エレキコミックのやついいちろうさん、今立進さんと、片桐仁さんのユニット「エレ片」によるTBSラジオの新番組『エレ片のケツビ!』。15年放送してきた『JUNKサタデー・エレ片のコント太郎』が生まれ変わり、4月から装い新たにスタート。同時に開始した完全新録の番組Podcastは、初回から総合ランキング1位を獲得し、今一番ホットな番組として注目を集めている。そこで、パワーアップした新番組の魅力を聞くべく、3人を直撃。片桐:『コント太郎』の最終回から間隔を空けずに始まった新番組ですが、音楽やコーナーも全て変わったので、新鮮味がありましたね。やつい:番組名のケツビは、“尻に火をつける”という意味で、心機一転、ヤル気に満ち溢れています。今回、番組用のビジュアル写真やポスターも自分たちで作ったんです。今立:ラジオなのに衣装がありますからね。3人色違いで、僕はエレ片のヒロインとして、このピンクを着こなせるようになりたい。やつい:…。僕は赤。燃えているけれど、炎の中では温度が低いから冷静に番組を回していく感じ?片桐:僕はイエローだけど、なんだろう、ドジ役とか?今立:面白キャラ。戦隊系でもイエローって、そういう役回りだよね。やつい:トリックスター的な感じで、いろんな一面を見せていきたいよね。――片桐さんの新しい相方を探し、キングオブコントに出場する「KOC決勝への道」も始まった。やつい:今年から即席ユニットの出場が解禁されたことで生まれた企画です。ラジオに相方候補を呼んで、リスナーからもネタを募集するんです。片桐:相当なプレッシャーですよ。誰かとふたりでお客さんの前に立ってコントするなんて、10年以上やってないから、めちゃくちゃ怖い。今立:でも絶対に注目を浴びるよね。やつい:バズってシェアしてウェーブしたくなる目玉企画ですから、期待してほしい。マジで優勝候補。片桐:いやいや…。――読者に向けて『エレ片のケツビ!』をアピールしてください。今立:うーん、まぁananが推してくれているから聴いてっていうのが、読者には一番響くかな?radikoができてラジオも聴きやすくなったし、Podcastなら遡って聴けるし、6月には、ラジオ15年の集大成となるオフィシャルブックの発売も決定したし。やつい:それだけ愛されている番組ってことだから、本はみんなに愛される大きな墓みたいな感じ?墓参り感覚で読んでほしいよね。片桐:ラジオは1時間になって、今まで以上に聴きやすくなったと思う。まぁ結局話していることは、くだらないことばかりで、anan世代に響くかわからないけれど…。でも学生時代とかって夜中になんでもないことを友達とただただしゃべっているだけで楽しかったじゃないですか。それを45~47歳の3人のおじさんたちがやっているという奇跡を体感していただき、単純におもしろがってもらえたらうれしいです。今立:土曜の深夜だしね。週末は家で過ごしている人とかにね。やつい:週末の夜もうちらがいるから寂しくない。ラジオはブルーライトも出ないから、目にも優しいし、安眠効果もある。寝る前に、『エレ片のケツビ!』いかがでしょうか。3人が軽妙なトークを繰り広げる『エレ片のケツビ!』は毎週土曜25時~TBSラジオで放送中。同番組Podcastは毎週月曜配信。オフィシャルブック『ありがとうエレ片のコント太郎 完全読本(仮)』(PARCO出版)は6月30日発売予定。写真左から、やつい いちろう1974年11月15日生まれ、三重県出身。お笑いコンビ「エレキコミック」のボケ担当。今年10周年となる「やついフェス2021」は、6月19・20日に開催決定。片桐 仁1973年11月27日生まれ、埼玉県出身。コントグループ「ラーメンズ」でデビュー。俳優、声優、彫刻家など、さまざまな顔を持つ。YouTubeで「ギリちゃんねる【片桐仁公式】」を配信中。今立 進1975年9月27日生まれ、東京都出身。お笑いコンビ「エレキコミック」のツッコミ担当。観る・聴く・読む全部入りのハイブリッドメールマガジン「エレマガ。」は、ほぼ毎週月曜に配信。※『anan』2021年5月19日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)インタビュー、文・鈴木恵美(by anan編集部)
2021年05月18日異質のトリオ・四千頭身。第7世代と呼ばれる若手芸人たちの中心で大きな波を作り出している彼らの素顔に迫ります。――みなさんには、ミステリアスな印象があります。都築:見ているまんまですよ。後藤とか、ラジオで普通に女の子の話とかもするもんな。後藤:めちゃめちゃする。普通に匂わせとかもするもん。――アメリカのセレブみたいです。都築:めちゃめちゃいいじゃん、そのたとえ。――四千頭身さんをもっと知るために、他己紹介をお願いします。後藤:まず、足が8本あって。石橋:それタコじゃねーかよ。他己紹介だから。都築:お前さ、スタッフさんたちの顔見てみろよ!後藤:めちゃすべっててびっくりした…!聞こえないなと思ってたんですよ、笑い声が。都築:後藤くんは簡単。グレートミーハー男。お金ができたからとタワマンに住んで、外車買って、流行りのJ-POPが大好きで。後藤:子どもの頃は野球が好きで、漫画は『ONE PIECE』だけ読んでた。都築:めちゃ変化球そうでいて、実は、めちゃストレート。後藤:チェンジアップを投げずに緩急をつけるタイプです。石橋:僕からいうと、どこからどう見ても後藤拓実、ですね。後藤:都築は、ディープな男。石橋:海外に憧れてる超日本人。後藤:まじダサい(笑)。都築:いや、かっこいいから。和の心も好きだけど海外も好き。ハイブリッドでいたいです。後藤:石橋は、芸能人大好き(笑)。大人数の収録で緊張しちゃうもん。都築:楽屋挨拶も大好きだからな。――目標はありますか?都築:普通に笑いを取りたいですね。ラジオとかこういうインタビューの現場でしゃべるような雰囲気で、テレビでもウケたくて。この感じが出せる時もあるんですけど、出たら出たであんまり使われてなかったりして…。石橋:手応えがあったところが使われてなくてショックだったり。都築:後藤くんが突っ込むというイメージ通りのほうが、見ている人は笑いやすいのかもね。後藤:でも、いろいろやっていきたいよね。現状維持というのは退化ですから、進化していかないと。都築:時代とともに変化していろんな一面を見せられたら。石橋:僕はトークを頑張りたい。MCの方が僕らの扱い方がわからない感じがするので。有吉さんに「つまんねーな!」と言われた時はショックだったけど嬉しかった。――今は若手ですが、焦りなどはありますか?後藤:ないですね。足が絡まっても嫌なので、地に足をつけて一歩一歩進めれば。抜かされても抜き返しますから。都築:それぞれのペースがありますから。まあ、そうはいっても、がっつり乱れてるけどね(笑)。後藤:行動が全部間違ってる時とかあるし。都築:全然、違う公式で解いている時もあるし。でも、それを意識しておくのが大事だと思うんです。『有吉の壁』(日本テレビ系)、『爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞!!』(テレビ朝日系)などのテレビや、ラジオ『四千ミルク』(FM FUJI)にレギュラー出演中。四千頭身公式YouTubeチャンネル「YonTube」ではネタや日常で撮影した映像などを配信している。NiziU「Make you happy」のMVを完全再現した動画は再生回数900万回を突破。よんせんとうしん2016年に結成。メンバーは、ワタナベコメディスクールで同期であった都築拓紀、後藤拓実、石橋遼大(写真前方より)。しりとりの逆である「頭取りゲーム」というネタを、テレビ初出演となる『新しい波24』で披露し、注目を集めた。YouTubeの公式チャンネルの登録者数は約72万人。3人共通の話題は野球とゲーム。※『anan』2021年5月5日-12日合併号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)スタイリスト・作山直紀インタビュー、文・重信 綾(by anan編集部)
2021年05月08日お笑い戦国時代。そのストリームの中心から一石を投じるのは、異質のトリオ・四千頭身。視聴者を引き込む独特のテンポで人気を誇り、引っ張りだこの24歳。3人が見る景色とは?ここ最近、テレビで目覚ましい活躍を見せているのが第7世代と呼ばれる若手芸人たち。その中心にいて大きな波を作り出しているのが、お笑いトリオの四千頭身だ。メンバー全員が24歳。今の風をまとった彼らが考えるお笑いの形やプライベートに迫ります!――今や大活躍ですが、こんな未来を想像されていましたか?後藤:まあねえ、昨日の僕は、ananで撮影する今日を想像できていましたけどね。石橋:スケジュールに入っていたからなぁ。都築:そういう話じゃないんだよ。でも、思ったより順調に進んだかなと。22歳で東京に出てきて一人暮らしをするぞ、と思っていたけど、その通りにいってます。後藤:ディープな話だなぁ。都築:割と浅いエピソードだけど。――人気の理由は何でしょうか。後藤:そもそも需要あるのかな?都築:みんな混乱してるだけじゃない?今の世の中の混乱とともに、判断力が失われているだけ。こういう時期は光の速さで過ぎ去っていくだろうし。後藤:でも、やっぱり僕らってね、可愛らしいんですよね。都築:よく、それを自分で言えたな。もう、頭痛くなるわ。石橋:僕ら自身も若いし、お客さんも若いから、友だちだと思われているんですかね?特に男性ファンやラジオのリスナーさんとかはそんな感じがします。――「お笑い第7世代」として紹介されることも多いですよね。都築:そこに助けられた部分もありつつ。後藤:それに殺された部分もありつつ。都築:でも、第7世代という言葉が生まれ、若いお笑いの人たちがフィーチャーされるようになったことで、上の世代も交ぜたコント番組が増えたと思うんです。後藤:もっと感謝してほしいなぁ(笑)。それなのに、「第7世代は生意気」なんて言われたりもして。都築:俺ら、火つけたよな!ちゃんと働いたのよ!石橋:ははははは。――脱力系と言われることも。後藤:マジ本気っすよ。都築:人生かかってますから!後藤:でも、第7世代の芸人たちと一緒にやるのは楽しいですよ。この、「なるほど出っ歯くん(都築さんのこと)」というキャラも、第7世代がいじり始めたことで面白いってなりましたから。都築:EXITさんとかが、SNSでずっといじってくれたりして。後藤:粗品さんやせいやさんもラジオでね。やりやすいですよ。――第7世代のみなさんは、SNSを駆使している世代ですよね。後藤:でも、僕はツイッターをやめました。思ったことを書いて誤字を確認してというのは、男として“なよったい”かなと。都築:お前Scooby Jの言葉が刺さったからってすぐ取り入れるなよ!後藤:好きなラッパーなんです。都築:じゃあ、なんでインスタは続けてるの(笑)。石橋:僕はやっていたい派かな。エゴサーチとかして一喜一憂するようなこともないし。楽しいから。都築:この世代の鑑だな。石橋:いろんな人とつながれるし。都築:そう、こいつ、アイドルとつながろうとしてるからな~。後藤:インスタでアイドルに、めっちゃ“いいね”してるから。都築:買ったCDの写真を投稿してリプライをもらったりとか。石橋:二人もやればいいじゃん。都築:そんなことが起こらないからつまんねーんだよ!お前とは条件が違うんだよ!後藤:5年間、何もなかったからツイッターやめたんだよ。都築:お前は夢があっていいよな。――結成から約5年、3人の関係に変化はありましたか?都築:もともと養成所で知り合ったから、そんなに変わらないかな。この仕事の中で出会っているので、学生時代からの友だちで、というのとはまた少し違うので。――後藤さんは友だちが勝手に養成所に履歴書を送ったんですよね。後藤:ジャニーズ方式です。こうしてananにも出てますし、ジャニーズだった可能性もあります。都築&石橋:ねえよ。後藤:両サイドからの「ねえよ」、もらいました。石橋:お前がジャニーズ・エンタテイメントなわけないじゃん(笑)。――もともと、コンビやトリオ前提だったのでしょうか。後藤:そうですね。都築のピンのネタ、ひどかったし。養成所に入学すると、最初に自己紹介がわりに一人ずつネタをやるんですけど、「ドラえもんのジャイアンのモノマネします!」って。そもそもお前誰なんだよと。都築:自己紹介もせずにね。後藤:で、60点くらいのモノマネをしてすべってた。都築:いいんだよもう、その話は。バシは何やったの?石橋:普通に自己紹介をしただけ。都築:でも、よく覚えてるよね。後藤:あんなすべったやつ見たことないから忘れないよ。「辞めるな」と思ったんだけどな。都築:俺はあの時、「売れるな!」と思ってたからね。――それだけすべった方と組もうと思ったのはなぜでしょう。後藤:僕は別のおじさんから誘われて、どうしようかなと思ってたら、都築が目に入った。同い年で共通点もあったからあいつやなと。都築:野球が好きだとか、マックでバイトしてたとかね。後藤:最初は、一回ライブあるからネタ合わせしてみようか、という感じでしたね。で、ライブの日が迫っているのにトリオのネタしかなくて困ったから、養成所を辞めようとしていた石橋に「手伝ってくんない?」と声をかけた。優勝したからまた手伝ってもらったら、また優勝して。それで養成所を卒業したので、今も手伝ってもらっている状況。サポートメンバーです。石橋:強運のお手伝いさんです。後藤:でもみんな、養成所時代から変わりませんよ。都築:そこからは変わっただろ!俺、一人しゃべり30分とかできるようになったんだから。後藤:それはたいしたもんだ。(横浜DeNA)ベイスターズの佐野(恵太)みたいなやつだ。都築:と、バシは最初、めっちゃ明るかったよな(笑)。石橋:実は俺が一番変わった気がする(笑)。後藤:「つってね~!」とか言ってたよね。それやめろよって、どこかで言ったんだろうな。都築:自分たちの漫才をもっとこうしようと思ったわけではないけど、やっぱり、変わったよね。『有吉の壁』(日本テレビ系)、『爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞!!』(テレビ朝日系)などのテレビや、ラジオ『四千ミルク』(FM FUJI)にレギュラー出演中。四千頭身公式YouTubeチャンネル「YonTube」ではネタや日常で撮影した映像などを配信している。NiziU「Make you happy」のMVを完全再現した動画は再生回数900万回を突破。よんせんとうしん2016年に結成。メンバーは、ワタナベコメディスクールで同期であった後藤拓実、都築拓紀、石橋遼大(写真前方より)。しりとりの逆である「頭取りゲーム」というネタを、テレビ初出演となる『新しい波24』で披露し、注目を集めた。YouTubeの公式チャンネルの登録者数は約72万人。3人共通の話題は野球とゲーム。※『anan』2021年5月5日-12日合併号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)スタイリスト・作山直紀インタビュー、文・重信 綾(by anan編集部)
2021年05月02日結成は2019年の12月。「まぁねー」などのギャグで、わずか1年あまりで人気が急上昇中!お笑いカルテット「ぼる塾」から、田辺智加さん、あんりさん、きりやはるかさんの3人がananに初登場。“ジワる”トークをぜひお楽しみください。私はコメの不一致でバイトを辞めてますから(笑)。(田辺)――最近はテレビで3人を見ない日はないぐらいの“売れっ子”ですが、自覚はありますか?きりや:3人で行動していると、この二人の魅力的なシルエットからすっかりバレるようになって。声をかけてもらえる回数が増えました。最近、田辺さんとルームシェアを始めて、二人で仕事帰りによくスーパーに行くんですが、この前も田辺さんを5度見してる人がいて(笑)。それでも田辺さんは全然気にしないんですが。あんり:田辺さんは食べ物のランクがどんどん上がってるんじゃないですか?この前も吉本本社にパティシエの鎧塚(俊彦)さんがいらして、田辺さんにって大量のクッキーを差し入れてくれて。きりや:酒寄(希望)さんのお子さんがあのクッキーを食べて初めて「うめえ」って言ったらしい(笑)。――えっ初めての言葉ですか?あんり:いや、初めての言葉はあたしを見て言った「アンパンマン」なんですけどね。アンパンマンよりも先に呼ばれちゃって、なんか申し訳ないです。田辺:その後、トシ ヨロイヅカとメールしましたよ。夢みたい。バレンタインには指原(莉乃)さんと田中みな実さんからチョコレートをいただいて、世のモテ男よりもモテてます。指原さんと水卜(麻美)さんとは、いつか3人でアフタヌーンティーに行きましょうねって約束もしていて。キラキラしてます、私。自分に起こっている出来事とは思えない。きりや:最近、うちの冷蔵庫はスイーツであふれてるよね。田辺:消費できなくて配ってる。あんり:周りの後輩たちがどんどん太ってきてるんです(笑)。――あんりさんも一人暮らしを始めたそうですが、3人で一緒には住まなかったんですね。きりや:誘ったんですけど、あんたたちと一緒にいたら結婚できなくなるからイヤだって。あんり:それと、もし一緒に住んだ場合、スベって帰った時に二人があたしの目の前でくつろいでいたら「反省しろよ!」って怒っちゃうと思って。二人には家ではくつろいで過ごしてほしいから。――2人暮らしでお互いに直してほしいところとかありますか?田辺:別にないけど、しいて言えばはるちゃんは音楽をかけながらじゃないと眠れなくて、無音じゃないと寝られない私は、その音がたまに気になるぐらい。きりや:音がないと怖いの。田辺:とはいえ私もイビキがすごいので…。あんり:田辺さんがイビキで音楽を奏でたらwin‐winですね。――ぼる塾の自己肯定感は今の時代に合っていて、すごく気持ちがいいです。励まされている女性たちも多いと思いますよ。田辺:ありがとうございます。あんり:そういう言葉を「ぼる塾チャンネル」から集めてカレンダーを作ったんです。ぼる塾のいいところが詰まっています。――どの言葉も面白くて笑顔になれました。3人のお気に入りは?あんり:田辺さんの「私、一年中甘酒飲むんだ」に対して「知らねーんだけど」って私が言うやつ。きりや:私が「ハンバーガー2個買ってたの!?ヤバ!」って言ったら「あんたの価値観のヤバいは知らねーよ」ってあんりが怒ってるやつ。そんなに怒る?(笑)あんり:こんなに怒ってないけどと思って動画を見直したら、もっと強く怒ってて反省しました。田辺:私はあんりの「生きてて天ぷらいらないようなことある?」かな(笑)。でも女子って集まると語ったり悪口になると思われがちだけど、そんなドロドロしてないよって、これを通して伝えたい。きりや:くだらなくていいね。田辺:仕事で辛いことがあるかもしれないけど、私は店主の米への愛が感じられず、“コメの不一致”でバイトを辞めてますから(笑)。あんり:そんな人もいるんですから。毎日頑張りすぎている人にはもっと自分らしく、肩の力を抜いて生きてもらいたいですね。ぼるじゅく(1枚目写真)右から、田辺智加(たなべ ちか)1983年10月18日生まれ、千葉県出身。あんり1994年10月7日生まれ、東京都出身。きりや はるか1995年1月28日生まれ、東京都出身。育休中の酒寄希望(さかより のぞみ)1988年4月16日生まれ、東京都出身の4人組。YouTube「ぼる塾チャンネル」も話題。田辺さんのメイク動画には130万回再生突破した動画も!「まぁねー」が2020年流行語大賞にノミネートされ、YouTubeでも数々の名言を残しているぼる塾初の日めくり『みんな違ってそれでいい ぼる塾の毎日まぁねー 日めくり』が4/24に発売。田辺さんの“まぁねー語録”や、はるちゃんの“激失言”、あんりの“食レポ名言”まで笑いが満載!