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練習はダラダラ、おしゃべりしたりやる気が感じられない。試合で負けてもヘラヘラ。目標を立てても口だけ。まるで小学生のような高校生たちに、もっと真剣にサッカーをしてほしいがどうすればいい?というご相談をいただきました。今回もジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんがアドバイスを送ります。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<柔らかく「止める」技術を身につけさせたい。お勧めの練習メニューを教えて<お父さんコーチからのご質問>池上さんこんにちは。指導年代は高校生なのですが、まるで小学生なのでご相談したく投稿しました。今年の春から、高校の部活に外部指導員としてかかわっています。私が指導しているチームは、これまで指導者がいませんでした。今もその名残で練習もダラダラとしてしまいます。また、集中力もなく練習中おしゃべりしたりふざけ始める子が多く、小学生を見ているような感じです。試合に関しても、負けても笑っていたりヘラヘラしています。個人の目標も定期的に立てているのですが、ほとんど口だけの目標になり、どのようにすればいいか困ってます。県大会優勝やインターハイ、選手権などを目指すチームではありません(学校からも何も言われていません)が、もう少し真剣にサッカーに取り組んでほしいと思っています。小学生年代の指導の悩みでなくてすみませんが、選手たちの意識を変えるために何かいいアドバイスがあれば教えてください。<池上さんのアドバイス>指導者はもっと真剣に取り組んでほしい。でも、生徒はそうでもない。温度差が生まれると、高いほうも低いほうもお互いしんどいですね。そこを解決するためには、まず生徒がどんな部活動を望んでいるのかを尋ねてみてはいかがでしょうか。■生徒たちが何を目指すのか、を根底に置くこのケースは、指導者のほうがうまくならないといけない、強くならないといけないと感じています。では、生徒たちは何を目指すのか。そこを共有するために「君たちが何を望んでいるのかな?」と尋ねて話し合います。別段強くならなくてもいいんだと思っているのであれば、みんなが楽しくなるサッカーを指向すればいいのです。スポーツをすることは健康につながります。学校の勉強をしながら、運動不足を解消し健康的な生活を送ることができます。そこを大人が「俺らの時はもっと部活を真剣にやっていた」とか「スポーツは勝つためにやるものだ」といった具合に、ひとりで突っ走ってしまうとすれ違ってしまいます。そうならないようにするためには、指導者が生徒をどう見るかを大切にしてください。当然、スポーツをする意味などを知っておいたうえで、指導対象となる生徒が「強くなりたい」「勝ちたい」と言うのなら、「だったら、こういう練習をしたほうがいいよ」と提供できます。■問いかけをしながら主体性を刺激してみようしかしながら、勝ちたいから頑張りますと言っても、まだ高校生なのでうまくいかないこともあります。そのたびに指導者は何度も「どうなりたいんだっけ?」と彼らを初心に帰らせたり、「自分たちが決めた目標は何だったかな?」と問いかけながら、主体性を刺激します。そういったことを続けたうえで、負けたり勝ったりしながら何年やっていくと、それが伝統になるわけです。つまり、かかわった子どもたちが何を望むかで部活動の姿は変貌します。では、一番幸せな姿は、何なのか。そこを考えると、自分たちで考えながら楽しくサッカーができ、なおかつそれなりの成績がついてくる。そんなものではないでしょうか。周りからも「あの学校のサッカー部に入ると、自分たちでやれるからいいよ」「やりがいがあるよ」といった評価が出てきたりする。そういう場所には、必ず良い指導者がいます。ご相談者様にも、そんな指導者を目指してほしいと思います。■日本の子どもたちが幼く自立できていないのは大人のせいでもあるおっしゃるように、今の高校生はまだまだ子どものような言動をすることがあります。ただ、そこには理由があります。例えば先日、確か10か国くらいの世界各国で実施された18歳未満の子どもたちの意識調査の結果が報じられていました。(出典:日本財団の18歳意識調査「国や社会に対する意識」要約版)「自分は社会にとって、有益か?」とか「どんな立場か?」といった自己肯定感の高さ低さを探る質問において、日本はすべての結果で最低でした。この結果は、今の日本を物語っていると思えます。子どもたちは総じて自信がなく、自立できていません。その部分を国は真剣に考えているのかどうか、非常に疑問です。日本の学校では、生徒が先生の言うことを聞いて当たり前。指示命令を聞くのは当然で、そこに意見や思いを求められることはまずありません。そのため自分で考えて発言したり、創造したりする場がない。そういった機会を奪われているのです。高校生が小学生のままでもあっても、不思議ではありません。そうなるように育てられている部分もある。すべてが彼らのせいではないと私は思っています。私は、スポーツが彼らを育てるための場になればいいと思っています。そう考えて、ご相談者様も選手たちとよく話し合ってほしいと思います。「いや、僕たちは、サッカーが楽しかったらそれでいいんです」と言えば、そうしてあげればいい。その際、「だったら、自分は指導しません」という選択をしてもいいかと思います。■「真剣にやれ」ではなく「こう変われるかもしれない」と提案する形で言ってみる彼らの意見を聞いたら、次は、指導者自身が「自分はどんな指導をしたいのか?」ということを考える番です。もう少し真剣にサッカーに取り組んでほしいとお考えのようなので、例えば弱いチームを強くしたいと考えているとすれば、サッカーを楽しみたい生徒たちとは少し目標に乖離が生まれます。指導者がそこを埋めたいのであれば、力づくで「頑張れ」「真剣にやれ」と命じてもうまくはいかないでしょう。話し合いの中で、指導者が「君たちがこんなふうにやると、こう変わるかもしれない」「こう変われるよ」という提案をすればいいのです。そこに生徒が食いついてきたら、彼らの姿は少しずつ変わっていくでしょう。選手が求めているものを提供してあげてください。一方で、食いついてこなければ、自分は指導者としてどうしたいかを考えればいいと思います。選手が求めているものと、ご自分が指導者として「提供したい」ものが余りに違っている。こうしてみては?という提案にも食いついてこない。そこを許容できないのであれば、上述したように違うチームで指導すればいいかと思います。池上正さんの指導を動画で見る>>■勝ち負けだけでなく、大人になっても良い仲間でいられるのもスポーツの魅力の一つ(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)ひとつ、私の親としての経験を話しましょう。すでに成人した娘は、高校時代までクラブチームでサッカーをしていました。少しずつチームは強くなり、上手な子の中には「もっと強くなりたい」という子も出てきました。しかし、勝つためにサッカーをするとなると、ずっと同じ子が試合に出てしまい、楽しくサッカーをしたい子たちは不満を感じ始めました。そうなると、クラブとして方針を明確にしなくてはなりません。楽しくやるのか、もっと強くなりたいのか。そこを決める必要性が出てきました。強くなりたいなら、上手くない子は出られない日が続きます。すると、一緒にやってきたその子たちはクラブをやめてしまいます。反対に「楽しくやる」を選べば、上手い選手たちがやめてしまいます。選手たちは悩みましたが、しばらく混在したまま続けることにしました。そして、結果的には「楽しいほうがいい」ということになり、上手な選手たちは違うチームに移りました。クラブに残った選手だけでは負けることも多かったけれど、大人になった今もとてもいい仲間でいます。これはひとつのスポーツの姿だと言えます。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2021年09月10日ウーマンエキサイト読者の皆さま、こんにちは。 前回 、お留守番以前に、心配性な性格のせいで鍵っ子にもなれないムスメ。▼前回のお話 お留守番は何歳からできるの? ~ムスメ、初めてのお留守番練習:前編~【ムスメちゃんとオコメちゃん 第122話】 まずは緊張感を持ちつつも、留守番に対する恐怖を取り除かないと…と思っておりました。そんな話を夫婦でしていたある休日のこと。パパの策によってムスメがやる気になった!ずっと顔を見て通話していれば、こちらとしても安心ですね。最初は10分! 十分だ!これでちょっと、自信がついてくれるでしょうか…?ドキドキしながら、1分で着くコンビニへ向かいました。次回、その様子をお伝えします…!(ちなみに4歳オコメも残ると言い張るので姉妹のチャレンジとなりました)
2021年07月17日「人間は自分の顔を見ると、無意識のうちに脳が刺激され、やる気や意欲を引き起こすドーパミンが放出されることがわかりました。仕事や勉強を始める前に自分の顔を見ることで、モチベーションが上がる可能性もあります」こう語るのは、大阪大学大学院生命機能研究科の中野珠実准教授。先月、イギリスの科学専門誌で発表した、中野准教授らによる研究結果が話題を呼んでいる。他人の顔よりも自分の顔を見たときのほうが、やる気を強化する“報酬系”と呼ばれる神経回路が働き、ドーパミンが放出されることが明らかになったというものだ。はたして、どんな研究なのか。「まず、人間の脳が潜在意識レベルで、自分の顔と他人の顔をどの程度見分けているかを調べました。20代の女性22人に協力してもらい、意識レベルでは顔が提示されていることに気づかないサブリミナル(0.025秒)の速さで、自分と他人の写真を次々に見せる。そこで脳がどのように反応するか、その違いを調べてみたのです」その結果、無意識の状態でも、脳は自分の顔が提示された瞬間に腹側被蓋野というドーパミンを放出する部位が強く反応することがわかったのだ。一方、他人の写真が提示された瞬間は、腹側被蓋野ではなく、偏桃体という不安や恐怖に反応する部位が活動することが判明した。「つまり、人間の脳は、潜在意識レベルで、自分と他人の顔を見分けていたのです」では、無意識状態ではなく、意識的に自分の顔や他人の顔を見た場合では、脳はどう反応するのか。中野准教授によると、魅力度が上がった自分の顔を意識的に見た場合は“報酬系”が働く。だが、盛りすぎた顔、疲れた顔やさえない顔、変顔などを意識的に見た場合は、“報酬系”が抑制され、むしろ逆効果になるという。これは他人の顔を見たときも同様で、いくらきれいに盛っていても、ドーパミンは出ないそうだ。「サブリミナル提示だと、自分の顔であればどんな状態でも“報酬系”が働きますが、意識的に自分の顔を見るときは、自身が魅力的だと思える程度に盛った顔にすることで“報酬系”が働くのです」そこで本誌がおすすめしたいのが、自分のお気に入りの顔写真を撮り、スマホの待ち受け画面にする、やる気向上作戦だ!たとえば、これから仕事に行くというときや、家事や介護を始める前に、自分のお気に入りの顔をスマホで見て、モチベーションを上げよう。「お気に入りの顔写真を見たときは、気分が高揚します。そうすると、そこから快楽へとつながっていく。さらに、その写真が笑顔であれば、ポジティブなエモーションにもなるかもしれません」ならば、お気に入りの昔の写真でも効果があるのだろうか。「昔の自分の顔を見ると、脳内の海馬という記憶をつかさどる部分が働きます。“あのころはよかったな”など、雑念が生まれる可能性もあるので、できれば、今の自分のお気に入りの顔を待ち受けにしたほうがいいですね」最近は簡単操作で、自動できれいに盛ってくれる無料の自撮りアプリがたくさんある。ダウンロードして、遊び感覚で1枚作ってみてもおもしろい。ところで、潜在意識レベルでは、一瞬で“報酬系”が働いてドーパミンが出ることはわかったが、意識的に顔を見るとなると、どれくらい時間をかけるべきなのだろう。「2秒ぐらいの“チラ見”でいいと思います。逆にガン見はしないほうがいいですね。ず〜っと見ていると、もっと目を大きく見せたいとか、気になる部分が目につき始めて、やはり雑念が生まれてしまいますので」コロナ禍による自粛生活に加え、これからはイヤ〜な梅雨を迎える。しかし、こんな時期こそ、やる気や元気を自製するのである。なお、写真だけでなく、きれいに化粧をした生の自分の顔を見て、気持ちを上げることもできる。「外に出ないと化粧もしなくなりますよね。こうなると負のループ。たまには鏡の前に座って、魅力的な顔に変えてみる。『あっ、変わった!』と、鏡の中の自分を見て思えたら、気持ちも上がっていると思います」自分の顔こそ、最大のやる気スイッチなのである!
2021年06月13日家事に介護に、毎日やるべきことは山積みなのに、出口の見えないコロナ禍、しかも梅雨で意欲はそがれるばかり……。そんな折に発表された「自分の顔を見るとやる気が出る」という研究結果。それってホント?どういうこと!?「人間は自分の顔を見ると、無意識のうちに脳が刺激され、やる気や意欲を引き起こすドーパミンが放出されることがわかりました。仕事や勉強を始める前に自分の顔を見ることで、モチベーションが上がる可能性もあります」こう語るのは、大阪大学大学院生命機能研究科の中野珠実准教授。先月、イギリスの科学専門誌で発表した、中野准教授らによる研究結果が話題を呼んでいる。他人の顔よりも自分の顔を見たときのほうが、やる気を強化する“報酬系”と呼ばれる神経回路が働き、ドーパミンが放出されることが明らかになったというものだ。はたして、どんな研究なのか。「まず、人間の脳が潜在意識レベルで、自分の顔と他人の顔をどの程度見分けているかを調べました。20代の女性22人に協力してもらい、意識レベルでは顔が提示されていることに気づかないサブリミナル(0.025秒)の速さで、自分と他人の写真を次々に見せる。そこで脳がどのように反応するか、その違いを調べてみたのです」実験で使用した機材はMRI(強い磁石と電波を利用し、人体のさまざまな断面を撮像する装置)。22人に装置の中に1人ずつ入ってもらい、瞬時に写真を提示して、脳内の血流量を測定。その数値データから、脳のどの部分が活動したのかを調べたという。その結果、無意識の状態でも、脳は自分の顔が提示された瞬間に腹側被蓋野というドーパミンを放出する部位が強く反応することがわかったのだ。一方、他人の写真が提示された瞬間は、腹側被蓋野ではなく、偏桃体という不安や恐怖に反応する部位が活動することが判明した。「つまり、人間の脳は、潜在意識レベルで、自分と他人の顔を見分けていたのです」では、無意識状態ではなく、意識的に自分の顔や他人の顔を見た場合では、脳はどう反応するのか。「自分と他人の顔で、少しきれいに盛った写真と、極端に盛った写真で比較して実験をしました。まず、少しきれいに盛った自分の顔を見たときは、“報酬系”が働いてドーパミンが放出されたのに対し、極端に盛った自分の写真では放出されませんでした」中野准教授によると、魅力度が上がった自分の顔を意識的に見た場合は“報酬系”が働く。だが、盛りすぎた顔、疲れた顔やさえない顔、変顔などを意識的に見た場合は、“報酬系”が抑制され、むしろ逆効果になるという。これは他人の顔を見たときも同様で、いくらきれいに盛っていても、ドーパミンは出ないそうだ。
2021年06月12日漫画家のコハラモトシ(@kohara_motoshi)さんがTwitterに投稿した作品に、共感の声が続出しています。業務に励みながら、終業後にやることを決めていた、コハラさん。絵を描くことや漫画を読むことなど、「あれもこれも全部やりたい!」と意気込んでいました。しかし…。『あのやる気はどこに?』あのやる気はどこに? pic.twitter.com/IHBd3eODns — コハラモトシ@アニワル無料販売中! (@kohara_motoshi) February 19, 2021 帰宅後、「何もやりたくねえ」と、疲れ切った身体をベッドに沈めて1日が終了したのです!後日気を取り直し、休日に向けて仕事を進めるも、いざ休みになるとやる気が起きないといいます。コハラさんと同じく、帰宅後や休日に脱力する人は多いようです。・ものすごく共感。休みの日ほど、何もせず過ごしています。・めちゃくちゃ分かる。脳が限界を迎えているのでしょうね。・あるある!前日に気合を入れていたのに、起きたら予定の時間を過ぎていて、やる気がなくなります。どうしてもやる気が起きない時は、心身ともに疲弊しきっているのかもしれません。そんな時は無理にあれこれやろうとせず、気の向くままに行動するのが得策といえますね![文・構成/grape編集部]
2021年03月06日「うちの子やる気が見えなくて」「どうしたらやる気スイッチを押せるの」「やる気がないならサッカーやめな」など、保護者の皆さん一度は思ったり、実際にわが子に言ったことがある方もいるのではないでしょうか。兄弟なのに上と下でやる気が全然違う、というご家庭もあるのでは。実はやる気には種類があって、自分自身とやる気の種類・出し方が違うと相手に「やる気」がないように感じてしまうのだそう。お子さんのやる気の出し方が親御さん自身の出し方と違うだけで、じつは意欲があることも。今回は「やる気」の種類についてご紹介します。(文:筒井香)1.「やる気」の種類「やる気が出ない」「やる気を維持したい」という言葉をよく耳にします。ここで言う「やる気」とはいったい何のことを意味しているのでしょうか?実はやる気は一種類ではなく、たくさんの種類があると心理学では考えられています。「A」というやる気がないだけで、「B」というやる気はあるかもしれません。また、「A」だけを維持しようとするから難しいのであって、他のやる気を生み出すことで、結果的にはやる気を維持できると考えられます。今年は新型コロナウイルスの影響で大会が中止になり、「やる気が出ない」と訴える選手にも出会いましたが、「"試合前に持つ種類のやる気"は捨てる勇気が必要」というお話をさせていただいたこともあります。例えば、やる気の種類には、以下のようなものがあります。・新しいことを知りたい・能力を発揮したい・勝ちたい・認められたい・褒められたい・仲間を作りたい・金メダルを獲得したい・賞金を獲得したい2.「やる気」の出し方「やる気がある」「やる気がない」とわが子に対して感じることはないでしょうか?しかし、本当にやる気がないかは判断が難しいものです。なぜなら、やる気に種類があるように、やる気の出し方にも種類があるからです。例えば、やる気がある時に「大きな声を出す」というタイプの人は、「大きな声を出す」人を見て、「やる気がある」と感じますし、「声が小さい」人を見て、「やる気がない」と感じやすいと思います。でも、黙々と取り組んでいても、やる気がある人もいますね。自分と同じタイプの人のことはわかりやすいかもしれませんが、異なるタイプの人のことは間違った解釈をしてしまう可能性があるということです。でも、「やる気」は目に見えないのでそれも当然ですね。「間違った解釈をしてしまう可能性がある」ということをわかっていることが大切だと思います。3.イライラを鎮めるための3つのポイント「うちの子はやる気がない」と感じた時に、イライラしてしまう、といったことはないでしょうか?そのような時には、以下の3つのポイントを意識することがオススメです。①子どもに期待しているやる気の種類(例:勝ちたい)と、子どものやる気の種類(例:仲間と楽しむ)が異なっていることから生じている可能性を考える。②ご自身のやる気がある時の様子や行動(例:声が大きく、テキパキしている)と、子どものやる気がある時の様子や行動(例:何も言わず、のんびりしている)が異なっていることから生じている可能性を考える。③子どもに「やる気を出して頑張って欲しい」「良いパフォーマンスを出して欲しい」と願う気持ちがイライラに繋がる。イライラしたら、「今日も親として頑張る私がいる」と受け止めてみる。このようにご自身のイライラの理由と向き合い、わが子のやる気の種類や、やる気の出し方に目を向けることが大切になると思います。「やる気がある」とは、「今日、自分が行動を起こす理由がわかっている」という状態のことです。学校や練習に行く前に子どもと「今日のやる気」についてお話をして、一日を始めてみてはいかがでしょうか。今日のやる気を生み出し続けることが、結果的に「やる気の維持」に繋がります。筒井香(つつい・かおり)株式会社BorderLeSS代表取締役博士(学術)日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング指導士大学・大学院時代に人間行動学、臨床発達心理学、スポーツ心理学などの心理学から「人間の特性」を広範に学び、また、博士論文では、「個別性を重んじたポジティブシンキングの多様性」に関する理論を構築。現在はオリンピック、パラリンピック選手のメンタルトレーニングのほか、スポーツを頑張る親の学び舎「スポスタ」の講師として、スポーツを(アスリートとして)頑張っている子どもの保護者に向けて、人としてのキャリアのなかにアスリートとしてのキャリアも含めた、包括的な人生設計に重要な理論と実践方法を伝え、子どもの「キャリア=人生育て」を心理学の視点からサポートしている。株式会社BorderLeSSスポスタ
