メモリモジュールやSSDなど、フラッシュメモリで有名なキングストンの高性能デバイスブランド「HyperX」。この「HyperX」から満を持して送り出したヘッドセットが「HyperX Cloud ヘッドセット」だ。スウェーデンのゲーミングデバイスブランドである「QPAD」との共同開発によって誕生したこのヘッドセットは、1万円前後という価格にも関わらず質感が高く、肝となるヘッドフォン/マイクの音質面も妥協を許さぬ作りとなっている。そんな「HyperX Cloud ヘッドセット」の新モデル「HyperX Cloud II ヘッドセット」が2月9日より発売された。違いの分かるユーザーに人気を博したキングストン製ヘッドセットは、どのような進化を遂げたのだろうか。○レザー素材、ベルベット素材2種類のイヤーパッドを同梱プロゲーマーの要望を叶える質実剛健な高品質デバイスを作ることで定評のあるQPADが開発に参加しているだけあり、ディテールはやはりQPADの製品に近い。それは同時に、QPADのヘッドセット最上位モデルの製造にかかわっているマイク/ヘッドフォンなどの老舗メーカー「beyerdynamic」の作りとも類似性があるといえる。ヘッドバンドからフレームまではしっかりしたアルミ製となっており、頭部にしっかりとフィットする。ヘッドバンド部分はHyperXのロゴが刺しゅうされたレザー製となっており、内部には柔らかいウレタンパッドが充填されている。頭部への締め付けも絶妙で、少々乱暴に扱っても破損しそうな気配はない。ケーブルにも布スリーブ加工が施されており、ケーブルの絡みや断線を防止してくれるだろう。○バーチャル7.1chサラウンドを実現するUSBオーディオコントロールボックス「HyperX Cloud II ヘッドセット」での大きな変更点は、新たにDSPを内蔵したUSBオーディオコントロールボックスが追加されたことにあるだろう。ヘッドセットから伸びているコネクタも音声入出力兼用の4極タイプの3.5mmミニ端子となっており、このUSBオーディオコントロールボックスを介してPCやMacと接続することが前提となっている。PC本体に搭載されたサウンド機能でノイズに悩まされている人にはうれしいポイントだ。コントロールボックスにはヘッドフォン/マイクそれぞれのボリュームボタン、ミュートスイッチのほか、バーチャル7,1サウンドボタンを用意。このバーチャル7,1サウンド機能が「HyperX Cloud II ヘッドセット」の肝となるだろう。使用時に専用のドライバーやソフトをインストールする必要は無く、Windows 7や8.1ではUSBケーブルを挿し込むだけで自動的にデバイスが認識される。対応している周波数とビットレートは16ビット/48kHzまでとなっている。○初代のつくりの良さが踏襲されたスピーカードライバーヘッドセットの仕様自体は、スペック、外見両面からみて、初代から変更はないようだ。スピーカードライバーは密閉型のダイナミック方式を採用しており、周波数特性は15Hz~25kHz。53mm径となかなか大きく、すっぽりとはいかないものの、装着時には耳全体をしっかりとカバーしてくれる。全体の形状はQPADの「QH-90」に近いものの、スペック上の周波数特性が微妙に異なり、実際の音も若干音がくっきりと聞こえる傾向となる。この細かな違いがキングストンによるカスタマイズ部分と言えそうだ。イヤーパッドは標準ではレザー素材のもので密閉性が高い。この他、ベルベット素材のイヤーパッドも同梱されており、ともに内部に低反発素材が使用されている。付け替えると音の抜け方が若干変わってくるので、肌触りと音を確認したうえで好みのイヤーパッドを使用すると良いだろう。○TPOに応じて使い分けられる着脱式のグースネックマイクマイクは着脱式となっており、差込口はほこりが入らないようゴム製のカバーで保護されている。音楽再生を中心に使用する場合や、外出先で使用する際にはマイクは邪魔にしかならないので、必要に応じて取り外せるのは嬉しい。またマイク自体の柔軟性も非常に高い。グースネックの採用により、設置位置を自由に調整可能。声の特性に合わせて位置を変更すれば、マイクを吹いてしまったりしてチャット相手に迷惑をかけることもないだろう。