藤山直美が主演を、阪本順治が監督を務める映画『団地』の予告編映像が公開になった。大阪近郊にある昭和のムード漂う団地を舞台にした作品だ。予告編映像藤山と阪本監督は『顔』でタッグを組み、高い評価を得たが、16年ぶりに再タッグを組んだ本作は、ごく平凡な夫婦が予想外の出来事を描く異色コメディだ。藤山演じるヒナ子と夫の清治(岸部一徳)は昭和のムード漂う団地に引っ越してきたが、ある事件をきっかけに夫は「僕を死んだことにしてくれ」と床下に隠れてしまう。夫の要求を受け入れたヒナ子は夫が消えても普通の日常を送ろうと振舞うが、そのことが隣人たちの妄想をかきたて、団地に騒動が巻き起こる。本作は、テンポのよい会話で独特の世界観を描き出していく作品で、予告編でも団地で暮らす人々がひたすらに“しゃべりまくる”のが大きなポイントだ。また、藤山、岸部のほかにも石橋蓮司、大楠道代、斎藤工らが出演し不可思議で濃いキャラクターを演じており、これまでにない会話劇になっているようだ。『団地』6月4日(土) 有楽町スバル座、新宿シネマカリテほか全国ロードショー
2016年03月23日映画賞を総なめにした傑作『顔』から16年、日本演劇界が誇る舞台女優・ 藤山直美と阪本順治監督が再びタッグを組んだ最新作『団地』が、6月4日(土)より公開されることが決定。そして本作のポスタービジュアルがついに解禁された。とある事情で家業の漢方薬局を畳み、団地に越してきたヒナ子(藤山直美)と清治(岸部一徳)。住人たちは、自治会長の行徳(石橋蓮司)と妻の君子(大楠道代)、クレーマーで次期会長を狙う吉住(宅間孝行)に、暇を持て余した奥さま連中。 ある日、些細な出来事でヘソを曲げた清治が「僕は死んだことにしてくれ」と床下に隠れてしまう。夫の姿が消えても淡々とパートに通い続けるヒナ子の言動に、隣人たちの 妄想は膨らむばかり。さらに、妙な立ち居振る舞いの青年(斎藤工)が山下家を訪れて…。『顔』は喜劇女優・藤山さんを主演に、佐藤浩市、豊川悦司ら豪華キャストを迎え、実在した女性逃亡犯の内面を圧倒的リアリティーで再現した異色の犯罪映画。また映画は「日本アカデミー賞」「毎日映画コンクール」などでその年の日本国内の映画賞を総なめにした。その『顔』のコンビが再びタッグを組んだ本作は、“団地”を舞台にある秘密を抱えた夫婦を描く物語で、主人公ヒナ子役の藤山さんを筆頭に、夫・清治役に岸部さん、自治会長夫妻行徳と君子役に阪本組常連の石橋さんと大楠さん、クレーマー・吉住役に宅間さん、ヒナ子の家に出入りするミステリアスな男・貴史役に斎藤さんが好演する。そのほか竹内都子、 濱田マリら個性派キャストが脇を固めている。本作は、観客の予想を気持ちよく覆す、新たなテイストの人間ドラマとなっており、様々な人生が交差する“団地”という空間で、ごく平凡な夫婦のアリエナイ体験を軽快な会話劇で描く、ちょっぴりブラックかつ滋味に溢れる、まさに“妄想としゃべくりのハーモニー”を描いている。そして今回解禁されたポスターは、「【DANCHI】なんでもありえる昭和の集合住宅。ウワサが転がる小宇宙。」というコピーと共に、主人公ヒナ子を演じた藤山さんと、そしてなぜか床下から這い出る夫・清治を演じる岸部さんの姿が目を引くビジュアルとなっている。『団地』は6月4日(土)より有楽町スバル座、新宿シネマカリテほか全国にて公開。(cinemacafe.net)
2016年03月15日プロボクサーの辰吉丈一郎が18日、都内で行われたドキュメンタリー映画『ジョーのあした-辰吉丈一郎との20年-』完成発表会見に出席し、松平健の印象について語り、会場を沸かせた。この日、同会場で松平の主演ドラマ「池波正太郎時代劇スペシャル顔」製作発表会見が行われ、辰吉と松平が初対面。テレビなどで辰吉の試合を観たことがあるという松平は、「気迫というか、オーラがありますね」と生辰吉の感想を述べるが、辰吉は「無理にそんなこと言わんでも。普通のオッサンよ」と照れ笑い。逆に松平について意見を求められた辰吉は、「あまりわからない」と、テレビを観ないために芸能人には疎い様子。ところが、奥さんが大の松平ファンだそうで、「(奥さんが観てるテレビを)チラッと観たときに、あっ、馬に乗ってんなぁと思った」とポロリ。集まった報道陣の頭にも、松平お馴染みの乗馬シーンが浮かんだのか、会場は笑い声にあふれた。本作は、天才ボクサー・辰吉の25歳から44歳までの20年間を追い続けた、世界でも比類のない奇跡のドキュメンタリー。インタビュー映像を中心に、ボクサーの顔にとどまらず、父と子の絆や家族への愛など、親としての表情も余すところなく収められている。辰吉の「カメラを向けたくなる面構えと、響く言葉を持っているところに魅力を感じた」という阪本順治監督は、「20年前に自費製作で撮り始め、辰吉くんが引退したきっかけで仕上げようと思ったんですけど、(引退を)なさらないので、執拗に撮り続けました」と長期間の撮影になった経緯を説明。そして、「20年の節目と、二男の寿以輝くんがプロデビューする」この時期がベストタイミングと思い、完成にこぎつけたと明かす。そんな阪本監督について、辰吉は「僕もしつこいけど、監督もしつこい」と悪態をついて笑わせた。45歳にして現役の辰吉は、現状や今後について質問されると、「いつも通り、朝起きて走って、夜練習して、腹減ったら飯を食う生活。それが変わらず20年以上続いています」と報告。また、「今後は、日本では難しいですけど、海外でもいいからボクシングを続けていきます。チャンピオンになるまで…」と、いつまでも変わらないボクシングに懸ける熱い思いを胸に、落ち着いた口調で宣言した。ドキュメンタリー映画『ジョーのあした-辰吉丈一郎との20年-』は2月20日よりシネ・リーブル梅田ほか大阪先行公開、2月27日よりテアトル新宿・ヒューマントラストシネマほか全国順次公開。
2016年01月19日終戦70周年を記念し製作された『この国の空』の完成披露試写会が7月16日(木)、都内で行われ、主演の二階堂ふみをはじめ、長谷川博己、工藤夕貴、富田靖子、荒井晴彦監督が登壇した。園子温監督の『地獄でなぜ悪い』以来2度目の共演となった二階堂さんと長谷川さん。本作では戦時下で思いを寄せ合う、19歳のヒロインと妻子ある年上男性を演じており、長谷川さんは「ふみちゃんはすっかり大人っぽくなっていて…。成長の過程を見られた喜び、というか勉強?になりました」とドギマギ?一方、二階堂さんは「私にとっては仲のいいお兄ちゃん。今回も(演技を)たくさん引き出していただいた」と涼しい表情だった。芥川賞作家・高井有一による「谷崎潤一郎賞」受賞の同名小説を原作に、19歳の里子が「私は愛も知らずに、空襲で死ぬのでしょうか…」と空襲におびえながら、それでも懸命に生き抜き、ある男性との出会いを機に、少女から女へと開花する姿を描いた。沖縄出身の二階堂さんにとって、戦争映画への出演は念願だったと言い、「(終戦)70年という節目に作られたこの映画を、こうしてお披露目できて、胸に来るものがありますね」と感無量の面持ち。