3月21日(現地時間)、MicrosoftはLIS(Linux Integration Services)バージョン4.1を公開したことを公式ブログで発表した。既にダウンロードも可能。同社は以前から、Hyper-Vの仮想マシン用OS(ゲストOS)としてLinuxをインストールする際、仮想マシンの能力を引き出すためのアドオンとしてLISをリリースしてきた。対象はRed Hat Enterprise Linuxを始めとするLinuxディストリビューション。以下に列挙する。Red Hat Enterprise Linux 5.2~5.11 32ビット/32ビットPAE/64ビットRed Hat Enterprise Linux 6.0~6.7 32ビット/64ビットRed Hat Enterprise Linux 7.0~7.2 64ビットCentOS 5.2~5.11 32ビット/32ビットPAE/64ビットCentOS 6.0~6.7 32ビット/64ビットCentOS 7.0~7.2 64ビットOracle Linux 6.4~6.7 Red Hat Compatible Kernel 32ビット/64ビットOracle Linux 7.0~7.2 Red Hat Compatible Kernel 64ビットLIS バージョン4.1はバグフィックスやパフォーマンスの向上、以下に列挙する新機能が含まれている。Red Hat Enterprise Linux 5.2/ 5.3/5.4/7.2にインストール可能CentOS 5.2/5.3/5.4/7.2にインストール可能Oracle Linux 7.2 Red Hat Compatible Kernelにインストール可能Hyper-Vソケット(Windows Server Technical Preview上でサポート)メモリーホットアド(Windows Server Technical Preview上でサポート)SCSI WNNlsvmbusアンインストール用スクリプトLISのソースはGitHubから入手可能。MicrosoftのJosh Poulson氏は、TecNetの記事もバージョン4.1に合わせて加筆したことを明らかにしている。阿久津良和(Cactus)
2016年03月22日コード名「Spartan」で開発が進められ、Windows 10の既定Webブラウザーとしてデビューした「Microsoft Edge (以下、Edge)」だが、利用しているという声はあまり聞こえてこない。実際に使ってみるとHTMLエンジンのチューニング度は高いものの、必要最小限の機能しか備えていないため、普段使いのWebブラウザーとしては物足りない。Microsoft EdgeプログラムマネージメントディレクターのJason Weber氏は2月3日の公式ブログで、2016年中に取り組む開発の優先順位として、エクステンションプラットフォームを1番に掲げていた。問題は提供開始時期や開発コミュニティがいつ盛り上がるかだが、その一端がようやく見えてきた。3月15日にMicrosoftは、Windows 10 Insider Preview向けに、Edge用拡張機能のダウンロードページを公開した。当初は「Microsoft Translator」「Mouse Gestures」「Reddit Enhancement Suite」と3つの拡張機能が並んでいたが、筆者はその日、所用で外出しなければならなかったため、ダウンロードのみに留めていた。そして翌日、インストールを試みたものの、Edgeに何の変化も生じない。<詳細>メニューに<Extensions>は現れず、拡張機能のボタンが並ぶこともない。この時点では、プレビュー版のため、動作しないのだろうと軽く考えていた。なお、試した環境はWindows 10 Insider Preview ビルド14279、Edgeは31.14279.1000.0である。何らかの追加情報があるかと再びダウンロードページを訪れてみると、そこには「ページが見つかりません」の文字が並ぶだけ。一晩でページが消えてしまったのである。何らかの不具合が見つかったのかはわからないが、このように情報が一瞬だけ表に出ることは珍しくはない。Edge拡張機能ページのチラ見せは2015年12月にも起きている。そのときは、「Reddit Enhancement Suite」「Pin It Button」を誤って公開した後、ページを閉じている。度重なるミスがMicrosoftの焦りを裏付けているように感じるのは筆者だけだろうか。MicrosoftはMozilla FirefoxやGoogle Chrome用の拡張機能からEdge用への移植を容易にすると当初から説明している。Mozilla Firefoxも近々のバージョンでWebExtensions APIを導入する見込みで、Webブラウザー間の垣根が取り払われつつある。Microsoftは米国時間3月17日にWindows 10 Insider Preview ビルド14291をリリースし、変更点の1つとしてEdgeの拡張機能をアピールしている。今回の一件はInsider Previewのリリースタイミングと拡張機能ページの公開タイミングがずれたことから発生した事案と察するが、これでようやく拡張機能が使用可能になり、開発者向けカンファレンス「Build 2016」に向けて開発環境整備も進むだろう。2016年夏以降はEdgeも他のWebブラウザーと肩を並べることになりそうだ。阿久津良和(Cactus)
2016年03月22日ギャラリー・ロケット(ROCKET)の移転オープニング企画として3月18日から30日まで、インスタレーション展「山縣良和『gege』」が開催されている。同展は、3月18日に表参道ヒルズの同潤館3階に移転オープンしたギャラリー・ロケットのオープニング企画として開催されるもの。リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)とリトゥンバイ(written by)が、16年AWコレクションに引き続き「妖怪」をテーマに掲げたインスターレーションとなっている。会場では、山縣の故郷である鳥取の砂丘の砂を使用した骸骨に、生の野菜や果物を配し「生」と「死」を表現した。また、16日に発表されたばかりのコレクションピースも展示され、直接手に取る事が可能となっている。ロケット20周年を記念して、両ブランドのデザイナーである山縣良和と、音楽プロデューサーの藤原ヒロシによるコラボレーションTシャツも発売。表参道の町並みをモチーフとした「town」(1万円)と、並木モチーフの「trees」(全5色/各1万円)の2種類が用意された。また、リトゥンバイの最新コレクションより、砂のブローチ(小/3,200円、中/3,500円、大/3,800円)が数量限定で販売中。【イベント情報】「山縣良和『gege』」会場:表参道 ロケット住所:東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ同潤館3階会期:3月18日~30日時間:11:00~21:00(日曜日は20:00まで、30日は18:00まで)入場料無料会期中無休
2016年03月20日Windows 10のエクスプローラーは「クイックアクセス」という、使用頻度の高いファイルやフォルダーにアクセスする仕組みを用意した。だが、無駄に増えると視認性が低下し、場合によっては情報漏洩につながる場合も。そこでクイックアクセスに示される履歴情報のクリア方法と、履歴を無効にする設定を紹介する。○クイックアクセスは便利?エクスプローラーのナビゲーションウィンドウに並ぶ「クイックアクセス」は、文字どおりファイルやフォルダーに"すばやくアクセス"するために用意された機能だ。クイックアクセスには直前に使用したフォルダーやファイルが並び、すぐに開けるようになっている。Microsoftはクイックアクセスを推奨しているのか、エクスプローラーを起動すると最初に現れる仕様となった。だが、ユーザーの使用履歴がそのまま示されるため、使用環境によっては他者に知られたくない場合もあるだろう。クイックアクセスの履歴はダイアログから容易に削除できる。○クイックアクセスの履歴をクリアする「エクスプローラーのオプション」ダイアログに用意された「消去」ボタンを使う。ただし、「よく使用するフォルダー」の「デスクトップ」「ダウンロード」「ドキュメント」「ピクチャ」はそのまま残る。「エクスプローラーのオプション」ダイアログの「プライバシー」セクションには、「最近使ったファイルをクリックアクセスに表示する」「よく使うフォルダーをクリックアクセスに表示する」という2つの項目が並んでいるが、これらの無効にすることで、ファイルやフォルダー、もしくは両方の履歴を無効にできる。クイックアクセス自体を使わない場合は、同ダイアログの既定アクションを「クイックアクセス」から「PC」に変更するとよい。下図で示したように、基本的なユーザー用フォルダーも表示される。こちらからアクセスする「ドキュメント」「ピクチャ」フォルダーは、ユーザープロファイル下のフォルダーが開き、OneDriveフォルダーではないので注意してほしい(Windows 10 Insider Preview ビルド14279では改善しているため、今後のアップデートで反映されるだろう)。阿久津良和(Cactus)
2016年03月19日Windows 10が応答せず、PCの電源ボタンを押してもシャットダウンできないような状況で試してみる価値があるのは、セキュリティオプション画面に用意された「緊急の再起動」だ。今回はその内容と使用場面を紹介する。○セキュリティオプション画面とは我々が使っているPCの元祖にあたるIBM PCには、「Ctrl」+「Alt」+「Delete」キーを押すと、コンピューターをリセットする機能が組み込まれていた。これはMS-DOSやWindows 3.0まで踏襲していたが、Windows 3.1ではユーザーが操作を選択する仕組みになった。一方、ワークステーション向けOSとして設計されたWindows NTは、「Ctrl」+「Alt」+「Delete」キーでサインイン(ログイン)画面を表示するか、当時は「Windowsのセキュリティ」と呼ばれていた画面を表示する。Windows NTの流れを汲むWindows 10も、同じ動作だ。Windows 10で「Ctrl」+「Alt」+「Delete」キーを押したときに現れる、ロックやユーザーの切り替えなどを行う画面は、「セキュリティオプション」画面と呼ばれている。○「緊急の再起動」はどんなときに役立つかWindows 10のセキュリティオプション画面から下図の操作を行うと「緊急の再起動」が実行可能になる。どうしてもOSが応答しない場合、最後の手段として実行するのは、リセットボタンによるハードウェアリセットか、電源ボタンの長押しによる強制電源オフだろう。「緊急の再起動」は、こうした最終手段の一歩手前に行う操作として用意された機能だ。正常に再起動/シャットダウンできない場合に「緊急の再起動」を試すわけだが、「緊急の再起動」を実行すると、システムやアプリケーションのログ情報、NTFSのジャーナル情報などが正しく保存されない。最悪、システムファイルが破損する可能性もある。あくまでも、リセットボタンによるハードウェアリセットや、電源ボタン長押しによる強制電源オフよりは「まし」程度と考えて、手段のひとつとして覚えておくとよいだろう。阿久津良和(Cactus)
