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「現代の子どもの運動能力」について、様々なところで懸念されていますが、実際指導の現場ではどう感じているのでしょうか。サカイクキャンプの菊池健太コーチと「タニラダー講習会」を主宰する谷真一郎さんの対談、後編をお届けします。前編では、現代の子どもたちの運動能力低下や二極化する身体能力の現状、そして自己肯定感を高める方法について語ってもらいました。後編では、姿勢と学習能力の関係性、低学年からのトレーニングの効果、そして日常生活とサッカーの関連性など、具体的なアプローチにフォーカスし、子どもたちの可能性を引き出すヒントをお伝えします。(構成・鈴木智之)(写真は少年サッカーのイメージです)前編記事:転んだ時に手が付けない、サッカーするうえでもベースとなる運動が正しくできていない......、子どもの運動能力低下の原因と課題■姿勢と学習能力の関係性、サッカーでも良い選手は「良い姿勢」でプレーしている(写真は少年サッカーのイメージです)菊池健太(以下菊池):谷さんにお聞きしたいのが「姿勢」についてです。私は姿勢が学習能力や学校の勉強にもリンクするのではないかと思っています。サカイクキャンプの開会式で、子どもたちに座ってもらうと、猫背の子や斜めに座る子がいます。姿勢が整うだけでも、学力に影響があるのではないかと強く感じています。谷真一郎(以下谷):私たちは今、お尻で座っていますよね。お尻で座ると、骨盤が後傾しやすく、背中も丸まりがちです。私の知り合いで三笘薫選手と同じ時期に筑波大学で学んでいた人がいるのですが、彼はハムストリングス(太ももの裏)で座るというんです。そうすると骨盤が立ち、背中も自然と真っ直ぐになる。彼はずっとこの姿勢で授業を受けていました。彼に言わせると「これもトレーニング」とのことです。お尻ではなく、太ももの裏で座るという意識も大切なポイントです。菊池:私たちはよく「オフ・ザ・ピッチ」と「ピッチ上」の関連性について話すことがあります。姿勢の話もその一つですね。子どもたちに「良い姿勢とは何か」を伝えることで、集中してサッカーノートを書くことができるようになるでしょうし、考える力の向上にもつながると思います。保護者からは「うちの子はサッカーノートが続かない」「やる気がなさそうに見える」といった相談が多いです。確かに気持ちの問題もありますが、姿勢や取り組み方、環境も重要な要素です。その意味でも、姿勢の部分からアプローチできることは多いと思っています。谷:タニラダーキャンプでも、子どもたちにノートを書かせることがありますが、机に突っ伏して、髪と目がほんの数センチしか離れていないような状態の子もいます。その状態で考えるのと、正しい姿勢で考えるのでは、効果が全然違うと思います。そこで「どんな姿勢が頭良さそうに見えるかな?」と言うと、シュッと背筋を伸ばして座るようになります。そうやって、サッカー以外の部分にアプローチできるのも、キャンプ形式のトレーニングの良さですよね。菊池:ピッチに立ってボールを持つときも、姿勢が良い選手は胸を張って、全体が見える状態になります。サッカーと日常生活は繋がっていて、上手い選手はパッと見た瞬間に分かりますよね。日常生活の中からも、サッカーが上手くなる方法や意識すべき点がたくさんあることを、保護者の方にも伝えられれば、より良いアプローチができると思います。■わずかな差が勝敗に直結する足の接地の仕方一つでもスピードが変わる(写真は少年サッカーのイメージです)谷:サッカーは、わずかな差が勝敗に直結します。例えば、三笘選手の「1ミリ」。彼が1ミリ進むのに必要な時間は、100メートルを12秒で走るレベルの選手だとすると、約8300分の1秒(0.00012秒)です。スパイクのポイントに当たってコースが変わったり、キーパーの指先がボールに触れてコースが変わることもあります。その距離を進むのに必要な時間は1000分の1秒レベルなのです。ちょっとした足の接地の仕方を変えるだけで、0.2秒、0.3秒、0.4秒と変わってきます。トップレベルを目指す子どもには、「サッカーはそういう世界なのだよ」と伝えています。非常に細かい差ですが、現実的にその差で勝敗が決まる競技なのです。そこをサッカーチームの通常トレーニングだけで補おうとしても、難しいと言わざるをえません。特化したトレーニングをしなければ身につかないスキルもありますし、継続性も重要です。その観点から、選手を送り出してもらい、私たちが良い状態にして戻し、その変化を実感してもらう。そして自チームでもトレーニングできるよう指導者が準備する。このサイクルが理想的だと感じています。菊池:小学校低学年の子どもにラダーやアジリティトレーニングは難しいのではないかと思うこともあるのですが、実際はどうでしょうか?谷:低学年でも十分できますよ。理論も説明しますが、専門用語は使わず、子どもが理解できる言葉で伝えます。