¥1,320(ヨシモトブックス)※『anan』2021年4月28日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2021年04月24日ありのままの自分を受け入れ、漫才の最後には「あんたたち、幸せのカタチは人それぞれよ!」という決めゼリフで締める。生きにくさを感じる人も多い時代の中で、見る者に自信を与えて笑顔にしているのが、ぼる塾だ。いつでも笑顔全開で個性を放つ、この3人のことが気になっていた人も多いのでは。田辺智加さん、あんりさん、きりやはるかさんにお話を伺いました。――4人組「ぼる塾」の結成までの経緯を教えてください。あんり:もともとあたしとはるちゃん(きりや)が「しんぼる」、田辺さんと酒寄(希望)さんが「猫塾」という別のコンビで、猫塾さんは2年先輩。しんぼるが結成5年目のある日、ステージ上ではるちゃんがネタを飛ばしてしまい、私もフォローできずにグシャグシャになって二人でお客さんに「すみませんでした」と頭を下げて袖に戻ったことがあって。謝ってステージ降りるなんてプロとしてヤバいな。あたしじゃもうはるちゃんと一緒にやれない、お笑いを辞めよう、と思ったんです。はるちゃんはイヤだって止めてくれたんだけど。田辺:猫塾も実は同じ頃に限界を感じていて、マネージャーさんに辞めたいって言ってて。――そんなに大きな挫折が…。あんり:それで最後のライブをやるのに、しんぼるだけじゃお客さんを呼べないからってことで、猫塾さんと「ぼる塾」というライブタイトルで2マンライブをやることになった。それが今のグループ名になっているんですが。田辺:ところが、直前で酒寄さんの妊娠がわかり、酒寄さんだけ出られなくなってしまったんです。あんり:急きょこの3人でネタをやることになって。もともとのしんぼるは、はるちゃんの夢みがちな発言を否定するというネタだったんですが、そこに田辺さんが入り、田辺さんにだけは肯定するという今のスタイルになりました。でもそれが今まで経験したことがないぐらいウケた。きりや:初めての3人の漫才で、本当にあれは気持ちよかった!あんり:そう!その一発で、この世界にとどまりたくなったんです。演出家さんからのアドバイスもあり、酒寄さんは育休のまま4人で「ぼる塾」を結成しました。――あんりさんときりやさんは小学校からの幼なじみだそうですが、田辺さんと酒寄さんはどんな関係ですか?田辺:出会いはNSCです。――その前、田辺さんは…。田辺:私、無職でギャルやってて。渋谷の路上でパラパラを毎日踊っていただけ。実家の祖父と弟のお金で、クラブ通いしてました。本当にあの2年間は楽しかった(笑)。きりや:当時は田辺さん、めっちゃ痩せてたんですよね。田辺:今より40kgぐらい痩せてました(笑)。でもギャルの次にK‐POPにハマって、新大久保に通うようになったんです。そのうち、ごはん屋さんの店員さんに恋をして、毎日お店に通ってサムギョプサルを食べてたら太っちゃったの。あんり:サムギョプサルってヘルシーって聞くのに。どうせつまみもいっぱい食ってたんでしょ?田辺:トッポギも食べたし、お酒も飲んだわよ(笑)。当時は「私なんて」が口癖で、今のように自分を肯定なんてしていなくて。それをNSCで出会った酒寄さんから「田辺さんはあまり自虐的なこと言わない方が面白いよ。自分のこと面白くないと思うなら、芸人なんて辞めた方がいい」って言われたんですね。そこから「田辺さんは面白い」って毎日言い続けてくれた。私が考え方を変えられたのは、酒寄さんのおかげ。同期にはガンバレルーヤとか、ゆりやんレトリィバァなどがいるんですが、まずはコンビが仲良くならないといけないと思って、同期が飲み会をやっていても私たちはずっと二人だけで毎日ごはんに行って。きりや:へぇ~、知らなかった。――田辺さんと酒寄さんは、一日中LINEしているとか。田辺:はい。さっきも「サブレってただのクッキーのでかい版だと思ってたけど、ちゃんと美味しいね」って話をずっとしてて(笑)。あんり:酒寄さんって普段は寡黙なのに、田辺さんの話になるとめちゃくちゃ喋るんです。田辺さんも、酒寄さんとスイーツのことだけは本当に楽しそうに喋る。この二人の関係性はすごいですね。普段はあたしと酒寄さんでネタを書いてるんですが、田辺さんの部分だけは酒寄さんが絶対に書く。田辺:酒寄さんは、私が何を言ったら一番面白くなるかを、出会った時から今もずーっと考えているんです。出会って8年ぐらいですけど、2年目ぐらいにはもう私のすべてをわかっていました。――田辺さんにとって、酒寄さんはどういう存在ですか?田辺:もはや、私ですよね(笑)。あんり:あはは(笑)。でも田辺さんってすごい素直な人。だから酒寄さんの言葉を信じて自分を変えられたんですが、あたしは田辺さんによって自分を変えられた。というのも、それまであたしは誰かに褒められたら「ありがとう」でいいのに「そんなことないですよ」って否定していて、せっかく褒めてくれたのに変な空気にしちゃっていて。でも田辺さんに出会って「田辺さんって本当に面白いですよね」って言ったら「まぁねー」って返ってきて、あ、気持ちいいって思ったんです。褒められて肯定したことで自分を面白いと認めたら、もう自分にも周りにも言い訳できないじゃないですか。そのスタンスがすごいカッコいい。田辺:「まぁねー」。あ、今ベストタイミングでしたね。あんり:初めてベストが出ました。ぼるじゅく写真右から、田辺智加(たなべ ちか)1983年10月18日生まれ、千葉県出身。あんり1994年10月7日生まれ、東京都出身。きりや はるか1995年1月28日生まれ、東京都出身。育休中の酒寄希望(さかより のぞみ)1988年4月16日生まれ、東京都出身の4人組。YouTube「ぼる塾チャンネル」も話題。田辺さんのメイク動画には130万回再生突破した動画も!「まぁねー」が2020年流行語大賞にノミネートされ、YouTubeでも数々の名言を残しているぼる塾初の日めくり『みんな違ってそれでいい ぼる塾の毎日まぁねー 日めくり』が4/24に発売。田辺さんの“まぁねー語録”や、はるちゃんの“激失言”、あんりの“食レポ名言”まで笑いが満載!¥1,320(ヨシモトブックス)※『anan』2021年4月28日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2021年04月23日今田耕司さんが、放送作家の鈴木おさむさんとタッグを組み、2008年よりライフワークとして続ける演劇シリーズ。今年、約3年半ぶりの公演となる第7弾『てれびのおばけ』が開催される。過去には、千原ジュニア、堀内健など数々のお笑い芸人仲間と共演。今回、W主演として迎えたのは、若手の中で最も勢いのあるコンビ、霜降り明星のせいやさんだ。芸歴が20年以上も違う二人。物語も、現代と1980年代それぞれの“テレビを作る人たち”を描く。ジェネレーションの違いが、どのように物語を動かすのか?現代と’80年代、2つの時代が交錯し、テレビのリアリティを描き出す。――今田さんとせいやさんという組み合わせが意外でした。今田:面白いですよね。おさむさんから「せいやとやるというのはどうですか?」と提案されて、最初は驚きましたけど、ええんちゃう?と。まあ、大阪で一緒に番組もやっているし、知らない仲ではないので。真面目なのもセリフの覚えがいいのも知ってますから、安心感はあります。ただ自分が下だと考えると、僕が(桂)文枝師匠と本気の舞台をやるようなもの。しかも、せいやはこれが(演劇では)初舞台なんやろ?せいや:そうなんです!最初、マネージャーさんから「舞台の依頼が来てるよ」と言われたときは興味が70%くらいだったんですけど、それが今田さんとご一緒で、脚本と演出は鈴木おさむさんと聞いて、もう「やらせてください!」とその場で即答しました。今田さんとはMCとひな壇という関係なので、今まで共演していたといっても、やっぱり距離感がありましたから。これでがっつりご一緒できるのは本当に勉強になりますし、うれしいです。――今回の舞台は、テレビ業界を描く物語です。テレビを作ることに取り憑かれ、魂を売る……どんな物語になりそうでしょうか?今田:今回、2つの時代を描きますけれど、’80年代というのはまさに僕がデビューした頃。あの頃は本当にヤバい人たちがむちゃくちゃいたんですよ。プロデューサーやディレクターだけでなく、現場の技術さんとかも、職人気質で厳しくてすごく怖かった。テレビという業界に取り憑かれたおばけは、確かにたくさんいたと思います。お笑いの演出も過酷でありえへんもの多かったですから。せいや:そういう先輩たちの苦労のおかげで、今のちょうどええテレビバラエティがあるんやな、と思いますね。ありがたいです。今田:先輩たちが臨床実験をめちゃくちゃしてるからな。せいや:皮膚がただれない、ちょうどいい温度のアツアツおでんとか、体に悪くない程度のビリビリ電気とか(笑)。これくらいやったら死なへんやろ、ケガせんやろ、というのを、みなさんが実際に体験しながら実用化してくださってる。とはいっても、今でも“てれびのおばけ”はいると思います。たまにバキバキの目をして、“せいやギャグ”ってカンペを出されることありますから……。――せいやさんの初舞台に今田さんからアドバイスはありますか?今田:いや、僕自身が憂鬱ですから。やりたくないですもん。せいや:(笑)。どうなってるんですか、やりたくないんですか!?今田:それくらいプレッシャーがあるってことや。演劇はお笑いのステージとは別物。何回やっても慣れへんし、幕が開くまでセリフがちゃんと入っているか不安になる。最後まで気が抜けないです。せいや:いや、今田さんがこんな緊張しているとわかって、僕もさらに緊張してきました。『テセウスの船』のときは、家で大声出して練習しすぎてご近所トラブルになったので、今回は喉を潰しても大変なので、慎重に取り組みたいと思います!『てれびのおばけ』現代と1980年代、2つの時代でテレビを作る人たち。テレビを作るために取り憑かれ、魂を売り、てれびのおばけになるしかなかった…。4月14日(水)~18日(日)下北沢・本多劇場脚本・演出/鈴木おさむ出演/今田耕司、せいや(霜降り明星)、藤田玲、石井杏奈全席指定7000円配信チケット3500円チケットよしもと問合せダイヤル TEL:0570・550・100(10:00~19:00)いまだ・こうじ1966年生まれ、大阪府出身。1986年に舞台デビュー。『人生が変わる1分間の深イイ話』(NTV系)、『炎の体育会TV』(TBS系)など、MCとして多数番組を抱える。YouTubeの「今ちゃんねる。」も話題。せいや1992年生まれ、大阪府出身。2013年にピン芸人として活躍していた粗品と霜降り明星を結成。2018年にM-1グランプリで優勝。ものまねや演技にも定評がある。冠番組に『霜降りバラエティ』(テレ朝系)など。※『anan』2021年4月14日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・梅原加奈(by anan編集部)
2021年04月09日今や全国区の冠番組を持ち、MCクラスの実力派となったかまいたち。YouTube「かまいたちチャンネル」もチャンネル登録者数100万人に迫る人気を獲得。そんなお二人にとって、千鳥の存在が大きかったそうで……。千鳥さんが荒野を開拓して道の歩き方を示してくれた。――関西の芸人さんが関西ローカルから東京に進出して、全国区でもう一回売れる、というのはもはや芸人出世コースの定型になっていると思います。お二人は、今まさにそのルートを着実に上っていらっしゃっていて。そのことについては、今、どのように感じていますか?山内:ステージが10まであるとしたら、やっと6まで来たな、という感覚。でもやることは東京に出てきたころから変わらなくて、ひな壇で呼んでいただいても、冠番組でも、どちらもフルスイングでいくだけかな、と思ってます。濱家:山内が大きく振ってホームランを狙いにいってくれるから、僕は僕で全力でミートできる。全部外さずに、慎重にミートするだけ。二人のそういう関係性はずっと変わらないですね。山内:東京に進出した時に、千鳥のノブさんに言われたんです。「全番組でちゃんとフルスイングしたほうがいいよ」って。それをめちゃくちゃ大事にしています。――お二人にとって、やはり千鳥さんの存在は大きいんですね。山内:そうですね。それこそ、千鳥さんが関西から先に乗り込んでくれて、荒野を開拓して、道の歩き方を示してくれている。だから、後輩の僕たちは自由にどこへでも歩いていける。そこは天才2人が先頭を行ってくれたことが本当に大きくて。僕たちが、そのすぐあとについていけたことは、本当にラッキーだと思っています。濱家:僕たちって、ほんまに強運なんですよ。トップになるってめちゃめちゃしんどいことだけど、なんとなくそれをスルーしてここまできている。キングオブコントの時も、にゃんこスターがでっかくブレイクしてくれて、優勝したけどおいしい立ち位置をもらえたし、M-1も準優勝だけど面白かったと言ってもらえた。東京進出では「千鳥の次は、かまいたち」と言っていただける。こんなにラッキーなことってないと思います。山内:今は、千鳥さんにずっとスリップストリームしてもらっているようなものです。――そうなると、“風除け”になってくれている千鳥さんの脇から、かまいたちさんがどう先頭に躍り出るのかも気になるところです。山内:それは本当にこれからですね。僕らのピークとなる2021年で全てお見せしていきたいです。濱家:山内曰く、今年、僕たちピークらしくて。不安しかないです。山内:やっぱ、ずっと売れ続けるというのはないと思うので。ある程度スピードに乗れれば、あとはその余力で走っていけると思うんです。だから、今年やりきって燃え尽きて。で、終わります。濱家:今の俺らがピークで、そのあとは余力でいくとしたら、今後2年くらいしかもたへんで。山内:いや、今年のピークの余力で、その後70歳までもたせたい。濱家:……やっぱり不安しかないです。――(笑)。濱家さんは、どういう考え方なのでしょうか?濱家:僕は逆で、このままじゃ終わってしまうと焦るから、今こそあれこれなんでも試したい。欲張って仕事したいってなってます。本当に考え方が逆なんですよ。でも、山内がこうどっしりしたこと言っていてくれるほうがいいです。僕が心配しすぎるタイプなんで。――山内さんが流れとかにあまり動じず、濱家さんのほうが心配性。性格が真逆だと、かまいたちとして、方向性で対立することなどはありませんか?濱家:それはないです。僕たち、“人生の第一目標”はビタッと合っている。だからぶれないんです。――それは、どんな目標で?山内:スーパー金持ちになる、ですね。このゴールが一緒だから、どうすればいいか意見が食い違っても、金持ちになれるほうを選べばいいのでケンカになりません。濱家:これマジで僕ら大金持ちになりたいんです。年収7億欲しい。――……それ、大御所芸人さんのリアルな数字なんですか?山内:いや、そんな人見たことないです(笑)。濱家:でも、言っておかないと絶対にできないと思うからバンバン大声で言っていきたいと思います。かまいたちは、絶対に二人でスーパー金持ちになります!『かまいガチ』(テレビ朝日)、『千鳥vsかまいたち』(日本テレビ系)、『かまいたちの知らんけど』(MBS)などレギュラー番組多数。YouTube「かまいたちチャンネル」もチャンネル登録者数100万人に迫る人気を獲得。また、お笑いのこと、家族のことなどを赤裸々に綴った山内さん初のエッセイ集『寝苦しい夜の猫』(扶桑社)も好評発売中。写真左・山内健司1981年1月17日生まれ、島根県出身。ボケ担当。右・濱家隆一1983年11月6日生まれ、大阪府出身。ツッコミ担当。共にNSC大阪校26期生。卒業後の2004年5月にコンビ結成。‘17年、キングオブコント優勝。‘17年から3年連続でM-1グランプリ決勝に進出。ラストイヤーの‘19年、ミルクボーイに敗れ惜しくも準優勝に。※『anan』2021年3月24日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・梅原加奈(by anan編集部)
2021年03月20日漫才、コントでは誰もが認めるネタクオリティ。今や全国区の冠番組を持ち、MCクラスの実力派となったかまいたち。賞レースで華々しい活躍を見せてきた二人が今、目指す頂とは?現在、テレビ・ラジオ・ネット番組など合わせてレギュラーは15本以上。漫才、コントの実力はもとより、最近はトーク番組やMCとしての顔を見ることも全国区で当たり前になってきた、かまいたち。キングオブコントを制し東京進出、そして伝説となったラストイヤーの2019年M-1グランプリを経験し、たどり着いた彼らの現在地点、そしてこれからについて、ざっくばらんに語っていただきました。――最近、TV番組を拝見していても、「僕らがいる“ステージ”が変わった」と、よく山内さんがおっしゃっています。昨年あたりから、お仕事の方向性に変化があったと感じていますか?山内:確実にMC仕事が、しかも急に増えたと思います。濱家:そうですね。今までなら東京ではやらせてもらえなかった仕事をやれるっていうのが、昨年どっとやってきて。僕たちがMCの番組だとか、僕たちがメインの特番をやっていただけたりとか。山内:最初におやっ?と思ったのは昨年6月にあった日テレの『クイズ!その時スーパースターは?』という番組。特番だったんですけどMCが僕たちと亀梨(和也)くんというキャスティングで。え、これ絶対どっきりやんって思いました。僕たちでええの?と。濱家:亀梨くんの横に並ぶとか、どうしてええかわからんもんな。現場でもずっとそわそわしてました(笑)。でもこの番組を見て、かまいたちはこういう立ち位置なんや、こういう使い方をしていい芸人なんやって、多くの制作サイドの人に思ってもらえたように感じています。だから、今のかまいたちがあるのは横に立ってくれた亀梨くんのおかげですね(笑)。――その変化のきっかけは、やはり2019年のM-1でしょうか。山内:そうですね。やっぱりあの、史上最高の大会だった2019年のM-1が大きかったです。濱家:勝手に史上最高って……。山内:まあ、そのインパクトが想像以上に大きくて。いろんな先輩方がラジオやトーク番組で「優勝はできなかったけれど、かまいたちがよかった」と言ってくださったんですね。テレビで第一線張っている方々にそう褒めていただくと、やっぱり世間の印象は大きく変わりますから。僕は、2018年の時点でM-1でやれることは出し切った、もう卒業やと思っていたんです。でも、濱家はそう思っていなくて「ラストイヤーも出たい」と言われた。僕は、もうええやろ、すでにステージは1つ上がっていると思っていたけど実は全然そうじゃなかった。そのことを2019年大会の結果で思い知らされました。結果、出てめちゃくちゃよかったです。マジでかまいたちの天下分け目の年でした。濱家:2018年大会での山内のパフォーマンスは完璧やったんです。悪いところがなかった。問題は僕の個人的なこと。自分の間や声のボリュームが全然ちゃうかったな、と感じていて。もっと面白いのに、かまいたちの漫才はもっと面白いんやからそれを見せたいと思って、やっぱり2019年も出たいとお願いしました。――山内さんは、出たいと言われて、すぐOKされたんですか?山内:いや、すごく悩みました。濱家:わかってたから出たいって言い出すのがめっちゃ怖かったのよ。めちゃめちゃ覚えてるわ。タクシーの中やで、最初に言ったの。山内:全然、覚えてない。濱家:なんか、マネージャーが、村上ショージさんが作ったでっかい陶器を風呂敷に包んで運んでた時。届けないといけないとかで。でっかいツボ持ってタクシーに乗って、それ抱きながら「出たいんやけど」って話したんやけど、覚えてない?山内:まったく。陶器のことしか覚えてない。――山内さんが出場するか迷われた理由はなんだったのでしょう。山内:やっぱり、それはしんどいからです。出るとなったら優勝しないと意味がないと思ったし、優勝するためには急ピッチでモチベーションを上げないといけない。10何年もずっとやってきたことではあるんですが、やっぱりM-1に出ている時の夏場過ぎからの焦燥感ってすさまじくて。やらなあかんことがずっとある感覚。あれをもう1年やるかどうかって、やっぱり即決はできなかったですね。濱家:ずっと期末テストが続いているみたいな感じやもんな。山内:そう考えると、それがなかった2020年はそれだけで、めちゃめちゃ楽やったな。濱家:そうやな。ネタやっている時も、舞台であれこれ試さないといけないというのがない。――ネタへの向き合い方もM-1 以降、変わりましたか?濱家:基本は変わらないと思います。でも、M-1の時の思考って、どうしてもボケの回数とか、4分という制限時間でどう構成するかということに頭がいっていたので、ここでボケて、ここでツッコんでをきちっとできないといけないからずっと計算で。でも、今はそれがないから、なんか楽しいです。山内:漫才、楽しいよな。濱家:本当に今は劇場でも、二人で楽しくやっている感じしますね。アドリブ入れるのとかも、昔だったら内輪ノリっぽい雰囲気になっていたけど、今は、その雰囲気をお客さんとも共有できてる感じがします。僕たちのそういう楽しさをいい感じで漫才に乗せられる余裕が出てきたんだと思います。『かまいガチ』(テレビ朝日)、『千鳥vsかまいたち』(日本テレビ系)、『かまいたちの知らんけど』(MBS)などレギュラー番組多数。YouTube「かまいたちチャンネル」もチャンネル登録者数100万人に迫る人気を獲得。また、お笑いのこと、家族のことなどを赤裸々に綴った山内さん初のエッセイ集『寝苦しい夜の猫』(扶桑社)も好評発売中。写真左・山内健司1981年1月17日生まれ、島根県出身。ボケ担当。右・濱家隆一1983年11月6日生まれ、大阪府出身。ツッコミ担当。共にNSC大阪校26期生。卒業後の2004年5月にコンビ結成。‘17年、キングオブコント優勝。‘17年から3年連続でM-1グランプリ決勝に進出。ラストイヤーの‘19年、ミルクボーイに敗れ惜しくも準優勝に。※『anan』2021年3月24日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・梅原加奈(by anan編集部)
