「瞑想とは、私たちの心の奥深いところへ導いてくれるもの。同時に、リラックスできたり、集中力が増したり、自律神経が整ったりと、さまざまな効果が得られることもわかっています。更年期障害の軽減や認知症予防、ダイエットなどに関心のある方は、それらの悩みをきっかけに始めてみてはいかがでしょうか」そう話すのは、40年以上ヨガ研究を続ける、龍村ヨガ研究所所長の龍村修さん。龍村さんが全国で主催する瞑想講座は、ヨガ講座と並ぶ人気を博しているという。「瞑想にはさまざま種類があり、“動く瞑想”ともいえるヨガもその1つ。『体が硬いからヨガはちょっと……』という方もご心配なく。座ったまま呼吸を使って行う方法や、言葉を唱えるだけのものもあります。何歳になっても、瞑想を始めるのに決して遅いということはありませんし、特別な準備や道具も必要ありません。まずはいろいろな瞑想を試して、ご自身に合うものを探してみましょう」一般的に、朝早い時間が瞑想に向いているといわれるが、早朝は朝食の準備や出勤前の支度であわただしく落ち着かない。無理に時間を取るより、日中の空き時間や夜寝る前のリラックスタイムに行うほうが心の余裕ができ、かえって集中しやすい。瞑想の効果は科学的に実証されるようになった。たとえば、GoogleやFacebookなど世界の名だたる企業が研修に取り入れる「マインドフルネス瞑想」は、脳の海馬や扁桃体に影響を与え、不安やストレスを軽減させることが明らかになっている。「私たちの心はふだん、無意識の思い込みや世間の目などによりバイアス(偏り)がかかった状態。不安になったり傷ついたりするのは、そのせいです。瞑想はそんなバイアスを取り払い、人々の抱えている不安が、じつは大したことではないと気づかせてくれる。言い換えるなら、小さな悟りを開くことができるんですよ」そんな瞑想のなかから、前述した不安やストレスの軽減に効果的な「マインドフルネス瞑想」のやり方を紹介。【マインドフルネス-ボディスキャン】東洋で発達した瞑想文化を西洋流に再構築した瞑想法。マインドフルネス瞑想にはいくつか方法があるが、「ボディスキャン」は全身にくまなく意識を向け、その内面に光を当てていく。1)あおむけになり目を閉じる。意識のサーチライトが体を照らす様子をイメージしながら、自然な呼吸を繰り返す。呼吸でおなかが膨らみ、へこむのを感じながら心を落ち着かせる。2)足先から順に股関節に向かって意識のサーチライトで体を照らしていく。左右のつま先、足の裏、足の甲、足首、足首から膝の間、膝から股関節の付け根の順にだんだんと上がっていく。3)左右の指先から腕の付け根へ向かって照らしていく。指先、手のひら、手の甲、手首、手首から肘の間、肘から肩と脇の下の順に移動。4)腰回り、お尻、股関節、へその下、右、左、裏、上、肋骨の下から上へ。胴とその内部の内臓まで照らすように深く意識を向ける。5)首、のどの前と後ろ、顔の下から下顎、舌、上顎、左右のほお、左右の目、鼻、こめかみ、耳、額、側頭部へ。さらにその内側の眼球と脳、頭頂部へ意識を向ける。全身くまなく丁寧に光を当てるように行うのがポイント。座った状態でもOK。「不安や怒りなど負の感情が和らぎ、自律神経を整える効果が期待できます。就寝前に行うと、質のよい眠りに導いてくれるでしょう」(龍村さん)
2019年03月28日「瞑想とは、私たちの心の奥深いところへ導いてくれるもの。同時に、リラックスできたり、集中力が増したり、自律神経が整ったりと、さまざまな効果が得られることもわかっています。更年期障害の軽減や認知症予防、ダイエットなどに関心のある方は、それらの悩みをきっかけに始めてみてはいかがでしょうか」そう話すのは、40年以上ヨガ研究を続ける、龍村ヨガ研究所所長の龍村修さん。龍村さんが全国で主催する瞑想講座は、ヨガ講座と並ぶ人気を博しているという。「瞑想にはさまざま種類があり、“動く瞑想”ともいえるヨガもその1つ。『体が硬いからヨガはちょっと……』という方もご心配なく。座ったまま呼吸を使って行う方法や、言葉を唱えるだけのものもあります。何歳になっても、瞑想を始めるのに決して遅いということはありませんし、特別な準備や道具も必要ありません。まずはいろいろな瞑想を試して、ご自身に合うものを探してみましょう」一般的に、朝早い時間が瞑想に向いているといわれるが、早朝は朝食の準備や出勤前の支度であわただしく落ち着かない。無理に時間を取るより、日中の空き時間や夜寝る前のリラックスタイムに行うほうが心の余裕ができ、かえって集中しやすい。瞑想の効果は科学的に実証されるようになった。たとえば、GoogleやFacebookなど世界の名だたる企業が研修に取り入れる「マインドフルネス瞑想」は、脳の海馬や扁桃体に影響を与え、不安やストレスを軽減させることが明らかになっている。「私たちの心はふだん、無意識の思い込みや世間の目などによりバイアス(偏り)がかかった状態。不安になったり傷ついたりするのは、そのせいです。瞑想はそんなバイアスを取り払い、人々の抱えている不安が、じつは大したことではないと気づかせてくれる。言い換えるなら、小さな悟りを開くことができるんですよ」そんな瞑想のなかから、認知症予防、ダイエットに効果的な2つの瞑想法を紹介。【数息観瞑想】呼吸の数を数え続けることで集中力を高め、自己を観察する瞑想。寺院でもよく行われる。認知症予防や物忘れを防止したい人におすすめ。空き時間にどこででもできるので日常生活に取り入れやすい。1)心の中で「1つ、2つ」と呼吸を数え、10まで数える。2)10まで数えたら、1に戻って再び10まで数える。雑念が湧いて意識が離れてしまったら落ち着いて集中し直し、また1から数える。これを集中力が持続する間、何度も続ける。「瞑想をしようと思っても、つい雑念が浮かんでくるものですが、数を数える行為に意識を定めると集中を継続しやすくなります」(龍村さん)【倍速呼吸瞑想】吸う息よりも吐く息を長くして行う呼吸瞑想。呼吸するときに使う筋肉をストレッチし、深い呼吸に導いていく。1)椅子に座って行う。4秒かけて鼻から息を吸い、いったん止める。2)止めたら、倍の8秒かけて口から息を吐ききる。正確に時間を計らなくてもいいので、自分なりに一定のテンポで行う。数回繰り返し、その後自然な呼吸に戻してリラックス。「ふだん浅くなりがちな呼吸を意識して深くなるよう整えていくと、瞑想を深めることができます。また、深い呼吸と筋肉のストレッチで代謝が高まり、ダイエット効果も期待できるでしょう」(龍村さん)数息観瞑想や倍速呼吸瞑想で集中力が持続するようになってきたら、徐々にステップアップをしていこう。数息観瞑想なら数える息の数を10から20に、倍速呼吸瞑想なら4秒かけて息を吸い、12秒かけて吐くといった具合に3倍にして、より深い瞑想状態を目指してみよう。
2019年03月28日何かとあわただしくストレスに満ちた毎日を送っているあなた、たまにはそんな悩みをすべてきれいに忘れてみませんか。ゆっくりと目を閉じれば、そこには“悟り”の世界が待っている――。「瞑想とは、私たちの心の奥深いところへ導いてくれるもの。同時に、リラックスできたり、集中力が増したり、自律神経が整ったりと、さまざまな効果が得られることもわかっています。更年期障害の軽減や認知症予防、ダイエットなどに関心のある方は、それらの悩みをきっかけに始めてみてはいかがでしょうか」そう話すのは、40年以上ヨガ研究を続ける、龍村ヨガ研究所所長の龍村修さん。龍村さんが全国で主催する瞑想講座は、ヨガ講座と並ぶ人気を博しているという。■いつでも始められる「瞑想にはさまざま種類があり、“動く瞑想”ともいえるヨガもその1つ。『体が硬いからヨガはちょっと……』という方もご心配なく。座ったまま呼吸を使って行う方法や、言葉を唱えるだけのものもあります。何歳になっても、瞑想を始めるのに決して遅いということはありませんし、特別な準備や道具も必要ありません。まずはいろいろな瞑想を試して、ご自身に合うものを探してみましょう」(龍村さん・以下同)■生活の中に取り入れやすい一般的に、朝早い時間が瞑想に向いているといわれるが、早朝は朝食の準備や出勤前の支度であわただしく落ち着かない。無理に時間を取るより、日中の空き時間や夜寝る前のリラックスタイムに行うほうが心の余裕ができ、かえって集中しやすい。「呼吸の数を数える『数息観瞑想』は、電車の中でも周りを気にせず行えます。自分の生活スタイルに合わせて、瞑想を行うタイミングを見つけられるといいですね」■科学的に効果が証明されている今でこそ、健康やストレス解消に効くと、広くもてはやされるようになった瞑想だが、そもそもいつごろ、どのような理由で始まったものなのだろうか。「紀元前2600年から1800年ごろに栄えたインダス文明の遺跡から、瞑想している図象が刻まれた遺物が出土しています。ですから、このころにはすでに瞑想が盛んに行われていたはず。瞑想は、宇宙や神から啓示を受けたり、自らの生き方について悟りを得るために行うもの。おそらく古代には、神官がその年の天候や災害などを感知するために瞑想をしていたのでしょう」それから4000年の時を経た現在、その効果は科学的に実証されるようになった。たとえば、GoogleやFacebookなど世界の名だたる企業が研修に取り入れる「マインドフルネス瞑想」は、脳の海馬や扁桃体に影響を与え、不安やストレスを軽減させることが明らかになっている。「言霊で寛大な心を養う『慈愛の瞑想』は、ブッダの言葉を唱えるだけの瞑想方法ですが、それだけでオキシトシンと呼ばれるホルモンの分泌を促すことがわかっています。オキシトシンは“幸せホルモン”とも呼ばれ、幸福感をもたらしストレスを軽減するホルモンとして注目されています」慈悲の瞑想は、自分の幸せだけでなく、自分を嫌っている人、自分が嫌っている人の幸せまで願うもの。すべての生命の幸せを願うことが自分自身の幸せや健康につながると、科学的に証明されているのだ。「私たちの心はふだん、無意識の思い込みや世間の目などによりバイアス(偏り)がかかった状態。不安になったり傷ついたりするのは、そのせいです。瞑想はそんなバイアスを取り払い、人々の抱えている不安が、じつは大したことではないと気づかせてくれる。言い換えるなら、小さな悟りを開くことができるんですよ」
2019年03月28日「瞑想とは、私たちの心の奥深いところへ導いてくれるもの。同時に、リラックスできたり、集中力が増したり、自律神経が整ったりと、さまざまな効果が得られることもわかっています。更年期障害の軽減や認知症予防、ダイエットなどに関心のある方は、それらの悩みをきっかけに始めてみてはいかがでしょうか」そう話すのは、40年以上ヨガ研究を続ける、龍村ヨガ研究所所長の龍村修さん。龍村さんが全国で主催する瞑想講座は、ヨガ講座と並ぶ人気を博しているという。「瞑想にはさまざま種類があり、“動く瞑想”ともいえるヨガもその1つ。『体が硬いからヨガはちょっと……』という方もご心配なく。座ったまま呼吸を使って行う方法や、言葉を唱えるだけのものもあります。何歳になっても、瞑想を始めるのに決して遅いということはありませんし、特別な準備や道具も必要ありません。まずはいろいろな瞑想を試して、ご自身に合うものを探してみましょう」一般的に、朝早い時間が瞑想に向いているといわれるが、早朝は朝食の準備や出勤前の支度であわただしく落ち着かない。無理に時間を取るより、日中の空き時間や夜寝る前のリラックスタイムに行うほうが心の余裕ができ、かえって集中しやすい。瞑想の効果は科学的に実証されるようになった。たとえば、GoogleやFacebookなど世界の名だたる企業が研修に取り入れる「マインドフルネス瞑想」は、脳の海馬や扁桃体に影響を与え、不安やストレスを軽減させることが明らかになっている。「私たちの心はふだん、無意識の思い込みや世間の目などによりバイアス(偏り)がかかった状態。不安になったり傷ついたりするのは、そのせいです。瞑想はそんなバイアスを取り払い、人々の抱えている不安が、じつは大したことではないと気づかせてくれる。言い換えるなら、小さな悟りを開くことができるんですよ」そんな瞑想のなかから、ストレス解消に効果的な瞑想法を紹介。【樹木呼吸瞑想-昇天降地】自分が種になり、1本の木として成長していくイメージで行う瞑想。地中の種がゆっくりと根を伸ばし、芽吹いて成長していく様子を思い浮かべながら行おう。1)全身の力を抜きリラックスしたら、おへその下あたりに種をイメージ。息を吐きながら、地中へ根を伸ばす様子を思い浮かべて膝を曲げる。同時に、両手をゆっくりと柔らかに下ろしていく。2)太陽に向かって伸びる双葉をイメージし、息を吸いながら両腕をふわりと引き上げ、そのままだんだん高く上げていく。1と2の動作を5~10回繰り返す。「実際に樹木の目の前で行うと、そのエネルギーと同調して深いリラクゼーションを得られます」(龍村さん)
