身近に迫るアニサキス食中毒アニサキス食中毒とは、寄生虫(線虫)の一種であるアニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生で食べることで引き起こされる食中毒で、近年増加しています。令和4年には578名が発症しており、前年と比較して1.5倍以上の増加率になっています。出典:厚生労働省HPアニサキスによる食中毒を予防しましょうアニサキス幼虫は、長さ2~3cm、幅0.5~1mmくらいの大きさで、白色の少し太い糸のような見た目をしています。サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなど身近な魚介類に寄生し、スーパーで買った切り身や刺身などについていても目視だと気づかずに食べてしまうこともあるでしょう。私たちの生活に身近な食中毒であることから、厚生労働省はX(旧ツイッター)でも注意喚起しています。【アニサキス#食中毒に注意!】#アニサキスは寄生している魚介類が死亡し、時間が経過すると内臓から筋肉に移動します。有効な予防策①新鮮な魚を選び、速やかに内臓を除去②内臓を生で食べない③目視でアニサキスを除去④さらに、冷凍・加熱が有効-厚生労働省食品安全情報アニサキス食中毒の症状とはアニサキスの食中毒を発症するとどのような症状が出るのでしょうか。厚生労働省HPでは以下の2つの症状が紹介されており、多くが急性胃アニサキス症だといいます。なお、稀にアニサキスアレルギーを発症することもあります。✅急性胃アニサキス症 食後数時間後から十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐を生じる✅急性腸アニサキス症食後十数時間後から数日後に、激しい下腹部痛、腹膜炎症状を生じる出典:厚生労働省HPアニサキスによる食中毒を予防しましょう現在、アニサキス幼虫に対する効果的な治療薬はありません。胃アニサキス症では、胃粘膜に侵入しているアニサキスを内視鏡で摘出します。症状がひどい場合はためらわずに医療機関を受診しましょう。アニサキス食中毒の予防法効果的な治療薬がないことからも、アニサキス食中毒は予防が非常に重要です。厚生労働省ではアニサキス食中毒を未然に防ぐため、以下の5つのポイントを徹底することを推奨しています。✅新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除く✅内臓を生で食べない✅目視で確認し、アニサキス幼虫を除去する✅冷凍する(-20℃で24時間以上)✅加熱する(70℃以上、または 60℃なら1分)なお、食用の酢、塩漬け、醤油、ワサビではアニサキス幼虫は死滅しません。[*1](マイナビ子育て編集部)[*1] 厚生労働省HPアニサキスによる食中毒を予防しましょう
2023年08月29日サバ、アジ、サンマ、イワシなどの魚介類に寄生することが多い、寄生虫の一種である、アニサキス。アニサキスが寄生している生鮮魚介類を生で食べると、数時間後から数十時間後にみぞおちの激しい痛みや嘔吐など食中毒症状が出る場合があります。厚生労働省が『アニサキス』について注意喚起を行うも…?アニサキスについて注意喚起を行ったのは、食品安全対策を中心に情報を発信している、厚生労働省のTwitterアカウント。「食酢、塩漬け、醤油、わさびでは死滅しない」と、アニサキスの注意をうながす同アカウントですが、公開された画像に注目が集まっているのです。「素晴らしい遊び心」「記憶に残りやすい」と絶賛の声が上がったワケが…。【酢や塩での調理でアニサキスは死滅しません!】 #アニサキス は魚介類の寄生虫です。食酢、塩漬け、醤油、わさびでは死滅しないので、刺身やしめ鯖などの調理の際も目視確認が重要です。さらに、冷凍・加熱が有効です。 #食中毒 pic.twitter.com/Zgw56P9TMM — 厚生労働省食品安全情報 (@Shokuhin_ANZEN) March 16, 2023 鮮度の徹底や調理の前に目視で確認することなど、アニサキスの食中毒予防に関する重要な項目を並べる同アカウントですが…各情報に猫が写っているのです!