2021年03月20日約18年半、地上波でサッカー情報番組『やべっちF.C.』(以下、FC、テレビ朝日)の司会を務めた矢部浩之さんが、遂にスポーツ専門動画配信サービス・DAZNに『やべっちスタジアム』で進出!ツッコミ役ながらもいつも穏やかな印象の矢部さんが、珍しく(?)熱い思いを語ります。いいとこ取りの映像は、素で楽しんで見ています。――既に知っている方が多いと思いますが、矢部さんご自身がサッカー経験者なんですよね。高校までやっていました。今でもサッカーが大好きで根っからのファンです。だから、もちろんJリーグも興奮しますけれど、海外サッカーのいいとこ取りを集めた映像を流すコーナーなどは、本気で楽しいですね。あれを見ている時は素の僕です。ほぼ家で見ている感覚ですよ(笑)。海外のサッカーって、一番の特徴は速さなんです。それも、ただ走るのが速いだけじゃない、パスも動きも判断もすべてがスピーディ。それに、今はコロナ禍だから無理ですが、サポーターの応援の迫力がスゴい。負けたらボロくそ言うぶん、勝ったらベタ褒めしまくるんです。熱の入れ具合が半端ないんですよね。そこが素晴らしいと思います。Jリーグも、上位に入るクラブでは海外サッカーに匹敵する速い展開を見せてくれます。でも、まだ全てではない。だから、海外のレベルを目指すべく、選手のみなさんは努力されていると思いますし、僕も頑張っていただきたいと応援しています。海外とJリーグ、それぞれにファンがいて当たり前ですが、僕は区別せず、ひっくるめてサッカーが好きなんです。こうしたさまざまなサッカーの映像を見ていると、改めてサッカーをやりたいなとウズウズしますね。――サッカーOBやお笑い芸人の方々とで対戦した「やべっちカップ」や、FCから引き継がれた、選手のみなさんが矢部さんにリフティングのミッションを出す「宿題」コーナーなど、実際に矢部さんもサッカーをなさっていますよね。しかも、ゴールを決めたり、難しいリフティングも見事にクリアしたりと、さすがの実力を発揮されています。試合の場合は忖度ありですからね(笑)。僕はキックオフ前に、敵にも味方にも言うんです、TVショーやからな、俺の見せ場を作れよって。でもそう言ったからには、ちゃんとそれなりのプレーをしなければと、自分にもプレッシャーをかけますけどね。リフティングは、始まった頃はもっとシンプルだったのに、今はもうサーカスですよ(笑)。若い選手は本当にうまいです。やっぱり毎日ボールを蹴らなあかんと思いますね。でも、結婚して子どもができたら、目の前で裕子さん(妻の青木裕子さん)が育児しているのを見て、今はやめとこって、気がひけたままです(笑)。ほな、サッカーの練習に行ってくるわ、なんて言えへんでしょ。だから、サッカーをする機会が近づくと、短期集中で練習するんですけど、体がおかしくなるんですよ。そのあたりは、今後は真剣に考えないとですね(笑)。――番組が毎週日曜の23時に生配信というのも、大変なのでは?確かに、風呂に入って子どもに服を着せたり、髪を乾かしたりして、その後ビールをぐいっとやりたいところですけどね(笑)。でも、行ったら行ったで、本当に楽しいんです。それに、イレギュラーの場合もありますが、土日開催の多いJリーグの試合日程に合わせて、一番ホットな情報をお届けできるのがこの日時でもあります。加えて、僕は生配信にこだわらせてもらってるんですよね。のんびりとリラックスしているように見えますけど、実は、緊張感を持つための生配信なんですよ。収録だと、ほんまに好きなものを見ていると、さっきも言ったようにもっと家にいる時の顔をしてしまうので、オンとオフのスイッチが必要なんです。FC時代のひと言コーナー「ハーイ!やべっち」を残してもらったのもそのためです。これは、選手やサッカー関係者による僕へのメッセージなんですけど、その返しを番組の最後にしているんですね。当日もどういった方がコメントを言うのかは聞かないようにしています。そういったことから、今の『やべっちスタジアム』のスタイルができたんです。――ほかにも、こだわりが?こだわりというか、ひとつだけ、ずっと大事にしているのは、選手へのリスペクトですね。サッカーでごはんを食べていくって、とてもすごいことやねん、とずっと思いながらここまできています。どんどん若い選手が増えていきますけど、思いは変わりません。それは、高校時代の挫折があったからでしょうね。サッカーの難しさ、プロになるまでの厳しさを多少なりとも経験できたぶん、彼らをより尊敬できているのだと思います。――FC終了のニュース時は、選手の方々から「やめないで」という声が多数上がりましたね。僕が応援していたはずなのに、逆に応援していただけたんですよ。とても嬉しかったです。新番組も選手やサポーターのみなさんがつなげてくれたのだと思います。コロナが終息したら、いろいろな企画に挑戦したいですね。選手のみなさん、そのうち絡みに行くから、楽しみに待ってて!(笑)やべ・ひろゆき1971年10月23日生まれ、大阪府出身。’90年、岡村隆史さんとナインティナインを結成。数々の人気番組にレギュラー出演し、現在も『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ)やラジオ『ナインティナインのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)などの冠番組を持つ。高校まで続けたサッカーは県大会ベスト4の実力。「長男はサッカーとラグビーをやっているんですけど、好きなのはラグビーみたい(笑)」。撮影時にお子さんの話も。矢部さんの柔らかい物腰そのままのラフな空気感も楽しい『やべっちスタジアム』は、DAZNで毎週日曜23時から生配信中。※『anan』2021年3月17日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)インタビュー、文・伊藤順子(by anan編集部)
2021年03月14日スポーツ専門動画配信サービス・DAZNで好評配信中の『やべっちスタジアム』。国内外の試合生配信をはじめ、目の肥えたスポーツファンのための“コアなコンテンツ”が多いDAZNのなかで、「ゆるい雰囲気で楽しみながらサッカーを深掘りできる」と異彩を放っているのがこちら。ガチなスポーツ動画配信の世界に、新たな風を吹き込んだ番組MCの矢部浩之さんに番組やサッカーへの思いを聞きました。――約18年半続いたサッカー情報番組『やべっちF.C.』(以下、FC、テレビ朝日)が惜しまれつつも幕を閉じ、この番組が始まってから約4か月が経ちますね。FCのいい部分は残しつつ、DAZNでしかできない企画を盛り込んだ“新番組”ではありますが、僕の意識としてはFC時代とあまり変わらないかな。何なら、時間をあまり気にしなくていいのと、地上波ではNGだったことも話せるので、その点はやりやすくなったとは言えますね。あと、映像が倍の時間、長く流せるようになったので、見る楽しさも増しました。…しっかり変わってるやん(笑)。――豪華な解説者の方々が週替わりに登場されたり、個性豊かなゲストの方もいらっしゃいますよね。(思い出したかのように)そうそう!解説者は名波浩さんや中田浩二さんといったおなじみのメンバーに、昨シーズンで引退された中村憲剛さんにも加わっていただきました。みなさん、元日本代表の方々です。また、初回では、『スーパーサッカー』(TBS、3月終了予定)の司会者・加藤浩次さんも出てくれたんですよ。配信ならではの少し尖ったトークもあり、地上波では考えられなかったことができるようになったと実感しています。先日、内田篤人さんとお会いした時も、今後、ウッチー選抜と「やべスタ」選抜でサッカーしたいね、なんて話しましたし、逆にできないことなんてないんじゃないかと思えます。ゲストも、これまでにROLANDさんや東海オンエアのりょうくんなどが来てくれて。彼らは、若い人たちに人気があるだけでなく、サッカーにかなり精通していて、真摯にコメントしてくれましたね。――みなさん活き活きと話されていて、こちらも楽しくなりました。でもね、サッカーファンは賛否両論で、サッカーだけを見せてくれ、という意見もいただくんですよ。だから当初、スタッフはゲストを呼ぶかどうか迷っていました。でも、まじめなコンテンツだったら他にありますし、DAZNで番組をやらせてもらうということは、そこに意味があると思うから、僕は(ゲストを呼んで)いいんちゃう?と意見しました。何より、悪口も興味を持ってくれているということだから。悪口言うてる子、実は番組を全部見てくれてるで、ってスタッフに言いました(笑)。――全然、気にならないですか?芸能界で30年やらせてもらっているからですかね、アンチの意見は全く気にしません。好き嫌いは誰にでもあって、妬みやひがみの場合もあるだろうし、気にしてもらえるならいいというスタンスなんです。僕はSNSを見ないし、エゴサもしないんですよ。今、誹謗中傷で傷ついている若い人が多いようですが、攻撃している人はね、本人を目の前にするときっと緊張しちゃって何も言えないですから。だから、良いと思うことは堂々と行えばいいと思います。――矢部さんご自身も思うがままに発言されている、と。そうですね。FCの頃から一貫して、コメントはサッカーを知らない人や初心者の方のためというよりも、自分の感情をそのまま出しています。「今週のサブイボ」という、僕がその週で一番好きなプレーを紹介するコーナーがあったのですが、どちらかというとマニアックなシーンをピックアップしていました。例えば豪快なミドルシュートがあったとしたら、シュートではなくて、そのひとつ前のパスや動きを選ぶ。そっちのほうが渋いと思うから。あとは、自分ができないプレーですね。僕ね、サッカーに関していうと天然なんですよ。その選手になった気分になって、アレはできひんわ、と思ったらそれを紹介して、逆に昔ソレやって褒められたわ、と思ったら候補から外させてもらう。そんな具合に、あくまでも自分目線でやらせてもらっていますね。やべ・ひろゆき1971年10月23日生まれ、大阪府出身。’90年、岡村隆史さんとナインティナインを結成。数々の人気番組にレギュラー出演し、現在も『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ)やラジオ『ナインティナインのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)などの冠番組を持つ。高校まで続けたサッカーは県大会ベスト4の実力。「長男はサッカーとラグビーをやっているんですけど、好きなのはラグビーみたい(笑)」。撮影時にお子さんの話も。矢部さんの柔らかい物腰そのままのラフな空気感も楽しい『やべっちスタジアム』は、DAZNで毎週日曜23時から生配信中。※『anan』2021年3月17日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)インタビュー、文・伊藤順子(by anan編集部)
2021年03月13日レギュラー番組も増え、全国区の人気を得たコント師・ハナコに、第7世代に対する率直な思いやメンバーの素顔をインタビュー。定評のあるネタから、個人的イチオシも選んでもらいました。第7世代は共に進む仲間の意識が強いけど、ネタでは負けたくないです。(岡部)結成4年目で迎えた『キングオブコント2018』。ダークホースと評されながら優勝して以来、順調に活躍の場を広げ、バラエティ界を席巻する第7世代を代表する一組として、押しも押されもせぬ売れっ子に!――ブームを巻き起こしている第7世代の人気者が、取材前にコンビニのおにぎりを頬張っていて、微笑ましい光景でした。菊田:素朴でしょう(笑)。俺ら、結構頑張ってるのになあ。秋山:お前が言うなよ!人だかりも特にできず普通にロケできるんで、スタッフさんも「あれ?騒ぎにならないっすね」みたいな。菊田:騒ぎになるのはEXITくらいでしょう。岡部:洗剤のCM撮影で菅田将暉さんと控室で談笑した時も、全然実感がなかったですね。秋山:そのCMのポップをお店で見ても、「なんで一緒に写ってるんだ?」という違和感があって。――第7世代の中心から、このブームはどう見えていますか?秋山:不思議ですね。第7世代がとび抜けて面白いとされてるんですか?僕自身がお笑いのファンなので、「第6世代もそれ以外にも、あちこちに面白い人がいますよ」って思うんですよね。岡部:ボキャブラ世代や『めちゃイケ』『はねトび』『レッドカーペット』と、先輩のみなさんも最初は固まって出ていったように、“世代”として推進力が増して、一緒にグッといけるのはありがたいですね。ハナコだけだったら、もうスタミナ切れてます(笑)。――他の第7世代に対するライバル意識はありますか?岡部:仲間意識の方が強いですね。ただ、ネタでは負けたくないです。秋山:ライバル心より先に、すごいなって思うんですよね。霜降り明星にしても宮下草薙も、四千頭身も3時のヒロインも、そんなにキャリアは変わらないのに「ネタすごいな。ロケ上手いな」って。菊田:特に霜降りはレベルが違うよね。すごすぎてどこまで上がっていくのか見るのが楽しみ。やつらは必ず天下人になる。――ネタ数が多いのがハナコの特徴のひとつですが、ストイックに作り続ける理由は?秋山:千本ノックじゃないですけど、数をやった方が面白くなれるというシンプルな思いですね。岡部:「ネタが面白いのはハナコ」と言ってもらいたくてコントを作り続けているところもあります。――おすすめを1本挙げると?菊田:3人が刑事の「俺だ」。僕と秋山が銃を構えてるとこに岡部が入ってきて、僕らが銃を向けるんですよ。で、岡部が「俺だ」って言って…この説明で合ってる?秋山:大丈夫。そのやり取りを執拗に繰り返すだけのネタです(笑)。菊田:このネタは、岡部の顔が何度やっても面白くて、毎回、笑っちゃいそうになります。秋山:去年は毎週2本、YouTubeにあげてたんですけど、岡部が店員役でバイトのリモート面接してたら、岡部そっくりの人が応募してきちゃう「バイト面接にドッペルゲンガー」が思い出に残ってますね。リモートという制約の中でも「できるじゃん」と思えて、希望の光になった一本です。岡部:僕は「天空龍」ですね。『遊戯王』の世界そのまま、カードゲームを全力でやってる僕と菊田に秋山がただツッコむ。誇張なしにそれだけのコントなんですけど、毎回やってて楽しいです。秋山:ananの読者におすすめするネタではないけど(笑)。――ネタを作らない菊田さんは、ある意味客観的な立場だと思うんですが、秋山さんと岡部さんのネタにそれぞれ特徴を感じますか?菊田:シュールなのは秋山作、わかりやすいのが岡部作ですね。ただ、僕はどっちが作ったのか聞かないようにしてるんです。「これはたぶん秋山、これは岡部っぽい」って想像するのが楽しいから。でも、当てる自信はありますよ。「俺だ」は秋山で「天空龍」は岡部。リモートのは秋山でしょう。秋山・岡部:当たってる~!今年1月から、霜降り明星やチョコレートプラネットと共演するコント番組『新しいカギ』がスタート。秋山さんは、北山宏光さんと佐藤勝利さんW主演のシチュエーションコメディ『でっけぇ風呂場で待ってます』(日本テレビ系)で、ドラマの脚本に初挑戦。YouTube公式チャンネル「ハナチャン」で、新作を含む極上コントを配信中。ハナコ2014年結成。メンバーは、ワタナベコメディスクール同期の菊田竜大、秋山寛貴、岡部大(写真左より)。‘18年、「ワタナベお笑いNo.1決定戦」で優勝。同年9月、『キングオブコント2018』で優勝し、一躍脚光を浴びる。『ハナコのBuzzリサーチ』(OHK)など、多数のレギュラー番組に出演。※『anan』2020年1月27日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)インタビュー、文・小泉咲子(by anan編集部)
