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「ゴールデンエイジ」という言葉をご存じでしょうか。ゴールデンエイジとは、一生に一度だけ訪れる「運動神経が伸びる黄金期」。このゴールデンエイジ期をどう過ごすかで、その後の運動能力に違いが出てくるそうです。そして、ゴールデンエイジ期に運動神経を伸ばすためには、その前の「プレゴールデンエイジ」の時期に多種多様な動きを経験しておくことが重要となってきます。お子さまの運動神経をよくしたいと考えているのであれば、プレゴールデンエイジとゴールデンエイジの最適な過ごし方について知っておいたほうがいいかもしれません。プレゴールデンエイジ・ゴールデンエイジの年齢は?プレゴールデンエイジ、ゴールデンエイジの年齢については、専門家によって1~2歳の幅があり、順天堂大学スポーツ健康科学部長の吉村雅文氏は、以下のように定義しています。プレゴールデンエイジ・・・5~9歳ゴールデンエイジ・・・9~12歳「うちの子はもう9歳を過ぎてしまったからプレゴールデンエイジが終わってしまった……」と考えてしまうのはもったいないことです。5~12歳頃の子どもの発達は、子どもによってかなりの差があります。ですから、上述した年齢はあくまでも「~歳頃」という目安です。とはいえ、5~12歳頃に子どもたちの運動能力が急激に伸びることには違いありません。早稲田大学スポーツ科学学術院教授の広瀬統一氏も、「子どもが低年齢のうちに多様なスポーツや遊びの経験をすることは、その後の運動能力向上や競技パフォーマンス向上にも有用である」と言っているように、プレゴールデンエイジ・ゴールデンエイジの過ごし方次第で、将来の子どもの運動能力に違いが出てくるのです。プレゴールデンエイジ・ゴールデンエイジについて、次項より詳しく見ていきましょう。【プレゴールデンエイジ期】5~9歳プレゴールデンエイジとは、ゴールデンエイジ前の5~9歳頃のことで、神経系(神経回路)の発達が著しい時期です。この神経系の発達について、『子どもの身体能力が育つ魔法のレッスン帖』の著者・髙橋宏文氏(東京学芸大学教育学部准教授)は以下のように説明しています。脳と体、あるいは体の部位と部位の「神経回路」がしっかり連係しているほど、電気信号は速く、正しく伝わります。これによって体がスムーズに、そして自分の思い通りに動かせるようになるのです。(引用元:高橋宏文(2018),『子どもの身体能力が育つ魔法のレッスン帖』, メディア・パル.)神経系は、5歳頃までに成人の80%、12歳頃までにほぼ100%まで発達するとされています。ですから、プレゴールデンエイジの子どもにはさまざまな動きを経験させ、神経系により多くの刺激を与えることが重要なのです。【プレゴールデンエイジ期】おすすめの運動遊びプレゴールデンエイジの子どもは、多種多様な動きを経験することで神経系が発達していきます。投げる・打つ・走る・跳ぶ・蹴るなどの基本的動作ができるような運動遊びが◎です。また、プレゴールデンエイジ期の子どもは、とても高い集中力をもっていますが、その集中力は長続きしません。子どもが飽きてしまったときは、次の運動遊びに移りましょう。それでは、プレゴールデンエイジ期におすすめの運動遊びをいくつか紹介します。■キャッチボールキャッチボールは「神経に刺激を与える最高のトレーニング」と話すのは、前出の髙橋氏。野球ボールだけではなく、ドッジボールのように大きなボール、または小さくて軽いビニールボールなど、さまざまな大きさ、重さのボールを使ってみましょう。キャッチボールは、「相手やボールとの距離感」「ボールを離すタイミング」「投げるときの安定したフォーム」などの感覚をつかめますよ。■私は鏡「合図にすばやく、正確に対応する力」を高める運動として、髙橋氏の著書に掲載されている「私は鏡」。やり方は簡単。向かい合った相手と同じ動きをするだけです。