工芸品「つづら」がインテリアとしてアツい!?文久元年から150年以上続く〔岩井つづら屋〕に潜入。東京・人形町に残る唯一の「つづら」屋さんにて、「つづら」の知られざる魅力に迫ります。まずはちょっとしたクイズですいきなりですが、クイズです。生類憐れみの令でおなじみ、徳川綱吉が将軍の座に就いていた元禄時代に、江戸の商人が婚礼の道具として作り出した工芸品はなんでしょうか?答えは、「つづら」です。「つづら」は着物等の保管に適しており、庶民からも重宝されました。そんな伝統的な日常道具である「つづら」の、現代におけるインテリアとしてのポテンシャルに注目!文久元年創業、150年以上続く老舗の〔岩井つづら屋〕にて、お話を伺ってきました。人形町に残る唯一の「つづら」屋〔岩井つづら屋〕外観今回お邪魔した〔岩井つづら屋〕は、呉服の街として知られる日本橋の人形町、中でもノスタルジア漂う甘酒横丁に居を構えています。「つづら」の最盛期の明治〜大正時代、日本橋には「つづら」屋の組合もあったほどですが、現在残っている「つづら」屋は、何とこちらの一軒だけとなってしまいました。「つづら」の特徴って?岩井恵三さんと〔つづら 大〕〔つづら 中〕〔つづら 小〕「つづら」の種類や特徴についてご紹介してくださるのは、当代の弟であられる岩井恵三さんです。当代の岩井良一さんには、後ほどご登場いただきます☆まずは、「つづら」の特性についておさらいしましょう。もともと着物の保管に重宝された理由はとしては、見た目の美しさや防虫効果、通気性の良さが挙げられます。独特の光沢感は、表面に塗られている漆(カシューナッツが原料)によって生まれたもの。防虫・防カビ効果は、その下に塗られている柿渋によるものです。さらに、大元は竹かごに和紙を貼って作られるので、通気性が確保されているというわけです。サイズや色は?基本の「つづら」には、大・中・小の3サイズがあります。従来の大きさの着物が二つ折りで入るサイズは、中くらいのサイズのつづら(2尺6寸)になります。cmに換算すると、横幅78cm、奥行37cm、高さ24cmです。ちなみに、〔岩井つづら屋〕の「つづら」の仕上がりの色は、上の写真でいうと右の「朱」、真ん中の「溜(茶)」、左の「黒」の3種類があります。機能性の高い「つづら」も機能性を高めた「つづら」もラインアップしています。こちらは、「掛子」と呼ばれる内箱付きの「つづら」です。例えば、下の段には絹のスカーフやファーの襟巻き、上の段にはアクセサリーなど、分けて収納できます。半年待ちの人気「つづら」こちらは、〔手文庫〕と呼ばれる「つづら」で、従来は「ふみ箱」として作られた箱です。お手軽なA4サイズで、9,500円〜と価格もお手頃。注文から出来上がるまで約半年かかるという、大人気アイテムです。かつては箪笥も……「つづら」の箪笥ほかにも、〔みだれ〕と呼ばれる、脱いだ衣服などを一時入れておく、浅いカゴや、「文庫」よりも小さい小物入れがラインナップしています。また、現在は製作されていませんが、「つづら」の箪笥も存在します。「つづら」という収納箱ひとつから、私たち日本人に根付く生活スタイルや美意識が垣間見えるようです。そうしたエッセンスを、現代のインテリアに取り入れていく道も、まだまだあるように思えますね。職人の技をちょこっと公開!最後に、〔岩井つづら屋〕の当代(6代目)・岩井良一さんにご登場いただきましょう。作業のワンシーンを少しだけ紹介します。こちらは、竹かごのフチに巻いて強度を出すための和紙に糊を塗っているところです。良一さんは、職人になってから35年の、御年68歳。「死ぬまでつづらを作り続けたい」と思っているそうです。「日曜市」では手作りの和雑貨を販売「〔岩井つづら屋〕に入るのはちょっと勇気がいるな〜」と思った方に、朗報があります。毎月第2土曜日と日曜日に、「つづら」ではなく手作りの和雑貨を販売する、「日曜市」が開催されています。是非とも「日曜市」に合わせて、人形町の甘酒横丁を訪れてみてはいかがでしょうか。【店舗情報】●店舗名岩井つづら屋●住所東京都中央区日本橋人形町2-10-1●営業時間9:00-17:00●定休日なし●TEL03-3668-6058〔岩井つづら屋〕HP
2018年08月20日