私には生まれたばかりの娘がいます。安産で産後の経過も順調だったので予定通り退院し、自宅で新生児育児に奮闘していました。ところが退院して数日後、病院から1本の電話が。退院前日に娘が受けたスクリーニング検査で、異常が見つかったようなのです。不安になりながら再検査に行くことになりました。 電話で話を聞き一気に不安に…退院前日にスクリーニング検査をすることは聞いていたものの、当たり前のようにパスできると思っていました。正式には「先天性代謝異常等検査」というようです。難しい検査名を聞き、一気に不安になります。 どんな異常があったのか聞きましたが、「医師でないと説明できないので早めに病院に来てください」とのこと。すぐに予約を取り、翌日パパと生後間もない娘を連れて病院に行くことになりました。 必要以上にスマホで検索しないことにスクリーニング検査に関して無知だった私は、とりあえずどういった検査でどのような病気の可能性があるのかネットで調べることにしました。 検査の対象となる病気は20疾患あり、症状もさまざま。ネットに寄せられた代謝異常に関する体験談を目にし、さらに不安で押し潰されそうになりました。このままでは夜も眠れなくなる……と感じ、思い切ってスマホの電源をOFFにしてこれ以上調べないことに。不安な気持ちは手伝いに来ていた母に聞いてもらい、目の前の赤ちゃんのお世話に集中するよう努めました。 甲状腺の数値が…翌日緊張しながら病院へ行きましたが、小児科の先生も看護師さんも和やかに接してくれました。甲状腺の項目が少しだけ基準値からはずれていたと説明を受け、すぐに血液検査をしました。 結果が出るまで心配でしたが、先生から「甲状腺の項目以外は問題ないですからね。検査結果が出るまで2〜3週間かかりますが、それまではいつもと変わらず過ごしてくださいね」と説明を受けたことで落ち着きを取り戻しました。 仮に病気がわかっても、適切な処置をしてもらって娘の成長をサポートしよう! と前向きな気持ちで検査結果を待つこと2週間。「異常なし」という結果を聞き、ほっと胸をなでおろしました。 改めて感じたのは、「健康は当たり前ではない」ということ。家族みんなが元気に過ごせていることに日々感謝し、今後もママとして頑張っていこうと思います。著者:貫井ゆか一男一女の母。妊娠・出産・育児に関する記事の執筆を中心にライターとして活動中。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
2019年04月30日最近では、産院を受診する前に、妊娠検査薬を使って妊娠しているかどうかを簡単に調べられるようになりました。手軽に手に入り、簡単に検査できる妊娠検査薬ですが、正しく使わなければ、意味がありません。そこで今回は、妊娠検査薬についてお話しします。 妊娠検査薬とは?受精卵が着床した直後、絨毛細胞からhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが分泌され始めます。そして、妊娠8週から14週の間で最高値に達し、その後少し低下し、出産までそのレベルが保たれます。血中のhCGは、尿として排出されます。この尿中のhCGを検出するのが、妊娠検査薬です。 妊娠検査薬はいつから使える?妊娠検査薬が陽性に反応する時期は、使用する妊娠検査薬によって異なります。現在、広く用いられている妊娠検査薬は、尿中のhCGが25~50IU/L以上で検出できます。 市販されている妊娠検査薬の多くは、「生理開始予定日の1週間後以降」が判定可能な時期とされています。そのほかに、「生理開始予定日の5日前」や「生理開始予定日」から使用することができる「早期妊娠検査薬」も販売されています。 妊娠検査薬の使い方市販されている妊娠検査薬の使い方の基本は、 1.妊娠検査薬に尿をかける。あるいは妊娠検査薬を尿に浸す。2.妊娠検査薬を水平に置き、待つ。3.妊娠検査薬の判定を確認する。 の3つです。ただし、妊娠検査薬によって、尿をかける時間や待つ時間、判定の見方が異なるので、きちんと使用方法を確認してから使うようにしましょう。 妊娠検査薬が陽性=妊娠とは限らない!?最近では妊娠検査薬の精度が高くなってきているので、着床後に流産してしまった場合、子宮外妊娠でも陽性になる場合があります。また、たんぱく尿、免疫性の病気、黄体形成ホルモン(黄体化ホルモンともいう)が高い場合などでは、偽陽性になる場合もあります。 妊娠検査薬が陽性だったというのは、尿中のhCGの量が規定値以上であったということを示しているだけであって、子宮内に正常に妊娠しているという診断にはなりません。正常に妊娠しているかどうかは、きちんと産院を受診して、診断してもらうことが大切です。 妊娠検査薬が陰性=妊娠していないとは言えない!?妊娠検査薬を使用する時期が早すぎた場合、妊娠していたとしても陰性となることもあります。このようなフライングの場合、1週間ほどおいて再度検査するとよいでしょう。また、水分を多くとりすぎた後に検査した場合、尿が薄まってしまい、正しい結果が出ないこともあります。その場合は、朝起きてすぐの尿で検査すると、hCGの濃度が高くなっているので、より正確な結果が期待できます。その他、検査の時期が遅かったり、双子など多胎児を妊娠した場合、hCGの量が高くなり、逆に妊娠検査薬が反応しないこともあります。 妊娠検査薬が陰性だったのに、生理予定日を過ぎても生理が来ないというのは、妊娠の可能性があるというだけでなく、排卵日が遅れて生理開始も遅れることもありますし、ストレスなどで生理が遅れているということも考えられます。そのため、普段から基礎体温を測定することを習慣化しておき、自分の生理周期を把握することが大切です。 妊娠しているとすれば、早期にだるさや眠気、吐き気、ほてり感など、妊娠初期にみられる症状が出てくる人もいます。このような症状がみられるようであれば、再度、妊娠検査薬をおこなうとよいでしょう。 手軽に使える妊娠検査薬ですが、正しく使うことが前提です。誤った使い方をして、結果に一喜一憂することのないように、正しく使っていきましょう。そして、陽性反応が出たときには、産院を受診して、確定診断を受けるようにしましょう。 監修者・著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2019年04月23日がん検診といったら、なんでも受ければよしというものではない。がん検査にも「適齢期」があり、高齢になるとがんを早期発見する利益より、検査を受けることの不利益が大きくなってしまうことも――。「自治体の検診は無意味ではありません。ただ、そもそも検診は『スクリーニング検査』といって健康な人のなかから、がんが疑われる人を一定数すくいあげ、ふるいにかけるというのが本来の狙い。ですから100%もれなく拾い上げるわけではありません。それを承知したうえで、がん検診を受けることの利益と不利益を確認しておくこと。体への負担といった不利益のほうが大きくなる検査は、あえて受けない選択肢もあります」そう語るのは国立がん研究センター検診研究部部長・中山富雄氏。では、私たちは何を目安に検査を選択すればよいのだろう?そこで参考になるのが、厚労省が取りまとめた「受けたほうがいい」「受けなくていい」検診のガイドラインである。がん検診に適すると評価されている胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんについて、中山氏を代表とする厚労省の「有効性評価に基づくがん検診ガイドライン」作成チームが、慎重に検討を重ねたうえで、対象者の適正年齢、推奨グレード(A~D、科学的根拠を検討中のI)、そして、受けることによる利益と不利益を定めたものである。「このガイドラインはなんでもかんでも受ければよし、とする風潮のがん検診にブレーキをかける意義もあります」(中山氏)A、Bはおおむね同じ評価で、有効性が高い。Cは受ける利益もあるがそれと同程度の不利益もある。Dは受ける利益がないと評価された検査。Iの評価となっている検査については科学的評価が定まっておらず、今後ランクアップしてAになる可能性もありえるものだ。中山氏とともに、ここでは「胃がん」「大腸がん」の検査を見ていこう。【胃がん】X線検査は、おおむね効果があると認められている。日本では胃がん罹患者じたいが減少しており、家族に胃がんの罹患者がいない人は2年に1度を推奨。対象年齢は、かつては40歳以上を対象としていたが、ピロリ菌感染者の減少により罹患者が急に減っていることから、50歳以上に引き上げられている。ただ、高齢者になると話は変わってくる。「内視鏡はやめておきませんか?」「年をとったら受けられないのか!」昨今、医師と80歳以上の高齢者との間でこんな侃々諤々の問答が繰り広げられているという。実は、がん検査にも「適齢期」があり、高齢になるとがんを早期発見する利益より、検査を受けることの不利益が大きくなってしまうのだ。具体的に高齢になるとどんな不利益があるのか。「まずX線検査は、事前にバリウムを大量に飲むことで、便秘や腸閉塞などのリスクが高くなります。誤嚥や腸閉塞、腸に穴が開くといった合併症が起こる可能性があります。内視鏡検査については、80歳以上になると、胃の粘膜が薄くなり、そこに空気で無理やりに膨らませると、胃壁に穴が開いて、緊急手術という例もあります」(中山氏)そのことから、最近は独自に上限について定める自治体も登場。長野県伊那市では’14年度から、愛知県田原市では’16年から、胃がんのX検査の対象年齢を79歳までと定めた。実は年齢の上限がないのは、先進国では日本とドイツだけ。日本でもガイドライン作成チームが、がん検診を受ける年齢に上限を設ける方向で検討中だという。【大腸がん】便潜血検査は、すべてのがん検査のなかで、唯一推奨グレードAだ。いわゆる「検便」で、採取するだけで済む、極めて体への負担が少ない検査で、年1回の検査が推奨されている。だが、内視鏡検査などは、「やはり80歳を超えると、検査のダメージも懸念されます」(中山氏)。「腸壁が薄くなっていることから内視鏡検査で腸に穴が開いたり、傷ができたりすることのリスクがあります。また下剤を2リットル飲むのは若い人でも負担が大きい。さらに、下剤を飲むことは高齢の方にはかなり危険を伴います。下剤が利きすぎて、脱水症を起こして倒れたり、脳梗塞を引き起こして、健康だった人が寝たきりになってしまうケースもあります」唯一推奨Aの検便も、高齢になると考えてほしいと中山氏は語る。「受けて異常が見つかってしまうと、次のステップに進むか否かが問題になりますので、この年代であれば、急いでがんを発見して治療をせずとも、症状が出てから治療を検討するほうが賢明だと思います。大腸ポリープで命を落とす可能性は5年先、10年先といわれます。ですから、仮に85歳で発見しても、5年間でほかの不調の出る可能性もあるので、急いでポリープを見つける有効性はないという考え方もできます。便潜血検査も、慎重に検討すべきかもしれません」アメリカでは大腸内視鏡検査は10年に1度を推奨しており、高齢になっても毎年人間ドックで受けているという人は、見直してもいいかもしれない。
2019年03月27日前回 は、アレルギーが分かってから今までの振り返りを書かせていただきましたが、今回は現在のアレルギー対応について書かせていただこうと思います。できれば幼稚園に入園する3歳までに卵アレルギーも解除になれば…と淡い期待を抱いていたんですが、残念ながら叶わず、園には事前に先生と面談をし、給食は鶏卵の除去対応をお願いしています。それと同時にもしもの時に備え、食物アレルギーが出た時の対応法が記載された用紙と、処方されているアレルギー用の飲み薬を幼稚園に保管していただき、何かあったらすぐに連絡をもらえるようお願いしています。娘自身にも、お友達と給食やお弁当の交換をしないように伝えていたんですが、入園からしばらくすると自分の給食と他の子の給食が違う事に気づいたようでした。そもそもあまり給食が好きじゃないせいか特に気にした様子は見せず…。メニューがどうこうより、野菜が入ってるかどうかのが気になるみたいです(笑)皆と違う事が嫌になったりしないかなと心配していたんですが、娘のポジティブな発言にこちらが励まされました。そして入園からしばらく経ち、仲良くなったお友達のおうちに遊びに行かせてもらう事になりました。会話の流れでアレルギーの話はしていたんですが、娘だけが食べられないという事がないよう、とても気を使ってくれて泣きそうになりました。気遣ってもらうとつい反射的に謝ってしまうんですが、アレルギーは誰のせいでもないし、このとき以来、気遣いに最大限感謝しようと、まずは「ありがとう」と滅茶苦茶伝えるようにしています。それこそ拝むくらいに…アレルギーがある子にとって「皆と同じものを食べる」というのはとても特別でうれしいことだと思います。我慢させてしまう事も、もちろんこれから先あると思うんですが、なるべく娘が、自分のアレルギーを気に病まないような解決法を見つけていきたいと思っています。
2019年02月26日4歳になる娘は、卵アレルギーがあり、現在除去しています。食べた量としては、15g程度だったのですが、数日間食べさせて、アレルギー症状が出てなかったので油断してしまいました。幸い、かかりつけの先生にすぐ見てもらい、娘の症状を見てすぐ「アレルギーだね」と飲み薬を処方して頂きました。ひどい場合は点滴になるそうですが、処方されたものを飲んでしばらくするとすーっと症状が治りました。離乳食は平日の午前中にというのを守っていたおかげですぐに対処出来たので、本当に良かったと思います。アレルギー症状は一気に悪化する場合もあるので、あれ? と思ったらすぐに病院へ行くことが大事だなと実感しました。元々肌が弱かったのもあり何かしらアレルギーはあるだろう覚悟はしていたんですが、この事がきっかけで後日他の食べ物も含め採血によるアレルギー検査をしました。この検査の結果、小麦だけでなく、卵と牛乳もアレルギーがわかり1歳半の再検査まで卵、小麦、牛乳を完全除去することに。■娘がアレルギーになって困ったこと、初めて知ったこと離乳食期を過ぎ、取り分けができる月齢になっても、小麦が食べられないとかなり外食の選択肢が狭まるので、お弁当を持参するか、食事時を避けて出かけていました。小麦、牛乳が除去解除になった時、最初はやっぱりあげるのが怖かったんですが、今は問題なく食べられています(アレルギー検査をすると今でも牛乳はクラス2と出ますが症状は出ません)。検査が陽性でも症状が出ない場合もあるし、その逆もあるので、自己判断せず信頼できるお医者さんの指示に従うのが一番だと思います。そして最後に、現在も卵を完全除去している我が家の有難い味方な商品を紹介したいと思います。■卵アレルギーっ子のお母さんの味方! 「実は卵不使用」な商品娘は「卵は使用していないけど、同じ製造ラインで卵を扱っている」という商品はセーフなので、ありがたいことに選択肢が少し広がりました。ただ、仕様変更があって卵を使うようになっていた! なんて事がないように、買う都度に必ず成分表はチェックしています。長く付き合う可能性もある子どものアレルギーですが、無理せず使える市販品は活用する為、これからも情報収集していきたいと思います。
2019年02月19日体が受け付けないために特定の食物が摂取できない「食物アレルギー」。この食物アレルギーを、赤ちゃんも抱えている可能性があることをご存知ですか?粉ミルクを飲ませたあとに様子がおかしくなる場合、粉ミルクに対するアレルギーが原因かもしれません。この記事では、粉ミルクアレルギーの症状についてご紹介します。粉ミルクのアレルギー症状とは乳児期のアレルギーは、主に粉ミルクを飲ませることで起こります。ただし、まれに母乳で起こることもあるため、母乳育児なら大丈夫だと言い切れるわけではないことを覚えておきましょう。まずは主な症状についてご紹介します。症状は嘔吐・下痢などアレルギーの症状は、嘔吐や下痢、血便など。粉ミルク(母乳)によって胃や腸がアレルギー反応を起こすことで現れます。粉ミルク(母乳)を飲んですぐ症状が現れるわけではないため、授乳後、時間が経ったあとの症状にも注意が必要です。正式名称は「新生児・乳児消化管アレルギー」粉ミルクや母乳によりアレルギー症状が現れることを、「新生児-乳児消化管アレルギー」と呼びます(新生児-乳児疾患研究会より)。なお、これは暫定的な病名です。日本では1995年頃から症例の増加が見られていますが、まだ確定した指針がなく、医療機関ごとに対応しているのが現状です。 粉ミルクアレルギーの原因食物アレルギーには、アレルギーの原因物質となるIgEを介する即時性のものと非即時性のものとの2種類があります。粉ミルクアレルギーは後者が主体だとされています。非即時性のアレルギーは原因の特定が難しく、新生児-乳児消化管アレルギーも特定の原因が明らかになっているわけではなく、細胞性免疫が主体となって起こるものと考えられています。妊娠中のママの食事が原因ではない生まれてくる赤ちゃんがアレルギーを起こさないために、妊娠中にアレルゲンとなる食品を摂取しないようにする妊婦がいますが、制限をすれば新生児-乳児消化管アレルギーを発症しないとは言い切れないのが現実です。新生児-乳児疾患研究会では、妊娠中にそれらの食品を制限をする必要はないとしています。妊娠中は適切な栄養を摂取する必要がありますので、自己判断で過度な除去をしないようにしましょう。 アレルギー症状が出た際は専用の粉ミルクに切り替えるアレルギー症状が出た場合は、まず小児科を受診し、症状について相談しましょう。受診する際は飲んでいる粉ミルクを持参し、成分を見てもらうとよいですね。風邪など、その他の症状の有無、母乳など粉ミルク以外のものを口にしているのかどうかといった情報も適切に伝えましょう。粉ミルクを飲んだ時間、下痢や嘔吐症状が現れた時間をメモ書きにしておくと伝えやすいですよ。医師の診断によりアレルギーの疑いがあるとされた場合は、粉ミルクをアレルギー専用のものに切り替える対策を行います。どのような粉ミルクを選べばよいかといった点も、医師に相談してみてくださいね。粉ミルクで出た場合は母乳への切り替えで改善する場合も粉ミルクが原因かもしれないとされた場合は、母乳に切り替えることで症状が出なくなることもあります。ただし、なかには母親が食べたものが母乳に分泌されてアレルギー症状が出る場合もあるため、切り替え後も注意が必要です。場合によっては、特定の食品の除去を母親が行うように医師から指導をされることもあります。