ピアニスト・教育者として国内外で活躍した野島稔(1945-2022)を忍び、その功績を称えるイベント「野島稔メモリアル・コンサート」が、野島稔の出身地、神奈川県横須賀市において開催される。野島稔は、1994年の同劇場開館当初より数々の名演奏を遺しただけでなく、2006年から9回にわたって開催された「野島稔・よこすかピアノコンクール」の創設に寄与。自ら審査委員長を務め、優れた若手ピアニストを世に送り出してきた功績は例えようもなく大きい。今回のメモリアル・コンサートは、同コンクールのこれまでの入賞者・入選者および、審査員を含めた関係者が出演する特別な機会となりそうだ。「第1回ピアノ協奏曲」においては、高関健指揮、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の演奏のもと、若林顕&伊藤恵ほかによる4曲のピアノ協奏曲が披露されるのは贅沢の極み。そして、「第2回ピアノGALA」においては、野平一郎、迫昭嘉を含む6人のピアニストが演奏を披露。この豪華な顔ぶれによる共演は、めったにない機会と言えそうだ。チラシのキャッチコピーに書かれた“野島稔の不思議な偉大さが現れる2日間”とは伊達じゃない。偉大なるピアニストを想い、ピアノ音楽に浸る特別な2日間を堪能したい。野島稔メモリアル・コンサート■チケット情報()()ピアノ協奏曲5月3日(金・祝) 15:00開演指揮高関 健管弦楽東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団野上真梨子 (第5回コンクール第1位)モーツァルトピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K.595小井土文哉 (第6回コンクール入選)ラフマニノフピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18若林 顕 (第3回~第6回コンクール審査委員)プロコフィエフピアノ協奏曲 第2番 ト短調 Op.16伊藤 恵 (第8回~第9回コンクール審査委員)ベートーヴェンピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 Op.73 「皇帝」ピアノGALA5月18日(土) 15:00開演本堂竣哉 (第9回コンクール第1位)J.S.バッハファンタジアとフーガ イ短調 BWV904 トッカータニ長調 BWV912安並貴史 (第7回コンクール第1位)シューベルト即興曲 第3番 D899 Op.90-3ドホナーニトッカータ Op.17-2ブラームス創作主題による変奏曲 ニ長調 Op.21-1ドホナーニアリア Op.23-1野平一郎 (第2回~第7回コンクール審査委員)J.S.バッハ平均律クラヴィーア曲集 第1巻より 第1番 ハ長調 BWV846/第8番 変ホ短調 BWV853武満 徹ピアノ・ディスタンスレノン&マッカートニー(武満 徹 編曲)ゴールデン・スランバー武満 徹閉じた眼II上野 真 (第6回~第9回コンクール審査委員)ベートーヴェンピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調 Op.53 「ワルトシュタイン」東 誠三 (第6回~第9回コンクール審査委員)ベートーヴェンピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 Op.110迫 昭嘉 (第1回~第5回コンクール審査委員)ベートーヴェンピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 Op.111よこすか芸術劇場●野島稔(ピアノ)1945年横須賀市に生まれ、3歳からピアノを始める。桐朋高校、桐朋学園大学、ソビエト留学まで故・井口愛子氏に師事。高校3年の1963 年に第32回日本音楽コンクール第1位大賞受賞。1966年ソビエト文化省の招きでモスクワ音楽院に留学、レフ・オボーリン氏に師事した。1968年海外派遣コンクール優勝、1969年に第3回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで第2位に入賞し、1970年のニューヨークのカーネギー・ホールデビューリサイタルで大成功を収める。以降、世界各地でリサイタルや国内外の主要オーケストラとの共演など目覚ましい活躍を遂げた。1986年にはモスクワ、1988年レニングラードで松村禎三氏のピアノ協奏曲第2番を演奏し、いずれも最大の賛辞を集めた。1992年にはNHK交響楽団との数々の名演が評価され、有馬賞受賞。1994年にサントリーホールで「野島 稔・プレイズ・ラヴェル」を行い「近来まれに見る最高級の演奏」「奇跡的な技術と磨き抜かれた音楽性の円熟の極致」など絶賛を博した。桐朋学園大学特任教授、桐朋学園大学院大学教授を歴任。2001年からは仙台国際音楽コンクールピアノ部門審査委員長、2006年からは自身の名を冠した「野島 稔・よこすかピアノコンクール」審査委員長をつとめ、2011年には東京音楽大学学長に就任、後進の育成にも尽力した。第57回神奈川文化賞、第70回日本芸術院賞受賞。
2024年04月05日1900年に発行されたシュニッツラーの『輪舞』を原作に、範宙遊泳の山本卓卓が、現代の東京を舞台に書き下ろす話題作。10組のカップルの情事前後のやり取りがリレー形式で綴られていき、ふたりの俳優が演じ分ける。そこで山本と演出・美術の杉原邦生に、企画立ち上げの経緯から現段階における構想まで、たっぷりと語り合ってもらった。その人たちの生き方を肯定も否定もしないリアリティ――おふたりがタッグを組むことになった経緯は?杉原「デヴィッド・ヘアー作の『ブルールーム』をやりませんか?」と、パルコさんから提案されたのがそもそもの発端です。1998年にロンドンで初演された『ブルールーム』は、シュニッツラーの『輪舞』をアダプテーションさせた作品なんですけど、2001年に日本で上演された舞台を、たまたま僕も観ていてすごく印象に残っていたんですよね。で、これは面白そうだなと思ったものの、『輪舞』はもちろん、『ブルールーム』にも時代的な距離を感じてしまって。これはちゃんと今の作家にリライトしてもらいたいなと。そんな時に(山本)卓卓くんの『バナナの花は食べられる』(21年初演、23年再演)を観て、すごく“ナウ”だと思ったんです。言葉の質感とかリズム感、コミュニケーションのあり方みたいなものがまさに現在で。それで卓卓くんにお願いしたところご快諾いただき、やった!って感じでした(笑)。山本僕は今回のお話をいただいた時、『ブルールーム』側に断られたんだと思ったんですよ。杉原違う、違う!全然断られてないよ(笑)。山本あ、本当ですか?僕、自尊心低いので(笑)、それでこっちにオファーが来たんだと思っていて。まずはそれが聞けて良かったです。邦生さんとは結構長いおつき合いですが、あまり僕に興味がなさそうだなと思っていたんですよね。だから声をかけてもらえたのは本当に嬉しくて。書きながら対話していくうちに、僕が書くものをめちゃくちゃわかってくれた上でオファーしてくれたんだなってことが感じられて、それも嬉しかったです。――“ナウ”の視点から10組のカップル像を描くに当たり、山本さんはどんなことを意識されたのでしょうか?山本事前にパルコさんの方で、『輪舞』と『ブルールーム』の比較表みたいなものを作ってくださっていたんです。現代に置き換えたイメージもあって、それはすごく助けになりました。そこから今の東京に「兵士」はいないけど、明日食うにも困る人はいっぱいいる。つまり生きるか、死ぬかの過酷な状態にある人として、「兵士」を「十代」に置き換えよう、とか。そうやって今の人たちを見つめた時に矛盾が起きないよう、さらに最先端の人たちが出てくるよう、そんなことを意識しながら書き進めていきました。杉原僕が卓卓くんにお願いしたのは、『輪舞』の構造を踏襲して欲しいということ。それと、単純な男女二元論の話にはしたくないよね、と提案させてもらったこと。そのふたつだけです。で、上がってきたものを読んだら、想像を遥かに超えた台本になっていて。さっき言ったような置き換えのことを“ずらし”と卓卓くんは言っていますが、それが憎いほどうまい。しかも登場人物たちの生き方というものを、肯定もせず否定もせず、そのまま提示している。非常にリアリティがあって、面白いなと思いました。作家と演出家の間には独特の“ラブ”がないとうまくいかない――リレー形式で描かれる10の情事の風景。その登場人物たちを演じ分けるのは、髙木雄也さんと清水くるみさん。たったふたりだけです。杉原おふたり共、舞台上ですごく存在感がありますよね。髙木くんは三浦大輔さんの作品(=22年『裏切りの街』)でもそうでしたけど、すごく体が生々しくて。舞台上に立っていても全然気負ってる感じがない。逆にくるみさんは、そういう体の状態を自分から作れる人というか。だから相性はすごくいいんじゃないかなと思っています。山本僕はまだ2回しかおふたりに会ったことがないんですが、髙木さんは本当にピュアだし、動物的というか、感覚的にやってくださる方のような気がします。一方で清水さんは、テキストを深く理解してくれているのが伝わってきますし、非常に理知的。そういう意味で、髙木さんといいバランスなんじゃないかと思いました。――メインキャストのおふたり以外に、8名のステージパフォーマーも参加されます。その狙いは?杉原シーンがころころ変わっていくので、その連なりを輪舞(ロンド)のように、踊るように変化させたいと妄想しています。そこできちんと身体性を持った人たちが空間を動かし、彩ることによって、踊り続けるように場面転換が出来るんじゃないかと思っていて。さらに振付には僕が信頼する北尾亘くんが入ってくれているので、大いに力を借りたいと思っています。――山本さんの劇団「範宙遊泳」では、作・演出を兼任されることがほとんどです。ただ本作同様、『心の声など聞こえるか』(21年)では作に専念されました。そのことによって新たに見えてきたことはありますか?山本やっぱり自分が作・演出を兼任しちゃうと、書きながら、「あ、これ演出するのやっかいかも」って思ってひっこめちゃう瞬間が必ずあるんですよね。それは絶対に良くないと思っていて。作演を分けてそれぞれに専念するためには、作家と演出家の関係性が非常に重要で。一定の信頼関係というか、独特の“ラブ”がないとうまいことマッチングしない。そういう意味で邦生さんは、自分にとっては“お兄ちゃん”みたいな存在。安心して任せられるし頼れる、「お兄ちゃんお願い!」みたいな感覚があって(笑)。そういう人と一緒に作品を作れるっていうのは、とても楽しい作業ですよね。――杉原さんは演出だけではなく美術も手がけられます。現段階の構想は?杉原この作品ってふたりの密室というか、ふたりきりの空間が続いていくわけですよね。それを表すために、東京のどこか一角にあるであろうその空間を、ひとつの四角いセットで表現しちゃおうかと思っていて。それが動いたり、光ったり、物が入れ替わったり。『ブルールーム』にかけて「東京ルーム」(笑)。それが今回の美術のテーマです。でも、あくまで現段階の構想なので、全く違うものになるかもしれませんけど(笑)。取材・文:野上瑠美子撮影:藤田亜弓<公演情報>PARCO PRODUCE 2024 『東京輪舞』原作:アルトゥル・シュニッツラー作:山本卓卓演出・美術:杉原邦生出演:髙木雄也清水くるみ【東京公演】2024年3月10日(日)~3月28日(木)会場:PARCO劇場(渋谷PARCO 8F)【福岡公演】2024年4月5日(金)~4月6日(土)会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール【大阪公演】2024年4月12日(金)~4月15日(月)会場:森ノ宮ピロティホール【広島公演】2024年4月19日(金)会場:広島上野学園ホールチケット情報:()公式サイト:
