エルメスは、機関誌『エルメスの世界』最新号(2022年秋冬号)を紹介するキオスクが登場するイベントを、東京・丸の内で開催します。『エルメスの世界』は、エルメスの創造性、好奇心、多様性を年間テーマや多彩なコレクション、それにまつわる様々なストーリーを通して、言葉とイメージでご紹介するエルメスの機関誌。今回丸の内に登場する「ルモンドキオスク」は、『エルメスの世界』の最新号を通じて、メゾンの年間テーマを感じながら心地よいひとときを提供します。『エルメスの世界』最新号(2022年秋冬号)表紙|©Camille Summers-Valliパリにある新聞や雑誌を販売するスタンド「キオスク」から着想を得た「ルモンドキオスク」は、2021年秋にプラハ(チェコ)に初めて登場しました。今年は4月のバルセロナ(スペイン)、5月のシンガポールを皮切りに、東京以外でもロッテルダム、パリ、ロンドンなど、世界各地でパリの街角の雰囲気と開放感を届けています。「ルモンドキオスク」で、本の中に出てくるエピソードを語るユニークなストーリーテラーの話を聞きながら、ふらり風の向くままに散歩や休憩を『エルメスの世界』とともに楽しんでみては。開催概要イベント名:「ルモンドキオスク」会期:2022年9月8日(木)~9月11日(日)時間:午前11時~午後5時会場:東京都千代田区丸の内2-4-1 丸ビル入場無料#LeMondeDHermes#ルモンドエルメス
2022年09月07日2月11日から東京芸術劇場プレイハウスにて、舞台「キオスク」東京公演が開幕。開幕にあたって、舞台写真とコメントが到着した。本作はオーストリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによるベストセラー小説を舞台化したもの。日本では2019年12月から2020年1月にかけ、石丸さち子上演台本・演出によるリーディングシアターとして上演して好評を博し、いよいよこの度、ストレートプレイ版日本初演の幕が上がった。舞台となるのは、1937年、ナチスドイツが台頭しヒトラーによるホロコーストが始まった、時代のうねりにのみ込まれていくオーストリア・ウィーン。田舎で育ち、突然ウィーンのキオスク(タバコ店)で働くことになった17歳の青年フランツが、さまざまな大人たちと出会い貪欲なまでに知識を吸収し、初恋に心を燃やしながら成長する姿を描くと同時に厳しい世情と向き合っていく。主演は、昨年ジャニーズJr.を卒業、ミュージカルやコメディなど幅広い作品で演技派俳優として邁進し注目を集める林翔太。林演じるフランツが出会う大人たちを、橋本さとし、大空ゆうひ、上西星来、吉田メタル、堀 文明、一路真輝、山路和弘と実力派キャストが演じる。到着したコメントは下記の通り。林翔太コロナで世の中が大変な中、演劇に携われている事がとても幸せです。そして、「キオスク」はこういう時代だからこそやるべき作品だと思っています。残念ながら中止になってしまった公演もありますが、劇場に来てくださる皆さんのために全力で演じさせていただきます!さち子さんは熱い人で圧倒されましたが、それ以上に熱く稽古に取り組まないとフランツはできないと思い、とにかく自分を奮い立たせていました!兵庫公演で、改めてお客様の前でお芝居をする喜びを感じました。観に来られなくなってしまった方の気持ちも背負って頑張ります!橋本さとしまずは、この状況下で「キオスク」兵庫公演に足をお運びいただき観劇していただいたことに感謝申し上げます。お客様もスタッフもキャストも一丸となり演劇を守り楽しむという空気が劇場を満たし、作品が一層成長しました。兵庫公演で頂いたカーテンコールでの鳴りやまない拍手に本当に感動しました。そこで得た感動と喜びと感謝を胸に東京公演や他の各地公演もお届けしたいと思います。石丸さち子さんの熱くて緻密な超劇的な演出に役者が食らいつき創り上げた、真の人間のあり方を問う「キオスク」を“今”観ていただきたい。大空ゆうひ日々、形を変えてゆったりと動き続ける生き物のようで繊細な作品。