体質改善が目指せる「ケトジェニックダイエット」自由国民社は2023年8月28日、三浦卓也氏の新刊『コンビニ飯で勝手にやせる 7日間食べるだけダイエット ミウラ式ケトジェニックでイッキに-5kg!』を発売します。同書では、アメリカで話題の「ケトジェニックダイエット」を取り入れたダイエット方法を紹介。コンビニごはんを活用した献立が掲載されているので、手軽に実践することができます。7日間で体質改善を目指したい人や、空腹感のストレスを感じずにやせたい人、短期間でむくみを解消したい人などにおすすめです。販売価格は1,485円です。Amazonなどで予約を受け付けています。自身も1年で10kgの減量に成功三浦卓也(みうらたくや)氏は1984年生まれです。会社員時代に太ってしまったことがきっかけで、ケトジェニックダイエットに独自の方法を加えた「ミウラ式ダイエット術」を考案しました。会社員を辞めて「ミウラタクヤ商店」を起業。「社会の脂肪を減らす」をコンセプトに、これまでに1,000人以上のダイエット相談に応え、多くの人のダイエットを成功に導いてきました。オフィシャルインスタグラムでは、「ケトジェニックダイエット」に関する情報を発信。フォロワー数は15,000人を超えています。(画像は三浦卓也オフィシャルインスタグラムより)【参考】※Amazon※三浦卓也オフィシャルインスタグラム
2023年08月21日“ケトジェニックダイエット”とは?出典:byBirth通常は、体のエネルギー源は、糖質から生み出されるATP(アデノシン三リン酸)です。ケトジェニックダイエットは、脂質が材料となる「ケトン体」をエネルギー源にしておこないます。体の脂肪がエネルギーとして使われるため、痩せやすい体をつくることができるのだそう。脂質をエネルギー源にするためには、糖質を制限して、脂質を十分に摂取します。メリット・デメリットケトジェニックダイエットのメリットといえば、空腹感を感じにくい体脂肪を減らすことができるなどが挙げられます。糖質を制限するため血糖値の上昇・下降が起こりにくく、空腹感を感じることが少ないとされています。また、体重もさることながら、体脂肪を減らしたいという人におすすめです。デメリットといえば、体が、ケトン体をつくる状態(ケトーシス)になるまで辛いケトン体独特の臭いが出ることもあるなどが挙げられます。ケトン体をつくる状態になるまでには、2週間以上かかる人もいるのだそう。糖質をエネルギー源にしていた状態から、ケトン体がエネルギー源になる変化に、体が馴染むまで辛いという人も多いといわれています。また、ケトン体は独特の酸っぱい臭いをもつため、個人差はありますが、全身から臭いがする可能性もあります。“ケトジェニックダイエット”の具体的なやり方1日の必要エネルギー量・PFC比を設定する出典:byBirth1日の必要エネルギー量は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、例えば身体活動レベルが「ふつう」の場合、30~49歳女性は2050kcalとなっています。この数値を目安に、たんぱく質30%、脂質60%、炭水化物10%の割合で摂取するのが、ケトジェニックダイエットを始める第一歩となるのだそう。脂質の割合が高く、糖質が少ないことがよく分かりますね。脂質を十分に摂取する出典:byBirth先の項目でも述べたように、ケトジェニックダイエットでは脂質量を十分に確保することが大切です。ただし、脂質といっても良質なものを摂取するのがおすすめ。例えば「MCTオイル」。MCTオイルは中鎖脂肪酸が多く含まれていて、すぐに消化吸収がおこなわれ、肝臓で分解されてケトン体となります。ココナッツオイルが約6割を占めるココナッツオイルや、中鎖脂肪酸100%のオイルも売られているため、利用しましょう。その他には、オメガ3脂肪酸が含まれる青魚(サバ・いわしなど)や、脂質だけでなく抗酸化作用が高いビタミンEが豊富なアボカドやアーモンドなどのナッツ類もおすすめです。糖質を抑える出典:byBirthケトジェニックダイエットでは、1日に糖質量は50g以下に抑えるのだそう。それにより、糖質がエネルギー源であった体を、脂質をエネルギー源とする体に切り替えることができるといわれています。白米やパン、麺類をたくさん食べることは難しいですが、食物繊維量やビタミンが豊富な雑穀米や、全粒粉パスタなどを利用して、糖質量を抑えましょう。ただし、糖質を極端に抑えることで体調不良が続く場合には、ケトジェニックダイエットが体に合っていない可能性があるため中止してくださいね。たんぱく質の摂取にも注意出典:byBirthたんぱく質が分解されてできるアミノ酸には、「糖原性アミノ酸」と「ケト原性アミノ酸」の2つの種類があります。名前の通り、糖原性アミノ酸は糖質に変換されることがあるアミノ酸で、ケト原性アミノ酸はケトン体に変換されることがあるアミノ酸です。ケトジェニックダイエットでは、糖質を制限してケトン体をエネルギー源にする必要があるため、ケト原性アミノ酸を中心に摂取することが良いのだそう。ケト原性アミノ酸とは、ロイシンやリジンなどをいいます。ロイシンは牛肉や鮭などの動物性たんぱく質や、高野豆腐や乳製品に含まれています。リジンもロイシンと同じく、肉類・魚介類、乳製品などに多く含まれています。サプリメントを上手く利用するのも、良いかと思います。便秘を予防する出典:byBirth代謝の良い体をつくるために、便秘を予防することも大切です。そのために、食物繊維が豊富に含まれる野菜類や発酵食品を積極的に摂取しましょう。便のカサを増やして排便を促す不溶性食物繊維が豊富な「キャベツ」や、便を柔らかくして排便を促す、ひじきやわかめなどの「海藻類」、キムチや味噌汁、ヨーグルトなどがおすすめです。あわせて運動もおこなう出典:byBirth食事制限だけのダイエットをおこなうと、食事制限をやめるとリバウンドすることがあります。そのため、筋肉トレーニングで筋肉をつけたり、有酸素運動で脂肪を燃やして、痩せやすい体づくりをしておくことも大切になります。運動は、続けることが大切なので、「息があがる程度」の強度で、スクワットや腹筋などの筋肉トレーニングと、ジョギングなどの有酸素運動をおこないましょう。ケトジェニックダイエットをおこなう上での注意点出典:byBirth短期間でおこなうケトジェニックダイエットは、数あるダイエット法の中でも食事内容が厳しく特殊であるため、短期間でおこないましょう。体質に合わない場合は、中止するケトジェニックダイエットが体質にあわない場合もあるため、その場合は無理をせず中止してください。いかがでしたか?ケトジェニックダイエットは、数あるダイエットの中でも、食事量や内容の決め方が難しいかと思います。ジムなどで専属のトレーナーや栄養士に指導を受けながら、取り組むのもおすすめです。無理なく、体質に合う方は、ぜひケトジェニックダイエットを試してみてくださいね。
2022年05月01日現代ではさまざまなダイエット方法がありますが、ケトン体ダイエットとはどんなものか、ご存知ですか?今回は食育指導士の内藤 絢先生に、ケトン体ダイエットの内容やメリットデメリットをはじめ、向いている人や向かない人、注意点などを詳しく教えていただきました。ケトン体ダイエットとはどんなもの?ケトン体ダイエットとは、しっかり食べながら痩せるダイエット法で、通称ケトジェニックダイエットとも呼ばれます。高タンパク食物を主に摂取するダイエット方法であり、通常のダイエットと違って脂質も摂取できるのが特徴です。カロリーのことは忘れ、お腹が満たされるダイエット法として海外セレブにも多く取り入れられています。炭水化物をはじめとした糖質類をカットしながら、タンパク質、脂質を多く摂ることで脂肪燃焼を促進させます。この食事法を行うと体のエネルギー供給源がブドウ糖から脂肪に変わるので、脂肪が分解されてエネルギーを作り出すようになります。糖質制限よりも更に糖をカットする分、減量も早く効果が表れるケースもある上に、食べる量を制限するのが苦手な方でもストレスがかかりにくいのが特徴です。ケトン体ダイエットのメリット・デメリットメリットケトン体ダイエットのメリットは、カロリー制限や脂質を気にしない食生活を送れることです。ダイエットというと、カロリー制限のイメージがある人は多いのでは?しかし、この方法にはカロリー制限は一切ありません。食べることが好きな人には大きなメリットといえます。デメリット一方でデメリットは、食べられるものに制限が多い点です。