’19年、『M‐1グランプリ』決勝進出以降、じわじわと露出を増やし、いまや冠番組を持つ人気芸人となったニューヨーク。それでも浮かれることなく、飄々と現在地を見つめる冷静さと、ライブに対する熱い想いが交差するインタビューに、さらなる飛躍の予感!――毎日のようにテレビに出ていますが、“売れた”実感は?嶋佐和也:さっきまで熱海でロケしていたんですけど、おばちゃんやおじいちゃんが「頑張って~」って手振ってくれたんです。そんな世代の方にも知ってもらえてるんだって思いましたね。――嶋佐さんが出演している日本郵政のCMが、幅広い世代に知られるきっかけになったのでは?屋敷裕政:あれは、金髪の素人が犬の散歩してるって、思われてるだけじゃないですか。嶋佐:だとしても、お話をいただけて嬉しかったです。屋敷:正直、売れたとは思ってないです。渋谷で若い2人組のひとりが僕ら見て「誰?全然わかんない!」って言ってましたし。そうやって、ちょいちょい冷や水かけられる出来事が起きるんで、売れたと勘違いしようがない(笑)。――そもそも、お二人が芸人を目指そうと思ったきっかけは?屋敷:高1の時に『M‐1』が始まって、第1回は芸人さんが全員お揃いの真っ黒なスーツを着て入場したんです。それが、バンドマンみたいでカッコよかったんですよね。ほんまはテレビの中に行きたいけど、無理やろうから、大学卒業後に制作会社に入ってADをやってたんです。でも、どこかでずっとテレビの中の人になりたいとは思ってて、1年でADをやめてNSCに入りました。嶋佐:僕は、小学生の時『ごっつ(ええ感じ)』をギリギリ、リアルタイムで見ていたんです。番組が終わった時はめちゃめちゃ悲しくて…。野球はいまだに嫌いです(笑)。でも、さすがに自分でやろうとは思ってなくて、せっかく大学に行かせてもらったし、音楽が好きだからレコード会社の就職試験を受けました。でも、エントリーシートの段階でバタバタ落とされて(笑)。普通の仕事は無理だと思って、NSCに願書を。――NSCでは、屋敷さんが嶋佐さんをスカウトしたとか。屋敷:NSC時代の終盤も終盤で、前のコンビが解散して焦ってたんで、とにかく全部のクラスを見て回ったんです。正直、こいつと組めば絶対に売れると思ったわけでもなく、「とりあえずこの子かな」くらいの感覚で、共通の友達に連絡先教えてもらったんが始まり。嶋佐:僕は、その時組んでた相方のことを面白いと思ってたし、好きだったんです。でも、周りが「あいつで大丈夫か?」とか言ってくるんですよ。そんなタイミングで声を掛けられて。選抜クラスにいて、優秀と噂には聞いてたこいつに乗り換えちゃいました。屋敷:周りの評価で、好きな男を捨てて乗り換えた(笑)。嶋佐:本当にそういう感じです。――’10年結成で、’13年には深夜放送『バチバチエレキテる』のレギュラーに。当時の心境は?屋敷:NSCを卒業した後、同期のデニスやマテンロウは先にテレビに出始めたんです。(横澤)夏子もすぐ『パワープリン』が決まったりしてた中で、やっと俺らもいい感じになってきたなと。嶋佐:フジテレビらしい若手の番組を作るってことで始まったんですけど、当時はお笑いブームがちょっと落ち着いてたんで、正直、僕らも冷静だったんですよね。『めちゃイケ』みたいな番組を今から作るのは難しいんじゃないかって。そしたら半年で終わって、さすがにそれは短すぎだろうとは思いました(笑)。終わった直後に売れたのは、一緒に出ていた白石麻衣さんだけ。やっぱりもうちょっとやりたかったですね、正直。屋敷:残念ではあったけど、あの番組では濃い時間を過ごせましたね。フジテレビに行ってみんなでコントの練習して、自分の出番以外も、他の人のコントを見て、ロケもスタジオもやらせてもらい、憧れていたことをギュッと経験させてもらえて、青春でした。――ターニングポイントは、やはり’19年の『M‐1』でしょうか。厳しい点をつけた審査員の松本人志さんに屋敷さんが放った「最悪や!」が大きな話題に。屋敷:(笑)。後から先輩方が褒めてくださったりイジってくださったりしたんで、普通に決勝に行けたよりは結果的にはよかったかもしれないと今は思います。嶋佐:僕はダウンタウンさんに憧れて芸人になったし、松本さんの点数が本当にショックだったんですよ。そしたら隣でこいつがすごいこと言ったんで、何とか合わせた感じでしたね。屋敷:完全に流れがバンと変わったのはあの『M‐1』だったんですけど、ここぞという時にコロナ禍になって、一気にテレビの仕事が増えたというより、ぬるっとフェイドインできたという感覚。『M‐1』以前に、その年は、YouTubeを始めて、単独ライブの形も変えて、コンビ改革をしてたんも大きかった。その前の年、『キングオブコント』は2回戦で敗退して、『M‐1』も準々決勝止まり。じわじわ上がってきて初めて下がって、このままやと空中分解してしまうやろうなと思って、テコ入れしていたんです。――今年の賞レースについて、現時点ではどう考えていますか?屋敷:今までも、賞レースありきで頑張るというタイプではなかったんですけど、今年は賞のことを考えず、目の前の単独ライブをやろうと思ってます。――大阪・福岡・東京で開催される「Last Message」ですね。意味深なタイトルですが、どんな意味があるんですか?屋敷:それは、会場に来てくれるか、配信を見てくれた人だけがわかる仕掛けがあるかもしれないし、何もないかもしれないです(笑)。3都市8公演で5500人以上を動員する予定のニューヨーク史上最大の単独ライブ「Last Message」は、大阪公演を終え、残りは5公演。7/18(月)の福岡・CONNECT劇場は18:00開演。7/30(土)、31(日)の東京・恵比寿ザ・ガーデンホールでは、各日12:30開演と17:00開演の2公演。7/31の17:00の回は、オンライン配信チケットが発売中。左・嶋佐和也(しまさ・かずや)1986年5月14日生まれ、山梨県出身。右・屋敷裕政(やしき・ひろまさ)1986年3月1日生まれ、三重県出身。2010年、東京NSC15期生同士で結成。レギュラー番組に『NEWニューヨーク』『まだアプデしてないの?』(共にテレビ朝日系)、『ラヴィット!』(TBS系)、『ニューヨーク恋愛市場』(ABEMA)など。嶋佐さん・シャツ¥29,700Tシャツ¥19,800(共にZUCCa/A-net Inc. TEL:03・5624・2626)パンツ¥42,900(GREI./メイデンズショップ TEL:03・5410・6686)屋敷さん・Tシャツ¥36,300(HERILL/メイデンズショップ)ジャケット¥174,570パンツ¥148,500(共にBEAUGAN/メイデンズショップ)その他はスタイリスト私物※『anan』2022年7月6日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・作山直紀インタビュー、文・小泉咲子(by anan編集部)
2022年07月03日バラエティ番組の企画とのコラボで、ガチでボディメイクをし、『anan』の「リセットダイエット2022」特集で美しいボディを披露したかまいたちさん。この度、そのノウハウや裏側を全て紹介した書籍『かまいたちのガチやせ“自分史上最高のカラダ”のつくり方』が7/6に発売決定!実際どんな方法で痩せたのか、少しだけご紹介します!濱家メソッドはこちら。多い回数をこなして自分を追い込もう!王道スクワット(20回×3セット、インターバル1分)一度にたくさんの筋肉を動かし、カロリー消費量が高いスクワット。正しいフォームが重要。STEP1:足は肩幅程度に自然に広げて立つ。両腕を前ならえのようにまっすぐ前に伸ばす。手の甲は上向きにする。視線はまっすぐ遠くに向ける。STEP2:腰をゆっくり下げ、ひざを曲げてできる範囲で深くしゃがむ。このとき、ひざを曲げるというよりお尻を後ろに引くイメージで。腰が反らないように、腹筋を意識して背筋はまっすぐをキープ。元の姿勢に戻り、これを20回繰り返す。専属トレーナー・コウケツ流POINT足の親指の下、「母趾球」で体重を支えて!母趾球は足裏親指付け根のふくらんだ部分のこと。かかとでなくここに重心を置くように意識するとバランスよくフォームが整います。山内メソッドはこちら。負荷をかけよう!父ちゃんスクワットスクワットをさらに高負荷に。ダンベルの代わりに子どもを背負って!STEP1:足を大きく広げ、つま先は外向きに。我が子が落ちないようにしっかりとおぶる。足は肩幅の1.5倍に開く。ひざとつま先は同じ外向きに、斜め45度に広げる。STEP2:股関節からしっかりお尻を引き、ひざを曲げる。太ももと床が平行になるまでお尻をしっかり下げる。元の姿勢に戻り、この動きを10~15回繰り返す。山内&濱家の共通宅トレ!最高負荷で燃焼!ブルガリアンスクワット(左右各10回×3セット、インターバル1分)これは濱家さんも山内さんも取り入れており、「一番しんどかった!」と語る、脚の宅トレメニューでは最も高負荷!STEP1:椅子から2足半前に歩き、片足を椅子の座面に乗せる。腕は胸の前で組む。視線はまっすぐ前に向ける。上体が前に倒れないように注意する。STEP2:後ろ脚のひざを落としながら腰を下ろす。ひざがつま先より前に出ない位置でストップ。元の位置に戻り、これを10回繰り返す。反対の脚も同様に行う。『かまいたちのガチやせ“自分史上最高のカラダ”のつくり方』専属トレーナーへの取材を重ね、実際に痩せたメソッドをわかりやすく解説した本が発売決定!未公開写真も多数掲載。¥1,760かまいたち2004年、NSC大阪校で同期だった山内健司、濱家隆一により結成。YouTube「かまいたちチャンネル」は、現在登録者数165万人を突破。『かまいガチ』(テレビ朝日系)、『千鳥かまいたちアワー』(日本テレビ)などレギュラー番組は現在17本。コウケツパーソナルジムである「アップルジム」を立ち上げ。かまいたちの専属トレーナーとしてボディメイク企画を伴走した。※『anan』2022年6月29日号より。イラスト・docco取材・梅原加奈取材協力・アップルジム(by anan編集部)
2022年06月29日ギャル漫才の解禁から短くなった、荒川さんのスカート。しかし、脚とお尻には自信がないと語るエルフのお二人。目指すは、ヘルシーなバランシングスタイル!理想はサイバージャパンのぎゅわーんと高いお尻。――“ギャル”と“ハンサム”のコンビという、対照的なお二人ですが、最初からそうでしたか?はる:NSC(吉本総合芸能学院)の同期として出会った時から、荒川は金髪でギャル。私もこのままのスタイルでした。荒川:ただ、素の私はギャルなのに、漫才する時は、可愛くしたいけどあかん、ギャルを出したらあかんと思っていて。はる:最初は漫才師っぽい、蝶ネクタイで出てた時期もあったね。荒川:全然ウケなくて、スベりすぎて10kg痩せました(笑)。ある時、“素を隠しているのって不自然ちゃう?”と、思い切ってギャルを出してみたら、ウケるようになったんです。そこからはめっちゃ気が楽になったし、スカートがどんどん短くなっていって。――やっぱりギャルにとって、脚出しはマストですか?荒川:ギャルは脚出してなんぼ。でもこの前、専門家に診てもらったら、私の脚はめっちゃむくんでるんやって。歩く老廃物(笑)。はる:めちゃくちゃイヤや!荒川:お尻もめっちゃ下がってるから、スキニーも入らんし…。はる:私は中学時代にバレーボールをやっていたからか、めっちゃ太ももが太い!しかも筋肉がなくなった今は、ぷよぷよのただの太い脚。お尻は横にデカいし…私もスキニーから逃げてるわ。そもそも、脚とかお尻をピンポイントで鍛えたことなんてないし、現実から逃げまくってきましたから。荒川:私もや~!(泣)はる:前に、吉本の劇場で寝てたら、先輩芸人から「はるちゃん、ケツでかめやな」って言われたことがあって、気になって写真を撮ってもらったんです。そうしたら、ドーンとしたケツで、衝撃的で。自分で引いてまうっていう。荒川:ロケでよく、一緒に行ったタレントさんとかと着替えたりすることあるけど、私、絶対に裸で後ろ向けない。でもちょっと前までは、お尻になんて注目してなかったし、胸がきれいなほうがいいやん、って思ってたけど、グラビアで活躍する方とか、まわりの人たちから「女性はお尻もやで」って聞くようになって。だから、お尻を鍛えるって大事なんや、って思い始めたところです。――理想の脚やお尻は?はる:やっぱり、横に張ったデカ尻が気になるから、キュッと引き締まった小尻に憧れますね。荒川:よくSNSで見ているのはニッキー・ミナージュやけど、さすがにすごすぎる。理想は、サイバージャパン(ダンサーズ)の方々の、ぎゅわーんと上がったお尻と、スラッと伸びた長い脚かな。はる:お尻の位置高めの方々。荒川:めっちゃ高いで、すごいで。あとは、にこるん(藤田ニコル)さんとか、みちょぱ(池田美優)さんの、健康的なお尻や脚も好き。どっちかというとセクシーよりも、ヘルシーな見た目が好きなのかな。はる:夏は、スキニーをはけるように、お尻と脚をどうにかしたい。荒川:私も。水着も着たいし~!はる:ギャルやな(笑)。Elf大阪NSC38期生のお笑いコンビ。左・荒川1996年8月30日生まれ、大阪府出身。右・はる1996年6月16日生まれ、大阪府出身。今年、活動拠点を大阪から東京に移し、バラエティ番組を中心に活動中。※『anan』2022年6月29日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・野口由佳(ROI)取材、文・若山あや(by anan編集部)
2022年06月26日バラエティ番組の企画とのコラボで、ガチでボディメイクをし、『anan』の「リセットダイエット2022」特集で美しいボディを披露したかまいたちさん。この度、そのノウハウや裏側を全て紹介した書籍『かまいたちのガチやせ“自分史上最高のカラダ”のつくり方』が7/6に発売決定!実際どんな方法で痩せたのか、少しだけご紹介します!専属トレーナー監修。かまいたち式ボディメイクとは?Q. かまいたち式ボディメイクとは?A. 1日20分の筋トレと簡単な食事コントロール!今回二人が取り組んだのは、筋トレと食習慣の改善。まずは1日20分、4種目のトレーニングを週3日から行いましょう。「筋トレは、特に下半身や背中など大きな筋肉を動かせば脂肪を燃やせます。さらに、筋肉がつくと基礎代謝が上がり、普段の姿勢や動作が整って日常生活で消費できるエネルギーもアップ。結果、太りにくいカラダが手に入るわけです。そして食事は、乱れているとトレーニングの効果も半減。タンパク質量やカロリーを気にして整えていく必要があります」(専属トレーナー・コウケツさん)。さらにトレーニングは、体質に合わせて行うことでより効果が表れやすく!「かまいたちさんは、タイプが明確に違いました。自分に合ったトレーニングを選ぶことも、理想のカラダを手に入れる近道です」【筋トレ】あなたは濱家タイプ?山内タイプ?トレーニングは体質・目的別に!TYPE:HAMAIE【体質】筋肉が少ない人、女性【目的】細マッチョやカラダの引き締め低負荷×多回数必要十分な筋肉をつける低負荷×多回数トレ!背が高く、手足が長い濱家さんは筋肉が大きくなりにくいタイプ。「筋肉の幅が長いと鍛えるのにもそれだけ時間がかかります。筋肉がつきにくい女性も同様。そういう方は、筋肉の肥大化ではなく引き締めを目的とした、“低負荷×多回数”の筋トレがおすすめ」。濱家さんの場合に重視したのはポッコリお腹の改善。腹筋や背筋から直接アプローチするほか、スクワットで基礎代謝を上げて内臓脂肪を減らしました。姿勢やシルエットを整えるために必要十分な筋肉をつけて、美ボディを目指しましょう!TYPE:YAMAUCHI【体質】筋肉質な人【目的】筋肉を大きくする高負荷×少回数筋肉を大きくしたい人向け!高負荷×少回数トレ。濱家さんとは体質的に真逆。筋肉量が元から多い山内さんは“高負荷×少回数”のトレーニングが向いている。「ラガーマンやレスリング選手などいわゆるガッチリしたカラダつきの方と同じです。筋線維には赤筋と白筋がありますが、山内さんは瞬発的に収縮する白筋が多いタイプ。スタミナがあり、筋肉がバテにくいんです。だから高い負荷を与えると効果が出やすい。腕立て伏せやスクワットをきついところで止めたり、速度をゆっくりに変えたり、重りを持ったりなど、負荷を上げましょう」。『かまいたちのガチやせ“自分史上最高のカラダ”のつくり方』専属トレーナーへの取材を重ね、実際に痩せたメソッドをわかりやすく解説した本が発売決定!未公開写真も多数掲載。¥1,760かまいたち2004年、NSC大阪校で同期だった山内健司、濱家隆一により結成。YouTube「かまいたちチャンネル」は、現在登録者数165万人を突破。『かまいガチ』(テレビ朝日系)、『千鳥かまいたちアワー』(日本テレビ)などレギュラー番組は現在17本。コウケツパーソナルジムである「アップルジム」を立ち上げ。かまいたちの専属トレーナーとしてボディメイク企画を伴走した。濱家さん・アンダーウェア(ポロ ラルフ ローレン/ヘインズブランズジャパン カスタマーセンター TEL:0120・456・042)山内さん・パンツ(セラー ドアー/アントリム TEL:03・5466・1662)※『anan』2022年6月29日号より。写真・森山将人(TRIVAL)スタイリスト・鹿野巧真ヘア&メイク・藤井陽子取材・梅原加奈取材協力・アップルジム(by anan編集部)
2022年06月22日『ラヴィット!』木曜レギュラーのニューヨーク。スタート時から、“普通ではない番組”になる予感があったそう。ニューヨーク――朝の番組のオファーを受けた時、どう感じましたか?嶋佐和也:レギュラー自体、そんなになかった時に、朝らしい空気があるわけでもない自分たちに!?と思いました。でも、出演者のラインナップを見ると若手芸人が多くて“変わった番組が始まるな”と。屋敷裕政:そのおかげで“朝だからかしこまらな”みたいなプレッシャーは最初からなくて、ずっとナチュラルにやらせてもらってます。嶋佐:僕も“朝だから”っていう感覚はまったくないですね。放送禁止用語に気をつけてるくらい。屋敷:それは時間帯とは関係ないから(笑)。――演者に“朝だから”という意識がなかったことが、番組の成功の一因でしょうか?屋敷:それはあるかもしれないです。今や“朝”が番組全体のフリになってますよね。“朝から何してんねん”っていう(笑)。嶋佐:あと、俺らを含めた若手芸人の大量起用も『ラヴィット!』らしさにつながったように思いますね。ネルソンズさんのロケを他の番組で見たことがないし、こんなにそいつどいつ出すんだって、放送を見て、びっくりしますもん。屋敷:スタッフさんが、俺らが他の番組やYouTubeで絡んでるのを見て知ってくれてる。そういうところに愛を感じます。嶋佐:番組愛が強すぎて、最近、様子がおかしくなってるけど(笑)。屋敷:フルスロットルで若干心配(笑)。でも、そうやってスタッフさんが、若手のやりやすい環境で、やりたいことをそのままやらせてくれるのが『ラヴィット!』。今、養成所の子たちに出たい番組聞いたら、『ロンドンハーツ』や『アメトーーク!』と並ぶんちゃいます?言うまでもなく、川島さんの力も絶対に大きいですよね。通常はMCの人を前にすると、“この人にオモロないって思われたら嫌や”って萎縮するものですけど、川島さんには全部出せて一番調子いいってやつばかり。嶋佐:川島さんには驚くほど“波”がない。誰しも調子の良し悪しはあるのに、あの安定感は、毎朝の生放送にぴったりだと思います。――ニューヨークらしさを出せた手応えを最初に感じた企画は?嶋佐:シェフの方と一緒に料理して試食するロケですかね。1回のロケで試食が8回もあって、全部無茶苦茶ボケたら面白がってもらい、かなりやりやすくなりました。屋敷:徐々にボケるようになってたところに、「ニューヨーク不動産」があって。はしゃいだり、真剣に迷ったりする様がドキュメント的な笑いになってくれましたね。嶋佐:あそこで家電や家具に300万円以上使ったのは大きかった。屋敷:ようわからん芸人が、わざと札束落として拾うのがお約束になるってあり得ないでしょ(笑)。これも“朝だから”という凝り固まった考えが誰にもないからこそ。嶋佐:こいつも350万円の腕時計買って、炎上を危惧してたんですけど、全然そんなことなくて。屋敷:知らんとこで、めっちゃ嫌われてるかもしれないけど(笑)。――今後、やってみたい企画は?嶋佐:ニューヨーク旅行!フランスも行きたいなあ。屋敷:俺らすでに3回は海外に行けるくらいの金は使ってるしな。それも自腹やったら?ガチの喧嘩です!「自腹なんやからゆっくりさせてください」って(笑)。右・屋敷裕政、左・嶋佐和也。2010年、コンビ結成。6月25日よりコンビ史上最大規模の単独ライブ「Last Message」を開催。『ラヴィット!』毎週月~金曜8時~TBS系にて放送中。