窓まわりのインテリアとして、よく比較検討されるカーテンとブラインド。筆者は以前オーダーカーテン・家具のコーディネーターとして企業で働いた経験があり、過去に100軒以上のお宅のカーテンをコーディネートしてきました。実際に迷われていたお客様へ提案してきた内容を元に、迷ったときはカーテンとブランインドはどっちを選べば正解なのかをご紹介します!■ 2つの大きな違いは「素材」と「操作の仕方」まず、カーテンとブラインドはどんなものなのか簡単に紹介します。ご存知のようにカーテンは柔らかい布をカーテンレールに掛けて、左右に開閉するウィンドウトリートメント。一般的には、厚手のドレープカーテンと透け感のあるレースカーテンの2枚を吊り、調光を行います。ブラインドは横型と縦型のものがあり、横型はベネシャンブラインド、縦型はバーチカルブラインドと呼ばれています。どちらもスラット(はね)をコードで等間隔につなぎ、スラットの角度で調光します。スラットが水平に並ぶ横型ブラインドは上下に、スラットが垂直に並ぶ縦型ブラインドは左右に開閉します。素材には、木製や竹製、布製や金属製などがあります。■ カーテンとブラインドの大きな違いとは北の魔女 / PIXTA(ピクスタ)カーテンとブラインドの大きな違いは、1.素材が柔らかいか硬いか2.操作用の機構があるかないかの2点です。この違いが、扱いやすさや安全性の差を生んでいます。日々の生活の中で使うものは、デザイン性はもちろんですが、扱いやすさや安全性も重視したいところ。小さな子どもや介護が必要な方と生活する場合は、特に優先順位が高いポイントといえます。これらを踏まえると、カーテンとブラインドは結局どちらが良いのでしょう?■ カーテンとブラインドの機能を徹底比較!扱いやすさという観点から「操作性」と「メンテナンス性」、また事故の危険性やプライバシー保護の観点から「安全性」に着目して比較してみます。操作性・カーテンカーテン自体を引くことで左右に開閉。ブラインドのように、特別な機構がないため故障の心配もほぼなく、操作がシンプルです。窓の幅が広いと左右に移動しながら開閉することになるので、動作が大きくなります。・ブラインド一般的に、コード(操作用のひも)でスラット(はね)の昇降を、ポール(操作棒)でスラットの角度を調整。コードやポールのどちらかひとつで昇降と角度調整の両方ができる商品や、スラットを降ろすときに一気にストンと落ちてしまわない、一定の速度でスラットが降りる「自動降下タイプ」のブラインドもあり、扱いやすくおすすめです。メンテナンス性・カーテン自宅で丸洗いが可能です。素材によっては洗えないものもあるので、洗濯表示を確認してくださいね。洗った後は、カーテンレールに掛けて干しておけばよいので、思ったほど手間はかかりません。水を吸ったカーテンは重くなるので、掛けるときは足場やぐらつきに注意してくださいね!・ブラインド柔らかい布やモップなどでホコリを取り、薄めた中性洗剤などを使って拭き掃除をします。キッチンなど油や蒸気が舞うところで使用する場合は頑固な汚れがつきやすいので、定期的な拭き掃除をおすすめします。軍手を使うと細かいところも拭きやすいですよ。安全性(事故、プライバシー保護)・カーテンカーテンは、活発な子どもや介護が必要な方がうっかり体をぶつけてしまってもケガをしにくく安心です。またプライバシー保護の面では、カーテンは窓全体を隙間なく覆うことができるので安心感があります。透け感のあるレースも、ミラーレースなどを選ぶと外からの視線を遮りながら安心して採光ができます。・ブラインド(特に注意!)操作コードやチェーンが、子どもやペットの首に絡まり亡くなってしまう事故が発生しているため、使用には注意が必要です!具体的な対策は次のとおりです。・コードをクリップなどでまとめる・コードがポールの中に内蔵されたタイプを選ぶ・コードの近くにソファや椅子など登れる家具を置かない・コードを標準より短めの長さでオーダーする(一番オススメです)プライバシー保護の点では、スラットの隙間から部屋の中が見えてしまうことがありますが、スラットの角度を調整すれば解消できます。レースカーテンやドレープカーテンと組み合わせてコーディネートする方法もおすすめです。■ 特徴を活かして部屋ごとに使い分けるのも手Ameashi / PIXTA(ピクスタ)今回は日常生活での扱いやすさに注目して比較してみましたが、どちらもインテリアの決め手となる素敵なアイテムです。それぞれの特徴をまとめると、・カーテンは扱いやすく安全!共布でクッションやベッドリネンをつくることもできる・ブラインドは窓辺がスッキリ!素材で家具との統一感を出しやすい特徴の違いを活かして、部屋ごとに使い分けるのもおすすめです。