのなら、将来子どもが生まれた時、どうなってしまうんだろう? 気がおかしくなってしまうんじゃないだろうか? と心配にすらなってしまいます。まだまだ先の話ではあるし、無機物と赤子を一緒くたにするなよって話なんですけど。今まで結婚や子ども、家族を作るような幸せを掴んでいる自分というものが想像できた試しがない。そして、そういった機会に恵まれるのもまだまだ先なんだと思っています。まあ、恋人もいないですしね。でも、こうして自分の身体から出てきたものを愛でてしまう感情が自分の中に眠っているのなら、自分がまだ知らない景色に幸せを感じることもあるのかもしれない、と考えてしまいます。と、言いつつ、基本的に不摂生な生活を送りすぎて、採血の時点で赤血球の数が足りず、3回に1回くらいのペースで献血できずにとんぼ帰りするんですけどね……なかなかできない悔しさみたいなものもあるから、定期的に通ってしまいます。自分の健康もチェックできるので、自分のためにもよさそうだし……。Text/あたそ前回記事<旅先で出会った水タバコ「シーシャ」で自分の思考や思い出を整理する>もチェック!あたそさんが旅先で出会った「水タバコ」魅力について。
2017年05月16日第14回:孤高はチャンス今回は「ライフスタイルが変わると昔の友人と会う機会が減り、新しい友人の作り方が分からない」という読者投稿。のっけからこんな回答になってしまうのもどうかと思うが、私は友人がそこまで多くない。尚かつ、それをあまり危惧していないところがある。盆と正月だけ会う地元の友人。飲む時に会う友人。会う人はある程度決まっている。もちろん、つめの活動で出会った人もいて、イベントやライブ会場で会ったり、作家さんと飲みに行ったりして、「爪」を通じてこんなチャンスがあるのか、という発見は楽しいが、その人達としょっちゅう会っているかというと、実際は年に1、2回くらいしか会っていない。ほとんどの人がそうだと思うけど、アクセサリーも音楽も映像も、皆なにかを作る時は一人で作業をしている。一人で作ったものによって、人との関わりが生じるのが楽しくて、また一人で制作する。その繰り返しな気がする。以前、某作家さんに「私は他の作家さんと繋がりがあまりないからコラボ制作が羨ましい」と言われたことがある。たしかにコラボ制作は楽しくて、作る過程も、出来た瞬間も、心躍って写真をばっしゃばしゃ撮る。またやりたいって思う。その一方で、誰ともコラボをすることなく、ものづくりをする人もかっこいいと思っている。内輪ノリにならないことで、見ている人がとっつきやすくなるメリットもあるし、「誰ともつるまない(もしくはそう見える)」というのは「誰とでも関われるチャンスがある」ということなのかな、とそういう人達を見て感じた。そのバランスが上手い人に憧れる。今回は、そんな「ある意味とっつきやすい人」をイメージして制作した。Design&Text/つめをぬるひとこの連載では、爪作家である私が、読者のみなさんが「どんなおひとりさまか?」をヒントに爪をつくります。あなたのエピソードを添えて、送ってください。前回記事<スーパー銭湯は私にとって「最強のご褒美」>もチェック!「ご褒美」がテーマの爪です。
2017年05月15日ひとりだけど、ひとりじゃないを叶える場所誰にも責任を追わない、気ままなおひとりさま。だけどちょっと怖いのは、体調を崩したときや、とてつもなくさみしさが襲ってきたときです。普段は自由を満喫ししたいけど、何かの時には、誰かにいて欲しい……。そんなワガママを叶える場所があります。数十人~100人規模の住人がいる大型のシェアハウスです。やはりシェアハウスというと、まだまだ「20代の若者が住むところ」というイメージがありますね。ちょっと豪華な賃貸を何人かで分け合って住んで、家賃を安く済ませるというような。だけど大型シェアハウスの家賃は、それほど安くはありません。光熱費込みですが、月に5万~10万円くらいします。企業の独身寮や学生寮をリノベーションして作られることが多く、共用部分がゴージャスなのも特徴です。大型テレビやソファーの置いてあるラウンジ、シアタールームやジムの設備があったり。個人ではとうてい買えない家電や備品があるところも魅力のひとつです。こうした大型シェアハウスは、個室がきちんと確保されています。