昨年末から巷の話題を独占しているアニメ『呪術廻戦(じゅじゅつかいせん)』。古より、世の中に日々生み出されている、人の負の感情=呪い。それらを祓うべく、死闘を繰り広げる現代の呪術師たちの物語。少年漫画が原作ながら、大人をも魅了する本作の秘密を考察。原作漫画はシリーズ累計発行部数3000万部突破!世界を虜にする、本作の魅力を解説します。現代の東京を舞台に、呪いと呪術師の戦いを描く、週刊少年ジャンプ連載中の漫画『呪術廻戦』。連載開始からの人気作だったが、昨年10月にアニメ放送がスタートすると人気が爆発し、日本国内ではもちろんアメリカ、フランス、スペインなど各国でTwitterのトレンド入りを果たしたほど。1月から第2クールがスタートし、アニメも新しい展開を見せている今、大注目のこのコンテンツの魅力のほどをたっぷりご紹介します!キャラがカッコいい!まずご紹介したいのは登場人物の魅力。主人公の虎杖悠仁をはじめ、みな人間味あふれる濃いキャラ揃いだけど、女子も含め、それぞれに超カッコいい。呪術高等専門学校の制服も素敵だし、着こなしにも個性が光る。最強呪術師と謳われる教師の五条悟や、淡い色のスーツを身にまとう七海建人など、色気あふれる大人にも注目を。(右から)虎杖悠仁(いたどり・ゆうじ)呪いとの戦いが使命に。1000年に一度の逸材。東京都立呪術高等専門学校1年。常人とはかけ離れた身体能力の持ち主。“呪いの王”と称される両面宿儺の猛毒に耐えられる稀有な存在であり、間違った死を阻止するための戦いに身を投じていく。伏黒 恵(ふしぐろ・めぐみ)クールに見えて熱い呪術高専のエリート。東京都立呪術高等専門学校1年。等級:2級。術式:影を媒体とした式神を操る「十種影法術」。1年生ながら単独任務が許された天才。“自分が大切に思う人を守る”というポリシーを持っている。釘崎野薔薇(くぎさき・のばら)気の強さがウリのサバサバした自信家。東京都立呪術高等専門学校1年。等級:3級。術式:金槌で打った釘から呪力を流し込む「芻霊呪法」。“盛岡市まで4時間かかる田舎”に嫌気がさし、都会へ出るため呪術高専へ転入した。五条 悟(ごじょう・さとる)自他ともに認める最強呪術師のひとり。等級:特級。術式:自身の周りに無限を作る「無下限呪術」。呪術師育成を目指す呪術高専の教師で、東京校1年を担当。呪術界の未来を見据える。飄々とした性格で、基本的に目を隠している。七海建人(ななみ・けんと)大人な対応が魅力の脱サラ呪術師。等級:1級。術式:強制的に弱点を作り出す「十劃呪法」。呪術高専を卒業後に一般企業に就職するも、呪術界に戻る。視線を隠すため、常にサングラスをかけている。残業がとにかく嫌い。敵(ヒール)の凄みと存在感。呪術高専チームの前に立ちはだかる悪役たちは、とてつもなく強く、容赦なく人を手にかけるなど、とにかく邪悪。にもかかわらず、それぞれの思惑や、どこか人間らしさを感じる一面が垣間見えると憎めず、目が離せない。また、両面宿儺役の諏訪部順一さん、夏油傑役の櫻井孝宏さん、真人役の島﨑信長さんなどの声優陣が熱演!(右から)両面宿儺(りょうめんすくな)虎杖の体に受肉した恐るべき呪いの王。等級:特級。1000年以上前に実在した人間で、死後もその指が各地で呪いの被害をもたらすほどの力を持つ。虎杖に受肉し、人類皆殺しの機会を狙う。規格外の領域展開「伏魔御廚子」を操る。夏油 傑(げとう・すぐる)呪霊と結託し暗躍する不穏な空気をまとった男。呪詛師。等級:特級。“呪術師の楽園実現”を主張し、100人以上の一般人を呪い殺した。漏瑚や花御などの呪霊たちと手を組み、五条の封印と両面宿儺、虎杖を仲間に引き込もうと画策する。真人(まひと)人の心を弄び、楽しむ邪悪さに満ちた呪霊。呪霊。等級:特級。術式:人の魂と肉体のありようを変える「無為転変」。生まれたばかりだからか、自分の力を試す実験を繰り返している。他の呪いに出合うと、戦闘中でもテンション高く、興味津々に観察。『呪術廻戦』驚異的な身体能力を持つ高校生・虎杖悠仁は、学友を“呪い”から救うため、特級呪物“両面宿儺の指”を喰らい自らの体に“呪い”を宿すが…。毎週金曜深夜1:25~、MBS/TBS系で放送中。NetflixやAmazonプライム・ビデオ、dTVなど多数のプラットフォームで配信中。©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会※『anan』2021年2月17日号より。文・重信 綾(by anan編集部)
2021年02月14日50周年記念映画『STAND BY ME ドラえもん 2』が公開中。大のドラえもん好きで、映画の脚本も手掛けたことがある小説家の辻村深月さんが、お気に入りエピソードと共にその魅力を語ります。マンガも、アニメも、劇場版も。幼少期から今までずっとドラえもんを愛してきた、作家の辻村深月さん。今年50周年を迎えたドラえもん。これだけ長く愛されてきた理由を伺うと、まずは物語としてとても面白く、読んだり見たりすると元気になる、作品としての圧倒的な魅力がある、と語ります。「特にそれは、原作のマンガを読んだときに強く感じます。たった10数ページの長さにもかかわらず、起承転結がしっかり詰まっていて、しかも少しシリアスな作品でも、最後の1コマでちゃんと笑いに落としてくれる。どれも物語のお手本のような構造なんです。ほとんどのお話が、日常の中でのび太が感じた小さな不満や望みがきっかけになり、ドラえもんがひみつ道具を出し、話が展開していくわけですが、ひみつ道具によって生み出されるさまざまな“不思議”や“異世界”が、日常のすぐ隣にある、という設定も魅力的。例えばそれは、タイムマシンの入り口が偉い博士の研究室ではなくのび太の学習机の引き出しだったり、畳の裏が宇宙につながっていたり…。誰もが子供のときに妄想したであろう、“あったらいいな”な世界が描かれているところも大好きです。私の好きなお話の『天の川鉄道の夜』で描かれる夜空をSLが駆けるというシーンは、そんなドラえもんの世界観の象徴的なエピソード。きっぷにハサミを入れるとSLが迎えに来てくれるという展開も、ロマンが溢れていて心が躍ります」また、大人になってから読み返すと、幼い頃には読み取れなかったメタファーやメッセージに気が付くことも多々ある、とも。「子供のときはただただ展開が面白かったマンガでも、今読むと、ひみつ道具の持つ強い社会性や、風刺、また“こんな意味があったのか!”と驚かされることがたくさんあります。最近改めて、強くそう思ったのが、『おそるべき正義ロープ』と、『悪魔のパスポート』の2つ。『おそるべき~』は、自分の正義が絶対で、他人の正義は許さない、という、昨今の世の中の風潮にとても近い物語。また『悪魔の~』は、どんな悪いことでも許されてしまう権力を持ったらどうなるか…という内容です。いずれのひみつ道具も、最初はのび太がいい気になって使うのですが、途中で罪悪感に苛まれたり、道具の持つ怖い側面に気が付いたりして、自ら濫用を止めようとします。寛容さや、“過ぎる正義”とは何か、考えさせられる名作だと思います」日常にある不思議の面白さと、SF的な恐怖が共存する物語。『天の川鉄道の夜』ドラえもん20巻スネ夫からSLに乗った自慢話を聞かされ、「僕もSLに乗りたい~」と泣きつくのび太。断られたものの、ドラえもんがうっかり落としたSL型宇宙船のきっぷを勝手に使い、裏山に鉄道を呼ぶ。のび太たち4人と車掌だけを乗せた鉄道は、宇宙に向け出発するが…。正義が暴走すると、手がつけられなくなる…!!『おそるべき正義ロープ』ドラえもん23巻「いつでも俺が正しい!」と暴力を振るうジャイアンに泣かされるのび太。そこでドラえもんは、悪者は絶対許さないという、つる草のサイボーグ〈正義ロープ〉の種を蒔く。罪の重さで縛られ方が変わるというこのロープ、果たして街の平和が保たれるのか?!悪いことへの憧れと罪悪感。その戦い、どちらが勝つ?『悪魔のパスポート』ドラえもん13巻欲しいマンガが我慢できず家のお金を盗もうとしたのび太に、ママは「泥棒!ろくなものにならない!」と激怒。「ならば世界一の悪人になってやる」と宣言。どんな悪いことでも許されるひみつ道具〈悪魔のパスポート〉を使い、悪事(でも規模は小さい)を重ねる。ドラえもん全45巻藤子・F・不二雄22世紀からやってきたネコ型ロボットのドラえもんと、勉強もスポーツも苦手なのび太くんの物語。’70年より連載がスタート。絵のかわいらしさに悶絶!各¥454(小学館)©藤子プロ・小学館つじむら・みづき小説家。1980年生まれ、山梨県出身。『映画ドラえもん のび太の月面探査記』(’19年)の脚本を担当。現在、原作映画『朝が来る』が公開中。『STAND BY ME ドラえもん 2』原作:藤子・F・不二雄監督:八木竜一脚本・共同監督:山崎貴声の出演:水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一、宮本信子、妻夫木聡全国東宝系で公開中。※『anan』2020年12月2日号より。(by anan編集部)
2020年12月01日笑って、泣けて、心温まる!映画『STAND BY ME ドラえもん 2』。号泣必至と大評判だった前作ですが、それ以上に泣けると噂の今作。グッとくる魅力ポイントを、5つのパートでご紹介。POINT 1子供の頃からの憧れ。ひみつ道具にワクワク!ドラえもんのおなかについた四次元ポケットの中には、ひみつ道具がたくさん。今回ももちろん、いろんな道具が大活躍します。キーワードになる道具は、未来デパートから到着ホヤホヤという、この時代における最新機器。いずれも立体的な描写に心が躍ります。POINT 2原作ファンにも人気が高い、感動エピソードが凝縮。死別したおばあちゃんにタイムマシンで会いに行くエピソード『おばあちゃんのおもいで』を中心に、のび太の名前の由来が明かされる『ぼくの生まれた日』、そして初老ののび太が小学生時代の自分と入れ替わる『45年後……』の計3作を引用。号泣必至です!POINT 3キャラクターたちの大人の姿や幼少期を覗き見。物語の始まりは、いつもののび太の部屋。のび太とドラえもんは、そこから過去と未来を行ったり来たり!生まれたばかりののび太や、ちびっこ時代のジャイアンやスネ夫、しずかちゃんが登場。大人になった彼らの、ヘアスタイルの変化は必見です(特にスネ夫!!)。POINT 4ドラえもん愛に溢れる、豪華著名人らが参加。毎回嬉しいゲストが登場するドラえもんの映画。今回は、未来デパートのセールスマン・ナカメグロをバカリズムさん、そしてひみつ道具〈入れかえロープ〉の声を羽鳥慎一さんが担当。また主題歌を歌うのは、菅田将暉さん!!エンディングでさらに涙が溢れます。POINT 5細部までこだわりが!3DCGならではのリアリティ。前作同様、映像は圧倒的な立体感のある3DCGアニメーション。今作はさらに細部に磨きをかけ、キャラの肌感や、髪の毛の一本一本までこだわって制作したそう。ひみつ道具の動き、結婚式会場の様子など、人物以外の描写の美しさにも感嘆すること間違いなし。『STAND BY ME ドラえもん 2』原作:藤子・F・不二雄監督:八木竜一脚本・共同監督:山崎貴声の出演:水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一、宮本信子、妻夫木聡全国東宝系で公開中。※『anan』2020年12月2日号より。(by anan編集部)
2020年11月29日日本だけではなく、世界にその名を知られるドラえもんとのび太くん。映画『STAND BY ME ドラえもん 2』で、そんな国民的キャラクターを演じる妻夫木聡さんに、その嬉しさと難しさを聞いてみました。大人になったのび太の強さと寂しさ、その両方を表現したかった。妻夫木さんと“大人のび太”の付き合いは意外と長く、最初に演じたのは2011年の、とあるCM。「僕らの世代…というか、たぶんほとんどの人にとって『ドラえもん』は“当たり前にそこにある存在”ですから、そんな作品の主要キャラへの出演依頼をいただき、すごく嬉しかったです。でも同時に、“のび太はこんなんじゃない”と言われてしまったら、僕も悔しいし、のび太くんにも申し訳ない。なので、すごく身の引き締まる思いで撮影に挑んだのを、今でもよく覚えています」それを経て、2014年に映画『STAND BY ME ドラえもん』で“大人のび太”の声を演じ、今回その続編となる『STAND BY ME ドラえもん 2』でも、大人になったのび太を演じています。「ドジで間抜けで、いつも何かをやらかす人なのに、のび太くんという存在はこんなに長い間、人々に愛されている。それはたぶん、彼の根底に優しさがあるからなのでは。その優しさはどこから来ているのか、きっとそれは、かつて優しくしてくれたおばあちゃんであったり、ご両親、友達、そしてドラえもんという存在によって、育まれたんだと思います。今回の映画は、のび太くんという人の背景を、とても丁寧に、そして感動的に描いている作品です」妻夫木さんが演じる“大人のび太”が生きる世界には、もうドラえもんは存在しない。つらいことや悲しいことが起きたとき、彼はドラえもんに頼らず、どう乗り越えてきたのか。大人のび太の役作りのヒントは、そこにあったと語ります。「ドラえもんにずっと寄りかかりながら生きてきた彼が、一人になり、何を学び、掴み取ったのか。それを考えながら、役作りをしていきました。ドラえもんの不在に対する哀愁も感じさせたかったし、でも自分の足で立つことで得た強さも出したかった。彼のそういった変化が、観てくださる方に少しでも伝わったら嬉しいです」実は妻夫木さん、試写会で号泣するほど感動した一方で、“自分ののび太”がどうだったのか、非常に不安でもあったそう。「褒めていただきつつも疑心暗鬼だった中で、主題歌を担当している菅田将暉くんに、“良かったです。僕、すっごい泣いちゃいました”と言ってもらえて、やっと肩の荷が下りました(笑)。なのでみなさんもぜひ、劇場に泣きに来てください(笑)。今大変な時期で、張り詰めて暮らしている人も多いと思いますが、ドラえもんという懐かしい友達に会って、ほっとした時間を過ごしてほしいです」つまぶき・さとし1980年12月13日生まれ、福岡県出身。’98年、俳優デビュー。ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍。現在ドラマ『危険なビーナス』(TBS系)に出演中。ジャケット¥110,000(コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン)シャツ¥26,000(コム デ ギャルソン・オム) 以上コム デ ギャルソン TEL:03・3486・7611その他はスタイリスト私物『STAND BY ME ドラえもん 2』原作:藤子・F・不二雄監督:八木竜一脚本・共同監督:山崎貴声の出演:水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一、宮本信子、妻夫木聡全国東宝系で公開中。※『anan』2020年12月2日号より。写真・森山将人(TRIVAL)スタイリスト・三田真一(KiKi inc.)ヘア&メイク・勇見勝彦(THYMON) 撮影協力・AWABEESバックグラウンズ ファクトリー(by anan編集部)
2020年11月28日2020年に連載開始から50周年を迎え、現在『STAND BY ME ドラえもん 2』が公開中。『映画ドラえもん のび太の月面探査記』(’19年)の脚本も担当した小説家の辻村深月さんが、「アラサー女性に響くのでは?」とオススメのエピソードを選び、その魅力を語ります。辻村さんが選んだのは、『右か左か人生コース』。曲がった道の先に何があるか、予想をしてくれるひみつ道具の話だ。「大人になってくると、“あのときあの選択をしていたら…”と思ったことは、誰でも1度や2度はあるかと思います。選択しなかったほうの人生のことが、いつまでもいつまでも気になったりもしますよね。でもこの物語は、どっちが正解、不正解ということではなく、単純に、今自分がいる場所は選択の連続の先にあり、正解にするも不正解にするも自分次第であることを教えてくれます。『ぼくよりダメなやつがきた』も、自分の過去を振り返りたくなるエピソード。今の自分は、さまざまな選択と同時に、出会いと別れの積み重ねの結果でもある。これを読むと、劣等感や優越感を乗り越えられず疎遠になってしまった友達のことが思い起こされたりして、大人になった今なら、友達でいられたかもしれない…と胸が少し痛くなります。どちらのエピソードも、いい気になっているのび太を見つめるドラえもんの無表情さが素晴らしい。頭ごなしに怒るでもなく、かといって突き放すでもなく。その上での、無表情。はしゃぐのび太とのコントラストが利いていて、本当にすごくいい」どっちに行っても障害が?!それでも行くか、行かないか。『右か左か人生コース』ドラえもん42巻テレビで、運命の大きな分かれ道について語るボクサーを見たドラえもんとのび太。「道に迷ったとき、正しい方向を教えてくれる機械が欲しい」とねだるのび太に、ドラえもんは、右に行くとこうなって、左に行くとこうなって…と予想を見せてくれる道具〈コースチェッカー〉を差し出した。自分の心の優越感や劣等感、それとどう向き合うか…。『ぼくよりダメなやつがきた』ドラえもん23巻のび太のクラスに転校生の多目(ため)くんがやってきた。「僕よりパッとしないし、僕より0点を取る!」と、成績が自分より劣っている多目くんを見下して優越感に浸るのび太。ドラえもんは、そんなのび太を見て、とあるひみつ道具を出し…。ドラえもん全45巻藤子・F・不二雄22世紀からやってきたネコ型ロボットのドラえもんと、勉強もスポーツも苦手なのび太くんの物語。’70年より連載がスタート。絵のかわいらしさに悶絶!各¥454(小学館)©藤子プロ・小学館つじむら・みづき小説家。1980年生まれ、山梨県出身。『映画ドラえもん のび太の月面探査記』(’19年)の脚本を担当。現在、原作映画『朝が来る』が公開中。『STAND BY ME ドラえもん 2』原作:藤子・F・不二雄監督:八木竜一脚本・共同監督:山崎貴声の出演:水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一、宮本信子、妻夫木聡全国東宝系で公開中。※『anan』2020年12月2日号より。(by anan編集部)
