「以前に比べ、『耳あかがたまっている気がする……』と訴える方が増えてきました。これはスマホを長時間使用するようになり、睡眠が浅くなっていることが原因だと考えられます。眠りが浅くなると、寝ている間、無意識のうちに奥歯をかみ締めてしまうことがあります。すると、耳下腺が硬くなり、平衡感覚を失ってしまうのです。それが聞こえの悪さにつながり『耳あかがたまっているのかも』と錯覚してしまうことに。耳は健康状態を表すバロメーターなのです」そう語るのは、イヤーエステティシャンの中本多紀さん。これまで2万人近くの耳をケアしてきた「耳専門家」だ。「東洋医学では古くから耳ツボ療法が行われてきましたが、実は西洋でも、ヒポクラテスが耳を使って治療をしていたことが知られています。ちなみに『耳介治療』を体系化したフランス人医師のポール・ノジェ博士は、『耳は胎児の形で、人体を投影している』と、今から50年以上前に学会で発表しています。そして現在では、世界保健機関(WHO)も耳ツボは350の病症に対し有効的だと認定しています。耳はまさに『人体の縮図』だといえるでしょう」耳には全身につながるツボが200以上もあるといわれ、その配置が胎児の形と一致する。「体に不調なところがあれば、そこに対応する耳ツボが硬くなったり、腫れてしまっていたり。場合によっては触ると痛かったりすることもあります。逆にいえば、耳ツボを適切に刺激してあげることで、体の不調を改善に導くことができるのです」■「認知症予防」に効果てきめんの耳マッサージ東洋医学では、「腎」は生命の起源であると同時に「脳をつかさどる」とされており、腎機能が低下すると、脳の老化が促進すると考えられている。耳マッサージで「腎」のツボをしっかり刺激し、脳の老化を食い止めよう。腎の機能が向上すれば、認知症の予防効果が期待できるだけでなく、体全体が活性化。疲労回復にも効果があるので、風邪が長引いたときや、ぐったりと疲れたとき、頭がぼんやりするようなときにもおすすめだ。【1】指先を耳の付け根にあてる。【2】耳全体をこするように、5〜7秒かけてゆっくり後ろに手を滑らせる。【3】そのまま耳をたたむようにして耳の穴にかぶせつつ、手を手前に引き戻しながら5〜7秒かけて耳の裏をこする。こするときは、「痛気持ちいい」と思える程度の力加減で。【4】3分くらいかけて、耳たぶ全体が温まるようまんべんなくもむ。1〜4を10回以上繰り返す。【5】中指で「腎」のツボ(耳の穴の上)を刺激する。ぐっと押してはゆるめる、を繰り返して。1日2回、朝と夜に、耳に意識を集中させながら行おう。できるだけ集中力を高めるために、静かな場所で行うと効果的。人生100年時代を「頭」も「体」も快適に暮らしていくために、ぜひ毎日の習慣に取り入れてみて。
2021年06月09日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収さん(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「51歳で結婚(初婚です!)を考えています。職場にいるバツ1の女性が相手です。彼女も結婚を考えてくれていますが、独身生活が長い僕は、踏ん切りがつきません。うまくいくコツを教えてください」(シゲジイさん・51・大阪府・会社員)【A】「結婚がうまくいく秘訣は自分の本心を隠し続けること」(蛭子能収)あれ、最近、オレの知り合いの誰かが結婚したはずですが……。(マネージャー〈以下、マ〉「有吉弘行さんです。46歳でアナウンサーの夏目三久さんと結婚しました」)あ、そうだ!有吉さんは楽屋ではおとなしいし、すごく優しい顔をしているけど、毒舌キャラに路線を変更して、芸能界で生き残れたからすごいですよね。ちょっと計算高いというか……。(マ「新刊『認知症になった蛭子さん』も発売後すぐに、ツイッターでつぶやいて宣伝してくれた恩人ですよ」)あ、そうですか。たぶん有吉さんも、結婚生活では本音を隠していると思いますよ。オレは、昔から子どもより女房が一番です。(マ「でも本当は競艇がいちばん好きなんですよね?」)そう思っていても「女房がなにより」とずっと本心を隠し続けること大事だと思いますけどね。(マ「有吉さんに会って、本を宣伝してくれたお礼を言ったほうがいいんじゃないですか?」)いや、今はちょっと、面と向かっては恥ずかしいからいいです。
2021年06月07日立ち上がって片足を上げて、どれくらいの時間バランスを維持できるかを測ってみよう。20秒もできない、という人は注意が必要!バランス力がないと、足腰の衰えだけでなく、認知症のリスクも高まってしまうというーー。「コロナ禍では、『人のいないところに出て、マスクを外して運動をしましょう』と訴えているのですが、やはりどうしても運動不足になりがちです。高齢者を中心に幅広い年代で、体の衰えが懸念されます。さらに私が注意喚起したいのは“バランス力”についてです」こう話すのは、愛媛大学大学院抗加齢医学(新田ゼラチン)講座教授の伊賀瀬道也先生だ。バランス力とは、姿勢を維持する力のこと。いわゆる“体幹”や“インナーマッスル”とも関係している。伊賀瀬先生の研究では、片足で1分以上バランスを保てない人はバランス力が低下していて、そこから筋肉や骨密度、さらには認知機能の衰えにも影響してくるという。「高齢者の方々に、片足でどれくらい立っていられるかのテストをしてもらったところ、20秒以上キープできなかった人には、かくれ脳出血やかくれ脳梗塞を起こしているケースが多くありました。同時に、片足立ちが得意でない=バランス力が衰えている人ほど、脳に萎縮が見られる傾向があることもわかっています。片足立ちがどれくらいできるかは、脳の健康のバロメーターともいえるのです」(伊賀瀬先生・以下同)認知症を予防するためにも、バランス力を鍛え、維持するには伊賀瀬先生が提案する「1分片足立ち」エクササイズが有効だ。どこでも簡単にできるものなので、認知症リスクを遠ざけるためにもぜひ取り組んでみよう。■1分片足立ち【1】背筋を伸ばし、視線を前に向け、両足をそろえて立つ。足裏全体をしっかり床につけ、太もも前面の筋肉を意識する。【2】目は開けたまま、片足を太ももが床と平行になる高さまで上げる。ひざは90度に曲げて1分静止。反対の足も同様に行う。これを1セットとし、1日3回行う。■後ろに足上げ【1】背筋を伸ばし、イスから30〜40センチ離れて立ち、状態をやや前に倒してイスの背を持つ。【2】視線は前に、ひざを伸ばしたまま、片方の足を真後ろにゆっくり上げていく。お尻、太もも裏の筋肉を意識する。できるところまで上げたらゆっくり戻す。繰り返し10回行う。反対の足も同様に行う。これを1セットとし、1日3回行う。「最初は慣れるまで足首からふくらはぎの部分に少し痛みや張りを感じることがあるかもしれません。ですが、それは筋肉が鍛えられていないためで、続けていくうちに下半身の筋肉が鍛えられて、バランス力もついてきます」このエクササイズはテレビを見ながら、慣れてくれば歯みがきをしながら、と、“ながら”で行うのが長続きさせるための秘訣だという。「歯みがきは誰でも毎日するでしょうから、朝と晩の歯みがきタイムで2回、あと1回はテレビを見ながらなど、何かをしながらこのエクササイズを生活に取り入れてみてください」前方だけでなく、後方にも「1分足上げ」エクササイズを行うと、太ももの後ろから腰にかけての筋肉も鍛えられて、さらに効果的だ。危険防止のためにも、すぐに手をつけるよう壁やテーブルのそばで行うようにしよう。「片足立ちエクササイズは、重心がぶれないように支える“足裏感覚”も鍛えられます。これもまた若さを保つ秘訣です。40〜50代の女性は、更年期を境に女性ホルモンのバランスにより、骨粗しょう症が進行したり、筋力の低下が著しくなります。これらが進行すると認知機能にも影響が及んでしまいます。全身の健康を保つためにも、バランス力を鍛えることを心がけてください」片足立ちで、足腰と脳のコンディションを維持していこう。
2021年05月31日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「将来はグラフィックデザイナーになって、ロゴや商品パッケージをデザインしたいと思っています。できればオリンピックのロゴなんかも作ってみたいです。蛭子先生、なにかアドバイスをお願いします」(勘太67号さん・21・山形県・学生)【A】「オレが描いたデジタル庁のロゴ、採用してもらえませんか?」(蛭子能収)えっ、「アドバイスしろ」と言われても……。(マネージャー〈以下、マ〉「若いときは横尾忠則さんに憧れて、グラフィックデザイナーを夢見ていましたよね」)でも長崎商業高校を卒業した後、デザイナーになろうと就職した先は看板屋さん。しかも、仕事は看板の設置でしたからオレに聞かれても困るし、そもそも「先生」って言われるようなことはしてないんだけど……。(マ「この前、出版した新刊『認知症になった蛭子さん』で20冊以上も本を出してるんだから立派に先生ですよ」)でも、そんなに売れた本がないから、やっぱり先生じゃないですよ。横尾さんのように、大きな仕事をしたこともないし……。(マ「そういえば、今年9月に設置される予定のデジタル庁が、ロゴを作成するデザイナーを募集しているようですよ。作ってみたらどうですか?蛭子先生!」)え〜……まあ、国がやってるなら、採用されたらいっぱいお金がもらえそうだから、ちょっと描いてみましょうか。
2021年05月31日犬と猫と暮らしている、くうオブアマラー(@yuduki_emi)さん。ある日、愛犬を予防接種に連れていきました。車で待機していると、愛犬はこれから予防接種をされることを察したのか、無の状態になっていたといいます。投稿を見た人たちから「覚悟を決めたようだ」「悟りを開いている…」の声が寄せられた写真がこちら!予防接種待ちで『無』の状態になってるいっぬ pic.twitter.com/Mv9Gyry0AG — くうオブアマラー (@yuduki_emi) May 25, 2021 「何も感じず…何も聞こえず…」というような無の境地に入ってしまった愛犬。一本線のようになってしまった遠くを見つめる目が、なんともいえません!しかし、予防接種が終わると…。表情が一変!パッと笑顔になり、予防接種を乗り越え無敵となったようです。投稿には「差がすごすぎる」「なんて分かりやすい子」「乗り切った感がすごい」などのコメントが寄せられていました。悟りを開いてまでも乗り越えた予防接種。我慢できたことを褒めてあげたくなりますね![文・構成/grape編集部]
2021年05月26日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの“介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん〜介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「80歳の母は認知症になってお金に対する執着が激しくなりました。『盗まれた』とか『だまされた』などと言って周囲はヘトヘトに。昔は、お金にはサバサバしたタイプだったのに……と困惑しています」(カッコー丸さん・54・新潟県・主婦)【A】「みなさん、新刊『認知症になった蛭子さん』を買ってください!」(蛭子能収)オレは認知症のことがよくわかりませんが、(マネージャー〈以下、マ〉「いやいや……」)お金にガツガツする本性が出てきただけですよ。お金に固執するのはいけないと思って、ずっと我慢してきたんでしょうね。この人の素の姿が見えたと思って、テキトーに聞いておけばいいですよ。オレは小さいころからお金への執着心はすごくあります。(マ「“認知症になっても稼いでいたい”という思いについても書いた新刊『認知症になった蛭子さん』という本も出しました」)あれ、そうやっけ?(マ「でも、思うように売れていないんですって」)え〜、それはマズいですね……。(マ「ただ、読んでくれた人からは『介護で悩んでいたが、心が軽くなった』『蛭子さんは認知症の希望の星だ』という声が届くなど、評判はとてもいいようですよ」)そういうのはどうでもいいですけど、売れないと印税が入ってこないし、困りますね。なんとかしてください。(マ「〈テキトーに〉はい、はい、頑張りますね」)「女性自身」2021年6月1日号 掲載