“日本でいちばん明るい朝番組”をコンセプトに、2021年3月に放送開始。朝の常識を覆す、独自のバラエティ番組路線が話題を呼び、若い世代を中心にファンが急増中。TVerでの見逃し配信も人気に。※『anan』2022年6月22日号より。写真・千葉タイチ取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2022年06月19日『ラヴィット!』水曜レギュラーの見取り図は、冠コーナー「見取り図の安くてウマくてな店」での自由な進行ぶりも話題に。骨太な笑いで朝の番組に新風を吹き込んだ彼らが語る、『ラヴィット!』の魅力とは?見取り図――ここまで話題の番組になると、想定していましたか?リリー:始まる前は、マジメ寄りの番組かと思ってたけど、蓋を開けてみたら違いましたね(笑)。盛山晋太郎:僕らのコーナーが始まってすぐに、大阪の深夜番組みたいな(情報番組っぽくない)ロケをやらせてもらったんです。そこで“これ、もしかしてお笑い番組と違うか?”って気づきました。リリー:特殊な番組なので、いまだに手応えがつかめてなくて。今はとにかく全力でやるだけですね。――ロケの自由度が高いですよね。盛山:僕らグルメコーナーと思ってないですから(笑)。目的の店に行く前にカップ麺食べたり、ロケ中にパチンコをしたり…。リリー:スタッフさんが、自由にやらせてくれてありがたいです。――NGの指示が出ることは?盛山:マジでないっす。スタッフさんのほうが、ぶっ飛んでるんで。リリー:制作側とのクレイジーバトル(笑)。そう考えると、たしかに今までになかった番組かもしれないですね。最初の頃にみんながよく言ってた「朝なのに何させんねん」ってツッコミが減ってきて、独自のルールが定着してきた感じ。盛山:“朝は爽やかに”みたいな概念を変えたんじゃないですかね。――曜日ごとの個性も豊かですね。盛山:女子会風の日もあれば金曜みたいに無茶苦茶な日もあって、毛色が全然違いますね。僕らは以前木曜日に出たことがあるけど、違う学校に来たみたいやった。ニューヨークの屋敷(裕政)も水曜日に来てそう感じたらしく、「全曜日に対応されている川島(明)さんと田村(真子)さんはヤバい」って言ってました。――お二人の凄さを感じる点は?リリー:田村さんは超できる人。ミスしないし、みんながどれだけ遊んでも絶対に軸を戻してくれるから、安心して進行を任せられます。川島さんはどんな芸人に対しても理解がありますし、何よりめちゃくちゃ面白い。本当に川島さんあっての番組だなと思いますね。盛山:川島さんって体力と頭の回転がサイボーグ並み。尊敬しているから、他の番組でご一緒すると緊張するんです。『ラヴィット!』で培ったものを確認する抜き打ちテストみたいで。まさにみんなの恩師って感じですけど、ちょいちょい学級崩壊するクラスを5つ(5曜日分)も持ってると考えると凄すぎてゾッとします(笑)。――たしかに(笑)。番組の影響力を感じた瞬間はありますか?リリー:爆買い系の企画とか、『ラヴィット!』に影響された番組が増えてきたなとは感じますね。盛山:芸人のイジリ方とかもめちゃ似てる。僕らとかニューヨークとか相席スタートの山添(寛)は、この番組が取扱説明書を作ってくれたのが大きかった気がします。――番組で挑戦したいことは?リリー:コロナが収束したら、水曜メンバーで飲みに行きたいですね。まだ一回も行けてないんで。盛山:川島さんのスケジュールに合わせてみんなで旅行ロケとかしたい。それこそね、番組が始まった当初はいろいろ叩かれて「そんなん言いなや…」って僕も一緒に腹立てたりしましたけど、こうして風向きが変わってきて。なんか、逆境から勝利をつかむ少年漫画みたいだなって思ったりします。みとりず右・リリー、左・盛山晋太郎。2007年、コンビ結成。今年本格的に東京進出、『見取り図じゃん』などレギュラー番組も多数。『ラヴィット!』毎週月~金曜8時~TBS系にて放送中。“日本でいちばん明るい朝番組”をコンセプトに、2021年3月に放送開始。朝の常識を覆す、独自のバラエティ番組路線が話題を呼び、若い世代を中心にファンが急増中。TVerでの見逃し配信も人気に。※『anan』2022年6月22日号より。写真・千葉タイチ取材、文・真島絵麻里(by anan編集部)
2022年06月19日朝=ワイドショーが“当たり前”とされるテレビ界において、情報よりも“笑い”を届ける姿勢が話題を呼び、いまファンを増やし続けている朝番組『ラヴィット!』。TVerの浸透などにより、テレビの視聴スタイルも大きく変わる昨今。『ラヴィット!』が愛され、これまでの常識の壁をぶち破り続ける秘密とは?『ラヴィット!』躍進の3つのPOINT1、お笑い濃度の高さ。「大喜利番組」と称されるほど、本気の笑いを追求。番組開始当初は、評価が高いとはいえなかった『ラヴィット!』。番組がいま多くの人の注目を集めている最大の理由は、逆境に立たされても、ワイドショーが主流の朝の時間帯に、純度100%のバラエティ番組路線を貫いたこと。決してブレることなく、ストイックに“笑い”を追い求める姿勢が話題となり、徐々にファンが増加。昨年秋から、朝の帯番組では異例のTVerでの見逃し配信もスタート。朝番組の常識を塗り替えようとしている。2、個性豊かすぎる出演者。芸人もアイドルも、みんなが輝く番組構成。出演者の中心はニューヨークや見取り図、ぼる塾などの若手芸人。彼らが番組を盛り上げていることは確かだが、決して「芸人だけが活躍できる番組」ではないという点も『ラヴィット!』が支持を集めている理由のひとつ。Snow Manや日向坂46など、アイドルグループのメンバーも毎回きちんと結果を残し、その活躍はTwitterのトレンドワードに挙がることもしばしば。若い世代を中心に、多くの視聴者層を取り込む要因に。3、川島さんのやさしいMC。包容力と安心感たっぷりの新しい理想の上司像。番組を語る上で欠かせないのが、川島明さんのMC力。若手からベテランまで多彩な出演者をまとめ、随所でコメントをフォローし、笑いに変えていく。また自らも積極的に「大喜利」に参加し、決して“偉そうにしない”姿勢は、まさに多くの若い世代が求める理想の上司像。出演者も視聴者もみんなを笑顔にさせる川島さんの魅力が、ワイドショーしかなかった朝の時間帯に新風を吹き込み、底抜けに明るい番組作りを成功させている。躍進の立役者・MC川島明さんに聞く『ラヴィット!』の今までとこれから。劣勢から、お笑い好きが録画してまで見る番組へ。巷の評価を一変させた番組の顔・川島明さんが、MCのオファーを受けてからの想いを語ってくれました。朝のテレビ番組といえば、時事・芸能ネタを扱うワイドショー。そんな“常識”を壊した唯一無二の番組『ラヴィット!』。そのMCを務める麒麟の川島明さんはオファーの時点から、朝からバラエティ番組をやる気満々だったそう。「お話をいただいて、ワイドショーなら上手い人はたくさんいらっしゃいますし、僕がやる意味がないので、お断りするしかないなと。“朝からバラエティをやる”ということなら、僕ができることを一生懸命やらせてもらいますとお伝えしたんです。そして、スタッフさんが“バラエティをやるんだ”と覚悟を決めてくれた。『唯一無二の番組』と言ってくださるのなら、その覚悟こそが、そうさせてくれたんだと思います。最初は朝らしいオシャレなことも狙ってはったみたいですけど、僕自身がそうじゃないからできなかったというのもありますが(笑)」クイズはボケが飛び交う大喜利大会と化すなど、笑いの純度が高い、これまでの朝の帯番組にはないスタイルを築き、お笑い好きの若者という新しい視聴者層にリーチ。そのきっかけとなったのが、同局で放送中の『水曜日のダウンタウン』で“『ラヴィット!』の女性ゲストを大喜利芸人軍団が遠隔操作すればレギュラーメンバーより笑いが取れる説”だった。「本気でバラエティをやっていても“朝のワイドショー”と思われていた頃に、『水曜日のダウンタウン』さんに取り上げていただいて、“しっかり大喜利をやってる番組”という輪郭が出来上がりましたね。お笑い好きが見てくれるようになった分、良識者が離れていった気もしますが(笑)」今日は何が起こるんだろう。そんな生放送ならではのワクワク感も、番組の醍醐味。編集部がスタジオを見学させていただいた日も、台本にはない流れが川島さん発信で起こり、スタッフが大慌てで対応するライブ感が笑いを呼ぶ。「絶対こっちのほうが面白いと思ったら、予定にない方向に振り切りますね。スタジオがドタバタしてるところが映っちゃうのも、編集できない生放送のよさ。僕が思い付きでやってしまうんで、スタッフさんはしんどいはずですが、毎回対応してもらえるのも、1年やってできた信頼関係の賜物」生放送だからこそ、自分らしさが一番出せるとも。「たとえば収録で『ここの肉がめっちゃおいしい』とどれだけ語っても、編集はありがたいことなんですが、自分の言葉だけで熱量を伝えるのは難しいんです。その点『ラヴィット!』では、言いたいことをそのまま、好きなだけ言えますからね。そうやってみんなが喋り倒して、最初は2分だったオープニングトークが、この前なんて55分もやってました。55分やって『さあ、「ラヴィット!」スタートです』って、じゃあ今まで何見せられてたんだっていう(笑)。2時間の生放送という、いま芸人にとって一番贅沢な時間の使い方をさせてもらっているのが『ラヴィット!』だと思います」“自分らしさが出せる”のは、他の芸人さんも同じ。川島さんの緊張を強いない空気感と、どんなにスベってもひと言で笑いに変えてくれる抜群のセンスが安心感をもたらし、チーム全体が盛り上がる。「そんなふうに評価していただくこともあるんですけど、僕は、横に添えてあるガリみたいな笑いの取り方が、好きなだけ。人のために自分を抑えてると言われると嬉しいんですけど、アピール下手なんかなってちょっと傷つきます(笑)。若手の頃は、(島田)紳助さん、(明石家)さんまさん、ダウンタウンのお二人の番組に出させていただく時は、前の晩、寝られんくらい緊張して、完全に僕の実力不足なんですけど、なかなか自分の味を出せなかったんです。そういう経験もありますし、基本的に喧嘩や戦いが嫌いなんですよ。ディベート系の番組は心が折れるから絶対に出ない。そういう人間なんで、人を威圧したくないっていうところはあるかもしれないですね。かといって、芸人だけの空気にもしたくないんですよね。芸人だけで盛り上がっていると、せっかく来てくださった俳優さんだとか違うフィールドの方や視聴者を置いてきぼりにしてしまうので」実は、CM中にスマホでツイート検索して、視聴者の反応をリアルタイムで追っているという。もちろん、スタッフの許可を取って。「Twitter検索は、漫才しながらお客さんの顔見てる感覚に近いですね。何の気なしにボケたことがトレンドに入ってるのを見て、エンディングで拾ったり。炎上しかけてることも、あえて本番中に触れることで、その状態自体が笑いになるんですよ」仕切り力に加え危機管理能力まで。MC力が高く評価されるのも納得だが、番組を引っ張る立場として、気をつけていることは?「最初から何をやってもいいとしてしまうと、番組を盛り上げるためによかれと思ってやっていることでも、見る人を不快にさせたり、時には傷つけることもあります。だから、品は大事にしてるんです。それは自分のルールとしてあって、違う笑いの取り方がいっぱいあるのに、品のないテーマやロケに僕はゴーサインを出したくない。そこの判断は、冷静にバランスを見ながらやっているつもりです」そうした冷静さは、「最初から1年やそこらで結果が出るとは思っていなかった」という発言にも見て取れる。酷評もあった期間を経て、“面白い”というバラエティ番組として最高の評価を各方面から得た今、「結果が出た」と言ってもいいのでは?「まだまだです。さっき戦いが嫌いって言いましたけど、そんな僕がいざ戦うとなったら、圧倒的な数字と影響力でもって、完膚なきまでやり合いたい。そこで初めて、『「ラヴィット!」なんてすぐ終わる』と言っていた人に『結果が出た』と言いたい。逆風が吹いていた中でも、変なことをやっている意識はあったんですが、それは焼き鮭や納豆という日本の朝の食卓に、いきなりケバブが出てきたみたいなもん。今は、朝なのにバラエティということで面白がってもらえてますけど、放送時間帯に関係なく、どんな番組とも競い合えるように、浮かれることなく、足腰を鍛えないと!当面の夢としては、週末に“増刊号”をやりたいですね。特番や1周年の振り返りVTRを見たら、ギュッと編集されたものに、生とはまた違った面白さを感じたんです。『王様のブランチ』に“今週の『ラヴィット!』”というコーナーを作ってほしい。その間『ブランチ』の方々には、素敵な休憩時間を過ごしてもらえるかと(笑)」かわしま・あきら1979年2月3日生まれ、京都府出身。’99年、田村裕とお笑いコンビ「麒麟」結成。『100%!アピールちゃん』(MBS・TBS系)や『ウワサのお客さま』(フジテレビ系)などに出演。『ラヴィット!』毎週月~金曜8時~TBS系にて放送中。“日本でいちばん明るい朝番組”をコンセプトに、2021年3月に放送開始。朝の常識を覆す、独自のバラエティ番組路線が話題を呼び、若い世代を中心にファンが急増中。TVerでの見逃し配信も人気に。※『anan』2022年6月22日号より。写真・小笠原真紀取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2022年06月19日お笑いコンビ「パーパー」でツッコミを担当するほしのディスコさん。YouTubeの歌ってみた企画がバズって、念願のCDデビュー!お笑い芸人・ほしのディスコさんが本名でアーティストデビュー!リードトラックの「いとしの悪魔ちゃん」は、星野一成さん自身の辛い経験をもとにした切ないラブソング。「好きな女性に尽くしすぎて悲しい結末を迎えた実体験がちりばめられていて、聴いてすぐ『これは自分の曲だ』って思えました。男性の恋愛ソングだけど、歌声は女性っぽくて新鮮に聴いてもらえると思います」女性と間違われてもおかしくない美しい高音こそ、星野さんの武器!「声変わりするのを忘れちゃいました(笑)。思春期はバカにされたこの声がコンプレックスだったけど、歌は小さい頃から大好きで、アーティストか芸人になりたかったんです。アーティストは美男美女がなるものだと思って、僕には無理だなって。でも、芸人になってからも、歌が上手くなってCDを出したいという気持ちはずっとあって、自己流で研究してました」その歌声を「神様からのギフト」と高く評価してくれたのが、今回プロデュースを手掛ける寺岡呼人さん。「芸人の歌うまランキングを作る番組で審査員だった寺岡さんは、ずっと100点満点をつけてくれたので、その場のノリで『曲作ってもらえますか』ってお願いしたら、本当にご連絡をいただけて、これはデカめのドッキリがきたなと(笑)。僕はゆずさんが好きで、そのプロデュースをしていた方とご縁が生まれるなんて夢にも思いませんから!レコーディング中も、隠しカメラに気づいちゃいけないみたいな(笑)。デビューの確信が持てたのは、最終段階のマスタリングの時でした」アーティストになるという大きな夢を叶えた今、新しい夢は?「アーティストになれた以上、紅白歌合戦を目指したいです。『決まった』と言われたら、またドッキリを心配しなきゃ(笑)。僕らパーパーは、最近までコンビ仲が悪くて単独ライブを1回しかしたことがないので、全国ツアーで地方を巡ってみたいですね。でも、今のコンビ仲は過去最高に良好なんですよ。あいなぷぅに紹介してもらった占い師さんには『音楽の仕事は順調』と言われて不安が消えました。僕のデビューについて、彼女の反応は…『私、何とも思ってません』みたいな(笑)。自由にさせてくれてありがたいです」『ほしのディスコEP』。「いとしの悪魔ちゃん」を含む、4曲とインストゥルメンタル4曲の計8曲。特典DVDにはメイキング映像や2曲分のMVが収録。【初回限定盤(CD+DVD)】¥2,200【通常盤(CD)】¥1,100(ドリーミュージック)ほしの・かずなり1989年10月23日生まれ、群馬県出身。2014年、あいなぷぅとお笑いコンビ「パーパー」を結成。’20年、『R‐1ぐらんぷり』決勝に進出。人気バラエティ番組『有吉の壁』(日テレ系)に準レギュラー出演。※『anan』2022年6月15日号より。写真・小笠原真紀取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2022年06月14日今年3月から放送を開始したTBSラジオの朝の生ワイド番組『パンサー向井の#ふらっと』。そのメインパーソナリティを務める向井慧さんは、現在5本のラジオ番組を担当(配信含む)。取材当日は名古屋の深夜ラジオの生放送を前日に終え、始発の新幹線でTBSに直行したという。そんな電波から電波へと渡り歩く新世代のラジオスターが語る、お笑いへの向き合い方とは?――『#ふらっと』の開始からしばらく経ちましたが、朝の帯番組のペースはつかめてきましたか?つかめたようでつかめてないって感じですかね。意外と朝起きられるんだなぁと思う半面、その大変さも実感してきて。オープニングのトークを準備したり、ゲストの方に聞く内容を整理したり。これを毎日やっていくんだなってじわじわ感じているところです。――番組のカラーは見えてきた?各曜日のパートナーの方たちの個性が強いので、その魅力の部分はみなさんに伝わって楽しんでもらえているんじゃないですかね。僕の役割はキャッチャー的要素が強いから、パートナーに全力でいい球を投げてもらえるように下地作りができればと思ってますね。――キャッチャー的な意識はもともとお持ちだったんでしょうか。僕はツッコミなので、基本的にはその意識でやってきたと思います。ただ、最初はピッチャーとか点を取る側を目指して芸人になったんですよ。でも続けていく中でやりたいこととできることの違いを感じて、自分が目立つことよりも誰かの良さを伝える方が得意なのかもしれない…と切り替えた感じ。とはいえ、学生時代もツッコミ目線だったから、そもそもの気質がそっちだったんでしょうね。――ラジオというメディアが自分に向いているな、と感じますか?向いていると思ったことはないけれど、単純にすごくラジオが好きだから熱量だけは人一倍あると思います。今5本やらせてもらっていますが、それを羨ましがる人は一人もいないですから(笑)。――“好きなことは仕事にしない方がいい”という人もいますが…。僕はお笑いが大好きで、そういう意味では好きなことを仕事にしなきゃよかったなって感じます。やりたいこととできることは違うから、やればやるほど自分が思い描いたものと離れた現実を突きつけられる。大好きだからこそものすごく苦しいけれど、その中でもラジオをやれていることで救われている部分はある気がします。――ラジオを始めるまでは芸人としての自分を好きではなかった?客観的に自分を見て“あんまり好きじゃないタイプの芸人になっちゃったな”と感じていたけれど、その中で落としどころを見つけながらやるしかないか…って思ってましたね。人気があるとか男前ランキング1位とか、そういった内容のお仕事をその頃たくさん頂きましたし、そこに頼りたくないとも言えないぐらいやっていたので。――周りが期待する姿に応えられてしまうからこそ抱えるジレンマなのかもしれないですね。それはすごくあったと思います。求められているものに合わせていくのは得意なんですが、それが癖になってしまって、自分を出すことをずっとしてこなかったんです。――ラジオとの出合いで変化が?それが、ラジオだから自分を出せたっていう話でもないんです。以前ラジオ番組をやらせていただいた時は、やっぱり想定された枠の中でしか話せなくて…。その枠を全部取っ払ってしゃべることができたのが、地元の名古屋でやっている『#むかいの喋り方』っていう番組だったんです。もともと仲の良い芸人さんには「テレビではお前の内面にあるどす黒い部分が全然出てないから、まだ予備エンジンが残っている状態だな」って言われていたんですが、自分では予備エンジンの使い方がわからなくて。それが、名古屋でしゃべった時に初めて起動したんです。――地元だったことも大きい?めちゃくちゃ大きいと思います。東京だと、僕が話すよりこの人の話を聞いた方が絶対面白いっていう人ばっかりだから自分を出さなくなっちゃうんですよ。それが、名古屋のラジオでは不思議と“自分がしゃべるのが一番面白い”って思えたんです。あとは“何を言っても東京には届かない”っていう意識もあったかな。まあ、今はradikoのエリアフリーで全国のラジオが聴けるんですが(笑)。でもそうやって自分の思ったことを話すうちに“こんな人だとは知らなかった”っていう反響が届き始めたんです。それまで人から褒められたことなんてなかったので、褒めてもらえたことがめちゃくちゃ嬉しくて…。見た目を必要としないメディアだからこそ、“ラジオが面白い”って言ってもらえると自分を一番肯定してもらえている感じがするんですよ。メインパーソナリティを務めるTBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』(月~木曜8時30分~※木曜日は隔週で登場)は、各曜日のパートナーのキャラクターが際立つ軽妙な掛け合いが聴きどころのひとつ。ロバート秋山さんプレゼンツの「シェアオフィス ザ・専門」など、個性豊かな番組内のコーナーもクセになると評判に。むかい・さとし1985年12月16日生まれ、愛知県出身。お笑いトリオ「パンサー」のツッコミ担当。親しみやすいキャラクターやMC能力が支持され、バラエティから教育番組まで幅広く活躍。ラジオパーソナリティとしても高く評価されており、『パンサー向井の#ふらっと』(TBSラジオ)をはじめ5本のラジオ(配信含む)番組を担当。※『anan』2022年6月15日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)インタビュー、文・真島絵麻里(by anan編集部)