2020年11月28日大のドラえもん好き小説家・辻村深月さんが「ただただ大好きな話だから、読んでほしい!!」というイチオシのエピソード、『ドラえもんに休日を!!』をご紹介。50周年を迎え映画『STAND BY ME ドラえもん 2』の公開を記念して、お送りします。「“ドラえもんを休ませてあげよう”という、のび太のまるで雇用主のような上から目線がなんともいえませんが(笑)。今でも、疲れた日の終わりにこれを読むと、特に最後の1コマが胸にグッときます。きっと皆さんの心にも響くと思います」いつ出会い、なぜ好きになったのか。その時期や理由も思い出せないくらい、いつの間にか日常に存在し、大事な存在になっていたというドラえもん。「そこにあることが、そして一緒にいることが当たり前すぎて、“好き”という思いがいつ明確になったのか、正直今でもよくわかりません(笑)。でも、自然にアニメや漫画を繰り返し見ていて、気が付いたら家の柱にシールが貼られていた。初めて観に行った映画もドラえもん。私だけでなく、きっと多くの人にとって、ドラえもんってそういう存在だと思うんです。ドラえもんという物語は、藤子・F・不二雄先生が描いたストーリーと、私たちがドラえもんと過ごした想い出という物語、この2つで構成されているような気がします。自分の家族の記憶や、友達との経験などを思い出すと、きっと誰でも1つや2つは、ドラえもんとつながった想い出があると思います。その“私とドラえもん”のストーリーをみんなで語り合えるのは、大人になった今だからこそ味わえる幸せなのではないでしょうか」よくある日常の一日だけど、のび太は確実に成長しました。『ドラえもんに休日を!!』ドラえもん35巻「僕なんか年中無休だぞ」と言うドラえもんに、1日休日をあげるのび太。ドラえもんは万が一のために〈よびつけブザー〉を預け、仲良しのネコちゃんと島へおでかけ。1人になったのび太はさまざまな困難に遭遇するものの、ドラえもんを呼び出さずに一日を終える。ドラえもん全45巻藤子・F・不二雄22世紀からやってきたネコ型ロボットのドラえもんと、勉強もスポーツも苦手なのび太くんの物語。’70年より連載がスタート。絵のかわいらしさに悶絶!各¥454(小学館)©藤子プロ・小学館つじむら・みづき小説家。1980年生まれ、山梨県出身。『映画ドラえもん のび太の月面探査記』(’19年)の脚本を担当。現在、原作映画『朝が来る』が公開中。『STAND BY ME ドラえもん 2』原作:藤子・F・不二雄監督:八木竜一脚本・共同監督:山崎貴声の出演:水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一、宮本信子、妻夫木聡全国東宝系で公開中。※『anan』2020年12月2日号より。(by anan編集部)
2020年11月26日現在、日本では『鬼滅の刃』が社会現象となっていますが、まもなく公開を迎えるのは、中国を席巻した話題のアニメ『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)』。WEBアニメシリーズは2.3億回の再生数を誇り、劇場版は本国で約49億円の大ヒットとなった注目作です。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。写真・北尾渉(宮野真守)日本語吹替版キャストを務めた宮野真守さん!【映画、ときどき私】 vol. 339本作では、森を追われた黒ネコの妖精シャオヘイが人間と妖精との関係を揺るがす大事件の中心へと巻き込まれていく様子が描かれています。宮野さんが演じたのは、人と妖精の共存を願う人間のムゲン。今回は、演じるうえで意識したことや共演者への思い、そしていまの心境などについて語っていただきました。―本作をご覧になったとき、どのような印象を受けましたか?宮野さん最初に映像を見させていただいたときは、とても衝撃を受けましたし、非常に感動しました。作品の詳しい成り立ちについて知っているわけではありませんが、日本が作ってきたアニメーション文化が世界に伝わっているのかなというのも感じられてうれしかったです。―具体的にどのあたりにそういったものを感じたのでしょうか?宮野さん日本人になじみのあるルックであることやキャラクターデザインの方向性などを含めて、日本のアニメーションとすごくシンパシーを感じるんですよね。映像だけではなく、声優さんたちのお芝居も素晴らしかったので、お互いにいい影響を与え合えているのかなと思いました。日本のアニメーションの魅力がどんどん発信できているからこそ、海外でも新たなエンタメが生まれているところもあるんじゃないかなと。そうだとすれば、すごく感動的なことですよね。映像から作っている人たちの気合を感じた一では、一観客として、心をつかまれたシーンがあれば教えてください。宮野さんアクションシーンがすごかったですね。これだけの迫力を手描きのアニメーションで出せるというのは本当に大変な作業ですから。そこに、この作品を作っている人たちの気合いを感じました。あと、物語のテーマとして自然と人間の共存の難しさなど、普遍的なものを描いていますが、現代の世の中に照らし合わせてみても無視できない問題。それをこの特殊な世界観で描き、しかもエンタメとして人々の心に残る作品にしているのはすごいなと。お国柄も反映されているところもあり、日本の作品とはまた違う空気感のアニメーションになっているので、そういうところも含めておもしろいと思いました。―今回演じたムゲンは難しい立場にいるキャラクターでしたが、どのような人物だと分析されましたか?宮野さんおそらくみなさんにも感じていただけると思いますが、ムゲンは自分の存在意義や使命をまっとうしようとしている男。自然と人間の共存が難しいなかで、自分のやるべきことをまっすぐに追求している姿に、彼の人間性が現れていると感じました。ある意味では自己犠牲でもありますが、自分を律してまで人と妖精の平穏を求めることができるムゲンの精神力の強さはみなさんにも伝わると思っています。そのなかで、主人公のシャオヘイと出会ったことによって、彼の本質的な感情や優しさも垣間見ることができるので、そのあたりも見ていただきたいところです。意識したのは、セリフになり感情も声に乗せること―演じるうえで意識したことはありましたか?宮野さんオリジナルのお芝居が素晴らしかったので、そこで表現されている感情や質感に寄り添いたいという思いは強くありました。ムゲンのそういった部分を踏襲しつつ、僕が考えるムゲンのキャラクター性を意識して作り上げていったという感じですね。いままでと違うアプローチをしたところがあるとすれば、翻訳の難しいところでもありますが、話し言葉と字幕には多少差があるので、字幕にはあってセリフにはない部分を僕が演じるなかで加味できたらいいなと思い、セリフとしては書かれていない感情も乗せたことです。オリジナルが持つ要素を自分のなかにも取り入れたうえで、それが声から伝わるような意識を持つことを大事にしました。―なるほど。では、共演者の方々ともそういったことについて話す機会はありましたか?宮野さんアフレコは別々だったので、直接はお会いできていないんですが、僕が収録したときにはすでにシャオヘイ役の(花澤)香菜ちゃんの声が入っていました。それは僕にとって、本当にありがたかったですね。ネタバレになってしまうので詳しくはお話しできませんが、特にラストシーンは涙なしには観られないくらい本当に感動しました。その思いを僕は香菜ちゃんの声からいただきながら演じられたので、うれしかったです。人が笑っている瞬間は嘘がない―では、ムゲンとは対立関係にあるフーシー役を演じられた櫻井孝宏さんについては、いかがでしょうか?宮野さんありがたいことに、いつも戦っているなぁ……。本当に、いつも櫻井さんが立ちはだかるんですよね(笑)。ただ、櫻井さんの声やお芝居がすごすぎるので、本気でぶつからないと、たとえ台本が勝つ流れになっていても負けるくらいの感じがあるんです。でも、そういう櫻井さんの存在感があるからこそ、余計なことを考えずに立ち向かえるので、変な言い方ですが、安心して戦うことができました。―ちなみに、演じていて好きなシーンがあれば教えてください。宮野さん最初はシャオヘイとムゲンもぶつかりますが、一緒に旅をしていくなかで、2人でいるときにしか見せないムゲンのコミカルさや零れ落ちる優しさが見られるので、ラストシーンは非常に印象的だと思いました。―本作では、立場の違う者同士が共存する際に生まれる対立や感情など、普遍的な部分も描かれています。普段、宮野さんが人とコミュニケーションを取る際に大事にしていることはありますか?宮野さん相手が楽しい気持ちになって、とにかく笑ってくれたらいいなとは思っています。というのも、僕はけっこう臆病な人間なので(笑)。実際、人が笑っている瞬間って嘘がないですからね。そういうところが見えると僕自身も安心するので、それは大事にしているところです。事前の準備をきちんとすることを大事にしている―相手を笑顔にするために、何かしていることもありますか?宮野さん準備をするってほどではないですが、つねにお笑いのセンスは磨いておこうと思うので、テレビをちゃんと見て勉強しています!って、ただお笑いが好きなだけなんですが(笑)。―ちなみに、いまハマっている芸人さんはいらっしゃいますか?宮野さん最近というか前からですが、千鳥さんですね。千鳥さんからは、遊び心を学んでいます(笑)。僕にとって、バラエティ番組を見ることは癒しであり、勉強でもあるので、本当に必要なものですね。―「笑い」と「遊び心」どちらも大切ですよね。では、仕事をする際に欠かさずしていることはありますか?宮野さん特に、ルーティンのように決めていることはありませんが、事前の準備はしっかりしています。というのも、声優のお仕事は、1日のなかでも1週間のなかでも、いくつもの作品を同時に担当することが多いので、瞬発力が求められるんです。そういったこともあって、事前に作品やキャラクターに関して、自分できちんと埋めていかないと、求められたことに対して対応できないですから。なので、いつでもどこでも“スイッチ”を入れられるように、事前の準備は欠かさずにしています。できることをひとつずつやっていきたい―今年もあと2か月を切りましたが、やり残したことでやっておきたいことはありますか?宮野さんいまはエンタメ業界も含めて、世の中全体が危機ではありますが、ピンチなときこそ新しい何かが生まれるとも思っているので、このなかで何ができるかはつねに考えていきたいですね。ありがたいことに、僕はアフレコをはじめ、テレビドラマや舞台、歌までいろいろなジャンルのお仕事をさせていただいているので、いまはできることをひとつひとつやっていくという感じです。なので、「何かをやり残している」という感覚よりも、「まだまだできることがある」という意欲のほうが強いかなと思っています。仕事以外でやりたいことは、クリスマスパーティですかね。どうしたら密にならないかなど、新しいクリスマスパーティの形についても考えていきたいと思います(笑)。インタビューを終えてみて……。人とのコミュニケーションにおいて、相手を楽しい気持ちにさせることを大事にしているという宮野さんだけに、取材中も楽しませていただきました。いっぽうで、ひとつひとつの言葉をかみしめるように話される姿からは、この作品に対する強い気持ちが伝わってきたので、ぜひみなさんも劇場でその思いを受け取ってみてください。アクションもドラマも見どころ満載!自然と人間の共存における問題や他者との出会いによって成長するキャラクターたちの感情など、いくつもの普遍的なテーマが散りばめられている本作。アニメ好きはもちろん、普段はあまりアニメを観ないという人でも、誰もがストーリーと映像の虜になってしまう作品です。写真・北尾渉(宮野真守)取材、文・志村昌美ストーリー黒ネコの妖精シャオヘイは森のなかで暮らしていたが、人間によって森が開発されたことで、居場所を失ってしまう。その後、街や村を迷い歩いていたシャオヘイが出会ったのは、同じ妖精のフーシー。シャオヘイはフーシーとともに“霊道”を通り、人里離れた島へ向かうことに。島に住むほかの妖精とも出会い、シャオヘイはフーシーらとともに穏やかな時間を過ごせると思っていた。ところが、そこに“最強の執行人”とされる人間のムゲンが現れ、シャオヘイを捕らえてしまう。はたして、シャオヘイの運命はどうなってしまうのか……。釘付けになる予告編はこちら!作品情報『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』11月7日(土)より全国公開配給:アニプレックス、チームジョイ© Beijing HMCH Anime Co.,Ltdスタイリスト:横田勝広(YKP)シャツ¥22,000(CULLNI/Sian PR 電話03-6662-5525)その他スタイリスト私物
2020年11月10日すでに多くの人を魅了している『ヒプノシスマイク』。ドラマCDからアニメーションの世界に広がることで、一体どんな驚きを運んでくれるのか?そこで、以前からヒプマイを追い続け、自他ともに認めるヒプマイファンの犬山紙子さんがご登場。犬山さんならではのユニークな目線で、ヒプアニのおもしろさや注目ポイントを、思う存分語っていただきました。ヒプアニは、バトルものであり、インド映画です!エンタメの粋を集めたバトルシーンは必見。「言ってしまえば、ヒプアニは暴力を使わない(ラップ)バトルアニメなんです。アニメのラップシーンは少年バトルアニメっぽさを感じるのですが、それで終わらない。ヒプノシスマイクを起動してスピーカーを展開するシーンは、どこか魔法少女っぽくて、思わず叫んでしまったほど(笑)。変身するわけではありませんが、ド派手なスピーカーが出てくる演出が、魔法少女もので変身する時に感じるときめきと同じ種類の興奮があって…。まさかラップバトルで女児心まで満たされるとは思いませんでした。声優さんたちのラップとイラスト、それにリリックを組み合わせたMVを中心とした原作の世界観も、最高にかっこよかったのですが、ヒプアニでは、ラップが本当にバトルシーンとして昇華されていて。その映像だけでもMVとして観賞できる完成度なんです。これからヒプノシスマイクを知る人にとっては、とっつきやすく、間口も広がったと思います。例えるならインド映画。インド映画って、初めて観る人も、歌と踊りとあの有無を言わさぬエンタメ力で誰もが楽しめますよね。ヒプアニもまさにそれです。爆発したりなど少し大げさな演出も、『エンタメ力!』って感じで大好きです。最高に気持ちがいいんです」アニメになってあらためて声優さんのすごさを実感。「本当にいまさらなんですが、これまでCDやライブでラップをしていたあの神々が、本当にアニメの声優をされている!と当たり前のことを実感しました(笑)。今までも声優さんたちのラップはすごかったけど、今回はさらにすごみを増していて!私たちが想像していなかった新しい世界を見せてくれる。とてつもなく惚れ惚れします。また、ストーリーも見逃せません。チームごとの絆はもちろん、各ディビジョンの関係性がわかるのも興味深いです。麻天狼の3人が一郎を心配したり、MTCの3人が闇カジノで帝統を助けたり…。帝統が理鶯に懐いているような描写も、アニメで見るとより可愛いです(笑)。今までドラマトラックや歌詞から必死に読み解いて考察してきた関係性が、このアニメで補完され、さらに新しい文脈が花開いていく感じがいいですよね。日本人が嗜んできた短歌や俳句は、制限された文字数に言葉を乗せて、こぼれた部分は想像に託す。それってラップに通ずるところがあると思うのですが、ヒプマイというコンテンツが持つ余白の奥深さもまた同じ。これまで私たちは制約されたラップのリリックの中からストーリーを楽しんできたけれど、アニメではその余白がどのように表現されていくのかが楽しみです」毎週、新曲が聴けるなんてご褒美がすぎる!「毎週新曲を浴びるように楽しめる…って一体どんなご褒美なんですかね!?第1話では、4ディビジョン12名の新しいラップが聴けるという贅沢ぶりで、それぞれのカラーがしっかり表現されています。イケブクロは熱い感じが“らしい”ですし、ヨコハマは異色の3人のハードコアな印象が強く、シブヤはとにかく可愛い!シンジュクはアダルトかつカタルシス。ディビジョンの紹介としてまさにパーフェクト。アニメで初めてヒプマイに触れる人も、第1話を見るだけで全員の個性がわかりますよね。初めて見る人も、どのディビジョンの誰を推すか選びやすいと思うので、ヒプノシスマイクが気になっていた人は『ヒプアニ』から入門するのがオススメですよ」犬山紙子的“ヒプアニ”偏愛ポイントいち兄、救出作戦!ただならぬ三兄弟の絆。「イケブクロ最強の三兄弟の絆がエモい!立てこもり事件に巻き込まれた一郎ですが、目線だけで言いたいことを感じ取る三郎、すごくないですか!?それだけ通じ合ってるってことですよね。そしてお兄ちゃんのマイクをお手入れしている二郎も可愛すぎます」左馬刻の家族への想い。MTCの関係にさらなる興味。「妹のために自分を裏切った部下に破門を言い渡しながら、実はこの世界から足を洗わせた左馬刻のやさしさが沁みます。銃兎のドラッグを根絶させるという強い意志も伝わってくる。そんな左馬刻と銃兎が、理鶯の料理には何も言えないという関係性も素敵です」まるでライブステージ。ポッセの“魅せる”ラップ。「“魔法少女”感が強いポッセ。可愛さと毒が共存する乱数、個人主義に見えて仲間大好きな幻太郎、お金を無心する帝統。そんな3人がまとまる奇跡!第1話で、ポッセだけはバトルじゃなくて路上ライブで帝統の負け分を稼ごうとするのも、個性派のポッセらしい」傷付いた大人たちが寄り添うような麻天狼。「傷ついた大人が寄り添い合っている麻天狼。アニメでも3人が助け合います。神々しい寂雷に独歩と一二三の人間くささが融合しているところが魅力的。神話レベルの寂雷ラップ、一二三の顔の眩しさ、独歩が同僚に呼び捨てにされているところ、興味深かったです」“中王区のオンナ”側の目線で12人を見ているような気分に。「第1話で中王区の東方天乙統女と勘解由小路無花果(かでのこうじいちじく)の2人が登場。4つのディビジョンを調査している…という演出から、視聴者の私たちも中王区のオンナの目線で彼らを見ているような気持ちになれるんです」気になる第5話は10月30日24時から、TOKYO MXほかにて放送!『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme AnimaABEMAにて地上波同時配信ほか各種配信プラットフォームにて配信。©『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima製作委員会犬山紙子さんイラストエッセイスト。日本テレビ『スッキリ』などでコメンテーターを務める。本誌で「SanPaKuちゃんのわがまま気まま愛のRoom」を連載中。※『anan』2020年11月4日号より。写真・内山めぐみ取材、文・尹 秀姫(by anan編集部)