2021年05月24日気温が上がり始める、5月頃から気をつけたい熱中症。子どもたちは普段から外で練習し暑さに慣れていきます。最近はチームでも熱中症予防の意識が高まり、子どもの熱中症予防には様々な対策をしているところが多いですよね。一方で大人は、在宅やオフィスなどでエアコンの効いた室内で働き、運動不足、残業などで寝不足や仕事の後の飲酒など、疲労回復や体調管理が子どもたちよりできていないという状況もあります。暑熱順化できていない分、子どもたちより熱中症に注意しなければなりません。サッカーをするお子さんだけでなく、保護者も暑さから身を守るための知識をつけ、準備をしておきましょう。「熱中症予防 声かけプロジェクト」実行委員であり、筑波大学体育系准教授の渡部厚一さんに聞く「大人のための熱中症対策」。今回はお酒が熱中症に及ぼす危険性、高齢者におすすめの対策をうかがいました。(取材・文:鈴木智之)子どもの雄姿を近くで観たくなる気持ちはわかりますが、熱中症にならないようなるべく日陰を探してください(写真はサカイクキャンプより)<<前編:実は大人の方が危険!?「大人ならではの事情」で熱中症にならないために知っておきたい正しい熱中症対策■汗をたくさん書いた状態でいきなりビールを飲むのは危険夏はビールの美味しい季節。普段よりも、アルコールの摂取量が増える人も多いのではないでしょうか。渡部さんは言います。「熱中症に限らず、スポーツ活動中の大人の死亡事故の原因の一つに『体調コントロール』があります。睡眠不足でスポーツをしたり、前夜のお酒が体に残ったまま運動をしたり、暑い中に長時間いるなど、体調が良くないまま活動し、不測の事態に陥るケースです」なかでもお酒が及ぼす影響は大きいそうで、「水難事故など、夏に起きる事故の多くに、お酒が絡んでいます」と話します。酔っ払った状態で海に入ったり、BBQをして、酔っ払って川に入って流されるなど、危険な環境は身近にあります。「お酒を楽しく、美味しく飲むのはいいことですが、量をコントロールするのと、お水などでアルコール以外の水分をしっかりととることが大切です。夏の暑いときは、たくさんの汗をかいて、体内から水分が失われているので、おしっこの色が濃くなっています。その状態でお酒を飲むと、血中アルコール濃度が高まるので注意が必要です。泥酔しやすくなってしまいます」夏の暑い時期は、お酒の前に水や電解質(イオン:ナトリウム、クロール、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどミネラルのこと)を含んだ飲料を飲み、体内にしっかりと水分を取り入れてから、ビールなどアルコールに口をつける。これは熱中症対策だけでなく、体調管理の観点からも覚えておいた方が良さそうです。「日中、暑いところにいて、室内に戻ってきて飲むビールは美味しいですよね。喉が乾いた状態で飲みたい気持ちはわかりますが、理屈から言うと、脱水の状態で飲むことになるので、体に負担がかかる場合もあります。まずはチェイサー代わりとして、水で体内を潤してからのほうがいいと思います」■飲酒は脱水になりやすい!遅くまで飲んだ次の日は普段より多く水分を摂ろうまた、「お酒には興奮作用、利尿作用があり、脱水になりやすい」と注意をうながします。「前夜にお酒を飲み、翌朝に寝不足&脱水の状態で炎天下で活動すると、熱中症になるリスクが高まります。前夜に深酒した翌朝は、普段よりも多く水分をとるなどして、とくに気をつけてください」ほかにも気をつけたいのが「高齢者の熱中症」です。サッカー観戦時だけでなく、エアコンをつけていない室内で熱中症になるケースも増えており、注意が必要です。「まず、お年寄りは喉の乾きを感じにくく、体内の水分量も、年齢を重ねるにつれて少なくなっていきます。ほかにも、糖尿病などの持病をお持ちの方は脱水になりやすい傾向にあります。おしっこが出やすいので、体が乾きやすく、脱水や熱中症になりやすいのです」■電解質を含んだ飲料をこまめにとって子どもや体力のある成人であれば、暑さに慣れる「暑熱順化」も必要ですが、活動量の少ないお年寄りにそれを望むのはむずかしいので、渡部さんは「室内にいるときはエアコンをつけましょう」とアドバイスを送ります。「高齢者の中には『なるべくエアコンはつけない方が良い』とお思いの方もいらっしゃるようですが、現代の暑さをエアコンなしで乗り切るのは、体調管理の観点からも危険と言わざるを得ません。ですので、暑さを感じたらエアコンをつけること。そして電解質を含んだ飲料をこまめにとることですね」同様に、試合観戦に向けては、軽装を心掛け、帽子をかぶり、会場では子どもたちを間近で見たくなる気持ちもわかりますが、なるべく屋根のある日差しの当たらない風通しの良い場所を選ぶよう心がけてください。これは高齢者だけでなく保護者の皆さんも一緒です。■牛乳も熱中症予防に効果的さらに渡部さんは「牛乳を飲むのもいいですね」と教えてくれました。「牛乳には水分だけでなく、タンパク質や糖質などがバランスよく入っていて、血液中の水分を保ってくれます。高齢者の方は牛乳を飲んで、熱中症を予防するのがいいと言う先生もいるほどです」朝食時にパンと一緒に牛乳を飲む。これも熱中症対策の朝のルーティンとして取り入れてみるのもいいかもしれません。「外出するときは、体から汗を出すことが大切ですので、放熱をうながしやすい服装をしましょう。風通しの良い軽装で、日光を遮るために日傘を差したり、帽子をかぶるのもいいですね。サングラスは熱中症予防というよりも、紫外線から目を守る効果があります。服装や持ち物は、日差しを遮り、風を通すものを選んでもらえたらと思います」熱中症は気温が上がり始める、5月初旬から中旬にかけてが、最初の注意時期です。体が暑さに慣れていない時期なので、普段以上に対策を万全にして出かけましょう!渡部厚一(わたなべ・こういち)筑波大学体育系准教授筑波大学医学専門学群卒業後、筑波大学附属病院にて医師として勤務。筑波メディカルセンター病院や国立療養所晴嵐荘病院、国立病院機構茨城東病院を経て2012年より国立大学法人筑波大学 体育系に着任。筑波大学水泳部チームドクター。スポーツドクターとして世界水泳選手権大会日本代表水泳チーム(2007)、夏期オリンピック大会水泳チーム(2012)帯同。2011年より「熱中症予防声かけプロジェクト」の実行委員を務める。
2021年05月20日2020年7月、認知症であることを公表した蛭子能収(73)。その近況や今の思い、妻・悠加さんの”介護相談”も収録した『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社・定価1,320円)も発売中の蛭子が、本誌読者からの相談に応える!【Q】「中学、高校と陸上競技部で、目標に向かって努力すれば結果がともなうことを知りました。社会人になって先輩から、懸命に力を尽くしても報われないことばかりと言われました。努力家は損ですか?」(オリサイさん・23・愛知県・会社員)【A】「オレの好きな言葉は、印税。座右の銘は、CMです!」(蛭子能収)努力が無駄かどうかはわかりませんが、努力しているフリは大事だと思います。オレは漫画でも手を抜いていましたが、作品を編集者に出すときはすごく大変だったことをアピールしていました。それで原稿料をもらえましたから(マネージャー〈以下、マ〉「『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』のロケで足腰が鍛えられたから認知症になっても元気。努力は報われると思いますよ」)。ギャラが出れば頑張ります。でも基本的にオレはただで頑張りたくありません。本(蛭子さんの新著『認知症になった蛭子さん』)が出て「大変でしたね」と言われますが、「まあちょっと大変でした」と答えていますが、本自体ではオレはまったく力を尽くしていません。それでも大好きな印税が入ってくるからうれしいです。もっといいのが「ちょこっと働けば、いいギャラが入る」CMの仕事です。もっと努力して、オレをCMに起用してくれる会社を見つけてきてくださいよ。(マ「努力する気が失せました!」)「女性自身」2021年5月25日号 掲載
2021年05月17日今年も暑い夏がやってきます。お子さんの熱中症対策は十分に行っていると思いますが、忘れてはいけないのが、大人の熱中症対策です。テレワークが続き、外に出る時間が減っている。ついついお酒を飲みすぎてしまう。仕事が忙しくて十分な睡眠時間が確保できないなど、大人ならではの事情が、熱中症に影響を及ぼすこともあるようです。そこで今回は「熱中症予防 声かけプロジェクト」実行委員であり、筑波大学体育系准教授の渡部厚一さんに「大人の熱中症対策」について、話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之)夏場の熱中症リスク、子どもより大人の方が高い?どんなことに気を付けたらいいのかを聞いた(写真はサカイクキャンプより)■「息苦しさ」を感じたら熱中症の症状かも「熱中症予防 声かけプロジェクト」は2011年に誕生したプロジェクトで、今年で10年目を迎えます。官民一体となり、声掛けを通じて熱中症を予防しようという取り組みです。Webサイトには熱中症対策も含めた情報が掲載されていて、一見の価値ありです。渡部さんは呼吸器内科医として医療活動にあたり、スポーツドクターとして、水泳を中心に選手のコンディショニングなどをサポートしています。「呼吸器内科医の観点から、熱中症の症状としてよく見られるのが、呼吸の乱れです。選手から『息苦しい』と相談され、診察すると、脱水症状が原因で呼吸が苦しくなっているケースがありました。サッカーであれば、夏場の試合終盤に過度に呼吸が苦しくなるのは、代謝が亢進しているうえに汗によって脱水が生じ、体から失われた水分や電解質がうまく補給できていないことが、原因のひとつとして考えられます」■普段汗をかきなれてない人は、高湿度の日も注意熱中症は急に気温や湿度が上昇するときになりやすいと言われています。気温が30度を越えたり、体感として暑い日は熱中症対策にも意識が向きやすいですが、渡部さんは「湿度の高さにも、目を向けたほうがいい」と教えてくれました。「近頃は『暑さ指数』なども発表されますが、気温だけではなく、湿度も関係します。いわゆる蒸し暑い日、熱気がまとわりつくような、モワッと暑い日は注意が必要です」普段の生活で汗をかきなれていない人は、熱中症対策に必要な「暑熱順化」ができていないことがあります。人間は汗をかき、気化熱を発生させることで体温を下げますが、汗腺が開いておらず、体の外へ汗が流れていかないと、体内の温度が上昇したまま、下がっていきません。それが熱中症の原因にもなります。「東京五輪のWebサイトに『暑熱順化には1~2週間かかります』と書いてあるように、少なくとも1週間程度前から、暑い環境に慣れておくことが必要です。それをせず、急に暑くなった日に長時間外に出て運動などをすると、熱中症になるリスクは高まります」■水分補給ではなく、失った汗の成分を補給する感覚で「熱中症予防として、必要なのは水分補給です。暑い中でサッカーの試合を見ていると、じっとしているだけでも汗が出ます。常に飲み物を携帯して、お子さんの試合中に給水タイムなどが設けられていると思いますので、それに合わせて電解質の含まれた飲み物を飲むと良いと思います。最低でも、ペットボトル1本は持っていってほしいです」さらに、こう続けます。「汗の成分には、塩分やミネラルが多く含まれています。そのため、水分に加えてそれらの要素も補給しましょう。水分補給ではなく、失った汗を補給する感覚がポイントです」熱中症には、だるさ、頭痛、嘔吐といった熱疲労の症状や、一過性意識消失といった熱失神の症状のほかに、大量の発汗による脱水時の不適切な補正により、電解質異常、特に低ナトリウム血症に起因する有痛性の筋痙攣(いわゆる熱痙攣)が起きることもあります。これらの予兆が出たら、要注意と言えるでしょう。■睡眠不足も熱中症の大敵熱中症予防の観点からは、サッカー観戦の場所にも意識を向けたいところです。「体の外から入ってくる熱を輻射熱(ふくしゃねつ)と言うのですが、コンクリートの上で観戦するのと、芝生など、熱を吸収してくれるものの近くで観戦するのとでは、熱の伝わり方が違います。なるべく自然の中で、熱を吸収してくれるものの近くで観ることをおすすめします」サッカー観戦時、長時間外にいるだけでも体力を消耗します。そのため、体調管理に意識を向けることも、熱中症予防の観点からは大切なことです。とくに大人は不規則な生活になりがちなので、生活習慣も含めて見直す、いい機会かもしれません。「肥満者は熱中症のリスクが高いので、とくに気をつけていただきたいと思います。体調管理という意味では、睡眠不足も大敵です。自律神経系が滞ってしまいます」■朝ごはんもしっかり食べよう朝食を食べずに外に出て、暑い中で長時間活動するのも避けたほうが良さそうです。「朝食を抜くと血糖値が低いままなので、体が疲れやすくなります。また、食事をしていないと、十分に水分を摂取できていないこともあるので、その観点からも食事は大切だと思います」熱中症予防としては、規則正しい生活をして、食事、水分をしっかりとり、観戦中は日陰で見ながら、こまめに電解質の含まれた飲料を飲む。そうすることで、熱中症のリスクを軽減することができそうです。あわせて暑さに慣れることも忘れず、たまには外に出てウォーキングやランニングなどをしてみてはいかがでしょうか。汗をかき慣れておくことも、暑さが本格化する前の時期に必要なことのようです。後編では「お酒」が熱中症に及ぼす影響や、高齢者の注意点などをうかがっていきます。渡部厚一(わたなべ・こういち)筑波大学体育系准教授筑波大学医学専門学群卒業後、筑波大学附属病院にて医師として勤務。筑波メディカルセンター病院や国立療養所晴嵐荘病院、国立病院機構茨城東病院を経て2012年より国立大学法人筑波大学 体育系に着任。筑波大学水泳部チームドクター。スポーツドクターとして世界水泳選手権大会日本代表水泳チーム(2007)、夏期オリンピック大会水泳チーム(2012)帯同。2011年より「熱中症予防声かけプロジェクト」の実行委員を務める。