2016年03月18日3月16日(以下すべて現地時間)、MicrosoftはWindows 10の標準WebブラウザーであるMicrosoft Edge、およびInternet Explore 11のRC4のサポートを、2016年4月12日リリース予定の更新プログラムで無効にすると公式ブログで改めて強調した。本件は2015年9月に発表済みだが、具体的な方針や実施日を明言したのは初めて。既にMozilla Firefoxはバージョン44、Google Chromeはバージョン48でRC4を無効にした。1987年に設計されたRC4は、Webブラウザーやオンラインサービスの間で広く使われてきたストリーム暗号だが、1994年9月の漏洩事件でアルゴリズムが広まり、その安全性は疑問が持たれている。2015年2月には、IETF(Internet Engineering Task Force)がTLSでのRC4の使用を禁じる方針を発表していた。Microsoft Windows ExperienceシニアプログラムマネージャーのBrent Mills氏によれば、現在のMicrosoft EdgeおよびInternet Explorer 11はTLS 1.0/1.1/1.2上のRC4をフォールバックに限定。更新プログラムはWindows 10に限らず、Windows 7およびWindows 8.1も対象となる。同氏は今回の仕様変更に多くのユーザーは気付かないと述べつつも、自社のWebサービスがRC4に依存している場合はマイクロソフトセキュリティアドバイザリ2868725を参考に、TLS 1.2の有効化とRC4の無効化を推奨している。阿久津良和(Cactus)
2016年03月17日3月15日(現地時間)、Microsoftは自社検索エンジンのBingを外部から利用できるBing Search APIの機能拡張を公式ブログで発表した。現在のBing Search APIは2014年4月にローンチしたバージョン2だが、今回開発者向けプレビューとして発表したのはバージョン5になる予定。開発者向けプレビュー版では以下の機能が使用できる。数千億ものWebページ/画像/ビデオ/ニュース検索結果ユーザー入力の精度や速度を改善するオートサジェスト機能スペルチェック機能ニュース/画像/動画などのトレンドトピック検索画像および動画検索時のサイズやライセンスフィルター機能Microsoft Bing for PartnersプログラムマネージメントディレクターのGurpreet S Pall氏は、Bing Search APIは同じコアBingプラットフォームと機能によってCortanaやOfficeなどの機能を毎月数百万のユーザーが使用している。新しいAPIはJSON-LD(JavaScript Object Notation-Linked Data)に代表される構造化データ最新基準に従ったREST APIになると説明した。Bing Search API v2は5,000トランザクション以上/月は有料になるが、今回の発表で料金体系に関する言及はなかった。阿久津良和(Cactus)
2016年03月16日Microsoftは3月14日(現地時間)、HTTPリクエスト/レスポンスとして伝統的な方式とWebSocket、どちらが優れているかを比較する記事を公式ブログで公開した。必ずしも白黒ハッキリとした結果を導き出すものではないと前置きしながらも、結論として伝統的なHTTPを既定で使用し、場面に応じてWebSocketを使用することを推奨している。伝統的なHTTPはコネクションを長時間占有するため、他のアプリケーションに影響をおよぼす可能性が発生する。他方でWebSocketはソケット接続を確立すれば、他のコネクションを張る必要がないため他への影響は少ない。当初はHTML5の仕様として策定が進められていたが、現在は単独のプロトコルとして存在する。MicrosoftプログラムマネージャーのJeff Carnahan氏の説明は、両者を比較してそれぞれのメリットを次のように説明した。○伝統的なHTTPが向いているシナリオ継続的な更新を必要としないコンテンツキャッシュが有効なコンテンツ冪等性(べきとうせい)と安全性を必要とするコンテンツ適切なエラーメッセージを必要とする場面同期イベントを要求する場面○WebSocketが向いているシナリオ高速な応答性を必要とするコンテンツ継続的な更新を必要とするコンテンツアドホックモードを用いる場面低ペイロードメッセージを必要とする場面さらにサービスのポーリングを必要とする場合や頻繁に小さなメッセージを送信するクライアント、リソースへの迅速な対応が必要になる場面で伝統的なHTTPの使用は適切ではなくWebSocketを実装すべきと説明している。その上でドキュメント(WebSocket用およびHTTP用)やサンプルコード(WebSocket用およびHTTP用)の参照を推奨した。阿久津良和(Cactus)
2016年03月15日3月14日(現地時間)、MicrosoftはSharePoint Server 2016がRTM(Release To Manufacturing)に達したことを、公式ブログで発表した。グループウェアや企業コンテンツを管理するサーバー製品であるSharePoint Server 2016を同社はMicrosoft SaaS(Software as a Service)戦略の中核に位置付け、開発を行ってきた。当初は2015年秋頃のリリースを目指していたが、その後2016年第2四半期へ変更している。トライアル版は本日からダウンロード可能になり、VL(ボリュームライセンス)サービスセンターによる公開は5月上旬を予定。ベースとなるOSはいずれもWindows Server 2012 R2となる。また、Project Server 2016もコンポーネントの1つとしてRTMを迎えた。SharePoint Server 2016は数十億のドキュメントファイル管理を可能にし、MicrosoftはSharePoint Server 2016に移行することで、コスト削減やビジネスリスク管理の向上、費用対効果向上による効率的な管理が可能になると説明している。また、2016年中にUX(User Experience)やドキュメントコラボレーション、モバイル機能の強化を予定し、プラットフォームの改善を行う予定であることを同ブログで明かした。なお、別の公式ブログでシステム管理者向けにSharePoint Server 2016の特徴を説明する記事を掲載している。Microsoftは2016年5月4日9時半(現地時間)にSharePoint Server 2016のリリースを祝うイベント「The Future of SharePoint Registration」を開催することも同時に発表した。こちらから事前登録することで日本からも参加可能。Microsoft OneDrive and SharePoint CVPのJeff Teper氏が登壇し、今後の計画を説明する。阿久津良和(Cactus)
2016年03月15日Microsoftは「One Windows」を標榜し、Windows 10をPCにモバイル端末にゲーム機にと全方位的に展開している。今回はこの戦略の一端を知るために、日本におけるWindows 10プラットホームのB2B展開についてレポートしたい。3月8日、ソフトバンクロボティクスと日本マイクロソフトが業務提携し、Microsoft AzureやSurface Hubを活用して、人型ロボットのPepperが販売員として接客するという取り組みを開始した(関連記事)。本件の核はロボットとクラウド連携させる「クラウドロボティクス」であり、Microsoftが持つ技術の活用が大きい。Microsoft Translatorによるリアルタイム通訳や、Microsoft Azure Machine Learning(機械学習)による顧客データの蓄積と応用性、Power BIなどを用いた分析機能があって初めて成り立つ。さらにProject Oxfordによる表情検出技術なども大きく寄与している。このようにロボティクス分野にも広まる「One Windows」プラットホームだが、他方で法人市場への浸透具合は不明瞭だ。先日開催されたプレスラウンドテーブルでは、「全国展開を決めた組織はまだ多くないが、部分導入や検証導入は始まっている。米国では76%に達し、日本も似た数字」との状況説明があった。このような導入事例では、ペンタゴン(米国防総省)が400万台のデバイスを1年以内にWindows 10にアップグレードする意向を示した件が大きい。日本マイクロソフト 業務執行役員 Windows&デバイス本部長 三上智子氏は、「Windows 10のセキュリティ機能が高く評価された」と本件を説明した。Windows 10 Mobileに関して質問すると、日本マイクロソフト 執行役 コンシューマー&パートナーグループ OEM統括本部長 金古毅氏は「本気度が見えないというのは、B2C市場を中心に考えているからでは? 現時点で(Windows 10 Mobile搭載デバイスの)ニーズが高いのは法人顧客。B2Bは社内でもしっかりとした体制を組んで、市場にコミットできると自負している」と回答。Windows 10 MobileのB2B展開に自信を見せている。今後もWindows 10 Mobile搭載デバイスが増えるのか、という質問に対しては「デバイスの数だけ増えてビジネス的損失が発生することは避けたい。(Windows 10 Mobile搭載デバイスも)ローエンドから始まり、ミッドレンジ、ハイエンドと出揃った。このポートフォリオバランスを大事にしたい」と答えた。Windows 10 Mobileを担当する日本マイクロソフト コンシューマー&パートナーグループ モバイルビジネス担当ディレクターの白男川亜子氏も、「B2Cから成長した他のプラットフォームと違う道を選びたい。現在多くのPCメーカーがWindows 10 Mobile搭載デバイスをリリースしている」と補足した。これらの回答からB2BからB2Cと広まる流れもあり得るだろう。他方でパートナー企業の声も紹介したい。某Windows 10 Mobileパートナー企業の責任者に伺ったところ、日本マイクロソフトと定期的にミーティングを行い、改善を進めているとのこと。日本マイクロソフトは見えないところで努力すると同時に、長期的にWindows 10 Mobile市場を育てていく意思があると感じているという。本当の意味でOne Windowsが実現する日が訪れれば、本レポートで何度も述べてきたように一気通貫的なプラットフォームが実現する。もちろんWindows 10は改善しなければならない箇所が多く、その日が訪れる時期は筆者にも見えていない。次期大型アップデートのRedstoneを2017年に延期するという情報もある。それでもMicrosoftはOne Windowsの日を目指して全方位展開を続けている。それが我々エンドユーザーのメリットにつながることを期待したい。阿久津良和(Cactus)