約18年ぶりのメガホンとなった荒井監督は、「知り合いの阪本順治監督から『荒井さんは、この国の上の空でしょ?』って言われるけど、いまこの国の上の空は、安倍晋三じゃないですか」と痛烈に批判していた。里子の母親を演じる工藤さんは、「誰も死なない、誰も血を流さない。不思議な戦争映画ですが、見終わると、熱い気持ちが沸き上がる」とアピール。里子の叔母に扮した富田さんも「戦争映画なのに、艶っぽさを感じさせる。もちろん、やっぱり戦争はいかんぞとも思わせる」と話していた。『この国の空』は8月8日(土)よりテアトル新宿、丸の内TOEI、シネ・リーブル池袋ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年07月16日映画『人類資金』が10月19日(土)に公開を迎え、主演の佐藤浩市を始め、共演の香取慎吾、森山未來、観月ありさ、岸部一徳、オダギリジョーに原作者の福井晴敏、阪本順治監督が都内劇場で行われた舞台挨拶に登壇した。“M資金”と呼ばれる、旧日本軍が敗戦を前に祖国復興のために隠匿したという巨額の財産の存在を軸に、この10兆円で世界の仕組みを変えようとする者たちの姿を描いた経済サスペンス。30年以上前に“M資金”に関する本と出会って以来、ずっと映画化することを思い描いていたという阪本監督は、夢の結実に「昨日は眠れませんでした。いままでの映画(の公開時)で感じたことのなかった感動を覚えてます」と感慨を口にした。企画を立ててからも「人類(=人材)はあったけど、資金がなかった…(苦笑)」となかなか企画が進まない時期もあったが、「いま、経済が一番ホットな時期に公開を迎えてよかったなと思っています」と満足そうに頷いた。主演の佐藤さんは「完成に向けて、みんなが疾走していました」とスタッフ・キャスト陣の思いを代弁。香取さんは「最初に監督から『慎吾に世界を救ってもらいたい』と言われました(笑)。意味が分からなくて、台本を読んでも難しくて、こんなに何度も読み返したのは初めてというくらい何度も読んだ」と明かす。佐藤さんに森山さん、仲代達矢らとの共演は「毎日、緊張の日々でした」とふり返った。原作小説を手がけた福井さんは「今回ほど受け止められ方が予想できない作品は初めて」と語り、映画を観終えたばかりの観客に「どうでしたか?」と質問。拍手が沸き起こると、ホッとした表情を見せたが「難しかったと感じましたか?」とさらに質問。ここでも「難しかった」という意味の拍手が聞こえると、「そうですよね」と頷きつつ「もう1回観るとよく分かります。さらによく分かるために原作の小説も売ってます」とアピールし、会場は笑いに包まれた。暗殺者役で出演した韓国人俳優のユ・ジテからは祝福の手紙が届いたが、監督は彼が10年ほど前に日本に住んでいた頃からの知り合いであることを明かし「彼は本来主役を演じる俳優さんですが、ルワンダにボランティアに行ったり、ミャンマーに学校を作る活動をしており、僕が作ろうとしている世界観を理解してくれると思って、脚本がない状態でお願いした」と明かす。ユ・ジテとのアクションに挑んだ森山さんは、軍隊経験もあり、さらに本作のために体を鍛えた彼とのアクションで「(台本にあるように)跳ね返そうとしてもできないことがあった」と苦労を述懐。観月さんも、彼が190センチ近くある長身であり「顔が高くてキックするのも大変だった」とふり返る。さらに香取さんは「うろ覚えの韓国語や英語で話しかけたら、日本語ベラベラでした(笑)」と明かすなどユ・ジテとのエピソードに花を咲かせる。終いには直接の共演シーンのなかったオダギリさんまで「遠くでユ・ジテさんを見てました」と明かすなど、何故かみんな、ユ・ジテが大好き…?一方、佐藤さんは同じく共演したハリウッド・スターのヴィンセント・ギャロの存在に触れ「ヴィンセント・ギャロからは手紙届いてないの?」と不服そうに語り、会場は再び笑いに包まれた。ロシアにニューヨーク、タイと巡った本作の撮影の総移動距離は5万キロ超でおよそ地球1.3周分。これについて最後の最後でコメントを求められた佐藤さんは「難しい」とムチャぶりに困惑しつつ、「マイル貯めときゃよかった!」と語り、最後まで笑いの絶えない船出の舞台挨拶となった。『人類資金』は全国にて公開中。(黒豆直樹(cinema名義))■関連作品:人類資金 2013年10月19日より全国にて公開(C) 2013「人類資金」制作委員会
2013年10月19日「ぴあ」調査による11月1日、2日、3日公開の映画・満足度ランキングは、吉永小百合主演映画『北のカナリアたち』がトップに輝いた。2位に料理家・辰巳芳子が食を通して“人の命の尊厳”を唱える映像記録『天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ”』が、3位に和田竜のベストセラー小説を野村萬斎主演で映画化した『のぼうの城』が入った。上位作品の画像1位の『北のカナリアたち』は、湊かなえの短編小説を原案に、阪本順治監督が映画化した東映創立60周年記念作品。20年前に起こった“ある事件”に翻弄される女性の姿が描かれる。劇場には幅広い世代の観客が足を運び「気がついたら自然と涙が出ていた」「吉永小百合はとてもキレイで魅力的だった」「若い俳優たちの演技が凄い。特に森山未來は適役」「自分の子ども時代や、その頃の純粋な気持ちを思い出した」「ストーリーがいいだけでなく、情感や雰囲気のある作品。人との繋がりというテーマを感じた」などのコメントが寄せられた。2位の『天のしずく…』は、料理家の辰巳を通じて、私たちの食や、現代の食糧事情、そして日本のゆくえについて考えるドキュメンタリー。出口調査では「辰巳先生の姿勢に大変共感した」「映像がとても美しい。食料自給率など日本食について考えさせられた」「身体を作っているのは食だと改めて実感。自分の食生活を見直し、子どもにも継承していきたいと思った」「農作物が命に繋がるというメッセージがきちんと伝わってくる作品。若い人に観てほしい」など、女性を中心に支持を集めた。(本ランキングは、2012年11月1日(木)、2日(金)、3日(土)に公開された新作映画14本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)