2019年03月28日フジテレビ系情報番組『Mr.サンデー』(毎週日曜22:00~)発のドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』が、興行収入1億円を突破した。信友直子監督が、アルツハイマー型認知症の診断を受けた母を抱えた家族の内側を、娘だからこその視点で丁寧に描く同作。昨年11月3日から東京・ポレポレ東中野ほかで上映されると、瞬く間に口コミで評判となり、上映館数もどんどん広まった。3月24日現在で86館で上映され、84,683人を動員、興行収入は1億31万円となっている。特に映画の舞台となった広島県の興業収入が3,300万と全体の3分の1を占めている状況。第43回日本カトリック映画賞(SIGNIS JAPAN=カトリックメディア協議会)、2018年度全国映連賞特別賞(映画鑑賞団体全国連絡会議)、第92回キネマ旬報ベスト・テン文化映画3位を受賞している。興収1億突破に、信友監督は「地方のつましい老夫婦の物語が、これほど多くの方に受け入れられたのは、娘を信じて何も取り繕うことなく全てをさらけ出してくれた両親の覚悟と深い愛があったからこそだと、改めて親への感謝の思いを強く感じています」と感想。映画にも登場した父親が「わしがおっかあを『死にたきゃ死ね!』と怒ったところが『仁義なき戦い』みたいでカッコよかったんかのう」と言っていたため、「そういうことじゃないと思うよ」とツッコミを入れたそうだが、「今まで、口にはしませんでしたが50代独身のひとり娘の将来をかなり心配していたようで、これで少しは安心したらしく、私もやっと少し親孝行ができたかな?とうれしく思っています」と本音をのぞかせた。制作会社・ネツゲンの大島新プロデューサーは「ドキュメンタリーの持つ力が多くの人に届いたことが、何よりもうれしいです。この映画は口コミの力がすごく大きかったので、観てくださった方みなさんが、心強い応援団だと思っています」とコメントを寄せている。(C)「ぼけますから、よろしくお願いします。」製作・配給委員会(C)フジテレビ
2019年03月27日花粉症の人にとって、春の季節は外でのデートがとても辛いものです。ここでは、花粉症の彼が喜んでくれるモテ気遣いについて具体的に紹介していきます。なるべく室内でのデートを提案する花粉症の場合、大量の花粉を吸いこんでしまうことで鼻水やくしゃみが止まらなくなってしまいます。そのため、花粉があまり飛んでいない室内でのデートを提案すると喜ばれますよ。例えば、お互いの家、映画館やデパート、プラネタリウムなどでデートをするといいでしょう。室内ならば、彼も花粉に神経を使わずに思う存分にデートを楽しめます。気遣いができる彼女だと認識されて、二人の仲がより深まりやすくなりますよ。マスクをつけることを勧めるデートの際は、お洒落を優先させるために花粉症でもマスクをつけない方は多いものです。しかし、花粉症の人がマスクを我慢していると、いつ鼻水やくしゃみが出るかわからないのでデートが楽しめなくなります。そこで、彼女の方から「辛かったらマスクをつけていいよ」と一声かけてあげるといいです。すると、男性がマスクをつけやすくなります。もしもマスクを用意していないなら、薬局などに一緒に買いに行ってあげるといいでしょう。優しさがより相手に伝わることは間違いありません。鼻をかむことを勧めてあげよう花粉症の方は、デート中に鼻水が止まらなくなってしまうことも少なくありません。ただ彼女の前で鼻をかむのは恥ずかしいために我慢してしまう方は多いものです。鼻をかめないのはかなりのストレスなので、そんな時は「どんどん鼻かんだらいいよ」と冗談っぽく言ってあげるといいでしょう。このように鼻をかみやすい雰囲気を率先して作ることで、彼は女性の気遣いに感謝してくれます。ティッシュを用意してあげる花粉症の彼がいる場合、デートの時にあらかじめティッシュを用意しておく気遣いもおすすめです。近年では、鼻が赤くならないように柔らかいタイプのティッシュが販売されていますよね。なので、普通のティッシュではなく、柔らかいものをたくさん用意しておくと相手に気遣いが伝わりますよ。すぐに使えるようにポケットサイズのものを用意しておくといいでしょう。
2019年03月25日「知られていないだけで、老後の生活で、いざというときに役立つ公的制度はいくつもあります。とくに、介護費や医療費の自己負担額を軽減できる制度は知っておいたほうがいいでしょうね」こう語るのは生活総合情報サイト「All About」ガイドの介護アドバイザー・横井孝治さん。“人生100年時代”といわれるなか、自分の老後に不安を抱えている現役世代も多いだろう。特に、長い老後に備えるためにいったいいくら貯めればいいのか、頭を悩ませている人も多いのでは?しかし、そんな不安を和らげる公的制度は、じつは多数存在する。これらを賢く使いこなせば、老後の支出を減らし、おトクな生活ができると、横井さんは解説する。「老後の介護費、医療費の自己負担額を軽減するステップは3段階に分けられます。まず、介護保険と医療保険を利用すると、利用者の所得に応じて、自己負担は1~3割で済む。これを建物にたとえると1階部分にあたります。ところが、多くの医療、介護サービスを受けると、それでも負担額はかなり大きくなります」(横井さん・以下同)そこで利用できるのが、一定の金額以上の自己負担額が払い戻される制度。「医療保険には『高額療養費』、介護保険には『高額介護(予防)サービス費』という制度があります。どちらも所得に応じて自己負担の上限額を定める制度で、もし上限額を超えてしまった場合、自治体に申請をすれば、超過した分が後で払い戻されるのです。これが建物でいう2階部分なのです」さらに、これらの支給を受けても、まだ自己負担が苦しいという場合、最後は3階部分にあたる「高額介護合算療養費」という制度が存在する。「これは、同一世帯で医療保険と介護保険の自己負担額を合算して計算し、限度額を超えた場合は、超えた分が支給されるもの。かなり助かる制度です」たとえば、住民税課税世帯の75歳以上の平均的な年金収入のある夫婦なら、夫が高額介護サービス費(自己負担の限度額が年間44万6,400円)、妻が高額療養費(入院を含む自己負担の限度額が、年間57万2,400円)をフルで利用した場合、1年間で合計101万8,800円の自己負担額に。しかし、高額介護合算療養費制度を利用すると、限度額56万円を超えた、45万8,800円が支給されるので、ほぼ半額の負担で済む。ただし、夫婦の年齢が離れていて、妻が国民健康保険で、夫が後期高齢者医療保険といった場合、単純に合算できず、複雑な計算が必要になるので注意が必要だ。ほかにも、介護状態になったときに利用を検討したい制度がある。「割と見逃されがちなのが、『障害者控除対象者認定』です。これは確定申告する際に、この認定を受けているかいないかで、税金の控除額が大きく変わってきます」ここで言う障害者とは、障害者手帳がなくても、“障害者に準じており、障害者控除が必要な人”のこと。ただし、自治体によって判断基準が異なり、要介護1から認定されるところもあれば、要介護4からというところもある。「家族の誰かが障害者控除の認定を受けたら、生計を一にするなかで最も多く稼いでいる人が、確定申告の際に控除を受けて節税できます。とてもお得な制度です」要介護に該当するような人ではなくても、65歳以上で生活機能の低下を感じた場合、ぜひ利用すべきだと、横井さんがすすめるのが「総合事業サービス」だ。「『要介護1、2』の人、または要介護認定を受けていない人で、25問のチェックリストを受けてサービス事業対象者と判断された人が対象です。対象となった人は、生活支援や介護予防のためのさまざまなサービスが受けられます」訪問サービスでの部屋の掃除やゴミ出し、通所リハビリテーション(デイケア)など、生活支援、介護予防の両面からサポートしてくれる。ただし、内容や利用料は、自治体によって異なる。「このサービスを利用しようと思ったら、必ず地域包括支援センターに行くことになります。そこで自分の介護についての不安を相談できるうえ、認知症の前段階から利用すれば、介護予防にもつながります」
2019年03月25日早食いはよくないと聞いたことはありませんか?平成21年の国民健康・栄養調査では、体型別に食事の早さを調べたところ、肥満男性(BMI25以上)の69.3%が「食べるのが早い」という回答が得られました。この割合は、やせ~標準の人よりも多く、早食いの習慣がある人ほど肥満度が高いという研究結果が出ています。反対に、よく噛んでゆっくり食事をするとダイエット効果や健康効果が期待できます。ここでよく噛んで食べることで得られるメリットを6つご紹介します。 噛んで食べることで得られるメリット6つ1.食べ過ぎを防いで太りにくいカラダによく噛んでゆっくり食事をすると、満腹のサインが脳に伝わりやすく、食べ過ぎを防ぐことができます。満腹中枢が刺激されて満腹感を感じるのは、食事開始から約20分後。その前に食事を終えてしまうと、食べる量が増えやすくなるので注意が必要です。2.食後に消費するエネルギー量がアップ食事後、とりこまれた栄養素が分解されるとき、その一部が体熱になって消費されます。食事の後に、カラダがポカポカと温かくなるのはこの消費された熱によるものです。この仕組みを「食事誘発性熱産生(DIT)」といい、消費されるエネルギーは食事でとった10%ほどになります。食事誘発性熱産生(DIT)による消費エネルギー量は、よく噛んで食べることで高くなるといわれています。 3.小顔効果口の周りには表情筋がたくさんあります。噛む回数が増えるとそれらの筋肉を活発に動かすことにつながり、フェイスラインの引き締め効果が期待できます。 4.消化吸収を助けるよく噛むと、唾液と一緒にアミラーゼという消化酵素が分泌され、ごはんなどに含まれるでんぷんを消化吸収しやすく分解してくれます。これにより、胃腸での消化吸収が助けられ、食事に含まれる栄養素を効率よくとり入れることができます。 5.虫歯を防ぐしっかり噛むと唾液の量が多くなり、口の中の汚れを洗い流して虫歯予防に役立ちます。食事のたびに口の中は、ミュータンス菌などの影響で酸性に傾き、歯の表面が溶ける脱灰(だっかい)と溶ける前の状態に戻ろうとする再石灰化を繰り返しています。歯の石灰化には唾液中の成分が欠かせないため、よく噛むことが大切です。 6.脳を活性化して老化防止よく噛むことが記憶力の改善や、認知症の予防に効果があると期待されています。いくつかの研究では、噛むという動作で脳神経が刺激され、脳内の血流を良くしたり、記憶中枢である海馬の血流増加がみられたという結果が出ています。 ちょっとしたことからできる!噛む回数を増やすコツひとくち30回噛むことを心がける1.2.3・・と噛む回数を30まで数えるのが難しいという人は、「あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・す」と頭の中で3回唱えながら噛むと、ひとくち30回が達成しやすくなります。きのこ・白菜・水菜など、食感が楽しめるものを食べるのもおすすめ。 ひとくちの量を減らして時間をかけて食べるひとくちの量が多いと、あっという間に食事が終わってしまいます。ひとくちの量をいつもの半分にして、少しずつゆっくり食べるようにしてみましょう。普段は10分間で食事を終えてしまうとしたら、20分で食べるように目標を決めるのもひとつの方法です。 噛みごたえのあるメニューをとり入れるやわらかい食感のものはすぐ飲み込めるので、噛む回数が少なくなってしまいます。タコ・イカ・ごぼう・切干大根などの歯ごたえのある食材を使った料理をとり入れてみましょう。また、食材を大きめにカットして調理すると、噛む回数を自然と増やすことができます。 ”ひとくち”ごとにお箸を置くかき込んで食べてしまうような癖があると、ゆっくりと食事をとるのが難しいもの。ひとくち食べたら、お箸を置くという動作を食事にとり入れると、早食いを予防することができ、「ひとくち30回噛む」も実践しやすくなります。 楽しく会話してゆっくり食べる1人でパソコンやテレビを観ながら何となく食べていると、どうしても食事時間が短くなり、噛む回数が減ってしまいます。対して、会話を楽しみながら友人や家族と食事をとると、時間をかけて食べることになり、満腹中枢が刺激されて食べ過ぎを防ぐことができます。さらに、会話によってエネルギーが消費されるため、楽しい食事はダイエットにも貢献してくれるといえそうです。 噛むことは、ダイエットに効果的なだけでなく、健康増進にも役立ちます。できることから少しずつ、噛む習慣をつけるようにしてみませんか?食材本来のおいしさや食事の楽しさなど、見逃していた発見があるかもしれませんよ。【執筆者】コントラクトフードサービス大手(株)グリーンハウスに入社、社員食堂のメニュー提案や栄養指導業務を経て、2009年「あすけん」に参加。アドバイス作成やサービス開発に携わる傍ら、年間150件以上の栄養指導やプロアスリート選手の食事サポート、セミナーなどを実施。現在はフリーランスに転向し、幅広く活躍。