2022年06月11日「こーんにーちはーー!」というテンションの高い挨拶で始まる漫才で、昨年のM‐1グランプリ王者となった錦鯉。何より話題となったのは彼らのキャリアと年齢。共に芸歴は20年以上。ボケの長谷川雅紀さんは現在50歳、ツッコミの渡辺隆さんは現在44歳。M‐1史上最年長ファイナリスト&チャンピオンの記録を打ち立てた。長谷川雅紀:僕らが優勝できたのって、去年のM‐1のとき、松本(人志)さんが「一番バカに(票を)入れた」みたいなことをおっしゃっていたんですけど、本当にそこだったんじゃないかなって思うんです。一番派手で、一番声が大きくて、バカみたいだったから、あの中で目立ってたのかなって。渡辺隆:やっぱり一番特徴的だったのは年齢です。長谷川:ギャップもあるのかもしれないです。ある程度の年齢で芸歴もあって、どんないぶし銀の芸を見せてくれるのかと思ったらバカな挨拶から始まるわけだから、ズッコケるんじゃないですか。長く芸人をやってきて、「たどり着いたのがこれか!?」って(笑)。渡辺:「今まで何やってたんだ!?」ってみなさん思うんでしょう(笑)。――結成は’12年。さまざまなコンビを経て、当時ピン芸人としてそれぞれ活動していたふたりだが、渡辺さんが飲み仲間でもあった長谷川さんを誘う形で錦鯉ができた。長谷川:僕はその頃40歳で、そろそろ芸人も限界かなぐらいに思っていたときに隆から声をかけられたから、考える間もなく、やろうかみたいなノリでした。普通コンビ組むときって、これからのこととか話しそうなもんですけど、そんな話は一切しなかったですから。朝まで居酒屋にいたのに、ふたりともドラマ『北の国から』が好きだってわかって、どのエピソードが好きで、誰がいいとか、そんな話ばっかりで、全然お笑いの話はしなくて。渡辺:歳を重ねてからのコンビだから、お互いに真っ当な理由があるように見られますけど、全然そんなものはなくて(笑)。長谷川:ドラマにならないんですよ。夜景見ながら「天下取ろうな!」みたいなこともないですし。渡辺:そもそも、この先の人生どうでもいいと思っているんで、そこまで深い考えがあったわけでもなく、みなさんが想像するより全然軽い理由で。ただ、自分は見た目からして目立つ感じではないから、コンビでフロントマンになってくれる人が必要だっていうのはあって、雅紀さんは舞台に立つと明るくなるし最適だったんです。長谷川:組んで2~3年目あたりから、だんだんお笑いライブでウケるようになったり、お客さん投票で1位を獲るようになったり。周りの芸人からも、面白いよねってライブに呼んでもらったりっていうことが増えて。その頃からちょっと手応えみたいなものは感じ始めました。渡辺:昔じゃ考えられなかったけど、深いネタより、軽いネタほどウケるようになる。それも雅紀さんの老化が進むに従って(笑)。最近は老眼もひどいし、どんどん理性がなくなってきているし。長谷川:老化はしょうがないですよ。歳ですから(笑)。――そんな中でのM‐1グランプリだ。一夜にして景色がガラッと変わるといわれるけれど、ふたりにとってもっとも大きな変化は?長谷川:優勝する前の年、初めて決勝まで行かせてもらって、そこで30何年間で初めてアルバイトを辞めたのが一番大きかったです。渡辺:僕もずっとアルバイトしてきて、お笑いはお金がもらえないって変な刷り込みがあったので、初めてお笑いでお金をもらえるんだって気付かされました。長谷川:でも、憧れのテレビの世界の人たちと一緒にお仕事するようになって、嬉しい以上に正直戸惑いは大きかったです。せっかく番組に出させていただいても全然しゃべれなかったり…。渡辺:今、テレビで活躍している人、全員すごいし面白い。だからテレビに出ているし、すごく見せないところがすごいんだなって、出させていただくようになって、あらためていまそう思います。――おふたりが思う、錦鯉がコンビとして順調な理由は?渡辺:ただ解散するようなこともなかっただけで…。長谷川:やっぱりこの歳になって組んだってことは大きいんじゃないかと思うんです。これが例えば、20代同士で組んでいたらどうなっていたかわからない。お互いに解散も経験してるし、年齢も重ねているから、相手の細かいことを気にしなくなっているし、嫌がるだろうなってことはしないですし。――後輩芸人にもリスペクトを見せる謙虚さも。今後の目標は?長谷川:謙虚とかじゃなく、僕の場合はもともとの性格なんです。あと、後輩にお金を借りたりしてきたので、偉そうにできないというか、逆に卑屈な意識がいまだに張り付いていて…。だからこれから天狗になっていこうかなと(笑)。渡辺:まずは償いが先だよ(笑)。長谷川:償いを挟んで天狗になっていく壮大な計画を立ててます。渡辺:嫌なやつになるな(笑)。WEB限定公開!錦鯉の「一問一答」長谷川さんと渡辺さんへ10の質問!Q. 朝起きて、一番にすることは?飲み物を飲む。水やお茶で喉を潤す。(長谷川)タバコを吸う。(渡辺)Q. なかなか眠れない夜、何をする?スマホをいじる。よく見るのはTikTok。美味しいお店、若い子のダンス、ニュース…などランダムに流れてくるのを見ますね。(長谷川)寝ないっす。酒飲んでますね。主にビールです。(渡辺)Q. 犬派?猫派?猫派。札幌で飼っていました。(長谷川)犬かな。昔飼っていたので。(渡辺)Q. タイムマシーンがあったら過去に行きたい?未来に行きたい?過去ですね。恐竜を生で見たい。あと江戸時代に行って、街並みを見てみたい。(長谷川)帰ってこれるなら未来。一人インサイダー取引をしたい(笑)。(渡辺)Q. 宝くじが当たったら、何に使う?世界一周。豪華客船とかあるじゃないですか。(「居酒屋のトイレに貼ってるやつね」と渡辺さん)そういうんじゃなくてさ、ひとつの街が動いていて、カジノがあったりするような豪華なやつ。(長谷川)特にないんですけどね…。生活に溶かしたい。なんとか使い切ります。(渡辺)Q. 愛用のマスクはどんなデザイン?コンビニとかで売ってる、普通のマスクを使ってます。(「長谷川さん、一回シースルーのマスクつけてきたよね。作りが薄すぎるやつ」と渡辺さん)あぁ、配ってたやつね!半紙みたいに薄かったやつ。羽衣みたいな。みんな僕を見て笑ってました。(長谷川)なんでもいいっす。(渡辺)Q. 好きなおにぎりの具は?親が作ってくれた納豆おにぎり。普通に売っているのであれば、シーチキンか五目。(長谷川)僕、シャケ。普通のシャケです。(渡辺)Q. あなたの弱点を教えてください。硬い食べ物が難しいです。特に鳥の軟骨揚げと、マカデミアナッツと、ガム。高校の頃は雨が苦手で学校を休んでいましたが、今は克服しました。(長谷川)体が弱い。風邪ひきますし、だいたいどっか痛いです。(渡辺)Q. 子どもの頃の夢は?漫画家。コロコロコミックが好きで大学ノートに描いてました。(長谷川)こけし職人。木を削る機械を使ってみたかった。(渡辺)Q. 無人島に持って行くなら?業務用のマヨネーズですかねぇ…。マヨラーなので、なんでもつけたいんです。それがなくなるまでの間に脱出したい。(長谷川)無人島に行きたくねぇもんな…。スーパーハウスかな。工事現場にある事務所みたいなやつ。中にエアコンもつけたいです。(渡辺)にしきごい長谷川雅紀(左)と渡辺隆(右)により2012年に結成。’20年のM‐1グランプリで初めて決勝進出、翌年初優勝を果たす。初書籍『くすぶり中年の逆襲』(新潮社)発売中。※『anan』2022年5月25日号より。写真・小笠原真紀取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2022年05月18日大学卒業後、迷わずにお笑い芸人と会社員というパラレルワークを選択したサーヤさん。個人事務所経営や、ミュージシャンとしても活動の幅を広げ、常にスキルアップ中!パラレルワークの魅力の一つは逃げ道を作れること。芸人と会社員、会社経営者という3つの顔を持つ、サーヤさん。じつは学生時代から、このパラレルワークを理想としていたそう。「相方のニシダと出会って、ラランドを結成したのは大学時代。4年生の時に学生芸人の大会で優勝し、芸能事務所からのスカウトもあったのですが、私は、卒業後は就職をしてフリーでお笑い芸人を続ける道を選びました。理由はいくつかあり、親から『新卒のカードが使えるうちに就職してもいいんじゃない?』と言われたことや、奨学金の返済があったから。ワンコールで、親からお金を振り込んでもらっていたボンボンのニシダが羨ましかったです(笑)。それに当時から、表に出ることにも、裏方で働くことにも興味があって。両方向からの視点を持っていたら、いろんな分野で活かせて強みになるはず、とも考えていました」新卒で、大手広告代理店に入社。平日の仕事が終わった深夜や、週末に、ニシダさんとファミレスでネタ作りをする日々。「転機になったのは、アマチュアで出場した『M‐1グランプリ』。敗者復活で準決勝に進出したのが、初めてのテレビ出演でした。翌年『おもしろ荘』へ出演すると、メディアからのオファーが増え始めたのですが、一部の人たちからは『芸人やりながら会社員もやるってどうなの?』と批判的な言葉も。悔しかったけど、どちらも中途半端にしているつもりはなかったから、バトルライブではその人たちよりも上のランキングを獲ってやる、って思っていました(笑)」そんな時、世の中はコロナ禍に。ライブやバイトができなくなり収入が激減した芸人も多かったが、サーヤさんは会社員の固定給により助けられたそう。「その辺りから、パラレルワークというスタイルへの、周りからの見方が変わってきました。さらに私自身も、広告代理店で身につけたスキルを活かしつつ、芸人としての活動にもう少し時間を割けるようにと、働き方を見直すことに。昨年、アプリの制作などを手掛けるIT関連会社に転職し、現在はプランナーとして働いています」芸能活動の合間を縫って、興味のあるプロジェクトを丸ごと受けることで、もの作りの“ゼロいち”が見通せるようになったのもやりがいになっているそう。「芸人と会社員、会社経営の各分野で得たものをネタやエッセンスとして、それぞれに還元できれば、唯一無二になれる。時どきの状況や環境で、働き方を変えていくことが理想だし、仕事ややりたいことを1本に絞らずに、逃げ道を作ることでストレス発散になるのもパラレルワークの利点です」昨年末からは、ミュージシャンの川谷絵音さんらと、ヒップホップバンド「礼賛」を始動。「中高の部活動で学んでいたアートや、ファッションにも興味があります。でも片手間で始めてしまうと、その道のプロに失礼だし、ミスをしたら『いろいろやるからだ』なんて言われる隙を与えてしまう。準備は入念にしながら、十二分に向き合う体力をつけて、始めるタイミングを見極めることが、パラレルワークのコツです」サーヤお笑い芸人、会社員、会社経営。1995年、東京都生まれ。上智大学在学中にお笑いコンビ「ラランド」を結成し、『M‐1グランプリ』では2年連続で準決勝へ進出。2021年2月に個人事務所「レモンジャム」を設立。CLR名義で作詞・作曲とボーカルを担当するバンド「礼賛」の活動にも注目が集まる。ジャケット、シャツ、パンツ すべて参考商品(ハルキ シマムラ s.haru79@icloud.com)イヤリング¥18,600イヤーカフ¥11,000(共にフェイフェイシュー feifeixujewelry@gmail.com)パンプスはスタイリスト私物※『anan』2022年4月20日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・西村茜音取材、文・若山あや(by anan編集部)
2022年04月14日著書『ちょうどいいブスのススメ』が話題になったのは3年前。歯に衣着せぬ物言いで、自身の経験や本音を発信し、女性たちの共感を得た。そんな山﨑ケイさんは、約1年半前に落語家・立川談洲さんと結婚。新刊『ちょうどいい結婚のカタチ』は、二人の馴れ初めから結婚までのエピソードを紹介しながら、山﨑さんが行き着いた“ちょうどいい”結婚観を赤裸々に記している。「当時は、タイトルの“ちょうどいい”も“ブス”も炎上して揚げ句の果てに『ススメるな!』とまで言われました(笑)。そういうわけで今回のタイトルは、誰にも何もススメない、“カタチ”にしました。この本は、Web連載していたものをまとめて、犬山紙子さん、横澤夏子ちゃんとの対談、結婚相談所への潜入取材を書き下ろして追加したもの。私自身、子供の頃から、時がくれば結婚は自然とするものだと思っていました。20代後半に周りの友達が、急に元彼とヨリを戻していたり、次々と“駆け込み婚”をしていったことで焦りまくった時期を経て、ある程度仕事も落ち着いて、女友達と遊ぶほうが楽しくなっていった。そんな過程で、そもそも結婚って何でするの?なんてこの期に及んでの疑問や、グラグラな女心を経験してきました。そんな私がなぜ、38歳で結婚を選択したのかというひとつの“カタチ”を知っていただければ、と」実は婚活は苦手だった、という山﨑さんだからこその気づきは多く、婚活のコツも盛りだくさんの本書。「行動しなければ何も始まらないなと夏子ちゃんと話して思いました。それに、婚活をしていると、理想ではなく本当はどんな相手を求めているのかとか、逆に結婚しなくていいや、なんて答えが出たりして、自分を知ることができると思うんです」そうして結婚したのは、4年もの間猛プッシュを続けてくれた、元“後輩芸人”だった。「実は、出会った当初は1ミリも好きになれなかった夫ですが、今は、家で『結婚したね!』なんて言い合ったり、『指輪です』なんて薬指を見せ合ったりしてます(笑)。もちろん、結婚するとなると名義変更など、女性は面倒くさい手続きがたくさんあるけど、結婚に伴う行事を一つ一つ乗り越えることで生まれた絆やつながりもあって。たとえば、うちはコロナ禍での結婚だったので、お互いの親がまだ会ったことがないんです。でも、富山で一人暮らしをしているお義父さんを気遣って、私の母親から『大雪だけど大丈夫かしら』なんて連絡があって、それを伝えたらお義父さんから雪景色の写真が送られてきたりして。こういう新しい関係性とか思いやりっていいな、って。事実婚などフリーなパートナーシップがカッコいいとされがちな時代ですが、それもカッコいいし、結婚もカッコいいと思う。だから、少しでも“結婚”というワードに引っ掛かっている女性たちに読んでもらえたら、そして結婚っていいね、と思ってもらえたらハッピーです」山﨑ケイ(相席スタート)『ちょうどいい結婚のカタチ』諦めて結婚を投げ出すのではなく、無理をして突き詰めるでもない“ちょうどいい”方法を山﨑ケイがアドバイス。夫婦のウェディングフォトも掲載。ヨシモトブックス1540円やまざき・けい1982年6月13日生まれ、千葉県出身。NSC東京校13期生。2013年に相方の山添寛とお笑いコンビ・相席スタートを結成。TBSラジオ『24時のハコ』にて、相席スタートが3月を担当。※『anan』2022年3月30日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2022年03月27日2020年5月にYouTubeチャンネル「ダイアン津田のゴイゴイスーチャンネル」を開設し、玄人はだしの腕前を見せるダイアンの津田篤宏さん。意外(?)にもマメな実況生活に迫る。ジャンルを問わず、どんなゲームも遊んできた。小さい頃はね、友達の家にしかファミコンがなかったんですよ。その子の家に行って『テニス』『ツインビー』『ゼビウス』『マッピー』とか、ほんま初期のゲームを遊ばせてもらってました。そのあとでファミコン買ってもらえて、『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』を遊んで。衝撃を受けたのは『火の鳥』。大人っぽいゲームでね。『ファミコン通信』か『コロコロコミック』に載ってたのを見て欲しなって、親父に頼んで買ってもらいました。ゲーム機はお年玉とかバイト代を使って全機種買ってきました。スーパーファミコンもPSもセガサターンも、メガドライブも。PS5まで一通り持ってます。携帯ゲームならゲームボーイもワンダースワンもあったし。あ、PCエンジンだけ持ってなかったな。なんでやろ。芸人になってもジャンルを問わずいろんなゲームをやってきましたけど、なかでも好きなのは『ペルソナ』とか『デトロイトビカムヒューマン』みたいなやりこみ系のアドベンチャーゲーム。没入感があるし、時間を忘れて遊べるところがいい。『逆転裁判』も『ダンガンロンパ』も好きやったなあ。あと育成も好きで、『モンスターハンターポータブル2nd』は楽屋でよく遊びました。(笑い飯の)西田さんもゲーム大好きで、よく一緒にやりました。実況を始めたのはコロナで休みになったから。2020年の5月がいちばんきつくて、みるみる仕事なくなって。なんかやらなあかんなと嫁と一緒に電器屋に買い物行ったら、ゲーム配信用の特設ブースができてたんです。ちょうど実況が流行り始めてて、PCやゲーミングチェアが丸ごと売ってて。そうか、これがあれば自分でもできるなと思って即買ったんです。僕、やろう思たらすぐやっちゃうんで。YouTubeで接続方法を調べてセットアップして、全部ひとりでやったんすよ。まったく何もやってくれないです、よしもとは(笑)。最初の実況はダイアンのYouTubeチャンネルのチームの方におすすめしてもらった『デッド・バイ・デイライト』。初回は顔が表示されなくてバタバタしましたけど、面白かったですね。自分の発言にお客さんがリアルタイムでコメントを返してくるなんて今までなかったんで新鮮やった。無言でゲームしてると「喋れや!」ってコメントが来るから、ああゴメン、いま何も喋ってへんかったなって。実況のことは僕より視聴者さんのほうが詳しいはずやから、何かツッコまれるたびにルールを教えてもらってる感じでした。たまにスパチャ(YouTubeの投げ銭)投げてまでコメントで文句言うてくる人もいて、ショック受けたこともありますよ。煽られてマジゲンカすることもあるけど、エンターテインメントとして面白くね。まあ芸人なんで、喋りで言われてもなーんも。結局みんな定型文なんすよ。オリジナルなコメント言うてこない。だから、たまにひねったことを言うやつがいると、めっちゃわろてまうんです。一回、「さっきから後ろにずっと映ってるの何?」って言われてつい振り返ってもうて。やられた!って思いましたね。取り上げるゲームはいつも自分で探してますね。好きやから気になるんすよ。ネットで調べて「こんなの出たんや」って。『Apex Legends』は、息子が「めちゃくちゃ面白いからやって~」って言うたから始めました。ああいうシューティングゲームってプレイしたことなかったんですけど、そのほうが素のリアクションが出るし、いいかなと思って。それにプレイしてる60人全員、どこかの誰かが動かしてるっていうリアル感は体験したことなかったんで、ガチハマりしました。そのなかでチャンピオン獲れた日には最高やし。あ、そうそう、息子に「実況では挨拶が絶対必要やで」って言われたから「こんちゃ、こんちゃ」って言うようにしてます。最近忘れてるけど。チャンネルでは『APEX』や『デッド・バイ・デイライト』など、津田さん初挑戦のゲームも多数。つだ・あつひろ1976年、滋賀県生まれ。2000年に相方のユースケとお笑いコンビ・ダイアンを結成。ゲーム歴は40年。YouTube「ダイアン公式チャンネル」も配信中。『ダイアンのTOKYO STYLE』(TBSラジオ)が放送中。※『anan』2022年2月9日号より。写真・下屋敷和文取材、文・飯田ネオ(by anan編集部)