小さな動きよりも、真似がしやすい大きな動きのほうがよいでしょう。20~30秒続けてください。ポイントは、相手が動いてからワンテンポ遅れて動くのではなく、相手が動いた瞬間にパッと動くこと。相手の動きにすばやく反応できれば、どんなスポーツでも活躍できるはずです。■お手玉を落とすな!体育座りをして、頭の上にお手玉を乗せます。お手玉を落とさないように、ゆっくりと立ちましょう。コツは、自分の体に意識を集中させること。動きに慣れてきたら、お手玉の数を増やしてみましょう。頭と肩にお手玉を乗せて、ゆっくり立ち上がってみてください。また、おでこにお手玉を乗せて、仰向けの状態から起き上がるのもおすすめ。この遊びはかなりバランス感覚が磨かれますよ!■新聞じゃんけん「運動嫌いな子どもでも積極的にカラダを動かせるプログラム」を提案している、公益財団法人 日本スポーツ協会のアクティブチャイルドプログラム。このプログラムのひとつ、「新聞じゃんけん」では、楽しく遊ぶなかでバランス感覚などの多様な動きを身につけることが可能です。まず、2人組になり、それぞれが新聞紙の上に乗りましょう。じゃんけんをして負けた人は新聞紙を半分に折り、その上に乗ります。これを繰り返し、新聞紙に乗れなくなった人の負けです。じゃんけんに勝ったら、新聞紙を1回分もとに戻せるルールにしてみたり、人数を増やしてみたりしても盛り上がります。イラスト提供:公益財団法人 日本スポーツ協会■運動系の習い事プレゴールデンエイジ期に運動系の習い事をスタートさせるお子さまも多いでしょう。しかし、公益財団法人 埼玉スポーツ協会のホームページには、「神経系が発達している時期に、基礎反復練習やフォーメーション練習だけをしているのはもったいない」とあります。ゴールデンエイジ期に突入したお子さまが、サッカーやバスケットなど特定のスポーツを始めたとき、技術を存分に吸収できるよう、プレゴールデンエイジ期には「全身を使う動き」ができる習い事がおすすめです。もしお子さまがすでに運動に苦手意識をもっているのであれば、『スポーツひろば』のような運動が苦手な子ども向けの運動教室を探してみるのも手です。最近は、オンラインレッスンを提供する教室も増えていますので、一度利用してみてはいかがでしょう。【ゴールデンエイジ期】9~12歳ゴールデンエイジとは9~12歳頃のことで、一生に一度だけ訪れる、あらゆる動作を短時間で覚えられる時期。なんとゴールデンエイジでは、新しい動作を何度か見ただけですぐに身につけること(即座の習得)も可能。しかもこの時期に覚えた動きは一生忘れません。ただし「即座の習得」は、「プレゴールデンエイジに多種多様な動きを経験している」ということが前提条件。プレゴールデンエイジに張り巡らされた神経回路があるからこそ、ゴールデンエイジで運動能力が一気に伸びるのです。次に、ゴールデンエイジ期に運動神経をググっと伸ばす、おすすめの運動遊びを紹介します。【ゴールデンエイジ期】おすすめの運動遊びゴールデンエイジ期になると、子どもは自分自身の体を自由自在に動かせるようになります。新しい動作がすぐに習得できる時期なので、いろいろな運動、複数のスポーツにどんどん挑戦させてあげてください。■なわとび体育の定番であるなわとびは、体をバランスよく発達させる全身運動です。そして、リズム感覚とバランス感覚を同時に鍛える運動でもあります。体育指導のプロフェッショナルである西薗一也氏も「片脚跳びや二重跳び、腕を交差させるあや跳びなどとなると、かなり細かい体の動作が要求されますから、小さい子どもが体の使い方を学ぶにも最適な運動である」と話しているように、いろいろな跳び方をすることで、体をイメージ通りに動かせるようになりますよ。■おにごっこ公益財団法人日本サッカー協会、公益財団法人 日本スポーツ協会がすすめている、運動能力を向上させる遊びは、おにごっこ。その理由は以下です。遊びのなかにいろいろな「動き」の要素がある。自分からの「動き」と、なにかに反応しての「動き」がある。