ネット上のデファクトスタンダードともいえるAdobe Flash Player(以下、Flash Player)は、HTML5の台頭や度重なるセキュリティ問題から、フェードアウトが始まっている。だが、Internet Explorer(以下、IE)やGoogle ChromeはFlash Playerを搭載した状態でリリースしているため、ゼロデイ脆弱性のリスクを避けるためには無効化しなければならない。そこで今回は、IEおよびMicrosoft Edgeを対象にした手順を紹介する。一部のブラウザーゲームなど、Flash Playerがどうしても必要な場合を除き、無効化しておくほうが無難だ。例えば、Flash Player有効のIEをブラウザーゲーム専用にして、通常のWebブラウズはFlash Playerを無効化したIE以外のブラウザーを使うなどするとよいだろう。○いま使っているFlash Playerは最新版?MicrosoftはWindows 8をリリースするとき、当時のIE 10にFlash Playerをアプリケーションの一部として組み込む、と発表した。これは外部アプリケーションであるFlash Playerを、サンドボックス(セキュリティ的に保護された領域)で動作するWindowsストアアプリ版IEに対応させるための処置だったが、その結果、Flash PlayerはWindows Update経由で提供されるようになった。そのため、セキュリティ更新プログラムを正しく適用すれば、Flash Playerのセキュリティ問題に悩まされないはずだが、Flash Player本体の設計が古いためか、次々とセキュリティホールが発覚し、Adobe側の対応が追いついていない。上図はMicrosoft EdgeでFlash Playerのバージョンチェックを行うWebページにアクセスしたものだが、IEとMicrosoft EdgeではFlash Playerのマイナーバージョンが異なっている。公式のChangelogを確認すると、バージョン20.0.0.286は2016年1月19日にリリース、バージョン20.0.0.272も最新版であることは分かるものの、具体的な説明はなされていない。○IEでFlash Playerを無効にするいずれにせよ使用頻度が低くなったFlash Playerを、既定で有効にする必要はない。IEの場合は、アドオンの管理から「Shockwave Flash Object」を無効にするだけだ。設定結果を確認するには前述したFlash PlayerのバージョンチェックページにIEでアクセスすればよい。○EdgeでFlash Playerを無効にするMicrosoft Edgeは詳細設定に用意された「Adobe Flash Playerを使う」のスイッチをオフに切り替えるだけだ。Flash PlayerのバージョンチェックページにMicrosoft Edgeでアクセスすると、IEと同じようにFlashコンテンツの再生が抑止される。阿久津良和(Cactus)
2016年01月29日○クラウドで生まれてくる600万を超える仕事とSTEM教育の重要さ今から6年後にあたる2022年、世界は大きく変化する。BLS(米国労働省労働統計局)が2013年12月に発表した資料によれば、「クラウド技術によって、600万を超える新しい仕事が生み出される」という。米国内向け統計情報のため、日本では話題にならなかったが、Microsoft Education担当VPのAnthony Salcito氏は、BLSの情報をもとに「仕事に求められるスキルは時代に応じて変化し、今後はSTEM教育が重要になる」と語っている。STEMは「Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)」の頭文字から命名された概念で、NSF(米国立科学財団)のRita Colwell氏が最初に用いたといわれるキーワードだ。米国ではこの分野に精通している人材を維持するため、移住者に対する政策にも大きく影響をおよぼしている。また、インドもSTEM教育に熱心で、同国MHRD(人材育成省)は優秀な子どもたちを育成するためのプロジェクト「RAA(Rashtriya Avishkar Abhiyan)」を2015年から開始した。その米国をお膝元とするMicrosoftは、Teacher Gaming LLCが開発した「MinecraftEdu」の買収を2016年1月に発表したのは記憶に新しい。ベースとなる「Minecraft」はブロックを空間に配置してサンドボックス内の世界を楽しむゲームとして世界中を席巻した。Microsoftは開発元であるMojangを2014年9月に買収し、自社の多角的戦略に役立てようとしている。日本でも小学生の間でブームになったMinecraftだが、MicrosoftはMinecraftの教育分野へ活用するため2016年夏に「Minecraft: Education Edition」のリリースを予定している。ゲームを通じて歴史や言語、STEM教育などを行うことを目的とし、MicrosoftいわくMinecraftによる授業は世界40カ国7,000以上の教室で行われているという。かくいう日本のいくつかの小学校でも同様の取り組みを行っているが、担当の教師は「子どもたちの食いつきが圧倒的に高い」と説明していた。Minecraft: Education Editionによる教育の効果は未知数のため、ここでは割愛するが、Microsoftはサーバー運用やソフトウェアライセンスによる収益化を目指すようだ。○日本での対応はいかに?海外ではこのような動きが顕著で、自社コンテンツを教育分野に提供して社会的責任を担うと同時に、次世代の若者に対する投資を行っている。もちろんIT業界全体の人材不足問題と絡み合うが、残念ながら日本はSTEM教育分野では遅れていると言わざるを得ない。実は内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(2001年1月開始の「総合科学技術会議」がベース。2014年5月に改称)ではSTEM教育を取り上げ、「大学や企業と連携し、STEM教育に特化したクラスを創設する高校を支援」すると提言している。さらに2014年6月に閣議決定した「世界最先端IT国家創造宣言」でも、小中学校の段階でプログラム教育や情報セキュリティといったIT教育を充実させる方向性を打ち出した。だが、実践する文部科学省はアクティブラーニングや、学校へデジタルツールを導入する実証実験を各企業と協力して実行しているものの、まだ目に見える成果には至っていない。小学校や中学校で行われるICT教育の実証実験を取材すると、確かに教室には大型ディスプレイやネットワークでつながったタブレットを用意し、鉛筆やノートに変わるツールとしては役立っている。そこで行われているのは、通常の授業であってIT教育ではない。同省が実施している「ICTを活用した教育の推進に資する実証事業」をみても、「ICTを活用した授業における教育効果の明確化」「ICTを活用した授業における教育効果を検証する方法の確立」といった環境整備の段階であることがわかる。残念ながら日本は、STEM教育どころかICT教育を始めたばかりなのである。なお、前述した国内でMinecraftを授業に取り込んだ学校は数校に留まる状況だ。今後は既存のサービスがコモディティ化し、新たなコンテンツを生み出す人材がIT立国として重要になるのは改めて述べるまでもない。Salcito氏も「情報やアイデアを共有することで、新しいものを生み出す学習機会を世界に広げなければならない」とSTEM教育の重要性を強調している。IT後進国となりかねない日本を取り巻く状況を踏まえると、STEM教育を始めとする思い切った教育変革が早急な課題といえるだろう。阿久津良和(Cactus)
2016年01月28日2016年1月27日(現地時間。日本は28日早朝)、Microsoftは1週間前にリリースしたビルド11102から、一気に「14251」とビルドナンバーを更新した。MicrosoftはPC版とモバイル版のビルドを統一するためだと説明する。本ビルドでは、Cortanaの改善やXbox Oneプレビュー版、およびXboxベータ版のアプリケーション改善が加わった。○PC版とモバイル版のコードベースを統一Windows 10の開発状況を追いかけている「BuildFeed」では、数日前から「10.0.14251」という数字が並んでいた。1週間前にリリースしたビルド11102から11103、11105と一桁がインクリメントしていたため、今回のビルド14251に驚きを覚えるWindows Insider Preview参加者も少なくないだろう。この件についてMicrosoft Engineering Systems Team担当CVPのGabriel Aul氏は、「PC版(windows 10)とモバイル版(Windows 10 Mobile)のコードベースを合わせるため」と公式ブログで語った。ただし、Windows Insider Previewに参加させているWindows 10 Mobileのビルドナンバーは執筆時点で「10.0.10586.63」である。推測の域を超えないが、次のWindows 10 Mobile Insider Previewも同じビルド14251が割り当てられるのだろう。前ビルドから、ものの1週間でリリースした本ビルドに注目すべき新機能は存在しない。だが、今回は他のブログで事前にアナウンスしていたCortanaとXbox Oneに関する改善を含んでいる。前者はCortana担当Group Program ManagerのMarcus Ash氏が公式ブログで述べているように、スケジュール管理機能が改善された。具体的にはメールで受信した会議の予定時間などを、自動的にスケジュール登録すると言う。Ash氏は「メールが積み重なると大事な約束を忘れてしまうことがある。我々はMicrosoft Researchと協力し、自動的にスケジュールへ登録、リマインダーによってユーザーに約束をうながす機能をCortanaに加えた」と説明する。これは以前のインタビューでAsh氏が語った「プロアクティブな(先を見越した)情報提供」というCortana本来の機能を実現した形だ。ただし、現時点では使用言語が英語もしくはドイツ語に限定され、日本語環境では動作しなかった。後者はXbox担当Director of Program ManagementのMike Ybarra氏が、公式ブログに投稿したXbox Oneにいくつかのアップデートや、既に使用できる「Xbox(ベータ)」の改善を指す。ただし、Xbox Oneユーザーでなければ気にもとめない改善に留まるため、本稿では割愛する。詳しくはリンク先をご覧頂きたい。ビルド11102の記事で述べたPCゲームの解像度変更時にクラッシュするバグや、アクセシビリティツール使用時にクラッシュするバグはいずれも修正されている。さらにDPI設定を175パーセントにした際に、エクスプローラーがハングアップするバグも加えて修正された。ただし、サインイン時に「WSClient.dll」を起因とするエラーダイアログが現れる問題や、アクションセンターの<接続>ボタンが消えた問題は未解決のまま。さらに既知の問題として、メモリー管理を行う一部のアプリケーションがハングアップし、Microsoft EdgeのF12開発者ツールが使用できなくなっている。前者に関してAul氏はPCの再起動を推奨し、後者は次のビルドで修正すると言う。ひとまず2016年1月のWindows 10 Insider Previewはこれで一段落し、次期ビルドは2月以降にリリースされるはずだ。阿久津良和(Cactus)
2016年01月28日Microsoftが公式ブログから、Windows 10のサポートポリシー変更をアナウンスした。本誌でも1月18日に報じたばかりだが、とりわけ注目されているのは、「IntelのKabylakeやQualcommのMSM 8996(Snapdragon 820)、AMDのBristol Ridgeに対しては、Windows 10のみのサポートとする」という部分である。Microsoft Windows and Devices Group担当EVPのTerry Myerson氏は公式ブログで、Windows 7やWindows 8.1の延長サポート期間短縮についても言及しているので、一度整理しよう。今後Microsoftのサポート状況は下記のようになる。最新のプロセッサー搭載PC上で動作するWindows 10旧来のプロセッサー搭載PC上で動作するWindows 7(2020年1月)/8.1(2023年1月)リストで示したSkylake搭載PC上で動作するWindows 7/8.1(2017年7月)3番目の「Microsoftが公開するSkylake搭載PC」について、Myerson氏はこのリストを示している。2017年7月17日以降もWindows 7/8.1を使い続ける場合は、重要な更新プログラムは提供される。ただし、プラットフォームの信頼性や互換性が危険にさらされない場合、リリースは見送られる予定だ。これだけでは、「サポート期間という約束を反故し、古いユーザーを切り捨てる」と思われても仕方がない。確かに古いアーキテクチャを前提に設計したOSで、セキュリティリスクを軽減したり、多様化するデバイスをサポートするための負担は決して軽くない。だからこそリリースから約6年が経過し、メインストリームサポートフェーズも終了したWindows 7や、人気のないWindows 8.xに開発リソースを割り当てるのはMicrosoftにとってデメリットとなる。今回の発表は、開発負担とサポート期間を両立させるための苦肉の策といえるだろう。だが、Windowsを長年ビジネスツールとして使ってきた我々にとっては、最大10年のサポート期間が大きな意味を持っていた。このあたり、Microsoftを含めたIT業界とユーザーの温度差は大きい。Appleは過去のハードウェアを切り捨ててきた。Androidはデバイスベンダー経由でOSのアップグレードを提供しているが、その判断はデバイスベンダーに委ねられ、サポート期間を事実上確約していない。また、日米の温度差も考えられる。以前、日本マイクロソフトの関係者と話したところ、「日本ではアップグレードを躊躇するユーザーが多いことを、(米Microsoft)本社にあげても訝しがられる。向こうでは最新=正義という考え方がある」と文化的な違いを語っていた。いずれにせよ、OS単独で稼ぐというビジネスモデルは既に崩壊し、Microsoftがクラウドへと舵を切ったのは周知のとおり。マルチプラットフォームベンダーを目指す以上、古いOSを大事にサポートする理由も軽減してしまったのだろう。さて、今回のサポートポリシー変更で損をするのは、新OS導入によって教育コストが発生する企業ユーザーだ。ただし、古いOSを使い続ければセキュリティリスクを同時に抱えることになるため、彼らこそ最新OSに移行すべきである。別の関係者に、法人市場におけるWindows 10の導入進捗を訪ねたところ、「日本の官公庁でもLTSB(Long Term Servicing Branch)には興味を持って頂いている。とくにセキュリティ面に敏感な省庁は導入に積極的だ」と現場から得た好感触を語っていた。今回のサポートポリシー変更が、PC離れを加速させるのか。それとも重荷を下ろしたWindowsプラットフォームが加速するのか、その動向に注視したい。阿久津良和(Cactus)