2020年10月31日ヒプノシスマイクがアニメとなって10月から放送スタート!いよいよ第5話の放送目前。4話までのおさらいと、見どころをご紹介します!音楽原作の人気作品が待望のアニメに!楽曲の制作に大物アーティストが多数参加していることから、ファンのみならずヒップホップ好きの心をも鷲掴みにしてきた『ヒプノシスマイク-Division RapBattle-』、通称“ヒプマイ”。これまでに14枚のシングルと1枚のフルアルバム、配信・特典CDなどの楽曲のほか、コミカライズ、アプリゲーム、舞台化、そして5回のライブ開催…。様々なメディアミックスを繰り広げてきた大人気コンテンツが、ついにアニメ化。これまでCDやコミックスで展開されてきたヒプマイの物語が、今回アニメで見られるとあって、ファンはもちろん、むしろこれまでヒプマイに触れてこなかった人にこそチェックしてほしい作品。魅力的なキャラクターの日常が垣間見られるストーリーに加え、ラップバトルシーンでは毎週新曲が流れるという大盤振る舞い!次回、第5話放送目前。ここまでの各話のあらすじを振り返りつつ、注目すべきポイントをご案内します!“ヒプノシスマイク”って?武力が根絶され、女性たちが覇権を握るようになった“H歴”の時代。人を殺傷するすべての武器が廃棄され、人の精神に干渉する「ヒプノシスマイク」による争いに取って代わった。国の中枢である中王区を牛耳る言の葉党党首、そして内閣総理大臣の東方天乙統女(とうほうてんおとめ)は男性たちの反感を敵チームに向けるため、各ディビジョン代表チームによるディビジョンラップバトルを開催することに。男たちの威信をかけたテリトリーバトルが始まろうとしていた…。登場人物たちブクロを担う三兄弟イケブクロ・ディビジョン【Buster Bros!!!】中央・山田一郎(やまだ いちろう)CV.木村 昴山田家の長男。萬屋ヤマダの経営者。情に厚く、弟想い。面倒見がいいため、誰からも慕われている。碧棺左馬刻とは犬猿の仲。伝説のチーム“ The DirtyDawg”の元メンバー。右・山田二郎(やまだ じろう)CV.石谷春貴山田家の次男。高校2年生。イケブクロ・ディビジョンの顔役。兄を神格化し、自身も不良になった。一郎の影響でアニメやラノベに詳しい。三郎とは常に小競り合いをしている。左・山田三郎(やまだ さぶろう)CV.天崎滉平山田家の三男。中学3年生。何でもこなす天才肌。不良にはならなかったが一郎を尊敬している。ボードゲームとカードゲームが趣味だが友人が少ないため常に相手を探している。ヤクザ・警官・元軍人ヨコハマ・ディビジョン【MAD TRIGGER CREW】中央・碧棺左馬刻(あおひつぎ さまとき)CV.浅沼晋太郎ヨコハマ界隈を仕切るヤクザ。喧嘩っ早いが女性には手を出さない。ヤクザになったのは、可愛がっている妹のため。山田一郎とは犬猿の仲。“The Dirty Dawg”の元メンバー。右・入間銃兎(いるま じゅうと)CV.駒田 航「しょっぴかれたいのか」が口癖の現役警官。薬物を排除するためにこの仕事を選んだが、ヤクザの左馬刻とは持ちつ持たれつの仲に。面倒見がよく、まとめ役に回ることが多い。左・毒島(ぶすじま)メイソン理鶯(りおう)CV.神尾晋一郎父がアメリカ人、母が日本人の元海軍一等軍曹。元軍人らしく隙を見せず、敵に対しては容赦しないが、普段は穏やかで人に尽くすことが好き。料理の腕は「一応」プロ級。ポップでクリエイティブ!シブヤ・ディビジョン【Fling Posse】中央・飴村乱数(あめむら らむだ)CV.白井悠介ファッションデザイナー。天真爛漫で遠慮がなく、空気を読まない発言が多いが持ち前の可愛らしさで愛されている。神宮寺寂雷とは犬猿の仲。“The Dirty Dawg”の元メンバー。右・夢野幻太郎(ゆめの げんたろう)CV.斉藤壮馬作家。書生のような格好をしている。道行く人の半生や、今後の人生を勝手に想像するのが趣味。説得力のある嘘をついて、相手が信じたら「まぁ嘘だけどね」とからかう。左・有栖川帝統(ありすがわ だいす)CV.野津山幸宏ギャンブラー。有り金はもちろん、自分の命すら賭けるギャンブル狂。地道や堅実といった言葉が大嫌いで、物事を決める時にはサイコロで判断する。食べ物を与えるとすぐ懐く。夜の街に寄り添うオトナシンジュク・ディビジョン【麻天狼】中央・神宮寺寂雷(じんぐうじ じゃくらい)CV.速水 奨天才医師。独特のフローで味方を回復させることができる。座禅と釣りが趣味。変人を好み、飴村乱数に興味を持っていたが、今は犬猿の仲。“The Dirty Dawg”の元メンバー。右・伊弉冉一二三(いざなみ ひふみ)CV.木島隆一ホスト。一見チャラいが実は極度の女性恐怖症。それを克服するためにホストになり、努力の末、スーツを着ると女好きへ変貌するように。独歩とは小学生からの付き合い。左・観音坂独歩(かんのんざか どっぽ)CV.伊東健人サラリーマン。医療系機材会社の営業で、特徴がないことが特徴。何でもネガティブに考える性格のため、友達は少ない。一二三は唯一の友人で、小学校時代からの幼馴染み。人を虜にする“ヒプアニ”。大注目ポイントは…Point1:あの12人が、動くんです!!これまでイラストとマンガだけで表現されてきたキャラクターたち。そんな彼らが生き生きと動く姿がついにお目見え!ファンにはお馴染みの数々の場面も、もちろん映像に。細部にちりばめられたネタにも注目。Point2:ラップバトルシーンがかっこいい!注目は「ヒプノシススピーカー」の起動シーン。ヒプノシスマイクを起動すると、キャラクターならではのスピーカーが出現!その様子が臨場感たっぷりに描かれる。リリックが飛び出すような演出も必見。Point3:ヒプアニだけのエピソードが展開。ドラマCDやコミックスで展開されてきたメインストーリーに加えて、ヒプアニだけで見られる新たなストーリーも。12人のさりげない生活シーンや、ディビジョンを越えた関係性が窺えるのもうれしい。Point4:豪華!毎話新曲を大披露。毎話繰り広げられるラップバトルシーンで流れる楽曲は、なんとすべてヒプアニのための書き下ろし。どの曲も粒ぞろいで、チームの個性が表現されている。ストーリーにぴったりマッチするリリックにも要注目。気になる第5話は10月30日24時から、TOKYO MXほかにて放送!『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme AnimaABEMAにて地上波同時配信ほか各種配信プラットフォームにて配信。©『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima製作委員会※『anan』2020年11月4日号より。写真・内山めぐみ取材、文・尹 秀姫(by anan編集部)
2020年10月31日10/21(水)発売のanan2222号「カラダにいいもの大賞2020」特集の表紙は『鬼滅の刃』炭治郎と煉獄の特別描き下ろし。表紙作成のエピソードを紹介します。表紙は炭治郎と煉獄の特別描き下ろし!観音扉絵には、襧豆子、善逸、伊之助も。昨年から、話題のエンタメとして弊誌でも取り上げてきた『鬼滅の刃』。今年、劇場版が公開のタイミングで大々的に特集をしたい! ということで企画はスタート。めでたく描き下ろしを一枚いただけることに。では何を描いていただくか。当然ながら、主役の炭治郎はマスト。そして、劇場版で活躍する煉獄もぜひ。兄妹の絆を描いた作品だから、襧豆子も外せない。でもって、善逸と伊之助も入れたい…。となると、5人になっちゃいます。でも表紙はロゴもタイトルも入るし、5人って少しぎゅうぎゅうかな? とも悩みまして、行き着いたのがこのスタイル。まずは表紙を、今回の劇場版を象徴する、炭治郎と煉獄のふたりが飾ります。その表紙をめくると、片観音仕掛けで横長3ページ分のグラビアが展開。そこで5ショットが出現し、表紙のふたりの隣には実は、襧豆子、善逸、伊之助(素顔)がいた! という構造。ずらっと並んだ、ひときわ麗しい5人はとにかく圧巻です!背景はゴールド。編集部でイメージしたのは、名作「風神雷神」の金箔の屏風絵でした。他にも屏風絵の資料をお送りしたのですが、スタジオさんから上がってきたのがまた、こちらの想定を遥かに超える見事な出来! 箔を格子状に貼り込んだような光沢がひとつずつ表現されており、しかも中面のグラビアには、煉獄の髪とマッチした紅葉の絶妙なあしらい。とにかく、スタジオさんの画力とセンスを思い知るスペシャルな描き下ろしとなっております。皆さんぜひご購入されて、この芸術作品を額装して部屋に飾ることをおすすめします!中ページも23ページにわたる特集が。こちらは弊誌スタッフが総力を結集して作成いたしました。炭治郎の羽織にちなみ、市松模様をサブリミナルに感じるレイアウトもこだわりのひとつ。インタビューも、メインキャスト5人(花江夏樹さん、鬼頭明里さん、下野紘さん、松岡禎丞さん、日野聡さん)コンプリートしているだけではなく、LiSAさん、高橋プロデューサーなども、がっつり取材させていただきました。作品解説もインタビューも愛情たっぷりにまとめておりますので、初心者の方もファンの方もぜひぜひご覧ください!(S)
2020年10月20日長年にわたって子どもから大人まで愛され続けているキャラクターのひとりといえば、クレヨンしんちゃん。毎年公開される劇場版を楽しみにしている人も多いのでは?今年は公開延期に見舞われていましたが、いよいよ『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』が9月11日に待望の公開となります。そこで、こちらの方に見どころをうかがってきました。写真・黒川ひろみ(りんごちゃん)声優初挑戦のりんごちゃん!【映画、ときどき私】 vol. 319本作でテーマとなるのはラクガキ。地上のラクガキをエネルギーに浮かぶ王国「ラクガキングダム」がエネルギー不足による墜落の危機に直面し、地上に侵略するところから物語は始まります。そのなかでりんごちゃんが演じるのは、人間たちに無理やりラクガキをさせる「ウキウキカキカキ作戦」を実行した防衛大臣の命を受け、地上の人間にラクガキをさせる指導官のリンゴ、イチゴ、メロンのなんと3人。そこで、しんちゃん映画史上初となるひとり3役に挑戦した感想やこれからやってみたいことなどについて、語ってもらいました。―まずは、声優に初挑戦してみて、いかがでしたか?りんごちゃんひとり3役が初めてのことだと聞いたときはめちゃくちゃうれしかったので、最初は「ひとりは武田鉄矢さん風で、ほかは高い声でかわいい感じにして……」といろいろな声まねを想像してたんです。でも、実際は自分の声をベースにシーンによって声質やトーンを変えたりすることのほうが多かったですね。そのなかでも見てほしいのは、私が演じている2人が同時にしゃべったり、叫んだりしているシーンです。―ほかにも、個人的に好きなシーンはありますか?りんごちゃんもちろん、担当したところは全部お気に入りですが、後半に感動的なシーンがあってすごくグッとくるので印象に残っています。あと、実は3役以外にも声を出していて、マツケンサンバを歌っているシーンでは、「普段のものまねと同じようにいろんな声で歌っていいよ」と監督が言ってくださったので、6人の声まねを順番に交えながら歌わせていただきました。なので、リンゴ、イチゴ、メロンも入れたら、9役ということですね!ぜひ、歌のシーンはしっかりと聞いてください。ほかには、劇中で「スターティン!」と言っているところもあるので、楽しみにしてほしいですね。最近は、子どもたちがまねしてくれることも多いので、上映中に喜んでもらえたらうれしいです。これからもいろいろな役に挑戦してみたい―そんなふうに声色を変えるのは得意だと思いますが、いつものように自由に声を出すのと、映像と声を合わせるのとでは違う難しさもあったのではないでしょうか?りんごちゃん確かに、難しかったですね。一言のセリフでも、簡単にはOKをもらえないときもありました。声を使うお仕事は好きなんですが、最初は口の動きにうまく合わせられないこともあって……。でも、そんなときに気がついたのは、「役とシンクロすればいいんだ」ということ。前半は緊張からガチガチに体も固まってしまい棒読みになっていましたが、体を使って感情を表現するようになってからは役にもなりきれたので、後半は自由に楽しくできました。―では、声優のお仕事をもっとやってみたいと思うようになったのでは?りんごちゃんそうですね。やってみたいと思うのは、本人役で出ること。りんごちゃんとしてアニメ作品に出ることが夢です。でも、声を使い分けることがとにかく好きなので、男性でも女性でも子どもでもいいので、いろいろな役の声に挑戦したいと思っています。―今回の経験をきっかけに、新たに発見したこともありましたか?りんごちゃんそれはありましたね。特に、リンゴ、イチゴ、メロンの3役では、いつもの自分の声をどう使い分けるかが課題だったこともあり、普段なら出さないような声も出しました。新しい人が私に降りてきそうな予感がしているので、“ニューアップル”の誕生になりそうです(笑)。人との絆の大切さを忘れないでほしい―(笑)。ちなみに、しんちゃんは物心ついたときから一緒に育ってきたキャラクターだと思いますが、好きなところを挙げるとすればどんなところですか?りんごちゃん実は、私はお父さんのひろしが理想の男性のタイプなんですよ!そう思っている女性ってけっこう多いんじゃないかなって勝手に思っているんですけど……。というのも、特に映画版だと家族を守るために奮闘するかっこいいシーンや活躍している姿をたくさん見られますからね。靴下がくさいことで有名ですけれど、それも仕事をがんばっているからくさいんだろうなと思うと、なんか母性本能をくすぐられるというか、男性として気になる存在です(笑)。―では、りんごちゃんが思う「クレヨンしんちゃん」作品の魅力とは?りんごちゃん私も“子りんご”のときから見ていますが、年齢や性別関係なくグッとくるところが多いので、本当に親子で楽しめる作品だと思っています。今回の見どころは、ズバリ「絆」。家族や友達との絆が描かれていますが、子どもでも大人でもそういうことは大切なので、「人の絆を忘れずに」というのを感じてほしいです。―ぜひ、みなさんにも注目していただきたいですね。それでは、ご自身が今後挑戦したいことはありますか?りんごちゃんスターティンしたいことは、つねにたくさんあるタイプなんですけど、最近はメイクやファッションに関するお仕事をしたいなと思っています。たとえば、自分のブランドを立ち上げて、着心地のいい服を作ったり、かわいく見えるメイクを発信できたりしたらいいなと。あとは、私も絵を描くのが好きなので、この映画みたいに描いた絵が動くようになったらいいなと考えています。ぜひ、スターティンしたいですね!忙しい日々で一番幸せを感じる瞬間とは?―メイクやファッションにおいて、こだわっていることがあれば教えてください。りんごちゃんどれもこだわりがあるんですけど、たとえばメイクなら“整形メイク”みたいな感じで、いろいろと駆使しているので、リップもノーズシャドウもハイライトもアイラインも、全部にこだわりが詰まっています。そのなかでも特に好きなのは、リップ。というのも、リップひとつでその日の仕上がりもけっこう変わるので、ファッションに合わせて色や濃さを選ぶようにしています。―忙しい生活が続いていると思いますが、そのなかで幸せを感じる瞬間はどんなときですか?りんごちゃんおそらくみなさんにも共感してもらえると思いますが、「食べる・寝る・映画を観る」みたいなことが基本だと思います。あと、この仕事をしていてラッキーだなと思うのは、イベントやロケで地方に回ることが多いので、そのときに各地の名産を食べられることですね。それから写真を撮るのもすごく好きなので、いろいろな場所で撮った写真を見返しているときが私にとって癒しの時間です。―ちなみに、ブレイクしてうれしい反面、困っていることなどはないですか?りんごちゃん私はお買い物が大好きなんですけど、周りにご迷惑をおかけしてしまうときもあるので、前ほどあちこちに行けなくなったことはありますね。最近は、パッと選んだらサッと買うことが多いですが、商品を見たり選んだりしている時間が好きなので、ゆっくりお買い物を楽しみたいなと思います。楽しいときは思い切り楽しめばいい―それでは最後に、いつも笑顔で明るいりんごちゃんから、読者に向けて前向きでいられる秘訣を教えてください!りんごちゃん私は会う人たちと会話を楽しんだり、少しでも元気でいられたりするように常に意識しているので、無理やりでも口角を上げるようにしています。そうするだけでも、けっこう変わることが多いですから。私がよく言っているのは、「落ち込んだときはとことん悩めばいいし、楽しいときは思い切り楽しめばいい」ということ。ぜひ、みなさんも実践してみたらいいんじゃないかなと思っています。インタビューを終えてみて……。最初から最後まで、取材陣を笑顔でいっぱいにしてくれたりんごちゃん。明るいオーラからはたくさんの元気をいただきました。劇中で9つの声色を操るりんごちゃんが見せるニューアップルっぷりは、必見です!しんちゃんたちの奮闘に子どもも大人も夢中!これまでに数多くの人気作を生み出してきた『映画クレヨンしんちゃん』シリーズ。第28弾となる本作は、前代未聞のラクガキ・アクション超大作としてすでに高い注目を集めています。しんちゃんとラクガキの仲間たちと一緒に、この夏最後の“冒険”に出てみては?ストーリー空に浮かぶ王国「ラクガキングダム」は、自由なラクガキをエネルギー源としていたが、近年地上でラクガキが減っていたため、エネルギー不足から滅びようとしていた。そこで王国軍は国の命運をかけて、地上・春日部へと進撃を開始することに。そんななか、描いたものが動き出すという王国の秘宝「ミラクルクレヨン」を与えられた勇者は、なんと“ちょ~お気楽5歳児”の野原しんのすけだった。はたして、しんのすけと描きだしたラクガキたちは世界を救うことができるのか……。笑って泣ける予告編はこちら!作品情報『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』9月11日(金)全国東宝系にて公開配給:東宝©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2020
