第91回アカデミー賞&第71回エミー賞にWノミネートという快挙を果たし、サンダンス映画祭をはじめ59の賞を総なめ、さらにオバマ元大統領が年間ベスト(2018年)にも選んだ傑作ドキュメンタリー『Minding the Gap』の邦題が『行き止まりの世界に生まれて』に決定、9月4日(金)より公開される。アメリカ、ラストベルト=錆びついた工業地帯の3人の若者たち「全米で最も惨めな町」イリノイ州ロックフォードに暮らすキアー、ザック、ビンの3人は貧しく暴力的な家庭から逃れるようにスケートボードにのめり込んでいた。スケート仲間は彼らにとっての唯一の居場所で、もう1つの家族。そんな彼らも大人になるにつれ、様々な現実に直面し段々と道を違えていく。カメラは、明るく見える彼らの暗い過去、葛藤を抱える彼らの思わぬ一面を露わにしていく――。何度も心が張り裂けそうになる。それでも、彼らの笑顔に未来は変えられると願わずにいられない。痛みと希望を伴ったエモーショナルな傑作ドキュメンタリーが誕生した。本作の舞台ロックフォードはかつて栄えていた鉄鋼や石炭、自動車などの産業が衰退し、いまやアメリカの繁栄から完全に見放された「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」に位置する。2016年の大統領選では、“夢を失った”ラストベルトの人々による投票がトランプ大統領誕生に大きな影響を与えた。ビン・リュー監督は、10代の頃から撮りためたスケートビデオと共に、閉塞感のある故郷で必死にもがく若者3人の12年間を通して、親子、男女、貧困、人種...様々な分断を見つめ、“トランプのアメリカ”の知られざる現実をも映し出す。「21世紀アメリカの豊かな考察」(ニューヨーク・タイムズ)、「ドキュメンタリーの新時代」(WIRED)とも評され、初監督作品にして第91回アカデミー賞&第71回エミー賞にWノミネート、サンダンス映画祭をはじめ59の賞を受賞、「ロッテントマト」100%フレッシュと全米の批評家・観客が絶賛。さらにオバマ元大統領が「感動的で、示唆に富む。ただただ惚れ込んだ」と年間ベストにも選出した。この度解禁されたポスタービジュアルには、コンクリートの道路の上をスケートボードで日の光を目指すかのように前へと進む3人の姿。メインコピーは「傷だらけのぼくらが見つけた明日――」と、彼らが未来へ向かって進むことへの微かな希望が託されたものとなっている。現在、反人種差別デモで揺れるアメリカだが、11月に控える大統領選の鍵を握るラストベルトは改めて注目を集め、本作の主人公たちの等身大の物語を通して、未来のアメリカが見えてくるだろう。『行き止まりの世界に生まれて』は9月4日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2020年06月16日講談師の神田伯山のYouTubeチャンネル「神田伯山ティービィー」が、第57回ギャラクシー賞テレビ部門フロンティア賞を受賞したことが1日、放送批評懇談会ホームページで発表された。同チャンネルは、2月の真打昇進を機に襲名した、神田松之丞改め神田伯山が「何としても講談の面白さを知ってもらいたい」と立ち上げた。襲名披露パーティから披露興行まで、口上や高座の映像だけでなく楽屋の風景までもが臨場感たっぷりに編集され、約1カ月間リポート動画として、興行の翌日に毎日配信された。選考理由として、「撮影は芸人仲間の落語家たち。芸人同士だからこそ撮れる楽屋での芸人たちの姿は茶目っ気たっぷり。これまでテレビや寄席の現場では知ることができなかった寄席演芸の世界を魅力的に伝え、貴重な記録映像となっています。現在チャンネル登録者数は12万9千人、ユニーク視聴者数は126万人にのぼり、講談界に新風を吹き込む新しい映像コンテンツとして注目されています」としている。
2020年06月01日エミー賞を主催する「テレビジョン・アカデミー」が、2021年3月から適用される新しいルールを発表した。先月末に「映画芸術科学アカデミー」がアカデミー賞のルールを変更したことが大きく影響した模様。今年は新型コロナウイルスの影響でほぼ全ての映画館が営業中止になったため、「映画芸術科学アカデミー」は、アカデミー賞のノミネート資格を得るための条件「ロサンゼルス郡で7日間以上上映しなければならない」というルールを一時的に廃止。劇場公開日を設定していた作品なら、デジタル配信のみでの公開でも可能と決定した。「テレビジョン・アカデミー」は声明文の中で、「映画芸術科学アカデミー」が発表したこのルール変更を支持すると表明した上で、「アカデミー賞にノミネートされた作品は、エミー賞では選考対象外とする」というエミー賞側のルール変更も明らかにした。ここ数年、特にドキュメンタリー作品の「映画」と「テレビ」の境界線があいまいとなっており、アカデミー賞とエミー賞のどちらにもノミネートされたり、受賞するという作品が増えている。昨年は「ナショナルジオグラフィック」の長編ドキュメンタリー映画『フリーソロ』がアカデミー長編ドキュメンタリー映画賞を獲得し、エミー賞でも7部門受賞を果たした。(Hiromi Kaku)
2020年05月08日エミー賞受賞「HOMELAND/ホームランド」のエグゼクティブ・プロデューサーのもと、日本から山下智久がメインキャストのひとりとして出演するHuluオリジナルドラマ「THE HEAD」。この配信を記念し、グローバルに活躍の場を広げている山下さんの“原点”ともいえる紀行ドキュメント番組「山下智久・ルート66~たった一人のアメリカ」が、Huluで初配信されることになった。世界を見据えた山下智久のルーツ!26歳、初体験だらけの旅2011年11月、自ら車を運転し、シカゴとロサンゼルスを結ぶ約3,800kmの旧国道「ルート66」を走りながら、アメリカ大陸を横断するひとり旅に挑んだ当時26歳の山下さん。その記録を全12回にわたって放送したのが「山下智久・ルート66~たった一人のアメリカ」。どこへ行っても英語オンリーのコミュニケーション、次々と起こる想定外のトラブル、現地の人々とのかけがえのない出会いーー。ドラマ以外では初めてのレギュラー番組となった本番組で、山下さんはさまざまな初体験をしながら視野を広げていくことに!今回、日本人キャストは彼のみ、全編英語のセリフ、オール海外ロケというチャレンジングな条件がそろったドラマ「THE HEAD」でも発揮された“グローバルな視点とコミュニケーション能力、何があっても投げ出さない精神力”は、この旅で培われたと言っても過言ではないだろう。世界へ羽ばたく準備を進めている過程の山下さん。「THE HEAD」の現場でも愛された山下さんの人柄がしのばれる、リリー・フランキーとのスタジオトークも併せて必見。「野ブタ」に続き、過去のヒットドラマがHuluに続々登場!さらにHuluでは、山下さんが出演した2017年放送の連続ドラマ「ボク、運命の人です。」(全10話)の配信もスタート。自称「神」を名乗る謎の男(山下さん)のアドバイスを受け、運命の恋を信じた男・誠(亀梨和也)が、運命なんて信じない晴子(木村文乃)に猛アタックするラブコメディ。初のオリジナルアルバム「SI」のリリースなど、大プロジェクトを今年控える亀梨さんとのスペシャルユニット「亀と山P」が主題歌を担当したことでも、話題となった。そんな2人の息の合った芝居はもちろん、コミカルなだけでなく心温まる物語が印象的な本作。いま、前向きなパワーを求めている人たちにもオススメの1本。なお、Huluでは2005年に亀梨と山下が主演を務めた大ヒットドラマ「野ブタ。をプロデュース」(全10話)も現在3話まで配信中。高校生の修二(亀梨さん)と彰(山下さん)が、イジメられっ子の“野ブタ”こと信子(堀北真希)を、クラスの人気者へとプロデュースしていく青春シンデレラ・ストーリーは大人気を博し、亀梨さんと山下さんが「修二と彰」名義でリリースした主題歌「青春アミーゴ」もミリオンセラーに。日本テレビ系で放送された「特別編」も世間を騒がせるなど、いまなお色褪せぬ名作学園ドラマだ。「山下智久・ルート66~たった一人のアメリカ」は4月29日(水・祝)よりHuluにて配信(全12回)※7月31日まで(text:cinemacafe.net)
2020年04月28日第43回日本アカデミー賞の授賞式が6日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われ、最優秀主演男優賞を受賞した松坂桃李が登場した。昨年の第42回日本アカデミー賞では、最優秀助演男優賞を受賞した松坂。今年は映画『新聞記者』で最優秀主演男優賞に輝いた。優秀主演男優賞を受賞した菅田将暉と並ぶと、実は連絡先も知らないという2人の関係について「不思議な感覚なんですよね。僕はライバルという風にも思ってますし、同じ事務所の一人として、同志とも思ってますし」とコメントする一幕も最優秀賞の受賞が発表されると、驚いた様子で登壇し、「ハードルが高い役だなと思いましたが、ウンギョンさんと一緒にお芝居をすることがで きて最後まで駆け抜けることができました」とコメントすると、最優秀主演女優賞を受賞したシム・ウンギョンも見守った。『新聞記者』はさらに、作品賞も受賞。松坂は「ここにいないスタッフとも、喜びを分かち合いたい」と喜び、ウンギョンは「計り知れません。本当に光栄です」と笑顔を見せた。○最優秀主演男優賞 松坂桃李 コメントこの作品は僕の知る限りでは実現するまでに二転三転四転、五転くらいおそらく色々なことがあって、それでもこの作品をしっかりと映画を見てくださる方に届けたいという人が一致団結し、藤井監督の舵の元、撮影を終えることができました。僕自身も、10年ちょっと(俳優を)やってきて、ハードルが高い役だなと思いましたが、ウンギョンさんと一緒にお芝居をすることがで きて最後まで駆け抜けることができました。何より、「この作品で頑張ってこい」「行ってこい」と行ってくれた事務所のマネージャーさん、社長含めて後押ししてくれて嬉しい気持ちでいっぱいです。今日という日を糧に、また新たに作品の一部に自分がちゃんとなれるようにいけたらと思っております。今回は本当にありがとうございました。■最優秀賞受賞リスト作品賞…『新聞記者』監督賞…武内英樹(『翔んで埼玉』)主演男優賞…松坂桃李(『新聞記者』)主演女優賞…シム・ウンギョン(『新聞記者』)助演男優賞…吉沢亮(『キングダム』)助演女優賞…長澤まさみ(『キングダム』)アニメーション作品賞…『天気の子』外国作品賞…『JOKER』新人賞…岸井ゆきの、黒島結菜、吉岡里帆、鈴鹿央士、森崎ウィン、横浜流星(C)日本アカデミー賞協会