写真と内容が合っているのは真ん中の『目視で確認』のみ。あとの項目は、猫のかわいさが印象に残る写真になっています。魚のおもちゃにガブリと噛み付き、華麗な猫キックをお見舞する写真には、「猫パンチや猫キックではアニサキスは倒せません」と、注意書きが…!同アカウントの『おちゃめな注意喚起』は功を奏し、多くの人が猫のかわいさとともに、アニサキスによる食中毒の予防方法を記憶したようです!・まさかの厚生労働省…!運営者さんがTwitterライフを楽しんでいることが伝わる。・猫を出せば、注目されると思ったんでしょ?その方法、実に有効です!・猫の写真がかわいくて5回くらい見た。効果が抜群な注意喚起ですね!・よりによって、こんなにかわいい猫を出すなんて…。100点満点です。「鮮度も大切なんだ」「冷凍も有効だとは知らなかった」など、アニサキスについて理解を深めた声も上がった、厚生労働省のツイート。猫の写真とともに、多くの人がアニサキスによる食中毒の予防法を認識したことでしょう![文・構成/grape編集部]
2023年03月16日「全国各地でアニサキス食中毒が激増しています。ここ数年でその数は一気に増え、5年前からは食中毒の原因、ワースト1位にもなっているんです」そう語るのは熊本大学産業ナノマテリアル研究所の浪平隆男准教授。厚生労働省の速報によると今年はすでに124件のアニサキス食中毒が発生している(6月8日時点)。アニサキスとは、その終宿主がクジラなどである太さ0.5~1.0ミリ、長さ2~3センチのミミズのような見た目で、魚の内臓に寄生している寄生虫。生きたまま食べてしまうと食中毒を引き起こすが、なぜ近年増加しているのか?「主にアニサキスの認知が進み、適切に被害が報告されるようになったことが考えられます。また、鯨の数の増加や、地球温暖化によって鯨や魚の回遊ルートが変わり、水揚げされる魚がアニサキスの卵を含む、鯨のフンを食べる機会が増えたことも関係しているのではないかと思います」(浪平准教授・以下同)なかでもアニサキスが多く報告される危険な魚を教えてもらった。「サバ、イカ、アジ、サンマ、イワシで多く見られます。以前は青魚が中心でしたが、サーモンや、ヒラメなどの白身魚でも報告され、もうアニサキスのいない魚種はないといっていいほど」魚の輸送技術の発達も、アニサキス増加の原因に――。「魚が死んで内臓が腐ってくると、魚身に移動します。-20度で24時間以上冷凍すると死にますが、近年は冷蔵状態で長時間の輸送が可能になったため、幼虫が魚身に移動しやすくなっています。サバ1匹の内臓から100匹ほど見つかることもあり、そうなると結構な確率で魚身に移動しています」■胃酸の中でも1週間生き延びる生命力さらに最近では、初めから魚身に寄生する種類のアニサキスも増加しているという。知らず知らずのうちに食べてしまうと、胃や腸の壁に食らいつき、深刻な症状が。「胃や腸に入ると数時間後にひどい吐き気や、胃をつかまれたような激しい痛みに襲われます。この痛みはアニサキスのアレルゲンに対するアレルギー反応によるもの。死んだアニサキスを食べて酷い症状が出る人もいれば、生きたまま食べても無症状という人もいます」プラスチックのように硬い殻で覆われている強靭なアニサキスは、胃酸の中でも1週間程度生き延びられるという。万が一あたった場合は病院へ行き、内視鏡で直接取り除いてもらうしかない。浪平准教授は水産加工メーカー・ジャパンシーフーズとの共同研究で刺身に電気を流してアニサキスを撲滅させる装置を開発したが、社会実装にはまだ数年かかるそう。そこでやはり大切なのが、アニサキス食中毒からの自己防衛。「一匹丸ごとの魚はすぐに内臓を取り除きましょう。生魚を食べるときは、目視で確認するしかありません。100均でも買えるブラックライトを当てると見つけやすい。酢では死なないため、しめサバや表面だけを焼いた炙り寿司も注意が必要です。家庭用冷凍庫(約-18度)で2日以上冷凍するか、70度以上の熱を加えると死滅します」生魚を食べる際はくれぐれも、アニサキスにご用心!
