『長江哀歌』『罪の手ざわり』など数多くの傑作を手がけてきたジャ・ジャンク―監督の最新作『帰れない二人』が6日(金)から公開になる。本作はひと組の男女のラブ・ストーリーを描いているが、監督は意図的に物語の中で17年もの時間を経過させ、長い時の中で変化する人の心、社会の様子を描き出している。『プラットホーム』『青の稲妻』などキャリアの初期から世界の映画祭で注目を集めてきたジャ・ジャンク―監督は、変化していく中国社会の中でもがく者たちの姿を描き、自国よりも海外の方が評価が高い時期もあったが、ここ数年は自国で商業的ヒットを生み出すことも増えている。しかし、監督の姿勢はブレることがなく「社会から取り残された人に目を向けることが映画監督の仕事」と言い切る。「世界的な規模で考えますと、理想に近づくことはできるかもしませんが、人間が完璧な理想世界に生きることは不可能だと私は思います。それがまず前提にありますので、社会が大きな変革を迎えると、成功する人がいる一方で少数の取り残される人が必ずいると考えます。私たち芸術家の仕事は、そんな少数者に目を向けて、彼らを描くことです。それが世界でたったひとりであっても、豊かになった大多数の流れについていけなかった人、苦境にある人に目を向けるのが映画監督だと思うのです」そんな監督が最新作で描くのもまた“取り残された男女”だ。中国で暮らすヤクザ者のビンと恋人のチャオはさらなる成功を夢見て暮らしていたが、ある事件をきっかけに離れ離れになってしまう。映画は2011年から始まり、17年におよぶ愛のドラマを描いていく。前作『山河ノスタルジア』も長い時間が扱われたが監督は「脚本を書きながら、前作に続いてまた長い時間を扱うことになるのか……と思うことはありました」と笑う。「しかし私はじっくりと考え、最終的にこの映画では長いスパンの中で主人公ふたりの運命を見ていくことが必要だと決断しました。というのも、私はこの映画で“男女の気持ちが変化していくラブ・ストーリー”と“中国の裏社会の現在”を描きたかったからです。現代の中国は情報過多で、次から次へと予想外の出来事が押し寄せてきますから、現代だけを舞台にしてしまうと、題材の“ごく一面”しか描けないと思いました。そこで2011年から17年間を舞台に、抽象的でマクロな視点から、つまり歴史を盛り込んだ視点からふたりの運命を描くことが必要だと考えたわけです」21世紀のはじめ、中国は大きな変化を遂げた。北京五輪が開催され、多くの人々の暮らしは豊かになり、いくつかの家々は巨大なダムによって沈み、新しいビジネスが勃興し、かつての商売は廃れた。「社会が変化すると、人間の心の中の世界も変化を遂げます。私の考えでは、多くの男性は社会が変化すれば、その主流に乗ろうとして結果的に失敗します。一方、多くの女性は主流の流れとは距離を置いて、伝統的な愛の方法を貫こうとします。そこですれ違いが起こってしまい、悲劇が生まれるわけです」監督が語る通り、主人公のビンとチャオは長い時間の中で翻弄され、お互いの気持ちはすれ違い、いつまで経っても心落ち着ける場所を見いだせない。本作の邦題は『帰れない二人』だが、監督はこれまでも繰り返し、帰る場所、つまり“故郷”を作品のモチーフにしてきた。「かつて私はこんなことを言ったことがあるんです。“離れてこそ故郷がある”と。つまり、遠く離れた場所から想像する時に故郷は抽象的に成立するのだと。私にとって故郷とは物理的な場所ではありません。それに私自身も映画に登場する裏社会の人たちと同じく漂泊の生活を送っているのです」生まれた場所から遠く離れた男女は中国の各地を漂流しながら、時に相手を探し、時に相手から遠ざかるようにして激動の時代を漂っていく。監督が「これまでの作品以上に“男女の情感”を描くことに注意を傾けた」と語る本作は、多くの観客にいつまでも消えることのない深い余韻を残すことになるだろう。『帰れない二人』9月6日(金)より、Bunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
2019年09月05日映画『帰れない二人』が、2019年9月6日(金)に公開。監督・脚本に、ジャ・ジャンクー。現代中国の激動の時代を舞台に映画『帰れない二人』は、2001年から2017年という、激烈な変化を遂げた現代中国を舞台に、17年に及ぶ1組の男女の愛の物語を描いた作品。主人公は、恋人・ビンを守るために囚われの身となってしまったチャオ。5年後、出所した彼女はビンのもとを訪ねるが、無情にも彼には既に新しい恋人ができていた。その後チャオは世界で最も内地にある大都市・新疆(シンジャン)ウイグル自治区のウルムチを目指すのだがー。大同、奉節、新疆…と、7,700kmに及ぶ果てしない彼らの旅路と共に描かれるのは、この17年間で大きな変化を遂げた中国の歴史的な背景。