2022年03月03日この日、ライブに出るために「ヨシモト∞ホール」に大きな段ボールを持って現れた、もう中学生(以下、もう中)さん。芸歴20年、デビュー当時から変わらない“段ボール芸”で再ブレイク中。そんなもう中さんの、ハートフルな“もう中トーク”の幕開けです!――テレビで見ない日はないほど、ご活躍されていますが、お笑い芸人を目指したのは、いつ頃から?また芸名の由来も教えてください。もう中:小学生の頃からテレビでお笑い番組を見るのが好きで、ダウンタウンさんに憧れていました。当時からお笑い芸人になりたい、と思っていたのですが、高校生の頃、夢を持ったまま何もしないのは後悔するだろうなぁと思って。親に「一年間お笑いを見てきます」と言って、18歳で長野から上京し、NSCに入りました。どうせ世に出ることはないから、へんてこりんな芸名でもいいやと思ったのと、18歳で“もう中学生”という響きが斬新で面白いと思ったので、すぐにこの名前に決まりました。――なぜ、段ボール芸をやるようになったのですか?もう中:NSCでネタを作る時に、周りはみんな漫才やコントをやっていたので、自分は今までに見たことのないものをやってみたいと思っていました。当時僕は、毎日牛乳やプリンを薬局に買いに行っていたんですが、ある時、店の前に山積みになっていた段ボールを見て、いくつかもらって帰ったのが始まり。それが、2001年7月のこと。その頃は小さい恐竜を作ったりして、シュールなネタを考え続け、ライブに出られない日々が続いていたんですが、2004年の9月、バイトの帰り道に巨大な段ボールが1枚だけ店先に置いてあったのを見つけて、これで超巨大な牛乳を作ったら、もしかしたらライブに出られるようになるかもしれない…と思った。そこから大きな段ボールになりました。とはいえ、根があまり明るくないので、ずっと暗いネタをやっていたんです。でもある時、元同期から電話があり「(本名の)丸田くん、顔が明るいんだから明るいネタやった方がいいんじゃない?まったねー!」ってガチャンと電話を切られて。その通りに明るいネタに変えてみたら、すぐにライブのオーディションに受かり、翌月からライブに出られるようになって。――ネタの方向性は変化しても、段ボールを使うことにはこだわっていたんですね。“段ボールアート”とも呼ばれていますが、その魅力はどんなところですか?もう中:たとえば、今日やるネタは“たわしの1日”といって、段ボールに、寝る、起こされる、洗われる、寝る…とたわしの1日を描いたんですが、そもそも段ボールに絵を描くとか、アートとは何かということではなくて。この大きな段ボールを持って劇場に来て、廊下にいる後輩くんや芸人仲間さんから「なんスか、それ」って聞かれた時に、「これは、たわしの1日だよ。見てわからない?」と言ったら「誰がわかるんだよ!」ってツッコまれた時点で、僕としては何日も労力をかけて作った甲斐があったと思えるぐらい、最高に楽しいんです。だから、段ボールアートを作っているという感覚ではありません。お客さまがわざわざチケットを買って劇場に見に来てくれるわけで、貴重なお小遣いで来てくれる人もいれば、仕事の疲れを癒しに来てくれる人もいる。そんな人たちに、心から“くだらない!”と思ってもらえる、見たことのないネタを披露して、家に帰ってもまだ衝撃が残っているようなことがしたいんです。――なるほど。この20年間で、きっと相当数のネタや作品が出来上がっていると思います。もう中:家には今までネタで使った2000個ぐらいの段ボールがあると思いますが、明確にウケたとか、自分が自信を持てるものは3つ4つで、あとはほとんどスベったもの。捨てようか迷ったままです。――捨てられるものですか?もう中:捨てたものもありますけど、でも作ったものは全部に思い出があるんです。たとえば、今朝ガレージで、2005年12月にルミネのユニットコントで使った消防車が目に入ったんですが、それを作ったのは、当時、風呂なし、共同便所のアパートに住んでいた頃。その部屋にはネズミがいたんです。ある日家に帰ってきたら、消防車の端がちょっとだけ削られていて。あ、ネズミが削ったんだなって思ってまたそこに赤い色を塗り直したことを思い出したり(笑)。それから、昨日の夜に作ったものを見ながら、あぁこれはあんなニュースを見ながら作ったなぁ…というふうに、段ボールを見るとそれを作っていた時の景色まで全て思い出すんです。作品のひとつひとつが、僕の付箋になっているんですよね。――付箋とは、素敵な表現ですね。ネタは最初の頃から進化しているのでしょうか。もう中:自分の面白いと思ったことを形にするという意味では、昔からそんなに変わってはいません。ただ、パンを題材にするならバゲットにして番組名にかけるとか、脳から出た新しい要素も加えているので、過去と現在を合わせていいネタを作りたいです。――未来的な要素は?もう中:未来のことには興味がなく、SF自体が何かもわからないです。もうちゅうがくせい1983年2月14日生まれ、長野県出身。NSC東京校7期生。段ボールに描いた絵と独特な語り口調のネタ“段ボール芸”で、2009年頃よりお笑い番組で活躍。’20年より『有吉の壁』(日本テレビ系)などに出演し、再ブレイクする。’21年10月からは、初の冠番組『もう中学生のおグッズ!』(テレビ朝日系)がスタート。テレビ朝日系列の「バラバラ大作戦」枠で、10月より冠番組『もう中学生のおグッズ!』がスタート。“タレントグッズ集め”を趣味にするもう中学生が、“もう中グッズ”を制作するために、毎回ゲストを呼んで研究するという新番組。ナレーターは、お笑いコンビ・ダンビラムーチョの大原優一。毎週月曜26:36~26:56に放送中。※『anan』2021年12月29日‐2022年1月5日合併号より。写真・馬場わかなインタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2021年12月28日『キングオブコント2021』優勝を経て、テレビにラジオにと大活躍の空気階段。仕送りの返済にパパキャラ転身と、緩やかに変化する王者のその後とは?――『キングオブコント』優勝から2か月半経ちましたが、生活の変化はありますか?鈴木もぐら:まずは借金返済ですよね。600万あったのを賞金で400万ほど返しましたけど、今パチンコや競馬で勝っても本当の勝ちではないんですよ。借金ゼロで勝って、やっと“浮いてる”状態になれる。最後に浮いたのって二十歳くらいなんで、久々にあの気分を味わいたい。水川かたまり:僕は親からの仕送りを返し始めました。仕送りをもらい続けて、優勝して返す道筋もあるんだよって、新たなスタンダードを後輩に示したいです。――返済する王者、素敵です。もぐらさんはパパキャラにキャラ変する話も浮上してますね。もぐら:そうですね。実際に子供も2人いますから。それに、パパキャラ1本分でクズキャラ5本分くらいのギャラになるんですよ。理想は江口洋介さん。かたまり:特に反対はないです。なれるもんならどうぞっていう。――クズキャラで仕事が回っている部分はないんですか?もぐら:うーん、でもクズキャラがもてはやされだしたのってここ1~2年だと思うんですよ。本来は引かれる存在なんです。打ち合わせで盛り上がっても、客席に出たらシーン。でもコロナ禍で収録が無観客になって、クズキャラを面白がるスタッフさんだけで番組を回したから、視聴者も面白がり方を掴んだだけで。それに、私のはあくまで“キャラ”ですから。――でもギャンブルは……。もぐら:いやいや、真人間の方もパチンコはしますでしょ?何も悪いことじゃないんですよ。本当のクズは岡野(陽一)さんと(ザ・マミィの)酒井くんです。――(笑)。冠番組『空気観察』も馴染んできましたね。もぐら:いや~、好きなことがやれて楽しいです。いつか朝の時間帯も狙っていきたいですね。かたまり:『渡辺篤史の建もの探訪』の前後くらい。僕たちの番組、寝ぼけて見るくらいがちょうどいい気がするんです。もぐら:夜のテレビはテンポを上げないといけないでしょう。「今なんかボケた?」くらい、まったりと見てほしいです。――そういえばかたまりさんはラジオ発の「サイコゥ!サイコゥ!サイコゥ!」で流行語大賞を目指しているんですよね。かたまり:はい。ただ、トークを遮ってしまうという致命的な欠陥が見つかって、道が閉ざされてます。なんとか工夫をして浸透させていきたいです。もぐら:ダンディ坂野さんの「ゲッツ!」は流れを壊さないですからね。動きもあるし。かたまり:マイナーチェンジも必要かも。提供バックで叫んで浸透させる方法も検討したい。――ちなみに今号は温活特集ですが、お二人は健康のために何かされてますか?かたまり:僕は結構してます。高校の頃からストレッチしないと寝付けなくて、足の裏から全身ぐりぐり、15分くらいやってます。温活ならサウナ。都内のスーパー銭湯を回るのが好きなんですけど、最近は時間がなくて。家に帰って寝るだけです。もぐら:寝るだけじゃないだろ、お前!彼女との時間とか!かたまり:……いや、なんで今そんなこと言うの。――確かに(笑)。もぐらさんは温活はされてますか?もぐら:う~ん、豚汁ですかねえ。温まりますし、汗もすごい。『松屋』と『かつや』、この2大豚汁は揺るぎません!かたまり:健康気にしてるの?もぐら:もちろん。「喫煙者がタバコをやめたら健康に悪い」って聞いたから吸い続けてる。かたまり:そんな話が聞きたいんじゃないよ。くうきかいだん2012年、NSC同期の鈴木もぐらと水川かたまりにより結成。『空気階段の踊り場』(TBSラジオ)、『空気階段の空気観察』(テレビ朝日系)などに出演中。もぐらさん(1枚目写真左)・ドレスシューズ¥137,500(ジェイエムウエストン/ジェイエムウエストン 青山店 TEL:03・6805・1691)その他はスタイリスト私物かたまりさん(1枚目写真右)・シャツ¥50,600ベスト¥88,000(共にシュガーヒル/4K TEL:03・5464・9321)ドレスシューズ¥159,500(ジェイエムウエストン/ジェイエムウエストン 青山店)ヴィンテージタイ¥3,850(ヨツメストア)ヴィンテージリング¥22,000(ダミットトーキョー)その他はスタイリスト私物※『anan』2021年12月22日号より。写真・西川元基(mild)スタイリスト・石川 淳ヘア&メイク・筑波成美取材、文・飯田ネオ(by anan編集部)
2021年12月19日『キングオブコント2021』の14代目キング・空気階段を、優勝からちょうど1週間後に直撃。まだ興奮冷めやらぬお二人の、喜びの声をインタビュー!『キングオブコント2021』で、見事に優勝トロフィーを手にした空気階段。1本目のネタ「火事」は、500満点中486点という史上最高得点を叩き出し、期待高まる2本目の「メガトンパンチマン」も審査員全員が高得点をマーク。文句なしの優勝劇を見せたお二人の、喜びのコメントからどうぞ!――まずは、優勝おめでとうございます。実はanan編集部にもファンがたくさんおりまして。二人:ありがとうございます!鈴木もぐら:ではもう、ananの公式マスコットでいいですか?――あはは(笑)。1本目と2本目のネタの順番を決めるのに、作戦はあったのでしょうか。水川かたまり:1本目は出順が9番目だったので、それまでみなさんが8本のネタを見ていると考えると、やっぱりインパクトがあるほうがいいのかな、と思いました。もぐら:両方勝負ネタなんですが、僕らの出番まで1時間半ぐらいあって。だからコース料理を出す順番で考えて、前菜があってスープがあって、9番目だと…。――ブリーフ一丁で、SMクラブでパンストかぶった料理は…。もぐら:デザートですね。――確かにインパクトあるデザートです(笑)。2本目のネタを終えた直後、手応えを感じましたか?かたまり:いやぁ~、直後は点数のこととか考えられなくて。もぐら:緊張がすごくてそんな余裕はなかったです。ただ、賞レースに出るのは今年で最後のつもりだったので、終わった、やり切ったな、という感じはありましたけど。優勝がわかった瞬間は「やった!」って感じ。かたまり:なんかいいことが起きた、という嬉しさはあったんですが、優勝を実感したのは2日後にラジオの生放送をした時。リスナーのみなさんからたくさんの「おめでとう」メールが届いていて、じわじわきました。もぐら:過去に2回『キングオブコント』の決勝に進出して優勝できなくて「惜しかったな」とか「また頑張れよ」って散々言われてきたので、お会いするみなさんから「おめでとう」って言われるのが一番嬉しいですね。かたまり:街で会う人たちからも声をかけられてびっくりします。もぐら:僕の場合の“街”とは、高円寺ですけど(笑)。――もぐらさんといえば、高円寺在住で知られていますね。もぐら:高円寺の純情商店街のアーチの下に“鈴木もぐらさんおめでとう!!”という横断幕を、商店街の有志のみなさんが掲げてくれたんです。嬉しかったな~。かたまり:もぐらは、純情商店街のフリーWi‐Fi大使もやっているんですよ。もぐら:思い出した時に「フリーWi‐Fi通ってるよ!」って言いふらすだけなんですけどね(笑)。でもその代わり、純情商店街のどこで寝てもいいっていう特権をもらいました。――どういうことですか?(笑)もぐら:大使になったのが4年前で、当時僕は家賃1万7000円のボロアパートに住んでいたんです。それでもいつ追い出されてもおかしくない状況だったんですが、そうなったら商店街の中のどこで寝てもいいって言われていまして。――優勝賞金の1000万円が入ってよかったですね。もぐら:ほとんどギャンブルでできた借金返済に充てますけどね。実は、今の借金の残りはあと550万だと思っていたんですが、調べたら700万ぐらいあって…。かたまり:え、マジで…嘘だろ?!いつわかったの?もぐら:さっき。整理したらこれもあれもだ、ってなって。債権者はあと7人。神7です!――ちなみにかたまりさんは、賞金を何に使う予定ですか?かたまり:今まで散々親に仕送りをしてもらってきたので親に返したいのと、『ノンストップ!』に出演した時にリモコンのdボタンで電動自転車を買うか、ハイエースを買うかを視聴者投票で決めてもらったら、電動自転車になったのでそれを買います。『ラヴィット!』に出演した時は僕らの賞金の使い道を考えてくれて、スウェーデンに今なら買える島があるらしいので、それも検討したい。――優勝した後にビートたけしさんから「これで芸人を辞めなくて済むな」と言われたそうですね。もぐら:はい。でも芸人を辞めようと思ったことはないというか、芸人ってなろうと思えばすぐになれるし、続けるのは自由ですから。でも辞めざるを得ないことが起こらないといいな、とは思いながらやってきました。かたまり:僕も辞めようと思ったことはないですが、もし辞めることになったら、お母さんが経営する会社に入ろうかな、って。もぐら:いきなり幹部です。ずるいけど、でも社員の全員が納得するのは結局“血”ですからね。いきなり知らないヤツが来て専務になるより、「新しい専務、息子だから」の一言で収まるなら…。――優勝後、レギュラーを務めているラジオ番組『空気階段の踊り場』で「もう戦えません」とおっしゃっていたのは、賞レースにはもう出ない、ということですか?二人:出ないです(即答)。もぐら:そもそもネタを戦わせたくないです。自分たちが作ったネタって、俺たちが一番面白いんだよ、ってアピールするためのものじゃなくて、俺たちは俺たちの道を行ってるんだよ、だと思うんです。ただ、俺たちはこの山登ってます、ってひっそりとやっていても誰も知らないまま。だから『キングオブコント』に出たら、あいつらの山も見てみるか、ってたくさんお客さんが来てくれるかなって。端(はな)からそういうつもりでした。かたまり:だから、戦うのは辛かったです。くうきかいだん写真左・鈴木もぐら(すずき・もぐら)1987年5月13日生まれ、千葉県出身。右・水川かたまり(みずかわ・かたまり)1990年7月22日生まれ、岡山県出身。共にNSC東京校17期卒業生。現在、ラジオ番組『空気階段の踊り場』(TBSラジオ)、バラエティ番組『空気階段の空気観察』(テレビ朝日系)、『有吉の壁』(日本テレビ系)にレギュラー出演中。渋谷・ヨシモト∞ホールにて活躍中。空気階段の大踊り場パーソナリティを務めるラジオ番組『空気階段の踊り場』の公開イベント「空気階段の大踊り場」(TBSラジオ主催)が、11月22日(月)に開催。会場:ヒューリックホール東京開演:19:00出演/空気階段(鈴木もぐら、水川かたまり)、岡野陽一配信チケット¥2,000FANYオンラインチケットか、TBSラジオイベントページへアクセス※『anan』2021年11月24日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2021年11月17日10月といえば、新ドラマが続々とスタートする心躍る時期。話題作がひしめき合うなか、2.5次元舞台のトップスター軍団が勢ぞろいし、荒牧慶彦主演で注目を集めているドラマ『あいつが上手で下手が僕で』がまもなく放送を迎えます。そこで、こちらのおふたりにお話をうかがってきました。荒牧慶彦さん & 和田雅成さん【映画、ときどき私】 vol. 416舞台でも共演の多い荒牧慶彦さん(写真・左)と和田雅成さん(右)が本作で挑んだのは、崖っぷちのお笑い芸人。荒牧さん演じる時浦可偉と和田さん演じる島世紀という2人のピン芸人がさびれた劇場で出会い、「エクソダス」というコンビを組むところから始まります。今回は、撮影の舞台裏やお互いへの思い、そして癒しの瞬間について語っていただきました。―まずはお笑い芸人という役を演じるうえで、事前に準備をしたことや苦労したことはありましたか?荒牧さんコントや漫才など、お笑い芸人さんの動画はいくつか参考に見てから撮影に入りました。なかでも、僕は監督から「又吉直樹さんのイメージで」と言われていたので、又吉さんの「テンションは低めだけど、ここぞというところで差す」みたいな芸風は意識しながら役作りをしています。和田さん僕も事前にいろんなバラエティ番組を見て、勉強しました。島はすごく明るい性格のキャラクターだったので、参考にしているのは、ティモンディの高岸宏行さん。あと、漫才のスタイルとしては、NON STYLEさんを意識しています。でも、お笑い芸人という職業を選んだ方にはかなりの覚悟があると思うので、それを演じることへのプレッシャーはすごくありましたね。大阪出身でお笑いが大好きなだけに、怖い気持ちは強かったと思います。僕にしか見せないまーしーの素顔を知っている―ちなみに、おふたりがいま個人的にハマっているお笑い芸人さんはどなたですか?荒牧さん僕はジャルジャルさんです。毎日動画が投稿されるので、毎日それを見ています。笑いどころが好きなのはもちろんですが、毎日投稿するのもネタを考えるのも、かなり大変なことですよね。にもかかわらず、すごく楽しそうにされていますし、本当におふたりは仲がいいんだろうなというのがわかるので、そういう微笑ましい姿からも元気をいただいています。和田さん僕は何周回ったかわかりませんが、改めてダウンタウンさんです。気がついたらおふたりの番組は、ほとんど見てますね。本当に、究極におもしろいおふたりだと思っています。―なるほど。インターネットでおふたりの名前を並べて検索したところ、予測の最初に「荒牧慶彦 和田雅成 仲良し」と出てきました。いまも本当に仲の良さが伝わってきますが、お互いのどんなところが好きですか?和田さん検索予測で「仲良し」が出てくるなんてすごいよね。荒牧さん確かに。きっとファンのみなさんが、そういうふうに検索してくれてるってことなんだよね。まーしー(和田さんの愛称)は、誰にでも明るく接することができるタイプなんですが、それでも時々僕にしか見せない顔をするときがあるので、僕はそこで周りに優越感を感じています。和田さんなんだそれ(笑)。まっきーの魅力は、あざとくてかわいいところ―和田さんの荒牧さんにしか見せない顔とは、どんな一面なんでしょうか?荒牧さん誰でもそうだと思いますが、いつも明るくいるのって疲れちゃうときありますよね?基本的に明るいまーしーでも、そうじゃないときがもちろんあるんですよ。でも、その明るくない部分も僕には見せてくれるので、それがきっかけで仲良くなった気がします。和田さん確かに、それはありますね。―では、和田さんは荒牧さんのどんなところが好きですか?和田さん僕たちはまっきー(荒牧さんの愛称)がボケで、僕がツッコミという関係性でずっと来ているので、まっきーがボケたときに別の誰かがツッコむとちょっと寂しそうにするんですよ(笑)。ついに、「ちょっと、担当がちゃんとツッコんでくれないと!」と僕に直接言うようになりましたから。あざといなと思いつつ、そういうところがかわいいんですけどね。まっきーのほうが年上なんですが、同い年のような関係性でいられるのもありがたいなと思っています。―逆に、直してほしいところはありますか?和田さんそういうところがあっても、それすらも好きになれるくらいお互いにわかり合えているので、僕はないですね。(声大きめで)まっきーも僕に直してほしいところなんて、ないよね?荒牧さんもう、声が大きいよ(笑)。そうですね、僕もないです。