“昭和の喜劇王”こと名優、藤山寛美。三十三回忌追善にあたり娘である藤山直美と孫の藤山扇治郎らゆかりの出演者による特別公演が大阪松竹座にお目見えする。『愛の設計図』『大阪ぎらい物語』の名作上方喜劇2本立てに加え、在りし日の姿を映像で偲ぶ『〈映像〉藤山寛美 偲面影』も上演する。「藤山寛美三十三回忌追善 喜劇特別公演」チケット情報「追善公演は今回で区切りとさせていただきます」。記者会見の冒頭、そう切り出した直美。寛美を知る世代が減り、また寛美を超える役者が出ることが何よりの追善との思いからだ。「賑やかで楽しくて、観ていただくと家族の中で会話があって、そういう舞台を私が最後に勤めさせていただきます。昭和にこんな面白い喜劇役者がいたのかと思い出していただければ」と話す。続けて孫の扇治郎は「少しでも観に来て良かったなと思っていただけるよう努力したい」と挨拶した。『大阪ぎらい物語』は船場の老舗問屋を舞台に結婚を巡る母娘の騒動を描くもの。直美は寛美が演じた役を女役に変えた娘の千代子役で主演する。「子供のようにシャープな動きが必要な役なので、ここをひとつの区切りにちゃんと弾けさせたい」とし、今後は本来の男の役に戻して継承してほしいとの願いも語った。扇治郎が『愛の設計図』で演じるのは大卒で一級建築士の資格を持つ建設作業員、間文太郎。昔気質の現場監督に厳しく指導される勤勉な青年役だ。「今の時代パワハラとかいろいろ言われますが、甘やかすだけではなく厳しくすることも大事なことで。やはり祖父も仕事に対しては厳しい方だったと思います」。3歳の時に他界した祖父との思い出は記憶にないが「作品を通して学ぶべきことが多々あります。この家に生まれてきたご縁に感謝して努力していきたい」と改めて決意を語る。直美にとっての寛美は「父親としては厳しく、俳優としては次元が違う」存在だった。「あの哀しさというのはどこからくるのかな、哀愁があるなぁって。私も60歳で亡くなった父親の年齢を超えまして、そう感じるようになりました」としみじみ振り返る。当日は「お客さんに喜んでいただくことが一番大事」と耳に残る寛美の教えを胸に、舞台に立つ。直美は「面白かったと言っていただけるよう、役者も心ひとつに精一杯努力しますのでお越しいただくことをお待ちしております。コロナの感染対策も万全の体制でお迎えさせていただきます」。扇治郎は、今回は3都市を巡る長期公演でもあり「5月、7月、10月のどれかに来ていただけるよう一回一回大事に勤めさせていただきます」とアピールした。尚、京都公演では『えくぼ』『はなのお六』に演目を変えて上演する。公演は5月3日(火・祝)から26日(木)まで大阪・大阪松竹座、7月1日(金)から25日(月)まで東京・新橋演舞場、10月1日(土)から23日(日)まで京都・南座にて。取材・文:石橋法子
2022年04月26日大阪・新歌舞伎座、東京・明治座で主演する前川清と藤山直美が法善寺での成功祈願法要後に合同取材に応じた。過去様々な作品で名共演を重ねるふたり。「いつもお客さんに聞かれるんです『今度はいつふたりでやりはるの?』って。共演すると評判をいただくので嬉しいですね」と藤山。今回は人情芝居と歌謡ショーの豪華2本立てでお届けする。「前川清・藤山直美公演」チケット情報第一部『恋の法善寺横丁』で、前川は救世主のごとく現れた腕利きの板前 徳三を演じ、藤山は父の遺志を継ぎ、小料理屋の女将として店の再建に奔走する辰子を演じる。前川は「のめり込んで読める台本というのが嬉しいですね。直美さんと僕とそれぞれの役の立場が分かって、その通り稽古でやってみると、今度はそこには大阪の皆さんもいて。やっぱりいいな」と久々の舞台の感触をしみじみ語る。料理人役は初めてという前川に藤山は「『風流深川唄』という小料理屋の娘と花板の恋仲を描いた芝居があるんです。観てるとね、板前を演じるには新鮮なお造りを切ってるように見えるかどうかが難しい。人によっては半分生臭そうに見えたりね。やっぱりその方が持っている人間性、清潔感やと思うんですよ。前川さんは板場に立っても新鮮な鯛を切ってるように見える」と太鼓判を押す。ご褒美みたいな大人の恋模様を描いた本作は、仕事や育児など、長年自分の“役目”を務めてきた人々の癒しにも繋がるはず。「何かひとつでも身に覚えがある、こんな感情を持ったことがあるとかリンクしていただけたらいいですね」と藤山。とりわけ“春の訪れ”を感じさせる、花見のシーンは見どころのひとつだ。前川も「徳三が“家族”になれる大事な場面」と強調する。藤山は「辰子も亡くなったお父さんが作ってくれた彼女にとっては派手な着物姿でね。でもそこからまた展開があって」と、話の続きは観てのお楽しみだ。第二部の歌謡ショーは前川の名曲&爆笑トークで綴る。選曲に難航中の前川に藤山は「一部日替わり」を提案。「今日は『噂の女』をやめて『流木』歌おうとか。お客さんも嬉しいですやん」。ファンクラブ会長を自称するだけに、次々とアイデアが飛び出す。「ジャズバージョンの『長崎は今日も雨だった』が良いんです。皆さんも動画サイトで1回見てください」とマネージャーさながらに猛烈アピール。前川も「そのアイデアいいですね」と応じ、日替わり選曲に期待を持たせた。最後に芝居の神髄の一端を語ってくれた藤山。「私はいつも作家さんにお願いするんです。