2021年05月17日ギャンブル好きで、空気を読まない自分本位の発言を連発。でもなんだか憎めないキャラで、お茶の間に笑いを届け続けた、あの蛭子能収さん(73)が認知症になった。「まさか」と思ったその現実に、誰よりも戸惑い、葛藤しているのは妻・悠加さん(54)だ。蛭子さんと悠加さんの出会いは03年。01年に前妻の貴美子さん(享年51)を亡くした蛭子さんが、再婚相手を探していると聞いた本誌は誌上お見合いを企画。それに悠加さんが応募したのだ。蛭子さんといえば、テレビで見せる空気を読まない独特な天然キャラで自由奔放な言動をするイメージが強いが……。交際から3カ月ぐらいたったころには、2人で佐賀県唐津市に2泊3日で旅行へ。「仕事が終わった翌朝、よっちゃんは『競艇をしたい』と言いだし、2日目も競艇場に行ってしまいました。さらに3日目の朝にも『大事なレースがあるから』とさっさと競艇に出かけてしまい、旅行中、私はホテルにずっと1人きり。さすがに帰りの車中で『どういうつもりなのよ!』と怒りが爆発しました」やりきれない表情で詰め寄った悠加さんに、蛭子さんは「前の女房は、こんなことでは怒らなかった」と言い返したという。「前の奥さんを信用するのにも、交際してから3年かかったとも言われました。私は、よっちゃんにとって気が許せる相手になるために、とにかく誠実に尽くして、それを積み重ねていこうと思いました」07年に悠加さんと蛭子さんは入籍。「よっちゃんの様子がなんだかおかしい」と、悠加さんがそう思い始めたのは17年のある晩のことがきっかけだった。「横で寝ていたよっちゃんに、突然、たたかれたのです。一瞬何があったのかわからなかったし、翌朝には本人もケロッとしていたから仕事の疲れがたまって寝ぼけたのかなあと思っていました」レビー小体型認知症の典型的な症状で、存在しないものが見える「幻視」が現れたのは、19年秋のこと。夜は1時間おきに起こされ、睡眠不足のまま過ごす日中には、幻視に加え、物忘れや時間と場所がわからなくなる症状も。蛭子さんの介護が悠加さんの心と体にずっしりとのしかかっていく。「幸いにも仕事先ではひどい症状はあまり出ていないようでした。だからこそ余計に、よっちゃんが“おかしい”のは私の前だけなのかと孤独感が募っていきました。誰かに相談しようと何度も思いましたが、タレントであるよっちゃんの症状がおもしろおかしく伝わって、芸能ネタになってしまってはいけない、と思っていたので、友達にさえ悩みを打ち明けられませんでした。すべて片づけて、いっそのこと死んでしまおうかと思ったことも……」本誌記者は、そのころの悠加さんに会っている。くぼんだ目、こけた頬。いらだちを隠せない視線を蛭子さんに向けていた。17年から3年間で、悠加さんは4回、救急病院に駆け込んでいる。ストレスからくる急性胃腸炎だった。20年7月に認知症であることをテレビで公表したのは、悠加さんの心のSOSからだった。「最初、介護サービスを利用することにひるんでいました。家族のケアを人に任せるなんて。妻である私がしっかりやらないといけない、と思い込んでいました」ケアマネジャーは、蛭子さんのためにショートステイ(短期入所生活介護)を受けることを提案。とにかく悠加さんの睡眠時間を確保することを優先させた。次第に悠加さんにも余裕が生まれ、二人の関係は穏やかなものへと変化していった。──それから半年が過ぎた。最近の蛭子さんは、週に数回、ショートステイを利用し、定期的に通院していることで、症状がだいぶ落ち着いている。混乱することが少ない昼から夕方にかけては仕事も問題なくこなせる。今年4月27日(火)には単行本『認知症になった蛭子さん~介護する家族の心が「楽」になる本』(光文社)が発売。病気は世間に公表され、悠加さん一人が抱え込むこともなくなった。とはいえ、認知症の症状はあり、悠加さんにとっては、まだまだ大変なことばかり。「心と体が健康でなければ介護はできないということを知りました。最近は、とくにソファに座ってテレビを見ている姿なんか、くまのプーさんに見えてくるんです。介護も、よっちゃんにならって私も“自分ファースト”の姿勢を持つようにしています」蛭子さんに、少し厳しい質問をしてみた。記憶力がなくなることに恐怖はないのだろうかと。「そう考えればたしかに怖いですね。ちょっとずつ物忘れはひどくなっているというか……、どんなことを忘れたかについては、忘れてしまいましたけど(笑)。でも女房がいるから大丈夫なんじゃないかな……と思いますけど」それを受けて悠加さんが語る。「そう大丈夫、よっちゃんが何もかも忘れても、私が全部、覚えておいてあげるからね!」「それはありがたいね」そう答えた蛭子さんに、悠加さんはふわりと笑いかけた。一時は自死さえも考えたという悠加さんの心の持ちようが変わったきっかけは、“自分ファーストの介護”の大切さに気づいたこと。そう、介護ではときに「蛭子さんみたいな考え方」が役に立つのだ。「女性自身」2021年5月11日・18日合併号 掲載
2021年05月10日65歳以上の人の約15%がかかっているという認知症を撃退できるうれしい食材があることを知っていましたか?しかも驚くことに、いずれもとっても身近なものばかり。ぜひおいしくお召し上がりくださいーー!「私はこれまで30年間で、胎児から高齢者まで、1万人以上の脳のMRI(磁気共鳴画像法)で撮影した脳画像の診断を行ってきました。そこでわかってきたのは、人の脳は100歳になっても、その人の心がけ次第でどんどん成長し続けるということなんです」こう話すのは、脳内科医の加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長)。最近、物忘れが多くなり、人の名前が思い出せなくなったと自覚している人には、驚きの言葉ではないだろうか。「たしかに脳の成長は40代でピークを迎えますが、その後の脳の健康状態も、日々の行いによって衰えを防ぐことができるのです」加藤先生によれば、脳の健康を保つポイントは三つある。「一つは脳を刺激してあげること。ふだんからいろいろなことに興味を持ち、つねに脳を活性化させるよう心がけてください。次に睡眠と適度な運動。脳に十分な酸素を供給することも大切です。そして最後にもう一つ欠かせないのが、質のよい食事。なぜなら脳と食事は密接につながっていて、認知症を遠ざけることができるからです」脳の活性化の“切り札”が、栄養素「プラズマローゲン」だ。「聞きなれない名前かもしれませんが、いま認知症に効果があることでいちばん注目されているのがプラズマローゲンという栄養素です」加藤先生によれば、米国の研究では、アルツハイマー病の患者の脳にこの栄養素が減少していることが指摘され、九州大学の報告でも、これを摂取すると認知機能が改善することが明らかになっているという。「プラズマローゲンは体内にある抗酸化作用を持ったリン脂質の一つで、神経細胞(ニューロン)をつなぐ成分になっています。脳には、木の枝のようにニューロンが張り巡らされているのですが、このニューロンの成長が脳を活性化し、認知症の予防につながります。そして、そのカギを握るのがプラズマローゲンなんです」リン脂質とは、細胞膜を形成する主な成分で、人体のリン脂質の約18%がこのプラズマローゲンとされる。脳にはもともと、この栄養素が含まれており、これが不足すると、うっかりや物忘れなどが多くなるのだとか。「うっかりや物忘れといった脳の活動が鈍くなる現象というのは、老化などにより脳の神経線維が傷つき、伝達速度が遅くなっていることも原因の一つです。プラズマローゲンは、傷ついた神経線維の細胞膜を修復してくれる栄養素。神経線維の傷が修復されれば、伝達速度も回復するというわけです」つまりプラズマローゲンが不足すると、どんどん脳の神経線維の伝達速度が落ちてしまう。これを補うことで、衰えた脳の働きを回復させる効果が生まれるのだ。「プラズマローゲンにはコリン型、セレン型、エタノールアミン型の3種類がありますが、脳に多く含まれるのはエタノールアミン型。これは動物性食品にしか含まれていません。その代表的な食品が鶏肉や魚介類です」そのなかで、とくに加藤先生が“三大プラズマローゲン食材”としてすすめているのが、ホタテ、タコ、サケだ。「今回のレシピは、加藤先生からいただいたプラズマローゲンといっしょに取りたい栄養素のリストを参考に考えました。メインの一品だけでなく、おつまみとしてもおすすめですよ」こう話すのは、料理研究家の羽賀敦子さん。栄養素のリストから参考にしたものは次の3つ。【カルシウム】骨の強化だけでなく脳細胞間の伝達経路の活性化を促進することで知られ、不足すると認知症の危険性が高まる。小松菜、シシャモ、ごま、チーズ、ヨーグルトなどに豊富に含まれる。【ビタミンB、C、E】脳にダメージを与え、老化の原因になるとされる活性酸素から、脳や体を保護するのがビタミンCとE。またビタミンBには、脳の活動を活発にし、認知症を防ぐ働きがある。これらを多く含むものとして、豚肉、にんにく、卵、アサリ、かぼちゃ、いちご、パプリカなど。【レシチン】摂取すると、脳からの命令を神経に伝えるアセチルコリンが増加。記憶力低下や物忘れの予防に効果がある。また脳の神経細胞が集中する白質の代謝を促進し、脳の神経細胞のネットワークが強化されるという。大豆、ウナギ、鶏レバー、ピーナツなどに多く含まれている。「このほかに、認知症の原因となる脳内での老化物質の沈着を防ぐ働きがあるとされる、オメガ3脂肪酸を含むエゴマオイルやイワシなどの青魚も加え、バランスを重視したレシピにしました。プラズマローゲンは生、加熱に関係なく摂取できます。サケは塩サケや切り身のサーモンなど、お好きなものを選んで調理してみてください」サケを使った羽賀さんおすすめのレシピを紹介。■認知症撃退オールスターが勢ぞろい!「サケのおにぎり」〈材料〉・塩サケ(切り身)…3切れ・ご飯…おにぎり6個分・じゃこ…60グラム・白ごま…小さじ1〈作り方〉(1)フライパンで、じゃこと白ごまを軽くいる。(2)塩サケはグリルで焼き、ほぐしておく。皮の部分はみじん切りにしておく。(3)ボウルにご飯を入れ、(1)と(2)を加えて、よく混ぜる。(4)おにぎりにして完成。じゃこと白ごまを炒めることで風味がUP。塩サケだけでは塩分が足りない場合は、適量の塩をまぶして。■小松菜のビタミン&カルシウムで脳を活性化「サケと小松菜の味噌チーズ焼き」〈材料〉・サケ(生切り身)…3切れ・小松菜…6株・エリンギ…3本・にんにく…1かけ・とろけるチーズ…3枚・A(白味噌、酒、みりん…各大さじ3)〈作り方〉(1)サケは2つに切る。(2)小松菜は4センチ大にそろえて切る。エリンギは短冊切り、にんにくはスライスにする。(3)Aを入れた耐熱皿に小松菜を敷き、エリンギをのせ、にんにくを散らす。(4)(3)の上にのせたサケにチーズを重ね、オーブントースターで10分間焼く。(5)サケに火が通り、チーズが溶けたら完成。味噌とチーズが絶妙にマッチ。オーブントースターはサケに火が通ったかを確認しながら、こまめに時間設定して。■大豆のレシチンが脳の神経細胞を強化「サケと大豆のトマト煮」〈材料〉・サケ(切り身)…300グラム・大豆(水煮)…1袋・玉ねぎ…1個・にんにく…1かけ・パセリ…1本・水煮トマト…1缶・油…適量・A(砂糖…大さじ1、コンソメ顆粒…小さじ1、ケチャップ…大さじ2)・オリーブオイル…適量・小麦粉…大さじ3・塩、こしょう…各少々〈作り方〉(1)一口大に切ったサケに軽く塩をふり、小麦粉をはたいて、油を熱したフライパンで両面を焼く。(2)玉ねぎ、にんにくはみじん切りにする。(3)鍋にオリーブオイルを熱し、(2)を入れてしんなりしたら、トマト缶とAを入れ、軽く煮詰める。(4)(3)に(1)と大豆を加え、塩、こしょうで味を調え、ひと煮立ちさせる。(5)(4)を器に盛り、葉の部分だけみじん切りにしたパセリを散らして完成。脳の栄養素といわれるレシチンが豊富な大豆やサケと相性抜群のトマトを使い、おしゃれなイタリアンに。プラズマローゲン食材を一品でたっぷり取れること請け合い。ぜひ食卓で実食あれ。「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月30日65歳以上の人の約15%がかかっているという認知症を撃退できるうれしい食材があることを知っていましたか?しかも驚くことに、いずれもとっても身近なものばかり。ぜひおいしくお召し上がりくださいーー!「私はこれまで30年間で、胎児から高齢者まで、1万人以上の脳のMRI(磁気共鳴画像法)で撮影した脳画像の診断を行ってきました。そこでわかってきたのは、人の脳は100歳になっても、その人の心がけ次第でどんどん成長し続けるということなんです」こう話すのは、脳内科医の加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長)。最近、物忘れが多くなり、人の名前が思い出せなくなったと自覚している人には、驚きの言葉ではないだろうか。「たしかに脳の成長は40代でピークを迎えますが、その後の脳の健康状態も、日々の行いによって衰えを防ぐことができるのです」加藤先生によれば、脳の健康を保つポイントは三つある。「一つは脳を刺激してあげること。ふだんからいろいろなことに興味を持ち、つねに脳を活性化させるよう心がけてください。次に睡眠と適度な運動。脳に十分な酸素を供給することも大切です。そして最後にもう一つ欠かせないのが、質のよい食事。なぜなら脳と食事は密接につながっていて、認知症を遠ざけることができるからです」脳の活性化の“切り札”が、栄養素「プラズマローゲン」だ。「聞きなれない名前かもしれませんが、いま認知症に効果があることでいちばん注目されているのがプラズマローゲンという栄養素です」加藤先生によれば、米国の研究では、アルツハイマー病の患者の脳にこの栄養素が減少していることが指摘され、九州大学の報告でも、これを摂取すると認知機能が改善することが明らかになっているという。「プラズマローゲンは体内にある抗酸化作用を持ったリン脂質の一つで、神経細胞(ニューロン)をつなぐ成分になっています。脳には、木の枝のようにニューロンが張り巡らされているのですが、このニューロンの成長が脳を活性化し、認知症の予防につながります。