ベビーカレンダーは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により各地で立ち会い出産や面会が制限されているなか、これから出産を迎える方の心の準備としてご覧いただくための出産ドキュメンタリー動画を7月8日(金)に公開しました。 「全く痛くないお産」を目指す「完全計画無痛分娩」での出産に密着!7月8日(金)、ベビーカレンダーは公式YouTubeチャンネルにて、29歳ママの計画無痛分娩での出産に密着したドキュメンタリー動画を公開しました。新型コロナウイルス感染の影響から、現在でも感染予防の観点から面会や立ち会い出産を制限する産院が多くあります。今回は、厳しい感染対策を実施し、家族(パパ、子ども)のみ立ち会いを可能としているレディースクリニックで、パパに見守られながら小さな命が生まれた瞬間を動画におさめました。尊い命が生まれる瞬間を共有することで、これから出産を迎える方や赤ちゃんを産みたいと思っている方の励みになれば幸いです。 今回、「全く痛くないお産」として独自の「完全計画無痛分娩」をおこなう東京都北区王子「スワンレディースクリニック」協力のもと、新型コロナウイルス感染症対策を講じたうえで、1人のママの出産の様子を撮影させていただきました。コロナ禍での妊娠、初めての出産への恐怖心など、さまざまな思いを抱えて挑んだママの出産当日。ずっと近くで寄り添い続けたパパに見守られながら、小さな命が生まれた奇跡のような瞬間をぜひご覧ください。 ▲出産前日、ママの背中にカテーテルを入れるための局所麻酔をおこないます ▲陣痛の痛みがない状態でパパがママの頭を支えて上体をサポート。助産師さんたちの掛け声とともにいきみます 今回密着したのは、「近くに頼れる人がいなかった」「産後の回復が早いと思った」という理由から無痛分娩を選択したご夫婦。「パパに立ち会ってもらいたい」という願いを叶えられることも大きかったと言います。「職場で周りの理解も得やすく、急に生まれるかも……という不安もなかったので、精神的にも安心でした」というパパ。そしてママも、パパがつねに近くにいてくれて「一緒に出産をしている」と思うことができ、最後まで頑張れたと言います。無事にお子さんが生まれた喜びを噛みしめながら、お互いを思い合い、感謝の気持ちを伝え合う姿がありました。 ▲生まれたばかりの愛娘を初めて抱っこするパパ。「こんにちは、お父さんよ」 ▲ずっと寄り添ってくれたパパ。お互いに自然と「ありがとう」の言葉があふれます <東京都 北区王子 スワンレディースクリニック 岩本院長>無痛分娩とは陣痛(陣痛の痛みやストレス)を麻酔の力を使って取り除くことによって、落ち着いてお産に臨んでいただくというのが目的の出産方法です。陣痛が来てから麻酔をして痛みを取り除く方法と、前もって入院・出産をする日を決めて陣痛を計画的に起こし、麻酔を投与する「計画無痛分娩」の2通りがあり、当院では「計画無痛分娩」にてご出産いただいております。今回のお産は、出産前日の入院時の内診初見では子宮口が硬く、比較的お産に時間がかかりましたが、母児ともに元気でご出産されました。ご本人のいきみがじょうずだったので、子宮口が全開になってからはスムーズにお産が進みました。生まれてきた赤ちゃんもとても元気で、本当に安心しました。赤ちゃんの頭が細長くなって生まれてきたのは、赤ちゃんがお母さんの産道に合わせて自分の頭の形をうまく通れるように調整して出てきてくれたからです。お産は本当に赤ちゃんとお母さんの協力作業で、本当に神秘的なものだなといつも感じています。 <ベビーカレンダー編集長 二階堂美和>出産はいつの時代も命がけです。産後のママの体は大きなダメージを負っています。本調子に戻らないうちに慣れない育児に向き合うことで、心も体もまいってしまうケースも少なくありません。コロナ禍で人に気軽に会うこともままならなくなった昨今、その傾向は進んでいるように感じています。そんなコロナ禍の出産で今回のご夫婦が選択したのは全く痛くないお産を目指した「完全無痛分娩」。産後、ママひとりでの育児になるため、少しでも体力を温存できるよう、回復が早いお産を望んだことも理由の一つだそう。コロナ禍で妊娠・出産を躊躇している方にとって今回の分娩方法が新しい選択肢の一つになり、希望に繋がったら……と考え、出産の一部始終に密着させていただきました。Withコロナ時代の新しい出産のカタチをご覧ください。そしてどんな状況でも人は強く、命の誕生は素晴らしいものであることを感じてもらえたら幸いです。 コロナ禍での不安な妊娠生活、初めての出産への恐怖心。いろいろな思いを抱えながらの出産でしたが、きっと同じような気持ちを抱えている方も多くいらっしゃるでしょう。そんな方たちがこの動画をきっかけに、少しでも前向きな気持ちになり、赤ちゃんが生まれることの幸せをいっぱいに感じられますように。
2022年07月13日ホッキョクグマをはじめとする、寒い地域ならではの動物たちと触れ合える、北海道の札幌市円山動物園(以下、円山動物園)。散策しながら、さまざまな動物たちを見ることができる、人気のスポットです。2022年7月現在、円山動物園オフィシャルショップにあるオリジナルグッズが、ネット上で「天才すぎる!」「もはやアートの域では?」「めっちゃ欲しい」と話題になっているのをご存じですか。多くの人々の心をわしづかみにしているのは、円山動物園オフィシャルショップが2021年3月から販売しているオリジナルグッズ『アニマルご祝儀袋』です。こちらのグッズは、同年に円山動物園が70周年を迎えたタイミングで作られたものだといいます。水引の部分は、動物園にゆかりのある動物の顔がデザインされていて、インパクト抜群ですね!発売から1年が経過した2022年7月現在も、たびたびネット上で「かわいい!」と話題になり、グッズを購入する人が多いのだとか。多くのファンの心をわしづかみにしたオリジナルグッズは、どのようにして誕生したのでしょうか。円山動物園の『アニマルご祝儀袋』に反響!制作秘話を聞いてみたグッズの制作秘話について、円山動物園オフィシャルショップの社員に、話をうかがいました!――商品が生まれたキッカケは。まず、円山動物園が70周年を迎えるにあたり、「何かおめでたい商品が作れないか」と思ったのがスタートでした。いろいろとグッズ展開を考える中、さまざまな表現や活用方法で注目され始めていた水引に思い当たり、動物を水引で作れたら面白いのでは…という案が浮上したのがキッカケです。それから、現在お世話になっている『水引工作所』さんに白羽の矢が立ちました。『アニマルご祝儀袋』は、水引で創作活動を行う『水引工作所』に依頼して、実際に作ってもらった商品とのこと。『水引工作所』の作家さんが、一つひとつ丁寧に手作りしているそうです。種類は、オオカミ、ホッキョクグマ、レッサーパンダの3パターンがあります。オオカミホッキョクグマレッサーパンダどれも異なる魅力があって、購入時に迷ってしまいそうですね!たくさんの動物がいる中で、なぜこの3種類を選んだのでしょうか。――この3種類の動物をモチーフにした理由は。どの動物も、本当にそれぞれの魅力がありますので、正直、動物選びはとても迷いました。ですが、円山動物園の70周年を記念する企画でもあったので、「特に人気の高い動物にしよう」と社員で話し合いを重ね、この3種類にしました。さらに、動物グッズとしては未知の商品だったので、極力万人受けする動物を選びました。――ちなみに、一番人気のあるデザインはどれ?本当にどれも人気は拮抗しています。ただ、発売当初は円山動物園でも代表的な動物であるホッキョクグマが、若干抜きん出ていた感じはあります。こうして1年以上経ち、再注目を集めてからは、オオカミもさらに人気が出ています。ただ、残念なのが今年のゴールデンウィーク中にオオカミが亡くなってしまい、現在は円山動物園でオオカミは見られなくなってしまいました。それでも根強いオオカミファンからの愛情をヒシヒシと感じています。円山動物園でも人気を博していたオオカミは、2022年のゴールデンウィーク中に亡くなってしまったものの、根強いファンがグッズを購入していくそうです。園内の動物たちが、多くの人に愛されながら過ごしていることが伝わってくるエピソードですね。70周年記念のオリジナルグッズを作る際に、『アニマルご祝儀袋』以外でボツになった企画があったのか、聞いてみると…。ボツになってはいませんが、当時は商品化まで至らず、温めているものはあります。現在もいくつかシリーズ化や発表、商品展開を待ち構えてるものがあります。2022年7月現在、『アニマルご祝儀袋』のほかにも、素敵なオリジナルグッズを検討中とのこと。次はどんなグッズが誕生するのか、楽しみですね!最後に、grapeの読者に向けてメッセージをもらいました。今回のご祝儀袋をきっかけに、まずは動物園へ行ってみたい、どんなところだろうと興味をもってもらえると嬉しいです。当ショップは動物園が運営しているわけではありませんが、実際に足を運んでくださった方々に少しでも楽しい思い出を残してもらうための1つの要素だと思っています。大人の視点や子供の視点、さまざまな物から、動物園や動物を取り巻く環境に興味をもってもらう入口の1つして、これからも面白いグッズや、その土地ならではの商品づくりを心掛けたいと思っています。『アニマルご祝儀袋』が、これほどまでに多くの人を魅了するのは、作り手側の動物を愛する気持ちや、来園者を喜ばせたいという、熱い思いがこめられているからかもしれませんね。[文・構成/grape編集部]
2022年07月09日【音楽通信】第116回目に登場するのは、唯一無二の歌声をたくさんの人々に届けて、今年デビュー20周年を迎えたシンガー、元(はじめ)ちとせさん!生活にシマ唄と奄美の音楽が根付いていた【音楽通信】vol.1162002年にリリースされたデビュー曲「ワダツミの木」が大ヒットし、その歌声を全国区に響かせ続けデビュー20周年を迎えた、鹿児島県奄美大島出身のシンガー、元ちとせさん。数々の作品を発表するなか、戦後70年となる2015年には、坂本龍一プロデュース曲「死んだ女の子」なども収録された平和への思いを込めたカバーアルバム『平和元年』を発表し、第57回日本レコード大賞『企画賞』を受賞。2018年には自身の原点である「奄美シマ唄」の新録アルバム『元唄〜元ちとせ奄美シマ唄集〜』や、2021年には奄美大島の世界遺産登録を記念した『トコトワ〜奄美セレクションアルバム〜』をリリースするなど、現在も拠点を置く奄美大島や平和への願いを込めた歌をわたしたちに届けてくれています。そんな元さんが、2022年7月6日に、オリジナルアルバム『虹の麓』をリリースされるということで、音楽的なルーツなどを含めて、お話をうかがいました。――あらためまして、小さい頃に音楽に触れたきっかけからお聞かせください。故郷・奄美大島のわたしの育った場所は、まわりに大島紬の織物工場や畑があって、そこで働くおばあちゃんたちが自然とシマ唄を口ずさんでいる環境だったんです。そのため常に生活の中に、シマ唄や奄美の音楽がありました。――元さんが歌われているカタカナを用いる「シマ唄」と、漢字の「島唄」の違いはなんでしょうか。奄美の場合は、シマ唄はカタカナで「シマ」と書く「シマ唄」、アイランドソングという意味ではなく、なわばり=自分たちのシマ(場所)という意味なんです。わたしはずっと「シマ唄」を歌ってきました。――お母さまから三味線を勧められ、小学生のときには自らシマ唄を習い始めたそうですね。お祭りごとがあるときでも、(遠くて)気軽に誰かを呼べるような場所ではなかったので、自分たちが技術を身につけて、歌ったり踊ったりと盛り上げなくてはいけなかったんです。そんなときにシマ唄をみんなで歌って、ちょっと三味線を弾くだけでも、おじいちゃんやおばあちゃんが本当に喜んでくれるので「だったらやりたいな」と思ったのが、さらにシマ唄や三味線に興味を持ち始めたきっかけでした。三味線は、たとえばギターのように楽譜があるものではないので、三味線だけやっていてもレパートリーが増えないと言いますか。歌を覚えれば、歌に合わせて耳で音を探って弾けるので、三味線をもっと弾くためにも、歌を覚えたいと思っていましたね。――高校3年生のときには「奄美民謡大賞」の「民謡大賞」を史上最年少で受賞されています。とにかく歌うことが好きだったんです。その年齢でシマ唄をやっている人も少なかったですし、夢中だったので、たぶん人の倍は練習していたかもしれません。でも、厳しい訓練ということではなく、好きだからひたすら1日中、三味線を弾いて歌っていた結果、その年の大賞をいただけたんだと思います。――2002年2月にシングル「ワダツミの木」でメジャーデビュー、シングルチャートで1位を記録した大ヒット曲ですが、当時のお気持ちは覚えていますか。インディーズのときから歌って、ライブもさせていただいたりしていたので、あまりデビューの重みをわかっていなかったかもしれません。とにかく歌を歌うこと自体が楽しかったですし、自分のオリジナルソングを作り上げていく作業もうれしくて、デビューしたことよりもひたすら歌えることが楽しかったですね。当時は、あまり奄美大島という場所がいまほど認知されていませんでしたし、わたしの苗字の「元」という名前も珍しかったですし、そういう点や変わった歌い方でみなさんが興味を持ってくれたところもあったと思います。――デビュー20周年を迎えられましたね。すごく忙しすぎて20年が過ぎたということでもなく、すごく苦労してつらかったこともなく、とてもいいペースで歌と向き合いながら、この20年を歩いてくることができました。聴いてくださっているみなさんやまわりの方々に支えられての20年です。節目となるデビュー20周年のオリジナルアルバム――2022年7月6日に、5thアルバム『虹の麓』をリリースされます。オリジナルアルバムとしては14年ぶりとなりますね。20周年を節目として、アルバムを作りたかったんです。オリジナル作品は14年ぶりとなりましたが、それはやっぱり上田現さん(デビュー曲「ワダツミの木」ほか数々のプロデュースを担当した音楽家。2008年逝去)を失ったということが大きかったです。ただ、その間に、カバーアルバム『平和元年』やシマ唄集などリリースはしていましたし、歌と離れることなく向き合わせてもらえました。その流れからの20周年に向けて、コロナ禍でこれまで当たり前にできていたことが当たり前にできなくなったこともすごく影響しています。祈りや願いの先に、ちゃんと希望が見えてくる作品を作りたいと思い、初めてご一緒するアーティストやクリエイターの方々にも書いていただいたりしながら曲が集まってきてくれました。――とても意義深いタイミングのアルバムとなったのですね。今回、先行配信シングルも3曲収録されていますが、4月配信の坂本慎太郎さんプロデュース曲「船を待つ」は、海辺でゆったりしているような感覚もあります。最初に曲を聴いてどのような印象を持ちましたか。この曲もそうですが、今回初めてわたしに楽曲提供してくださった方々の曲は、すべてこれまでのわたしの曲にはなかったリズムやシンプルさ、自分では表現したことのなかったような楽曲でした。しかも楽曲提供してくださったシンガーソングライターの方々は、ご自身でも歌われる方々。ご本人が歌っているデモ音源が届いたときに、その人たちの味があって「それをまたわたしがどういうふうに表現できるのかな?」と考えるのは、初めて取り組む作業でしたね。――そういう意味では、新鮮だったのでしょうか。そうですね。坂本さんの「船を待つ」は、シンプルな中に不安と希望という、見えづらい大きな変化のようなことを声にして表現したのですが、すごく難しかったです。――5月配信の長澤知之さん作詞作曲「虹の麓」は、どこかトロピカルなレゲエのリズムがベースとなった曲で、アルバムのタイトル曲でもあります。長澤くんは同じ事務所に所属していて、もともと彼の才能とパワーをずっと感じていて。かわいらしいリズムの中に、力強さや、一歩ずつ歩こうというメッセージを感じたので、そんな思いを表現しながら歌いました。小さい頃、「虹の麓に宝箱がある」と信じて探しに行った自分を思い出したりもして、でもそれって現実には辿り着けないんですが、「前にきっとある」という見えない希望を探していたんですよね。そういう意味でも、希望のあるタイトルだなと思ったので、アルバムにもこのタイトルをつけました。――6月配信の折坂悠太さん作詞作曲「暁の鐘」は、ミュージックビデオに折坂さんもご出演されていますが、語りかけるような歌ですね。この曲は、坂本さんの曲とはまた違いますが、どういう歌い方をすればいいか悩んでいたら、「静かに呟いたりひとりごとを言っているイメージで」というアドバイスを受けたんです。でも、わたしはあまりひとりごとを言わないし、実践するのがすごく難しくて。これまでは遠くにいる人に届くような声を使うことが多かったのですが、この曲ではそばにいる誰かや自分に向けて、何かひとつ言葉を届けているイメージかなと。これもかなり苦戦しました。――元さんが三味線を弾いている、さかいゆうさんプロデュース「KAMA KULA」は、サビの「ラーレンハイヤー ヤーレンサイヤー」というワードも印象的でした。この曲は、ゆうくんがボーカルレコーディングのディレクションもしてくれました。「南の風が、北の大地に迷い込んだイメージなんです」と言われ、もちろん実際に目に見える風景ではないのですが、そのゆうくんの説明が腑に落ちたので、それをイメージしながら歌いました。そして三味線を入れたことで強くてパンチのあるものにもなりましたね。「ラーレンハイヤー ヤーレンサイヤー」は、意味のある言葉ではないんですが、民謡特有のお囃子などにありそうなフレーズということで、ゆうくんとふたりで作りました。――アルバムのラストに入っている「ヨイスラ節」は、奄美地方に古くから伝わるシマ唄のひとつのようですね。このシマ唄が持つメッセージ、そしてアルバムに収録された理由も教えてください。今回のアルバムを作る上では、やっぱりコロナの時代がやってきた影響が大きかったんです。もちろん平和への願いと祈りを1曲ずつに込めているんですが、反戦といったような大きく力強いメッセージを掲げるというわけではなく、コロナで世の中が断絶されて、それでも立ち上がって歩かなきゃいけないという思いと、身近なことで言えば当たり前に会えていた人たちに会えなくなっている、ただ食事に行くようなことがいまはあまりよく思われなくなっていることなど、思うところがあるなかでアルバムを作っていて。「ヨイスラ節」の歌詞の中に「今日(きゅう)ぬほこらしゃや ヨイスラ」と歌っている部分があって、それは「今日は素晴らしい日です」という意味なんです。奄美では《今日(きゅう)ぬほこらしゃや 何時ぃ(いてぃ)ゆりむ勝り何時ぃ(いてぃ)む 今日(きゅう)ぬぐとぅに あらちたぼれ》という、いろんなシマ唄で歌われたり、おじいちゃんやおばあちゃんが孫たちに「幸せになれよ」という意味を込めて、おまじないのようによく使う言葉があるんです。そんな歌詞の意味が、今回のアルバムに込めた思いにもとっても合っているので、この曲を最後に入れました。――ではアルバムがリリースされたあとは、みなさんにどんなふうに聴いてほしいでしょうか。シマ唄もそうですが、最初から歌の意味をすごく理解してやってきたかといえばそうでもなく、ただ大好きな音楽だから歌っていたという部分もあるんです。小さいときから触れていて、心の中の引き出しに入っている歌が、お守りのような存在になっている感覚があって。わたしは“いつも歌のお守りに守られてきた”という思いがあるので、みなさんにとっても、そういうアルバムになってほしいですね。ひとつでも多くのライブをやっていきたい――お話は変わりますが、現在も奄美大島にお住まいということで、2021年7月に奄美大島は世界自然遺産に登録されましたが、何か変化を感じることはありましたか。実は世界自然遺産に登録の4年前にも一度、登録の話が出てきたことがあったのですが、島の人間はみんな「登録されたらどうなるんだろう?」「誰が決めているの?」と、突然のことでよくわかっていなくて。でも、そのときは登録が見送られたんです。その間に、あらためて島のことを島の人たち自身が見つめ直す時間ができて、登録された場合どんなことがあるのか、そのなかでも忘れてはいけないことの確認など話し合いができました。島の人間としてこの4年間はとても貴重な時間でしたし、心構えができた上で「じゃあ登録されたいね」となって、念願叶って登録が決まり、島のみんなでバンザイして喜べたのでよかったです。奄美大島は、人と人との距離が近くて。子どもたちやお年寄りなど年齢問わずみんなで声をかけあって、たとえば一人暮らしのお年寄りの方のおうちに常に訪ねていくなど、まわりの人をいつも気にかけています。常にあったかいものを感じられるのが、奄美大島の魅力ですね。――普段のご様子も教えてください。いまハマっているものはありますか。ゴルフです(笑)。ひたすらウォーキングするだけだとすぐ飽きてしまうんですが、ゴルフはよく歩くスポーツですし、あまり意識しないうちに運動になりますし、年齢を重ねてもやっていけるスポーツだなと。奄美に1ヶ所だけゴルフ場があるんですが、景色もすごくきれいですし、海も見渡せます。――自然に恵まれた場所でいいですね。では、コンディションなどで気をつけていらっしゃることはありますか。喉ですね。ここ1、2年ぐらいでボイストレーニングの先生に出会って。もともと喉はとっても強くて何もしていなかったのですが、年齢を重ねるごとにケアしなければという自覚も出てきて、教わったことをやっています。まだ勉強中ですが、それもすごく楽しいです。――おうちでは何をしていますか?料理をすることが好きですね。――奄美の料理ですか?奄美の料理も作ることはありますが、年中、郷土料理を食べているわけではありませんね(笑)。子どもたちが食べたいというものを作っていて……ハンバーグとか、普通のものを作ります。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。音楽を生で届けることが簡単ではなくなったことを経験して、受け取ってくれる人たちが目の前にいて歌を歌える、ということのありがたさを実感していますね。このアルバムを持って、またこれまでわたしを支えてくれてきた曲も大切にして、ひとつでも多くライブをやりたいです。今後は、7月17日にduo MUSIC EXCHANGEで「Office Augusta 30th MUSIC BATON Vol.8元ちとせ『えにしありて』」、9月25日に横浜赤レンガパーク特設ステージで「Augusta Camp 2022 〜Office Augusta 30th Anniversary〜」に出演します。ぜひ楽しみにしていてほしいですね。取材後記一度聴いたら忘れられない歌声で、魂のこもった数々の歌を世に送りだしてきている、元ちとせさん。ananwebの取材では、デビューしてから20周年というアニバーサリーイヤーを迎えるなかで新作のことから普段のご様子まで、さまざまなお話をしてくださいました。そんな元さんのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみり元ちとせPROFILE1979年1月5日、鹿児島県奄美大島生まれ。2002年、シングル「ワダツミの木」でメジャーデビュー。2012年2月にデビュー10周年を迎え、初のベストアルバム『語り継ぐこと』をリリース。戦後70年となる2015年7月に“忘れない、繰り返さない”というコンセプトのもと、「今こそもう1度、平和を真剣に考える年になってほしい」という平和の思いを込めたニューアルバム『平和元年』をリリースし、 同作にて第57回日本レコード大賞『企画賞』を受賞。2018年に自身の原点である「奄美シマ唄」の新録アルバム『元唄〜元ちとせ奄美シマ唄集〜』を、2019年には同作を国内外の鬼才がリミックスした楽曲を収録したアナログレコード『元唄幽玄〜元ちとせ奄美シマ唄REMIX〜』をリリース。2021年8 月、奄美大島の世界遺産登録を記念して『トコトワ〜奄美セレクションアルバム〜』をリリース。2022年2月、デビューから満20年を迎え、2月2日に奄美大島PRムービーのテーマソングでもある新曲「えにしありて」を配信リリース。4〜6月、アルバムからの先行配信シングル3ヶ月連続リリースを経て、7月6日にオリジナルアルバムとしては実に14年ぶりとなる5枚目のオリジナルアルバム『虹の麓』をリリース。7月17日は東京・duo MUSIC EXCHANGEにて「Office Augusta 30th MUSIC BATON Vol.8元ちとせ『えにしありて』」を開催、9月25日には横浜赤レンガパーク特設ステージにて「Augusta Camp 2022 〜Office Augusta 30th Anniversary〜」に出演する。InformationNew Release『虹の麓』(収録曲)01. 暁の鐘02. 虹の麓03. KAMA KULA(元ちとせ×さかいゆう)04. 漣(さざなみ)の声05. 五坪ほどの土地でも06. 夏雲雀07. 感謝08. あなたの夢で目覚めた朝に09. えにしありて10. 船を待つ11. ヨイスラ節(冥丁REMIX)2022年7月6日発売(通常盤)UMCA-10089(CD)¥3,300(税込)取材、文・かわむらあみり
2022年07月05日【音楽通信】第115回目に登場するのは、今年デビュー3年目を迎えた、スーパー戦隊ヒーローからミス・ワールド日本代表までが集結する、多彩な男女7人組ダンス&ボーカルグループ、GENICのみなさん!デビューからたくましく強く時を経た3年目前列左から金谷鞠杏、西本茉生、宇井優良梨、雨宮翔。後列左から増子敦貴、西澤呈、小池竜暉。【音楽通信】vol.1152019年夏に結成した、男女7人組のダンス&ボーカルグループ、GENIC。2020年1月の「Da-iCE BEST TOUR 2020 -SPECIAL EDITION-」のオープニングアクト出演などを経て、5月にアルバム『GENEX』でメジャーデビュー。以降、コンスタントに楽曲をリリースしています。2021年7月には、コロナ禍により開催できなかった1stツアー「GENIC LIVE TOUR 2021 -GENEX-」を1年半越しに開催。2022年2月には、配信シングル「We Gotta Move」をリリースし、「GENIC LIVE HOUSE TOUR 2022 -We Gotta Move-」と題したライブハウスツアーを行いました。アーティストとしてだけではなく、俳優やモデルなど幅広いジャンルで活動の幅を広げるメンバーもいるGENICが、2022年7月6日に2ndアルバム『Ever Yours』をリリースされるということで、全員にお話をうかがいました。――お名前と、小さい頃に音楽に触れたきっかけや、影響を受けたアーティストなどから教えてください。増子増子敦貴(ましこあつき)、22歳です。小さい頃は『おかあさんといっしょ』(NHK Eテレ)をよく観ていて、テレビと一緒にずっと歌っていましたね。2、3歳の頃は、おばあちゃんの家に遊びに行くことが多くて、おばあちゃんをお客さんに見立ててコンサートをやったりしていました。増子敦貴(ましこあつき)。2000年1月5日、福島県生まれ。舞台やドラマなど幅広い分野で活動中。――増子さんはスーパー戦隊シリーズ『機界戦隊ゼンカイジャー』(2021年 テレビ朝日系)や舞台「『仮面ライダー斬月』 -鎧武外伝-」(2019年)にもご出演されるなど、お子さんにも影響力がありますが、小さい頃はスーパー戦隊シリーズ作品は観ていましたか。そうですね、もともと戦隊モノも好きだった上に、目立ちたがり屋な子どもでした。人前に出たがるタイプで、だからといって学校行事で前に出るまでの積極性はなく(笑)。父の車の中で、昔の歌謡曲を聴くこともありましたね。5歳ぐらいのときに、槇原敬之さんのライブに連れて行ってもらって、ほぼ最前列だったんです。そのとき、槇原さんに指さしをもらって、すごくときめいて。その後も、清水翔太さんのライブに行って衝撃を受けるなど、そうやって幼い頃からライブに行ってステージのすごさを知る環境だったことが、アーティストを目指したきっかけとして大きかったと思います。西澤呈(にしざわじょう)。2003年2月28日、神奈川県生まれ。GENICの楽曲を数多く手掛けている。西澤西澤呈(にしざわじょう)、19歳です。僕は生まれた瞬間からマイクを握っていたというぐらい(笑)、父がミュージシャンで音楽をやっていたので、常に音楽がそばにありました。音楽の道を目指したのも、父の友達が「D’ERLANGER(デランジェ)」というロックバンドをやっていて、そのライブを日本武道館へ観に行ってから「こんなふうにスポットライトを浴びて歌いたい」と思ったからです。それからは洋楽を聴くようになって、マイケル・ジャクソンを好きになって。僕もステージに立って、お客さんに思いを歌で伝えて、みなさんの居心地の良い場所を作ることができればとずっと思っていますね。雨宮翔(あめみやかける)。2001年8月9日、神奈川県生まれ。モデルとしても活動。雨宮雨宮翔(あめみやかける)、20歳です。母が音楽好きで、浜崎あゆみさんや倖田來未さんのライブに僕が2、3歳ぐらいのときからよく連れて行ってもらっていていました。それからは、3、4歳ぐらいのときに山下智久さんに影響を受けて、見よう見まねでカラオケで歌って踊ったのがきっかけで、4歳でダンスも習い始めました。5歳のときには、AAAさんのツアーで踊る「chibikkoAAA」というキッズダンサーをやらせていただくようになって、アーティストという存在をちゃんと認識した6歳ぐらいからはアーティストという職業をやりたいなと感じていました。西本茉生(にしもとまいき)。1998年10月19日、岡山県生まれ。GENICのリーダー。西本西本茉生(にしもとまいき)、23歳です。小さい頃から音楽が好きで、テレビにかじりついて音楽番組をよく観ていた子どもでした。親が運転する車では、その当時テレビに出ていた方たちの歌をジャンルレスにかけていて、ずっと歌っていたようです。影響を受けたのは、高校時代にEXO(エクソ)さんのライブDVDを観たこと。すごくかっこいいなと思って、そこから歌とダンスをやりたいと思ったのが、アーティストを目指したきっかけですね。金谷鞠杏(かねやまりあ)。2001年12月31日、秋田県生まれ。テレビや雑誌、ラジオなどモデルやタレントとしても多数出演。金谷金谷鞠杏(かねやまりあ)、20歳です。母のおなかの中にいるときから、マライア・キャリーやマイケル・ジャクソンなどの音楽を聴かされていたそうで、小さい頃から洋楽を耳コピして、母の運転する車の中で大熱唱していたみたいです(笑)。3、4歳ぐらいのときに、母の友達が運営しているダンススクールに遊びに行ったのがきっかけで習うようになって、そこでは音楽を楽しむためのイベントに出演するための練習をやっていました。小学校6年生のときには「モデルになりたい」と思うようになって、オーディションのために上京したときに、いまの事務所でもあるavexの方にモデルとしてスカウトされて所属して。ただ、もともとダンスをやっていたということと、音楽事務所なので歌もやってみてはと提案されて、5〜6年間レッスンを積む練習生の期間が長かったですね。一度、期間限定グループのメンバーとしてデビューを経験したのですが、プロジェクトが解散になって悔しくて。でも、ダンス&ボーカルグループの夢が諦められなくて、GENICのオーディションを受けていまに至ります。母とは、EXILEさんなどが所属するLDHさんのアーティストのライブに一緒によく行きましたし、E-girlsさんのように歌って踊れるようになりたいなと影響を受けましたね。小池竜暉(こいけりゅうき)。2000年8月11日、群馬県生まれ。GENICの楽曲を数多く手掛けている。小池小池竜暉(こいけりゅうき)、21歳です。田舎育ち特有といいますか、祖父母の家にカラオケがありまして、小さい頃の写真を見るとどれもマイクを持っている写真が多くて。昔から歌うことを身近に感じていました。物心ついたときから親はEXILEさんが大好きで、家ではずっとEXILEさんが流れていて、実際にライブにも行っていました。アーティストを目指したきっかけは、目の前でEXILE ATSUSHIさんの歌声を聴いて、バラードで涙を流す人もいれば明るい曲では楽しくなって「こんなにも歌で人を感動させることができるのか」と感動して。自分も歌を通して、人の心を動かせるようになりたいと思いました。宇井優良梨(ういゆらり)。2004年12月26日、愛知県生まれ。モデルとしても活動。宇井宇井優良梨(ういゆらり)、17歳です。小さい頃から、母が浜崎あゆみさんのことを大好きでよく聴いていた影響で、わたしも好きになりました。アーティストを目指すようになったのも、浜崎さんのステージのパフォーマンスを見て「自分もこんなに人を惹き込めるようなパフォーマンスができたらな」と思ったことがきっかけです。――この7名で2019年にGENICを結成してから、今年で3年目になりますね。西本はい。僕らはデビューのタイミングがコロナ禍と重なってしまい、緊急事態宣言の真っただ中に、Zoomでデビューを発表することになりました。そこから、お客さんの声が聴こえないライブが当たり前という経験をしながら活動してきているので、たくましく強く2年間を過ごせたのかなと思っています。メンバーが書いた手紙のようなニューアルバム――2022年7月6日に、2ndアルバム『Ever Yours』をリリースしますね。あらためてタイトルに込めた意味と、アルバムについてお聞かせください。西澤コロナ禍にリリースしたシングル7曲と新曲5曲がアルバムに入っています。こういった状況下でも、みなさんとの思いをつないでいった手紙のような曲がたくさん入っていて『Ever Yours』という形になりました。コロナ禍に変わってほしい未来を想像して曲や歌詞を書いたり、逆にコロナ禍を一緒に乗り越えようと歌っている曲もあって、「変えたい思い」と「変わらないでいてほしい景色」が詰まったアルバムなので、ぜひ聴いて楽しんでいただけたらと思っています。――新曲のアルバムリード曲「ジリジリSUMMER」は爽快なサマーチューンですね。西澤夏っぽい曲を作りたいと思って、作らせていただきました。金谷今日メンバーが着ているのは「ジリジリSUMMER」の衣装なのですが、ミュージックビデオも作らせていただいて、撮影もしました。この曲は恋愛ソングにも聴こえますが、夏を思い切り楽しもう! という明るい曲でもあって。歌詞に「押しては引く波に急かされて」とあるのですが、恋愛のかけひきにも捉えられますし、すぐに終わってしまう夏という季節を歌っているメッセージにも感じられるので、そういうニュアンスも聴きどころですね。西澤新曲でいうと、(小池)竜暉くんが作ってくれた「夏の聲」という曲は、いままでのGENICにはなかったジャンルの楽曲なので、こちらも推し曲です。――ライブで披露されていて、ファンの方から音源化の声もあったという、男子曲「U&I」と女子曲「My BABY」も収録されていますね。小池「U&I」は(西澤)呈と一緒に作らせていただいたのですが、デモ自体は前からあったものを引っ張り出してきて、「男子の曲にしようか?」と話し合って。歌詞も男性目線の気持ちに軸を置いて、でもファンの方は女性が多いので女性にも理解していただけるような内容に仕上げました。僕らのことを等身大で書いたようなラブソングで、これまではストレートに男性の気持ちを書いた曲はなかったので、こっぱずかしさもありますが(笑)。でも呈がとてもかっこよくサウンドを仕上げてくれたので、そういった面も含めて、GENICにとっても新しい一面をお見せできる楽曲だと思います。――GENICの曲はこの「U&I」のように、メンバーでは時折、小池さんと西澤さんが曲作りも担当されていますね。おふたりで作るときは、どんなふうに制作しているのですか。西澤ふたりで部屋にこもって曲作りをすることもあります。小池やっぱり同じ空間で一緒に曲作りをする良さもありますし、とはいえコロナ禍で、リモートでのやり取りでも曲作りはできるので、どちらの場合でも対応できるようにしていますね。宇井女子曲の「My BABY」は、歌詞を事務所の先輩でもある(ダンス&ボーカルグループのFAKYのメンバー)Lil’ Fang(リル ファング)さんが書いてくださっていて、女の子らしさが詰まっていて。女の子のかわいさ、かっこよさ、セクシーさ、恋愛をするときのちょっとツンデレな感じも入っているんです。そもそも女子曲、男子曲と、男女それぞれの担当曲ができたことも初めてでしたし、なんていうんでしょうかこの、ねっちょりした歌も初めてで……。金谷ねっちょり(笑)!?西澤グルーヴィンなテイストの曲と言いたいようです(笑)。宇井そう(笑)。歌詞の内容もテンポ感も初めて関わる曲なので、歌う側としても、聴いていただく方々も、新鮮だと思います。パフォーマンスをさせていただくときは、女子ふたりなので構成が難しいところもありまして、息が合わないとできない部分も。そういったダンスの難易度やパフォーマンスの細かい部分も注目して見ていただきたいですし、ぜひ女子の空気にひたって、聴いていただけたらと思います。――アルバムの楽曲は聴き手にどんなふうに届いてほしいですか。雨宮最初に呈くんが言ってくれたように、手紙としてこのアルバムを届ける、歌詞ひとつ一つが思いの詰まった楽曲たちになっていますし、僕たちが書いた手紙のような楽曲でもあります。なかでも「ジリジリSUMMER」や「We Gotta Move」はみんなで楽しめる明るい曲ですし、音を流していただくと僕たちとつながっていられるような感覚になれるはず。僕らにとってもみなさんにとっても、大事なアルバムになっているので、思うままに聴いていただきたいですね。――リリース後は、7月から全国ツアー「GENIC LIVE TOUR 2022 -Ever Yours-」ですが、どのようなステージになりますか。増子3rdツアーになるので、やっぱり2ndツアーよりももっとみなさんに成長した姿を見せたいですし、セットリストの打ち合わせも始まっていますね。今回は新曲も交えて披露するので、新しいGENICをお届けできるように、試行錯誤しながら頑張ります。金谷ライブは、これまで地道に小さな会場からやってきたことがグループの糧になっています。いまは制約のあるライブではありますが、そんななかで、ファンのみなさんと一緒に楽しめるツアーになると思います。ファイナルは、9月11日の東京公演Zepp Divercity。ステージに立つ気持ちはライブ会場の大小に関わらないですが、会場が大きくなることは、わたしたちにとっても新しい挑戦でもあって。そこにGENImin(ジェニミン、GENICのファンの名称)のみなさんはもちろん、最近曲を聴いて知ったという新規の方々も来ていただけたらうれしいですね。1stツアーのときは、オープニング曲やライブの合間のつなぎの曲を呈くんが作ってくれたので、またメンバーの意見を出し合いながら、みんなで成功させたいです。夏の全国ツアーを成功させてステップアップする――お話は変わりますが、みなさんがいまハマっているものはありますか。西本僕は海外の方のリアクション動画を観ることにハマっていますね。金谷初耳―!西本外国の方が『ONE PIECE』や『鬼滅の刃』などの日本のアニメ作品を観ながら「Why――!?」と叫んでいたりする動画を観ていると面白いです(笑)。自分がアニメを観ているときはそんなにリアクションできないなあと、外国の方は感情表現豊かなだなあと思って観てしまいますね。雨宮僕は携帯で読めるWEB漫画を見ることですね。WEBで読める『少年ジャンプ+』とか、仕事の空き時間に見ることもあります。宇井わたしはどれを言おうか迷っているんですが……決めました(笑)。お風呂に入るときに、まず湯船の温度を高めにしておいて、さらに湯船に入る前には熱いシャワーを浴びるんですよ。あたたまった状態でお風呂から出て、服は着ないでそのまま部屋の窓を開けて……あ、カーテンは閉めますよ?小池びっくりした(笑)!増子こわいわ〜(笑)。宇井涼しい風にあたりながら、スキンケアをしたり、スチーマーをしたりすることにハマっていますね(笑)。西澤僕は料理ですね。なかでも好物のペペロンチーノ作りにハマっていて、最近乳化させること(油と水を合わせること)がうまくなってきて。唐辛子も熱の入れ具合で辛さが変わってくるので、「この唐辛子は辛いから少しにしておこう」とか、調整するのが楽しいです。小池僕は家で何かをやっている合間の休憩時間に、コーヒーを淹れたり、お茶を点てることにハマっていますね。でもこれはずっと前からやっています。