怒りをなかったことにはさせない!私たちの闘いの物語が幕を開ける――。高野ひと深さんによるコミック『ジーンブライド』とは?いま描きたいこととして、フェミニズムをテーマにした作品が最初に浮かんだという高野ひと深さん。「特に、性加害への怒りの炎がごうごうと燃えていることに気づきました。毎日生きることに必死で、怒りをいちいち意識していたら身がもたない。だから奥のほうに押しやり、忘れてしまっていたのです。私と同じように怒りを封印している人がいないか、周りに問いかけてみたい思いが生まれ、物語が始まりました」主人公の諫早依知(いさはやいち)は、インタビュー相手の映画監督に露骨なセクハラを受けたり、ランニング中に変質者と遭遇するような日常にうんざりしている。そんな彼女に突然会いに来たのが、元同級生の正木蒔人(まさきまくひと)。「彼は空気が読めず、独自のルールに強いこだわりを持っているので、“普通”を求めてくる社会から浮いてしまいがちです。彼と同じような、自分の特性による生きづらさを抱える人たちも、現実の世の中にはたくさんいるので、物語に現れることはごく自然だなと思いました」依知と蒔人は、ちぐはぐなコミュニケーションをしながらも、高野さんいわく「自分の生き方や理念、こだわりにフォーカスしていった結果、偶然支え合いが生まれる」ように。気になってくるのは、そんなやり取りの合間にフラッシュバックされる、ふたりが同級生だった頃の記憶。「最初にSF設定を考えたのですが、SFを描くのが初めてで興奮しすぎたのもあって、読者の方を置いてけぼりにする勢いで発進してしまったんです。なので一番最初の読者である担当さんが受け止められるかどうか確認しながらアクセルを踏み、ふたりで何度も止まりながらドライビングすることで、1巻ができました。最後のページはアクセルを全開にできて、気持ちよかったです!」SF要素を盛り込みながら、女性であるゆえの生きづらさを描いた日常は細部までリアリティにこだわり、作り手の挑戦と覚悟を感じさせる。「カフェで流れるニュースの映像や、選挙の開票結果など、私たちが日本で見慣れている“おじさんばかりの社会”の絵を、小さくとも随所に入れるようにしています。私たち個人の問題ではないんだよ、ということを何度も何度も伝えていきたいです。そして私たちが抱えてきた孤独や恐怖、怒りは絶対に透明化させない。マンガという形で必ず残していくから!という思いで描き続けます」『ジーンブライド』1女性ゆえの生きづらさに飽き飽きしている諫早依知と、元同級生の正木蒔人。共通の過去を持ち、互いを助け合う仲になっていくふたりが直面する現実とは。祥伝社759円©高野ひと深/祥伝社フィールコミックスたかの・ひとみマンガ家。2015年デビュー。主な作品に『つらなるステラ』(全1巻)、『私の少年』(全9巻)。本作は『FEELYOUNG』で連載中。※『anan』2022年2月2日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2022年01月31日Twitterで大反響を呼び、その後に書籍化された人気マンガ『メンタル強め美女白川さん』に登場する、個性豊かな同僚たち。自分はどのタイプに当てはまるのか?を、簡単なテストで診断。各タイプ別に、毎日をハッピーに生きるためのメンタル強化術を掲載。強く生きていくためにはまず長所と短所を知る。白川さんの周囲の人々は、個性派ぞろい。強がってばかりで素直になれない先輩や、自分に自信が持てない後輩etc…。誰もが“いるいる”と納得してしまう親近感のキャラクターたちが登場します。「これって、もしかして自分のこと?と、思い当たった人も多いのでは?」と言うのは、心理テストクリエーターの章月綾乃さん。ご自身もマンガのファンだと語る章月さんが、質問に答えていくだけで、自分がどのタイプかがわかるオリジナル診断テストを作成。「自分の性格を改めて認識することで、長所や短所が明確になり、ブレずに生きていくための術がきっと見えてくるはず」白川さんって?『メンタル強め美女白川さん』獅子自己肯定感の高い美女・白川さんを描く痛快コミック。白川さんが僻みやマウントなど、女性を苦しめるプチストレスをはねのける様子に、現代女子が大共感。1~2巻各1155円/KADOKAWA共感度120%キャラクター紹介白川さん清く正しく“たくましく”日々を生きるメンタル強め美女。嫌みやマウントに惑わされることなく、我が道を突き進む。ブレない姿勢を貫いた結果、学生時代にはいじめられた経験も。そういった過去があるからこそ、弱っていたり、傷ついている人に優しい言葉をかけられるのも魅力。朝比奈さん自分の容姿に自信が持てないメイク下手な新入社員。白川さんの部署に配属された22歳の新入社員。容姿に自信がなく、赤ら顔とそばかすがコンプレックス。ファンデを鬼塗りし、必死に隠している。何事にも一生懸命な姿は先輩や上司からのウケがよく、仕事ぶりへの周囲の評価は。梅本さん周囲にも自分にも厳しく、いつも素直になれない先輩。白川さんと同じ部署で働く33歳。仕事ができ、周囲からの信頼も厚い。けれど“可愛く”ふるまうのが苦手で、自分と正反対の白川さんに苛立ちを感じている。そんな“可愛くなれない”自分に自己嫌悪を感じて落ち込むことも。町田さん真面目で好感度高め!周囲から愛される癒しキャラ。経理課で働く、真面目で控えめな33歳。ぽっちゃり体型がコンプレックスで、ダイエットを宣言するも、誘惑に負けてしまいがち。白川さんと出会ったことで、自分を愛することの大切さを知り、自分磨きにも前向きに取り組むように。メンタル強化術はそれぞれ! キャラクター診断テスト。ブレないメンタルを手に入れる方法は、人それぞれ違うのが当たり前。自分のキャラクターに合ったアドバイスを参考にしてみましょう。Q1、あなたの声は?a:高め…Q2へb:低め…Q3へQ2、あなたを色で表すと?a:寒色…Q4へb:暖色…Q5へQ3、最後に泣いたのは?a:感動の涙…Q5へb:悲しみや悔し涙…Q6へQ4、幸せって?a:やってくるものだと思う…Q5へb:掴むものだと思う…Q7へQ5、笑顔を作ってみて。a:口角を上げた…Q7へb:目尻を下げた…Q8へQ6、仲良くなりやすいのは?a:年上の人…Q5へb:年下の人…Q8へQ7、鏡をよく見る?a:YES…TYPE Ab:NO…TYPE BQ8、周囲に合わせるほう?a:YES…TYPE Db:NO…TYPE C【TYPE A】白川さんタイプメンタル強めにサバイブするセルフコントロールの達人あなたは、白川さんのようにメンタル強めな人でしょう。ちょっとやそっとのことではへこたれず、イヤなことがあってもポジティブに考え、自分の糧に変えていきます。気分の切り替えもうまく、ネガティブな感情を引きずらないようにしているはず。毎日、ご機嫌に過ごすための努力を惜しまないのも特徴です。あなたのように常に前向きで安定感が抜群な人材は、仕事においても重宝され、重要な場面で声がかかり、思いがけない抜擢をされることも。周囲の人から注目を浴びやすく、誤解を受けることも多いタイプなので、とくに女性が多いコミュニティの中では、これまでにも嫉妬ややっかみの対象になった経験があるのでは?面白半分に、好奇の目を向けられた時こそ、メンタルをより強化するチャンスです。嫉妬された相手に、自分も同じように悪口を言うのはNG。そんな時でも相手への配慮や優しさを忘れないことで、より強靭なメンタルが手に入るでしょう。【アドバイス】自分へのご褒美代がかさみやすいのが心配。近所に散歩に行く、ゆっくりお茶を楽しむ時間を作るなどお金がかからない気分転換も考えて。スポーツでのストレス発散も有効です。【ラッキーコスメ】限定カラーのグロス【TYPE B】朝比奈さんタイプ頑張りすぎて空回りしがち!時には立ち止まることも大切。あなたは、朝比奈さんのように前向きで、ひたむきな人です。真面目で、協調性が高いため、周囲が求める役割や責任に応えようと、何事にも全力を尽くすタイプ。「先輩はみんなやってきたこと」「これくらいはできて当たり前」などと言われれば、つらくても逃げてはいけないと無理をしてしまいがち…。それがどんなに無茶振りでも、キャパオーバーでも、懸命に立ち向かっていくでしょう。でも、周りを見渡すと、みんなはもっとうまく立ち回っている気がしませんか?同じタイミングで同じことを始めたのに、同期の子はあなたよりもずっと余裕があるなんてことも多いはず。それは“理想の自分”の姿に、あなた自身が縛られすぎているせいかも。まだ初心者なのに先輩たちと同じ量の仕事をこなすなんて無理。経験を積み、段階を踏んで理想の自分、期待に応えられる人間になればいいと考えて。最初から完璧な人はいません。少しずつ、成長すればいいのです。【アドバイス】同調圧力に気をつけて。全部人と同じでは、個性が消え、あなたでなくてもいいということになります。また、叱られることも恐れずに。「伸びしろがある」と開き直るのが一番!【ラッキーコスメ】ツヤ感チーク【TYPE C】梅本さんタイプ過剰防衛しがちな性格!弱みを晒すことも必要。あなたは、梅本さんのように自分のスタイルを持っている人です。客観性が強く、状況判断が早いでしょう。何か事件や変化が起こると、自分に関係があるかどうか、やれることがあるかどうかを瞬間的にジャッジする能力に長けています。線引きがハッキリしていて、余計なことには首を突っ込まないし、必要がなければ、自分の意見を言うのも控えるでしょう。必然的に、人との関わりが最小限になっていくため、正しいことをしているのに「自分は間違っているのかも?」と不安にかられやすい一面も。メンタルが強そうに見えて、本当はかなり打たれ弱いのです。傷つかずにすむように先手を打ち、周囲と距離を測りながら暮らしています。ガチガチにガードしている心を、これからは少しずつ開いていくことが大切。新しい趣味や友人を見つけるなど、あなたらしくないことをやってみるのがメンタル強化の近道に。弱音を吐く、助けを求める、やり方を聞くのも有効。【アドバイス】あなたは、優秀な人です。あなたにわかっていること、簡単にできることがみんなにもできると思わないで。教えた分だけ、相手から何かを教わるつもりで接してみるとよさそう。【ラッキーコスメ】黒のアイライナー【TYPE D】町田さんタイプ守るだけじゃもったいない!怖がらず、世界を広げて。あなたは、町田さんのように優しく謙虚な人です。穏やかで控えめ、まるで空気のように場に馴染んでいるため、ストレスフルな状況でも、癒しキャラとしてみんなから愛されているでしょう。好感度は高めですし、メンタルも意外に強め。イヤなことがあっても今だけガマンすればいいと割り切って、耐え抜く力が備わっています。とはいえ、鋼のハートを持っているわけではないため、つらくなりそうな状況は、自然と避けているはず。対立や勝ち負けがつくこととは関わらないようにし、自分は浮いている、不釣り合いと感じる時は存在感を消すことで、丸く収めようとします。そういった性格は周囲とトラブルを起こすことも、自分自身が傷つくこともないので良い面も多いですが、もう少し図々しくなってもいいかも。遠慮ばかりせず、もらえるものはもらいに行かなくてはもったいない!楽しそうと思ったら、思い切ってやってみる。笑われてもいいと心を強く持ちましょう。【アドバイス】もっと自信を持ち、自分を大事にしましょう。勉強やダイエットなど何かに打ち込むと、「これをやっている」「これだけ成果が出た」と自信になり、メンタルを強く保てるはず。【ラッキーコスメ】ボディクリームしらかわさん本名は白川桃乃、この作品の主人公。“私は私 可愛く強く”がモットーの、営業事務の25歳。ピーチティーを愛し、ロールオンアロマで気分転換。実はシャイ。ししマンガ家。2019年よりTwitterにアップした「メンタル強め美女白川さん」が反響を呼び、‘20年11月に単行本化。現在、2巻まで発売中。Twitterは@sisi0cccしょうづき・あやの心理テストクリエーター、占術研究家。雑誌やWeb等で心理テストや占いを執筆中。ananweb「シン・猫さま占い」など、連載や著書も多数。※『anan』2022年2月2日号より。(by anan編集部)
2022年01月29日Twitterで大反響を呼び、その後に書籍化された人気マンガ「メンタル強め美女白川さん」。嫌みやマウントを華麗にかわし、彼女のようにブレないメンタルで毎日を生き抜くための術を、心理学の視点で紐解きます。白川さんって?『メンタル強め美女白川さん』獅子自己肯定感の高い美女・白川さんを描く痛快コミック。白川さんが僻みやマウントなど、女性を苦しめるプチストレスをはねのける様子に、現代女子が大共感。1~2巻各1155円/KADOKAWAイマドキの美女は、努力を隠さない。ウソのない姿に、親近感と憧れを抱くんです。人に左右されることなく、自分らしく人生を歩みたい。そう思っている現代女子から強く支持されているキャラクター・白川さん。「心を健康な方向に導く時、言葉はとても大きな役割を果たすのですが、白川さんの口にするセリフはいずれも、心理学的な立場から見てもとても効果的です」と言うのは、公認心理師の塚越友子さん。また、白川さんが美人というキャラ設定が新鮮だとも。「今の女優やアイドルは、可愛さや美しさ、心の健康のために努力する姿を隠さない。白川さんもまさにそう。その“頑張りの先にある強さや美”に、女性たちは共感するのではないでしょうか」公認心理師の解説付き!メンタル強化に効く名言リスト。名言が溢れているといわれるこのマンガ。現在刊行されている1~2巻の中から、特に心を強くしてくれるお言葉を9つご紹介。公認心理師の塚越友子さんが、心理学の側面から読み解きます。白川さんの言葉は“心のサプリ”なのかも。つらいことから立ち直ったり、心の健康を取り戻すために、人は言葉をサプリのように使うことがある、と塚越さん。「例えば映画やドラマ、マンガでは、言葉が使われる状況、口にする人や受け取る側の思いも描かれるので、読み手は“自分ごと”として共感しやすいもの。白川さんは25歳の働く女性。ananの読者世代からするととても自分に近い存在。ストーリーとともに彼女の行動や言葉に触れることで、“こうしたら心を強く持てるのか”と自然に学んでいるのでしょう。白川さんの思考や行動ができるようになれば、適切な自己肯定感が身につき、健康的な心を持てるようになるのでは、と思います」1、自分に自信が持てない時“褒め言葉ありがたく受け取っても誰も何も損しないから!”【心理学的解説】謙遜も悪くないけれど、密かに受け取り栄養に。2巻エピソード23「林檎ちゃんと缶コーヒー」より。22歳の新人・朝比奈さんは、能力を見込まれて上司から新規プロジェクトメンバーに抜擢された。しかしその高評価に対して謙遜。そんな朝比奈さんに、白川さんがかけた言葉。「日本は“謙遜の文化”が根付いている上に、最近は褒められると、周りに嫌われるのではないかと思う人が増えており、ますます褒め言葉を素直に受け止められない人が多いように感じます。でも褒め言葉は心の栄養ですから、逃してはもったいない!表向き謙遜しつつも、心の中ではありがたくいただきましょう」2、自分と周囲を比べたくなった時“「私もキレイあの子もキレイ」でいいじゃん”【心理学的解説】自分と他者は別の人間。それを理解することが、強い心を得る第一歩。1巻エピソード01「白川さんと人気モデル」より。カフェでお茶中、女性2人組が、人気モデルの容姿を揶揄する会話を耳にした。カフェからの帰り道、その会話を思い出した白川さんのモノローグ。「心理学でいう“I am OK, you are OK”というマインドで、自分と他者が別々の人間であることを理解している状況。この思考を持っていると、いい人間関係を構築でき、自分に自信が!“メンタルヘルスの基本”的な考え方です」3、マウントに心が折れそうな時“私 美に競争は持ち込まないタイプなので”【心理学的解説】比較するのは当たり前。優劣つけるから疲れる。