2020年03月06日インディペンデント・スピリット賞が発表された。作品賞に輝いたのは、『フェアウェル』。この部門のほかの候補作は、『マリッジ・ストーリー』『名もなき生涯』『アンカット・ダイヤモンド』『Clemency』だった。主演男優賞は『アンカット・ダイヤモンド』のアダム・サンドラー、主演女優賞は『ジュディ 虹の彼方に』のレニー・ゼルウィガー。助演男優賞は『ライトハウス』のウィレム・デフォー、助演女優賞は『フェアウェル』のチョウ・シュウチン。監督賞は『アンカット・ダイヤモンド』のベニー&ジョシュ・サフディ、脚本賞は『マリッジ・ストーリー』のノア・バームバック。国際映画賞は『パラサイト/半地下の家族』だった。文=猿渡由紀『フェアウェル』4月10日(金)公開
2020年02月10日アニー賞の結果が発表された。作品賞を受賞したのはNetflixオリジナルの『クロース』。インディーズ作品賞は、Netflixが世界配信権を獲得したフランスの『失くした体』だった。日本からはインディーズ作品部門に『天気の子』『プロメア』『若おかみは小学生!』がノミネートされていた。これら3本はいずれも無冠に終わったが、意外だったのは『トイ・ストーリー4』『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』、またゴールデン・グローブを受賞した『Missing Link』も無冠だったこと。『アナと雪の女王2』も、ジョシュ・ギャッドが声優部門を受賞したのにとどまっている。過去にはピクサー、ディズニーが制覇してきたオスカーの長編アニメ部門も、今年は予測が難しくなりそうである。文=猿渡由紀
2020年01月27日日本のみならず世界中で大ヒットした『ジョーカー』をはじめ、今年も話題となっているアカデミー賞。中でも作品賞にノミネートされる映画は毎年良作揃いで、見ごたえのあるものばかり。とりわけ今年は、近年稀に見るほど授賞式以前に劇場で鑑賞できる作品賞ノミネート作が多いことでも注目されている。マット・デイモン&クリスチャン・ベイル主演『フォードvsフェラーリ』公開中マット・デイモンとクリスチャン・ベイル、アカデミー俳優の2人を主演に起用し、歴史上最も伝説的なレースで、絶対王者フェラーリに立ち向かった男たちの奇跡のような挑戦の実話を描いた『フォードvsフェラーリ』。舞台は世界が熱狂した1966年のル・マン24時間レース。歴史を変えた、2人の男の熱い友情と、チームの絆、そして不可能に挑戦し続ける姿を描いた奇跡の大逆転の物語には共感する人が続出中。本年度アカデミー賞では作品賞のほか、編集賞、録音賞など4部門にノミネートされ、レースをテーマにした映画としては初めて作品賞にノミネートされた。さらに先日、本国で発表されたように、ディズニーとの合併に伴い「20世紀フォックス」は「20世紀スタジオ」に名称変更されるため、オープニングの「20世紀FOX」のロゴは本作で見納め。映画ファンにとってはその意味でも見逃せない1本となっている。ポン・ジュノ監督&ソン・ガンホ『パラサイト 半地下の家族』公開中カンヌ国際映画祭にて、審査員満場一致で最高賞のパルムドールに輝き、各国で大ヒットとなっている超話題作。『殺人の追憶』『グエムル漢江の怪物』『スノーピアサー』の監督ポン・ジュノとソン・ガンホが4度目のタッグを組み、本作では、あらゆるジャンルを完璧に融合させながら、いま世界が直面している貧富格差への痛烈な批判をも内包した超一級のエンターテインメントとなっている。本年度アカデミー賞では、韓国映画初となる作品賞、監督賞(ポン・ジュノ)のほかに、国際長編映画賞、脚本賞、編集賞など6部門にノミネート。タイカ・ワイティティ監督、空想上のヒトラーにも『ジョジョ・ラビット』公開中『マイティ・ソー バトルロイヤル』のタイカ・ワイティティ監督が、第2次世界大戦時のドイツに生きる人びとの姿を辛辣なユーモアを交えて描き、第44回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞したヒューマン・エンターテイメント作品。本年度アカデミー賞では、作品賞のほかに、助演女優賞(スカーレット・ヨハンソン)、脚色賞など6部門にノミネートされている。マーティン・スコセッシ監督&ロバート・デ・ニーロ『アイリッシュマン』Netflix配信中&劇場公開中『タクシードライバー』『レイジング・ブル』など数々の名作を生み出してきた巨匠マーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロが、『カジノ』以来22年ぶり9度目のタッグ。裏社会のボスに長年仕えてきた殺し屋(デ・ニーロ)が秘密と暴力にまみれた自らの半生をふり返る。最新VFXで“若返った”ベテラン俳優たちにも注目。本年度アカデミー賞では、作品賞のほか監督賞(マーティン・スコセッシ)、助演男優賞(アル・パチーノ、ジョー・ぺシ)など、9部門10ノミネートされている。スカーレット・ヨハンソン&アダム・ドライバー主演『マリッジ・ストーリー』Netflix配信中&劇場公開中『イカとクジラ』『ヤング・アダルト・ニューヨーク』のノア・バームバック監督が、スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーを主演に迎え、離婚のプロセスに戸惑い、子の親としてのこれからに苦悩する夫婦の姿を、リアルで辛辣ながら思いやり溢れる視点で描いた話題作。本年度アカデミー賞では、作品賞のほか主演男優賞(アダム・ドライバー)、主演女優賞(スカーレット・ヨハンソン)、助演女優賞(ローラ・ダーン)ほか6部門でノミネートされている。そのほか、“全編ワンカット”サム・メンデス監督の『1917 命をかけた伝令』は2月14日(金)から、名作小説「若草物語」をグレタ・ガーウィグ監督が新たな視点で映画化した『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』は3月27日(金)からと、アカデミー賞の結果が出た後での日本公開作品も。第92回アカデミー賞授賞式は日本時間2月10日(現地時間2月9日)に開催される。(text:cinemacafe.net)■関連作品:フォードvsフェラーリ 2020年1月10日より全国にて公開©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation【Netflix映画】アイリッシュマン 2019年11月27日よりNetflixにて全世界同時配信開始パラサイト 半地下の家族 2020年1月10日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開© 2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVEDジョジョ・ラビット 2020年1月17日より全国にて公開©2019 Twentieth Century Fox&TSG Entertainment
2020年01月25日2020年の「エランドール賞」各賞が17日に発表され、新人賞に神木隆之介、安藤サクラ、横浜流星、清原果耶、吉沢亮、橋本環奈が選ばれた。授賞式は、2月6日に都内のホテルで行われる。一般社団法人 日本映画テレビプロデューサー協会が主催する「エランドール賞」は、1年を通して優秀な活躍をした俳優や映画・ドラマなどを表彰するもの。その他の賞は、プロデューサー賞に、映画『翔んで埼玉』の若松央樹氏(フジテレビ)、古郡真也氏(FILM)、NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』の清水拓哉氏(NHK)、家冨未央氏(同)、大越大士氏(テイクファイブ)。プロデューサー奨励賞に、映画『蜜蜂と遠雷』の石黒裕亮氏(東宝)、TBS系ドラマ『凪のお暇』の中井芳彦氏(TBS)を選出。また、特別賞には、映画『新聞記者』製作チームが選ばれた。
2020年01月17日「第43回日本アカデミー賞」の正賞15部門各優秀賞および新人俳優賞・正賞外賞が1月15日(水)に発表された。なお、司会は羽鳥慎一と安藤サクラが務める。優秀作品賞最多12部門は『翔んで埼玉』優秀作品賞に選出されたのは、『キングダム』、『新聞記者』、『翔んで埼玉』、『閉鎖病棟―それぞれの朝―』、『蜜蜂と遠雷』と強力なエンターテインメント作品から社会派作品まで、例年と比較しても実にバラエティに富んだ5本となった。最多12部門を受賞したのは、島谷能成会長が「新しい観客を掘り起こした」と評した『翔んで埼玉』。次いで11部門受賞は『閉鎖病棟―それぞれの朝―』、次に『キングダム』が8部門となっている。なお、第43回日本アカデミー賞は、2018年12月16日~19年12月15日に東京地区の商業映画劇場にて有料で初公開され、1日3回以上、2週間以上継続して上映された40分以上の劇場用劇映画及びアニメーション作品が対象になっている。司会の羽鳥さん&安藤さんが意気込みこれまで授賞式会場でのインタビューやテレビ放送司会の経験はあれど、今回初の司会に抜擢された羽鳥さん。「当日はひとつの作品に多くの方が携わって久々に会う日、同窓会のような場の認識を持ちながら、少しでも授賞式がたくさんの笑顔で包まれるような会になるように、貢献したいという思いで参加します」と神妙な面持ちで語った。しかし、誰にどんな話を聞きたいかという質問が飛ぶと、羽鳥さんは「助演男優賞の岡村隆史の文字を見たとき、すごく安心しました。ひとつ休憩場所にして、あとは緊張感の中、頑張っていきたいと思います」と場内の笑いを誘った。同じく司会を行うのは、第42回同賞で『万引き家族』にて最優秀主演女優賞を受賞した安藤さん。『百円の恋』以来2回目の司会となる安藤さんは、「前回初めてやったとき、なんて特別な時間だろう、特等席だな、とずっと思いながら司会をしていました。2回目だからということで、気が緩まないように、より一層緊張感を持って受賞者の皆さんにとって素敵な時間になることを一番に頑張ってやらせていただきたいです」と笑顔で楽しそうに決意表明していた。主な優秀賞受賞リストは、以下の通り■優秀作品賞『キングダム』『新聞記者』『翔んで埼玉』『閉鎖病棟-それぞれの朝-』『蜜蜂と遠雷』■優秀アニメーション作品賞『空の青さを知る人よ』『天気の子』『名探偵コナン 紺青の拳』『ルパン三世 THE FIRST』劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』■優秀監督賞佐藤信介『キングダム』周防正行『カツベン !』武内英樹『翔んで埼玉』平山秀幸『閉鎖病棟-それぞれの朝-』藤井道人『新聞記者』■優秀脚本賞片島章三『カツベン !』詩森ろば/高石明彦/藤井道人『新聞記者』徳永友一『翔んで埼玉』平山秀幸『閉鎖病棟―それぞれの朝―』三谷幸喜『記憶にございません!』■優秀主演男優賞笑福亭鶴瓶『閉鎖病棟-それぞれの朝-』菅田将暉『アルキメデスの大戦』中井貴一『記憶にございません!』松坂桃李『新聞記者』GACKT『翔んで埼玉』■優秀主演女優賞シム・ウンギョン『新聞記者』二階堂ふみ『翔んで埼玉』松岡茉優『蜜蜂と遠雷』宮沢りえ『人間失格太宰治と3人の女たち』吉永小百合『最高の人生の見つけ方』■優秀助演男優賞綾野剛『閉鎖病棟-それぞれの朝-』伊勢谷友介『翔んで埼玉』柄本佑『アルキメデスの大戦』岡村隆史『決算!忠臣蔵』佐々木蔵之介『空母いぶき』吉沢亮『キングダム』■優秀助演女優賞天海祐希『最高の人生の見つけ方』小松菜奈『閉鎖病棟-それぞれの朝-』高畑充希『こんな夜更けにバナナかよ愛しき実話』長澤まさみ『キングダム』二階堂ふみ『人間失格太宰治と3人の女たち』■新人俳優賞岸井ゆきの『愛がなんだ』黒島結菜『カツベン !』吉岡里帆『見えない目撃者』『パラレルワールド・ラブストーリー』鈴鹿央士『蜜蜂と遠雷』森崎ウィン『蜜蜂と遠雷』横浜流星『愛唄 -約束のナクヒト-』『いなくなれ、群青』『チア男子!!』授賞式は3月6日(金)にグランドプリンスホテル新高輪の国際館パミールで行われ、各部門の最優秀賞が発表される。(cinamacafe.net)