炭水化物、でんぷん、小麦類、果物といった糖質が多く含まれる食物は、原則的に摂取できません。特に外食先や外食時の食事では食べられるものが限られるため、苦労することも多くなるでしょう。無理なく健康的に行えるケトン体ダイエットの方法とポイント期間中、積極的に運動をするケトン体ダイエットは糖質類・炭水化物の摂取をやめる分、タンパク質の摂取量が多くなることで運動時の筋肉活動が向上します。その結果、脂肪燃焼効果が期待できるのです。1日あたり30分のウォーキングなど、軽めの運動を行いましょう。蒸す・茹でるがポイント!動物性タンパク質の食物を摂取する上で、揚げる、焼くの調理法より蒸す、茹でるを選ぶことがポイントです。ケトン体ダイエットは脂質も摂取できますが、油の使い方ひとつで体への負担が変わります。特に揚げ物は消化に負担が大きくかかる上、体内酸化の元に。そのため、蒸したり茹でたりした食物に亜麻仁油、えごま油などのオメガ3の油をかけて摂取する方法をおすすめします。ダイエットを行う場合どのくらいの期間でどのくらいの効果が?ケトン体の体質に変わるのは、早い人で2日、平均では1週間といわれます。最も早く効果を出すためには、空腹で30分程の軽い運動をした上で炭水化物の摂取量を1日あたり20g以下にすることです。しかし、20gとはつまり米・小麦製品を一切摂らない、芋類も禁止という厳しい食生活となります。開始時は40gの摂取を目安にし、1週間後からは20gに減らすことをおすすめします。これは体への負担が大き過ぎてかえって体調を崩す恐れがあるためであり、時間をかけながらケトン体の体質作りをしましょう。高い効果を得られた際には、2週間で3㎏前後の減量ができるといわれます。ケトン体ダイエットが向いている人・向かない人とはケトン体ダイエットに向いているのは、食事の量を減らすダイエットで失敗したことがある人です。ケトン体ダイエットなら、食べる量が減ることで空腹でイライラし、反動で食べてリバウンドというダイエット特有のストレスの元を取り除きながら実施できます。一方で向かない人は、胃腸が弱くて便秘や軟便気味の人です。ケトン体ダイエットは動物性タンパク質の摂取が多くなる分、消化に大量のエネルギーを使います。その上、小腸を疲れさせるためスムーズなお通じを阻害する恐れがあります。ケトン体ダイエットを行う際の注意点はじめから炭水化物を完全に抜かないように開始時から完全に炭水化物を抜かないようにしましょう。急に大幅な糖質制限をすることで、ケトン体が作られ過ぎて血液が酸性になる危険な状態を招いてしまいます。その結果、脱水症状や目眩、低血圧などにつながります。糖質の量は徐々に減らすようにする糖質の量は徐々に減らすようにしましょう。ケトン体が使われる時は、体内に糖が欠乏しているときです。一気に糖質の量を減らすと脂肪代謝に関わる肝臓へ大きな負担がかかり、解毒作用が低下するほか、体臭や口臭がきつくなる原因にもなります。ケトン体ダイエットの正しい方法を知って実践しようこれまで食べる量などでダイエットを行っていた人は、しっかり食べてもOKのケトン体ダイエットを試してみましょう。ただし、適切な方法を把握しておくことが大切。いきなり炭水化物を完全に抜いてしまったり、糖質を一気に減らしてしまうのは、体にも負担がかかるなど良い効果は期待できません。正しい方法でチャレンジし、健やかな体でダイエットできるよう心がけてみましょう。内藤 絢睡眠専門家、ヨガインストラクター
2019年10月27日ケトジェニックダイエットは、糖質制限と同様に「食べながら痩せられる」ことで話題になったダイエット方法です。ケトジェニックダイエットが気になっている方に向けて、脂肪が燃焼するメカニズムや効果、注意点を美宅玲子先生から教えていただきました。ケトジェニックダイエットとは?ケトジェニックダイエットは、糖質を制限してタンパク質や脂質メインの食事をするダイエット方法です。エネルギー源の90%程度を脂質から摂取することで、体内の糖質が不足します。代わりに脂肪を燃焼する際、肝臓で作られる「ケトン体」をエネルギー源とするようになるのです。ケトジェニックダイエットをすることで、余分な脂肪を燃やして脂肪を溜めにくい体になると言われています。ケトジェニックダイエットに期待できる効果脂肪がつきにくくなる糖質を抑えることで糖質依存が軽減され、血糖値が安定してインスリンの過剰分泌がなくなります。インスリンには脂肪を溜めこむ作用があるため、脂肪をつきにくくする効果が期待できるでしょう。自律神経を整え食べすぎが減る糖質依存が減って血糖値の上下が少なくなると、自律神経が整い、心身を落ち着いた状態にする効果も。また、糖質の代わりにエネルギー源として作られるケトン体には、神経の興奮を抑え、心を落ち着かせるGABAを増やす働きがあることもわかっています。心身を安定させることで「ごはんが食べたい!」「甘いものが食べたい!」という欲求を抑え、食べすぎを防止することが可能です。ケトジェニックダイエットのやり方炭水化物、糖質の摂取を減らす米やパン、麺などGI値が高い(食後に血糖値が上昇しやすい)食品を控えます。ナッツ類は食物繊維が豊富でGI値も低く、脂質(カロリー)も摂れるためおすすめです。タンパク質を摂る肉や魚など、タンパク質を摂ることで筋肉が落ちるのを防ぎましょう。オメガ3系の油を摂る青魚、亜麻仁油、えごま油、ココナッツ油などには、体の炎症を抑え、血流を良くする効果が期待できます。これらオメガ3系の油の働きで、エネルギー源を脂質とタンパク質メインにシフトします。ビタミン、ミネラルも欠かさずに代謝に大切な役割を果たすビタミン、ミネラルを摂取するため野菜などもしっかり食べましょう。ケトジェニックダイエットの注意点オメガ3系の油は加熱せず使うオメガ3系の油は熱に弱いため、ドレッシングのようにしてかけたり和えたりして使いましょう。具合が悪くなったら無理をしない糖質を抜くと具合が悪くなることもあります。その場合は、少量の糖質を3食以上に分けてこまめに摂り、血糖値が上下しすぎないようにしてください。ケトジェニックダイエットで太りづらい体を目指そう食事の内容に厳しい条件のあるケトジェニックダイエットですが、成功すれば脂肪がつきづらい体質に変わることができます。どうしても主食や甘いものが我慢できないという方は、思い切ってケトジェニックダイエットに挑戦すると糖質依存を断ち切れるかもしれませんよ。美宅 玲子ヨガ・ピラティス・美姿勢インストラクター
2019年08月31日●ダイエットを成功に導く4つのルール講談社はこのほど、『ケトジェニックダイエット 糖質制限+肉食でケトン体回路を回し健康的に痩せる! 』(斎藤糧三著 / 1,404円・税込)を発売した。前編では、同書をもとに、糖質制限に肉をプラスして痩(や)せる「ケトジェニックダイエット」の理論について紹介。今回の後編では、同ダイエットのやり方を解説するとともに、著者であるナグモクリニック東京・アンチエイジング外来医長の斎藤糧三医師のインタビューをお届けする。○ダイエットを始める前に同書では、始める前の注意点として、まず「筋肉量を減らさないこと」をあげ、体組成計を用いて、毎日決まった時間に同じ条件で記録することを勧めている。また、ケトジェニックダイエットは、健康な人向けのものであるため、糖尿病の人や腎臓・肝臓に問題がある人は、主治医と相談するようにとのこと。やってもよい期間は、2週間を目安に最長でも1カ月以内。気になる症状があるときは、自己判断せずに医師や専門家の意見を仰ぐこと、1カ月以上継続したい場合は、血液検査を受けるなどして体調や健康状態をチェックしてから行うことを示している。○これだけは押さえたい4つのルールここからは、ケトジェニックダイエットのやり方をまとめていこう。■ルール1. 糖質を制限する摂(と)ってもよい糖質の量は、1食20g以下(1日あたり60g以下)。同ダイエットが他の糖質制限と大きく違う点として、糖質量が100gあたり10g未満の食品・食材は「低糖質食品」とみなし、1食分の糖質量にカウントしなくてもよいとしている。■ルール2. タンパク質をしっかりとる1日に摂るべきタンパク質の量は、体重1kgあたり1.2~1.6g(多くても2.0gは超えないように)。体重55kgの人なら、1日55kg×1.2~1.6g=66~88gが必要量。この体重の人が、肉だけでタンパク質を摂るとすれば、肉は正味量の約20%がタンパク質量のため、1日330~440g必要となる。