兵庫で無事に初日を開けてお客様の反応を頂きホッとしましたが、また東京の空気の中で新たに初日を開けるつもりで新鮮に臨みたいです。石丸さんの常に挑み続ける演出の中で息づいて、お客様をお迎え出来ることを楽しみにしています。どうぞ劇場に足をお運び頂けますように。感染対策も万全にして、お待ちしています。一路真輝一昨年の朗読劇から参加させて頂いていたので、お客様と同様に想像の世界でしかなかった「キオスク」の世界が具現化されたおしゃれな舞台に心が踊っています。幕開きはこれから始まるお芝居を気負うことなくお楽しみ下さい!と言う歌から始まります。石丸さんの作られる世界感が新鮮で刺激的です。兵庫公演の二日目ではいきなりそのシーンでお客様が手拍子をしてくださいました。コロナ禍の舞台は、お客様、関係各所の皆さま、そして出演者は感染対策にピリピリムードです。でもその温かい手拍子で勇気を頂きました。東京公演も無事に走り抜けられますよう、心して頑張ります。山路和弘稽古場にくる。全身消毒。手を消毒。マスクを替える。検温。会話控えめ。静寂。稽古始まる。顔半分、白い面々。そして相手の目の奥の光だけを頼りに、、演る。相手の顔も判らず、くぐもった声しか知らず、独り相撲?何処へ向かってる?これでいいのか?どうすればいい?初日10日程前、ストレス頂点に至る。気が狂いそうだ。PCR検査陰性確認後、舞台稽古。初めてマスク取る。、、なんだ、、君達、、そんな可愛い顔しとったんか、、、。うん。もう大丈夫。君達からエネルギー貰えば「キオスク」は出来る。コロナめ、、。お前には負けない!演出:石丸さち子フランツの勤めるキオスクは、新聞から葉巻、エロ本まで扱う、「精神と快楽の殿堂」。彼は様々な論調の新聞から、愛し尊敬する大人たちから、はじめての恋から、自分を見つけ、成長していきます。流れに乗るのではなく自分で感じ考えて。彼の成長の清々しい真っ直ぐさは、この時代には通用しなかったかもしれません。でも、その時そこに彼が生きたというだけで、この世界はまだ絶望には至らないと信じられます。厳しい時代を生きた精神を丁寧に描きつつ、演劇という快楽をたっぷり受け取って頂けるエンタテインメントに仕上げました。ライブの喜びを、全員でお届けいたします。【公演概要】『キオスク』<東京公演>公演期間:2021年2月11日(木・祝)~2月21日(日)会場:東京芸術劇場 プレイハウス<静岡公演>公演期間:2021年2月23日(火・祝)会場:静岡市清水文化会館マリナート大ホール<愛知公演>公演期間:2021年2月25日(木)会場:日本特殊陶業市民会館ビレッジホール<広島公演>公演期間:2021年2月27日(土)会場:JMSアステールプラザ大ホールオフィシャルサイト:
2021年02月12日舞台『キオスク』が、石丸さち子の演出でストレートプレイ版として日本初演される。オーストリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによるベストセラー小説を、原作者自身が戯曲化した本作。1937年、時代のうねりにのみ込まれていくオーストリアを舞台に、17歳の主人公・フランツ(林翔太)の青春を、みずみずしく切なく描いている。1月22日(金)に兵庫県立芸術文化センターにて開幕した本作にオットー・トゥルスニエク役として出演する橋本さとしに、作品の魅力や共演者とのエピソード、コロナ禍で思った事などを聞いた。ストレートプレイに飢えていた――最初に、ご出演が決まった時の心境を教えてください。ここのところ、劇団☆新感線の『偽義経冥界歌』というエンタテインメント性の高い舞台や、『ビリー・エリオット』というミュージカルに出演させていただいたので、「ど」が付くストレートプレイに自分の中で飢えていたところがありました。このタイミングでお話をいただいたのは、僕にとってはとてもありがたくて、喜ばしいことだったんです。やはり僕はストレートプレイが自分の原点だと思いますので、この作品でもう一度、自分の演技的な基本に立ち返って、自分の中から湧いてくる感情に乗せたセリフ回しというものを、再スタートと言えば、少し大袈裟な言い方になるかもしれませんが、ここから何かを構築させていければなと。