ただし、どのような場合であっても、勝手な自己判断は禁物です。必ず医師の指示に従いましょう。 アレルギー用粉ミルクの選び方新生児-乳児消化管アレルギーと診断されたら、粉ミルクをアレルギー用のものに切り替える必要があります。ここで注意したいことは、「アレルギー用粉ミルク」は「乳糖除去ミルク」ではないということです。詳しく見ていきましょう。「乳糖除去ミルク」ではなく「アレルギー用ミルク」粉ミルクアレルギーであると判断された場合、選ぶミルクは「アレルギー用ミルク」です。「乳糖除去」と表示されているミルクには乳タンパクが入っているため、アレルギー向けの粉ミルクではないのです。はじめにどのようなミルクを選べばいいのか、必ず小児科医に相談しましょう。医師の勧めたものを購入するのがベストです。店頭にない場合などに別の銘柄のものを購入する際は、必ず販売員に確認を取ってから購入しましょうね。アレルギー用粉ミルクの種類粉ミルクメーカーが「アレルギー用」として販売しているものをご紹介します。くれぐれも購入前に医師の診断を仰ぎ、相談してみてくださいね。明治ミルフィーHP850gミルク・大豆・卵アレルギーの赤ちゃん向けに作られています。メーカー希望小売価格:3,100円(税別)(2018年11月7日時点)内容量:850g[公式サイト]お出かけ時や、ひとまず試してみたいときに便利なスティックタイプも販売されています。メーカー希望小売価格:税別550円(2018年11月7日時点)内容量:14.5g×6本森永ニューMA-1ミルク・大豆・卵・魚・米・小麦のアレルゲンを含まない粉ミルクです。Amazon小売価格:税込3,528円(2018年11月7日時点)内容量:800g[公式サイト]森永MA-miニューMA-1と同程度のアレルゲンに抑えた上で、飲みやすくしたものです。ニューMA-1、MA-miともにアミノ酸特有の臭みがあります。どちらも離乳食に使えるミルクですが、加熱することで、より臭いが強まるのが特徴です。離乳食に活用する際は、粉ミルクを加熱しすぎないよう、調理の最後に加えましょう。Amazon小売価格:税込3,033円(2018年11月7日時点)内容量:800g[公式サイト]ミルクアレルギーの赤ちゃんのためのミルク | 食物アレルギーの赤ちゃんの離乳食 | 森永乳業妊娠・育児情報サイト「はぐくみ」 医師の指示に従い、正しい栄養の摂取をアレルギーを怖がりすぎて過度に除去してしまうと、今度は赤ちゃんの栄養状態が悪くなり、成長に弊害が出る可能性があります。一方で、平気だと考えてあげ続けてしまうのも健康を害する原因に。「どのようなときに」「どのような症状が」出たのかを記録した上で、小児科を受診して今後の対応を相談しましょう。できればアレルギーに詳しい小児科医がベストですね。くれぐれも自己判断をしないようにしましょう。 参考:新生児-乳児アレルギー性胃腸炎 | 新生児乳児アレルギー疾患研究会独立行政法人環境再生保全機構「ぜん息予防のためのよくわかる食物アレルギーの基礎知識」
2018年12月07日赤ちゃんの体は成長していく過程で、さまざまな変化が起こります。そのひとつである食物アレルギーは、赤ちゃんに起こるアレルギーでも特に多いもので、親の立場からすると心配になってしまいますが、アレルギーへの正しい理解をもってコントロールすれば問題はありません。ここでは赤ちゃんに起こる食物アレルギーについて、事前に知っておきたいポイントをまとめました。赤ちゃんと食物アレルギーについて特定の食物の摂取や接触によって体に症状が現れる食物アレルギーは、とても身近な症状のひとつではないでしょうか。卵や牛乳を食べて不調をきたす人は珍しいことではありません。実は、この食物アレルギー最も発症するのが、乳児期の赤ちゃんなのです。アレルギー反応ってなに?私たちの体には「免疫」という機能が備わっています。これは、外部から侵入してくる異物(アレルゲン)から身を守るためのシステムで、食べ物や細菌、ウイルス、花粉、ダニなどのハウスダストが、体内に入ってきたときに異物として認識し、それを排除しようと働きます。しかし、その働きが過剰になってしまい、さまざまな症状をきたしてしまうものを「アレルギー反応」と呼びます。食物アレルギーとは食物アレルギーは、その名のとおり食べ物によって引き起こされるアレルギー反応のことです。食べ物は外部から体内に摂り入れて栄養を得るために必要なため、基本的に異物として認識されることはないのですが、体の免疫のシステムに問題があったり、消化や吸収する機能が未熟な状態だと、食べ物を異物とみなしてアレルギー反応を起こします。また、食物アレルギーというと、口から食べたときに反応が出ると思いがちですが、食べ物に触れたり、吸い込んだりするなど、何らかの経路で体内にアレルゲンが侵入しても起こります。食物アレルギーの症状特に多く見られるが、湿疹やかゆみ、むくみなどの皮膚症状です。その他にも、くしゃみやせき、鼻水や息苦しさなどの呼吸器、目の充血や口腔内が腫れるなどの粘膜、下痢や吐き気、血圧の低下、神経症状など、さまざまな症状が現れます。食物アレルギーの症状は、アレルゲンとなる食物を食べたり、接触後2時間以内に症状が現れます。これを即時型食物アレルギーと呼びます。また、アレルギー反応が出るまで数時間かかる遅発型もありますが、食物アレルギーの多くは即時型のアレルギー反応になります。食物アレルギーにかかるのは赤ちゃんの時期が最も多い食物によるアレルギー反応を起こすのは、食物に含まれるタンパク質です。赤ちゃんや小さい子どもに食物アレルギーが多いのは、体が成長段階にあることが大きく関係していると考えられています。これは、消化機能が未熟であるため、食べ物を分解して消化することができないためで、ちゃんと消化できない食べ物に対し、体が異物だと認識していることが考えられます。食物アレルギーは成長と共に耐性がついていく成長と共に消化機能も発達していくと、これまでアレルギーを発症していた食べ物に反応しなくなっていく「耐性化」が見られます。特に食物アレルギーのなかでも特に多い卵・牛乳・小麦は、小学校の入学前くらいになるとアレルギー反応が起こらなくなるケースがほとんどです。耐性化しにくい食べ物もある食物のなかには、耐性化しにくいものもあります。主にピーナッツ、魚介類、果実、ソバ、種子類などは成長をしても耐性化しにくく、成人になってもアレルギー反応を起こすために避けなければならないケースもあります。食物アレルギーは遺伝することも考えられるアレルギー疾患である食物アレルギー、喘息(ぜんそく)やアトピー性皮膚炎などは遺伝することが考えられています。しかし、親が発症していたからといって、確実に子どもにも発症するというものではありません。アレルギー疾患の発症は、さまざまな要因が複雑に関係しているのです。妊娠時や授乳期にできる予防策はない食物アレルギーを引き起こしやすい食べ物といえば、「卵、乳、小麦」の3つです。自分の子どもがこれらの食物アレルギーにならないよう、妊娠時から食物制限をすること、またアレルゲンが母乳から侵入するのではないかと授乳期に食物制限に意味はなく、子どもへのアレルギー予防になるようなことはありません。離乳食をはじめる時期は遅らせないように食物アレルギーの発症をおそれて、離乳食をはじめる時期になっても母乳だけを続ける人がいます。これは、母乳栄養の有益性を過大評価していることが理由にあるようですが、長い期間母乳を与えることが食物アレルギーを予防するという医学的な根拠はありません。赤ちゃんの食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の関係赤ちゃんの頃に発症するアレルギーは、食物だけではありません。複数のアレルギーを発症した場合、一方のアレルギー症状が、もう一方のアレルギー症状を悪化させてしまうことがあります。たとえば、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎を発症している場合を見ていきましょう。アトピー性皮膚炎のお子さんは食物の接触にも注意アトピー性皮膚炎があるお子さんは、食物アレルギーの反応によって症状を招いたり、悪化させてしまうことがあります。アレルギー反応を起こす食物の経口摂取に気をつけるのはもちろんですが、食物と皮膚が接触しないようにすることも必要です。アトピー性皮膚炎は、皮膚の角層が乱れ外部からの影響を受けやすい状態です。皮膚の表面にあたる角層は外部からの刺激から守る役割を持っているのですが、アトピー症状による皮膚の乾燥で角層が乱れると、アレルゲン物質が進入しやすい状態になります。そのため、アレルゲンとなる食物が皮膚に触れることでアレルギー症状が起こりやすくなります。これによりアトピー性皮膚炎による皮膚の掻破(そうは)を促進させてしまうおそれがあります。このように、アトピー性皮膚炎を発症しているお子さんは、このような観点からも食物アレルギーに注意をはらう必要があります。食物アレルギーはアトピー性皮膚炎を発症させる原因ではない以前は、食物アレルギーを発症することがアトピー性皮膚炎の発症につながると考えられていました。両者は同じアレルギー疾患で、アトピー性皮膚炎を発症する子どもは、食物アレルギーやその他のアレルギー疾患を持つケースが多いのですが、食物アレルギーがアトピー性皮膚炎発症の原因ではありません。食物アレルギーだからといって悲観せず、ゆとりをもって対応を子どものアレルギーと聞くと不安になってしまうものですが、妊娠時や出産後すぐに心配する必要はありません。また、一部を除いて食物アレルギーの多くは成長と共に耐性化されていきます。そのため、食物アレルギーが出たら、アレルゲンとなる食物に気をつける、というくらい、ゆとりをもって接していくようにしましょう。ちまたでは間違った予防対策なども広まっているので、必ず医師と相談をして適切に対応していきましょう。<参考文献>・食物アレルギー診療ガイドライン 2016ダイジェスト版(日本小児アレルギー学会)・授乳・離乳の支援ガイド(厚生労働省)・小児アトピー性皮膚炎 大矢幸弘(J-Stage)・アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016年版(日本皮膚科学会)・日本アレルギー学会 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン・アレルギー疾患の現状等 厚生労働省 健康局 がん・疾病対策課監修:小暮裕之
2018年06月29日赤ちゃんが発症しやすいアトピー性皮膚炎は、食物アレルギーと密接な関係があり、アトピー性皮膚炎を発症した場合、食物アレルギーによってアトピーの症状が悪化することがあります。アトピー性皮膚炎の適切なケアをするためにも、食物アレルギーによる影響について理解していきましょう。赤ちゃんのアトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関係アトピー性皮膚炎は個々で異なる原因を避けながら、適切な治療、スキンケアをすることで、日常に支障がでない程度に症状をコントロールすることを治療目標にします。アトピー性皮膚炎を発症した赤ちゃんは、その他のアレルギー疾患を発症している場合が多く、そのひとつである食物アレルギーにも注意をはらいながら治療を進めていく必要があります。アトピー性皮膚炎が食物アレルギーを招くこともある食物アレルギーは乳児に多いアレルギーですが、湿疹があったりアトピー性皮膚炎を発症している場合、食物アレルギーを発症する可能性が高くなることも考えられています。アトピー性皮膚炎を発症し、乾燥やかゆみによる皮膚のかき壊しによりバリア機能が低下した肌は、アレルゲンが侵入しやすくなり、またIgE抗体が作られやすくなってしまう原因となります。IgE抗体が作られた状態では、再びアレルゲンが体内に侵入した際、 アレルギー反応を引き起こしてしまいます。。アトピー性皮膚炎は肌からの食物アレルゲン侵入にも注意これは食物アレルギーを持つお子さんにも言えることですが、アレルゲンとなる食物が肌に接触しないように注意することも必要です。食物アレルギーは口から食べた食物だけに反応するわけではなく、皮膚の接触や吸い込みによっても反応を起こすためです。特に湿疹やアトピー性皮膚炎のお子さんは、皮膚が荒れているためアレルゲンによる影響を受けやすい状態です。食物アレルギーの反応によるかゆみや湿疹などの皮膚症状は、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させてしまいます。離乳食の開始は肌の状況をみて医師と相談のうえ決める離乳食は食物アレルギーになりにくいものからはじめることが基本ですが、アトピー性皮膚炎を持っている赤ちゃんの場合、医師から避けるよう指示された食物を外すようにしましょう。また、離乳食をはじめるタイミングであっても、アトピー性皮膚炎による症状や状態によっては、開始を遅らせる必要も出てきます。そのため、アトピー性皮膚炎のお子さんの離乳食を始めるタイミングは、医師と相談したうえで開始するようにしましょう。赤ちゃんの食物アレルギーは治らないの?食物アレルギーは、消化機能が未熟な赤ちゃんの時期に多く起こるアレルギーです。成長と共に消化機能が整っていくのと同時に耐性化されていく食物があれば、反応を起こす食物によっては成人してからも避けなくてはいけない場合も一部あります。悪化要因となる食物アレルギーとの関係を把握して、じっくりとコントロールしていきましょう。アトピー性皮膚炎の治療において、食物アレルギーにも注意することは重要なことです。もちろん、食物だけでなくダニなどのハウスダストなど、環境全体からコントロールしてあげることが、アトピー性皮膚炎の改善に大きく貢献します。焦らずに、必ず医師と相談をしながらお子さんに合った対策をとっていきましょう。<参考文献>・食物アレルギー診療ガイドライン 2016ダイジェスト版(日本小児アレルギー学会)・厚生労働科学研究班による食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017(国立病院機構 相模原病院 臨床研究センター)・授乳・離乳の支援ガイド(厚生労働省)・小児アトピー性皮膚炎 大矢幸弘(J-Stage)・アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016年版(日本皮膚科学会)・日本アレルギー学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン監修:小暮裕之
2018年06月29日チタン使用で肌に優しい金属アレルギーのためにオシャレを楽しめない人に朗報だ。レジエ株式会社は、2018年6月14日より、純チタンを使用したノンホールピアスの販売を開始した。チタン製のため、金属アレルギーの人でも安心して使うことができ、しかも軽い。自分の体質によってオシャレを諦めてきた人にとってうれしい商品となっている。かぶれないから金属アレルギーの人でも使える使用されているチタンは金属の中でも安全性が高いとされ、金属アレルギーの人が使用してもかゆくならない。重さもわずか0.2mgと非常に軽いため、耳への負担も少なく、気軽にオシャレを楽しめるようになっている。痛くないから長時間使えるノンホールピアスの場合、耳たぶを締め付けることにより、長時間の使用が難しい。長く付けていると痛くてオシャレを楽しめないこともあるが、レジエ株式会社が販売する「チタン製ノンホールピアス」はその悩みを解消。シリコンカバー付きでクリップ式のため、耳に挟むだけで簡単に装着できる。接着面が広いため、耳たぶへの負担が少なく、長時間付けていても痛くなりにくいのだ。さらに形を手で変えることができるため、個人の耳の形にフィットしやすいのも特徴となっている。純チタンを使用しているためメッキはがれの心配もなく、長年愛用することが可能。これまで金属アレルギーでオシャレを楽しめなかった人や、長時間付けていると耳が痛くなってしまうといった悩みを抱えている人は、ぜひ試してみてはいかがだろうか。(画像はプレスリリースより)【参考】※レジエ株式会社のプレスリリース