動きを身につけるなら、むしろ低学年の方が早いです。以前は高学年限定でやっていたのですが、高学年についてくる弟や妹(年長さんや1年生)の方が早く覚えるケースが多くて。今では低学年もOKにしていますが、やはり低学年の方が動きを身につけるのが早いと感じます。菊池:それはキャンプでも似ていますね。低学年の子は「真似っこ」が上手で、ちょっと見せるだけで、動きを吸収するのですごいです。谷:先日も小学2年生の子とトレーニングをした際、勘がいいというか、見て真似るのが上手で、最初はうまくできなくても、徐々に上達していきました。お母さんにも「初めてやるのに、これだけできるのはすごいですよ」と伝えたほどです。低学年の吸収力は本当に素晴らしいです。■正しい情報と指導の重要性パフォーマンスを上げるためにも正しい動きを身に着けよう(写真はオンライン対談の様子)谷:現在はYouTubeなどでもラダートレーニングの動画がたくさん公開されていますが、「本当にそれで良いのか」と疑問に思うものも多いです。皆さんがYouTubeで探して真似るケースもあると思いますが、私から見ると「これはやらない方が良いのでは」と思うものもあります。間違ったトレーニングをすると間違った動きが身についてしまい、パフォーマンスが低下します。そういった点に気をつけて見てほしいですし、発信する側も責任を持つべきだと、自戒を込めて思います。菊池:せっかく選手が一生懸命練習しているのに、上手くならないどころか悪影響になってしまうのは、本当に残念なことですよね。谷:間違った練習をすればするほど、サッカーは下手になります。これも子どもたちに伝えています。悪い姿勢でシュート練習を繰り返すと、体が悪い動きに適応するので、どんどんシュートが入らなくなります。そうならないために、良い循環を生み出していくことが大切です。ただし、現代の子どもたちは毎週末の試合に追われて、個の能力を伸ばすトレーニングをする時間が足りないように感じます。菊池:そうですね。毎週のようにリーグ戦をこなさなければならないのが、4種(小学生)の悩みです。谷:試合ばかりでサッカーが上手くなるのか?という疑問があります。プロの世界でも、「過密日程で試合をこなすことで、選手は鍛えられて強くなる」という考え方があるのですが、実際はそうではありませんでした。きちんとトレーニングしないと、いくら試合をこなしても変わらないのです。むしろ疲弊し、パフォーマンスは低下しかねません。菊池:試合だけだと、元々上手い子は出場して向上できますが、出場時間が少ない子や苦手意識がある子たちの改善は難しいですよね。谷:1対1が苦手な子がいくら試合をしても、抜かれる動きを繰り返すだけで、改善されません。そこで、改善のトレーニングやヒントを与えることで、良くなる感覚をつかみ、「もっと良くなるためにはどうしよう」という探究心につながればいいですよね。キャンプなどは普段と違う刺激があります。違う環境、違うコーチ、違う仲間と過ごすことで、きっかけや刺激を与えたいと思い、活動しています。菊池:それが私たちの一番の役割かもしれません。キャンプに来て自信をつけてくれることや、できることを認めることで、「1対1で抜かれないためにどうするか」「ボールを奪って素早く攻撃につなげるにはどうすればいいか」といった次のステップに進めます。これは個人によって異なる部分ですが、そういった刺激を与えることで「もっとやってみよう」という気持ちが生まれます。その相乗効果で成長していくのだと思います。■子どもの成長は劇的わずか1日、2日で大きく成長することも(写真は少年サッカーのイメージ)谷:小学生は、わずか1日、2日で劇的に変わることがあります。タニラダー講習会やサカイクキャンプなどを通して、内面にアプローチしていくことで探究心やモチベーションに火がつくのです。「もっとやってみよう」「次はこれにチャレンジしたい」といった前向きな姿勢が生まれる。そのマインドのベースができると良いですね。菊池:おっしゃる通りです。子どもたちと一緒に探究し、チームに戻った後も自分から進んで取り組めるようになってほしい。そのように子どもを導くことのできる場に、サカイクキャンプがなればいいなと思っています。谷真一郎(ヴァンフォーレ甲府・フィットネスダイレクター)愛知県立西春高校から筑波大学に進学し、蹴球部に在籍。在学中に日本代表へ招集される。同大学卒業後は柏レイソル(日立製作所本社サッカー部)へ入団し、1995年までプレー。 引退後は柏レイソルの下部組織で指導を行いながら、筑波大学大学院にてコーチ学を専攻する。その後、フィジカルコーチとして、柏レイソル、ベガルタ仙台、横浜FCに所属し、2010年よりヴァンフォーレ甲府のフィジカルコーチを務める。 『日本で唯一の代表キャップを持つフィジカルコーチ』2020年よりヴァンフォーレ甲府のフィットネスに関わる活動に携わるフィットネスダイレクターに就任、現在に至る。また一般社団法人タニラダー協会の代表として体の動かし方に特化した講習会などの活動を全国で行っている。【取得資格】筑波大学大学院コーチ学修士日本サッカー協会認定A級ライセンスAFCフィットネスコーチ レベル2日本サッカー協会認定キッズリーダー菊池健太(サカイクキャンプヘッドコーチ、シンキングサッカースクールコーチ)【経歴】VERDY花巻ユース 日本クラブユース選手権出場(全国大会)中央学院大学 千葉県選手権 優勝千葉県1部リーグ 優勝【資格】日本サッカー協会C級JFA公認キッズリーダーキッズコーディネーショントレーナー佐倉市立井野中学校サッカー部外部指導員