きれいごとではなく、人間の奥底のどろッとしたホンマのもんを書いてくださいと。お客さんは、本当はそれを観に来たいと思ってはるんです」。心揺さぶられる劇体験をぜひ。公演は1月4日(火)から31日(月)まで大阪・新歌舞伎座、2月18日(金)から3月13日(日)まで東京・明治座にて。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2021年12月20日「“この国では安心して長生きもできないんだな”とつくづく感じました。普通の生活に戻れたのは奇跡としか言いようがありません。本当に地獄のような日々でした」そう語るのは三重県桑名市在住の山本浩子さん(48・仮名)だ。浩子さんは独身で、母・静江さん(79・仮名)と桑名市内の自宅で二人暮らし。静江さんには’14年頃から軽い認知症のような症状がみられたが、浩子さんは仕事をしながら、デイサービスを利用するなどして、在宅介護をしてきた。「私は母が大好きで、介護を辛いと思ったことはありませんでした」(浩子さん)ところが母娘の平穏な生活は突然崩壊する。’16年9月、桑名市の出先機関である地域包括支援センターの職員らが、デイサービス利用中の静江さんを一時保護の名目で連れ去り、施設に入れてしまったのだ。当時の模様を当事者である静江さんは、こう振り返る。「突然、市の職員が来て施設に連れていかれましたが、事情がさっぱりわからなかった。私は施設の職員に“家に帰して”“タクシーを呼んでほしい”と繰り返し頼みましたがずっと無視されました」一時保護の名目は娘の浩子さんによる母・静江さんへの虐待疑惑。後に情報公開請求で入手した市の内部資料には、こう記されていた。「次女からのDVが発覚」「主(静江さんのこと)の体にアザや外傷が見受けられた」「緊急措置として施設に入所させ次女との分離を図った」浩子さんによると、静江さんは脳梗塞の予防のため、血液がサラサラになる薬を服用。そのせいで、ちょっとしたケガでも血が止まりにくく、こぶやアザができたり、広がりやすかったという。「母は活発な性格。体を動かすのが大好きなので、私はできるだけ母の自由にさせていました。でも24時間付きっ切りというわけにはいきません。私が目を離した際に、家や庭などで転んでケガをすることもありました。そのことはケアマネジャーや市の職員にも説明していたのですが、彼らは私が虐待したと決めつけて母を連れ去ったのです」(浩子さん)事件当時、静江さんの夫の隆さん(81・仮名)は通院の関係で、愛知県岡崎市に住む長女の田口康子さん(53・仮名)夫婦宅で暮らしていた。ありもしない虐待を理由に静江さんを連れ去られた夫の隆さんと康子さんは、浩子さんともども「虐待の事実はない」と強く否定し、静江さんを自宅に戻すよう申し入れたが、桑名市は無視し、驚くべき行動に出た。家族が全員反対したにもかかわらず、軽い認知症とされた静江さんに勝手に後見人をつけてしまったのである。成年後見制度は2000年に介護保険制度と同時にスタート。認知症などで判断能力が十分でない人の代わりに、家庭裁判所が選任した後見人が医療・介護契約を結んだり、財産管理をする。成年後見制度の利用申し立ては、本人、4親等内の親族のほかに市区町村長などもできる。桑名市は本人の診断書を添えて、市長名で津家裁に申し立てた。成年後見制度に詳しい一般社団法人「後見の杜」の宮内康二代表が語る。「成年後見制度で最も重要なのは後見制度を利用する認知症の人の意思の尊重(民法858条)です。植物状態の人を除き、たいていの認知症はまだら状態。程度の差こそあれ意思表示ができます。ところが実際には、本人の意思の尊重という根本原則が形骸化しており、意思を無視した誤った運用が堂々と行われています」たとえば利用申し立てを受けると、家裁の職員が本人に会い、健康状態や利用の意思を確認する必要がある。また本人に対し精神鑑定を実施することも、法律で定められている。だが、これには植物状態で意思表示できないような場合は、手続きを省略できるという但し書きがある。「このため、現実には専門外の内科医の診断書一つで植物状態同様に“常に判断能力がない”と決めつけられ、精神鑑定も家裁職員による本人の意思確認も行われない“手続き飛ばし”が当たり前に行われています」(宮内さん)静江さんのケースでも、内科医の診断書1枚に基づき、この二重の手続き飛ばしが行われたのだ。浩子さんが語る。「成年後見制度の恐ろしいところは、本人を無能力者扱いして、合法的に本人から自由と権利、財産を取り上げてしまうこと。家裁が後見人に選任した弁護士と市役所の指示で、母は家族との面会を禁じられ、電話もかけさせてもらえなかった。後見人がつくまでの間、施設費を母に払わせるため、市は、母の同意なしに生活保護を受けさせることまでしたのです。母は当時を思い出して“認知症だからという理由で人間扱いされなかった。囚人のように扱われた”と憤慨しています」浩子さんは母の救出に専念するため退職を余儀なくされた。一方、長女の康子さんは、母親に後見人をつけた津家裁の審判を不服として、名古屋高裁に即時抗告を申し立てた。申し立て後の’16年11月、ようやく桑名市役所で母と姉、父の面会が実現したが、虐待の汚名を着せられた次女は外された。以下は、そのときのやりとりを記録した一部だ。康子さん「浩子はお母さんがおらなくなってから、無茶苦茶。