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二階堂ふみが、カズオ・イシグロ原作映画『遠い山なみの光』に出演していることが分かった。本作は、2017年にノーベル文学賞を受賞し、「日の名残り」「わたしを離さないで」など映画化作品でも非常に高い評価を受けるカズオ・イシグロが1982年に綴り、王立文学協会賞を受賞した、同名長編小説デビュー作品の映画化。戦後間もない1950年代の長崎、1980年代のイギリスという、時代と場所を超えて交錯する“記憶”の秘密を紐解いていくヒューマンミステリー。今回出演が発表された二階堂が演じるのは、主人公・悦子(広瀬すず)が長崎にいたころに出会った、幼い娘と暮らす謎多き女性・佐知子。イギリスで暮らす悦子の夢に度々登場する彼女と悦子の間に何があったのか注目だ。二階堂は出演に際して「改めて、当時の女性たちが何を抱えて生きていたのかを、登場人物を通じて感じていくような経験でした」と語り、「石川監督はじめ素晴らしいスタッフの方々とご一緒できたこと、とても光栄に思います」と石川慶組への初参加を喜んでいる。石川監督もまた「佐知子は、この映画の登場人物としても、この時代に生きた女性としてもひときわ異彩を放つ、非常に重要な役です。鮮烈な印象を残す必要もありながら、高い抽象度を求められる困難な役でしたが、二階堂さんの役に対する、そして映画全体に対する理解度には毎シーン驚かされました」とコメントしている。併せて本作の場面写真も初公開。凛としたイメージの悦子と、モダンな女性・佐知子のコントラストが際立つカットとなっている。『遠い山なみの光』は2025年夏、全国にて公開予定。(シネマカフェ編集部)■関連作品:遠い山なみの光 2025年夏、全国にて公開予定©『遠い⼭なみの光』製作委員会
2024年12月25日ノーベル⽂学賞受賞作家 カズオ・イシグロのデビュー作「遠い⼭なみの光」が、広瀬すずを主演に迎えて映画化。映画『遠い山なみの光』が、2025年夏に全国公開される。カズオ・イシグロのデビュー作を映画化『遠い⼭なみの光』2017年に長編小説「日の名残り」でノーベル⽂学賞を受賞したカズオ・イシグロ。その著作は50カ国語以上に翻訳され、世界各国で多数の賞を獲得、特に高い評価を得た「日の名残り」と「わたしを離さないで」は映画化もされた。また、脚本家としても活動を広げ、黒澤明の代表作『生きる』をリメイクした映画『生きる LIVING』の脚本では、アカデミー賞にノミネートされた経験を持つ。交錯する“記憶”を紐解くヒューマンミステリー今回映画化される「遠い⼭なみの光」は、自身の出⽣地である⻑崎を舞台に描いた、カズオ・イシグロのデビュー作。物語は、⽇本⼈の⺟とイギリス⼈の⽗を持ち、ロンドンで暮らすニキが、母・悦子が暮らす実家を訪れたところから始まる。悦⼦は、⻑崎で原爆を経験した後にイギリスへ渡っていたが、ニキは⺟の過去について何も知らなかった。しかし悦子は、ニキと数⽇間を共にするうちに、最近よく⾒るというある不思議な「夢」について語り始める。1980年代のイギリスと、戦後間もない1950年代の⻑崎。時代と場所を超えて交錯する“記憶”の秘密を紐解くヒューマンミステリーだ。主人公・悦子…広瀬すず⻑崎で原爆を経験し、戦後イギリスに移住する。夫と長女を亡くし、思い出のつまった家で1人暮らしをしている。佐知⼦…⼆階堂ふみ幼い娘と暮らす謎多き女性。悦⼦がまだ⻑崎にいた頃に出会っており、イギリスで暮らす悦子の夢に度々登場している。主演・広瀬すず/監督・⽯川慶主人公の悦子を演じるのは、映画『流浪の月』や『キリエの歌』、『ゆきてかへらぬ』など、圧倒的な演技力と存在感で活躍し続ける広瀬すず。また、『翔んで埼⽟』やドラマ「SHOGUN 将軍」にも出演する⼆階堂ふみが共演者に名を連ねている。監督・脚本・編集を務めるのは、⽯川慶。2017年の映画『愚行録』でデビューした石川は、以降『蜜蜂と遠雷』や『ある男』などを手がけ、確かな評価を得ている。映画『遠い⼭なみの光』あらすじ⽇本⼈の⺟とイギリス⼈の⽗を持ち、ロンドンで暮らすニキ。⼤学を中退し作家を⽬指す彼⼥は、⾃著執筆のため、異⽗姉の死以来⾜が遠のいていた、⺟が1⼈で暮らす郊外の実家を訪れる。⺟の悦⼦は、⻑崎で原爆を経験し、戦後イギリスに渡ってきていたが、ニキは⺟の過去を何ひとつ聞いたことがない。夫と⻑⼥を亡くし、想い出の詰まった家で1⼈暮らしていた悦⼦は、ニキと数⽇間を共にする中で、最近よく⾒るという、ある「夢」について語り始める。それは、まだ悦⼦が⻑崎で暮らしていた頃に知り合った、とある⼥性と、その幼い娘の夢だった……。【作品詳細】映画『遠い山なみの光』公開時期:2025年夏監督・脚本:⽯川慶出演:広瀬すず、⼆階堂ふみ原作:「遠い⼭なみの光」カズオ・イシグロ/⼩野寺健訳(ハヤカワ⽂庫)
2024年08月26日女優の広瀬すずが、映画『遠い山なみの光』(2025年夏公開)の主演を務めることが23日、明らかになった。同作はノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロ氏が王立文学協会賞を受賞した長編小説デビュー作品『遠い山なみの光』(ハヤカワ文庫)を原作に、『ある男』(22)で第46回日本アカデミー賞最優秀作品賞含む最多8部門の受賞を果たした石川慶監督が映画化する。イシグロ氏が自身の出生地・長崎を舞台として繰り広げられる本作は、戦後間もない1950年代の長崎、そして1980年代のイギリスという、時代と場所を超えて交錯する“記憶”の秘密を紐解いていくヒューマンミステリー作品。今回の映画化にあたっては、イシグロ氏自身もエグゼクティブ・プロデューサーとして名を連ねている。広瀬が演じるのは、主人公の悦子。戦後長崎で暮らしていた女性で、現在はロンドン郊外で暮らす。大学を中退し作家を目指す娘・ニキが訪ねてきたことから、ある「夢」について語り始める。それはまだ悦子が長崎で暮らしていた頃に知り合った、とある女性と、その幼い娘の夢だった。本作の企画を手掛けるのは、イギリスで映画制作を学び、細田守監督作『竜とそばかすの姫』(21)の制作プロデューサーも務めた石黒裕之氏。石黒とタッグを組むのは、是枝裕和監督の制作者集団「分福」に所属し、石川慶監督も参加した短編オムニバス『十年 Ten Years Japan』(18)や、国際共同製作作品『真実』(19)、『ベイビー・ブローカー』(22)などのプロデューサーを務める福間美由紀氏。そこに『キャロル』(15)や『生きる LIVING』(23)などを製作し、世界三大映画祭、英国・米国アカデミー賞の常連でもある、イギリストップクラスのインディペンデントプロダクションNumber 9 Filmsが加わり、日英合作の国際プロジェクトとしての本企画が誕生した。○カズオ・イシグロ コメント私は石川監督の前作『ある男』の大ファンで、彼が私の小説「遠い山なみの光」の映画化を希望してくださった最初の日から、とても興奮していました。石川さんは映画という言語を巧みに操り、俳優たちから見事なニュアンスの演技を引き出す監督です。私が夢中になって読んだ今回の素晴らしい脚本は、ミステリアスで感動的でした。主演の広瀬すずさんは、国際的な舞台において今最もエキサイティングな若手俳優の一人です。これらの理由から、私はこの映画の完成をとても楽しみにしています。物語そのものは、第二次世界大戦の惨禍と原爆投下後の、急激に変化していく日本に生きた人々の、憧れ、希望、そして恐怖を描いています。今もなお私たちに影を落とし続けている、あの忌まわしい出来事の終結から80年を迎えるこの時期に、この映画が公開されることは、なんと相応しいことでしょう。○石川慶 コメント目下絶賛撮影中、ロンドンへ向かう飛行機の中でこの文章を書いています。いまだにこの特別な原作を自分たちの手で映画化しているとは信じられない思いでいます。この大きな原作に立ち向かう勇気を僕に与えてくれたのは、他ならぬ原作者のカズオさんの「この物語は、日本の若い世代の人たちの手で映像化されるべきだと思っていた」というお言葉でした。すでに撮了した広瀬すずさんは、紛れもなく戦後長崎に生きた悦子そのものだったし(本当に素晴らしかった!)、他にも考えうる最高のキャストスタッフが集まってくれました。イギリスからは、自分の青春時代に大きな影響を受けた数々の傑作映画を制作してきた、Number 9 Filmsが参画してくれています。特別な映画が出来つつある、そういう手応えを確かに感じています。来年の映画公開、ぜひ期待してお待ちください。○広瀬すず コメント不安感を抱きながら演じる、そんな日々でした。難しくて、悩みながらでしたが、不穏な緊張感を感じるたび悦子に近づいているのを確信し、心強い座組のなかお芝居できた事がとても宝物のような時間でした。希望を捨てず、光に向かって。まだまだ気が早いですが皆様に届く日まで、待ち遠しいです。【編集部MEMO】映画『遠い山なみの光』あらすじ日本人の母とイギリス人の父を持ち、ロンドンで暮らすニキ。大学を中退し作家を目指す彼女は、自著執筆のため、異父姉の死以来足が遠のいていた、母が1人で暮らす郊外の実家を訪れる。母の悦子は、長崎で原爆を経験し、戦後イギリスに渡ってきていたが、ニキは母の過去を何一つ聞いたことがない。夫と長女を亡くし、想い出の詰まった家で1人暮らしていた悦子は、ニキと数日間を共にする中で、最近よく見るという、ある「夢」について語り始める。それはまだ悦子が長崎で暮らしていた頃に知り合った、とある女性と、その幼い娘の夢だった。(C)『遠い山なみの光』製作委員会
2024年08月23日ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロのデビュー作『遠い山なみの光』(ハヤカワ文庫)を『ある男』の石川慶監督が映画化し、2025年夏に全国公開されることが決定した。『遠い山なみの光』は、カズオ・イシグロが1982年に綴り王立文学協会賞を受賞した⻑編小説で、自身の出生地⻑崎を舞台にした作品。戦後間もない1950年代の⻑崎、そして1980年代のイギリスという、時代と場所を超えて交錯する“記憶”の秘密を紐解いていくヒューマンミステリーだ。『遠い山なみの光』書影今回の映画化にあたっては、カズオ・イシグロ自身もエグゼクティブプロデューサーとして名を連ねており、「私は石川監督の前作『ある男』の大ファンで、彼が私の小説『遠い山なみの光』の映画化を希望してくださった最初の日から、とても興奮していました」と本作への大きな期待について言及。「物語そのものは、第2次世界大戦の惨禍と原爆投下後の急激に変化していく日本に生きた人々の憧れ、希望、そして恐怖を描いています。今もなお私たちに影を落とし続けている、あの忌まわしい出来事の終結から80年を迎えるこの時期に、この映画が公開されることは、なんと相応しいことでしょう」というコメントを寄せている。今回の映画化にあたり石川監督は、「いまだにこの特別な原作を自分たちの手で映画化しているとは信じられない思いでいます。この大きな原作に立ち向かう勇気を僕に与えてくれたのは、他ならぬ原作者のカズオさんの『この物語は、日本の若い世代の人たちの手で映像化されるべきだと思っていた』というお言葉でした」とコメントしている。日本人の母とイギリス人の父を持ち、ロンドンで暮らすニキ。大学を中退し作家を目指す彼女は、自著執筆のため異父姉の死以来足が遠のいていた母がひとりで暮らす郊外の実家を訪れる。母の悦子は、⻑崎で原爆を経験し、戦後イギリスに渡ってきたが、ニキは母の過去を何ひとつ聞いたことがない。夫と⻑女を亡くし、想い出の詰まった家でひとり暮らしていた悦子は、ニキと数日間を共にする中で、最近よく見るというある“夢”について語り始める。それはまだ悦子が⻑崎で暮らしていた頃に知り合ったとある女性と、その幼い娘の夢だった。本作で主人公の悦子を務めるのは広瀬すず。この作品に臨むにあたり「難しくて、悩みながらでしたが、不穏な緊張感を感じるたび悦子に近づいているのを確信し、心強い座組のなかお芝居できた事がとても宝物のような時間でした」とコメント。原作者のカズオ・イシグロは「主演の広瀬すずさんは、国際的な舞台において今最もエキサイティングな若手俳優のひとりです」、石川監督も「広瀬すずさんは、紛れもなく戦後⻑崎に生きた悦子そのものだった(本当に素晴らしかった!)」とその演技を絶賛しており、広瀬も「まだまだ気が早いですが皆様に届く日まで、待ち遠しいです」と、公開への期待を寄せている。また、本作の企画を手掛けるのは、イギリスで映画制作を学び、細田守監督作『⻯とそばかすの姫』の制作プロデューサーも務めた石黒裕之。石黒とタッグを組むのは、是枝裕和監督の制作者集団「分福」に所属し、石川監督も参加した短編オムニバス『十年 Ten Years Japan』や、国際共同製作作品『真実』『ベイビー・ブローカー』などのプロデューサーを務める福間美由紀。