2024年02月20日戦後日本の写真史で最も重要な写真家の一人である中平卓馬。その初期から晩年までの活動を振り返る『中平卓馬火―氾濫』が東京国立近代美術館で2月6日(火) に開幕、4月7日(日) まで開催中だ。2003年に横浜美術館で開催された個展『中平卓馬:原点復帰―横浜』からは21年ぶり、本格的な回顧展は2015年に逝去してからは初となる。中平卓馬《無題 #437》2005年 東京国立近代美術館蔵 (C)Gen Nakahira ★これまで中平卓馬の展覧会の開催が難しかった理由の一つは、現存する初期作品があまりないことにある。制作の転換期に中平自らネガフィルムやプリントの大半を焼却してしまったのだ。今回の展覧会ではその空白を埋めるべく、中平がカメラマンおよび批評家として寄稿した雑誌などを展示し、初期の仕事からつぶさに紐解かれている。展覧会入口を飾る中平卓馬のポートレート1968年頃撮影:森山大道東京国立博物館蔵(C)Daido Moriyama Photo Foundation中平卓馬は1938年東京・原宿生まれ。60年代半ば、総合月刊誌『現代の眼』の編集者としてスタートし、写真家・東松照明との出会いを機に写真家に転身。2010年代初頭まで約50年にわたり活動を続けた。今展は「来たるべき言葉のために」(1964〜69年)、「風景・都市・サーキュレーション」(1970〜71年)、「植物図鑑・氾濫」(1972〜74年)、「島々・街路」(1975〜77年)、「写真原点」(1978〜2011年)の5章で構成。1〜4章は1977年に病により活動を中断するまでに当たり、最後の5章で再起から晩年までをたどる。それぞれの章の主な見どころを紹介しよう。まず1章「来たるべき言葉のために」では、主に1968年に美術評論家・多木浩二、詩人・岡田隆彦、写真家・高梨豊と刊行した写真同人誌『Provoke(プロヴォーク)』を紹介。「挑発する」という意味の誌名の通り、既存の写真表現になかった「アレ、ブレ、ボケ」、すなわち荒れた粒子、ノーファインダーの構図、ピントの合っていない不鮮明な写真で賛否両論を呼ぶ。2号から森山大道が加わり、3号で終刊した。なお、「プロヴォーク」以前に『現代の眼』『アサヒグラフ』など雑誌を主戦場に撮影・執筆した記事も紹介。高度経済成長に沸く社会に鋭い批評の眼を向けていたことが伝わる。写真同人誌『Provoke』1968-69年東京国立近代美術館蔵[無題]『Provoke』3号 1969年8月プロヴォーク社1969年東京国立近代美術館蔵寺山修司の連載「街に戦場あり」で撮影を担当した『アサヒグラフ』 1966年個人蔵2章「風景・都市・サーキュレーション」では、地下鉄、自動車、コンビナートなどを撮影した「風景」「都市」と題する作品が並ぶ。高度経済成長下で均質化する日本の風景。その背後に潜む国家や資本による権力構造について「風景論」と呼ばれた議論が起こる一方で、写真自体が消費的なイメージに加担してもいた。中平はそうしたジレンマを打ち破るべく、1971年「第7回パリ青年ビエンナーレ」で《サーキュレーション―日付、場所、行為》を発表。その日に出会うものすべてを写し、その日のうちに現像して焼き付け、その日のうちに展示することに奔走した。《サーキュレーション―日付、場所、行為》(シカゴ美術館での再現展示〈2017年〉の際のプリント)1971年(2016年にプリント)中平元氏蔵ところがさらに作風を一変する転換期が訪れる。3章「植物図鑑・氾濫」では、1973年に評論集『なぜ、植物図鑑か』で過去の自作を批判し、自らのイメージを世界に投影するのではなく、「植物図鑑」のように“あるがままを撮る”ことを目指した時期に焦点を当てる。1974年、東京国立近代美術館で開催されたグループ展「15人の写真家」に出品された《氾濫》も展示。樹脂ボードに直貼りされた48点のカラー写真からなる作品で、併せて2018年にプリントされた同作も展示されている。《氾濫》「15人の写真家」(1974年 東京国立近代美術館)出品作1974年東京国立近代美術館蔵さらに4章「島々・街路」では、沖縄や奄美諸島への渡航をきっかけに、「都市」から「島々」へと関心が広がる様子を紹介。沖縄でのデモで起訴された青年を支援するために1973年に初めて沖縄を訪れて以来、日本という国の枠組みを問い直すために、沖縄から奄美、吐噶喇(トカラ)列島へと足を延ばしていく。同じ頃、小説家・中上健次と香港やシンガポール、スペイン、モロッコなど海外にも出かけた。1976年にはフランス・マルセイユの画廊でグループ展に参加し、現地制作した《デカラージュ》を発表。《サーキュレーション―日付、場所、行為》《氾濫》と同様、美術館というシステムを撹乱し、乗り越えることを試みた。奄美、吐噶喇の写真1975-76年(2023年に本展のためにプリント)《デカラージュ》1976年、ADDA画廊(フランス・マルセイユ)での展覧会出品作中平元氏蔵ところが1977年、作家活動が突如中断に追い込まれる。急性アルコール中毒に襲われた中平は、倒れる前数年分の記憶を喪失。言語への障害も残ったのだった。最後の5章「写真原点」では、写真家としての再起を沖縄から始めた中平を追う。なかでもモノクロームからカラーへと移行し、タテ構図で世界の断片を切り取った写真群は圧巻だ。被写体に対して、初めて出会うもののように接近し、その事物の存在を切り取る。また、青森県八戸市での撮影風景を記録したドキュメント映像では、いつもの赤いキャップの生前の姿に出会える。「キリカエ」展(2011年)出品作の展示風景2011年東京国立近代美術館蔵(株式会社コム・デ・ギャルソン寄贈)「キリカエ」展(2011年)出品作の展示風景2011年東京国立近代美術館蔵(株式会社コム・デ・ギャルソン寄贈)病の前後で、それまでの思考や作風が連続しているとみるか、断絶しているとみるか。全体を通じて、ジャーナリスティックな視点も詩的な感性も持つ中平が、無意識の世界に飛び込み、ものや人や風景に出会い直していったようにも思われた。遺された実作と理論から、情報やイメージがますます氾濫する現代にも通じる問いかけを感じてほしい。取材・文・撮影(★をのぞく):白坂由里<開催概要>『中平卓馬火―氾濫』2024年2月6日(火)~4月7日(日)、東京国立近代美術館にて開催公式サイト:
2024年02月14日現代社会におけるコミュニケーションの諸問題を独自の手法で描き出す劇作家・山本卓卓(範宙遊泳)の言葉と、老若男女から電車や犬に至るまで25役を巧みに演じ分けるダンサー北尾亘(Baobab)の身体が織りなす『となり街の知らない踊り子』。2015年の初演以来国内外で上演され高評価を得てきた本作が、2022年11月4日(金)から6日(日)まで、東京芸術劇場シアターイーストで上演される。今回はどんなステージになるのか。山本は「これまでよりも、もっと大きくて広いことをやろうとしている。今までは言葉と身体、どちらかを生かすために、どちらかが犠牲になっていたのですが、今回は、身体と言葉と物語という3つの柱がちゃんと際立って立つようになっている」と話す。あうるすぽっとのホワイエやシドニーの教会など、劇場らしからぬ場所での上演を重ねてきたこともあり、東京芸術劇場での公演は「一つの節目。本作をこの規模の劇場で上演するのは初めてなので、楽しみです」。一方、北尾は自身の身体について語る。「初演と現在の自分の身体は全く違うものになっていて。年齢的なことを言うと、初演の方が張りや体力があるような捉え方をされるかもしれませんが、僕としては今、身体の状態に対してすごくポジティブ。それは、この作品が『ダンス』でもあり『演劇』でもありながら、そのどちらとも取れないハイブリッドな形であって、自身の思考や人生でどういう時間を経験してきたかがすごくダイレクトに身体に現れるから。戯曲に対しての考察や思い、蓄積してきたものはどんどん増えている一方なので、そういう意味で、今がベストコンディションと言えます」。演劇とダンスという領域をシームレスに行き来する2人。お互いについて、山本は「もちろん(北尾は)コンテンポラリーダンサーであり、クリエイターなんですけど、言葉にするなら“友達”というのが近い。それは馴れ合いではなくて、自分の思っていることをちゃんと話せるし、話してくれる存在」と話す。北尾も「(山本と)最初の出会いが演劇を通してではなく、もっと近い距離から関係性が始まっているので、フラットにもの作りができる」と言い、「身体がしっかりと演劇の中に含まれないといけないというような話もよくします。僕も身体だけ動かしていればダンスは成立するとは全く思わないし、言葉の力や人との関係性という演劇的なことに対してシームレスでいたいと思っている。そういう意味で、絶大な信頼と親愛の念を抱いています」。観客へのメッセージとして、山本は「テレビにもYouTubeにも他の舞台表現にもないことをやっていると思います。その時を捉えてしか僕たちは作れない。見逃されたらもうこのバージョンはお終いなので、出会えたら嬉しいですね」と話した。取材・文:五月女菜穂
2022年10月31日今年4月に独立を宣言した中島卓偉が、ニューアルバム『BIG SUNSHINE』を今秋に発売することを発表した。7年ぶりのアルバムとなる今作には、デジタル配信シングル「風に飛び乗れ」「FOLLOW YOUR DREAM」を含む全15曲が収録される。また、アルバム収録曲初披露記念&BEST SELECTIONライヴ『NEW RISE,BIG SUNSHINE』が、11月20日に東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで開催されることも決定した。チケットは、本日8月17日21時よりファンクラブで先行受付が行われている。さらに、独立後初となった全国ツアー『DESTRUCTION chapter 1』の東京・Veats Shibuya公演の模様を収録したBlu-rayが、完全受注生産で発売されることも発表された。■中島卓偉 コメント7年ぶりのオリジナルアルバムを秋にリリース予定です。最高にPUNKでROCK’N’ROLLなアルバムです。このアルバム初お披露目&BEST SELECTIONライヴを11月20日に「SHIBUYA PLEASURE PLEASURE」で行います。そして10月12日に新宿LOFTにて椎名慶治さんと2マンライヴをやります。トーク多め、セッション多め、2人で書いた未発表曲も披露します。是非いらしてください。<リリース情報>中島卓偉 ニューアルバム『BIG SUNSHINE』今秋発売予定中島卓偉 LIVE Blu-ray『TAKUI NAKAJIMA LIVE 2022.08.13 AT Veats Shibuya「DESTRUCTION chapter 1」』11月上旬発送予定価格:9,500円(税込)※完全受注生産【収録内容】1. トライアングル2. イクジナシ3. FREE FOR FREE4. SPARKLE MAN5. FOLLOW YOUR DREAM6. 風に飛び乗れ7. 大器晩成8. 続けろ9. HELLO MY FRIENDS10. 蜃気楼11. 存在12. RE-SET13. PUNK14. いいんじゃない15. トップランナー16. CHANGE MY WORLD17. FORK IN THE LOAD18. Calling You19. STAY TOGETHER20. どんなことがあっても21. DRIVE MY LIMO22. TRUE MIND23. ギャンブルーレット24. イノヴェイター25. ピアス受付URL:<ライヴ情報>中島卓偉『NEW RISE,BIG SUNSHINE』11月20日(日) 東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE1公演目:開場14:00 / 開演14:302公演目:開場17:00 / 開演17:30【サポートミュージシャン】Gu.you(Nicori Light Tours / ex.Janne Da Arc)、Ba.NAOKI(FANTASISTA)、Ds.SHINGO(THE TERROR’S 666 / ex.JURASSIC)【チケット料金】前売:6,500円(税込)(ドリンク代別途必要)■オフィシャルファンクラブ先行受付期間:8月17日(水) 21:00~9月4日(日) 23:59一般発売日:10月15日(土) 10:00~【お問い合わせ】DISK GARAGETEL:050-5533-0888(平日12:00〜15:00)『master+mind ~acoustic mind #19~ [ライブ:8トーク:3]』10月12日(水) 東京・新宿LOFT開場18:30 / 開演19:00出演:椎名慶治 / 中島卓偉【サポートミュージシャン】Gu.you(Nicori Light Tours / ex.Janne Da Arc)【チケット料金】前売:6,000円(税込)(ドリンク代別途必要)一般発売日:9月10日(土) 10:00~【お問い合わせ】新宿LOFTTEL:03-5272-0382関連リンクオフィシャルサイト::::