2020年01月15日1月15日、第43回日本アカデミー賞の優秀賞が発表され、優秀作品賞に『キングダム』『新聞記者』『翔んで埼玉』『閉鎖病棟—それぞれの朝—』『蜜蜂と遠雷』の5作品が選ばれた。正賞15部門のなかでは『翔んで埼玉』が最多12部門、『閉鎖病棟—それぞれの朝—』が11部門の優秀賞に輝いた。授賞式で司会を務めるのは、昨年『万引き家族』で最優秀主演女優賞を受賞した安藤サクラと、フリーアナウンサーの羽鳥慎一。羽鳥は、昨年まで6年連続で司会を務めていた西田敏行からバトンを受けるという大役だが「日本テレビに在籍時代、インタビューアとして何度か賞に参加したことはあったのですが、俳優さんに直接お話を聞く機会はなかったので、緊張しますね」と語っていたが「でも映画は大好きなので、機会をいただけて嬉しいです」と笑顔を見せる。さらに羽鳥は「日本アカデミー賞というのは、映画に携わる人が選ぶ大切な賞。作品に参加したスタッフやキャストたちが久々に再会する場でもあるので、たくさんの笑顔を引き出せるように務めたい」と意欲を見せた。一方、2度目の司会となる安藤は「前回『なんて特別な時間なんだ』と感じたことを思い出します。あのときの経験は大きな財産になりました。2回目だからといって気を緩めることなく、より緊張感を持って臨みたいです」と意気込む。また受賞者の一覧を見た安藤は「普段、俳優さんや女優さんにインタビューすることがないので、緊張しますし、先輩にお話を聞くのはおこがましいと思ってしまうかもしれませんが、せっかくのチャンスなので、一視聴者として、素直に聞きたいことをぶつけてみたいです」と抱負を語っていた。今年から日本アカデミー賞協会の会長に就任した島谷能成氏は、昨年まで司会を務めた西田に対して「西田さんの作品への愛や、受賞者への溢れる友情や思いのおかげで、温かい雰囲気の授賞式になりました」と感謝を述べると、興行成績が好調だった2019年の日本映画界を振り返り、「受賞リストを見ると『翔んで埼玉』など、新しい層の鑑賞者を開拓できた年だったなと思います」と総括していた。第43回日本アカデミー賞の主な受賞結果は以下の通り。■優秀作品賞『キングダム』『新聞記者』『翔んで埼玉』『閉鎖病棟—それぞれの朝—』『蜜蜂と遠雷』■優秀アニメーション作品賞『空の青さを知る人よ』『天気の子』『名探偵コナン 紺青の拳』『ルパン三世 THE FIRST』『ONE PIECE STAMPEDE』■優秀監督賞佐藤信介(『キングダム』)周防正行(『カツベン!』)武内英樹(『翔んで埼玉』)平山秀幸(『閉鎖病棟—それぞれの朝—』)藤井道人(『新聞記者』)■優秀主演男優賞笑福亭鶴瓶(『閉鎖病棟—それぞれの朝—』)菅田将暉(『アルキメデスの大戦』)中井貴一(『記憶にございません!』)松坂桃李(『新聞記者』)GACKT(『翔んで埼玉』)■優秀主演女優賞シム・ウンギョン(『新聞記者』)二階堂ふみ(『翔んで埼玉』)松岡茉優(『蜜蜂と遠雷』)宮沢りえ(『人間失格 太宰治と3人の女たち』)吉永小百合(『最高の人生の見つけ方』)■優秀助演男優賞伊勢谷友介(『翔んで埼玉』)柄本佑(『アルキメデスの大戦』)岡村隆史(『決算!忠臣蔵』)佐々木蔵之介(『空母いぶき』)吉沢亮(『キングダム』)■優秀助演女優賞天海祐希(『最高の人生の見つけ方』)小松菜奈(『閉鎖病棟—それぞれの朝—』)高畑充希(『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』)長澤まさみ(『キングダム』)二階堂ふみ(『人間失格 太宰治と3人の女たち』)■優秀脚本賞片島章三(『カツベン!』)詩森ろば/高石明彦/藤井道人(『新聞記者』)徳永友一(『翔んで埼玉』)平山秀幸(『閉鎖病棟—それぞれの朝—』)三谷幸喜(『記憶にございません!』)■新人俳優賞岸井ゆきの(『愛がなんだ』)黒島結菜(『カツベン!』)吉岡里帆(『見えない目撃者』『パラレルワールド・ラブストーリー』)鈴鹿央士(『蜜蜂と遠雷』)森崎ウィン(『蜜蜂と遠雷』)横浜流星(『愛唄—約束のナクビト—』『いなくなれ、群青』『チア男子!!』)取材・文・写真:磯部正和
2020年01月15日9日(現地時間)、ゴールデングローブ賞のノミネーションが発表された。注目を集めたのは、監督賞にノミネートされた5人だ。ポン・ジュノ(『パラサイト 半地下の家族』)、サム・メンデス(『1917 命をかけた伝令』)、トッド・フィリップス(『ジョーカー』)、マーティン・スコセッシ(『アイリッシュマン』)、クエンティン・タランティーノ(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』)と全員が男性。女性監督が1人もノミネートされなかったことで、多くの人が遺憾の意を示した。自身は『スキャンダル』で主演女優賞にノミネートされたが、シャーリーズ・セロンもそのうちのひとり。「Los Angeles Times」紙に思いを語った。「厳しい。本当に、とても厳しい。それに、すごくフラストレーションを感じる。女性監督の数を増やそうとがんばっているところなのに。この業界で女性監督はわずか10%しかいない。それでも今年は彼女たちの仕事ぶりは素晴らしかった。だから本当に悔しい」と残念がった。『スキャンダル』は男性であるジェイ・ローチがメガホンを取った作品。シャーリーズは「女性はもっとチャンスを得られるべきだと強く信じているけれど、だからと言って女性の物語を伝えられるのが女性だけだとは思わないし、男性の物語を伝えられるのが男性だけだとは思わない。そんなことを言ったら、エイヴァ・デュヴァーネイが悲しむ。彼女は冤罪になった5人の少年についての作品(「ボクらを見る目」)を撮ったから」という意見も述べている。(Hiromi Kaku)
2019年12月10日インディーズ映画に贈られるゴッサム賞が発表された。作品賞に輝いたのは、『マリッジ・ストーリー』。今作では、ほかに、ノア・バームバックが脚本賞、アダム・ドライバーが男優賞を受賞している。同作品はまた観客賞も受賞した。女優賞は、『The Farewell』のオークワフィナ。ブレイクスルー賞は、『The Waves』のテイラー・ラッセル。ドキュメンタリー賞は『アメリカン・ファクトリー』。『マリッジ・ストーリー』も『アメリカン・ファクトリー』もNetflix作品で、このアワードシーズンも、今からすでに彼らの大健闘が予測される。文=猿渡由紀
2019年12月04日第44回報知映画賞の受賞作・受賞者が28日に明らかになり、中井貴一が主演男優賞、長澤まさみが主演女優賞に輝いた。『記憶にございません!』の演技が評価された中井は、1994年(第19回)『四十七人の刺客』で助演男優賞を受賞して以来、25年振り2度目の報知映画賞受賞に。また『マスカレード・ホテル』『コンフィデンスマン JP-ロマンス編-』に出演した長澤は、2004年(第29回)に『深呼吸の必要』『世界の中心で、愛をさけぶ』で助演女優賞を受賞して以来、15年振り2度目の報知映画賞受賞となった。全体では『蜜蜂と遠雷』が作品賞・邦画部門、新人賞(=鈴鹿央士)の2冠に。今年社会現象を巻き起こした『翔んで埼玉』が特別賞を受賞した。○第44回報知映画賞 一覧作品賞・邦画部門:『蜜蜂と遠雷』(監督 石川慶)作品賞・海外部門:『ジョーカー』(監督 トッド・フィリップ)アニメ作品賞:『天気の子』 (監督 新海 誠 配給 東宝)主演男優賞:中井 貴一『記憶にございません!』の演技に対して主演女優賞:長澤まさみ 『マスカレード・ホテル』『コンフィデンスマン JP -ロマンス編-』の演技に対して助演男優賞:成田凌 『チワワちゃん』『愛がなんだ』『さよならくちびる』の演技に対して助演女優賞:小松 菜奈 『来る』『閉鎖病棟-それぞれの朝-』の演技に対して監督賞:佐藤信介 『キングダム』の演出に対して新人賞:鈴鹿央士 『蜜蜂と遠雷』の演技に対して新人賞:玉城ティナ 『Diner ダイナー』『惡の華』の演技に対して特別賞:『翔んで埼玉』 社会現象化した稀有な作品。(監督 武内英樹)
2019年11月28日「グレイズ・アナトミー」のサンドラ・オーと英国注目女優ジョディ・カマーが主演を務める賞レースを席巻した大ヒットドラマ「キリング・イヴ/Killing Eve」が、12月1日(日)より動画配信サービス「U-NEXT」にて独占配信されることが決定した。イギリスの小説家ルーク・ジェニングスによる「ヴィラネル」シリーズを原作に、Amazon Originalドラマ「Fleabag フリーバッグ」や最新映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』も手掛けるフィービー・ウォーラー=ブリッジがクリエイターを務める本作。「グレイズ・アナトミー」のクリスティーナ役で知られるサンドラ・オーと、「女医フォスター」のジョディ・カマーが主演を務め、MI6捜査官と暗殺者とのスリリングな攻防をスタイリッシュに、ときにシニカルなユーモアを交えて描く。海ドラファン待望の賞レースを席巻した大ヒットドラマ2018年にBBCアメリカで放送されると、その反響の高さから即座にシーズン2への継続が決定。サンドラが、アメリカのテレビ界最高峰である第70回エミー賞主演女優賞にアジア系として初めてノミネートされたほか、第76回ゴールデン・グローブ賞では主演女優賞を受賞。ジョディは9月に行われた第71回エミー賞にて主演女優賞を受賞するなど、テレビ界の賞レースを席巻。2020年にBBCで放送予定のシーズン3には、「ゲーム・オブ・スローンズ」ヤーラ・グレイジョイ役のジェマ・ウィーランが出演することが決まっており、一層の期待が寄せられている。サイコパスな暗殺者と捜査官が織りなすノンストップサスペンス本作の見どころのひとつは、強烈な個性を放つ主役の女性キャラクターたち。自らが殺した人間の死に様を楽しむサイコパスの暗殺者ヴィラネル(ジョディ・カマー)と、イギリスの諜報機関"MI6"のもとで極秘に事件を追う捜査官イヴ(サンドラ・オー)のふたりが繰り広げる攻防戦が、物語の主軸となる。お互いを知るにつれ、ふたりの間で育まれていく奇妙で、特別な関係性の行方も本作の注目ポイント。暗殺者ヴィラネルは、笑顔で殺人をくり返す残酷な人間でありながら、暗殺者らしからぬ個性的な服装で七変化を見せ、“ヴィラネルファッション”として親しまれているのも魅力だ。好きにならずにはいられないキャラクターと、予想がつかないユーモアあふれる脚本に放送直後から各メディアが大絶賛。テンポよく進むスリリングな展開を、イッキ見で楽しめる機会となっている。「キリング・イヴ/Killing Eve」シーズン1は12月1日(日)よりU-NEXTにて見放題配信(全8話)。(text:cinemacafe.net)
