「藤城清治版画展」が、大丸東京店9階イベントスペースにて2020年8月12日(水)から8月18日(火)まで開催される。藤城清治は、影絵や絵本、壁画などを制作する影絵作家。慶應義塾大学在学中より影絵劇創作活動を開始した藤城清治は、大学卒業後に絵の劇団「ジュヌ・パントル」を結成。また、編集者・花森安治に見出され、雑誌「暮しの手帖」にて長年にわたり影絵を連載した。96歳になった現在も、作品制作に力を注いでいる。「藤城清治版画展」では、光と影を表現した、幻想的な藤城清治の複製画100点を展示販売する。木の影絵に色彩鮮やかな背景、光を描いた「大きな祈り」や、月の光と影のコントラストが印象的な「月光の響き」など、繊細でファンタジックな世界観の作品が集結。観覧車や楽器、魚、鳥、自然の背景を1枚の影絵で緻密に表現した「生命讃歌」も登場する。【詳細】藤城清治版画展開催期間:2020年8月12日(水)~8月18日(火)開催場所:大丸東京店9階イベントスペース住所:東京都千代田区丸の内1-9-1・「大きな祈り」 330,000円・「月光の響き」 550,000円・「アリスのハート」 88,000円・「生命讃歌」 733,425円※価格は全て税込。
2020年08月02日『光のこびと こころの恋人 藤城清治版画展』が、大阪・大丸梅田店の大丸ミュージアム<梅田>にて、2019年7月24日(水)から29日(月)まで開催される。『光のこびと こころの恋人 藤城清治版画展』では、影絵作家の藤城清治の作品を紹介する。 慶應義塾大学在学中より影絵劇創作活動を開始した藤城清治は、大学卒業後に、絵の劇団「ジュヌ・パントル」を結成。また、編集者・花森安治に見出され、雑誌「暮しの手帖」にて長年にわたり影絵を連載した。会場では、光と影を使い、幅広いテーマで製作された新作版画や名作、絵本、書籍、グッズを取り揃え、販売する。【詳細】『光のこびと こころの恋人 藤城清治版画展』会期:2019年7月24日(水)~29日(月)会場:大丸ミュージアム<梅田>大丸梅田店 15階住所:大阪府大阪市北区梅田3-1−1入場時間:10:00~20:00 ※最終日は18:00入場料:無料■藤城清治サイン会日時:7月27日(土)・28日(日) 各日13:30~※サイン会当日に会場で対象商品を含むレシート1枚につき、税込3,000円以上購入した先着100名(1家族につき1枚)に整理券を配布。※本人または天候・交通機関の状況により、 予告なくスケジュールを変更・中止する場合あり。
2019年07月13日10月中旬の穏やかな午後。東京・目黒の閑静な住宅街にあるスタジオ。ここの主である影絵作家の藤城清治さん(94)は、2階のアトリエで制作の真っ最中だった。藤城さんといえば、瞳の大きな“こびと”や愛らしい動物たちが登場する影絵でおなじみ。誰もが『暮しの手帖』の連載やカレンダーなどで目にしたことのある国民的アーチストである。画業80年を超える今も、毎年のように展覧会を行い、東日本大震災には自ら被災地にも足を運んで作品を発表するなど、創作の第一線での活動が続いている。50畳もある仕事場には大きなライトテーブルがいくつも並び、作業台には夥しい数のカラーフィルムやペンなどが置かれ、天井からは何枚もの作品が下がっている。「これは、イノシシ。ちょうど来年の干支だね」愛用する片刃カミソリを一心に動かしながら、藤城さんが言う。目の前で右手がシャッシャッと動くたびに、鉛筆の下絵から、かわいいウリ坊の背中に密集した毛の一本一本が切り出されていく。「いつもカミソリの刃が当たっている僕の中指は、このとおり削れてしまって、人さし指なんてこんなにカチカチだよ。ほら」差し出された指に触れれば、石のような硬さ。その無骨な指先に、藤城さんが影絵作家として積み重ねてきた歳月が年輪のように刻まれているのだった。