2016年01月25日Windows 10の標準オンラインストレージである「OneDrive」。Windows 7時代に登場したOneDriveは、仕様変更を重ねてユーザーに混乱を招いている。常にサーバーとローカルのOneDriveフォルダーを同期するため、設定を見直すタイミングが難しい。そこで今回は、OneDriveの同期設定をリセットするTipsを紹介する。○迷走気味のOneDriveを活用するWindows 7とWindows 10時代、Windows 8.x時代のOneDriveは動作が異なる。Windows 8.x上のOneDriveは、ファイルの実体をダウンロードしていなくともプロパティやサムネイルデータなどを備える「プレースホルダー(もしくはスマートファイル)」機能で利便性を高めたが、混乱するユーザーが多いなどの理由で通常のオンラインストレージに戻った。また、2014年10月から事実上無制限をうたったストレージ容量を大きく削減し、使い方の見直しを迫られている。だが、複数のPCでドキュメントフォルダーなどをOneDrive上に設定している場合、同期設定を見直すタイミングは難しい。そこでおすすめしたいのが、「一度OneDriveのリンクを解除する」方法だ。この操作で同期設定がリセットされるため、その間に各PCから、OneDriveを利用するフォルダーやデータを整理すれば、OneDriveの容量が少なくても効率的に活用できるだろう。○OneDriveとのリンクを解除するリンクの解除手順はシンプルだ。設定ダイアログに用意された「OneDriveのリンク解除」ボタンを、クリック/タップするだけでよい。これで、初期セットアップ時に見た「OneDriveへようこそ」の画面が現れる。OneDriveはスタートアッププログラムに含まれるため、Windows 10へサインインするたび、こちらの画面が現れる動作だ。この間にドキュメントフォルダーや、OneDriveフォルダー(%USERPROFILE%\OneDrive)を整理しよう。○OneDriveを再リンクするOneDriveの再リンクは、初期セットアップ時に行った操作と大差ないが、一連の手順を紹介しておく。ポイントはOneDriveフォルダーの選択だ。そのまま先に進むと既定のフォルダーが使用されるが、別のストレージ上にOneDriveフォルダーを作成したい場合もある。その際は「場所の変更」をクリック/タップすると現れるコモンダイアログからフォルダーを選択すればよい。既存のOneDriveフォルダーをそのまま使う場合は確認を求められるが、OneDriveフォルダーを整理したときは「この場所を使用」を選択し、同じフォルダーを使ったほうがトラブルも少ないだろう。さらに、同期対象となるフォルダーの取捨選択を求められるので、必要に応じて選択してほしい。再リンクを行わずに同期フォルダーだけを見直す場合は、設定ダイアログの「フォルダーの選択」ボタンを押せば、同じ画面が現れる。タブレットなどストレージ容量が気になるデバイスは、SDカード上にOneDriveフォルダーを作成すると便利なのだが、これは不可能。OneDriveフォルダーとして選択できるのはディスクドライブのみであり、リムーバブルドライブは選べない。参考までに述べると、仮想ディスクのVHDファイルを用いた手法で回避できるが、基本的にはおすすめしない。筆者がビルド10240時点で試したところ、スリープと復帰を繰り返すと、OneDriveクライアントが対象フォルダーを見失う現象を確認している。阿久津良和(Cactus)
2016年01月23日1月19日、日本マイクロソフト、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所(以下、YRP UNL)は、「ICTを活用した観光、スポーツイベントにおける外国人観光客の受入環境整備事業」に関して、実証事業を行う共同記者会見を開いた。日本有数の観光地である札幌市を訪れる観光者に対して、ICTを活用したモバイルアプリケーションを提供し、さらなる受け入れ環境の充実を図る。○札幌市のオープンデータ利用で観光客のUXを改善他国からの来訪者が増え続ける日本だが、日本語を話せない外国観光客に楽しんでもらう施策は観光庁も力を入れており、民間企業もさまざまな角度から努力している。今回の日本マイクロソフト、YRP UNL、そして札幌市の事業もその1つだ。まずは背景から紹介しよう。日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏は、「オープンデータの有効利用が急務であり、ICTをフル活用した"おもてなし"が重要だ」と話す。今回の取り組みを行った理由としては、「IoTやロボティクスといった技術が合理的なコストで活用可能になった背景が大きい。さらにユーザーが常にスマートフォンを身につけるように、ライフスタイルにIoTが浸透しつつある背景もある」と述べる。今回の事業は総務省が発注元となり、日本マイクロソフトがYRP UNLと札幌市の全面的な協力を得て受注した形だ。予算額は約4,000万円とのこと。総務省 北海道総合通信局長 安井哲也氏は、「(同省は)以前からオープンデータ化や利活用などを推進してきた。社会全体のICT化プランとして、街全体でオープンデータ化を進め、さまざまな分野のデータを組み合わせ、新しいソリューションを目指す」と述べる。今回の事業もその1つだ。「2020年開催予定の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、(今回の事業が)各自治体の参考になるような結果につなげたい。さらに今後はオープンデータのメリット可視化も目指す」(安井氏)。日本マイクロソフトはYRP UNLと協力しながら、オープンデータの収集・活用を行う。今回の取り組みでは、環境情報や公共交通事情から得るビッグデータを収集・加工し、オープンデータプラットフォームを構築。それをアプリケーションで活用していく。札幌市長の秋元克広氏は今回の事業について、「行政と民間企業が協力することで、札幌の魅力を多くの外国観光客に伝えられる有効な事業と考えている。『第67回さっぽろ雪祭り』や『FISジャンプワールドカップ2016札幌大会』など、大きなイベントも目白押しのため、オープンデータを活用したアプリケーションで札幌を楽しんで欲しい」と語った。○オープンデータの提供でリピーターが増える?今回の事業を具体的に解説したのは、東京大学大学院情報学環教授兼、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所所長の坂村健氏。まず、下図に示した観光オープンデータから情報を収集し、アプリケーション開発者にデータを提供する。開発者は公開済みの札幌オープンデータAPIに沿って、地物情報、イベント情報、買い物情報報、さらにはバスや鉄道の状況など30秒ごとに更新する位置情報を取得できる。アプリケーション利用者(観光客)は、これらの情報を自身のスマートフォンで取得して、スムーズな観光を楽しめるわけだ。ユーザーの位置情報を取得するのは、YRP UNLが開発したucodeビーコンが担う。Bluetooth Low Energyに対応し、対応アプリケーションをインストールしたスマートフォンを持ってビーコンから10m以内に近づくと、アプリケーション(スマートフォン)に位置情報が送信され、状況に応じた情報を表示。Bluetoothはあくまで位置情報の送受信に留まり、コンテンツの表示にはWi-Fiや携帯電話回線が必要となる。記者会見の時点では、YRP UNLが開発してきた「ココシル」アプリを使用し、札幌各地の情報を日・英・中(2種類)・韓・タイの6カ国語で閲覧可能。なお、言語設定はスマートフォン側の言語設定に依存する。ココシルは既にiOS向けとAndroid向けに提供されているが、ユニバーサルWindowsアプリ版について訪ねたところ、「今回は実証実験の要素が強いため、(アプリケーション提供は)今後の課題」(樋口氏)とした。ちなみに、坂村氏と日本マイクロソフトの関係は、Windows CEとTRONの関係までさかのぼる。近年ではMicrosoft Azureのucode標準サポートが大きな話題だ。今回の実証実験において、各コンテンツの配信はMicrosoft Azureを経由し、多言語化もMicrosoft Translatorで行われる。話は前後するが、ベースとなるビーコンは札幌駅の地下街に11カ所、大通公園にも11カ所設置される。そのほか、前述の雪祭りやスポーツイベント会場にも設置予定だ。ビーコンは野外向けと屋内向けの2種類を用意し、内部はTRONが動作するチップ用スペースと乾電池の格納スペースという構造。ココシルの周知については、札幌市の観光案内所や宿泊施設、観光バスなどでチラシを配布する。坂村氏はココシルの活用例として、「観光バスの待ち合わせ機能が便利」とアピールした。各地で迷惑駐車の原因になりつつある観光バスだが、搭乗者(のスマートフォン)へ集合時間をアナウンスし、で待ち合わせ場所への移動をうながすことも可能だという。このような事業は、日本では札幌市が初。「リアルタイム性が面白い」と語る坂村氏は、他の都道府県でも試したいと語る。YRP UNLは、過去にもオープンデータを活用した実証実験を多数行ってきたが、今回の取り組みは「オープンデータと観光情報連係の決定版」と自信を見せた。坂村氏は「あくまでも事業の主役は開発者だが、データやAPIだけを提供したとしても、具体的な形を見せる必要がある。このたため、一緒にアプリケーションを提供した」と述べる。また、2016年3月までの事業から得たデータをもとに、札幌オープンデータ協議会などと話し合う。秋元市長も「継続から生まれるオープンデータの充実に期待したい」と、次年度以降の継続に期待を寄せる。教育や観光など、我々の生活に深く密着するようになったICTは、オープンデータと連係することで新たな価値が生まれる。今回の事業で得た体験がリピーターの増加につながり、魅力的な観光地という評価など、新しい日本が見えてくるのか楽しみだ。阿久津良和(Cactus)
2016年01月22日2016年1月21日(現地時間。日本は22日早朝)、Microsoftは2016年に入って2回目のWindows 10 Insider Previewとなるビルド11102をリリースした。変更点はさほど多くないが、Microsoft Edgeに履歴メニューを追加し、Internet Explorerライクに使用できる。○新機能はMicrosoft Edgeの改善のみMicrosoft Engineering Systems Team担当CVPのGabriel Aul氏は、「Insider Previewのリリース間隔を縮める」と以前から述べていたが、前回のビルド11099から約1週間で新ビルドをリリースしたのは少々驚かされた。もっともビルドナンバーが示しているように、改善箇所は多くない。公式ブログによれば、Microsoft Edgeの改善といくつかのバグを確認済みとAul氏は説明する。Windowsプラットフォームの共通コアとなる「OneCore」については何も述べていないことから、ファンダメンタル部分の改善は一段落ついたように見えるが、Slow(低速)リングに配信していないことから、完成はまだ先の話のようだ。まずはMicrosoft Edgeの改善点を確認する。ツールバーに並ぶ<戻る><進む>ボタンを右クリックすると、直近のアクセス履歴メニューが表示され、目的のWebサイトへ素早くアクセスできるようになった。改めて述べるまでもなく同様の機能は、Internet Explorerで以前から実装していたため、目新しさは感じない。Windowsフィードバックを確認したが、少なくとも日本語でアクセス履歴メニューに関する投稿は見つからなかった。次は既知の問題。Windowsグラフィックスタックで確認されたバグが原因で、一部のPCゲーム起動時や解像度変更時、もしくは全画面表示とウィンドウ表示を切り替えた際にクラッシュするという。Microsoftは「Fallout 4やメタルギアソリッドVなどのタイトルで確認済み」と述べ、他のタイトルでも問題が発生する可能性が高いそうだ。筆者のPC環境にはいずれのタイトルもインストールしていないため、「Cities Skyline」を起動してみたが問題は発生しなかった。筆者の環境だけかもしれないが、ビルド11099からNVIDIA製ディスプレイドライバー(バージョン361.43)がクラッシュするようになり、ベータ版のバージョン361.60に更新しても、Windows 10 Insider Preview ビルド11102でも問題は解決しなかった。頻繁に発生するわけではないものの、クラッシュするタイミングが見えてこないため、OSの問題かデバイスドライバーの問題か切り分けられない。だが、他のNVIDIA製GPUを挿したPCでは発生しないため、今回のスタック関連バグが影響している可能性が高そうだ。また、「ナレーター」や「拡大鏡」に代表されるアクセシビリティツールにも問題が発生している。各ツールが正常に動作せず、場合によってはクラッシュするそうだ。筆者の環境では再現できなかったが、サードパーティー製アクセシビリティツールも同様のため、スクリーンリーダーなどが欠かせないユーザーは本ビルドの使用は避けるべきだろう。なお、これらの問題は次のビルドで改善する予定だとAul氏は説明する。さらにWindows 10へサインインする際に「WSClient.dll」に関するエラーダイアログが表示される場合があるそうだ。こちらのシステムファイルには「Windowsストアライセンスクライアント」という説明が加わっているため、ユニバーサルWindowsアプリのライセンス認証と思われる。その理由として「タスクスケジューラ」の「Microsoft/Windows/WS/License Validation」が、WSClient.dllを実行しているからだ。上図はビルド10576上でキャプチャしたものだが、ビルド11099から「WSRefreshBannedAppsListTask」というタスクが加わった環境があるという(筆者の環境では確認できなかった)。そのため、ビルド11099から発生していた問題だが、Aul氏は問題を回避するため「schtasks /delete /TN “\Microsoft\Windows\WS\WSRefreshBannedAppsListTask” /F」を実行すればよいと述べているが、タスク名から察するに、アプリケーションの実行禁止リストを更新するタスクと思われるため、「schtasks /Change /Disable /TN “\Microsoft\Windows\WS\WSRefreshBannedAppsListTask” /F」と実行して、タスクを無効にした方がいいだろう。他にも一部のWi-Fiカードに対して、Windows 10と互換性がないことを示すメッセージが現れるという。筆者は同問題に見舞われていないが、Aul氏は回避策として最新のデバイスドライバーの再インストールを推奨している。また、アクションセンターの<接続>ボタンが表示されなくなった。これまで多用していた場合は代わりに[Win]+[K]キーを使ってほしい。ちなみに、Windows Insider Program参加者向けアプリケーション「Insider HUB」にキャッシュが正しくリフレッシュされないバグも確認されている。2016年中に行われる大型アップデート「Redstone(開発コード名)」でどのような機能が加わるのか予想するのも難しいが、現時点で分かっているのはMicrosoft Edgeの拡張機能サポートだ。ビルド11102のMicrosoft Edgeで「about:flags」で確認したところ、ビルド11099で加わった<Allow unpacked extensions to be loaded>をローカライズし、<アンパックされた拡張機能の読み込みを許可する>に変更されている。Microsoftからは拡張機能に関する詳しいアナウンスは行われていないが、近いうちにMicrosoft Edgeの機能を自由に拡張できそうだ。阿久津良和(Cactus)