また本製品はPCやMac以外の機器でも利用可能。Playstation4やXbox Oneといったゲーム機、iPhoneやAndoroid端末などのモバイル機器と接続する際は、USBオーディオコントロールボックスではなく4極プラグを直接接続すればOKだ。この他、航空機用ジャックや専用の持ち運び用ポーチも同梱されており、旅先で利用することも考慮されている。○USBオーディオコントロールボックスにより使い勝手が向上した第2世代「HyperX Cloud II ヘッドセット」は、評価の高かった初代機の使い勝手を向上させた製品だ。アルミフレームやレザー、ラバーコーティング、布スリーブケーブルといった贅沢な仕様、そしてゲームに適性の高い音質はそのままに、DSP内蔵のUSBオーディオコントロールボックスを追加。PCのサウンド環境が整っていないユーザーでもすぐにその高音質を体感できるモデルとなっている。販売経路がそれほど広くないのが残念だが、もし実物に触れることがあるならば、ぜひ一度その音を聴いてみるとよいだろう。本製品のコストパフォーマンスの高さが実感できるはずだ。なお今回試用したのはレッドモデル。初代「HyperX Cloud」のブラックモデルに相当するが、スピーカードライバーを支えるアルミフレームが赤色になったため、レッドモデルという扱いになった。またブラックとシルバーで統一され頑強なイメージを備えたガンメタルモデルが用意されている。この他、ホワイト&ピンクというカラーリングを施したモデルも発売されているようだ。最近では女性PCゲーマーも増えてきている。ユーザーの間口を広げるためにも、こちらのカラーの展開もぜひ期待したい。
2015年02月20日キングストンテクノロジーは7日、読み取り速度90MB/s・書き込み速度80MB/sを実現したmicroSDHC/SDXCメモリーカード(SDCA3)を発表した。容量は16GB/32GB/64GB。それぞれメディアのみのモデルとSDカードアダプターが付属するモデルを発売する。発売は2月上旬で、価格はオープン。SDCA3はその高速性から、フルHDやウルトラHD、3D、4K2Kといったデータ量が多い動画の撮影にも適している。また、耐水性や、耐ショック・振動性、耐X線性、耐熱性を持つ。高速インタフェースのUHS-Iに対応し、UHSスピードクラスは「U3」(30MB/秒の最低書き込み速度を保証)だ。サイズはW11×D1×H15mm、SDカードアダプタのサイズはW24×D2.1×H32mm。動作温度は-25度から+85度まで。無期限保証と無償テクニカルサポートが付属する。
2015年01月07日○PCを構成する重要なパーツの一つ「メモリ」マザーボードでも、メモリのオーバークロックへの対応をうたっている製品は少なくない。だが自分で設定を行おうとすると項目の多さでつまづきやすく、結局標準のSPD設定のまま使用している方も少なくないと思う。しかし世の中にはオーバークロックメモリという製品が存在し、簡単にオーバークロック動作が行える仕組みも整えられている。そんなオーバークロックメモリの製品の一つが、今回紹介するキングストンの「HyperX」シリーズだ。キングストンといえば、個人からも法人からも厚い信頼が寄せられているDRAMモジュールシェア世界第一位の企業。その製品には期待が持てる。とはいえ、そもそもメモリのクロック周波数を上げることに意味があるのか、という時点から疑問に感じている方も少なくないだろう。今回はその疑問に応えるべく、検証を踏まえながら紹介して行きたいと思う。○XMPに対応したメモリはオーバークロック設定が書き込み済み今回お借りしたのは、キングストンのオーバークロックメモリブランド「HyperX」の中でも、特に熱分散力の優れた大型ヒートシンクを搭載した「HyperX Predator」シリーズの製品だ。動作クロックは2666MHz。Intel Z87 Express構成の標準的なメモリ速度は1333MHzもしくは1600MHzなので、倍近いクロックで動作することとなる。とはいえ、メモリアクセスタイミングもクロックの上昇とともに変化していくため、クロックが上がったからといって単純に速くなるとも限らないのが難しい点だ。一昔前であればそういったメモリクロックやアクセスタイミングを自分で設定、調整する必要があった。