寝れやん、食べれやん」隆さん「みんながガタガタになってさ。もう、家が崩壊しとる」静江さん「浩子が可哀そうや。うちに帰りたい。うちに帰った夢ばかりみとる(すすり泣く)」’17年1月、名古屋高裁の藤山雅行裁判長は、静江さんの判断能力を認め、「本人の精神状況につき鑑定を経ずして後見開始の審判をした原審は、その手続きに違法がある」と津家裁を批判。後見人を付けた家裁の審判を取り消した。’17年11月、静江さん、浩子さん、康子さんの母娘3人は、国(家裁)と桑名市(伊藤徳宇市長)を相手取り、名古屋地裁に国家賠償請求訴訟を起こす。「桑名市からはいまだにお詫びの一言もありません。私たちのような被害者を再び出さないため、やむなく提訴しました」(浩子さん)静江さんもこう話す。「施設に閉じ込められた、かけがえのない私の貴重な時間を返してほしいです」静江さんは地裁に提出した陳述書で、次のように書いている。「私は認知症のような症状があると言われていますが、はっきり自分の意思も言えますし、すべてのことを忘れたことはありません。ですが、もし認知症だったとしても、人を人とも思わないような対応をして良いとは思いません。認知症になったら一人の人間として扱わない、自由さえ奪っても良いと考えるならば長生きなどするものでないと正直思います」今年6月20日、津地裁で国賠訴訟の裁判が開かれ、静江さん母娘が証言に立つ予定だ。浩子さんは、市役所、家裁、厚生労働省等、さまざまなところに相談したが相手にされなかった自身の経験を踏まえ、こう語る。「後見人が外れるまでの10カ月間は地獄でした。私たちのような被害者を出さないよう、行政や職業後見人、家裁の暴走を監視し、後見被害者の声を受け付ける第三者機関を早急に設立すべきだと思います」実は、介護家族が虐待の濡れ衣を着せられ、親が後見人を付けられたケースはほかにもある。決して他人事ではないのだ。(取材:ジャーナリスト・長谷川学)
2019年06月20日日本演劇界が誇る名女優・藤山直美の最新舞台は、山本周五郎の小説が原作、そして石井ふく子演出による『おたふく物語』。江戸の下町に暮らす人々の愛と人情を描いた傑作だ。家族の問題を抱えながらも、健気に暮らす“おしず”を藤山、おしずが思いを寄せる彫金家“貞二郎”を錦織一清、おしずの妹“おたか”を田中美佐子が演じ、その他豪華出演者が脇を固める。舞台『おたふく物語』チケット情報「この物語では、綺麗でもなんでもない普通の女性・おしずが、ひとりの男性に凄く惚れるんですわ。でも、ストーカーみたいな感じではなく、本当に一途に愛らしい想い。女性のチャーミングな情念が出たらええなと思いますね。あと、家族のいろいろな問題も出てきます。表面上はとても良い感じに見えていても、どこの家族も他人には言えへんな~みたいな見せたくない小部屋みたいなんがある。その辺りも丁寧に描いてあって、その中でおしずがどんな風に現実と向き合っていくか。笑いながらもちょっと考えさせられる感じになるかもしれませんね」本作同様、山本周五郎原作、石井ふく子演出、藤山直美主演で舞台化された『かあちゃん』を、今年3月に明治座で上演。こちらも大好評だったという事で、またの石井とのタッグにも期待が高まる。「石井さんは本当に稽古でどんどん変えていかはる方。頭の中にビジョンがちゃんと出来上がってらっしゃるんでしょうね。いやもうお元気で。太陽電池かなんか入ってらっしゃるんやないやろか(笑)。表ではレジェンドやって言うてますけど、妖怪辞典に載りそうな勢いですわ。って、こんなの言うたら怒られるわ(笑)」映画『団地』では上海国際映画祭で日本人女優として初めて最優秀女優賞を受賞するなど、まずます注目も高まっているが、本人は「映画の賞は、やっぱり監督のもの。自分が貰ったという意識はない」とあくまで自然体。そして演じる事への気持ちはどんどん貪欲になっている。「父(藤山寛美)の時代は、芝居が一番の娯楽やった時代。今は多種多様で、いろいろな選択肢がある。その中で劇場や映画館に足を運んで頂くことの難しさも痛感しますね。テレビと違って、おもろないからって途中で変更もできませんから。責任もって最後まで楽しませなアカン思います」公演は9月25日(日)まで東京・明治座、10月5日(水)から27日(木)まで福岡・博多座にて。チケット発売中。
2016年09月13日明治座にて、山本周五郎の『おたふく物語』が石井ふく子演出で舞台化される。江戸の下町に暮らす庶民の姿をやさしく描いたこの傑作で、主演するのは藤山直美。舞台に立てば観客の心を掴んで離さない当代きっての喜劇女優は、どんな人情物語を見せてくれるのか。芝居への思いを聞いた。舞台『おたふく物語』チケット情報藤山が演じるのは、少しおっちょこちょいなところがあるものの心の温かいおしず。妹を思い、妹の幸せのためにと、牢屋に入っていて金をせびりに来る弟のことも、心で泣きながら拒絶する。「姉は妹に幸せになってもらいたいと願い、妹は姉にこそ幸せになってほしいと懇願してと、そんな思って思われてという姉妹の愛情や、弟に対する複雑な思いが描かれているんです。その人間の細やかな機微というものをどうお見せしていくか。石井ふく子先生の舵取りのもと、先生の演出に必死についていっているところです」。なかでも、ずっと秘かな恋心を抱いていてやがて夫婦となる貞二郎には、“おたふく(不美人)な自分にはもったいない”と、何ともかわいらしい感情を見せることに。