2019年03月24日鼻がグズグズ、涙が止まらない人をよく見かけるようになりました。花粉症。DJ KAORI風に言うとケフン症。キツい薬を飲んでむくみや眠気の副作用に苦しんだり、粘膜をレーザーで焼いてみたり。涙ぐましい努力を毎年続けている方、アーユルヴェーダのセルフケアで体質改善してみませんか?なぜ花粉症が起きるのかまずはそこから考えてみましょう。アーユルヴェーダの視点から見ると、春はカパ(水のエネルギー)の季節。前回のドーシャでお勉強した、カパの特徴を振り返ってみましょう。カパの特徴は温和で色白で落ち着きのある性格。冷え性傾向があり肌や髪はしっとりと艶やか。まるで美しい湖のよう。でも一転、そのカパが強まってしまうと……よどんで濁った水たまりを思い浮かべてみてください。ドロドロと粘着性を持ち、流れるのを嫌い、動けずにその場に留まっている。鼻水ズルズル、憂鬱な気分、むくんで冷えて活動的になんてなれやしない。まさにこれらは春に起きがちな日常の不調ではないですか?そんな濁ったヘドロ状態のみなさんへ捧ぐ、アーユルヴェーダ的解決法とは刺激!刺激!!ひたすら刺激!!!よどんでしまわぬよう、留まってしまわぬよう、カラダとこころ、両方に刺激を与えて活性化。溜め込まないのがカギなのです。では具体的に、6つの方向からお伝えしますね。1. オイルで撃退!花粉症ぜひ試してほしいのがこの「アヌタイラ」。アヌ=細かいタイラ=油数えきれない薬草をオイルで煮出した点鼻オイルです。細く、奥まで入り込む効果があるためにアヌタイラと呼ばれているそう。カラダが温まった状態がベストなので、お風呂で使ってみましょう。片鼻に3滴ずつ入れてみると、ツーンと脳にしみる感覚、そして喉の奥底がイガイガ……それをカー!とタンを吐き出すように出していきます。大した量は出ないですが、お風呂でどんどん流してください。これをしている間は結構辛いけど、翌日はスッカ〜〜〜〜!!この世の匂い独り占め気分を味わえます。鼻炎、花粉症だけでなく偏頭痛を持っている人にもおすすめ。私は祐天寺にあるアーユルヴェーダ部門がある最古の病院、ハタイクリニックで購入しましたが色々なサイトでも売ってますよ。2. スパイスで撃退!花粉症これ。トリカトゥというミックススパイスです。トリ=3つカトゥ=辛い文字通り、3つの辛いスパイスが同量に入っています。ブラックペッパー、ジンジャーパウダー、そしてピッパリー。ピッパリーはヒハツ、ヒバーチ、長胡椒とも呼ばれ、日本では沖縄で採れるスパイス。ピリピリと刺激があり、チリとは違う辛みがあって、私は大好きな味。これをお茶にしたり、蜂蜜と混ぜて舐めたり、料理に使ったり。そうそう、私がプロデュースしている“整えごはん”でも取り扱っています。「体質別便秘解消スープ」の号で、ヴァータ体質向けのキットに入っていますよ。カラダを温め、消化力を上げ、脂肪を押し流してくれる働きもあります。風邪のひきはじめにもおすすめ。ピッタ体質の方や妊婦さんは控えめに摂りましょう。3. 春の野菜で撃退!花粉症蕾菜をお出汁と岩塩だけで、さっと煮浸しにしてみました。春に旬を迎える野菜はなんでしょう。セリ、ウド、ふきのとう、キャベツ、セロリ……どれもほろ苦い味を持っていますよね。このほろ苦さと新芽のパワーが、最高のデトックス効果をもたらせてくれるのです。そもそもカパのトラブルは、冬に旬を迎えた脂をたっぷりと蓄えた食べ物を取りすぎて起こるもの。それを春の旬がしっかりと流してくれるのです。自然のサイクルは本当にすごい。いつだって私たち人間が必要なものを、最高な方法で差し出してくれています。季節のものをどんどん摂りましょう!4. 香りで撃退!花粉症アロマオイルで花粉症のぼーっとした頭をスッキリさせましょう。ユーカリやティーツリー、ペパーミントにラベンダー。痒みの原因である炎症を抑えて免疫力を上げる香りを選びましょう。無色透明の太白ごま油に混ぜて、頭と耳、ひざ下から足裏にかけての3点をオイルマッサージするのもおすすめです。5. ガルシャナで撃退!花粉症そして肌に優しく刺激を与える、ガルシャナもぜひはじめてみてください。ガルシャナとはサンスクリットで「摩擦」を意味し、日本の乾布摩擦のルーツでもあります。ただおすすめしたいのは、木綿でゴシゴシとこするのではなく、この絹の手袋。手袋をはめて、優しくリズミカルにカラダをドライマッサージしていきます。すると肌の表面がしっとり、光を帯びてくるのがわかります。体内からのデトックス効果もあり、カラダはもちろん、気分もスッキリ!重い気分が吹き飛び、アクティブになれますよ。6. 鼻うがいで撃退!花粉症鼻うがい、やってみたけど痛くて断念したよ……という方多いのではないでしょうか。そんな時はこのアーユルヴェーダの”ネティポット”を使ってみてください。そして痛くないコツは●頭を傾けすぎない●鼻で吸わない(片方から片方へ、水を流すだけ)●水温は37度くらい、人肌に●真水は痛い!岩塩をひとつまみを試してみたらほら!笑顔で鼻うがい。(怖い)ネティポットで検索すれば、amazonなどですぐに手に入りますよ。どれもお家で試せることばかり。でもどれかひとつだけでは、もしかしたら治らないかもしれません。地道に、上記のことを試してみてください。(あと乳製品、チョコレートはやめてみましょう。そして朝6時以前の起床がおすすめです!)薬の即効性はありませんが、アーユルヴェーダは「根治」を目指します。カラダは思っている以上に単純で正直。気づけば花粉が怖くなくなっていた、という方はたくさんいます。今日から試せることからはじめてみましょう!PROFILEARYURVIST ライフスタイルアドバイザー三野村なつめコピーライターとして数々のCM企画・制作に携わる一方でアーユルヴェーダと出会う。その奥深さと実践するとどんどん体調が良くなるところ(ここが大事)にハマり、南インドやスリランカを数度訪れた後アーユルヴェーダ・ライフスタイルアドバイザーの資格を取得。コスメブランド「AYURIVST」やレシピとスパイスがセットになった「整えごはん」を立ち上げる。
2019年03月20日相続に関する法制度が、今年1月から段階的に変わっている。じつに40年ぶりとなる大改正により、高齢化社会に対応したルールが順次導入されていくことに。相続問題に詳しい行政書士の竹内豊さんは“妻の権利の拡大”に注目する。「夫の死後、妻が1人で生きていく時間は長いので、今回は“残された妻”を保護するための改正が多いのが特徴です。自宅に住み続けるための権利や、介護の貢献によって相続人に金銭を請求できる権利など、妻の権利が広がることになります」また、要介護だった義理の親が亡くなったとき、息子の妻(あるいは娘の夫)がどれだけ介護で貢献したとしても、嫁(婿)には相続の権利はなく、財産を得ることはできなかった。相続コーディネーターで、「夢相続」代表の曽根恵子さんは次のように語る。「義父母が『どうにか嫁にも財産を残したい』と思ったら、これまでは養子縁組で息子の嫁を『娘』にするか、あるいは遺言書で財産を残すしか方法はなかったので、ほかの親族から『なぜ私よりもあの人に多く遺産を渡すのか』と、“争族”の火種になりやすく、積極的に残そうという人はあまりいませんでした」そんな“介護をした人”の貢献が金銭面で報われるようになる制度も施行される。だが、「相続」についてはわからないことも多い。そこでトラブルになりがちなケースと、最近増えている相談事例を竹内さんと曽根さんが解説してくれた。【Q1】ビットコインなど仮想通貨は相続財産になるの?「仮想通貨は金融商品なので、相続財産に含まれます。資産はほかに、不動産(土地、建物)、預貯金、株式や投資信託、車、貴金属、ゴルフ会員権などが含まれます。生命保険の死亡保険金(保険料負担者である夫が死んで妻が受取人の場合)は相続財産として課税の対象になります」(曽根さん)【Q2】エンディングノートは遺言書の代わりになるの?「故人の意思が反映されていても、法律の形式でないと遺言書とはみなされません。ただし、財産の洗い出しや銀行口座の暗証番号、ID・パスワードを書き残してもらうために活用できるので、記録しておくことは有効です」(竹内さん)【Q3】老親に「相続」の話を切り出すときの注意点は?「相続が繊細な問題であるだけに親に切り出せないという人が多いのが現実です。そんなときは親が主役となる老後のテーマとして『介護になったらどうしたいのか』『お葬式やお墓はどうしたいのか』といった話をしながら、財産について確認すると自然な流れで話が引き出せるかもしれません。ほかのきょうだいがいれば一緒に話し合いをすると、“争族”を防げるでしょう」(曽根さん)【Q4】認知症になった親の財産はどうやって分けるの?「明確に認知症と診断されると、遺言書を作成することはできません。ただし、意思疎通できる能力があり、意思確認ができれば作れる場合もあります。有効な遺言書がなければ、相続人同士が遺産分割協議で決めることになります」(曽根さん)【Q5】遺産分割協議書に使う印鑑は「認め印」でいいの?「『実印』が必要です。実印とは、住民登録をしている自治体に登録した印鑑のことをいい、実印として用いるためには市役所など自治体の窓口で『印鑑登録』を行ったうえで『印鑑証明書』を発行してもらいます。遺産分割協議を経て故人の銀行口座を解約するためには実印と印鑑証明書が必要なケースが多いので、用意しておくと確実です」(竹内さん)
2019年03月17日「私が今あえて歌手活動を始めるきっかけになったのは、母と父が相次いで亡くなったことです。母が歌っていたなかには『雨がやんだら』『お別れしましょう』といったヒット曲のほかにも、まだまだ素敵なオリジナル曲がたくさんあるんです。母は亡くなる直前まで自宅で歌い続けていました。母が愛した歌を、皆さんにお伝えしたいと思ったのです。また父も音楽好きで、『いい作品は後世に伝えていきたい』という考えの持ち主でした。その2人の思いを私のなかでミックスし、私なりの歌い方で表現していきたいと……。それが父と母が生きた証しを残すことになると考えています」今年2月、「東京エキゾチカ」の専属歌手として歌手活動を宣言した女優・真由子(44)。母は歌手や女優として活動した朝丘雪路さん(享年82)。そして父は俳優・津川雅彦さん(享年78)。朝丘さんが逝去してから今年4月で1年になる。一周忌を前に両親の思い出を語ってくれた。「私が中学生のときに、父が原因でいじめられたことがありました。なにしろ当時の父は『キング・オブ・ベッドシーン』(笑)。ドラマや映画で数多くの濡れ場や悪役を演じていましたからね。『お前のお父さんはいやらしい』『お父さんは嫌なヤツ』とさんざん言われたものでした。あるときその話を父にしたら、『俺が本当にいやらしいと思うか?嫌な人間だと思うか?』と。私が「いや、そうは思わないけど」と答えると、『だろう?皆、いいお客さまじゃないか。だったらお前は「お父さんの演技をそんなに信じてくれて、ありがとう」って、みんなに感謝しなきゃいけないんだぞ』。それからは友達に何か言われるたびに『お父さんの演技を褒めてくれてうれしいよ!ありがとう!』と答えるようにしました。すると、からかわれなくなったんです。父からは『考え方をちょっと変えるだけで、物事は逆転する』ということを教わりました」’13年、真由子は大きな試練を迎える。朝丘さんがアルツハイマー型の認知症と診断されたのだ。「医師からは、こう言われました。『あなたのことを忘れてしまうかもしれません。でも、それは愛情がないからというわけではないので、傷つかないでくださいね』。周囲の人からも介護の苦労を聞いていたので、すごく大変なんだろう、と覚悟していました。でも、もちろん介護をサポートしてくださる人もいたからなのですが、母との最後の日々は私が想像していたものとは違ったのです。皆さんご存じのとおり、母は天然キャラなので、それが少しひどくなったぐらいで、私のことを忘れることもありませんでした。最後の会話でも、『真由子、頑張ってる?』と、以前と同じように声をかけてくれたのです。それに、ときどき踊りの手ぶりを工夫していたり、歌も歌詞を忘れることなく、ずっと歌っていました。母は最期まで女優・朝丘雪路だったのだと思います。私が子どものころは、母と一緒に外出することなどほとんどありませんでした。でも病気になってからは逆に一緒に過ごす時間が増えて、ショッピングや食事だけでなく、温泉など、いろいろなところに行きました。母はあまりそういった場所にいったことがなかったので大喜び。特に水族館ではイルカとふれ合える時間が始まると、『真由子、行こう、行こう!』と、子どものように大はしゃぎでした。姉のような存在だったのが、妹のようになった感じですね。また’15年からは、それまで別居していた父が再び母と暮らし始めることになりました。父が出かけるときは母が見送りに出て、『いってらっしゃい』チュッと。わが家にはお見送りやお迎えの『挨拶』や『お礼』のときに、キスをする習慣があって、それが復活したのです。母は父と暮らすようになって、明るく初々しくなりました。2人にとっては新婚生活に戻ったような感じだったのでしょう。私たち家族は母が他界するまでの数年間で、たくさんの楽しい思い出を作ることができたのです」
2019年03月14日蒼井優、竹内結子、松原智恵子、山崎努といった日本映画界が誇る豪華実力派俳優が共演する家族の物語『長いお別れ』。この度、家族の7年間の日々を切り取った場面写真8点が到着した。少しずつ記憶を失くし、ゆっくりゆっくり遠ざかっていく…その様子からアメリカでは「Long Goodbye(長いお別れ)」とも表現される認知症。本作は、父が認知症を発症したことにより、自分自身の人生と向き合うことになる家族の7年間を、温かな眼差しをもって優しさとユーモアたっぷりに描いた物語。今回到着した場面写真では、元中学校校長で認知症を患う父・昇平(山崎さん)の70歳の誕生日を祝い、次女・芙美(蒼井さん)、長女・麻里(竹内さん)、母・曜子(松原さん)の家族が揃った笑顔の一枚をはじめ、縁側でクッキーを頬張る父の姿を切なげな様子で見守る芙美や、麻里と曜子が古いアルバムを見ながら楽しげに語り合う様子と、認知症に向き合いながらも、家族の愛を感じさせる場面が収められている。また、昇平と麻里の息子・崇(蒲田優惟人)、芙美の彼氏・道彦(中村倫也)が土手でアイスを食べる穏やかな雰囲気が伝わるカット、麻里と夫・新(北村有起哉)の夫婦ショットも併せて公開された。『長いお別れ』は5月31日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:長いお別れ 2019年5月31日より全国にて公開(C)2019『長いお別れ』製作委員会