部屋に入れば、誰にも邪魔されずに自分だけの空間でくつろぐことができます。これは普通のひとり暮らしと同じですね。キッチンやお風呂、トイレといった水回りは共同のことが多いようです。大型シェアハウスのいいところは、干渉されることもなく、ハウスの仲間と仲良く騒いだりもできること。つまり、自分のライフスタイルに合わせて生活できるんです。ハウス自体は住人同士の交流を勧めていて、毎月ホームパーティはあるし、誰かが退所するときには有志でラウンジに集まりパーティを開いています。住人同士でレンタカーして遊びに行く人もいるようだし、ハウス内恋愛も活発なようです。ここでおひとりさまから脱出してシェアハウスを卒業する人もいそうです。和久井は大型シェアハウスに住んで1年になりますが、ハウスには特に親しくしている人はいないので、公のホームパーティ以外は呼ばれません。一番おしゃべりするのはお掃除に来る女性です。その代わり、面倒な人間関係もありません。共用部分で誰かに会ったら挨拶はしますが、深入りしないし、されません。払拭されつつあるイメージとライフスタイルに合わせた多様化1年住む間に、だんだんと住人の年齢層が幅広くなってきたな、と感じます。40代、もしかしたら50代の方も見かけるようになりました。大型シェアハウスの認知度が高まり、「若者の住む家賃の安い部屋」というイメージが払拭されてきたのでしょう。今、都市部では次々とシェアハウスが作られています。古い独身寮や空室率の高い賃貸がシェアハウスへとリノベーションされています。こうしてある程度飽和状態になったら、次は差別化が始まるでしょう。女性のみの物件はいくつもありますし、最近では、ペット可のシェアハウスができたと聞きます。近い将来、ユニバーサルデザインが施された物件やシングルマザー専門、LGBTなど、さまざまな特色を持つシェアハウスできていくでしょう。老人ホームとの境目がないような物件もできてくるかもしれません。ひとりだけど、ひとりじゃない。ひとりの不便さを払拭して、美味しいとこだけをいただける。苦しいとき、辛いときにはラウンジに行けば誰かがいる。シェアハウスは「若者の仮住まい」から「終の棲家」まで、さまざまな形に多様化していくことでしょう。こうした環境を利用して、より楽しいおひとりさまライフを過ごせたら、と思います。Text/和久井香菜子特集「おひとりさまのあたらしい住処」もあわせてご覧ください!・なぜ“誰かがいる空間” で暮らしたいのか?/東京大学・松村秀一教授・「ひとり」と「ふたり」と「みんなで」を、行ったり来たりする人生が理想
2017年05月11日自宅で旅気分とラブラブ気分を味わえるゴールデンウィークですね。長いお休みを活かしてここはひとつ、長編漫画を読んでみませんか?少女マンガで長編というと、やっぱり今お勧めなのは『王家の紋章』! これです。連載40年、既刊62巻、古代エジプトを舞台にした大スペクタクル垂涎ドラマです。『王家の紋章』(細川智栄子/秋田書店)第1巻物語の舞台はエジプトを中心とした地中海沿岸の国々。自宅に居ながらにして大冒険気分が味わえます。しかも現代エジプトだけでなく古代エジプトまで、時代を変えて旅するんですよ。ゴージャスゴージャス。先日、ミュージカル『王家の紋章』を観に行ったので漫画を読み返しているんですが、なんだかめちゃくちゃキュンキュンしますね。なにしろ古式ゆかしいマンガなので、激しいエロはなし。奪われるのはキスのみ。萌えシーンではひたすらハグのみ。スキンシップは豊富なので、1人で読んでいても誰かと触れ合っているような気がしてきます。ざっくりあらすじを紹介すると、現代のアメリカ娘キャロルは、王家の呪いにかかって古代エジプトに送られてしまいます。そこで若き王メンフィスと出会うのですが、キャロルがエジプトでは珍しい金髪娘だったこと、21世紀の知恵を次々披露して奇跡を起こしたことから熱愛され、激しく慕われます。ところでキャロルの口癖は「21世紀の人間なら誰でも知っていることよ」と言いながら、泥水を真水に変えたり鉄を精製したりするんだけど、未だに和久井はそのどちらのやり方も知りません。誰でも知ってることを知らない自分はバカなんだなと思います。