そこに『キャロル』や『生きる LIVING』などを製作し、世界3大映画祭、英国・米国アカデミー賞の常連でもある、イギリストップクラスのインディペンデントプロダクションNumber 9 Filmsが加わり、日英合作の国際プロジェクトとして製作される。■カズオ・イシグロ コメント私は石川監督の前作『ある男』の大ファンで、彼が私の小説『遠い山なみの光』の映画化を希望してくださった最初の日から、とても興奮していました。石川さんは映画という言語を巧みに操り、俳優たちから見事なニュアンスの演技を引き出す監督です。私が夢中になって読んだ今回の素晴らしい脚本は、ミステリアスで感動的でした。主演の広瀬すずさんは、国際的な舞台において今最もエキサイティングな若手俳優のひとりです。これらの理由から、私はこの映画の完成をとても楽しみにしています。物語そのものは、第2次世界大戦の惨禍と原爆投下後の、急激に変化していく日本に生きた人々の、憧れ、希望、そして恐怖を描いています。今もなお私たちに影を落とし続けている、あの忌まわしい出来事の終結から80年を迎えるこの時期に、この映画が公開されることは、なんと相応しいことでしょう。■石川慶監督 コメント目下絶賛撮影中、ロンドンへ向かう飛行機の中でこの文章を書いています。いまだにこの特別な原作を自分たちの手で映画化しているとは信じられない思いでいます。この大きな原作に立ち向かう勇気を僕に与えてくれたのは、他ならぬ原作者のカズオさんの「この物語は、日本の若い世代の人たちの手で映像化されるべきだと思っていた」というお言葉でした。すでに撮了した広瀬すずさんは、紛れもなく戦後⻑崎に生きた悦子そのものだったし(本当に素晴らしかった!)、他にも考えうる最高のキャストスタッフが集まってくれました。イギリスからは、自分の⻘春時代に大きな影響を受けた数々の傑作映画を制作してきた、Number 9 Filmsが参画してくれています。特別な映画が出来つつある、そういう手応えを確かに感じています。来年の映画公開、ぜひ期待してお待ちください。■広瀬すず不安感を抱きながら演じる、そんな日々でした。難しくて、悩みながらでしたが、不穏な緊張感を感じるたび悦子に近づいているのを確信し、心強い座組のなかお芝居できた事がとても宝物のような時間でした。希望を捨てず、光に向かって。まだまだ気が早いですが皆様に届く日まで、待ち遠しいです。<作品情報>『遠い山なみの光』2025年夏 公開(C)『遠い山なみの光』製作委員会
2024年08月23日ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロの鮮烈なデビュー作「遠い山なみの光」が、広瀬すず主演で映画化されることが決定した。日本人の母とイギリス人の父を持ち、ロンドンで暮らすニキ。大学を中退し作家を目指す彼女は、自著執筆のため、異父姉の死以来足が遠のいていた、母が一人で暮らす郊外の実家を訪れる。母の悦子は、長崎で原爆を経験し、戦後イギリスに渡ってきていたが、ニキは母の過去を何一つ聞いたことがない。夫と長女を亡くし、思い出の詰まった家で一人暮らしていた悦子は、ニキと数日間を共にする中で、最近よく見るという、ある夢について語り始める。それはまだ悦子が長崎で暮らしていた頃に知り合った、とある女性と、その幼い娘の夢――。2017年にノーベル文学賞を受賞し、「日の名残り」「わたしを離さないで」など、映画化作品でも非常に高い評価を受ける作家カズオ・イシグロ。そんな彼が1982年に綴り、王立文学協会賞を受賞した長編小説デビュー作品が、この「遠い山なみの光」だ。自身の出生地・長崎を舞台として繰り広げられ、戦後間もない1950年代の長崎、1980年代のイギリスという、時代と場所を超えて交錯する“記憶”の秘密を紐解いていくヒューマンミステリー。本作にカズオ・イシグロは、エグゼクティブ・プロデューサーとして名を連ねている。監督は、『愚行録』で長編デビューし、『蜜蜂と遠雷』『ある男』などを手掛けた石川慶。企画は『竜とそばかすの姫』制作プロデューサーも務めた石黒裕之、石黒氏とタッグを組むのは、是枝裕和監督の制作者集団「分福」所属の福間美由紀。そこに、イギリストップクラスのインディペンデントプロダクション「Number 9 Films」が加わった、日英合作の国際プロジェクト企画となっている。主演の広瀬が演じるのは、主人公の悦子。作品に臨むにあたり「難しくて、悩みながらでしたが、不穏な緊張感を感じるたび悦子に近づいているのを確信し、心強い座組のなかお芝居できた事がとても宝物のような時間でした」とコメントしている。なお、本作は現在鋭意撮影中で、公開は2025年夏を予定している。コメント●カズオ・イシグロ私は石川監督の前作『ある男』の大ファンで、彼が私の小説「遠い山なみの光」の映画化を希望してくださった最初の日から、とても興奮していました。石川さんは映画という言語を巧みに操り、俳優たちから見事なニュアンスの演技を引き出す監督です。私が夢中になって読んだ今回の素晴らしい脚本は、ミステリアスで感動的でした。主演の広瀬すずさんは、国際的な舞台において今最もエキサイティングな若手俳優の一人です。これらの理由から、私はこの映画の完成をとても楽しみにしています。物語そのものは、第二次世界大戦の惨禍と原爆投下後の、急激に変化していく日本に生きた人々の、憧れ、希望、そして恐怖を描いています。今もなお私たちに影を落とし続けている、あの忌まわしい出来事の終結から80年を迎えるこの時期に、この映画が公開されることは、なんと相応しいことでしょう。●石川慶目下絶賛撮影中、ロンドンへ向かう飛行機の中でこの文章を書いています。いまだにこの特別な原作を自分たちの手で映画化しているとは信じられない思いでいます。この大きな原作に立ち向かう勇気を僕に与えてくれたのは、他ならぬ原作者のカズオさんの「この物語は、日本の若い世代の人たちの手で映像化されるべきだと思っていた」というお言葉でした。すでに撮了した広瀬すずさんは、紛れもなく戦後長崎に生きた悦子そのものだったし(本当に素晴らしかった!)、他にも考えうる最高のキャストスタッフが集まってくれました。イギリスからは、自分の青春時代に大きな影響を受けた数々の傑作映画を制作してきた、Number 9 Filmsが参画してくれています。特別な映画が出来つつある、そういう手応えを確かに感じています。来年の映画公開、ぜひ期待してお待ちください。●広瀬すず不安感を抱きながら演じる、そんな日々でした。難しくて、悩みながらでしたが、不穏な緊張感を感じるたび悦子に近づいているのを確信し、心強い座組のなかお芝居できた事がとても宝物のような時間でした。希望を捨てず、光に向かって。まだまだ気が早いですが皆様に届く日まで、待ち遠しいです。『遠い山なみの光』は2025年夏、全国にて公開予定。(シネマカフェ編集部)■関連作品:遠い山なみの光 2025年夏、全国にて公開予定©『遠い⼭なみの光』製作委員会
2024年08月23日タイカ・ワイティティ監督がメガホンを取る『Klara and the Sun(原題)』に、ジェナ・オルテガとエイミー・アダムスが出演交渉中だという。「Deadline」などが報じた。本作は、ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロ(「わたしを離さないで」)の小説「クララとお日さま」を原作とした実写映画。主人公はAIロボットのクララで、原作はクララの視線で描かれている。出演が決まればジェナはクララ役を演じ、エイミーは、ティーンエイジャーの娘にクララを買った母親役を演じるという。ファンはジェナがクララを演じることに「才能豊かなジェナならロボット役も似合うはず」「ジェナが出演するものはなんだって観る」などの感想を寄せている。エイミーに対しては、「エイミーは本当にいつもいい作品を選ぶね」「彼女にオスカーをあげて!」「ついにオスカーを手にする時がきた」とオスカー受賞に期待の声を寄せている模様。エイミーは『Junebug(原題)』『ダウト~あるカトリック学校で~』『ザ・ファイター』『ザ・マスター』『バイス』で助演女優賞、『アメリカン・ハッスル』で主演女優賞とアカデミー賞で6度もノミネートされているが、まだ受賞歴はない。(賀来比呂美)
2024年02月02日不朽の名作をイギリスを舞台に描き出した『生きる LIVING』のBlu-ray&DVDが8月16日(水)より発売されることが決定した。巨匠黒澤明の名作『生きる』を、70年の時を経てノーベル文学賞作家カズオ・イシグロが再構築した本作。「日の名残り」、「わたしを離さないで」などで知られるノーベル賞作家イシグロ氏は、若かりし頃にこの黒澤映画に衝撃を受け、映画が持つそのメッセージに影響されて生きてきたという。そんな彼が脚本を手掛けた本作では、第二次世界大戦後のイギリス、復興途上のロンドンが舞台。オリジナルの高い評価に怯えることなく、長年抱いてきた戦前・戦後のイギリス文化への憧れを支えに自分なりの英語の脚本を書き、第95回アカデミー賞脚色賞にもノミネートされた。さらにイシグロ氏は、“ビル・ナイが演じる『生きる』の新しい映画”というコンセプトを念頭に主人公ウィリアムズを当て書きしたそうだ。ビルは、そのことに感銘を受け、脚本について「とても美しく明確で、とても素晴らしい役」と感じたという。イギリスの国民的俳優である彼のその抑制された演技は、作品にとって欠かせない存在となっている。監督には、「イギリスに対して先入観を持たない人物。映画的でありながら新鮮で新しい作品を作り上げることができる人物」として、2011年に『Beauty』(原題)でカンヌ国際映画祭のクィア・パルムを受賞したオリヴァー・ハーマナスに白羽の矢が立った。彼は本作を普遍的で現代に伝えるべき重要な物語だと捉えており、オリジナルをリスペクトしながらも自分たちの作品となるようチャレンジした。完成した本作は世界各地の映画祭にて上映され絶賛されたほか、英国アカデミー賞、第80回ゴールデングローブ賞、第95回アカデミー賞では主人公ウィリアムズを演じたビル・ナイが主演男優賞にノミネートされている。『生きる LIVING』Blu-ray&DVDは8月16日(水)発売、レンタル開始。・「生きる LIVING」Blu-ray5,500円(税抜価格 5,000円)・「生きる LIVING」DVD4,400円(税抜価格 4,000円)©Number 9 Films Living Limited<発売元・販売元> 東宝(text:cinemacafe.net)■関連作品:生きる LIVING 2022年10月24日より第35回東京国際映画祭にて公開©Number 9 Films Living Limited
2023年06月03日とてもていねいに作られた、黒澤明『生きる』のイギリスによるリメイク作品が3月31日に日本公開される。あの伝説ともいえるブランコのラストシーンまで、不自然さがまるでなくって驚くはず。さすがに「いのちみじいかし、恋せよ乙女〜」という、あの歌は使われていないけれど……。『生きる LIVING』黒澤、橋本忍、小国英雄による原作をもとに、今回の脚本を書いたのはイギリス在住のノーベル賞作家カズオ・イシグロ。再映画化のきっかけを作ったのも、実は彼だそうだ。きっかけは、とあるレストランの一夜。映画オタクでもあるイシグロと旧知のプロデューサー、スティーヴン・ウーリーが食事の席で、1930年代から50年代に白黒映画を撮った著名人を話題にしていた。映画好きがそういうウンチクを語り合うのは楽しいもの。この夜もかなり盛り上がったという。たまたまその店に居合わせたのが、俳優のビル・ナイ。話の流れが、どうやらこの『生きる』と黒澤になったようで、夕食後、別のテーブルにいたビル・ナイにイシグロが「君が出るべき次回作がわかったよ」と声をかけた。笠井信輔さんの水先案内をもっと見る()(C)Number 9 Films Living Limited
2023年03月20日Netflixのストップモーションアニメ『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』が高い評価を受けているギレルモ・デル・トロ監督。同作はゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞のアニメ映画賞を受賞し、現在アカデミー賞にもノミネートされており、結果が気になるところだ。そんなデル・トロ監督が、今度はNetflixでカズオ・イシグロの小説「忘れられた巨人」をストップモーションアニメ映画化するという。デル・トロは監督、製作を務め、さらにデニス・ケリー(『マチルダ・ザ・ミュージカル』)と脚本を共同執筆する。また、『ピノッキオ』を製作したストップモーションアニメスタジオ「ShadowMachine」と再タッグを組む。「忘れられた巨人」は2015年に出版されたファンタジー小説。舞台はアーサー王が実在していたものの亡くなっているという設定のイングランド。そこに住む人々は長期的な記憶を保つことができないのだという。主人公はわずかな記憶をもとに、息子に会うために住み慣れた村を離れて旅に出る老夫婦。デル・トロ監督は「カズオ・イシグロの深みがあり想像力に富む小説をデニス・ケリーと私が脚本化し、その作品を監督することは、私にとって大変光栄なことであり、大きな責任を伴うことでもあります」とコメントしている。(賀来比呂美)■関連作品:ギレルモ・デル・トロのピノッキオ 2022年11月25日より全国にて公開、12月9日よりNetflixにて配信