2016年03月14日Microsoftは2016年3月11日(現地時間)、Visual Studio 2005の各製品群が2016年4月12日に延長サポート終了日を迎えることを、公式ブログで改めてアナウンスした。既にメインストリームサポートは2011年4月12日に終了している。今回サポート終了を迎えるのは以下の製品。Microsoft Visual Basic 2005 Express EditionMicrosoft Visual C# 2005 Express EditionMicrosoft Visual C++ 2005 Express EditionMicrosoft Visual J# 2005 Express EditionMicrosoft Visual Studio 2005 Professional EditionMicrosoft Visual Studio 2005 Standard EditionMicrosoft Visual Studio 2005 Standard Edition academic licenseMicrosoft Visual Studio 2005 Team Edition for Software ArchitectsMicrosoft Visual Studio 2005 Team Edition for Software DevelopersMicrosoft Visual Studio 2005 Team Edition for Software TestersMicrosoft Visual Studio 2005 Team SuiteMicrosoft Visual Studio 2005 Team Test Load AgentMicrosoft Visual Studio 2005 Tools for the Microsoft Office SystemMicrosoft Visual Web Developer 2005 Express Editionさらに同日にはMicrosoft .NET Framework 2.0、2016年7月12日にはVisual Studio 2005 Team Foundation Serverの延長サポートが終了する。なお、Microsoft Visual Studio 2005 Team Edition for Database Professionalsは翌年の2017年4月11日に延長サポートが終了する予定だ。Microsoft Visual Studio担当シニアプログラムマネージャーのEric Zajac氏は、「C++ 11やTypeScriptなどはVisual Studio 2005の時代から開発が始まったものの、別れを伝える時が来た」と述べ、最新版であるMicrosoft Visual Studio 2015へのアップグレードを推奨している。阿久津良和(Cactus)
2016年03月14日SSDをメインストレージとするPC環境が増えているが、SSDには使用時間とともに速度が低下する性質があり、これを回避するのがTrimコマンドだ。Windows 10では特に意識する必要はないが、Windows 10 Insider Previewで興味深い変化が加わった。今回は少々難しくなるが、その変化を紹介したい。○TrimコマンドとはSSD上でファイルやフォルダーを削除しても、データそのものは残っている。Windows 10のごみ箱とはまた別に、SSD上で「削除マーク」が付けられるだけだ。この状態でTrimコマンドが発行されると、削除マークが付いた領域のデータも本当に消去される。すると、次回の書き込み時に、「古いデータの消去」→「新しいデータの書き込み」という手順を踏まずに、新しいデータを直接書き込めるため、速度の低下を抑制できるわけだ(SSDは古いデータが存在する領域に新しいデータを「上書き」できない。本来はもっと複雑だが、ここでは詳しく触れない)。Trimコマンドは、OSレベルではWindows 7からサポートを開始し、Windows 10にいたるまで改善を続けている。メンテナンス機能である「ドライブの最適化」も、SSDに対しては一定の頻度でTrimコマンドを実行する仕組みだ。こちらをコマンドラインから確認するには、管理者権限でコマンドプロンプトを起動し、「fsutil behavior query disabledeletenotify」というコマンドを実行すればよい。上図では「NTFS DisableDeleteNotify」の値が「0」だが、これはSSDがTrimコマンドに対応していることを示している。値が「1」の場合はTrimコマンドが無効となり、「NTFS DisableDeleteNotify is not currently set」というメッセージが帰ってきた場合は、Trimコマンドが現時点で無効な状態だが有効にできる。Trimコマンドを有効にするには「fsutil behavior set disabledeletenotify NTFS 0」と実行すればよい。○次期Windows 10(Redstone)はReFSをサポート?この確認コマンドをWindows 10 Insider Previewで実行すると、様子が異なる。下図はWindows 10 Insider Preview ビルド14279で試した状態だが、ReFSに関する設定情報が示される。筆者は約1カ月前からこの変化を確認しているため、ビルド14257あたりから加わったと思われるが、「Redstone」の名称で開発が進んでいる次期大型アップデートでは、ReFSの正式サポートが行われる可能性が高まった。ReFSは「Resilient File System」の略で、Windows Server 2012からサポートを開始した新しいファイルシステムだ。NTFSでは対応できなくなった要求に応えるため、信頼性や拡張性などを高めている。簡単にいうと、データ破損の可能性が大幅に減るが、NTFSの圧縮機能などは取り除かれる。Microsoftの正式なアナウンスが行われたときに、Tipsとして紹介したい。阿久津良和(Cactus)
2016年03月12日Windows 10の無線LAN接続(設定)は、通知領域のアイコンや「設定」から呼び出せるが、デバイスによっては通知領域のアイコンを押しづらく、アクションセンターのクイックアクションもWi-Fiのオン/オフを切り替えるだけ。そこで、「設定」-「ネットワークとインターネット」-「Wi-Fi」を直接開くショートカットファイルを作成しよう。○通知領域のアイコンを押しにくい筆者は外出時にSurface Pro 4で仕事をしているが、意外に困るのが無線LAN接続だ。通常は常備しているWindows 10 Mobileのモバイルホットスポット(テザリング)でインターネットに接続している。だが、タッチパッドは(個人的に)使いにくく、通知領域のアイコンをタッチするのも、Surface Pro 4 Type Coverを装着した状態だとけっこう押しにくい。その代わりに使用するのが「設定」の「ネットワークとインターネット」に並ぶ「Wi-Fi」だ。こちらは通知領域のネットワークアイコンをクリック/タップした時に並ぶウィンドウと同じく、検出したアクセスポイントを列挙し、接続・切断を行える。この設定画面を開くには、「Win」+「I」キーを押すなどして「設定」を開き、「ネットワークとインターネット」をクリック/タップ。場合によっては「Wi-Fi」をクリック/タップと、2~3ステップを必要とする。○「Wi-Fi」のショートカットファイルを作成するもっとすばやくWi-Fi設定を開きたいと考えて思い付くのが、「Wi-Fi」へのショートカットだ。調べたところ、コマンドラインから呼び出せるため、実行するショートカットファイルを作成できる。これで、問題を解決できることが分かった。ショートカットファイルをダブルクリックするだけでは面白くないので、今回はショートカットキーを割り当ててみる。ただし、目的のショートカットファイルがデスクトップにある場合のみ有効なので、必要に応じて設定するとよいだろう。あとは設定したショートカットキーを押すか、ショートカットファイルをダブルクリック/タップすることで「Wi-Fi」が開き、無線LANへのアクセス操作が簡単になる。阿久津良和(Cactus)
2016年03月11日Microsoftは3月9日(現地時間)、Visual Studio 2015用拡張機能として「Web Extension Pack」を公開したことを公式ブログで明らかにした。Visual Studioギャラリーからダウンロード可能。ソースコードはGitHubから入手できる。Web Extension Packに含まれる13の機能は、以前から拡張機能として公開していたものだが、今回改めてパッケージ化された。VSIX形式で提供され、無償版のVisual Studio Community 2015にもインストールできることを確認した。Bootstrap Snippet PackBrowser Reload on SaveBrowser SyncGlyphfriendImage OptimizerJavaScript Snippet PackNPM Scripts Task RunnerOpen Command LinePackage InstallerReact Snippet PackWeb AnalyzerWeb CompilerWeb Essentials 2015Microsoft Web Platforms&ToolsチームのシニアプログラムマネージャーのMads Kristensen氏は、Web Extension PackがWeb開発者の利便性を向上させると説明し、コミュニティからのフィードバックを求めた。Visual StudioギャラリーはVisual Studio 2008リリース時に開始し、執筆時点では約6,300のツールやコントロール、テンプレートなどが登録されている。阿久津良和(Cactus)