そして初めは嫌がっていたキャロルだけど、そのうちすっかりほだされてメンフィスとラブラブに。しかし彼女の絶大なる影響力は各国に知れ渡り、アッシリアだのヒッタイトだのいろんな国々から次々と彼女を付け狙う権力者たちがやってきます。そしてさらわれちゃー戻り、またさらわれちゃー戻りを繰り返して60数巻。横恋慕されたい欲を刺激する王子和久井の脳内はけっこう王家に毒されていて、夢や憧れはすべて王家から教わりました。和久井の歴史好きは、たぶん王家のせいです。エジプトは憧れの旅行先です。そして和久井の理想の男性像は、キャロルの筆頭“ストーカー”・イズミル王子です。メンフィス王とキャロルの恋がエジプトをさらに熱く燃え上がらせているにもかかわらず、横恋慕して「その身も心も……この私になびかせてみせるぞ」とか強気なこと言ってます。こいつのせいで和久井は、横恋慕されるのにものすごい憧れがあります。奪われるほどに愛されたい。その上、ストーカーもされてみたい。最寄り駅で待ち伏せされて「おお、会いたかった……」とか言われたい。いつでも冷静沈着で理性的な王子だけど、キャロルのことにだけは大興奮でいつでも顔を赤らめてるところもかわいらしい。しかもイズミル王子はものすごいドSです。キャロルを柱にくくりつけて鞭で打ち、その後気絶したキャロルの服を脱がせて、自分で傷の手当てとかしてます。こうなるともう手当てと称して脱がせたいから鞭で打ったんじゃないか、という疑惑が浮かんできますね。イズミル王子、よくよく無理矢理が好きみたいで、大けがを負ったキャロルに「傷が見たい」とか言って、これまた服を剥がしてきます。でも決して余計なところを触ったり揉んだりしないんですよね。それ以上する気もなさそう。なんのために服を剥いだのか意味不明なほどです。彼の中の決まり事はけっこう明確で、キスは無理矢理してもいい、寝てるときにキスしたり服を脱がせても構わない、だけど結婚式を挙げるまではエッチはしない……何かのラインが彼の中に出来上がってるんですね。少女漫画は気持ちのいいスキンシップだけ一方で和久井はベラベラ大声でしゃべる男子はちょっと苦手です。王家で言えばメンフィスですね。メンフィスは、イズミル王子が送り込んだスパイ・ルカをまんまと王宮に引き入れて疑いもしないし、ヒッタイトの王宮に忍び込んだはいいけど大した策もなかったみたいで、見つかりそうになってキャロルに犠牲になってもらってるし、ちょっと短絡的で頭が弱そうです。メンフィスはキャロルとがっつりくっついていただき、あまったイズミル王子は和久井に払い下げていただきたい。しかもこの作品のいいところは、メンフィスやイズミル王子といったイケメンにはキャロルはいくらでも襲われて抱きしめられてキスされてるのに、その他のアルゴン王といったブサメンからは襲われないんです。物語に登場するのは、気持ちのいいスキンシップだけ。本当に、少女漫画って都合がいいですね。62巻も出てるけど、ストーリー自体は単純なので、割とサクサク読めちゃいます。GW、リア充たちの華やかなSNSを眺めつつ、旅行気分とラブラブ気分に没頭するのはいかがでしょうか。Text/和久井香菜子前回記事<「このメールは返信すべき?」男女の恋愛スタンスの違いが分かる『僕と君の大切な話』>もチェック!カップルで感想を言い合うのも面白いけれど、おひとりさまで読むのも面白い。
2017年04月26日(c)Nikolaj Erema結婚していない、子どもがいない。男性でもそうだけど、女性の場合は特に、こういった生き方を否定的に見られてしまう機会はまだまだ多い。私は現在、一人暮らしではあるのだけど、実はけっこう長く連れ添っているパートナーの男性がいる。年も年だし、長く連れ添っているんであれば、当然結婚を、せめて同棲を、と周囲は思うのだろう。だから、私が煮え切らないことをいうと、少し怪訝な顔をされる(気がする)。やっぱり、パートナーとは常に近い距離にいて、年相応になったら結婚したり、せめて一緒に住んだりしなければダメなのだろうか…と、自信がなくなることもある。おそらく、「未婚で一人暮らし」という生き方は、未成熟で宙ぶらりんな印象を周囲にあたえるのだろう。「一度決めたら死ぬまで一緒」が正しい姿?反面、入籍することを「身を固めた」なんて言い方で表現するように、結婚や出産は人生において重大な最終決定を下したかのようなイメージをあたえる。