1924(大正13)年4月、藤城さんは東京・品川に生まれた。小学校での転居後はずっと現在の地で暮らしている。慶應大学附属中学の普通部に通っていた12歳から油絵を始め、日本社会全体に戦時色が濃くなるなか、慶應の予科(高校)へ。学園祭で上演された人形劇を見たことで、「大人も楽しめる人形劇をやろう」と決心するが、徐々に授業はなくなり、勤労動員に駆り出されていく。その後、海軍予備学生に志願して海軍航空隊に入隊。少尉となった弱冠20歳で、10代半ばの少年兵を率いて、千葉の九十九里海岸で訓練を行った。慶應大学経済学部の2年に復学し、人形劇団「ジュヌ・パントル」を結成したのが終戦の翌年。続いて文学部の講師だった小澤愛圀先生を通じて影絵と出合う。「先生のお宅で、アジアの影絵芝居の写真を見せてもらって、妖しい魅力に、これぞ人形劇の原点だと、いっぺんでまいっちゃった。物資も乏しい時代でしたが、影絵なら、ロウソクや裸電球があればできるんじゃないかと思って」大学卒業後は、父のツテで銀行に内定していたというが。「なんとなく銀行はイヤで(笑)、影絵に近いと思って、勝手に映画会社の宣伝部に入社したんだ。ここでパンフレット表紙のスターの似顔絵だけでなく、企画から編集まですべて一人でやりました」この東京興行(現・東京テアトル)での奮闘のなか、淀川長治さんら偉才との交流も始まるが、人生の転機となったのが、当時『スタイルブック』編集長の花森安治さんとの出会いだった。最初は、鋭い社会批判を行う姿勢に憧れて藤城さんから訪問したが、逆に花森さんはすぐに一流編集者の目で、藤城さんの若い才能を見抜いた。「今度、新しい婦人雑誌を作るんだが、手伝ってくれないか」こうして戦後の日本社会に新風を巻き起こす『暮しの手帖』に創刊号から関わっていく。「3号目の打ち合わせのとき。たまたま停電になってね。間をもたせるため、影絵の話をしたんだよ。そしたら、花森さんは影絵にも詳しくて、『君の影絵はきっと流行るよ。これからは、人が生きていくうえで、何かためになる作品を作らなきゃダメだ』と」こうして始まった藤城さんの影絵は、『暮しの手帖』の顔の一つとして、以降、48年間に及ぶ大連載となる。結婚は24歳のときで、やがて1女をもうけた。妻となる千代さんは、会社の同僚だった。「僕の1年後に入社してきた宣伝部長の秘書でした。最初は気取ってるなと思ったけど、話すとすごく自然体で、いいなぁと(笑)」26歳で、最初の影絵の絵本『ぶどう酒びんのふしぎな旅』を花森さんの後押しもあり、出版。2年後には、銀座の交詢社ビルで人形劇『雪の女王』を上演。ちなみに今も藤城さんと親交がある黒柳徹子さんは、この作品を見たことがきっかけでテレビの世界へ誘われたと、のちに語っている。藤城さんは着ぐるみの人形劇団「木馬座」を結成後、テレビ番組『木馬座アワー』で、世の子どもたちの人気を独占するのが42歳のとき。いちばんの人気キャラは、もちろんカエルの“ケロヨン”だ。「武道館をはじめとするショーなどで、ケロヨンの中に入っていたのは、家内なんです。僕も身内には何でも言えるから、『観客席に飛び降りろ!』なんてね(笑)」そうしたなか、思いがけない依頼が届く。「皇太子妃時代から、美智子さまは、僕が『暮しの手帖』やオリジナルカレンダーに掲載していた影絵をご覧になっていたようで、’88年の『つり橋はぼくのハープ』という作品を、ぜひ原画でご覧になりたいとのお申し出がありました。僕自身、当時はこの作品を最も気に入っていたこともあり、本当に深いご理解を示していただいたことに感激して、お譲りさせていただくことにしたんです」以降、御所で、美智子さまがハープを演奏される部屋には、この作品が飾られているという。「皇后陛下になられてからでしたが、影絵のお話をしに皇居へうかがったこともありました。