しょっちゅう教科書、コンパスやものさし、体操服を忘れて借りている…そんなお友だちに覚えはありませんか?こんなふうに「いつも何かを忘れている子」って、どこのクラスにも1人はいますよね!?お恥ずかしい話ですが、筆者はそんな「忘れもの女王」でした。小学校6年間で忘れものをしなかった日はたった1日もありません。これは過言ではなく、毎日提出する○○ドリルは登校してから必死で済ませていました。端から見ればただの不真面目な生徒だったと思いますが、本人はいたって真面目。宿題をさぼりたいだとかは1ミリも考えていないのです。今回はわたしのような究極ウッカリさんが、前向きに子育てをするうえで気をつけていることを書かせていただきます。生活に支障があるほどの「ウッカリ」冒頭に挙げたのが一例ですが、世の中には生活に支障をきたすほどの「ウッカリ」体質人間が存在します。最近では「度を超えたウッカリさん」を「発達障害」と診断するケースが多くなりました。発達障害ということばが流行しだしてから、さまざまなところで率直な意見を耳にするようになりました。「誰でもそう」「甘えだ」「努力が足りない」という否定的な意見もあれば、「脳の欠陥なのだと理解してほしい」「できないことを無理に頑張る必要はない」という肯定的な意見もあります。わたしはハッキリと、どの意見が正しいか言い切れません。人によると思うからです。頑張ってもできないことを「努力不足」だと思うことでモチベーションを上げられる人もいるでしょう。その逆に「できないことは頑張らない」と言い切ったほうが前向きに生きていける人もいます。周りの環境や日々背負う責任、本人の精神力によっても変わると思います。子育ては「提出物」と「期限」がつきもの妊娠が発覚してからというもの、日々は「提出物」と「期限」のオンパレードです。妊娠○週までに受けなければならない検査、出さなければならない書類、決めなければならないこと。学校に持っていくもののように、誰かに借りることはできません。生まれたらすぐに予防摂取が始まります。1ヵ月検診、3ヵ月検診、1歳検診…。何を隠そう、わたしは子どもの3歳児検診を忘れていましたが、普段からウッカリしているわたしを心配した保育園の先生が教えてくれてセーフでした。子どもを産む前は、自分の「ウッカリ」が自分だけの問題でした。仕事に関する「ウッカリ」はポストイットを書いたりアラートを出したり、「ウッカリ」が起きたときに対処できるスケジュールを組んだり…と、これまでのノウハウでなんとか対応できます(とはいえ、それでも「ウッカリ」はありますが…)。ですが子育てはノウハウがありません。仕事で培ってきたノウハウがそのまま流用できるかといえば…そこをスムーズにできるほど器用なら「ウッカリ」にはならないわけで…自信のないことは周りに相談すべしわたしはできる限り、自分が覚えていなければならないことを周りに分散させました。そのためには声を大にして「わたしは究極のウッカリ人間です」と表明する必要がありました。最初は抵抗がありましたが、背に腹は代えられません。もしわたしが「ウッカリだから助けてください」と言うことを、「みずから頑張ることを放棄している」と批判する人がいたら…潔く諦めます。その批判は間違っていません。たしかにわたしは努力を放棄しています。ですが、仕事と育児は違います。仕事に失敗しても命はとられません。でも育児に失敗したら…最悪の場合は我が子の命を奪うことになります。「周りに迷惑をかけない努力」をするならば、「育児に協力してくれる人を大勢集める努力」をするほうが前向きだと思いました。隠さないで味方をつくるとはいえ、何もせずに周りを頼るのは違います。基本的には母親である自分が、誰よりも我が子のことを考え行動すべきです。じゃあどの程度周りに頼るのか…わたしの場合は、日頃から自分の「ウッカリ」を隠さないようにしています。普段の会話で開けっぴろげに「ウッカリエピソード」を伝えます。重く伝えるのではなく、明るく面白く話します。そうした小さなカミングアウトを続けていると、いつの間にか味方が増えていきます。「あのママはきっと忘れているにちがいない」と心配してくれた保育園のママ友から、「明日はお弁当の日だよ」とLINEがくることもあります。「ウッカリ」として進むコツウッカリ人生を生きていると、日々落ち込むことの連続です。努力不足だと反省を重ねることもあれば、失敗をあえて忘れて前進しようとすることもあります。それはそのときどきの状況によって変わりますが、ひとつだけ変わらないコツがあります。それは、自分が「ウッカリ」だと思って行動すること。ペンギンが「自分は鷹だ」と思い込んでいたら、飛び立つ練習ばかりして一生を終えてしまうでしょう。ペンギンは「自分はペンギンだ」と自覚できてこそ、行きたい場所へ一歩進めるのだと思います。もちろん、その道中で「努力が足りない」と反省したり、反対に「できないことは気にしない」と開き直ったり、白黒つけられないこともあるでしょう。ですが、自覚して進もうとする姿勢が大事なのだと思います。ライター:金延さえ
2016年08月31日