2022年08月17日YouTubeチャンネル「江川卓のたかされ」を運営する株式会社BLOCK(代表:山本達裕、本社:東京都港区)とベースボール専門メディアFull-Count(フルカウント)を運営する株式会社Creative2(代表:石倉勇、佐藤岳、本社:東京都目黒区)は、「江川卓のたかされ」とFull-Countとのタイアップ企画を2022年6月4日から開始します。江川卓のたかされ×Full-Count【江川卓のたかされ×Full-Count タイアップ企画について】■Full-Count編集長による江川卓氏への直撃インタビューFull-Count編集長による江川卓氏への直撃インタビューを行い、Full-Count内のページで記事として公開されます。また、インタビューの様子は、「江川卓のたかされ」でもタイアップ企画として公開されます。プロ野球記者歴17年の編集長が、江川卓氏へズバリと切り込むインタビューは必見です。■「江川卓のたかされ」動画コンテンツのエンベッド記事の公開「江川卓のたかされ」の動画コンテンツの中で、Full-Countが気になる動画をピックアップし、野球専門メディア独自の目線で記事にして公開します。また、記事の中では「江川卓のたかされ」の動画の埋め込みも行い、より詳しく内容を知りたい方は、記事内で動画を視聴することができます。■Full-Count内で「江川卓」特別カテゴリーの設置Full-Count内に「江川卓」特別カテゴリーの設置を行い、今回のタイアップ企画をさらに盛り上げます。〈YouTubeチャンネル「江川卓のたかされ」〉URL: 〈ベースボール専門メディアFull-Count(フルカウント)〉URL: 【会社概要】名称 : 株式会社BLOCK代表 : 山本達裕所在地 : 東京都港区西麻布1-14-1 井門西麻布ビル5F事業内容: YouTubeチャンネルの制作・運営事業、ECコンサルティング事業URL : 名称 : 株式会社Creative2代表 : 石倉勇、佐藤岳所在地 : 東京都目黒区東山2-3-2 COM'S FORUM 5F事業内容: マーケティング事業、メディア事業、アスリートサポート事業URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年06月03日「田辺弁慶セレクション2020」にて上映され、4日間ほぼ連日満席となった、藤原季節、長尾卓磨出演映画『中村屋酒店の兄弟』が、3月より全国公開されることが決定した。数年前、家を出て一人東京で暮らす和馬(藤原季節)は、親が経営していた酒屋を継いだ兄・弘文(長尾卓磨)の元へ帰ってくる。年齢を重ね、変わってしまった母の姿に戸惑いながらも、そのときを受け入れ過ごしていく和馬。相手を思うほど、和馬、弘文は少しずつズレていったお互いの距離を感じていた。和馬の抱える秘密を知る弘文、それを知る和馬。お互いが前に進むためとった選択には、純粋に相手を思う辛さと難しさがあった。そして、2人は朝を迎える――。藤原さんと長尾さんが兄弟役を演じた本作は、俳優としても活動する白磯大知監督が、独学で脚本を書き始めて初監督した、現代の町の酒屋にスポットを当て、兄弟を通じ家族の距離を描いたヒューマンドラマ。45分の中編ながら、熟成された醸造酒のような味わい深い佳作が誕生した。なお本作は、第13回田辺・弁慶映画祭(TBSラジオ賞)をはじめ、第30回東京学生映画祭(グランプリ)、第11回下北沢映画祭(観客賞)、門真国際映画祭2019(最優秀J:COM賞)など、数々の国内映画賞を受賞した。▼コメント・藤原季節監督の白磯大知は映画「中村屋酒店の兄弟」を撮り終えてから、ロケ地の中村屋酒店さんの閉店を追ったドキュメンタリーを撮った。中村屋酒店が無くなったとしても、決して無くならない"何か"を撮りたかったんだと思う。撮れたんだと思う。撮れたから、こうして劇場公開まで伝わったんだと思う。ここまで尽力してくださった皆様に感謝しかありません。僕は長尾卓磨さんと兄弟を演じましたが、今では白磯大知を含めて三兄弟だと思ってます。ウチの末っ子の大切な作品、よろしくお願いします。・長尾卓磨『中村屋酒店の兄弟』は失われゆく古き良き酒屋さんの姿を残したいという監督の想いから始まった映画でした。実際、撮影で使わせていただいた中村屋酒店は撮影後閉店し更地になりました。今またこうして上映の機会をいただき、その佇まい、店の匂いがたちのぼってくることを、そして多くの皆様にご覧いただける機会をとてもうれしく思います。映画の佳さを体感していただける白磯大知初監督作品です。どうぞよろしくお願い申し上げます。・白磯大知監督初めて撮った映画『中村屋酒店の兄弟』が今改めてスクリーンで上映出来ること、とても光栄に思います。映像のない真っ暗な状態でのスピンオフラジオドラマから始まる、物語。映画館だからこそ、ここまで作品に没頭出来るのだと思います。今とは違うあの頃の感覚、あの頃のスタッフ、キャスト、映画という残り続けるものの良さを噛み締めながら、多くの方々に届くことを祈っております。是非スクリーンでご覧ください。『中村屋酒店の兄弟』は3月4日(金)より渋谷シネクイントにてレイトショー先行公開、3月18日(金)より全国にて順次公開。(cinemacafe.net)■関連作品:中村屋酒店の兄弟 2022年3月18日より全国にて順次公開©『中村屋酒店の兄弟』
2022年01月11日「範宙遊泳」の山本卓卓が、作演出を兼任するスタイルを手放し、脚本に専念する創作シリーズをスタート。川口智子を演出に迎え、「『This is Japan』というようなもの」を描き出すと言う。演出家の視点を加えないことで、山本の脚本はいかなる変化、そして進化を遂げたのか。話を訊いた。演出家ありきの“上演台本”から“戯曲”へ――範宙遊泳の作品ではほぼ作演出を兼ねてきた山本さんが、今回脚本に専念しようと思われたきっかけは?海外アーティストとのコラボレーションは積極的に行ってきて、日本の演出家ともいつかやってみたいって欲望は昔から抱えていたんです。というのも日本の演劇界の、作演出を兼任することによるスターシステムみたいなものに違和感があって。言ってしまえばカリスマは生まれやすいけど、名作は生まれにくい。つまりどんなにいい作品であっても、他者になかなか手渡されず、その人にしか上演出来ない現状がある。そういうところから解放された演劇を作ってみたいと思ったんです。――そこで演出家として白羽の矢が立ったのが川口智子さんです。彼女にオファーされた理由は?まずお互いACY(アーツコミッション・ヨコハマ)のフェローを受けていた、という接点がありました。決定打だったのが、彼女が『4.48サイコシス』の演出をした時。作家のサラ・ケインという人は命を削って戯曲を書くような人だったんですが、川口さんはそんな彼女の戯曲を優しく抱きしめるような演出をされていて。ここまで演出家に読み解いてもらえたら、作家としては相当ありがたいだろうなと。それで僕から「いつか何かやりたいですね」とポーンとボールを投げてみたら、川口さんはすぐに「いいですね」と返してくれた。そういう時、次の話になかなか発展しない方もいるんですが、川口さんとはちゃんと縁が続いていった感じです。『心の声など聞こえるか』演出を手がける川口智子――今回の新作は川口さんが演出されることを前提に書かれたものですか?川口さんだからというより、人に渡すっていう意識で脚本を書き始めたことが大きいと思います。今まで作と演出を兼任していた時は、どうせ僕がやるから、と思って省いていた部分もたくさんあって。これまでが上演するためのメモ帳でしかない“上演台本”だとしたら、今回は読み物としての精度を高めた“戯曲”にしようとした。読み手が僕以外にいて、その人が誤読する可能性をちゃんと持っているもの。つまり読み物として面白いものにしようと思ったんです。家族の最小単位から日本が透けて見えるものを――物語は近所に住むふた組の夫婦をメインに進んでいきます。創作のきっかけとなったことは?最初は、家庭内の与党と野党みたいなものを作りたいと思っていたんです。イメージとしては、罵倒し合う家族、みたいな。でも書き進めていくうちに、僕にはどうしてもストーリーってものが必要になってくると気づいて。その上で与党と野党だけじゃない対立軸にしつつ、たったふたりという家族の最小単位から、日本社会が透けて見えてくるような構図に出来たらと思って書き進めていきました。範宙遊泳『心の声など聞こえるか』メインビジュアル――戯曲を拝読すると、単に白黒の対立ではなく、グレーな部分を丁寧に描かれている印象を受けました。「『This is Japan』というようなものを描きたい」との山本さんのコメントは、そういった部分を指しているのでしょうか?その通りですね。どうしても僕は、そういうグレーを描くのが好きで。あとはアメリカに留学したことも大きかったと思います。向こうで感じたのは、みんなとても分かりやすいということ。基本的に挨拶をした人は敵じゃないって認識なのですが、日本だと「なんで挨拶なんかしてくんの?」みたいな人もいて。かといって別にその人は僕のことを敵だなんて思っていない。だから日本人ってきっちり真面目なわりに、そういうところは意外と優しくないなと。それが今回のモチーフのひとつでもある、ゴミ出しトラブルなどに繋がっていきました。「心の声など聞こえるでしょうか?」という提案――今回戯曲と純粋に向き合うことで、どんな発見や気持ちの変化があったと思いますか?一番大きいのは、すごく楽しみながら書けたってことだと思います。今までは執筆と演出が同時進行なことも多かったんですが、ものを書くってライブ感覚抜きには語れないので、俳優の出来によってどうしても戯曲に影響が出てしまう。もちろんその良さもありますが、一方でこの戯曲を書こうと思った、元々のピュアなものってなんだったんだろう?ってところに立ち返れなくなってしまうというか。果たしてそれは劇作家と言えるのか、疑問に感じていて。だから今、作演出に固執している若手の劇作家には、ちょっとこのスタイルを試してもらいたいですね。それくらい自分にとっては得るものが大きかったです。――では最後に、読者にお誘いのメッセージをお願いします。突きつけるようなタイトルではありますが、どちらかと言えば疑問符をつけた、「心の声など聞こえるでしょうか?」という僕からの提案でもあります。どうしても僕のクセで批評的に日本を見てしまう部分はありますが、根底に流れているのは、人に対して優しくありたいっていう思い。だから怖がらず、楽しんで観ていただきたいなと。さらにその上で、いろいろ考えることも出来る作品だと思うので。楽しみつつ、考えつつ、この作品が明日をより良く生きるための糧になってくれればいいなと思います。取材・文:野上瑠美子公演情報範宙遊泳『心の声など聞こえるか』2021年12月17日(金)~19日(日)会場:東京芸術劇場 シアターイースト
