「みなさんは江戸時代の儒学者・貝原益軒(1630〜1714)の『養生訓』をご存じでしょうか?私は新型コロナウイルスに打ち克つ多くのヒントが、ここに書かれていると思っています」そう話すのは、『「養生訓」病気にならない98の習慣』(日本経済新聞出版)の著者で、南越谷健身会クリニック院長の周東寛先生。どうして、現代の新型コロナウイルス対策に、江戸時代の健康法が効果的なのか?西洋医学と東洋医学の両方を学んできた周東先生は、こう解説する。「もともと益軒は子どものころから病弱でしたが、日ごろから、健康を意識した暮らしを送り、当時としては超長寿である83歳まで生きました。晩年、自分の健康法を書き残したのが『養生訓』。そこには日本の風土と生活習慣に合わせた病気の予防法がたくさん紹介され、それらは現代医学から見ても、非常に学ぶことが多いんです。十分にいまの新型コロナに通用する対策と言っていいでしょう」今回は、そんな『養生訓』のなかから、感染予防に最も重要な「免疫力を上げる心得」を周東先生が厳選。ウイルスに克つ生活習慣を教わっていこう。■細かい字を読み書きするべからず!「人の免疫力を低下させる大きな原因はストレスです。益軒は“細かい字を読みすぎることはよくない”と戒めていますが、これは江戸時代、明かりが暗かったこともあり、こうした作業が大きなストレスの原因であったからだろうと私は解釈しています。この現象はまさに現代も同じ。長時間、スマホやパソコンで細かい字に接するのは、目に悪いだけでなく、知らずに、大きなストレスとなり、免疫力を下げてしまいます」■長時間、座り続けるべからず!「先日、米国がん協会による“座っている時間が長い人ほど寿命が短くなる”という研究報告がありました。驚くべきことに、300年前に、すでに益軒は“終日じっと座っていると病気になりやすい”と指摘しています。そもそも人間は座ってばかりで動かないと全身の血流が悪くなり、免疫系の働きが鈍ります。ぜひ毎日、体を動かすことを心がけて」■旅行先ではまず豆腐を食べるべし!「Go To トラベルの実施もあり、旅行する人も増えていると思います。ただ人は慣れない土地に行くと、体調を崩してしまうことがあります。こんなときは“まず豆腐を食べよ”と、益軒は言っています。現代の栄養学から見ても、豆腐は良質な植物性タンパク質、ビタミン、ミネラルを含み、非常に消化吸収のよい万能栄養食で、体の免疫力を高めてくれます」■寝る前には髪をとかすべし!「寝る前に髪をくしやブラシでとかすことで、頭皮の血流がよくなり、ストレス低減作用があります。益軒の時代は、髪を洗う機会も少なかったので、頭皮の汚れを取るという衛生面での効果もあったと考えられます」最後に、周東先生はこう語る。「新型コロナ対策は、まず手洗いとマスクで、体内にウイルスを取り込まないことが第一。そのうえで、もし体内に入ってしまったときのために、ウイルスを退治する免疫力を高めておくことが大事。その一助として、益軒の心得は非常に有効だと思います」江戸時代の賢者の知恵である『養生訓』。上手に活用して、新型コロナに打ち克とう。「女性自身」2020年10月20日号 掲載
2020年10月14日2020年、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスを撃退する方法が、約300年前の儒学者・貝原益軒の健康指南書『養生訓』に記されているという。その驚きの内容とはーー。「みなさんは江戸時代の儒学者・貝原益軒(1630〜1714)の『養生訓』をご存じでしょうか?私は新型コロナウイルスに打ち克つ多くのヒントが、ここに書かれていると思っています」そう話すのは、『「養生訓」病気にならない98の習慣』(日本経済新聞出版)の著者で、南越谷健身会クリニック院長の周東寛先生。どうして、現代の新型コロナウイルス対策に、江戸時代の健康法が効果的なのか?西洋医学と東洋医学の両方を学んできた周東先生は、こう解説する。「もともと益軒は子どものころから病弱でしたが、日ごろから、健康を意識した暮らしを送り、当時としては超長寿である83歳まで生きました。