むしろ、そのままでいてほしいと思っているくらいですから。―ということは、いままでケンカしたこともない?和田さんそれもないですね。言いたいことがあれば、お互いにちゃんと言える関係なので、ケンカにはならないです。2人でアドリブをしている時間が楽しかった―ステキな関係性ですね。劇中では荒牧さんがボケで、和田さんがツッコミですが、先ほどのお話だと普段のおふたりも同じなので、コンビとしては演じやすかったのでは?荒牧さんそうですね。2人の間のテンポ感とかは、いつも通りなので練習する必要はまったくありませんでした。―撮影中にテンションが上がったシーンがあれば、教えてください。荒牧さん僕のお気に入りは、漫才のシーン。今回は、長回しにも挑戦しているので、1台のカメラで8~10分続けて撮ったことも。そうすると、だんだんみんなのなかで緊張感が高まっていくんですが、そんなときもまーしーが声を出して、みんなを盛り上げてくれました。そういったことも含めて、僕にとっては思い入れが強いシーンです。和田さん7分半を経過すると、だんだんみんなが自分の失敗でやり直したくないというプレッシャーをかなり感じ始めてたよね。でも、そんななかで最後のセリフを言い終わったあと、「カット!」と言われるまでに余白の時間が入るので、使われるかわかりませんが、毎回まっきーとアドリブを入れて遊んでました。荒牧さん僕もあの時間好きだったな。―それは、監督からアドリブの指示があったということですか?和田さん特に言われてはいなかったんですけど、僕たちが勝手にしていただけです。荒牧さんそのまま黙っていてもよかったんですけど、僕たちは沈黙が怖いので、つい普段のノリでアドリブをしてしまいました。実際、台本とはまったく関係ないこと言ってますからね。和田さん確かに。あるとき、アドリブしている最中にまっきーが持っていたパソコンを僕の顔の前でパソコンをパンッと閉じたんです。そこで、「俺はパソコン食われんのか!」とツッコミを入れたんですが、そのときにまっきーがめちゃめちゃうれしそうな顔をしていて、そこが僕的には一番うれしかったです。荒牧さんあはは!もし使われていたら、ぜひ注目してほしいです。青春の思い出は、幼なじみとケンカしちゃったこと―使われているかどうかも含めて、楽しみですね。では、今回の現場で、ムードメーカーとなっていた方を挙げるとすれば、どなたですか?荒牧さん今回は、みんなけっこうキャラが濃かったからね。いい意味でうるさいやつらというか(笑)。和田さん本当に、それぞれ個性豊かだよね。荒牧さんそんななかで、唯一静かにしてたのは、梅津(瑞樹)ちゃんかな。みんなが騒いでいても、端っこでじーっと集中してたよね。でも、そんな梅津ちゃんをみんなが笑わせようとしていたので、ある意味ではムードメーカーだったんじゃない?和田さん確かに、そうかも!―本作では芸人の青春が描かれていますが、ご自身にも青春時代の忘れられない出来事があれば教えてください。荒牧さん僕は小学校4年生のときに、幼なじみと大ゲンカしたことがあって、そのあと中学生になるまで疎遠になってしまった時期がありました。理由は思い出せないんですけど、それまではお互いの家にお泊りしたり、2人で遊んだりしていたくらい仲良かったのに、一切話さなくなってしまって……。その後、中学のときにバスケ部の友達が仲裁してくれて仲直りできたんですけど、いま思うと青春だったなと。和田さん僕が青春で思い出すのは、中学3年生の最後の野球大会で負けたときのこと。泣かないつもりだったんですけど、校舎の裏に行って、お互いに「ありがとう」と言い合った瞬間に涙が止まらなくなってしまって、みんなでボロボロに泣いたことがありました。当時は悔しいという気持ちが強かったですが、いま考えると青春してたなと思いますね。あのときのことは、いまでも鮮明に覚えています。男前が揃っているところも楽しんでほしい―まさに青春ですね。最近は忙しい日々が続いていると思いますが、いま癒しの瞬間といえばどんなとき?荒牧さんコロナ禍じゃなかったら、共演者や俳優仲間と飲みに行くのが僕の癒しなんですけど、最近は家でゲームをしたり、睡眠をとったりすることがささやかな幸せです。和田さん僕は猫の咀嚼音ですね(笑)。猫を飼っているわけではないので、動画サイトでピックアップしたり、お気に入りをチャンネル登録したりして、疲れているときに見ています。咀嚼音だけじゃなくて、食べている姿を見るのも癒されるんですよね。―それでは最後に、放送を待っているみなさんへ向けてメッセージをお願いします。荒牧さんお笑い芸人たちが苦しい状況のなかでもがいている姿や青春を追いかけている姿は、見ている方にとってもかつての自分を思い出したり、いまの自分と比較してみたりするきっかけになると思います。そのうえで、「一緒にがんばろう!」と感じていただける作品になっているので、ぜひそのあたりを楽しんでいただけたらと。ドラマのなかではスベッているところもありますが、漫才もストーリーもおもしろいので、仕事で疲れたときに元気をもらえるようなドラマになっています。お笑い番組を見るような感覚で、楽しく見ていただきたいです。和田さん見ている方が主人公の気分を味わえるような撮り方をしているので、ぜひこの世界を一緒に生きてほしいと思っています。とても明るい作品なので、深く考えずに、幸せな気持ちになっていただけたらうれしいですね。あとは、何と言っても男前ばっかりが出ていますから。僕を含めて(笑)。地元では負け知らずだった僕が、本当に男前が多い現場だなと見とれてしまったので、そのあたりも楽しんでいただきたいです。インタビューを終えてみて……。撮影中もインタビュー中も、仲の良かった荒牧さんと和田さん。絶妙なやりとりで、終始笑いの絶えない取材となりました。普段から築き上げられた見事なコンビネーションが、お笑い芸人のコンビとしてどのように生かされているかは必見です。劇場にいる気分を一緒に体感する!芸人生命の危機に立たされたお笑い芸人たちが、ときにぶつかり合いながらも、手を取り合って前に進もうとする姿を描いた芸人青春群像劇。笑いがあるのはもちろん、涙も友情もケンカもありと見どころ満載です。写真・山本嵩(荒牧慶彦、和田雅成)取材、文・志村昌美ストーリーお笑い界という大海原に揉まれ、漂流した者が最後に辿りつく場所とされているお笑いライブハウス「湘南劇場」。ほとんど観客のいないさびれた劇場に、“島流し”された8人の芸人たち。「ここを脱出しなければ、芸人としての未来はない…!」彼らは、どんな手を使ってでも抜け出そうと奮闘することに。果たして、相方や仲間たちと一緒に湘南劇場から抜け出すことはできるのか。芸人としてのカウントダウンがいま始まる……。思わず笑ってしまう予告編はこちら!作品情報『あいつが上手で下手が僕で』放送:日本テレビ2021年10月6日(水)24:59〜読売テレビ2021年10月9日(土)24:58〜©カミシモ製作委員会写真・山本嵩(荒牧慶彦、和⽥雅成)
2021年10月06日相方のボケに「なんでやねん!」とツッコむ… 。そんな王道漫才のお決まりを軽快に飛び越えて、“ツッコまない漫才”で一世を風靡したぺこぱ。ボケを抱きしめるように受け止めるスタイルが生む、優しい笑いのヒミツとは。“ツッコまない”が期待を裏切る!ボケを拾い抱きしめる優しい会話が生む笑い。――否定しないツッコミという新しいスタイルで、今やメディアで顔を見ない日がないほど大人気となった、ぺこぱのお二人。ボケを優しく受け止めるツッコミが誕生したのは、2018年のことだった。松陰寺:それまでも、他のコンビとはちょっと違うネタをやっていたのですが、まったく世に出るきっかけにならなくて。もっと違う形を模索している時に、ボケに対してツッコまずに受け入れるという形を見つけ、新しいと思いました。常に人に優しくありたい、否定ばかりする世の中が嫌だと思っていたわけではないんです(笑)。受け入れるツッコミは理由、理論、共感が要。シュウペイ:そのネタを最初にやった時は、正直、笑いどころが理解できなくて。自分が知らないお笑いに出合ったからですけど、のみ込むまでに苦労したというか。相方はボケを受け入れているのに、僕はなかなか、この漫才を受け入れられませんでした(笑)。松陰寺:ははははは。一番最初はプロポーズというネタで、俺が女性、シュウペイが男性を演じながらも、シュウペイまで女性になっちゃうというボケがある。それに対して「女性同士が結婚したっていいじゃないか」と言ったのが始まりです。“このネタにかける!”とかではなく、試しにやってみようかくらいの気持ちでしたね。あと、相方は、俺が書いた台本通りにやっているのに、ツッコまれて、否定されて、シュンとする役回りなのが変やなと思ったことがあって。それも“ノリツッコまない”スタイルが生まれた要因かも。シュウペイ:僕、困り眉だから、シュンとしたように見えたのかな。最近は眉毛サロンに通っていい感じになってるので大丈夫で〜す!松陰寺:今の発言、書いてあげてください。ただ、「そういうのがあったっていい」と受け止めることは簡単にできるけど、それじゃ面白みがないし笑いは生まれない。だから、受け入れるにあたっての理由とロジックと共感を、テーマとしておいています。“そういう考え方もあるよね”と思ってもらえるやりとりを意識しています。――漫才のネタを作る時は、松陰寺さんは脳内でシュウペイさんと掛け合いをしているという。松陰寺:頭の中でシュウペイが話して面白かったら台本に書き、ネタ合わせをして本当に面白いかを確かめる。台本を書いた時点でのネタの完成度は、50%くらいです。シュウペイ:シュウペイとしてネタを見せたい部分があるので、「俺だったらこういう言い回しをするな」と伝えたり、変更することも。まぁ、下ネタとかは絶対に許しませんけどね。シュウペイ、そういうキャラじゃないから。松陰寺:おかしいでしょ。そもそも俺、下ネタ書かないから(笑)。――ラジオでは、いつものキャラクターとは少し違う二人のやりとりを披露することも。シュウペイ:昔から松陰寺さんのことを知っている僕が、彼のやばい部分をケアしながら話しています。たとえば、松陰寺さんが自分が着ている服がダサいと言えば、「いや、松陰寺さんがダサいだけだよ」と言う、そういうケアです。もともと僕が汚い言葉を使わないこともあり、マイルドに聞こえるから、バランスがいいんだと思う。松陰寺:俺が暴言めいたことを言うと笑ってくれるんで、調子に乗っちゃうんです。ラジオではこういう一面を見せ、子どもが見る番組では優しいツッコミをしたりと、割り振りを決めています。――否定しないツッコミが生まれた時のように、これからも違うお笑いを目指していくという。松陰寺:今、世間の皆さんに、シュウペイがボケて俺が受け入れるというスタイルを、一通り知っていただいたと思うんです。その上で、新しい展開を見せていきたいですね。10月の単独ライブでも新ネタをたくさんやるし、今までとは違うぺこぱを披露できるはず。シュウペイ:終わった時には達成感で泣くと思うので、皆さんにも感動する準備をしていただけたら。そして、僕がデザインしたグッズを愛してもらえたら!松陰寺:ははははは。これからもずっと、お客さんの予想を裏切るネタをやっていきたいですね。ぺこぱが選ぶ!松陰寺さんの名フレーズ4選。これまで披露してきた、すべてを優しく包み込むツッコミの中からお二人がお気に入りをセレクト!名言のオンパレードをご堪能あれ。「漫画みてぇなボケしてんじゃねーよっ!て言うけど、その漫画ってなんですか!?」シュウペイさん演じるおじいさんが、電車のドアに顔を挟まれるというボケに対するセリフ。「自信を持ってできるネタ。ウケもいいです」(松陰寺さん)。「素直に納得できますよね」(シュウペイさん)「…時を戻そう」漫才がオチまで進んで別のバージョンに移る時、展開を頭に戻すタイミングで使われるキラーフレーズ。「これは、ちょっと革命を起こしたのかな、と思っています」(松陰寺さん)「急に正面が変わったのか…?」ネタ中に突然、舞台の隅に行ってしまったシュウペイさんを見て、自身を疑い始める松陰寺さんの姿が印象的なセリフ。「葬儀屋のバイト中、棺の向きが逆になっていたのを見て生まれました」(松陰寺さん)「お前よりはうるさい」松陰寺さんが世の中のことについて一方的に喋った後、意見を求めた相方から「うるさい!」と言われた時に返すフレーズ。「お客さんみんなが、“たしかに”という空気に包まれていました」(松陰寺さん)ぺこぱ2008年結成。『ぺこぱのオールナイトニッポンX(クロス)』(ニッポン放送)が毎週木曜24時~放送中。10月3日に単独ライブを開催予定。※『anan』2021年10月6日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2021年10月03日ハイテンポなしゃべくり漫才で人気のNON STYLEが、昨年結成20周年を迎えた。記念のライブツアーを開催しようとネタも準備していたが、新型コロナの影響でほとんどが中止に。「今年こそツアーがしたい」との熱い願いが叶って、「NON STYLE LIVE 2020・真/2021・新~あっというま~」の開催が決定!いろんな味を楽しめる、ノンスタ流“おばんざいタイプ”のライブです。石田明:僕ら毎年ライブをやって、新ネタ漫才をやるのが恒例なんです。僕はもともと面白い人間じゃないから、ネタをやるしかないという思いもあるし。単純にネタを書くのが好きなだけって感じもあります。井上裕介:去年は20周年記念のライブで全国まわる予定やったんですけど。石田:ほとんど中止になって……。なんとか東京では開催できたんです。井上:あの時は、お客さんにもたくさん入っていただきました。石田:生の舞台はやっぱりええもんですね(しみじみ)。お客さんの前でできるのが嬉しすぎて、犬の“うれション”状態の漫才でした(笑)。井上:僕らも嬉しかったけど、お客さんも、この苦しい状況をなんとか打破しよう、大笑いしてポジティブに生きようって感じがありましたね。石田:20周年からは1年遅れになりましたが、今年あらたに作ったネタとあわせて、ライブができることになりました。井上:20年前、僕は単にテレビに出る人気者になりたいって気持ちで始めたんやけど、石田とコンビ組んで、漫才って面白いなぁっていう感覚は最初からあった。それからずっと芸人として生きて芸人として死にたいという気持ちで続けてきましたね。石田:ターニングポイントは、結成8年目に東京に出てきた時。僕は大阪にいたかったのに、それまで出ていた劇場がなくなり、東京に出るしかない、という状況になって。井上:僕はせっかくなら全国区で戦いたいって気持ちが大きかった。石田:東京では仕事もほとんどなくて、正直苦しかった。でも、その1年間にじっくりネタ作りと向き合えたことが大きかったと思います。あの苦しい時間がなかったら、『M‐1グランプリ』優勝もなかった。井上:今はまたエンタメ業界全体が苦しい時期。だからこそ、どっかに光はあると信じて頑張りたい。石田:僕は去年、仕事ができない時期に家族とたっぷり過ごすことができて、仕事以外の幸せもあるんやなぁと知ることができました。意識も変わったし、新しい取り組み方も考えていきたい。井上:ネット配信やファンクラブも始めたしね。新しいメディアにも、対応できる力をつけておかないと。石田:ライブならではの面白さもあらためて感じる。今回のツアーも、“おっちゃんふたりが真剣にジャレ合ってるだけやん”みたいな生の空気を楽しんでいただきたいです。井上:うちのライブは“おばんざいタイプ”。いろんなおいしいネタがちょっとずつ見られる。女性にも楽しんでいただけると思います。石田:どんな時代になっても、自分たちのネタをやる漫才ライブは一生続けていきたいですね。井上:生で笑い声を聞くのは、芸人しか味わえない至福ですから!全国ツアー「NON STYLE LIVE 2020・真~あっというま~ NON STYLE LIVE 2021・新~あっというま~」2年ごしの開催となった20周年ライブ。9月14日より全国5か所で開催。思い出の地をめぐった映像も公開される。FANYチケットお問合せダイヤル TEL:0570・550・100(10:00~19:00)ノンスタイル共に1980年生まれ、大阪府出身の石田明(左)と井上裕介(右)が2000年に結成。2008年『M‐1グランプリ』優勝。石田さんは3女のパパとして、井上さんは“ポジティブナルシスト”として、それぞれSNSでも話題。衣装協力・meagratia※『anan』2021年9月8日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・難波雅恵インタビュー、文・伊藤愛子(by anan編集部)
2021年09月05日【音楽通信】第87回目に登場するのは、音楽界とお笑い界の才能が集結した、小籔千豊さん、くっきー!(野性爆弾)さん、中嶋イッキュウさん、川谷絵音さん、新垣隆さんからなる5人組バンド、ジェニーハイ!番組をきっかけに才能豊かなメンバーが集結写真左から、新垣隆(Key)、くっきー!(野性爆弾/B)、中嶋イッキュウ(Vo)、川谷絵音(Gt)、小籔千豊(Dr)。【音楽通信】vol.87バラエティ番組『BAZOOKA!!!』(BSスカパー! 2011年〜2019年)発のプロジェクトとして、2017年に誕生した小籔千豊(Dr)さん、くっきー!(野性爆弾/B)さん、中嶋イッキュウ(Vo)さん、川谷絵音(Gt)さん、新垣隆(Key)さんからなる5人組バンド、ジェニーハイ。お笑い芸人さん、ミュージシャン、現代音楽家と、さまざまなジャンルのジェニー(フランス語で天才の意)が集結。バンドの全面プロデュースを「ゲスの極み乙女。」や「indigo la End(インディゴラエンド)」などのバンド活動も行っている川谷さんが兼任する、才能豊かで個性あふれるメンバーが揃っています。そんなジェニーハイが、2021年9月1日に、2ndアルバム『ジェニースター』をリリースされるということでメンバーから、小籔さん、川谷さん、中嶋さんの3名にお話をうかがいました。――あらためて、それぞれ初めて会ったときの印象から、お聞かせください。小籔川谷P(川谷プロデューサーの呼称)のことは、すでに「ゲスの極み乙女。」の音楽を聴いて認識していました。いざ番組でバンドを作るとなったときに、曲を作っていただく先生を決めることになり、第一希望で「川谷さんが良い」と話していたんです。ご快諾いただいて、実際にお会いすることになったのですが、ミュージシャンではなく、例えば演歌歌手における曲を作ってくれる先生にお会いするような感覚でしたね。そこから初対面の感想は……意外と、普通やったなと(笑)。ミュージシャンて「僕は空がパープルのときじゃないと曲が思いつかないから」とか、もっと前衛的なことを言うのかと思ったらそういうこともなく(笑)。川谷わはは、普通ですよ(笑)。初めて会ったときは確か番組の収録現場だったので、深くは話さず、その後ご飯に行きましたね。小籔さんは、テレビで観ている印象よりも、だいぶん優しい人だと思いました。小籔それはよう言われます。この間は、坂下千里子さんに「小籔さんて飲んでいるときは全然怒らない、ジェントルマンですよね」と言われましたし(笑)。中嶋私は(川谷)絵音さんの第一印象をあまり覚えていなくて。昔、渋谷にあるライブハウスのeggmanで、私がボーカルとギターをやっているtricot(トリコ)というバンドとindigo la End la Endが対バンしたときが初対面なんです。覚えているのは、その後に全国ツアーを一緒にまわらせてもらったときのことですね。絵音さんはライブのMCがすごく長くて面白くて、淡々と話し続けるんですが、演奏しているときとのギャップがスゴイから、ユニークな人なのかなと感じました。――今日はご不在のくっきー!さんと、新垣さんの印象は?小籔ガッキー(新垣さん)は、いろいろな騒動後にメディアに初めて出たのがこの番組だったんですが、えらい上品な方やなと思いました。よく「僕は『BAZOOKA!!!』で救われました」と常々おっしゃるし、ジェニーハイに誘っても「恩があるのでやらせていただきます」と快諾する、何に対しても男気のある方です。マネージャーをされているお兄さんいわく、「『BAZOOKA!!!』のお話じゃなかったらバンドは組んでいないはず」と。それに、才能のある川谷Pの存在も大きかったようです。くっきー!は芸歴が一個下なんですが、吉本興業の養成所のNSCの同期に情報通がおって、「一番面白いのは野性爆弾です」と聞いていて。下には次長課長、チュートリアルやブラマヨとかおるんですが、「一番面白いの誰や?」と聞くと、ダントツ1位が野性爆弾。ただ、あの見た目だしと思ったけど、会ったら気のええやつでしたね。とにかく、ジェニーハイはいいバンドです。――そもそも川谷さん、小籔さん、中嶋さんが、プロになる前に憧れていた歌手やアーティストの方などと、初めて購入したCDなども教えてください。