2020年09月09日2018年末にパリのラ・ヴィレットで開催され1か月間で3万人以上を動員した「MANGA TOKYO」展の凱旋展が開催される。「MANGA」を通して再発見できる、世界の人々を魅了する東京。「パリでは日本のマンガ・アニメ・ゲーム・特撮への関心が非常に高く、それは19世紀のフランスで日本の浮世絵などがジャポニスム旋風を巻き起こしたことに連なります」教えてくれたのはゲストキュレーターの明治大学准教授・森川嘉一郎さん。出品コンテンツは90タイトル以上、マンガ原画やアニメ、ゲームの制作資料など500点以上という圧巻のボリュームだ。日本のマンガ・アニメ・ゲーム・特撮作品は、現実の都市の景観がリアルに描写されているものも多い。作品とキャラクターが、駅や電車、コンビニエンスストアなど実空間とシンクロすることで、作品と都市の双方にファンが生まれる。本展では、そんな事例をインスタレーションとして再現する試みを実施。1/1000の縮尺で再現された幅約17m、長さ約22mの巨大都市の模型を会場の中心に設置し、それを取り巻くように様々な作品のシーンを展示する。「基本的に作品よりも場面を重視した展示です。時代を超えた東京をそれぞれの時代の少年目線、女性目線で鮮やかに切り取り、会場の巨大模型と照らし合わせることで位置関係を明らかに。フィクション作品をパノラマのように見渡す体験を提供しています」普段暮らしている街がドラマの舞台になると嬉しくなったり、普段の街が違って見える。そんな発見が、本展にはあちこちに溢れている。1もはや日本アニメの定番?永遠のテーマ“破壊と復興”。日本のフィクション作品において、天災や未知なる生物の襲来などで東京が破壊されるシーンはもはや定番。それは東京が実際に何度も壊滅的な打撃を受け、そのたびに奇跡的な復興を遂げてきた歴史があるから。「破壊と復興の反復」セクションでは、単なるランドマークにとどまらず、未来への対策まで映し出された作品を紹介。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』では、街中を疾走する初号機の背景に富士山が。細部までリアリティを追求した表現。©カラー2生活の場である東京の変遷をたどる「東京の日常」シーン。破壊と復興という非日常の合間には人々の暮らしがあった。ここでは江戸時代からの近代化と敗戦、戦後の高度経済成長からバブル、現在まで、作品に描かれてきた人々のライフスタイル、価値観の変化を、絵巻のように並べて紹介。生活の場としての東京の変遷をたどる、まるで時間旅行のような華やかなセクションに。歴史『サクラ大戦』など、江戸時代末期から現代へと、近代化の幕開けを描いた作品で歴史に興味を持つ人も。©SEGA3実際に登場したキャラクターに注目。「キャラクターvs都市」ここでは、現実の東京の都市空間に様々なフィクションのキャラクターが現れるようになっている現実に注目。街に現れるキャラクターのラッピングカーや電車、お台場に現れた実物大のガンダム立像、さらにはアニメの舞台となった現場を訪れる聖地巡礼など、現実とフィクションが混在する新たな都市風景の事例を紹介する。お台場の「実物大ユニコーンガンダム立像」はもはやエリアの顔。子供だけでなく幅広い世代のファンからも支持される。撮影協力:ダイバーシティ東京 プラザ©創通・サンライズ「MANGA都市TOKYOニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020」国立新美術館 企画展示室1E東京都港区六本木7-22-2開催中~11月3日(火)10時~18時(入場は閉館の30分前まで)火曜(9/22、11/3は開館)、9/23休日時指定観覧券当日1600円ほか*事前予約制。オンラインにて日時指定観覧券または日時指定券(無料)の予約が必要。TEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)※『anan』2020年8月26日号より。文・山田貴美子(by anan編集部)
2020年08月20日近未来SFアニメの金字塔『攻殻機動隊』の最新作『攻殻機動隊 SAC_2045』がNetflixオリジナルアニメとして全世界へ配信中。筋金入りの攻殻機動隊ファンの西川貴教さんが、アニメーション監督である神山健治さんと荒牧伸志さんにその熱い想いをぶつけました。西川:攻殻機動隊を観ていると、未来に期待を抱いてしまう。自分の身体を義体にしたら、何百年という命を得られるかもしれない、と希望的観測を強く抱きました。僕は子どもの頃、死への恐怖心がすごく強くて。というのも、父方の祖母のお葬式で棺に釘を打っている時の記憶がずっと脳裏に焼き付いていて…当時から、死はいずれ必ずやってくる、恐怖の対象でした。そこから何となくの人生設計、たとえば20歳までにデビューするとかを考えるようになったんです。そんな中で攻殻機動隊に出合って、もしかしたらこんな未来が来るのではないか、そうなってほしい、と希望を抱くようになった。どんどん攻殻機動隊に魅了されていきました。…僕が喋り続けて申し訳ないのですが(笑)。神山:いえいえ、そういった観点はとても興味深いですね。荒牧:すごくおもしろいです。西川:ありがとうございます。最初に触れた押井守監督の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』は、背景の街の描き込みがとても美しく、世界観にのめり込んでいきました。『イノセンス』は詩的で、アニメという枠だけでは括ることのできない、内面的な部分が深く描かれています。そこから神山監督の『攻殻機動隊S.A.C.』シリーズに触れて、これだ!と。何度も観返している作品です。そこで描かれた社会と昨今の社会は、紐づいている部分がたくさんある。約20年前に、すでに我々に情報として与えられていたのかと思うと本当にすごいなと。これまでの攻殻機動隊作品は日本ならではのカルチャーが内包されている気がしますが、今回の『攻殻機動隊 SAC_2045』はNetflixで配信されていることもあって、世界に向いている印象を受けました。いい意味でとても分かりやすい作品だと感じます。アメリカの西海岸から話がスタートして、日本と世界の関係性が描かれている。世界から見た日本や、日本という国がこの先存続し続けられるのか、と考えさせられる奥深い作品です。神山:’19年に、西川さんのライブ演出をお手伝いさせていただいた時、今作のお話はしていたんですけど、配信直後に西川さんが「観た」とツイートしてくださって。おそらく日本で一番早く観ていただいたんじゃないかな(笑)。西川:そうですね(笑)。神山:ありがたいです。しかも、作品の世界観を深く考察していただいている。攻殻機動隊の原作が描かれた’80年代、ハイテクといえば日本だと世界ではいわれていました。でも、この30年間で日本を取り巻く状況が変わってきて、意外に日本は衰退している。フィクションなので作品の世界観を地続きにつくっていくことはできます。けれど、僕は「今」起きていることと作品の世界をリンクさせ、こうあったらいいなと思うものを落とし込んで、今まで物語をつくってきたので、今回もそうしようと。現在、世界ではすでに資源や市場など経済の奪い合いが起きています。この先どうなるのかと考えた時、経済とは切り離せない形で戦争が始まっていくのではないかと。それを言葉にしたのが“サスティナブル・ウォー(経済を継続させていくための戦争)”でした。荒牧:なので、グローバルに向けたというより、サスティナブル・ウォーが世界で顕在化している状態を分かりやすく描きたいと考え、アメリカを舞台に物語をスタートさせたんです。そうすることで、世界と日本の対比を描くこともできます。アメリカは戦争しているけど、一方日本では何が起きているのか、と。神山:あとは、(草薙)素子たちが久しぶりにみなさんの前で暴れる姿をどう描こうかと考えた時、彼らは公安9課だけど、それ以前に軍人なので、やっぱり戦場が似合うんじゃないかなと。サスティナブル・ウォーが起こり、貧困格差が進んでいく中、テクノロジーは進化している。そんな社会で起こる犯罪と、素子たちはどんなふうに対峙していくのだろう、という発想で物語をつくり始めた感じですね。西川:お二人は日本の未来がどうなるのかを早い段階で知っていて、こうなるよと教えてくれているのかな?と思いました…。CIAとか、どこかのルートから「こうなるから、みんなに早めに教えてあげて」と言われているんじゃないかという気さえしました(笑)。今作はモーションキャプチャを使った3DCGの映像もすごい。全体的な人の動きは緻密につくられているのに、表情や口元の動きに関しては甘めに感じました。そこは英語などの多言語展開にも対応できるようにしたのかなと。神山:さすがですね。多言語を意識しているわけではないけど、アフレコにも対応できるようにわざとルーズにしています。また、3DCGにしたことで動きがすごくリアルになっている。でも、これはアニメであるということを残したかった。アニメの良さである「曖昧さ」を意識したつもりです。西川:荒牧さんが監督に加わっていることもあって、『APPLESEED』との符合みたいなものも感じます。神山:『APPLESEED』的な要素を感じてくれた人は多いんじゃないかな。特に1、2話は。西川:振り返ると、荒牧さんがメカニックデザインをしていた『機甲創世記モスピーダ』が大好きで、ずっと絵を描いていました。荒牧:ありがとうございます(笑)。西川:これまで違うアプローチで作品をつくられてきたお二人が、こうやって一緒に作品をつくられている。すごいことだと思います。神山さんの脚本づくりにおけるアプローチと、荒牧さんの培ってきた技術が見事に融合されて、素晴らしい作品になっている。今、日本が世界に認められることといえば、アニメくらいしかないと思っていて。そんな中で、日本を代表するアニメーション監督のお二人が世界に配信する作品をつくってくださったことが、僕はとても嬉しい。何より今作は、このコロナ禍の中で蓋を開けたじゃないですか。そこに深い意味を感じてしまいます。作品の後半には、SNSの誹謗中傷問題を彷彿とさせる話もあって、エンタメとして楽しめるだけではなく、現代のさまざまな問題提起をお二人はしてくれていると思うんです。問題を考えたり、議論し合ったりできる機会をこの作品は与えてくれた。それは、すごく幸せなことだと感じます。とはいえ、お二人とも感染症が世界にここまで影響を与えることは想像されていなかったと思うのですが、今後作品づくりに影響はありそうですか?神山:コロナ禍を全くなかったことにして作品をつくるのは、フィクションとはいえ明らかに難しくなりましたね。今作で描いた“全世界同時デフォルト”を画にする時、どんなビジュアルにしようかと悩んでいたけど…街から人がいなくなることが実際にあるんだ、予想は間違っていなかったんだと思いましたね。荒牧:今回の感染症で、経済が止まった世界が可視化されたんですよね。過去に見たことがない事象が起きたという意味で、本当に衝撃でした。だからこそ、無事に配信できるのか心配もありましたよ。西川:経済が止まることを予想していたのかな、とすら思いました。でも、またこうやって素子を見られて、『S.A.C.』シリーズのオリジナルキャストメンバーが帰ってきたことが本当に嬉しいです。パズとボーマの今後の活躍にも期待しています(笑)。神山:一言しか喋っていないですからね(笑)。西川:何回観ても楽しめるし、物語もスタートしたばかりだと思うので、これからさらにのめり込んでいくことになるのかなと。今後も観続けていきたいと思います。荒牧&神山:制作頑張ります!にしかわ・たかのり1970年生まれ、滋賀県出身。’96年T.M.Revolutionとしてメジャーデビュー。2017年西川貴教名義で活動スタート。アニメ、ドラマ、舞台、バラエティなど幅広い分野で活躍。あらまき・しんじ1960年生まれ、福岡県出身。2004年映画『APPLESEED』でモーションキャプチャ技術を導入した世界初の3Dアニメを制作。日本における3DCGアニメの第一人者。かみやま・けんじ1966年生まれ、埼玉県出身。2002年映画『ミニパト』でアニメ監督デビュー。『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』はTVアニメ初監督作で国内外問わず人気に。『攻殻機動隊 SAC_2045』経済災害が発生し、AIが劇的に進化した世界では“サスティナブル・ウォー”が勃発。元公安9課(内務省直属の対テロ攻性組織)メンバーはある事件へ巻き込まれていく。Netflixで全世界独占配信中。©士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会※『anan』2020年7月15日号より。取材、文・阿部裕華(by anan編集部)
2020年07月12日近未来SFアニメの金字塔『攻殻機動隊』。その最新作『攻殻機動隊 SAC_2045』がNetflixオリジナルアニメとして全世界へ配信中。屈強な男たちを束ねる公安9課のリーダー・草薙素子を演じる声優・田中敦子さんにお話をお聞きしました。「草薙素子は唯一無二の存在。私にとって憧れの人です」こう語るのは、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』から25年以上素子を演じている田中敦子さん。長い間共に歩んできた田中さんの考える、素子の魅力とは。「公私混同せず、自分の決めたことをやり切れる精神力は、とてもカッコいいです。それでいて、人間味や女性らしさも兼ね備えています。タチコマに接する時の素子に、母性のようなものを感じる瞬間もあって。バトーからのモーションをするりとかわしていくところも女性らしいですよね」これらの魅力から、作中では公安9課のメンバーに慕われ、信頼される存在だ。「自分と素子は真逆なんです」と話す田中さんだが、“仲間からの愛”は唯一、素子と共通する部分だそう。「素子が公安9課のメンバーに愛されてきたように、私も公安9課のキャストのみなさんにとても可愛がっていただきました。一番年下で至らない点も多かった中、いつもフォローしてくださって。仲間からの愛、というのは大げさかもしれないですけど…(笑)」初めは、全身義体で謎の多い女性を演じることへ、迷いや気負いがあった、と田中さんは当時を振り返る。一生懸命演じなければと必死だったとも。しかし、25年の月日を経て、徐々に素子との溝が埋まってきたよう。「『STAND ALONE COMPLEX』も『イノセンス』も、キャストのオーディションをしています。だけど、毎回素子は私のところに戻ってきてくれました」今作の制作決定が発表された時点でも、キャストの発表は行われていなかった。イリヤ・クブシノブさんの描く新しい素子を見た時、「私はキャスティングされないと思った」と田中さんは話す。「若々しくて、可愛らしくて、エネルギッシュさを持つ、新しい素子だなという印象を受けました。大塚明夫さん(バトー)、山寺宏一さん(トグサ)と3人で、私たちはキャスティングされないだろうね、と話していたことも」ところが、『攻殻機動隊 SAC_2045』でも素子は田中さんの元へ戻ってきた。「私に、演じてよ、と言ってくれているような気がします。だからもう、気負わなくてもいいのかなって。今も、作品の持つテーマの重厚さやスケールの大きさに、プレッシャーは感じます。でも、素子と付き合いが長くなって、私の人生の経験値も多少は上がったことで、今作では素子に寄りかかって演じることができました」新しくなっても、素子は素子。変わらずに演じきる。ダブル監督、キャラクターデザイン、3DCG…シリーズ初となる要素が満載な今作だが、アフレコでは今まで通り、素子を演じることができたと言う。「10年以上間はあいていますけど、公安9課のメンバーも神山(健治)監督も何度もご一緒してきたので、あの頃と変わりなく、みんなで作品づくりができました。それに、デザインは変わっても、素子は素子ですから、演じる側として変える部分はありませんでした」変わらずに素子を演じた田中さんだが、これまでにない“解放感”を今作では感じていた。第1話では、アメリカ西海岸の広い空の下で、休暇を楽しむ素子たちの様子が描かれている。今まで抱えていた重責から解放されたような印象を受ける場面だ。冒頭に素子が発する「ノイズがないって素晴らしいわ」という言葉は、それを象徴的に物語っている。このセリフは田中さんにとっても特に思い入れが深いそう。「一番初めのこの言葉はとても重みを感じました。またしばらくの間、素子と付き合っていくんだ、演じていけるんだと。全12話の中で最も印象的なセリフです」今作では新しい仲間も登場する。「バラエティに富んだメンバーになった」と田中さん。「スタン(ダード)は一風変わった個性的なキャラクターですし、(江崎)プリンちゃんは今までの『攻殻機動隊』では見たことのない可愛らしいキャラクターです」新しいキャラクターの中でも注目してほしいと語るのが、物語の鍵を握る少年・シマムラタカシだ。「登場話数は多くないけれど、後半に向かって見どころになるのは彼だと思います。そして、そんな彼の声を林原めぐみさんが見事に表現している。タカシの年齢(中学生)的には、若い男の子を演じられる男性声優さんでもいいラインだと思いますけど…そこにあえてめぐみちゃんを起用するところが、“キャスティングの妙”だなと。今作の注目のポイントではないでしょうか?」3DCGのアフレコはアニメと実写の中間だという。モーションアクターの声を聞きながら挑んでいるそう。謎多き少年・シマムラタカシの声は林原めぐみさんが担当。憂い漂う雰囲気を見事に表現している。たなか・あつこ1962年生まれ、群馬県出身。’90年、米テレビドラマ『ENG』の吹き替えでデビュー。数多くのアニメ・洋画作品に参加。2020年声優アワード外国映画・ドラマ賞を受賞。『攻殻機動隊 SAC_2045』経済災害が発生し、AIが劇的に進化した世界では“サスティナブル・ウォー”が勃発。元公安9課(内務省直属の対テロ攻性組織)メンバーはある事件へ巻き込まれていく。Netflixで全世界独占配信中。©士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会※『anan』2020年7月15日号より。取材、文・阿部裕華(by anan編集部)