気合十分です。――『偽義経冥界歌』も『ビリー・エリオット』も、どちらも「父」役でしたね。そうなんですよ。一方は地獄のお父さんで、もう一方は炭鉱夫のお父さん。いろいろなお父さんを演じさせていただいて、僕もそういう役柄を演じるような年齢に差し掛かっているのかなとすごく実感しました(笑)。殺されて生き返るような冥界にいるお父さんと、超現実的な1980年代の労働者組合のストライキの真っ最中で戦いながらも、家族の間で揺れ動くリアリティのあるお父さんの役と、幅広かった。両方演じられてとても楽しい1年になりましたね。――その中で、今回は舞台となるキオスク(タバコ店)の店主オットー・トゥルスニエク役を演じられます。オットーという役も、まさに血はつながっていないですが、フランツという青年にとっては、親父的存在でいる役柄なんです。フランツという田舎で育った純朴な青年が、ウィーンの街に出てきて、第二次世界大戦目前の、ナチスドイツが台頭する現状を目の当たりにする。そのきっかけになる、オットー・トゥルスニエクというおじさんで、彼が人生観のスイッチを押してあげる役という意味では、親父的ポジションにいるのではないかなと思います。――現段階でどのような部分に難しさややりがいを感じていますか。ストレートプレイというのは、言葉のキャッチボールや感情の受け渡しあい、バトンをしっかり相手に渡すということがとても大事になってきます。特にこの作品は、原作が小説で、日本では先にリーディング版として上演して、今度はストレートプレイになります。演者が実際に演じるという形をとっていますから、緻密に小説で描かれているところを、舞台版ではある意味すっ飛ばして描いていたりする。その分、行間の芝居と感情がすごく大事なんです。どういうものを背負って、今この場に立っているか。それが、演者にとってはとても重要なことになってくると思いますし、難しいところですね。お客様の想像力をかき立てられるような立ち方で舞台の上に立ってないと、それは本を持っていないだけであって、ただのリーディングになってしまう恐れもありますから。――役者としての説得力というのでしょうか。たたずまいから観客の想像力をかき立てるにはどうしたらいいと思いますか。正直、セリフが多いんですよ。特に長台詞。長台詞をひとつひとつ分解して、解明していくと、やっぱり不思議と全然感情が入っていなかったり、自分の中でイメージがなかったりするセリフは、セリフ覚えが悪くなって入ってこないんですよね。僕たちがよくセリフを入れるという段階は、ただ覚えて暗記するという意味ではなくて、腹に落とし込んで、それが、心臓を通って、脳みそを通って、自分というフィルターを通して、言葉にすること。それができて初めて、セリフが入ったと言えるんですね。だからそのセリフを入れる段階というのが、僕にとってはすごく重要になってきています。単純に年々セリフ覚えが悪くなっているというのもあるんですけども(笑)、そこが一番苦労するところで、役者が孤独な作業をする段階ではあります。1日でも早く、自分というフィルターを通して、感情がぎゅっと締め付けられるようなセリフを気持ちよく吐きたいですね。林君のポジティブな気持ちがいい空気をもたらしてくれる――主演の林翔太さんをはじめ共演者の方々にはどのような印象をお持ちですか。林翔太くんはとてもピュアで、僕に比べたら超真面目。すごく真摯に芝居にぶつかっていく。合っていようが間違っていようが、まずぶつかっていく姿が、とてもピュアで、いろいろな垢にまみれた自分にとっては、すごく刺激にもなるし、見習うところでもありますよね。こちらも純粋な気持ちで一緒に芝居を作っていけるというのは、共演者としてはありがたい存在です。あと、弱音を吐かないんですよね。「ダメだな」とか「疲れたな」とか全然言わない。主役というのは他の作品でも一番大変な思いをするけれど、特にこの作品はフランツという青年が背骨になっている作品なので、負担はとても大きいと思うんです。