コーヒーだったら、良いところから豆を仕入れて豆を挽いたり。西澤そういえば、お茶がおいしかったなあ。小池一度、呈が家に来たことがあるので、そのときにお抹茶を点てて出したんですよ。――お茶は苦くないですか?小池お抹茶は甘いですね。西本なんで「お」をつけるの(笑)!?増子「お抹茶」なんだね(笑)?小池お抹茶は「お」がつくものだよ、お抹茶なんだよ(笑)!増子僕はハマっていることが多くて、アニメを観るのも好きで、最近は『五等分の花嫁』というアニメをよく観ていますね。五つ子のヒロインが出てくるんですが、なかでも中野三玖というキャラクターが好きなので、三玖が出てくるシーンをよく巻き戻して見返したり(笑)。西本やばいよ(笑)。増子やばくない(笑)。お酒も好きなので、お酒を飲みながら、三玖が出るシーンを観ると最高ですね。あとは激辛の蒙古タンメンが好きなので、ときどき食べたりもします。金谷わたしはふたつあるんです。ひとつめは茶道で、もうひとつはグルテンフリーのお菓子を作ること。茶道は昔やっていて、20歳になったこのタイミングでもう一度茶道を極めたいと思って、以前は裏千家をやっていたのでいまは表千家に変えて違いを楽しんでいます。「テーブル茶道」というラフな茶道もあるので、そこで四季にまつわる茶道のお話を聞いて、マインドを高めることを重要視しているので、穏やかに生きる方法を探しています。グルテンフリーのお菓子作りは、小麦が肌に合わなくて、市販のお菓子だと小麦を使っていないものがかなり限られてしまうので、自分で作ろうと思って。おからパウダーを使って、キャロットケーキを作ることにハマっているので、メンバーにもいつか作って持ってきたいですね。増子作ってほしい。西本食べたいな。――美容にも良さそうですね。女子のおふたりは他にも美容面で気をつけていることや、おすすめのきれいになるコツがあれば教えてください。宇井わたしはむくみやすいので、よくリンパマッサージやツボ押しをしています。YouTubeで調べると、むくみに効くツボや自分でできるマッサージのやり方が出てくるので、その動画を観てやっていますね。でも素手でやると摩擦で肌が傷つくので、クリームをつけてから、マッサージやツボ押しをしてみるとむくみもとれやすくていいですよ。――試してみたくなりますね。金谷さんは「ミス・ワールド2020」日本代表にも選出されましたし、美意識は高いのでしょうか。金谷そんなもう、過去の栄光なので……(笑)。雨宮かっこいい。西本いやぁすごいことだよ。金谷(照れながら)言わないで(笑)。お金も手間もかからない美容法だと、16時間食べ物を口にしないオートファジーというやり方がオススメです。16時間、空腹な状態を続けると、自律神経がリセットされるんですよ。飢餓状態にはなるのですが、そのときに最初にプロテインのものを飲んだり、タンパク質のものを口にしたりすると体に良くて。夜8時以降から翌日の昼12時まで、オートファジーをすると、体内を休ませることができますよ。そうやって体の中から良い状態を作って素の自分を好きになれることが一番いいなと思っていて。作る美ではなく、内側から出る美を目指して、体の食事や腸内環境を整えることが、肌にも良くて痩せやすくなるのかなと感じています。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、リーダーの西本さんから、今後の抱負をお聞かせください。西本まずは夏の全国ツアーを成功させることが、次につながることにもなるので、GENICとしてしっかりとツアーを頑張りたいです。そこからまたステップアップしていって、いろいろと活躍できるグループになりたいですね。取材後記7人それぞれが個性豊かで、これからさらに活躍の場が広がっていきそうなGENICのみなさん。ananwebが取材させていただいた日は、朝から晩までタイトなスケジュールだったにも関わらず、みなさん笑顔で応えていただき、メンバーの仲の良さも伝わってくる和やかな雰囲気でした。そんなGENICのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・安田光優取材、文・かわむらあみりGENICPROFILEavexのDNAを継承する新ダンス&ボーカルグループ育成プロジェクト「a-genic PROJECT」から選ばれた男女7人組。2019年夏、期間限定サバイバルユニットとして「a-nation2019」オープニングアクトなどの活動を経て誕生。同年11月、ストリーミングリリースされたDa-iCE工藤大輝の作詞作曲による初音源「SUN COMES UP」はLINE MUSIC週間ランキング4位を獲得し。12月、ワンマンライブを開催し、本格的に始動した。2020年1月から「Da-iCE BEST TOUR 2020 -SPECIAL EDITION-」のオープニングアクト出演や、全国のショッピングモールを巡る「GENIC Live Circuit 2020」(新型コロナの影響で一部中止)を経て、5月27日にデビューアルバム『GENEX』をリリース。以降、コンスタントに配信シングルをリリース。2021年7月、1stツアー「GENIC LIVE TOUR 2021 -GENEX-」を開催。2022年1月、1stツアーのDVD&Blu-rayをリリース。2月、作詞を小池と西澤が共作した配信シングル「We Gotta Move」をリリースし、「GENIC LIVE HOUSE TOUR 2022 -We Gotta Move-」と題したライブハウスツアーを実施。同年7月6日、2ndアルバム『Ever Yours』をリリース。7月16日から「GENIC LIVE TOUR 2022 -Ever Yours-」と題した全国ツアーを開催する。InformationNew Release『Ever Yours』(収録曲)01. FUTURES02. Shaky Shaky03. ジリジリSUMMER04. Aventure05. Supersonic06. We Gotta Move07. 春うらら08. 夏の聲09. U&I10. My BABY11. まわりみち12. 来たる春2022年7月6日発売*収録曲は全形態共通。*全形態スマプラ対応。(通常盤3形態)AVCD-63324(CD)¥3,300(税込)※トレーディングカード(ソロカット/ランダム封入/全7種)。AVCD-63322/B(CD+DVD)AVCD-63323/B(CD + Blu-ray)¥6,050(税込)※トレーディングカード(ソロカット/ランダム封入/全7種)。(初回生産限定盤2形態)AVCD-63320/B(CD+DVD+グッズ)AVCD-63321/B(CD+Blu-ray+グッズ)¥7,150(税込)※三方背仕様、オリジナルグッズ、ポストカード(集合カット)、トレーディングカード(ソロカット/ランダム封入/全7種)。【映像付き4作 収録内容】※DVD/Blu-ray共通We Gotta Move、Shaky Shaky、まわり道、FUTURES、ジリジリSUMMERGENIC LIVE HOUSE TOUR 2022 -We Gotta Move- 横浜公演収録– Night –HISTORIES、Aventure、FUTURES、夏恋、My BABY、U&I、春うらら、We Gotta Move、Shaky Shaky、まわりみち、FLY– Day -BURNIN’ BURNIN’、READY GO、MOONLIGHT写真・安田光優 取材、文・かわむらあみり
2022年07月01日【音楽通信】第114回目に登場するのは、「別の人の彼女になったよ」がSNS総再生回数2億回を突破し、ドラマ挿入歌も話題のメジャーデビュー10周年を迎えるバンド、wacci(ワッチ)!励まし合いながら少しずつ前に進んできたバンド【音楽通信】vol.114橋口洋平さん、小野裕基さん、因幡始さん、村中慧慈さん、横山祐介さんによる5人組バンド、wacci。2009年12月、橋口さんを中心に結成後、2012年11月、ミニアルバム『ウィークリー・ウィークデイ』でメジャーデビューしました。2018年8月に配信リリースしたシングル「別の人の彼女になったよ」は現在、YouTube総再生回数8,000万回以上、SNS総再生回数が2億回を突破し、日本レコード協会でプラチナ認定されるほど話題に。そんなwacciが、2022年6月15日に両A面シングル「恋だろ/僕らの一歩」をリリースされたということで、ボーカル&ギターの橋口さんにお話をうかがいました。――まずは小さい頃に音楽に触れたきっかけと、影響を受けたアーティストなどから教えてください。幼少時から小学2年生頃までは、習い事としてピアノを習っていました。でも、それほどちゃんとやっていなくて、しっかりと音楽をやり始めたのは高校生からです。友達になった子がアコースティックギターを持って歌を歌っていて、その友達と一緒に路上に出るようになって。だから、歌い始めたのは、高校1年生の時でした。ゆずが流行っていて、路上ライブでは、みんなゆずを演奏していて、僕も歌っていましたね。大学に入ってからは、軽音楽部でいろいろな音楽をやっていて。ジャズ、ファンク、ソウルなどを、管楽器を入れた大所帯で演奏する部活で、1年に4回ぐらいライブがあって、その都度、編成を変えてライブをやっていました。そこからさらにさまざまな音楽を聴いて、ひとりでも演奏してという感じ。そのうち、この先にもしもプロにつながる道があるといいなと思っていました。――今年の11月にデビュー10周年を迎えますね。デビューしてからもなかなか思うように結果が出ないなか、お互いに励まし合いながら、スタッフのみなさんにも支えてもらって、ちょっとずつ前に進んできたバンドです。気がついたら10年経って、早くみなさんに恩返ししたいですね。――そんななかで2018年8月配信の「別の人の彼女になったよ」は、いまは最も反響が大きい楽曲だったと思いますが、バンドにとってもターニングポイントになった楽曲でもありましたか。そうですね、この10年の中ではかなり大きな出来事のひとつだと思います。曲が出て、一人歩きしていって、いろいろな方に聴いていただけたのはすごくうれしかったですし、さらに大きな会場でライブができるようになりたいなと思います。ドラマと映画の主題歌を収録した両A面シングル――2022年6月15日に、両A面シングル「恋だろ/僕らの一歩」をリリースされました。「恋だろ」は、土屋太鳳さん主演、松下洸平さん共演のドラマ『やんごとなき一族』(フジテレビ系 毎週木曜午後10:00)の挿入歌としてお茶の間で親しまれていますね。うれしいことです。オファーをいただいてから、台本も読ませていただいて、ドラマのために書き下ろしました。何曲か提出した中で、この曲が選ばれて。――候補曲の中で「恋だろ」が選ばれたということは、結果的にドラマに一番この曲がフィットしていたということだったのでしょうか。どの曲もストーリーにはフィットさせていたのですが、一番得意分野な曲、wacciらしい1曲だったと思います。実は一番依頼にそっていない曲だったのですが(笑)、当初「場面転換のときに流れる派手な1曲を」と依頼されて、派手な曲を何曲も書いて出した中にそっとしのばせていた曲。でも、僕ららしい、物事の真の部分と向き合っている曲です。ドラマは格差のある恋人同士の話で、お金持ちの彼の家に入って奮闘する彼女に対して、「分不相応」「身の程違い」とかいったような言葉が飛び交うお話だったので、釣り合わない恋というところに何か投げかけられる言葉がないかな、と思ったときにできた曲ですね。――実際にドラマのオンエアを観て、wacciの曲が流れてくるとどのような印象をお持ちになりましたか。ドラマでほっこりしたり、物事の大事な部分とちゃんと向き合わなきゃいけない時間のときに流れてくる感じがあるので、結果的に曲はすごく愛のある使い方をしていただいているなと。いつもドラマを観るのがすごく楽しみです。現場の出演者の方々やスタッフの方々も、はちゃめちゃな展開の中でも、ちょっとゆっくり観ることができる展開のときに「恋だろ」が流れる時間を「wacciタイム」と呼んでくださっていて。ドラマのTwitterでもつぶやいてくださっていたりするので、そういうかたちでもちゃんと届けてくださることがすごくありがたいです。そういった意味ではSNSなどでみなさんのもとへ少しずつ届いている様子がわかったり、僕らのYouTubeでも最近の曲の中では「恋だろ」の再生回数が一番増えているので、ドラマの影響を感じますね。すごく励みになりますし、うれしいです。――先日トーク番組に、橋口さん、松下洸平さん、内田瑛治監督の3人でご出演されていました。松下さんは同じ事務所で10年ほど親交があるそうですね。そうなんです。同じ事務所なのですが、所属したタイミングも一緒で、事務所で顔を合わせることも多くて。その度にお互いの近況だったり、仕事の感想なども言い合ったり、仕事仲間ですね。洸平くんはもともとミュージシャンですし、そこから役者もやっていて。9年前に洸平くんのライブに僕がゲスト参加させてもらったことがあったので、そういう意味では彼のミュージシャンとしての素晴らしさも知っているので、音楽仲間でもあり、役者としても尊敬する人です。――現在、全国ライブハウスツアーの真っ最中ですが、東京公演に松下さんがゲスト出演されましたね。以前ライブに参加させてもらったのですが、僕らはなかなか呼ぶ機会がなく、今回あらためてwacciとして洸平くんを呼ばせていただいて。ふたりでドラマ主題歌の「恋だろ」を歌う、スペシャル・コラボレーションを披露させていただきました。――もうひとつのシングル曲「僕らの一歩」は、7月2日から公開される『映画 バクテン!!』の主題歌ですが、どのようなことをイメージして曲作りされましたか。もともとテレビアニメシリーズのエンディングテーマを担当させていただいていた流れで、今回は映画の主題歌のお話をいただいて、台本を読ませていただいてから書きました。テレビアニメは宮城県の男子新体操部の話で、学生たちが切磋琢磨しながら、ひとつの目標に向かって頑張る姿が描かれています。映画版では時が経って、主人公の1年生や部活のみんながこれからどうやっていくか、青春のその先が大事になってくるなと。テレビシリーズとはまたちょっと違った苦悩や努力が描かれています。青春はいつか終わるけれど、それぞれの道はその先もずっと続いていくので、卒業してサヨナラをしても、青春時代の絆はずっと続いていくということを書きました。――カップリング曲の「あの子」は、「嫌われているあの子が今日もひとりでいる嫌われたくない僕らは今日も誰かといる」という歌詞から始まりますが、どのようなテーマでできた曲ですか。人間関係のひとコマが描けたらいいなと書いた曲です。僕自身、高校時代に人間関係で悩んだこともあって、そういうときにそれぞれの登場人物の主観ではなく、俯瞰して客観的に見た話が書きたかった。誰がいい、悪いではなく、人間関係で悩んだり苦しんだりしている人たちのことを俯瞰で見て事実だけを書いて。それぞれによって受け止め方や感じ方が違ってくる曲が書きたくて作りました。――橋口さんはwacciのほぼすべての曲の作詞作曲を手掛けていらっしゃいますが、Hey!Say!JUMPやももいろクローバーZの高城れにさんなど、他の方にも楽曲提供されていますね。ご自身が歌うときと、他の方の楽曲提供とでは、やはり違うモードで曲作りをしているのですか。作る段階のモードは変わらないのですが、自分が歌えるか、歌えないかは、曲作りに大いに関係ありますね。提供するのがジャニーズの方のようにイケメンだからこそ歌える歌や言葉もありますし、女性だからこそ伝えられる言葉もあると思っていて。wacciだと自分が歌うので、どうしても避ける言葉や使わない言葉もあります。楽曲提供だと、曲によってはそういう縛りがなく書けますよね。――いつもどんなふうに歌詞を書いているのですか。僕はけっこう机に向かってねばるタイプです。日常の中で女友達から聞いたひどい男の子との話や、逆に男友達から聞いたひどい女の子の話とか。そういうところにもヒントを探しているときがあります。――ライブハウスツアーが終わると、秋からはホールツアーもありますが、構成も変わりますか。前半がライブハウスツアーで、後半がホールツアーなんですが、ホールツアーではセットリストを変えようかなと。老若男女問わず、いろいろな世代の方に楽しんでいただける音楽をやってきたつもりなので、そういう意味ではホールは座席もありますし、ライブハウスよりも来やすいという方もたくさんいらっしゃると思うんです。だから、ホールが似合うバンドといいますか、お茶の間感のあるバンドとしてやっていきたいと思っているので、全世代の方に楽しんでいただけるようにと。wacciを知っている方も知らない方も楽しめる、みんなが一緒にひとつになれるようなそんなライブをホールツアーではやりたいと思っています。大事なときにwacciの曲を選んで聴いてもらいたい――お話は変わりますが、橋口さんがいまハマっているものはありますか。まさか自分がハマっているものとしてコレを言う日がくるなんて……という感じなんですが(笑)、韓国ドラマにハマっています。OLさんみたいで、自分でちょっと面白くなるんですが、韓国ドラマの面白さに最近気づきました。――最近ということは、自粛期間があって配信ドラマをたまたま観たのですか。いえ、きっかけはトーク番組でご一緒した内田監督です。今回番組でお話しさせていただくということで、内田監督が何話か撮っているNetflixの『全裸監督』を事前に観ていて。観ていると、他のオススメ作品がトップに出てきたりするので、時間があるときにちょっと韓国ドラマも観てみようかと思って観たらハマってしまいました(笑)。『梨泰院クラス』も『ヴィンチェンツォ』も『愛の不時着』も、どれも面白かったです。いまもちょっと時間が空いたときには観ています。――家でリラックスするときはどんなことをしていますか。この間、長野県の白馬で開催された山頂で音楽を楽しめて、絶景も味わえるというフェスに参加させてもらったんです。屋上にテントサウナと水風呂のようなものがあって、そこに外で寝そべられる椅子もあって、要は外気浴ができるというようなものでやってみたら、すごく気持ちよかったんですよ。その流れがあって、家に戻ってきたときに、狭いベランダがあるのでそこに置けるキャンプ用の椅子を買いまして。お風呂上がりに、これからの季節、そこでぼーっとするのいいなと思って、これからそれでリラックスしようとしています(笑)。――ちなみに、橋口さんは「ドラえもん」に造詣が深いそうですが、 いつからお好きなのですか。小さいときからです。僕はひとりっ子で、よくドラえもんの漫画を買ってもらって、部屋で読む時間が長かったから好きになったんですよね。アニメもドラえもんばかり観ていた少年でした。漫画の世界の登場人物たちに共感していたのかもしれませんね。そういえばトーク番組で「叶えたいことは口に出して言うことが大事だ」と洸平くんも言っていましたが、それこそ音楽を始めて、大好きな「ドラえもん」と音楽でつながれる日が来るといいなと。いつか「ドラえもん」の映画の主題歌をやれたらなと思います。――叶えたいこともお聞かせいただきましたが、では最後に、今後の抱負も教えてください。昨年、有観客で日本武道館公演を初めて開催したのですが、コロナ禍でキャパも半分でしたがソールドアウトできなかったので、次は満員の武道館でワンマンライブができるようにwacciのみんなで頑張っていきたいです。それが当面の目標なのかなと思っていますね。あとは聴いていただくみなさんに、楽曲に共感してもらえることが一番幸せだなことだと感じているので、僕らの楽曲を聴いてちょっとでも自分と重なるところがあって、人生の大事なときにwacciの曲を選んで聴いてもらえるようになったらいいなと思っています。誰かにとっての大事な曲を1曲でも多く作っていきたいですね。取材後記wacciのフロントマンとして、さまざまなアーティストに楽曲提供する音楽家として、活躍されている橋口洋平さん。楽曲のことから普段のご様子まで、いろいろなお話をお聞かせいただきました。wacciのみなさんで演奏される楽曲が、ドラマや映画の世界と重なって、より一層これからも広がっていくに違いありません。そんなwacciのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりwacciPROFILE橋口洋平(Vo&G)、小野裕基(B)、因幡始(Key)、村中慧慈(G)、横山祐介(Dr)による5人組バンド。バンド名の由来は「わたしたち」を輪にして頭とお尻をくっつけてwacci(ワッチ)。2009年12月、橋口を中心に結成。2012年11月、ミニアルバム『ウィークリー・ウィークデイ』でメジャーデビュー。2018年8月に配信リリースしたシングル「別の人の彼女になったよ」が異色の楽曲と話題になり、ミュージックビデオはYouTube総再生回数8,000万回以上、SNS総再生回数が2億回を突破し、日本レコード協会でプラチナ認定された。2020年10月、東京・日本武道館にて無観客配信ライブ「wacci Streaming Live at 日本武道館」を実施。2021年11月、日本武道館にて初の有観客ワンマンライブ「wacci Live at 日本武道館 2021 ~YOUdience~」を開催した。2022年6月15日、ニューシングル「恋だろ/僕らの一歩」をリリース。InformationNew Release「恋だろ/僕らの一歩」(収録曲)01. 恋だろ02. 僕らの一歩03. あの子2022年6月15日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)ESCL-5675(CD)¥1,300(税込)(初回生産限定盤)ESCL-5673 〜 ESCL-5674(CD+Blu-ray)¥3,000 (税込)【Blu-ray収録内容】「wacci Streaming Live at 日本武道館」01.最上級02.足りない03.別の人の彼女になったよ04.感情05.フレンズ06.僕らの日々07.まばたき取材、文・かわむらあみり
2022年06月30日普段見ることのできない芸能人ママたちのバッグの中身を紹介!今回は14歳の女の子、11歳、9歳、3歳の男の子の4児ママ・辻希美さんが、休日に少し大きめの公園に行くときのママバッグの中身を見せてくれました! 「子どもと出かけると、思わぬことが起きるから大荷物になってしまう」という辻さんの、4人の子育て経験を活かしたマザーズバッグの中身を大公開♪ 辻希美さんのマザーズバッグの中身をチェック! 1マザーズバッグ大好きな「ジェラート ピケ」の「スーパーマリオ・ヨッシー柄」のママバッグを使っています。コーティング素材だから地面に置いても汚れがふき取りやすいです。ショルダー付きで、ポケットも多くて使いやすいです。 2おむつ・おしりふき3歳の三男のおむつはグーンのパンツタイプ・Lサイズ。厚手でしっかりしているから、ずっと使っています! おしりふきはコストコ。リニューアルしてパッケージが可愛くなりました♡ これも厚手で使い安やすい! 公園に行くと子どもたちはたくさん遊んですぐ汚れちゃうので、大きいサイズを持って行ってます。 3タオル夏の公園にはタオルを多めに持って行きます! ハンドタオルは大好きなハンギョドンやスヌーピー♡ 載せきれなかったけど、大きいサイズのタオルもたくさん持って行きます。 4ハンドソープ家族が多いので、公園に行くときは泡ハンドソープをボトルごとジップ付きビニール袋に入れて持って行きます。 5ハンドクリーム&ヘアゴム 「Parsley(パセリ)」のハンドクリーム。香水は付けないから、香りものはハンドクリームだけ。自然なダマスクローズの香りが好きです♡ シュシュなどのヘアゴムも必需品。すぐに髪を結べるように必ずバッグの中に入れています。 6除菌シート手を洗ったあと、アルコールタイプの除菌シートで手を拭くので、80枚入りで大容量の除菌シートも持ち歩いています。生地がしっかりしていて使いやすいアカチャンホンポのものを愛用中です! 7子どもたちの着替え夏の公園では水遊びをするので、必ず子どもたちの着替えも持って行きます! 8 財布「ルイ・ヴィトン」のミニ財布。財布はコインケースくらいの小さいサイズが好き。 9予備のマスク個包装のマスクを予備として持ち歩いています。 10ミラー&コームハンギョドンのコンパクトミラー。娘とサンリオにどハマりしていて、一緒に買い物に行きました♪ 私の必需品はこれ♡ 私の公園バッグは、ミッフィーのミニトートバッグ。大きいマザーズバッグの中に、ミニトートを入れて自分の貴重品を持ち歩きます。 スマホケースもハンカチもミッフィー♡ シュシュやヘアゴム、リップ、メイク直し用のファンデーションなどは、バッグの中でバラバラにならないようにまとめてジップ付きの袋に入れています。 自分の持ち物は少ないから、仕切りがあまりなく、物を出し入れしやすいトートバッグが好き。荷物はなるべく最小限に抑えたいんですけど、子どもと出かけると思いもよらないハプニングが起こるから、タオルや着替えをたくさん持って行くので結局大荷物です(笑)! ◇◇◇ 辻さんありがとうございました! ヨッシーやハンギョドン、ミッフィーなどキャラクターグッズが大好きな辻さん。公園には石けん類がないことが多いので、泡ハンドソープをボトルごと持っていくのは良いアイディア♪ 小さいお子さんがいるご家庭は、泡立てなくてもいいので、紙石けんより便利かもしれませんね。そしてやはり大家族ならではの大荷物に驚き! 大人気ママ・辻さんの持ち物、ぜひ参考にしてみてくださいね。 著者:ライター 廣瀬尚子二児の母。女性誌の編集を経て、フリーランスに。広告やアパレルブランドの撮影、雑誌やWEBマガジンの執筆などを手がける。
2022年06月29日【音楽通信】第113回目に登場するのは、今回1stアルバムを発売し、朝ドラのヒロインも決まって、女優、声優、歌手活動までジャンルレスに大活躍中の、福原遥さん!小さい頃は歌って踊れるアーティストに憧れた【音楽通信】vol.113小学生の頃から子役として活動し、声優としてアニメ『キラキラプリキュアアラモード』(2017〜18年)に出演するなど、ジャンルレスに活躍している福原遥さん。近年ではドラマ『ゆるキャン』(テレビ東京系)シリーズや『アンラッキーガール』(読売テレビ・日本テレビ系)で主演を務めるなど注目度が高まるなか、2022年度後期連続テレビ小説『舞いあがれ!』のヒロイン役が決定し、これからもますますの飛躍が期待されています。音楽活動としては、2019年に個人名義でソロ歌手としてデビューした福原さんが、2022年6月8日に1stアルバム『ハルカカナタヘ』をリリースされたということで、音楽的なルーツなどを含めて、お話をうかがいました。――あらためて幼少時に音楽に触れたきっかけから教えてください。福原さんは幼児向け食育番組『クッキンアイドル アイ! マイ! まいん!』(NHK Eテレ 2009〜13年)の柊まいん役として、主題歌を歌う姿も披露されていましたね。そうですね、まいんのときぐらいからは歌の楽しさがわかってきましたが、実は小さい頃は歌うことはあまり得意ではなかったんです。でも音楽を聴く習慣はあって、車ではいつも音楽が流れていました。母が運転する車で習い事などへ移動していたのですが、母がよく安室奈美恵さんや倖田來未さんの曲をかけていて、わたしも聴きながら通っていました。――歌うことはあまり得意ではなかったということは、お仕事で歌うまで、きっかけがなければ歌っていなかったのでしょうか。すごい音痴ですし、自分の声もあまり好きではなかったから……(笑)。ひとりで歌うのは苦手でしたが、カラオケでみんなで賑やかに歌うのは楽しかったですね。――では自発的によく聴いた音楽やアーティストはいたのでしょうか。安室奈美恵さんやフェアリーズさんなど、見ているとダンスがやりたくなったので、歌って踊れるかっこいい方に憧れがありました。そうったこともきっかけで、『クッキンアイドル アイ! マイ! まいん!』のときには歌ったり踊ったりすることがすごく楽しくなって。そこから歌うことの楽しさを感じるようになってきたと思います。――歌手活動だけではなく女優や声優としてもご活躍されていますが、福原さんの中で音楽は、どのような存在でしょうか。いまはなくてはならない存在です。歳を重ねるごとに歌う楽しさを感じていますし、歌手活動以外のお芝居のお仕事でも、音楽にとても支えられていますね。日々の生活で「この場面にはこの音楽が合いそうだな」と合う音楽を探すことも好きで、1日が始まる朝に音楽をかけて気持ちをリフレッシュさせたり、大事なシーンに向かうときに気持ちを高めるために音楽を聴いたり。気持ちを入れ替えたりするのに、音楽は大切です。もっと上へいけるよう願いを込めた1stアルバム――2022年6月8日に1stアルバム『ハルカカナタヘ』をリリースされました。まずタイトルの意味からお聞かせください。ハルカカナタへというタイトルは自分でつけました。名前が「遥」で、両親が「遥か彼方へ羽ばたけるように」という意味を込めてつけてくれたので、このアルバムも歌手活動でまた新たな一歩を踏み出すような気持ちで、遥か彼方へもっと上へのぼっていけるようにという思いを込めています。――既発のシングル曲や新曲など全14曲が収録されていますが、今年4月に配信されたばかりの「道標 feat. Hiplin & Rin音(Prod. GeG)」は、ラッパーのHiplinさん、Rin音さんとのコラボ曲です。プロデュースしてくださったGeGさんのおしゃれで優しくて心地良いメロディがすごく素敵で、HiplinさんやRin音さんとも、ご一緒させていただいてうれしかったですね。いままでは恋愛系の歌をあまり歌ったことがなかったので、今回はラブストーリーやバラードを歌ってみたい気持ちもあって、相談させていただいてアルバムが完成しました。――「道標」では福原さんも作詞に参加していますね。歌詞は自分で書いたことがなかったので、やってみたいなとずっと思っていて。今回作詞の機会をいただけて、全部ではなく自分が歌うパートのみの歌詞ですが、いろいろな方と相談させていただきながら、伝えたいメッセージを込めて書かせていただきました。――初めての作詞作業は大変でしたか?難しかったです。何もかもわからない状態からのスタートだったので、アーティストのみなさんが普段どんなふうに書いていらっしゃるんだろうと思いながら試行錯誤して。最終的に、いま自分が一番伝えたい思いを伝えることをテーマにして、いろいろな言葉を調べました。作詞は奥が深いと、少しやらせていただいただけでも感じたので、楽しいですがもっとたくさんの言葉を知っていけたら、いつかまたできたらいいなと思います。――昨年末にリリースされたシングル「Lucky Days feat. OKAMOTO’S」も収録されていますが、福原さん主演ドラマ『アンラッキーガール』主題歌でバンドサウンドながらOKAMOTO’Sのオカモトショウさんと福原さんのデュエットが新鮮でした。確かに、いままで歌ってきた曲と全然違うテイストの曲でもあったので、この曲も他の曲も素晴らしい方々に作っていただいているので、なじめるように頑張りながら、毎回歌っています。――収録曲の「シャボンの人」は元ガールズバンド「ねごと」の蒼山幸子さん、「スキップサイダー」はシンガーソングライターのみゆはんさんのプロデュース曲で、いろいろな方に提供された多彩な曲があります。歌とお芝居では表現の仕方にも意識の違いはありますか。歌は、お芝居で表現するのとは、全然違いますね。お芝居はキャラクターとして演じていますが、歌は自分として歌っている感覚が、ちょっと恥ずかしいような不思議な感覚(笑)。でもそんな歌で表現する楽しさを最近感じるようにもなってきて、歌い方ひとつ、息遣いや声の出し方だけで、伝わり方がまったく変わってくるんです。今回、いろいろな方とご一緒させていただいて、そのことをすごく感じました。自分の心が動いて歌っていても、歌い方次第で全然伝わらないんだなとか、ささやくような感じで歌うと曲にのって伝わりやすいんだなということがわかって。まだできていないんですが、自分なりに考えながら、曲ごとにある物語に強弱をつけながら歌うのが、すごく楽しいです。――そういったテクニカルな面でも、今回のアルバムは楽しんでやり遂げたんですね。そうですね、小さい頃から歌も得意じゃなく自信もなかったので、いままでは正解を求めて「うまく歌わなくちゃ」と思っていました。でも、この間、わたしの音楽のほうのYouTubeチャンネルにHiplinさんに来ていただいたことがあって。一緒に歌うときに、緊張してますます自信がなくてと伝えたら、「歌に正解も何もないから楽しく気持ちを込めて歌えばいいんだよ」と言っていただいたんです。それで「ああ、その通りだな」と感じて、いまはどれだけ自分の気持ちを伝えて、いい気分でその1曲を歌えるかが大事だなって、楽しみたいなって思っています。――そういう意味で一番挑戦しがいのあった曲はどの曲でしたか。やっぱり「道標」ですね、音楽の楽しさをあらためて感じた曲でした。あと「シャボンの人」は、作っていただく前に蒼山さんにお会いさせていただいて、わたしの声質や、どういうことを歌いたいかを聴いてくださって、できた曲なんです。だからなのかとても歌いやすくて、ありのままの自分というか、歌った瞬間すんなり曲に入っていく感覚がすごくあって。わたしに合わせて作ってくれた驚きと、感謝といいますか。蒼山さんの思いをこの1曲に詰め込んでいただいて、うれしかったですね。いままでで一番、自分らしく歌えたかもしれません。――そういった曲作りの前から参加されて自然に歌われた曲がある一方で、男性シンガーRakeさんの曲『100万回の「I love you」』のカバーもあります。音楽チームの方からのオススメ曲で、もともと男性が歌われている曲をいろいろな方がカバーされていて、人によって曲の印象がとても変わる感じがあったんです。女性が歌うと、可愛らしくて甘酸っぱい印象があるので、わたしも歌ってみたいなと思って収録しました。――今後のライブのご予定はあるのでしょうか。いつかしてみたいですね。アルバムの1曲目に流れるインストも作っていただいたんですが「この曲がライブの最初に流せたらいいね」という話も音楽チームのみなさんと話していたので、いつかはライブができたらいいなと思っています。元気やパワーを届けられるように頑張りたい――お話は変わりますが、普段のご様子も教えてください。オフの日はどんなふうにお過ごしですか。いまは毎日朝ドラ『舞いあがれ!』の撮影があるので、ご飯も気をつけないといけないと思って、スーパーに行っています。これまでは作品に入ったら自炊をしていなかったんですが、最近は作り置きおかずを作ったりして、忙しくてもレンジで温めればいいだけにしています。料理をするのもリフレッシュになるんですよね。――お料理は得意なのですね?一応いろいろとやっています(笑)。でも、一般的なおかずを何品かぐらいで、おしゃれなものは作らないんですよ。最近だと、豚汁とかチキンのトマト煮とか、タイ料理のカオマンガイを作りましたね。ご飯を冷凍しておいて、後から簡単におにぎりにできるようにしたりもしています。――福原さんのYouTubeチャンネルでは、大阪アメリカ村でたこ焼きを食べていらっしゃいましたが、街を散策するお時間も少しはあるのでしょうか。撮影のために大阪に滞在していて、あまり外に出られなかったりもするのですが、少しの時間に、たこ焼きを食べに行かせてもらって。しっかりと大阪を感じられました。とはいえオフの日は、現地のカフェに入って店員さんと話すこともあります。台本を読んだりしたいので、ゆったりできるおしゃれなカフェを探したり、カフェ巡りをしたりしていますね。――撮影中の『舞いあがれ!』のご様子はいかがでしょうか。町工場で生まれ育ったヒロインが飛行機に憧れ、旅客飛行機のパイロットを志すというストーリーのようですね。毎日、青春を感じています。学生たちで人力飛行機を飛ばしたり、夢や目標に向かって頑張っていたりするシーンをいっぱい撮っているので、みんなで何かひとつのものを力を合わせて作ることが、撮影しながらもすごく楽しくて、学生気分ですね。――お忙しいながらも充実されているご様子が伝わります。撮影中は不規則な生活になりそうですが、美容や食事面で気をつけていることはありますか。ロケが多いと肌が焼けるので、日焼け止めをいっぱい塗っています。帰ってからは保湿のためにパックをしていたり、フルーツを食べたりしていますね。とくにパックをすることと湯船に浸かることは大事だと思っています。むくみが改善されますし、次の日の肌のトーンやスッキリ具合が全然違うように感じますね。湯船にはしっかりと浸かって、好きな入浴剤を入れて汗をいっぱいかいて毒素を全部出すことは、大事なお仕事の前日はしています。――メイクやコスメのこだわりはありますか。すごくコスメが好きなので、いっぱい集めています。薄づきのメイクが好きなので、ハイライトや肌に艶を出すようなアイテムを探して買っていますね。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、音楽活動や、お芝居などすべての活動においての、今後の抱負をお聞かせください。音楽活動は、これからさらに上を目指して、みなさんにお届けしていけたらいいですね。アルバムは心を込めて歌わせていただいたので、たくさんの方に聴いていただいて、歌に込めたメッセージや思いを受け取っていただきたいです。みなさんに寄り添えるような、そっと背中を押せるような歌を歌っていきたいので、聴いてくださる方にとってのそういう存在やアルバムになれたらいいですね。こういうお仕事をしていて、誰かの心を動かせたり、少しでも元気やパワーを届けられたらいいなと、日々思っています。今年は朝ドラでも、観ている方に少しでも笑顔になって「今日も頑張ろう」と思ってもらえるようなエネルギーを届けられるように頑張ります。取材後記小さい頃からキュートな姿をお茶の間に見せてくれている、福原遥さん。ananwebの取材では、朝ドラ撮影中のご多忙のなか、大阪からリモートインタビューをしてくださいました。福原さんといえば、わが家では子どもが大好きなプリキュアのひまりちゃん役でも親しませていただいていて、ほんわかとした愛らしい魅力にあふれた人柄にも癒されます。音楽活動での歌手としての歌声を聴くのはもちろん、朝ドラなどさまざまな今後のご活躍も楽しみ。そんな福原さんの1stアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみり福原遥PROFILE幼児向け食育番組『クッキンアイドル アイ! マイ! まいん!』(NHK Eテレ)のメインキャラクターである柊少まいん役を務め、一躍お茶の間の人気者となる。2017年、女優として映画『チアダン』に出演、「もしもツアーズ」3代目ガイトを務めるほか、声優としてアニメ『キラキラプリキュアアラモード』(有栖川ひまり/キュアカスタード役)に出演するなど、ジャンルレスに活躍。2019年は映画『4月の君スピカ』主演、2020年から2021年はドラマ『ゆるキャン』シリーズ(テレビ東京系)、2021年『アンラッキーガール』(読売テレビ・日本テレビ系)主演を務めるなど注目度が高まるなか、2545人ものオーディションから勝ち抜き2022年度後期連続テレビ小説『舞いあがれ!』のヒロイン岩倉舞役が決定。音楽活動としては、『クッキンアイドル アイ! マイ! まいん!』主題歌、2013年にはCVを務めた「なめこのうた」がYouTubeで話題に。2018年には声優の戸松遥と共演したドラマ『声ガール!』がきっかけとなり「福原遥×戸松遥」名義でCDをリリース。2019年8月7日、「福原 遥」名義でテレビアニメ『BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS-』(テレビ東京系 毎週日曜 午後5時30分)のエンディングテーマとなったシングル「未完成な光たち」をリリースし、ソロ歌手デビューを果たす。2022年6月8日に1stアルバム『ハルカカナタヘ』をリリース。InformationNew Release『ハルカカナタヘ』(収録曲)01. Introduction02. 透明クリア03. 道標 feat. Hiplin & Rin音(Prod. GeG)04. シャボンのひと05. Lucky Days feat. OKAMOTO’S06. In the park07. スキップサイダー08. 100万回の「I love you」09. 未完成な光たち10. 風に吹かれて11. 君が好きだって言えたら12. モノクローム13. ハンドメイドセカイ14. 箱庭のサマー2022年6月8日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)AICL-4245(CD)¥3,300 (税込)(初回生産限定盤)CD+ビジュアルブック(B5変形版全64P)AICL-4243~4¥5,500 (税込)取材、文・かわむらあみり
