『かもめ食堂』、『めがね』などの人気作品を手がけたチームによる新作ドラマでWOWOWで放送となる「パンとスープとネコ日和」の完成披露試写会が7月4日(木)に開催。小林聡美、伽奈、塩見三省、美波、もたいまさこ、松本佳奈監督による舞台挨拶が行われた。『かもめ食堂』と同じく、群ようこの同名小説が原作。母の死をきっかけに母が営んでいた食堂を継ぐことを決めたアキコと周囲の人々の交流を温かく描き出す。小林さんともたいさんの2人は『かもめ食堂』以来、このシリーズの“皆勤賞”となるが、改めて多くの支持を集めるこのチームについて、小林さんは「現場が楽しいんです。みんなが楽しんで、丁寧に作ろうという愛情がこもってる。またこの雰囲気を味わえると思うと嬉しいんです」と語る。もたいさんは「最初に『かもめ食堂』を作ったときは、次があるとは思ってなかったんです。この先どうなるのか?楽しみでもあります」と笑顔を見せた。塩見さんと美波さんは、このチームの作品に参加するのは初めて。塩見さんは「ずっと出たいと思ってました」と明かし、「すごく開放的ですがナイーヴな感じで受け入れてくれて、自分としてはいままでで一番、“塩見”が出てたんじゃないかと思います。宝物になりました」と嬉しそうに語る。舞台挨拶中もたびたび、小林さんの発言に茶々を入れるなどすっかりなじんだ様子の美波さんは「最初は(このチームに)私が入るのは怖かったんですが、作り込むのではなく素直に相手のものを受け取ることと思いやることを気をつけてやりました。心地よい現場でした」と満足そうに頷いた。もたいさんは、小林さん演じるアキコの店の向かいにある喫茶店のママを演じており、そのストレートな物言いが魅力的であり怖くもある人物。「自分から遠い役だったので大変でした。こんなキツイ言い方して『ごめんね』と手を合わせながらやってました」と苦労(?)を明かすが、小林さんによると、もたいさんのあまりの怖さに、伽奈さんが「涙目になった」ことがあったとか。伽奈さんは「目が怖くて動けなくなって潤んでしまいました(苦笑)」と明かすが、もたいさんは伽奈さんの反応がショックだったようで「私の方がどんだけ傷ついて帰ったか…」とボヤキ口調だったが、客席からは温かい笑いがこぼれていた。「パンとスープとネコ日和」はWOWOWドラマWにて7月21日(日)より放送開始(全4話/第1話無料)。(text:cinemacafe.net)
2013年07月04日容姿端麗な芸能人や、若いころから才能に秀でていたスポーツ選手の中には、あらためて年齢を聞くとびっくりしてしまう人もいますよね。街のみなさんに、年齢を聞いてびっくりした著名人について聞きました。■楠田 枝里子=60歳(1952年1月12日生)「『世界まる見え!テレビ特捜部』の印象が強かったので」(26歳/男性)「あんな衣装を着た60歳は見たことがないので」(30歳/男性)「若く見える」(52歳/女性)東京理科大卒の才女であり、常人にはなかなか理解できなさそうなファッションでお茶の間に登場した楠田女史。還暦を迎えましたが、赤いちゃんちゃんこもやっぱりファッショナブルに着こなしてしまうのでしょうか。ちなみに、この楠田女史の同級生には、もたいまさこさんがいらっしゃいます。同じ60歳でも、さまざまな人がいるんですね。■イモトアヤコ=26歳(1986年1月12日)「もっと年を取っていると思っていた」(29歳/男性)「どんな過酷なロケにも立ち向かう姿は、氷河期世代っぽさがある」(32歳/女性)珍獣ハンターとして知られることになったイモトアヤコさん。筆者はテレビで見かけるたびに、あの体力はどこから来るのかと思っていたのですが、そもそも年が若かったことも理由の一つだったようです。同級生には、長谷川潤さんやリア・ディゾンさんが名前を連ねますが……色んな意味で同い年とは思えません。■水木 しげる=90歳(1922年3月8日)「ドラマ『ゲゲゲの女房』を見ていたせいで、向井理の印象が頭から離れない」(50歳/女性)「今見ても十分、楽しいマンガなのでご高齢の方だとは思えない」(29歳/女性)ドラマ『ゲゲゲの女房』の時代背景は昭和そのものでしたが、爽(さわ)やかな印象の向井理さんが演じたことで年齢不詳になってしまったとの意見も。1922年は幕末から50年余りしかたっていませんが、アインシュタインが来日し、ツタンカーメンの墓が発見されるなど、幕末の荒々しさとは無縁な楽しげなニュースが駆け巡った年でもあります。■香川真司=23歳(1989年3月17日)「しっかりしてる」(30歳/女性)「自分が23歳のころはろくでなしだったので」(44歳/男性)今年月にマンチェスター・ユナイテッドFCへ移籍した香川選手。同年生まれには、スポーツ選手なら体操の内村航平選手、女優には桐谷美玲さんなどが挙げられます。ゆとり世代なんてやゆされがちな世代ですが、筆者なんかよりもしっかりした人が勢ぞろいしているような気がします。■YUKI=40歳(1972年2月17日)「ジュディマリのころからずっとテレビで見るので気になっていて調べたら、結構、年がいっていた」(27歳/男性)「あの声が40歳の人のものとは思えない」(25歳/女性)実は2児のママでもあるYUKIさん。もし友達のお母さんだったとしても「おばちゃん!」なんて軽々しく呼べなさそうです。また、一つ年上には、実年齢と見た目のギャップでおなじみの平子理沙さんも。最近の40代はどうなっているのでしょうか。■則巻千兵衛=28歳「まさかと思った」(33歳/男性)「無理がありすぎる」(29歳/女性)マンガ『Dr.スランプ』の博士こと則巻千兵衛。また、そのほかアニメでは『ルパン三世』の銭形警部は29歳、『サザエさん』に登場する穴子さんは27歳との説も。もしかするとアニメの世界では、20代後半=老け顔と相場が決まっているのかもしれません。あまり名前が挙がりませんでしたが、個人的にシュワちゃんが65歳、トム・クルーズが50歳など、ハリウッドスターの年齢不詳ぶりに驚いてしまいました。できることなら筆者も、年を取るごとに若く見られたいものですが……やっぱりそれは見られることを生業にしている人だからこそできるワザなのでしょうか。(山本莉会/プレスラボ)
2012年12月16日赤塚不二夫の代表作を実写映画化した『映画 ひみつのアッコちゃん』の完成披露試写会が24日、都内で開催され、主人公・アッコちゃんを演じる綾瀬はるか、共演する岡田将生とメガホンを執る川村泰祐監督(『のだめカンタービレ 最終楽章 後編』)が舞台あいさつに登壇。「もし魔法のコンパクトがあったら?」と質問された綾瀬は、「空が飛べて、首が長い恐竜がいいですね」と即答。「空が飛べても、鳥じゃダメです、質感が…」と驚きの変身願望を明かした。その他の写真誕生50周年を迎える原作コミックは、小学5年生の主人公・アッコちゃんが鏡の精からもらった“魔法のコンパクト”を片手に「テクマクマヤコン…」と呪文をとなえ、なりたい姿に変身する設定が人気を博した。今回の映画化は、完全オリジナルストーリー。メイクやおしゃれが大好きな小学5年生のアッコちゃんが魔法のコンパクトで22歳の女性(綾瀬)に変身し、運命的に出会ったエリートサラリーマン(岡田)のために買収問題に巻き込まれた化粧品会社の危機に立ち向かう姿を描く。綾瀬は「最初は『えっ?』って思いました。アッコちゃんは小学生だから、もっと若い人が演じるのかと。でも魔法で22歳の大人になると聞いて、なるほどと思いました」。それでも「10歳だった頃、物事をどんな風に感じ取っていたのか、ほとんど思いだせなくて…。だから10歳のアッコちゃんを演じる里琴ちゃん(子役の吉田里琴)にいろいろと話を聞きました」と役作りには苦労した様子。一方、岡田は「サラリーマン役なので、ネクタイがきつかったです。本当にサラリーマンの皆さんは大変だと思いました。僕にはできない(笑)」とこちらも苦労を振り返っていた。そんな二人に対し、川村監督は「綾瀬さんと岡田さんが出演するなら、きっと楽しい作品になると思った。日本広しといえど、アッコちゃんを演じられるのは綾瀬さんしかいないし、岡田さんはアッコちゃんの初恋相手として、さわやかでかっこいい」と太鼓判を押した。映画では鏡の精を香川照之が演じるほか、谷原章介、吹石一恵、塚地武雅、大杉漣、もたいまさこ、鹿賀丈史ら豪華キャストが顔を揃える。『映画 ひみつのアッコちゃん』9月1日(土)全国ロードショー
2012年07月25日赤塚不二夫の人気コミックを、綾瀬はるかと岡田将生共演で映画化した『映画 ひみつのアッコちゃん』に登場する鏡の精を香川照之が演じ、ほか谷原章介、吹石一恵、塚地武雅、大杉漣、もたいまさこ、鹿賀丈史に加え、堀内敬子、内田春菊、肘井美佳、柿澤勇人、子役の吉田里琴が出演することが発表された。その他の写真漫画『ひみつのアッコちゃん』は、小学5年生のアッコちゃんが鏡の精からもらった魔法のコンパクトに“テクマクマヤコン…”と呪文を唱え、様々な人物に変身して事件を解決する物語。原作誕生50周年記念作品として製作される本作は、10才のアッコちゃん(吉田)が22才の女性(綾瀬)に変身して大手化粧品会社で働き、エリート社員・尚人(岡田)との恋や仕事に奮闘する姿を描く。鏡の精はアニメ版では女性だったが、原作の設定では黒色のスーツにサングラスとソフト帽を身につけたスパイのような風貌の男であることから、本作では香川がその役柄を演じることが決定。ほか、谷原は尚人の会社の専務役、吹石はその同僚のキャリアウーマンでアッコちゃんの恋のライバル役、大杉は尚人の会社の前社長役として出演。もたいと鹿賀は物語の鍵を握るキーパーソンとして登場する。原作やアニメ版では見られなかった、大人の女性に変身したアッコちゃんの活躍が期待できそうだ。『映画 ひみつのアッコちゃん』9月1日(土)全国ロードショー
2012年04月12日今年、誕生50周年を迎える漫画家・赤塚不二夫の代表的少女マンガ「ひみつのアッコちゃん」を綾瀬はるかを主演に実写映画化した『映画 ひみつのアッコちゃん』が9月より公開となる。このほど、アッコちゃんこと主人公・加賀美あつ子を取り巻く超豪華キャストが意外な役どころと共に明らかとなった。1962年に少女漫画誌「りぼん」で連載開始されて以来、少女たちの“大人の女性になりたい”という女子願望を突く内容で人気を集め、3度もテレビシリーズとして放送された名作の待望の映画化。10歳の女の子・加賀美あつ子が鏡の精にもらった魔法のコンパクトで22歳の自分に大変身し、大手化粧品会社のエリート社員と恋に落ち、彼と共に会社のピンチを救うべく大奮闘を繰り広げていく。アッコちゃんの恋の相手を岡田将生が演じることも話題を集めたが、今回、発表された新たなキャストたちも人気・実力を兼ね備えた一癖も二癖もある俳優たち。アッコちゃんと運命的な出会いを果たす尚人(岡田さん)が勤務する大手化粧品会社の専務には谷原章介、アッコちゃんの恋のライバルとなるOLを吹石一恵、会社の前社長に大杉漣が扮することに。さらに、今回の発表で最も衝撃的な配役となったのが、アッコちゃんに魔法のコンパクトを授ける“鏡の精”。原作漫画にしか登場しないこのキャラクターに選ばれたのは名優・香川照之!原作のキャラクターそのまま…いや、このビジュアルをご覧いただければ分かる通り、サングラスとタキシードで渋みを増しての仕上がりとなっている。このほかにも堀内敬子(あつ子の母親役)、吉田里琴(10歳のあつ子)、内田春菊(総理夫人役)、塚地武雅(守衛役)に加え、もたいまさこと鹿賀丈史が物語の重要な鍵を握るキーパーソンとして出演するとのこと。この錚々たるキャスト陣が、劇中でどんな化学反応を見せてくれるのか?『映画 ひみつのアッコちゃん』は9月1日(土)より全国にて公開。■関連作品:映画 ひみつのアッコちゃん 2012年9月1日より全国にて公開© 赤塚不二夫/2012「映画 ひみつのアッコちゃん」製作委員会■関連記事:“綾瀬はるか版”『ひみつのアッコちゃん』ポスター&特報が解禁!綾瀬はるか主演で「ひみつのアッコちゃん」映画化!初恋相手役に岡田将生