晩年、自分の健康法を書き残したのが『養生訓』。そこには日本の風土と生活習慣に合わせた病気の予防法がたくさん紹介され、それらは現代医学から見ても、非常に学ぶことが多いんです。十分にいまの新型コロナに通用する対策と言っていいでしょう」今回は、そんな『養生訓』のなかから、感染予防に最も重要な「免疫力を上げる心得」を周東先生が厳選。ウイルスに克つ生活習慣を教わっていこう。■朝一番のつばは飲み込むべからず!「益軒は『養生訓』で“朝起きたら、すぐにぬるま湯で口をすすぐべし”と勧めています。朝起きたときの口内は、一晩寝ているうちに細菌などが増殖し、とにかく不衛生。その唾液を飲み込んでしまうと、腸の免疫力を下げ、ウイルスに感染しやすくなります。起きたら、まず洗面所に行き、歯みがきをする習慣をつけてください」■食後はお茶でうがいをすべし!益軒はつぎに「食後には湯茶をもって口を何度かすすぐのがよい」とも書いている。「これは現代でも理にかなった口内殺菌法。日本茶に含まれるカテキンは強い抗酸化作用や殺菌作用があり、口内に入ってきた細菌やウイルスに殺菌効果があります。お茶でのうがいには、虫歯予防の作用もあるので、毎食後、こまめにするとよいでしょう」■トイレを我慢するべからず!「出すものを出さずにため込んでいると、体内に老廃物が増えて、免疫力が落ちてしまいます。これを益軒は“大小便は早く出してしまったほうがよい。我慢しているのは害がある”と書き、戒めています。このほか、おしっこは我慢すると、膀胱炎などになりやすく、うんこを我慢していると、大腸がんのリスクも高くなります。自然の摂理で行きたくなったら、トイレに行くことが大切です」最後に、周東先生はこう語る。「新型コロナ対策は、まず手洗いとマスクで、体内にウイルスを取り込まないことが第一。そのうえで、もし体内に入ってしまったときのために、ウイルスを退治する免疫力を高めておくことが大事。その一助として、益軒の心得は非常に有効だと思います」江戸時代の賢者の知恵である『養生訓』。上手に活用して、新型コロナに打ち克とう。「女性自身」2020年10月20日号 掲載
2020年10月14日『一流の人はなぜ姿勢が美しいのか』(小笠原清忠著、プレジデント社)の著者は、小笠原流三十一世宗家。室町時代から800年以上にわたり、一子相伝で受け継がれてきた「実用・省略・美」を旨とする小笠原流礼法の継承者です。つまり本書ではそのようなバックグラウンドを軸に、日本人としてぜひとも知っておきたい、そして世界に通用する「礼法の真髄」を紹介しているのです。きょうはそのなかから、一流店を訪れた際に役立ちそうな、和食の作法に関する記述に焦点を当ててみたいと思います。そしてそのなかから、数字に絡んだいくつかのポイントを引き出してみましょう。■着席したらまず「一礼」が正解!食事の席についたら、最初に「いただきます」の気持ちを表す一礼をするのが正しいのだそうです。この時点ですでに、ほとんど知られていないことだといえるのではないでしょうか?ちなみに食膳の前で手を合わせる仕草をよく見ますが、これは宗教に由来するものなのだとか。つまり、本来の作法にはないのだそうです。次に、「箸構え」を。これは、感謝を表す本来の所作。正座の姿勢から、右手を伏せ、膳に置かれた箸のなかほどをとり、腿の上に引き寄せます。左手を受けるかたちで箸に添え、姿勢を正したら箸構えの完了。続いて右手を箸に沿って下に回し、箸を持ちなおして膳に運びます。箸は、中ほどを持つのが正しいそうです。上のほうを持つと粗相をしやすくなるので、深く握らず、鉛筆を持つように軽く持つのだということ。ところで和食は、右手に持った箸でいただくように配膳されているものなのだといいます。たとえ左利きだったとしても、左手に箸を持っていただくことはしないのだというのです。つまり左利きの人は、右手で箸が使えるように練習しなければならないということで、これは大変そうです。■食事の「腹八分目」も作法のうち昔から、「腹八分目」といわれているのはご存知のとおり。