2019年11月27日シネマトグララフィーのフェスティバル、カメリメージで、『ジョーカー』の撮影監督ローレンス・シャーが、最高賞にあたるゴールデン・フロッグを受賞した。この賞の受賞者は、過去、ほぼ確実にオスカーのシネマトグラフィー部門にノミネートされる。2番目にあたるシルバー・フロッグは『2人のローマ教皇』、その次のブロンズ・フロッグは『The Painted Bird』が受賞した。『ジョーカー』は、この週末、全世界興収が10億ドルの大台を超えるという快挙を達成した。公開から二ヶ月経つ今も、アメリカではトップ10圏内にとどまっている。文=猿渡由紀『ジョーカー』全国公開中
2019年11月18日エレン・デジェネレスが来年1月5日に開催される第77回ゴールデングローブ賞にて、キャロル・バーネット賞を受賞することが明らかになった。月曜日(現地時間)、ゴールデングローブ賞を主催するハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)が発表した。エレンもSNSで「新しい週の始まりに、最高のニュース。ありがとう、ハリウッド外国人映画記者協会」と報告している。HFPAの代表ロレンツォ・ソリアは「彼女の番組はシットコムからスタンダップコメディまで、お茶の間に欠かせないものとなっています。彼女はテレビ界のパイオニアで、その魅力と知性で25年近く視聴者を引き付けてきました。また、テレビ界での成功に加え自分のプラットフォームが持つ影響力を通し、献身的な慈善家として声を上げ、優しさや喜びを広めてきました」とエレンの功績を称え、授賞の理由とした。今年新設されたキャロル・バーネット賞は、テレビ界への貢献者に贈られるもので、今年はキャロル・バーネット本人が受賞した。エレンは二代目の受賞者となる。なお、来年のゴールデングローブ賞で、映画界での貢献者に贈られるセシル・B・デミル賞はトム・ハンクスが受賞者に決定している。(Hiromi Kaku)
2019年11月05日第71回エミー賞でリミテッドシリーズ部門作品賞、監督賞、脚本賞ほか計10冠を獲得した、話題の海外ドラマ「チェルノブイリ」。9月にBS10スターチャンネルで放送がスタートするや、回を重ねるごとに、思わず目を背けたくなる、見るも“しんどい”展開の連続でありながら、日本人として無視することのできない大惨事の裏側にSNS上は騒然となっている。この「チェルノブイリ」のような、1話あたり長くても1時間前後、全3~10話ほどのリミテッド(ミニ)シリーズのドラマは、近年ハズレなしといっていい。約2時間の映画では描き足りない深掘りしたテーマとメッセージを盛り込みつつ、20話近い通常のTVシリーズとはまた異なる濃密さを味わえることから、「ファーゴ」や「アメリカン・ホラー・ストーリー」「TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ」などを例に出すまでもなく映画界のスターやクリエイターが続々と参入している。また、話数の少なさから、見たいものをなかなか絞り切れない配信ドラマの“入り口”にもなりやすく、1シーズンで完結するというゴールが示されている点でも気軽さがある。そこで、この秋絶対に見ておきたいリミテッドシリーズ3作品に注目した。ある意味、ホラーよりも恐ろしい…「チェルノブイリ」1986年4月26日午前1時23分、旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所で起きた爆発事故を、入念なリサーチを基に再現した実録ドラマ。これまで地球が経験してこなかった未曾有の原発事故が発生した後、建前の数字で実態をごまかし、隠蔽しようとした旧ソ連政府と、被害・影響を把握し、その拡大を少しでも抑えようとした科学者や技術者、消防士などの姿を、まるでこちらが追体験しているかのようにリアルに描いていく。現在では鋼鉄のシェルターに覆われ、観光地と化しているチェルノブイリ。いままでもドキュメンタリー映画や劇映画は公開されてきたが、「ゲーム・オブ・スローンズ」の米HBOのもと製作された今作は、どんなパニックスリラーよりも緊迫感と絶望感に支配されている。事故発生直後、閃光に数秒遅れて民家に届く爆音。オレンジ色の炎からひと筋、天に向かって立ち上るのは異様なまでの青い炎。しかし、原発内では事態を掌握できず、判断力、統率系統は混乱し、あまりにも無防備な作業員たちが次々と被爆していく。一報を受け、深夜休んでいた消防士たちもかり出され、消火活動に当たる。もちろん防護服など身につけていない。落ちていた黒鉛に触れたある消防士は、すぐさま動けない状態になってしまう。そして、原発から上がる炎をまるで花火でも見るかのように見物する近隣住民たちの上に(子どもや赤ちゃんにも)、死の灰が降り注ぐ。なのに、「事態は制御下にあります」と言い放つ所長。測定できる線量計はMAXで振り切れてしまっている。だが、事実ではない報告が上へと伝わり、ついにはゴルバチョフ書記長の耳に。この日、原子炉の運転実験を指揮しながら、冷静さを失ったかのように「タンクが爆発しただけ」と言い張っていた副技師長は、自身が倒れ所内から一歩外に出てようやく、とんでもない事態が起きていることに気づくのだ。海外ドラマでよく見かける顔ぶれが揃う中、この原発事故の調査と事後処理に挑むのは、数々の舞台や映画で鳴らした名優たちだ。放送に先駆けて解禁された10分の冒頭映像でまさかの選択をする調査委員会の責任者、核物理学者ヴァレリー・レガソフを、『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』のモリアーティ役で知られるジャレッド・ハリス。ゴルバチョフ書記長に現場対応を任された旧ソ連閣僚会議副議長ボリス・シチェルビナに、『アベンジャーズ』シリーズにも出演する北欧俳優一家の父、ステラン・スカルスガルド。そして事故の真相解明に奔走する核物理学者ウラナ・ホミュックに、『奇跡の海』や『博士と彼女のセオリー』のエミリー・ワトソン。さらに、『ダンケルク』『聖なる鹿殺し』のバリー・コーガンをはじめ、市井の人々を演じたゲスト出演者たちもそれぞれが強い印象を放っている。製作総指揮・脚本は、『ハングオーバー』シリーズや『最凶絶叫計画』シリーズとコメディ作品を数多く手掛けてきたクレイグ・メイジン。そして、スウェーデン出身で「ブレイキング・バッド」の伝説的エピソードや、マドンナ、デヴィッド・ボウイなどのミュージックビデオを手掛けてきたヨハン・レンクが監督をつとめ、全く救いのない現場に立つ様々な人間の内面を見つめながら、多彩な視点で観る者をぐいぐいと引き込ませていく。廃炉となったリトアニアの原発でロケを敢行したリアリティもあってか、“目には見えない”はずの放射能が見えてくるような気さえしてくる。旧ソ連は社会主義国家とはいえ、地球規模の核災害など起きていないという“建前”をふりかざす上層部の対応の様子は、何やらどこかで見たような…。東日本大震災による福島第一原発事故の処理が現在進行形だからこそ、私たち日本人にとっても重要なドラマであることは確か。見るのがつらい、という人もいるかもしれない。それでも、事態の悪化を食い止めようと命をかけて行動し、風化させてはならないと覚悟を決めた人間がたどり着いた境地と、それに伴ったあまりにも大きな犠牲を、どうか受けとめてみてほしい。※1話63~76分×全5話スターチャンネルにて放送中/Amazon Prime Video スターチャンネルEXにて配信中人生を奪われた冤罪の少年たち…「ボクらを見る目」今作は、全米を震撼させた実際の悪名高き冤罪事件「セントラルパーク・ジョガー事件」を、黒人女性監督として初めてアカデミー賞作品賞にノミネートされた『グローリー/明日への行進』のエヴァ・デュヴァネイが手掛けたNetflixのリミテッドシリーズ。今年5月31日より190か国で配信されると、アメリカでは原題の「#WhenTheySeeUs」がTwitterのトレンド入り。また、Netflixの発表によれば、アメリカでの1日あたりの視聴回数の最高記録を達成したという。確かに、人生を奪われた少年たちが経験した理不尽さへの憤りや絶望、そして現在のアメリカへの痛烈な批判はNetflixのシリーズの中で過去最高級のクオリティと完成度かもしれない。1989年4月16日、ニューヨークのセントラルパークをジョギングしていた白人の女性がレイプされ、頭部を殴打され瀕死の重傷を負った事件が起きる。そのとき、たまたま友人に誘われて、あるいは単なる好奇心からセントラルパークに集まっていた黒人やラテン系の少年たち、ユセフ、ケヴィン、アントロン、レイモンド、コーリー。いずれもハーレム出身で、ユセフとコーリーは友人同士だったが、2人以外は顔見知りですらなかった。やがて事件が発覚すると、当時14歳から16歳だった少年たちは保護者や弁護士の付き添いもなく、水や食事も与えられないまま、警察の“シナリオ”ありきの圧迫的な誘導尋問により自白を強要されてしまう。裁判ではそれぞれ身の潔白を主張するも、現場から見つかったDNAが5人の誰とも一致しなかったにも関わらず、有罪判決が下され、彼らは収監。メディアは5人を「セントラルパーク・ファイブ」と名付けて晒し者にした。事件の発生と警察署での1話から、胸が締めつけられるような裁判所の2話、3話&4話では鑑別所での日々や、大人になり服役を終えた彼らの様子、さらに真犯人が罪を告白し、真相が明らかになるまでが丁寧に描かれていく。見事な起承転結。たった一夜で激変した少年たちと、その家族の境遇と心情に徹底して寄り添っていく。しかも、この冤罪事件が犯罪率の高かったニューヨークにさらなる影を落とす中、新聞4紙に“少年たちを裁くため”に「死刑制度を復活させろ」と大々的な広告を打ったのが、誰あろう、当時ニューヨークの不動産王だったアメリカ大統領ドナルド・トランプだ。