2020年07月12日Netflixオリジナルアニメとして全世界へ配信中の、『攻殻機動隊』の最新作『攻殻機動隊 SAC_2045』。そのアニメーション監督である神山健治さんと荒牧伸志さんにお話を伺いました。――今作は、『攻殻機動隊S.A.C.』シリーズの世界観を引き継ぎながら、モーションキャプチャを駆使した3DCGという新しい映像表現を用いています。このようなアプローチに至った経緯とは?荒牧:最初はシリーズではなく、一本の映画をつくろうと話していて。どういう切り口がいいかと悩んでいました。神山:S.A.C.の続編としてつくるか、全く新しい攻殻機動隊としてつくるのか、どんなアプローチが一番いいのだろうと。でも、S.A.C.に全く触れないとなると、僕が参加する意味がないんじゃないかとも考えて。S.A.C.の世界観を生かして、続編的な意味合いでつくっていくことになりました。荒牧:それが2015年かな。今作は、僕から神山さんに声をかけました。その段階から3DCGでやりたいと頼んでいました。20年間3DCGでつくってきて、さらなる可能性の手応えを感じていて。同時に、一人で突き詰めることに限界があるなと。攻殻機動隊という題材を3DCGで、かつ僕とは違う経験を持つ神山さんとつくることができれば、表現の幅が広がるのではと期待しました。――今作ではどのようなテーマを意識して物語をつくりましたか?神山:僕は脚本を書く時、「人間」と「社会」と「今」の要素を対比させながらイメージを膨らませています。特に、いつも「人間」を深く掘り下げて描いていると思うんです。『STAND ALONE COMPLEX』でも「人間」を描いていました。人は個でありながら、社会を形成して初めて人間たり得ている。テクノロジーを使うのも人間です。今作では、人間と対比した「社会」と「今」を描くために、「経済(社会)」と「AI(今)」の要素を取り入れています。経済を継続させていくための戦争“サスティナブル・ウォー”や、いずれ来ると言われているAIが人の知性を超える瞬間“シンギュラリティ”の設定を物語の中心に据えている。経済が破綻し、テクノロジーが発達した世界で、人間はどう生きていくのか、そんなことを考えて今作の物語を描きました。――作品の制作過程において、どのような苦労を感じましたか?神山:僕ら自身、この物語がどこに帰結していくか分からず手探りで、紡いでいくのが大変。つくっているというより探している感覚。その物語を可視化するためのアイデア出しも、設計図に起こすのも、予算の中でCGを依頼するのも、死ぬほど大変です。荒牧:脚本で固めたつもりでも、モーションアクターさんに演じてもらうと気づくことがあります。いろいろな段階で行ったり来たりを繰り返しているので…どの作業も大変ですね。素子の魅力は完璧さ。それゆえに描きづらさも…。――監督お二人から見て、草薙素子にどんな魅力を感じますか?神山:あれだけ屈強な男たちを束ねるリーダーシップや行動力。それでいて人間味や思いやりのある人。その完璧さですかね。描いていておもしろい。普通、隊長というのは成長を描くのが難しく、おもしろみに欠けるから、物語の主人公になりづらい。でも映画『プレデター』で隊長役のシュワちゃんを観て、素晴らしい主人公が登場した!と思った。それが影響しているのかもしれません。荒牧:全身義体の女性という特殊性と自分の信念を持っている安定感。とても魅力的だけど、物語をつくる上では大変です。完璧ゆえに失敗させられない。失敗しても、先を見据えての失敗というか。それが動かしづらくて…。なので、今作では新人のキャラクターである(江崎)プリンを登場させました。物語を動かしてもらうために。――プリンにはそんな役割が…。神山:プリンはいろいろな狙いがあります。紅一点だった素子の近くに、可愛らしい女性が出てくると嫌われる部分はあるだろうと思いつつ、出しました。最初はどうしても異物感を抱かれると想定していたので、中途半端に好かれるより振り切ってしまおうと考えてつくりました。――今作の素子についてはいかがですか?イリヤ・クブシノブさんの描く素子はこれまでのクールな印象と異なり、可愛らしさを感じます。神山:イリヤくんの描くイラストは、少女の最も美しい瞬間を切り取っているところ、瑞々しいところが一番の良さだと思っています。今作の素子には上手いことそれが出ているなと。イリヤくんのデザインによって、より素子が身近な存在になった。可愛いお姉さんのような感じですよね。あらまき・しんじ(写真右)1960年生まれ、福岡県出身。2004年映画『APPLESEED』でモーションキャプチャ技術を導入した世界初の3Dアニメを制作。日本における3DCGアニメの第一人者。かみやま・けんじ(写真左)1966年生まれ、埼玉県出身。2002年映画『ミニパト』でアニメ監督デビュー。『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』はTVアニメ初監督作で国内外問わず人気に。作中で実際に登場する背景のラフ画。アニメでは大道具や小道具の一つひとつを3DCGでつくり込んでいる。屈強な男たちを束ねる公安9課のリーダー・草薙素子。神山監督は彼女を「理想の上司」と表す。『攻殻機動隊 SAC_2045』経済災害が発生し、AIが劇的に進化した世界では“サスティナブル・ウォー”が勃発。元公安9課(内務省直属の対テロ攻性組織)メンバーはある事件へ巻き込まれていく。Netflixで全世界独占配信中。©士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会※『anan』2020年7月15日号より。取材、文・阿部裕華写真・後藤利江(by anan編集部)
2020年07月11日近未来SFアニメの金字塔『攻殻機動隊』の最新作『攻殻機動隊 SAC_2045』が、Netflixオリジナルアニメとして全世界へ配信された。作品の魅力をキーワードとともに読み解いていきます。未来像を提示した、攻殻機動隊の最新形。攻殻機動隊の舞台は高度な技術が発達した近未来。脳神経をネットに直接アクセスする“電脳”化や体を“義体(サイボーグ)”化できるようになった世界が描かれている。’89年に発表された士郎正宗原作コミック『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』を皮切りに、アニメ、ハリウッド実写映画などさまざまなシリーズが展開されてきた。そして今年、新たなるシリーズ『攻殻機動隊 SAC_2045』が登場。“AIが発展”し、“経済が衰退”した2045年の未来像が提示された今作。メガホンをとるのは日本を代表するアニメーション監督・神山健治さんと荒牧伸志さん。キャラクターデザインには気鋭のクリエイター、イリヤ・クブシノブさんを起用し、モーションキャプチャ技術を駆使したフル3DCGでアニメーション映像を表現。時代を先読みしていたかのようなストーリーは大きな話題となり、Netflixの毎日更新される日本国内の「今日の総合TOP10」では常時上位にランクインするほど。ほかにも、常田大希さん率いるmillennium paradeが主題歌を手掛け、アニメソングとしては異例のオリコン首位を獲得するなど、話題が尽きない。熱狂を巻き起こすその魅力をひもといて、最新の攻殻機動隊が描く未来を体感しよう!ここがスゴイ!熱狂を読み解くキーワード。1、STORY:社会問題と向き合うテーマの提示。経済を継続させるための戦争“サスティナブル・ウォー”と、AIが人類の知能を超える“シンギュラリティ”を物語の根幹に据え、未来の世界が描かれる。SNSの普及によるネットリンチ問題など、現代の社会問題がテーマに取り上げられ、深く考えさせられる。2、VISUAL:圧倒的な臨場感!フル3DCGアニメ映像に注目。シリーズ初となるモーションキャプチャ技術を駆使したフル3DCGアニメーションは、今作の見どころの一つ。特にアクションシーンは見応え十分だ。また、CGでつくり込まれた背景にも注目してほしい。アメリカの広大な風景や日本の混沌とした街並みの美しさに感動する。3、CHARACTER:最強の元公安9課に、頼もしい新キャラが参戦。攻殻機動隊の圧倒的リーダー・草薙素子の活躍に今作も目が離せない。バトーやトグサなどお馴染みのメンバーや、多脚思考戦車タチコマの存在がより一層頼もしくなっているのも今作のポイントだ。スタンダードや江崎プリンといったバラエティに富んだ新しい仲間の登場も見もの。4、GLOBALIZATION:シリーズ初、アメリカを舞台に物語が開幕。日本のみならず世界からも人気の高い攻殻機動隊。最新作となる今作は、Netflixオリジナルアニメシリーズとして全世界独占配信されている。本編冒頭、アメリカ大陸西海岸を舞台に物語が進んでいく。経済災害“全世界同時デフォルト”後に崩壊した世界が分かりやすく描かれている。『攻殻機動隊 SAC_2045』経済災害が発生し、AIが劇的に進化した世界では“サスティナブル・ウォー”が勃発。元公安9課(内務省直属の対テロ攻性組織)メンバーはある事件へ巻き込まれていく。Netflixで全世界独占配信中。©士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会※『anan』2020年7月15日号より。取材、文・阿部裕華(by anan編集部)
2020年07月11日徐々に改善しつつあるものの、現在世界中が、新型コロナウイルスとの戦いという“これまで経験したことのない出来事”に直面している状況。エンターテインメントのクリエイターとして、この事態に直面したときにまず何を思ったのか、アニメーション監督の湯浅政明さんに伺ってみました。波乗りのように臨機応変に、新しいことに挑戦したい。もしかしたら不謹慎かもしれませんが、まずは、何かものづくりをしたいな、という思いになりました。この時期を憂鬱に生きるのではなく、何か楽しく過ごす方法があるのでは、と。もし僕がミュージシャンだったら、海外の人とかともコラボをして音楽を作るだろうなぁ…と思っていたら、まさにそれを星野源さんがやられていたので、そこにアニメ動画で乗っからせていただきました(笑)。――何かを表現したい気持ちになる、そんな出来事だったんですね。そうですね。もちろん今回のようなこととは比べものにならないですが、普段の仕事でも、いろんなピンチが訪れるんですよね。そのときに「どうしよう、予定と違う!」と焦るのではなく、「じゃあ今までのものは全部捨てて、新しいやり方で!」とできるほうが、上手くいくし楽しめる。常にそういうスタンスでいたい、と思っています。昔アメリカから牛肉が輸入できなくなったときに、「お店を閉めよう」となった牛丼屋さんと、「じゃあ豚丼作ろう!」としたお店に分かれたんですよね。初志貫徹ももちろんカッコいいですが、僕はどちらかというと、手を替え品を替え、臨機応変にやっていって、最終的におもしろいものができればいいじゃんっていう、“波乗り”みたいなタイプなんで。だからこのコロナの自粛期間も、そんな感じで考えていました。実際、“人とネットで繋がってモノを作る”というスタイルも、まさにその“臨機応変型”ですよね。――7月9日よりNetflixで配信となる、監督の作品『日本沈没2020』の登場人物たちも、そんなマインドの持ち主です。大地震のあと日本が沈没していくという状況の中で、戸惑いつつも、自らの手でなんとか未来を切り開こうとする。この作品は’18年の夏から取り組んできたものなんですよ。――世界中が大変な中での公開になりましたが、そのあたりはどんなふうに捉えていますか?ん~…、でもそんなに深刻には考えていないです、エンタメですからね(笑)。こういう作品を怖がらずに楽しむことも大事でしょう。ただ、何か大きなことが起こったときに、日々当たり前だと思っていた自分の足場が揺らいだりするわけで、そこで人は、普段あまり向かい合っていなかったこと、真剣に考えてこなかったことと対峙すると思うんです。たとえばこの映画でいうなら、国土が沈むとなった場合、“日本民族って何なのか”“国って何なのか”とか…。人種の問題なんかもそうだと思います。僕は日本に生まれ、日本国籍を持ち、いろんなものを与えられ、文句を言うこともあるけれど、当たり前に生きている。でもそういうものって、失って初めて意味を認識する。今回はそういうことを描きたいとは思っていました。――主人公の歩たちは、さまざまな場面で過酷な選択を迫られます。その度に、“個”であること、“個として考え方をしっかり持つこと”の必要性を痛感させられました。世の中には、いろんな人がいて、さまざまな考え方があるんですよね。みんな同じものを見て、似たような生活をしているんだけれども、結構違うことを感じていたり、考えていたりする。若い頃は、多様性があんまり理解できなくて、人とわかり合えないことに苦痛を感じたりもしていましたが(笑)。人は、年齢、環境、さまざまな要因で変わるものなんです。これまで『日本沈没』って何度も映像化されている中で、たぶん個人とか家族にフォーカスをしたのは、今作が初めてだと思います。親、キャリアウーマン、YouTuber、引きこもりの少年、オリンピックを目指す少女などが出てきますが、異なる考え方を持ついろんな人間がいることをこの作品を通じて感じてもらえたら、とてもうれしいですね。――なぜ今回は、“個”を描こうと思われたのですか?最初にこのお話をいただいたとき、正直アニメーションにはしづらいテーマだな、と思ったんですよね。天変地異とかビルの倒壊などは、実は、アニメで描くのは相当難しい。描いたとしても、実際の映像を見た人や、それこそ現実を目の当たりにしたことがある人の心を動かす力は、絵にはないのでは、と。また、災害時に国を動かす人たちの話も、アニメ絵で延々会議のシーンを描いても、たぶんおもしろくない。僕がアニメーションをいいと思う理由は、シンプルに、物事をわかりやすく伝えることができるから。実写では情報量が多く視点が定まらない風景でも、アニメの場合は絵なので、見てほしいポイントを明確に提示できる。描き手の思いをもっとも極端に表現できるのが、僕にとってはアニメなんです。もちろん、絵であることの弱さもあるとは思います。俳優さんだったら、顔がドンと映ればそれだけで画になりますが、アニメの絵では存在感が薄いのでそうはいかない。ただ、シンプルだからこそできる、伝えられることはあると思うんです。情報量が少ないからこそ、観ている人の想像をふくらませることができる。――監督が作られてきた作品の中でも、『日本沈没2020』は、かなりシンプルな作画ですね。いつもだったら、アニメーション的なデフォルメを大きくしたりするんですが、今回はそれはあまりせず、お芝居もあまり大げさにせず、淡々とやっていこうと。追い立てられるように出来事が起こる中で、それを実感する間もなく前に進んでいかざるを得ない、そんな彼らの気持ちを表現したいと思いました。一枚絵としてはシンプルですが、ストーリーやセリフのやり取りの中で、リアリティを感じてくれたら、と思います。湯浅監督の最新アニメ作品Netflixオリジナルアニメシリーズ『日本沈没2020』小松左京氏が’73年に発表した小説『日本沈没』を原作としたアニメ。架空の2020年、平和な日本に発生した巨大地震により、日本列島が沈没していく。14歳の主人公・武藤歩と彼女のごく普通の家族を中心に、未曽有の災害の中、極限状態で人は何を感じ、どう動くのかが描かれる。音楽は、3回目のタッグとなる牛尾憲輔氏が担当。全10話。7月9日~Netflixで全世界独占配信。©“JAPAN SINKS:2020”Project Partners主人公の歩(左)は、頼りがいがある父と母、そしてYouTuberに憧れる弟と4人家族。さまざまな出来事に出合う中で、歩の目の動きに心を奪われる。地震後の東京の街並み。アニメならではのシンプルな描写が心に刺さる。ゆあさ・まさあきアニメーション監督。1965年生まれ、福岡県出身。’99年に監督デビュー。代表作に映画『夜明け告げるルーのうた』、アニメ『四畳半神話大系』『映像研には手を出すな!』など。※『anan』2020年7月15日号より。(by anan編集部)