北京五輪の開催やWTO加盟、西部大開発、エネルギーの変移、三峡ダム完成、上海万博など、急速に“新しい世界”へと移ろう中国の社会は、そこで生きる2人の心にも大きな変化をもたらすのだった。中国の巨匠 ジャ・ジャンクー監督・脚本を務めるのは、これまで数々の賞を受賞してきた中国の巨匠 ジャ・ジャンクー監督。映画『帰れない二人』は、第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品が決定。31歳の時に制作した代表作『青の稲妻』などに続き、5作品目の出品となる。チャオ・タオ×リャオ・ファンが恋人役に主演を演じるのは、ジャ・ジャンクー作品のミューズとして主演を務めてきたチャオ・タオ。『青の稲妻』『長江哀歌』でチャオが演じてきた2人のキャラクターを、本作ではチャオという1人の女の心の変遷として丁寧に演じ直している。またチャオの恋人・ビン役を演じるのは、『薄氷の殺人』でベルリン国際映画祭銀熊賞を中国人俳優で初めて受賞したリャオ・ファン。17年間に渡り繊細に変化していく“男の強さと弱さ”を体現する。<あらすじ>山西省の都市・大同(ダートン)。チャオはヤクザ者の恋人ビンと共に彼女らなりの幸せを夢見ていた。ある日、ビンは路上でチンピラに襲われるが、チャオが発砲し一命をとりとめる。5年後、出所したチャオは長江のほとりの古都・奉節(フォンジェ)へビンを訪ねるが、彼には新たな恋人がいた。チャオは世界で最も内地にある大都市・新疆(シンジャン)ウイグル自地区を目指す。そして2017年がやってくる――。【詳細】『帰れない二人』公開日:2019年9月6日(金)監督・脚本:ジャ・ジャンクー撮影:エリック・ゴーティエ音楽:リン・チャン出演:チャオ・タオ、リャオ・ファン、ディアオ・イーナン、フォン・シャオガン
2019年08月01日タレントの長江健次が、8月8日(19:00~21:48)に放送されるテレビ朝日系バラエティ番組『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(レギュラーは毎週月曜20:00~20:54)の3時間スペシャルに出演し、恩師・萩本欽一と30年間にわたって絶縁状態だったことを告白する。長江は、1981年にフジテレビ系バラエティ番組『欽ドン!良い子悪い子普通の子』の"フツオ"役でデビュー。視聴率30%を超える人気番組で、番組内ユニット・イモ欽トリオのデビュー曲「ハイスクールララバイ」も100万枚のヒットを記録するなど、スターダムにのし上がった。ところが、この大ブレイクで調子に乗った長江は、自らを発掘した萩本にウソをついたことで、30年間にわたって絶縁状態に。さらに萩本以外にも、さまざまな芸能人に不義理を働いたため、妻子がいるにもかかわらず仕事ゼロ・収入ゼロになってしまったことを打ち明ける。こうした経験をもとに、今回、長江は「欽ちゃんにドンと突き放されちゃった先生」として、「お世話になった人に不義理をして絶縁状態にならないための授業」を展開。萩本との出会いから絶縁までを赤裸々に語り、ウソの内容を明かすほか、しくじりを招いた自らの勘違い性格を懺悔する。そこから、自分の愚かさに気づかされたターニングポイントを紹介し、絶縁が解けた際の思いを熱弁する。
2016年07月25日2月18日発売のDVD『放送禁止 劇場版 洗脳~邪悪なる鉄のイメージ~』発売記念発表会が17日、東京・虎ノ門のポニーキャニオンで行われ、長江俊和監督、グラビアアイドルの高崎聖子、倉持由香、鈴木咲、清水みさとが出席した。同DVDは、2003年にフジテレビで放送され、大反響を呼んだカルト深夜番組『放送禁止』の劇場版第3弾。"脱洗脳"をテーマに、洗脳が解けるまでをとらえた貴重な映像やその映像の中に隠された真実をドキュメンタリータッチで描く。昨年の劇場公開時に本作をファンと一緒に鑑賞するというイベントに参加したポニーキャニオングラドル映画宣伝部の高崎聖子、倉持由香、鈴木咲、そして新たに加入した清水みさとがDVD応援団として登場。高崎が「今回の作品をイベントで見させてもらった時、私の頭では理解できないことが多かったんですが、DVDで見たら色んな仕掛けがあってよくわかりました」と感想を述べ、倉持も「大どんでん返しがあって衝撃でしたね。DVDで見返すと2回目の真実とかもあり、また違った面白さを感じることができました。各所に散りばめられた謎や伏線を回収して欲しいです!」とアピールした。また、本作を手掛けた長江監督は「リアリティーを追求しました。脚本作りから撮影、キャスティングまで神経を使いましたが、シナリオは基本的に俳優さんには見せません。セリフ通りに喋ると演技している感じが出ますので、アドリブというか役になりきってもらいました」と撮影秘話を明かした。イベント中には長江監督に色仕掛けで映画出演を懇願したグラドルたち。長江監督は「倉持さんは主演映画をたまたま見ましたが、演技が素晴らしかったです。機会があったら是非ご一緒したいですね」と好印象の様子。それを受けた倉持が「私たちはフォロワー数もすごいので告知力には自信があります!」とアピール、高崎も「今から頑張って歌とダンスのレッスンに通いますのでどうかよろしくお願いします!」と次回作にミュージカルを考えているという長江監督に懇願するなど、グラドルたちのアピール合戦が繰り広げられた。