2012年11月05日東映創立60周年記念作品として製作された『北のカナリアたち』の公開を記念し、Apple Store, Ginzaにて阪本順治監督を招いてのトークイベントが行われた。その他の写真今回の企画は海外のApple Storeで開催されている「Meet the Filmmaker」の日本版。本国アメリカではこれまでにメリル・ストリープ、トム・ハンクス、ジェームズ・キャメロン監督ら著名な映画人が登場し、その模様がPodcastで配信されるなど大きな反響を呼んでいる。登場した阪本監督は、映画監督になるきっかけとなった事柄からトークをスタート。「実家の真向かいが東映の映画館だったんですよ。当時はまさか自分が60周年を託されるとは思っていなかったですね(笑)」と、東映との運命ともいえる出会いについて振り返った。また、「初めてフィルムで映したのは、近所の施設に慰問に来られた今生天皇と皇后様でした」と、意外な映画の原体験を語った。その後、話題は最新作の『北のカナリアたち』へ。大女優・吉永小百合を迎えて映画を撮ることが決まったときには、「後ろからひざカックンされた気持ち。いつもJRの看板にはごあいさつさせていただいてました(笑)」と、冗談を交えて語りながらも、「一般の方が思っている通り清楚で可憐。それに加えて思ったのは勇ましい方だなということでした」とその印象についてコメント。「映画は僕の中でエンドマークをつけても本当の完成ではなくて、大勢の人が見てその反応も含めて出来上がるもの。僕らのさまざまな思いがみなさんに伝わればいいなと思う」と作品への想いを語り、イベントを締めくくった。本作は『告白』の湊かなえ氏による短編作品の実写化。離島の分校で教師をしていた女性が、20年前に起こった事件の真相を知るべくかつての教え子たちを尋ねる旅が描かれる。『北のカナリアたち』11月3日(土・祝)より全国ロードショー取材・文・写真:渡部あきこ
2012年10月17日映画『北のカナリアたち』の阪本順治監督が10月16日(火)、東京・銀座のApple Store銀座店で行われたトークイベントに出席。自らの映画づくりのルーツから本作の撮影についてまでたっぷりと語った。子供時代を過ごした生家の真向かいが、本作の配給会社でもある東映の映画館だったという阪本監督。「近所のよしみでいつもタダで入れてもらったし、映写室を覗いたりしてた。任侠映画の看板が変わるのをいつも見てました。これがが松竹の映画館だったら、僕は『どついたるねん』(’89)でデビューせず、アットホームな映画を作ってたかも。今回、東映の60周年映画を託されることになるとは…縁を感じるし意表を突かれました」とふり返る。小学4年生で8ミリ映画を撮影し、中学で映研、高校では文化祭で自主映画を制作。大学に進んだのち、石井聰互(現・岳龍)監督のプロダクションで美術スタッフなどを経験し、映画監督としてデビューを果たした。「30歳で監督になると決めてて、周りに『(助監督を)辞めます』と言ってたんです。わずかにためた貯金でボクシングという題材を選んで、赤井(英和/主演)くんを口説きました」と懐かしそうに語る。この作品が高い評価を浴び、一躍注目を浴びることになったが「天狗になってました」と述懐。「東京で僕が顔を振ると鼻の先が大阪でぶつかるって言われました(笑)。一緒に付いてきたスタッフに叱られ、殴られたこともありました」と意外な一面を明かした。デビュー作品、それに続く作品で原田芳雄、麿赤兒、若山富三郎など邦画界の重鎮たちと仕事を共にしたが「怖いもの知らずだったし、撮影所への憧れもあって、自分の演出が通じるかというスリルを感じる大御所の方にどんどん声を掛けてました。いま思うと若気の至りです」と少し照れに語る。本作は湊かなえの小説を原案に、ひとりの女教師と彼女の6人の生徒らの間に起きたある事件の真実が20年もの時を経て明らかになっていく。21作品目の監督作で、吉永小百合を主演に迎えることになったが「僕は(邦画の)黄金期のスターの方々への純粋な憧れを持ってる。ましてや吉永さんですからね。自分にやれるものではないと思ってました。何で僕の名前が(監督として)挙がったのか?いまだに怖くて聞けないんですよ」と畏敬の念を込めて吉永さんへの特別な思いを語る。撮影現場での吉永さんについては「みなさんが思っているように清楚で可憐なイメージは一緒に仕事をさせていただいても変わらないんですが、それに加えて勇ましい方だなと思いました。決断するときや吹雪の中でスタンバイしているときの虚無僧のように耐える姿もそう。あの勇ましい感じは、少しずつ培われてきたものではなく、『キューポラのある町』(’62)の頃から持ってる根っこの変わらない部分なのかなと思います」と印象を明かした。吉永さん以外にも撮影監督の木村大作や生徒役の松田龍平、森山未來、満島ひかり、小池栄子らとは初めて仕事を共にしたが、「今回に限らず、自分にやれるのか?という恐れがあった方が面白い。恐れがあるからこそ強く出ていける」と常に新たな挑戦を続ける自らのスタイルを説明。「キャスティングに関しても、台本のイメージは大事だけど、ピッタリなのは嫌なんです。適材適所を目指し過ぎるとつまらなくなる。吉永さんはこれまでずっと主演をやられてきて、どんな俳優が目の前に現れても芝居を返してきた。そんな吉永さんに対し、彼ら(※生徒役のキャスト)は、自分らしさを出してやってくれたし、吉永さんと一緒にいる中で自分でも見えなかった部分が出てきたんだと思います」と満足そうに頷いた。『北のカナリアたち』は11月3日(祝)より公開。■関連作品:北のカナリアたち 2012年11月3日より全国にて公開© 2012『北のカナリアたち』製作委員会
2012年10月16日女優の吉永小百合が3日、都内で開催された主演最新作『北のカナリアたち』(阪本順治監督)の完成披露会見に、共演する柴田恭兵、里見浩太朗、森山未來、満島ひかり、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平とともに出席した。舞台となる北海道・礼文島と利尻島での過酷なロケを無事に終え、「あまりの厳しさに乗り越えられないのでは…と不安になったことも。今は完成してホッとしております」と安どの表情を見せた。その他の写真原案は『告白』の湊かなえ氏が昨年発表した『往復書簡』(幻冬舎刊)に収められた「二十年後の宿題」。20年前に一人の女性教師・はる(吉永)と生徒6人の間に起こった転落事故を軸に、双方の思いが複雑に絡み合いながら、当時明かされることのなかった謎と真実が、一つの衝撃的な結末を導き出すというヒューマン・サスペンスで、東映創立60周年記念作品として全国公開される。吉永は「サスペンスなんですけど、最後には登場人物全員の思いやりや優しさ、温かさがジンワリと伝わる作品になった。辛いことが多い時代ですが(観客の)皆さんの心に、温かい思いが灯ってくだされば」と格段の思いでアピール。劇中で仲村トオルとのキスシーンも披露しており、「二人の心の通い合いをどう表現するか阪本監督と相談し、監督が『じゃあ、キスシーンにしましょう』と(笑)。台本にもキスシーンはあったが、アップで撮ることになったので、監督の度胸に驚かされました」と告白。「撮り終えた後は余韻というか、不思議な気持ちになった」と少し照れくさそうに振り返った。はるの夫を演じた柴田は「まるで吉永さんの手の上でコロコロ転がされた感覚で、心地よかった。今後、何度も何度も共演させていただきたい。ぜひお願いします」と再共演を懇願し、吉永も「次はアクションですか?」とすっかりその気。一方、はるの父親を演じた里見は「吉永さんの親父役と聞いて、ちょっとがっかりしたんですよ(笑)。ぜひ次回は恋人役で」とこちらも吉永との再共演に意欲を見せた。宮崎ら“20年後の子どもたち”を演じた若手俳優陣も、吉永との共演、そして厳しい自然と向き合うロケを通して、感慨を噛みしめていた様子。会見にはキャストに加えて、阪本監督をはじめ、木村大作氏(撮影)、湊かなえ氏(原案)、那須真知子氏(脚本)、川井郁子氏(音楽)、黒澤満氏(企画)らスタッフ陣も顔を揃えた。『北のカナリアたち』11月3日から全国でロードショー取材・文・写真:内田 涼