2019年03月14日介護者が肉体的に一番負担に感じるのがベッドでの介助です。寝ている状態からの起き上がり、車椅子への移乗、オムツ交換などは、介護者の体力の負担を高める原因となっています。そんな介護者にとって役立つのが「介護ベッド」。最近の介護ベッドは便利な機能が増えています。その機能と介護者の負担がどのように軽減できるかをご紹介します。■ 寝たきりにさせないための「介護ベッド」高齢者は軽い病気やケガ、あるいは骨折などがきっかけで長期間、安静した結果、寝たきりになる人が多くいます。Mills / PIXTA(ピクスタ)寝たきりになると障害は全身の器官に及びます。認知症の発症や進行にも影響するため、できるだけ起きている状態を保つことが大切です。そこでオススメなのが介護ベッドです。高さ調節や背上げ・膝上げ機能など、介護に必要な機能が備わり、介護者の負担とベッド利用者の快適性を高めてくれます。■ 上体を起こすことで肺炎予防にも寝たきり予防のためには自分で座ることが大事で、余程のことがない限り、上体を起こして生活することをオススメします。ベッドの端に腰かけ、両足を床につけて座ることを「端座位(たんざい)」と言いますが、端座位ができれば上体が起きているため肺に空気がたくさん入ることで口腔内の清潔が保たれるので、肺炎予防やむせ予防にもなるといいます。また、端座位ができれば、ベッド脇にテーブルを用意して食事をすることもできます。上体を起こすには、背上げの操作ボタンを押すだけ。ボタンから指を話すと動きが止まります。ベッドによっては背上げと膝上げが同時に動くタイプもあります。膝が上がることで状態が起きやすくなるようです。■ ベッドの高さを変えることで車椅子への移乗がラクになる介護ベッドは高さを自由に調整ができます。ベッドの高さを調整できるメリットとして、車椅子への移乗のしやすさがあります。Mills / PIXTA(ピクスタ)車椅子への移乗の際は、ベッドの高さを車椅子の座面と同じか、少し高めにして、移動しやすくします。車椅子が高いと、要介護者を持ち上げることになり余計な力が必要になります。反対に車椅子からベッドに移動する場合は、ベッドの高さを少し低くして移乗しやすくします。介護では「寝食分離」という考え方があり、就寝と食事を分け、できるだけ寝たきりにしないよう心掛けています。そのためベッドは寝る場所とし、食事はリビングでとることで生活にメリハリが生まれ、身体機能にも良い効果が期待できます。■ ベッドからの落下を防ぐサイドレールこのほかに介護ベッドの特徴として、サイドレールが付いていることです。サイドレールがあることで、利用者がそれを掴むことで寝返りなどの動作がスムーズに行えることがあります。また、サイドレールを中央に設置することによってベッドからの転落を防ぐことができます。サイドレールは位置を変えることや、取外しが簡単にできるようになっています。なお、ベッドの四方をサイドレールなどで囲うと身体拘束となり、虐待に値します。ただし、それ以外に方法がない場合は例外としています。身体拘束にならないよう、通常はサイドレールはサイドに一つずつ設置されています。■ 時にはベッドの置き場を変えてみることも必要!パナソニック「リショーネPlus(プラス)」ベッドの半分が車椅子に変身ここまで介護ベッドの性能や機能をご紹介してきましたが、時にはベッドを置く場所に変えてみることもオススメします。例えば、リビングにベッドを置いている人もいます。ダイニングで家族と一緒に食事をし、それと同じ空間のリビングでくつろぐことで、子どもや孫が気軽に声をかけてくれます。いつも寝室ではメリハリがないうえ、変化のない、刺激のない環境は認知機能の低下にもつながります。ベッドの中には、ベッドの半分が分離して車椅子のように移動できるものもあります。これであれば、車椅子に移乗しなくてもよいため、介護者の負担は大幅に減少し、無理なく移動できるようになります。いかがでしたか?ベッド一つで介護がラクになることは、まだまだ知られていないようです。ベッドや車椅子はレンタルで利用できることが多く、費用も介護保険により1割負担で借りられます。腰や膝を痛める前に、ぜひ相談してみましょう。相談は、いつも利用されているデイサービスやケアマネージャー、あるいは市役所などでも可能です。【離床アシストロボット 「リショーネPlus(プラス)」】■本体セット内容本体(ベッド+車いす)、木調ボード、ボックスシーツ(2枚1セット)、マットレス(防水カバー仕様)、充電器、車いす用バッテリーキット、車いす用ヘッドレスト■サイズ全長/2,075mm、全幅/1,009mm(車いす合体時)、全高/799~1,079mm■希望小売価格 90万円(税抜・配送・組み立て費用別)【参考】※パナソニック離床アシストロボット「リショーネPlus(プラス)」を発売※日本呼吸器学会呼吸器の病気誤嚥性肺炎
2019年03月13日暖かくなるにつれ、花粉が飛散し始めて、不調を感じている方もいらっしゃると思います。花粉症が増えた原因の一つとして生活習慣や環境の変化と共に動物性タンパク質や脂肪過多の食事(欧米化)と食品添加物の摂りすぎがあるとされています。今の食事にプラスαして花粉症の不快感を減らしていきましょう。腸の働きを良くして免疫力を高める腸は全身の約60%もの免疫システムを担っているので、腸の環境を整えて免疫システムを強化しましょう。腸内環境をよくするには、食物繊維と乳酸菌を摂取する事が大切です。花粉でお肌にダメージを感じている方もいるかと思います。花粉が肌に付かない様にして花粉症症状をやわらげましょう。● 食物繊維を多く含む食材ヨーグルト、乳製品、納豆、味噌、醤油、漬物● 乳酸菌を多く含む食材ごぼう、イモ類(特にさつま芋)、豆類ビタミンB6で免疫強化のサポートビタミンB6は、免疫を正常化させるタンパク質の合成を助けます。肉、魚介、卵、大豆類、乳製品の他穀類にも含まれるタンパク質と組み合わせて摂取すると効率が良くなります。● ビタミンB6を多く含む食材玄米、胚芽米、はちみつ、豆類、クルミ*熱処理されていない生はちみつを花粉症症状が出始める2ヶ月前から食べると、花粉症の症状が緩和されると言われています。生で舐めても良いですし、ヨーグルトにかけて食べるのも良いでしょう。1歳未満の子への使用は避けましょう。不飽和脂肪酸のバランスをとって花粉症症状を軽減現代の食生活は、リノール酸(オメガ6系)が過多の傾向があります。リノール酸は、紅花油や大豆油、コーン油に含まれており、摂り過ぎるとアレルギー症状を招きやすくなります。不足しがちなオメガ3系は、血液の浄化作用があるので、花粉症やアトピー性皮膚炎や喘息、婦人科系の疾患にも有効なので、意識的に取り入れましょう。● オメガ3系を多く含む食材青魚、亜麻仁油、エゴマ油、クルミ、チアシードオメガ3系は酸化しやすいので、油は日の当たらない所で保管し、早めに使い切り、非加熱で使用しましょう。ストレスへの抵抗力や免疫力を高めるビタミンCビタミンCは、ストレスやウイルスへの抵抗力を高めて、風邪からガンまで様々な病気を予防します。粘膜の炎症や鼻づまりを解消し、花粉症症状を軽減させます。● ビタミンCを多く含む食材果物、緑黄食野菜、イモ類*酸化しやすく、水や熱に溶けやすいので新鮮なものを手早く調理しましょう。ハーブティー で花粉症の不快感を緩和● エルダーフラワー マスカットの様な甘い風味で坑アレルギー作用があり、カタル症状を抑える為、欧米ではインフルエンザの特効薬と言われ、風邪のひき始めや花粉症にも効くとハーブと言われています。 ● アイブライト 古くからあらゆる目のトラブルに効果があるとされているハーブです。パソコンなどによる疲れ目を防ぎ、目の充血を改善する他、鼻や喉の粘膜に働きかけるので、花粉症の症状を落ち着かせる為にもおすすめです。飲むだけでなく、ティーを薄めて目を洗うと、疲れ目や目のトラブルに良いでしょう。 ● ネトル ドイツでは現在でも「春季療法」と言って、春先のアレルギー予防にネトルなどのハーブを積極的に摂る療法が続けられています。 フラボノイドやクロロフィル、ビタミンやミネラルを豊富に含む緑茶の様な風味のハーブです。ヒスタミンを含む為、ぜんそくなどアレルギー症状や花粉症症状の緩和にも役立ちます。飲み続ける事でアレルギー体質の改善に働きかけるハーブですが、妊娠中や小児には、使用量の注意が必要です。● ハーブティーの飲み方乾燥ハーブを単体か複数ブレンドし、小さじ1~2杯をポットかカップに入れ、3~5分置き飲みます。1日3回ぐらい飲むと良いでしょう。湯気をたっぷり吸い込む様にして飲むとさらに効果的です。 監修・文章/宮本そのみ(管理栄養士)
2019年03月09日現在の日本人女性の平均寿命は約87歳。いままで、80代と50代が多かった母娘間の介護も、高齢化によって90代と60代まで上がっている。そんな“90歳を超えた老母の介護と看取り”を当事者が自らの経験を語る――。「父に先立たれ、初期の認知症と診断された母の面倒をみるため、大阪市のマンションで’08年11月から一緒に暮らし始めたんです。そりゃ、ものすごい罵声を浴びせられる毎日でしたわ。『アンタはドロボーや、私の金が目当てや!』『誰に育てられたんか、素性を疑うわ!』。そしてベランダに出ては大声で、『ドロボーに閉じ込められているんです、おまわりさん、助けて~!』って」約10年前に始まった母・アサヨさん(91)との生活を振り返るのは、一人娘の酒井章子さん(59)。現在はフリーの編集者であり、昨年12月に出版された介護エッセイ『認知症がやってきた!』(産業編集センター)の著者でもある。母の認知症の症状はその後も進み、やがて徘徊が始まったという。「私から逃げようとして外に出るんですが、そっと尾行してみると、健脚の母は放っておけば10キロ以上も歩く。夕方に家を出て、気づけば朝日が出ていたなんてことも何回もありました。彼女のためにしていることがすべて否定される。あのままの状態やったら、殺していたかもしれないですね」(酒井さん・以下同)その“殺意”を抑えるきっかけとなるような出来事があった。「あるとき、母の反応を見たいと思って、道に倒れて死んだフリをしてみたんです。そうしたら母は、『フン、死にやがれっ!』と吐き捨てて、スタスタと歩き出した。それで悟ったんです。『この人を、育ててくれた母やと思ったら、やってられない』って。それ以降、母を『マリリン』という別キャラだと思うようになりました」すると、気持ちの切り替えが、うまくできるようになったそうだ。「ここ数年は、足腰が徐々に弱くなって、トイレもひとりでできないように。徘徊や暴言もなくなり、いまは“かわいいおばあちゃん”」そう酒井さんは目を細める。長い介護生活を経て、“悟り”にも似たある境地に達したという。「愛せなくなったら?いやいや、愛さなくていいんですよ(笑)。認知症ってわかってたって、腹立ちますって。だから我慢しないで、『うるさいな、黙っとき!』って言っちゃえばいいんです。どうせすぐ“忘れちゃう”っていう認知症の特性を、こんなときは最大限、活用させてもらえばいい。たしかに旅行にも行けず、仕事も縮小して、“人生小さくなった”と思っていたけど、いまは『ママリンといたほうがおもろいな、そう悪くない人生やな』と思えます」酒井さんの「忘れちゃう」という表現には「だからこそいっしょにいるいまを大切にしたい」という願いが込められている。
2019年03月08日現在の日本人女性の平均寿命は約87歳。いままで、80代と50代が多かった母娘間の介護も、高齢化によって90代と60代まで上がっている。そんな“90歳を超えた老母の介護と看取り”を当事者が自らの経験を語る――。「母が91歳で大往生したのは、1月18日の朝6時半過ぎのことでした。『もう助からないのなら、家に連れて帰りたい』と病院の医師に告げ、昨年末12月28日に退院してからの3週間余り、母は自宅で身支度を整えるように、静かに穏やかに息を引き取ったんです」苦しむことなく、「枯れ葉が落ちていく」ようだったと、母・絢子さんの最期を振り返るのは、松本清張賞作家の山口恵以子さん(60)。昨年末には、その介護の日々を『おばちゃん介護道』(大和出版)というエッセイにまとめている。鋏作り工場を経営する父と、20人近い従業員の賄いなどをする“おかみさん”の母とのあいだの、3きょうだいの長女だったが、’00年に父は85歳で急死。「その直後から、73歳だった母に、ひどいもの忘れや、料理ができないという出来事が頻繁に起き、体力も著しく低下していきました」(山口さん・以下同)当時、派遣社員をしながら2時間ドラマなどのプロット(原案)を執筆していた山口さんは、家事や母の面倒を全面的に担うことに。後に、母はトイレの粗相が増え……。「掃除したばかりなのにまた掃除なんてことが、何度も……」10年来要介護2だった母の体調は、昨年急激に悪化した。「昨年9月、91歳になっていた母が直腸潰瘍で大量出血。病室で多くの管につながれ、『家に帰りたい』と母は懇願しました。でも医師からは『老衰で、このまま病院で最期を迎えられることになると思います』と告げられたんです」この段階で、山口さんは「母の最期」を覚悟していたという。「人工呼吸器の装着や“胃ろう”を母が望まないというのは、きょうだい間で認識していました。そして知人に紹介された地元の訪問看護グループの訪問医に『点滴が入らなくなって徐々に枯れていくのは、決して悲惨な死に方ではありません』と言われたとき、家で看取る決意ができたんです」要介護度が最大の「5」だった母だが、認知症による徘徊や騒ぎを起こすといったことはなかった。「介護保険でほぼ毎日、ヘルパーに来てもらうことができました。私の仕事は家で執筆することが多いので、特殊かもしれませんが、それでも結果的に、仕事しながら介護することができたんです」介護している人に「エールを送りたい」と、自身の経験から得た秘訣を2つ、教えてくれた。「まず介護の専門家には、最初に最大限の数と量を依頼すべきです。最初はみな初心者。慣れてきて必要ないサービスが出てきたら、そこから徐々に減らしていけばいい。また、仕事は辞めないように。そして人と外で会う時間を確保すること。『私の人生、介護しかない』となったらたまらない。手を抜くこと、多少のお金をかけることへの罪悪感は持たないでほしいです」いまでも執筆中、「母が隣にいる気がする」と話す山口さん。小説家の夢を実現するまで「35年間も私を信じ、待ち続けてくれた母のためにも」机に向かう。