そして、そのカギを握るのがプラズマローゲンなんです」リン脂質とは、細胞膜を形成する主な成分で、人体のリン脂質の約18%がこのプラズマローゲンとされる。脳にはもともと、この栄養素が含まれており、これが不足すると、うっかりや物忘れなどが多くなるのだとか。「うっかりや物忘れといった脳の活動が鈍くなる現象というのは、老化などにより脳の神経線維が傷つき、伝達速度が遅くなっていることも原因の一つです。プラズマローゲンは、傷ついた神経線維の細胞膜を修復してくれる栄養素。神経線維の傷が修復されれば、伝達速度も回復するというわけです」つまりプラズマローゲンが不足すると、どんどん脳の神経線維の伝達速度が落ちてしまう。これを補うことで、衰えた脳の働きを回復させる効果が生まれるのだ。「プラズマローゲンにはコリン型、セレン型、エタノールアミン型の3種類がありますが、脳に多く含まれるのはエタノールアミン型。これは動物性食品にしか含まれていません。その代表的な食品が鶏肉や魚介類です」そのなかで、とくに加藤先生が“三大プラズマローゲン食材”としてすすめているのが、ホタテ、タコ、サケだ。「今回のレシピは、加藤先生からいただいたプラズマローゲンといっしょに取りたい栄養素のリストを参考に考えました。メインの一品だけでなく、おつまみとしてもおすすめですよ」こう話すのは、料理研究家の羽賀敦子さん。栄養素のリストから参考にしたものは次の2つ。【カルシウム】骨の強化だけでなく脳細胞間の伝達経路の活性化を促進することで知られ、不足すると認知症の危険性が高まる。小松菜、シシャモ、ごま、チーズ、ヨーグルトなどに豊富に含まれる。【ビタミンD】不足すると認知症やアルツハイマー病になるリスクが約1.5〜2倍に高まるといわれる。しらすやきくらげ、サバ、すじこなどに多く含まれている。「このほかに、認知症の原因となる脳内での老化物質の沈着を防ぐ働きがあるとされる、オメガ3脂肪酸を含むエゴマオイルやイワシなどの青魚も加え、バランスを重視したレシピにしました。プラズマローゲンは生、加熱に関係なく摂取できるので、タコは入手しやすいボイルした足でもOK」タコを使った羽賀さんおすすめのレシピを紹介。■チーズのカルシウムが脳の伝達能力UP「タコのカナッペ」〈材料〉・タコ(ボイル)…150グラム・クリームチーズ…150グラム・クラッカー…15枚・わさび、白ごま…各少々〈作り方〉(1)タコは一口大にスライスしておく。(2)15枚のクラッカーにクリームチーズ(1枚につき10グラム程度)を塗る。(3)(2)にタコをのせ、お好みでわさびと白ごまを散らして完成。クリームチーズのカルシウムが脳の伝達経路を活性化。わさびが苦手な人はのせなくてもおいしくいただけます。■きくらげでプラズマローゲンの効果を増強「タコときくらげの春雨ピリ辛サラダ」〈材料〉・タコ(ボイル)…90グラム・きくらげ…6枚・春雨…60グラム・きゅうり…1本・A(砂糖、しょうゆ、酢…各大さじ1、ごま油…大さじ1/2、ラー油…適量)〈作り方〉(1)きくらげは水で戻し、沸騰したお湯で30秒ゆでてから千切りにする。(2)春雨は沸騰したお湯で5分間ゆでて、水気を切っておく。(3)タコはぶつ切り、きゅうりはタテ半分に切りスライスする。(4)サラダボウルに(1)(2)(3)を入れ、よく混ぜたAをかけて完成。きくらげに含まれるビタミンDがタコのプラズマローゲンをさらに補強。ラー油の量で好みの辛さに調節して。■えごまオイルとくるみでオメガ3脂肪酸をチャージ「タコとオイルサーディンのくるみあえ」〈材料〉・タコ(刺身用)…150グラム・オイルサーディン…1缶・セロリ…1本・くるみ(ロースト)…30グラム・A(えごまオイル…100ミリリットル、ワインビネガー…大さじ4、塩、こしょう…各少々)〈作り方〉(1)タコはぶつ切り、セロリはスジを除きスライス、くるみは粗みじん切りにする。(2)Aをすべて合わせ、くるみを入れて、よく混ぜる。(3)タコとセロリ、油を切ったオイルサーディンを皿に盛りつけ、(2)であえて完成。えごまオイルとくるみでオメガ3脂肪酸を重点的に補給。タコはボイルしたものを使ってもOK。プラズマローゲン食材を一品でたっぷり取れること請け合い。ぜひ食卓で実食あれ。「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月30日65歳以上の人の約15%がかかっているという認知症を撃退できるうれしい食材があることを知っていましたか?しかも驚くことに、いずれもとっても身近なものばかり。ぜひおいしくお召し上がりくださいーー!「私はこれまで30年間で、胎児から高齢者まで、1万人以上の脳のMRI(磁気共鳴画像法)で撮影した脳画像の診断を行ってきました。そこでわかってきたのは、人の脳は100歳になっても、その人の心がけ次第でどんどん成長し続けるということなんです」こう話すのは、脳内科医の加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長)。最近、物忘れが多くなり、人の名前が思い出せなくなったと自覚している人には、驚きの言葉ではないだろうか。「たしかに脳の成長は40代でピークを迎えますが、その後の脳の健康状態も、日々の行いによって衰えを防ぐことができるのです」加藤先生によれば、脳の健康を保つポイントは三つある。「一つは脳を刺激してあげること。ふだんからいろいろなことに興味を持ち、つねに脳を活性化させるよう心がけてください。次に睡眠と適度な運動。脳に十分な酸素を供給することも大切です。そして最後にもう一つ欠かせないのが、質のよい食事。なぜなら脳と食事は密接につながっていて、認知症を遠ざけることができるからです」脳の活性化の“切り札”が、栄養素「プラズマローゲン」だ。「聞きなれない名前かもしれませんが、いま認知症に効果があることでいちばん注目されているのがプラズマローゲンという栄養素です」加藤先生によれば、米国の研究では、アルツハイマー病の患者の脳にこの栄養素が減少していることが指摘され、九州大学の報告でも、これを摂取すると認知機能が改善することが明らかになっているという。「プラズマローゲンは体内にある抗酸化作用を持ったリン脂質の一つで、神経細胞(ニューロン)をつなぐ成分になっています。脳には、木の枝のようにニューロンが張り巡らされているのですが、このニューロンの成長が脳を活性化し、認知症の予防につながります。そして、そのカギを握るのがプラズマローゲンなんです」リン脂質とは、細胞膜を形成する主な成分で、人体のリン脂質の約18%がこのプラズマローゲンとされる。脳にはもともと、この栄養素が含まれており、これが不足すると、うっかりや物忘れなどが多くなるのだとか。「うっかりや物忘れといった脳の活動が鈍くなる現象というのは、老化などにより脳の神経線維が傷つき、伝達速度が遅くなっていることも原因の一つです。プラズマローゲンは、傷ついた神経線維の細胞膜を修復してくれる栄養素。神経線維の傷が修復されれば、伝達速度も回復するというわけです」つまりプラズマローゲンが不足すると、どんどん脳の神経線維の伝達速度が落ちてしまう。これを補うことで、衰えた脳の働きを回復させる効果が生まれるのだ。「プラズマローゲンにはコリン型、セレン型、エタノールアミン型の3種類がありますが、脳に多く含まれるのはエタノールアミン型。これは動物性食品にしか含まれていません。その代表的な食品が鶏肉や魚介類です」そのなかで、とくに加藤先生が“三大プラズマローゲン食材”としてすすめているのが、ホタテ、タコ、サケだ。「今回のレシピは、加藤先生からいただいたプラズマローゲンといっしょに取りたい栄養素のリストを参考に考えました。メインの一品だけでなく、おつまみとしてもおすすめですよ」こう話すのは、料理研究家の羽賀敦子さん。栄養素のリストから参考にしたものは次の3つ。【ビタミンD】不足すると認知症やアルツハイマー病になるリスクが約1.5〜2倍に高まるといわれる。しらすやきくらげ、サバ、すじこなどに多く含まれている。【ビタミンB、C、E】脳にダメージを与え、老化の原因になるとされる活性酸素から、脳や体を保護するのがビタミンCとE。またビタミンBには、脳の活動を活発にし、認知症を防ぐ働きがある。これらを多く含むものとして、豚肉、にんにく、卵、アサリ、かぼちゃ、いちご、パプリカなど。【ヨウ素】認知機能が低下する原因の一つである、甲状腺ホルモンの異常を抑えるとされる。おもに海藻類に含まれるため、献立に一品は海藻類を加えるとよいとされている。代表的なものとして、のり、ワカメ、ヒジキ、メカブなどが挙げられる。「このほかに、認知症の原因となる脳内での老化物質の沈着を防ぐ働きがあるとされる、オメガ3脂肪酸を含むエゴマオイルやイワシなどの青魚も加え、バランスを重視したレシピにしました。プラズマローゲンは生、加熱に関係なく摂取できるので、ホタテは新鮮な刺身用がおすすめ」ホタテを使った羽賀さんおすすめのレシピを紹介。■ビタミンDの王様・しらすとのW効果「ホタテしらす丼」〈材料〉・ご飯…3杯分・ホタテ(刺身用)…6個・釜揚げしらす…100グラム・青しそ…6枚・卵黄…3個分・しょうゆ…適量〈作り方〉(1)ホタテは2〜3個にぶつ切りにする。(2)器に盛ったご飯の上に、青しそ、しらす、ホタテの順で盛りつける。(3)卵黄を中央にのせて完成。卵黄のビタミンB群と、青しそに含まれる血管の老化を防ぐβカロテンが合わせて取れるスペシャル丼。■ビタミンB、C、Eを漏れなくカバー「ホタテのマリネ」〈材料〉・ホタテ(刺身用)…9個・アサリ…9個・パプリカ黄色、赤色、玉ねぎ、レモン…各1/2個・クレソン…4〜5本・酒…大さじ2・A(オリーブオイル、ワインビネガー…各大さじ4、塩…少々)〈作り方〉(1)ホタテを2〜3枚にスライスする。(2)レモンはくし切り、玉ねぎ、パプリカは薄切りにしておく。(3)砂抜きしたアサリを小鍋で酒蒸しにし、汁とともに冷ましておく。(4)(3)から汁を取り出しAと混ぜる。(5)(1)(2)と(3)のアサリ、クレソンをざっくりあえ、(4)をかけてさらにあえてから、冷蔵庫で30分ほど冷やして完成。アサリだけでなく、ハマグリやムール貝などを加えると、よりうま味が濃厚になり、認知症予防にも効果的。■ヨウ素たっぷりのヒジキを薄味で堪能「ホタテとヒジキの煮物」〈材料〉・ベビーホタテ(ボイル)…12個・乾燥ヒジキ…20グラム・にんじん…1/3本・こんにゃく…1/2枚・だし汁…300ミリリットル・A(しょうゆ…大さじ2、砂糖…大さじ1、酒…大さじ1、みりん…大さじ2)・油…適量〈作り方〉(1)乾燥ヒジキを水で戻しておく。(2)にんじん、こんにゃくは細めの短冊切りにする。(3)鍋に油を中火で熱し、にんじん、ヒジキ、こんにゃくの順で入れて炒める。(4)にんじんがしんなりしたら、ホタテとだし汁、Aを加える。(5)弱火で、汁けがなくなるまで炒め煮して完成。認知症の要因とされる甲状腺ホルモンの分泌低下を正常に保つ、ヨウ素を含むヒジキがたっぷり取れる。味付けは薄めで。プラズマローゲン食材を一品でたっぷり取れること請け合い。ぜひ食卓で実食あれ。「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月29日「私はこれまで30年間で、胎児から高齢者まで、1万人以上の脳のMRI(磁気共鳴画像法)で撮影した脳画像の診断を行ってきました。そこでわかってきたのは、人の脳は100歳になっても、その人の心がけ次第でどんどん成長し続けるということなんです」こう話すのは、脳内科医の加藤俊徳先生(加藤プラチナクリニック院長)。最近、物忘れが多くなり、人の名前が思い出せなくなったと自覚している人には、驚きの言葉ではないだろうか。「たしかに脳の成長は40代でピークを迎えますが、その後の脳の健康状態も、日々の行いによって衰えを防ぐことができるのです」加藤先生によれば、脳の健康を保つポイントは三つある。「一つは脳を刺激してあげること。ふだんからいろいろなことに興味を持ち、つねに脳を活性化させるよう心がけてください。次に睡眠と適度な運動。脳に十分な酸素を供給することも大切です。そして最後にもう一つ欠かせないのが、質のよい食事。なぜなら脳と食事は密接につながっていて、認知症を遠ざけることができるからです」脳の活性化の“切り札”が、栄養素「プラズマローゲン」だ。「聞きなれない名前かもしれませんが、いま認知症に効果があることでいちばん注目されているのがプラズマローゲンという栄養素です」加藤先生によれば、米国の研究では、アルツハイマー病の患者の脳にこの栄養素が減少していることが指摘され、九州大学の報告でも、これを摂取すると認知機能が改善することが明らかになっているという。「プラズマローゲンにはコリン型、セレン型、エタノールアミン型の3種類がありますが、脳に多く含まれるのはエタノールアミン型。これは動物性食品にしか含まれていません」そのなかで、とくに加藤先生が“三大プラズマローゲン食材”としてすすめているのが、ホタテ、タコ、サケだ。【ホタテ】おすしのネタやバター焼きなど、子どもから大人まで人気の二枚貝。貝柱の主成分はタンパク質で、なんと、ハマグリの倍量にもなるとか。「ホタテのプラズマローゲンにはEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)も含まれており、脳の老化を防ぐ栄養を効果的に摂取できます」またアミノ酸のタウリンやアスパラギン酸が多く含まれることも特長。これらは、脳の発達を助けるだけでなく、疲労回復や目の疲れに効果的。スマホなどで、目を酷使したときなどにも食べるとよい食材だ。【タコ】お正月の酢ダコやたこ焼きでおなじみ。「タコにはプラズマローゲンはもちろん、年齢を重ねるごとに増えてくる、シミやシワといった肌の悩みに効果があるビタミンEや、亜鉛などのミネラルも豊富に含まれている。高タンパク質で低脂肪・低カロリーの魚介類のため、肥満防止にも効果が期待できます」またタコもタウリンが豊富で、目や脳の発達を助けてくれるという。ただプリン体を多く含むため、尿酸値が高めの人は食べすぎに注意が必要だ。【サケ】ひとくちにサケと言っても、最近のスーパーでは、塩サケの切り身から、刺身でも食べられるトラウトサーモン(海で養殖されたニジマスの一種)まで、さまざまな種類が販売されているが、プラズマローゲンはそれらすべてのサケに含まれている。「サケも低カロリーかつ、老化予防に効果があるとして注目されている食材です。サケのタンパク質は消化吸収がよく、プラズマローゲン含有量はホタテやタコほど多くありませんが、魚のなかでは多いといえます。何よりサケの身のピンクの色素(アスタキサンチン)は、抗酸化作用が強く、老化の原因となる活性酸素から脳や体を守ってくれる働きがあります。そして脳の健康に欠かせないEPAやDHAも豊富に含まれています」まずは“三大プラズマローゲン食材”のなかから、とくに自分が好きなものを選んで、それを優先的に食べてみよう。より効果的に脳を老化から遠ざけてくれるはず。「女性自身」2021年4月20日号 掲載