2012年10月03日阪本順治監督、吉永小百合主演で贈る壮大な運命の物語『北のカナリアたち』。マイナス11度で強風が吹き荒れる真冬の寒さの中、1月12日(木)と13日(金)、日本最北の島・礼文島で本作の撮影が行われ、吉永さんを始め、森山未來、満島ひかり、勝地涼、宮崎あおい、小池栄子、松田龍平ら豪華キャストが集合し、クライマックスとなる再会のシーンの撮影を敢行した。湊かなえの「往復書簡」(幻冬舎刊)に収録されている「二十年後の宿題」を原案に、一人の女性教師と6人の教え子たちの運命の再会、20年前に起きたある事件の真相を描く本作。名カメラマン・木村大作の撮影のもと、体感温度がマイナス30度にもなる厳しい真冬と、初夏の二期にわたりロケーションが敢行されている。地元の人たちがここ数年で一番寒いと口を揃えて言うこの日、礼文島に撮影のため建てられた岬小学校分校の教室内で撮影は行われた。ある事件でバラバラになった女性教師(吉永さん)と6人の教え子たちが20年の時を経て、思い出の学校で再会するというクライマックスシーンが撮影された。「『よーい、スタート』で仲のいい雰囲気を作るのではなくて、それ以前の台本に書かれていない20年間を含めて、彼らは一堂に会してお互い喜びあってほしかった」と言う阪本監督の指揮のもと、何度も入念なリハーサルを経て撮影が行われた。吉永さんは撮影をふり返り「昨晩、合唱の練習があって指揮をする私を6人がまっすぐ見てくれた、もうそれだけで胸がいっぱいになって泣きそうになりました。みんな可愛くて、役ではなく私個人としてもハグしたくなります。俳優をやっていなかったらこんな素敵な教え子たちに出会えなかった。お芝居もみんな20年の歳月をきちっと作って、それを埋めて表現するのを目の当たりして、逆に学ぶことも多かったです」と6人との共演の喜びを口にした。極寒の中での演技は負担も多いことが予想されるが、森山さんは「家でダラダラしていたら、この自然に負けてしまうような気がしたので、少し早めにこちらに入って島を北から南まで歩き回りました。信人という役は、辛い過去があるけどたくましい人物。島を歩いたおかげで、その役作りに役立ちました」と万全の体制で臨んだ様子。満島さんは「島に入った日に、子役の6人に会いましたが、ここにいるみんなを見ると、あの子たちの20年後を見ているようで不思議です。でも、吉永さんはずっと、はる先生にしか見えない。黒板の前に立っている姿もお似合いです」と一同の再会を喜んだ。昨年行われた製作発表では、大先輩である吉永さんとの共演に対して緊張も見せていた“教え子”たちだったが、勝地さんは「札幌での共演シーンでは突然の大雪で、メガネも曇るし、吉永さんが見えないくらいでした。すごく緊張していたのですが、話しかけたときの表情がすごく温かくて、自然と話せました」。宮崎さんも「吉永さんとのシーンは、監督から『目を見ないでお芝居してほしい』と言われていて、本当は目を見て気持ちを共有したいんだけど、それができない。その葛藤がありましたが、昨日、歌の練習で先生の目を見れて、涙が出るくらい幸せでした。また、共演シーンでカットがかかった後に、吉永さんがハグしてくれて。寒い現場ですが、暖かい現場です」と吉永さんとの撮影エピソードを笑顔で明かした。造船所で働く七重役の小池さんは溶接のシーンにも挑んだが、「趣味『溶接』って書きたいぐらい楽しい練習でした(笑)。寒い冬景色の中、巨大な船でバチバチと火花が散るところは迫力あるシーンになっていると思います」とのこと。吉永さんとの共演については「先生を目の前にすると甘えられて、自然と演技ができました」と言う。松田さんは「今回、20年後の役ということで、その時間をどう生きてきたか台本を読んで想像して来たんですが、実際にこちらに来てみると、想像していたものと全然、違っていた。役作りをする条件が揃っている贅沢な現場です」と充実した表情を見せた。そして最後に、吉永さんは「空白の20年間を6人の方々が見事に表現して下さっている。監督や多くのスタッフとは初めてですが、心が通い合っている良い現場です。これをずっと続けていきたいですが、ここにいる6人は冬ロケだけなので、それがちょっと残念ですね。ただ、夏はちびっ子たちが来ます。20年前の子供たちのところは第1幕、現在の若者6人のところが第2幕、映画を観終わったら第3幕が始まるような感じで、明日に向かって新しい第一歩を踏み出していくような新しいジャンルの映画になると思います」と本作への手応えを語った。写真からも暖かい現場の様子が伝わってくるが、果たしてどのようなクライマックスシーンに仕上がっているのか?『北のカナリアたち』は今秋以降、全国にて公開。■関連作品:北のカナリアたち 2012年秋、全国にて公開■関連記事:東映60周年、吉永小百合主演作に“黄門さま”、『あぶ刑事』コンビ、宮崎あおいら出演吉永小百合、主演最新作が決定!原案は「告白」の湊かなえ
2012年01月17日東映創立60周年記念プロジェクト『北のカナリアたち』の製作発表会見が29日に都内で行なわれ、主演の吉永小百合、柴田恭兵、仲村トオル、里見浩太朗ら出演者と、阪本順治監督、撮影監督の木村大作、原案者の湊かなえらスタッフ、そしてオーデションで合格した5名の子役が登壇した。会見の模様映画『北のカナリアたち』は、湊の著書『往復書簡』に収録されている『二十年後の宿題』を原案に、20年前の小学校で合唱を教える先生と生徒たちに起こった悲劇の事故から、時を経て描かれる先生と教え子たちとの絆を描くサスペンス巨編。吉永は「『動乱』、『海峡』、『北の零年』と、北海道の雪中で撮影してまいりましたが、今回は一番大変になるのでは。初心に帰ったような思いでワクワクドキドキします」とあいさつし、阪本監督は本作を「痛ましい出来事と、天使の歌声という組み合わせは違和感あるように思われるかもしれないが、相乗効果で一級のエンターテインメントに作り上げたい」と説明。木村撮影監督は「美しさは、厳しさの中にしかない。今回は格好のロケーション」と意気込みを語った。また、柴田は「役者になったらいつの日か…と思っていた夢が叶いました。私が吉永さんの夫役ということで、ご不満の方も多いと思いますが、サスペンスなので勘弁してください」と恐縮し、島に赴任してくる警官役を演じる仲村は「“あぶ刑事”で大変お世話になった恭兵さんに恩を仇で返すような役ですが、僕を育ててくれた大先輩方に“まな板の上の全裸の鯉”のような気分でなされるがままに料理していただきます」とコメント。宮崎あおいは仕事のため会見を欠席したが、ビデオメッセージで「台本を開いて、吉永小百合さんを始めとする素晴らしいキャストの中に自分もいることがうれしくて幸せです」とコメントを寄せると、吉永は「先日『ツレがうつになりまして。』を拝見しました。実力があってとてもキュートな宮崎さんと2日からいきなり共演するのでとても楽しみです」と期待を寄せた。本作は、北海道北部にある離島・礼文島と利尻島で今冬から撮影を開始し、来年初夏クランクアップ、来秋以降に公開される予定。『北のカナリアたち』2012年秋以降全国ロードショー