2020年07月11日ステイホームの期間中、アニメを見るようになった人は多いはず。最近はテレビ以外に配信系も充実しているので、好みの作品を見つけ出すのは、意外と難しいもの。アニメ情報サイト「アニメ!アニメ!」の編集長・江崎大さんに、7月スタートの注目作についてお聞きすると…。「過去に流行って、映像作品などにもなっている小説のアニメ化が目立ちますね。Topic1の2作品は、どちらも’70年代に発表された小説が原作で、現代を舞台にどう描かれるかが注目ポイントといえます」もうひとつの特徴は、バディものが今まで以上にアツイこと。「Topic2以外でも、『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』は原作にはないキャラクターを追加してバディにしていますし、声優が二次元芸人を演じる『GET UP! GET LIVE! #げらげら』もお笑いコンビのバディものとして楽しめます」メディアミックスによる壮大なプロジェクトで、スタート前から大いに盛り上がっている作品も。気になるアニメが多くて、結局迷いそう!Topic1:あの名作小説が初のアニメ化!富豪の型破りな刑事が相棒を得て現代に蘇る!『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』大富豪の父を持つ刑事が資産を投入して事件を解決する、筒井康隆のミステリーが原作。「’05年のドラマ版は原作と違って女性が主人公でしたが、今回の主人公は男性。原作より癖のあるお金持ちにして、アニメオリジナルのキャラクターと対比させています。ノイタミナという深夜アニメ枠の放送で、普段アニメを見ないような人の入り口としてもおすすめ」。7月16日よりフジテレビほかにて放送。第1・2話はFODほかで配信中。©筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥世界で注目される監督が満を持して挑む作品。Netflixオリジナルアニメシリーズ『日本沈没2020』原作は’73年に発表された小松左京の小説。「これまで何度も映画、ドラマ、マンガにされていて、アニメ化は初なのが不思議なくらい。まさに満を持してという感じで、『DEVILMAN crybaby』や『四畳半神話大系』などで芸術的評価の高い、湯浅政明さんが監督を務める点でも期待大です。最近のNetflixオリジナルアニメは質が高いですし、全10話が一気に配信されるので見やすいと思います」。7月9日よりNetflixにて独占配信。©“JAPAN SINKS:2020”Project PartnersTopic2:絆を深める“バディもの”が熱い!世界に挑む詐欺師(コンフィデンスマン)の、壮大なコン・ゲーム!『GREAT PRETENDER』詐欺師たちの世界を股にかけたバディもの。「『リーガルハイ』や『コンフィデンスマンJP』の古沢良太さんが、TVアニメシリーズの脚本を初めて手がけています。古沢さんらしい、気持ちよく騙される感覚を味わえると思います。しかも1話完結型だったこれまでのドラマと違い、詐欺師の男たちがいろんなことを切り抜けていくような、全体を通したストーリーにも注目」。7月8日よりフジテレビほかにて放送。Netflixにて配信中。©WIT STUDIO/Great Pretenders荒廃した世界で出会う正反対の男と少女。『デカダンス』「一見男性向けのように思えますが、劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』の監督・立川譲さんとTVアニメ『BANANA FISH』の脚本家・瀬古浩司さんという、女性に人気の高い作品をヒットさせたふたりがタッグを組んでいます。タイトル通り、人類が滅亡の危機に陥った退廃的な世界で、夢を諦めたリアリストの男と夢見る少女がどう絡んでいくのかが見どころです」。7月8日よりAT‐Xほかにて放送。同日ABEMAにて地上波先行配信。©DECA‐DENCE PROJECTTopic3:メディアミックスの最新系も登場。名だたるクリエイターが集結して作品を後押し!『ジビエート』舞台は2030年の日本。病気の感染者がさまざまな怪物に変化する…。「伝染病に立ち向かう人間を描いているので、今見ると刺さりやすいと思います。『ファイナルファンタジー』のキャラクターデザインで知られる天野喜孝さん、吉田兄弟、SUGIZOさんなど錚々たるクリエイターが参加し、“和”をテーマに世界に向かって創り上げるジビエートプロジェクトも話題」。7月8日よりTOKYO MXほかにて放送。Huluほかでも配信。©GIBIATE PROJECT声優×二次元芸人。1分間のお笑いショー。『GET UP! GET LIVE! #げらげら』「とくに人気の“声優×”。このショートアニメは“声優×二次元芸人”というお笑いプロジェクトです。今まで2回リーディングライブを行い、ドラマCDやノベライズ、そしてコミカライズも決定しており、今回ショートアニメに」。お笑い養成所で奮闘する3組のコンビが、持ち時間1分という人気ネタ番組のオーディションを受ける物語。視聴者によるリアル投票企画も!?7月10日(金)よりMBS/TBS系全国ネットにて放送。©MBS/ゲラゲラ製作委員会えさき・だい株式会社イードに入社後、’18年よりWebメディア「アニメ!アニメ!」の編集長に就任。雑誌『アニメディア』を含む、アニメ関連全メディアの統括プロデュースを行う。※『anan』2020年7月8日号より。取材、文・兵藤育子(by anan編集部)
2020年07月07日7/8(水)発売のanan2208号「体感せよ!エンタメの最新系。」特集の表紙は『攻殻機動隊 SAC_2045』の少佐こと草薙素子。表紙制作エピソードを紹介します。『攻殻機動隊』草薙素子のエモい瞬間。『攻殻機動隊 SAC_2045』の少佐こと草薙素子が、時空を飛び越えananカバーモデルとして降臨です!屈強な男たちを束ねる、強くたくましいリーダーである素子が、やさしくて柔らかな、みずみずしい表情を披露してくれました。普段は見せることのない色っぽい一面に、ドキッ……。描き下ろしてくださったのは、キャラクターデザインを務める人気イラストレーター、イリヤ・クブシノブさん。フューチャリスティックでありながらも、どこか郷愁を感じる、奥深き草薙素子を描ききってくださいました。小さい頃に観た『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』冒頭シーンの素子が衝撃的すぎて、イラストレーターになったというイリヤさん。「実は5年ほど前から、ananの表紙でイラストを描きたいと思っていました。素子がその夢を叶えてくれてうれしい」と感動のお言葉! イリヤさん自らの手で、イリヤさんの人生に大きな影響を与えた素子を描いていただき、ananの表紙を飾っていただけるなんて、大変光栄な思いです。今号の裏表紙をめくったところには、表紙とは別ポーズの素子も掲載。保存版のイラストとして楽しんでいただけるものになっているので、そちらもお見逃しなく。特集では、イリヤさんのほか、神山健治監督×荒牧伸志監督、声優として素子を演じ続ける田中敦子さん、さらには攻殻機動隊ファンの西川貴教さんといった豪華メンバーの方々へのインタビューを通して、『攻殻機動隊 SAC_2045』の魅力を多角的な視点で掘り下げています。Netflixオリジナルアニメとして世界に配信されている今作、これまで攻殻機動隊に触れてこなかったという方でも大丈夫、存分に楽しめる内容になっています。現代の社会問題に向き合うテーマの提示だったり、モーションキャプチャを駆使した3DCG映像のド迫力だったり、劇的に進化するAIと相反する人間のノスタルジーだったり……まだ観ていない方は、ぜひ本誌を片手に、素子とともに未来を体感してください!(O)
2020年07月07日映画やドラマ漬けの生活を送っている人にとって、過去の名作をじっくり鑑賞するのというのは楽しみ方のひとつですが、いっぽうで新作を待ちわびるときのドキドキ感も何にも代えがたいもの。そんななか、話題のアニメ『泣きたい私は猫をかぶる』がいよいよNetflixにて全世界独占配信スタートとなります。そこで、本作についてこちらの方にお話をうかがいました。主演を務めた女優の志田未来さん!【映画、ときどき私】 vol. 303新進気鋭のアニメーションスタジオとして注目を集めている『スタジオコロリド』の最新作は、かぶると猫に姿を変えることができる不思議なお面を手にした中学生の少女とクラスメイトの少年との物語。劇中で志田さんは、「ムゲ」というあだ名で呼ばれている主人公・笹木美代の声を担当しています。今回は、アニメファンであり、『借りぐらしのアリエッティ』や『風立ちぬ』などでも声優を務めた経験のある志田さんに、作品の魅力や見どころについて語っていただきました。―まずは、脚本を読んだときの印象から教えてください。志田さんお面をつけて猫になり、好きな人に会いに行くというストーリーだけで、気持ちがワクワクしました。しかも、日常の風景がありつつ、ファンタジーな要素もあるので、すごくおもしろい作品になるだろうなと思いました。―演じられたムゲについては、いかがですか?志田さんすごく明るいけど、ちょっと空回りしている部分もあるのかな、と最初は感じました。でも、実は登場人物のなかで一番大人な考えを持っているキャラクター。想いを寄せる日之出に対する気持ちがまっすぐなところも、すごくステキだなと思います。―そんなムゲと志田さんの声は見事にリンクしていたと思いましたが、演じるうえで意識したのはどのあたりですか?志田さん収録の前に、1日リハの時間を作っていただいたので、そこで監督から「声を作りすぎないように」など、いろいろなアドバイスをいただけたのはよかったです。あとは、普段の私は声が低めなので、少し若々しい女の子の感じを出すように意識して演じました。いままでにない難しさを感じることもあった―今回は、ムゲが変身した猫の太郎のパートも演じられていますよね。これまで声優のお仕事をされたなかでも、動物の役は初めてだったのでは?志田さん台本をいただいたときは、まさか自分が声を入れるとは思ってもいなかったので、リハのときに、監督から「猫の声も練習してきてね」と言われて初めて知り、すごく驚きました(笑)。家でもかなり練習しましたが、かなりハードルは高かったです。―その際、何かを参考にして練習されたのですか?志田さん猫の映像を見たとかではなく、これまで声のお仕事をしたときと同じように、自分の声を録音して聞く、という方法で練習しました。とはいえ、最初に「ニャー」と言ったときは、緊張と恥ずかしさから、正直これでいいのかなと……。でも、監督から「いいね」と言っていただけたので、よかったです。―猫の声以外にも、苦労したシーンはありましたか?志田さんムゲが家族に対して感情を爆発させるシーンがあるんですけど、そこは「もう猫のままでもいいや」と思ってしまうきっかけであり、大切に演じなければいけない場面だったので特に難しかったです。声に感情を乗せるという意味でも、1人で感情を爆発させなければいけないという意味でも苦労しましたが、それを時間内に収めなければいけない難しさも同時にありました。何度か録り直したあと、最後は映像なしで自分の気持ちに向き合って録るという方法にも初めて挑戦したほどです。―これまで声優としていろいろな役を演じてきた志田さんでも、それほど苦労したシーンだったんですね。実際に完成した作品を見たときのお気持ちはどうでした?志田さん映像がとにかくきれいなので、どのシーンも印象的だなと感じました。そのなかでお気に入りを挙げるなら、日之出が太郎を抱きかかえるシーンで見せる崩れた笑顔。本当にステキで、すごく好きです。感謝や好きな気持ちを表すのは大切なこと―日之出くん、カッコイイですよね!ちなみに、日之出くんのようなタイプの男の子がもしクラスにいたら、気になりますか?志田さんなりますよね(笑)。日之出は大人びているように見えて、実はそうではなくて、いろんなことに葛藤があって迷っている子ですから。あと、ムゲに見せるクールな感じと、太郎に見せる優しい顔の表情にもギャップがあって、かわいいなと思います。―ただ、日之出くんのように、なかなか思っていることを口に出さない男性というのはどうですか?志田さん私は自分のことでいっぱいいっぱいですし、気持ちを察したりとかもあまりできないので、できれば口に出してほしいなと思います。やっぱり言葉にしないとわからないこともありますから。―そういう意味でも、この作品で思っていることを口に出すことの大事さを改めて感じましたか?志田さんそうですね。ムゲのように本当は違うのにマイナスの方向に受け止めてしまったり、自分のなかだけで考え込んでしまうこともありますが、感謝を伝えたり、好きだという気持ちを表すことの大切さを今回、改めて感じました。―ムゲも一見言いたいことを言えているようで、本当に言いたいことは言えない葛藤を抱えていました。志田さんは言いたいことは言えるタイプですか?志田さん私も中学生のときはムゲのように言えなくて、モヤモヤが自分のなかで募って、家族に当たってしまうこともありましたが、いまは結構言いたいことは言えてると思います。―年齢や経験を重ねたのもあると思いますが、そういうふうになれたきっかけはありますか?志田さん自分が思っていることを言ったことによって、必ずしも嫌われるわけではないと考えられるようになったことがきっかけだったかもしれません。学生のときはみんなからわがままだと思われるのが嫌で言えなかったんですけど、周りの人たちが自分に対してしっかりと愛を持って接してくれていることがわかったので、それからは自分の気持ちもきちんと出せるようになりました。家族や友達と話しているときに幸せを感じる―それはステキな気づきですね。ちなみに、学生時代はどんな子でしたか?志田さんムゲのようにやんちゃな子というよりも、わりと淡々と目の前のことをこなしていくような感じだったかなと。忙しかったのもありますが、おそらく自分のやりたいことがまだあまりわかっていなかったのかもしれないですね。そのあと学校を卒業して、学生という肩書に甘えられなくなってから、心境が変わったところはあったと思います。―なるほど。それでは、タイトルの『泣きたい私は猫をかぶる』にかけておうかがいしますが、志田さんが泣きたいときはどうやって乗り越えていますか?志田さん私は泣きたいときは、泣きますね(笑)。こんなに悲しくてつらいんだというのを誰かにわかってもらいたい気持ちがあるので、家族の前で泣くことはあります。―それを家族が受け止めてくれることで、嫌な気持ちも解消されるんですね。志田さんそうですね。もともとすごく泣き虫だというのもありますが、誰かにわかってもらえて、言葉をかけてもらえれば安心できますし、それによって周りに支えられていると感じられて、自分自身の気持ちを持ち上げることもできるので、あまりひとりで抱え込んだりはしないです。―では、ムゲのようにお面で何かになれるとしたら、何になりたい?志田さんいまは鳥になって空を飛びたいです。自由に動き回りたいので(笑)。―確かに、空なら何の心配もないので鳥はいいですね!そんなふうに、こういう状況だからこそ、心境の変化があると思いますが、いま一番幸せを感じる瞬間は?志田さんなかなか会えない家族や友達とテレビ電話をしているときに感じます。これまでは、必要なことがあるときに連絡するのが多かったですが、最近は今日あったことを話したり、近況報告をしたり。そういうことを言い合えることが幸せですし、目の前にはいなくても、つながっている感じがするのもいいですよね。家にいる時間で自分を知ることができた―そうですね。そのほかに、ストレスが溜まったときにしていることといえば何でしょうか?志田さんあまりストレスは溜めないほうなのですが、天気のいい日にベランダに椅子とテーブルを置いて、外でご飯を食べて、カフェのテラス席にいるような気分を味わったりしていました。そういうことが、もしかしたらストレス解消につながっているのかもしれないです。―体を動かすのもお好きだそうですが、健康のために心がけていることはありますか?志田さん友達がトレーナーをしていて、筋トレメニューを送ってくれたので、それを一生懸命黙々とひとりでこなしています(笑)。そうすると、けっこう汗をかきますし、家の中にいても運動している感覚にはなりました。―運動は大事ですよね。新たに始めたことやハマっていることもあれば、教えていただきたいです。志田さん掃除を念入りにするようになりました。いままで手行き届かなかったぶん、意外と汚れてるところがあったので……。おかげで家がすごくきれいになって、居心地もよくなりました。あとは、いままでまったくしてこなかったお菓子作りを始めました。ケーキやクッキーを焼いたりしていますが、いつかオシャレなお菓子を作れたらいいなと思うので、もう少し極めてみようかなと。そんなふうにいままでできなかったこともできるようになったという意味では、自分を知れる時間になったと感じています。多くの人の癒しとなる作品であってほしい―それでは最後に、作品を楽しみにしている方々へ向けてメッセージをお願いします。志田さん今回は劇場での公開が延期になり、Netflixでの独占配信となりましたが、映画は観てくださる方がいてはじめて完成するので、もともとの公開日に近い日程でみなさんにお届けできることをうれしく感じています。しかも、日本だけでなく全世界での配信。海を越えてひとりでも多くの方にご覧いただけるのは、光栄なことでもあります。人と人とのつながりや人の優しさ、愛といったことについて描いているので、みなさんにとって癒しになればいいなと思いますし、大切な方と一緒に観ていただきたい作品です。あとは、映像のきれいさとムゲが猫になったときのかわいさも、ぜひ楽しんでください。インタビューを終えてみて……。癒し系の笑顔が印象的で、どんな質問も気さくに答えてくださる志田さん。今回苦労したという猫の声は、誰もがキュンとしてしまう悶絶級のかわいさです。さすが志田さんと言わずにはいられないほど、はつらつとしたムゲの声とのギャップとともに、ぜひ注目してみてください。日常生活で沸き起こる感情に共感!思春期だけでなく、大人になっても、泣きたいときやすべてを投げ出したくなってしまうときはあるもの。そんなときにこそ、自分に素直になって、相手に気持ちを伝える大切さを教えてくれる本作は、きっと新たな一歩を踏み出す勇気を与えてくれるはずです。ストーリーいつも明るくて、陽気な中学二年生の美代。空気を読まない言動で周囲を驚かせ、クラスメイトからは「ムゲ(無限大謎人間)」というあだ名で呼ばれていたが、実は周りに気を使い、自分の感情を抑えて日々を過ごしていた。そんなムゲが、熱烈に想いを寄せるのは、クラスメイトの日之出賢人。毎日果敢にアタックをするも、まったく相手にしてもらえないままだった。ところが、ムゲにはある秘密があった。それは、かぶると猫に姿を変えることができるというお面で猫の太郎となり、日之出の家に通っていること。そんな生活を楽しんでいたムゲだったが、徐々に猫と自分との境界があいまいになってしまうことに……。引き込まれる予告編はこちら!作品情報Netflixアニメ映画『泣きたい私は猫をかぶる』6月18日(木)より、Netflixにて全世界独占配信出演:志田未来花江夏樹小木博明山寺宏一監督:佐藤順一、柴山智隆脚本:岡田麿里企画:ツインエンジン制作:スタジオコロリド製作:「泣きたい私は猫をかぶる」製作委員© 2020 「泣きたい私は猫をかぶる」製作委員会