川谷これまで音楽の変遷はいろいろとあるんですが、もとは小学生のときに、T.M.Revolutionの西川貴教さんに憧れていました。初めて買ったCDは、EXILEです。中学1年生ぐらいのとき『EXILE ENTERTAINMENT 』(2003年)というCDを買いました。当時は楽器が弾けないので、鼻歌で曲を作っていて、最高のメロディが出来た! と思った鼻歌のメロディが完全にEXILEのアルバムの曲と一緒だったこともありました(笑)。聴きすぎていたんですね。「あっ俺、音楽の才能無いかも」って当時思いました。小籔まあ、子どもやったらそうなるわなあ(笑)。僕は、親が音楽を好きすぎて、母親は「大阪球場にマドンナのライブ行ってくるわ」「ジェームス・ブラウン行ってくるわ」とか。掃除機をかけるときもよくレッド・ツェッペリンとか、洋楽を爆音でかけていました。僕が小さいときにおばあちゃんから「ファミコンのカセットを買うたるからギターを習いに行け」と言われることも。うちは自転車屋やったんですが、自転車が好きと思ったこともないですが、すでに自転車に囲まれていたという状況に近いというか、無意識のうちに音楽のシャワーを浴び続けていたような感じです。車に乗るようになってからは、FMラジオを聴くようになって、TOKYO No.1 SOUL SET、ピチカート・ファイヴ、スチャダラパーとか、車に乗っていた時期に一番音楽を聴きましたね。中嶋小学校のときに、モーニング娘。にハマったのが最初ですね。中学高校とバンドをしたので、また好きな音楽も変わっていきました。一番好きなロックバンドは、システム・オブ・ア・ダウンです。川谷ギターが弾けなくて、コピーするのをやめたやつ?中嶋そう、難しくて、まだ全然弾けないんです(笑)。絶妙な曲がいっぱいある飽きないニューアルバム――2021年9月1日に2ndアルバム『ジェニースター』をリリースされますね。川谷前作が約2年前のリリースなのですが、僕がやっている各バンドでは毎年アルバムを出しているので、2年ぶりというととても期間が空いた感覚もあります。ただ、ジェニーハイはすごくレコーディングに時間がかかるので、そのぶん準備できて良かったなと。練習の時間もできるので、だんだんと曲のレベルが上がっていっています。そういう意味では、早く作らなくて良かったなって(笑)。いろいろなジャンルの曲が入っていて、バンドの成長記録としては、やっと世に出せるものになったかなという感じ。老若男女が聴けるアルバムになりました。――6月に先行配信された収録曲1曲目「華奢なリップ feat.ちゃんみな」では、実際にラッパーのちゃんみなさんと組んでみていかがでしたか。中嶋ちゃんみなさんとは今回初めてお会いしました。レコーディングは別々だったのですが、MV撮影のときに一緒になって、そのときに表現力が圧倒的だなと。コラボさせてもらって、刺激を受けました。川谷コラボ作品でも基本的に、いつもは僕が歌詞を書くのですが、この曲は最後のラップの歌詞をちゃんみなに書いてもらってコライトをして、新しい刺激をもらいましたね。こういう書き方もあるんだな、こういう譜割りもあるんだなと。歌もちゃんみなが自分で録ったものを1トラックのみ送ってきて、たぶんコレという歌のバランスやこだわりが強く本人のなかにあるようで。ジェニーハイって、良くも悪くもふわっとしているので、彼女のようにストイックな人が入ってくると、バンドの空気も良くなると思いました。小籔川谷Pもイッキュウさんも、ちゃんみなに刺激をもらったんですね。僕は、『BAZOOKA!!!』内の企画「高校生RAP選手権」にちゃんみなが出ていて、「あの子はみんなを惹きつける子」やなとその当時から言っていました。出演の翌年(2017年)にその子がデビューして、パーティに歌いにきてもらったり、彼女のミュージックビデオに出たり、ご飯に行ったり。高校生のときから知っているから、僕のなかでは東京の娘、親戚の子という感じ。うちの娘もちゃんみなが好きですし。ある日、突然、川谷Pが「ちゃんみなとコラボしようと思うんです、知ってますか?」と言われての今回です。みんなで串カツを一緒に食べに行ったら、ちゃんみなが串カツを上品に食べていたんですよ。僕は、そんな串カツの食べ方に刺激を受けましたね(笑)。――2曲目「夏嵐」は7月配信の軽やかなサマーナンバーです。川谷ジェニーハイの曲はシンプルな曲もあるんですが、わりと複雑な曲も多いので、この曲はシンプルに作ろうと思って。アルバムのスパイスになるよう、疾走感のある曲を作ろうと考えました。夏の曲にしようとは思っていなかったんですが、あとから歌詞で夏らしさを入れ、J-POPとして広く聴いてもらいたいので、イントロから耳なじみの良い曲を作りました。中嶋今作のなかで「夏嵐」が一番意外で、これまでになかった感じの曲でした。歌うときもどういう感じなのか想像できなかったというか、できあがって聴いてみたら、すごく爽やかでずっと聴いていられる曲に仕上がったと思いましたね。小籔イッキュウさんの声が一番可愛らしいな、合ってるんやろうなと。僕はドラムのところから聴いて、だんだんマスターして余裕が出たら、歌を聴いて、楽しくなってきました。たくさんの人に聴いてもらいたいなと思いますね。――6曲目「良いんだって」や、8曲目「ジェニーハイボックス」もみなさんで歌うラップ曲ですが、バンドの演奏曲とラップ曲とのバランスが絶妙ですよね。「ジェニーハイボックス」は自己紹介があって、聴いていて楽しくなります。川谷ラップを作っていると、自己紹介する感じになっちゃうんです。「良いんだって」は全然自己紹介の曲じゃないですが、こんな曲もラップでできたりしますし。新垣さんのソロラップも「ジェニースター」には入っていて、新垣さんは最初いやがっていたんですが、最近は「ラップの王になる!」と言うまでになっているので(笑)。わりとラップの曲は増えてはいますね。ジェニーハイにしかできないことがやりたいので、普通のバンドだったらこんなことやったらただ寒いだけかもしれないんですが、新垣さんは真面目にやっているだけで面白いじゃないですか。あれはもう天性のものですし、この5人のバランスだからできることです。小籔ライブではガッキーのラップがすごい盛り上がるんですよ。女の子からの声援のあとに、めちゃくちゃ下手なラップが聴けるという(笑)。僕が見ていても、この人がメンバーでいてくれて良かったです。ーーアルバムのタイトル曲となる11曲目「ジェニースター」は、一番今作を表すということでしょうか。川谷表すと言えば表すんですが、ちょっとふざけた曲なので(笑)。ジェニーハイがもともと、「天才を超える」という意味なので、まだまだみんなスターじゃないんですよね。だから本当はスターじゃないけれど、例えばいきなり自分が超人になる夢を見るような、「スターになったらいいな」という思いを自虐的に表している曲なんです。――川谷さんはindigo la End、ゲスの極み乙女。、ichikoro(イチコロ)その他複数のプロデュースにも携わっていますが、ジェニーハイの楽曲制作にあたり心がけていることや、他のバンド制作の際と違う面があればお聞かせください。ジェニーハイはインディゴやゲスのように、いい意味で深く考えすぎないというか。ゲスとかインディゴとかは「べつにわかりづらくなってもいいや」と作り込んでしまうことも多くて。でも、ジェニーハイは、わかりやすさ、ポップさみたいなものを優先しています。――小籔さんは「よしもと新喜劇」の座長として、そしてお笑い芸人さんとして活動されている一方、2003年にラップユニット「ビックポルノ」(2014年に解散)、2016年にバンド「吉本新喜劇ィズ(よしもとしんきげきぃず)」を結成、音楽フェスティバル『コヤブソニック』を開催など、音楽活動にも積極的な印象です。小籔お笑いに関しては、努力したことがないんです。ぐうたらなんで、新喜劇に入って最初の2年間だけです、努力したのは。新喜劇も、いまはそれほど気を張ってやらんでも、目配りをすることもないですし。台本はだいぶん手間をかけて真剣にやっていますが、それ以外はそうでもないから。でも、いまはそれ以外のお仕事をさせていただくことが多くて、ドラマに出演させていただくときも、セリフだけはきちんと入れます。役者さんのほうが絶対に芝居がうまいし、僕は絶対下手やけど、セリフは覚えているから許しといたろうか、と思ってもらいたいと。音楽をやるときも、新喜劇でデビューする前ぐらいに、最初はスチャダラパーを聴いたときに面白くてカッコいいけど、逆に芸人がラップやったら面白いかもと。それでふとしたきっかけでラップをやることになって。新喜劇ィズのメンバーには、いつも言うてることがあって、例えばフェスで僕らが出るとなったら、絶対に裏で舌打ちしてるやつはおると。なんでお前と一緒に出なあかんねんと思う人が、言ってけえへんだけでおる。そこで、芸人がフェスに出てすみませんと思うんやったら、あいつめっちゃ下手やけど練習はちゃんとしてるな、下手やけど音楽に対しては真面目やなと思ってもらうのが大切や、と言っているんですよね。――イッキュウさんは、2010年からロックバンド「tricot」としても活動されていますが、ジェニーハイのシンガーのときは意識の違いはありますか。中嶋 tricotでは、長い間自分で作って自分で歌うことしかしていなかったので、ジェニーハイのデビュー曲「片目で異常に恋してる」が地獄のように難しかったんです(苦笑)。絵音さんの曲は一筋縄ではいかないとは予想していましたが、レコーディングでもすごく苦戦した記憶があって。でも、最終的にはその作業が自分の実になっていて、他の人が想像するゴールに向かって考えるというのはとても楽しくて。自分のなかでまた違う扉が開いた感じがあって、tricotのときとは違う脳みそを使っている感じですね。川谷「片目で異常に恋してる」は、コンピューターが歌うようなメロディなんですよね、ボカロのような譜割りで。人間が歌うには限界の速さに近いんです(笑)。これが1曲目だったから、そのあとはスムーズに受け入れられるというか。この曲は変拍子だし、ドラムとギターも全然違う譜割りで弾いてもらうような難しい曲をやっていたから、あれ以上に難しいものはいまやってないですね。自分で演奏するのもいやだから(笑)。小籔難しいものばっかりになったら、こちとら、ヒィヒィ言わなあかんから、難しい曲をやりたいときはその気持ちだけにしておいてください(笑)。――では今回のアルバムをどんなふうに聴き手に聴いてほしいでしょうか。川谷楽しいアルバムですが、全曲に切なさもあって、ただ明るいだけのアルバムでもない。絶妙な曲がいっぱいあるので、好きなときにいつでも聴いてほしいですね。クリスマスの曲もありますし、飽きないアルバムになっています。中嶋私は家でも聴いていて、楽しくてワクワクする感じがわいてきます。歌詞自体は両手放しで楽しいです、という話ではないのもあるんですが、音がすごいワクワクするので、音楽を聴いて楽しんでもらえたらと思います。小籔全部通して聴いていただきたいですし、1曲だけ鬼聴きする感じでもいいですし。わりと長いこと、聴いていただけるようなアルバムちゃうかなと。ぜひ買っていただきたいなと思います。――9月25日には初のアリーナ公演が控えていますが、どのようなライブになりそうでしょうか。川谷けっこう効果的な演出にもなりそうで、かなりバラエティ豊かなステージになると思います。小籔芸人がおるバンドのライブじゃないような、「めっちゃアーティストやん」っていう感じのライブになります。曲がいいのはもちろんですが、きっと12回は笑うと思います、そのうち8回は、ガッキーで笑うでしょうけど(笑)。「65歳までジェニーハイを続けたい」(小籔)――よろしかったら普段のご様子もお聞かせくだい。みなさんはおうち時間をどのようにお過ごしですか?川谷以前は映画を観ることもありましたが、最近はずっと観れなくて。曲を作るときは集中しているんですが、きっと人間は脳の容量があって、いろいろな曲を作っているとそれ以外のことは端から忘れていくんじゃないかなと。映画を観た直後しか内容を覚えていないぐらい、集中できないんです。だから、2、30分で終わるようなアニメをずっと流して、部屋の掃除をしたりしていますね。(新旧のアニメが鑑賞できる)バンダイチャンネルで視聴できる『わがままフェアリーミルモでポン!』(テレビ東京系列シリーズは2002年〜2005年放送)という、ほのぼのアニメなんかを観ています。BGM代わりにちょうどいいんです。それ以外のときは基本曲を作ったり、あんまり休みという休みはないですね。前はご飯を食べに行ったりしていましたが、いまはできないですから。小籔よう働いてはりますもんね。1回、沖縄の砂浜を携帯も持たずに裸足で歩くような日が、1年に1回ぐらいは必要かもしれないですね。川谷そうかもしれないですね、デトックスしないと。デトックスといえば、いまは以前は飲んでいたコーヒーもやめて、お酒も飲まないので、寝起きもよくてすごく調子がいいですね。なんとなくやめてみたんですが、カフェインにおかされていたんだなと(笑)。曲を作っていても、以前とは違う気もします。小籔諸説ありますけど、昼の14時以降にコーヒーを飲んだら、夜の睡眠に影響があるって、言いますもんね。川谷一番長いと、14時間ぐらいカフェインがきいちゃうという説も。小籔僕はいま、ドラムと(オンラインゲームの)「フォートナイト」の2本をやっていますね。ドラムもゲームも、基礎練習が必要なものですが、ドラムで好きな曲を叩いているときと「フォートナイト」をやっているときが、何も考えなくていい楽しい時間です。それ以外は、社会の闇に怒っていたり、子どもたちの将来が心配だったりして……僕も沖縄に行って、裸足で歩かなあかんかな(笑)。中嶋私も家では、曲を作るか、服を作るか、絵を描くかですね。仕事でもあるけど趣味でもあるので、これをやっているときは一番癒されます。自分でブランドをやっているので、カバンなど持ち物にどういう機能をつけようかな、とか考えるのが楽しいので、家ではそういうことをしていますね。――美容面では気をつけていることは?中嶋健康的な生活が一番いいと思っていて、犬を飼っているので、早寝早起きを心がけています。川谷めちゃくちゃ早朝に散歩に行ってない?バンドマンぽくないよね。中嶋そうですよね(笑)。いま暑いので早朝に犬の散歩に行っています。散歩しているときは携帯も見ないですし、1時間ぐらい散歩するので、脳がクリアになりますね。それが一番美容にも、結果的に良さそうかなという気がします。――では最後に、バンドを代表して小籔さんから、ジェニーハイの今後の抱負をお聞かせください。小籔「紅白歌合戦」に出て、日本の三大フェスにも出て、全国ツアーも毎年開催して、それが65歳まで続けばいいなと思っています。僕が65歳になるまで、ジェニーハイを続けたいと思っていますので、目標を達成するために、みなさんさまざまなご支援をお願いします。取材後記まさにスターが集結した、ジェニーハイのみなさん。ananwebのインタビューの際は、川谷絵音さんの音楽の感性や秀逸さ、中嶋イッキュウさんのシンガーとしての魅力、小籔千豊さんの音楽や人生に対する真摯さを実感。とくに小籔さんは、筆者やスタッフの方にもお菓子を自ら配るなど、気配りが素晴らしい方。大阪出身の筆者としては、ジェニーハイの音楽もお笑いもたくさんの人たちに届いて、笑顔が広がることを祈っています。そんなジェニーハイのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりジェニーハイPROFILE小籔千豊(Dr)、くっきー!(野性爆弾/B)、中嶋イッキュウ(Vo)、川谷絵音(Gt)、新垣隆(Key)からなる5人組バンド。バラエティ番組『BAZOOKA!!!』(BSスカパー! 2011年〜2019年)の知名度をあげるため、2017年にプロジェクトとして誕生。音楽番組や音楽フェスなどへの出演を目標に、当初は番組MCの小籔千豊、レギュラー出演のくっきー!、中嶋イッキュウの3人で結成。その後、3人からのアプローチにより、川谷がプロデューサー&ギターに就任。さらに小籔の推薦で新垣をメンバーに迎える。2018年3月、1st配信シングル「片目で異常に恋してる」でメジャーデビュー。2021年9月1日、2ndアルバム『ジェニースター』をリリース。9月25日、ぴあアリーナMMにてアリーナ単独公演「アリーナジェニー」を開催。InformationNew Release『ジェニースター』(収録曲)01.華奢なリップ(feat.ちゃんみな)02.夏嵐03.バイトリーダー典子04.BABY LADY05.コクーンさん06.良いんだって07.ルービックラブ08.ジェニーハイボックス09.卓球モンキー10.クリスとマス11.ジェニースター12.シャンディー2021年9月1日発売*収録曲は全形態共通。*トールサイズデジパック仕様、オリジナル漫画掲載「ジェニースター」ZINEを封入。(通常盤 CD)WPCL-13323¥3,300(税込)(初回限定盤 CD+DVD)WPZL-31892/3¥4,950(税込)(初回限定盤 CD+Blu-ray)WPZL-31894/5¥5,500(税込)*初回限定盤2形態には下記公演映像を付属。・ジェニーハイ ONEMAN TOUR 2020「みんなのジェニー」(2020.2.18@Zepp Divercity Tokyo)・ジェニーハイ無観客ワンマンライブ「ベイビージェニー」(2020.10.27@Zepp Tokyo)・ジェニーハイ1stフルアルバム『ジェニーハイストーリー』リリース記念フリーライブ(2019.11.27@六本木ヒルズアリーナ)・ジェニーハイ ONEMAN TOUR 2020「みんなのジェニー」Behind the scenes取材、文・かわむらあみり
2021年08月29日芸も体づくりも、目標を公に宣言して挑み、貫いて果たす。挑戦と進化を続ける姿に、励まされている人は多いだろう。その堂々たる“ありのまま”こそ、“ゆりやんレトリィバァ”。目指しているのは数字ではなく“いつでも脱げる”体。――約1年前、美乳特集にご登場いただいた時、体づくりを始めて「痩せてもやるネタは変わらないし、もっと面白いことができる」とおっしゃっていたのをよく覚えています。とんでもないことを…(笑)。体づくりを始めた一番のきっかけは、芸人としてよりも、ふと「なにこれ、太ってるだけやん。もうええわ」と思ったこと。太ってることを芸にしていたわけでもないし、ただ不摂生でそうなっていた自分が嫌になったんです。コロナ禍になって誰にも会えなくなって、家の中を片付けたり、自分の体のことに目を向け始めた時に、健康に生きるためにはどうするべきかと考えていたのもあって。それでトレーナーの岡部友さんの下でトレーニングをしながら栄養学や食事のことを学び、ほんまに体に必要な食事と量はどのぐらいかを知った。今やっていることは全て自分の体のためになる運動や食事法で、やめる必要がないから続くんです。だからもうトレーニングや食事法は習慣です。“めんどくさー”と思った日は運動もやめて何もしないですけどね。今の体重は65kgで「まだまだデブやん」って言われるけど、ええねん。目指しているのは数字ではなく、いつでも脱げる体になって、好きな人の前で服を脱いだ時に「ふぅ~ん(ハート)」って言われる体やから。憧れは、インスタでフォローしてるジョセリーンさんというアーティスト。筋肉と肉感がちゃんとわかるヘルシーな体型なんです。――“ボディポジティブ”がトレンドで、ありのままの体が素晴らしいなんて言われていますけど。「ありのままがいい」とか言いながら結局痩せるんかい、って思われたりするけど、でも太っていた時に「ありのままでええねん」って言ってたのは、ただの開き直りやった。心も体も健康になって、これ以上変われない状態が私にとっての“ありのまま”なんです。――素敵な考え方です。体を変えて、一番変わったことは?イライラすることがなくなりました。生理もPMSもすごく軽くなったし。生きるのが単純に楽しくなったと思う。――そして、モテるのでは?荷物は“モテ”ますよ(笑)。――あはは(笑)。結婚願望は?あります。今までは、このキャラの芸人で結婚するとかキモいし、結婚したら仕事辞めるかもなんて考えてたけど、結婚したらしたやろ、と思えるようになった。好きなタイプは一緒にいて楽しくて、優しくて、性欲が強い人。仕事がうまくいってるのにしんどいのは、恋愛がうまくいってないからやと思うんですよね。結局、抱いてくれりゃ全てうまくいくのにさ、って思うから性欲は大事!(笑)――なるほど(笑)。芸人以外の、美容系の仕事も増えましたね。なんでも仕事をもらえるのは嬉しい。たとえ「痩せてもブスやん」って言われても「あっ、ごめんなー。でもやらせてもらうわぁ」って感じ。周りを気にするより、自分を愛したいんです。――この先の人生、芸人として、また一人の人間としてどう生きていきたいですか?あまりオンとオフはなくて。「仕事中じゃないのにそんなにボケんでええで」なんてこともよく言われるんですが、素で、こういう人間なんだなー私(笑)。だから、ゆりやんレトリィバァも吉田有里(本名)も一人の人間。やりたいことは全てやろうと思ってるし、夢は全部叶えたい。SNS時代の今は、自分から発信すれば、いくらでも夢が叶うチャンスがあると思う。ゆりやんレトリィバァ1990年11月1日生まれ、奈良県出身。第1回「女芸人No.1決定戦 THE W」優勝、第19回「R‐1グランプリ」優勝。『2時45分からはスローでイージーなルーティーンで』(関西テレビ)、『Doki Doki! NHKワールド JAPAN』(NHK総合・NHKワールド JAPAN)ほか多数のTV番組にレギュラー出演中。単独ライブ『RE:RE:RE:RE:』が9/20、東京・有楽町よみうりホールで開催。ボディスーツ¥14,300(ニー ミー/リディア TEL:03・3797・3200)ソックス、スニーカーはスタイリスト私物※『anan』2021年9月1日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・伊東牧子ヘア&メイク・George取材、文・若山あや(by anan編集部)
