カカオ豆を仕入れ、焙煎するところからチョコレートを作るBean to Bar。2000年代にアメリカから広がったこの動きは、2019年の日本でますます進化中。チョコレートの専門家、市川歩美さんによるB to B最新案内、東京編です。「Bean to Bar(以下B to B)を手がける店やブランドは、いまや日本全国で100を超えるまでになりました」と、ショコラコーディネーターの市川歩美さん。「カカオ豆からチョコレートを作る機械が小型化。手に入りやすくなったことも後押ししています」。市場が活況を呈する中、日本では独自の進化が!「産地や農園の違いなどによるカカオ豆の個性を表現するのがB to Bですから、世界的な主流はタブレット。ところが日本では、いかにおいしいお菓子に変化させるかという動きが目立ちます」。特に、ここ数年進化が目覚ましいのが、東京の『ミニマル』。おいしいショコラや菓子のために、産地に出向き、豆の選定から手がける『ル・ショコラ・アラン・デュカス』の上陸も象徴的だ。LE CHOCOLAT ALAIN DUCASSE MANUFACTURE A TOKYO(ル・ショコラ・アラン・デュカス 東京工房)アトリエを眺めながら、豆からこだわったデザートを。フランス料理の巨匠アラン・デュカス氏が、若き修業時代の夢を叶えたショコラトリーの日本1号店。パリの工房で、昔ながらの機械で作られる27種類の製菓用チョコレート。それらを、シェフの信頼厚いジュリアン・キンツラー氏が日本で、タブレット、ボンボンショコラからデザートまで形にする。なかでも、工房をのぞむサロンのデザートは、合わせる素材は最小限に、食感や温度の違いで豆の個性を際立たせた、ここだけのお楽しみ。東京都中央区日本橋本町1‐1‐1TEL:03・3516・351111:00~20:00(19:30LO)不定休オリジナルブレンドのチョコレートで作るムース・オ・ショコラ¥1,600。写真右から、フォンダン・ショコラ・カフェ¥3,300。タブレット、オリジン オ・レ45%¥1,400と、オリジン ノワール75%¥1,650。フランスの建築家集団シグーによる、クラフトマンシップを感じさせる内装。Minimal(ミニマル富ヶ谷本店)B to Bをけん引する店が挑む、カカオと“お菓子らしさ”の融合。産地での活動から、マリアージュなどのイベントまで。日本のB to Bシーンの先頭を走ってきたブランドが、いま取り組んでいるのが、カカオらしさとお菓子らしさの融合。これまでは粗挽きにした豆と砂糖だけで作るタブレットで豆の個性的な香りを表現してきたが、それを、馴染みのお菓子でできないか、という挑戦だ。ベイクドチョコレートに始まったカカオ菓子!?は、アイスに生チョコ、イートインのパフェまで、ぐんぐん広がっている。東京都渋谷区富ヶ谷2‐1‐9TEL:03・6322・999811:30~19:00不定休コロンビア・トゥマコ産のチョコレートを使った生チョコ9粒¥2,500。タブレットは7種¥1,200~。フルーティなカカオ豆とコーヒー豆をぶつけた11層、季節替わりのチョコレートパフェ¥1,350。市川歩美さんショコラコーディネーター。2003年にブログを開設。現在は、国内外の名店、新店から、カカオ農家の実情まで、365日、さまざまなメディアで、チョコレートにまつわる情報を発信している。※『anan』2019年1月23日号より。写真・清水奈緒吉村規子スタイリスト・大谷優依取材、文・齋藤優子(by anan編集部)
2019年01月17日