もう少し食べたいと思うくらいが適度な食事量だということで、これも作法のひとつだと思うほうがよいと著者は説明しています。食べすぎが体によくないということは、誰もが知っていること。とはいっても、これほど食料が潤沢で多彩な料理を楽しめる現代においては、人は自制を失ってしまいがち。毎日三食、満腹になるまで食べていれば、食事のたびにお腹が満たされないと満足できなくなってしまうわけです。しかし、姿勢を正すことも、正しく歩くことも、食べる作法も、多少なりとも自制心を働かせなければできないこと。常に自分の体を意識するとは、そういうことなのだと著者はいいます。■礼節とは「ほどよき自制」のこと食べすぎとは逆に、食べないこともまた問題。たとえばそのいい例が、女性のダイエットです。無理なダイエットは、やせすぎや体の変調を招くもの。また、朝食を食べない人が増えているのも困りものだと著者。なぜなら朝食を抜くと、そのぶん昼食や夕食を食べ過ぎることになってしまい、それもまた体の変調につながるから。「腹八分目」は、「ほどよき」をよしとする教え。また礼節とは、いいかえれば「ほどよき自制を知る」ことでもあるといいます。食べることは人の生存に関わることですから、自制することなく欲望に従ってしまえば際限がなくなってしまいます。いわば、江戸時代の本草学者、儒学者である貝原益軒のいう「禽獣の行いに近し」(けだものの行いのようなものだという意)。しかし、礼は飲食にはじまるものだと著者はいいます。正しい作法で食事をすれば、ほどよく自制の利いた生活を送ることができるという考え方です。*当然のことながら、ここでご紹介したのは和食の作法のほんの一部。しかも和食の作法のみならず、本書内においては、驚くほど緻密にさまざまな作法が紹介されています。それを「面倒だ。細かいことは気にしないほうが楽だよ」と切り捨ててしまうのはいちばん簡単なこと。しかし、否定することなく受け入れてみれば、そこから見えてくるものがあるはずです。忘れていた、あるいは知らなかった作法を学び直すことはやはり大切。そういう意味において、ぜひとも読んでおきたい書籍だといえます。(文/書評家・印南敦史) 【参考】※小笠原清忠(2016)『一流の人はなぜ姿勢が美しいのか』プレジデント社
2016年03月23日東京都・駒込の東洋文庫は、古代から近代にいたる日本の「医」の確かな歩みを振り返る"解体新書展-ニッポンの「医」のあゆみ1500年"を開催している。会期は4月10日まで(火曜休館、ただし火曜が祝日の場合は次の平日休館)。開館時間は10:00~19:00。入館料は一般900円、65歳以上800円、大学生700円、中・高校生600円、小学生290円。同展は、古代から近代にいたる日本の「医」の確かな歩み、約1500年を振り返り、曲直瀬道三、貝原益軒、華岡青洲、北里柴三郎など日本の医学史上の巨人たちの足跡をたどるもの。1774年、杉田玄白らはオランダ語の解剖図「ターヘル・アナトミア」の翻訳を成し遂げ、「解体新書」を刊行した。同書が日本の医学・医療の発展に多大な貢献を果たしたことはよく知られているが、この一大翻訳事業は同時代の日本の医師と学者に相応の知識があったからこそ実現を見たという。同展では、日本で最初に西洋の解剖書を翻訳・刊行したことで日本の医学史上に多大な影響を与えた「解体新書」の初版本と、「解体新書」の原典にあたる「ターヘル・アナトミア」を並べて展示している。また、杉田玄白が開いた医塾「天真楼」の塾生が記録した貴重な玄白関係資料も初めて公開される。また、江戸のプラントハンターとよばれる小野蘭山によるメモ書きが残る本草書、華岡青洲が行った乳ガン手術の症例集など、日本の医療発展に従事した人々が手書きで残し、現代に伝えられた数々の医学史資料コレクションに光をあて、日本の「医」の歩み約1500年を振り返る。