「おしずは人間的にチャーミングなんですよね。家族の悩みを抱えながらも一途に生きていて。そこに共感してもらえるんやないかなと思いますし、今はもう死語になってしまった、“もどかしさ”とか“奥ゆかしさ”という言葉が、思い出される作品になるんじゃないかなと思っています」。共演者には、妹に田中美佐子、貞二郎に錦織一清らが揃う。「みなさん真面目で芝居に対して真摯で、学ぶべきところの多い方たちばかりです。まだまだ産みの苦しみの最中ですが、何とかみんなで頑張って作っていきたいですね」。ただし、「舞台のうえでは苦しんで稽古したことは絶対にお見せしません。私らがどんなに大変やったかは、お客さんには関係ない。お客さんにはとにかく気楽に観に来ていただいて、楽しんでいただけたらそれでいいんです」ときっぱり。その言葉には、藤山直美という役者が見せるものに人が惹かれずにはいられない理由が表れている。「私、自分が称賛されたり褒められたりすることは、別にいらないんです。それより、“ああ、この話面白かったな”と喜んでいただけるのがいちばん。ただ、そう思ってもらうのは簡単なことじゃないですから。だから、役者をやってる限りは苦しみ続けるんやと思います」。本当に観客のためだけに作られるまさしく庶民の芝居。初秋の明治座で堪能してほしい。明治座公演は9月1日(木)から25日(日)まで。10月には博多座でも公演。取材・文:大内弓子
2016年08月31日2000年の映画『顔』で映画賞を総なめにした阪本順治監督と藤山直美が再びタッグを組んだ『団地』の完成報告会見が5月26日(木)に開催。阪本監督、藤山さんに共演の岸部一徳、石橋蓮司、大楠道代、斎藤工が出席した。タイトル通り、大阪の近郊にある古ぼけた団地を舞台にした本作。長年、営んできた漢方薬局を店じまいし、団地に越してきた夫婦のヒナ子と清治だったが、清治があることをきっかけに家庭内に引きこもるようになったことから、団地特有のウワサや好奇の目にさらされ…。大阪の人間模様を描きつつ、後半以降は斎藤さんが演じる奇妙な青年・真城を軸に驚愕の展開が待ち受ける本作。藤山さんは、最初に脚本を読んだとき「(阪本監督に)いい医者を紹介したいと思いました。『この人、大丈夫か?』と(笑)」と戸惑いを口にする。いくつもの阪本作品に出演してきた大楠さんも「脚本読んですぐに岸部さんに電話して『監督、頭がおかしくなったんじゃ?』と言いました。ショックでした(笑)」と衝撃を述懐する。阪本監督は「藤山さんをどこまで遠くに連れて行こうか?という発想から生まれた」と説明。藤山さんは「帰ってこれないところまで連れていかれました(笑)」と語るが、それでも阪本監督への信頼は絶大!「学校を卒業して、道端で会っても先生のことは『先生』と呼びますが、阪本監督に『顔』を撮ってもらって、それから(舞台の)楽屋に来ていただこうが、監督は『監督』。不思議な関係ですが、そういう人が役者には必要。私の人生にとっては大変貴重な人です」と語った。奇想天外の物語のカギを握る奇妙な男を演じた斎藤さんは「特殊な役だったんですが、それが強み。唯一、この方々に対峙できる役でした」と役の特殊性の力を借りて、阪本組常連のベテラン勢と渡り合ったと振り返る。特に、藤山さんには「いつも的確にイジっていただき幸せでした」とニッコリ。この日も久々に会って、斎藤さんの出で立ちを見て「『打楽器を忘れた南米のミュージシャンだね』と言われました(笑)」と笑いを誘う。ちなみに、藤山さんは当初、斎藤さんの「工(たくみ)」という名前をカタカナの「エ」だと思っていたとか!この日も、斎藤さんが「抱かれたい男No.1」に選ばれたことをネタに「上手に騙すんやね、女の人を(笑)」とイジり倒していた。『団地』は6月4日(土)より有楽町スバル座、新宿シネマカリテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年05月26日『顔』の監督・阪本順治×主演・藤山直美がコンビが贈る最新作『団地』。このほど、何かとウワサの絶えない団地を舞台にさまざまな人間模様が交錯する本作から、“妄想としゃべくりのハーモニー”を奏でる予告編が解禁。阪本組初参加の斎藤工も、なんとも奇妙な登場の仕方をしていることが分かった。とある事情で家業の漢方薬局を畳み、団地に越してきた山下ヒナ子(藤山直美)と夫の清治(岸部一徳)。住人たちは、自治会長の行徳(石橋蓮司)と妻の君子(大楠道代)、クレーマーで次期会長を狙う吉住(宅間孝行)に、暇を持て余した奥さま連中。ある日、些細な出来事でヘソを曲げた清治が「僕は死んだことにしてくれ」と床下に隠れてしまう。夫の姿がぱったり見えなくなっても淡々とパートに通い続けるヒナ子に、隣人たちの“妄想”は膨らむばかり。さらに、妙な立ち居振る舞いの青年(斎藤工)が山下家を訪れ…。数々の映画賞を総なめにした『顔』から16年、阪本監督が書き下ろす完全オリジナル脚本の会話劇は、さまざまな人生が交差する大阪近郊の古ぼけた団地が舞台。予告編映像には、「阪本監督が撮ってくれるなら」と久々にスクリーンへ復帰した藤山さんをはじめ、岸部一徳、石橋蓮司、大楠道代ら阪本組常連にして最強と言うべきカルテットが集結。「死んだことにしてくれ!」とヘソを曲げ突然床下へ潜ってしまった夫・清治。