2025年03月18日近年子どもの運動能力が落ちているというニュースを目にすることがあります。実際スポーツの現場ではどう感じているのでしょうか。「現代の子どもの運動能力」について、サカイクキャンプの菊池健太コーチと「タニラダー講習会」でおなじみ、谷真一郎さんの対談をお届けします。お二人とも、日々、子どもたちと向き合っていますが、コロナ禍や運動する場所や時間の減少もあり、年々、運動能力の低下は見過ごせないレベルになってきていると感じているそうです。子どもの運動能力を高めるために、指導者や保護者はどのようにアプローチをすればいいのか。お二人と一緒に考えていきましょう。(構成・文:鈴木智之)(写真は少年サッカーのイメージです)関連記事:子どものコンディショニングに関する保護者の疑問に谷真一郎さんが回答■転んだ時に手が付けない、サッカーするうえでもベースとなる運動が正しくできていない菊池健太(以下菊池):今、子どもの運動能力低下が社会問題になっていますよね。以前と比べて外遊びの機会が減少し、「時間」「空間」「仲間」の環境が大きく変化しています。インドアで遊べる機会が増え、スマホ一つで友達とオンラインゲームができる便利さがある一方で、ジャングルジムに登るような遊びは減っています。さらに場所的な制約もあります。昔はボール一つあれば公園でサッカーができましたが、現在は公園でのボール使用が禁止されているケースも多いです。こうした要因が重なり、学校の体力測定でも数値の低下が見られています。私たちが保育園を訪問した際、保育士さんから「転んだときに手がつけなくて、顔から突っ込んでしまう子がいる」という話を聞いて驚きました。様々な動きを経験していない子が増えていることは、サカイクキャンプやシンキングサッカースクールで接する子どもたちの様子からも実感します。谷真一郎(以下谷):ベースとしての運動能力、細かく言うと姿勢や走り方、腕の振りなどが正しくできない中で、サッカーの技術的トレーニングばかりしていても、はたして上達するのだろうか?というのが私の考えです。人の体はトレーニングしたことに適応します。スピードを上げるためには、スピード向上のためのトレーニングが不可欠です。サッカーをプレーする中で、「速く走れない」「うまくターンできない」「1対1の対応ができない」といった課題があれば、その部分を重点的にトレーニングするしかありません。今の子どもたちは外遊びや運動の機会が減少していて、特にコロナ禍を経て、運動能力の低下を肌で感じます。今まで見られなかった動きや「どうしてそうなっちゃうの?」と思うような状況も増えています。それでもサッカーのトレーニングだけで、サッカーを上手くしようとしている。そこが重要なポイントで、走る、ターンするという動きも、サッカーの技術の一つとして捉えてほしい。そして、そのためのトレーニングをすることで、うまくいかない状況を改善するという考え方を持ってもらえると、子どもたちの成長につながるのではないでしょうか。■二極化する子どもたちの運動能力サッカーの現場で感じること(写真は少年サッカーのイメージです)菊池:サカイクキャンプで子どもたちの様子を見ていると、いろいろな動きや遊びを経験している子は、鬼ごっこでも身体が素早く反応し、相手の動きを予測して逆を取るような動きができます。一方で苦手な子はずっと鬼のままの状況や、そもそも「鬼ごっこは嫌だ」と言うこともあります。サッカーにおいても二極化が進んでいて、本格的に取り組む子と習い事感覚でやる子に分かれています。後者は自己肯定感が低く、可能性を狭めてしまっているケースが多いです。昔は中堅層が厚くて、トップを目指す意欲のある子が多かったように思いますが、今はそこが減ってきている。これは大きな問題だと感じています。谷:その傾向はたしかにありますね。上手な子には、さらに運動能力を高めるトレーニングをしてあげたいし、苦手意識を持つ子たちには「こう動かすといいよ」というアドバイスを通じて「こうすればいいんだ」「前より上手にできた」という成功体験が必要です。菊池:そう思います。たとえば、子どもたちに「ヨーイドン」で20mを走らせると、右手と右足が同時に前に出る子や、20mほどの距離でも走りきれずに転んでしまう子もいます。