2巻エピソード09「羽柴さんと白川さん part.1」より。本社から異動してきた羽柴さんが美人だとざわめく社内。“ウチの美人といえば白川さんだったけど、並ぶとかすんじゃう…”などとうるさい外野に対して、白川さんがひとこと。「この言葉のいいところは、“比較はするけれど、そこに優劣(競争)は持ち込まない”という意思があるところ。人間は他者と比較することで自分を知る生き物。ただ比較し、その優劣で一喜一憂するのではなく、結果から自分なりの目標を定め、努力をすることが大事なんです」4、生き方に迷った時“私の幸せは私が決めるの”【心理学的解説】多様な人生が選べる今だから響く言葉。1巻エピソード18「クリスマスケーキと白川さん」より。祖父の一周忌で近所のおじさんに“そろそろ結婚か?”と言われた白川さん。おじさんの妻から“桃ちゃんは桃ちゃんらしく!ねっ!”と言われて帰宅。その後のモノローグ。「人生の選択肢が増えた今、とても大事な言葉です。人は選択肢がありすぎると迷いますし、さらに責任も自分の肩に乗ってくる。たまに心の中でお守りのように唱えると、効き目が増すと思います」5、誰かに悪意を向けられた時“私の笑顔を自由を権利を奪える人なんかどこにもいない”【心理学的解説】心が傷ついた時にこの言葉を唱えたい。2巻エピソード19「白川さんのだし巻き卵」より。高校時代白川さんは、クラスの美人・姫子からいじめられていた。“美人だから何したって許される”と言われていた姫子の悪意に、決して泣き寝入りしなかった白川さん。当時に思いを馳せた時の、心の言葉。「第三者に自分を侵害された時、心のバリアを修復するための言葉を持っておくといい。白川さんにとってはこれがその言葉。しかもこれは、自分軸で物事を捉えている。素晴らしいと思います」6、イライラが募っている時“自分のストレスを人にぶつけたって自分に跳ね返ってくるだけ”【心理学的解説】ストレスは自分で対処するのが大人。1巻エピソード08「白川さんの脳内変換」より。かつて仲良しだった同期や女性上司から、小さな嫌みを言われた白川さん。でもその嫌みの裏には、彼女たちのストレスがあるのでは、と分析。「人間関係においては好意を伝えると好意が、逆にストレスをぶつけるとストレスが返ってくるという、返報性の法則があります。これはまさにその表れ。ストレスは他者に向けても解決になりません。自分で対処する白川さんは大人ですね」7、どうしても前向きになれない時“私たちいつも上り調子じゃなくてもいいんだって”【心理学的解説】ネガティブな自分を認めることって大事。2巻エピソード15「町田さんの明日」より。仕事でクタクタ&ストレスマックス状態の、経理課の33歳・町田さん。夜、暴飲暴食してしまい、翌日後悔。その話を聞いた白川さんの反応。「最近の女性たちは、ネガティブな感情や行動をしてしまう自分をすごく嫌う傾向があります。でも実際は、“ダメな自分を受け入れる”ことこそが、本当の意味での自己肯定。お菓子食べちゃっても、まあいいか、と思っていいんです」8、生理前で憂鬱な時“機械だってメンテナンス必要なんだから!こちとらホルモンバランスに左右される人間ですので!”【心理学的解説】コントロールできないことは手放してしまっていいんです。2巻エピソード05「白川さんとネガティブオバケ」より。調子が悪かった日の帰宅後、生理に!腹痛のため気持ちがどんどん沈み、思考回路もネガティブに…。暗くなる自分を止めるべく、白川さんはこのセリフで開き直る!「人間、理由がなくても不安定になることはあるもの。そういう時は、自分でコントロールできること、できないことをまず切り分け、できないことは手放していい。そんなふうに開き直れるっていうのは、一つの心の強さです」9、容姿を悪く言われた時“心の中では受け取らないではね返しちゃおうよ”【心理学的解説】言葉を真に受けない。それが一番大事です。2巻エピソード26「林檎ちゃんの脳内変換」より。身長が高いことがコンプレックスの朝比奈さん。男性社員にそれをネタにされることが多いが、言い返せず自己嫌悪に。そんな朝比奈さんを勇気づけるべく、白川さんが口にした言葉。「反論できる・できないが重要なのではなく、一番大事なのは、その言葉を真に受けないこと。白川さんが言うように、聞いたふりをしながら受け流せばいい。心の中で“NO”と思いましょう」しらかわさん本名は白川桃乃、この作品の主人公。“私は私 可愛く強く”がモットーの、営業事務の25歳。ピーチティーを愛し、ロールオンアロマで気分転換。実はシャイ。ししマンガ家。2019年よりTwitterにアップした「メンタル強め美女白川さん」が反響を呼び、’20年11月に単行本化。現在、2巻まで発売中。Twitterは@sisi0cccつかこし・ともこ公認心理師、臨床心理士。東京中央カウンセリング代表。水希名義の著書に『銀座No.1ホステスの心をつかむ話し方』(だいわ文庫)など。※『anan』2022年2月2日号より。(by anan編集部)
2022年01月29日人間とチンパンジーとの間に生まれたハイブリッド〈ヒューマンジー〉のチャーリー。理解ある人間の両親に育てられ、極めて優れた頭脳と身体能力の持ち主に成長。地元の高校に入学し、チャーリーが学校生活になじめるように寄り添ってくれるルーシーとの関係を深めていく。一方、動物解放を求めてテロ活動を繰り返す「動物解放同盟(ALA)」は、チャーリーを仲間に引き入れようと過激な手段に訴えるようになり…。「このマンガがすごい!2022」オトコ編10位にランクインした注目作『ダーウィン事変』。その著者が、うめざわしゅんさん。もともとネオダーウィニズムやポピュラーサイエンスが好きで、関連書などを愛読しているらしい。「何が人間を定義するのかという生命倫理を問うテーマで『もう人間』(『えれほん』に収録)という作品を描いたことがあり、本作はそれを発展させた思考実験的な内容になっています。もしチャーリーみたいな存在が生まれ、人間と動物の境界が崩れると、人々はどういうふうに反応するだろうと。そういう面白さは生まれると思いました」うめざわさんはマンガを通し、自然との調和や動物保護、生命倫理、差別、人権など人間がいまだ明確な答えを出せない問題に広く言及していく。そんな物語に掴まれてしまうのは、登場人物たちの主張がみな、一家言あると思えるため。「ALAの主張には、人類喫緊の課題が含まれています。悪人側に正論を言わせると、耳が痛いけど腑に落ちることも多いんですよね。また、マージナル(周縁)の存在であるからこそ持てる視点を託せるのがチャーリーで、読者にも首肯してもらえるように意識しました」ちなみに、チャーリーの風貌、特に顔はサルに近く、変わっている。だが彼の活躍を知るにつけ、可愛らしく思えてくるから興味深い。「最初はCGでヒトとチンパンジーを合成させたような見た目に。ただ、チャーリーに関しては僕の得意とするリアルめなタッチより、可愛いと思ってもらえるよう、やや記号的なキャラデザインに変えました。それでいながら、生きて、人間とともにいる存在感は出したいなと」半分猿ゆえ、表情などで感情表現をするのは難しい。そのため、「目の描き方で伝わればいいなと工夫しています。もっとも人間同士でも、心の底まではわからない。他者というものの象徴でもありますね」3巻では、チャーリーにとってかけがえのない人たちがピンチに!彼はどう打って出るのか、ハラハラが止まらない、傑作コミックだ。『ダーウィン事変』3月刊『アフタヌーン』で連載中。チャーリーは、地元の住民や警察、FBIからも敵対視されるように。チャーリーの反撃が待たれる4巻は、春頃発売予定。講談社748円©うめざわしゅん/講談社うめざわしゅんマンガ家。1978年、千葉県生まれ。’98年、読み切り「ジェラシー」でデビュー。著作に、『パンティストッキングのような空の下』(太田出版)など。※『anan』2022年1月26日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2022年01月25日“婚約”してから始まる恋……。初々しさにニヤニヤが止まらない!雨隠ギドさんによるコミック『おとなりに銀河』をご紹介します。アニメ化もされた『甘々と稲妻』では、料理でつながる父娘の成長を温かく描いた雨隠ギドさん。「前作とは違うものを、と思ってラブコメになりました。だけど蓋を開けてみたら家族の要素も意外と出てきて、描きたいものってブレないんだなと思っているのですが(笑)」両親がいなくなり、幼い妹弟を養うべく、売れないながらも少女マンガ家として励む久我一郎。そんな彼のもとに、美人で仕事もできるアシスタント・五色しおりがやってくる。……と、ここまでは現実的な展開なのだが、五色さんは自称「流れ星の民の姫」だそうで、とあるハプニングでふたりは婚姻関係に。「強制的な許嫁とか、出会ってすぐに恋人になるような展開は、ラブコメのお決まりですよね。ハプニングの描き方は、実際に起こったらどうなんだろうっていう視点を持ちつつ、一方が嫌な思いをすることのないようにしたいと思っています」しかもこの婚姻関係は、五色さんにとって不都合と思える行動を久我くんがとると、体調が悪くなるなど彼に何らかの罰が下されてしまう、なかなか厄介なもの。それでもふたりは焦ることなく、誠実に愛を育んでいくのだが、その純粋さに読む側は当てられっぱなしなのだ。「『こっ恥ずかしすぎる』みたいな感想をいただくと、普通はもう少し抑えようとするのかもしれないですけど、私はギアを上げてアクセルを踏みたくなります。恥ずかしい話を描きたいんです(笑)。照れる理由ってパーソナルで、その人にとって大事な部分だったりもするので、なぜ照れてしまったのか考えてもらえたら、めちゃくちゃ嬉しいですね」一体どんなふうに想像して、ギアを上げるのかも気になるところ。「のろけ話を聞くのが好きなんです。恋愛じゃなくても、夢中になっている物事や楽しかったことを話しているときって、その人自身も魅力的に見えますよね。島から来た五色さんはほぼ全部が初体験だから、その喜びを私たちが追体験して、新鮮な気持ちになれるのだと思います」最新刊の3巻では、五色さんを連れ戻そうとする両親も登場して、これまでとは一転して不穏な空気も。「ラブコメでありがちなことを、あえてこのふたりがやったらどうなるのか、これからも“恥ずかしく”描いていきたいです。この初々しさがずっと続いたら立派ですよね(笑)」『おとなりに銀河』3婚姻契約の解除方法を探るなか、五色さんを島に呼び戻すべく両親がやってきて、久我くんとも対面!互いを思いやる気持ちに心が温まる、ラブストーリー。講談社748円©雨隠ギド/講談社あまがくれ・ぎど2007年デビュー。代表作に『甘々と稲妻』『終電にはかえします』『まぼろしにふれてよ』など。本作のほか「ゆらゆらQ」を連載中。※『anan』2022年1月12日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2022年01月11日若さ、熱意、葛藤……ツウなあの人にとって青春って何だろう?ナルホドのセレクトから意外な一作まで。読めば、観れば、きっと誰かと“青春”したくなる、そんな偏愛作品について熱く語ってもらいました!ここでは、フリーアナウンサー・宇垣美里さんの“私の青春作品”に注目!フリーアナウンサー・宇垣美里さんの“青春作品”『スキップとローファー』思いがけないところから人間関係が広がっていく。私は漫画が大好きで、ジャンルを問わずさまざまな作品を楽しんでいるのですが、ここ最近は淡い恋愛だけでなく人と人とのつながりを描いた少女漫画が増えてきているように感じます。自分の青春時代を振り返ってみても、決して恋愛のことだけを考えていたわけではないし、実は中高生にとっては友達同士の人間関係の方が重要だったりしますよね。漫画の中で描かれている人間関係の築き方は、大人になった今でも学ぶべき点がたくさんあるんです。そんな中、特に心を掴まれたのが『スキップとローファー』。石川県の田舎から東京の進学校へ入学した主人公・みつみちゃんは、朴訥としていて一生懸命で、人と接する上で垣根があまりないタイプ。そういう彼女がクラスにいることによって、初めは雰囲気の違いから苦手意識を感じていた子たちも、「話してみたら気が合うじゃん!」って気づけたりして、思いがけないところから友情の輪が広がっていくんです。大人になったらわかるけど、「雰囲気が似てるから」や「趣味が同じだから」とかじゃない友達って、とても貴重じゃないですか。作中でも、みつみちゃんと同居するおばのナオちゃんが「誰かと本当の友達になれるチャンスってそうそうないのよ」と言っているシーンがあり、強く頷きました。出会いをきっかけに新しいことにチャレンジしたり、みんなにポジティブな変化が起こるのは、まさに人と出会えた時の醍醐味。それって一人っきりでは到達できないことだなと思います。中学生の頃に読んだ『ぼくは勉強ができない』も、同じく読んでいて世界が広がるストーリー。先生をはじめとする大人たちとの対話も心に残り、立場の違う人と関わることによって自分の気づきが増えるということを知りました。自分という存在がまだ固まりきっていないからこそ、いろんなことを柔軟に受け入れたり、大人が当たり前だと思ってしまうようなことにも「なんで?」と疑問を抱けたり。そういうピュアな姿勢には青春を感じますね。私自身も高校時代の友人とはとても仲が良くて、今でも頻繁に遊んでいます。それぞれが違う進路を選んでタイプの違う大人になりましたが、何者でもなかった頃に出会った子たちはいつ会っても居心地がいいなとしみじみ感じます。仕事では老若男女さまざまな方にお会いしますが、常に意識しているのは、相手に対してあまり先入観を持たないようにすること。初めは合わなさそうだと思っていた方と親しくなれたこともあるし、話してみないとわからないことも多いと思うんです。『スキップとローファー』高校入学を機に上京した、成績優秀だけどどこか天然な岩倉美津未。彼女のまっすぐな言動が、周囲の人の心に変化をもたらしていく。高松美咲/講談社1~6巻726円・748円©高松美咲/講談社『ぼくは勉強ができない』勉強は苦手だがサッカーが得意で女性にモテる、主人公の時田秀美。学校に居心地の悪さを感じる彼の大切なものはすべて、学校の外にある。クールな彼が、時に悩みながら躍動する青春小説。山田詠美/新潮文庫473円うがき・みさと1991年、兵庫県生まれ。フリーアナウンサー。『週刊SPA!』や『週刊文春』では趣味を生かした執筆も行っている。近著に『今日もマンガを読んでいる』(文藝春秋)などがある。※『anan』2022年1月12日号より。イラスト・アボット奥谷取材、文・大場桃果(by anan編集部)