2021年08月27日美乳特集に登場していただいたのは約1年前。相変わらず続けているトレーニングで一段と体に磨きをかけ、ボディスーツ姿もごらんの通り颯爽としている。芸人として培った引き出しを次々に開けるように、目を引くポーズや表情を見せてくれたゆりやんレトリィバァさん。――そもそも、お笑いに興味を持ったのはいつからですか。小学校の低学年ぐらいかな。同級生たちと“吉本ごっこ”みたいなのをしていて、人気芸人のギャグを真似るとみんな笑うんです。自分のネタでもないけど、そこでウケた時の快感を8歳ぐらいで知り、吉本新喜劇に入りたいと思い始めました。ちなみに当時は、モーニング娘。にも入りたかったし、その後は映画が好きになり、映画関係の仕事に…と考えて、TSUTAYAの店員さんになりたいとも思っていたんですけどね(笑)。――映画がお好きなんですね。とくに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が大好き。映画で見るアメリカの世界観とか英語がカッコよくて憧れで。だから高校受験に失敗したら、アメリカ留学をしたいとも思っていました。――そこからどうやって芸人に?高校時代の友達で面白かったなおちゃんに「一緒にNSC行かへん?」って誘ったら、「私の人生棒に振る気か!」って言われちゃって。それで大学4年の時に一人でNSCに入りました。卒業ライブのネタバトルで優勝して“首席”という称号をいただいて、翌月から先輩のラジオに出させてもらったり、テレビのオーディションを受けられたりと、他の人よりはチャンスを多くもらえました。普通、若手は劇場のオーディションに通らないとネタすらできないので、恵まれていたと思う。でも私はバラエティ番組も好きだけど、ネタを作ってネタで笑いを取りたかったので、まずは「R‐1ぐらんぷり」(現在は“R‐1グランプリ”。以下、R‐1)で優勝して認められたいな、って思ってました。――そもそも最初からピン芸人でやるつもりだったんですか?小5の時に始まった「M‐1グランプリ」の影響で、当時は漫才師になりたかったんです。何回かコンビを組んだこともあるんですが、いろいろあって解散して一人に。そうしたらネタ合わせの時間もなにもかも、全部自分で決められるからめっちゃ楽で、ピンでやろうって。’15年、初めて出場したR‐1で決勝までいかせてもらったんですが、たまたまだと思われたくなくて、また1年間ネタを作り続け、翌年もエントリー。決勝には残ったものの優勝できなくて。その夏、ブルゾンちえみ(現・藤原しおり)ちゃんが大ブレイクしたんです。――彼女とは同い年でしたね。はい。好きなものも似ていてネタがめっちゃ面白くて、私もこんなんやりたかったのに!って悔しさもあった。そこから、勝手に自分にプレッシャーを与えるようになってしまって。また1年、R‐1に向けてネタを作り続けながら、次こそは絶対に優勝してやる!って毎日自分を追い込んで、毎日悪夢を見て……。’17年も決勝には残れたけど、結局また負けてしまった。それが今までで一番悔しくて、また今日から来年の大会を目指して1年間、ネタを作り続けるのか…と。――辛い時期があったんですね。その年は、ほんまに人のことが全員大嫌い。ずっと何かにイライラしていたし、全員ライバルや!って。ある時、小籔(千豊)さんにそのしんどい気持ちを相談したんです。そうしたら「ライバルやと思う気持ちもわかるけど、結局他人がどうこうではなく自分が頑張ったら仕事はもらえる。全部自分やで。それに、成功した時に負の感情がそこにあるのはもったいない」って言われて。ようやく、変な妬みとかは捨てて、自分が楽しいと思えることをみなさんに伝えていこうと思えた。’18年も決勝に残ったもののまた優勝できなかったんですが、今まで“優勝、優勝”って思ってたけど、一度勝ち負け関係なく面白いことだけをやる年にしようと思ったんです。それで翌年はR‐1にエントリーせず、アメリカのテレビ番組のオーディションに応募しました。――『アメリカズ・ゴット・タレント』ですね。あの星条旗の水着姿は日本でも話題になりました。ありがとうございます!結果は出せなかったけどすごく楽しかったんです。そのまま夏休みをもらって1週間ニューヨークに行き、飛び込みでスタンドアップコメディに参加してみました。でも自分の笑いが全然英語で表現できないし伝わらなくて、これはアメリカで生活して文化を知らんとあかん、と。それに、経験をしてできることが増えたらきっと、ネタだけじゃなくいろんな仕事につながるはずやと思ったんです。すぐに日本のマネージャーさんに電話して3か月の休みをもらい、それで昨年の1月から3月までアメリカへ。結局、コロナで戻ってくることになっちゃったんですが。――日本を離れたら忘れられてしまうかも、みたいな不安は?全然なかった。最初から不安を抱くんじゃなくて、何か起きてから怖がればいいや、って。――そう思えるのは、昔から?そうかもしれません。夏休みの宿題は最後の1週間で親に怒られながら泣きながらやるタイプ。でも結局できちゃうんですよね。だから「なんとかなるやろ」って思えるのは昔から。――今年はR‐1で、念願の優勝を果たしましたね。新たに出場資格が芸歴10年以内というルールができて、あ、私そういえばR‐1で優勝するために生きてきたし、やっぱり優勝したいわって(笑)。気持ちをすっかり切り替えたつもりやったけど、別に勝つとか負けるとかではなく楽しいことをやりたいだけです、みたいなスタンスの仮面をわざとつけてただけや、って思って。そやそやR‐1や、って(笑)。それで最初から「今年は優勝します!」って宣言しました。決勝進出が決まり、本番までの1か月は新幹線の中で「優勝はゆりやんレトリィバァです!」というところまでイメージして号泣したりもして(笑)。結果、芸人仲間やファンの方などたくさんの方に応援していただき優勝できたけど、今まで優勝できなくてよかったと思えるぐらいに人に感謝できるようになったし、大きな転機になったと思います。ゆりやんレトリィバァ1990年11月1日生まれ、奈良県出身。第1回「女芸人No.1決定戦 THE W」優勝、第19回「R‐1グランプリ」優勝。『2時45分からはスローでイージーなルーティーンで』(関西テレビ)、『Doki Doki! NHKワールド JAPAN』(NHK総合・NHKワールド JAPAN)ほか多数のTV番組にレギュラー出演中。単独ライブ『RE:RE:RE:RE:』が9/20、東京・有楽町よみうりホールで開催。ボディスーツ¥14,300(ニー ミー/リディア TEL:03・3797・3200)ソックス、スニーカーはスタイリスト私物※『anan』2021年9月1日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・伊東牧子ヘア&メイク・George取材、文・若山あや(by anan編集部)
2021年08月27日テレビ離れといわれる中、様々な世代に支持されているバラエティ番組『有吉の壁』。大勢の芸人がMC・有吉弘行さんという“壁”に挑んでネタを披露する。シンプルに見える構成に隠れた、時代にマッチしたテレビ作りの新たな姿を、制作陣のインタビューから考察します!時代は、緻密に構築された笑いから予定調和ではないリアルさへ。「ananが取り上げてくれるとは!」と、なんだか意外そうな番組総合演出の橋本和明さん。ゴールデンタイムでの人気ぶりには嬉しい誤算もあったという。「お笑い番組はおもに男性がターゲットなので、女性に見てもらえていることに驚いています。女性には芸人への親近感があるみたいで、奮闘記や成長物語として見てもらえているようです。『最近、安村さんが調子崩してる…』『パンサーの尾形さん、今日は絶好調!』というふうに、応援しながら追ってくれています。テレビって、ずっとすべてを面白く見せようとしてきましたけど、常にパーフェクトにやるのは、相当キツいんですよ。でも、『有吉の壁』(以下、『壁』)では『今日やっちゃいました…。絶不調です』という状況でも、有吉(弘行)さんや(佐藤)栞里ちゃんが受け止めてくれるからすべて許されるんです」番組作りで大切にしているのは「誠実であること」。「今の人は、YouTubeやTikTokを毎日見ているので相当な目利きです。何がリアルでそうじゃないか、すぐ見抜かれてしまう。だから、過剰に演出せず、誠実にリアルに作ることはすごく大事にしていますね。たとえば、コントは表情がオチだったりしますから、ネタを毀損しないように、なるべくテロップは入れません。聞き取りにくいところは入れますが、字で笑わせなきゃいけなくなってしまいますからね」その対極にあったのが、ひな壇のトークバラエティともいえそう。「トークが上手い方々が集まり、流れを組み立てていく、いわばショーアップされたプロレスの感覚で楽しむのがひな壇のバラエティ。それももちろん面白いんですけど、緻密に構築されたものは、どうしても最初に考えた範疇に収まってしまいがちなんですよね。『壁』はその枠からはみ出たドキュメンタリー。ある種確立されたお笑い技術では通用せず、先週ウケたパターンが今週はもうウケないということが毎週起こります。そうした予定調和が崩れたリアルさに目の肥えた人が惹かれるのは、時代と一致しているからなのかもしれません」やるまでどう転ぶか予測不能という厳しい条件下で、芸人たちが必死に考えたネタには口を出さないのが、橋本さんのモットー。「『パーパーなら歌ネタを』とか『ワタリ119なら体を張って』とか一切言わないです。芸人がやりたいネタにも、よほど問題がない限り、NOと言いません。ネタは全力で戦う芸人の自己表現の域。立ち入る気はまったくありません」芸人の渾身のネタを、有吉さんが面白いかどうか「」か「×」で判定する。このシンプルな構造こそが老若男女問わず、受け入れられるカタチだった。「考えるべきことが一つもない時間って、素晴らしいですよね。マツコ・デラックスさんも『人はそんなにテレビ見ながら考えたいのか』と仰ってましたが、緻密に構築されたウェルメイドなものより、シンプルなもののほうが今の時代の空気に合っている気がします」MCの有吉さんとアシスタントの佐藤栞里さんのコンビネーションも番組の魅力。「有吉さんは、そのネタが面白いのか、上手くいかなかったことを問い詰めたほうがいいのか、1日に40回、50回と瞬時に正しく判断していく。これって本当にすごいことなんですけど、その中で、時には芸人に厳しいことを言う場面もあるわけで。その横で、栞里ちゃんが『あ~残念!』とか『頑張ってください』とか小声で言うんですよ。バッサリ斬られた芸人にとってあのひと言は、傷を癒してくれる塗る薬みたいなもの。栞里ちゃんがいなかったら、多くの芸人の心が死んでいますね(笑)。奇跡のキャスティングですよ!」また芸人の“仲良し感”も、推したくなる今っぽいポイント!「休憩や移動中も『次は、こんなことがしたいね』とか、よく喋っていますね。安村さんは、ネタが終わると必ず楽屋で、パンサーの菅さんに『今日のネタ、どうだった?』って本気のアドバイスを求めていますよ(笑)。相談相手に菅さんを選ぶところに、安村さんの真面目さが出ています。みんな本当に仲がよくて、スタッフを含めてのびのびやっています。このチーム感は、一朝一夕では作れませんでしたね。ゴールデンに来るまでに、深夜の特番時代から5年かけて関係性を築いて、新しい人が来たら温かく迎えられるベースを作れたことはすごく幸せでした。この番組で、面白い人がちゃんと注目されて、仕事が増えたらいいですね。有吉さんも僕らスタッフもみんなそう思っています」定番コーナー「一般人の壁を越えろ!おもしろの人選手権」ショッピングモールや学校などでオールロケ。ロケ地にあるものや空間をめいっぱい使い、一般人に扮してネタがテンポよく繰り出される。誰と誰が組むのかも楽しみ。人気コーナー「流行語大賞の壁を越えろ!ブレイク芸人選手権」チョコプラの「TT兄弟」、シソンヌの「こうへいくんとゴンちゃん」、きつねの「KOUGU維新」など、人気キャラが爆誕。慣れないネタをやるコンビの必死さも面白い。「なりきりの壁を越えろ!ご本人登場選手権」芸人のモノマネに、スターご本人が登場!ご本人ではなく、ただ名前が似ているなど、強引につなげた人が出てくることも。一生懸命覚えたダンスを踊る姿はけなげ。「スピーチの壁を越えろ!日本カベデミー賞選手権」アカデミー賞授賞式のパロディで、司会の有吉さんがスピーチする芸人を指名し、無茶ぶり全開の質問で追い詰める。答えを捻り出す、芸人の懸命な返しが見どころ。『有吉の壁』毎週水曜19時~19時56分放送(日本テレビ系)橋本和明さん日本テレビ所属の演出、ディレクター。’03年、入社。現在の担当番組は『有吉ゼミ』『マツコ会議』など。『卒業バカメンタリー』『でっけぇ風呂場で待ってます』などドラマ演出も手掛ける。※『anan』2021年8月4日号より。取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2021年08月03日MCを有吉弘行さんが務めるバラエティ番組『有吉の壁』では、「第7世代」と呼ばれて人気者の新世代芸人も、特別扱いはなし。ベテランと肩を並べて奮闘し、リアルタイムで成長を目撃できる。インタビューでは「お笑い100%」に挑む眩しい姿をとらえました。ハナコの3人のインタビューをお届けします。新世代のコント師にとっては、番組はどういう存在なのか。――現場の雰囲気はどうですか?岡部大:ネタをやってみるまで有吉さんの反応がまったく読めないので、みんなソワソワしながら、有吉さんが通りかかるギリギリまで、打ち合わせてます。秋山寛貴:準備が間に合わなくても、有吉さんが来たら始めないといけないから、裏はバタバタです。そのライブ感がいいですよね。岡部:エンディング前にみんなで集まって、今日は何勝何敗だったか、報告会をするのが楽しいです。菊田竜大:共にその日を戦った戦友たちの結果は気になる!秋山:先輩も後輩も、「」か「×」かという同じ条件で、同じ苦労をしているからこその連帯感が生まれますね。いろんな世代とやらせてもらえる貴重な場ですし、準備してくれるスタッフさん含めて、この番組では全員が同じ空気を共有してる感じがします。――コラボはいかがですか?岡部:もう中学生さんに呼んでいただいて、あのワールドの一員になれるのが嬉しいですね。秋山:同じ事務所の中岡さん(ロッチ)や坪倉さん(我が家)に呼ばれた時の「チームワタナベ!」という一体感も『壁』ならでは。――得意なコーナー、もしくは苦手なコーナーは?菊田:得意は全然思い浮かばない。岡部:どのコーナーも毎回必死…。菊田:苦手なのはすぐ思いつきますね。大喜利。秋山:大喜利の菊田は、いつになく気合が入ってるんですよ。菊田:大喜利はシンプルだから、その人が面白いかどうかよりわかるじゃないですか。それで全然ウケない俺ってなんだよって…。いっつも悔しい思いで帰ってます。――番組のどんなところに新しさを感じますか?岡部:他の番組だと、ウケた部分だけが使われることがほとんどですけど、ここではどの芸人にもちゃんと「×」が出て、放送されるじゃないですか。そこに、芸人の生き様が映し出されてますよね。菊田:先輩たちはスベったあとの処理が本当にすごい。僕ら世代は痛々しくて、マジで笑えないこともあるのに。秋山:芸人が純粋にやりたいことをやって「×」が出た時って、絶対に面白いんですよ。でも、僕らは悔しいし、恥ずかしい。でも、嬉しくもあって。芸人の入り組んだ感情をあんな濃い密度で見られる番組はなかなかないですね。菊田:改めて「お笑いって難しいな」って難しいと感じさせられるけど、僕にとっては自分の成長を感じさせてもくれる番組です。ハナコ2014年結成。右・岡部大(33)、中・秋山寛貴(30)、左・菊田竜大(34)のトリオ。若手実力派コント師。『キングオブコント2018』王者。『新しいカギ』(フジテレビ系)などにレギュラー出演中。『有吉の壁』毎週水曜19時~19時56分放送(日本テレビ系)※『anan』2021年8月4日号より。写真・小笠原真紀取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2021年08月01日ベテラン勢の活躍も見逃せない、バラエティ番組『有吉の壁』。一芸で一世風靡した芸人も、「客ウケNo.1」の芸人も、MC有吉弘行さんの前では必死に笑いを模索し、応戦するように有吉さんは厳しく「」「×」 を出す。そんな泥くささで番組の魅力に奥行きを作っている、とにかく明るい安村さん、タイムマシーン3号さんに、その本音を聞きました。とにかく明るい安村特番1回目から、週1のレギュラーになって以降も出演を続けている、とにかく明るい安村さん。MCの有吉さんを笑わせるため、頭を刈ったりする体の張りっぷりなど、本気で体当たりするそのスタイルが、番組の人気や視聴者の好感度を押し上げた。そしてついたあだ名は「Mr.壁」。――『有吉の壁』が始まって以来、注目され続けている心境は?安村:(照れながら)いやぁ~本当にありがたいですね。特番が始まった当時は3~4か月に一回の収録だったんですが、スケジュールに『有吉の壁』って入ると、「来たか…」という感じで緊張がすごくて。やっぱりウケたいっているのが大前提にあるけど、有吉さんのジャッジはかなり厳しくて、生半可なネタではウケないですから。手を抜こうなんて気はまったくないけど、前にこれでウケたから…みたいな意識が自分でも気づかないぐらいの感覚で残っていたりすると、一瞬で見抜かれます。――そこに挑戦し続ける安村さんの精神はすごいと思います。安村:こんなにお笑いに徹した番組はないですから、もちろん全力です。ただ毎回、自分の実力のなさを痛感します。たとえば以前までは、いつか自分の番組を持ってMCをやりたいとか思っていたんですけど、勘違いしてるなって。――「ブレイク芸人」にピンで出続けているのも、自分に課したハードルなのでしょうか。安村:実はあのコーナーは、ウケたら自分の本ネタにしたいと思ってて(笑)。だから普通に、その後の営業や劇場でやってます。――『壁』でウケたら安心ですね。安村:それがなかなか難しい。有吉さんや(佐藤)栞里ちゃん、ガヤ芸人たちにウケるのってやっぱりサポートやアシストがあってこそだったりもするんです。でも劇場に来るお客さんは、当たり前だけど誰もサポートしてくれないですから。別の意味で厳しい。――Hulu配信のエンディングネタはなぜ生まれたんですか?安村:特番時代にスカイツリーでロケした時、最後にネタをやろうと思っていた場所が平野ノラちゃんとかぶって、お蔵入りになったんです。でもその格好のままいたら有吉さんが「そのネタ見てないけどなんなの?」って(笑)。それでエンディングに1ネタというのが今でも定番みたいになってます。これも有吉さんのおかげです。――毎週ネタを準備するのは相当ハードなんじゃないですか。安村:四六時中『壁』のこと考えています。ネタはトイレで大をする時かお風呂で考えるのがルーティンなのですが、スベり続けてた時に、有吉さんから「一回机に向かって考えてみろ」って言われました。やってみたんだけど、やっぱりダメでしたね。リラックス状態じゃないと思いつかない(笑)。――出演で変わったことは?安村:関係者から一般の方まで「『壁』見てます」と言ってくれます。子供からのファンレターには「有吉さん出して」って。俺宛てなんだけどね!(笑)とにかく明るい安村39歳、北海道出身。’15年『R‐1ぐらんぷり』決勝戦進出。「安心してください、穿いてますよ」のネタでブレイク。『有吉の壁』レギュラー。番組公式のYouTubeでもコーナーを持つ。