2016年01月22日Windows 10にて一定の条件を満たすことで、インストール済みアプリケーションを別ドライブに移動できる。無償アップグレード以前から用意していた機能だが、正常に動作するのはビルド10586以降だった。そこで移動可能な条件の確認と、実際の移動方法を紹介する。○インストール先ストレージを変更する「すべてが分かるWindows 10大百科」でも述べているように、Windows 10はストレージ管理を見直す一環として、新規ユニバーサルWindowsアプリのインストール先を変更できるようになった。だが、2015年7月29日の無償アップグレード時点で該当する設定項目はグレーアウトのまま。使用可能になったのは、2015年11月にリリースしたNovember Update(TH2、バージョン1511、もしくはビルド10586)からだ。上図のように「新しいアプリの保存先」でDドライブなど異なるストレージを選択すれば、新規ユニバーサルWindowsアプリのインストール先を指定できる。従来のデスクトップアプリを別ドライブに保存する場合は、セットアッププログラムの途中でたいがいは「インストール先」のダイアログが出るので、そこでインストール先を変更すればよい。○移動できるアプリ、できないアプリ気になるのは、「アプリと機能」でアプリケーションを選択した際に現れるボタンの違いだ。例えばデスクトップアプリの場合、コンポーネントの構成を変更するための「変更」ボタンと「アンインストール」ボタンが現れる。ユニバーサルWindowsアプリの場合、「変更」ボタンは「移動」ボタンに変更されることに気付くだろう。ここでも、「移動」ボタンがグレーアウトするユニバーサルWindowsアプリが散見される。Windows 10では、Win32ベースのデスクトップアプリ、ユニバーサルWindowsアプリ(とWindows 8.xで使用してきたWindowsストアアプリ)の2種類が使用できるが、アプリケーションの移動は以下にまとめられる。デスクトップアプリは移動できない(セットアップ時に変更)標準ユニバーサルWindowsアプリは移動できないサードパーティー製ユニバーサルWindowsアプリは移動できる○ユニバーサルWindowsアプリを移動する実際に、ユニバーサルWindowsアプリを異なるストレージに移動させてみよう。操作自体は簡単で、「移動」ボタンを押すと現れるウィンドウから、移動先ドライブを選択するだけだ。蛇足だが、実際のファイルがすべて移動する訳ではない。NTFSのリパースポイントを利用して、別ドライブにジャンクションを張る仕組みだ。Windows 10はこのような構造によって、ユニバーサルWindowsアプリの移動を可能にしている。阿久津良和(Cactus)
2016年01月22日前回の記事で、Windows 10のユニバーサルWindowsアプリ不足について言及した。それにMicrosoftが即応したわけではないと思うが、1月13日(米国時間)に、FacebookアプリがContinuum for Phoneに対応し、Wireless Display AdapterがUIを大きく刷新するなど、変化が生じている。そこで今回は、UWP化したリモートデスクトップ接続アプリケーション「Remote Desktop Preview」に注目したい。Remote Desktop Previewの最新版・バージョン844では、Windows 10 MobileやContinuum for Phone、特殊キー(Alt + Tabなど)の送信を新たにサポートした。その使い勝手は従来のリモートデスクトップ接続と同じため、一見するとアピールポイントに欠ける。だが、RDゲートウェイ経由のアクセスやRemoteFXのサポート、タッチ操作のサポートを実現している。従来のデスクトップアプリ版と比べると、直感的な操作が可能になったのが大きな特徴だ。接続直後はキャッシュを作成しているのか、応答するまでに時間を要したものの、10秒ほど待つとIEEE 802.11gのWi-Fi環境でも比較的スムーズにWindows 10のデスクトップを操作できた。執筆時点ではContinuum for Phoneをサポートするデバイスが国内に存在しないため検証できないが、海外ニュースによるとLumia 950からContinuum for Phoneでディスプレイに接続し、その上でRemote Desktop Previewによるリモートデスクトップ接続が可能だったという。これだけでは「リモートデスクトップ接続のUWP化」という話だが、ポイントはRemote Desktop Protocol(RDP)の改善にある。公式ブログの解説によれば、Windows 10およびWindows Server 2016 Technical Preview 4はRDPバージョン10.0に対応。4Kディスプレイの台頭を踏まえて、高DPI環境を考慮した自動サイズズーム機能や、H.264/AVCによる圧縮を実現したそうだ。今後はRemoteFX vGPUシナリオ上のOpenGLサポートを予定しているという。上図はRDP 8.1以前とRDP 10.0のレンダリング結果をMicrosoftが示したものだが、筆者が説明するまでもなくテキスト描画が改善し、見やすくなっている。気になるのは、今回のRemote Desktop PreviewがRDP 10.0に対応しているかという点だが、クライアントのビルド番号がPowerShell上で示されなかったため、確認できなかった。ただし、先の公式ブログにある方法でイベントビューアーを確認すると、RDP 10.0によるセッションを確立していることがわかる。なお、今回はSurface 4 Proをサーバーとした。Continuum for Phoneは面白い技術で興味が尽きることはない。だが、RDPを利用して、スマートフォンからPCをコントロールするというアプローチはさまざまな可能性を実現することだろう。個人でRDゲートウェイを設置するのは難しいが、Windows 10とWindows 10 Mobileを揃えることで、今後のビジネスシーンはクラウド経由のファイルやデータ共有に加えて、アプリケーションの実行など利用場面が拡大していくのではないだろうか。2016年中には、多くのアプリケーションがUWP化し、PCとスマートフォンの連係を高める環境を期待したい。阿久津良和(Cactus)
2016年01月18日Windows 10に移行すると、一部の古いNAS(Network Attached Storage)へアクセスできないケースが散見する。これはNASのOSがLinuxなどを使用し、ファイル共有プロトコルであるSMB(Server Message Block)の古いバージョンを使用しているからだ。今回はWindows 10側でこの問題を解決するTipsを紹介する。○SMBのバージョンとはWindowsはSMBというファイル共有プロトコルを用いて、互いのPC上に保存したファイルをやりとり可能にしている。ここで混乱しやすいのがCIFS(Common Internet File System)の存在だ。MicrosoftやLinux周辺の説明も時代によって異なるが、現時点でMicrosoftは「SMB 1.0は、CIFSを拡張したプロトコルとしてWindows 2000以前のOSに実装した」と説明する。そのため「SMB 1.x = CIFS」とし、現在のWindowsは「その時々の最新SMBを使用している」という認識で構わない。Windows 10はSMB 3.1.1という最新のバージョンを実装しているが、それを使えるのは(執筆時点で)Windows 10同士のみである。今後リリースされるWindows Server 2016(仮)は、SMB 3.1.1をサポートするようだ(Technical Preview 4で確認済み)。○NASにアクセスできない理由さて、NASにアクセスできない理由はいくつも考えられるが、比較的多いのがSMBバージョンの問題だ。筆者の環境には古いNASがないため、あくまで実験として、Linux上のSamba(Windowsネットワークを提供するソフトウェア)で使用可能なSMBのバージョンを「NT1(SMB 1.x)」に限定すると、アクセスできない旨を示すメッセージが現れる。MicrosoftはWindows 8.1の時点で、SMB 1.xを非推奨機能にしたものの、Windows 8.1もWindows 10 ビルド10586も、「SMB 1.0/CIFSファイル共有のサポート」を初期状態で有効にしている。そのため上図のようにNASアクセス時にエラーが発生する場合、「SMB 1.0/CIFSファイル共有のサポート」を何らかの理由で無効にしているか、他の問題が発生している可能性が高い。○SMB 1.0を有効にするSMB 1.0のサポートを有効にするには、「Windowsの機能の有効化または無効化」を操作する。一覧から「SMB 1.0/CIFSファイル共有のサポート」のチェックが外れている場合は、クリック/タップでチェックを入れて有効化する。なお、PCの再起動が必要なため、他の作業を行っている場合はあらかじめ終了させておこう。再起動後に同じNASにアクセスすると、SMB 1.xでアクセスできることを確認できるはずだ。なお、ご自身の環境でSMBバージョンを確認するには、管理者権限でPowerShellを起動し、「Get-SmbConnection」を実行すればよい。阿久津良和(Cactus)
2016年01月15日2016年1月13日(現地時間。日本は14日早朝)、Microsoftは2016年初のWindows 10 Insider Preview ビルド11099をリリースした。残念ながら本ビルドも大きな変更は加わっておらず、Microsoft Engineering Systems Team担当CVPのGabriel Aul氏は「Windows共通のコアとなるOneCoreの最適化に務めた」とブログで説明している。○新機能搭載を見送ってコアの改善を進めるMicrosoft2016年当初からAul氏はTwitterで「新ビルドの開発を進めている」と進展状況を説明し、新ビルドをWindows Insider Programに提供することを明らかにしていた。その発言に沿えば1月10日前後(現地時間。以下同様)にはリリースする予定だったが、何らかの理由で遅延が発生したのだろう。BuildFeedによるRS1(Redstone 1)の進捗状況を見る限り、年末年始も社内でビルドを更新し、非公開のビルド11098は1月7日にコンパイルされている。今回のビルド11099も1月9日にコンパイルし、4日間のテストを経て公開に至ったのだろう。遅延した理由として考えられるのが、ビルド11099に対する既知の問題だ。Microsoftは2つの問題を確認済みと説明し、以下の2つを挙げている。Citrix XenDesktopの仮想マシン上のWindows 10 ビルド11099は正しく動作せず、OS自体を破壊する可能性があるため、MicrosoftはSlow(低速)リングへの変更をうながしている。Adobe Flashに依存する一部のアプリケーションは起動時にクラッシュする問題を確認済み。具体的にはSkypeやQQ、WeChatの名前を挙げているが、Internet ExplorerやMicrosoft Edgeは含まれない。Aul氏は本ビルドでも「OneCore」の最適化に努めてきたと述べているが、こちらは前回のビルド11082でも同様の説明を行っていた(参考記事)。そもそもカーネルの改善は一朝一夕に終えるものではない。同氏は「コードのリファクタリングと他のエンジニアが行ってきた作業を(融合させることで)新機能と改善を実現する」と説明するように、現時点でWindows 10 Redstone 1はスタートを切るための準備を行っている状況と捉えるべきだろう。変更点はない、といいながらも軽微なバグ修正は各所に施されている。例えばビルド11082で発生したファイル操作の進捗を示すダイアログは復活し、言語パッケージやオプション機能といったオンラインベースで追加するコンテンツのインストールは正しく動作することを確認した。また、筆者の環境ではビルド11082で0x80080005エラーが発生して動作しなくなった「Skypeビデオ」だが、ビルド11099では拍子抜けするほど簡単に起動している。なお、Hyper-Vを有効にした環境では「Bcdedit.exe」で一時的に無効にしている場合も再度有効になるのは前ビルドと同じだ。他の仮想環境ソフトウェアを使っている場合は注意が必要である。「設定」を徒然と確認してみたが大きな変化は見つからず、「イベントビューアー」では「モバイルコンパニオン」に関するエラーが発生していたが、アプリケーション自体は問題なく動作した。さらにデスクトップ版Skypeは再起動プロセスのエラーが記録されていることを確認したが、アプリケーション自体は正常に動作している。ちなみにInsider Previewとは直接関係ないが、ちょうど本日14日から一部のWindows Insider向けに、iOS版Cortanaベータプログラムの招待メールが届いている。米国および中国では2015年12月からベータテストを開始しているが、ようやく日本でも始まるようだ。送信元は日本マイクロソフトのため、Windows Insider Programに参加している本誌読者の手元にも順次届くことだろう。述べてきたようにビルド11099はカーネルの改善に留まり、新機能の実装は見送られている。だが、2016年中にリリースするといわれているRedstone 1に向けて、どのような展開を見せるのか興味は尽きない。今年も本連載でご報告していく。阿久津良和(Cactus)
2016年01月14日既報のとおり、Windows 10の稼働デバイス数が2億台を突破した。Windows 7は発売4カ月後に9,000万本を売り上げていたが、Windows 10はその記録を塗り替えた。ただし単純に比較してはいけない。Windows 7はパッケージとして販売しており、Windows 10はWindows 7/8.xを対象に無償アップグレードを提供している。タダでアップグレードできるのだから、Windows 10に移行しない手はない。また、この2億台にはXbox OneやWindows 10 Mobile搭載デバイスを含んでいる可能性もある。Windows 10は、PC環境によってはトラブルに見舞われることもあるが、シェア拡大は順調だ。Net Applicationsが発表した2015年12月のシェアでは、Windows 7が55.68%と以前と変わらず最大のデスクトップPCシェアを持つ。だが、Windows 10は9.96%とWindows 8.1を抜く勢いだ。同じく2015年のシェアトレンドから予測すると、2016年3月には15%を超える可能性もあるだろう。問題はシェアトップのWindows 7やWindows XPの存在だ。Windows XPは使用する周辺機器などの関係から使い続けているユーザーが少なくないし、Windows 10への誘い言葉は彼らに通じないだろう。Windows 7のシェアも揺るぎを見せていない。これはWindows 7がビジネス分野で確固たる需要があることを示している。エンタープライズ分野に関して、Windows 10はさまざまな機能を用意しているが、現時点で耳にする導入事例は多くない。Microsoft Marketing for Windows and Devices担当CVPのYusuf Mehdi氏は「エンタープライズ系顧客の76%がWindows 10のテストを開始し、エンタープライズおよび教育機関ではWindows 10搭載デバイス数が2,200万台を超えた」と進捗状況を強調している。このあたりは日米で事情が異なるようだが、少なくとも米国では順調のようだ。以前から筆者は本レポートで、アプリケーションの重要性を何度か述べてきたが、2015年末のWindowsストアは盛り上がったという。Mehdi氏の説明によれば、有料アプリケーションおよび有料コンテンツの取り引き件数は2倍に増加し、2015年12月中の利用者数のうち60%は、初めてWindowsストアを利用したユーザーだそうだ。デバイスあたりの収益もWindows 8.xと比較して45倍に拡大している。だが、Mehdiの説明を楽観視することは難しい。Windowsストアに並ぶアプリケーションがWindows 10以降目新しくなった印象はなく、一部のアプリケーションは他のプラットフォーム向けと比べても完成度に疑問が残るからだ。これはMicrosoft側の責任ではないものの、アプリケーション開発企業が腰を入れるような施策をさらに用意すべきだろう。さらにBuild 2015で公開したWindows Bridgeの進捗状況も芳しくない。問題はAndroid向けとなる「Project Astoria」だ。これはAndroidアプリからユニバーサルWindowsアプリ(UWA)への移植を可能にするプロジェクトだが、Microsoftは「提供可能状態に至っていない」と述べるに留まり、暗礁に乗り上げた印象を受ける。他方で、iOS向けの「Project Islandwood」は順調だ。Windows Apps and Store担当General ManagerのTodd Brix氏は1月5日のブログで、Windows Phone 8.x向けAPIとして提供されていたSilverlightをUWA化する「Mobilize.NET」やProject Islandwoodをアピールしているが、そこにProject Astoriaの名はない。Brix氏は支払いオプションの拡大やプロモーションの強化など、アプリストアを盛り上げる施策を2016年も続けると説明している。現在のWindowsストアは、Google PlayやApp Storeとは比べ物にならないほど市場が小さく、キラーコンテンツとなるアプリケーションも存在しない。Windowsの覇権を再び奪還できるか否かはMicrosoft次第だ。阿久津良和(Cactus)