2022年01月11日エンタメの“今”を切り取った、男子のみの歌劇団の舞台裏。町田 粥さんによる、コミック『吉祥寺少年歌劇』をご紹介します。タイトルから「宝塚」を連想するが、こちらは男子のみの歌劇団。高倍率を突破した選ばれし少年たちが夢を追う、付属音楽学校の物語だ。「私自身、宝塚歌劇が好きで、音楽学校時代も含めたストーリーに熱いものを感じるんです。そこに男子のギムナジウム的な要素が合体したら面白いだろうなというアイデアが以前からあって。国内にいくつかある歌劇団のひとつという設定で男女を逆転させることで、創作にも幅が生まれると思いました」歌が得意な主人公の進藤瑞穂は、地元で観た吉祥寺歌劇団の公演に感動して、その勢いで入学。男役をやりたい一心でこの世界に飛び込んだものの、娘役が向いていると判定を下され、出鼻をくじかれてしまう。「時代的には減っていく考え方かもしれませんが、舞台に立つ人は特に、生まれ持ったものである程度決まってしまうシビアさがあると思うんです。10代でそういったシビアさに直面して、振り分けられたらどうなるんだろうと想像しました」そんな瑞穂と運命的に出会うのが、ある意味、彼よりもずっと早く人生を振り分けられてしまっている、主席候補の白井寿。歌舞伎の女形の役者である父を持つ白井は、いわば娘役のサラブレッド。だからこそ、娘役を男役の引き立て役としか見なしていない瑞穂のことを、冷たくあしらってしまう。「男性が演じる女性として、歌舞伎はイメージしやすいですよね。白井は昔の少女マンガの王子様みたいな華のあるキャラクターですが、彼も伝統的な歌舞伎の家系と、自分がやりたい道で葛藤を抱いています」ほかにも、オタクとしてこの世界を誰よりも敬愛しているからこそ、理想とかけ離れている自分に劣等感を抱いてしまうサワや、入学以前は自分を特別な人間と思っていたものの、才能に埋もれて苛立つカジなど、仲間たちの苦悩も立体的に描かれていく。日々の厳しい稽古や規律を重んじる集団生活を経て、少年たちは成長していくのだが、後半、新型コロナウイルスによって世の中が陥った現実を彷彿とさせる展開も。「やっぱり連載中、コロナ禍というのはずっとついて回りましたし、劇場に行きたくても行けない歯がゆさがありました。役者さんたちの気持ちを代弁するつもりはなかったけれど、胸にぽっかり穴が空いた感覚を描き留めておきたかったんです」エンタメの力を信じ、救われた経験のある人なら、きっと胸を打つフィナーレ。フィクションとリアルが溶け合う演出に、拍手を送りたい。『吉祥寺少年歌劇』男子のみで構成される「吉祥寺少年歌劇」。華やかな舞台に立つことを夢見て、音楽学校で切磋琢磨する少年たちの群像劇。一冊にドラマが詰まっている!祥伝社1012円©町田粥/祥伝社フィールコミックスまちだ・かゆ著書に『マキとマミ~上司が衰退ジャンルのオタ仲間だった話~』。『フィール・ヤング』にて「発達障害なわたしたち」が連載スタート。※『anan』2021年12月29日‐2022年1月5日合併号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2022年01月06日女性マンガの題材は、好き、カッコいい、幸せ~!的な恋愛模様ばかりではありません。一般的にマンガというと、忙しい毎日の中での癒し、または手軽な小さな喜び、と捉えられることが多いですが、近年増えている印象なのが、価値観の変化や女性の生きづらさ、そして社会的な問題を扱った作品たち。こういったマンガは、物語のおもしろさに引き込まれ読み進めていくうちに、気がつくと何かしら“疑う気持ち”や“気づき”を与えてくれます。揺れ動く価値観や生き方を描く、問題提起や気づきをくれる作品が増加中。紹介している4作はいずれも、私たちが日頃感じている小さな違和感や、立ち止まって考えたい問題がテーマ。少しシリアスな気分になりたいときに、ぜひ手に取ってみて。女性の生きづらさに触れながら、今後はSF的な展開に?!『ジーンブライド』高野ひと深『私の少年』で人気が高まった作家の最新作。仕事相手からのセクハラや変質者との遭遇など、げんなりする日常を生きる30歳の依知。彼女の元に元同級生の男性が現れ、二人は助け合う仲に。この先、物語に遺伝子(ジーン)がどう関わる!?1巻759円/祥伝社©高野ひと深/フィールコミックスごく普通の高校生のカップル。そんな10代が妊娠したら…。『あの子の子ども』蒼井まもる女子高生の福(さち)には、幼馴染みの同級生の彼氏がいる。お互い好きだからこそセックスをしている二人。福の体に異変が起き、妊娠検査薬を使うと、妊娠のサインが…。性教育のあり方が問われる今、作品はとてもリアルに感じられます。1巻495円/講談社©蒼井まもる/講談社人もセックスもすべてシェア。一対一の“恋愛”がレアな世界の物語。『もしも世界に「レンアイ」がなかったら』ヤチナツ一対一で恋愛をする人がごく少数、大多数は恋愛感情なくいろんな人とセックスをする、それが常識という世界の物語。主人公の乙葉は少数派の“レンアイ”で、好きな人への恋心や嫉妬心、独占欲を持つ自分に葛藤する。電子書籍1~5巻各220円/DPNブックス©ヤチナツ/DPNブックス仕事の方向性、恋への挑戦…。40代で人生の舵を切れるか。『ローズ ローズィ ローズフル バッド』いくえみ綾長い間、ギャグ系のキャラクターマンガを描いてきたマンガ家の神原正子・40歳。でも実は本当に描きたいのはキラキラの少女マンガ。齢40歳で挑戦するも、“胸キュンが足りない”とネームはボツに…。大人になってからも人生は変えられる…?1巻660円/集英社©いくえみ綾/集英社※『anan』2021年12月29日‐2022年1月5日合併号より。(by anan編集部)
2022年01月05日アイドルやミュージシャン、声優、あるいは一般人など、今や誰にでも推しがいる、といってもいい時代。マンガの世界にもその波は及んでおり、’21年は特に“推しがいるヒロイン”のストーリーが目立ちました。もしや時代は恋より“推し”?!推しありガールたちの物語が熱い。これまでのような“推しと恋に落ちてしまう?!”というシンデレラ・ストーリー的な作品ももちろん人気。それはまさに、推しのいる人類の最高の夢…!今回は、“推しを持ちつつ、推しではない男性に心を奪われる”というパターンに注目。推しに愛を捧げる生活をしながら、恋に翻弄される。今の女子のマインドをリアルに描いた作品として、共感を呼んでいる模様。推しと恋心が両立するなんて、もはや天国~!ファンだとばれちゃう?!スレスレ感がたまらない。『ミワさんなりすます』青木U平映画マニアのフリーター・久保田ミワは、渋くてカッコいい国民的俳優・八海崇の大ファン。彼が家政婦を募集していることを知り、自宅に偵察に行ったところ、面接に来た家政婦と間違えられ、彼の家で働くことに!1~2巻(12/28発売)各730円/小学館©青木U平/小学館顔が良すぎる先輩と顔が好きすぎる後輩。どこかズレてる恋物語。『顔だけじゃ好きになりません』安斎かりんイケメン高校生の奏人を推すがゆえ、同じ高校に入った才南。が、彼は退学の危機!彼の顔が好きすぎる才南は、退学阻止のために奏人のSNSの“中の人”をやることに。一方、奏人は“顔だけ”と言われることがコンプレックスで…。1~3巻各495円/白泉社©安斎かりん/白泉社声フェチの実加には上司のイケメン顔が全く響かない…!!『君の声が好きすぎる』磯谷友紀ディープな声オタの女子大生・実加がアルバイト先で出会ったのは、推しである声優の“佐野っち”とほぼ同じ声を持つイケメン上司!上司は“佐野っち”に興味を持ち、二人はなぜかオタ活仲間に。上司への気持ち、それは恋なの?!電子版1~5巻各220円/集英社©磯谷友紀/集英社推しグループと実家を失ったアラサーの前にイケメンが!『転がる女と恋の沼』芥 文絵大好きな立花くんが所属するアイドルグループは解散を発表、住んでいた実家は火事。31歳で渋々ひとり暮らしを始めた栞。隣室に住む年下のビジュアルだけは良い男子と知り合うが、彼は彼でイケメンゆえの生きづらさを抱えていて…。1巻792円/祥伝社©芥文絵/祥伝社フィールコミックス※『anan』2021年12月29日‐2022年1月5日合併号より。(by anan編集部)
2022年01月01日毎年好き&気になるマンガを紹介してきた「ananマンガ大賞」、なんと今回で12回目!ここでは大賞作を発表します。年末年始にぜひとも読んでくださーい!ananマンガ大賞:『恋するMOON DOG』山田南平満月を見ると犬になっちゃう男の子?!ファンタジー、でもリアル。“これぞマンガ”な恋物語。現実ではありえない設定、だからこそ引き込まれる!大人の女性におすすめのマンガを紹介する「ananマンガ大賞」。ありがたいことに今年で12年目を迎えたこの企画。改めて大賞選考基準をご説明すると、(1)カッコいい男性が出てくること、(2)ラブストーリーであること、(3)現在連載中であること、(4)読んだあとに前向きな気持ちになれること。以上の4つと照らし合わせながら、編集部内のマンガ好きスタッフらが厳正に審査した結果、今年の大賞は山田南平さんの『恋するMOON DOG』を選出!電子雑誌「花ゆめAi」で連載中の、満月を見ると犬になっちゃう20歳の男子と、ちょっぴり年上のトリマーとして働く女性のラブストーリーです。リアル世界では絶対にない設定は、マンガだからこそ楽しめる物語!いったいどんな作品なの?4 つのポイントで解説。POINT1:ヒロイン・律歌とアキラの出会いは真夜中の路上。偶然飛び出してきたのは犬だったけど…?初対面なのに、やけに懐く&お行儀の良いドーベルマン。近くに落ちている脱ぎたての衣服も気になるが、律歌は「とりあえず捕獲して、飼い主に連絡しよう」と犬を連れて自宅へ帰り、鑑札と名札をチェックするが…。POINT2:なんとアキラは、人狼の犬版。満月を見るとドーベルマンに変身!犬の首輪に付けられた小さなペンライトのスイッチをオン。すると満月が映し出され、それを見た犬が、突然人間、しかも若い男子、そして裸に!!いろいろありえない!!が、律歌はペットとしてアキラ(犬)を飼うことに!?POINT3:大型犬のごとく甘えてくるアキラが、正直たまりません。犬好きでも犬好きじゃなくても、オチます。犬になったり人間になったりしながら、律歌と暮らすことになったアキラ。人間の姿をしているときにも、口元を舐めてきたり擦り寄ってきたりと、甘え方がほぼ犬。それがめっちゃかわいい…。犬好きの律歌は翻弄されまくり。POINT4:出てくる犬が、リアルかつかわいい!犬同士の会話も読みどころ!律歌の働く犬の美容院には、スピッツ、シェパード、ゴールデンなどさまざまな犬がご来店。犬同士の井戸端会議の場面が、とにかく愛らしい!犬にもこんな性格の違いがあるんだろうな…と、妙に納得してしまいます。山田南平先生に、受賞特別インタビュー!受賞の報告をさせていただきつつ、作品への思いや創作の裏話、そして犬への愛を聞かせていただきました!――まずは受賞の感想をどうぞ!山田:私の夫(マネージャー)から受賞を知らされました。あまりに驚いて、「え、anan?anan??」と何度も聞き返しました。――この作品は、とにかくアキラがカッコよくて魅力的です!!山田:ありがとうございます!アキラは設定上全裸になることが多いので、細マッチョの筋肉質体型にし、また“愛されることが仕事の家庭犬”的な愛され方に慣れている子で、“女の子の気持ちを完璧に酌める王子様”であることを目指しました。犬種をドーベルマンにしたのは、ヒロインを押し倒せるサイズの大型犬で、スリム体型、筋肉質なのがひと目で分かる短毛種、という条件から出てきた結果ですね。「犬のときも人間のときもカッコいい」と言ってもらえたことがあり、本当に嬉しかったです。――このお話はファンタジーですが、恋物語としてはリアル。そのバランスはどう考えていますか?山田:犬になる、という設定以外の部分のリアリティを大事にしています。主人公の部屋や職場、遊びに行くお店の様子など、見慣れた現実感をしっかり描くと、ありえないことが起きてもすんなり読んでもらえるような気がします。また4巻でアキラの体質に関して遺伝の話が出てくるのですが、そこは医学監修を入れてリアルな設定を用意しました。ファンタジーとリアルのメリハリがあればあるほど、意外と違和感が生まれにくいのかもしれません。とはいえ「なんでアキラは日本人なのに和犬じゃないの?」というような素朴な疑問も出てくると思いますが、そこは見逃してください(笑)。――価値観が変わる昨今、恋愛マンガのあり方も変化していると思いますが、マンガ家として、そのあたりはどう思われていますか?山田:ネットやSNSのおかげなのか、ここ10年の変化の流れは本当に大きく、良い方に進化しているのだと思っています。一方で、以前私が描いた作品を今読んでくれる若い読者さんにとっては、驚きも多いだろうと、申し訳なく思う部分もありますね…。この作品も、アキラが律歌に「俺の子どもを産んで」というセリフがあり、正直“今の時代にどうなんだ?”と思い悩んだのも事実です。だからこそ、その部分を慎重に扱いながら物語を紡ぎ、7巻で律歌とアキラが一つの答えを出したので、ぜひそこまで読んでもらいたいです。――またこの作品は、犬への愛が溢れているところも素敵です。山田:作品を描く上で、“犬を生き生き幸せそうに描くこと”を大事にしています。また、“一度飼うと決めた動物と最後まで暮らす大切さ”を伝えたい、という気持ちも込めています。私自身が小さい頃から犬好きなので、いつか犬がテーマの作品が描けたら、日本のペットを取り巻く状況を盛り込みたいと思っていたので、そんな要素も少しずつ入れています。男の子カッコいいな、恋愛物語がおもしろいな、と思って読んでいたら、ついでにペット業界の暗い部分の知識もつるっとのんじゃった…的なものを目指しているので、そういうところも感じ取っていただけると、作者としては嬉しいですね。この後の律歌の心情に関して、編集長とバトルを繰り広げた、思い出の場面。2話のアキラが迫るシーン。このあと律歌は拒絶しバスルームに逃げ込む。「律歌の心の動きに関して、編集長と闘ったのを覚えています。双方折れられず、友人のマンガ家・日高万里さんにネームを見せて泣きつきました。苦し紛れに描いた律歌のモノローグを日高さんが褒めてくれたのが嬉しかった」友人、読者、編集長が揃って大絶賛!描きながらご自身も涙ぐんだ名シーン。「犬化する俺の気持ちはわからない」とアキラに言われ、律歌が泣きながら啖呵を切る場面。「友人が“すごい良かった!”と連絡をくれたり、前述の編集長からも“本当に良い回で、完璧だった”と電話をいただいたり…。読者さんの反応も、連載中で一番良かったと言われ…。本当に描けてよかった」読者さんからもらって嬉しかったのは、「読後、彼氏をハグしたくなる」という感想。「〈ananマンガ大賞〉の選考基準に、“読んだあとに前向きな気持ちになれる”というものがあると伺い、この作品に対して、そう思っていただけたということがとても光栄です。頑張って描いてよかった!家族がいる人は家族を、犬や猫を飼っている人はぜひ彼らをハグしてほしいと思います」『恋するMOON DOG』トリマーの律歌(25)が出会った犬は、満月を見ると人間になる20歳の男子だった!「俺の番(つがい)になって」と迫る年下イケメンに律歌は翻弄されるが…。電子雑誌「花ゆめAi」にて連載中。1~7巻各693円/白泉社©山田南平/白泉社やまだ・なんぺい1991年デビュー。代表作に『紅茶王子』が。現在「金色のマビノギオン ―アーサー王の妹姫―」をアプリ「マンガPark」で連載中。※『anan』2021年12月29日‐2022年1月5日合併号より。写真・中島慶子(by anan編集部)