2022年06月23日魚介類に寄生し、人の体内に生きたまま入ることで、食中毒を引き起こす危険性がある『アニサキス』。死亡例こそ報告されていないものの、症状がひどい場合は吐き気や嘔吐、さらには激しい腹痛を引き起こします。ひと昔前に、アニサキスによる食中毒被害がニュースなどで報じられたこともあり、その存在を知っている人は多いことでしょう。もろ(@mo69tsun)さんの父親も、過去にアニサキスに感染した1人。もろさんによると、父親はその後しばらくの間、感染経路となったイカを食べるのは控えていたといいます。しかし、激痛に苦しんだはずの父親は、アニサキスを摘出した後、驚きの行動をとったのでした…。アニサキスを摘出後の行動に驚きの声アニサキスに感染し、もだえ苦しむほどの激痛を経験した、もろさんの父親。しかし、父親は体内から摘出したアニサキスに『アニーちゃん』と名付け、小瓶に入れて部屋に飾ったり、さらには持ち歩いて人に見せたりと、とてもかわいがっていたといいます。父親の行動を振り返り「腹を痛めたうえで摘出されたから、愛着が湧いたんだと思う」と語る、もろさん。これが、母性というものなのでしょうか…!私の父、イカ食べてアニサキスに寄生されたとき、悶え苦しんだ末に摘出されたアニサキスに「アニーちゃん」と名前をつけて小瓶に入れて可愛がってた 多分腹を痛めたうえで摘出されたから愛着湧いたんだと思う— もろ (@mo69tsun) September 8, 2021 もろさんがTwitterに投稿した父親のエピソードは反響を呼び、爆笑と困惑の声が相次いで寄せられました。・そんな…母性が芽生えたんですか。・これが『お腹を痛めて生んだ子』というやつですか。・『アニーちゃん』という命名で、声を出して笑った。ファンシーな名前をつけただけでなく、その後の父親の行動からも、アニサキス…改め『アニーちゃん』への愛情は本物だったのでしょう。父親の行動は、多くの人に新しい母性と愛の形を見せてくれました…。[文・構成/grape編集部]
2021年09月09日「妊娠したら、生ものを食べるのは控えた方がいい」というのは、よく聞く話ですね。妊娠は病気ではありませんが、免疫力が弱まっているうえ、胎児への影響を考えて飲める薬も限られることから、体調を崩す要因はなるべく遠ざけたいという意味があるのでしょう。中でも生魚は避けた方がよく、お寿司(すし)やお刺身はなるべく食べないようにと指導する病院もあるそうです。それはどうしてでしょうか? すべての生魚はダメなのでしょうか? 生でなければ食べてもいいのでしょうか?この記事では、そんな疑問にお答えしましょう。【監修】成城松村クリニック院長 松村圭子先生婦人科専門医。1995年広島大学医学部卒業、同年広島大学付属病院産婦人科学教室入局。2010年、成城松村クリニックを開院。女性の「体の健康」「心の健康」のために、一般の婦人科診療だけではなく女性のあらゆる面をトータルにケア。講演、執筆、TV出演など幅広く活動。著書に、『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』(東京書店)、『医者が教える女性のための最強の食事術』(青春出版社)など多数。■妊婦は寿司や刺し身などの生魚を食べたらだめと言われる理由理由1:生魚には細菌やウイルスが潜んでいる可能性があるため 妊婦が生魚を避けた方がいい理由の一つに、加熱すれば死滅する細菌やウイルスがそのまま体内に入り、食中毒を引き起こす確率が高くなるためです。中でも、次の2つには要注意です。▼リステリアリステリア・モノサイトゲネス菌(以下、リステリア)は、河川水や動物の腸管内など環境中に広く分布する細菌です。4℃以下の低温でも死滅することなく増殖するため、冷蔵庫などで冷蔵保存してそのまま加熱せずに口にする食べ物からの感染が多いといわれています。初期症状はかぜに似ており、発熱・筋肉痛、時にははき気や下痢から始まります。生の魚介類に限らず、生ハムなどの食肉加工品、未殺菌乳、ナチュラルチーズなどの乳製品、スモークサーモンなどの魚介類加工品などから感染します。74℃以上で死滅する菌なので、加熱して食べることで感染を防げます。参考サイト:厚生労働省 「これからママになるあなたへ」 ▼アニキサスアニサキスは、魚介類に寄生する寄生虫の一種です。