第34回 毎日ファッション大賞の表彰式が、東京・恵比寿で2016年11月2日(水)に開催された。大賞に選ばれたのは、ファセッタズム(FACETASM)デザイナー落合宏理。新人賞・資生堂奨励賞は、プラスチックトーキョー(PLASTICTOKYO)の今崎契助、業界に貢献した人物に贈られる鯨岡阿美子賞は、カイハラ株式会社代表取締役の貝原良治が受賞。また、特別賞にはビームス(BEAMS)の「ビームス ジャパン」、話題賞には第74期名人の将棋棋士・佐藤天彦が選ばれた。毎日ファッション大賞とは1983年に毎日新聞社が創刊110年を記念し、日本のファッションの歩むべき方向性を模索する上で、何らかの寄与を果たしたいという願いを込めて創設したもの。過年度受賞者には、高田賢三、川久保玲、山本耀司、三宅一生といった世界に誇る才能あふれるデザイナーたちが名を連ねている。大賞 ファセッタズム デザイナー落合宏理2013年に新人賞を受賞してから僅か3年での大賞受賞となった、ファセッタズム デザイナー落合宏理。LVMHが若手支援を目的に行う「LVMHプライズ」で、日本人初のファイナリストに選出。また、リオオリンピック閉会式の衣装も担当した。これらの実績を評価するとともに、ミラノ・パリでのショー発表、ストリートという路線を腕1本で貫いてきたという功績が受賞理由となった。受賞者のことば「必ずとらなければならなかった大賞」落合「私自身、毎日ファッション大賞は学生のころから漠然とした夢であって、ブランドを初めてから必ずとらなければいけないものだと感じながらここまでやってきました。昨年、パリに拠点を移して‟東京”の見え方が、海外では少し異なることに気付きました。実際、注目されていたのはカワイイ文化というような感覚的なもの。だから、自分自身の好きな東京のユース感というのをヨーロッパで披露し、改めて“東京的なモノ”を発信できればと考えました。また、新人賞から3年を経てあらゆることが変わりました。特に、LVMHプライズは自分にとっても大きな出来事。その中でリカルド ティッシやセリーヌのフィビー、マーク ジェイコブスら世界の様々のデザイナーの人たちと話す機会がありました。世界の女性を虜にしてきたフィビーは美しいし、マークは本当にチャーミング。デザイナーとして振る舞いも含めて成長しなきゃいけないと痛感しました。このような名誉ある賞をいただけるということは、スタッフのみんな、関係者の皆さんが支えてくださったおかげだと感じています。だからこそ大賞をいただいたことに自信を持って、今後も世界に対してクリエーションを発表していければと思います。」新人賞・資生堂奨励賞 プラスチックトーキョー デザイナー今崎契助“東京のカルチャー”を表現しているということ、そして高い技術力と安定感が評価された、プラスチックトーキョーのデザイナーである今崎契助。彼の作品は、独創性に満ち溢れている。活動の動向が気になる彼だが、この受賞が今後のステップの後押しになることは間違いないだろう。なお、表彰式では2017年春夏コレクションのショーを披露。アマゾン ファッションウィーク中にも同ショーを発表したが、今回は資生堂のメーキャップアーティストたちによるヘアメイクということもあり、アレンジとしてウィメンズのモデルを起用したという。受賞者のことば「受賞を機にブランドの飛躍へ」今崎「そのほかの受賞者の方々、これまで受賞された方々の名前を見ても身に余る受賞です。‟入国審査”というのが2017年春夏コレクションでのテーマなのですが、モードの世界をいかに搔い潜れるかということも表現したくて、パンキッシュな要素や反骨精神が出るようショー内で表現しました。そして僕自身も。昨日髪を30センチ切り、同シーズンのアイテムを着用しました。ブランド知名度、クオリティー、まだまだこれから伸ばしていかなければいけないところは全般的にあると感じています。これを機にもっと飛躍していきます。」鯨岡阿美子賞 カイハラ株式会社 代表取締役会長 貝原良治ここ数年のモード界の中核を占めたともいえるデニム。日本のデニムが世界でも高品質なものだという認識がファッション業界で広まる中、それを陰で支え続けたカイハラ株式会社の貢献度は計り知れない。