2021年04月29日8つの食材を混ぜ合わせて冷凍保存。朝や好きな時間にお湯をかけて溶かせばできあがり!簡単に作れる脳にいい栄養たっぷりのスープを毎日の習慣にーー。コロナ禍にあって一人で過ごす時間が多くなったことから、物忘れや「頭がぼーっとする」などの症状から認知症を心配し、受診する中高年が増えているという。「ご自身で受診するならほとんどは大丈夫なケースで、むしろ自覚のない人のほうが心配です。対策のために自宅で脳トレに励む方もいますが、それよりも、必要な栄養素をしっかり取ることで認知症の予防をすることができます」こう話すのは『1日1杯脳のおそうじスープ』(アスコム)が話題の脳神経内科医・内野勝行先生だ。認知症についてはまだ解明されていないことも多いが、近年、認知症を誘引する「脳にたまったゴミ」といわれる脳内に発生するアミロイドβというタンパク質を除去することが、早期認知症に有効であることがわかってきている。そしてこれを受けて、内野先生が考案したのは、アミロイドβをためないために、1日1杯飲むだけの「脳のおそうじスープ」だ。「使う食材や調味料は普通のスーパーで買えるものばかりです。これらに含有する栄養素を効率よく、定期的に取ることでアミロイドβを除去するようにしましょう。サプリメントより安価で、必要な栄養素がしっかり取れます」脳のおそうじスープで使う食材と栄養素、基本スープのレシピは次のとおり。〈材料〉約8杯分・トマト(=リコピンなど)…大1個(200グラム)・蒸し大豆(=レシチン、タンパク質、リン)、くるみ(=α-リノレン酸)…各50グラム・桜エビ(=アスタキサンチン)…10グラム・すりごま(=セサミン)…小さじ3杯(18グラム)・ノンオイルのツナ缶(=DHA・EPA)…2缶(140グラム)・塩…小さじ1杯(6グラム)・中濃ソース(=スパイス)…大さじ1杯(6グラム)・こめ油(=γ-オリザノール)…少々〈作り方〉(1)トマトはおろし金ですりおろす。(2)蒸し大豆とくるみを保存袋(大)に入れて、くるみを砕きながらもむ。(3)(2)に(1)とそのほかの材料を入れる。(4)もみ混ぜてから平らにして冷凍保存する。大きめの製氷皿で凍らすと便利。(5)スープの素(60グラム)に熱湯150ミリリットルを注ぐ。こめ油(分量外)を少々垂らして完成。続けるコツは、時間があるときに基本のスープの素を作って冷凍庫に保存すること。あとは毎朝、湯を注ぐだけ。時間があるなら、キムチを加えてチゲ風、玉ねぎとトマトを加えてチーズで仕上げてグラタン風などアレンジも自在。「まずは毎日1杯は飲んで、最低2週間は続けてみてください。食事どきに限らず、小腹がすいたときに食べても、ナッツや大豆など腹持ちのよい具材が入っているので1杯で満たされます。毎日のスープ生活で脳をおそうじしながら規則正しい生活や適度な運動、質の高い睡眠をとることも心がけてくださいね」まずは1杯のスープから、脳のおそうじ習慣を身につけよう。「女性自身」2021年4月13日号 掲載
2021年04月28日ナビゲーターを務める“ゴンちゃん”こと権頭喜美恵さんの第一声で、この日の放送も始まった。3月26日金曜日、ここは北九州市のコミュニティFM「エアステーションヒビキ」(88.MHz)のサテライトスタジオ。一面ガラス張りのスタジオに、穏やかな春の日差しが差し込んでいる。「今日は暖かいですね」「3月ももうおしまいですからね」ゴンちゃんの言葉に、サポート役の小島成裕さんが相槌を打つ。と、すかさず高齢の女性の声が割り込んできた。「うちの男衆は皆、3月生まれやけん。アニキやらおったらせわしいて。口うるさいけんね」酒井清子さん(87)だった。レギュラー出演者の女性トリオ「あめちゃんず」の1人だ。ちなみに「あめちゃんず」の由来は「キャンディーズ」だとか。酒井さんのおしゃべりをやんわりかわしてゴンちゃんは続ける。「さ、今日も生放送でお届けしてまいります。まず、自己紹介からいきましょう。中村さん」しかし、呼びかけられた中村文子さん(90)は、ヘッドホンを装着したまま身じろぎもしない。「うちの兄は来たことないでしょ」と、またまた酒井さん。「そうですかねぇ」と、さらりと受け流しながら、ゴンちゃんは中村さんの目の前で手を振った。ハッと中村さんは覚醒!手を振り返して、姿勢を正す。中村「はい。中村文子と申します」ゴン「何歳ですか?」中村「は?90歳(笑)」ゴン「ここではいちばん年上のお姉さんですねじゃ、天神さ~ん」ところが、天神ツキミさん(88)は、呼ばれたことに気づかない。中村さんが「天神さん」とささやいて、彼女の肘を軽く突ついた。それまで天神さんは小声でブツブツ独り言を繰り返していたが、突然、スイッチが入ったように高々と片手を上げると、大きく張りのある声で話し出す。天神「はーい!昭和8年2月5日生まれ、天神ツキミでございます。よろしくどうぞ」ゴン「今日も元気ですね」天神「元気バリバリ!」あめちゃんずの3人は、アルツハイマー型認知症を患って、同じグループホームで暮らしている。お話しするのが大好きで、全く脈略のない話が飛び出し、同じ話題がループし続けたりするけれど、3人ともに短期記憶に若干の難ありだから、そんなことは問題なし。互いの言葉に「それ初耳よ」とばかりに「へえ~」と感嘆の声をあげ、ケラケラと乙女のように笑い合うほほ笑ましいやりとりが、リスナーの心をつかんでいる。3人合わせて265歳!月1回、第4金曜日午後1時から1時間の生放送。あめちゃんずは現役バリバリのラジオパーソナリティだ。「ラジオ@オレンジカフェがスタートしたのは’19年1月。いまのメンバーに落ち着いたのは、去年の春ぐらいからですね」と、話す小島さんは、あめちゃんず3人が暮らす認知症対応型共同生活介護施設「グループホームもやい」の管理者だ。あめちゃんずの生みの親はといえば、ゴンちゃんこと権頭さん。権頭さんは、社会福祉法人・「もやい聖友会」の理事長で、スタジオがある特別養護老人ホーム「銀杏庵穴生倶楽部」は同法人が運営している。「特養(特別養護老人ホーム)を建てるときに思ったんです。特養を地域と普通につながっている場所にしたいなって」施設に来るのは、入居者と職員、たま~に家族、年数回のボランティア慰問のみという、従来の特養の暗く寂しいイメージを払拭すべく、権頭さんは、建物の1階にラジオ・スタジオとカフェ、5階に貸しスペースや学習室を作った。スタジオ完成は12年。コミュニティFM局から放送枠を買い取って、FM放送を開始した。そんなとき、グループホームの入居者が権頭さんにこう言った。「私ね、まだ、元気だから、働きたいんよ」「みなさん、お仕事をして、やっぱり社会とつながっていたいんだな」そう改めて痛感したとき閃いた。「認知症のおばあちゃんたち、ラジオに出ないかな」と――。そうして、レギュラーに落ち着いたのが、現在のあめちゃんずの3人なのだ。放送では終始、三人三様のキャラクターが光っていた。同じことを何度も繰り返したり、脈絡がなかったり。でも3人の会話はとても楽しそうで、そこがリスナーの心を和ませる。現代の日本において、認知症は、介護される世代にも介護する世代にも、最もおそれられているといっても過言ではない。だが、認知症になっても、それは決して絶望ではない。意思は通じないかもしれない。でも「楽しい」と思える瞬間は共有できる。仲間とも、家族とも、あなたとも、そんな絆が確かにある――。「女性自身」2021年5月4日号 掲載
2021年04月26日3月26日金曜日、ここは北九州市のコミュニティFM「エアステーションヒビキ」(88.2MHz)のサテライトスタジオ。一面ガラス張りのスタジオに、穏やかな春の日差しが差し込んでいる。「みなさま、こんにちは~。『ラジオ@オレンジカフェ』の時間になりました」ナビゲーターを務める“ゴンちゃん”こと権頭喜美恵さんの第一声で、この日の放送も始まった。パーソナリティは、3人。酒井清子さん(87)、中村文子さん(90)、天神ツキミさん(88)。3人で、パーソナリティトリオの「あめちゃんず」だ。3人は、アルツハイマー型認知症を患って、同じグループホームで暮らしている。3人合わせて265歳!月1回、第4金曜日午後1時から1時間の生放送。あめちゃんずは現役バリバリのラジオパーソナリティだ。あめちゃんずの生みの親はといえば、ゴンちゃんこと権頭さん。権頭さんは、社会福祉法人・「もやい聖友会」の理事長で、スタジオがある特別養護老人ホーム「銀杏庵穴生倶楽部」は同法人が運営している。「特養(特別養護老人ホーム)を建てるときに思ったんです。特養を地域と普通につながっている場所にしたいなって」それから、ひらめいたという。「認知症のおばあちゃんたち、ラジオに出ないかな」と――。メンバーいちのおしゃべり上手で、時おり毒を吐く酒井さんは、昭和8年生まれの87歳。「生まれたのは北九州の若松ね。父は戦争で硫黄島に行って亡くなった。やっぱ泣いたよ、私は」ときには過去と現在が交錯する。「戦時中はこのあたりも空襲はあったよ。ここのスタッフが『ここから逃げなさい』って言ってくれるけん、それで逃げた」母も早くに他界。年の離れた兄が親代わりだった。「でもね、ここは楽しいよ。親のおらん私たちでも丁寧に扱ってくれるしね。幸せと思ったね。父もおらんで、兄と姉と3人だったから、(幼少期は)寂しかった。その点、ここは、いい人ばっかやから。ラジオも楽しいね。私、バカ言うのが好きなんよ。冗談とかがね」一方、天神さんは、自分のことを「テンコ」と呼ぶ。「テンテンテン鞠、テン手鞠♪って歌があるじゃないか。テンコは鹿児島の田舎、川辺郡(現・南九州市)川辺町上山田で生まれました。何歳ですかねぇ。もういい年よ。顔のよかオゴジョって言われよったよ、私は。別嬪さんちゅうこと。それが今は誰一人としてほれてくれる人も、『おまえかわいいのう』と言ってくれる人もおりません!」ラジオでのことを聞くと、すでに記憶にないようだった。「は?私がなんでラジオやる?おしゃべりは多いと。黙っといたら寂しいでないかい。日は長いし、誰もしゃべってくれる人がおらんと『ああ、寂しい』ってなるからね。そうするとボケがくるんだよ。ある程度、年を重ねたら、独り言でもいいから、小さな声でしゃべったり、歌ったりせんとね。しまいにはもう何が何だかわからんことなって、ションベンしかぶるわ!」お姉さんキャラで、世話好きの中村さんは、いつも柔らかな笑みが絶えない。「生まれたのは昭和5年6月3日。だからもう90歳!」と、90歳に力をこめた。生まれは愛媛県。学校を出た後、紡績工場や製鉄会社の電話交換手などをして懸命に働いたという。「働きづめやった。こっち(福岡県)に来て、戦争の真っ最中に国鉄に勤めよってね。切符切りしよったの。みんなが疎開してくるやろ。それを区別せないけんから、貨車から飛び降りよったしね」話の後半は、理解不能。でも、そのままを受け止めればいい。何度も繰り返した言葉は、「楽しい」だった。「ラジオ?楽しいよ。私ね、なんでも参加するの。散歩も楽しい」権頭さんは言う。「あめちゃんずの3人は、ラジオに出るようになって、とても前向きになった気がします。お話も上手になった。聞いている人を意識するようになったからですね。『何が何だかわからない』と言っていた人が、『何か面白いこと言わな』『笑ってくれたらいいな』と、考えているのが伝わってくる。進歩してる。すごいことです」ラジオの生放送を終えた後、近所の公園を出演者5人で散歩した。「ここはええね。明るくて、桜もきれいで」少し前に足首をひねった酒井さんは車いすだが、車いすを押す権頭さんに盛んに話しかけている。中村さんと天神さんは、小島さんに手を引かれ、のんびり歩いた。「あめちゃんずのラジオを通して、認知症になっても、一緒に会話を楽しめるんだよということをもっと皆さんに知ってほしいですね。認知症=不幸せと思ってほしくないんです。認知症を患ったからといって、何もできないわけではない。まして怖い人でも、迷惑かけるばかりの厄介者でもない。一緒にいるだけで、ほっこりした気持ちにさせてもらえる。癒されるし、優しい気持ちにさせてもえる。そのゆったりとした優しい時間を1人でも多くの方に味わっていただいて、正しい認知症の姿を知ってほしいと思っています」と、権頭さん。「あめちゃんずの皆さんには100歳を目指していただきたいですね。3人で、300歳で、ラジオでおしゃべり。そのときどんな会話が飛び出すか。楽しみでしょうがないです」そろって眩しそうに満開の桜を見上げるあめちゃんず。3つの笑顔が明るい春の日に輝いていた――。「女性自身」2021年5月4日号 掲載