「最近、姿を見ていない」と口を揃える、距離感の近すぎる隣人たちの好奇心、妄想はとどまることなく加速し続け、ついには失踪説まで流れ出し、緊急会議をひらく始末…。そんな中、今回、阪本組初参加となる斎藤さん演じる青年も謎の言葉を発しながら、異質な存在感を放って登場。また、大阪弁のテンポの良さが会話の応酬にさらなる拍車をかけていき、庶民劇でありながら、大胆不敵な大どんでん返しをも予感させていく。予告編でナレーションを務めているのは、大阪を代表するラジオパーソナリティとして知られ、本編にも声の出演で参加を果たしている大ベテラン、浜村淳。浜村さんは本作について「ウソもマコトも、団地ではうわさの広まり早すぎる。笑わせ泣かせ怖がらせ、ああ、家の団地も良く似てる」とコメント。DANCHI――。それは、なんでもありえる昭和の集合住宅にして、ウワサが転がる“小宇宙”。稀代のコメディエンヌ・藤山さん演じるヒナ子も思わず「団地っておもろいなあ」とつぶやいてしまう、観客巻き込み型の秘密共有エンターテイメントを、ここから目撃してみて。『団地』は6月4日(土)より有楽町スバル座、新宿シネマカリテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年03月23日藤山直美が主演を、阪本順治が監督を務める映画『団地』の予告編映像が公開になった。大阪近郊にある昭和のムード漂う団地を舞台にした作品だ。予告編映像藤山と阪本監督は『顔』でタッグを組み、高い評価を得たが、16年ぶりに再タッグを組んだ本作は、ごく平凡な夫婦が予想外の出来事を描く異色コメディだ。藤山演じるヒナ子と夫の清治(岸部一徳)は昭和のムード漂う団地に引っ越してきたが、ある事件をきっかけに夫は「僕を死んだことにしてくれ」と床下に隠れてしまう。夫の要求を受け入れたヒナ子は夫が消えても普通の日常を送ろうと振舞うが、そのことが隣人たちの妄想をかきたて、団地に騒動が巻き起こる。本作は、テンポのよい会話で独特の世界観を描き出していく作品で、予告編でも団地で暮らす人々がひたすらに“しゃべりまくる”のが大きなポイントだ。また、藤山、岸部のほかにも石橋蓮司、大楠道代、斎藤工らが出演し不可思議で濃いキャラクターを演じており、これまでにない会話劇になっているようだ。『団地』6月4日(土) 有楽町スバル座、新宿シネマカリテほか全国ロードショー
2016年03月23日映画賞を総なめにした傑作『顔』から16年、日本演劇界が誇る舞台女優・ 藤山直美と阪本順治監督が再びタッグを組んだ最新作『団地』が、6月4日(土)より公開されることが決定。そして本作のポスタービジュアルがついに解禁された。とある事情で家業の漢方薬局を畳み、団地に越してきたヒナ子(藤山直美)と清治(岸部一徳)。住人たちは、自治会長の行徳(石橋蓮司)と妻の君子(大楠道代)、クレーマーで次期会長を狙う吉住(宅間孝行)に、暇を持て余した奥さま連中。 ある日、些細な出来事でヘソを曲げた清治が「僕は死んだことにしてくれ」と床下に隠れてしまう。夫の姿が消えても淡々とパートに通い続けるヒナ子の言動に、隣人たちの 妄想は膨らむばかり。さらに、妙な立ち居振る舞いの青年(斎藤工)が山下家を訪れて…。『顔』は喜劇女優・藤山さんを主演に、佐藤浩市、豊川悦司ら豪華キャストを迎え、実在した女性逃亡犯の内面を圧倒的リアリティーで再現した異色の犯罪映画。また映画は「日本アカデミー賞」「毎日映画コンクール」などでその年の日本国内の映画賞を総なめにした。その『顔』のコンビが再びタッグを組んだ本作は、“団地”を舞台にある秘密を抱えた夫婦を描く物語で、主人公ヒナ子役の藤山さんを筆頭に、夫・清治役に岸部さん、自治会長夫妻行徳と君子役に阪本組常連の石橋さんと大楠さん、クレーマー・吉住役に宅間さん、ヒナ子の家に出入りするミステリアスな男・貴史役に斎藤さんが好演する。そのほか竹内都子、 濱田マリら個性派キャストが脇を固めている。本作は、観客の予想を気持ちよく覆す、新たなテイストの人間ドラマとなっており、様々な人生が交差する“団地”という空間で、ごく平凡な夫婦のアリエナイ体験を軽快な会話劇で描く、ちょっぴりブラックかつ滋味に溢れる、まさに“妄想としゃべくりのハーモニー”を描いている。そして今回解禁されたポスターは、「【DANCHI】なんでもありえる昭和の集合住宅。ウワサが転がる小宇宙。」というコピーと共に、主人公ヒナ子を演じた藤山さんと、そしてなぜか床下から這い出る夫・清治を演じる岸部さんの姿が目を引くビジュアルとなっている。『団地』は6月4日(土)より有楽町スバル座、新宿シネマカリテほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年03月15日藤山直美が主演する舞台『おもろい女』が5月29日、東京・THEATRE1010にて開幕する。実在した天才漫才師ミス・ワカナの波乱に満ちた36年の生涯を、ドラマチックに描き出す物語。これまで森光子主演で長く人気を博していた舞台だ。ミス・ワカナとコンビを組んだ玉松一郎は、渡辺いっけいが演じる。初日を前にした28日、同劇場にて藤山と渡辺が心境を語った。舞台『おもろい女』チケット情報まくしたてるワカナのしゃべりに、アコーディオンを抱えた一郎がボーっとした絶妙の間合いで合いの手を入れるというスタイルで、昭和初期にエンタツ・アチャコと並び一世を風靡した夫婦漫才師。