一度決めたら夫婦で住む、子どもが産まれたら家族で住む。離婚という形でチーム解散となる場合もあるけれど、基本的に「身を固めた」その決定は、互いの人生に死ぬまで作用することが想定されている。だけど、今後ますます多様化し、様々な選択肢が増えていくであろう未来の社会において、こういった従来の夫婦・家族像を社会で共有し続けることは、逆に結婚や同棲のハードルを上げてしまうことにはならないだろうか。一度は一緒に住むことを選んだものの、パートナーのどちらかが地方や海外へ転勤になったり、突如長期の一人旅をしたくなったり、寺にこもりたくなったり──人生の分岐点は無数にあるはずだ。夫婦に子どもがいる場合は、小さいうちは当然ながら多少の制約を負わなければならないだろうけど、手が離れたら「ちょっと留学してくる!」と夫や子どもを置いて一人でふらっと海外に行けるような余裕があってもいい。「夫婦・家族は常に一緒にいなければならない」という固定観念は、ときに未来を生きる人々の重圧になったりはしないだろうか。まだまだ自分の生き方を模索したっていい現在は一人暮らしの私だけど、誰にもこの自由を邪魔されたくない、他人と共同生活なんて無理、などと思っているわけではない。この先パートナーと一緒に住む機会が巡ってきたら、互いの生活習慣の違いに驚いたり、あたふたしたり喧嘩したりしながら、それはそれでけっこう楽しく生活するのではないかなと思う。だけどその後にまた、一人でふらっと海外へ出かけたり、孤独な時間が欲しいと思うタイミングもやってきてしまいそうだ。そういうとき、家庭や仕事を少し調整する程度でどこにでも行ける、「ひとり」と「ふたり」と「家族みんな」を行ったり来たりできる人生が、私の理想だ。今はまだ非現実的かもしれないけれど、人生の最終決定を下していないのは「おひとりさま」だけではない──結婚している人も、子どもがいる人も、皆一人で生きているし、まだまだ身を固めてなんておらず、死ぬまで自分の生き方や思想を模索できる。この「おひとりさまのあたらしい住処」特集の佐々木俊尚さんのインタビューを読んでも、そんな人生を選択する人は、そう遠くない未来に増えていくのではないかと思う。「ひとり」も「ふたり」も「みんなで」も全部選べるし、全部楽しめるような社会になったら、未婚の女性も既婚の女性も、救われる人は多いはずだ。個人的な話をすると、私は昨年末に引っ越しをした。新しい部屋は、前より少しだけ広くて、雨の日はしとしとと水滴が地面を打つ音が響く。雨の音を聴いていると、昨年旅したバリ島を思い出して、寂しいような、でも温かいような、少し不思議な気持ちになる。いつか「ふたり」や「みんなで」を楽しむ日もやってくると思うけれど、今はまだ、この静かな雨の音を、一人で聴いているのも悪くないかなという気がしている。Text/チェコ好き特集「おひとりさまのあたらしい住処」もあわせてご覧ください!・これからの社会は「弱い繋がり」で生きやすくなる/ジャーナリスト・佐々木俊尚さん(前編)・同世代の繋がりだけではキツイ!崩壊する老後の生き方/ジャーナリスト・佐々木俊尚さん(後編)
2017年04月25日人生、何が起きるか分からないから面白いはじめまして、こんにちは。あたそです。変な名前ですよね。今日から隔週で、ひとり遊びについて色々書いていきます。まず、自己紹介を兼ねつつ、私が毎日のひとり遊びをする上で語らなければならないのが、Twitterです。Twitter、利用されている方も多いと思います。私もなんとなく流行りに乗って数年前から使いはじめ、気が付けばフォロワーが8万6千人。ドイツ国内の弁護士の数や京都府舞鶴市の人口と同じくらいなんですって。おいおい、まじかよ。数字だけ見ると、ドイツの弁護士多すぎでは?さて、Twitterをはじめてから、私のことを面白がってくれる人が周囲に現れ、トークイベントや原稿執筆、インタビューなど、色んな仕事をさせてもらえるようになりました。当初は、「どうしたらフォロワーが増えるのか?」「どういうツイートがウケるのか?」など、色々考えながらツイートをしていましたが、2万人くらいになった時に、そんなことどうでもよくなってしまって、今ではノンストレスで色んなことを主張しています。