2018年06月24日食物アレルギーを専門とする小児科医・佐藤さくら先生にお話をうかがい、これまで2回にわたって子どもの食物アレルギーについて紹介してきました。なかなか治りづらいイメージのあった食物アレルギーですが、小学校就学前までにおよそ90%のお子さんがアレルギー原因食物を食べられるようになるというお話には驚きました。そこで、食物アレルギーに関する素朴な疑問や、食物以外の子どものアレルギーについてもうかがいました。佐藤さくら先生 プロフィール小児科医。国立病院機構相模原病院 臨床研究センター 病態総合研究部 病因病態研究室長。宮崎医科大学医学部卒業後、宮崎大学医学部小児科医員、国立病院機構相模原病院 臨床研究センター アレルギー性疾患研究部 流動研究員等を経て現職に。日本アレルギー学会代議員。日本小児アレルギー学会評議員。『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017』ほか多数執筆協力。■子どもの食物アレルギー「今さら聞けない“あるある”」を質問Q1:「母乳とミルク、どちらが食物アレルギーにかかりやすいですか?」佐藤さくら先生(以下、佐藤先生):食物アレルギーを発症するかどうかは、人それぞれ元来備わっている体質や環境などが影響するといわれています。ですから、どちらかを飲んでいると食物アレルギーになりやすい、ということはありません。また、お母さんが妊娠中や授乳中に食べたものを除去すれば、お子さんが食物アレルギーにならないというわけでもありません。アレルギー反応が出た際は、自分ひとりでなんとかするのではなく、専門医に任せるのが得策です。Q2:「子どもが食物アレルギーです。毎日の献立を考えるのが大変でマンネリ化しがち。おすすめのレシピはありませんか?」佐藤先生:そんな時こそインターネットを上手に利用しましょう! 私がよく患者さんのお母さんたちにすすめているのは独立行政法人 環境再生保全機構の 「食物アレルギーの子どものためのレシピ集」 です。ぜひ一度サイトをのぞいてみてください。また、本屋さんや図書館にも卵や小麦を使わないレシピ本がありますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。Q3:「4歳の娘がいます。今のところ食物アレルギーではないようですが、今後、発症する可能性はありますか?」佐藤先生: 先にも触れたように 、食物アレルギーは生後3~4カ月に発症するケースが一番多いです。お子さんは4歳ということなので、そこまで心配する必要はないかと思いますが、発症しないとも言い切れません。Q4:「食物アレルギーの子どもが誤って原因食物を食べてしまったらどう対処すればいい?」佐藤先生:症状が軽いようであれば、安静にして、医師から指導された内服薬などを服用し様子をみてください。それでも症状が改善されない場合や症状が激しい場合は、すぐに近くの医療機関で診てもらうように。ひどいアレルギー症状の場合は病院での治療が必要になります。 ■近い将来、小児喘息が治る病気に?最後に、食物アレルギー以外の子どものアレルギーについても、最近の傾向や対策などもあわせてうかがいました。――今年の春も花粉がひどかったですね。子どもの花粉症も増えている印象があります。佐藤先生:確かに、花粉症に悩むお子さんは増えてきています。ダニやハウスダストに悩むお子さんも目立ちますね。学童期に特徴的なのが、花粉症を引き金に、果物を食べると口のかゆみや唇のはれをうったえる「口腔アレルギー症候群」を発症するお子さんもいることです。――「口腔アレルギー症候群」は、どんなアレルギーなんですか?佐藤先生:花粉症のお子さんが果物や野菜を食べた時に、唇や口の中がかゆくなったり、違和感を感じたり、唇がはれたりします。軽い症状の人が多いのですが、一部の人は呼吸困難や全身のじんましんなど、ひどい症状が出ることもあります。口腔アレルギー症候群は一度発症すると、なかなか治りにくいのが特徴です。残念ながら今のところ予防策はありませんが、規則正しい生活やバランスのとれた食事を心がけ、免疫力を正常に保つことが大切ですね。――現代に生きている限り、アレルギーは避けられそうもありませんね。佐藤先生:否定はできません…。ただ、医療は急速に進歩していますので、良い治療法も出てきています。アレルギーの一種である喘息(ぜんそく)が、医療の進歩により優れた薬が開発され、ひどい症状にならずに生活できるようになってきていることです。きちんと治療すれば、症状をコントロールできるようになるので、スポーツ選手にもなれるくらい運動しても大丈夫ですし、完治して薬をやめられるお子さんもいます。免疫の誤作動によって突然起こる食物アレルギー。いつ、誰が発症してもおかしくない病気だからこそ、基本的な知識は身につけておいた方が安心ですね。そして、万が一の時に備えて、小児のアレルギー疾患や食物アレルギーにくわしい医師が在籍している近くの病院を調べておきましょう。たとえお子さんがアレルギーと診断されても、落ち込む必要はありません。適切な治療について信頼できる医師に相談し、前向きな姿勢でお子さんと一緒に過ごせるといいでしょう。取材・文/長谷部美佐
2018年05月20日「家族はみんな、これといってアレルギーはなし、うちの子に限って…」と油断していたら、まさかの食物アレルギーを発症。そんな時、どう対応したらよいのか、動揺してしまうママも多いはずです。病院ではどんな治療をするの? アレルギーのわが子に何を食べさせればいいの? 子どもの食物アレルギー専門医・佐藤さくら先生に、具体的な治療法を教えてもらいました。佐藤さくら先生 プロフィール小児科医。国立病院機構相模原病院 臨床研究センター 病態総合研究部 病因病態研究室長。宮崎医科大学医学部卒業後、宮崎大学医学部小児科医員、国立病院機構相模原病院 臨床研究センター アレルギー性疾患研究部 流動研究員等を経て現職に。日本アレルギー学会代議員。日本小児アレルギー学会評議員。『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017』ほか多数執筆協力。■年齢によって変化する「アレルギー原因食物」――食物アレルギーと聞くと、まず頭に浮かぶのが卵や小麦ですが、実際はどんなものが原因で発症するのでしょうか?佐藤さくら先生(以下、佐藤先生):たしかに卵や小麦のイメージが強いかもしれませんが、実は発症する年齢によって原因となる食物(原因食物)が変わってきます。乳児期は鶏卵が圧倒的に多いですが、1歳になると魚卵やピーナッツも原因食物として加わってきます。また、学童期に入るとエビなどの甲殻類が原因でアレルギーを発症することも多いですね。原因食物は人それぞれ。表に記載していない食物でも、アレルギーになる可能性があります。食事(授乳)後、お子さんに発疹やかゆみなどアレルギーを疑う症状があった際、まずは小児科の先生に相談してください。 ■除去するだけではダメ「食物アレルギー治療の最前線」――発症後、病院で食物アレルギーと診断されたら、具体的にどんな治療を施していくのですか?佐藤先生:食物アレルギーの治療と管理で大事なことは「必要最小限の原因食物の除去」になります。そのため、まずは原因となる食物を正しく診断してもらうことが大切です。食物アレルギーの治療と管理は、ここ十数年ほどで考え方が変わり、以前は原因食物を完全に除去するような指導が一般的でした。それが近年は 「症状が出ない範囲の原因食物は食べてよい」という指導になっています。お母さん方は発症を恐れて原因食物だけではなく、その他の食物も不安から避ける傾向があります。これでは、お子さんの発育の妨げになる恐れがあります。医師にきちんと何の食物が原因なのかを診断してもらい、不必要な食物除去をしないこと、食べても大丈夫な量を指導してもらうことが大切です。――食べても発症しない程度の量を見極めるのは難しそうですね。佐藤先生:そうですね。そのために病院では「食物経口負荷試験」を行います。この試験は、アレルギーが疑われる食品を少量ずつ患者さんに食べてもらい、症状の有無を確認するもの。その結果に応じて原因食物の“食べられる量”を医師が決定します。食物経口負荷試験の後は、だいたい以下のスケジュールで通院しながら経過を見ていきます。・主治医の指導のもと、アレルギー症状が出ない程度の範囲で原因食物を食べていきます。↓・定期的に病院を受診。6カ月〜1年目安で繰り返し「食物経口負荷試験」を行い、原因食物の“食べられる範囲”を少しずつ広げていきます。↓・最終的に日常的に摂取する量を食べられるようになったら食物アレルギーは治ったことになります。――働くママにとって、食物アレルギーのお子さんの食事を用意するのはハードルが高そうですね。佐藤先生:病院は3カ月に1度程度の割合で受診すればいいですし、今はアレルギー対応食品が多く出回っています。すべて手作りしようと気負わず、こうした便利な食品を賢く使って少しでも負担を軽くしてください。お子さんにとってママの笑顔が何よりの処方箋なのですから!■もしもを防ぐお守り代わり「食物アレルギーサイン」佐藤先生:食物アレルギーのお子さんが持っていて便利なのが 一般社団法人エーエルサイン が普及活動をしている「食物アレルギーサインプレート」など、食物アレルギーをほかの人にアピールするためのアイテム。これは、アレルギーの品目をイラストで表示したプレートで、名札のように衣服につけたり、バッグにつけたり、必要に応じて使い分けることができるんです。――どんな時に使うのですか?佐藤先生:例えば、お友だちの家に招かれた時や、遠足、公園に遊びに行く時など、保護者の目の届かない場所での誤食防止に役立ちます。こうした便利なアイテムを積極的に利用することで、少しはお母さん方の心身の負担が減るのでは? と期待しています。ぜひ活用してみてください。“食物アレルギーのお子さんの食事”と聞くととても難しい気がしますが、今はいろいろな商品が出回っていますし、インターネットで手軽に入手することもできます。便利な時代だからこそ、それらを上手に利用することで、ママもお子さんも笑顔に。食物アレルギーだからといって気負わず、「徐々に改善する」と心に余裕を持つくらいの方が、お子さんも安心して日常を過ごすことができるのかもしれませんね。取材・文/長谷部美佐
2018年05月15日今ではすっかり聞き慣れた「食物アレルギー」という言葉。名前は知っているけれど、実際はどんな症状が出て、どんな治療をするの?大切なわが子がいつ発症しても冷静な判断ができるように、まずは食物アレルギーの「基本の基本」を理解してみましょう。子どもの食物アレルギーを専門とする小児科医、佐藤さくら先生にさっそくうかがってみました。佐藤さくら先生 プロフィール小児科医。国立病院機構相模原病院 臨床研究センター 病態総合研究部 病因病態研究室長。宮崎医科大学医学部卒業後、宮崎大学医学部小児科医員、国立病院機構相模原病院 臨床研究センター アレルギー性疾患研究部 流動研究員等を経て現職に。日本アレルギー学会代議員。日本小児アレルギー学会評議員。『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017』ほか多数執筆協力。■年々増え続ける子どもの「食物アレルギー」――そもそも食物アレルギーとはどんな病気なのでしょう?佐藤さくら先生(以下、佐藤先生):食べ物を食べたり、触れたりした時に、その食べ物を体が異物と勘違いして過敏に反応する症状のことです。食物アレルギーは、主に免疫グロブリン(抗体として働く物質の総称)の一つである特異的IgE抗体による体の誤作動によって起こるもの。遺伝ではありません。ただ、なぜ特定の食べ物にだけ過敏に反応するのか、いまだにわかっていないのが現状です。――昔よりも食物アレルギーに悩む子どもが増えていると聞きました。佐藤先生:確かに、私が勤めている相模原病院にもアレルギーで悩むお子さんがたくさんいらっしゃいますが、その数は年々増えているのを実感します。アレルギー患者が増えた理由は、環境の変化が関係しています。現代は昔に比べて街も住まいも清潔になりました。抗菌をうたった商品も多く出回っていますよね。この衛生的すぎる環境が、アレルギーを増やす原因の一つとなっている説もあります。――うーん。ということは、わが子がいつ食物アレルギーを発症してもおかしくないんですね…。ちなみに、いつ頃発症することが多いのでしょうか。佐藤先生:食物アレルギーは下記の5タイプに分かれます。1)新生児・乳児消化管アレルギー(発症年齢目安:新生児期)2)食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎(発症年齢目安:乳児期)3)即時型症状(発症年齢目安:乳幼児期)4)食物依存性運動誘発アナフィラキシー(発症年齢目安:学童期〜成人期)5)口腔アレルギー症候群(発症年齢目安:学童期〜成人期)このうち、もっともポピュラーなのが、2)の食物アレルギーに関与する乳児アトピー性皮膚炎で、生後3~4カ月に発症することが多いです。つまり、離乳食前の母乳やミルクを飲んでいる時期ということですね。ほっぺやおでこに赤いポツポツができたので乳児湿疹だと思い小児科を受診。スキンケアやステロイド軟こうを使用して適切な治療をしても湿疹ががなかなか良くならず、最終的に食物アレルギーだと判明することがよくあります。もちろん、離乳食を機に3)の即時型症状のタイプで発症することもあります。いずれにせよ、乳幼児期に発症するケースが大半です。――そんな早い段階で発症するんですね…。佐藤先生:そうですね。でも、そこまで悲観的にならなくても大丈夫。乳幼児期に発症した場合、原因食物によっても異なりますが、およそ50%のお子さんが3歳までにアレルゲンとなる食物を食べられるようになり、小学校就学前までにおよそ90%のお子さんが原因食物を食べられるようになります。つまり食物アレルギーが治るということです。 ■この症状が出たら食物アレルギーのサイン?――乳幼児期の食物アレルギーは日本特有なのですか?佐藤先生:いいえ、先進国では日本と変わらず患者数は年々増えています。興味深いのが、原因となる食物の違いです。たとえば日本では鶏卵が多いのに対して、アメリカではピーナッツが多いです。また、ヨーロッパでは牛乳や鶏卵以外に果物やナッツ類の食物アレルギーも注目されています。食生活の違いが、食物アレルギーの原因となる食物に影響していることのあらわれといえるでしょう。――食物アレルギーにかかると、どんな症状が現れるのですか?佐藤先生:いろいろな症状があるのが特徴といえます。食事(授乳)後、しばらくして下記のような症状が現れたら、まずはかかりつけの小児科で診てもらうことをおすすめします。「皮膚症状」あかみ、じんましん、はれ、かゆみ、しゃく熱感、湿疹。「粘膜症状」白目の充血・はれ、かゆみ、涙、まぶたのはれ。鼻水、鼻づまり、くしゃみ。口の中・舌のかゆみ・違和感、くちびるのはれ。「呼吸器症状」のどの違和感・かゆみ・締め付けられる感じ、声がかすれる、飲み込みにくい。せき、のどが「ゼーゼー」「ヒューヒュー」する、胸が締め付けられる感じ、息苦しい。唇や爪が青白い。「消化器症状」気持ちが悪くなる、おう吐、腹痛、下痢、血便。「神経症状」頭痛、元気がない、ぐったり、不機嫌、意識がもうろうとする、尿や便をもらす。「循環器症状」血圧低下、脈が早い、脈が触れにくい、脈が不規則、手足が冷たい。顔色・唇や爪が白い。かかりつけの小児科で診てもらっても症状が改善されない場合は、専門医が在籍している病院で診てもらいましょう。できれば、食物経口負荷試験を行っている病院か小児アレルギー専門医のいる病院がおすすめです。 ・食物アレルギー研究会(食物経口負荷試験 実施施設一覧) ・日本アレルギー学会(専門医・指導医一覧) 取材・文/長谷部美佐
2018年05月09日美しいジェルネイルも、一歩間違えばアレルギーの一因につやが美しく3週間長持ちし、比較的簡単な取り扱いで人気のジェルネイル。その気楽さからか、最近はセルフでジェルネイル♪なんていう方も増えましたね。ただ残念なことに、ジェルネイルの人気に伴って私のサロンに訪れるお客様の中には、明らかに健康な肌・爪とは言えない状態でいらっしゃる方がちらほら。そう、原因はジェルの質と取り扱いの知識のなさです。ジェルアートを楽しむためにも、アレルギーを起こさないジェルネイルの施術方法を知っておいてください。ジェルネイル自体の安全性、大丈夫ですか?第一前提として、使っているジェルネイルは安心安全なものでしょうか?どこで作られて、何が入っているか。理解していますか?よく聞く「お友達には材料費だけで、ネイルしてあげてるんです。」という言葉。それは趣味として素晴らしいこと!でも、もしそのジェルネイルにアレルギーを引き起こす素材や日本では化粧品として売ることができない物質が入っていたら? 責任、ないと言えるかしら……ネイルサロンで使っているジェルネイルの成分がどんなものか、まったく分からずに使っていればネイリスト側も同じレベルです。お客様や私たちの手肌を守るため、ぜひ店長さんに成分の勉強会をしてもらってください。(私は純国産、安心安全を守り続けているジュエリージェル、ジュエリージェルグランデを使用しています。)ダストの乾燥、薬剤の浸透をバリアしてジェルの安全性が確保されたあとは、乾燥と薬剤の浸透に気をつけてください。ジェルのダスト(削りカス)による手の乾燥、結構かゆいものです! 施術前にハンドクリームでバリアを作ってあげましょう。ジュエリージェルのTeo・ma・moleなら、アセトンやエタノールの浸透も防いでくれます。ジェルオフでアセトンを使うときにも、先に指先に塗ってからオフすればかなりの効果が期待できます。施術後にはしっかりダストを払って、流水で手洗いすることも忘れてはいけません。固まっていないジェルは皮膚につけない、基本ですジェルは皮膚に付けてはいけません。セルフネイラーさん、新米ネイリストさん、本当に気をつけましょうね。特に甘皮下にまでジェルが流れ込んでいる、なんて大変危険です。また完全に固まっていない状態のジェルや、固まった後のベタベタ(未硬化ジェル)も、アレルギーを引き起こしやすいものです。未硬化ジェルのふき取り時にも、お客様の指までぐいぐい拭かずにできるだけ爪の上だけをふき取りしましょう。お客様側も施術中は激しく動かないようにして、固まっていないジェルをネイリストの肌につけないように協力してあげてください。お客様からのジェル移りで、アレルギーを起こすこともあるのです。ネイリストさん側はずっとお仕事を続けられるよう、グローブで手を保護するのもおすすめです。一度アレルギーが出てしまえば、完治はなかなか難しいそうです。施術する側も、される側も、きちんとした知識をもって。さらなる指先の安全を目指しましょ。今日のあなたもキレイですよ!ネイルデザイナー/田邉薫(mini-ka SURGA)