2011年11月30日女優・吉永小百合の主演最新作『北のカナリアたち』が東映創立60周年記念作品として2012年秋に全国公開されることが9月1日(木)、東映本社で行われた記者会見で発表された。原案は「告白」の湊かなえが昨年発表した「往復書簡」(幻冬舎刊)に収められた「二十年後の宿題」。会見にはメガホンを取る阪本順治監督、プロデュースを手がける東映の岡田裕介代表取締役社長らが出席し、作品への意気込みを語った。舞台は日本最北の地である利尻島・礼文島。20年前に一人の女性教師と生徒6人の間に起こった“ある転落事故”を軸に、双方の思いが複雑に絡み合いながら、当時明かされることのなかった謎と真実が、一つの衝撃的な結末を導き出すというヒューマン・サスペンス。吉永さんが主人公の小学校教師・川島はるを演じる。また、物語のキーとなる“天使の歌声”を持った児童たちは全国規模で子役オーディションを行い、キャスティングが決定する予定だ。阪本監督は「吉永さんを演出できるなんて夢にも思わなかった。吉永さんの魅力を大事にしつつ、せっかくなので、誰も見たことがない吉永さんの“ある瞬間”をお見せできれば」と大女優との初タッグに早くも武者震い。そして「教師と生徒の血が通った交流を通して、過去の清算や許しをテーマに、丁寧に演出していきたい」と抱負を語った。実際、北海道の利尻島・礼文島でのロケが予定されており「風景も言語。大作さん(本作で撮影監督を務める木村大作。2009年に『劔岳点の記』で監督デビューした)と同じで、とにかく厳しい環境の中で粘って粘って、いいものを撮る」と決意も新ただ。また会見では、吉永さんのコメントも発表された。「この夏、利尻・礼文を訪れ、息をのむような自然の大きさ、美しさに圧倒されました。雄大な風景の中での映画づくりに参加する嬉しさに、胸がときめいています。湊かなえさんの素晴らしい作品をベースにしたカナリアたちと教師のサスペンス・ストーリー。観客のみなさまの胸に響く映画になりますよう、阪本監督のもと、全力で取り組みます」と静かな闘志を燃やしている。今冬、撮影第一期として東京、北海道(札幌、稚内、礼文島、利尻島他)でクランクイン。2012年初夏に撮影第二期が行われた後、夏にクランクアップする予定だ。公開は2012年秋で、全国300スクリーン規模での上映が予定されている。『北のカナリアたち』は2012年秋、全国にて公開。「天使の歌声を持つ子役オーディション」公式サイトwww.kitanocanaria.jp※応募締切:9月15日(木)撮影/三浦憲治 写真提供/「夢の続き」(世界文化社)■関連作品:北のカナリアたち 2012年秋、全国にて公開
2011年09月02日先日亡くなった原田芳雄さんの最後の主演作『大鹿村騒動記』のヒット御礼舞台挨拶が8月8日(月)に都内劇場で開催され、阪本順治監督をはじめ大楠道代、松たか子、佐藤浩市、石橋蓮司が登壇。原田さんを偲ぶと共に撮影の日々をふり返った。長野県の山間の村で、300年もの村歌舞伎の伝統を持つ大鹿村を舞台に村人たちの悲喜こもごもを描いた本作。原田さんが自ら阪本監督に提案する形で製作され、先日の公開直後、原田さんは急逝した。この日の舞台挨拶は阪本監督からの是非にという声もあって実現。監督自らが司会進行を務める手作り感たっぷりの舞台挨拶で、劇中、村役場の職員を演じた松さんが役柄そのままに撮影、録音の禁止などの注意事項を読み上げた。大楠さんは「公開と同時に悲しい、悲しいことに遭遇しました。心の晴れない日々が続いていましたが、こうしてヒットを原田さんに報告できることを嬉しく思います」と挨拶。佐藤さんは「ベテラン勢の軽妙な演技に阪本監督の奇抜さのない王道演出。安心して楽しめる映画を遺して、芳雄さんはあちらに逝かれたんだなと思います」としみじみと語った。松さんも撮影をふり返り「夢のような数か月でした」。そして原田さんの“盟友”石橋さんは「原田芳雄も大変喜んでいると思います。普段、(撮影中に)役者同士は付き合いはないものですが、この作品はいつも一緒に顔を合わせていて、映画の中の村人たちのようでした。佐藤浩市がいま、どんな仕事してるのか?失敗しやしないか?とか気になったり(笑)。これも精神的“村長”原田芳雄のおかげです」と思いを語った。阪本監督は「いま芳雄さんがもしここにいらして、『ご気分は?』と尋ねたら映画の中のセリフのように『あれ?』って言うんじゃないかと。肉体は失われても、精神やその人の言葉は失われるとは思いません。きっとそのへんをピョンピョンしてる」と語りかけた。キャスト陣は阪本監督に尋ねられるままに撮影時の思い出話を披露。大楠さんが松さんにビンタするシーンについて、思い切ってビンタした後の松さんの表情について大楠さんが「ポカーンとした顔がかわいかった」と言えば、松さんは「痛いとか考える余裕もなくスコーンと入って気持ちよかった」と笑顔を見せた。また佐藤さんにとって本作が40代最後の作品となったが、佐藤さんは「(松さんへの)『好きだからだよ』というのが、40代最後のセリフになりました。これでいいんだなと言い聞かせて思いの丈をぶつけようと思ったら、テストの段階で監督が飽きちゃって『違う言い方を』と言われました」と明かす。その結果、どんな言い回しになったのかはぜひ劇場で確認を!村の歌舞伎のシーンでは、松さんは歌舞伎を演じる石橋さんたちの世話をしていたそうだが、そんな松さんを石橋さんは村のボランティアと勘違い。「待ってる時間が長かったんですが、『今回は本当に世話になってね』とか『女優になりてぇんだろ?東京に連れてってやろうか?』と言われました」と暴露し、会場は笑いに包まれた。阪本監督は、「以前、ある飲み屋である俳優と殴り合いの喧嘩になったことがあって、原田さんが間に入って止めてくれました。原田さんの家でも別の俳優に喧嘩売って、拳を合わせてるところを止めてもらったことがありまして、一体、何をさせてたんでしょう…(苦笑)」と泣き笑いのような表情で原田さんとの思い出を披露した。ちなみに「飲み屋で喧嘩になった俳優はもちろん、この壇上にはおりません!」と言明したが、すると佐藤さんがとぼけたような顔を見せつつ苦笑い。阪本監督と佐藤さん、原田さんの深い絆が見え隠れするエピソードに会場は温かい笑いに包まれた。