福島県会津若松市門田町の北御山集会所で天皇・皇后両陛下を始め宮家に献上する「会津身不知柿(あいづみしらずかき)」の箱詰め作業が11月26日に行われた。北御山生柿生産出荷組合の農家が生産した柿を厳選し、会津地方振興局の職員らが柿を一つ一つ丁寧に磨き上げ、和紙に包んで箱詰めした。今年は、夏場の雨不足で例年よりやや小ぶりであるものの、甘味の強い柿ができた。「身不知柿」は、ビタミンAやビタミンC、カリウムなどの栄養を豊富に含むのが特徴。さらに二日酔いや悪酔いに効果があるタンニンが多く含まれている。名称の由来は、「枝が折れそうなほどにたくさんの大粒の実をつける」ことからだという説や「あまりに美味しいので我が身も考えずに食べすぎてしまう柿」だという説などがある。「献上柿」は1928年、会津藩主ゆかりの松平勢津子様が秩父宮様とご結婚されたお祝いとして献上されたのが始まりだ。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月04日俳優の西村雅彦率いる「ドリス&オレガコレクション」の第6弾公演『地球の王様』が、10月26日、東京・シアター1010にて開幕した。初日前日の25日にはマスコミ向けに公開リハーサルが行われた。『地球の王様』チケット情報脚本を手がけるのは、「ドリス&オレガコレクション」への参加はこれが4度目となる金子茂樹。また映画『沈まぬ太陽』やドラマ『やまとなでしこ』などで知られる若松節朗が、初の舞台演出に挑戦している。物語はウィルスの感染により、世界中の人々が死に至る事件が勃発したことからはじまる。生き残った6人の日本人たちは、時に衝突しながらも、富士山の山小屋で穏やかな日常を過ごしていた。そんなある日、宇宙飛行士を名乗るひとりの男が山小屋に現れる。彼はウィルスが蔓延する前に宇宙へと旅立ち、地球に戻ると、生命反応が確認出来るのは今この場にいる7人だけになっていたと言う。人類存亡の危機に直面した7人。彼らは残された人類のリーダーとなるべき、“地球の王様”を決めようとするのだが……。“人類再生”という壮大なテーマを掲げながらも、そこに登場するのは食品会社の社員と清掃員という、いわゆるフツーの人々。だからこそ彼らは、嫌味な上司に対して愚痴をこぼすこともあれば、恋愛を巡ってすったもんだも巻き起こす。とても“地球の王様”に選ばれる者とは思えない、身勝手で情けない、でも妙に愛おしい、小市民たちの実像が浮き彫りになっていく。しかしそこに一石を投じるのが、“宇宙飛行士”というトップレベルの肩書きを持つ男の存在。ウィルスさえ無ければ、彼とほかの6人の人生が交わることは恐らく一生なかったであろう。しかし地球上に残された人類は、この7人の男女のみ。そんな状況のなかで彼ら彼女らがどんな決断を下すのか、非常に興味深いラストが待っている。カンパニーを引っ張るのは、やはりベテランの西村。クセのある中年男のなかに見え隠れする、悲哀とかわいらしさを体現させたら、この人の右に出る者はいないだろう。宇宙飛行士役の永井大は、自尊心の強い男ならではの表と裏の顔を使い分け、真骨頂を見せる。ほかに岡田義徳、大塚千弘、浅利陽介、高橋ひとみといった実力派が脇を固め、清掃員役の片桐仁が、独特の空気感と間で客席の笑いを誘っていた。近年の世界の状況を考えれば、この物語が現実になる日もいつか来るのかもしれない。だがそんななかでも生きていく、人間の図々しいほどのたくましさを、この舞台に見た気がした。公演は兵庫、宮城、大阪、福岡と各地を巡演する。なお、東京公演は11月14日(水)から25日(日)まで紀伊國屋サザンシアターにて上演。チケットは一部を除き発売中。取材・文:野上瑠美子
2012年10月26日先日、亡くなった若松孝二監督のお通夜および告別式が10月23日(火)、24日(水)に都内で営まれ、井浦新、寺島しのぶ、佐野史郎、高岡蒼佑、高良健吾ら若松作品に出演した俳優陣など多くの映画関係者が参列し故人を偲んだ。若松監督は12日(金)に自動車にはねられ、搬送された病院で17日(水)に息を引き取った。祭壇には今年公開された『海燕ホテル・ブルー』の伊豆ロケの際に撮られたトレードマークのサングラスをかけて笑顔を浮かべた監督の遺影が置かれ、生前に好んだ黄色い花で埋め尽くされた。佐野さんは8月に行われた湯布院映画祭で監督と顔を合わせ、「同じ部屋に泊まって、遅くまで語り合った」という。「教わったことを少しずつでも伝えていけたらと思います」と語った。通夜に足を運んだ高岡さんは、遺作となった『千年の愉楽』の主要キャストに抜擢されたが「監督は『ひとりで戦っている面白い奴がいる』って感じで面白がって使ってくれたんだと思う。会うといつも褒めてくれて『お前は大丈夫だ』って言ってくれた」と感謝の思いを口にし「(別れが)こんな形で悔しい」と唇を噛んだ。同じく通夜の参列者のひとり、奥田瑛二は若松作品への出演はなかったが、長年の飲み仲間だったそうで「なぜ?という思いしかない…」と沈痛な表情。