アレクサンダー・ペイン監督とポール・ジアマッティが再びタッグを組み、新鋭ドミニク・セッサ、アカデミー賞受賞のダヴァイン・ジョイ・ランドルフと贈る『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』。この度、日本版予告編とビジュアルが解禁となった。物語の舞台は、1970年冬、ボストン近郊にある全寮制のバートン校。生徒と教師の大半がクリスマス休暇を家族と過ごすなか、勉強はできるが反抗的なアンガス(ドミニク・セッサ)をはじめ4名の生徒が学校に居残ることになる。生徒たちの“子守役”に任命された古代史の教師ハナム(ポール・ジアマッティ)は、生真面目すぎる言動ゆえ同僚や生徒からも嫌われている。料理長のメアリー・ラム(ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ)はひとり息子をベトナム戦争で失ったばかりで、息子と最後に過ごしたこの場所で年を越そうとしていた。アンガス以外の生徒はバカンスに出ることになり、たった3人でのホリディが始まる。アンガスに「君の面倒を見るなんてごめんだ」と冷たく告げるハナムに「帰る場所のない子にあんなことを言うなんて」とたしなめるメアリー。アンガスが人一倍繊細さを持ち合わせていることを感じ取っていたのだ。映像は、それぞれに孤独を抱える3人が美しい雪景色の中で反発し合いながらもお互いを知り、少しずつ心を通わせていく様子や、ハナムには何か人に言えずにいた“過去”があることが伺える。本作の練りに練られた見事な脚本はかねてより高い評価を受けていたが、4月14日(現地時間)に発表された第76回全米脚本家組合(WGA)賞において、オリジナル脚本賞を見事受賞。ささやかだが温かくもある2週間の休暇が描き出すものに期待が高まる予告編となっている。併せて、日本版ビジュアルも解禁に。ハナムが手に入れてきたまったく飾りもなく、斜めになったクリスマスツリーを背景に、学校の食堂で食卓を囲む3人の姿を温かな色彩で描き出し、<この日々を、きっと忘れない>という3人それぞれの想いを代弁するようなキャッチコピーが添えられた。原題でもある『HOLDOVERS』とは「残留した者」の意味。バカンスや家族のもとに戻った人々を尻目に、まるで「置いてけぼり」になったように、学校に取り残された彼ら。3人の間で育まれていく絆の行方が気になるビジュアルが完成した。『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』は6月21日(金)よりTOHO シネマズ シャンテほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ 2024年6月21日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開Seacia Pavao / © 2023 FOCUS FEATURES LLC.
2024年04月23日アカデミーが、来年のオスカー資格についてのルール変更を発表した。パンデミックを受けて緩めていた劇場公開の規定を再び厳しくしたもの。来年は、ロサンゼルス郡、ニューヨーク、サンフランシスコ・ベイエリア、ダラス・フォートワース、シカゴ、アトランタの6都市で最低1週間劇場公開されたことが条件となる。作品部門の資格を得るためには、この最低1週間の上映から45日以内に、アメリカのトップ50の市場のうち10の市場で7日間劇場公開される必要がある。6都市での1週間の上映が年末だった場合、この10の市場での上映は年明けになってもいいが、その場合は事前に劇場公開計画をアカデミーに知らせておかなければならない。この変更は、オスカーが劇場用映画の賞であることをあらためて強調するもの。来年のオスカー授賞式は3月2日。文=猿渡由紀
2024年04月23日キリアン・マーフィーが、「アイルランドのオスカー」と呼ばれる「アイリッシュ・フィルム&TVアカデミー賞」で主演男優賞を受賞した。同賞にはキリアンのほか、アンドリュー・スコット(『異人たち』)、デヴィッド・ウィルモット(『Lies We Tell』)、バリー・コーガン(『Saltburn』)、バリー・ウォード(『That They May Face The Rising Sun』)、ピアース・ブロスナン(『The Last Rifleman』)がノミネートされていた。主演映画『オッペンハイマー』での演技が高い評価を受け、今年、米アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞、SAG賞と主要映画賞の主演男優賞を総なめにしてきたキリアン。母国での受賞は喜びもひとしおのようで、プレゼンターのリリー・グラッドストーン(『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』)からトロフィーを受け取ると、「故郷で大好きな人たちや尊敬する他の候補者たちと一緒に、この会場にいられるのはとても特別なことです」と満面の笑みで喜びを語った。受賞後、バックステージでは「多くの友人や仲間と故郷で過ごすのはうれしいことだと感じます」とやはり故郷愛を炸裂させた。地元メディアの「Irish Examiner」には出身地コークの人々のサポートに感謝を伝えた。「みなさんの応援は素晴らしかった。本当に純粋に感謝したいです。本当に素晴らしいサポートでした。私にとって非常に意味のあることです」と語った。(賀来比呂美)■関連作品:オッペンハイマー 2024年3月29日より全国にて公開© Universal Pictures. All Rights Reserved.
2024年04月22日Prime Videoは、『第96回アカデミー賞』で視覚効果賞を受賞した『ゴジラ-1.0』を5月3日から見放題独占配信する。1954年に初めて姿を現して以来、日本だけでなく世界中を魅了し、衝撃を与え続けてきた『ゴジラ』の70周年記念作品として製作された『ゴジラ-1.0』は、戦後復興へ向かって歩き出した日本を舞台に、ある日突然現れて無辜(むこ)の人々を無(ゼロ)から負(マイナス)へ叩き落そうとするゴジラと、ゴジラにあらがい必死に生きようとする人々の姿を描き、興行収入73億円、観客動員489万人(※2024年4月14日時点、※『ゴジラ-1.0/C』を含む)を記録した。山崎貴氏が監督・脚本・VFXを担当した本作は、日本の映画作品として初めて『第96回アカデミー賞』で視覚効果賞を受賞する歴史的な快挙を成し遂げた。さらに、『ゴジラ-1.0』の独占配信開始と合わせて、庵野秀明氏が脚本・総監督、樋口真嗣氏が監督・特技監督を務めた大ヒット映画『シン・ゴジラ』のモノクロ版となる『シン・ゴジラ:オルソ』を独占配信。また、1954年に劇場公開された第1作目の『ゴジラ』や第2作目の『ゴジラの逆襲』をはじめとするゴジラ邦画実写全30作品(派生モノクロ作品は作品数にカウントしない)を見放題配信する。■見放題対象作品・『ゴジラ-1.0』(※見放題独占配信)・『ゴジラ-1.0/C』(※見放題独占配信)・『シン・ゴジラ:オルソ』(※見放題独占配信)・『シン・ゴジラ』・『ゴジラ』・『ゴジラの逆襲』・『キングコング対ゴジラ』・『モスラ対ゴジラ』・『三大怪獣 地球最大の決戦』・『怪獣大戦争』・『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』・『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』・『怪獣総進撃』・『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』・『ゴジラ対ヘドラ』・『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』・『ゴジラ対メガロ』・『ゴジラ対メカゴジラ』・『メカゴジラの逆襲』・『ゴジラ (’84) 』・『ゴジラVSビオランテ』・『ゴジラVSキングギドラ』・『ゴジラVSモスラ』・『ゴジラVSメカゴジラ』・『ゴジラVSスペースゴジラ』・『ゴジラVSデストロイア』・『ゴジラ2000 -ミレニアム-』・『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』・『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』・『ゴジラ×メカゴジラ』・『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』・『ゴジラ FINAL WARS』※『シン・ゴジラ』は現在見放題配信中。
2024年04月16日第96回アカデミー賞で作品賞を含む最多7部門を受賞したクリストファー・ノーラン監督の最新作『オッペンハイマー』の日本での興行収入が10億円を突破、世界興収は10億ドルに迫る大ヒットを記録している。クリストファー・ノーランが監督、脚本を務め、主演のキリアン・マーフィーほかエミリー・ブラント、マット・デイモン、ロバート・ダウニー・Jr.、フローレンス・ピュー、ジョシュ・ハートネット、ケイシー・アフレック、ラミ・マレック、ケネス・ブラナーら豪華俳優陣が出演した本作。ノーラン監督は、IMAX®65ミリと65ミリ・ラージフォーマット・フィルムカメラとを組み合わせた、最高解像度の撮影を実践。また、本作のためだけに開発された65ミリカメラ用モノクロフィルムを用い、史上初となるIMAX®モノクロ・アナログ撮影を実現した。本作は、世界興収10億ドルに迫る大ヒットを記録、実在の人物を描いた伝記映画としては歴代1位となった。日本では3月29日に公開され、IMAX、Dolby Cinema、35mmフィルムで同時公開。日本国内の興行収入は4月14日時点で累計11億736万5480円を突破し、3週連続で洋画ランキング1位を獲得している。『オッペンハイマー』は全国にて公開中。(シネマカフェ編集部)■関連作品:オッペンハイマー 2024年3月29日より全国にて公開© Universal Pictures. All Rights Reserved.
2024年04月15日11日、第77回カンヌ国際映画祭の公式上映作品が発表された。最高賞のパルム・ドールを競うコンペティション部門には19作品が選出。フランシス・フォード・コッポラ監督の久々の新作でアダム・ドライバー主演の『Megalopolis(原題)』、ヨルゴス・ランティモス監督×エマ・ストーン主演が3度目のタッグを組んだ『憐れみの3章』、若きドナルド・トランプをセバスチャン・スタンが演じる『The Apprentice(原題)』などが上映される。ラインアップが明らかになったのと同時に、複数の作品が新たな動画や画像などを解禁。『Emilia Perez』に出演しているセレーナ・ゴメスは「これをみんなに見せるのを待っていた!」とインスタグラムにポスター写真を投稿し、サーチライト・ピクチャーズは『憐れみの3章』よりエマ・ストーンが不思議なダンスを踊っている動画を公開中だ。第77回カンヌ国際映画祭は5月14日から25日まで開催される。審査員長はグレタ・ガーウィグが務める。【コンペティション部門】『All We Imagine as Light』パヤル・カパディア監督『Anora』ショーン・ベイカー監督『The Apprentice』アリ・アッバシ監督『Bird』 アンドレア・アーノルド監督『Feng Liu Yi Dai』(英題:Caught by the Tides)ジャ・ジャンクー監督『Emilia Perez』ジャック・オーディアール監督『Pigen Med Nalen』(英題:The Girl With the Needle)マグヌス・フォン・ホーン監督『Grand Tour』ミゲル・ゴメス監督『憐れみの3章』ヨルゴス・ランティモス監督『L’Amour Ouf』 ジル・ルルーシュ監督『Limonov: The Ballad』 キリル・セレブレニコフ監督『Marcello Mio』クリストフ・オノレ監督『Megalopolis』 フランシス・フォード・コッポラ監督『Motel Destino』カリム・アイノズ監督『Oh, Canada』 ポール・シュレイダー監督『Parthenope』 パオロ・ソレンティーノ監督『The Shrouds』 デヴィッド・クローネンバーグ監督『The Substance』 コラリー・ファルジャ監督『Diamant Brut』(英題:Wild Diamond)アガーテ・リーディンガー監督(賀来比呂美)
2024年04月12日第二次世界大戦下、世界の運命を握った天才科学者オッペンハイマーの栄光と没落の生涯をクリストファー・ノーラン監督が映画化し、第96回アカデミー賞で作品賞、監督賞を含む最多7部門を受賞した『オッペンハイマー』の公開記念トークイベントが4月6日、都内で行われ、原田眞人監督(『日本のいちばん長い日』)、森達也監督(『福田村事件』)が作品の魅力を語った。原田監督は、『市民ケーン』『アラビアのロレンス』『レッズ』『ラストエンペラー』『アビエイター』といった偉人の生涯を描く名作映画を挙げながら、「どれも歴史に名を残した人物の栄光と挫折を描いて、それをスペクタクルにしている」と指摘。『オッペンハイマー』について「そういった作品に属すし、その最高峰。興奮しながら見ました」と激賞した。アカデミー賞で主演男優賞に輝いたキリアン・マーフィーについては、「あの繊細なキリアンで大丈夫かと不安だったが、繊細ながら、力強くて、表情ですべてを見せてくれる」と賛辞を送った。原田眞人森監督も「映像と音、いろんなものが渾然一体している。観ながら、すごく手応えがある映画」と絶賛。本作に対しては、広島・長崎の惨状が直接的に描かれていないという指摘もあるが、「オッペンハイマーの苦悩を通して、間接話法でしっかり描いていますよ。これは強烈な反核映画であり、反戦映画。映画だから、過剰に説明する必要もないし、足し算しないと不安になってしまうテレビでは無理」と映画としての魅力を語った。森達也この点について、原田監督も「逆に『オッペンハイマー』が中途半端に踏み込んでこなければいいなと思っていたし、彼の罪の意識は描かれている。映画の論理の見事さに感動しましたね」と同意。現在、原爆が投下された後の広島を描いた脚本に取り組んでいるといい、「(映画化は)やりたいんですけど、日本のお金だけじゃできない。でも『オッペンハイマー』が道を開いてくれたので、いつか作るぞと思っているし、世界の映画人がここから影響を受けて、作品を作っていくべき」と意欲を燃やした。また、森監督は「唯一の被爆国である日本が、なぜ、いまだに核兵器禁止条約に批准すらできないのか」と疑問を呈し、「この映画に対して、広島・長崎の描写が足りないって怒るなら、むしろそっちの方に、声を上げるべきじゃないかなと。この映画を観て、改めてそう思いました」と話していた。取材・文・撮影=内田涼<作品情報>『オッペンハイマー』(R15+)公開中公式サイト:
2024年04月06日アカデミー賞作品賞&脚本賞Wノミネートを果たした、A24と韓国CJ ENM初の共同製作で贈る注目作『パスト ライブス/再会』。この度、長回し1テイクで撮影したという本作のラストシーンの場面写真が解禁となった。ニューヨークで再会の数日間を過ごしたノラとヘソン、まだ暗い明け方に見つめ合う2人の様子が切り取られた本シーン。本作を鑑賞したマスコミ陣からは「ロマンチックなのに禁欲的」「お互いの感情を抑えた前半がラストシーンに繋がっている」「ラストシーンは涙が止まらなかった」「久しぶりに試写室で号泣した」などの感想が上がっているという。ノラとへソンはお互いに視線をそらさずに向き合うが、口にする言葉はない。幼なじみという関係性を変えるのには十分な時間だったはず。ノラを演じたグレタ・リーは「あのシーンだけでも1本の映画になるくらいだと思いました」と撮影をふり返る。「あの瞬間、本当に数えきれないくらいの感情が渦巻いていて…。脚本では2分と書かれていたのですが、実際は45秒でした。監督のセリーヌ(・ソン)は、この時間を耐えられないくらい長くて、同時にものすごく短いようにも描きたいと言っていたのですが、それは私も演じていて本能的に感じることが出来ました」と明かす。また、このシーンは長回しの1テイクで撮り切ったという。「どのような撮影になるのか事前にしっかりと教えてもらっていませんでした。でもそれがセリーヌの素晴らしいところで、彼女には決断力があって何をどうしたいのか明確に分かっていたんです」とグレタは語る。実際に、彼女とヘソンを演じたユ・テオはお互いに向き合うという演出と、カメラの位置だけは分かっていたものの、それ以外は何も知らされていなかったそうだ。ユ・テオにとってもこのシーンの撮影は印象深かったようで、「まるで永遠かに思えました」と語る。セリーヌ・ソン監督の演出については、「これだ!と監督が思える演技ではないといけないと考えていました。なので、自分の持っているものをこのシーンに全て出し切りました」という。「言えないこと・見せないことにとても価値があると思ったからです。このシーンには、完全にセリーヌの監督としての才能が表れていると思います」と、その魅力に触れた。まるでドキュメンタリーのように、その場で生まれる心の動きをリアルに写し出した、奥ゆかしくて美しい、抑制されるほどに官能的でもあるラストシーン。『パスト ライブス/再会』を唯一無二の映画にした、映画史に残るであろう奇跡のような1シーンとなっている。『パスト ライブス/再会』はTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開中。(シネマカフェ編集部)■関連作品:パスト ライブス/再会 2024年4月5日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開2022 © Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved
2024年04月05日本年度アカデミー賞作品賞&脚本賞ノミネートの注目作『パスト ライブス/再会』より本編映像が解禁された。ソウルで初めて恋に落ちた幼なじみのふたりが、24年後の36歳、N.Y.で再会する7日間を描いた本作。この度解禁となった本編映像は、24年ぶりにN.Y.で再会したノラとヘソン、さらにノラの夫・アーサーの3人が午前4時にバーを訪れた一幕を描いた最も重要なシーンのひとつ。ノラは英語と韓国語が話せ、韓国で暮らすヘソンは韓国語を話し、ノラの夫・アーサーは英語を話し、韓国語が分からない。ノラが2人の間で英語と韓国語でコミュニケーションを取り談笑していたが、ヘソンが隣にいるノラへ募る思いを打ち明け始めると、やがて会話は韓国語ばかりに。自然と体の向きや、カメラワークもツーショットがメインとなることで、みるみる2人だけの空間となっていく様子が切なく描かれる。「一緒にいると妙なこと考える」と切り出すヘソン。「12年前のあの時もし僕がNYに来ていたら?」「君がソウルを去らなかったら?」、2人の間にあった「もしもあの時…」の過去に思いを馳せる。言葉が分からないアーサーは、耳を傾けては遠くを見つめ決して口は挟まない。「君が国に残り一緒に大人になったら?」「僕たちは付き合った? それとも別れた?」「結婚したのかな」とヘソンが、ノラという初恋との再会に想いを馳せて心の内を打ち明ける。誰しもに訪れる人生の選択や人生の分岐点、あの時の思い出を掘り起こし、これまで選択した人生と選択しなかった人生を想起させる。本作がラブストーリーの枠だけにとどまらないことを表すシーンとなっている。実際に、セリーヌ・ソン監督は本作の構成について、「リアルな人生を見ているようにこの映画を描きたかったのです」とふり返っている。さらに本作の物語設定は、ある種普遍的であり世界中の人が共感できる内容である。それでいて、主要キャラクターである3人は、全員がどこか現代的で、精神的に大人である印象を抱く。その点について、ソン監督は「主人公が子供っぽい行動をとるのと同じくらい、大人としての行動ができることにはドラマがあると思っています。自分の気持ちや自分が何がどうしたいのかを優先するのではなくて、相手を思いやり努力すること、大人としての行動をとることにはドラマがある」と語る。実際に本作は、陰気な三角関係とはかけ離れた、独特な3人の関係性が描かれている。ヘソンは、ノラやその夫・アーサーのことを気遣いながらN.Y.での時間を過ごし、アーサーも複雑な感情を内に秘めながらも「会うなとは言えないよ」と遥々ノラを訪ねてきたヘソンへ紳士的な対応をとるなど、互いが互いを尊重する描写の数々が見られる。そんな「大人」な3人の関係性が本作特有のドラマを生み出している。『パスト ライブス/再会』は4月5日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:パスト ライブス/再会 2024年4月5日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開2022 © Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved
2024年04月02日アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した『マリウポリの20日間』が4月26日(金)より公開されることが決定。予告編とポスター、シーン写真が解禁された。2022年2月、ロシアがウクライナ東部に位置するマリウポリへの侵攻を開始。これを察知したAP通信のウクライナ人記者であるミスティスラフ・チェルノフは、仲間とともに現地に向かった。ロシア軍の容赦のない攻撃による断水、食料供給や通信の遮断…瞬く間にマリウポリは孤立していく。海外メディアが次々と脱出していく中、彼らはロシア軍に包囲された市内に残り、死にゆく子どもたちや遺体の山、産院への爆撃など、侵攻するロシアによる残虐行為を命がけで記録、世界に発信し続けた。取材班らも徐々に追い詰められていく中、滅びゆくマリウポリと戦争の惨状を全世界に伝えるため、チェルノフたちは辛い気持ちを抱きながらも市民を後に残し、ウクライナ軍の援護によって市内から脱出することになる…。戦火に晒された人々の惨状をAP通信取材班が命がけで撮影を敢行し、決死の脱出劇の末、世界へと発信された奇跡の記録映像を基に製作された本作。この度解禁された予告編では、マリウポリで実際に起こった凄惨な現実と、この状況が報道され世界へ拡散されることで<世界が変わる>という一縷の可能性を信じる人たちの姿を捉えている。街中では、ロシア軍の印<Z>が刻まれた戦車が走り、爆撃投下を知らせるサイレンに怯えながら地下に避難する市民、やがて産科病院さえもターゲットになり妊婦らが被弾、大きなお腹のままで担架で運ばれ、小さな子どもは「死にたくないの」と、訴える。穏やかだった日常から一転、混沌の渦となってしまったマリウポリの様子が次々と映し出される。惨劇の被害者となった一般市民たちを治療する医師は取材班に懇願、「この光景を必死に忘れようとしても、決して忘れることはできない」と監督自身が語る<歴史の現実>を、容赦なく世界の人々へと突きつける映像となっている。併せて解禁された本ポスターでは、戦地となり、荒れ果ててしまったマリウポリの街を記録する取材班の姿が切り取られている。他メディアが撤退した後も「真実を語る」ために、命をかけて最後まで残り続けたAP取材班の命がけの覚悟を映し出すようなビジュアルとなっている。さらにシーン写真5点も解禁。ポスタービジュアルにも採用された、マリウポリを記録するために荒れてしまった街を取材するAP取材班の姿、ロシア戦車によってアパートが爆撃される様子、空爆によって被害を受けた産科病院から怪我をした妊婦が運び出されるカットのほか、取材チームの1人でもある写真家のエフゲニー・マロレトカが、空爆の後にマリウポリ市内の産科病院から立ち上る煙を指さす姿、マリウポリ市内で避難生活を送る人々を捉えている。「おそらく私はこの壇上で、この映画が作られなければ良かった、などと言う最初の監督になるだろう」と、アカデミー受賞式の壇上でコメントした、本作の監督であり、ジャーナリストのミスティスラフ・チェルノフ。AP通信社のビデオジャーナリスト、そしてウクライナ職業写真家協会の会長でもある彼は、ウクライナ東部の出身で、2014年にAP通信に入社して以来、欧州やアジア、中東の主要な紛争、社会問題、環境危機を多数取材、長年の同僚であるエフゲニー・マロレトカと、ウクライナの戦争に関連した問題を取材、報道しているワシリーサ・ステパネンコの3人の報道チームで共にマリウポリ包囲戦の取材を行い、ロシアによるこの都市に対する攻撃の目撃者たちの証言を世界に伝えた。なお、本報道で、ともに取材を敢行したチームとともに2023年にピューリッツァー賞公益賞を受賞した。チェルノフは現在ドイツに拠点として活動しており、過去には英国王立テレビ協会により、2016年年間最優秀カメラマン、2015年年間最優秀若手人材にも選出されている。『マリウポリの20日間』は4月26日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて緊急公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:マリウポリの20日間 2024年4月26日よりTOHO シネマズ⽇⽐⾕ほか全国にて公開©2023 The Associated Press and WGBH Educational Foundation
2024年04月02日第32回林忠彦賞は、78点の応募作品の中から厳正な審査の結果、奥山 淳志(おくやま あつし)さんの「BENZOESQUISSES 1920-2012」(ベンゾウ エスキース)に決定しました。この賞は、戦後の写真界に大きな足跡を残した、周南市出身の写真家・林忠彦の多彩な業績を記念し、周南市が周南市文化振興財団とともに創設したものです。時代ととともに歩む写真を撮り続けた林忠彦の精神を継承し、未来を切り開く写真家の発掘を目指すものです。授賞式は、4月20日(土)に周南市にて行います。また、受賞記念写真展を4月20日(土)から4月29日(月・祝)まで周南市美術博物館で開催します。また、4月21日(日)には、奥山淳志さんのトークショーも行います。授賞式日時:4月20日(土)14:00~16:00会場:遠石会館 千歳の間(周南市遠石2丁目3-1)第一部授賞式第二部大石芳野選考委員長の講演※参加無料※参加ご希望の方は電話でお申し込みください。(周南市美術博物館 0834-22-8880)受賞記念写真展日時:4月20日(土)~29日(月・祝)9:30~17:00※22日休館会場:周南市美術博物館※観覧無料奥山淳志氏トークショー日時:4月21日(日)10:30~会場:周南市美術博物館講座室定員:40名(先着順)話し手:奥山淳志氏聞き手:有田順一(周南市美術博物館館長、林忠彦賞選考委員)※聴講無料※参加ご希望の方は電話でお申し込みください。(周南市美術博物館0834-22-8880)受賞作品「BENZO ESQUISSES 1920-2012」第32回林忠彦賞受賞作品作品について奥山淳志 写真集「BENZO ESQUISSES 1920-2012」発行所 私家版発行日 2023年8月1日発行定価 6,600円(税込)A4変型(300×225mm) 176ページ写真点数127点内容作者の奥山さんは、北海道の大自然の中で自給自足で暮らす井上弁造さんと25歳のときに出会いました。彼の暮らしぶりや生き方に触れ、彼が2012年に92歳で亡くなったのちも現在まで、26年にわたり彼の生きざまを写真で伝え続けています。2018年に『BENZO 弁造』、続いて翌年には『庭とエスキース』にまとめあげ、この『BENZOESQUISSES 1920-2012』は3作目となります。