最後の写真撮影で大楠さんは、劇中で原田さんがずっと被っていたテンガロンハットを手に写真に収まり「帽子の主も今日、来ていて『ありがとう』と言っています」と語った。阪本監督は故・忌野清志郎による主題歌「太陽の当たる場所」の中の「この運命に甘いキスを送ろう」という一節を挙げ「みなさんで甘いキスを送ってください」と呼びかけ、舞台挨拶は幕を閉じた。舞台挨拶が行われた東京・銀座の丸の内TOEIでは、当初の3週間の上映の予定をさらに2週間延長。全国でも97館での上映から170館以上に拡大。昨日8月7日(日)時点で15万人を動員し、興行収入1.5億円のヒットとなっている。『大鹿村騒動記』は全国にて公開中。■関連作品:大鹿村騒動記 2011年7月16日より全国にて公開© 2011「大鹿村騒動記」製作委員会■関連記事:原田芳雄の遺作で共演した松たか子が追悼コメント「魂の強さ決して忘れない」加療中の原田芳雄が車椅子で登場!温かい拍手に涙名優たちが魅せる珠玉のドラマ『大鹿村騒動記』試写会に50組100名様ご招待
2011年08月08日個性派俳優として年を刻むごとに輝きと味わいを放っていた俳優の原田芳雄さんが昨日午前、上行結腸がんから併発した肺炎のため、都内の病院で71歳で死去した。長男でミュージシャンの原田喧太から報道陣に向けてコメントが発表されたのに加え、原田さんの最後の映画出演作となった『大鹿村騒動記』で共演した松たか子も、追悼の談話を発表した。喧太さんのコメントでは、先週11日(月)の『大鹿村騒動記』の舞台挨拶に関して、医師から「99%無理」と言われながらも見事に舞台に上がった父の偉大さが綴られている。以下、喧太さんのコメント全文マスコミ関係の皆様本日午前9時35分、父原田芳雄が上行結腸癌から併発する肺炎で亡くなりました。3年前に大腸癌の手術後、長い間抗がん剤治療をして癌と戦って来ましたが、残念な結果となってしまいした。しかし、最後の最後までの役者魂の凄さには本当に頭が下がります。今回の入院で何度も山を乗り越えて、11日の舞台挨拶は99%無理と言われたのですが、自らの力を振り絞って、見事舞台に上がって皆を驚かせたものです。担当の医師の方々も見事な闘病生活でしたと言ってくれてます。今まで関わって下さった方々、お世話になった方々、そして、原田芳雄を応援してくださった皆様、心よりお礼申し上げます。最後に、役者 原田芳雄の魂は永遠生き続けますので、これからも応援宜しくお願いします。感謝原田喧太松さんは『大鹿村騒動記』で、原田さん演じる主人公・善の元を何かと訪れ、面倒を見る村役場の職員・美江役で出演。11日(月)の舞台挨拶には松さんも登壇したが、映画の公開を無事に見届けて旅立った原田さんの役者魂を「決して忘れない」と語る。以下、松さんのコメント全文哀しいしらせに、言葉もありません。しかしながら、映画の完成、そして船出を見届けた、芳雄さんの魂の強さを、私は決して忘れません。心より御冥福をお祈り申し上げます。芳雄さん、お疲れ様でした。ありがとうございました。松たか子原田さんは1968年に『復讐の歌が聞こえる』で銀幕デビューを果たし、その後はアウトロー的な役柄を数多くこなし、個性派俳優として映画、ドラマで人気を博した。黒木和雄監督による『TOMORROW 明日』、『美しい夏キリシマ』、『父と暮せば』の“戦争レクイエム三部作”や鈴木清順監督の『ツィゴイネルワイゼン』、『陽炎座』など100本を超える映画に出演。近年でも2007年と2008年にはそれぞれ3本の出演作が公開されるなど、精力的に活動していた。特に最近では頑固なオヤジや祖父の役で、味わいのある演技を見せていた。最後の映画となった『大鹿村騒動記』は原田さんがNHKのドラマ「おシャシャのシャン!」(2008年放送)に出演した際に、300年以上の伝統を誇る長野県の山間の大鹿村の“大鹿歌舞伎”と出会ったことが企画のきっかけとなった。原田さん自ら阪本順治監督に提案し、豪華キャストを迎えて製作された。昨年秋に大鹿村で撮影され、今年5月4日には大鹿村で完成披露試写会と舞台挨拶が行われ、原田さんは阪本監督、大楠道代、岸部一徳と共に村に凱旋し、元気な姿を見せていたが帰京後に入院。先週11日(月)の本作の舞台挨拶には車いすに乗って登壇し、声が出ないために共演者で“盟友”の石橋蓮司がコメントを代読した。16日(土)の初日舞台挨拶は欠席し、その後、体調が急変し昨日午前、帰らぬ人に。まさに映画の船出を見届けての旅立ちとなった。■関連作品:大鹿村騒動記 2011年7月16日より全国にて公開© 2011「大鹿村騒動記」製作委員会■関連記事:加療中の原田芳雄が車椅子で登場!温かい拍手に涙名優たちが魅せる珠玉のドラマ『大鹿村騒動記』試写会に50組100名様ご招待
2011年07月20日映画『行きずりの街』の初日舞台挨拶が11月20日(土)、東京・銀座の丸の内TOEI1で行われ、主演の仲村トオル、共演の小西真奈美、窪塚洋介、南沢奈央らが出席した。12年前に教え子・雅子(小西さん)と結婚したものの、その後、離婚した男・波多野(仲村さん)が雅子と再会し、自身を追放した名門女子高をめぐる陰謀に巻き込まれていく姿を描くミステリーロマンス。小西さんとの元夫婦という役どころに、女優・鷲尾いさ子と結婚16年目を迎えたおしどり夫婦と知られる仲村さんは「どんな役でも経験や想像力を使うと思いますが、元夫婦は経験がないし、してはいけないことだなと思い、監督の指示通りやりました」と苦笑い。阪本順治監督は「普段、男の映画ばかり撮っていますが、今回は男と女の映画を撮りました。自分の経験が生かせたのか何なのか…」とおどけてみせ、苦労を聞かれると「52で独り身ですから夫婦は分からないし夜も全然ないので…あ、奈央ちゃんゴメン」と下ネタを口にしかかり“自爆”。同性の仲村さん、窪塚さんはプッと吹き出し、会場は爆笑。それでも「ラブシーンは照れながらやりました。楽しく激しくやろう!って真奈美ちゃんに言いながら…」と続けたが言葉に詰まった様子で「止めます!」と自ら打ち切り。さらに笑いを誘った。一方、本作は仲村さんの出演50本目の記念作で今年が俳優デビュー25周年。お祝いとしてサプライズで、映画『ビー・バップ・ハイスクール』で仲村さんを発掘しデビューさせた故・那須博之監督の妻で、脚本も務めた脚本家の真知子さんからの手紙を、司会者が「那須はいま、もし生きていて、この映画を観たら、きっとこう言うと思います。『いい役者になったなあ。それよりまず、いい男になったなあ』…(抜粋)」と代読。仲村さんは那須夫婦に対し「恩人としかいいようがない」と唇を噛みしめてしみじみ。25年前の自分がいまの自分を見たら?と司会者から問われると、「意外と持ったなぁ、とか、結構続くもんだね、ですかね。あの頃、俳優って面白いなとは思ったけど、続くとか続かないとか可能性すら考えられませんでしたから」と話し、「25年後、僕の100本目の映画でみなさま会いましょう!体を大切に、いいものを食べてください」と観客に軽妙なメッセージ。会場を盛り上げた。『行きずりの街』は全国にて公開中。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:行きずりの街 2010年11月20日より全国にて公開© 2010「行きずりの街」製作委員会■関連記事:仲村トオル、玉山鉄二、岸谷五朗、渡部篤郎主演の横山秀夫サスペンス4編の予告編到着【TIFFレポート】仲村トオル俳優デビュー25周年50度カクテル一気飲み「ファイヤー!」仲村トオル、チャン・ドンゴンとの再会に感激!『行きずりの街』韓国公開も即決定ハズレなし!「映画館大賞2010」まもなく発表中谷美紀が選ぶ「1本」は?来年の東映は『ゼブラーマン2』セクシー衣裳から『桜田門外ノ変』まで注目作ズラリ!