おに、相手と味方、スペースなどに対して、「見る」ことへの意識づけができる。さまざまな駆け引きがある。判断する能力を養うことができる。おにごっこは、全力で走るだけでなく、急に止まったり、切り返したりという動きが必要とされます。タオルをしっぽに見立て、おににタオルをとられないように逃げる「しっぽとりおに」もおすすめです。■ブレイブボード『スポーツ動作の科学』著者・川本竜史氏(大東文化大学教授)が、ゴールデンエイジ期の子どものバランス感覚向上に効果があると推しているのが「ブレイブボード」。ブレイブボードとは地面をけらなくても前に進む次世代ボードです。スケートボードとの大きな違いは、従来のスケートボードが1枚のボードに4つの車輪が付くのに対し、前後2枚のボードそれぞれに車輪が1つ付き、パイプでつながっていること。この革新的な構造によって、横乗り姿勢で足を前後させるとボードがしなり、ダイナミックに加速してサーフィンやスノーボードのような動きを平地で楽しむことができるのです。(引用元:ブレイブボード公式サイト|ブレイブボードとは)また、川本氏によると、ブレイブボードは軽いジョギングと同じ有酸素運動ができるため、30分ほど遊ぶだけで汗が出てくるのだそう。体幹も鍛えられるので、ゴールデンエイジ期の子どもにぴったりですね。■運動系の習い事運動系の習い事はひとつに絞らないほうがいい――という事実をご存じでしょうか。元メジャーリーグ日本担当スカウトであり、現在はジュニア育成活動に力を入れている小島圭市氏は、活躍するトップアスリートのほとんどが幼少期に2~3種類のスポーツを経験していると話しています。八村塁氏(プロバスケットボール選手):野球、空手※バスケットボールは中学から大谷翔平氏(プロ野球選手):野球、水泳、バドミントン錦織圭氏(プロテニス選手):テニス、水泳、サッカー、野球ちなみに、ゴルフ以外にスポーツ経験がないというプロゴルファーの松山英樹氏は、キッズゴルファーに向けて「子どものうちにいろいろなスポーツをやったほうがいい」とメッセージを発しています。その理由は、「野球で速い球を投げられる子は、ゴルフでもヘッドスピードを上げる動きができる。投げる動きは手先の感覚も出るだろうし、スイングの動作につながる。サッカーだったら足腰も鍛えられる」から。たくさんのスポーツを経験することによって、さまざまな身体機能が鍛えられるのです。まずはお子さまが興味を示したスポーツをいくつか習わせてみてもいいかもしれません。■スポーツが育む非認知能力「リベルタサッカースクール」■子供たちの「心に体力を。」ポルテベースボールスクール■「認めて、褒めて、励まし、勇気づける」ハーツバスケットボールスクール■ティップネス・キッズスイミング***今回この記事で紹介した運動遊びをすべて、小学4年生になる娘と一緒にやってみました。感想はというと――公園での本気おにごっこは、10分もたたずに親のほうがギブアップ。また、30分程度でブレイブボードの上に立つことができた娘に対し、親のほうは購入して1ヶ月がすぎてもまったく乗りこなすことができません。逆に、親世代のほうが上手にできたのは、キャッチボールとお手玉遊びでした。子どもの運動神経がよくなったかどうかはまだわかりませんが、この1ヶ月間、親子で公園に行く回数が増えたのは事実です。親子コミュニケーションもうまくとれるようになった気もしています。お子さまの運動神経をアップさせるべく、ぜひ親子で運動遊びをしてみてくださいね。(参考)高橋宏文(2018),『子どもの身体能力が育つ魔法のレッスン帖』, メディア・パル.中村和彦(2013),『運動神経がよくなる「からだ遊び」』, PHP研究所.遠山健太(2014),『ママだからできる運動神経がどんどんよくなる子育ての本』, 学研プラス.