2021年01月19日どんな練習をしても楽しそうじゃない子。練習強度に物足りなさを感じているわけでもなさそう。練習についてこれなくてツライ、という感じでもない。頼まれて昨年からコーチを引き受けたばかりで、どんな対策をしたらその子たちのテンションを上げられるのかわからなくて......。楽しくボールを蹴ってほしいけど、どうすればいい?とお悩みのお父さんコーチ。みなさんならどうしますか?これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、楽しんでできる練習メニュー例や楽しめてない子への個々のアプローチをアドバイスします。参考にしてください。(取材・文島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<相手にボールを奪われると取り返しに行けない子、ボールの奪い方をどう理解させたらいい?<お父さんコーチからの質問>初めまして。これまで池上さんの本を何冊か読み、とても勉強になりました。ありがとうございます。私は10歳の息子をもつ父で、昨年から少年団のコーチを頼まれてチームに関わっていますが、指導方法で悩みがあります。私は細かい技術指導と言うよりも、楽しく、これから先ずっとサッカーを続けて欲しいと願い、子どもたちと一緒になってボールを追いかけてサッカーを楽しんでいます。ですが、1、2名全然楽しそうでない子がいます。ハッキリ言ってうまい子たちという訳でもないので、練習強度に物足りなさを感じているわけではないと思います。なので、練習内容のレベルを下げてみても楽しそうにボールを蹴ってくれません。そういった選手のテンションの上げ方や、楽しめる練習方法などアドバイスを貰えたらと思います。お忙しいところ恐れ入りますがよろしくお願いします。<池上さんのアドバイス>ご相談ありがとうございます。小学生は、いかにサッカーに興味をもってもらうか。そこが、その後も長く競技を続けてもらえる入り口だと考えます。その点から、ご相談者さまが、ひとりか二人の子どもについて「どうも楽しそうじゃないぞ」と気づいてくださり、そこをご自分で考えた末に私に相談してくださったことをうれしく思います。■一人ひとりがサッカーを始めたきっかけを知ることが大事子どもたちがサッカーを始めるきっかけは、さまざまです。自分から興味を持つ場合もあるし、友達に誘われたり。サッカー経験者やサッカーファンの親御さんから勧められることも多いです。ただし、親に連れてこられたから難しい、というわけではありません。入り口はそうだったとしても、そこからその子自身にサッカーを心から好きになってもらえるかどうか。そこがジュニアの指導者の腕の見せどころです。その点から言うと、コーチは子ども一人ひとりがどんなきっかけでサッカーを始めたのか、また、自分たちのチームを選んだのかを知っておく必要があるでしょう。■最初はシュート練習など初心者が楽しめるものをそのうえで、子どもたちの状況を踏まえながら、サッカーがどんなものなのかを伝えていきます。最初は鬼ごっこをしたり、ドリブル競争をしたりと、ボールを扱って遊ぶことを楽しんでもらう。そういったプログラムから入ってください。最初から技術練習から入ると、楽しくありません。初心者がサッカーをして、まず最初に「楽しい!」と感じられるのは、シュートが決まった瞬間だと思います。したがって、ボールをもらってシュートするような場面がたくさん出てくる練習をやらせてあげてください。ゴールを決めると楽しくなり、もっとサッカーをしたい、うまくなりたいと思うものです。フットサル日本代表元監督で、ジュニアの指導にも詳しいミゲル・ロドリゴさんと何度か話す機会があったのですが、彼は「ジュニアには、一日の練習で必ず全員が得点する状況をつくってほしい」と話していました。■楽しんでできる練習メニュー例いただいたご相談の中で「楽しめる練習方法などアドバイスを」とあります。実際にそのチームの練習を見ないとわかりませんし、こんな練習が楽しいですよと言っても、そこにいる子どもたちに合うかどうかわからないのが悩ましいところです。そのことを踏まえて、以下のメニューを参考にしてみてください。1.二人でドリブル競争・シュートゲーム皆さんにいつもお話ししていることですが、私の経験上、競争のあるメニューにすると子どもが楽しく取り組めると考えています。2.フニーニョドイツが育成段階でやろうとしている3対3。ゴールが4つあり、ボールを触る回数、シュートを打つ回数も増える。サッカー強国ドイツが導入を決めた3vs3のミニゲーム「フニーニョ」とは■子どもたちがサッカーを好きになるような指導を心がけましょう繰り返しになりますが、ご相談者さまが考える「子どもを楽しませる指導」はとても重要です。一国のサッカーを強くしたいと考えたら、プロや日本代表といったトップだけを鍛えようとしても実現しないでしょう。サッカーに出会う子たちが、いかにサッカーを好きになってくれるか。ファンをつくらなくてはいけません。そう考えると、ドイツのようなすでに4回もW杯を手にした(西ドイツ時代を含め)強豪国でも、子どもたちがより楽しくなる方法を模索しつつ普及への努力を惜しまない。その姿を見ていると、子どもたちみんなが上手くなること、底上げがいかに重要なのかがよくわかります。対する日本は、1993年にプロ化したばかりで、W杯も最初の出場は98年フランス大会からというサッカー後進国です。私たち指導者は、多くの子どもたちがサッカーを大好きになってくれるようにもっと努力しなくてはいけないと思います。もっと他のメニューや、詳しいやり方や他のメニューを知りたい場合は、手前みそではありますが、私の本を手に取ってみてください。練習方法に触れているものとしては、『池上正の子どもが伸びるサッカーの練習 』(池田書店)『「蹴る・運ぶ・繋がる」を体系的に学ぶ ジュニアサッカートレーニング』(カンゼン)の2冊があります。無論ですが、ネットその他でも情報は得られるはずです。■楽しそうじゃない子たちから好みの練習を聞きだすしつもん次に、子どもたち個々への接し方についてお話しします。私は基本的に、楽しくやっている子、集中できている子にはあまり声をかけません。その部類の子どもたちは、自分で勝手に上手くなっていく要素がすでにあります。したがって、楽しそうじゃない子や、難しい顔つき、困ったような様子の子どもに積極的に話しかけます。例えば、「こうしてみたら?」「こんなことはどう?」とかかわります。彼らとの時間を増やします。「こんな練習はどう?」「どんな練習が好き?」と彼らの好みや気持ちを聞きます。そうやって手厚いサポートをしてあげてほしいと思います。決して、「これは楽しい(はずだ)からやってごらん」と一方的に押し付けたり、「これができるようにならないと」など抑圧的にふるまってはいけません。■子どもたちのテンションの上げ方は......(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)技術面も丁寧に指導します。例えばキックが上手いけれどドリブルが下手な子には、ドリブル練習の時は一緒についてあげます。でも、キックが多く出てくる練習の時は、その子は得意なわけなので構わなくていい。キックが上手く蹴られない子のところに言って、一緒にどうやったらうまくできるかを考えます。最後に、選手のテンションの上げ方は?という質問ですが、周りがワイワイ言っても子どものテンションは上がりません。練習メニューを試しては、探っていくしか方法はないのです指導者は、子どもたちがハマりそうなメニューを見つけるためにも、たくさん引き出しをもてるよう勉強してもらえるとうれしいです。池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2021年01月15日前回は、目標を立てる前にやっておきたい1年の振り返りについて、しつもんメンタルトレーナーの藤代圭一さんに話を伺いました。今回は本題である目標の立て方についてのポイントをレクチャーしていただきます。(目標はノルマではないのです。楽しみややる気を生み出す目標を考えましょう)<<今年の目標を立てよう!の前に。知っておきたい「成長につながる目標」を立てるために"やるべきこと"■目標はノルマではない。「○○したい」を大事にして「まずはこの1年をどんな年にしたいのか。"したい"の部分を引き出してあげたいですね」藤代さんは、目標を立てる上で子どもたちの望みや願いを引き出す機会が大事だと言います。目標はともすれば"しなければいけない"という、ノルマになりがちですが、強制を求めるのではなく、やりたいという想いを大事にすることが重要なのです。「たとえば海外旅行をイメージしてください。旅行に行くのに、これをしなくちゃいけない、という考えは出てこないでしょう。『これをやらなくてはいけない』とノルマを設けてしまうと、旅行が楽しくなくなってしまいます。それと同じで、自分がしたいこと、どうなりたいかを求めることが楽しみややる気を生み出すのです。小学生ならなおさら、"しなくてはいけない"ではなく、"やりたい"という願望を目標にしたいですね」そのうえで、藤代さんはふたつの視点を持つことが大事だと指摘します。それは「結果の目標」と「成長の目標」です。「例えば、優勝したいといった結果の目標ももちろん大事ですが、上手くなりたいや、ここを伸ばしていきたいというような、成長の目標も引き出して行きましょう。結果の目標だけだと、振り返る際に、どうしても達成できなかったというネガティブなものになりがちです。でも成長に目を向ければ、結果には到達できなかったけど、『この部分は取り組めていたよね』とか、『ここは成長できたね』といったように、ポジティブな部分も振り返ることができるのです」■どんな目標を立てたらいいのか分からない時は...では、目標を立てる際に、どの程度のスケールで考えればいいのでしょうか。なりたいという願望を持つことは大事ですが、例えば県大会でも勝てないチームの子どもが、全国大会で優勝したいという目標を持つのは、悪いことなのでしょうか。「小学生くらいだと、目標と夢の区別をつけるのは難しいことかもしれません。ただ、スポーツ心理学的には、頑張れば実現できそうなこと、100~120%の力を出せば実現できそうなことを、目標に設定すると良いとされていますね」ただし、と藤代さんは言葉を続けます。「それは大人が知っていればいいことで、子どもが全国大会で優勝したいと言っている目標を、否定する必要はありません。もし、そういう目標が出てきたら、そのために何が必要かなとか、これからの行動をどうすればいいのか、という成長の部分にフォーカスしてあげることが大事になってきます」逆に目標を小さく見積もる子どももいるはずです。簡単にクリアできそうな目標を立てた場合には、どう対応するのがいいのでしょうか。「そういう子に対しては、できそうなことをクリアして成功体験を与えるという考え方を持つのがいいでしょう。100%の力でできることに対して、実現できた楽しさや誇りを感じられるようなかかわり方ができれば、また次の目標を立て、そこを目指して進んでいくことができるはずです」一方で、目標を立てられない子もいるかもしれません。これまでにそういう機会がなかった場合には、目標を立てることさえ難しいことも十分に考えられます。「その場合には、最初に『この1年が終わった時にどうなっていたら最高だと思う?』と、問いかけてみるのがいいかもしれません。サッカーだけじゃなく、勉強、社会とのつながり、家族のこと、なんでもいいので、1年後の最高の自分をイメージする機会をつくってみましょう。そしてその答えを引き出したら、今度は『どうすれば、それが実現できるかな?』と問いかけてみてください。それが成長の部分の目標になるのです。なかには、それでも目標が立てられない子もいます。そういう場合には『目の前のことに全力で取り組む』という考え方を持ち合わせたいものです。川崎フロンターレの中村憲剛選手もそういったタイプだったそうです。目の前のことを一生懸命取り組むなかで今の地位を築いていった。人は大きく分けて山登り型と川下り型のふたつのタイプに分かれるのですが、憲剛選手のようなタイプは川下り型に分類されます。流れに身を任せ、目の前のことを一生懸命に取り組んでいく。目標を立てられないやつはダメだという考え方だと子どもの負担になるので、そういう子にはそういう子なりの接し方が求められてきます」■できなかった理由を他者に求めない。「自分ごと」で振り返ると成長の道筋が見えてくる(サカイクキャンプでも、失敗したら原因を考えて何度もチャレンジする力を養う指導をしています)そして大事なことは、「目標」と「振り返り」をワンセットとして考えることです。目標を定め、それに対してどうだったかを振り返る。これは1年というスパンである必要はなく、1か月、あるいは1週間という期間で繰り返していくことで、選手としてだけでなく人間形成の部分にも役立ちます。ここでポイントとなるのは、自分自身のこととして考えることです。なぜできなかったのか。それを人のせいにはせず、自分のことにフィードバックすることが重要となるのです。「たとえばGKの子がミスをして試合に負けてしまい、自分の立てた目標が達成できなかったとします。そこで、振り返りの際に、『あいつがミスをしたから』という考え方では成長にはつながりません。『僕がシュートチャンスで外してしまったから、もっと練習しよう』というように、自分のこととしてフィードバックができるようになると成長につながりますよね」人は得てして、結果を出せなかったときに、人のせいにしがちです。それは子どもだけでなく、大人の世界にも当てはまるでしょう。結果が出なかったときには様々な問題があるはずです。その原因を外には求めず、自分にできることが他にあったのではないかと考える。そういう考え方を培うことが、何よりも大切なことなのです。「失敗があるから次に行ける。そういう考え方が習慣になっていれば、失敗も苦にはなりません。それを習慣化するには、立ち止まり、振り返る機会が重要になります。責任を他人に押し付けるのではなく、自分のこととして振り返り、なにが足りなかったのかを考える。その繰り返しがサッカーだけではなく、人として豊かな人物に近づくはずです」毎日のプレーの振り返りはサッカーノートを使って行うことができます。例えば、お子さんがノートにうまくいったことは「パス」「シュート」だけと書いたとしたら、親御さんは「どんなパスがうまくいったと思った?」「どんなシュートがうまくいったと思った?」と、具体的にかけるように「問いかけ」だけ書きましょう。そうすると次回は子どもの中に「あ、そうだった具体的に書こう」と行動が生まれます。抽象的な答えを「×」とするのではなく、そこにコーチや親御さんが「問いかけ」をすることによって、子どもの思考を深める関わりがおすすめです。お父さんお母さんもお子さんと一緒に2021年にやってみたい事、達成したいことなど、どんな小さなことでもいいので一緒に目標を立ててみるのも良いのではないでしょうか。目標を立て、振り返る。その作業の繰り返しが、子どもの成長を促す大事なルーティーンになるのです。そのためにも、まずは年の初めに、子ども達と一緒に、「目標を立てる」時間を設けてみてはいかがでしょうか。<<前編:今年の目標を立てよう!の前に。知っておきたい「成長につながる目標」を立てるために"やるべきこと"藤代圭一/スポーツメンタルコーチ1984年、名古屋生まれ。東京都町田で育つ。スポーツスクールのコーチとして活動後、教えるのではなく問いかけることで子どものやる気を引き出し、考える力を育む「しつもんメンタルトレーニング」を考案。全国優勝を目指す様々な年代のチームから地域で1勝を目指すチームまでスポーツジャンルを問わずメンタルコーチを務める。全国各地でワークショップを開催し、スポーツ指導者、保護者、教育関係者から「子どもたちが変わった」と高い評価を得ている。2016年からは「1人でも多くの子どもたち・選手が、その子らしく輝く世の中を目指して」というビジョンを掲げ、全国にインストラクターを養成している。著書に「子どものやる気を引き出す7つのしつもん」(旬報社)などがある。(取材・文:原山裕平)
2020年12月27日一年の計は元旦にあり――。新年のスタートという節目は、新しい目標や計画を立てるのに最適の機会と言えます。ただ、単に目標を立てればいいというわけではありません。なかなか目標を立てられない子どもたちもいるのではないでしょうか。目標を定め、やる気を引き出し、それに向かって努力を続けていくにはどのようにすればいいのでしょうか。しつもんメンタルトレーナーの藤代圭一さんに話を伺いました。(新年になると「今年の目標を立てよう」と張り切りますが、その前にやるべき重要なことが...)後編:目標=ノルマではない!自信につながり、最高の結果を生み出す「目標の立て方」>>■目標を立てる前にやるべきこと藤代さんは目標を立てる前に、まずは1年を振り返ることが大事だと言います。「この1年を振り返ってどうだったのか。サッカー以外のことも含めて、印象に残ったことや、感じたことをまずは子どもたちに聞きたいですね。本来は目標設定と振り返りはセットですので、1年に1回ではなく、日常的に振り返るのがベストです。ですが、年末年始のゆっくりできるタイミングで、僕ら大人(保護者や指導者)が子どもたちに、『この1年はどうだった?』と問いかけてみましょう」振り返りの際に気を付けたいのは、反省会にならないこと。ダメだったことだけではなく、上手くいったことを引き出してあげることが重要になります。「この1年どうだった?と聞くと、多くの子ども達は条件反射的に反省会をし始めるんです。反省会は「善し悪しを振り返ること」が本来の目的ですが、これができなかったとか、あれができなかったとか、欠点探しがはじまってしまいます。ですので、上手くいってないことばかりを子どもたちが話し始めたら、『なにができた?』とか、『どんな発見があった?』など、ポジティブな要素も振り返りができるような質問をしてみましょう。この1年が自分にとって価値あるものだったと感じ、新しい年も頑張ろうという気持ちになることが、振り返りの最初の一歩と言えますね」振り返る時に役に立ち、僕も実践しているのは「ToDoリスト」ならぬ「To Feelリスト」です。これは予防医学研究者の石川善樹先生が提唱しているもので、豊かな人間として生きるために、感情の振り返りを行なうというものです。■「やらなければ」という発想を手放す藤代さんは次のように説明します。「ToDoリストは、これをやらなくてはいけないという発想で書くことが多い。そうすると息苦しさを感じてしまう人もいると思うんです。リストを作ったけど、実際にできていないから、自分を認めてあげられない。そうなると、ストレスがたまりますよね。でも、To Feelリストはポジティブな感情も、ネガティブな感情も含め、自分がどんな感情を味わったかを知ることが大事なこと。それを確認することで、今後に役立てることができるのです」ハーバード大学の意思決定センター(Harvard Decision Science Lab)の研究によれば、人間にはポジティブ、ネガティブを合わせ、次のような12個の感情があるそうです。<ポジティブな感情>「幸せ」「誇り」「安心」「感謝」「希望」「驚き」<ネガティブな感情>「怒り」「イライラ」「悲しみ」「恥じ」「罪」「不安(恐怖)」この12の感情を去年、どれだけ味わったのかを思い返してみましょう。あまり感じたことのない感情があったとすれば、今年はそれを味わうような行動を起こしてみることで人としての幅や深みを広げることができます。例えば藤代さんの場合は「恥」を感じる機会が少なかったそうです。「つまり、恥をかくような場所に行っていない。安心できる場所ばかりに身を置いて、チャレンジしていないなと気付かされました。ですので、いつも自分が行かない場所に行って、恥をかきたいなと思いました。人間として豊かになるためには、ポジティブだけでなく、ネガティブな感情も味わったほうがいいと思っているのです。ひとつの感情をシャットダウンすると他の感情も感じづらくなってしまう。怒ることを止めれば、喜ぶことや感謝の想いも減ってくるんです」そうした感情の振り返りだけではなく、いろんな視点で1年を振り返ることが大事だと藤代さんは言います。「サッカーのことはもちろん、学校のこと、社会とのつながり、お金の使い方、おじいちゃん、おばあちゃんとの関わり方など、様々なシーンを思い返しながら、自分自身の成長を感じられる振り返りができたらいいかなと思います」■成果だけでなく、成長の過程を評価する振り返りを(結果だけでなく、努力の内容など過程に目を向けましょう)その際のポイントとして、親は聞くだけではなく、自分の体験談も話してあげること。「私はこうだったけど、あなたはどうだった?というように、一緒になって話すことで、子どもも積極的に、振り返りたくなるはずです」もう一つ気を付けたいのは、結果だけを振り返るのではなく、成長の部分にも目を向けることです。「これは、目標設定の部分にもつながるのですが、多くの人は結果ばかりを目標に設定し、成長の部分をあまり考えない傾向にあります。全国大会に勝ちたい、テストでいい点を取りたい、というのは結果であり、そのための努力や成長の部分を目標にはしませんよね。振り返りもそうで、勝った、負けたという結果にばかり目を向けがち。でも、それだけでは苦しくなってしまうし、欠点探しの反省会につながりやすくなってしまいます。でも、たとえ結果が出なくても、そこへ向けた努力する過程で、できることが増えた、上達できた、ということは必ずあるはず。その成長の部分についての振り返りができると、次へのやる気と行動につながると思います」そうやって1年を振り返ることで、新しい年に向けて、目標を立てやすくなると藤代さんは言います。次回は、目標を立てる際に引き出したいポイントを、藤代さんに解説していただきます。後編:目標=ノルマではない!自信につながり、最高の結果を生み出す「目標の立て方」>>藤代圭一/スポーツメンタルコーチ1984年、名古屋生まれ。東京都町田で育つ。スポーツスクールのコーチとして活動後、教えるのではなく問いかけることで子どものやる気を引き出し、考える力を育む「しつもんメンタルトレーニング」を考案。全国優勝を目指す様々な年代のチームから地域で1勝を目指すチームまでスポーツジャンルを問わずメンタルコーチを務める。全国各地でワークショップを開催し、スポーツ指導者、保護者、教育関係者から「子どもたちが変わった」と高い評価を得ている。2016年からは「1人でも多くの子どもたち・選手が、その子らしく輝く世の中を目指して」というビジョンを掲げ、全国にインストラクターを養成している。著書に「子どものやる気を引き出す7つのしつもん」(旬報社)などがある。(取材・文:原山裕平)