各食材のタンパク質量の目安は以下を参考にしてみよう。肉類(100g) 約20g魚類(100g) 約20g卵(1個) 約6g豆腐(1丁=300g) 約20g大豆(100g) 約10gなお、タンパク質を摂取できる食材は、牛・豚・鶏・羊などの肉類全般、魚介類全般、卵、大豆製品。中でも牧草を食べて育った「牧草牛(牧草飼育牛)」は、オメガ3脂肪酸などの栄養素を豊富に含んでいるため、おすすめとのこと。■ルール3. 食物繊維・ミネラルをしっかりとる1日に摂るべき食物繊維の総量(水溶性と不溶性の合計)は20g以上。葉野菜は重量の3~5%が食物繊維のため、食物繊維の1日の摂取量を生の葉野菜に換算すると400~670g。両手山盛り以上の野菜をサラダにして食物繊維が約20g摂れるとしている。同書では、「肉・魚」と「野菜・きのこ」を同量ずつ食べることを推奨。野菜の中でもいも類・根菜類には糖質が高いものが多いので、注意が必要とのこと。1日に摂るべきミネラルの量は、カリウム3.5g以上、カルシウム650mg以上、マグネシウム350mg以上。ミネラルは、大豆、生わかめ、ほうれんそう、納豆、アボカド、アーモンドなどの食材から摂れる。■ルール4. オメガ3脂肪酸を小さじ1杯以上/1日1日のオメガ3脂肪酸の必要量は2g以上(1日小さじ1杯以上)。体内で合成できない「必須脂肪酸」は、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の2つ。普段の食事でオメガ3脂肪酸は摂りにくいため、同ダイエットではあえて1日の量を定めている。オメガ3脂肪酸は、以下のオイルから摂取できる。サチャインチオイルあまに油えごま油ヘンプシードオイル青魚の油これらのオイルは加熱調理には向かないので、サラダなどのドレッシングにするか、冷たいスープに混ぜるとよいとのこと。なお同書には、OK食材・NG食材や、自炊派・外食派・コンビニ派にあわせた食材の選び方も書いてあるので参考にしてみよう。続いて、働く男女が同ダイエットを行う際の注意点をお聞きするべく、斎藤医師にインタビューを試みた。●ドクターに聞いた! 働く男女が実践するときの注意点○著者・斎藤糧三医師にインタビュー――「ケトジェニックダイエット」は運動しなくても痩せますか?もちろん、運動しないよりはした方がいいのですが、ケトジェニックダイエットでは、運動をしたときと同等の体重の変化が見込めます。糖質を制限してたんぱく質の量を増やせば、筋肉がついて脂肪の蓄積をブロックできますので。ご高齢の方にもおすすめです。――働いていると、急な飲み会などでダイエットができない日もあります。ゆるくやってもいいのでしょうか?翌日から頑張ったほうがいいですね。もしケトジェニックダイエット中におむすびを1つ食べたら、そこで痩せる回路が止まりますから。それが1食でもあれば、その日は痩せる可能性が低くなってしまいます。それ以上ならもっと。"今日はしょうがない、次の日から頑張る"と思って切り替えましょう。――残業で帰りが遅いこともあって……。食べる時間が遅くなっても、お肉を食べないとダメですか?食べられるなら食べてください。でも寝る前の3時間以内に食べると、交感神経が高まって睡眠の質が落ちるといわれているので注意しましょう。ちなみに、睡眠時間は7時間より多くても少なくてもよくありません。――より効果を得るためには、牛なら牛と同じ種類の肉を食べ続けたほうがいいですか? それとも変えたほうが?牛肉は亜鉛などの栄養素が多く含まれるのでおすすめですが、好きな肉を食べて大丈夫。同じ種類を食べ続けても効果は出ますよ。肉が食べられない人や苦手な人は、大豆製品や魚でも問題ありません。――糖質制限ダイエットの中には、肉・卵・チーズを中心に食べる「MEC(メック)食」もあります。先生は卵のアレルギーだとお聞きしました。特に卵や乳製品のアレルギーがなければ、MEC食でもいいのでしょうか?いやいや、アレルギーに気づいていない人がかなり多いんですよ。遅延型アレルギーというIgE抗体が関わっているタイプは、アレルギー症状に気づきづらいですし、なかなか検査もしないでしょう。その点、肉は人間が長い間食べてきた食材ですので、アレルギーが起こりにくく、よりリスクが少ないと思います。あなただって卵や乳製品のアレルギーかもしれないよ? 顔色悪いし(笑)。――部屋が暗くても顔色悪いの、わかりますか!?(笑)。女性の場合は生理があるから貧血の可能性もありますが、アレルギーの人はヒスタミンが出て血行が悪くなるんです。ケトジェニックダイエットは血行がよくなるので、試してみたら顔色も改善すると思いますよ。――他に女性にとっておすすめな点はありますか?一番は「たるまないよ」ってこと。筋肉をつけないと体はたるんじゃいますが、タンパク質を摂取して筋肉をちゃんとつけておくと、太りにくくなるし、たるみません。――男性に向けてのメリットは?例えば健康診断の前にケトジェニックダイエットをやれば、脂肪肝の値は正常になると思いますよ。――ありがとうございました。糖質を制限しながらタンパク質などの栄養素を補うケトジェニックダイエット。同書では、糖質の体への影響、肉やタンパク質の健康効果、ケトン体回路を回して痩せる理論などがわかりやすく解説されている。痩せる以外に、さまざまな健康・美容効果が期待できることも興味深い。挑戦する際は、同ダイエットのルールを守って、正しい方法で行うようにしよう。
2016年03月10日●体がボロボロになる人とならない人の違い講談社はこのほど、『ケトジェニックダイエット 糖質制限+肉食でケトン体回路を回し健康的に痩せる! 』(斎藤糧三著 / 1,404円・税込)を発売した。○糖質制限ダイエットへの賛否両論糖質制限は、近年ブームを巻き起こしたダイエット法の1つ。文字通り、食事から糖質をカットして痩(や)せる方法だ。実際に痩せた人がいる一方で、そのリスクもしばしば議論の的になる。「こんなに体重が落ちて体に害はないのか? 」「完全に糖質を抜いても本当に大丈夫なのか? 」といった声である。著者のナグモクリニック東京・アンチエイジング外来医長の斎藤糧三医師は、同書で、糖質制限ダイエットに否定的な意見があることを認めながら、間違った糖質制限のリスクを解説。そして、正しい糖質制限として「ケトジェニックダイエット」を提唱している。○やめられない人は「糖質中毒」かも?まず、斎藤医師は「糖質制限が悪いのではない」という見解を述べている。糖質(炭水化物から食物繊維を除いたもの)を摂取すると血糖値が急激に上がり、それを下げるために「インスリン」というホルモンが分泌。このインスリンは"肥満ホルモン"ともいわれ、過剰に分泌されると血中の糖質と結びついて脂肪になる。これが糖質によって「太る」メカニズムだ。なお、食後血糖値の急上昇・急降下は、太るだけでなく、冷えや老化なども引き起こすという。とはいえ、糖質は大切なエネルギー源。「糖質を抜いたら頭が働かない」「フラフラしてしまう」と心配する人もいるだろう。しかし、それは「糖質中毒」のサインかもしれない。糖質は脳に影響を与えるため、強烈な中毒性と依存性を招くのだという。同書では、「パン屋さんの脇を通るとき、匂いに誘われて素通りできない人、それはかなりの中毒症状だと自覚しましょう」と警告している。○糖質「だけ」制限するから危険では、糖質制限はなぜ危険視されることがあるのか。斎藤医師は、その理由を「糖質だけを制限するから」と指摘。それまで糖質を摂(と)っていた人が糖質を制限すると体重は減る。しかし糖質を摂取しなくなると、「糖新生」といって、体内で筋肉などをもとに糖質をつくるしくみが働くため、筋肉をつくるタンパク質を補わないまま糖質制限を続けると、体がボロボロになってしまう可能性があるというのだ。そこで斎藤医師は、糖質制限に「肉食」をプラスする「ケトジェニックダイエット」を提案。同ダイエットは、糖質制限をしつつ、タンパク質などの栄養素をしっかり摂る"正しい糖質制限"と明言している。●糖質を枯渇させることで脂肪が燃える!○ケトジェニックって?続いて、「ケトジェニック」という聞き慣れない言葉について説明しよう。「ケトジェニック(ketogenic)」は、日本語訳で「ケトン体生成の」という意味。同書のタイトルにも「ケトン体回路を回し健康的に痩せる! 」とあるが、同ダイエットでは、ケトン体回路を活発に回してケトジェニック状態にすることがダイエットのポイントとなっている。糖質は、タンパク質・脂質と並ぶエネルギー源の1つ。