2021年04月26日「父の日記には『電車を乗り間違えた』『講演の途中で話すことがわからなくなった』といった記述がだんだんと増えていきました。認知症の専門医である自分が、認知症かもしれない……という恐怖や心配は、父の心にあったと思います」そう語るのは、認知症専門医の長谷川和夫さん(92)を父に持つ、南高まりさん(59)。長谷川さんは、聖マリアンナ医科大学名誉教授で、認知症研究の第一人者。当たり前のように使われていた「痴呆症」という呼称を改めることに尽力し、認知症診断の物差しとなる「長谷川式簡易知能評価スケール」を開発した人物だ。そんな長谷川さんが『僕も認知症なんです』と明かし、世間を驚かせたのは’17年10月のこと。以後も長谷川さんは、進行していく症状を受け入れながら、認知症にまつわるさまざまな情報を発信し続けている。長谷川さんの活動をサポートしている長女のまりさんは、“父の記憶に残せるように”と、『父と娘の認知症日記』(中央法規出版)を今年1月に出版。長谷川さんの日記や写真を基に、60年の歩みをまりさんの視点で綴っている。「父は国際会議や学会のために、世界中を飛び回っていました。そんな多忙な中、歯医者さんに連れていってくれるのは父の役割で、帰りに一緒に飲んだホットココアの味は今でも忘れられません」そんな優しい父の“異変”に家族が気づいたのは、’15年ごろ。「私は当時、精神保健福祉士の資格を取るために学校に通っていたんですが、それを父に話したら、すごく喜んでくれて。でも、学校の先生に『娘が通っていますからよろしくお願いします!』と電話までかけてしまったんです。よく認知症の人は感情を抑えられなくなると言いますが、父の場合も怒りっぽくなったり、反対に大げさに喜んだりすることがありましたね」講演に招かれると、長谷川さんはひとりで出かけていたが、冒頭のような“症状”を思わせる言葉が日記には増えていく。これからも元気でやっていけるのだろうか……そんな不安が的中したのは、’17年6月だった。「講演に向かう途中だった父は道に迷い転倒し、右肘を粉砕骨折してしまったんです。それでも会場に向かい、骨折していることを周囲に気づかれることなく講演をやり遂げたそうですが、私は“なぜ肝心なときに付き添っていなかったんだろう”と非常にショックを受けました」そんな大ケガを負ってもなお、まりさんが長谷川さんの活動をサポートし続けたのは、「自分が話すことで人様の役に立てることがあるはず」という強い思いが、長谷川さんにあったからだ。もし家族が、自分が、認知症になってしまったら……そんな不安を抱える人は多い。「父は認知症になる以前から、近所の『カムイ』という珈琲店に行くのが楽しみで、私もよく一緒に行きました。店主は父のことをよく理解してくださっているので、ひとりでも安心してくつろげる場所だそうなんです。そして40年以上父が通ってきた理髪店の『トリム』さんは、父がひとりで行けなくなると送迎までしてくださって。認知症になってから『支えてください』とお願いするよりも、当たり前の生活ができているころからつながりをつくっておくということが大事なんだと思います」最後に、長谷川さん自身が、こんなメッセージを寄せてくれた。「少し前まで、社会は認知症の人に対して“そっちにいればいい。僕たちはこちらで生活するから”というような囲いをつくってしまっていました。現代は、その囲いをとっぱらわないといけない時代といえるでしょう。でも、支えがあるうちは安心して生きていける。一対一で対等な関係で話ができるときは、いつでもうれしいし、楽しいんですよ」今ある絆を大切にすることで、未来への不安を振り払えるかもしれない。「女性自身」2021年4月6日号 掲載
2021年03月29日高齢者の5人に1人が認知症になる、という時代も近い。将来の認知症への不安と、どう付き合えばよいのか――。「父の日記には『電車を乗り間違えた』『講演の途中で話すことがわからなくなった』といった記述がだんだんと増えていきました。認知症の専門医である自分が、認知症かもしれない……という恐怖や心配は、父の心にあったと思います」そう語るのは、認知症専門医の長谷川和夫さん(92)を父に持つ、南高まりさん(59)。長谷川さんは、聖マリアンナ医科大学名誉教授で、認知症研究の第一人者。当たり前のように使われていた「痴呆症」という呼称を改めることに尽力し、認知症診断の物差しとなる「長谷川式簡易知能評価スケール」を開発した人物だ。そんな長谷川さんが『僕も認知症なんです』と明かし、世間を驚かせたのは’17年10月のこと。以後も長谷川さんは、進行していく症状を受け入れながら、認知症にまつわるさまざまな情報を発信し続けている。長谷川さんの活動をサポートしている長女のまりさんは、“父の記憶に残せるように”と、『父と娘の認知症日記』(中央法規出版)を今年1月に出版。長谷川さんの日記や写真を基に、60年の歩みをまりさんの視点で綴っている。長谷川さんが認知症になって気づいたことは、“認知症になったからといって、すべてがわからなくなってしまうわけではない。症状やメンタリティには波がある”ということ。「症状が進んでいくことへの苦しみや葛藤はやはりあったようです。『きついなぁ』と口にすることもありました。以前、父が外来で診ていたアルツハイマー病の牧師さんのことを話してくれたことがあって。その方はよくオルガンを演奏しておられたのですが、亡くなったあとに『僕にはメロディーがない、和音がない。共鳴がない。帰ってきてくれ、僕の心よ、全ての思いの源よ。』(※一部抜粋)と書かれた五線紙が見つかったのです」闘病中の苦しみと絶望がにじみ出た牧師さんのメモを見た長谷川さんは、「僕は患者さんの脳の状態を研究してきたけれど、本人の心の中を見たのはこれが初めて」と涙があふれたそうだ。ケアする側にもされる側にとっても必要なのは、安易に「声をかけあう」のではなく、「心を支えあう」関係性を築くこと。そう長谷川さんが説くのは、自身が地域のつながりに助けられたからだ。「父は認知症になる以前から、近所の『カムイ』という珈琲店に行くのが楽しみで、私もよく一緒に行きました。店主は父のことをよく理解してくださっているので、ひとりでも安心してくつろげる場所だそうなんです。そして40年以上父が通ってきた理髪店の『トリム』さんは、父がひとりで行けなくなると送迎までしてくださって。認知症になってから『支えてください』とお願いするよりも、当たり前の生活ができているころからつながりをつくっておくということが大事なんだと思います」サポートしてもらえる絆さえあれば、認知症であっても地域で生活できることを証明した長谷川さん。しかし、その環境づくりこそが大きな課題でもある。「父はいつも、『人はみんな生きてきた道のりがあって、その人しか持っていない関わりがある。だから、その関わりを大事にして絆をつくってほしい』と言っています」さまざまな人に支えられながら、穏やかな日々を過ごしていた長谷川さんだが、昨夏に体調を崩し、妻・瑞子さんとともに老人ホームに入居。体調は落ち着いているというが、コロナ禍のため、面会が許されるのは15分のみだ。「父はおそらく、ちょっと前のことや、先の予定なども把握しづらくなってきていて。『僕が今持っている物は時間だけ。だから“今”を一生懸命生きるんだよ』と口にしています。だから私は会ったときに必ず、『今やりたいことはある?』といったような、明るい話題を振るようにしていますね」「女性自身」2021年4月6日号 掲載
2021年03月29日「ナッツは栄養豊富で、美肌効果や記憶力改善など、さまざまな健康効果があることが広く知られるようになってきました」そう話すのは、工藤内科院長で、東洋医学・漢方医でもある工藤孝文先生だ。工藤先生がとりわけ注目するナッツはクルミ。「毎日1つかみのクルミを摂取することが、認知機能の向上につながると研究でわかっており、認知症予防が期待できます。とくに最近は、1年以上続くコロナ禍において、物忘れに悩む人が増えています。自粛生活の中でのコミュニケーションの減少、不安や緊張によるストレスの増大で脳に負担がかかっていることなどが原因です。物忘れが多くなったと感じている人は、クルミを食べる習慣をつけてみては」そんなアンチエイジング改善が期待できるナッツの効果を紹介!■カシューナッツ「貧血に効果的な鉄分と銅が豊富。牛乳に含まれる成分が鉄分の吸収を高めてくれるので、一緒に取るのがおすすめです」(工藤先生・以下同)また、自律神経を整える働きのあるパントテン酸や、抗炎症効果、免疫機能を高める効果が期待できる亜鉛も多く含まれる。■クルミナッツの中でもっとも多いポリフェノール量を誇り、抗酸化作用は抜群。認知症予防効果も。「血圧や中性脂肪値を下げる効果のあるαリノレン酸が豊富で、血管を若く保ってくれます。血管の老化は全身の健康に影響するため、人生100年時代には血管力が重要です」■ピーナツ抗酸化作用のあるビタミンE、血管の健康に重要なαリノレン酸、記憶力や認知機能アップに効果のあるレシチンなどが含まれる。「渋皮にはレスベラトロールというポリフェノールが含まれており、アンチエイジング効果が期待できるので、渋皮ごと食べましょう」■松の実亜鉛の量はナッツ類の中でも、トップクラス。アレルギーや炎症を抑制する働きのあるピノレン酸が含まれるのも特徴。「骨の健康を保つのに必要な栄養素であるビタミンK、マグネシウムが多く含まれるので、積極的に取れば骨粗しょう症対策にもなります」■アーモンド「抗酸化作用のあるビタミンEが多く、アンチエイジングに力を入れている人にぴったりです。不溶性食物繊維を多く含むため腸内環境の改善効果があり、便秘解消も期待できます。ほかにも、自律神経を整えたり、血糖値を下げる作用もあります」■ピスタチオナッツ目の調子を整えてくれるルテイン、ゼアキサンチン、視覚機能に関与するビタミンAと、目をサポートする成分3つがそろうナッツ。目の疲れを感じたときに取り入れて。「体内の水分の排出をサポートするカリウムを多く含むので、むくみ対策としても有効です」■マカダミアナッツ「肌のハリとツヤを出すパルミトレイン酸が含まれる美肌に効くナッツ。腸の蠕動を促すオレイン酸も含まれるので、便秘解消により腸内環境が改善され、さらに美肌効果を高めてくれるでしょう」エネルギー代謝を上げるマグネシウムが豊富で、ダイエットにも◎。「ただし、ナッツは、体調によりアレルギーを起こすこともあるので注意を。花粉症の人はヘーゼルナッツでアレルギーを起こすことがあります」「女性自身」2021年4月6日号 掲載
2021年03月26日クルミには認知症予防など、ナッツにはさまざまな健康効果があるのがわかっているが、身近なところではシソ、ショウガ、シナモンなど、漢方の材料ともなる生薬と組み合わせて、さらに長命パワーがアップするーー!「ナッツは栄養豊富で、美肌効果や記憶力改善など、さまざまな健康効果があることが広く知られるようになってきました。おやつやおつまみとして食べるだけでなく、料理に取り入れている方も多いと思いますが、ぜひ試してほしいのが、漢方で知られる『生薬』との組み合わせ。一緒に食べることで、お悩みの不調がより効果的に改善しますよ」こう話すのは、工藤内科院長で、東洋医学・漢方医でもある工藤孝文先生だ。ナッツとの組み合わせとして工藤先生が提案する「生薬」とは、漢方薬の原料にもなる植物や動物、あるいはその一部を用いた天然由来の薬のこと。身近なものでは、シソ、ショウガ、シナモンなどが知られている。「東洋医学では、体の中で『気』『血』『水』の3つの要素がバランスよく循環していることが心身の健康を保つうえで重要だと考えます。このうちどれかが不足したり、滞ったりすると不調を起こすのです。生薬には、その不足や滞りを改善する働きがあり、根本から体質を変えて自然治癒力を高める効果が期待できます」3要素の「気」は、活力や活動のベースとなるエネルギーのことで、流れが滞ると気の巡りが調節できず、自律神経のバランスを崩しやすくなる。「血」はその名のとおり血液のこと。不足すると貧血や精神失調を引き起こす。そして「水」は、汗やリンパ液など血液以外の体液。不足したり、流れが悪くなると肌荒れやむくみの原因となる。そこで今回、工藤先生がおすすめの「ナッツ+生薬」の最強コンビレシピを紹介。■カシューナッツご飯(カシューナッツ+ショウガ)〈材料〉5〜6人分・カシューナッツ(食塩無添加)…50g・米…3合・にんじん…60g・ショウガ(みじん切り)…山盛り大さじ1・A(だし汁…500ml、しょうゆ…大さじ2、酒…大さじ1、塩…少々)〈作り方〉(1)米は洗ってから30分以上水につけておき、水気をよくきる。(2)カシューナッツ、にんじんは食べやすく刻む。(3)炊飯器に(1)とAを入れてざっとかき混ぜ、カシューナッツ、にんじん、ショウガをのせて普通に炊飯する。炊き上がったら底からさっくりかき混ぜる。カシューナッツは貧血に効果的な鉄分と銅が豊富。また、自律神経を整える働きのあるパントテン酸や、抗炎症効果、免疫機能を高める効果が期待できる亜鉛も多く含まれる。ショウガは3要素の「気」と「水」に有効。