2023年02月24日黒澤明の不朽の名作『生きる』(1952年)を「日の名残り」「わたしを離さないで」などで知られるノーベル賞作家カズオ・イシグロが脚本を手掛け、第二次世界大戦後のイギリスを舞台に蘇らせた『生きる LIVING』。この度、その予告編と特報が一挙に解禁となった。『ラブ・アクチュアリー』『アバウト・タイム愛おしい時間について』、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどに出演しているイギリスの名優ビル・ナイが主演を務めた本作。監督は2011年に『Beauty』(原題)でカンヌ国際映画祭クィア・パルムを受賞したオリヴァー・ハーマナス。解禁となった予告編では、ビル・ナイ演じるウィリアムズが、仕事一筋で空虚で無意味な毎日を送る中、余命幾ばくもないことを宣告されるシーンから始まる。最期を知り、残された日々を大切に過ごしたい…そう願うようになる。誰かのために、その彼の小さな一歩が人々の心に火を灯していく。残された日々を宣告されたことにより、それまでの自分の人生をふり返り、「生きることなく、人生を終えたくない」と静かに、しかし心の中は懸命に、熱く生きることを選んだウィリアムズ。そして、黒澤監督『生きる』での名シーンを彷彿とさせる誰もいない公園での“ブランコ”シーンで映像は幕を閉じる。本作はすでにサンダンス映画祭、ヴェネチア国際映画祭、サン・セバスティアン国際映画祭、トロント国際映画祭、さらに東京国際映画祭でも上映され、米国時間12月12日(月)夜に発表された第80回ゴールデン・グローブ賞にて主演男優賞(ドラマ部門)にビル・ナイがノミネートされた。『生きる LIVING』は2023年3月31日(金)より全国にて公開。2023年3月31日(金)より公開2023年3月31日(金)より公開2023年3月31日(金)より公開(text:cinemacafe.net)■関連作品:生きる LIVING 2022年10月24日より第35回東京国際映画祭にて公開©Number 9 Films Living Limited
2022年12月13日カンヌ映画祭ほか世界中で注目された官能ラブストーリーの傑作『帰らない日曜日』が、本日よりデジタル配信開始となった。ノーベル賞作家カズオ・イシグロが絶賛し、「最良の想像的文学作品」に与えられる「ホーソーンデン賞」を受賞した小説『マザリング・サンデー』(グレアム・スウィフト著)を原作に、アカデミー賞6部門にノミネートされた名作『キャロル』のプロデューサー、エリザベス・カールセン、スティーヴン・ウーリーが映画化したラブストーリー。天涯孤独なメイドと名家の跡継ぎの、誰にも言えない身分違いの“秘密の恋”を、絵画のようなイギリスの風景とともに官能的に描き出す。『帰らない日曜日』大胆な全裸シーンにも果敢に挑み、主人公・ジェーンを演じたのは新星オデッサ・ヤング。秘密の恋の相手・ポールを、大ヒットTVシリーズ『ザ・クラウン』でゴールデングローブ賞、エミー賞ほか各賞を席巻したジョシュ・オコナーが演じる。さらに『英国王のスピーチ』のコリン・ファース、『女王陛下のお気に入り』のオリヴィア・コールマン、アカデミー賞2度受賞の伝説的女優、グレンダ・ジャクソンというアカデミー賞受賞俳優陣が脇を固め、圧巻の演技を見せている。『帰らない日曜日』予告また本日、本作のDVDも発売となった。匂い立つほどにエレガントで息をのむほどに美しい恋の物語を、デジタル配信やパッケージで何度でも堪能してみてはいかがだろうか。『帰らない日曜日』監督:エヴァ・ユッソン原作:グレアム・スウィフト『マザリング・サンデー』出演:オデッサ・ヤング、ジョシュ・オコナー、ソープ・ディリス、グレンダ・ジャクソン、オリヴィア・コールマン、コリン・ファース2021年イギリス/カラー/約104分/原題『Mothering Sunday』/2022年5月日本劇場公開(配給:松竹/映倫R-15)■デジタル配信へのリンク■DVD価格:4,180円(税込)発売・販売元:松竹©CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION,THE BRITISH FILM INSTITUTE AND NUMBER 9 FILMS SUNDAY LIMITED 2021
2022年11月16日ノーベル賞作家カズオ・イシグロが絶賛した小説の映画化『帰らない日曜日』より、出演するコリン・ファースのインタビュー映像が解禁された。本作は、メイドと名家の跡継ぎという身分違いの秘密の恋と、その衝撃の顛末を描くラブストーリー。監督はカンヌ国際映画祭常連のエヴァ・ユッソン。注目の新星オデッサ・ヤングと大人気ドラマ「ザ・クラウン」の英国俳優、ジョシュ・オコナーがW主演を務める。そしてこの度、主演を務めた『オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体』をはじめ、『潜水艦クルスクの生存者たち』など出演作の日本公開が続いているコリン・ファースのインタビュー映像が到着。本作でコリンは、主人公・ジェーンがメイドとして仕えるニヴン役を演じている。戦争で息子を亡くした行き場のない損失感を抱えながらも気丈に生きようとする様を繊細な演技で表現し、静かながらも強い印象を残している。コリンはアリス・バーチの脚本を読んで出演を即決したほど脚本には強い思い入れがあるようで、「セリフの書かれ方に強く惹かれました。独特なルールがあるのです。当時の人々が文化の差や感情のずれによって会話がすれ違う様を、ある種パターン化させることでうまく表現している。とても深く考えられているのです」と絶賛している。さらに、二ヴン氏を演じる上では長年俳優としてキャリアを積んだ彼でも苦労があったようで、「ニヴン氏はいつも心ここにあらずで本質が捉えにくいキャラクターで、心の底で抱えている感情を探りながら表現しなければなりませんでした。それは役者として大きな挑戦でもありました」と本作の役作りにおける難しさを明かした。また、本作の魅力を「とても優しく、極めて賢くて正直な作品」と表現する中で、二ヴン氏が抱える“損失感”については「本作では、抱えている問題は違えど誰もが孤独であるという事を描いている。この物語の登場人物がそれぞれの孤独を抱えているようにね」と核心に触れた。撮影中はシリアスな場面が多くある中でも笑いの絶えない明るい現場で、長い間撮影期間を共に過ごしたオデッサ・ヤングとオリヴィア・コールマンの2人には刺激を受けたとも語っている。フレッシュな若手キャストと実力派俳優の豪華共演はもちろん、繊細で深みのある本編のストーリーにも期待が高まるインタビュー映像となっている。『帰らない日曜日』は5月27日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:帰らない日曜日 2022年5月27日より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国にて公開© CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION, THE BRITISH FILM INSTITUTE AND NUMBER 9 FILMS SUNDAY LIMITED 2021 All rights reserved.
2022年04月15日黒澤明監督の『生きる』(1952年)が、『Living』(原題)としてイギリスでリメイクされることになった。「The Hollywood Reporter」などが伝えた。監督は、2011年に『Beauty』(原題)でカンヌ国際映画祭のクィア・パルムを受賞したオリヴァー・ハーマナス、脚本は日系イギリス人小説家で、ブッカー賞とノーベル文学賞の受賞者カズオ・イシグロ(「わたしを離さないで」)に決定。イシグロ氏は「私たちの多くは毎日長い時間、机やパソコンの画面の前に固定される生活を強いられています。新型コロナウイルスが発生してからはなおさらです。そんななか、全体像を見ようとすると、自分のがんばりがどれだけ役に立っているか可視化できず、悩んでいる人もいます。そういった人たちの心に響く物語になると信じています」と語っている。『キャロル』のプロデューサーコンビのスティーヴン・ウーリー&エリザベス・カールセンが製作を行い、「黒澤プロダクション」も関わる。主演は『ラブ・アクチュアリー』で英国アカデミー助演男優賞、『ナターシャの歌に』でゴールデングローブ主演男優賞(ミニシリーズ・テレビ映画部門)を受賞したビル・ナイが務める。共演者にはNetflixの「セックス・エデュケーション」でエイミー役を演じているエイミー・ルー・ウッドが決まっているという。『Living』の舞台は1952年のロンドンで、主人公は第二次世界大戦後に公務員として働くウィリアム。机の上に山積みになっている書類仕事を目の前にしながら、彼は病により余命わずかだと悟る。死を目前としたウィリアムは、単調な人生に意味を見出だす冒険を始めるのだった。『Living』は来春、イギリスで撮影開始予定。(Hiromi Kaku)
2020年10月16日『わたしを離さないで』などで知られ、2017年に満を持してノーベル文学賞を受賞した日系イギリス人作家、カズオ・イシグロ。その出世作で、1989年に英語圏最高の文学賞とされるブッカー賞に輝いた『日の名残り』が朗読劇として立ち上がる。上演台本と演出を手がけるのは、「KPR/開幕ペナントレース」主宰の村井雄。目黒区職員を経て劇団を旗揚げしたという異色の経歴を持ち、海外公演も積極的に行っている気鋭の脚本・演出家だ。舞台はふたつの世界大戦から戦後にかけてのイギリス、主人公は執事のスティーブンス(眞島秀和)。物語は、1956年の“現在”と、1920年代から30年代にかけての回想シーンを往復しながら進んでいく。“現在”のスティーブンスは、敬愛していた前の主人・ダーリントン卿(マキノノゾミ)の死後、その屋敷を買い取った富豪のアメリカ人・ファラディ氏(ラサール石井/桂やまと※ダブルキャスト)に仕えていた。屋敷が抱える人手不足に悩むスティーブンスは、かつて共に働いていたミセス・ベン(大空ゆうひ/小島聖※ダブルキャスト)の復帰を願い、彼女に会いに行く。旅の道すがら、ダーリントン卿がまだ健在で、ミス・ケントン(ミセス・ベンの旧姓)と屋敷を切り盛りしていた時代を思い出すスティーブンス。ダーリントン卿は、ヨーロッパが第一次大戦のような惨禍を再び見ることがないよう奔走するうちに、ナチス・ドイツによる対イギリス工作に巻き込まれていったのだ。品格ある執事の道を追求し続けたスティーブンスが、老境に差し掛かり、人生を振り返った末に至る境地とはーー。見どころはやはり、可愛いもの好きの“イケオジ”に扮したドラマ、『おじさんはカワイイものがお好き。』が大きな話題を呼んだ眞島秀和の“老執事”役。また、劇作・演出家として名高いマキノノゾミが、珍しく役者として舞台に立つことも見逃せない。なお、マキノは「ダーリントン卿ほか」、ラサール石井と桂やまと(ダブルキャスト)は「ファラディほか十数役」を演じるとのこと。注目の朗読劇『日の名残り』は、本日9月30日(水)に東京・あうるすぽっとで開幕後、兵庫、山形、岩手でも上演される。朗読劇『日の名残り』原作:カズオ・イシグロ訳:土屋政雄上演台本・演出:村井 雄10月4日(日)まで あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)10月6日(火)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール10月9日(金)山形・伝国の杜 置賜文化ホール10月11日(日)岩手・盛岡劇場 メインホール文・町田麻子