紡績、染色、織布加工の一貫生産を行い、国内はもちろんのこと約80%は輸出。近年はジーンズ業界だけでなく、瀬戸内周辺の企業をはじめ異業種とコラボレーションを行いながらカイハラブランドを広めている。受賞者のことば「日本デニムの良さを発信したい」貝原「まさかこんな名誉ある賞をいただけるとは思っていませんでした。1893年に祖父が藍染備後絣を創業して以来、広幅絣、サロン絣、絣用の染色機などを創出し今でも新しいものを作り続けています。また、デニムは1970年にスタートし、その染色機も手掛けてきたもののひとつです。私自身、生まれたときから織り機の音を聞きながら、そして藍染めをする場所なども見て育ってきました。そんな人生から、自分の血液が青なのではないかと思うほど。しかし、それが自分の自信にも繋がっています。今後はさらにあらゆる企業やブランドとコラボレーションをして、“デニムとはどういうものなのか”を若い人達に広めていきます。そして、40年近く続けている海外との取引も積極的に行い、日本デニムの良さを発信していくことが使命だと感じています。」話題賞 第74期名人棋士 佐藤天彦16年ぶりの20代名人取得を果たした棋士・佐藤天彦。対局中のファッションで注目を集め、ついたニックネームは「貴族」。クローゼットの中には、サンローラン(Saint Laurent)やドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)など約300着以上が収まっているという。将棋とファッションという相反するところにあるものを結びつけ、「新時代の棋士の登場」と言われる彼が話題賞に選ばれた。受賞者のことば「ファッションも将棋も個性を出すもの」佐藤「将棋の棋士である私が、まさかファッション関係の賞を頂けるなんて思っていませんでした。以前から洋服が好きであった自分にとってはとても嬉しく、本当に光栄です。小学校4年生頃に洋服に興味を抱き、高校生の頃コレクション雑誌を見るようになりました。その時に、特に目に留まったのが今も好きなアン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)。中近世の西洋服装史に興味があったので、それが現代風に解釈されているところがとても素敵だと感じたんです。今日の洋服もシャツにヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)を合わせている以外は、全てアン ドゥムルメステールです。かけ離れているように見えても、ファッションも将棋も個性を出すというところは共通点なのかもしれません。あくまで自然体でいられることが大切だと思います。この受賞をもって、今後はこれまで挑戦できなかったようなファッションにも少しずつ手を広げられたらと考えています。」特別賞 ビームス「ビームス ジャパン」日本の食、洋服、カルチャーなどに着目し、“日本の人種のるつぼ”ともいえる東京・新宿にリニューアルオープンした「ビームス ジャパン(BEAMS JAPAN)」。国境や年齢、性別を問わず訪れる人を魅了したこの店舗が特別賞を受賞した。「売れるものを作って売る」という発想ではなく「日本をブランディングする」という試みは、セレクトショップの新時代を築くインパクトであった。受賞者のことば「匠からオタクまで、日本のコト・モノを発信する場に」設楽「ビームスは今年で40周年を迎えました。このような賞を頂けたこと、本当に感激しています。約6.5坪のアメリカンライフショップとして誕生して以来、世界中の良いモノやコトを日本に紹介してきました。40周年を機に今までのプロジェクトを続けていくのと同時に、これからは日本の良いコト、モノを世界に伝える相互発信をしようと考えました。その舞台が「ビームス ジャパン」。コンセプトを“匠からオタクまで”と掲げました。ここには、日本の伝統工芸からポップカルチャーまでが集結しています。これからもあらゆるジャンルのアーティストや職人、デザイナーの方々に協力いただき、チームジャパンを結成することで、世界に日本文化を発信していきます。