2019年03月08日「女性は40歳をすぎると、体のあちこちに不調が出やすくなります。しかし、いざ受診するとなると、何科に行けばいいのか迷う人も少なくありません。大きな病院をいくつも回って検査を受けたけど、原因がわからず不調も治らない。悩みに悩んだ結果、うちに駆け込んでくる患者さんもいます」そう話すのは、ローズペインクリニック(愛媛県松山市)の院長、亀井倫子先生。このような経験をしたことのある読者の方も、少なからずいるだろう。こうした事態に陥らないために、持っておきたいのが信頼できる“かかりつけ医”だ。かかりつけ医とは、予防も含めてふだんから体の不調について、なんでも相談できる医師のこと。そこで本誌は、女医50人にアンケートを実施。“かかりつけ医”を持つメリットを聞いた。アンケートの結果は次のとおり。【早期発見】何でも相談できる医師がいると、疾患が重症化する前に発見できる。【治療で遠回りしない】あちこち受診していると、検査・投薬が重複するとこがある。【医療費が安くすむ】専門医は限られた病気しか診ないが、かかりつけ医が総合的に診療したほうが、治療もスムーズにでき医療費が安くすむことも。【再発予防効果】その人の性格や認知傾向などを把握して診断すると、病気予防だけでなく再発予防効果も。【病気の悪化を防ぐ】ある病気の治療がほかの病気に悪影響を与えてしまうことがあり、総合的に判断する必要があるため、全身の状態をきちんと把握しているかかりつけ医の存在が重要。【その他】家族関係、趣味、仕事など、患者の情報を細かに知っているほど治療に役に立つので、かかりつけ医を持つことは大事。手に負えないときは適切な治療をしてくれる専門医を紹介してくれる。アンケートに記入してくれた医師の意見を総合的に考えると、かかりつけ医を持つことで、いくつものメリットがあることがわかる。■病気の早期発見につながる「めまいで耳鼻科を受診したけど耳には異常がないといわれ、今度は頭痛で脳神経外科に行きMRIをとったけど異常はなく、結果、悩んだあげく当院を受診されるような方がいます。ほかにも精神科に長くかかって薬をたくさん飲んだけどよくならない方もいらっしゃいました。その方の不調はビタミンや亜鉛、鉄などの栄養素不足が原因でした」亀井先生はこう話す。「専門医では各臓器は調べられますが、検査結果に異常がない場合、それで診察が終了してしまうことがあります。かかりつけ医のように、総合的に判断して原因を突き止めることをしないことがままあります。結果、診断が遅れ、患者さんがつらい思いをします」また、みやさきクリニック(兵庫県尼崎市)の副院長、宮嵜美津穂先生は、こんな発見をしたこともあった。「以前の勤務先に、長年通っている年配の患者さんが、短期的に何度も『点眼がもうなくなった』と言って来院されたのです。疑問に思ったスタッフがご家族に連絡して調べてもらったところ、認知症であることがわかりました」日々患者の様子を診ているからこそ、できる発見だ。■検査や投薬の重複が避けられ、医療費も安くすむ「かかりつけ医を持たず、さまざまな病院を渡り歩いていると、治療の経過がわかりづらくなり、検査や投薬が重複してムダになることがあります。コストを考えてもかかりつけ医を持つことは大切」(宮嵜先生)経過が思わしくないと、あちこちドクターショッピングして遠回りしてしまう。しかし、そうなる前に、きちんとかかりつけ医に相談し、紹介状を書いてもらうこと。そうすれば治療の経緯や、これまでの検査結果がわかり、無駄な検査や治療が避けられる。アンケートに答えてくれた医師自身はかかりつけ医として、どう患者に接するのが望ましいと考えているのか。「患者さん自身がどのような人生を送ってきて、どんな性格をしているか。物事に対してどのようにとらえ行動するのかを把握する姿勢が重要です」こう答えた医師は、患者を知ろうという姿勢が病気を治すことだけでなく、再発予防にもつながる診療が可能になるという。「頼れるかかりつけ医を持っていると、患者の状況に応じて、いちばんいい治療が受けられる専門医を紹介してくれます」と話すのは、女性クリニックWe! TOYAMA(富山県富山市)の医師、濱田えりか先生。「紹介状を持たずに大病院に行くと、初診料が病院によっては5,000円以上かかります。また、研修医がいるような大病院だと、まだ深刻な病気でない場合、若手が担当になってしまう可能性も。大きな病院に行ったために主治医のレベルが低くなってしまうこともあります」かかりつけ医に選別してもらった医師を、紹介してもらったほうがよさそうだ。
2019年03月07日「ごめんなさい……母の姿を思い出すと、いまでも涙が出るんです」涙がその頬を伝ったのは、女優の藤真利子さん(63)。直木賞作家の藤原審爾(’84年没)を父に持ち、映画『薄化粧』『吉原炎上』など数々の名作に出演してきた藤さんは、’16年11月7日、母・藤原静枝さんを11年の介護の末、自宅で看取っている(享年92)。丸2年を経ても、晩年の母を思い出すと涙が出るという。「それほど母の介護は無我夢中で慌ただしい毎日でした。毎日来てくれていたヘルパーをはじめ、ケアマネ、医師、看護師……。家族以上に密接だった方々が、母が亡くなった日を境に一気に去り、私たったひとりになりました。これからどんなふうに生きていくのか、模索中の自分がいるんです」そんな藤さんが、最愛の母を介護した11年間を、いま振り返る。「母が倒れた’05年6月のあの日、私は明治座での昼公演を終え、寄り道して19時過ぎに帰宅すると、家じゅうが真っ暗でした。水が流れっぱなしの台所の床に、母がドカンと倒れていました。私はすぐさま救急車を呼んだんです」(藤さん・以下同)脳梗塞だった母は、一命こそとりとめたものの、予断を許さない状況だった。右半身まひで、口が利けなくなったが、一般病棟に移ると「バイバイ」とお手ふりできるくらいには回復。しかしそこから壮絶な闘病生活が幕を開ける。「ある朝病室に入ると汚物まみれの寝巻きとタオルがゴミ袋に入れられていました。水のような便が大量に出ていたんです。以後、それを漂白剤に漬け込んで洗濯するのが、私の日課になりました」リハビリが始まると一転「ピタッと便が出なくなった」という。「苦しみ抜いている母のお尻に先生や看護師が指を入れてかき出す“摘便”では、ネグリジェが便まみれに。母の着替えは、私ひとりでもやりました」母は時折、大声を張り上げ、その声は廊下中に響き渡ったという。「脳梗塞由来の認知症も発症していたんだと思います。赤子のような状態でした。医療処置の問題がネックになり、転院先も見つからず、結局、自宅以外に行き場がなくなってしまったんです」’06年5月、介護タクシーで帰宅。母の持つ身体障害者手帳1級の支援制度は、介護する家族に仕事がある場合、ヘルパー代を行政が負担するものだが「時間が定まっていない」女優業のため、認定を得るのが難しかったという。「過去3年分のスケジュール表を作成して、事務所の部長にも提出の際に同席してもらったんです」そうしてヘルパーが来るものの、「ヘルパーは“アタリ”、“ハズレ”が激しくて、私がぜんぶできなければ、在宅介護は無理だった」とは、いまだから言えることだ。それまで温室育ちで、印鑑の保管場所も知らなかった藤さんには、はじめてのことの連続だった。「尿バッグからの尿の破棄、お尻に管を入れるブジー、清拭、食事介助、口腔ケア、投薬、飲水、調理、掃除、洗濯と、すべて自分でやるようになりました」障害者支援費制度に加え、要介護5の介護保険も利用したが、家のリフォーム代や医療費、看護師、ヘルパー代、生活費で家計は逼迫。「お金が必要ですから、仕事復帰しなければなりませんでした。撮影現場では稼働時間が限られ、“使いづらい女優”だったかもしれません。迷惑をかけたと思います」部分的に仕事しながらの介護は続いたが、母は糖尿病性腎症、膜性腎症でむくんでしまっていた。’16年にはS字結腸捻転症で、腸の一部を切除してストマ(人工肛門)にする手術の是非に迫られる。「私は、母が91歳の高齢にもかかわらず、『すこしでもよくなってほしい、治ってほしい』一心で、手術してもらうことにしました。それが結果、悪い方向へ導いてしまったのかもしれません」3時間半の大手術後、難しい「ストマ交換」がノルマに加わった。ストマの覆いがはがれ、部屋中が汚れてしまったこともあった。その後母は肝硬変と診断され、食がさらに細くなり、最後は水分すらほとんど受け付けなくなった。そして92歳の誕生日を母・娘、親戚、友人で祝ったおよそ2カ月後、母は静かに息を引き取った。「介護といっても、結局は“下の世話”です。それができるか、できないかのことなんです」いま、藤さんはそう言い切る。「一人娘の私を女手ひとつで育ててくれた母は、私のなかで“絶対に死なない存在”でした。それまで私のライフプランには、『母を介護する』というのがなかったんです。でも、介護した11年間に、世間で“介護”や“在宅”という言葉がどんどん現実問題となり、直面する人が急増しました。今後は、はじめての介護で右往左往している人のために、講演活動も積極的にしていきたいと思っているんです」
2019年03月07日いま、1,500万円までは教育費を一括で生前贈与しても非課税になるって知っていた?今年3月で見直されてしまうこの制度。じつはうまく使えば、相続税を大きく減らすことができるんです。「現在、孫や子どもへの教育資金を贈与する場合、1,500万円まで非課税という特例があります。しかし、この特例は今年の3月末で、見直されるんです」そう解説してくれたのは、円満相続税理士法人代表で相続専門税理士の橘慶太さん。’13年4月に始まった教育資金一括贈与の特例。現在、使うことができる代表的な5つの“特例”、「教育資金贈与の特例」「結婚・子育て資金贈与の特例」「住宅取得資金贈与の特例」「夫婦間贈与の特例」「相続時精算課税の特例」のひとつで、子・孫が30歳になるまで、用途を教育費に限って贈与できる。高齢者の資産を若い世代に移すことで、世代間格差を是正しようというのが教育資金一括贈与の特例の“建て前”だが、じつはこれ、相続税の節税にも効果がある。「相続税は財産が大きくなればなるほど、税率も高くなる累進課税です。だから、生前贈与であらかじめ財産を減らせば、相続税も減らすことができますが、贈与税の基礎控除額は年間110万円まで。これを超えた額には贈与税がかかってしまいます。1,500万円を贈与しようと思えば、贈与の対象が20歳以上で366万円、20歳以下の場合は450万5,000円の贈与税がかかります。でも、この特例を使えば、贈与税はゼロ。つまり、即効性のある節税対策ができるのです」(橘さん)ただし、使用の条件は厳しい。「これは、30歳未満の子どもや孫の教育資金として使うなら非課税となる制度。信託銀行などに専門口座を開設し、教育資金として使われた証拠になる領収書を提出しなければいけません」(橘さん)ここでいう教育資金とは、幼稚園や学校、職業訓練学校の入学金や授業料。さらにPTA会費、修学旅行費、ユニホーム代もOK。塾や水泳教室、自動車学校などの習い事代、寮費用も含まれる。「ただし、留学費用としての渡航費はOKだけど、ホームステイ代はダメ。学校に直接支払われるものは、1,500万円まで非課税だが、業者などに支払うものは500万円までなど、細かいルールがあるので、気を付けなければなりません。領収書の提出を忘れると、教育費用として加算されないので注意が必要です」(橘さん)また、30歳までに使い切れなかった場合、残額に贈与税がかかることに。使途は教育費に限るうえに、お金の管理は孫や子ども名義の専用口座で行わないといけないなど、制限が多いこの制度。祖父母から孫に一括贈与する場合、親世代は恩恵をあまり受けていないように感じるかもしれない。『残念な相続』(日本経済新聞出版社)の著書などがある税理士の内藤克さんは利点をこう語る。「親世代にとっては、教育費が浮いたぶんを、ローン返済や貯蓄などに使えるわけです。つまり、祖父母から孫にお金が移動しているように見えて、実質的に自分たちがもらっているのと同じ(笑)。親の生前に確実に確保しておくという意味でも、特例を使うのはアリかもしれません」(内藤さん)また、橘さんも、ある条件のもとであれば、有効な制度だと語る。「死期が近くて、いますぐ相続税を減らしたい人には有効です。それから、『そのつど、教育費を払うね』と約束していても、子育て、孫育ては長期間。その間に、もし認知症になれば贈与が認められなくなりますので、元気なうちに確実に渡すため、制度を利用するという考え方もあるでしょう」ただし、この制度は今年3月末で終わってしまう、現国会で審議されている「2019年度税制改正」で、2年延長される見込みだが、子や孫の所得の上限ができるなど、やや制限される。「子や孫の年間所得が1,000万円を超えると、制度は使えなくなりますが、これに引っかかる人はなかなかいないはず。また、祖父母が贈与してから3年以内に亡くなって、その時に孫が23歳以上であれば、その時点で口座に残っている残高が相続税の対象となるように。相続税対策で始めても、すぐに祖父母が亡くなってしまったら、無意味になることも考えられます」(橘さん)これらの制限が適用されるのは、本年度の4月1日以降に契約した人。制限を避けようと思えば、3月末までの契約が必要だ。銀行で申し込んでから、すべての手続きに2~3週間はかかるが……。「『申込み基準』のため、ギリギリ3月末でもセーフ。でも、駆け込み需要も増えているので3月中旬には決断を」(信託銀行職員)とはいえ、相続税の節税目的なら、年間110万円の基礎控除の範囲内で、毎年贈与を行うのが“王道”だ。通常の贈与であれば、贈与されたお金の使途が問われることはない。さらに、贈与税を払ったほうが“お得”なケースもあるという。「ちょうど、資産の額が、相続税の税率が切り替わる境目にある場合、贈与税を払ってでも資産を減らしたほうが得になることもあります。ただし、非常に複雑な計算が必要なので、税理士などの専門家に相談したほうが安全です。現在は人生100年時代。行きすぎた贈与をすると、贈与した側が将来困窮する懸念もあります。さらに、偏った生前贈与で不平等が生じて、相続トラブルに発展することも」(内藤さん)生前贈与のご利用は計画的に!