また、関連企画として「『解体新書』その魅力と注目すべきこと(順天堂大学名誉教授・酒井シヅ)」が1月31日14:00~、「日中医学交流秘話―1950年代の医学者の相互訪問をめぐって(青山学院大学教授・飯島渉)」が2月20日14:00~、「絶学の人―解体新書の画家・小田野直武と秋田蘭画(学習院女子大学教授・今橋理子)」が3月5日14:00~開催される。いずれも参加無料、ただし、ミュージアムの入館料が別途必要。参加に際しては申込が必要となる。詳細は同ミュージアムWebサイトにて。そのほか、医学者・北里柴三郎が医学・医療分野のさらなる発展を目指して、1914年設立した北里研究所の共催により、「北里柴三郎記念展示」が同時開催される。北里愛用の顕微鏡など、同研究所が所蔵する資料やパネルの展示をとおして、北里柴三郎から野口英世、志賀潔、そして2015年ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智氏へと連綿とつながる、近代日本の「医」の系譜が紹介される。また、幕末の日本に訪れたイギリス人外交官アーネスト・サトウ旧蔵のシーボルト著作などが展示される「シーボルト没後150年記念展示」も同時開催される。
2016年01月19日死は誰にでも訪れます。しかしそのことを考えて、不安に感じながら生きるのはイヤですよね。けれども、いつか来るそのときのために後悔しない生き方をしたいもの。そこでぜひともおすすめしたいのが、『悔いのない人生』(齋藤孝著、SBクリエイティブ)です。著者は、多数の著書を執筆し、テレビ番組にも出演する明治大学文学部の齋藤孝教授。多方面で活躍する齋藤教授は40代で体調を崩したことをきっかけに、死について考えるようになったといいます。『悔いのない人生』は、死にまつわるさまざまな問題を古典などからひもときながら、よりよく生きる方法を見つける一冊です。今回は第3章「老いと上手に付き合う」から、現在多くの人が抱えるストレスやネガティブな感情を吐き出すコツを紹介したいと思います。この章では、福岡藩の儒学者である貝原益軒の『養生訓』からヒントを探っているのです。■働く人の5割以上が不安を抱えているストレス社会と呼ばれる現代。平成25年の労働安全衛生調査によれば、現在の仕事や職業生活に関することで強い不安や悩み、ストレスがある労働者の割合は52.3%となっています。会社のなかだけでなく、学校や友人関係など、なにかしらのストレスを抱えている人は多いもの。ストレスはうまく発散できればいいですが、溜め続けてしまうと、健康へ悪影響を与えてしまうこともあります。健康で楽しく生きていくためにも、ストレスを溜め込むのはNG。著者は、日常生活の中で思っていることを小出しにすることがストレス予防になるといいます。■定期的に感情を出すことを意識しよう自分の悩みや愚痴を誰かと共有することで、気持ちはスッキリするもの。しかし溜め込んでしまうと、具合が悪くなってきます。つまり、気軽に愚痴を言える場があることは、心の健康にとても大切なことというわけです。みなさんは家庭のなかで、悩み事や愚痴を話していますか?家族は、唯一外部にもれない秘密を共有できる存在。だからこそ、ネガティブな感情も素直に出すことができます。ささいな悩みや心境の変化を家族に吐き出すことも、ストレスを溜めないために大事なことになるのです。また会社で受けたストレスは、会社のなかで解消するのが望ましいといいます。「あのプロジェクトはここが大変だった」「●●がうまくいかなくて悔しかった」など、ちょっとしたことを言い合える関係が社内で築けていれば、ストレスも軽減されることでしょう。■何事も6~7割よければよしとしようそして、すべてのことを完璧にこなそうとする人はいませんか?そこが負担になり、楽しめなくなることもあるのではないでしょうか。これは自分に対してだけでなく、他人に対しても同じです。相手に求めすぎると、相手ができないことに対して苛立ってしまうこともあるはず。それがストレスになる可能性だってあります。「何事も六、七割よければよし」というように、ゆるく考えていた方が、日々機嫌よく過ごすことができると著者はいいます。人生を楽しむには、完璧を求めすぎないことも大切なのかもしれませんね。*日本人の平均寿命は、2014年で女性86.83歳、男性80.5歳。男女ともに寿命が80歳以上を超える長寿国です。そんな私たちが長い人生を悔いなく歩んでいくためのヒントを本書では紹介しています。ぜひ読んでみてください。(文/椎名恵麻)【参考】※齋藤孝(2015)『悔いのない人生』SBクリエイティブ※平成25年 労働安全衛生調査(実態調査)-厚生労働省