2021年12月09日難しそうと思っていても、実は感覚的に楽しめて感受性を育むのにぴったりな【演劇】。今注目の劇作家、「範宇遊泳」の山本卓卓さん & 坂本ももさんに、親子での観劇の楽しみ方や、演劇に込めた想いを教えてもらいました。子どもも観られる演劇を通じて、一緒に感性を育んでみては? 大人にもきっと新しい発見があるはず。子どもという新たな視点を加えて業界のルールを変えていきたい範宇遊泳山本卓卓さん & 坂本ももさん山本卓卓1987年山梨県生まれ。2007年に「範宇遊泳」を旗揚げ。文字や写真、光、影と俳優を組み合わせた独自の演出と倫理観を揺さぶる脚本で注目を集める。アジア諸国や北欧など海外にも活動の場を広げている。坂本もも1988年東京都生まれ。大学時代より学生演劇と商業演劇の制作部・演出部などを両立し、2009年に「ロロ」、2001年に「範宇遊泳」に所属、プロデュ-スを手掛ける。今年度より多摩美術大学 演劇舞踊デザイン学科非常勤講師。子育てを経て生まれた2つの新たな変革〈シリーズおとなこどもも〉で子どもにフォーカスを当てた作品を制作し、KAATキッズ・プログラム2019では『二分間の冒険』を手掛けた、劇団『範宇遊泳』の主宰・山本卓卓さん、プロデューサーの坂本ももさん。4歳のお子さんを育てる夫婦でもある2人は、子育てを通じて創作にも大きな変化があったと振り返る。「社会的存在としての演劇、つまり子どもが観られる作品なのかという視点が新たに加わりました。もともと演劇には「未就学児不可」以外のレイティング(鑑賞できる年齢制限)があまりなく、曖昧だったものをはっきりさせていこうと決めました。暴力描写、性描写などを明示して、観客が作品を選ぶ基準にできるということです」(山本)「出産して演劇を続けることのしんどさを実感し、創作現場にも変化がありました。稽古は基本夕方まで、子連れOKなど、私に限らず子をもつ演劇人が働きやすいように改善しています。育児と演劇は両立できるはずなので、これまでは業界がサボっていただけだなと思いました」(坂本)『二分間の冒険』撮影:田中亜紀演劇体験は思い出がどんどん熟成されていく様々な困難さから、出産を機に演劇から離れた女性は多い。しあし現代の価値観ではそれが常識であってはいけないと山本さん。「演劇は多様性を考える芸術だったはずです。アーティストが家庭をつくると『落ち着いちゃったな』と揶揄されたり、子どもをもつ女性が潜在的にお荷物扱いされてしまうような演劇界の常識にある潔癖主義は、多様性を排他する傾向があると感じていました。どんな人、どんな条件でも演劇をしていい。自分たちが率先してそのモデルケースになれたら」(山本)2人の娘さんの観劇デビューは、1歳の頃に観た人形劇。数年前の作品のことを今でも話す様子から、観劇体験が記憶に刻まれていることを実感するそうだ。「目の前で演じてる人、音楽や光に興味があるのは小さな子どもでも同じ。動物園で動物を、水族館で魚を見るのと同じように。劇場では人間の営みを観ることができる。山本はよく『種をまくつもりで演劇をつくる』と言っています」(坂本)「大人、子どもに関わらず、観劇の時間だけで物語を理解することってあまりない気がするんです。映画のように見返せない分、ディレイ(遅延)しながら記憶で熟成されていき、ある日突然思い出したりする。子どもの頃に触れた物語が、心の成長の何かしらに作用したらと期待しています」(山本)観劇で大切なのは、親子で一緒に楽しむこと。子どものためであっても、親が好きなもの・行きたいものであることが重要だと考える2人.「感想もそれぞれ違っていい。ずれた感想を確かめ合うのも面白いなと思います。あとは、大人も思い切り楽しむこと。生き生きした大人が身近にいることが子どもにとって一番だと思います。楽しむ姿勢は子どもに伝わりますから。僕の両親は芸術には縁遠いけど、人生をとても謳歌していて、それが尊敬できるポイントでもありますから」(山本)『うまれてないからまだしねない』撮影:鈴木竜一朗Next Stage文京シビックホールによる子ども向け映像作品をオンラインにて配信。詳細はHPにて。また公式Youtubeチャンネルでは過去公演を多数全編無料配信中。公式HP : hanchuyuei2017.comphotography/Nobuki Kawaharazakitext/Yukiko Takeda
2021年10月12日20歳から2年間、本誌で連載された神木隆之介さんによる「Master’s Cafe」。その第1回のゲスト、グラフィックデザイナー・佐藤卓さんと7年ぶりの対談が実現しました。神木さんが各界の達人と対談をした連載企画「Master’s Cafe」。ここでの出会いがきっかけとなり、神木さんたっての希望で25周年アニバーサリーブック『おもて神木/うら神木』のロゴ&ブックデザインを佐藤さんに依頼。7年間で変わったこと、変わらないこと、ぐんと深度の増した対談になりました。佐藤:今はもう27歳でしょう?神木:アラサーですよ!アニバーサリーブックのロゴデザイン、卓さんにしていただけて嬉しかったです。佐藤:連載時のロゴに続き、声をかけてもらって僕も嬉しかったですよ。前回はたしか、対談の場でロゴを作る話になったんだよね。神木:僕が突然お願いしてしまって。佐藤:僕としてはそっちが本業だから、喜んで作りました。神木:卓さんは僕のことを一番知ってくれているデザイナーさんだと思っていたので、素敵な作品になるはずっていう期待でいっぱいでした。佐藤:喜んでお引き受けしたものの、神木さんのことをどのくらい知っているのか、自分ではわからないところもあるわけです。メディアを通して見る神木さんと直接お会いした姿、もしくは外側から受ける印象とは違う部分もあるかもしれないので、どの辺に目盛りを合わせようか考えました。それで全然違う考え方のデザインを3案作ったんだけど、最初にできてこれを選んでくれたらいいなと思っていたものを選んでくれて。神木:そうだったんですね!見た瞬間に「僕はこれがいいです!」って即決したら、「ほかもあるので見てください」って(笑)。佐藤:早かったよね。通常、企業の仕事だといろんな部署に確認したり、調査をしたりするので、決定にかなり時間がかかるんです。だけどデザイナーとしては、直感的にこれがいいと言ってもらうのが本当は快感。打ち合わせの後、スタッフとハイタッチしましたから(笑)。あらゆる人に受け入れられるニュートラルなイメージ。神木:このロゴデザインは、どんなふうに考えていったんですか?佐藤:何しろ名字が素敵なので「神の木」をシンボルにしようと思いました。“神”という字のへんとつくりは、棒状のものが下に向かっているので幹になるなと。根元が2本に分かれた木のイメージですね。それで、これはできるなとなりました。神木:神木でよかった(笑)。僕のどのイメージに目盛りを合わせるか考えたそうですが、どうやってチューニングしたのでしょう?佐藤:神木さんはユニセックスな感じというか、ジェンダーを超えたかわいらしさがありますよね。だから子どもっぽくしすぎず、大人っぽくもしすぎず、あらゆる人に受け入れられるような、ニュートラルなかわいさを意識しました。あと優しさも大切だと思ったので、尖っているところがない丸みを帯びた形にしています。ちなみにお仕事のときも、直感を生かせる場はよくありますか?神木:芝居ではありますね。なぜかわからないけどテストでは感じなかった感情が湧いてきて、本番の芝居が少し変わったりとか。直感はかなり大事にしていますし、それが間違っていたとしても勉強になるから、ああすればよかったとは思わない。佐藤:やっぱりクリエイターですね。今の世の中は理屈のほうが優先されて、直感や本能など人が本来持っている素晴らしいところがどんどん削除されているけれども、これからはより直感が求められる気がします。神木:一方でデザイナーさんは、直感を言葉で説明しなければいけない場面もありそうですよね。「よくわからないけどこっちがいい」とはクライアントに言えない気が(笑)。佐藤:ひと昔前まではそういうタイプのデザイナーが多かったんです。だけどそれだと、大きな組織の人たちをなかなか納得させられない。神木:この7年の間、世の中に求められるデザインは変わってきているのでしょうか。佐藤:刻々と変化はしていると思います。デザインは間をおつなぎする仕事なので、人や社会の価値観、志向が変われば、つなぎ方も当然変化するわけです。たとえば環境問題への意識が世界的に一気に高まっていることもそうですし、SNSなどでコミュニケーションのあり方が変わり、参加できるデザインが求められています。抽象的な言い方だけど、未完成のものをクオリティの高い状態で仕上げるようなイメージです。神木:たしかに、完成されたものは単に好き嫌いで終わったり、近寄りがたい感じがしそうですよね。佐藤:まったくその通り。完成の手前で止めておくと、カスタマイズして自分なりの付き合い方ができるから。神木さんの役の作り方も、そんな感じがちょっとするんだよね。神木:演技の場合は、現場に入って監督の言うことを聞いてやってみないとわからないところが多いので、最初は特に完成させず、第一印象をまとめるくらいですね。あとは直感をいかに表現できるか。その瞬発力が大事だと、最近感じています。佐藤:デザインはややもすると脳ばかり使って、身体性を失いがちだから、役者のように体とともにクリエイションがあるのは、ものすごく健全だし羨ましいですね。『おもて神木/うら神木』発売中。俳優としての“おもて”と、27歳の男性としての“うら”の2つの面から、25年間の歩みをひもとくアニバーサリーブック。染谷将太、中村隼人、志田未来、本郷奏多との対談のほか、母へのインタビュー&親子ショット、錚々たる著名人からのメッセージなどを収録。[限定版]特装BOX&メイキングDVD付き¥4,500[通常版]¥3,000さとう・たく株式会社TSDO代表。「明治おいしい牛乳」「ロッテ キシリトールガム」のパッケージデザイン、国立科学博物館のシンボルマークなどを手がける。著書に『塑する思考』。かみき・りゅうのすけ1993年5月19日生まれ、埼玉県出身。近年は舞台への出演やMVの監督・プロデュースでも才能を発揮。デビュー25周年記念プロジェクトを始動中。YouTube公式チャンネル「リュウチューブ」は毎週木曜20時配信。ジャケット¥49,000パンツ¥42,000(共にスタジオ ニコルソン/キーロ TEL:03・3710・9696)シャツ¥26,000(ファクトタム/ファクトタム ラボ ストア TEL:03・5428・3434)シューズ¥21,000(クレマン/プーオフィス TEL:03・6427・7081)※『anan』2020年10月14日号より。写真・松田 拓スタイリスト・鹿野巧真ヘア&メイク・MIZUHO(vitamins)取材、文・兵藤育子(by anan編集部)