2020年12月26日努力しろ、朝練しろ、やる気が見えないと言い、休日は朝から息子を公園に連れていき、いろんなメディアで集めたトレーニングを実践するスパルタで過干渉な妻を変えたい。というお父さんからのご相談をいただきました。うまくはないけど楽しくサッカーをしていたのに、母親のダメだしと強制練習でサッカーが嫌いになってしまうことが心配だと言っても「子どものためなの!あなたは甘い」と言われ話し合いができなくて......とお悩みをいただきました。今回のご相談に、スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんは、ご自身も同じような体験があると言います。かつての体験と取材で得た知見をもとにアドバイスを授けますので参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<サッカーチームでいじめ?親はどう振舞えばいいのか問題<サッカーパパからのご相談>このコーナーは母親からの相談が多いようなのですが、妻の過干渉などについて相談させてください。9歳の息子がサッカーをしています。監督からチームの方針などは事あるごとに言われているので、試合や、練習中は指示や大声を出すことはないのですが、帰ってからはダメだしばかりです。努力しろ、朝練しろ、やる気が見えないと言い、休日は朝から息子を公園に連れていき、サカイクをはじめとしたいろんなメディアで集めたトレーニングを実践しています。私の方は、プロになってほしいわけでもないですし、まだ3年生なのでコーチの言う事に耳を傾けたりチームメイトと仲良く協力できればいいのでは、と思っています。何より妻のスパルタで子どもがサッカーだけでなくスポーツを嫌いになってしまう方が嫌です。なので「子どものスポーツに熱くなりすぎだよ」と言うのですが、「息子のためを思ってやっているの。何が悪い。あなたの考えが甘い」と話を聞いてくれません。息子はレギュラーではなくチームの中では平均的か少し下手なぐらいです。それでも試合は楽しそうにしていたのですが、最近は妻のダメ出しと強制自主練でやる気が無くなってきているように思います。私自身は楽しんでいてくれればいいよ、と伝えているのですが、子どもにとって母の影響は大きいもので、このままサッカーが嫌いにならないか心配です。親の過干渉が子どもにとって良いことはないと思います。家庭で解決する問題なのかもしれませんが、先輩ママとして島沢さんのアドバイスをいただけませんでしょうか。<島沢さんのアドバイス>わわわ!デジャブかと思いました。奥様、十数年前の私とよく似ています。この度はご相談をいただきありがとうございます。私も息子が小学3年生くらいまで、試合中はぎゃんぎゃん叫んでいました。ただ、私はビデオでダメ出しをしたり、自主練させたりはしませんでした。それは、仕事で忙しく、息子のサッカーに分配するエネルギーが残っていなかったためで、余裕があればやってしまったかもしれません。ただし、そんなふうに「ダメなヤツ」だったので、奥様含めた多くのママやパパがついつい熱血になってしまう感覚や理由が理解できます。■息子がより幸せな人生を送れる基盤を作ろう、と夫婦で同志感覚を持つ立派な指導者の方々は、なぜあんなに熱くなるのかわかりませんねえと「僕らは君らとは違う感」を醸し出すのですが、私は心の片隅でホントかいなと疑っています。何の後悔も失敗もせず、最初からとても良くできた親など、ほとんどいません。特に、圧迫して子どもを奮起させる教育観が強い日本では、親たちもそうやって育てられています。よく言われることですが「育てられたように育ててしまう」のはある意味当然なのです。私は自分のライターという仕事のなかで、さまざまな子育ての専門家に出逢い、その方々の知見とエキスを呑んで、自分の子育てをある程度変えることができました。しかしながら、それと同様、あなたに奥様の子育てを変えるエキスになれとは言いません。ここで大事なのは「一緒に子育てを勉強して、少しでもいい親になろうね」という"同志感覚"です。われらの息子をよりよく、より幸せな人生が送れる基盤を作ろうぜ――そんなふうに奥様に寄り添う姿勢と心構えをまずはをつくってください。■考えが甘いのは過干渉しているほう。子どもの成長を阻害している以下、具体的なアドバイスを五つ贈ります。①子育てに関する本を読んで勉強するネットで「サッカー子育て本」と検索してみてください。書籍名でトップにあがるのは『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』と『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』です。これらは、今や「少年サッカーの神様」と言われる池上正コーチの書籍で、私が一緒に作った本です。少年サッカー親の子育てバイブルと言われているものなので、ぜひ参考にしてください。ほかに、脳科学者の林成之先生が著した『<勝負脳>の鍛え方』(講談社)という新書もお勧めです。子どもの発達が理解できます。②自分の自信を作るあなたが「妻のスパルタで子どもがサッカーだけでなくスポーツを嫌いになってしまう方が嫌」で、「子どものスポーツに熱くなりすぎだよ」とアドバイスすることはまったくもって正しい。正しいけれど、今のところ「息子のためを思ってやっている。あなたの考えが甘い」と一蹴されています(サッカーだけに。いや失礼!)。ところが、考えが甘いのは、実は妻のほうです。なぜなら、言うことを聞かせ、無理やりでも自主練をやらせていることは、こうしなさい、ああしなさいと働きかけているので、子どもは自分で「上手くなるにはどうしたらいいんだろう?」と考えることもしなくていいし、楽です。お母さんの言うとおりにして、それでも上手くならなかったら、思春期になって「お母さんのメニューが悪かった!ちっともうまくならないじゃないか!」と怒ってちゃぶ台をひっくり返したり、家庭内暴力に出ます。楽をした(させられた)分、こころ(脳)が成長していないので、自分で段取りして前進しなくてはいけない年齢になると、一気に成長が止まってしまうのです。一方で、わが子に主体性を持たせるような子育てをしている家庭の子どものほうが、中学、高校でスポーツも勉強も大きく伸びます。「もっと上手くなりたいなら自分で考えてごらんよ。ただ、ママもパパも楽しくサッカーしてくれればそれでいいけどね」子どもと距離を置き、その子に対し主体性を求める。それこそが、本当の厳しさです。そんなことに比類する事柄とその根拠が、ご紹介した本にたくさん書かれています。それを読んで、あなたのほうが自信をもってお母さんと向き合える態勢を整えてください。■過干渉な親は賢い人が多い。だからこそできる解決法③自分と向き合う本にこうこう書いてあるんだよと伝えるのが目的ではありません。まずは、ご自分に自信を持ってほしいと思います。なぜなら、ご相談の文章を読むと、あなたは息子さんのために何をすべきかをすでに理解しているし、行動も起こしています。全面的に正しい(拍手です)。しかしながら現時点では「妻のダメ出しと強制自主練でやる気が無くなってきている」状態で、このままサッカーが嫌いにならないかと心配しつつも、話が通じない妻に対しお手上げ状態。いつ順番が回ってくるかわからないこの相談コーナーにメールを書かれるのですから、メール文以上に深刻な状況と察しています。問題を解決するためには、まず、妻ではなく、あなたが自分と向き合い、変わることです。お父さんは、きっととてもやさしい方だと思います。そのやさしい性格のまま、一日も早く自信をつけてお母さんと話し合って下さい。④どんな子育てがいいかを話し合ういきなり過干渉はやめろと切り出すのではなく「最近、やる気失ってるみたいだよね。ちょっと話し合わない?」と二人でテーブルにつきましょう。ケーキとかお茶を用意して、世間話のように。最初に、妻の奮闘をねぎらってあげてください。子育てよく頑張ってるよね、と。子に過干渉な親は総じてエネルギーがあり、賢い方が多いようです。できる人だから、サッカーの練習方法など情報を集められるわけです。でも、ママ、どうもちょっと違うようだ。僕と一緒に、サッカー少年の子育てを勉強しようよ。少し違う頑張り方をしないか?と提案してみましょう。■相手を許しながら、少しずつ変えること(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)⑤干渉することをひとつずつ減らす・自主練は、息子さんから誘ってこなければやらない。・試合後のダメ出しはやめる。ひとつずつ、なくしましょう。「いや、ママ、上手くなってほしいという気持ちはわかるけれど、そこは譲れない。わが家では、こういう子育てにしようって話し合ったよね」奥様を許しながら、変えていく。そんなイメージです。お父さん、落ち込むことは何もありません。妻の過熱癖に早く気付いてよかったのです。たかが子どものサッカー。そこを忘れてほしくないので、文中に寒いシャレなど挟んでみました。ピンチのときは、大人も子どもも成長する時間です。ここを切り抜ければ、とても素敵な家族になれると思います。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2020年10月14日息子が小学校に入学して、ようやく慣れてきた梅雨の頃のことです。学校から帰ってくると、とりあえず机の上に宿題を広げるものの、なかなか進みません。特にえんぴつが止まるのがカタカナの練習で…。文字を書くことがあまり好きではない息子。算数のプリントは似たような問題が続いてもすぐに終わらせることができるのですが、ひらがなやカタカナのプリントはどうしてもやる気が起きないのです。確かに、ひらがなもカタカナも日常生活で目にしているので知っている。でも、読める文字もいざ書いてみると鏡文字になっていたり、上手に書けなかったり…。だから何度も書いて練習することは大切なのですが、「なんでわかるのに練習するの?」と言う息子に、私はどう伝えればいいのか日々悩んでいました。「やる気」はどこからやってくる?息子に「なんでわかるのに練習するの?」と聞かれても、「宿題だからやりなさい」としか言うことができなかった私。そんな私に、先生のメッセージは、そっとやる気を引き出すことの大切さを教えてくれました。息子の「やる気」は、自分の気持ちに寄り添ってくれた先生の気持ちに応えたいと思ったときに、自然に出てきたようでした。息子と先生の「プチ文通」は、カタカナのプリントが終わった後の漢字練習ノートでも続きました。それは、毎日の学校生活の中で感じたことを書いて伝える楽しさを体感することにつながったようです。私もそんな息子と先生のやり取りをきっかけに、「やりなさい」ではなくそっとやる気を引き出すことを心がけています。<まんが・文:しみず宇海>
2020年07月17日■味の満足感はありつつ、食後の重たさは無い。仕事中の休憩にぴったり◎真っ白なレアチーズムースの上にはホイップクリームのトッピング。下にはザクザク食感のビスケット生地が。3層を一度に食べると、本格的なレアチーズケーキの味。まるでデパ地下で買うチーズスイーツのクオリティです。ただしケーキではなく、あくまでムースなので、なめらかで軽い食べ心地。一気にぺろりと食べられてしまいます。本格チーズケーキを食べたような満足感と幸福感がありつつ、食べた後の重さはない。スイーツタイムに食べれば、仕事や勉強のやる気がUP!午後のスタートダッシュにぴったりです。・価格:213円(税込)・カロリー:236kcal
2020年05月08日新型コロナウイルスの影響で学校が休校となり、お友達と会えない時期が続いています。サッカーもチーム活動が停止中で、予定していた試合がなくなったり、子どもたちはこの状況を理解しつつもがっかりしている気持ちもあるのではないでしょうか。早く思いっきりサッカーをさせてあげたいけど......と不安に思うお父さんお母さんもいらっしゃるでしょう。もちろんお子さんたちにも不安な心があると思います。そこで今回は、日ごろオリンピック・パラリンピックを目指すアスリートのメンタルトレーニングに携わり、一方でスポーツを頑張る子の親の学び舎「スポスタ」で保護者の皆さんに心理学的な観点から子どもの人生と向き合う習慣づくりをサポートしている筒井香さんに、今不安に思っているみなさんに、心を少し軽くするアドバイスをいただきました。家にいる時間が増えて子どものテレビ視聴やゲームの時間が長くなってイライラしている保護者の方へのアドバイスもいただきましたのでご覧ください。(文:筒井香)サッカー活動も休止中でがっかりしている子どもも多い今、気持ちを和らげるためにできることとは■不安や苛立ち、今の気持ちに素直になろう新型コロナウイルスの感染拡大防止の影響が相次ぐ中、日本でも緊急事態宣言が出されました。休校延長が続いたり、サッカーの活動も休止中の人が多いと思います。皆様もご存知の通り、2020東京オリンピック・パラリンピックも1年延期されることが決まりました。私は日頃、2020を目指すアスリートの皆さんのメンタルトレーニングに携わっております。大会が延期されることが決まった後にも、それぞれの選手とトレーニングを行いました。こうした経験を踏まえて、そしてスポーツ心理学者として、今こそ皆様にお伝えしたいことがあります。お子様と一緒にお読みいただくか、お読みいただいた内容について子どもと一緒にお話しするなど、ご活用いただけたらと思います。これまでの練習の成果を発揮しようと心待ちにしていたサッカー大会が、中止や延期になったり、そして新生活を楽しみにしていたのに学校が休校になったり、予定外のことが次々と起こっていると思います。普段の休みと違って、サッカーの練習もできないし、友達と遊ぶこともできない日々が続いている今、どんな気持ち(感情)でしょうか?ガッカリしたり、イライラしたり、不安で落ち着かない、そんな気持ちになることも多いのではないでしょうか?子どもだけではなく、今の先の見えない状況に、大人も強い不安や苛立ちを感じていることと思います。そんな皆様に、今、お伝えしたいことは、「どうか自分の今の自分の気持ちに素直になってください」ということです。なぜなら、「ガッカリしていても大会がないことは変わらないから意味がない」「誰のせいでもないのにこんなことでイライラする自分はダメだ」などと、自分の気持ちを否定することは、最大のストレスになります。同様に、子どもを励ましたいという想いから、「残念だけど気持ちを切り替えよう!」などと声をかけたくなることがあると思いますが、実はこれも「自分の気持ちを否定された」という感覚を与えてしまい、ストレスになることもあります。■感情を言語化することで整理され、落ち着いて行動できるでは、周りの大人は子どもにどう接すれば良いのでしょうか?それはまず、子どもに「どんな気持ち?」と尋ねることで、子ども自身が自分の気持ちを言葉にする機会を持てるようにすることです。そして、「なぜ、そんな気持ちになったのかな?」とさらに理由を尋ねてみてください。子どもが、大会に向けて一生懸命練習をしてきたからこそ、好きなサッカーができないからこそ、ガッカリすることもできれば、イライラする気持ちを持つこともできるのです。これらは、子どもの"本気の想いがあったからこそ生じる感情"、つまり"本気の証"なのです。子どもにこのことに気づいてもらうことためにも、保護者の皆様との会話が大切だと思います。感情は私たちに大事なことをお知らせする機能を持っています。感情からのメッセージに耳を傾けることがとても大切です。イラつきは、例えば、何か自分に正論があって、それに相反する出来事が起こっていることを知らせています。焦りや緊張は、例えば、それだけ自分にとって大切な出来事であることを知らせてくれています。そして、落ち込みや悲しみは、例えば、失ったものがどれだけ大事なものであったかを知らせてくれているのです。このような感情は、とても大きなエネルギーを持っているので、簡単に抑え込むことはできないものです。無理に抑え込もうとすれば、誰にこの想い(エネルギー)をぶつけていいのかわからず、もっとガッカリしたり、最初のイライラとは関係のないイライラまで抱えることにもなりかねません。自分の感情を無視して抑え込もうとするのではなく、その感情になった理由を考えてみること、そして、本気だった自分を認めてあげることが、今はまず大事になります。ご家庭で、次のことをしながら時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。1.今の感情と、その感情になった理由をノートに書き出してみる。2.今のような日常とは違うことへの漠然とした不安を感じる場合にも、漠然としたままでは、実態よりも不安が膨れ上がってしまうので、過去、現在、未来の気になることに分けて考えて書き出してみる。3.今は会えないけれど電話やメールでもいいので友達、そして家族とお互いの感情について語り合う。このように感情を言語化することで、感情を客観的にみつめ、整理する力が養われて、感情を制御する力がつくと言われています。本当の意味での「気持ちの切り替え」はそこから始まると思います。ガッカリやイライラした感情エネルギーを、今から自分の行動にどのように使うかを考えることもできるようになります。「活動再開をしたら、もっと練習したい!」、そのために、今、時間のある間に、勉強をやっておく大切さに気づけるかもしれません。■考え方しだいでテレビやゲームも勉強やスポーツでの考える力をつける習慣作りにもなる最後に、保護者の皆様のなかには、子どものテレビやゲームの時間が長くなり、イライラを感じている方もいらっしゃるかと思います。もちろん時間を決めて、勉強する時間も作ることは大切ですが、それに加えて、「テレビやゲームも学びの時間と決めてやる!」というのも一つの方法かと思います。テレビを見て気づいたことは何か?今日より明日ゲームが上手くなるにはどうすればいいか?とお子様と話し合ってみてはいかがでしょうか。こうした力は勉強やスポーツに通ずるものです。また、そのイライラは、元の生活に戻れるのだろうか?この時間は取り戻せるのだろうか?といった、子どもの将来を想うからこそのイライラでもあると考えられます。それに改めて気づくことは、保護者の皆様ご自身の心の健康に繋がるものだと思います。ぜひ、感情からのメッセージを受け取ってみてください。感情エネルギーを有効活用することで、今よりももっと行動の質を高めることができるのです。筒井香(つつい・かおり)株式会社BorderLeSS代表取締役博士(学術)日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング指導士大学・大学院時代に人間行動学、臨床発達心理学、スポーツ心理学などの心理学から「人間の特性」を広範に学び、また、博士論文では、「個別性を重んじたポジティブシンキングの多様性」に関する理論を構築。現在はオリンピック、パラリンピック選手のメンタルトレーニングのほか、スポーツを頑張る親の学び舎「スポスタ」の講師として、スポーツを(アスリートとして)頑張っている子どもの保護者に向けて、人としてのキャリアのなかにアスリートとしてのキャリアも含めた、包括的な人生設計に重要な理論と実践方法を伝え、子どもの「キャリア=人生育て」を心理学の視点からサポートしている。株式会社BorderLeSSスポスタ