「近年の尋常じゃない多作は生き急いでいたのかな?でも120%生きた方だったと思う」と語り、「1作も一緒に仕事をすることはなく終わってしまって残念です」と無念をにじませていた。参列者の中には『餌食』(’79)、『水のないプール』(’82)で若松作品の主演を張った内田裕也の姿も。「突然の死で、若松のオヤジらしいっちゃらしい。こんな早く死んでんじゃねーよ、バカヤロー!」と寂しそうな表情を見せた。24日の告別式では『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』以来、多くの若松作品に出演してきた井浦さんが弔辞を読んだ。井浦さんは先日行われた釜山国際映画祭で監督と共に渡韓。帰国後の事故に遭った12日夜も新宿で一緒に飲んだそう。井浦さんに見送られた後に、監督は道路を横断しようとして車にはねられた。井浦さんは「あれが最後の別れになるなんて思いませんでした」と涙まじりに語り、「たくさんの言葉をいただき、僕の人生を変えてしまうくらいの経験をさせていただきました」とわずか6年ながらも濃密な若松監督と過ごした時間をふり返った。式後に改めて報道陣の取材に応じた井浦さんは「『僕らは前進します』ということを伝えた」と監督に語りかけた思いを明かした。寺島さんは「付き合いは短かったけど、かけがえのない時間でした。しょっちゅう現場で怒鳴るし、グサッと来るようなことを言うけど、正直な方だからその分、人と向き合ってくれた」と語る。ベルリン国際映画祭で主演女優賞に輝いた『キャタピラー』は「子供が欲しくて1年ほど休もうかと思ってたときにいただいた台本だった」と明かし、「監督も事情を知っていたから、子供が生まれたときは一番に電話をくれた。『千年の愉楽』も産婆さんの役だったので『子供連れて舞台挨拶してよ』と仰られて、それが最後になってしまった」と声を詰まらせた。通夜には800人、告別式には600人もの人々が足を運び、最後は生前の監督の望み通り、参列者の大きな拍手に見送られて棺を乗せた車は葬儀所を発った。■関連作品:千年の愉楽 2012年秋、全国にて公開海燕ホテル・ブルー 2012年3月24日よりテアトル新宿ほか全国にて順次公開© 若松プロダクションCATERPILLARキャタピラー 2010年8月14日より公開© 若松プロダクション実録・連合赤軍−あさま山荘への道程 2007年12月22日より名古屋シネマスコーレにて先行上映、2008年3月15日よりテアトル新宿、テアトル梅田にて公開© 若松プロダクション
2012年10月24日福島県会津若松市のシンボル鶴ヶ城で、紅葉の時期に合わせてライトアップが行われる。期間は10月19日(金)~11月11日(日)の日没~21:00まで。見どころは黄色に色づいたイチョウと青白く幻想的にライトアップされた鶴ヶ城天守閣、石垣、赤い廊下橋など。昼間とはまた違った美しい姿が現れる。鶴ヶ城は会津藩の松平氏を始め、数多くの大名が城主として君臨した城。鶴ヶ城を有名にした出来事は、幕末、戊辰戦争の戦いの舞台となったこと。特に飯盛山での白虎隊の自刃は、薩摩琵琶の語りやドラマや映画などで現在に伝えられている。ちなみに、2013年の大河ドラマは会津藩の砲術指南役である山本権八の娘、新島八重を主人公にした「八重の桜」だ。鶴ヶ城では幕末当時の姿である赤瓦への葺(ふ)き替えが2011年に完了。現存する天守閣では国内唯一の赤瓦だ。また、天守閣では「鶴ヶ城博物館」として貴重な資料を展示公開している。石垣の内部には塩倉、第一層には歴代藩主と城の変化、第二層には江戸時代の会津庶民の暮らし、第三層では戊辰戦争の様子を描いた錦絵が展示されている。第四層は四季をテーマに会津の人々の暮らしを展示。第五層は東西南北が見渡せる展望室となっており、白虎隊最期の地である飯盛山も見える。鶴ヶ城は唱歌「荒城の月」の作詞者である土井晩翠が詩の構想を練った場所の一つとされ、「荒城の月」の歌碑も建てられている。さらに千利休の子である千少庵が建てた茶室、「麟閣」もライトアップされる。千少庵は父の千利休が豊臣秀吉の命により切腹したあと、時の鶴ヶ城主蒲生氏郷にかくまわれていた際に「麟閣」を建てたと伝えられている。その後明治になり、鶴ヶ城取り壊しとともに「麟閣」も取り壊されようとしていたが、それを惜しんだ森川善兵衛が明治5年に自宅へ移築、その後120年の歳月を経て平成2年に元の鶴ヶ城へ移築された。ライトアップの詳細は会津若松観光物産協会ホームページで確認を。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月15日福島県会津若松では、「カレー焼きそば」のことを「B級グルメ」とはカテゴライズしない。ではどのように位置づけるのかというと、カレー焼きそばは「ソウルフード」、つまり「故郷の味」なのだという。「カレー」と「焼きそば」の見事なコラボレーション、会津のカレー焼きそばは会津市民にとって青春の味であるとともに、「会津っぽ(会津魂)」を象徴する、ソウルフードとして定着した。