2020年09月30日文:樋口尚文(映画評論家/映画監督)ぴあアプリ連載「銀幕の個性派」第54回から転載元子役の大ベテラン個性派俳優についてすでに本稿を書き進めていたのだが、つい先ほど三浦春馬が自ら命を絶ったという報が出て、しかも彼がやはり子役出身だったことを初めて知り、今回の稿は三浦春馬に捧げることにした。というのも数年前にさまざまな昭和の名子役の方々にインタビューして一冊の本として上梓したのだが、その仕事を通して最終的に感じたことは、子役という仕事がみんなの思っているレベルの何倍も当人の人格形成に影響を及ぼし、一生涯の道筋を変えてしまうくらいの苛酷さを含んでいるということだった。もちろん三浦春馬の自死の遠因がそこにあるなどと軽々に論ずることは慎みたいが、少なくともあのまだ三十歳になりたてなのに「老成」した感じの印象には元子役特有のものを感じた。子役には、幼い頃から年長のスタッフたちの言葉に敏感であることが求められ、ストイックにそれをこなし、また子どもらしい無邪気な感情の発露を抑えて、大人びたプロとしての振舞いが求められる。幼き日の三浦春馬が語る映像もまさにそれを感じさせるが、ハイティーン以降の彼もこうした子役としてのトレーニングデイを経た俳優特有の、落ち着きと諦観じみたものを常に漂わせていた。そんな三浦春馬が1997年のNHKテレビ小説『あぐり』や1999年の原田眞人監督の映画『金融腐蝕列島[呪縛]』に子役として出ていたとは全く知らなかったが(前者には生田斗真も出ていた)、一躍彼を広く知らしめたのは2006年の映画『恋空』だろう。ケータイ小説が原作ともの珍しく喧伝されたが、筋書は往年の『愛と死をみつめて』の新世紀版といった感じの青春メロドラマだった。それなのに、新垣結衣の無敵のフレッシュさと、それを手堅く受け止め、盛り立てる三浦春馬の安定感ゆえに、多くの若い観客を惹きつけた。みんなが16歳の大型新人だと思っていたに違いない三浦は、そんなふうに若くしてどこか自己限定的で、それが安定感を生んでいた。同年のドラマ『14才の母』でも中二の志田未来を妊娠させてしまう有名中学の三年生を演じたが、現実に翻弄されるティーンエージャーを真摯に演じている彼自身はひじょうに落ち着いて見えた。そして2008年には人気ドラマシリーズ『ごくせん』第3シリーズを経て、ドラマ『ブラッディ・マンデイ』で天才ハッカーの高校生役で主演を果たす。これは意欲的なつくりのサスペンスで、三浦が乗って演じているのがわかったが、なぜか視聴率が今ひとつだったので本人がひじょうに気にしていたとも言われる。しかし2009年のドラマ『サムライ・ハイスクール』で時おり武将の霊がおりてくる草食系男子というユニークな役柄に挑んだり、2011年のドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』では年齢的にはじめての教師役を好演したり、映画でも2010年にいかにもファンタジックで優しい二枚目を映画『君に届け』で演じたそばから、2011年の映画『東京公園』では青山真治監督の澄明な作家的世界観のなかでのびのびと主演をつとめたり、単なる二枚目俳優におさまらない振れ幅を追求しているのがよくわかった。そんな意味で、私にとっての三浦春馬は、ひたすら主役のステイタスを志向するスタア俳優ではなく、主役であれ脇役であれ役柄の面白さを第一義とする「個性派俳優」なのであった。『コンフィデンスマンJPプリンセス編』(C)2020「コンフィデンスマンJP」製作委員会この後も2013年のドラマ『ラスト♡シンデレラ』でそつなくラブコメをこなしたかと思えば、その製作陣に三浦が提案して実現した2014年のドラマ『僕のいた時間』では難病と闘い懸命に生きる主人公を熱演し、さらに2016年にはカズオ・イシグロ原作の異色作『わたしを離さないで』でも印象深い演技を見せた。同時期には映画でも、2014年の行定勲監督の意欲作『真夜中の五分前』に主演したかと思えば、2015年の樋口真嗣監督の娯楽大作『進撃の巨人』に主演するなど、こうしたチャレンジの幅を常に感じさせ、さらに『キンキーブーツ』や『罪と罰』など舞台でも果敢な芝居を見せていた。こうした三浦春馬の試みは(いま彼が子役出身と知って得心がいくのだが)若さを勢いまかせに噴出させているというよりも、はじめに書いたように一見「老成」したストイックさをもって行われるのだった。しかしこんなことになる前は、私は必ずしも三浦春馬の「老成」ぶりを(普通の子役出身俳優にありがちな)後ろ向きのおとなしさと一緒くたにする気にはなれなかった。むしろその落ち着きぶりが、これから長年にわたって本当に老熟するまで、じわじわといいものを見せ続けてくれるのではないか(ひとときの旬に散る花火ではなく)という“伸びしろ”に感じさせた。多くの俳優が、その魅力の源泉を“若さ”に負うてうるなかにあって、これはひじょうに独特なものだという気がした。NHKで3年目に入っていた『世界はほしいモノにあふれてる』という人気番組で、三浦春馬は司会をつとめていたが、その司会としての三浦のたたずまいにとても好感を持ったので、ついつい毎回チャンネルを合わせていた。そのいつも肩の力をぬいて、素朴にゆったり構えている三浦の“素”の姿勢が、くだんの“伸びしろ”の根拠なのかもしれない、と勝手に思っていた。三浦春馬が年齢を重ねたら、成瀬巳喜男の映画に出てくる上原謙のような、凄く二枚目なのに妙にあれこれ人生の苦渋や迷いやエゴを感じさせるスタア性格俳優になってくれるのではないかとずっと考えていたのだが、その妄想もこれでかなわなくなった。私は三浦春馬が出ている映画『コンフィデンスマンJPプリンセス編』の試写を観たすぐ後に彼の訃報を聞いて愕然としたが、この映画のなかでの彼はキザなジゴロの詐欺師に扮して華麗なオーバーアクトで笑わせてくれた。こんな屈託のない演技を楽し気に見せてくれる人が、そうおいそれと自らの命を絶つものだろうか。人の抱える闇というものは本当に御し難いものだが、いずれにしてもこうしたかたちでの若すぎる才能の喪失は、ひじょうにこたえる。三浦春馬の死は、疫病禍のただなかにおける深い黒点のような記憶として、人々を憂鬱にいざない続けることだろう。最新出演作品『コンフィデンスマンJPプリンセス編』(C)2020「コンフィデンスマンJP」製作委員会2020年7月23日公開東宝監督:田中亮脚本:古沢良太出演:長澤まさみ/東出昌大/小手伸也/小日向文世/関水渚/前田敦子/ビビアン・スー/白濱亜嵐/古川雄大/滝藤賢一/濱田岳/石黒賢/生瀬勝久/柴田恭兵/北大路欣也/竹内結子/三浦春馬/広末涼子/江口洋介プロフィール樋口 尚文(ひぐち・なおふみ)1962年生まれ。映画評論家/映画監督。著書に『大島渚のすべて』『黒澤明の映画術』『実相寺昭雄 才気の伽藍』『グッドモーニング、ゴジラ 監督本多猪四郎と撮影所の時代』『「砂の器」と「日本沈没」70年代日本の超大作映画』『ロマンポルノと実録やくざ映画』『「昭和」の子役 もうひとつの日本映画史』『有馬稲子 わが愛と残酷の映画史』『映画のキャッチコピー学』ほか。監督作に『インターミッション』。新作『葬式の名人』がDVD・配信リリース。『葬式の名人』『葬式の名人』2019年9月20日公開配給:ティ・ジョイ監督:樋口尚文原作:川端康成脚本:大野裕之出演:前田敦子/高良健吾/白洲迅/尾上寛之/中西美帆/奥野瑛太/佐藤都輝子/樋井明日香/中江有里/大島葉子/佐伯日菜子/阿比留照太/桂雀々/堀内正美/和泉ちぬ/福本清三/中島貞夫/栗塚旭/有馬稲子
2020年07月21日今年の再々演でラストステージを迎えた、村上春樹原作、蜷川幸雄演出の舞台『海辺のカフカ』。それに続く村上文学の舞台化第2弾、『神の子どもたちはみな踊るafter the quake』が今夏、上演される。【チケット情報はこちら】原作は阪神淡路大震災をモチーフに、地震のニュースに触れた人々の心の動きが綴られた作品を集めた短編集で、その中から『かえるくん、東京を救う』『蜂蜜パイ』の2編を取り上げて構成。脚本は『海辺のカフカ』を手がけたフランク・ギャラティ。演出は、蜷川演出の舞台『私を離さないで』(2014年、カズオ・イシグロ原作)で脚本を担当した倉持裕が担うこととなった。今回、『海辺のカフカ』のナカタ老人役で海外からも多くの賞賛を得た木場勝己が、“かえるくん”役で出演。再び村上ワールドに挑む思いを聞いた。「『海辺のカフカ』パリ公演の時に村上春樹さんのトークショーがあって、10代の若い女性ファンが作品のテーマなどを質問するんですね。村上さんはテーマのことはおっしゃらずに“僕は物語を作るんです”と主張されていました。僕ら俳優の場合は物語を作るというより、その瞬間、瞬間の場で起こったドラマをつなげることで、最終的に物語になると考えていて。そこが作家とは違うなと思っていたら、さらに“僕は、プロットは作らない。登場人物を置いた後、彼らがどう動くかは書いてみないとわからない”とおっしゃった。その感覚はちょっと近いかな、なんて思いましたね。豊かな物語に負けないよう、その瞬間、瞬間のつなぎをちゃんとやらなきゃと思っています」蜷川との思い出を「ああしろ、こうしろと言われたことは皆無。だから自分の好きなようにやって、それを蜷川さんがニヤニヤして見ていた」と笑いながら振り返る。倉持との舞台作りは今回が初。その期待とともに気になるのは、自身が担うキャラクターである。「何しろ人間じゃなくて、蛙だからね。蛙の気持ちは知らないけれど(笑)、未知な分だけ面白いと思います。村上さんは“総体としての蛙”という言い方をしていたかな。かえるくんは、信用金庫に勤める片桐さんに「みみずくんが東京に大地震を起こそうとしている。一緒に闘ってくれ。あなたでなければいけない」と頼むんです。その片桐さんというキャラクターがとても興味深いんですよ。風采があがらず、腕に覚えもないのに、ヤクザの前でも動じずにこちらの要求を通したりする。そういう嫌な仕事を押し付けられるんだけど、きちんとやり遂げていて。そんな片桐さんを、かえるくんはなぜシンパシーを感じて選んだのか。そこが1番、僕のモチベーションの核になるだろうと思います。僕自身、そういう人がちょっと好きですから」地震をモチーフに人々の繊細な心の揺らぎを描く本作について、「ラストは再生に向かっている、と感じられます」と穏やかな表情で見据える。共演する古川雄輝、松井玲奈、川口覚ら瑞々しい才能たちの頼れる支柱となることは間違いない。“ナカタさん”から“かえるくん”へ、魅惑の村上ワールドを飄々と泳ぐ、熟達の味わいに期待せずにはいられない。取材・文上野紀子
2019年07月05日子供に文学に親しんでもらいたい、と考えている親御さんは多いはずです。でも、そもそも「文学」とは何でしょう?すぐに思い浮かぶのは、名作小説かもしれませんね。ゲームや漫画は含まれないと思ってはいませんか?「文学」の意味するものは、時代によって変わっていきます。たとえばゲームや漫画のような、一昔前だったら「くだらない」と片付けられてしまったり、教育の場からは締め出されてしまっていたりした表現物が、今では少しずつ現代を代表する文化表現の形として認められつつあります。今回はその中からボードゲームを取り上げて、伝統的な形では「文学」とは呼べない、けれど、豊かな「物語」の世界をご紹介したいと思います。Netflixの双方向ドラマが「文学賞」受賞! 漫画も候補に!?この数年間、英語圏の文学賞には大きな動きがありました。イギリスでもっとも評価の高い文学賞はブッカー賞です。英連邦から広く作品を集め、優れた小説を表彰するもので、ノーベル賞作家であるカズオ・イシグロ氏も1989年に受賞しています。今年からはアメリカ国籍の作家も対象に含まれることになり、まさに英語圏で最も重要な文学賞の一つに数えられるでしょう。そのブッカー賞の候補作に、2018年ニック・ドルナソ氏のグラフィックノベル『サブリナ』(Sabrina)が並びました。これは芥川賞の候補作に漫画が並ぶようなもので、大きな衝撃を与えました。コミック(漫画)作品が同賞の候補となったのはこれが初めてです。同じく2018年、アメリカのサイエンスフィクションおよびファンタジーの重要な賞であるネビュラ賞は新たに「ゲームライティング部門」を設立すると発表しました。初回のゲームライティング賞を受賞したのは Black Mirror: Bandersnatch です。Netflix上で発表されたインタラクティブな映画で、視聴者が様々な選択をすることで物語が変わっていきます。「文学」という言葉を聞くと、私たちはほとんど自動的に、印刷された書籍の形を思い浮かべます。さらに、「主に文字のみで表現された」「小説」を思い浮かべるかもしれません。けれど、これ自体がかなり限られた時代の感覚です。印刷した書籍ではなく、手で写された手稿が一般的だった時代もありますし、詩や戯曲が主流だった時代もあります。文学の主流は何なのかが、今また少しずつ変わりつつあるのかもしれません。前回の記事『テレビ、ゲーム、インターネット。メディアとの付き合い方と、身につけたい能力「トランスリテラシー」』では、子供たちを取り巻くメディア環境の多様性に触れました。もしかしたら様々なメディアを横断するリテラシーが必要になるのかもしれない、といった議論もご紹介しました。