Mills / PIXTA(ピクスタ)例えば、・窓辺に家具や物が増えやすい書斎→スッキリさせるためにブラインドを!・暗い寝室や人が集まり活動時間が長くなるリビング→ぶつかっても安心なカーテンを!適材適所のウィンドウトリートメントを探してみてくださいね。■ まとめ迷ったらカーテンでほぼ間違いなし機能性や安全性の面で比べると、カーテンのメリットの方が多いように感じます。これといったデメリットも無く、迷ったときはカーテンを選んで後悔はないはず、と筆者は思います。カーテンは、実用性とデザイン性のバランスが良いウィンドウトリートメント。ブラインドは、ひと工夫で安全に扱えるので、ぜひチャレンジしてもらいたいアイテムです。両者のメリットとデメリットの解消方法を確認しながら、居心地の良いお部屋作りの参考にしていただけたら幸いです。
2019年05月10日カーテンの購入は、意外と大きな出費になるもの。3LDKのマンションなら4~5窓、戸建て住宅となると10~20窓近くもカーテンを選ぶことになります。筆者は以前オーダーカーテン・家具のコーディネーターとして企業で働いた経験があり、過去に100軒以上のお宅のカーテンをコーディネートしてきました。買い直しや追加工事などのリスクを防ぐために、購入前に知っておいてほしい「勘違いポイント5つ」をご紹介します。■ 1.カーテンの幅は「レール」で、丈は「カン下」で決まる!窓まわりのコーディネートで、もっとも悩ましいカーテンのサイズ。引越しやリフォームを機に、ご自身で採寸にチャレンジされる方も多いのではないでしょうか。採寸のときに勘違いしやすいのは、窓のサイズを測ってしまうこと。多くのカーテンは窓を覆うように作るので、窓サイズに合わせて作ると、全体的に小さなカーテンに仕上がってしまいます。カーテンのサイズが合っていないと、遮光機能や冷暖房効率が落ちてしまうため、測る場所をしっかり押さえておきましょう。あみん / PIXTA(ピクスタ)カーテンのサイズは、「カーテンレール」が肝になります!カーテンレールには、カーテンを掛けて滑らせるための「ランナー」が幅に対応した個数ぶら下がっており、フックを掛けるランナーの輪っか部分を「カン」と呼びます。さらにカーテンレールの両端には、「キャップストップ」という動かないランナーが固定されており、このキャップストップのカンを起点に、幅も丈も測ります。幅の測り方両端のキャップストップのカンの距離を測ります。装飾レールの場合は、両端のランナーは動くものが多いですが、最大幅が測れるようにエンドキャップ(装飾部分)の手前どうしの距離を測ります。丈の測り方キャップストップの「カン下寸法」を測ります。カン下寸法とは、フックを掛ける点から測る高さです。掃き出し窓の場合は「床仕上げ材の表面」まで、腰窓の場合は「窓枠の下」までを測っておきましょう。これさえ押さえておけば、あとはカーテンの仕上がりサイズを出すだけです。採寸の肝はカーテンレール……そのため、このカーテンレールの「取り付け位置」も、カーテンの仕上がりサイズを決める重要な注目ポイントになります。次に、カーテンの仕上がりサイズの出し方と、注意点を合わせてご紹介します!■ 2.下地の有無、窓まわりの干渉物に注意!新築やリノベーションで、いざ取付工事!というときにしばしば起きるのが、カーテンレールの下地や、干渉物によって十分なスペースがないというハプニング。カーテンレールを取り付けるためには、「下地」と窓をきちんと覆うための「スペース」が不可欠です。窓まわりはエアコンや換気口など、物が密集しやすいので、可能ならば、優先的に設計プランに組み込んでもらいましょう。カーテンレールの「下地」とは、石膏ボードの奥に組まれている木材のことを指します。柔らかい石膏ボードにビス(ネジ)留めするだけでは、カーテンの重みに耐えきれずカーテンレールごとボロリと外れて大変危険です。設計や打ち合わせの段階で、業者の方へ窓まわりのコーディネート案を伝え、必要であれば追加の下地を仕込んでもらいましょう。pu- / PIXTA(ピクスタ)窓まわりの「干渉物」として多いのが、エアコンや換気口、建具などです。マンションであれば、コンクリートの梁にも注意しておきましょう。ほかにも、足元のカーペットの厚みがカーテンの丈に、入居後に設置する家具家電も干渉物になりがちです。カーテンのサイズを決めるときには、空間全体のコーディネートも大体決めておきましょう。図に、干渉物の例と、仕上がりサイズの目安、採寸する場所などをまとめました。ぜひ参考にしてみてください。■ 3.