戦争・敗戦と移りゆく社会情勢の中、ワカナと一郎は結婚・別離を経てなお二人三脚で漫才師として頂点を極めていく…。藤山と渡辺は息のあった漫才シーンもさることながら、ふたりの日常を描く会話のテンポ感に味があり、面白い。さらに昭和の人情の温かさや、漫才に愛情を注ぎ、軽視されていたこの芸事を一流のエンターテインメントとして認められるようにと奮闘する人々の姿が胸を打つ。笑いと涙が絶妙にブレンドされたお芝居だ。この作品、もとは1965年に森光子と藤山寛美がワカナと一郎を演じたテレビドラマ。藤山は父が主演したこのドラマに子役として出演していた。実に50年ぶりの『おもろい女』への出演となるが、当時のことは「ほとんど覚えていない」と藤山。ただその後、森光子主演で上演されていた舞台は観ていたそうで、「面白かったですし、森さんしか出来ないミス・ワカナというものがちゃんとありましたから、自分がやることになるとは夢にも思っていませんでした。話が来た時には『どうしよう』とうなだれました」と話す。ただし「森さんと同じ役をやると考えたら、今この場に立っていない。同じレベルのものをやろうとは思っていない、ひとつの作品としていっけいさんと巡り合い、皆さんと巡り合い、(今回)させてもらう」と、自分たちならではの『おもろい女』を作ることを決意しているよう。渡辺もまた「(藤山の)お父様が演じた役ですね」と記者に話題を振られると「そのことに関しては考えも出来ないくらい。それを考えていたら多分断っていた。そうではなく、直美さんとだからやってみたいと思った」と話す。真摯な姿勢でも息の合ったところを見せた新生“ワカナと一郎”だが、実はこれが初共演。お互いの印象は「大げさな言い方ですが、お芝居に生きてはる人」(渡辺)、「こんな真面目な人いてるんかなと思うくらい真面目な方で、お芝居に対して前向き」(藤山)とのこと。そんな人柄や温もりも伝わってくる漫才コンビの珠玉の芸が、客席に大きな笑いと感動の涙を届けるに違いない。公演は6月2日(火)まで同劇場にて。その後6月5日(金)から30日(火)まで、東京・シアタークリエにて上演される。チケットは発売中。
2015年05月29日戦中戦後を駆け抜けた伝説の漫才師ミス・ワカナ。日本芸能史にその名を轟かす“おもろい女”と、彼女の相方で夫でもあった玉松一郎の一代記が、当代きっての喜劇女優・藤山直美と渡辺いっけいの初タッグで甦る!原作は1965年、森光子と藤山寛美の黄金コンビが、お茶の間を賑わせたテレビドラマだ。寛美の実の娘・直美は6歳当時、中国の浮浪児役で出演していたという。1978年には森と芦屋雁之助により舞台化。実に463回の上演を重ねた名作が、9年ぶりに新生する好機を逃すわけにはいかない!という訳で、5月中旬、1幕の通し稽古が行われていた稽古場に潜入した。舞台『おもろい女』チケット情報顔寄せでも“コツコツ努力道”を歩むと誓った藤山は、その言葉通り丁寧に1場ずつ、演出の田村孝裕と細かな段取りまで確認しながら作品と向き合っていく。物語は十五歳の河本杉子が、大阪漫才の大御所に弟子入りを直談判する騒動から始まる。その一部始終を見ていたのが、映画館のチェロ楽士・河内山一郎。後のワカナと一郎、運命の出会いの瞬間だ。居合わせた漫才台本作家の秋田実(田山涼成)や漫才界のドン・菱本せつ(正司花江)らに“おもろい女”だと認められたワカナの人生は、ここから急激に加速していく。程なくワカナと一郎は駆け落ち。前のめりなほど芸に没頭する妻と、彼女を三歩後ろから支える夫という“凸凹婦夫”の情愛が、藤山と渡辺の“あ・うんの演技”からひしひしと伝わってくる。その後、中国の青島に渡ったふたりだったが、病を煩った一郎は首吊り&割腹自殺を図る……が、止めに入ったワカナと組んず解れつ、結局は仲睦まじいふたりに戻るのがまた微笑ましい。と、偶然その場を目撃する若手漫才コンビ役に挑むのは黒川芽以と篠田光亮。役者としても座組の中では群を抜いて年下ながら、現場に新鮮な空気を送り込んでいた。場の空気を一変させるといえば、九州演芸の顔に扮する山本陽子の存在感たるや。藤山と山本の女優競演も見逃せない一幕になりそうだ。時は流れ、戦下の中国を“演芸わらわし隊”の一員として訪れたワカナと一郎は、戦線の部隊長・飯塚大佐との束の間の親交を結ぶ。しかしふたりが日本に戻り、NHKの本番が始まる瞬間、飯塚大佐の戦死の速報がワカナの心を打ちのめす。その胸中を、藤山は声を震わせ、涙を浮かべた迫真の“泣かせ漫才”で吐露。寄り添う一郎になりきる渡辺が弾くアコーディオンの音色も哀しみを増長させた。この“泣かせ漫才”しかり、各地の方言で聴かせる“しゃべくり漫才”など漫才シーンも見どころの本作。昨年の『ええから加減』でも冒頭から爆笑を誘った藤山をして、いまだ漫才は難儀と言わしめるとは、観ている方にとっては驚きだ。さらに藤山は安来節からフラダンスまでこなすなど、見どころしか見当たらない本作。劇場で新生ワカナに出会える日を指折り待ちたい。公演は5月29日(金)から6月2日(火)まで東京・THEATRE1010、6月5日(金)から30日(火)まで東京・シアタークリエにて。チケット発売中。取材・文:山田美穂