■シソのジェノベーゼソース風パスタ(クルミ+カシューナッツ+松の実+シソ)〈材料〉2人分・シソ…30枚・にんにく…1かけ・クルミ…10g・カシューナッツ…10g・松の実…5g・粉チーズ…大さじ2・塩…小さじ1/2・こしょう…適量・オリーブオイル…100ml・好みのパスタ…200g・クルミ(仕上げ用)…2〜3個〈作り方〉(1)クルミ、カシューナッツ、松の実はフライパンで焦がさないように軽く煎る。(2)シソはちぎり、にんにくはみじん切りにし、パスタと仕上げ用のクルミ以外の材料をすべて合わせてなめらかになるまでミキサーにかける。(3)ゆでたパスタに(2)を混ぜて皿に盛り、仕上げ用のクルミを刻んでのせる。クルミは、ナッツの中でもっとも多いポリフェノール量を誇り、抗酸化作用は抜群。認知症予防効果も。また、血圧や中性脂肪値を下げる効果のあるαリノレン酸が豊富で、血管を若く保ってくれる。松の実は、亜鉛の量はナッツ類の中でも、トップクラス。アレルギーや炎症を抑制する働きのあるピノレン酸が含まれるのも特徴。骨の健康を保つのに必要な栄養素であるビタミンK、マグネシウムが多く含まれるので、積極的に取れば骨粗しょう症対策にも。シソは3要素の「気」に有効。■豚ロース肉のピーナツソース炒め(ピーナツ+ショウガ)〈材料〉2〜3人分・豚ロース肉…300g・A(にんにく・しょうが…各1/2かけ、クミン・ターメリック…各小さじ1/2、塩・砂糖…各小さじ1、レモン果汁…小さじ2)・エリンギ…大1本・ピーマン…2個・パプリカ(赤)…1/2個・ピーナツ…大さじ1・ピーナツバター…大さじ1・オイスターソース…小さじ1・レモン果汁…小さじ1・にんにく、ショウガ(すりおろし)…各1/4かけ・水…小さじ1・カイエンペッパー…小さじ1(※辛いものが苦手な人はカイエンペッパーなしでもOK)〈作り方〉(1)豚ロース肉を一口大に切りボウルに入れ、Aを加えてよくもみ、10分ほどおく。ピーマン、パプリカ、エリンギは一口大に切る。(2)ピーナツは粗く刻んで、ピーナツソースの材料はすべて混ぜる。(3)サラダ油を引いたフライパンに豚ロース肉を焼き、全体に火が通ったらピーマン、パプリカ、エリンギを加えて炒める。(4)(2)を加えてさっと全体にからめるように炒め、皿に盛る。ナッツと生薬の最強コンビで、人生100年時代を乗り切ろう!「女性自身」2021年4月6日号 掲載
2021年03月26日犬を飼うと『狂犬病予防法』に基づいて、居住している市区町村に飼い犬の登録をした上で、毎年1回、狂犬病の予防注射の接種をしなければなりません。漫画家の石原 雄(@K5dbZRmjNe77i5r)さんと暮らしている、柴犬のハルさんも狂犬病の予防注射を行いました。その一連の流れを漫画にし、反響が上がっています。まずは車に乗って移動をするハルさん。まだ予防接種をするとは知らず、ご機嫌なのですが…。ウチの犬の狂犬病予防接種の一連の流れ pic.twitter.com/8jEq0chYlB — 石原 雄 (@K5dbZRmjNe77i5r) March 20, 2021 予防接種の会場に着いて、注射に気付くハルさん。診察の待ち時間は震えが止まりません。検温をされると叫んでしまうハルさんでしたが、注射になると虚無感に襲われたのか、ノーリアクション!帰りはどこか怒っている様子だったとか。投稿には、犬を飼っている人たちから共感の声が寄せられていました。・うちの犬は「帰りたい」と、動物病院のドアを必死に開けようとしていた。・共感しかない!うちの犬もハイパーバイブレーションタイムになります。・床がツルツルなのは、逃げないようにするためなのか…?「痛い注射をするのはちょっとかわいそう…」と思ってしまうかもしれませんが、狂犬病を予防する大事な注射です。注射をした後は、犬と飼い主の心の距離が少し離れてしまうこともありますが、健康のため、ずっと一緒にいるためにも我慢をしてもらいたいですね。[文・構成/grape編集部]
2021年03月21日健常と認知症の間の状態であり、“認知症グレーゾーン”ともいわれる「軽度認知障害(MCI)」。その初期のサインを見逃さなければ、“回復”も見込めるという。「もしかして認知症?」と不安になったあなた。チェックテストで診断し、現状を知ることから始めよう――。50歳を過ぎたあたりから、「会話中に人や物の名前がスッと出てこない」という人は多いのではないだろうか。「『ど忘れ』は50代、60代になりますと、誰でも起こってくるものです。頭のなかに記憶は残っているのに、どうしても名前がうまく思い出せず、もどかしいといった感じです。ところが、人や物の名前だけでなく、時系列を間違えて混乱する場面が増えてきたら注意が必要です」そう語るのは、『認知症グレーゾーン』(青春新書)の著者で、「メモリークリニックお茶の水」の朝田隆院長。認知症の患者数は年々増加傾向にあり、2040年には高齢者の4人に1人が、認知症を発症するとも予測されている。また、“巣ごもり”が長引くと認知機能が低下するといったデータも出てきている。「ど忘れ」は認知症の前段階、MCIの初期症状のシグナルかもしれないので、「年のせい」と、そのままにしておくのは危険という。「MCIを“認知症グレーゾーン”と呼んでいます。MCIが始まってから本格的な認知症に移行するまで平均7年。進行には個人差がありますが、始まって1年後には12%、4年後には半数が認知症を発症するともいわれています。認知症はある日突然発症するのではなく、約20年前から脳の変性が始まっています。いったん認知症になると回復するのは困難ですが、認知症グレーゾーンの段階で適切に対応すれば、4人に1人は元の状態に回復します。大切なのは認知症グレーゾーンのシグナルに気づくこと。生活のさまざまな場面で出てくるので見逃さないようにしましょう」(朝田先生・以下同)認知症では、脳の側頭葉で記憶をつかさどる“海馬”と呼ばれる部分が萎縮するが、海馬の萎縮が始まる前に前頭葉の機能が低下するケースがあるという。前頭葉は“脳の司令部”であり、やる気を生み出す中枢で、感情をコントロールする役割もある。イライラして怒りっぽくなる、パニックになって右往左往して自力で冷静さを取り戻すことが難しい、といったことがあると、それも認知症グレーゾーンのシグナルになる。また、女性の場合は、身だしなみに変化が出たら要注意!「毎日、丁寧にお化粧をしていた人が『マスクで顔が隠れるからいいや』と言ってだんだん雑になり手を抜くようになることもあります。『面倒だ』と言って先延ばしした出来事を忘れる。また、『物を取られたらどうしよう』と猜疑心が強くなり、財布や鍵などの置き場所を変えるケースが出てきます。ところが翌日、そのしまった場所を忘れてしまって、家中探し回る、といった出来事も、グレーゾーンのシグナルです」行動の変化にいち早く気がついて、認知症グレーゾーンの初期のうちに対策を立てれば、海馬の萎縮を事前に防いで、元に戻る可能性が高まるという。「認知症になったとしてもいつまでも自分らしく生活することはできますし、グレーゾーンの時期に一念発起すれば元に戻ることができます。大事なのは『新しいことにチャレンジする好奇心を持つこと』と『運動習慣』の2つ。できれば、40~50代の健康なうちから習慣づけておくといいでしょう」「女性自身」2021年3月16日号 掲載
2021年03月08日2月18日全国銀行協会(以下、全銀協)は、認知症になった方の預金を、子どもなど親族が引き出す際の指針を発表した。その指針について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。■お金の管理について親とよく話し合っておくことも大切これまで、預金者が認知症になったら、その方の預金は凍結され、子どもといえども出金などはできませんでした。ただ暗証番号さえ知っていれば、本人のキャッシュカードを使っての取引はできますから、日常的には困らないという方も多かったと思います。とはいえ、たとえばキャッシュカードの紛失・磁気不良などの再発行が必要なときや、介護施設の入所金など高額を窓口で出金するときなどは、「成年後見制度」を利用しないと対応できないと一蹴する銀行もありました。成年後見制度とは、認知症など判断能力が十分でない人が不利益を被らないように「後見人」と呼ばれる援助者を決める制度で、家庭裁判所での手続きが必要です。親族が後見人になることもできますが、裁判所の判断で弁護士などが後見人に就く場合もあり、そうなるとおよそ月2万円の費用がかかります。そうした事情も反映してか、成年後見制度の利用は約22万件にとどまります(’18年末・厚生労働省)。また、後見人を申請しても、決定までに3~4カ月かかることが多く、その間は銀行取引ができないという問題もありました。そこで、全銀協が発表した指針には、預金者本人の意思を確認できないときは成年後見制度の利用が原則としながらも、次の3つが確認できれば出金等に応じるとしました。(1)預金者本人との面談や診断書などで、認知能力がないことを確認。(2)本人の医療費など、本人のために使うことが明らかな場合に限る。(3)やむをえないときは投資信託等の売却にも応じるが、より慎重に。独自の対応を貫く銀行もあるかもしれませんが、今後は全銀協の指針に従う銀行が多いと思います。’25年になると高齢者の5人に1人、約700万人超が認知症になるとの推測もあります(’19年・厚生労働省)。認知症はだれもが人ごとではないので、全銀協の指針は助かる方が多いでしょう。ですが、認知症になる前に、打てる手は打っておきたいものです。たとえば、判断能力に問題のない方なら、入院など本人が動けなくなる事態に備えて、多くの銀行が「代理人キャッシュカード」を発行しています。預金者本人が手続きすれば、親族は代理人専用のカードが持てますので、後ろめたさもなく安心して使えます。また、「代理人指名」を行えば、代理人が窓口で入出金ができる銀行もあります。条件などは銀行によって違いますので、ご確認を。介護には約500万円かかるといわれます(’18年・生命保険文化センター)。お金のありかや、いざというときだれが管理するかなどを、親が元気なうちに話し合っておくことも大切です。「女性自身」2021年3月16日号 掲載
2021年03月05日春が近づくに連れ、花粉症の方にとっては憂鬱な時期がやってきます。“花粉症に良い食べ物”と言えばヨーグルトやお茶、健康食品などを思い浮かべる方もいるかもしれません。それらは花粉症対策に本当に効果的なのでしょうか?花粉症の基本的な知識と、花粉症対策について、あすけん栄養士が解説します。花粉症とは花粉症の症状花粉症の主な症状はくしゃみや鼻水、涙ですが、これは体内に入った花粉をカラダの外に出そうとするアレルギー反応です。本来は大切なはずの免疫反応ですが、免疫反応が過剰になると不快な症状が強く出てしまい、生活の質を落としてしまう一因となってしまいます。花粉の飛散時期花粉症の原因の代表的なものはスギ花粉で、春先の時期に多く飛散します。花粉症患者の約70%はスギ花粉が原因と言われています。また、花粉は1年を通して様々な植物から飛散するため、1年中起こる可能性があります。花粉症の治療治療法は、症状を軽減する対症療法と、根本的に治す根治療法の2つがあります。・対処療法…内服薬・点眼、点鼻薬・鼻粘膜への手術療法など・根治療法…カラダを花粉に慣らして免疫を獲得する減感作療法などいずれの場合も医療機関を受診し、医師の診察を受けたうえで適切な治療を受けましょう。食品と花粉症の関係食べ物で花粉症は治る?“花粉症に良い”という食べ物の情報は、よくテレビやインターネットなどで取り上げられ、お茶・ヨーグルト・納豆・健康食品・サプリメントなどが紹介されています。一部には「花粉症の症状を軽減した」などと研究されているものもありますが、残念ながら特定の食品を毎日食べるだけで、花粉症が治るというものは今のところはありません。例えばヨーグルトは、食べることで腸内環境が整い、花粉症の症状の緩和に役立つなどと言われていますが、一般医療機関を受診しているアレルギー性鼻炎患者の調査では、ヨーグルトや乳酸菌が効果ありと判断されている方は30%以下という結果であったようです。もちろん、ヨーグルトにはカルシウムが豊富に含まれ、さらにお腹の調子を整えてくれるのに役立ってくれますので、花粉症対策のためだけではなく、普段の生活で取り入れて欲しい食べ物です。効果を求めてひとつの食品にこだわって食べ続けるのではなく、さまざまな食品も取り入れつつ、バランスの良い食事を心掛けましょう。テレビやインターネットなどでたくさんの情報があふれており、つらい症状に悩まされている方は試してみようという気持ちになるかもしれませんが、症状が強くなってしまう前にまずは医療機関を受診することが奨められます。また、食べ物以外にもマスクや眼鏡をつけたり、体調を整えたりすることでもセルフケアができます。少しでも快適な毎日を過ごせるよう、正しい対策を行いましょう。【参考・参照】「健康食品」の安全性・有効性情報花粉症対策について<>(最終閲覧日:2020/01/26)厚生労働省花粉症特集<>(最終閲覧日:2020/01/26)厚生労働省花粉症の民間医療について<>(最終閲覧日:2020/01/26) 【執筆者】廣田真由/管理栄養士これまでに500件以上の指導経験があり、ダイエットや生活習慣病対策はもちろん、妊婦から高齢者まで幅広い指導を経験。栄養指導、レシピ制作、栄養教室や料理教室開催などのスキルと知識を生かし、あすけんではコラム執筆やオンラインカウンセリングを担当。
