夏のレジャーシーズンには、キャンプやバーベキューを楽しむ人も多いでしょう。開放的な気分になる一方で、気を付けなければならないこともあります。内閣府が注意喚起『カンピロバクター食中毒』内閣府食品安全委員会は、カンピロバクターという細菌による食中毒に注意をするよう呼びかけました。鶏刺しや鶏レバーなどの生肉や、加熱が不十分な肉料理を食べたことによる、カンピロバクター食中毒の事例は、毎年数多く報告されているといいます。カンピロバクターがついた食品を食べると、2~7日くらいで下痢や腹痛、発熱、おう吐などの症状が現れ、死亡例は少ないものの、まれに筋力低下や運動まひの後遺症が残ることも。決して甘く見てはいけないのです。『カンピロバクター食中毒』予防するためには?カンピロバクター食中毒を予防するには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。具体的には、次のことが大切だといいます。・生又は加熱不十分な鶏肉や鶏レバー、牛レバーなどの肉を食べない。・特に鶏肉などのお肉は、十分に(中心部を 75℃以上で 1 分間以上またはこれと同等の条件で)加熱してから食べる。・保存時や調理時に、肉や肉に含まれる細菌と、他の食材(野菜、果物等)との接触を防ぐ―生の肉は洗わない―生の肉に触れた手はしっかり洗ってから他の食材を取り扱う―生の肉に触れた調理器具、食器は十分に洗う。調理器具や食器は、熱湯で消毒し、よく乾燥させる。内閣府食品安全委員会ーより引用鶏肉など生肉は中心部を十分に加熱し、他の食材との接触に注意するとともに、調理器具を清潔に保つようにしましょう。「新鮮だから安全」「色が変わったから大丈夫」などの考えは危険です。楽しく食事をするためにも、正しい知識を身につけて、しっかりと対策したいですね。[文・構成/grape編集部]
2023年07月06日鶏むね肉をしっとり仕上げるには、低温でじっくり調理するのが一番!そんなパサつきゼロのしっとり美味しい鶏ハムのレシピです。しかし、鶏肉の低温調理は食中毒菌も気になるところ。今回は気になる食中毒菌のお話も含めて、安全で美味しい鶏ハムの作り方をご紹介いたします。鶏ハムってどんな料理?鶏ハムは1日~2日ほど塩漬けにした鶏むね肉を、低温で加熱してしっとり仕上げる料理です。鶏むね肉は加熱するとパサつきが気になる部位ですが、鶏ハムにすることで驚くほどしっとりと滑らかな食感になります。鶏ハムを作る時に重要なことは温度。生の鶏肉にはサルモネラ菌やカンピロバクターなどの食中毒菌が付着していることが多く、しっかり加熱しないと食中毒の危険性もあります。ですが、70度以上の高い温度で加熱するとパサパサした食感となってしまいます。確実に加熱をし、安全で美味しい鶏ハムの作り方をご紹介しますのでご参考にしてみて下さい。食中毒菌と低温調理鶏ハムの調理で一番心配なことが、サルモネラ菌です。サルモネラ菌に感染すると、下痢、嘔吐、発熱などの症状が1週間弱続くこととなります。ですが、サルモネラ菌は熱に弱い食中毒菌であるため、60度で2時間の加熱により、鶏ハム内部の温度もしっかり加熱されるため安心して食べることが出来ます。食中毒菌の死滅温度と加熱時間の関係は、D値という値で示されます。D値とは、一定の温度で加熱した時、食中毒菌が1/10になる時間を表したものです。「食品微生物〈1〉基礎編―食品微生物の科学」によると、サルモネラ菌のD値は55~60℃で、D値:0.8分以下~1.0分以下ですので、60度で2時間の加熱だと中心温度が60度に達した状態が維持され、サルモネラ菌は死滅することとなります。また、カンピロバクターも同様に死滅させることが可能です。肉は、ミオシンというタンパク質が変質することで「火が入った」という状態となります。ミオシンの変性開始温度は50度~です。もし鶏ハムの中心がまだ赤くて生の状態ということは、中心温度が50度に達していないということとなります。食中毒菌は35度~40度の間で最も活性化するため、中心温度が50度に達することなくじっくり加熱された食材は非常に食中毒の危険がありますので、決して食べないようにして下さい。今回行う低温調理は、徹底した温度管理の下行っております。鶏ハムの作り方それでは鶏ハムの作り方をご紹介します。