2018年02月24日アレルギーになりやすい人というのは、他人とどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、アレルギーが起こるメカニズムや体質の改善方法について見てみましょう。アレルギーにかかりやすい人の特徴アレルギーは、どのような人が発症しやすいのか解説します。アレルギーとは身体には、外部から侵入してきた異物を体外へ排出して、身体を守るための免疫機能というものがあります。正常に反応していると、この免疫機能は身体に害を与えることは少ないとされています。ですが、体質によっては免疫機能が特定の物質に過剰な反応を見せてしまうことがあります。そして、それによってさまざまな弊害を受けてしまうことをアレルギーと呼んでいます。アレルギーのメカニズムアレルギーを引き起こす物質のことをアレルゲンといいます。アレルゲンには、食べ物ほこり、ダニ花粉金属などさまざまなものがあります。このアレルゲンが体内に入り込んだときに、アレルゲンを排除するために抗体を作り出します。この抗体をIgE抗体といいます。IgE抗体は、次に再び体内にアレルゲンが入り込んだときに、IgE抗体が肥満細胞と結合して刺激を与えます。それにより肥満細胞からヒスタミンが産生されて、アレルギーの症状が引き起こされます。代表的なアレルギー代表的なアレルギーについては、主に以下があります。アトピー性皮膚炎強いかゆみを発する皮膚湿疹が起こるアレルギーです。湿疹ができる場所は、年齢や個人によってさまざまです。気管支喘息気道が炎症を起こしてしまい、狭くなって、アレルギーによる刺激によって発作が起こる症状です。呼吸困難や喘鳴(ぜいめい)などが特徴とされています。アレルギー性鼻炎鼻の粘膜においてアレルギー反応が起こり、鼻水やくしゃみ、鼻づまりを引き起こすアレルギーです。日本においては、スギ花粉などに悩まされる人が多いとされています。アレルギーにかかりやすい人アレルギーにかかりやすい人の条件として、主に以下のようなことが考えられます。体内でIgE抗体が作られやすい人アトピー素因を持っている人都会に住んでいる疲労やストレスが多い偏食傾向アレルギー体質とはアレルギー体質というのは、アレルギー症状を発症しやすい人のことをいいます。特に、アレルギーになりやすい人の場合、乳幼児から14歳くらいまでに、アトピー性皮膚炎気管支喘息アレルギー性鼻炎などのアレルギーに次々とかかってしまうとされています。そのため、早期に治療をするために早めに医療機関へを受診することが望ましいでしょう。アレルギー体質は治るの?アレルギー体質は治すことができるのでしょうか。アレルギー体質の完治について見てみましょう。完治することはできないアレルギー症状というのは、体質的なものが関係しているとされています。症状が目立たないほど和らいだり、再び発症したりをくりかえすことが多いようです。体内のIgE抗体がなくなることはないため、完治は非常に難しいといわれています。コントロールはできる近年の医療技術の進歩によって、アレルギーの起こる原因などについては、解明されていることが多くなってきました。そのため、アレルギーに悩まされているほとんどの人は、医師の指導の下で症状をコントロールすることができるとされています。そして、日常生活において差し支えのないレベルを維持することができるため、アレルギーでない人と同レベルの生活をすることも難しくありません。アレルギー体質の改善方法アレルギー体質の改善策については、以下のような方法が考えられます。対症療法アトピー性皮膚炎などに悩まされている場合は、対症療法として外用薬であるステロイド薬やかゆみ止めの内服薬が処方されることが多いです。さらに、気管支喘息やアレルギー性鼻炎の場合、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬なども処方されることが多いです。ただし、あくまでも対症療法ですので、根本的な解決とならないことが多いです。体質改善アレルギー体質が促進されていると考えられる場合、疲労をとるストレスを解消する偏食せずバランスよく食事を摂るなどを意識することで、アレルギー症状が緩和される場合があります。アレルゲンの少ない場所に行くアレルギー反応が起こりやすかったり、花粉症に悩まされたりしている場合は、アレルゲンの少ない場所に移動することで症状が緩和されることがあります。たとえば、都会で喘息に悩んでいた人が、空気がきれいな場所に引っ越すと改善されたというケースもあります。どうしても改善されない場合は、アレルゲンが少ない場所へ行くことも方法のひとつとして考えてもいいでしょう。監修:大利昌久
2017年11月20日アレルギー検査は、どのような流れで、どのような検査をするのでしょうか。ここでは、アレルギー検査について、詳しく見てみましょう。アレルギー検査とはアレルギー検査とはどのようなものなのか解説します。アレルギー検査の目的アレルギー検査には、大きく分けて二つの目的があります。アレルギーの原因になっているアレルゲンと呼ばれる抗原や、特定の疾患が悪化してしまう要因などを特定するための診断目的と、特定の疾病の重症度や病状を評価するための治療管理のうえでの目的です。自分自身が、どのようなアレルギーを持っているのかを知らない人が多いといわれていますが、植物アレルギーペットアレルギー薬物アレルギー金属アレルギーなど、思いもよらぬアレルギーを保有している可能性があります。これらのアレルゲンを特定しておけば、アレルゲンを体内に入れるリスクを回避することができ、症状の発症を予防することができるでしょう。また、他因子性疾患である気管支喘息やアトピー性皮膚炎は、アレルゲンを回避するだけで症状が改善されないことが多いですが、アレルギー反応によって発症や症状の経過に大きな影響を与えていると考えられています。そのため、アレルゲンを特定は他因子性疾患の治療において、重要な要素であるといわれています。このように、アレルギーの検査をしておくことにより、疾病の予防や治療の足掛かりになることが多く、自分自身のアレルギーを知っておくことは非常に大切であることがわかるでしょう。アレルゲンを特定するための、アレルギー検査は非常に多くの種類があります。それらの検査の内容について確認していきましょう。アレルギー検査の内容主なアレルギー検査としては、問診血中抗原特異的IgE抗体検査ヒスタミン遊離試験薬剤リンパ球刺激試験皮膚テスト食物負荷試験などが行われます。また、重症度の判定のためには、一般的な血液検査に加え、血中総IgE抗体血中好酸球数呼吸機能検査気道過敏性検査運動負荷試験などが行われます。血中抗原特異的IgE抗体検査IgE抗体というのは、血中にある外部からの異物を除去するために産生される免疫グロブリンの一種とされています。アレルゲンが体内に取り込まれると、そのIgEがアレルゲンと結合することで、刺激が発せられヒスタミンなどが分泌されアレルギー反応を引き起こします。通常の検査で調べられるアレルゲンは、約200種類にのぼります。問診などを通して、アレルゲンの推定を行って検査を行うのが一般的です。ヒスタミン遊離試験血液中のマスト細胞に代わって、末梢血中の好塩基球を使用して、特定アレルゲンに対する反応を検査してアレルゲンを特定します。薬剤リンパ球刺激試験末梢血中からリンパ球を分離させて、薬剤を投与することによってアレルギーを検査します。リンパ球が反応してから増殖する遅延型のアレルギーに効果が高いとされています。皮膚テスト皮膚テストは、直接肌にアレルギー物質を当てるブリックテストパッチテスト皮内テストでアレルギー反応を調べます。IgE細胞の特定ではなく、実際のアレルギー反応を確認できるため、病状の確認がしやすいといわれています。食物負荷試験食物アレルギー検査の最終段階の検査です。実際にアレルギー物質を食べて、その病状や抗体の反応具合を検査します。患者自身がアレルギー物質を食べることを知っている検査や、知らない状態で食べる検査があります。呼吸機能検査気管支喘息に対しての検査です。気道の過敏性の亢進(こうしん)可逆性の気道閉塞や喘鳴(ぜいめい)呼吸困難などに対する検査をします。気道過敏性検査呼吸機能検査の一つであり、ヒスタミンアセチルコリンメサコリンなどの薬物吸入閾値を測定します。過敏性が高くなると、反応のための最小数値である閾値(いきち)が低くなります。ただ、過敏性は喘息の重症度に関係していますが、必ずしも気管支喘息が発症するともいえないので注意が必要です。運動負荷試験実際に運動を行わせて、運動前後の呼吸機能検査を行います。気管支喘息の病状を調べることができます。検査によって、FEVやPEFの値が一定以上低下した場合には、運動によって誘発される喘息であると判断することができるでしょう。アレルギー検査でわかることアレルギー検査の種類は非常に幅広く、多くの検査が行われます。それぞれの検査によって、アレルゲンを特定することができ、症状の予防や回避を可能とすることや、治療の手助けになる可能性があります。そのため、検査をして満足するのではなく、その検査結果をアレルギー疾患の治療や予防、そしてコントロールすることに活用するべきでしょう。監修:大利昌久
2017年11月19日アレルギーにはどのような薬が効果的なのか、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の違いなどについて詳しく見てみましょう。アレルギーに効果のある薬とはアレルギーに対して一定の効果のある薬について詳しく解説します。近年増えてきた抗アレルギー薬かつて、アレルギーに対処する薬というのは、抗ヒスタミン薬のことを指すことが多かったようです。しかし、近年ではこれまでなかった抗アレルギー薬が使用されることが増えてきています。ヒスタミンとは、アレルギーによって炎症が発症したときに分泌されるメディエーターと呼ばれる生理活性物質のことをいいます。ヒスタミンは、体内で分泌されると血管が拡張されたり、血管の透過性が亢進(こうしん)されたり、気管支平滑筋の収縮を促したりする作用があるといわれています。これらの、作用を受けることによって末梢知覚神経が刺激され、かゆみや湿疹などを引き起こすとされています。抗アレルギー薬と抗ヒスタミン薬の違い抗アレルギー薬と抗ヒスタミン薬は、一見すると同じアレルギーに対しての対処薬と感じますが、それぞれの役割は違います。抗ヒスタミン薬とは抗ヒスタミン薬というのは、ヒスタミンの分泌によって引き起こされるさまざまな作用を抑制する効果が期待されます。抗ヒスタミン薬は、主にアレルギー性鼻炎アレルギー性結膜炎蕁麻疹(じんましん)などのアレルギーに処方されることが多いとされます。同じ抗ヒスタミン薬であっても、第一世代と第二世代に分類することができます。第一世代の抗ヒスタミン薬の特徴薬効の発現がとてもはやく即効性を期待することができる薬です。しかし、副作用として中枢神経への移行が非常にスムーズであることから、服用すると眠くなりやすいというデメリットがあります。さらに、抗コリン作用が強いことから機関誌の収縮の抑制作用が見られますが。気道分泌を抑制してしまう作用もあり、痰が出にくくなることがあるようです。第二世代の抗ヒスタミン薬の特徴中枢神経への移行性が弱いことから、眠くなりにくいという特徴があります。さらに、そのほかの抗アレルギー作用を持っていることも多く、抗アレルギー薬としても属している薬です。抗アレルギー薬抗アレルギー薬の条件としては、主に次の薬のことをいいます。メディエーター遊離抑制剤ヒスタミンH1受容体拮抗薬(第二世代抗ヒスタミン薬)トロンボキサンA2阻害・拮抗薬ロイコトリエン受容体拮抗薬、Th2サイトカイン阻害薬第二世代抗ヒスタミン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬は、小児にも処方することができるアレルギー薬とされていますが、乳児に使用できる薬がないというデメリットがあります。主な抗アレルギー薬の種類と効能主な抗アレルギー薬について詳しく解説していきます。第二世代抗ヒスタミン薬アレロック顆粒クラリチンドライシロップザジテンドライシロップアレグラアレルオフゼスランそれぞれ、アレルギー作用を抑制する効果が期待できます。アレロック顆粒は2歳から、クラリチンドライシロップは3歳から服用が可能です。また、ザジテンドライシロップについては、かゆみを抑える作用が強いですが、眠くなりやすい作用があるとされています。ロイコトリエン受容体拮抗薬キプレス、オノンなどのロイコトリエン受容体拮抗薬は、気管支喘息に対する予防薬として服用されています。また、保険適応がされないものの、アレルギー性鼻炎や難治性の慢性蕁麻疹に効果が期待できるようです。薬の副作用について一般的な、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の副作用として、眠気のどの渇きを感じてしまう副作用が多いといわれています。ただし、ここまでご紹介したように、近年では副作用が少ない薬も多く登場しています。即効性を期待する場合は、どうしても副作用に気をつけなければなりませんが、即効性が必要ない場合は、副作用の少ない薬を処方してもらうようにしましょう。薬の使用時の注意点特に、第一世代の抗ヒスタミン薬などは、即効性があるものの中枢神経への抑制作用が強いため、眠くなりやすいです。眠くなるだけであればいいのですが、時としてまれに脳炎になってしまうことがあるので注意が必要です。アメリカでは、第一世代の抗ヒスタミン薬は、乳幼児への投薬を禁止しています。乳幼児に対して、第一世代の抗ヒスタミン薬を投与する際には、医師への判断を仰ぎ、十分に注意しましょう。監修:大利昌久
2017年11月18日どれだけ念入りに掃除をしていても、生活をしていく中で、室内にはちりやほこりなどのハウスダストが溜まります。このハウスダストは、アレルギー性の疾患を引き起こすアレルゲンとなり、身体に影響をおよぼす場合があります。ここでは、ハウスダストで起こるアレルギーの症状や治療法などについて見てみましょう。ハウスダストとはハウスダストとは、室内に溜まるちりやほこりなどのことです。ひと口に、ちりやほこりと称しても、その内容物にはさまざまなものが含まれています。その多くは、人やペットの毛やフケダニの死骸衣類の繊維プラスチック製品の微量な物質などがハウスダストの中にみられます。ハウスダストを構成するさまざまな成分の、どの成分がアレルギー反応を引き起こすアレルゲンとなっているのかは、厳密にはわかっていませんが、ハウスダストの構成成分について科学的な分析が進められ、アレルギーを引き起こす原因やメカニズムが解明されることが期待されています。ハウスダストによるアレルギーの原因ハウスダストアレルギーは、ハウスダストの特定の成分に対して、それを体外に排出すべき異物(抗原)とみなして、体内に抗体を作ることが原因で起こると考えられています。免疫システムが、それぞれの抗原に対する抗体を体内に生成し、次にその抗原が体内に侵入したときにアレルギー反応を引き起こして、それがさまざまな症状の発現につながります。ハウスダストは、アレルギーの原因となることがありますが、アレルギー症状がすでに発現しているところに、室内にハウスダストが蓄積するのを放置してしまうと、症状のさらなる悪化を招きかねません。体外から侵入した抗原に対して抗体を産生しているのは、リンパ球の一種であるB細胞ですが、そのB細胞に抗体を作るよう指令を発しているのが、ヘルパーT細胞です。ヘルパーT細胞は、Th1とTh2という2種類の細胞から構成されています。両者のバランスが非常に重要だとされており、Th1細胞が過度に優位になると炎症性疾患を起こしやすくなり、Th2細胞が過度に優位になるとアレルギー性疾患を起こしやすくなるといわれています。新生児や乳児期の子供は、Th2細胞が優位な状態になっており、感染症などによって刺激を受けてTh1細胞が増加していきます。Th1細胞とTh2細胞とのバランスは、およそ3歳までに決まるといわれていますが、それまでの時期を過度に衛生的過ぎる環境で長くすごすと、Th2細胞が優位なまま成長してしまい、アレルギー疾患にかかりやすくなってしまうと考えられています。ハウスダストによるアレルギーの症状ハウスダストによって引き起こされることがあるアレルギー性の疾患や症状には、次のようなものがあります。気管支喘息呼吸をするときに空気の通り道となる気道に慢性の炎症が生じ、気道狭窄(きょうさく)喘鳴(ぜんめい)呼吸困難などが生じます。気道の慢性炎症によって、リンパ球や好酸球、マスト細胞などの白血球が、気道上皮細胞や平滑筋細胞などの気道を構成している細胞と関わって、ハウスダストに過敏に反応するようになり、気管支喘息の症状を起こすと考えられています。アレルギー性鼻炎アレルギー性鼻炎は、鼻から入ってきた抗原(ハウスダスト)に対してアレルギー反応が生じます。くしゃみや水様性の鼻水(鼻汁)鼻づまり(鼻閉)が突然生じ、症状がくりかえし発現します。ハウスダストによるアレルギー性鼻炎では、一年を通して症状が起こります。アレルギー性結膜疾患結膜と呼ばれる、眼球の表面からまぶたの裏を覆う粘膜に、アレルギー反応によって炎症を起こします。主に眼のかゆみ白目の充血目の違和感目やにが出るなどの症状があります。ハウスダストによるアレルギーの検査アレルギーの検査では、主に血液検査が行われます。血液検査には、主に次の2種類のものがあります。IgEの量を調べるもの血液検査で血液中のIgEの量を調べ、アレルギーの有無やアレルギーの程度を数値化します。アレルギーの症状がハウスダストによるものと疑われる場合には、ハウスダストに対するIgEを調べ、その値が高ければ「ハウスダストに対してアレルギーがある」とされます。IgE検査には、上記のような、ある特異的なアレルゲンに対するIgEの値を個別に調べる検査(特異的IgE検査、RAST)と、IgEは特定せずにIgEの合計の値を調べる検査(非特異的IgE検査、RIST)とがあります。ヒスタミンの量を調べるもの血液検査で、ヒスタミンを通じてアレルゲンに対する反応性を調べる検査で、アレルゲン刺激性遊離ヒスタミン(HRT)と呼ばれます。検査では、採取した血液の中から好塩基球という細胞を分離し、その好塩基球にアレルゲンの添加を行います。アレルゲンを添加したときに放出されたヒスタミンの量を測定することで、アレルゲンへの反応性を調べます。ハウスダストによるアレルギーの治療アレルギー性疾患の治療では、抗原となっている物質の除去や回避を行うことが重要とされます。ハウスダストによるアレルギーに対しては、こまめに掃除機をかけたり、布団干しをしたりすることで、ほこりやカビ、ダニなど抗原となっているハウスダストを除去するようにしましょう。症状にあわせて以下のように薬物療法が併用される場合もあります。ハウスダストによる気管支喘息:吸入ステロイド薬アレルギー性鼻炎:抗ヒスタミン薬、鼻噴霧用ステロイド薬アレルギー性結膜疾患:抗アレルギー点眼薬近年注目を集めているのは、舌下免疫療法と呼ばれる治療法です。免疫療法は以前から行われていましたが、定期的にアレルゲンを皮下注射する方法が取られるために、毎回注射の痛みがあること、治療に3〜5年を要することなどが欠点として指摘されていました。このような皮下注射による免疫療法の欠点を改善した新しい治療法が、舌下免疫療法で、2015年に保険適用となりました。舌下免疫療法舌下免疫療法では、治療薬の錠剤を舌下に置いて1〜2分間そのままにしておき、その後飲み込むという方法がとられます。1日に1回行いますが、自宅で自身によって行えるのが利点とされています。2週間ごとに通院して受診し、治療の経過や副反応などのチェックをし、状態が安定した後は1か月ごとに受診をします。保険適用ではありますが、現在ではまだ舌下免疫療法を行える医師、医療機関は限られているため、ダニの舌下免疫療法を希望する場合には、受診をする前に、あらかじめその旨を医療機関に問い合わせることをおすすめします。監修:大利昌久