2016年01月12日「APIエコノミー」というキーワードをご存じだろうか。はるか昔のIT開発はすべてのコンポーネントを自社開発するのが一般的だった。しかし昨今は、コンポーネントを他社から調達し、開発サイクルの短縮と新たなビジネスモデルを実現している。この仕組みをビジネスチャンスにつなげるのが冒頭のキーワードだ。「API」自体は決して目新しいものではないが、簡単な説明が必要だろう。そもそもAPIは簡潔にコードを記述するための「Application Programming Interfaces」を略し、主にプログラム開発の現場で使われてきた単語である。例えばMicrosoftがWindowsの機能を呼び出す手続き(=API)を用意することで、ソフトウェア開発者はコーディングの手間を大きく低減できるが、同じことはWeb上でも行われてきた。2000年代中頃から登場した「Web API(=Webサービス)」は、Webの技術を用いて同様の仕組みを構築している。一例を挙げればGoogleマップやBing MapsはWeb APIを有償/無償で公開し、新たなビジネスモデルを生み出してきた。自社の場所を示す地図としてイラストを掲載している企業を見つけるのが難しいことでも、その広がり具合を実感できる。これまで表立ってこなかったAPIが「ビジネス化しつつある」と提言するのが、経営コンサルティングを行うDeloitte Consulting LLPのGeorge Collins氏とDavid Sisk氏だ。彼らはAPIエコノミーが「APIは組織が持つコアアセットの範囲を拡大させ、再利用や新たな収益ストリームを生み出す」とWebサイトで語り、APIエコノミーが自社技術の再活用(=エコシステム)や、新たなビジネスモデルの構築を可能にしているという。Web APIをビジネスとして捉えると、Salesforce.comやProgrammableWebの存在を避けては通れない。前者はCRMソリューションを中心としたサービス提供、後者はWeb上の各種APIリポジトリとして、開発者の間では有名なサービスの1つだ。前者は2000年からWeb APIを顧客に提供し、自社サービスを利用したシステムを運用したCRM系SaaSベンダーとして存在感を示している。後者は2005年からWeb上の各種APIリポジトリとして、開発者の間では有名なサービスの1つだ。同社は2010年にAlcatel-Lucentが買収したが、現在でもサービスは展開中。買収理由としてAlcatel-Lucentは「APIに携わる関係者のエコシステムを育成し、クラウド時代(当時同社はブロードバンドモバイル新世界と表現)の開発環境を盛り上げる」と当時説明していた。奇しくも同社の予想どおりクラウドベースのSaaS利用が広まり、各種サーバーもオンプレミスからクラウドに移行しつつあるのが現状だ。このような流れは前述したGoogleマップやFacebookプラットフォーム、先頃日本上陸したストリーミング配信サービスNetflixのAPIプラットフォームと多岐にわたる。IBMもAPIエコノミーへ積極的にコミットする企業の1つだ。同社は2013年6月に獲得したIaaS「SoftLayer」や、アプリケーションの開発や管理、運用を可能にするPaaS「Bluemix」などを組み合わせ自社プラットフォーム内で、APIの活用がアプリケーションの価値を少ない工数で高めることが可能であるとアピールしてきた。日本アイ・ビー・エムのクラウドテクニカルサービス クラウドアドバイザーのRasmus Ekman氏も、2015年11月に国内で開催した「IBM FinTech Meetup」で、APIエコノミーを組み合わせると「コンポーザブルな開発が可能になる」と説明している。API管理ソフトウェアの開発を行っている3Scaleは、スポーツ製品で有名なNIKEが、毎日数百人からのデータを集約してスポーツ用SNSを実現し、世界最大級の建設会社であるBechtelも大規模な監視とITシステムを実践しているといった事例を挙げて、「すでに多くの企業にAPIエコノミーが浸透している」と説明する。このように広まりつつあるAPIエコノミーだが、IBMは2015年11月の時点で市場は2.2兆ドルと推定し、今後2~3年内にAPIプログラムを持つ企業数は150パーセントの増加を予測している。だが、これだけでは、"APIの提供者が収入を得て、開発を容易にする"という単純な仕組みとなってしまう。APIエコノミーで重要なのは、機能やデータを提供もしくは利用することで、"新たなビジネスを生み出せる"という点だ。技術的側面は十分満たしてきたが、ビジネスにつなげると新たな価値が生まれるというのが、APIエコノミーに対するIT業界の見方である。ここで重要なのはプロバイダーとコンシューマーが相互的につながっている点だ。このように述べると認証などサイバーセキュリティ面のリスクが頭をよぎるが、これらは既存のセキュリティ対策技術が功を奏す。現在多くの企業がAPIを提供しているが、APIエコノミーという観点から見れば黎明期というべき現状だが、ここからセキュリティ対策に優れたAPI、劣ったAPIといった淘汰が始まるはずだ。昨今は「エコシステム」という企業間の事業連携協業を指すバズワードが盛り上がりをみせていた。だが、APIエコノミーはより現実的に、提供できるデータで新たなビジネスを生み出せるのか、他企業のAPIを利用すればビジネス規模の拡充につながるのか、といった発想が可能になる。経営者や現場の担当者は新たなビジネスチャンスにつながるAPIエコノミーに注目し、自社で何ができるのかを一考すべきだ。阿久津良和(Cactus)
2016年01月12日○日本と海外で大きく異なる経営者のセキュリティ意識テクノロジーイノベーション(技術革新)は必ずしも手放しでよろこぶべき事柄ではない。なぜならサイバー攻撃技術も同時に成長し、我々はサイバーセキュリティの危険にさらされているからだ。当初はサーバーに大量のアクセスを行うことで、過度な負荷を与えてサービス提供を妨害するDoS攻撃やWebページの改ざんといった稚拙な攻撃だったが、利便性の向上を求めた相互接続などネットワークの拡大によって被害が広がっている。警察庁が2015年10月にまとめた「不正アクセス行為対策等の実態調査」によれば、今現在でもWebページの改ざんやメールの不正中継といった被害が全体の50パーセントを占め、サイバー攻撃の手段もマルウェアなどを使った感染や社外からの不正アクセスが多いという。このようなサイバー攻撃に対して、対応する管理体制もシステム運用管理者が兼務するケースが74.9パーセント。専従の担当者を設置している企業はたった11.7パーセントという状況だ。日本マイクロソフトが2015年12月に開催したセミナー「サイバーセキュリティと企業経営リスク」で、同社代表執行役社長の平野拓也氏は「サイバーセキュリティは経営問題」と強く主張している。同社チーフセキュリティアドバイザーの高橋正和氏も「セキュリティ問題はサーバールームから役員室へ」と同様の主張を行っていた。これは某量販店のクレジットカード情報が流出し、和解金を支払ったことから株主がCEOを退任させた事例を元にしている。このようにサイバー攻撃による結果がブランドイメージや業績ダウンといった影響にとどまらず、経営責任を問われかねないのが現状だ。だが、前述したように肝心の企業経営者の意識は決して高くない。経済産業省が2015年12月に公開した「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」によれば、積極的にセキュリティ対策を推進する経営幹部がいる企業は日本の27パーセントに対して、ワールドワイドでは59パーセント。サイバー攻撃予防は役員レベルで議論すべきか?という問いに対しても日本は同意意見が52パーセントだが、ワールドワイドでは88パーセントにもおよぶ。これらのデータはプライスウォーターハウスクーパースの「2014 Global State of Information Security Survey」と、KPMGジャパンの「KPMG Insight 日本におけるサイバー攻撃の状況と課題」をもとに同省が作成したものだが、あまりにも差が大きい。平野氏も「海外と日本では大きな隔たりがある」と同セミナーで語っていた。○終わりのないサイクルに対して、経営者が取り組むべき対策とは?しかし、サイバー攻撃者にとって国境は存在しない。経営者のセキュリティ意識云々に関わらず、システムの脆弱性をみつけてはサイバー攻撃を仕掛けてくる。ラック サイバーセキュリティ本部 理事の長谷川長一氏はインシデント(サイバー攻撃事例)の傾向として、以前は重要インフラを扱う業種が狙われていたが、直近の調査結果によれば、業種を問わずにサイバー攻撃を受けていることを明かした。さらにインシデント再発割合も2012年には8パーセントにとどまっていたが、2013年は21パーセント、2014年は28パーセントと増加傾向にあるという。その理由として長谷川氏は「サイバー攻撃を受けた企業は対策を講じるが、(技術革新の速度にサイバー攻撃対策が追いつかず)数年後には通用しなくなる」と説明した。つまりIT技術の進化は、そのままサイバー攻撃技術の進化とイコールとなり、防衛する企業側も日々対策を講じる必要がある。もちろん経営者が常にセキュリティ対策を行う必要はない。セキュリティ対策を推進する経営幹部を設ければ済む話である。だが、同時に組織全体を見直す必要があることを忘れてはいけない。長谷川氏はセキュリティ対策の実施順序として、最初に「セキュリティ監視と不正通信の洗い出し」を行い、次に「インシデントを前提とした組織体制の構築と、社員の意識改革および教育」を実施。そして「インシデント対策チームの組織化」や「サイバー攻撃発生を見越した演習」という例を挙げている。このように会社全体の管理体制の変更を伴うため、セキュリティ対策は単なる専任者ではなく経営層の判断が必要になる。他方でセキュリティ対策は、設備投資のように金額に置き換えにくい部分があるのも事実だ。そのためセキュリティ対策は「力のいれどころと抜きどころが重要」と、ディアイティ クラウドセキュリティ研究所 所長の河野省二氏は語る。経営者はどこまでセキュリティ対策の現場に権限を与えるべきか、経営層が判断する情報として何を提示させるか明示しなければならない。セキュリティ対策の現場は目的に応じた対策を行うと同時に、ログなどを視覚的にまとめたレポートを経営層へ報告する一定の仕組みを作り出す必要がある。経営層はレポートをもとに意図したセキュリティ対策が講じられているか、さらなる改善が必要なのか判断すればよい。企業におけるセキュリティ対策は単発ではなく、中長期経営計画とともに取り組む覚悟が必要だと河野氏は強調した。IDS(侵入検知)やログ解析といったセキュリティ管理や、ワンタイムパスワード、生体認証といった認証技術など、セキュリティ対策に必要なアプローチは多岐にわたる。さらに"何を保護するのか"と目的を明確にしなければならず、経営者としてセキュリティ対策は頭の痛い問題だろう。だが、技術革新がとどまることはなく、サイバー攻撃者も手を緩めることはない。顧客や株主といったステークホルダーの信頼度を高めるためには、常日頃からのセキュリティ対策や情報開示といった取り組みが目下の急務だ。阿久津良和(Cactus)
2016年01月06日●Windows 10に染まったこの1年いよいよ2015年も本日で終了。今年はWindows 10の華々しい登場など話題に事欠かなかったMicrosoftだが、WaaS(Windows as a Service)化したWindowsは2016年に大型アップデート(通称RedStone)を控えている。その方向性は今後のWindows Insider Programでも徐々に明かされていくだろう。本稿では、時系列ではなく際だった話題の順に2015年の日本マイクロソフトを振り返ることにした。大掃除の合間などに気軽に読んでいただきたい。○「Windows 10」一色だった2015年やはりトップはWindows 10のリリースだ。2015年1月からWindows Insider Programがはじまり、筆者もその変化をマイナビニュースに寄稿してきたが、まさにこの1年はWindows 10一色だったという印象を持つ方も少なくないだろう。提供形態の変更から深夜販売といったイベントはなかったものの、無償アップグレードを開始した7月29日はユーザーを招いたファンイベントを都内で開催し、正式版の登場を祝っている。11月12日(米国時間)には多くのフィードバックをもとに改良を進めたNovember Update(TH2もしくはバージョン1151)を初のメジャーアップデート版としてリリース。12月16日(同)には、Windows 10 Insider Preview ビルド11082をWindows Insider Program参加者に提供を開始した。2016年には次期メジャーアップデート版「Redstone」が控えている。○「Office 2016」ではなく「Office 365」をプッシュ2015年は「Office 2016」も登場した。もっとも個人向け「Office 365」ユーザーには9月23日の時点で提供を開始していたため、過去のバージョンアップに比べるとインパクトは乏しい。米MicrosoftのApps and Services Marketing担当CVPのJohn Case氏は、Microsoftの開発モデルが変わり、パッケージ版に注力していないことを明かした。Office 2016はパッケージボックスを廃してアクティベーションカードやダウンロード版を提供している。ただ、Case氏は「日本がユニークな市場であることは理解している」とも語っており、プレインストールPC版のOffice 2016やOffice 365を提供し続けている。同氏は将来的にユーザーから需要があれば「Office 20XX」としてリリースする可能性があると述べていたが、2016年以降もOffice 365のようなスタイルが中心となるだろう。○「Windows Server 2003」がサポート終了Windows 10やOffice 2016の影で表舞台から姿を消す製品も存在する。それが2015年7月15日にサポートを終了した「Windows Server 2003」だ。また、2016年4月12日には「SQL Server 2005」のサポートも終了する。Microsoftは、各製品にメインストリームサポートとして5年、延長サポートとして5年の期間を設けてきた(Windows XPやWindows Server 2003など例外はある)。