新年、初詣でに出かける際には、3密を避け、時期やタイミングを考慮しながら出かけたいところ。2021年の干支は丑(うし)となる。そこで牛にゆかりのある神社をお参りするのも、運気をアップさせるための手段の1つ。京都を中心に年間100件以上の神社ツアーでガイドを務める神社探究家・浜田浩太郎さんに、東日本にある「丑神社」を3箇所ピックアップしてもらった。■牛は縁起のいい生き物?干支に登場する動物はすべて縁起のいい生き物と言われています。牛は農作業や物資の運搬など、人間のために働いてくれるありがたい動物。勤勉に良く働く姿が「誠実さ」を象徴しています。仏教が生まれたインドでは、牛は神様として扱われるほど神聖な動物です。地獄で亡者たちを責め苛む「牛頭馬頭」という獄卒がいますが、牛や馬をこき使いすぎると罰が当たるということなんですね。■牛にゆかりのある神社とは?菅原道真、もしくは牛頭天王を祭る神社の2本柱ですね。まず、菅原道真ですが、生まれた日が丑年だった、亡くなった日が丑の月の丑の日だった、ときの左大臣・藤原時平に無実の罪をきせられて大宰府に落ち延びる途中で命を狙われた際に白牛に助けられた、「墓所は牛車の止まった場所にしてほしい」と遺言があったなどという伝承から、菅原道真の神使は牛とされています。菅原道真と牛は切っても切れない深い関係があるので、天満宮や天神さまには撫で牛や牛の彫像が多く鎮座しているのです。牛頭天王は神仏習合の神で、朝鮮半島起源説や須佐之男命(スサノオノミコト)との同一神とする説など、さまざまな説があります。牛頭天王は平安京の祇園社の祭神であることから祇園天神とも称され、平安時代から行疫神として崇められてきました。それでは、菅原道真と牛頭天王ゆかりの神社として、以下の3箇所をご紹介します。【湯島天満宮】東京都文京区458年、雄略天皇の勅命で、天之手力雄命(アメノタヂカラヲノミコト)を祭る神社として創建。2体の牛の像が鎮座している。言わずと知れた学問の神様としても高名な菅原道真も祭る天満宮。別名、湯島天神。受験シーズンだけではなく、ふだんから修学旅行生や学問成就の参拝でにぎわいを見せている。境内にある約300本の梅木も有名。【牛嶋神社】東京都墨田区隅田公園内に所在する神社。須佐之男命ゆかりの神社で、明治以前は「牛御前社」とも呼ばれていた。境内には牛の像「撫で牛」があり、自分の体の悪いところと同じところを撫でると、病気が治ると言い伝えられている。【津島神社】愛知県津島市540年に創建。奈良時代の仏教伝来とともに生じた神仏習合の考えにより、祭神の須佐之男命が牛頭天王に替わり、江戸時代まで「津島牛頭天王社」と呼ばれるようになった。明治の神仏分離により、社名から牛頭天王の名前を外したが、いまも「津島の天王さま」と呼ばれ、全国約3,000社ある天王信仰の総本山とされている。新しい年に運気を引き寄せるために、丑のパワーにあやかってみては?
2020年12月25日「初詣では、日ごろお世話になっている神様、仏様に今年も無事に新年を迎えられたことを感謝するのが目的。神社でも寺院でも、ふだんからお参りに行く場所であることが重要でしょう。全国的には神社への初詣でが多いですが、関東では寺院へ行く人も多いといわれています」こう話すのは、寺と神社の旅研究家の吉田さらささん。神社仏閣に出かける際は、事前に少しの“予習”をしておくだけで、神様、仏様の世界が身近になり、お参りがぐっと楽しくなる。初詣でに出かける先にどんな神様、仏様が祭られているか、また、いつの時代のどんな建物があるかなどを調べておこう。「日本の神様を知るには、『古事記』を読むのが近道です。最近は大人向けのマンガ版もたくさん出ていますので、年末年始の休暇中にでも一度読んでみるといいでしょう。人間よりも人間くさいのでは?と思うほどの神様も登場し、見えない存在ながらも親近感が湧くはずです」(吉田さん)そこで、初詣でする前に知っておきたい「願いを成就する5人の神様」を紹介。【オオトシノカミ】お正月の「顔」ともいえる豊かな実りの神様・代表的な神社:葛木御歳神社(奈良県御所市)・ご利益:五穀豊穣五穀豊穣をつかさどり、正月に家々にやってくる「年神様」として知られ、しめ縄や鏡餅などのお正月飾りは、このオオトシノカミを迎え入れるためのもの。「祝い箸」の両端が細くなっているのは、おせち料理をいただく際に、一方は人間、一方はオオトシノカミが使うためだと考えられている。【コノハナサクヤヒメ】安産をつかさどる類いまれなる美貌の持ち主・代表的な神社:富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市)・ご利益:安産類いまれな美貌で、アマテラスオオミカミの孫のニニギノミコトの妻となり3人の皇子を産んだ。たった一夜で皇子を身ごもったために不貞を疑われるが、燃え盛る炎の中で無事に出産し、その疑いを晴らした。木の花が咲き誇るような繁栄を象徴する一方、やがて散るはかなさも象徴している。