2022年06月28日近年、新型コロナウイルスの影響で、保護者が子どものサッカーを観戦する機会が減っています。子どもの様子が知りたくて、「サッカー、どうだった?」と聞くと「別に」「普通」などのそっけない答えしか返ってこず、やきもきした経験は誰しもあるのではないでしょうか?そこで今回は、スポーツジャーナリストとして、多くの著名人、アスリートの取材をしてきた二宮清純さんに「子どもの答えを引き出す、質問の仕方」や「コーチに質問するときのポイント」についてうかがいました。(取材・文鈴木智之)写真は少年サッカーのイメージ<<前編:インタビューのプロ二宮清純さんに聞いた「今日の試合どうだった?」「別に......」で終わらせない会話術■負け試合でも手ごたえがある場合も。「勝った?負けた?」より「今日なんかいいことあった?」と聞こう二宮さんは前回の記事で、「言葉に頼らない」「距離感が大事」など、質問をするときのポイントを教えてくれました。子どもとサッカーの話をするときにしてしまいがちなのが、「勝った?」「負けた?」「何点取った?」など、結果にフォーカスする質問です。二宮さんは「もちろん試合に勝つことや点を取ること、 勝利に貢献することは大事ですが、試合に負けたとしても、自分の中で手応えがあったプレーがあるはず」と言います。「試合の勝ち負けや点取った? ではなく、今日はなんかいいことあった? などの間口の広い質問の方がいいのではないかと思います。僕は子どもの頃、少年野球をしていたのですが、ある試合で内野からピッチャーに牽制のサインを出して、アウトにしたことがありました。試合には負けたけど、自分としてはすごく嬉しかったんです」その試合を偶然見ていた学校の先生から「あのプレーは頭脳的だったね」と褒められたそうで、50年経ったいまも、そのことを覚えていると言います。「試合には負けたけど、褒められて嬉しかった記憶がいまもあります。スポーツには結果以外に、手応えを感じたプレーもあるので、そこを引き出すような『何かいいことあった?』など、相手に委ねるような聞き方がいいと思います」■負けたとき、結果が出ない時ほど自分を信じる力が必要子どもが試合に負けて落ち込んでいたり、いいプレーができなくて悩んでいるときは、保護者の出番です。二宮さんは「負けたときほど、自分を信じることが大事」と言葉に力を込めます。「僕が思う名選手の条件は『負けたとき、結果が出ないときに、自分を信じてることができた人』です。よく『負けたときは自分を信じろ。勝ったときは自分を疑え』という話をするのですが、負けたときやうまくいかないときは、周りから『何でだめだったの?』『何で負けたの?』など色々言われます。そのときこそ、自分を信じる力が必要なんです」うまくいっていないときは、周りから白い目で見られたり、心無い言葉を浴びせられたりすることがあります。「そんなときこそ、誰よりも自分が自分の味方になってあげること。オレはこんなもんじゃない。今日はたまたまうまくいかなかっただけだ。『次はやってやるぞ』ぐらいの気持ちでいいと思います。そこで味方になってあげられるのが保護者です。子どもの様子を観察した上で、サポートできることは何だろう? と探してあげるといいと思います」一方で、試合に勝ったとき、うまくいっているときは「これは自分ひとりの力じゃない。周りが手助けをしてくれたからうまくいったんだと、周囲に気持ちを向けることが大事」と言います。「僕は取材者として、たくさんのスポーツ選手を見てきましたが、ティーンエイジャーの頃は、うまくいっていると自分の手柄だと思って、有頂天になる場合があるんですよ。そういうときこそ、『本当にこれでいいのかな』『たまたまかもしれない』『周りの助けがあったからだ』と、自分を疑う視点があった方がいいんです」■言葉には体温がある、指導者に聞きたいことがあれば直接話してみよう子どもとのコミュニケーションに加えて、指導者とのやりとりに悩んでいる保護者も少なくありません。練習内容や選手起用に関して、指導者に聞いてみたいけど、どう言っていいかがわからない......。そんな思いをしたことのある人もいるのではないでしょうか。インタビューのプロである二宮さんは、「昔は指導に口出しするなとか、子どもを預けたら文句を言うなといった風潮があったと思いますが、いまの時代はそうはいきませんよね。指導者と保護者のコミュニケーションは、より大事になってきていると思います」と話します。「疑問があるときは、会って話をした方がいいと思います。いまはLINEをはじめ、文字でやり取りすることの多い時代です。ですが、それだと言葉のニュアンスやイントネーションが伝わりきれないところがあります」二宮さんは「私に任せてください」という言葉を例に説明します。「文字で単純に『私に任せてください』と書くのと、実際に会って、笑顔で『私に任せてください』と言って相手の肩をポンと叩くのとでは、受け取る側の印象はまったく違いますよね。文字で『私に任せてください』だと、突き放していると感じるかもしれません。でも会って、顔を見て『私に任せてください』と言われると、安心できますよね。それは、表情や言葉からニュアンスが伝わるからです」練習前後の5分、10分でも、コーチに会って話すことができれば、モヤモヤや疑問の解消にもつながりそうです。「大事な話は、会ってした方がいいです。言葉には体温がありますから。文字だけだと、体温を感じることはできませんよね。字面だけで判断することは危険なので、大事な話をするのであれば、基本的に会った方がいいと思います。どう対応するかはそれからですね」サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」■相手から受け取る情報量のうち、「言葉」はわずか7%コミュニケーションの基本は、顔と顔を突き合わせることにほかなりません。『メラビアンの法則』によると、人間が相手から受け取る情報量のうち、言葉から受け取るのはわずか7%で、それ以外の93%は非言語(表情や仕草など)によるものだそうです。それほど、言葉以外の情報は大切なのです。コロナ禍では会って話をしずらく、マスク越しの表情を読み取るのは難しいかもしれませんが、注意深く観察することを心がけるだけで、得られる情報量が変わってきそうです。お子さんやコーチ、周囲の方とより良いコミュニケーションをとるためにも、ぜひ参考にしてみてください。二宮清純(にのみやせいじゅん)スポーツジャーナリスト。株式会社スポーツコミュニケーションズ代表取締役。1960年、愛媛県生まれ。スポーツ紙や流通紙の記者を経てフリーのスポーツジャーナリストとして独立。五輪・パラリンピック、サッカーW杯、ラグビーW杯、メジャーリーグなど国内外で幅広い取材活動を展開。明治大学大学院博士前期課程修了。広島大学特別招聘教授。大正大学地域構想研究所客員教授。経済産業省「地域×スポーツクラブ産業研究会」委員。認定NPO法人健康都市活動支機構理事。著書に「勝者の思考法」「人を見つけ人を伸ばす」「人を動かす勝者の言葉」など多数。サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」
2022年06月28日4人のお子さんを出産後もテレビ出演のほか、SNSでも大人気の辻希美さんに、妊娠・出産・育児でのエピソードをインタビュー!辻希美さん(35歳)は、2007年に俳優の杉浦太陽さんと結婚。2007年に第1子となる女児・希空(のあ)さん、2010年に男児・青空(せいあ)さん、2013年に男児・昊空(そら)さん、2018年に男児・幸空(こあ)さんを出産。テレビ出演のほか、家事・育児などについて発信するSNSも大人気です。 今回はお子さん4人の妊娠・出産・子育てについて詳しくお話しをお聞きしました! 4人の妊娠・出産はそれぞれ違っていたそう。 4回の妊娠出産……大量出血で意識不明になったことも! 大変だったことで特に印象に残っているのは、第1子のときのこと。一人目を妊娠したのは19歳で、周りの友達が成人式に行ったり、遊んだりしているのに自分だけ育児をしていて……若くしての妊娠・出産だったこともあり「遊びに行けない」ということが気持ち的につらかったです。 でも体力的には、やっぱり若かったので、体のつらさはあまりなかったです。1人目は(上の子がいないから)つわり中は休むことができた分、今思うとラクだったのかなと思います。 つわりはそれぞれで、情緒不安定になることもあったし、食の好みも変わりました。 1人目妊娠中は、トマトや氷など、さっぱりしたものを食べたくなって、2人目か3人目のときには、枝豆をよく食べていました。4人目のときは、無性に辛いものが食べたくて、近所のうどん屋さんの一番辛いメニューを、多い時には週5で食べに行っていました(笑)! 妊娠中の体重は、1人目のときは6キロくらいしか増えなくて、2・3人目も10キロ以下。でも4人目は13キロ増えました! 10キロ以上増えると、産後に体重を戻すのが大変でした……! パパは全員、出産に立ち会うことができました。出産も4人それぞれ違っていて。 1人目の出産は、2日がかりで大変でした。陣痛の合間に寝て、ごはんも食べられなくて本当つらかった……! 2人目は、出産直後の出血が多くて、数時間意識がない状態が続きました。4人の中で一番出産も産後も大変でした。 3人目は、私の母と子どもたち、家族みんなで立ち会ってくれました。長女が水を飲ませてくれたり、腰をさすってくれたりしました。 1~3人目は個人病院、4人目は大きい大学病院で出産。上に子どもたちもいるので計画的に産みたかったのもあり、4人目にして初めて計画無痛分娩で出産しました。MAXの陣痛の痛みがない状態で生めたので、どうして最初からやらなかったのかな?と思ってしまうくらいやってよかったです! 出産してから、すべてが「子ども中心」へ出産して一番変わったのはやっぱり優先順位。考え方が自分中心から、すべて子ども中心に変わりました。結婚する前は自分が第一だったけど、出産してからは子どもが第一に。仕事も、子どもの生活スタイルを崩さない範囲でできるように抑えています。 私が子どものころ、私が風邪をひくと母が「代わってあげたい」とよく言っていたんですが、自分が親になってその気持ちがよくわかりました。 「子どもの成長とともに自分もできることが増えていく」子育てで一番楽しいことは、子どもと一緒に成長できること。一瞬一瞬は大変なんだけど、そのおかげで自身の成長を感じられる瞬間があります。私はもともと、りんごの皮も剥けないくらい何もできなかったんですけど、出産・育児をするなかで、できることがどんどん増えていくんです。子どもと一緒に、自分自身も育っていくことを感じられる瞬間がとても楽しいです。たとえば、食育(釣りに行って、さばき方を学んで、食べさせる)など、自分の成長とともに、子どもが喜んでいる姿を見られるときは嬉しいです。 親子でダウンしてしまったとき、頼れるのはママ友たち子育てで大変だなって思ったのは、やっぱり自分が体調を崩してしまったときですね。きょうだいが多いと、1人が体調を崩すと家族全員にうつってしまうこともあって、3カ月間家から出られないこともありました。 自分が元気だったら家事などもできるんですが、私がうつってしまうと、家事も子どもたちのお世話もままならなくなってしまうので大変ですね。 私も子どももインフルエンザにかかって40度の高熱が出たとき、最悪のタイミングで洗濯機が壊れてしまったことがあって。修理業者を呼ぶところまではできたんですけど、立ち会えなかったので、ママ友に立ち会いに来てもらったり。いろんな人と助け合いながらピンチを乗り切ってます。 子ども一人ひとりの個性を大事にする「比べない育児」子育てをするうえでルールは特にないんですが、気を付けているのは「きょうだいを比べないようにすること」。 お兄ちゃんだから、お姉ちゃんだからできるとは限らない。子どもの成長は、子どもによって違うということ意識するようにしています。 毎日「子どもがいてよかった!」 毎日、子どもたちがいて良かったって思ってます。 下の子ほど成長が早く感じて「大きくならないで~!」と思ってしまいます。子どもがいないと寂しすぎて、私が体を壊しちゃいそう(笑)。子どもがいるから自分のメンタルも体力も保てています。今はもう、子どもがいない生活が想像できないです。 最後に、ママたちへメッセージ育児をしていると、思わぬ壁にぶつかったり、子どもに対してイライラすることもあると思います。でも、子どもといられる時間は、意外と短いんですよね。小学校を卒業するくらいには、親より友達が優先になっちゃう。たくさんお喋りしてくれる時間も、くっつける時間も実はとっても短い。大変な時もあるけど、その時間も含めて大切にして、一緒に子育てを頑張っていきましょう! ◇◇◇ 辻さん、ありがとうございました! 結婚した当初はりんごの皮も剥けないところから日々努力して、今ではSNSでおいしそうな料理を発信している辻さん。子どもと一緒に成長している自分を楽しむ姿勢が素敵ですね♪profile:辻希美1987年6月17日生まれ東京都出身。2000年、モーニング娘。の第4期メンバーとしてデビュー。2004年に同グループを卒業してからはユニット活動を経て、ソロでバラエディー番組に出演。2007年に俳優の杉浦太陽さんと結婚。現在は、4児の母として育児の傍ら、TVやイベントに出演。アメブロ、インスタグラム、YouTubeで育児・家事などを発信中。 著者:ライター 廣瀬尚子二児の母。女性誌の編集を経て、フリーランスに。広告やアパレルブランドの撮影、雑誌やWEBマガジンの執筆などを手がける。
2022年06月22日近年、新型コロナウイルスの影響で、保護者が子どものサッカーを観戦する機会が減っています。そんな中、子どもにサッカーのことを聞くと「別に」「普通」など、そっけない反応が返ってくることも多いのではないでしょうか。そこで今回は、スポーツジャーナリストとして多くの著名人、アスリートの取材をしてきた二宮清純さんに「子どもの答えを引き出す、質問の仕方」についてうかがいました。「質問のプロ」でもある二宮さんは、相手とコミュニケーションをとるときに、どんなことに気をつけているのでしょうか?(取材・文鈴木智之)写真は少年サッカーのイメージ■子どもに質問する時にどんなことを心がければいいのかスポーツジャーナリストとして数々の著名人、スポーツ選手にインタビューをしてきた二宮さんに、「親が子どもに質問をするときに、どんなことを心がければいいのでしょうか?」と尋ねると、次のような言葉が返ってきました。「言葉だけに頼らないことですね。人間の本音は表情やしぐさに出ます。お子さんが『大丈夫』と言っても『本当に大丈夫なのか?』と、言葉どおりに受け取らず、観察することが大切だと思います」二宮さんは自身のジャーナリスト生活を振り返り「インタビューをするとき、言葉だけに頼ると失敗します。仕草や態度、表情、目や指の動きなど、いろいろなところにその人の考えや心配していること、訴えたいことは出ますから」とアドバイスをくれました。■「別に」「普通」で終わらせないためには、言葉だけに頼らないことお子さんが何か問題を抱えていたとして、言葉では「何もないよ、大丈夫だよ」と言うことがあります。それは親を安心させるためかもしれないし、喋りたくないこともあるでしょう。「それは親子間だけでなく、夫婦間でもそうですよね。奥さんの機嫌が悪そうなときに『どうしたの?』と聞いても『何でもない』『大丈夫』と言うかもしれせん。でも、そのときの言い方や表情、しぐさに情報が含まれていますから、それを見逃さないことですね」子どもがサッカーを終えて「今日どうだった?」と聞くと「普通」「別に」などの返事があったとします。そのときに、言葉の裏側にある感情に目を向けると、一歩進んだコミュニケーションがとれそうです。「子どもが『別に』と言ったとしても、怒ったような『別に』なのか、本当に何もない『別に』なのかで、イントネーションが違いますよね。そのニュアンスにヒントが隠されているので、よく観察することですね。その中で、イライラしている素振りがある、足をバタバタさせている、目に落ち着きがないなどの変化を感じたら、ひょっとして何かあるのかな? と考えを巡らせてあげてほしいと思います」■何かあったと感じても無理に聞き出そうとするのは逆効果二宮さんは、「子どもの変化を感じた場合、その場で『何があったの?』と問い詰めない方がいいですね」と、優しく語りかけます。「問い詰めることで、相手が態度を硬化させることがあります。インタビューをするときに、無理やり首根っこを捕まえて『喋れ』と言っても喋りませんよね。取材対象者に、『この人になら話をしてもいいかな』と思ってもらえるように、手を変え品を変え、コミュニケーションをとりながら話をしてもらうのが、僕らの仕事です。相手が自分の子どもであっても、そのような配慮はするべきだと思います」子どもはひとりの独立した人間です。小学生の頃は親の庇護下にありますが、いち個人として尊重することから、良好なコミュニケーションは始まります。「大人も子どももそうですが、喋りたくないことってあるじゃないですか。それを無理に聞き出そうとすると逆効果になるので、相手が話したくなるまでは、見守る方がいいと思います。ただし忘れてはならないのが、子どもの異変に鈍感でないこと。気がつきつつ、見守るというスタンスがいいと思います」サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」■親子でも距離感が大事。近ければいいわけではないそんな中で、様子がおかしいと感じることが続くようであれば、話をするようにうながすのが良さそうです。「異変が何日も続くのであれば、『話してごらん』と、優しく諭すように言ってあげるといいのかなと思います。親が子どものことを一番よく知っているわけで、観察していたら、いつもと違うなと察知できるはず。それが大事なことだと思います」キーワードは観察すること。そして、大切なのはお互いの距離感。二宮さんは「スポーツは距離感を教えてくれる」と言います。「選手とコーチ、親御さんと子どももそうですが、スポーツは距離感のトレーニングになります。距離感はすごく大切で、ただ詰めればいいというわけではないんですね。相手の近くに寄り過ぎると見えづらく、離れすぎても見えません。カメラと一緒で、顕微鏡が必要なときもあれば、双眼鏡が適しているときもあります。今日は顕微鏡で見てみようか。少し引いて双眼鏡で見てみようかと、どちらの視点も持ちながら、子どもの置かれた状況に応じて使い分けることが大切なのかなと思います」■子ども自身が自分と向き合う時間や逃げ場を用意してあげよう二宮さんは取材時に、「いまは離れて見たほうがいい」「ここは近づくべきだ」など、対象者との距離感を意識しているそうです。「木を見て森を見ずという言葉がありますが、僕は木も森も両方見るべきだと思うんです。それが、相手とのいい距離感を保つ方法だと思います。そして、ときには立ち入らないこと。子ども自身が自分と向き合う時間を大切にしてあげてほしいし、逃げ場を用意することも必要です。それを考えることが、親と子の適度な距離感を推し量る上でのヒントになるのではないかと思います」会話を交わす中で、お子さんの様子を観察し、状況に応じて距離感を変えて接してみる。それが良いコミュニケーションにつながると、二宮さんは教えてくれました。後編では、具体的な質問の仕方や、コーチとのコミュニケーションについて紹介します。二宮清純(にのみやせいじゅん)スポーツジャーナリスト。株式会社スポーツコミュニケーションズ代表取締役。1960年、愛媛県生まれ。スポーツ紙や流通紙の記者を経てフリーのスポーツジャーナリストとして独立。五輪・パラリンピック、サッカーW杯、ラグビーW杯、メジャーリーグなど国内外で幅広い取材活動を展開。明治大学大学院博士前期課程修了。広島大学特別招聘教授。大正大学地域構想研究所客員教授。経済産業省「地域×スポーツクラブ産業研究会」委員。認定NPO法人健康都市活動支機構理事。著書に「勝者の思考法」「人を見つけ人を伸ばす」「人を動かす勝者の言葉」など多数。サッカー少年少女の親の心得「サカイク10か条」
2022年06月21日普段見ることのできない芸能人ママたちのバッグの中身。今回は、歌手でママタレントとしてもテレビで活躍中の鈴木亜美さんです。5歳と2歳の男の子のママ・鈴木亜美さんが、息子さんたちと公園に行くときのママバッグと息子さんのリュックの中身を見せてくれました! 「自分の荷物は必要最低限にして、子どもと自分のバッグは分ける」という鈴木さんの厳選アイテムたちを公開♪ お気に入りのお仕事バッグも見せてくれました! お子さんのバッグの中身をチェック! 1息子のリュック息子のリュックは、お友達からのプレゼントでいただいた「こどもビームス」のもの。軽くてたくさん入って、すごく使いやすいです。子どもたちの物はこのリュックに入れて、自分たちで持ってもらっています。最近はお兄さんぶりたい次男が背負ってくれることが多いです。 2除菌グッズ除菌シートとスプレーは必ず持ち歩いています。 3お菓子お菓子セット。細かいお菓子を食べる分だけ、ジップ付きの袋に入れてコンパクトにしています。 4水筒カーズの水筒がお気に入り♡ プラスチックで軽いので、持ち歩きに便利です。中身は水かお茶です。 5おもちゃバッグには入らないので手持ちですが、最近息子たちは「鬼滅の刃」の剣にハマっていて、公園によく持って行きます。友達の分も多めに持って行って、みんなで遊んだりしています。車で公園に行くときは、長男は100均で買ったバットとボールのセットやスケボー、次男はストライダーを持って行って遊んでいます。 6タオル手を拭くタオルも子どもたちのリュックに入れてます。 7おむつ・おしりふきこの日のおむつとおしりふきは「パンパース」。薄くて持ち歩きにもぴったり♪ 2歳の次男は今パンツタイプのXLサイズ。ゴミ袋もマストです。 公園に行くときのママバッグは、中身もコンパクトに! 1 バッグ私の公園バッグは、「アンテプリマ」のミニバッグ。子どもたちと出かけるときは、手が空くようにショルダーバッグを選びます。このバッグもショルダータイプで、開け口が広くて、物を出しやすいところがお気に入り♡2 安産のお守り第3子を妊娠中なので、安産祈願でいただいたお守りを持ち歩いています。 3 リップとハンドクリームリップは、ダイソーの「シアバターリップジェル」。無香料・無着色のもの。シアバター配合で、ツヤツヤになるんです! リップを切らしてしまったときに購入してみたらすごく良くて、もう何本もリピ買いしています。今まで使ったリップの中で、史上最強! ハンドクリームは、「ロコベースリペア」のもの。保湿力が高いところがお気に入りです。 4 車と家の鍵5 除菌スプレー除菌グッズは子どものリュックにも入っているけど、私も持ち歩いていつでも除菌できるようにしています。 6 財布「バレンシアガ」のミニ財布。とにかく小さいお財布が欲しくて探しに探しました!こんなに小さいのにカードもたくさん入ります。小銭入れは外に付いていて、無駄なスペースもなく、使い勝手がすごく良いです♡7 スマホスマホケースは、高島屋で購入した「ensemble(アンサンブル)」のもの。カード入れがあるから、よく使うカード類はここに入れています。中にはミラーも付いていて便利。 仕事用バッグも紹介します♪ 誕生日にマネージャーさんからもらった仕事バッグもお気に入りなので紹介します!コーチのトートバッグで、中は3つに分かれています。真ん中のポケットはファスナー付きなので、鍵などの細かいものや大事なものはここに。 サイドの大きな仕切り2つには紙類、もう片方にはお財布、など分けて入れられるし、ショルダーも付いていてすごく使いやすいんです。仕事のときはこれ1つです。 ◇◇◇ 鈴木亜美さんの公園&お仕事に行くときのバッグの中身について紹介しました。ご自身の荷物はいつもコンパクトで最低限、という鈴木さん。ショルダーバッグがマストなのは、まだ2歳のお子さんがいるママあるあるですね。第三子の出産、頑張ってください! profile:鈴木亜美1982年2月9日生まれ神奈川県出身。オーディションバラエティ「ASAYAN」(テレビ東京) を経て、1998年に歌手デビュー。2009年からは本格的にDJ活動をはじめ、国内のみならず海外でも活躍。女優としても数々の映画やドラマに出演し、近年はママタレとして、「芸能界の激辛女王」としても、バラエティ番組でも人気を博す。2016年に結婚、2017年に第1子を出産、2020年に第2子を出産、現在は第3子を妊娠中(2022年6月現在)。 著者:ライター 廣瀬尚子二児の母。女性誌の編集を経て、フリーランスに。広告やアパレルブランドの撮影、雑誌やWEBマガジンの執筆などを手がける。
2022年06月17日【音楽通信】第112回目に登場するのは、いきものがかりのボーカリストとしても素晴らしい歌声を届け、今回はソロシンガーとしてのニューシングルをリリースする、吉岡聖恵さん!ソロではさらに世界が広がり景色が違ってくる【音楽通信】vol.112「いきものがかり」のボーカリストとしても、「ありがとう」「YELL」「風が吹いている」など、たくさんの名曲をわたしたちのもとへ届けてくれている、吉岡聖恵さん。2018年2月からスタートしたソロ活動では、昨年、シンガーソングライターの秦基博さんとの共作楽曲「まっさら」をリリース。同年11月に開催した自身初のオンラインソロイベントに約1万人が参加するなど、ソロシンガーとしても、表情豊かな歌声で聴き手を魅了しています。そんな吉岡さんが、2022年6月15日にソロ第2弾となるニューシングル「凸凹(でこぼこ)」をリリースされるということで、音楽的なルーツや普段のご様子なども含めて、お話をうかがいました。――あらためて、そもそも吉岡さんが音楽に触れたきっかけや、影響を受けたアーティストから教えてください。小さい頃に、家族から童謡を歌うように教えこまれていたんですよ。ひいおばあちゃんも、おばあちゃんも、両親も歌が好き。家族でカラオケ大会を開くような家なので(笑)、子どものときから童謡がかなり染み込んでいたんですよね。小学校から中学校までは合唱団に参加していましたし、ミュージカルにも脇役で出演させてもらっていました。だからなのか、言葉で情景を見せてくれる歌が好きで、歌で景色を伝えたいという思いがひとつのベースとなっています。成長していくにつれて、90年代から2000年代の音楽を思春期や青春時代に聴くようになりました。ゆずさんに憧れて「路上ライブをやりたい」「バンドもやってみたい」という合唱からの脱却の時期に、J-POPが大好きになって聴いてきた時期を経て、いまがあります。――音楽活動は、2006年に「いきものがかり」としてメジャーデビューされ、2021年夏には2人体制での活動がスタートしましたが、デビュー16年を振り返っていかがでしょうか。長いようでいて短かったのかもしれないと感じていて。というのも、1999年に3人で結成してから、23年目に入ったんですよ。お休みの期間もありましたし、いまは2人ですし、激動でしたね。でも、いろいろな楽曲をみなさんにお届けするにあたって、たくさんの方に支えていただきながらの23年です。題材を与えてくださる方やまわりの方々によって曲もできましたし、そのおかげで前進できているので、あらためてすごく恵まれたグループだと思っています。――「いきものがかり」のボーカリストとして歌うときと、ソロシンガーとして歌うときと、ご自身の中で意識の違いはありますか。これまでは3人なり2人でやっていた作業において、自分で決める分量や、いろいろな人と関わる分量がとにかくソロのほうが多いんですよね。そういった意味では、ソロだとよく考えることも直感的な部分も、自分の意見がパッと反映されることもあって。よりひとりの人として、好きなものや、嗜好が出やすいかなと思っています。いきものがかりは3人で始めていますが、男子2人が作った歌をずっと歌ってきたので、それがすごく楽しい。ソロでは、オリジナルで初めてメンバー以外の曲を歌っているので、さらに世界が広がったなあと。景色が違ってくるのかなと感じています。緑黄色社会の長屋晴子が手がけた最新曲――2022年6月15日に、キラキラとした躍動感にあふれるソロ2ndシングル「凸凹」をリリースされます。今回、親交の深い緑黄色社会のボーカル&ギター、長屋晴子さんが作詞作曲を担当されていますね。緑黄色社会さんは、近い存在なんです。いきものがかりをずっと育ててくれているディレクターさんが緑黄色社会に関わっていたり、レーベルが一緒だったり。(長屋)晴子ちゃんにお会いしたときに、すごくいきものがかりを好きで感激してくれて。そんななかでコロナ禍に入ってから、わたしもリョクシャカ(緑黄色社会の略称)のアルバムを聴いて、元気をもらっていました。晴子ちゃんと交流があるなか、今度やらせていただく曲を誰かに作ってもらいたいと思ったときに「晴子ちゃんだったら、いい曲はもちろん、今回の題材においても、自分の良さも理解してくれているし、曲や歌も素晴らしいから頼めたらいいな」と。今回、TVアニメ『カッコウの許嫁』(テレビ朝日系 毎週土曜日深夜1:30)のオープニングテーマでもあるので、アニメの世界観も理解してくれると思い、このタイミングでお願いしました。――では遅かれ早かれ、長屋さんにお願いしていたのですね。そうですね、「作ってもらえたらうれしいな」って話していました。今回の題材の青春だったり、キラキラしていたり、みずみずしさがあるようなものとお話しして、快く作っていただきました。――長屋さんは吉岡さんのことをリスペクトしていると公言されていますが、交流されているときはどんなお話が多いのですか。一緒にご飯に行かせていただいたこともありますし、お互いに男女混合のグループというところが共通しているので、そのあたりの共通点のことを話したりします。歌のことは、ざっくばらんに言ってきてくださいますが、歌のことについて自分が伝えられることはないし、そんなことはおこがましいと思っていました。でも、ディレクターさんがポロッと「そろそろ自分の伝えていきたいことを伝えていっていいんじゃないか」と言われて。だったら、同じボーカリストとして、「自分はこうだったよ」と話せることもあるかなと思うようになり、いまはお伝えしています。わたしも、歌っている姿勢において晴子ちゃんはすごいと思っているので、お互いにリスペクトし合いながら付き合えているのかな。――レコーディングの様子を収めた映像も拝見しましたが、今回、レコーディングには編曲を担当された緑黄色社会のメンバーが参加し演奏もしていますね。今回やっていただけることになって、すごくうれしくて。一度、いきものがかりのデジタルイベント(いきものがかり結成20周年・BSフジ開局20周年記念 BSいきものがかり DIGITAL FES 2020 結成20周年だよ!! ~リモートでモットお祝いしまSHOW!!!~)に出てくださったことがあったので、お互いに親近感もありました。勝手にバンドの一員になったぐらいの勢いで、レコーディングのときに歌わせてもらって。みなさんの勢いも感じられたから、本番の歌入れも、イキイキと歌えましたね。――どちらのファンの方にとっても、うれしい組み合わせですよね。晴子ちゃんと吉岡のコラボを喜んでくださる方も多いみたいです。恐縮なんですが、両方とも好き、と言ってくださる声も届いています。――長屋さんはアニメの世界観も意識して曲作りされたんですよね。意識はしていると思いますが、たんにアニメに合わせていくというよりは、曲の主人公と、想う相手に対してのストーリーが出来上がっているので、すごくいいバランスで取り組んでくれました。レコーディングの前の仮歌の段階で、ちょっと歌ってみようとわたしがブースに入り、晴子ちゃんがコントロールルームにいて、「この歌詞の語尾は『ね』かな。聖恵ちゃんぽいから作ってみたんです」「聖恵ちゃんの鼻濁音がいいから入れてみました」など、わたしが歌っていいものになる、ということまでも意識して作ってくださいました。すごく全体が見えている方で、シンガーソングライター、ボーカリストというだけではなく、プロデューサーとしての目線を感じたので、すごく信頼しています。――吉岡さんのことが大好きで、歌い方も伝えたいことも考え抜いて、長屋さんが曲作りされたことが伝わりました。そうですね。聴いてきてくれているというのも、あると思います。だとしても、それをこんな素晴らしい曲の中に入れ込める才能が、すごい。たぶんわたしだけじゃなくて、いろいろな歌手の方を鋭い視点で見ているんだと思います、「あの歌手の方のこの感じでどうですか?」と言ってくださったりするから。すごく楽しかったですね。――『カッコウの許嫁』のヒロインの声を務める声優の鬼頭明里さんは「まさかの吉岡聖恵さんの歌唱で、ものすごくテンションが上がりました」とコメントされていますが、ソロでは初のTVアニメのオープニングテーマです。ありがたいですね。アニメのオープニング映像も観させていただいて、クレジットに「吉岡聖恵」と出ているのが、すごく新鮮でした。いきものがかりでも、アニメ主題歌をやらせていただいておりますが、個人名でクレジットが出るなんて、うまくハマっていたらいいなと思います。――ミュージックビデオでは、ジャケ写にも写っていますがカラフルで袖の長い衣装やネイル、ダンサーさんなど、キュートでポップな印象で、楽しく歌の世界を堪能できました。衣装はあそこまで袖が長くなるとは思っていなかったんです(笑)。前作と同じHARUさんという方に監督していただいたのですが、世界観がすごく好きで、ポップでキャッチーででもひっかかりがあってというところがツボで。いろいろな衣装を着たのですが、最終的にあのインパクトのある衣装になって、着ているだけで笑顔になるといいますか。陽気に愉快に、自分がユニークなものとして、飛び込んでいけました。ボーカルだから真ん中にいたけれど、あの世界のパーツになれたのがうれしかったですね。その世界の一員になれて遊べましたし、遊んでもらえたかなって。ダンスは、国内外でダンサー・振付師として活躍されている、山田うん先生という方のコンテンポラリーダンスカンパニーの方を中心に集まってくださって、すごく新鮮でした。かっこいいだけではなく、不思議な世界があって、自然と笑顔になって。「踊ってください」とはとくに言われなかったのですが、勝手にまねして踊っていたら「やりましょうよ!」と山田さんに言っていただいて、喜んで踊りました(笑)。ホールで踊っているシーンがあるんですが、大学時代のミュージカルコースで踊っていたときのことを思い出して、仲間と一緒にステージの上で自由になる、という楽しさがすごく出たかなと。リョクシャカさんチームがばっちりかっこいい曲にしてくれたところにのっていきつつ、ミュージックビデオでは弾けて遊んでいる感じもあるので、観ていただけるとまた曲の印象も違ってくると思います。これからも曲を作って、歌を届けていきたいーーお話は変わりますが、吉岡さんがいまハマっているものはありますか。散歩からの、プチピクニックです。晴れた日はもちろん、晴れていなくても、歩いていて「これだ!」というお店をまず見つけて。だいたいパン屋さんなんですが、さらにちょうどいい公園を見つけて、そこでラジオを聴きながら、ひとりで陽にあたりながらパンを食べるんです(笑)。その時間がけっこう好きで、プチピクニックをしていますね。あとは最近、スイカスムージーを飲みました。プチピクニックでは、果物のスムージーとパンの組み合わせが多いですね。コロナ禍がなかったら、そういうことはしなかったかもしれないです。以前なら、もっと遠くに行こうとか、カフェを探して行こうとなっているかもしれませんが、コロナ禍で行動に気をつけているなかで、ゆっくり歩いて密にならずのんびり太陽を浴びることは、自分の中では心が落ち着く瞬間ですね。――ボーカリストとしてステージに立ち、多くの方に歌を届けるお仕事をされていますが、普段から良いコンディションを保つために、美容や健康面で気をつけていることはありますか。わたしは、実はとてもおしゃべりなので、ずっとしゃべっていますね(笑)。心の健康といいますか、精神衛生上、あまり溜めこまないようにしていて。悲しかったこと、うれしかったこと、悔しかったことなども、スタッフさんにも聞いてもらっています。学生時代の友達とのグループLINEがありまして、そこでも「夕飯は何にした」とか、くださらない話をしていますね。話を聞いてくれる方がいるから、救われる。でも、まわりは迷惑かも(笑)。人によってタイプは違いますが、わたしの場合は、しゃべってスッキリするということがわかったので、やるようにしています。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。多くのことはそんなにできないなって、いい意味でも悪い意味でも、気づくときがあります。そのなかで、いきものがかりやソロ活動に限らず、今後も自分ができること、頑張れば喜んでもらえる可能性のあることを軸にやっていきたいと思っています。いきものがかりでも、いまデモテープを作る作業に入っているので、マイペースになりますがこれからも曲を作って、歌を届けていきたいですね。取材後記いきものがかりでも、ソロシンガーとしても、力強く心に響く歌声を聴かせてくれる、吉岡聖恵さん。ananwebの取材の際も、ひとつずつ誠実にはきはきとインタビューに応えてくださり、吉岡さん自体が明るい太陽のような存在感を放っていました。だからこそ多くの方を惹きつけるんですね。そんな吉岡さんのソロとしてのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみり吉岡聖恵PROFILE1984年2月29日生まれ。1999年11月3日、水野良樹と山下穂尊によるユニット「いきものがかり」が行っていた路上ライブに飛び入り参加したことがきっかけで、ボーカルとなる。2006年3月、シングル「SAKURA」でメジャーデビュー。以降、「ありがとう」「YELL」「ブルーバード」「風が吹いている」など多数のヒット曲を世に送り出す。2017年1月、「放牧宣言」を行い、一時グループ活動を休止。2018年11月、「集牧宣言」で活動を再開。2021年夏に山下がグループを離れ、2人体制での活動がスタート。グループ活動休止中の2018年2月より、吉岡のソロ活動を開始。10月にはカバーアルバム『うたいろ』をリリース。2021年11月には秦基博との共作楽曲「まっさら」をリリースし、約1万人が参加した自身初のオンラインソロイベントを開催した。2022年6月15日、ニューシングル「凸凹」をリリースする。InformationNew Release「凸凹」(収録曲)01.凸凹02.凸凹(tofubeats remix)03.凸凹(Aiobahn Remix) SACRA BEATS Singles04.凸凹(Instrumental)【DVD収録内容】01.凸凹(Music Video)02.凸凹(Music Video -Behind The Scenes)03.凸凹 (Recording -Behind The Scenes)04.TVアニメ「カッコウの許嫁」ノンクレジットオープニング映像05.TVアニメ「カッコウの許嫁」メインPV第1弾2022年6月15日発売(初回仕様限定盤)ESCL-5665/6(CD+DVD)¥2,200 (税込)*TVアニメ『カッコウの許嫁』描きおろし絵柄ダブルジャケットスリーブ仕様。取材、文・かわむらあみり