本のような伝統的な形の「文学」とは違うものの、豊かな「物語」の世界は無数に広がっています。以下、子供たちが多角的に物語を楽しめるボードゲームに焦点を当ててご紹介しましょう。サイコロを並べて物語を作る:ローリーズストーリーキューブスローリーズストーリーキューブスは、小学校や語学学校、そして家庭での教育でも使われることの多いゲームです。箱を開けると、サイコロが9つ。それぞれの面に絵が書いてあります。9つのサイコロをうまく並べ替えて物語を作り、語ることが主眼の遊びです。勝ち負けを競うゲームではありません。「お話を作りなさい」と言われてしまうと身構えてしまいますが、これだとかなり小さい子供でも、簡単にお話を作ることができます。因果律を考えて、それなりに物語の形を作る格好の練習になるのです。英語版では6歳以上を想定しているとの記載がありますが、ボードゲームのファンサイト Boardgame Geek のコミュニティでは4歳以上ではないか、と言われています。我が家の子供達も4歳ぐらいの頃から遊び始めました。比較的小さいので外出時に持って行きやすいのも嬉しいところ。「冒険」や「アクション」など、様々なシリーズがあります。お話を作って→話して→文字で書く、というような展開もできますから、発展の可能性が大きいのも嬉しいところです。サイコロで長い物語を作る:Rory’s Story Cubes Untoldこのサイコロを使ってさらに長い物語を作るためのゲームも、英語版では発売されています(Rory’s Story Cubes Untold: : Adventures Await)。キャラクターシートを作って話を進めていくのでかなり複雑になりますから、大人の助けが必要になりますが、2年前の発売当時6歳だった下の子はかなり夢中になっていました。ここまで複雑なものではありませんが、ローリーズストーリーキューブ日本語版のサイトでは、プリントアウトできる「ストーリーシート」も用意されていますから、使ってみても良いかもしれませんね。手札を元におとぎ話を作る:ストーリーライン英語版ではハロウィーンのような「怖い話」と「おとぎ話」の2種類がある『ストーリーライン』もまた、評価の高いゲームです。英語圏のボードゲームは先ほども言及した Boardgame Geek というファンサイトでレビューがされているのですが、そこでの評価は6.1。日本でもよく知られているゲームでは『人生ゲーム』(1960年版)が4.2、『モノポリー』が4.3となっていることからもわかるように、非常にシビアな評価付けをするサイトです。ここでの6.1はかなりの好成績だといえるでしょう。渡された手札を元にみんなで協力して物語を作っていきます。勝ち負けが決まるゲームではないので、最後に誰も泣きださないのがいいところ。8歳以上に、と発売側は言っていますが、同サイトのコミュニティは「実際にプレイできる年齢」として5歳をあげています。「おとぎ話」のヴァージョンのみが日本語化されています。手札を元に物語を作る:ワンス・アポン・ア・タイム日本語版も発売されている長寿ゲーム、ワンス・アポン・ア・タイムも非常に楽しいゲームです。発売者、Boardgame Geek のコミュニティ共に、8歳以上が適切なのではないかとしています。『ストーリーライン』よりもずっと古いゲームですが、渡された手札を元に物語を作っていく点は同じです。参加者みんなでお話を作っていくゲームですから、ある程度人数がいた方が楽しいかもしれません。物語を「読む」「作る」体験は、本の世界を飛び出している子供たちが自分で物語を作り、その場で仲間が作った物語も味わえる様々なゲームをご紹介してきました。さらに英語圏では、インタラクティブに物語を「読む」ことが主眼になっているボードゲームも発表されています。例えば、スマートフォンやタブレットでカードについているQRコードを読み込むと、文章や3D画像などの情報が出てきます。それに基づき、与えられたシナリオを読んで謎を解いていくという趣旨のゲームです。様々な技術を用いた双方向型の遊びでありながら、自分で情報を集め、一緒にプレーをしている仲間(多くの場合、子供にとっては親かもしれません)と話して仮説をたて、情報を精査する訓練に、図らずしもなっています。情報を得る順番こそ自分で選ぶことで前後しますが、これもまた一種の「読書」なのです。現在はまだ、こういった「読書体験」は比較的年齢の高い層をターゲットにしていますが、低年齢へのターゲットの移行はおこりつつあるようです。重要なのは、物語を「読む」体験、「作る」体験が、すでに書籍を飛び出して広い世界にあるということです。近年、インターネットの発達と共に、「大人が子供のために書いたものを子供が読む」だけでなく、「子供が書いたものを子供が読む」ことも増えてきているのではないかと言われています。今、文字を覚え始めている子供たちが、歩んでいく先にある物語の世界は、私たちが現在理解しているものよりもはるかに多様なものであるのかもしれません。あらたな「読書」や「物語作り」の可能性を、こうしたゲームは垣間見させてくれるのです。(参考)Nick Drnaso, Sabrina, (Drawn & Quarterly Pubns, 2018)David Slade, Black Mirror: Bandersnatch, (Netflix, 2018)
2019年06月12日ダックス(DAKS)は、2019-20年秋冬ウィメンズコレクションをイタリア・ミラノで発表した。英国文学から発想した優雅なスタイルコレクションの題材となったのは英国文学の名作。例えば、カズオ・イシグロの『日の名残り』の物語の舞台となったマナーハウスの優雅な雰囲気を思わせるような、気品あふれるスタイルが展開された。クラシカルなウェアギャザーを寄せ、花のような装飾に仕立てたバルーンスリーブのブラウスや、幾何学模様のタイブラウス、生地の分量をとってゆったりと仕上げたウールのドレスなど、落ち着きのある上品なデザインのウェアが登場。また、ヘリンボーンのジャケットとスカートにネクタイを合わせた、ユニフォームライクなコーディネートやトラッドなセットアップなど、クラシカルな英国の趣を感じさせるルックも目を引く。象徴的なチェックアイコニックなチェックは、マニッシュなスーツやシンプルなフォルムのワンピースに落とし込まれている。目の細かいブラウン系のチェック地で仕立てたジャケットとパンツのセットアップや、オーバーチェックをあしらった、大判のストールを巻いたパンツスタイルは、緩やかなドレープを描き出し、メンズライクなアイテムならではのハンサムなエレガンスを演出する。フェミニンなフリルドレススーツスタイルや、レザーのトレンチコートなどマスキュリンなスタイリングが登場したかと思えば、レースやバラ模様のフェミニンなフリルドレスも展開。透け感のある、センシュアルなレースを使ったドレスは、ギャザー、フリルを施し、フェザーを飾って繊細に仕上げている。絵画的な花柄を多彩なファブリックにコートやケープ、ドレスなどに施された、ゴーギャンの絵画を連想させる大ぶりな花のテキスタイルは、立体感のあるジャカードや、プリントを施したしなやかな布地など、様々なファブリックで表現されている。深みのある色彩が、異なる生地に乗せられることによってわずかに表情を変えるのが見て取れる。
2019年01月17日こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。ノーベル文学賞といえば日本では、作家のカズオ・イシグロ氏や大江健三郎氏、川端康成氏が受賞していますが、直木賞や芥川賞なども含め、権威ある文学賞を受賞するのは大変なことですね。【シネマの時間】第53回は、”ノーベル賞の栄光に隠された愛と嘘” 映画『天才作家の妻ー40年目の真実ー』をお送りします!作家である夫を慎ましく支える妻のジョーンに扮するのは、『危険な情事』『アルバート氏の人生』などでアカデミー賞に6度ノミネートの実績を誇り、第76回ゴールデングローブ賞で主演女優賞を受賞した女優グレン・クローズ。才能がありながら”天才作家の妻”として生きた女性の内なる激しい葛藤を、繊細かつ重厚に演じ、すでに本年度オスカー最有力との声も高まっています。ジョーンを愛しながらも男のエゴをさらけ出すジョセフをリアリティーを持って巧みに演じるのは、『未来世紀ブラジル』『キャリントン』の名優ジョナサン・プライス。さらにクリスチャン・スレーターが夫婦の秘密を探る記者役で絶妙な演技を披露。クローズの実の娘アニー・スタークが若き日のジョーンに扮し、母娘の本格初共演も話題です。メガホンをとったのは、映画のみならず演劇の分野でも活躍するスウェーデンのベテラン、ビョルン・ルンゲ監督。毎年スウェーデンのストックホルムで華やかに行われるノーベル賞授賞式を背景に、人生の晩年に差しかかった夫婦の危機を卓越した心理描写でスリリングに描いた本作は、結婚や仕事、人生の意味を観るものに問いかけ深い余韻を残します。1月26日(土)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー。ぜひこの機会に映画館でお楽しみください!■ノーベル文学賞とは?ノーベル賞は、ダイナマイトの発明者として知られるアルフレッド・ノーベルの遺言に従って1901年から始まった世界的な賞です。物理学、化学、生理学・医学、文学、平和および経済学の「5分野+1分野」で顕著な功績を残した人物に贈られます。ノーベル文学賞は、文学の分野において理念をもって創作し、最も傑出した作品を創作した人物に授与されます。アルフレッド・ノーベルは少年時代から文学に関心を持っており、特にバイロンとシェリーの詩に熱中して自らも詩を書いていました。また母語であるスウェーデン語に加えて、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ロシア語に堪能であり、外国の文学作品の翻訳も趣味でした。晩年になっても戯曲「ネメシス」の執筆しているなど文芸に強い関心を抱いていました。このためノーベル賞の構想時にも、科学だけでなく文学も人類にとって重要であると認識し、遺言の中で「理想的な方向性の ( in an ideal direction )」文学を表彰の対象に含めました。ノーベル文学賞はその作家の作品、活動の全体に対して与えられるものであって、一つの作品に対して与えられるものではないとされているが、場合によっては特に代表的な作品や選考の上で評価された作品などの名前が賞記に記されることもあります。原則として選考の時点で生存している作家が対象であり、追贈は行いません。資格を持っている各地のペン・クラブや大学、文学者などから候補が推薦され、これをスウェーデン学士院が選考します。授賞式は、ノーベルの命日である12月10日に、「平和賞」を除く5部門はストックホルム(スウェーデン)のコンサートホール、「平和賞」はオスロ(ノルウェー)の市庁舎で行われ(古くはオスロ大学の講堂で行われた)、受賞者には、賞金の小切手、賞状、メダルがそれぞれ贈られます。出典:ノーベル文学賞■映画『天才作家の妻ー40年目の真実ー』あらすじーノーベル賞の栄光に隠された愛と真実。1990年代、米コネチカット州。ある早朝、現代文学の巨匠として名高いジョゼフ・キャッスルマンと妻ジョーンの元に、スウェーデンから国際電話がかかってきました。「今年のノーベル文学賞は、あなたに決まりました!」待ちに待った吉報を受け、抱き合って喜び合うふたり。友人や教え子らを自宅に招いたお祝いの席のスピーチでは、最愛の妻に感謝の言葉を告げるジョセフ。「ジョーンは人生の宝だ。彼女なくして、私はいない」満面の笑みを浮かべて寄り添うふたりは、その場にいた誰の目にも理想的な仲睦まじい夫婦に見えました。夫婦は、ノーベル文学賞受賞式に出席するため、スウェーデンのストックホルムへ訪れます。駆け出しの作家である息子のデビットも旅に同行しますが、実は偉大なる父に劣等感を抱いています。ノーベール文学賞授賞式を前に、家族は慌ただしいスケジュールをこなしていきますが、ジョーンは有頂天となり無遠慮な言動を繰り返す夫の世話にほとほと疲れてしまうのです。そしてひとりでホテルのロビーにいたところ、記者のナサニエルに声をかけられます。ジョセフの伝記本を書こうとしているナサニエルは、夫婦の過去までも事細かに調べ上げていました。ふたりが大学で教授と学生という関係で出会い、情熱的な恋に落ちたこと。すでに妻子がいたジョセフをジョーンが奪い取る形で結ばれたこと。作家としては当時、二流だったジョセフが、ジョーンとの結婚後に次々と傑作を世に送り出してきたこと。そしてナサニエルは、「あなたはうんざりしてるのでは?影として彼の伝説作りをすることに」と自信ありげに核心に迫る質問を投げかけます。「すごい想像力ね。小説でも書いたら?」と切り返して立ち去るジョーンでしたが、心中は穏やかではありません。