しかし現在はオーバークロックメモリ向け追加設定規格が策定されており、その設定を呼び出すことで簡単にオーバークロックが可能となっている。今回検証する「KHX26C11T2K2/8X」はインテルのXMPに対応しているため、マザーボードのBIOS(UEFI)画面から簡単にオーバークロックが行える。ただし、マザーボード自体がオーバークロックに耐えられなくては、肝心のメモリも本領が発揮できない。そこで今回は、サイコムの「G-Master Cutlass2-ITX-DQX」を検証用に使用させていただいた。水冷ユニットを搭載した小型ゲーミングPCで、省スペースながらもミドルハイクラスのGPUを備え、オーバークロックにも対応している。○DDR3-2666MHz動作の「KHX26C11T2K2/8X」まずは「KHX26C11T2K2/8X」の外観をチェックしてみよう。やはり目を引くのは、大きなヒートシンク。しっかりとした重量感のある厚手の金属でメモリが挟まれており、冷却効果は高そうだ。ただしその大きさゆえに、CPUクーラーとの干渉やケース内での取り回しには注意が必要。標準のメモリの高さが30mmのところ、こちらの製品は53.9mmもの高さがある。できる限り干渉を減らしたいのであれば、簡易水冷ユニットなどを利用するとよいだろう。●ベンチマークでオーバークロックメモリの実力を知ろう○メモリの設定値を確認するさっそくベンチマークを行っていきたいところだが、まずはPC内のデバイス情報を表示するソフト「CPU-Z」で、「KHX26C11T2K2/8X」と通常のDDR3-1600メモリの設定を見てみよう。まず「KHX26C11T2K2/8X」の情報を見ると、最高設定のXMP 2666MHzのほか、若干クロックを下げたXMP 2400MHz設定も用意されていることがわかる。1333MHz動作時のメモリタイミングは、CL11-13-13-32。一方通常のDDR3-1600MHzのメモリタイミングは、CL11-11-11-28となっている。○1600MHzと2666MHzの差をベンチマークで比較それでは、ベンチマークに移ろう。まずは、Windowsの動作の指針となるWindows エクスペリエンス インデックススコアから。2666MHz設定にしたところ、1600MHzよりもメモリ、グラフィックス、ゲーム用グラフィックスの数値が上昇した。予想以上に上がり幅も大きく、ほかのベンチマーク結果にも期待が持てそうだ。続いてベンチマークソフトの定番2本、「SisoftWare Sandra 2014」 の「メモリーの帯域」、および「FUTUREMARK 3DMARK」の検証結果。メモリー帯域は大幅にアップしており、数値どおりの結果が確認できる。一方、3DMarkの結果は、微増というところ。確実に効果は見込めるが、ほかのデバイスの影響力が大きそうだ。○エンコードは早くなるのか? 実アプリでの効果をチェック最後に、実際にアプリを動かしたときの速度アップを見込めるかどうか、動画のエンコードで試してみることにしよう。834MBのMP4ファイルを、ペガシスの「TMPGEnc Video Mastering Works 5」にてDivXに変換し、その速度を計測した。結果としては、1600MHz設定に比べ、2666MHz設定が2分ほどはやく変換を終えることができた。さらにサイズの大きいファイルだったり、2パスエンコード設定にした場合、その差はさらに広がることだろう。○ボトルネックを解消できる、カスタマイズ最後の一押しメモリの速度は、現状ソフト動作の必須環境にあげられることは少ない。そのため、ひとまずのバルク製品を購入し、使い続けているユーザーは多いはず。しかし今回の結果で、メモリクロックの向上はWindowsやソフトの動作速度に確実に影響していることがわかった。PCの構成を吟味しシステムを調整、すでに自分のPCに改良するところはないと思っている方にこそ、メモリの変更をぜひおすすめしたい。リスクなしに簡単にオーバークロックメモリの恩恵を受けることのできるキングストンの「HyperX」ならば、お気に入りのPCの性能を底上げする「最後の一押し」として活躍してくれるはずだ。
2013年12月27日