2015年02月18日ベルリンを拠点に、ファッションブランド「ミナ ぺルホネン」でデザイナー、プレスとして活動する長江青さんが初めて手掛けた絵本「ぐるぐるちゃん」から2年を経て、連作となる「ぐるぐるとふわふわちゃん」が福音館書店から発売されています。3歳前後までの小さなこどもを思いながらつくられた絵本「ぐるぐるちゃん」シリーズは、「紙に絵の具でモチーフを描いてからちぎり絵にする」という方法で描かれています。手触り感と温かみのあるタッチで、生き生きと表現されているのが「ぐるぐるちゃん」シリーズです。■『ぐるぐるちゃんとふわふわちゃん』エキシビジョン現在、青山のブックショップ「ユトレヒト」にて『ぐるぐるちゃんとふわふわちゃん』の発売を記念して原画の展示が行われています。書籍の販売も行われていますので、小さなお子様を連れて一緒に足を運んでみてはいかがでしょうか?『ぐるぐるちゃんとふわふわちゃん』エキシビジョン場所:青山のブックショップ「 ユトレヒト」東京都港区南青山 5-3-8 パレスミユキ 2 詳細はこちら 『ぐるぐるちゃんとふわふわちゃん』文・絵:長江 青ブックデザイン:菊池 敦己判型:19cm×19cm 24ページ定価:840円発行:株式会社福音館書店~長江 青~愛知県出身。美大在学中に「ミナ ぺルホネン」の皆川明氏と出会い、ブランドの立ち上げスタッフとして参加することとなる。現在は主に、アクセサリーやかばんなどの小物のデザインと、プレス、海外での活動担当。2007年よりベルリン在住。現在、3歳の息子と1歳の娘の子育て中。
2013年10月24日現在ベルリンを拠点に、ファッションブランド『ミナ ペルホネン』でデザイナー/プレスとして活動する長江 青(ながえ・あおい)さんが、初めて手がけた絵本『ぐるぐるちゃん』を上梓。この秋、福音館書店から刊行される。子りすのぐるぐるちゃんを主人公に、やさしくのびやかなタッチで綴られる本書は、紙に絵の具でモチーフを描いてからちぎり絵にするという独特の手法で描かれている。これはもともと、長江さんが『ミナ ペルホネン』でスカーフの図案を起こす時に慣れ親しんでいた“自作色紙”での貼り絵から発展したもの。色むらや刷毛あとから成る微妙な色合いの変化が、絵に大胆で活き活きとした表情や手触り感のある温もりを生んでいる。 「絵本のための絵を描くことが、とても楽しかった」と語る長江さん。文章は極力短くシンプルにすることで、子どもが理解しやすい展開を心がけたという。「短く、わかりやすく」絵と文章を構成する作業は、絵本づくりにおいて要となる部分であると同時に、想像以上の労力が必要とされる。編集者と、構成を担当したアートディレクターの菊地敦己(きくち・あつき)さんと何度も話しあい推敲を重ねたという本書は、実に5年以上もの年月をかけて完成した。2010年に自身も長男を出産。子どもの反応や成長はクリエイションの過程で、随所に影響しているという。「1歳2歳のごくごく小さな子どもの心を想像しながらつくりました。子どもが絵本を見た時に、楽しい、わくわく、嬉しい、というような気持ちになって安心して楽しんでくれたらなによりです」(長江さん)。愛らしいりすのぐるぐるちゃんとお母さんりすの穏やかな日常を描いたストーリーは、のびのびと描かれた絵とともに、子どもたちの澄んだ感性にやさしく語りかける。そして、大人である私たちにおいてはどこか懐かしく、幼い頃の純粋で清らかな心象風景を思い起こしているかのような、そんな不思議な感覚に浸らせてくれる。本書は、2011年9月10日(土)に全国書店にて刊行予定。発売に合わせて、9月8日(木)〜 原画を中心としたエキシビションが青山のブックショップ『ユトレヒト』内のギャラリー『NOW IDeA』で開催される。『ぐるぐるちゃん』(福音館書店 刊/あかちゃんの絵本シリーズ)文・絵:長江 青構成:菊地敦己発売日:9月10日サイズ:19×19cm 24ページ 価格:¥800(税抜き)対象年齢:10ヶ月から『ぐるぐるちゃん』エキシビション会期:2011年9月8日(木)~9月19日(月) 12:00~20:00会場: NOW IDeA(ブックショップ・ユトレヒト内) 東京都港区南青山5-3-8 パレスミユキ 2F取材/松浦明
2011年09月05日