カレーと焼きそば。日本人の老若男女のほとんどが好きなB級グルメの両雄をコラボレーションさせることは、どうして会津若松以外の人たちは気づかなかったのだろうかと不思議になるほど、会津のカレー焼きそばとの出合いは、鮮烈な印象を与えるものであった。現在15店舗が加盟する「会津カレー焼きそばの会」の事務局がある、一七市町村物産市場「会津ブランド館」の一階にあるカフェを訪ね、運営責任者でテクニカルスタッフの代表取締役社長・佐藤正彦氏に会津カレー焼きそばを発想するに至った裏話を聞いてみることにした。その前にまず試食。トッピングを組み合わせたメニューは10種類近くになるが、まずは原点でもあるトッピングなしのカレー焼きそば(500円)をオーダーしてみた。太麺に会津産の野菜と、同じく会津特産のエゴマ油で炒め、ソースで味付けした焼きそばに中辛のカレーを上からかけている。もちろん、カレーの中にも会津産の人参が顔をのぞかせている。「いかがですか?カレー味の焼きそばではなく、焼きそばにそのままカレーをかけるというスタイル、おもしろいでしょう?」と佐藤氏。「本当にどうして全国の他の地域では考え付かなかったのか不思議でなりませんね。でも、なんでこの組み合わせを思いついたんですか?」との私の質問に、佐藤氏は軽く笑いを浮かべ、「ひょうたんからコマみたいな話なんですよ」と返してきた。カレー焼きそばの誕生は今から40年も前のこと。部活で腹をすかせ、家まではどうしても持ちそうにないと、発車までの時間、焼きそばを頼んだ高校生の一団が「発車時刻が迫ってるから、焼きそばとカレーと一緒に出して」と店の経営者に注文。出てきた焼きそばの上からカレーをかけたところ、これがなんと初めて食べる味ながらビックリするほどおいしい!!高校生の一団はみんなで皿を回しながら、「おいしい、おいしい」とがっついた。この話を翌日学校中に触れて歩いたところ、あっという間にみんながまねして人気メニューになったという。取材の途中、女子高校生のグループに話を聞いてみた。すると、カレー焼きそばを出す店は15店あるのだが、各店それぞれレシピは違うしトッピングも違うので、ひいきの店はみんな違うということが分かった。そして驚くべき事実も判明した。現在、カレー焼きそばの主なファンは高校生ではなく、40年前にこれをヒットさせ、今はもういい歳のオヤジたちとなった連中なんだとか。酒飲みが〆にカレー焼きそばを食べるというのだ。オヤジたちだけではない。店を閉めた後のママさんやホステスさんたちも、お客と一緒にお酒の〆に食べているという。「寝る前に食べると太るっていうけど、でもカレーは脂肪を燃焼させてくれるっていうし、気にしないで食べてるわ」と話す人も。カレー焼きそばの元祖「トミーフード」が店を構えるのは「野口英世青春広場」。そして、カレー焼きそばは会津の青春の味。読者の皆様、まずは一度、その味をご自分の舌でお試しあれ。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月10日福島交通は9月1日より、期間限定で新路線「新白河 - 大内宿 - 若松線」の運行を開始する。11月25日までの土日祝日のみの運行で、予約不要。同路線は、東北新幹線の停車駅であるJR新白河駅から、奇岩怪岩の名勝「塔のへつり」や江戸時代の茅葺き屋根の町並みが残る「大内宿」などを経由し、会津の温泉地および会津若松駅までとなる。上下各1日2便を東北新幹線新白河駅の発着時刻に合わせて運行。東北新幹線で新白河駅を降りてからバス1本で会津に向かうことが可能になる。運行経路は、新白河駅からキョロロン村、下郷町役場、塔のへつり、湯野上温泉駅前、大内宿、芦ノ牧温泉、鶴ヶ城入口、会津武家屋敷(東山温泉)、会津若松駅。運賃は新白河駅~会津若松駅・会津武家屋敷(東山温泉)・鶴ヶ城入口で2,400円(小人半額)。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年08月09日日本映画が少なかった今年のカンヌだが、「ある視点」部門で、若松孝二監督の『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』が上映され、若松監督と井浦新、満島真之介が喝采を浴びた。作家・三島由紀夫を演じた井浦さんは、同部門で上映された『空気人形』以来、4年ぶりのカンヌとなる。「とても感慨深いです。4年前は、僕を役者の世界に引っ張ってくださった是枝監督に、そして今回は若松監督に連れてきていただいた。若松監督は『お前は役者の道に突き進め』と背中を押してくれた監督です。特別な思いがします。いわば役者として生みの親と、育ての親のおふたりの映画で、カンヌに来ることができるなんて」と、カンヌへの特別な思いを語った。若松監督は海外プレスから、多くのインタビューを受けた。「海外の記者のほとんどから『なぜいま、三島由紀夫か?』と聞かれた。