2012年04月12日前作から5年ぶりとなるシリーズ最新作『ALWAYS 三丁目の夕日’64』の完成披露舞台あいさつが8日にTOHOシネマズ六本木で行なわれ、主演の吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、もたいまさこ、薬師丸ひろ子、須賀健太、小清水一揮ら出演者と、脚本&VFXも手がけた山崎貴監督が登壇した。その他の写真『ALWAYS 三丁目の夕日…』は、昭和39年(1964年)、オリンピック開催を目前に控えた東京を舞台に、下町で暮らす人々の人間模様を描いたシリーズ第3弾。前2作では、昭和30年代の風景をVFX技術を用いて再現したが、今作ではさらに3D化を試みている。吉岡は「大変長らくお待たせしました。“ALWAYS”史上最高の作品がようやく出来上がりました。多くは語りません。三丁目に行って元気を出しましょう」とあいさつ。小学生だった前作から高校生として登場する須賀が「作品と一緒に成長してきたような気持ちです」と話すと、吉岡と堤は「本当に大きくなって、しっかりとあいさつできるようになって、頼もしい」と成長を喜んでいた。「最初から最後まで臨月というなかなかない役だった」という小雪は、実際に現在妊娠9ヶ月を迎える。「作品を通して、腰痛など疑似体験ができた。想像でしかわからなかた部分を今、ヒシヒシとリアルに感じています」とニッコリ。「出産予定日も公開日のあたりなんだよね」と山崎監督が明かすと、場内からは拍手が起こった。劇中でウエディング姿を披露しているという堀北は「実際に着たときは、みんなの目が『もう行っちゃうの?』という雰囲気で、たくさんのお父さんに“ありがとう”を言うような感じでした」とコメント。堤は「8年前から六ちゃん(掘北)を見てきたわけですから、彼女の横にいる男を見ているだけでムカムカした」と語り、笑わせていた。「撮影の終わりかけに震災があって、続けていいのかと悩みました」と山崎監督は明かし、「おこがましいかもしれませんが、この時期を選んで生まれてきたような作品。“本当の幸せって何だろう?”と、もう一度考え直すきっかけにしてほしい」と語った。『ALWAYS 三丁目の夕日’64』2012年1月21日(土)全国東宝系ロードショー
2011年12月08日人気シリーズの5年ぶりの新作にして完結編となる『ALWAYS三丁目の夕日‘64』の完成披露試写会が12月8日(木)、都内で開催され吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、もたいまさこ、薬師丸ひろ子、須賀健太、小清水一揮、山崎貴監督が舞台挨拶に登壇。現在妊娠9か月で来月出産予定の小雪さんにとっては、これが出産前に公の場に登場する最後の機会となったが、元気な様子を見せた。西岸良平の人気漫画を原作に、2005年に公開されてロングランヒットを記録した『ALWAYS三丁目の夕日』、その2年後に公開され前作を上回るヒットとなった『ALWAYS続・三丁目の夕日』に続く第3弾。東京オリンピック開催の昭和39年を舞台に、高度成長の真っ只中でも以前と変わらず人情味あふれる夕日三丁目の人々の喜怒哀楽を情感たっぷりに描き出す。小雪さんは夫役の吉岡さんに手を引かれて深紅のドレスで登場。腰痛のせいか壁に手をつきながらゆっくりと歩く姿が見られたが、客席の歓声に笑顔で応えるなど元気な様子を見せた。劇中では出産を体験しており「疑似体験でいい経験をさせてもらいました」とニッコリ。「自分以外のものを守ろうとする気持ちが自然に芽生えてきました。神様が決めた10か月という月日は、母になるための準備の時間なんだな思います。(撮影中に)想像でしかなかったのが、いまはリアルにひしひしと感じています」と改めて母親になる心境を明かした。予定日は映画の公開初日から2日しか離れていないこともあり、監督が「1月21日(土)に産んでほしい」と語ると「(客席の)拍手の音に反応しています」とお腹に手をやり微笑んだ。一方、「鈴木オート」ではついに今回、堀北さん演じる六子がお嫁に行くことに…。堤さんは「(第1作の)8年前から見てるわけで、その中での思いがあって…脚本読んだ時点でダメでした(苦笑)。現場では僕だけでなく、スタッフのおじさんたちも同じ気持ちだったと思う。(結婚シーンで六子の)隣にいる男を見るだけでフツフツと怒りがわいてきて、演技している気がしなかった」と“父”の思いを吐露した。堤さんの妻を演じた薬師丸さんも、娘同然の六子の結婚に「『えー?もういっちゃうの?』という感じで喜ぶというよりも悲しみをこらえて送り出す感じでした」と寂しそうに明かした。堀北さんは「次のステップに進むときに希望を持って行かなくちゃいけないけど、いままでの場所に置いていかなくちゃいけないものがたくさんありました。みなさんの目が『いっちゃうの?』という感じで(笑)、たくさんのお父さんたちに『いままでありがとうございました」と言う気持ちでした」とふり返った。本作ではビッグイベントとして東京オリンピックが描かれるが、もたいさんは「出演者の中で実体験で経験したのはおそらく私と三浦(友和)さんだけ。私は代々木でブルーインパルス(※五輪でアクロバティック飛行を披露した航空チーム)を見まして、本当に見事で感動しました。映画でもう一度みなさんに見てもらえるのは嬉しい」としみじみと語った。また、この日は前作に続き主題歌「グッドラック」を担当した「BUMP OF CHICKEN」の姿も見られた。『ALWAYS三丁目の夕日‘64』は2012年1月21日(土)より全国東宝系にて公開。■関連作品:ALWAYS三丁目の夕日‘64 2012年1月21日より全国東宝系にて公開© 2012 「ALWAYS三丁目の夕日‘64」製作委員会■関連記事:NHK来年の朝ドラの堀北真希の共演陣に南果歩、ミムラ、小出恵介、松坂桃李ら
2011年12月08日ヘルシンキ、与論島、チェンマイ、京都――。そこに暮らす人と街の関係を描いてきたプロジェクトの最新作『東京オアシス』の撮影がクランクアップした。今作の舞台はタイトルからも分かるように、東京だ。たくさんの人が働き暮らす大都市東京の片隅で起きる、小さな3つのエピソードが描かれている。撮影現場を衣装のまま飛び出してきた女優のトウコ(小林聡美)は、車の後部にレタスを積んだ青年・ナガノ(加瀬亮)に出会い、不思議な一夜を過ごす。深夜のコンビニ前で、猛スピードで走るトラックに向かっていく小林さんをとっさに助ける加瀬さんのシーンの撮影は、都内近郊の高速沿いで行なわれた。深夜ということと、走る加瀬さんと小林さんの姿は、いままでの共演作にはない特殊な緊張感。おそらくそれは、CMやPVなどの作品で活躍してきた中村佳代監督の演出によるものなのだろう。クランクイン前に加瀬さんが語っていたように、「いままでとはちょっと違う作品」になりそうな雰囲気が漂っていた。原田知世と小林さんのシーンは小さな映画館で行なわれた。映画館で働くキクチ(原田さん)が、終映後に眠りこけてしまったトウコを起こすと、かつての知り合いだった2人が再会を果たすという場面。原田さんと小林さんは初共演とは思えない息の合った掛け合いを見ることができた。セリフの掛け合いというより、間の取り方、息づかい、近づいたり離れたりする距離感といったものが目に見えるようだ。昔の知り合いと再会すると、過ぎ去った時間に思いを馳せ、いまの自分の立ち位置をもう一度見直すことになる。原田さんが放つセリフの一つ一つから、キクチの過去を思わせるような含みが生まれる。受け取る小林さんの一挙手一投足からトウコという女性が真剣に人生を歩んできたことが伺える。脚本に書かれた人物がこうやって実物になっていくのだと感じさせる瞬間だった。動物園のアルバイトに応募したものの自信喪失しているヤスコを演じる黒木華は、映画初出演。彼女自身も昨年末に東京に移り住んできたばかりで、ヤスコが感じる気持ちを体で感じている最中なのだろう。撮影が行なわれた動物園は遠足シーズン真最中で、数百人の幼稚園児たちが楽しそうに園内を駆け回るなか行なわれた。動物たちを覗き込むヤスコにトウコが話しかけるシーンは、あたたかな空気に満ちており、新しくプロジェクトに参加した黒木さんをチーム全体が優しく迎え入れているかのようだった。原田さんの映画館のストーリーと、黒木さんの動物園のストーリーの演出は『マザーウォーター』の松本佳奈監督。息の合ったキャストとスタッフと共に、芝居をじっくりと見せる演出にこだわっているようだった。約2週間、集中して行なわれた撮影も無事全てのシーンを撮り終え、10月の公開に向けて編集作業が行われている。撮影レポートに登場する小林さん、加瀬さん、原田さん、黒木さんのほか、もたいまさこ、市川実日子、光石研らおなじみの顔も。なじみ深い東京の街とそこに暮らす人々がどんなふうにスクリーンに映し出されるのか、楽しみだ。『東京オアシス』は10月22日(土)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて順次公開。(text:Itsuko Hirai)■関連作品:東京オアシス 2011年10月22日より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開© 2011オアシス計画■関連記事:『めがね』チーム新作『東京オアシス』飼育係の物語を公式サイトで展開『かもめ食堂』チームの新作が始動!小林聡美、加瀬亮らが撮影を前に心境を告白