2019年03月04日「現在、孫や子どもへの教育資金を贈与する場合、1,500万円まで非課税という特例があります。しかし、この特例は今年の3月末で、見直されるんです」そう解説してくれたのは、円満相続税理士法人代表で相続専門税理士の橘慶太さん。’13年4月に始まった教育資金一括贈与の特例。現在、使うことができる代表的な5つの“特例”、「教育資金贈与の特例」「結婚・子育て資金贈与の特例」「住宅取得資金贈与の特例」「夫婦間贈与の特例」「相続時精算課税の特例」のひとつで、子・孫が30歳になるまで、用途を教育費に限って贈与できる。高齢者の資産を若い世代に移すことで、世代間格差を是正しようというのが教育資金一括贈与の特例の“建て前”だが、じつはこれ、相続税の節税にも効果がある。「相続税は財産が大きくなればなるほど、税率も高くなる累進課税です。だから、生前贈与であらかじめ財産を減らせば、相続税も減らすことができますが、贈与税の基礎控除額は年間110万円まで。これを超えた額には贈与税がかかってしまいます。1,500万円を贈与しようと思えば、贈与の対象が20歳以上で366万円、20歳以下の場合は450万5,000円の贈与税がかかります。でも、この特例を使えば、贈与税はゼロ。つまり、即効性のある節税対策ができるのです」(橘さん・以下同)ただし、使用の条件は厳しい。「これは、30歳未満の子どもや孫の教育資金として使うなら非課税となる制度。信託銀行などに専門口座を開設し、教育資金として使われた証拠になる領収書を提出しなければいけません」ここでいう教育資金とは、幼稚園や学校、職業訓練学校の入学金や授業料。さらにPTA会費、修学旅行費、ユニホーム代もOK。塾や水泳教室、自動車学校などの習い事代、寮費用も含まれる。「ただし、留学費用としての渡航費はOKだけど、ホームステイ代はダメ。学校に直接支払われるものは、1,500万円まで非課税だが、業者などに支払うものは500万円までなど、細かいルールがあるので、気を付けなければなりません。領収書の提出を忘れると、教育費用として加算されないので注意が必要です」30歳までに使い切れなかった場合、残額に贈与税がかかることに。「上限いっぱいの1,500万円を贈与されて、公立中高、国公立大学と進んだ場合、使い切るのは難しいかもしれませんね。また、非課税枠は子ども1人あたり1,500万円なので、両方の祖父母からもらって計3,000万円などとすることはできません」使途は教育費に限るうえに、お金の管理は孫や子ども名義の専用口座で行わないといけないなど、制限が多いこの制度。橘さんは、ある条件のもとであれば、有効な制度だと語る。「死期が近くて、いますぐ相続税を減らしたい人には有効です。それから、『そのつど、教育費を払うね』と約束していても、子育て、孫育ては長期間。その間に、もし認知症になれば贈与が認められなくなりますので、元気なうちに確実に渡すため、制度を利用するという考え方もあるでしょう」
2019年03月04日阿川佐和子がMCを担当する土曜朝のトーク番組「サワコの朝」。その3月2日(土)放送回はゲストに女優の戸田恵梨香を迎え、昨秋に放送され大好評だった「大恋愛」の撮影秘話から公開中の『あの日のオルガン』の話題まで戸田さんの魅力をたっぷりとお届けする。「野ブタ。をプロデュース」や2006年公開の『デスノート』の弥海砂役で大ブレイク。前後篇にスピンオフと展開した『デスノート』は2016年に新作『デスノート Light up the NEW world』が公開されたほか、その後出演した「LIAR GAME」や「SPEC」もドラマから映画へと展開。また2008年に第1シーズンが放送された「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」はその後2017年までに3シーズンの連ドラとSPドラマに、昨年公開された劇場版も記録的大ヒットと、シリーズ作品に何かと縁のある戸田さん。そのほかにも「SUMMER NUDE」に『予告犯』『無限の住人』、昨年は「崖っぷちホテル!」に「大恋愛~僕を忘れる君と」と様々な作品で話題を振りまいている。その「大恋愛」では若年性認知症に陥る女医という役柄演じ大きな感動を巻き起こしたのも記憶に新しいが、この難役を演じるにあたり「演じることの責任と不安を感じながら、監督たちと丁寧に話し合いながら作っていった」と語る戸田さんが、今回作品への想いと脚本を手掛けた大石静との秘話や、感激したというある出来事を明かしてくれる。また「記憶の中で今もきらめく1曲」に「19」の「以心伝心」を選んだ戸田さん。この曲は16歳で上京した戸田さんが3人の親友に捧げた曲だといい、女優の道へ進むべく旅立った当時の心境をふり返る。そんな戸田さんが出演している映画『あの日のオルガン』が新宿ピカデリーほか全国にて公開中。太平洋戦争末期、子どもたちのために日本で初めて保育園を疎開させることに挑んだ保母たちの実話を描いた作品で、戸田さんと大原櫻子がW主演。第二次世界大戦末期、空襲が続くなか東京品川の戸越保育所で保母たちが保育所の疎開を模索。意見の分かれる親たちを保母たちが必死に説得するなか埼玉に受け入れ先の寺がみつかり、荒れ寺での疎開生活がスタートするが、毎日わき出てくる問題のなか、子どもたちと向き合い毎日ひたむきに励ましあいながら奮闘する若き保母たち。そして彼女たちにも空襲の影がせまる――という物語。戸田さんは責任感の強い保母たちのリーダー・板倉楓を演じる。「サワコの朝」は3月2日(土)午前7時半~MBS/TBS系で放送。(笠緒)
2019年03月01日「認知症とは、脳神経細胞の劣化によって起こる症状です。あとは脳血管障害、糖尿病を放置していたなど、複合的な要因も関係してきます。65歳以上、5つ年を取るごとに認知症になる危険性は2倍に。90歳を超えたら、6~7割の人は認知症になるといわれています」そう語るのは認知症予防・治療の第一人者である朝田隆先生。加齢と認知症発症リスクは比例していて、年を取るほど発症率が高くなってしまうのは仕方ないことのよう。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、軽度認知障害(MCI)は約400万人といわれている。「認知症は進行速度が遅くなることはあっても健常に戻ることはありません。しかし、MCIは改善が期待できます。MCIと診断された方の26%は健常に戻るともいわれていますので、早期に対策を始めることをおすすめします」「早期受診が急務」ということはわかったが、親を病院へどのようにして連れていけばいいのか。その難問を解決すべく、認知症やMCIに関する電話相談などを行っている「認知症の人と家族の会東京都支部」代表の大野教子さん、副代表の松下より子さんに話を聞いた。「認知症には『自分が自分でなくなっていくのでは?』というネガティブな印象があるため、病院へ連れて行くのに苦労されているご家族からの相談は多いです」(大野さん)やはりこれは、多くの人が悩む問題のようだ。自らも介護経験がある2人が教えてくれたのは、“今後の介護のキーパーソンになる人物が、無理やり病院に連れて行くのはNG”ということ。「『娘までもが私の敵か!』という意識になり、信頼関係がなくなってしまいます。将来的に介護の主役となる方は、最初の段階で病院へ行こうと強くすすめる立場でないほうがいいのかも。お父さんやごきょうだいがいれば連れて行ってもらうのも一つの手です」(大野さん)キーワードは“信頼関係”。たとえば、健康診断などと本人に嘘を言って連れて行くのも、信頼を損なう恐れがあるので気をつけたほうがいいとのこと。そして、配偶者の存在は特に重要だという。「夫婦は当然、相手を大事に思う気持ちが強いもの。元気なほうが『最近、調子がよくないんだが、一緒に病院に行かないか?』と誘って一緒に行くという成功例はよく聞きます」(松下さん)そのほかに、日常で気をつけるべき“家族の心得”は次の5つ。【1】早めに受診し、適切な治療を!認知症が疑われたら、まず専門医を受診すること。適切な治療や介護を受けるには、アルツハイマー型認知症など、どのタイプの認知症かを診断してもらうのが不可欠。【2】介護保険など、サービスを積極的に利用しよう!家族だけで認知症の人を介護することは難しいので、介護保険等のサービスの利用は積極的に。サービスは家族の息抜きだけでなく、本人が社会と接することができる大事な機会。【3】サービスの質を見極める目を持とう!介護保険サービスは利用者や家族が選択できるのが利点。質の高いサービスを選択する目が必要。トラブルがあったときは泣き寝入りせず、冷静に訴える姿勢を持つことも大切。【4】恥じず、隠さず、ネットワークを広げよう!認知症の人の実態をオープンにすればどこかで理解者、協力者が現れるはず。公的な機関や私的なつながり、ネットの情報も上手に使い、介護家族の思いを訴えることも必要だ。【5】往年の“その人らしい日々”について考えよう!認知症だからといって、その人の人生を否定してはいけない。やがてくる人生の幕引きも考えながら、その人らしい人生が続けられるよう、家族で話し合いの機会を持つこと。「もしかして認知症?」という疑問を感じたら、何よりもまず、すぐに病院へ行き受診を。
2019年02月27日読者世代にとって「認知症」「軽度認知障害(MCI)」に関することは、常に身近な関心事。しかし、これまで関心はあれど、切実に問題に向き合う必要がなかった人も多いはず。ここでは「ある日突然、親の異変に気づいてしまったら……」を、本誌・海野幸記者(仮名・48。広島県出身で現在は東京都在住)の体験をもとにレポート。「そのときどう対処すればいいのか?」について考えてみました――。「あれ?母が、何かおかしい」初めて私がそう感じたのは、昨年12月。74歳の誕生日を記念して、久しぶりに母親と温泉旅行に出かけたときのことだった。記憶にあるしっかり者の母と、目の前の母の様子にギャップを感じること数度。ふだん離れて暮らしているからこそ、感じ取ることができた変化だったかもしれない。74歳という年齢。「もしかして認知症?」と気になりだしたら不安が止まらなくなった。帰省のたびに「耳が遠くなったな。見た目が老けてきたな」と、加齢による変化は確認していたけれど、行動やふるまいに「おかしい」を実感することはあまりなかった。90歳で亡くなった祖母も、最後の数年は認知症だったが、母はまだ74歳。「まだまだ親は元気」と悠長に構えていたぶん、初めて頭をかすめた「認知症」の3文字に動揺するばかりだった。「さて、どうしよう……」そんな不安に直面した私がまずしたことは、認知症に関しての知識を得ることだった。祖母の介護は父と母がしていたし、そのとき私はすでに東京で暮らしていたので介護経験はなく、認知症の実態をほとんど知らない。そこで、本やインターネットで情報を収集し、母親に感じた「何か変」を、一つひとつ照会していくことにした。すると、母の症状は認知症とはなんだか違うようだった。記憶自体がすっぽり抜け落ちているわけでもなければ、散歩へ出かけて迷子になるようなこともない。調べていくうちに、『軽度認知障害(MCI)』という言葉を見つけた。MCIとは、もの忘れのような記憶障害は出るものの、症状はまだ軽い「認知症の一歩手前」の状態を指すそうだ。母はこれに当てはまるのでは?そんな気がしてきた。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、MCIは約400万人といわれている。確かなのは、認知症であれ、MCIであれ、早めに専門医を受診したほうがいいということ。そしてMCIについては、適切な取り組みにより認知機能の維持が可能であるとのことだった。「早期受診が急務」ということはわかったけれど、母を病院へどのようにして連れていけばいいのか。その難問を解決すべく、認知症やMCIに関する電話相談などを行っている「認知症の人と家族の会東京都支部」へ向かい、代表の大野教子さん、副代表の松下より子さんにアドバイスをもらうことにした。「認知症には『自分が自分でなくなっていくのでは?』というネガティブな印象があるため、病院へ連れて行くのに苦労されているご家族からの相談は多いです」(大野さん)やはりこれは、多くの人が悩む問題のようだ。自らも介護経験があるお2人が教えてくれたのは、“今後の介護のキーパーソンになる人物が、無理やり病院に連れて行くのはNG”ということ。「『娘までもが私の敵か!』という意識になり、信頼関係がなくなってしまいます。将来的に介護の主役となる方は、最初の段階で病院へ行こうと強くすすめる立場でないほうがいいのかも。お父さんやごきょうだいがいれば連れて行ってもらうのも一つの手です」(大野さん)キーワードは“信頼関係”。たとえば、健康診断などと本人に嘘を言って連れて行くのも、信頼を損なう恐れがあるので気をつけたほうがいいとのこと。そして、配偶者の存在は特に重要だという。「夫婦は当然、相手を大事に思う気持ちが強いもの。元気なほうが『最近、調子がよくないんだが、一緒に病院に行かないか?』と誘って一緒に行くという成功例はよく聞きます」(松下さん)なるほど。「父を説得してみる」のはいいかもしれない。ともあれ、お2人に相談し、胸のうちを話したことで、何より心がすっきりした。こうした電話相談などのサービスを積極的に利用するのはいいことだと実感できた。そして、今月某日――。「お医者さんにMCIと言われたよ」と、母から連絡がきた。「家族の会」で話を聞いた後、父に相談したところ、父も母の変化に心当たりがあったそうだ。そこで、私が専門医を探し、父が母を誘って2人で受診することになった。その結果。母はMCIと診断された。当初、母は落ち込んでいた様子だったそうだが、私がすぐに帰省して「MCIは改善が期待できる」と説明し、「一緒に向き合っていこう」と話したことで、前向きな姿勢も見せてくれるようになった。今後についてだが、まずは通院での治療を継続することが重要なのは言うまでもない。そのうえで、担当医の説明や取材で得た情報を参考にして、取り組むべき課題を簡単にまとめてみた。【1】“地域の人とつながる”こと【2】“孤立を避ける”こと【3】“ワクワクさせる”こと1については、幸い実家のある地域は交流が盛んなので、父と協力しながら、さらに積極的に関係を深めていこうということになった。2については、父と2人暮らしではあるものの、仕事を辞め、家に1人でいることが多いので、定期的に東京に遊びに来てもらうことにした。3に関しては、そもそも母が何に興味を持っているのかを知らなかったので、それを知ることから始めようと思う。そうして母にいろいろ聞いてみると、東京で行ってみたいところがたくさんあるようだ。ならば、そこへ一緒に行けばいい。その打ち合わせをするにも連絡が必要なので、結果、これまでより電話をする回数が増えた。これからは母だけでなく、父も含めてワクワクしてもらえることを考え、提案していこうと思う。「もしかして認知症?」という疑問を感じたときは不安でいっぱいだったが、考えてみると“再び家族に戻る”いい機会をもらったということなのかもしれない。とにかく、「あのとき、ああすればよかった」と後悔しないように、自分にできる限りのことをする。気づけば、そんな覚悟ができていたのだった。