2015年05月26日3月6日、藤山直美主演の舞台『スーパー喜劇「かぐや姫」』が東京・新橋演舞場で幕を開けた。【チケット情報はこちら】「スーパー喜劇」とは三代目市川猿之助(現猿翁)による「スーパー歌舞伎」と、藤山直美が演じる喜劇が合体したもので、2005年に第1弾として『狸御殿』を上演。今回、10年ぶりに第2弾が上演される。太陽の王と月の女王との間に生まれたかぐや姫(藤山直美)は、ある月の掟を破ってしまい、罰として蒼い星<地球>に流刑されることに。いにしえの地球に落ちたかぐや姫は、竹林で月庵(上條恒彦)と照乃夫妻に拾われ、人智を超える早さですくすく育つ。月での記憶を失いながらも、不思議な力を宿していたかぐや姫、人々を明るくさせる福女ぶりの噂に尾ひれがついて広がり、次々とムコ候補が名乗り出る。一方月の世界では、かぐや姫の母、月の女神・月光(水谷八重子)が、地上から“かぐや姫のムコ候補が次々と名乗り出ている”という報告を聞き、不安を募らせていた・・・。同作は、日本昔話で広く知られている「かぐや姫」という切なさや儚さといった印象のある物語が、楽しく、笑いに包まれて展開されていく。藤山が楽しい音楽にあわせて歌い踊るシーンや、かぐや姫を心配する親心を歌う水谷の美声も見所のひとつ。また、拍子木や太鼓といった歌舞伎の技法も盛り込まれている。“スーパー喜劇”お約束の宙乗りもあり、楽しみな要素が詰まった公演だ。『スーパー喜劇「かぐや姫」』は3月31日(火)まで東京・新橋演舞場、4月5日(日)から27日(月)まで、大阪・松竹座で上演。チケットは発売中。
2015年03月09日3月6日(金)より東京・新橋演舞場で上演される『スーパー喜劇「かぐや姫」』の制作発表が1月15日に行なわれ、主演の藤山直美ほかキャストが出席した。【チケット情報はこちら】「スーパー喜劇」とは三代目市川猿翁による「スーパー歌舞伎」と、藤山直美が演じる喜劇が合体したもので、2005年に第1弾として『狸御殿』を上演。今回、10年ぶりに第二弾として『かぐや姫』を上演する。主演のかぐや姫を演じる藤山は「私とかぐや姫が対極にあるっていうのは分かってるんですが、演出の齋藤さんと脚本の佐々木さんに物凄く大きな竹を作るからって言われたので(笑)、かぐや姫をやらせていただく事になりました」とコメント。手応えについては「来月から稽古なのでまだ分からないんですが、新しいひとつの“ジャンル”になれば良いなと思っています。ただ、出演者に珍獣が集まりましたので“ジャングル”になりそうな気もしています(笑)」と笑いを交えて語った。中宮役を務める市川笑也は、同作のエグゼクティブスーパーバイザーを務める猿翁の言葉を用い、「スーパー喜劇というのは、よりよくお客様を楽しませようと言うのがコンセプト。私の師匠である猿翁も“演劇はお客様あってのもの。お客様をどれだけ楽しませるかという所で頑張らなくてはいけないんだよ”とよく言っております。精一杯やらせていただこうと思います」と意気込んだ。また、月のウサギ役を務める市川猿弥は「前回のスーパー喜劇も思い出深い作品。前回は狸で、今回はウサギ。何で動物ばっかりなのかと思いますが(笑)今回も面白い作品になればと思っています」と話した。演出を務める齋藤雅文は、物語の見所のひとつである、藤山演じるかぐや姫の登場シーンについて「東京に初めてゴジラが登場したぐらいの衝撃があるのではないでしょうか(笑)。直美さんがやるからには歌って踊って暴れて・・・というようなお芝居になれば」とコメント。それを受けて藤山は「ゴジラに例えられて凄く幸せという方はいらっしゃらないと思うんですけど(笑)、ただ登場の仕方はどうでも良くて、最近は下を向くようなニュースが多いので、お客さんが劇場に来た時だけでも、心がほころんで帰ってもらえれば」と語った。また「喜劇というからにはお客さんに笑ってもらいたいですが、何でも良いから笑ってもらうというのは好きではない。喜劇というのは人の心情に自然と入り込んで笑ってもらうもの。登場シーンだけではなく、物語が作り出す情愛を感じて笑ってもらえたら良いですね」と話した。『スーパー喜劇「かぐや姫」』は3月6日(金)から3月31日(火)まで東京・新橋演舞場、4月5日(日)から27日(月)まで、大阪・松竹座で上演。なお、チケットぴあでは東京公演の先行抽選いち早プレリザーブを実施中。受付は1月19日(月)午前11時まで。また、先行抽選プレリザーブは1月17日(土)午前11時より受付開始。
2015年01月16日藤山直美と高畑淳子が初共演を果たす舞台『ええから加減』の製作発表が、6月4日に都内で行われた。『ええから加減』公演情報原作は第84回オール讀物新人賞を受賞した永田俊也の短編小説で、上方女漫才コンビの濱子(藤山)と宇多恵(高畑)を中心に物語は展開する。25年のキャリアがありながら、コンビの人気はそこそこといったところ。しかし、ボケ役の宇多恵が突然「上方演芸大賞を目指そう」と言い出したことから、状況は変わり始める。漫才は劇中で実際に披露される予定で、藤山は「イメージするコンビは、海原お浜・小浜師匠や、島田洋之介・今喜多代さん、内海桂子・好江師匠のように、どの年代でも楽しめる王道で古風なタイプ。一生懸命ふたりで練習して、役者による漫才にしてはようがんばったな、と思っていただきたい」と謙虚な姿勢をみせる。