2011年07月04日『かもめ食堂』、『めがね』など、観る者の心をどこかホッコリとさせてくれる良作を世に送り出してきたチームの最新作がついに始動!気になるタイトルは『東京オアシス』。東京を舞台に、ひとりの女性が繰り広げる出会いが、“何か”を気づかせる――。主演を務めるのはもちろん小林聡美!加瀬亮、もたいまさこ、市川実日子らおなじみの面々に加え、原田知世に新鋭・黒木華(はる)といった新たな顔ぶれも。主要キャストの小林さん、加瀬さん、原田さん、黒木さんが、5月の撮影を前に心境を語ってくれた。『かもめ食堂』、『めがね』、『プール』、『マザーウォーター』の製作チームによる本作。物語は小林さん演じる女優のトウコが、深夜のコンビニ、映画館、動物園といった何ということもない場所で、小さな偶然の出会いを果たすというシンプルなつくりとなっている。過去の作品は海外や地方が舞台となっており、のどかな風景が特徴として味わいを醸し出していたが、今回はタイトルにもあるように東京が舞台。こうした点も踏まえて、小林さんは「これまでとは毛色というか…雰囲気の違う作品になりそう」と語る。“女優”を演じるということについても「どのぐらいの女優なんでしょうか?」と思案顔だが、すかさず加瀬さんが横から「大女優ですよ」、「(セリフは)腹式呼吸でお願いします」と茶々を入れる。加瀬さんは、トウコが最初に出会う青年・ナガノを演じる。レタスを積んだ軽トラックを運転し、ひょんなきっかけで立ち寄ったコンビニの店先でトウコを車に乗せることになる。『めがね』以来の“常連”である加瀬さんも、本作には少し違った匂いを感じているようで「いままでに参加させていただいたものも(役柄は)突飛と言えば全部、突飛なんですが…。ただ今回、(脚本を)読んだ印象はいままでと違いましたね」と語る。セリフも従来と比べてかなり多いようで「(これまでは)どちらかというと会話とかじゃなくて、(間や表情で)やってきた気がするから、どんな感じなのかな、と」。トウコとナガノのある会話から、ナガノは群馬の出身ということが推測されるが、加瀬さんはそうした点も含め役柄について「このチームの映画って、書かれてないけど裏設定はしっかりしていて、毎回、ものすごくきちんと(役柄の裏設定の)説明を受けるんです。あえてそれをアピールするようなことはしないんですが。今回も(同じように)やることになるんじゃないかと思ってます」と明かしてくれた。初参加の原田さんは、トウコとは旧知の元脚本家・キクチを演じる。キクチはいまは映画館で働いているが、そこでトウコと偶然の再会を果たす。加瀬さんの「セリフが多い」という言葉に「意外と多くて…。間とかではなく、思いをはっきりと口にするんですよね」と頷く。自身の役柄については「人生の中で、何となく心のどこかで『こうなりたい』、『こうしたい』と思ってても実際にはそっちには進んでなくて…でも、どこかで思ってたら道が開けてくることがあると思うんです。私の役も、たまたまトウコさんと会って、背中を押してもらうんですが、人生をふり返ったときに『あのとき、ああいうことがあったから、こちらに来たんだな』という、どこかでスイッチ入れてもらった瞬間というのがあるな、と。分かるなという部分が多いです」と共感を口にする。劇作家・野田秀樹の主宰するNODA・MAPの公演にオーディションから抜擢され、そのまま続けて3作連続で出演を果たし、注目を集める黒木さん。映画初出演となる本作では、若いながらに人生に行き詰まった矢先に、動物園でトウコと出会うヤスコを演じる。物語について「私は大阪の田舎の出身なんですが、見知った人の周りで生きていると、なかなか全く知らない人と会って話をすることがなくなっていきます。いろんな人にお会いすることで、そこからいろんなことが起こったりすることがあるんだなと思いました」と初々しい表情で語る。これまで4作を作ってきたチームに参加することになるが、黒木さんはこれまでの作品の印象について「私の勝手なイメージなんですけど、空気が澄んでいて、澄んだ時間が流れているなと思って観てました」と語る。同じく初参加の原田さんは「『かもめ食堂』を観て、ひとつひとつ細かいところまで丁寧に作られてる作品なんだな、と。役者さんも自然にそこにいるように見えて、独特の空気感が心地よくて新鮮でした。こんな映画が日本で作れてすごいなと思っていたので参加できて嬉しいです」と喜びを口にする。原田さん曰く「『良い現場なんだろうな』と思っていて…いつになく緊張してないです」。では、迎える側は?小林さんは「怖い緊張感があまりないよね。『良い映画を作りたい』という目指すところはあるけど、それだけ。あとはみんなが自分らしくいられる現場だと思います」とニッコリ。加瀬さんも「“迎える”という意識はなくて、むしろ頼ってるというか、新しく参加してくれる人にすがって(笑)。そこでいつも新鮮な変化が起きるので、頼ってますし、楽しみにしてます」と新メンバーへの期待を語る。改めて、“東京”という街の印象をそれぞれに尋ねると「いろんなバックグラウンドの人たちが、一見そうと見えないんだけど、面白く調和して動いている街。エネルギーのある街だなって思います」(小林さん)、「色とりどりの場所だから、その中で自分が落ち着く場所をみつけるのは難しいときもあるんですが、エネルギーとかいろんなものをもらえるところだし、自分の中で上手くバランスを取りながらいる場所ですね」(原田さん)、「人がたくさんいるな、と思います。大阪から12月に出てきたばかりで、想像していた東京は“人が冷たい”とか“森がない”とかそういうイメージでした。でも、何か月かですが、いてみると地元と共通してるところもあって、公園とかもあって、自分が想像していた東京とは少し違うな、と思います」(黒木さん)、「街で言えば“砂漠”なのかな。でも、そこに“人”がいるから、好きでいられるし面白い。常に地方や外国の方も含めて、人が風のように出たり入ったりしてて…風通しのいい街にも見えるし、でも人を抜いたら砂漠なのかもしれないですね」(加瀬さん)とそれぞれに興味深い答えが。そんな思い思いの東京で、どのような出会いとドラマが繰り広げられるのか?先日の震災により、ロケ地などを含め少なからず影響を受けているという本作だが、小林さんは「まだ大変な状況が続くでしょうが、この映画はこのタイミングで作るのにいい映画じゃないかなと思います」と語り、「丁寧に心をこめて、自分の仕事をやっていきたい」と静かに意気込みを口にする。加瀬さんも「元々、シンプルな映画を作るチームですが、今回、震災があって、自分の中でいままで以上に余計だったものが揺り落とされた気がしています。そういう自分のまま、この映画の中に立ちたい」と思いを明かす。原田さんも「簡単に言葉にできないんですが、自分の中で確実に何か変わってきている」と語り「よりシンプルに…たくさん物事があって見えなかったものが、すごくすっきりと見えるようになった気もしてます。なので、そのまま現場に入ってやるのが一番いいかな。あまり頭で考えたり、物事をくっつけたりしないでやれたら」と慎重に言葉を選びながら思いを語ってくれた。「知らない人同士でいようと思えばいられるけど、ちょっと一声かけるだけで、温かいものが広がったりする」とトウコが東京の片隅で果たす小さな出会いをそんな言葉で説明する小林さん。ふとした出会いが人をつなぎ、気づきを生んでいく――。まさにいまの日本が必要とする物語と言えそうだ。このチームに欠かすことができない、フードコーディネーターの飯島奈美の料理など、撮影が始まる前から物語、キャスト以外の要素でも楽しみな点が多い本作。『プール』でメイキングを担当し、『マザーウォーター』で初めてメガホンを握った松本佳奈と、数多くのCMやPVを手掛ける中村佳代という2人の監督の手で紡がれる。『東京オアシス』は5月26日(木)よりクランクイン。撮影は2週間の予定で東京近郊で行われる。公開は10月22日(土)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて。■関連作品:東京オアシス 2011年10月22日より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開© 2011オアシス計画
2011年04月22日映画『マザーウォーター』(松本佳奈監督)の初日舞台挨拶が10月30日(土)、東京・新宿ピカデリーで行われ、小林聡美、小泉今日子、加瀬亮、永山絢斗、もたいまさこらが出席した。ウイスキーしか置かないバーを営むセツコ(小林さん)、コーヒーカフェを開いたタカコ(小泉さん)ら京都に暮らす7人の男女の生活を見つめた群像劇。映画『かもめ食堂』、『めがね』、『プール』といったシンプルなドラマを製作してきたプロジェクトシリーズの最新作。同シリーズを通じて美味しい食べ物を登場させてきたフードスタイリストの飯島奈美さんが本作でも腕をふるった魅惑のメニューに話題が集中。小泉さんは「グラタンを作る役で食べたんですけど、もたいさん(演じるマコト)の家の朝ごはんに呼ばれたいな、と思いました。今度、飯島さんの本が出たんですよね!」。本作までの4作に登場した料理レシピをまとめた「飯島風」(マガジンハウス刊)が先日発売されたばかりで、『めがね』からのシリーズの常連で今回、劇中でビーフカツサンドを食べる加瀬さんは「飯島さんの料理はホントに美味しくて、みなさんにも味わってもらいたいと思っていたので、本が出たといま、聞きましていいことだなと思います」と太鼓判。『めがね』に続いての出演となった光石研は、自身の撮影がない日でも「永山(絢斗)くんとビーフカツサンドをいただきに行きました。ひとりだと心細いしホントに食べに来ただけみたいになっちゃうので、いかにも現場を見る風にして…。ホントに美味しいんですよ」と告白。もたいさんから「かきあげの日(マコトの朝食)にも来ていましたよね!」と暴露され、「はい…」と頭を掻いていた。一方、この日は台風14号が関東地方に接近中とあって強い雨風に見舞われるあいにくの空模様。冒頭の挨拶で満場の観客に向かい、小泉さんが「あたしだったら絶対、家から出ない」と口火を切ると、市川実日子も「私だったら来ないんじゃないかな」、永山さんも「こんな雨の中、僕だったら外に出ない」と引きこもり派。一方、光石さんは「僕だったら傘を差して来たでしょう」、もたいさんは「槍が降ってもきます」と笑わせていた。『マザーウォーター』はシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開中。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:めがね 2007年9月22日よりテアトルタイムズスクエア、銀座テアトルシネマほか全国にて公開© めがね商会プール 2009年9月12日よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開©プール商会マザーウォーター 2010年10月30日よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2010パセリ商会■関連記事:加瀬亮×永山絢斗×光石研インタビュー『マザーウォーター』ほのぼのメンズトーク小泉今日子『かもめ食堂』のシリーズに「ヘルシンキからいたような顔で」参戦市川実日子インタビュー京都で心地よく演じた“豆腐のような人”人気フードスタイリスト飯島奈美が『マザーウォーター』クッキーを初プロデュース!『かもめ食堂』チームに小泉今日子、永山絢斗が参戦今度の舞台は“京都”