2020年04月21日新型コロナウイルスの影響で、自宅で過ごすことが多くなってしまった子ども。「暇ー!」「やることない~」という声が家の中に響いている家庭も多いのでは?そんなときに助かる映画やドラマなどの動画配信。そこで子どもが楽しめて、さらに「勉強へのやる気」を起こしたり、歴史や算数が好きになれるかも…という映画をご紹介します。また親子で一緒に過ごす機会が増えたいまの時期だからこそ、一緒に観て、考えて欲しい作品もピックアップしました。■「どうして勉強するの?」と聞かれたときに役立つ作品▼算数ってカッコいい!『アルキメデスの大戦』 戦艦大和の建造をめぐる攻防を“机の上”だけで挑もうとする天才数学者の話。「計算や数式ってこんなにカッコ良くて、ワクワクするのか」と思うことができるほど、数学の可能性、世の中に与える影響を教えてくれる。【アルキメデスの大戦】出演:菅田将暉、舘ひろし、柄本佑、浜辺美波、國村隼、田中泯動画配信: 『アルキメデスの大戦』を観る(U-NEXT) ▼偏差値40から慶応合格!?『ビリギャル』 偏差値40から慶応大学に現役合格した実話を基にした作品。聖徳太子を「セイトクタコ」と読んだり、東西南北もわからないレベルながら、目標を決めたら一途にがんばっていくサクセスストーリー。先生の誉め言葉は、テストで悪い点を取ってしまった子どもに使える名言ばかり。親もぜひマネしたい!【ビリギャル】出演:有村架純、伊藤淳史、吉田洋動画配信: 『ビリギャル』を観る(U-NEXT) ▼好きは最強の力になる!『キューティ・ブロンド』 オシャレが大好きな女子大生が、政治家を目指す彼に「ふさわしくない」と失恋し、猛勉強してハーバード大学に現役合格! そしてある事件で得意を活かして見事に難しい殺人事件の弁護で勝利することに!外見で偏見をもたれても、彼女は人を差別したりしない。そして「得意なことが1つでもある」ことが将来に役立つ姿は、勇気をもらえるはず!【キューティ・ブロンド】出演:リース・ウィザースプーン、ルーク・ウィルソン、セルマ・ブレア動画配信: 『キューティ・ブロンド』を観る(U-NEXT) ▼人生は毎日が本番!『GTO』 元暴走族のリーダーだった鬼塚英吉が、破天荒なやり方で問題を抱えた生徒を導いていく。「人生はリハーサルがないから、毎日が本番!」という熱い鬼塚先生の言葉は、窮屈な日々を送っている今の状況には響きまくる!【GTO】出演:反町隆史、松嶋菜々子、池内博之、窪塚洋介、小栗旬、玉木宏動画配信: 『GTO』を観る(U-NEXT) ■歴史を笑って学べる作品▼信長死後の日本は会議で決めた?『清須会議』 本能寺の変で殺された織田信長の後継者を誰にするのか。戦国時代でありながら、日本史上、初めて会議によって歴史が動いたとされる「清須会議」。子どもも知っている『本能寺の変』。その後の日本の政治がどう変わっていくのかが学べるとともに、駆け引きや作戦なども笑いながら学べる。【清須会議】出演:役所広司、大泉洋、小日向文世、佐藤浩市、妻夫木聡、浅野忠信動画配信: 『清須会議』を観る(U-NEXT) ▼知恵で大軍をやっつける!『のぼうの城』 豊臣秀吉に命じられて、石田三成は2万の軍勢で忍城を落とそうとするのだが、忍城城代で「でくのぼう」を意味する「のぼう様」が迎え撃ち…。史実に基づいた作品だが、残虐シーンはないので安心して観られる。戦国時代の背景がわかりやすく、知恵とユーモアで敵を撃退していくところは引き込まれる。【のぼうの城】出演:野村萬斎、榮倉奈々、成宮寛貴、上地雄輔、山田孝之動画配信: 『のぼうの城』を観る(U-NEXT) ▼貧乏弱小藩の生き残り術『超高速!参勤交代』 江戸時代の参勤交代の悲喜こもごもがわかる作品。お金がない、人もない弱小藩がどうやって難題をクリアしていくのか。笑って、スッキリできる歴史物語。徳川幕府がどうして参勤交代をさせるのか。そんな江戸時代を学ぶにピッタリ。さらに無理難題に打ち克つために、いろいろなアイディアを考えて実践していくさまは、「自分で考えて行動する」を伝えるにはピッタリな作品。【超高速!参勤交代】出演:佐々木蔵之介、深田恭子、伊原剛志、寺脇康文、上地雄輔、知念侑李動画配信: 『超高速!参勤交代』を観る(U-NEXT) ■いじめ、命、世界…子どもと一緒に考えたい作品▼自分の弱さを考えたい…『聲の形』 毎日を退屈していたガキ大将の少年が転校してきたろうあの少女に関心を抱く。最初は同級生も一緒になって少女をからかっていたのだが、ある日を境に一転少年がいじめられることに…。そして高校生になって少年は…。いじめ加害者が一転いじめられる側になり、そのトラウマを抱えたまま成長していったときに何を感じるのか。内容は重いが、“自分の弱さ”“他人の目”について考えるすばらしい機会になる作品。【聲の形】声の出演:入野自由、早見沙織、悠木碧、小野賢章、金子有希、石川由依動画配信: 『聲の形』を観る(U-NEXT) ▼世界は変えられる?『僕たちは世界を変えることができない』 大学生がカンボジアに小学校を建てるという実際にあった話。目的もなく生きてきた若者たちが、ふとしたことから始めた活動。しかし実際にカンボジアで厳しい現実を知り…。ささいなところから自分のするべき道がみつかることがある。そんな希望と、自分の目で見て、感じることがどれほど大切なことなのかがわかる物語。世界は変わらないかもしれないけど、自分が踏み出すことでもしかしたら小さな一歩になると信じられる!【僕たちは世界を変えることができない】声の出演:入野自由、早見沙織、悠木碧、小野賢章、金子有希、石川由依動画配信: 『僕たちは世界を変えることができない』を観る(U-NEXT) ▼個性は生き抜く力となる!?『キンキーブーツ』 倒産寸前の靴工場の社長がドラァグクイーンとの出会いによって、奮闘する物語。ドラァグクイーンとは、男性が派手な女性らしさを表現する人たちのこと。多様性という言葉が叫ばれる昨今。TVでも個性あふれる人たちが登場している。個性は生き抜いていかれる才能、視点を変えれば世界は変わると、ぜひ子どもにも伝えたい。【キンキーブーツ】出演:ジョエル・エドガートン、キウェテル・イジョフォー、サラ=ジェーン・ポッツ、ジェミマ・ルーパー、リンダ・バセット動画配信: 『キンキーブーツ』を観る(U-NEXT) ▼子どもたちの叫びが響く!『スクール・オブ・ロック』 抑圧された今の時期にはピッタリな作品! 売れないロックバンドの男性がひょんなことから小学校の先生になり、子どもたちにロック精神を叩きこむ。内気で閉じこもりがちな子どもたちが殻を破って熱血ロックを叫ぶのは、とても気持ちがスッキリする作品。【スクール・オブ・ロック】出演:ジャック・ブラック、ジョーン・キューザック、マイク・ホワイト、サラ・シルヴァーマン、ジョーイ・ゲイドス・Jr動画配信: 『スクール・オブ・ロック』を観る(U-NEXT) ▼あなたは食べる?『ブタがいた教室』 大阪の小学校で実際に行われた授業の映画化。クラスで飼育した豚を子どもたちが食べるかどうかの議論を重ねながら、「食べる」意味を考えていく。この学校で出した答えも賛否両論となるが、生徒たちが真剣に話し合うシーンは圧巻。「自分だったらどうする?」と子どもが真剣に考えることができる題材だけに、親子でぜひ話し合ってほしい。【ブタがいた教室】出演:妻夫木聡、大杉漣、田畑智子、池田成志、戸田菜穂、原田美枝子動画配信: 『ブタがいた教室』を観る(Amazonプライム) ■おすすめ動画配信サービスダラダラと動画を観てる、ゲーム三昧で困ってる…そんな風に子どもの時間が無意味に消費されてしまうことに悩んでいるときは、目的を決めて動画配信を楽しんでみませんか? 親子で観ることで、その後の会話にもつながるし、子どもならではの発見もあるかもしれません。●U-NEXTアンパンマンシリーズ、『いないいないばあっ!』、人気コミックの実写映画化、「日本史」の世界などドラマ、映画、アニメが盛りだくさん。またマンガなども読めて、31日間無料トライアル実施中!≫ 【U-NEXT】のサービスを見る ●Amazonプライム・ビデオ2020年4月5日(日)までキッズコンテンツの一部が無料。月額500円でプライム会員になれば、会員特典対象の映画やドラマ、アニメ、Amazon Original 作品が見放題。1980年からの”ドラえもん”の映画シリーズも!≫ 【Amazonプライム・ビデオ】のサービスを見る ●FOD[フジテレビオンデマンド]フジテレビが運営する動画配信サービス。キッズ作品期間限定無料配信≫ 【FODプレミアム】のサービスを見る 今回の事態では、ご家庭でも子どもとの過ごし方で悩まれる方も多いと思います。でも普段仕事で忙しく、なかなか子どもと向き合えていなかった場合には、話をする時間が確保したと思えると少し前向きになれるかも。子どもと一緒に笑って、悩んで、動画を楽しんではいかがでしょうか?
2020年04月01日宿題をやったことがなかった小学校時代と将来のために本気で勉強した高専受験出典 : 私は昔から、興味がないことにはまったくやる気が出てこないという特性がありました。おそらく深くて狭い領域に興味を持つASDの特性と、自分にとって刺激的なものでないと集中できないADHDの特性がかみ合った結果なのかなと思っています。例えば小学校のころはよく宿題が出ていたのですが、そのほとんどは提出はおろか手すらつけていませんでした...。先生には毎回怒られ、宿題を集めるときに肩身が狭い思いもしていたので、たまに気が向いたときには誰にも読めなくてもいいからとにかく早く書いて宿題を片付けたりして、なるべく時間をかけずにこなしていた記憶があります。そんな私でも、高専の受験は本気で取り組みました。小学生のころは不登校にもなりましたが、中学生になった私はようやく「将来プログラマになりたい!」と思うようになり、その第一歩が地元の高専に進学することだったからです。それまでは宿題すらろくに取り組まなかった私でしたが、高専受験のときは家で参考書を見ながらほぼ毎日勉強をしていました。自分にとっての目的がはっきりしていれば家でしっかり勉強できることがわかり、自分でも驚きました。得意不得意がはっきり分かれた高専の成績出典 : 高専進学後は、小学校高学年のころからずっと勉強しようと思っていた、プログラミングの勉強ばかりしていました。夏休みのバイトで得たバイト代のほとんどを専門書につぎ込んでいたり、晩ごはんを食べて寝る準備をしたら寝るまでずっとパソコンや専門書とにらめっこしているような状態でした。そのおかげか、プログラミング関連の教科はいつもかなりいい点数を取ることができていました。強い興味がある教科だと、自然と集中して取り組むことができて、少ない時間でしっかり覚えることもできました。さらに意外なことに、プログラミングに関係がありそうだなと思っていた物理などの教科についてもそれなりにいい点数をとることができていました。まったく興味がなかった電気系の教科は、いつも赤点ギリギリのひどい状態でしたが...とはいえ得意なプログラミングを好きなだけできていたので、とても楽しい学生生活を送ることができていました。興味がないことでも成果を出さなければいけない...社会人生活で感じた困難出典 : 学校を卒業してシステムエンジニアとして就職、大好きなプログラミングを仕事にすることができたのですが、仕事の中ではまったく興味がない分野のタスクもこなすことが求められます。例えば説明用の資料作成だったり、他の人と協力してひとつのものを作り上げたり。仕事なので期日もあり、やらないわけにはいかないのですが、どうしても集中して取り組めず、「他の人の倍以上の時間をかけてようやく人の半分くらいのものができあがる」ということがよくありました。社会人になってすぐのころは、この「興味を持てないけれどもやらなければならないこと」へどう取り組むかがずっと自分の中での課題になっていて、数年間悩んでいました。それから色々と試してみて・・・出典 : 「興味を持てないけれどもやらなければならないこと」へどう取り組むかーーそのなかにはうまくいったものもあれば、まったくうまくいかなかったり、逆効果になってしまったりというものもありました。その一部をご紹介いたします。結論から言うと、私にとってこれは全然うまくいかないどころか完全に逆効果でした。思い込みで好きになろうとするのは、興味がないまま自分なりにやってみる以上に疲れるものでした。ただ、数年間試行錯誤してみて『そのタスクが好きな人にどこが好きなのか聞いてみること』は自分にとって少し効果があるように感じました。自分が興味を持てないことでも、得意だったり好きだなと思っている人は誰かしらいます。そういう人に話を聞いて好きなポイントを知ることで、自分の中でそのタスクへの見方が変わり、興味を持てるようになることがありました。興味を持てないタスクをこなしていると、集中できず周りのいろんなことが気になり、ますます作業が進まない...という悪循環に陥ります。そういうときには会議室を借りるなどして、”そのタスクしかできない状況”に自分を追い込んで何とかこなしていました。興味がないことに取り組むとかなりのストレスがかかるので、終わった後には好きなものを食べるなど、ストレス発散するイベントをセットで用意しておくのもポイントかなと思っています。ストレスが溜まる方法でしたが、とりあえず目先のタスクを何とかするためには多少効果がありました。高専のときにプログラミングと関連する教科を好きになったように、興味を持てないタスクについても自分が好きだったり興味があったりする分野と関連する部分を探してみるアプローチです。うれしいことに、これは自分にはある程度効果がありました。例えば興味がない分野の資料作成をするときには、「こういう風に表現するとプログラムの設計書を書くときにも使えそう」とか「もともとの資料のこの書き方、すごくいいな。次に技術系の資料書くときにマネしてみよう」というように、自分が興味を持っている分野に活かせそうなポイントを探しながらタスクをこなすよう意識してみました。この方法は興味があれば集中できる私にはピッタリでした。どうしても集中できなかった仕事もちょっとだけ楽しくなって、それまでよりも集中して取り組めるようになりました。いろいろと試行錯誤してみた結果、いまの私が心がけていること出典 : 十数年をかけて試行錯誤し、私の場合興味がないことに対してはかなりの工夫をしないと集中して取り組めないのだということがわかりました。色々と試してみましたが、興味がないことをやらなければならないときには、もともと興味を持っている分野に関連させて取り組むのが私には合っているようでした。もちろんどうしても難しいときもありますので、そういうときには他のことができない状況にして、無理やりなんとかする方法をとっています。もし私と同じような特性のある当事者の方は、興味がないことに取り組む際にはもともと興味を持っているものと関連する部分を探してみるのはいかがでしょうか。そしてどうしても関連するところが見つからないときには、周りの方を頼ってみると自分ひとりだけでは気づけなかった視点での発見があるかもしれません。サポートする側の方は、その方の興味に関連する部分を探す手助けをしていただけたらなと思います。今回のお話が、発達障害当事者の方とその周りの方のご参考になれば幸いです。
2020年01月31日こんにちは、保育士の中田馨です。1~2歳になると、日々の生活の中で子どものしていることに思わずイライラしてしまう場面があります。特にママがしてほしくないことをしたとき。どうしてこんなことをするのかと思ってしまうほど、毎日いろいろなことが起きます。でも、視点を変えてみるとしてほしくないことも、子どもにとっては興味があることということが多々あります。 今回は、ママの声かけひとつで、子どものやる気を育てることができる方法を実際の事例と共にお話しします。 ケース1:1歳4カ月 離乳食をグチャグチャ食べる子1歳4カ月のAちゃん。食事の時間になると離乳食を両手でグチャグチャし始めます。グチャグチャしながら口にも入れているのですが、特にひどくなるのは食事の後半。口にも入れなくなり、家では「もう、おしまい!」と言って、半ば強制的に食事を終了させているそうです。1歳4カ月なので、そろそろスプーンを使ってきれいに食べてほしいというのがママの思いです。 このような場合、グチャグチャしている子どもの表情を見てみましょう。とても真剣に食べ物を触っていませんか。これだけ集中できるというのは、ある意味すごいこと。これは、Aちゃんが食べ物の感触を味わっているのです。とはいえ、それをずっと見守ってくださいというわけではありません。「トマトが赤くておいしそう。食べてみよう」など促し、「少し酸っぱい? おいしい?」などと、子どもの気持ちに共感しながら声かけをします。食事のときはどんどん食べてほしい気持ちから、声かけも次々と言ってしまいがちなのですが、いつもよりもワンテンポ遅くするのがやる気を引き出すコツ。大人も次々食べなさいと言われるとそれだけで食べる気が失われますよね。子どもも一緒です。グチャグチャが完全に遊びになったら、「もうおなかいっぱいみたいね」と言って、切り上げてOKです。 ケース2: 2歳8カ月 トイレトレーニングがうまくいかない子2歳8カ月のBちゃん。トイレトレーニングがなかなかうまくいきません。周りのお友だちを見ると布パンツをはいている子もいてママは焦っています。特にうんちがうまくいきません。ちょうどクリスマス前だったので、ママの口癖は「トイレができなかったらサンタさん来ないよ」でした。「トイレができなかったらサンタさん来ないよ」、これは子どもにとってはプレッシャーになります。おしっこやうんちは毎日生活の中で何度もする行為ですから、毎回そのペナルティーを言われると、プレッシャーで余計にトイレでできなくなってしまいます。 トイレでできずパンツに出てしまった場合でも、「おしっこ出たのね。パンツ変えようね」と事実だけを言い、「次は、出る前に教えてくれたら、ママ助かるわ」と伝えるだけでOK。周りの子と比べず、自分の子の成長のスピードに合わせ、ママが助かってうれしいことを簡単に伝えることが、子どものやる気を引き出すコツです。 ケース3: 3歳2カ月 お友だちのおもちゃばかりを取り上げてしまう子3歳2カ月のCちゃん。お友だちのおもちゃを取ってばかりいます。ママも「やめなさい!!」と大きな声でしかったりすることもあるのですが、なかなかやめずに困っていました。このような場面では、むやみにしかるのではなく、「かして」という言葉で気持ちを伝えることを何度も教えましょう。そして、おもちゃを取られたお友だちが悲しい気持ちになっていることも同時に伝えます。「かして」と言って、少し待てば貸してもらえる経験を積み上げていきます。Cちゃんの様子を見ていると、特に遊びの世界に没頭している子のおもちゃを取りに行くことが多いのが分かりました。そこから、Cちゃんの欲しいものはおもちゃではなく、「とても楽しそうに遊んでいる子の楽しそうな姿」ということが分かりました。それが分かったら、Cちゃんが楽しめる遊びを準備すればいいのです。 普段何に興味を持っているか、Cちゃんの行動を見直してみると、おもちゃをこまのようにくるくる回すことが好きだと気付きました。こまを用意すると、その日からお友だちのおもちゃを取りに行くことはなくなり、こまで集中して遊び始めました。子どもが本当に興味を持てる遊びの環境を大人が整えることも、やる気を育てる方法です。 イライラしたときは深呼吸してから日々、想像もつかないことが起きる子育て。イライラせずに子育てはできません。でも、できる限り感情に任せた言葉が出ないようにする努力をすることは大切です。イライラしたときは、大きく深呼吸。水などの水分を飲むのもいいですね。 緊急時は別ですが、一旦心をリラックスさせて子どもへ対応してみましょう。ママの心が落ち着くと、おのずと声かけの言葉も変わります。声かけの言葉が変わると、子どもの行動も変わります。まずやってみて、失敗してもまた次やってみる。この繰り返しをしているうちに「あ、うちの子、こう声かけしたら動いてくれるんだ」というママだけの魔法の言葉が見つかることもあります。 多くの場合、ママがイライラしたときは、その子が成長するための何かヒントが隠れていることがあります。ママの声かけや行動で、その子のやる気スイッチが発動し、心と体が育まれていきますよ。 著者:保育士 一般社団法人 離乳食インストラクター協会 代表理事 中田家庭保育所施設長 中田馨0~2歳対象の家庭保育所で低年齢児を20年以上保育する。息子が食べないことがきっかけで離乳食に興味を持ち、離乳食インストラクター協会を設立。現在は、保育士のやわらかい目線での離乳食の進め方、和の離乳食の作り方の講座で、ママから保育士、栄養士まで幅広く指導。離乳食インストラクターの養成をしている。「中田馨 和の離乳食レシピ blog」では3000以上の離乳食レシピを掲載中。『いっぺんに作る 赤ちゃんと大人のごはん』(誠文堂新光社)も発売中!