食事で糖質を摂らなくなると、前述した「糖新生」というシステムにおいて、脂肪から分解されるグリセロール、筋肉を構成しているアミノ酸などを材料に、体内で糖をつくり出すようになる。ただし、糖新生でつくれる糖質量にも限りがあるため、エネルギーのメインは「糖エネルギー」から「脂肪酸エネルギー」へとシフトし、体内の中性脂肪を分解してエネルギーをつくり出すことになるという。○減らしたいのは「体脂肪」だけ!このとき、脂肪酸の一部はケトン体という物質に変わる。これが「ケトン体回路」。つまり、体脂肪からケトン体が発生するまでのシステムのことで、体脂肪を燃やして痩せるという仕組みだ。このケトン体回路が動くと、あらゆる細胞でエネルギーとして使われる。あえて糖質を摂らないでずっと枯渇した状態にしておくと、ケトン体を供給しなければならず、脂肪細胞中の中性脂肪がどんどん分解・放出されていく。同書では、このケトン体回路が活発に回り続けた状態を「ケトジェニック状態」と表現している。ケトジェニックダイエットでは、「減らしたいのは体脂肪だけ」がキーワード。糖新生によって筋肉を構成するアミノ酸が消費されるため、タンパク質を多めに摂取して体内のタンパク質を維持することが重要なのだ。そして、このダイエットの効果は痩せることだけではない。実践した人が感じた効果として、「髪の毛の量が増える」などのルックスの変化、「疲れにくくなる」「集中力が増す」といった健康の実感、「貧血」「冷え性」「むくみ」などという不調や病気の改善についての報告があるという。「ごぼう茶」による若返り術や1日1食の健康法などを提唱する、ナグモクリニックの南雲吉則総院長も同書を推薦する一人。感想をお聞きすると、「私は1日1食にしてから痩せて体調もよくなりました。そのときはまだ概念がなかったのですが、今思えば空腹状態のときは『ケトジェニック状態』だったんですよね。日本にケトジェニックという理論を持ち込んだ斎藤先生は、すばらしいと思います」とコメントをくれた。○ココナッツオイルでケトン体が約3倍に?糖質が枯渇したとき、脂肪酸の一部からつくられるケトン体。しかし糖質を枯渇させなくても、「ココナッツオイル」などに含まれる中鎖脂肪酸を摂ると、直ちに肝臓に運ばれ、ケトン体をつくることができるという。驚くのはその量。斎藤医師が副理事長を務める日本ファンクショナルダイエット協会が行った研究では、10名の被験者にココナッツオイル33gを摂取させた。その3時間後、血中ケトン体濃度は平均して摂取前の約3倍になった。同協会の理事長を務める白澤卓二医師は、ココナッツを取り入れた健康法などを提唱している。今回、ケトン体を増やすココナッツオイルの効果についてうかがったところ、「斎藤先生には『ずるをしてる! 』って言われちゃうんだけどね(笑)。ココナッツを入れると本当にケトン体が増えるんです。糖質制限をしている人は痩せるし、していなくても脳の老化予防にいいですよ」と語ってくれた。後編では、ケトジェニックダイエットの具体的なやり方と、斎藤医師のインタビューをお届けする。
2016年03月09日「糖質制限」系ダイエットでも、群を抜いてメディアに取り上げられることが多い「ケトジェニックダイエット」。ケトジェニックダイエットとは、ズバリ “食べて痩せて健康になる” 食事法です。もともとは、病気を治療する目的から始まった食事法であり、機能性医学に基づく栄養指導で成り立っています。正しく実践すれば、健康にこそなれ、栄養不足に陥ることはなく、筋肉の減少も最小限にとどめることができます。4月から新しい環境に変わる人、春の薄着シーズンに向けてボディラインを絞りたい人、今からでも間に合います! 今回ご紹介するのは、アラフォー女子のためにアレンジした簡易版のルール。まずは1週間、実践してみましょう。1週間のトライアル! アラフォー女子向け ケトジェニック・ルールケトジェニックダイエットの 基礎知識コラム をご覧になると、ケトジェニック回路にスイッチして、脂肪が燃えていくイメージがさらに湧いてくるかと思います。「ケトジェニックダイエットを始める場合、まずカロリーのことはきれいさっぱり忘れていただきます。カロリー神話が捨てきれないと、ケトジェニックダイエットは上手くいきません。これは『食べるダイエット』なんだということを忘れずにいてくださいね」と応援するのは、アンチエイジング・機能性医学のドクターで「一般社団法人 日本ファンクショナルダイエット協会」副理事長の斎藤糧三先生。斎藤糧三先生 プロフィール日本機能性医学研究所CMO、ナグモクリニック アンチエイジング・機能性医学 外来医長、「一般社団法人 日本ファンクショナルダイエット協会」副理事長。1998年日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年、「機能性医学」の普及と研究推進のため「日本機能性医学研究所」を設立。著書に『サーファーに花粉症はいない』『腹いっぱい肉を食べて1週間5kg滅! ケトジェニックダイエット』。 「食べなければ痩せる」・・・×「食べて痩せる」・・・◎と頭を切り換えなければ、体の代謝システムがパニックを起こし、結果的にケトジェニック回路は回らなくなります。通常、食事によるダイエットは1カ月に1kgくらいが理想と言われています。自己流の食事制限では、どうしても栄養バランスが取れず、体に負担がかかるためです。でも、ケトジェニックダイエットは体の中から健康になると同時に脂肪だけを燃やすことができるダイエット法です。個人差はありますが、1週間で数kg減ることもあります。では、どう食べる?! ケトジェニック3原則とは糖質をできるだけセーブして、タンパク質、食物繊維とミネラルを、通常よりもかなり多く摂るのがケトジェニックな食事法。とりあえず1週間は、ご飯やスイーツは絶対NG。そして、毎日同じ条件で体重と体脂肪率を測定するようにします。では、仕事にプライベートに多忙なみなさんでもできる、シンプルな3原則をご紹介しましょう。その1糖質は、1食20g以下にセーブ!ケトン体をつくり出すための必須条件は糖質制限です。摂取する糖質の量は1食20g以下(1日当たり60g以下)にします。糖質とは「炭水化物から食物繊維を除いたもの」。糖質量は食品成分表で計算しますが、食材の糖質量を表示しているウェブサイトや本、アプリを利用すると便利です。また、糖質の量が100g当たり10g未満の食品・食材は「低糖質食品」とみなし、1食分の糖質の量にカウントしなくてもよいことにします。その2.タンパク質は、決められた量を!1日に「体重1kg当たり1.2~1.6gのタンパク質」を摂ります(2.0gは超えないように)。例えば体重55kgの人なら、55×1.2~1.6g=66~88g必要。肉や魚は正味量の約20%がタンパク質量なので、もし体重55kgの人が肉だけで必要なタンパク質を摂るなら、1日330~440g食べなければならない計算。良質のタンパク質であれば植物性、動物性どちらでもよいので、卵や大豆製品も賢く取り入れて。食材に含まれるタンパク質の目安は…肉(100g)20g、魚肉(100g)20g、卵(1個)約6g、豆腐(1丁300g)20g、大豆(100g) 10g、豆乳(100ml)7g、納豆(1パック40g)6.6g その3.葉野菜などは、肉魚と同量以上の量を!食物繊維の総量(水溶性と不溶性の合計)は1日20g以上が目標。葉野菜は重量の3~5%が食物繊維なので、400gのサラダで約20g摂れると覚えましょう。だいたい肉や魚と同じ量以上の野菜をとる感覚で。ただし、同じ野菜でも糖質の多い根菜類(れんこん、にんじん、ごぼう、かぼちゃなど)やイモ類、果物類は少量に。また、ミネラルにも意識を向けて。カリウム1日3.5g、カルシウム1日650mg、マグネシウム1日350mgを摂れるようにします。以上の3つが3原則です。また、小麦粉や米粉、砂糖などを使用しているスイーツなどは論外ですが、ゼラチンや寒天、大豆粉やふすま粉、おからなどを利用した糖質ゼロスイーツなら、おやつも食べてOKです。すぐに役立つ! ケトジェニック的「食べてOK」「食べたらNG」食材リスト「ケトジェニックダイエットを決意して、みなさんがいちばん知りたがるのが、具体的な食材のこと。食べてもいいのは糖質が少ない食べ物ですが、意外な食品に糖質がたくさん含まれていたりするので気をつけてください。特に、最近の野菜や果物は糖度が高くなっているので注意が必要です。たとえば『糖度○○%の甘いイチゴ』のように『甘さアピール』をしているものは食べないのが無難。