この夏、某大物女優が長年事実婚していた相手を亡くされてその関係性が話題となりました。また、某歌手がヒット曲の中で“灰色の夜空”“曖昧な関係でもいい”と歌ったことも記憶に新しいものです。子供の頃には耳にしなかった、“事実婚”“内縁の妻”etc...白でなければ黒でもない、“グレー”な関係。大人でも理解し難いともいえるこの関係性の持つ魅力とは一体何なのでしょう。先述しました事実婚に焦点を当てた場合、子供が出来た場合に非嫡出子となることや税金の配偶者控除を受けられないこと、また夫婦間で相続権がないなど少し話が難しくなりますので、ここではもう少し簡単に、事実婚の一歩手前である、いわゆる【友達以上恋人未満】における“グレー”な関係に的を絞ってみましょう。“彼氏(彼女)じゃないけど彼氏(彼女)みたいな感じの好きな人”。極めて曖昧な表現であるこの言葉ですが、こういった愛の形に当てはまる相手がいたことはありますか?近年では昔ではとても考えられなかったようなこういった間柄がそう珍しくもないものだと考えられます。私の周りにもこの関係に居心地の良さを覚えてハマった人が何人かいます。しかしそれと同時に当初は見えていなかったこの特殊な関係の落とし穴に苦しむ人も同じ数だけ見受けられます。彼女たちから直接聞いた歓びの声と悲痛の声、メリットとデメリットとは―…。◆ メリット・相手に束縛されないため自由でいられる・結びつきの強制感がなく精神上気楽に付き合える・両者の意志だけを絆とするため、純粋に互いへの気持ちを強められるモチベーションに繋がりうる・お互いが依存することなく、自立している・どちらか一方の立場が「弱い」「 強い」のではない、対等なパートナーシップを築きやすい◆ デメリット・社会的に受け入れられづらい・家族や周りに対して、説明が面倒・妬きもちをやいたところでどうしようもない・例え相手に恋人が出来たとしてもそれを非難できない・関係をつめても相手を困らせるだけどうでしょう。ザッっと羅列してみましたが、この関係、良い点もそうでない点も同じ数だけ潜んでいるように思います。またこういったメリット/デメリットを目前にした上で感じるのは、信頼と“好き”という気持ちのみで相手と繋がっているこの関係は、ある意味究極の愛とも呼べるのではないかということ。しかしその一方で、義務や拘束力の存在しない砂上の楼閣であることの代償として、危険でもあるということ。後者について述べると、つまりは、“好きになったが負け”なのです。同じスタンスでお付き合いしていないと、辛くなって最終的には傷付くだけなのです。当初は居心地の良さを覚えて、その関係に不満や疑問を抱くことは欠けらもなかったはずが、次第に「私たちって一体どういう関係なんだろう…」「相手はどういうつもりなんだろう…」そんな不安に押し潰されそうになってしまったら厄介です。“グレーな関係にけじめをつける”のか。“グレーを白にする”のか。幸せになるための選択は千差万別です。明るく前向きでオープンな関係性がもちろん良いに決まっていますが、こういった愛の形も事実存在するのが美しくキレイなことばかりではない人の世であり、人生のおもしろい所なのではないでしょうか。あなたならどんな選択をしますか―。
2011年11月25日