2010年11月20日映画『行きずりの街』に主演する仲村トオルが10月25日(月)、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた第23回東京国際映画祭での上映の舞台挨拶で、俳優生活25周年を共演の小西真奈美、阪本順治監督らからアルコール度数50度の特製カクテルと共に祝福された。1985年公開の映画『ビー・バップ・ハイスクール』でデビューして今年で25年目、本作が出演映画50本目という節目を祝い、仲村さんは25年モノの50度ウイスキー「カリラ」をベースにした特製カクテル、小西さんらは薔薇のリキュールとシャンパンのカクテルでカンパイ。酒が強い仲村さんはクイッとひと息に飲み干し「ファイヤー!な感じです」と満面の笑み。司会者から大丈夫?と聞かれ「全然大丈夫ですよ」と大酒豪ぶりを見せつけた。阪本監督もほぼ一気飲みしてみせ「ジュースみたい」と物足りなさげ。小西さんは「飲むと赤くなってみなさんの前に出てはいけないような状態になるので…」とひと口だけなめて「美味ファイヤーです」。続けて27日(水)に迎える32歳の誕生日をひと足早くサプライズで祝福され、仲村さんから花束を手渡されると頬を赤らめて喜んでいた。本作は、1992年に「このミステリーがすごい!」で1位に選出された作家・志水辰夫の同名小説を原作に、12年前にかつての教え子との結婚が原因で名門学園の教職を追われた男・波多野(仲村さん)が、学園が関わる黒い事件に一人で立ち向かう姿を描く恋愛ミステリー。劇中に引っ掛け、12年間、1人の相手を想い続けることができるか?という質問に仲村さんは「僕は(女優の鷲尾いさ子と)結婚して15年になりますが、15年前と全く変わらない気持ち」と愛妻家ぶりをアピール。小西さんは「この人だ!と思うたった一人の人と出会って想い続けるのは女性としては運命的で素敵なコト」とウットリ。現在20歳の南沢奈央は「12年前を思うと…」と考え込み、司会者から「8歳じゃないですか」と突っ込まれながらも「容姿も性格も変わるので、相当強い愛なんだなと思います」と12年愛に思いを馳せていた。ほかに主題歌「再愛〜Love you again〜」を歌う女性歌手megも出席した。『行きずりの街』は11月20日(土)より全国にて公開。(photo/text:Yoko Saito)特集「東京国際映画祭のススメ2010」■関連作品:行きずりの街 2010年11月20日より全国にて公開© 2010「行きずりの街」製作委員会■関連記事:仲村トオル、チャン・ドンゴンとの再会に感激!『行きずりの街』韓国公開も即決定ハズレなし!「映画館大賞2010」まもなく発表中谷美紀が選ぶ「1本」は?来年の東映は『ゼブラーマン2』セクシー衣裳から『桜田門外ノ変』まで注目作ズラリ!仲村トオルと小西真奈美が12年ぶりに再会する元夫婦に!『行きずりの街』映画化
2010年10月25日仲村トオル主演の『行きずりの街』が、先日より開催中の第15回釜山国際映画祭にて上映され、仲村さんと阪本順治監督がトークイベントおよびティーチインに出席。公式上映が行われると、すぐに韓国での劇場公開が決定した。1992年の「このミステリーがすごい!」(宝島社主催)で第1位に輝いた志水辰夫の小説を映画化。仲村さんはかつて、将来を嘱望された教師だったが教え子との結婚をスキャンダルとして追及されて学園を追われ、いまは郷里で塾講師をしている男・波多野を熱演。行方の分からなくなった元教え子の消息を追って再び東京に足を踏み入れた波多野が、彼女の失踪の背後にある陰謀を明らかにしていく姿が描かれる。仲村さんは過去に『ロスト・メモリーズ』、『青燕』といった韓国映画に出演した経験があり、特に『ロスト・メモリーズ』では韓国で最も権威のあるとされる映画賞・大鐘賞助演男優賞を外国人で初めて受賞。その名は韓国でも知れわたっており、今回、ビーチで開催されたイベントでも、ハングルや英語で「お帰りなさい!」などと書かれたうちわを持った熱狂的なファンから大きな声援を送られていた。仲村さんは韓国入り後、イベントの前に『ロスト・メモリーズ』で共演したチャン・ドンゴンと5年ぶりに再会したそうで、今年5月のドンゴンの結婚と先ごろの第1子誕生を祝福し、プレゼントを手渡したという。仲村さんはイベント後「釜山国際映画祭には『青燕』以来5年ぶり、2回目の参加です。前回は韓国映画で来ましたが、今回は日本映画でここに来ることが出来ました」と笑顔で語り、ドンゴンとの再会については「『ロスト・メモリーズ』では本当によく飲みに行き、朝まで付き合わされたこともありましたね(笑)。ドンゴン氏が出演した『グッドモーニング・プレジデント』(※日本では今年7月公開)の役柄から、『きみが大統領になるとは思わなかったよ』と冗談を言ったら大笑いしていました。『ロスト・メモリーズ』公開時に『また共演したいけれど、お互いそれぞれの国でがんばって、いつかどこかの国際映画祭で作品を持ち寄って再会できたらいいね』と話していたのがついに叶いました。僕にとって記念すべき日になりました!」と共演時の思い出に触れつつ、喜びを語ってくれた。また、韓国の新興の配給会社「マウンテンピクチャーズ」は、公式上映が行われると即刻、本作の買い付けを決定。「韓国映画にはない雰囲気が感じられ、夢を見ているような気分にさせられた」とは同社CEOリ・ゼ・シク氏の弁。映画祭は15日まで開催。熱く、厳しい韓国の映画関係者をうならせた『行きずりの街』は11月20日(土)より全国にて公開。■関連作品:行きずりの街 2010年11月20日より全国にて公開© 2010「行きずりの街」製作委員会第15回釜山国際映画祭 [映画祭]■関連記事:釜山の観客の熱烈歓迎に深津絵里「クセになりそう!」宮崎あおい&大竹しのぶに韓国人ファン熱狂「ステキ!」、「カワイイ!」と声援安藤政信が釜山登場!米中合作アクションコメディで天才料理人を熱演ハズレなし!「映画館大賞2010」まもなく発表中谷美紀が選ぶ「1本」は?来年の東映は『ゼブラーマン2』セクシー衣裳から『桜田門外ノ変』まで注目作ズラリ!