2022年06月14日直木賞&本屋大賞受賞作家・辻村深月の人気小説を原作に、アニメ制作の現場で働く人々が織りなすドラマを描いた映画『ハケンアニメ!』が先日、公開を迎えた。計441ページ(単行本)におよぶ原作小説を約2時間の映画として脚色したのが、ドラマ「死役所」、「レンタルなんもしない人」、「あのコの夢を見たんです。」など、一風変わった設定やシチュエーションの異色ドラマを数多く手がけてきた脚本家の政池洋佑である。新卒で一般企業に就職するも突如、サラリーマンとしての生活を捨て、脚本家を志したという政池だが、どのようにしてこの世界に入り、年に数本の連ドラを任される人気脚本家となったのか? いまの時代に、脚本家に必要とされる視点や能力とは? たっぷりと話を聞いた。――まず、政池さんが脚本家になられるまでの道のりについて伺ってまいります。大学卒業後、まず企業に就職されて、その後、エンタテインメントの世界に入られたそうですね。学生時代から脚本家になりたいという気持ちはあったんですか?いや、なかったですね。ただ、TVドラマは好きで、ドラマのプロデューサーや監督になりたくて、就職活動でTV局は受けていました。ただ、選考はわりと進むんですけど、最後の最後で落ちるんですよ。たぶん、薄っぺらさが伝わるんでしょうね…(苦笑)。実際、薄っぺらかったと思います。「ドラマが好き」と言いつつも、僕よりももっと好きな人はたくさんいたと思いますし、なんとなくノリだけで面接は進んでたんでしょうね。結局、TV局は全部落ちたんですけど、就活で受かったUSENで新卒で働き始めたんです。そこで毎朝、1時間ひたすらバナーの確認をするといった仕事をしてまして。1時間ずっと「F5」ボタンを押し続けて、特定の広告が何回出たのかをカウントするんですけど「これはつらいぞ…」と(苦笑)。僕、大学の頃にママチャリで日本縦断をしたことがあるんですけど、その頃の親友がTBSで働いていたんです。そのつながりである日、音楽番組の収録を見学させてもらったんですけど、なんて楽しそうな世界なんだろう!って。大学時代は2人ともあんなに楽しそうだったのに、一方はいまもキラキラ楽しそうにしてて、俺は「F5」を延々と押し続けてて…。加えてその頃、大失恋をしたんですね。そのイキオイで会社を辞めて「脚本家になろう」と思ったんです。――会社を辞める時は、この先、生きていく自信はあったんですか?いや、完全なノリですね。当時、付き合ってた彼女にフラれて「絶対にあいつを見返してやる!」って感じでそのままノリで辞めちゃいました(笑)。いや、こう言いつつ、僕はもともと、ものすごい安定志向なんですよ。メチャメチャ貯金するタイプだし。なのにイキオイで辞めちゃったんですね。つくづく、いろんな歯車が狂った結果として、いま、ここにいるんだなと思いますね(笑)。だから『ハケンアニメ!』を書くときも、主人公の瞳に感情移入できる部分は大きかったです。彼女は大学を出て、県庁で働いていたのに、退路を断ってアニメの世界に飛び込んでくるじゃないですか。自分自身を重ねながら脚本を書いていました。――会社を辞められて、その後、有名な放送作家の元に弟子入りしたと伺いました。そうです。当初から脚本家を目指してはいたんですが、構成作家にも興味があって一度、そちらも勉強してみたいなと思って、放送作家さんの弟子として働き始めました。――その後、すんなりと構成作家に?そうですね。構成作家というのはわりと人数が多い業界なんですね。いまも僕は朝の情報番組で仕事をさせてもらっていますが、わりと早い段階からいくつかの番組に入れましたね。――構成作家のお仕事というのは、ドラマや映画の脚本家とは全く違うものですか?違うと思われる部分が多いと思いますけど、僕は構成作家であることが、脚本を書く上ですごく活きているなと感じることが多いです。『ハケンアニメ!』もそうですね。今回の原作小説を読むと、3人の主人公たちが少しだけ時系列がずれているところで奮闘していて、それぞれがすごく良いセリフを口にするんですよね。それを俯瞰で見て「このセリフは絶対に大事にしなきゃ」とか「このシーンは大切だな」というふうに組み替えながら1本の映画として“構成”していくんです。僕はこの“構成力”が、脚本家として自分が得意な部分なのかなと感じていて、おそらく今回、僕を起用してくださった東映の須藤(泰司)プロデューサーもそこを評価してくださったんじゃないかと思います。――構成作家が具体的にどういうお仕事なのか詳しく説明していただけますか?やることはメチャクチャいっぱいあります。それこそ番組の企画書を書いて、その企画を会議で通して…、といったこともしますし。先ほどもお話した映画やドラマ脚本の仕事との類似という部分で言うと、例えば、ある俳優さんのことを、情報番組で紹介するとします。「昨日の映画のイベントに出席しました」とか「過去にこういう作品に出演しています」とか「インタビューの映像があります」とかいくつも“素材”があって、それらを決められた時間の中で、どういうふうに見せたら視聴者の興味を引くことができるか? というのを考えます。「オリンピック」であれば、「競技の映像」、「過去の映像」、「表彰式」や「インタビュー」の映像があって、それらをどういうふうに組み合わせて、どういうふうにVTRを終わらせたら、一番面白いか? カタルシスを感じられるか? といったことを考える仕事ですね。素材は決まっているので、“ゼロ”から“1”を作ることはできないんですけど、素材を並べて魅力的なVTRを作っていくということをやります。――構成作家として仕事をしつつ、どのように脚本家にシフトしていったのでしょうか?まずはシナリオセンターというところに通ってみました。その後、賞に応募したりもしたんですが、なかなかそこからは仕事につながらなかったんですよね。ただ、ある幸運な出会いがありまして…。サラリーマン時代にお世話になっていた先輩がいて、その人から「昼間に西荻窪で飲もう」ってずっと誘われてたんですね。最初のうちは何度か断ってたんですけど、5回目くらいにようやく行ったんです。そこになぜかリンボーダンスを踊る人たちがいて(笑)、そこで先輩に「お前も踊れよ」と言われて僕も「イェーイ!」ってメッチャ踊ったんですけど、なぜか先輩たちはすぐに帰っちゃって、せっかくリンボーダンスを踊ったのに、ひとりで寂しく飲んでたんですよ(苦笑)。――なかなか酷い展開です…。「もう帰ろう」と思ったら、隣に座ってた2人組の女性が「さっき踊ってたよね?」と話しかけてくれて、ひとりがドラマのAPをやっている方で、もうひとりは脚本家の大島里美さん(※「1リットルの涙」、大河ドラマ「花燃ゆ」など)だったんですよ! 僕は「1リットルの涙」が大好きだったので「えぇっ! 大島里美がいるよ! 嘘でしょ?」って感じで(笑)。「こんなチャンスはない!」と思って、そこから親しくさせていただいて、自分が書いたシナリオを送って読んでもらったり、一緒に飲みに行ったりするようになって、ある時、大島さんのピアノの発表会に行ったら、そこでテレ東のプロデューサーの方と知り合って、その出会いがきっかけで、脚本家として連ドラデビューすることになったんです。いま振り返ると、あそこでリンボーダンスを踊ったことがデカかったなって思います。リンボーダンスで人生変わりましたから(笑)。だから、若い脚本家の人と話をするとき、「何かあったら、自分から動けば人生変わるかもしれない」ってことはよく言いますね。――脚本家の金子ありささん(「恋はつづくよどこまでも」、「中学聖日記」など)に師事されていた時期もあったそうですね?そうですね。金子さんは大島さんの先輩で、大島さんから「いま、金子さんが弟子を募集してるけどやらない?」ってお話をいただいて、「やる!」と食い気味に行きまして(笑)、金子さんの下で1年ほど修行させていただきました。金子さんは本当に優しくて面倒見がよくて、とにかく脚本会議などの現場に常に連れて行ってくださって、そこで、僕が考えたプロットも発表する時間を持たせてくれるんです。もちろん僕のプロットなんて1ミリも使われないんですけど(苦笑)。まず会議で、金子さんがプロットをどうやって練り上げていくか? というシナリオ術と会議術を見ることができて、さらに会議の後にカフェで1~2時間ほど、金子さんが僕のプロットの何が悪いのか? どうしたら良くなるかということをマンツーマンで指導してくださるんです。それは本当に貴重でありがたい時間でした。その時のメモは「一生忘れちゃいけないな」と思って大切にとってあるし、いまでもたまに見返してます。「あぁ、金子さん、このことを言ってたんだ!」って当時はわかってなかったことが理解できたりしています。――そもそも「脚本家になろう!」と思ったのはなぜだったんでしょう? 映画やドラマは昔から好きだったんですか?好きでしたね。ただ、学生時代にそういう創作活動は全くやってなかったんです。さっきも言いましたけど、学生時代にやったことと言えば、ママチャリで日本縦断ですから。後は遊び歩いてました。だから我ながら、よくこの仕事をやれてるなぁって思います。僕は「自分に才能がない」と認める才能があって、そのぶん、吸収力はハンパないと思うんです(笑)。他人が作った面白いストーリーから学んで、自分のものにしていくのが得意なんだと思います。いまでもいろんな作品から勉強させてもらって、自分の力にしていますね。――好きなドラマや影響を受けた作品はありますか?ドラマは好きでわりと何でも見てましたけど「やまとなでしこ」とか「マイ ボス マイ ヒーロー」、映画だと『耳をすませば』とかメチャメチャ好きでした。クリエイターで言うと古沢良太さんとかは本当にすごいなぁと思います。ただ、さっきも言いましたけど、僕の武器ってたぶん「普通」であることなんですよね。ドラマがメチャクチャ大好きで、メチャメチャ見ているという人もいるじゃないですか? でも、僕は「普通」に好きで、「普通」に見てるんですよね。だから就活の時、TV局を落ちたんだと思いますけど、それは弱点でもありつつ「普通の感覚を持っている」ことが自分の特徴なのかなと思います。なので「○○さんが大好きで、憧れて、追いかけてます!」みたいなのはないですね。――先ほど、お話に出た「武器」と通じるかと思いますが、これまでいくつもの作品を手がけてきて、ご自身の作風だったり、作品の特徴ってどういう部分だと思いますか?『ハケンアニメ!』はちょっと違いますけど、「ぶっ飛んだ設定」と「ぶっ飛んだキャラクター」ですね。ドラマ「スナイパー時村正義の働き方改革」(※)なんかはまさにそうですね。※「スナイパー時村正義の働き方改革」:2020年3月にCBCテレビで深夜枠で放送された連続ドラマ。情報機関の伝説のスナイパーと同機関の人事部のOLの2人だけで繰り広げられるシチュエーションコメディで、仕事一筋のスナイパーが社会の波を受け、ミッションのさなかに“残業ゼロの定時退社”や“デジタル化”といった働き方改革を強いられていくさまを描く。2020年日本民間放送連盟賞番組部門 テレビドラマ番組最優秀賞、令和2年度(第75回)文化庁芸術祭 優秀賞、JNNネットワーク協議会 特別番組賞などを受賞。ただ、こうして賞をいただいたりもしたんですけど、番組自体は全然見られていないんですよね…(苦笑)。――CBCでの深夜放送ということもあって、「見られなかった」という人も多いのかと思います。Paravi(パラビ)でも配信されてるんですけど、なかなかね…(苦笑)。ネットでバズることもなく、「月刊ドラマ」の5月号にもシナリオを載せてもらったんですけど、これもあんまり売れてないのかなぁ…(苦笑)?ちょっと話が脱線してしまうんですけど、今回、シネマカフェさんにこの「映画お仕事図鑑」でインタビューをしていただこうと思った理由が、この「スナイパー時村正義の働き方改革」がきっかけなんですけど、自分で自信のある面白いものを書いて、それが賞をとったとしても、意外と人々に届かないというのを感じたからなんです。民放連の最優秀賞をいただいた時に「よし、これで売れるぞ」「大ブレイクするな」と思ってたんですけど、この作品をきっかけにしたお仕事のオファーというのがひとつもなかったんです。そこにはもちろん、いろんな要素があると思うんですけど、“僕”という人間のコンテンツ力がメチャメチャ低いというのも原因のひとつだなと思ったんです。まず、僕自身が多少なりとも有名になることも大事なことだなと。この連載で、少し前に『罪の声』の野木亜紀子さん(「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」など)のインタビューが掲載されていましたが「野木亜紀子の新作!」となると、その時点で「絶対見る!」というファンの方が多くいると思いますけど、脚本家でなかなかあのレベル、あのゾーンに達するのって簡単なことではないですよね。もちろん、「面白いものを書く」というのが一番大切なのは言うまでもないですが、それと同時に違うアプローチ、違う戦い方も必要なんじゃないかと考えるようになったんですね。「スナイパー時村正義の働き方改革」のシナリオが「月刊ドラマ」に掲載されたのも、その一環で「今度、Paraviで配信されるので、載せてもらえませんか?」と自分から編集部に売り込んだんです。これまでは「面白いものさえ書いてれば、いつか評価される」と思ってた部分があったんですが、民放連の受賞をきっかけに、それだけじゃダメなんだって勉強させてもらいました。――ここまで話をうかがってきて、『ハケンアニメ!』の脚本を政池さんに任せようと考えた須藤プロデューサーが慧眼だなと思います。僕がお話をいただいたのは5~6年前かな? 当時はまだドラマは1本くらいしか書いてなかったと思います。実は、最終的に実現には至らなかったあるプロジェクトがあったんですけど、その作品のプロットを僕が書かせていただいたんです。それを須藤さんが読んで気に入ってくださって、そのことがきっかけで『ハケンアニメ!』で僕を抜擢してくださったんだと思います。――ここから今回の『ハケンアニメ!』の脚本の執筆に関して、詳しくお話をうかがってまいりますが、政池さんはこれまで、『ハケンアニメ!』以外のドラマ作品でも、漫画や小説の脚本家を手がけてきています。原作を脚本にする際に大事にしていること、心がけていることはありますか?一番大切にしているのは最初に読んだ時に「素晴らしい!」と思ったセリフやシーン、展開で、読みながら「おぉっ!」って心が動いた部分に関しては印を付けていくようにしています。で、脚本にする際に、その部分を確実に入れるということを大事にしています。それって当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、他の脚本家の方が書いた作品を見ていて「え? あの原作のセリフなくす?」「あのシーン、削っちゃったの?」って思うことってわりとあるんですよね。「ちょっと待って! あのセリフのためにここまでの展開があったんじゃないの?」という部分がバッサリなくなってたりしてると「この作品の面白さの“核”を理解してますか?」って思っちゃう。まあ、これは他人の作品だからこそ冷静に見られる部分もあると思いますけど(笑)。これはやはり、構成作家をやっている影響が大きいと思います。「このコンテンツがなぜ世の中で流行っているのか?」「この作品がなぜ多くの人の心を打つのか?」ということを考えていかなくてはいけない仕事なので。この原作の一番面白い部分はどこなのか? を的確に見つけて、それをきちんと脚本に組み込むことが大切だなと思います。――辻村深月さんの書かれた小説「ハケンアニメ!」を最初に読んだ時は、どんなことを感じましたか?とにかくキャラクターが魅力的過ぎるなと。全キャラクターが本当に魅力的で、これを2時間の映画にまとめるのはメチャクチャ難しいぞと思いましたね。あとはセリフのうまさが印象的でしたね。小説家もいろんなタイプの方がいらして、必ずしもセリフで勝負しない方もいると思うんですけど、辻村さんが書くセリフは本当に“刺さる”んですよね。これは一文字も変えちゃいけないな! と思わせるセリフが多いので、それは実際に原作のまま変えずに脚本にしています。中村倫也さんが演じた王子監督が新作発表の場で熱く語るシーンとかはまさにそうですね。――原作は、プロデューサーの有科香屋子(尾野真千子)、アニメ監督の斎藤瞳(吉岡里帆)、アニメーターの並澤和奈(小野花梨)をそれぞれ主人公にした3章の物語で展開します。この3つの物語をどのように1本の映画にしていったのでしょうか? また、映画では、同時刻に放送される瞳と王子(中村倫也)のアニメ対決が中心に据えられています。こうした構成はどのようにして生まれたのでしょうか?映画として作るとき、バトルとした方が見やすいだろうというのはありました。原作では瞳が手がける「サウンドバック 奏の石」と王子の「運命戦線リデルライト」は違う時間帯に放送されることになってるんですけど、“ハケン(覇権)”を争うということを考えても、同じ時間帯に放送されて対決するとした方が、わかりやすく多くの観客に刺さるだろうと思いました。原作の3章の物語は、つながってはいるけれど、時間軸がちょっとずれてるんですよね。それを同じ時間軸の物語にしつつ、対決させることで物語として見やすく、まとまるなと思いました。そうすることで、映画オリジナルのシーンとして生まれたのが、瞳と王子がアニメイベントで、それぞれの新作について語る対談のシーンです。僕自身、あのシーンが映画オリジナルであることを忘れてて(笑)、撮影現場にお邪魔して「良いシーンだな」とか思って見てたら、ちょうど辻村さんもいらして「こういうつくり方もあるんですね」とおっしゃって「そうか、俺が作ったんだ!」って(笑)。――原作では、瞳がアニメの世界を志すきっかけになった作品が、別の監督の作品だったのが、映画では王子のデビュー作という設定に変更されていますね。「憧れの監督との対決」となることで、瞳と王子のバトルがより運命的なものになっていると感じました。そうですね。そこは映画として2時間で見せる上で、ギュッとコンパクトにするというのもありましたし、そうすることで瞳の思いをより強く感じさせられるんじゃないかと思いました。――原作を読んで「キャラクターが魅力的過ぎる」と感じたとおっしゃっていましたが、この魅力的なキャラクターを映画で描く上でどんなことを意識されたんでしょうか?2時間の映画にする上で、どうしても描き切れないキャラクターというのは出てきてしまうんですが、それでも、そのキャラクターが放つ魅力的なセリフは短くても最大限活きるように――たとえワンシーンだけだったとしてもなんとか残したいなと思って、死守しました。映画では決して長くはないですけど、並澤と市役所の宗森(工藤阿須加)のやりとりはまさにそんなシーンですね。――特に政池さんの心に残っている大事なセリフやシーンを教えてください。一番を選ぶのは本当に難しいですが…やっぱり、王子が瞳との対談で“オタク”について熱く語るところですかね。僕自身、読んでてしびれたし、これを中村倫也さんが演じたら面白くなるなと。このセリフを辻村さんがどれほど大切に思って書いたかということも感じました。行城(柄本佑)が「うちは大手だからこそ、こういう作品を作る」ということを言うところも好きですね。あと、その少し前の瞳の独白で「人生には、何かを失っても、それでも何かを成し遂げたい時がある。やらなければならない時がある」というのがあるんですけど、これは瞳の人生、彼女のストーリーの全てが詰まっているような言葉だなと思いますね。――いま、話に出ました「サウンドバック」のプロデューサーである行城に関して、映画を観てファンになる人が多いと思います。原作では「ポロシャツにジーンズ」と描写されていますが、映画では一貫してスーツを着ていますね。こうした変更など含め、“キャラクターを立てる”ためにどういった工夫をされたんでしょうか?衣装に関しては、衣装合わせで監督や柄本さん、衣装スタッフさんが話し合って決めたんだと思います。行城のキャラクターに関しては、とにかく瞳を振り回す男にしたいなというのはありました。彼なりに「作品を届ける」という思いもあって、そうしているんですけど、それをイヤ~な感じで見せたいなというのがあって、映画オリジナルで瞳を振り回す描写をいくつか入れています。辻村さんが描いたキャラクターをより魅力的に見せるために一度、僕自身で飲み込んで、咀嚼して、自分に憑依させて「この男なら、こういうことをするんじゃないか?」「こうすると、辻村さんが描いたキャラクターの魅力が最大限に際立つな」と考えながら、行動を描いていきました。――先ほど、個人的に思い入れのあるセリフやシーンについて伺いましたが、登場人物で政池さんが最も感情移入したのは誰ですか?やっぱり瞳かな? 僕自身、この作品が初めての映画脚本で、吉野耕平監督は2本目なんですよね。だからこそ、長編アニメデビュー作のために奮闘する瞳の心情をここまで丁寧に描けたんじゃないかっていう内容の感想を試写会で映画を鑑賞したお客さんからいただいて「なるほど!そうかも」って思いました。仕事をしている中で「これは絶対に外しちゃダメだ!」という仕事ってあると思うんです。最近は僕もそれなりにお仕事をいただけるようになりましたけど、最初の頃ってそんなにチャンスをいくつももらえないんですよ。まさに野球でいうところの“代打”みたいな感じで、巡ってきたその1打席で結果を出さないといけないという。僕の場合、文字通り最初にいただいたテレ東のドラマの仕事は、別の方が降板しての代打でしたからね(笑)。代打って難しいんですよ(苦笑)! 誰かが作っていたものを引き継いだり、時間があまりなかったり、条件が決して良くない中で、その1回で結果出さなきゃいけないんですから。だからこそ瞳に感情移入する部分があるのかなと思いますね。――改めて、『ハケンアニメ!』の脚本執筆の中で、一番大変だったこと、苦労されたのはどういう部分ですか?原作でそれぞれ別の章で描かれている3人をきちんと絡めるという部分ですかね。原作では、有科と並澤ってそこまで深く絡む描写ってないんですけど、映画では有科が「リデルライト」の原画を並澤に頼みに行くシーンを描いてますし、あれは良いシーンになったなと思います。それから、瞳と有科がボクシングジムで偶然出会って、銭湯に浸かって…というシーンも映画オリジナルですね。原作はそれぞれの章が独立して素晴らしいので、あまり必要なかったんですけど、映画にする上で、3人の女性がそれぞれ戦いつつ、支え合うという描写は絶対に必要だなと思っていました。かといって、あまりに都合よく、無理やり描いてもよくないので、辻村さんの世界観を大切にしつつ、彼女たちをいかに絡めるか? 瞳と王子の対談のシーンを作ったのもそうだし、冒頭に雑誌の表紙を巡るシーンを入れたのをそのためです。最初に表紙のシーンがあるからこそ、並澤をそこできちんと出して、群像劇として描くことができたんです。そのあたりはすごく考えて、工夫しましたね。完成した映画と原作を比べてみると、時間軸を組み替えたり、オリジナルで加えたりしている部分は結構あるんです。でも、原作を読まれている方が見ても、都合よく変更したような無理やりな印象を受けることはないと思います。――映画は瞳を中心に進みますが、瞳だけでなく有科、並澤、王子、行城らに感情移入し、自身を投影する観客も多そうですね。本当にひとりひとりの人物が“脇役”ではなく、それぞれ“主人公”として丁寧に描かれていると思います。原作者の辻村さんが映画オリジナルのセリフで一番刺さったとおっしゃっていたのが、有科が王子に「私に(TV)局と戦えるだけの武器をください」というセリフなんですけど、出来上がった映像を見て、書いた僕もしびれましたね。“心で戦っている”というのを尾野さんと中村さんのお2人が表現してくださったなと思いました。実は、最初の時点で瞳を主人公にするか? それとも有科を主人公にするか? というのは、結構時間をかけて議論した部分でした。初見では有科のほうが入りやすいところはありました。最終的には須藤プロデューサーが瞳を中心に据えることを決めましたが、そういう議論があるくらい、全ての登場人物が本当に魅力的でした。――ここから再び、政池さんご自身のお仕事観などについて伺って参りますが、今後、やってみたいお仕事や目標などはありますか?昔は「朝ドラを書きたい!」とか目標はあったんですけど、最近はとにかく「誰も書いてないような話を書きたいな」と思っています。こんな話、1億回は見たなって話じゃなく、設定やキャラクターがぶっ飛んだ物語を作りたいです。最近、フジテレビで放送された「ここにタイトルを入力」という深夜バラエティでドラマを書いたんですけど「予算が足りなくて、撮影中にどんどんセットが減っていく」という設定のドラマなんです。徐々に会議室の机や椅子がなくなっていったり、主人公の男がパンツ一丁になってしまったりして、最終的に主人公とヒロインがパネルの写真になってしまって、会話もできなくなるんですけど、なぜかグッとくるという展開になってます。視聴者には事前に設定などは説明されないので、物語が進むにつれて「あれ?どうなってんだ、これ?」ってなると思います。こういう仕事をしている時に、自分はこういうのが好きなんだなって実感しました。誰もやらないようなクレイジーな話を書いてるとワクワクするんです。個人的に「笑って泣ける」話が好きなんですよね。くだらなくて「あははは!」って笑ってるのに、最後に泣けてきちゃって「え? なんで俺、これで泣いちゃってるの?」となるような。そういう話を書きたいです。――物語の着想を得るために大事にしていることやアイディアを考える上での自分なりの方法はありますか?よくあるのは「逆のことをぶつける」ってことですよね。「スナイパー時村正義の働き方改革」はまさにそうですけど、スナイパーという“働き方改革”とか関係なさそうな仕事にあえてそれをぶつけてみるという。アイディア帳という意味では、スマホのメモに10年以上前から「この設定、面白いな」と思ったことをメモするようにしています。――本作も人気小説の映画化ですが、最近の日本の映画やドラマでは、オリジナル脚本による作品よりも、どうしても人気漫画や小説を原作とした作品が多い傾向があります。脚本家としてはこうした傾向をどう感じていますか?原作ものが好まれるのもわかります。制作側からしても、オリジナルで連ドラ全10話を作るって、メチャクチャ大変ですから。とはいえ最近、またオリジナルの作品が少しずつ増えてきている気もします。そこはチャンスだと思うので、面白い企画を考えて、通していくしかないなと思いますね。――いま、脚本家になりたいと思っている人に「こういうことをやっておくといい」というアドバイスがあればお願いします。いまの時代、昔と比べて脚本家になりやすいかなりにくいかで言うと、なりやすいと思います。深夜も含めてTVドラマは増えていますから。とはいえ、狭き門ではあるので、なるための戦略は必要だと思います。いま、僕の下にひとりアシスタントがいるんですが、その子はYouTubeで漫画やシナリオを配信しています。そういうところでストーリーを作ることで脚本家としての“筋肉”をつけることはできるなと思います。昔よりはこうした“ストーリーコンテンツ”をアウトプットする場は増えているので、ドラマを書きたいなら、その手前にあって誰でも自分の作品を発表できるところで、ストーリーを作る筋力や技術を身に着けることは役に立つと思いますね。いまはNETFLIXやAmazonプライムビデオなど、配信事業も増えていて、コンテンツの量が増えているのはもちろん、自分が書いた作品が届く範囲も昔よりも広がっているので、そういう意味で“夢”を持てる業界でもあると思います。もちろん、大変なことはたくさんありますけど。コンテンツが増えるのは、ありがたいことですけど、TikTokとかと戦わなきゃいけなかったりするわけですから、大変ですよ!――政池さんご自身も配信作品や韓国ドラマ、海外のドラマなどもご覧になりますか?見ますね。「参考のために」というのもありますけど、見てるとやっぱり面白いですね。もちろん、韓国ドラマが何でも面白いというわけではないんでしょうけど、人気のある作品は日本の作品と比べてもバーンっと突き抜けてると思いますね。先ほども言いましたけど、僕は自分で見ていて心が「おぉっ!」って動いたら、一度止めて、なぜそう感じたのか? というのを分析し、メモしておくということを10年以上やっているんですけど、韓国ドラマを見てると「おぉっ!」というシーンの連続ですね。「愛の不時着」とか一時停止しまくってなかなか進まなかったです(笑)。あれは本当に勉強になりましたねぇ。――「愛の不時着」はプロの脚本家の方から見てもすごい作品なんですね?抜群に面白かったですね。僕の中で「やまとなでしこ」が長くNo.1ドラマだったんですが、久々に「やまとなでしこ」を脅かす…ヘタしたら陵駕するような作品が出てきたなと。大前提としてやはり、設定が面白いですよね。先ほどの「どうしたら見てもらえるか?」という話とも通じるんですけど、いまの時代、「見てみたら面白かった」じゃなくて、「見る前から面白そう」なコンテンツを作らないといけないんだと思っています。だからこそタイトル、設定が本当に大事なんですよね。意外とドラマを作っている人たちって、自分も含め、そのことを忘れがちな気もしてて。バラエティを作ってる人たちは「タイトル命!」というくらい、そこは大事にするんですけど、ドラマだと、わりとフワッとしたタイトルが多かったりしますよね。タイトル、設定に関しては以前から大事だけど、ここ数年、より大事になっているなと感じています。――お話を伺っていて、改めて「面白い作品を作る」ということが大事なのはもちろんですが、それをどう届けるか? 「面白そう」「見てみようかな」と感じてもらうためにコミュニケーション力やマーケター的な視点も必要なんだなということを感じました。そう思います。行城と同じですね。実際、行城が映画の中で言ってることは「わかる!わかる!」って思います。“クリエイター”というのは本来、そういう部分からもっとも遠い存在だと思うんですけど、もはやそういう時代ではないんですよね。最初の話に戻るんですけど、やっぱり自分は「才能がない」ことを認める才能があるからこそ、一歩引いた視点で物事を見ているんだと思います。今回の映画で言うと王子のようなタイプは、才能と寝食を忘れるほどの情熱で自分の作りたいものを作って、その作品が世間に称賛される天才ですけど、自分はそうじゃないんですよね。だからこそマーケター的な視点も必要だし、実際、この映画を通じて行城に教えてもらったことはすごく多いなと思いますし、瞳と一緒に成長させてもらえたなと感じています。(photo / text:Naoki Kurozu)■関連作品:ハケンアニメ! 2022年5月20日より全国にて公開©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
2022年05月26日【音楽通信】第110回目に登場するのは、オリジナリティあふれる世界観で魅了する、新体制となった音楽ユニット・水曜日のカンパネラから、20歳の二代目ボーカリスト、詩羽(うたは)さん!母や軽音楽部の影響でさまざまな音楽を聴く二代目主演・歌唱担当の詩羽。2001年8月9日、東京都生まれ。【音楽通信】vol.1102013 年より始動した音楽ユニット、水曜日のカンパネラ。昔話や偉人などをテーマにしたウィットに富んだ楽曲が持つ世界観は、オリジナリティ抜群で聴き手を虜にしてしまうものばかり。2021年9月に初代主演・歌唱担当のコムアイさんが脱退し、高校卒業後フリーモデルとして活動していた大学生の詩羽さんが、二代目主演・歌唱担当として加入しました。そんな水曜日のカンパネラが、2022年5月25日に、新体制後初となるEP『ネオン』を配信リリースされるということで、詩羽さんにお話をうかがいました。――小さい頃に音楽に触れたきっかけから教えてください。母は音楽が好きで、以前CDショップで働いていたこともあって、ショップでたくさんのCDを借りてきたり、ポップスを聴いたりしていました。小さい頃は、家でYUKIさん、椎名林檎さん、東京事変などの女性ボーカルの曲や、くるり、キリンジといった男性ボーカルの曲が日常的に流れていました。昔から母は自分で歌を作って歌っていて(笑)、いまでもときどき自己流の“ママソング”を歌い続けていますが、母のおかげで自然と音楽が身近な環境に育ちましたね。――音楽好きなお母さまということで、詩羽さんは楽器に触れることはありましたか。高校生のときに3年間、軽音楽部でギターとボーカルを担当していました。当時、弾き語りの魅力に惹かれて、最初はアコースティックギターでひとりで弾き語りをしていて。次に、軽音楽部でバンドをやろうと思い、エレキギターも始めてみました。――もともと音楽で表現したい気持ちがあったのですか。それはなかったですね。その高校に入った理由のひとつは、わたしと年齢があまり変わらないぐらいの女性が弾き語りの路上ライブをしていて、ギターも上手で歌声もすごく素敵で、影響を受けたんです。だから、その先輩と同じ高校、軽音楽部に入りました。いまその先輩は「Day and Night」という2人組の音楽ユニットをしていて、テレビで開催されていたTikTok弾き語りシンガーのオーディションで優勝してドラマ主題歌を勝ち取っていたので、すごいなと思いますね。わたしは高校生の頃から、邦楽のロックをいろいろと聴くようになりました。高校を卒業してバンドをやめてからは、女性シンガーソングライターのカネコアヤノさんの曲をよく聴いています。――では、詩羽さんご自身で歌手になりたいと思ったことはなかったんですね。はい。水曜日のカンパネラとしての活動を始める前は、フリーランスモデルとして自己表現を模索していましたが、歌は自分の楽しい表現のひとつとして趣味でやろうと思っていたぐらいで、歌手になりたいとは思ったことがなかったんです。――そんななか昨年9月に、知人の方の紹介で面談を受けて、水曜日のカンパネラに加入されました。19歳のときにお話があって、正式に加入を発表するときには、20歳になっていましたね。水曜日のカンパネラのことは、中学生のときに「桃太郎」や「一休さん」などの曲が流行っていたのでもちろん知っていて。「加入しますか?」というお話があった日に、すぐ「やります!」とお返事をしました。でも、家に帰っていろいろと水曜日のカンパネラのことを調べ直したというぐらい、実は知識が薄かったんです(笑)。「やったー!」ぐらいの感覚でお返事をしたものの、もしかして自分が思っているよりも、大きな話だったのかなと。「チャンスは全部掴んでやろう!」というスタンスで、いろいろなことに挑戦している最中だったので、悩まずに直感的に即決しました。――初代ボーカリストのコムアイさんは、詩羽さんにとってどのような存在ですか。尊敬できる人ですね。初めて会ったときは世間話をしつつ、こちらから「いままでで一番楽しかった場所は?」「大変なことはありましたか?」といったことを質問していました。その度にコムアイさんは、「大丈夫、大丈夫!」と言って、フラットに接してくださって。コムアイさんに「代わるタイミングでインスタライブしたいんですよね」とお話ししたら、「一緒にやろうよ」と言ってくださって、なかなか他では見られない、いまの時代ならではのインスタライブ上での主演・歌唱の引き継ぎ配信をすることができました。――それまでリスナーとして聴いていた水曜日のカンパネラに、実際に加入してみて、まわりの方からの反響はありましたか。家族は、もともとわたしがやることを信じてくれているので、今回も「すごいね、やったじゃん!」と喜んでくれました。友達には、発表するまで言わなかったので、発表後に「どういうこと!?」とたくさん連絡が来ましたね(笑)。新体制になって初めてのEPが完成――2022年5月25日に、デジタルEP『ネオン』が配信リリースされます。まずこのタイトルに込めた意味からお聞かせください。わたしがアルバムタイトルを考えて、そのまま使ってもらいました。最近ネオンの看板に興味があっていろいろと調べているうちに、いまは使い勝手がよくて経費も抑えられるからと簡易的にできるネオンが増えていて、本格的なネオンを作る職人さんがどんどん減っているという現状を知りました。本来ネオンは繊細なもので、ガラスを熱で動かしてライティングするという技術は昔からあるものですし、なくなってしまうのは惜しいと思っていたところに、アルバムタイトルをどうするかという話があって、ふと「ネオンっていいな」と思ったんですよ。「ネオン」はラテン語なんですが、調べていくとどうやら「新しい」という意味も含まれているという解釈も。時代も新しい、わたし自身も新しく加入して、二代目になったという意味でもぴったりだなと「ネオン」とつけました。――4月27日に先行配信されたシングル「織姫」がアルバムのリード曲になっていますね。これは7月7日にしか会えない織姫と彦星が1年ぶりに再会したら、織姫が令和のギャルラッパーになっていたというストーリーの歌です。歌っているときは、最初にくる彦星目線の歌詞と、その後すぐにくる織姫目線のラップパートが、曲調としてもテンションとしてもとても落差があるので、彦星のところでは感情を込めてきれいに歌おうと心がけていて。でも、織姫の気持ちを表すラップの部分では、一気にいまどきの令和ギャルになるというマインドを大事にして、楽しんで歌っています。――2021年10月に、新体制後初の両A面シングルとして配信された「アリス」「バッキンガム」もEPに収録されていますが、詩羽さんにとって初レコーディングとなった曲ですね。初めてのレコーディングでしたが、あまり緊張しませんでした(笑)。でも、機材は全然わからないですし、どこでボリュームをあげるのか、どこでリズムをとるのか。そんな状況でしたが、楽しく歌入れできました。――今年2月の配信シングル「招き猫」「エジソン」も収録されていますし、新曲「卑弥呼」「モヤイ」など、タイトルだけでも興味深い曲が収録されていますね。「招き猫」は経営コンサルの招き猫という曲で、「エジソン」は、エジソンがバズってバンドマンになってしまったっていう曲なんです。新曲の中では、いまは「卑弥呼」の印象がわたしの中で強いですね。歴史上の人物の卑弥呼が、もしもお天気キャスターだったら……という、天気と卑弥呼が一緒になっている、面白いお天気の曲です(笑)。「卑弥呼」はリズムのテンポがはやくてポップな曲。高くなったり、低くなったり、歌っていても楽しい曲で、ライブでも2、3度披露しています。テンポ感とリズムがポイントの曲ですね。――聴き手には全曲聴いてほしいところですが、まずはこの曲からだけでも聴いてみてほしいというEPの推し曲というと?「織姫」です。「わたしの曲だな」と感じるぐらい、わかりやすさがある曲。わたしは水曜日のカンパネラの歌の部分とラップの部分、どちらも好きで「どちらもやりたい!」と欲張りな気持ちがあったんですが、「織姫」は歌もラップもきれいに入って曲が成り立っていて、自分の歌い方を調整できるので、歌っていてとても気持ちいい曲なんです。だから、一番推している曲でもありますね。――ミュージックビデオも凝っていますが、撮影はいかがでしたか。こちらも楽しんで撮影できていますね。いままでにリリースしたシングル4曲はミュージックビデオも作っていて、2曲リリースする際はひとつがいままで水曜日のカンパネラでお世話になっていた方にお願いするかたち、もうひとつは、わたしの知り合いを連れてきて新しい人に撮ってもらう、同世代のクリエイターと一緒に作っていくミュージックビデオというかたちでした。どちらにも良さがあって、どちらも楽しくて、いい経験ができました。いままでもお願いしていた方は、撮影の場数が圧倒的に違うので、衣装ややりたいことはわたしから事前にお伝えするんですが、当日はお任せしているタイムスケジュールで自然と進んでいくので「ベテランだな、すごい」と(笑)。逆に、同世代の方とミュージックビデオを作っているときは、途中で「どうしよう」と止まることもあったんですが、わたしも一緒にその場に参加して、制作側の気持ちも一緒に考えながら土台を作っていくという経験ができたので、どちらもやってみてよかったです。――もともと物作りにご興味があって、ミュージックビデオ制作にしても、作るほうにも携わっていきたいとお考えでしょうか。水曜日のカンパネラに入る前にも、学生だからこそいろいろなことをやっておこうと思って、写真を撮ったり、自分たちでチームを作ったりしていました。だから、制作側やディレクションする側の気持ちも汲んでいかないと作品は成り立たないと思っています。これからもどんどんアイデアは出していきたいですね。――6月と7月には対バンライブで全国ツアー予定、8月3日には詩羽さんになってからの初ワンマンライブが恵比寿LIQUIDROOMで行われる予定です。ステージで歌うときに、意識していることはありますか。ライブはどんなステージになるのか、まだ何も決まっていません。初ワンマンは、いまのところはとくに気負うことなく、楽しみにしていますね。ライブはいつも無意識にやっていることが多くて、ライブが終わって、メンバーのケンモチヒデフミさんとお話しすると「今日のあの部分よかったね」と褒めてもらうこともあるんですが、そのパフォーマンスも覚えていないことが多くて。ステージでは、その場で瞬時に感覚的にやっていることが多くて、逆に頭で考えてやろうとするとパンクしちゃうんですよ(笑)。だから、とくにあれこれ考えずに、ポンとステージに立ったほうが、心底ライブを楽しめちゃうタイプなんです。――レコーディングのときも、例えばうまく歌おうなどとくに考えないですか。うまく歌おうとするよりも、「まあ、なんとかなるだろう!」と思っているので(笑)。