谷さんのような体の動かし方のプロから指導を受けることや、我々指導者が知識を身につけて、正しく指導することの重要性を痛感しています。そうすることで、子どもたちの苦手意識が少しでも解消され、自己肯定感が高まり、チャレンジ精神や「もっと良くなるにはどうしたらいいだろう」という探究心が生まれるきっかけになればと思います。■子どもの自己肯定感を高めることで自信がつき、スポーツの記録が伸びた子も(写真は少年サッカーのイメージです)谷:自己肯定感は子どもに不可欠なもので、人を大きく変えることがあります。以前、タニラダー講習会に来た女の子で、しっかり立てず、走る時に右手と右足を同時に動かしてしまう子がいました。初めは「この子、大丈夫かな」と思ったのですが、勘が良かったのか、たった1回のトレーニングで何かをつかんだようで動きが変わり、家に帰ってから自主練習をするようになったそうです。その結果、最初は自信がなく消極的だった子が、スピードが上がってくると表情が変わり、自分から話しかけるようになってきたのです。お母さんも「性格が変わってしまったみたい」と驚いていました。最初に会った時は小学4年生で伏し目がちだった子が、今は中学2年生になって、陸上の800mに取り組み、県大会で6位に入るまでになりました。自信なさげでふにゃふにゃだった子が、スピードが上がることでこんなに雰囲気が変わるんです。こういった効果が出てくると、自己肯定感の強い子が増えて、チームの雰囲気も変わってくると思います。菊池:サカイクキャンプでも「探究心」が一つのキーワードになっています。自分で考えて取り組んでうまくいったとき、さらに「どうすれば良いだろう?」と興味を持つもの。子どものそのパワーは本当にすごいと思います。サッカーの技術の前に、自分で体を動かすことが好きになり、得意になることで探究心が生まれてくるのは、谷さんのお話を聞いていて強く感じました。谷:そこから二極化の問題が出てくるんです。気づきを得て、より良くなりたいという子がいる一方で、なんとなく『サッカー塾』に通っているけれど、うまくいかず、どうすればいいのかわからないという子や親御さんもいます。私たちのタニラダー講習会のようなスピードアップトレーニングでも、対象が二つに分かれます。「0.1秒を縮めたい、より上を目指したい人」と「動きを改善したいけど、何をすればいいかわからない人」です。その現状を踏まえて、私はトップを引き上げ、ボトムの底上げをする。この両方にアプローチしています。■身体を適切に動かすことができるとサッカーのパフォーマンスが変わる(オンライン対談の様子)菊池:何事もそうですが「やったことないからできない」「やる前からできない」「どうせ自分なんて......」と思っている子は多いですよね。なので、サカイクキャンプでも最初は「自信を持って、自分の得意なプレーを見せてね」というところから始めます。「できたね、そこがすごいね」と認めてあげると、さらに伸びていきます。現状の環境はすぐには変えられません。公園に遊具を増やしたり、ボール遊びOKにするのは簡単ではありません。その中で、我々指導者は子どもたちにとって、どうすればより良い環境を作ってあげられるかを考えることが使命だと思っています。谷:私が甲府で月2回開催している「アジラン(アジリティランニング講習会)」に、小学3年生の頃から通い続けている子がいます。5年生になってサッカーを始めたそうですが、「移動スピードが速く、いつもボールのあるところにいる。粘り強いプレーができる」という評価を受けています。今までの話と重なりますが、「身体を適切に動かす」というベースの上でプレーすることで、サッカーのパフォーマンスは変わるのです。小学生を見ていると、ほとんどの子が良い姿勢で立てていません。ふにゃふにゃしていたり、腕を振れない、片足で立つとグラグラする。その状態でボールを蹴っても、当然パスミスは起こります。速く走れない、転ぶ、そこには理由があります。その部分を改善し、向上させることで、サッカーがもっと上手くなるということを伝えていきたいです。谷真一郎(ヴァンフォーレ甲府・フィットネスダイレクター)愛知県立西春高校から筑波大学に進学し、蹴球部に在籍。在学中に日本代表へ招集される。同大学卒業後は柏レイソル(日立製作所本社サッカー部)へ入団し、1995年までプレー。 引退後は柏レイソルの下部組織で指導を行いながら、筑波大学大学院にてコーチ学を専攻する。その後、フィジカルコーチとして、柏レイソル、ベガルタ仙台、横浜FCに所属し、2010年よりヴァンフォーレ甲府のフィジカルコーチを務める。 『日本で唯一の代表キャップを持つフィジカルコーチ』2020年よりヴァンフォーレ甲府のフィットネスに関わる活動に携わるフィットネスダイレクターに就任、現在に至る。また一般社団法人タニラダー協会の代表として体の動かし方に特化した講習会などの活動を全国で行っている。【取得資格】筑波大学大学院コーチ学修士日本サッカー協会認定A級ライセンスAFCフィットネスコーチ レベル2日本サッカー協会認定キッズリーダー菊池健太(サカイクキャンプヘッドコーチ、シンキングサッカースクールコーチ)【経歴】VERDY花巻ユース 日本クラブユース選手権出場(全国大会)中央学院大学 千葉県選手権 優勝千葉県1部リーグ 優勝【資格】日本サッカー協会C級JFA公認キッズリーダーキッズコーディネーショントレーナー佐倉市立井野中学校サッカー部外部指導員