2021年01月26日バラエティ界を席巻する第7世代を代表する一組として、押しも押されもせぬ売れっ子になったハナコ。レギュラー番組も増え、全国区の人気を得たコント師・ハナコに、第7世代に対する率直な思いやメンバーの素顔をインタビュー。コント師にとって最高峰の大会優勝の舞台裏とは。――そもそもですが、秋山さんと菊田さんのコンビに、岡部さんが加入した経緯は?岡部:僕のコンビが解散して、ジムのインストラクターをしながら、組みたかったやつのコンビの解散待ちを1年してたんです。秋山:あの1年でものすごくムキムキになってた(笑)。岡部:待ってたやつから正式にお断りされて、菊田さんが「誰かやりたい人いないの?」と聞いてくれて、「入りたいです」と言ったら、すごく嫌な顔をされて…。菊田:紛れもない事実(笑)。岡部:すぐに「いいよ」と言ってくれた秋山さんと菊田さんとの間をとって、僕の試用期間が始まって。最下位だった事務所ライブで1位になった途端、菊田さんも「一緒にやろう!」(笑)。菊田:岡部加入の結果がすぐ出て、売れる道が見えたんだよね。秋山:最小規模のライブで(笑)。菊田:実際、1年後に『おもしろ荘』にも出られて、これはもう売れるじゃんって思った。秋山:思うのが早いなあ…。岡部:『おもしろ荘』では、演出の方には「今回はネタが面白かったからウケたけど、君たちは『おもしろ荘』タイプじゃない。賞レースを獲らないとダメだよ」と言われて。それからは『キングオブコント』に照準を絞って、賞を獲る以外に道はないという気持ちでネタを作ってました。――決勝戦での心境は?秋山:決勝の最下位って、本当は何千組もいる中のトップ10なのに、日本のビリみたいに見えちゃうんですよ。なんとかマイナスプロモーションにならず「ハナコというトリオがいますよ」とご挨拶できたら万々歳だと思ってました。菊田:1本目で最初の笑いがちゃんときて、舞台袖で跳びはねましたね。二人が「掴みが大事」ってめっちゃ言うもんだから。岡部:(バイきんぐの)小峠さんが「お前ら、(優勝の可能性が)あるぞ」とボソッと言ってくれたり、(ダウンタウンの)浜田さんも、CM中に「ええやん!あるで!」と声を掛けてくださって。菊田:今でも、泣きそう。岡部:優勝した時、菊田さんが号泣してびっくりした。菊田:正直、1本目から泣きそうで。二人の顔を見たらもう…。秋山:そういうのは全部終わってからにしてよ(笑)。2本目でスベってたかもしれないのに。菊田:人生で一番いい日だった!――メンバーだからこそ知っている、お互いのいいところは?菊田:僕は社会性がないんで、空気をピリッとさせること言っちゃう時があるんですけど、それに対して二人は全然怒らないですね。秋山・岡部:(爆笑)菊田:そんな二人を見て、協調性を少しずつ学んでます。秋山:確かにちょっとでもピリッとしたら、夜中に長文LINEで謝ってくるようになった(笑)。菊田:恋人同士みたいじゃん!秋山:菊田は現場でめちゃくちゃ笑います。僕は「面白いことを言うぞ」って常に戦闘態勢なのに、居間でテレビ見てる感覚で笑う。観覧のお客さんを入れられない今、場の雰囲気がよくなるし、実は他にないすごい能力なのかも。菊田:現場で笑って、家で放送見てまた笑って、二度おいしい!秋山:岡部は、人当たりがよくて誰からもかわいがられますね。岡部:秋山さんは意外と兄貴肌で、後輩芸人に飯食わせたい願望が強いです。漫才師は前説で食べられるようになるのが意外と早いけど、面白いコント師がなかなか食べられないのはおかしいって。コント界の未来のためにNPO法人を立ち上げそうな勢い(笑)。菊田:秋山のいいところ、もうひとつ言っていい?ケツがキレイ。岡部:ふわふわのプリンのように丸みを帯びてる。ライブのアンケートでも「秋山さんは、お尻に何か入れてるんですか?」って。菊田:秋山のケツは天然!ananさんのグラビア、いけると思うんだよね。兼近みたいに腹筋チラ見せじゃなくて、お尻押しで。秋山:期待に応えられないよ(笑)。菊田:この3ページも、1ページは秋山のケツにしてください!――それは次の機会ということで(笑)。「ハナコは仲がいい」とよく言われますが、こうしてお話を伺っていてもそう感じます。秋山:岡部がドラマに出てるじゃないですか。嫉妬しないのかって聞かれても、岡部にとって喜ばしいことで、ハナコとしても助かるとしか思わないんですよ。菊田:あの質問困るんだよなあ。秋山:本当は妬む“プロレス”をした方がいいんでしょうけど。菊田:その方が仕事は増える。岡部:『アメトーーク!』のトリオ芸人回でも、どうしてもバチバチできなかったですね。――最後に、今後の夢は?秋山:外国の方にネタを見せて、ウケるのか興味があるんです。あまり言葉がいらないコントで、早く試してみたいですね。菊田:僕はハナコの新しい冠番組。秋山:どんな番組?菊田:動物とか、衝撃の映像を見るやつ。楽しそうじゃん。お笑い芸人は意外とああいう番組をバカにするけど、幸せにしている人数でいったら一番だと思う。岡部:僕は単独ライブをドデカい規模にしたいです。福山雅治さんのライブがWOWOWで生中継されるように、国民のみなさんにハナコのコントを見てほしいですね。今年1月から、霜降り明星やチョコレートプラネットと共演するコント番組『新しいカギ』がスタート。秋山さんは、北山宏光さんと佐藤勝利さんW主演のシチュエーションコメディ『でっけぇ風呂場で待ってます』(日本テレビ系)で、ドラマの脚本に初挑戦。YouTube公式チャンネル「ハナチャン」で、新作を含む極上コントを配信中。ハナコ2014年結成。メンバーは、ワタナベコメディスクール同期の秋山寛貴、岡部大、菊田竜大(写真左より)。‘18年、「ワタナベお笑いNo.1決定戦」で優勝。同年9月、『キングオブコント2018』で優勝し、一躍脚光を浴びる。『ハナコのBuzzリサーチ』(OHK)など、多数のレギュラー番組に出演。※『anan』2020年1月27日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)インタビュー、文・小泉咲子(by anan編集部)
2021年01月20日今という時代の流れを読むことが得意&あるジャンルに少し偏った愛を持ったアノ人に聞く、次に注目すべきカルチャー。ここではラップユニット・chelmicoのRachelさんとMamikoさんに“サブカルチャー”についてお聞きしました!――さまざまなカルチャーをボーダーレスに楽しんでいるお二人。いつからサブカルチャーに親しんできました?Rachel(以下R):本も漫画も映画も、昔から大好き。マミちゃん(Mamiko)のお笑い好きも、子どもの頃からでしょ?Mamiko(以下M):そうだね。サブカルチャーのある生活にすっかり慣れてるし、興味の範囲も広いほうかもね。R:いろんなものを取り入れることに抵抗がないよね。――まず、Rachelさんは、読書家として知られています。特に今、注目しているジャンルは?R:私、小説が好きで、これまであまり読んでこなかったエッセイが私的ブームです。コロナの影響もあるのかもしれないですけど、人と会って深く話す機会が減っている中で、その人自身の見方に惹かれますね。エッセイは世の中的にはとっくにキテるけど(笑)。M:『いまだ、おしまいの地』は、Rachelから借りて読んだけど、たしかにRachelがエッセイ読むのは珍しいなって思った。R:『イルカも泳ぐわい。』や『ベルリンうわの空』は、虚実織り交ざっていて、それが面白くさせるひとつのエッセンスかなって思う。M:『ベルリン~』の作者・香山哲さんは、心の余裕を大事にしてるのがめっちゃいい。R:もうサプリだよね。本が発売された時、香山さんによる「自分をビルドする20冊」のブックリストが、苦境にある本屋さんで配られたのもすごくよかった。私たちもCDを選んで、音楽ショップでできるかもね。M:やっぱり、好きなものやいいものはみんなでシェアしたいよね。今日、借りてた続編、返すね。『イルカも泳ぐわい。』は、サイトで公開されてるものしかまだ読めてないんだけど、作者の加納愛子さんは、Aマッソというコンビのツッコミでセンス抜群。文章にもキレがあるから読んでて気持ちよかったな。――Mamikoさんのおすすめは?M:やっぱりお笑いですね。R:マミちゃんが「クル」って言った芸人は、だいたい2年後とかにテレビに出始めたり、ラジオ番組持ったり、本当にクルからすごい!M:そうだと嬉しいんだけど。’21年は、「忘れる。」を推したい!去年のM‐1は2回戦で落ちちゃったんだけど、一番インパクトがあって、忘れる。が一番忘れられなかった!R:コンビ名が、忘れる。なのに(笑)。M:カナメストーンという、吉本からマセキ芸能社に移籍した漫才師も面白い。二人はすごい仲良しなの。R:いいね、仲良し。うちらみたい!M:あと、シシガシラ。ボケの人がすごくハゲイジリをされてて、その返しがすごく上手い。だけど、耳や足が小さかったり、ハゲ以外にもいろいろイジられるポイントがあるんだけど、その返しはできないっていうのがよくて。R:“イジリしろ”がたくさんあるんだ。『ゴッドタン』とか出たら、また全然違うところイジられて面白くなりそうだね。『いまだ、おしまいの地』『夫のちんぽが入らない』の作者による自伝的エッセイ。『いまだ、おしまいの地 』こだま・著太田出版¥1,300主婦でもある作者が日々の生活を切り取る。「夫の転勤でついていった山奥=“おしまいの地”での話は不憫なのに笑え、愛おしくもあります。こだまさんは渦中の人なのに客観的な視点なのもカッコいい!」(Rachel)『ベルリンうわの空』ベルリン移住者の日常生活を独特のタッチで描く。『ベルリンうわの空』香山哲・著イースト・プレス¥1,000ベルリンに住む著者の生活の記録。「Web連載時からのファン。現地に住む人が感じてることを、現実と空想を織り交ぜて描いています。人のために自分ができることをするというベルリンの人たちの考えも素敵」(Rachel)『イルカも泳ぐわい。』お笑いコンビAマッソのツッコミが放つエッセイ集。『イルカも泳ぐわい。』加納愛子・著筑摩書房¥1,400人気Web連載「何言うてんねん」に初短編小説「帰路酒」他、書き下ろしを加えた40編を収録。「私的エッセイブームの始まり。加納さんの独特の視点から見る世界がすごく楽しくて、何回も読み直しています」(Rachel)忘れる。インパクトあるボケが持ち味のフリー2年目。鶴山侑一(右)のボケに、橋本知也(左)が激怒してツッコむ。「何度も言うボケのフレーズがクセになる!子どもやギャル発でブレイクしそう。見た目といいシステム化されたネタといい笑い飯が好きなんだろうな」(Mamiko)カナメストーン中学時代からの仲良し同級生コンビ。ボケの山口誠(左)、ツッコミの東峰零士(右)による漫才師。「何度も漫才のシステムを変えてたどりついた今のスタイルが私は一番好き!インスタを見ると二人はいつも一緒にいて、服もおしゃれです」(Mamiko)チェルミコRachel(写真・左)とMamiko(写真・右)からなるラップユニット。2018年メジャーデビュー。二人のキャラクターのようにポップでキュートな楽曲が、爽健美茶やApple Watchなど多くの広告に起用される。最新アルバム『maze』が発売&配信中。※『anan』2021年1月13日号より。写真・小笠原真紀取材、文・小泉咲子鈴木恵美(by anan編集部)
2021年01月08日「大変そう」「自分を変えるのが怖い」など、現状からなかなか自己更新できない人に向けて、アップデートの重要さ、そしてその一歩の踏み出し方をロールモデルとともにレクチャー。理解や共感も背中を押してくれる今、これを参考に、アクションを起こしてみてはいかが?自己更新を怠ると自分や周りを傷つけることも。様々な生き方や価値観への理解が広まっている中、自分のためにも社会のためにも、柔軟な思考のアップデートが必要に。「現状維持の方がラクだしコストもかからないようにみえるけど、古い価値観のままいると誰かを傷つけたり、そんな自分が信用できなくなる。時どきで自分を更新することが自分を生きやすくするのです」(コラムニスト、エッセイスト・犬山紙子さん)芸能や政治などの特別な世界だけではなく、身近な一般社会においても、会社で女性が高いポジションについたり、重要なプロジェクトに抜擢されたり。近年、女性の活躍が目覚ましいが、そこに立つのは自己更新を続ける人。「割合としてはまだ男性中心の社会であるということを前提に、まず意見や問題提起を臆せず発信する女性が注目されるように。ひと昔前は女性が少しでも声をあげようものなら『ヒステリー女』『生意気だ』なんて言われてしまいましたが、今はSNSで意見を支持する共感の声も広がり、発信側にしっかり届くようになりました。賛同者の意見が可視化されたことで『意見を言っていいんだ』と自己更新のしやすさにもつながっているのではないでしょうか」有益な情報を得やすく、発信しやすい時代だからこそ、興味が向いたテーマを入り口に思考をアップデートしたい。たとえばモデルのローラさんは、サステナビリティを通して価値観を更新させた。「日本で手に入れた人気や立場をばっさりと切ってLAに移住するなど、なかなかできないこと。自分が幸せに生きるために素直に行動し、自信を持ち続ける姿は本当に素敵。また、中年以降ミニスカートをはいたり派手なメイクをすると揶揄されがちな日本社会の風潮にメンチを切って自分スタイルを貫き、バージョンアップし続ける夏木マリさんは、スーパーかっこいい人。ほかにも世間体より信念を貫く発言や行動をしながら自己更新を続ける女性たちを見ると、よくやってくださったという尊敬しかありません」先駆者たちを参考に、今こそアップデートの準備をしてみて。自分を更新する3つのアクション1、過去の自分からの変化を前面に出す。「自分を更新するのは、過去の自分の至らなさを認めることになるのでキツイもの」と犬山さん。「かつて私も自虐することで、同じ属性の女性たちまで一緒に貶めてしまっていた。それを認めて反省と謝罪をして、プラスに変えていくことで、自分のことが好きになり、ラクに生きられるようになると思う」2、自分の持っている資源を還元しようと動く。「お金や教育、文化に恵まれた環境の人が、それを当たり前だと思わず自己責任論を振りかざさないこと。そして自分の持てる個人的な力や影響を世の中をよりよくすべく還元することが、社会と自分を裕福にしていくはず」。自分の経験を活かそうと発言したり、アクションを起こすことは、自己更新の第一歩。3、SNSなどを使い、考えを声に出して言う。「メンタルが“激強”な人なんてそんなにいない。誰もがイヤなことを言われたら怒りもするし傷つくけど、それでも自分の後に続く人や周りの人のために動ける人がこれから世の中を引っ張っていくはず」。意見を発信しやすいSNSを使い、小さくても疑問や自分の考えを発信することもアップデートの一環。犬山さん選のアップデートが止まらないイマドキ女子。誠子さん(尼神インター)…自虐キャラからの脱却で自己更新中!言葉にできる強さにしびれました。ブスを自虐して笑いを取ってきた誠子さんも、過去の自分に別れを告げて更新した人。「“もうB(ブス)なしでも戦えるよ、B今までありがとう、バイバイ”という言葉を目にして感動。自分の実力を持って、これまでの武器であった自虐を封印するなんてかっこよすぎる!私も自虐からの脱却がテーマだったけど自信がなくて反省しかできなかったから、この“自己効力感”の強さにしびれました」。前向きで潔い姿に共感する女性が大勢。せいこ1988年12月4日生まれ、兵庫県出身。芸人。狩野誠子としてのエッセイ『B あなたのおかげで今の私があります』(KADOKAWA)が発売中。和田彩花さん…アイドルの立場でジェンダー問題にメス。発言が難しい分野で勇気を持った人。ハロプロ卒業後もアイドルとして活動中。「アイドルは素晴らしい文化ですが自分らしくいることを発言しにくい分野でもあります。それにもかかわらず、アイドルの立場で、ジェンダー問題にメスを入れている勇気のある人です。アンジュルム時代、10代の若いメンバーが一部ファンから『口紅の色が濃い』など言われてしまうなか『好きな色のリップを塗りなさい』と背中を押した発言が話題に。若い世代を守ろうという気持ちが伝わります」わだ・あやか1994年8月1日生まれ、群馬県出身。「アンジュルム」、「ハロー!プロジェクト」のリーダーを経て、卒業後もアイドルとして活動中。バービーさん(フォーリンラブ)…ボディポジティブを掲げ、町おこしも!情熱が強く行動力が素晴らしい!地元・北海道の町おこしを積極的に行ったり、どんな体型の女性でも自分の体が好きになれるようなランジェリーを企画したり、生理について発信したり、芸人の枠を超えたアップデートが止まらないバービーさん。「女性の生き様や待遇に対しての疑問を、芸人の中で先陣を切って投げかけた人だと思います。彼女のおかげで息がしやすくなった女性も多いのでは。湧き上がるパッションが大きく、行動力が最高です!」バービー1984年1月26日生まれ、北海道出身。ピーチ・ジョンと“アンダー90cm”のブラジャーをコラボ開発し、自身もモデルを務めて話題に。犬山紙子さん1981年12月28日生まれ、大阪府出身。コラムニスト、エッセイストとして活躍。『スッキリ』(日本テレビ系)などにコメンテーターとして、ラジオ『犬山の遠吠え!やってまーす』(MBS)にパーソナリティとして出演中。※『anan』2021年1月13日号より。イラスト・green K取材、文・若山あや(by anan編集部)
2021年01月08日大きな肩パッド入りのド派手なスーツ姿で、ソバージュヘアを大胆にかきあげながら電話を片手に「しもしも~?」。そんなバブリーなキャラで人気を博した平野ノラさん。どことなく漂う凛とした女性像はどこからくるものなのか。常に自分と向き合ってきたというブレイクまでの道のりを辿りながら、探ってみた。「じつは一度芸人になったものの25歳で挫折。その後OLなどをしながら、お笑い芸人になりたいという火種はくすぶったまま、満員電車の中でも、何やっているんだろう…と自己嫌悪の毎日で。そのうち当時の彼からプロポーズされた時に、結婚して二度と芸人になれないとしたら、死んでも死に切れない!と思ったんです。それで一歩踏み出してみて、ダメならやめればいいと決心しました」お笑い芸人を目指すことに反対した彼とは別れ、コメディスクールに入ったのは31歳。10代ばかりの若い同期の中で、いうまでもなく最年長だった。「不安や恥ずかしさは一切なく、お笑いを学ぶのがとにかく楽しかった。年上だからこその人生経験もあるし、頑固にならずにスポンジのようにすべてを吸収してやろうと思いました。だから毎日一番前に座って授業を聞いて、ネタを提出する紙は裏までびっしり書いて。尖っている盛りの周りの若い子たちは、私を『ばばぁ!』とかイジってくるんだけど『ばばぁにばばぁって言っても面白くないよね、笑いになってないよね』って冷静に返したりして(笑)」スクールを卒業し狭き門をくぐって事務所に所属。ピン芸人として芸を模索している時に出合ったのが、バブリーなキャラだった。「自分は周りからどう見えるんだろうとアンケートをとったら『バブリーだよね』という意見があって。バブルを知らなくて調べてみたら、女性たちが財布を持たずに遊びに出かけアッシーくん(車で送ってくれる男性)、メッシーくん(ごはんを奢ってくれる男性)をはべらせていた時代。男性たちはカッコつけて見栄を張って女性をエスコートする一方で、女性は女性であることを謳歌している姿がすごくステキだと思ったんです。そこで生まれたのがあのキャラ。ダイソーで買った材料で小道具の電話を作っている時、絶対に売れる!とピンときました。その瞬間に電話に電波が通ったんだと思う(笑)。あの日の夜のときめきとワクワクは今でも忘れられません。“世代じゃないからわからない”と素通りされたくなかったし、キャラの面白さで勝負したかったから、ベースは昭和だけど『懐かしいよね』ではなく“ネオ・バブル”という新しいカルチャーにしてしまおうと考えました。4年間は全然売れなかったけど、何も怖くなかった。だって、芸人を挫折してやりたいこともやれずにいた31歳までの6年間の方がよっぽど地獄だったから。それに比べれば、やりたいことができているってだけで、幸せだったんですよね」36歳でブレイクすると、今度は“一発屋”の傾向を分析。芸人として次のステップに進むため、バブリーキャラ以外の自分をアピールすべく、奇抜な衣装とメイクを気づかれないように変え始めた。「肩パッドの綿を少しずつ抜き、眉毛もミリ単位で細くしながらこっそり第二形態へ(笑)。タイミングよくブラジャーのCMが決まり、堂々とナチュラルメイクで下着姿になって、全く違う姿を見せられたのが新たな転機になりました」現状に決して満足せず、自分の人生を開拓し続ける平野さん。「次々に状況は変わるし、変えていかなければいけないと思っている。妊娠や出産を選んだのも自分自身で、その都度欠かせないのが“自分会議”です。本当に望んでいる人生を生きているかを常に自分に問い、自己分析をして軌道を作り直しています。誰かと比べて落ち込むのではなく、自分のことだけを考えるべきだと思うから」現在出産を控え、新たな道に踏み出す準備をしている。芸人と母の両立に不安はないのか。「正直、割り切れない部分もありますよ。でもちょっと無理してみて辛いなら、心地よくいられるベストな状態を探しながら選び抜いていけばいい。それに状況が変われば、新たにやりたいことが見つかるもの。自分の人生は自分で、楽しんでクリエイトし続けたい」HISTORY23歳:お笑い芸人を目指すも25歳で挫折する。子供の頃から「可愛い」より「面白い」と言われる方がうれしかったし、お笑いで人を笑顔にハッピーにしたいという思いからお笑い芸人に。ところが、ネタを発表することなく25歳で挫折。25~31歳:自分に合う仕事を模索しながらくすぶる毎日。ほかに自分に合う仕事があるのかもしれないと思い、OLやフリーターなど仕事を転々とする日々。お笑いに未練を抱え、テレビのお笑い番組は直視できずにチャンネルを変えていた。31歳:プロポーズを断りお笑い芸人へ進む決断をする。当時、付き合っていた彼との結婚をやめ、夢を叶えるべく再び、コメディスクールへ入学。33歳:“バブル姉さん”のキャラが確立する。派手な衣装にソバージュヘア、大きな電話を抱えて「OKバブリー!」「しもしも~?」「おったまげ~」を決め台詞にするキャラに。36歳:ブレイク!テレビで見ない日はないほど多忙に。ふかわりょうさんプロデュースの『OK!バブリー!! feat.バブリー美奈子』でシングルデビューも果たす。39歳:付き合っていた彼との結婚を発表。6年間同棲していた彼と結婚したことをテレビ番組で公表する。42歳:1年間妊活に励み、第一子を妊娠。「年齢的にムリ」ではなくまずは妊活を1年間してみようと、温活を徹底。その結果、第一子を授かる。ひらの・のら1978年生まれ、東京都出身。ピン芸人で、バブリーな装いの強烈なキャラクターでブレイクを果たす。現在はバラエティ番組やラジオパーソナリティのほかに、Instagramやブログでマタニティライフを発信中。衣装はすべてスタイリスト私物※『anan』2021年1月13日号より。写真・倉本ゴリ(Pygmycompany)スタイリスト・SHOCOヘア&メイク・村上 綾取材、文・若山あや(by anan編集部)