2019年02月27日「認知症とは、脳神経細胞の劣化によって起こる症状です。あとは脳血管障害、糖尿病を放置していたなど、複合的な要因も関係してきます。65歳以上、5つ年を取るごとに認知症になる危険性は2倍に。90歳を超えたら、6~7割の人は認知症になるといわれています」そう語るのは認知症予防・治療の第一人者である朝田隆先生。加齢と認知症発症リスクは比例していて、年を取るほど発症率が高くなってしまう仕方ないことのよう。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、軽度認知障害(MCI)は約400万人といわれている。そもそも、認知症とMCIの違いは何なのか?次々に湧いてくる疑問を解消すべく、朝田隆先生に疑問をぶつけてみた。【Q1】認知症とMCIの違いとは?「キーワードは『自立』です。生活の自立に支障をきたしてくれば認知症、自立生活がなんとか維持できていればMCI。たとえば物の置き忘れでいうと、眼鏡や財布などを一日中捜していたら認知症。その回数が少なければMCIです」(朝田先生・以下同)【Q2】認知症・MCIが疑われる場合、病院はどこへ行けばいいのか?「神経内科、精神科、老年病科などです。ただ、認知症・MCIの専門医は全国に約2,000人しかいません。インターネットで『日本老年精神医学会』『日本認知症学会』と検索するなどして、専門医を探してみてください」【Q3】実際に病院に行くと、患者や家族にはどんなことが待っているの?「長谷川式スケール(HDS-R)などの標準的なテストと面接です。面接では自分の人生史なども話してもらいます。あとは脳のMRIを撮り、それらを総合して診断します。私の場合、初診には40分前後をかけています」【Q4】認知症・MCIと診断されたら、家族はどうすればいいの?「一緒に行事に出かける、散歩する、大型スーパーへ行って店内をくまなく見てまわるなどして、脳を活性化させてあげる。あとは好奇心を引き出し、新しい経験をさせることも重要。いちばん大切なのは意欲をもって生活してもらうことです」【Q5】認知症・MCIを疑われる家族に対する“禁句”は?「『それ、さっきも言ったよ』といった、患者を責めるような言葉は3回に1回ぐらいにして、気長に接してあげてほしいです。何度も言われると、腹を立てる方も。『人のあら探しばかりして』という不満は、よく耳にします」認知症やMCIを、患者本人やその家族が見分ける方法はあるのかと聞いてみると、「まず、自分たちで見分けようと思わないほうがいいです。すぐに病院へ行くことをおすすめします」とのことだった。そこで本誌は、公益社団法人「認知症の人と家族の会」作成「家族がつくった 認知症 早期発見のめやす」をもとに、「認知症・MCI“早期発見”チェックリスト」を作ることにした。これは、日常の暮らしの中で認知症の始まりではないかと思われる行動を、「家族の会」の人たちの経験からまとめたもの。医学的な診断基準ではないが、いくつか思い当たることがあれば、専門医に相談を。【もの忘れがひどい】□今切ったばかりなのに、電話の相手の名前を忘れる□同じことを何度も言う・問う・する□しまい忘れ・置き忘れが増え、いつも捜しものをしている□財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う【判断・理解力が衰える】□料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった□新しいことが覚えられない□話のつじつまが合わない□テレビ番組の内容が理解できなくなった【時間・場所がわからない】□約束の日時や場所を間違えるようになった□慣れた道でも迷うことがある【人柄が変わる】□ささいなことで怒りっぽくなった□周りへの気づかいがなくなり、頑固になった□自分の失敗を人のせいにする□「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた【不安感が強い】□ひとりになると怖がったり寂しがったりする□外出時、持ち物を何度も確かめる□「頭が変になった」と本人が訴える【意欲がなくなる】□下着を替えず、身だしなみにかまわなくなった□趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった□ふさぎこんで何をするのもおっくうがり、嫌がる「認知症は進行速度が遅くなることはあっても健常に戻ることはありません。しかし、MCIは改善が期待できます。MCIと診断された方の26%は健常に戻るともいわれていますので、早期に対策を始めることをおすすめします」
2019年02月27日読者世代にとって「認知症」「軽度認知障害(MCI)」に関することは、常に身近な関心事。しかし、これまで関心はあれど、切実に問題に向き合う必要がなかった人も多いはず。ここでは「ある日突然、親の異変に気づいてしまったら……」を、本誌・海野幸記者(仮名・48。広島県出身で現在は東京都在住)の体験をもとにレポート。「そのときどう対処すればいいのか?」について考えてみました――。「あれ?母が、何かおかしい」初めて私がそう感じたのは、昨年12月。74歳の誕生日を記念して、久しぶりに母親と温泉旅行に出かけたときのことだった。記憶にあるしっかり者の母と、目の前の母の様子にギャップを感じること数度。ふだん離れて暮らしているからこそ、感じ取ることができた変化だったかもしれない。74歳という年齢。「もしかして認知症?」と気になりだしたら不安が止まらなくなった。帰省のたびに「耳が遠くなったな。見た目が老けてきたな」と、加齢による変化は確認していたけれど、行動やふるまいに「おかしい」を実感することはあまりなかった。90歳で亡くなった祖母も、最後の数年は認知症だったが、母はまだ74歳。「まだまだ親は元気」と悠長に構えていたぶん、初めて頭をかすめた「認知症」の3文字に動揺するばかりだった。「さて、どうしよう……」そんな不安に直面した私がまずしたことは、認知症に関しての知識を得ることだった。祖母の介護は父と母がしていたし、そのとき私はすでに東京で暮らしていたので介護経験はなく、認知症の実態をほとんど知らない。そこで、本やインターネットで情報を収集し、母親に感じた「何か変」を、一つひとつ照会していくことにした。すると、母の症状は認知症とはなんだか違うようだった。記憶自体がすっぽり抜け落ちているわけでもなければ、散歩へ出かけて迷子になるようなこともない。調べていくうちに、『軽度認知障害(MCI)』という言葉を見つけた。MCIとは、もの忘れのような記憶障害は出るものの、症状はまだ軽い「認知症の一歩手前」の状態を指すそうだ。母はこれに当てはまるのでは?そんな気がしてきた。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、MCIは約400万人といわれている。確かなのは、認知症であれ、MCIであれ、早めに専門医を受診したほうがいいということ。そしてMCIについては、適切な取り組みにより認知機能の維持が可能であるとのことだった。母は本当にMCIなのか?そもそも、認知症とは何なのか?次々に湧いてくる疑問を解消すべく、私は認知症予防・治療の第一人者である朝田隆先生のもとを訪れ、取材することにした。「認知症とは、脳神経細胞の劣化によって起こる症状です。あとは脳血管障害、糖尿病を放置していたなど、複合的な要因も関係してきます。65歳以上、5つ年を取るごとに認知症になる危険性は2倍に。90歳を超えたら、6~7割の人は認知症になるといわれています」加齢と認知症発症リスクは比例していて、年を取るほど発症率が高くなってしまう仕方ないことのよう。では、認知症やMCIを、患者本人やその家族が見分ける方法はあるのかと聞いてみた。すると、「まず、自分たちで見分けようと思わないほうがいいです。すぐに病院へ行くことをおすすめします」とのお答え。しかし、参考までに、私が不安を感じた母の行動を朝田先生にチェックしてもらうことに。【不安な行動・1】目がうつろで、気づけばボーッとしていることが多くなった「うつ病の可能性もあるかもしれません。過去に甲状腺の手術をしているのであれば、甲状腺による認知機能の低下という可能性も考えられます」【不安な行動・2】祖母の代が使っていたような古い方言ばかりで話すときがあった「初めて聞くケースですが、日本語と韓国語を話す韓国の方が、認知症が進行するにつれて日本語を忘れていったということはありました。新たに獲得した言語を忘れていくのはMCIのサインといえるかもしれません」【不安な行動・3】料理上手なのは変わらないが、使おうと思った具材をよく入れ忘れていた。「単なるもの忘れなのかMCIなのか、グレーゾーンですね。注意力の欠如というのは確かに認知症やMCIの症状ではありますが、だからといって見極める決定的要因とはなりません」【不安な行動・4】仕事を辞めた2年ほど前から、身なりや化粧に無頓着になっている「“面倒くさい”は、認知症の兆候ではあります。身なりに無頓着になってしまうのは、MCI寄りといえるかもしれません」【不安な行動・5】顔に蜂が止まっているのに、手で追い払おうとせず刺されてしまった「加齢による反射神経の鈍りかもしれません。しかし、もの忘れなど記憶に関することばかりが認知症やMCIの症状ではなく、反射神経・運動神経の衰えにも影響していきますので、MCIの可能性は否定できないですね」以上、朝田先生の回答をまとめると、母は「MCIの可能性は否定できない」ということ。改めて、病院で適切な診断を受けることの必要性を実感する結果となった。「認知症は進行速度が遅くなることはあっても健常に戻ることはありません。しかし、MCIは改善が期待できます。MCIと診断された方の26%は健常に戻るともいわれていますので、早期に対策を始めることをおすすめします」健常に戻る可能性があると知って喜んだのもつかの間、“MCIと診断された人の50%は4年で認知症に進行する”というデータもあると知り、身の引き締まる思いも。いずれにせよ、なるべく早く対策を始める必要があるのは間違いないようだ。
2019年02月27日読者世代にとって「認知症」「軽度認知障害(MCI)」に関することは、常に身近な関心事。しかし、これまで関心はあれど、切実に問題に向き合う必要がなかった人も多いはず。ここでは「ある日突然、親の異変に気づいてしまったら……」を、本誌・海野幸記者(仮名・48。広島県出身で現在は東京都在住)の体験をもとにレポート。「そのときどう対処すればいいのか?」について考えてみました――。「あれ?母が、何かおかしい」初めて私がそう感じたのは、昨年12月。74歳の誕生日を記念して、久しぶりに母親と温泉旅行に出かけたときのことだった。記憶にあるしっかり者の母と、目の前の母の様子にギャップを感じること数度。ふだん離れて暮らしているからこそ、感じ取ることができた変化だったかもしれない。74歳という年齢。「もしかして認知症?」と気になりだしたら不安が止まらなくなった。帰省のたびに「耳が遠くなったな。見た目が老けてきたな」と、加齢による変化は確認していたけれど、行動やふるまいに「おかしい」を実感することはあまりなかった。90歳で亡くなった祖母も、最後の数年は認知症だったが、母はまだ74歳。「まだまだ親は元気」と悠長に構えていたぶん、初めて頭をかすめた「認知症」の3文字に動揺するばかりだった。「さて、どうしよう……」そんな不安に直面した私がまずしたことは、認知症に関しての知識を得ることだった。祖母の介護は父と母がしていたし、そのとき私はすでに東京で暮らしていたので介護経験はなく、認知症の実態をほとんど知らない。そこで、本やインターネットで情報を収集し、母親に感じた「何か変」を、一つひとつ照会していくことにした。すると、母の症状は認知症とはなんだか違うようだった。記憶自体がすっぽり抜け落ちているわけでもなければ、散歩へ出かけて迷子になるようなこともない。調べていくうちに、『軽度認知障害(MCI)』という言葉を見つけた。MCIとは、もの忘れのような記憶障害は出るものの、症状はまだ軽い「認知症の一歩手前」の状態を指すそうだ。母はこれに当てはまるのでは?そんな気がしてきた。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、MCIは約400万人といわれている。確かなのは、認知症であれ、MCIであれ、早めに専門医を受診したほうがいいということ。そしてMCIについては、適切な取り組みにより認知機能の維持が可能であるとのことだった。「これは一刻も早く母を病院へ連れて行かなくては!」と思ったものの、母が簡単に病院へ行ってくれるとは思えなかった。認知症にせよMCIにせよ、その事実を目の前に突き付けられるのは嫌だろう。そこで私は、インターネット上で探した“認知症チェックシート”を印刷し、それを持って、年明けに帰省することに。認知機能の低下を診断できるというこのテストで、少し様子を見ることにしたのだ。そして、帰省当日。さりげなく近所の高齢者の話をしつつ、認知症の話題へ持っていき、「簡単なテストをしてみない?」と聞いてみた。しかし残念ながら、「何でそんなことしないといけないの?面倒くさい」と、一蹴。作戦は失敗に終わった。そこで、今度は単刀直入に「そろそろ年だし、一度病院へ行って診てもらわない?」と言ってみると、「病院?何で病院へ行かなくちゃいけないの?」と、取り合うそぶりもみせず。病院へ行く気はないらしい。だが、そうこうしている間にもどんどん認知機能は低下しているかも……。そう思うと、不安は募る一方だ。母は父と2人暮らしだが、一人娘としては放っておくこともできない。しかし、仕事もあるので、たびたび帰省することも難しい。そこで親の異変に不安を感じたときの“駆け込み寺”の一つとしておすすめなのが、各自治体から委託され、各市区町村に設置されている「地域包括支援センター」。全国に5,041(平成29年度時点)あるこの施設は、介護をはじめ、高齢者について知りたいことがあったとき、最初の窓口となるところ。利用できるのは、対象地域に住んでいる65歳以上の高齢者もしくはその支援者。相談者の内容によって適切なサービスを紹介してくれる機関だが、そこから認知症に関する医療や介護の専門職である「認知症初期集中支援チーム」を紹介してくれることも。悩んだら、ぜひ自身の住む自治体のホームページを確認するなどして、利用してみよう。