日差しの入り方や強さは意外な盲点!Ameashi / PIXTA(ピクスタ)窓からの光の入り方によって、カーテンの種類や取り付け位置にも工夫が必要になります。朝日や西日など、直射日光がどの角度から入ってくるのか、夜は外灯や近隣のお店の光などの強さはどうかを確認しておくと安心です。夏の日差しは高い位置から入るので、天窓などから強い光が差し込みます。冬は太陽の高度が低く、部屋の奥まで直射日光が届きやすくなるので、季節によっても光の入り方が変わってくるのです。お部屋のレイアウトと時間帯によっても変動があります。EKAKI / PIXTA(ピクスタ)リビングでは、テレビやソファの位置に日が差して、テレビが見えづらくなることが考えられます。家具のレイアウト変更が難しい場合は、窓に光を和らげるロールスクリーンやブラインド、カーテンを取り付けましょう。つっぱり棒を使うカフェカーテンなら、工事不要でお手軽に取り付けられます。Mills / PIXTA(ピクスタ)寝室は、光によって眠りを妨げられたり、無防備に目を痛めたりする可能性の高い場所です。ベッドなど大きな家具があるため、カーテンを窓枠の内側におさめて取り付けることも多いですが、枠内付けは窓枠とカーテンの間にわずかな隙間ができてしまいます。さらに寝室の窓が東向きの場合は、その隙間からピンスポットのように朝日が差し込むことも。窓やベッドのレイアウトや高さにもよりますが、寝ているときに、この光が目に直接当たってつらい、というお客様もいらっしゃいました。このような場合は、窓枠の上にカーテンレールを取り付け、カーテンで窓全体を覆うような取り付け方が理想です。■ 4.高層マンションは注意!「防炎物品」とは?haku / PIXTA(ピクスタ)カーテン選びの醍醐味は、たくさんのデザインからインテリアをコーディネートできる点ですが、建物によっては選択肢が絞られることをご存知でしょうか?タワーマンションなどの高さ31m以上(目安として11階以上)の高層建築物は、消防法で「防炎対象物」に指定されており、住んでいる階数に関係なく、防炎性能を持つ「防炎物品」を使用することが義務付けられています。ほかの防火対象物には、病院や高齢者施設、学校、劇場など、不特定多数の人が出入りする場所も指定されています。防炎物品にはいくつか種類がありますが、住宅関連のものは、カーテンじゅうたん等布製のブラインドの3種類です。防炎対象物に入居するときは、防炎加工を施された防炎物品を選び、販売元には防炎性能があると一目でわかるように「防炎性能ラベル(通称:防炎ラベル)」を必ず取り付けてもらいましょう。この防炎ラベルは1枚200円で、カーテンとは別に購入することになります。■ 5.店ごとにサイズや販売単位が違う!ake1150sb / PIXTA(ピクスタ)カーテンの購入先には、ハウスメーカーやオーダーカーテンの業者、量販店やネットショップなどさまざまな選択肢があります。いくつかのお店を比較してカーテンを選んでいると、勘違いしやすいのがカーテンの販売単位とサイズの確認の仕方です。今では量販店やネットショップでもセミオーダーでカーテンを作れる店舗が増え、より窓サイズにぴったりのカーテンを購入できるようになりました。その一方で、返品ができないリスクを抱えることになるため、採寸ミスに合わせて発注ミスにも気を付けたいところです。例えば、ハウスメーカーやカーテン業者などの住宅関連の専門業者では、「1窓あたり」という単位でカーテンを販売します。ニトリなど量販店の既製カーテンの場合は、「カーテン4枚セット」「カーテン2枚セット」などと書かれて売り場に陳列されていますよね。この販売単位の差が、混乱を招いてしまいます。ABC / PIXTA(ピクスタ)押さえておくポイントは、カーテンを両開き仕様だととらえてサイズを表記しているのか、単純に掛けるもの1枚のサイズを表記して数えているのか、という点です。これを勘違いしてしまうと、既製カーテンの場合は返品しやすいですが、量販店やネットショップのセミオーダー品だと購入のし直しになってしまうので、特に注意が必要です。「ドレープ+レースの2枚セット」を購入して幅が半分しかなかった!(もう1セット必要だった)といったミスや、両開き仕様のものを2セット買ってしまった…!といったミスを招いてしまいます。ご自身でカーテンを購入する際は、「この窓を仕上げるには……」を意識しながら、サイズ・仕様・セット枚数をよく確認しましょう。カーテンの寿命は10~20年とも言われますが、大切に扱うともっと長持ちするインテリアです。窓辺を綺麗にコーディネートして、気持ちよく日々の光と風を楽しみましょう!【参考】※防炎表示と防炎ラベル-日本防災協会
2019年03月31日