2020年06月17日先が見えない日々が続いて、なんとなく暗い気持ちになっていませんか?そんなときは笑えるアニメを見て気分転換をしましょう!普段はアニメを見ない人、詳しくない人でも楽しめる、選りすぐりのアニメをアニメ大好きな筆者がご紹介します。心の硬直をほぐしてくれる素敵な作品たちです。文・鞍下1:『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』恋の前では天才も形なし!©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会両片思いの2人がプライドの高さからなかなか素直になれず、“恋愛頭脳戦”を繰り広げるラブコメ。財閥の令嬢にして万能型の天才の四宮かぐやと、努力型の天才で生徒会長を務める白銀御行(しろがねみゆき)。お互いに惹かれ合っているのにもかかわらず、天才にして負けず嫌いの2人にかかれば恋愛の駆け引きは勝負になってしまいます。なぜなら「好きになった方が負け」というルールが2人のなかにあるからです。たとえば自分から「一緒に映画に行こう」と誘うことは、彼らにとっては負けにいくようなもの。映画のチケットがちょうど2枚あっても決してストレートに誘うことはしません。持ち前の頭脳を生かし、2人はあの手この手で相手が折れるように仕向けます。そんな風に画策し合う姿は一見滑稽にも見えますが、素直になれない様子は微笑ましさも感じられます。昨年TVアニメの第1期が放送され、9月にはKing & Princeの平野紫耀さんと橋本環奈さん主演で実写映画化。今年4月からTVアニメ第2期が放送中です。2:『うちタマ?! ~うちのタマ知りませんか?~』擬人化したお馴染みのキャラクターがほのぼの©ソニー・クリエイティブプロダクツ/「うちタマ?!」製作委員会子供の頃に文房具や学習ドリルで三毛猫のタマや白い犬のポチを見たことがある人もいるのではないでしょうか。そのおなじみのキャラクターを擬人化したのが本作です。どこか懐かしい雰囲気の“3丁目”を舞台に、タマとその仲間たち、そして彼らの飼い主を交えた日常が描かれています。飼い主が登場しているときは動物の姿ですが、動物だけになると擬人化された姿で登場。どちらの姿も可愛くて癒されますが、擬人化した状態での犬や猫らしい仕草が笑いを誘います。突然始まる犬と猫による仁義なき戦いや、とある番組そっくりのクイズが始まったりするギャグ回ともいえるエピソードがあり、ただの日常系アニメで終わらないところもオススメです。3:『銀の匙 Silver Spoon』農業や畜産では当たり前のことが笑いに©荒川弘・小学館/エゾノー祭実行委員会『鋼の錬金術師』でおなじみの作者が描く、北海道にある農業高校を舞台にした学園ものです。なかなか知ることができない農業高校の実態、ひいては農家や酪農家の悲喜こもごもがコミカルに描かれています。2013年にはSexy Zoneの中島健人さん主演で実写映画化されました。農業とは無縁だった主人公・八軒勇吾の反応やツッコミを通し、“農業あるある”が笑いどころになっています。また、八軒が授業やクラスメイトの実家で畜産や酪農の厳しさを知ったりと、八軒の心の成長が追えるのも面白さのひとつです。高校で作っている材料を使った窯焼きのピザなど、たびたびおいしそうな食べ物が登場するので北海道の名産を食べたくなること請け合いです。4:『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』じつは噛み合っていない1人の作家と1匹の猫の共同生活©みなつき・二ツ家あす・COMICポラリス/ひざうえ製作委員会不器用な作家の朏素晴(みかづきすばる)が拾った子猫とともに暮らし始め、少しずつ心を通わせていく物語です。1つの出来事が人間と猫の視点の両方で描かれているのですが、2つの視点を合わせて見ると「いい話だったけどじつは……」というオチになっていることが多々あります。たとえば、子猫の名前を決める際に素晴が偶然「ハル」と呼ぶと子猫が鳴くシーン。素晴視点では子猫が呼びかけに応えてくれたことに感動していますが、子猫視点では「ハル」という単語をごはんをもらえる言葉だと思っていたことがわかります。そんな彼らのささやかな幸せなすれ違いに、思わずクスっと笑ってしまうのではないでしょうか。information著者プロフィール鞍下(くらした)アイドル、2.5次元、声優、ゲーム、マンガが好きなオタク。好きな食べ物は焼肉とかき氷。
2020年05月27日奇跡の実写化となった『映像研には手を出すな!』でアニメ制作に青春を燃やす3人組を熱演した齋藤飛鳥さん、山下美月さん、梅澤美波さんが登場。作品のこと、乃木坂46の未来について伺いました!“映像研”の3人組が私たちと乃木坂46に教えてくれたこと。齋藤:『映像研には手を出すな!』は、アニメという絆でつながる3人の物語。でも私たち3人はこの撮影が始まるまであんまり話したことがなくて…(笑)。私が人に近づくほうじゃないし、二人もぐいぐいくるタイプじゃない。だからこの作品は本当に一から関係を作り上げるところから始まって。山下:でもそこは飛鳥さんと私たちのフィーリングで!話さずとも通じ合ってるものがありましたよね~?あ、赤くなってる!齋藤:え、赤い!?(照)確かに同じグループで常に同じ方向を向いてきたから。ヤマ(山下)は演技の経験があるし、ウメ(梅澤)は気配りの人。だから私が何か言わずともいい3人組になれたね。梅澤:私たちは専門用語いっぱいの長台詞も完璧に話される飛鳥さんを見て「ああやっぱりすごい」と尊敬…!言葉より背中で引っ張ってくださいました、ねっ?齋藤:「ねっ」じゃないよ(笑)。でも浅草みどり役は覚悟を決めてやらなければとは思ってた。原作やアニメを愛する方の期待もある中「本当にこれでいいのか」って迷いながら…でも乃木坂46で長くやっても捨てられなかった変な恥じらいや、いらないプライドをこの作品で捨てられたかな。梅澤:私も確実に度胸はついたと思います。金森は常に堂々としてる役。私自身はビビリだけど、そんな人間でも時には胸を張らなきゃいけない時もある!っていうのを役から学びました。山下:私も怖いものがなくなったかも!?数か月にわたる撮影期間、常に早朝からテンションMAXの演技をする、という中で納得できるものが撮れたことは緊張に弱い私には自信になりました。アイドルってここぞという時にパワーを発揮できることが重要。だからきっとこの経験は乃木坂46の活動にも生きると思うんです。齋藤:うんうん。今回は誰かと一つになって作ることの大切さをしみじみ感じたけど、これも乃木坂46に通じることで…。いままで意識してこなかったけど、絆や仲間に助けられる瞬間は必ずあるんだなって。乃木坂46も9年目、もっと「本質」を磨いていく時だと思っていて。個人活動も増えて枝葉が広がっているいまこそ、音楽とかの本質、幹の部分を太くしたい。挑戦ができるのも「変わらない」強さがあってこそだし。梅澤:乃木坂46にはライブでの全曲披露とか挑戦する場面もたくさんありましたね。山下:そういう意味では“映像研”も挑戦。実写化だけでもすごいのにドラマ版に劇場版まで…!齋藤:二人の言うように挑戦もあるよね。白石(麻衣)とかメンバーが卒業するのは寂しいけれど、変わっていく乃木坂46も私はすごく楽しんでいるし、みなさんにも楽しんでいただけたら。梅澤:そうやって進む先輩の姿こそが乃木坂46そのもの…!山下:劇場版も9年目の乃木坂46もこの勢いでいきましょう!『映像研には手を出すな!』大童澄瞳氏による漫画原作にTVアニメと一大旋風を巻き起こす冒険劇がドラマ、映画でW実写化!並みはずれた想像力を持つ女子高生・浅草みどりが同級生の水崎ツバメ、金森さやかとアニメで作る“最強の世界”とは!?3人娘に乃木坂46が扮する驚きの配役も見どころ。クライマックスを迎えるドラマ版(MBS・TBSほかで放映中)とともに、劇場版も近日上映予定。齋藤さん・イヤリング¥8,000(イン ムード/フォーティーン ショールーム TEL:03・5772・1304)その他はスタイリスト私物山下さん・メッシュブーツ¥21,800(YELLO)その他はスタイリスト私物梅澤さん・すべてスタイリスト私物やました・みづき(写真・右)1999年7月26日生まれ、東京都出身。3期生メンバー。今作ではカリスマ読モでアニメーター志望の水崎ツバメを熱演。愛称みづき。うめざわ・みなみ(左)1999年1月6日生まれ、神奈川県出身。3期生。170cmの長身と抜群のスタイルを生かし、モデルとしても活躍。愛称みなみん。さいとう・あすか(中央)1998年8月10日生まれ、東京都出身。1期生最年少として乃木坂46に加入、現在はグループの顔としてチームを率いる。愛称あすか。※『anan』2020年5月13日号より。写真・嶌原祐矢スタイリスト・コギソマナ(io)ヘア&メイク・北原 果取材、文・大澤千穂撮影協力・AWABEES(by anan編集部)
2020年05月12日美しく澄んだ声と演技力の高さに定評があり、アニメファンのみならず幅広い層に人気の花澤香菜さん。声優は天職に思えるものの、決して平坦な道のりではなかったようで…。声優でなかったら夢は絶対にパン屋さん。――子どもの頃から芸能界で活躍されていますが、どういう経緯で声優になったのでしょう。花澤:そもそも芸能界に入ったのは、子役のオーディションのチラシを持ってきた母に「やる?」と言われて、即答したのがきっかけです。お遊戯会や学芸会が大好きで、目立ちたがり屋だったんです。お仕事をしながら、習い事などもやらせてもらいましたが、やっぱり自分の中で芸能活動は特別感がありました。でも高校卒業と同時に、一度はやめようと思ったんです。そんなに活躍できていたわけでもないし、大学に入ってやりたいことを見つけようかなって。当時、レギュラーのアニメの仕事があったのですが、そのキャスティングをしていた今の事務所のマネージャーにやめることをお伝えしたら、「声がいいからやめないでほしい」と言ってもらって。お芝居や声を褒められたことがなかったので嬉しくて、必要としてくれるなら続けようと思ったんです。――それまでご自身の声の魅力に気づいてなかったのが意外です。花澤:声優の仕事に自信が持てるようになるのも時間がかかりました。子役事務所から声優事務所に移ってからも、自分は棒読みだという自覚があったので。今振り返ると、たしかに技術はないけれども、キャラクターには合っていたのかもしれないなと思ったりもするのですが、当時はほかの人と全然違うことに悩んでいました。そんななか『ぽてまよ』という作品で、冷蔵庫から生まれた謎の生物「ぽてまよ」の役をやらせてもらったんです。2頭身で「ほにほに」とか「にゃー」とか「ぱん」とかしか言えない子だったんですけど、台本に「アドリブ」と書いてあるところがたくさんあったんですね。決まったセリフを言うだけではなく、自分で想像して表現してもいいんだってわかったらすごく楽しくなって、能動的にやってみようと思えるようになったんです。――先ほどのお話から察するに、棒読みで悩んでいた頃も練習をたくさんしていたのでしょうね。花澤:してましたね。『ゼーガペイン』というロボットアニメで、機体に乗って攻撃を受けて「ギャー!」などと悲鳴を上げるシーンがあったんですけど、ロボットに乗ったことなんてないし、攻撃されたらどうなるのかもわからなくて。こんな感じかな?って、家の壁に激突してみたりして(笑)。――すごい(笑)。そのくらい共感や体験は大事なんですね。花澤:アニメは特に普段言わないようなセリフも多いので、見る人が少しでも作り物だと感じると、入り込めなくなってしまうじゃないですか。リアリティを出すためにも、自分の体験から似たような感覚を探すことが大切なんです。――経験を重ねてきたからこそ感じる、声優の楽しさや難しさは?花澤:やったことのない役をいただくと意欲が湧きますし、反対にやったことのあるような役でも、そのキャラクターに合ったものを今の自分が出せているか気になります。それと最近はナレーションのお仕事が増えてきているのですが、キャラクターを演じるわけではないので、制限があるようでないところが難しいんですよね。聞きやすさや伝えたいポイントはもちろん考えますが、悩んでなかなか進まないときは第三者の目がとても頼りになります。本当に終わりがないところが、この仕事の難しさであり、楽しさでもありますね。ちょっとは成長したかなって思える瞬間があったらやっぱり嬉しいし、作品や番組を見た方から「よかったよ」って言われると、すごくやりがいにつながります。――違う職業に進むことも考えたそうですが、もし声優でなかったら何をしていたと思いますか?花澤:絶対にパン屋さんです!母がパン屋さんで働いていたこともあって、小さい頃からパンで育ってきましたし、高校時代に私もパン屋さんでアルバイトをしていました。基本的にへっぽこで、レジ打ちとかはすごく苦手なんですけど、パンの名前と値段だけはすぐに覚えられる(笑)。立ち仕事だったり力仕事だったりで大変だとは思うのですが、焼きたての香りの中で一日中お仕事ができたら、幸せだろうなあと思います。――声優として、またお仕事以外でチャレンジしたいことは?花澤:ナレーションのお仕事や今までとは違う役をいただくことが増えてきて、今は進化のチャンスだと感じています。本当に遅ればせながらですが、最近ボイトレを始めたんです。次の段階にステップアップしたいので、自分の殻に閉じこもらず、いろんな人にアドバイスをいただきながら成長していければいいですね。プライベートでは、こんなご時世でもパン屋さんは開いてくれているので、引き続き買い支えていきたいです!はなざわ・かな東京都出身。2003年、声優としての活動をスタート。『化物語』『3月のライオン』『鬼滅の刃』『マギアレコード 魔法少女まどかマギカ外伝』など出演作多数。2012年に歌手デビューを果たし、これまでにアルバムを5枚リリース。ラジオ『花澤香菜のひとりでできるかな?』(文化放送 超!A&G+)でパーソナリティを務めている。『青い花』に出演して以来、志村貴子さんのファンだという花澤さん。『どうにかなる日々』は元恋人の結婚式、男子校の先生と生徒、思春期の幼馴染みの男女を描いたオムニバスショートストーリー集で、花澤さんは最初のエピソード「えっちゃんとあやさん」に出演。監督を佐藤卓哉さん、主題歌・音楽をクリープハイプが担当。近日公開予定。ビオラ刺繍チュールコート¥77,000(MUVEIL/ギャラリー・ミュベール TEL:03・6427・2162)その他はスタイリスト私物※『anan』2020年5月13日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・山本香織ヘア&メイク・宇賀理絵インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2020年05月08日子どもたちが大喜びで見るアニメや特撮。私も子どもの頃は楽しんで見ていました。が、大人になると、どうしても純粋に楽しめず、いろいろと気になるのです…!■大人目線で気になる番組その1、格差婚は幸せになるのか?「庶民がプリンセスになった番組」母親と二人暮らしの一般市民の女の子。母親が王様と再婚して、プリンセスになっちゃった!…というお話。勝手に深読みして勘ぐってしまう…!■大人目線で気になる番組その2、ヒーローが敵と密通?「複数人の男女がカラフルなスーツで敵と戦う番組」ヒーローの隙を狙わない敵につい疑問を持ってしまう!さらに脳内では、まさかの八百長疑惑に発展!■大人目線で気になる番組その3、この世界の経済はどうなってる?「食品が菌と戦う有名アニメ」すべての幼児がとおる道なのでは…と思うくらい人気のアニメ。命を持ったある食べ物のヒーローが、食べられるものを普通に動物に配り、悪さをする菌と戦う話がメインなのですが…社会がどうやって回っているのか気になる…!どうしても見えない部分を考えてしまう!大人になるとどうしても純粋にストーリーを楽しめない…。同じようなことを考えてしまう方もいらっしゃるのではないのでしょうか。でもこうやって考えながら観るのもまた楽しいし、アリな気がします!楽しみ方は違いますが、子どもと一緒に、子ども番組楽しもうと思います!\モチコさんの人気記事が動画に!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪
2020年04月20日おうちでのおこもりタイムを楽しく過ごしたい! そんなときには、動画の一気見がおススメ。ここでは、Hulu(フールー)で視聴できる、『ビバリーヒルズ高校白書・青春白書』(通称“ビバヒル”)関連シリーズの3作をご紹介。30代以上の大人女子なら、テーマ曲を聞いただけで、青春時代の想い出がよみがえってくるかも!文・田嶋真理『ビバリーヒルズ高校白書/青春白書』世界中で“ビバヒル”ブームを巻き起こした伝説のドラマ、『ビバリーヒルズ高校白書/青春白書』(1990~2000年)。ダダダダ というテーマ曲を聞いただけで、心が舞い上がってしまう海ドラファンも少なくないはず。物語のはじまりは、ビバリーヒルズにあるウェスト・ビバリーヒルズ高校。ミネアポリスから転校してきたブランドンとブレンダを中心に、セレブな高校に通う高校生たちの愛と友情を描いています。恋愛や友情のドラマだけでなく、アルコールや銃、ドラッグ問題など、シリアスなテーマにも果敢に挑み、等身大の物語が展開されているのは、“ビバヒル”ならではの醍醐味。当時の“ビバヒル”ファンの女子人気を二分したのは、ブランドン役のジェイソン・プリーストリーとディラン役のルーク・ ペリー。観終わった後は、「ブランドンとディラン、つきあうならどっち?」なんて話題で盛り上がるかも!『新ビバリーヒルズ青春白書』“ビバヒル”を現代版にアップデートした続編。主人公は、“ビバヒル”と同じウェスト・ビバリーヒルズ高校に通うティーンセレブたち。恋のかけひきと友情関係、プチプラブランドを取り入れたLAファッションなど、見どころがたっぷり。元祖“ビバヒル”のシャナン・ドハーティ、ジェニー・ガース、トリ・スペリングがゲスト出演し、ジェイソン・プリーストリーは第17話の監督として、作品に関わっているところも見逃せません!イケメン好きには、シリーズ後半からレギュラー入りするリアムがおススメ。“ビバヒル”のディランのような存在で、恋愛ドラマを面白くしてくれます。ちなみに、リアムを演じたのは、SFアクションドラマ『タイムレス』のワイアット役でも知られる、マット・ランターです。『ビバリーヒルズ再会白書』“ビバヒル”キャストの約20年後を描いた、スペシャルなシリーズ。オリジナルのキャストが再集結し、本人役で出演。彼らの実生活とフィクションの設定が入り混じり描かれるという斬新な設定のモキュメンタリーです。当時の撮影の裏側や、懐かしの“ビバヒル”キャストのゲスト出演も!残念ながら、“ビバヒル”で女子人気を二分したディラン役のルーク・ペリーは、このドラマの放送前に急死したため、出演できず……。キャストがルーク・ペリーに言及するセリフに、思わず涙すること間違いなしです!Information『ビバリーヒルズ高校白書/青春白書』Huluで全シーズン配信中※権利の都合により配信できないエピソードがあります。© MMXIX CBS Broadcasting Inc. All Rights Reserved.『新ビバリーヒルズ青春白書』Huluで全シーズン配信中The CW ©2019 The CW Network, LLC. All rights reserved.『ビバリーヒルズ再会白書』Huluで独占配信中©2019 Fox Media LLC. All Right Reserved.Huluは、全作品が見放題。2週間お試し無料。詳細は、公式サイトへ。©2020 DisneyMiraculous™ is a trademark of ZAG – Method.© 2015 – 2016 ZAGTOON™ – METHOD ANIMATION™ – TOEI ANIMATION – SAMG – SK BROADBAND – AB INTERNATIONAL – DE AGOSTINI EDITORE S.p.A. ALL RIGHTSRESERVED.