昔ながらの酸っぱいイチゴを選んで少しだけ食べる意識を持ちましょう」(斎藤先生)【食べてOK】●牛・豚・鶏・羊など肉類全般、魚介類全般、卵、大豆製品(特に大豆製品は、女性ホルモン量が少ない40代後半以降の女性は上限なしでOK)●バター、植物油(特にオメガ3系脂肪酸を含むオイルを推奨。中鎖脂肪酸でできたココナッツオイルは1日大さじ2杯を推奨)●葉野菜、海藻、きのこ (毎日大量に摂るつもりで)●糖質の少ない果物、チーズ、ナッツ類、カカオ比率の高いビターチョコレート●焼酎、ウォッカなどの蒸留酒、辛口ワイン(ワインは醸造酒ですが、少量なら大丈夫)●糖質の少ない調味料 (塩・こしょう・酢・マヨネーズ・ハーブ類)【食べたらNG】●ご飯、麺類、パスタ、パンなどの炭水化物●スナック、お菓子類全般●糖質の多い根菜、芋類●小麦粉を含む加工食品●糖質を含む調味料 (砂糖、みりん、ケチャップ、ソース、市販のドレッシング)●牛乳、ヨーグルト (乳糖を含むため)●ドライフルーツ●市販の野菜ジュース、フルーツジュース、人工甘味料入りの飲料全般●ビール、日本酒、梅酒、紹興酒などの醸造酒、酎ハイやカクテルなど甘いアルコール類【こんなとき、どうする?】■どうしても主食が食べたい!1食20gの糖質で計算すると…ご飯(精白米)約50g(お茶碗1/3くらい)、食パン約45g(8枚切りで約50g)、パスタ(乾麺)約30g。とても少ない量ですが、これ以外の糖質は摂れないことになります。こんにゃく入りごはん、寒天入りの麺、低糖質パン(100g中糖質10g未満)などはもっと量を食べてもOKです。■外食でメニューを選ぶときは…肉や魚はステーキやソテー、グリルなど、シンプルに調理したものを選ぶと間違いなし。調味料には糖質が使われていることが多いので、ソースやタレが少なめ、または別添えでサーブされるものをチョイスします。サラダなどの野菜も「ドレッシングは別に添えて」と頼みましょう。■糖質の多い野菜がわからない…葉っぱは糖質が少なく、根菜・イモ類は糖質が高いと覚えるだけ。にんじん、じゃがいも、ごぼう、れんこん、かぼちゃなどは糖質が多いので、この期間は避けましょう。特に、砂糖やみりんを使った野菜の煮物は要注意。糖質が思いのほか高くなります。■どうしても間食がガマンできない!そんなときは、お菓子ではなくおつまみコーナーへGO! アーモンド、くるみ、ピスタチオなどナッツ類がベスト。塩分の高い味付きミックスナッツではなく、「素焼き」「無塩」のものがベター。中にはジャイアントコーンをナッツだと思っている人もいますが、コーンですから! お間違いなく。■牛乳やヨーグルトがNGだなんて・・・乳糖=糖質が含まれることはもちろん、遅延型食物アレルギーの確率が高いと言われているため、ケトジェニックダイエットではNG食材として扱います。牛乳の代わりには豆乳がおすすめです。ただし、調製豆乳には糖質が含まれているので、必ず無調整豆乳を選んで。ヨーグルトも、豆乳から作られるヨーグルトなら大丈夫です。さて、これで1週間がんばってみましょう。みんなが知りたかったのはこれ!ケトジェニックダイエットQ&Aこのダイエットの全貌も実践方法も何となくわかったけど、とても素朴な疑問やいまいち心配なこともありますよね? まとめてお答えいたしましょう。Q ケトン体が出ているかどうか、調べる方法はありますか?A あります! 血中のケトン体濃度は血液で測定するしかありませんが、尿中ケトン体は、薬局で売っている(取り寄せとなることが多い)ケトン体試験紙で知ることができます。「ウロペーパーⅢ」は、試験紙に直接尿をかけて反応を見るもの。ケトン体が出ているほど、濃い紫色に変化。毎日測定しているうちに、何をどう食べるとケトン体が体量につくられる(=脂肪が燃えている)かがわかってきます。Q ケトジェニックダイエットが向かない人もいますか?A 残念ながらケトジェニック回路がなかなか回らない人もいるようです。そのため、今回は「1週間のお試しケトジェニック」をおすすめしました。なかなかケトジェニック状態にならない人の中には、覚悟が決まらずに糖質断ちがきちんとできていない人がいます。なかなか痩せない人は、振り返ってみることも大事です。また、腸内環境によっては、肉食に適していない人もいます。例えば、気持ち的には肉食にシフトしていても、長年穀物中心の食生活を続けてきたおかげで腸内細菌が草食動物型になっている人などは、腸内環境を悪化させてしまうケースも。ケトジェニックを始めて、下痢や便秘を繰り返す、おなかが異常に張る、オナラが多すぎる・臭い、などの症状がある人は、食べる量を減らしたりドクターに相談するなどしてみましょう。Q ケトジェニックダイエットをやってはいけない人はいますか?A ケトジェニックダイエットは、タンパク質の摂取量が多めです。腎機能に問題のある人はもともとタンパク質の摂取量制限を受けているはずなので、気をつけなくてはなりません。まずは必ず主治医に相談を。また、タンパク質は小腸でアミノ酸に分解された後、肝臓へ送られ、体を構成するタンパク質に組み替えられるので、肝臓にも負担がかかることが考えられます。どちらにしても腎臓や肝臓に不安のある人は、ドクターに相談してください。Q 糖質をきっぱりやめたら、ケトジェニック回路はどれくらいで回りますか?A 人によって違いますが、一般的には厳密に糖質制限をしてから2日か3日でケトジェニック回路がオンになるようです。痩せやすいタイプの中には12時間糖質をカットしただけで、ケトジェニック状態になる人もいます。なかなかケトジェニック体質にならない人のなかには、意外なところで糖質を摂ってしまっていたなんていうことも…。1週間のトライ期間で、見極めたいものです。Q 筋肉量を減らさないように、チェックする方法は?A ダイエットで減らしたいのは脂肪だけ。脂肪の量は、体脂肪率から簡単に知ることができます。体脂肪率を目安にして・・・脂肪量=体重×体脂肪率残りの除脂肪量(除脂肪体重)は体重からこの体脂肪量を引いた重さです。筋肉量そのものではありませんが、筋肉が落ちてしまったかどうかの目安になるもの。次の計算式を覚えておきましょう。体重ー体重×体脂肪率=除脂肪体重例えば、体重62.0kgで体脂肪率30.0%の人は・・・、体重62.0ー体重62.0×0.30=43.4kg これが除脂肪体重です。毎日こまめに計算すると、筋肉が減っていないかどうかの指標になります。Q ずっと長く続けても大丈夫ですか?A 厳密な糖質制限なら1週間で約5kgでも減量できると言われているのがケトジェニックダイエット。最初から短い期間で集中的にやるつもりでいたほうが成功確率は高まります。ただ、今回ご紹介しているケトジェニックダイエット法は「100g中、10g以下の糖質を含む食品はカウントしない」ので、やや緩めのルールです。この方法なら1カ月は続けてOK。その後も続けたい場合は、さらに緩い「セミケトジェニックダイエット」にしてみてはいかがでしょう。Q 途中で糖質を摂ってしまったらどうなりますか?A せっかくケトン体回路が回り出した頃、我慢できずに糖質を食べてしまうと、回路はたちまちOFFになります。でもほんの少しの糖質ならまだ大丈夫。一度ONになった回路はまたすぐONになりやすいのです。どれくらいの量の糖質を摂取するとケトジェニック回路が閉じてしまうのかは、個人差が大きいもの。以下の表は、1週間ごとに緩くしていった女性の例ですが、ケトジェニック回路が回っている状態で、わずか50gの白米(=糖質18g)を摂っただけで、ケトン体の生成がガクッと低下。体重が全く減らなくなってしまったという事例です。せっかくなら、1週間はうっかり糖質を摂ってしまわないようにするのが理想的ですね。ケトジェニックダイエットに成功した人は、具体的にどんなものを食べているのでしょう? 体重・体脂肪が減ってキレイに変身したというアラフォー女子ふたりの例をご紹介しましょう。ケトジェニックダイエット体験者NRさん(41歳・自営業、身長 152cm)の場合NRさんは、10代の頃から自己流ダイエットとリバウンドの繰り返し。産後は、育児や家事、仕事の両立に精一杯で、いつのまにか70kgを超えてしまいます。しかも高血糖→低血糖の症状がひどく、寝ても寝ても眠い。どうしてこんなに体力がなくなってしまったのだろうと悩んでいた頃に、人生初のメタボ検診で自分の数値に驚き、糖質制限をスタートされたそう。▼NRさんの食事記録より(ある5日間)「8カ月経った今もリバウンドなし。