2015年12月22日ネット上では情報だけでなく、BtoCのビジネスもボーダーレス化している。とは言っても、海外向けのECサイトを作れば済むという話ではない。当初は調剤薬局向けの食品メーカーであった 一心堂本舗が、思いがけない市場の反応をキッカケに、アリババグループの運営する中国最大級のショッピングモール「天猫(Tmall)」の国際版「天猫国際(Tmall Global)」への出店に乗り出した。その理由と目的、そして越境ECの難しさを、同社代表取締役社長 戸村憲人氏に伺った。○ネット上のブームだけならよかったが……戸村氏は2011年9月、一心堂本舗を設立。「江戸時代に貝原益軒が著した養生訓を現代に用いる」をコンセプトに、健康感のある菓子などを調剤薬局へ卸売する事業を始めた。転機が訪れたのは2013年4月。銀座の歌舞伎座リニューアルの際に商品の提案に出向いた際に、同施設内に販売ブースを持つこととなり、土産物向けに歌舞伎をモチーフとした商品の開発を始めた。その中の1つが、のちのヒット商品となる「歌舞伎フェイスパック」だ。「パッケージの内側には歌舞伎の説明を日本語と英語で入れるなど、ただ楽しいだけでなく、文化を知ってもらう商品にしたいと考えました。特に開発の初期段階では、他製品とコラボレーションの少ないコンテンツ(ここでは歌舞伎)とのタイアップで、驚きのある企画を狙いました」(戸村氏)同フェイスパックは、徐々にネットにてクチコミが広がり、話題に乗ったタレントがフェイスパック写真をSNS上にアップしたことから、メディアでも相次いで紹介された。その最中の2014年11月、同社のオンラインショップへ突然中国から大量の注文が届いた。調べてみると、女優のアニタ・ユンや蒼井そらなどの有名人が微博(ウェイボー : 中国版のTwitter)に同フェイスパックを着用した写真を投稿し、それがテレビに出たことで注文が殺到したことが原因だった。後に、中国のECサイトでの転売が相次いでいることが判明したほか、1カ月ほど過ぎた頃、転売だけでなく模造品を作って販売する企業も多数確認されるようになった。「中国の消費者に向けて、『本物はこちらです』とアナウンスをしたいのですが、輸出となると非常に時間がかかってしまう。スピードを考えて越境ECという手段を選択し、商品を提供すると同時に消費者とコミュニケーションを取っていこうと考えました」(戸村氏)○中国に行けば儲かる、わけではない当初は全く予定していなかった海外進出だけに、経験もノウハウもない。そこで助けになったのがアリババが提供するモール「天猫(Tmall)」の国際版「天猫国際(Tmall Global)」への出店サポートプログラムだ。中国では独自運営のECサイトは受け入れられにくい傾向があり、そもそも海外法人が独自にECサイトを開けないという事情もあったという。戸村氏が出店を検討した時点で、唯一海外企業の出店が可能だったのが天猫国際(Tmall Global)であり、年間8.33兆円(2014年度時点)という流通規模などから考えても最適と判断した。なお、同モールは現在、ブランド力や商品力などからアリババに承認された企業だけが出店できる仕組みを採用しており、同社はフェイスパックの人気から出店が認められたのだ。(一方、天猫(Tmall)では、中国に法人を設ける企業のみ出店が可能となる)海外へのEC出店においては、言葉の壁だけでなくネット上の適切な振る舞い方や集客方法など、出店先の事情に応じた対応が必要になる。アリババでは、出店申請から店舗ページの構築、価格戦略、物流、決済方法といった一通りの出店サポートに加え、売り上げから一定の費用を支払うことで日々の運営サポートにも対応する。