2010年10月30日映画『マザーウォーター』(松本佳奈監督)の完成披露試写会が10月21日(木)、東京・スペースFS汐留で行われ、小林聡美、小泉今日子、加瀬亮、永山絢斗ら主要キャスト7人が舞台挨拶に顔を揃えた。映画『かもめ食堂』、『めがね』などシンプルな人間ドラマを製作してきたプロジェクトシリーズの最新作で、京都を舞台にウイスキーだけ出すバーを営むセツコ(小林さん)、コーヒー屋のタカコ(小泉さん)、豆腐を売るハツミ(市川実日子)ら7人の男女の群像劇。同シリーズ初参加となった小泉さんだが「前からこのシリーズを見ていたし、それぞれお仕事してきた方も多かったので『いなかったっけ?いままでも』って感じで違和感なく入っていき『いままでもいましたよ』みたいな顔してやっていました」。シリーズの常連、もたいまさこさんから「全然オッケーでしたよ。小泉さん、全部仕切っていました」と“座長ぶり”を明かされ、「ヘルシンキ(『かもめ食堂』ロケ地)からずっとねぇ…」とおどけた。対照的に同じくシリーズ初参加の永山さんは「素敵なキャストのみなさんの中に僕が入っていいのかと思いましたがどうにか…」とコチコチだった。一方、冒頭で光石研が「みなさん楽しんでいってください」とオーソドックスな挨拶をすると、小泉さん、小林さん、加瀬さんらほかのキャスト陣が一様にニヤリとして意表を突かれたような表情を向け、光石さんが大テレする一幕も。セツコのバーに入り浸る青年・ヤマノハを演じた加瀬さんは「僕が(セツコを)養っていました」。もたいさんも自身の役どころについて「いつも通り謎の女で何やっているのか、フラフラしています。散歩の達人に見えたらいい」とそれぞれ軽快なトークを繰り広げ、会場の笑いを誘っていた。『マザーウォーター』は10月30日(土)よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:マザーウォーター 2010年10月30日よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2010パセリ商会■関連記事:市川実日子インタビュー京都で心地よく演じた“豆腐のような人”人気フードスタイリスト飯島奈美が『マザーウォーター』クッキーを初プロデュース!『かもめ食堂』チームに小泉今日子、永山絢斗が参戦今度の舞台は“京都”
2010年10月21日『かもめ食堂』、『めがね』の荻上直子監督がカナダのトロントでのオールロケを敢行し、大部分が現地スタッフ&現地のキャストという中で作り上げた『トイレット』が先週末に公開を迎え、順調に客足を伸ばしている。カナダ人の3人の兄妹と、彼らの母が死の直前に呼び寄せた、英語の話せない日本人の“ばーちゃん(もたいまさこ)”の交流を描いた本作。タイトルにもなっている、劇中の物語のトイレにまつわる部分は、『かもめ食堂』のフィンランド人スタッフが来日した際に、日本のウォシュレット付きのトイレにかなり感動していた、というエピソードを基にしているとか。誰しも海外に行けば、その地では当たり前でも自分にとっては信じられないような習慣にカルチャーショックを受けるもの。シネマカフェでは「海外で驚いた物は?」というテーマでそんな驚きエピソードを募集した。その結果を大発表!まず何と言っても最も多くの投稿が寄せられたのは、そのものズバリ“トイレ”にまつわるびっくりエピソード。特に中国に行った経験のある方からの扉にまつわるカルチャーショックが多数!うわさに聞いたことはあったものの「中国ではトイレの仕切りの壁がなかった」(10代・女性)、「傘などで隠さないと隣りの人に見えてしまうので困りました」(20代・女性)といった体験談が続々。なかったのは扉だけでなく、何と「イタリアで、便座がないトイレにしばしば遭遇した」(30代・女性)という体験、「タイのトイレでトイレットペーパーがなく、水道の蛇口があったこと」(30代・女性)、「トイレの紙が詰まるので、流さずにゴミ箱に捨てる習慣の国があって驚いた」(20代・女性)などという声も。また、海外のトイレ体験談で意外と多いのが「有料制だった」(30代・女性)、「チップを払う必要があった」という声。各国のトイレ事情をまとめるだけで、1冊の本が軽くできちゃいそうなほど、トイレにまつわる文化、習慣の違いが存在するよう。ちなみに、トイレ以外に多くの投稿が寄せられたのは“食の事情”にまつわるびっくり。何より日本人にとっては「ハンバーガーの大きさにびっくり!」(20代・女性)、「牛乳の大きさ」(20代・女性)など1人前の量の大きさに驚かされるケースが多い様子。得した!安い!という喜びも束の間、食べきれないともったいない気持ちになってしまう…。Sサイズ、Mサイズ、Lサイズといったサイズの基準がそもそも日本とは異なるのでご注意あれ!そしてもう一つ、数多くの投稿が寄せられたのが各国の“交通事情”。「電車が時刻表通りに来ない」(40代・女性)というのが当たり前の国も…。ついつい日本では定刻通りが当然と思ってしまいがちだが、改めて考えるとすごいことなのかも。「シンガポールの高速エスカレーター」(30代・女性)なる、日本にはない乗り物(?)や「バスの乗り方が日本と違って慌てた」(30代・女性)、「自転車ごと電車に乗り込んでくる人がいた」(20代・男性)など日本とは異なるシステムにびっくりさせられたという声も数多く寄せられた。トイレ、食べ物、乗り物…海外に行ったら避けては通れない要素だが、国が違えばここまで習慣も異なるのかとびっくり…。海外スタッフに囲まれて、異国の地で本作を作り上げた荻上監督、もたいさんらに改めて拍手!この結果を踏まえて映画の中の“ばーちゃん”を見ると、少し違った感想がわいてくるかも。『トイレット』は新宿ピカデリー、銀座テアトルシネマ、シネクイントほか全国にて公開中。シネマカフェSweet「映画監督という仕事『トイレット』特集」■関連作品:トイレット 2010年8月28日より新宿ピカデリー、銀座テアトルシネマ、シネクイントほか全国にて公開© 2010“トイレット”フィルムパートナーズ■関連記事:『トイレット』荻上直子監督×フードスタイリスト飯島奈美餃子に込めた思いと旨味荻上直子監督『トイレット』初日に早くも次回作構想「メキシコで酒を飲みながら…」荻上監督作品に欠かせないフードスタイリスト・飯島奈美の餃子料理実演が大盛況「トイレの神様」推奨のトイレ掃除、荻上監督はボーイフレンドにお任せ?オールカナダロケの『トイレット』荻上直子監督×主演俳優カルチャーギャップトーク
2010年09月06日『かもめ食堂』ではフィンランド。前作『めがね』では南の島。そして最新作『トイレット』ではは北米。荻上直子が作り出す物語の舞台は、我々にとって非日常ともいうべき場所だが、不思議なことに描かれるのは、ごくごく当たり前の人間の日常の営みである。その日常の営みにおいて欠かすことができない食事に関して、荻上監督を一手に支えるのがフードスタイリストの飯島奈美。『かもめ食堂』以来、数々の食事シーンで苦労を、そして楽しみを共にしてきた2人が、初めて揃っての取材に応じてくれた。まずは出会いから。2人を繋いだのは、『かもめ食堂』、『めがね』と荻上作品で立て続けに主演を務めた小林聡美だった。飯島:小林さんが出演されていたパンのCMの料理を担当していて、(CMが撮影される)半年ごとに小林さんにご挨拶はさせていただいていたんです。荻上:そのプロデューサーが『かもめ食堂』のプロデューサーに声を掛けてくださって…。飯島:初めて会ったときのこと覚えてます?荻上:覚えてますよ、代官山でしたね。もう、この手は絶対においしいおにぎりを作ってくれる、間違いないですよね!って思いました(笑)。飯島:小林さんには「おっきい手!」って言われました(笑)。出会いの『かもめ食堂』では鮭にしょうが焼き、『めがね』では彩り豊かな朝ごはんにかき氷など、作品ごとに印象的な食べ物が登場するが、今回の目玉はもたいまさこ演じる“ばーちゃん”の手作り餃子!でもなぜ餃子なのだろうか?荻上:みんなで作って食べられる料理にしたかったんです、家族のお話なので。餃子ってテーブル囲んでみんなで作れるじゃないですか。私もちっちゃい頃に母と一緒に餃子をつめた思い出があります。飯島:私もあります。みんなありますよね…ありません(笑)?もちろん、あります(笑)!この餃子というチョイスの素晴らしさ、監督の遠謀深慮(?)は食べるシーンを見れば分かる。作った餃子を食べながら彼らが「これはばーちゃんのだ」などと、それぞれ形の違う餃子についてあれこれ会話を交わす…思わず「あぁ、分かる分かる!」と膝を打ってしまう。異国の地でばーちゃんと外国人の孫が餃子を作って食べるというシュールな絵のはずが、グッと“日常”を引き寄せてくるのだ。荻上:みんな、自分が一番うまいと思っててね(笑)。飯島:(現場でも)もたいさんは皮を作る練習をひたすらされてましたね。荻上:カナダ人キャストも一緒にやりましたけど…ヘタクソでしたねー(笑)!2人の仕事に進め方について尋ねると「今回の餃子のように、あらかじめ脚本段階で決まっているものもあるし、書いてないものもある。決まってないものは奈美さんに考えていただく」(荻上監督)とのこと。実際、本作での餃子以外の食事を飯島さんはどのように決めたのか?飯島:まず、おばあちゃんっぽく煮物にしようと思いました。カナダのおいしいジャガイモと鮭で肉じゃが……餃子で肉を使っているので、鮭がいいなと。それから、ビールが出てくるのでもう一品、ポテトフライのようなものを考えました。ジャガイモはもう使っているので、ナスにしようとナスフライに決めました。ちなみに、映画では見えない部分ですが、あのフライにはガーリックパウダーとジンジャーパウダーが入ってます。コーンスターチで揚げるとカリッとするんです(笑)。荻上:そうそう、カリッとね!美味しそうでしたし、実際、美味しかったです。すでに観る者にとっては“荻上作品=美味しい食べ物”という公式が出来上がっているといえるが、監督自身は映画を作る上で、食べ物のシーンというのにどのような意識を持っているのだろうか?荻上:今回に関して言うと、家族の距離が縮まるときに、食卓を囲んでほしいと思って、食事を作って、庭で食べて、というシーンを入れました。すごく幸せそうで、でもすごくもの哀しいんですよね。幸せだけど永遠には続かない時間――その儚さがあの食事のシーンにはあると思います。でも普段、脚本を書くときに意識して『ごはんのシーンを出してやろう!』とは思ってないんですよ」。飯島:でも日常を描いた作品なら当然、ごはんは出てきますもんね。よっぽど…殺しの映画とかじゃなければ(笑)荻上:でも殺人犯だってごはん食べますしね(笑)。意識はしていない――。だが、監督が何気なく脚本に書いた食べ物が、飯島さんというプロの手で、想像を超えたシーンに“変身”することも!飯島:(『めがね』のときの)伊勢えびとかはおもしろかったですね。荻上:あれは最初から脚本に書いてあったんですよね、“伊勢えびとビール”ってだけ(笑)。それを茹でて、豪快にバリッと割って丸かじりするというのは、奈美さんのアイディア。飯島:ああいう贅沢な食べ方もいいなぁって。昔、「レディーボーデンのアイスを、大きくなったら1箱食べたい」とか考えてて(笑)。それに近い感覚でした。荻上;私は単に、えびを食べるってことしか想像してないんですよ。そこで奈美さんが「こうすると美味しそうです」って提案してくださるんです。食のシーンに関しては、まさに“共同演出”と言える関係の2人。プライベートでも一緒に食事をすることも多いとか。また、監督は自宅で、飯島さんのレシピ本を片手に料理することもあるそうだ。荻上:私は、目分量で作ったりすると、とんでもないことになるから(苦笑)、ちゃんと計って作る。そしたらおいしくはできるんです。でも絶対、奈美さんが作る方がうまい…それは絶対、奈美さんの手から“おいしい成分”が出ているんだと…。飯島:他人に作ってもらった方が美味しいんです!荻上:いや。絶対、奈美さんだからだよ。ハンドパワーです!では、監督はご自宅でかなり凝ったものを作られることも?荻上:ほかに作ってくれる人がいればしないんですが…そういう人もいないので、します(笑)!奈美さんの本から、意外と簡単に少ない材料でできるものを探し出して作ってます!最後に飯島さんから、餃子の最後の難関“焼き”についてアドバイスが!飯島:そうですね、5ミリずつ離してフライパンに並べて、中火で焼きます。うっすらと焼き色がついたら、熱湯をフライパンの3分の1ぐらい入れて、フタをして少し放置します。5分ほど経ったらをフタを外して水分が残っていれば捨てます。フライパンを傾けても餃子がはりついて落ちてこないので、パッと水分を切って少し油を足します。そして、必ずフタをして、2分ほどするといい感じになってきます(笑)。時々、フタを開けて焼き色を見ながらやると良いと思います」。映画を観れば必ず(!)餃子が食べたくなるので、ぜひお試しあれ!シネマカフェSweet「映画監督という仕事『トイレット』特集」■関連作品:トイレット 2010年8月28日より新宿ピカデリー、銀座テアトルシネマ、シネクイントほか全国にて公開© 2010“トイレット”フィルムパートナーズ■関連記事:荻上直子監督『トイレット』初日に早くも次回作構想「メキシコで酒を飲みながら…」荻上監督作品に欠かせないフードスタイリスト・飯島奈美の餃子料理実演が大盛況「トイレの神様」推奨のトイレ掃除、荻上監督はボーイフレンドにお任せ?オールカナダロケの『トイレット』荻上直子監督×主演俳優カルチャーギャップトーク『めがね』荻上直子監督新作『トイレット』オリジナルグッズセットを5名様プレゼント