2016年03月10日Microsoftは2016年3月8日(現地時間)、Eclipse Foundationにソリューションメンバーとして参加し、Eclipse対応のツールやサービスを提供することを公式ブログで発表した。Eclipseは、IBMが開発したIDE(統合開発環境)。2001年からオープンソース化し、Javaを始めとする各開発言語に対応している。Microsoftは以前から、EclipseによるAzureアプリケーションの開発を行う「Azure ToolsKit for Eclipse」、JavaアプリケーションをAzureに展開する「Java SDK for Azure」を提供しているが、今回新たにEclipseからTeam Foundation Serverへアクセスするプラグイン「Team Explorer Everywhere」をオープンソース化した。さらにクラウドIDEである「Eclipse Che」に組み込まれた「Codenvy」の作業を自動化するツールによって、VSTS(Visual Studio Team Services)との総合運用を可能にしている。Microsoft Visual Studioチーム ジェネラルマネージャーのShanku Niyogi氏は、これらのサービス拡張で自然なワークフローを作成するアジャイル開発が促進すると説明した。その他にも、Azure IoT SuiteとEclipse Kuraのゲートウェイ接続や、Azure Javaデベロッパーセンターの刷新を発表。MicrosoftはEclipse Foundationと協力し、Java開発者向けに今後もEclipse向けのツールやサービス提供を続ける。阿久津良和(Cactus)
2016年03月09日3月3日、ついにCortanaのiOS版(厳密にはiPhone版)が日本でも使用可能になった。以前からベータテストは行われており、筆者の手元に招待状が届いたのは1月25日頃であった。そこから普段使っているiPhoneにCortanaをインストールし、PCと同じMicrosoftアカウントでサインインした。機能的にはWindows 10のそれと同じく、既にデスクトップPCやタブレットで使っている筆者にとって目新しさは感じない。もともとiPhoneで通話する機会が皆無な筆者には、デバイスに話しかけるという習慣がない。Siriも仕事で試す以上のことはしてこなかった。iPhone版のCortanaにも、さほどの期待を持っていなかったが、ある日電車で都内を移動していたところ、iPhoneから通知が送られてきた。Cortanaのテスト中に登録したリマインダーである。以前、MicrosoftのWindows&Devices Group Cortana担当パートナーグループプログラムマネージャーのMarcus Ash氏にインタビューした際、彼は「プロアクティブな(先を見越した)情報提供がCortanaの核となる」と語っていた。その概念が、Cortanaからの通知でようやく腑に落ちた。そもそも人の記憶は不確実である。大事な用事や思いついたアイデアも書き留めなければ、忘れてしまうことがある。そのため我々は、ToDoのようなタスクリストやメモを活用してきた。だが、それらは後で確認しなければ意味をなさない。Cortanaのリマインダーはユーザーが自らアクションを起こさなくても、忘れていた用事を思い出させてくれる。これがプロアクティブな情報提供なのだろう。筆者はWeb版のGoogleカレンダーでスケジュールを管理し、同期したiPhoneアプリで参照してきた。日々の執筆活動もGoogleカレンダーのタスク機能を使用している。Googleカレンダーに統一することで、スケジュールとタスクを簡単に確認できるからだ。Microsoftは2015年6月にToDoアプリのWunderlistを買収したが、現時点でMicrosoftからタスクアプリケーションがリリースされる気配はない。だが、WunderlistがWindows 10のカレンダー(Outlook.com)と融合すれば、Cortanaが次の予定やその日の作業を教えてくれるため、日々のスケジュール管理は容易になるはずである。だが、長年使い込んだツールから移行するには誰しも踏ん切りが必要だろう。残念ながら、Cortanaのリマインダーが面倒な移行作業を経てまで、Googleから乗り換えるほどのモチベーションを与えてくれるとは言い難い。その一方で、ここ数年はGmailにしてもGoogleカレンダーにしても「使いやすくなった」という印象を持てないのが筆者の正直な感想だ。ビジネスツールとして停滞の兆しを見せるGoogleと、後を追うMicrosoft。ユーザーがどちらを選ぶかは、最終的に普段から身につけているスマートフォン次第だが、Microsoftが自社プラットフォームに閉じこもらない姿勢を見せてから、選択肢は大きく広がっている。普段使いのスマートフォンはiOSもしくはAndroid搭載デバイスでも、使うアプリケーションはMicrosoft製に統一することも可能になった。このままCortanaが成長し、各人が必要とする機能を備えた時は、頼りになる秘書的な存在になりそうだ。その時を待つために本稿を書き終えたら、GoogleカレンダーのデータをOutlook.comにインポートしてみようと思う。阿久津良和(Cactus)
2016年03月07日2016年3月4日(現地時間。日本は5日早朝)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド14279をリリースした。3月初となる本ビルドでは、Cortanaをスペイン語(メキシコ)、ポルトガル語(ブラジル)、フランス語(カナダ)に対応させ、日本語IMEのパフォーマンスと候補の改善、サインイン時のUXを改善している。○新機能が加わるが依然として一部のバグは未修正Windows 10 Insider Previewには、"日進月歩"という言葉がよく似合う。改めて述べるまでもなくWindows 10以前、エンドユーザーが未完成のOSに触れる機会は希で、それこそネット上に流出したリーク版を試す程度。だが今では、月に数回のアップデートを行い、細かいバグフィックスや機能・UXの改善と一歩ずつ歩みを進めている様子を体験できる。もちろん基盤となるOSに求められる安定性や不変性という面では相反するものの、筆者は少しずつ姿を変えていくWindows 10を楽しむのも一興、と感じるようになった。さて、今回のビルド14279に対する最大の変更点はCortanaが対応する言語の拡張だ。公式ブログによれば、スペイン語 (メキシコ)、ポルトガル語 (ブラジル)、フランス語 (カナダ) の3言語に対応し、14カ国に広まっている。ただし、言語としては英語・中国語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・スペイン語・日本語がこれまで対応していたため、ポルトガル語が加わった形だ。もっとも米国で使う英語と、本家である英国の英語が異なるように、言語は同じでも使い方は異なる。Microsoft Engineering Systems Team CVPのGabriel Aul氏は「ブラジル全体で食べられている『パステル』が人気であることを知った」と述べ、Cortanaのローカライズに注力していることを明らかにした。もちろん我々日本人には直接関係ない変化だが、Cortanaの使用範囲が拡大することで機械学習の機会が増え、最終的に賢いCortanaに成長することを期待できるだろう。本ビルドで大きく変化したのはサインイン時の動作である。従来はロック画面をスワイプするかクリックすることでサインイン画面を表示させていたため、ロック画面とサインイン画面という2つの背景画像が存在していた。本ビルドではこれらを統合し、ロック画面の背景画像がそのままサインイン画面にも適用されるように変更している。今回の調整に伴い、アップデート直後はロック画面は何も表示されなかった。最初は戸惑ったが、<参照>ボタンから画像を選択することで以前と同じ動作に戻るため安心してほしい。ただし、「設定」の<パーソナル設定/ロック画面>に「%SystemRoot%\Windows\Web\Screen」フォルダーの画像一覧や参照画像履歴が現れなくなっている。また、Windowsスポットライトを選択している場合、ロック画面とサインイン画面の背景画像は異なるのも違和感を覚えてしまう。この点については改善するとAul氏は述べているため、今後の動向を見守りたい。我々日本人にといって大きな改善の1つが、MS-IMEのパフォーマンスと候補の改善だ。Aul氏は「タイプ時のUXがスムーズになり、予測候補リストから多くの単語を選択可能にした」と述べている。残念ながら筆者は普段からMS-IMEではなくATOKを使っているため、その変化は筆者に分からなかった。この点についてはご了承頂きたい。Aul氏は「フォト」と「Sway」を統合したと述べているが、筆者が確認したところ既存の写真を使ってストーリーを作成する<Tell your story with Sway>ボタンは見当たらなかった(バージョン16.201.11370で確認)。もっとも本件については前日の3月3日(現地時間)にSway Teamが公式ブログでアナウンスしており、下図のようなフォトストーリーを作成できるのだろう。アプリケーションの更新に関しては「Xbox(ベータ)」にも新機能が加わった。ゲーマースコアダッシュボードやゲームセクションの改善、バグフィックスが行われている。ちなみに本アプリケーションは誰でも使用できるが、Windowsストアからのダウンロードが必要だ。本ビルドにおけるバグフィックスとして、Windows 10の移動プロファイル機能を使うと、Microsoft EdgeとCortanaが正常に動作しない問題や、Cortanaのリマインダーが正しく動作しない問題を修正している。また、エクスプローラーで発生していた、表示内容の更新が正しく行われていない点も以前の状態に戻った。例えばデスクトップを共有し、他のPCからファイルをコピーしても[F5]キーを押すまで更新されず、ビルド14271で筆者も困っていた問題だ。また、ビルド14271はBSoD(BlueScreen of Death)が多発していたが、Aul氏は「特定のドライバーをWindows Update経由でダウンロードするとBSoDが発生していた」と説明し、問題が解決したと述べている。筆者の環境では高速スタートアップを無効にすることで回避できたが、ビルド14279では再び有効ながらも同様の問題は発生していない。一方、本ビルドでも多数の問題が確認されている。Surface Pro 3/4とSurface Bookでは、キーボードやトラックパッドなどすべてのUIがハングアップする問題が発生中とのこと。Aul氏は「現在調査中」と説明しているが、これらのデバイスでWindows 10 Insider Previewを試している方は注意してほしい。休止状態から復帰する際にBSoDが発生する問題も未解決だ。こちらは前回の記事を参考に無効にすることをお薦めする。同じく「カスペルスキー インターネット セキュリティ」などに含まれるドライバーを起因する問題、通知領域のレイアウトが破壊する問題、「QQ(中国で有名なIMアプリケーション)」が正常動作しない問題も未解決だ。Windows 10 Mobile Insider Previewに関しては今回リリースされず、ビルド14267で止まっている。もっとも3月2日(現地時間)にビルド10586.122を「MADOSMA Q501」「ALCATEL ONETOUCH Fierce XL」「BLU Win HD W510U」「BLU Win HD LTE X150Q」の4台に開放したことを発表し、今回のビルド14279もPC的な改善が中心のためリリースを見送ったのだろう。阿久津良和(Cactus)