2016年11月05日「2016年(第34回)毎日ファッション大賞」の表彰式が11月2日、都内で行われ、ファセッタズム(FACETASM)デザイナーの落合宏理氏が大賞を受賞した。落合氏は2013年(第31回)新人賞・資生堂奨励賞に選ばれており、新人賞から3年で大賞という史上最短の受賞となった。落合氏は表彰式で「こんなに早く大賞を受賞できたことに驚いているが、これも時代の流れなのかなとも思っているし、時代のスピードについて行った結果だとも感じている。毎日ファッション大賞はファセッタズムにとって必ず受賞しなければいけないと思ってきたもの。今後も新しい価値を生むために、世界に向けてクリエーションを発信していきたい」と話した。また、新人賞・資生堂奨励賞はプラスチックトーキョー(PLASTICTOKYO)デザイナーの今崎契助氏、ファッション界に功績を残した人に贈られる鯨岡阿美子賞はカイハラ株式会社の会長・貝原良治氏。話題賞は将棋棋士で第74期名人の佐藤天彦氏、特別賞はビームス(BEAMS JAPAN)に決まった。今崎氏は「未熟な自分が新人賞をいただけたのは支えてくれた人たちのおかげ。この賞をきっかけに更に飛躍したい」と挨拶。貝原氏は「これまでも会社を続けていけるのかという危機は何度もあったが、世界でどこもやっていない幅広かすりやデニムなど、ピンチのたびに新しいことをスタートしてきた。それが当社の強み」。佐藤氏は「ファッションを好きな棋士が名人位を獲得したことが今回の受賞につながったと思っている」と喜びを語った。ビームスの設楽洋社長は「創業40周年の節目の年にこのような賞を頂き感激している。今後は世界のいいものや、いいことだけでなく、チームジャパンとして日本の巧みからオタクまでを世界に発信したい」と述べた。表彰式の後に行われたパーティーでは、プラスチックトーキョーの17SSコレクションを紹介するファッションショーも行われた。
2016年11月03日デニムで帆をつくり、その船で瀬戸内海を航海することで海風を浴びた“クルーズウォッシュ”ジーンズを創るプロジェクト「旅するジーンズ CRUISING JEANS」のプロダクトを使用した限定アイテムが登場。ELNEST TOKYO -MIGHTRY-にて試着及び予約販売を受け付ける。「旅するジーンズ CRUISING JEANS」は、2014年に瀬戸内ジーンズの魅力を発信するために立ち上がった。そして、7月23日(土)から8月28日の約1か月間の旅を経て、船の帆として瀬戸内の海風をいっぱい浴びたデニムは、見事な風合いとなって遂に私たちの手元にやってくる。このデニムを手掛けたのは、2016年毎日ファッション大賞鯨岡阿美子賞の受賞が決定した貝原良治が代表を務める国産高級デニム生地メーカー「カイハラ」。デニムの総量は約100平方メートルにも及ぶ。これらを俳優・井浦新がディレクターを務めるファッションブランド「エルネスト クリエイティヴ アクティヴィティ(ELNEST CREATIVE ACTIVITY)」とのコラボレーションによって製品化。デニムパンツ、Tシャツ、トートバッグなどのアイテムに変えて、数量限定で展開する。瀬戸内の海風をいっぱい浴び独特の風合いになっているだけでなく、インディゴと塩分が結びつくことで色持ちが良いというのも魅力。さらに自ら身に着けて馴染ませることで、表情豊かな1着になってくれることだろう。【詳細】「旅するジーンズ CRUISING JEANS」プロダクト発売日:2016年10月26日(水)より発売中販売店舗:ELNEST TOKYO -MIGHTRY-住所:東京都渋谷区上原1-16-13 SUWA HAUS 1FTEL:03-6686-8138アイテム:・旅するジーンズ(オリジナル帆デニムジーンズ) 限定6着 130,000円※シューズ、スマホケース、カレンダーとセット販売)サイズ:S/M/L・オリジナル帆デニムTシャツ 限定40着 9000円カラー:ホワイト、淡デニム、濃デニムサイズ:S/M/L/XL帆デニム×カイハラデニム製トートバッグ 限定10個 38,000円サイズ:横46cm×高さ46cm×マチ20cm※価格はすべて先行販売価格