2010年09月03日映画『トイレット』が8月28日(土)、初日を迎え、主演のもたいまさこ、共演で初来日中のカナダ人女優タチアナ・マズラニー、荻上直子監督が東京・新宿ピカデリーで初日舞台挨拶に立った。風変わりなカナダ人3兄妹と英語の話せない日本人の“ばーちゃん”が、突然始まった奇妙な共同生活を通じ、お互いの個性を受け入れて心を通わせていく姿を描く物語。南カリフォルニア大学大学院映画学科を卒業以来、約10年間温めてきた「北米で映画を撮る」という構想を実現させて、カナダオールロケを敢行し、全編英語の本作を仕上げた荻上監督は「『かもめ食堂』、『めがね』でなんとなく分かってきた自分のカラーを通せるかと思ってやりましたが、チャレンジしてよかった」と手応えを掴んだ様子。司会者から次回作について聞かれると、「メキシコとかで、ずっと酒を飲みながら訳分からなくなりながら…っていうのもありかなと」と豪快なプランを口に。すかさず、もたいさんは「そのとき、私はサボテンの役で」と本作同様、ちゃっかり台詞のない役に立候補。会場の笑いを誘った。一方、タチアナさんは荻上監督について、「自分のビジョンをはっきり持っていて率直に指示を出してくれて、反面、自由に演技させてくれる。とてもやりやすかった。言葉の壁という弊害はありましたが、理解し合えた。監督と私は多分同じような人間だと思う」。もたいさんも、撮影現場での荻上監督について「もう頼もしいんです。(監督作が)3年ぶりとは思えない男前さ。ビル1棟建てるんじゃないか、と思いました。次の作品が楽しみです」とそれぞれ絶賛。荻上監督は照れながらも一礼し、感謝の気持ちを表していた。『トイレット』は新宿ピカデリー、銀座テアトルシネマ、シネクイントほか全国にて公開中。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:トイレット 2010年8月28日より新宿ピカデリー、銀座テアトルシネマ、シネクイントほか全国にて公開© 2010“トイレット”フィルムパートナーズ■関連記事:荻上監督作品に欠かせないフードスタイリスト・飯島奈美の餃子料理実演が大盛況「トイレの神様」推奨のトイレ掃除、荻上監督はボーイフレンドにお任せ?オールカナダロケの『トイレット』荻上直子監督×主演俳優カルチャーギャップトーク『めがね』荻上直子監督新作『トイレット』オリジナルグッズセットを5名様プレゼント荻上直子監督オーディション抜擢の“ヘンな子俳優”初披露
2010年08月28日映画『トイレット』をはじめ、荻上直子監督による3作品で料理監修を務めるフードスタイリストの飯島奈美さんが餃子作りを実演する料理イベントが8月20日(金)、東京・京橋の明治屋クッキングスクールで行われ、荻上監督とスポーツジャーナリストの中西哲生、一般参加者約30人らが舌鼓を打った。全編カナダ・トロントでのロケを敢行し、カナダ人3兄妹と英語の話せない日本人の祖母“ばーちゃん”(もたいまさこ)の共同生活を描く『トイレット』で、ばーちゃんが作る料理として餃子が登場することから、この日のイベントが実現。飯島さんは、荻上作品2作に主演した女優の小林聡美が出演するCMの料理監修を担当していた縁で『かもめ食堂』、『めがね』にフードスタイリストとして参加し、おにぎりやかき氷など、様々な食べ物を印象的に劇中に登場させている。タネを作り、皮を伸ばす生地作りには中西さんが挑戦。普段から料理はせず、餃子作りも初めてという中西さんは、飯島さんが4枚、5枚と完成させていく間、最初の1枚にかかりきりと悪戦苦闘。「才能ないな〜俺…」とつぶやき、飯島さんから「いえいえ、ほかに才能がたくさんあるんですから」と励まされると「サッカーだって才能ないからこうなったんです」とボヤキトーク。「なんで(飯島さんが作る皮は)そんなに丸くなるんです?」と飯島さんに尋ね、「祈るんです」と言われると、「まぁるくなあれ」。コミカルなやりとりで、会場の笑いを誘うひと幕も。具を包む作業を終え、約10分かけて焼き上げると、室内には香ばしい香りが充満した。焼き上がった餃子が皿で配られ、全員で試食。「美味しい!」、「皮が違う」などの声が飛び交った。前日にもウォーミングアップで餃子を食べたという中西さんは「全然違う!」と目を丸くして次々と頬張っていた。荻上監督によると「カナダ人のスタッフ、キャストたちも『これまで食べた餃子で一番美味しい』って言っていました」と異国の地でも大好評だった。材料のポイントについて飯島さんは「干しシイタケですね、入れた方が歯ごたえも香りもいい」とコツを伝授。劇中にも登場する飯島さんの餃子レシピは、本作の公開劇場で販売されるパンフレットに掲載される予定。3度のタッグを組んだ荻上監督について、飯島さんは「基本的に任せてくれる。『これがいいんじゃないですか?』って提案すると、『いいね』って言って下さる。スタッフそれぞれのモチベーションを上げてくれる」と絶賛。荻上監督は「監督らしくない監督なので『すみません、すみません』って言っているとみんなが助けてくれる」と謙遜しつつも「才能のある方の才能を全部吸い取りたいので」とスタッフ“演出”のコツを語っていた。『トイレット』は8月28日(土)より新宿ピカデリー、銀座テアトルシネマ、シネクイントほか全国にて公開。(photo/text:Yoko Saito)シネマカフェSweet「映画監督という仕事『トイレット』特集」■関連作品:トイレット 2010年8月28日より新宿ピカデリー、銀座テアトルシネマ、シネクイントほか全国にて公開© 2010“トイレット”フィルムパートナーズ■関連記事:「トイレの神様」推奨のトイレ掃除、荻上監督はボーイフレンドにお任せ?オールカナダロケの『トイレット』荻上直子監督×主演俳優カルチャーギャップトーク『めがね』荻上直子監督新作『トイレット』オリジナルグッズセットを5名様プレゼント荻上直子監督オーディション抜擢の“ヘンな子俳優”初披露『かもめ食堂』荻上直子最新作『トイレット』特報が到着“ばーちゃん”って何者?
2010年08月20日映画『トイレット』のトロント体感イベントが8月11日(水)、東京・赤坂のカナダ大使館で行われ、荻上直子監督と「トイレの神様」で一躍ブレイク中のシンガーソングライター、植村花菜がゲストで出席した。カナダ人3兄妹と英語が全く話せない日本人の祖母(もたいまさこ)が、突然始まった共同生活を通じ、家族の絆を深めていく姿を描く物語。全編カナダロケを敢行し、もたいさん以外のキャスト全員とスタッフのほどんどにカナダ人を起用した日本、カナダ合作作品となっていることから、今回のイベントが実現した。植村さんのヒット曲「トイレの神様」は、自身が小学校三年生のときから21歳で上京するまで二人暮らしをして育ててくれたという、いまは亡き祖母への想いを歌った内容。“おばあちゃん”と“トイレ”つながりで駆け付けた植村さんは「気立てのいい花嫁になりたいと思って掃除、洗濯と手伝いをしていたけど、トイレ掃除だけが嫌いだった。でもおばあちゃんに、トイレにはべっぴんの神様がいて、掃除をすればべっぴんになれる、と言われ、べっぴんになりたい一心で、その話を聞かされた日からトイレ掃除を一生懸命やり始めました。今日もしてきました、ピカピカでございます」と同曲のルーツを解説。すっかり聞き入っていた荻上監督は「だからすっかりべっぴんさんになられたんですね」と感心しきり。だが、自宅でのトイレ掃除については、一緒に住んでいるというボーイフレンドに「『お前がやれ』って命令して、私はしません」ときっぱり。「だからべっぴんになれなかった」とサバサバ話し、観客約220人を笑わせた。トーク後、植村さんはギターの弾き語りで同曲を披露。愛するおばあちゃんとの想いを切々と語るような歌声に、観客は聴き入り、中には涙を拭う年配の女性客もいた。一方、トーク前にはロビーでカナダワイン、カナダビールと軽食が振る舞われ、軽食は出されてからあっという間になくなるほど好評だった。『トイレット』は8月28日(土)より新宿ピカデリー、銀座テアトルシネマ、シネクイントほか全国にて公開。(photo/text:Yoko Saito)シネマカフェSweet「映画監督という仕事『トイレット』特集」■関連作品:トイレット 2010年8月28日より新宿ピカデリー、銀座テアトルシネマ、シネクイントほか全国にて公開© 2010“トイレット”フィルムパートナーズ■関連記事:オールカナダロケの『トイレット』荻上直子監督×主演俳優カルチャーギャップトーク『めがね』荻上直子監督新作『トイレット』オリジナルグッズセットを5名様プレゼント荻上直子監督オーディション抜擢の“ヘンな子俳優”初披露『かもめ食堂』荻上直子最新作『トイレット』特報が到着“ばーちゃん”って何者?『かもめ食堂』の荻上直子新作『トイレット』公開決定“ミューズ”もたいまさこ健在