2019年12月29日運動神経が悪くて体操やスイミングも、3つか4つぐらい年下の子より下手なほどの息子がサッカーをやりたいと言い出した。きっと試合には出られないだろうし、今より劣等感を持たせたくない。でも、楽しさ重視のスクールは通わせるメリットが見いだせない。夫婦ともにスポーツができないし、近所の友達付き合いもないのでプライベートでサッカースキルを上げてやることもできない。さらに、親の私自身が「スポーツの得意な子の親」の雰囲気が苦手......。どうしたらいい?とご相談をいただきました。すべての項目が、ではなくても共感される親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、ご自身の体験と数々の取材活動で得た知見をもとに、アドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<チームで一番上手いから?息子が努力しないんですけど問題<サッカーママからのご相談>息子(10歳)は運動神経が悪く不器用な子です。器械体操とスイミングを二年程習っていますが、どれも3、4歳下の子より下手なくらいです。最近サッカーがやりたいと言い出し、本人が望むならやらせてあげたい気持ちもありますが、団体競技で、なかでも人気のスポーツであるサッカーをやらせることに親としては抵抗があります。絶対ということはないかもしれませんが、監督やチームの温情以外では試合には出られないだろうし、そのような中でも試合を見ないといけないと思うと耐え難いです。そもそもスポーツが得意な子や親御さんの雰囲気が、親の私自身が苦手で、息子も年下や気の強い子どもにいじめられるのでは、という心配もあります。サッカーを始めることで、「自分は出来ないんだ」と今以上に劣等感を持ってしまうのではと子どもが実感してしまうことが人格形成上心配でもあります。一方で、楽しさ重視のスクールにはお金と時間をかけて通うメリットが感じられません。私たち夫婦はサッカーやスポーツは出来ませんので相手をしてあげることもできませんし、近所での友達付き合いもないので、スクールにいれるほかなく。色々と矛盾しているのですが、子どもがこれ以上スポーツが苦手にならず、嫌いにならず、サッカーに参加したりスクールや少年団に入る前に、サッカーに関する基礎が身に付けられる方法はないでしょうか。<島沢さんのアドバイス>ご相談、ありがとうございます。ご相談文を読んで、お母さんはお子さんをとても愛しているのだなあと感じました。なぜなら「運動神経が悪く不器用な」息子さんに、器械体操とスイミングを習うことを許可しています。文中に「サッカーをやりたいと言い出した」とあるので、器械体操もスイミングも通いたいと言い出したのは息子さん本人なのだと推測します。「下手なんだからやめなさい」「やっても無駄」と出来栄えだけを見て辞めさせることもできるのに、お母さんはそれをずっと見守ってきた。「本人が望むならやらせてあげたい」と書かれているように、子どもの気持ちを尊重する子育てをやってきた。とても素晴らしいと思います。■子どもの「好き」を優先させましょうところが、今度はサッカーをやりたいと言ってきた。サッカーは体操や水泳とは少し勝手が違う。試合に出る、出ない。試合に勝つ、負ける。先の2競技よりも、子どもがシビアな局面にさらされる。試合に出られないのでは?いじめられるのでは?劣等感をもつのでは?お子さんが傷つくと、同じように痛くてたまらず混乱するタイプの親御さんにとって、少年サッカーは(ところによって)ハードな要素がてんこ盛りです。そのため、お母さんが貫いてきた「本人が望むことをやらせてあげたい」子育ての軸が揺らいでしまったのではありませんか?どこかのチームに入る前に、息子さんに基礎的なスキルをつけさせて、入っても苦労しないよう準備させよう。ところが、最近のスクールときたら「楽しさ重視でお金と時間をかけて通うメリットが感じられない」こんなんじゃ、ダメじゃん、ってなりますよね。どこかに、サッカーの家庭教師とかないのかな?何かいい方法はないのかな?と、一所懸命に考えて私にメールをしてくださったのでしょう。しかしながら、今の子育てのベクトルがゆがんだ状態で突き進んではいけません。ちょっと立ち止まってみませんか。ここは、ぜひお子さんの「好き」を優先する子育てに戻りましょう。そこがお母さんの原点だと私は思います。■子ども時代の挫折や失敗などかすり傷以下原点に戻らなくてはいけない理由は、「転ばぬ先の杖」のリスクです。昨今は、サッカーやったら?野球やったら?スイミング行ったら?と、親の思惑に振り回されて自分が一体何が好きなのかさえわからなくなっている子どもが少なくありません。大学生にしても、就職する前に自分の好きなこと、やりたいことが見つからない。それは好きだと感じる機会や、やりたいことかどうかを確かめる冒険をしていない。いろいろな経験を積ませてもらっていないからです。つい最近も「何の資格取ったらいい?」と大学生の息子に尋ねられ「自分の意思がないんです」と困惑するお母さんの相談に乗りました。このような場合、親がわが子に、あれはダメ、こっちをやれと指示命令してきたことが往々にして影響しています。そんなふうに指示してしまうのは、子育てのベクトルがゆがんでいるからです。「子どもに決めさせた方がいいのかもしれないけれど」「好きなことをさせてあげたほうがいいかもしれないけれど」「余計な口出しはしないほうがいいかもしれないけれど」多くの親御さんが、「子育てに大切なこと」を知っています。つまり、正論は理解しているのです。ところができない。私も同じ道をたどっていているので、痛いほどわかります。転ばぬ先の杖を渡してしまうのは、親自身が子どもが失敗したり、苦労する姿を見たくないからです。お母さんも「そのような中でも試合を見ないといけないと思うと耐え難い」と書かれています。お母さんは、ぜひ達観する力をつけてください。目の前の子どもではなく、私はこの子の人生を応援するのだ。そんなふうにマインドセットを変えましょう。子ども時代の挫折や失敗などかすり傷以下。逆に、早期の栄光や名誉がその先の人生を狂わせることだってあるのですから。子どもが試合に出られず、途中でサッカーが嫌になれば、やめるでしょう。もっと試合に出られそうなチームへ行きたいと言えば、一緒に考えてあげればいい。でも、子どもがそこで仲間と続けたいと言えば「ああ、そうなんだね。じゃあ、頑張って」と送り出せばいい。試合を見たくないなら見に行く必要はありません。当番などがないクラブを選べばいいし、行きたいチームにそれがあるなら、当番のときだけ行けばいいのです。■「転ばぬ先の杖」が奪う、子どものエネルギー(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)最後に。転ばぬ先の杖は、前述した大学生のように、自分で考える力を養えない、段取り力がつかないといったさまざまなリスクをもたらします。そのなかでも、自分の好きを見つけて取り組むエネルギーを奪うリスクが一番怖いと感じています。「好きだ」と感じて、それを「やってみよう」と前に踏み出す。そこにはエネルギーが必要です。ところが、お子さんはそんなエネルギーをすでに持っています。3つも4つも下の子より体操も水泳ができなくても、今度は「サッカーしたい!」と言い出した。いい。とてもいい。彼が、楽しさ重視のスクールに通いたいと言うなら、無理のない範囲でやらせてあげてください。お金と時間をかけて通うメリットはあります。ただ、体操と水泳、サッカーはやり過ぎだから、どれかひとつはやめるように。何かを得るためには、何かを失うことだということを学ぶ機会にもなります。お子さんの意思を尊重できる、肝っ玉母さんになってください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2019年11月19日1日の中で、ママが子どもに対して多く発する言葉のひとつであろう「お片づけをして!」。何度も伝えているにもかかわらず、毎日繰り返される状態に、ついガミガミと注意をしてしまいがち。そんな自分にも嫌気がさすし、結局子どもも片づけをしてくれない…。そこで、わが家が実践したのが、子どものやる気を引き出す声がけです。2~5歳ごろの男の子に効果的だった言葉と、伝え方のポイント、片づけタイムに使えるグッズを紹介します。魔法の言葉は「お片づけマンに変身!」目いっぱい遊んだ後に散乱するおもちゃを片づけるときに、なかなか重い腰があがらない長男(5歳)と次男(3歳)。毎日片づけを促すことにひと苦労です。子どもに積極的に動いてもらうためには、好きなものを取り入れることが一番の解決方法!幼稚園児くらいの年齢の男の子は、常に何者かに戦いを挑んでいるような様子をよく見かけませんか?ヒーローに憧れをもち始め、戦隊ごっこをする子も多いと思います。わが家の子どもたちにもその傾向が見られたので、片づけタイムに取り入れてみることにしました。それは、普段の「お片づけをして!」の言葉を「お片づけマンに変身してみようか!」に変えるだけ。その結果、すっかりヒーロー気分になった2人は、いつもの「えぇー、後で!」が「やってみる!」とやる気のある返事に!戦いのターゲット(片づける場所)を変えながら進めていくと、集中力を途切れさせることなく片づけられます。また、別の方法として「お片づけスイッチを押す」ことも試してみました。子どもの体の一部分をタッチして、スイッチを押したフリをします。それだけで、やる気モードになり、ガミガミ伝えるよりも効果的。ママ側としても、遊び要素を取り入れることで、イライラしてしまう気持ちを一度リセットするきっかけになりました。片づけの指示は具体的にする片づけないことを注意したときに、子どもから「何を片づけたらいいの?」と聞かれることが多いことに気がついた私。子どもたちは、ただ漠然と「お片づけして!」と言われると、どこから手をつけたらいいのか判断ができないようなのです。同じ年齢の子をもつ周りのママに聞いても同じ様子でした。そこで、伝えるときは、「トミカを」「プラレールの線路を」など、片づけるおもちゃを具体的にすることに。これでかなりスムーズに動けるようになりました。レジャーシートで片づけタイムがラクになる!?声がけや指示の仕方以外でおすすめなのが、後で片づけをしやすいグッズを使うことです。わが家では“大きめのレジャーシート”を利用。この上で遊んでもらうのです。これはプレイマットがそのまま袋になる「おもちゃ収納袋」をいうグッズをヒントにしました。特に、小さなブロックやパズルなど、こまかなパーツのおもちゃのときに効果的。散らばったおもちゃも、レジャーシートの上でならシートの端と端をもって中央に寄せるだけで、ぐっと片づけがラクになりますよ。正直なところ、親子のお互いの気持ちによってうまくいくときも、そうはいかないときも。どのようにしたら片づけタイムがスムーズにいくか、試行錯誤の毎日です。一緒に乗り越えましょう!<文・写真:ライター郡司佳奈>=======読者限定RIZAPトライアルモニター募集中!「シェイプアッププログラム」を4万9800円(4回・税別)でお試し。さらにモニター謝礼として1万円のキャッシュバック!さらにモニター終了者から抽選でクオカード3000円分を100人にプレゼント。さらに本コースへの入会金5万円無料。店舗により受け入れ制限がかかる場合が想定されますのでお早めにお申し込みください。申し込みはこちら ⇒申し込み〆切:2019年8月31日(土)
2019年08月08日5月病とはよくいいますが、6月に入り「なんだかやる気が出なくて…」という声をちらほらと耳にします。この時期の体のだるさや、やる気が出ないといった気持ちの沈みは「6月うつ」と呼ばれているようです。今回は、ママにも起こりうる6月うつの解消法について紹介していきましょう。■「気分が沈む」「すぐ疲れる」こんな気分になっていない?誰でも落ち込むことはありますし、疲れがたまって元気が出ないことはありますよね。特に子育て、仕事に忙しく過ごしているママは、体力的にも精神的にも負担がかかり、疲れが抜けきらない場合もあるでしょう。ただ、これまではあまり感じていなかった気分の落ち込みが近頃になって強くなっている…例えば、次のように感じることはないでしょうか? ・何をしても気分が沈みがちになる。・朝からいろいろなことを億劫(おっくう)に感じる。・何をしてもすぐに疲れてしまう。上にあげたような気分になり、なかなか元に戻らない。特に理由が見当たらないのに、なぜか焦りを感じてしまう。6月に入ってからそうした状態が続いているようなら、それは「6月うつ」と呼ばれるものかもしれません。実は私のところに、こういった悩みの相談にみえられる方も5月、6月の時期に集中しています。■どうして気分が落ち込んでしまうの? では6月うつと思われる気分の落ち込みは、なぜ起こるのでしょうか? その理由はいくつか考えられます。6月は梅雨の時期。気圧が変化しやすいので、体調を崩しやすい人もいるでしょう。さらに、雨が降っていると「今日のお出かけはやめておこうかな」と予定をキャンセルする機会が普段より増え、1日中家の中で過ごす日も多くなります。これまでは「ちょっと出かけようかな」と気軽にできていた気分転換の機会が失われ、知らないうちに日々の小さなストレスがたまりやすくなり、気分が落ち込んでしまうのかもしれません。また、6月は祝日がない月だということも影響しているのでしょう。5月は大型連休のゴールデンウィークがありましたが、6月は法律で定められた祝日・休日がありません。そのため、心身ともに疲れがたまりやすくなっていると考えられます。そのほか、4月に変化した環境など、新年度に伴う生活の変化にいまだ適応しきれない…など、6月は気分が落ち込みやすいさまざまな要素が重なってしまうのです。■6月うつ「早く元気な自分に戻りたい!」解消法は? 気持ちがふさぎこんでいると、楽しいことやうれしいことも感じにくくなってしまいます。そんな状態からはできれば早く復活したいですね。ここからは、こうした6月うつの解消法をご紹介していきましょう。いちばん効果的な解消法は「笑うこと」です。 テレビのバラエティー番組を見たり、コメディ映画やおもしろ動画を見て笑ったりという方法が浮かびますが、実際は「忙しくてなかなか見る時間がない…!」という人も多いでしょう。そんなときは、日常の中で「口角を上げること」を意識してみてください。スーパーや飲食店の鏡にうつった自分の顔を見てみましょう。無意識のうちに口角が下がっていませんか? 周囲を見渡してみても、この時期、口角が下がっている人が多いことに気付きます。そんな自分に気付いたら、口元を結んで口角をキュッと持ち上げてみてください。「心の底から笑わなければ、意味がないのでは…?」と思うかもしれませんが、ある研究により「作り笑いでも、ストレス軽減につながる」と調査結果(※)が明らかになっているんです。心から笑わなくても、口角を上げることで「私は怒っていない。笑っている。気持ちが穏やかな状態になっている」と脳が勘違いし、次第に気持ちが穏やかになってくるようです。やってみてもらうと分かるのですが「ほほえみながら落ち込む」というのは非常に難しいことなんです。ほほえみと落ち込みは同居しない、つまり、落ち込みの深まりを防ぐことにもつながります。特に面白いこと、うれしいことがなくても、口角を意識して上げていることで気持ちが晴れてくるというわけです。また、この時期の気分の落ち込みは「季節的なもの」と割り切るのも良いでしょう。今は休息する時期と決めて、部屋の中でゆっくり過ごすのも効果のある方法です。なかでも睡眠はおすすめ! 睡眠をとると嫌なこと、気になることが脳からリセットされます。睡眠は心の防衛機能ともいわれているので、たっぷり眠ることで身に起こった嫌な出来事、忘れたいことを日々リセットしましょう。変化した新しい環境になかなか慣れず、心と体が疲れていると感じるなら「今、できていないこと」よりも「できること」に目をむけてみてはいかがでしょうか。4月の自分と今の自分。まったく同じではないはずです。ほんの少しずつでも「順応してきている自分」をきちんと認めてあげましょう。そうすることで気持ちをゆっくりと上向きにしていくことができるのではないでしょうか。※ 参考:「健康における笑いの効果の文献学的考察」三宅 優、横山美江
2019年06月06日やる気が出る要因には、「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」の2種類があることを知っていますか?子どものやる気を引き出し、それを継続させるためには、内発的動機づけを高めることが重要です。親はつい「早く〇〇しなさい!」と言ってしまいがちですが、そもそも親の言うとおりに行動したからといって、そこに「やる気」はありません。どうやら、子どものやる気スイッチを押すには、ちょっとしたコツが必要なようです。今回は、内発的動機づけの仕組みや、内発的動機づけを高めるための言葉かけについてご紹介します。「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」の違いまず、内発的動機づけと外発的動機づけの違いから見ていきましょう。【内発的動機づけ】自分自身でやる気を引き出して物事に取り組んだり、その行為自体を楽しんだりすることです。たとえば、「ピアノを弾くのが好きだから、毎日欠かさず弾いている」「計算問題を解いていくときの達成感が好きで、算数の授業になるとつい張り切ってしまう」など。物事の結果よりも行為や過程を重視し、その意味を自分なりに見出していることが特徴です。内発的動機づけは、簡単にいえば「それが好きだから、おもしろいからやっている」という状態なので、意識せずとも高いモチベーションを維持することが可能といえます。【外発的動機づけ】内発的動機づけとは違って、賞罰や第三者といった自分以外の何かによってやる気が引き出されることです。具体的には「給料がもらえるから仕事をする」「親や先生に褒められるために勉強をする」など。親が子どもに対してやりがちな「お手伝いをしてくれたらご褒美をあげる」「テストで〇点をとったら欲しかったものを買ってあげる」というのも外発的動機づけに該当します。外発的動機づけもやる気を引き出す方法として有効ではありますが、結局のところ「誰か(何か)にやらされている」状態です。そのため、外発的動機づけばかりに頼ってしまうと、ご褒美がないとお手伝いをしなかったり、テストで高得点をとって欲しいものを買ってもらうためにカンニングをしてしまったりする可能性もあります。子どもの「やる気」は成績に影響する子どもの内発的動機づけは、自分自身でやる気を引き出せるようになることから、学校での成績にも大きく影響するといわれています。ベネッセ教育総合研究所の「小中学生の学びに関する調査報告書(2015)『研究レポート2自律的な理由で勉強することが適応的である』」の中には、このような報告があります。小学生、中学生ともに、「内発的動機づけ」が高く「外的動機づけ」が低い自律的動機づけタイプの子どもが、学校での成績が最もよいという結果が得られました。自律的動機づけタイプの子どもは、“楽しいから勉強する”といった内発的動機づけに基づいて勉強しており、外的な報酬や罰は必要なく、そこから得られる達成感や充足感が報酬となるため、自発的に、そして積極的に学習に従事し、しかも継続的に取り組むことができるのだと考えられます。その結果、望ましい成績につながるものと考えられます。(引用元:ベネッセ教育総合研究所|研究レポート2自律的な理由で勉強することが適応的である)また、内発的動機づけから自分の好きなことに取り組むことができれば、子どもの得意分野や特技を見つけることにもつながります。親がそれを伸ばせる環境を整えてあげることで、やがて子どもが自分に自信を持てるようになったり、特技を生かした将来の職業選択を意識するようになったりするでしょう。実際のところ、大人の場合は「家族を養うために、仕事が嫌でも毎日出勤しなければならない」など、外発的動機づけによる行動がルーティンになってしまうこともあります。しかし、子どものうちに内発的動機づけがスムーズにできるようになっておけば、外的要因に左右されることなく、どんな状況でも自分自身のやる気を引き出せるようになるのです。子どもの内発的動機づけを高める3つの声かけ前述したように、内発的動機づけには結果ではなく過程を重要視するという特徴があります。結果はその日の体調や運、競争相手に左右されることもありますが、過程は子どもが実際に行なってきたことであり、着実に能力として身についていきます。子どもが本当に親に見てほしいのは、この「過程」なのです。そのため、親が子どもの内発的動機づけを高めるためには、以下のような声がけを意識しましょう。■「○○ができてすごいね」内発的動機づけを高めるためには「結果ではなく、それまでの過程をこなせたこと=子どもの能力」を褒めることが大切です。例えば、テストで100点がとれたときは「100点をとれるなんて、すごいね」と声をかけるよりも「問題を正確に、しかも完璧に解けるなんて、すごいね」などの声がけをしましょう。■「成長したね」自分の成長を実感でき、喜べるようになることは、内発的動機づけを高めるのに有効です。たとえ結果が出なくても「この前よりはうまくなったね」「すごく成長したね」と声をかけてあげましょう。すると、子どもは「自分がやってきたことは良いことで、前向きに捉えるべきことなんだ」と認識し、より自分のやる気を引き出せるようになります。■「楽しんでみよう」結果にこだわらず、物事を楽しむという経験は、内発的動機づけにつながります。特に、子どもが新しいことに挑戦したり、苦手なことに取り組もうとしていたりするときには、「まずは楽しんでみればいいんだよ!」と声をかけ、不安な気持ちを取り除いてあげましょう。***子どものうちに内発的動機づけを高めることは、学校での成績や将来設計にも大きく影響します。勉強やお手伝いをさせたいときには、子どもをついつい「物で釣ってしまう」こともありますが、まずは普段の声かけを工夫することで内発的動機づけを高めてみましょう。文/田口るい(参考)PRESIDENT Online|アドラー心理学で解明「やる気」の出し方ベネッセ教育総合研究所|自律的な理由で勉強することが適応的であるホウドウキョク|子どもの“やる気”はどう作る? 自主性を引き出すための“声かけ&質問”を学ぼうPRESIDENT Online|子供が見違える「短い声かけフレーズ10」