2017年11月16日小児期の食物アレルギーとして、鶏卵に次いで国内で2番目に多くみられるのが、牛乳アレルギーです。牛乳アレルギーとは牛乳アレルギーとは、食物アレルギーのひとつで、牛乳が原因となって免疫反応が起こり、さまざまな症状が生じるものをいいます。摂取した牛乳によって体内にアレルギー反応が引き起こされ、それによって蕁麻疹や湿疹、下痢などの症状が現れます。免疫は、私たちの身体にとって異物となるものを排除し、身体を守る働きをしています。アレルギーは、その免疫の反応として生じるものです。食物アレルギーは、特定の食物を摂取したときに、免疫のシステムが過敏に反応し、身体に有害な反応を引き起こすことだと定義づけられています。なお、体質的に乳糖を分解することができない人が、牛乳を飲むことでお腹がごろごろしたり、下痢をしてしまったりすることがあります。これは、免疫反応でなく体質によるものであることから、牛乳アレルギーではなく食物不耐性(乳糖不耐性)と区別されます。牛乳アレルギーの原因牛乳アレルギーをはじめ食物アレルギーには、免疫の抗原抗体反応が大きく関わっています。免疫は、外界から異物が侵入しても、それらの異物に抵抗し、身体を守る働きをしています。その働きにおいて、体内の異物を排出しようとしてつくりだされる物質を抗体、その抗体が排出の対象としている物質を抗原と呼びます。免疫システムは、通常は、ウイルスや細菌などの病原体が感染したときに、体内に侵入してきた病原体に対抗しようと、その病原体を抗原とする抗体をつくり出し、異物を体外に追い出すような活動を引き起こします。たとえば、かぜをひいたときにみられるくしゃみや鼻水などは、そのひとつです。しかし、食物アレルギーの場合には、私たちが生きていくために必須となる食物によって、身体に対して不利益な免疫反応が生じます。牛乳アレルギーに関しては、免疫システムが過敏に反応し、牛乳に対してIgE抗体(免疫グロブリンE)という種類の抗体をつくることが原因となって起こると考えられています。体内でつくられたIgE抗体は、細胞の表面にIgE受容体をもつ細胞に結合します。なかでも特にIgE抗体の結合がみられるのはマスト細胞です。マスト細胞は、ヒスタミンやロイコトリエンなどの神経伝達物質を大量に蓄積し、皮膚や気管支粘膜、腸粘膜などに存在している細胞です。このマスト細胞にIgE抗体が結合した状態でいるところに、牛乳を摂取すると、肥満細胞に脱顆粒と呼ばれる反応が起こり、中に蓄積されていた神経伝達物質が放出されます。それによってアレルギー反応が起こり、さまざまな症状が誘発されるといわれています。牛乳アレルギーの症状牛乳アレルギーによりアレルギー反応が起こると、ほかの食物アレルギー同様にさまざまな症状が出現します。主な症状牛乳アレルギーによってみられる主な症状には、次のようなものがあります。皮膚に現れる症状かゆみ、蕁麻疹、発赤、湿疹、血管性浮腫粘膜に現れる症状目のかゆみ、結膜の充血、流涙、眼瞼(がんけん)浮腫消化器に現れる症状悪心(おしん:嘔吐が起こりそうな不快感)、疝痛、嘔吐、下痢上気道に現れる症状のどのかゆみ、違和感、腫れ、咽頭や喉頭のむくみ、くしゃみ、鼻水、鼻づまり(鼻閉)下気道に現れる症状咳嗽(がいそう:咳こむこと)、喘鳴(ぜんめい:気道の狭窄によって呼吸時にゼーゼーなどと表現される音が鳴ること)、呼吸困難全身性の反応として現れる症状頻脈、血圧の低下、活動性の低下、意識障害症状の頻度アレルギー反応によって、上記のようなさまざまな反応が引き起こされますが、頻度としてもっとも多いのは皮膚や粘膜に生じる症状だといわれています。次いで消化器の症状、上気道の症状、下気道の症状とつづき、全身性症状の順になるとされています。年齢による症状の出現傾向症状の出現のしかたは、年齢によって異なる傾向を示します。乳児期(授乳期)には、発赤や湿疹などが現れることが多くみられ、その後、離乳期から幼児期にかけては、蕁麻疹や湿疹など皮膚の症状だけでなく、目の粘膜に現れる症状や鼻の症状、消化器の症状や下気道に現れる症状などもみられるようになります。また、もっとも重症の場合には、アナフィラキシーショックを起こすこともあります。牛乳アレルギーの検査牛乳アレルギーを含め、食物アレルギーの診断の際、まず問診から行われます。栄養の摂取は母乳かミルクか離乳食を始めているかペットとの接触があるかアレルギーの病歴や家族歴など、問診によって得た詳細な情報をもとに、症状の原因となっているアレルゲンを推定します。問診によって牛乳が食物アレルゲンであると疑われる場合には、lgE CAPRAST検査や皮膚テストによってIgE抗体の検出を行うことがあります。IgE CAPRAST検査IgE CAPRAST検査は、血液を採取して、血液中にアレルゲン特異的IgE抗体が存在するかを調べるものです。皮膚テスト皮膚テストは、アレルゲンが疑われる食物に対する皮膚中のマスト細胞の反応をもとにIgE抗体の検出をはかる方法です。また、IgE抗体の検出を行なう検査のほかに、1〜2週間の食物除去を行い、症状の改善がみられるかを観察する方法(食物除去試験)などが行われる場合もあります。牛乳アレルギーの治療牛乳アレルギーの治療では、必要最小限度の食物除去(牛乳の除去)を行います。アレルゲンである牛乳は除去し、栄養面で牛乳の代替となるような食品をとり入れることで、牛乳アレルギーの症状が発現するのを回避するようにします。症状が出る場合には、補助的な治療として抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などの内服による薬物療法がおこなわれる場合もあります。食物アレルギーは、乳児期に発症するケースでは90%程度で自然寛解が期待できるといわれています。一般的には、IgE抗体検査などの結果も踏まえながら、1歳を過ぎたころから、専門医の指導のもとで食物除去の見直しを6か月ごとに行っていきます。耐性の獲得によって自然寛解することを念頭におき、食品の除去は必要最小限度とし、代用食品やアレルゲンでない食品を活用した食事で十分な栄養摂取を心がけることが大切です。監修:大利昌久
2017年11月15日食物アレルギーのひとつである卵アレルギーには、アトピー性皮膚炎喘息アレルギー性鼻炎といった症状がみられます。卵アレルギーの原因となっているものは何か、検査方法や治療方法などについて見てみましょう。卵アレルギーとは卵アレルギーは、食物アレルギーのひとつで、卵に含まれているタンパク質に身体の免疫機能が反応してしまうことによって起こると考えられています。卵に対してアレルギー反応があらわれる人は多いといわれており、食物アレルギーの代表格とされています。卵アレルギーの原因アレルギー反応は、免疫が過剰反応してしまうことで起こります。通常は、アレルギーの原因となる抗原が体内に入ったときにIgG抗体を作り、次に抗体が侵入しないように免疫を高めます。しかし、抗原に対してIgG抗体ではなくIgE抗体が作られ、次に抗体が侵入したときにヒスタミンなどの化学伝達物質が出されることによってアレルギー反応みられるといわれています。卵アレルギーの場合の抗体は、オボアルブミンとオボムコイドであると考えられています。人によっては、オボアルブミンに強く反応する場合と、オボムコイドに強く反応する場合とがあるといわれています。卵アレルギーの症状卵のオボアルブミンやオボムコイドによってアレルギー反応があらわれた場合、喘息アレルギー性鼻炎アトピー性皮膚炎などがみられます。症状が出やすいのは消化器が未熟な乳幼児といわれていて、年を重ねて消化器の発達が進むことで症状がなくなっていくこともあります。ただし、症状が改善せず、少量の卵にも過剰に反応してしまい、アナフィラキシーショックを起こす場合もあります。アナフィラキシーショックは、呼吸困難意識が遠のく皮膚症状消化器症状など複数みられるもので、命に関わる重篤な症状なので注意が必要です。場合によっては、医師に対処用の薬を処方されることもあります。卵アレルギーの検査病院では問診を行い、卵を食べた量アレルギー反応が出るまでの時間反応が治まるまでの時間などを答えます。IgE抗体を明確にするために、ブリックテストスクラッチテスト20分間パッチテストなどの皮膚テストを行うこともあります。また、一度卵アレルギーがみられたのに、その後、アレルギー反応がない人1年以上アレルギー反応がなかったという人などは、実際に食べてどう反応するか調べる食物経口負荷試験を行い検査するといわれています。卵アレルギーの治療どのくらいの卵を食べることで、アレルギー反応があらわれるのか正確に判断し、必要最小限除去しながら食事療法を行い、できれば最終的に食べられるようにしていきます。アナフィラキシーショックがある場合は、卵の摂取を完全に控えるようにします。たとえ、完全に卵を除去してしまっても、動物性や植物性のタンパク質を、別の食材から摂取できれば、栄養面には心配ないと考えられているので安心してもよいでしょう。調理でも、卵の使い方には工夫をするとよいでしょう。たとえば、揚げ物の衣やハンバーグのつなぎに卵を使用しないで調理することができます。ただし、加工食品の場合は卵アレルギーに配慮して作られているものばかりではないため、食品表示をよく確認すると安心です。また、卵は加熱処理によりアレルゲンが低下し、反応が出にくくなるといわれています。卵で、アナフィラキシーショックを起こしたことのある人アナフィラキシーショックを起こす可能性が高い人は、食事療法の対象外であり、さらに、アドレナリン自己注射器を処方し、アナフィラキシーショックが起きたときに自分でアドレナリンを注射して症状を和らげていくこともあります。アナフィラキシーショックが心配な方は、医師に相談しましょう。まとめ卵アレルギーを引き起こすといわれている抗体には、オボアルブミンとオボムコイドの2つがあります。加熱によって凝固しやすいものとそうでないもの、どちらに強く反応するかに個人差があることから、食事療法の方法は異なります。栄養価が高いといわれている卵だけに、完全除去となると栄養面の不安を覚える人もいるかもしれませんが、代替えできる食品・食材はさまざまにあるため、医師に相談しながら健康を損なわずに対処していきましょう。監修:大利昌久
2017年11月14日食物アレルギーは、食べ物に対して起こるアレルギーです。アナフィラキシーショックを引き起こす可能性もあり、命に関わることもあります。ここでは、食物アレルギーの症状や原因、治療方法などについて見てみましょう。食物アレルギーとは特定の食べ物を食べることで、かゆみ赤み湿疹嘔吐(おうと)腹痛アナフィラキシーショックなどを起こしてしまうことを食物アレルギーといいます。日本の全人口の1〜2%に発症すると考えられており、中でも乳幼児は10%程度の発症率があるといわれています。乳幼児の食物アレルギーの数値が、全体よりも高いのは、年を重ねるごとに症状が改善していくケースもあるからです。アレルギーのようでアレルギーでないものアレルギー反応と似たような症状でも、アレルギーではなく、ほかの病気である可能性もあるため注意することも大切です。たとえば、牛乳を飲んでおなかを下すときは、アレルギーではなく食物不耐性で乳糖をうまく消化できていないことや、食中毒であることも考えられます。また、食物アレルギーだと思っていたが、食物に含まれていた化学物質に反応しているケースもあります。食物アレルギーの原因身体の免疫機能の一つであるIgE抗体が、特定の食べ物に含まれるタンパク質に過剰反応してしまうことでアレルギー反応が起こるといわれています。食物アレルギーの症状食物アレルギーは、以下のような器官にさまざまな症状があらわれます。皮膚にあらわれる症状かゆみ蕁麻疹(じんましん)湿疹が出る赤くなる目にあらわれる症状結膜の充血目のかゆみ涙が出るまぶたが腫れる口腔内にあらわれる症状口腔内の違和感腫れかゆみのどがつまったような感じのどがイガイガしたりする気管支や肺にあらわれる症状咳が出る呼吸が苦しい鼻にあらわれる症状くしゃみ鼻水が出る消化器官にあわられる症状腹痛吐き気嘔吐血便下痢循環器にあらわれる症状意識障害などの神経にあらわれる症状脈が高くなる血圧が低下する中でも、上述の症状が複数みられ、重篤化してしまったものをアナフィラキシーショックと呼びます。また、花粉症の人などに多くみられるのが、普段食べている食べ物に対してアレルギー反応が出てしまうことです。食べても異常のなかった野菜や果物でも、新鮮なもののみにアレルギー反応が出る場合があります。その場合は、食べている途中で、口腔内に違和感を覚えることがあるため、大量に食べずに摂取を控えましょう。また、この場合は検査によって判明しにくいといわれており、新鮮な食べ物を実際に摂取してみないと診断できないといわれています。食物アレルギーの検査食物アレルギーが疑われる場合、病院を受診し、検査することをおすすめします。病院では、アレルゲンを特定し、反応しているIgE抗体を証明するという手順を踏みます。検査は、問診食物日誌皮膚テスト血液検査を行い、場合によっては原因となっている食物を実際に食べて検査を行い診断します。問診の流れ問診では、アレルギー反応がみられたときに、何を食べていたのか食べた量発症までの時間いつまでアレルギー反応が出ていたか症状には特徴があったかを答えます。そして、同じような食べ物を食べてアレルギー反応がみられるかの記録をつける食物日誌をつけます。抗体検査の内容IgE抗体を証明する検査では、ブリックテストスクラッチテスト20分間パッチテストなどの皮膚テストを行います。これは、抗原液を皮膚に貼ったり、注射で注入したりして行います。血液検査の内容血液検査では、血中抗原特異的IgE抗体の有無を確認します。陽性反応が出ているが実際に食べたことのない食べ物がある場合食べてもアレルギー反応がみられなかった場合アレルギー反応が出てから1年以上経過している場合上記のような場合は、食物経口負荷試験という、実際に食べてどう反応するかを検査してみます。食物アレルギーの治療食物アレルギーの治療では、症状があらわれるときの摂取量を知り、必要最小限除去するように心がけて治療を行います。食事療法によって、必要最小限の基準を小さくしていき、最終的に食べられるようになることを目標としています。ただし、アナフィラキシーショックがみられる場合には、原因となっている食べ物を完全に排除します。また、アナフィラキシーショックの可能性がある人や発症したことがある人は、アドレナリン自己注射器を処方し、症状があらわれたときに自分でアドレナリンを注入して症状を和らげていく方法もあります。まとめ食物アレルギーは、特定の食べ物に含まれるタンパク質に身体の免疫機能が過剰反応してしまうことで発症します。食事療法によって改善することもありますが、自己判断で除去したり、摂取したりせずに、医師の適切な治療を受けましょう。監修:大利昌久
2017年11月13日アレルギーの症状に悩んでいる人は多く、年々、患者数は増加しているといわれています。アレルギーとはどのような原因で、どのような症状が起きてしまうのか詳しく見てみましょう。アレルギーとはアレルギーの定義は、免疫反応に基づく生体に対する全身的または局所的な障害と定められています。なんらかの外的な刺激があった際に、身体は免疫反応によって刺激を排除しようとしますが、特定の物質や現象に対してこの反応が過剰に起きてしまうことでアレルギー症状があらわれます。免疫反応を起こす物質や現象は抗原と呼ばれ、アレルギーの原因を意味するアレルゲンと呼ばれる場合も多いです。アレルギー症状には、抗原の反応によって短時間で症状がでる即時型と、遅発、遅延型と呼ばれる種類が存在しています。アトピー性皮膚炎喘息蕁麻疹花粉症鼻炎これらのアレルギー症状は即時型で、生命に危険のあるアナフィラキシーショックも即時型の分類となります。一方、遅延型のアレルギー症状は、発症まで数時間や数日かかる場合もあり、こちらは細胞や細菌を原因とした内臓への症状が中心となります。臓器移植による拒絶反応などもこの一種とされています。アレルギーが起こるメカニズム一般的な即時型のアレルギー症状には、IgEと呼ばれる抗体が大きく関与しています。このIgE抗体が、皮膚腸粘膜気管支粘膜鼻粘膜などに存在しているマスト細胞と結合した状態で抗原と接触すると、細胞からかゆみや炎症の原因となるヒスタミン、ロイコトリエンなどの化学伝達物質が放出されてアレルギー症状を起こすようになります。このため、IgE抗体はアレルギー症状を起こす有力な要因と考えられています。アレルギーの主な原因アレルギー症状を起こす抗原となる可能性があるものには、以下のようなものがあげられます。抗原となるものは人によって大きく異なり、種類も大変多くなりますので、あげられたもの以外でアレルギー症状が起こる可能性もあります。食品食品は、子供に多く見られるアレルゲンですが、大人にもアレルゲンとなるケースがあります。卵乳製品(牛乳など)穀物(小麦、そば)豆類(ピーナッツ、大豆など)特に、これらの食品でアレルギーを起こす人が多く、甲殻類(エビ、カニ)、魚介類(青魚や貝など)、果実類などでアレルギー症状があらわれる場合もあります。ハウスダスト近年患者が増えており注目されているアレルゲンです。ダニダニそのものだけでなく、死骸やフンが生体以上に強力なアレルゲンとなります。湿度の高い環境などで繁殖しやすいといわれています。カビ、細菌湿気などによってほこりの中にカビが繁殖する場合があり、空気中に胞子をまくことでアレルゲンとなります。ほこりや他のハウスダストは細菌が原因となることもあり、ダニのエサとなるほかアレルゲンとなる場合もあります。ペットの毛室内でペットを飼っている家庭も増えていますが、抜けたペットの毛自体がアレルゲンとなる場合もあるほか、ダ二のエサとなり繁殖を助長することもあります。ペットを飼っている場合は特に掃除などを徹底するべきでしょう。花粉などの吸収性物質花粉症は、もっとも身近なアレルギー症状といえるでしょう。鼻炎の症状だけでなく、皮膚のかゆみや湿疹などがある場合もあります。大気汚染などによるアレルギー症状も花粉と同様です。金属などの接触刺激金属と汗が反応して、接触している皮膚に炎症や湿疹を起こす金属アレルギーや、天然ゴムの成分が皮膚に症状を起こすラテックスアレルギーなど、特定の物質に接触することでアレルギー反応が出る場合もあります。化粧品などの化学物質によって接触刺激が起こる場合もあります。薬剤によるアレルギー内服薬や注射などによって体内に入った薬がアレルギーを起こす場合もあり、これは遅発、遅延型の症状があらわれます。症状が重症となりやすいので、服用している薬や過去に服用した薬を把握するようにして症状がある場合は、すみやかに医師や薬剤師に相談することをおすすめします。アレルギーの主な症状アレルギー反応としてあらわれる症状にはさまざまなものがありますが、代表的なものとして、以下のようなものがあげられます。症状は必ずしも単一ではなく、いわゆるアレルギー体質と呼ばれるアレルギー素因の多い人の場合は複数の症状を併発することも少なくありません。アレルギーに対しては、医療機関での適切な治療が第一ですが、自分のアレルゲンをあらかじめ知っておくことでアレルゲンをできるだけ避けることが可能です。症状を完全に抑えることは困難な場合もありますので、なるべくアレルゲンに触れないよう注意するべきでしょう。アレルギー性気管支炎ハウスダストや花粉など吸収性の物質がアレルゲンとなる場合が多く、気管支や気道が炎症を起こして腫れてしまい呼吸がスムーズにできないことで息苦しくなります。せきやたんが出るなど風邪(かぜ)と間違えやすい症状ですが、適切な対処を行わないと気管支喘息などに発展する場合もあります。アレルギー性鼻炎花粉症の代表的な症状ですが、ハウスダストや食物によって起こります。激しいくしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状があらわれ、のどの痛みや頭痛なども併発して日常生活に支障が出る場合も珍しくありません。アレルギー性結膜炎鼻炎と併発するケースも多く、目の表面の結膜にアレルゲンが付着する事で炎症を起こし、激しい目のかゆみ、充血、涙が出る、異物感がある場合などがあります。アトピー性皮膚炎皮膚に湿疹が起こり、強いかゆみを感じるほか、皮膚がカサつくなど、皮膚の保護機能が低下する症状をあらわします。全身どこにでも症状が出る可能性があり、重症化すると腫れやただれ、皮膚の肥厚などが起きることもある深刻な症状です。蕁麻疹境界がはっきりとした、円形に盛りあがる皮疹が発生します。大きさはさまざまで、強いかゆみをともないチクチクとした感触がある場合もあります。アトピー性皮膚炎による炎症湿疹と混同されることも多いですが、蕁麻疹の症状は、出たり消えたりをくりかえすことが多いのが特徴です。監修:大利昌久