2025年03月10日Jリーグで活躍するプロサッカー選手、柏好文選手は、37歳という年齢にも関わらず、アジリティ(敏捷性)を武器に、攻守に関わり続けるプレースタイルで、多くのファン・サポーターを魅了しています。そんな柏選手に「アジリティの重要性」について、話をうかがいました。体の小さな選手、子どもたちにとって、上達のヒントになる話が目白押しです!(取材・文鈴木智之)■若いときにアジリティを染み込ませたサッカー選手にとって、アジリティ(敏捷性)は、パフォーマンスを左右する重要な要素です。特に攻守の切り替わりや球際の場面で、その真価は問われます。柏好文選手は、アジリティが必要な局面について、次のように語ります。「サッカーにおいてアジリティが必要な場面は、球際の競り合いや、攻守が切り替わる時です。アクションというよりはリアクションの時の方が、アジリティが重要になると感じています」柏選手はヴァンフォーレ甲府でプロキャリアをスタートさせたときから、谷真一郎コーチのもと、アジリティトレーニングを積み重ねてきたそうです。「若い時に体に染み込ませたトレーニングがあったから、この年齢(37歳)までできていると思います。これまで大きな怪我をしたことがありません。もともとの資質が良かったのかもしれませんが、親からもらった素質に加えて、しっかりとトレーニングを積んできたことで、怪我をしない体の使い方や足の運び方が身についたのだと思います」柏選手が取り組んできたのが、ラダーを中心としたトレーニングです。「プロになってから、毎日のようにラダーを踏んでいました。様々な種類のステップや、試合を想定した足の運び方、相手が動いた時に、最も接地時間を短くして、次の動きに移行できるようなステップなど、緻密な動きを体に染み込ませる練習を毎日のようにしていました」■体の無理が利くようになったその効果は比較的早く実感できたそうで、「一年経たずに、足の運びはかなり変わってきました」と振り返ります。「足の運びが速くなったと感じましたし、体の無理が利くようになりました。相手の動きに対するリアクションや、届かないと思ったボールに対して足が出せるようになるといった面でも、大きな変化を感じました。毎日トレーニングすることで、新たな発見があるので楽しかったです」特に印象に残っているのが「接地面についての指導」だと言います。「地面の反動を使って進むことや、足を地面に着くときの歩幅によって、グラウンド状態が悪いと滑ってしまうといった部分は、かなり敏感に指導してもらいました。足の運び方、体の使い方、反転の仕方など、若い時代に毎日のように練習したので、体に染み込んでいます」さらに「谷さんは筑波大学出身で、科学的で理論的な説明をしてくれました。わかりやすいフィードバックをしてくれて、『いまはどこの体の使い方がよくなかったのか』『こうした方が早くなる』といったアドバイスをくれました」と懐かしそうに話します。■小柄な体格がストロングポイントにアジリティトレーニングは、体の小さな選手にとって、特に重要な意味を持ちます。柏選手は言います。「僕自身、体が小さいというウィークポイントを、アジリティによってストロングポイントに変えることができました。僕以外にも、若い時期にアジリティにフォーカスしてトレーニングをしていた選手は、長く現役でプレーしています。そういう意味で、アジリティの重要性はかなり高いと感じています」育成年代の選手たちにとっても、アジリティトレーニングは将来を左右する重要な要素になりそうです。「幼少期に身につけるのと、大人になってから身につけるのとでは、大きな差が出ると思います。足の運びを常に意識しながら頭と体の回路を作ることによって、怪我の予防だけでなく、一歩二歩先のプレーを読むところにもつながると思うので、非常に効果的な練習だと思います」■4マスを集中して取り組むトレーニングには4マスの「タニラダー」が最適だと言います。「4マスは程よい長さですよね。体の使い方のポイントが、わかりやすいと思います。ダラダラと長く続けるよりも、4マスであれば、集中して姿勢や動きの質を意識することができます」アジリティトレーニングは、単なる体づくりを超えて、選手としてのキャリアを大きく左右する重要な要素です。怪我の予防にもなり、体格的なハンデを強みに変える可能性も秘めています。子どもたちにとっては、動きの回路を作る年代に取り組むことで、今後の伸びしろアップに良い影響がありそうです。柏選手は「僕は体が大きい方ではないので、プロになってアジリティを鍛えて、そこで勝負してきました。アジリティを含めたクイックネス、モビリティに意識を向けることで、プロとして長くプレーすることができているので、その重要性は子どもたちに伝えたいですね」とメッセージをくれました。37歳を迎えてもなお、アジリティを武器にピッチを駆ける柏選手。そのプレーに、今後も大いに注目です!