2019年04月19日勉強や習い事、お手伝いなどのさまざまな場面で、「子どものやる気がない」「どうしたらやる気を出してくれるのだろう?」と思い悩んだことのある親御さんは多いのではないでしょうか。事前に約束をしたり、繰り返し言い聞かせたりしても一向にやる気を出さない子どもに対して、つい頭ごなしに怒鳴ってしまうこともあるかもしれません。しかし、子どものやる気を引き出すのは、コツさえつかめば大人のやる気を引き出すよりもスムーズです。今回は、子どもと大人のやる気メカニズムの違いや、子どものやる気を引き出すポイントについて解説していきます。子どもの「やる気」を引き出しやすい理由本来、子どもはやる気に満ちあふれています。子どもは大人に比べ、さまざまな事柄に対して経験値が浅いため、日々の生活の中で新しい発見や感動につながることが非常に多いのです。例えば「昨日よりも長い距離を歩けた」という経験は、子どもにとって大きな喜びになります。大人にとっては記憶にも残らないような出来事でも、子どもにとっては印象的で大きな意味を持つ変化であり、成功体験なのです。こうした経験は、脳の奥にある大脳基底核の一部で運動の開始・持続・コントロールなどにかかわる線条体を活性化させ、子どものやる気を大きく引き出します。一方、大人の場合は、これまでの人生経験や知識から、物事に対して現実的になりやすい傾向があります。そのため、子どものように生活におけるさまざまな変化を楽しんだり、刺激を受けたりすることが少なくなるのです。また、大人になるにつれて過程よりも結果を重視される機会が多くなります。よって、経験や行動と快感を結びつけてやる気を呼び起こす線条体への刺激が少なくなり、大人は子どもに比べてやる気を引き出すのが難しいともいえます。やる気が起こる要因は2種類あるけれど……やる気が起こる要因は、心理学的に「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」の2種類に分けられます。どちらも “やる気のもと” ですが、どうやらやる気を出すための引き金が違うようです。それぞれについて説明しましょう。【外発的動機づけ】環境や状況、人や結果といった、外的要因からやる気を起こすこと。例えば、エアコンやフリードリンクといった快適な環境が用意されている、締め切りや試験が明日に迫っている、怖い上司や先生に監視されている、結果を出せば給料アップやご褒美が約束されているなどの理由があって仕事や勉強のやる気が出たというのは、外発的動機づけによるものです。【内発的動機づけ】ある物事の変化や発見、学びや成長から喜びを得て、自分自身でやる気を起こすこと。外発的動機づけとは違い、メリットや報酬など関係なく「これがしたい」という気持ちから、何らかの行動を起こします。内発的動機づけをきっかけとした活動は、外発的動機づけがきっかけになっている場合に比べて、本人が充実感を覚えやすく、持続性があるといわれています。では、子どもたちの「やる気」を出させるためには、どちらの動機づけを利用すればいいのでしょう?人間はやらなければならないことに対し外発的動機づけを用いると、その持続性が下がってしまうということがわかっています。逆に、内発的動機づけを用いたときは、その行動が続きやすくなるのだそう。やらなければいけないことを「勉強」とした場合、つまり、以下のようになります。■内発的動機づけを用いる→勉強が続く!■外発的動機づけを用いる→勉強が続かない……子どものやる気を引き出し継続させるには、内発的動機づけを用いた方が良いでしょう。内発的動機づけで地頭が良くなる!?内発的動機づけによる子どものやる気を引き出すためには、以下の声かけが有効です。■結果ではなく過程を褒める大人になると、物事を結果だけで判断しがちです。そのため、子どもをつい「できたのか、できなかったのか」だけで見てしまうこともあるでしょう。内発的動機づけには、結果よりも過程を楽しむことが重要なので、子どもを褒める際には結果だけでなく過程にも着目してみましょう。例えば、テストで100点が取れなくても、前回より1点でも上がっていたら、そのことをしっかり褒めます。かけっこで勝てなかったとしても「毎日公園で練習を頑張ったもんね。前より速くなったていたよ!」など、以前に比べて成長したことや頑張れば結果が変わることの楽しさや喜びを伝えると、子どものやる気につながります。■子どもが興味を持ったことを肯定する子どもは、自分が興味を持ったことを親が肯定してくれると、自分自身が肯定されたようなうれしい気持ちになります。子どもが何かに興味を持っているということは、すでにそれに対するやる気が芽生えている証拠であり、親がそれを肯定的に捉えることで、やる気がどんどん引き起こされるのです。「ダンゴムシがこんなところにいるなんて、よくわかったね。別の場所も探してみようよ」など、子どもが「もっと知りたい」と思うような声かけをしてみましょう。子どものころの「興味を追究する経験」は、地頭も鍛えられますし、その後の学習姿勢にもかかわってきます。夢中になって図鑑を読むうちに語彙も増え、読めない漢字が読めるようになっているかもしれませんよ。***子どもは、やる気次第でびっくりするほどの成長をみせることもあります。子どもならではの伸びしろを無駄にしないよう、親は子どもの興味ややる気を伸ばすためのサポートを心がけましょう。文/田口るい(参考)coFFee doctors|変化に気づく子ども、結果にこだわる大人~子どものやる気を伸ばすには?~東洋経済オンライン|子どもの「やりたくない」をやる気にする秘訣東洋経済オンライン|子どものやる気に”着火”させる2つの方法ホウドウキョク|子どもの“やる気”はどう作る? 自主性を引き出すための“声かけ&質問”を学ぼうベネッセ教育情報サイト|「原因追究」が子どものやる気を奪う?[やる気を引き出すコーチング]プレジデントオンライン|脳を騙して「4倍働いて2倍遊ぶ」方法Study Hacker|やる気が続かない?学習を持続できる『自己効力感』の高め方Study Hackerこどもまなび☆ラボ|知的好奇心がぐんぐん伸びる!東大生の多くが経験している「ハマり体験」とは
2019年03月24日勉強であれスポーツであれ、意欲的に取り組める子どもになってほしい、子どもの「やる気」を引き出したいと願う親御さんは多いでしょう。でも、なかなか親の思い通りにはならないのが子どもであり、現実です。そこで、子どもの自主性・自立性を引き出す独自の授業で注目を集める、東京学芸大学附属世田谷小学校教諭・沼田晶弘先生に、子どものやる気を引き出すためのアドバイスをしてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)誰でもやる気にさせる魔法の言葉は存在しないこう言ってしまうと元も子もないかもしれませんが……「この言葉をかけたら子どもがやる気になる」というような魔法の言葉は存在しません。「やる気スイッチ」という言葉が、それこそスイッチを入れるように簡単に子どものやる気を引き出す方法があると誤解を与えているのでしょうね。やる気というものは、コップに水が少しずつ溜まっていくように徐々に蓄積していくもの。その水を溜めるには、日頃から子どもと関わり、声かけをするなどまめにコミュニケーションを取るしかありません。そうして徐々に溜まった水がコップいっぱいになり溢れはじめると、ようやくやる気も溢れ出すという状態になるのです。しかし、具体的にどんな声かけをすればいいのかというとひとことで表現するのはとても難しい。というのも、子どもにはそれぞれに個性がありますし、万能に効く言葉はこの世に存在しないからです。僕の場合であれば、ときには褒めるし、ときには叱るというやり方をします。また、しっかり信頼関係が築けている子どもが相手の場合、「もっとできるだろう、そんなものか」と、発破をかけるようなこともあります。子どものプライドを刺激してやる気を引き出すというわけです。このような場合には、言葉のチョイスは慎重にしなくてはいけません。もちろん、信頼関係を構築するために、日頃から密なコミュニケーションを取っておく必要がある。多くの教員は教室にある自分の席で給食を食べますが、僕は子どもたちのなかで一緒に食べるようにしています。そういった場面では本当にくだらない話もしながら、子ども一人ひとりの性格やキャラクターを把握するのです。自分の子どものやる気を引き出すには、どんなコミュニケーションをするべきか――。親御さんがつねにその意識を持ってお子さんに接してください。そうすれば、自然とかけるべき言葉が見えてくるはずです。子どもが持つプライドが、内発的なやる気を生み出す親御さんにお伝えしておきたいことのひとつに、いわゆるご褒美を頭ごなしに否定しないでほしいということがあります。子どもに限らず、大人でもただ「やる気になりなさい!」と言われてそうなれるものじゃありませんよね(苦笑)?子どもがやる気になることが重要だと思うのなら、やる気を引き出すご褒美を否定するべきではないと思うのです。ご褒美を嫌う親御さんは、「ご褒美で起こしたやる気なんてすぐになくなる」と考えます。たしかにそれには一理あるかもしれない。でも、子ども自身の内側からやる気がみなぎるのをただ待っているだけではなにも変わりません。そうではなくて、ご褒美で出させたやる気が消える前に、内発的にやる気が生まれるように変える必要があるのです。いわばこれは、バーベキューのときの着火と同様の原理です。ご褒美は最初に火をつける新聞紙のようなものだと考えてください。そこに新聞紙をただどんどん足していくだけでは、肝心の炭には火がつきません。炭に火をつけるのが目的だとわかっていれば、新聞紙をどう使えばいいのかがわかるはずなのです。ご褒美否定派の人は、それこそ勝手に炭に火がつくのを待っているだけの状態……。それでは、なかなかやる気を引き出せるものではありません。では、ご褒美という新聞紙でどのように炭に火をつけるのか。それは、先に少しお伝えしましたが、「プライドを刺激する」ということに尽きます。内発的にやる気を生み出すものは、その子が持つプライドしかないといっていいかもしれません。家庭教育にもゲーム的要素を取り入れるこれらのことは、僕がクラスでやっている計算トレーニングに臨む子どもたちを見ていてもよくわかります。そのトレーニングでは、ある条件を満たせばシールをもらえるルールにしています。でも、トップクラスの子どもたちは、続けているうちにシールなんてほしがらなくなってしまいました。では、なにをほしがるのかといえば、「記録」(計算時間)なのです。そういう子どもたちは、すでに自分との戦いという領域に入っていて、内面からどんどんやる気が溢れているような状態にあります。なぜそうなったのかといえば、「もうこのレベルまで到達したら、シールなんかのためじゃないよな!」なんていって、僕がたきつけたからです。そういうことを繰り返してきたことで彼らのモチベーションは一気に上がり、いまや誰にいわれるでもなくとんでもない量の計算を毎日しています。「この子たちは遊びが嫌いなのかな?」なんて心配になるほどに(笑)。このようにして内発的なやる気が生まれるようになれば、当然、勉強の成果も飛躍的に上がります。計算トレーニングをはじめた当初、10分で問題の半分も終えられなかったある女の子は、いまは1分以内にすべての問題を終えるようになりました。家庭では、クラスのライバルのような競争相手がいないので、プライドを刺激するということはやりにくい部分もあるかもしれません。それでも、お父さんやお母さんが競争相手になるとか、ゲーム的な要素を取り入れてプライドを刺激する、やる気を引き出すということはできるのではないでしょうか。『家でできる「自信が持てる子」の育て方』沼田晶弘 著/あさ出版(2018)■ 東京学芸大学附属世田谷小学校教諭・沼田晶弘先生 インタビュー一覧第1回:子どもの「内発的なやる気」を引き出す、たったひとつの方法。第2回:「早くしなさい!」と言わないためには?着替えの時間の『ドラえもん』が効果大な理由(※近日公開)第3回:「褒める」にひそむ意外な盲点。本当に褒めるべきこととそうでないことの違い(※近日公開)第4回:「典型的ないい子」を育てるよりも大切な、伸ばしてやるべき子どもの「考える力」(※近日公開)【プロフィール】沼田晶弘(ぬまた・あきひろ)1975年9月19日生まれ、東京都出身。東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。学校図書生活科教科書著者。東京学芸大学教育学部卒業後、インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。スポーツ経営学の修士課程修了後、同大学職員などを経て、2006年から現職。児童の自主性・自立性を引き出す斬新でユニークな授業が読売新聞に取り上げられ話題となる。教育関係のイベント企画を多数実施する他、教育関係だけではなく企業向けの講演も精力的におこなっている。著書に『「変」なクラスが世界を変える! ぬまっち先生と6年1組の挑戦』(中央公論新社)、『子どもが伸びる「声かけ」の正体』(KADOKAWA/角川書店)、『ぬまっちのクラスが「世界一」の理由』(中央公論新社)、『「やる気」を引き出す黄金ルール 動く人を育てる35の戦略』(幻冬舎)など。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月20日子どもたちがやる気を引き出すためには、「仕掛けて、仕掛けて、さらに仕掛ける」と語るのは、現役の小学校の先生ながら、児童の自主性・自立性を引き出す斬新でユニークな授業が新聞やTVでも取り上げられて話題となっている沼田晶弘先生。沼田先生は、「これからの子どもたちに求められる能力は、『考えを言葉にする力』」といいます。ではどうやって子どもたちに考え、学び、自分の意見が言えるようなきっかけを作れるのでしょうか。【AI時代を生き抜く「自信が持てる子」の育て方】 第1回 子どものやる気を引き出す親、ブレーキをかける親 ■学ぶ楽しさを知るために必要な3つのこと沼田先生は、「子どもは勉強をしないといけないことはわかっている。いかに、楽しく学べるかが重要」と話します。そのための勉強を楽しくする方法とは? 親にもできるアプローチ法を教えてもらいました。まずは、第1回 「子どもの“やる気”を引き出す親、子どもの心を動かせない親」 について触れます。親としては、「やる気にさせることを見つけることこそ大変なんだ」と思うかもしれません。でも、意外と発想の転換をするだけで、変わることもあると沼田先生は言います。「本来学ぶことは楽しいはず。知識が増え、考えが深まって、できないことができることに変わっていく。でもそれを教えてくれる大人がいない。にも拘らず『これをやりなさい』『あれもやりなさい』と言われ、子どもたちにとって勉強は『やらされるもの』になりがちです」。そこで、沼田先生が学ぶ楽しさを知ってもらうために必要な3つのものを教えてもらいました。「一つめは、「課題」。「やってみよう」と提案するとき、必ず「これから何をやるのか」「どうやるのか」をわかりやすく説明します。二つめは、「制限」。「課題」を出すとき、同時に何らかの「制限」をつけるのです。できることが限られると、子どもたちは許された範囲でできる最大限のことは何か、どうすればそれをやれるのかと、ワクワクしながら考えはじめるからです。三つめは、「報酬」。「課題」を達成したあかつきに、子どもたちが手にすることのできる成果やご褒美について、最初にきちんと提示してあげます。出典: 『家でできる「自信が持てる子」の育て方』 (沼田晶弘(著)/あさ出版)沼田先生のクラスではこの「課題」「制限」「報酬」をうまく利用したテストがあります。先の回でも触れた「U2(ユーツー)」。これはUnder 2minutes、つまり制限時間が2分で行う「81ます計算」のことです。この計算テストを行う際に、沼田先生は音楽をかけます。沼田先生とっては、音も子どもたちをやる気にさせる小道具のひとつで、「音」を流すことで子どもたちの気持ちをワクワクさせます。「テスト開始のときも、まずファンファーレが鳴り響く。次にクイーンの『ウィ・ウィル・ロック・ユー』(We Will Rock You)がかかって、これが準備時間。そしてテストがはじまると、F1のテーマソングでおなじみのT-SQUAREの『TRUTH』がかかる。すると、みんなもう一生懸命、集中してテストに挑みます」2分という「制限」があるので、みんなそれを切りたくなる。すると自然と練習にも熱が入るそうです。さらにこのテストで2分を切った子にはシールという「報酬」が与えられます。「1日5枚練習してきたり、休み時間にU2をしたりする子もいる。あるお母さんから『家から帰ってきたら、一目散でU2をやっている』」と連絡が入ったことがありました(笑)。1枚に81問あるわけですから、5枚といえば400問を超える。それは早くなりますよね。記録があがれば誰もがうれしい。だから、みんな知らず知らずのうちに集中して打ち込む。そして、気づけば学力もあがっているというわけです」 ■子どもにも意見はある。その瞬間を見逃さないためにはやる気スイッチは、子どもの中にもあるといいます。沼田先生はこうヒントをくれます。「子どもはアイデアマン。僕がニュースを見て、北方領土のことをやっていたら、子どもたちに『ロシアは何で還してくれないのかな?』と聞いてみます。すると子どもたちも一生懸命考えて、そもそもロシアってどこにあるんだっけと、地図で探し始めたりして、自分なりの意見を言ってくれます。子どもは子どもなりにしか話せないけど、彼らにはちゃんと意見がある。それを僕は受け流さないし、耳をきちんと傾けます。すると子どもたちがどんなところに興味をもって、乗ってくるのかがわかるときがあって、それがアイデアのタネになったりするんです」沼田先生のメソッドとして「勝手に観光大使」というものがあります。これは、子どもたちが自分で担当する都道府県を決めて、その地域の魅力は特色をPRするというもの。沼田先生いわく「担当する地域を自身で決めたということは、この地域について自分は勉強するぞと宣言したことに等しい」とのこと。まず、その地域を知らなければPRのしようがないですから、子どもたちは一生懸命調べることになります。沼田先生はここで終わらせません。次にあらたな課題を与えます。それはパワーポイントでのプレゼン資料作り。すると生徒たちは、「誰よりもかっこいい資料を作りたい」と、みんな、自分で率先して学び、調べ、工夫をして資料作りに邁進(まいしん)していくそうです。最後には、その地域の自治体の関係者にお願いし、実際に子どもたちはみごとにプレゼンをやり遂げます。「調べる」という能力において、人はAIには太刀打ちできません。では、子どもたちにこれから求められる能力は何かと考えたときに、「考察する力」そして「考えを言葉にする力」ではないかと、ボクは思っているからです。