きのこらぼ|ゴールデンエイジが発育発達のカギ(前編)読売新聞オンライン|早期スポーツエリート教育は「悪」か公益財団法人 日本サッカー協会|JFAキッズ(U-8/U-10)ハンドブック東京都バスケットボール協会 U12 カテゴリー部会|フレッシュ・ミクロミニバスケットボール指導マニュアルJSPO 日本スポーツ協会|保護者・子どもたちへベネッセ 教育情報サイト|どんな運動が子どもの成長を促す?小学校高学年のときにやらせておきたい運動公益財団法人 埼玉スポーツ協会|はじめにNHK|短時間で効率的!全身を鍛える”縄跳び”トレーニング 完全版STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|「跳べた!」という強烈な体験が自己肯定感を押し上げる。“プロ直伝”縄跳び練習方法ブレイブボード公式サイト|ブレイブボードとはAERA dot.|錦織圭の育て方カギはいち早く世界を見据えた父?ベースボールチャンネル|「ボール投げ」の能力低下は必然――大谷翔平選手から考える、ジュニア年代に求められる〝アスリート教育〟【元ドジャーススカウト、小島圭市の禅根夢標】スポニチ|バスケ八村塁、才能持て余した少年時代に運命変えた恩師の一言遠かった夢すぐそこにNumber Web|松山英樹が他競技経験者に羨望!?「ゴルフしかやってこなかったから」
2021年05月13日ファジアーノ岡山やアジア各国で代表チームに関わり、現在はU-20ワールドカップを目指すU-19日本代表を率いる影山雅永監督。前編ではコミュニケーション能力や子どもたちの本能を目覚めさせることについてお話を頂きました。後編では親と子どもの関わり方について伺いましたのでご覧ください。(C)松尾祐希■昔に比べ足元の技術は高いが運動能力が低下している現代の子どもたち前編では大人たちのスタンス次第で子どもたちの本能を呼び起こし、自ら意見を発する場を作れる可能性についてお話をしました。子どもたちの技術は以前と比べて向上したのは間違いありません。「技術は格段に高くなりました。ロングキックをあまり使わなくなって来たのでそこはレベルが上がっていないかもしれませんが、ファーストタッチの能力、インサイドキックの質。止めて蹴る能力はすごく高いです」影山監督が認めるように子どもたちのレベルは目を見張るものがあります。一方で現代の子どもたちは屋外で活動する機会が減り、部屋の中で遊ぶ時間が多くなりました。その影響は少なからずあり、身体を動かす機会が減ったことで運動能力の低下が叫ばれてきました。外で遊ばない傾向は海外も同様で、問題点として上がっているそうです。影山監督が以前研修で訪れたオーストリアのレッドブル・ザルツブルグでは、育成年代の施設に一工夫を凝らしており、その光景は今でも鮮明に覚えていると言います。「外で遊ぶ子どもが減ってきているので、オーストリアのレッドブル・ザルツブルグは面白い施策をしていました。プロとは別にアカデミーの施設を持っている中で、ピッチの周りに遊具がずらりと並んでいたんです。クラブの方に理由を尋ねると、『今の子どもたちが山や川などで遊ぶ機会が減っているから遊具を設置した』と仰っていました。アスレチックから落ちないようにしたりして、週に1回は遊具で遊ばせているそうです。運動不足の問題は世界中で起こっているのだと感じました」■スポーツへの欲求は高まっているしかし、影山監督は新型コロナウイルス感染拡大の影響による休校、チーム活動停止によって、外で身体を動かしたいという欲求が高まっているとも感じているそうです。「外で遊びたいという理由から、子どもを連れて外遊びをしていた方も多いですよね。みなさんも休校中は親子連れの方を公園でたくさん見かけたと思います。その中で、僕が住んでいるエリアではサッカーをやっている子が一番多かったかもしれません。『改めてサッカーはすごい』と感じましたが、コロナ禍でステイホームを余儀なくされたので、子どもたちは外で遊びたいという欲求が出たと思います。これまでのように思い切りスポーツができない時期があったことで、よりスポーツへの欲求は高まったのではないでしょうか」■サッカー強国スペインでは12歳までクラブ所属禁止のチームも。