様々な事情により絵描きへの夢は叶わなくても一生絵を描き続けた弁造さん。この写真集は、長年にわたり弁造さんと向き合ってきた作者が、彼の死後、遺されていた膨大なエスキース(習作)を通して、人間が生きるということがどういうことかを真摯に見つめようとした作品です。本作は、一見、画集のようにも見えますが、絵を単に複写しているわけではなく、弁造さんが暮らしていた丸太小屋の周りの植物などを絵に重ね、またそれらを影としても写し込んでいます。弁造さんが遺した絵を通して、彼の心情や思いを読み解いていこうとする斬新な表現が高く評価されました。写真集には詩情豊かでポエジーな雰囲気が漂います。作者の弁造さんへの愛情あふれる温かいまなざしが感じられる作品です。受賞者プロフィール奥山 淳志 さん経歴1972年大阪生まれ、奈良育ち。京都外国語大学卒業1998年岩手県雫石に移住し、写真家として活動を開始2006年フォトドキュメンタリーNIPPON(『Country Songs ここで生きている』)2015年 第40回伊奈信男賞(『あたらしい糸に』)2018年 日本写真協会新人賞(『弁造 Benzo』)2019年 第35回写真の町東川賞特別作家賞(『弁造 Benzo』)2022年 令和3年度岩手県美術選奨(『動物たちの家』)主な活動【写真展】2006年「Country Songs ここで生きている」ガーディアンガーデン(東京)・ギャラリーヒラキン(岩手)2008年「明日をつくる人」新宿ニコンサロン(東京)2010年「Drawing 明日をつくる人 vol.2」トーテムポールフォトギャラリー(東京)2012年「彼の生活 Country Songsより」銀座ニコンサロン(東京)2015年「あたらしい糸に」銀座ニコンサロン(東京)・大阪ニコンサロン(大阪)2018年「庭とエスキース」銀座ニコンサロン(東京)・大阪ニコンサロン(大阪)2019年「さようならのはじまり」KOBE819 GALLERY(神戸)2019-20年「弁造さんのエスキース展」全国巡回2020年「光のゆくさき」上り屋敷ギャラリー(東京)2021-22年「動物たちの家」全国巡回2023-24年「BENZO ESQUISSES 1920-2012」全国巡回【写真集】2018年『弁造 Benzo』(私家版)2019年『庭とエスキース』(みすず書房)2021年『動物たちの家』(みすず書房)2023年『BENZO ESQUISSES 1920-2012』(私家版)受賞コメントこのたびの林忠彦賞の受賞を大変光栄に思っております。今回の写真集は、僕が25歳のときに、北海道の新十津川で出会った井上弁造さんが遺したエスキース(習作)がモチーフとなっています。一見するとそれは女性を描いた絵に過ぎません。実際、僕もずっとそう思っていました。しかし、弁造さんの「生きること」に触れ続けてきた25年間以上の日々は僕に、エスキースの声なき声を聞きとる力を与えてくれたように感じます。絵のなかの女性たちは歌うように話しかけてきます。「井上弁造さん」という、すでにこの世には存在しないひとりの人間の存在の物語を語って聞かせてくるのです。写真を撮り続ける毎日は、表現することへの逡巡を噛み締める日々だったと思います。しかし、その一方、写真を撮る行為を通じてしか得られない大切なものに出会うことができたとも思っています。この賞を授けてくださった審査員の先生方、そして、今も僕のそばにいてくれる井上弁造さんの魂に感謝いたします。第32回 林忠彦賞最終候補作品※五十音順、敬称略安掛 正仁 (あがけ まさひと)「朧眼風土記」 写真集金川 晋吾 (かながわ しんご)「長い間」 写真集菅野純(かんの じゅん)「Planet Fukushima」 写真集・写真展藤本巧(ふじもと たくみ) 「朝鮮通信使誠信の交わり全弐巻」写真集淵上 裕太 (ふちかみ ゆうた)「上野公園」 写真集・写真展松村 和彦 (まつむら かずひこ)「心の糸」写真展三島正(みしま ただし)「Flat」 写真集・写真展水島 貴大 (みずしま たかひろ)「環島回憶錄Memoirs of Huandao」写真展山下 晃伸 (やました あきのぶ)「夜光性静物観察記」写真展梁丞佑(やん すんうー)「荷物」 写真集林忠彦賞について賞についてこの賞は、戦後写真界に大きな足跡を残した写真家・林忠彦の多彩な業績を記念し、周南市と公益財団法人周南市文化振興財団が1991(平成3)年に創設したものです。1996(平成8)年には第46回日本写真協会文化振興賞を受賞しました。趣旨わが国の写真文化の発展において、林忠彦は木村伊兵衛、土門拳、渡辺義雄各氏などの先輩写真家とともに日本写真家協会設立に尽力する一方、昭和28年、二科会に写真部を創設、以後、全国のアマチュア写真家の資質の向上に最後まで全力を傾注しました。こうした氏の遺志を生かしアマチュア写真の振興を目的として本賞を設立しました。デジタル化の急速な進歩により多極化する表現形態に対応するため、第12回から新しい写真表現を目指す作家の参入も推し進めました。さらに第18回より、これまでの経験をもとに、対象をプロ作家にまで広げ、時代とともに歩む写真を撮り続けた林忠彦の精神を継承し、それを乗り越え未来を切り開く写真家の発掘を目指す賞へと拡大しました。応募資格国内居住であれば、アマチュア、プロ、年齢、性別、国籍を問いません。ただし、2023年1月1日~2023年12月31日の写真展、写真集、カメラ雑誌等の表現媒体で、すでに発表された作品に限ります。選考できるだけ広い視野のもとで候補作品を絞るために、写真界各層の関係者約250名より推薦を受けた推薦作品と、公募による自薦作品の中から選考委員5名(大石芳野、笠原美智子、河野和典、小林紀晴、有田順一(周南市美術博物館館長)の各氏)による選考委員会によって決定します。公式サイト周南市美術博物館:林忠彦賞公式サイト : 【この件に関する問い合わせ先】周南市美術博物館林忠彦賞事務局TEL : 0834−22−8880 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2024年03月29日映画『ゴジラ-1.0』(公開中)のアカデミー賞受賞記念ポスターARが、リリースされた。○■映画『ゴジラ-1.0』、北米邦画実写映画の興行収入記録で歴代1位をマーク第96回アカデミー賞において、アジア圏の映画で初めて「視覚効果賞」を受賞した同作。24日までの公開143日間で観客動員449万人、興行収入68.3億円を突破し、2023年に日本で公開された実写映画ランキングで第1位を記録した。また、北米では現地時間の2月1日までの63日間で上映が終了し、最終興行収入は5641万ドルとなり、北米で公開された邦画実写映画の興行収入記録を大きく塗り替えて歴代1位、北米公開の外国語実写映画の歴代興収でも3位という記録を残した。今回リリースされたのは、スマートフォンでQRコードにアクセスし、『ゴジラ-1.0』上映劇場で掲出中の凱旋上映ポスターを読み込むと、AR上で特別な演出を見ることができる「『ゴジラ-1.0』アカデミー賞受賞記念ポスターAR。ポスターから数々の名場面映像が飛び出し、最後にはゴジラが動き出す? 特別な演出を観ることができる。【編集部MEMO】映画『ゴジラ-1.0』は、ゴジラ70周年記念作品であり、日本で製作された実写版ゴジラの30作品目という特別な節目である最新作。監督・脚本・VFXを、自身もゴジラのファンであることを公言する山崎貴が務め、主人公・敷島浩一を神木隆之介、ヒロイン・大石典子を浜辺美波が演じている。さらに山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介といった、実力派俳優陣が勢揃いした。(C)2023 TOHO CO., LTD.
2024年03月29日第96回アカデミー賞で作品賞、監督賞を含む最多7部門受賞に輝いたクリストファー・ノーラン監督の最新作『オッペンハイマー』が明日から公開になる。これまで数々の衝撃作、大作を手がけてきたノーラン監督は本作で何を描くのだろうか?本作は、1904年にアメリカで生まれ、米軍が進めた原子爆弾製造計画「マンハッタン計画」に参加した天才物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの半生が描かれる。劇中では彼が出会った人々、歴史を永遠に変えてしまうほどの発見とその顛末、時代の波に翻弄される様、彼の私生活が次々に描かれる。そのビジュアルは壮大で鮮烈。ノーラン監督がこだわり続けているIMAX/ラージフォーマットで撮影された映像も観客を圧倒するだろう。その一方で、本作についてノーラン監督はこう語っている。「オッペンハイマーの物語は、我々の前にある最も壮大な物語のひとつだ。逆説と倫理的なジレンマに満ちていて、私がずっと関心を抱き続けてきた類の素材なんだ。映画は、なぜ彼らがこんなことをしたのか人々に理解させると同時に、それを“すべき”だったのかどうかを問う」劇中ではオッペンハイマーが経験した出来事だけでなく、彼が感じた葛藤やジレンマが巧みに描かれる。「トリニティ実験の下準備中に、オッペンハイマーとそのチームは非常に小さな可能性を目にしていた。彼らがこの最初の爆弾のボタンを押して起動させたら、連鎖反応が起きて地球の大気を焼き、地球を破壊するかもしれない。いかに小さくても、その可能性を完全に排除することができる数学的、理論的根拠は存在しない。それでも彼らはボタンを押した。私は観客をその部屋に連れ込み、その会話が交わされるときに、ボタンが押されるときに、立ち会ってもらいたかった」この瞬間、客席のあなたは何を感じるだろう?オッペンハイマーは何を感じていただろう。そこには葛藤や恐怖、知的好奇心、不安、重圧があったのではないだろうか?このボタンを押せば、世界は永遠に変わってしまう。そのとき、人は何を感じるのか?それは言葉で表現したり、映画で描けるものなのか?ノーラン監督が本作で最も描きたかったもの、それは観客であるあなたを“その瞬間”に連れていくことだ。オッペンハイマーだけでなく、映画を観るあなたも試される。何度も劇場に足を運び、繰り返し“その瞬間”に立ち会う観客は今後も増え続けるだろう。『オッペンハイマー』本予告『オッペンハイマー』3月29日(金)公開公式サイト()(C)Universal Pictures. All Rights Reserved.Photo:AFLO
2024年03月28日第96回アカデミー賞で作品賞、監督賞を含む最多7部門を受賞したクリストファー・ノーラン監督最新作『オッペンハイマー』が3月29日(金)より全国公開。この度、ノーラン監督が主人公オッペンハイマーの妻キティ役を演じ、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされたエミリー・ブラントについて語る特別インタビュー映像がシネマカフェに到着した。3月25日には、IMAX®、Dolby Cinema®、35mmフィルム版による3劇場同時刻新宿ジャック「トリプルTOKYOプレミア」が行われた本作には、「映画という表現の一つの到達点。クリストファー・ノーラン監督と同じ時代に生まれて本当に幸運だ」「21世紀最高の映画の一つ」「1秒も飽きさせない」など、作品を高く評価するコメントが寄せられた。また、アカデミー賞を受賞したキリアン・マーフィー、ロバート・ダウニーJr.ら俳優陣の演技には、「キャスト陣の鬼気迫る演技」「役者、音楽、脚本、演出、編集どれも最高のクオリティ」「否が応でも登場人物の視線に立たされた」といった声が上がり、オッペンハイマーの妻キティを演じたエミリー・ブラントの演技には「オッペンハイマーと初めて出会った時のエミリー・ブラントの懇願するような瞳はずば抜けて良かった」と激賞するコメントも寄せられている。エミリーが演じたのはオッペンハイマーの妻、キャサリン(キティ)・オッペンハイマー。生物学者、植物学者のキティは、女性が男性を支えるべきとされていた当時の社会の慣習や期待に抗った現代的な女性だ。映像でノーラン監督は「エミリー・ブラントは驚異的な俳優です」と語り始める。キティを演じること自体が、エミリーにとって「とてもユニークな挑戦だったと思います」と言い、「なぜならキティ・オッペンハイマーはとても複雑な人だったから。とても無愛想なのです。彼女は周囲の多くの人々を疎外しました」と続ける。「でも、オッペンハイマーの人生において彼女がどのような存在だったかという現実を見れば、彼女は明らかに、この物語全体において重要な人物なのです」と、キティ・オッペンハイマーという存在の重要性を示した。監督は、難役を担ったエミリーの演技について、「キティというキャラクターのより厄介な側面から逃げることなく、正直に演じることができたと思います。人間としての彼女の心を見つけることができた。そして彼女は、キティとロバート・オッペンハイマーとの関係に(観客を)引き込むことができました」と言及する。そして、「マンハッタン計画」のために奔走し、トリニティ実験を成功させ、その後に原爆が与える影響に苦悩し続けた夫オッペンハイマーを支え続けたキティを演じきった「エミリーは、このキャラクターの感情的な人生を明らかにして、2人の間にある特別な絆と、彼が成し遂げたことすべてにおいて彼女が果たした非常に重要な役割を感じさせてくれたと思います」と、物語に奥行きを与えるエミリーの演技を讃えている。『オッペンハイマー』は3月29日(金)より全国にて公開。IMAX®劇場全国50スクリーン、Dolby Cinema®全国10スクリーン、35mmフィルム版109シネマズプレミアム新宿にて同時公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:オッペンハイマー 2024年3月29日より全国にて公開© Universal Pictures. All Rights Reserved.