2017年11月09日金属アレルギーは、一度発症してしまうと完治が難しいといわれるアレルギーです。金属が汗や体液によってイオン化して起こると考えられています。ここでは、金属アレルギーの種類や症状、検査や治療、予防方法について見てみましょう。金属アレルギーとは金属アレルギーは、特定の金属に対してアレルギー反応がみられるものを指します。現在の日本では、10人に1人以上がなんらかの金属アレルギーであるといわれており、一番症状が出やすいのがニッケル、次にコバルトと考えられています。ニッケルやコバルトは、ピアスなどのアクセサリー類に用いられることが多いため、女性に金属アレルギーが出やすいといわれています。特に40代以降の女性に多いアクセサリーを身に付ける時間の長い女性は、金属アレルギーを発症しやすいといわれています。そのため、若い人よりも、金属と接触している累計時間がより長い40代以降の女性に多くみられます。金属アレルギーの原因金属アレルギーが起こる原因は、金属が汗や体液などに触れてイオン化することにあるといわれています。接触の場合は、汗に触れることで起こり、体内に金属がとり込まれた場合には、体液に触れることによって起こるとされています。金属アレルギーの症状金属アレルギーは、金属接触アレルギーと全身型金属アレルギーの2種類にわけられています。金属接触アレルギーは、皮膚が金属と接することによって、皮膚上の汗から金属がイオン化して侵入し、かゆみや赤み、腫れや湿疹、水ぶくれを起こすことがあると考えられています。全身型金属アレルギーは、薬や食品に含まれている金属が体液などに触れることでイオン化し、それを汗として放出するときに手のひらや足の裏などにむくみや皮膚炎などを起こすと考えられています。金属アレルギーの検査金属アレルギーの検査では、パッチテストを行い、どのような種類の金属に対してアレルギー反応があるのかを調べます。この検査によって、金属接触アレルギーの原因を特定することができます。全身型金属アレルギーの場合は、パッチテストでは陽性反応が出ないケースもあるため、内服テストや吸入テストを行い診断します。ただし、人体に悪い影響があるといわれている水銀やスズにアレルギーの可能性があるときは、内服テストは行いません。金属アレルギーの治療金属アレルギーは、完治が難しいといわれているため、基本的に接触を回避することでアレルギー反応が出ないようにすることが重要です。全身型金属アレルギーの場合は、食品に含まれている金属に反応していることもあり、該当している食品を食べないように制限されることがあります。たとえば、チョコレートや豆類、貝類やレバーなどには金属が多く含まれているため、摂取を控えるよう指示されます。また、調理器具に含まれる金属に反応しているケースもあるため、調理器具に関しても注意するようにしていきます。回避では症状が治まらないときは、薬物で治療することもあります。その際は、消化管がアレルゲンを吸収し過ぎないように抑えるインタールを使います。それでも、金属アレルギーの反応があるときは、歯科に問い合わせて反応のある金属が含まれていないかを確認したり、除去してもらえるように連携したりします。また、整形外科や血管外科の治療において、金属を使用していないか、大気汚染されている環境に住んでいないかなど他の原因を探ることもあります。それでもアレルギー反応が治まらない場合は、金属キレート剤を使って治療を行います。金属アレルギーは予防できるのか金属アレルギーを予防するには、金属との接触をなるべく避けるのがよいと考えられています。たとえば、虫歯の治療で銀歯にした場合、金属が口内で溶け出してしまわないか歯科で確認したり、詰め物を金属ではないものに変えたりすることで発症を予防できると考えられます。また、アクセサリーをつけたい人は、一番発症率の高いニッケルを避け、金や銀、プラチナやチタンで作られたアイテムを選んで使うようにするとよいでしょう。それに加えて、汗をたくさんかく環境のときは、アクセサリーを使用しないように心がけるとよいでしょう。まとめ金属アレルギーとは、金属に対してアレルギー反応を起こしてしまう体質のことです。金属が、汗や体液などに触れることでイオン化して皮膚炎などの症状があらわれます。一度発症すると完治が難しく、金属接触アレルギーの場合は、原因の金属を回避するのが一番の対処法となります。また、全身型金属アレルギーは、回避の他に薬物治療のほか、歯科や整形外科、血管外科などと連携して治療を行うこともあります。発症していない人は、予防のために、できるだけ金属との接触を控えて、身につけるものに注意しましょう。監修:大利昌久
2017年11月07日アトピー性皮膚炎はアレルギーと同じだと考えている方もいるのではないでしょうか。本来は、アトピー性皮膚炎はアレルギーと同じものではありません。アレルギー性皮膚炎は、特定の原因物質(アレルゲン物質)に接触すると起こる皮膚炎です。ここでは、アトピーとアレルギーの違いについて見てみましょう。アトピーはアレルギーではないのかアトピー性皮膚炎とは、かゆみをともなう湿疹が身体のさまざまな部分にできることが特徴です。皮膚が乾燥しやすく、皮膚のバリア機能が弱いため、外からの刺激に敏感な状態となっています。皮脂の分泌も少ないため皮膚の水分が蒸発しやすく乾燥してしまうといわれています。一方、アレルギー性皮膚炎は、原因物質といわれるアレルゲンにくりかえし接触することで皮膚に炎症が起こる症状のことを指しています。アトピー性皮膚炎と混同しやすいですが、複合的な要素が絡み合って原因が単純なものではないアトピーと違って、アレルギー性皮膚炎は、アレルギーの原因となっている刺激を排除してしまえば比較的治療しやすいといわれています。症状として現れる湿疹は、アトピー性皮膚炎と似ているために、見た目だけではどちらの症状であるかを判断することは難しいです。アレルギー性皮膚炎とはアレルギー性皮膚炎の原因はさまざまで、しかも人によって原因物質は異なります。毒性のあるものや刺激物が原因物質としてあげられます。多く見られるものには、植物があり、うるし銀杏アロエなどにアレルギー反応があることが知られています。女性は、アクセサリーなどの金属と触れていることが多いため、金属アレルギーを持つ人が多いといわれています。金属アレルギーが重症化すると手のひらや足の裏にも症状が出ることがあり、小銭などの金属にも反応してしまうこともあります。その他にも、化粧品やシャンプーなどの化学成分下着やマフラーなどの繊維湿布や軟膏などの外用薬が原因となることもあります。アレルギーの原因となる物質に接触すると、触れた部分が赤くブツブツとした紅斑(こうはん)になる、皮膚が盛り上る湿疹の丘疹(きゅうしん)が出る、水ぶくれである水疱(すいほう)になります。「かぶれ」と呼ばれる症状です。かゆみや痛みがある場合があります。アトピー性皮膚炎とは強いかゆみや湿疹があることが多く、特に乳幼児に発症しやすい病気です。近年では大人にもアトピーの症状を持つ人が増えています。アトピーの原因はさまざまあり、生まれつきの体質や環境食べ物不規則な生活習慣などが関係していると考えられています。治療法が確立されていないためによくなったかに見えても、再び症状が悪化することがあり、症状のくりかえしが特徴として見られ、悩まされている人が多い病気です。アトピー性皮膚炎の症状額や目や口の周り、体幹などにかゆみのある湿疹がよく見られます。乳児の場合は、最初に湿疹が頭部に現れて、だんだんと下の方へ移っていき、四肢関節に湿疹が出てくるようになります。幼少期では、頸部、関節に多く湿疹が出てくるといわれます。成人の場合は、上半身に頻発することが多くなります。アトピー性皮膚炎の原因と対処法アトピー性皮膚炎の原因には、食べ物よりもハウスダストやダニ、カビなどが原因となることが多いと考えられています。ダニが棲みつきやすいといわれるじゅうたんやカーペットを減らすことが有効です。また、ダニは湿度が55%以上になると繁殖しやすくなるため、湿度を下げるダニのエサとなる食べこぼしの始末定期的に部屋の掃除こまめに布団を乾燥させる部屋の空気を入れ替えるをするようにしましょう。アトピー性皮膚炎のケアは保湿が大切アトピー性皮膚炎の治療の目標は、症状を上手くコントロールしていくということが大切です。そのためには、薬を使用して湿疹やかゆみの症状を抑えましょう。皮膚のバリア機能が弱い状態なので刺激物が症状を悪化させやすくします。日常的にスキンケアをしっかりと行ってください。スキンケアでは、おもに保湿に重点を置いてください。セラミドヒアルロン酸コラーゲンなどの保湿成分が有効でしょう。また、炎症がひどい場合は、軟膏類や乾燥している部分にクリーム類を使用することをおすすめします。紫外線によりアトピーを悪化させやすくなるため、外出の際は日焼け止めなどで対処しましょう。監修:大利昌久
2017年11月06日アレルギーにより湿疹が引き起こされる場合、どのようなメカニズムで発症するのかを理解しておくと、いざというときに対処ができます。ここでは、湿疹とアレルギーについて見てみましょう。アレルギーによる湿疹とは湿疹を発症させるアレルギーには以下のものがあります。食物アレルギーアレルギーによる湿疹でよく見られるのが、食物アレルギーです。アレルゲンとされる特定の食べ物で、湿疹が発症されるとされています。アレルゲンとなる可能性がある食べ物は非常に数が多いので、どれが自分にとってアレルゲンになるのか問うのがわからないことが多いです。また、食物アレルギーの場合は、皮膚症状として湿疹だけにとどまらないことも多く、じんましんや血管性浮腫、発赤などの症状がでたり、目やのど、呼吸器系などの異常が引き起こされたりすることがあります。接触アレルギー接触アレルギーの場合は、主に皮膚に現れるアレルギーとして知られています。皮膚にアレルゲンが接触することによって、皮膚に湿疹などの異常が引き起こされることがあります。軽い接触アレルギーの場合、触れた部分だけに異常が起こりますが、アレルギーの反応によっては、接触した部分以外にも症状が進行してしまうこともあるため注意が必要です。アレルギーによる湿疹のメカニズムアレルギーが引き起こされるメカニズムについて解説します。防御反応人の身体は、外部からの異物に対しての防御機構を有しています。異物が体内に侵入すると、血液中の白血球などの細胞がその異物を除去しようと活動を始めます。このため、なにか異物がはいりこんだとしても、すぐに異常をきたすというわけではありません。そして、一度異物を排除すると、その異物に対して記憶しており、次回侵入したときには、最初の侵入に比べてより早く対処できるようになっています。これを免疫と呼びます。アレルギーというのは、この免疫反応に異常が起こったときに引き起こされるといわれています。抗体が過剰に反応するアレルギーは、異物に対して必要以上に反応を起こしてしまうことが原因で引き起こされるようです。アレルギーの原因であるアレルゲンが体内に入ると、特異的IgEを経由してアレルギー反応が引き起こされます。さらに、アナフィラキシーショック症状が引き起こされた場合は、一度症状が現れなくなった後に、再び発症するといわれています。アレルギー反応はあくまでも、異物が入ったときだけに反応するので、アレルゲンを体内に取り込んだり、皮膚に触れたりしない限りは、アレルギー症状は発症しないとされています。アレルギーによる湿疹の治療アレルギーによる湿疹の治療法を見ていきましょう。アレルゲンを特定するアレルギーに対する治療を行っていくためには、アレルギーを引き起こしているアレルゲンを特定する必要があります。アレルゲンを特定するためには、血液検査によって血中の特異的IgE抗体がどれくらいあるのかを調べるという方法が行われます。そのほかの方法としては、実際に食べ物で検査を行う食物検査や、皮膚にアレルゲンの可能性のある物質を付着させるパッチテストなどによって、アレルゲンを見極めていきます。ただし、これらの検査は、あくまでもアレルゲンを探す検査です。見極めたアレルゲンが、必ず湿疹の原因だという事は決めつけることができません。アレルゲンを同定してからさらに検査をしていくことで原因を特定できるとされています。できるだけアレルゲンを避けるアレルギーを根本的に治療するのは非常に難しいことです。そのため、対症療法がメインの治療となります。抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬などを投与して、アレルギーによる症状を緩和させていく薬物療法を行っていくことが多いです。そして、症状が緩和された後は、できるかぎりアレルゲンを摂取したり、触れないように予防したりしていくことが重要だとされています。日ごろから気をつけたいこと検査や治療によって、自身の湿疹の原因となっているアレルゲンが同定されているのであれば、そのアレルゲンからできるだけ避けて生活していくことによって、症状を予防することができます。たとえば、軽度の食物アレルギーであり、それが普段から食べたり飲んだりしているものであれば、徐々に摂取量を減らしていって、症状が出ない摂取量を見極めることも必要かもしれません。また、生活や仕事に支障をきたすレベルであるのであれば、アレルギーの出ないような生活、および仕事に変えていく必要があります。家族や職場での理解が必要になるため、しっかりと相談をしてよい方法を探していくようにしましょう。監修:大利昌久
2017年10月24日■意味のない検査、追加していませんか?医師として健康診断や人間ドックを担当していると、つくづく「意味のない検査を受けている人が多いなあ」と感じます。「えっ、気づいたなら教えてよ!」って思いますか?実は、検査項目は医師が決めているのではなく、会社の健康保険組合が決めていることが多いのです。意味のない検査のわかりやすい例としては、毎年の健康診断で血液型を調べること。そんな検査をしている会社、けっこうあります。血液型は、生まれてから通常、途中で変わることはありません。検査代も安くはないので、何度も調べるのは無駄だと思うのですが……なぜ毎年検査しているのか理由はよくわかりません。ほかにも、年齢や症状に関係なく全員に腫瘍マーカーを受けさせる、40歳や50歳といった「節目の年」に頭のMRIを受けさせる、という会社もあります。実は、症状がない人への全身PET、腫瘍マーカー、頭部MRIは「推奨されない検査」の代表例です。■どんな検査も病気を100%診断できるとは限らない検査は多い方が安心だと思っている人や、検査で100%病気が発見できると思っている人は驚くかもしれませんが、検査にはメリットだけでなくデメリットもあります。代表的なのが、偽陽性(ぎようせい)の問題です。 偽陽性とは、「病気でない人が検査で異常と診断される確率」で、健康診断や人間ドックでは、この偽陽性が一般の方が思うよりずっと多いのです。例として、「1万人にひとりがかかるガンの検査」を受けるとします。 この検査の信頼性(病気をただしく陽性と判断する確率)は99%と言われました。あなたが検査で「異常あり」だった場合、ガンである確率はどのくらいでしょうか?実は、たったの0.98%しかありません。前回のコラム「医師が教える、乳がん検診のデメリット」でも乳がん検診の偽陽性について書きましたが、「要精密検査」「要再検査」と言われたら不安になる人が多いのではないでしょうか。多い方が安心だからと、やたらと検査を追加するのは、もしかすると余計な不安を抱えることになるかもしれません。■腫瘍マーカーによるガンの早期発見は難しいこともよくオプションで追加される検査に、血液を使って調べる「腫瘍マーカー」があります。もともと腫瘍マーカーは癌の診断や、治療の有効性を知るための検査として使われていました。病院では患者さんの症状や診察の所見から、「この人はガンの可能性が高い」と診断した場合に、腫瘍マーカーを検査することがあります。しかし、健康な人を対象にする健康診断や人間ドックでは、ガンにかかっている人の割合(有病率)がそもそも低いので、病院で医師がオーダーする検査に比べると偽陽性が多くなります。また、腫瘍マーカーはガン以外の良性の病気や、生活習慣の影響でも上昇します。有名なのが喫煙者でみられるCEAの上昇や、前立腺肥大によるPSAの上昇です。人間ドックを行なう病院の統計では、腫瘍マーカーが上昇している人のうち、本当のガンは1%未満だったそうです。がん診療ガイドラインを見てみると、 「腫瘍マーカー測定は膵癌の診断やフォローアップに勧められるが、早期診断には有用ではない」と書かれています。また、健康保険を使う病院の検査では、「その病気の診断や治療に必要な検査だったのか」がチェックされますが、健康診断や人間ドックが自費であることも、不要な検査が増えやすい原因のひとつです。■検査を受けてどうなりたいのか?病気の原因はさまざまですが、加齢や遺伝などは自分ではどうにもできませんよね。病気にならないようにしたければ、禁煙する、飲酒を適量にする、運動するなど、生活習慣のうち「自分でコントロールできる病気のリスクを下げる」ことが一番です。検査を受けることで生活習慣を見直すきっかけになるのであれば、まだいいと思います。しかし、検査で異常が見つかっても、必要な治療を受ける気や、生活習慣を改善する気がまったくないのであれば、症状がないのに多くの検査を受けるのはおすすめしません。最後に、皆さんに知っていただきたいのが「Choosing Wisely」という活動です。Choosing Wisely(賢く選ぼう)とは、世界的に広がっている、「過剰な医療」をやめようというキャンペーン。アメリカのChoosing Wiselyサイトには400以上の「不要な検査・治療」が紹介されています。日本はがん検診の受診率が低い一方で、健康な人のCTやMRIの検査が多い傾向にあります。検査は多ければいいとは限らないことは知っておくといいと思います。