少しゆるめのケトジェニック=低糖質&高タンパク食継続を継続し、忙しい日でも必ず3食食べています。外食も多いのですが、肉・魚・卵といったタンパク質はかなりしっかりと食べ、葉野菜も欠かしません。小さな子供がいるので、糖質オフスイーツもよく作ります。料理に低糖質の工夫をするのも楽しくなり、ちょっとハマってしまうほどに。このような食事を続けているだけで、除脂肪体重(筋肉量)が増え、サイズは減少、体脂肪率が後から徐々に減少する…という健康的なキープ期間を過ごしています」(NRさん)●1日目朝:目玉焼き2個、レタス(50g)、亜麻仁油小さじ1、なめこと絹豆腐の味噌汁、麦茶昼(コンビニ):シーチキン、グリーンサラダ、たまごサラダ、コーヒー 夜:牛肉のほろほろ煮、シーザーサラダ、牛もも肉のソテー(マカロニは食べず)、スパニッシュオムレツ間食:無塩ローストナッツ(アーモンド&くるみ30g)、麦茶●2日目朝:おからパウンドケーキ、ハッシュドビーフ、ゆで卵2個、ミックスナッツ、ココナッツオイル入りコーヒー昼(外食):カンザスビーフステーキ(300g)、サラダビュッフェ夜(外食):ジンギスカン、鹿肉のソテー、水菜サラダ●3日目朝:豚肉塩こしょうソテー(150g)、白菜サラダ(100g)、油揚げのピザ(糖質0ソーセージ)、ソイポタージュ(白菜味噌汁+大豆プロテイン)昼(外食):牛皿2倍もり、牛丼ライト(葉野菜+絹豆腐)、焼き鮭夜:常夜鍋(豚肉+ほうれん草+にんにくと日本酒)、レタス(100g)、木綿豆腐+肉そぼろ●4日目朝:豚ロースソテー(150g)、目玉焼き1個、レタス(100g)、コーヒー昼(外食):牛丼ライト、牛皿2倍もり、冷や奴夜:トラウトサーモン刺身、しめじ+昆布+かつおぶしのごま油醤油炒め、油揚げと絹豆腐のみそ汁、レタス+ブロッコリースプラウトのサラダ、アボカド+チーズ+オリーブオイルのサラダ、えびの塩焼き●5日目朝:さば塩焼き、豚ロースソテー(30g)、ミニトマト(10g)、レタス(50g)、 たまねぎ薄切り少々、ゆで卵1個、かきたま汁昼:さんま焼き、大根おろし、しめじ+こんぶ+かつおぶしのごま油醤油炒め、 絹豆腐+ツナ+パプリカ+絹豆腐、油揚げと大根の味噌汁、麦茶夜:ローストビーフ+水菜+パプリカ、クリスマスリース風ミートローフ+葉野菜たっぷり、糖質0ソーセージとミニトマトのコンソメスープ、自家製ローストチキン+ブロッコリーなど手作り!糖質オフおやつ左上から)おからマフィン、おからマフィンチョコ、おからチョコケーキ、おからチョコ蒸しパン、おからチーズ蒸しパン、おからパウンドケーキバナナ、おから抹茶パウンドケーキ、おから蒸しパン カニ&ブロッコリー、おから蒸しパントマト風味、コーヒーゼリー、チョコブラウニー、おからベースのティラミス、大豆粉のクッキー、水切り豆腐のレアチーズケーキ風▼NRさんのダイエット日記より抜粋※数値は、体重・体脂肪率の順■ダイエット前:71kg ・42%低血糖のせいか甘いものを食べたい欲求が強く、イライラも多くて心情の起伏も激しかった頃。糖質制限をスタートすると、体調がよくなり心も軽くなった。以前よりも睡眠時間がとれて目覚ましよりも早く起きれるようになる。心身のスタミナがついたと実感。■1ヶ月後:61.9kg(9.1kg減)、37.9%(4.1%減)その後9kg減のまま1ヶ月ほど推移。■2カ月後:ケトジェニックダイエットに出会い、スタート。アドバイザー検定の講習会にも参加。1週間で3kg減。■5カ月後:54kg(17kg減)、28.0%(14%減)2歳児の息子さんの体重分(13kg)以上の減量に成功。体脂肪率もほぼ平均に。低糖質&高タンパク食を継続。■8カ月後:低糖質&高タンパク食継続。体重・体脂肪率はそのままキープ中。※あくまでも個人の体験談となります。食事内容・運動量・体質などによるため、このような体重の変化がすべての人に当てはまるわけではありませんケトジェニックダイエット体験者MTさん(38歳・会社員、身長159cm) の場合MTさんは、むくみやすく、だるさや眠気に悩まされていました。ストレス食いが止まらず、人生のMAX体重になったことから、友人の勧めでケトジェニックダイエットを決意されたそう。「最初は半信半疑でスタート。ネックは会社で食べるランチで、外に出ればなかなかケトジェニックな食事はできないと踏んで、お弁当に。忙しい朝、時間をかけてキレイなお弁当を作るヒマがあるわけでもなく、さっとお弁当箱に詰め込んで持っていくスタイルにしました。これは、しっかりケトジェニック食を続けたときの10日間の記録です。昼食は、ほぼ毎日お弁当を作り、会社内で食べました。夜は家族にも協力してもらい、できるだけ外食しない工夫を。味つけはシンプルに調味料を極力少なくするのがコツ。途中からはココナッツオイルを多用しました」(MTさん)▼MTさんの食事記録より(ある10日間)●1日目朝:豆乳、アボカド、青汁、アマニ油入りスムージー昼:厚揚げ焼き、豚しゃぶサラダ、ほうれん草、ベーコンソテー夜:豚ロースとエリンギののソテー、キャベツ+きゅうり+パプリカ●2日目朝:豆乳、アボカド、青汁、アマニ油入りスムージー、もやしとカイワレのお浸し、 ほうれん草卵とじ、牛もも肉塩レモン焼き昼:牛肉&鳥胸肉ソテー、卵焼き、厚揚げ焼き、ほうれん草と豆もやしのナムル、コーヒー夜:鳥胸肉のチーズ巻き、アボカドとマグロのサラダ●3日目朝:ゴーヤとツナのサラダ、厚揚げ焼き、えのきのバターソテー昼:鳥胸肉ソテー、豆もやしのタラコ和え、ゴーヤのお浸し、ひじき&野菜サラダ夜:アボカド・マグロ・胡瓜のサラダ、冷奴●4日目朝:豆乳・青汁・アボカドのスムージー、ベーコンエッグ+サラダ、厚揚げ焼きおろし生姜添え昼:牛らんぷ肉ステーキキノコ添え、大豆と野菜のサラダ夜:豚ロース&厚揚げソテー+サラダ、豆腐と絹さやと油揚げの味噌汁●5日目朝:牛肩ロース、エリンギソテー、サラダ、アイスコーヒー昼:ツナとゴーヤのマヨネーズ和え、厚揚げ焼きミョウガ添え、牛モモ肉&エリンギソテー、アボカドサラダ夜:鳥挽き肉のとうがんスーブ・ハツのレモン塩焼き・焼きサンマ●6日目朝:蒸し鶏のサラダ、ココナッツカレー昼:豚しゃぶとアボカドサラダ、厚揚げ焼き、ツナとゴーヤのサラダ夜:紅鮭とキノコのホイル焼き味噌仕立て、豆とトマトの野菜スープ●7日目朝:茹で野菜の肉巻き&サラダ、鳥挽き肉と豆もやしのスープ昼:ラム肉のソテー、厚揚げと小松菜炒め、サラダ夜:豆乳鍋●8日目朝:豚ロースとパプリカソテー、厚揚げココナッツオイル焼き、じゃこと大根のサラダ、コーヒー昼:ゴーヤチャンプル、豆とじゃこのサラダ、牛モモ肉ソテー夜:素揚げ豆の野菜あんかけ、豚ロース焼き、ゴーヤのお浸し、焼きナス●9日目朝:牛ヒレステーキ、ココナッツカレー、野菜サラダ、豆もやしのサラダ昼:牛ランプステーキ、クラゲと豆サラダ、卯の花夜:ラム肉の野菜炒め、銀むつ西京味噌焼き、冷奴●10日目朝:豆乳・青汁・アボカドスムージー昼:厚揚げ焼き、小松菜ごま和え、鳥胸肉ココナッツオイル焼き、ひじきのサラダ、枝豆夜:牡蠣入りキムチ鍋(糖質0麺入り)▼MTさんのダイエット日記より抜粋※数値は、体重・体脂肪率・ウェストの順■ダイエット前: 63.0kg・35.0%・75cm■1カ月後:. 58.5kg(4.5kg減)・28%(7%減)・69.0cm(6cm減)最初はそれほど肉が食べられず、大豆製品を多用。それでも1カ月で成果が出始めて、見た目が変わり、むくみが取れて小顔に。目が大きくったと言われるようになる。いちばん大きな変化は、昼食の後も眠気に襲われず、仕事がはかどるように。生活のすべてがポジティブになり、ケトジェニックダイエットの健康効果を実感し始める。■6カ月後:. 53.0kg(10kg減)・23.5%(11.5%減)・64.0cm(11cm減)セミ・ケトジェニック食を継続。お酒もよく飲むが、太りにくくなってほとんどリバウンドなし。食べすぎて太ったかなかなと思ったときに、数日~10日間ほどケトジェニック食にして調整。■10カ月後: 51.9kg(11.1kg減)・22.0%(13%減)・62.0cm(13cm減)ひき続き同じ食生活で11号だった洋服が7号に変化。体脂肪率も平均以下に減ったため、厳密なケトジェニック食ではなくなったけれど、リバウンドする気配はなし。胴回りはすっかり「薄い人」の域に。見た目の印象が別人になったと言われる。※あくまでも個人の体験談となります。食事内容・運動量・体質などによるため、このような体重の変化がすべての人に当てはまるわけではありませんいかがでしたか? ケトジェニックダイエットはもりもり食べて健康的に痩せるメソッド。まずはケトジェニック3原則にそった食事スタイルに切り替えることから、チャレンジしてみてください。食べないダイエットはもう卒業! 健康的にキレイになる食事と軽い運動も取り入れて、夏に向けてスリムなボディを手に入れましょう。