2024年12月10日サッカーで良いプレーをするためのポイントとなるのが「アジリティ」です。日本語で「敏捷性」を意味する言葉で、サッカーに必要なステップワーク、素早いダッシュやターンなど、アジリティの向上は欠かせません。サカイクを運営するイースリーは、元ヴァンフォーレ甲府のコンディショニングコーチ、谷真一郎さんと、多くのプロアスリートが愛用するインソールを販売するBMZ社とコラボし、プレーの動き出しや一歩目の速さを実現するために、「タニラダースピードアップインソール」を開発しました。タニラダースピードアップインソールには・骨盤が前傾し、1歩目の踏み出しが速くなる・スピードに乗ることができ、足が速くなる・正しい姿勢をキープでき、視野が広がる・浮き指にも効果があり、足指が使えてボディバランスがよくなる。・切り返し時の滑りやふらつきがなくなる・足が疲れにくくなり、ケガや痛みを予防するといった効果が期待できます。そこで今回は、神奈川県の強豪街クラブ「中野島FC」の選手たちに、タニラダースピードアップインソールを1ヶ月間使ってもらい、感想を聞いてみました。はたして彼らのプレーに、どんな変化が現れたのでしょうか?■小学4年生の3名が体験!タニラダースピードアップインソールを1ヶ月間、体験してくれたのが、小学4年生の長谷川明星くん、上萬翠空くん、木村慧くんの3名です。1ヶ月間使ってみた感想を尋ねると、次のように答えてくれました。憧れの選手はネイマールという長谷川くんは「姿勢が良くなったので、全体が見えるようになった。一歩目が速くなったり、ドリブルもしやすくなった」と話します。上萬翠空くんは「一歩目が速くなって、相手が裏抜けするときにすぐに対応できて、うまくディフェンスができました」と好感触。木村慧くんは「チームの速い選手に、スピードで負けなかったり、逆サイドのカバーリングに、すぐに行くことができた」と効果を感じた様子。憧れの冨安健洋選手のように「強い相手にも粘り強く対応できるようになるために、これからもこのインソールを使っていきたい」と話してくれました。■アジリティの重要性を認識中野島FCは全国的な強豪として知られ、セレクションをしない街クラブにも関わらず、『アイリスオーヤマ 第7回プレミアリーグU-11チャンピオンシップ2022』で全国優勝を果たすなど、Jクラブとも対等に渡り合っています。中野島FCの岡本一輝コーチは「練習最初の20~30分はコーディネーション、アジリティのトレーニングに当てています」と、ジュニア年代で動きづくりやアジリティを高めることの重要性を強く認識しています。「内容としては、体幹とバランス、走力アップのトレーニングを行っています。指導者を始めて5年目になるのですが、僕が見ている学年は基本的にこのルーティンを行っています」日々、積み重ねているコーディネーション、アジリティトレーニングは、着実に実を結んでいるようです。「僕は、去年卒団した代を3年生から6年生までの4年間指導したのですが、全体的に姿勢が良くなり、視野を確保できるようになりましたし、当たり負けする選手も減ってきた印象があります」■全員のバランスが向上 今回、タニラダースピードアップインソールを体験した選手を選んだのは、岡本コーチです。その理由を、次のように話します。「それほど足が速くないメンバーを選びました。彼らがタニラダーインソールを使って、どれぐらい変わるかに注目していたのですが、全員に共通して言えるのが、バランスがめちゃくちゃ良くなったことです」さらに、こう続けます。「タニラダーインソールを履く前と履いた後では、姿勢の部分と、相手に当たられたときのバランス、体幹をキープする部分に相当な変化がありました。彼らが一生懸命トレーニングしたことに加えて、インソールのおかげなのは間違いないと思います」長谷川くんに関しては「初速も速くなってきた」と笑顔を見せます。「中盤でプレーするときに、相手に置き去りにされるシーンが減ってきました。相手の動きに反応して、一歩目が素早く出る状態を作ることができているので、そこは予測力、判断力に加えて、インソールの成果だと思います」■アジリティの差は、勝敗につながりやすいサッカーは技術的な部分に加えて、アジリティやコーディネーション、走力などが重要になるスポーツです。ジュニア年代で正しい体の動かし方を身につけておくことで、上のカテゴリーに進んだときに、伸びしろが変わってきます。岡本コーチは「走力やアジリティの差は、勝敗につながりやすい」と話します。「小学生年代から、身体能力やアジリティの強化をしていくことで、中学・高校で活躍できる選手は増えてくると思います。中野島FCに来てくれているのは、サッカーが大好きで、将来はプロサッカー選手になりたい子たちばかりです。その目標に手が届くように、幅広い視点で指導していきたいです」一昨年には『アイリスオーヤマ 第7回プレミアリーグU-11チャンピオンシップ』で全国優勝し、Jクラブとも熱戦を繰り広げる、中野島FC。さらなる高みを目指す、選手たちの今後に大注目です!