当時からメディアを通じてヘイトをまき散らす姿が、ドラマの中ではっきりと映し出されている。そんな今作は、上記の「チェルノブイリ」と第71回エミー賞でリミテッドシリーズ部門の各賞を争ったことが記憶に新しい。結果的には「チェルノブイリ」圧勝だったものの、ジャレッド・ハリスやヒュー・グラント、さらにマハーシャラ・アリ、サム・ロックウェル、ベニチオ・デル・トロといったオスカー俳優たちを差し置いて主演男優賞に選ばれたのが、なんとコーリー役の少年時代から大人時代までを演じたジャレル・ジェローム。2016年の映画『ムーンライト』で、高校生の主人公が想いを寄せる相手役を演じて注目されたジャレル。彼が演じたコーリーだけは、当時16歳だったため少年法では裁かれず、たったひとり成人用の刑務所に送られ、最も長い刑期を過ごすことになった。受刑者からはリンチに遭い、刑務官からもいじめに遭い、独房に入れられた。「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」でも触れられていたように、こうした刑務所には潤沢な予算などなく、環境は劣悪だ。クーラーも壊れてしまった灼熱の独房で、次第に精神に異常を来していくコーリーが、“あの日セントラルパークへは行かなかった、もう一人の自分”に思いを馳せるシーンは涙なしでは見られない。このコーリーをはじめとする5人を、デュヴァネイ監督は新たに“無実の罪を晴らした(Exonerated)ファイブ”と呼んでいる。2002年に無実が証明された彼らは、2014年、実刑を下したニューヨーク市とも全面和解。実際の本人たちも映し出されるが、壮絶な体験をし、人生の一部を奪われたはずの彼らがみな、穏やかな表情をしているのが印象的だ。製作総指揮のひとり、オプラ・ウィンフリーによる「今、ボクらを見る目」では製作の裏側や本人たちの素顔も目にすることができる。ちなみに、無実の彼らを訴追した張本人の女性検事は、引退して小説家となっていたが、ドラマ配信後にSNSで大バッシングされ、出版社からは契約打ち切り、被害者支援のNPO団体を辞めている。演じているのが、子どもの裏口入学で逮捕された「デスパレートな妻たち」のフェリシティ・ハフマンというオチつき。※1話64~88分×全4話Netflixにて配信中性被害者が救われるたった1つの瞬間とは…「アンビリーバブル たった1つの真実」もう1本、今年の必見案件といえるのが「アンビリーバブル たった1つの真実」。現地時間10月16日に発表されたNetflix2019年度第3四半期決算で、配信開始から28日間で6,400万世帯に視聴される新記録をつくった「ストレンジャー・シングス 未知の世界3」と並ぶオリジナル作品のヒット作として挙げられ、いま注目を集めている。配信開始から28日間で3,200万世帯が視聴したという。これは今作が、連続レイプ犯を追う女性刑事コンビとその被害者であり、セカンドレイプにさらされた少女を主人公にした実録ドラマであることを考えると、かなり画期的なことだろう。ピューリッツァー賞を受賞したT・クリスチャン・ミラーとケン・アームストロングによる記事「An Unbelievable Story of Rape」(原題)と、ラジオ番組「This American Life」(原題)で取り上げられた実話から生まれたドラマは、性被害のトラウマと真の意味での救済と回復をつぶさに描き出している。「性的暴力の描写が含まれるため、ご自身の判断の上でご視聴ください」と、「13の理由」のように注意喚起から始まる今作。ワシントン州、里親を転々とし、いまは青少年保護施設に暮らす10代のマリー・アドラーは、2008年8月11日、窓から侵入してきた何者かにレイプされ、警察に届け出る。しかし、フラッシュバックに襲われ気が動転するマリーの話と、犯人の指紋跡が部屋に見当たらないことから、ベテラン担当刑事はマリーの“でっち上げ”ではないかと疑いはじめ、かつての養母や友人、カウンセラーも彼女に不信感を抱いていく。時は流れて2011年のコロラド州。何百キロも離れた場所で侵入者によるレイプ事件をそれぞれ追っていたカレン・デュヴァル刑事とグレース・ラスムッセン刑事は、あまりに手口が似通っていることから同一犯の犯行とみて合同捜査を開始するのだが…。「ビッグ・リトル・ライズ」などでも記憶に新しいが、なぜ、被害者である彼女たちが何重もの苦しみに直面しなければならないのか。マリーは最初に駆けつけた若い警察官と、後から到着した中年の担当刑事(どちらも男性)に同じ話を繰り返さなければならず、病院での検査も屈辱的といえるほど。“なぜ信じてくれないの。もうどうでもいい、どうにでもなれ”、そんな彼女の心の声が頑なな表情から聞こえてくる。そんな彼女にとっての救いは、犯人逮捕だけではなく、閉ざして冷めきった心に再び光がともることなのだ。このマリーという難役を熱演したケイトリン・デヴァーは、ブリー・ラーソン主演の映画『ショート・ターム』でも父親から性的虐待を受ける少女を演じており、キャスリン・ビグロー監督『デトロイト』では「ゲーム・オブ・スローンズ」のハンナ・マリーと暴動に巻き込まれる少女、『ビューティフル・ボーイ』ではティモシー・シャラメと薬物に溺れていく少女など、壮絶な役柄ばかり。「ヴァラエティ誌が選ぶ注目の10人の俳優」に選ばれるほどの演技力があるからこそだが、そろそろ幸せになって欲しい(?)と日頃から思っていただけに、2020年に待ち受けるだろうブレイクを喜んで見守りたいところ。次回作は、女優オリヴィア・ワイルドが初監督した映画『Booksmart』(原題)で、ジョナ・ヒルの実妹で『レディ・バード』のビーニー・フェルドスタインと共演している。一方、女性刑事グレース役を演じるのは『へレディタリー/継承』のトニ・コレット、そしてカレン役は『マーウェン』「ウォーキング・デッド」のメリット・ウェヴァー。トニは「ユナイテッド・ステイツ・オブ・タラ」、メリットは「ナース・ジャッキー」「ゴッドレス -神の消えた町-」でエミー賞を受賞している言わずと知れた実力派。2人はホラーやコメディのイメージを捨て去り、卑劣な連続レイプ犯を信念で追い続ける女性刑事をときに痛快に、ときに繊細に演じており、絶妙な距離感を保つバディぶりが深刻なストーリーにユーモアをもたらしてくれる。さらにショーランナーが、『エリン・ブロコビッチ』や『イン・ハー・シューズ』「アニタ~世紀のセクハラ事件~」などのスザンナ・グラントと、『キッズ・オールライト』やフランシス・マクドーマンド主演「オリーヴ・キタリッジ」(これも傑作)のリサ・チョロデンコとあって、グレース&カレンの女性刑事2人と、マリーをはじめとする被害女性たちとの力強いシスターフッドには勇気をもらえるはずだ。※1話45~58分×全8話Netflixにて配信中いずれも、人間の弱さと強さを真摯にすくい上げた見応えのある社会派ドラマで、つらいけれども続きが気になるものばかり。この3作は、映画賞とともに発表される来年1月のゴールデン・グローブ賞(テレビの部)でも大きな話題を呼ぶに違いない。(text:Reiko Uehara)■関連作品:【Netflix映画】ブライト 2017年12月22日よりNetflixにて全世界同時オンラインストリーミング【Netflix映画】マッドバウンド 哀しき友情 2017年11月17日よりNetflixにて全世界同時配信【Netflixオリジナルドラマ】オルタード・カーボン 2018年2月2日より全世界同時オンラインストリーミング2月2日(金)より全世界同時オンラインストリーミング
2019年10月31日ゴールデン・グローブ賞、エミー賞常連の大ヒットTVドラマシリーズ「THIS IS US/ディス・イズ・アス」の製作総指揮ダン・フォーゲルマンが贈るヒューマンドラマ『ライフ・イットセルフ未来に続く物語』が、11月22日(金)より日本公開。この度、大恋愛の末に結ばれるも数奇な運命に翻弄されていくカップルを演じたオスカー・アイザックとオリヴィア・ワイルドのインタビューやメイキングシーンの特別映像がシネマカフェに到着した。本作は、ある事故をきっかけに次々と訪れる過酷な試練に翻弄され、乗り越えようとする“2つの家族”が何十年もの歳月をかけて思わぬ奇跡で繋がっていく様を、アメリカとスペイン、2つの言語にまたがって壮大に描き出すヒューマンドラマ。『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』などの超大作や『永遠の門 ゴッホの見た未来』など話題作の公開が次々に控えるオスカー・アイザックが、愛する女性に最上級の愛の言葉を送り続ける男・ウィルを、そんなウィルの愛情を一身に受ける、聡明でボブ・ディランをこよなく愛する女性アビーを、『her/世界でひとつの彼女』をはじめ、傑作の呼び声高い初監督作『Booksmart』や新作心理スリラー『Don’t Worry,Darling』(ともに原題)など監督としても注目されるオリヴィア・ワイルドが演じている。インタビュー映像には、「僕らは本物の夫婦になったように感じていた」と撮影時の雰囲気について語るオスカーや「アビーにとっては、愛と人生を語る物語なの」と語るオリヴィアの姿が収められている。苦難に見舞われた人生だったが、やっとウィルとの愛を見つけ、幸せを感じているアビーの心情を彼女なりに読み解いていた様子だ。そのほか、第1子を迎える準備をしながらN.Y.の街を幸せいっぱいに歩く2人のシーンを捉えた貴重なメイキング映像も。「THIS IS US/ディス・イズ・アス」のような深い感動を与える大人気ドラマシリーズから、『ラブ・アゲイン』のような生真面目な中年男のほろにがいラブコメディに至るまで、様々な作品に携わってきたダン・フォーゲルマン監督が「ぜひオスカーを主役にしたかった。彼ほど魅力的でユーモアのある俳優はいない」「もちろん、オリヴィアも魅力的だ。彼女も驚くほど多才で人を笑わせるのが得意だ」と絶賛する2人。息の合った撮影シーンを垣間見ることのできる映像は必見だ。『ライフ・イットセルフ未来に続く物語』は11月22日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2019年10月30日国内映画賞のトップバッターとして注目を集める「第11回TAMA映画賞」の受賞作品及び受賞者が決定。『長いお別れ』と『嵐電』が最優秀作品賞に選ばれ、『天気の子』『新聞記者』が特別賞を受賞、『愛がなんだ』で共演した成田凌と岸井ゆきのがそれぞれ最優秀新進男優賞・女優賞に選ばれた。毎年晩秋に開催されている映画ファンの祭典「第29回映画祭TAMA CINEMA FORUM」が今年も開催。併せて、多摩市及び近郊の市民からなる実行委員が「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰するTAMA映画賞も発表された(2018年10月~2019年9月に劇場公開された作品が対象)。