2015年04月01日「糖質制限」系ダイエットでも、群を抜いてメディアに取り上げられることが多い「ケトジェニックダイエット」。何かとセンセーショナルなイメージで紹介されることが多いのは、一見ダイエットとは関係ないようなメリットが数多く報告されているからに他なりません。ちょっと舌を噛みそうで名前も覚えにくいですが、どんなダイエットなのか、一度きちんと知っておきましょう。明日からでも、すぐに実践してみたくなること請け合いです!「ケトジェニックダイエット」のメリットとは?■肉や魚もおなかいっぱい食べられる■食後、眠くならない■肌にハリが出て若々しく見える■むくみが取れる■運動をしなくても脂肪が燃える■極力筋肉量を減らさずにダイエットが可能■面倒なカロリー計算をしなくてよい■イライラしなくなる■頭がはっきりして集中力がアップする■長寿遺伝子がスイッチオンする■メタボリックシンドロームが改善されるこれらが、よく挙げられるケトジェニックダイエットの特長です。なんだかいいこと尽くめだと思いませんか? 一体どんなダイエット? 他の糖質制限とは何が違うのでしょう?「ケトジェニックダイエットは、ズバリ “食べて痩せて健康になる” 食事法です。ダイエットという言葉は、日本では『減量』さらには『痩身』の意味でも使われていますが、本来は『健康になるための食事法』という意味。ケトジェニックダイエットも、まさにこれです。別名『ケトン体ダイエット』とも呼びますが、ケトン体という耳慣れない言葉のせいか、間違った理解や、誤解を招くような紹介のされ方も少なくありません。もともとこの食事法は、薬では治らない小児てんかんの治療として、1世紀も前から使われてきたもの。近年それが、ダイエット効果があることがわかってきた。しかも、アンチエイジングやその他の効果もあるというデータが続々出てきたんです。それを健康増進を目的としたダイエット法に結びつけたのが我々の協会です」そう語るのは、アンチエイジング・機能性医学のドクターで「一般社団法人 日本ファンクショナルダイエット協会」副理事長の斎藤糧三先生。ケトジェニックダイエットを体系立てて提案し、実践ノウハウを確立、教える側の人間(アドバイザー)を育成しています。単純な糖質制限には、異議を唱える方もいます。それは、お菓子やご飯などの糖質だけでなく、野菜などあらゆる食材に含まれる糖質を控えることは、当然栄養不足を招いてしまうからです。その点、ケトジェニックダイエットは病気を治療する目的から始まった食事法であり、機能性医学に基づく栄養指導で成り立っています。正しく実践すれば、健康にこそなれ、栄養不足に陥ることはなく、筋肉の減少も最小限にとどめることができます。「ケトン体」って何? その驚きの正体が明らかに!昔から、「脳のエネルギーは、糖質(炭水化物)だけ」と言われてきました。仕事や勉強中に集中力が欠けてくると「甘いものを食べれば頭が冴える」ともよく言います。ところが、これ、間違いであることがわかってきたのです! まずこのことをしっかりと理解しましょう。小学校でも習うように、体のエネルギー源となるのは、「糖質・脂質・タンパク質」の三大栄養素です。脳には、血液脳関門(ブラッド・ブレイン・バリア)という関所のような場所があり、異物が侵入できない仕組みになっていますが、ここを通れるのはブドウ糖だけ。脂肪やタンパク質は分子量が大きすぎて通過できません。そのため、「脳は糖しか使えない、糖質は必ず摂取しなければならない」という俗説が生まれたのです。通常、私たちは食物から摂った糖質を分解して使う「解糖系」の回路でエネルギーを得ています(第1の回路)。糖質を毎食欠かさず食べていると、体内には糖質がたっぷり蓄えられるので、体は優先的に糖質を使います。使い切れない分は中性脂肪として蓄えられるため、運動もせずに糖質をとり続けていると太るのは当然のこと。でも実は、私たちの体には糖質が入って来ないとき(いざというとき)、自力でエネルギーを生み出す回路も備わっています。その1つが「糖新生」。これは筋肉を分解し、アミノ酸の一部など 糖以外の物質から糖エネルギーを作り出す回路(第2の回路)のことです。さらに糖新生と同じく、糖質がないときに働く回路もあります。これが中性脂肪を分解して使う第3の回路、まさに「痩せる」回路です。この回路では、分解された脂肪酸は肝臓へ運ばれ、そのままでもエネルギーになりますが、一部の脂肪酸は「ケトン体」という物質をつくり出します。これをケトン体回路(ケトジェニック回路)と呼び、この回路が活発になることをケトジェニック状態と名付けています。糖に変わるエネルギー、それが「ケトン体」さあ、ここからが注目すべき「ケトン体」のお話です!近年の研究で、このケトン体は前述の “脳の関所” を通過できることがわかってきました。脳の神経細胞のエネルギー源として利用されるほか、ケトン体はあらゆる細胞のエネルギー源としても使われます。特に24時間フル稼働している脳、心臓、腎臓は、休みなくケトン体を使うため、ケトジェニック回路が活発になり、中性脂肪はどんどん燃えていく。それがケトン体を出して痩せるというしくみです。脳も体も、糖質がなくてもエネルギー不足にはならないこと、わかりましたよね? そこで「あえて体内に糖が足りない状態をつくり、脂肪をメラメラ燃焼させ、ケトジェニック回路を回す食べ方をしよう!」これがケトジェニックダイエットの考え方なのです。「ケトン体は長い間、悪者だと誤解されていました。糖尿病の検査項目のひとつになっているからです。医学部では、血液中や尿中にケトン体が出ているときは、糖尿病が悪化した“ケトアシドーシス”と教えられる。でもそれは糖質が細胞に取り込めなくなったために、代替物質としてつくられたケトン体が過剰になってしまう症状であり、ケトン体が健康に悪影響を及ぼしているわけではありません。さらに、ケトン体についての研究が進むにつれ、ケトン体は悪者どころか、抗酸化物質であることもわかってきました。体のサビとも言われる活性酸素を無害にしてくれる酵素を活性化する働きがあるのです。さらには、アルツハイマー病や認知症の予防・改善にも効果が期待できるとのデータも。最近になって、がんの再発予防に効果が認められたとの報告も増え始めているんです。今後ますますケトン体は、いろいろな分野で注目されることは間違いありませんよ」(斎藤先生)脱・糖質中毒!「ケトジェニック回路」をスイッチON!歩いているときに、どこからか漂ってくるパンやスイーツの焼けるいい匂い、無視できない人も多いのでは? おなかが減っているいないに関わらず、糖質が食べたくてたまらない人がたくさんいます。糖質を控えれば痩せる、ケトン体をつくろうと頭でわかってはいても、糖質がやめられずに、なかなかケトジェニック回路にスイッチできない人が多いのも事実。糖質とは砂糖などの甘い物だけではありません。主食にしているご飯、麺類、パンなどの炭水化物を日常的に大量に摂取しているために、「糖質依存」状態になっているのだと斎藤先生は言います。「まさに『糖質中毒』です。煙草がなかなかやめられない、というのとまったく同じ症状。だから、食べないでいるとイライラする。ヒトが米などの穀類を食べるようになったのは、人類史600万年のうちわずか1万年前。250万年間に渡り、ヒトは肉食でした。約1万年前に農耕が始まり穀類を食べるようになりました。さらに、精製された炭水化物や砂糖などが広がったのはたった200年前です。日本が米食になったのなんて150年前ですよね。日本人はお米を食べてきたと言われますが、私達は日本人である前に人間。消化器官の構造からして、草食ではなく肉食動物に近いんですよ」まさに、目からウロコの事実。甘い物だけでなく、炭水化物を摂らずにいられないのは、日本人が150年間摂り続けてきたことによる習慣によるものだったとは?!肥満ホルモン「インスリン」を刺激しないのもポイントところで、血液中にはブドウ糖が含まれていますが、その量がどのくらいなのか知っていますか? それが血液検査でわかる「血糖値」です。糖質の多い食事を摂ると、血液中のブドウ糖濃度=血糖値が急激に上がり、バランスを取ろうとしてすい臓からインスリンというホルモンが分泌されます。