2010年08月11日フィンランドで撮影された『かもめ食堂』(’06)に続く海外となる、オールカナダロケで作られた荻上直子監督の最新作『トイレット』は、主演のもたいまさこ以外全てカナダ人キャストで、クルーの多くもカナダ人。映画の中でもばーちゃん(もたいさん)と突然生活を共にすることになった3兄妹の姿が描かれているけれど、実際の撮影風景はどんな様子だったのでしょうか。長男・モーリーを演じたデイヴィッド・レンドルと、荻上直子監督に語っていただきました。デイヴィッドの第一印象は?「ヘンな人」!―デイヴィッドさんが生まれ育ったトロントの街で日本の映画が撮影され、その映画に出演するという経験はいかがでしたか?デイヴィッド「本当に不思議な体験だったけれど、すごく楽しくて、エキサイティングで…でも、やっぱり不思議な体験だったとしか言い表せないなあ(笑)」。―お互いの第一印象はいかがでしたか?デイヴィッド「ナオコは作りたいものがとても明確で、こういうふうにはっきりとしたビジョンを持った監督と仕事してみたいなあと思った。だけど初対面のオーディションはあっという間に終わってしまって、決め手になるような印象を与えることはできなかったんじゃないかなって思っていたんだ」。荻上「まず、『ヘンな人!』と思いましたね(笑)。すごくヘンなメガネをかけていて、『顔が見たいからメガネを外してください』とお願いしたんです。そうしたら『ヤダ』って言われて。それで、いじわるな俳優だったらどうしようと不安になったんです(笑)。そのことは話したよね?」デイヴィッド「うん。言い訳をさせてもらうと、僕はすごく目が悪くって何も見えない状態で演技したくなかったから…でも確かに、メガネを外したくないって気持ちもあったかもしれないな(笑)。そうしたら、いじわるな人に見えても仕方なかったよね」。―日本の撮影方法とカナダの撮影方法の違いはありましたか?デイヴィッド「自分が置かれている状況によって違いの感じ方は違うと思う。僕の体験で言うと、スタイリストのホリコシ(堀越絹衣)さんは真のプロフェッショナルだった。ホリコシさんは映画やキャラクターをよく理解して考え抜いた上で衣裳を選んでくれて、いままでここまでプロフェッショナルな仕事をするスタイリストには出会ったことがなかったよ。そしてイイジマ(飯島奈美)さんはすごいシェフだった!彼女の作るギョーザは本当においしくって、『ワオ!』としか言いようがなかった」。荻上「仕事自体に関して言うと、日本もフィンランドもカナダもやっていることは変わらなかったです。ただ、カナダにはユニオン(組合)があって1日12時間しか撮影できない決まりがあったので、毎晩制限時間に近づくとどんどん焦って『とにかく撮り終えましょう!』ということになったのが大変でしたね。毎日毎日追い立てられていた気がします」。初めてのカナダロケ「英語でも自分のカラー出せた」デイヴィッド「撮影現場でのナオコは…いじわるだった(笑)。みんなをいじめていた。というのは冗談で、ナオコはとても緻密で、小さいディテールにもきっちりこだわりが感じられる監督だったよ。それと同時に、引いた画面で遠くから見ているような視点も感じる。細部にこだわりつつ引いたカメラで撮影するというやり方をする監督にはいままで出会ったことがなかった」。荻上「そうなんだ〜」。デイヴィッド「ヨーロッパや海外の映画に見られるようなアプローチだったので、やっていてすごくおもしろかった。そして、リハーサルでのナオコはすごくオープンで、僕らの意見を聞いて取り入れてくれるのが嬉しかったな」。荻上「撮影終了時間には追い立てられていたけれど、気持ち的には落ち着いてやることができました。いままではベテランのスタッフと仕事して助けてもらうことも多かったんですが、この作品では私が一番年長で経験を積んできているので、若いスタッフの先頭に立って引っ張って行かなくちゃいけない感じがありました。ああ、年とったんだなって感じました(笑)。カナダで初めて撮って、英語という言語で撮っても自分のカラーみたいなものを通せたような気がして、そこに関しては満足しています」。―できあがった作品を観た感想はいかがでしたか?デイヴィッド「俳優はもらった脚本を基に、頭の中でどんな映画になるか想像して撮影に臨む。そしてできあがった映画を観ると、脚本を最初に読んだときの印象なんかが呼び起こされたりするものなんだ。僕が最初に脚本を読んだときに笑ったシーン、感動したシーンが全て作品の中に発見することができたね。それと同時に、被写体から距離を置き、ゆったりとしたカメラワークのせいなのか、まるで絵画を見ているような印象を受けました。そこは脚本からは想像できなかった部分だったな」。荻上「なるほど。ある一定の距離を保ってコミュニケーションを取るというのは、外国人との関係に限らず、私の中にあるものなのかもしれないですね」。(photo:Yoshio Kumagai/text:Itsuko Hirai)シネマカフェSweet「映画監督という仕事『トイレット』特集」■関連作品:トイレット 2010年8月28日より新宿ピカデリー、銀座テアトルシネマ、シネクイントほか全国にて公開© 2010“トイレット”フィルムパートナーズ■関連記事:『めがね』荻上直子監督新作『トイレット』オリジナルグッズセットを5名様プレゼント荻上直子監督オーディション抜擢の“ヘンな子俳優”初披露『かもめ食堂』荻上直子最新作『トイレット』特報が到着“ばーちゃん”って何者?『かもめ食堂』の荻上直子新作『トイレット』公開決定“ミューズ”もたいまさこ健在
2010年08月02日映画『トイレット』の完成披露試写会が6月24日(木)、東京・東新橋のスペースFS汐留で行われ、荻上直子監督、主演のもたいまさこ、オーディションで抜擢されたカナダ人俳優のデイヴィッド・レンドルが舞台挨拶に立った。荻上監督にとって『めがね』以来3年ぶりの新作で、バラバラに生きてきたそれぞれクセのあるカナダ人3兄妹と、日本からやってきた英語を話せない彼らの祖母が、突然始まった共同生活を通じ互いの個性を受け入れ合いながら家族の絆を深めていく姿を描く物語。デイヴィッドは、引きこもりで、上手なはずのピアノが弾けない状態に陥る、ゲイ疑惑のある長男モーリー役。3兄妹役はオーディションで選んだ若手俳優を起用。荻上監督は「モーリー役がなかなか決まらなかった。ヘンな子をずっと探していて、でもヘンな子がなかなか出てこなくて、カナダのキャスティング・ディレクターに、『もう誰もいないよ』って言われて。でも『役者じゃなくてヘンな子がほしい』って言って。そしたらデイヴィッドが現れたんです」と運命的出会いに感謝しきり。“ヘンな子”の連発に観客ともたいさんからは笑いが起きたが、デイヴィッドは「その通り、当たっています。監督が思ったこと、分かる気がします」とニッコリ。「アーティストが抱える葛藤と、ピアノの才能がある部分を大切に演じました」と役作りについて話した。デイヴィッドは今回が初来日で、前日に日本に到着したばかり。早速、大好物を食した?とMCから聞かれ、「YES!うなぎ丼!Very Good!」と大喜び。一方、もたいさんも、昨年秋の全編カナダロケ中の食事をふり返り、「日本ならロケ弁とかですけど、カナダではキッチンカーが来るんですよ。おやつの時間にはエスプレッソ・マシンのコーヒー、お腹が空くとホットケーキを焼いてくれたりする。なんという待遇なんだ!と思ったら、向こうでは普通なんだそう」と日本とカナダの“食事格差”を証言。会場の笑いを誘っていた。映画『トイレット』は8月28日(土)より新宿ピカデリー、銀座テアトルシネマ、渋谷シネクイントほか全国にて公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:トイレット 2010年8月28日より新宿ピカデリー、銀座テアトルシネマ、シネクイントほか全国にて公開© 2010“トイレット”フィルムパートナーズ■関連記事:『かもめ食堂』荻上直子最新作『トイレット』特報が到着“ばーちゃん”って何者?『かもめ食堂』の荻上直子新作『トイレット』公開決定“ミューズ”もたいまさこ健在
2010年06月24日流れる時間に身を委ねるように「人」が「場所」に集うさまを描いてきた、『かもめ食堂』、『めがね』、『プール』の制作プロジェクトから、また新たな作品が誕生する。そのタイトルは、『マザーウォーター』。フィンランド、南の島、タイに続き、本作の舞台となるのは、シンプルな美意識を貫いてきた街、京都。3月10日(水)より京都オールロケにて快調撮影中の本作だが、完成を間近に控えた3月29日(月)、出演陣が全員登壇しての製作会見が行われた。『かもめ食堂』『めがね』を手がけた荻上直子監督に代わり、今回指揮を執るのは松本佳奈監督。小林聡美、もたいまさこ、加瀬亮、市川実日子、光石研の『めがね』組に、今回初参加となる小泉今日子、永山絢斗を加えた総勢7人の俳優陣が京都に集結した。まずは一人ずつ自己紹介からスタート。小林さんが「どこからかやってきて、バーをやっているセツコを演じています、小林聡美です。だんだん映画が出来上がってきて、気も引き締まる思いです」と口火を切れば、コーヒー屋を始めるタカコ役の小泉さんは「この街に最後にたどりついて、新しい人生が始まる役でワクワクします」と笑顔で挨拶。続いて、市川さんは「お豆腐屋のハツミ」、加瀬さんは「中古家具屋で修理をしているヤマノヤ」、永山さんは「銭湯・オトメ湯で働くジン」、光石さんは「オトメ湯の主人・オトメ」と自己紹介。そして「マコト役」のもたいさんはというと、「よく分からないのですが、いろんなとこで、いろんな人と関わる謎のおばさん?おばあさん?それも分からないような不思議な存在です」とのこと…。京都を舞台に選んだワケを、「たくさん人がいて大きい街だけど、個人商店とか昔からの人との関係が残っている場所。大きな鴨川から派生する小さな川、人と水の生活が繋がっています。人から人を描くのに、日本の中で京都は特別な街だと思って、京都にしました」と説明する松本監督。キャスト陣も各々、京都での楽しみを見つけているようで、「奥が深く素敵な街」(小林さん)、「仕事とかを大事にしている意気込みを感じる」(小泉さん)、「道の先が異界につながっているんじゃないか」(加瀬さん)と、東京とは違う神秘さにとりつかれた様子。そんな中、もたいさんは「京都に来たら…たくさん寝ています(笑)」。実は、小林さんと小泉さんは意外にも映画では本作が初共演となるが、小泉さんは小林さんについて「同級生ですし、とても信頼している方のひとりです。また一緒に映画の世界の中で何か残せたら良いと思っていたので、とても楽しい日々を過ごしています。最近もらうのは癖のある役が多かったので、この現場で毒消ししている感じです(笑)」と全幅の信頼を寄せている様子。同じく初参加の永山さんも「独特な雰囲気になじめるか不安で、クランクイン前はすごく緊張していました。久しぶりに手に『人』という字を書いて飲みました(笑)。いまもう大丈夫です。すごい世界観の中で、毎日が楽しいです」とすっかりなじんでいる様子。そんな2人に向けて、小林さんは「このチームは半分“寅さん”みたいな雰囲気なので(笑)、女性のマドンナと男性のマドンナが来てくれた!という感じです」と意気揚々。撮影の様子について尋ねると、小林さんはもう一人の出演者に言及。「田熊直太郎くんという1歳半くらいの男の子です。いつも機嫌の良い子で、もたいさんのセリフの口癖に『今日もキゲンよくやんなさいよ』というのがあるんですが、まさにそんな子です」と溺愛ぶりを見せる一方、小泉さんからは「バーの控え室が卓球場なので、みんなで卓球をしました。みんなすごくうまくなったよね」と微笑ましいエピソードも飛び出し、和やかな撮影の様子が伝わってきた。本作はまもなく、4月4日(日)にクランクアップ予定。果たしてどんな作品に仕上がるのか?『マザーウォーター』は10月下旬、シネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開。■関連作品:マザーウォーター 2010年10月下旬、シネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2010パセリ商会