美智子さまはアジアの影絵芝居などにもお詳しくて、ご質問も的確なことに感服いたしました」もっと以前の’65年には、こんなほほ笑ましいエピソードも。「当時、学習院の幼稚園に通われていた皇太子殿下の浩宮さまが、木馬座のミュージカルを三越劇場に観劇にいらして、着ぐるみの馬に乗って、場内を回るという楽しいハプニングもありました。また、皇太子殿下とご結婚された雅子さまは、ご実家がうちのアトリエの“ご近所”という不思議なご縁もあるんです」雅子さまの少女時代のころには、藤城さんのアトリエには木馬座のキャラクターの着ぐるみなどがたくさん保管されていたという。「雅子さまは玄関先に置いていたケロヨンに毎朝、ご挨拶されて通学していたそうです」美智子さまにはじまり、皇太子ご一家や秋篠宮ご一家など、皇室ファミリーはこぞって藤城さんのファンで、展覧会にもたびたびお出ましになっている。藤城さんは言う。「皇族の方々は、みなさん、動物好きで、いつも生き物すべてに対する深く大きな慈愛を感じております。僕も、影絵でさまざまな動物を描きます。たとえば、猫。作品を作るとき、僕は猫が人気だからとか、自分の飼い猫のかわいさを伝えたいのじゃなくて、猫という生き物そのものの素晴らしさを伝えたいと思っている。つまり動物でも、人でも、一様に“生きる喜び”を描きたいという純粋な気持ちなんです」
2018年11月22日カセットテープと再会する今となっては、ネットでダウンロードが普通な音楽も、ポータブルに聴けるようになった頃のメディアは、カセットテープだった。カセットテープをよく聴いていたのは、ローティーンの頃だったかな。iPod で音楽を聴くようになって久しいのに、最近やけに気になる。 カセットテープ&レコード店・waltz のオーナー・角田さんは「役割を終えたメディアに新しい価値を創造したい」と言う。ここで再会したカセットテープは、音質をも楽しむ一つのコンテンツになっていた。昔は音楽を聴くための手段に過ぎなかったはずなのに。見慣れた愛聴盤のジャケットは、カセットテープだと長方形、それも新鮮。ざらざらしたカセットテープの音にうっとりと耳を傾ける休日は、いつもより少しだけいい時間が流れている気がした。 waltz東京都目黒区中目黒4-15-5tel : 03-5734-1017open : 13:00 ~ 20:00月曜定休waltz-store.co.jp ブックマークは、本に合わせて 本を買うとついてくる出版社や書店のものを、何気なく使っていることも多い。でも、本の内容に合わせてしおりを選んでみたら。たとえば、恋の物語には可憐な花のモチーフを。女性が自由に活躍するエッセイには、羽ばたく蝶のモチーフを。装丁が本の内容を盛り上げるように、しおり次第でも本がもっともっと魅力的なものになるなんて! なんだか自分も本作りに参加している一員の気分にもなる。 現実脱出論(坂口恭平)xメモ型しおり メモ型のしおりは、感想や情報などを記して挟んでおくと、次にページを開いたときにも楽しい。BOOKMARK MEMO PAD ¥480/ BIBLIOPHILIC(ビブリオフィリック&ブックユニオン 新宿) 「「あまカラ」抄」(高田宏編)X木のしおり BIBLIOPHILIC が家具・木工ブランドのOak Village とコラボレーション。天然のヒノキ、カバ、スギの3種類展開。WOODBOOKMARK( 上から) ヒノキ、カバ、スギ 各¥450 /すべてBIBLIOPHILIC(ビブリオフィリック&ブックユニオン 新宿) 「暮らしの眼鏡」(花森安治)Xサングラス型のしおりまるでリゾート地で読書をしているような気分になれる、スタイリッシュなサングラス型のしおり。しっかりとした素材で、ロゴ入りなのもうれしい。