で、僕も心配になって、「調子はどうだ?」と聞いたら「バッチリです!」とか、元気に答えてくれる(笑)。そういう彼のポジティブな気持ちや心構えが、僕たちカンパニーにいい空気をもたらしていると思います。若手で言えば、(上西)星来も、とてもフレッシュですね。彼女はまっさらな状態でこの芝居に臨んで来ているので、まっさらなキャンバスにどんどん色がついてくのが、日に日に見えていて。それを見ているのも、おじちゃんとしては楽しいかな(笑)一路(真輝)さん、山路(和弘)さんなど、昔からやらせてもらっている、信頼のおける先輩にも囲まれています。現場の空気感は温かい感じがして、居心地がとてもいいです。特に吉田メタルくんとは劇団☆新感線以外で初めての共演なんですよ。実は、劇団員の頃、吉田メタルと3年間一緒に暮らしていた時期がありまして。ぼろアパートに二段ベッドを買って、あいつが上で、俺が下に寝て。自分たちはどうなるんだろうという将来の話を毎晩、銭湯に行きながらして……。いつか共演できたらいいよなっていう話はずっと20年前ぐらいからしていました。役者ってやり続けていると、一瞬離れても、続けることによって、どこかでまたピタッと磁石のように出会う。個人的な話ですが、吉田メタルと劇団以外で同じ舞台に立つというのは本当に感慨深いものがありますね。――石丸さち子さんはどういう演出家だと思いますか。僕は今回初めてなんですけども、噂に違わず、本当にパワフルです。それでいて、繊細。豪快さや大胆さもある。お客様のことを信じる力がすごく大きな方だと思うんですよね。演出家というのは、細かく細かく演出して、お客様に分かりやすくしないと不安になられる方もいらっしゃると思うんですけれど、そういうこと関係なく、無駄なところは、ザクッと切り落として、あとはお客様の想像力に任せる。本当に演劇的な原点と言いますか、基礎的なところを久しぶりに味わせていただいています。稽古場で誰よりも声が大きくて、誰よりも笑っていて、喜怒哀楽を役者以上に表現している方です(笑)。石丸さち子という台風の目に、役者が巻き込まれている気がします。時々のみ込まれそうになるんですけれども、こちらも負けずにエネルギーをぶつけていくと、それに応えてくれる方なので、やっていて、楽しいですし、あまり役者に不安を感じさせない、安心感のある方ですね。無駄なことを必要と感じられる心の大切さに気づかされた2020年――2020年はコロナ禍で演劇界にとっても大きな意味のある1年でした。橋本さんにとってはどんな1年でしたか。また2021年の抱負をあわせて教えてください。2020年、役者人生で言えば、不安というものが常に付きまとってはいましたね。劇団☆新感線も途中でアウトになりましたし(※『偽義経冥界歌』が東京公演一部中止、福岡公演全中止)、『ビリー・エリオット』もいつ始まるのか分からないなか、スタンバイをしていて(※7月初日を迎える予定だったが9月に延期)。だからこそ、舞台に立つ喜びを噛み締めた年ではありますね。今まで舞台に立ってきて、こういう事態は本当に経験したことがなかった。ちょっとしたアクシデントで1、2日、舞台が止まってしまうことはトラブルとしてはありましたが、完全に切られるのは初めてで、自信を失いかけたときもありました。日本という国において、エンタテインメントの力はここまでだったのかなと。現実を目の当たりにはしましたね。真っ先に僕らの世界が、娯楽という世界が、切られていきましたから。いただいた時間の中で、随分いろいろなことを考えましたし、今までできなかったこともできました。物質的にも断捨離をして、フリマアプリで小銭を稼いだりもしましたが(笑)、心の断捨離みたいなものもできました。なあなあで来ていたものが通用しないと気づきましたし、当たり前だと思ってやってきたことも、実は当たり前のことではなくて、すごく奇跡的なことだったと実感しました。ハートは強くなったと思います。劇団☆新感線の舞台が途中で終わって、『ビリー・エリオット』が予定より2ヶ月遅れで始まって、やっと舞台に立てた時の劇場の空気。