【イワナガヒメ】永遠の命を象徴し長寿をもたらしてくれる・代表的な神社:磐長姫神社(兵庫県尼崎市)・ご利益:長寿コノハナサクヤヒメの姉で、岩のような永遠の命を象徴する。妹とともにニニギノミコトに嫁入りしたが、不美人なために父の元に返されてしまう。姉妹をめとることで「永遠の命」と「繁栄」を手にするはずだったニニギノミコトがイワナガヒメを返してしまったことから、人間にも寿命ができたといわれている。【トヨウケノオオカミ】おいしい食事のためにはるばる伊勢に呼ばれた(!?)・代表的な神社:伊勢神宮外宮(三重県伊勢市)・ご利益:食の恵みアマテラスオオミカミに食事を提供する「食の女神」。雄略天皇の夢枕に立ったアマテラスオオミカミが「私一人では安心して食事ができないので、丹波国にいるトヨウケノオオカミを近くに呼び寄せなさい」と指示したため、丹波から伊勢神宮のそばに移して祭られるようになったという。【アメノウズメノミコト】色気たっぷりの踊りで芸事の上達をサポート・代表的な神社:椿岸神社(三重県鈴鹿市)・ご利益:芸道上達アマテラスオオミカミが岩戸に隠れたとき、その前で踊りを披露した神様。乳房を出したお色気たっぷりの踊りにやおよろずの神たちが大笑いした逸話は有名。ニニギノミコトの天孫降臨に際しては、先導役を買って出たサルタヒコの正体を確かめたと伝わるが、そのときもやはり乳房を出していたとか。神社に祭られている神様がすべて『古事記』に登場するとは限らない。なじみのない神様でも、神社の公式ウェブサイトには主祭神にまつわるストーリーや神社の由来が紹介されていることも多いので、出かける前にチェックしておくと◎。
2019年01月02日星とお茶のコンシェルジュ・景山えりかが、月の満ち欠けをもとにした「旧暦」の取り入れ方をご紹介します。あなたも月の満ち欠けとともに一緒に暦をたしなんでみませんか?秋分の日、真西の夕陽に良縁を願って9月23日(火)は、二十四節気の「秋分」です。春分と同じく、太陽は真東から昇って真西へ沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになります。また、この日を境にだんだんと夜の時間が長くなり、太陽の出番が減ってしまう分、いよいよ暑さがおとろえて、過ごしやすい気候がやってきます。毎年この時季になると、気象予報士やお天気キャスターが「暑さ寒さも彼岸まで」と、口にしているのを耳にしませんか?「彼岸(ひがん)」とは、秋分の日を中日(ちゅうにち)にして、前後3日間を合わせた7日間のこと。仏教では、生死の海を渡って到達する悟りの世界、つまり亡くなった先祖がいるあの世のことを意味します。対して、私たちが住んでいる煩悩に満ちたこの世は、「此岸(しがん)」といいます。彼岸は西方に、此岸は東方にあるとされ、太陽が真東から昇って真西へ沈む秋分の日は、あの世とこの世がもっとも近づく日。そのため、お墓参りに行くのが習わしです。国民の祝日に関する法律では、秋分の日を「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」と定めています。とはいえ、仕事で忙しかったり、実家が遠方だったりして、お墓参りに行かれないこともありますよね。その場合は、真西に沈む太陽を眺めましょう。できれば両手を合わせて。そうやって夕陽を拝むことは、西にある彼岸(極楽浄土)に向かって拝むことになるからです。良縁に恵まれるようにと祈れば、子孫の繁栄や幸せを願うご先祖様が、その思いを聞き届けてくれるでしょう。恋の女神がほほえむかも?!縁起の良い秋の虫とはご縁といえば、この時季ならではの「縁起の良い虫」がいます。お墓参りに行ったお寺の庭先や、池などの水辺で見かける虫――それはトンボです。5世紀後半に在位した雄略天皇が吉野へ狩りに出かけたとき、腕を刺したアブをトンボがくわえて飛び去ったという故事から、トンボのことを勝虫と呼び、縁起の良い虫とされて武具などに飾りがあしらわれたのだとか。また、前へ前へと飛び、決して後ろに下がらない様子から、勇猛果敢で勝負強い虫ともいわれています。手ぬぐいや浴衣の柄として良く見かけるのは、トンボが昔から縁起の良い虫だからなんですね。ショッピングのときに意識してみると、ハンカチやステーショナリー、食器類、ジュエリーなど、いろいろなトンボのアイテムが見つかります。この秋、恋に決着をつけたい人は、トンボのアイテムを取り入れてみては?トンボは、勝ちを引き寄せるラッキーモチーフ!もしかしたら、恋の女神がほほえんで、大勝利をおさめられるかもしれません。景山えりか(かげやまえりか)星とお茶のコンシェルジュ、文筆家。旧暦や月の文化に造詣が深く、星や月と親しむ生活を自ら実践。その経験から、自然のリズムに合わせてお茶を楽しむことで、養生やストレスマネジメントにつなげる「星のティーセラピー(R)」を考案。執筆活動やワークショップを通じて、星空とお茶を楽しむ暮らしを提案している。著書:『自然とつながる暮らしかた空の向こうは私のうちがわ』(講談社)。ウェブサイト::自然とつながる暮らしかた
2014年09月18日