2024年03月27日第96回アカデミー賞にて最多13部門ノミネート、作品賞・監督賞・主演男優賞など最多7部門を制したクリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』が、いよいよ日本で3月29日(金)より公開される。本作は、世界の運命を握った天才科学者の実話に基づく物語。キリアン・マーフィー演じる天才科学者J・ロバート・オッペンハイマーが第二次世界大戦下に率いた「マンハッタン計画」での原爆の開発過程と、イギリス・ドイツ留学時代から大戦後の“冷戦”までを行き来しながらオッペンハイマーの半生が描かれていく。そこで今回は、オッペンハイマーと各時代で関わりを持ち、影響を与え合ったキャラクターたちに注目。ノーラン監督作品の常連メンバーやアカデミー賞俳優、大ヒット映画・海外ドラマで知られる俳優たちが多数名を連ねている。主要キャラクターJ・ロバート・オッペンハイマー/キリアン・マーフィー主人公となるアメリカの理論物理学者。第二次世界大戦中に、ロスアラモス国立研究所にて原子爆弾の開発・製造を目的とした「マンハッタン計画」を主導。広島、長崎への原爆投下による惨状を知り、戦後の原子力政策には反発する。【主な出演作】:ノーラン監督の『ダンケルク』『インセプション』『ダークナイト』トリロジーほか、『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』『麦の穂をゆらす風』『プルートで朝食を』『28日後…』「ピーキー・ブラインダーズ」など。アイルランド生まれの俳優として本作で初のアカデミー賞受賞。キャサリン・オッペンハイマー/エミリー・ブラント“キティ”の愛称で呼ばれたロバート・オッペンハイマーの妻。生物学者で植物学者。ロバートと結婚する前に三度結婚していた。ロスアラモス時代にアルコール依存と闘うも、生涯オッペンハイマーを支え続けた。【主な出演作】:『メリー・ポピンズ リターンズ』『クワイエット・プレイス』『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』『ヴィクトリア女王 世紀の愛』『プラダを着た悪魔』ほか。本作で初のアカデミー賞ノミネート。レズリー・グローヴス/マット・デイモンアメリカ陸軍工兵隊の将校。政府の極秘プロジェクト「マンハッタン計画」の責任者。オッペンハイマーに白羽の矢を立て、ニューメキシコ州ロスアラモスに研究所を建設。新型爆弾の開発を急ぐ政府からの圧力に腐心する。【主な出演作】:『AIR/エア』『オデッセイ』『ディパーテッド』『オーシャンズ』シリーズ、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』など。ノーラン監督の『インターステラー』にカメオ出演。ルイス・ストローズ/ロバート・ダウニー・Jr.アメリカ原子力委員会の委員長で、海軍少将。戦後、オッペンハイマーをプリンストン高等研究所所長に抜擢、原子力委員会にも迎え入れる。野心に満ちた人物で、やがて水爆実験をめぐりオッペンハイマーと対立を深めていく。【主な出演作】:『アイアンマン』『アベンジャーズ』シリーズのトニー・スターク役ほか、『シャーロック・ホームズ』シリーズ、『ゾディアック』『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』『チャーリー』など。本作でアカデミー賞助演男優賞を受賞。ジーン・タトロック/フローレンス・ピュー精神科医。知的で愛情深く、自由精神にあふれた女性。オッペンハイマーがカリフォルニア大バークレー校で物理学の教授をしていた1936年に出会い、恋人になる。ジーンが共産党員であったこともまた、彼の運命を狂わせてゆく。【主な出演作】:『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』でアカデミー賞助演女優賞にノミネート。『ブラック・ウィドウ』『ミッドサマー』『ファイティング・ファミリー』『レディ・マクベス』など。アーネスト・ローレンス/ジョシュ・ハートネットアメリカの核物理学者で発明家。社交的な性格で、カリフォルニア大学バークレー校でオッペンハイマーと意気投合し友人に。大学内のラボで共に研究を行い、その後、マンハッタン計画に関わる彼を支援する。【主な出演作】:『オペレーション・フォーチュン』『ブラック・ダリア』『パール・ハーバー』『ブラックホーク・ダウン』『ヴァージン・スーサイズ』『パラサイト』(98)など。ボリス・パッシュ/ケイシー・アフレックアメリカ陸軍の防諜部将校。ナチスドイツの核開発計画の調査を進め、マンハッタン計画時代のオッペンハイマーと面識がある。後に、オッペンハイマーが共産主義に傾倒していた疑いを証言する。【主な出演作】:『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でアカデミー賞受賞。『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』『ジェシー・ジェームズの暗殺』『ゴーン・ベイビー・ゴーン』『オーシャンズ』シリーズなど。デヴィッド・L・ヒル/ラミ・マレックイタリアの実験物理学者エンリコ・フェルミの助手。フェルミと共にマンハッタン計画に参加するが、後に日本への原爆使用に反対する請願書に署名する。【主な出演作】:『ボヘミアン・ラプソディ』でアカデミー賞受賞。『アムステルダム』『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』『ナイト ミュージアム』シリーズ、「MR. ROBOT ミスター・ロボット」など。ニールス・ボーア/ケネス・ブラナーデンマークの理論物理学者で、ノーベル物理学賞受賞者。20代のオッペンハイマーがケンブリッジ大学で出会う、心の師。精神的に追い込まれていたオッペンハイマーに、ドイツの大学で理論物理学を学ぶことを薦める。パトリック・ブラケット(ジェームズ・ダーシー)&ニールス・ボーア(ケネス・ブラナー)【主な出演作】:ノーラン監督『TENET テネット』『ダンケルク』ほか、『オリエント急行殺人事件』『ハリー・ポッターと秘密の部屋』『ヘンリー五世』など。『ベルファスト』『マイティ・ソー』『シンデレラ』などを監督。パトリック・ブラケット/ジェームズ・ダーシーケンブリッジ大学で、オッペンハイマーが苦手としていた実験物理学の教鞭をとっていた。【主な出演作】:『ダンケルク』ほか、「コンステレーション」『アベンジャーズ/エンドゲーム』「エージェント・カーター」『クラウド アトラス』など。イジドール・ラビ/デヴィッド・クラムホルツアメリカの物理学者で、オッペンハイマーの友人。マンハッタン計画には倫理的に反対の立場ながら、コンサルタントとしてトリニティ実験に立ち会う。【主な出演作】:「NUMB3RS/ナンバーズ 天才数学者の事件ファイル」チャーリー・エップス役ほか、「プロット・アゲンスト・アメリカ」「DEUCE/ポルノストリート in NY」など。ヴァネヴァー・ブッシュ/マシュー・モディーン軍事目的の科学研究を担ったアメリカ科学研究開発局のトップ。政府にマンハッタン計画を進言したひとり。【主な出演作】:「ストレンジャー・シングス 未知の世界」ブレナー博士役で知られるほか、『ダークナイト ライジング』『メンフィス・ベル』『フルメタル・ジャケット』など。ハンス・ベーテ/グスタフ・スカルスガルドマンハッタン計画の理論部門のトップ。トリニティ実験と長崎に投下された原爆の設計者。ハンス・ベーテ/グスタフ・スカルスガルド(左)【主な出演作】:「ヴァイキングス~海の覇者たち~」フロキ役ほか、『AIR/エア』「ニミュエ 選ばれし少女」「ウエストワールド」など。リチャード・ファインマン/ジャック・クエイドユダヤ系の若き理論物理学者で、マンハッタン計画に参加しトリニティ実験を見守る。ボンゴが趣味。後に彼の逸話集はベストセラーとなる。【主な出演作】:「ザ・ボーイズ」のヒューイ役で知られるほか、『スクリーム』『ランペイジ 巨獣大乱闘』など。ハーコン・シュヴァリエ/ジェファーソン・ホール作家。カリフォルニア大学バークレー校で同僚となったことをきっかけにオッペンハイマーの友人となる教授。共産主義者。【主な出演作】:『TENET テネット』『ハロウィン』「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」「ゲーム・オブ・スローンズ第一章:七王国戦記」など。エドワード・テラー/ベニー・サフディ理論物理学者。マンハッタン計画に参加し、トリニティ実験に立ち会うものの、水素爆弾の開発をめぐりオッペンハイマーと袂を分かつ。【主な出演作】:「オビ=ワン・ケノービ」『リコリス・ピザ』ほか、兄ジョシュと『アンカット・ダイヤモンド』『グッド・タイム』(出演も)『神様なんかくそくらえ』を監督。ウィリアム・ボーデン/デヴィッド・ダストマルチャン弁護士であり、連邦議会原子力合同委員会の元事務局長。冷戦下、オッペンハイマーに疑いをかける。【主な出演作】:『ダークナイト』『アントマン』シリーズ、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』『DUNE/デューン 砂の惑星』など。ケネス・ニコルス/デイン・デハーンマンハッタン計画を指揮するアメリカ陸軍レズリー・グローヴスの側近だったが…。ケネス・ニコルス/デイン・デハーン(右端)【主な出演作】:「ZeroZeroZero 宿命の麻薬航路」『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』『アメイジング・スパイダーマン2』『キル・ユア・ダーリン』『クロニクル』など。上院補佐官/オールデン・エアエンライク公聴会でルイス・ストローズに付き添う。【主な出演作】:『Fair Play/フェアプレー』『コカイン・ベア』『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』『ヘイル、シーザー!』など。ロジャー・ロッブ/ジェイソン・クラーク1954年、少人数で行われた聴聞会でオッペンハイマーを追い詰めていく弁護士。【主な出演作】:『ファースト・マン』『ナチス第三の男』『ターミネーター:新起動/ジェニシス』『ゼロ・ダーク・サーティ』など。アルベルト・アインシュタイン/トム・コンティノーベル賞受賞の物理学者。オッペンハイマーとはプリンストン高等研究所で同僚だった。【主な出演作】:『ダークナイト ライジング』ほか、『パディントン2』『テンペスト』『戦場のメリークリスマス』など。ほかにも注目したいキャラクターリリー・ホーニグ/オリビア・サールビーチェコ系の女性化学者。マンハッタン計画では“タイプ仕事”でなく、プルトニウムの研究チームに従事。トリニティ実験を目の当たりにし、日本への原爆使用に反対する請願書に署名。オリヴィア・サールビー Photo by Michael Buckner/Variety via Getty Images【主な出演作】:『JUNO/ジュノ』の親友リア役や、「Y:ザ・ラストマン」『ジャッジ・ドレッド』『ダーケストアワー 消滅』『ユナイテッド93』など。フランク・オッペンハイマー/ディラン・アーノルド放射線研究をしていた素粒子物理学者。兄ロバートと共にマンハッタン計画に参加、史上初の核実験“トリニティ実験”の機器開発に携わる。一時期、共産党に入党した過去も。ディラン・アーノルド Photo by Amy Sussman/Getty Images【主な出演作】:『ハロウィン KILLS』『ハロウィン』のキャメロン役ほか、Netflixシリーズ「YOUー君がすべてー」など。さらに、ナチスドイツ下で原爆開発に関わったヴェルナー・ハイゼンベルク役にNetflix映画『アーミー・オブ・ザ・デッド』『ハート・オブ・ストーン』のマティアス・シュヴァイクホファー。聴聞会をまとめた政治家ゴードン・グレイ役に海外ドラマ「スキャンダル」の大統領役で知られるトニー・ゴールドウィン、重要な記録をとった物理学者ルイス・ウォルター・アルヴァレズ役に『ヘレディタリー/継承』『オールド』のアレックス・ウルフらの姿も。ノーラン監督の娘、フローラ・ノーランが『インターステラー』に続いてカメオ出演、また、あるアカデミー賞俳優がアメリカ大統領役で特別出演している。マティアス・シュヴァイクホファー Photo by Kevin Winter/GA/The Hollywood Reporter via Getty Images/トニー・ゴールドウィン Photo by Amy Sussman/WireImage/アレックス・ウルフ Photo by Jeremy Chan/Getty Images『オッペンハイマー』は3月29日(金)より全国にて公開。IMAX(R)劇場全国50スクリーン、Dolby Cinema(R)全国10スクリーン、35mmフィルム版109シネマズプレミアム新宿にて同時公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:オッペンハイマー 2024年3月29日より全国にて公開© Universal Pictures. 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2024年03月27日アンドリュー・スコットとポール・メスカルの共演で、英国インディペンデント映画賞作品賞ほか最多7部門受賞、英国アカデミー賞6部門にノミネートされた『異人たち』。この度、2人がそれぞれ演じたアダムとハリーの出会いを描いた本編映像が解禁された。今回解禁されたのは、主人公・アダムとハリーが出会うシーンの本編映像。ロンドンにそびえ立つ真新しいタワーマンションの上層階で暮らすアダムは、12歳の時に両親を交通事故で亡くす悲劇を経験して以来、埋めようのない喪失感に苛まれずっと孤独に生きてきた。