インスリンは血管の外に糖を出して血糖値を下げてくれますが、外に出た糖の多くは脂肪細胞に取り込まれ、中性脂肪に変わってしまいます。これこそ、インスリンが「肥満ホルモン」と呼ばれ、ダイエットには大敵だと言われるゆえんです。また、大盛りのごはんを食べたはずなのに、すぐにおなかが空いてしまうこともあります。空腹を感じるのは、インスリンによって血糖値が急激に下がるとき。血糖値を急上昇させなければ、急に下がることもないので、よけいに食欲が湧くことがなくなります。実は、糖質は「必須栄養素」ではありません。意外だと思われた方も多いかもしれませんが、国の指針である厚生労働省の「日本人の食事摂取基準 2015年版」にも書かれている事実です。まずは、「人は必ず食事から糖質を摂取しなければならない」という思いこみをやめましょう。糖を摂らなくても糖新生によってブドウ糖がつくられること、脳はブドウ糖の代わりにケトン体を使えること、これを覚えておくことが大切なのです。「なかなか糖質がやめられない」と嘆く人も、そこから抜け出す第一歩になります。何を食べたらよい?「ケトジェニックピラミッド」の考え方ケトジェニックダイエットは、21世紀の新しい栄養学「ファンクショナル栄養学」に基づいた、健康を実現するための食事の摂り方です。糖質を制限すると言っても、食べないダイエットとは根本的に違い、モリモリ食べられるのが特徴。ベースとなるのは、栄養素を7つのグループにわけた、ピラミッド。これを守って食べることで、インスリンを刺激しない低糖質、脂肪を燃焼させるケトジェニック状態をつくっていきます。底辺のグループほど、しっかり摂るべき重要な栄養であることを表しています。とはいえ、細かい計算をするわけではなく、見たままを目安に食材を選んでOK。特に重要なのは「毎日必ず摂るべき食材」となる1~3のグループです。【毎日必ず摂るべき食材】▼グループ1 肉、魚、卵、大豆 タンパク質の確保▼グループ2 野菜(葉野菜)、きのこ、果物 食物繊維とミネラルの確保▼グループ3 オメガ3系脂肪酸、中鎖脂肪酸グループ1のタンパク質は、ケトジェニックダイエットでは最も欠かせない栄養素。自己流の糖質制限などでは、例外なく筋肉量が減ってしまうもの。筋トレのような運動なしではなおさら、ダイエット中は筋肉量が保てません。ケトジェニックダイエットでは、驚くほどのタンパク質量(1日あたり1.2~1.6g/kg)を摂ることを推奨しています。そのため、ケトジェニックダイエットは、別名「肉食ダイエット」などと呼ばれたりするのです。 野菜の中でも「葉野菜」は必ず摂るべきグループ2ですが、「イモ類・根菜類」は「摂ってもよい」として別のグループに分類。これらは糖質が高いためです。残念ながら、糖質は「避けるべき食材」として最初から例外チーム。「グループ8」に分けられています。ここで、もう一度、糖質や炭水化物の定義をおさらいしてみましょう。「糖質」と「炭水化物」の違いとは?まず、炭水化物とは、小学校でも習ったように三大栄養素(タンパク質・炭水化物・脂質)のひとつ。炭水化物と糖質は同義語のように扱われることが多く、それも間違いではありませんが、わかりやすいのは・・・炭水化物 = 糖質 + 食物繊維糖質 = 炭水化物 ー 食物繊維こう覚えておくと、食品表示などを見る際にも理解しやすくなります。食物繊維は、体に吸収できない炭水化物のことで、カロリーはゼロ。体から排出されるので便秘解消のお話によく出てきます。ここで“糖類ゼロ”や“糖質オフ”などの表示があるものなら安心だと思う人もいるでしょう。でも、糖質と糖類は意味が違うことに気をつけて。「糖質 > 糖類」と覚えておきましょう。“糖質ゼロ” なら確かに糖質は入っていないかもしれませんが、 “糖類ゼロ” には、糖類以外の糖質が含まれている可能性大。たとえ “無糖” と書かれていても、でんぷんなどの多糖類が山盛り入っているかもしれないのです。「人工甘味料にもだまされないで。合成甘味料や糖アルコールは、確かに血糖値を上げにくくインスリンの追加分泌を促さないので、摂ってもよいイメージがあります。ただ、人工甘味料を口にして、あなたの脳が『あ~甘い♪』と感じた瞬間に、体内ではインスリンの追加分泌が始まってしまいます。実際には血糖値が上がらなくても、パブロフの犬のように、条件反射が起こることも考えられるんですから」(斎藤先生)また、表現自体にも注意が必要。厚労省の栄養成分表示では、以下のようにちょっとゆるい決まりしかありません。◆含まないという表示 [無、ゼロ、ノン、レス、0]食品100g当たり0.5g未満、または飲料100mL当たり0.5g未満の場合に表示してよい。◆低いという表示 [低、ひかえめ、小、ライト、ダイエット、オフ]食品100g当たり5g以下、または飲料の100mL当たり2.5g以下の場合に表示してよい。「無糖」と表示されていても、決して糖質ゼロではないのがわかります。食べ物を口に入れる前に、そんな目線で見てみると、いろいろ発見があって新鮮。楽しみながら糖質コントロールができそうです。「ココナッツオイル」と「ケトジェニックダイエット」のイイ関係今年、テレビ番組でケトジェニックダイエット中に、ココナッツオイルを取り入れている様子が放送されました。番組を見た人の中には「ココナッツオイルはケトン体を出すから、脂肪を燃やす効果がある」と理解した人が少なくなかったようです。実際はどうなのでしょうか? 答えは、YESでもありNOでもあります。バージン・ココナッツオイルは約60%が「中鎖脂肪酸」でできています。これは飽和脂肪酸のひとつで、MCTオイルとも呼ばれるもの。体に蓄積しない特徴を持っています。一般的な植物油の多くは分子をつなぐ鎖が長い「長鎖脂肪酸」ですが、「中鎖脂肪酸」は鎖の長さがその半分程度で、何倍ものスピードで消化吸収されると言われます。ココナッツオイルを摂ると、腸で吸収された後すぐに肝臓へ運ばれ、なんと「ケトン体」をつくることがわかってきました。前述のように、ケトジェニックダイエットで言うケトン体は、糖質をあえて枯渇させ、体脂肪を燃やしたときにその証として出る物質。でも、口から摂った脂肪、中でも中鎖脂肪酸からもケトン体はつくられるのです。「ブドウ糖が体内にあるときでも、ココナッツオイルを食べればケトン体をつくれるわけです。その意味では、残念ながらココナッツオイルが直接的に体脂肪を燃やすわけではありません。でも、ケトン体をつくるケトジェニック回路が活性化し、体脂肪を燃やしやすくすることは十分考えられます。ちょうどいま、我々の協会でも、その検証を進めているところです」と斎藤先生。「しかも、中鎖脂肪酸は他の油脂よりはるかに体内に留まらないので、他の油やバターなどの代用として日常的に使えば、体脂肪が貯まりにくく、ダイエット効果は期待できるでしょう。もちろん、置き換えなければだめですよ。ココナッツオイルも、普通のオイルと同じカロリーはありますから、今使っている油類はそのままに、追加でココナッツオイルをたくさん摂ったのでは、ダイエットどころか太ってしまう人もいます。ココナッツオイルはブームのように扱われていますが、アルツハイマー病の予防・改善に効果があるデータは数多く上がってきています。1日大さじ2杯で、みるみる改善される例も見られるほど。ブームだから使うのではなく、効果を上手く実感できるように、正しい方法で取り入れてほしいと思います」(斎藤先生)これが真実。ココナッツオイルは熱に強く、酸化しにくい性質を持っているため、炒め物はもちろん揚げ物に使うなど、どんなオイルの代用にもなります。冬場や冷蔵庫内では固体に変わるため、バターのような使い方もOKです。エネルギーを糖質から脂肪に切り替え、ケトジェニック回路にシフトするべく、ココナッツオイルを一度試してみるのも手です。いまの食生活をあらためて見直して、美と健康のためにも「ケトジェニックダイエット」の考え方を取り入れてみてはいかがでしょう。斎藤糧三先生 プロフィール日本機能性医学研究所CMO、ナグモクリニック アンチエイジング・機能性医学 外来医長、「一般社団法人 日本ファンクショナルダイエット協会」副理事長。1998年日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年、「機能性医学」の普及と研究推進のため「日本機能性医学研究所」を設立。著書に『サーファーに花粉症はいない』『腹いっぱい肉を食べて1週間5kg滅! ケトジェニックダイエット』。
2015年03月23日