連合赤軍の映画(『実録・連合赤軍あさま山荘への道程』)をやったら、三島さんも描かなければならない。左翼も右翼もあまり関係なくて、あの頃の若者はみんな声をあげていた。両方とも日本を憂いていて、体を張って何かを変えたいという思いがあったと思うんです。腹を切ろうなんて、現代では絶対出来ないこと。僕には出来ないことだから、映画にしたかった。自分でやれるなら、映画なんて撮ってないですよ」と語った。満島真之介さんは、満島ひかりさんの実弟。仲がとても良いというお姉さんへどう伝えるかという質問に「レッドカーペットは気持ち良かったよ、と言いたいです(笑)。芝居というより、どういう風に生きて、死んでいくのかを常に考えているような姉弟なので、帰ったらゆっくり報告したい」と答えた。上映後にはフランス人女性が若松監督に駆け寄り、「美しい映画をありがとう」と涙ながらに感激を伝える姿も。若松監督の描く三島と若者たちの姿は、カンヌに強い印象を残した。『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』は6月2日(土)より全国にて公開。(text:Ayako Ishizu)特集:第65回カンヌ国際映画祭■関連作品:第65回カンヌ国際映画祭 [映画祭]11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち 2012年6月2日より全国にて公開■関連記事:【カンヌレポート】ミヒャエル・ハネケ、2本連続でパルム・ドール受賞!【カンヌレポート】ロバート・パティンソン、ホテルにこもりきりの撮影裏話明かす【カンヌレポート】ザック・エフロン、ニコールとの恋に「全く年の差感じなかった」【カンヌレポート】クリステン・スチュワート、15歳の妻を演じた難しさ明かす【カンヌレポート】『愛と誠』の和製“愛”、海を越えスタンディング・オベーション!
2012年05月29日東野圭吾の人気小説を映画化した『夜明けの街で』が10月8日(土)に公開を迎え、主演の岸谷五朗を始め、深田恭子、萬田久子、中村雅俊、若松節朗監督が舞台挨拶に登壇。映画をイメージしてこの日のために作られたスペシャルカクテルで乾杯し、映画の船出を祝った。温かい家庭を持つエリートサラリーマンと謎めいた派遣社員の不倫愛を中心に、15年前に起きた殺人事件の謎が明らかにされていくラブサスペンスで、岸谷さんは木村多江さん演じる妻と深田さん演じる不倫相手の間で揺れ動く。岸谷さんは「愛人と奥さんの間で、初めて愛することの重さを天秤にかけないといけない…そういう愛し方をしないといけないのはつらかった」と撮影をふり返りしみじみ。一方、天秤に掛けられる側の愛人・秋葉を演じた深田さんは「“不自由恋愛”をしている秋葉になかなか共感できなかった。男性にとってはミステリアスで魅力的に映るのかもしれませんが…」と理解不能だったよう。監督から細かく演出を受けて作り上げていったそうだが、司会者に手応えを問われると「手応えなんて申し上げられません」と苦笑いを浮かべていた。午前中の第1回目の上映前に行われたこちらの舞台挨拶。萬田さんは「午前中から観る映画ではないような気もしますが」と笑いつつ「気合いを入れてミステリアスな女性を楽しみました」と自信をのぞかせた。中村さんは本作で描かれる愛や憎悪について「人間が持っている本性って怖いなと思います。元々持っているものがある出来事でプッと出てくる。脆さや強さ、けなげさなどが同居していてそれが出たり隠れたり…」と語り、人間の恐ろしさを強調した。岸谷さんと中村さんは映画にちなんで「もしも目の前に美しい女性が現れたら?」と尋ねられると互いに「お先にどうぞ」とゆずりあい。「家に帰って萬田さんがいたら、1回ドア閉めますね」と岸谷さんが言えば、中村さんは「俺は入っていきます」。萬田さんは「2人ともウェルカムですよ」とニッコリ。“意見”を求められた深田さんは「楽しそうですね」と答え、会場は笑いに包まれた。最後はこの日のために用意され、観客にも配られた特製カクテルで、本作の英題でもある「ビフォア・サンライズ」の掛け声で乾杯。映画の旅立ちを会場全体で祝福した。『夜明けの街で』は全国にて公開中。■関連作品:夜明けの街で 2011年10月8日より角川シネマ有楽町ほか全国にて公開© 「夜明けの街で」製作委員会■関連記事:岸谷五朗、愛人・深キョンと本妻・木村多江のバースデイケーキに冷や汗深田恭子が映画『夜明けの街で』で新境地!「不倫は映画の中だけで楽しんで」東野圭吾、初ラブストーリー『夜明けの街で』予告到着久保田利伸が切なく歌い上げる