その理由とはこうした状況に置かれたからこそ、親が子どもとどのように関わるかは重要です。では、親御さんはどのように向き合っていくべきなのでしょうか。影山監督は言います。「サッカーだけやって英才教育をしてうまくなることを肯定する人もいます。しかし、子どもたちはいろんな可能性を秘めています。様々な研究により、いろんなスポーツをやっている子どもの方が最終的に一流の選手になる傾向があるそうです。今年1月にU‐18日本代表でスペイン遠征を行なった際に、私はリーガエスパニョーラのレアル・ソシエダで研修を受けました。そこで多くの事を学んだのですが、バスク地方では12歳までクラブに所属することを禁じていました。いろんなスポーツをやってほしいという観点から、クラブに所属するのは13歳からというバスク独自の法律があるそうです。サッカーを本格的に学ぶのは13歳からと決まっているのは、本当に素晴らしい考えだなって思いました」様々な競技にもトライさせることで、子どもたちの運動に関係する神経が刺激されます。バレーやキャッチボールをすれば落下地点や空間把握能力が高まりますし、他のスポーツから得られる学びはたくさんあります。積極的に子どもたちにスポーツに触れさせることは健やかな身体の発育にも繋がり、サッカーを上達させる一因になるのは間違いありません。■小学生年代でサッカーに向いていない、プロになれないの判断は早すぎるプロ選手になるためには幼い頃からその競技に触れていた方がいいのかもしれませんが、あくまで一例です。サッカーでも、中学校からキャリアをスタートさせてプロの世界へ飛び込んだ選手もいます。だからこそ、影山監督はゴールデンエイジという言葉に対し、必要以上に影響されて欲しくないと言います。「中学年ぐらいだとまだ発育的にも将来どんな選手になるのか分かりません。ゴールデンエイジという言葉を勘違いされる親御さんも多いのですが、12、3歳ぐらいでその年代のトップレベルにいないからプロになれないということはありません。中学生からサッカーを始めてプロになった選手たちもいるので、技術が身に付けられない訳ではないのです。ゴールデンエイジは神経も発達する時期なので、より多くボールに触れた方が技術を身に付きやすいのは間違いありません。ただ、技術の向上は努力次第で何歳からでもできます。自分も引退してからの方が上手くなっているぐらいですから。なので、小学校3、4年生でサッカーに向いているか、プロになれる可能性があるかなど、将来を判断するのは早いと思います。子どもたちは大きな可能性を秘めています。小学生の時にトレセンに入っていなくても、高校で伸びた事例は多くありました。中学まで違うスポーツをやっていたけど高校から始めて、素晴らしい才能を持った選手もいます」様々な場所でサッカーに携わってきた影山監督。自身も小学校5年生の息子を持つ親として、子どもとの向き合い方を考えてきました。その中で重要なのは、大人たちがコミュニケーションを取る環境や様々な角度でスポーツに触れられる場を設け、子どもたちの才能をより磨くことだと言います。心身を鍛えれば、サッカーだけではなく、1人の人間として大きく羽ばたくきっかけにもなります。子どもたちの可能性をより広げるためにも、大人たちのアプローチが重要なのかもしれません。影山雅永(かげやま・まさなが)福島県の磐城高校を経て筑波大学に入学。同期の井原正巳氏(現・柏レイソルヘッドコーチ)、中山雅史選手(アスルクラロ沼津)らとプレーし、卒業後は古河電工(現・ジェフユナイテッド市原・千葉)に入団。Jリーグでも活躍し、1995年は浦和レッズ、翌年はブランメル仙台(現・ベガルタ仙台)に籍を置いた。引退後は筑波大学の大学院で学び、1998年にはワールドカップに初出場した日本代表で対戦国のスカウティングを担当。その後はケルン体育大学などで学び、2001年からはサンフレッチェ広島でコーチを務めた。以降はアジア各国でA代表や育成年代の監督を歴任。2009年からはファジアーノ岡山のヘッドコーチに就任し、翌年からは監督として指揮を執った。2017年からはU-18日本代表監督(U-20ワールドカップを目指すチーム)となり、昨年5月のFIFA U-20ワールドカップ・ポーランド大会ではチームを2大会連続となるベスト16入りに貢献。現在はU-19日本代表監督として、来年開催予定のFIFA U-20ワールドカップ・インドネシア大会を目指している。(取材・文・写真:松尾祐希、JFA)