ただ、わたしは声が出るまで時間がかかるので、曲の頭から最後まで歌って、声の調子がさらによくなっていたらまた頭の部分を録り直す、ということもけっこうあるんです。だから、何かあってももう一度録り直せばいいと、そのときその場で出る声質や、気持ちを大事にして歌っていますね。「たくさんの方々に認知される存在になりたい」――以前から写真を撮るというお話もされていましたが、趣味はカメラですか。最近ハマっていることがあればお聞かせください。最近はあまり触っていませんが、以前はフィルムカメラで写真を撮ることが多かったですね。最近は、料理をすることが楽しくて、趣味としてやり始めました。あとは、粘土で立体を作ることにハマっています。オーブン粘土という陶芸用の粘土が市販されていて、おうちのオーブンで焼くと、それでコップやお皿を作ることができるんです。大量にその粘土を買っています。友達のアーティストが作った二次元のキャラクターがあって、その絵で描いている平面のものをわたしは粘土で三次元にすることが好きなんです。奥行きや頭のつくりを想像して、最近は手や爪を泥だらけにしながら、部屋で粘土の立体作りをしていますね。――詩羽さんはとてもチャーミングでオシャレですが、印象的な唇の下のピアスや刈り上げのヘアスタイルなどは、いつからしていますか。高校1年生のときからです。もともと小さい頃から内気なほうで、中学校から高校2年生ぐらいまでは学校生活がうまくいかなかったり、対人関係でトラブルが多かったり、校則に縛られていたりするのがすごく苦しかった時期がありました。いろいろなことでとても悩んでいた時期があったのですが、あるとき「自分のことを助けてあげられるのは自分自身だけだ」と、そう思えたときに「自分の好きなことをしていこう!」と勢いでピアスを開けたことが自己表現の始まりでしたね。そのとき、髪の毛も刈り上げて、前髪もオンザ眉毛にしました。――悩んで大変な時期があったのですね。そのときがあって、いまの自分があるなって思っています。当時は自己肯定感がとても低かったので、自信がなくて、自分のことは全然好きじゃなかったから、そのぶん尖っていました。いまと変わったところは、当時より圧倒的に尖りが取れてきたかな(笑)。まだ見た目は尖っているかもしれませんが、気持ちは、尖っていたものが取れました。――取れたのはなぜでしょうか。自分のことを好きになってくると、尖っている必要がなくなってきて。「あれもこれも全部素敵じゃん!」というマインドになりました。そのほうが自分も幸せだし、まわりにいる人たちも幸せになると思ってからは、そんなに尖っている必要はないなって思い始めたんです。優しい人になりたいですね。――詩羽さんはモデルもされていますが、ファッションについてのこだわりや、好きな着こなしはありますか。ファッションは自分に似合うものを探すことを大事にしていて、古着やネットでプチプラのものを買うことが多いですね。着方によって、値段は見ないとわからないですし、自分に絶対似合うものはあるから。わたしの場合は、落ち着いた色やテイストのものよりも、派手な色のほうが自分に合っていると思うので、今日はピンクを選びました。どれだけ目立っても、派手でも大丈夫だと思っているので、いつも「詩羽」という自己主張をやっています。――今日もご自身でメイクされているんですよね?基本的にメイクは自分でしています。自分の顔を一番理解していて、一番可愛くできるのも自分だと思っているので、毎日鏡を見てメイクしています。アイラインを大きく“くの字”にひいているんですが、日常的にくの字をやっている人はいないですし、わたしは仕事でもプライベートでもこのアイライン。童顔なので、メイクをしないと本当に子どもっぽく見えるんですが、アイラインをひくと少し大人っぽく見えて、コーディネイトの幅が広がります。ブランドだと、ヴィヴィアン・ウエストウッドは好きですね。漫画家の矢沢あいさんが好きで、『ご近所物語』も好きですが、一番は『NANA』。漫画にヴィヴィアンがよく出てくるので、その影響でヴィヴィアンが好きです。――スレンダーな詩羽さんですが、体型キープはどうされていますか。わたしはウエストだけは細いですが脚が太くなりやすい体型だから、ウエストも締めていれば細く見えるだけで、実はそんなに細くないんですよ(笑)。ただ、体重が増えないように気をつけていることは、いま朝食や夜ご飯にオートミールを食べる生活を3ヵ月ぐらい続けています。前日にヨーグルトに入れておいたオーバーナイトオーツを翌朝食べて、夜ご飯は白米のかわりにオートミールを食べて。あとは、毎朝家から駅まで歩くこと。歩くだけでも意外と運動になります。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。いま少しずつフェスやライブが再開し始めていて、音楽業界の中でも動き出せるようになってきたと感じています。これからはいろいろなイベントなどにも出演していって、「織姫」やデジタルEPの『ネオン』をもっと世の中にちゃんと広げていきたい。今後、水曜日のカンパネラの詩羽としても、たくさんの方々に認知される存在になりたいですね。取材後記「水曜日のカンパネラ」の二代目ボーカリストとして、ユニットのフロントに立つ、20歳の詩羽さん。ananwebの取材では、クールにさまざまなポーズで撮影し、明るくニコニコと笑顔でインタビューに応えてくださいました。ヴィヴィアン・ウエストウッド好きの筆者としては、三連パールチョーカーもファッションも髪型もピアスも似合う、パンキッシュな詩羽さんに釘付けに。そんな水曜日のカンパネラのEPをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・北尾渉取材、文・かわむらあみり水曜日のカンパネラPROFILE2013年から、主演と歌唱担当のコムアイ、作詞作曲担当のケンモチヒデフミ、それ以外を担当するDir.Fの3人により始動した音楽ユニット。ライブなどオフィシャルな活動で表に出るのは、主演と歌唱担当のみが行う。2021年9月6日、初代コムアイが脱退し、新しい主演と歌唱担当として詩羽が加入。同年10月、新体制後初めてとなる両A面シングル「アリス / バッキンガム」を配信リリース。2022年5月25日、EP『ネオン』を配信リリース。6月から7月は対バンライブで全国をまわり、新体制初のワンマンライブを8月3日恵比寿LIQUIDROOMにて開催予定。InformationNew Release『ネオン』(収録曲)01.織姫02.卑弥呼03.エジソン04.一寸法師05.バッキンガム06.アリス07.モヤイ08.招き猫2022年5月25日発売写真・北尾渉 取材、文・かわむらあみり
2022年05月19日誘拐犯と被害者と“された”男女の壮絶な運命を描いた映画『流浪の月』が、5月13日に劇場公開を迎えた。本屋大賞に輝いた凪良ゆうの同名小説を、『怒り』『悪人』の李相日監督が実写映画化した骨太な一作。宿命を背負わされてしまったふたりに扮したのが、広瀬すずと松坂桃李だ。高い実力を誇る両者だが、今回演じた更紗と文は、キャリアの中でも最高級の難役。どのような道をたどり、作品を作り上げたのか。広瀬さん×李監督の『怒り』、広瀬さん×松坂さんの『いのちの停車場』といった過去作も振り返りつつ、濃密な日々を語っていただいた。1年ぶり再共演も「初共演に近い感覚」――広瀬さんと松坂さんは『いのちの停車場』に続く共演ですね。広瀬:はい。更沙を演じるうえで李さんとお話ししたのは、「文の存在が唯一自分を支えるもので、想うだけでブレがなくなる」ということ。そしてちょうど『流浪の月』をやると決まったタイミングで『いのちの停車場』の撮影が入り、桃李さんと共演できました。そのときには李さんから「桃李くんに会ってくる」という話も聞いていたので、『いのちの停車場』の撮影現場で「この人が文になる人なのかな?」という感じで松坂さんをずっとそわそわ見ていました(笑)。松坂:そうだったんだ(笑)。広瀬:はい(笑)。そこから『流浪の月』の撮影まで1年空いて、桃李さんとお仕事でお会いする機会もなく、それがそのまま文に会えていない感覚と重なっていきました。――おふたりは本作に挑むにあたり、身体をかなり絞られたかと思います。1年ぶりに再会したとき、驚きもあったのではないでしょうか。松坂:カメラテストでお会いしたときに「すごい痩せてる…!(驚)」とびっくりしました(笑)。ちょっともう役をまとい始めている感じがあって、そこから自分も「これから現場に入るんだ」というモードに切り替わった気がします。広瀬:私も同じです。「痩せた…!(驚)」と思いました(笑)。『いのちの停車場』のときは、役柄的にも「この人(松坂さん)に出会ったことで感情が動き、信頼してついていく」というものだったのですが、そこから違う想いに一瞬で切り替えられた感じでした。「そうか、いまは一人で生きてるんだな」と急に寂しくなってしまって、更紗の孤独ってこんな感じなのかなって。「この人についていけばいい」と思っていた関係性だったのが、全く違う空気感や距離感になったときに、まっすぐ見られないし見ていいのかな…という戸惑いが生まれました。――再共演ではあれど、新鮮な気持ちが自然発生したというか…。松坂:そうですね。「久しぶり!」みたいな感覚ではなく、しっかりと腰を据えて準備したうえで再共演したので、初共演に近い感覚がありました。広瀬:文との濃厚なシーンは撮影の後半だったので、実は撮影で会えるまでに少し期間があったんです。桃李さんは私よりもだいぶ早くクランクインされていましたし、私は私でずっと「文に会えない…。どこにいるんだろう」状態でした。お会いしても一日中喋らないことも多く、役の距離感を保ちながら後半に「やっと喋れた!」という開放感がありました。そして、そこを境に更紗も違う人生を歩み始めて、ふわっと軽くなる瞬間が訪れる。文や亮くん(横浜流星)のことであったり、自分の周りをふとした瞬間に考える時間がたくさんできるのですが、そういった感覚に近づけたのは『いのちの停車場』とはまた違っていて、新鮮でした。現場で悩み抜き「役作り」の答えを模索――今回は物語の中で描かれる時間が15年以上と長く、白鳥玉季さんが10歳の更紗を演じ、広瀬さんが現在の更紗を演じるという構造です。二人一役とはいえ、15年ぶりの“再会”にしなければならないため、非常に難易度が高いですよね。松坂:文にとって、更紗と出会えて初めて自由や解放感を得られたぶん、別れてから15年間はその幸福感を力強く握りしめ、苦しい日々を過ごしていたところはあると思います。それが再会したときに、「ひょっとして更紗も同じような時間を過ごしていたのではないか」と感じられる。玉季とすずちゃんの二人が演じてはいましたが、僕にはちゃんとつながって見えて、すごく心強かったです。広瀬:ただ私としては、やっぱり10代の頃の文との楽しい時間を皮膚感覚として感じられていなかったのが大変でした。途中で李さんに「桃李くんに聞いたら?温度差を感じる」と言われて、桃李さんにお聞きしましたね。そこで桃李さんが教えて下さった言葉を15年ぶん経年させるというか、部分部分で覚えていたり、瞬間瞬間で感じたことが残っているという状態にしないといけない。自分の想像と桃李さんからもらった文の言葉、色々リンクさせていくのはすごく難しくて、つかめるまではひたすら苦しかったです。涙腺がプツンと切れてしまって、何をやっても涙が出てきちゃう状態になってしまい、毎回本番前に李さんに「泣くなよ、強くいるんだ」と声をかけられていました。――広瀬さんは『怒り』から約6年ぶりの李監督とのタッグですね。広瀬:『怒り』のときは、登場人物も多いし東京・千葉・沖縄の3つの舞台で物語が進行するぶん、李さんも映画3本を同時に撮っているような状態で相当大変だったと思います。私自身のことでいうと、『流浪の月』に入る前、初めて立ち止まるというか…敏感じゃなくなっていた時期でした。繊細な何かを感じ取れなくなってしまって、しかもその状態が続いていたんです。クランクイン前に李さんに「どうしたらいいかわからない」と相談するところから始まりました。そういった意味で、『怒り』のときとはお互いに変化がありましたね。――松坂さんは、初めての“李組”はいかがでしたか?松坂:李さんはリハーサルを何度も重ねたり、キャスト同士でコミュニケーションする時間を取ってくれたり、コーヒーを淹れる練習も「実際にお店で練習してみたら」とか、役作りで「撮影場所に寝泊まりしてみたら?」とアドバイスしてくれたり、とにかく芝居にとことん向き合わせてくれるんです。すごくフラットに「役として生きるためならやればいい」と言ってくれるというか、いままで僕があまり経験したことのない温度感の現場だったので新鮮であり、嬉しかったですね。――李監督は現場でとにかく悩み抜く、というお話も伺いましたが、おふたりの目にはどう映りましたか?松坂:悩んでいるのか、或いは待っているのか…。先ほど「役として生きる」とお話ししましたが、それがカメラの前に現れるのを待っているような状態だと感じました。たとえるなら、下からじっくり火であぶられているような感覚です(笑)。広瀬:そのたとえ、正しいです(笑)。松坂:おっ、やった(笑)。広瀬:『怒り』のときと比べると、監督自身も明確な答えを持っていない感じがしました。前作は「自分でどんどん踏み出していけば答えがあるから」とずっとおっしゃっていて、それまでお芝居に答えがあるって考えたことがなかったけど、一つじゃないとはいえ何かはあるんだと初めて思えたんです。今回はその答えがないぶん、李さんとはとにかく話しながら作っていきました。芝居を観て「今はこうだったよね?」と明確に言葉にされると、やっぱりちゃんと見てくれているし待っているし、全部伝わっているなと思います。李さんの前では、嘘をつけないんですよね。――松坂さんが先ほどお話しされていた入念なリハーサルは、どういった形式で行われたのでしょうか。松坂:現場でカメラが回る前に、監督とキャストだけでリハーサル兼ディスカッションをやってみて、そこから何度かリハーサルを繰り返して、その後撮影部や照明部の方が入り、皆さんにお芝居の流れ見てもらい、撮影をいう形でした。この温め方は、他の現場にはなかなかないやり方ですね。監督は答えをくれるわけではないが「そこに導いてくれる」――2021年の11月に放送された「情熱大陸」の中では、警察署のシーンを広瀬さんと李さんが話し合いを重ねながら研磨していく様子が収められていました。広瀬:お互い言葉にするのが苦手で、私発信で生まれてくるものと、李さん発信で生まれてくるものがうまく伝わらなかったんです。そのシーンだけ李さんのおっしゃっていることがよくわからなくて「どういうことですか?」と聞いたのですが、ニュアンスで伝えて下さったこともあってどうしてもうまく理解できなくて。じゃあもう色々と変えてやってみよう!と模索していきました。それで17回くらいそのシーンを繰り返していくなかで、不意に自分の中で新しいものがぽんって生まれたときに「その方向性!」と李さんに言われて、「ずっと違うことをやっていた…」ってなりました(苦笑)。松坂:わかる。試して試して「ちょっと一回外の空気吸ってこようか」って休憩が入り、「どうやったらうまくいくんだろう。ここまではこっちの方向性でやってきたけど、一回横にずれた目線でやってみるか」と思って休憩明けにやってみると「はい(OK)」となることが何回かありました。決して答えをすぐくれるわけではないのですが、そこに導いてくれる感じがありました。やっぱり「待ってる」んだよなぁ…。広瀬:待ってますね、あれは(笑)。(text:SYO/photo:Jumpei Yamada)■関連作品:流浪の月 2022年5月13日より全国にて公開(c)2022「流浪の月」製作委員会
2022年05月13日普段見ることの出来ない芸能人ママたちのバッグの中身を紹介! 今回は、バラエティー番組でも大活躍中の高橋ユウさんです。 2歳の男の子のママ・高橋ユウさんが、息子さんとおでかけするとき(お泊りなしの場合)のバッグの中身を見せてくれました!「できるなら荷物を持ち歩きたくない」と言う高橋さんが厳選したアイテムとは? ママたちに人気の芸能人・有名人ママに、妊娠・出産・育児エピソードのリアルを教えてもらう人気連載! 気になるマザーズバッグや愛用アイテムを一挙公開♪ 高橋ユウさんのバッグの中身をチェック! 1マザーズバッグ73R(セブンスリーアール)のママバッグをずっと使っています。ポケットがたくさんあって、使いやすいんです。保冷シートのポケットも2つあるので、ミルクや飲み物なども入れられます。すごく軽いのに上部な生地なので、使い勝手が良いです。 2おむつ替えセットおむつは、メリーズパンツの「さらさらエアスルービッグサイズ」を使っています。持ち歩くのはいつも3枚。お尻ふきはムーニーの「やわらか素材」を愛用中。やわらかくて厚手なところがお気に入りです。ペーズリー柄のポーチはマザーズバッグについてきたもの。バッグの中の柄とお揃いです。 3お着替えセット息子の着替え上下と下着、靴下をセットで持ち歩いています。なるべくコンパクトにしたいので、フリーザーバッグに入れています。 4タブレット息子を京都の実家に預けるときなど、移動が長いときは、アマゾンの「fire7キッズモデル」という子ども向けのタブレットも持って行きます。絵本や学習アプリなどたくさんのコンテンツが入っています。割れにくくて、持ち歩きにも便利。5保湿&除菌保湿用に、白色ワセリンもいつも持ち歩いています。 6おやつ&お食事エプロンおやつは、バナナと息子が大好きなキャンディチーズ。お出かけ用のお食事エプロンは、コストコの「ビブスター」。ミッキー柄が可愛いです♡ 7水筒アンパンマンの水筒は、息子のスクール用に購入しました。自分で蓋を開閉できてラクなので、休日も持ち歩いています。息子は、基本的に水派です! 8おもちゃ2歳の息子はいま電車が大好きなので、トーマスのおもちゃを数個、お出かけに持っていきます。救急車とパトカーは今のお気に入り。その他の車は、その日の息子の気分で決めています♪ 9息子のリュックとおもちゃ息子用のリュックは1歳のお誕生日に、一升餅を背負うために頂いたもの。働く車たちと、塗り絵などを入れています。 私の必需品はこれ♡ 自分のものは最低限必要な物しか持ち歩きません。コスメポーチもミニバッグも持たない派! マザーズバッグのファスナーが付いたインナーポケットに入れています。 (右から)●ハンカチ、ティッシュ ●マリメッコの小物入れお友達がプレゼントしてくれた小物入れに、アロマオイルやリップクリームなどを入れています。 ●SHIGETAのアロマオイル「ゴールデンドロップス」という香りを愛用しています! SHIGETAのオイルは少しつけただけで香りが広がるところがお気に入り♡ 外に出る瞬間にマスクの外側につけたり、慌てたりして呼吸が荒くなっているときに使うと落ち着きます。 ●Fujikoのニュアンスラップリップティント「02 珊瑚ローズ」を愛用。赤みが少し強めのオレンジカラーが使いやすいです! ●F organicの色なしリップクリームしっかり潤って、保湿を保持してくれるところがお気に入り。やさしいお花とバニラの香りで癒されます。 ●スマホケータイケースはミラーになっているので、息子にカメラ目線をしてほしい時に役立っています! ●お財布ルイ・ヴィトンの「ポルトフォイユ・イリス コンパクト」の「ガレ」というカラーのお財布を使っています。荷物はなるべく少なくしたいので、財布もコンパクトなものを。●その他雑貨などAirPodsとボールペン、エコバッグもマストアイテム。エコバッグはDaddy’s girlのハート柄の物を愛用中。 ◇◇◇ 「タブレットやおもちゃは、近所の公園へ行くときは家に置いていきますが、遠出のときには持っていきます。週に1回くらいのペースでバッグの中の要るもの、要らないものを見直すのですが、今はこれがベストアイテムたちです」 「週に1回は、バッグの中身を見直す」という高橋さん。ついつい多くなってしまうマザーズバッグの中身ですが、必要最低限に抑えていて参考になりました!高橋さんありがとうございました! profile:高橋ユウ1991年1月19日生まれ滋賀県出身。モデル・女優。雑誌専属モデルを経て、ドラマやミュージカルなどなど女優としても活躍。2018年にK-1ファイターのト部弘嵩選手と結婚。2020年に第一子を出産。現在は、バラエティー番組に多数出演する他、YouTube配信も行う。高橋メアリージュンは実姉。 著者:ライター 廣瀬尚子二児の母。女性誌の編集を経て、フリーランスに。広告やアパレルブランドの撮影、雑誌やWEBマガジンの執筆などを手がける。
2022年04月22日【音楽通信】第109回目に登場するのは、10代、20代を中心に絶大な人気を誇る、福岡発のヒップホップシーンの新世代ラッパー、Rin音(りんね)さん!ラップバトルを観たのがきっかけでラップを始める【音楽通信】vol.10918歳からラッパーとしてのキャリアをスタートさせ、数々のMCバトルを総ナメにしてきたRin音さん。さまざまな言葉で織り成すリリックは、リアルでエモーショナル。10代、20代を中心に、絶大な人気を誇っています。ヒップホップシーンの新世代ラッパーとして注目を浴びるなか、2020年2月に配信した「snow jam」がTikTokから大ヒットし、『第62回輝く! 日本レコード大賞』の「新人賞」を受賞。リリースした楽曲のストリーミング総再生回数は3億3千万回を突破しました。そんなRin音さんが、2022年4月20日に2ndアルバム『cloud achoo(クラウドアチュー)』をリリースされたということで、お話をうかがいました。――小さい頃や学生時代は、どんな音楽を聴いていましたか。子どもの頃は、親がドライブ中にかけていたRHYMESTERさんやKICK THE CAN CREWさんといった日本のヒップホップを聴いていました。その後も、とくに音楽が大好きで聴くというよりも、AKB48さんやGReeeeNさんだったり、YouTubeを観て知ったMAN WITH A MISSIONさんだったり、世間で流行っている曲を聴くという感じでした。――ではそこからラッパーになろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。高校1年生ぐらいの頃に、MCバトルの動画を観て「ラップバトルって面白そうだな」と興味を持つようになったんです。いろいろなラップバトルを観て、他の人の闘いを聴いているうちに「僕もやれそうだな」と思い始めたのがきっかけで、高校3年生からは自分でもフリースタイルを始めました。――ラップバトルに惹かれた理由も教えてください。MCバトルは、何が起こるかわからないから、面白いんです。例えば、格闘技なら小さい人が大きい人を倒せるかはわからないですよね、体格差があるから階級もありますし。でも、MCバトルは肉体とは別の競い合いで、音楽コンクールともまた違って、ラップで闘っていくことをスタイリッシュにやっていて、かっこいいなと思いました。――いつから音楽の道を志すようになったのですか。少しはラップができるようになったと思った大学1年生のときに、地元の福岡で「U-20 MC BATTLE」というラップバトルが開催されると聞いて出ることにしたら、ベスト8になって「意外と闘えるかも」と思いました。それと同時に、主催者の方に次のラップバトルでのライブショーケースにも出ないかというお話をもらったのですが、ライブとなると自分の曲が必要なのに、そのときはまだ自分で音楽を作ったことがなかったんです。でもライブを断って、バトルにだけ出るとディスられるので「出る」と返事をした手前、曲作りをすることになって。「歌ってみた」などの動画を参考にして、全部携帯で、曲作りをしました。今考えたら、ようやったなと思います(笑)。出る以上負けたくなくて、あのとき必死にやったことが、おかげさまで自分の大好きなものに巡り合うきっかけにもなってよかったです。――2019年7月にデビュー後、2020年2月の「snow jam」が大ヒットしましたが、心境や環境の変化はありましたか。学生時代は、「音楽やってる」とか「ラップやってる」と言うと、馬鹿にされたんですよね。本格的にやるならまだしも、かじっているだけだなんて言われて。もしかしたらそれは、やりたいことが見つかっていない人のジェラシーもあるのかもしれませんが。でも、そんな状況も、僕の曲をYouTubeにあげていくにつれて、少しずつ変わってきました。少ない再生回数だったのが、何百回再生になって、何万回再生になってと、次第にまわりからの反応も変化していって、僕のことを知っているという人が増えて。「snow jam」を出して、いろいろなTV番組に出演するようになってから、みんな「すごいね」と言ってくれるようになりました。音楽をやっていてよかった、結果が残せてよかったと思います。親にも、それまでは「就職しろ」とずっと言われていました。音楽の世界で成功することが難しいことはわかるので、僕も本当は、普通にインターンに行こうとか、就職しようと思っていて。社会人になって、趣味で音楽をやろうと思っていました。でも、「snow jam」で結果が出てからは、親も「じゃあ、がんばれ」と。だから、ありきたりですが、夢を追いかけている人には「追いかけたほうがいいよ」と言いたいですね。オバケの噂話をテーマにしたアルバム――2022年4月20日に2ndアルバム『cloud achoo』をリリースされました。アルバムに込めた思いからお聞かせください。タイトルからお話しすると、英語で「cloud」は雲ですが、ハロウィンで白い布を被って仮装するオバケが雲のように見えるので“オバケの仮装”をイメージしていて、「achoo」はハクション的なくしゃみの擬音語。よく噂話をするとくしゃみをすると言いますが、つまりは、オバケの噂話をテーマにしたアルバムです。噂話は噂話として、それが嘘か本当かはわからないじゃないですか。噂話を楽しんでもいいけど人を判断しない、どこで情報がねじまがっているか分からないから、鵜呑みにすると人が傷つくこともある、そういう思いを綴っている皮肉まじりのアルバムになりました。――タイトル曲「cloud achoo」は、どこかゲーム音楽のようなスピード感もある楽曲ですね。いままで僕の曲といえば、「snow jam」のようなしっとりしたイメージを持っている方も多いと思うのですが、「cloud achoo」はとても勢いのある曲です。オバケの噂話が流れたとき、つまり不可解な話が流れたときにどうすればいいかといえば、やっぱり「どうでもいいから暴れ回ってやろうぜ!」という感じ。何かあっても気にしなくてもいいよ、というテイストを再現して、ゲームで敵をぶった斬る、自分の中の邪魔者を攻撃するという感じの曲になりました。――リード曲「Blue Diary」は胸に刺さるようなラブソングです。この曲は、4月9日から始まったテレビアニメ『アオアシ』(NHK Eテレ 毎週土曜 午後6時25分)のエンディングテーマ曲のお話をいただいてから作りました。サッカー漫画の『アオアシ』は、ずっとサッカーをやっている主人公が、高校生になってJリーグのユースに入って、チームでスポーツをするなかでぶつかりながらも成長していく姿を描いています。青春を感じる物語なので、僕も青春を感じるタイミングで歌詞を書いたらマッチするだろうと思っていました。ちょうどツアーをやっている時期に曲作りをすることになって、僕もクボタカイ、ICARUSといった音楽を始めたときから一緒にいる仲間と全国をまわっているうちに、ツアーが成功したのはこのチームのおかげだと実感したんです。でも、家に帰ると、ひとりで問題点のことを考える課題もあったり、ぶつかって仲間にうまく接することができないときもあったり。もしこれが学生時代だったらと思うと、『アオアシ』のチームで夢を追う世界ともリンクできて、想像もふくらんだので、ツアーが終わってすぐに曲を書きました。だから思い入れもあるし、いい曲になったと思っています。――お名前のあがったラッパーのICARUSさんや、シンガーソングライターのasmiさん、A夏目(あなつめ)さんとの曲も収録されていますね。仲間との曲は、僕ももちろんリスナーのみんなも聴きたいでしょうし、作りたいものを再現したいのは、仲間なんです。1stアルバムも同じようなメンバーで作っているので、僕らの成長をまた感じてもらえたら。ICARUSとの曲なら自分の引き出しであったり、asmiとの曲なら言葉づかいの成長や表現力だったり、A夏目という新しい仲間ができたことだったり。新しいアルバムで、自分の人生を残していくというイメージもありますね。――作詞をするときなど、いつもはどのように曲作りをしているのですか。最初にメロディやフロウを考えて、そこから言いたいことをフリースタイルでやっていくと、ふと出た言葉が面白かったりするんですよね。それでまた少しずつ変えていって、前の部分につなげていってという感じで、言葉をつなげていって完成させます。基本的に、あまり考えすぎないときのほうが、ちゃんと中身のあるリリックになって、うまくいきますね。リリックにはけっこうメッセージを込めています。どんなふうに伝わっているのかはわかりませんが、凝った作りをしているので気づいてくれたらなと。もともとギミックがあるようなものが好きなので、そこを読み解いてくれたらうれしいです。――ご自身でリリックを書くときに大事にしていることはありますか。あまり否定したり、自分が言われていやなことは書きません。実際に目の前でいやなことを言われたら言い返しますが(笑)、それ以外の優しい人や聴いてくれる人たちのことを傷つけたくないから。ウェルカムの姿勢は一生崩したくないので、みんなに届くようにという思いを込めています。――どんなふうにアルバムを聴いてほしいでしょうか。全部新曲なので、一度全曲を聴いてほしいですね。その後に、好きな曲が偏ってくるのは構わないから。きっと人によって好きな曲が全然違うと思うので、それぐらい収録曲は方向性をバラバラにしたつもりですし、いろいろなことをやったつもりです。曲を聴いたときはこっちの曲が好きだったけど、ライブで聴いたらこっちのほうがよかったとか、音楽を聴く楽しさが広がってくれたらいいですね。――歌うとき、パフォーマンスするときに心がけていることはありますか。楽しくありたいですね。僕は、曲を聴くよりも、作るときが楽しいんです。作るときに楽しんでいれば、リスナーの方にも楽しさが伝わるかなと。聴き心地を大事にしたいと思っていますね。だから、実はどちらかというと、ライブはあまり好きではない(笑)。いまは披露するときよりも、曲作りに楽しさを見出しているんだと思います。「やっていて楽しいな」と思える活動を目指す――お話は変わりますが、いまハマっていることや趣味はありますか。ゲームと料理ですね。僕のYouTubeでサブチャンネルを始めたんですが、この前トマト鍋を作りました。料理が好きだから、料理番組のようにしようと思っていたんですが、ちょっと高度なボケをしてしまって(笑)。なぜなら、料理を作るYouTubeなのに、記念すべき1回目に、ただ材料を切って煮込むだけの鍋をするという内容で……。家では最近、豚汁を作りました。これも簡単ですよ、具材を入れればできます(笑)。――楽しそうですね(笑)。ところで、Rin音さんは髪色も鮮やかでおしゃれな印象ですが、ファッションなどのこだわりはありますか。全然ないんですよ。こんな髪色だと、普通のお仕事はできないかもしれないから、これは僕の特権だと思って色を入れて。ピンク色を選んだのは、ふとX JAPANのhideさんがかっこいいなと、ピンクの髪色がいいなと思ったから。なので、今後、そのときどきで髪色も変わっていくと思います。――いまも福岡県にお住まいということですが、例えばライブなどで他の街に行くと、地元との違いを感じますか。感じますね。人柄も、街並みも、ライブの盛り上がり方も違うから。僕の場合は、とくに名古屋のライブは盛り上がってくれることが多いですね。もしかすると、名古屋の街並みと、福岡の親不幸通りという、ヒップホップのクラブがたくさんある通りなどの街並みが似ているので、そういうのも関係があるのかな。――福岡の親不孝通りはヒップホップが盛んという一方で、福岡といえばシーナ&ロケッツなどの“めんたいロック”も有名ですが、音楽と相性のいい街という印象もあります。確かに、音楽といえば、ジャンルに対しての偏見がない人が多いかもしれませんね。ライブでも、東京から有名人を連れてくるのはなかなか難しいので、自分たちでやるしかないから、ラッパーの場合もひとつのライブハウスに多ジャンルのラッパーが集まります。ゴリゴリ怖い系、僕みたいなタイプ、もっとケミカリーな人など。そこは面白いかもしれませんね、異色の存在と常に触れ合えるのは、福岡の良さですね。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。「やっていて楽しいな」と思える活動を目指したいので、常に新鮮なことをしたいですね。「誰もやっていないことができた」と言える1年にしたいので、これからもがんばります!取材後記地元の福岡から音楽を放ち、全国区へと人気が拡大していった、新世代ラッパーのRin音さん。Z世代に熱く支持されるヒップホップシーンのニュースターながら、日常を歌う曲たちのように、飾らない親しみあふれるキャラクターで、今後ますますブレイクしそうな予感です。そんなRin音さんのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりRin音PROFILE1998年生、福岡県宗像市生まれ。18 歳からラッパーとしてのキャリアをスタートさせ、数々のMCバトルを総ナメする実力派。「2018 天神U20MC battle Round1」優勝、「KMB vol.7」準優勝、「チュリトリスワールド」優勝などMC バトルで頭角を現す。2019年7月、1st EP『film drip』を配信限定リリースし、ヒップホップシーンで新世代ラッパーとして注目を浴びる。2020年2月に配信した「snow jam」はSpotify 国内バイラルランキング1位、Apple Music総合ランキング の9位にまで上昇するなど大ヒットし、各ランキングに軒並みランクイン。同年『第62回輝く! 日本レコード大賞』にて「新人賞」を受賞。現在、楽曲のストリーミング総再生回数3億3千万回突破、YouTube のチャンネル登録者数は18万人を超え、総再生回数は3600 万回を達成。地元である福岡県宗像市の「むなかた応援大使」を務める。2022年4月20日、2ndアルバム『cloud achoo』をリリース。InformationNew Release『cloud achoo』(収録曲)01. Blue Diary02. heaven town03. bless feat.asmi04. cloud achoo05. 悪運星人06. sunny hunny07. glitch switch08. hell virgo feat.ICARUS09. beryllium10. bella11. Myth12. specter wedding feat.A夏目13. Ghost U Clock2022年4月20日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)POCS-30010(CD)¥2,500(税込)(初回限定盤)POCS-39004(CD+DVD)¥3,500(税込)取材、文・かわむらあみり