2024年03月07日サッカーをしていて「敏捷性」という言葉を耳にしたことのある方は多いのではないでしょうか。サッカー選手にとって、敏捷性を鍛えることは非常に重要です。一方で敏捷性がどのようなものなのか、どうやって鍛えるのかわからない人もいるでしょう。この記事では、敏捷性の意味や鍛えるためにはどのようなトレーニングをすればいいのか解説します。自宅でも使用できるトレーニング道具も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。敏捷性とは?敏捷性とは、簡単にいうと動作のすばしっこさや機敏さを意味する言葉であり、スポーツにおける重要な能力の1つだと言えます。英語だと「アジリティ(Agility)」という言葉になるため、こちらで馴染みのある人もいるかもしれません。サッカーにおける敏捷性とは、ダッシュやドリブルの加速、減速、方向転換、急ストップ、急発進といった要素が該当します。敏捷性は、プレーをするうえでの基本的な要素であり、攻守両面において欠かすことができません。敏捷性があれば、プレーの質も大きく向上するでしょう。敏捷性=足の速さではないサッカーをしていて「あの子は足が速いな〜」と感じることがあるかもしれませんが、足が速いからといって敏捷性があるというわけではありません。先ほども説明しているように、サッカーにおける敏捷性とは加減速や方向転換などのことを指しています。そのため、短い距離で一気にトップスピードまで持っていける、スピードの緩急をつけるのがうまい、ドリブル中の方向転換で相手をうまくかわすといったことができる、といった選手が、敏捷性があるといえるでしょう。日本人選手であれば、香川真司選手や長友佑都選手などは高い敏捷性を備えています。両選手は決して体格が大きいわけではありませんが、スピードや緩急、などを駆使してフィジカルの強い相手であっても対等に勝負することができています。このような選手たちが活躍していることを考えると、敏捷性がいかに重要であるか理解できるのではないでしょうか。敏捷性を鍛えるトレーニング敏捷性を鍛える場合、特別なトレーニングが必要なわけではありません。例えば、縄跳びや鬼ごっこなどは、一見すると遊んでいるように思えますが、さまざまなステップワークを踏んだり、加減速や方向転換などを行ったりするため、敏捷性を鍛えることができます。日常生活の中でもできるため、子どもたちにとっても取り組みやすいでしょう。また、スポーツショップなどで購入できるはしご型のトレーニング道具である「ラダー」も敏捷性を鍛える際に活用できます。ラダーの枠に応じて素早くステップワークを踏んだり、切り返しをしたり、加減速を行ったりできるため、こちらもおすすめです。ラダーの購入を検討している方は、「タニラダー」の利用がおすすめです。こちらの商品は、一般的なラダーよりもマスの数が少ない4マス構造となっており、簡単に設置できます。また、マスが少ない分、スピードを落とすことなくステップワークが踏めるため、実践に近いスピードを体に染み込ませることができます。敏捷性のトレーニング自体は、簡単にできるものなので、ぜひ自主練習の際などにも取り入れてみてください。まとめ今回は、敏捷性の意味や鍛えるためのトレーニングなどについて解説しました。ドリブルや守備など、サッカーにおいて敏捷性が必要となる場面はたくさんあります。サッカーがうまい=ボールの扱いがうまいといったイメージがあるかもしれませんが、敏捷性も欠かすことはできません。ぜひ、今回の内容を参考に敏捷性の向上に取り組んでみてください。
2021年04月15日サッカーをしていると「アジリティが重要だ」「アジリティを鍛えよう」といった言葉を聞くことがありますが、中にはアジリティがどのようなものかわからない人もいるでしょう。この記事では、アジリティとはなんなのか、その意味について解説し、なぜアジリティが必要なのか、そしてどのようなトレーニングをすればいいのか解説します。アジリティトレーニングに使用できるおすすめの道具も取り上げているので、ぜひ参考にしてみてください。アジリティとはアジリティとは、日本語で言う敏捷性のことです。敏捷性というと足の速さなどをイメージするかもしれませんが、サッカーにおけるアジリティは単なる速さのことを指しているわけではありません。具体的には、スピードや加減速、さらには方向転換の速さなどのことを指しています。