映画ファンを魅了した事象を表彰する特別賞に選ばれた『天気の子』は、「少年・少女が緻密に描かれた東京の街並みから壮大な天空に放たれた開放感は、言葉に表せないほどの映像体験を観客にもたらした」、そして『新聞記者』は「昨今の政治的題材に取り組みながら苦悩する個人に光を当てたドラマを作り、終演で拍手が起こる『新聞記者現象』を引き起こした」との受賞理由。『嵐電』『こはく』などに主演した最優秀男優賞・井浦新には「経験に裏打ちされる思慮深さ、知性と品、色気を自在に調節し作品のカラーに溶け込む、映画界になくてはならない存在」、『長いお別れ』で認知症が進行していく父親を演じた山崎努には「一瞬みせる敬愛される家族の長としてのお父さんの姿は、俳優・山崎努の凄みを感じさせた」との声が寄せられた。最優秀女優賞を受賞した蒼井優には「『長いお別れ』『宮本から君へ』『斬、』において、多岐にわたる役柄を演じ分け、観客の脳裏に鮮烈に焼き付けた」、同じく前田敦子には「『旅のおわり世界のはじまり』で演じた女性像は、女優・前田敦子の資質・魅力と鮮やかにシンクロし、稀有な存在感を放った」とのコメント。『愛がなんだ』から『人間失格 太宰治と3人の女』まで多彩な作品で大活躍を見せた成田凌には「身近にいそうな自然な佇まいで役に溶け込む一方、他方では誰もが持つ弱い部分を丁寧に演じ、多彩な表現力で観客を魅了した」、同じく『愛がなんだ』で主演をつとめた岸井ゆきのには「ヒロインを大胆な立ち居振る舞いと繊細な眼差しで体現し、リアルな恋愛群像劇のなかにキュートな魅力をもって立ち上がらせた」との受賞理由が寄せられ、『新聞記者』で松坂桃李とW主演をつとめたシム・ウンギョンも、「真実を追い続ける真剣な表情・確かな演技力は、観るものを強烈に作品に引き込み、初出演の日本映画で鮮烈な印象を残した」と最優秀新進女優賞を受賞した。<第11回TAMA映画賞 受賞作品・受賞者>最優秀作品賞[本年度最も活力溢れる作品の監督及びスタッフ・キャストに対し表彰]『嵐電』 鈴木卓爾監督、及びスタッフ・キャスト一同『長いお別れ』中野量太監督、及びスタッフ・キャスト一同特別賞[映画ファンを魅了した事象に対し表彰]新海誠監督、及びスタッフ・キャスト一同 『天気の子』藤井道人監督、及びスタッフ・キャスト一同 『新聞記者』最優秀男優賞[本年度最も心に残った男優を表彰]山崎努 『長いお別れ』井浦新 『嵐電』『こはく』『赤い雪』『止められるか、俺たちを』『宮本から君へ』ほか最優秀女優賞[本年度最も心に残った女優を表彰]蒼井優 『長いお別れ』『宮本から君へ』『斬、』『ある船頭の話』『海獣の子供』前田敦子 『旅のおわり世界のはじまり』『葬式の名人』『町田くんの世界』ほか最優秀新進男優賞[本年度最も飛躍した男優、もしくは顕著な活躍をした新人男優を表彰]成田凌 『愛がなんだ』『チワワちゃん』『さよならくちびる』『人間失格 太宰治と3人の女』『翔んで埼玉』ほか清水尋也 『ホットギミック ガールミーツボーイ』『パラレルワールド・ラブストーリー』『貞子』最優秀新進女優賞[本年度最も飛躍した女優、もしくは顕著な活躍をした新人女優を表彰]岸井ゆきの 『愛がなんだ』『ここは退屈迎えに来て』『ゲキ×シネ「髑髏城の七人」Season風』シム・ウンギョン 『新聞記者』最優秀新進監督賞[本年度最も飛躍した監督、もしくは顕著な活躍をした新人監督を表彰]山戸結希監督『ホットギミック ガールミーツボーイ』『21世紀の女の子』奥山大史監督 『僕はイエス様が嫌い』「第11回TAMA映画賞授賞式」は11月17日(日)、中央大学 多摩キャンパス クレセントホールにて開催。「第29回映画祭TAMA CINEMA FORUM」各種上映プログラムは11月23日(土・祝)~12月1日(日)、東京都多摩市内の3会場にて開催。(text:cinemacafe.net)■関連作品:長いお別れ 2019年5月31日より全国にて公開(C)2019『長いお別れ』製作委員会愛がなんだ 2019年4月19日よりテアトル新宿ほか全国にて公開©2019映画「愛がなんだ」製作委員会新聞記者 2019年6月28日より全国にて公開©2019『新聞記者』フィルムパートナーズ天気の子 2019年7月19日より全国東宝系にて公開(C)2019「天気の子」製作委員会
2019年10月03日22日(現地時間)、開催された第71回エミー賞授賞式でベストドレッサーに名前が挙がった俳優たちをチェック。「Cosmopolitan」誌など、多数のメディアでベストドレッサーに選ばれたのは「THIS IS US 36歳、これから」のマンディ・ムーア&スーザン・ケレチ・ワトソン。マンディは「ブランドンマックスウェル(Brandon Maxwell)」、スーザンは「バッジェリーミシュカ(Badgley Mischka)」とブランドとデザインは違うものの、ピンク×レッドのカラーブロックという点が共通。今年のエミー賞では少なくとも5人の女優がピンク×レッドのドレスを着用していた。コメディ部門で作品賞、主演女優賞、脚本賞を受賞したフィービー・ウォーラー=ブリッジも、美しいプリンセスライクのドレスで注目の的に。ブランドはブライダルドレスを得意とする「モニーク・ルイリエ(Monique Lhuillier)」。どの媒体でもずば抜けて評価が高かったのは、ゼンデイヤの「ヴェラ・ウォン(Vera Wang)」のグリーンのドレス。シアーなコルセット、サイハイスリットと露出度はかなり高いのに、エレガントに着こなした。ドレスのデザインと赤みがかったヘアの相乗効果で「リアル・アリエルみたい」との声も。そのほか、ミシェル・ウィリアムズ、ジャミーラ・ジャミル、キム・カーダシアン、ナオミ・ワッツ、ケンダル・ジェンナーらのドレスが人気だった。男性では、今年のアカデミー賞でタキシードドレスを着用して話題を集めたビリー・ポーターが、再び個性的な装いで登場。上下に13万個以上のミニクリスタルを施した「マイケル・コース(Michael Kors)」のキラキラスーツに、「スティーブン・ジョーンズ(Stephen Jones)」のアシンメトリーなつばのハットを合わせていた。(Hiromi Kaku)
2019年09月24日アメリカの実録ドラマ『チェルノブイリ』が、第71回エミー賞でリミテッドシリーズ部門作品賞を獲得したことが分かった。本作は、1986年4月26日、旧ソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)のチェルノブイリ原子力発電所で起きた爆発事故の真実に迫るもの。未曾有の原発事故の発生に、冷戦下の旧ソビエト政府が事態を隠ぺいしようとする中、被害の拡大を少しでも抑えようと必死に戦った英雄たちの姿を描く。旧ソビエト政府に調査を委任された科学者をジャレッド・ハリス、ゴルバチョフ書記長から現場の対応を任された副議長にステラン・スカルスガルド、事故の真相解明に奔走する核物理学者をエミリー・ワトソンが演じる。ハリウッドで活躍する3人の実力派キャストが、物語の中心人物たちを重厚に熱演。製作は『ゲーム・オブ・スローンズ』のHBO、監督は『ウォーキング・デッド』や『ブレイキング・バッド』のエピソード監督を担当したヨハン・レンクという布陣で、廃炉となったリトアニアの原子力発電所でロケを敢行している。そんな本作が、アメリカのドラマなどTV番組に関連する業績に与えられる“エミー賞”で、リミテッド・シリーズとしては今年最多受賞となる10部門で受賞を果たした。受賞内容は、作品賞、監督賞(ヨハン・レンク)、脚本賞(クレイグ・メイジン)、撮影賞、 美術賞、 オリジナル楽曲賞ほか計10部門となっている。『チェルノブイリ』は、BS10 スターチャンネルにて、9月25日(水)よる11時より第1話が無料放送される。また、話題となっていた『ゲーム・オブ・スローンズ 最終章』 は、 4シーズン連続の作品賞受賞や、 ピーター・ディンクレイジの4度目の助演男優賞、 そして歴代最多ともなるドラマシリーズ計12部門受賞を獲得し、シリーズの有終の美を飾った。『チェルノブイリ』BS10 スターチャンネル 9月25日(水)よる11時より第1話無料放送
2019年09月24日9月22日(現地時間)、ロサンゼルスのマイクロソフトシアターでエミー賞授賞式が開催された。今年のアカデミー賞と同様、エミー賞も司会者を立てずにプレゼンターたちが授賞式を進行するというスタイルを取った。注目されていたのは今年最終章を迎え、最多32ノミネーションを受けていた「ゲーム・オブ・スローンズ」。ノミネートされていたメインキャストたちがリミテッドシリーズ/テレビ映画部門の助演女優賞のプレゼンターとして登壇し、会場を沸かせた。主要部門では作品賞獲得の快挙を果たし、ピーター・ディンクレイジが助演男優賞を受賞した。主要な受賞者は以下のとおりドラマシリーズ部門作品賞「ゲーム・オブ・スローンズ」主演男優賞ビリー・ポーター「Pose/ポーズ」主演女優賞ジョディ・カマー「キリング・イヴ/Killing Eve」助演男優賞ピーター・ディンクレイジ「ゲーム・オブ・スローンズ」助演女優賞ジュリア・ガーナー「オザークへようこそ」監督賞ジェイソン・ベイトマン「オザークへようこそ」脚本賞ジェシー・アームストロング「サクセッション」コメディシリーズ部門作品賞「Fleabag フリーバッグ」主演男優賞ビル・ヘイダー「バリー」主演女優賞フィービー・ウォーラー=ブリッジ「Fleabag フリーバッグ」助演男優賞トニー・シャルーブ「マーベラス・ミセス・メイゼル」助演女優賞アレックス・ボースタイン「マーベラス・ミセス・メイゼル」監督賞ハリー・ブラッドビア「Fleabag フリーバッグ」脚本賞フィービー・ウォーラー=ブリッジ「Fleabag フリーバッグ」リミテッドシリーズ/テレビムービー部門リミテッドシリーズ作品賞「チェルノブイリ」テレビ映画部門作品賞「ブラックミラー:バンダースナッチ」主演男優賞ジャレル・ジェローム「ボクらを見る目」主演女優賞ミシェル・ウィリアムズ「Fosse/Verdon」(原題)助演男優賞ベン・ウィショー「英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件」助演女優賞パトリシア・アークエット「The Act」(原題)監督賞ヨハン・レンク「チェルノブイリ」脚本賞クレイグ・メイジン「チェルノブイリ」(Hiromi Kaku)■関連作品:ゲーム・オブ・スローンズ[海外TVドラマ]© 2012 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and all related programs are the property of Home Box Office, Inc.