2022年04月21日【音楽通信】第108回目に登場するのは、ピチカート・ファイヴの3代目ボーカリストとして90年代に一斉を風靡、現在はソロシンガーとして活躍し、デビュー40周年を迎えた野宮真貴さん!子どもの頃から歌うことやお洋服が好き【音楽通信】vol.1081981年にソロデビュー後、音楽ユニット「ポータブル・ロック」の活動を経て、1990年に加入したピチカート・ファイヴの3代目ボーカリストとして、国内外で渋谷系ムーブメントを巻き起こした野宮真貴さん。2021年にデビュー40周年を迎えた野宮さんが、2022年4月20日に40周年のアニバーサリーとなるニューアルバム『New Beautiful』をリリースされるということで、音楽的なルーツなどを含めて、お話をうかがいました。――子どもの頃から歌が好きだったのですか。小学生の頃は、学校に行っても一言もしゃべらないで帰ってくるようなシャイな子でした。でも、歌を歌うことやお洋服は好きだったので、歌手になったら好きな歌が歌える、キレイなドレスも着ることができるなって。好きな歌を歌って自分を伝えていくわけだからしゃべらなくていいですし、将来は歌手になろうと決めて実際になりましたが、こうやって取材でお話ししたり、ステージでもMCをしたり、意外と話すことが多かったです(笑)。――確かにそうですね(笑)。小さい頃はどんな音楽を聴いていたのですか。テレビを通じて、グループサウンズなどの昭和歌謡を聴いていましたね。小さい頃は、当時のブラウン管の中にいる歌手になりたいという感じで、後になって「いい曲だなあ」と思うものは、洋楽の影響を受けている曲が多かったです。11歳の頃、父がステレオを買ってきたのですが、私のためにカーペンターズとセルジオ・メンデスとミシェル・ポルナレフという3枚のレコードも買ってきました。そのとき私は洋楽を聴いて「世界には素晴らしい音楽がたくさんあるんだな」ということを知って、だんだん洋楽を聴き始めて。ただテレビを観ているだけではなく、歌手になりたいと思い始めて、ロックを聴いてからはロックバンドをやりながらコンテストに出たりしていましたね。――お父さまも洋楽がお好きだったのでしょうか。その頃は好きだったみたいです。父は自分のためにクラシックのレコードを買いながら、娘には洋楽やポップスのレコードを買ってきてくれました。当時は、洋楽の番組が始まりだした頃だったので、レコード屋さんでおすすめされたものを買ってきたのかなと思っていたら、自分で聴いて好きなものを買ってきた、と言っていました。後になって考えれば、その洋楽がソフトロックだったり、フレンチポップスだったり、ボサノバだったり、たまたま渋谷系のルーツになった音楽なので面白いです。――デビュー40周年を迎えて、これまでを振り返っていかがでしょうか。1981年にデビューして、1990年にピチカート・ファイヴに入って2001年に解散して、それからソロになりますが、40年を振り返るとピチカートで過ごした10年間が一番濃かったですね。子どもの頃から歌が歌いたくて、歌手になって、ソロでデビューして。ピチカートに入る前の10年間は、自分の持ち歌だけでは食べていけないので、CMの歌を歌ったりもしながら活動していました。ピチカートに入ってからは、海外公演などまで連れて行ってもらったので、想像していた以上の世界を見せてもらいましたね。デビュー40周年のアニバーサリーアルバム――2022年4月20日にニューアルバム『New Beautiful』をリリースされますね。アニバーサリーのアルバムになります。2014年から「渋谷系を歌う」と題して、渋谷系の曲やルーツになった曲、幼い頃に聴いていたカーペンターズなどの曲を歌い継いでいくというテーマで活動していたので、これまではカバー曲を歌う機会が多かったんです。でも、40周年の記念に、私のキャリアに深く関わっていただいたアーティストの方に「いまの私に曲を書いてください」と、新曲を書いていただきました。それと同時に「World Tour Mix」として先行配信した3曲があって。ピチカートの名曲をいまSNS界で話題になっている方にリアレンジしてもらったのですが、世界の若い人たちに発見してもらえるんじゃないかなという思いからスタートした3曲になっていますね。40年前にデビューしたレーベルがビクターで、今回のアニバーサリーアルバムも同じビクターからまたリリースできるという、自分にとってはとても素敵なことが実現しています。――世界で活躍するネオシティポップアーティストとのコラボレーション作品が「World Tour Mix」の3 曲となっていますね。そのうちの1曲、ピチカート・ファイヴの「東京は夜の七時」を韓国人プロデューサーでDJのNight Tempoさんと組んでいます。Night Tempoさんは80年代の日本の歌謡曲やニューミュージックに詳しくて、そういうものをリミックスしてアメリカなどでDJをやって人気の方。昨年、彼がオリジナルアルバムを出す際、わたしに「歌詞と歌で参加してほしい」というオファーがあったんです。彼が歌詞を書いて、わたしが歌ってという形で、アルバムに参加しました。そして今回わたしのアルバムをリリースするタイミングで、「World Tour Mix」をやってほしいなとお願いしたら、彼はピチカートの「東京は夜の七時」のアレンジをやってみたいと。コロナ禍で実際に行き来できないので、リモートでこの曲を作っていきました。――Night Tempoさんの曲「Tokyo Rouge」のミュージックビデオに、野宮さんご出演されていますね?そう(笑)。なんか楽しいですよ。世代も国も違いますが、それも関係なく共演して、彼のおかげでわたしの歌が若い方の耳に届くということもあります。彼が言うには、わたしと「性格が似ている」と。彼は80年代のものが好きで集めていたり。わたしは60年代のものが好きで集めていたり。彼は80年代生まれ、わたしは60年代生まれ。ふたりで「生まれた頃のルーツに惹かれるんですかね?」という話もしました。リモートで話したり、曲を作っていたりするので、実はまだ1度も直接会ったことはないんです。彼が今夏にライブで来日するそうなので、日本に来たら昭和なカフェとか、連れていってあげようかなと思っています。――そして2曲目の「陽の当たる大通り」はタイのポップスター、プム・ヴィプリットさんと組んでいます。以前から、タイにはよく旅行で行っていますし、昔はタイのバンドとレコードを作ったこともあって好きな場所。プムさんは、タイで海の近くに暮らしていて、のんびりした生活をされているので、音にもそれが表れています。彼のアレンジは、ギターサウンドなんですがすごくチルな印象もあって、海辺の陽の当たる大通りを歩いているような感じがしてうれしいです。――3曲目「スウィート・ソウル・レヴュー」は、日本のシティポップ次世代バンドのevening cinemaのアレンジで、そしてYouTubeでシティポップを歌ってバズった女性シンガー、レイニッチさんとデュエットしていますね。レイニッチさんはインドネシアの方なので、実際にお会いはしていないんですが、ミュージックビデオでは共演しているような演出になっています。すごく人気のある方で、わたしのイメージでは、妖精のような人。この曲はピチカートの代表曲ですけれど、原曲もハッピーな曲ですが、evening cinemaの原田夏樹さんが中心になってお話をして。最近底抜けに明るい楽曲が少ないので、ピチカートのさらにもっとハッピーなアレンジでお願いしました。――新曲も5曲収録されています。4曲目「CANDY MOON」は、作詞作曲とプロデュースをGLIM SPANKYの松尾レミさんが担当した渋谷系サウンドです。最初に聴いたとき「すごくいい曲だな」と感じましたね。レミさんには以前から「いつか曲を書いてもらいたいな」と思っていて、ようやく叶いました。レミさんはわたしの娘や息子世代ではありますが、ピチカートや渋谷系をちゃんと聴いて育っていて、リスペクトしてくれている部分があって、そういう気持ちが音にも表れていると思います。わたしの歌のバリエーションをわかっているので、キュートな部分を引き出すような楽曲を作ってきてくれました。――5曲目「おないどし」は、作詞作曲とプロデュースを横山剣さんが担当し、クレイジーケンバンドが演奏している男女デュエットの新定番ソングですね。実際も剣さんと同じ1960年生まれの同い年、デビューも1981年で同期なので、ずっと仲良くさせてもらっていて、ライブでもアルバムでも最多共演回数という感じです(笑)。何年も前から、剣さんに「デュエットソングを書いてほしい」とお願いして、今回40周年のお祝いに書いてもらいました。カラオケのデュエットの定番ソングになったらいいですね。――7曲目「Portable Love」は、ポータブル・ロックの新曲となるテクノポップです。野宮さんが作詞をされていますね。40年前にソロデビューしたあとに組んだユニットがポータブル・ロックですが、90年にわたしがピチカートに入ったので活動休止になっていて、でも解散はしていなかったなと思い出して(笑)。今回、メンバーが新曲を書いてくれまして、とってもいい曲ができましたし、歌詞はわたしが担当しました。イメージとしては、映画『ブレード・ランナー』に出てくるレプリカントのヒロイン、レイチェルの恋みたいな気持ちで書きました。――4月には、「野宮真貴 40th Anniversary Live」と題したビルボードライブを大阪と東京で開催されます。アルバムに参加してくださったゲストをお迎えする3日間ですね。4月24日の大阪公演に松尾レミさん、東京公演の2日間は29日に横山剣さん、30日にデビュー時のプロデューサーでもあったムーンライダーズの鈴木慶一さんとお届けします。3日間とも雰囲気が違うので、どの日でも、3日間すべてでも、楽しいライブになると思います。29日の2ndステージは生配信もあるので、ぜひ全国の皆さんにもご覧いただきたいと思います。「みなさんを癒せる存在として歌い続けたい」――お話は変わりますが、野宮さんがいまハマっているものを教えてください。コンディショニングのジムに通っています。家にいると運動不足になりますし、コロナ禍でライブが中止や延期になったこともあったものの、いざライブができるようになってから慌てないよう、いつでもパッとステージに立てる準備のためにジムへ。歌もそうですが、衣装やビジュアルも楽しみにしてくださっている方が多く、わたしも衣装が素敵だと良い歌が歌えるので、衣装を完成させるためにはハイヒールが必要になってくるんです。若い時は筋トレしなくても、軽々とハイヒールを履いて闊歩していましたが、年齢とともに長時間ハイヒールを履くのは厳しくなってきて。ステージでハイヒールの靴を履き続けるために、コンディションのジムでは、ハイヒールを履いて筋トレをしています。――抜群のプロポーションを維持されていますが、普段からダイエットなどされますか。ダイエットしたこともありますが、年齢を重ねると、ダイエットは危険です(笑)。栄養のあるものを食べることが大事。太るときは、きっと栄養のないものでお腹を満たそうとするときではないでしょうか。運動するにしても、ジムまで行かなくても、少し外に出て歩くことを意識するだけでもいい。フランス人は痩せている方が多いですが、バターたっぷりのソースを使った料理を食べている印象がありますよね。でも、それは多分、時々しか食べないんですよね。普段は粗食だったりします。そういう意味において、日本食もいいですよね。わたしの場合は職業柄、人に見られる仕事だから、そういう緊張感もあります。みなさんも、一歩外に出たら少し背筋を伸ばすなど、誰かは見ているということを意識すると、お腹も締まってきます。――とてもスタイリッシュでおしゃれな野宮さんですが、ファッションのこだわりはありますか。基本的に、古いものが好きなんです。とくに60年代のもので、ファッションに限らず、音楽、映画、デザインも。洋服だと、ウエストをマークしたような服が好きです。いまはオーバーサイズや長いスカートなどの体型がわからない服が主流なので、現在のトレンドとは違いますよね。でも、わたしはキレイなラインの服が好きなので、そういう服を持っていると、着るために気合も入ります(笑)。体型を隠す服装ばかり着ていると、ウエストがどんどん育っていくので、たまにベルトをしたほうがいいと思いますね。だから、よく「ベルトはウエストの監視役」と言っています(笑)。自分のウエストがどこだったか思い出すためにも、ときどきベルトをしてほしいな。――年齢を重ねていっても、自分なりに美しくいられるコツはあるでしょうか。わたしは年齢のことは気にしませんね。「この年齢だから落ち着かなきゃ」とは、全然思う必要もないと思いますし、何でも楽しんじゃったほうが勝ち。年齢を重ねて変化していくことは、新しい体験です。そんな新しい体験ができるって、面白いことですよね。いまの悩みは首のシワなんですが、横に出るのかと思いきや、縦に出るんです(笑)。そういう発見も面白くて、良い美容液を顔ではなく首に塗ったり、シワが目立たないためにはシャツを着るといいと発見したり。シャツの襟が立っていると、横からは首が見えないんですよね。ちょっと前を開けると顔がスッキリ見えるとか、そのほうがシワが目立たないこともわかってきて。日々そうやっていろいろと考えることも楽しみながら、自分の変化に合わせてアップデートしてくと、年齢を重ねていくことも、面白いですよ。――いろいろなお話をありがとうございました!では最後に今後の抱負をお聞かせください。40周年という節目で、素敵なみなさんに協力してもらって、素敵なアルバムを作ることができました。もしもストレスフルな日々を送っていても、音楽を聴いたりライブに行ったりすると、細胞が活性化すると思うんです。わたしの場合は、音楽を聴くと疲れが取れるんですよね。わたしの仕事は、そんな歌をみなさんに届けること。歌う立場としても、みなさんを癒せるような存在でいられたらいいなと思うので、いつまで歌えるかわかりませんが、しぶとく歌える限り歌い続けていきたいです。まだ渋谷系のルーツとなる曲もいっぱいありますし、こうやってオリジナル曲も歌えるようになりましたから、今後も歌を届けていきたいですね。コロナ禍で行けなかったので、全国ツアーもしたいしですし、いろいろな場所に行って、みなさんにお会いしたいです。取材後記80年代のニューウェイヴシーンや90年代の渋谷系ムーブメントなど、これまでにも時代を牽引する存在だった野宮真貴さん。いまもさまざまな世代に支持されている野宮さんの歌はもちろん、容姿も美しくエレガントですよね。ananwebの取材では、音楽のお話以外にも、女性としてもためになるお話もたくさんうかがうことができました。そんな野宮さんのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみり野宮真貴PROFILE北海道生まれ。1981年、アルバム『ピンクの心』でデビュー。1982年に結成したポータブル・ロックの活動を経て、80年代のニューウェイヴシーンを代表する存在となる。1990年に加入したピチカート・ファイヴの3代目ボーカリストとして、90 年代に一世を風靡した「渋谷系」ムーブメントを国内外で巻き起こす。2001年からソロアーティストとして活動。2021年、デビュー40周年を迎え、音楽、ファッションやヘルス&ビューティーのプロデュース、エッセイストなど多方面で活躍中。2022年4月20日、ニューアルバム『New Beautiful』をリリース。「野宮真貴 40th Anniversary Live」と題して、4月24日ビルボードライブ大阪、4月29日と30日ビルボードライブ東京にて開催。InformationNew Release『New Beautiful』(収録曲)01.東京は夜の七時(feat. Night Tempo)02.陽の当たる大通り(feat. Phum Viphurit)03.スウィート・ソウル・レヴュー(duet with Rainych, feat. evening cinema)04.CANDY MOON05.おないどし06.大人の恋、もしくは恋のエチュード07.Portable Love08.美しい鏡09.夢で逢えたら(duet with 鈴木雅之)from『野宮真貴、還暦を歌う。』ライブ10.サンキュー from『野宮真貴×矢舟テツロー ~うた、ピアノ、ベース、ドラムス』ライブ2022年4月20日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)VICL-65698(CD)¥3,300(税込)(初回生産限定盤)VIZL-2055(CD+Blu-ray+ブックレット)¥8,030(税込)【付属Blu-ray収録内容】<『野宮真貴、還暦に歌う。』華麗なるダイジェスト>01.スウィート・ソウル・レヴュー 02. 東京は夜の七時 03. 中央フリーウェイ 04. 三月生まれ 05. T字路(ゲスト:横山剣) 06. 渋谷で5時(ゲスト:鈴木雅之) 07. Twiggy Twiggy 08. 陽の当たる大通り<MUSIC VIDEO>東京は夜の七時(feat. Night Tempo)、陽の当たる大通り(feat. Phum Viphurit)、スウィート・ソウル・レヴュー(duet with Rainych, feat. evening cinema)【付属「野宮真貴スタイルブック/ファッション・クロニクル」】(アナログ盤)2022年5月25日VIJL-60279(LP)¥4,950(税込)取材、文・かわむらあみり
2022年04月16日子どもを育てるとき、親は何度も選択を迫られる機会があります。習い事を始める? やめる? どこに行く? 学校は? その選択はすべて、自分のためではなく“子どもにとってどうだろう?”を軸に悩み、考えて、選択しているはず。楽しく自分たちらしく暮らす鈴木えみさん夫妻に「子育てMyルール」をお聞きしました。これを参考に、親子がフラットでいられる、自分たちらしい子育てが見つかりますように。FEATURE素敵なあの人の子育てVol.1 モデル・鈴木えみさん 2022.4.15子どもを育てるとき、親は何度も選択を迫られる機会があります。習い事を始める? やめる? どこに行く? 学校は? その選択はすべて、自分のためではなく“子どもにとってどうだろう?”を軸に悩み、考えて、選択しているはず。楽しく自分たちらしく暮らす鈴木えみさん夫妻に「子育てMyルール」をお聞きしました。これを参考に、親子がフラットでいられる、自分たちらしい子育てが見つかりますように。PROFILE鈴木えみさんモデル、デザイナー1985年9月13日生まれ。1999年に雑誌『SEVENTEEN』でデビュー後、カリスマ的人気を誇るファッションモデルに。2013年に結婚。一児のママ。2017年より自身のブランド『Lautashi(ラウタシー)』のデザイナーを務める。またジャンルを問わずコラボレーションやプロデュースなどを多く手掛けている。@emisuzuki_official押しつけるのではなく娘の興味に気付くことが大切えみさん:私たちそんなに「これは絶対!」というルールは持っていないから大丈夫かなぁ。むしろフレキシブルでいたいと思っているかも!?旦那さん:そうだね。えみは押しつけるということをしないから。僕も基本的に、娘には自由にいろいろなことをしてもらいたいと思っています。彼女が少しでも興味を持っていることは家族でサポートしてあげられたらいいなと。それには彼女がちょっとでも興味を持つことに、まず親側が気付くことが必要だと思っています。えみさん:そうだね。押しつけないけれど、見逃さないことは大切かもしれません。娘を見ていると、陽キャではあるし、家で歌ったり踊ったりしているのですが、表舞台には興味を持っていない感じがします。自分と似ている部分はあるけれど全く違う部分もあるから、同じだと思い込まずに彼女らしい個性を見るようにしています。休日の過ごし方は、娘はもちろん、親も一緒に楽しめるお出かけへ旦那さん:娘はダンスを習ったり、最近はボイストレーニングを始めたり。表現することが好きみたいです。えみさん:私がボイストレーニングを習い始めたのは15歳の頃。その頃を思い出して懐かしい気分になったりしています。こんなにもたくさんの習い事や情報があふれている中で、「これをやりたい! 」と本人が強く思う気持ちは大切にしたいです。自分自身でやりたいと思うものを学んでもらった方が、絶対に効率いいですし(笑)。旦那さん:休日にも娘の習い事が入っていて、その合間に友人家族と遊んだり家族で出かけたりしています。えみさん:以前はワークショップなども積極的に参加していました。水族館や動物園、公園などへ出かけたり、娘はもちろん親も楽しんでいます。EMI SUZUKI‘s FAMILY STORY EMI SUZUKI‘s FAMILY STORY EMI SUZUKI‘s FAMILY STORY EMI SUZUKI‘s FAMILY STORY EMI SUZUKI‘s FAMILY STORY EMI SUZUKI‘s FAMILY STORY EMI SUZUKI‘s FAMILY STORY EMI SUZUKI‘s FAMILY STORY EMI SUZUKI‘s FAMILY STORY運動神経は旦那さんそれ以外は私に似ている部分が多いかもえみさん:当たり前なのですが、娘は私に似ている部分と旦那さんに似ている部分が両方あって、すぐ人に呼びかけるところが特に旦那さんにそっくり。いつでもすぐに私のことを呼ぶんです。ママのことを好きすぎるの(笑)。それと、運動神経のよさは旦那さんに似ているかなぁ。自転車の練習など運動に関することはすべて彼に任せています。旦那さん:僕は小学校の頃から大学までずっと野球ばかりやってきたので、運動に関しては教えてあげられるかなぁと。娘も体を動かすのが好きで、自転車も30分くらいで乗れるようになったばかりです。えみさん:今は一輪車を頑張っているみたい。本当に活発だよね。そういう運動の部分以外は私に似ているところが多いと思います。基本的にクールで、陽キャだけどねちっこくないというか。旦那さん:そうだね。情に厚くて面倒見がいいところも似てる。娘もお友達から何か頼まれたら全力でやっています。習い事は何かを達成するのではなくただ〝好きなことを楽しむ場〟でいいえみさん:これまで絵本を一緒に読んでいましたが、最近自分で本を読むようになって嬉しい。お友達と放課後に図書館に寄ってから帰るというルーティンができたみたいで。友達の存在の大きさを実感しました。旦那さん:それとずっと好きなのは料理だよね。えみさん:シッターさんがとてもお料理が上手な方で、娘は小さい頃からお手伝いをしていて料理が好きになったんです。朝はスクランブルエッグをつくってくれたり。洗い物も好きですね。今も料理教室に通っています。さまざまな国の先生がいて、その国の料理を教えてくれるというところがまたおもしろいんです。旦那さん:習い事で何かを達成して欲しいわけではなくて、娘が楽しんでいる様子を見ると、シンプルにこちらも嬉しい。過剰に期待はしていません。えみさん:私自身も子どもの頃、ピアノ、そろばん、スイミング、クラシックバレエなどたくさん習い事に通っていたけれど、今でも続けているものはなくて……。自分の意思で選んだわけではなかったので、身につかなかったんだと思うんです。彼女自身がやりたくて楽しんでいる、ということを大切にしています。家族全員それぞれが無理なく正直にフラットでいられる今の状態を続けていきたいえみさん:小学生のとき、よく「将来の夢は何ですか?」って聞かれたり書かされたりしますよね。私自身も書いた記憶があって。その時はわからなかったから簡単に書いたけれど、それが自分の想像以上に強く残るものだと思うんです。私は幼い頃に将来なんて決める必要はないと思っています。だって、私は今でも「夢は何ですか?」に答えられないですから。やりたいことがたくさんありすぎて。旦那さん:ちょうどこの間学校の課題でそれがあったよね。娘も困って、「健康に家族仲良く」みたいに真面目なとりとめないことを書いていた気がします。えみさん:子どもって日々、いろんなことをどんどん質問してきますよね。大人はそれが大変だったりもするけれど、“答えられることはすべて本当のことを伝える”と決めています。結構際どいことを聞いてきても、なるべく嘘だけはつかない。誤魔化したり嘘をついた情報を入れたりすると、曲がりくねって彼女の中で違うものに育ってしまう気がしてよくないと思うんです。旦那さん:そうだね、できる限り正直に答えるようにしています。それと、答えをこちらから出さないということ。例えば、数学の宿題を見ているときに、娘が間違っていてもすぐに答えを教えず、もう一度自分で考えてもらったり。えみさん:「どうしてそう思うの?」と、私も旦那さんも娘によく尋ねています。自分で考える力を養ってほしいので。旦那さん:僕もそう思っています。やりたいことは彼女自身が見つけてくるし、僕らもそれを見逃さず拾って、それをみんなでやっていく。それぞれがやりたいことをやっているから、これからもこの形は変わらないだろうなと思っています。えみさん:無理なく正直に、家族全員がフラットな気持ちで寄り添いながら今の感じでいけたらいいなと私も思っています。娘さんのお気に入りの絵本 & 作品お気に入りの本絵本2冊は娘のお気に入り。「読んで」とよく持ってくるし、1ページずつ交代で読み合わせしたりおもしろく読むのが好きみたい。「工作図鑑」は折り紙1枚からのこぎりを使うものまで載っていて、これ1冊で長く遊べそう。「50の危険なこと」は、“正しく怖がろう”ということが書いてあり、何でもダメなわけではなく正しい知識をつけることが安全につながる、ということを教えてくれます。娘の描いた絵家でマーブリングをやってみたとき、マーブル模様を上からなぞりたいと言って黙々とやっていました。ピンクの絵は3、4歳の頃。その他はアフタースクールで描いたものです。小さいときから絵を描くのがとても好きみたい。縫い物家にあったソーイングキットで、初めてぬいぐるみを手づくりしました。急に「やりたい!」とキツネを縫い始め、結果私も手伝って時間はかかったけれど、楽しかったみたい。別の日にフクロウもつくっていました。吹きガラスとあざらし北海道のガラス工房の吹きガラス体験でつくったもの。自分でつくったもので飲むと嬉しいみたいで、牛乳を飲んだりしています。あざらしは<ボンポワン>のアカデミーでつくってきました。空洞だった目を黒くしたいと言うのでマニキュアを垂らして黒にしたら、さらに気に入ったみたいです(笑)。キャミソール¥22,000、中に着たプリーツドレス¥55,000、プリーツスカート¥49,500/以上3点すべてアカネ ウツノミヤ、イヤーカフ22,000/ラウタシー(以上4点すべてブランドニュース)、ネックレス¥103,400/ソワリーphotography/Kyosuke Azumastyling/Yumeno Ogawahair&make-up/Ai Inukitext/Maki KakimotoSHOP LISTブランドニュース03-3797-3673ソワリー06-6377-6711
2022年04月15日世界標準のライブレストランといわれる『Billboard Live』。国内外の一流アーティストが招かれ、上質な空間と食事が楽しめる場として、世界的に有名です。俳優と歌手の二刀流で活躍している中村雅俊(なかむら・まさとし)さんは、2022年6月に『Billboard Live』公演を行います。デビュー50周年が近づいている中で、どんな想いで臨んでいるのか、インタビューをしました。中村さんの胸中とは…。中村雅俊「歌って本当に力がある、『すごいな』と思って歌わせてもらってる」中村さんは2021年に、初となる『Billboard Live』公演と、初の全篇フルオーケストラとの競演『Billboard Classics』を成功させました。中村雅俊【Masatoshi Nakamura "DAWN"】at Billboard Live YOKOHAMA※動画は2021年の『Billboard Live』の様子です。2022年は大阪・神奈川・東京の3会場で『Billboard Live』公演が決定!2022年に開催する中村さんの『Billboard Live』公演の日程は次の通りです。会場:大阪・Billboard Live OSAKA日程:2022年6月9日(木)・10日(金)1stステージ:OPEN 14:30 / START 15:302ndステージ:OPEN 17:30 / START 18:30詳細:公演詳細はこちら会場:神奈川・Billboard Live YOKOHAMA日程:2022年6月13日(月)1stステージ:OPEN 14:30 / START 15:302ndステージ:OPEN 17:30 / START 18:30詳細:公演詳細はこちら会場:東京・Billboard Live TOKYO日程:2022年6月24日(金)・25日(土)1stステージ:OPEN 14:30 / START 15:302ndステージ:OPEN 17:30 / START 18:30詳細:公演詳細はこちら中村雅俊「『Billboard Live』は、みんなと久しぶりって感じで会いたい」6月の『Billboard Live』公演を控えた中村さんに、取材をしました。デビュー当時と今の自分の変化を受け入れながら、歌に込める想いとは…。――中村さんにとって『Billboard Live』はどんな場所?実際に『Billboard Live』へ行って、外国のアーティストを見たことがありました。だから俺の中で『Billboard Live』は、格式ある特別な場所ですね。コロナ禍でいろいろな変化があった中で、『Billboard Live』公演ができるのは幸せなことです。――コロナ禍による変化とは?そうですね…。45年間続けていたコンサートツアーがなくなったのはショックでした。1974年に出した『ふれあい』という歌からコンサートツアーを始めて、ずっと毎年欠かさずにやってきたので、ガッカリしますよね。2021年からコンサートツアーができるという話になり、そこで初めての『Billboard Live』公演とフルオーケストラをやらせていただけて、すごく楽しかったです。――今年の『Billboard Live』公演への思いは?今年は東京でも公演をするんですけど、東京はステージの後ろが大きなガラス窓になっているんです。カーテンが開くと、後ろにある夜景が見えて感動的なんですよ。なかなか見ない、滅多にない作りですよね。そこに自分が立つというのは楽しみでしかないです。――今年の『Billboard Live』公演のタイトル『Come and get it!』の意味は?「ほら、ちょっと食事を食べていきなさい!」という、海外では日常的に使われる言葉なんですよね。ちょっとカジュアルに、じゃないですけど、「『Billboard Live』に来て、一緒に食事を楽しみましょう!」という想いがあります。タイトルを決めるのに、いつもどうしようって悩みますね…。――ほかにもタイトルの候補が?うん、『暇?』とか考えた。「暇だったらライブに来ない」という、ニュアンスを含めて考えたんですよ。タイトルが『暇?』だったら、なんだろうって思うでしょうから。でも、普通がいいだろうとなりました。――セットリストは決めている?今回のタイトルが『Come and get it!』なので、食事をしながら一緒に楽しい時間を過ごせる、そんなライブにしたいです。俺の曲で人気があるのは、バラードが多いんですよ。だけど楽しげな歌っていうのが、ヒット曲にはちょっと少ないので…。アップテンポの曲、アルバムの中の曲、シングルで出した曲、バランスよく組み立てるつもりです。ただ、どうしても『ヒット曲』といわれるものを、入れないといけないんですけどね。――ヒット曲を歌うのは苦手?ぜんぜん、好きだよ!人気の曲にはヒットした理由が当然ありますし、俺自身の思い入れもあります。お客さんも俺の曲にストーリーがあるかもしれないですけど、一緒ですよね。例えば『ふれあい』なんかは、もう48年も前の作品なんです。20代の頃から今の70代まで、それぞれの年代で、表現は変わってきました。昔の自分の姿をたまに見たりすると、変化は顕著といいますか…。意識はしていないです。けど、自分の歩んできた人生や歴史が、そういうふうにさせるんじゃないですかね。中村雅俊「『一発屋』かって、チラッと横切るものはあった」数多くのテレビ連続ドラマ主演を始め、NHK紅白歌合戦・日本武道館の単独公演などを成功させてきた中村さん。華々しい経歴を持っていますが、意外にも不安を感じていたことがあったそうです。――これまでの芸能人生を振り返ると?ちらほら『デビュー50周年』という話が、出るようになってきました。「すげえな、50年か」というのは、俺の中でもありますね。『われら青春!』という連続ドラマの主役でデビューしました。5代目の先生役だったんですけど、先生役の人はみんな歌を出すことが決まっていて、俺ももれなくという感じでした。それで出した『ふれあい』が、オリコンで10週間トップだったんです。やっぱり考えるんですよ、チラッと横切るものがある…。――横切るもの?『一発屋』かって。最初から主演でデビューをして、歌まで出して、「これを何年も続けられないだろうな」という思いは、チラッとありました。だけど、持ち前の楽観的な性格が、よかったところもあると思います。ほかにもヒット曲を残すことができましたし、コンサートツアーもできましたし…。ドラマに関しても、自分のデータを確認したら、連続ドラマ主演が34本ありました。「俺ってけっこう、頑張ってやってきたじゃん」みたいには、思いますね。中村雅俊「主役を演じ、歌を出すという運命から始まって、今の自分がいる」最後に、中村さんからメッセージをいただきました。過去を振り返ってみて、分かることは多いです。実は、これまでの自分が前へ進んでいくエネルギーになっているんですよ。ガソリンですよね。自分自身がどうなるのか、未来になにが待っているのかは、まったく分かりません。でも、主役を演じて歌を出すという運命から始まり、今もこうしてやってるんだなと感じます。今年の『Billboard Live』公演も、そうした軌跡があったからこそでしょう。今は地方へ行けることも少なくなりましたが、「久しぶり」という感じで、みんなに会いたいです。一緒に楽しい時間を過ごせる『Billboard Live』公演にしますよ。ステージに立つ中村さんの、歌と食事を楽しめる『Billboard Live』公演。今だからこそ表現できる奥深さが曲に乗り、歌の本当の力を伝えてくれることでしょう。『Billboard Live』公演は、新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインを遵守し、開催されます。生涯忘れられないであろう特別なひと時を過ごしてみてくださいね。中村雅俊『Billboard JAPAN』オフィシャルサイト[文・構成/grape編集部・撮影/奥西淳二]
2022年04月11日悪人が報いを受けるのは当然かもしれません。ですが、違法な手段を使って、悪人をさばいてきた人は、どうなのでしょうか。ある出来事がきっかけとなり、悪事の『報い』を一度は受け入れた2人の詐欺師。悲しみに暮れる中、2人はもう一度出会い、暗闇から希望の光を見つけていく…。俳優で歌手の中村雅俊さんが出演する舞台『富士見町アパートメント 2022』は、どん底まで落ちた2人が、再び前を向いていく物語です。中村雅俊にインタビュー!『富士見町アパートメント 2022』とは2022年4月28日~5月8日に、東京都港区六本木にある俳優座劇場で上演予定の『富士見町アパートメント 2022』。2部制になっており、第2部の『フーちゃんのこと』に、中村さんは出演します。※出演者は変更になる場合があります。中村さん演じる藤田風太郎こと通称『フーちゃん』は稀代の詐欺師。かつて詐欺師コンビを組んでいた秋山実智(半海一晃)の前に、ふらっと姿を現します。それは、また一緒に詐欺をするため。熱心に誘うフーちゃんですが、妻の死を機に隠居した秋山実智は、「もう足を洗った」と突っぱねます。ですが、秋山実智の孫娘である亜美(越後はる香)が、詐欺師にだまされたと聞いて…。舞台『富士見町アパートメント 2022』特設サイト中村雅俊「今回の舞台は、美しい裏切りがあってもいいかな」『フーちゃん』役として舞台に立つ中村さんに、インタビューをしました。中村さん自身が「美しい裏切りがあってもいい」と語る、ストーリーの見どころをうかがいます。――『フーちゃんのこと』はどんな物語?『フーちゃん』『実智さん』の、2人の詐欺師の話で、フーちゃんが実智さんを仕事に誘うところから物語が動き出します。実は、過去の出来事から、2人には確執ができているような状況なんですよね。だから実智さんはフーちゃんに誘われても、簡単に「いいよ」とは、いえません。でも、実智さんは孫娘の亜美ちゃんから、「詐欺師にだまされた」と相談をされて、物語が展開していきます。――過去の出来事とは?これが面白いんですよ!フーちゃんは詐欺師なので、人をだますことが得意ですよね。実智さんももれなく、フーちゃんにしてやられたことがあったんですよ。実智さんから「あの時のことは、なんだったんだ」と追及されますが、この場面での2人のやりとりが秀逸なんです。――フーちゃんはどんな人?フーちゃんが口にするのはウソばかり。だけど、ウソの背景には悲劇や切なさがあるんです。照れ隠しじゃないですけど、かっこつけたい時が人間にはあるじゃないですか。「フーちゃんは悪だけど、いいこともしていた」と、実智さんとのやり取りで、見ている人は感じるかもしれません。――実智さんはどんな人?実智さんは表向きは公認会計士として働いていました。でも、裏の顔はフーちゃんと同じ詐欺師です。表と裏の顔を、使い分けていたんでしょうね。実智さんは、妻を亡くしてしまうんですけど、結局、最後まで真実は伝えられませんでした。妻を亡くしてから実智さんは、まるで屍のようになり、塞ぎ込んだ生活を送っているんです。中村雅俊「諦めかけた自分たちの人生に、希望を見つけていく」フーちゃんは、塞ぎ込んでいる実智さんの前に姿を現します。過去の出来事から確執ができているような状況で、再び出会う2人はどんな物語を作っていくのでしょうか。――フーちゃんと実智さんはどうなっていく?お互いに「自分たちの人生なんて」と、諦めにも近い感情を抱いていた時もありました。でも、最終的には太陽を見上げられるくらいの希望が見えてきて、「人間って素晴らしいな」「生きてることっていいじゃない」と感じられるようになるんですよ。最低から希望に変わる、その間に複雑なストーリーがあって、けっこう楽しいんじゃないかと思っていますよ。――複雑なストーリーとは?実智さんの孫娘、亜美ちゃんが、詐欺師にだまされたという流れがあるんですけど、ここが1つのポイントでしょう。俺が演じるフーちゃんの策略があって…と、これを話すとネタバレになっちゃいますね。思い返すと「あれはそういうことか!」っていう、面白みや発見がありますよ。ウソとホントが入り交じる会話の所どころに、「素晴らしいな」と感じる小さなストーリーが散りばめられていて、じわじわと胸に響きました。――どんでん返しがある?『フーちゃんのこと』は、謎解きの要素があると思っています。後から気付けることも多いのではないでしょうか。それに、3人の絶妙な掛け合いが素晴らしいです。フーちゃんも、実智さんも、亜美ちゃんも、それぞれがそれぞれを案じていますし、物語を通してチャーミングに見えてきますよ。今回は、美しい裏切りがあってもいいかな。――中村さんにとってフーちゃんは?最初はフーちゃんのことを、よくいるお調子者かと思っていました。いい加減だし、そういう意味では面白そうな役だなという印象です。本読みの段階からニュアンスや心理的な流れを、理解しながら役作りをしていますね。フーちゃん、それに実智さんも、詐欺師だけど善玉というか、悪いやつらからしかお金をとりません。悪は悪なんだけど、演じていて救われるところがありますね。出てきた時はいい加減なやつに映っても、重要な場面では、別人に見せたいです。中村雅俊「誰にでもウソや秘密はあるから、共感できるんだろうね」最後に、中村さんからメッセージをいただきました。複雑なストーリーなので、見ている人には難しいところがあるかもしれません。演じている時も、ウソと分かった上でアクションやセリフを発し、二転三転することも多いので…。ですが、最低までいったフーちゃんと実智さんが、亜美ちゃんを巻き込みながら、希望を見つけていくストーリーは面白いです!まだ稽古が始まって数日しか経っていないですが、素晴らしい作品になる予感しかありません。ぜひ見に来てほしい。中村さんが出演する舞台『富士見町アパートメント 2022』は、2022年4月28日~5月8日に上演予定。第2部の『フーちゃんのこと』で、中村さんがどんな演技を披露してくれるのか楽しみですね。舞台の詳細は下から確認できます。絶望が希望に変わるストーリーに感動できるでしょう。舞台『富士見町アパートメント 2022』特設サイト[文・構成/grape編集部・撮影/奥西淳二]