2022年01月01日2021年も残りわずか。今年もウーマンエキサイトではたくさんのコミックストーリーを読者の皆さんにお届けし、たくさんの反響をいただきました!コミックライターさんによる「創作コミック」、実話を元に脚本を制作した「コミック連載」、ママの日常を綴った「コミックエッセイ」など、幅広いジャンルの作品を楽しんでいただけたのではないかと思います。今回はその中から編集部が特におすすめしたい珠玉のコミックストーリーを、おすすめポイントとともにジャンル別にご紹介します!■創作ストーリー部門・子育てが終わったら私に何が残る…? その答えを見つけたママの物語に涙私は母親であることを楽しんでいたんだ…!【あさひが丘の人々 第75話】私は母親であることを楽しんでいたんだ…と気づく主人公のみさのストーリーに「子どもがいてもいなくても 世界中の皆がこんな涙が流せる時がきたら良いな…」「涙が出ました」など、読者の方から多くの感想をもらった感動作です!(編集部I)【→ この作品を見る 】 【「あさひが丘の人々」連載はこちら】 この連載の全話を見る >> ・悩めるママを救う「ピンクのパンダ」の言葉が深い…!クローゼットの奥にしまわれた服…ママのあるべきファッションって何?(1)【親子を救う!?ピンクのパンダのオールOK! 第16話】「ママだから」という理由で個性的な服を諦めているママ。しかしいきなり現れたパンダが「好きを否定するのは辛くない?」と問いかけて…。子どもの素直なセリフにも共感が集まり、NHKでも取り上げられた話題の作品!(編集部K)【→ この作品を見る 】 【「親子を救う!?ピンクのパンダのオールOK!」連載はこちら】 この連載の全話を見る >> ■コミック連載部門・料理が苦手なママへ義母が放ったひと言に称賛の嵐!毎日の料理が苦痛!夫や息子からのダメ出しにイライラが止まらない/料理が苦手なママ(前編)【ママの楽しみかた Vol.1】料理が苦手で、毎日の食事作りに苦痛を感じているママは多いはず。そんなママたちに対し「無理せずいろいろなものを頼っていい!」と気づきを与える内容で、「涙がでそうでした」「こんな義母が欲しい!」など多くのコメントが寄せられました!(編集部A)【→ この作品を見る 】 【同じテーマの連載はこちら】ママの楽しみかた この連載の全話を見る >> ・子どものための中学受験がまさかのママ友トラブルに発展!?友だちトラブルが試験結果に直結…!?/ママ友の塾マウント・櫻島家の場合(1)【親たちの中学受験戦争 Vol.10】中学受験では、親も手探りで孤独な状態。だからこそ塾内の成績順位、志望校の詮索でママ同士のトラブルに発展することも…!読者からも、他の親からの干渉や子ども同士のトラブルなどのエピソードが多く寄せられました!(編集部K)【→ この作品を見る 】 【同じテーマの連載はこちら】親たちの中学受験戦争 この連載の全話を見る >> ・PTA役員のありかたとは? 2人のママの視点から考える初のPTA役員に不安が募る! 一緒に活動するママからの突然の丸投げ/PTA役員トラブル(1)【私のママ友付き合い事情 Vol.167】仕事を理由にPTA業務を別の人に押し付けるトラブルが発生!しかし問題の本質は別にあって…。「PTAってボランティアだったの?」「PTA業務で学校と対立した」など多様な意見が集まり、ママたちの関心の高さがうかがえました。(編集部K)【→ この作品を見る 】 【同じテーマの連載はこちら】私のママ友付き合い事情 この連載の全話を見る >> ・「こんなはずでは…」想像以上に親の負担がかかる子どもの習い事サッカーの保護者当番に「仕事が忙しい」は通用しない!?/子の習い事には親の負担がつきもの?(1)【親子関係ってどうあるべき? Vol.54】「子どものため」という名目で、親が気を利かせて対応することがエスカレートしがちな習い事の当番。時にそれは仕事を頑張りたい母親には高いハードルになってしまうことも。「子どもを応援したいけど、親が頑張りたいことを諦めるのも違うと思う」と読者からは複雑な声が届きました。(編集部I)【→ この作品を見る 】 【同じテーマの連載はこちら】親子関係ってどうあるべき? この連載の全話を見る >> ・止まらない義姉の暴走…その裏にあった彼女の苦悩とは?何かをこじらせてる…!? 初対面の義姉に心がザワつく/困った義姉(1)【義父母がシンドイんです! Vol.175】義理の姉のクセがスゴい!強烈キャラに周囲は振り回されるしかないのでしょうか!?「式場見学についてきて言いたい放題」「経産婦にあり得ない暴言」など、身勝手すぎる義姉の行動と発言に「信じられない…」「うちはもっとスゴかった」など怒りと共感の声が殺到しました。(編集部K)【→ この作品を見る 】 【同じテーマの連載はこちら】義父母がシンドイんです! この連載の全話を見る >> ■コミックエッセイ部門・偏食の夫や娘にどう向き合う? 悩んだ末にたどり着いた「楽しい食卓」スイス人夫vs日本人妻 結婚と同時に「食の好みが合わない」バトル勃発! ?【スイス人夫VS日本人妻 〜家族の偏食、どう乗り切る?〜 Vol.1】栄養や健康のことを考えて食事を作っているのに食べてくれない…。家族の偏食に長年悩むも「人それぞれ必要なものは違うし、無理に食べさせなくてもいい」という気づきに「参考になった! 」という声が多く寄せられました!(編集部N)【→ この作品を見る 】 【この作者の連載はこちら】今日もどすこい母さん この連載の全話を見る >> 娘が夜驚症になった話 この連載の全話を見る >> ・バイリンガル教育のメリット・デメリット簡単ではないバイリンガル教育。でも頑張ろう!と思えた、ステキなエピソード【ドイツDE親バカ絵日記 Vol.40】バイリンガル教育は「その環境があって羨ましい」としか思っていませんでしたが、記事を通じて懸念点もあると知りました。正解のない子どもの教育ですが、ネガティブな点を加味しても「ポジティブな可能性を与えてあげたい」と思えることは、その思いを信じて力を注いでいく、というのは素敵な方針だと思いました。(編集部T)【→ この作品を見る 】 【この作者の連載はこちら】ドイツDE親バカ絵日記 この連載の全話を見る >> ・妊娠を周囲に知らせるタイミングって難しい…!妊娠は何が起こるかわからない…義両親や息子、ママ友に「妊娠を報告するタイミング」【なんとかなるから大丈夫! Vol.21】夫や義両親、ママ友…それぞれに妊娠を伝えるタイミングは考えれば考えるほど難しくなります。でも、このコミックエッセイを読むと、あえてタイミングを読まずに伝えることが大事なのではと感じて勇気づけられます。(編集部K)【→ この作品を見る 】 【この作者の連載はこちら】なんとかなるから大丈夫! この連載の全話を見る >> ・娘の長引く登園拒否に不安が募るけれど…娘が突然登園拒否 これは甘えなのか、それとも…【幼稚園退園しました Vol.1】何かと悩みがちな子育て。我が子についてはちょっとでも王道から外れると親が不安になりがちですが…「道は1つじゃない」とたどりついた場所で楽しく生きようというメッセージに勇気づけられました。(編集部M)【→ この作品を見る 】 【この作者の連載はこちら】チッチママ&塩対応旦那さんの胸キュン子育て この連載の全話を見る >> ・ママのネガティブが娘に影響…? ママの自分改革がもたらした効果なぜ娘は自分を否定する!? ポジティブに育てたつもりが、予想外の落とし穴が…!【ヲタママだっていーじゃない! 第115話】大人になると自分を変えることが難しくなっていくと思いますが、子どものために短所と向き合い、ポジティブになれたことに素直にすごい!と思いました。そして結果、「自分のことが好きになってきた」との文にじーん。(編集部K)【→ この作品を見る 】 【この作者の連載はこちら】ヲタママだっていーじゃない! この連載の全話を見る >> ■まとめ皆さんの心に響いたコミックストーリーはありましたか? 来年もウーマンエキサイトは、ママたちが少しでも癒されたり、共感したり、新しい価値観を得たりして楽しめるコミックストーリーを発信していきます! 新作コミックストーリーもぜひチェックしてくださいね。
2021年12月25日2021年のウーマンエキサイトの「コミックエッセイ」記事を閲覧数別TOP10にして発表! 現役ママたちに支持されたコミックエッセイを一挙に紹介します!■【第1位】 小学生のお友達トラブル/じゃがいもころりんさん子どもにはお友達とのトラブルがつきもの。しかし、もし大切なわが子が怪我をして帰ってきたら…。実体験を元にしたじゃがいもころりんさんのエッセイが、2021年もっとも読まれたコミックエッセイ第1位に輝きました! 【じゃがいもころりんさんの受賞コメント】このたび、コミック大賞を受賞する事ができ心より嬉しく思います! 第一子の時のエピソードなので、私自身どうしたら良いのやら迷い悩みつつではありましたが、「罪を憎んで人を憎まず」という言葉を忘れないように心がけた記憶があります(笑)。今となっては、(重大な取り返しつかないことでなければですが)子どもに起きたトラブルは親子で経験値を積むチャンスだと思っています。読んでくださった皆様本当にありがとうございました! >>この作品を見る ■【第2位】 親に整形させられた私が、母になる/グラハム子さん中学を卒業した春、「あなたのためになんでもしてあげる」と実の母親から言われ、整形させられてしまう主人公。それから20年、主人公が結婚して母になるまでのストーリーが描かれます。母になった自分自身と、そして実母とどう向き合っていくのか…。最終回を迎えたばかりの本作は一気読み必須です!【グラハム子さんの受賞コメント】こんなにたくさんの方に読んでいただけたなんて嬉しいです。この作品は、虐待まではいかないけれど、親の過干渉により心が少しずつ歪んでいってしまう女の子の話です。フィクションは混ぜていますが、私の体験談でもあります。どこまでが親の愛や教育で、どこからが虐待という明確な基準がないからこそ、親子関係は難しいんですよね。読者の皆様からいただいた感想もとても嬉しかったし、励みになりました。どうもありがとうございました! >>この作品を見る ■【第3位】 サヨナラ、心がくじけたパパ/もりりんパパさん家では育児、会社では新しい仕事…。あらゆるプレッシャーを抱える中、自分の病気が見つかり…。心がくじけてしまったパパの目線で描かれるリアルストーリー。今回のTOP10内で唯一パパ目線で描かれた作品です!【もりりんパパさんの受賞コメント】ま…まさか僕の記事がランクインしてしまうとは。編集部の方からご連絡を受けた際に、驚きすぎて時間がとまってしまいました。これも読者の皆様や編集部の方々のおかげです。本当にありがとうございます。当時はとにかく大変な時期でしたが、子ども達も含めて家族が一丸となることでどうにか乗り越えることが出来ました。今も似たような状況でまた大変なのですが、また乗り越えてみせます!これからもどうぞ宜しくお願い致します! >>この作品を見る ■【第4位】 娘が夜驚症になった話/ケイコモエナさん夜中突然スイッチが入ったように泣き出してしまう「夜驚症」。医師に原因はないと言われるものの、お友達のマリーが関係しているような気がして…。原因がはっきりしないがゆえに悩んでしまう母の葛藤が描かれています。【ケイコモエナさんの受賞コメント】とてもとても嬉しです! ありがとうございますー!人間関係って自分のことならどうにかなるものですが、我が子のこととなると、そんなわけにも到底行かず…。あーだ、こーだ悩みまくって、一母のリアルな心の葛藤をそのまま描いてみました。今では問題になったマリーとは大大大親友で、この時のお話が嘘のようです。 >>この作品を見る ■【第5位】 産後バセドウ病になった話/まつざきしおりさん「いいお母さんになるんだ」と張り切っていた産前。しかし、実際に育児が始まると現実は理想通りにはいかず…。ある日体が悲鳴を上げしまい、バセドウ病であることが分かり…。【まつざきしおりさんの受賞コメント】この度は、このような素敵な賞をありがとうございます! 病気について書くのは今回が初めてで、デリケートな題材でもあるので、筆を執るのもとても悩み、試行錯誤しつつドキドキしながら描きました。私自身、当時病気の原因がわかるまで本当に怖くて不安だったので、私の体験が少しでもみなさまのお役に立てたら幸いです。本当にありがとうございました!! >>この作品を見る ■【第6位】授乳が気持ち悪い…「私は母性がないの?」と苦しんだあの感覚の正体がわかった/オギャ子さん授乳している時間が尊い、わが子がおっぱいを飲む姿が愛おしい…。そんな感情は母親なら感じて当たり前? 授乳が苦痛で仕方がなかったオギャ子さんは、その不快な感覚に名前があることを知り…。同じような悩みを持つママたちから多くの共感を呼んだコミックエッセイがラインクイン!【オギャ子さんの受賞コメント】この度は6位に入賞をさせて頂きまして大変光栄です。言葉にできなかった授乳時の不快感に名前があることがわかり、大変多くの反響があったように感じています。同じような経験をしてきたお母さん同士が共感しあえる場所を作る事ができ、まるで当時の私の気持ちも浮かばれたような気がしています。そして何より私の「授乳が辛かった」というつぶやきに対して「それってD-MERじゃない?」と教えてくれた読者さんに何より感謝しています。 >>この作品を見る ■【第7位】4年間の不妊治療の記録〜私の願いと夫の気持ち〜/にわゆりさん当たり前のように子どもができると思っていた夫婦が、4年近くかけて不妊治療に挑んだリアルストーリー。治療をステップアップしていくたびに、夫婦が感じるプレッシャーやゴールの見えない辛さ…。そして最後に迎えた結末とは…!【にわゆりさんの受賞コメント】この度は7位に選んでいただきありがとうございます! 不妊治療というデリケートなテーマ。全体を通して治療過程での苦労や感情の流れを丁寧に、時には涙ぐみながら描きました。とても思い入れが強い作品なので、たくさんの方に読んでいただけてとても嬉しく思います。そしてこのお話の主人公となった本人も、大変喜んでいます!本当に、読んでいただいてありがとうございました! >>この作品を見る ■【第8位】お風呂を促すのやめてみたら…子どもたちはいつ動き出すのかを実験してみた!/ホリカンさん5人の子どもを育てるホリカンさんの課題は、子どもたちがすんなりお風呂に入ってくれないこと。そこでお風呂に入ることを促すのをやめてみたところ、子ども達はある理由で自主的にお風呂に入ることが分かり…。【ホリカンさんの受賞コメント】この度は誠にありがとうございます!わが家のお風呂事情を(笑)沢山の方に読んでいただけて嬉しいです!全員が幼かった頃はいっぺんにまとめて入れていましたが、大きくなってくるとそういうわけにもいかず。人数が多い分、一人一人がいかに素早く入るかが毎日の課題なんですが…なかなかすんなりいきません(笑)子どもたちの【なんでやねん(怒)!】ということほど観察すると面白い発見があったりするので日々学びだな~と思う今日この頃です! >>この作品を見る ■【第9位】それは違う…親の職業について問われた息子がまさかの回答を!/ちょっ子さんデザインの仕事をしているちょっ子さんご夫婦は、日ごろから公表できない制作物を手掛けているケースもあるため、息子のきゃん太くんを仕事部屋には入れないようにしていたとか。そしてある日、友達に両親の職業を聞かれるとまさかの回答が…!【ちょっ子さんの受賞コメント】この度のランクイン、大変うれしいです。いつも読んでくださる読者さまと、編集部の皆さまに感謝です!両親に言われたことを守らなければと、おそらく息子なりに一生懸命考えて出したこの返答…。息子に必要以上に気をつかわせてしまっていたのかな、と少し申し訳ない気持ちにもなった出来事でした。ちなみに今も我が家は息子のお友達から「怪しい家庭」と思われたままだと思います。 >>この作品を見る ■【第10位】やって良かった習い事は…? 何度も間違ってようやく本質に気がついた!/tomekkoさん同じマンションのお友達に誘われて入ったサッカーチーム、体力づくりのためにもと始めたスイミングスクール…。しかし、どちらも長男くんは辞めたいと言い…。初めての習い事、親がわが子に身につけさせてあげたいことや、苦手そうなことの克服のために習い事を勝手に選んでしまった後悔の後、行き着いた着地点とは…!【tomekkoさんの受賞コメント】習い事って子どものためのはずなのに、ついつい親のコンプレックスやエゴを押し付けてしまったり、子ども自身のモチベーション低下にイライラしてしまったり…そんな経験は誰しもあるのではないでしょうか。今回は毒親道まっしぐらだった長男幼児期からの大反省会のようになってしまいましたが、習い事で得られる本当のメリットって、身につける内容とはまたちがうところにあるのかも…と描きながらつくづく実感しました。私の失敗談が読んでくださった方の参考になれば幸いです。ありがとうございました。 >>この作品を見る 以上、2021年に読者の皆さんに読んでいただいたコミックエッセイランキングTOP10でした! コミックライターのみなさんが綴るエッセイは、現役ママたちが抱える悩みや葛藤から笑いや感動まで、さまざまな感情が動かされるテーマばかりです。2022年も引き続きウーマンエキサイトのコミックエッセイをお楽しみに!