2017年08月03日ソイチェック、DNA検査、腸内チェックなどなど、最近よく目にする「体チェック」。郵送の検査キットを用いて自宅で簡単に行える手軽さと、病院と同等の精度の高さが魅力で、自分の体のことをもっとよく知るために、利用する人が増えてきているのだとか。今回は普通の健康診断よりも詳細に、気になる部分をピンポイントで検査できるおすすめの検査キットをご紹介します!アンチエイジングの敵!? 体のサビ具合をチェック!Photo by カラダチェック体のサビつきとは、活性酸素によって体が酸化してしまう現象のこと。過剰な活性酸素は、体内の細胞や組織をサビつかせる8-OHdGという物質に変わり、老化を早めたり、生活習慣病を招く要因になってしまうのだとか。そんな8-OHdGを尿検査で測定し、体のサビつき度を手軽に判定できるのがカラダチェックの「サビチェック」。活性酸素を過剰に増やす原因はさまざまで、紫外線、激しい運動、ストレス、不規則な生活、喫煙、アルコールなどなど。自分の体のサビつき具合を知ることでピッタリの対策法も見えてくるそうなので、気になる方は、ぜひ一度調べてはみてはいかかでしょう?あなたのダイエット方法、間違っていませんか?Photo by GeneLifeGeneLifeの「肥満遺伝子検査キット」は、遺伝子を調べることによって自分の肥満タイプや太りやすい要因が分かる検査キット。日本人の肥満タイプは大きく4つに分かれていて、糖質の代謝が苦手な人や脂質の代謝が苦手な人など、それぞれに異なっているのだとか。検査方法は、綿棒のような採取棒で頬の内側をこするだけなので、とっても簡単。自分の体質をよく知ることで、最適なダイエット方法も分かるため「なかなかダイエットの効果が出ない」「自分に合ったダイエット方が分からない」という方におすすめです。大豆パワーの恩恵を受けられていますか?Photo by カラダチェック女性の健康と美容をサポートする成分として知られる大豆イソフラボン。しかし、最近の研究で大豆イソフラボンの効果を得られやすい人とそうでない人がいることが分かってきたのだそう。そのカギを握っているのが「エクオール」という成分。大豆イソフラボンを腸内でエクオールに変換できる人が大豆の力の恩恵を効率良く受けられるのだそうですが、自分でエクオールをつくれるのは、日本人の約半分。カラダチェックの「ソイチェック」では、エクオールがつくれているかを尿検査で簡単にチェック。さらに、どれくらいの量がつくられているのかを数字と5段階のレベルで判定してくれます。祖先のルーツを辿って、知らなかった自分を発見!Photo by マイコード遺伝子から、10〜20万年以上続く自分の祖先のルーツを知ることができるのがマイコードの「DISCOVERY」。大きく10タイプに分類された祖先の系統から、肌質、体型、虫歯のできやすさなど、生まれながらに持った自分の体質を知ることができます。そんな全21種類の項目のなかには「85歳以上まで長生きできる可能は?」なんていうものも。唾液を専用の容器に入れて送るだけなので、興味を持った方はぜひ!遺伝子であなたに最適なエクササイズ方法がみつかる!?Photo by ハーセリーズ・インターナショナル「DNA EXERCISE」で分かるのは、自分の潜在運動能力。3種類のスポーツ遺伝子を調べることで、どんな運動競技が自分の力を最大限発揮できるのか?筋肉のタイプは?自分に有効なエクササイズ方法は?といったことが見えてくるのだとか。具体的なトレーニングアドバイスも載っているそうなので、「ジムに通っているけど、なかなか効果を感じられない」といった方にもおすすめ。今まで知らなかったスポーツに関する自分の才能を知ることができるのも、興味深いですよね。知っているようで、知らない自分の体のこと。流行の美容法や健康法も良いけれど、せっかくやるなら効果を実感したいですよね。自分の体をよく知ることこそが、美容や健康のための近道!どの検査もお手軽なので、ぜひチャンレジしてみてくださいね。
2017年03月25日花粉症などアレルギーを持つ人は多いですよね。もし彼がアレルギー持ちの場合は、バレンタインにあげるギフトにも気をつけなければいけません。今回は、アレルギー持ちの彼とバレンタイン症候群についてお話します。知らないことがあるのは当然彼氏と同棲し始めたばかりのKさんは、バレンタインに手作りのケーキ(生クリーム+イチゴ)をあげることにしました。イチゴがたっぷり入ったハート型のケーキです。彼氏はとても喜んで嬉しそうに食べ進めましたが、実はイチゴのアレルギー持ちでした…。せっかく作ってくれたのだから、とアレルギーだということは言わずに食べてくれたのです。でも、やっぱり口の中や喉がかゆくなってしまい全部は食べられませんでした。一見するとラブラブなエピソードですが、一歩間違えば大変なことになっていたかもしれません。同棲している、付き合っているとは言え、お互いの全てを知っているとは限らないということですね。バレンタイン症候群バレンタイン症候群は、バレンタインの直後に患者さんが急に増えることを指します。主に内科、耳鼻科、皮膚科で起こる現象のようです。バレンタインと言えばチョコレートですが、実は体のかゆみや頭痛などの体調不良の原因となる成分が含まれています。中でも有名なのは「ニッケル」と「チラミン」。・ニッケル金属アレルギーの人がチョコを食べて症状が出てしまう原因。チョコにはニッケルという金属が多く含まれています。・チラミン血管の収縮を起こす成分です。血管の収縮を引き起こし、その効果が切れると一気に血液が流れ、蕁麻疹や頭痛、鼻血などの症状が出ることがあります。いずれも大量に食べたときに症状が出ることが多いようなので、気をつけて下さいね。卵や牛乳などの食物アレルギーを持つ人のために、アレルギー対応のバレンタインギフトやレシピもあります。サプライズであげたいという女性も多いと思いますが、アレルギーだけはきちんと確認した方が良さそうです。
2017年02月09日発達検査とは?出典 : 発達検査とは、子どもの心身の発達の度合いを調べる検査のことです。検査結果から子どもの発達の特徴が分かったり、普段の接し方のヒントを得ることができたりと、子どもの育ちに関する参考情報を得ることができます。発達の遅れや凸凹からくる困難に応じて子どもをサポートする療育支援なども、発達検査の結果をもとに計画を立てられることが多いです。一般的には、幼稚園や保育園などの教育機関で発達の遅れがあることを指摘されたり、乳幼児健診や医療機関にかかった際に、検査をすすめられることが多いです。もちろん、家庭での様子から、子育て支援センターなどの相談機関に問い合わせて検査を受ける方もいらっしゃいます。発達検査は発達障害の確定診断を行う検査ではありません。発達障害の確定診断に際しては、生育歴や行動観察などの臨床診断と、発達検査・知能検査などの専門診断の結果を経て、総合的に診断されます。よって、発達検査の結果のみで発達障害だと診断されることはありません。確定診断の判断要素として発達検査の結果を参考にしています。発達検査にはさまざまな種類が存在していることから、検査ごとに検査結果の表現方法や評価の仕方が異なります。さらに医師や医療機関ごとに取り扱っている検査も異なるため、受けたい検査がある場合は、お近くの受診機関が対応しているかどうかを事前に問い合わせるとよいでしょう。ここでは発達検査に最も使用されている「新版K式発達検査」と「乳幼児精神発達診断法」について、主に紹介していきます。発達検査って具体的にどんな検査をするの?出典 : 発達検査にはさまざまな種類があります。・新版K式発達検査・乳幼児精神発達診断法・日本版Bayley-III乳幼児発達検査・ASQ-3・KID乳幼児発達スケール・ブラゼルトン新生児行動評価法・日本版デンバー式発達スクリーニング検査など、多種多様な検査があります。この中でも現在、日本で使用されることが多い検査は「新版K式発達検査」と「乳幼児精神発達診断法」です。年齢において一般的と考えられる行動や反応と、対象児者の行動や反応が合致するかどうかを評価する検査です。検査は、「姿勢・運動」(P-M)、「認知・適応」(C-A)、「言語・社会」(L-S)の3領域について評価されます。なお、3歳以上では「認知・適応」面、「言語・社会」面の検査に重点が置かれます。検査結果としては、この3領域の「発達指数」と「発達年齢」が分かります。また乳幼児向けの検査用具には、振ると音が鳴るガラガラや積木、ミニカーといった乳幼児にとってなじみのある材料が使われています。このような検査用具を使うことによって、子どもの自然な行動が観察しやすい検査となっています。検査者は検査結果だけでなく、言語反応、感情、動作、情緒などの反応も記録し、総合的に判断します。■適用年齢:生後100日後から成人■時間:約15~60分程度■形式:1対1(検査者と被検査者)の個別式検査■料金:公的病院でおおよそ840円(保険診療・3割負担の場合)乳幼児精神発達診断法は、上記と同様に年齢と発達の度合いの比較を行い、実際の年齢とどのくらい差があるかを評価する検査です。新版K式発達検査と異なる点は、面接者が保護者に対して子どもの様子を個別に面接し、各項目について尋ねることで行われる点です。乳幼児精神発達診断法では検査した項目と月年齢を軸にした図である「発達プロフィール」を作成します。子どもに直接検査を実施する方法に比べて、子どもの状態や障害に左右されることがなく、普段の生活の状況に基づいて判断されることになります。なお「津守・稲毛式乳幼児精神発達診断法」と「遠城寺式乳幼児精神発達検査」のふたつがありますので、追って説明していきます。■津守・稲毛式乳幼児精神発達診断法「運動」「探索」「社会」「生活習慣」「言語」の5領域の438の質問項目から構成されています。適用年齢別に「1~12か月まで」「1~3歳まで」「3~7歳まで」の3種類の質問紙を用いて検査・面接を行います。なお5領域ごとに「発達年齢」が算出されます。・適用年齢:生後1ヶ月から7歳まで・時間:約20分程度・形式:母親など子どもの養育者に個別面接■遠城寺式乳幼児精神発達診断法「運動」「社会性」「理解・言語」の3領域6の質問項目から構成されています。0歳0ヶ月から検査を受けることができます。・適用年齢:0歳0ヶ月~4歳8ヶ月まで・時間:約15分程度・形式:母親など子どもの養育者に個別面接国立特別支援教育総合研究所発達検査の結果から分かること出典 : 発達検査の検査結果から子どもの発達の度合いが示された「発達プロフィール」と「発達年齢」「発達指数」などの数値結果を知ることができます。発達検査の中でも乳幼児精神発達診断法では検査項目と月年齢を軸にした「発達プロフィール」が作成されます。発達プロフィールは下記の例のように折れ線グラフのように記され、このプロフィールの発達の全般的な遅れや、発達障害の特徴を把握することが可能です。発達障害がある子どもの場合は、一定のプロフィールパターンがあることから診断の参考に使用されています。発達検査の中でも、乳幼児精神発達診断法では検査項目と月年齢を軸にした「発達プロフィール」が作成されます。発達プロフィールは折れ線グラフのように記され、発達の全般的な遅れや、発達障害の特徴を把握することが可能です。発達障害がある子どもの場合は、一定のプロフィールパターンが見られる傾向があることから、診断の参考に使用されています。また津守・稲毛式乳幼児精神発達診断法では「発達年齢」が分かります。新版K式発達検査では「発達指数」と「発達年齢」の2つの数値結果が分かります。「発達指数(Developmental Quotient:DQ)」は認知面・社会性・運動面などのいくつかの観点から発達の度合いを示していて、「発達年齢(Developmental Age:DA)」は、検査を受けた方の精神年齢を示すものです。のちにADHD(注意欠陥・多動性障害)と診断された3歳2カ月の女の子の検査結果の例です。次女の検査結果は次の通りでした。(1)「姿勢・運動領域」発達指数:96(発達年齢:3歳1ヶ月)(2)「認知・適応領域」発達指数:101(発達年齢:3歳3ヶ月)(3)「言語・社会領域」発達指数:75(発達年齢:2歳5ヶ月)(4)「全領域」発達指数:88(発達年齢:2歳10ヶ月)結果は、検査時点での発達状況を換算した『発達年齢』と、生活年齢と『発達年齢』との比率である『発達指数』で表されます。『発達指数』は、その年齢の平均を100で表されますが、実際にはある程度幅があるそうです。各項目ごとに発達指数と発達年齢が分かります。しかし、これらの数値が分かっても具体的に家庭や学校などで、どのような配慮や療育、学習を行えばいいのか分かりませんよね。そのような具体的な接し方などを示してくれるのが「検査報告書」です。発達検査には検査後にやるべきことを示してくれる「検査報告書」というものを受け取ることができます。「検査報告書」を依頼すると1. 検査結果の数値2. 検査結果からいえること3. 日常生活上配慮していただきたいことなどが記載された報告書を作成してもらえます。子どもに対して、日常的にどのような配慮をしたり、療育支援を行っていくのが良いかの参考となるでしょう。無料で「検査報告書」を発行してくれる機関もありますが、有料で発行している機関もあります。検査形態や「検査報告書」の費用は機関によって異なりますので、詳しくは受診する病院への問い合わせが必要です。「数値結果」欄は「発達年齢」や「発達指数」の数値が記載されています。「検査結果から言えること」欄では、発達の遅れの度合いや理由が下記のように詳しく記載されています。検査者が言った数字を同じ順番で繰り返す課題では、1つの数字を繰り返すことが限界である様子が見られています。このように、相手からことばのみで働きかけられる状況では、検査者のことばに注目を向けること自体が難しい、または「何が求められているのか」がわからないと考えられます。「日常生活上配慮していただきたいこと」欄も、下記のように記載されています。大人が見ている物に(次女)さんの注目を向けて貰うのではなく、(次女)さん自身が”今・現在””その時に”目にしているものや耳にしているもの、手に取っているものなどに対して、「◯◯があったね」「◯◯と聞こえるね」というように要点をまとめた簡潔なことばをつけていく。このように、大人に関心を合わせてもらうのではなく、(次女)さん自身が関心を向けている物に大人が寄り添い、ことばをかけていくことで(次女)さんにとって、把握しやすく、覚えやすい状況となるよう意識していく。発達検査と一緒に知能検査を受けるように言われたけど、なぜ?出典 : 場合によっては、発達検査と知能検査の両方を受けることを勧められる場合もあります。発達の遅れと知能の遅れの両方が疑われている場合など、子どもの発達を多角的に捉えるために使用されます。また医師による発達障害の確定診断を行う際の参考情報として、またその人に合った支援や学習指導の方向性のヒントを得ることを目的として、発達検査と知能検査などの結果は使用されます。現在日本でよく使用されているのは新版K式発達検査、ウェクスラー知能検査、田中ビネー知能検査、K-ABC知能検査などです。では、発達検査と知能検査の具体的な違いはなんでしょうか。知能検査は、知能を精神年齢、IQ(知能指数)、知能偏差値によって測定するための検査です。これに対して発達検査は、被検査者の精神年齢を示す発達年齢(DA)と、認知面・社会性・運動面などのいくつかの観点から発達の度合いである発達指数(DQ)を調べます。要するに知能検査は子どもの知能がどのくらいあるのかを計測し、発達検査は年齢と発達年齢の差がどのくらいあるのかを計測する検査なのです。子どもに発達障害がある場合は、乳幼児期からその兆候となるような特徴が表出することが多いです。しかし、発達初期の乳幼児の発達状態を、通常の知能検査によってとらえることは困難だと考えられています。なぜならば乳幼児は心理的、身体・運動的、社会的側面の発達が十分でないため、知能のみを検査によって測定することは難しいからです。発達検査の適用年齢は早いもので0歳0カ月から設定されており、乳幼児期から検査を行うことができます。これに対して知能検査の適用年齢はおよそ2歳から設定されています。両者とも、発達障害の確定診断や、その子の療養支援に役立てるために利用されますが、受検可能な年齢に違いがあることに注意しましょう。なお、どんな場合にどんな検査が適切であるかどうかの判断基準は、専門家の判断によります。発達検査と知能検査のどちらを受けるべきか、まずは専門機関に相談して判断しましょう。発達検査を受ける前にまずは専門機関で相談を!出典 : お子さんやご自身の発達検査の受診を検討する際は、まずはお住まいの地域にある身近な相談窓口に行くといいでしょう。事前に予約が必要な機関もありますので、相談機関に問い合わせてみてください。また、子どもか大人かによって、行くべき相談機関が違うので、以下を参考にしてみてください。【子どもの場合】・保健センター・子育て支援センター・児童相談所・発達障害者支援センターなど【大人の場合】・発達障害者支援センター・障害者就業・生活支援センター・相談支援事業所など自宅の近くに相談機関がない場合には、電話で相談できる場合もあります。発達検査や知能検査は、公的病院や民間病院で受けることができます。精神科や臨床心理士による検査が受けられる病院を受診するといいでしょう。