2010年03月29日『かもめ食堂』、『めがね』など独特の“ゆる〜い”世界観が熱い支持を集める荻上直子監督の最新作としてつい先日公開が発表された『トイレット』の特報映像が解禁となった。冒頭、皿いっぱいに敷きつめられたギョーザが映し出され、“ジュー”っと心地良い音が響き渡る。荻上作品と言えば食べ物!『かもめ食堂』でも『めがね』でも、劇中に登場する食べ物がおいしそうと話題を呼んだが、先に挙げた2作同様、今回もフードスタイリストの飯島奈美がスタッフに入っており、今回も映画を観ながらお腹が鳴りそう?そして気になる物語だが、この特報を見る限りではいまだ謎に包まれた部分が多い。オタク青年のレイ、引きこもりピアニスト・モーリー、勝気でワガママな大学生のリサという3人の兄妹と“センセー”と呼ばれる猫と、「天国のママが置いていった」という“ばーちゃん”の奇妙な共同生活が描かれるというのだが…。面白いのは、北米東部を舞台にした物語で、3人の兄妹はもちろん英語で話すのだが、もたいまさこ演じるばーちゃんを、そのまま“ばーちゃん”と呼んでいること。そして特報の最後に出てくるのは、ばーちゃんの言葉と思しき「みんな、ホントウの自分でおやんなさい」という教訓(?)。また、タイトルの“トイレット”が意味するところは?などなどいろいろと気になるが、公開は8月とまだしばらく先。今後、少しずつ明らかになってくるであろう詳細を期待して待ちたい。『トイレット』は8月28日(土)より新宿ピカデリー、銀座テアトルシネマ、シネクイントほか全国にて公開。※こちらの特報はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:めがね 2007年9月22日よりテアトルタイムズスクエア、銀座テアトルシネマほか全国にて公開© めがね商会トイレット 2010年8月28日より新宿ピカデリー、銀座テアトルシネマ、シネクイントほか全国にて公開© 2010“トイレット”フィルムパートナーズ■関連記事:『かもめ食堂』の荻上直子新作『トイレット』公開決定“ミューズ”もたいまさこ健在やっぱり猫が好き?超人気ブログ「くるねこ」アニメ化で小林聡美が一人全役に挑戦夏の星空の下、ロマンチックに屋外映画鑑賞!「スターライトシネマ PLUS」開催【ベルリン国際映画祭】『めがね』日本映画初のザルツゲーバー賞を受賞!もたいまさこは女優生命をかけて踊り、加瀬亮はひたすら眠り続けた『めがね』公開
2010年03月09日『かもめ食堂』、『めがね』など、その独特の世界観が支持を集める荻上直子監督の最新作『トイレット』の公開がこのほど発表された。海外で自分のオリジナル脚本で作品を作りたいという荻上監督の熱意のもと、昨年9月からカナダのトロントで撮影され、仕上げに至るまで全て、トロントで行われた本作。「人生は退屈の繰り返しに耐え忍ぶことだと思う」と信じて生きてきたプラモデルオタクの青年に、引きこもりピアニストの兄、そしてエアギターで自らのスピリットを表現しようとする大学生の妹という、それぞれバラバラでマイペースに生きている3兄妹が、母親の死をきっかけに、生前母親が日本から呼んだ“謎のばーちゃん”と交流し、少しずつ心の扉を開いていく姿が描き出される。荻上監督は「1994年から6年間、ロサンゼルスに滞在し、映画製作を勉強していました。映画の面白さを教えてくれ、映画を作りたくて作りたくてしょうがない気持ちにさせてくれたのは、ハリウッド映画ではなく、おかしくて上質な当時のアメリカン・インディペンデント映画でした。『ウエルカム・ドールハウス』、『ゴースト・ワールド』、『アメリカン・スプレンダー』など、多くの作品に刺激を受けました。それらは私の原点であり、いつか必ず北米で映画を作りたいとずっと願っていました。構想から約5年、昨年9月からトロントで撮影をした『トイレット』は、私がどうしてもどうしても作りたかった映画です」とのコメントを寄せ、本作に懸けた熱い思い入れを明かしてくれた。気になるキャストだが、物語のカギを握る人物であり、トイレから出ると必ずため息をつくという“謎のばーちゃん”を演じるのは、過去の全ての荻上作品に出演している監督の“ミューズ”もたいまさこ。個性豊かな3兄妹には、トロントでのオーディションにより若手俳優アレックス・ハウス、デイヴィッド・レンドル、タチアナ・マズラニーが選ばれた。さらに、『西の魔女が死んだ』のサチ・パーカーも監督の熱いオファーを受け、これまた“謎の”女性として出演している。スタッフは日本側から『かもめ食堂』、『めがね』に引き続き、フードスタイリストとして活躍する飯島奈美、衣裳の堀越絹衣が参加しているほか、現地カナダの若手スタッフを登用している。ちなみに、スチール撮影には『イースタン・プロミス』のデイビッド・クローネンバーグ監督の娘、ケイトリン・クローネンバーグが参加している。謎のばーちゃんが家族の絆を教えてくれる!『トイレット』は今夏、新宿ピカデリー、銀座テアトルシネマ、シネクイントほか全国にて公開。■関連作品:トイレット 2010年夏、新宿ピカデリー、銀座テアトルシネマ、シネクイントほか全国にて公開© “トイレット”フィルムパートナーズ
2010年02月18日小林聡美&もたいまさこというおなじみのコンビの主演で贈る、タイを舞台に繰り広げられる愛情いっぱいの映画『プール』が9月12日(土)、公開を迎えた。初日の舞台挨拶に小林さん、もたいさんに加え、共演の加瀬亮、伽奈、そして大森美香監督が登壇した。『かもめ食堂』、『めがね』と多くのファンを持つ作品のスタッフ、キャストが再集結した最新作ということで、あいにくの天気にもかかわらず、開場前から劇場の前に列ができるほどの盛況ぶり。映画上映前の舞台挨拶となったが、小林さんは「隠すほどのことは何もないんですよ(笑)」と前置きし、自身が演じた4年前から家族の元を離れ、タイのチェンマイに暮らす京子について「すでにチラシなどでも書かれている通りなんですが…。表面的には“好き勝手に生きる母親”と捉える方もいるかもしれません。でも、優しいところもあるんですよね…きっと…」と周囲をうかがうような口ぶりで説明してくれた。もたいさんは、京子が働くゲストハウスのオーナー・菊子を演じたが「この菊子という女性の生き方がどのように、けつじちゅ…けちゅじちゅ?……結実するのか(笑)、楽しみでした。タイに行ってみて、やっと答えが見つかったような気がします!」と晴れ晴れとした表情で語った。もたいさんが、“結実”と言えずに口ごもってる横で、小林さんは大きく口を開けて「け・つ・じ・つ!」とフォロー。ファンにとっては2人のこうしたちょっとしたやり取りや掛け合いがたまらない様子!客席からは大きな笑いがわき起こった。ゲストハウスで働く青年・市尾役の加瀬さんは、撮影について、いきなり「まあ、基本的にいいかげんな人たちの集まりなんで…」とのんびりとした口調で語り、「ゆっくりと撮影が進むんですが、スタッフもキャストもみんなが、ひとつひとつのシーンを見てるんですね。そこがほかの映画と違いましたね」と現場の様子を語ってくれた。今回、初めての映画出演となった伽奈さんは少し緊張気味。母親役の小林さんは「初めての現場に一人で入ってくるのって心細いだろうな、と心配していたんですが、伽奈さんは若いけど精神的に自立してました」と称賛…したかと思いきや「私たちがあれこれ構う方がわずらわしい、という感じでしたよね?」と笑顔でイジワルなコメント。伽奈さんは「そんなことないですよ!」と慌てて否定するも、「(伽奈さんが)動くたびに楽しませてもらいました。ランニングシャツがこれほどまでに似合う女性はいない!」(小林さん)、「小学生の男の子みたいでした。一家に一台ほしい!」(もたいさん)と2人して“ホメ殺し”の集中砲火!大森監督は、伽奈さんとタイ人の少年・ビーくんのやり取りに触れ「一緒の時間を過ごしていく中で、伽奈さん自身の体験がそのまま映画になってました。新鮮な風を吹かせてくれましたね」とこれまた称賛を贈った。4人と監督の壇上での絶妙な絡み合いに、映画の上映前から観客はすでに映画を観ているような気分になったのでは?『プール』は9月12日(土)よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開中。■関連作品:プール 2009年9月12日よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開©プール商会■関連記事:飯島奈美インタビュー人気フードスタイリストが手がける『プール』魅惑の料理人気モデルから期待の映画デビュー伽奈が語る『かもめ食堂』スタッフ新作『プール』あなたが作ってあげたい料理は?『プール』原作本を3名様にプレゼント『プール』完成!現場も作品もゆる〜く?映画初出演の伽奈は「大目に見てやって」小林聡美&桜沢エリカがサイン会「聡美ちゃんの映画はいつもお腹がすきます」
2009年09月12日スラリと伸びた長い手足。涼しげな目元には、ツヤツヤの黒髪ショートヘアがよく似合う――。2005年からその日本人離れした肢体をフルに活用し、モデルとして華々しい活躍をしてきた伽奈。ハイファッションな雑誌でクールにポーズを決める彼女の写真からは想像ができないほど、実際の彼女は柔らかい空気に包まれた女性。スクリーンデビューとなる『プール』について瞳を輝かせて話す彼女は、時に少女のような健やかさをのぞかせてくれた。「わ、私?なんで私?と思いました(笑)」「心がうたれると同時に、とてもお腹が空く映画でした」と、冒頭こちらが述べた感想に「静かな映画なので、お腹の鳴る音、気になりますよね!」と無邪気な笑顔で応じてくれた伽奈さん。本人は口下手だと謙遜するが、人を自然とリラックスさせてくれる優しいオーラの持ち主だ。だが映画初出演となる『プール』は、大ヒットした『かもめ食堂』、『めがね』の制作スタッフによる最新作。彼女が感じていたプレッシャーは、計り知れなかったようで…。「最初に『プール』の出演のお話が来たときは、『わ、私?ほんとに私?なんで私?』と思いました(笑)。とても人気のある作品のシリーズだったので、もちろん嬉しかったんですが、緊張や不安の方が大きくて。ロケ先のタイに出発する前の晩は、一人で『も〜うダメだ!全然できない気がする…』って、本当に大変でした。ほとんど寝られませんでしたね。演技をすることがまず不安で、次にこの映画の中に自分が溶け込めるのかっていうのも不安で」。だがスクリーンに佇む伽奈さん演じる“さよ”は、至ってナチュラル。「何も(役を)作らずに体ひとつで、そのままで来てくれって監督やプロデューサーからは言われてました。でもやっぱり不安で…」と言いながらも、自由奔放に生きる母・京子(小林聡美)への複雑な想いを、時に不器用に時に繊細に演じてみせた。劇中、徐々に心を開いていくさよだが、「ほぼ順撮り(※映画のストーリーと同じ順番で撮影が進むこと)でした」という撮影の成果か、伽奈さん自身の緊張も次第にほどけていったとか。「私はタイ自体、初めて行ったので、(ロケ地の)チェンマイももちろん初めて。だからほかのタイの都市とは比べられないんですが、すごくいい所だなぁって。朝夜は涼しくて、昼間は暑いんですが、風通しのいい暑さなので不快じゃないというか…。チェンマイに着いて、気候の暖かさだったり、花の綺麗さだったり(チェンマイは“花の町”と言われるほど、多くの花が咲き乱れる美しい街)、お寺や昔からの古い建物の雰囲気だったり、その辺を歩いている野良牛だったり(笑)。そういうのを見ているうちに、自然とリラックスできてきて。ただ完成した作品を見ると、最初の方は動きが硬いし、緊張してるな〜って思います。でも最後の方になると安心して見られました」とニッコリ。ベテラン揃いのキャスト陣からは、毎日吸収することだらけ!