特に、利用者とのやりとりがチャット中心で、ほとんどの利用者が購入時になんらかのコンタクトを取るため、問い合わせ対応のサポートは欠かせないという。「モールの店舗はお客様に格付けされるため、とにかくお客様対応で失敗しないことが大事ですが、最初からそうはいかないので、その部分はすべてお任せしています」(戸村氏)初対面の企業同士が力を合わせ、ひとつのプロジェクトを完遂する労力は想像に難くない。戸村氏は「出店まで3カ月半くらいでしたが、相当大変でした」と振り返る。しかし、店舗の運営が始まってからはさらに大変だ。例えば、アリババの担当者から金曜の夜中に「クーポンを発行したい」とWeChat(中国版無料メッセンジャーアプリで、中国語では微信 : ウェイシン)で要請が届き、土曜の朝に決定し返信する。キャンペーンのトップページで陳列枠を取るために99元(約2000円)の商品を100個提供してほしいと朝8時に連絡があり、正午までに決定して返信するなど。経費や販売価格に関する決定も、このスピード感に対応しなくてはならない。「とにかくこの1年は、やっていく中で反応を分析し、市場を知っていこうと考えています。そういう意思を持ってやらないと、経費がかかるばかりになってしまう。受け身では続けられません」(戸村氏)越境ECにおいて、出店はスタートにすぎず、そこからの開拓と継続は自らの知力体力勝負。それはインターネット人口6億人と言われる中国でも同じことだ。戸村氏は「中国に店を出せば売り上げが上がる、というのは妄想」と、規模だけで中国市場を見ることに釘をさす。○転ぶことも承知で走り続ける天猫国際(Tmall Global)における一心堂本舗の公式店は6月にオープンしたばかりで、本格的なプロモーションはこれから。戸村氏は「作戦は立てていますが、うまくいくかはまだ分からない」と言う。模造品が出回る市場に乗り込み、ブランドを確立していくためには、超えなくてはならないハードルは多い。「すぐに利益を上げたいわけではなく、ブランドを知ってもらうために長期的な視野で出店をしています。ここ10年から20年は、中国市場を無視してはやっていけないと思うので、その中で最初の1年くらいは勉強と考え、振り回されながら経験値にしていきたいと思っています」(戸村氏)また、同社は7月10日より、北京京劇院監修による「京劇フェイスパック」を日本・中国にて同時発売を開始する。これは、中国ECへの出店後初となる戦略商品だ。越境ECに踏み出すきっかけは思いがけぬ市場の反応だったが、芯の強さと対応の速さで、走りながら戦い方を身につけようとしている。
2015年07月09日美容習慣と共に海外進出2015年2月27日、一心堂本舗株式会社からデザインフェイスパックシリーズの第8弾が発売される。今回コラボしたのは、世界的に有名なハードロックバンド「KISS」だ。欧米では日本のように美容用のフェイスパックをする習慣がないという。日本独自の美容習慣と共に同製品の海外進出を本格化するため欧米でも親しみやすい、世界的にも有名な「KISS」にオファーをした。デザインフェイスパックシリーズ発売開始から1年1カ月で約57万個の売り上げを誇る同シリーズ。「日本を代表する顔」を世界に紹介するというコンセプトを掲げながら「歌舞伎フェイスパック」や「劇団四季キャッツフェイスパック」など数々の製品を発表してきた。フェイスケアは美肌を保つには欠かせない習慣であるが、毎日同じことの繰り返し。正直なところマンネリ化が否めない。同製品はそのマンネリ化に対する打開策としても効果的である。同じフェイスケアでも楽しみながら使える製品がいい。マスクシートにたっぷりと含まれる美容液には、ヒアルロン酸やコラーゲン、ビタミンC誘導体、ラベンダーエキスを配合。同製品で「KISS」メイクを楽しんだ後には、ハリと艶のある潤った肌が待っている。一心堂本舗株式会社近年ますます健康志向が高まるなか、病気にかからないよう日頃から自身の身体と心を思いやる生き方に注目が集まっている。そんな日々の営みは江戸時代にすでに花開いていた。貝原益軒が記した「養生訓」には、長寿をもたらす食生活や心身共に健やかに生きる術が書かれている。同社は江戸時代に生まれた「養生」の考え方を大切に製品をつくり続けている。(画像はプレスリリースより)【参考】・一心堂本舗株式会社プレスリリース(PR TIMES)・一心堂本舗株式会社