2016年03月07日セントラルセントマーチンズ美術学校を卒業後、ジョン・ガリアーノのデザインアシスタントを経て帰国した山縣良和さん。昨年からはパリでも定期的に展示会を行っており、最近ではパリのコレットなど、海外のショップのウィンドーで作品を披露する機会も増えてきている。一方、Tex. Boxの澤利一さんはルイ・ヴィトン(Luis Vuitton)、ランバン(Lanvin)、ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)など、国内外のブランドのランウェイを飾るファッションのニードルパンチを手掛けている。ファッションにおいて、まさに国境を越えて活躍する2人に、それぞれの視点から見る日本のファッションと世界のファッションについて訊いた。13年春夏のコレクション「七福神」では、前年の東日本大震災以後、山縣さんの心に沸き上がった「日本の古くから使われている素材で造形的なものを作りたい」という思いを日本の素材や文化を咀嚼し大胆にファッションで表現した山縣さん。時が経ち、彼は15年秋冬では、マイケル・ジャクソンの「Heal The World」をバッグに、マイケルやベネトンの広告を手掛けたオリビエロ・トスカーニにオマージュを捧げるようなユニバーサルなコレクションを発表している。どんな心境の変化があったのだろうかと訪ねると…。「ちょうどパリで展示会をはじめたタイミングで泊まったホテルが、その1週間前におきたシャルリー・エブド襲撃事件の目の前だったんです。世界的な事件が、自分にとって身近な存在だと感じたら、ファッションにおいても世界的な視点で表現出来たらという心境の変化に繋がりました」と返ってきた。そして、ファッションの都、パリについてこう語る。「パリ衰退といわれていますが、やはりパリは文化的総合力が高くて強い街だなと思います。ヨーロッパの文化的中心地であり、食、建築、アート、ファッション、音楽、哲学…となんでもある街です。そういった文化に慣れ親しんだ人が住む街は”粋”があると思う」と続ける。「自分たちが日本のいい生地を使って、それを世界に発信出来たらいいなという思いがあります」と山縣さんそして、ここ数年、自身のクリエーションを通じて国内の産地に足を運ぶことが増えたという山縣さんには、一つの目標があるという。伝統的な技法の布地に触れ「この生地を使いたい」と思うことがあっても「値段にたまげてしまうこともある」と山縣さん。訊けば、そういった技術的に優れた生地は着物業界や、シャネルやディオールなどのラグジュアリーメゾンの元に渡るのだという。「せっかく日本にいい生地があるのに、それを自分たちが使えない状況は歯がゆい。自分たちが日本のいい生地を使って、それを世界に発信出来たらいいなという思いがあります。そういう流れを作りたい」とその思いを語る。ニードルパンチを終えた生地明治の文明開化以降、海外からの文化が染み込んでいった現代の日本。この急激な変化というのは、ここ100年余のことだろう。「かつての日本には、文化的な素養があったのだと思います。ただ、この100年でそれを失ってしまった。海外の人たちは憧れだけで作ったフェイクは求めていないし、自分たちにない文化を求めています。だからこそ、洋装やヨーロッパの文化を学ぶのは、その歴史と文化を理解するため。決して、真似をするための勉強ではないはずです。そのために私たちは、自国の先祖代々の真相を知らなくてはいけないし、それがないとクリエーションは世界に通用するものにならないのでは」と山縣さんは続ける。ここまで、頷きながら山縣さんの話を訊いていた澤さんがこう続けた。「日本でも、世界でも各産地で素晴らしいテキスタイルが作られていて、それが本流でありテキスタイルの一番いい形だなと思います。ただ、そこにもっと面白みを加えてもいいんじゃないかという思いがあります。それを可能にしてくれるのが、私にとってはニードルパンチです」と澤さん。「面白い仕事をずっとし続けたいんです」と澤さん「私は、面白い仕事をずっとし続けたいんです。だから、はじめましてのブランドさんからの、なんじゃこりゃっていうリクエストが嬉しい」と澤さん。「僕に出来るとしたら、きっと完成度じゃない。各地で作られる完成度の高い生地を、私が崩してはいけないと思っています。ただ、各地で織ったけれども、そのままでは製品にならないようなものからニードルパンチを使ってアレンジしていくことが出来る」と語る。Tex. Boxに飾られた様々な表情を見せるニードルパンチの作品が物語るように、彼は素材を手にすると、次々のクリエーションのイメージが広がっていくようだ。この日、山縣さんと澤さんの対話を通じて感じたのは、可能性を信じる力の大切さ。そして、ベストを尽くした後のアクシデントを楽しむ心のような気がした。のこぎり屋根から陽射しが差し込むこの場所で、確かにファッションが生まれていた。あなたが手にする洋服が、一体どんな旅路を経てやってきたのか。ほんの一時でも思いを馳せてから纏うことが出来れば、その1着の持つ意味が変わるのかもしれない。リトゥン山縣良和×桐生でニードルパンチを手がける澤利一「ニードルパンチはフリーペインティングと同じ」前編【ファッションが生まれる場所】に戻る
2016年03月05日IE(Internet Explorer)11では簡単に作成できたWebページのショートカットファイルだが、Microsoft Edgeでは正しく動作するインターネットショートカットファイルを作成できない。そこで今回はいくつかの回避方法を紹介する。○インターネットショートカットファイルは動作しない?Microsoft Edgeは、任意のWebサイト/Webページをスタートメニューにピン留めする機能を持っている。よって、「インターネットショートカットファイルは不要」という考え方も、あながち間違ってはいない。とはいえ、一時的にインターネットショートカットファイルを作成する、もしくは単に以前と同じ使い方をしたい、というユーザーもいるだろう。ピン留めしたタイル(任意のWebサイト/Webページ)をクリック/タップすれば、インターネットショートカットファイルと同様の動作を実現可能だ。しかし、上図のように、インターネットショートカットファイルの作成はできない。○「ショートカットの作成」で対応する1つめの方法は、少しだけ手間がかかるものの、Microsoft Edgeとエクスプローラーの機能で完結する。エクスプローラーの「ショートカットの作成」を使用し、URLを貼り付けることで、インターネットショートカットファイルの作成が可能だ。こちらはショートカットファイルではなく、インターネットショートカットファイルのため、標準のWebブラウザー(=Microsoft Edge)で、目的のWebページが開く。IE 11でファイルを作成するもう1つはIE 11を使う方法だ。こちらは元々の機能として「ショートカットの作成」があるので、こちらを使用する。作成したインターネットショートカットファイルは、先ほどと同じようにMicrosoft Edgeで目的のWebページが開く。IE 11を起動する必要はあるが、操作自体はこちらのほうが簡単だ。阿久津良和(Cactus)
2016年03月05日Microsoftは3月2日(現地時間)、自社のMR(Mixed Reality: 複合現実)デバイス「HoloLens」に対応するアプリケーションを、Visual Studio 2015から開発するエミュレーターを用意すると発表した。同社は一部の企業や開発者に「HoloLens Development Edition」を3,000ドルで販売し、3月30日からの出荷を予定している。「HoloLens emulator」のWebページによれば、Hyper-V上の仮想マシンで「HoloLens OS」を起動し、HoloLensがない状態でもキーボードやマウス、およびXboxコントローラーを使用して入力をシミュレート。HoloLens SDKと組み合わせることでリビングや寝室を動き回れるため、開発者は実機とエミュレーターの違いを意識せずに、アプリケーションの開発が可能になる。リリースはHoloLens用ツールセットと同じく3月30日を予定し、使用にはVisual Studio 2015およびUnityが必要。Microsoft HoloLens Teamは「アプリケーション開発を手助けするため、チュートリアルビデオやドキュメントの提供を続けていく」と述べている。阿久津良和(Cactus)
2016年03月04日海外の一部ニュースメディアは、Windows 10のロック画面に「Rise of the Tomb Raider」の広告と思われる画像が現れたと報じている。そこで今回は、Windowsスポットライトの設定を変更するTipsを紹介しよう。○ロック画面に広告が?「Windowsスポットライト」は、インターネット経由で美しい画像をロック画面として表示し、Windows 10の使い方やUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリケーションの紹介メッセージを発する機能として実装している。このような経緯からWindows 10 Homeエディションに限定していたが、バージョン1511(Threshold 2)から、Windows 10 Proエディションでも使用可能になった。冒頭で述べたように、Windowsスポットライトを有効にしているユーザーの間で、スクエア・エニックスの「Rise of the Tomb Raider」の画像がロック画面に現れたという。筆者の環境では確認していないが、今後、日本語環境でも同様の広告が現れる可能性は否定できない。広告表示を避けるためには、Windowsスポットライトではなく、ロック画面の背景設定で「画像」「スライドショー」のいずれかを選ぶ必要がある。なお、本Tipsは広告が表示されてからでも問題ないので、しばらくは目新しい写真や画像を楽しもう。阿久津良和(Cactus)