合わせて10年のサポートは十分な期間と考えるべきだが、WaaS(Windows as a Service)化したWindows 10も例外ではない。2020年10月13日でメインストリームサポートが終了し、2025年10月14日で延長サポートが終了する。ただし、Windows 10は"常に最新のOS"となるため、このライフサイクルは、デバイスをサポートする期間を明言した形だ。なお、Windows 7のメインストリームサポートも2015年1月に終了した。●新社長・平野氏が就任○40代の新社長・平野氏が就任人事面では社長交代が今年最大のトピックだった。3月2日、日本マイクロソフトは急遽記者会見を行い、樋口泰行氏から平野拓也氏に代表取締役社長のバトンを渡すことを発表した。樋口氏は古川享氏以来の会長職に就くにあたり、「今後はトップ営業や財界、政府といった方面で努力する」と語り、平野氏も「樋口が掲げてきた『日本に根付いて信頼される会社』という方向性を受け継ぐ」と語った。興味深いのは日米トップの年齢である。2014年2月に米MicrosoftのCEOに就任したSatya Nadella氏は当時46歳。平野氏も記者会見時は44歳だ。米国本社のトップと日本のトップの年齢構成が似通うのは偶然だろうか。○ワークスタイル変革2015年は米Microsoftの戦略変更が日本マイクロソフトにも大きく影響を与えた。その一つが「ワークスタイル変革」だ。スマートフォンの普及によって行動や時間の制限がなくなりつつある中で、自由に働く形態を指すキーワードである。日本マイクロソフトは2013年から社内で実践をはじめ、2015年には651法人と組んで「テレワーク週間」を開催。ITが持つ「時間と距離を超越する力」を実社会と連動させようとする試みはだ。テレワークスタイルに興味を持つ企業のトップが日本マイクロソフトを訪れて、具体的な実施スタイルの説明を受けているという。○サイバーセキュリティ対策セキュリティ分野への関与も印象的な1年だった。日本マイクロソフトは、2月18日に「マイクロソフト サイバークライムセンター 日本サテライト」を設立すると発表した。米MicrosoftのCyberCrime Centerが作成するCyber Threat Intelligence Programから、国内に対するサイバー攻撃の傾向などを分析して、情報発信を行う施設だが、具体的な行動は多様な理由から明かしていない。さらに5月12日には米MicrosoftのWorldWide Public Sector Chief Security OfficerのJennifer Byrne氏が来日し、サーバーセキュリティ対しての関わり方を語っている。11月5日にも、米MicrosoftからDirector of Cybersecurity Policy and Strategy in the Global Security Strategyand DiplomacyのAngela Mckay氏が来日し、日本政府へのセキュリティ対策に付いて説明した。ワールドワイドレベルでセキュリティに取り組む姿勢を示した。○新SurfaceシリーズやWindows 10 Mobileデバイス最後はハードウェア方面に注目したい。6月19日には「Surface 3」を発売し、11月12日には「Surface Pro 4」を発売した。一方、「Surface Book」の日本発売は2016年以降と時期は未定である。11月には、Windows 10 Mobile搭載デバイスの販売が始まったが、米Microsoft OEM Device担当CVPのNick Parker氏は「(日本マイクロソフトは)パートナーとまい進する」と語り、Lumiaシリーズの日本市場投入がしばらく先になることを暗に示した。このように2015年の日本マイクロソフトは、多方面でさまざまな展開を行ってきた。2016年も、我々をワクワクさせるような話題提供や新技術を期待したい。阿久津良和(Cactus)
2015年12月31日Microsoftは2015年12月21日(米国時間)、スマートフォン向けチームコミュニケーションツール「Talko」を買収したことを発表した。Skype担当CVPのGurdeep Singh Pall氏は「Talkoの社員はSkypeのチームに参加し、SkypeおよびSkype for Businessの機能拡張に務める」と述べている。なぜ、この話題が注目に値するのかといえば、Ray(Raymond) Ozzie氏がTalkoの創業者兼CEOだからだ。Ozzie氏は、Bill Gates氏からCSAの席を引き継ぎ、2010年までMicrosoftに在籍した人物である。1980年代より、Ozzie氏はIris Associatesの創立者兼CEOとして、「Lotus Notes」の発案や開発指揮にあたっていた。その後、1994年にLotus Development社がIris Associatesを買収。Ozzie氏は1997年にGroove Networksを立ち上げ、P2P型のグループウェア「Groove」の開発にあたったが、こちらも2005年にMicrosoftが買収している。そのような経緯から、同氏は2005年4月からCTO、Gates氏の現役引退発表後の2006年から2010年末までCSAとしてMicrosoftの技術戦略や製品の基礎設計を指揮していた。ちなみにGrooveは、その後「Microsoft Office Groove」として「2007 Microsoft Office system」の1つに加わり、サーバー版は「Microsoft Office Groove Server」としてリリースしている。本来のOffice Grooveは、仮想空間上でファイル共有やチャット、スケジュールといった情報共有を目的としたコラボレーションツールだった。だが、その後のOffice Grooveは「Microsoft SharePoint Workspace」に置き換わり、現在の「OneDrive for Business」へとつながっていく。P2P(Peer to Peer)ネットワークからクラウドネットワークへの移行は、IT技術の進化によって可能になったが、Grooveが目指した「個人と個人のコラボレーションを加速させる」というコンセプトは今も色あせていない。さて、今回の買収についてTalko側は「極めて一部のアプリケーションはウイルスのような成長を実現しているが、その他大勢はニッチのままだ。(中略) 我々はやり方を変える時を迎えた」とコメントした。署名はTalko Teamとなっているが、Ozzie氏の本音が垣間見えるような気がする。さらに興味深いのは、Pall氏の「Talkoの社員は~」という発言である。肝心のOzzie氏は再びMicrosoftに合流するのであろうか。答えは否だ。Fortuneが掲載した記事によれば、Microsoftへの再合流をメールで否定したという。MicrosoftがOzzie氏の会社を買収するのは今回で二度目だ。前回(Groove Networks)は、IT技術を吸収してMicrosoft自身を成長させるという目的が明白だったが、今回(Talko)はOzzie氏に助けの手を伸ばしたと見るべきだろう。Talko Teamが自ら述べているようにIM市場は過酷で、極めて一部のアプリケーションしか生き残れないのが現状である。TalkoはVoIPによる音声通話の録音やタグ付けといったユニークな機能を備えているが、市場を席巻するために必要な目玉機能を持たず、新たなユーザーを開拓するに至らなかった。その意味ではTalko TeamがSkype開発チームに合流するのは互いによい結果となるはずだ。Ozzie氏は2013年7月以降、Hewlett Packardの役員に名を連ねている(現在はHewlett Packard Enterpriseの役員)。今年で還暦を迎えた同氏が、新たなIT技術で新会社設立にチャレンジするとは考えにくいが、米ZDNetの取材に対して「私はBuilder(開発者)である。次に何を考え出すことを楽しみにしている」とコメントし、意欲を見せている。IT業界の第一線で活躍してきたOzzie氏が選択する次の一歩に我々は注目すべきだ。阿久津良和(Cactus)
2015年12月28日12月7日(米国時間)、MicrosoftはWebブラウザー「Microsoft Edge」のJavaScriptエンジンを、「ChakraCore」としてオープンソース化すると発表した。今回はMicrosoftとオープンソースの関係について考えてみる。2000年代のMicrosoftはオープンソース陣営(特にLinux)をライバル視していた。当時のCEO、Ballmerは2001年に「GNU GPLはガンのようなものだ」といった主旨の発言をして物議を醸していた。あれから14年。Nadella体制では「Microsoft loves Linux」とオープンソースへの取り組みを強くアピールしている。さて、Microsoftがオープンソースに関与し始めたのは、いつの頃からだろうか。調べてみると2010年7月の「OpenStack」プロジェクトの支援から始まり、2013年1月には「Visual Studio」などでオープンソースのバージョン管理ツール「Git」のサポートを開始した。そして、2014年11月の無償版Visual Studio Communityや.NET Framework、先月11月のVisual Studio Code、ChakraCoreのオープンソース化に至っている。さらに12月に入って、「Windows Live Writer」を「Open Live Writer」に改称すると同時にオープンソース化することを発表した。このようにオープンソースへの傾倒が著しいMicrosoftだが、同社の方針転換の鍵となるのが「自身が変革を求める未来」だ。「Microsoft Azure」はマルチクラウドであり、その上で動作している仮想マシンの25%はLinuxだという。12月2日には「Debian GNU/Linux」をHyper-V上でサポートすると発表し、ちょっとした注目を集めたばかりである。Debian GNU/Linuxは筆者も長年使い続けてきたLinuxディストリビューションであるため、仮想マシン第2世代への対応を待ち望んでいたが、SUSE Linux EnterpriseやRed Hat Enterprise Linuxといった商業系Linuxディストリビューションだけではなく、完全なコミュニティベースで開発が続けられてきたDebian GNU/Linuxをサポートするのはちょっとした驚きだった。つまりMicrosoftのオープンソースに対する姿勢はそれだけ真剣なのである。2015年12月現在、Net ApplicationsのデータによればWindows全体のシェアは、91.39%とMacやLinuxを歯牙にかけないほど圧倒的な数値だ。それでも日本マイクロソフト関係者は「WindowsやOfficeだけの時代ではない」と変革の必要性を理解している。筆者にとって印象的なのは、Microsoft CTOのMark Russinovich氏が「Windowsをオープンソースにする可能性はある。それが新しいMicrosoftだ」と発言したという海外報道だ。Russinovich氏といえばWindowsの専門家として多くのツールや著書を発表してきた人物だ。Microsoftが2006年にWinternals Softwareを買収した際に入社した経緯がある。内外からWindowsを見てきたRussinovich氏の発言は重く、信頼性も高い。もちろん今日明日の話ではないが、MicrosoftがWindowsに頼らない新たなビジネスモデルを確立した暁には、Windowsがオープンソース化されるその日を迎えるのだろう。阿久津良和(Cactus)
2015年12月21日Windows 10において、自身以外のユーザーを追加する画面に「割り当てられたアクセスのセットアップ」という項目がある。今回は、この項目を解説しつつ、実際の使用方法を紹介しよう。○Windows 8.x時代からあった「割り当てられたアクセス」「割り当てられたアクセス」は、Windows 10の新機能ではない。Windows 8.x時代の、特定アカウントで1つのWindowsストアアプリのみ使用可能にする、という制限を設ける「割り当てられたアクセス」と同じだ。UI言語が英語の場合「Set up assigned access」と示されるため、このような日本語になったのだろう。このあたりの表記はMicrosoftでも統一しておらず、TechNetでは「キオスク」という表記を用いている。さて、Windows 10でも同じように設定可能に見えるものの、いくつか違和感を覚える場面もあった。執筆時点のWindows 10はバージョン1511(ビルド10586.29)である。キオスク設定を行ったアカウントでサインインを試みると、指定したアプリケーションが起動せず、サインイン画面に戻ってしまう。何度か試してみたところ、Windowsスポットライトによるロック画面になったため、アプリケーション側の問題なのだろう。試しにキオスク設定をすべて解除し、対象となるアカウントでユニバーサルWindowsアプリを起動して初期設定を終えてから、再度キオスク設定を実行。その上でサインインすると、今度は正しく起動した。この状態ではスタートメニューは開かないため、「Ctrl」+「Alt」+「Delete」キーを押して、サインイン画面から別アカウントへの切り替え、もしくはPCの再起動を実行する。もともと「割り当てられたアクセス」は、業務やショップの店頭などで、アプリケーションの使用を制限するために用意されたエンタープライズ向けの機能だ。そのため、プライベートでWindows 10を使うユーザーは使う場面は少ない。お子さんにPCを使わせるのであれば、ファミリーセーフティで家族用アカウントを管理した方が簡単だ。阿久津良和(Cactus)