2021年12月25日ウーマンエキサイトが2021年までに紹介してきたコミック作品はなんと100作品以上にも! この記事では、特に人気のあった完結コミックを10作品をご紹介します。すべて完結した作品なので、気になる結末もすべて読みきれます。ぜひ年末年始に一気読みしてみてくださいね! 【妊娠前から不倫されてました(全67話)/えみこ】夫の裏切りは妊娠前からだったという衝撃展開!宇宙人に扮した夫婦の不倫発覚から終結までの一部始終を描いた本作。夫の裏切り、あなたは許せますか? フルタイムワーママ「えみこ」が夫の異変に気付いてからの追求〜反撃〜制裁〜決断までの道のりが描かれた長編作品。 >>この作品を見る 【母とうつと私(全54話)/笹川めめみ】うつ病と向き合う家族の壮絶な戦い…優しい両親との何不自由ない幸せな毎日は、母親のうつ病により一変。病気と向き合う家族の壮絶な戦いが、娘目線で綴られています。家族ってなんだろう、家族ってどうあるべきなんだろう…。実際にあった体験を元に描かれた内容に、「家族とは」という大きなテーマを考えさせられる作品です。 >>この作品を見る 【旦那の浮気を暴いた話(全51話)/人間まお】許せない!新婚1年目で旦那が浮気!結婚1年目、結婚ほやほやの主人公を襲った事件、それは旦那の浮気。些細な変化から浮気に気づき、暴き出す妻と追い詰められていく夫の行く末が描かれています。妻が「直子ってだれ?」と浮気相手の名前を出し、夫を問い詰めたシーンは必見! >>この作品を見る 【物がなくなる家(全30話)/ツムママ】家から物がなくなる…犯人は誰?最初は快適だと思っていた義母との同居生活。でも、なぜか同居を始めたころから物がなくなり出して…。まさか、その犯人は…!? >>この作品を見る 【娘の友達に困った時の話(全19話)/Ai】娘の友達の衝撃的な事実とは!?ある日家に遊びにやってきた娘の友達・きららちゃんは、帰宅時間になると、家が分からないから帰れないと話し始める。叔母さんと住んでいることが分かり送りに行くと、なんと叔母はきららちゃんに手を挙げていて…。やるせない気持ちを抱えたまま、学校に連絡すると…。 >>この作品を見る 【我が子を触れない母の話(全24話)/koto】触るたびに泣き叫ぶわが子…私はダメな母親?抱っこどころか触ることさえ拒絶し続ける娘に対し、ただ優しく抱きしめてあげたいだけなのに…と悩む母。娘の発達には何か問題があると確信し、療育に通うことを決心するが、親子は触れ合うことができるのか…! >>この作品を見る 【出産の記録〜低酸素性虚血性脳症の娘と私(全57話)/あさのゆきこ】想定外の試練に見舞われた妊娠・出産の記録!妊活、流産、待望の妊娠、そして重症新生児仮死…。想定外の試練に見舞われた壮絶な妊娠・出産の記録。出産することの奇跡、命の尊さを感じるストーリーは涙なしでは見られません…! >>この作品を見る 【イチオさんがシンパパになるまで(全23話)/えみこ】妻の不倫で幸せな家庭が崩壊!30代前半サラリーマンのイチオは、妻と子どもとと幸せな暮らしを送っていたはずが、妻の不倫発覚により一変! サレ夫となりもがきながらも、シンパパになると決心したイチオの人生を描いた作品。 >>この作品を見る 【その人って本当にママ友ですか?(全20話)/ちなきち】孤独な毎日から救ってくれたママ友の正体…夫の仕事の都合で引っ越しを終え、孤独な毎日をすごしていたところに現れたママ友…。しかし、ある日を境に家から物が消えていき…、クローゼットに入っていたはずの青いワンピースをママ友が着ていて…。不信感は深まり、夫がカギを握っていたという思わぬ結末が…! >>この作品を見る 【私の家で何してるの?(全10話)/ちなきち】義妹との壮絶な闘い!出会った時から、おかしかった弟の嫁。そんな義妹が実家に転がり込んできたことで、予想だにしない壮絶な闘いが幕を開け…。 >>この作品を見る 2021年、特に人気を集めた完結コミックをご紹介しました。この他にも、ウーマンエキサイトには、育児、ママ友、義父母、夫婦関係、不倫など、さまざまなジャンルの完結コミックがたくさん。ぜひチェックしてくださいね! \完結コミック一覧ページを見る/
2021年12月25日ウーマンエキサイトが展開している数多くのコミック作品の中でも人気なのが、編集部によせられたエピソードを元に編集したオリジナルの「コミック連載」。この記事では、爆発的な閲覧数を誇る2021年のコミック連載ランキングTOP10を発表します!■【第1位】 習い事コーチと5人の妻小1の息子と夫と暮らすあゆみは、育児と家事だけの退屈な毎日に不満を抱えていた。そんなある日、息子を通わせているサッカーチームに新しいコーチ・直樹がやってきた。優しく爽やかなイケメンである直樹へのときめきを隠せずにいたあゆみだったが、あることをきっかけに直樹と急接近。しかし、直樹との禁断の関係をもったのは、実はあゆみだけではなかった…! 保護者のあゆみ・沙里・春子・みほ、そして直樹の妻由佳の「5人の妻」の視点から描かれた長編コミック。 >>この作品を見る ■【第2位】 略奪婚した夫の裏の顔化粧品メーカーに勤める恵は、社内の飲み会で知り合った10歳以上年上の悠一と意気投合。すぐに付き合うことになったが…悠一がまさかの既婚者であることが発覚!離れたいのに離れられない…恵は苦悶するが、その後離婚した悠一と、周囲の反対を押し切って結婚。略奪婚に浮かれる恵だったが、本当の地獄はここからだった…。 >>この作品を見る ■【第3位】 義父と同居/義父母がシンドイんです!理央が偶然出会ったママ友の美樹。次第に服装、髪型、持ち物までが似てきて、夫まで間違うほどになっていく。不気味に感じながらも育休が終わることで付き合いが途絶えると思っていたのだが、理央の周囲で異変が起こり始めてしまう。そして理央の会社にまで入社しようと企む美樹の口から狂気に満ちた理由が明かされて…。 >>この作品を見る ■【第4位】 微妙な負担を押し付けてくるママ友/私のママ友付き合い事情沙織のママ友の真美は、子どもを連れておやつの時間に遊びに来ておやつを食べていったり、車で出かけようとすると「乗せて」と言ってきたり、ランチの会計時にちょっとだけ足りないから出してと言ってきたり…。とにかく微妙な負担を押し付けてくる困ったママ友に「まあこれくらいならいいか」と応えてきたが、その行動はすべて確信犯だと感じたとある日、同じ悩みを持つママ友と結託することに…! >>この作品を見る ■【第5位】 私になりたいママ友/私のママ友付き合い事情理央が偶然出会ったママ友の美樹。次第に服装、髪型、持ち物までが似てきて、夫まで間違うほどになっていく。不気味に感じながらも育休が終わることで付き合いが途絶えると思っていたのだが、理央の周囲で異変が起こり始めてしまう。そして理央の会社にまで入社しようと企む美樹の口から狂気に満ちた理由が明かされて…。 >>この作品を見る ■【第6位】 孫差別する義母/義父母がシンドイんです!恵の目の前で繰り広げられる義母の孫差別。実娘である美月と美月の子どもたちばかりをかわいがり、恵の子どもである遼には理不尽な理由で怒鳴られてしまう。そんな義母の言動に夫も我慢できず、次第に義両親とは疎遠になっていく。しかし義母に溺愛されていた美月の離婚によって、義母と義妹がさらなる暴走を始める…! >>この作品を見る ■【第7位】夫の女友達が気になる/夫婦の危機1歳の娘の育児に奮闘する有紗には、以前から抱えている悩みがある。それは夫・雄太の女友達である伊藤由紀のこと。やたらと雄太との距離が近い由紀に戸惑う有紗だが、そんな気持ちを雄太は全く理解できていない様子。雄太の大事な友達だからと、なるべく気にしないよう過ごしてきた有紗だが、ある日、産後の自分よりも由紀を優先する雄太に対し、ついに我慢の限界がきてしまう。 >>この作品を見る ■【第8位】 食い尽くし系夫/うちのダメ夫「食い尽くし系」の夫と2人の子どもと暮らす主人公。食い尽くし系とは、目の前にある料理について周りの人の分を考えずに無意識に食べてしまう人のこと。大皿に盛られた餃子も、必死に作った作り置きも、いつのまにか平らげてしまう夫にイライラが止まらない…。ある日、許し難い食い尽くし事件が起こり、主人公はいよいよ解決に向けて乗り出す。 >>この作品を見る ■【第9位】 嫁いびり/義父母がシンドイんです!婚期を逃すまいと焦っていたかなこは、婚活アプリで知り合った洋太とトントン拍子に結婚することに。しかし強烈キャラの義母とは折り合いがつかず…。何かと口を出してくる義母と、義母の肩を持つ洋太にうんざりしはじめるかなこだったが、義母の暴走はかなこに子どもが生まれてからどんどんエスカレートしていき、狂気じみていく…。 >>この作品を見る ■【第10位】 出世欲のない夫/うちのダメ夫育児と家事を率先してやってくれる夫の隆は、昇進に興味はなく年々給料も下がっていた。そんな夫を見て、やりたいことを仕事にした妻の奈々子は、「一家の大黒柱なんだから、家庭に逃げてばかりいないでしっかりして」と酔った勢いて暴言を吐いてしまう。冷戦状態が続く中、夫は妻に離婚届を差し出し…。 >>この作品を見る どれも読みだしたら止まらない気になるテーマばかり! 2022年もたくさんのオリジナル作品をご紹介予定です。ぜひ引き続きご期待くださいね!