2016年03月04日3月2日(現地時間)、GoogleはGoogleマップ上で使用する公共機関などを用いた移動方法検索技術の最適化方法を公式ブログで解説した。Googleは各大学の研究機関と連携し、次世代のルート計画を研究していたが、それらの成果から移動パターンを見直し、「A地点からC地点へ電車で移動して、次にC地点からB地点へバスで移動する」よりも、「A地点からB地点へバスで直接移動して、たまに早足で歩く」など、合理的な移動パターンの提示を可能にしている。これらの移動パターンは事前に計算して保持しているが、問題は対応する国々の拡大に伴って、計算量が増えてしまう点だ。例えば1万の停留所に対しては1億の移動パターンが必要になるため、拡張性がある移動パターンアルゴリズムを導入することで改善している。下図は公式ブログに掲載されたドイツのバス路線図をクラスター化し、境界駅(異なるエリア間の境界となるバスの停留所)をハイライトしたものだ。まずは各クラスター内の最適な接続の移動パターンを計算し、次に任意のクラスターペアの移動パターンを計算。そして本当に必要な境界駅へのアクセスを導き出している。これらの結果を保存し、クエリに応じて我々ユーザーに移動方法を提示するのがGoogleマップの乗り換え案内機能だ。Googleマップの乗り換え案内機能は、2005年12月の開始時点でオレゴン州ポートランドに留まっていたが、2010年の検索速度向上を経て、現在では日本を含めた世界70カ国2万以上の都市に対応している。阿久津良和(Cactus)
2016年03月03日2月29日(現地時間)、MicrosoftはRaspberry Pi Foundationが発表した「Raspberry Pi 3」を自社のオンラインストアで取り扱い、Windows 10 IoT Coreでサポートすることを公式ブログで明らかにした。2016年3月31日(現地時間)から49.99ドルで販売するものの、日本のMicrosoft Storeで販売が行われるかは現時点で不明。Raspberry Piシリーズは前モデル「Raspberry Pi 2 Model B」を2015年2月にリリースしていたが、CPUをARM Cortex-A7からARM Cortex-A53に変更しているが、後方互換性は維持する。また、Wi-FiとBluetoothを標準搭載し、多くの場面で必要だったドングルを不要にした。Microsoft Windows IoT Program ManagementディレクターのBilly Anders氏は、「我々はRaspberry Piに接続できるWi-Fiドングルに対し、Windows 10 IoTから容易にアクセスできる機能を持たせた」と述べつつ、Windows 10 IoT Core Insider Previewの最新ビルドでRaspberry Pi 3をサポートしていることを明らかにした。現在Windows 10 IoT Coreはダウンロードページから誰でもダウンロードでき、執筆時点のビルドは14262。また、MicrosoftはRaspberry PiシリーズへのWindows 10 IoT Core展開を容易に行う「Raspberry Pi installer」の提供も行っている。阿久津良和(Cactus)
2016年03月01日まずは前回の記事だが、とある読者から次のようなメールを頂戴した。「某社製PCを使っているが、メーカーから直接『ドライバーを提供しないのでWindows 10にするな』と言われている。これを『変化を厭う人々』と書くのは好ましくない」とのこと。確かに、Windows 10に移行しようにも周囲の環境が整わず、それが叶わずにいるユーザーも少なくはないはず。こうした方への配慮が欠けていたことを、この場を借りてお詫びしたい。さて、バルセロナで開催されたMWC 2016では、多くのWindows 10 Mobile対応デバイスが発表された。本誌でもいくつかの記事が掲載されているが、Windows and Devices Group EVPのTerry Myerson氏も公式ブログで、既存のトリニティの「NuAns NEO」やVAIOの「VAIO Phone Biz」などに加え、日本ヒューレット・パッカードの「HP Elite x3」、パナソニック TOUGHPADの新モデル「FZ-F1」「FZ-N1」を紹介している。なかでも注目すべきは「HP Elite x3」だ。2015年末時点では、Lumia 950 XLが最高のWindows 10 Mobileデバイスと思われていた。だがHP Elite x3のCPUはSnapdragon 820、メモリーは4GB、ストレージは64GBといずれもLumia 950 XLに優る。Windows Helloの虹彩認証と指紋認証に対応し、バッテリー容量も4150mAhと必要にして十分だ。国内では、KDDIがHP Elite x3を法人向けに販売すると発表。関係者によればHP自身がWeb直販する可能性もあるというので、我々コンシューマーも購入できそうだ。このように、Windows 10 Mobileデバイスは少しずつ熱を帯びてきた。次はOSだ。先日寄稿した記事でも触れたように、Windows 10 Mobile Insider Previewの開発も進んでおり、次の「Redstone (開発コード名)」に期待が持てる。残すはアプリケーションだが、この点については2月24日にMicrosoftが買収した「Xamarin (ザマリン)」が大きく寄与するだろう。Xamarinとは、C#や.NET Frameworkを用いてiOS/Android/Mac/Windows(UWP)など各プラットフォームをクロスしたアプリケーション開発を可能にするツールである。これまで、iOS用アプリケーションをUWPアプリ化する「Windows Bridge for iOS」は順調ながらも、Android用アプリケーションを移植する「Windows Bridge for Android」は進捗状況が見えていなかった。それが今回のXamarin買収によって改善されるとみてよいだろう。日本マイクロソフト 代表執行役会長の樋口泰行氏は、よく冗談めかしながら「弊社は後追いが得意だ」というような発言をする。率直に言うと、筆者もDOS時代から同様の印象を持っていたが、その「後追い」がAndroidやiOSに迫りつつある。Microsoftの新たなモバイル戦略、本当の快進撃はRedstoneリリース以降に始まるだろう。阿久津良和(Cactus)
2016年02月29日2016年2月24日(現地時間。日本は25日早朝)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド14271をリリースした。前回の記事で予想したとおり、2016年2月もビルド14257、ビルド14267、そして今回のビルド14271と3回のアップデートを行った。また、Windows 10 Mobile Insider Previewも同じタイミングで、ビルド14267.1004をリリースしたことから、"OneCore"を実現する開発は1つの山を越えたことがうかがえる。本ビルドはユーザーフィードバックに基づいたバグフィックスが中心となった。○Windows 10とWindows 10 Mobileのビルドを統一MicrosoftはWindows 10と共にWindows 10 MobileのInsider Previewを行ってきた。だが、広く門戸を開いていた後者はビルド10586.107を最後とし、Redstoneに向けて2016年2月中旬から始まったビルド14267.1002は、Lumia 950/950 XL/650/550、そして小米科技のXiaomi Mi4と、インストール可能なデバイスを限定している。今回のビルド14267.1004からは、ALCATEL ONETOUCHのFierce XLが対象デバイスに加わっているが、いずれも日本では販売しておらず、並行輸入品などを購入しなければならない。そのため、進捗を気にされる方は多くないだろう。今後拡大するであろうWindows 10 Mobile市場や、2016年内に迎える大型アップデートを踏まえ、今回からWindows Mobile Insider Previewについても本稿で扱うことにした。さて、まずはPC版のInsider Previewから変更点を確認しよう。Microsoft Engineering Systems Team CVPのGabriel Aul氏が公式ブログで示したバグフィックスは10カ所。1つめはウィンドウの境界に配色するアクセントカラーがすべて黒になる点だ。筆者もデスクトップPCの前ビルドで発生していたので気になっていたが、改めて別PCにインストールした前ビルドで確認すると、正しいアクセントカラーが表示されている。そこで、背景画像を無効にして、単色に切り替えると問題を再現できた。2つめは「Grooveミュージック」使用時に、タスクバー上のボタンにマウスオーバーすると描かれるサムネイルのアイコンを更新したという。先ほどと同じくビルド14267をインストールしたPCと、ビルド14271に更新したPCで確認してみたが、確かにコントロール用アイコンはわずかに大きくなった印象を持った。3つめはPowerPointをスライドショーモードでプレゼンテーションを行っている最中に、タスクバーが自動的に隠れず、予想外の動きをしてしまう問題を修正している。4つめは<プレゼンテーション中は通知を非通知にする>が正しく動作しない問題を修正。このようにタスクバーやトースト通知に関する修正を行ったためか、「設定」の<システム/Taskbar>という新カテゴリーが加わった。ご覧のとおり日本語化されていないが、従来は「タスクバーとスタートメニューのプロパティ」ダイアログの<タスクバー>タブに並んでいた項目が、同じように並んでいる。ちなみに同ダイアログはビルド14267でも使用できるが、今後はコントロールパネルのWindows Updateのように廃止する方向にあるのだろう。5つめおよび6つめはアクションセンター。こちらに並ぶアプリケーションヘッダー(各通知が並ぶアプリケーション名)を右クリックするとコンテキストメニューが現れ、対象となるアプリケーションの通知を無効にするか、通知に関する設定を行う項目が現れる。前ビルドでは通知を右クリックすると、そのまま削除できたが、本ビルドはアプリケーションヘッダーおよび通知両者でコンテキストメニューが現れる仕組みに変わった。また、アプリケーションヘッダーの領域も拡大している。Skypeやメールといった大量の通知が現れる場合の操作が容易になったのは大きいだろう。