感染対策で、キャパの半分しかお客さんをお入れすることはできなかったんですけども、拍手が大きくて、満場の拍手をいただいた。その瞬間に、僕たちがいるべき場所、立つべき場所は、ここなんだなと。不安になっていた部分は自信に変わりましたし、娯楽・エンタテインメントの必要性を感じて、それを信じることができました。無駄と言えば無駄なのかもしれないけれど、無駄なことを必要と感じられる心の余裕や潤いって、人間が生きていく上でとても大事なことだと思います。僕たちは住む家を与えたり、お腹を満たすことはできないけど、心を満たすことができるという自信になりました。そういう意味では僕にとっては有意義で意味のある1年になりました。ただ、それはまだ過去の話ではなくて、状況が継続してしまっている現実があります。まだまだ油断はせずに、自分たちがやるべきことをしっかりやって、必要とされる存在でありつづけるために、エンタテインメントというものをこれからもずっと守り続けていくという気合いをもって、皆様に心の潤いを与えていきたいなと思っています。取材・文:五月女菜穂撮影:源賀津己公演情報『キオスク』作:ローベルト・ゼーターラー翻訳:酒寄進一演出:石丸さち子出演:林翔太橋本さとし大空ゆうひ上西星来(東京パフォーマンスドール)吉田メタル堀文明一路真輝山路和弘【兵庫公演】2021年1月22日(金)~1月24日(日)会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール【東京公演】2021年2月11日(木・祝)~2月21日(日)会場:東京芸術劇場 プレイハウス【静岡公演】2021年2月23日(火・祝)会場:静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール【愛知公演】2021年2月25日(木)会場:日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール【広島公演】2021年2月27日(土)会場:JMSアステールプラザ 大ホール
2021年01月23日舞台『キオスク』が、石丸さち子の演出でストレートプレイ版として日本初演される。オーストリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによるベストセラー小説を、原作者自身が戯曲化した本作。1937年、時代のうねりにのみ込まれていくオーストリアを舞台に、17歳の主人公・フランツ(林翔太)の青春を、みずみずしく切なく描いている。稽古開始後間もない12月某日、本作に出演する、元宝塚歌劇団宙組トップスターで俳優の大空ゆうひに話を聞いた。エネルギッシュな石丸演出──『キオスク』の出演が決まった時の心境を教えてください。まず、脚本を読ませていただいて、1回で理解しきれる本ではなかったんですけれど、作品の持つ不思議なみずみずしさがとてもいいなと思いました。私は、その中で様々な役割を演じます。これは何かトライできることがあるんじゃないかなと思いました。演出の石丸さち子さんとは、以前に舞台『まさに世界の終わり』(2018年)でご一緒させていただきました。その時に石丸さんから感じたパワーが圧倒的で、エネルギーをもらい、また、違う作品で石丸さんの作品世界にチャレンジしたいと思いました。──本作では様々な役を演じられるとのこと、なかなか想像がつかないのですが……。まだ全貌が本当に分からないですし、正直、これからです。(演出の石丸さんは)今は一番ストーリーとして大事な主軸を作っていらっしゃる段階だと思います。今の状況をこのまま練っていって初日を迎えるというよりも、まだ二転三転するでしょう。日々、その日の風が吹くと思って、自分もそういう気持ちで稽古に臨みたいなと思っています。稽古場では、何かうごめいているものが、エネルギー体としては存在しているんですけど、まだはっきりとしたものは見つけていない。徐々に何かが見えてくる。そんな段階でしょうか。──それは役に関してもそうですし、石丸さんの演出がそういう演出なのでしょうか。