京子が自分に知らせずに一緒に暮らしていた現地の少年・ビーに対しても、最初は嫉妬と苛立ちがない交ぜになっているさよ。そんな思いさえも、実際の伽奈さんとうまくリンクした。「私自身、さよと同じくらい、最初はビーくんにどう接していいか分からなかったんです。言葉も分からないし、小さい子供との接し方にも慣れてなくて。でも撮影が進むにつれて、コミュニケーションが取れてきて、よく一緒に遊ぶようになりました。楽しかったです」。そんなビーくんがしがみつくくらいなつき、「優しい人なんだな〜と思いました(笑)」という加瀬亮、そして主演の小林聡美、もたいまさこ…と、初映画にしていきなりベテラン揃いのキャスト陣。「もちろん緊張はしたんですが、みなさんとても安心できる方でした。本当に優しいし面白いし、私が聞いたことのないようなお話をたくさんしてくれて。毎日、吸収することだらけでしたね」。中でも特に思い出深いというのが、初めて京子と母娘の対話をする“鍋のシーン”。劇中では鮮烈な印象を残すが、伽奈さん自身にも「演じてみて初めて分かる」という貴重な体験をもたらした。「台本を読んだだけの時点では、京子という人に対して、やっぱり不思議だな〜って思いが強くて。この人、何考えてるんだろう?とか、随分変わったお母さんだなって思いました。でもあの鍋のシーンで、実際に小林さんがセリフを喋って、お芝居をされてるのを見て、初めて感じる気持ちや、初めて知る感覚があったんです。これまで台本の文字だけを読んで想像していたのとは違う感覚…『あ、そういうことか!』みたいなのがあって。初めてお母さん(京子)の本当の魅力が分かった気がしました」。「私に演技ができていたとすれば、キャストやスタッフ、みなさんのおかげだと思います。このチームは特別だし、このメンバーだから私でもなんとかなったのかなって」。最後まで決して奢らず、慎重な姿勢を崩さなかった伽奈さん。でもこの唯一無二の清冽な存在感を、映画界が放っておくことはないはず。今後が楽しみな、大型新人女優の誕生です。(text:Kaoru Endo/photo:Yoshio Kumagai)「シネマカフェsweet」『プール』特集■関連作品:プール 2009年9月12日よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開©プール商会■関連記事:あなたが作ってあげたい料理は?『プール』原作本を3名様にプレゼント『プール』完成!現場も作品もゆる〜く?映画初出演の伽奈は「大目に見てやって」小林聡美&桜沢エリカがサイン会「聡美ちゃんの映画はいつもお腹がすきます」キャスト陣舞台挨拶付き!『プール』完成披露試写会に10組20名様をご招待『プール』セレクトショップがオープン映画の世界観を楽しめる雑貨、内装にうっとり
2009年09月08日桜沢エリカの書き下ろした漫画原作を人気脚本家の大森美香がメガホンを取って映画化!『かもめ食堂』、『めがね』のスタッフ、キャスト陣が再び集結して贈る、ゆるーく、そして美しい物語『プール』がまもなく公開を迎える。9月2日(水)に本作の完成披露試写会が行われ、上映前の舞台挨拶に主演の小林聡美、加瀬亮、もたいまさこ、伽奈、そして大森監督が登壇した。本作が東京で上映されるのはこの日が初めて。小林さんを始めとするキャスト陣は、初上映を前にやや緊張しつつも、観客の反応を楽しみにしている様子。今回、映画初出演を果たした伽奈さんは「初めてお芝居させていただきましたので…大目に見てやってください」と自嘲気味に語り笑いを誘った。続いて、キャスト陣4人に自分とは別の登場人物を紹介してもらった。菊子役のもたいさんから見て、小林さん扮する京子は「冷静沈着で頼りがいがある人。思いやりをさりげない形でそっと見せてくれる大人の女性です」とのこと。その京子から見ての娘のさよ(=伽奈さん)はというと「素直なんだけど一方で意地っ張りなところもある娘。独立心が強いから、ほったらかしにしてしまって、逆に母親の方が娘に甘えているような部分もありますね」と苦笑交じりに語ってくれた。では、さよの視点で加瀬さん扮する市尾はどう見えるかというと「優しいけど不器用。それが分かってるのにうまくいかない。そんなところがありますね」とのこと。最後に加瀬さんが語る菊子という女性は?「死というものを実感を持って感じている方で達観している部分があり、物事の受け止め方が大らかで潔いんですね」。それを聞いていた大森監督は「みなさん、すごくよく見てくださってるなと思います。現場で、みなさんと話しながら作り上げていった日々を思い出しました」と感慨深げな表情を見せた。報道陣からはキャスト4人に、「この中で誰がチームを引っ張るのか?」などの質問が出たが「仕切り人はいないですね。みんなバラバラですから」(小林さん)など、作品同様に何ともゆるやかな空気感が伝わってきた。『プール』は9月12日(土)よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開。■関連作品:プール 2009年9月12日よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開©プール商会■関連記事:小林聡美&桜沢エリカがサイン会「聡美ちゃんの映画はいつもお腹がすきます」キャスト陣舞台挨拶付き!『プール』完成披露試写会に10組20名様をご招待『プール』セレクトショップがオープン映画の世界観を楽しめる雑貨、内装にうっとり最も浴衣が似合うと思う俳優は?「MTV」オリジナル携帯ストラップを10名様プレゼントやっぱり猫が好き?超人気ブログ「くるねこ」アニメ化で小林聡美が一人全役に挑戦
2009年09月04日女性からの根強い支持を受けスマッシュヒットを遂げた『かもめ食堂』、『めがね』のスタッフと小林聡美らおなじみキャストが、緑あふれるタイの古都・チェンマイを舞台に再結集して贈る、癒しムービー『プール』。9月の公開を記念して、8月15日(土)より期間限定で映画オリジナルのセレクトショップ「プールショップ」がオープンする。こちらの「プールショップ」では、映画に登場するグッズやオリジナル商品の開発を行い、発売。映画のポスタービジュアルとなった原画の展示や、映画写真などの展示も行われる予定だ。映画美術を手がけた富田麻友美が内装を担当した店内で、映画の世界観を一足早く味わえる。また、これと併せて8月21日(金)には、本作のオリジナルサウンドアルバムもリリース。“聞こえない音が映画の中から聞こえてくる”をコンセプトに、米米CLUBのサックスプレイヤーで作曲家の金子隆博が音楽を手がけるが、中には、小林聡美が初の試みとして作詞・作曲・歌に挑んだ劇中歌「君の好きな花」も収録されている。果たして、どんな歌声を披露しているのだろうか?『かもめ食堂』ではフィンランド、『めがね』では美しい浜辺がある与論島を舞台に、引き寄せられるように集まった個性的なキャラクターたちの過ごす、ゆったりとした時間を描いてきたが、本作『プール』では、舞台をチェンマイのとあるゲストハウスに移し、ここに集まる5人の男女の物語を描く。原作は人気漫画家の桜沢エリカ、メガホンを取るのは、『デトロイト・メタル・シティ』などの脚本を手がけてきた大森美香。そして小林聡美、もたいまさこ、加瀬亮の『めがね』チームに加え、新たにモデルの伽奈が映画デビューを果たす。「プールショップ」は8月15日(土)から9月30日(水)まで営業予定。『プール』は9月12日(土)よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開。「プールショップ」開店期間:8月15日(土)〜9月30日(水)予定営業時間:12:00〜19:00(月・水〜日曜)※火曜休場所:渋谷区上原1-20-1 1F(代々木上原駅より徒歩4分)問い合わせ:03-6804-7445『プール』公式サイト■関連作品:プール 2009年9月12日よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開©プール商会■関連記事:最も浴衣が似合うと思う俳優は?「MTV」オリジナル携帯ストラップを10名様プレゼントやっぱり猫が好き?超人気ブログ「くるねこ」アニメ化で小林聡美が一人全役に挑戦
2009年08月06日猫をテーマにした数々の映画の公開に、猫駅長、果ては猫カフェなど、とどまるところを知らぬ空前の猫ブームの中、その大本命として、大人気のブログを基に誕生した漫画「くるねこ」のアニメ化が決定!元々は、捨て猫を見ると拾わずにいられない筆者“くるねこ大和”が、拾った猫たちの里親探しのためにブログを開設したのが始まり。これが、OLや主婦を中心に人気を博し、様々なブログのランキングで上位に上り詰め、これを単行本化した漫画「くるねこ」(エンターブレイン刊)もシリーズで60万部を超える大ヒット作となった。今回、この漫画が満を持してアニメ化。個性に富んだ猫たちに囲まれた笑いあり、涙ありの日常が綴られる。本作で、5匹の猫たちと飼い主“くるねこ大和”の6役全ての声を演じるのは、『かもめ食堂』、『めがね』などでの好演で、世の女性たちの支持を得ており、先の2作と同じスタッフによる『プール』の公開を9月に控える小林聡美。小林さんと猫と言えば、小林さんが脚本家、演出家の三谷幸喜と結婚するきっかけともなった「やっぱり猫が好き」が名高い。どこか運命を感じさせる今回の一人全役で、かわいらしい猫たちをどう演じ分けるのか、注目が集まる。原作の持つ命の温かさを独特の“間”で描き出すのは、「おじゃる丸」などのアニメ作品の演出を手がけてきた大地丙太郎。主題歌の作曲を、これまでに椎名林檎、平井堅、スピッツなど錚々たるミュージシャンたちのプロデュースやアレンジを手がけてきた、J-POPを代表するプロデューサー、亀田誠治が担当することも発表された。なお、その主題歌を歌うミュージシャンは…後日発表されるとのことなので、こちらも要チェック!また、本作は7月5日(日)より関西テレビにて放送がスタートし、作品のご当地である名古屋(東海テレビにて7月11日より放送開始)など13府県でテレビ放映される。加えて、ブログ発という本作の特性を生かして、Yahoo!動画での全国無料配信も実施。Yahoo!ファンクラブで「くるねこ」公式サイトが開設されるなど、今後もWEB上で様々なサービスとの連動が行われる予定だという。TVアニメ「くるねこ」7月5日(日)から関西テレビにて放送(毎週日曜8:55〜9:00)7月11日(土)より東海テレビにて放送(毎週土曜11:40〜11:45)TV放送後、Yahoo!動画にて無料動画配信予定公式サイト:くるねこ大和ブログ■関連作品:プール 2009年9月、シネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほか全国にて公開めがね 2007年9月22日よりテアトルタイムズスクエア、銀座テアトルシネマほか全国にて公開© めがね商会■関連記事:夏の星空の下、ロマンチックに屋外映画鑑賞!「スターライトシネマ PLUS」開催【ベルリン国際映画祭】『めがね』日本映画初のザルツゲーバー賞を受賞!もたいまさこは女優生命をかけて踊り、加瀬亮はひたすら眠り続けた『めがね』公開ゆる〜く“たそがれる”『めがね』は癒し効果バツグン!これは劇中の雰囲気そのまま?いや、俳優陣の日常?『めがね』“たそがれ”試写会
2009年06月15日