7つめはチャットなどインタラクションな通知でテキスト入力できない問題、8つめはユーザー切り替え時にピクチャパスワードが動作していなかった問題、9つめは一部のデスクトップアプリがスタートメニューから欠落してしまう問題、最後は背景画像で<スライドショー>をしている際にアクセントカラーが自動的に切り替わらない問題を修正した。本ビルドにおける既知の問題として、Aul氏は5つのポイントを示している。1つめは休止状態から再開する際に、フリーズやBSoD(Blue Screen of Death)が発生する現象が確認されているそうだ。Aul氏は「現在問題を追跡中だ」と述べ、この問題が解決するまで休止状態を無効にすることを進めている。ちなみにこの設定は、コントロールパネルの「電源オプション」→<電源ボタンの動作の設定>→<現在利用可能ではない設定を変更します>とたどればよい。2つめは「カスペルスキー インターネット セキュリティ」などに含まれるドライバーが、本ビルドでは正しく動作しない問題。既にビルド14267では確認されているが、Aul氏は「現在カスペルスキーと協力して問題の解決に努めてる」と述べつつ、Windows Defenderを含む他のセキュリティ対策ソフトを使用することを推奨している。3つめは<常にすべてのアイコンを通知領域に表示する>のスイッチをオンにしていると、通知領域のレイアウトが破壊するという。試しに有効にしてみたところ、筆者の環境では通知領域がなくなってしまった。スイッチをオフに戻すと元に戻るため実害はないものの、同設定を有効にしているユーザーは注意してほしい。4つめは可視化ライブラリとして有名なD3.jsを使ったサイトのチャートが、Microsoft Edgeで正しく表示されない問題。MicrosoftはCortanaやBing.com、PowerBI.comで同問題を確認していると述べている。最後は「QQ(中国で有名なIMアプリケーション)」が正しく動作しない問題だ。Aul氏は「Windows LiveメールやExpression Encoder 4など古いアプリケーションが影響を与えている」と推測している。続いてWindows 10 Mobile Insider Preview ビルド14267.1004について紹介しよう。本来であれば前ビルドの話もしたいが、かなり冗長になるため、公式サイトのアナウンスをご覧頂きたい。本ビルドでは4つの改善が盛り込まれている。1つめはビルド14267.1002で発生していた、Lumia 550がUSB経由で充電できなくなる問題を修正。2つめはビジュアルボイスメールの通知の修正と、デュアルSIM環境での正常動作。3つめは前述したALCATEL ONETOUCHのFierce XLのサポート。そして最後は履歴機能を備えた「Skypeメッセージング」をリリースしたという。また既知の問題として、「Windowsフィードバック」をピン留めしていた場合、アップグレード後に表示されなくなり、Continuum for Phoneでワイヤレスディスプレイに接続する際の問題、Lumia 950 XLでContinuum for Phoneを使用する際にトラックパッドが正常に動作しない問題を確認しているそうだ。筆者は今のところビルド14271で大きなトラブルに見舞われていないが、前述のとおり休止状態からの再開でトラブルが発生するということは、電源管理周りで何らかの不具合が発生している可能性が高い。Windows Insider Program参加者はこの点に注意しながらビルド14271を試すか、一時的に低速リングに切り替えることをお薦めする。阿久津良和(Cactus)
2016年02月25日日本マイクロソフトは2月22日、最近のホットワードでもある人工知能や機械学習をテーマにした自社の取り組みを発表した。Microsoftの研究開発機関であるMicrosoft ResearchでCVPを務めるPeter Lee氏は「機械学習は活版印刷技術の発明と同じ、破壊的な時代をもたらす」と述べている。今、世界が変化の兆しを見せていることにお気付きだろうか(変化の連続とも言えるが)。「機械学習(マシーンラーニング)」や「人工知能(AI)」という単語を、目に耳にしたことがあるはずだ。機械学習は、あるデータをもとに反復学習した結果からパターンを見つけ出し、学習結果に当てはめることで、将来予測などに用いることが可能と言われている。一方の人工知能は、コンピューターに人間と同じ知能を与えることで、周りから得た情報をもとに判断・行動を目指す。そこから得た成果は我々の社会構造を大きく変え、暮らし方や働き方も必然的に変化する。PCの世界に置き換えると、約30年前はDOS上でコマンドを実行するCUIが中心だったが、約20年前にはGUIが取って代わり、約10年前にはiPhoneが登場してタッチUIがスタンダード化。人とデバイスの関係性を覆した。この流れを見れば、約10年後の現実世界もおぼろげながらイメージできるだろう。その一端を読み取れるのが、今回、日本マイクロソフトが開催した「人工知能・機械学習の研究開発の最前線に関するラウンドテーブル」である。Microsoftからは、Peter Lee氏が出席。Microsoftのお膝元である米レドモンドのMicrosoft Research(MSR) Redmodや、おとなり中国のMSR Asiaなど世界の7カ所に拠点を持ち、多岐にわたる分野の研究を司るMSR CVPだ。ほか、東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授の杉山将氏、産業技術総合研究所 人工知能研究センター所長の辻井潤一氏なども加わった。産学官の枠を越えて、機械学習や人工知能における著名人が集まり、実社会や産業界への影響を議論。ここではLee氏の発言から、我々コンシューマーが携わる部分を紹介したい。Lee氏が最初に取り上げた製品は「Skype」だった。MSRの研究成果や機械学習から得たデータで実現する通訳・翻訳機能だが、2014年12月に英語とスペイン語の双方向翻訳に対応し、2015年5月にはイタリア語と中国語(北京語)をサポート。その後はフランス語、ドイツ語をサポートしてきたが、今なおプレビュー版と表現している。Skypeの通訳・翻訳機能が、今後も成長し続けることを示唆しているのだろう。また、当初のプレビュープログラムでは、関心のある言語に日本語が含まれていたが、この点について「2020年開催のオリンピックに向けて、2015年の春には日本語の同時通訳機能もサポートする予定だ。日本の企業と協力して、翻訳・通訳の品質向上にも努めたい」と回答した。Skypeの通訳・翻訳機能に関してMicrosoftは、2カ月に1回のペースで新しい言語にチャレンジし、執筆時点では50種類以上の言語翻訳を可能にしている。この点についてLee氏は、「かつてのモデルは国連のスピーチなど丁寧かつ形式的な会話をベースにしていたが、Skypeでは利用できないため最初から作り直した。その結果、一般的な会話や歌も認識できるようになった」とした。Windows 10 Insider Preview ビルド14267のCortana英語版には楽曲検索機能が組み込まれているが、同様の技術を用いているのだろう。まずはLee氏の発言に期待し、春以降の動向に注目したい。現在の機械学習状況ついてLee氏は、「人々が聞く・喋る・認識するといったアクションが実用化へ向かいつつある」と述べる。MSRは以前から多くの研究プロジェクトを立ち上げてきたが、Windows 10のCortanaがメールの内容を読み取って自動的にリマインダーを作成する機能、「Microsoft HoloLens」から見える仮想的なオブジェクト、指や手で操作する部分などが、MSRが機械学習の研究結果をフィードバックした一例だという。これらの成果は「Project Oxford」でAPIを公開し、ユーザーは誰でも顔や画像、音声認識を行うことが可能だ。画像から年齢を推察する「How-Old.net」や、先ごろローンチした画像内の犬種を識別する「Fetch!」も、同様の技術を用いている。後者のアプリケーションは人にも使えるため、Lee氏が「奥さんにはやらない方がいいかもしれない」と話すと、出席者から笑いが起こった。Lee氏は機械学習の現状を、Johannes Gutenbergによる活版印刷技術の発明になぞって、「破壊的な時代がもたらされた」と表現する。ただ、「現在のAIや機械学習は聞く・理解・視覚的に捉える・知覚するといった部分まで来ているが、理性やフィードバックループといった認知は進んでいない。例えば、数年後には大学受験は可能ながらも、一般常識や道徳などを重視する小学3年生のテストに合格するのは10年以上に先になる」という見方も示した。さて、Lee氏の職歴にカーネギーメロン大学のコンピューターサイエンス部門責任者とあるように、MSRのメンバーはすべて科学者だ。「MSRは(他社研究所と比べると)大型投資による人材収集、Amazonに匹敵するMicrosoft Azureの活用、Bingを介した世界中のWebデータへアクセス」(Lee氏)と、3つのユニークポイントを持つ。Microsoft社員の行動パターンデータも保持し、Webとエンタープライズのデータを活用できるのは強みとなるだろう。「今後も基礎研究や応用研究の結果をクラウドに反映させたい」と語るLee氏からは、AI&機械学習がもたらす近未来が目前に迫っていることを感じられた。阿久津良和(Cactus)
2016年02月23日Windowsの歴史を振り返るとWindows 95を境に、基本的なUIの変更は行われていない。例外的にWindows 8/8.1を挟みつつも、Windows 10では「デスクトップ&スタートメニュー」という基本スタイルに戻っている。この不変性こそWindowsが広く長く使い続けられている理由の一つだろう。だが、世の中には「変わらない」ことを極端に求めるユーザー層が存在するのも事実だ。PCは道具であり、OSはその一部と考える彼らは、Microsoftが終了宣言を行ったWindows XPやWindows 7に固執し、Windows 10のアップグレードを拒んでいる。MicrosoftはWindows 7およびWindows 8.1ユーザーにアップグレードを強く促してきた(参考記事)。その最大の理由は「One Windows」ビジョンであると考えられる。スマートフォンやタブレット、PC、さらにはIoTまで含めたプラットフォームの統合は、インターネット戦略やスマートデバイス市場で後塵を拝したMicrosoftに、巻き返しの可能性をもたらすだろう。そして、Windows 10への以降を推し進めるもう一つの理由は、セキュリティ対策のコスト増ではないかと筆者は推察する。例えば、2001年7月に大流行したウイルス「Code Red」は、IIS Webサーバーのセキュリティホールを攻撃し、インターネットを全世界レベルで使用不能にした。このような経緯から、Windows XP Service Pack 2以降、セキュリティの強化に努めてきたMicrosoftだが、サイバー攻撃の手口は日々進歩し、さらなる対策を求められているのが現状だ。サポート期間内ならば、Windows 7やWindows 8.1の甚大なセキュリティホールが発覚しても、Microsoftはセキュリティ更新プログラムを提供する。だが、古い設計で構築したソフトウェアに、どれだけ継ぎはぎをしても応急処置に留まってしまう。このような背景も相まってMicrosoftは、Windows 7およびWindows 8.1のサポート期間変更に至ったのだろう。「PCは道具」と考えるラガードな人々は保守的なため、文字どおり道具としてPCを使い続けることを望んでいるが、製造者(=Microsoft)はOSの刷新を求めてきた。どちらの意見も一理あるが、サイバー犯罪が横行する物騒な世界につながるデバイスは、ハサミや包丁とは大きく異なる。PCを変わらない道具として使い続けるのは到底無理な話ではないだろうか。このような提言をしても、きっと何も変わらない。変化を厭う人々は自身のスタイルでPCを使い続けるだろう。だが、Windows 10やOffice 365は常に変化し、ライフスタイルのデジタライゼーションは加速していく。そして我々は変化に合わせて新しい物事を吸収するだけだ。「変わらないWindows」は存在しないのである。阿久津良和(Cactus)