実は若い頃から文学の才能に恵まれていたジョーンでしたが、(1960年代前半)出版業会に根づいた女性蔑視の風潮に失望し、作家になる夢を諦めた過去がありました。そしてジョセフとの結婚後、常に控えめに寄り添いながら、夫の世界的作家としての成功への道を支え続けてきたのでした。さらに追い打ちをかけるように、ナサニエルは息子のデビットにも近づいて両親の秘密を吹き込み、その後一波乱が起こります。夫が栄光のスポットライトを浴びようとしている陰で、ジョーンは彼を愛していながらも、心の奥底に押しとどめていた怒りや不満の感情が沸き起こってくるのを抑えられなくなってきます。誰も想像だにしない夫婦の秘密とは、一体何なのか……?おしどり夫婦に人生最高のときがようやく訪れたと思いきや、この栄誉が40年築きあげてきた夫婦の絆を危うくしてしまうのです。世界最高の権威を誇るノーベル賞授賞式を背景に、人生の晩年に差しかかった夫婦の危機を見つめた本作。男女間の心の機敏をリアルかつ残酷にあぶり出し、男女の社会的地位の格差というテーマに切り込み、仕事の成功や結婚、人生の意味について問いかけます。複雑な感情をひた隠し華やかに正装した夫妻は、人生最高の晴れ舞台であるノーベル賞授賞式の会場へ。はたしてジョーンは、夫がスポットライトを浴びる陰でいつものように慎ましく完璧な“天才作家の妻”を装うのでしょうか。それとも本当の人生を取り戻すために、衝撃的な真実を世に知らしめるのでしょうか……!?■映画『天才作家の妻ー40年目の真実ー』作品紹介2019年1月26日(土)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー!公式サイト:監督:ビョルン・ルンゲ原題:The Wife原作:メグ・ウォリッツアー脚本:ジェーン・アンダーソン製作:ロザリー・スウェドリン、ミタ・ルイーズ・フォルデイガー、クローディア・ブリュームフーバー、ジョー・バムフォード、ピアース・テンペスト製作総指揮:ジェーン・アンダーソン、ビョルン・ルンゲ、ゲロ・バウクネット、マーク・クーパー、フローリアン・ダーゲル、トマス・エスキルソン、ガード・シェパーズプロダクション・デザイン:マーク・リーズ撮影:ウルフ・ブラントース衣装デザイン:トリシャ・ビガー音楽:ジョスリン・プーク日本語字幕:牧野琴子製作年:2017年上映時間:101分映倫区分:G製作国:スウェーデン・アメリカ・イギリス合作配給:松竹後援:スウェーデン大使館ⓒMETA FILM LONDON LIMITED 2017■映画『天才作家の妻ー40年目の真実ー』キャストグレン・クローズ=ジョーン・キャッスルマンジョナサン・プライス=ジョゼフ・キャッスルマンクリスチャン・スレイター=ナサニエル・ボーンマックス・アイアンズ=デビッド・キャッスルマンハリー・ロイド=若い頃のジョゼフ・キャッスルマンアニー・スターク=若い頃のジョーン・キャッスルマンエリザベス・マクガバン【シネマの時間】アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美©︎YUMIMOROTO
2019年01月13日城田優のハーフ国籍言及が話題 大坂なおみ例に日本の風潮指摘 10月18日、AERA dot.上に掲載された城田優(32)のインタビューが話題を呼んでいる。日本とスペインのハーフであり、スペインの国籍を取得している城田。インタビュアーが「女子テニスの大坂なおみ選手が全米オープンを制覇したときも、国籍のことが話題になりましたね」と話を振った。すると城田は、インタビュアーにこう語った。「ああいうのを見ていると、どこに言ってもここだという居場所がない我々からするとズルいなと思う。良いときだけ『日本人初』って持ち上げるくせに、都合が悪くなったら『やっぱり外人だから』って言うんですよ」大坂なおみ選手(21)は日本とアメリカの二重国籍。アメリカで生活しているが、全米オープンで優勝した際にネットでは『日本すごい!』『特例で二重国籍を認めよう!』といった言葉が並んでいた。そのことを受けての発言だった。カズオ・イシグロ(63)が昨年にノーベル文学賞を受賞した際も、大坂選手と同様の現象が起こっていた。「イシグロさんは幼年期に渡英し、成人後にイギリス国籍を取得しています。限られた日本語しか話せませんが、やはり受賞時には『日本の誇り』といった声が上がっていました。城田さんはそういった“手柄を立てた”ときだけ日本と結びつける風潮を指摘したようです」(スポーツ紙記者)そうした率直な意見を明かした城田に、Twitterでは賛同の声が上がっている。《仰る通り。都合の良いときだけ日本人扱いってのは卑怯だよね》《純血だとか、ハーフ、クォーターだとか移民だとか。議論が狭すぎる。国と言う単位はあっても良いけど、あくまでも枠であって国籍の縛りや重責は必要ないとないよ》
2018年10月18日今すぐ結婚したいわけじゃない。けど、リミットが…by Neil Fedorowycz ある日Twitterを眺めていたら、「いつかは結婚したいと思っているんだけど、別に今は今で楽しいし、正直今すぐにっていうほど切望してるわけじゃない。でも諸々のリミットもあるし、やっぱり早く結婚したいな……」という主旨の、なかなか悩ましいツイートが流れてきました。30歳前後の独身女性であれば決して珍しくない、共感を呼ぶお悩みだと思います。同じく、30歳前後の独身女性である私自身はというと……脳がアフリカ人なので、未来のことを考える思考回路があまり発達していません。別にアフリカ人を侮辱しているわけではなく、これはこれで美徳だと思っているんですけど。「今」したくないことはしないし、リミットとかもあまり考えないです。将来後悔するかどうかなんてそのときになってみないとわからないし、とにかく「今」したいことを「今」やる! という精神で生きています。だから、上のようなお悩みは実のところ抱えたことがありません。でも、やっぱり女性にとって「リミット」の話は重いなーとは感じます。これが「いつか結婚したい」ではなく「いつか起業したい」とかだったら、「いつかじゃなくて、今、すぐにやりなよ!」と自分のことは棚に上げまくって無責任に煽れるんですが……起業はいつでもできるけど、出産はリミットを過ぎると本当に二度とできなくなってしまうから、「今」したくなくても将来後悔したら悲しいなあと、やっぱり考えてしまうと思います。「後悔」はしても、「納得」ができればいいんじゃないかすごくデリケートな問題を含むとわかった上で、それでも私は、「今」する気が起きないことは、しなくてもいいと考えています。今は、今やりたいことをやる。アラサーだろうが遊びたいなら遊びまくるべきだし、留学したいなら結婚なんかどうでもいいから行くべきだし、仕事したいなら仕事しまくるべき。眠いなら寝るべき、お腹すいたなら食べるべき。「ちゃんと考えないとダメだよ」と言ってくる人もいるかもしれないけど、その人たちが私たちの人生に責任を持ってくれるわけでもないので。未来は「今」の積み重ねだから、「今」を精一杯やっていたら、必ず納得のいくものになると思うんです。「納得のいく」は、「後悔しない」とは少し違います。後悔は、するかも。というか、私は「後悔のない人生」なんてあり得ないし、あり得たとしてもそんな色気のない人生はいらないと思っておりまして。私の大好きな小説に、カズオ・イシグロの『日の名残り』があります。この小説の主人公であるスティーブンスは英国の執事なのですが、仕事に全身全霊を捧げてきたこれまでの生き方を、晩年になって「本当にこれで正しかったのだろうか?」と旅をしながら振り返ります。正しくはなかったかもしれない。あのときの選択は間違っていたかもしれない。でも、最終的にスティーブンスは、間違っていたかもしれないことも含めて、「納得」するんです。人によっていろいろ解釈はあるだろうけど、私はそういう小説だと思ってこれを読んでいます。無意識のうちに囚われてしまう制約を、解除する機会を設けてみてほしいリミットとか、将来についてきちんと考えることを、全否定するわけではありません。でも、あまりにもそれに囚われすぎてしまっているとしたら、一度頭をリセットして「余命3年と宣告されたとしたら今、何がしたいだろう?」と考えてみるのも有りだと思います。ちなみに私はこの手の妄想を半年に一度は時間をとって意識的にやっていて、「4億円手に入ったら今、何がしたいだろう?」とかもよく考えます。普通に生活していると無意識のうちに制約の枠の中に思考がはまっていってしまうから、意識的にそれを解除する機会を設けているわけです。こんな偉そうなことを言っているけれど、私は決してお金持ちじゃないし、仕事で成功しているとも言い難いし、未婚だし、他人に自慢できるようなものは持っていません。でも、「今」やりたいと思うことを毎日やっているから、まあ将来痛い目を見る可能性はあるけど、そうなったらそうなったでいーや、と考えています。後悔するかもしれないけど、納得はできると思うから。意識的にアフリカ人になること。人それぞれ考え方はあるだろうけど、参考意見の1つとしてカウントしてもらえたら私は嬉しいです。あと、『日の名残り』を読んでほしい!Text/チェコ好き前回記事<人にたくさん迷惑をかけたほうが「善く生きる」を目指せるのでは、という仮説。>もチェック!「人に迷惑をかけるな」と言われて育った私たち。でもそれは、「人から何も受け取るな」と同意義だったのです。
2018年05月16日オスカー女優ナタリー・ポートマンが、『エクス・マキナ』で監督を務めたアレックス・ガーランドとタッグを組んだNetflixオリジナル映画『アナイアレイション -全滅領域-』。全米で2月23日より劇場公開される本作が、日本では約2週間後の3月12日(月)よりNetflixにて配信されることになった。■あらすじ生物学者で元兵士のレナ(ナタリー・ポートマン)の夫ケイン(オスカー・アイザック)は、米国の海岸地帯で拡大を続けていた不可解な現象が起こる謎の領域“エリアX”の調査に向かう。しかし、やがて調査隊は音信不通の行方不明に。そんな中、エリアXから夫だけが生還するも、瀕死の重傷を負っており意識不明の昏睡状態となってしまう。レナは、夫の身に何が起きたのか、真相を解明するため自ら調査隊に志願してエリアXへ。そこで調査隊は、生態系が突然変異を遂げて生まれた異様な光景と生物を目撃する。それは見た者の生命と精神を脅かすほど美しく危険な領域。彼らが目にした想像を絶する真実とはーー!?ナタリー・ポートマン主演!注目キャストも発表カズオ・イシグロ原作の映画『わたしを離さないで』の脚本や、アカデミー賞視覚効果賞を受賞したアリシア・ヴィキャンデル主演『エクス・マキナ』の脚本・監督を手がけたアレックス・ガーランドが、脚本と監督を担当した本作。主演のナタリー・ポートマンほか、『スター・ウォーズ』シリーズのポー・ダメロン役で知られるオスカー・アイザック、さらに『ヘイトフル・エイト』でアカデミー賞助演女優賞ノミネート経験を持つジェニファー・ジェイソン・リー、『マイティ・ソー バトルロイヤル』のテッサ・トンプソン、ドラマ「ジェーン・ザ・ヴァージン」のジーナ・ロドリゲス、そして『ラ・ラ・ランド』でエマ・ストーンのルームメイト役を演じたソノヤ・ミズノなど、注目のキャスト陣が集結している。原作はアメリカ出身のSFファンタジー作家、ジェフ・ヴァンダミアによる大人気ベストセラー小説「サザーン・リーチ」。全米公開を前に行われた先行上映後では、「間違いなく、新しいSFのクラシック作品になるだろう。スリルがあって刺激的な見事な出来だ」「大胆で挑戦的で強烈な最高傑作だ!」「くぎ付けにされて席から動けなくなる」など、批評家から高い評価を得ている。まずはその衝撃の世界と、謎に挑んでいくナタリーたちの姿を、ここから確かめてみて。『アナイアレイション -全滅領域-』は3月12日(金)よりNetflixにて配信開始。(text:cinemacafe.net)