ある夜、ハリーと名乗るミステリアスな青年が、アダムの部屋のチャイムを鳴らす。日本製のウイスキーをちらつかせて「飲まない?」と誘ってくるハリー。「俺が怖い?」「部屋の外に吸血鬼がいるんだ」そんな謎めいたことを言う彼は酩酊しているよう。突然の訪問に戸惑うアダムだが、ハリーの姿からは、必死に人の温もりを求めているような、どこか切羽詰まった雰囲気が感じられる。ハリーもまた、アダムと同様に寂しさと孤独を抱えた日々を送っていたのだ。この日を境に、アダムはハリーのことを気にかけるようになり、次第に2人は親密な関係になっていく…。アダム役のアンドリュー・スコットは、TVシリーズ「SHERLOCK/シャーロック」のモリアーティ教授役で人気を博し、英国アカデミー賞TV部門助演男優賞を受賞。さらに『007 スペクター』『否定と肯定』「Fleabag フリーバッグ」『1917 命をかけた伝令』など話題作への出演が続き、いま絶大な支持を集める注目の実力派俳優。スコットは「アダムはとても孤独な人物です。とても危うい境地にまで行かなければならないという意味で、演じるのは大変な役でした」と自身が演じたアダムについて明かし、アダムを演じる難しさを痛感していたというが、出演については「即座に心を奪われました」と即決するほど魅了されたそう。また、ハリー役を演じたポール・メスカルは、『aftersun/アフターサン』で第95回アカデミー賞主演男優賞にノミネート、2023年には英国アカデミー賞TV部門主演男優賞を受賞した、いま大注目の期待の俳優。2024年以降の出演作として、リドリー・スコット監督の『Gladiator 2』(24)、クロエ・ジャオ監督の『Hamnet』(未定)、リチャード・リンクレイター監督の『Merrily We Roll Along』(未定)など、錚々たる作品に出演が決まっている。メスカルは自身が演じたハリーとアダムの関係について、「彼らは真のつながりを見つけるのだと思います。映画の中でアダムとハリーが持っているようなつながりを見つけるのは、ますます難しくなっているのです」と明かしている。劇中、2人は孤独によって見失った互いの魂を見つけ出すように深い愛を紡いでいき、心の底からのつながりを見出していく。そんな2人の関係は、他者とのつながりを求める全ての人の心にそっと寄り添うかのようで、その切なさに胸を打たれること必至だ。ミステリアスな暗い影と少年のような無邪気さが同居するハリーを好演したメスカルについて、ヘイ監督は「とても自然体で素晴らしい俳優で、以前から好きでした。繊細さと力強さが絶妙に融合された、実に興味深い存在です」と、次代を担う才能溢れる俳優として絶賛。スコットも「彼には信じられないほどの才能があります。親密なシーンをたくさんこなさなければなりませんでしたし、一緒に笑い合える相手、背中を押してくれる相手がいることはとても重要なことです」とコメントする。「この物語には悲しみがたくさんありますが、彼は、決して多くの俳優に備わっているわけではない、明るさを演じる能力を持っています」とポールの存在に助けられたことを明かしている。実はヘイ監督とスコット、メスカルは撮影前にライブに出かけ、互いの人生について語り合う時間を設けたそう。そのおかげで、早い段階から彼らの間には強い信頼関係が築かれ、繊細で胸を打つ、リアリティ溢れる演技がより豊かなものになっていったという。2人のほか、アダムの父親役・母親役として、『リトル・ダンサー』『ロケットマン』のジェイミー・ベル、「ザ・クラウン」『ウーマン・トーキング 私たちの選択』のクレア・フォイが出演。主な登場人物は彼らが演じるわずか4人。実力派キャストだからこそ成し得た、美しく夢幻的な映画体験が堪能できる。『異人たち』は4月19日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:異人たち 2024年4月19日より全国にて公開© 2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
2024年03月26日映画『ゴジラ-1.0』(公開中)のアカデミー賞受賞記念大ヒット御礼舞台挨拶が20日に都内で行われ、神木隆之介、浜辺美波、青木崇高、吉岡秀隆、佐々木蔵之介、山崎貴監督が登場した。同作は、ゴジラ70周年記念作品であり、日本で製作された実写版ゴジラの30作品目という特別な節目である最新作。監督・脚本・VFXを、自身もゴジラのファンであることを公言する山崎貴が務め、主人公・敷島浩一を神木隆之介、ヒロイン・大石典子を浜辺美波が演じている。第96回アカデミー賞で、アジア映画として初の視覚効果賞を受賞した。○■映画『ゴジラ-1.0』アカデミー賞受賞記念舞台挨拶舞台挨拶では、キャスト陣もオスカー像を1人ずつ持ってみることに。佐々木は「よく、オスカーを持ってる人は足のところを片手で持ってるからなんでだろうと思っていたら、確かにこう持ちたくなる像だなと思いました。持ってみて、ここが1番持ちやすい。これすごくいいですよ。素晴らしいです」と新たな発見があった様子。続く神木も「あ〜ここだあ!」とフィット。「重い! 重いですね。受賞された方って、こうやって(両手で)持つ方もいらっしゃれば、写真撮る時にはガッと片手で(持つ人も)。本当に重いですね」と重さを実感する。山崎監督は「みんなから『突き出せ』と言われるんですよ。最初はイエーイってやってるんですけど、ほんと重い。辛くなってきちゃう」と苦笑し、神木は「重厚感というか、この中にいろんな想いが詰め込まれてるんだなと思うと恐れ多いです」と噛み締めていた。また、佐々木が「『オスカー取ったら、賞金いくら?』と言うてくるやついるんですよ。ないですよね?」と尋ねると、山崎監督は「取らなかった人は、結構な金額のお土産をもらえるらしいんですよ」と意外な噂を披露。「僕ももらえるかと思ったら『ないです』と。もちろんこっち(オスカー)の方がいいですけど、いろんな協賛スポンサーからけっこうなお土産をもらえるらしいんです。数百万円分くらいのお土産がくるらしい」と驚かせ、「ガセかもしれないですけど」と付け加えていた。
2024年03月21日第96回アカデミー賞で作品賞、監督賞含む最多7部門受賞に輝いたクリストファー・ノーラン監督の最新作『オッペンハイマー』が、3月29日(金)から全国の映画館、IMAX劇場、Dolby Cinema、35mmフィルム版で同時公開になる。本作は、20世紀を生きた天才物理学者ロバート・オッペンハイマーを主人公にした物語で、大規模なアクションや巨大なモンスターが登場する映画ではない。しかし、ノーラン監督はこれまで同様、本作を大型カメラで撮影することにこだわった。なぜだろうか?ノーラン作品は、IMAXなどの大型カメラを用いて制作にあたることで知られている。『ダークナイト』で部分的に導入したIMAXカメラに魅了されたノーランは、新作を手がける度にラージフォーマット撮影の分量を増やしていき、本作も多くのシーンが65ミリフィルムで撮影された。『インターステラー』、『ダンケルク』、『TENET テネット』に続いて、本作で初のアカデミー賞撮影賞を受賞したホイテ・ヴァン・ホイテマを撮影監督に迎えたノーラン監督は「私とホイテが採用した撮影スタイルは非常にシンプルだが、力強いものだ。映画の世界と観客との間にいかなる障害もないこと、モノクロ映像以外、様式化されたところのない映像だった。特にカラー映像の場面は飾り気がなくシンプルな映像を望んだ。できるだけ自然で、世界の肌触りを伝えてくれるようなものだ」と語る。上記の作品をはじめ『007 スペクター』や『NOPE/ノープ』なども手がけるホイテマは、現代の映画界に欠かすことのできない撮影監督で、作品ごとに新たな手法、新たなルックに挑み続けている。本作で彼はIMAXカメラを用いて、人間ドラマを微細に描き出すことに挑んだ。「IMAXは、普通はスペクタクル用のフォーマットで、広い視野、壮大さを伝えるために使われます。撮影の最初から私の関心はクローズアップでも同じように力強いのかどうかにありました。我々は心理を撮影できるのだろうか?これを親密なメディアにできるのだろうか?これはいわば“口元に大金をかける映画”でした。物語がそれを要求したのです」ノーラン監督は本作の映像は、観客が「物語とリアリティの中に入り込むことができる」ものだと宣言する。「『オッペンハイマー』は大きな射程、スケール、視野を持つ映画だが、一方で私は観客にすべてが起こった部屋の中にいるように感じてもらいたかった。まるで自分がそこにいて、決定的な瞬間に科学者たちと一緒にいるかのように」スクリーンを観ているはずなのに、まるでそこに人がいるような感覚。映画『オッペンハイマー』は、IMAXの新たな可能性を見せる作品になりそうだ。『オッペンハイマー』本予告編『オッペンハイマー』3月29日(金)公開公式サイト()(C)Universal Pictures. All Rights Reserved.
2024年03月21日映画『ゴジラ-1.0』(公開中)のアカデミー賞受賞記念大ヒット御礼舞台挨拶が20日に都内で行われ、神木隆之介、浜辺美波、青木崇高、吉岡秀隆、佐々木蔵之介、山崎貴監督が登場した。同作は、ゴジラ70周年記念作品であり、日本で製作された実写版ゴジラの30作品目という特別な節目である最新作。監督・脚本・VFXを、自身もゴジラのファンであることを公言する山崎貴が務め、主人公・敷島浩一を神木隆之介、ヒロイン・大石典子を浜辺美波が演じている。第96回アカデミー賞で、アジア映画として初の視覚効果賞を受賞した。○■映画『ゴジラ-1.0』アカデミー賞受賞記念舞台挨拶に吉岡秀隆登場受賞の瞬間について聞かれると、吉岡は「僕、知らなくて。『三丁目の夕日』のプロデューサーの奥田(誠治)さんが朝LINEくださって、『山崎さん、やりましたね』と言うから、『ノミネートのことを言ってるのかな?』って」と気づいていなかったそうで、周囲を驚かせる。さらに吉岡は「いつも行くコンビニで、レジのおばさんが『ゴジラやりましたね、オスカー!』と言うから『とったんですか!?』『えー!!』って」と驚きのエピソード。山崎監督からも「だいぶずれたね」とツッコまれた吉岡は「あわてて監督にショートメールを送って、なかなか返ってこないから、『ああ、無視か』って。YouTtubeか何かで会見の動画上がってたところに監督から返ってきたので『見捨てられてなかった、僕』と思った」と振り返り、山崎監督は「飛行機乗ってたから、僕は」と苦笑していた。
2024年03月21日映画『ゴジラ-1.0』(公開中)のアカデミー賞受賞記念大ヒット御礼舞台挨拶が20日に都内で行われ、神木隆之介、浜辺美波、青木崇高、吉岡秀隆、佐々木蔵之介、山崎貴監督が登場した。同作は、ゴジラ70周年記念作品であり、日本で製作された実写版ゴジラの30作品目という特別な節目である最新作。監督・脚本・VFXを、自身もゴジラのファンであることを公言する山崎貴が務め、主人公・敷島浩一を神木隆之介、ヒロイン・大石典子を浜辺美波が演じている。第96回アカデミー賞で、アジア映画として初の視覚効果賞を受賞した。○■映画『ゴジラ-1.0』アカデミー賞受賞記念大ヒット御礼舞台挨拶開催神木は「伝言を預かっています。山田裕貴から。仕事で来れなかったんですけど『すごく行きたかった』と」と、今回舞台挨拶に登壇できなかった山田の言葉を明かす。「『監督と白組の皆さん、本当におめでとうございます。こんなにおめでたくて、皆さんと一緒に喜べる作品に出られて本当に幸せです。イエーイ』と言ってました」と伝え「彼の魂もここに」と空間を示す神木に、「死んでるみたい」とツッコミが入っていた。受賞の瞬間について聞かれると、神木は「役者仲間からも『おめでとう』と来て。でも1番最初に来たの、山田裕貴。と、あとはWOWOWで生放送してくれてた中島健人から、『とったよ!』と。山田裕貴からは『おめでとう! やばいね!』と来て」と振り返る。「みんなから、『おめでとう』『おめでとう』『すごいね』と。『こちらこそおめでとう』『やったね』『おめでとう、すごいね』と連絡して、一気に来まして。家族からもきましたし、会う方会う方おめでとうと言ってくれる。映画を観て『良かったよ、おめでとう』と言っていただけるので、本当に幸せなことだなと思っています」と噛み締めていた。