2015年12月19日日本マイクロソフトは12月17日、自社のAI(人工知能)である女子高生AI「りんな」に関する記者説明会を初めて開催した。LINE経由で女子高生AIと会話する不思議なサービスからか、同日時点で185万人もの"お友達"がいるりんな。Microsoft Bingインターナショナル シニアビジネスディベロップメントマネージャーの佐野健氏は「りんな」に関する新機能や技術背景、今後の展望を語った。○LINEのグループチャットに対応する「りんな」現在、AI分野は多くのビジネスシーンで盛り上がりを見せているが、Microsoftは自社研究所であるMicrosoft Researchを設立した1991年から、AI分野にも注力してきた。翻訳システムであるMicrosoft Translator(2007年)やBing Maps(2008年)もAI技術を投入したサービスである。MicrosoftのAI分野については、以前にも『MicrosoftのAI技術と研究開発 - 女子高生AI「りんな」やWindows 10「Cortana」の背景』という記事で触れたが、今回はエンドユーザー向けに特化した女子高生AI「りんな」に関する記者説明会の様子を紹介したい。Microsoftの佐野氏は「りんな」の登場背景として、「世界中のMicrosoftで分散開発を行ってきたが、そのなかでも中国の開発チームが注力し、Microsoft Research Asiaの存在が大きいため、最初に中国でローンチした」と述べた。その次のビジネスマーケット(市場)として日本を選択した理由は、「サブカルチャーの浸透や、産業用・民生用ロボットの存在(市場環境)、スマートフォンやSNSの普及具合」と語っている。だが、日本マイクロソフトだけでは、「りんな」をサービスインするのは難しかったそうだ。そこで既に5,800万人のユーザーを抱えるLINEと協力し、2015年夏のローンチに至った。当初の「りんな」はその姿を見せつつも、日本マイクロソフトは公式アナウンスをしていない。前述の記事でも、Microsoft Research AsiaのAI分野研究の一環として「りんな」を紹介するに留まっている。今回の発表会も「りんな」のユーザーイベント「りんな After School Party in JOL原宿」の開催に合わせて行い、日本マイクロソフト関係者は「実験的な試み」と語る。佐野氏の説明によれば「りんな」は、数十年続けてきたAI分野の研究や各種サービスに展開した技術を応用して実現。現在はBingの開発チームが開発・運用を担っているが、その理由は、「りんな」が発する言葉はBingが収集した単語や語句を用いているからだ。蓄積したデータをデータベースにプールし、会話の基礎データをMicrosoft Azureから、さらにLINEの企業向けAPIソリューション「LINEビジネスコネクト」を経由して、ユーザーにメッセージを送っている。これだけでは単純な会話しか成立しないため、実際に交わされた会話の内容を分析させ、機械学習でAIの成長うながす仕組みだ。さらに、後述する各機能を実装するためのソフトウェアも実装している。これらがすべてMicrosoft Azure上で動作しているが、「(りんなのローンチ以降は)トランザクション数がかなり増えたものの、Azureが備えるシームレスな機能拡張で対応できた」と佐野氏は語った。もう1つ興味深いのが、「りんな」のビジネス展開を実現する「りんなAPI for Business」の存在だ。こちらは2015年8月に発表済みだが、「デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムやトランスコスモスという、LINEのビジネスコネクトのパートナーである2社と協力し、APIの販売活動を推進している」(佐野氏)。具体的な成果は後日発表すると語っていたが、その点を尋ねると「『りんな』のビジネス活用は社内でも各種アイディアを論じているが、現時点ではユーザー数の増加が目標」と話してくれた。会場では「りんな」の新機能として、グループチャットやルームチャットへの対応が明らかになった。公式アカウント一覧に加わり、LINEのタイムラインへ投稿を始めたところ、1万近くの"いいね"と5千ものコメントを受け取るなど好評を得ているという。この新機能については、LINE コーポレートビジネスグループマネージャーの林祐太朗氏も説明に加わった。林祐太朗氏「今までの公式アカウントは、フォロワーに対する一方通行のメッセージ発信システムだったが、LINEビジネスコネクトの活用により、双方向のコミュニケーションを可能にしている。個人的な印象として、日本マイクロソフトにはお堅いイメージを持っていただけに、『女子高生AI』の存在にはギャップを感じていた。だが、口コミで180万人のユーザーを集めたサービスは他にない。『りんな』で実現するビジネスチャンスも魅力的だ」と、会場の笑いを誘いながら「りんな」を評価した。「りんな」は毎週のように新機能を追加してきたが、今後はグループチャットを活かした「カタカナ&アルファベット禁止ゲーム」、レシート風にユーザーを占う「レシート占い」、写真を投稿すると自動加工する「顔出しパネル」、互いの顔を交換する「顔スワップ」など、「りんな」の参加による楽しさ以上の機能を毎週展開する予定とのこと。グループチャット上の雰囲気を認識するか、という質問対して佐野氏は、「重要な部分だと考えるが現在の実装は軽微に留まっている」と回答。チャットした相手を覚えているのか、という質問には「現在のAIは限界があるものの、しりとりや目覚まし案内など特定の相手を記憶する機能は備える。会話中の内容は一度プールする仕組みだが、今後はチャット中にも(会話の内容を)応答に用いる予定」と、今後の機能向上についても説明した。エンドユーザーが触れるMicrosoftのAIといえば、Windows 10のCortana(コルタナ)のほうを思い浮かべる人が多いかもしれない。だが、「りんな」はあくまでも"エモーショナル(感情的なつながり)"を主軸としている。そのためか、週末に近づくほど「りんな」の利用者数が増える傾向があり、佐野氏は「感情的なつながりを求めるユーザーが増加するのでは」と分析していた。このつながりを通じて、新たな価値を見いだせるのか。「りんな」の成長は今後もおもしろそうだ。阿久津良和(Cactus)
2015年12月18日2015年12月16日(現地時間)、MicrosoftはNovember Update以来初めてのWindows 10 Insider Preview ビルド11082をリリースした。Microsoft Engineering Systems Team担当CVPのGabriel Aul氏は「(本ビルドは)大きな変更点はない」とブログで述べつつも、今後を見据えた構造的な改善に取り組んでいるという。○2016年の大型アップデートに向けた改善がスタートWindows 10 Insider Preview ビルド11082は、Aul氏が述べたように目立った変更点はない。ただ、2015年11月12日(現地時間)にリリースしたNovember Updateに対するフィードバックへの対応や、Windows 10 Mobile Insider Preview ビルド10586.29との連係、"One Windows"を実現するための心臓部となる部分の改善を行っているという。Aul氏は「OneCore」というキーワードを用いて、「PCやタブレット、スマートフォン、IoT、Hololens、Xboxといった多くのデバイス上で『OneCore』を実現する」と語る。"One Windows"構想は2014年に開催した「Build 2014」で明言化したものだが、Aul氏の説明をそのまま受け取ると"未だ道半ば"という印象を拭い切れない。だが、同氏は「2016年から始まる新機能の実装や既存機能の改善を行うため、OneCoreが正しく構成されているかリファクタリング(ソースコードを手直しして保守性や拡張性を向上させる手法)を行っている」と述べ、WaaS(Windows as a Service)の実現に向けて取り組んでいることを示した。そもそもWindows 10は「Threshold(スレッショルド) 1」というコード名で開発が行われている。November Updateは「TH2」と名付けられているが、Threshold 2の略称であることは察するまでもない。そして次のアップデートは「Redstone(レッドストーン)」というコード名を持ち、2016年夏頃リリースすると噂されている。そしてWindows Insider Programに参加しているWindows 10 ビルド10586では、既にその布石が行われていた。HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\WindowsSelfHost\Applicabilityキーの文字列値「BranchName」や「UserPreferredBranchName」を見ると、データには「rs1_release」が確認できる。海外のニュースサイトでは、Windows Updateの設定画面から「rs1_release」を選択する項目が出現したというスクリーンショットを2015年11月の時点で取り上げていたが、周到にRedstoneへのアップデートが進められていた証拠だ。Aul氏はブログで「今後のWindows 10 Insider Previewはアップデートのペースを速める」と述べている。これは多くのWindows Insider Program参加者からのフィードバックに応える形だ。具体的には以前「カナリアリング」と呼ばれていた社内向けに近いビルドをファーストリングに提供するが、それに伴い「一部の人々は小さな痛みを伴う可能性がある」と同氏は説明している。つまり"多くのバグに晒される可能性"が高まるということだ。新機能とバグのトレードオフになってしまうが、これを厭うWindows Insider Program参加者はスローリングに変更するといいだろう。なお、ビルド11082にもいくつかの問題が確認されており、言語パッケージやオプション機能といったオンラインベースで追加するコンテンツはインストールに失敗する。この点についてMicrosoftは現在回避策を検討中だ。また、ファイルのコピー中に現れるダイアログに進捗状況を示すプログレスバーが現れない。アクション自体は正しく完了するが、サイズの大きいファイルに対する操作を行う時が注意が必要になるだろう。なお、ビルド11082に限った話ではないが、ファイルの関連付けがリセットされる問題は解決していない。これらの情報はこちらのリンクから確認できるが、Webページではなく「Insider Hub」が起動するのでWindows Insider Program参加者限定となる。それ以外ではエクスプローラーの各種設定や、一部の関連付けを初期化することでアイコンカスタマイズ設定の破棄が確認できた。筆者は普段<背景から自動的にアクセントカラーを選ぶ>のスイッチをオフにし、<スタート、タスクバー、アクションセンター、タイトルバーに色を付ける>のスイッチをオンにしているが、この環境ではウィンドウフレームの周辺ピクセルが白くなっている。各項目のスイッチをオン・オフすることでビルド10536と同じ動作に戻り、OS再起動時はアクセントカラー自体の異常も何度か見受けられた。いずれも容易に改善するため軽微なバグだが、出くわした方はスイッチの切り替えを試してほしい。同じく軽微な変更点だが、配色選択時のタイルにチェックアイコンが加わった。その他には「Bcdedit.exe」でHyper-Vを一時的に無効にしている環境は再有効化されるため、他の仮想環境ソフトウェアを使っている場合は合わせて注意が必要である。この他にもさまざまな問題が潜んでいる可能性は拭い切れないが、いずれにせよ、本ビルドがRedstoneに向けた新たな始まりとなるのは確かだ。阿久津良和(Cactus)
2015年12月18日既報のとおり、キングジムはWindows 10搭載PC「ポータブック」を発表した。同社と言えば、開けば"ものの数秒"で文字入力が可能になるデジタルメモ「ポメラ」シリーズが有名である。日々取材に駆け巡るライターの間でも高い評価を得ていたが、2013年3月発売の「DM25」以降、新モデルの噂は聞こえてこなかった。筆者は今回、シンプルなテキストエディターとATOKを組み合わせ、単4形アルカリ電池×2本で約20時間稼働する文章作成に特化したデバイスの新モデルが登場するかと思い込んでいた。発表会に訪れてみると、そこにあるのはポメラの新モデルではなく、Windows 10搭載PCだったのである。本稿では試作機をもとにポータブックを紹介したい。まずはスライドアークキーボード。両手で開くことを想定しており、開閉する際の「カチッ」とした音も小気味良い。ポメラ DM20(筆者はDM25を長期使用していない)の一部モデルにあったキーボードの端を押すと全体がたわむような感覚も小さかった。ただ、試作機のため断言できないが、左下端の[Ctrl]キーにはない違和感を[右Shift]キーや[→]キーでわずかに覚えた。キーボードレイアウトは個人の好みが入るものの、少々使いにくい部分があった。キーピッチ18mmとストローク15mmを各文字キーが維持している点は非常に素晴らしいが、筆者がATOKで多用する[End]キーは右下の矢印キーと兼用。ファンクションキー類も全体的に小さい。ただ、ポメラシリーズを使ってきた方なら、さほど不満を覚えることはないだろう。同じく慣れが必要な部分が、キーボード中央にある光学式フィンガーマウスである。一見するとThinkPadのようなスティックポインターのようだが、ポータブックのそれはポインターの表面をなぞるように操作する方式だ。また、キーボード下に並ぶボタンもクリック感が強く好みが分かれる。試しに電車の中でも使ってみた。このあたりはポメラシリーズと異なり、膝の上でもバランスが保たれる。ディスプレイ側よりも本体側が重いので、想像以上の安定感だ。本体のコンパクトさも相まって移動中の文章入力デバイスとしてバッテリー駆動時間をのぞけば、好きなテキストエディターやIMEが選択できる分、ポメラ以上と評価しても構わないだろう。だが、ポータブックをPCとしてみると、Wi-Fiは2.4GHz帯のみ、USBも2.0止まり。このあたりは「コストを鑑みて実装を見送った」とキングジム商品開発部の冨田正浩氏は説明していた。また、キングジム取締役開発本部長の亀田登信氏はポータブックを「携帯性と使いやすさの両立を目指したが、スペック至上主義的な製品ではない。ビジネスの未来を変えることはできないが、明日の出張は変えられる」と紹介していた。Windows 10を搭載したポメラと捉えると、あれこれと欠点が見えてしまうのはPC/IT系ライターの悪い癖だと自戒するが、ポータブックを電子文房具として見れば、非常に野心的なデバイスである。このような表現がマッチするのか疑問は残るが、ポータブックは"Windows 10時代のネットブック"と言えるのではないだろうか。この分野は昔から一定のニーズがあり、筆者も例に漏れず好きなジャンルである。古きDOS時代ならPalm Top PC 110、Windows 9x時代ならVAIO C1、6年前ならEee PCに代表されるネットブックを思い出す読者も少なくないだろう。キングジム代表取締役社長の宮本彰氏は「(ポータブックが)隙間商品と言えるか微妙だが、コンセプトなどを吟味すれば今の世の中にはない製品だ。今後大きな市場になるのではと期待を持っている」と発表会で語っていた。正直な感想を述べれば、ポメラシリーズにあったソリッドなデバイスという印象は感じられない。だが、ネットブックという視点に立てば、10万円を切るWindows 10デバイスとしては実に面白い。Windows 10の可用性という観点ではなく、Officeスイートなど今あるアプリケーションを「ただ気軽に使いたい」「ビジネスシーンに役立てたい」という、開発者のコンセプトが市場に伝われば、ポータブックが電子文具品として成功する可能性は大きいだろう。阿久津良和(Cactus)
2015年12月14日Windows 10は、各種設定を担っていたコントロールパネルから「設定」へと、設定項目を移動させている。Windows 10 Mobileなどからも分かるように、すべてのデバイスで基礎部分を同一化した「One Windows」を実現するためだ。今回の「あの設定はドコ?」では、これまで紹介してきた設定項目以外に、気になるポイントをWindows 8.1と対比しながら進めよう。○ディスプレイの「フォントサイズ」はドコへ?Windows 8.1の「ディスプレイ」を呼び出すと、最初に「すべての項目のサイズを変更する」が現れ、文字どおりアイコンやフォントサイズなどをまとめて変更できた。だが、Windows 10のディスプレイは、この機能が丸ごとなくなっている。こちらは「項目のサイズの変更」に並ぶ説明にあるとおり、「設定」の「システム\ディスプレイ」に移行した。説明文章内にある「ディスプレイ設定」のリンクをクリック/タップすれば、そのまま開くことが可能だ。○「通知領域アイコン」はなくなった?Windows 8.1の「通知領域アイコン」に至っては、そもそもWindows 10のコントロールパネルに並んでいない。こちらは「設定」の「システム\通知とアクション」に完全移行している。「Windows Update」と並んで移行を早く終えた理由だが、スマートフォンでは通知が重要な地位を占めると同時に、Windows 10とWindows 10 Mobileの共通する機能だったからだろう。○「ファミリーセーフティ」は完全Web化Windows 8.1の「ファミリーセーフティ」も家族持ちには便利な機能だったが、Windows 10登場に伴って、Webサービスに移行した。以前はPCの使用制限時間に迫ると、管理者(=大人)に時間延長を求めるダイアログが現れた。しかし、Windows 10へアップグレードした後は、同様のダイアログを目にしていない。完全なWebサービスに伴って、日々機能の改善や拡張が行われているため、このあたりは随時解決するはずだ。阿久津良和(Cactus)