2022年04月11日熱気が作品を包み、押し上げた。2020年10月クールに放送スタートした大人気マンガが原作のドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」は、30歳を迎えても童貞でいた主人公・安達清が、触れた人の心が読める魔法を使えるようになったところから始まる物語だった。その能力をフルに使い、人をやり込めることや騙すこと、ずる賢く計らうこともなく、安達は誠実に人の心と向き合う。結果、同期の黒沢優一の心に触れたことで、やがて恋に落ちていくのだ。ふたりのやり取りから感じる何ともいえないみずみずしさ、心が洗われるような真っすぐさが、深夜にドラマを見る層のハートを浄化したといわんばかりに、がっちりつかんだ。回を追うごとに熱気が旋風のように巻き起こり――冒頭に記したように、作品を包んでいった。そして、劇場版『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』として、華々しくカムバックする。安達を演じた赤楚衛二、黒沢役の町田啓太も作品の注目度とともに、どんどんスターダムへと導かれていった。…とはいえ、ふたりは、そんな状況はさておきといった具合で、とにかく映画完成の喜びや、かけがえのない経験について、うれしそうに言葉にする。ドラマ版から続投するキャスト、多くのスタッフとともに大切に結実した作品という実りを祝福するかのように。本作を心待ちにしているすべての方へ。赤楚さん、町田さんが丁寧に紡いだ役柄についてのエピソードや思いに加え、今の彼らのキャリアに対する向き合い方、それぞれが最近プライベートで楽しんだ作品まで、幅広く語ってもらった。世界中で注目された深夜ドラマ「チェリまほ」をふり返る――ドラマ放送時には世界中から注目を集めた『チェリまほ』です。反響について、おふたりはどう感じていましたか?赤楚:うれしいのはもちろんなんですけど、当時、「木曜の深夜に頑張っている人たちに向けて」というつもりでやっていたんです。今は手元から羽ばたいていっちゃったというか、制御不能なところまでいってしまったような感覚はあります。「本当に僕らがやってきたもの!?」みたいな、何だか不思議で夢見心地です。町田:そうなんだよね。実際『チェリまほ』好きな方たちとまだお会いできていないというのも大きいので。赤楚:そうですよね。町田:もちろんたくさん声は届いていますし、うれしい気持ちはあるんですけど、僕も赤楚くんと一緒でまだふわっとしているところはあるんです。いつかは生のお声やお顔を聞いたり、見たりできれば…ご挨拶できたらいいなと、すごく思っています。――本当に、そうですね。改めて演じている中で、安達は黒沢の何に惹かれ、黒沢は安達の何に惹かれていると感じましたか?町田:ドラマ当初からそうだったと思うんですけど、純粋にパッと見た印象や外見、目に見えているところではなくて、内面の心の部分をしっかりと見てくれているところに惹かれたんだと思います。自分もそれを望んでいたわけだし。だからこそ、本当の深いところでのつながりができたんじゃないかな、と思うんです。赤楚:僕もドラマ版から変わらずですが、ずっと想ってくれているところかなと思います。本人(黒沢)は完璧そうに見えますけど、実はすごく葛藤していたり戸惑っていたり傷ついていて。…という部分を見ていて、そうした人間味みたいなところで親近感が湧くところもあって。その中で想ってくれているうれしさだったり、楽しませようとしてくれているアプローチ、マインドが本当に魅力的だなと思っています。何より、一緒にいて楽しいのがすべてだと思うんですよね。役・作品を通しての変化「すごく学ばせてもらいました」――おふたり自身が役そのものから教えられたこと、影響を受けたことなどもありますか?赤楚:安達に関しては、人を想うということで、喜びや切なさ、嫉妬といういろいろな感情が動いていくんですよね。それは恋愛ならではのものなので、改めて「恋愛っていいな」と思いました!あとは、一歩踏み出す勇気です。アクションを起こしていくことで、自分の視野が広くなるところは学ばされました。劇場版だと、黒沢と一緒にいたいから仕事を頑張るとか、誰かのために強くなる部分がすごく描かれているんです。自分ひとりだと限界はくるのかなと思いつつ、誰かのためにというのがあったら強くなれるのかなと感じて。そこがいいなぁと思いました。町田:人と接する上で大切なことが、たくさん詰まっていたと思います。その中でも、自分自身の自己理解と自己発見が大事だなと思いました。普段なかなか客観視できないですし、人と関わることで見出せたり、気づかされたりすることはたくさんあると思うんです。そのあたりを、役や作品を通してすごく学ばせてもらいましたね。あとは…安達も黒沢もすごく頑張っているんですよね。人に優しくできるということは、たぶん自分を大事にしていたり、自分自身に優しくしてあげることが大切だと思うんです。そこは、すごくはっとしました。自分もまだできていませんが、意識するようになったのは作品のおかげです。人から見られて恥ずかしくないようにではなく、自分が自分自身に恥ずかしくないことをすれば、周りにも恥ずかしくないのかなと。相手に対しても恥ずかしくないアプローチができますし、すごく大事だなと思いました。そういうことを学べただけでも、僕の中ですごく大きなことでした。――お互いの俳優としての表現力のすごさや、チャーミングなところなど、撮影中に気づきはありましたか?赤楚:作品では黒沢の面白おかしさを、町田くんは間や表情だったりできちんと表現するんです。絶妙な部分を狙ってされるからすごいなと思います。…でも、何より普段からめちゃくちゃ面白くて(笑)。町田:本当!?僕、昔は友達や先輩に「面白くない」って言われていたから(笑)。赤楚:えーっ!?町田:そう。「つまんない」、「話にオチもない」と言われていたし(苦笑)。自分自身も「別に面白くても、面白くなくてもいいや」と思っていたんです。でも、お芝居だと自由にやれるのでそういうときに楽しいなと思うんですよね。だからやれることもあるし、普段もちょっと楽しみながら過ごすのが好きだったりして。『チェリまほ』では、赤楚くんもみんなも本当によく笑ってくれるからよかった(笑)。だから何をやっても(大丈夫)というか、甘えちゃうんですよね。赤楚:いやいや!みんな、笑いには厳しいんじゃないですか?僕はそんな大ウケしたことないですよ…。町田:いや、赤楚くんは面白いよー!その狙っていないっていうのが面白いんですよ。いいよね。キャリアは「ひとつに決めなくてもいい」「マルチでいい」――劇場版では、キャリアか、一緒に過ごすかという選択がふたりに降りかかります。30代前後では多くの人がキャリアについて、いろいろ選択の時期を迎えます。おふたりはキャリアについて今どのように考えますか?赤楚:キャリアですか。僕は今ご縁で役者をやらせていただいていますが、別の道があったかもしれないな、とも思うんですよね。その場合、僕は人話すのが好きなので、営業をしてみたいです。ばりばり働いて、「仕事命」みたいな感じで。――もう少し年を重ねたら、またちょっと考え方も変わってくるかもしれない、ということですよね。赤楚:そうですね。すべてに余裕が生まれてくるのが、もう少し先だと思うんですよね。30代ぐらいになったら、そうなるんですかね…?何となくですけど、きつい時期や苦しみを経験しなければ、その後の余裕はできてこないと思うんです。なので、若いうちは本当に仕事命でやって、あとあとプライベートを楽しめたらなと。…もし僕が違う人生を歩んでいたら、の話をしていますけど(笑)。――赤楚さんと町田さんはあまり年齢差もありませんが、赤楚さんからご覧になって30代の町田さんは「余裕のある大人」と見える感じですか?町田:待ってください!それ、「見えない」って言えないじゃないですか(笑)。赤楚:はは!見えます!今回もいろいろ助けていただいていたりしていて。そうした振る舞いや生き方は、30代ぐらいから出てくるのかなって、思っているんです。ご本人は「変わらないよ」と言いつつも、ちゃんと人や物事、仕事にも向き合っている町田さんは、やっぱり大人に見えます。…とかは感じつつも、やっぱりおちゃめなところはあるので、そこら辺にちょっと安心感を覚えています(笑)。――非常に実感のこもった素敵な回答でした。町田さんはキャリアということに関して、どう考えますか?町田:キャリア形成は人それぞれですし、何より環境によるのかなと思います。独り身か、家族がいるかでもまた違うでしょうし。選択するときはあるんだろうな、とは思います。でも、今はなんかひとつに決めなくてもいいかな、マルチでいいかな、と思うんですよね。赤楚:確かに!町田:やりたかったら、よくばってもいいんじゃないかなと。手を付けてみてダメだったらダメでもいいと思うんですよ。もう少しポジティブに、身軽にやるっていうのがいいのかなと最近は思うようになってきました。あとは、最終的には自分の心に従うしかない、というところです。結局はお芝居にしてもそうですし、あれこれ考えても結局は自分自身が、相手とどうアプローチをとるかや、どういう行動をとるかによって変わっていくと思うので。信頼していたり、自分の味方だと思う人に話してみるのもいいでしょうけどね。俯瞰してどう思うか意見を尋ねてみるとか。そうした中でいろいろな選択肢を自分の中で増やしていくのも大事なことなんだな、と思います。おすすめのエンタメ作品は?――いろいろなお話をありがとうございました。インタビューを掲載するシネマカフェはエンタメ・映画媒体なのですが、おふたりが最近観た中でよかった作品や、何度も観ているお気に入り作品などがあれば、ぜひ教えてください。赤楚:はい!僕は『ロッキー・ザ・ファイナル』なんですけど。町田:言ってたねー!赤楚:息子に対して説教するシーンを、たまに観返します。――そこのシーンが観たくて、ということですよね?赤楚:そうです。あと、試合のシーン。引退してしばらくたっているのに、息子や自分のために立ち上がろうとするロッキーを見て、「頑張れー!!」ってなるんです。そのロッキーの熱さに、先ほどの話じゃないですけど、僕は「やっぱり男は仕事だ!」みたいな気持ちになっちゃうんです。顔に似合わず僕も、変な謎の闘争心みたいなのが湧いてしまうんですよ…!町田:そうかー!僕もいっぱいあるんですけどね。今パッと出てきたのは『隔たる世界の2人』かな。ブラック・ライヴズ・マター(BLM)を基に作った短編で、去年アカデミー賞で短編実写映画賞も受賞しているんです。素晴らしく、ゾワゾワしました!伝えたいことはわかるので作品化したことにすごく意味があるし、勇気があるなと思いますし、出ている俳優さんたちも本当に素晴らしくて…すごくリスペクトしました。そういう作品が僕は好きだな、と改めて思いました。(text:赤山恭子/photo:You Ishii)■関連作品:チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~ 2022年4月8日より全国にて公開©豊田悠/SQUARE ENIX・「チェリまほ THE MOVIE」製作委員会
2022年04月08日『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』で、シリーズはいよいよ佳境に。闇の魔法使い、グリンデルバルドは世界支配に向けて着実な動きを見せ、ニュートやダンブルドアは彼の企みを阻止すべく決意を固める。そんな物語世界で鍵を握るのはやはり、すべての元凶となるグリンデルバルド。さらには、彼を演じるマッツ・ミケルセン。そこでリモートインタビューを行い、作品について、現在の彼自身について話を聞いた。ダンブルドアとの違いは「夢の追い方」シリーズ最大の悪役として、前2作でも存在感を放ったグリンデルバルド。互いを無二の存在と認めながら、やがて道を分かつグリンデルバルドとダンブルドア(ジュード・ロウ)の関係が、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』ではこれまで以上に影を深く落とす。「かなり若いころからお互いを知り尽くしてきた2人だからね。2人とも非常に強い魔力を持ち、それゆえに生まれる孤独を抱えている。そんな2人が出会い、相通ずるものを見出し、よく似た夢を追い、友情を育んだ。知っての通り、ある事件を境に別々の道を行くのだけど。夢の追い方の違いが、2人の道を分けた原因の1つだと思う。とは言え、彼らには強いつながりがあるし、相手の中に自分自身を見ているところがある。だからこそ、互いへの落胆を隠せないんだ。分身同士でありながらも、全く違う2人だから」。ダンブルドア先生がニュート(エディ・レッドメイン)らに慕われるように、グリンデルバルドにも人を惹きつけて離さない魅力がある。ただし、魅力的であると同時に、危険なのがグリンデルバルドの厄介なところ。ダンブルドアとの違いであるという「夢の追い方」も、あまりに残忍だ。「人を惹きつける魅力を持ちながら、非常に危険な思考も持ち合わせている。権力を手にした者にとって、それほど最高の資質はないだろうね。そんな権力者は現実の歴史上にもいたし、身近にも意外といる。人はなぜか、そういった力を持つ人に惹かれるんだ。賢さや身体能力の高さを見出し、パワフルな存在だと捉えるのだろうね」。例えば「ハンニバル」でマッツが演じたハンニバル・レクター博士も、魅力と危険が混在する人物だった。魅力的、けれど危険。魅力的、けれど危険。その複雑さ、危うさをどうしようもないほど巧妙に演じるのも、俳優マッツ・ミケルセンだ。「演じていて楽しいかは…どうだろう?(笑)興味深いキャラクターたちではあるよね」と笑う。「これはよく言っていることなのだけど、グリンデルバルドと同じ資質はダンブルドアにもあると思う。面白いことにね。何を美しいと見なすか、醜いと見なすか。それこそが映画作りにおけるジレンマなんじゃないかな。何が善で、何が悪か。それを決めるのも決めないのも映画。もちろん、僕たちの人生においても同じことが言えるのだけどね。だから…、そうだね。そういったキャラクターを演じるのは確かに楽しいことかもしれない」。「どう演じたらいいか、答えをずっと探し続けるのが俳優の人生」「現実世界で起きていることに注意を向けられるのもエンターテインメントなら、現実逃避をさせてくれるのもエンターテインメント」とも語るマッツは、近作の『アナザーラウンド』や『ライダーズ・オブ・ジャスティス』でも名演を披露。すでに撮影済みの『インディ・ジョーンズ』最新作にも期待が高まっている。まさに、「現実世界で起きていることに注意を向けられる」作品から「現実逃避をさせてくれる」作品まで。幅広い作品に望まれ、巡り合う秘訣でもあるのだろうか。もちろん、名優であること以外に。「どうだろう?正直なところ、秘訣は分からない。指(人差し指と中指)をクロスして、幸運を祈るくらいはしているかもしれないけど。『役が僕に来ますように!電話がかかってきますように!』ってね(笑)。でも、それはきっとみんなやっていることだと思う。確かに君の言う通り、いまのところすごくいい流れで来ているし、これが続けばいいなと願っている。いい流れが来た理由は本当に分からないけど、僕の仕事を気に入ってくれているのだと思いたいな。『マッツが演じるキャラクターがいる』といろいろな作品で思ってもらえたり、『マッツならどんな企画も可能だ』と思ってもらえたりしていたらすごくうれしい」。“いい俳優とは?”の答えは、「いまだに分からない」という。「俳優としてどうあるべきか、どんな俳優が理想なのか。一言でシンプルに言い表すことはできない。むしろ、俳優にとってはすごく難しい問題なんだ。なぜなら、どう演じたらいいか、答えをずっと探し続けるのが俳優の人生。ある意味、探し続ける旅の道のり自体が俳優であることを指すと思う。もちろん、その過程で小さな方法や手段には出会えるのだけど、『これ!』という正解に出会うことは絶対にない。そう考えると、僕の俳優としてのモットーは、『仕事をし続けること』かもしれないね。仕事をし続けてさえいれば、何か学べることがあるかもしれないから」。(text:Hikaru Watanabe)■関連作品:ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密 2022年4月8日より全国にて公開© 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved Wizarding World™ Publishing Rights © J.K. Rowling WIZARDING WORLD and all related characters and elements are trademarks of and © Warner Bros. Entertainment Inc.
2022年04月08日「誠実に」というワードがインタビュー中、何回か杉野遥亮から発せられた。俳優という職業においても、プライベートでも、彼が大切にしている“誠実”。杉野さんの映画デビューは2017年に公開された『キセキ -あの日のソビト-』だった。GReeeeN結成と、その後デビューし名曲「キセキ」が作られるまでの実話をベースにした同作において、杉野さんは菅田将暉、横浜流星、成田凌とともにGReeeeNのメンバーとして演じ切った。あれから5年、年を追うごとに人気も知名度も実力も、もしかして本人が予想だにしないほどジャンプアップしている。引っ張りだこの人気者は、今、何を思うのか。「自分的に、この1年は濃かったなと思っています。目の前のことに精一杯だった感じがして。充実なのかな、振り返ったときに“あ、あの1年頑張ったな”と思える1年ではあったと思います。けれど100%楽しめていたかと言われると、判らなくて。なんか必死だったんです」それは「自分探しをしている感覚」と杉野さんは言う。「自分探しは自分自身もだけれど、役者として(の自分)も探しているんです。“どうあるのがいいんだろう”、“どこにどうやって向かっていくんだろう”ってずっと模索しながら、毎日目の前のことに一生懸命向かっていた感じがしていて。しんどかったといえばしんどかったから、この1年は」そう言い切ると、一息ついた。忙しさ=作品のオファーが多く、充実の俳優人生と変換できるようにも捉えられる。杉野さんも本音は、「本当の理想は、やっぱり真剣に楽しくものづくりを続けていけたらいいな、と思ったりします。そういうことを常に考えてしまうというよりも、結構ちゃんと誠実に、真剣に生きているだけなのかもしれないです。どうやったら目の前のことを楽しめるようになるかなって、常に模索していった1年でした」。悩みながらも着実に歩みを進めた1年。では、遠い未来の10年後だったら?杉野さんはどんな自分になっていたい?「35歳とか36歳か…!もうだいぶ大人ですね。正直“未来は絶対こうなっていたい!”とかはありません。願望とかはなくて、なるようにしかならないしな、と思っていて。ただ、なんか…誠実に生きていてくれればいいかな、とは思います。俳優の仕事をやらせてもらっているんだから、自分に嘘をついたり、何かに執着して自分に無理をするような10年後ではいたくないなと思います」颯爽とした雰囲気を持つ彼だが、伝える言葉は非常に明快で、かつ気持ちがこもっていた。ふたりの関係値をふたりで探している感じに、僕はとても共感をするTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開中の『やがて海へと届く』は、岸井ゆきの主演、浜辺美波が共演する物哀しくも美しい感動の映画だ。ある日、ひとり旅に出て行ったきり突然いなくなってしまったすみれ(浜辺さん)。その不在をずっと受け入れられない親友の真奈(岸井さん)と、すみれの恋人だった遠野敦(杉野さん)たちの物語。真奈とすみれの出会いから蜜月、敦が関わり様々なことが変わっていく様子が描かれていく。敦はすみれの恋人でいながら、真奈からはあまりよく思われていないポジション。すみれは達観したような雰囲気を持つ女性だが、敦は彼女の全貌を掴んでいるようで、いない、しかしどうなのか…と演じ方次第で印象が変わる存在だ。敦と向き合った杉野さんは、「自分がひとつ思っていたのは、この人はわかったようなふりをして弱いところがあるな、と。その表現ができればいいなと思っていたのと、すみれに対する気持ちがどの程度なのか、いなくなってから数年経ってからの真奈と遠野の関係値はどこまでなのかを探りました。監督に調整してもらいながらやっていたんです」と撮影時を振り返る。作品において真奈とすみれはいわゆる親友関係だが、中川龍太郎監督は「この物語が岸井さん演じる真奈と、浜辺さん演じるすみれの時間や空間を超えた“ラブストーリー”だと思っています」としている。ふたりの関係性は観客の想像に委ねられているが、杉野さんから見ると、単純に「とてもいいふたりだなって思う」という。当てはめることはせずに。「どういった関係値なんて(決めないで)よくないですか、と思うんです。最近、友達とか恋愛とか親友とか、その括りがよくわからないなと思っています。女性同士とか男性同士とかも別に何だっていいよねという価値観は、自分も理解できるんです。本人たち次第だし、僕からしたら、このふたりはみずみずしくていいなとただただ思うから。僕は何よりも、人として心があることが大事かなと思っていて。相手を思いやれることや、相手を大切に思う気持ちが大事だから、僕自身もあまり区分けとかをしたことがないんです。自然と今、自分の周りにいる人は大事にしている人なんです。だから枠組みから決めるのって違うよな、と思う。“彼女を作る”“親友を作る”というのもおかしな話で、気づいたらもういた、気づいたら大切だった、みたいなことのほうが自然だと思います。外側で決め込むことがおかしいから、このふたりの関係値をふたりで探している感じに、僕はとても共感をするんです」。杉野さんの仕事とプライベートの切り替え方法とは?最近編み出したことは…映画には、様々な楽しみ方がある。例えば、『やがて海へと届く』は尊い人と二度と会えなくなってしまった経験をした人には、心が抱えた鈍い痛みに寄り添ってくれるような、どこか救いになるような感慨を抱く。一方で、非現実的なアドベンチャー的面白さを味わえるような作品、恐ろしさにハラハラする作品など、多彩なジャンルを我々は普段、映画から享受している。出演者側の杉野さんは、普段どのような楽しみ方、映画との向き合い方をしているのだろうか。「演じる側としては、エンタメとして届けたいという思いと、メッセージ性を伝えていけたらというどちらもあります。でも、僕個人にとって映画は…今はエネルギーをもらうものなのかな。エネルギーをもらいたいし、明日の活力になることを、今自分自身は求めているかもしれないです」。「例えば」と前置きし、杉野さんは「『グレイテスト・ショーマン』みたいな作品は、本当にザ・エンタメで、エネルギーをもらえますよね!」とうれしそうに話す。俳優という立場を思うと、観ているうちに「自分も興行師のバーナム(ヒュー・ジャックマン扮する)を演じたい」などの思いも湧いてきそうだが?「あ、僕はエンタメとして楽しむためにしか観ないので、そういう考えには行かないかも。観ていて“こういう役をやりたい”とかも、あまりないんです。スイッチを切って観ているからかな…?逆にオファーをいただいたりして、“あ、やりたい!”と心が動くことが多いです」。「スイッチを切る」とは、実に俳優らしい言葉だ。どんな作品や役をやっていても、自分に戻る瞬間が一番ホッとできるとき。杉野さんは、「実は切り替え、下手です」とはにかんだ。「切っているようで切れていないな、とか、切っているように思っていたけど切れていなかったな、と思うことが結構あるんです」。だからこそ、あえて切り替えられるように最近は作戦を立てている。「家に帰ったら本来の自分に戻れるように、自分の好きなもので囲まれたらいいのかもと思ったので、家具もいいと思ったものをこだわって置いたりしています。オシャレかは…わからないです。あとは、まだ叶っていないけれど、ちょっと郊外に行ってゆっくりしたいなと思ったりもしています。仕事や自分に負担にならない感じで、ぼーっとしたいです」。誠実に俳優業を邁進する、杉野さんの進化がますます楽しみだ。(text:赤山恭子/photo:Maho Korogi)■関連作品:やがて海へと届く 2022年4月1日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開©️2022 映画「やがて海へと届く」製作委員会
2022年04月06日【音楽通信】第106回目に登場するのは、アイドルユニットとしての活動などと並行しながら、ソロアーティストとしても本格始動されたニュースター、ゆっきゅんさん!姉の影響で女性アーティストの音楽を聴いて育つ【音楽通信】vol.1072016年、オーディション「ミスiD 2017」で男性初のファイナリストとなり注目を集め、同年から男女2人組のアイドルユニット「電影と少年CQ」としても活動している、ゆっきゅんさん。そこにいるだけでパッとまわりを明るくするような華やかさと、チャーミングなキャラクターで、“ゆっきゅんワールド”に惹き込まれる人が後を絶ちません。2021年5月からは、セルフプロデュースの「DIVA Project」をスタートし、「DIVA ME」「片想いフラペチーノ」の2曲を配信リリースと、ソロアーティストとしても活動を始めています。そんなゆっきゅんさんが、2022年3月30日、1stアルバム『DIVA YOU』をリリースされたということで、お話をうかがいました。――小さい頃に音楽に触れたきっかけや影響を受けたアーティストから教えてください。4、5歳ぐらいのときから、7歳上の姉が大好きでよくかけていた浜崎あゆみさんなどの曲に触れる機会が多く、女性アーティストの曲を聴いて育ちました。子どもの頃は、親が運転する車に乗っていると、いつもカーステレオからは浜崎あゆみさんのアルバム『LOVEppears』(1999年)や、宇多田ヒカルさんのアルバム『First Love』(1999年)と『Distance』(2001年)、Every Little Thingのベスト盤の曲が流れていましたね。姉の影響もあって、浜崎さんのことが大好きになって。子どもの頃はCDをたくさん購入することはできませんでしたが、休みの日はケーブルテレビの音楽専門チャンネルで流れている、邦楽ヒットチャート100といった番組をずっと観ていて、2000年代の邦楽ヒットチャートは全部頭に入っていました。いま思えば、何気なく車で流れていた曲を聴いたりヒットチャート番組を観てきたりしたことは、けっこう大きな音楽のインフラだったんだなと思います。当時はいまよりも音楽番組がたくさんありましたし、テレビを観ると浜崎さんが歌っていたりと好きな人が出演していたので、幸せな時代でした。aikoさんとか、YUKIさんとか、安藤裕子さんとか、椎名林檎さんとか……「歌姫」「DIVA」と呼べるような歌手の音楽が大好きになって、そのまま大人になってからも、ずっと聴いていますね。――音楽に親しまれていたということで、お姉さんとライブに行くことはありましたか。なかったですね。好きな人はテレビで観ることができるので、コンサートに行くという発想もなかったです。岡山県に住んでいたからだと思いますね。高校のとき、友達と広島にPerfumeを観に行ったことはあったけど、基本的に音楽はひとりで聴いて楽しむものだと思っていました。岡山や倉敷市の市民会館には中高所属した吹奏楽部でよく出てましたけど。――楽器との触れ合いはそのときが初めてですか。5歳ぐらいからピアノを習っていました。でも、全然練習ができなかったので、ピアノは弾けないです。作詞をするようになってから、他の人が書いている詞を見ていると「すごいな」と思うことや、歌うようになってから他の方の歌唱法を見て勉強になることも。でも、作曲に関してはそれがわからないので、損している気がして(笑)。いまからでも少しは弾けるようになりたい気持ちがありますね。――2016年にポップユニット「電影と少年CQ」として、音楽活動をスタートされましたね。2016年に「ミスiD 2017」でファイナリストになった時期に、映画をテーマにしたユニットの募集があったんです。それが「電影と少年CQ」で、いまもルアンちゃんという女の子とふたりで活動をしています。いわゆるアイドルライブらしいものではなくて、曲と曲の間にお芝居があって、毎回違う物語を表現するライブをしています。――もともと表舞台に出たいと思った理由は何ですか。中学生の頃にハロー!プロジェクトが好きになって、その後、アイドルやアイドルの音楽が大好きになりました。2014年、大学の進学のために上京したんです。大学では比較芸術学科というところにいて、そこは美術も音楽も演劇も映像も幅広く学べる学科だったので、そういったものにも興味がありました。岡山にいても誰もライブに来ないので、いろいろな芸術やライブが観たいという気持ちで上京しましたが、いざライブに行くようになったら観る側ではなく「あれ?ライブに出たいな」とすぐ気づいて(笑)。東京への期待もありましたが、思ったよりも面白い人は珍しいから、自分でも活動できるんじゃないかなと。カバー曲でライブに出たり、写真集を作ってみたり、自分なりにできる活動を模索してから、、ユニットの活動へとつながっていきます。――2021年から始まった「DIVA Project」でのソロ始動はどんなお気持ちからですか。それまでの活動だけでは、本当にやるべきことはやれていないと自覚していました。ただ、大学院にも通っていて学業との両立が大変だったこともあり、まだ計画の段階で。2021年の春に大学を卒業したので、本格的にセルフプロデュースでのソロ活動を始めることができました。それまでは一番好きな音楽を届けることにまだ自信はなかったんですが、昨年はまわりに協力してくださる方もいて、「いまならやれる」と感じたので、やっとそのタイミングが来たと思っています。日常生活に地続きで寄り添う1stアルバム――2022年3月30日に1stアルバム『DIVA YOU』をリリースされますね。初めてのアルバムなので、今後も活動を続けるなかでの大きな第一歩になると思っています。収録曲の2曲目「DIVA ME」は、セルフプロデュース第一弾の楽曲として昨年5月に出したソロデビュー曲で、いままでとは違う反応や新しい期待を多くの方にいただくことができました。その手応えもあったので、次はアルバムを作ろうと思ったんです。これまでに自分自身ではいつ音楽を聴いていたか、いつ音楽に救われてきたかを考えると、音響のいい部屋で聴いてウットリするというよりも、電車の中や移動中や駅までの道のりでした。そんな日常生活のなかで聴いてほしい、というのが大前提にあったイメージで、アルバムのコンセプトで浮かんだのは“ワンルームディーバ”ということ。歌を歌っていなくても、踊っていなくても、豪邸に住んでいなくても、みなさんが自分をDIVAだと思うならDIVAですし、そもそもがDIVAだと言いたい。DIVAというのは、誇り高くあろうとする精神性のようなことです。わたしの衣装のようにキラキラしたものは距離を感じるかもしれませんが、この衣装を着て歌うのは日常的なことなんです。頑張りたい人を応援したいので、ワンルームに住んでいるDIVAたちを想像したり、自分のことを書いたり。日常生活と地続きで、みなさんに寄り添いたいから。「DIVA ME」という曲を聴くことによって、DIVAに変身するというのではなく、みなさんの心のなかにあるDIVAがもしいるならば、もともと存在していたそれを解放したいという気持ちがあって。ゴリゴリ、ギラギラした踊れる曲が多いですが、この曲たちで生活を彩ってほしいという願いを込めた作品になりました。――アッパーな曲がメインですが、5曲目「歌姫」は王道のミディアムバラードですね。このアルバムはともすれば、わたしがやりたいことをやろうとすると「DIVA ME」100連発とかをやってしまうので危ないと思って(笑)。だから「歌姫」は、緩急の緩にあたる役割として、ちょっとミディアムで憂いのある曲にしてほしいとオーダーしました。通っていた青山学院大学から渋谷駅までの道のりを歌った歌で、歌詞に「寂しくないけど帰りたくない」とあるんですが、そういう寂しがり屋じゃない人の孤独を歌にしています。あと東京について一度歌っておきたい気持ちがあって、自分なりの渋谷をイメージした歌を書きました。――アルバムのリード曲となる6曲目「DANCESELF」は、ダンサブルなナンバーです。ミュージックビデオでは、ダンサーさんと一緒に踊っていますね。ミュージックビデオを監督してくれた今原電気さんは、8年前のでんぱ組.incの武道館ライブでたまたま隣の席にいて「ゆっきゅんさんですか?」と声をかけてくれた方なんです。それからの知り合いで、いまでは乃木坂46などの映像作品を手がける映像監督になっていたので、お願いしてもどうかなと思っていたのですが、わたしの活動には興味を持っていただいていたのでご相談したら「ぜひ」とノリノリで取り組んでくださって。夢をたくさん叶えてくれましたね。でも、DIVAのことはあまりわからないということで、50曲ぐらい映像プレイリストを解説付きで送ったら、完全に理解してくれて、わたし以外が作ったとは思えない企画書をいただけたので進めて完成しました。「DANCESELF」は、「DIVA ME」の先にあるような曲にしたくて書きました。――ゆっきゅんさんは、全曲の作詞を担当していますが、いつもどのように作詞をしていますか。思いついたフレーズをときどきメモしていますが、それがいつ役に立つかはわかんないって感じで(笑)。歌い出しやAメロが上手く書けてからじゃないと全く進めないですね。「DIVA ME」と「DANCESELF」に関しては、ワンコーラスぶんの詞を先に書きました。でも、基本的にはメロディがきてから詞も浮かんでくる感じです。作詞をすることになって、歌詞というのは独立した作品ではなく、メロディと歌あってこそのものなんだと改めて感じましたね。こういうことを伝えたいなと思って書く歌詞もありますが、「何でこのフレーズが出てきたのかわかんない」という詞のほうが、気に入ることは多いですね。――数々の著名な方々もアルバムにコメントを寄せていますね。みなさんに直接コメントをお願いしました(笑)。藤井隆さんは憧れの存在で、『DIVA ME』をリリースしたことで私のことを知ってくださって、それだけでも嬉しかったのですが、今回「ゆっきゅんからの愛の挑戦状、受け取りました」などと言ってくださっていて……本当に感激しました。Base Ball Bearの小出祐介さんは、(昨年11月に先行リリースした)収録曲の3曲目「好きかも思念体」を聴いて昨年のベストアイドルソングとして褒めてくださったりして。みなさん本当に有り難いお言葉をくださいました。「大事なところは譲らず規模を広げていきたい」――お話は変わりますが、いまハマっているものを教えてください。今日もご自身できれいにメイクされていますが、コスメなどにもご興味があるのですか。アイドルのライブ活動のときなどは基本的にセルフメイクなので、メイクにも興味ありますね。雑誌『anan』の「Beauty News」というメイクのページ(3月23日発売号)もやらせてもらいました(笑)。最近ハマっているのは、ちょうど「大都会の愛し方」という本を読んでいます。韓国のパク・サンヨンという作家の連作小説なんですが、「コレ、わたしの好きなヤツ!」と思いながら読んだり、家では動画配信サービスで映画を観たり、これまで聴いていなかった音楽を聴き直したりしていますね。――衣装も私服もキラキラしていて素敵ですが、お好きなファッションはありますか。洋服は、襟のあるものばかり着てしまいますね。あまりTシャツとかは似合わなくて、これからはブラウスの季節なので、今年もたくさん襟付きのブラウスを買いたいです。キラキラしているものやピンク、フリルとレースとリボンがあれば何もいりません。2年前ぐらいから、もっとおしゃれになろうと思って、服の着方が変わりました。高価な洋服でも、デザイナーの思いが伝わる服、ずっと大切にしたいと思える服を選んでいます。――いろいろなお話をありがとうございました!では最後に、今後の抱負をお聞かせください。このアルバムがどんなふうに転がっていくのか、予想を超えてほしいですね。もともと子どもの頃や中高生だった頃に、「こういう人がいてくれたらよかった」と思い描いていたような存在になろうと活動しているところがあって。孤独な心を持つ人たちに響くような活動が実現するといいなと思っています。いまこうしてインディーズ活動をしていても、インターネットで調べれば誰でも知ることができますが、やっぱり大きな規模で活動しないと届けたい人にまでは届かないと思っていて。音楽をテレビで知ったり、映画をシネコンで観たり、そうやって知識を蓄えていったから、わたしもメジャーデビューしたいですね。そして昨年リリースされた、でんぱ組.incの曲で作詞を担当したんですが、これからはもっと多くの方に作詞提供したいですし、自分でも歌を歌いたい。このまま大事なところは譲らないまま、規模を広げていきたいです。今年の5月にはワンマンライブも開催するので、楽しみにしていてください。取材後記アイドルユニットとして、ソロアーティストとして、文筆家として、さまざまなフィールドでの表現者として活動されている、ゆっきゅんさん。ananwebの取材では、撮影時は素晴らしいポージングを披露され、インタビューではありのままの思いを語ってくださいました。まるで令和時代の新しいディーバ像を見せてくださったゆっきゅんさんのこれからのご活躍も楽しみです。そんなゆっきゅんさんの1stソロアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・北尾渉取材、文・かわむらあみりゆっきゅんPROFILE1995年5月26日、岡山県生まれ。2014年よりアイドル活動を開始。2016年からポップユニット「電影と少年CQ」としてのライブを中心に、個人では映画やJ-POPの歌姫にまつわる執筆、演技、トークなど活動の幅を広げる。2021年5月より、セルフプロデュースで「DIVA Project」をスタート。「DIVA ME」「片想いフラペチーノ」の2曲を配信リリースし、インディーズデビュー。また、夢眠ねむが運営する夢眠書店の出版レーベル「夢眠舎」にて、水野しずとともにカルチャー雑誌『imaginary』の編集長を務めている。2022年3月30日、1stアルバム『DIVA YOU』をリリース。5月にワンマンライブを開催予定。InformationNew Release『DIVA YOU』(収録曲)01. DIVA ME & YOU -Introduction-02.DIVA ME03.好きかも思念体04.BAG IN BAG05.歌姫06.DANCESELF07.NG08.DIVA ME -ウ山あまね reMEx09.DIVA ME – RYOKO2000 reMEx10.DIVA ME – 田島ハルコ R@VE DiVA remex2022年3月30日発売GKR-002(CD)¥2,420(税込)写真・北尾渉 取材、文・かわむらあみり
2022年04月03日ベビーカレンダーは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により各地で立ち会い出産や面会が制限されているなか、これから出産を迎える方の心の準備としてご覧いただくための出産ドキュメンタリー動画を作成しました。 ベビーカレンダーの出産ドキュメンタリーのなかでも人気の「十人十色出産動画」では、人それぞれ異なる、さまざまなお産のカタチを紹介しています。今回は、4人のママが違ったシチュエーションで出産に臨む様子を1本の動画にまとめました。 新型コロナウイルス感染拡大から約2年が経過した現在も、感染予防の観点から面会や立ち会い出産が制限され、思うような出産ができないという方が多くいらっしゃることでしょう。しかしそのようななかでも、日々新しい命は誕生しています。この動画を通じて、ひとつの尊い命が生まれる瞬間を共有していただければと思います。また、これから出産を迎える方は心の準備として、ぜひご覧ください。 【1人目】初産で助産院を選択ひなたんさん 初産(出産時の年齢28歳) 第一子を助産院で生むことに決めたひなたんさん。助産院を選んだ理由は、親友が紹介してくれたことがきっかけで、医療処置をおこなわず自然に分娩できるところに魅力を感じたそうです。「小さな助産院だったので、アットホームな雰囲気にも好感を抱き決めました」動画は、パパのサポートのもと、つらい陣痛に耐えながら出産の時を待つシーンから収められています。 【2人目】不妊治療を経て高齢出産ぽこたんさん 初産(出産時の年齢42歳) 不妊治療を続けて6年。年齢・経済的に厳しくなり、今回が最後と覚悟を決めて採卵したというぽこたんさん。体を整えて移植したいという思いから、移植はすぐにおこなわず2カ月休むことにしたそうです。お休み中に、鍼灸や漢方薬、運動などで体作りをおこなう傍ら、タイミング法による妊活もおこなったところ、なんと2回目で妊娠が判明。分娩台に移動してからわずか15分で出産というスピード感でしたが、陣痛に耐えているときに歯を食いしばりすぎて、歯が欠けてしまったというエピソードも……! 【3人目】上の子も出産に立ち会いりんごぱんださん 第二子の出産(出産当時の年齢35歳) 陣痛がきてから、ゆっくり病院へ行く準備をしていたら、病院から心配の電話がきたというりんごぱんださん。さすが第二子出産の余裕!? 到着するとすでに子宮口は7cm、分娩台に移動し1時間以内に出産となりました。ママと一緒になっていきんでいるパパ、そして長女ちゃんに見守られての立ち会い出産。誕生した赤ちゃんは、低体温の心配があり保育器へ入ることになったものの、驚異の回復力を見せ、翌朝には保育器から出られました。 【4人目】計画無痛分娩で穏やかなお産にじななさん 初産(出産当時の年齢36歳) にじななさんは、痛みに弱く、出産をトラウマにしたくない!との思いから無痛分娩を選択しました。「おかげで陣痛はおなかがキュッと痛くなる程度。冷静に出産できました!」動画では、途中に笑顔でパパと会話する様子も見られ、落ち着いて出産できたことがわかります。おしりとおなかのほうへと赤ちゃんが下りてきている感覚がわかったというにじななさん。痛みはないけれど、いきむ感覚は伝わっていたため、いきみやすかったそうです。 出産は十人十色、人の数だけ、さまざまなお産のカタチがあります。コロナ禍という状況に限らず、ママや赤ちゃんの状態次第では、思い描いていたカタチのお産にならないこともありますが、すべてのお産は同じように尊く、命の誕生という奇跡の瞬間であることに変わりありません。この動画を通して、すでにお子さんがいらっしゃる方も、そうでない方も、すべての方に、命の誕生の奇跡を感じていただけたら幸いです。 ◆関連動画出産ドキュメンタリー