SUNGLASS¥3,500 / BOOK MARC(私物) 「谷川俊太郎詩集」X花モチーフのしおり(パンジー)花びらのところは立体的な作りになっているので、まるで本から花が咲いているようにも見えてにっこり。HOTEL BUTTERFLY ブックマーカー(下のデイジーと2枚セット)¥750 / D-BROS 「美しい恋の物語」(ちくま文学の森)X花モチーフのしおり(デイジー)押し花を作るときのように、本のページに花を挟むことができる。恋の物語がよく似合う可憐なしおり。HOTEL BUTTERFLY ブックマーカー(上のパンジーと2枚セット)¥750 / D-BROS 「わたしは驢馬に乗って下着をうりにゆきたい 」(鴨居 羊子)X蝶々モチーフのしおり羽を広げて本のページに挟むと、蝶が羽を休めて止まっているように見える、ロマンティックなデザインのしおり。HOTELBUTTERFLY ブックマーカー(2枚セット)¥750 / D-BROS ジェーン・バーキンになりたくてジェーンに取材する機会があった。エルメスの“ バーキン” を持っていた彼女は、撮影前に赤い口紅をそのままバッグから出して塗った。あの有名なかごバッグも、そんな風になんでもバサバサと詰め込んで使っていたらしい。インタビュー後、カフェで余韻にひたっていた私たちの元にマネージャーがやってきて言った。「ジェーンの口紅がなくなったのですが、知りませんか?」。“ 正確さ” や“ ていねいさ” ばかりが求められる今、そんな適当さが心地いい。去年の思い出。リゼッタのフランスのかご展で手に入れたかごを手にして、週末は鎌倉に行こうかなと、思う夏の日。 エンベロープオンラインショップ www.envelope.co.jp / www.lisette.jp onkul vol.5 より
2018年08月20日東京・世田谷の世田谷美術館にて2月11日から4月9日まで、「花森安治の仕事―デザインする手、編集長の眼」が開催される。花森安治は、戦後まもない1948年9月に、自身が編集長を務める生活家庭雑誌『美しい暮しの手帖』(後の『暮しの手帖』)を創刊し、衣・食・住を基本に、“もの”のない時代には工夫とアイデアによる豊かな暮らしを提案。また、高度経済成長期には“日用品の商品テスト”を実施するなど、それぞれの時代に向けてメッセージを発信してきた。取材や執筆、制作から宣伝までを手がけ、30年間にわたり一切広告を入れることなく発行100万部に迫るまでに成長させた。同展では、花森安治の足跡を学生時代から全6章の構成で辿る。『暮しの手帖』の編集長として手がけた約30年分の仕事を敗戦直後から4つの時期に分けて詳しく紹介し、晩年読者に向けて繰り返し発したメッセージ「一銭五厘の旗」(庶民の暮しの旗)に込められた反戦や人々へ日々の想いについても焦点が当てられる。最終章では、ランダムに集められた、多様な“もの”たちに注がれた花森の、鋭くも温かい眼差しに触れられる。また、暮しの手帖社の全面協力のもと、花森が編集長を務めた創刊号から153号までの『暮しの手帖』の全バックナンバーから一部誌面を紹介。誌面作りの素材となった表紙の原画や写真、版下などの画稿、花森の直筆原稿や中吊り広告なども公開される。さらに、関連のドキュメント写真や、外部出版社から依頼された装幀の仕事なども紹介され、生涯を一編集者として生き抜いた花森の仕事の全貌を、全約750点の資料により知ることができる展覧会となっている。【展覧会情報】「花森安治の仕事―デザインする手、編集長の眼」会期:2月11日~4月9日会場:世田谷美術館住所:東京都世田谷区東京都世田谷区砧公園1-2時間:10:00~18:00(入場は閉館30分前まで)休館日:月曜日(ただし3月20日は開館)、3月21日観覧料:一般1,000円(800円)、65歳以上800円(600円)、大高生800円(600円)、小中生500円(300円)※()内は20名以上の団体料金、障害者は500円(300円)、ただし小中高大生の障害者は無料、介助者は当該障害者1名につき1名無料※作品画像の転載及び、コピー禁止