2020年10月13日範宙遊泳の山本卓卓が、KAAT 神奈川芸術劇場のキッズ・プログラムに初登場。岡田淳原作の『二分間の冒険』を、8月17日から、同劇場の大スタジオで上演する。山本とキッズ・プログラム、意外にも思われるこの組み合わせ。だがKAATについて山本は「とても良い劇場」と語り、両者の良好な関係がこの企画を後押ししたことを明かす。「KAATの人たちはちゃんと“人”でつくっている感じがするんですよね。流れ作業ではなく、そこにしっかりと血が通っている。またアーティストとどう関わろうかを考えてくれますし、さらに地域のことも考えている。キッズに力を入れているところも魅力的ですし。だからお話をいただいた時はぜひ!って感じでした」『二分間の冒険』に関しては、KAATの方から提案があったとのこと。山本は上演台本と演出を担うが、劇団公演を始め、これまで手がけた舞台はほぼオリジナル。原作ものへの抵抗はなかったのだろうか。「まったくないですね。逆に僕、得意だと思いますよ。というのも、原作者の考えていることっていうのは上演台本を書きながらもすごくためになりますし、そこからどう自分なりのものに置き換えていくか。それを思案するのはすごく楽しい作業で。自分の中から絞り出して書くオリジナルよりも、ずっと楽しかったです」原作は小学校高学年以上を対象にした長編冒険小説。だが舞台では4歳から入場可ということで、わかりやすい表現へと意識的に書き換えたのかと思いきや……。「子供目線ということを強調したくないと思ったんです。だから平易な言葉にする、みたいなことはまったくやっていませんし、多少難しくてもそのままでいいかなと。難しいってネガティブに捉えられがちですが、つまりは考えるきっかけになるということ。そして今伝わらなかったとしても、何時間、何日、何年か後に伝わる可能性はある。それを僕は“ディレイ”と呼んでいて、特にこの作品ではそのディレイに期待しているんです」本作には主要なキャストが7人登場するが、それ以外に公募された10人がエキストラ=”みんな”役として参加している。「先日初めて、”みんな”勢も加わって稽古をしてみたんです。メインと言われるメンバーはかなり細かい段階まで仕上がってきているんですが、そこにみんな勢が入った時に、お芝居がさらに立体的になったのを見てすごくワクワクして。これからもっと荒々しくて初々しいものになっていくはずなので、その駆け引きが今から楽しみですね」すでに来年にはツアーも予定されている本作。“みんな”役は各都市でそれぞれ新たに公募される。「だから地方によってバージョンが変わるわけで、それこそ僕がやりたかったことなんですよね。地域の人たちと経験を共有することが出来ますし、演出家としてももうちょっとキャストのボリュームを出したいって時にそれが可能になる。これがフォーマットとして演劇界に定着していけば、演劇の可能性をもっと広げられるんじゃないか。そのひとつの可能性として提示したいって気持ちもあるんです」その第一歩はまず8月の横浜から。そして山本はこの舞台にこんな想いを込める。「人は最終的には“個”、“私”であるということですね。もちろん最初から最後まで“私”では、ただ我が強いだけでダメですけど。まず“私”から始まって、次に“あなた”の存在に気づき、そこから“私たち”になって、さらに“みんな”になる。でもそこからちゃんと“個”があることが認識出来ると、“私”から“私”までの過程がものすごくぶ厚くなるはずで。それを感じ取ってもらえたら嬉しいですし、ディレイしていつか届くといいなと思います」取材・文:野上瑠美子
2019年08月15日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週土曜日は、洋書を専門に扱う原宿のブックショップ「シェルフ(Shelf)」(東京都渋谷区神宮前3-7-4)が選ぶ書籍をご紹介します。■『プロヴォーク 復刻版 全三巻/PROVOKE Complete Reprint of 3 Volumes』多木浩二、中平卓馬、高梨豊、岡田隆彦(第2号目から森山大道も参加)らにより1968年に創刊された伝説の写真同人誌『プロヴォーク』の完全復刻版。全3冊+別巻1冊からなる本書は、当時の『プロヴォーク』全3号分から原稿データを抽出し、写真イメージも忠実に再現されている。別巻では、文章が英語と中国語にも翻訳されている。さらに、第2号にのみ付属していたとされる帯も完全再現されている。【書籍情報】『プロヴォーク 復刻版 全三巻/PROVOKE Complete Reprint of 3 Volumes』出版社:二手舎ハードカバー/第1号68ページ210×210mm/第2号109ページ240×180mm/第3号110ページ240×190mm発刊:2018年言語:日本語・別巻(英語/中国語訳)価格:8,000円■Shelfオフィシャルサイトで『プロヴォーク 復刻版 全三巻/PROVOKE Complete Reprint of 3 Volumes』を購入する
2018年11月03日脚本家・野島伸司の書き下ろし、dTV×FOD共同製作ドラマ「彼氏をローンで買いました」が、3月9日(金)より「dTV」と「FOD」にて同時配信されることが決定。また、真野恵里菜、横浜流星が出演することも分かった。■あらすじ大手外資系商社キャピタルホールディングス東京で毎日笑顔を張り付けながら受付として働く浮島多恵には、同じ会社に付き合って1年になる彼氏・白石俊平がいる。彼は非の打ち所のなく将来有望な彼氏だが、彼と結婚するために日々“猫”をかぶり本音を言えない多恵であった。ある日、かつて伝説の受付嬢と言われ、誰もがうらやむようなエリートと結婚をした先輩・南場麗華と再会するも、“猫”をかぶることに限界を感じ本性を出してしまい、シングルマザーとなったことを聞き、その変貌ぶりに驚くのだった。昔の恋愛について赤裸々に語り出す姿を聞き、多恵の未来を暗示するようでもあった。そんな中、多恵は俊平の浮気に気づいてしまったことを麗華に相談すると“猫”をかぶらず、自分をさらけ出せる彼氏を月額39,800円でローン購入することを提案され、勢いに乗って購入したローン彼氏、刹那ジュンが段ボールに入って届くのだった…。■「高校教師」「パパ活」野島伸司によるオリジナルドラマ本作は、渡部篤郎と飯豊まりえを主演に迎えた「パパ活」の制作スタッフが集結したオリジナルドラマ。「高校教師」「未成年」「パパ活」「雨が降ると君は優しい」の野島さんが今回描くテーマは、“現代女性のリアル”。エリート彼氏と結婚をして専業主婦になるという夢を持つ受付嬢の主人公が、夢を叶えるために猫をかぶりながら社会で奮闘するも、ストレスフルな毎日に不安をおぼえ、ストレス発散用に月額39,800円のローンで彼氏を“購入”したことで動き出す心模様を描きだす恋愛ドラマ。視聴者の想像を超えるまさかの展開ながら、現代女性ならではの主人公の選択に多くの女性が納得できる内容になっているという。野島さんは、今回のテーマを選定した理由について「離婚率が爆発的に上がり、自分なりに理由を探索してみました。どうぶつの森アプリで遊びながらw」と告白。物語の結末については「好き同士は、相手にこそ自分を分かって欲しいと、時に思いやりに欠けてしまいます。疲弊し、壊れないように、セクシャルな関係でなければ、別の異性に理解者がいても良くないですかね」と主人公が選択する未来に対して語っている。■横浜流星、月額39,800円のローン彼氏に!そんな本作で主人公を演じるのは、『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』『新宿スワン』『みんな!エスパーだよ!』の真野さん。外面は受付嬢のセンターとして男たちを虜にするも、本性は歯に衣着せぬ物言いで、日々抱えている毒を悪びれもせず吐きまくるという2面性のある振り切ったキャラクターを演じ、新境地を切り開く。また、主人公のストレス発散用として月額39,800円で購入されるローン彼氏には、「烈車戦隊トッキュウジャー」『キセキ ーあの日のソビトー』に出演し、今後も『兄友』『虹色デイズ』と主演作の公開を控える横浜流星。主人公に自分の借金を肩代わりしてもらうかわりに、どんな命令でも従順に従うキャラクターを演じる。真野さんは、「野島さんとは、6年前に舞台『ウサニ』でご一緒させて頂いて以来だったので、ドラマで改めてお仕事させて頂けることができて、とても嬉しいです。主演という立場を頂けたことにプレッシャーも感じますが、背筋が伸びる思いです!」と心境を明かし、「何よりもセリフ量の多さにびっくりしましたが、『普段の女子会ではこれくらいの勢いで話してるな』『うわー、こういう話するする…』と思うところもあり、それを分かっている野島さん恐るべし!って思いました(笑)」とドラマではあるある要素も盛り込まれているようだ。今回野島作品に初参戦となる横浜さんは「非現実的な設定もありますが、新たな野島さんの世界観が詰まっていて面白いですし、主人公の多恵が女性の本音を代弁してくれているので『いまの女性はこんなこと考えているんだ』と勉強になりました。女性の方は共感出来る作品になるだろうなと思います」とコメント。また「多恵がエリート彼氏かローン彼氏のどちらを選ぶのか最後まで見届けて欲しいです!!また、皆さんに『こんなローン彼氏が欲しい!』と思って頂けたら嬉しいです!」と話している。dTV×FOD共同製作ドラマ「彼氏をローンで買いました」は3月9日(金)dTV&FODにて配信開始(全8話、毎週金・月曜日更新)。(cinemacafe.net)
2018年02月23日カリスマ脚本家・野島伸司によるHuluオリジナル連続ドラマ「雨が降ると君は優しい」で、佐々木希がセックス依存症の女性を演じる。ピュアなイメージのある彼女にとって、大きな、大きなチャレンジだ。なぜ衝撃的な題材に飛び込む勇気が持てたのか聞いてみると、「野島さんの脚本が素晴らしかった」と佐々木さん。一方の野島さんも、ヒロインを佐々木さんに託せたことに“運命”すら感じていた。本作は、心から愛し合いながらも、“妻のセックス依存症”という究極の試練を与えられた新婚夫婦・信夫(玉山鉄二)と彩(佐々木さん)の苦悩を描く悲劇的な純愛ドラマ。「高校教師」などタブーを打ち破るような作品から、人間の苦しみやそのなかでも愛することの美しさを描いてきた野島さん。彼が「本当に描きたかったもの」と熱を込めるのが本作だ。企画が本格的に始動するまで3年もの歳月を要したというが、野島さんは「コンプライアンス的に、地上波では難しいテーマなので。時間がかかってしまった」と打ち明ける。「『お蔵入りか?』と思ったことが3回くらいありました。アルコールもそうだし、“依存”というテーマがもうNGなんです。実際に苦しんでいる人たちがいるのに、地上波だとそういうものはやらないでと言われてしまう」。「僕はNG作家になってきている」と苦笑いを見せる野島さん。地上波では難しいものも、可能にするのが動画配信サービスだ。本作もHuluとタッグを組むことにより、追い風に乗った。「Huluでなければ描けなかった。そういう時代なので、いつまでも地上波でと言っていても仕方がない。世界的にはペイチャンネルなどの方がブレイクするものが作られてきています。僕としては良いソフトが残ればいいと思っているので、どこの媒体であれ、ソフトを残せる場所があってよかったなと思っています」と描きたいものをぶつけられる場所を得た喜びを語る。その熱意を聞いた佐々木さんは「この作品と役に出会えて本当にうれしい」と微笑む。役を受け取ったときには「戸惑いはありました」と言うが、「彩という女性が愛おしくてたまらなかった。守ってあげたい、なんとかしてあげたいと思った」と愛情を感じたそう。「依存症を抱えた役ですので、大きなチャレンジになるとは思いました。でもそれと同時に、やりがいも感じて。とにかくこの夫婦がどうなっていくのか見届けたかった」。野島さんの脚本に魅了され、一歩を踏み出した。佐々木さんのイメージを覆す役となるが、野島さんは「ぴったりだと思った」とにっこり。「当初から、彩のキャスティングが一番難しいとは思っていて。自分のやっていることに罪悪感を感じ過ぎても暗くなってしまうし、だからといって開き直っても感じが悪い(笑)。チャーミングさも持ち合わせなければいけないし、その絶妙なバランスがものすごく難しい」というように、彩という女性は病気と愛する人の間で悩み、もがく難役だ。しかし運命的な出会いが、佐々木さんと彩を結びつけた。「佐々木さんとは、とある会で初めて会って。立ち姿を見たときに、この感じだ!と思ったんです。ようやくHuluがこの企画をやってくれるということで、ちょうどキャスティングの段階に進んでいるときだったんです」と野島さんは、佐々木さんを一目見てビビビときたのだとか。佐々木さんは「そんなに挙動不審でしたか?」と笑いながら、「あまりにすごい方々ばかりが集まっていて。ドキドキしていたんです。そんななか、『希ちゃん、野島さんだよ』と紹介していただき、あの野島さんですか!?と驚いてしまって。緊張もしているし、なんだかふわふわとしてしまって。私、変な感じだったと思います」と瞳を輝かせながらふり返る。理想的ヒロインと相思相愛、奇跡的な巡り合いを果たした。撮影がスタートし、その抜擢は確信へと変わる。野島さんは「撮影が始まったら、その破壊力はすごいですよ。イメージがジャストフィットだと思った以上に、クリエイティブに役に寄り添っている。