出典: 『家でできる「自信が持てる子」の育て方』 (沼田晶弘(著)/あさ出版)みなさんも、子どもと話していて自分でも想像していなかったことに子どもが興味を示したり、くいついてきたりする瞬間があるのではないでしょうか? 沼田先生はそういった子どもの気持ちや興味を絶対に見逃さないとのこと。親もこの瞬間を見逃さずに仕掛けることで、子どものやる気スイッチを入れられるようになるのかもしれません。■親の時代の価値基準で子どもを判断してはいけない沼田先生と話していて、筆者が1番に痛感させられたのは、親の意識改革こそが必要ではないかということです。沼田先生は、親に向けて次のようにお話するそうです。「みなさんの時代の学校と今の学校は違う。教育法も違う。自分たちの時代とはまったく違う国になっていると思ってください」と。「あるお母さんが自分はバスケット部だったから、子どもにもバスケ部に入ってほしいと言ってきたら、『いいですよ』と言います。ただ、今の部活動の在り方は昔とはまったく違う。旧態依然としているところもあれば、すごく進歩的なところもある。一律ではない。学校や指導者によっても大きくかわる。昔のイメージではなく、現状をきちんとみてくださいね」とアドバイスを贈るそう。とかく年齢を重ねると「昔はよかった」と思いがちなところがあります。たとえば、ちまたでは、ゆとり世代は使えないとか、コミュニケーション能力が低いとか言われたりもしています。しかし沼田先生は、今の若い子にもすごいところがいっぱいあると話します。「今の学生に調べものを頼むと、ネットを駆使して必要な情報をパパっと調べてきます。若い企業家は、ものすごいスピードで仕事を処理していく。ただ、若者に苦手なのはアポイントをとること。なぜなら、彼らにはもともとメールやスマホがあって、都合が合えば即決があたり前。でも、上の世代は、アポは2週間前ぐらいから先方に伝えてないと失礼にあたると思っています。だから若者が直前にアポをとったりすると、『若い奴らはなってない』と判断してしまう。でも、それは若い世代は知らないだけで、教えてあげれば済むことなんです」沼田先生は、「自分たちの時代の価値基準で、子どもたちのことを判断しないで」と話します。「これからの子どもたちは、こういう価値観のある時代を生きていくんだということをお父さんもお母さんももっと意識したほうがいいと思います」たしかに世の中の環境は大きく変化しているのに、昔からの固定観念にしばられて、これは絶対にいいこと、これは絶対に悪いことと思い込んでいることってけっこうあるのではないでしょうか? でも、時代も変われば価値も変わる。こう考えることで、子どもを見る目が変わってくるかもしれません。■今回のお話を伺った沼田晶弘さんのご著書 『家でできる「自信が持てる子」の育て方』 (沼田晶弘/あさ出版 ¥1,400(税込み))「ダンシング掃除」「勝手に観光大使」など、ユニークな授業で各種メディアの話題を集める東京学芸大学附属世田谷小学校教諭 沼田晶弘の最新刊。どうしたら子どもたちの中に自信が芽生えるのか? どうしたら何事にもやる気が起きるのか?そんな子どもの自主性や自立性、自己肯定感、やる気を引き出す方法のヒントになるメソッドが満載の一冊です。沼田晶弘さん国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。学校図書生活科教科書著者。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカへ。インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。スポーツ経営学の修士を修了後、同大学の教職員などを務める。その後、2006年から東京学芸大学附属世田谷小学校に赴任。児童の自主性や自立性を引き出す、ユニークな授業が新聞やテレビに取り上げられ、大きな話題に。その授業はアクティブラーニングの先駆けと言われる。
2019年02月18日「AI時代が来て、仕事の半分以上はコンピューターに取って代わられる」などと言われても、親としては子どもにどういったスキルを身に着けさせればいいのかわかりません。そこで、ぬまっち先生の愛称で各メディアでも取り上げられ、話題を集める現役小学校教員の沼田晶弘さんに、現在の教育現場の現状、そしてこれから来るAI時代を踏まえて、親として何ができるのか、お話を聞きました。沼田晶弘(ぬまたあきひろ)さん国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。児童の自主性や自立性を引き出す、ユニークな授業が新聞やテレビに取り上げられ、大きな話題に。その授業はアクティブラーニングの先駆けと言われる。■大人の「注意」は、子どもに届いているのか?子どもがどういった将来を描くのかは未知数。でもまずは子どもに「やってみたい」という気持ちが起きないことには始まりません。しかし、「どうしたら子どもをやる気にさせられるのか?」は、親にとっての永遠の命題ともいえます。この問題に、沼田先生は、「子どもは楽しいことは自然とやりたくなる」といいます。沼田先生の著書 『家でできる「自信が持てる子」の育て方』 を読んで、筆者が思い出されたのは自分の子ども時代。漫画やおもちゃが部屋に散乱していると、当然のごとく、親から“片づけなさい”の声が飛んでくる。しぶしぶ片づけると、今度は“それで整理したことになるのか”となる。そんな大人の言い方が嫌だったのに、いざ自身が小学生となる子の親になってみると、意外と同じ轍を踏んでいたりする。沼田先生はこう言います。「たとえば、みなさん、子どもに“ちゃんと”とか“きちんと”って口癖のように使っていませんか? でも、単に“ちゃんと”と“きちんと”といっても子どもはわからない。それぞれ基準が違うんです」。沼田先生は、たとえば部屋の片づけならば、床に散らばっているものを片づけるのか、それとも棚を片づけるのか、具体的に基準を明確に伝えることを提案します。以前、沼田先生のクラスで、夏場に生徒が扉を開けっ放しにしてクーラーの効果がゼロになったことがあったそうです。「僕としては、なんで“開けたら閉める”の当たり前のことができないんだとなる。そこでまず扉を開けた子どもに聞くと、『後ろに来ていた子がいたから開けたままにした』と。その後ろにいた子に聞くと、『後ろにすぐ来る子がいると思った』という。みんな開けたら閉めないといけないことはわかっている。でも、次の人のためにという意識があったんですね。それで、クラスで合言葉を変えたんです。“開けたら閉める”ではなく、このクラスは“開けなくても閉める”と」これにより翌日から常にピシッと扉が閉まるようになったそうです。「開けたら閉める」では、他人に任せてしまうときがある。そこで、開けたら閉めるのはもちろん、扉が開いていたら気づいた人が閉める。「扉は必ず閉めた状態にする」というルールを徹底したことで子どもは理解したわけです。つまり沼田先生が伝えたいのは、「ルールの共有が大切」ということ。家庭でもそれぞれルールがある。でもそのルールさえ共有できれば、親がカリカリしなくても子どもがすんなり行動してくれることもたくさんあるといいます。「なんでこの子は何度言ってもしっかりできないんだろう?」とついつい考えてしまうけれど、その前に「曖昧な指示だから、子どもがわからないのかも」と考える必要がありそうです。明確な説明がなければ、それにむけてのやる気持ちも高まらない。むしろ、やる気を削ぐ可能性さえある。■子どものやる気は、どうやって引き出すのか?さて、本題の“子どもからどうやってやる気を引き出すのか?”沼田先生が実践しているさまざまなメソッドには、共通点があることに気づきます。それは、どれも子どもが学ぶ楽しみを見つけているものであること。沼田先生は、子どもが楽しく学ぶためならば労を惜しまないといいます。「『勉強は誰がするの?』というと、子どもなんです。だから、僕は『子どもがどうしたら楽しく学ぶことができるか?』にポイントを置いて、工夫をしているだけなんです。ただ、「勉強しなさい」といっても子どもの心は動きません」ささいなことかもしれませんが、ネーミングひとつで変わることもあります。沼田先生の現在のクラスには勉強のやり方にネーミングがついています。たとえば、「N1(エヌワン)」、「U2(ユーツー)」(※)。※●N1(エヌワン):「Notebook for the one」の略で、日記のこと。●U2(ユーツー):Under 2minitus(制限時間2分)で行う「81ます計算」のことそして、漢字テストでは子どもたちが「漢字なので『KG(ケージー)』、『N1』『U2』があるから『KG3』にしよう」と決定したそうです。沼田先生は心の中で、「漢字はKANJIだから“KJ”だと思うけど」と思ったそうですが…。しかし、それに止まらず、先生は「せっかくだから“3”にも意味を持たせよう。3回連続で満点をとったらライセンスをあげよう!」と提案。すると子どもたちはがぜんやる気になって、「KG3(ケージースリー)チャレンジ」が始まったそうです。こんなネーミングだけで、勉強がなんとなくゲームのような楽しいイメージに変わるような気がしないでしょうか?■与えっぱなしでは、子どもの心は動かない沼田先生はこう言います。「僕は小道具を大量に使います(笑)。地声でいえばいいのに、あえてちょっとしたマイクを使ったり。スタンプやシール、ライセンスなどいろいろと作って、子どもたちの目標にする。学ぶことをワクワクするものにしたいんです」「やる気を引き出せるまで、あの手、この手、あっちの手、そっちの手と、あらゆる手を尽くして子どもたちに仕掛けていきます。また、「これは楽しい!」とやる気になってくれたからといって、安心してはいられません。今度は、また違う手を使って、子どもたちのやる気が失われないように工夫します。ときには、他人の手でも、機会の手でも、猫の手でも、子どもたちを飽きさせないためなら、ありとあらゆる手を使います。彼らが夢中になってからも、“その手”も“どの手”も“誰の手”でも利用して、その興味が長続きするようにチャレンジします」出典: 『家でできる「自信が持てる子」の育て方』 (沼田晶弘(著)/あさ出版)そう、つまりは子どもたちに“とにかくやれ”の一点張りで、親は「やる気を引き出す創意工夫」をちゃんとしているのか? そこに「楽しい」を見い出させてあげることができているかということなのです。たとえば、ネットかなにかで評判のいいドリルがあったら、それをとりあえずやりなさいと渡しっぱなしにしてしまいがち。でもドリルなら自分で一度目を通してみて何か子どもが興味をもちそうにアレンジしてみる、何分で解けるか競争してみるといった楽しくなるように提案することが大切です。沼田先生は、子どもに各教科の専用ノート以外に必ず1冊ノートを用意してもらい、必ず毎日提出してもらうそう。このノートに子どもたちが書くのは翌日の時間割から、連絡事項、自分だけの連絡事項(たとえば忘れ物をしたら、それを持ってくるといった伝言)、先生との日記など。そして、このノートはどんな勉強に使ってもいいことにしているそうです。その理由は、子どもが勉強しようと思ったとき、その教科のノートを探す時間の無駄を省けることと、せっかく芽生えた子どものやる気をしぼませないようにしたいという考えから。また、学校の授業以外、自宅でやった学習についてはこのノート1冊にまとめることで、自主勉強の成果をひとつにまとめることができる。こうすることで、子どものがんばった証の蓄積を可視化できるといいます。つまり、子どもも自分がどれだけがんばったかがわかるというわけです。与えっぱなしでは、子どもの心も動かない。そういう意味で、子どものやる気を引き出すか否かは、親の姿勢や工夫次第ということなのかもしれません。■今回のお話を伺った沼田晶弘さんのご著書 『家でできる「自信が持てる子」の育て方』 (沼田晶弘/あさ出版 ¥1,400(税込み))「ダンシング掃除」「勝手に観光大使」など、ユニークな授業で各種メディアの話題を集める東京学芸大学附属世田谷小学校教諭 沼田晶弘の最新刊。どうしたら子どもたちの中に自信が芽生えるのか? どうしたら何事にもやる気が起きるのか?そんな子どもの自主性や自立性、自己肯定感、やる気を引き出す方法のヒントになるメソッドが満載の一冊です。沼田晶弘さん国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。学校図書生活科教科書著者。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカへ。インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。スポーツ経営学の修士を修了後、同大学の教職員などを務める。その後、2006年から東京学芸大学附属世田谷小学校に赴任。児童の自主性や自立性を引き出す、ユニークな授業が新聞やテレビに取り上げられ、大きな話題に。その授業はアクティブラーニングの先駆けと言われる。
2019年02月17日「いつも元気で、あまり風邪を引かない」「集中力、やる気がある」「好奇心が旺盛」「落ち着きがある」これらは、まさに “心身ともに健康な子ども” の特長です。そんな子どもにするための大きなカギが「腸」にあるのをご存じですか?子どもの「腸内環境」が、体はもちろん、心にも大きな影響を与えるのです。その理由と、子どもの腸内環境を整える効果的な食事法についてご紹介しましょう。緊張するとお腹が痛くなるのはなぜ?人間の体の中でも、腸は「第二の脳」とも呼ばれ、その役割の大きさ・重要性が指摘されているのはご存じの方も多いでしょう。アトピーや花粉症などのアレルギー性疾患や、メタボリックシンドロームなどの発症に、腸内細菌が関係していることもわかってきています。また、最近では、腸内環境を整えることを「腸活」と呼んだりして、ちょっとしたブームにもなっていますよね。腸の役割は、食べたものを消化し、栄養分や水分を吸収して便をつくることですが、実はそれだけではないのです。腸内細菌学・微生物分類学が専門で、理化学研究所特別招聘研究員・農学博士の辨野義己先生は、腸は「脳」ともつながっていて、感情や頭の働きを変化させることが明らかになってきたと言います。例えば、「意欲」や「集中力」に関係する神経伝達物質のドーパミン。多く作られすぎると精神疾患の引き金になるといわれていますが、腸内細菌は、このドーパミンの産生を抑制する働きを持ち、血流を介してドーパミンの量のバランスをとっているのだそう。また、「感情や気分のコントロール」や「精神の安定」に深く関わっているセロトニンにも腸内細菌が関わっています。これが不足すると、脳の機能の低下が見られたり、心のバランスを保つことが難しくなったりするのだそう。子どもにとっても大人にとっても、重要な神経伝達物質と言えるでしょう。まさか腸内細菌が、意欲や集中力などに関係する神経伝達物質の量を調整したり、精神安定の一助になっているなんて、ちょっと驚きですよね。でも皆さん、仕事やプライベートで極度のストレスを感じたときに、なぜかお腹が痛くなった経験はありませんか?この “脳と腸がお互いに情報を伝えあっている状態” は「脳腸相関」と呼ばれ、いま多くの研究が進められています。どうやら、心身ともに健康な状態を保つためには、腸内環境を整えることが重要なようです。小学生の3人に1人が便秘&便秘予備軍となると、自分の子どもの腸内環境はどうなっているのだろう、と疑問が湧いてきますよね。ここで興味深いデータをご紹介しましょう。NPO法人日本トイレ研究所の調査(2017年)によれば、小学生の3人に1人は便秘状態・便秘予備軍であることが判明しました。さらに、便秘の小学生のうち約半数が便秘を誰にも相談をしたことがないという結果も。毎日もしくは2日に一度でもスッキリ快便な場合はひとまず安心ですが、便秘の場合は心配です。便秘=「腸が健康ではない」ことの証だからです。便秘の子どもが増えている背景には、「野菜嫌いで肉食の子が増えたこと」と辨野先生は指摘します。肉類中心の食生活は、腸内の悪玉菌を増やしてしまうのです。周知の通り、悪玉菌は有害物質を作って体に悪影響を及ぼす菌。腸には200兆個(計1~1.5㎏)の細菌が生息していますが、理想の割合は、善玉:悪玉:日和見(未知の菌)=2:1:7と言われています。悪玉菌が増えると、便秘になり、便秘になるとますます悪玉菌が増えるという悪循環にも陥ってしまいます。さらに辨野先生は子どもの便秘の要因として、「夜型生活で朝に排便の時間をとりにくい」「運動量が減っている」ことも挙げています。子どもが便の話をすると「汚いからやめなさい」と言ってしまいがちですが、便はもともと体の中にあったもの。腸内環境を推測する大切なツールとして積極的に便の話をできる関係を保つことが、子どもはもちろん、家族の腸内環境を把握するのに役立つでしょう。便秘の子どものいい食べ物、食事とは?子どもが便秘の場合、食事にどう気をつけたらよいでしょうか。30年間で4万人の大腸内視鏡検査を実施した腸のエキスパートである、松生クリニック院長の松生恒夫先生によれば、以下の食べ物が効果的とのこと。■食物繊維が白米の25倍含まれるというもち麦■納豆や味噌などの発酵食品■オリゴ糖が多いキウイなどの果物■海藻やきのこ類■オリーブ油そのほかの改善法としては、「朝起きたら、お水かお茶を一杯飲む」「夕食から寝るまでの時間をなるべく空ける」「毎日湯船につかる」なども挙げています。「うちの子、便秘かも?」と思ったら、ぜひ実践してみましょう!子どもの腸はまだまだ未熟!子どもの腸内環境を整えるうえで、もうひとつ頭に入れておいてほしいことがあります。それは「食事」です。アレルギーや免疫学などを医療に導入し、自身のクリニックで多くの子どもの治療を行ってきた医学博士の西原克也先生は、著書の中で次のように書いています。呼吸や腸、免疫などのシステムが大人の人間と同じように働き出すには6歳くらいまで時間がかかります。さらに、小学生のうちはまだ人間として“駆け出し”の段階であり、腸や免疫の働きが成熟してくる12歳くらいまでは食事や生活習慣などに引き続き注意を払っていかなくてはなりません。(引用元:西原克也(2018),『子どもの腸には毒になる食べ物食べ方』、青春出版社)小学生ともなれば大人と同じような食事をすることが多いと思いますが、子どもの腸はまだまだ未熟だというのです。西原先生は、子どもの腸に良い食べ物、悪い食べ物として以下を挙げています。<子どもの腸に良い食べ物>煮魚、焼き魚、野菜の煮物、温野菜スープ、温めた豆腐、玉ねぎ(加熱したもの)、ゴボウなどの根菜類、トマト、梅干し、ニンニク(加熱したもの)、乾燥シイタケ、シメジ、きくらげなどのキノコ類、40度以上に温めた飲み物<子どもの腸に悪い食べ物>玄米などの雑穀類、カレー・明太子・キムチ・ショウガなどの辛い刺激物、うどん・パン・パスタなどの小麦製品、刺身などの生魚、ユッケなどの生肉、インスタント食品、ファーストフード、アイス・かき氷などの冷たい食べ物、冷たい飲み物特に、日頃から冷たい飲み物を飲む習慣がついてしまっている場合は、気をつけてください。腸の内部の温度が、0.5~1度下がると、消化力や免疫力がガタ落ちの状態になって、悪玉菌も増えてしまうのだとか。ただ、うどん・パン・パスタなどの小麦製品などは学校の給食でも出てくるものですし、アイスやかき氷は子どもの大好物です。外出時やお祝いの席ではお寿司やお刺身を食べることもあるでしょう。これらすべてをいきなりNGにするのは難しいと思います。日々の食生活ではなるべく腸に良い食べ物を増やし、腸に悪い食べ物は食べすぎないように心がけていきましょう。***西原先生のクリニックでは、アトピーや食物アレルギー、潰瘍性大腸炎、発達障害やうつ病、自閉症などの子どもたちに、こうした腸に良い食事法とその他適切なアドバイスをしています。アドバイスを受けた子どもの中には、顔つきがキュッと引き締まり、目が輝くようになり、言葉も性格も快活になって、学校の成績が急に伸びるようになった子もいるそうです。大人もそうですが、子どもにとっても腸内環境を整えておくのはとても大切なこと。子どものうちから健康な腸にして、明るい毎日を送りましょう。文/鈴木里映(参考)AERA with Kids 2018冬号,朝日新聞出版西原克也(2018),『子どもの腸には毒になる食べ物食べ方』、青春出版社日本トイレ研究所|「小学生の排便と生活習慣に関する調査」ハッピー・ノート・ドットコム|子どもの腸活~腸内環境を整える食事~森永|ヨーグルトなんでもQ&A 第10回子どもの腸内育菌には家族のコミュニケーションが大切って本当?「カルピス」由来健康情報室|〝脳腸相関〟とは