2018年02月24日氷から削りだした楽器を使用するミュージシャン、テリエ・イースングセット(Terje Isungset)の東京公演が、2018年2月19日(月)・20日(火)の2日間、東京・大田区の大田区民ホールアプリコ、ギャラリー南製作所にて開催される。“氷の楽器”を操る唯一無二のミュージシャンノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロも出席した、2017年のノーベル賞授賞式での氷の楽器による演奏が話題となったテリエ・イースングセット。1999年にアイス・ミュージックを世界で初めて演奏、現在でも氷の楽器を制作・演奏する世界で唯一の人物だ。打楽器やホルンなど様々な楽器を制作使用する楽器は、打楽器やチャイム、ホルンのような形状をしたものまで様々。特にマウスピースに当たる部分に口を直接当てなければいけない楽器は、当然徐々に溶け出していくため、その音色は刻々と変化していく。演奏に使用する楽器は公演直前に削り出す演奏に使用される氷の楽器は、全て自身の手によって公演の直前に氷から切り出して楽器に作り上げていく。そのため、公演後には楽器はすべて溶けて水となってしまう。氷の楽器の音色には、ミネラル分の多い自然水が適しており、北欧では氷河や湖の氷を切り出して楽器を製作するというテリエ。今回の東京公演では、東京を代表する銘酒「澤乃井」の小澤酒造が、秩父古生層の岩盤を掘り抜いた洞窟の奥から湧き出る仕込み水500Lを特別に提供。彼はこれを-18°Cに冷却した氷柱から楽器を作り出して、今回の東京公演に挑む。公演情報テリエ・イースングセット 東京公演■2018年2月19日(月)会場:大田区民ホールアプリコ(小ホール)時間:18:30開場/19:00開演チケット価格:全席自由席 一般前売 4,800円、一般当日 5,500円■2018年2月20日(火)会場:ギャラリー南製作所時間:18:30開場/19:30開演チケット価格:全席自由席(軽食付) 一般前売 4,000円、一般当日 4,500円※チケットの詳細は「東京の音」公式WEBサイト(より。
2018年02月09日前年と比べ、本年にYahoo!での検索数が最も急上昇した人物・作品を部門ごとに表彰する「Yahoo!検索大賞 2017」発表会が12月6日(水)に開催。ブルゾンちえみが大賞とお笑い芸人部門賞をダブル受賞したほか、高橋一生、吉岡里帆、欅坂46、泉里香らが選出された。2014年に創設された本イベントは今年で4回目を迎える。2017年1月1日~11月1日までのYahoo!検索の集計データを基に受賞者が決められる。部門は「パーソンカテゴリー(10部門賞)」、「プロダクトカテゴリー(7部門賞)」、「カルチャーカテゴリー(6部門賞)」、「ローカルカテゴリー(47部門賞)」とわかれ、各賞が発表・表彰された。ブルゾンちえみ「1年にいろいろなことがあった」ブルゾンさんは、印象的なメイクとファッション、キャリアウーマンネタを披露するときのBGMと両サイドの男性「with B」ことブリリアンなど、様々な要素が注目の的となった。この日も「with B」をしたがえてやってきたブルゾンさんは、「これだけ激変した3人はいないです。本当にうれしいですし、1年にいろいろなことがあって現実味がないです」と、目を丸くさせた。自身の検索ワードを聞かれると、「今日の占いや、1日の運勢を朝に調べたりします。女子です(笑)」と微笑んだブルゾンさんだが、来年の抱負では「人として、もっと興味を持っていただけるような人間として成長したいです」と気を引き締めていた。高橋一生、「直虎」の現場は格別「まだ印象に残っている」「パーソンカテゴリー」の俳優部門賞を受賞した高橋さんは、TBSドラマ「カルテット」やNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」などに出演。3月にはCMキャンペーンの事務局がInstagramを開設するほか、雑誌「an・an」3月8日号ではグラビアに挑戦するなど、各種メディアでの活躍に注目が集まった。受賞の喜びを、高橋さんは「作品作りに携わってくれたひとりひとりに御礼を言いたいです。外側に疎い人間なんですけど、さすがに皆さんの声が耳に入ってきました」と、静かに喜びをかみしめる。多くの出演群の中でも、「直虎」の現場は格別だったようで、「1年間一緒のキャストやスタッフとやった大河ドラマのラストのシーンは、僕の中ではまだ印象に残っています」と打ち明け、特に印象に残った共演者も「ご一緒した柴咲コウさんです」と、主演女優も讃えていた。吉岡里帆&泉里香も受賞「見る景色がどんどん変わった」同部門の「女優部門賞」に輝いた吉岡さんはビデオメッセージを寄せ、2017年を漢字一文字で表した。「“春”です。土の中で、何年もいつか外に出たいなと思いながら、ひとつずつ小さい仕事から取り組んできて、今年やっとお客様に出会い、日の目を見れた。春を感じた年でした」と、にこやかに微笑んだ。また、「モデル部門賞」に選出された泉さんは、ドラマやCM、バラエティなどにも進出し大活躍となった。泉さんは、「本当に見る景色がどんどん変わりました。全部の仕事が楽しいです。一番興奮したのは…たくさんの芸能人の方々に会えたこと(笑)」と、ややミーハーな一面ものぞかせていた。このほかの「パーソンカテゴリー」では、「アイドル部門賞」に2年連続で欅坂46、「アスリート部門賞」にアン・シネ、「作家部門賞」にカズオ・イシグロ、「ミュージシャン部門賞」に安室奈美恵が選出された。「カルチャーカテゴリー」では「映画部門賞」で『美女と野獣』、「ドラマ部門賞」で「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」が受賞した。(cinamacafe.net)
2017年12月06日映画『君の名前で僕を呼んで』が、2018年4月27日(金)にTOHOシネマズシャンテほか全国の劇場で公開される。君の名前で僕を呼んで - 対照的な青年2人が経験する、眩しき一夏の恋何ひとつ忘れない1983年夏、北イタリアの避暑地で家族と夏を過ごす17歳のエリオは、大学教授の父が招いた24歳の大学院生オリヴァーと出会う。一緒に自転車で街を散策したり、海で泳いだり、午後を読書や音楽を聴いたりして過ごすうちに、エリオのオリヴァーへの気持ちは、やがて初めて知る恋へと変わっていく。眩しすぎる太陽の中で、激しく恋に落ちるふたりだが、夏の終わりとともにオリヴァーの去る日が近づいてくる。アンドレ・アシマンの小説を原案に『君の名前で僕を呼んで』の原案は、アンドレ・アシマンによる同名の小説。これをジェームズ・アイヴォリーとルカ・グァダニーノが脚色したものが脚本として採用された。小説には多数の性描写があるが、映画の中では露骨な性描写は省かれている。これについて監督のルカ・グァダニーノは、米ウェブサイト「THE Hollywood REPORTER」のインタビューにおいて「原案の性描写は、僕が映画の中に求める雰囲気と異なっていた」と同時に「感情の流れに身を任せ、“初恋の甘酸っぱさ”を感じて欲しいのです」と、その理由を語っている。新星ティモシー・シャラメ&アーミー・ハマーが主演エリオ役を務めるのは、映画『インターステラー』でケイシー・アフレック演じるトム・クーパーの幼少期を演じたアメリカの新星、ティモシー・シャラメ。『君の名前で僕を呼んで』で映画初主演となるティモシー・シャラメは、ニューヨーク、ロサンゼルスを始め、全米各地の映画批評家協会賞で数多くの主演男優賞や新人賞を受賞。さらにアカデミー主演男優賞にノミネートされた。そして年上のオリヴァー役を、映画『ソーシャル・ネットワーク』などで知られるアーミー・ハマーが演じる。ジェームズ・アイヴォリーがアカデミー賞脚色賞を受賞ロサンゼルス映画批評家協会賞にて作品賞・監督賞・主演男優賞(ティモシー・シャラメ)と3冠を受賞。そのほか、ゴッサム・インディペンデント・フィルム・アワードでも作品賞、ブレイクスルー俳優賞(ティモシー・シャラメ)を受賞するなど賞レースを席捲。現在のところ、217部門ノミネートされ、71部門で受賞を果たしている。アカデミー賞では、作品賞、主演男優賞(ティモシー・シャラメ)、脚色賞(ジェームズ・アイヴォリー)、歌曲賞(「ミステリー・オブ・ラブ」-作詞・作曲スフィアン・スティーヴンス)にノミネートされ脚色賞を受賞した。脚色賞を受賞したジェームズ・アイヴォリーは『眺めのいい部屋』やカズオ・イシグロ原作を映画化した『日の名残り』などを監督したことで知られる監督&脚本家。『モーリス』ではヴェネツィア映画祭の監督賞を受賞した巨匠だ。彼は現在89歳。アカデミー史上最年長受賞記録を更新した。11月24日に北米公開を迎えると、2017年のアカデミー賞で作品賞を受賞した『ムーンライト』の同期間の興行成績を抜き去ったほか、『スポットライト』『それでも夜は明ける』など、歴代アカデミー賞作品賞を受賞した近年の作品の興行成績も上回るなど、記録的なヒットを記録。日本語吹き替え版に、入野自由&津田健次郎日本語吹き替え版の上映を要望する声が高まったことを受け、当初予定になかった吹き替え版上映が決定。ティモシー・シャラメ演じる主人公・エリオを担当するのは、人気アニメ「おそ松さん」や映画『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』などで活躍する入野自由。17歳のエリオを瑞々しく演じながら、繊細な心の揺れや痛みを切なく切り取る。また、アーミー・ハマー演じる24歳の大学院生オリヴァー役には、『スター・ウォーズ』シリーズのカイロ・レンをはじめ、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』『ブラックパンサー』などで注目を集める津田健次郎が起用された。作品情報『君の名前で僕を呼んで』公開日:2018年4月27日(金) TOHO シネマズシャンテ 他 全国ロードショー監督:ルカ・グァダニーノ脚色:ジェームズ・アイヴォリー出演:ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマー、マイケル・スタールバーグ、アミラ・カサールほか原題:Call Me By Your Name配給:ファントム・フィルム
2017年12月02日「皇后陛下のお誕生日のご感想の中で、思いもかけずに私のことに触れていただいたことを出張先のモスクワで知り、畏れ多くまたありがたく存じております」 そう本誌にコメントを寄せてくれたのは、中満泉さん。10月20日に83歳を迎えられた美智子さまは、お誕生日に際し「この1年を振り返って」のご感想を文書で寄せられ、《中満泉さんが国連軍縮担当の上級代表になられたことは、印象深いことでした》と記された。中満さんはこう続ける。 「私が軍縮担当上級代表になったことより、皇后陛下の平和への強い願い、そして世界を少しでもより安全で平和なところにしていくための、軍縮分野における国連の活動へのお気持ちであると理解申し上げ、そのお気持ちに微力ながらお応えできるよう、ますます努力しなくてはならないと思いました」 国連難民高等弁務官だった緒方貞子さん(90)のもとで経験を積んできた中満さんに、天皇皇后両陛下は何度かお会いになっている。美智子さまは「軍縮とは予防のこと」という中満さんの言葉に感銘を受け、「軍縮」という分野への関心を深められたことも綴られていた。 陛下のご退位まで1年半――。 ご退位の時期は’19年の3月末が有力となり、皇后として誕生日の「ご感想」を記されるのも、来年で最後になる。それゆえ、美智子さまの“強いお気持ち”込められていると、ジャーナリストの久能靖さんが言う。 「今回、美智子さまは、核廃絶や軍縮について、具体的に触れられています。最近の世界情勢に危うさを感じ、お心を痛めていらっしゃる証ではないかという気がするのです。そこには『みんなで協力して平和を守ってください』という国際社会へのメッセージも感じます」 戦後70年の前年である’14年、沖縄県、そして被爆地である長崎と広島を天皇陛下とともに歴訪し、被爆者と交流されている美智子さま。今年のノーベル賞で、文学賞を受賞した日系英国人作家カズオ・イシグロさんに触れた後段に、こう記された。 《平和賞は、核兵器廃絶国際キャンペーン「ICAN」が受賞しました。核兵器の問題に関し、日本の立場は複雑ですが、本当に長いながい年月にわたる広島、長崎の被爆者たちの努力により、核兵器の非人道性、ひと度使用された場合の恐るべき結果等にようやく世界の目が向けられたことには大きな意義があったと思います》 今年7月、国連で核兵器を史上初めて非合法化する核兵器禁止条約が採択された。「ICAN」の受賞は、条約制定に果たした役割を高く評価されてのものだった。「ICAN」国際運営委員の川崎哲さんに話を聞いた。 「実は、この美智子さまのお言葉には、すでに世界中から“喝采の声”が上がっています。非常に残念なことですが、日本政府は条約の採決もボイコットするなど、核兵器禁止条約について非協力的な姿勢を改めませんでした。美智子さまが、広島、長崎の被爆者の努力を心から理解してくださったように、政府が率先して、被爆者の証言を世界に発信していくべきです」 今年3月の、国連総会の核兵器禁止条約制定に向けた交渉会議。日本代表の空席には、核廃絶のシンボルでもある折り鶴が。その羽には、『あなたがここにいてほしい』と書かれていた。日本政府が出席を拒否するなか、この条約制定には前出の中満さんも尽力していた。 「9月末に急逝した熊本出身の私の父は、15の時に見た長崎の原爆のキノコ雲の話を、私の2人の娘たちに伝えてくれました。人間は過去の過ちから教訓を学び、それを世代を超えてつなぎ伝えて世界をより良いところにしていく力を持っている、と私は思っています。皇后陛下のご感想は、そういう平和への強い想いを世代を超えて繋げていくことの大切さ、災害や紛争の被害者、海外からの移住者などに私たちが寄り添っていくことの大切さを、皇后陛下ならではの誠実なお言葉で静かにしかし力強く訴えておられると深く感じ入りました」 戦争時代を経験し、陛下とともに昭和、平成を生き、平和を希求するお言葉を語り続けてこられたた美智子さま。世代を超え、一人ひとりが平和への思いを胸に――。