2017年02月09日生活総合雑誌「暮しの手帖」(暮しの手帖社)を創刊した大橋鎭子と花森安治の軌跡をモチーフに、4月から始まったNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」。10歳のころに父親を病気で亡くした後、家族を守るため「とと(=お父さん)」になると宣言した三姉妹の長女・小橋常子を高畑充希が演じている。父親の死後、母親と三姉妹の4人家族となった小橋家は、静岡・浜松から東京に移り住んだが、その小橋家にふらりとやってきてはすぐに去っていく一風変わった人物がいる。亡くなった父親の弟・小橋鉄郎(三姉妹にとっては叔父)で、演じるのは向井理。「ゲゲゲの女房」(2010年上半期)以来6年ぶりの朝ドラ出演となった向井さんが、「とと姉ちゃん」に参加して感じた朝ドラの「進化」と、ヒロインに抜擢された高畑さんへの期待を語った。鉄郎は生まじめだった兄とは違って、定職に就かず、一獲千金を夢見て、砂金、うなぎの養殖、カブトムシの販売など、あちこちに手を出しては失敗ばかりしている風来坊。小橋家のいる場所に突然やってきては、引っかき回して去っていく。三姉妹からは「定職に就いて下さい!」と説教されてしまうという人物だ。そんな鉄郎を演じていて、向井さんは、「思い返すと、あまりやったことがない役なので新鮮です。明るい役なので気楽にやれますね。嫌われないようにやらなければならないと思いますけど、どこか『面倒くさいな』と思われるような調子のいい役です。こっちも調子が良くなるので、楽しいです」と心境を明かす。ヒロイン役の高畑さんについては、「すごくまじめな方ですね。出来上がっている感じがしますので、僕が何かを言うことはありませんが、本当にしっかりしています」と絶賛。一方では、「高畑さんはブレないから、ブレさせるのが大変です」とも。イタズラ心を持ちながら役に挑む向井さんは、高畑さんを“ブレさせる”ためにアドリブを行うこともあるそうで、「高畑さんをドキッとさせたいなと思って、顔が近づいたときに、本番だけウインクをしたことがあります。高畑さんは、固まっていましたけど(笑)。でも、それがキュートでした」と撮影現場での一幕を回想し、「お芝居もしっかりしています。ただ、あたふたしなければいけないときがあります。NGになってもいいので、肩の力を抜いてやってもらいたいなというときに、僕みたいなキャラクターがいると便利なのかなと思います」。朝ドラに出演するのは、ヒロインの夫である村井茂(水木しげる)役を演じた「ゲゲゲの女房」以来6年ぶりとなる向井さん。「とと姉ちゃん」に参加して、朝ドラが「進化している」と感じたそうだ。「とと姉ちゃん」は「ゲゲゲの女房」と同様に「派手さと言うよりは、台本の良さを繋いでいく作品」とするも、ドラマとしての総合的なクオリティという観点では「いままでとは計量が違う作品だなと思います」と驚きを明かした。「技術的なものやテクニックだけではなく、カメラの性能だったり、色々なもののクオリティがどんどん上がっているなと思います。現場で見ていて分からないことを、オンエアされたものを見て発見することもあるので、オンエアがとても楽しみです」。劇中では、浜松時代に、闘病中のため家族で花見に行くことができず残念がっていた父親を励ますため、常子たちが花が散った桜の木に、布で作った花びらを満開に取り付けた場面があった。向井さんは、「布で作った桜の木を撮ったり、ああいうのはいままではなかったな」と感慨深そうに思い返していた。風来坊とはいえ、父親を失った小橋家にとっては唯一の男の親類となった鉄郎。行動力はあるものの一本気で生まじめな面もある常子では想像すらできないことを、さらりと口にしたりもする。そんな鉄郎が今後、小橋家とどう係わり、常子にどんな影響を与えていくのか。向井さんが演じる鉄郎にも注目したい。(竹内みちまろ)