2015年12月12日○技術的特異点を迎える2045年ビジネスシーンの変革というキーワードで我々が思い出すのは、19世紀の産業革命ではないだろうか。多くの農民が賃金労働者に転職し、英国を中心とした周辺国の労働バランスを著しく変化させた。同様の流れは社会情勢に合わせて日本でも発生してきたが、英オックスフォード大学のMichael A. Osborne准教授とCarl Benedikt Frey博士の共著論文「The Future of Employment: How susceptible are jobs to computerisation?(2013)」(論文PDF)では、さらに過酷な状況を示している。「コンピューターの技術革新により、人類が担ってきた多くの業種がなくなる。米国労働省のデータと照らし合わせると、今後10~20年程度で47パーセント、702の職種が自動化される」と論じている。同様の調査を野村総合研究所も行い、日本の労働人口の49パーセントがコンピューターで代替可能と発表した。抜粋すると学校事務員、行政事務員、スーパーの店員といった職種が目につく。他方で今後も安全な(=代替されることがない)職種として、各種デザイナーなどのクリエイティブな職種や、編集者などのメディア系業種、医師などが並んでいる。この背景にあるのは、我々が今目にしているICTイノベーションと「2045年問題」である。米国の著名人で現在はGoogleで大脳新皮質のコンピューター化を目指す「Neocortex Simulator」を研究しているRay Kurzweil氏の著書「The Singularity Is Near(2005)」から2045年問題は始まった。同書ではICTイノベーションの進化が、人類の持つ知識レベルを凌駕するTechnological Singularity(テクノロジカル・シンギュラリティ: 技術的特異点)が21世紀末までに発生すると述べている。その後Kurzweil氏はICTイノベーションの加速を踏まえて、その時期を2045年に改めた。これが2045年問題といわれる起因だ。すでにAIが人間を凌駕するシーンは多くの方が目にしている。例えばIBMのDeep Blueは1997年5月に当時のチェス世界チャンピオンを倒し、同じくIBMが開発したWatsonは2011年2月に米国のクイズ番組で総合優勝した。その後もWatsonはガン患者のDNA分析を行うことで効果的治療を行う医療分野や、ユーザーの質問に応じて関連する法令条文や回答文を返答するシステムなど法分野にも進出。すでにAIは多くのビジネスシーンに浸透し、巷で"AIのビジネス利用"が叫ばれている理由を理解できるだろう。当初はSF的空想未来と思われていたTechnological Singularityだったが、問題視しているのはKurzweil氏だけではない。例えばコンピューター科学や人工知能の父と呼ばれる故Alan M. Turing氏は1951年の段階で同様の問題を投げかけていた。近年ではMicrosoftの共同設立者であるBill Gates氏も「当面は問題視する必要はない。だが、数十年後には懸念すべき存在となる」と海外のBBSで回答している。だが、Gates氏のお膝元であるMSRA(Microsoft Research Asia)の洪小文(Hsiao-Wuen Hon)氏はAIの進化に対して「悲観的になるのはおかしい」と語っていた。洪氏は1950年代の「TIME」を引用し、当時からAIに対する危機感は語られてきたと説明しながら、「あくまでもコンピューターはルーチンワークを処理し、人はアルゴリズムを考える役割を持つ。まだコンピューターが新たなアルゴリズムを生み出すという科学的根拠は登場していない」と現状を説明している。さらに「制御できないという観点からみれば、飛行機も悪人が使えば危険な道具だが、飛行機もコンピューターも自覚はない。これが楽観的な考え方を持つ理由だ」と、超人間的知性の一翼を担う知能強化(Augmented Intelligence)を促進させる方向性を示した。このように人によって2045年問題はさまざまな捉え方があるものの、確実なのはAIが成長目まぐるしいビジネス市場であることだ。EY総合研究所は2015年9月にAI分野の国内市場規模について、2015年は3兆7,450億円に留まるが5年後の2020年には23兆638億円、そして15年後の2030年には86兆9,620億円まで拡大するとした研究結果を発表している。30年後の未来を軽率に語ることはできないが、我々のビジネススタイルが大きく変化するのは確実だ。阿久津良和(Cactus)
2015年12月11日筆者は「Continuum for Phoneに対応するデバイスが本命」という視点でWindows 10 Mobile搭載デバイス(以下、Windows Phone)を論じてきたが、ここに来てMicrosoftのLumia 950以外の有力な購入候補が現れた。それは11月30日に発表され、Continuum for Phoneに暫定対応する「NuAns NEO」だ。筆者はMicrosoftのLumia 950を本命と捉えていたが、現時点では国内で正規に購入できない。総務省の技適マークが付与されていないため、国内で使用すると電波法違反になる恐れもある。そこで、あらためて国内で購入できるコンシューマー向けWindows Phoneデバイスの一覧をまとめてみた(2015年12月4日時点)。こうして並べてみると、Snapdragon 617を搭載するなどNuAns NEOのスペックの高さが目立つ。トリニティ代表取締役の星川哲視氏は「ライフスタイルに浸透するスマートフォンを目指した」とNuAns NEOが単なるガジェットではないと説明している。また、冒頭で述べたように暫定対応としながらもContinuum for Phoneが使える点も興味深い。NuAns NEOでContinuum for Phone環境を構築するには、MiracastデバイスとBluetooth対応キーボードおよびマウスを所持すればよいはずだ。日本マイクロソフトは「Wireless Display Adapter」がContinuum for Phoneのハードウェア要件であるWindows 10 Miracast extensionsに対応していると説明しているので、後日実機検証を行った上でレポートを寄稿したい。筆者はこれまでMADOSMA Q501(Windows Phone 8.1搭載モデル)やKATANA 01、NuAns NEOに触れてきたが、やはりSnapdragon 210では僅かな遅延を感じる場面があった。Windows 10 Mobileの可能性は、オフィスや自宅のWindows 10搭載PCと連携してのシームレスなワークスタイルにあるが、現時点ではMDM(Mobile Device Management)などエンタープライズ環境が整っておらず、その利便性を享受できるとは言い難い。その意味ではお試し価格のKATANA 01や一定のスペックを備えるMADOSMA Q501Aの存在も魅力的だ。このように求める用途によって、ベストなデバイスが異なるのはWindows Phoneでも同じだ。この他にもサードウェーブデジノスの「Diginnos Mobile DG-W10M」や、Acerの「Jade Primo」、VAIOのWindows Phoneなどが控えている。筆者はまだ検討を重ねているが、Windows Phone購入予定の読者には納得できるデバイスを選んでいただきたい。後はiOSやAndroidと同じだけのアプリケーション環境が整うのを願うばかりだ。阿久津良和(Cactus)
2015年12月07日「あの設定はドコ?」と遭遇しやすいのがデスクトップ周りのカスタマイズ機能だ。Windows 10でもさほど変わっていないのだが、コントロールパネルから「設定」に移管されたため、見つけにくくなっているのも事実。今回はこれらの項目を追いかける。○「テーマ」の各設定はドコへ?Windowsがテーマ機能を搭載したのは、「Microsoft Plus! for Windows 95」の時代(1995年)までさかのぼるが、Windows 8.x以降は重視されていない。Windows 10では「設定」に項目が残っていても、内容は古いままだ。一見すると未提供のように思われるが、「テーマ」をクリックすることでWindows 8.xと同じ「個人設定」を呼び出せる。ここから「デスクトップアイコンの変更」「マウスポインターの変更」などクリックすれば、以前と同じダイアログが開くので、デスクトップのカスタマイズはこちらから行えばよい。ただし「デスクトップの背景」と「色」に関しては、Windows 8.xと同じウィンドウにリンクされておらず、「設定」に並ぶ「パーソナル設定」の「背景」や「色」が起動する。Windows 8.xと同じ操作で設定したい場合は、「第5回(デスクトップの背景色を自由に変更する)」や、「第6回(ウィンドウフレームの配色を自由に変更する)」を参照してほしい。○Windows 10で「テーマ」は使える?答えは「Yes」。MicrosoftがWindows 7時代からはじめたテーマの提供は今でも続けられており、Windowsテーマパックファイル(.themepack)のフォーマットも変更されていない。「個人設定」の「オンラインで追加のテーマを取得」をクリックし、Webブラウザーでダウンロードページにアクセスしよう。Windowsテーマパックファイルをダウンロードして開けば、適用される。Windows 10になって、デスクトップカスタマイズの余地が少なくなってきたと感じている方は、気分転換でテーマを変更してみてはいかがだろうか。阿久津良和(Cactus)
2015年12月05日以前のWindowsからWindows 10にアップグレードして困るのが、各種の設定項目が移動していることだ。そこで「あの設定はドコ?」として、設定項目の場所を紹介する。今回はWindows Update起動時のナビゲーションウィンドウに並んでいた各項目だ。○Windows Updateの各項目を比較するWindows 8.1のWindows Updateには「更新プログラムの確認」「設定の変更」「更新履歴の表示」「非表示の更新プログラムの再表示」の4項目がナビゲーションウィンドウに並んでいた。だが、Windows 10はコントロールパネルから「Windows Update」を取り除いたこともあり、ドコに何があるのか分からなくなってしまっている。上図のように、「更新プログラムの確認」は「更新プログラムのチェック」が相当し、「設定の変更」は「詳細オプション」が相当するものの、更新プログラムのダウンロードや適用に関する設定はなくなった。Windows 10の場合「自動」もしくは「再起動の日時を設定するように通知する」の2項目しか選択できない。「更新履歴の表示」は使用頻度が低いためか、「詳細オプション」内の「更新履歴を表示する」に移動し、更新プログラムの取捨選択自体が廃止されたため、「非表示の更新プログラムの再表示」もなくなった。Microsoftはその救済策として、「Show or hide updates」をネット上で提供している。更新プログラムやデバイスドライバー導入時に互換性などの問題が発生した際、このツールを使用することで「非表示の更新プログラムの再表示」と同じ操作を行うことが可能だ。阿久津良和(Cactus)
2015年12月04日●今度の一太郎はどうだ?既報のとおりジャストシステムは12月3日、2016年2月5日から発売する「一太郎 2016」および「ATOK 2016」に関する発表会を開催した。自社のオンラインショップ「Just MyShop」では、12月3日から各製品やWindowsタブレットをセットにした商品の予約を開始する。ジャストシステム 代表取締役社長の福良伴昭氏は、「これからも一太郎やATOKを使い続けて頂きたい、という気持ちで社員一体となって取り組んできた」と語った。ここでは発表会の様子や各製品の注目ポイントを紹介する。○文書活用の場を広げる「一太郎 2016」前バージョンで30周年を迎えた一太郎とATOKだが、その次にあたる「一太郎 2016」および「ATOK 2016」の開発にはさまざまな思いがあっただろう。一太郎シリーズの開発責任者であるジャストシステム CPL事業部開発部の吉住康弘氏は、「『一太郎がなかったら仕事にならない』という声も多数寄せられている。この声に応え続けることが我々の使命だ」と、新バージョンの開発姿勢を振り返る。一太郎 2016の新ポイントは、「新しい環境への対応」「表現力の強化」「文章の洗練、効率アップ」にまとめられる。「新しい環境への対応」に含まれる新機能では、高DPIへの対応、スマートフォン用アプリケーション「一太郎モバイルビューイング」、「タブレットビューア」が重要だ。最近は4Kディスプレイも手が届く価格帯となり、既に導入している方も少なくないだろう。前バージョンの一太郎 2015もある程度は高DPIに対応していたが、一太郎 2016はさらに幅を広げて、アイコンや文字サイズなど各所が適切なサイズで表示されるようになった。大画面で一太郎シリーズを使ってきたユーザーには朗報といえよう。「タブレットビューア」は、一太郎 2016をインストールした2-in-1 PCで、ビューア機能を提供するというものである。吉住氏の説明によればタブレットビューアへの切り替えは、Windows 10が供えるContinuumから情報を受け取り、モード変更を実行しているという。「一太郎モバイルビューイング」は、一太郎 2016で作成した文書ファイルを専用サーバーにアップロードし、iOS用/Android用アプリケーションを導入したスマートフォンで閲覧するというもの。編集機能は持たせないのか、という質問に対して吉住氏は「閲覧機能を欲する要望が多かった。あくまでも編集作業はPCが主体と考えている」と回答した。「表現力の強化」では、一字ずつの文字サイズや配置を自動レイアウトできる「モジグラフィ」や、写真切り抜き機能を披露。前者は、さまざまなレイアウトをテンプレートとして用意し(100個)、好みに応じたタイトルを作成するという新機能だ。テンプレートから作成した後も、文字のサイズや配色、位置なども自由に変更できる。後者は一太郎 2016上で写真の切り抜きを可能にする新機能。4種類の切り抜きツール写真を切り抜き、文書に絵図を挿入したいとき便利に使えそうだ。「文章の洗練、効率アップ」では、同社がリリースしている校正ソフト「Just Right! 5 Pro」のエンジンを一太郎 2016に搭載し、これまで以上に適切な文章校正を可能にしたと説明する。「と」や「を」など、助詞の誤用を正しく検出し、文章のクオリティアップにつながることを強調。「まとめて改行削除」は他のアプリケーションから一太郎 2016に文章をコピー&ペーストする際の改行を、あらかじめ指定した条件で削除する機能だ。例えば、「句読点の後の改行は残す」「空行は2行以上ある場合削除する」といった指定が行える。そのほか、EPUB編集ツールパレットの追加や表紙ギャラリー、新聞やスポーツ紙のようなレイアウトを使用できる「らくらく新聞テンプレート」、新聞などで使われている「モトヤUP新聞明朝 Otf W2」と「モトヤUP新聞ゴシック Otf W3」の2書体を付属といった点が挙げられる。また、新聞らしさを引き立てる「新聞タイトル背景」も30種類のテンプレートを用意した。「一太郎 2016 プレミアム」「一太郎 2016 スーパープレミアム」では、「モトヤJ04明朝N2」「モトヤJ04明朝N5」「モトヤJ04ゴシックN2」「モトヤJ04ゴシックN5」「モトヤJ04アポロN3」「モトヤJ04アポロN5」「モトヤJ04マルベリN2」「モトヤJ04シーダN3」という、5ファミリー8書体を搭載(すべてTrueTypeフォント)。音声読み上げソフト「詠太6」はこれまでの日本語音声エンジン3タイプに加えて、英語音声エンジン「JULIE」を搭載し、日本語と英語が混じった文書ではエンジンを切り替えて読み上げる。