2024年03月20日第96回米アカデミー賞の授賞式が3月10日に開催され、宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』が長編アニメーション賞を受賞した。宮崎監督の作家性が強く出た作風に評価がわかれた同作は、1月30日現在での国内興行収入が88億4000万円。声優には、菅田将暉、木村拓哉、柴咲コウなど豪華キャストが勢揃いしたが、前作『風立ちぬ』の120億にはおよばない。今回の受賞を機に再び、注目が集まる宮崎アニメ。そこで本誌は、30代以上の女性300人を対象に、「宮崎駿アニメで一番つまらなかった作品」についてアンケートを実施した。第3位は宮崎監督の10年ぶりの新作として昨年公開された『君たちはどう生きるか』太平洋戦争中、母を亡くした12歳の少年が疎開先の田舎で謎のアオサギと出会い、異世界に迷い込むファンタジー作品。公開前のプロモーションや試写会をいっさい行わなかったこともあり、《まだ見ていない》(50代/専門職)《内容を知らない》(50代/派遣社員・契約社員)《つまらなそう》((40代/派遣社員・契約社員)という声が寄せられた。異世界を旅する少年の成長譚のなかに宮崎監督の自伝的要素も込められているという同作。映画を見たという人も、《何が言いたいのかさっぱりわからなかった》(60代/パート・アルバイト)《難しかった》(30代・無職)など、物語の内容が難解だったことを低評価の理由に挙げている。続く第2位は宮崎監督が模型雑誌で連載していた漫画を原作にした『風立ちぬ』同作は、零戦の設計者・堀越二郎の半生と、作家・堀辰雄の小説の内容が題材となった。実在の人物が登場し、関東大震災や戦争などの史実もストーリーに盛り込まれたが、《普通過ぎてしっかりとしたポリシーが感じられなかった》(60代/無職)《実在の人物のストーリーに興味がわかなかった。変にテーマ性を持ってこられると面白いと思わない》(30代/無職)《ストーリーに全く共感できなかった。登場人物にあまり魅力がなかった》《戦争というテーマが好きではなかった》(40代/専門職)と、否定的な声が寄せられた。また、ジブリらしいファンタジー要素やハラハラ、ドキドキの空中戦などもなかったからか、《堅苦しい感じがして》(50代/専業主婦)《印象が残っていない》(30代/派遣社員・契約社員)という声も。’13年に公開された同作を最後に、宮崎監督は長編アニメ製作から引退することを発表していたが、『君たちはどう生きるか』制作のために復帰した。そして第1位に選ばれたのは豚の姿になった飛行艇乗りが主人公の『紅の豚』。1920代末期のイタリアのアドリア海を舞台に、飛行艇に乗って空賊を倒して賞金を稼ぐ豚の姿をした主人公ポルコと歌手のジーナの恋模様を描いた同作。宮崎監督が、中年の男たちのために制作し、ほかのジブリ作品とは一線を画す大人向けの作品となったが、《興味のある題材でなかった》(70代/専業主婦)《内容が難しいと思った》(40代/パート・アルバイト)《当時、子供だった私にはストーリーや世界観が理解できなくてつまらなかった》(30代/無職)《心が惹かれなかった》(40代/会社勤務)などの声が多数。自分自身に魔法をかけて豚の姿になった主人公は、《キャラクターに共感できなかった》(30代/会社勤務)《子供ながらにキャラクターが怖かった》(30代/専業主婦)と、あまり受け入れられなかったようだ。ストーリーが難解なものや、ジブリらしいかわいいキャラクターが登場しない作品が、多くの女性の不評を買ってしまったよう。次回作には大人から子供まで夢中になれる愛すべきキャラクターの登場を期待したい!【宮崎駿アニメの中で一番つまらなかった作品ランキング】1位『紅の豚』(1992年)54人2位『風立ちぬ』(2013年)51人3位『君たちはどう生きるか』(2023年)39人4位『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)36人4位『崖の上のポニョ』(2008年)36人6位『ハウルの動く城』(2004年)22人7位『風の谷のナウシカ』(1984年)19人7位『もののけ姫』(1997年)19人9位『千と千尋の神隠し』(2001年)10人10位『となりのトトロ』(1988年)6人【調査概要】調査対象:全国の30代以上の女性300人調査方法:WEBでのアンケート(クロス・マーケティングのセルフアンケートツール『QiQUMO』を使用)
2024年03月19日第96回アカデミー賞で作品賞・監督賞をはじめ最多7部門を受賞した『オッペンハイマー』のクリストファー・ノーラン監督と、日本初となる視覚効果賞を受賞した『ゴジラ-1.0』の山崎貴監督による対談映像が公開された。3月29日(金) に日本公開を控える『オッペンハイマー』は、第二次世界大戦下、世界の運命を握った天才科学者J・ロバート・オッペンハイマーの栄光と没落の生涯を実話にもとづいて描く作品。2023年7月の全米公開を皮切りに、世界興収10億ドルに迫るヒットを記録しており、実在の人物を描いた伝記映画としては歴代1位となっている。公開された映像は、山崎監督の「知的好奇心を刺激されました」という感想から始まる。「パンドラの箱を開けてしまった人間が、どのような社会的な立ち位置でいたのか。時系列を組み替えながら描いていて、ハードなテーマのエンターテインメントになっている。凄く面白い、素晴らしい作品。オッペンハイマーが残酷な幻影をみるという、栄光と悲惨さが同じ画面に収められている作り方が凄い」と山崎監督が評価。それに対しノーラン監督は「私が物語の中で興味があるのは頭脳明晰な人たちが世界を理解し驚くべき創造性を飛躍させテクノロジーを用いてどのようなことを可能にするのか、そしてその裏に潜む恐ろしい暗示です。そのコントラストを映画に映し出し観客のみなさんに直で感じてもらいたい」と応じ、「開発を進めていく先に待ち受けている恐ろしさの片鱗が既に見えているわけです。しかし時代の状況ゆえに行動するしかなかった。その緊張感を観客のみなさんに体験してほしいと思いました」と述懐した。山崎監督は「悪い人間、素晴らしい人間を決めつけていない、その両方が渾然一体となっている」描写に驚嘆したという。山崎監督の言葉にノーラン監督は「それは物語を伝える上で大切にしたことでオッペンハイマー役のキリアン・マーフィーともよく話し合いました。観客にはオッペンハイマーを裁くのではなく理解してほしかったのです。みなさんにこの人物の両面を体験してもらい、彼がした選択について自分だったらどうするか考えてみてほしかった。自分とは考えや立場が全く違う人の、考えや思いがわかるというところが映画の魅力です」と、どう受けとめるかは観客ひとり一人の判断に委ねることを最優先したとコメントしている。『オッペンハイマー』に触発された山崎監督が「日本が返答の映画を作らねばならない」と宣言すると、ノーラン監督は「アンサー映画を作るのであれば山崎監督以上にふさわしい監督は思い浮かびません。ぜひ実現していただけたらと思います。これからも山崎監督の作品を楽しみにしています」と笑顔で応じた。また映像へのこだわりについて、ノーラン監督は「観客の感覚に訴えかける映画を常に作りたいと思っています。今まで多くの映画をIMAX用の70ミリフィルムで撮影してきました。驚くほど鮮明で色の再現度が高いからです。大きなスクリーンに投影するとスクリーンの枠が消え映画に没入することができます。劇場の様々なサウンドシステム、音響や音楽との融合によって観客を物語に引き込むことができるのです。こういった没入感をこれからも映画製作で大事にしていきたいです」とコメント。それを受けて山崎監督は「すごい伝わってきました。IMAXならではの作品だと思います」と対談を締めくくった。さらに、渡辺謙、白石和彌、樋口真嗣といった著名人からコメントが到着した。クリストファー・ノーラン×山崎貴 対談映像<作品情報>『オッペンハイマー』3月29日(金) 公開公式サイト: Pictures. All Rights Reserved.著名人からのコメント一覧■渡辺謙 コメント「クリス・ノーラン」僕にとってだけでなく、多くの観客の脳内をかきまわす監督である。『メメント』から始まって、『インセプション』、『TENET テネット』と時空を彷徨う人たちが錯綜する話を手掛け、今度は天才物理学者を描いた『オッペンハイマー』、原子爆弾を開発した男だ。日本は被爆国でもあり、この映画が日本で公開されるのか心配していた。かく言う僕も恐る恐る試写の席に着いた。今も、この世界を終わらせてしまうかもしれない爆弾を作った男が、細やかに、エキセントリックに描かれていた。盟友キリアン・マーフィーがそれを丹念に生きていた。だらしなく、誠実で、時代に流されていく男を。彼の幻覚の中にある、被曝の実態を世界はどう見てくれたのか。日本の観客にとっても観ておくべき作品なのだと思った。■山崎貴(映画監督)ノーラン監督の作品には常に知的好奇心を刺激される。パーフェクトに近いスペクタクルを完成させながらも、パンドラの箱を空けてしまったオッペンハイマーという科学者の、善悪が渾然一体となった人間性を浮かび上がらせ、彼の思惑や社会的地位を、時系列を組み替えハードなテーマながらエンターテインメントとして見事に創り上げた。あの時代に何が起こっていたのか目撃して欲しい。■白石和彌(映画監督)凄まじい映画体験。人類が悪魔を生み出す瞬間を全身震えながら目撃する。ノーランの最高傑作であり、正攻法で描く反戦映画。間違いなく今年の見るべき一作です。■樋口真嗣(映画監督)映画の中でいかに物語を伝えるか。数奇な運命に翻弄された実在する人物を紹介するか。善悪のように単純化されることのない複雑な混沌が渦巻く世界がそこにある。かつて体験したことのない人生が体感できる。これこそ、新しい映画なのだ。■原田眞人(映画監督)映画史に燦然と輝く『市民ケーン』に匹敵する偉業をクリストファー・ノーランは成し遂げた。音と光のインパクトでオッペンハイマーの心奥に飛び込む導入部から、核分裂の連鎖反応のようにぶつかり火花を散らす華麗なる演技陣の対決が続く終盤部まで、ノーランの緻密な映画力学に圧倒される。日本の映画人としては、この大傑作に応ずる形で、破壊の雨(レイン・オヴ・ルイン)を浴びた広島・長崎の人々の姿を克明に描く義務を、震えが来るほど強く感じた。■森達也(映画監督、作家)広島・長崎への原爆投下に対する評価。魔女狩りのように吹き荒れた赤狩り。そして最先端科学と軍事の接合(デュアルユース)。アメリカの戦後における3つのダークサイドに、ノーランは正面から切り込んだ。その手法は徹底して映画そのもの。濁流のようにあふれる映像と音。だからこそ透けて見えるオッペンハイマーの苦悩と絶望。断言できる。間違いなくノーランの最高傑作だ。■こうの史代(漫画家『この世界の片隅に』)「核兵器は狂気の天才のしわざ」なんて逃げ道は、この映画にはありませんでした。科学は誰にでも微笑みかけるし、私欲はどこにでも罠をはる。けれど、人はいつでも善意を宿すことができる。この映画に関わるすべての人の善意と勇気に感謝するばかりです。■ロバート キャンベル(日本文学研究者)天才物理学者の一生を彩る才気と驕りと判断ミス、静かな没落。悍ましい兵器の開発をつぶさに描き、主人公の視点から遠く離れないことでむしろ破壊をいまだ正視できないアメリカの矛盾と、本人の呵責を鮮やかに炙り出した力作。■橋本幸士(物理学者)心が深く、えぐられました。物理学が世界を変えていく、それが物理学者の生活感情に深く結合している。僕が漠然と感じてきたことが、非常にリアルな体験へと変換され、一挙に心になだれ込みました。僕は、なすすべがありませんでした。本作は物理学者の心に迫る映画であると同時に、人類に問いかける、傑作です。■朝長万左男(ともながまさお/医師、長崎県被爆者手帳の会友の会 会長)人類史上初の原爆製造の責任者オッペンハイマーの生涯をクリストファー・ノーラン監督が描く。前半は徹底した機密の実験成功までをリアルに描く。成功に沸くなか、オッピーの心の底には「自分は死神」という悩みが始まる。トルーマン大統領に面会すると彼はその悩みを告白する。トルーマンはこんな弱虫は二度と連れてくるなと言い放つ。後半は、原爆から水爆に進もうとする米国の核政策に抗い、国側の政治家たちと核の非人道性を理解する科学者の対決となって、ついには原子力界から追放される。これは核なき世界が遠のきつつある現在の世界の根本問題にもつながる。ここにノーラン監督の政治家の責任を追求する秘めたメッセージが感じられるのである。■堀潤(ジャーナリスト)あれだけの悲劇を経験してもなお私達は手にしていないものがある。目を逸らし、面倒くさがり、遠ざけているもの。それは「政治」への関与だ。馬鹿馬鹿しい政治家の権力闘争は放置され続け、科学を暴力へと貶めていく。日本人だからこそ、この映画を見るべきだ。■芝山幹郎(評論家)『オッペンハイマー』は『アラビアのロレンス』を想起させる。どちらも、明晰で鋭敏で繊細で、しかし評価をめぐって物議を醸した人物の映画だ。謎めいた化学記号のようなその肖像を、クリストファー・ノーランはめざましい手腕で描き上げる。イメージはもちろんのこと、情感やオブセッションを「積み重ねる力」に眼をみはった。■トラウデン直美(モデル、タレント)この映画は衝撃の連続でした。天才の見ている世界はこうなっているのか、と思わせる美しい映像と音楽の世界観に。歴史の大きな波と人々の思惑が重なり合ったストーリーの重厚さに。世界を変える未知の技術への興奮とその影響力への恐れは、開発者の手を離れたが最後、それらの運命を決めることはできないのでしょう。人間は知的好奇心を抑え込むことはできない、そして新たな技術を必ずしも望ましい形で利用できるとは限らない。技術の進歩著しい今に生きる私たちに過去の天才達はどんなメッセージを残すのか想像せずにはいられません。そして、被爆国日本に住む私たちはこの映画から何を感じ、どんなメッセージを世界に伝えられるのでしょうか。■平岡敬(元広島市長)オッペンハイマーは英雄ではなく、矛盾に満ちた人間である。科学者の研究成果が、国家によって殺人兵器に利用されたため、彼は道義的責任に苦しむことになった。彼が感じた世界の破滅への危惧は、いま現実となってわたしたちの世界を覆っている。核の脅威を秘匿する危険性を訴えたために、彼は赤狩りの標的になった。その頃の空気は今の時代にも満ちている。そして足を踏み鳴らして、彼を英雄として迎える研究所員の姿は、民衆が国家にからめとられる状況を暗示しているようだ。それゆえ、もう一度観て、核抑止力を信奉する国家とは何か、を考えたい。■細木信宏(NY在住映画ライター)数奇な理論物理学者ロバート・オッペンンハイマーに聞こえていた発明の漣(さざなみ)は、想像し難い原爆という全てを飲み込む大波となり、歴史という海原を超えて我々の魂にこだまし、放射能という戦争が生んだ深い痕跡を残してゆく。忘れられない傑作。■平井伊都子(LA在住映画ライター)世紀の発見が人類の未来を永遠に変えたばかりか、国にも見放された男の混乱と苦悩をかつてない映画的表現で描き、観客を物語に没入させる。 オッペンハイマーの原爆開発を美化するのではなく、想像の範疇を超えた悲劇と後悔に苛まれた研究者の運命を描く“反戦映画”。■落合陽一(計算機科学者)マンハッタン計画を時系列で捉えると単調な人間讃歌になる。予期はできたが予期せぬ結果、その利用と称賛、自己批判、これは研究者当人以外には理解し難い内的葛藤がある。その内的葛藤に切り込んだストーリーを時系列を絡み合わせて提示することで作品としての旨みが作り込まれている。難解か?そんなことはない。何より単純に原子爆弾の圧倒的エネルギーの暴力性が音と光で満ち溢れ、我々の脳裏に様々なカタルシス、畏怖や悲しみを想起させる。■アーサー・ビナード(詩人、絵本作家)物理学をここまでスリリングに描いた映画は前代未聞だ。しかも極秘の開発プロジェクトの内部を、インサイダーの視点でぼくらに見せてくれる。見事なセリフの刺激は絶えず脳を覚醒する。人類初の核兵器を作ったオッペンハイマーたちこそ、最初のヒバクシャにもなったことが、身にしみる。■笠井信輔(アナウンサー)日本での公開は全世界より大きく遅れた。日本人には過酷過ぎるのか?否!強烈な反戦映画であり、繊細な科学者の葛藤を想像を超えた編集と大迫力の音響で描くIMAXで見るべき伝記映画などこれまで存在しなかった。アカデミー賞7部門受賞は伊達じゃない。戦争におけるアメリカの基本精神は今も変わっていないのだ。日本人こそ見るべき映画だ。■前嶋和弘(政治学者)ナチスよりも先に原爆開発に成功することは、ユダヤ人であるオッペンハイマーにとって差別との戦いでもあった。ただその「大成功」は永続的な苦しみの拡大再生産の始まりだった。そこに至るまでのオッペンハイマーの心の動きを追体験できるのが、この映画だ。■中江有里(女優、作家、歌手)世界を崩壊させるかもしれない、恐ろしく、興奮する場面に居合わせた。映画『オッペンハイマー』は見る芸術じゃなく、体感する芸術だ。■小林エリカ(作家、マンガ家)神の力を手に入れようとする人間、男たちの、情熱と、欲望と、その尊大さと卑小さに戦慄する。その美と恐怖と自己中心的な思考を残酷なまでの緻密さで織りあげ、私たちに体感させる。