ごくたまに、フォロワーが増えて同じようなネタしか呟かない人とか、キャラ作ってるんだろうなあ~みたいな人とか見かけますけど、大変なんだろうなあ~……なんて思いながら画面を見つめています。たかがSNSごときのお話ではあるのですが、私の生活や友人関係はTwitterによって、ほんの少しだけ変化しました。普通に会社員をやって、普通に生きて、普通に死ぬだけの人生だと思っていたので、何があるかわからないですね! 本当!遊ぶ醍醐味、「感想言い合う」を叶えてくれるTwitter誰かと遊ぶ際の醍醐味と言えば、経験・体験を共有できる、感想を言い合えるなどがあると思います。Twitterをはじめてから、今や8万6千人にもフォローされているので、自分の好きな映画や美術館、旅行先など、必ず誰かが同じものを見ていたり体験したりしているんですよね。しかもたまに、全く知らない人からアドバイスをいただいたりもします。元々自分の好きなものを勧めるのも好きだったので、私の影響を受けて「好きになった!」と言ってくださることもあるんですよね。これが結構、嬉しかったりします。自分の知っている人だけではなくて、全く知らない人の真逆の意見を知れるので、興味深いし、めちゃくちゃ楽しいですね。例えば、現在上映されている『ムーンライト』という映画。私もさっそく観たのですが、抜け出すことのできない環境や“どうしようもなさ”みたいな絶望といった暗い気持ちを映し出す映像の美しさと台詞の少なさが心情を上手く表していて、終始感動していました。黒人社会を主題にした作品なのですが、Twitterの反応を見ていると、同性愛的なシーンも含まれているためか「気持ち悪い」と思う人もいるみたいで。作品の要的な部分だったりするのに、ただ単純に「気持ち悪い」と評価する人もいるんだなあ~…と少し驚いてみたりもしましたね。そんな風に、作品の根本を否定するような意見もありますが、評論家・批評家だけではなくごく一般の人の考えや捉え方も知れるので、様々なシーンを思い返しながら、自分の意見や考えも精査するのが、新たな発見だったりします。普通に生きて生活して誰かと知り合ったら、まず距離を保ちながら少しずつ会話をしていって、それでもっと仲良くなったり離れたりしていくんだろうけど、時間が経ってからじゃないと見えて来ない部分というのは必ずあると思います。でも、TwitterをはじめとするSNSを見ていると、どういうものが好きか? どんな意見を持っているのか? 何に影響されているのか? みたいな、その人を形成したものが見えてくるので、そこもまた醍醐味ですよね。もちろん、ネット上だけの人格を評価する訳ではないんですけど。「ひとりで行動したい」「誘うのが面倒くさい」「でも、誰かと語りたい」私がなぜ、ひとり遊びが好きか? というと、理由は様々あるんですけど。まず、同じ趣味な人を見つけるのが大変、そして誘うのが面倒くさい。さらに、酔っ払ってないと長時間まともに会話できる人がいない…など。クソですよね。そもそも人に気を遣えないし、あまり友達がいないのですが(笑)。一人で行動するのも苦ではないし、「やりたい!」って思ったら後先考えずに行動したいタイプなので、大体一人で色んなところに行ってしまうんですけど、Twitterを始めてから単独行動の拍車がかかってしまっているように思います。韓国くらいならノリで行ってしまうので、暇そうな友人2~3人に声を掛けてみるものの、見事に断られましたね。そりゃそうか。静岡も誰も付き添ってくれなかったからなあ(笑)。「自分が何かしたいときに誰かを誘うのが面倒くさい」「人に気を遣うくらいならひとりで行動したい」「でも、誰かと意見を言い合いたい」という、面倒臭い性格が混在している私にとって、Twitterというのは趣味のひとつとしてとても便利だし、色々助けられている気もしています。でも、めちゃくちゃ赤字だというTwitter社。「2017年がTwitterにとって重要な1年になる」とかなんとか言われているみたいなんだよなあ…潰れないでくれ…!Text/あたそ前回記事<旅先で出会った水タバコ「シーシャ」で自分の思考や思い出を整理する>もチェック!旅の途中で出会った「水タバコ」。その魅力とは?
2017年04月18日