2021年01月06日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、さりげなく渡せる贈り物を選ぶ女性、「手みやげをいらないと言える女」になりきり。気を遣わせないことに気を遣える人は素敵。友だちとお互いの家を行き来することが何度か続いた時に、手みやげのことで悩んだことがありました。毎回、違う種類のものを探して準備するのが難しいし、“お金がかかるじゃん!”と思ったんです。お店に行ってお金がかかるのは納得できるけど、家なのになんでなんだろうって。そんなある日、チョコレートプラネットの松尾さんの家に遊びに行ったのですが、「これでもう、手みやげはなしにしよう」と言ってくれたんです。たしかに、もう何度も家を行き来していたし、それまでに何回か「手みやげやめようか」という話は出ていたのですが、この日を境に渡さないルールができました。すると、めちゃくちゃ楽な付き合いになったんです。これまでにも「いらないよ」と言ってくれる人はいたのに、私はそれを社交辞令だと思い込んで、「とはいっても必要じゃん?」となかなか甘えられなかった。でも、今思うと、本当にいらなかったんだろうし、むしろ、気を遣わせていたんだなと思いました。もちろん、一番最初に遊びに行く時はあったほうがいいけれど、ある程度の関係性が築けたと思ったら、「今日は手みやげないのよ~」とか、「これでやめよう」と提案してみるのもアリだと思いました。それでも、手みやげを持っていかないことを実践するのは、最初はなかなか難しいと思うんです。なので、相手に気を遣わせないような、ちょうどいいアイテムを見つけるところから始めてみるのはどうでしょうか。「ここに来る途中で見つけて買ってみたよ」「おすそわけしたくて」「すごく美味しかったから」など、買う理由付けができるものを選ぶと、気兼ねなく受け取れるはず。気を遣わせないことに気を遣うことができる人こそ、いい女ですよね!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。婚活で培ったテクニックをまとめた著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。2月に第一子を出産。※『anan』2020年12月30日‐2021年1月6日合併号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2021年01月05日「36でしょ、今?俺も36のときは、誰も俺のこと知らなかったから。俺は39歳でデビューだからーー」武井壮(47)は、みんなのたかみち(36)にこう語りかけた。「世の中には(人を楽しませる力があるのに)知られてなくて力を発揮できていない人っている。俺も実際そうだったからーー。たかみちの明るいキャラクターだったら、番組に出ればぜったい認知されるし、いまそういうお仕事している人と遜色ないことができると俺は思っている」尊敬する人からそんな言葉を贈られて、たかみちは大きな体を震わせ号泣した――。■NHKの子供向け番組、初の“マスター”みんなのたかみちという芸人がいる。185センチの長身に、アフロっぽい髪型とオーバーオールがトレードマーク。芸歴は15年目。最近はピン芸人として活動することが増えたが、「プリンセス金魚」というコンビを組んでいる。全国区の番組に出たこともあるが、けっして知名度は高くない。だが、ひとたび“舞台”に上がれば、観客たちは腹を抱えて笑い、万雷の拍手をたかみちにおくる。今を時めく芸人も人気ユーチューバーでも、これほどの笑い声は集められないかもしれない。小さなお客さんたちを前にした舞台ではーー。みんなのたかみちは子供の前で抜群の強さを誇る芸人だ。今年8月には、2組の芸人がネタを披露して子供の投票で勝敗を決める「わらたまドッカ〜ン」(NHK Eテレ)という番組で、番組史上初の「わらたま芸人マスター」に輝いた。4勝した者に与えられる「マスター」の称号。4回以上出演した者のなかには、テツandトモやアンガールズ、小島よしお、ジャングルポケット、オジンオズボーンなど、たかみちよりもずっと知名度のある芸人も含まれている。だが、4戦4勝で誰よりも早くこの称号にたどり着いたのは、たかみちだった。「子供は自分が好きなものが好き。知名度がなくても『誰やねん』てならずに、おもしろいと思えば笑ってくれますから」コテコテの関西弁で、そう語るたかみち。子供に愛され、武井壮も手放しで褒めるたかみちだが、もともとはまったく違うタイプの芸人だった。プリンセス金魚は、たかみちと大前りょうすけ(36)の、京都の中学の同級生によって2005年に結成されたコンビだ。端正の顔立ちの大前が妄想ぎみにボケて、たかみちがハイテンションにツッコむというのが得意のスタイル。デビュー3年目の2008年にはNHK新人演芸大賞の決勝に進出。ナイツやオリエンタルラジオ、天竺鼠など、そうそうたる顔ぶれと競っている。すぐに関西お笑い界の期待の星として注目を集めた。「いちばん多いときは関西ローカルの番組で5、6本レギュラーがあったと思います。バイトせんでも食うていけるようになりましたし、街を歩いてたら、女の子に声かけられたり、劇場の前で出待ちしてもらえたり(笑)。でも、ずっと悔しい気持ちが消えへんかった。ご飯とか食べてても、隣のテーブルから聞こえてくるのは、やっぱり全国放送のお笑い番組の話が多いやないですか。いつか東京で勝負せなあかんという気持ちがあったんです」2013年、満を持して東京に進出する。「ロンドンハーツ」(テレビ朝日)や「『ぷっ』すま」(テレビ朝日)などの人気番組に出演する機会にも恵まれたが、ブレイクには至らない。ほどなくして、バイトも始めた。上京して4年目、“お笑い第7世代”たちが頭角を現しつつあった2016年。浮上のきっかけが見つからないなか、相方の大前が東海地方のラジオ番組のパーソナリティに抜擢された。月曜から金曜まで毎朝7時からの生放送。大前は名古屋に拠点を移すことに。一緒に名古屋に行けば、プリンセス金魚としての仕事も得られたかもしれないが……。「相方はちゃんと現実を見てたと思います。僕は“夢見る夢子ちゃん”なんかもしれませんね。まだ東京でやり残したことがあると思った。ピンネタもやってないし、ロケ芸人とか何かしら可能性が残ってるんちゃうかって」たかみちは1人東京に残ることを選んだ。2016年10月、プリンセス金魚は“遠距離コンビ”になった。定期的にコンビで漫才を行う機会はあるが、普段の舞台には1人で立たなくてはならない。「地獄みたいでしたよ(笑)。もうずっとスベってたんで。漫才にはツッコミがあるけど、ピンの芸だとボケだけで笑わせないといけない。漫才とはぜんぜん違った……。コントやったり、歌ネタや漫談やったり、1年ぐらい迷走していましたね」ピンで舞台に立つようになっておよそ1年、道が見つかった。お笑いコンビ・土佐兄弟の“弟の方”、有輝(26)と喫茶店で話しているときに「たかみちさんは“切ない系”のネタが合うと思いますよ」と言われた。「“切ない”ことって何かなと考えたんです。昔、ファミレスで、相方が『トイレ行ってくるわ』と立って、30分くらい帰ってこなかった。不思議に思って『いまどこおんの?』と電話したら『家』って言われて、こっちは『帰ったん!?』となったことを思い出しました。それと、幼稚園ぐらいのころ、遊園地で両親がふざけて僕から離れて物陰に隠れたことがあった。置いていかれたと思ったときの、あの心細さを思い出したんです」そこから生まれたのが「帰ったん?」という異色のネタだ。一緒にいたのに、いつの間にか帰られてしまう。あり得そうなシチュエーションから始まり、とんでもないタイミングでも置いていかれる。残されたたかみちはそのたびに「帰ったん?」と切ない顔をする。これを舞台でやったら、ピンで芸をするようになって初めてウケた。「寝てたん?」「食べたん?」など、「帰ったん?」から派生した“切ない瞬間”シリーズは十八番のネタとなった。そんなとき、このネタを観た番組スタッフから「わらたまドッカ〜ン」のオファーがきた。「『帰ったん?』は子供にウケるネタだと思ってなかったんですが、めちゃくちゃウケたんです。 2回目出たときにも、ウケて。このときはじめて『自分は子供にもいけるんや』と気付きました」だが、その自信はすぐにくじかれることになる。知り合いのすすめで、保育園でネタを披露する機会を得たが……。「ぜんぜんダメでした(笑)。『わらたま』の子らは小学生が多い。保育園の子はもっと小さかった。甘く考えてたんですよ。“子供ってなんでも笑うやろ”と思ってたから。ちゃんと向き合わなあかんと思いました」セリフが聞きとりづらくても、ネタがわかりにくくても、大人は想像力で補ってくれる。だが、小さな子供はそんなことはしてくれない。声の大きさに、話すスピード、身振り手振りまで、すべて見直した。そうして挑んだ“リベンジ戦”は子供たちの笑顔であふれた。たかみちは頻繁に保育園や幼稚園に呼ばれるようになった。仲のいい芸人仲間と、子供向けのイベントも開催するように。飽きさせないように、ゲームを考案したり、歌も作ったりした。「ほかの芸人に『もっと大人を笑かしていきましょうよ』みたいに言われることもあります。でも、子供を笑かすってめっちゃ深い。学ぶことは多いんです。それに、子供だけを笑かしても、実はあかん。子供たちの後ろではお父さんやお母さん、先生とかが見てますから。子供たちだけ喜んでも、大人もおもしろくないと、次は呼ばれません」子供を笑わせられるようになると、大人向けの舞台でも笑い声が増えた。自分がおろそかにしていたものが改善され、ネタの完成度は上がっていった。小さな観客たちの舞台から学んだことは多かった。自分のネタに自信を深めつつあったなか、コロナがきた。多くのイベントが中止になった。ライブやイベントを主戦場とするたかみちにとって、死活問題だ。なにより、ネタを人に見てもらう機会がなくなった。「どうしようと思って、インスタライブの配信を毎日することにしました。夕方、ご飯を食べたタイミングでお母さんとかと一緒に観てもらえるように、子供向けに自分で作った歌を配信することにしたんです」だが、なかなか再生数は伸びない。ライブ視聴者が一桁のときもあった。そんななか、武井壮が自分のYouTubeチャンネルにたかみちを出演させてくれた。そこでかけられたのが冒頭の言葉だ。武井はたかみちのやっていることをずっと見守り、おもしろいと評価してくれていた。涙が止まらなくなった。「ほんまありがたいですよ。武井さんは少しでも宣伝になればって、僕の名前と写真がラッピングされた原付スクーターをプレゼントしてくれて。今後コロナがどうなるかわかりませんが、頑張るしかないですよね。1月3日の『わらたま』のスペシャルで僕のこと取り上げてくれるそうです。とにかく、いろんな人にネタをみてもらいたい。来年2月15日には『ワタナベお笑いNo.1決定戦 2021』の決勝もありますから、予選を勝ち抜いて出たいですね。最終的には常にテレビに出ているような芸人になりたい。まだまだ道は遠いですけど」相方のラジオは好評を博し、今や大前は東海地方で複数のラジオ番組のパーソナリティを務める売れっ子だ。地元テレビの出演機会も増え、東海地方では誰もが知る顔になりつつある。一方、みんなのたかみちは……まだまだ道を模索中。「36のときは誰も俺のこと知らなかったから」。いつか笑いながらそう言える日がくることを信じて、夢を追いかけている。【PROFILE】みんなのたかみち(プリンセス金魚)ワタナベエンターテインメント所属。本名・高道淳史。1984年5月30日、京都生まれ。京都産業大学在学中に、大前りょうすけとプリンセス金魚を結成。趣味は少女漫画鑑賞で、蔵書は1千冊を超える。自分のYouTubeチャンネルで2020年内に登録者3,070(みんなの)人に届かなければ3,070kmマラソンを走るという企画にチャレンジ中。
2020年12月18日雅な着物と「いよぉぉぉぉ~っ!ポン!」というおめでたい小鼓の音とともに繰り広げられる、異色の伝統芸能風漫才を生み出した、すゑひろがりず。漫才の枠を超え、YouTubeやバラエティ番組でも、存在感をどんどん増して、女性ファンも獲得中。絶妙なセンスで現代語を狂言風に言い換える芸風は、どこから生まれたのでしょうか。――現在の狂言風のネタにたどり着くまでは、全然違った芸風だったとお聞きしました。三島達矢:元々はトリオでやっていたんですけど、ひとり抜けて、’11年にコンビになりました。最初は「みなみのしま」というコンビ名で、パイナポー南條&ライチ三島と名乗りアロハシャツを着て、王道のコントをやっていたんです。南條庄助:でも、それがほんとに鳴かず飛ばずで…。三島:ふたりとも30歳手前になる頃に「もう誰もやったことのない変わったことをやるしかないやろ」ということになって、今のネタの原型が生まれました。最初は1分くらいのネタでしたが、それがお客さんにめちゃくちゃウケたんです。その場に一緒に出演していたミルクボーイの駒場さんに「それ本ネタにしたほうがいいよ」とアドバイスいただいて。南條:そこから思い切って大きく舵を切り、すぐに着物を買いに行って、扇子買って小鼓買って、だんだんと今の形になりました。三島:それから3年間くらいはコントをやっていたんですが、一度単独ライブで1本だけ漫才をやってみたら、手応えがあって。だんだん漫才にシフトしていきました。でも、そんな中で、ずっとこれでやっていけるのかな?という疑問もあって。南條:1回世に出ないとマズいのではと思って、M‐1に挑戦してみようということになりました。――ちなみに、コンビ名を決める際に、名前の候補を10個紙に書いて餌をつけ、大宮の氷川神社の鯉に選んでもらったという噂は本当なんですか?三島:本当です。和風の名前ばかり10個候補を考えて。でも、氷川神社の鯉は餌やり禁止だったので、実際は、近くの公園の池の鯉にお願いしました。それで一番最初に食いついたのが「すゑひろがりず」でした。南條:いま考えると、その改名がかなり大きかったですね。三島:「みなみのしま」では、カレンダーなんて出せなかった(笑)。古い言葉を学ぶよりも、流行りものを押さえる。――元々古典芸能はお好きだったんですか?三島:いや、全然そんなことはなくて、完全に我流なんです。南條:日本史は好きでしたけど、古典芸能に詳しいとかは一切ないです。三島:でも、僕たち何となく和の空気が漂っているというか…、「洋」か「和」かだったら、完全に「和」のほうのルックスじゃないですか(笑)。――でも、TVのバラエティなどで、現代語から狂言言葉への変換をポンポンとされていますよね?南條:いや、あれは、いいやつを使ってくれてるだけです(笑)。実際は失敗も多い。でも、いろいろ蓄積されたおかげで、普通の人よりは昔の言葉を知っているかもしれないですけど。三島:古い言葉の勉強をするより、むしろ、いま流行ってるものは何なのか知っておかんとな、という意識はあります。『鬼滅の刃』とかNiziUとかチェックしておかないと、とか。これをどう言い換えられるかな、と考えながら見てます。――突然ですが…「アンアン」を狂言風に変換することってできますか?三島:うーん…やっぱり「あむあむ」かな(笑)。南條:アンアンってどういう意味なんだろ。フランス語なんかな?――パンダの名前なんです。ふたり:えっ!?あっ!表紙にもパンダのマークが入ってるんや。三島:「南無南無」もいいかも。南條:漢字でね。でも、思想感が強くなっちゃうかな(笑)。――ありがとうございます(笑)。先日YouTubeで公開された「香水」の狂言風カバーの歌詞も話題になりましたね。南條:あれは、歌詞の提出締め切りを完全に忘れていて…夜中の3時頃に急に思い出したんです。そこからほんとにサササッと短時間で書き上げたものが採用されました。あんまり考えすぎずにストレートにいったのがよかったのかもしれないです。あの動画は、ちゃんとスタジオで録音したりと、今までで一番力を入れて作ったかも。すゑひろがりず2011年結成のお笑いコンビ。2019年のM‐1グランプリで決勝に進出。ボケ・扇子担当の三島達矢(右)、ツッコミ・小鼓担当の南條庄助(左)ともに、1982年生まれ、大阪府出身。YouTubeチャンネル「すゑひろがりず局番」は登録者数約34万人。『バイオハザード RE:2』『あつまれ どうぶつの森』などの狂言風ゲーム実況で人気を集める。縁起のいい言葉やポーズがたくさん詰まった日めくりカレンダー「すゑひろがりずのまいにち寿!!」(リベラル社)が絶賛発売中。このために撮り下ろした人気ネタから新作ネタまで31日分の写真は必見。YouTubeチャンネル「すゑひろがりず局番」で先日公開された、瑛人さんの「香水」の狂言風カバー「香の物」も話題となった。※『anan』2020年12月16日号より。写真・中島慶子(by anan編集部)