2020年12月14日"コロナ自粛"の影響で、スポーツ界にオンライントレーニングが広がりました。場所を問わず、フィジカルトレーニングができる便利さが受け、多くの選手やチームが取り入れています。ですが、正しく行えていないとケガのリスクもあるのだとか。そこで、日本サッカー協会のスポーツ医学委員でJクラブのドクターも務める大塚一寛先生(上尾総合病院スポーツ医学センター長)に「オンライントレーニングをする際に気をつけたいこと」について、話をうかがいました。(取材・文:鈴木智之)上手くなるために大事なのはケガしないことと正しい姿勢でトレーニングすること(写真は少年サッカーのイメージ)■アライメントが崩れているとオスグッド→シンスプリントなど芋づる式にケガをする可能性大塚先生がまず強調したのが「正しい姿勢でトレーニングを行うことの大切さ」です。オンライントレーニングは一気に身近になりましたが、痛みの発生につながることもあるので注意しなければなりません。「正しい姿勢でトレーニングをしないと、体が"代償"を覚えてしまいます。代償とは、代わりとなる部位の筋肉が動くことで、本来鍛えたい箇所に負荷がかからなくなり、トレーニング効果が得られません。画面を見て、ただ『型』をマネするような形になってしまうので気をつけましょう」と、間違った姿勢でトレーニングすることのリスクを教えてくれました。ジュニア年代でも、オンライントレーニングでフィジカルに刺激を与える取り組みを、たくさんのチーム、指導者が実施しています。サカイク編集部にも「何歳から筋トレをしたほうがいいですか?」という質問が届くなど、保護者の関心が高いジュニア年代での筋トレの情報。ですが、大塚先生は「ジュニア年代であればまずは正しい動きづくり、いわゆる"アライメント"を高めるトレーニングをする方が良いと思います」とアドバイスを送ります。アライメントとは骨、軟骨、間接の配置のことで身体の連動性にも影響します。たとえばシュートを打つときは、ボールに直接触れるのは足ですが、両手を振って、上半身と下半身をねじって、パワーを生み出して、足をボールに当てるという動作をします。この上半身と下半身の連動性、各パーツの動きが連続して行われることがケガをしないために大事なことなのです。「アライメントが崩れていると、慢性障害(痛み)につながる恐れがあります。そうすると、コンスタントにピッチに立てなくなってしまいます。とくに、神経系が発達する"ゴールデンエイジ"と言われる時期の、8歳~12歳前後の子どもたちはボールを蹴ることで感覚を身につけることが大事なので、筋トレではなくアライメントを含めた身体の使い方を身につけることに意識を向けると良いと思います」ケガを未然に防ぐことで、常に練習に取り組むことができ、技術や体力面のレベルアップにつながります。大きく伸びると言われているゴールデンエイジの貴重な時間を、ケガで棒に振ってしまうのはとてももったいないことです。「バランス能力やアライメントが悪いと、小学生の時にオスグッドになり、中学生になってシンスプリントになるなど、芋づる式にケガをしてしまう恐れもあります。アライメントが悪い影響で、身体の至るところに負荷がかかっているのです。元の部分を改善していかないと、痛みが出るたびに治療をしても、根本的な解決にはなりません」■体のバランスを整えるのは「サッカー以前」のことアライメントが大切なのは、子どもだけではありません。