特に今回はそうですね。毎日がエチュードをやっているというか、何を振られるか分からない状況。びっくりするような演出や、思いついたアイディアを試してみようという段階です。ここからもっと発展させていくのだろうなと思います。──“びっくりするような演出”というのは具体的にどういうことですか。思っていたよりも、書かれていないところに、いろいろなことが起きるんです。それは幕が開いてのお楽しみになるかもしれないですけど。シンプルな木枠がいろいろな窓になったり、電車になったり。そういうものを自分たちで表現していく際に、決定稿みたいなものはないので、私たちも想像力を使って更にひろげたい。無茶ぶりと思えるようなリクエストにも何か落とし所を見つけていく。毎日驚いたり、面白がりながらやっています。──改めて、石丸さんはどういう演出家だと思いますか。エネルギーがすごいです。パワーの塊みたいな感じです(笑)。石丸さんの中にある熱いものを作品に全力でぶつけていらっしゃるので、役者も同じような誠実さで持って、しっかりと何かを持って稽古場に行かないと、その熱量に負けてしまう。熱量を準備しながら、日々の稽古に臨みたいと思わせるような方だと思います。──前回ご一緒された『まさに世界の終わり』から2年ほど時間が経ちました。何か変化はお互いに感じられますか。石丸さんは私のことはどう思っていらっしゃるか分からないですけど(笑)、石丸さんはいい意味で全く変わっていらっしゃらないですし、パワフルさにも全く衰えがないです。稽古中も「あーそうそう、この感じ!」というように思います。1回ご一緒していますが、私の立ち位置も前回とは違うので、ちょっとヒートアップした石丸さんにツッコミを入れられるような場面を見つけていきたいですね(笑)。厳しさも楽しみながら。少しでも演出家の意図を理解して受け入れていくみたいなことができるといいなと思います。主人公と同じ17歳の時憧れた一路真輝との共演──共演者についてお伺いします。宝塚の先輩である一路真輝さんや、主演の林翔太さんの印象を教えてください。この作品の少年は17歳なんですけど、私が17歳で初舞台の時に、初めてお会いした、そのときのスターさんが一路さんでした。当時の自分のことを思い出しつつ、今回は稽古場でお隣に座らせていただいて……。女優さんとしての見習うべき点がたくさんあり、とても魅力的な方だと思います。私が17歳だった頃にはとても想像できなかったほど気さくに話しかけてくださるし(笑)。居方も演技もいろいろ勉強させていただきたいなと思っています。林くんとは初共演。今マスクをして稽古をしているんですけれども、きっとマスクをとってお芝居をしたら、全然違うんだろうなと。まだまだきっと知らない林くんがいっぱいあるんだろうなと思います。──コロナ禍ならではのエピソードですね。「え、そんな顔だったの?」って、コロナ禍あるあるです(笑)。どんな表情をしているのかも受け取る情報量が少ない、それでも伝わって来るものを大切に稽古しています。──2020年は演劇界にとっても大きな年でした。いろいろなことを感じられたと思いますが、コロナ禍でも舞台に立つ意味や思いをお聞かせください。舞台公演が中止になって、生の舞台ができない時期は、自分たちの仕事の意味や、俳優という仕事の役割を多少は考えましたが、舞台が再開できたときに、以前よりも、舞台で何かを伝えるということ、自分が置かれている日常とは違うものを劇場でライブで体感するということは、とても素敵なことなんだなと思ったんです。これまでも、「舞台が好き」とは思っていたんですけれども、今更ながらその芸術性を感じましたし、人間にとってそういうものは必要なんだなということを改めて感じることができて。仲間たちと一緒に作品を作ることが当たり前じゃないし、それができることに感謝するようになりました。それが、自分が舞台に立つエネルギーにつながったのかもしれないです。以前より、楽しめるようになったし、ただ楽しいだけではなくて、舞台に立っているときの気持ちが強くなりました。