ものすごく頭のいい子だと思いました」と太鼓判。「うれしい!」と笑顔を弾けさせる佐々木さんは、「やっぱりとても難しい役。信夫といるときとクリニックにいるときはまったく別の顔を見せる。感情も不安定で、激しい。病気についてもいろいろ調べました」と作品にのめり込んでいる。セックス依存症という題材を通して、一体どんな愛が浮かび上がるのか?野島さんは「一途な愛」だと話す。佐々木さんも「玉山さんとも『もし自分の相手がそうだったら、それを背負えるのか?』という話をしていて。最後まで愛し抜く力や精神が、私にはあるのか?できるのか?と考えてしまいました」と愛について熟考するきかっけともなったそう。野島さんは「ラブストーリーというのは、『ふたりをハッピーにしない枷を作る』というのが、物語を作る上での基本。その枷として、考えうる最高難度のものを作った」と着想のきっかけを吐露し、「現実でも、自分をすごく好きになってくれた彼女が、別れたらすぐに次を見つけてしまったりする(笑)。あれはなんだったんだろうと思うことがあるけれど、本作のヒロインはそうではなくて。信夫に捨てられたら、ほかの男を見つけるという回路はない。別れてしまえば苦しまないで済むのに、別れられない。二人にとって、依存ってなんだろう?ということを描きたいと思っていました」と“描きたかった愛”について語る。野島さんの話を聞くにつれ、「野島さん作品は、のぞいてはいけない世界をのぞいているようなドキドキ感がある」と女優魂に火がついている様子の佐々木さん。女優・佐々木希が野島伸司のもと、新たな扉を開く――。「覚悟を持って、最後まで頑張ります!」と意気込むその笑顔は驚くほど輝き、彼女自身がその扉の向こうを楽しみにしているよう。描かれる愛の行く末とともに、佐々木さんの新境地に胸が高鳴る。(text:Orie Narita/photo:Nahoko Suzuki)
2017年09月14日Hulu配信のオリジナルドラマで、野島伸司が脚本を担当し、佐々木希がセックス依存症に陥った妻を演じる「雨が降ると君は優しい」の第1話上映会が9月12日(火)に開催。主演の玉山鉄二、佐々木さん、野島さんによる舞台挨拶が行われた。「高校教師」、「未成年」など数々の人気ドラマの脚本家として時代を築いた野島さんが、地上波では扱いにくい性嗜好障害――いわゆるセックス依存症を題材に夫婦の絆と純愛を描き出す。夫を深く愛しながらも、晴れた日にはどうにも抗えない衝動を覚えて、不特定多数の男に身体を委ねてしまう妻・彩を演じた佐々木さんは「テーマがテーマだけに悩んだ」と告白。「ドキドキしながら台本を読み始めたら『自分が演じたら?』とも考えずに単純に面白くてあっという間に読んでしまいました。彩は、儚くていつか消えちゃうんじゃないかという危うさがあり、何とかしてあげたくなる愛おしさを感じた」とも。野島さんは「以前、『高校教師』で桜井幸子が最初『私、この役はできません』と言ったけど、ヒロインがかわいくて、感情移入して、自分がこの役をかわいく演じることで救いたいと1週間後に言ってきたことがあったけど、その感覚に近いものがあるんじゃないかと」と佐々木さんの思いを分析。佐々木さんは彩を演じ切り「本当にやってよかったなと思います。野島さんに選んでいただいてよかった。幸せです」と充実の笑顔。野島さんも「見た方はビックリされると思います。破壊力ハンパないです」と称賛を送る。そんな彩をそれでも愛し、支え、苦しむ夫の信夫を演じた玉山さんも「(オファーを)お受けするのは怖かった」と語るが「野島さんの大ファンだったし、この作品を乗り越えた役者人生の景色を見てみたかった」と覚悟をもって参戦を決めた。完成した作品について「妻と見たんですが、女性は男性とまた違った見方をするみたいで、『信ちゃん』と妻に呼ばれました。『信ちゃんがいい』と…ということは、うまくいったのかなと(笑)」と手応えを明かす。その後も、本作を経たことでの夫婦観の変化などを問われて「(奥さんが)『鉄っちゃんよりも信ちゃんがいい!』と言うんです(笑)。なんでも受け入れる、懐の広い男がモテるのか?というか、鉄っちゃんは懐が狭いのか(苦笑)?」とノロケを交えて語り、会場は笑いに包まれていた。同じ問いに、佐々木さんは「私は(入籍から)そんなに経ってないから難しいな…」と苦笑を浮かべつつ「この夫婦のように、全部受け入れて、信じ、味方でいてくれる、強い絆はうらやましい。見返りを求めない無償の愛、ピュアなふたりの思いはきれいだなと思います」と語っていた。玉山さんは本作を「奇抜ですが、不純な恋愛ではなく悲劇的な純愛文学」と強調。「最近、不倫が話題になっていますが、箸休めに純愛ラブストーリーを見て、疑似体験していただければ」と呼びかけた。「雨が降ると君は優しい」はHuluにて9月16日(土)より配信開始(全8話/毎週土曜配信)。(text:cinemacafe.net)
2017年09月12日モデルでタレントの市川紗椰(30)が9月12日、東京都内で行われたJR東日本グループのイベントに登場した。 市川といえば8月29日発売の写真週刊誌「FLASH」で、フジテレビ系報道番組「ユアタイム」で共演する野島卓アナウンサー(50)との交際を報じられたばかり。報道以来、初の公の場となった。 同番組の中でもかなりの“鉄道マニア”ぶりをうかがわせている市川。イベントでは、「JR東日本の107系が今月引退するので、週末に見に行ったりして忙しいです」と“鉄道愛”全開で熱弁をふるった。 また今年で30歳を迎えた心境については、「ゆっくりすることが好きになってきた。20代は目の前のことを必死にやってきた感じだったので。このままのペースで周りに流されず、いろんなことを気にしないで貫いていきたい」と語った。 会見終了後、集まった報道陣からは野島アナとの交際に関する質問が飛んだ。しかし、市川は無言で笑みを浮かべて会場を後にした。 「すでに9月で『ユアタイム』の終了が決定。キャスターをつとめている間に特定企業のイベントなどへ出席することはご法度ですが、事務所は番組終了後を見越してどんどん仕事を入れているようです」(フジテレビ関係者) 平日は恋人との共演で、週末は趣味を満喫。市川の“マイタイム”はかなり充実しているようだ。
2017年09月12日フジテレビ系「ユアタイム」でキャスターをつとめるモデルでタレントの市川紗椰(30)と同番組に出演するフジテレビの野島卓アナウンサー(50)の交際を、8月29日発売の写真週刊誌「FLASH」が報じた。 同誌によると、報道経験のない市川を野島アナがバックアップするうちに親密な関係へと発展。昨年4月から同番組で共演している2人だが、すでに半同棲状態だというのだ。 発売前日の28日にはWEB版の「SmartFLASH」が先駆けて報道。しかし28日と29日のいずれも、2人は何事もなかったかのように同番組へ出演し交際にも言及しなかった。 「交際報道を受け、局内ではすっかりシラケムードが漂っています。『彼女のMCとしての技術は向上していない』『番組に対する熱がない』『ろくに番組前の会議にも出ていない』『お気楽すぎる』など批判の声が続出。『結局、市川が番組で得たのは彼氏だけ』と辛らつな意見も出ていました。ただ、いっぽうでは『いつ交際宣言するか視聴者が関心を持てば、少しは視聴率がアップするはずだ』と皮算用をしている人もいます」(番組関係者) 同番組はすでに9月いっぱいでの終了が決定している。市川はわずか1年半でキャスターとして“お役御免”となるが、気になるのが今後の身の振り方だ。 「市川さんは相撲や鉄道など、多趣味で博識。その知識を生かしてバラエティー番組からはお声がかかりそうです。ただ今回の評判が出回ってしまっているので、報道番組からはまったく声がかからないでしょう。野島アナと結婚して悠々自適に稼ぐのが、いちばん賢い生き方なのではないでしょうか」(テレビ局関係者)
2017年08月30日「高校教師」「家なき子」を始め、数多くの衝撃作を生み出してきた野島伸司が脚本を手掛けるHuluオリジナルドラマ「雨が降ると君は優しい」が、「Hulu」にて今秋配信されることが決定。また、玉山鉄二と佐々木希が夫婦役で出演。妻が不特定多数の男と体の関係を持ってしまう“心の病”だと知ったとき、夫は妻をそれでも愛しぬくことができるのか…!?“セックス依存症”を題材に、悲劇的純愛ドラマを描いていく。本ドラマは、野島さんが「本当に描きたいドラマ」を形にするべく、3年の歳月をかけて丁寧に紡ぎ出した作品。題材として選んだのは、“男女の間に横たわる究極のカセ”…地上波作品では描くことが極めて困難な「セックス依存症」。その呼称と症状から好奇の目で見られがちだが、実は「性嗜好障害」という病気の一つで、患者ひとりの力では到底抗えない深刻な心のエラー。本作では、心から愛し合いながらも“妻のセックス依存症”という究極の試練を与えられた新婚夫婦を中心に、“心の闇を抱えた男女らの愛と憎しみが交錯する群像劇”を描写する。そんな本作で主人公・立木信夫を演じるのは、「薔薇のない花屋」以来、2度目の野島作品参加となる玉山さん。連続テレビ小説「マッサン」では、ストレートな夫婦の純愛を演じ切り、世の喝采を浴びた彼だが、今作では一途に愛する妻がセックス依存症だと知り、計り知れない苦悩にさいなまれていく夫を演じる。そして、信夫の妻・立木彩を野島作品初参加となる佐々木さんが熱演。今年4月に結婚し新妻となった佐々木さんが、本作でも新婚の妻を演じるのだが、しかし、彼女は心の底から夫を愛しながらも、不特定多数の男に抱かれずにはいられないセックス依存症という役どころ。なぜか眩しく晴れた日には抗えない衝動を覚えて、見知らぬ男と肉体関係を持ってしまう彩。夫にはその事実をひた隠しにしてきたが、ある出来事からその秘密が夫の知るところとなり、激しい苦悩と呵責にさいなまれていく…。初め台本を読んだときには、深く理解することができなかったと話す玉山さんだが、「このドラマは昔のフランス映画のように、“観る人によって感じ方が違う愛の表現”を織り込んだ作品。僕が間違った方向に捉えていたらどうしよう…と、クランクインするまでは毎日が恐怖でした。ですが、実際に信夫を体に入れ、先入観やセオリーといった雑念をそぎ落としながら演じていくと、徐々にベースと方向性が見えてきました」とコメント。また、恋愛モノはあまりやったことがないと言い、「女優さんとずっと目を合わせることに気恥ずかしさを感じる部分もありますが(笑)いまは何よりも“信夫として抱く感情”を大事にしながら撮影に臨んでいます。役者としての居心地はすごくいいです!」と話している。また佐々木さんは、「登場人物それぞれが、周囲の人たちも含めてのちのち点と点がつながっていきますし、ビックリするような展開の連続です」とドラマについて明かし、自身も台本を読みながら早く次が読みたくて仕方なかったほど、惹き込まれてしまったと語る。役柄については、「性嗜好障害を患っていますが、夫のノブちゃんを心の底から愛している女性。自分ではどうしようもない分、ものすごい罪悪感に苛まれ、自分自身を嫌いになる瞬間もあるからこそ、ノブちゃんの前では“いい妻”であろうとします。私にはそんな彩が純粋で儚い女性に思えて、愛おしくなりました。だからこそ彩を演じていると、日々つらい気持ちになります」と話すも、「このような女性を演じるのは初めてなので『すごい挑戦だな』とやりがいを感じますし、女優として新しい扉が開けている気もしています。というのも、撮影中は泣かなくてもいい場面で泣けてきたり、ノブちゃんと眠るシーンで心から安心して、本当に寝そうになってしまったり…(笑)、すごく優しい玉山さんに引っ張っていただいているおかげもあって、自分でも『こんな感情になるんだ!』という新発見がたくさんあります」と新境地を切り拓いているようだ。Huluオリジナル「雨が降ると君は優しい」は今秋、「Hulu」にて配信予定(全8話)。(cinemacafe.net)