2017年10月27日国分太一と真矢みきがMCを務める平日朝の情報番組「白熱ライブ ビビット」。このほど、3月28日(月)より放送2年目に突入する本番組の人気企画「密着!ビビット」に、先日最終回を迎えたばかりの金曜ドラマ「わたしを離さないで」や映画『僕だけがいない街』に出演する人気子役・鈴木梨央が登場、ギターの弾き語りなどプライベートの姿をテレビ初披露していることが分かった。金曜ドラマ「わたしを離さないで」は、綾瀬はるか×三浦春馬×水川あさみという豪華キャストで、英国の作家カズオ・イシグロのベストセラー小説を舞台を現代の日本に移してドラマ化。人里離れた場所の隔離された施設・陽光学苑で育った主人公たちが、将来、臓器移植の“提供者”となる宿命に抗おうとする姿を切なく描き出し、鈴木さんは綾瀬さん演じる恭子の“子ども”時代を好演した。また、NHKの朝ドラ「あさが来た」ではヒロイン・あさ(波瑠)とあさの娘・千代(小柴風花)の幼少時代の二役で登場して注目を集めたほか、吉田羊と親子に扮しているポカリスエットのCMなどでもお馴染みだ。今回の「密着ビビット」では、現在公開中の映画『僕だけがいない街』の初日舞台挨拶の裏側に潜入!鈴木さんは、藤原竜也が演じる主人公・藤沼悟の小学校のクラスメイトで、母親の恋人から虐待を受け、連続誘拐殺人事件の被害者ともなる雛月加代という難役を熱演中。藤原さんや有村架純、石田ゆり子、及川光博ら錚々たる共演者たちが顔をそろえた、その舞台裏に完全密着する。さらに、今回は鈴木さんの貴重なプライベート姿も初公開。乗馬に初挑戦する模様をはじめ、行きつけの寿司屋で“梨央流”の食べ方を披露するほか、ギター教室で練習中の「ヒカリへ」(miwa)の弾き語りをテレビで初披露!これまでのドラマや映画ではなかなか見ることなかった鈴木さんの素顔を紹介する。「白熱ライブ ビビット」は3月28日(月)8時~TBS系にて放送。(text:cinemacafe.net)
2016年03月28日綾瀬はるか、三浦春馬、水川あさみら日本のドラマ界を牽引する実力派俳優が出演するTBS金曜ドラマ「わたしを離さないで」。本日18日(金)いよいよ最終回を迎える。世間から隔離された施設・陽光学苑で「良質な」教育を与えられて育てられてきた恭子(綾瀬はるか)、友彦(三浦春馬)、美和(水川あさみ)。子どもらしい生活、教育を享受し「普通の子ども」であったはずの彼らはある日、生まれながらにある使命を与えられた「特別な子ども」であると教えられ、自分たちの「本当の運命」を知らされる…。本作は、カズオ・イシグロの同名小説を原作としており、世界初のドラマ化に注目を集めている。物語は“コテージ編”から最終章“希望編”へ移り、ついに最終回を迎える本作。最終回である第10話は、唯一の希望であった猶予がないことが分かり、塞ぎこんでしまった友彦。そして、そんな友彦に3度目の提供通知が届く。なんとか友彦を元気づけることはできないかと考えていた恭子は、ある日ばったりと龍子(伊藤歩)と再会。落胆し、無気力となった友彦の様子を聞いた龍子は、少年サッカーの試合観戦に友彦を連れ出そうと提案する。一度は諦めた夢に再び熱くこみ上げるものを感じる友彦。そんなとき、「希望」に満ちた真実を知らされることになる…。そんな第10話に出演することが決定したのは、「かもめんたる」の槙尾さん。近年「新・牡丹と薔薇」「スペシャリスト」などにゲスト出演するなど活動の幅を広げる槙尾さんが今回演じるのは、少年サッカーチームに所属する男の子の父親役。その親子には“ある秘密”が隠されており、その秘密は、恭子、友彦、龍子の「希望」へとつながるものであり、彼ら提供者が生まれてきた意味を問いかけるものであるという。最終回にして重要な役どころとなった槙尾さんは、「以前から非常に考えさせられるドラマだなと興味深く拝見していたので、今回関われることになりとてもうれしいです」と喜びを語り、「撮影を通して、とても丁寧に作られている作品なんだなと参加してみてあらためて感じました。観終わった後、改めて自分の人生と向き合う機会を作ってくれる素敵なドラマだと思います」と本作について語った。本音を打ち明け合い、初めて分かり合えた親友・美和との別れ。そしてようやく一緒になることができた友彦と恭子。しかし唯一の希望“猶予”が存在しないことを知り、さらに友彦との別れが近づく中で、恭子は何を思うのか…。最終回も目が離せない。「わたしを離さないで」は毎週金曜日22時~TBSにて放送。(cinemacafe.net)■関連作品:わたしを離さないで 2011年3月26日よりTOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国にて公開(C) 2010 Twentieth Century Fox
2016年03月18日国際弁護士の八代英輝氏が、TBS系ドラマ『わたしを離さないで』(毎週金曜22:00~)の第9話(11日放送)に出演することが9日、わかった。本作は、英国で100万部を超える大ヒットとなったカズオ・イシグロ氏の同名小説の初ドラマ化作品。綾瀬はるか、三浦春馬、水川あさみ演じる"提供"という使命を抱えて生きる3人の男女の数奇な運命を、愛情と友情、絶望と希望、生と愛を絡めながら描く。昼の情報番組『ひるおび!』(平日11:00~13:52)で司会を務めている八代弁護士が演じるのは、出版社で働く男性編集者・古井。恭子(綾瀬)が触れ合う数少ない外界の人間の一人で、友彦(三浦)と猶予を獲得するにあたって、恵美子(麻生祐未)との再会の架け橋となる重要なキャラクターだ。八代弁護士は終始、緊張した面持ちながらも、手帳を持参して役作りをするなど、入念な演技プランのもと撮影に臨んだ。そんな八代弁護士は、「自分に声がかかるとは考えてもいませんでしたし、夢にも思っていませんでした」とオファーを受けた際を回顧。その上で「重厚なテーマのドラマなので、お断りしようかという気持ちも何割かあった」と率直に吐露しつつも、「こんな機会はそうないことだ」との思いに至り、挑戦した。それでも当初、現場では「歩くときに手と足が同時に出てしまうぐらい」緊張したようで、キャストやスタッフが空気を和らげてもらったという。共演した綾瀬については、対面するシーンを思い返して「こんなに見つめて許されるのだろうかと心配になりました」と笑い、「美しいと思うと同時に、プロの女優としての迫力を感じました」と称賛。また、「命の大切さが丁寧に描かれている、とても見ごたえのある作品」と本作を表しながら、「ドラマオリジナルの結末を楽しみにしていただければ」と呼びかけている。(C)TBS
2016年03月10日早いもので、気がつけば2016年1月クールも後半戦に突入です。皆さんの視聴フィルターには、どんな作品が残っていますか?今回の【ドラマニア】では、中でも特に女性からの注目度が高い3作品をピックアップ。まさに“運命の悪戯”としか言いようがない、切な過ぎる愛の行方を考察していきましょう。■心に抱えた、それぞれの事情女たちが「自分自身と向き合う」時――何かが変わるまずは、とっても月9らしい!若き男女たちの群像劇「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(フジテレビ)から、現代を象徴する3人の女性をご紹介。今という生きづらい時代に真っ向勝負を挑む果敢な後ろ姿は、決して涙無しには見られません。本作に登場する女性たちは、いずれも心に大きなコンプレックスを抱えてながら生きています。だからこそ、「好き」という気持ちだけで行動を起こすことができない。中でも特に、有村架純さん演じる主人公・音は、その典型的なタイプ。常に周りの人の気持ちを優先してしまうため、空気を読み過ぎて自分の幸せに貪欲になれない。その優しさが、見ていて非常にもどかしいですよね!また同様に高畑充希さん演じる木穂子も、見ていて一緒に苦しくなってしまうくらいリアルな女性。傷つくことを極端に恐れ、自分を嘘という鎧でコーティングする癖を持っています。リスクを軽減しているように見えて、本音とのジレンマに葛藤する姿に共感する方も多いのではないでしょうか。森川葵さん演じる小夏も、田舎から東京へ出て、夢を叶えることの難しさに直面。自信を失った彼女は、恋愛にも怖気づいてしまいます。友人の助言を経て見た目を磨くことに全力を注ぐ小夏…しかしながら、磨けば磨くほど、心が荒んでいくのはいったいなぜなのか。過去が邪魔をして、トラウマが邪魔をして、プライドが邪魔をして――抱えている事情は違えど、共通して言えるのは、心にそれぞれ「素直になれない」壁があるという点です。これが世の女性たちの共感を呼ぶ一番のポイントと言えるでしょう。3人が自分自身と本当の意味で向き合うことができた時、物語は大きく動き始めるはず!いよいよスタートする第2章はぜひ、その辺りにも着目してみてください。■女にしかわからない「絶対の関係」親友を思う“愛”に導かれた――究極の選択「もしも自分の親友が同じ悩みを抱えていたら?」そう妄想せずにはいられない、木10ドラマ「ナオミとカナコ」(フジテレビ)。本作で描かれる選択は到底現実的なものとは言えませんが…それでも思わず「わかる!」と共感してしまうのは、主人公2人の友情が女性独特の奇妙な契約感を醸し出しているからでしょう。大学時代同じキャンプサークルで仲良くなったという、広末涼子さん演じる直美と、内田有紀さん演じる加奈子。劇中では最初、久しぶりに再会した2人はどうにも拭えない“ライバル心”をむき出しにしていました。仕事も恋も順調なフリをする直美。一方の加奈子も、家庭円満、まさに今幸せの絶頂にいるという笑顔を作り振りまいていた記憶があります。そんな嘘まみれの関係、世の男性からすれば「親友とは呼べないだろう」という意見がちらほら。しかしながら女同士の友情とは不思議なもので、「お互いが嘘をついていた」とわかった瞬間――初めて本当の“親友”になるのかもしれません。2人は今まで以上により強固な絆で結ばれ、加奈子が「水を美味しい」と感じられる日が来るように…夫のDVを止めるため、ついには殺害を計画するに至ります。自身もかつて父親から暴力を受けていたという過去から、加奈子の心の傷に寄り添うことを人生の目的として定めた直美はとにかく強い!家族や恋人とは一味違う、友情という“愛”が彼女の背中を押しているのか。加奈子もその気持ちに答えるように、少しずつ一人の女として、人間として強くなっていきます。果たして、憎しみの連鎖が行き着く先は…!?ジェットコースターのようなめくるめく展開から、最後まで目が離せません。■決して逆らうことのできない“運命”限られた命ゆえ――女たちの「独占欲」が溢れ出すラストはこちら!週の終わりに、どっぷりと神妙な世界に浸らせてくれる「わたしを離さないで」(TBS)。原作は、カズオ・イシグロさんの同名イギリス小説。これまでに日本をはじめ、世界各国で映画化や舞台化が成されている話題作です。本作で描かれる“女の戦い”と言えばもちろん、綾瀬はるかさん演じる恭子と、水川あさみさん演じる美和による激しい心理戦。最初は極々普通の「クラスに一人はいそうなリーダー格の女の子」だった美和が、自身が他者のために作られた臓器提供用の人間であるという衝撃的事実を知ることで、親友・恭子への独占欲を日に日に強めていく様が実に狂気的で…背筋の凍る展開がひとつの大きな見どころとなっています。決して逆らうことのできない“運命”に翻弄されていく子どもたち。美和が執拗に、恭子の初恋の相手・三浦春馬さん演じる友彦にちょっかいを出し始めるのも、全ては強い独占欲ゆえ。純粋な恋愛感情ではなく、恭子に「自分のことを少しでも気にして欲しいから」こそ、事あるごとにひどい悪戯を仕掛けていきます。第三者として視聴している分には、赤子のような可愛さがありますが…恭子本人はやるせない気持ちでいっぱいでしょう。しかし、段々と彼女自身もその執着に「自分の存在を実感する」ようになっていき――まさにズブズブの三角関係が出来上がってしまいます。そんな中、否応なしに迫ってくる臓器提供の順番。限られた命の中で、人がどのような感情に時間を割いて生きていくのか。彼女たちの“愛”の使い方をしっかり見届けていきましょう。およそ1年ぶりに復活させていただきましたコラム【ドラマニア】、いかがでしたでしょうか。嬉しいことに、このところドラマへの関心が再び強まってきている気が致します。ぜひ、次回の更新もご覧くださいませ。(text:Yuki Watanabe)
2016年02月22日