2010年10月15日もはや、読者に最も大きな影響力を持つ文学賞にまで発展を遂げた「本屋大賞」に続けとばかり、全国の独立系映画館が参加し、映画館スタッフが選ぶ映画賞として昨年より始まった「映画館大賞」。2回目を迎える今年は3月15日(月)に発表される。2008年12月から2009年11月に公開された作品を対象に、今年は昨年よりも40館ほど多い、全国150館もの独立系映画館が投票に参加、映画館スタッフが心よりオススメする作品が明らかになる。上位20作品のランキングに加え、「あの人の1本」と題した、映画関係者が選ぶ最も印象的な1本も発表。今年の「あの人の1本」に参加するのは、次々と話題作を世に送り出し、今年は『行きずりの街』の公開も控える阪本順治監督に、まもなく主演作『スイートリトルライズ』が公開を迎える女優の中谷美紀、数々の怪演、名演で日本映画界になくてはならない存在として活躍し、監督としての顔も持つ竹中直人の3人。昨年も洋画、邦画と多くの話題作が公開されたが、果たしてこの3人を唸らせた作品は?加えて、4月17日(水)〜23日(金)には、シネマ・ヴェーラ(東京・渋谷)にて上位作品の特集上映や豪華ゲストを迎えてのトークイベントも開催。“最も信頼の置ける”昨年公開の傑作を堪能できるチャンスと言えそう。結果の発表は3月15日(月)。昨年、あなたが劇場に足を運んだ作品を思い出しつつ、ランキングを予想してみては?映画館大賞 2010 公式サイト© 花くまゆうさく■関連作品:スイートリトルライズ 2010年3月13日よりシネマライズほか全国にて公開© 2009 「スイートリトルライズ」製作委員会行きずりの街 2010年秋、全国にて公開© 「行きずりの街」製作委員会■関連記事:女性に嬉しいプラン続々!『スイートリトルライズ』オリジナルテディベアも登場大森南朋『スイートリトルライズ』インタビュー揺れる男心「恋は一過性のもの」中谷美紀『スイートリトルライズ』インタビュー夫以外の人に心奪われていく気持ち…恋愛脚本家が見せる、乙女な素顔狗飼恭子×大森美香“大人の恋愛”トークショー『スイートリトルライズ』矢崎監督インタビュー「映画は理解するのではなく感じる物」
2010年03月11日1991年度の「このミステリーがすごい!」第1位を獲得した「行きずりの街」(志水辰夫著・新潮文庫刊)が仲村トオルと小西真奈美を主演に迎えて映画化されることが決定した。かつては教職にあったが、卒業した教え子との結婚をスキャンダルのように扱われ、高校を追われ、離婚にまで追い込まれた主人公・波多野。現在は郷里で塾の講師をしていたが、東京で音信不通となった教え子を捜すべく、再び東京に足を踏み入れる。この失踪事件の背後に、かつて自分を学園から追放した男たちがいることに気づいた波多野は、捜査のためにあるバーへ。そこで、かつての妻・雅子と12年ぶりに再会する。失われた時を取り戻そうとする2人。そして、彼女の助けもあって波多野は徐々に事件の核心へと近づいていく…。メガホンを握るのは、人間の持つ泥臭さや感情を浮き彫りにする演出で『魂萌え!』、『カメレオン』、『闇の子供たち』と近年も話題作を次々と世に送り出している阪本順治。企画者には、仲村さんの映画デビュー作である『ビー・バップ・ハイスクール』シリーズの生みの親であり、松田優作作品や、「あぶない刑事」シリーズなど、数々の話題作をものしてきた黒澤満が名を連ねている。波多野役の仲村さんは「(製作プロダクションである)セントラル・アーツは別名“黒澤(満)撮影所”というか、ここは僕にとっては“実家”のようなところ。ここに、いったい何人の恩人と呼べる人がいるんだろう、と改めて思う日々です。役者としてド素人だった僕は、この人たちに『許してもらい』、『誤魔化してもらい』ながら仕事をし、いままで何とか生き延びてきたんだなと実感してます。でも、役者を始めて24年、来年は25年目を迎えるので、『もうガキじゃないんだぞ』という緊張感もあります。これからも多くの質の高い仕事をすることが、ふるさとへの、恩人の方たちへの恩返しになるんじゃないかと…と感慨に浸ってしまうわけにもいかないので(笑)、とにかく、この作品の日々の現場を、目の前にあることを頑張っていこうと思ってます」と並々ならぬ決意を語る。波多野のかつての教え子であり、別れた妻でもある雅子を演じる小西さんは「阪本順治監督は、以前からお仕事をご一緒したかった監督だったので、真摯な気持ちで臨みたいと思いました。阪本監督は、役者の感情や温度を大切に撮影して下さいますし、仲村トオルさんはそれを大きく受け止めて下さるので、毎シーン良いものが出来ていることを感じています」と手応えを明かす。「しっとりとした、それでいてハードな」作品に仕上げたいと語る阪本監督。66万部を売り上げた傑作ミステリーをどのように描き出すのか?失われた時間と、自らの誇りを取り戻すための男の孤独な闘いはどこへ向かうのか――?『行きずりの街』は10月末にクランクアップ予定。2010年秋、全国にて公開。■関連作品:行きずりの街 2010年秋、全国にて公開© 「行きずりの街」製作委員会
2009年10月17日