その幼虫は、長さ2〜3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のような形をしています。アニサキス幼虫が寄生している魚介類を生で食べると、 食べた人の胃壁や腸壁に幼虫が刺入し食中毒を引き起こします。多くの場合は急性胃アニサキス症で、食後数時間後から十数時間後に、みぞおちの激しい痛みや嘔吐(おうと)といった症状が出ます。食中毒が疑われる場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。魚を~20℃以下で24時間以上冷凍するか、70℃以上の加熱でアニサキス症は予防できます。一般的な予防方法として、食酢での処理や塩漬け、しょうゆやわさびをつけるなどがいわれますが、これらでは幼虫は死滅しません。参考サイト:厚生労働省 「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」 理由2:食中毒のリスクが高いため 食中毒には、細菌性とウイルス性があります。先に紹介したリステリア菌は細菌性で、多くの場合、口にしても症状が出ることはなく、重症化することはまれです(諸外国の報告では 10 万〜100 万に1人の発生率)。 ただし、妊婦や体力の低下した人は感染する機会が増し、妊娠期間後半 26 週以降が最も重症化しやすく、胎児への影響も報告されています。妊婦が感染すると、リステリア菌が胎盤を通じて胎児へも感染し、流産や早産、死産の原因にもなるといわれています。そのほか、生の魚介類が原因で食中毒になる細菌には、サルモネラ菌、腸炎ビブリオなどがあります。一方、ウイルス性食中毒には、生もしくは加熱不足の二枚貝(カキなど)が原因のノロウイルスや、同じく生もしくは加熱不足の魚介類が原因のA型肝炎ウイルスなどが挙げられます。いずれも免疫力が落ちている妊娠時期の感染は避けたいものです。魚介類には十分火を通して食べることで予防できます。参考サイト:農林水産省 「これからママになる方のための食中毒予防」 農林水産省 「食中毒をおこす細菌・ウイルス・寄生虫図鑑」 理由3:水銀摂取の危険があるため 魚の種類によっては、量を調節して食べる必要があるものがあります。それは、魚に含まれる水銀量が原因です。自然界にはある一定の量の水銀が存在し、魚の体内にもその水銀は蓄積されています。そのため、食物連鎖によって小さな魚を捕食する大きな魚(クジラ、イルカを含む)ほどより多くの水銀を体内にためています。魚を食べると、それに含まれる水銀を摂取するわけですが、通常は徐々に体外へ出ていくため、平均的な食生活をしていれば問題はありません。ただ、おなかの中の赤ちゃんは胎盤を通してお母さんから摂取した水銀を外には出せません。水銀を含む魚を大量に食べ続けたお母さんの赤ちゃんは、1000分の1秒以下のレベルで音への反応が遅れるといった影響が出るそうです。参考サイト:厚生労働省 「これからママになるあなたへ お魚について知っておいてほしいこと」 厚生労働省 「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」 理由4:動物性ビタミンAの過剰摂取も危ないため 動物性ビタミンAは、目や皮膚、粘膜の働きを助けたり、抵抗力を高めたり、暗い所でも視力を保つ働きをもつビタミンです。ただし、水には溶けず油に溶ける性質をもつ脂溶性ビタミンのため、体内に蓄積されやすい特徴をもっています。そのため、過剰摂取してしまうとビタミンA過剰症となり、おなかの赤ちゃんには先天異常が起こる可能性も。■妊婦になってから寿司を食べちゃってた! 病院にすぐ行くべき?特に問題が起こっていなければすぐに病院へ行く必要はない1回食べただけでも問題が生じるのは、アニサキス症とリステリア症でしょう。急性胃アニサキス症に感染した場合、食後数時間から十数時間後には症状が出ます。また、リステリア菌の場合は、平均3週間の潜伏機関をへて発症します。もし、食べてから上記の期間、何の症状も出ないようであれば、特に病院へ行く必要はありません。参考サイト:国立感染症研究所 「リステリア・モノサイトゲネス感染症とは」 ▼妊娠初期の胎盤ができるまで妊娠2カ月(4〜7週)頃から赤ちゃんはお母さんのおなかの中で発育を始め、妊娠4カ月頃には胎盤が完成。