2017年07月20日「高校教師」「未成年」など現代社会を独自の視点で鋭く切り取り、数多くのヒットドラマを生み出してきた野島伸司が脚本を務める「パパ活」が、6月26日(月)よりdTVとFODにて配信。主演に渡部篤郎、飯豊まりえを迎え、いま話題の現代の新たな男女関係をテーマに“スキャンダラス”なラブストーリーを描く。ごく普通の女子大生・杏里(20歳)は、母親に恋人ができたことがきっかけで家から追い出されてしまう。交際中の彼氏にも見放されて、ネットカフェを転々としながら大学に通う日々を送っていたが、あるとき、友人から「パパ活」の存在を聞く。最初は消極的な杏里だったが、生活費を稼ぐために登録したパパ活サイトを通じて航(45歳)という男性と出会い、その日は彼が契約するマンションの1室で1人で眠ることに。数日ぶりの眠りに安堵した杏里だったが、翌朝、思わぬ形で航と再会。杏里は、航を取り巻く隠された真実に直面していく――。dTVとフジテレビるタッグを組んだオリジナルドラマは、本作が第2弾。第1弾として、主演に山下健二郎(三代目 J Soul Brothers)を迎えて男女6人の恋模様を描いた王道ラブストーリー「Love or Not」をdTVとフジテレビが運営するFODで同時配信し、ユーザーからの支持を得た。今回は、社会派ドラマの名匠として知られる野島氏が、カラダの関係はなく、デートをするだけ、金銭的支援をしてくれる男性との交際を意味する“パパ活”という現代の新たな男女関係を中心に、人間の本質をリアルに表現。ストーリーが進むにつれて視聴者の想像を超える展開が待ち受ける、スキャンダラスなラブストーリーを生み出した。主演を務めるのは、「東海テレビ×WOWOW 共同製作連続ドラマ 犯罪症候群」をはじめ、高い演技力でさまざまな難役を演じてきた実力派俳優・渡部さんと、映画『暗黒女子』で自身初の映画主演を果たすなど、いま最も注目を集める若手女優の飯豊さん。それぞれ、“パパ活”を通じて知り合い、隠されていた真実に直面しながら衝撃的な運命へと導かれる45歳大学講師と、ごく普通の20歳の女子大生を演じる。さらに、「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」で一躍注目を集めたネクストブレイク俳優・健太郎をはじめ、実力派俳優の霧島れいか、橋本さとしら多彩なキャストが集結。本作の主題歌は、新人ながらカンテレ・フジテレビ系連続ドラマ「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」主題歌(オープニング曲)に大抜擢され、注目を集めるシンガー・Beverly(ビバリー)の「Unchain my heart」に決定。妖しげなバイオリンによるイントロと、切ない歌声が本作の世界観を彩る。野島氏は、“パパ活”について「援助交際を綺麗事で包んだとも言われていますが、現代世相の1つです。背景には、授業料、奨学金が払えない貧困女子という、社会問題と繋がっているようです」と鋭く分析。「物語はフィクションであり、入り口のモチーフとして使い、中年男性との想像も出来ない恋物語に移行します。ヒロインと同じように進むかどうかの選択肢は多義に渡ります。自分に置き換えて視聴して楽しんで貰えたらと思います。なお、くれぐれも、サイトへの登録は自己責任ですが(笑)」と語り、一筋縄ではいかなそうなヒロインの恋に言及する。また、「自分には似ていない人物を演じることは、大変貴重な経験」と語るのは、渡部さん。「わからないことなど、色々な方向からその人間を考える時間もとても貴重でした。野島伸司さんの脚本に参加させていただくのは初めてで、50歳手前で参加させてもらえたことも、また1つ勉強になりました」と真摯にふり返りながら、本作を「心に傷を負った人たちの精一杯生きようとする、愛の作品」と語っている。「自分の父親と同い年くらいの相手」に恋をする飯豊さんは、「パパ活を超えた2人の関係の先にみえるものはなんなのか。年の差の恋愛を不朽の名作をうみだしている野島さんがまた違う形で書かれたこと、愛の形や人との繋がりの深さ、それを同年代の方たちにも感じ取っていただきたいです」と力を込めてコメント。「大人の男性にしかできないようなオシャレな胸キュンシーンもあります」というだけに、期待が高まる。dTV×FOD共同製作ドラマ「パパ活」は6月26日(月)深夜0時よりdTV&FODにて第1話配信スタート、毎週月曜0時配信(全8話)。(text:cinemacafe.net)
2017年05月22日モデルの市川紗椰さん(29)がメインキャスターを務めるニュース番組『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)。この番組の平均視聴率がついに2パーセント台にまで落ち込んだことがわかり、話題になっています。実はこの番組、もともとはタレントのショーンKさん(48)がメインキャスターを担当する予定でした。しかし番組スタートの直前に経歴詐称が判明し降板が決定したため、市川さんが単独MCとして原稿を読むことになったとのこと。キャスター未経験だった市川さんは急きょレッスンに取り組んだものの、なかなか厳しいものがあるようで、放送開始当初から現在に至るまで原稿を噛みまくっています。別番組では、隣りに座る野島卓アナから『死ねば』の目で睨まれたことがあると告白したほどのたどたどしさなのです。一連の報道をうけ、ネット上には市川さんの実力不足を指摘する多くの声がよせられました。●「声が聞きとりにくい」「なんでキャスターやってるの?」ネット上の市川さんへのコメント『一日働いて、あー疲れたって帰ってきて、このレベルの子を見たいって誰が思う?何もかもがキツいよ』『声がすごく聞きとりにくい。自分なりの意見を言えるわけでもないし、この子にキャスターはムリ』『市川って自分の興味あることだけは嬉しそうに話すけど、興味のない内容についてはホントにやる気なくてつまらなさそう。感じ悪いから最近は見てない』『可愛くない、知識もない、そのうえトロい。なんでキャスターやってるのか分かんない。視聴率低迷は自明の理』『この方、表情が暗いし、声が小さい。ホントはこの仕事が嫌なんだろうなっていう気持ちが伝わってくる。視聴者は敏感なんだよ』『市川って人よく知らないけど、脇役として輝くタイプなんじゃないの?死ねばの目で睨まれたってネタっぽくしてるけど、実際の現場は険悪なんだろうなとしか思えない』『視聴率2パーセントって、“たまたまそのチャンネルがついてただけ”っていう程度でしょ。もはやこの番組を狙って観ている視聴者はほぼいないのでは』『ニュース番組なんだから、プロに読ませるべきなんだよ。ショーンが降板した段階で市川もおろして、本物のアナウンサーを登用したほうがよかった。市川さんじゃ、悪いけど見る気も失せる』といったように、視聴率の低迷は市川さんの力不足も一因なのではという声が多くあげられました。●「ショーンKのほうがまだまし」と感じる視聴者もまた中には、降板することになったショーンさんに対するこんな意見も。『こんなんだったら、もうショーン連れてこいよ。詐称の件はもう詫びたんだから許してやるよ』『こんなアマチュアの読む、噛みまくりのニュース見たくない。ショーンKが出てたほうがまだ数字取れるんじゃね?』『ショーンが出るなら見るんだけどな……経歴はどうあれ、コメンテーターとしての実力はあったもんね』といったように、ショーンさんの復活を望むようなコメントも見られました。さて、今後の市川さんによる巻き返し、そして番組視聴率の復活はあるのでしょうか。これからが気になるところですね。【画像出典元】・DJ PROFILE | ショーンK | サンディSUNDAY/●文/ぶるーす(芸能ライター)
2016年11月08日フジテレビで4月より新設される日曜21時のドラマ枠にて、芦田愛菜とシャーロット・ケイト・フォックスが初共演にしてW主演を務め、希代の脚本家・野島伸司が紡ぎ出す珠玉のハートフルホームコメディー「OUR HOUSE」(仮)が放送されることが分かった。舞台は、東京の下町。清貧の大家族・伴一家の4人兄弟の2番目の長女・伴桜子(12歳)が主人公。半年前に母親が病気で他界してから、家事全般を一手に引き受け、“鬼軍曹”さながらに厳しく家族に接してきた。母親の喪失という大きな傷が癒えない中、父親・奏太がアメリカで電撃的に知り合い、交際0日にも関わらず、現地で結婚したアメリカ人女性のアリス・シェパード(30歳)を新しい母親として連れ帰ってくる。母親が亡くなってから半年しかたっていないのに、1日も付き合ったことがない外国人と結婚するなんて考えられないと憤慨する桜子は、“鬼軍曹”としての実力を余すところなく発揮し、あの手この手で「新しい母親」であるアリスを追い出すべく、家族全員を巻き込み、様々なバトルを仕掛けていく。一方、もう一人の主人公アリス・シェパードは、アメリカ中西部に暮らしていた女性。写真家になる夢を持ちながらバイトで食いつなぐ日々に、どこか閉塞感を抱いていた。ある日、奏太と“運命的な出会い”を果たし、元々「とある理由」から日本に行きたいと願っていた彼女は、「この人が、ここから救い出してくれる救世主かも…」と信じ込み“スピード国際結婚、スピード来日”を決めた。しかし、フタを開けてみれば、目の前には個性の強い大家族が…。同じ日々の繰り返しに戻りたくない彼女は“大家族の母”として生き抜く決意を固める。天然で直情型のアリスは、家族一人一人と戦いながら、最も高い壁として行く手を阻む“ラスボス”桜子に、果敢に勝負を挑んでいく――!「101回目のプロポーズ」「ひとつ屋根の下」シリーズなど、数々の名作を手掛けた野島伸司が、6年ぶりにフジテレビ連続ドラマの脚本を担当する本作。“毒舌で家族を仕切る中1の鬼軍曹”と“天然直情型新米ママ”が、激しくぶつかり合い、笑って泣ける仁義なき戦いを繰り広げながらも、家族のあふれる愛情が感じられる珠玉のハートフルホームコメディーとなるようだ。一家の長女である12歳の主人公・伴桜子を演じるのは芦田さん。「マルモのおきて」で連続ドラマ初主演を果たして以降、数々のドラマや映画、CDデビューやバラエティー番組MCなど活動の場を広げている。本作では、実年齢より1歳上の中学生役ということで「中学生を演じることができるだろうかという不安もありますが、強がりで負けず嫌いな桜子は、素の私に似ていて、共感するところが多いです。私の憧れのひとつでもあるセーラー服を着られるのも楽しみです」と話し、初のセーラー服姿の披露に期待が注目が集まる。また見た目は可愛いのに毒舌な“鬼軍曹”という役どころだが、「私自身はひとりっ子なので、上にも下にも兄弟がいるのはどんな気分なんだろうと、いまからワクワクしています。物語が進んでいく中で、どんな家族になっていくのか、私自身楽しみですし、初共演となるシャーロットさんに負けないように、激しいバトルをしたいと思っています」と明かした。もう一人の主人公、アリス・シェパードを演じるのは、アメリカ合衆国ニューメキシコ州出身の女優、シャーロット・ケイト・フォックス。連続テレビ小説「マッサン」で“朝ドラ初の外国人ヒロイン”となる亀山エリー役を、日本語が全く話せないにも関わらずオーディションで勝ち取り、その体当たりの演技が評判に。その後は舞台「CHICAGO」で主役を演じるなど新たな魅力を開花させている。本作が、民放連続ドラマ初出演にして初主演となるシャーロット。「出演が決まった時は、とてもワクワク楽しみな気持ちになりましたが、それと同時に不安になりました。連続ドラマは『マッサン』以降経験してないですし、本当にできるかなと。でも私自身新しいことに、新しい作品にチャレンジしたいという強い思いがありましたので、頑張って絶対にいい作品にしたい」と意欲は十分な様子。“野島ワールド”で繰り広げられる、芦田さんとシャーロットのバトル&家族の愛情物語にいまから期待が高まる。「OUR HOUSE」(仮)は4月、毎週日曜日21時より放送予定。(text:cinemacafe.net)