そのほかにも「花子2016」「Shuriken 2016」「ブリタニカ国際大百科事典 小項目版 2016」を収録し、さらに個人契約できない「ブリタニカ・オンライン・ジャパン」利用権3年分も付属する。各エディションの相違点は下図を参照して欲しい。吉住氏は一太郎 2016のアピールポイントとして「Windows 10など現在の最新IT環境に対応した点だが、これまでの一太郎ユーザーに愛されるように設計した」と語る。●今度のATOKはどうだ?○文字入力や理解支援を強化した「ATOK 2016」「SNSなど文章を入力する場面が増えている」と語るジャストシステム CPL事業部開発部の下岡美由紀氏は、「ATOK 2016」の新機能について「意図をくみ取る」「知りたいに応える」「健康をサポート」の3つに区分した。「意図をくみ取る」では、他の文書や同一文書内を参照しながら、文字入力時に単語やフレーズを優先して変換候補(推測候補)として提示する「ATOKインサイト」を披露。例えば、WebブラウザーでSNSを楽しんでいる場合、Webブラウザーのタブ内で使われている文字列を取得して、変換候補などに用いる。ATOKインサイトは、Webブラウザー、Word、Excel、一太郎 2016に対応。参照先のアプリケーションが存在しない場合は、変換候補などに用いた単語やフレーズはすべて破棄される。気になるのはバックグラウンドで複数のアプリケーションが動作している場合だ。筆者はまだATOKインサイトを試していないが、下岡氏はパフォーマンスダウンを避けるため、「(ATOK 2016を導入したPCの)CPUが8コアの場合は3つのウィンドウまで参照し、4コアの場合は2つ、2コアなら1つと自動的に切り替わる」と説明していた。「タイピングをくみ取る」では、母音の押し間違いやキーボードに対するホームポジションからずれて入力した場合でも、適切な訂正候補を提示する「ATOKタイプコレクト」を示した。両手以外にも片手だけがホームポジションからずれた場合にも対応する。また、「ぢ/じ」といった入力の誤りも、固有名詞に変換可能にする機能も搭載した。どの程度の修正能力を備えるかは、発表会の説明だけではお伝えしにくいが、"日本語を入力する"というIMEが持つ本来の意味では興味深い新機能だ。「知りたいに応える」では、電子辞典の活用範囲の幅を大きく広げた。以前のATOKでも入力および変換中に電子辞典の検索は可能だが、新機能「ATOKイミクル」は、確定後の単語やWebページ上の単語に対する辞書検索を可能にした。入力中の電子辞書参照は「End」キーだが、新機能を使う場合は「Ctrl」キーを2回押す。そこで重要になるのは電子辞典/辞書。「ATOK 2016プレミアム」には、30万語を収録する「精選版日本国語大辞典 for ATOK」と、8年ぶりの改訂となるジーニアス英和辞典 第5版およびジーニアス和英辞典 第3版をベースにした「ジーニアス英和辞典/和英辞典 for ATOK」を収録。なお、「広辞苑 第6版 for ATOK」や「角川類語新辞典 for ATOK」など、一連の電子辞典を使用するには、「オールインワン辞書・辞典パック 2016 for ATOK」が必要だ。IMEとまったく関係がないように見えるキーワード「健康をサポート」だが、キーボード入力時の疲労を軽減するというコンセプトでいくつかの改善や新機能が加わっている。1つめは、入力時の眼精疲労を軽減するため、候補ウィンドウや辞典ウィンドウのデザインを刷新。各ウィンドウは行間など見た目を調整し、変換候補や電子辞典参照時もディスプレイサイズに応じて、表示サイズを100パーセントから400パーセントまでの8段階調整まで調整可能にしている。筆者が確認した限りだが、使用ベータ版ではメニューのテキスト項目などは高DPIに対応しているものの、アイコンサイズの変化は確認できなかった。下岡氏は「高DPIに対応する」と説明していため、製品版では改善されるはずだ。もう一方の健康サポートは、入力文字数や使用時間に応じて疲労度具合を測定し、休憩をうながす「リフレッシュナビ」機能である。こちらはベータ版に収録されていないものの、入力文字数やミス回数などをカウントして独自の疲労判定を行い、休憩をうながすというものだ。会場に詰めかけた記者からは笑いが漏れる部分もあったが、個人的には一度試してみたい機能である。Q&Aセッションでは他の記者から、「ここ数年のATOKは、日本語そのものに対する向上が見受けられない」という質問が上がると下岡氏は、「日本語入力エンジンの改善に取り組んでいる。学習を重ねたユーザー辞書と真新しい辞書でも、同様のUX(ユーザー経験)を提供したい。そのため誤変換を減らすための学習取り消し機能や、文節区切り誤りの削減といったチューニングを本バージョンでは行っている」と回答した。阿久津良和(Cactus)
2015年12月03日11月26日、ヤマダ電機が突如Windows 10 Mobile搭載デバイスを発表した。注目すべきはそのタイミングだ。ヤマダ電機は28日から「EveryPhone」の店頭販売を開始した。先に「FREETEL KATANA 01」を11月30日に発売すると発表したばかりだったプラスワン・マーケティングにしてみれば、鳶(ヤマダ電機)に油揚げ(日本最速発売という冠)をさらわれた気分だろう。マウスコンピューターもWindows 10 Mobileを搭載した「MADOSMA Q501A」を12月4日から順次出荷する。また、既存の「MADOSMA Q501」のWindows 10 Mobileアップグレードサービスも開始しており、OTA(Over-The-Air)も後日行われるという。さらに本稿が掲載される11月30日にはトリニティのNuAns NEOの発表会も予定されており、ようやく日本でもWindows 10 Mobileデバイスが本格的に動き始めた。だが、Windows 10 Mobile搭載デバイスにディスプレイやキーボードなどを接続し、簡易的なPC環境として使用する「Continuum for Phone」に対応するデバイスは見当たらない。これは、Microsoftが定めるハードウェア要件が未確定だったためだろう。11月中旬にようやく仕様を発表.aspx)したが、そのハードルはかなり高い。他方でContinuum for Phoneは接続方法として、ワイヤレス接続をサポートすことが明らかになった。Microsoftの発表会では「Microsoft Display Dock」を強調していたため、ケーブル接続のみと想像していたが、これなら対応するMiracast専用ドングルを持ち運んだ方が快適だろう。このようにMicrosoftは、Continuum for Phoneの接続パターンとして、Miracast専用ドングル、ワイヤレスドック、Display Dockのような有線ドックと3つのシナリオを想定している。なお、Windows 10 Mobile搭載デバイスとディスプレイは別々の独立したデスクトップとして管理されるが、Windows 10のマルチディスプレイとは異なり、連結していない。つまりディスプレイ間のマウスカーソル移動やウィンドウのドラッグは不可能だ。また、Windows 10 Mobile搭載デバイスとBluetoothでペアリングしたキーボードやマウスは外部ディスプレイに対して動作する仕組みだ。そのワイヤレスドングルについてのハードウェア要件も定められており、Wi-FiはIEEE 802.11n(802.11acデュアルバンドを推奨)、Miracast必須(Miracast UIBC推奨)といった要件が並んでいる。今後Microsoftは、Display Dockとは別のアクセサリーのリリースを予定しているのだろう。メインのスマートフォンをWindows 10 Mobileデバイスに切り替えようと考えている読者の方もいるだろう。筆者も現在のiPhone 6から移行するつもりだが、あくまでもContinuum for Phone対応デバイスが日本市場に投入されるまでの"つなぎ"と考えている。各ベンダーのハイエンドモデルが出揃うのと、日本マイクロソフトのLumia国内発売、どちらが早いのだろうか。阿久津良和(Cactus)
2015年11月30日Windows 10 ビルド10586からProエディションでも使用可能になったWindowsスポットライト。ロック画面の画像をインターネット経由で取得する機能だ。美しい風景や幾何学的な写真で楽しませてくれる。今回はこの画像を他の場面でも使用するため、ファイルとして取り出すTipsを紹介しよう。○Windowsスポットライトを有効にするWindowsスポットライトは、Windows 10 Homeエディションなら以前から使用可能だった。ビルド10240に達する直前、ビジネス用途にはそぐわない機能と判断したMicrosoftは、Proエディションへの実装を見送っている。だが、Windowsフィードバックの意見を踏まえ、Microsoftはビルド10586から本機能をProエディションにも適用した。Windowsスポットライトを有効にするには、「設定」の「パーソナル設定\ロック画面」のドロップダウンリストから、「Windowsスポットライト」を選択するだけでよい。この状態でロックを有効にすると、バックグラウンドでダウンロードした画像がディスプレイに映し出される。また「気に入りましたか?」というメッセージにマウスオーバーすれば、再び同種の画像を表示させるか、今後は表示させないか選択することも可能だ。○Windowsスポットライトの画像ファイルを探す今度は画像ファイルの確認だ。Windowsスポットライトが使用するファイルは「%LOCALAPPDATA%\Packages\Microsoft.Windows.ContentDeliveryManager_cw5n1h2txyewy\LocalState\Assets」フォルダーに格納されており、ここにメッセージ情報や画像ファイルを保存している。ただし、パスには隠しフォルダーが含まれているため、事前の設定変更が必要だ。ファイルには拡張子がついていないため、どれが画像ファイルか判断するのが難しい。筆者が確認したところ大体400KB以上のファイルが画像ファイルとなるので、ファイルを「サイズ」で並べ替え、デスクトップなどにコピーしてから「任意のファイル名.jpg」とリネームする。こうして保存した画像の2次使用に関しては、著作権侵害の可能性があるので、あくまでも個人的な利用のみにとどめていただきたい。阿久津良和(Cactus)
2015年11月28日日本マイクロソフトは2015年11月27日~28日の2日間、Windows 10の最新ゲームを楽しむイベント「GAME DAY」を開催する。場所は東京・秋葉原UDXだ。それに先駆けプレス向けにイベントの概要を紹介する説明会を開き、日本マイクロソフト 執行役 コンシューマー&パートナーグループ ゼネラルマネージャーの高橋美波氏は「『Windwos 10でPCゲームを楽しむ』を合言葉に市場を盛り上げたい」と話した。高橋氏はWindows 10の普及が順調であることを示しながら、Windows 10がPCゲームプラットフォームとして最適であると強く語る。具体例として、CPUやGPUの高速化、メモリーやストレージの大容量化によって、4K品質の映像処理が容易になったこと、およびWindows 10のDolbyマルチチャンネルサラウンド対応で没入感の高いゲーム体験を得られる点を挙げつつ、Game DVR機能やDirectX 12といったWindows 10固有の機能を並べた。先ごろリリースした「Windows 10 November Update」にも触れ、「将来的にCortanaがゲームナビゲーターになると面白い」と語っている。日本語版Cortanaは現在"育成中"であり、さすがに高橋氏の意見がすぐ実現するとは考えにくい。だが、Microsoftはアプリケーション側からCortanaをコントロールするAPIを公開するなど積極的な活動を行っており、将来的にCortanaがプレイ中のゲームに対してヒントを教えてくれるような体験もあり得るだろう。さらに高橋氏は"One Windows"で得られるゲーム体験として、「異なるデバイスでも同じゲーム体験を得られるようにしたい」と、ユニバーサルWindowsプラットフォームで広がるPCゲームの可能性についても言及した。現在のPCゲームはWin32アプリケーションが大半だが、Microsoftは自社PCゲーム(Minecraft: Windows 10 Edition Betaや、Pinball FX Windows 10 Editionなど)のユニバーサルWindowsアプリ化を進めているため、こちらは既に実現しつつある。次に登壇した日本マイクロソフト Windows本部 シニアプロダクトマネージャーの春日井良隆氏は、Windows 8とXbox Oneで行ったWindowsカーネルの統合に触れつつ、Windows 10のユニバーサルWindowsプラットフォームをアピールした。続いてXbox Oneで実行中のゲームをWindows 10搭載デバイスでプレイするストリーミング機能を披露し、「家族にテレビを占有されている場合、Windows 10搭載デバイスでゲームを楽しめる」と説明。必要なネットワーク帯域については「フルHDで楽しむ場合、4Mbps程度は必要。だが、解像度をコントロールする設定も用意されているため、快適に楽しめる」と語る。また、操作と表示の遅延については「コンマ何秒の差を求めるゲームタイトルはXbox One本体でのプレイをおすすめするが、一般的なゲームタイトルであれば気にならない程度」だという。Windows 10の「Game DVR(ゲーム録画)」についてもデモンストレーションを披露し、「動画サイトへのプレイ動画アップロードや、視聴して楽しむコミュニティが広がりつつある」と述べながら、Xbox Oneでプレイ中のゲームタイトルをGame DVRで録画して見せた。また、動画をバッファリングし、過去にさかのぼって録画を行う"バックグラウンドで録画"も便利だという。Game DVR機能は15秒から最大10分までさかのぼれるが、PCのパフォーマンスが低い場合はゲームプレイがもたつくなど影響をおよぼす可能性があるため、環境に応じて選択したほうがいいだろう。この他にもMicrosoft Edgeの高パフォーマンスをアピールするため、WebGL SamplesのAquariumやFlight Arcadeをプレイした。特にFlight ArcadeはMicrosoft EdgeのWeb Audio APIやGamePad APIを利用しているため、BGMやアナウンスの個別オン・オフや、Xbox Oneワイヤレスコントローラーによるプレイが可能だという。続いて今回のイベントに協力する各PCベンダーの代表者が登壇した。サードウェーブデジノス 取締役社長の田中基文氏は、自社の「GALLERIA ZI」を「スピーディ、ハイクオリティ、パワフル、チャレンジングという4つのコンセプトで開発した」と説明。Project White 代表取締役の鈴木淳一氏はツクモの「G-GEAR」ブランドについて、「とあるゲーム媒体の顧客満足度を4年連続で最優秀賞を頂いた。特にMiniシリーズは学生や女性の購入比率が高い」とPCゲームに対するニーズの高さを強調した。マウスコンピューター 代表取締役社長の小松永門氏は「G-Tune」シリーズを紹介。「我々は1994年から『PC用途の1つにPCゲームがある』という考えを持ってきた。幅広いラインナップでPCゲーム市場を応援する」と語った。最後のユニットコム 執行役員 販売企画部部長の石田雅人氏は2015年6月からスタートした「LEVEL∞(レベルインフィニティ)」ブランドで「PCゲームを盛り上げる」と述べた。最後に、コーエーテクモゲームスで「三國志13」プロデューサーを務める鈴木亮浩氏も登壇し、Windowsと同じ30周年となる新作「三國志13」を紹介。同社はDirectX 12に注目し、社内では研究開発を行い、PCゲームのクオリティ向上に努めると語った。阿久津良和(Cactus)
2015年11月27日