タイムマシーン3号有吉さんに頼られるベテランにとっても、『壁』は新しいお笑いの扉を開かざるをえない場だという。――番組出演の反響は?山本浩司:僕らはCMが来たとかわかりやすい反応はないですけど(笑)、ネットを見ると知名度は上がってる実感がありますし、確実に芸人寿命を延命してもらってますね。関太:この間、小学生に見つかって10人も引き連れて歩く事態に(笑)。――新世代を含め、広い層に番組が人気なのはなぜでしょう?山本:ネタがポンポン入れ替わるのがすごく今っぽいですよね。いい意味で、腹八分目で見られる。関:とにかく芸人がみんな笑ってるのもいいのかも。山本:スベっても悲壮感が出ない。それはもう、有吉さんの受け手としての懐の深さのおかげ。有吉さんの拾い方って一本槍じゃないんですよ。潰す笑いでもなく、あえて拾わず、合気道のように受け流すこともある。どんなネタも笑いに昇華してくれるんです。――特にお二人は、「×」をもらう流れ込みで面白いです。山本:全部「」をもらう前提でやってるんですけどね!(笑)関:後輩がウケたらやっぱり悔しいし。芸人の中でネタをやるので小手先ではできない緊張感があって、ふんどしを締め直しています。山本:今まではネタやってウケて、その一辺しか見えなくてお笑いサイボーグと言われてきた僕らが、「×」をもらうことで人間味が出てきたとよく言われるんですけど、根っこの部分や多面的な個性も見てもらえてるのかもしれないですね。実際は本当に落ち込むので…、(佐藤)栞里ちゃんに救われています(笑)。――得意なコーナーは?関:ないです!(笑)特に、僕らは「ブレイク芸人」が苦手。作るキャラが全部おじさんくさくなっちゃって、リズムも盆踊りみたいに…。「カベデミー」は、体験したことのない笑いですね。息を止めて深海に潜っていくみたいに、どんどん苦しくなっていくんです。山本:10分同じ絡みを続けた1分後に、いきなり面白くなったり。関:ジャズの神プレイが生まれる瞬間ってあんな感じなのかも。――有吉さんから掛けられた言葉で印象的だったのは?山本:特番からレギュラーになる時に事務所のみんなでごはんに行って、「頼むな」「頑張らせてもらいます」と話したのを覚えてます。関:シンプルだけど、普段そういうことを言わない方だからこそ、その一言が重たかったです。――信頼関係がありますね。共演者に先輩として意識することは?山本:上下という感覚はないんですよ。ネタだと完全にコンビだけの世界で、何なら他の人がスベるとラッキーとか思っちゃう。でも『壁』で、みんなで作る意識が強くなりました。誰かがウケたら全員で「やったー!」ってはしゃぐし、パスを回し合って番組全体を盛り上げようとするんです。関:コラボすることでお笑いの形が変わっていくのも新鮮です。新しい芸人もどんどん番組に来ますし、必死に頑張らないと!タイムマシーン3号2000年結成。右・関太(42)と左・山本浩司(42)による同級生コンビ。『M‐1グランプリ』や『キングオブコント』で決勝に進出している実力派。テレビやラジオでのレギュラー多数。『有吉の壁』毎週水曜19時~19時56分放送(日本テレビ系)※『anan』2021年8月4日号より。写真・小笠原真紀取材、文・若山あや小泉咲子(by anan編集部)
2021年07月31日お笑いの新たな主戦場、バラエティ番組『有吉の壁』。その番組の顔ともいえる、ジャングルポケットさんと三四郎さんの5人を収録終わりに直撃。楽しそうな掛け合いはまさに『壁』レギュラーの絆。チームワークの良さと番組愛が伝わる裏トークを公開!――今日は朝から収録があったそうで、お疲れのところすみません。斉藤慎二:(『全裸監督』のキャラで)全然です!朝6時に池袋パルコに集合しただけですよ!(笑)――ジャングルポケットさんと三四郎さんは、『有吉の壁』のレギュラーですが、番組を支える柱としてプレッシャーはありますか。太田博久:壁を支えるより、越えなければいけないんですけどね(笑)。小宮浩信:特番の時代は3か月に一回ぐらいの収録だったんですが、それでも3週間ぐらい前から緊張しちゃって、正直、なんらかのトラブルでなくなればいいなって思ってたんですよ。それが今では毎週ですからね。新しいネタを作り続けなければいけないプレッシャーはすごい。そして、朝早いロケとかもめちゃくちゃしんどいですが、終わったあとはなんだか清々しい気持ちで。だから今日も直帰したかったんですけど…。――すみません(笑)。斉藤:(『全裸監督』のキャラで)冗談ですよ!芸人なんでね。太田:お前、その喋り方でどうやって文字で伝えようとしてんの?でも実際、スベりたくないというプレッシャーがすごくて憂鬱にはなりますよ。いま収録した「ブレイク芸人選手権」でも、俺たちゴリゴリにスベって。有吉(弘行)さんは「×出せるからいてくれてありがたいよ」なんて言ってくれるけど、こっちはちゃんと傷つきますから。――「」と「×」の出し方はルールとか傾向はあるのでしょうか。太田:もちろん面白ければ「」でスベったら「×」ですが、よくない「」もいい「×」もある。小宮:オンエアされる「×」は良質な「×」。「」と「×」を回転させながら「まあ…いいでしょう」みたいな「」は嫌だよね。斉藤:回転させるぐらいなら、秒で「×」出してほしいよね。でも今日もスベったあとにきつねが「面白かったですよ」ってフォローしてくれたんだけど、仲間の芸人たちがみんな、優しい言葉をかけてくれるのがありがたいね。相田周二:今日のこそ良質の「×」よ。斉藤:いつだったか、出川(哲朗)さんが地方ロケに参加した時に、夜、20人ぐらいで温泉に入ったことがあって。「いやぁ~これが芸人だよ」って出川さんが言った時、こんなベテランでも一つの番組に命かけてるんだって感動してね。小宮:そうそう、そうやって強い絆が生まれていくんだよね。相田:それのおかげかな、毎週こんなプレッシャー抱えながらどれだけ続くの?みんな精神的に大丈夫?って思ってたけど、続きますね。終わる気配もない。――おたけさんはどう思いますか。おたけ:え~と、そうっすね…。小宮:いま時間あっただろ!全員:あははは!(笑)おたけ:『ボキャブラ天国』とか『エンタの神様』とか一時代を築いたお笑い番組は過去にもあったけど、『有吉の壁』もそうなるのかなって。ここに出たがっている若手芸人はたくさんいますから。太田:先輩や再ブレイク芸人もね。おたけ:だから今日のスベり方では、いつレギュラーをはずされてもおかしくないぞ、ってそれはもうプレッシャーです。相田:なかなか出られないからね。おたけ:ただチョコレートプラネットの「TT兄弟」もだけど、最新ネタをこの番組でやってウケるのが、売れる近道でもある。斉藤:僕らのネタ「ストレッチャーズ」もそうです。――コラボネタはどうやって生まれるんですか?太田:ネタを作った時に、これをやるには小宮さんが欲しいなって思ったら声をかける感じですね。小宮:これも『有吉の壁』の新しさ。違う事務所の芸人と組める。太田:ただ、ネタ作るほうとしてはスベった時の責任感ったら…。おたけ:小宮さんとモノボケでコラボした時、激スベりしちゃってすみませんでした(笑)。小宮:ガクトのね、覚えてますよ。(2021年3月3日放送「モノボケリサイクルショップ」コーナーでのひとコマ)――みなさんにとって、有吉さんはどんな存在ですか?太田:この番組が面白いのは、最終的に有吉さんの百人組手みたいなところで、芸人が有吉さんに粗めにぶつけるネタを次々に捌いていく様。スベってもお題を出してくれることで救われて優しいなって時もあれば、しっかり見通されているという怖さもある。斉藤:そしてしっかり痛いところを突きつつ、チャンスをくれる。相田:ノリで判定しないから、自信がない時はちゃんと「×」もらう。小宮:みんな有吉さんに認めてもらいたくて手を抜かない。そしてツイッターとかでバズるっていうのが新しい時代のお笑いなのかな。太田:ツイッターでトレンド1位になるのが嬉しい。これからもたくさん呟いてください!写真右から、ジャングルポケット2005年結成。斉藤慎二(39)、太田博久(38)、おたけ(39)からなるお笑いトリオ。『キングオブコント』決勝に4度進出。『ジャンポケロード』(群馬テレビ)などレギュラー番組多数。三四郎2004年結成。相田周二(38)は番組オープニングでカメラに走り込む芸がお決まり。小宮浩信(38)はジャンポケ斉藤と仲良し。『シブサワ解体深書』(テレビ埼玉)ほかレギュラー番組多数。『有吉の壁』毎週水曜19時~19時56分放送(日本テレビ系)※『anan』2021年8月4日号より。写真・小笠原真紀取材、文・若山あや(by anan編集部)
2021年07月31日すべてを肯定してくれることでおなじみの松陰寺太勇さんと、クロスした手の指で頬を指しながら名前を叫ぶシュウペイさん。大ブレイク中のお笑いコンビ・ぺこぱがMCのラジオ『ぺこぱのオールナイトニッポンX(クロス)』が、今年4月にスタート!松陰寺:『M‐1(グランプリ2019)』が終わってから、ずっとラジオをやりたいと思っていたので、ついに来たなと。シュウペイ:ぺこぱとして二人で話す場所を作りたかったんです。――テレビとはひと味違うトークを聴けることがラジオの醍醐味のひとつ。番組では松陰寺ではなく松井勇太として、シュウペイではなく成田秀平として存在し、普段とは違うテンションが感じられる。シュウペイ:むしろ、ラジオのほうが普段の二人の会話に近いから、嘘をついているとかではないんです。松陰寺:でも、初めて聴いた人はびっくりするかもね。“おじさんが何かネチネチ言ってるな~”って。だから、「ラジオを聴いてます!」と言われると嬉しい半面、これを聴かれているのかと複雑な気持ちにもなる。ラジオを聴いた後にテレビの松陰寺を見て“やってんな!”と笑う人がいるみたいだし。だから、ひっそりと聴いてほしい。シュウペイ:僕は多くの人に聴いてほしいですけど。松陰寺:素の自分を届けるというコンセプトとかは一切なくて。まあ、結局、ラジオで1時間“松陰寺”ができないということなんです。毎回化粧をして、髪を逆立てて、紫スーツを着て、「ロンリネ~ス!」とはできない!シュウペイ:ウルトラマンみたいなものだから(笑)。松陰寺:漫才師ってネタの時間が4分だから、そういうことです。でも、「シュウペイで~す!」も1時間はもたないでしょ?シュウペイ:いや、僕はいけるけど、周りが“もうええ!”ってなっちゃうから(笑)。松陰寺:たしかにきついわ(笑)。――松陰寺さんのラジオでの発言が、ネットニュースになることも多い。シュウペイ:松陰寺さんは、芸能人のことを知らなすぎる。ドラマ『ドラゴン桜』を見ているのに出演している加藤清史郎君を知らなかったり。しかも、番組宛てにご本人からメッセージが来て、衝撃的でした。松陰寺:その話はやめてよ…。話している途中で“あ、これネットニュースになりそう”って思うんだけど、気持ちよくなっちゃって止まらなくて。でも、最近ようやく、言いたいことを全部言っていいわけじゃないとわかりました。シュウペイ:でも、あとで聴き返すと、その地雷をばらまいているのは実は僕なんだなって。松陰寺:そうだよ。見え見えの地雷を「踏んで(ハート)」って顔で置くから、「じゃあ、踏みます!」って。シュウペイ:まんまと。僕の思い通りですよ。最近、ラジオのネタを探すために、耳をダンボにして松陰寺さんの失言を拾おうとしてますから。松陰寺:なにそれ、やめてよ!シュウペイ:こうして相方をいじることが楽しいし、松井勇太を引き立てることは得意なんです。松陰寺は自己プロデュースだから。松陰寺:松井は成田に弱いっていうね。でも、この関係の方が長いですから。結成して13年、松陰寺を始めてからはまだ6年。シュウペイ:僕はいまだに松陰寺さんに慣れていないんで。松陰寺:いや、そこは慣れよう!写真右から、松陰寺太勇、シュウペイ。2008年にコンビ結成。『声優パーク建設計画VR部』(テレビ朝日)をはじめ、『天才てれびくんhello,』(NHK Eテレ)、『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)などレギュラー出演番組多数。『毎日ぺこぱ2 どんな1日も元気に過ごせる31のメッセージ』(大和書房)が発売中。『ぺこぱのオールナイトニッポンX』元千葉ロッテマリーンズの福浦和也選手の応援歌に歌詞を乗せて披露する「俺の応援歌」、KinKi Kidsの「ジェットコースター・ロマンス」の合間にワクワクすることを紹介するコーナーが人気。毎週木曜24時~、ニッポン放送にて放送中。※『anan』2021年6月30日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)インタビュー、文・重信 綾(by anan編集部)
2021年06月27日お笑いコンビ・オリエンタルラジオの中田敦彦が先月31日、公式YouTubeチャンネル『中田敦彦のトーク - NAKATA TALKS』に出演。動画「お笑い第6世代のスゴイ芸人は?」内で、同世代の芸人たちについて語った。動画冒頭、「同じ時代を生きたものとして絶対に才能あったなって人たちは結局出てくるから」と語り始める中田。“売れるため”には「才能」だけでなく「熱狂」が必要だと言い、「魂が弱いと才能があってもパキッと折れちゃうんですよ。どんな風に吹かれても熱量があれば、もう1回吹き返してくるから」と、ジャルジャルと狩野英孝の名前を挙げた。そして「第6世代でスゴかった列伝」と題し、自身が憧れた同世代の芸人たちを明かしていく。まず挙げたのは、先ほども名前が出たジャルジャル。TBS系のお笑いオーディションバラエティ番組『ゲンセキ』で見た際に「スゴい」と思ったそうで、「まずネタがスゴい。こんなクオリティのコントをこんな風に作れないなと思って、一切コントっていうものをやろうと思わなくなっちゃったかな。それくらいセンスがスゴかった。コントやって勝てる気がしないなって」と称えた。そのあと、狩野英孝、渡辺直美、チョコレートプラネット、ピースと、それぞれに感じた芸人としての強みを語り、「漫才でマジでスゴいと思ったのは、プラスマイナスさん!」と、さらに熱が入る中田。「俺は正直ね、プラスマイナスさんがM−1をとってないのはスゴく悔しいんですよ」と残念がりながら、「関西の喋りのグルーブって、黒人の人がラップやるくらいナチュラルボーンでリズムがあるんですよ。それを2人とも持ってる」と解説する。そして「一番全盛期の人気ある時の武勇伝で、ネタバトルやって負けましたからね。それくらい馬力があった」と舌を巻き、「僕は本当に尊敬してましたね、プラスマイナスさんの漫才」と称賛した。
2021年06月02日勢いにのるコント師・空気階段の単独ライブDVD『anna』が発売!とことん笑えるものからほろ苦い人間ドラマまで、バラエティ豊かな新作8本を収録しています。――全編に張り巡らされた伏線が、最後の1本で次々に回収されていく構成が鮮やかでした。どうやってライブは作っていくんですか?水川かたまり(以下、かたまり):大筋を考える時点ではカッチリ決めず、一本一本作りながら、繋がりが見えてくる感じですね。――会場のチケットは即完売。配信チケットも1万枚以上も売れたとか。鈴木もぐら(以下、もぐら):東京03の飯塚(悟志)さんだとか先輩方が褒めてくれて、それならとアーカイブを見てくれた人がSNSで感想を言ってくれて広まったので、みなさんにチケットを売ってもらったという感覚。本当にありがたいですね。かたまり:単独ライブを軸に活動したいと思うきっかけになった、かもめんたるの(岩崎)う大さんから直接メッセージをいただいた時は、喫茶店で涙を流しました。――舞台では緊張しますか?もぐら:僕はすごくします。どうも緊張する人のほうがギャンブルにハマりやすいらしいです(笑)。かたまり:僕は、ネタよりもテレビの収録でVTRを見てる時のほうが緊張しますね。上手くできてない自覚があるので。この前は、ほぼVTRを見る2時間番組で、一回もワイプで抜かれず…。使われれば、それが正解だってわかるんですけど。もぐら:全問不正解だった(笑)。――このライブでもキーになっているラジオは?かたまり:ラジオは週1~2回のライブしか仕事がない時期に始めさせてもらったので、ホーム感覚ですね。もぐら:20代の僕にとって、ラジオは社会とのつながりでしたね。当時、電気を解約してたので、朝からひたすらラジオを聴いてました。かたまり:もぐらはテレビを見てなかったから、芸能人の顔と名前が一致しないんですよ。佐藤健さんと武井咲さんとご一緒させてもらった時も「こんな顔だったんだ」って。――知名度が上がっている実感は?もぐら:全然ないんですよ。声をかけてくれるのは、パチンコで隣に座った人か夜の街の人か、ラジオのリスナー。anan読者が僕らを知ってるとは信じられなくて。かたまり:DVDのタイトルを「anan」の誤植と勘違いして、何らかの方法で入手していただけたら。――タイトル、気になってました!もぐら:由来は土屋アンナさんなんです。『オールスター感謝祭』で気さくに接してくれて、水川が公開プロポーズした時もコメントをくれたのに反故にしちゃって…(昨年末に結婚11か月でスピード離婚)。かたまり:その謝罪と名前も聞いたこともない芸人によくしていただいた感謝の意味を込めてつけました。もぐら:僕は夢が馬主。このDVDが売れて、蹄の音が遠くから聞こえてきたら嬉しいです(笑)。『anna』今年2月に行われた第4回単独ライブの最終公演を収録。TBSラジオ『空気階段の踊り場』のトーク映像集と’19年11月のイベント「空気階段の大踊り場」が映像特典としてつく。¥3,850(TBSラジオ/よしもとミュージック)くうきかいだんNSC東京校17期生の鈴木もぐら(写真左)、水川かたまり(右)が2012年結成。『キングオブコント2019』決勝戦に残り、脚光を浴びる。TBSラジオ『空気階段の踊り場』のパーソナリティを務める。ライブ先行予約や生配信などを行うオフィシャルサイト「空気階段の屋上」(月額500円)がオープンした。※『anan』2021年6月2日号より。写真・岡本 俊(まきうらオフィス)取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2021年05月30日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「コント」です。3月に初めての自主企画イベント「TECHNIQUE」を開催しました。ゲストにさらば青春の光とCreepy Nutsをお迎えしました。初日がさらば青春の光で、まさか初の対バンライブの相手がコント師になるとは、僕も意外でした。でも、やはり生で見るさらばのコントはめちゃくちゃ面白かったです。みなさんは、プロのコントを生で見たことはありますか?やっぱり生で見るといいです。実際に目の前で演じてもらうことで、コントの芸術としての側面をぐっと感じられるようになります。お茶の間でTVで見ていたら気づかないようなちょっとした間だったり、声の大きさ、小道具などの使い方だとか…。ずっと腹を抱えて笑ってはいるんですけれど、いい作品を見たなという感動も一緒に味わうことができました。リハも見させていただいて、やはり、こだわっている部分がミュージシャンとは全然違うんやなというのも発見でした。ミュージシャンだったら楽器の音量のバランスチェックをしたり、外音(客席で聞こえる音)がどんな感じで出ているか確認したりとかだと思うのですが、お二人がこだわっていたのはまったく違うところ。オチで照明をどう落とすか?徐々に暗くするか、バチッと暗転させるか…などを照明さんとめっちゃ話していたり、出ハケのタイミングについてや、どれくらいで話しだすといいかなどを袖との距離感で計算されていたり。入念に準備をされていて、見ていてとても勉強になりました。もっともコントで勉強になるなあと思ったのは、強弱の大事さですね。静かな部分と盛り上がる箇所はできるだけコントラストをつけたほうが、爆笑がより大きくなるんです。自分が面白いと思うことをひたすら打ち続けるんじゃなくて、さざ波のようにじわじわと期待させる部分もすごく大事だということ。僕も茶番込みのコントじみた楽曲をよくやっているので、これは参考にしたいと思いました。森田さんに至っては、僕のライブを袖でずっと見てくれていて、それもうれしかったです。やっぱ芸人さんは袖で見るんやな、と思いました。マネージャーに聞いたら「ずっと、だはははははって笑ってらっしゃいましたよ」と言っていて、それがうれしかったです。面白いと思っている方に、面白いって言ってもらえることほどうれしいことはないですから。おかざきたいいく『おはスタ』(テレビ東京系)火曜日にレギュラー出演中。約3年ぶりとなるコンセプトアルバム『OT WORKS II』が好評発売中。※『anan』2021年6月2日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2021年05月29日