2022年03月29日世界中の映画祭や映画賞で受賞を重ね、今月27日(現地時間)に発表される第94回アカデミー賞でも日本映画初の作品賞、脚色賞ほか、監督賞、国際長編映画賞と計4部門にノミネートされている濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』。この評価の高さは国境を越えて作品の強さやメッセージが伝わったことの証しであり、それらは英語字幕を介して届けられている。2年前には、韓国映画『パラサイト 半地下の家族』の北米ヒットの裏に、韓国独特の単語を巧みに英訳した字幕の妙があることも話題になったが、日本映画がより多くの人の目に触れるための英語字幕の重要性は、動画配信サービスの普及等もあり、ますます高まっていきそうだ。『ドライブ・マイ・カー』の英語字幕翻訳を手がけたのは、字幕翻訳に従事して25年以上の礒崎美亜さん(正しくは、「崎」は「たつさき」)。劇中劇、多国籍の俳優による多言語での掛け合いなど、本作のセリフは多様で情報量が多い。そのうえ、上映時間は2時間59分。観客の心を捉えて放さない英語字幕ができるまでの裏側を語っていただいた。――英語への翻訳というと、日本語ネイティブにはハードルが高いイメージがあります。礒崎さんは英語圏での暮らしが長かったのですか?生まれは東京なのですが、6歳から15歳頃までアメリカで暮らしていて、大学時代にも2年間カナダで過ごしました。「どのくらい英語が話せるの?」とよく聞かれるのですが、「今、行っているこの会話を、日本語と変わらない感覚でできます」と答えています。――早速『ドライブ・マイ・カー』の話をうかがっていきます。英語への翻訳に、濱口竜介監督はどのくらい関わられたのですか?事前の指示や要望などは特にありませんでした。監督には初稿が整った段階で字幕原稿を提出し、細かいニュアンスのチェックーー例えば、私が使った英語の表現の確認だったり、私が映像を見ただけでは拾いきれなかった部分の表現だったりーーをいただいて、修正するという作業を行いました。――監督からのチェックは多かったですか?濱口監督は、そうでもないんですよ。中には、びっしりチェックを入れて戻してくる監督もいらっしゃるのですが、濱口監督は本当に、要所要所の細かい表現の確認だけでした。『寝ても覚めても』でも英語字幕を担当させていただいたのですが、その時も同様だったと記憶しています。『ドライブ・マイ・カー』では、クライマックス部分のひとつ、家福(西島秀俊さん)とみさき(三浦透子さん)の2人のシーンで、たとえば「家福は、ここの時点で気づいているから時制を変えてほしい」など時系列に関する細かい指摘があったりしましたが、あとはそれほどなかったですね。――韓国、台湾、フィリピンなどさまざまな所から俳優が参加する多言語演劇が大きな要素です。手話も加わって9言語が飛び交う作品になっていますが、字幕の出し方にご苦労はありましたか?1つ1つ言語を識別できるようにすべきなのか、もし、そうするとしたら、どういう形で表示しようかなど、初稿の段階でいろいろと考えました。でも、字幕そのものの情報量が多くなると、観客は内容から気がそれてしまいます。結局、「ここは外国語で話している」と分かる程度の情報量でいいということにして、シンプルに日本語以外の言語はすべて括弧でくくりました。手話の部分は斜体にしています。――劇中劇の感情を乗せない本読みのシーンのような淡々としたセリフや、書き言葉っぽいセリフが多い作品ですよね。英語字幕には、あのようなトーンも反映させたのですか?喋っているトーンを出すことは意識していなかったですね。あくまで内容がちゃんと伝わるかということだけを考えました。字幕翻訳者がこういうことを言うのもあれなのですが、字幕って、本当はない方がいいじゃないですか?字幕なしで伝わるなら、それが一番。でも、字幕を付ける以上は“透明”になるようにする。そこに出ていることを忘れるような感じになるよう意識する。それは、この作品に限らず、常に心がけていることです。また、別の作品のプロデューサーに言われたことなのですが、母語が英語ではない人も見るので、内容から大きく乖離しない限り、できるだけ簡単な言葉で訳すことを心がけています。例外として「すごく知的レベルの高いキャラクターなのに簡単な言葉ばかり使っている」みたいな字幕は変ですけど、できるだけシンプルな言葉、わかりやすい言葉を使いますね。――劇中劇の形で、「ゴドーを待ちながら」「ワーニャ叔父さん」という2つの戯曲のセリフが重要な役割を果たします。英語翻訳はオリジナルですか?「ワーニャ叔父さん」はもともとロシア語の戯曲で、その英語訳は既にパブリックドメインになっているのでネットなどにも出ているのですが、字幕的にそのまま使うわけにいきません。長さを調整した上で、きちんと内容が伝わるようにする修正や編集などを行う必要がありました。古い作品なので、現代語とは少し違う感じになるようにも心がけましたね。「ゴドーを待ちながら」は、オリジナルがフランス語で、劇作家の(サミュエル・)ベケット本人が英訳しているんです。その権利がまだ切れていなくて、許可をとった上で使用しているので、元の英訳をカットしないよう頑張って字幕に入れ込みました。――人間の心理に迫る、意味を含んだセリフが多いですよね。翻訳は難しかったのでは?こんなことを言うと怒られるかもしれませんが、面白い映画って、訳していて面白いんですよ。後出しジャンケンみたいな言い方ですけど、この作品は最初に見た時から、「すごいな」「いいな」と思ったので、翻訳は面白くて、そんなに苦労してないというか……(笑)。当然、私が見て分からない映画は訳せません。だけどこの映画は心にすごく響いたので、「こういうことが言いたいんだな」「こういう英語にすればいいんだな」という感覚が、たまたま当たったという感じです。――私も字幕翻訳をすることがあるのですが、脚本に破綻があると訳しづらいと感じます。優れた脚本は訳しやすい、と言えるのかも……。そうですね。脚本が詰められていないと意味が分からなくて苦労します。例えば、リアクションがすごく唐突だったり、「なぜ、そこでそんなことを言うの?」という流れになったりすると、なんと訳せばいいのかすごく悩みますね。『ドライブ・マイ・カー』のように、脚本や俳優の演技がちゃんとしていて、なぜそれがそうなっているのか、きちんと分かる作品は訳しやすいです。――第94回アカデミー賞の結果も楽しみです。ノミネートを聞いた時の気持ちはいかがでしたか?本当に「ほっとした」というのが感想です。作品の持つ力が伝わったんだなという安堵ですね。私はただ、作品が持っているものを、そのまま英語にしただけです。決して私がものすごく優秀な翻訳者であるということではなくて、そこにあるものを、そのまま英語にしたら、それがうまく伝わったというだけのこと。すべて作品が持っている力だと思います。(text:Rie Nitta)■関連作品:ドライブ・マイ・カー 2021年8月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2022年03月26日【音楽通信】第105回目に登場するのは、来年結成20周年を迎える4人組ロックバンド、シドのみなさん!音楽的ルーツもさまざまな4人が集結写真左から、Shinji(G)、明希(B)、マオ (Vo)、ゆうや(Dr)。【音楽通信】vol.105マオさん(Vo)、Shinjiさん(G)、明希さん(B)、ゆうやさん(Dr)からなる4人組ロックバンド、シド。2003年にバンドを結成し、2008年にメジャーデビュー。東京ドーム公演では4万人を動員し、初のベストアルバムはオリコンウィークリー1位を獲得、そしてアジアツアーを行うなどコンスタントにリリースやライブ活動を続け、人気を博しています。そんなシドが、2022年3月23日にニューアルバム『海辺』をリリースされたということで、音楽的なルーツなどを含めて、お話をうかがいました。ーー小さい頃に音楽や楽器に触れた経緯と、バンドをやるようになったきっかけから教えてください。マオ最初に歌いたいと思ったのは、小学校6年生ぐらいの頃です。カラオケが流行りだして、友達と行くようになると「上手だね」と言われることが多くて、「じゃあ歌ってみるか」という感じで歌を始めました。それまではあまり人に褒められた経験がなかったので、うれしかったんです。子どもの頃は、(4人組バンドの)LINDBERGの歌をよく歌っていました。カラオケでは、当時流行していた歌をいろいろと歌っていましたね。僕はパンクロックが好きだったんですが、あんまりカラオケに入っていなかったので、幅広く音楽を聴いていました。バンドをやり始めたのは、高校生のときからで、初めて立ったステージは高校の文化祭です。Shinji中学2年生になるまでは、あまり音楽には興味がなくて、野球などのスポーツが好きだったんです。でも、中学の給食の時間に有線で日本のヒットチャートが流れていて、B’zの「ZERO」という曲を聴いてビビッときて。その場で友達を集めて、じゃんけんをして担当するパートを決めて、バンド人生が始まりました。ーーB’zにビビッときたからギターを担当されたのですか。Shinjiいえ、じゃんけんして最後まで負けてしまい、それでギターになりました(笑)。僕はバンドをやりたかったのですが、ただそばにいる友達をかき集めただけのメンバーだったので、みんなそこまでバンドに興味がなくて。ギターは弦が6本もあるから弾くのは難しそうだと言われて、最後まで不人気だったギターを担当して、今に至ります。明希最初に楽器に触れたのは、小学生ぐらいのときからやっていたピアノです。それまでは習い事も続かなかったのですが、ピアノのレッスンはずっと続いて、そこからどんどん音楽が好きになって。その後、バンドをやりたいと思って好きになったきっかけは、LUNA SEAを観て衝撃を受けて、それでベースを始めました。ゆうや僕はずっとサッカーしかしていなくて、地元でもバンドや音楽が流行っていなかったので、まわりに影響されることもなく、あまり音楽に触れる機会がなかったですね。当時はテレビっ子だったので、初めて買ったCDも、とんねるずさんがやっていたテレビ番組で歌っていた「がじゃいも」でした。音楽に触れるようになったのは、高校に入ってからです。学校に軽音同好会があったのですが、サッカーの練習が終わった後に、暇だったからそこを覗くようになって、少しずつバンドに触れるようになっていきました。10の愛の物語をコンセプトにしたアルバムマオ(Vo)。福岡県出身。10月23日生まれ。ーー2022年3月23日にニューアルバム『海辺』をリリースされました。今回のリリースにあたっての思いからお聞かせください。マオこの『海辺』は、10の愛の物語をコンセプトに作りました。コロナ禍の時代に、僕たちもファンのみんなも世の中としても、きっと愛が足りていないんじゃないのかなと。まるで愛を見つめ直すような、ひとりの時間が多くなったこの2年間だったと思うんです。そういうなかで、僕自身、愛とは何かをあらためて作詞家としても見つめ直す機会がありました。そのなかで生まれた言葉たちを中心に、今回はアルバムを作っていこう、というところから制作が始まりました。ーーマオさんはすべての作詞を担当されていますが、アルバムのタイトル曲となるドラマチックなナンバーの10曲目「海辺」は、どのような気持ちを込めた曲ですか。マオ10の愛の物語が、最後に集まってきて、流れ着く場所。そして最後の曲なので「海辺」というタイトルにしました。タイトルが決まったあとにアルバムタイトルを決める際、あらためて別のタイトルをつける案もあったんですが、僕はどうしても「海辺」というタイトルにしたくて。作っていくなかで、どんどん気持ちが入っていきましたし、今はこのタイトルをすごく気に入っています。ーー明希さんは、「海辺」を作曲されていますが、どのようなイメージで作られましたか。明希今回は、マオくんの考えたテーマというものがあって、そのなかで作曲に取り掛かりました。テーマに沿ったイメージで曲を作っていって、自分としては「最後にふさわしい曲になったらいいな」というイメージを先行して持っているなかで、作っていった曲になります。Shinji(G)。埼玉県出身。2月8日生まれ。ーー9曲目「揺れる夏服」は、マオさん作詞、Shinjiさん作曲のキャッチーでポップなナンバーですが、どのように生まれた楽曲ですか。マオこれは、陰と陽があれば、このアルバムのなかでは陽の曲。キラキラしている曲なんですが、シドの曲の中では、実はキラキラしている曲も多くて。そういう歴代やってきたキラキラした曲の流れを取り入れつつも、やはり新しい挑戦もしたくてたくさん取り込んだ曲と歌詞になっています。Shinji今回“令和歌謡”という新たなジャンルを提示しながらも、けっこうライブのことを意識して作ったところもあります。もともとマオくんからの「キラキラした楽曲が欲しい」というリクエストがあって、さらにライブの後半でこういうノリのいい曲が欲しいなと思いながら、作っていきました。ーー2曲目「大好きだから…」は、マオさん作詞、ゆうやさん作曲の切ないナンバーですが、どのようなテーマから生まれた楽曲でしょうか。マオ僕、読書が好きなのですが、ミステリー小説を読んだときに「そういう要素が入っている歌詞を書いてみたい」と書き上げました。一見、普通の悲しい歌詞に見えるんですが、よく見るとある謎が解けていくので、謎解きも楽しんでいただければと思います。明希(B)。神奈川県出身。2月3日生まれ。ゆうやこの曲は、アルバムの中で最後に作った曲ですね。いろいろなコンセプトが上がっているなかで、これはまだコンセプトがなかった状態で、途中で「こういう曲が欲しいね」となって作り始めて。これまでやったことのないイメージと、和風を合体させたようなテイストにして、新しいタイプの曲を作ってみたいと思い、作り上げていきました。ーーマオさんは、いつもどのように作詞をしているのですか。マオ例えば、本や映画から影響を受けるということは、まれなんです。どちらかというと、インスパイアを受けたとしたらそれを僕の日常に取り入れることで「じゃあ、書くぞ」となったときに、バーっと出てくるというイメージ。フィクションかノンフィクションかも関係なく、自分の頭の中にあるもの、僕でしかないものが、言葉となって仕上がっていくということですね。ーー歌詞には、女性目線のものと男性目線のものがありますが、何か切り替えがあるのでしょうか。マオあまりこのテーマだから女性目線でというような決まりはなく、自然と生まれてくるものなんですよね。それは曲に導かれるときもありますが、リアルタイムで書いてみたいテーマがパッと浮かんだら、そのときに決めているので、自分軸の中でどのような主人公をテーマにして歌詞を書くかは決まるという感じですね。だから、女性目線で書いている曲も、明日書いていたら、もしかすると男性目線になっていたかもということも楽しみながら、リアルに書いています。ーー歌詞を書かれているときに大事にしていることはありますか。マオ歌詞がわかりやすいことは大事ですが、わかりやすいのと、ひとつしか答えがない、というのは全然話が違うと思っていて。自分が詞を書いて、歌って、そこで終了ではないと思っています。お客さんが受け取って、詞を読んでくれて、その人なりの解釈が出てきて、そこで初めてゴールですから。いろいろなゴールが作れるような歌詞を目指して書いています。ゆうや(Dr)。千葉県出身。12月9日生まれ。ーー明希さん、Shinjiさん、ゆうやさんは、作曲を担当されていますが、曲作りで大事にしていることはありますか。明希大切にしていることは、みんな共通して、メロディの良さだと思います。個人的には、最近はメロディはもちろんですが、アレンジや自分たちらしさ、冒険というか遊び心も同じぐらい大切だと思っていて。もうすぐ結成20年になりますが、年を重ねるほど、保守的なイメージに見られるのがいやになってきているというか。これまでもいろいろなジャンルや音楽性を表現してきたつもりですが、これからもずっと自分たちらしく挑戦していきたいというのがありますね。Shinjiメロディが一番大事ですね。最近意識するのは、例えば「この曲、10年後、20年後も聴いてもらえているかな?」ということ。曲調によってもキャッチーさを求めるのか、それとも新しさを求めるのかと、視点が違うと変わってきますし、流行っている曲も素晴らしいですが果たしてどれだけの曲が何十年後も聴かれているかというとどうだろうと。日々、残っていく曲、長く聴いてもらえる曲を作りたいと思っていますね。ゆうや昔からずっとそうなんですけれども、僕自身は歌を歌っていないので、歌うとどうなるのかを一番意識して作っています。あとは、直感的に生まれた曲は、すぐに手をつけないようにしていますね。直感で曲ができたときは、すごくいいなと思っているんですが、何日後かに聴いてみると全然よくないな、ということもいっぱいあって。そのため、曲ができても、1回寝かせて、その何日後かに聴いてみるようにしています。「4人で健康に楽しく続けていくことがすべて」ーーお話は変わりますが、みなさんがいまハマっているものや趣味を教えてください。マオうちにはトイプードルがいるんですが、犬も行けるカフェやレストランも多くて、一緒に出かけることですね。今は海に連れて行って、一緒に遊んだり、人があまりいないような場所に出かけたりしています。めちゃくちゃかわいいです。Shinjiラーメンが好きで、以前はお店をまわっていましたが、今はコロナ禍なので全然行っていませんね。家にいても、基本的にあまりテレビは見ないのですが、観るとしたら好きな野球です。野球はまだシーズンが始まっていないんですが、地味ながらキャンプや練習試合の様子をBS番組などで観ていますね。好きな巨人の様子を中心に、巨人の放送がやっていないときは、他の球団のキャンプの様子を観ています。明希最近、動画配信サービスを観るようになって、たまたま観たことから韓国ドラマにどっぷりハマっています。面白かったのは『今、私たちの学校は…』という韓国ゾンビドラマと、いまさらながら主役のふたりが結婚したと知ってから『愛の不時着』を観ました。ゆうや外出自粛になった2020年の4月ぐらいから、この際、見直そうと思って、家の中の改築をするようになりました。防音の部屋を作ったり、ついていなかった壁に窓をつけたり、二重窓にしたり、オーダーメイドのガラス窓をつけたり。家を見直して「こうしてみようかな」とやり始めたら、わりとけっこうな改築になったのですが(笑)、ゆっくりと自分でやることにハマりました。ーーいろいろなお話をありがとうございました。最後に、代表してマオさんから、今後の抱負をお聞かせください。マオシドは、今年19周年、来年20周年を迎えます。ここまできたら、4人で健康に楽しく続けていくことがすべてだと思うので、そこだけをがんばっていけたら。そのなかでいいアルバムができたり、いいライブができたり、いろいろなご褒美が待っていると思うので、これからもシドを楽しく続けていきたいですね。取材後記胸に響く歌詞とメロディで、ヴィジュアル系というジャンルを超えて、さまざまな音楽ファンを獲得し続けているシドのみなさん。ananwebの取材では、マオさん、Shinjiさん、明希さん、ゆうやさんのメンバー全員にいろいろなお話をうかがうことができました。新しい挑戦を続けるシドのみなさんのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりシドPROFILE2003年結成。マオ(Vo)、Shinji(G)、明希(B)、ゆうや(Dr)からなる4人組ロックバンド。2008年、TVアニメ『黒執事』オープニングテーマ「モノクロのキス」でメジャーデビュー。 2010年の東京ドーム公演では4万人を動員。2013年、初のベストアルバムをリリースし、オリコンウィークリー1位を獲得。 同年、横浜スタジアムで10周年記念ライブを開催。夏は初の野外ツアーで4都市5公演で5万人を動員し大成功を収める。2014年、香港・台湾を含む全国ツアーを開催。2018年、バンド結成15周年とメジャーデビュー10周年のアニバーサリーイヤーとして、計50本以上もの全国ライブハウス公演やアジアツアーを行ったのち、 2019年3月にグランドファイナルとして横浜アリーナ公演を大成功に終えた。2021年、5月に河口湖ステラシアターで開催したスペシャルライブ「SID LIVE 2021 -Star Forest-」の同タイトルのテーマソング「Star Forest」をリリース。2022年3月23日にニューアルバム『海辺』をリリース。InformationNew Release『海辺』(収録曲)01. 軽蔑02. 大好きだから…03. 13月04. 街路樹05. 液体06. 騙し愛07. 白い声08. 慈雨のくちづけ09. 揺れる夏服10. 海辺2022年3月23日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)KSCL-3353(CD)※各盤の品番ご確認ください。¥3,190(税込)(Poetic盤:初回生産限定盤))KSCL-3348~49(CD+BOOK)¥4,950(税込)【BOOK】・ハードカバー 上製本仕様・マオによる全曲解説などを含む、全100ページの『海辺』ブックレット。(Artistic盤:初回生産限定盤)KSCL-3350~52(CD+BD+PHOTO BOOK+BOX仕様)¥6,490(税込)【PHOTO BOOK】全40ページに及ぶメンバーの写真を収めたフォトブックレット。【Blu-ray 収録内容】01.“騙し愛” Music Video02.Making of Music Video “騙し愛”03.“海辺” Music Video04.Photo Session & Making of Music Video “海辺”取材、文・かわむらあみり
2022年03月25日『勝手にふるえてろ』(2017)、『美人が婚活してみたら』(2019)、『甘いお酒でうがい』(2020)、『私をくいとめて』(2020)など、人生の様々な局面でもがき、葛藤しつつ、生きる道を模索していく女性の姿を描いてきた大九明子監督。近年、映画のみならず「時効警察はじめました」、「捨ててよ、安達さん。」、今年1月より放送中の「シジュウカラ」などの話題のドラマに脚本や演出で参加しており「大九監督の作品なら見たい!」というファンも多い。とはいえ映画界、ドラマの世界全体に目を向けると、大九監督のように毎年のように作品を発表することができている女性監督は決して多いとは言えない。長く世界で活躍してきた河瀬直美に、2度にわたって日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞している西川美和をはじめ、蜷川実花、三島有紀子、タナダユキ、荻上直子、山戸結希……など、独自の世界を紡ぎ出すクリエイターとして、大九監督同様に高い評価を受け、知名度やファンを獲得している女性監督はここ十数年で着実に増えているのは事実である。その一方で、2000年~2020年の21年間に発表された映画の中で興行収入が10億円を超えた作品は796本で、そのうち女性監督による作品は25本、割合にしてわずか3.1%だったというショッキングな現実も発表された(非営利団体「Japanese Film Project(JFP)」の調査による)。さらに先日、男性映画監督によるキャスティングをちらつかせての性行為の強要・暴行事件が明らかに。女性の地位向上、ハラスメントの根絶、労働環境の改善など映画界が向き合うべき課題は多い。映画の世界で働く人々に話を伺う【映画お仕事図鑑】。今回は3月が女性史月間(Women’s History Month)であることにちなみ、先日、最新作『ウェディング・ハイ』が公開を迎えた大九監督に、映画界における女性監督の地位や劇中における描写などについて話を聞いた。――いきなりですが大九監督はご自身が“女性監督”であるということを意識される(させられる)ことはありますか? 批評家や観客から作品について「女性ならではの視点」といった言葉で評価されることも多いかと思いますが…。私自身が“女性監督”であるということを意識することは全くなくて、というのも、私はこれまで女性としての人生しか送っていないので、私の作品が「女性としての人生を送ってきている私」が作っている映画になってしまうのは必然だと思います。ことさら「女性監督としての視点を盛り込まなきゃ!」ということを意識することはありませんが、知らず知らずのうちにそうした視点を盛り込んでるところはあると思いますし、あくまでも呼び方として「女性監督」と呼ばれているな…くらいにしか自分の中では捉えていないですね。――20代後半で映画美学校に通われて映画監督を志した当時は、女性の映画監督の数も現在ほど多くはなかったかと思います。キャリアを積み重ねていく中で、女性を取り巻く環境も少しずつ変わってきたかと思いますが、ご自身の意識にも変化はありましたか?若い頃はただがむしゃらに自分のことだけをやっていたので、その点については、昔のほうが意識や自覚が希薄だったなと思います。ただ、本数を重ねてきて、長く映画というものに関わり続けている中で、ふと気づけば、女性で映画監督であるという人間が、男性の映画監督よりも圧倒的に少ないというのを考えさせられるように年々なってきました。そのとき、これは私だけの問題ではないんだといろんなことを受け止めるようになりました。例えば、あまりに“女性監督”という視点で見られたり、「女性監督ならではの内容になってましたが…」みたいなことを言われる続けることは、果たしてどうなんだろう?と考えたり…。もちろん一般の観客の方がご覧になって、そう感じるのは自由だと思います。でも、監督と近い立場の人間が、そういった言葉を安易に使っていては、いつまで経っても変わらないなぁというか「そんなに珍しいもんでもないだろ、もうそろそろ」という気持ちになったりしますね。そういう部分に関しては、意識的に変えていかないといけないなという気持ちを抱くようになりました。――特に何かきっかけがあって、そうした意識や自覚の変化があったのでしょうか?漠然と「イヤだ」と思っていたことをハッキリと「イヤだ」と言っていいんだということを、世の流れと共に学習してきたということですかね。作品を依頼されるときに、昔は当たり前のように「女性監督でどなたか探してたんですよ」なんて言われていました。「女性だから依頼されたんだ? へぇ…」という気持ちにこちらがなるということをあんまり考えてないんだろうなぁ…と思っていました。さすがにいまはいないですけどね、そういう言い方をされる方は。自分がひとりの観客として映画を観る中で「この作品、面白いんだけど、なんかモヤモヤするな…」ということが多々あって、それは女性の描かれ方がすごく偶像的だったり、便利な玩具みたいだったり、神様みたいだったり、お母さんみたいに何でもやってくれる存在になってたり、傷つけられてもにっこり微笑んで許してあげたり…。せっかくこの映画、面白いんだけど、なんかこの女性の描き方がモヤモヤするなぁ…ということはやっぱりまだまだあって、それに対して「あの映画は面白いんだ」と思って、自分でも気づかないことにしていたのを、気づいた私は「あの描写がイヤだ」と言っていいんだと思えるようになったのは、ここ数年で大きな変化として感じています。――先ほど、「女性監督としての視点を盛り込まなきゃ!」ということを意識することはないとおっしゃっていましたが、監督の作品には様々な女性が登場しますが、彼女たちは社会のために戦ったり、正義や使命を背負うというよりは、もっと自然体でニュートラルに、自分の幸せを探しているように感じられます。そうですね。シンプルに「女性である」ということを特に意識していない人間を描いているからこそ、そういうふうに見ていただけるのかなと思います。おっしゃる通りニュートラルにそのひと個人が、幸せになるためだったり、何かの目的のために動いているだけであって「女としてどう見られるか?」ということを意識して生きている人間は一度も描いたことはないですね。――その一方で、大九監督の作品を観た観客からはよく「なんでこんなに私たちの気持ちがわかるのか?」という熱い共感が寄せられます。監督ご自身はそういった声をどう受け止めていますか?それがですね、意外と女性からだけでなく、男性からもそういう声をいただくんですよ。「この主人公は僕です!」とか(笑)。老若男女問わず、海外の映画祭でそういう声をいただくことも多いです。どちらかというと、メインストリームを走らないタイプの人間を描くことが多いので、男性であれ女性であれ自分のことだと感じてくださる方が多いのかもしれませんね。そこに関しても、特に義憤をもってそうした人々を描いているのではなくて、私自身が普段から、そうした人たちのほうに目が行くんですね。性格が悪いんでしょうけど(笑)、成功者とか、うまいことやってる人にはホントに興味ないんで(笑)。むしろ何か問題を抱えてるような人たちのほうが立体的に見えてきて、そっちに吸い寄せられて、そういう人たちばかり描いてしまうんです。本当は男性も描きたいんですけどね…(苦笑)。男性主人公の脚本も書いているんですけど、なかなか作品として着地せず、女性主人公のものが多くなってしまっているんです。――商業映画デビュー作となった新垣結衣さん主演の『恋するマドリ』(2007)の頃から本作『ウェディング・ハイ』に至るまで、登場人物たちが「誰かと生きる」ということ、もしくは「ひとりで生きる」ということを選択するさまを描くことが多いですが、そういったテーマ、題材に惹かれるんでしょうか?誰といようとも、いつでも圧倒的に孤独を感じている――それは私自身もそうだし、登場人物もそういう人たちが多いですよね。誰かといることが安心ということでは決してなくて、結婚したら、その先にまた別の地獄が待っているわけです。ある作品で、臼田あさ美さんが発するセリフで「ひとは生まれながらのおひとり様なので、誰かといるためには努力が必要だ」という言葉を書いたんですけど、それは身をもってわかっていることであり、その努力は本当に大変なことだなと思います。私は映画を作るということを通じて、他人とのコミュニケーションを学ばせてもらっているという思いがあるんですけど、「ひとりで生きること」が正解でもないし、「ふたりで生きること」や「群れをなす」ことが正解でもない――どこにいようとも、人間は孤独であり、常に寂しいものだと思います。質問の答えとして「どういう人を描きたいか?」ということで言うと、満たされていない人を描くということが常にやりたいことなんです。オリジナルの脚本でも原作がある作品でも、書いていくうちにどんどん寂しい人が出来上がっていくんですよ(笑)。いまも、ある小説を原作にシナリオを描いている最中なんですけど、なぜかどんどん寂しい人になっていく(苦笑)。そういう意味で、ひとりでいようと、誰かといようと寂しい人に安心するんですね、自分で作っていて。※以下、映画『ウェディング・ハイ』のネタバレを含む表現があります。ご注意ください。≪映画『ウェディング・ハイ』は、ある一組のカップルの結婚式で次々と巻き起こるトラブルやドラマを様々な視点で描き出したコメディで、脚本をバカリズムが担当。篠原涼子がウェディングプランナーの主人公・中越を演じている≫――篠原さんが演じた中越は、自分が結婚式を挙げた際の担当のウェディングプランナーの仕事ぶりに感動し、彼女が働く会社に転職し、プランナーになったというキャラクターです。ただ、この仕事に誇りを持つ一方で、中越自身の結婚生活は数年で破綻し、離婚という結末を迎えており、かつて憧れたウェディングプランナーは、上司となったらウマが合わず…ということを告白します。この設定はバカリズムさんの脚本に最初からあったんでしょうか?離婚しているという設定は、こちらからバカリズムさんにお願いして盛り込んでもらって、その流れの中で、脚本が戻ってきた際に、上司となったプランナーとは仲が悪いという設定も盛り込まれていました。――先ほどの「人間は常に寂しい」という言葉に通じるというか、この設定にホッとするひとも多いのではないかと思います。そうかもしれませんね(笑)。作っている人間からすると、何かのプロパガンダで映画を作っているわけじゃないし、どこかのとある人間の人生をブツっと持ってきて描いているというくらいの感覚なんですが、それを観た方が、そこで描かれたことを人生の教科書みたいに思ってしまう向きもあって、それは怖いことでもあると思います。そういうことを考えたとき、あまりにツルっとした、形の上であまりにうまくいっている人間を提示して終わるってすごく危険だなと思っていて、そういう意味でもちょっとした毒っ気みたいなものを盛り込みたいなと思いました。些細な設定だし、特に普段の作品であれば、登場人物のひとりがバツイチなんて本当にごく些細なことなんだけど、この映画においては、彼女の仕事がウェディングプランナーであるということがすごく意味を持つなと思ってそうしました。――『勝手にふるえてろ』でやや自意識の強いヒロインの恋を描き、『甘いお酒でうがい』、『私をくいとめて』では独身、“おひとり様”の女性を、そして『美人が婚活してみたら』では婚活女性を描いていますが、本作ではついに(!)、結婚を迎える人々を描いています。どのような思いで本作に臨まれたんでしょうか?そういう意味では、“結婚礼賛映画”にしないことですね。ご依頼をいただいて、私がやるなら、こういう作品だなという形が見えてきて、それを面白いと感じていただけるならぜひご一緒したいとお伝えしました。自分がゼロからオリジナルでこういう物語を作れるかといえばできないと思います。もちろん、笑いの天才・バカリズムさんの書かれた脚本だから、誰にも書けない唯一無二の世界観であることは大前提ですが、結婚式を題材に私がシナリオを書いたら、めちゃめちゃ暗い内容になりますから、絶対に。スサンネ・ビア監督の『アフター・ウェディング』(マッツ・ミケルセン主演)が、私のベストウェディング映画なんですけどめっちゃ暗いんですよ(笑)。だからこういう陽気な映画に関わるチャンスをいただけたのは感謝しています。――制作チームの座組という点で、撮影を担当されたのはこれまで監督が何作もご一緒されてきた中村夏葉さん。そして製作陣に4人もの女性プロデューサーが名を連ねています。そこに関しても、先ほども言いましたように特に「女性が作る映画だから!」ということを意識した部分はないんです。夏葉さんは、何度も一緒にやってきて、お互いに男とか女とかを意識して生きるタイプでもなく、“同志”として組ませていただいています。女性が便利な存在に描かれている部分であったり、夏葉さんも私も「イヤだ」と感じる視点はあるので、そういう部分は絶対に拾いにいかないというコンセンサスは私たちの間でとれています。夏葉さんは、カメラマンとしての技術や知識があるのはもちろんですが、加えて脚本を読み解く力が素晴らしくて、そこは常に信頼しています。脚本に対してめちゃくちゃツッコミますからね(笑)。変な忖度などなしに、言いたいことをハッキリと言ってくださるので、いい距離感で気持ちよく仕事ができるんですね。――女性監督と女性カメラマンのタッグとなると、どうしても「女性ならではの感性が光る…」などといった、安易な言葉での評価も多くなるかと思いますが…。夏葉さん自身、師匠のカメラマンさんが男性だったこともあって「女性らしい画をお願いします」と言われることはないかもしれませんが、評価の際は「女性らしい視点」というのはやはり言われがちですね。そこは、言う人は言えばいいかなというか、不快感というほどの感情はありません。だって私たち、本当に女性なわけで、女性同士で作った作品がこうなっているので、それをどう見るかはやはり見る人次第なのかなと思います。――先ほど「男性も描きたい」とおっしゃっていましたが、どんな男性像を切り取られるのか、見てみたいです。撮りたいですね。でも、先ほど男性監督が描く女性像にモヤモヤするということを言いましたが、その逆のことを自分がしないように気をつけなくてはいけないと思っています。女性が抱く“ファンタジー”で男性を便利に描くようなことはしちゃいけない。それはいま地上波でやっている「シジュウカラ」というドラマで、18歳年下の男の子と大人の女性の恋愛を描いてますけど、そこでもすごく気を付けています。若い男の子を餌食にするような、便利な描き方をしちゃ絶対にいけないな、わけもなく恋に落ちて、みたいな描き方は今回は絶対にしないようにするとか。年の差はあっても、大人同士が惹かれ合う理由がしっかりあって、恋に落ちたと。映画を作るって、必ず傷つく人がいることだと思ってます。何気ない道ひとつを撮っても、そこで誰かが交通事故で死んでるかもしれない。作り手がふとカメラを構えて撮ったもの、それを油断して見てた人が、ここは大事な人が亡くなった道だと思ったらたちまち悲しくなってしまうし、子どもを産めない人の中には、子どもが幸せそうな姿を映画で見たら傷つく人もいるかもしれない。映像って不用意に人を傷つけるものを持っているし、物語なんてなおのことです。大前提として、誰かを傷つけていると自覚してないとやってられない、やってはいけない仕事だと思っています。だからこそ、そこで作り手のエゴになるようなやり方は絶対にしちゃいけないんだとますます思います。ここ数日、男性監督のすごく不愉快な事件のニュースが流れてきて、本当に頭にきたし、いまも頭にきています。こうしたニュースに触れた時、まさに私自身も「女」として経験して来た様々なハラスメントや、犯罪に巻き込まれそうになった経験をふつふつと思い出してしんどくなります。まず己のしんどさを飲み下して、監督として我が身を律する必要も生じてくる。ちゃんと監督という人間が、自分のことに置き換えて、自分の問題として見ていかなきゃいけない、自分も気を付けていかないといけない問題だと思っています。そこは男性だから、女性だからというのは関係ないと思いますし、気を付けながらも面白いものを地道に作り続けられたら幸せだなと思います。――最後に映画監督を志している若い人たちへのメッセージをお願いします。どんどん作ってどんどん恥をかいてほしいですね。恥ずかしいんですよ、ものを作るって。そりゃ誰だって恥ずかしいですよ、自分の中をさらす行為だから。でも、それがだんだん快感になってくるんで(笑)。いまはまだ下手で当たり前なので、いまの時代、スマホで撮れるんだから、ものを紡ぐということを監督になりたい人はやっておいてほしいです。プロになったら、素敵なカメラマンさんや優秀なスタッフに出会えるし、そういうことは後からその道のプロが助けてくれるので、いまは1本でも多く恥をかいて物語を紡ぐことしてみたらいいと思います。(text:Naoki Kurozu)■関連作品:ウェディング・ハイ 2022年3⽉12⽇より全国にて公開(c)2022「ウェディング・ハイ」製作委員会
2022年03月25日気になるあの人のバッグの中身。普段見ることの出来ない芸能人ママたちのバッグの中身を紹介します! 今回は、SNSの総フォロワー数が350万人を超える、くみっきーこと舟山久美子さんのバッグの中身。さまざまな商品プロデュースを手がける舟山さんが厳選したアイテムとは? ママたちに人気の芸能人・有名人ママに、妊娠・出産・育児エピソードのリアルを教えてもらう人気連載! 気になるマザーズバッグや愛用アイテムを一挙公開♪ 生後5カ月ママ・くみっきーのバッグの中身を公開! 1マザーズバッグ出産祝いで知人に頂いた、Diorのショルダーバッグを使っています。大きすぎず小さすぎず、ちょうどいい大きさでお気に入りです。ポケットがいっぱいあってファスナーが付いているのも嬉しいポイント。急いで準備をした時に中がゴチャついても目隠しできて便利です♪ マザーズバッグってたくさん詰め込みすぎてしまうので、このバッグ1つに収まるように(荷物を増やし過ぎないように)心掛けています。2おもちゃ●木のカラフルラトル最近、握れるようになったラトルは、よくシャカシャカ振って遊んでいます。●ボーネルンドの赤ちゃんパペット乳児教室でパペットによく反応していたので、伊勢丹で見つけて買ってみました。足の部分をおしゃぶりできるデザインになっています。 3おむつ替えセットおむつとお尻拭きはパンパースを愛用中。お尻拭きは(この日の写真は違うんですけど..)アカチャンホンポの「水99% Super 新生児からのおしりふき」が、水分量が多くて一番のお気に入りです。 犬を飼っているので、おむつ替えシートはペットシートを使っています! 外出時、汚れてもそのまま捨てられて便利です。 4哺乳瓶のインナーバッグ哺乳瓶の中に入れて使う、インナーバッグはすごくオススメです! カネソンの「粉ミルクかんたんバッグ」を愛用しています。缶の粉ミルクを必要な分だけ小分けして持ち運べます。 使い方は哺乳瓶の内側にインナーバッグを入れてお湯を注いでミルクを作って、使用後は捨てるだけ♪ これがあると哺乳瓶が汚れないから、持ち運ぶ哺乳瓶が1本で済むので毎回、2~3枚持って出かけます。災害時に哺乳瓶が洗えない時に備えて、ストックしておくと安心です。 5お着替えセット荷物は出来るだけコンパクトにしたいので、ロンパース1枚と、ガーゼをおむつポーチに一緒に入れています。 6ミルクセット哺乳瓶はピジョンの「母乳実感240ml」を使っています。インナーバッグがピッタリ収まるので、使いやすく愛用してます。プラスチックだと持ち運びも軽いので、お気に入りです! ミルクは「バブズオーガニック」。楽天で買うことが多いです。ピュアウォーターと、水筒も一緒に持ち歩いています。 7ボーネルンドの布絵本伊勢丹のボーネルンドで購入した布絵本のおもちゃ。ベビーカーにもつけられるので、便利です。カラフルな色使いがかわいいんです♡ 仕事現場やお出かけに持って行くことが多いです。 8マールマールのスタイ予備のスタイとして1枚入れています。男の子の服っておしゃれなものが少ないので、スタイでおしゃれにしたくて、マールマールのスタイをいくつか持っています。 私の必需品はこれ♡ 自分の持ち物は少なくて、必ず持ち歩くのはロエベのミニ財布と、お直しコスメ2つ。 外で化粧直しをあまりしないので、Too Facedのクリアリップ(lip injection extream Travel size)と、イニスフリーのノーセバムミネラルパウダーくらいです。 ◇◇◇ 3回に渡りインタビューに答えてくださった舟山さん、ありがとうございました! 哺乳瓶のインナーバッグは2021年4月に販売された商品なんだそう。どんどん新しい便利な商品が出ていますね! とても参考になりました。これからも子育て頑張ってください♪ profile:舟山久美子1991年4月29日生まれ。16歳の時にモデルデビュー。雑誌「Popteen」の専属モデルを6年間勤め、連続表紙17回、通算37回の表紙起用を記録。またファッションやビューティー関連を発信をしているSNSの総フォロワー数は約350万人を突破。2013年に立ち上げたファッションブランド「MICOAMERI(ミコアメリ)」は9年目を迎え、“骨格診断アナリスト協会認定骨格診断アナリスト”や“日本化粧品検定協会認定コスメコンシェルジュ”の資格を取得し、今までの経験も活かし様々な分野でのプロデュース業にも精力的に取り組んでいる。2021年9月に男の子を出産。
2022年03月22日