一方の高畑は、藤山との初共演が何よりうれしいようで、「短パン、スッピンでマーケットを走り回っているような私が、藤山さんとお芝居できるなんて。軽い“追っかけ”だったので、胸がいっぱいです。漫才のシーンは、読み合わせの段階からすごく面白くて、このまま出しても金になるぞ、と思ったほど。藤山さんは絶対かなわない人ですし、ただへばりついていくつもりです」とユーモラスに心境を語った。記者会見には原作者の永田、脚本・演出の田村孝裕、濱子の夫役を演じる赤井英和、漫才コンビの所属事務所の専務に扮する田山涼成も出席した。永田は「脚本を読んだらものすごくすばらしい内容だった。今から成功を確信しています」と期待を寄せ、田村は「“笑うとはどういうことか”が今回のテーマのひとつ。ぜひ笑っていただけるような舞台を作りたい」と意気込みを語った。公演は、東京・シアタークリエにて7月1日(日)から29日(日)まで。チケット発売中。
2012年06月04日高い演技力もさることながら、TVではバイタリティーあふれる発言で人気の女優、藤山直美と高畑淳子。このふたりが漫才コンビを演じる舞台『ええから加減』が7月に東京・シアタークリエで上演される。『ええから加減』チケット情報本作は、2004年のオール読物新人賞を受賞した永田俊也の同名小説をもとに、丁寧な人間描写に定評のある俊英・田村孝裕(劇団ONEOR8)が脚本と演出を手がけて舞台化するもの。大阪のお笑い芸人コンビ「海野濱子・宇多恵」の奮闘を、原作の味わいそのままに涙と笑いで描く。4月某日に行われたポスター撮影では、サザエさんのような髪型を提案するなど、並々ならぬ意気込みを見せる高畑に話を訊いた。劇中ではボケ役の宇多恵を演じる高畑。「台本を読んだら、最初と最後に漫才のシーンがあるんですよ!舞台に立って、お客様に“大したことないな”と思われることほど恥ずかしいものはない。だから稽古場ではたくさん恥をかいて、少しでも“おもろいやないか”と楽しんでいただけるようにお稽古したいですね」と話す。漫才の稽古も「先日あるパーティーでますだおかだの増田さんにお会いして、お友だちになってもらいました(笑)。早速“役者さんと芸人は立ち位置から違いますよ”なんて貴重なアドバイスをもらってます」と準備万端の様子。物語は中堅でそこそこ人気もある漫才コンビの濱・宇多を軸に展開する。若手芸人の人気に押されるようになったふたりが、一念発起して上方演芸大賞を目指すまでが描かれる。新ネタの打ち合わせやネタの練り直し、営業活動や審査員への根回しなど、お笑い界の裏側を綴るエピソードも見どころだ。「台本には濱子と宇多恵の女性の友情なんて、一切書かれてないんです。そこにあるのは、女の大事な時期をひとつの芸事だけにひたすら打ち込んできたふたりの関係。漫才が終わったらパッと帰る……みたいな仲なのに、芸のためには互いのことを思いやる、そこがなんとも魅力的だなって。私自身、芝居に身を削っているという気持ちもあるので、芸事に携わるものとして感じる部分がありました」。これと思ったら突き進む宇多恵と似た部分は、自身にも大いにあるとか。「女優をするって決めた時も、母が“この子は頑固だから”って諦めたくらい(笑)。いつも困難な道のほうを選んでしまうんですけどね」と笑う。ドラマにバラエティーにと忙しい今も、青年座に所属し、外部公演も含めてさまざまな舞台に立ち続ける高畑。「帝国劇場の楽屋口にある提灯に、歴代の名優の名前が書いてあるのを憧れの気持ちで見上げています。私ももっと頑張らないと!って」。そう語る高畑が全力で打ち込む舞台に期待したい。舞台『ええから加減』は7月1日(日)から29日(日)までシアタークリエにて上演。チケットは発売中。取材・文:佐藤さくら
2012年05月10日喜劇役者の藤山直美と歌舞伎俳優の坂東薪車が出演する舞台『年忘れ喜劇特別公演』が12月1日、東京・新橋演舞場で開幕する。この興行は、年上女房・おかつと甘えん坊の若い夫・清之助の物語を、笑いと涙でたっぷり描いた上方人情喜劇の名作『銀のかんざし』と、薪車が領主前田能登守と盗賊の赤鞘主水の2役を演じ、大立廻りもある『殿様茶店の恋日和』の2本立てだ。初日前日の11月30日、『銀のかんざし』の稽古を終えた藤山と薪車が取材に応じた。『年忘れ喜劇特別公演』チケット情報藤山は「おかつと清之助は今流行りの年の差夫婦なんですけど、薪車さんは“じじい”っぽいんですよね(笑)。本当は私の方が年上ですけれど、普通にやっております」と笑いを誘い、新車は「じじい、じじいってねぇ(笑)。見た目がちょっと老けているのかな」とおどけてみせた。また藤山との共演は「年上ってこんなにも心地良いものかとお芝居を通して改めて感じています。100%信頼して思いっきりやらせていただいています」と話し、『銀のかんざし』については「男の夢がつまっています。人間の絆、夫婦の絆というものを観ていただきたい」とみどころをアピール。藤山も、もう1本の『殿様茶店の恋日和』について「薪車さんの15分もあるすっごい立廻りは見物です。思わず『音羽屋!』(坂東薪車の屋号)と大向こうをかけたくなります」と力強く語った。そして「お芝居をご覧になったお客様が面白かったなぁ、楽しかったなぁと言っていただけるのが頂点の喜びです」と締めた。公演は同劇場で12月25日(日)まで上演。チケットは発売中。
2011年12月01日