2016年02月09日伊勢丹新宿店では2月16日まで、日本を代表するアニメ、マンガ、実写作品とアートディレクター吉水卓がコラボレーションした期間限定ショップ「Japanese Classics Designed by Taku Yoshimizu @Re-Style CULTURE」を同店本館2階TOKYOクローゼット/リ・スタイルTOKYOにオープンしている。Japanese Classicsとは、吉水が手掛けるアートデザイン事務所「スイミーデザインラボ(SwimmyDesignLab)」から新たに始動した、キャラクター業界の常識を破るアートプロジェクトのこと。会場では、吉水が幼少期より好んだというキャラクター作品が同氏独自の世界観によってユーモラスにリライトされ、タイツやボクサーパンツ、ポーチ、インナーバッグなどの他、ノート、ミントタブレットケース、ウォーターボトル、小皿、蕎麦猪口に描かれ販売されている。この他、伊勢丹新宿店限定でTシャツに好みのキャラクター(※一部除く)をその場でプリントできるカスタムオーダー(7,000円から)も実施。Tシャツはホワイトとグレーが用意され、ホワイトはカラープリントとモノトーンプリント、グレーはモノトーンプリントができる。今回同氏によってリライトされている作品は、「リボンの騎士」、「ミンキーモモ」、「キューティーハニー」、「タイムボカンシリーズ、ヤッターマン」、「快獣ブースカ」、「ゲゲゲの鬼太郎」、「みなしごハッチ」、「鉄腕アトム」、「うる星やつら」、「アルプスの少女ハイジ」、「名探偵コナン」、「キン肉マン」、「ひみつのアッコちゃん」など。
2016年02月04日代官山周辺で働くクリエイターたちが中心となり活動している「東京代官山ロータリークラブ(以下、RCTD)」。RCTDが主催する「大西洋さん、卓話と食卓」というトークと共に日本のソウルフードであるお米や、お米と楽しむ食を味わうイベントが、同メンバーである遠山正道さんが代表を務める株式会社スマイルズの本社オフィスで開催された。会の前半は、三越伊勢丹ホールディングス・代表取締役社長の大西洋さんのトーク、後半では、お米や和牛など、日本の食文化を味わうイベントが行われた。「こめ結びのおもてなし」という米を主役にしたイベントでは、三越伊勢丹のフードバイヤーが厳選した、“日本各地のごはんの友”を使った料理や実りの秋を象徴する“日本酒”が供された。また装飾ユニット・mimosa(ミモザ)が、 実りの秋をイメージした紅葉や稲穂を取り入れた温かみのある草花で空間を演出した。おもてなしのドリンクには、米と麹で作る優しい味わいの「甘酒」(三崎屋醸造)、名酒の誉れ高い「雪の茅舎」(秋田・齋彌酒造店)、「りんごジュース」(岩手・紫波フルーツパーク)紅芋酢のソーダ割などを用意。そして“日本各地のごはんの友”を取り入れた料理は株式会社スマイルズのフードプランナー桑折敦子さんが担当した。青森ではじめて特Aランクを取得したキレと粘りのあるお米「青天の霹靂」を使って、「梅の実ひじき」(大宰府えどや)、「じゃこ山椒」(京都・たけのうち)などをくわえた“ひと口むすび”を握り、「玉ねぎ天」(岡山・長谷井商店)と大根を出汁で煮た“おでん”、宮崎の尾崎牛を使った“牛丼”や“キーマカレー”など、ごはんが欲しくなる幅広いフードメニューを並べた。「全国各地のごはんの友で結んだおむすびをはじめ、お米のおいしさを引き立てるメニューで、実りの秋を表現しました」と桑折さん。また会場を沸かせたのは、和牛文化を世界に発信するVIVA JAPAN代表の浜田寿人さんが用意した宮崎産の尾崎牛。「30ヶ月もかけて長期飼育する尾崎牛は、幻の和牛ともいわれ、東京では年間4、5頭入るかどうか。エシレバターのようにスッととける甘味のある脂など、和牛のなかでもトップクラスのおいしさです」との浜田さんの言葉に喉がなる。イベント空間に併設されたキッチンから、低温でじっくりローストした肉のグリルやサッとあぶった和牛寿司が運ばれると、待ちきれない参加者が次々に手を伸ばす光景がみられた。「こうやって多くの人に食べてもらい国内外にすばらしい和牛をPRしていきたい」と語った。卓話で刺激をうけて、食卓でお腹をみたす、心とカラダに豊かな実りを与えた「大西洋さん、卓話と食卓」は、大盛況のうちに幕を閉じた。前編「三越伊勢丹の大西洋社長が代官山ロータリークラブで語った“伊勢丹に就職した理由”とは?【イベントレポート--前編】」に続く。
2015年12月18日クリエイティブ集団「スイミーデザインラボ」の吉水卓が、結婚式や子どもの成長記録の写真データから作る、世界にひとつだけのアルバム「リ・スタイル×スイミーデザインラボメモリアル アート アルバム」の受注をスタートした。サービスの受付場所は伊勢丹新宿店本館3階 リ・スタイル。9月24日から10月7日での限定サービスで、約1か月後の受け渡しとなる。アルバムは全部で60ページ、基本料金は6万円。購入者自身が選んだ20枚のメインショットとその他80枚の写真および吉水の描き下ろしイラストから構成される。描き下ろしイラストは基本1ページだが、オプションで点数を追加することも可能。また、写真と切り絵、イラストを織り交ぜたアートページ(=見開き2ページ)もデフォルトで設定されている。表紙のカラーは100色以上。合皮仕様(追加料金5,000円)、クロス貼り仕様(追加料金3,000円)などのオプションの用意もあり、細部までこだわった一冊を作成することが出来る。中面には敢えてマットな質感の紙を使うことで、アートブック風に仕上がるのも特徴だ。アルバムには、お客一人ひとりの好みに合ったデザインが施されるばかりか、お気に入りの一枚を使用したページは、レーザーカット技術を用いて作成した切り絵と、吉水自身が描き下ろすイラストを融合させたアート作品に仕上がるのがミソだ。こうしたサービスに関して伊勢丹新宿のリ・スタイル担当者は「お客様に、自分の感性を生かしてオリジナルの一品を作る楽しさを味わってほしく思っている」とコメント。第一級のクリエイターの手により、センスが光る逸品に仕上がる歓びを提供したいという。また、吉水が「商品名は『メモリアル アート アルバム』だけど内容はアートブック」と話すように、大切な思い出をアートへと昇華させることが出来るのが大きなポイントだ。三越伊勢丹では9月第2週目に「オンリーエムアイ 秋のキャンペーン」で、「他にはない新しい価値」を持つ商品を発信しているが、今回のアルバムオーダーをはじめとするサービス型の通年企画「イセタン百貨“事”店」では、お気に入りのモノとの出合いや体験の提供も視野に入れ、様々なイベントやセミナーを開催していく。
2014年09月29日多くのデザイン賞を受賞しているアートディレクター・渡邉良重と、話題の企業広告を多数手がけるCMプランナー・高崎卓馬のトークイベントが、11月25日にマルノウチリーディングスタイルカフェで開催される。同イベントは、両氏が手がけた「ディーブロス(D-BROS)」の2014年絵本カレンダー「ディアベア(DEAR BEAR)」の発売を記念したもの。トークでは、渡邉の柔らかなイラストに、高崎の繊細な言葉が合わさり”物語”が完成したこのカレンダーの制作過程の他、広告業界の第一線で活躍する両氏が「モノや広告を通して何を考え、何を伝えようとしているのか」を聞くことができる。また、ショーやムービーの朗読を中心に活動中の美大生・前田エマによる同絵本カレンダーの朗読会や、カレンダー購入者向けのサイン会も実施される。会場では、カレンダーに登場する少女が描かれた新作のカップ&ソーサー(4種)を限定発売。カップとソーサーを組み合わせることでイラストが完成する仕組みになっており、カップを持ち上げると違った表情の少女のイラストが現れる。イベントに参加するには、店頭にて前売りチケットを購入するか、info.d-bros@draft.jp宛てに、名前、電話番号、枚数を記載したメールを送信することで申し込むことができる。「ディーブロス(D-BROS)」は、広告制作、グラフィックデザインを主とする株式会社ドラフトのプロダクトブランドとして1995年にスタート。ステーショナリー、インテリアツール、テーブルウェアなど数々のプロダクトを国内外で発表している。渡邉は、2012年に植原亮輔とともに「キギ」を設立。アートディレクションやグラフィックを中心に、ウェア、絵本、D-BROSプロダクトなどのデザインを手掛ける。ADC会員賞、NY ADCおよびD&AD金賞などを受賞し、国内外で高い評価を受けている。著書にロングセラーの絵本『BROOCH』(リトルモア)ほか。一方、高崎は電通コミュニケーションデザインセンターに所属。話題の企業広告を多数手がけ、映画『ホノカアボーイ』では脚本・プロデュースを担当した。2012年には『表現の技術』(朝日新聞出版)、小説『はるかかけら』(中央公論新社)を出版。さらにギギの渡邉や植原とともに三陽商会のコートキャンペーンや、気仙沼の日本酒のリニューアルプロジェクト「NAMIとUMI」にも携わっている。【イベント情報】渡邉良重 × 高崎卓馬 トークイベント会場:東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワーKITTE4F会期:11月25日時間:開場 18:30/19:00から20:30定員:60名参加費:1,500円(1ドリンク付き)問い合せ:03-3498-6851
2013年11月17日『ひとつ屋根の下』など数々のヒットドラマを手掛けた脚本家・野島伸司が、初めて舞台の脚本に挑戦。生のステージに築かれた新たな野島ワールド、『ウサニ』が開幕する。『ひとつ屋根~』で野島とタッグを組んだ演出家・永山耕三が演出を担い、テーマ音楽となるオリジナル曲を小室哲哉が書き下ろすなど、ドラマファン、音楽ファンも注目する話題の舞台だ。開幕前日の8月2日、公開リハーサルと会見が行われ、主演の溝端淳平と共演の平野綾、真野恵里菜、高岡早紀、山本耕史が登場し、本作への意気込みを語った。「ウサニ」チケット情報「23歳の僕には1回じゃ理解できない、深い愛の哲学を描いた不思議な世界」と溝端が言うように、現実と幻想の間を錯綜するストーリーは、次から次へと思いもよらぬ展開をみせる。青年コーゾー(溝端)が美味しいイチゴを作るため、アマゾンの奥地から持ち帰った伝説のへびイチゴの精霊は、ウサギに似たぬいぐるみ・ウサニ(平野と真野のWキャスト)に変身し、純真な愛をコーゾーへ注ぐ。その思いにほだされながらも謎の美女レーコ(高岡)との愛欲におぼれるコーゾー。そこにアマゾンの大蛇王スネーク(山本)が、ウサニを取り戻そうと現れる。ウサニ役の平野と真野は、愛らしい着ぐるみ姿で溝端を囲み「成立させるのが難しいほどの世界観。いろいろな視点から見ていただけたら」(平野)、「野島さんの初の舞台脚本にヒロインとして出させていただけて幸せ」(真野)とそれぞれコメント。浴衣姿の高岡が「この衣裳でわかるように、キャラクターが出て来るたびに違う世界が繰り広げられる。皆さんが今まで見たことのない世界に迷い込めるんじゃないかな」と落ち着いた自信の笑みを見せると、長い尾を持つ黄金の蛇に扮した山本も「かなり振り幅の広い世界観。いろいろなものを作り出してきた野島さんだけど、まだ新しいものが生まれるんだなと思った」と強く頷いた。ファンタジックな美術に彩られた舞台の上で展開するのは、コミカルかと思えばセクシー、はたまたスラップスティック。色合いの違うさまざまなシーンに意表を突かれる。“真実の愛とは?”“男はなぜ浮気をするのか?”といった深遠なテーマに向けて飛び交う言葉は、「見て見ぬフリが大事」「愛は使い捨てカイロのようなもの」等の野島流哲学だ。溝端が、まるでシェイクスピア悲劇を演じるかのように熱のこもった長い独白に全身全霊で挑み、健闘をみせていた。「のめり込むのが愛なのか、それとも居心地が良いのが愛なのか。そのふたつの対比が今回の舞台のカギなので、愛について考え直すきっかけになるのでは」と溝端。ファンタジーのヴェールに包まれた世界の奥で、辛辣な愛の痛みに出会う。そんな独特の魅力に満ちた舞台だ。公演は8月3日(金)から8月26日(日)まで東京・ルテアトル銀座 by PARCOにて上演。なお、限定公演日のみアフタートークイベントも開催する。取材・文:上野紀子
2012年08月03日