2021年12月25日偶然親しくなったおばあちゃんから都内の平屋を譲り受けた29歳のフリーター、生田ヒロト。上京してきた従妹の美大生・小林なつみとハウスシェアしたり、既婚者の親友・野口ヒデキといまだにつるんだり。そんなヒロトのマイペースな暮らしを描く『ひらやすみ』に萌える。それぞれが悩みを胸に秘めながら、緩やかに流れるビバ!平屋ライフ。前作『ノラと雑草』では社会の負の部分も描いた真造圭伍さんだが、本作では一転。ヒロトをはじめ、出てくる人たちがみな微笑ましい。「次の連載では、主人公を『人として正しい』人間にしようという思いがありました。そういう人を突き詰めていったらヒロトになった。ストーリーも、今回は特に自分が日々感じているようなこと、いま見ている景色や食べているごはん、など生活の空気感や良かった思い出などを積極的に入れていこうと決めていました。ヒロトがやたらおばあちゃんに話しかけられたりというのは、僕自身のリアルな体験でもあります」ヒデキが持ってきた魚をヒロトが捌いて食べるとか、なつみが中華屋さんでアルバイトを始めるなど、毎回、エピソードは他愛ないものだ。だが、東京・阿佐ヶ谷という街の空気感とも相まって、どこかのどかな平屋ライフに惹かれるファン続出。それはすべてアナログで描かれる画の魅力も大きい。「光の表現には少しこだわりがあるかもです。例えば、夏、手前が真っ暗なのに、奥が燦々とまぶしく見える景色がとても印象に残っていて、そういうコントラストをどう見せるかなど。季節ごと、時間ごとの光の移ろいを、下描きのときからかなり力を入れています」2巻では、ヒロトと、平屋の管理をしている不動産会社の社員・立花よもぎの心理的距離がほんの少し近づく。だが、安易にロマンスに流れないのが真造さん流。「僕はラブコメとかでも、両思いになっちゃうとちょっとつまらなく感じてしまうほうで(笑)。できればこの作品でも、つかず離れず、恋愛でも友情でもないけれど、お互いに気になる関係というものを描いてみたいですね」と真造さんは言う。「日常ものではあるけれど、ある部分はきちんと話が進んでいくようにしたいと思いました。ヒロトは変わらないまま、周囲はどんどん変化していく。それに対してヒロトは何を思うのか、変わろうとするのかしないのか。そのあたりがテーマです」彼らのこれからを見届けたい。そんな気分になる、2021年の大ホームラン級コミックだ。真造圭伍『ひらやすみ』22巻では、平屋のもとの持ち主・和田はなえおばあちゃんとのエピソードも深掘り。おばあちゃんの面倒見のよさやヒロトの心根のよさに触れ、温かな気持ちに。小学館650円©真造圭伍/小学館しんぞう・けいご1987年、石川県生まれ。2008年にデビュー。『森山中教習所』『トーキョーエイリアンブラザーズ』が映像化されるなど国内外から注目が。※『anan』2021年12月22日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年12月20日『2DK』『赤ちゃん本部長』のようなストーリーマンガも最高だが、「イケメン」シリーズのようなアイドルオタクの推し活を描いたコミックエッセイは、格別の人気ぶり。その系譜でもある本書『沼の中で不惑を迎えます。輝くな! アラフォーおっかけレズビアン!』にも痺れた。不惑と呼ばれる年頃に近づいた竹内佐千子さん。彼女が赤裸々に明かす日常や心の内に触れるうち、知らず知らずエナジーチャージできてしまう一冊だ。わかり合えなくてもおしゃべりは楽しい。これぞ女性の生きる道。「ずっと推しがいるような状態で生きてきたので、いる前提の行動が当たり前だと思っていました。なので、担当編集エイチの反応が意外すぎて。オタクと非オタクの邂逅が結実したマンガですね」本書の準主役でありながら、〈おっかけ要素もオタク要素も持ち合わせていない〉エイチさん。ゆえに竹内さんと「お互いの言うことはわかるけれど、実際のところはまるでわかっていない」という噛み合わなさを生み出し、笑いと共感を生む。「とりあえずネタがたまるまで、5時間でも6時間でも話をしましたね。打ち合わせとか話し合いというより、おしゃべりに近かった。少年アヤさんが(本作の)書評で『だれがなんと言おうと、わたしたちのおしゃべりには価値がある』と書いてくれたのはうれしかったですね」鋭い考察が詰まっているが、とりわけ第4話「あつまれ! 農民の沼」には首肯すること多し。「推しを推したいがために、語学や創作などいろいろなスキルや能力を高めていく。エイチが『すごい』と褒めてくれたけど、私は言われるまでわかっていませんでした。エイチの発言がヒントになって、沼の民には農民タイプと狩猟民族がいるというのにも気づきました(笑)」また、大書しておきたいのが、本書は金言の宝庫だという点。たとえば、あなたなんてまだ若い、と言われたときも〈こちとら生きてきた中で今日が一番年とってんだよ!!〉と一刀両断。「年上の友人に年齢マウントされたときの感情を、素直に書きました」その他、親との関係、結婚観、将来への不安など、女性にとって関心の高いトピックがいっぱい。「エイチとのやりとりで、関係性を築いていくのにわかり合う必要はないんだなと強く感じました。むしろわかり合えないもの同士だからこそ会話が盛り上がるという経験を、お裾分けしたかった。何でもオープンにする必要はないけれど、この本が『こんなことも話していいのかな?』と思う人の気持ちのアクセルになってくれたらいいですね」竹内佐千子『沼の中で不惑を迎えます。輝くな! アラフォーおっかけレズビアン!』実家暮らしの独身アラフォー女性が、人生に惑いまくるさまを描いたコミックエッセイ。ちょっとシュールで哲学的な最終話も、含蓄のある展開にしみじみ。集英社1540円©竹内佐千子/集英社たけうち・さちこ漫画家。東京都出身。おっかけ対象が男子で恋愛対象が女子のレズビアン。コミックエッセイなど著書多数。※『anan』2021年12月1日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年11月29日作者の幌山あきさんが本作『マーブルビターチョコレート』に着手したのは、商業誌で「ウケのいい」マンガを描くことに行き詰まっていたとき。SNS上で読者から「百合になる二人の話」を読みたい、というリクエストをもらい、以前から温めていたパパ活をする女性のキャラクターが頭の中で動きだした。パパ活女子×行き詰まった作家、互いを消費し合って始まる恋。「その待ち合わせの場に、パパのイメージとは真逆の女性が来たら面白いんじゃないかなと思ったんです」パパ活をしているりこは、苦労のない人生を望む刹那的な考えの持ち主。そんな彼女の前に新しいパパとして現れる東(あずま)は、一見真面目かつ地味な女性。若くして華々しく小説家デビューしたものの、その後ヒット作に恵まれない東は、パパ活ルポルタージュを書くという真の目的を隠して、りこと距離を縮めていく。「読者はある意味、東と同じ目線で、りこの印象がマイナスからスタートしていると思うんです。りこのいいところは嘘をつかないこと。だけど、距離が近づくほど本心を言わないような子でもあるので、何を考えているのか知りたくなるんですよね」りこがパパという存在を消費して生きるのに対し、東も執筆のネタとしてりこを消費。打算的に始まる関係だが、「消費」というのも幌山さんが描きたかったテーマのひとつ。「最近はリアリティショーなどが人気で、結果としての作品だけでなくその過程までエンタメになっていますよね。マンガの場合も、実生活でつらい体験をしたら『それをネタにしなよ』と言われることに、自分はすごく違和感があったんです。消費自体は止められるものではないけれど、受け取る側がもう少し自覚的になったら、何かが変わるんじゃないかなっていう思いはあります」意地の悪い見方をすれば「百合」も消費を煽る言葉といえるが、だからこそこだわって描いている。「他者を好きになるときの理想として、まずはその人の個性に惹かれたいですよね。この二人も『女性だから好き』ではなく、『好きになった人が女性だった』っていう、性別以前に人間同士の出会いであることを基本に考えています。男だから、女だからではなく、やっぱり人間同士の感情を描きたいんですよね」物語に引き込みつつ「多くの人が持っている曖昧な感情に形を作りたい」という幌山さん。酸いも甘いも、そしてビターも噛み分けた人生のかけがえのない瞬間がそこにある。『マーブルビターチョコレート』pixivで注目された作品を大幅に修正、描き下ろしを追加。本編で見えなかった二人の姿や、東を揺さぶる編集者の思惑が描かれ、より深みのある物語に。KADOKAWA781円©幌山あき/KADOKAWAぽろやま・あきマンガ家。2018年、第39回イブニング新人賞・準大賞、’19年、第80回ちばてつや賞ヤング部門・大賞を受賞。本作が初の単行本。※『anan』2021年11月24日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2021年11月22日小さい頃から知っている、ノーマークだった男子(ただしイケメン)から告白されたら……。河内遙さんの『ムサシノ輪舞曲(ロンド)』は、気まずいけれど悪い気はしない、いや、むしろ嬉しいかも!?といったムズムズやソワソワがたまらない作品だ。「自分よりも若い子の話だと、ある程度の失敗は許せるというか、こういう時期もあったよねと温かい目で見られるじゃないですか。逆に自分の年齢に近いほど、キャラクターの幼稚なところが気になってしまうもの。なのでそういった要素をなるべく排除しながら、恋愛ものとして成り立つ物語にしようと思いました」武蔵原環(むさしばら・たまき)は35歳。両親と死別し、実家のバレエ教室を引き継いで、子どもたちに教えている。さばさばした性格の彼女に、小さい頃から片想いをしてきたのが、隣に暮らす25歳の阿川龍平。10代のときに二度告白してあっさり振られているのだが、いまだ完全には諦められない様子。「ふたりは10歳離れていることよりも、姉弟同然であることが難しさになっていると思うんです。環は赤ちゃんだった頃の阿川を抱っこしているし、日常的に家を行き来できるくらい距離が近すぎて、恋愛的なことが始まらない。阿川は諦めるタイミングを逸しちゃった人で、環は環でしっかり考えてこないまま、ずれ込んでしまっているんですよね」そんななか、とある事情で仲違いをしていた環の弟・文太が戻ってくる。彼の同僚であるテーラーの衣笠が実家を訪れた際、偶然居合わせた阿川は、環が衣笠に心傾く瞬間をまんまと目撃。くすぶっていた恋心に、再び燃料が投下されてしまう。「私自身が想像しやすいからなんでしょうけど、阿川のようにちょっと陰気で執着心のある男の人を、いつも描いちゃうんですよね(笑)。とはいえ阿川に限らず、衣笠も文太も環も少しずつ種類は違うけれども何かに執着しています。だからどう動いても、どこかのガラスが割れてしまう。押しても引いても、誰かが傷つくことは目に見えているんです」大人の恋愛は、経験を積んでいるから手っ取り早い半面、今さら疲弊したくないからもどかしい。そのアンバランスさが滑稽だったりするのだが、分別がついてからの三角関係は、各々の意思に反して迷走モード。「いろんな都合や思惑が絡み合うなかで、それぞれ何を選択するのか。阿川には20代の若者として野暮なことをしたり、情けない感じで切り込んでほしいですね(笑)。それによって、今ある執着がどう変化するのか、見てもらえたら嬉しいです」『ムサシノ輪舞曲』1自然体で惚れっぽい環と、不毛な恋心を抱き続ける10歳下のお隣さん・阿川、女好きのするテーラー・衣笠による、煮ても焼いても“おいしい”三角関係。祥伝社770円©河内遙/祥伝社フィールコミックスかわち・はるかマンガ家。2001年デビュー。主な著作に『関根くんの恋』『夏雪ランデブー』など多数。『涙雨とセレナーデ』連載中(既刊8巻)。※『anan』2021年11月17日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2021年11月16日長田佳奈さんによる、コミック『うちのちいさな女中さん』をご紹介します!14歳のマジメすぎる女中さんハナ。ひたすら愛でたくなる可愛らしさだ。「実は学生のころに描いていた、ネームが元になっています。女中さんと一緒の時間を長く描きたかったので、家の中でできる職種がいいなと思い、そのときは小説家でしたが、本作では翻訳家のおうちという設定にしました」翻訳家の蓮見令子の家に、女中さんとしてやってきたのは、14歳の女の子・野中ハナ。若いながらにとびきりの働き者で…。令子とハナ、ふたりの暮らしぶりが描かれ、話題になっているのが長田佳奈さんの『うちのちいさな女中さん』。「一般的に“女中さん”って、不遇な扱いを受けることの多い職業だと思われていますよね。でも調べてみると、当時は女性の一大職業で、花嫁修業としての側面もあったそうです。そういうポジティブな面を描いていきたいなと思います」ハナは、真面目で感情をあまり表に出さない女の子だ。それでも彼女の心情がひしひしと伝わってくる。「職業的心得もあって自分の気持ちを率直に見せたりしないハナですが、いわば猫に感じるようなじわじわとくる可愛らしさは表現したいと思っています。よく『猫落ち込む』『猫驚く』などと検索した画像を参考にしていますね」もうひとりの主役である令子も、当時はまだ珍しい自立した職業婦人。時代は違えど、働く女性の悩みや困りごとはそう変わりない。現代女性たちも共感できそうだ。また、昭和初期の暮らしにまつわる各編にちりばめられたエピソードや描写も興味深い。令子が原稿を書くのに使うのはつけペンだったり、冷蔵庫は氷を入れて使うものだったりと、道具などが描かれたコマには、つい見入ってしまうほど。長田さんは、以前、そうした暮らしを知ることができる資料館などを巡り、かつて使われていた道具の写真を撮り集めていたころもあるそうだ。それが、本作のさまざまなシーンで生きている。「昔の人も、より快適に、より便利に生活しようとしていた工夫が、道具から垣間見えるんですよね。たとえば、お花見に野外で日本酒を熱燗でいただける道具とか。今のようにガス・水道・電気などのライフラインが整っていなくても、あの時代の技術や工夫で生活を豊かにしようとしているのが面白いです」2巻以降は、各々の人間性が深掘りされ、関係性が深まっていく。これからもハナがいい人たちに巡り会って、幸せになって生きていってほしいと願わずにはいられない。『うちのちいさな女中さん』1舞台は昭和9年の東京。戦争が激化していく少し手前の設定で、そのころの日常がリアル。ハナの頑張りを見守りたい。2巻は来年2月に発売予定。コアミックス682円©長田佳奈/コアミックスおさだ・かな山梨県出身。2015年『2KZ』でデビュー。著書に『こうふく画報』『つれづれ花譚』(すべてぶんか社)が。本作は『月刊コミックゼノン』で連載中。※『anan』2021年11月3日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年11月01日漕ぎ出した船はどこへ着くのか。65歳から始める、映画づくり。たらちねジョンさんによる、コミック『海が走るエンドロール』をご紹介します。何かを始めるのに遅すぎることはない、とはよく言うものの、年齢を重ねるほど「やらない言い訳」がうまくなっていないだろうか。しかし本作の主人公・茅野(ちの)うみ子は違う。「うみ子さんを65歳にしたのは、母がほぼ同い年でイメージしやすかったから。母はひとりでモロッコに行ったり、アラフィフのときにヒップホップダンスを始めたりしてアクティブなんです。そんな母を見て育ったので、いくつになってもやりたいことを始められるものだと、私自身も昔から思っていました」うみ子は夫と死別して、四十九日を過ぎたばかり。ひとり暮らしにもまだ慣れないなか、数十年ぶりに訪れた映画館で海(カイ)という映像専攻の美大生に出会う。海は上映中、スクリーンではなく客席を気にするうみ子を見て、自分と同じく映画を作りたい側の人間であることに気づく。「私もライブや映画、演劇などを観に行くと、どうして自分はステージ側の人間、つまり作り手側じゃないんだろうって、作品を素直に楽しめない時期があったんです。そういう気持ちが、きっとうみ子さんにもあるだろうと思って描きました」やがて、うみ子は海と同じ美大に入学。しかし周りの若者におばあさん扱いされて自虐的になったり、漫然と学生生活を送る人たちに拍子抜けして、もやもやが溜まっていく。一方、淡々として何を考えているのかよくわからないけれども、映画を本気で作りたがっているように見える海にはシンパシーを抱くように。