2020年04月04日俳優のみならず、近年は舞台の出演やMVの監督・プロデュースでも才能を発揮している、神木隆之介さん。アニメーション監督の新海誠監督が“俳優・神木隆之介”の色気について語ってくれました。『天気の子』では青年としての色気に腰が抜けそうに。役者は感情を表現するのに全身を使いますが、神木くんは優しさ、雄々しさ、色っぽさなんかを、声という彼固有の「音」だけで演じることができてしまう。声の持つ情報量が、普通の人よりとても多いのが魅力ですね。芝居の勘が抜群によくて、アニメーション作品に必要な「間合い」や「息芝居」というものを、理屈でも体感でも完璧に把握していると思います。考えることが大好きで、演じることも大好きで、作品も愛している神木くんと仕事をすることは、最高に楽しいですよ。素顔のときは「あなたのことが好きだから、僕は今あなたと話しているんですよ」と思わせてくれる。手のひらの上で踊らされているだけかもしれないけれど(笑)、とても素敵な資質だと思います。宮崎駿監督の『ハウルの動く城』では、マルクルの芝居のあまりの可愛らしさに一観客として悶絶しました。僕が『君の名は。』を監督したときには声の青春感、爽やかさに聞き惚れましたし、『天気の子』では青年としての色気に腰が抜けそうになりました(笑)。これからも声の演技もたくさん聞かせてほしいけれど、あまり他のアニメには出演しないでいてほしいです。嫉妬しそうだから(笑)。しんかい・まことアニメーション監督。2002年、短編作品『ほしのこえ』でデビュー。’16年、神木さんが声優を務めた『君の名は。』が国内外で高い評価を受け、続く『天気の子』も大ヒット。かみき・りゅうのすけ1993年5月19日生まれ、埼玉県出身。近年は舞台の出演やMVの監督・プロデュースでも才能を発揮。最新作『連続ドラマW 鉄の骨』は、4月18日(土)22時よりWOWOWプライムにて放送スタート。全5話・第1話無料放送。ジャケット¥24,000シャツ¥11,800トラウザーズ¥13,800(以上メゾン スペシャル/メゾン スペシャル青山店 TEL:03・6451・1660)※『anan』2020年4月1日号より。写真・ティム・ギャロスタイリスト・百瀬 豪ヘア&メイク・MIZUHO(vitamins)取材、文・兵藤育子(by anan編集部)
2020年03月31日おうちでのおこもりタイムを楽しく過ごしたい!そんなときには、動画の一気見がおススメ。ここでは、Disney DELUXE(ディズニーデラックス)で視聴できる、アニメ3本をご紹介。副音声で観れば、楽しい英会話教材としても使えますよ。文・田嶋真理『パグ・パグ・アドベンチャー』ビンゴとローリー(左)主人公は、二匹のパグの子犬、ビンゴとローリー。二匹は仲良しの兄弟で、ご主人のボブが大好き! 彼が出かけた後はボブや困っている動物たちを救うため、大冒険に出かけます。スキーをしたいボブのために日本へ雪を探しに行ったり、氷を切らしたボブのために南極の氷を取りにいったり……世界を股に掛けた献身ぶりには忠犬ハチ公もビックリ!?光る首輪にはひみつ道具が隠されていて、バツグンのチームワークでピンチを乗り切ります。あるエピソードには、ディズニー・アニメの名作『わんわん物語』(1937年)に登場する、スパゲティを食べているうちにキスをしてしまう名シーンのオマージュが! 子どもはもちろんのこと、ディズニー好きなオトナ女子も必見の癒し系アニメです。ちなみに、犬の鳴き声のサンプリングを使ったテーマ曲のインパクトが半端ない! 筆者は現在、サビのフレーズ ビンゴとローリー が、脳内で無限ループしています(笑)。『フィニアスとファーブ』フィニアス(左)とファーブ、そして『ツムツム』でもおなじみなペリー主人公は、天才的な頭脳と想像力を持つフィニアスとファーブ。ふたりは、自宅の裏庭でジェットコースターやタイムマシンなど、いろいろな発明品を作り出し、友達と楽しい夏休みを過ごします。その一方で、悪の陰謀を阻止し、世界を救うのはふたりのペットのカモノハシ、ペリー! フィニアスとファーブが遊びに没頭するなか、いつの間にかいなくなって、秘密の指令室へ移動。エージェントPと呼ばれる優秀なスパイとして、世界の平和のために困難なミッションに挑みます。日本ではあまり知られていないアニメですが、アメリカでは“毎日が夏休みで、カモノハシが敏腕スパイ”というシュールな設定が大受け。マーベルやスター・ウォーズとのコラボ作品も実現した、隠れた人気作です。『ミラキュラス レディバグ&シャノワール』レディバグ(左)とシャノワールフランス、韓国、日本が共同制作し、世界119カ国で放送されている3DCGアニメ。主人公は、パン屋さんの娘で、ファッションデザイナーを夢見る女子高生、マリネットとイケメンなセレブ高校生、アドリアン。ふたりは妖精の力で“レディバグ”と”シャノワール”に変身し、悪と戦います。日本からは東映アニメーションが参加しているだけに、邪悪な生物・アクマによって善良な市民がヴィランへと変貌したり、妖精の力でスーパーヒーローに変身したりするところは、『プリキュア』シリーズとの共通点。ときには、マリネットとアドリアンの淡い恋模様が描かれ、物語を盛り上げます。世界一おしゃれな場所、フランスのパリを舞台に展開される、魔法とアクションたっぷりのストーリーが見どころです。InformationDisney DELUXE(ディズニーデラックス)は、月額¥770(税込)ですべての動画が見放題、さらにはじめてなら初月無料。©2020 DisneyMiraculous™ is a trademark of ZAG – Method.© 2015 – 2016 ZAGTOON™ – METHOD ANIMATION™ – TOEI ANIMATION – SAMG – SK BROADBAND – AB INTERNATIONAL – DE AGOSTINI EDITORE S.p.A. ALL RIGHTSRESERVED.
2020年03月28日ビジネスの視点から、いまの日本のエンターテインメント業界を俯瞰してみるといったい何が見えるのか。さまざまなエンタメコンテンツを抱え、ブームを生み出している仕掛け人・木谷高明さんに話を聞いた。“どんなコンテンツも人の熱には敵わないんです”カードゲームが軸の会社としてスタートしたブシロードが、いまアニメをはじめ、音楽やプロレス、劇団とさまざまなエンターテインメント事業に参画している。その仕掛け人が、コンテンツ開発の最前線に立つ木谷高明さん。「人が感動するのは、キャラクターとストーリー。それはアニメもスポーツも同じです。エンターテインメントがなくても人は生きられるし、楽しいことはいくらでも見つかります。ただ日常で笑うことはあっても、感動したり泣くことってめったにない。じつは人は感動したり泣いたりしたいんだと思っていて、そのために非日常のエンターテインメントが求められている。感動や涙を誘発するには共感が一番で、そこにキャラクターやストーリーが必要なんです」ブシロードがいま重点を置いて進めているのが、デジタル施策とライブ施策のふたつ。「デジタルにすればオンライン化でき、オンラインにすればグローバルになる時代。あるコンテンツを素早く、広い範囲や多くの人たちに拡散するのにデジタルほど有効なものはありません。ただ、どんなに練られたデジタルコンテンツも、人の持っている熱には敵わない。それだけ生のライブ感というのは、惹きつける強力なパワーがある。まず熱狂を巻き起こす火種として、ライブというのはとても有効な手段だと思っています」現在の主要コンテンツには、ミュージカルとアニメを連動させた『少女歌劇 レヴュースタァライト』(以下、スタァライト)や、アニメやゲームなどメディアミックスで展開する次世代ガールズバンドプロジェクト・BanG Dream!(以下、バンドリ!)、近年の日本のプロレスブームを牽引している新日本プロレスなどがある。スタァライトは演劇で、バンドリ!はライブで、新日本プロレスは試合で熱狂を生み、その熱をアニメやゲーム、映像配信サービスに引き継いで、人気を全国に、そして海外に拡散させている。「じつは熱狂を呼ぶのは熱狂なんです。ただ、その前提にコンテンツが魅力的であることが重要。例えばいま、新日本プロレスが多くの支持をいただいているのも、もともとプロレスにはそれだけのポテンシャルがあったからです」長く低迷していたプロレス人気を復活させたのは、新日本プロレスであり、’12年にその親会社となったブシロードだ。自身もプロレスファンだった木谷さんが人気回復のために最初に行ったのは、大規模なプロモーション活動。「トレンドを自分たちで作ったんです。それが、かつてのプロレスファンが戻ってくるきっかけになりました。観客が増えると、レスラーというのは自然と体から色気が出てくるもので、当然試合の質も上がる。それを観た人たちの熱狂が、また新たな観客を呼び込んでくれる。そのループがうまくでき上がったら、あとはコンテンツの質を落としさえしなければ順調に回っていくんです」かつてのプロレスブームは男性が中心だったが、いま新日本プロレスの会場は約半数を女性や子供が占めるようになっている。「これまでの経験上、女性や子供に受け入れられたらコンテンツは圧倒的に強いんです」そんなブシロードの、未来を見据えたこの先の戦略とは?「いまの若い人は、アメリカや中国の資本をかけて構築したコンテンツを見慣れている世代です。グローバルな視点で企画されたコンテンツ創りを考えています」きだに・たかあき株式会社ブシロード取締役・デジタルコンテンツ部本部長・広報宣伝部部長、株式会社ブシロード ミュージック代表取締役社長1960年生まれ、石川県出身。証券会社を経て、’94年に株式会社ブロッコリー、’07年に株式会社ブシロードを設立。’12年に新日本プロレスを子会社化。以前よりファンだったプロレスをビジネスの視点から捉え、多彩な戦略で現在のプロレスブームを牽引。’17年に株式会社ブシロードの代表取締役社長を自ら辞し、現職に。※『anan』2020年1月15日号より。写真・土佐麻理子取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年01月14日オリンピックイヤーに向けて建設ラッシュが続いていた東京。2020年は注目のスポットが続々オープン!駅やクルーズターミナルも新設され、アクセス性は一気に向上。ますます東京が魅力的な国際観光都市に変貌!? 今回は春までに開業予定の8つのスポットをご紹介します。【1月24日オープン】江戸前場下町(じょうかまち)“江戸前”をテーマにした豊洲市場の場下町(城下町)。東京の台所・豊洲市場に、初の場外施設が誕生。フードホール棟、多目的広場、マルシェ棟の3エリアからなり、日本の食とライフスタイルを発信。豊洲市場の食材を活かした飲食店や、おみやげが買える物販店など、21店舗が入店予定。中央の多目的広場では、屋外マルシェなどのイベントも開催される。【1月24日オープン】PARCO劇場伝説の劇場がパワーアップ!より臨場感を味わえる造りに。渋谷PARCO建て替えのため、3年以上休館していたPARCO劇場が開場。旧劇場の舞台と客席の距離感を継承し、創る側の創造性を刺激する舞台空間と、圧倒的に舞台に近い客席を両立した新劇場。「志の輔らくご ~PARCO劇場こけら落とし~」で幕を開け、3月から多彩なオープニングシリーズの上演がスタート。【3月14日オープン】高輪ゲートウェイ駅デザインアーキテクト・隈研吾氏が設計する山手線の30番目の新駅。JR品川駅と田町駅の間にできる新駅。“グローバルゲートウェイ品川”をコンセプトに、新たな街の核施設として機能する。折り紙をモチーフにした大屋根など、和を感じられる造りが印象的な駅舎は、隈研吾氏が建築デザインを担当。改札内には無人AI決済コンビニが初出店。駅以外の商業エリアは2024年度以降に開業予定。【4月13日オープン】WATERS takeshiba商業施設が一部先行開業。今夏には劇団四季専用劇場が。文化・芸術を核にしつつ、竹芝の地域資源である水辺を活かした複合型まちづくりを推進。商業施設「アトレ竹芝」が4月13日にI期、7月14日にII期が開業決定。また劇団四季の専用劇場が「JR東日本四季劇場[春][秋]」として生まれ変わる。[秋]劇場は7月14日開場。[春]劇場は9月10日に開場し、『アナと雪の女王』を公演。【4月15日オープン】東京ディズニーランド ニューファンタジーランド史上最大規模の開発で、さらに魅力的なテーマパークに。夢と魔法の王国がパワーアップ。ファンタジーランドを拡張し、『美女と野獣』をテーマにした新エリアが誕生する。アトラクション「美女と野獣“魔法のものがたり”」、屋内シアター「ファンタジーランド・フォレストシアター」などがオープン。さらに別エリアにも新アトラクションやミニーに会えるスポットが仲間入り。©Disney【4月25日オープン】SMALL WORLDS TOKYOエヴァやセーラームーンなどの世界観をミニチュアで完全再現。動くミニチュアが生み出す“もうひとつの世界”への没入体験ができる、世界最大級の屋内型ミニチュア・テーマパークが有明に誕生。「エヴァンゲリオン 第3新東京エリア」「エヴァンゲリオン 格納庫エリア」「美少女戦士セーラームーンエリア」など、7つのエリアで構成。AR/VRを活用した映像アトラクションも楽しめる。【4月オープン】WITH HARAJUKU文化発信地として注目の的。原宿の新ランドマークに。原宿駅前の約5000㎡の敷地を利用した、再開発プロジェクト。商業施設が立ち並ぶ路面店空間や、ファッション・ライフ・カルチャーのトレンドを創出するイベントホールなどを擁する。8階には、明治神宮の森を一望できるパークビューレストランも。原宿駅前と竹下通りを繋ぐ通り道も造られ、街の回遊性も高まる。©2019,Takenaka Corporation【春オープン】有明ガーデン商業施設、劇場などを擁する湾岸エリアの新ランドマーク。200店舗を超える大型商業施設を核に、多彩な施設で構成。国際会議にも使える約8000人収容の国内最大劇場型ホールをはじめ、露天風呂付きの温浴施設、全749室の大規模ホテルも同時オープン。2021年4月には、劇団四季専用劇場「有明四季劇場」が開設され、国内最多上演記録更新中の『ライオンキング』を公演予定。※『anan』2020年1月15日号より。取材、文・鈴木恵美(by anan編集部)
2020年01月11日北海道の玄関口である新千歳空港で、2014年から行われているアニメ映画祭をご存じだろうか。施設内にある3つのシアターをメイン会場として、国内外の新鋭アニメ作家たちによる長編・短編さまざまな新作の上映のほか、関連イベントや展示、シンポジウムなど、作り手もファンも楽しめるフェスティバルとなっている。このフェスティバル・ディレクターを務めているのが、アニメ評論家としても活躍する土居伸彰さん。“まだまだ日本のアニメには可能性がたくさんある”「もともとはアニメよりも、インディペンデント系の音楽とか映画に興味を持っていたんですが、大学のロシア語の授業の中で紹介されたユーリー・ノルシュテインというアニメ作家の短編を観て衝撃を受けたんです。ギョッとするようなリアリティがあって、いままで持っていたアニメーションのイメージが一変しました。そこから作家性の強い短編アニメやインディペンデントアニメを中心に研究するようになったんです」研究を進めるなかで、それらの作品が日本で観られる機会があまりに少ないことを感じた土居さんは、自ら映画館と交渉し上映会などを行うように。ちょうどその頃、テレビや映画といったメディアが強い個性を放つアニメーション作家に目をつけ始める。「それまでアニメーションの分野で芸術性と商業は、ある種、対極に位置していたんです。それが、芸術性のある商業作品がマーケット的に求められるようになってきた。その象徴的な存在が映画『君の名は。』の新海誠監督です。もともと新海さんは短編を自主制作で作っていたインディペンデント作家。作家性の強い新海さんと東宝のプロデューサーが組むことで、爆発的なヒットに繋がりました」そんな流れを受け、現在、土居さんは日本に海外の作家を紹介したり日本の作家を後押しする事業を行っている。新千歳空港国際アニメーション映画祭の活動もそのひとつだ。その土居さんによると、いまの日本のアニメーション業界は「分岐点にある」とか。「いまはDVDやBlu-rayが売れなくなっている時代です。これまで日本のアニメは、こういったパッケージやグッズの売り上げまで見込んで製作されていました。しかしこれまでのやり方では製作資金が回収できなくなっているんですよね。そもそも業界自体、いまだにアナログに頼っている部分が多く、働く人たちの労働問題も頻繁に取り沙汰されている状況。このままでは産業自体が衰退していく危険もあると思います」しかし同時に、可能性もある。「Netflixのような資金力を持った企業が、いまオリジナルのアニメーション作品の製作に乗り出しています。湯浅政明監督の『デビルマン・クライベイビー』がそのいい例。新海さんや湯浅さんだけでなく、『ペンギン・ハイウェイ』の石田祐康監督、『映画 聲の形』の山田尚子監督など、冒険的な作品を作る新しい才能も生まれていますし、面白くなっていく予感はあるんです。長きにわたって独自の発展を遂げてきた日本のアニメは、これからは戦略的に変化しないといけない。ますます世界を視野に入れた作品創りが求められていくはずです」いま土居さんが進めているのは、国の支援を受けてアニメーション制作をしているフランスで、日本人監督の作品を創るプロジェクト。「ほかにもアプリゲーム化や、漫画、CMといった多分野に応用するなど、まだまだ可能性はたくさんあるのではないでしょうか」どい・のぶあき新千歳空港国際アニメーション映画祭フェスティバル・ディレクター、「ニューディアー」代表/アニメプロデューサー1981年生まれ、東京都出身。東京大学大学院総合文化研究科卒。ユーリー・ノルシュテインを中心にインディペンデント作家の研究を行う傍ら、アニメ評論や上映イベントなどの企画のほか、海外映画祭での審査員やキュレーターとしても活躍。著書に『21世紀のアニメーションがわかる本』(フィルムアート社)。※『anan』2020年1月15日号より。写真・小笠原真紀取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年01月10日