2011年10月09日映画『夜明けの街で』の完成披露試写会が9月27日(火)、映画の舞台となった横浜の「パシフィコ横浜」で開催され、岸谷五朗、深田恭子、木村多江、若松節朗監督が舞台挨拶に登壇。冒頭には久保田利伸がサプライズでエンディングテーマ「声にできない」を披露し、会場は熱狂に包まれた。さらに、舞台挨拶ではこの日が誕生日の岸谷さんのために“本妻”木村さんと“愛人”深田さんからそれぞれバースデイケーキが届けられたが、岸谷さんの選択は…?東野圭吾にとって初のラブストーリーとなった同名ベストセラーを映画化した本作。エリートサラリーマンと派遣社員の女性の不倫愛を中心に、15年前に起こった時効直前の殺人事件の謎が紐解かれていく。ステージの幕が開いて最初に久保田さんが登場すると、何も知らされていなかった客席からは驚きと喜びの歓声が。久保田さんは「カーテンが厳かに開いて、失敗しちゃいけないと緊張しました」とふり返ったが、数年前から思い描いていたという「声にできない」を熱唱。観客はその歌声に酔いしれた。横浜を舞台にした作品の完成披露を横浜で迎え、岸谷さんは「現実に働いているのは東京で、(妻役の)多江さんが待っているのも東京で、横浜には虚構の世界を求めているわけですが、ぴったりの海や夜景があって、演技の面でもすごく助けられました」としみじみ。岸谷さんの愛人役を演じた深田さんは「(横浜は)恋人たちが特別な気持ちになれる場所なんだなと感じました。すごく楽しい街ですが、その中で大桟橋はポツンと寂しさを感じるんです。そんな不思議な魅力がありました」と明かした。一方、貞淑な妻を演じた木村さんは「まさか横浜でダンナさんが浮気してるとは思わず、そこでレッドカーペットを歩くことになるとは…」と苦笑交じりで語り、会場の笑いを誘った。深田さんは「岸谷さんも(主人公)渡部も熱い人間味あふれるところが魅力的です」と共演の感想を語ったが、木村さんは岸谷さんとのシーンが深田さんよりも先に撮影されたことを明かし「そこでいかに幸せに演じるかで、後になって岸谷さんが苦しむことを分かっていたので、楽しく、尽くしました」とニヤリ。岸谷さんは「苦しかったです」と心情を明かした。この日が岸谷さんの誕生日だと明かされ「47ちゃいになりました(笑)!」と岸谷さんがおどけると、会場からは祝福の拍手がわき起こったが、深田さんはおもむろに岸谷さんの方に向き直り「私、ケーキを用意しました」。さらに木村さんも「私も用意しました」と語り、2つの種類の違うケーキが岸谷さんの前に運び込まれた。さてさてどちらを選ぶのか…?岸谷さんは「映画の中で散々苦しんだので、両方持って帰ります」と語り、冷や汗をぬぐっていた。『夜明けの街で』は10月8日(土)より全国にて公開。■関連作品:夜明けの街で 2011年10月8日より角川シネマ有楽町ほか全国にて公開© 「夜明けの街で」製作委員会■関連記事:深田恭子が映画『夜明けの街で』で新境地!「不倫は映画の中だけで楽しんで」東野圭吾、初ラブストーリー『夜明けの街で』予告到着久保田利伸が切なく歌い上げる
2011年09月27日累計150万部を突破した東野圭吾の小説を映画化した『夜明けの街で』の完成披露会見が11日に都内で行われ、岸谷五朗、深田恭子、木村多江、そして若松節朗監督が登壇した。その他の写真映画『夜明けの街で』は、美しい妻(木村)と可愛い娘のいる幸せな家庭を持ち、安定した地位がありながらもミステリアスな年下の女性(深田)と恋に落ちていく男性(岸谷)の姿を描いた人間ドラマ。若松監督は「日本一不倫の似合う男と言ったら、岸谷さん。いかにも不倫をしそうな人よりかは、誠実そうな男性が…というほうがいい。深田さんは若くて美しく、抱きしめたくなるような女性ということでお願いした。(木村)多江さんは、美しく静かな怖さを演じるならこの方しかいない」と話し、深田は「苦労しましたが、この作品で深田恭子の新しい一面を観ていただけると思います」とコメント。岸谷は「原作が非常に繊細な作品なので、ひとつの心の変化を辿っていく中で、その繊細さを上回るよう心の変化を緻密に演じなければいけなかった。とてもしんどい撮影で、本当に疲れました。不倫はまさに地獄なんでしょうね」と苦笑い。木村は「ラブストーリー、ミステリー、ホームドラマ、いろいろな角度から観ることのできる作品で、妻が夫の不倫にいったいどこから気付いていたのか、1回、2回と観てもらえるとわかるように監督と相談して演じました。この映画を観たら、恭子ちゃんがもの凄く魅力的で、妻の立場としてはかなわないなぁ、と。女性でもドキドキしました」と話した。最後に深田が「今はまだ結婚に夢を見ていたいので、不倫は悲しい結末しか生まれないし身近におこってほしくない。みなさんには映画の中だけで不倫を楽しんでいただけたら」と発言すると、若松監督は「この作品は男性の立場、その友人の立場など、さまざまな立場からも観られる映画です。愛する妻や女性と観て、より深い愛情を深めてください」とPRした。『夜明けの街で』10月8日(土)より角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー
2011年08月11日ベストセラー作家・東野圭吾の同名小説が原作、映画『夜明けの街で』の完成報告会見が六本木アカデミーヒルズ49にて行われ、主演の岸谷五朗と深田恭子、共演者の木村多江、そして若松節朗監督が出席した。累計120万部を突破、ミステリーの巨匠・東野圭吾が初のラブストーリーに挑んだ注目作品。中年サラリーマンがふとしたことから謎めいた女性と恋に落ち、不倫関係に溺れていく。その先には驚愕の結末が待っているのも知らずに…。まず若松監督が、映画のオファーがあったときに「原作を読み終えて、荷が重いなと思ったけれど、男が非日常に入るという秘め事が素敵だなと思い、自分もハラハラ、ドキドキしてみたいと思った」と映画化を引き受けたいきさつを話した。妻子を愛しながらも不倫にとらわれる主人公・渡部を演じた岸谷さんは、“不倫”という作品の重いテーマに「とにかく、しんどかった」と素直な心境を吐露。「心の変化をきちんとたどっていくという芝居をさせてもらった。クランクアップできて、本当に良かった」と意欲的に取り組んだ様子を語り、主人公の心境に寄り添うことの大変さを述懐した。ヒロインを務めたのは、近年女優としての成長がめざましい深田恭子。役柄にふさわしく黒の大人っぽいワンピース姿で登場した。役柄について、秋葉の気持ちを演じることは大変だったとを明かし、「監督に細かく演出していただいて演じ切りました。内に秘めてる感じや、自分に楽に生きないところが秋葉の魅力かな」とヒロインを分析。深田さんは本作で、複雑な役柄を熱のこもった演技で魅せている。その後、不倫について言及した深田さんは「結婚に夢を持ちたい。身近でそんなことは起こって欲しくない。不倫は映画の中だけで楽しんで」と、未婚女性ならではの心境を告白した。渡部の妻を演じた木村さんは、本作の見どころを「自分が誰に当てはまるか、スリルと余韻が楽しめる作品です」と伝え、自身の役どころについては、秋葉との対比を考えながら、「こういう奥さんがいるのに、不倫しちゃうんだと思わせるように演じなければ…」と気を配ったことをコメント。そして、日常感を出すようにも気をつけたと話した。そんな木村さんに「静かな怖さを演じさせたらピカイチ」と監督から太鼓判が押された。映画『沈まぬ太陽』や『ホワイトアウト』など骨太な作品を手掛けてきた若松監督が、本作では、愛地獄に落ちた男の苦悩をドラマチックに描出。深田の美しさが際立つなまめかしいラブシーンも甘く残酷な不倫愛の結末は…?主題歌は許されぬ恋の切なさを表現した久保田利伸の新曲「声にできない」。しっとりしたバラードで大人の恋心を歌い上げる。『夜明けの街で』は10月8日(土)より角川シネマ有楽町ほか全国にて公開。■関連作品:夜明けの街で 2011年10月8日より角川シネマ有楽町ほか全国にて公開© 「夜明けの街で」製作委員会■関連記事:東野圭吾、初ラブストーリー『夜明けの街で』予告到着久保田利伸が切なく歌い上げる
2011年08月11日山崎豊子の長編小説を映画化した『沈まぬ太陽』が24日(土)に公開初日を迎え、主演の渡辺謙自らの演出による舞台挨拶が行われた。渡辺さんのほか三浦友和、松雪泰子、鈴木京香、石坂浩二、若松節朗監督が登壇、観客と共に3時間22分のこの大作を観終えたばかりの渡辺さんは、感極まって壇上で号泣!込み上げる涙と共に熱い思いを訴えた。「本当にたくさんの方にお集まりいただいてありがとうございます。3時間22分がどういうものなのか、みなさんと体感しようと思いまして…」と途切れ途切れに語る渡辺さんの頬を熱い涙が伝う。「自分の(出演した)映画に感動して泣いてるんじゃないんです。ここまで来るのに、どれだけみんなが大変な思いをしたか、どうかご理解いただければ…」と言葉を搾り出し、さらに劇中に出てくる御巣鷹山での飛行機墜落事故で失われた命とその遺族に思いを馳せ、客席からは温かい拍手がわき起こった。これまでにない悪役を演じ、劇中では渡辺さんをさんざん苦しめた、行天役の三浦さんは「いろいろひどいことして申し訳ございません。どういう顔をして舞台挨拶をすればいいものか…。今日、ここに立っている他のみなさんは、イメージ通りの清く正しい方々でうらやましいです。まあ、こういう屈折した役も楽しいですが」とユーモアたっぷりに語った。石坂さんは「(自身が演じた)国見が感じたであろう挫折感で、今日までモヤモヤしてましたが、これだけ多くのお客さんが来てくださったことは救いになります。この物語は“日本”というものを相手にした物語です」とホッとした表情を見せつつ語ってくれた。女優陣2人も渡辺さんの号泣する姿、そして多くの観客の温かい声援に心打たれた様子。渡辺さんと夫婦役を演じた鈴木さんは「とにかく、(渡辺さん扮する)恩地元という男が素晴らしい。こういう人の妻なら、ちゃんとしなきゃという思いでした。現場でも謙さんは家族をまとめ、引っ張ってくださって、私は斜め後ろを付いて行けば、自然とりつ子になりきることが出来ました。謙さんと手をつないだりできて、楽しかったです(笑)」と嬉しそう。さらに、「謙さんの目が赤くて…。監督と抱きあって、男同士で称え合っている姿を見て、この映画に参加できてよかったな、と感激もひとしおです」と語った。