2020年12月15日お笑い芸人と動画クリエイターを両立し、“SNSでのお笑い”を確立した第一人者ともいえる丸山礼さん。23歳という若さで、テレビでも活躍する傍ら、YouTubeチャンネル「丸山礼チャンネル」は、約80万人のチャンネル登録者数を誇り、トータルの視聴再生数はなんと1億回超え!自身のファッションブランドを立ち上げ、さらに個性を表現「緊急事態宣言が発令されて、テレビの撮影のほとんどが、自宅からのリモート出演になりました。テレビの現場が、リモートに慣れず四苦八苦している中、私はYouTubeで動画投稿を頻繁にしていたこともあって、新しい撮影のスタイルにもすんなり馴染めました。もっと言えば、スタジオでの収録より、リモートの方が芸風を表現しやすかったので、自分の持ち味を上手く活かせたような気がします。そのおかげもあってか、今ありがたいことにお仕事の幅がどんどん広がっているんです」リモート出演が増えたことで、自宅にいる時間が多くなったと思いますが、不安や寂しさは感じませんでしたか?「全く感じませんでした。ニューヨークにいる友人でYouTuberのkemio君と、毎日電話して、くだらないことを言い合っていたので、それが心の拠り所になりました。それにもともと、ひとり時間を楽しむのが得意なので、自粛中も韓国ドラマをめちゃくちゃ見て、ネタを増やすことができた。好きなことをたくさんインプットできる時間だったし、今そのアウトプットをさまざまな場所で披露しているので、表現の幅がぐーんと広がった良い機会でした。もちろんイベントができなくなって、ファンの方と直接会える機会は減りましたが、その代わりにオンラインでスペシャルミーティングを開催して、生電話したり、新たな繋がりの場を設けることができたのがすごく嬉しかったです。対面しなくても交流は持てるし、自分の個性を表現することもできる。新しい発信方法は増えているので、表現の仕方はもっともっと多様化していくんじゃないかな。だからこれからは、自分を上手に表現できるフィールドを見つけた人、そしてそのフィールドを多く持っている人が活躍していくんじゃないかなと思っています」そんな丸山さんは、今年女優デビューを果たし、さらに間もなくオリジナルファッションブランド『rel’m』を立ち上げる。「過去に配信したYouTube動画で、私服の1週間コーディネートを投稿した際に、『私と同じ体型だから参考になる』という声が、とにかく多かったんです。私の体がわがままボディということもあり、普段から考えていた服への欲求や不満を全て落とし込んで、私が本当に身につけたいと思える理想のアイテムを作り上げました。ワンピースやカーディガンなどのほか、新しい生活様式に合わせて、コンビニなどちょっとしたお出かけにも対応できるセットアップのパジャマやマスクも!大きめサイズも展開する予定だし、ユニセックスのものも用意しているので、幅広い層の人に喜んでもらえると思います。今以上に、この世代として新しいことを率先して発信していけるようになりたいです」これまでのスタイルにとらわれず、自分の個性を表現するフィールドを広げている丸山さん。その柔軟さと発信力に注目したい。まるやま・れい1997年生まれ、北海道出身。2016年、「ワタナベお笑いNo.1決定戦」の決勝に進出して注目を集める。YouTubeチャンネル「丸山礼チャンネル」もファンが多い。※『anan』2020年10月21日号より。取材、文・鈴木恵美(by anan編集部)
2020年10月20日テレビや雑誌で見るたびに、ハッとするほど美しくなっていくゆりやんレトリィバァさん。自粛期間中もひたすら筋トレにいそしんでいたようで、なんと、この2年で約36kgの減量に成功したそう。お笑いという枠にとどまらず、挑戦し続けるためのトレーニング「自粛明けに、あまりにも痩せていたんで、SNSを中心に、『今後ネタどうすんねん?』とか、『太っているのがゆりやんの持ち味だったのに…』とか結構言われたんです。でもわたし的には、たまたま食べすぎて太っていただけで、太っているのを活かしてネタをやっていたわけではないんです。たしかに少し前までは“太っていても別にええやん!それが私やから”と思っていたけれど、それはある意味、開き直っていただけで…。もちろん、できひんようになったネタもあるけれど、逆に痩せたことでできるようになることも今後たくさんあるやろうから」9月発売のananの美乳特集で、仕事のステージを変えるために痩せたとおっしゃっていましたが、それは芸人を辞めて、違う道に進むということ?「いえ、あくまでも私は芸人です。芸人でありながら、それ以外のジャンルの仕事もしてみたくなったんです。ずっと同じステージにいるより、やりたいことがたくさんあるから、そこに果敢に挑戦して芸を磨いていきたいという思いが強く芽生えたんです。そう思わせてくれたのは、パーソナルトレーナーの岡部友さんとの出会いがきっかけでした。今までも何度か痩せようと思ったことはあったけれど、それは好きな人に振り向いてもらうためで、結局リバウンドばかりしていた。でも、岡部さんに出会って意識が変わったんです」どのように変わったんですか?「自分磨きをして、ヘルシーでスポーティな女性の方が、強くてかっこいいやんって!食事制限も筋トレもめちゃくちゃしんどい時もあったけど、岡部さんに寄り添ってもらって、目標を達成していくうちにどんどん楽しくなってきて、活力が湧いてきたんです。今後の人生を長い目で見た時に、今までのようにただ毎日を何となく過ごしているより、しっかり自己管理して健康体でいる方が、前向きに生きていることに対する説得力が生まれてくるから、絶対こっちの方がええなって思えたんです。これからも頑張ります」自分のフィールドを広げるために、ストイックに努力し続けるゆりやんさん。その行動力こそがポジティブマインドを生む秘訣!ゆりやんレトリィバァ1990年生まれ、奈良県出身。2013年にデビュー。YouTubeチャンネル「ゆりやんレトリィバァのシンプルライフ」が話題。※『anan』2020年10月21日号より。取材、文・鈴木恵美(by anan編集部)
2020年10月17日ネット配信サービスの台頭で、幅広いコンテンツがいつでも楽しめるようになった昨今。そんな中、テレビの作り手はどう熱狂の火種を見出すのだろう?敏腕クリエイター・佐久間宣行さんにお話を伺いました。おぎやはぎや劇団ひとりといった、関東芸人の飛躍のきっかけになったといわれるお笑い番組『ゴッドタン』。“笑いといえば関西”という空気に一石を投じ、新しい笑いの熱狂を生み出したコンテンツとして、2005年のスタート以来人気は常に上昇中。この番組でプロデュースと演出を手掛けるのが、佐久間宣行さん。「よくする話ですが、他のキー局に比べてテレビ東京は、本当に極端に予算が少ないんです(笑)。そこで、他局が取り上げるのと同じテーマの番組を作ったところで、絶対に勝てません。なので、どんな企画を立てるときでも、“他局とはかぶらない内容で”というのがベースにあります。『ゴッドタン』もまさにそれ。’00年代中頃は吉本興業の芸人さんメインの番組が本当にたくさんあり、だったら僕は、関東の芸人さんをメインに、しかも大御所ではなく自分と同世代で、ブレイク前の人たちに出てもらって、彼らと一緒に大きくなる番組を作ろうと思って始めたんです。かぶらないという意識から始まったものが、レアな立ち位置の番組になり、他にない独自性に愛着を持ってくれる人が増えた。それが、『ゴッドタン』が人気になった理由だと思っています」その思いは、番組が始まって15年経つ今も変わらず。むしろ強まっているともいえる。「常に同じことをしていてはダメ、という気持ちがあるので、この番組きっかけで売れた芸人さんに、レギュラーとして出演し続けてほしいとは思いません。もちろん売れてる人たちで固めたほうが視聴率は取れる。でもこの番組は、“これから熱狂を生む人”と仕事をする場所。そこはブレずにやっていきたいと思います」芯はブレさせずに、価値観はきちんとアップデートしていく。それが佐久間さんが仕事において重要視しているポイント。「特にこのコロナ禍を経験して、その思いが強くなりました。僕も含めて皆さん、今年の春から夏にかけては家によくいたので、暇な時間が増えましたよね。暇だから人生について考えたり、イライラしたりする中で、“この考えって、ちょっと古くないか?”と、価値観の変化を感じた人も多かったのでは。価値観は、時代に合わせてどんどん変わるものだし、そうあるべきもの。例えば僕はアメリカの青春映画が好きなんですが、昔からたくさん作られている中で、今一番おもしろいのは、やっぱり最新作なんです。昔は自己肯定感の低い若者たちが、それを高めていくことがテーマになった作品が大半でしたが、最近話題の『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』という映画の登場人物たちは、すでにみんな自己肯定感を持っていて、その上で多様性をいかに認めるか、ということが主題。確実に価値観がアップデートされている。僕はバラエティ番組もそうあるべきだと思っていて、古いパターンの笑いではなく、価値観が新しくなっているからこそおもしろいし、それで笑うのがいいよね、と思ってもらえる、そういう番組を作りたいんです」コンテンツが増える中で、熱狂を生む仕掛けとは。テレビや映画という既存のコンテンツに加え、ネット配信などエンタメの数は増える一方。これまでのようなやり方では、以前のような成功は得られない、とも。「昔だったら、おもしろそうな企画はまず深夜帯で試してみて、反応が良かったら徐々に大きく育てて…という感じでした。でも今は、コンテンツの数が多すぎて、それでは気が付いてももらえない。熱狂してもらいたいなら、1年くらい時間をかけてじっくり準備し、一番強い演者を立て、注目度が高い時間帯に置き、徹底的に勝負しにいく。そのくらいの熱量がなければ、この時代の視聴者には伝わらないと思います」この6月テレビ東京は、佐久間さんなど社員クリエイターが有料でネット配信をし、話題を呼んだ。才能のある作り手は、ジャンルの垣根を越えて活躍の場を見出し始めている。「テレビは、今の牙城を守ろうとしてしまったら、終わると思います。逆に変わることを恐れなければ、新たな熱狂を生む可能性はまだまだある。個人的には、ラジオやネット番組、ライブ配信などは、“テレビでは使えなかったアイデア”を活かせる場所なので、テレビ以外の場所が増えるのはとても楽しいです。フォーマットが違うところに狩りに出て、そこで手に入れたものを持ち帰り、テレビで活かす。そのループを上手く回せる人が、おもしろいエンタメを作れるのではないかと思います」ご自身の番組から、たくさんの“熱狂を生む芸人”を羽ばたかせてきた佐久間さん。何を持っている人が、“ネクスト熱狂芸人”になれると思うか、またそれをどう見抜いているのか、聞いてみた。「芸風とかは時代ごとに違うんですが、共通しているのは、今売れていないことや自分がまだ小さい存在であることに、満足していない感じがある人でしょうか…。心の中に、自らに対する怒りの炎がある、そんな芸人さんは、売れていく気がします。なぜ僕が、そういう人と仕事をするのが好きなのか?そんな芸人が爆発する瞬間のおもしろさを、僕自身が一番そばで見たいから(笑)。完全にファン目線ですね」さくま・のぶゆき1975年生まれ、福島県出身。テレビ東京制作局プロデューサー、演出家、作家。お笑い番組『ゴッドタン』を手掛け、一躍注目の存在に。現在は『あちこちオードリー~春日の店あいてますよ?~』などを担当。『オールナイトニッポン0』水曜日のパーソナリティも務める。※『anan』2020年9月30日号より。(by anan編集部)
2020年09月25日事務所や世代の差を超えてキャンパー芸人が集まった「焚火会」の活動が、ユーチューブなどで話題に。今回、メンバーのじゅんいちダビッドソンさん、バイきんぐの西村瑞樹さん、うしろシティの阿諏訪泰義さんにキャンプの魅力を伺いました!「焚火会」の極意は何も決めないこと。じゅんいちダビッドソン(以下、じゅん):そもそもキャンプって、仲間みんなで相談して、レンタカーとか借りて、駅前で集合して…っていう工程が面倒くさいと思われがちやと思わへん?西村:確かにね。そこは僕たちがやっているソロキャンプとは大きく違うところ。阿諏訪:焚火会はすべて自由ですからね。何も決まってない(笑)。いつもLINEに、「明日、ここにいるよ」ってメッセージがくるだけですから。西村:ざっくり何時くらいにこのキャンプ場にいるって言われても、平気で2時間くらい遅れていくときもある。それくらい自由。じゅん:全然、それで構わない。芸人の上下関係も焚火会ではナシ。先輩が起きてるから起きてなきゃ、とかもない。寝たきゃ寝る(笑)。阿諏訪:それこそ何を食べるとか、どうやって過ごすとかも全部自分で考えて、自分のペースで過ごすんです。例えば、友達と旅行するとなると、どうしてもみんなでどこ行こうってプランを考えて、ごはんはここで食べて…って、スケジュールに追われて時間ばっかり気にしていることになりがちでしょ。でも、ソロキャンプでは予定は未定。何をやってもいいし、極論、何もしなくてもいい。じゅん:みんなで焚き火を囲んで話をしたいならしてもいいしね。ひとりで何かに没頭したいならそれをやっててもいい。阿諏訪:そうそう。ゲームしたり、本を読んだっていいし、焚き火にあたりながら手芸とかしてもいい。西村:うん、ちぎり絵したりね。じゅん:アンアン読者、ちぎり絵する?まあでも、本当に何やってもいいんですよ。西村:でも、女の子が急にひとりで行くというのはさすがにハードルが高いと思うから、まずは気の合う友達同士とかで、それぞれ小さいテントを買って行ってみるといいんじゃないかな。じゅん:最近、ワンポールのかわいいテントとかあるしね。1つ気に入るギアを買うと、それに合わせて買い足してみたくなるはず。阿諏訪:まず気になる道具を買うっていうのは大事ですね。買うとどうしたって使ってみたくなりますから。ランタン灯したいとかダッチオーブンで煮てみたいとか。西村:じゅんいちさんなんて、初キャンプが楽しすぎてその場でネットでテント買ってましたからね。じゅん:あれは勢いで買いすぎた。でも、それくらい楽しかった。西村:そういう衝動が大事。僕もヒロシさんに連れていってもらったあと、アウトドアショップで20万円くらい爆買いしましたから。阿諏訪:最初は新品でピカピカの道具が、錆びたり汚れたりしていくのもまたオツなんですよね~。西村:ランタン錆びるとうれしいもんね~。じゅん:女の子たちに伝わるかな。「この錆がいい!」って感覚…。阿諏訪:あとは、やっぱ夕焼けとか星空とか自然を感じてほしい。じゅん:キャンプ中じゃなくても自然が気になるようになるよな。ロケバスとか乗っていても、あそこ、テント張れるな…とかそういう視点でつい見てまう。阿諏訪:川の水位とか自分に関係なくても気になる(笑)。西村:なんかいつでもキャンプの視点で物事考えるようになっちゃう。でも、それが楽しいんですよ。じゅんいちダビッドソン(写真・右)『じゅんいちダビッドソンの下手なキャンプでごめんなさい』がGAORA SPORTSで放映中。今の夢はプライベートキャンプ場を作ること。にしむら・みずき(写真・左)バイきんぐのボケ担当。初の冠番組『西村キャンプ場』がテレビ新広島で放映中。また、自分の山を購入したことも話題に。あすわ・たいぎ(写真・中央)うしろシティのツッコミ担当。アウトドアブランド『フェールラーベン』公式アンバサダー。YouTubeチャンネル「野あすわ」も人気。※『anan』2020年9月30日号より。写真・小笠原真紀イラスト・関根千種(CAMMOC)取材、文・梅原加奈(by anan編集部)
2020年09月24日●対照的なキャラクターとそれを面白く伝えられる能力『M-1グランプリ2018』で優勝し、抜群のトーク力も生かしてバラエティ番組で大活躍のお笑いコンビ・霜降り明星の粗品(27)とせいや(28)。まだ霜降り明星が世にでる前に、才能にいち早く惚れ込み、“裏方”として仕掛けてきた放送作家・白武ときお氏(29)の存在がある。2017年9月に静岡朝日テレビのインターネットテレビ局「SunSetTV」で立ち上げた『霜降り明星のパパユパユパユ』は、昨年4月に同局で『霜降り明星のあてみなげ』として地上波レギュラー化。その後、YouTubeチャンネルを提案し、同年7月に始動した「しもふりチューブ」は、まもなく登録者数100万人という人気チャンネルに。また、6月末にスタートしたTBS『霜降りミキXIT』にも携わっている。初めて霜降り明星を動画で見たときに、「めちゃくちゃ面白い」と才能を感じたという白武氏。2017年6月に初対面を果たし、同年9月に早くも『霜降り明星のパパユパユパユ』を立ち上げた。「ただ楽しくてやっている芸人さんもいいと思いますが、霜降り明星はやるからには結果を出す、絶対売れてやるという志があり、かっこいいなと思いました。霜降り明星の面白さ、この才能をより多くの人に届けたい、一緒にやったら面白いことになると思って声をかけました」ネタだけではなくフリートークも面白く、ラジオやテレビでその才能を存分に発揮している2人。白武氏は「2人のキャラクターが対照的。粗品さんは、ニコニコ動画が好きだったり、ゲームを配信していたり、いまどきっぽさを持ち合わせている。一方、せいやさんはアグネス・チャンのファンクラブに入っていたり、昭和歌謡が大好き。ものまねが得意ですが、僕の世代で武田鉄矢さんのものまねを一生懸命やる人はいない。そのギャップが面白い」とそれぞれの魅力を伝え、「対照的なキャラクターが魅力的で、さらに、それを面白く伝えられる能力が高い。引き出しも多くてアウトプットも上手、そんなすごい人たちはいない」と絶賛する。また、「性格もいい」と人柄も称賛。「芸能界で長く生き残るためにはコミュニケーション能力も必要で、いくら天才でも人間として破綻していたら続かない。今は特に、どの面を切り取ってもちゃんとしてないと叩かれたり、スポンサーにクレームが入る。“人を傷つけない笑い”といった言葉で縛られるのもかわいそうですが、人間性も重要視されていると思います」と述べた。毎日更新しているYouTubeチャンネル「しもふりチューブ」でも、霜降り明星の面白さを日々実感。「撮影は1週間に1回くらい、2~3時間で8本撮っています。編集で面白くしないといけないというわけではなく、2人が話している時点で面白さの基準を満たしていて、さらにそれを見やすくしたり、面白く味付けするという作業なので、ほかのYouTuberさんのほうが100倍大変だと思います。スライム風呂を用意するといった労力をかけず、会議室でしゃべっているだけで成立するので」と話した。YouTubeを展開する中で新たな発見もあるという。「毎日投稿していると、リアクションを見て、こういうネタはウケない、こういうネタは意外と再生数が伸びるんだなとわかり、日々トライアンドエラーしています。一方で、霜降り明星が今考えていることや、得意なこともわかり、そこから企画を思いつくこともあります。いろんな芸人さんがYouTubeをやっていますが、芸人さんの脳みそをのぞけるので楽しいです」●YouTube動画1日30本撮影も「撮れ高を作り続けられる」2人の個性が最大限に生かされた企画も「しもふりチューブ」で誕生した。白武氏は「麒麟の川島(明)さんからアイデアをもらって始めた『せいやの人間競馬』は最近のヒット作。せいやさんが粗品さんがかけた競馬を再現し、それを見て粗品さんが結果を知るというもので、ギャンブル狂いの粗品さんと、ものまねが得意なせいやさんの良さが出ている」と説明。「せいやさんは、映画のシーンなども細部まで覚えて再現できる。特殊能力だと思います。自身のエピソードをしゃべるときも、映像として取り出してしゃべるそうです」と加えた。また、YouTubeにおいては2人の熱量を大切に。「YouTubeは演者のテンションが乗っているとそれがダイレクトに伝わります。熱量があるほうが面白く見えるし、クラスの男子がバカやってるなという映像の方が面白く見えるので、いろんなアイデアを提示しながら、どれが楽しくできそうか、撮影の前に話して決めます」と明かした。印象に残っているエピソードを尋ねると、1日で30本撮影した龍宮城ホテル三日月のロケの話に。「特番時期でスケジュールがなかなかとれないということで、道中で30本撮影したのですが、普通はそんなことできない。撮れ高を作るモンスターだなと思いました。旅の記録なので車中で何にも起こってないシーンもありますが、彼らはトークの掛け合いが面白いので、オンの状態であればずっと撮れ高を作り続けられる」と、改めて2人のすごさを感じたという。“お笑い第7世代”として注目を集める霜降り明星。このフレーズは、ラジオでのせいやの発言がきっかけで誕生したが、白武氏はすぐにこのフレーズに食いつき、『霜降り明星のパパユパユパユ』で各世代の定義を明確に示したという。その後、地上波のバラエティでも使われ広まっていったが、「6.5世代の芸人がプロレス的に『谷間の世代のように見えるじゃないか』と怒ったり、おじさんなのに第7世代と言い張っている人もいて、面白い感じになっていると思います」と、盛り上がりを喜んでいる。“3人目の霜降り明星”として、白武氏が目指す未来とは。「もうすぐ達成できると思いますが、『しもふりチューブ』の登録者数100万人突破、そして150万人、200万人と増やしていきながら、テレビの世界でも彼らが一番面白く見える番組を担当できたらいいなと思っています」と力を込めた。■白武ときお1990年12月17日生まれ、京都府出身。放送作家。担当番組は『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ)、『霜降りミキXIT』(TBS)、『霜降り明星のあてみなげ』(静岡朝日テレビ)、『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』(TBS ラジオ)、『かが屋の鶴の間』(RCC ラジオ)。YouTube では「しもふりチューブ」「みんなのかが屋」「ジュニア小籔フットのYouTube」など、芸人チャンネルに多数参加。今年7月に著書『YouTube放送作家 お笑い第7世代の仕掛け術』を刊行した。