「児童発達支援センター」などで受けることもできます。発達検査の受け方、費用は、検査内容や病院によって異なります。また診断書もしくは報告書を書いてもらう場合には、別途料金がかかります。こちらの料金は病院ごとに異なりますので、直接病院に問い合わせてみてください。一方、個人のクリニックや診療所で検査を受ける場合には、すべて自費での診療となります。検査は基本的に誰でも受けることができますが、特に発達に関して気になる点がないと医師が判断した場合は自費となります。こちらの料金設定も各病院ごとに設定されていますので、受診する病院に問い合わせてみてください。発達検査の結果を受けて、専門機関で確定診断を受けたい場合は発達検査を受けた機関に問い合わせるか、もしくは改めて相談機関(保健センター、子育て支援センターなど)に問い合わせてみてください。発達障害の診断はなくても療育は受られるの?出典 : 発達障害の確定診断がなくても、子どもに対して何らかの療育支援の必要性が認められた場合には、児童福祉法に基づく児童発達支援を受けることができます。児童発達支援は障害児通所支援の一つで、小学校就学前の6歳までの障害のある子どもが主に通い、支援を受けるための施設です。日常生活の自立支援や機能訓練を行ったり、保育園や幼稚園のように遊びや学びの場を提供したりといった、障害のある児童への支援を目的にしています。療育手帳や身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳を持っていなくても、障害児通所給付費支給申請を専門家の意見書などと一緒に提出し、児童発達支援利用の必要が認められれば、受給者証が市町村から発行されます。この受給者証を取得することで通所の申し込みができ、1割負担でサービスを受けることができます。発達検査によって子どもの発達の遅れや凸凹が比較的大きいと分かったけれども、発達障害の確定診断は出なかった、という場合もあります。また、発達検査は受けさせてみたけれど、確定診断を受けに病院で受診させる気持ちにはなれないといった方もおられるでしょう。実際に確定診断を受けるかどうかは、ご家庭ごとの自由な選択です。しかし、診断を受けなくても、子どもの日常生活上の困難さを緩和させるために、早期から療育支援を受けるということ、選択肢として検討してみることをお勧めします。まとめ出典 : 発達検査は、それ自体が発達障害の診断を行うものではなく、確定診断を行う上での判断要素にすることや、発達が気になる方の特性を理解して療育支援などに役立てることが目的の検査です。発達検査を受けたのちに、専門機関で確定診断を受けるか否かは、自由に選択することができます。また、確定診断を受けなくても、発達の遅れや凸凹による困難を解消するために、療育支援を受けることは可能です。また、発達検査後に発行してもらうことができる「検査報告書」も、子育てや療育のヒントとして活用することができます。発達が気になる点があれば、まずはお近くの専門機関に相談して、発達検査や知能検査を受けてみることをお勧めします。
2016年11月24日息子をよく理解した上で、幼稚園にお願いしていた支援出典 : 現在6歳の息子が、発達障害と診断されたのが3年前。私は息子の育てにくい部分や、幼稚園の先生方のお話などから、息子の苦手な部分、支援が必要な部分について、以下のように把握していました。●言語理解が弱く、指示が伝わりにくい●ワーキングメモリ(短期記憶力)が弱い●気持ちの切り替えが苦手●聞いて理解するよりも、見て理解する方が得意これらのことを踏まえて、幼稚園や習い事などでは、「少ない単語数で簡潔に指示を出さないと、理解ができません」「指示が通らない場合は、絵カードや表などを使って、説明すると理解できます」などの支援をお願いしてきました。ところが、検査を受けて見えてきた特性は出典 : 先日、来年度に迫る就学に向け、息子は発達検査(WISC)を受けました。ところが、WISC検査の結果は、衝撃的なものでした。●「言語理解」は年齢をはるかに上回る値●「ワーキングメモリ」が高い値●「視覚からの情報処理」は低い値このように、私の見立てと全く逆の結果だったのです。支援が必要だ、と考えていた不得意なことは、むしろ息子の得意分野だったという、驚きの結果となりました。自分の子どもなら「似ていて当然」という思い込み出典 : なぜ私はこのように、特性について真逆の思い込みと、支援をしていたのでしょうか。それは、私が「発達障害といっても特性の出方は様々である」という1番大切なポイントを、理解していなかったからだと思います。まず1番最初に考えていたのは、「息子は、自分の子どもなのだから、自分に似た特性を持っているはず」という思い込みでした。私を困らせる息子を見るたびに、「私も小さい頃こうだった」「私も似た特性があった」と、自分の方に寄せて考えていたのです。私にはもともと、聴覚による言語理解に苦手意識があり、いろいろと説明を受けたりしても、ほとんど理解できないままのことが、よくあります。ですから、「息子も当然同じだろう」と思い込んでいたのです。たくさんの情報からも刷り込まれていった、思い込み出典 : また、「ワーキングメモリが弱い」というのは、「発達障害児とは一般的に、ワーキングメモリが弱いものだ」という思い込みがありました。発達障害児への、支援に関する本を読んでいると、必ずといって良いほど「ワーキングメモリの弱さを補うための支援」という項目が、出てくるからです。また、「発達障害児には、数学が得意な子どもが多い」「理系には発達障害の人が多い」というような、インターネット上の情報にも、惑わされていました。息子が「言葉の力が弱い」「国語ができない」という風に思い込んだのは、これが原因だったのです。親の思い込みを払しょくできるのが、発達検査。客観的に子どもを分析するツールとしても出典 : 発達検査というと、数値のアップダウンに翻弄されてしまう、親御さんも多いと思います。現に私も、WISC検査の結果をもらったとき、「全検査IQ」と呼ばれる、総合的なIQ値しか見ていませんでした。でも実は、全検査IQはそれほど大事なことではありません。発達検査の項目ごとの数値を見てみると、その子の得意と苦手が見えてきます。それに応じて、適切な支援の仕方を、考えていくことができます。親は、子どものことをよく見ているようで、実は「一般的な発達障害児の特性」や「自分や配偶者の特性」に判断を引きずられていることがあります。でも、発達検査の結果を見ることで、より客観的に、子どものことを分析できるようになります。つまり、発達検査というのは、子どもを分析するだけでなく、子どもが過ごしやすい環境を、調整するという目的でも、とても大切なものだと言えるのではないでしょうか。
2016年09月08日新版K式発達検査とは?出典 : 新版K式発達検査は、子どもの心身の発達の度合いを調べ、それを療育などの子どもの発達支援に役立てるための検査です。1951年に嶋津峯眞、生澤雅夫らによって、京都市児童院(1931年設立、現・京都市児童福祉センター)で開発されました。最近では、おもに自閉症などの発達障害の診断に使われています。新版K式発達検査の歴史をたどると、1980年に「新版K式発達検査」が刊行されたときの適用年齢は0歳~10歳でしたが、1983年の「新版K式発達検査増補版」では、12歳、13歳までに拡張され、さらに2001年に刊行された「新版K式発達検査2001」では成人までに拡張されていることが分かります。このように、新版K式発達検査は改訂を重ねながら、徐々に適用年齢が拡張されてきています。この記事では、新版K式発達検査2001について紹介していきます(以下、新版K式発達検査と表記します)。発達障害児支援とアセスメントに関するガイドライン国立特別支援教育総合研究所発達検査そもそも「発達検査」とは?「知能検査」との違い出典 : 発達検査は心理検査の一つであり、おもに、乳幼児の発達状態を適切に把握するための判断材料として使われています。発達検査と同じように使われている心理検査に知能検査というものがありますが、発達初期にある乳幼児の発達状態を、通常の知能検査によってとらえることは困難だと考えられています。なぜならば、乳幼児は心理的、身体・運動的、社会的側面の発達が十分でないため、知能のみを検査によって測定することは難しいからです。最近では発達検査や知能検査の検査結果を基に、その人に合った支援や学習指導の方向性のヒントを得ることを目的として、ウェクスラー知能検査や田中ビネー知能検査、KーABC知能検査、新版K式発達検査などが日本でよく使われています。では、知能検査と発達検査の具体的な違いはなんでしょうか。知能検査は、知能を精神年齢、IQ(知能指数)、知能偏差値によって測定するための検査です。これに対して発達検査は、被検査者の精神年齢を示す発達年齢(Developmental Age:DA)と、認知面・社会性・運動面などのいくつかの観点から発達の度合いである発達指数(Developmental Quotient:DQ)を調べ、それを療養に役立てるために行う検査です。なお、どんな場合にどんな検査が適切であるかどうかの判断基準は、検査を実施する機関によって異なる場合が多いです。発達検査と知能検査、どちらを受けるべきか、まずは専門機関に相談して判断しましょう。てんかん情報センター発達検査とは?国立特別支援教育総合研究所発達検査新版K式発達検査の特徴出典 : 新版K式発達検査では、被検査者の発達の状態を、精神発達の全面的な進みや遅れ、バランスの崩れなどさまざまな諸側面においてとらえることができます。検査は、「姿勢・運動」(P-M)、「認知・適応」(C-A)、「言語・社会」(L-S)の3領域について評価されます。なお、3歳以上では「認知・適応」面、「言語・社会」面に重点を置いています。また、乳幼児向けの検査用具には、振ると音が鳴るガラガラや積木、ミニカーといった乳幼児にとってなじみのある材料が使われています。このような検査用具を使うことによって、子どもの自然な行動が観察しやすい検査となっています。検査者は検査結果だけでなく、言語反応、感情、動作、情緒などの反応も記録し、総合的に判断します。新版K式発達検査の対象や実施頻度出典 : ここでは、新版K式発達検査が対象とする年齢の範囲、実施時間や頻度について説明します。■適用年齢の範囲:生後100日から成人新版K式発達検査の適用年齢は成人までとなっています。ただし、知能の発達程度が生活年齢(CA)の何歳に相当するかを示した精神年齢の適用範囲では、14歳、15歳級までとなっています。(生活年齢とは、暦年齢を指します。)なお、どのような発達段階であっても適用可能です。■実施時間:15分~60分程度生活年齢(CA)によって検査用紙が異なるため、実施時間も年齢に応じて異なります■実施頻度:検査結果による検査の結果、とくに発達が遅れていると考えられる子どもの場合は、1回の検査で障害の有無を決めず、検査を受けた後の経過を観察することが必要です。経過観察のための間隔は、1歳未満は1ヵ月以上、1歳~3歳未満は3ヵ月以上、3歳未満は6ヵ月以上、学童期以降は、1年~2年以上あけることが望ましいとされています。経過観察を終えて、再検査する場合が多いようです。発達障害児支援とアセスメントに関するガイドライン国立特別支援教育総合研究所発達検査新版K式発達検査2001の課題と有用性 ─精神遅滞の定義の視点から─新版K式発達検査の検査方法出典 : 新版K式発達検査の検査形式は1対1(検査者と被検査者)の個別式検査です。検査実施の際には、被検査者と検査者は向かい合うのではなく、隣に座ることが原則となっています。新版K式発達検査では、生活年齢(CA)にしたがって、検査用紙が第1葉(よう)から第6葉までの6枚に分かれています。また、検査課題に対し、被検査者が過度に緊張している場合は強要せず、興味や注意が持続させられるよう気を配り、十分に力を発揮できるよう配慮されています。検査では、検査結果だけでなく検査用紙の空白の部分などを利用し、できる限り被検査者を観察した内容を書き留めることが望まれています。『発達障害児支援とアセスメントに関するガイドライン』によると、新版K式発達検査の検査用紙に配置されている検査項目の生活年齢(CA)は以下のようになっています。・第1葉0歳0ヶ月~0歳6ヶ月・第2葉0歳6ヶ月超~1歳0ヶ月未満・第3葉1歳0ヶ月~超3歳0ヶ月未満・第4葉3歳0ヶ月超~6歳6ヶ月未満・第5葉6歳6ヶ月超~14歳0ヶ月未満・第6葉10歳0ヶ月超~成人(第5葉と第6葉は一部重なりがある)実施時間は、検査用紙によって異なります。第1葉は比較的実施時間が短く、第5葉や第6葉は、実施時間が長い場合が多いようです。発達障害児支援とアセスメントに関するガイドライン検査を受ける前にまずは専門機関で相談を出典 : お子さんやご自身の発達検査、または知能検査の受診を検討する際は、まずはお住まいの地域にある身近な相談窓口に行くといいでしょう。事前に予約が必要な機関もありますので、相談機関に問い合わせてみてください。また、子どもか大人かによって、行くべき相談機関が違うので、以下を参考にしてみてください。【子どもの場合】・保健センター・子育て支援センター・児童相談所・発達障害者支援センターなど【大人の場合】・発達障害者支援センター・障害者就業・生活支援センター・相談支援事業所など自宅の近くに相談機関がない場合には、電話での相談をすることができる場合もあります。新版K式発達検査の受検方法・費用など出典 : 発達検査や知能検査は、公的病院や民間病院で受けることができます。精神科や臨床心理士による検査が受けられる病院を受診するといいでしょう。「児童発達支援センター」などで受けることもできます。発達検査や知能検査の受け方、費用は、検査内容や病院によって異なります。総合病院などの公的病院で新版K式発達検査を受ける場合は、保険内診療となり、その際は、診療報酬点数の規定に基づき、負担費用はおおよそ840円(3割負担の場合)となります。また、診断書もしくは報告書を書いてもらう場合には、別途料金がかかります(「検査報告書」については後述の『検査報告書の活用』をご覧ください)。こちらの料金は病院ごとに異なりますので、直接病院に問い合わせてみてください。一方、個人のクリニックなど民間病院で検査を受ける場合には、すべて自費での診療となります。検査は基本的に誰でも受けることができますが、特に発達に関して気になる点がない場合は自費となります。こちらの料金設定も各病院ごとに設定されていますので、受診する病院に問い合わせてみてください。診療報酬点数表サクセス・ベル株式会社医科診療報酬点について日本小児神経学会 「発達障害診療医師名簿」発達評価(アセスメント)について出典 : 新版K式発達検査の発達評価(アセスメント)では、被検査者の生活年齢(CA)に合った行動発達がみられるかどうかを観察することによって、発達が標準的な過程をたどっているかを判断します。たとえば、標準的な発達だと1歳前後で歩行を獲得しますが、同じ年齢で獲得していない場合は標準的な過程をたどっていないと判断されることが多いです。また、新版K式発達検査では、検査用具を子どもがどのように扱うか、あるいは検査者の教えに対して被検査者がどのように応答するかといった点にもとづいて、発達の評価をおこないます。なお、この検査は、乳幼児や児童の精神発達の状態をとらえるための検査であって、発達スクリーニングを目的としているものではありません。発達スクリーニングとは、精密検査を要するものと要しないものとをふるい分けることです。つまり、この検査は発達状態を細かく分析するものではなく、精神発達の全体的な進みや遅れ、バランスなどの全体像をとらえるための検査になります。国立特別支援教育総合研究所発達検査国立特別支援教育総合研究所アセスメントについて発達スクリーニング検査検査報告書の活用出典 : 新版K式発達検査には、検査後にやるべきことを示してくれる「検査報告書」というものがあります。機関によっては、検査後に具体的な数値や詳細を示した「検査報告書」を作成していただけない場合があるようです。よって、確実に具体的な数値や詳細を確認したい場合は「検査報告書」の作成を依頼する必要があります。以下に、実際に「検査報告書」を依頼した例として、発達ナビ『家庭での具体的な配慮が分かる!発達検査の「検査報告書」とは?』の記事から引用させていただきます。検査結果の詳細が知りたいと病院へ伝えたところ、有料(2700円)で「検査報告書」を作成することができると聞き、その作成を依頼しました。「検査報告書」には次の内容が書かれていました。(1)数値結果(2)検査結果から言えること(3)日常生活上配慮していただきたいこと(2)では、各課題での取り組み方と課題の通過・不通過の理由について詳しく記載されていました。例えば「ことばのみの質問では、そもそも相手のことばに注目を向けること自体が難しかったり、注目を向けることはできても”何が求められているか”という課題の意図を把握しきれないと言えます。」といった具合です。ここから、次女への問いかけ・指示を言葉のみで伝えた時に理解するのは難しいということを理解することができました。(3)では、日常生活で必要な具体的配慮が10項目も記載されていました。例えば「働きかける際には、何をすべきか、何か求められているのか、が把握しやすい見る手がかりに簡潔なことばを添える形で示していくよう心がける」などです。それまで次女が私の指示を聞かないことに苛立つ場面も多かったのですが、「本人が理解しやすい方法で伝える」必要があることがわかりました。このように、「検査報告書」を依頼すれば、詳しい検査結果を知ることができます。無料で「検査報告書」を作成してくれる機関もありますが、検査形態や「検査報告書」の費用は機関によって異なりますので、詳しくは受診する病院に問い合わせてみてください。まとめ出典 : 新版K式発達検査は、ウェクスラー知能検査(WISC・WAIS)や田中ビネー知能検査などの知能検査と同様に、その人に合った支援や学習指導の方向性のヒントを得ることを目的としています。検査を受けて診断結果を知るだけではなく、被検査者の得意不得意を見極めて、ひとりひとりに合った困りごとへの対応を心がけることが大切です。なお、検査を受ける機関によって診断方法や費用が異なりますので、受検を検討される方は、相談機関に相談してみてください。発達ナビQ&A新版K式発達検査で1歳ほど発達が遅いという結果が出ました
2016年08月22日