2015年02月15日こんな言葉を聞いたことがあるだろうか?「酒は百薬の長」――「酒は微酔にのみ、半酣をかぎりとすべし」。つまりは、適量で飲むことが健康維持に繋がるという意味なのだが、これを説いたのが江戸時代の儒学者・貝原益軒だ。今日は貝原氏が、1714年10月5日(正徳4年8月27日)に世を去ってから、ちょうど没後300年となる。この節目にあたり、日本酒「白鹿」ブランドを展開する辰馬本家酒造が、現代のライフスタイルにおける、日本酒がもたらす豊かさと美と健康に関する意識調査を全国の女性に実施した。今回の調査は、20~69歳の女性517人を対象に行われたもの。まず女性たちに聞いたのは、どんなお酒が“お酒=美”のイメージがあるのか?というもの。アルコール飲料の中で日本酒は、身体の健康イメージ(52.8%)、精神(こころ)の健康イメージ(49.9%)、美容イメージ(46.4%)で、第1位のワインに次いで第2位とかなりの好感度だ。また、日本酒に求めていることとしては、「気分転換・リフレッシュ効果」(38.9%)、「美肌促進効果」(41.0%)といったイメージで日本酒を飲用・活用している女性が多くいることも明らかとなった。また、日本酒に含まれるアミノ酸は、肌をしっとりとさせ、艶としなやかさを与える効果も期待できるそうで、今後やってみたい“日本酒を使った美容”としては、「日本酒湯」(34.6%)という興味深い結果も。一方、秋も深まり、ゆっくりとお酒を楽しみたいこの季節ならではの質問も聞いてみた。スピード化、合理化が急速に進む社会の中で、人々は、時や季節の経過を堪能する生活や、日本古来の風習を愉しむ生活を実践できているのか?“忙しい現代人”と揶揄されることもあるが、調査の結果によると、その数はわずか1割前後。その反動なのか、そんな生活を、取り入れていきたいと感じている人は、そのおよそ3倍だ。月見酒、お屠蘇(おとそ)、花見酒、雪見酒、桃花酒(とうかしゅ)などなど、お酒が用いられる季節ごとの風習も多い。これらで飲まれるのはすべからく日本酒ではないのだが、「四季とお酒」と聞くと、日本酒が注がれた杯の中で、桜や満月が浮かんでいるのはやはり趣きがある。“日本”の名前を冠したお酒だけあり、そんな思いは誰しもの心にあるようで、「古来からある風習を重んずる生活」「礼儀・作法をわきまえた大人の生活」「日本の風習・行事を取り入れた生活」「日本の縁起を取り入れた生活」「四季の移り変わりを愉しむ生活」「旬を体感する生活」といった、日本や日本人に根差した生活スタイルに最も合うお酒として女性たちが選んだ第1位はやはり日本酒だった。中秋の名月を見上げながら、露天風呂で日本酒湯に浸かり、日本酒で今宵一献…。現代のライフスタイルでは、忘れつつある季節の移ろいや風習だが、趣と美を兼ね備えた日本酒でこの秋、四季を感じてみてはいかがだろうか?(text:cinemacafe.net)
2014年10月05日2013年は巳年。2012年の辰年は去ってしまいましたが、まだ巳年にバトンタッチしたばかりなので、巳年を挟む「辰」と「午(うま)」をMIXしたような海の生き物、タツノオトシゴに注目してみました。おちょぼ口にくるりと丸まったシッポ。じっと見ているとなんだか穏やか?な気持ちになると、実はファンが多いというこの生き物、調べてみると何だか不思議な魅力がいっぱいでした!では、タツノオトシゴの面白さをご紹介していきます!■エビ?タコ?まさかドラゴン?そもそも、タツノオトシゴって何の仲間?むちゅーっと突き出した口元と、尾を丸めた細長い体。泳ぐというより海の中を漂っているように見えるタツノオトシゴですが、れっきとした魚類なんです。