鶏ハムの材料材料ーーーー鶏むね肉(皮なし)2枚(200g×2=400g)塩…20g(鶏むね肉の重量の5%)黒コショウ…適量はちみつ…大さじ1ローリエ…2枚ーーーーーー鶏肉の皮を剥ぎ、綺麗に洗って水分を切ります。鶏むね肉の皮を剥ぎます。包丁などを使わなくとも手で引っ張って剥ぐことが出来ます。このとき、余計な脂は包丁で切り落としておきましょう。綺麗に水洗いをして、ザルに上げてある程度水気を切った後、キッチンペーパーなどで余計な水気を拭き取ります。鶏ハムの味付け。洗って水気を切った鶏むね肉、塩、砂糖、黒コショウ、を入れて全体がなじむように揉みます。袋にあまり空気が入らないよう水で空気を押し出し、袋の口を縛り、冷蔵庫で24時間程度寝かせます。皮を取り除いた鶏むね肉の重量の5%程度の塩で1日~2日漬け込みます。一般的に人の味覚でちょうどよい塩分濃度は0.8%~1%と言われており、5%では濃いですが、漬け込んだ後は塩抜きをするので大丈夫です。鶏ハムには、漬け込み時間や塩の分量を調節して塩抜きが必要ないレシピもありますが、まずは5%程度の塩で漬け込んでその後塩抜きをする方が、鶏ハムの余計な水分も抜けてより濃厚なハムらしい味わいになるので、ひと手間かかりますがこの方法を採用しています。24時間後…鶏むね肉の塩抜きをします。24時間冷蔵庫の中で漬け込んだ状態です。塩がしっかり染み込んでいます。ちょっと切って焼いて食べてみると…しょっぱい。このままではお酒のつまみにしてもしょっぱいくらいです。また鶏むね肉から水分が出ていますね。これを綺麗に洗い流したあと、薄い塩水の中で1時間くらい塩抜きをします。30分経ったら一度水を入れ替えましょう。肉が重なっている部分などは塩が抜けにくいです。塩抜きをする時は、均等に塩が抜けるように何度かかき混ぜて下さい。塩抜きされた鶏肉を成形します。塩抜きした鶏むね肉をラップで極太ソーセージのような形に成形します。ラップで巻いた後、端をキャンディのように絞ることで簡単に成形できます。きつめに絞っておくことで、過熱された時に形が固まって綺麗な丸い鶏ハムが出来ますよ。60度で2時間。鶏むね肉を加熱します。60度で2時間という温度を常に保つのは難しいですので、ANOVAという低温調理機を使います。ANOVAは、指定した温度より低くなった時にはヒーターが作動して水温を温めてくれるため、狙った温度で確実に加熱することが出来ます。加熱しすぎや、生焼けの危険性がなくなります。炊飯器で作る方法などもありますが、炊飯器の保温温度は70度以上と鶏ハムをしっとり仕上げるためには少し温度が高いため、丁度良いタイミングで取り出す必要があります。あまり早く取り出してしまうと生焼けだったり、ずっと放置していると加熱されすぎでパサパサになったりと、慣れるまで少々時間がかかりそうです。特に鶏ハムの場合は、加熱が不十分な場合は食中毒の危険性もありますので、確実に加熱を行う必要があります。食の安全という点でも、ANOVAはおすすめの調理器具です。60度のお湯の中に、袋に入れた鶏むね肉を沈めて2時間待ちます。加熱すること二時間たった鶏むね肉です。鶏むね肉の場合は、レアというのは非常に危険です。真ん中を切って、中までしっかり火が通っていることを確認しましょう。火が通っていることが確認できたら、冷蔵庫で冷やして出来上がりです。しっかり火が通っていますね。食べてもパサつきはなくしっとりした仕上がりとなっています。鶏ハムを盛り付けてみました。鶏ハムそのものに十分味が染み込んでいますので、そのまま食べても美味しいですが、エキストラバージンオリーブオイルをさっとかけてあげるとぐっと美味しくなりますよ。サラダとの相性も抜群で、低カロリーなのにしっかりとした食べごたえがありますのでダイエットにもおすすめです。ついついお酒がすすむメニューですね。まとめいかがでしたでしょうか?今回は60度で2時間、ANOVAを使った低温調理のレシピをご紹介しました。ANOVAは家庭で使う調理器具としては比較的高めの調理器具ですが、一家に一台あると料理の幅がぐっと広がります。それに、鶏肉はカンピロバクターやサルモネラ菌など生食をすると食中毒になる菌が存在していることが多いので、低温調理は確実に加熱することが何より重要であると言えます。健康で美味しい料理作りを楽しみましょう♪グルメのアイデアをもっと見る
2017年02月28日