ところで、タイトルやふたりの名前から気づいた人もいるだろうが、この物語では「海」が重要なモチーフになっていて、うみ子の心境を表すシーンでも印象的に登場する。「私はマンガを描く過程で、ネーム(コマ割りやセリフなどを大まかに表す下描き)が一番大変だと思っていて、まるで夜の海に船を出すような感覚で、対岸が見えず、どこに辿り着くのかもわからない不安でいっぱいなんです。でもどこかに辿り着けたときの達成感もまたあって、そういう心象風景が海にまつわる表現の元になっているのだと思います」映画という大海原に小さな船で漕ぎ出したうみ子の不安と興奮が、作者の心境と重なり、こちらも背中を押される読後感。1巻だけでも上質な映画を観終わったような余韻に浸れるものの……、うみ子が辿り着く景色をやっぱり一緒に見届けたい!『海が走るエンドロール』165歳のうみ子が、ある後悔を抱える美大生の青年・海との出会いをきっかけに、自らの創作欲と向き合う。創ることの苦しみと喜びを真摯に描く注目作。秋田書店660円©たらちねジョン(秋田書店)2021たらちねジョンマンガ家。1989年生まれ。2015年『グッドナイト、アイラブユー』でデビュー。ほか『アザミの城の魔女』など。たらつみジョン名義でBL作品も発表。※『anan』2021年10月27日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2021年10月24日周囲から嫌われていたIT社長の犬山桜二郎(おうじろう)。元従業員から恨みを買って殺されてしまうのだが、彼の意識はなぜか飼っていたポメラニアン〈ぼんじり〉の中に。ポメラニアンに転生した男は、姪が結婚するまで守り切れるのか。転生して意外な存在に生まれ変わる物語は、これまでにも多くのフィクションで描かれてきた王道設定のひとつ。とはいえ、ハマサキさんの『犬、バージンロードを歩く』はひと味違う。生前は超ワンマンで感情に欠けた桜二郎だったが、亡くなった姉の椿の夢だった「娘の花嫁姿を見たい」という願いを代わって叶えるべく、犬の姿のまま姪のことりを見守ることを決意。そんな桜二郎もことりと一緒にいることで、人間として成長していくさまに揺さぶられる。「守るより守られる方が似合っているポメラニアンにしたのは、非力な愛玩犬だけどがんばるという懸命さや工夫が際立つと思ったからです。犬なのでできることにも限りがあるけれど、犬なのに人間みたいなふるまいをするギャップや、人間の感情を敏感に察知できる犬ならではの才能が魅力かと。そういう点をうまく見せられるように工夫しました」まず引きつけられるのは、ほわほわした見た目といい、ちょっと間抜けな生態といい、ぼんじりが備えている愛らしさ。「犬はしっぽや全身の動きでも感情表現できるのがいいですね。毛のある動物の描き方でいまでもよく覚えているのが、三鷹の森ジブリ美術館に行ったときに見た、宮崎駿先生によるトトロの描き方のコツの展示です。1本の線でベタに描かないで、ところどころペンの隙間を空けたり、毛をちょんちょんと出したりするといいと。動物を描くときは、そのアドバイスをいつも意識しています」そんなぼんじりは、さりげなくことりに寄り添う。ことりもまた、その無垢な存在感に癒されている。「大好きな母を亡くすなどつらい体験をしている分、ふつうの子どもよりは大人びた考えを持っていますよね。その反動で、唯一ぼんじりの前ではついいたいけな本音も出てしまう。マンガとしてはとてもいいキャラクターだと思って描いています」桜二郎とぼんじりの出合いや、桜二郎から引き継いでことりを養育している、桜二郎といとこ・梅子との関係、梅子と母親の確執など、2巻以降は、登場人物たちそれぞれのバックボーンや関係性がさらに深掘りされ、明かされていくそう。その前に、1巻のラストでは、見逃せない仰天の出来事が!ぜひ読んで、確かめてみて。ハマサキ『犬、バージンロードを歩く』1守る守られるの関係を通して、少しずつ家族になっていくポメラニアンに転生した叔父と気丈な姪との絆が。コマの隅っこに入っているギャグも冴えている。芳文社682円。©ハマサキ/芳文社ハマサキマンガ家。1992年、山口県生まれ。2020年、商業誌デビュー。初連載の本作はコミックトレイルで、「根津さんの恩返し」をコミックブリーゼで連載中。※『anan』2021年10月13日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年10月09日anan本誌超人気連載「僕の姉ちゃん」、シリーズ最新刊『進め! 僕の姉ちゃん』が10月7日(木)全国書店・インターネット書店で発売に!原作者の益田ミリさんにお話を伺いました。『僕の姉ちゃん』シリーズもおかげさまで5冊目、最新刊に込めた思いを伺いました。――恋に一生懸命で、おやつに目がなく、ダイエットに励む(意思を持っている?)、ちはるは今回も健在ですが、今作でまず感じたのは哲学者のようなちはるの深い発言の数々です。「誕生日は奇跡だ」「人生に余生なし」「才能がない人なんているの?」というような、とくに、生きているということを強く肯定するような言葉が多かったように思います。最新刊に収録されているのはコロナ禍に描いた原稿も多く、未来が見通せない中でちはるに力強いセリフを言わせたかったのかもしれません。同時に、ちはるには「緩める」役も背負ってもらっていたのかも。ちはるは「くよくよしても仕方がない」という言葉には意味がないと言っています。人はくよくよしたいときもあるし、くよくよしかできないときもあります。わたしもしょっちゅうくよくよします。――また「自己評価を加算方式にする」とか、「ビールを飲むこと、職場の椅子が新しくなったこと、など一見当たり前なことを夢が叶ったと感じる」など、少し見方を変えることで日常を楽しくする、というアイデア・ヒントも多かったと思います。とかく腐りがちなこういう日々には、とても参考になりました。こういうときには小さな達成感も大事だなぁと。大きい達成って平時でもなかなか難しいですし。加算式で自己評価を「100点」と言ってのけたちはるに、描いていて思わず笑ってしまいました。仕事30、恋愛30、旅行10、チョコレート10……加算式っていいですよね。つい100から引き算して今の自分の点数を付けがちですけれど、わたしも見習って自己評価を加算式で100にしてみようかな(笑)。チョコレートは20くらいになると思います。――ちはるが、これまでよりも、より思索的になっていることは連載の中で意識されていましたか?また、それ以外にも今作の傾向のようなものは何か感じられましたか?「僕の姉ちゃん」はananでの連載ということをいつもとても大事に考えて描いているんです。わたし自身、会社員として働いていた20代の頃、ananを買って帰る夜って「自分を変えたい」とか「新しいヒントが欲しい」とか「イヤなこと忘れて楽しい気持ちになりたい」など、さまざまな気持ちがありました。疲れて帰ってきた読者のみなさんに読んでよかったと思ってもらえる漫画になっているといいなと描いています。あらかじめ特集号のテーマを編集さんに教えていただいているので、反映させた漫画を描くことが多いです。なので、温活、腸活、モテコスメ、愛とSEXなど「僕の姉ちゃん」の作品の流れはananに影響されている部分が大きいと思います。――思索的な発言が増えた一方で、ちはるの恋に対するスタンスは戦略的かつ恋に恋するロマンティストな面もあり、基本積極的である姿勢は変わっていません。近年、恋愛の低体温化も言われることが多い中ではありますが、ちはるの恋愛体質は今後も変わらなそうですね?「ちはる」は作者であるわたしの憧れでもあるんです。恋をしても「守って負けるより攻めて負けるほうがいい」なんて堂々としている。以前、ちはるは「なんのためでもないのが恋だ」と弟に語っています。歳を重ねて、本当にそうだなぁと振り返ることがあるんです。ただ好き、ただ会いたい、みたいな恋って素敵だったなぁって。後輩の男の子が車道側を歩いてくれただけで恋が芽生えるなど、ちはるの「恋のハードル低め」なのも健在です。ドラマでは黒木華さんが大人の恋も演じられていてキュンキュンしますよ。――恋にココロを震わせる女子であり、道を諭す導師であり、人生を思う哲学者であり…「一人ダイバーシティ」のようなちはる。一見バラバラのように見えて、ちゃんと「ちはる」という人格が確立している感じが気持ちいいです。いろんなシチュエーションのちはるを描く際に軸として大切にされていることはなんですか?ちはるは行き当たりばったりに見えることもあります。恋もダイエットも英会話も似たような失敗を繰り返して。ただ、自分がやらないことや、言わないことを持っている女性なんです。「どうせわたしなんか」や「男のくせに」「女のくせに」という思考や発言はありません。自分の中の正しさの基準がしっかりしている。そういう強さをわたしはいつも愛おしいと感じながら描いています。弟に対して「順平のくせに」というのはご愛嬌です(笑)。歳をとってからの時間もすべて自分の大切な時間。余った時間ではない。若くなくなったことを悲観しないで生きたいもの。仕事?恋人?友達?それとも趣味?etc, etc……。思わず自分の中の配点を考えて楽しくなる回。100点超えちゃうかも!?『進め! 僕の姉ちゃん』1320円(マガジンハウス)10/7(木)発売あるときは恋に揺れる乙女、あるときは道を説く導師、あるときは人生を思う哲学者……。でも、人としての軸はぶれません!笑って、共感して元気になれる113エピソード!ますだ・みりイラストレーター。漫画、エッセイ、小説ほか幅広く活躍。Amazon Prime Videoで絶賛配信中のドラマ『僕の姉ちゃん』に加え10月8日(金)からドラマ『スナックキズツキ』(テレビ東京系)も放送スタート。※『anan』2021年10月6日号より。(by anan編集部)
2021年10月04日どんな形にも変われる、名もなき関係の心地よさと心もとなさ。にくまん子さんによる、コミック『いつも憂き世にこめのめし』をご紹介します。「人間関係を描くのが好きで、なかでも男女の関係性に興味があるんです。感情の動く模様が、一番面白く描ける組み合わせなのかなって」主人公は同棲をしている男女。アラサーを過ぎ、年齢的にも付き合い的にもある程度落ち着いてきて、「結婚」という文字がチラついているような、いないような……。「実はマンガの中ではカップルという呼び方をしていなくて、あくまでも“長く一緒にいるあなたと私”みたいな名前のない関係を、ゆるゆると描けたらいいなと思っていました。柔らかい生活感ではあるんですけど、名前がないことで不安も少し混ざっているような、優しさと怖さの間みたいなイメージです」たしかに恋人、夫婦、親友など関係性の確認は安心材料になるのかもしれないが、それによって相手に甘えすぎたり、依存したり、自分と同化させてしまうこともある。その点、このふたりは慣れ親しんではいるけれども、お互いに対する思いやりも忘れていないことが、日々の何気ないエピソードから伝わってくる。「個人的にも名前のない関係性に悩まされたり、救われたりする場面が多く、へこむ理由も嬉しくなる理由も人間だったりするんです。人生になくてはならない存在であることが、感情としてどんどん生まれてくるほうが面白いとは思うんですよね」長く一緒にいる男女の常として面白おかしく描かれているのが、居心地のよさが増すにつれ、色気が薄れていくところ。女子会で盛り上がった下ネタを披露したり、テレビを見ながらオナラをしたり、ひとつ屋根の下のリアリティが絶妙だ。「普通の物語だったら省略されがちな生活臭とか、しょうもないけどみんな絶対にやってるだろうなっていうダサいやり取りが大好きなんです。普段からそういった細かいネタを溜めているというより、自然と目が行ってしまう。人としてのいとおしさを感じるので、なるべくいろんなところにちりばめたいんです」付き合いたての頃は想像できなかったであろう、気の抜けきった会話や、女友達のガサツな励まし合いに終始笑いつつ、切なさや温かさに包まれる不意打ちがたまらない。「マンガにも描いたのですが、部屋の中に日がふわっと入ってきて、彼女の髪がキラキラ光ってきれいだと思うような瞬間って、誰しも経験があると思うんです。見落としたり、忘れてしまう何気ない瞬間を拾って描くことで、読んだ人が記憶の連鎖のように何かを思い出すきっかけになればいいなと思っています」『いつも憂き世にこめのめし』結婚せず、恋人でいるほうが変わっているように言われる、お年頃。先は見えないものの、居心地だけはとにかくいい、ぬるま湯な暮らしをリアルに描く。KADOKAWA1056円©にくまん子/KADOKAWAにくまんこマンガ家。2018年、「泥の女通信」で商業誌デビュー。同人誌でも活躍。著書に『恋煮込み愛つゆだく大盛り』『涙煮込み愛辛さマシマシ』。※『anan』2021年10月6日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2021年10月04日いくら気心知れた相手でも、いっしょに暮らすとなるとさまざまな問題が出てくるもの。それが世代や価値観の違う“姑”となれば、うまくいかなくて当然かも。それでも夢のマイホームのためにお金を貯めるべく、姑との同居を決意したのが、コミック『物がなくなる家』の主人公・嫁ちゃん。当初はうまくいっていた同居生活が、ある事件をきっかけに音を立てて崩れていき…。■夢のマイホームのために同居を決意! 最初は順調だったけれど…主人公は、結婚2年目で夫と共働きの嫁ちゃん。そろそろマイホームを…と考えていた矢先、夫から姑との同居を提案されます。当初は気が乗らなかったものの、背に腹は変えられない! とお金が貯まるまでの期間限定と割り切り、同居することに。ところが、いざ同居がスタートすると、予想外に快適な生活! 仕事をしていた嫁ちゃんと姑とは生活リズムが違うので顔を合わせる機会は少ないし、おまけに姑は家事までサポートしてくれたのです。■同居を始めてから大切な物がなくなっている…犯人は姑!?しかし、異変はすぐに訪れます。夫に聞いて使っていないことは確認済みだったので、必然的に疑いの目は姑に…。化粧品の容器にこっそり印をつけていたので、夫以外の誰かが無断で使っていることは明らかでした。もはや姑が使っている以外考えられない状態となり、嫁ちゃんは確信します。■夫に相談し話し合いを設けるも、埒があかない!耐えきれず夫に相談すると、事を荒立てたくない夫は軽く受け流そうとしました。しかし、それでも食い下がる嫁ちゃんの気持ちをようやく汲んでくれ、ついに義母と直接話し合いをすることになったのです。すると、話し合いはまだ途中だというのに、姑は驚きの行動に出るのです。■形勢不利に陥った姑が、まさかの反撃に…そしてここから姑の怒涛の攻撃が始まります。果たして、姑はなぜ嫁ちゃんのモノを盗むようになったのでしょうか…!■そもそも夫婦が甘え過ぎ? 姑との同居に必要な配慮とは?はじめは自分のものを勝手に使われていた嫁ちゃんに同情する声が多かったものの、じつは回を追うごとに姑への共感も増えた本作。物議を醸す要因となったのは、夫婦が金銭面でも精神面でも自立できていないことや、嫁ちゃんの姑に対する感謝の欠如でした。・バッグぐらい貸してあげたらいいのに…「使う時は一声掛けてね〜」とか言えばいいだけ。化粧品も「お母さんの分も注文しといたよ」で、いいんじゃないの? 元々他人同士だったのが同居を始めるのだから、お互いに譲歩も必要。・義母に二人で甘えすぎた結果。節約のための同居なら、食費を渡したうえで家事は全て若夫婦が担うべきだったのでは。・お金がないから世話になって食事も家事も全部やってもらって大して感謝もせず、お義母さんの財産である家は自由に使っておいて、自分のものを使われたからそれが許せないっていうのはちょっと…。まずは自立して対等になって、きちんと感謝することが先。・自分たちのお金を使いたくないから転がり込んで、家事も任せっきりで…。プレゼントに新品の化粧水でも買ってあげるならまだしも、自分の化粧水使われた〜って大騒ぎ。気に入らないならさっさと出ていって、自分たちで家賃払えばって思います。物語の最後では、地獄の直接対決から5年後の、夫婦の様子が描かれています。同居は結局解消したの? 姑との現在の関係は? その結末は、ウーマンエキサイトに掲載されています。▼物がなくなる家