それから胎盤を通して、赤ちゃんはお母さんから栄養をもらい育ちます。▼妊娠初期なら大丈夫? おなかの中の赤ちゃんは、胎盤を通してお母さんから栄養をもらいますが、同時にお母さんが摂取した有害物質も体内に取り込んでしまいます。赤ちゃんは体の機能が未発達なため、それら有害物質を体から排泄(はいせつ)したり代謝したりがうまくできません。そのため、食事には一層気をつけなければいけないのです。では、胎盤が完成していない妊娠初期なら大丈夫かというと、そういうことはありません。妊娠中は免疫機能が低下するため、食中毒にかかりやすいといわれています。重症化することはまれですが、感染予防のため加熱が不十分なものは口にしないようにしましょう。■妊婦が食べないほうがいい寿司ネタは? イクラやサーモンもだめ?アニサキス幼虫が潜んでいる可能性の高いネタアニサキス幼虫は、以下の魚介類に寄生している場合が多いようです。・サバ・アジ・サンマ・カツオ・イワシ・サケ・イカ ほか食中毒の可能性が高いネタ食中毒の原因となる食材を、細菌性とウイルス性に分けてご紹介しましょう。【細菌性食中毒】リステリア菌:スモークサーモンなどの魚介類加工品、ナチュラルチーズなどの乳製品、生ハムなどの食肉加工品、コールスローなどのサラダサルモネラ菌:ウナギ、スッポン、乾 燥イカ菓子、卵、またはその加工品、食肉(牛レバー刺 し、鶏肉)腸炎ビブリオ:魚介類(刺身、寿司、魚介加工品)、二次汚染 による各種食品(漬物、塩辛など)【ウイルス性食中毒】ノロウイルス: カキなどの二枚貝A型肝炎ウイルス:カキなどの二枚貝参考サイト:内閣府 食品安全委員会 「その他」 厚生労働省 「食中毒の原因と対応」 水銀量が高いネタ日本人が1食で食べる魚の量は、切り身にしても刺身にしても、1食につき平均80gとされています。次に挙げた魚は水銀量を多く含むため、おなかの赤ちゃんに影響が出ないためには1週間に1食までが目安となります。・キンメダイ・メカジキ・本マグロ(クロマグロ)・メバチマグロ ほかそのほか、キダイやマカジキ、ミナミマグロ(インドマグロ)、クロムツなども比較的、水銀量が多い魚となります。参考サイト:厚生労働省 「これからママになるあなたへ お魚について知っておいてほしいこと」 ビタミンAの過剰摂取の危険性があるネタビタミンAを多く含むものとして、次の魚介類が挙げられます。・ヤツメウナギ(生)・ホタルイカ(ゆで)・ウナギ(かば焼)・銀ダラ(生)・アナゴ(生) ほか■あぶってあれば大丈夫? 食べてもOKな寿司ネタあぶりでも要注意生の魚介類を口にする場合、どれくらい火が通っていればいいのでしょうか?アニサキスは中心温度60℃で1分以上、ノロウイルスは中心温度85〜90℃で90秒以上の加熱で予防できるとされています。それ以外の細菌、ウイルスも温度・時間の指定はありませんが、「中心まで十分に加熱」によって食中毒は避けられることが多いようです。そのため、表面に焦げ目がつく程度に火を入れる「あぶり」では、完全には予防できないでしょう。参考サイト:農林水産省 「食中毒をおこす細菌・ウイルス・寄生虫図鑑」 食べてもOKなのは火が通っているもの妊娠中でも食べられるお寿司の魚介類ネタは、「完全に火が通っているもの」。例えば、蒸しエビや蒸しタコ、煮穴子なら、食中毒の心配はないでしょう。ただし、煮穴子は水銀量が多めなので、食べる量は調整しなければいけないでしょう。魚卵なら大丈夫かといえば、実はそうでもありません。イクラにアニサキスの幼虫が寄生していることもあり、やはり生である以上、食中毒の危険性は変わりありません。ネタが魚介類以外のお寿司、例えば玉子や納豆巻き、かっぱ巻きなどはいくら食べても問題はないでしょう。■妊婦が魚を食べる時の注意点寿司はNGでも妊娠中は魚介類を積極的にとろう妊娠中、生の魚介類がネタとなるお寿司は避けたほうがいいですが、魚自体は積極的にとって欲しい食材です。魚には、良質な動物性たんぱく質や骨・歯を強くするカルシウム、血管障害を予防したりアレルギー反応を抑える効果があるDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれます。おなかの中で赤ちゃんを育てている妊婦さんにとって、栄養豊富な魚介類は欠かせない食材です。水銀量が多い魚は避ける、十分に加熱するなど気をつけて、積極的に魚を取り入れた食生活を送りましょう。参考資料:・ 日本産婦人科医会 ・ 厚生労働省 ・ 農林水産省 ・ 国立感染症研究所 ・ 内閣府 食品安全委員会