2020年09月16日●“罰ゲームを考える”趣味が仕事に「素敵な仕事だなと(笑)」日本テレビ系バラエティ番組『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』や、お笑いコンビ・霜降り明星のYouTubeチャンネル「しもふりチューブ」などに携わり、お笑い界の“裏方”として活躍している放送作家・白武ときお氏(29)。同世代の芸人とともにお笑い界を盛り上げたいという思いで、“お笑い第7世代”の霜降り明星やかが屋らとタッグを組み、テレビやラジオだけでなく、YouTubeの放送作家として、媒体を“越境”して活躍している。著書『YouTube放送作家 お笑い第7世代の仕掛け術』(発売中)を刊行した白武氏にインタビューし、放送作家としての挑戦や今後のエンタメ界について話を聞いた。――子供の頃は人前でネタを披露されることもあったそうですが、裏方として企画を考えることに面白さを感じるようになったきっかけを教えてください。中学の頃にひょうきん者になって怒られたくない、お調子者になるとモテなくなってしまうと思ったのがまず一つ。また、僕の周りには面白い人たちがたくさんいたので、人を笑わせるんだったら面白い友達に吹き込んで何かを言わせたり。高校生の頃には顕著に、自分はパフォーマンスをせずに、何かを考えてその場が面白くなること考えるようになりました。そちらのほうが性に合っていると思ったんです。――芸人さんになりたいとは思わなかったですか?高校生の時に『爆笑レッドカーペット』が全盛で、ベルトコンベアでバンバン面白い人が出てきていましたが、父親から「この中で生き残るのは数組だ」と言われ、これだけ面白い人たちがいるのに少ししか生き残ることができないなら自分は無理だなと思い、目指すこともしなかったです。――放送作家を目指している中で、『学校へ行こう!』の放送作家・樋口卓治さんに出会い、自分から声をかけたことで放送作家への道が開けたそうですが、行動力がすごいなと思いました。自分では行動力があると思ってなかったのですが、この本を読んだたくさんの人から「行動力がすごい」と言っていただきます。自分が好きなことに関してはスイッチが入るのかもしれません。ほかのクラスの面白い人に声をかけたり、そういうことは昔からやっていました。――放送作家としての活動をされるようになってから、イメージしていた仕事と違うなとギャップを感じたことはありましたか?2010年代はただ面白いテレビというより、ためになる情報バラエティが視聴率をとっていました。そういう状態が続いていたので、楽しいことだけできるわけではないんだな痛感しました。ひとつ面白い番組があり、ほかは仕事としてやるというプロフェッショナルもあると思いますが、なるべくなら楽しいことだけやりたいので、霜降り明星やかが屋らと、小さい場所でも楽しくできる場所をつくって挑戦するようになりました。テレビは偉大な先輩が多く、なかなか20代の作家が参入できない状態が続いていますが、ほかのところでやっていたら少しずつ呼んでもらえるようになったという感じです。――放送作家の仕事って最高だなと感じる瞬間を教えてください。昔から罰ゲームを考えるのが好きだったので、自分が考えた罰ゲームですごいセットが組まれて、例えば出川(哲朗)さんがそれをやるとか。罰ゲームを考えてリアクションを楽しむという、自分が学生時代からやってきたことが仕事になってお金を生んでいると思ったら、素敵な仕事だなと思います(笑)。毎年、「笑ってはいけない」シリーズの罰ゲームのコーナーを担当しているので、一流の芸人さんが挑戦するものにアイデアを出して実行してもらえるのは楽しいです。●「ムーブメントを起こすパワーのある総合バラエティを」――霜降り明星の「しもふりチューブ」や、かが屋の「みんなのかが屋」など、YouTube作家としても活躍されていますが、テレビで活躍している方の中にはYouTubeを敵対視している方もいます。白武さんはYouTubeをどのように考えていますか?今は、テレビ画面を使ってHuluやNetflixも見られますし、一方でテレビ番組も今秋からネット同時配信が始まります。きっとテレビ番組は、YouTubeでもどんどん流れるようになるでしょうし、テレビもYouTubeもそんなに変わらなくなっていくのかなと思います。僕が理想としているのは、YouTubeチャンネルでテレビ番組っぽい作り方をしたチャンネルができるとか。そうなるとアメリカのテレビ局のように、100チャンネルの中から自分の好きなメディアを選んで見ることになってきて、より面白い番組が生まれると思います。――変わっていくメディアの世界で、白武さんはどういう立ち位置でいたいですか?僕は、YouTubeで番組が見られるようになっていく、その前線にはタッチしていたいですね。テレビは60年の歴史があり、継承されている技術や制作力がすごく、全国の家の中にテレビが置いてあるという届けやすいシステムがあるので、そこでも面白いことをやりたいですし、YouTubeラジオ局の運営も始めたので、いろんなところで得た知見を生かして、最適なメディアで最適な企画をやっていけたらなと思います。――テレビのバラエティ番組については、今後どのように期待されていますか?コロナの影響もあってか、タメになる番組よりも『有吉の壁』に代表されるような、「楽しい」「笑える」番組が増えてきている印象です。僕個人としては、お笑い濃度高めの『めちゃイケ』や『はねトび』のようなムーブメントを起こすパワーのある、毎週やっていることが違う総合バラエティを同世代の人たちと作れたらと思います。――そういったパワーのあるバラエティ番組が誕生するには何が必要だと思いますか?若い世代に見られている番組が広告として価値があるという方向に完全にシフトしてきています。今、お笑い第7世代の番組が今後も増えていくと思いますし、大型のネタ番組も各局作っているので、ここからまた戻ってくると思います。――霜降り明星さんやかが屋さんら同世代の芸人さんと、『ガキの使い』などで知られる放送作家・高須光聖さんとダウンタウンさんのような関係を築いていきたいという思いがあるそうですが、放送作家としての今後の活動への意気込みをお願いします。20代の芸人さんだけで今までとは違うパワーなり面白さがある番組を生み出せたらなと思います。テレビマンもしばらく総合お笑いバラエティを作っていないのでお笑いスタッフが育っていないと聞きます。コント一つやるにしても、どうやってセットを作ったら面白く見えるのか、罰ゲームをするにしても熱々ってお湯は何℃でやるなど継承されていない。このまま途切れるのではなく、なんとか次の世代にもバトンを渡せるよう面白い番組を作れたらなと思います。――最後に、放送作家を目指している方たちに向けて、放送作家として成功するカギを教えてください。僕はテレビ作家としてはまだ成功していませんが、YouTubeやネットテレビなど違う場所でも活動しているので、こうやって本を出させてもらったりしているのかなと思います。放送作家として、他の人に負けないめちゃくちゃ詳しい分野があるといいと思います。僕の場合は、お笑いやYouTube、映画などに詳しく、上の世代の人にも共通言語があると思ってもらえたのは一つあると思うので、誰にも負けない詳しい分野を持つことは大事だと思います。■白武ときお1990年12月17日生まれ、京都府出身。放送作家。担当番組は『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ)、『霜降りミキXIT』(TBS)、『霜降り明星のあてみなげ』(静岡朝日テレビ)、『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』(TBS ラジオ)、『かが屋の鶴の間』(RCC ラジオ)。YouTube では「しもふりチューブ」「みんなのかが屋」「ジュニア小籔フットのYouTube」など、芸人チャンネルに多数参加。
2020年09月14日独創性あふれるネタと確かな演技力で、“コント職人”として評価の高いシソンヌのじろうさんと長谷川忍さん。最近ではテレビでの活躍も増え、人気上昇中。時代に媚びず、自分たちの笑いを追求し続ける、シソンヌの世界に今、注目です。――4月からレギュラー化された番組『有吉の壁』では、大活躍ですね。子どもや女性の新しいファンも増えたんじゃないですか?長谷川:番組がレギュラー化した頃に、ステイホーム期間に入っちゃったんで、人気の実感があまりないんです。――『有吉の壁』はお笑い好きが集まって懸命にやっている感じが楽しいですよね。長谷川:やっている僕らとしては、楽しい半分、ツラい半分(笑)。ウケなかったらどうしようという不安はあります。そこは過酷なんで。じろう:『壁』は芸人として、がっつりお笑いに取り組める番組なので、僕はストレスないですね。長谷川:僕の場合は、ネタが終わった後に、有吉弘行さんとフリートークのやりとりがあるんで、その緊張もあるんです。最初の頃、いい感じで話をふっていただいたのに、うまく返せなかったことがあって。それから、反省ノートつけるようになったんですよ。チャンスもらえてるうちに結果を出さないとっていう思いはあります。――でも少年とゴリラに扮した「こうへいくんとゴンちゃん」など、有吉さんも、「声出てるなぁ」とか言って、喜んでますよね。じろう:あれは、僕が昔から「ちっちゃいお友達」というフレーズとイメージが気に入っていて、それが発展しただけなんですけどね。長谷川:少年役の相方の声がウケたんで、さらにデカくなってるところがあります。僕の声がこもってるから、バランスがいいのかもしれないですね(笑)。――ドラマに俳優として出演されることも増えましたよね。じろう:出演しながら、いまだにドラマに関してはよくわかってない(笑)。僕はふだんから笑いにつながらないことはやらないので、普通の役をもらった場合、不安に思っちゃうんです。――ドラマ『今日から俺は!!』は笑いもある作品で楽しかったんじゃないですか?じろう:あれは、福田雄一監督から“おふざけ要員”として呼ばれたんで、自由にできましたね。ボケがワンパターンにならないようにだけは気をつけてましたけど。長谷川:僕はつい相方にばっかりツッコんじゃうので。他の若い俳優さんたちにも、まんべんなくツッコむことを心がけてました。27歳の時にコンビ結成、若手の波に乗れなかった。――コンビを組まれたきっかけを教えてください。じろう:吉本の養成所NSCで出会ったんです。長谷川:僕はそれまでちょっとだけお笑いをやってはいたんですけど、26歳の時に、ここでダメなら田舎に帰ろうぐらいの気持ちで養成所に入所したんです。じろう:僕はコント劇団にしばらくいた後、養成所に入って。ふたりとも27歳というのもあって、意気投合しました。まわりはもっと若い人が多かったから。長谷川:しばらくは別でコンビを組んでたんですけど。じろう:僕は声をかけられると断れない性格で、何回かコンビを組んでは解散してたんですよ。長谷川:じろうは、僕には考えられないようなネタの発想ができる人だと思ったので、声をかけて2006年にコンビを組んだんです。――ふたりで「イケる!」と思ったのは、どのぐらいからですか?長谷川:最初のネタ見せ会の時には、もう手ごたえがありました。このままイケるかなぁって僕は思ったけど、甘かった。養成所を出てからは、劇場のオーディションに全然受からなかったんです。じろう:ウケてはいたんですけど、若手中心の劇場に出るメンバーになかなか入れなくて。「その年じゃあね」と言われて年齢を理由にハズされた時は、特にムカつきました。それを言ったスタッフの顔はいまだに覚えてます(笑)。長谷川:ネタをじっくりやれる場があったら絶対面白いのにと思いながら、イライラしてた時期が5~6年ありましたね。僕は相方が「辞めよう」と言ってきたら、芸人の道を諦めようとすら思ってました。自分で言いだす勇気がなかっただけで。じろう:僕ら単独ライブをやらせてもらったのも、遅かったんです。30歳過ぎてからだったかな。長谷川:しかも初めての単独ライブは、2組合同で、おためし単独みたいな形でやっとできた状態でした。でもライブをやったら、他の芸人さん目当てで来たお客さんも笑ってくれて。お客さんは嗅覚がいいんですよね。それから、僕らだけで単独ライブもできるようになったんです。――2014年の『キングオブコント』優勝は大きかったですね。じろう:あれは一生の財産です。僕らテレビでウケるタイプではないと思ってたけど、コントのチャンピオンにはなりたかったので。――決勝ファーストステージではトップバッターで登場して勝ち進み、最終ステージでは大トリ出番で優勝というのも、劇的でした。長谷川:優勝できたのは、相方のくじ運のおかげでもありますね。じろう:僕はふだんパチンコで鍛えてるんで、出番のくじでいいところを当てるなんて、安いもんですよ(笑)。――優勝で状況は変わりました?長谷川:それほどテレビには呼ばれなかったんです。フリートークが下手ってバレてたのかなぁ?じろう:コント中心の芸人って本性がわからないから、扱いづらいってイメージがあるんじゃないですか。ネタ番組に呼ばれるぐらいでしたね。長谷川:たまにトーク番組に呼ばれても、はりきってボケて、シーンとされるとか(笑)、苦戦してました。ライブのお客さんは増えたので、よかったですけど。シソンヌ2006年結成のお笑いコンビ。’14年『キングオブコント』優勝。『有吉の壁』(日本テレビ系)などで活躍中。ボケとネタづくり担当のじろう(一枚目写真・左)は1978年生まれ、青森県出身。映画やドラマ脚本を書くこともあり。ツッコミ担当の長谷川忍(右)は1978年生まれ、静岡県出身。185cmの長身で、共演者からよくイジられる愛されキャラ。長谷川さんはファッションに関心が高く、特に眼鏡にはこだわりがある。じろうさんはボーダーが定番。ちなみに取材の日は麻雀牌の絵柄の靴下を着用でした。そんなふたりが単独ライブで披露したコントをYouTubeで公開中。シソンヌにしかできないロングコントが、じっくり楽しめます。※『anan』2020年8月26日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・伊藤愛子(by anan編集部)
2020年08月23日コント職人として圧倒的なクオリティを誇り、同業者からも愛されるお笑いコンビ、シソンヌ。ネタでは役に憑依するおふたり――長谷川忍さんとじろうさんの、いまだ多くの謎に包まれた、気になる素顔を覗きます。ライブの力を信じて、全国でコントを生披露。――コントのキャラの演じ方があまりに見事なので、プライベートがあまり見えないおふたりですが。結婚されているんですか?長谷川:僕は結婚して3年。嫁さんと猫2匹と暮らしています。じろう:僕は「結婚したい」とずっと思ってますけど、チャンスがなくて。5年ぐらい前に当時の彼女に出ていかれてから、以来おつきあいした人すらいないんです。長谷川:最近相方は、「外国人の方がいい」とか言いだしてます。じろう:言葉や国境の壁を乗り越える気がないと、真摯に向き合えない気がして、国際結婚がしたいって言ってるんですけどね。だから、東京五輪では出会いがあるんじゃないかと期待してたのに(笑)。長谷川:相方は芸人として100点だけど、ギャンブル好きでもあるし、人間としては0点だから、結婚は難しいかな。でも、こんな生活してるから、面白いネタを考えられるわけですし。普通の人生を棒に振っても、お笑いにかけ続けてもらいたいです(笑)。――2018年、’19年は47都道府県すべてで単独ライブを行うツアーを成功させ、本当にお笑いにかける人生ですね。今年はコロナ禍でツアーが始まってすぐ中止となってしまって残念でしたけど。長谷川:お笑いの単独ライブでそんなツアーは誰もやってないんで、千原ジュニアさんに「頭おかしいんか?」って言われました(笑)。褒め言葉として受け取っています。――単独ライブの前はどういう準備をされるんですか?じろう:1週間ぐらい休みをもらって僕がネタを書いて、それから3週間ほど稽古して練り上げます。――新しいネタを一から考える単独ライブはしんどくないですか?じろう:本番が始まるまでは本当にしんどいですよ。長谷川:狂いそうになってます。――行き詰まった時はどう解消するんですか?じろう:僕はもっぱらパチンコ。今までパチンコでいくらお金を捨てたかわからない(笑)。――苦しい思いをしても単独ライブを続けるのは、なぜですか?じろう:終わった時の達成感がたまらないんですよね。もちろんライブでコントをするのが好きだっていうのもありますし。ライブの力を信じてるというか、目の前のお客さんに笑ってもらうことができれば、次も来てくれるだろうし、ずっとお笑いの仕事をやっていけるじゃないですか。テレビの仕事は一時的に面白いというので呼んでもらえても、いつまで続けられるかわからないから。――そんなおふたりの「我が道を行く」姿勢がカッコいいと、憧れる芸人さんも多いですよね。じろう:僕らにはできないことも多くて、コントに特化していくことしかできないけど、そこを貫けば、自分たちの世界が確立できるんじゃないかと思うんですよね。長谷川:テレビで僕らの笑いに興味を持ってもらえたのなら、ぜひライブに来ていただきたいですね。じろう:ライブはテレビとは雰囲気が違うので、お客さんが吐いて帰っちゃうかもしれないけど(笑)。生で見て「お笑いっていいよなぁ」とぜひ感じてもらいたいです。シソンヌ2006年結成のお笑いコンビ。’14年『キングオブコント』優勝。『有吉の壁』(日本テレビ系)などで活躍中。ボケとネタづくり担当のじろう(左)は1978年生まれ、青森県出身。映画やドラマ脚本を書くこともあり。ツッコミ担当の長谷川忍(右)は1978年生まれ、静岡県出身。185cmの長身で、共演者からよくイジられる愛されキャラ。長谷川さんはファッションに関心が高く、特に眼鏡にはこだわりがある。じろうさんはボーダーが定番。ちなみに取材の日は麻雀牌の絵柄の靴下を着用でした。そんなふたりが単独ライブで披露したコントをYouTubeで公開中。シソンヌにしかできないロングコントが、じっくり楽しめます。※『anan』2020年8月26日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・伊藤愛子(by anan編集部)