2016年10月30日日本ファッション・ウィーク推進機構は都内で会見し、11月5日と6日の2日間、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催する「JFW ジャパン・クリエーション2015(JFW JAPAN CREATION 2015以下 JFW-JC)と「プレミアム・テキスタイル・ジャパン2015秋冬(Premium Textile Japan 2015A/W以下PTJ)」の開催概要を発表した。全国の産地・企業が集結する国内唯一の繊維見本市「JFW-JC」には韓国、台湾、中国、タイなど海外からテキスタイルゾーンに出展する41社を含む269社が出展。付加価値の高い素材を作り出すテキスタイルメーカーとアパレル・リテール企業のバイヤーやデザイナーブランドのデザイナーのビジネスマッチングの場を提供するテキスタイル・ビジネス商談会「PTJ」には68社が出展。最新のテキスタイル、関連製品、服飾資材などを紹介する。昨年は併催による相乗効果などで両展あわせて約2万人が来場した「JFW-JC」と「PTJ」。今回の「JFW-JC」では、トレンド&インデックス・コーナーを「PTJ」来場者も自由に入ることができる会場入り口に設置。トレンドコーナーでは来年のトレンド素材576点(「JFW-JC」294点、「PTJ」282点)、JFW-JCインデックス・コーナーでは国内と海外の175点を紹介する。日本のテキスタイルやファッション、マーケットの最新情報などを紹介するセミナー「Forum」では「これが日本のワザとクオリティー」(5日14時から 辻洋装店社長 辻庸介、オンワード樫山品質管理部部長 山下隆)、「“定点観測”34年で見えたトレンド変化」(5日16時から パルコ「WEBアクロス」編集部編集長 高野公三子)、「エコを加味した機能素材のトレンド」(6日11時から 台湾テキスタイル連合会事務局次長 楊暁琴)「MilanoUnicaで得た日本の実力」(6日時から カイハラ会長 貝原良治、日本繊維輸出組合研究員武藤和芳)の4本のセミナーを開催する。その他、テキスタイルへの知識とクリエイティブな発想力を持つ人材発掘を目的とした産学連携事業「フォーラムプレゼンテーション」やメルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京でランウェイショーを行った東京レザーピッグスキン2015の展示なども実施する。尚、「JFW-JC」は入場料当日2,000円、事前登録・学生割引1,000円で一般や学生も入場することが出来る。一方、バイヤー及び招待者限定の「PTJ」では、出展ゾーニング別に各社の一押し素材をインデックスとして編集・展示するPTJインデックスコーナーを設置。テキスタイル181点、服飾資材65点の計246点を展示する。また、JFW招待バイヤーと参加企業が個別専用商談室で商談を行うビジネスマッチング・プログラムには日本素材の比率の高い大手アパレル・リテール企業4社とJFW参加4ブランド、「PTJ」出展企業20社が参加。41件のマッチングを行う。参加する大手アパレル・リテール企業とブランドはサンエー・インターナショナル「ジル スチュアート」、東京スタイル「ナチュラルビューティー」、レナウン「チャージ」、イタリー「Pink Champagne」、「マメ(mame)」黒河内真衣子、「レスザン(lessthan*)」「ミドラ(MIDDLA)」の安藤大春、「シセ(Sise)」松井征心、「ヤストシエズミ(Yasutoshi Ezumi)」江角泰俊。川島朗JFWテキスタイル事業事務局長は「両展をあわせ約2万人が来場するなど展開面積あたりでは世界一の展示会と言える。内容はこれまでと大きくは変わらないが、運営部分ではJFW-JCの受付を1カ所から2カ所に増やすとともに団体受付を設置したほか、誘導人員も増やし、さらに試験的に過去3年間の来場者名簿をもとにパスを郵送するなど、よりスムーズに入場することが出来るようにしている」と話す。
2014年11月04日