大塚先生が日ごろ接している、プロ選手でも、入団したばかりの若い選手はアライメントに改善の余地がある選手がいるそうです。「例えば、あるプロ選手に片足立ちのスクワットをやらせると、片方に傾いて、まっすぐできないことがありました。これがアライメントが良くない状態、つまり機能不全です。選手としてはすごくまずい状態ですよね。アスリートではない私がその選手とおしくらまんじゅうをすると、簡単に勝つことができました」その選手は空中戦やハイボールには強い一方で、相手を背負ってプレーする際には、アライメントが良くないので苦戦していたそうです。「繰り返しお伝えしているとおり、身体のバランスが悪いのでグロインペインなど、股関節周辺のケガをよくしていました。私からすると、プロ選手であるにも関わらず、サッカーをする以前の状態と言えます。それから、アライメント向上のトレーニングに取り組んだことで動きが改善され、いまでは大活躍しています」ジュニア年代から動きづくりに取り組んでいたら、早い段階から上のレベルに到達できたかもしれません。■筋トレなどフィジカルトレーニングは16歳以上で十分「男の子の場合、技術面に関しては、16歳ごろまではやればうやるだけうまくなります。一方で、それ以降の伸びしろは5%ほどしかないと言われています。だからこそ、ジュニア年代から16歳ごろまでは、ケガをせずに、コンスタントにピッチに立つための身体作りが大切なのです」さらに、こうアドバイスを送ります。「その意味でも、指導者の方々は、子どもたちがケガをせず、ピッチに立てるようにしてあげてほしいです。フィジカルトレーニングは16歳以降に取り組んでも、十分に間に合います。ボールテクニックや、ラダーを使って動きの敏捷性を高めるトレーニングなど、ゴールデンエイジのときにするからこそ、より効果的なトレーニングはたくさんあると思います」次回の記事では、正しい姿勢でトレーニングする際に、保護者がチェックすべきポイントについて紹介します。大塚一寛(おおつか・かずひろ)医師、上尾中央総合病院整形外科・スポーツ医学センター長。1999年からJクラブのドクターとしてチームとともに帯同を続けている。そのほか、『日本サッカー協会スポーツ医学委員』や、『Jリーグチームドクター会議部部会長』を務める。多数の講演にも出演し、現場のノウハウや選手のケガ、障害予防などの啓発活動も積極的に行っている。上尾中央総合病院・スポーツ医学センター日本サッカー協会スポーツ医学医員
2020年07月28日シダックスグループのレストランカラオケ事業子会社であるシダックス・コミュニティーは、9月17日から順次、全国のレストランカラオケにおいて、ゴールデンエイジ(60歳以上の客)や障がい者を対象とした地域交流イベント「ゴールデンエイジ・カラオケの集い」を開催する。同イベントは、敬老の日にちなんだ高齢者の交流イベントで、2002年から開催し、今回で11年目となる。地域の高齢者カラオケサークルのメンバーをはじめ、福祉支援などのボランティア活動を行うNPO法人トレフルクラブを通じて、障がい者を無料で招待。また、一般の団体や個人からの応募も受け付け、全国で約8,000名に利用してもらうという。カラオケはもちろん、ランチメニューやパーティーコースなどの食事とソフトドリンクも無料で提供される。開催期間は9月17日から23日(午前11時30分から午後2時30分頃まで)。店舗ごとに順次開催し、1店舗あたり1回から2回の開催を予定している。開催場所は、全国のレストランカラオケ・シダックス297店舗のパーティールーム(六本木、ゴールド宗右衛門町、那覇松山を除く)。定員は各店舗約30名で、実施店舗に設置されている専用チラシから申し込みができる。応募締め切りは9月16日(定員になり次第終了)。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年09月10日