2016年02月22日2016年2月18日(現地時間。日本は19日早朝)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド14267をリリースした。ちょうど2016年1月は3回(ビルド11099とビルド11102、ビルド14251)、2月もこのまま行けば2月3日(現地時間)のビルド14257、今回のビルド14267、そしてあと1回程度のリリースを期待していいだろう。本ビルドでは過去のバグフィックスを行いつつも、Cortanaによる楽曲検索や、Microsoft Edgeとメッセージングの改善がなされた。○いくつかの新機能搭載と既存のバグフィックスが中心Microsoft Engineering Systems Team CVPのGabriel Aul氏は公式ブログの冒頭で、「Release Preview Ring(リリースプレビューリング)」の存在に触れている。概要は以前の記事をご覧頂きたいが、ビルド10586から選択可能になったことを明らかにした。同氏は「早期のアップデートを求めるCB(Current Branch)ユーザー向けの優れたオプション」と称している。つまりCB環境向けのオプション項目となるため、現行のDevelopment Branchには表示されないが、ビルド10586.104からWindows Insider Programに参加してみると、リリースプレビューリングの選択が可能だった。興味深いのがWindows 10 Educationユーザー向けへのWindows Insider Programの開放だ。教育関係者向けエディションがリスクの高いDevelopment Branchを使うメリットはユーザー側に存在しない。穿った見方をすればMicrosoftがより多くの情報を求めていると考えられるが、前述のリリースプレビューリングを用意したことが大きく影響しているのだろう。さて、ビルド14267だが、今回はいくつかの新機能が盛り込まれている。まずはCortanaによる楽曲検索機能だ。ウィンドウの右上にある検索アイコンを押すと、再生中の楽曲をCortanaが聞いて検索を行うという。残念ながら日本語版には用意されていないため、具体的な動作を確認できなかったが、TVやラジオで耳にした楽曲をそのまま探し出せるといった用途に使えるのではないだろうか。Microsoft Edgeはバージョン31.14267.1000.0(EdgeHTMLは14.14267)に更新され、お気に入りバーの動作を改善した。以前はファビコン+サイト名で表示するため冗長だったが、新たにファビコンのみ表示する機能を追加している。これによりシンプルで使いやすいお気に入りバーとなった。なお、同バーを表示するには、<詳細(…)>ボタン→<設定>→<お気に入りの設定の表示>ボタンと順にクリックし、<お気に入りバーを表示する>のスイッチを「オン」に切り替える。なお、今回の仕様変更に伴い、<Show only icons on the favorites bar>という新たな項目も加わった。Microsoft Edgeに関しては、閲覧履歴やダウンロード時の動作変更も加わっている。<詳細(…)>ボタン→<設定>→<クリアするデータの選択>ボタンと順にクリックすると、<Always clear this after I close the browser>というスイッチが加わった。こちらを「オン」に切り替えると、Microsoft Edge終了時に閲覧履歴を自動的に消去できる。後者はファイルをダウンロードする際の動作を選択可能にするというもの。既定では「%USERPROFILE%\Downloads」フォルダーへ自動的に保存する仕組みだが、設定項目の<Always ask me what to do with downloads>でその動作を変更できる。Internet Explore 11の通知バーに似ているが、事前にダウンロードするか否かを選択できるため、ネットワークトラフィックを気にしながらMicrosoft Edgeを常用しているユーザーには便利な機能といえる。最後は「メッセージング」。Skypeの音声/ビデオチャットを行うUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリケーションだが、当初から必要最小限の機能しか持たなかったため、今でもデスクトップアプリ版Skypeを使い続けている方も少なくない。だが、本ビルドで2.13.24001.0にバージョンアップし、メッセージ送受信時に画像ファイルの添付を可能にしている。また、カメラロールに保存した画像や、GPSを使った現在位置の送信も可能。実際に試してみると、まだまだ不安定で現在地の再送信を試している最中にメッセージング自体がハングアップしてしまった。筆者は手軽なチャットツールとして期待しているのだが、まだまだ常用するのはお薦めできない。最後にバグフィックスと既知の問題について紹介しよう。以前のビルドで発生していた「回復」による"このPCを初期状態に戻す"や、サインイン時に現れていた「WSClient.dll」に起因するエラーダイアログ、<ストレージ>で発生していたシステムボリュームの誤動作を改善し、Intel RealSenseカメラによるWindows Helloの使用を可能にしている。また新たにHyper-Vを有効にしている環境で複数の仮想スイッチを保有している場合、ネットワーク接続を失う問題を確認しているそうだ。その際は仮想スイッチを再作成、もしくは「netcfg -d」コマンドですべてのネットワークデバイスに対するクリーンアップを実行することを薦めている。わずかだが前に歩み出したWindows 10 Insider Preview。次期大型アップデートとなる「Redstone」に向けて開発は進んでいるようだ。阿久津良和(Cactus)
2016年02月22日Microsoftは2月18日(現地時間)、次期「System Center Configuration Manager(以下、SCCM)」のテクニカルプレビューに新機能を追加したことを公式ブログで明らかにした。同社はオンプレミスサーバー用OSとなる「Windows Server 2016 Technical Preview 4」と共に、アプリケーション提供やデスクトップの仮想化などを行う「System Center 2016 Technical Preview 4」を2015年11月にリリースし、開発を続けている。SCCM バージョン1602は、Windows 10用構成設定やiOSおよびAndroid用のMicrosoft Officeのモバイルアプリ配信設定のサポートや、ワンステップでコンピューターポリシーの取得や評価サイクルなどを行う<同期ポリシー>ボタンの追加。SCCMのインプレースアップグレードに対応するOSとして、Windows Server 2008 R2からWindows Server 2012 R2を追加し、企業が所有するiOSデバイスを管理するための機能有効化を制御する機能を加えた。SCCMチームはMicrosoft ConnectやFeedbackページを経由したユーザーフォードバックを広く求めている。阿久津良和(Cactus)
2016年02月22日前回の「モダンスタンバイ」に続いて、Windows 10の電源周りに関するTipsを紹介しよう。「バッテリー節約機能」とはどんなものか、何ができるのか、概要と操作方法を観ていく。○省電力設定と違う「バッテリー節約機能」Windows 10は当初から「バッテリー節約機能(英語版ではBattery Saver)」を実装している。なぜなら、Windows 10はPC専用OSではなく、Windows 10 MobileやWindows 10 IoTなど、デバイスを問わないOSを目指しているからだ(One Windows構想)。だが、その動作は不明確な部分が多い。バッテリー節約機能を有効にすると「メール」など新着メールを知らせるトースト通知は現れなくなるが、OneDriveの通信は止まらない。Microsoftはバッテリー節約機能を有効にすると、以下のような動作変化が生じると説明している。デスクトップアプリとして動作するOneDriveの同期が止まらないのは、このような理由だ。エクスプローラーとの関係などから、すぐにOneDriveクライアントがUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)化するとは思えないが、今後の改良でバッテリー節約機能の範囲は増えていくだろう。○「バッテリー節約機能」を最初から有効にするバッテリー節約機能は、バッテリー残量が20%を切ると、自動的に有効になる。設定を変更すれば、バッテリー駆動時は常にバッテリー節約機能を有効にすることが可能だ。合わせて「バッテリー節約機能の設定」を解説しておこう。前述した「メール」の新着通知は同期処理が抑止されるため、トースト通知が現れなくなるが、他の通知も「バッテリー節約機能がオンのときも、すべてのアプリケーションからのプッシュ通知を許可する」をチェックオフすれば抑止できる。ディスプレイの明るさが変化してほしくない場合は、「バッテリー節約機能がオンのときは画面の明るさを下げる」のチェックを外す。明るさを手動で変更する場合は、システムアイコンもしくはアクションセンターのクイックアクションから実行すればよい。阿久津良和(Cactus)
2016年02月20日