一回離れたことで、お芝居をすることと両思いになれたような気もして。その点、私にとってはいいこともあった期間でした。世界的には不安な状況ですし、マスクをしての稽古など、今まで想像もつかないような景色を見ているんですけれども、そうしながらも、何かを発信していくことはきっと続いていくだろうなというようなことも考えました。コロナ禍で上演することの意義──このコロナ禍で上演される『キオスク』。大空さんはこの作品を今上演する意義をどのように感じられますか。不穏な時代、不安の時代というのは、心情的に、とても現状の私たちと重なることが多いと思います。ピュアで多感な17歳の少年の目を通して、その世界を見る。自分たちがどこに向かっているのか分からないですし、正確な道標はないと思うんですけれども、作品の中で、純粋な目で、世の中や社会情勢を見ることで、迷い込んだ状況からちょっと視界がクリアになったり、絶対的に大丈夫という保証はないけれども、微かな希望が見えるかもしれない。今この作品を上演して、お客様がご覧になってくださることによって、きっといろんなことを感じられるはず。心が動くことも大事なこと。何かを提供できる作品だと思います。──大空さんは、宝塚歌劇団を退団されてから、ストレートプレイからミュージカル、インタビュアーとしても活躍されています。幅広いお仕事の中で、ストレートプレイはどういう位置づけなのでしょうか。私の中では、あまり位置づけをしたことはありません。私はミュージカルであれ、ストレートプレイであれ、歌の仕事であれ、表面的な形よりも、もう少し奥にある根底を見ていて、その作品や音楽が持っている、一番核となる部分をいろいろな手法で表現していく。奥にあるものを感じ取って表現するお仕事をしているという感覚です。たまたまそこで歌った。たまたまそこに音楽があった。それは、表現するための必然性。もちろんそれは作り手にとってはジャンルは違うのだと思うんですけど、私の中ではあまり境界線を引かないようにしています。──最後に、お客様へメッセージをお願いします。2020年から、様々な葛藤や不安を抱えて過ごした方が多いと思うんです。世の中全体が厳しい状況の中ではありますが、何か人間らしさや、人間の心、大切な温かいものが、まだ人々の中に残っていて。この『キオスク』という作品は、そういうところに触れてくれるような、だけれども警告も含まれる作品だと思います。きっと何かを持って帰っていただけると思うので、たくさんの方に劇場にいらしていただけたらと思います。取材・文:五月女菜穂撮影:源賀津己ヘアメイク:大宝みゆきスタイリスト:SAKAI『キオスク』作:ローベルト・ゼーターラー翻訳:酒寄進一演出:石丸さち子出演:林翔太橋本さとし大空ゆうひ上西星来(東京パフォーマンスドール)吉田メタル堀文明一路真輝山路和弘【兵庫公演】2021年1月22日(金)~1月24日(日)会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール【東京公演】2021年2月11日(木・祝)~2月21日(日)会場:東京芸術劇場 プレイハウス【静岡公演】2021年2月23日(火・祝)会場:静岡市清水文化会館(マリナート) 大ホール【愛知公演】2021年2月25日(木)会場:日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール【広島公演】2021年2月27日(土)会場:JMSアステールプラザ 大ホール