2021年10月01日コロナ禍の令和に、大人のプラトニックラブ再び。野村宗弘さんによる、コミック『うきわ、と風鈴。―友達以上、不倫未満―』。配偶者の浮気に悩む麻衣子と二葉は、社宅で隣同士。静かに惹かれ合う大人の恋愛を描いたドラマ『うきわ―友達以上、不倫未満―』(テレビ東京系)もいよいよ佳境。「映像化の流れもあって、担当さんから『令和の「うきわ」を描いてください』と言われたんですね。僕は結構大喜利的にネタを作っていくんです。うきわや風鈴も浮気や不倫のダジャレみたいなものだし、『かけおちはスクーターに乗って』という作品の『スクーター』も“救う人”という意味だし(笑)」似た設定での新連載はハードルが高いという気持ちもあったが、コロナ禍の日常を記録しておきたいマンガ家魂にも後押しされた。「赤い風鈴は厄除け、病除けになるというのを偶然知って、タイミング的にもいま描くべきだなと」かくて誕生したのが、野村宗弘さんの『うきわ、と風鈴。』だ。広島から、夫婦で上京してきた美以子。だが夫は、仕事の都合で妻の孤独には無頓着だ。美以子が寂しさを紛らわそうとベランダの彩りに風鈴を吊るしたことがきっかけで、マンションの隣に住む元シェフの牛久さんとのささやかな交流が始まる。時系列を行きつ戻りつ、近づきたい本能と近づけない理性との狭間で揺れるふたり。またも涙腺を刺激された。「前作の『うきわ』自体が、うきわを投げ合って救う/救われるというテーマだったんですよね。救ってあげる/救ってもらうではうまくいかない。自分で泳げるようにならにゃ。本作も、同じように配慮というのが仇になっていくというか。僕は配慮ってずるいところもあると思っとるんで。相手を傷つけないため、慮るためにするのが配慮だけど、自分を守るための配慮もある。美以子と夫は配慮しすぎて心が離れたわけだし、時にはそれを捨てないと難しい関係ってあると思うんです」野村さんのマンガは、ほんわか親しみやすい画風も魅力的。美以子の表情豊かな愛らしさ、牛久さんの朴訥な雰囲気は、野村さんのタッチだからこそ伝わってくる。「今回は、デカちびコンビでいこうと思って。僕、男性は大きくて四角い感じの人が好きなんです」この秋に発売予定の2巻では、牛久さんと牛久さんの奥さんの状況もわかってくるらしい。「現象や感情の中には言葉に存在しない、言語化できないことがあると思う。もしかしたら、そこにとても良い答えがあるかもなと。たぶん皆さんもモヤモヤしたところに答えを持ってる。それをマンガなら表現できるかなと思いながら描いてます」『うきわ、と風鈴。―友達以上、不倫未満―』1美以子と牛久さんのベランダ越しの交流でもう一つ大切なモチーフになっているのが牛久さんが育てているバジル。野村さんもべランダ菜園を楽しんでいるとか。小学館650円©野村宗弘/小学館のむら・むねひろマンガ家。広島県出身。2007年、自身の経験を描いた「とろける鉄工所」でデビュー。『うきわ』(全3巻)が原作のドラマが放送中。※『anan』2021年9月29日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年09月26日高校生のみなとと小学生の光志郎は、親の再婚により一つ屋根の下で暮らすことに。8歳違いのふたりが軸になる森つぶみさんの『転がる姉弟(きょうだい)』。親同士の再婚で家族になった姉と弟。見守りたくなるハートフルコメディ「子どもの頃に感じたことや、記憶の持っている手触りをマンガの形で残しておけないか、ずっと考えています。この連載を始める前にどこに載る予定があるわけでもなく“家庭環境の異なる小学生4人組の話”を描いていました。今作はそのマンガを、同級生という横の関係ではなく、きょうだいという縦の関係を主軸にしたものです。小学生という子どもと、高校生という大人と子どもの境界的な年齢、2つの視点を通して物語を描いていきたいと思っています」各話のエピソードは、森つぶみさん自身がこれまでの人生の中で出会ってきた人や出来事や言葉など、印象的な何かから着想。それを膨らませる形で作っているそう。「たとえば、光志郎とみなとがふたりだけで光志郎の祖父母に会いに行く2巻収録の8話がそうですね。子どもの頃、祖父母の家から帰る時いつも『また来るのを楽しみにしているからね』と言ってもらっていたのですが、普段自分がいない時の祖父母の姿が想像もつかず、もしかしたら祖父母は自分が来てる時以外、全く笑いもせず、ただただ毎日待ってくれているんじゃないかと思って、申し訳なく思っていた気持ちを元に描きました」基本的にアナログ画材で描く派。ソフトなタッチに見入ってしまう。「ネームの時に鉛筆で描いた柔らかい印象を作画でも出したいと思っています。定規を使わず全てフリーハンドで描いたり、わざと線を震わせたり。記憶の輪郭をたどるようなイメージで線をひいています。写実的に描くよりも、記憶の風景に近づける気がして。また、アングルを固定して、ちょっとした動きの連続を複数のコマで見せるシーンを描くのが好きです。さりげない日常の仕草におかしみを感じています」2巻に入り、姉弟を取り巻く人間関係がぐんと広がった。みなとのクラスメイトたちや幼なじみのショウちゃん。ロボや水町、久瀬ら光志郎の仲良したち、姉弟にとってのもうひとりのおじいちゃん…。この先、どんなドラマが生まれるのだろう。「どこかで出会ったことがある、または出会ってみたい、と読んでくださった方に思ってもらえるようなキャラクターを描くことができたらと思っています。このマンガの世界は、自分の暮らしの延長線上に本当に存在しているんじゃないか、そんなふうに感じられる作品にしたいです」『転がる姉弟(きょうだい)』コロコロとした光志郎の見た目やみなとの表情が七変化するなど、タイトル通りの楽しげな雰囲気が伝わるコミック。子ども時代が懐かしくなる。ヒーローズ715円©森つぶみ/ヒーローズもり・つぶみマンガ家。札幌在住。2016年デビュー。他の著作に『月曜から金曜の男子高校生』(全5巻)、『たべざかりの山本さん!』(全1巻)がある。※『anan』2021年9月22日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年09月20日前作『実録泣くまでボコられてはじめて恋に落ちました。』で自身のマゾヒズムと対峙した、ペス山ポピーさん。本作『女(じぶん)の体をゆるすまで』もペス山さんの極めて個人的な体験を綴っているのだが、この社会についての話ともいえる。すべては女の体のせい!?自らの性への違和感と救い。「前作を描き終わったらいきなり現実に引き戻された感覚になって、次に何を描けばいいのかわからない状態がしばらく続きました。たとえば自分が小学生のときのことを描こうと思っても、7年前で時が止まっているからびっくりするくらい筆が進まなくなってしまう。人生の終わりと捉えているあの出来事と向き合わざるを得ない状況になったんです」7年前、ペス山さんはアシスタント時代にマンガ家X氏からセクハラを受けている。X氏のもとを離れたあともトラウマという苦しみが待っていて、トランスジェンダーのペス山さんは女に生まれた自分を今まで以上に追い詰めるようになる。「小さい頃から抱えてきた、この体を許せない気持ちの到達点にセクハラがあったのだと思います。だからマンガがどんな結末を迎えるにしろ、このタイトル以外あり得なかった」性への違和感を描くにあたり、幼少期や思春期の友人とのエピソード、学校での理不尽な仕打ちなどを振り返るのだが、いかに私たちが“男らしさ・女らしさ”を植え付けられて大人になるのかを思い知らされる。「性差別や偏見が生まれるのは、教育にも問題があることを明かしたかったんです。そういう学校教育をたぶん加害者であるX氏も受けていて、被害者である私も受けているから。もし私がナイフで刺されたり、ぶん殴られたとしたら普通に警察に届けられたと思うけど、セクハラは受けたほうもそんなにひどいことじゃないと思ってしまいがち。時代が変わってきたからこの作品を描けたように、そういうことを許さない社会の空気が絶対に必要だと思います」苦しくなる描写もあるが、ペス山さん持ち前のユーモアが救いにも。「マンガを描きながらいつも思うのは、昔の私が読んで楽になるようなものにしたいってこと。似た悩みを抱える人も多いだろうし、社会問題に直面しているという意味では、みんな私と同じだと思うので、この社会を生きる人に読んでほしいです」一見脈絡がなさそうだけど、「あれが描けて、やっとこのマンガが終わった!と思った(笑)」とほくそ笑む、番外編もお楽しみに!『女(じぶん)の体をゆるすまで』上・下性被害は受ける側にも非があるのか。繰り返されてきた不毛な問いに、トランスジェンダーの著者が生き返るため立ち向かう、ジェンダー・エッセイコミック。小学館各1200円©ペス山ポピー/小学館ぺすやま・ぽぴーマンガ家。2017 年に、自身の性的嗜好を描いたエッセイ『実録 泣くまでボコられてはじめて恋に落ちました。』でデビュー。※『anan』2021年9月15日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2021年09月11日今年4月、手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した山下和美さん。受賞作『ランド』は、忌まわしい因習に縛られた村で生まれた双子の少女の成長と、〈この世〉と〈あの世〉の真実を描いた大作だ。足かけ6年にも及んだその連載と並行して、実は山下さんは大変なプロジェクトを遂行していた。美しい洋館を保存せよ。行政まで巻き込んだプロジェクトの行方は。「数寄屋造りの家を建て、『数寄です!』シリーズも描いているので、家のことになると燃えると思われているふしがあるのですが、本人としては、本当にたまたま、家とも人ともそういう巡り合わせになってしまったという感じですね(笑)」山下さんがひと目惚れした、由緒ある古い洋館「旧尾崎邸」。ある日、水色の美しいその建物が売却され、取り壊されるかもしれないと知る。居ても立ってもいられなくなった山下さんは、山下さんの自邸を設計した建築家・蔵田徹也さんと、館の保存に向けて、動き始めるのだ。『世田谷イチ古い洋館の家主になる』は、その一部始終を追っていくコミックエッセイ。「『こんなすばらしい建物を壊してなんで安っぽいものを建てるの?』という憤慨は、みなさんもよく思ったりされると思います。壊してその後が良くなった例は見たことがないですからね。ただ、このケースでは、蔵田さんをはじめ、たくさんのアドバイザーが実際に動き、助言してくださり、また館や周辺の権利者さんやご近所のみなさんにもご協力いただけたのが大きかったです」保存活動のために、TwitterなどのSNSを駆使するなど手腕も鮮やか。何よりすばらしいのは、山下さんは保存したい側に立ちながら、とてもフェアに事態を見ていることだ。こうした歴史的建造物をめぐっては、存続させることだけに価値を置き、取り壊そうとする側を一方的に悪者扱いしがち。だが、山下さんは不動産業者の言い分も、ビジネスとしての立場も、尊重して描く。「〈土地全体含めてあなたたちが買って維持できるんですか〉と言われたときは怖かったですね。無鉄砲なことをしているのではないかと。けれど、区も理解を示してくれたり、保存を望む人たちの声もあります。この先もきちんと維持していくのは簡単ではありませんが、多くの人にとって有益な状態になるよう、このプロジェクト自体が良きお手本になるといいなと思っています」1巻ではまだプロジェクトは動きだしたばかりだが、土地面積200坪、提示額3億円の洋館だ。本当に保存できるのか、続きが待ち遠しい。山下和美『世田谷イチ古い洋館の家主になる』1世田谷区豪徳寺に建つ「旧尾崎邸」は憲政の神様と呼ばれた尾崎行雄ゆかりの洋館。保存のためのクラウドファンディングも成功。2巻は2022年1月に刊行予定。集英社968円©山下和美/集英社やました・かずみマンガ家。北海道出身。著書に『天才柳沢教授の生活』『不思議な少年』(共に講談社)など。『モーニング』で「ツイステッド・シスターズ」を連載中。※『anan』2021年9月8日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年09月06日好きだから嫌い、嫌いだけど好き。女子高生たちの三つ巴の愛憎劇を描く、しおやてるこさんのコミック『変と乱』。「高校時代、クラスの派閥争いに巻き込まれたり、急にハブられたり、マウント合戦がすごくて、ネタはとにかくたくさんありました」爽やかな青春モノを主に描いてきたしおやてるこさんが、「画力と表現力が上がった今なら描けるかも」と満を持して挑んだのが、これまでとは真逆のベクトルといえる、女子高生たちの愛憎物語。卒業まで3か月を切った高校3年生の冬、大学の推薦入学を勝ち取った涼子は、自分をさんざん振り回してきた莉子に対して、これ以上仲良しごっこは続けられないと勇気を出して言い放つ。「私自身も、莉子みたいなわがままな子に振り回されたことがあって。ほかの子と仲良くするとキレられたりするのを理不尽に感じて、こんなふうに決別宣言をしたんです」一方、涼子と同じく推薦合格組の絵美は莉子の幼馴染みで、「地味子」と呼ばれいじめられている。絵美はなぜか莉子に対して異様に執着していて、それを知った涼子は絵美と結託して莉子をカースト最上位から引きずり下ろそうとする。そこで絶大な効果を発揮するのが、絵美が握っている莉子にまつわるある秘密だ。「人間は誰しも表に出さない部分があると思うんですけど、秘密ってすごく魅力的じゃないですか。莉子はとんでもない秘密を抱えていたほうが絶対に面白いと思って、一番黒い感情を入れ込みました。とはいえ単に胸くそ悪い話で終わらないよう、悪い側に回る人間にも、そうなってしまう原因が何かしらあるっていうベースの部分をきちんと描こうと思いました。それはキャラクターに対する私の情でもあるんですけどね」莉子をちょっと懲らしめてやりたいくらいの気持ちで絵美と共謀した涼子は、ふたりの抱える闇の深さを目の当たりにしてひるむものの、後悔先に立たず。しおやさんも3人の感情に任せるままに描いたという怒涛の展開は、怖いもの見たさでページをめくる手が止まらなくなる。「私を振り回した子も自分勝手だったけど、何かもっと別の言葉をかけてあげたり、救えるような突破口があったんじゃないかなって、大人になってからふと考えるんです。その辺りの感情は涼子に投影しているのですが、この結末を描けたことで自分の気持ちも吹っ切れた部分はあります。いずれにせよ、今の自分が表現できる毒という意味では、最大瞬間風速を叩き出せたと思います!」『変と乱』優等生で正義感のある涼子、クラスで中心的存在の莉子、地味で存在感の薄い絵美。卒業間際、それまで保っていたバランスを失った3人が向かう先は。少年画報社825円©しおやてるこ/少年画報社しおやてるこマンガ家、イラストレーター。主な作品に『アタシのセンパイ』『アオとハル』など。小学生の娘&近所で保護した黒猫のお母さんをしつつマンガを描く日々。※『anan』2021年9月1日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2021年08月29日マーベルが新型コロナウイルスのワクチン接種促進キャンペーンとして、特別な「アベンジャーズ」のコミックをリリースした。マーベルは、ニューヨークのヘルスケアネットワーク「SOMOS Community Care」とタッグを組み、黒人、ラテン系の人々、アジア人に対してワクチン接種を促進する3か月間の公共広告キャンペーンを展開。キャンペーンサイト「somosvaccinations.com」で「アベンジャーズ」のコミックを公開している。コミックに登場するのは、アイアンマン、キャプテン・マーベル、ハルク、ブラックパンサー、ブラック・ウィドウの5人のヒーローたち。ヴィランのモードックが手下を連れてワクチン接種会場に現れ、大暴れしようとするところにアベンジャーズたちが駆け付け戦う。わずか4ページであるものの、「ワクチン接種の大切さ」が説かれている。「SOMOS」の共同設立者のヘンリー・R・ムニョス氏は、「回復への道は、有色人種の移民コミュニティにも開かれています。彼らはパンデミックの影響を大きく受け、ワクチン接種の導入では不公平さやデマが広がったことで取り残されてしまいました。マーベル・エンターテインメントと団結し、『SOMOS Community Care』の医師たちが信頼できる声を寄せることで、(ワクチン接種の必要性の)認識を深めてもらえます。これはとても大きなことです」と語っている。(Hiromi Kaku)■関連作品:ブラックパンサー 2018年3月1日より全国にて公開© Marvel Studios 2017 MARVEL-JAPAN.JP/blackpantherキャプテン・マーベル 2019年3月15日より全国にて公開ⒸMarvel Studios 2018ブラック・ウィドウ 2021年7月8日より映画館 & 7月9日よりディズニープラス プレミア アクセス公開© Marvel Studios 2020
2021年08月26日