2021年02月14日さまざまな病気やケガなどで治療をする患者を、サポートする看護師という職業。心身の不調で不安な日々を送る患者にとって、看護師の存在は頼りになる大きな存在でしょう。看護師をしている、ぱれちに(paretiny)さんは、ある看護師が看護学生だった時の忘れられない出来事を投稿。内容が反響を呼んでいます。『反応がなくても…』実習で、認知症患者の看護を担当することになった、看護学生の女性。その患者は声かけに対しても無反応でしたが、女性は毎日話しかけるようにしていたそうです。実習の最終日、女性がお別れの挨拶をすると、なんと患者の目から大粒の涙があふれたといいます。反応がなくても、いつも優しく寄り添い、話しかけてくれた人のことをちゃんと分かっていたのでしょう。読者からは感動の声が相次ぎました。・同じような経験があります。思い出して涙があふれました。・いい話。反応がなくても自分が誰だか分からなくても、ちゃんと感情はあるんだよね。・私も実習は、人として大切なことを患者さんから学んだ素敵な時間でした。初心を忘れるべからずですね。さまざまな患者との触れ合いの中で、看護師もまた、かけがえのない経験をもらっているのかもしれません。看護師の忘れられない出来事に、多くの人が心を打たれました。[文・構成/grape編集部]
2021年02月09日■ 前回 のあらすじついに調停離婚を決意したさつ丸。無事に進めることができれば、キュラ子の嘘もすべて封印することができるようになります。なんと、子どもの予防接種も放置していたキュラ子。さつ丸が帰宅する前にすべて隠してしまうので、気づきたくても気づけず…、全額実費は痛い出費となりました。しかし、これだけでは終わらず、キュラ子は他にも隠していることがあったのです。次回へ続くコミックライター: ゆっぺ 【同じテーマの連載はこちら】 離婚まで100日のプリン この連載の全話を見る >> 教えて!弁護士さん この連載の全話を見る >> 夫婦の危機 この連載の全話を見る >>
2021年02月08日「腰痛」が起こるメカニズムまずは腰痛がどのようにして起こるのか、そのメカニズムについてお伝えしておきましょう。人間の背骨は本来、横から見ると緩やかなS字状の弯曲を描いています。緩やかなS字状の弯曲を描くことで、背骨にかかる荷重や衝撃を分散させることが可能となるのです。しかし、背中を丸めた悪い姿勢をとり続けたり、ヒールの高い靴を履き続けたり、いつも同じ方の肩にバッグをかけていたりなどが原因で、この緩やかなS字状の弯曲に歪みが生じてしまいます。特に腰の部分は重い上半身を支えることになるので、大きな負担がかかってしまいます。その負担が蓄積した結果、腰痛が生じると言われています。出典:byBirth「腰への負担が強くなった状態」とは…「腰に負担がかかった状態」について、具体的にお伝えしていきましょう。先程、「人間の背骨は本来、横から見ると緩やかなS字状の弯曲を描いている」とお伝えしました。具体的には、頚椎が前弯して胸椎が後弯、そして腰椎が前弯した状態です。このS字状の弯曲が崩れてしまうと、腰椎の前弯が過剰になるか弱くなった状態になります。腰椎の前弯が過剰になると、それに伴い骨盤の前傾も強くなります。いわゆる「反り腰」と言われる状態になります。すると、腰椎後部にストレスが加わりやすくなります。逆に腰椎の前弯が弱くなると、骨盤は後傾した状態になります。そうすると腰椎の前方部への負担が増してしまいます。背骨の緩やかなS字状の弯曲を保つには、それを支える筋肉を強化することが必要となります。出典:byBirth「クランチ」や「バックエクステンション」などが腰痛予防エクササイズに適さない理由それでは「背骨を支える筋肉」とは、どの筋肉のことを言うのでしょうか。結論から言うと、「体幹の筋肉」になります。体幹の筋肉には、表層部にあるアウターマッスルと、深層部にあるインナーマッスルの2つのグループに分けられます。「腹直筋」や「外腹斜筋」、「脊柱起立筋」などは前者にあたり、体幹及び骨盤の動きに関与します。一方、後者には「腹横筋」、「内腹斜筋」、そして「多裂筋」といった筋肉が存在し、体幹及び骨盤の安定性に関与します。「腰痛予防」という状況で求められるのは、体幹の安定性です。したがって体幹の安定性を高めるために、腹横筋や内腹斜筋、多裂筋といった筋肉を強化するエクササイズを行っていきます。このようなことから、「クランチ」や「シットアップ」、「バックエクステンション」などといったエクササイズは、体幹及び骨盤の動きに関与するアウターマッスルを強化するエクササイズとなるため、腰痛予防には適さないと言えるのです。出典:byBirth体幹の安定性を高め、腰痛予防に有効なエクササイズお待たせしました!体幹の安定性を高めることができる、腰痛予防に有効なエクササイズを2つご紹介しましょう。いずれもトレーニングツール不要なので、いつでもどこでもできます!強いて言うならば、床の上で行うのでヨガマットか大きめのバスタオルを用意するぐらいです。では、準備はよろしいでしょうか?(1)プランク出典:byBirth両肘を床に付いた「腕立て」の体勢を作ります。そこから頭から足を結ぶライン(写真赤矢印参照)をまっすぐにした状態を、30~60秒間キープします。30~60秒間を1分程度の休憩を挟みながら、3セット行います。注意すべき点腰が落ちてしまったり、逆に腰を持ち上げ過ぎてしまったりしないようにしましょう。「プランク」に慣れてきたら…出典:byBirthエクササイズに慣れてきたら、上の写真のように、プランクの体勢から片脚を上げる動作を加えた「プランク&ヒップエクステンション」を行ってみましょう。頭から股関節までをまっすぐにキープしたまま、片脚を上げる動作を左右それぞれ10~15回繰り返します。左右それぞれ行ったら、1分程度の休憩を入れて3セット行ってみましょう。股関節の動きを加えることで、体幹部の安定性がより求められるエクササイズです。(2)サイドブリッジ出典:byBirth片肘を床に付いて横向きの体勢となります。このとき、肩の真下に肘が位置するようにします。両膝を直角に曲げて、上から見て、膝と股関節、そして肩を結ぶラインがまっすぐになるようにします。もう一方の手は骨盤横に添えて、床側の膝から肩を結ぶラインが一直線(写真赤矢印参照)となるまで骨盤を持ち上げ、その体勢を30~60秒間キープ。反対側も同じように行います。左右それぞれ30~60秒間を3セット行います。注意すべき点骨盤が床方向に落ちてしまったり、逆に持ち上げ過ぎないようにしましょう。エクササイズ中は、上体を正面に向けるようにしましょう。また、呼吸が止まらないように注意しましょう。「サイドブリッジ」に慣れてきたら…出典:byBirthサイドブリッジに慣れてきたら、この体勢に股関節を外に開く動作を加えた「サイドブリッジ&ヒップアブダクション」というエクササイズにチャレンジしてみましょう。床側の肩から膝を結ぶラインが一直線となった体勢をキープしたまま、股関節を開く動作を左右それぞれ10~15回繰り返します。左右それぞれ10~15回を3セット行いましょう。こちらもやはり、股関節の動きを加えることにより、体幹部の安定性が更に要求されるようになります!エクササイズ効果が感じられない原因出典:byBirth今回は腰痛予防に有効なエクササイズを2つご紹介しました。これらのエクササイズは、最低でも週3回は行うようにしましょう。そうすることで体幹の安定性を高めることができ、腰痛予防につなげることができます!エクササイズを行っても効果が感じられない原因の一つとして、行っているエクササイズが目的に合っていないことが考えられます。どのエクササイズを行うべきかわからない場合や、自分が行っているエクササイズが目的に合ったものなのか確かめたい場合は、トレーナーなど専門家に相談してみるのも手です。目的に合ったエクササイズを選んで行うようにしてくださいね!
2021年02月04日長引く新型コロナの影響で、巣ごもり生活が続くと、加齢とともに心身の活力が低下する“フレイル”に陥りやすくなる。「趣味のサークル活動や友人との集まりも控えるようになり、家にいてもやることがないという人も多いと思います。外出自粛などの感染予防はもちろん不可欠ですが、その一方で日常生活の極端な変化はフレイルだけでなく、認知症リスクまでも高めてしまうので注意が必要です」そう語るのは、認知症予防が専門の医師で東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授。瀧教授はコロナの感染予防をしながらも、フレイルを防ぎ、認知症リスクを下げる「セルフトレーニング」を提唱している。記憶力の衰えを「もう年だから忘れやすいのは仕方がない」と諦めてしまう人も少なくないが、それは大きな間違いだ。「記憶をつかさどる海馬が活性化すれば、記憶力は高まってきます。脳の活性化に役立つのは神経細胞の栄養となるBDNF(脳由来神経栄養因子)で、これは加齢とともに減少し、脳の萎縮が進んでいる人ほど少ない傾向にありますが、年齢にかかわらず有酸素運動を行えばBDNFを増やすことができます。さらに、少し前までの“大人の脳は成長しない”という常識は、’11年に発表されたアメリカピッツバーグ大学の研究で覆されています。55〜80歳の男女120人を対象に行った調査では、1年間にわたって有酸素運動を継続したグループは、海馬の体積が約2%増えていたのに対し、行わなかったグループは約1.4%減少していました。このことから『有酸素運動は記憶力を高める特効薬であること』が明らかになったのです」(瀧先生・以下同)日ごろ何を食べているかも、脳のコンディションを健康に保つには重要な要素だ。次の食習慣を日常的に心がけよう。・オリーブオイルをよく使う・主食は玄米や雑穀・野菜から食べ始める・肉より魚を好んで食べる・よくかんで食べ「食事に関する研究で、世界的に認められている『地中海食』は、認知症、特に脳血管性認知症の予防に役立つといわれています。ポリフェノールが豊富なオリーブオイルをふんだんに使い、肉や乳製品よりも、脳を活性化するEPAやDHAが豊富な魚、抗酸化作用のある果物や野菜を多く取り入れる食生活のことです。バランスのよい食事に加えて、地中海食を意識することをおすすめします」また、高い知的好奇心が認知機能の低下を防ぐ。「中でもピアノは抜群の脳トレ効果があります。指先から、ふだん使わない筋肉や関節を動かします。献立や段取りを考え、いくつもの手順をこなす料理もいいですね。昔やりたかったことにチャレンジしてみるのもいいですし、友人や家族と一緒にカラオケや囲碁、健康マージャンに参加するのもいいでしょう」ひとりでできる折り紙や水彩画などでもOK。続けられる趣味を見つけてみよう。「女性自身」2021年2月9日号 掲載
2021年02月03日「『記憶力は加齢とともに低下する』と思われていますが、大きな誤解です。脳を育てる要素はじつはふだんの生活のなかにたくさんあり、ほんのちょっと行動を変えるだけで、脳は活性化します」そう語るのは、認知症予防が専門の医師で東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授。瀧教授は、認知症リスクを下げる「セルフトレーニング」を提唱している。「認知症とは記憶力をつかさどる海馬の萎縮が始まり、脳全体に広がることで日常に支障をきたす状態を言いますが、近年の研究で大人になっても海馬で神経細胞が増えることがわかりました。さらに、神経細胞同士のつながりを強くすることで情報処理能力が高まるといわれています。これを“脳の可塑性”と呼び、最近注目されています」(瀧先生・以下同)脳の健康を保つキーワードは大きく3つあるという。1つ目はいくつになっても「知的好奇心を持つ」こと。2つ目は「運動」。そして3つ目は「人とコミュニケーションを交わす」ことだ。「ふだんの生活のシーンにも、脳を鍛えるチャンスはたくさんあります。たとえば、コロナ禍で友達とおしゃべりする機会が少なくなった人も多いと思いますが、そんなときこそお勧めなのが“1分間音読”です。声を出すことはコミュニケーションに必須で、ふだんから声を出していないと、いざというときにうまく声が出なくなり、さらにしゃべれなくなるという悪循環に陥ってしまいます。また、読解力や文章の切れ目を理解する能力を鍛えることで、脳にいい刺激が与えられます」会話をする機会が少なくなったという人は、新聞のコラムや好きな小説、音読用のテキストなど、自分が読みやすいと思うものを使って声を出す練習をしよう。さらに、ニュースを聞きながら“脳内メモ”を取ることが脳トレになるという。「テレビでニュースを1件見たら、その内容を100字ぐらいにまとめる練習をしてみましょう。最初はメモを取りながらでも、続けるうちに、頭の中でまとめられるようになってきます。さらに、まとめたことを家族や友人にわかりやすく伝えるようにすると、能力のアップにつながります」会話の最中に、人の名前などが出てこず、「あれ、なんだっけ?」ということが増えてきても悲観することはない。度忘れしているだけで、インプットした情報がうまく取り出せないだけなので、周辺情報から思い出すと思い出しやすくなる。さらに、記憶力をアップさせるためには、“2日前の食事のメニューを思い出す”トレーニングも有効だという。「2日前の食事内容を思い出すことは脳の活性化につながります。記憶があいまいというときは、前日、当日食べたものを思い出すのでもかまいません。余裕ができたら『食事日記』をつけてみましょう。日記のいいところは、1週間の食事内容を振り返って、栄養が足りていないかどうか栄養バランスをチェックできることです」チェックしながら食生活を改善すると、よりいっそうの効果が得られるそうだ。「女性自身」2021年2月9日号 掲載
2021年02月03日