2019年09月23日今年も目前に迫ったテレビ番組のアカデミー賞ことエミー賞授賞式。FOXチャンネルにて9月23日(日本時間)朝9時から生放送される第71回エミー賞は、近年テレビ番組黄金期を迎え各部門ともに良作ひしめく大接戦である。その中でも、最も激戦と言われているのはコメディ部門だ。一部メディアでは“ポストコメディ”とも呼ばれ、従来の面白おかしいコメディではない、ダークな笑いが光る作品が多く輩出されている。その代表格として2年連続受賞を狙うHBO製作、Amazon Prime Videoでシーズン1配信中の人気ダークコメディドラマ「BARRY」に改めて注目したい。敏腕殺し屋が選んだ第二の人生は俳優!?元海兵でありイラク戦争退役軍人の主人公バリー(演:ビル・ヘイダー)は、退役後父親同然のように慕っているフュークス(演:スティーヴン・ルート)の元、アメリカ北部オハイオ州クリーヴランドで雇われの殺し屋として生計を立てていた。殺し屋と言えば、スーツに身を纏い颯爽と任務をこなすダンディな男性を想像するが、バリーは腕は確かだが、見るからにくたびれた中年男性である。そんな彼は中年の危機か、生きる意味をすっかり見出せなくなっていた。ある日休みが必要だとフュークスに告げると、「お前に必要なのは休みではなく変化。ロサンゼルスでいい仕事があるから行ってこい」と話を反らされ、半信半疑のままロサンゼルスへ旅立つバリー。いつも通り死んだ魚の様な眼をしながら、チェチェンマフィアの妻を寝取った男を暗殺する依頼をこなすため尾行を開始。すると事態は急展開!男が通う俳優養成所に辿り着き、なんと、殺さなければならないその男と一緒にレッスンに参加することになってしまう。生きる意味をなくしていたバリーは、俳優の卵たちと交流する中で、自分の第2の人生は俳優だと思い立ち、殺し屋から何とか足を洗おうとし始める。本作の興味深いところは、「殺し屋として生きる男」と「俳優を目指す男」という別々のストーリーとして描かれそうな題材がごちゃ混ぜになっているところだ。しかも、一見コメディではなさそうに思えるが、1話30分弱というコメディ作品でよく使われる形式で描かれている。通常のコメディ作品を連想すると驚くほどシリアスなストーリー展開であることも特徴だ。夢を叶えたい男バリーを描くのは、苦難の末、夢を叶えた男ビル・ヘイダー殺し屋業を辞めて第二の人生、俳優になる夢を叶えたい男バリーを描くクリエーター自身が、苦難の末この作品で夢を叶えたことも作品自体の味わいをより一層深くさせる。主演を務めるビル・ヘイダーは本作の共同クリエーターであり、第1話から第3話の監督も務めている。アメリカで国民的人気を誇る「サタデー・ナイト・ライブ」出身の人気コメディ俳優であるビルは、2018年SXSWでのインタビューで、映画オタクであり、映画監督になりたくて田舎からロサンゼルスに出てきた過去を明かしている。テレビ番組スタッフとしてキャリアをスタート。「サタデー・ナイト・ライブ」抜擢以降は人気コメディ俳優の地位を確固たるものにし、遂に2018年「BARRY」で第二の人生として、見事長年の夢だった監督業デビューを果たしたのだ。「(監督業は)とてもリラックスできたんだ。すごく楽しかったよ!しくじったんだ。撮影初日まで監督としての準備に没頭しすぎて、撮影初日迎えた時にバリーをどう演じるか全く決めてなかったんだ(笑)」と語っていることからも、彼がどれほど監督という仕事に夢中になっているかが分かる。「サタデー・ナイト・ライブ」以降順風満帆に見える彼だが、「サタデー・ナイト・ライブ」時代の特に最初の4年間は「いつかクビを切られるのでは」と常に大きな不安を抱えていたという。幼いころから不安に苛まれることが多かったビルは、人生の大半を不安と隣り合わせて生きてきたそうだ。全米を笑いの渦に巻き込み、コメディ俳優としての仕事を全うしながらも、その裏では強い不安を抱えていたビル。「Indiewire」によると、共同クリエーターのアレック・バーグは「僕たちは、殺しに長けているが殺し屋業が嫌いというアイディアについて話し始めたんだ。つまり彼(バリー)は彼自身の才能の囚人で、それはビル自身の『サタデー・ナイト・ライブ』時代の経験でもある。ビルはコメディアンとして素晴らしいが、そこから楽しみを見出せなかったんだ」と語っている。苦悩の末、夢を叶えたビルは、職種は違えど、人生に苦悩するバリーそのものでもあるのだ。コメディは面白おかしいだけじゃない”ポストコメディ”へそんなビル・ヘイダーの人生経験が大きく影響した「BARRY」は、コメディでありながら、面白おかしい演出で描くことを一切していない。シットコムでもないので拍手の音や笑い声が入ることもない。「Vulture」では近年のコメディ作品を”ポストコメディ”と呼び、その代表作の一つとして「BARRY」を挙げている。既存のコメディ作品の形式をとりながら、ジョークがないコメディ作品を”ポストコメディ”としている。「BARRY」でも笑いがワッと巻き起こるようなジョークはない。バリーが必死に殺し屋から足を洗おうとする中で、思い通りに事が運ばなかったり、勘違いされたり、失敗したり、思わぬ良い結果が出たり…人間関係や人生の微妙なズレを笑いに変えている。特に、いま注目の若手日本人監督ヒロ・ムライが担当した第5話と第6話は、バリーの殺し屋としての顔と、俳優としての顔のバランスを次第に崩していくターニングポイントであり、”ポストコメディ”の作品としてより大きく舵を切るエピソードなので注目頂きたい。今年度エミー賞では9部門にノミネートしている「BARRY」シーズン2、ビル・ヘイダー個人としては、「Documentary Now !」シーズン3(日本未公開)と併せて21部門でノミネートの快挙だ。シーズン2の日本配信が待たれる「BARRY」は果たして2年連続各部門での受賞を狙い撃ちできるか期待がかかる。(キャサリン/Catherine)
2019年09月20日『グリーンブック』や『ラ・ラ・ランド』『スリー・ビルボード』などアカデミー賞に直結する作品を多数送りだしてきたトロント国際映画祭の最高賞「観客賞」に、タイカ・ワイティティ監督最新作『ジョジョ・ラビット』が輝いた。『マイティ・ソー バトルロイヤル』のタイカ・ワイティティ監督が、4度アカデミー賞作品賞に輝き、創立25周年を迎えたFOXサーチライト・ピクチャーズのもと、スカーレット・ヨハンソンやサム・ロックウェルら世界を代表する豪華キャスト陣と共に、第2次世界大戦下のドイツを舞台とした壮大なヒューマン・エンターテインメントを作りあげた。第44回トロント国際映画祭では開幕前からマスコミ陣も映画ファンも注目、ワールドプレミアは熱狂をもって迎えられた。ワイティティ監督自身が、主人公の少年ジョジョの空想に登場するアドルフ・ヒトラーを演じるとともに、オーディションでジョジョ役をつかんだローマン・グリフィン・デイビスがその愛くるしいルックスと確かな演技力を披露し、一躍注目の新星の座に躍り出た。戦争に対する風刺をハートフルなコメディの形をとりながら表現し、戦時下における人々の生きる喜びを正面から描いた本作は、最もアカデミー賞に近い賞といわれるトロントの観客賞を獲得したことで、今季の映画賞レースの目玉となりそう。なお、観客賞次点2位にはノア・バームバック監督の『マリッジ・ストーリー』、3位にはポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』が選ばれている。『ジョジョ・ラビット』は2020年1月、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2019年09月17日今年5月より米国や英国で放送されるやいなや、その衝撃的なテーマと作品としての完成度の高さに大絶賛が巻き起こり、「ゲーム・オブ・スローンズ」を超えて海外ドラマ史上最高評価を獲得した「チェルノブイリ」。この度、その冒頭10分間のノーカット映像が解禁となった。本作は、1986年4月26日、旧ソビエト社会主義共和国連邦のチェルノブイリ原子力発電所で起きた爆発事故の真実に迫る衝撃の実録ドラマ。未曾有の原発事故の発生に、冷戦下の旧ソビエト政府が事態を隠ぺいしようとする中、被害の拡大を少しでも抑えようと必死に戦った“英雄”たちの姿を描く。9月22日(現地時間)に開催される本年度エミー賞でもリミテッドシリーズ部門作品賞、監督賞、主演・助演の主要各賞をはじめ19ノミネートを果たし、まさに“本年度最大の話題作”として大きな注目を集めている。今回、スターチャンネル公式サイトにて公開された映像は、事故に関わった関係者(ジャレッド・ハリス)の衝撃的な独白から始まる。そして1986年4月26日午前1時23分に、人類の歴史上最悪とも呼ばれる事故が発生するも、一般市民は何も知ることがなく、日常の中で“普通”に、そして“静か”に起こったことが描かれる。だが、その後、場面が事故現場の描写に切り替わるとストーリーは一気に怒涛の展開をみせ、恐怖をも感じさせる緊迫感が支配する。この10分間の映像だけでも、本作がとんでもない作品であることが感じられる映像となっており、ドラマファン、映画ファンのみならず、全日本人が必見の内容となっていることが伺える。キャストには、旧ソビエト政府に調査を委任された科学者にジャレッド・ハリス、ゴルバチョフ書記長に現場の対応を任された副議長にステラン・スカルスガルド、事故の真相解明に奔走する核物理学者にエミリー・ワトソン。ハリウッドで活躍する3人の実力派が、物語の中心人物たちを重厚に熱演。製作は、「ゲーム・オブ・スローンズ」と同じHBO、監督は「ウォーキング・デッド」や「ブレイキング・バッド」のエピソード監督を担当したヨハン・レンクという最高布陣が、廃炉となったリトアニアの原子力発電所でロケを敢行。綿密な取材に基づき、緊迫の一部始終を描き上げた本作は、世界的映画データベースIMDbのレビューで過去最高となる9.7点を記録。エミー賞史上最高の計32ノミネーションとなった「ゲーム・オブ・スローンズ」を超え、海外ドラマ史上最高評価を獲得している。「チェルノブイリ」は9月25日(水)より毎週水曜23時~ほかBS10スターチャンネルにて独占日本初放送。Amazon Prime Videoチャンネル「スターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-」にて9月26日(木)よりオンデマンド配信スタート(全5話)。(text:cinemacafe.net)