2019年02月27日読者世代にとって「認知症」「軽度認知障害(MCI)」に関することは、常に身近な関心事。しかし、これまで関心はあれど、切実に問題に向き合う必要がなかった人も多いはず。ここでは「ある日突然、親の異変に気づいてしまったら……」を、本誌・海野幸記者(仮名・48。広島県出身で現在は東京都在住)の体験をもとにレポート。「そのときどう対処すればいいのか?」について考えてみました――。「あれ?母が、何かおかしい」初めて私がそう感じたのは、昨年12月。74歳の誕生日を記念して、久しぶりに母親と温泉旅行に出かけたときのことだった。記憶にあるしっかり者の母と、目の前の母の様子にギャップを感じること数度。ふだん離れて暮らしているからこそ、感じ取ることができた変化だったかもしれない。74歳という年齢。「もしかして認知症?」と気になりだしたら不安が止まらなくなった。帰省のたびに「耳が遠くなったな。見た目が老けてきたな」と、加齢による変化は確認していたけれど、行動やふるまいに「おかしい」を実感することはあまりなかった。90歳で亡くなった祖母も、最後の数年は認知症だったが、母はまだ74歳。「まだまだ親は元気」と悠長に構えていたぶん、初めて頭をかすめた「認知症」の3文字に動揺するばかりだった。「さて、どうしよう……」そんな不安に直面した私がまずしたことは、認知症に関しての知識を得ることだった。祖母の介護は父と母がしていたし、そのとき私はすでに東京で暮らしていたので介護経験はなく、認知症の実態をほとんど知らない。そこで、本やインターネットで情報を収集し、母親に感じた「何か変」を、一つひとつ照会していくことにした。すると、母の症状は認知症とはなんだか違うようだった。記憶自体がすっぽり抜け落ちているわけでもなければ、散歩へ出かけて迷子になるようなこともない。調べていくうちに、『軽度認知障害(MCI)』という言葉を見つけた。MCIとは、もの忘れのような記憶障害は出るものの、症状はまだ軽い「認知症の一歩手前」の状態を指すそうだ。母はこれに当てはまるのでは?そんな気がしてきた。「親が認知症?」と思ったら、あらためて自分の気持ちを整理するためにも、まずは “私が不安を感じた母の行動”を書き出してみることが大事だという。【不安な行動・1】目がうつろで、気づけばボーッとしていることが多くなった無表情でボーッとしていることは以前からあったが、旅行中はさらにひどくなった感じが。きれいな景色が目の前に広がっていても、見ているようで見ていない感じの表情をする。【不安な行動・2】祖母の代が使っていたような古い方言ばかりで話すときがあった私と話すときは気を使って標準語で話してくることが多いのに、旅行中は聞いたことのないような方言で話してくることが多々あった。途中から祖母と話しているような気分に。【不安な行動・3】料理上手なのは変わらないが、使おうと思った具材をよく入れ忘れていた。旅行中、キッチン付きの部屋に宿泊。買い込んできた食材を料理に入れ忘れること数度。最近、特に多くなったように感じる。薬の飲み忘れも目立つ。後で忘れたことに気がつく。【不安な行動・4】仕事を辞めた2年ほど前から、身なりや化粧に無頓着になっている旅行中は普段着のようなものしか持ってこず、常にノーメーク。仕事を辞めてから白髪染めも手抜きをするようになり、老け込んだ印象。指摘すると「面倒くさいから」の返事が。【不安な行動・5】顔に蜂が止まっているのに、手で追い払おうとせず刺されてしまった旅行中ではないけれど、山で果物の収穫作業中に顔を蜂に刺されてしまい、通院することに。聞くと顔に止まっているのには気づいていたが、「手で払う前に刺されてしまった」と。’12年時点で、日本の65歳以上の認知症推定人口は約462万人、MCIは約400万人といわれている。確かなのは、認知症であれ、MCIであれ、早めに専門医を受診したほうがいいということ。そしてMCIについては、適切な取り組みにより認知機能の維持が可能であるとのことだった。もし母が認知症もしくはMCIだったらどうすればいいだろう?仕事は?自分の生活は?母の「もしかして認知症?」疑惑は、親の老いを実感するとともに、私のこれからの人生を考えるきっかけにもなった。
2019年02月25日保険会社はとにかく不安をあおって、不要な保険に勧誘しがち。為替リスクがあったり、そもそも手数料が高く設定されていたり、公的な制度で十分なことも。大事な虎の子、奪われないで!「『2人に1人はがんになる時代です』と言われると不安のあまり、医療保険やがん保険に入りたくなります。さらに、『預金ではお金が増えません』と言われ、老後資金を準備するため、終身保険などに入る人もいます。長生きリスク、認知症などあらゆる“不安”をかきたてられて、営業マンに勧められるまま、たくさんの保険に加入し、1カ月で何万円も費やしている人を見かけます。老後が長くなるこれからの時代、なるべく早いうちに『本当に必要な保険』を見極める必要があります」そうアドバイスするのは、『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』(青春新書プレイブックス)の著者で「保険相談室」代表の後田亨さん。すべての保険が「ムダ」というわけではない。たとえば、自転車の賠償責任保険や、火災に備える保険など、巨額のお金が必要になるケースには保険が役立つという。「子どもが大学を卒業するまでといった一定期間の死亡に備える『定期保険』、病気で長期間仕事ができなかったときに備える『就業不能保険』、または相続対策のために加入する『終身保険』などは、検討に値する保険といえますが、ほかの保険はどうしても必要とは思えません」(後田さん・以下同)必要性が疑われる保険に保険料を支払い続けるよりも、貯蓄も含めて、有効なお金の使い道を選んだほうがいいという。「子どもが独立する前であれば、生活費や学費がかかりますので、公的な遺族年金の不足分を死亡保険金でまかなう、という方法もありますが、すでに独立していれば、妻の生活費だけ考えればいいので、保険は必要ないでしょう。まずは受け取れる遺族年金がいくらになるか計算すること」遺族は受け取る死亡保険金は、一定額、非課税になるので、終身保険は相続対策には有効だが、葬式を挙げる程度の死亡保険金であれば、中途解約時にお金が減るリスクなどもあるので、現金で持っていてもいいという。■“2人に1人はがんになる”と病気への不安をあおる言葉に注意入院一時金、入院・手術給付金などが受け取れる「医療保険」も不要だという。加入が義務づけられている健康保険によって、治療費に何十万円、何百万円とかかっても、治療費の自己負担額3割の上限を超えたら、超過分が払い戻される「高額療養費制度」が使える。平均的な所得の世帯で1カ月100万円の医療費がかかったとしても、自己負担分は約9万円で済む。「最近は入院期間が短くなってきているので、入院給付金が受け取れるタイプの医療保険に加入しても、保険を請求する機会が減ってきています。また、『2人に1人はがんになる時代』と、がんへの不安をあおって、『がん保険』への加入も勧められますが、そもそも2人に1人ががんにかかるのは、男女ともに80歳以降からなのです。しかも、高額療養費制度はがん治療にも適用されます。複数の保険会社の調査や医療関係者の情報では、一般的な費用負担は50万円程度のことが多いです」最近は、「65歳以上の5人に1人は認知症になる」などと認知症へのリスクに備える「介護・認知症保険」が登場している。認知症と診断されたら一時金がもらえる、年額60万円など年金で受け取れるタイプがあるが、50代以降で加入すると保険料が高くつく。また、現在50歳の人が加入したとすると、認知症になって一時金が受け取れるのは30年ぐらい先の話なので、お金の価値も変わり、医療も進歩している可能性がある。加入後の健康状態で保険料が再計算されたり、還付金が受け取れたりする「健康増進型」の医療保険もあるが、健康増進のための努力は保険契約に縛られなくてもいいはずだ。それでも医療保険に入りたいという人には、保険料が掛け捨ての「都道府県民共済」がある。「『入院保障2型』では、月々2,000円の掛金で、1日1万円の入院給付金があります。剰余金は『割戻金』として、例年30%くらい、加入者に還付されていますから、実質的な掛金は月1,400円程度で済みます。老後までの期間、共済で負担を抑え、その後は健康保険を利用するのが一番と考えても大丈夫です」公的保険や公的年金など、将来受け取れるお金を計算してみると、それを補う預貯金があれば十分だということがわかる。さまざまな“不安”をあおる言葉に気をつけて!
2019年02月20日「『2人に1人はがんになる時代です』と言われると不安のあまり、医療保険やがん保険に入りたくなります。さらに、『預金ではお金が増えません』と言われ、老後資金を準備するため、終身保険などに入る人もいます。長生きリスク、認知症などあらゆる“不安”をかきたてられて、営業マンに勧められるまま、たくさんの保険に加入し、1カ月で何万円も費やしている人を見かけます。老後が長くなるこれからの時代、なるべく早いうちに『本当に必要な保険』を見極める必要があります」そうアドバイスするのは、『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』(青春新書プレイブックス)の著者で「保険相談室」代表の後田亨さん。すべての保険が「ムダ」というわけではない。たとえば、自転車の賠償責任保険や、火災に備える保険など、巨額のお金が必要になるケースには保険が役立つという。「子どもが大学を卒業するまでといった一定期間の死亡に備える『定期保険』、病気で長期間仕事ができなかったときに備える『就業不能保険』、または相続対策のために加入する『終身保険』などは、検討に値する保険といえますが、ほかの保険はどうしても必要とは思えません」(後田さん・以下同)必要性が疑われる保険に保険料を支払い続けるよりも、貯蓄も含めて、有効なお金の使い道を選んだほうがいいという。そこで、後田さんに「いらない保険」を教えてもらった。【外貨建て保険】保険料が米ドル、ユーロ、豪ドルなど外貨で運用され、保険料の払い込み、保険金の受け取りも外貨で行われる。手数料が高く、元本割れ期間がある。為替リスクもあるのに、積立利率や将来の返戻率の高さが強調される。資産形成には不向き。【貯蓄性保険】個人年金保険や学資保険など、老後や子どもの進学時期にあわせて給付金が受け取れる。中途解約時の元本割れリスクに比べお金の増え方は少ない。【長寿保険】死亡保障はなく、保険料払込み期間に解約した場合の返戻金の水準が低い。その代わり長生きした場合の給付額を大きくしているが、加入期間の長さ・中途解約リスクを考えると、給付額は物足りない。【終身保険】「一生涯死亡保障が続く」「解約時には相当額の解約返戻金が払い戻される」というのが特徴で、相続対策には役立つが、ほかの使い道は考えにくい。【医療保険】民間の保険では入院給付金が1日5,000円~、手術給付金は1回5万~10万円といった保障があるが、公的医療保険(健康保険、国民健康保険)の自己負担上限額は、一般に月9万円程度。高額な先進医療も実効性が証明されていない医療もあり必須ではない。【がん保険】がんになったときに診断一時金、入院給付金、手術給付金が受け取れるのが基本。日本では標準的な治療が健康保険で受けられるので、貯金などで対応するのが合理的。【介護・認知症保険】現在50歳の人が要介護認定を受けるとすれば、30年くらい先の話なので、お金の価値が怪しくなる。例えば一時金300万円や年金年額60万円が、30年後にも現在と同じ価値を持つとは考えにくい。【健康増進型保険】保険加入後の行動や健康状態で保険料が再計算されたり、還付金が支給されたりするが、そもそも割引前の保険料設定が妥当なのかは不明だ。■“長生きリスク”など将来への不安に備えるのに保険は適さない「貯蓄性保険」には、「学資保険」や「個人年金保険」などがあるが、保険を貯蓄のために利用するのは間違いと後田さんはいう。「保険料のすべてが貯蓄に回るのではなく、経費などが差し引かれます。一定の元本割れ期間があるのは経費が高いからです。遠い将来、保険料総額に対し100%を超えるお金が払い戻されるとしても、物価が上がれば、お金の価値は契約時より下がります。お金を増やすなら、個人型確定拠出年金(iDeCo)など、保険よりコストが低い仕組みを利用するのが賢明です」最近は、公的年金の不安分をフォローする個人年金保険にも注目が集まっているが、50代以降に加入すると月々の保険料は高くなる。“長生きリスク”に備える「長寿保険」(トンチン年金)は、死亡保障をなくしたうえ、保険料払込み期間内の返戻金を低く設定。その分、長生きした場合の年金額を増やした商品。90歳前後まで長生きすると、払い込んだ保険料以上のお金が受け取れる設計になっている。「70歳までの20年間で1,000万円を支払ったとして、『100歳まで生きたら1,200万円受け取れる』と、パンフレットなどに書かれていても、50~100歳までに200万円生み出す方法は保険以外にもあるはずです」
2019年02月20日「『2人に1人はがんになる時代です』と言われると不安のあまり、医療保険やがん保険に入りたくなります。さらに、『預金ではお金が増えません』と言われ、老後資金を準備するため、終身保険などに入る人もいます。長生きリスク、認知症などあらゆる“不安”をかきたてられて、営業マンに勧められるまま、たくさんの保険に加入し、1カ月で何万円も費やしている人を見かけます。老後が長くなるこれからの時代、なるべく早いうちに『本当に必要な保険』を見極める必要があります」そうアドバイスするのは、『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』(青春新書プレイブックス)の著者で「保険相談室」代表の後田亨さん。すべての保険が「ムダ」というわけではない。たとえば、自転車の賠償責任保険や、火災に備える保険など、巨額のお金が必要になるケースには保険が役立つという。「子どもが大学を卒業するまでといった一定期間の死亡に備える『定期保険』、病気で長期間仕事ができなかったときに備える『就業不能保険』、または相続対策のために加入する『終身保険』などは、検討に値する保険といえますが、ほかの保険はどうしても必要とは思えません」(後田さん・以下同)必要性が疑われる保険に保険料を支払い続けるよりも、貯蓄も含めて、有効なお金の使い道を選んだほうがいいという。そこで、後田さんに「いらない保険」を教えてもらった。【外貨建て保険】保険料が米ドル、ユーロ、豪ドルなど外貨で運用され、保険料の払い込み、保険金の受け取りも外貨で行われる。手数料が高く、元本割れ期間がある。為替リスクもあるのに、積立利率や将来の返戻率の高さが強調される。資産形成には不向き。【貯蓄性保険】個人年金保険や学資保険など、老後や子どもの進学時期にあわせて給付金が受け取れる。中途解約時の元本割れリスクに比べお金の増え方は少ない。【長寿保険】死亡保障はなく、保険料払込み期間に解約した場合の返戻金の水準が低い。その代わり長生きした場合の給付額を大きくしているが、加入期間の長さ・中途解約リスクを考えると、給付額は物足りない。【終身保険】「一生涯死亡保障が続く」「解約時には相当額の解約返戻金が払い戻される」というのが特徴で、相続対策には役立つが、ほかの使い道は考えにくい。【医療保険】民間の保険では入院給付金が1日5,000円~、手術給付金は1回5万~10万円といった保障があるが、公的医療保険(健康保険、国民健康保険)の自己負担上限額は、一般に月9万円程度。高額な先進医療も実効性が証明されていない医療もあり必須ではない。【がん保険】がんになったときに診断一時金、入院給付金、手術給付金が受け取れるのが基本。日本では標準的な治療が健康保険で受けられるので、貯金などで対応するのが合理的。【介護・認知症保険】現在50歳の人が要介護認定を受けるとすれば、30年くらい先の話なので、お金の価値が怪しくなる。例えば一時金300万円や年金年額60万円が、30年後にも現在と同じ価値を持つとは考えにくい。【健康増進型保険】保険加入後の行動や健康状態で保険料が再計算されたり、還付金が支給されたりするが、そもそも割引前の保険料設定が妥当なのかは不明だ。■“低金利”につけこむセールストークに注意今、生命保険会社が銀行窓口などを通して販売する「外貨建て保険」の苦情が急増しているという。’17年度に生命保険協会や生保41社が受けた苦情は、2,076件で5年前の3.3倍。「元本割れリスクについて適切な説明を受けなかった」など、商品のわかりにくさが問題になり、昨年12月、金融庁も監督強化に乗り出した。退職金などまとまったお金を手にしたとき、メインバンクの担当者から「老後の資産形成に」といって勧められることが多いが、気をつけたい。「大手銀行の定期預金の金利は現在、年0.01%(税込み)しかないので、『積立利率3%を保証』『インフレによるリスクに対応できます』など、利回りの高さを強調してくるので、つい飛びついてしまい、後悔する人が多い商品です」一時払いのタイプでは、契約時に数百万円の保険料をまとめて支払い、米ドルや豪ドルなどで運用。中途解約時や満期時などに運用益を上乗せした金額が戻るという仕組みだが、満期時に円高ドル安になっていると、円に換算したときに元本割れする“為替リスク”がある。「初期費用が高いのが問題です。保険料500万円・販売手数料率5%だと、25万円の元本割れが生じたところから運用が始まるわけです。10年未満の解約では、相応の金が引かれる保険特有の不利な条件も付きます。お金を増やす目的での利用は考えられません」
2019年02月20日