2019年11月26日最近急増しているといわれる寄生虫アニサキスによる食中毒。一般家庭でできる防衛術を専門家に聞くと、意外な答えが――。医師・医療ジャーナリストでもある森田豊氏は、3年前に身を以てアニサキスの痛みを経験したという。 「寿司店で旬のイワシを刺し身で食べたんです。そうしたら深夜3時ごろ胃が痛くなってきて、背中にも関連痛が。最初はギックリ腰かと思って、翌朝のラジオ番組の収録にも無理やり行ったんです。でも痛みが普通じゃないので『あっ、昨日、光り物を食べた。あれだ!』って。クリニックに行って内視鏡を入れたら、3匹もいました」 今回、森田氏と国立科学博物館の倉持利明博士に“自己防衛術”9カ条を聞いた。 1. よく噛んで食べるのが大事 「幼虫がいても噛み殺せば大丈夫。気持ち悪いですけど(苦笑)。アジのたたきなどの伝統的食べ方は理にかなってるということ」と森田氏。倉持氏も「よく噛むこと」を対策の1つに勧める。ネットでは「噛んでも死なない」との声もあるが、森田氏は「厚労省の対策には記載されていませんが、噛むことによる予防には理論的根拠もあります」と語った。 2. 遠洋マグロは安全度高し 「いちばん大事なのは“生で食べない”ことですが、さすがに無理ですよね。次善の策は魚を冷凍すること。ですから遠洋で獲ったマグロは安全。マイナス50度で冷凍して持ち帰るため、アニキサスは一発で死にます。サンマも生のままは危ないですが、冷凍サンマは大丈夫です」(倉持氏) 3. 一般家庭では、マイナス20度で24時間冷凍を! 最近の家庭用冷蔵庫はマイナス18度以下で冷凍できるものが多いが、「マイナス20度で24時間冷凍すれば、アニサキスは死にます」(森田氏) 4. サバ、ヒラメは要注意! 「発症例が多いのがサバ。サバは身が柔らかいので、冷凍のサバが少ないのが原因だと考えられます。お酢でしめてもアニサキスは死なないので、シメサバでも発症します。シメサバを安心して食べたければ、やはり冷凍してください」と倉持氏。ヒラメは高級魚ということもあって冷凍されずに生で出されることが多く、意外と発症数が多いのだという。 5. 厚さ1センチまで薄く切る 「アニキサスは体長2~3センチ。刺し身を切るときは、1センチ以下の薄さにしましょう。厚さ2センチ以上のときは、刺し身に切れ目を入れて幼虫がいないか目視を」(森田氏) 6. 最大の予防策は“目視” アニキサスを魚の中から見つけることが大切。「細く切るイカソーメンは“庶民の知恵”。アニサキスがいても取り除けば食べても安全。どうぞ召し上がってください」と倉持氏。 7. 痛みが出るのは「数時間後」で「下痢はしない」 アニサキスにやられたとしても、痛みが出るまで半日かかることはないそう。森田氏は「おへその上あたり、上腹部が痛みます。それより上の胸骨が痛いなら心筋梗塞。右下腹部痛なら盲腸炎。上腹部に痛みが出たら生ものを食べたか思い出して、心当たりがあれば病院へ」と語る。アニサキスは主に胃で発症するため下痢の症状は出ない。ちなみに森田先生の場合はアニサキスを取り除くとすぐ痛みもおさまり、1時間後には仕事に戻れたそう。放置すると1~2週間の痛みが続き、アニサキスが腸に達して穴を空けると命を落とすことも。 8. 高級店に“リスク”あり? 産地直送の“生”にこだわるのが高級寿司店。そのため、リスクは高くなる。「低価格な回転寿司店などでは魚も冷凍ものが多いので、魚のよしあしとは関係なくアニサキスにやられるリスクは低くなるでしょうね」と森田氏。 9. 無駄にこわがらない 最近患者数が急増しているといわれるアニサキスだが、倉持氏は「12年に患者発生を保健所に報告することが義務化されたことで、急に患者が増えたように見えるのではないかと考えています。私の考えでは、実際の患者数はあまり変わっていません」と語っていた。 大切なのは、危ない食べ方をきちんと知ること。美味しい魚を安全に楽しんで――。
2017年05月18日