一方、松雪さんも「謙さんの言葉から、震えるような思いが伝わってきました」と興奮気味に語り、自身の役柄については「私が演じた役も、決して純粋ではなく、行天を支えるポジションにあり、微妙な心情を持って演じました」と明かした。また、この作品は記念の映画では珍しく、途中でインターミッション(休憩)が入るが、そのときに流れるバイオリンの曲「祈り [永遠の記憶]」を演奏しているのは、英国在住のバイオリニスト、ダイアナ湯川。彼女は、生まれる1か月前に御巣鷹山の飛行機事故で父親を亡くしている。この日の舞台挨拶には湯川さんも来場。渡辺さんの紹介を受けて、バイオリンを手に壇上に上がり、「祈り [永遠の記憶]」を演奏。映画を観終えたばかりの観客は美しい音色に耳を傾けた。『沈まぬ太陽』は全国東宝系にて公開中。■関連作品:沈まぬ太陽 2009年10月24日より全国東宝系にて公開© 2009 「沈まぬ太陽」製作委員会■関連記事:渡辺謙はL.A.から中継で登場!激動の“いま”こそ『沈まぬ太陽』と一同アピールファッション小噺vol.112日本女優の美肌のヒミツはこれだった!渡辺謙が渾身の直球を投げ込んだ『沈まぬ太陽』三浦友和は悪役がお似合い?
2009年10月24日山崎豊子の長編小説を映画化した『沈まぬ太陽』の完成披露試写会が17日(木)に都内で開催された。上映前には舞台挨拶が行われたが、主演の渡辺謙はアメリカで新作ハリウッド映画を撮影中とあって、現地からの生中継で大画面を通して参加、共演の三浦友和、松雪泰子、鈴木京香、石坂浩二、そして若松節朗監督も出席し、会場は大きな盛り上がりを見せた。冒頭、場内が暗転し、渡辺さんの低い声が響き渡る。「ようこそいらっしゃいました。お忙しい中、新内閣発足のさなか、そして騒がしいスケジュールの中、足を運んでいただきありがとうございます」との挨拶に続いて、渡辺さん自らがひとりひとりのキャストを呼び込んだ。渡辺さんの紹介に合わせて、三浦さんらが客席の中を歩いて登場すると、会場は歓声に包まれた。そして、スクリーンにはロサンゼルスにいる渡辺さんの姿が!渡辺さんは、撮影で初めてアフリカのサバンナに立ったときの心境を尋ねられ「深い海に、ボンベもマスクもつけずに降り立ったような気持ちでした。『もしかしたら僕らが立ってはいけない場所なのかも?』という思いと共に、一個の“動物”として動物たちと同じ目線でサバンナに立ったことは、役を作り上げていく上ですごく大きなインパクトがありました」と感慨深げにふり返った。三浦さんは本作で、主人公・恩地(渡辺さん)とは対照的な道を歩む“悪役”的な存在・行天を演じているが「行天は、日本の礎を築いた世代の功罪の“罪”の部分の象徴的存在。でもいま冷静に考えたとき、間違っているけど、当時はそういう風にしか生きられなかったのではないかと思っています」と語った。監督曰く「行天はまさしく三浦さん!ピッタリの悪役でした」とのこと。松雪さんは、恩地を尊敬しつつ、行天と愛人関係になる美樹を演じた。2人との共演について「全体で4か月半の撮影の中で、私はひと月に1回のペースで現場に行っていました。すると、2人が身にまとっている空気や雰囲気が、時間と共に濃密になっていくのを身近に感じることができました」とふり返った。石坂さんは、ここ数年、日本を襲った激動をふり返りつつ「“沈まぬ太陽”とは日本のことではないか?いま西に傾きかけ沈もうとしているではないか?」と憂いの表情を見せ「それを沈めないために努力するのか?それとも、たとえ沈んでもまた明日の朝、新たな太陽が東に昇ることを期待するのか?時代がいま問うているのではないかということを鳩山さんに代わって申し上げたい」と力強く語った。恩地の妻・りつ子を演じた京香さんは「とにかく、りつ子として謙さんが演じる元(はじめ)を見つめていればいいか、という思いでした。意志を貫く素晴らしい男性として、尊敬して見つめていました」と撮影時の気持ちを明かした。渡辺さんは「男たちには会社があって、役職や場所で変化を表現することができるけど、りつ子がそれを表現できるのは、子供の成長くらい」とりつ子という役の難しさを説明し「一緒に年をとった感じです」と“夫”として妻への感謝と労いの気持ちを口にした。若松監督は完成披露を迎え感無量といった面持ち。「1年前のいまごろは“進まぬ太陽”なんて言われていましたが…」と自嘲気味にふり返りながらも「男の矜持を描きました」と誇らしげ。さらに「最近の芸能界は、男が逃げたり、責任を取らなかったり。そんな若い人たちにこそ観てほしい」と踏み込んだ言葉で作品を送り出した。渡辺さんは最後に、遠くロサンゼルスから「もしこの映画が明日への希望になればありがたいです」と作品をアピール!『沈まぬ太陽』は10月24日(土)より全国東宝系にて公開。■関連作品:沈まぬ太陽 2009年10月24日より全国東宝系にて公開© 2009 「沈まぬ太陽」製作委員会■関連記事:ファッション小噺vol.112日本女優の美肌のヒミツはこれだった!渡辺謙が渾身の直球を投げ込んだ『沈まぬ太陽』三浦友和は悪役がお似合い?