2019年02月12日新年度が近づくにつれて、園や学校で新しい袋モノや小物が必要に。そんなときに手作りのものを作ってあげたいな…と思うことも。しかし反面、ソーイングなんてムリムリ!と尻込みしてしまう人も多いのでは。今回は、ソーイングの経験ゼロから2人の子どもを手作り小物で通園させ、そろそろ2人目が卒園を迎える心理カウンセラーの筆者が、ソーイングを気軽なものに変える、5つのメンタルポイントをご紹介します。1.完璧を目指さないもっとも大切なことは、完璧を目指さないということです。大人は、いろいろなことがちゃんとできます。それだけに、ちゃんとできないことに関しては「それではダメだ」と思ってしまいがちです。しかし肝心なのは、たとえばお道具袋ならお道具を入れて持ち運べればよいのであって、寸法が1ミリの狂いもなく図面と合っていることが大事なのではありません。入れたいものが入る袋ができれば、それでいいのです。2.凝った飾りは不要2色の布でできていたり、ポケットがついていたり、レースで飾られていたり…世の中には、いろいろなソーイングの作品やレシピがあります。見れば大人だってうらやましいと思うもの。しかし結局、お道具袋にポケットがついていても、子どもはそれほど物を入れません。布が2色でもレースがついていても、それらは役には立ちません。ソーイングに慣れた頃、いつのまにか凝った飾りの付け方がわかってきます。それまでは「いらないものは、つけない!」を貫いて。3.子どもの好きな色柄を選ぶだけでワンステップクリア子どもにとって、興味があるのは、できあがった物の形よりも布の色、柄であるといってもよいでしょう。そういった意味で、作成するよりも前に布選びが勝負を握っているとも言えます。手芸店へ行くと、キャラクターから乗り物、動物まで、さまざまな色柄の布が並んでいます。ぜひ、わが子の好きな色柄の布地を選んでください。たったそれだけで、ハンドメイドの最初のワンステップはクリアです!4.作ってくれたというだけで子どもはうれしい子どもの目線は、時に大人が「ええっ」と驚くほど厳しいことがあります。だから、いい加減なものは出せない…とママも緊張してしまうのかも。でも、子どもって、単純さや純粋さというよさも持っています。たとえどんな物ができあがったとしても、「自分のために作ってくれた!」というだけで、子どもはうれしい気持ちになるのです。だから、作らなきゃ…と思うなら、出来は二の次と考えて大丈夫!5.結局布は紙と同じ!「測って切ってくっつける」ソーイングを気軽に行うために、覚えておきたいこと…それは、「布って結局、紙と同じ」だということ!紙の長さを測って、ハサミで切ることはできますよね。それをのりで、好きな形に貼り付けることも、大人には簡単です。布もこれと同じで、「測る→切る→くっつける」の3ステップを行うことで、作りたいものができあがるシステムになっています。ところが、なぜか実際にソーイングをやってみるまでは、そのことに気づかないので、とても難しいもののような気がしてしまいます。また、ミシンを高いハードルのように思う方も多いでしょう。しかしこれも、実際にやってみるとボタンを押すだけで縫ってくれる便利な道具に過ぎません。ミシンは、キッチンで言うフードプロセッサーによく似ています。ボンドも使える!切り貼りを気軽に楽しんでやっぱりミシンが難しいなら、布をしっかりと貼り付けてくれる、裁縫用のボンドといったものも販売されています。あとは布と紙の違いだけ!そう思えば意外に、やっていることは子どもと変わらないのかもしれません。なにより、新しいことを学んだり、1枚の布地から形あるものを生み出すのは楽しいですよ。やってみようかな、と思ったときが始めどき。子どもに手作り小物をプレゼントしてみませんか?<文・写真:フリーランス記者あん茉莉安>
2018年11月06日「片付けをしようと決めたものの、なんだか今日はやる気が出ない……」そんな日はありませんか?人間たるもの、気分の浮き沈みもあって当然です。ところが、お部屋は放っておくと、容赦なく散らかっていくというのも辛い現実。そこで今回は、心理学から学べる「どうしてもやる気が出ない時の対処法」をお伝えします。■ 「やる気が出ない!」のは、誰もが持つの悩み!アメリカで人気の、マーラ・シリーという整理整頓のプロフェッショナルをご存じでしょうか?自らをFlyLady(フライレディ)と称する彼女は「5分間お部屋レスキュー」というテクニックを提案しています。これは「部屋の一番汚い部分を探して、5分間だけそこを片付ける」というもの。M&T / PIXTA(ピクスタ)一番散らかっている場所を見つけたら、スマホでも目覚まし時計でも良いので5分間のタイマーをセットしましょう。そして、その5分間だけ片付けをしてみるのです。■ 好きな音楽でも聴きながら、ただ時間を過ごすだけここで注意点です。やる気が出ない時に「ここを綺麗に片付けなければ……」と考えると、やる気は一層なくなります。「5分だけだから、すぐ終わる」と考えて、時間を過ごすだけのつもりで臨みましょう。ちなみに筆者のオススメは、5分程度のお気に入りの曲を聞くことです。xiangtao / PIXTA(ピクスタ)好きな曲を聞いている間だけなら、気分が乗らない時間もなんとか過ごせそうです。しかも、1曲だけで良いのです。■ 5分後、あなたのやる気はどうなるか?なんとか5分やりきると、目の前の状況はどうなっているでしょうか?溜まっていたゴミをゴミ箱に捨てただけかもしれませんし、散らかっていた衣類をタンスにしまっただけかもしれません。kaka / PIXTA(ピクスタ)ここでまだやる気が出なければ、無理をするのはやめましょう。「5分頑張ったから、今日はここまで!」と潔く切り上げるのがベターです。ところが不思議なことに、5分ほど経過した時点でやる気が出てくる人が多いのです。これが、マーラ・シリーが提案する「5分間お部屋レスキュー」のすごいところなんです。■ 科学的にも証明!たった5分で脳に起きること。前述のような「5分程度やってみると、なんだかやる気が出てくる」という現象は、昔から研究対象になってきました。100年以上前のことですが、ドイツの精神科医であるエミール・クレペリンが「作業興奮」という概念を提唱しています。これは簡単に言うと「作業をやり始めると気分がノッてくる」ということなのですが、近年では脳科学の見地からも証明されています。Deja-vu / PIXTA(ピクスタ)脳には「側坐核」という箇所があり、刺激すると快感を覚えるため“快楽中枢”とも呼ばれています。この側坐核は、「成果が見える」ということが大好物。ちょっとした成果でも、「楽しい!もっとやろう!」とやる気をどんどん引き出してくれます。A_Team / PIXTA(ピクスタ)■ 片付け作業は、脳の「側坐核への刺激に向いている。片付けの良いところは、たった5分間でも手を動かせば何かしらの変化が起きること。「ゴミがちょっとだけ少なくなった」「服が少しだけ片付いた」CORA / PIXTA(ピクスタ)ほんの小さな変化でも、脳は「成果が出た!もっとやろう!」とやる気を出してくれるのです。そうなれば、もうこっちのもの。タイマーが鳴ろうが、曲が終わろうが片付けを続ければ良いだけです。kou / PIXTA(ピクスタ)ついさっきまでやる気が出なかったのが自分でも不思議なくらい、片付けが楽しくなるかもしれませんよ。【参考】※Fly Lady.net※児玉光雄『超一流アスリートが実践している本番で結果を出す技術』
2018年10月29日やらなきゃいけないことはたくさんあるけれど、「月曜日の朝を知らせる目覚ましが憎くてたまらない」「私のやる気スイッチはどこ!?」なんてこと、ありませんか?そんな時に、あなたのやる気をUPにさせる術を5つ、ご紹介。 やる気を出す方法5つ。 ■1:憧れの人、好きな人を思い出す 「あんな風になれたらいいな」と常日頃思っている素敵な先輩女性、友人女性はいませんか?もちろん芸能人でもOK!その人の真似をして、彼女たちに一歩でも近づいた未来の自分を想像してみましょう。気付いたら俄然とやる気がUPしているかもしれません。 ■2:ライバルの顔を思い出す 憧れの人、好きな人を思い出してみてもやる気が出ないときは、同僚や後輩、ママ友など、何かと「気になる」あの人の顔や行動を思い浮かべてみましょう。あなたの一瞬の気の緩みがライバルの追い風になってしまう可能性も。「絶対に負けられない戦いが…!」という気持ちが、あなたを奮い立たせてくれるはず。 ■3:自分とは違う境遇の人の話を聞く やる気が出ないのは、もしかしたら…刺激のない毎日が原因かも?たまには、自分とは違う仕事をしている人、自分とは違う境遇の人の話を聞くのもためになります。思わぬ発見や、自分を違う角度から見つめ直すきっかけをもらえたら、次は何をするべきなのか目標も見えてくるかもしれません。目標が見えてきたら、やる気も湧いてくるはず! ■4:身の回りの整理整頓 やる気が出ないのは、その環境に原因がある場合も…。昔の書類、古い雑誌、またはあまり着なくなった洋服など、要らなくなったモノを捨てるだけでも視界が変わり、気分が晴れること間違いなし。ちなみに、お部屋やオフィスを片付けると、風水的にも良い気が流れるようになるのだとか。キレイな環境で心機一転してしまいましょう。 ■5:貯金通帳を見る なんだか「金の亡者」みたいですが、でもお金がモチベーションUPにつながるのは周知の事実!たまっていく通帳の残高を見ていたら、ウキウキ、ワクワクしてきませんか?「次の長期休暇はこれを使って、旅に出よう」「長年の夢だった習い事やお仕事を始めよう」といった計画を立ててみるのもオススメ。 気持ちを盛り上げて楽しまないともったいない! いかがでしたでしょうか。目の前で過ぎていく日々も自分の楽しみ方次第で見える景色も大きく変わってくるはず。やる気UPして、実りのある毎日にしていきましょう! wellfyより
2018年10月07日ほんの少し前に入園したばかりと思っていたわが家の長男も、早いもので来年4月には1年生。早生まれということが関係しているのか、甘えん坊で好きなこと以外やる気なし。小学校に上がったらちゃんとやっていけるのか心配です。小学校入学に向けて子どものやる気を引き出したい! と思い、以前もお世話になった発達心理学・教育心理学が専門の東北文教大学准教授 永盛善博先生に、子どものやる気の引き出し方を教えてもらいました。先生の話によると「子どもがやる気がない時は、疲れや眠気など自分ではどうしようもない統制不可能な要因。難しすぎる、逆に簡単すぎてつまらない、そもそも興味がないといった内的要因。慣れない環境、親しい人がいないなどの外的要因が考えられます。子どものやる気を引き出すには、やる気がない原因を大人が明確にすることと、『この子のスキルは今どのくらいのレベルなのか』を見極めることが必要です」。年長さんのママに実際の悩みを挙げてもらい、先生にアドバイスしてもらいました。お悩み1:夢中で遊んでいて、片づけになった途端やる気がなくなる子どもには「もっと遊んでいたい」という気持ちがあるので、お片づけになると急にテンションが下がってしまいます。ただ、5、6歳にもなると物事を頭で理解することができるようになってくるので、「何時になったら片づけようね」と事前にいつまで遊べるか伝えておきましょう。事前に伝え忘れた時は、いきなり遊びを中断させず「あと10分遊んだら」と気持ちを切り替える時間を与えます。また「ご飯を食べないといけないから」「幼稚園に行く時間だから」と、片づけないといけないはっきりとした理由を伝えることで生活習慣が身についていきます。ワンポイントアドバイス:やる気があってスキルもあるパターン子どもが好きなこと、興味があることは、どんどん伸ばしてあげたいですね。子どものやる気を今以上に引き出したい時は、「今できるレベルより4%上のこと」=「背伸びすればできるくらいのこと」に挑戦させるともっとも効果的。求められることが自分のスキルより低すぎても、高すぎても子どものやる気は失われてしまいます。お悩み2:運動会やお遊戯会、保育参観など、思い出に残る行事の時やる気を出してほしい幼稚園の行事で自分の子だけなんだかやる気がない…と悩む人もいますね。イベント当日は、お父さんお母さんたちがいて、いつもと違った雰囲気で集中できない子もいます。元々の性格なのか、環境のせいなのか、それともスキルが足りないせいで不安なのか見極めが必要です。子どもが不安を抱えている場合は、子どもと話をして原因を掘り下げてみましょう。「面白くない」ならなぜ面白くないのか、「できない」から面白くないのであれば、どうやったらできるようになるのか親子で考えてみましょう。当日は、できなくてもそれまでの頑張りを認め、できていなかったことも含め、受け入れてあげます。自分のことを理解してくれる人に励まされることで安心感が得られ、子どもの自信に繋がり失敗を恐れず挑戦できる子に育っていきます。ワンポイントアドバイス:やる気があるけどスキルがないパターンやる気があっても、目標を達成するスキルが足りない時は「スモールステップ」と言って、小分けにして課題を与えます。いきなりできないことをさせてもやる気を失ってしまうので、やはり子どものスキルの4%上のことに挑戦させるのがベスト。小さな課題をひとつずつクリアしていくことで自信がつき、やる気にも繋がります。お悩み3:水泳(習い事)で壁にぶつかった時、マンネリになってきた時やる気がなくなる最初は子どものやる気があったけど、だんだんやる気がなくなってきたり、壁にぶつかったりするのが習い事でありがちな悩みです。壁にぶつかった時は、その先にどんな楽しいことが待っているかを教える。努力や頑張りをほめることが大事です。この時期は、同年代のライバルの存在がやる気に大きく関係してきます。競争相手がスキルも年齢も離れすぎていると「負けて当たり前」「できなくて当たり前」と感じてしまいますが、同じくらいの年齢の子と一緒だと「自分にもできる!」「負けたくない!」という気持ちが芽生え、そういった環境に連れて行く、見せることでやる気が出る場合もあります。ワンポイントアドバイス:やる気がなくてスキルがあるパターン一度スキルを身につけてやる気を失ってしまった場合、これ以上スキルを伸ばす必要があるかどうか、親子で話し合いが必要です。もっと伸ばしたい場合、興味を失ってしまった理由は何か、原因があるなら解決します。目標が明確ではない場合は、目標を設定してそれができるようになるまで続けてみる。簡単すぎてもう飽きた場合は、少し難易度を上げてみるなど、今やっていることが子どものレベルに合っているか再確認しましょう。お悩み4:小学校準備で勉強をしていますが、まったくやる気を感じられない親が始めさせた勉強や習い事に対しては、子どもの興味がすぐなくなってしまうことがあります。まわりの子が読み書きができたり、計算ができると焦ってしまうかもしれませんが、「みんなやっているから」という理由だけでは、「なぜやらなければいけないのか」分からず、子どもはやる気が出ません。入学前の学習は、勉強内容を身につけることを目的にするよりも、学習することで身につけられることに注目すべきです。例えば「自分で本が読めるようになりたい」だからひらがなの読み方を勉強する。「知りたい!」という知的好奇心を満たすために調べる。やればできるという「成功体験を積み重ねることで自信をつけさせたい」など、目的をはっきりさせた上で、子どもに合った勉強方法を見つけましょう。ワンポイントアドバイス:やる気がなくてスキルもないパターン興味がなくてやる気がない時は、興味を持ってもらえるように働きかけ、それでも興味を持たない場合「本当に今やる必要があるのか」を、もう一度考えてみましょう。できないことをできるようになってほしいという気持ちもあると思いますが、子どもの良いところに目を向けて、できることを伸ばしてあげることも大切です。お悩み5:子どもは“ほめて伸ばす”と聞いたけどそれって間違いなの?“ほめて伸ばす”という言葉が一人歩きして、何でもでもほめればいいという風潮が見られます。ですが、ほめられ続けると「失敗したらどうしよう」「できなかったらどうしよう」と、子どもはプレッシャーに感じることもあります。また、プライドが高い子にできて当然のことをほめると「自分はその程度しか評価してもらえない」と傷ついてしまうんです。極端な話、6歳の子に「すごい! 上手に歩けたね!」とほめても、嬉しくないどころかバカにされているように感じてしまいますよね。やみくもにほめるのではなく、子どものレベルより上のことができた時ほめるのが効果的。特に大事なのは“できたこと”(結果)だけではなく、できるまでのプロセス(過程)をほめること。できなかった時も、努力したことを認めて励ますことで自信に繋がります。子どもは、頑張ったことに対してほめられると認めてもらえたと嬉しくなります。また、できるのにやらない時に叱ることも、子どもの能力を認めていることになります。ほめることと叱ること、真逆のように感じますが、実はどちらも子どものことを認めている証になります。ほめるばかりではなく、『励ますことや叱ることも子どものやる気を伸ばすために必要』ということを頭に留めておきたいですね。
2018年09月25日「やる気があればできる!」「気持ちが大事!」何かに取り組もうとしたとき、こんな言葉をかけられたことはありませんか?例えば、学生時代の部活動や会社でのプレゼン準備などで、先輩や上司から喝を入れられた経験がある方も多いでしょう。「やる気」というのは魔法の言葉で、まるですべての問題を解決してくれそうな響きがあります。この「やる気」とは、一体なんなのでしょうか?■ 当然、やる気は大事!でも、やる気とは何かを考えてみると……。「やる気」とは、具体的に言えば「意思力」です。Deja-vu / PIXTA(ピクスタ)一般的に「あの人は意思の力が強い」という使われ方をしていますね。この「意志力」をさらに詳しく説明すると、「自制心(セルフコントロール能力)」ということになります。通常、意思の力が必要なのは、次の2つの場面です。やりたいことを我慢するやりたくないことをやる「お腹が減っている時に、美味しいものを食べる」という場面では、意思の力は必要ありませんよね。xiangtao / PIXTA(ピクスタ)「お腹が減っているのに、美味しいものを我慢する」ときにこそ、「自制心」という意思の力が必要になります。では、この「自制心(セルフコントロール能力)」というのは、無限に引き出せるものなのでしょうか?■ 目に見えない「自制心」の仕組みを解明した、意地悪な実験。フロリダ州立大学の心理学者であるロイ・バウマイスターは、学生を対象にちょっと意地悪な実験を行いました。「味覚の調査をします」と言って集めた被験者を、2つのグループに分けます。そして、目の前に美味しそうなクッキーを置きます。Aグループ:クッキーを食べてもらい、その後パズルを解く。Bブループ:クッキーを我慢してもらい、その後パズルを解く。ささざわ / PIXTA(ピクスタ)ちなみに、実験では絶対に解けないパズルを使いました。そして「どのくらいの時間パズルを解こうと努力したか」を計測します。その結果は、「自制心(セルフコントロール能力)」の正体を明らかにしてしまいました。■ 体力と同じく消耗する!「自制心」は使えば使うほど減ってしまう。Bグループの被験者(クッキーを我慢した人)は、Aグループ(クッキーを食べた人)に比べて、パズルに取り組んだ時間が60%近くも短くなったのです。utoi / PIXTA(ピクスタ)なんと半分以下……。Bグループの中には、実験中に文句や愚痴を言う学生も多かったそうです。このように「何か(クッキー)に対して自制心を消耗すると、まったく別の何か(パズル)に対して自制心を保てない」という現象は、「自我消耗」と呼ばれています。つまり、人間の自制心は無限ではないということです。個人差はありますが、使い続ければいずれなくなってしまうものなんですね。■ 片付けられないのは、他の何かを我慢しすぎているからかも。片付け習慣も、身につけるには「自制心(セルフコントロール能力)」が必要です。それは一般的に「やる気」と呼ばれていますが、実験が明らかにしたのは「やる気」の量にも限りがあるということ。なかなか片付けに手がつけられない方は、どこかで「やる気」を使い切ってしまっていませんか?A_Team / PIXTA(ピクスタ)「ダイエットしている」「仕事がハードな時期」などの場合は、「やる気」の残高が底をついているのかもしれません。そんな時はまず優先順位をつけて、「やる気を片付けにも残しておける環境を整える」ということを意識してみてはいかがでしょうか。【参考】※ロイ・バウマイスター『WILLPOWER 意志力の科学』
2018年07月04日