2020年08月20日ステイホームの期間中、アニメを見るようになった人は多いはず。最近はテレビ以外に配信系も充実しているので、好みの作品を見つけ出すのは、意外と難しいもの。アニメ情報サイト「アニメ!アニメ!」の編集長・江崎大さんに、7月スタートの注目作についてお聞きすると…。「過去に流行って、映像作品などにもなっている小説のアニメ化が目立ちますね。Topic1の2作品は、どちらも’70年代に発表された小説が原作で、現代を舞台にどう描かれるかが注目ポイントといえます」もうひとつの特徴は、バディものが今まで以上にアツイこと。「Topic2以外でも、『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』は原作にはないキャラクターを追加してバディにしていますし、声優が二次元芸人を演じる『GET UP! GET LIVE! #げらげら』もお笑いコンビのバディものとして楽しめます」メディアミックスによる壮大なプロジェクトで、スタート前から大いに盛り上がっている作品も。気になるアニメが多くて、結局迷いそう!Topic1:あの名作小説が初のアニメ化!富豪の型破りな刑事が相棒を得て現代に蘇る!『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』大富豪の父を持つ刑事が資産を投入して事件を解決する、筒井康隆のミステリーが原作。「’05年のドラマ版は原作と違って女性が主人公でしたが、今回の主人公は男性。原作より癖のあるお金持ちにして、アニメオリジナルのキャラクターと対比させています。ノイタミナという深夜アニメ枠の放送で、普段アニメを見ないような人の入り口としてもおすすめ」。7月16日よりフジテレビほかにて放送。第1・2話はFODほかで配信中。©筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥世界で注目される監督が満を持して挑む作品。Netflixオリジナルアニメシリーズ『日本沈没2020』原作は’73年に発表された小松左京の小説。「これまで何度も映画、ドラマ、マンガにされていて、アニメ化は初なのが不思議なくらい。まさに満を持してという感じで、『DEVILMAN crybaby』や『四畳半神話大系』などで芸術的評価の高い、湯浅政明さんが監督を務める点でも期待大です。最近のNetflixオリジナルアニメは質が高いですし、全10話が一気に配信されるので見やすいと思います」。7月9日よりNetflixにて独占配信。©“JAPAN SINKS:2020”Project PartnersTopic2:絆を深める“バディもの”が熱い!世界に挑む詐欺師(コンフィデンスマン)の、壮大なコン・ゲーム!『GREAT PRETENDER』詐欺師たちの世界を股にかけたバディもの。「『リーガルハイ』や『コンフィデンスマンJP』の古沢良太さんが、TVアニメシリーズの脚本を初めて手がけています。古沢さんらしい、気持ちよく騙される感覚を味わえると思います。しかも1話完結型だったこれまでのドラマと違い、詐欺師の男たちがいろんなことを切り抜けていくような、全体を通したストーリーにも注目」。7月8日よりフジテレビほかにて放送。Netflixにて配信中。©WIT STUDIO/Great Pretenders荒廃した世界で出会う正反対の男と少女。『デカダンス』「一見男性向けのように思えますが、劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』の監督・立川譲さんとTVアニメ『BANANA FISH』の脚本家・瀬古浩司さんという、女性に人気の高い作品をヒットさせたふたりがタッグを組んでいます。タイトル通り、人類が滅亡の危機に陥った退廃的な世界で、夢を諦めたリアリストの男と夢見る少女がどう絡んでいくのかが見どころです」。7月8日よりAT‐Xほかにて放送。同日ABEMAにて地上波先行配信。©DECA‐DENCE PROJECTTopic3:メディアミックスの最新系も登場。名だたるクリエイターが集結して作品を後押し!『ジビエート』舞台は2030年の日本。病気の感染者がさまざまな怪物に変化する…。「伝染病に立ち向かう人間を描いているので、今見ると刺さりやすいと思います。『ファイナルファンタジー』のキャラクターデザインで知られる天野喜孝さん、吉田兄弟、SUGIZOさんなど錚々たるクリエイターが参加し、“和”をテーマに世界に向かって創り上げるジビエートプロジェクトも話題」。7月8日よりTOKYO MXほかにて放送。Huluほかでも配信。©GIBIATE PROJECT声優×二次元芸人。1分間のお笑いショー。『GET UP! GET LIVE! #げらげら』「とくに人気の“声優×”。このショートアニメは“声優×二次元芸人”というお笑いプロジェクトです。今まで2回リーディングライブを行い、ドラマCDやノベライズ、そしてコミカライズも決定しており、今回ショートアニメに」。お笑い養成所で奮闘する3組のコンビが、持ち時間1分という人気ネタ番組のオーディションを受ける物語。視聴者によるリアル投票企画も!?7月10日(金)よりMBS/TBS系全国ネットにて放送。©MBS/ゲラゲラ製作委員会えさき・だい株式会社イードに入社後、’18年よりWebメディア「アニメ!アニメ!」の編集長に就任。雑誌『アニメディア』を含む、アニメ関連全メディアの統括プロデュースを行う。※『anan』2020年7月8日号より。取材、文・兵藤育子(by anan編集部)
2020年07月07日“渋谷系チャラ男漫才”で2019年に大ブレイクしたお笑いコンビ・EXITのりんたろー。と兼近大樹。4月から3本の地上波テレビ番組のレギュラーが決定、さらにAbemaTVの報道番組『AbemaPrime』(毎週月~金曜21:00~23:00)の木曜MCに抜てきされ、ますます人気が爆発しそうだ。若い世代のファンが多い2人は、SNSも積極的に活用。漫才同様にチャラ語を用いた投稿で笑いを誘い、ユーモアあふれるリプ返しをするときも。力を入れているSNSについて2人にインタビューし、普段意識していることなど話を聞いた。○■りんたろー。は「双方向性」 兼近は「自分らしさ」を意識SNSで心がけていることを尋ねると、りんたろー。は「SNSで要望やトレンドを吸収したりしているんですけど、意識しているのは双方向性にしてあげたいなと。『いいね』もできたら押しますし、コメントもできたらする。それがプロモーションにもなっていると思うので活用しています」と回答。積極的なリプ返しは、「返ってきたらうれしいと思うので」とファンを喜ばせたいという気持ちからだ。兼近は、SNSにおいて「自分らしさ」を大切にしていると言い、「自分だからこそ発信できることを常に書くように。それ以外のことは逆に書かないようにしています。テレビに出演するという告知でも、自分らしさを取り入れて発信するようにしたほうが、見てくれている人たちも飽きないと思うので」と語った。また、りんたろー。はSNSで「多忙ぶる」ことをしているそう。兼近が「最初の頃は、多忙ぶることで『忙しいんだ』と思ってもらって、いいプロモーションになっていたと思うんですけど、最近は忙しいってみんなわかってるし、休みあったほうがむしろ心配されないのに、休みがあっても休みないふりしたり。空き時間も何かしている感を出したり、ずっとプロモーションしてるんです」と暴露すると、りんたろー。も「打ち合わせ2本だったら、ロケ3本って書くようにしています」と笑いながら打ち明けた。多忙ぶる理由を尋ねると、兼近が「たぶん、ただ忙しい人がかっこいいっていう理由でやってるんです。最初からそうだったと思います。俺は『プロモーションすげー! マジこの人かっこいいな』って思っていたんですけど、ただ忙しく思われたいだけだったんだと思います」と分析。りんたろー。自身も「『2日寝てねー』みたいに言う人いるじゃないですか。あれかっけー! って」と認めた。さらに、りんたろー。が「寝てないキャラ。なるべくSNS上では寝ないようにしようと思います」と今後も多忙ぶると宣言すると、兼近は「みんな惑わされちゃいけないですよ。『忙しくて倒れちゃうよ』って俺まで心配されるんですけど、ウソですから。けっこう寝てるし」と呼びかけた。○■批判コメントもダメージなし「むしろ絡んだり」また、2人ともエゴサーチをすると言い、りんたろー。は「ファンが求めているものがわかるっていうのもありますけど、俺はちやほやされたくてやってます。褒めてくれているのを見つけて、それで酒を飲む」と告白。兼近は「俺も最近、見てますよ。最初の頃は見てなかったんですけど、りんたろー。さんに影響されちゃいました。楽しそうにずっと携帯いじってるから」と兼近も影響を受けてエゴサーチするようになったという。りんたろー。は「エゴサーより楽しいアプリがない。こんなに自分が主人公でいられるアプリないでしょ!」と本当に大好きなようで、批判的なコメントを見てショックを受けることはないか尋ねると、「全然! そういうコメントはむしろ、ツッコんだり絡んだりしてます」と批判コメントすら遊び相手に。兼近も批判的なコメントを見てダメージを受けることはないそうで、「人だと思ってないんで。その人の脳がコンピュータ化してるんですよ。普段はそういう人も優しいはずで、見ているときだけ人間じゃなくなっちゃってるんです。だから別にそんなダメージないです」と、自分の中での独特な対処方法を説明。根本的に2人ともかなりのプラス思考だからできる受け止め方のように思えるが、りんたろー。も兼近は「そうかもしれないですね」と頷いた。初の報道番組MCとなる『AbemaPrime』の生放送での2人の発言に対しても、SNSでさまざまな声が寄せられそうだが、2人はその反応も毎週楽しみだという。りんたろー。はSNSを愛しすぎて「オンエア中に『いいね』を押したい」とまで言い、兼近が「じゃあ俺がその間しゃべってるよ」と抜群のコンビネーションを見せていた。■EXITツッコミ担当のりんたろー。(1986年3月6日生まれ、静岡県出身)とボケ担当の兼近大樹(1991年5月11日生まれ、北海道出身)によるお笑いコンビ。2017年に結成。「ポンポンポン!」「お後がヒュイゴー!」といった若者言葉を繰り出す“渋谷系チャラ男漫才”という独自のスタイルで一気にブレイクを果たす。りんたろー。は介護、兼近はベビーシッターと、芸風からかけ離れたイメージのアルバイト経験も話題に。霜降り明星、ハナコ、ミキ、四千頭身、宮下草薙らとともに「お笑い第7世代」と呼ばれる。
2020年04月09日お笑い芸人としての活躍の一方で、社会的な視線を持つ女性としても注目を集めているバービーさん。活動の根っこにはシンプルな思いがありました。最初のきっかけは、大学時代に見た車内広告。バラエティ番組などで、ご自身曰く“パンツを出し切る仕事”をする芸人として、お茶の間に愛されているバービーさん。一方で最近、笑いに貪欲な芸人としての顔とは別に、エシカルな視点を持っていることが各方面で話題になっています。そんなバービーさんが一番最初に社会貢献活動をしたのは、大学生のときだそう。「中学生か高校生のとき、“私たちが1人生きるのにかかるコストで、アフリカの人たちが何人生き延びられる”みたいなことを習ったんです。それを聞いて、自分が生きていることの恩返しをいつかしたいな…と考えていて。上京して大学生になり、電車に乗っていたとき、“あなたの寄付で、途上国の子どもたちを支援できます”的な広告を見て、“これだ!!”と思い、チャイルドスポンサーになったのが最初です。確か1口5000円くらいで、毎月バイト代から寄付してましたね。その後、芸人になり大学時代より貧乏になったので(笑)、一時期やめていましたが、収入が安定してから再開し、今はインドの女の子とタンザニアの男の子の成長を見守っています」以前小誌の取材で「困った人同士をつなぐ橋のような存在でありたい」と語ってくれたバービーさん。それが形になったのが、今年発売されたピーチ・ジョンと一緒に作ったランジェリー。体にコンプレックスを持つ女性たちに勇気を与えたと、大きな話題に。「気に入った下着を着ける、それだけでテンションって上がるじゃないですか。でもすべてのボディサイズの女性にその楽しみがあるわけではなかった。サイズがないから買えないという経験を通じ、“私の体ってダメなんだ”と思ってしまう人たちがいるならば、そこを解消したかったんです。私自身、欲しい下着のサイズがないという、悲しい経験をたくさんしてきましたから(笑)。発売以降いろんな反応をいただいていて、喜びの声もたくさんありますが、同時にみなさんの悩みは思っていたよりも細かいことにも気づかされた。全員をハッピーにするのは本当に難しいですが、その中でもっと頑張りたいなと思っています」もう一つバービーさんが力と思いを注いでいるのが、ご自身の故郷、北海道は夕張郡にある、栗山町の地域再生活動。きっかけは’15年にドラマ『農業女子はらぺ娘』を地元北海道で撮影したこと。「農業に従事する女性の苦労や、日本の農業の先行き不安などを描いた作品で、ふと自分の地元を見たら過疎化が激しくて…。まだ小さな甥っ子が住む栗山町がハッピーな場所であってほしかったので、友達と2人で“町おこしがしたい!”と役場に乗り込んだのが最初です。今思うとなんと浅はかなことか…(笑)。いろんなことをやっていますが、いよいよ形になりそうなのが“空き家再生プロジェクト”。地元にたくさんある空き家をリノベーションし、オーナー制度を作り、貸別荘として活用する、というプランです。ゆくゆくは、宿泊は空き家、食事は町の食堂というように、栗山町全体が一つのホテル的に機能したらいいな、と思っています。今は、泊まりに来てくれた人たちに栗山町の魅力を伝えるためのプラットフォーム作りをあれこれ詰めているところ。栗山町の美味しい野菜を使い名産品を作れないか、新しく作ったテストキッチンで研究中です」キラキラした表情で、自身の活動について話をするバービーさん。エシカルな行動を起こすエネルギー源は、何なのでしょう?「正直、相手のためにっていう意識はあんまりないんです。極端に言うと、私が楽しいからやってるっていうか…(笑)。さっきも言いましたが、全員を幸せにするのは私の力では無理です。でも、私が楽しいことが誰かの役に立っていたら最高じゃないですか。私、自由に生きたいと思っていて、それを実現するには、物事に執着しちゃダメなんですよね。執着しなくなると、自分の持っているものを人のために使うことがイヤじゃなくなって、そうすることでさらに自分は自由になれる。私にとってはとてもいいループなんですよ。でも、お笑いだけは執着しちゃうんですよね。何があっても手放したくない。パンツを丸出しにしながら、楽しくて人が喜ぶことをやっていきたいです(笑)」私のエシカルな活動夢に向かう子どもたちを支援。月々の寄付で、子どもが住む地域の教育や保健衛生、水資源開発などの支援をするプログラム。「インドの女の子の誕生日には、シールや髪留めを送ったりしました」ピーチ・ジョンとのコラボ下着。初回の打ち合わせからデザイン画を持参。自らプレゼンし、企画を勝ち取ったバービーさん。「多いときはほぼ毎週打ち合わせ。出来上がったときは感無量でしたね」購入した空き家を素敵に改装中。栗山町で活動中の空き家再生プロジェクト、こちらはリノベーション作業の写真。「全国のDIY上手な方に町に長期滞在してもらい、作業をしてもらっています」バービーお笑いコンビ「フォーリンラブ」メンバー。大学でチベット密教を学んだという、異色の経歴の持ち主。バラエティ番組を中心に活躍。昨年末開設したYouTubeチャンネル「バービーちゃんねる」が好評配信中。※『anan』2020年4月8日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・谷口夏生(by anan編集部)
2020年04月04日『カキフライが無いなら来なかった』で組んだ名コンビ、せきしろさんと又吉直樹さんが、『まさかジープで来るとは』から10年ぶりに帰ってきた!シリーズ第3弾となる『蕎麦湯が来ない』は、連載に、自由律俳句とエッセイを書き下ろしで大量加筆。読み応えもたっぷりだ。「最初の『カキフライ~』が出たとき、僕は29歳で、もうまもなく四十になりますし、その間いろいろありました」(又吉直樹さん)「連載はずっと続いていたので、そんなに間が空いた感覚はなかったんですが…。僕より又吉くんは身辺が変わりましたよね」(せきしろさん)「なにせ相方がニューヨークに行きましたから。俳句の本を出した人間史上初めてじゃないですかね、それ」(又吉さん)と、インタビュー中も息の合ったやりとりが微笑ましい。本書は、ふたりの自由律俳句と、その句に呼応するようなエッセイで構成されている。先に句が浮かびエッセイになるときも、エッセイから句になるときもあるそうだ。決まりがあるようなないような、ゆるいルールが実はキモ。言葉とどう格闘するか、世界を切り取るか。個性的な才人ふたりの化学反応によって、面白さに磨きがかかる。おふたりから見た、自由律俳句の魅力とはなんなのだろう。「僕の場合は、説明したくない、言いたいことだけ言いたいというのがあって、自由律俳句ならそれができるんですよね。いま自分は蕎麦屋にいて、食べ終わってて…と説明なしに、ずばりと『蕎麦湯が来ない』で終われる。その感じは自分に合っているなと思います」(せきしろさん)「共感を引き出せるのが面白いというか。共感というと、みんなが思いつくあるあるネタのように捉えられがちなんですが、『10人いたら5~6人はそこ言うよね』というところは避ける。特にせきしろさんは、絶対詠まないですよね。むしろ、10人いて1人いるかいないかのポイントを突いて、『言われてみればそうだな』と納得させる。せきしろさんの句はご自身が俳句で笑わそうとしているわけではないのに、わかりすぎて笑ってしまいます」(又吉さん)数句取り出してみる。カツ丼喰える程度の憂鬱(又吉直樹)憂鬱を切り裂く保育園児の散歩(せきしろ)コーラを好む老人の過去(せきしろ)路上で卵の殻を剥いていた老人(又吉直樹)同じ言葉が出てきても、見えてくる情景はまるで違う。おふたりも、思いがけない相手の句に驚くこともしばしばらしい。ゆえに、互いが互いのいちばんのファンだと言う。「又吉さんは僕とはまったく違う視点で来るから、かぶることがない。こんなに広い視野を持っている人がいるんだと感心するし、悔しくなるほど虜です」(せきしろさん)「〈すまないがきつねの影絵しかできない〉というせきしろさんの句があるんです。一瞬でわかるというより、謝りながら影絵をやってる彼の状況を想像するとより面白い。噛めば噛むほどといいますが、せきしろさんのはそういう感じ」(又吉さん)ふたり合わせて404句が収録されているが、その3倍は詠み、絞りに絞ったものばかり。「最後の最後まで、差し替えたりしましたね。過去の句と似たものにならないようにするのがけっこう大変なんです」(せきしろさん)「居酒屋のメニューを詠んだ句なんていくつあるのか。砂漠とか行ったことのない場所にでも行かないと浮かばないとか思うけど、だからこそ新しいのがひらめくとうれしい」(又吉さん)ふたりの作風をくくるなら、見過ごせばいいかもしれないことを見過ごせない、そのこだわり。エッセイも然りで、どこかショートショートのような趣が読んでいて楽しい。連載は終わってしまったが、このふたりの無敵のタッグに、まためぐり合いたいと切に願う。『蕎麦湯が来ない』これまでのシリーズでは、写真も著者のふたりが撮影担当していたが、本書では本シリーズを手がけてきたデザイナーの小野英作氏によるもの。404句の自由律俳句と50編の散文を収録。マガジンハウス1400円写真左・せきしろ1970年、北海道生まれ。文筆家。ハガキ職人、構成作家を経て、2006年に初の単著『去年ルノアールで』(小社刊)を出版。『たとえる技術』(文響社)、小説『海辺の週刊大衆』(双葉文庫)ほか、単著、共著多数。写真右・またよし・なおきお笑い芸人、作家。2015年、小説デビュー作『火花』で芥川賞を受賞。小説のほか、随筆や自由律俳句の世界でも才能を発揮。『又吉直樹のヘウレーカ!』(NHK Eテレ)などテレビの冠番組も持つ。※『anan』2020年4月1日号より。写真・中島慶子取材、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2020年03月27日