2024年03月15日クリストファー・ノーラン監督最新作『オッペンハイマー』で、自身初となるアカデミー賞作品賞(エマ・トーマス、チャールズ・ローヴェンと共に受賞)&監督賞に輝いたノーラン監督と、日本初となる視覚効果賞を受賞した『ゴジラ-1.0』の山崎貴監督による対談が実現。その特別対談の映像が解禁となった。本作は、第二次世界大戦下、世界の運命を握った天才科学者J・ロバート・オッペンハイマーの栄光と没落の生涯を実話に基づいて描く作品。2023年7月の全米公開を皮切りに、世界興収10億ドルに迫る世界的大ヒットを記録。実在の人物を描いた伝記映画としては歴代1位となっている。特別対談映像は、山崎監督の「知的好奇心を刺激されました」という感想から始まり、「パンドラの箱を開けてしまった人間が、どのような社会的な立ち位置でいたのか。時系列を組み替えながら描いていて、ハードなテーマのエンターテインメントになっている」とコメント。「凄く面白い、素晴らしい作品。オッペンハイマーが残酷な幻影をみるという、栄光と悲惨さが同じ画面に収められている作り方が凄い」という山崎監督の評価に、ノーラン監督は「私が物語の中で興味があるのは頭脳明晰な人たちが世界を理解し驚くべき創造性を飛躍させテクノロジーを用いてどのようなことを可能にするのか、そしてその裏に潜む恐ろしい暗示です。そのコントラストを映画に映し出し観客のみなさんに直で感じてもらいたい」と応じ、「開発を進めていく先に待ち受けている恐ろしさの片鱗が既に見えているわけです。しかし時代の状況ゆえに行動するしかなかった。その緊張感を観客のみなさんに体験してほしいと思いました」と見どころを明かす。天才物理学者がそのとき何を感じていたのか、その瞬間を観客と共有する“没入体験”を目指したと語っている。「悪い人間、素晴らしい人間を決めつけていない、その両方が渾然一体となっている」描写に驚嘆したとする山崎監督に、「それは物語を伝える上で大切にしたことでオッペンハイマー役のキリアン・マーフィーともよく話し合いました」とノーラン監督。「観客にはオッペンハイマーを裁くのではなく理解してほしかったのです。みなさんにこの人物の両面を体験してもらい、彼がした選択について自分だったらどうするか考えてみてほしかった。自分とは考えや立場が全く違う人の、考えや思いがわかるというところが映画の魅力です」と、観客ひとり1人の判断に委ねることを最優先したと語った。さらに『オッペンハイマー』に触発された山崎監督が「日本が返答の映画を作らねばならない」と宣言すると、ノーラン監督は「アンサー映画を作るのであれば山崎監督以上にふさわしい監督は思い浮かびません。ぜひ実現していただけたらと思います。これからも山崎監督の作品を楽しみにしています」と笑顔で応じる場面も。山崎貴監督/『ゴジラ-1.0』凱旋記者会見にてさらに、映像へのこだわりについてノーラン監督は、「観客の感覚に訴えかける映画を常に作りたいと思っています。今まで多くの映画をIMAX®用の70ミリフィルムで撮影してきました。驚くほど鮮明で色の再現度が高いからです。大きなスクリーンに投影するとスクリーンの枠が消え映画に没入することができます。劇場の様々なサウンドシステム、音響や音楽との融合によって観客を物語に引き込むことができるのです。こういった没入感をこれからも映画制作で大事にしていきたいです」とコメント。それを受けて山崎監督は「すごい伝わってきました。IMAX®ならではの作品だと思います」と締めくくっていた。また併せて、本作を鑑賞した著名人からコメントも到着。『バットマン ビギンズ』『インセプション』でノーラン監督作品に出演した渡辺謙は、「今も、この世界を終わらせてしまうかもしれない爆弾を作った男が、細やかに、エキセントリックに描かれていた。彼の幻覚の中にある、被曝の実態を世界はどう見てくれたのか。日本の観客にとっても観ておくべき作品」とコメント。『福田村事件』の森達也監督は「間違いなくノーランの最高傑作だ」と話し、元広島市長の平岡敬は「彼が感じた世界の破滅への危惧は、いま現実となってわたしたちの世界を覆っている」、広島出身で「この世界の片隅に」の漫画家、こうの史代は『「核兵器は狂気の天才のしわざ」なんて逃げ道は、この映画にはありませんでした」、長崎県被爆者手帳の会友の会 会長の朝長万左男は、「これは核なき世界が遠のきつつある現在の世界の根本問題にもつながる。ここにノーラン監督の政治家の責任を追求する秘めたメッセージが感じられる」とコメントを寄せている。『オッペンハイマー』は3月29日(金)より全国にて公開。IMAX劇場全国50スクリーン、Dolby Cinema全国10スクリーン、35mmフィルム版109シネマズプレミアム新宿にて同時公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:ゴジラ-1.0 2023年11月3日より全国東宝系にて公開©2023 TOHO CO.,LTD.オッペンハイマー 2024年3月29日より全国にて公開© Universal Pictures. All Rights Reserved.
2024年03月15日クリストファー・ノーラン監督『オッペンハイマー』やヨルゴス・ランティモス監督『哀れなるものたち』などの話題作と並んでアカデミー賞作品賞にノミネートされた新人女性監督セリーヌ・ソンの『パスト ライブス/再会』。この度、本作の主演グレタ・リーに、『パラサイト 半地下の家族』で注目を集めた“通訳の天才”シャロン・チョイが関わっていることが分かった。監督自身が12歳のとき、家族と共に韓国ソウルからトロントへ移住し、その後ニューヨークに移った体験を基に執筆したオリジナル脚本となる本作。監督の分身のような主人公ノラ役を演じたグレタ・リーは、L.A.出身の韓国系移民2世。韓国人の両親を持ち、コリアンタウンとビバリーヒルズという2つのコミュニティで生まれ育ったグレタ本人はアメリカ国籍を持つ英語ネイティブ。これまでアジア系アメリカ人の役を英語で演じてきたグレタは、本作『パスト ライブス/再会』のオファーを受けた際に韓国語を話す役柄に大変驚いたそう。役の詳細も監督・脚本のセリーヌ・ソンのことも知らなかったが、脚本を読むと涙があふれ、すぐに迷いは吹き飛んだという。「脚本には心を打たれるものが沢山あって、この作品は特別なものになると確信した」とグレタはふり返る。そこでグレタはセルフテープでオーディションを受けたが、そのときは残念ながら役を得ることはできず、「何年もやっていると、役を手放すことが本当につらく、傷つくこともありますが、この作品の役を逃したときも同じでした」と当時の心境を明かす。やがて、1年後セリーヌ・ソン監督から作品のリキャストを決めたと連絡があり、グレタは一度失ったノラ役を得て本作で初主演を飾ることになった。しかし、グレタはアメリカ生まれのアメリカ育ち。幼いころに韓国から移住して英語で暮らしてきたノラとはバックボーンが異なり、英語ネイティブのグレタがノラを演じるためには【韓国人が話す英語】を習得する必要があり、ソウル出身の女性のような印象を与えるために言語コーチが必要となった。そこで白羽の矢が立ったのが、アカデミー賞作品賞を獲得した『パラサイト 半地下の家族』でポン・ジュノ監督やソン・ガンホの英語通訳を務め、授賞式で彼らの受賞スピーチを手伝ったシャロン・チョイ。ポン・ジュノ監督&シャロン・チョイ Photo by Kevin Winter/Getty Images賞レースを席巻した『パラサイト 半地下の家族』のスピーチやインタビューでは、監督らの微妙なニュアンスを汲み取った通訳を披露し、業界関係者や聴衆から称賛を集め、“誰もが認めるオスカーシーズンのMVP”とも評された。シャロンの活躍はアメリカ観客に知れ渡り、彼女の存在がアメリカでの『パラサイト 半地下の家族』旋風を生んだと韓国でも評判高く、まさに陰の立役者といえる重要人物。そんなシャロンが本作のダイアレクト・コーチ(発音コーチ)を務め、「韓国語を母国語としながら流暢な英語を話す人」の特徴をグレタに授けると、指導を受けたグレタはシャロンを「天才」と手放しで称賛。また、グレタは普段は英語で演技をしているため「韓国語を話す役はとても難しく、大きなチャレンジだったが、同時に俳優として最高の喜びでもあった」と韓国語での演技を語っている。そんなグレタの自然体の演技はリアリティを後押しして賞賛を集め、賞レースを席巻したが、『パラサイト 半地下の家族』同様、本作でも名通訳シャロン・チョイが重要な役割を果たす陰の立役者となっていたのだ。今回併せて、主人公・ノラと24年ぶりに再会した幼なじみヘソンが韓国語で会話するひとときを切り取った新場面写真も解禁された。『パスト ライブス/再会』は4月5日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。★映画『パスト ライブス/再会』3日間限定先行上映★日程:3月22日(金)、23日(土)、24日(日)各一回上映上映劇場:TOHOシネマズ 日比谷、TOHOシネマズ 梅田鑑賞料金:通常料金詳細は追って、実施劇場HPでお知らせ予定(シネマカフェ編集部)■関連作品:パラサイト 半地下の家族 2020年1月10日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVEDパスト ライブス/再会 2024年4月5日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開2022 © Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved
2024年03月15日第96回アカデミー賞で作品賞、監督賞を含む最多7部門受賞に輝いた最新作『オッペンハイマー』が間もなく公開になる映画監督クリストファー・ノーランは、CGの力を可能な限り借りず、実物を撮影することで知られている。ホイテ・ヴァン・ホイテマが撮影賞に輝いた本作でも数々の場面がアナログな方法で撮影され、スタッフはロケ地を探すだけでなく、“撮影方法を考える”ところから制作を始めた。かつてノーラン監督は『ダークナイト ライジング』で核爆弾が爆発するシーンを登場させている。そのときはCGが使用されたが、本作に登場する“トリニティ実験”のシーンは最初からデジタルを使用しないで撮影しようと決めていたという。「初めから私たちは、トリニティ実験の撮影方法を考え出すのが肝になると知っていた。CGでは、トリニティ実験のような現実の出来事の実際のフッテージを観たときのような恐怖を観客に与えることができないと分かっていた。あのフッテージには本能的な感覚がある。触覚的なもので、恐怖だけでなく畏怖のような感覚もあるんだ。だからこれは挑戦だった」そこで『インターステラー』『TENET テネット』にも参加した特殊効果のスーパーバイザー、スコット・フィッシャーと、『TENET』に続いて参加するアンドリュー・ジャクソンは、スタッフと共に“デジタルを使わない撮影方法”を挑むことになった。彼らは撮影前に様々な実験を行なった。ピンポン玉をぶつけ、ペンキを壁にぶつけ、発光マグネシウム溶液を作成し、それらを距離やフレームレートを変えながら撮影してみる。最終的な視覚効果は400以上の要素を複雑に組み合わせて作り上げられたが、“どうやって撮影されたのか?”については秘密のままだ。中にはどう考えても撮影が複雑になるであろうシーンもあった。たとえば原子核内で動き続ける素粒子を描くシーンだ。しかし、それらは絶対に描かれる必要があった。ジャクソンは振り返る。「原子核内で絶え間なく動く素粒子を描かねばなりませんでしたが、それはオッペンハイマーの複雑な精神状態を表現するために絶対に必要だったのです。あの当時は素粒子の動きの完全な理解はありませんでしたから、それを正確に描き出すことはできません。かといって、解説用のコンピュータ画像も、私たちが望んだ深みには達しません。だから間を取って、ノーランの脚本と、オッペンハイマーの複雑な内面からアイデアを受けて、芸術的に解釈された素粒子の視覚化を試みました」本作で描かれる恐ろしい光、炎、その内部で動き続ける素粒子は、実験の成果でも、歴史の再現でもない。すべてが主人公オッペンハイマーのドラマと深く結びついている。そして、それらはすべてが“実物”である必要があったのだ。本作ではどんな映像が大スクリーンに描き出されるのだろうか? まだ誰も観たことのない“新たなイメージ”の出現に期待したい。『オッペンハイマー』3月29日(金)公開公式サイト()(C)Universal Pictures. All Rights Reserved.