2009年09月19日人間の本質を問う壮大なスケールの小説を数多く手がけてきた山崎豊子。「白い巨塔」、「大地の子」、「華麗なる一族」など、多くの作品がこれまでにTVドラマ化、映画化されてきたが、いまだ映像化されぬまま、山崎作品の中でも“最高傑作”と称されるのが「沈まぬ太陽」である。このたび満を持して、本作が映画化されることが決定、7月8日(水)に製作報告記者会見が開かれ、製作総指揮の角川歴彦をはじめ監督の若松節朗、主演の渡辺謙、三浦友和、石坂浩二が出席した。日本が高度経済成長を遂げた昭和40年代から昭和の終わりにかけての時代を舞台に、巨大な組織に翻弄されつつも自らの信念を貫き通す男の姿を描いた本作。国民航空の労働組合委員長を務める主人公・恩地元を演じた渡辺さんは、この作品を「例えるなら直球。コーナーなど狙わずに、結果を厭わずど真ん中に投げ込んでいます。(球速)160キロを狙える年齢ではありませんが、いまの自分に投げ込める最高の球を目指しました」と真剣な眼差しで語った。さらに、いまの時代にこの小説が映画化される意義について「『仕事って何?』、『会社とは?』、『生きるという意味は?』という問いかけが毎日のようにささやかれるようになったいまの時代、このタイミングをこの作品は待っていたように思います。僕自身、この映画を通じてそういったことを深く考えさせられました」と語った。そして「ひとつひとつのシークエンスに集中し、あまり先のことを考え過ぎずに臨みました!」と充実した表情で撮影をふり返った。国民航空の会長に就任する、会社の“良心”とも言うべき存在である国見を演じる石坂さんは「この役はモデルとなった方がいらっしゃるのですが、とにかく素晴らしい方で、繊維関係の会社におられたこともあってすごくおしゃれなんですね。外見的にもプレッシャーがありました」と語った。さらに、タイの空港をかつての羽田空港に模して行われたロケについてこんなエピソードを披露。「正月のシーンなのに、現地は34〜35℃、湿度70%ほどありました…。何としてでもオーバーを着てやろう!と思いまして(笑)。私と謙さんで真冬を演じているそのシーンも見どころです」と力を込めた。三浦さんが演じた行天は、出世と引き換えに労働組合の分裂を画策し、恩地らと袂を分かつ“悪役”である。自身が演じた役柄を三浦さんは「この時代の悪しき象徴」と言いつつも「撮影の5か月を通じて、だんだんこの男がかわいそうになってきた」とも。「自分の父親の世代を否定するような気持ちになりました。いまでこそ“仕事人間”、“家庭を顧みないお父さん”というのは、『本当の幸せは何か?』などと問いかけるドラマのテーマなどにもなりますが、この時代は仕事をしているのがお父さんで、家庭を守るのはお母さん。子供を顧みる時間もなく、生きることに必死な時代だったんだと思います。不況と言われながらも豊かな経済大国になったいま、その時代の方々を否定してはいけないという思いが強くなりました」と胸の内を明かした。ちなみに、あまり悪役のイメージのない三浦さんの起用について若松監督は「友和さんは柔らかい方で、本人も自身を善良だと思っているようですが、実は悪いやつのような気がしました(笑)」とコメント。果たしてその悪役ぶりは――?この日は、原作者の山崎さんからもメッセージが届けられた。若松監督と会った際に「この作品が映像化されるまで死ねない」と語っていたという山崎さん。「(映画化に)勇気を持って挑戦してくださり、本当に嬉しく、完成がいまから待たれます。索漠とした希望の見えない現代において、『沈まぬ太陽』が荘厳な光として輝き、明日を約束してくれることを切に、切に願います」と思いを寄せた。『沈まぬ太陽』は10月24日(土)より全国東宝系にて公開。■関連作品:沈まぬ太陽 2009年10月24日より全国東宝系にて公開© 2009 「沈まぬ太陽」製作委員会
2009年07月10日