2016年05月24日4月から好調なスタートを切ったNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」。生活総合雑誌『暮しの手帖』(暮しの手帖社)を創刊した大橋鎭子と花森安治の軌跡をモチーフにして、三姉妹の長女・小橋常子(高畑)が家族を守るため、「とと(=お父さん)」になることを目指す物語だ。両親と三姉妹からなる小橋家は、静岡・浜松で仲良く暮らしていたが、常子が10歳の時に父親の竹蔵(西島秀俊)が結核のため亡くなった。東京へ移り住み、紆余曲折の末、仕出し屋「森田屋」に一家で下宿することになった。その森田屋の一人娘・森田富江を演じるのが、2015年夏にAKB48を卒業し、女優として活躍する川栄李奈。朝ドラ初出演となり注目を集めている川栄さんが、スタジオでの収録後、朝ドラに抜擢された心境と、女優としての目標を語った。役柄の富江は、「森田屋」に来たばかりの常子に辛く当たる。役作りには苦労しているようで、「『富江ちゃんはクールな子です』と言われていたのですが、クール過ぎてしまって。『クールなんだけど優しい子です』と言われました」とふり返った。一方、「森田屋」は賑やかな家族で、「森田屋」の人々を演じる秋野暢子、ピエール瀧、平岩紙、浜野謙太らと過ごす撮影現場は笑いに満ちている。「ピエール瀧さんが本当に面白い方です。衣装からお腹がちょっと見えているのですが、撮影の合間にも、お腹を出して遊んでいます(笑)」と表情をほころばせた。主演の高畑さんについては、「お芝居が上手ですし、表現力が豊かだし、こういうしゃべり方があるのだと学んでいます」と現場での様子を紹介。「でも、ちょっとおじさんぽいと言いますか(笑)ふんわりした感じなのかなと思っていたのですが、空き時間にイカを食べていたりします。『あっ、イカを食べるんだ!』と思いました(笑)」とも。そんな川栄さんは、AKB48にいたころから女優への思いを持っていたそうだ。「朝ドラは自分の目標でもあったので、夢がかなったと言いますか、朝ドラに出られて嬉しいです」と笑顔。「共演者の方々が経験抱負で、お芝居がすばらしいです。人柄は本当に面白いし、学ぶところがたくさんあります」と目を輝かせた。女優としての将来的な目標の話題では、「30歳や40歳になっても、活躍できるような女優さんになりたいなと思います。幅広く色々な役を経験して、『あの子、色んな役ができるよね』と言われるような女優さんになりたいです」と抱負を言葉にした。すでに、人気コミック「DEATHNOTE」の実写映画化シリーズ最新作『デスノート2016』(2016年秋全国公開予定)にて、無差別殺人を繰り返す青井さくら役を演じることが発表されているが、ホラー映画も好きと言い、「ちょっとグロい映画が好きなので(笑)犯人とか、“こいつ、やばいのではないか?”という役もやりたいです」と軽やかに答えた。劇中で、ヒロインの常子は、父親が亡くなった後、家族の前で「ととになります」と宣言し、母親(木村多江)から、父親が何気ない暮らしの中の一瞬、一瞬を大事にしていたことを教えられた。忙しい毎日を送る川栄さんだが、「自身にとっての日常の中にある幸せ」を尋ねられると、「普通に家に帰って、テレビを見て、お風呂に入って、寝ることが幸せです。家に帰ると、何も考えずにボーっとしているのですが、そのときが、すごく幸せです」と笑顔を見せた。(竹内みちまろ)
2016年05月10日