アジリティの必要性アジリティはサッカーにおいて必要不可欠な要素であり、アジリティがあれば攻守両面において役立ちます。先ほども説明しているように、アジリティは加減速や方向転換の速さなどのことを指しており、サッカーにおいてこれらの能力が役立つ場面は少なくありません。例えば、相手を抜き去るドリブルをするためには、緩急をつけたドリブルが効果的です。またトラップの際に素早く切り返し相手の逆を取れれば大きなチャンスにつながるでしょう。そのほかにも、ボールを持った相手に対応するには、自由自在に加減速や方向転換ができることが欠かせません。このようにアジリティを鍛えることで、サッカーでは様々な場面で活躍できます。アジリティは小さいころから育てるアジリティ能力は小さいころから育てることが大切です。特に幼児期は神経機能が発達する時期で、体の動かし方や力加減のコントロールなど運動を調整する能力が向上する時期であるためです。筋トレは体ができあがっていない子どもには適していないとされていますが、アジリティはそういったことはないため、ぜひトレーニングしてみてください。アジリティを鍛えるトレーニングここでは、アジリティトレーニングの具体的な内容について解説します。簡単にできるトレーニングもあるためぜひ参考にしてみてください。鬼ごっこ鬼ごっこは、一見するとただの遊びに思えるかもしれませんが、鬼から逃げるために加減速や方向転換を行う必要があるなど、アジリティトレーニングにぴったりです。また、子どもたちにとっても馴染みのあるものであるため、細かいルール説明がなくてもすぐにできる点も大きな特徴です。練習の際のウォーミングアップなどにも適しています。ラダートレーニングラダーとは、はしごの形をしたトレーニング用具であり、サッカーをはじめとして様々なスポーツで使用されています。ラダー上で、いろいろなステップワークを踏むことで、足の動きやさばきが早くなり、アジリティの向上にもつながります。ラダーはスポーツショップなどで購入できるため、個人で購入しておけば、自主練習の際などにも活用できるでしょう。中でも「タニラダー」は、4マス構造となっており、持ち運びや設置が簡単に行えます。また、実践に近い形でのステップワークが踏めるようになっているため、アジリティトレーニングにもぴったりです。ぜひ利用を検討してみてください。まとめ今回は、アジリティについてその意味から必要性、さらには具体的なトレーニング方法などについて解説しました。サッカースキルの向上というと、どうしてもボールテクニックなどに注目してしまいがちですが、アジリティは攻守両面において欠かせない重要な要素です。鬼ごっこやラダーなど普段の練習を通して鍛えられるものであるため、ぜひアジリティの向上に取り組んでみてください。
2021年04月14日日立製作所は25日、英国運輸省の都市間高速鉄道計画(IEP)について、同社が出資するアジリティ・トレインズ社を通じ、正式契約を締結したと発表した。アジリティ・トレインズ社は2009年2月、同計画に関する優先交渉権を獲得し、正式契約に向けた交渉を実施。一時は契約交渉が凍結されたものの、昨年3月より契約交渉を再開。最終契約締結に至った。この契約にもとづき、アジリティ・トレインズ社は約30年にわたり、イギリスの主要路線である「East Coast Main Line」「Great Western Main Line」を走行する車両のリース事業を展開する。日立はアジリティ・トレインズ社のリース事業向けに計596両の車両を製造し、27年半にわたる保守事業について一括受注する。また、IEPを含め今後のイギリスおよびヨーロッパにおける鉄道システム事業強化に向け、イングランド北東のダーラム州ニュートン・エイクリフを第1候補に、新たな鉄道車両の生産拠点を設立する予定とのこと。日立製作所執行約社長、中西宏明氏は、「本件は日立が社会イノベーション事業を通じてグローバルな成長をめざす上で、非常に大きな一歩。高信頼・低環境負荷かつ快適な旅客サービスの提供と、世界トップクラスの生産設備を備えた新拠点の設立を通じて、日英両国の良好な互恵関係構築に貢献すべく努力して参ります」とコメントしている。この件については国土交通省からも発表があり、IEP(老朽化した主要既存路線向けの高速鉄道車両の更新プロジェクト)が「英国鉄道史上最大規模」(約45億ポンド、日本円で約5,400億円)のプロジェクトであり、イギリスの社会経済にとって大きな意義を有するものであることを強調。羽田雄一郎国土交通大臣は、「鉄道発祥の地で我が国の鉄道技術が貢献できるのは大変喜ばしいこと」「国土交通省では、総理のリーダーシップの下、トップセールス、公的金融支援等、様々な形で積極的な支援を行ってきたところであり、本プロジェクトを契機に、日英関係のさらなる発展を期待しています」とコメントした。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月26日