ヨウジウオ(楊枝魚)というヒョロッとした魚の仲間で、その個性的な体つきはアニメーション制作会社タツノコプロのマークでもおなじみですよね。よーく観察してみると、魚らしくヒレやエラもちゃんとあり、背ビレと胸ビレを使って一生懸命に移動しています。ただ、あまり泳ぎは上手ではないので、尾ビレのかわりにある尾を海藻などに巻き付けて体を安定させているそう。■シッポで手つなぎ。求愛のしぐさに思わずキュン!そんな尾は求愛のシーンでも活躍します。まずオスが体をくねらせてメスにプロポーズ。メスが「OKよ」と受け入れると、お互いの尾先をつなぐように絡ませるのです。そして2匹のダンスがスタート。シッポをつないで、くるくるまわって。このダンス中、2匹は体色まで明るい黄色や白の婚姻色に変化させます。恋はふたりをキレイにするのですね。ただ、なんとこのダンス、ペアによっては3日間にも及ぶことがあるそう!(休みつつですが……)さあ、2匹の息が合ってきたらいよいよ産卵。なんとこの先が面白く、メスが卵をオスに渡してしまうのです。■え!パパが妊娠?おなかが大きくなるのはオスなんですオスのおなかには育児嚢(のう)というカンガルーのポケットのような器官があり、メスはこのオスのポケットに卵を落とし入れます。2匹がおなかの辺りを合わせる姿はまるでハート型。愛らしく見えますが当人たちには生命を受け渡す真剣勝負。うまく卵が入ったらオスはポケットの口を閉じ、体を揺らして受精します。オスのおなかは大きくふくらみ、まるでマタニティママのよう。数週間後、いよいよ出産。オスのおなかから小さくてかわいいタツノオトシゴたちが産まれ、海中にデビューします。ちなみにタツノオトシゴのペアは一夫一婦制で生涯に相手はひとりとも言われています。その夫婦仲の良さにあやかって、古来より「夫婦円満」「子宝」の縁起物としてお守りのシンボルにもされているんですよ。■ドラゴン派、馬派、ご当地名もいろいろありまして英名ではシーホース(海馬)と呼ばれていますが、日本では竜に赤ちゃんがいたらこんな姿なんじゃないか?という由来で「竜の落とし子」と名付けられたという和名。また、卵ではなく、オスのおなかで育った稚魚が一匹ずつ産み落とされることから「落とし子」と呼ばれたという説も。日本の地方名の呼び名もさまざま。タツノコ、タツガシラといった竜派とウマウオ、カイバといった馬派に大きく別れています。中にはリュウグウノコマ(竜宮の駒)と竜と馬が一緒になっちゃったような名前もあったり。きっと、名付けた人々もこの不思議な生き物を魚とは思えなかったのでしょう。江戸時代の儒者、貝原益軒の著作「大和本草」には「海馬海中に生ずる小虫なり、頭は馬のごとく、腰はエビのごとく、尾はトカゲに似たり」と書かれています。もう謎の生き物ですね。■さらにいろいろ。イトコもいるの?親せきも個性派ぞろいでございます世界にたくさん種類のいるタツノオトシゴとその仲間。体の色から種名をつけられた種もいるのですが、和名は「クロウミウマ」なのに英名ではなぜか「イエローシーホース」。黒なのに黄?これ実は、環境によって身を守るために体色を変える、彼らの習性を知らずにつけてしまった名前のようです。同じヨウジウオの仲間には「タツノイトコ」がいます。さらに冗談のような「タツノハトコ」まで!オーストラリアの海には海藻に擬態した姿の「リーフィーシードラゴン(葉のような海の竜)」なんて変わり種までいるんです。■会いたくなったら、そして飼いたくなったらコチラへどうぞ!どうです?今まで水族館で見かけても素通りしていたタツノオトシゴに興味が湧いてきませんか。もし、答えがYesなら南九州の「タツノオトシゴ ハウス」をぜひ訪れてみて!ここは野生種保護を目的とした日本で唯一のタツノオトシゴの観光養殖場。ゆったり泳ぐ姿に癒されるのも良し、飼育の相談にも乗ってくれますよ。タツノオトシゴ ハウス(シーホースウェイズ株式会社)鹿児島県南九州市頴娃町別府5202-2(文・イラスト/新岡薫・エトブン社)
2013年01月19日