2019年08月14日海外ドラマ・エンターテイメント専門チャンネルのFOXでは、9月23日(月・祝)に「第71回エミー賞 授賞式」を日本独占生中継!さらにノミネートされている話題作「POSE」の放送も決定した。今回71回目を迎えるエミー賞は、テレビドラマ界のアカデミー賞とも称され、テレビ業界における優れた業績に贈られる米テレビ界最高の権威を持つ賞。エミー賞の対象となる部門は、コメディ部門、ドラマ部門、バラエティー・トークシリーズ部門など多岐に渡り、それぞれの作品や監督、俳優、脚本などに対して賞が与えられる。授賞式には、超一流のハリウッド俳優たちが集結することでも話題。昨年の第70回授賞式では、ベン・スティラーやマイケル・ダグラス、ベニチオ・デル・トロ、アンジェラ・バセット、タラジ・P・ヘンソンらがプレゼンターを務め、さらに受賞者が壇上で行った公開プロポーズも話題に。なお、FOXチャンネルでは授賞式直前、レッドカーペットの模様も放送する予定。こちらも必見だ。さらに、FOXチャンネルでは今回のエミー賞ノミネート作「POSE」のシーズン1全8話を一挙放送!ドラマ部門の作品賞をはじめ、主演男優賞(ビリー・ポーター)、キャスティング賞、衣装賞(歴史劇部門)、ヘアスタイリング賞(シングルカメラ・シリーズ部門)、メイクアップ賞(シングルカメラ・シリーズ部門)と6ノミネートを果たした。本作の舞台は経済が華やかになってゆく80年代後半のN.Y.。LGBTQの若者たちは、母親代わりの「マザー」の元に集まり、「ハウス」と呼ばれるグループで共同生活を送っていた。そして、毎週ダンスホールに集まっては、ファッションとパフォーマンスを競い合うコンテストに参加する――。この“ボール・カルチャー”を軸に、プライドと純愛、そして夢を追いかける彼女たちの姿を描いていく。文中の「マザー」は、ハウスのリーダーで子どもたちの住む場所や食事なども提供する存在のことで、「ハウス」は、ボールで競い合うグループのこと。そして、「ボール・カルチャー」の“ボール”は、LGBTQの人たちがテーマに沿ったファッションやヴォーギングと呼ばれるダンスの技を競い合うコンテストのことで、N.Y.では 69年ごろから登場したアンダーグラウンドなサブカルチャーだ。ボール・カルチャーを通して、当時のLGBTQコミュニティを映し出す本作は、すでに話題となっており、現在シーズン3の製作も決定している。「第71回エミー賞 授賞式」は9月23日(月・祝)9時~FOXチャンネルにて日本独占生中継。(cinemacafe.net)
2019年07月18日第71回エミー賞のノミネーションが発表された。今年ファイナルシーズンが放送された「ゲーム・オブ・スローンズ」が、ドラマ部門史上最高記録となる計32ノミネーションを獲得。候補入りが確実視されていたジュリア・ロバーツ、ジョージ・クルーニー、リチャード・マッデンらのまさかの落選、ビヨンセの「HOMECOMING:ビヨンセ・ライブ作品」が6ノミネーションを受け、ビヨンセにとって初のエミー賞受賞に期待の声が上がるなど、すでに様々な話題で持ちきりだ。しかし、何と言っても注目すべきは“こんまり”こと片付けコンサルトの近藤麻理恵が、「KonMari 人生がときめく片付けの魔法」で2部門にノミネートされたこと。1つはリアリティー番組部門で「クィア・アイ」などとともに、もう1つはリアリティー番組&コンテスト番組の司会者部門で、ジェームズ・コーデンやエレン・デジェネレスとともに候補に選出されている。Netflixオリジナル番組「KonMari 人生がときめく片付けの魔法」は、今年1月から世界190か国で配信されており、大反響を呼んだ。特にアメリカでは熱狂的なファンが出現し、こんまりの片付け術に欠かせないキーワード「ときめく」を英訳した「Spark Joy」という言葉も流行した。世界での活動の幅を広げているこんまりは、11月5日に子ども向けの絵本「Kiki & Jax the life-changing magic of friendship」(原題)を発売することも発表している。エミー賞授賞式は9月22日(現地時間)に開催される。(Hiromi Kaku)■関連作品:ゲーム・オブ・スローンズ[海外TVドラマ]© 2012 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and all related programs are the property of Home Box Office, Inc.
2019年07月17日ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)、フランスのアカデミー賞と言われるセザール賞で4冠(監督賞・撮影賞・美術賞・音響賞)を受賞した『THE SISTERS BROTHERS』(原題)が、『ゴールデン・リバー』の邦題で7月、日本公開されることが決定。ポスタービジュアルも到着した。時はゴールドラッシュ。普通を夢見る兄と、裏世界でのし上がりたい弟は、最強と呼ばれる殺し屋。政府の内密な依頼で偵察係と追うことになったのは、黄金を見分ける化学式をみつけた科学者。しかし、黄金に魅せられた4人は手を組むことになり…。本作は、イギリスの文学賞のひとつであるブッカー賞の最終候補作にもなり、様々なミステリ・ベスト10入りも果たすパトリック・デウィットの「シスターズ・ブラザーズ」を基に映画化。『真夜中のピアニスト』『君と歩く世界』などを手掛けるジャック・オーディアール監督の最新作で、オーディアール監督初の英語作品でもある。1851年のゴールドラッシュに沸くアメリカを舞台に、決して手を組むべきでなかった4人の男たちを黄金が狂わせていく、一攫千金ウェスタンサスペンス作品。西部劇のルックながらサスペンスドラマの要素が入り、読めない展開、誰が善で誰が悪なのか、ツイストしていく人間ドラマに目が離せない…。そんな4人を演じるのは、いずれも実力派揃い!最強と呼ばれる凄腕の殺し屋“シスターズ兄弟”の兄イーライを『シカゴ』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『ロブスター』のジョン・C・ライリー、弟チャーリーを『グラディエーター』『ザ・マスター』のホアキン・フェニックス。偵察係を『ブロークバック・マウンテン』『プリズナーズ』『ナイトクローラー』『ノクターナル・アニマルズ』などに出演、幅広い役柄を演じ切るカメレオン俳優のジェイク・ギレンホール、科学者を『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』『ヴェノム』のリズ・アーメッドが演じている。トラウマ、憧憬、疑心、かすかな友情――。黄金に魅せられた彼らは何を得、何を失うのか?思いがけないラストに注目だ。『ゴールデン・リバー』は7月、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開予定。(cinemacafe.net)■関連作品:ゴールデン・リバー 2019年7月、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開予定Ⓒ 2018 Annapurna Productions, LLC. and Why Not Productions. AllRights Reserved.
2019年03月20日話題のスポットやエンタメに本誌記者が“おでかけ”し、その魅力を紹介するこの企画。今回はアカデミー賞で、作品賞、助演男優賞、脚本賞を獲得した『グリーンブック』を見てきました!■映画『グリーンブック』(TOHOシネマ日比谷ほか全国公開中)舞台は’62年のアメリカ。無教養でガサツだけど頼りがいのあるトニー(ヴィゴ・モーテンセン)は、天才肌で神経質な黒人ピアニストのドクター(マハーシャラ・アリ)の運転手として、アメリカ南部へ演奏ツアーに出ることに。このときにタイトルにもなった『グリーンブック』が登場。黒人が利用できる飲食店・ホテルなどが記載されているガイドブックで、人種差別が色濃く残る当時のアメリカでは、これを利用することで安全を確保することができたのです。2人の旅は、真逆な性格もあってどこかちぐはぐな始まりでしたが、しだいに友人として距離を縮めていきます。名優、ヴィゴ・モーテンセンもよかったけれど、ドクター役のマハーシャラ・アリの演技にも目がくぎ付けになりました。ただ神経質なだけではなく、戦災で、黒人社会にも居場所がない深い孤独を抱えるドクターを見事に体現していました。人種差別の実態はおそらくもっと根が深く複雑だと思いますが、知らない者に対して知ろうとする意欲を持つことで変われる、というシンプルなメッセージを受け取りました。むしろ距離を縮めたくないから知ろうとしないのかも、と思ったり。実話をもとにした映画というのが感動をさらに呼ぶ作品です。
2019年03月18日