2021年01月14日オーストラリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによるベストセラー小説『キオスク』が、林翔太を主演に戯曲版で日本初演されることが決定した。ナチスドイツが台頭するオーストリアで時代に翻弄される人々を描いた『キオスク』。2019年12月から今年1月にかけて、末澤誠也(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)主演、石丸さち子上演台本・演出による、原作に忠実に上演したリーディング版日本初上演は大好評を得た。今回は作者本人による戯曲版を、より視覚的に、演劇的な身体を駆使した形で上演することを目指している。本作の主人公は、ウィーンのキオスク(タバコ店)で働くことになった17歳の青年フランツ。ナチスドイツが台頭し、ヒトラーによるホロコーストが始まった1937年のオーストラリアを舞台に、フランツはさまざまな大人たちとの交流や初恋を通じて成長を遂げ、政治や世情と向き合っていく。主演の林を脇で支えるのは、リーディング版に引き続き出演する、実力派女優の一路真輝、東京パフォーマンスドールの上西星来、ベテラン俳優・山路和弘。さらに、今作には、バイプレイヤーとして数多くの作品で活躍する橋本さとし、秀作舞台の常連女優・大空ゆうひ、劇団☆新感線公演でおなじみの吉田メタル、故蜷川幸雄演出作に多数出演の実力派、堀文明が出演する。豪華キャストによって上演される戯曲版『キオスク』をぜひ目の当たりにしてほしい。【公演概要】『キオスク』<兵庫公演>公演期間:2021年1月22日(金)~1月24日(日)会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール<東京公演>公演期間:2021年2月11日(木・祝)~2月21日(日)会場:東京芸術劇場 プレイハウス※ほか、各地公演予定ありオフィシャルサイト:
2020年10月10日オーストリアの人気作家ローベルト・ゼーターラーによる青春小説で、2018年には現地で映画化もされた『キオスク』が、石丸さち子の上演台本・演出により舞台化される。物語の舞台は、ナチスドイツが台頭する1937年のウィーン。田舎から出て来てキオスクの見習い店員となった17歳のフランツは、客としてやって来た精神分析学の創始者、ジークムント・フロイト教授と懇意になる。やがて年頃の青年らしく、謎めいたボヘミアンの少女に恋をするフランツ。時代の波に飲み込まれようとする街で、少年がフロイト教授の手ほどきを受けながら、悩み行動する姿を朗読劇の形で描く「リーディングシアター」だ。フランツ役に扮するのは、今年2月に結成された関西ジャニーズJr.のユニット「Aぇ! group」のメンバーとして活躍する末澤誠也。ユニット所属以前から『ドッグファイト』『スケリグ』に出演するなどして舞台経験を重ねていたが、本作が初の単独主演作品となる。ほかに、自他ともに認めるオーストリアとゆかりの深い女優・一路真輝、東京パフォーマンスドールの上西星来、ストレートプレイからミュージカルまで幅広く活躍する岸祐二、山路和弘が出演。石丸が「素晴らしく魅力的な出演者が集まりました」と胸を張る『キオスク』は、12月25日(水)から29日(日)まで東京芸術劇場 シアターイースト、1月18日(土)・19日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで上演される。文:町田麻子
2019年12月24日建築事務所が手がける新キオスク建築家が手がける千代田区一番町のキオスク「BIRD BATH&KIOSK(バードバスアンドキオスク)」では、「Biople by CosmeKitchen(ビープル バイ コスメキッチン)」が厳選したオーガニック商品の取り扱いを開始しました。いつでも気軽にオーガニックアイテムを「BIRD BATH&KIOSK」は、建築家谷尻誠氏らの手によって企画設計された、キオスク型のコーヒースタンド。“水飲み場”という意味の同店は、小鳥が羽を休める止まり木のような、ほっとできる空間作りがされています。そんなコーヒースタンドで取り扱われているのは、ナチュラル&オーガニックショップ「Biople by CosmeKitchen」がセレクトした、自慢のオーガニック商品の数々。通勤途中や休憩中に気軽に立ち寄り手に取ることができます。オーガニック食品や自然派コスメが、より身近な物になることでしょう。(画像はプレスリリースより)【参考】※株式会社マッシュホールディングスのプレスリリース
2018年12月26日