2024年03月14日アカデミー賞作品賞ほか最多7部門を受賞した『オッペンハイマー』のクリストファー・ノーラン監督作『フォロウィング』が4月5日(金)より全国公開されることが決定した。未来から過去へと時間軸を逆向きに映し出した『メメント』。アメコミ映画の新時代を切り開き、数々の伝説を打ち立てた『ダークナイト』シリーズ。夢の中を映像化し、観る者の度肝を抜いた『インセプション』。五次元の宇宙空間を創り上げた『インターステラー』。時間が逆行する世界を描き未知なる映像体験へ誘う『TENET テネット』など、これまで誰も観たことのない映像を0から生み出す才能で、常に新たな“体験”を放つノーラン監督。過去から未来、未来から過去へと交差する時間軸で紡がれる『フォロウィング』は、世界中で絶賛されたこれまでの作品以上に複雑な構成となっており、ノーラン監督の魅力全てが詰まった傑作。ロッテルダム映画祭をはじめ数多くの映画祭で賞を受賞し、ノーラン監督の才能を一躍世界に知らしめた記念すべきデビュー作である。この度、本国公開25周年を迎えた2024年にノーラン監督が日本での公開を熱望。本編はオリジナルの16mmエレメントを4Kスキャン。最新技術を駆使し、画面上の傷を除去して、解像度を上げた。これによりシャープで、ディティールまで美しい豊かな映像が実現。音響に関しては、新たに5.1サウンド・トラックを採用。ノーラン監修のもと力強い完成度と完璧な音量レベルとなった。なお、来場者特典として、【記念ポストカード】の配布も予定されている。数量限定、各劇場公開日より先着でなくなり次第終了となる。『フォロウィング』25周年/HD レストア版は4月5日(金)より新宿武蔵野館ほか全国にて公開。(シネマカフェ編集部)
2024年03月14日第96回アカデミー賞にて作品賞ほか最多7部門受賞で話題を集めているクリストファー・ノーラン監督最新作『オッペンハイマー』の日本公開を記念し、『フォロウィング』25周年/HDレストア版が4月5日(金) より公開されることが決定した。『フォロウィング』は、ロッテルダム映画祭をはじめ数多くの映画祭で賞を受賞し、ノーランの才能を一躍世界に知らしめた記念すべき長編デビュー作。過去から未来、未来から過去へと交差する時間軸で紡がれる本作は、『メメント』『ダークナイト』『インセプション』『TENET テネット』といったこれまでの作品以上に複雑な構成となっている。25周年/HDレストア版の本編は、オリジナルの16mmエレメントを4Kスキャン。最新技術を駆使し、画面上の傷を除去して解像度が上がっている。音響は新たに5.1サウンド・トラックを採用し、ノーラン監督監修のもと調整が行われた。また来場者特典として、先着で「記念ポストカード」の配布も予定されている。『フォロウィング 25周年/HDレストア版』先着来場者特典「記念ポストカード」『フォロウィング 25周年/HDレストア版』予告<作品情報>『フォロウィング 25周年/HDレストア版』4月5日(金) 公開公式サイト: IFC IN THEATERS LLC
2024年03月14日第96回米アカデミー賞で、アジア映画初となる視覚効果賞に輝いた映画『ゴジラ-1.0』。本作を手掛けた山崎貴監督(59)らが3月12日夜にロサンゼルスから凱旋帰国し、羽田空港で授賞記念会見を開いた。監督として同賞を受賞したのは、映画『2001年宇宙の旅』(’68年)のスタンリー・キューブリック以来、55年ぶり2人目。会見で歴史的快挙の喜びや授賞式の裏話を語った山崎監督だったが、“ある発言”が波紋を呼んでいる。注目を集めているのは、トロフィーを受け取った時の感想を問われた場面。山崎監督はオスカー像について、「想像をはるかに超える重さでちょっとビックリしました」とコメント。緊張を忘れるほどの重さを感じたといい、「でも『本当に本当に今、オスカー像を持ってるんだ』っていう風に思ってすごく嬉しかったです」と語った。次に『バットマン リターンズ』(’92年)のペンギン役などで知られるダニー・デヴィート(79)から、オスカー像を受け取ったエピソードも披露した山崎監督。プレゼンターにはアーノルド・シュワルツェネッガー(76)もいたことを振り返り、手振りを加えてこう語ったのだった。「ダニー・デヴィートさんとシュワルツェネッガーがいたんですけど、シュワルツェネッガーさんからもらいたかったんですけど……言っちゃいけないのかな(笑)もちろんダニー・デヴィートさんでも全然嬉しいんですけど、『あ、俺たちこっちなのね』っていう感じでした」続けて「その後、シュワルツェネッガーさんと握手できたので嬉しかったです」と、満足そうな表情を見せていた。いっぽう今回の米アカデミー賞をめぐっては、受賞者のプレゼンターに対する振る舞いが“アジア系差別”だと物議を醸していた。映画『オッペンハイマー』(’23)で助演男優賞を受賞したロバート・ダウニー・Jr.(58)は、満面の笑顔で歩み寄るプレゼンターのキー・ホイ・クァン(52)を“スルー”。オスカー像も素っ気なく受け取っており、その振る舞いに批判が集まっていた。こうした出来事も相まって、山崎監督の「こっち」発言に“プレゼンターへの敬意がない”と感じた人も少なくないようだ。SNSでは落胆する声が上がっている。《た…貴… 嘘だよな… ペンギンをこっち呼ばわりだなんて…》《なんだよ「こっち」って。ダニー・デヴィートに失礼じゃないか》《「こっち」とは。山崎貴監督、観客を一斉に裏切る発言。祝った観客はどうしたら良いのか。プレゼンターと目を合わせる合わさないで議論になっているのに、こっちと称するのは何様?がっかり過ぎる》《これはまずい「こっち」は公の場で言ってはいけないセリフ。 失礼過ぎる… 山崎貴監督ちゃんと謝罪した方がよいよなんだかなぁ。RDJしかり厳しいマナーとか作法を求めてる訳じゃないのに、初歩的な相手への思いやりが欠如してる面が多くて、今回のオスカーの情報見てて負担かかったな》
2024年03月13日第96回アカデミー賞にて、主演女優賞受賞、衣装デザイン賞ほか合計4部門を受賞した『哀れなるものたち』より入場者プレゼントの配布が決定した。『女王陛下のお気に入り』のヨルゴス・ランティモス監督、エマ・ストーンが再集結した本作は、3月10日時点で、アート系作品としては異例の世界興行収入1億8400万ドルに到達。7週目にもかかわらず満席回が出続ける日本の興行収入も4億6400万円に達している。先日開催された第96回アカデミー賞ではエマ・ストーンが『ラ・ラ・ランド』に続く2度目の主演女優賞、さらに衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、美術賞の4部門を受賞。この度、オスカー受賞を記念して特製"ヴェネチア・ポストカード"の入場者プレゼントの配布が決定した。3月16日(土)の初回上映から先着1万名様に全国の公開劇場にて配布される(なくなり次第終了)。本プレゼントは、前売特典として3回に分けて展開された10種類のポストカードが海外仕様で1枚綴りとなっており、ヴェネチア国際映画祭でプレスのみに配布された、レアアイテム。前売券未購入の方は勿論のこと、すでに前売券購入済み、鑑賞済みの方も、ベラが経験したヨーロッパ横断の旅を追体験できる代物となっている。『哀れなるものたち』は全国にて公開中。(シネマカフェ編集部)■関連作品:哀れなるものたち 2024年1月26日より全国にて公開©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
2024年03月13日映画『ゴジラ-1.0』(公開中)のアカデミー賞受賞記念記者会見が12日に東京・羽田空港で行われ、山崎貴監督(監督・脚本・VFX)、渋谷紀世子氏(VFXディレクター)、高橋正紀氏(3DCGディレクター ※高ははしごだか)、野島達司氏(エフェクトアーティスト/コンポジター)、浜辺美波が登場した。同作は、ゴジラ70周年記念作品であり、日本で製作された実写版ゴジラの30作品目という特別な節目である最新作。監督・脚本・VFXを、自身もゴジラのファンであることを公言する山崎貴が務め、主人公・敷島浩一を神木隆之介、ヒロイン・大石典子を浜辺美波が演じている。さらに山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介といった、実力派俳優陣が勢揃いし、モノクロ映像版『ゴジラ-1.0/C』も公開された。○■映画『ゴジラ-1.0』アカデミー賞の勝因は第96回アカデミー賞において、アジア圏の映画で初めて「視覚効果賞」を受賞した同作。山崎監督は「日本映画がハリウッドでそれなりの興行成績を上げられて賞を貰えたということは、今後の日本映画の作り方が変わってくる可能性を秘めているなと思いまして。アジアのもの、日本のものが、字幕上映で日本人のキャストしか出てなくても、北米で観られるようになっているという動きは感じたので、そこまで見据えた作品作りになれば、制作費も潤沢にしていけると思いますし、色んな意味で可能性が広がったことはすごく良かったんじゃないかなと思いました」と感想を述べる。「大リーグに野茂選手が意外と行けたじゃんとなった途端に、たくさんの人が大リーグに挑戦できるようになったように、ワールドワイドになった興行を目指した作品を作っていくというのはあるのかなと思います」と今後に期待した。また「アメリカに生まれた人にしか与えられなかったチャンスみたいなものが、ハリウッドはもうちょっと広く受け入れてくれるようになってきたんだなというのは、改めて感じました」と山崎監督。「外国語映画賞とか、最初から海外から来たものじゃなくて、『視覚効果賞』は聖域だったと思うので、その部分を開放してくれたというのは懐の深さ、外にもオープンにしてくれてるんだなという感じを受けましたので、色んなチャンスがこれから芽生えてくるといいなと思います」と展望も。今回の受賞については、「完全にゴジラのおかげですね」ときっぱり。「ゴジラというキャラクターが本当に大スターだったということは改めて思い知らされましたし、アメリカの人たちがいかにゴジラが好きか思い知らされました。僕らが会場に入って行ったら『こいつはなんなんだ』という感じですけど、みんなでゴジラを持って歩いてたので、皆さん『Godzilla!』と言ってくれるんですよ。ゴジラに連れて行ってもらったし、ワールドワイドなものになっているんだということは、想像以上にすごかった。ゴジラのVFXだからあそこに立てたと思わなければならないと思います」と気を引き締める。勝因について聞かれると、渋谷氏は「VFXのショートリストの10本に残った方々とか、ノミネートの方々に言われたのは、皆さんが最初の頃にない知恵を絞ってなんとか作っていこうともがいて作っていた頃を思い出したと。皆さんのあたたかい気持ちみたいなもの、見守っていただけていたということも含めて、そういうところに響いたのかなと思いました」と語る。山崎監督も「少人数、少ない予算で、他の作品が今までのVFXの延長線上にある中で面白がってもらえたんじゃないかなと。あとは、VFXはいかに物語に貢献したかを非常に大事にされるみたいなので、VFXで作り出されたゴジラの恐怖感、絶望感が、お話に貢献している部分を評価されたのかな」と分析する。状況を「真面目に見ちゃうと心がずたずたになるぐらい、他のものが素晴らしいので、『なんでオリンピックに来てるんだ?』というくらいの凄まじい空気のものが続く中で、僕らの面白ビデオを見せるという」と表すが、「そのポンコツチームが頑張ってる感じが、おそらくVFXの初期(を思い起こさせる)。『スター・ウォーズ』は、CGが使えなかった時代にいろんな工夫をしながらなんとか成立させようと思って効果を上げてるんですね。だからそういう部分が、皆さんの琴線に触れたのかなと思うようにしています」と明かした。「日本のVFXは世界と戦えると思いましたか?」という質問に、山崎監督は「全然思わない」と苦笑。「やっぱりかなりまだまだというのは改めて感じましたね。だから本当にラッキーパンチだと思いますし、いろんな条件が重なって、今回こういう賞をいただきましたけど、改めてまだまだいろいろ頑張っていけないなと。中枢に近づいたからこそ思うすごさはありました。でも、ちょっと戦えたんで! 結果は出せたんで、また頑張っていいかなと思っています」と語った。
2024年03月12日